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ウェストファリア体制の次にくるもの
1
:
ヤスツ</b><font color=#FF0000>(RqRGbk8w)</font><b>
:2003/02/24(月) 00:38
「現在の国際社会とは、中世社会を終わらせた30年戦争の反省から、互いの国家をそれぞれの国内に対しての主権を持つ対等な存在とし、それぞれの国内問題には介入しないことを約束したウェストファリア条約を母胎としてできあがった、ウェストファリア体制社会である。
アメリカは、この【他国の主権に介入しない】というウェストファリア体制から見れば、奇形的存在の新興国である。
アメリカの【自国自衛のための先制攻撃の正当性】を肯定した場合、400年続いたウェストファリア体制は崩壊することになる」
壱学生さんのご説明にたびたび登場する「ウェストファリア体制とアメリカ」ですが、もしこの約半世紀の総ざらえとして、アメリカの行動がウェストファリア体制に基づく国際秩序を不安定にさせるとしたら、次の新秩序にはどのようなものが考えられるのでしょうか?
ウェストファリア条約が結ばれた頃は、「大国同士の長期に渡る激突が、戦争の危機を生む」ということで、互いに内政に干渉し合わない小国がたくさんある世界が生まれたのではないか、と思うわけですが、「大国による小国への内政干渉」「テロという手段の効果の実証」「大国による制裁の正当性と実効性」など、400年前と今日とでは事情もずいぶん代わってきています。
という話を、一朝一夕で答が出るとはさすがに思っていないのですが、もしウェストファリア体制の次に新しい秩序が生まれるとしたら、どのようなものが生まれる可能性があるのでしょうか?
最善の一種類だけとは思えませんので、いろいろなスタイルが考えられうると思いますが、もしよろしければ、皆様の予見なさる「次の新秩序の可能性」について、ご意見を伺えればと思います。
2
:
国家主義者(改め)柏葉英一郎</b><font color=#FF0000>(HCOHd/MU)</font><b>
:2003/02/24(月) 22:14
>>1
アメリカによる「一極覇権体制」ですかね。
少なくとも経済分野においては、ほぼそうなっていますし。
あとは他の分野も少しずつ征服していくと。
もちろん、軍事方面もそうで、今でさえ世界中が束になってかかってもアメリカには勝てません。
今はイラク、北朝鮮、アルカイダなどの反乱勢力の掃討に乗り出しているのではないでしょうか。
よく言われる「パクス・アメリカーナ」ですね。
モンゴル帝国をも凌駕する大帝国の完成によって、新秩序が出来るのではないかと。
3
:
壱学生
:2003/02/28(金) 20:23
>ヤスツ氏
これは非常に難しい問題提起です。
まず規範論(「あるべき」論)で語るのか実体論(「こうある」論)なのか、と言う問題。
さらには規範論を置いておくとして、可能性のみで話すとしても、です。
これがちゃんと語れるなら、いますぐ大学教授にでもなれるでしょうね(笑)。
どれくらい難しいかと言えば「世界を平和にする方法を考える」のと同じくらいの難易度です。
とは言え、この問題は政治学を学ぶ者や国際情勢を観察する者の誰もが一度は考える問題であり、
その意味では「回答」は出せなくとも「回答する際に考えなければいけない事」を考えるだけでも意味のある事だとは思います。
で、僕が取り合えず考えつくだけでも、大きく分けて三つの分野について考えなければならないでしょう。
それは
1、安全保障 2、経済 3、理念・政治思想 についてです。
(これはざっと僕が考えついただけですので、おそらく他の分野もあるでしょう)
今回は「安全保障」について、
>>2
にある「アメリカの一極覇権体制」とからめて考えてみる事にしましょう(その内気が向いたら他の事に付いても考えてみます)。
「ウェストファリア体制」以前の古典的帝国の場合でも、それ以降の大英帝国のような近代的帝国の場合でも、
結局の所「帝国の過拡張(オーバーストレッチ)」という問題からは逃れる事ができませんでした。
この「オーバーストレッチ」という問題は要するに、安全保障上重要だが経済的な利益が少ない場所から帝国が手を引けなかった事が全てです。
仮にアメリカの一極覇権が実現するとして、アメリカがその轍から逃れる事ができるのか否か、それが一つの論点となるでしょう。
悲観的に考えるならば、アメリカは結局歴史を繰り返し秩序は崩壊、新たなる覇権国ができるまで(その過程での世界戦争により)無秩序になるでしょう。
逆に楽観的に考えるならば、アメリカはRMAに代表される情報技術の恩恵により低コストでの覇権確立・世界支配を実現して秩序がもたらされるかも知れません。
僕には将来どちらに転ぶのか、予見する事は正直できません。
(この論点は機会があれば後で触れる「世界システム論」の観点とも絡んでくるでしょう)
それとももしかしたらアメリカも過去の事例に学び、19世紀のような古典外交の立場をとり、結局「ウェストファリア体制」に順応するかもしれません。
僕の個人的な(根拠の無い)予想を言えば、世界各地で手痛い授業料を払ってアメリカがこの観点になって、
「アメリカ主導ではあるが大国間の協調」による秩序が成立するのでは、と考えます。
4
:
たまちゃん</b><font color=#FF0000>(Ob/ersYQ)</font><b>
:2003/02/28(金) 21:53
漠然として、これといったものが思い浮かばないのですが、他国への国内問題の介入を行えば、「自国の事は自国で解決するので要らんお世話だ」と、なりそうですね。現にそういう声も出ていたようですし。
で、理想論に過ぎないことは重々承知で書きますが、「国境を無くす」「宗教を新しいものにして一つに統一する」「文化を共有する」「資源を共有する」・・・・でしょうか。
なかなか、富を得て優位な立場にある者からすれば、不満が出てくるかもしれないし、直ぐには無理な事も重々承知で書きました。こうなるには、まだかなりの年月を要すると思われます。
5
:
ヤスツ
:2003/02/28(金) 22:45
「あるべき論」と「こうなる論」は、どちらもそれなりに興味があります。
「こうなる論」については、「古い帝国が崩壊した時代」と「現代」で、インフラ及びハードウェアで異なるモノは何か?をよくよく考えてみないと、答は出にくいかもしれません。
情報伝達速度、情報(経験と知識)継承確率は、古い時代の帝国に比べれば格段の進歩を遂げているのは事実です。(冬になると戦争ができなくなる時代とか、電報の翻訳が遅れると宣戦布告が間に合わない時代に比べて、情報を得る速さの高速化、情報そのものの量の増大、判断に要する時間の短時間化が進んでいることは、ソフトウェア(宗教、文化など)とは別に考えたいところです。
「風土(自然環境、気候、血など)」に大きな変化は起きないと仮定するなら、このまま人類がそれぞれ持っているソフトウェア(宗教、文化)に大きな変化は起こらず、これに起因するトラブル(戦争であるとか、秩序の形成方法であるとか)は、過去のものを参考にできそうです。
その意味で、「過去の帝国が陥ったジレンマをアメリカ帝国も繰り返す」可能性は大きいですね。確かに。
「我々は過去の時代より進化した時代にいる」
とはよく聞くフレーズなのですが、男と女のトラブルが万年オーダーで繰り返されるのと同様、直面した問題に対処する当事者の寿命は短く、何万回繰り返されてきたシチュエーションであっても、その当事者にとっては初めての経験ということになります。
やはり、ソフトウェアにだけ立って考える限り、「歴史は繰り返される」、時の輪は閉じていると考えたくなるところです。
6
:
ヤスツ
:2003/02/28(金) 23:06
>>4
たまちゃんさんのご意見は「あるべき論」のほうに依ってくるのかな? と思いました。
そちらのテーマはどうしてもSFになっちゃうんですよね(^^;)
ちなみに「国境を無くす」「宗教を新しいものにして一つに統一する」「文化を共有する」「資源を共有する」ですが、暫定的に実現している場所がありますね。
アメリカではサイバースペース、日本ではインターネットと呼ばれている場所。
まず、国境がありません。文化は実質的に共有されていると言っても過言ではないと思います。共有のためのインターフェースとして、インターネットに接続される限りは「英語の壁」というか、インターネットの標準語である英語と無関係ではいられません。
意志疎通の方法として、同じ日本語を喋っているもの同士ですら意見の対立があるわけですから、同じ英語をしゃべれたくらいで意見の対立がすべて氷解するとは思いませんが、少なくとも「文化交流」「他国・他人の持つ文化資産に関する知識を共有するための足がかり」としての言語の標準化は、有意義かつ効果的です。
(ただ、言語の統一というのは、文化の共有だけでなく、文化の消失を呼ぶ危険性も持っています。アイデンティティを消失させて安定した秩序に参加することに是を唱える人ばかりではないと思います(by映画「マトリックス」)。)
>>5
でものべましたように、宗教は「風土」が生み出す、その風土にあった「行政統治手段」ですから、地球の風土がすべて均質(または別の前提に基づく同じ条件)にならない限り、統一された宗教は出てきづらいでしょう。
ただ、これは宗教とは異なると思いますが、10年前の湾岸戦争と911テロのときに、「人類がひとつの方向を向くことができるかもしれない可能性」というのはかいま見えた気がします。
いずれも「フセイン」「テロ」を、それぞれの時の政府が「共通の敵」と認識したことです。
「村八分を行うことで、仲間はずれにされなかった側の一体感、共同意識を醸成する(by司馬遼太郎「菜の花の沖」)」という効果があることは古くから知られています。日本における「クラスでのいじめ」も、「いじめる側に参加することで、いじめられる側をスケープゴートに残りの全生徒が一体感を持つ」という、少々ネガティブではありますが、相通じるものを感じます。
既存の宗教は「共通の敵」に対して力を合わせることを唱えたものが少なからずあります。
これは、「一族・民族の共同、協力」を正当化し、仲間意識、共同体意識を向上させ、共同体内での諍いを、「共通の敵と対峙すること」を理由に抑止するというものです。
日本はかつて300の藩(くに)に分かれて存在してました。徳川幕府体制というのは、「徳川王国」ではなく、あくまでも「徳川連邦」です。
が、それが「日本というひとつの国」になり、藩同士が剣先を向けあう必然を消滅させたのは、「日本列島(徳川連邦)の外にある共通の敵・脅威」を知ったからです。
となると、極論になりますが、「各国が国益・私益を棚上げにして、同じ共同体の中の一員の意識を強く持ち、相互に剣を向けあう必然性を消失させる(共同体の中の平和)」ためには、地球・人類にとっての共通の敵が「必要」ということになります。
SF映画でこのテーマが多いのは、単にアクションシーンの需要というだけでなく、「こうあるべき=地球人類はひとつになるべき」を達成しようとすると、どうしても「共通の、人類の存在そのものを脅かす敵(宇宙人とか怪獣とか)」が必要となります。また、それは「特別な講習・学習・理解を必要としなくても、一瞥しただけで言葉・習慣・思想・年齢・性別・階級と無関係に共通の危機感を感じられるもの」でなければなりません。
宇宙人が襲来してくるようなSFに世界政府が存在しているのは、「地球人がひとつになるために、宇宙人が必要」という逆説的な必然からそうなっているのかもしれません。
この「人類共通の敵を得て人類が一致団結」というのが私の考える「人類がひとつになるあるべき方法」のベストに近いものなんですが、同時に人類滅亡の可能性も持ってしまうため、あまりオススメできません(^^;)
このテーマを追求した映画、漫画、ゲーム、アニメ、小説は、数限りなくありますので、特に挙げません。個人的に気に入っているのは、アメリカのTVドラマ「V」ですが(^^;)
7
:
ヤスツ
:2003/02/28(金) 23:36
ちなみに、「こうなったらきっとおもしろい」という、少々勝手な観測をば。
民主主義政治では、多数決の原理によって有権者の代表意見を束ねた政党・政治家による政権ができあがります。
で、アメリカという国もこの原理に基づいて直接大統領を選出してきた国です。
ここに日本の「外国人参政権」の話も絡んでくるのですが、もし、ある政党が自党の議会での発言力を武力に依らずに増そうと思ったら、手っ取り早いのは「票田の確保」「有権者の拡大」です。
公明党がなんだかんだ言って安定した数字を出しているのは「創価学会」という安定票田がバックにあるからなわけでして。
となると、もしアメリカのある政党が「自国内での選挙に勝つために、有権者の総数の底上げを必要とする」ことになり、そのためにアメリカの「州」を増やすことに前向きになったらどうなるだろう、と思って。
例えば、ハワイ(を例に挙げるのはいろいろアレですが)がそうであるように、アメリカ連邦に加わりアメリカの一員になることで、太平洋の孤島での安全保障を手に入れる。同時に「ハワイ州」として、アメリカ大統領選を左右する投票権の一翼を担う……という、小国が、今後出てこないとも限りませんよね。
ようするに「パクス・アメリカーナ」の考え方をさらに膨らましているだけなので、別にオリジナリティはないと思うのですが……。
州としての独自性(州法によって緩やかながら独自性・独自法制を持てますし、アメリカは州ごとに「州兵」という独自武力の保持も認めていますし)をある程度保つことが保障され、そのうえ「世界最強のアメリカ大統領を選ぶ権利を持つ」。
そういう条件を「魅力」と見て、「アメリカに52番目以降の【州】として参加することに名乗りを上げる、独自の安全保障に自信のない国」が増えていったら……。
これを「侵略」と見るか「併合」と見るかはわかりませんが、「安全保障が手に入り、アメリカ経済圏に参加でき、世界を動かす大統領を選出できる」というメリットを「プラス」と考える国がないとはいえません。
で、その調子でどんどん「アメリカ連邦加盟国」が増えていって、最終的に地球には「アメリカ連邦」だけになっちゃう(笑)
そうすると、「アメリカ国内=地球」の大統領選は「選挙」で行われることになるわけで、実質的な世界政府を地球市民が選挙で選べるようになります(笑)
国連の場合と同様(ていうか拒否権はないけど)、大人数をかかえる州も少人数の州も「1票は1票」なわけで、中国やインドが参加しても、「10億人のインド州」や「8億人の中国州」からいきなりインド人や中国人のアメリカ大統領が出るかどうかはわかりませんが、何年かかけて「アメリカ」全土に散らばっていったら、いつか「マハラジャ大統領」や「マオ大統領」なんてのが出るかもわかりません。ペルーで「フジモリ」大統領が出たように。
ついでに言うと「アメリカ連邦国内=地球」になったら、地球での紛争は全て「戦争」ではなく「犯罪」の扱いになりますね。警察大活躍。
大統領の選出方法が「大統領を努める能力・資質を持っているものの中から、大統領になりたがっていないものを大統領としてランダムに選び、大統領としての仕事をしっかりこなさないと、大統領を辞めさせてもらえない(byアーサーCクラーク「地球帝国」)」だったりすると、私としましてはなおケッコーなわけですが。
8
:
たまちゃん</b><font color=#FF0000>(Ob/ersYQ)</font><b>
:2003/02/28(金) 23:43
SFですか。地球人をまとめる為の共通の敵は宇宙人ですか。
なるほど、まさにSFですね。笑。
ふと思ったのですが、そうなれば、そのうち宇宙人類は一つなんて言う恩仁が出てきそうです。まとめる為に共通の敵を作るべきではないみたいな。理想ですが難しいです。
本来言いたいのと少し違うようですが、今の段階では、結果としてSFですね。しかし、それしか思い浮かびませんでした。とりあえず、思いついた事を書きました。
では、次を考えますね。後日書きます。(なんだかネタばかり並び立ててしまいそうですが、すみません。)
9
:
ヤスツ
:2003/02/28(金) 23:52
>>8
>宇宙人類はひとつ
断言します。絶対に出てきます(^^;)
その意味では、問題を先送りにして「宇宙のどこかにいる平和で善良で温厚な宇宙人の画期的解決方法に期待する」という逃げ方もないではありません(^^;)
おっとーさんという別のBBSで活躍されている反戦平和主義者の方の持論で「反戦平和主義は、具体的な解決方法を提示せずに問題を先送りにすることで、未来へ向かって逃げ続ける(ヤスツ註:そして、いつか棚ぼた的な解決方法を誰かが考えつくまで、開戦までの時間稼ぎをする)」というのがあるんですが、「全能で善良な宇宙人のサロンに入れて貰おう」と言い出す人も必ず出てくるでしょうね。
そうでなければ(宇宙人はおらず、宇宙に人類ひとりぼっちと仮定して)、「地球が有限だから、パイの取り合いが発生する。パイが無限に拡大されれば、限られたパイを奪い合う争いはなくなる」という考え方もできます。
つまり、「人類の人口は今のままか、それ以上に増えるが、それを上回るペースで地球(もしくはそれに相当する環境、資源)が拡大する」ということです。
これもSFになっちゃいますが、「月面開発」「火星開発」「太陽系開発」と進んで、途中でやっぱり「惑星国家」とかできたりコロニー落としがあったり(^^;)、人類は「無限に続く砂場」をもらっても、隣のガキが作った山を蹴散らしながらでなければ、広がっていけない種なのかもしれません。
というわけで、「あるべき論」「こうだったろおもしろい論」は、どうしてもSFになってしまうので、「こうなる論」に軸足を移して考えてみたいと思いますが、猫がキーボードの上で足踏み運動を続けているので(^^;)、続きはまた次の機会とさせてくださいm(__)m
10
:
緑装薬4</b><font color=#FF0000>(aL5K3vps)</font><b>
:2003/03/01(土) 12:40
>7
そらいいアイデアだわな(笑)
特定の国を自由にするにわ、自国がその国に組み入れられて「選挙権」持って
しまえばええんだわなぁ。
究極の「間接侵略」だわな。
イカフライさんに教えてあげたいねぇ(笑)
#アメリカの意思を変えるにわ、アメリカの選挙権手に入れること
11
:
中葉
:2003/03/02(日) 11:53
「ウェストファリア体制の次にくるもの」という言葉を聞いて私がすぐに思い出す
のは、昔フォリン・アフェアーズで読んだ同じ趣旨の以下の論文です。
Power Shift by Jessica T. Mathews
http://www.foreignaffairs.org/19970101faessay3739/jessica-t-mathews/power-shift.html
パワーシフト グローバル市民社会の台頭 Power Shift ジェッシカ・マシューズ
http://www.foreignaffairsj.co.jp/yoshi/9703.html
#power
もはや「ウェストファリア・システム」の絶対性はすべて解体しつつある。
インターネットに象徴される高度情報化時代にある現在、オカネ、情報、汚染、
大衆文化といった資源や脅威が重要性をましながら拡散し、「政治的な境界線に
は殆ど関係のない形」で人々の生活や経済を規定しているからだ。新たな問題の
多くがトランスナショナルな性格となり、国際コミュニティが何に対して関与す
べきかという概念も広がりを見せているため、国家がもつ力では十分な対応がと
れない状態にあり。これを補完するかのようにNGOや市民団体が台頭し、多国
間機構への関心も高まっている。
全く容易ならぬ、人類史上最大の危機に突入したものです。
ちなみにこの論文の著者は現在、今をときめくJessica Tuchman Mathews
President, Carnegie Endowment for International Peace
http://www.ceip.org/files/about/Staff.asp?r=18
カーネギー国際平和財団の理事長です。
だからアメリカ帝国は手ごわい。
12
:
ヤスツ
:2003/03/02(日) 17:31
>>11
インターネット草創期(90年代初頭から日本への普及が進んだ94〜5年あたり)に、けっこう言われたことなんですよね。
インターネットが国境を無意味なものにする、っていうの。
実際には技術の無作為な発達→恩恵と脅威の拡散→既存の秩序維持体制(政府とか警察とか)が現状に追いつかない、というある種のアナーキーな状態が作り出されたわけで、Warezが飛び交いニュースグループに死体写真と幼女ポルノが飛び交っていた頃が、いちばん「インターネットが無法の荒野(=開拓大好きアメリカ人好みの西部のフロンティア状態)」だったんじゃないかなあ、と。
で、そうした「国境を無意味にするもの」というインフラを生み出したのはアメリカ陸軍のARPAネットなわけで、インターネットの発展(根幹に関わる)は、いつもアメリカ主導で進められ、ネットバブルはアメリカに起こり(笑)、今なお「インターネットに後から参加するアメリカ以外の全ての国」には、ファーストドメインとして「jp」「uk」「fr」「ru」「ch」など、国名を表示しているにもかかわらず、創始国アメリカのみは「ファーストドメインの国名表記がない」。
便宜上の問題ではあるんだけど、これについてはかつての競争国ロシアも、現在の対立国フランス・ドイツも、未来の冷戦相手の中国もクレームを付けていない。
インターネットはもはや必要不可欠な「発明」のひとつで、それに参加することはイヤがおうにも「アメリカの用意した土俵」に「英語」で上らなければならない、ということを示している。
基幹的な技術に関しては「デファクトスタンダード」という形での普及はないではないですけど、それぞれを手がけてるのもみんなアメリカ系企業で、日本やヨーロッパ圏の国が自国言語と自国技術で主導しているネット技術ってあまり聞かないですよね。
思えば、飛行機もヘリも車(発明したのはダイムラーだけど、普及させたのはフォードだし)も電話もTVも、そしてインターネットも、20世紀に人類に定着した技術のほとんどはアメリカ生まれ。
ウェストファリア体制の次のシステムを、あの国が「発明」する可能性は極めて高いという説にも頷けます。
「世界規模の共通のインフラであるインターネットを拡張・支持するための【方法論】と【プロトコル(=通信上のプロトコルだけでなく、使用第一言語を英語にしたという点も、言語というプロトコルをいち早く抑えた、と言えるでしょう)】を握っている」
という厳然たる事実は、依然アメリカが「先頭を走っている」ことの現れかもしれません。
ただし、フォード(BIG3)が日本車に破れたり、ヘリの分野ではソ連のほうに優れたものがけっこうあったり(ハインドとか)、電話の技術は今ではイスラエルやスウェーデンのほうが上だし、携帯普及率では日本もあるし……てなことを考えていくと、「先頭切って突っ走るのはアメリカだけど、他国はその後を付いていくことでアメリカ以上の恩恵を得られる可能性は今後も常にある」と思います。
「またアメリカかよ!」と悲観することもないのかな、と。
13
:
緑装薬4</b><font color=#FF0000>(aL5K3vps)</font><b>
:2003/03/02(日) 20:19
>ヤスツさん
アメリカ→「欲しい」と思ってから、行動する。
日本→「できる」と思ってから行動する。
この違いだと思うがな。
アメリカは、「こういうのが欲しい」と思うと、それに向かって突き進む。
日本は、「こういうものがあれば、こうできるよな」と思って行動する。
「夢見がち」な人間を、日本は嫌うからねぇ(笑)
14
:
<未入力>
:2003/03/03(月) 08:58
ヤスツ氏は軍事板のヤスツ氏ですか?
人違いならすみません
>>13
確かに……
だけど、未来を作るには多少の夢と冒険も必要……
しかし、国家財政がヤバい今の時期には夢や冒険をする余裕は無いだろうな……
財政健全化が早期に実現される事を期待します
ニュートリノみたいな研究がもっと増えれば良いね
将来は大きな果実となって跳ね返って来る
15
:
ヤスツ
:2003/03/03(月) 17:06
>>14
軍事板にはほとんど行きません(書き込みをあまりしていません)が、自衛隊板の反戦スレには申し送りなどで書き込んでいます。
>>13
収益が上がるのに時間がかかるものは日本では嫌われ、投資がすぐに回収できる工夫や発明は、競合他社がどかどか参入してあっという間に「市場」を形成する。
これが日本型。
収益がなかなか上がらないものに「チャレンジ」するが、実用化されたときの収益は桁違いにでかい。特許権・アイデア保護などで権利を独占するので競合他社が参入しづらく、健全な市場の形成が行われにくいので司法省が強くなる(笑)のがアメリカ型
以前、この手のテーマが話題に上がったとき、
「アメリカはカーボンファイバーを使って航空機を開発する。ジャンボが売れるまでに時間はかかるが、その収益、間接利益(利用者の)は計り知れない」
「日本はカーボンファイバーを使ってゴルフボールを開発する。ゴルフボールはすぐに売れるので収益の回収にかかる時間は短い(金額は少ないが、ジャンボと違って数が売れるのでリスクは低い)」
という例えを聞いたことがありましたが、緑装薬4さんの仰るところの「国民性の違い」を、具体的に言い表した一例かもしれません。
16
:
緑装薬4</b><font color=#FF0000>(aL5K3vps)</font><b>
:2003/03/04(火) 20:13
>15 ヤスツさん
第二次大戦のときの兵器開発のスタンスが、それなんだよね(笑)
アメリカは「中国大陸から日本本土を爆撃できる飛行機が欲しい」といって
B29を開発したんだけど、当初のB29は、ターボ部分の磨耗が激しくて
1回の飛行でエンジン交換(笑)してたらしい・・・
翻って日本は「日本本土からアメリカ爆撃できる飛行機があればいいなぁ」
といって、富嶽とやらを開発しようとしたけど、既存の飛行機を組み合わせて
作っていたので、結局出来なかった。
まあ、資源やら工業力やらちうもんはあるだろうけど、見ていてそう思うわなぁ。
17
:
ヤスツ
:2003/03/13(木) 04:31
昨今、どうしても「アメリカ対世界」という図式が際だってきてますね。
で、「アメリカの孤立」というのがニュースなんかで際だって報道されてるんですけど、アメリカって本当に孤立してるんでしょうか?
人口10人の国でも、人口10億人の国からも、国連にいけば同じ数の代表を出してきてるわけで、その中で見るとアメリカだけが……って見えますけど、「アメリカの影響力」が「国連の決定」を上回る(例えば新決議無しの武力行使の実施など)ことが証明された後、アメリカと対立した各国は、アメリカに対してどれほどの「制裁」が可能なのでしょうか。
EUとロシアと中国が束になってアメリカに経済制裁を科すことは可能でしょうか?
その場合、余波はアメリカに同調した日本にも及ぶでしょうか?
イラク後(すでに後を見込んでいますが)、アメリカはイラクを3分割して復興、文民統治すると言ってますが、その復興事業(もちろん新油田開発事業も含まれています)に、「米英の決議案に反対した国(=特にフランス)は入れない」という法案(=アメリカ議会)の話も出てるそうです。
日本はアメリカに同調することで、アメリカのおこぼれを頂戴するチャンスが得られる可能性があります。
そうなれば、「景気も回復するだろう」という期待もありそうです(小泉首相に)。
そうなったとき、閉め出されたEU&ロシア、中国はアメリカと日本をどうする、どうできるでしょう。
もし、アメリカのイラク攻略が成功し(というか、フランス、ロシア、中国がフセインに加担してアメリカと戦わない限り、アメリカの敗戦というのは想像付かないんですが)、フセインが死ぬか捕縛されるか追放されるかしたとして、戦後になってからアメリカに尻尾を振る中小国がたくさん出てくる可能性も捨てきれないような……(EUに新加盟する国々はアメリカに期待を寄せているらしいですよ。やるといったらやるところとか)。
そうなったら、「国際連盟の崩壊後に国際連合が生まれた」ように、「国際連合はそのままに、アメリカ主導の新国際連合と旧国際連合が対立する可能性」というSFめいた妄想もしたくなってしまいます。ハイ。
その場合、日本は「どっちの国連に入るか」ですね(^^;)
「旧国連に引き留めたいなら常任理事国に入れろ。拒否権付きでな」
「新国連に入るからおこぼれ下さい」
18
:
難民
:2003/03/13(木) 12:56
こっちでも横レスしてみますです(一回だけね)。
経済制裁:今までも米国は食料・鉄鋼などの面で税率・輸入基準を変えることでかなりの
制裁を行ってきたし、されてることもあります。米国のイラク攻撃の動機の一つには米英メ
ジャーを通しての世界コントロールがあるでしょう。特に将来に国力を伸ばすだろうアジア諸
国(+露)は中東オイル価格を操作すれば米国コントロール下における。特に中国はオイル備
蓄が極端に少ないようですから、これは効くはずです。
欧州:ブッシュ政権が成立したばかりの頃にネオコン理論家のケーガンという人がヨーロ
ッパはすでにその影響力をすっかり喪失した、何の役にもたたん見たいなことを書いてた
ようです。でも現実的には、米国と違って未だに産業構造の実態を失っていない共通通貨
を持った欧州は米国にとっての脅威となりうる。それで米国はNATO、トルコ、東欧諸国に
色目(金目なんですが)を使ってEUの分裂を狙う。EUは市場としては認めても政治力
とは認めたくないわけです。
とにかく世界一をなんとしても維持したいんですね。
米政権にヘイヘイと言わない国々は何を考えているのか?
近隣戦争・紛争・テロに慣れさせられた国々はブッシュが考えている世界統一が可能だと
は思っていない。一国主義は危険であることを知っている。米国からの圧力が想定されて
も一緒に戦争して得するとは思えない。選挙対策も考えるでしょう。日本みたいに平和的
選挙民は少ないですね、世界的に見て。あと“戦後”がある。かなりこじれるでしょう。
そんなモンの責任は取りたくないですよ。
もう一つには米国経済転落の可能性があります。自転車操業の米経済は双子の赤字と外資の
逃げが本格化すれば簡単にポシャルでしょう。他国が今まで抱え込んでたドルの何割かでも
ユーロにシフトすれば(これはリスク回避としては正論)それだけでも米経済は大きい痛手を
受けるはずです。ただ高くなったユーロで欧州産業はすでにかなり息切れしてますが、、。
世界各地で生産したものをドルを使って再分配して生きてるアメリカです。国際機関との協調
をないがしろにしたら再分配も困難になるでしょう。
それにイラクの件では見事に信用を落としてます。信用なしでは“商い”はできないと思うん
ですが。。
軍事制覇の行きつく先は自分が生きてく場所=地球破壊に今では簡単に行っちゃえるんで、これ
はSFにとどめておいて欲しいと希望いたします。
ところで今の日本では判官びいきというのはもう流行らないんでしょうかねー。
19
:
ヤスツ
:2003/03/14(金) 14:18
>>18
国民レベルでは未だ「判官贔屓」は生きているようにも思いますが、ただ、「そんなことより聞いてくれよ、オレのことを」という風が強まる(他人のことを構っていられる余裕がなくなる)ようであれば、判官贔屓も薄れてくるのかもしれません。
さて、日本についてちょっと考えます。
美濃部博士の「天皇機関説」というのは、「天皇をエンジンに見立て、舵取り自体は天皇以外の執権(天皇の補弼者である内閣)が行う」としたものだったと記憶しています。
これには「輔弼者が天皇を籠絡している」「天皇は舵取りができない盲目だ」という揶揄が含まれているとして、当時はずいぶん叩かれたと言いますが、叩かれ始める前はわりと「そういうものだ」という通常の認識だったらしい、というのを、1年ほど前になんかの本で読んだのですが、元本を忘れてしまいました(^^;)
で、同時に「日本は、天皇ではなく輔弼者が政治を行い、その責任を取る。つまり、輔弼者が何度失敗しようと、そのたびに輔弼者を交換するだけで、全体(=総体)は維持される」という前向きな解釈もあります。
武家が征夷大将軍や関白になって政治を執り始めたあたりからずっと、日本人は「政権交代」にけっこう慣れている。
また、江戸は大火災の経験が多く、大正にも震災、そして昭和には戦災を経験している。でも、同じ場所にまた同じ都市を造っている。
「何もない所にイチから別のものを作る」ような土地利用上のゆとりがあまりないせいで、「同じ場所に何度も同じ都市を作り直す」ということを、何世代にも渡って経験している。
戦災からの復興は震災からの復興の経験があったからできたことで、震災からの復興は江戸の大火からの復興の経験が下地にある。
大火の復興以前の「戦国時代の戦争」というのは都市攻防戦ではないので(通常は野戦ですね。攻城戦もあるけど、城下町というのは平和が長くないと発展しないものだし)、「災害から都市を復興させる」という経験が根付いたのは、江戸の大火前後からだろう、と推測できる。
脱線しました。
少し戻りますと、「日本は復興慣れしているのではないか。そのことが行動を起こすときの根幹にあるのではないか」と言いたかったのでした。
アフガン復興、イラク復興など、アメリカが破壊し、日本が復興する。破壊は恨みを買うが、復興は(条件次第では)歓迎されるしウケもいい。(善意を示すのにも適していると同時に、復興ビジネスの甘い汁も吸える)
これは「日本は復興を視野に入れているからエライ」とかそういうことをのべたいわけではありません。
戦争はどういう形でアレ今後も繰り返されるだろうと思います。
重要なのは戦後なわけで、「復興需要」というのは、日本が介入しかつ国際貢献をアピールできる重要な項目なのかなぁ、と。
復興には破壊者が必要なわけで、復興(=やり直し)の前段階としての破壊を肯定的に見るか見ないかが、「反戦論者と利益論者」の境目なのかな、と想像してみました。
「大量破壊兵器を持つ世界の破壊者」を、「大量の戦力を持って破壊する世界の破壊者(^^;)」というのが現在の図式ですが、破壊のあとに再生・復興、線の引き直しを遂行する能力の有無から、ふたつの破壊者の性格を推し量ってみるのもおもしろいのかもしれません。ハイ。
20
:
中葉
:2003/03/30(日) 14:23
できることなら私は、日本は利益論者になって欲しいと思います。そうなればいよいよ、
「ウェストファリア体制の次」の時代の幕開けですね。
21
:
中葉
:2003/04/13(日) 12:47
そうは思うんだが、大勢の赴くところ、世界最終戦争はもうすぐ終わり
不滅のアメリカ帝国が半世紀続きそうですね。みなさん!
その根拠は「イラク攻撃パクス・アメリカーナの分析に日本が出てきてギョギョ!」
The President's Real Goal In Iraq
http://www.jca.apc.org/~altmedka/aku389.html
22
:
中葉
:2003/05/24(土) 06:13
Power Shift ジェッシカ・マシューズ
http://www.foreignaffairsj.co.jp/yoshi/9703.html
#power
の最後で彼女は以下のように言っています。
======================================
「国家の解体と進化」
もし現在のトレンドが続けば、50年後の国際システムは大幅に変化しているだろう
し、この移行期には、ウェストファリア・システムとその進化形態のシステムが両脇
にそれぞれ位置しているであろう。
国家パワーの衰退は結局は一時的な現象になるのだろうか?国家政府への現在の失
望感は、そうした考えが喚起されるとともに急速に悪化していく可能性がある。グ
ローバリぜーションが今後も続き、(ある臨界点に達すれば)過激な経済、文化的
ナショナリズムによる逆襲を招くかもしれない。あるいは、逆の見方をすれば、政
府がうまく扱えない問題の解決を助けることで、ビジネス、NGOそして国際機構
は、実際には国民国家システムを強化しているのかもしれない。(後少し続く)
======================================
私のこの後の発言も、槁と時を改めることとします。
なお、ジェッシカ・マシューズの現況については以下を参照ください。
http://www.ceip.org/files/about/Staff.asp?r=18
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