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自民党政権綜合スレ

1チバQ:2012/12/01(土) 19:12:22
前スレに続き、政権の枠組みがはっきりしないので、
スレタイトルはシンプルに。
「政策」「政権課題」「政権人事」などの話題のこのスレで。

【民主党政権綜合スレ】
実質前スレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/2246/1251865116/l50

【自公保観察スレ】
自民党公明党の党内政局はこちら
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/2246/1067007932/l50

【政治とカネ】
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/2246/1245815657/l50

【第46回衆議院議員総選挙(2013年?)】
2012年12月16日投開票の衆院選はこちら
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/2246/1252036284/l50

>>2以降しばらくは、衆院選の争点関係の話で行きましょう。

37チバQ:2012/12/02(日) 01:30:29
7093 名前:チバQ 投稿日: 2012/12/02(日) 01:29:57
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121127-00000029-mailo-l05
選択の視点:’12衆院選・秋田/1 TPP 農家、医師に警戒強く /秋田
毎日新聞 11月27日(火)11時15分配信

 ◇製造業者「生き残りに必要」
. 国民の圧倒的な支持を受けた政権交代から3年3カ月。衆院選が来月4日公示、16日に投開票される。14政党が乱立し、それぞれの政策を打ち出す中、有権者は何を基準に投票すればいいのか。低迷する農業、雇用不安、少子高齢化など秋田で特に深刻な課題を中心に、民主党が推し進めた政策の影響をたどり、今後を展望する手がかりを探る。
 「TPP反対」「食の安全安心を守れ」−−。今月15日、東京の国会議員会館前で、全国の農協青年部から集まった約100人が、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉参加に反対して農作業着姿で座り込みをした。
 参加した県農協青年部の佐々木保副委員長(39)=潟上市=は「(外国産農作物には)コストや栽培面積で太刀打ちできない。自給率向上と言いながら下がる道を選んでいる」とTPPを批判。「アジアの成長を取りこむと言うが(交渉相手に)中国は入っていない。それで輸出を伸ばせるのか」と疑問を呈する。
 TPPは発効から10年以内に原則全品目の関税撤廃や医療・金融などの市場開放を目指す協定。民主党は野田佳彦首相がTPP推進を公認の条件にすると表明した。自民党も安倍晋三総裁は交渉参加に前向きな発言をしている。他党は警戒する主張が多く、今回の衆院選の争点の一つだ。
 農協の政治団体、県農協政治連盟は、推薦候補選定の参考にするため各立候補予定者にアンケートを実施した。22日に大仙市で決起集会を開いたJA秋田おばこは、3区の立候補予定者を招き賛否をただした。出席した3人のうち、国民の生活が第一前職と共産新人は強く反対を主張し、喝采を浴びた。また、2区で民主前職が開いた小集会では、「慎重に対応する」などと歯切れの悪い前職に対し、出席した男性が「だから先生は賛成か反対か」と何度も食い下がる場面もあった。
 農業だけではなく、医療現場からも懸念の声が上がっている。南秋田整形外科院長で県医師会常任理事の小玉弘之医師は「TPPに参加したら利益追求型の米国の病院が参入し、地方の病院がつぶされる。国民皆保険のシステムは崩壊し、患者は医療を受ける権利を奪われパニックに陥るだろう」と話す。報酬の高い病院に医師が集中し、地方の医療機関の医師不足が加速する危険も高まるという。小玉医師は「危機的な状況が迫っている」と強く懸念する。
. 一方、TPPを歓迎する声もある。「農家には悪いがTPPがなければ生き残れない。手取り足取り保護されている農業ではなく、今度は製造業にも目を向けてほしい」。湯沢市の自動車部品メーカー経営者の男性(70)はそう語る。
 大手自動車メーカーの孫請けとして約20年間、ギアの部品などを製造。数年前に4000万円投資してコンピューター制御で部品を作る機械も導入した。「おたくの設備じゃ作れないでしょと思われたら命取り」のため、先手先手を打ってきた。しかし、08年のリーマン・ショック以来、大手メーカー減産のたびに注文は減った。今年は中国の反日暴動もあり、売り上げは前年同期比4割減という。
 前回選挙では「弱い立場の私たちの生活を変えてくれる」と期待して民主党に投票したが「だめだった」。TPPには期待するが、「民主党は今回は遠慮したい」。真剣に製造業のことを考えてくれるところを選ぶつもりだ。=つづく
11月27日朝刊

38チバQ:2012/12/02(日) 01:30:46
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121128-00000042-mailo-l05
選択の視点:’12衆院選・秋田/2 戸別所得補償制度 「経営体質強化」に疑問 /秋田
毎日新聞 11月28日(水)11時25分配信

 ◇「農家の大きな下支え」の評価も
 「前回衆院選では、先代から自民党に投票していることを自慢しているような人も民主党に投票していた」。大潟村の農家、黒瀬正さん(68)は眉をひそめた。「民主党は戸別所得補償制度を目玉政策にし、農家の票集めに使った」
 同制度では、生産調整(減反)に参加した農家に10アール当たり一律1万5000円が支払われる。さらにコメの販売価格が基準を下回った場合は値下がり分を追加で補てんする。農林水産省のまとめによると、農家に対する支払い実績は11年度は5366億円で、コメ農家の79・1%が所得補償交付金を受け取った。県内では4万2176件、226億3000万円に上る。
 しかし、減反に反対してきた黒瀬さんは同制度を「産業政策になっていない。これでは生活保護のような福祉政策だ」と厳しく批判。「農家の減少は一時的に食い止められるかもしれないが、農家の意欲がなくなってしまう。農村社会の心をむしばむ政策だ」と断じ、政府は土地改良などインフラ整備に投資すべきだと指摘する。
 「ばらまき」批判の一方、同村では減反に参加する農家が急増。09年度は49・5%だったのが、11年度は95・2%にまで伸びた。国の減反政策への対応を巡り、村は長らく二分されてきたが、8月の村長選では初めて無投票で村長が決まった。再選を果たした高橋浩人村長は同制度を「農家の大きな下支えとなり良かった。安定した水田経営に有効に機能している。対立軸が無くなり、同じ方向を向いて農業ができる」と評価する。
 農水省によると、12年度の同制度への加入申請件数(8月31日現在)は115万7466件で、11年度の支払い実績に比べ7307件増加。農水省は来年度予算として6901億円を要求した。しかし、今月あった財務相の諮問機関、財政制度等審議会の分科会では「経営体質強化につながらない」などと制度の見直しを求める意見が大勢を占めた。
 同制度は米粉用米や畑作への転作を進め、20年度までに食料自給率を50%にすることを掲げる。12年度の加入申請の内訳をみると、コメが全体の60%に上り、水田で栽培する麦や大豆、加工用米などは35%、畑作は5%にすぎない。また、10年以内に原則関税をゼロにする環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への参加を民主党が訴えるなど、同制度の先行きは不透明だ。
 秋田市内では月1回、若手農家の有志が採れたての野菜やコメを直売する「わかくさマーケット」を開催している。テントを張り長机を並べた簡素な出店だが、市価より2〜3割安く、珍しい野菜もあるため、いつも行列ができる人気だ。
 代表を務める秋田市の農業、斉藤善宣さん(31)は「正直に言うと(制度がどうあれ)日々やることは変わらない。地元でお客さんとつながり、良いものを作って食べてもらうこと。どこが政権を取ろうとやることは同じ。振り回されても仕方がない」。変遷する国の政策の動向よりも、目の前の消費者の目線を感じながら自分が求める理想の農業のあり方を模索している。=つづく
11月28日朝刊

39チバQ:2012/12/02(日) 01:31:05
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121129-00000003-mailo-l05
選択の視点:’12衆院選・秋田/3 再生可能エネルギー 買い取り制が事業後押し /秋田
毎日新聞 11月29日(木)10時29分配信

 ◇原発に終始する各党に不満も
 原発・エネルギー政策は衆院選の大きな争点だ。27日には民主党が原発ゼロ社会の実現をうたうマニフェストを発表。滋賀県の嘉田由紀子知事は「卒原発」を掲げ新党「日本未来の党」を結成した。その実現に不可欠なのが再生可能エネルギー。秋田など東北・北海道は特に風力発電の潜在力(導入ポテンシャル)が高いとされ、発電事業に新規参入が相次いでいる。
 にかほ市でガソリンスタンドやリフォーム業などを営む須藤商店社長、須藤修さん(62)は先月、知人2人と協力して「三藤エネルギー」を設立した。3人とも60代だ。同市内で風車2基の建設を計画している。「一度事故が起きたら収束できない原発はなくすべきだ。そのためには再生可能エネルギーが必要」と考え、その一翼を担おうと、風力発電事業への参画を決めた。
 後押しとなったのは、7月に始まった再生可能エネルギー固定価格買い取り制度。再生エネルギー事業者が発電した電気を電力会社が一定価格で買い取ることが義務づけられ、大手企業でなくてもコスト回収に一定のめどがつくようになった。電力会社の買い取り枠に制限はあるものの「今なら誰でも発電事業を始められる」と須藤さんは言う。
 日銀秋田支店の調査では、県内では108基(設備容量12万5000キロワット)の風車が稼働している。風力発電や地熱発電、太陽光発電など県内の再生可能エネルギーの発電設備容量は22万2000キロワット。今後計画されているものが稼働すれば現状の3倍弱の61万5000キロワットに拡大する。同支店は「再生可能エネルギーの導入拡大でさまざまな経済波及効果が期待できる」と評価する一方、「長期リスクを適切に判断することが重要」と安易な参入には警鐘を鳴らす。
 県有地でのメガソーラー(大規模太陽光発電)事業に乗り出す潟上市の菅与組専務、菅原孝次さんは「赤字にならなければ、社会貢献の一環としてやっていこうとなった」と、もうけを度外視しての参入だったと明かす。総事業費6億円は約10年で回収できる見込みだが、利益は多くない。買い取り価格がより高く設定されれば利益は増えるが、その分は電気料金に上乗せされ利用者の負担増となるため、菅原さんは「これ以上の値上げは難しいだろう」とみる。「現在の発電をすぐに再生可能エネルギーに置き換えることはできないが、今後割合を増やしていき、その中で将来的なエネルギー政策を議論すればいいのではないか」と話す。
 最大の電力消費地・東京では毎週金曜、官邸前で脱原発デモが半年以上続いている。県内では県平和センターが昨夏から3回デモを主催。脱原発の署名は7万筆超となった。ただ、同センター事務局長、佐藤信哉さん(51)は「新しく参加する人は少なくなっている」と話し、関心が薄れることを懸念する。
 東日本大震災直後、須藤さんのガソリンスタンドはガソリンや灯油を求めて客が殺到した。須藤さんは二酸化炭素削減を義務づける京都議定書など、震災前から化石燃料を含むエネルギー問題に関心があり、原発を巡る議論に終始する各政党の訴えには物足りなさを感じる。「再生可能エネルギーの導入を進めるだけでなく、複合的な議論が必要ではないか」。各党の訴えを見極めるつもりだ。=つづく
11月29日朝刊

40チバQ:2012/12/02(日) 01:31:29
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121130-00000022-mailo-l05
選択の視点:’12衆院選・秋田/4 子育て支援 給付と制度、もっと議論を /秋田
毎日新聞 11月30日(金)10時50分配信

 ◇「手当」評価も課題多く
. 「小さい子にはそんなにお金はかからない。成長した子にも支援の手を差し伸べてほしい」。由利本荘市の会社員、鈴木八重子さん(42)と、会社の同僚、間杉沙織さん(35)はそう言ってうなずき合った。
 鈴木さんは小学5、6年の娘2人、間杉さんは中学1年の長男を持つ母子家庭。子どもたちはスポーツ少年団でバレーボールや野球に励んでいるが、部費や用具代がかかる。学校の修学旅行の積立金などもある。2人は正社員としてフルタイムで働いているが「今は大丈夫でも先を考えると不安」と漏らす。
 民主党は10年6月から中学生までを対象に一律月額1万3000円を支給する子ども手当を開始。その後、制度は変遷し児童手当となり、金額が変わり所得制限が設けられたが、鈴木さんと間杉さんは「何にでも使えるのですごく助かる。少額でもいいから続けてほしい」と話す。
 県の「子育て環境と意識に関する調査」(10年)によると、子どもの数の理想は3人が最多(55・4%)だが、現実は2人が最多(55・6%)。その理由(複数回答)は子育てに「お金がかかる」ことが67%と最も多かった。子育ての悩みや不安(同)を尋ねる設問でも「出産、養育、教育などにお金がかかる」ことが56・3%と最多で、子育ては経済的負担が大きい。
 フルタイムで働く母子家庭の母親にとっては、各種支援策に所得制限があることも悩みの一つ。子どもの医療費の自己負担額助成は対象外という間杉さんは「経済的に余裕があるわけではないのに、なぜ所得でひっかかるのか」と納得できない。「子どもは塾に行きたいと言うが、行かせられない。周囲は中3になるとみんな通っているのだが……」。鈴木さんも「頑張って働くほど支援が受けられなくなる。基準を見直してほしい」と話す。
 3歳から中学1年まで4人の子どもがいる秋田市の本田正博さん(39)は、子育て支援サークル「あきたイクメンネットワーク」の代表。幼稚園に子どもを迎えに行ったり、食器洗いや洗濯、掃除など家事を妻と2人で「できる時にできる方がやる」方式で子育てにかかわる。「子ども手当は助かる」と言うものの、「ワーク・ライフ・バランス(仕事と私生活の調和)が実現できるように制度をもっと変えないといけないのでは」と感じる。
. 10年度からは公立高校授業料が無償化され、私立には一定額が助成された。民主党によると、経済的理由による高校中退者は2099人(08年度)から1007人(10年度)に半減した。県教委によると、県内の公立高では08年度の3人が10年度は6人、11年度は0人になった。ただ、中退者総数は08年度323人、10年度306人、11年度258人で、経済的理由による中退者の割合は低く、無償化の効果は限定的との見方もある。
 次女が高校の2年間授業料無償となった秋田市の美容師の女性(48)は「とても助かった。浮いたお金で子どもの習い事などに充てられた」と評価する一方、「目先のことだけではなく、先生の質を上げるためにお金を使ってほしい」と話す。中学生と高校生の子どもを持つ秋田市の主婦(45)は、学校のいじめ問題に触れ「いわゆる普通の子でも幸福感や自己肯定感に満たされているとは限らない」と言う。「時代は変化しているのに学校は昔のまま。もっと組織としての対応力をつけてほしい」と注文をつける。=つづく
11月30日朝刊

41チバQ:2012/12/02(日) 01:32:46
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121201-00000072-mailo-l05
選択の視点:’12衆院選・秋田/5止 雇用 TDK不振で沈む地域 /秋田
毎日新聞 12月1日(土)12時14分配信

 ◇「円安でもリストラ進むだけ」
. 「この1年ですっかり人が少なくなった」。にかほ市で時計店を営む遠藤強さん(54)はため息をついた。「にかほでは後継者がいなくて店じまいするところはあっても、潰れたという話はほとんど聞かなかったのに」
 人口約2万7000人のにかほ市はTDK創業者の出身地。にかほ、本荘由利地区には多くの工場があり、TDK成長の恩恵に浴してきた。
 しかし、TDKは昨年10月、歴史的な円高やデジタル機器の需要低迷などを受け、国内外で1万1000人を削減すると発表。さらに今年1月までに同市の象潟工場など計6工場の統廃合を決め、生産拠点再編を始めた。下請け会社には契約打ち切りを通告。ハローワーク本荘によると11月15日現在、TDK関連の解雇者は3社511人に上る。152人は再就職したが、340人は求職中だ。
 市内にも影響は及ぶ。「TDKのおかげでやってきた。こういう事態は想像していなかった」と、同市で飲食店を営む60代男性は打ち明ける。TDK社員が店を接待で使うことも多かったという。
 県はTDKの生産拠点再編計画を受け、2年間で総額約108億円を投じ、約5000人の雇用を創出すると発表した。誘致した「にかほコールセンター」は100人を雇用、3日に入社式がある。同市のハタハタすし製造販売、三浦米太郎商店もTDK関連の失業者を雇い入れた。三浦悦朗社長(54)は新商品の開発・PRに取り組んでおり「うちの商品を売り込み、地元の雇用にも貢献できれば」と話す。
 電子部品大手7社の12年9月中間連結決算では、全社が13年3月期の通期業績予想を下方修正。ただTDKはリストラが奏功、大幅増益を達成した。工場閉鎖は象潟工場など4カ所で延期している。
 製造業が苦境にある中、懸命に雇用維持を図る企業もある。「社員のクビを切ることが一番の経費節減だが、できなかった」という秋田市の通信機器メーカーの男性社長(50)は、今年4月から30〜50代の社員20人の賃金10%減のベースダウンに踏み切った。「注文が減り続けている。みんな理解してくれた」という。
. 同社は03年創業。大手電話機メーカーの2次下請けとして、1次下請けから部品を受け取り電話機を組み立てている。しかし、リーマン・ショック以降は注文が落ち込み、今は3カ月契約の仕事が断続的に入る程度。1カ月間全く仕事がないこともある。1次下請けの工場が突然のリストラで稼働停止し、部品が届かず仕事が滞ったこともあった。
 全国知事会は今年7月、円高の進行は地域経済・雇用情勢を悪化させるとして、政府・日銀に対し、円高是正やデフレ経済脱却への政策を講じるよう求める決議を提出した。自民党の安倍晋三総裁は日銀に「大胆な金融緩和」を求める発言を繰り返し、市場も反応。円相場は野田佳彦首相が解散を明言した14日の1ドル=79円から同82円台まで円安が進んだ。しかし、日銀や野田首相は安倍総裁の発言を「中央銀行の独立性を損なう」と強く批判している。
 男性社長は「仮に円安が進んでも労働需要が回復するとは思えない。リストラが進むだけだ。海外に拠点を移すのも、うちのような小さい会社は無理だ」と話す。いつまで解雇を避けられるか、見通しは暗い。=おわり(この企画は坂本太郎、小林洋子、仲田力行が担当しました)
12月1日朝刊

42チバQ:2012/12/02(日) 01:36:26
http://mainichi.jp/select/news/20121201ddm041010179000c.html
12年末・この国を選ぶ:政党公約、「抜け道は尽きず」 禁止できる?企業献金
毎日新聞 2012年12月01日 東京朝刊

 衆院選の公約で企業・団体献金の禁止を打ち出す政党が目立つ。しかし30日公表された昨年1年間の政治資金の収支報告書(総務省所管分)によると、民主、自民の献金総額に対する企業・団体献金の依存度は、減少傾向ながらいまだに4割を超えている。仮に禁止しても「政治家が政治家のルールを決める以上は抜け道ができる」との指摘があり、抜け出すのは容易ではなさそうだ。

 ◇廃止年限示さず、パー券対象外も
 09年衆院選マニフェストに3年後の禁止を盛った民主党は、11年の東日本大震災前日にマニフェストに沿った法案をまとめたが、提出できなかった。同党本体は企業・団体献金を自粛しているが、政治家たちが代表を務める党支部では受け取っている。

 収支報告書によると、昨年の民主党の本部・支部・政治資金団体が受け取った献金計1億7883万円のうち、企業・団体献金は8195万円を占め、依存度は46%だった。自民党は14億6427万円の企業・団体献金を集め、依存度は45%だった。野田佳彦首相が代表の民主党支部が昨年集めた企業・団体献金は998万円で、自民党の安倍晋三総裁が代表の党支部は3363万円だった。

 民主は今回の衆院選のマニフェストでも禁止を打ち出したが、廃止年限を示さず、企業・団体のパーティー券購入禁止も明記しなかった。同党政策班は「11年に作った法案をベースに具体策を検討し、各党と協議する」と説明している。

 「禁止」と言っても各党の約束する内容はまちまちだ。日本維新の会の松井一郎幹事長は28日「内規でキャップをはめる」と述べ、一定の上限額までの献金容認を示唆。社民は「例外なく即時全面」だが、みんなは企業・団体のパーティー券購入は「対象とならない」、公明も「今後の検討」としている。

 ある前衆院議員の秘書は「献金だけを禁止しても企業にパーティー券を買ってもらうようになる」。業界ぐるみの政治団体から献金を受ける方法もあり、別の元衆院議員秘書は「そもそも政党交付金を導入する時、企業・団体献金禁止をうたったのに、政治家が政党支部を通じてもらえるようにしてしまった」と嘆いた。【青島顕】

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 ◇企業・団体献金をめぐる各党の公約
民主党    企業・団体献金を禁止

自民党    政治資金のより一層の透明化。個人献金等の促進を図る

公明党    企業・団体からの政党・政治資金団体への献金を禁止

日本維新の会 個人献金を促す制度と企業・団体献金の禁止

共産党    企業・団体献金をただちに全面禁止

みんなの党  企業・団体献金の即時全面禁止

社民党    政党や政治資金団体への企業・団体献金をただちに禁止

新党改革   企業・団体献金をやめる

 ※日本未来の党、新党日本は公約未発表。国民新党、新党大地は公約で触れていない

43名無しさん:2012/12/02(日) 10:24:51
自民党 比例区公認42人を発表
http://www.asahi.com/senkyo/sousenkyo46/news/TKY201212010629.html
自民党は1日、衆院選の比例区単独で公認する立候補予定者42人を発表した。公認を内定したのはすべて新顔で、次の通り。(敬称略)
北海道=清水誠一(63)、勝沼栄明(38)、大越農子(42)▽東北=吉田修(65)、村上文人(62)▽北関東=新谷正義(37)、佐藤明男(60)、百武公親(50)、下田彰一(59)
▽南関東=文月涼(45)、石川英男(51)、出畑実(62)▽東京=赤枝恒雄(68)、田畑毅(40)、川松真一朗(31)、小野敬三(67)、石田計夫(69)
▽北陸信越=永山文雄(62)、助田重義(52)、渡辺智康(52)、轟好人(63)、小林孝治(57)
▽東海=川田隆(55)、佐橋靖隆(61)、山際功修(57)、杉山真(33)▽近畿=西村日出男(66)
▽中国=池田道孝(65)、木村光寿(39)、井木敏晴(47)、日野原修治(54)、秋田博紀(50)、佐伯充範(39)
▽四国=永井一郎(57)、高橋央(45)、松崎敏則(61)、篠崎令子(50)
▽九州=末吉光徳(66)、湯川一行(63)、西村忠則(63)、泉幸親(60)、川嶋潔典(30)

44チバQ:2012/12/02(日) 11:24:46
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121202/elc12120210330025-n1.htm
エネ政策、分かれる対応 各党公約ほぼ出そろう
2012.12.2 10:32
 4日公示の衆院選に向け、各党の選挙公約がほぼ出そろった。消費税増税やエネルギー政策、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)、外交・安全保障などを争点に、各党とも独自の主張を展開しているが、前回衆院選での民主党マニフェストの主要政策が実現できなかった教訓を踏まえ、各党の目玉公約の実現性も問われることになる。

 衆院選公約で、一番の注目はエネルギー政策の在り方だ。自民党も含め各党は原発への依存を減らす方向を示しているが、目標や年限には幅がある。

 民主党は「2030年代の原発ゼロ」を掲げ、原発は新増設せず、再生可能エネルギーの飛躍的普及を図ると主張。みんなの党などは「脱原発」路線を打ち出す。自民党は10年以内にエネルギー戦略を確立するとして慎重姿勢を崩さない。日本維新の会は「30年代までにフェードアウト(徐々に削減)」との表現をめぐり、党内が混乱している。

 消費税増税については、社会保障・税一体改革を進めた民主、自民、公明3党に対し、日本未来の党などは「増税の前にやるべきことがある」として増税凍結を訴える。維新は税率11%と地方税化と、独自の主張を展開する。TPP対応では各党の表現はあいまいだ。

 公約の中には、未来が訴える中学卒業までの子供に年31万2千円の手当を支給する案など、莫大(ばくだい)な財源が必要な政策も見られる。徹底的な行政改革などで財源を捻出するとしているが、実現への道筋は不透明だ。

45チバQ:2012/12/02(日) 11:41:45
http://senkyo.mainichi.jp/news/20121202k0000m010067000c.html
政権公約:原発ゼロ、8党が主張 手法、工程はあいまい
毎日新聞 2012年12月01日 21時11分(最終更新 12月01日 23時50分)


 衆院選(4日公示、16日投開票)に向け、主要政党の政権公約・マニフェストがほぼ出そろった。原発・エネルギーでは、12政党のうち民主党、日本未来の党など8党が「原発ゼロ」を掲げたのに対し、自民党は原発比率や年限の数値目標を避け、日本維新の会も慎重姿勢を示し、違いが明白だ。ただし各党公約とも、実現に向けた具体的手法や工程はあいまいで、事後検証は難しく、マニフェスト選挙のあり方は後退している。

 「ずっと立ち止まって考えるのも無責任。すぐゼロも責任ある態度と思えない」。野田佳彦首相は1日、北海道函館市の演説で、「30年代の原発稼働ゼロ」を掲げる民主が最も現実的だと訴えた。民主は40年経過した原発の運転を止めるルールを厳格適用するとマニフェストに記した。

 未来は、嘉田由紀子代表が22年をめどに全原発廃炉を主張し、政策要綱で「大間原発も含めて原発の新増設禁止」などと踏み込んだ。

 このほか公明党、共産党、みんなの党、社民党、新党大地、新党日本が「原発ゼロ」を掲げ、大地以外の7党は目標年限を示す。

 一方、脱原発に慎重な自民は「再稼働は3年以内に結論」「10年以内に電源構成のベストミックスを確立」と結論を先送り。維新は「30年代までにフェードアウトする(消えていく)」と記したが、主体的方策は示していない。

 経済・財政では、自民、維新は「3%以上」の名目成長率を目指し、規制緩和による民間活性化や、政府・日銀の政策協定(アコード)による金融緩和を掲げる。日銀に金融緩和を強く求めて景気刺激を図る考えだが、民主は日銀の独立性を尊重し、温度差がある。

 消費増税や環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉参加は、政党間で賛否が分かれる。民主党の09年マニフェストが破綻したことから、民主、公明、新党日本以外の各党は「マニフェスト」の表現を避けた。【野口武則】

46チバQ:2012/12/02(日) 13:17:03
http://www.chunichi.co.jp/article/shuin2012/gifu/CK2012112702000256.html
<論点の現場から>(1) TPP 
飛騨牛の子牛の世話をする女性=飛騨市河合町で


 消費税増税、原発政策、憲法九条、格差社会、環太平洋連携協定(TPP)…。今回の衆院選の争点は、この国の将来に直結する重要な政治課題ばかりだ。県内の現場を歩き、次の政権の選択次第で暮らしが左右されかねない人々の思いを聞いてみた。

 アイルランド出身の女性歌手エンヤのCDが、山間の牛舎に響いていた。世界的に有名な癒やしの音楽。「牛にも効くんです」。気質が落ち着き、餌をよく食べてくれる。飛騨市河合町の飛騨かわい牧場で、代表理事の森田忍さん(46)が勢いよく人工乳を飲む子牛たちを眺めた。

 飛騨牛の雌二百頭と子牛百頭を飼育し、子牛を別の農家に出荷している。飛騨牛は最近、外国でも人気があるから、子牛の中には将来、輸出されるものがあるかもしれない。品質には自信がある。それでも森田さんは「イエスかノーかと言われればノー」と日本のTPP交渉参加に反対する。

 餌の輸入牧草がこの夏、一キロ三十五円から四十円に値上がりした。「コストで考えたら海外には太刀打ちできん」

 昨年、農協が集めるTPP反対の署名に名を連ねた。ただ、本当にそれで良いのか自信があるわけでもない。「もう少し精査しないと」と冷静に状況を見つめている。

 一方、「外国から安い農産物が入ってきても対抗できる」とみるのは、美濃加茂市の農園経営者(59)だ。野球場ほどの果樹園で富有柿と梨を栽培。輸出は手掛けていないが、国産の果物が海外で高い評価なのを知っている。「TPPに参加した方が日本のために良い部分がある」と期待する。

 「TPP反対」でくくられがちな農業関係者の中にもある、賛否両論。独自の販路で全国にコメを出荷している高山市の「まんま農場」の小林達樹代表(53)は「交渉参加は構わないが、協定の中身が出てみないと分からない」と指摘。情報不足に戸惑う多くの農家の思いを代弁した。

(島将之)


◆ブランド品はプラス?
 TPPは、加盟国間の関税を原則撤廃する協定。米国やシンガポール、ベトナムなど九カ国が既に交渉を始め、野田首相も交渉参加の意向を表明している。

 関税が撤廃されると輸出に重点を置く日本の製造業には追い風になるが、農業など内需型の産業は外国産の安い製品に押される恐れがある。交渉参加の是非は国内を二分する課題となっている。

 県内では、高い関税で守られているコメや牛肉の苦戦が予想されるが、例外もある。

 たとえば新興国の富裕層に人気のある飛騨牛。海外に販路が開かれた二〇〇八年度は三百万円ほどだった年間輸出額が毎年ほぼ二倍ずつ増え、一一年度に初めて一千万円を超えた。まだ輸出は生産高の0・1%に満たない規模とはいえ、販路は香港、マカオからシンガポールに広がり、今月末からタイでの販売も始まる。

 「ブランド価値がある農産物は国内外問わず強い。TPP参加がプラスに働く可能性もある」と県農産物流通課。ただ、県内農業産出額の四割強を占める野菜や花への影響は限定的とみている。

(斎藤雄介)

47チバQ:2012/12/02(日) 13:17:29
http://www.chunichi.co.jp/article/shuin2012/gifu/CK2012112802000261.html
<論点の現場から>(2) 消費税増税
消費税増税が「福祉の向上につながれば」と茶畑で語る内藤武男さん=揖斐川町春日六合上ケ流で


 「天空の里」を自称する山間部の揖斐川町春日六合上ケ流(かみがれ)地区。幹線道路から三キロほど山奥に入り、コミュニティバスも走らない過疎の集落だ。住民六十人余の大半が六十五歳以上の高齢者。野菜や魚、総菜を週に数回売りに訪れる移動販売車を頼みの綱にする人が多い。

 「この生活が続けられるだろうか」

 白い小さな花が見ごろを迎えている茶畑で、農業を営む内藤武男さん(89)が不安をこぼした。

 妻と二人暮らし。四男一家も同じ敷地内の別棟で暮らしているが、自分たち夫婦の生活の支えは国民年金と農業者年金だ。ただ、畑で育てた茶の売り上げを合わせても、全国の高齢者世帯の年間平均所得三百万円には届かない。

 消費税増税が必要だという政府の言い分は理解できる。欧州では消費税に似た税が20%を超える国がざらにある。「日本の税率は低い方。次世代の負担や将来的な国力を考えると、増税は時代の流れだと思う」。野田佳彦首相の言った通り、増税分がすべて社会保障にあてられるなら、なおさらだ。

 それでも「日用品の税率はそのままで、ぜいたく品だけ消費税を上げる方法もあるはず。もっと研究してほしい」との思いがぬぐえない。

 公的年金も来年十月から減額が始まる。「高齢者の生活は苦しくなるばっかりだ」とため息をついた。

(加藤拓)


◆低所得者層ほど重荷に
 消費税率は二〇一四年四月に8%、一五年十月に10%へと引き上げられる見通しだ。野田佳彦首相は八月の会見で、少子高齢化が進み、年金、介護などに関する社会保障費が毎年一兆円規模で増えていると説明。「増収分は全額、社会保障で国民に還元される」と理解を求めた。

 社会保障費がのしかかるのは、県も同じだ。介護保険や後期高齢者医療制度の負担分など本年度当初予算の関連費九百億円は、九年前のほぼ二倍。年間四十億〜五十億円のペースで増加している。

 現行の消費税率5%のうち1%分は、地方自治体に入る地方消費税で、都道府県と市町村が折半。岐阜県の最終的な収入は二百億円前後だが、県の試算では、税率8%なら年間八十億円、10%なら二百四十億円の増収となる。ただ、県側は、社会保障費の伸びに対応するには、制度そのものの見直しが欠かせないとの立場だ。

 消費増税で課題となるのは、年収が少ない人ほど税負担が重荷になるとされる「逆進性」。みずほ総合研究所の試算では、負担額が年収に占める割合は税率10%の場合、年収一千万円以上の世帯は3・3%だが、三百万円未満は7・6%に上昇。低所得者への対策が求められる。

(藤沢有哉)

48チバQ:2012/12/02(日) 13:17:48
http://www.chunichi.co.jp/article/shuin2012/gifu/CK2012112902000264.html
<論点の現場から>(3) 対中外交
金属塊を電動ドリルで削る女性従業員=中濃地方の工場で


 エプロンにマスクと腕カバー、軍手姿の女性が、漬物石大の金属塊を電動ドリルで削っていた。作業を終え、足元に散ったおがくずみたいな金属くずをほうきで払い、緑色の床をまたつるつるで清潔な状態に戻した。

 中濃地方で工作機械の部品をつくる下請け工場。また、仕事が減る。かつて週六日だった稼働日は、来月から週三日に半減してしまう。

 経営者(60)がぼやいた。「この二、三カ月でひどくなりました」

 日本と中国の関係が悪化したせいだ。もともと欧州不況と円高で受注が低迷。そこに追い打ちを掛けたのが、中国が九月に尖閣諸島問題で日本製品の通関を厳格化したことだった。受注の落ち込みは、前年比七割減に達した。

 「二〇〇八年のリーマン・ショックの時よりひどいでね」と経営者は声を荒らげる。

 休業した日の従業員の給料は、国の補助金を充てている。ところが、十月から審査が厳しくなった。来年十月からは支給日数が半減とも聞いている。

 「従業員の削減は考えてない」と経営者。辞めさせたら、再就職先がなかなか見つからないのが目に見えているからだ。でも、受注が無ければ、会社の持ち出しが増えるだけ。

 日本政府が尖閣諸島を国有化したのと、中国側の激しすぎる反発の両方が「取り返しのつかない大失敗」と考える。

 「日本の産業は海外で売れてなんぼの世界」。価格が一桁違う中国製品の質が日本製品に迫っていることも脅威だ。「努力の限界。政治が何とかしないと、ものづくりの現場は滅びてしまう」

(松崎晃子)

◆“政冷経冷”で輸出急降下
 中国は二〇〇九年から、日本の最大の取引先となっている。一昨年の輸出額は十年前の四倍の十三兆円余に達した。うち1%弱の九百三十七億円が県内の製造業。特に輸送機器は五年前の三倍の百十九億円に増加した。


 県内企業が中国に現地法人をつくる動きも強まっている。ジェトロ岐阜(岐阜市)の調査では、少なくとも百九十四事業所あり、この十年間で倍増した。

 一方、政治は冷え切っていても、経済では手を取り合う「政冷経熱」と表現されてきた日中関係は最近、「政冷経冷」の状態。東京都による尖閣諸島の購入計画をきっかけに日中関係が悪化し、中国で日本製品の不買運動が広がった。県内分を含む名古屋税関を通じた中国向けの輸出は三月に二千五十九億円だったが、十月は千六百三十七億円まで落ち込んだ。

(多園尚樹)

49チバQ:2012/12/02(日) 13:18:05
http://www.chunichi.co.jp/article/shuin2012/gifu/CK2012113002000236.html
<論点の現場から>(4) 原子力政策
高レベル放射性廃棄物を地下で処理する研究のために掘削した地下坑道=瑞浪市明世町の瑞浪超深地層研究所で


 瑞浪市西部の林に一メートル四方の看板が立っている。

 「超深地層研究所はいらない」

 近くに住む会社員早瀬浄文(きよふみ)さん(66)らが、十年以上前に立てた。

 原子力発電の高レベル放射性廃棄物を地下深くに埋めて処分する方法を考える施設。深く穴を掘って、その影響を調べるだけで、放射性廃棄物は入れない。将来、放射性廃棄物の処分場にするわけでもない。

 そんな約束があることは、早瀬さんも知っている。いつの間にか周囲の反対の声は小さくなり、看板は風雨で汚れてしまった。それでも早瀬さんの気持ちは変わらないという。

 「自分の代にどうかなることはないが、子どもや孫ら若い人に少しでも原子力発電の恐ろしさを知ってもらいたいから」

 同じ気持ちを抱くのは、地元の市民団体の市川千年(ちとし)さん(63)だ。団体名は「埋めてはいけない!」。

 静かな街に波風を立ててはいけない、過激だと言われたこともあるけれど、3・11以来、近所の人に声を掛けられることが増えた。「原子力はやめないかんね」

 ただ、この施設があるため、瑞浪市は国から「電源立地地域対策交付金」をもらっている。原発そのものがある市町村と同じ趣旨の金だ。本年度は五億二千六百万円。

 既に高レベル放射性廃棄物をたくさん生み出してしまった以上、どこかで処分の方法を確立しなければならないのも事実。

 瑞浪市企画政策課は「われわれの世代で処分の道筋を示さなくてはならないとの考えから、施設を受け入れている。それ以上のものを受け入れるつもりはない」と理解を求めている。(畑間香織)

◆4市2町に億単位の交付金

 民主党政権は二〇三〇年代に原発稼働ゼロを目指すと表明したが、課題の一つである使用済み核燃料の処分はめどが立っていない。

 特に難しい高レベル放射性廃棄物は、今のところ深さ三百メートルよりも下の地層に埋めるほか現実的な選択肢がないとされる。瑞浪市にある研究所は、その方策を探る施設だ。

 日本原子力研究開発機構(旧動燃)が二〇〇二年に開設し、既に地下五百メートルまで掘削。研究者など七十人が、地下水や岩盤への影響を調べている。

 旧動燃と県などは一九九五年、この施設内に放射性廃棄物を持ち込まず、処分場にもしないとの協定を交わしている。

 一方、瑞浪市が受けている電源立地地域対策交付金は、周辺の土岐、恵那、可児、御嵩、八百津の三市二町も受給。施設の開設以来、年間に総額十三億〜二十億円の財源となっている。(佐久間博康)

50チバQ:2012/12/02(日) 13:18:24
http://www.chunichi.co.jp/article/shuin2012/gifu/CK2012120102000268.html
<論点の現場から>(5) 格差社会 
新たな職探しのため求人票を見る男性=岐阜市内で


 昼休みの事務所で一人、自宅から持ってきた食パンをかじる。レタスを一枚だけのせ、味付けは塩とこしょう。岐阜市の男性(48)が毎日の昼食代を百円以内に切り詰め、間もなく四年になる。

 二〇〇九年の正月。十年間近く勤めた工作機械の工場が大手に吸収された。地元の工業高校卒。設計技術者としての腕を買われて役員にまでなった職場を、突然失った。

 一千万円を超えるローンで一戸建てを新築してから、まだ二年だった。うつを抱えた妻と、アトピーを患う育ち盛りの息子二人を養わねば。気持ちは焦るが、正社員の職は見つからない。

 一年後、金融関係の職場にもぐり込んだ。いわゆる非正規雇用の契約社員。しばしば顧客の罵声を浴びる窓口仕事。月の手取りは元の四分の一、十万円余まで下がった。

 生命保険とテレビ、新聞は諦めた。携帯電話さえも手放した。それでも、息子のためにアトピー対策を施した自宅は譲れない。病院代も削れない。差し引くと、月五万円で光熱費と食費を賄う必要がある。

 「命懸けで節約すれば、ただ生きていくことだけはできる」

 実は、夕食も朝食も百円以内だ。一斤七十八円の食パンを五枚切りに。一玉十八円のうどんや一個二十円のコロッケをスーパーで手に入れる。息子たちには時々、カレーライスやハンバーグを作るけれど、自分は食べない。

 あと三カ月で、現在の勤め先との契約も切れてしまう。「他人の富を食いつぶす側になれなかった。自分の力不足」。社会のせいにはしたくない、と考えている。

(中野祐紀)

◆東海4県の非正規社員、35%に上昇

 正社員並みに長時間働きながら、最低限の生活に必要な収入を得られないワーキングプア(働く貧困層)。おおむね年収二百万円以下とされ、生活保護の予備軍でもある。

 「契約社員や派遣社員などの非正規雇用と切り離せない問題」とみるのは、岐阜経済大の木村隆之教授(労働経済論)。「医師などよほどの専門職でない限り、非正規での二百万円越えは無理」

 総務省の「労働力調査」によると、岐阜、愛知、三重、静岡の東海四県の労働者のうち、非正規の占める割合は35%。この十年間で6ポイント上がった。

 背景には、「企業の国際競争力強化」を掛け声に自民党の小泉内閣(〇一〜〇六年)などが進めた雇用の規制緩和がある。政権を継いだ民主党も解決策を示せなかった。

 この数値と呼応するように、県内の生活保護受給世帯も十年間で倍増。昨年度は八千七百世帯を超えた。このままだと社会保障費が膨らみ、納税者の負担はさらに重くなる。

 =おわり

51チバQ:2012/12/02(日) 17:32:44
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121130-00000213-mailo-l18
幸せですか?:日本の岐路’12衆院選/上 農業政策 /福井
毎日新聞 11月30日(金)15時23分配信

 ◇家族養えるか不安 「食守る理念感じない」
. 午前7時半。そばの実を選別する作業場は肌寒かった。選別機が騒々しく動き、小石やくずが取り除かれたそばの実が紙袋に納められていく。あわら市赤尾の農家、長谷川太佑さん(33)は国の減反政策に従い、約15ヘクタールの農地でそばを栽培。10アール当たり2万円の補助金を受けている。
 「国は農業に対してどういう政策をとるつもりなのか。先が見えない不安があります」
 妻(31)、長男(4)、次男(3)との4人暮らし。5年前まで大阪で建築資材会社に勤務していたが、農業を営む妻の両親に頼まれ、跡を継いだ。そばの他、約30ヘクタールの水田で米を栽培し、麦も手掛ける。就農に後悔はないが、会社員の方が安定していたと振り返ることもあるという。
 米の価格は低下の一途をたどる。県水田農業経営課によると、93年のコシヒカリの入札価格は1俵2万3772円だったが、その後、相場は下落。長谷川さんが今年、卸売業者に卸した価格は1俵1万5000円前後だった。今後、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に日本が参加し、外国産の安い米が市場に出回った場合の懸念が募る。
 「子どももこれから大きくなる。さらに米の相場が下がったら、家族を養っていけるか不安だ。TPPで農業が打撃を受けたら、国は何らかの対策をとってくれるのだろうか」
   ◇   ◇
 「ただでさえ自由化が進んでいるのに、TPPに参加すれば日本の農家は完全に息の根を止められてしまう」。越前市杉尾町で水稲やほうれん草、トマトなどを栽培する平沢一広さん(50)は、先細る地域の農業を鑑み、訴える。
 14年前、兼業農家から専業農家になった当時、農地は2ヘクタールだった。その後、高齢となった近所の農家から田んぼを託され、現在は10ヘクタールに。93年、米の輸入の一部自由化を機に、農協に卸していた米を直売に切り替えた。有機栽培など客のニーズに合わせて米を作り、品質や味をアピールして口コミで客を広げた。現在の顧客は約50人。市場に左右されないため、TPPに参加してもすぐには影響は出ないと考えている。しかし、「農業は1人ではできない。水路の清掃、水引きの準備……。ほかの農家がだめになったらうちも続けられなくなる」と心配する。
 減反政策をはじめ、自民党の農業政策に疑問を感じていた。前回選挙で、民主党に期待して票を投じた。販売価格が生産費を下回った作物の差額を補償する農業者戸別所得補償制度はマニフェストの目玉だったが、後継者不足の解消など将来を見据えた政策と思えず、支持を得るためのばらまきのようにも映った。
 「自国の食料をいかに守るか、という基本理念を政治家に感じない。『農業は大切だ』と口では言いながら、士農工商の時代と同じで、実質的な農家の地位は軽んじられたままなんですよ」。次の選挙では、誰に投票しようか決めかねている。【山衛守剛】
     ◇
 来月4日公示される衆院選は、私たちの暮らしを振り返り、政治を考える大きな機会だ。この国はどこに向かっているのか。課題の現場を訪ねた。
11月30日朝刊

52チバQ:2012/12/02(日) 17:33:19
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121201-00000200-mailo-l18
幸せですか?:日本の岐路’12衆院選/中 原子力政策 /福井
毎日新聞 12月1日(土)15時58分配信

 ◇争点にしてほしい 地元「向き合うために」
 「地元やもん。やっぱり気になるのは原子力政策。だから、とにかく、もの足らん」
 美浜町竹波地区。集落を歩いていた70代女性に衆院選について尋ねると、吐き捨てるように言った。1キロほど先に、円柱の原子炉建屋が三つ見える。この日は、そのうちの一つ、関西電力美浜原発1号機が運転開始から42年を迎えた28日だった。集落に人通りはほとんどなく、さみしく感じた。
 今回の選挙は、福島第1原発事故後初めての総選挙だ。脱原発を掲げる新党も相次いで設立され、都市部を中心に原発が大きな争点になっている。だが、全国最多14基の原発がある福井3区では状況が異なる。立候補予定者4人のうち、共産以外の民主、自民、維新の3人は、いずれも党方針から外れない範囲で最大限、当面の原発継続や必要性を訴える。他の地域に比べ、違いが見えにくい。
 背景には、地域経済を原発に強く依存し、原子力関連の仕事に就く住民が多いことがある。原発に異を唱えると、選挙で票の獲得につながらない。
 女性は、息子が原発関係の仕事をしており、「地域のために原発は必要ではないか」と考えている。だが、福島の事故を見て、すぐ目の前の原発が怖いと感じているのも事実だ。思いが複雑だからこそ、「候補者には原発のこれからについて、しっかり議論をぶつけてほしい」と願っている。
 滋賀県の嘉田由紀子知事が27日夕、「卒原発」を掲げる「日本未来の党」の結成を発表した。だが、同地区で家族と共に民宿を営む50代女性の反応は冷ややかだ。
 「あの人たちの目線は、票の多い都市部にだけ向いていて、一番原発に近くて危険なこっちには向いていない。私たちの生活なんて関係ないんでしょう。だから興味ない」
   ◇   ◇
 幼い子どもを持つ母親たちは特に、福島の事故をきっかけに原発について考えるようになった。3歳の息子を持つ敦賀市内の女性(33)は事故後、子どもへの放射線の影響を恐れ、テレビを一日中つけたままにし、ミネラルウオーターを買いため、いつでも避難できるように備えた。
 しかし、時間とともに事故への恐怖は薄れた。さらに、夫が原発関連の仕事をしている友人たちの苦労が見えてきた。再稼働のめどがたたずに家計が苦しくなったり、夫が単身赴任したりしている。「ない方がいいけど、地域にとってすぐにはやめられないのではないか」と思っている。
 付き合いのある人の多くが原発と関わり、地元で「原発のこれから」を話題にするのはためらわれる。だけど、本来は原発の近くに住む自分たちこそ、原発に向き合わないといけないと考えている。「選挙は意思を示すいい機会。原発が争点にならないとしたら、寂しい」と話した。【柳楽未来】
12月1日朝刊

53チバQ:2012/12/02(日) 17:33:39
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121202-00000246-mailo-l18
幸せですか?:日本の岐路’12衆院選/下 社会保障 /福井
毎日新聞 12月2日(日)15時55分配信

 ◇一体改革「搾取だけ」 ニーズくみ上げ定着を
 鯖江市に住む女性(61)の義母(84)が、家族6人分の茶わんをテーブルに並べ始めた。午前10時ごろ。いつもの光景。だが、今は3人暮らしだ。義母は認知症を患い、6人がそろっていた過去を生きる。約2年半前にがんで他界した自分の夫の部屋へ向かい、話しかけた。「おじちゃん、ご飯食べよ」
 女性は義母、夫(64)と暮らす。2人の子どもは既に独立した。7年前に義母が認知症を発症。面倒をみていた義父が亡くなり、女性は9年間勤めた会社を辞めた。
 要支援2で症状は比較的軽いが、アイスクリームに肉や野菜を混ぜて「料理」をしたり、水を出しっぱなしにしたりする。目を離すと何をするか分からず、ガスコンロはロックしている。症状が悪化したら介護施設に入ってもらうしかない。女性自身もぜんそくの持病があり、将来の家計に対する不安が頭を離れない。
 一家の月収は、夫が定年後に始めたごみ焼却の仕事で得る10万円足らずの給料と、夫婦2人の年金計8万円と、義母の年金9万円。今は夫に仕事があり生活に困るほどではないが、「年金だけになったら、金銭的に介護はきつい。自分たちの老後もある」。政府が社会保障の安定財源の確保をうたい文句に政策の要として掲げた「税と社会保障の一体改革」では、消費税率の引き上げだけが正式に決まった。しかし「税金は本当に正しく使われるのだろうか」と疑問に思う。社会保障の具体策は見えず、搾り取られる感覚だけが残る。
   ◇   ◇
 高齢者や障がい者の生活支援を続けるNPO法人「ひなたぼっこ」は、01年から越前市粟田部町で地域密着型の在宅福祉サービスを提供している。有償ボランティアが、安否確認を兼ねた配食サービスを行い、体が不自由な人の自宅に出向いて部屋の掃除や草取りなどの簡単な仕事を請け負う。
 理事長の松村芙美子さん(67)は元今立町(現越前市)職員で、介護保険室長も務めた。自身も認知症の義母を介護した経験がある。当時、退職も考えたが、近所の人たちが義母の様子を見に家に来てくれたり、徘徊(はいかい)している義母を送り届けてくれたりしたため、辞めずに済んだ。地元密着型のNPOを設立したのは、地域で支え合う大切さを実感したからだ。
 昨年から、独立行政法人・福祉医療機構から受けている助成金を、ボランティアの人件費に使えるようになった。「福祉は『思い』だけではできない。有償ボランティアに国が目を向けるようになったことは評価できる」。ただ、国の支援は申請主義で、もっと社会のニーズをくみ上げてほしいとも思う。「国は市民の自主的な活動に甘えるのではなく、本当に必要なサービスが何かを考え制度として定着させる義務があるのではないでしょうか」【山衛守剛】
12月2日朝刊

54チバQ:2012/12/02(日) 17:34:31
http://www.chunichi.co.jp/article/shuin2012/nagano/CK2012112802000260.html
<選択の時>(1) TPP
収穫が終わった田を見つめる金盛さん。TPPによる農業への悪影響を心配する農家は多い=安曇野市で


 すべての関税の原則撤廃を目指す環太平洋連携協定(TPP)への交渉参加を前進させるのか否か−。今回の衆院選で大きな争点となりそうな政策課題の一つだ。参加国間で関税がなくなれば、海外への販路拡大を描く製造業には有利に働く。一方、海外の安価な農畜産物が大量に国内へ流入することが予想され、農家には強い不安が広がる。

 精密加工産業の集積地として、かつては「東洋のスイス」と称された諏訪地域。自動車部品を製造する「小松精機工作所」(諏訪市)の小松誠社長(68)は「国内需要だけに頼っていては仕事はなくなる。グローバル化は当たり前で、TPP推進は歓迎すべき話だ」と受け止める。

 小松精機工作所はエンジンに使う燃料噴射装置の部品などを米国や韓国、ブラジルなどへ月に百五十万個輸出する。関税を負担するのは現地の取引先だ。「取引先にしてみれば購入原価は安い方がいい。もし、人件費が安い地域で同じ製品を作られたら不利になる」と、TPPに乗り遅れることを心配する。

 輸出産業はただでさえ歴史的な円高の影響を受け、コスト削減圧力にさらされている。小松社長は「常に技術革新をして、自社製品の強みを維持していく必要がある。競争力があるものを作らないと生き残れない」と先を見据えている。

 長野県のもう一つの顔は、国内有数の農業県ということだ。

 「外国米が安く国内に入ってくれば、私たちは働いても収入がなくなってしまう。多くの人が農家をやめざるを得なくなるだろう」。安曇野市穂高有明の富田地区の農家十九軒でつくる農事組合法人「富田生産組合」組合長の金盛啓展さん(75)は、危機感を募らせる。

 所有する八十ヘクタールの田のうち五十ヘクタールでコメを育てる。年間平均の収穫量は三百トンと、市内では大規模な部類に入る。高価な農機具を複数農家が共有するなど効率化を進めているが、現状でも経営は厳しい。

 田を所有する農家の家族たちだけで農作業をして人件費を浮かし、麦や大豆などに転作して国から支払われる年三千万円の補助金を加え、ようやく利益が出る状況だ。

 食生活の多様化による消費者のコメ離れなどで、コメの出荷価格は、一俵(六十キロ)が二万円あった昭和四十年代〜六十年代の最盛期に比べ、ほぼ半分の一万円程度になった。

 コメに課されている778%の関税がなくなれば、輸入米の価格は下落し、さらなる値下がりは避けられない。たとえ国の所得補償があっても、いつまで続けられるかは分からない。農家の間には補助金頼みの農業への疑問もある。

 「国は農家に損はさせないと言うが、果たしてどうなるのか」。グローバル化の進展という世界経済の大きなうねりを前に、金盛さんの不安は大きい。

    ◇

 日本の「明日」を選択する時が迫っている。経済状況が好転しない中、TPPが迫る「新たな開国」や、社会保障制度の持続的安定をうたう消費税増税には賛否両論が渦巻き、東日本大震災を契機としたエネルギー問題や防災対策は、私たちの暮らしと安全に直結する。課題山積の中で十二月四日公示、十六日投開票となる衆院選を前に、当事者たちの生の声に耳を傾ける。

55チバQ:2012/12/02(日) 17:34:54
http://www.chunichi.co.jp/article/shuin2012/nagano/CK2012112902000252.html
<選択の時>(2) 消費増税
10%の消費税を想定して大沢屋が作った価格を二重表示するチラシのサンプル=長野市内で


 消費税増税を柱とする「社会保障と税の一体改革関連法案」が八月十日に成立し、税率が現行5%の消費税は、二〇一四年四月に8%、一五年十月に10%に引き上げられる。社会保障費の自然増が年間一兆円を超える今、持続可能な社会保障制度の構築は急務だ。しかし、消費税は低所得者ほど負担が重くなる「逆進性」があり、増税は生活困窮者の家計を直撃する。小売業者も、客離れを心配する。

 「消費税が上がったら、食費を抑えないとね」

 六十五歳以上の高齢者人口比率が37・7%(十月一日現在)と、県内の町では阿南町に次いで二番目に高い南木曽町。自宅でダイコンを漬けていた七十代女性は、作業の手を休めて話した。

 四歳年上の夫と二人暮らしで、合計の年金受給額は年間約二百五十万円。「どうしても月二十万円余りはかかる。ギリギリです」。知り合いの葬儀で、香典を出す時は貯金を取り崩す。

 この冬は寒さが厳しいとの長期予報を聞き、暖房の灯油代がかさむのが心配だ。隣の岐阜県中津川市内も含めて安い店を選ぼうと思うが、運搬に使うガソリン代も気になる。

 「消費税増税は社会保障のためというのも分からなくはないが、議員や役所の経費で節約できるところがあると思う。何とかならんのでしょうか」とこぼす。

 消費税が上がって苦しむのは商品を買う側だけではない。

 「店に並ぶ商品の値段に、消費税分は転嫁できていないのが現状です」。諏訪市や岡谷市で生鮮食品店三店舗を運営する「大沢屋」(長野市)社長の坂口政広さん(40)は明かす。

 売り上げの半分を占める卸売業は取引先に消費税分を請求できるが、激しい価格競争にさらされている消費者相手の小売りはそうはいかない。「他店がチラシに打ってくる値段の、さらにその下をくぐらないと」

 一円でも安く売ろうとすれば、消費税分は上乗せできない。〇四年に税込み価格の店頭表示が義務付けられてからは、税金分の価格転嫁はさらに難しくなった。消費税が8%になると、非常に厳しい。

 外注していたチラシを自前で作ったり、カラー印刷をモノクロにしたりする必死の経費節減を続けている。お客に値上げを理解してもらうため、本体価格と税込み価格を併記する「二重表示」の導入も検討する。値段を上げたのは国策だから仕方ないと、消費者にアピールする。「精いっぱいの抵抗だ」

 消費者と国にはさまれ、苦悩する小売りの現場。政府は消費増税の増収分を社会保障制度の安定や充実のためだけに使うと繰り返す。しかし、所得税などを増税して財源に充てた東日本大震災の復興予算では、復興と無関係な事業へ流用された実態が明らかとなった。大規模な公共事業を復活させようという動きも見え隠れする。税の使い方に、有権者の不信は高まる。

 坂口さんは「せめて税金は、真面目に使ってほしい」と願う。

56チバQ:2012/12/02(日) 17:35:11
http://www.chunichi.co.jp/article/shuin2012/nagano/CK2012113002000242.html
<選択の時>(3) 貧困と教育
ながのパーソナル・サポートセンターの面接ブース。生活に困った人たちの相談が後を絶たない=長野市で


 民主党政権は二〇〇九年の前回衆院選時に示したマニフェストで、高校授業料無償化や子ども手当創設といった、次世代育成に光を当てる政策を打ち出した。中でも授業料無償化はマニフェストの中でほぼ完全に実現した政策の一つで、経済的理由による高校中退者減少には一定の効果があったとされる。

 ただ、経済的支援だけでは手が届かない問題も深刻化している。貧困から子どもの教育に関心を持たない親の存在だ。こうした親のもとで育った子どもは成人後に社会へ十分に適応できず、貧困の連鎖に陥りがちだ。連鎖を断ち切るため、教育のあり方が問われている。

 不登校となっていた中学二年の少女に、松本市の元学校講師太田幸子さん(39)は、寂しげな印象を受けた。

 少女は母親と二人暮らしで、生活保護を受けている。母親は夜に働くため昼間は寝ていて、娘が学校に行かなくても気にしない。

 太田さんは、生活保護世帯の子どもの教育をサポートする支援員でもある。松本市が二年前から始めた事業で、市からの連絡を受けて少女の自宅を訪ねた。

 学校に行かせるよう母親を説得しても、心配する様子はない。少女に諭しても「はいはい」と、気のない返事が戻ってくるだけだった。

 それでも粘り強く訪問を重ねるうちに、ぽつりぽつりと言葉を交わすように。やがて「学校の勉強が分からない」と気持ちを打ち明けるようになった。

 太田さんは学校と相談し、少女の理解度に合わせた学習計画を立てると、少女は学校に通うようになった。

 文部科学省によると、県内で二〇一一年度に生活保護を受けている世帯の高校進学率は91・4%と、全県平均よりも7・3ポイント低い。高等教育を受けなかった経済的に恵まれない家庭の子どもは、社会的な自立を果たせないまま自らが親となり、次世代に貧困が連鎖しかねない。

 昨年六月に支援員になった太田さんは、現状に「ちゃんと働こうとしない子どもが増えてしまうのでは」と、やるせなさを感じている。

 「貧困予備軍」とも言える新たな層も生まれつつある。

 長野市中心部に事務所を構える「ながのパーソナル・サポートセンター」は、失業や多重債務などの問題を抱える人の自立を助けるため、昨年から活動を始めた。

 当初想定していたのは中高年の失業者だったが、実際に相談に訪れた千三百人の四割は二、三十代の若者。その大半は引きこもりやニートといった就労経験がない人たちで、センター長の美谷島越子さん(62)は「若い人がこんなに多いとは思わなかった」と驚く。

 多くは親頼みで暮らしており、親が老いて働けなくなっても、就労経験がないか、あってもわずかなため自力で生活する術を知らない。センターのスタッフが奔走して就職先を見つけても、すぐに辞めてしまう人も少なくない。

 「小中学生のころから、働くことの必要性をもっと教える必要があるのでは」。美谷島さんはそう考えるが、確かな処方箋は見いだせないでいる。

57チバQ:2012/12/02(日) 17:35:25
http://www.chunichi.co.jp/article/shuin2012/nagano/CK2012120102000239.html
<選択の時>(4) 防災
県北部を襲った震度6強の地震で大きな被害が出た栄村(2011年3月12日撮影)


 東日本大震災の翌日、栄村を襲った震度6強の県北部地震。住居を失った人のための村営住宅が、国の支援を受けて十一月に相次いで完成した。財政基盤が弱い地方は、復興に国の支えがどうしても必要だ。頻繁に自然災害に見舞われている県内は、広い地域でなお危険性が指摘される。防災や減災は古くて新しい課題と言える。

 真新しい村営住宅に、家具や家電製品が次々と運ばれていく。独り暮らしの桜沢名代子さん(77)も、一年半過ごした村内の仮設住宅を後にして入居した。「地震の後は皆さんのおかげでやって来られた」と、家具や日用品の整理に追われた。

 村営住宅の建設費は、三十一戸で六億八千九百万円。大半を国の交付金でまかなう。いったん大規模な災害が起きれば、自治体単独の対応には限界がある。前年度に国は村の災害復興に十四億円を費やした。震災前の村の一般会計予算は二十数億円なので、大きな投資だ。

 「どこにも行かないで、住み慣れた村で暮らしたい」。そう話す桜沢さんの願いに応えるには、国の支援は欠かせない。

 発生が想定される災害に、どう備えるかも問われている。

 「地区全体が埋まってもおかしくない」。飯田市南信濃地区で燃油店を営む五十代男性は、十月に国土交通省が発表した「深層崩壊」の発生危険地点を見て、危機感を覚えた。深層崩壊は、山の斜面が地下深くの岩盤から崩れ落ちる現象。大量の土石流がふもとの集落を襲えば、大きな被害を起こす。

 伊那谷は、南信濃地区の大部分を含む計百二十九カ所が危険地点と指摘された。燃油店の背後にも山がそびえる。男性は「いつ『山津波』が来るか分からない」と不安を抱える。

 広い中山間地を抱える県内では、過去に大規模な土砂災害が多く発生している。〇六年七月に県内を襲った豪雨は、岡谷市で土石流のために八人が死亡した。

 「私たちは、山の整備を怠ってきたツケを残していたと思わなくてはいけない」

 被害が集中した岡谷市花岡区で、陣頭指揮を執った前区長の小口●明さん(68)は、山の荒廃が被害を大きくしたと考えている。

 間伐されずに荒れた山は保水力を失い、大雨が降れば簡単に土砂崩れを起こす。〇六年の豪雨では、花岡区の近くの西山と呼ばれる山地で土石流が発生した。

 土砂をせき止めるため、県は一〇年度までに諏訪地域の渓流で三十基のえん堤を建設したが、山を荒廃からよみがえらせるには、何をするべきなのかという根本的な課題は残る。

 小口さんは「誰かが山を整備してくれるだろうではだめだ。住民が手を取り合って間伐や植樹、下草刈りをしないと」と話す。

 今年一月、山を手入れする「西山里山の会」を設立した。区民五十四人が山を巡回し、危険な場所を見つけた際は行政に連絡して、自分たちも間伐をする。

 「砂防事業などは国や県が進め、住民も山を整備し、それを自治体が支援する。そんな仕組みづくりができればいい」。行政と住民の役割分担が、防災につながると信じている。

 【注】●は、サンズイに「広」の旧字

58チバQ:2012/12/02(日) 17:35:37
http://www.chunichi.co.jp/article/shuin2012/nagano/CK2012120202000217.html
<選択の時>(5) 再生可能エネルギー
園舎の屋根に取り付けられたソーラーパネル=飯田市の鼎みつば保育園で


 電力をはじめとするエネルギーは、産業と暮らしを支えるために欠かせない存在だ。しかし、ひとたび事故を起こせば制御不能に陥り、国土すら失いかねない原発へ依存する危うさを、多くの人が東京電力福島第一原発の事故で思い知ることになった。衆院選でもエネルギー政策は重要な争点となる。県内では、豊かな自然環境を活用しようと、再生可能エネルギーを普及させる試みが始まっている。

 飯田市の「鼎(かなえ)みつば保育園」は二〇〇五年に、屋根へ太陽光発電パネルを設置した。一日平均の発電量は三十キロワット時。日照条件が良い時は、園内の電気すべてを自足できるという。

 保育園の初期投資はゼロだ。市内の民間企業「おひさま進歩エネルギー」が提供するファンドを利用し、設置に賛同する市民や地元企業が出資する。余った電気は中部電力へ売り、得た収入を出資者への配当に充てている。

 ファンド方式は、同社の原亮弘社長(63)が「再生可能エネルギーに注目を集めよう」と〇五年に全国で初めて事業化した。

 当初は認知度が低く、営業先で相手にされないことも多かったが、東日本大震災以降に風向きが変わった。月に一、二回程度だった環境団体の視察は三倍に増加。新たな出資を募ると、あっという間に資金が集まった。

 飯田下伊那地域には現在、このような事業を利用して太陽光発電パネルを設置した施設が約二百二十カ所ある。原社長は「もっと多くの人に参入してほしい」と訴える。

 小規模な水路を利用する小水力発電も、水資源に恵まれた信州では高い可能性を秘めている。

 研究に取り組む信州大の池田敏彦名誉教授(66)は「県内の水力発電の潜在力は、県内世帯が使う電力の二倍以上という国の調査結果もある」と意気軒高だ。

 既に県内を中心に十三カ所で実用化したが、普及には行政によるさまざまな規制が壁だ。河川の利用には、国や都道府県などの許可が必要で、目的や使用水量、工事計画など多岐にわたる書類を提出しなければならない。水利権を所有者の同意も必要で、計画から発電開始まで数年はかかることもざらだ。池田氏は「法的な面で緩和が必要」と訴える。

 再生可能エネルギーが注目を集めるのは、発電した全量を一定期間、固定価格で電力会社が買い取る「固定価格買い取り制度」が今年七月に導入されたことが大きい。

 買い取り価格案をまとめた国の有識者会議で委員長を務めた植田和弘・京大院教授は「再生可能エネルギーによる発電は、まだ全体の1%。早急な普及には高めの価格が必要だ」と説明する。

 ただ、買い取り費用を電気料金へ上乗せされ、最終的には利用者が負担するため、企業の費用や家計を圧迫する恐れもある。価格は定期的に見直すため、買い取り価格が下がれば再生可能エネルギーへの期待はしぼむ可能性もある。

 再生可能エネルギー先進国のスペインでは、経済危機のため今年一月、新規買い取りを凍結した。バラ色の未来ばかりとは言い切れず、普及の可否は今後の政策と技術革新がカギとなる。

 原社長は「再生可能エネルギーのあり方の転換点になる」と、今回の衆院選を見守っている。

 =終わり

59チバQ:2012/12/02(日) 17:38:31
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/hiroshima/news/20121129-OYT8T01515.htm
[衆院選]争点の現場から<上>消費増税

商店街を歩く親子連れ。少子高齢化が進む中、社会保障のビジョンが問われている(29日午後、広島市中区で)=浜井孝幸撮影 広島市中区の大型スーパー。夕飯の買い物に訪れた主婦(70)は、野菜や果物などの値段を一つ一つ確かめながらカゴに入れた。

 同区で1人暮らし。収入は年金が頼りだが、夫の死後、その額は「1か月で片手ほど」に減った。老後の医療費を残すため食費や生活必需品にかけるお金は毎月2万円まで、と決めている。「それを超えたら子供にごちそうになるの。『扶養家族だね』って冗談を言うこともある」

 だから、消費増税を柱とした社会保障・税一体改革には不安を覚える。「高齢者はみんな裕福と思われるのがつらい。生活を切りつめなければ……」

 一体改革の目的は、国の財政が悪化する中、子育てや年金、医療、介護などの財源を確保することにある。衆院選では、持続可能な社会保障の将来像と財政再建の道筋をどう描くかが争点となる。

 一方で、家計への影響を試算した大和総研によると、2016年の実質可処分所得(40歳以上、片働き4人世帯)は、11年時点と比較して、年収300万円で25万円減、年収800万円で43万円減となる見通しだ。

 同市の会社員の夫と小学6年の長男の3人暮らしという主婦(44)は「子供の将来のために使われるなら」と理解を示す。

 生活に余裕はなく、増税されれば外食などのぜいたくは控えるつもりだ。今のうちにアルバイトも探そうと、先週も本屋の面接を受けたが、年齢のためか不採用となった。「これだけ耐えているのだから、年金制度は守ってほしい」と語気を強める。

 ベビーカーの長男(2)とスーパーを訪れた主婦(29)は「本当に社会保障に使われるかどうか分からない」と政治への不信感をあらわにする。

 同市中心部のマンションで夫と3人暮らし。消費税が上がる前に環境の良い場所に一戸建てを買い、マンションは他人に貸して家賃収入を得るつもりだ。「自分や子供の資産は自分で守らなければ」

 消費増税の影響は、街の経済を支える中小の商店や企業にも及ぶ。

 福山市船町の商店街で婦人服裏地・ボタン専門店を営む細川惇(まこと)さん(75)は「消費税が上がると、商品の仕入れ値も上がる。販売価格に上乗せするしかない」とこぼす。

 夫婦で店を開いて47年になる。世代を超えて通ってくれる常連客の顔を思い浮かべると、今以上の税率アップは苦しい。「でも、国が本当にそれで良くなるのなら」と細川さんはつぶやいた。

[社会保障・税一体改革] 民主、自民、公明3党などの賛成で8月に関連法が成立。消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げる内容で、消費税収(国分)は全額、社会保障に充てられる。



 12月4日公示、16日投開票の衆院選を前に、争点の現場で声を聞いた。

(2012年11月30日 読売新聞)

60チバQ:2012/12/02(日) 17:38:51
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/hiroshima/news/20121130-OYT8T01335.htm
[衆院選]争点の現場から<中> 円高であえぐ製造業



シャープの離職者を対象にしたハローワーク福山の相談窓口(福山市東桜町で)  「これだけの円高でも利益の出る車です」

 東京・銀座。マツダが先月20日に開いた中型車「新型アテンザ」の発表会で、山内孝社長は報道陣の前で胸を張った。

 県内は古くから製造業が盛んで、なかでも自動車関連産業は、県内最多の出荷額や従業者数を誇る基幹産業だ。だが、その中核に位置するマツダは2012年3月期連結決算で、税引き後利益が4年連続の赤字に陥った。

 原因は、円高によるところが大きい。国内生産比率が約7割と自動車メーカーでは突出して高く、対ドルで1円の円高になると、本業のもうけを示す営業利益は35億円も目減りする。

 こうした状況下で発表されたアテンザは、国内の工場で生産するが、コスト構造の見直しや生産体制の効率化を徹底した“円高対応車”だ。

 「地方の経済や雇用は守るとの思いで革新活動を続けてきた」と山内社長は強調する。が、その努力にも限界がある。

 14年初めにはメキシコで新工場を稼働させるなど海外生産を拡充する方針を決めており、県内の部品メーカーの経営にも少なからず影響を与えそうだ。

 国際競争が激しさを増す中、円高対策にどんな手を打つかも衆院選の大きな争点の一つだ。

 円高は、雇用にも影を落としつつある。

 マツダの発表と同じ日、経営再建中のシャープの工場を抱える福山、三原、東広島の3市のハローワークは、早期希望退職に応じた計519人のための特別相談窓口を設置した。

 しかし、製造業はどの企業も採用を絞る。「高い技術だけでは難しい。再就職のためには給与などで妥協をお願いしなくては」とハローワーク担当者。求職者の中には、介護など異業種への再就職を考える人も出ているという。

 シャープの経営問題の行方は今後、波紋を広げる恐れがある。

 帝国データバンク広島支店によると、県内のシャープの下請けは280社に上る。安倍史朗・情報部長は「事業の選択と集中や、取引先の選別が始まる可能性がある」と懸念する。

 県内にある大手半導体メーカーに勤務する男性(45)は「いくら企業が努力しても、この円高では全てが水の泡だ」とため息をつく。

 多額の住宅ローンを抱えるが、この1年間、給与はカットされ、ボーナスも出ていない。「せめて韓国などのライバル社と競争できる水準に戻してほしい。このままでは会社も社員も生きていけない」

 [製造業]県内では自動車、電機、鉄鋼などの生産拠点が集積しており、県内総生産に製造業が占める割合は最多の23・1%。経営環境が厳しさを増す自動車メーカー各社は政府に、自動車取得税(地方税)と自動車重量税(国税)の廃止を求めており、湯崎知事ら8県の知事は10月、これに同調する緊急声明を出した。

(2012年12月1日 読売新聞)

61チバQ:2012/12/02(日) 17:39:09
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/hiroshima/news/20121201-OYT8T01059.htm
[衆院選]争点の現場から<下> TPP 農産地戦々恐々



レモンの生育具合を確かめる神川さん(尾道市瀬戸田町の高根島で)  瀬戸内海からの寒風が吹きつける尾道市瀬戸田町・高根島のレモン畑。神川清さん(66)は急斜面に立つ約50本の木々の具合を確かめていた。

 ミカン農家だった父から継いだ畑でレモンの栽培を始めて約30年。今では収穫量は4トンを超える年もあるが、この2年は寒波で1トンを切った。「自然相手だから仕方ない」と話すが、今冬は、もう一つ心配事が増えた。環太平洋経済連携協定(TPP)の問題だ。「レモンの品質には自信があるが、これから何が起きるのか……」と表情を曇らせる。

 野田首相が交渉参加に向けた協議入りを表明し、衆院選でも争点に浮上したTPP。県内の農業関係者からは、交渉参加への反対意見が相次ぐ。

 JA広島中央会は11月20日、広島市内で開いた定期大会でTPP交渉参加に反対する特別決議を採択した。中央会は、TPP参加によって海外の安価な農作物が流入し、県内の農業総産出額の46%、約500億円が失われるとの試算を出した。

 県内の農業従事者の平均年齢は70歳を超え、農地は、生産量日本一のレモンを含めて離島や山間部に集中する。同中央会の村上光雄会長は「我々はパンツ1枚になって震えている。それも脱げというのがTPPだ」と批判する。

 一方で、日本の農水産物やその加工品は、食味や品質で世界的に高い評価を得るものも多い。県内からもかんきつ類やカキ、日本酒などが海外に輸出されている。

 県も3月「農水産物輸出戦略プラン」を策定。香港や台湾、シンガポールを重点推進地域として、海外での販路開拓を促す。

 国内屈指の酒所・東広島市西条。「賀茂泉酒造」は、米国や中国など11か国に日本酒を輸出しており、今後は東南アジアなどでの販売拡大を目指すが、高い関税がネックで進まない。

 前垣寿男社長(66)は「TPPの交渉参加国がアジア諸国にも広がれば、商売のチャンスは広がる」とみる。

 ただ、もろ手を挙げて賛成というわけではない。日本酒の原料は、言うまでもなくコメ。それも日本のコメでなければ世界に通用する日本酒は造れない、という揺るぎない信念がある。

 TPPでアジアの活力を取り入れても、農家が倒れてしまえば元も子もない、と前垣社長は考える。公示まで2日に迫った衆院選で、各候補の訴えにじっくり耳を傾けるつもりだ。

 [環太平洋経済連携協定(TPP)] アジア・太平洋地域で巨大な自由貿易圏を設ける狙いで、米国や豪州など11か国が交渉に参加。例外なき関税撤廃、知的財産の保護などのルールを作る。製造業やサービス産業は輸出増などが期待されることから、経済界は交渉参加を強く求めている。

 (この連載は立花宏司、井戸田崇志、矢野彰、東直哉が担当しました)

(2012年12月2日 読売新聞)

62チバQ:2012/12/02(日) 17:40:19
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/okayama/feature/okayama1353937809861_02/news/20121126-OYT8T01448.htm
争論@衆院選
<1>農業とTPP

◇農産物輸出拡大に期待


 宇治高原農園(高梁市)代表 牧野義広さん57

 ここ数年、農業はどん底だ。高齢化、後継ぎ難だけではない。資材が高い。例えば、原油高でハウスに使うビニールの値も上がっている。段ボールの原料も輸入品なので船賃の分だけ上がる。でも、不況などのため、出荷価格は上がらない。これでは、産業として成り立たない。

 この現状を打開する鍵は、輸出だろう。昨年、台湾の商社から「いくらで売ってくれるか」と電話がかかってきた。当園は1・6ヘクタールあり、ピオーネやシャインマスカット、瀬戸ジャイアンツなどブドウを栽培している。標高が300〜500メートルの冷涼な気候と良質な土を利用しており、甘みがあり質も高い。

 関西や関東出身の30〜40歳代の男女6人を研修生として受け入れ、栽培技術などを教えているが、「将来、ブドウを輸出する」と意気込んでいる若者もいる。

 環太平洋経済連携協定(TPP)は、何が有利で不利なのか分からない点が多い。ただ、国内の果物は外国産に比べて高い品質を誇っていて海外での人気もあり、農産物輸出の拡大につながると期待できる。

 農業も製造業も産業という点では同じ。外国産に価格で勝てないと言う人がいるが、高くても安全でおいしい品なら買う人はいる。私たちは品物に自信があるから、堂々と高値で売っている。欧米の価格競争に付き合う必要はない。国は、生産者たちが海外に打って出るための経営指導や支援制度の情報発信を積極的に行ってほしい。

◇安価な米国米流入不安

たけもと自然農園(倉敷市)代表 武本章吾さん65


 5ヘクタールで米とブロッコリー、ほうれん草などを栽培している。この10年は、うち1・2ヘクタールで日本農林規格(JAS)に基づく有機栽培にも取り組んでいる。しかし、周辺では高齢化が進み、コンバインなど1台200万円台はする高価な農機具の故障に伴って廃業する人もいるのが現状だ。

 最近は重油なども高く、経費がかかる。その上、現在の米の出荷価格は農協を通じた一般米だと、60キロで約1万6000円。黒字を出すためには約2万円は必要だが、数年前は約1万2000円まで下がった。作るほど赤字になる。

 こうした状況で、TPPへの参加は反対だ。詳細は分からないが、安価な米国産の米が大量に入ると思う。価格競争になれば大規模農業の米国に勝てず、農家はどんどん廃業するだろう。

 私たちは今後の対策として、有機米のインターネット販売に乗り出した。60キロで3万円だが、「安全・安心」という面が受け入れられ、売れている。生産者は有機や、生産から加工品の企画・製造・販売までを行う6次産業化といった付加価値化を考えることが求められている。

 一方で、国も補助金だけでなく、地産地消や6次産業化の支援など、地域に即した具体的な農業振興策をもっと示してほしい。

 米は何千年も続く日本の主食。日本人の命を守る大本だ。食料問題は安全保障問題でもある。欧米が凶作の時どうするか。日本人の食は日本で賄えるようにしておくべきだ。

 聞き手・竹上史朗

 <TPP> 米国や豪州、カナダなど環太平洋の11か国が交渉している新しい経済連携の枠組み。工業製品や農産物にかかる関税撤廃などを通じ、域内のモノやサービスの流れを活性化する狙いがある。国内では製造業などが賛意を示す一方、農業団体などで反対論が根強い。

 県内でも賛否が入り交じる中、石井正弘前知事が昨年11月の記者会見で、「参加する有用性の具体的説明がない。情報を国民に開示し、合意を得てほしい」と述べ、政府に注文を付けた。

(2012年11月27日 読売新聞)

63チバQ:2012/12/02(日) 17:40:42
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/okayama/feature/okayama1353937809861_02/news/20121127-OYT8T01453.htm
争論@衆院選
<2>日本経済と消費増税

◇社会保障の支えで必要

クレオフーガ取締役CTO(最高技術責任者)山口真央さん29

 岡山大の中にある起業家育成施設に本社を構え、インターネットを活用した音楽クリエイターの発掘や、企業への楽曲提供などを手がけている。

 2007年に設立した7人の小さな会社だが、自分たちが面白いと思うものを開発し、スピード感を持って実行に移せるのが強みだ。スマートフォンの広がりをビジネスチャンスととらえ、アプリで使われる曲や着信音、ゲームのBGMなどを制作する会員を募集した。会員は現在6000人を超え、企業による購入は年間500曲ある。



山口真央さん 消費者としては、確かに消費増税は痛い。私を含め、所得が少ない若い世代にとって負担が大きい。しかし、日本の財政状況を考えると、社会保障を支えるためにはどうしても必要だ。

 また、経営者の立場でみると、消費増税が経営にマイナスになるとも思っていない。消費者は価値があるものに対してはお金を払うものだ。時代のニーズに合わせ、人々が欲しているもの、利用価値があるものを作っていれば、景気が悪くてもビジネスとして存続できるはずだ。

 これまでも、日本の産業は新しいものを作り、時代を切り開いてきた。工夫次第で成長できる分野は、まだまだあると思う。国は既存の大企業を支えるだけでなく、中小企業や新興企業などに補助金を投入してほしい。すぐには結果は出ないかもしれないが、将来的に景気浮揚につながり、消費増税による消費の落ち込みも補っていけるのではないか。

◇買い控え小売り苦境に

岡山市表町商店街連盟理事長大開博之さん55

 商売をやっている立場からすると、現状での消費増税には反対だ。デフレで値上げもできず、悪循環に陥っている非常に苦しい状況で、すでに身を削っているのが実情。さらに消費を減らすようなことはしてほしくない。増税後、消費者が買い控えをすることが予想される。中小の小売業はますます苦境に立たされるのではないか。



大開博之さん 10年前の表町商店街には約450店舗あったが、今は約360店舗。各店舗から集める組合費も、年間2300万円から750万円に減っている。人を多く呼び込むことで物が売れ、活気も出ることはわかっているのだが、予算が少ないので、集客イベントの規模も回数も限られてくる。

 景気が上向かないと増税はしないというが、政府の景気対策はあてにならないし、国の商店街空き店舗対策は不十分で利用しづらい。資金力がなく、まとまった初期投資ができない個人はなかなか空き店舗に入ることが難しいので、家賃補助などの制度を充実させることを求めたい。

 私たちも店舗ごとに特色を出し、お客さんと直接触れ合う商店街の良さを残すために知恵を絞るが、政府ももっと現場の声を聞いてほしい。

 財源確保のために、いずれかの段階で増税が必要になるのはやむを得ないと覚悟している。ただ、増税ありきではなく、定数削減、議員報酬の減額など議員自らも身を切り、様々な歳出の無駄をなくした上で、社会保障費にだけ使われるという前提の話だ。

聞き手・末善悠太

<消費増税> 今年8月に成立した社会保障・税一体改革関連法に基づき、消費税は2014年4月に8%、15年10月に10%に段階的に引き上げられる。国は消費税率が5%上がると、国と地方に入る税収は年約13.5兆円増えると試算する。

 ただし、景気が悪い場合は増税を見送ることができる「景気条項」もあり、11〜20年度の平均経済成長率の目標を名目で3%、物価の変動も考慮した実質で2%としている。このほか、所得に対して税負担が重くなる低所得者を対象に、8%に上がる時に現金を給付するとしている。

(2012年11月28日 読売新聞)

64チバQ:2012/12/02(日) 17:41:09
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/okayama/feature/okayama1353937809861_02/news/20121128-OYT8T01412.htm
争論@衆院選
<3>高齢者介護

◇認知症対策 定期健診を

認知症の人と家族の会県支部代表 妻井令三さん75


 100歳の母が認知症で、この数年は病院に入院したままだ。徘徊(はいかい)などの症状が出たのは21年前。当時は独り暮らしで、岡山市のマンションに呼び寄せ、私、妻との3人暮らしが始まったが、専業主婦の妻は3か月で体調を崩した。母に怒りが込み上げ、叱りつけたこともあった。

 支部は1998年、同じように認知症の親らがおり、苦しみを抱える人々が集まってつくった。現在の会員は約300人で、相談会や交流会などの活動をしている。

 在宅で介護している会員が多いのだが、最近の大きな問題は、介護する側も高齢者である老々介護が多いことや、要介護者が限界集落などで独り暮らしをしているために行き届いた介護を受けることが難しいことだ。介護保険の運営主体は市町村のため、居住地域で介護サービスにばらつきが出る。こうした問題で地域格差が生まれないよう、国の支援が必要だ。

 今後の認知症対策として、国に進めてほしいのが、高齢者対象の定期健康診断だ。早期に症状を発見すれば、進行を抑えることができる可能性がある。また、財政的にも、介護が必要になってからの経費よりかからないはずだ。

 介護先進国・スウェーデンのグループホームを見学したことがある。高齢者が生活にまったく不安を抱いていないことに感心した。今の日本に、介護が必要になっても、老後を安心して暮らせる環境がどれほどあるかを国は考えてほしい。

◇個室基本の特養に疑問

県老人福祉施設協議会長 筒井恵子さん62


 協議会は特別養護老人ホームや軽費老人ホーム、デイサービスセンターなど約400施設で構成し、私も岡山市南区の特養「愛光苑」の施設長として、音楽セラピーの指導にあたるなどしている。絵手紙や塗り絵など、入居者の楽しむ姿を見ることが生きがいだ。

 県内に特養は約150施設ある。しかし、入居待機者は全県で約7000人、岡山市だけで約3000人もいる。施設は増えているが、待機者解消にはとても追いつかない。

 特養の居室のあり方にも問題がある。国は約10年前、入居者のプライバシーを考慮し、特養を新設する場合は個室が基本という方針を出したが、入居者のためになっていない。個室の場合、毎月10万円以上の自己負担が必要なケースがある。これだけの額を支払える人がどれだけいるのか疑問だ。適切な介護を受けられない人が出てしまう。

 国の方針以前から運営している愛光苑では、居室の約7割が2人部屋、4人部屋といった相部屋で、個室に入居するお年寄りから、「他の人と一緒に暮らせる相部屋に変わりたい」と要望されることが多い。国には多様な特養を認めるよう求めたい。

 また、介護給付が増えない中、介護職員の給与など処遇も厳しい状況だ。過疎地の施設では、職員不足に悩むところも多い。各施設では、介護技術の研修などを通じ、職員に仕事のやりがいを持ってもらうなどの取り組みを続けており、国も効果のある処遇改善策を提示してほしい。

聞き手・辻田秀樹

 <介護保険制度> 2000年4月にスタート。40歳以上の人が保険料を払い、原則65歳以上の人が介護を受ける。財源は保険料と税金で、市町村ごとに事務を行うため、居住地で保険料が異なる。

 保険料は3年ごとに見直され、県内市町村の平均保険料は今年4月現在5224円で、全国平均(4972円)を上回っている。

 保険料とともに、サービスの内容も見直されており、今年4月からは、看護師が24時間体制で駆けつけるなどの「定期巡回・随時対応訪問介護、看護サービス」が導入された。

(2012年11月29日 読売新聞)

65チバQ:2012/12/02(日) 17:41:35
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/okayama/feature/okayama1353937809861_02/news/20121129-OYT8T01524.htm
争論@衆院選
<4>少子化対策と子育て支援

◇働くママの地位上げて

手づくり表現ステージママステ  (岡山市南区)代表  石川智美さん35


 今年7月、子育て中の母親が手作りのインテリアや洋服を販売したり、主宰する料理教室などを紹介したりするインターネットサイトを始めた。5歳と2歳の女の子を育てている私自身も、オーダーメードで女性・子ども用の服を売っている。出品者は現在約20人で、「これまで仕事で培ってきた特技を生かして発信したい」という女性たちから問い合わせが相次いでいる。

 以前はブランド服を扱うショップの店長をしていた。妊娠を機に、会社には融通の利くアルバイトとしての勤務を申請したが、難しいと言われて退職した。女性は、仕事を覚えて「これから」というところで結婚、出産が重なる。仕事を選び、子どもを諦めることを選択する女性もいる。これでは出生率の上昇は望めない。

 母親同士で話をしていると、少子化の背景がよくわかる。一つは、子ども一人にお金をかけ、質の高い教育を受けさせたいという考えがあること。もう一つは、女性がキャリアを捨てられず、晩婚になることだ。

 最近、あるテレビ番組で子育てママの積極採用に取り組む運送会社とテーマパークを紹介していた。翌日、母親仲間の話題はこれ一色。社会とのつながりを持ちながら子育てをしたいという女性は多い。

 今後、高齢者を扶養する若い世代の負担が重くなるのに、働きたいと考えている人材を生かせないのはもったいない。再就職支援や起業助成、ベビーシッターへの補助金など子育てママの地位を上げる制度を望みたい。

◇認可外保育園も補助を

認可外保育施設チャイルド・スペース  (岡山市北区)共同経営者  木村啓紀さん34


 昨年9月まで、2歳から10歳まで4人の子どもを育てる「専業主夫」だった。妻(34)は看護師で、週数回、午後4時半から午前1時までの準夜勤や夜中から翌朝9時半までの夜勤で働いている。私も仕事をするために保育園を探したが、2、3か月待たされた末、入所できなかったり、見つかっても夜遅くまで預かってもらえなかった。

 そこで昨年9月、認可外保育施設を友人と共同でつくった。登録者数は約100人で、1日平均約10人の生後半年〜小学5年の子どもを預かる。シングルマザーや共働きの家庭の利用が多い。私も妻が夜勤などのときは子ども4人を預ける。保育園や学童保育がフォローできない夜間中心の仕事をする親が多い。

 利用料金は子ども一人で1時間400円。認可外のために公金補助がなく、ほとんど黒字は出ない。規模や資金の問題があり、現制度のままで私たちの施設が認可されることは困難。銀行からの資金調達もできず、自己資金でやりくりを続けるしかない。

 しかし、「ここがなかったらとても共働きができなかった」と言った声を聞くと、施設を閉じるわけにもいかない。親たちは簡単に仕事を変えることもできない時代だから、子どもの中に鍵っ子が増えるなどし、結果として負担は子どもへと向かう。

 子育て支援は将来への投資。認可制度の緩和は制度の悪用につながる危険性があるが、認可外でも実績に応じて補助する仕組みが必要だ。

聞き手・藤原慎也

 <国の子育て支援> 1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す「合計特殊出生率」で、最低は2005年の1.26。11年には1.39と回復したが、1974年以降、人口維持に必要な「人口置換水準」(現在は2.07)を下回っている。

 民主党の公約だった「子ども手当」(月額2万6000円)は、今年4月から「児童手当」(月額5000〜1万5000円)に戻り、支給の所得制限も復活。一方、民主、自民、公明の3党は、消費増税分を長時間保育が可能な「認定こども園」や保育所増設などに充てることで合意した。

おわり

66チバQ:2012/12/02(日) 17:42:42
http://www.chugoku-np.co.jp/senkyo/syuin/12/News/shimane/Ss201211280001.html
'12/11/28
高速道無料化 浜田道沿線、崩れた目算
 ▽1年間で中止、交通量元通り

 前回衆院選で政権交代を成し遂げた民主党。マニフェスト(政権公約)に掲げた「高速道路無料化」は浜田自動車道など島根県内の一部区間で実現したが、東日本大震災の復興財源を確保するため、1年で打ち切られた。沿線の福祉施設や観光施設の運営にも影響が及んだ。

 浜田市旭町本郷の介護老人保健施設「旭やすらぎの郷」は1998年の開所時から、通所者の送迎に浜田道を活用していた。通行料が無料だった2010年6月から1年間、毎月5万〜6万円の経費節減につながっていた。

 「出費は痛い」

 送迎車の利用者は1日当たり7、8人。約25キロ離れた市中心部までの一般道はカーブが多く、冬は積雪や凍結がある。このため、無料化打ち切り後も、浜田道を通って送迎する。同施設の松原芳樹・事務管理部長は「安全のための必要経費だが、無料化が続くと思っていたので出費は痛い」とこぼす。光熱水費など固定費の削減努力を続けている。

 県によると、浜田道の無料化期間中の平均交通量は、1日当たり6900台。以前の3割増しになったが、有料に戻ると、交通量も従来並みの4600台に減った。

 減少に歯止め

 広島都市圏からの集客に力を入れる「しまね海洋館アクアス」(浜田、江津市)は、無料化のメリットを受けた。10年度の入館者数は約45万3千人で、減少傾向に歯止めがかかった。しかし、11年度は約37万4千人と、過去最低を更新した。

 浜田道の金城スマートインターチェンジ(浜田市金城町)に近い乗馬施設「かなぎウエスタンライディングパーク」の入場者は10、11年度ともに2万人前後。過去の過剰な設備投資による経営悪化で、ことし3月、施設を運営する第三セクター「かなぎ」は解散に追い込まれた。

 同社の瀬川幸義・元社長は「浜田や江津まで行く観光客は増えたが、途中の施設に寄る車は少なかった」とみる。無料化を好機ととらえたものの、継続的な地域振興につなげられなかった無念がにじむ。

【写真説明】浜田道を通行する送迎車に乗り込む通所者(旭やすらぎの郷)

67チバQ:2012/12/02(日) 17:42:58
http://www.chugoku-np.co.jp/senkyo/syuin/12/News/shimane/Ss201211300001.html
'12/11/30
人材供給源、大学も苦悩 県西部の医師不足 医師不足が深刻な島根県西部。益田赤十字病院(益田市)では昨年3月、3人いた産婦人科の常勤医師が1人に減った。3人態勢が復活した今春まで続いた分娩(ぶんべん)制限により、約60人の妊婦が遠くの病院に転院を強いられた。過酷な勤務環境の改善や、都市部に集中する医師の偏在解消への道は遠い。

 午前6時40分、出雲市駅を出る特急列車で島根大医学部(出雲市)の宮崎康二教授は毎月1回、益田赤十字病院に向かう。

 病院では妊婦に加え、婦人病の患者もひっきりなしに診察室に入る。「落ち着いて昼食も取れない」と宮崎教授。大学病院での仕事のため、午後2時32分に益田駅を出る特急列車に飛び乗った。

 益田赤十字病院では昨春、鳥取大医学部出身の医師2人が引き揚げた。宮崎教授は「陣痛開始から1時間で出産できる環境の確保は、基本的人権」と支援を決意。常勤医師が3人になった今も、大学病院から毎月5日程度、医師が応援に入る。

 地方病院への医師の供給源だった大学病院が今、人材不足にあえぐ。かつては20人を超えた島根大の産婦人科医局の人数は現在11人。宮崎教授が「国立大の産婦人科で最少では」と自嘲する。

 医師減少のきっかけは、2004年からの新臨床研修制度だ。医学部卒業生が研修先を選べるようになり、症例の多い都会の病院に人気が集中した。毎年5人前後だった医師の入局が、新制度移行後は通算でわずか2人になった。

 将来の地元勤務が条件の地域枠制度が入試に導入されるなど、医師不足への対応は徐々に進む。だが、衆院選を前にした社会保障論議は消費税増税に集中し、人的資源への投資は後回しになっている。

 宮崎教授は「医師が一人前になるには入学から最低10年かかる。激務や訴訟リスクから敬遠される診療科ではその間、地域医療を支えられるだろうか」と憂う。

 産婦人科医局は来春、3人の新人を迎える。海外の学会に派遣するなどして育てた「金の卵」だ。宮崎教授は「若い医師が夢を持てる臨床、研究、教育のレベルアップなくして、地方大学に医師は残らない。その努力の上で、危機にひんした地方病院に人材を回す仕組みを構築するべきだ」と力を込めた。(石川昌義)

68チバQ:2012/12/02(日) 17:43:22
http://www.chugoku-np.co.jp/senkyo/syuin/12/News/okayama/So201211250001.html
'12/11/25
公共交通網SOS 揺らぐ基盤に「対症療法」
 福山市や笠岡市など広島、岡山両県の8市町で路線バスを運行していた井笠鉄道(笠岡市)の事業廃止から間もなく1カ月。関係市町は、中国バス(福山市)などに来年3月末までの代替運行を委託して急場をしのぐが、4月以降がどうなるかは未定だ。衆院解散により交通基本法案が廃案となる中、公共交通の窮状は待ったなしだ。

 「日常生活に当たって(中略)交通手段の確保その他の必要な施策を講じる」―。そう交通の理念と施策の方向性を定めた基本法案が衆議院に提出されたのは、昨年3月。その後、法案を担当する国土交通相の問責決議など政局混乱の中、十分な審議はなされなかった。

 ▽不安な高齢者

 中国バスの小嶋光信社長は憤る。「政治が機能していない。このままだと、交通のネットワークが消えてしまう」。中国地方で路線バスを運行する民間29社のうち、2012年3月期決算が赤字だったのは24社。8割以上を占める。衆院選に向けて事実上の選挙戦が繰り広げられる街で、市民生活を支える公共交通は薄氷の上を走る。

 福山市東部の住宅団地に暮らす藤井トミ子さん(80)は、足の関節が痛むたび「歩けなくなったらどうしよう」と不安になる。

 運転免許証はない。井笠鉄道の経営破綻で、近くの停留所に止まるバスは1日17・5往復から8往復に半減した。買い物などのため市中心部へ出掛けるのは、バスが頼り。歩いて15分かかる別の停留所も使うようになった。

 笠岡市の岡山県営住宅に住む金政重晴さん(75)が使っていた停留所も、路線廃止でバスが止まらなくなった。

 ▽制度ほころび

 福山市の担当者は「バスしか移動手段のない人の生活に配慮しなければいけない。でも、赤字を出さない効率的な運行も必要だ」とジレンマに悩む。民間路線の廃止や減便を検討する庄原市、民間に業務委託する方法を選んだ安芸高田市…。中山間地域を多く抱える中国地方の自治体の悩みは共通する。

 井笠鉄道の経営破綻は、突発的なバス事業の廃止に対応できない国制度のほころびも浮き彫りにした。国は今月19日になって、貸し切りバスを対象外としていた補助金の交付要綱を改正。代替運行で貸し切りバス事業者扱いとなる中国バスへの補助を可能にした。

 「今の対策は対症療法的」。米子高専の加藤博和准教授(交通論)はそう指摘する。「航路、ローカル鉄道を含む公共交通は農業、工業、商業の発展の基盤。その地域の基盤が揺らいでいる現状を、政治家は直視する必要がある」(武内宏介、谷本和久)

【写真説明】自宅近くのバス停留所で空白の目立つ時刻表を眺める藤井さん

69チバQ:2012/12/02(日) 17:43:39
http://www.chugoku-np.co.jp/senkyo/syuin/12/News/yamaguchi/Sy201211300001.html
'12/11/30
農事法人、将来に危機感 TPP、経済効果へ期待の声も 山々が紅葉で色づく晩秋の山口市阿東徳佐下の鍋倉地区。「一番の心配事は高齢化と環太平洋連携協定(TPP)です」。25日に公民館であった農事組合法人「なべくらの郷」の設立総会で、代表理事に就いた伊藤英毅さん(68)はつぶやいた。

 組合員14人の同法人は稲作中心に16ヘクタールの水田を共同で維持管理する。来年は約200万円の田植え機も導入する予定で組合員の営農への意欲も高い。

 だが、組合員は70歳代と60歳代が各5人いる。「高齢化が進み、後継者もいない。さらに外国産の安い米が流通すればここで農業が続けられるのか…」。伊藤さんは今回の衆院選の争点にも浮上するTPPの交渉参加問題に神経をとがらせる。

 主食のコメは778%という高い関税率に守られている。山口県農林水産政策課は2年前、TPPに参加して関税が撤廃された場合、県内の農業産出額の48%に当たる約340億円分の県内農産物が外国産に市場を奪われると試算した。同課は「中山間地域が約7割を占める県内は、特に影響が大きい」とみる。

 20日、JAグループ山口が山口市で開いたTPP交渉参加に反対する緊急集会にも約千人が集まり、「わが国の農業を壊滅させ食料の安全保障を放棄する。断じて認められない」と激しい論調の決議文を採択した。

 「海外農家の規模は桁が違う」「味は自信があるが、価格は太刀打ちできん」…。その危機感は鍋倉地区の法人組合員も共有する。

 しかし、仲間のTPP談議を、最年少の金子恒司さん(45)は複雑な表情で受け止める。

 広島県海田町のマツダ関連の自動車部品工場に勤め、週末は地区に帰る兼業農家。収入の8割を農業以外で賄い、TPPには「賛成の気持ちの方が強い」と思いを明かす。

 来年は5月から半年間、メキシコの新工場へ技術指導で出張する予定。半面、2年前まで働いていた近隣町の同社工場は来春に閉鎖予定で、国内産業の空洞化を実感する。古里が好きで農業は続けるつもりだが「関税の障壁が撤廃されれば、円高に苦しむ自動車業界には大きなプラス」。TPPによる経済効果への期待感をにじませる。

 法人代表の伊藤さんも「組合員の子ども世代は都会で働き、地域には兼業農家も多い。代表としては何とも言えない」と複雑だ。

 一方でTPPを経済効果だけで論じられないとの思いも強い。各党の政策論争を聞き、国土保全や洪水防止など農村の多面的機能が都市部では忘れられているようなそんな一抹の寂しさを感じるという。(金刺大五)

70チバQ:2012/12/02(日) 17:43:54
http://www.chugoku-np.co.jp/senkyo/syuin/12/News/yamaguchi/Sy201211290001.html
'12/11/29
しぼむ工業、揺らぐ雇用 振興への具体策見えず
 「皆さんは離職を余儀なくされた。経験のない職種に転職すると賃金が下がるのは避けられない」。ハローワーク職員の言葉が重く響き、会場の空気が張りつめた。

 ハローワーク山口が山口市内で20日開いた再就職支援セミナー。宇部市にある半導体製造のルネサスセミコンダクタ九州・山口の山口工場を10月末で退職した20〜50代の男女45人が参加し、ハローワークの利用方法や失業給付の申請手続きなどの説明を受けた。

 山口市内の男性(34)は高校を卒業してから16年間、技術職として働いてきた。妻と就学前の子ども2人がいる。ハローワークに通うが、希望する技術系の求人は思ったほど見つからない。2社に応募したが返事はまだ来ない。

 男性は「これまで培った技術を生かした仕事を見つけたい。しかし、希望がかなわなければ、給料が下がっても他の業種を探すしかないのか…」と悩む。「家族のため、年内には再就職先を決めたい」。不安と焦りをにじませた。

 新興国の台頭、景気低迷、円高と逆風が吹く中、県内で半導体関連を中心に工場閉鎖が相次ぐ。各種調査でも、次の政権に取り組んでほしい政策として、雇用や景気対策が上位を占める。

 ルネサスセミコンダクタ九州・山口の山口工場は社員1219人のうち711人が10月末に希望退職した。柳井市のルネサス柳井セミコンダクタでも129人のうち60人が応じた。5月末で閉鎖した半導体基板製造のシルトロニック・ジャパン光工場(光市)は約500人を解雇。約470人が働く半導体関連部品製造のエム・シー・エス(下関市)も来年3月に撤退する。「過去に例のない大規模な撤退が相次ぎ、県内は緊急事態」と山口労働局。地元自治体と連携し、従業員の再就職支援を急ぐ。

 県内では基幹産業の化学メーカーが2012年度中間決算で減収減益に転じるなど苦境に立たされる。総合化学メーカーのトクヤマ(周南市)は半導体、太陽電池の市場低迷で主力製品の多結晶シリコンの販売が減少。生産体制を見直し、社員約2170人の給与削減にも踏み切った。

 トクヤマ労働組合は「雇用を守るためやむを得ない」と給与カットに合意した。組合員には人員削減の心配もくすぶる。同労組の久保啓二委員長は「県内で産業衰退が続くと働く場が少なくなり、人口が減少する悪循環がさらに進む」と県内の活力減退も危ぶむ。

 厳しさが増す県内産業。景気回復の見通しだけでなく、具体的な産業振興策、円高対策などの道筋は見えてこない。(岩崎秀史、滝尾明日香)

    ◇

 自民党中心から民主党中心への歴史的な政権交代から3年余り。国全体を覆う閉塞(へいそく)感から脱却する兆しが見えないまま、新たな政権選択の時を迎えた。景気の後退や少子高齢化の進展など、衆院選(12月4日公示、16日投開票)の主要な政策課題を県内の現場から報告する。

【写真説明】再就職支援セミナーを受ける退職者たち。県内で雇用不安が渦巻く(20日、山口市内)

71チバQ:2012/12/02(日) 17:45:39
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kagawa/news/20121129-OYT8T01456.htm
<明日への思い 衆院選・上>若者 高い正社員の壁

 「このままでは結婚もできない。何より、親に心配をかけているのがつらくて……」。正社員の職を探す高松市の無職男性(26)は今秋、4社の募集に応じたが、採用はかなわなかった。ハローワーク高松に通い、パソコンで求人情報を閲覧する毎日が続く。

 県内の9月の有効求人倍率は1・08倍。昨年7月以降15か月連続で1倍を超え、全国で4番目に高い水準にある。だが、正社員に限ると0・66倍。安定した働き口を見つけるのは容易ではない。

 男性は香川大を卒業後、税理士を目指して2年間、アルバイトとして税理士事務所に勤めた。時給は800円で、月の手取りは10万円余り。友人たちは家庭を持ち始めるなか「もうアルバイトではやっていけない」。夢に終止符を打ち、今年9月末に転職を決めた。

 経理の経験をいかそうと事務職の求人に応募。3社では面接にまでこぎつけたが、いずれも「経験不足」を理由に断られた。「香川は雇用環境がいいと言うが、現実は違う」。来春までに仕事に就きたいと願うが、新卒者の就職活動とも重なり、不安が募る。

 企業側も、長引く不況にあえぐ。

 「石屋をたたむまではいかなくても、人員の圧縮は進むやろうな」。高級石材として知られる庵治石の産地・高松市庵治町で、石材加工会社を営む男性社長(48)は、ため息交じりに話す。

 外国産の安価な石の流入で、1950〜70年代の最盛期に約400軒あった石材業者は、半分ほどになった。男性の会社も、ここ20年で売り上げは半減し、10人いた従業員は今、5人しかいない。そこに、新たな不安の種が加わった。消費税増税だ。

 8月に社会保障・税一体改革関連法案が成立。税率は、経済情勢が悪化しなければ2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げられる。庵治石を使った墓石は、1基100〜300万円。影響は大きい。

 「増税前の駆け込み需要で、体が持たんぐらい忙しかった」。税率が3%から現行の5%に引き上げられた1997年のことを、社長は覚えている。

 小売店が3%時代に受けた大量の注文は、税率が上がった後に仕入れた石を使わないとさばき切れず、増税分は負担するしかなかった。「長寿社会で年金制度を守るためには、増税は必要なのかも知れん。でも、今度もどんなしわ寄せがくるか……」。社長は表情を曇らせた。

 今春、県中小企業家同友会が実施した消費税増税に関するアンケート。回答した120社のうち、6割が「業績に悪影響がある」とし、3割が「増税分を販売価格に転嫁できない」ことを不安視していた。

 円高とデフレが続くなか、各調査機関が出す県内の景気判断にも「弱含み」「減速感」の言葉が見られ始めた。

 同友会の明石光喜・代表幹事は「増税の時期を誤れば、雇用情勢も押し下げ、本末転倒になりかねない」と憂慮する。「国民に負担を求める前に政治家が身を切る覚悟を示し、中小企業の力を底上げする政策が必要だ」



 12月4日の公示に向け、各党が様々に日本の将来像を訴えている衆院選。暮らしの足元を見つめた。

(2012年11月30日 読売新聞)

72チバQ:2012/12/02(日) 17:45:54
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kagawa/news/20121130-OYT8T01338.htm?from=popin
<明日への思い 衆院選・中>経済的不安 出産の壁

 四国経済連合会が四国4県の子育て世代1000人を対象に実施したアンケートでは、「理想の子ども数」は2・09人だったのに対し、実際の平均は1・43人。理想通りにいかない理由は「育児や教育にお金がかかりすぎる」(70・5%)が最多で、「仕事と育児の両立が困難」(28・9%)が続いた。

 同連合会は「半数の女性が出産を機に仕事を辞めている。経済的不安が、次の出産の断念につながっている」と指摘する。

 こうした状況のなか、3年前、民主党は「子ども手当」や「高校無償化」を目玉政策に掲げ、「子育てを社会で支える」というメッセージを発した。

 だが、子ども手当は財源確保で行き詰まり、減額された末に児童手当に戻った。「もし政権が代わっても、高校無償化は続けてくれるんでしょうか……」。会計事務所に勤めながら10歳の男の子を育てる高松市内のシングルマザー(39)は、不安を漏らす。

 「無理して来なくていいから」。小学生2人を育てる高松市の女性(39)は、2人目を産んだ後の育児休暇を終え、復職しようとした矢先に勤めていた卸売り会社を解雇された。業績が低迷するなか、リストラでねらい打ちにされたとの思いが消えない。

 その後、子どもを保育園に預けながら、派遣社員として職を転々とした。今は1日6時間の短時間勤務を認めてくれる職場に勤めるが「母親のキャリアを守りながら、子育てできる環境が広がれば」と願う。

 少子化が止まらない。女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率(2011年)は、1・39。国の推計では、日本の人口は50年後、8600万人余りになり、うち4割が65歳以上の高齢者に。年金など社会保障制度を支える現役世代の負担は増えていく。

 子育て支援への公的支出を国内総生産(GDP)と比較した経済協力開発機構(OECD)の調査では、日本はわずか0・79%(07年)。11年度の子ども手当を含めた試算でも1・13%で、出生率を回復させたフランスの3%や、英国の3・27%とは隔たっている。

 「国が本気で子育てを支えようとしているとは思えない数字だ」。香川大男女共同参画室の長安めぐみ特任教授は、半ばあきれ顔だ。「女性ばかりが育児と仕事の両立に悩む環境、風土を変えていかないと、本当の支援にはならない」

 県や市町が保育園の「待機児童ゼロ」を誇る香川も、環境整備は十分ではない。

 例年、4月1日現在では保育園の受け入れ態勢の調整で「ゼロ」だが、近くの保育園に入れるとは限らない。年度途中に復職を希望する母親もおり、10月には数十人単位の待機児童が発生している。病児・病後児保育の施設があるのは8市町のみで、高松市では5月1日現在、235人が学童保育の空きを待つ。

 子育て支援に取り組むNPOわははネットの中橋恵美子代表は「子育て支援は、政策に10年、20年単位の継続性が必要。コロコロ変わっていては、子育て世代は安心できない」と憂慮している。

(2012年12月1日 読売新聞)

73チバQ:2012/12/02(日) 17:46:19
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kagawa/news/20121201-OYT8T00973.htm
<明日への思い 衆院選・下>「稼ぐ農家」へ展望なく



後継者不足が深刻化する中、農家はTPP交渉参加をめぐって揺れる(三木町で)  三豊市財田町の農業生産法人代表の星川昭志さん(69)は、10年前に設立した法人を来年3月を限りに解散することにした。経営の展望が開けないという。

 最盛期には、担い手を失った田畑も借りて15ヘクタールでコメや野菜を作り、県内外に直販するなどしてきた。「でもな、消費税の増税分を価格に転嫁することはできんやろ。TPP(環太平洋経済連携協定)参加まで決まれば、完全に赤字になる」

 関税の原則撤廃を目指すTPP。星川さんは「海外のコメが入ると、価格は5分の1になるかもしれない。農家にとっては〈死刑宣告〉に等しい」と憤る。

 農業を取り巻く環境は厳しい。四国では、サラリーマンの平均年収に近い400万円以上の農業所得がある農家は、全体の15%に過ぎない。

 少子化による後継者不足も深刻だ。一定の収入がある県内農家数は、1990年の4万4000戸から、2010年には6割弱の2万5000戸にまで減少。「農業だけで食っていける人は、県内で1600人程度」(JA香川中央会)というのが現状だ。

 こうしたなか、民主党政権が農業再生を目的に始めた目玉政策が、戸別所得補償制度だ。コメの場合、規模や専業・兼業の違いにかかわらず、10アールあたり1万5000円を支給。米価の変動に応じて差額を補填(ほてん)する制度もある。

 全国の農家を「薄く広く」支援する仕組みだが、星川さんは「補償金は小遣い程度。一番大事な後継者育成にはつながっていない」と指摘する。

 一方、国際市場に打って出ようという動きもある。

 オリーブの栽培・加工品販売会社を営む土庄町の柳生好彦さん(60)は、オリーブオイルや化粧品を含めたネット販売で20万人近い利用者を抱える。国産オリーブだけでは製造が追いつかず、フランスやオーストラリアにも農園を持つ。

 オリーブの実と葉を一緒に発酵させてから搾ることで、浸透力が高くビタミンなど有効成分を多く含むオイルを抽出する独自の技法を開発し、日米欧で特許を申請。小豆島産の高品質な商品を世界で販売する夢を描く。

 柳生さんは「国際化の流れにあらがうことはできない。この機会を前向きにとらえ、高付加価値な商品をつくれば、農業分野でも世界と勝負ができる」と力を込めた。

 TPPについては、民主党が政権公約(マニフェスト)で推進の方針を明記する一方、交渉参加には踏み込まなかった。自民党は「聖域なき関税撤廃を前提にする限り交渉参加に反対」とするなど、各党で立場は様々だ。

 東京大学の本間正義教授(農業経済学)は「TPPを巡る議論は、これまでの農政を見直すいいきっかけ」としたうえで、「やる気のある農家への重点支援や、企業の参入促進などで競争力を高めることが重要だ。担い手のいない田畑については、景観保全の観点から住民やボランティアの力を借りて守るなど、多様な対策が必要ではないか」と話している。

(2012年12月2日 読売新聞)

74チバQ:2012/12/03(月) 01:10:59
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/nara/news/20121129-OYT8T01506.htm
[衆院選・奈良の課題]観光 1300年祭後海外から激減



観光客でにぎわうシーズンだが、外国人の姿は少ない(奈良市で)  「2年前のにぎわいがうそのようです」。奈良市の平城宮跡を望む高台に立つ奈良パークホテル。山脇通成支配人(56)はそう苦笑する。

 県内の観光業界は2010年の「平城遷都1300年祭」に沸いた。前年比27%増の約4400万人が古都を訪れ、約322万人が宿泊した。

 同ホテルでは35室ある客室が4〜11月の期間中、ほぼ毎日予約で満室に。川端昇社長(60)は「業界にとってまさに特需だった」と懐かしむ。

 しかし、市内の宿泊施設は翌年、反動と東日本大震災の影響に苦しむことになる。宿泊客数は一転、約244万人に落ち込んだ。

 国内の観光需要がしぼむ中、同ホテルは外国人観光客を取り込もうと懸命だ。全体の1割程度を占める外国人宿泊客に「もてなしの心」をアピールしようと、中国語で簡単な接客ができるよう従業員を教育。果物が好きな台湾の客向けにと、土産物コーナーに県名産の柿を並べる。

 しかし、状況は厳しさを増す一方だ。

 沖縄・尖閣諸島を巡る日中関係の悪化が追い打ちをかけ、今秋以降、中国からの団体客はゼロ。国内の客の伸びも期待できない中、「割引や特典付きのプランも用意してPRしていますが、企業努力にも限界がある」と、山脇支配人は危機感をにじませる。

 県国際観光課によると、県内の外国人訪問客は10年は64万6000人と過去最多を記録したが、11年は23万6000人と4割弱に落ち込んだ。今年に入っても回復の兆しは見えない。

 観光を、林業や商工業と並ぶ基幹産業と位置付ける県は、今年度から東南アジアやフランスで観光PRを展開する。満足度を高め、繰り返し足を運んでくれる「リピーター」を増やそうと、来年度は外国語の観光案内板の増設や、観光施設での高速インターネット環境の整備などを計画する。

 ただ、県が取り組む施策にも限界がある。県国際観光課の中村昌史課長(54)は「国が外国との関係を安定させてくれなければ、業界は立ちゆかなくなるだろう」と指摘する。

(後藤静華)

<外国人観光客>

 海外から日本を訪れた観光客のうち、県内を訪れた人の割合は2002年の5・2%から10年には7・5%に伸びたが、11年は3・8%に落ち込んだ。国別では韓国が約7万人と最多で、台湾3万6000人、中国2万7000人、フランス1万人が続く。

(2012年11月30日 読売新聞)

75チバQ:2012/12/03(月) 01:11:42
上 見つからず
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kochi/news/20121130-OYT8T01228.htm
[衆院選]選択<中>「巨大地震」焦る自治体



種崎地区で行われた防災懇談会。参加者からは早急な対策を望む声が相次いだ(19日、高知市の種崎地区津波避難センターで)  津波到達まで最短8分、浸水は最悪で深さ11メートル、地区住民2264人のうち1524人が避難困難――。南海トラフ巨大地震で想定される、高知市種崎地区の被害だ。「気持ちばかり焦っちゅうけど、なかなか対策は進まん」。地区の防災検討会長を務め、10年前から津波対策を模索する黒田則男さん(68)は唇をかむ。

 浦戸湾に半島のように突き出す同地区は、発生から数時間、南北両方から津波が何度も押し寄せるとされる。だが、高台はなく、市が指定する津波避難ビルも2か所にとどまる。

 「避難避難タワーを早く造って」「防波堤を整備するなど、津波直撃の威力を少しでも緩和する策を」。11月19日に開かれた市の防災懇談会で、参加した住民約150人から岡崎誠也市長への訴えは切実だった。

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 国の有識者会議が8月に公表した被害想定で、県内の死者数は最大で4万9000人、全壊する建物は16万4000〜23万9000棟、10メートル以上の浸水面積は全国最大の1919ヘクタールとされた。

 県は今年度、市町村が津波避難タワー、避難路などの整備を行う場合、地元負担を実質ゼロとする制度を創設した。だが、費用の70%を賄う国の緊急防災・減災事業債の活用期限は2013年度末となっており、継続されるか不透明だ。

 庁舎などの浸水対策、住民の高台への集団移転など山積する課題に、沿岸自治体は「防災事業だけで、財政は破綻する」と悲鳴をあげる。県も参加する太平洋側の9県知事会議も既に7回、国に「南海トラフ巨大地震対策特別措置法(仮称)」の制定などを提言するものの、実現の見通しは立っていない。

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 住民も手をこまねいている訳ではない。種崎地区では防災検討会が独自に、3階建て以上のマンションなど7か所を避難場所としている。さらに、県や市が津波避難タワーを建設する場合に備え、予定地になりそうな土地の所有者から借地や売買の許可を取り付けた。

 「地震対策で県や市町村が迅速に動くには、国の協力な後押しが必要だ。環太平洋経済連携協定(TPP)や原発問題などで、防災を埋もれさせないでほしい」。黒田さんは訴える。

 JR高知駅前で行われたある政党の街頭演説。弁士の「公共事業に頼る時代は終わった」という声に、沿岸部の男性(58)はつぶやいた。「高知市内でも防災事業が終わってないのに、巨大津波が来る地域で、そんなへごなこと言うたら、暴動が起きる」

(2012年12月1日 読売新聞)

76チバQ:2012/12/03(月) 01:11:58
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kochi/news/20121201-OYT8T01016.htm
[衆院選]選択<下>影落とす「オスプレイ」



低空飛行訓練で米軍機が横切ることのある本山保育所上空(本山町本山で)  ◇米軍合意履行に不信

 四万十市総務課の電話が鳴った。「上空を飛んでいるのを見た。あれは本物なのか」。米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)に新型輸送機MV22オスプレイが配備されて1か月がたった11月2日。同市西土佐中半の女性は、市上空でも飛行訓練が行われているのではないか、と不安を口にした。

 その1週間前。「市内を飛んでいると聞いた。本当か」という男性が市役所を訪れた。米軍の飛行訓練ルートに市は含まれていない。同基地への輸送途中、10月1、2、6日に市上空を通過している。「みんなオスプレイという“影”におびえている」。職員の1人は打ち明けた。

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 オスプレイは、在日米軍の抑止力強化につながるとされる。一方、モロッコや米フロリダで墜落事故が発生し、機体の安全性が疑問視されている。

 米軍が沖縄県に出した環境審査報告書では、オスプレイ配備後、米軍の低空飛行訓練は国内6ルートで平均21%増えるとする。墜落事故もあり、全国で飛行訓練中止を求める声が上がっている。

 県内も例外ではない。本山、大豊、土佐、大川の4町村を含む嶺北地域が四国を横断する「オレンジルート」に含まれ、1994年には墜落事故も起きた。尾崎知事は9月、中国四国防衛局に配備と、米軍機の飛行訓練をともに中止するよう求める要望書を提出した。

 同局は、墜落事故原因を「人的ミス」と強調。訓練では高度150メートル以上で、人口密集地や学校、病院などの上空は避けることで米軍と合意していると説明した。県危機管理・防災課は「ルートそのものが人口密集地や学校の上。高度もなし崩し的に下げられかねない」と不信感を強める。

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 今年8月、耳をつんざく轟音(ごうおん)に、本山町保育所の子どもたちは給食を口に運ぶ手を止めた。中には泣き出す子もいる。「私たちでも怖いのに、子どもたちにとっては……」。所長の森岡美佐子さん(56)は話す。

 米軍の戦闘機が頻繁に山あいを縫うように飛ぶ。訓練回数を記録する町などによると、多い時は年間113日計309回に達し、高度が100メートルを切ることもあるという。93年に町民らが嶺北平和委員会を結成。現在は約80人が加入する。

 同会などは9月14日、オスプレイ配備に反対する「県民怒りの集会」を開催。森岡さんも約250人を前に「子どもたちのために、米軍機もオスプレイも飛ばせてはならない」と訴えた。

 国家の安全保障と、身近な生活の安全。米軍基地から遠く離れた高知でも、同じ課題と向き合っている。

 (田岡寛久、安恒勇気が担当しました)

(2012年12月2日 読売新聞)

77チバQ:2012/12/03(月) 23:24:16
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121201-00000049-mailo-l04
選択の視点:’12衆院選・宮城/上 原発 揺れる立地自治体 /宮城
毎日新聞 12月1日(土)11時48分配信

 ◇都市部の判断注目
 「これまで『事故が起きても関係ない』と言わんばかりに54基も建ててきたのに、今さら自然エネルギーとか言うのはバカにしている。建てる時は泣く泣く賛成したのに」。東北電力女川原発がある女川町の60代の男性漁師は声を荒らげた。
 東日本大震災の津波で、町内の多くの浜は家や作業場が壊滅的な被害を受け、更地になってしまった。男性は「東北電力の人は地元と協力している」と理解を示すが、「福島みたいな事故が起きたらここは全滅」との危機感はぬぐえず、原発再稼働に積極的に賛成する気にはなれない。
 震災直後にライフラインが途絶えた際、東北電力は女川原発の体育館に住民を受け入れた。仮設住宅で暮らす60代の女性は「東北電力の人たちは寝ないで(原発事故などの)苦情を受け止めていた。言いたいこともあっただろうに、言わなかった。『穏やかに過ごしてほしい』と思ったのだろう」と振り返る。
 しかし、女性も不安を抱く。「福島みたいになったら、ここにはいられないし、怖い。でも、原発をなくして代わりの電力はどうするのか、政治は示してくれない」と訴えた。
 原発立地に伴う交付金などがあるため、女川町は財政が比較的豊かで、国からの地方交付税(普通交付税)を受けない県内唯一の不交付団体だった。しかし、女川原発の減価償却で固定資産税が減少し、来年度は交付団体に転じる見通しだ。
 須田善明町長は「女川原発は補修中で、再稼働の可否について議論する段階ではない」と話すが、原発のメリットに陰りが出始め、町民は事故の不安とのはざまで揺れる。
 一方、国の原子力規制委員会が先月、事故時の防災重点地域を原発の半径30キロ圏内に拡大したことから、一部が「緊急防護措置区域(UPZ)」に入ることになった美里町。佐々木功悦町長は「核兵器と異なる平和利用は大事なことと疑わなかったが、事故で初めて原発も核兵器と同じように人間と共存できないと悟り、反省した。脱原発実現に政治生命をかける」と言う。立地自治体と周辺自治体の間の温度差が鮮明になってきている。
 こうした中、両町が含まれる宮城5区の立候補予定者はどう訴えるのか。民主前職の安住淳氏は「震災以降、原子力に対する国民の意識が変わった。私たちは脱原発に舵(かじ)を切る。日本の経済力を維持しながら再生エネルギーにシフトしていくべきだ」と話す。共産新人の渡辺昌明氏は「原発は直ちにストップ」と訴える。
 一方、自民新人の大久保三代氏は「まだ女川が傷ついた状態なのに、再稼働の話をすること自体が不謹慎だ」と前置きしたうえで、「再稼働については住民が決めるべきだ」と話した。
 県内には原発立地自治体がある一方で、大電力消費地の仙台市もある。奥山恵美子市長は11月27日の記者会見で、衆院選で争点にすべき点を問われ、「エネルギー問題の(観点からだけ)稼働、再稼働を注視していて、国民の安全をどう守っていくかという観点からの議論は不十分だ」と話した。原発政策を巡っては、都市部の有権者の判断も注目される。【須藤唯哉、小原博人、金森崇之】
  ◇
 12月4日公示、16日投開票と目前に迫った衆院選。争点とされる問題の現状を追う。
12月1日朝刊

78チバQ:2012/12/03(月) 23:24:43
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121202-00000064-mailo-l04
選択の視点:’12衆院選・宮城/中 TPP 農業崩壊恐れる声 /宮城
毎日新聞 12月2日(日)10時59分配信

 ◇「政治は将来像示すべきだ」
 先月19日、仙台市青葉区のホールに農業者約1000人が集まったJA宮城県大会。壇上に居並ぶ各党の県内選出の国会議員から環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への参加反対の発言がある度に、客席を埋めた約1000人の参加者からは「いいぞ」「がんばれ」と声がかかり、拍手が起こった。
 参加に絶対反対の立場のJA。大会では、「TPP交渉に参加することは、わが国の社会経済システムや農業を崩壊させることになり、認められない」として、参加断固阻止の決議を満場一致で決めた。
 県内JAでつくる政治団体「宮城農協政治連盟」。88年には参加農業者の減少や高齢化などのため、政治団体から任意団体に転換した。しかし今年7月、反TPPなどJAの主張に沿う候補支援など影響力強化を狙って再び政治団体となった。
 推薦する候補者は、県内14組合の意見をとりまとめて3日に発表する予定。民主でもTPP反対ならば推薦になり、同一選挙区内の組合の推薦が割れた場合は自主投票もあるという。今野秋博事務局長は「民主を支援すべきか、自民を支援すべきか、悩ましい。(政権交代前の)3年前までは自民を支援していたが、民主ともこの1〜2年、戸別所得補償などで協力してやってきた」と話す。
 美里町で農家が作った農業生産会社「イーストファームみやぎ」の社長、赤坂芳則さん(62)は「格安の輸入米で米価は暴落し、作って売れば売るほど赤字になる。国が農業補助政策をきちんとやってくれればいいが、そうでなければ農業は壊滅する」と明確に反対する。
 同社は、農業の大規模化を目指して94年、3軒の農家で創業。水田35ヘクタールや綿花畑7ヘクタールなどを耕し、餅や菓子などの加工場も設けて10人を雇用している。「こういう努力が無に帰すとしたら情けない。まず小農家から倒れ、最後には当社のような比較的足腰のある経営体もアウトになる。TPPは日本農業の息の根を止める」
 現政権与党の民主は、日中韓自由貿易協定(FTA)などと同時並行的に進めて政府が判断する、と交渉参加の立場。しかし、農業県・宮城では、党の方針をそのまま受け入れられない立候補予定者もいる。農業分野の専門家を自任する民主の石山敬貴氏(4区)は「TPP参加で生じる年3兆〜4兆円の農業の損失をどう補填(ほてん)するか不明だ。国益を考えて情報を開示し、国民的な議論を起こしてもみ尽くすまで、慎重に対応しないといけない」と、交渉参加に極めて慎重な姿勢を示している。
 ただ、農業者も反対一辺倒ではない。無農薬無化学肥料で40ヘクタールで米を作る涌谷町の専業農家、黒澤重雄さん(65)は「見もしないでお化けを怖がる雰囲気が広がっている」と指摘する。「付加価値を付けた米を作る農家は残る。中身を国民に知らせながらしっかり交渉し、加入するかどうかを決めればよい」と賛成の立場だ。
 「圧倒的に兼業が多く、後継者不足で耕作されない農地は増え、今の農業はTPPとは無関係に衰退の一途。積年の農業危機を差し置いたままTPP反対を叫ぶのは、問題のすり替え。政治は、TPPだけでなく農業の将来像を再構築して示すべきだ」と主張する。【山越峰一郎、小原博人】
12月2日朝刊

79チバQ:2012/12/03(月) 23:25:03
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121203-00000030-mailo-l04
選択の視点:’12衆院選・宮城/下 医療 震災で医師不足悪化 /宮城
毎日新聞 12月3日(月)11時7分配信

 ◇被災地復興に重要課題
 板でふさがれた正面玄関、津波で折れ曲がったままの街灯。近くで重機が被災建物を解体する音が響く。旧北上川河口近くの石巻市南浜町にあった市立病院。地元住民の健康を支えてきた病院は、東日本大震災の発生直後で時間が止まってしまったようだ。
 それまでも恵まれていたわけではなかった石巻市の医療環境は、震災で更に悪化した。地元の石巻市医師会には震災前、病院や診療所86機関と医師188人が加盟していたが、震災後は79機関と医師175人に減少。分娩(ぶんべん)できる産婦人科の開業医が4人から2人に半減するなど、医師不足は深刻だ。地元の産婦人科医は「産婦人科が増えてほしいという気持ちはあるが難しいだろう」と漏らす。
 石巻市は市立病院を市中心部に移転して再建する方針だ。医療環境の改善につながることが期待され、16年の開院に向けて新たに医師14人の確保を目指している。しかし、以前勤務した医師らと接触しているが、「何人の医師が戻ってくるかは分からない」(市病院局)といい、見通しは立っていない。
 石巻市医師会の舛眞一会長(64)は「今受け皿を作っている。若い医者もベテランの医者も来て石巻の医療を支えてほしい」と訴える。
 県医師会(約3300人)の政治団体「県医師連盟(県医連)」は09年の前回衆院選までは自民を支援し、10年の参院選では民主を支援した。今回はどこを支援するのか。
 日本医師会の政治団体「日本医師連盟(日医連)」は、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)で日本の医療保険制度に影響がないよう措置することなど4項目を求めた政策協定書を作成。県医連は日医連の協定書に、被災医療機関の早急な再建と、医師不足改善のため医学部定員増などを求める項目を付け加え、協定締結を推薦の条件とした。
 しかし、立候補予定者に対する推薦決定は難航した。日医連が政党ではなく立候補予定者ごとに推薦する方針を示し、調整に時間がかかったためだ。
 県医連の推薦は、郡市の医師連盟からの推薦に基づく。今回は同一選挙区内で郡市によって異なる推薦者を決めた場合には、いずれも県推薦とした。
 県医連は先月30日になって、ようやく推薦者を決めた。5区は民主の安住淳氏、6区は自民の小野寺五典氏と一本化できた。だが、1区は民主の郡和子氏と自民の土井亨氏、2区では自民の秋葉賢也氏と未来の斎藤恭紀氏と2人を推薦し、両区とも事実上の自主投票となった。更に3、4区では、自民の2候補への推薦は決めたものの、民主の2候補は「保留」となった。
 県医連が協定書に加えた2項目は、被災地の復興にとっても重要な課題の一つとなっている。深刻な医師不足は震災前から続いてきた難題だが、それをどう解決していくのか。各党や立候補予定者の政策が問われている。【金森崇之、須藤唯哉】
12月3日朝刊

80チバQ:2012/12/03(月) 23:26:57
http://www.tokyo-np.co.jp/article/shuin2012/kanagawa/CK2012112902100006.html
かながわの現場から この3年(1) 骨抜きの派遣法改正
TOEIC815点の成績表を手にする市川さん(仮名)。派遣労働から抜け出せず、「希望が見いだせない」と嘆く=藤沢市で


 「労働者派遣法を改正しても違法が横行している。もっと厳しく取り締まって」。衆議院が解散されて最初の日曜の十八日、横浜市内で開かれた民主党の政策進捗(しんちょく)報告会。出席した藤沢市の市川健さん(40)=仮名=が訴えた。

 二〇〇九年八月の衆院選で、民主党はマニフェスト(政権公約)の柱の一つに、派遣社員や期間従業員ら非正規労働者の待遇改善を掲げていた。

 市川さんは高卒後、メーカーの正社員として勤務。二十七歳のとき、能力を磨くために退社し、大学に進んだ。しかし、就職活動で内定はゼロ、生活のためやむなく派遣社員となった。以来、十年近く派遣先を転々としてきた。仕事があるときだけ雇用契約を結ぶ登録型派遣で、契約は一カ月ごとの細切れ。ボーナスなし。不安定な派遣の職から抜け出そうと、正社員採用に応募した数は五百を超えた。

 英語能力テスト(TOEIC)は九百九十点中八百十五点。それでも面接まで至ったのは一割足らず。採用された数社も、「ブラック企業」と呼ばれるような待遇の悪い会社ばかりだった。市川さんは今年二月、四社目となる派遣先で契約を打ち切られた。現在失業中。貯金を取り崩しながら職探しを続ける。「民主党の目指す方向は間違っていないと思うが、改善している実感は湧かない」と感想を漏らす。

 非正規労働者は〇四年、自民党の小泉純一郎政権のとき、製造業への派遣が解禁されて急増した。

 派遣全盛だった〇六年、県内で暮らす三浦慶範さん(30)は、いすゞ自動車藤沢工場で派遣社員として働き始めた。その後、期間従業員に移った。〇八年十一月、リーマン・ショックによる業績不振から突然、解雇を言い渡された。ちょうど正社員登用の話が持ち上がっていた。「まるでモノ扱い。怒りと同時に寂しさが込み上げた」と振り返る。

 当時、各地で派遣切りが相次ぎ、非正規雇用への批判が噴出。野党だった民主党は、違法派遣の温床とされる登録型派遣や製造業派遣の原則禁止をうたっていた。

 「政権交代すれば変わるかもしれない」。三浦さんは民主党に淡い期待を抱いた。政権交代後、その期待は一気にしぼんだ。経済界の反発もあり、民主党の改正案は、国の審議会や国会審議で骨抜きに。今年三月に成立した改正労働者派遣法には、肝心の登録型派遣や製造業派遣の原則禁止が削られた。

 全労働者に占める非正規労働者の割合は、一一年に35・2%と過去最高になった。企業は派遣の規制強化を見越し、期間従業員などにシフト。企業の非正規依存は変わらず、安定雇用に結び付いていないのが実情だ。

 神奈川県は、東京都に次いで非正規労働者が多い。かながわ労働センターによると、リーマン・ショック後、いったん落ち込んだ非正規労働者からの労働相談件数は、再び増えているという。

 「民主党の幻影に踊らされただけの三年だった」。三浦さんのアルバイト生活は四年目に入った。 (中沢誠)

     ◇

 国民の暮らしの充実を最優先に掲げ、税金の無駄遣いをやめることなどを公約に、政権交代を果たした民主党。改革を期待した有権者にとって、この三年間は何だったのか。衆院選を前に考える。

 改正労働者派遣法 リーマン・ショックで派遣切りの問題が表面化したことを受け、派遣労働の規制強化を目的に10月から施行された。2010年4月、民主、社民、国民新党が国会に法案を提出。大幅な修正を加え、今年3月に成立した。30日以内の日雇い派遣は原則禁止となった。

81チバQ:2012/12/03(月) 23:27:17
http://www.tokyo-np.co.jp/article/shuin2012/kanagawa/CK2012113002100006.html
かながわの現場から この3年(2) 子ども手当
 横須賀市の米海軍基地に隣接する総合福祉会館の一室。長女(2つ)の保育園が終わるのを待ちながら、飯村優子さん(41)は九月に生まれたばかりの長男をおもちゃであやす。

 「子どもを産むまで、子ども手当はばらまきだと思ったこともある。支給後も生活は変わらない。でもやっぱりありがたいですね」

 不妊治療を三年続けていた。前回の衆院選は出産前。子どもがいる家庭ばかりが優遇されている気がした。今は二人の子どもを授かり、地元で働く夫(40)と四人で暮らす。

 夫婦共働きで、都内の電機メーカーに勤める。今は育児休暇中で、一家の年収は半減した。それでも、支給された子ども手当は、ほぼ全額を学資保険に積み立てている。子どもの将来に役立てたいという一心で。

 民主党は政権公約に掲げた中学生以下の子ども一人あたり月二万六千円の支給を実現できなかった。制度は政治の駆け引きで揺らぎ、支給額は減少。本年度からは「新児童手当」に変わり、所得制限も導入された。

 「安心して子どもを育てられない。もし手当が廃止されたら、本当にただのばらまき」。飯村さんがため息をつく。

 子ども手当導入前の旧児童手当は所得制限があり、低所得世帯への経済支援の色が濃かった。子ども手当は、子育て世帯すべてへの支援を掲げた。

 子ども手当制度の分析を続けている大和総研の是枝俊悟研究員は「導入前後で子育て世帯の家計を比較すると、そう大きく変わらない状態。多くは貯金に回している。年少扶養控除の廃止で家計が回らなくなることも見通したのだろう」と指摘する。

 出生率上昇への期待も「影響は薄い。本気で取り組むなら、働く母親のために保育所を増やしたり、他の制度を整備するなど総合的な対策が必要だ」と話す。

 飯村さんは仕事復帰を考えている。職場へは片道一時間半。子どもの預け先は自宅や最寄り駅近くで探すため、選択肢が限られる。働く母親のための環境が整っているとは言い切れない。

 「でも、仕事をしないことは考えられない。生活のこともあるし。『国が手当をくれるから子どもを産もう』とは思わない。自分自身の生活力がないと」

 子どもが欲しくても、かなわない夫婦もいる。不妊治療を受けた飯村さんの知人には、仕事と治療の両立が難しく子どもを諦めたり、治療に専念するため仕事を辞めたりする人もいた。

 「不妊治療は他人に相談しにくい。でも、社会や政治の助けを必要としている夫婦はたくさんいる」。子育て世代を支援するというなら、不妊治療への理解と支援も欠かせない。

 子どもがいる家庭をどう支え、何のために手当を支給するのか。働く母親への効果的な支援は。そして、子どもが欲しい夫婦にどう手を差し伸べるか−。政治が「子育て」にどう向き合っているのかが見えない。

 是枝研究員は「次世代がいなければ現世代を支えられないと考えれば、子育て支援の政策は社会保障の一つと言える」と言う。

 飯村さんは訴える。「子ども関連の制度は継続性が何より大事。子どもが自立し、社会に感謝して、やっと成果が出るのだから」 (中沢佳子)

<子ども手当(新児童手当)> 子ども手当は2010年4月に施行。額は民主党の政権公約の半額で、中学生以下1人当たり月1万3000円にとどまった。11年10月分からは財源不足を理由に中学生以下1人当たり月1万円、3歳未満と第3子以降の小学生は月1万5000円に変更。改正児童手当法の成立で新児童手当になり、今年6月分からは所得制限を設けた。

82チバQ:2012/12/03(月) 23:27:47
http://www.tokyo-np.co.jp/article/shuin2012/kanagawa/CK2012120102000119.html
かながわの現場から この3年(3) 高校授業料無償化 
 晩秋の夕日を受け、期末テストを控えた生徒たちが帰宅を急ぐ。小田原市の私立旭丘高校の放課後、水野浩校長(74)が切り出した。

 「授業料の無償化は評価できる。だが不徹底な面がある」

 旭丘高の授業料は年三十七万二千円。就学支援金が支給されても、家庭の負担は二十五万三千二百円になる。この他、入学初年度は入学金などが四十五万円かかる。教科書や教材代、修学旅行費もばかにならない。

 学費全体で見れば、初年度の負担がほとんどない公立高生に比べ、私立高生の負担は重い。旭丘高の初年度納入金の延納手続きをする新入生の割合は、約一割。この三年、ほとんど変わっていない。

 「社会全体で学びを支える」と掲げ、高校授業料の実質無償化が始まって三年目。「全国的には経済的な理由での学費の滞納や中退が減少。私立高の入学者も増えた」と、全国私立学校教職員組合連合(全国私教連)の山口直之書記長は話す。

 全国私教連が三百三十五校(全日制の全私立高の26・0%)から回答を得た結果、今年四〜九月に経済的理由で中退した生徒は一校当たり〇・一一人で、計十三回の調査で最少。三カ月以上の滞納者も同一〇・九人で最も少なかった。私立高入学者は二〇一二年度で全体の32・0%を占め、制度導入前の〇九年度を2・2ポイント上回った。

 山口書記長は「就学支援金に加え、都道府県独自の補助制度も充実した。低所得家庭の子も、進学先に私立を選べるようになった」とみる。

 一方で、就学支援金の効果で滞納や中退が減ったかを尋ねると「減っていない」との回答は18・9%あった。保護者の失業や収入減、病気、離婚…。制度が救いにつながらないケースは絶えない。

 「アルバイトで学費や家計の一部を賄う生徒もいる」と語るのは、旭丘高校生徒会顧問の水谷徹教諭(33)。生徒たちは自主的に子どもの教育環境について学び、生徒会を中心に私立高生の学費負担軽減を訴える活動をしている。

 経済協力開発機構(OECD)の調査で、日本は先進国の中で教育への公的支出の割合が低く、家計負担が高いと指摘されていただけに、高校の無償化制度は、民主党の政権公約の中で数少ない実現した政策だ。

 だが、民主党の主要政策を見直す民自公の三党合意の対象になっており、無償にする対象から高所得世帯を除くことも取り沙汰されている。「所得制限は親の状況で子どもを区分けすること。親の年収が高くても低くても、子どもの学びを保障する無償化の理念に反する」。山口書記長は憤る。

 水野校長は「加算支給の基準をもっと実態に見合ったものにするべきだ」と指摘する。現行では、所得が三百五十万円より低い家庭が加算支給。だが、実際は五百万円前後の家庭も苦しい。高校の学費を払える年収の目安を正確に算出することが求められる。

 「九割が高校に進学する時代。次世代の人材を税金で育てるという制度の考えに立ち返るべきだ」と、水野校長は語気を強めた。 (中沢佳子)

 <高校授業料の実質無償化> 2010年4月施行の高校無償化法に基づき、公立高校では授業料を取らず、私立高の生徒には「就学支援金」を支給する。支援金は1人年11万8800円が基本で、低所得世帯の子には、所得に応じて加算支給する。法では施行3年後に施策効果などを検証すると規定。制度は文部科学省が「高校に類する課程」と認めた専修学校高等課程や外国人学校の生徒も対象。朝鮮学校については適用の判断が見送られている。

83チバQ:2012/12/03(月) 23:28:11
http://www.tokyo-np.co.jp/article/shuin2012/kanagawa/CK2012120202100004.html
かながわの現場から この3年(4) 農家戸別所得補償制度
県内一の米どころと言われる平塚市の水田(11月末撮影)


 政権交代を果たした民主党が、鳴り物入りでスタートさせた農家の戸別所得補償制度。コメなどの生産調整(減反)に参加しない農家まで補助対象にした点が、自民党政権時代と大きく異なるとされる。実施から三年目、県内の農業従事者の反応は複雑なようだ。

 県内最大の水田作付面積約六百ヘクタールが広がる平塚市。四十ヘクタールを持つ田村仁志さん(67)=仮名=は「水田で飼料米や大豆を作れば、減反しなくても補助金をもらえる。(コメを作らないことで補助金が出た)従来施策と違い、食料自給率の向上にも貢献できる。いい制度だ」と評価した。

 一方、厚木市の約七ヘクタールの農地でコメと果物を作る高山直樹さん(47)=仮名=は「自民党のころと変わらない」と、現金支給に偏る制度に疑問を投げかける。県内のJAで制度業務を担当する男性職員は「原則全農家が対象。ばらまきに近い」と指摘した。

 十アール(〇・一ヘクタール)当たり年額一万五千円などの補助金は評価されたのだろうか。

 高山さんは「減反による収入の目減り分をカバーできない。戸別補償を申請する意味がない」と一蹴。制度を評価した田村さんも「農機具を購入するのに一千万円はかかるが、コメの単価は下がるばかり。現在の補助金は焼け石に水だ」と苦笑した。

 事務を総括する農林水産省は、二〇一〇年のモデル事業に対するアンケートを実施。全国の農業者モニター八百九十人の約73%に当たる六百四十七人から回答を得た。

 アンケートによると、評価する意見は全体の約74%。「従来の政策に比べ、コメの生産調整に参加するメリットが大きい」「生産調整に参加しなくてもムギ、大豆などを作れば交付金がもらえる」などの意見があった。

 一方、評価しないとした約20%の中では、「交付額が少なく経営安定に役立たない」「経営規模の小さい農家にも交付金が出ることで、ばらまきと思われる」などが多かった。

 アンケートでは、制度を評価する声が四分の三を占めたが、JA職員は「コスト削減に欠かせない農地集積、農業者の高齢化と後継者不足、など日本農業が抱える根本的課題にまで手が届いていない」と疑問を呈した。

 加えて、加盟国の自由貿易を促進する環太平洋連携協定(TPP)交渉に日本が参加するかどうかの問題も、農家を悩ませている。

 「TPPに加盟しても果物は味、安心安全の面で海外に負けないと思うが、コメは厳しい」と高山さん。田村さんは「コメは関税がなくなれば全滅。水田が荒廃地になる」と嘆き、「民主も自民も、考えていることがよく分からない。総選挙はどこに投票したらいいだろうか」と、眉間にしわを寄せた。 (加藤木信夫、佐久間光紀)

  =おわり

<戸別所得補償制度> 農家保護のため現金を支給する民主党の目玉政策。農産物の生産調整に応じた農家に、耕地面積10アール当たり年額1万5000円などを支給する。水田で飼料米やムギなどを転作しても、食料自給率の向上に貢献したとみなされ、補助金が支給される。2010年、食用米を対象にしたモデル事業として始まり、11年から他の穀物にも枠を広げて本格実施された。

84チバQ:2012/12/03(月) 23:29:54
http://www.chunichi.co.jp/article/shuin2012/chubu/CK2012112902000240.html
見極める衆院選 青い鳥は…(1)
◆「変える」響かない 裏切られ続けた一票
 目の前の新聞に主要政党の政権公約が並ぶ。「二〇二〇年までに四百万人の雇用創出」「二・八兆円の歳出削減」。ところ狭しと紙面を埋める小さな文字は、見慣れた求人誌を思い起こさせた。

 名古屋駅近くで六畳一間のアパートに住む高比良(たかひら)肇(49)は、食品工場のアルバイトで生計を立てる。定職に就けず、期間工や派遣の仕事で食いつないできた。求人欄で「月給二十万円以上 寮完備」など、少しでもいい条件を探す。「実際はその通りになりませんけどね」。約束が守られないところも似ている、と笑う。

 「変える」という言葉に弱い。〇五年の衆院選は自民、〇九年は民主の候補に投票した。「改革なくして成長なし」「政権交代」と希望を感じさせる言葉に期待を込め、一票を託した。だが今度は迷っている。

 〇五年の時は簡単だった。自民を率いたのは郵政民営化を掲げた首相の小泉純一郎。高比良がデンソー(愛知県刈谷市)の期間工として働き始めた時期だった。郵政改革に興味はなかったが、「信念を貫く小泉なら、雇用環境を良くしてくれる」と期待した。

 だが、その小泉政権の間に、専門職に限られていた派遣労働が製造業に拡大された。〇八年のリーマン・ショックで「派遣切り」も始まる。高比良は残業がなくなり、手取りが十万円近く減った。契約期間が切れる〇九年、正社員の登用試験を受けたが、採用されなかった。

 工場で一緒に仕事をした正社員の言葉が忘れられない。「しょせん、期間工は使い捨てなんだよ」。将来を悲観して自殺した仲間もいた。

 おれたちは擦り切れるまで働くか、自殺するしかないのか−。〇九年の衆院選を迎えたのはそう思い始めたころ。「無駄を削り、暮らしを守る」と訴える民主に魅力を感じた。一年ごとに首相が代わる自民は信用できない。新政権に望みをかけ、票を投じた。

 期待はあっさり失望に変わる。首相に就いた鳩山由紀夫は「米軍の普天間基地を最低でも県外に移転する」と約束。だが翌年五月に断念した。

 「何だ、口だけか」。テレビを見て思わず独りごちたその日。大阪市議補選で、大阪府知事の橋下徹が率いる「大阪維新の会」が民主、自民らの候補者を大差で破り、初陣を飾った。

 「この国を変える」と訴える橋下。大阪市長に転じた後も、君が代斉唱で起立しない教員の処分や市職員の入れ墨問題で物議を醸す。その姿が、理想の「強いリーダー像」に映った。「織田信長みたいにぶれない姿勢がいい。次の選挙は、この人かな」

 意中の人に見えた橋下はその後、石原慎太郎前東京都知事らと合流を決めると、脱原発や企業・団体献金禁止などの看板政策をあっさり引っ込めた。

 「既成政党を打破する」。テレビの中の橋下は変わらず叫んでいるが、心には響かなくなった。「また振り出しか」。高比良はつぶやき、腕を組み直した。(文中敬称略)

    ◇

 近年の国政選挙では、山積みの課題を一気に解決してほしいと願う有権者が、新しいタイプの政治家、政党に票を投じる傾向が強い。チルチルとミチルが「幸せの青い鳥」を追い続けた童話にちなみ「青い鳥症候群」ともいわれる。総選挙を控え、有権者は新たな青い鳥を探すのか、立ち止まって考えるのか。すれ違う政治と民意の現状を考える。

85チバQ:2012/12/03(月) 23:30:12
http://www.chunichi.co.jp/article/shuin2012/chubu/CK2012113002000205.html
見極める衆院選 青い鳥は…(2)
「ここの従業員はみんな、自民党の候補者をあこがれの目で見ていた」。元勤務先の製材工場で振り返る大岩忠夫さん=長野県木祖村小木曽で


◆「やっと自民」のはずが タカ派公約に戸惑い
 かつて役員も務めた製材会社の事務所入り口に、自民党の候補予定者のポスターが張り出された。長野県木祖村の大岩忠夫(86)にとって、選挙の季節が来た合図。「自分が力を入れて、運動してたころを思い出すねえ」

 中選挙区時代、木祖村を含む長野4区は三十年余にわたり、吉田茂内閣の官房長官や建設大臣を歴任した増田甲子七(かねしち)の地盤だった。「選挙と言えば自民。会社近くの広場にサイダーのケースで演台を作って、先生を出迎えた」

 木曽山脈に抱かれた村はヒノキやカラマツが豊富で、かつては働き手の大半が木材の仕事に就いていた。国の営林署から木材を安く購入できる随意契約制度が、雇用を生んだ。革新勢力が「不公平」と批判した制度を推進したのが自民。会社ぐるみで応援してきた。

 「村の未来は木材産業とともにある。そのためには木を運ぶ道路も必要だ」。増田が演説で約束し、三カ月後に新道が着工されたこともある。

 利益誘導型の政治と言えばそれまでだが、何より増田本人に魅力があった。スーツ姿で工場を訪ねると角材を手に取って「いい仕事だ」とほめ上げる。息子ほどの従業員に頭を下げ、木屑(くず)まみれの手をぎゅっと握って回った。「尊敬の対象だが、友だちのような親しみやすさもあった」と懐かしむ。

 昭和三十年代に五千人を超した村の人口はいま、三千人。木材産業も衰退し、選挙の応援どころではなくなった。二〇〇九年の衆院選では、村の得票で初めて民主候補が自民を上回った。

 「政権交代で何か変わるかと思ったが、民主は混乱を生んだだけだった。もう一度、自民に頑張ってもらいたい」。慣れ親しんだ自民の返り咲きを期待する。ただ、選挙公約にどうしても気になる項目がある。

 「自衛隊を国防軍と位置付けます」「集団的自衛権の行使を可能にします」

 タカ派として知られる総裁の安倍晋三は「できることしか書いていない」と断言する。それは自衛隊が実際の戦闘に参加する道を開くことを意味する。「領土を守るのは大事だが、戦争は絶対に反対だ」。大岩の語気が強まる。

 太平洋戦争さなかの十六歳の時、村が募集した開拓団の一員として満州国(現中国東北部)に渡った。終戦間際、ソ連軍の空襲から逃げ惑う中で見た中国人の遺体が、脳裏に焼きついている。

 「日本軍がいなければ彼らが犠牲になることはなかった」。自分も、他国から奪った領土を開拓した一人。「知らず知らずのうちに、私自身が侵略の手先になっていた」。戦後三年間のシベリア抑留のつらさより、後悔の念が今も強い。

 「自衛隊を戦う軍隊にするなんて、本気で考えているとは思いたくない」。今の自民は、村人の目線で暮らしを守ってくれた自民ではなくなったのか。候補者が演説に来ることも少なくなった村で、大岩は半信半疑のまま選挙戦を迎える。(文中敬称略)

86チバQ:2012/12/03(月) 23:30:38
http://www.chunichi.co.jp/article/shuin2012/chubu/CK2012120102000235.html
見極める衆院選 青い鳥は…(3)
◆漂流する票の受け皿
国会前の脱原発デモに娘の風花さん(右)と参加する紫野明日香さん。「口だけじゃない政党を選びたい」=11月23日、東京・永田町で


 解散後、主のいなくなった国会議事堂に声の矢が刺さる。「うそつき国会はいらない」「脱原発議員を選ぼう」。脱原発活動の代名詞となった毎週金曜夜の抗議デモ。選挙を意識したフレーズが連呼される中、紫野(しの)明日香(44)=東京都武蔵野市=もマイクを握った。

 国会前の坂を下ったところに、デモ初心者や家族連れの参加者が集まる「ファミリーゾーン」がある。司会役の紫野が壇上で穏やかに呼び掛ける。「くれぐれも無理しないで。事故やけががないように」。シャボン玉が舞い、幼い子どもたちが足元を駆け回る。

 一人娘の高校一年、風花(ふうか)(16)を育てるシングルマザー。六年前に離婚後、子育てと事務の仕事に追われ、政治は遠い世界の話だった。

 転機は昨年三月の福島第一原発事故。政府は放射能について「ただちに健康に影響はない」と繰り返す。シーベルトやベクレルなんて聞いたことがないが、直観的におかしいと感じた。ツイッターになにげなく「給食や、食べ物とかどうしてます?」と書き込むと、同じ不安を抱く父母が反応した。

 「私だけじゃない」。昨年九月、知り合った人たちと開いた勉強会には百人以上が集まった。当たり前のものが安心して口にできない憤り。「自分たちでも何かやろう」。それまで「怖いもの」と思っていたデモへ動き始めた。

 人づてに手順を聞き、警察や市役所で許可をもらった。昨年末、地元で「パパママぼくの脱原発ウオーク」と題したデモを開催。「牛乳飲みたーい」「お魚食べたーい」。政治的スローガンより、共感しやすいコールを考えた。

 今年五月からは毎週、娘とともに官邸前デモにも足を運ぶように。関西電力大飯原発(福井県おおい町)の再稼働撤回を求め、人垣が数万人に膨らんだ時は「何かが変わるんじゃないか」と熱気が体を包んだ。

 脱原発のデモは特定の政党と結び付かなかったから広がった。今度の衆院選も、支持を一本化する動きはない。それゆえに悩みもある。

 脱原発の姿勢があいまいな民主党は信用できない。財界の後押しを受ける自民党は、脱原発を口にもしない。乱立する中小政党が結集し「日本未来の党」が生まれたが、実行力は未知数だ。

 紫野自身は「規模の大小じゃなく、意見の合う党を応援したい」と思う。だが、仲間内でも「政策が良くても、議席がないと実現できない」「直接、候補者に問いただして決めたい」といろんな意見が飛び交う。

 デモの声は届かず、大飯原発は再び動いた。紫野も「むなしい気持ちになった」と振り返る。それでも、「市民の声は今まで無視されてきたけど、政治の側が『気になる』ところまでは来たと思う」。投票は政治家の地位を与えることも奪うこともできる。デモ以上に、強烈に民意を示せるはずだ。「希望は捨てない。何かが変わると信じたい」。今度はむなしさを感じたくはない。(文中敬称略)

87チバQ:2012/12/03(月) 23:30:55
http://www.chunichi.co.jp/article/shuin2012/chubu/CK2012120202100017.html
見極める衆院選 青い鳥は…(4)
◆お手軽な政治、イヤ
慌ただしい雰囲気の居酒屋でビールを待ちながら考え事をする白須友子さん=名古屋市中村区で


 名古屋駅に近い雑居ビルの三階に、半年前にオープンしたばかりの居酒屋。「六十分間 飲み放題、食べ放題で千五百円」が売りの店は、平日の宵の口でも満席だった。

 新幹線の発車時刻を気にしながら、ビールを流し込むサラリーマン。残り時間を計算しつつ、大口で食べ物を放り込む「女子会」の集団。小さめのジョッキを手にした白須友子(30)=名古屋市中区=の目には、ビデオの早送りのようなこの光景が、今の「急流」社会の縮図に映る。

 コンサルタント会社に勤務する白須の日々も、あわただしい。勤務を終えると深夜営業のドーナツ店へ向かい、行政書士の資格取得のため日付が変わるまで独学に励む。仕事が午前零時を回る日は、翌朝五時半からテキストを開く。湯船にはつからずシャワーだけ浴びる。新聞は週末の午前中、まとめて一気読み。肌荒れ防止に寝る前のコラーゲン飲料は欠かせない。

 「なんでそんなにがんばるかって? そりゃ焦りでしょ」

 会社での担当は、ベトナム人実習生を愛知県内の事業所に紹介する営業職。自動車部品や金属加工の工場で働く彼らは、今どきの日本人より手先が器用で、センスもよく勤勉だ。

 営業先でそのメリットを力説するうちに、ふと思った。「じゃあ、自分には何があるの?」。日本には毎年十万人の外国人労働者が入ってくる。「日本人というだけで仕事がもらえる時代は、もうじき終わる」。漠とした不安が心と体をせき立てる。

 最近、メディアをにぎわす衆院選の話題はいやでも耳に入る。政治に一応の関心はあるが、第三極候補の「軽さ」には目を見張る。つい先日まで政治と無縁だった人間が、党首に命じられるまま、落下傘のように降り立っていく。維新の橋下徹は「じゃんけんで決めてもいい」とまで言った。

 お手軽さは、この「六十分飲み放題」の店に似ている。機械が自動的に生ビールを注ぎ、熱かんサーバーはフル稼働し、鍋も串揚げも三分で運ばれる。「有権者って、なめられてんですかねえ。これでも食っとけって」

 橋下や河村たかし、渡辺喜美。威勢のいい政党の顔はもちろん知っている。「クラスにも一人ぐらいいた。どう言えば、みんなが喜ぶか天才的に分かる人。あまり好きじゃなかったけど」。そして、彼らが送り込んだ候補者の顔が見えてこない。

 喧噪(けんそう)と嬌声(きょうせい)にあふれる店内で白須は思う。「政治までお手軽じゃ困りますよね」。政策や理念を熟慮し、信念ある政治家に一票を投じたい。考える時間を与えない急流社会、踏ん張らないと流される。「新聞ぐらいゆっくり読もうかな」(文中敬称略)

88チバQ:2012/12/03(月) 23:31:21
http://www.chunichi.co.jp/article/shuin2012/chubu/CK2012120302000263.html
見極める衆院選 青い鳥は…(5)
◆豊かさばかり求めない
被災者のための足湯と手のひらマッサージの施し方をメンバーに説明する小泉亮真さん=金沢市の金沢大で


 学生ばかりが行き交う金沢市郊外のキャンパス近く。金沢大四年の富田亮太(21)と長谷川栞(しおり)(21)はスーツ姿の男性に声を掛けられた。「演説会のスタッフになりませんか」。手渡されたビラには、第三極をうたう政党の立候補予定者の名があった。「へえ、こんな人が出るんだ」。間近に迫る選挙を急に実感した。

 これまでも、政党の党首らがテレビで訴える言葉を何となくは聞いてきた。「強い日本経済を取り戻します」「再び景気を良くします」。でも、単純に、よく分からない。「強い経済ってどんなものか、私たちは知らないから」

 学部仲間の二人は、経済指標上でバブル景気が崩壊した一九九一年二月に生まれた。「右肩上がりの日本経済」という原体験がない。

 富田は就職活動中、バブル期に就職した人事担当者に話を聞いた。面接に行くだけで高級料理でもてなされ、内定後は「囲い込み」の旅行。おとぎ話のようだった。

 一人暮らしの富田は群馬県高崎市の実家から仕送りを受けず、携帯電話店のアルバイトで自活している。月二十万円稼ぐこともあり、生活に困ったことは一度もない。「バブルを知る人の話はうらやましいけど、今の経済状態でも十分だと思う」と冷静に話す。

 「失われた二十年」とも称される時代に育ってきた富田や長谷川が、価値観が変わるほど衝撃を受けたのが、昨年三月の東日本大震災だった。富田は実家に連絡する回数が増え、長谷川は東北でボランティア活動を繰り返すようになった。そして今、政府や官僚への憤りを感じる。復興予算の流用問題だ。

 「政権交代に期待したけど、最も大切な被災者支援もできないなんて」。復興増税を原資に予算を増やしてもアリがたかるように食いつぶす現状。政治家が言うように仮に「経済成長」を成し遂げたとして、それは市民の暮らしに使われるのか。「悲しいくらい、政治への興味がわかない」

 二人とも就職先が内定し、じっくり考える時間はあるが、投票に行くか悩んでいる。だから、後輩で二年の小泉亮真(りょうま)(20)と話した時、真っすぐな言葉に驚いた。「投票は必ず行きます。自分一人が動いても意味がないって考えたら、何も変わらないから」

 この秋成人したばかりの小泉にとって生まれて初めての選挙。とはいえ「どの党の誰に投票すれば社会が良くなるか、自信がもてない」。楽しみより不安な気持ちが強い。

 小泉は公示後の七日から、岩手県陸前高田市でボランティア活動をする。被災地に入るのは六回目だが、これまでとは違う目的ができた。「東北の現状を確認して、どの党がどんな支援策を考えているか見極めたい」

 既成政党への不信が叫ばれ、第三極を名乗る政党は離合集散を繰り返す。自分が思いを託せる政党はあるのだろうか。まだ日常を取り戻せない人々が住む地で、その手がかりを探したいと思う。(文中敬称略)=おわり

    ◇

 この連載は北島忠輔、谷悠己、栗田晃、沢田千秋が担当しました。

89チバQ:2012/12/04(火) 01:10:37
http://sankei.jp.msn.com/region/news/121201/chb12120122080002-n1.htm
【衆院選2012 千葉】
現場の課題(上)TPP 「二枚舌は許さない」強硬JA、争点化避ける立候補予定者 
2012.12.1 22:04 (1/3ページ)

全国3位の産出額を誇る県の農業。TPP交渉参加問題は衆院選の争点になるのか=匝瑳市内
 「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉参加に断固反対する」

 衆議院の解散に先立ち、11月7日にJA中央会が千葉市内で開いた県大会に出席した農業関係者ら約800人が声を上げた。

 県内のJAグループをまとめる中央会は、平成21年の衆院選では推薦先を決めず、それぞれの自主投票とした。今回は「特定の党ではなく、TPP交渉参加阻止を表明する候補者を支援する」と打ち出し、公示に向け審査を進めている。

 民主党関係者は「TPP賛成が(公認の)踏み絵になってしまった。日本未来の党へ移った候補者は、JA側から推薦をもらえるかもしれないが、うちは無理だろう」とあきらめ顔だ。

 三方を海に囲まれ、温暖な気候に恵まれている千葉県。農業は全国3位の産出額(平成22年)を誇り、県内の担い手は約15万人とされる。漁業や畜産業でも多くの品目で生産量が全国上位に位置する関東随一の「食料供給地」だ。

 また、農林水産業(1次産業)と加工(2次産業)、小売り(3次産業)を統合して「6次産業」とし、活性化を図ろうとの取り組みが県内各地で進められている。新たな特産品を生みだし、観光振興につなげようとの試みもある。

 しかし、TPPへの参加は、安価な輸入品の流入を招き、こうした取り組みに冷や水を浴びせかねないとの強い懸念が関係者にはある。

 公約にTPP参加交渉反対を掲げる日本未来の党や、長年にわたる付き合いが深い自民党の候補者などが中央会の推薦の対象になるとみられるが、中央会は「二枚舌は許さない」と強い姿勢で審査する構えだ。

 しかし、複数の陣営から「全面的に反対ではない」「どのように主張を訴えるかは、まだよくわからない」と歯切れの悪い声が聞かれる。背景には、産業界などがTPP交渉参加を歓迎していることや、党によっては交渉に参加して日本に不利な枠組みができるのを防ぐべきだ、と議論されていることもあるようだ。

 匝瑳市の主婦、花山京子さん(44)は「国益にかなわなければ撤退という話も聞くけれど、何が国益なのかよくわからない」と、議論が整理されないまま争点の一つとされることに首をかしげる。

 山武市でイチゴ栽培に取り組む仲本清さん(59)は「新聞やテレビではよく目にするが、地元の政治家たちからTPPの話はほとんど聞いたことがない」と話し、別の農業関係者は「内容の説明もないのに何を基準に選べばよいのか」と憤る。

 総選挙の争点としてクローズアップされたTPPだが、正面から向き合おうとする立候補予定者は少ない。県内のある選挙関係者は「TPPは微妙な問題。下手に話をすれば票を逃がすことになる。リスクの高い問題は中途半端に触れない方が良い」と話している。(杉侑里香)

 TPP(環太平洋戦略的経済連携協定) あらゆる分野での関税撤廃を原則とする多国間の経済連携協定。米国、シンガポール、ペルー、豪州などアジア太平洋地域の11カ国が交渉している。分野は農業、工業、金融サービス、知的財産など多岐にわたり、包括的な自由化を目指している。加盟した場合、国内では自動車や機械などの輸出増加を期待する声があるが、海外からの安い農産物の輸入が増加し、国内農業に影響を与えるという懸念も根強い。





 衆院選では、TPP交渉参加、原発、外交・安全保障などが争点となっている。千葉が抱える課題を取り上げ、政権選択の焦点を探る。

90チバQ:2012/12/04(火) 01:39:38
http://www.chunichi.co.jp/article/shuin2012/mie/CK2012113002000231.html
<見極める衆院選> (1)消費税増税
閑散とした商店街にある店で商品の手入れをする渡辺さん。消費税増税で客足への影響を心配する=津市大門で


 消費税増税の行方や環太平洋連携協定(TPP)への交渉参加の是非など、今回の衆院選では、重く大きな選択が有権者に委ねられている。選択の結果は、私たちの生活に直結する。選挙の争点を切実に見つめる人たちの思いから、明日の暮らしを考えてみる。

 自動車部品を組み立てる作業台に「中断中」と記した紙が置かれている。「ここの人は今日は休み」。松阪市で、小さな工場を営む経営者の男性(82)がつぶやく。稼働していない作業台はこの日、場内の半数に及んだ。

 九月のエコカー補助金の終了によって国内の自動車販売が低迷し、部品の受注が減少。仕事が少ない日は、従業員に連絡し、自宅待機を伝える。「消費税が上がったら車が売れなくなる。うちの仕事もなくなる」と不安が募る。社会保障を守るため消費税増税はやむを得ないと思うが「まずは景気をようしてもらわんと。今のまま消費税だけ上がったらお手上げやわな」。

 津市中心部の大門商店街で半世紀にわたって時計店を営む渡辺伯男さん(81)も「消費税が上がれば、商店街で物を買わなくなる」と心配する。

 一九八九年の消費税の導入、九七年の税率アップのたび、商店街には駆け込み需要もなく、ただ客足が減った。品ぞろえや安さを売りにする郊外大型店の影響も相まって、店の売り上げは二十年前の一割になった。この日の来客は、昼を過ぎてもゼロ。夫婦二人の生活は月額十三万円ほどの年金が頼りで「本業だけではとても食べていけない」と話す。

  □   □  

 年二回ある消費税の納付時期が近づくと松阪市で部品製造会社を営む男性社長(70)は「百数十万単位の金をどう確保するか頭が痛い」という。パートを含め従業員十人を抱える工場を不況下でも稼働させるため、数千円単位の少額受注や利幅の薄い仕事も数多くこなす。そのため利益が不安定になり売上金が入っても運転資金の足しや設備維持費に回りがちで、消費税分の積み立てもままならない。

 納付時期に足りないときは、金融機関からの借入金や簡保の取り崩しで何とか賄う。消費税が10%になれば納付額は単純に倍。「いざ払うとき、現金があるかどうか。経営の問題かもしれないが、どこの仕事でも引き受けるうちのような『何でも屋』が、余裕のある経営なんてできない」

 一家四人の家計を預かる伊勢市二見町の小学校非常勤講師の女性(38)も「ますます厳しくなる」とため息をつく。製造業で働く夫(40)の収入が家計の柱だが、業績の低迷により、昇給やボーナスはおぼつかない。対する出費は、小学三年の長男と来春入学の次男の習い事などで今後もかさんでいくことは間違いない。外食を控え、スーパーでは安い品を吟味して食費を削り、十年近く乗り続けている車を買い替えるべきか考えている。将来のため増税の必要性は分かるが、納得できない自分もいる。「本当に目に見えて生活が良くなることにつながるのか、分からない」

 <消費税増税>少子高齢化の進展を見据えた社会保障改革の一環で、安定した税収を確保するため、現在5%の税率が2014年から8%、15年に10%に引き上げられる見通し。専門家の試算によると、年収400万〜450万円の4人家族は、8%で年間6万2000円、10%で10万以上の負担増になる。

91チバQ:2012/12/04(火) 01:40:09
http://www.chunichi.co.jp/article/shuin2012/mie/CK2012120102000273.html
<見極める衆院選> (2)TPP 
農家の高齢化と消費低迷に悩む紀南地方のミカン=御浜町の選果場で


 ハウスの熱気の中、緑色の果実が鈴なりになる。濃厚な甘さで知られる南国フルーツ「アテモヤ」だ。紀宝町の石本果樹園が県の指導の下、二〇〇四年から栽培している。

 園ではアテモヤに加え、かんきつ類四十種を生産し、大半をネットや電話注文で販売する。中でもアテモヤは贈答品として出回るうちに魅力が広まり、一個二千円以上の高級果物ながら、今では全国から注文が殺到する。「農家の側に工夫と努力が必要」。果樹園三代目の石本慶紀さん(35)は、そう考えている。

 地元のJA三重南紀では昨年から、タイへミカンの輸出を始めている。高級ミカンのブランドイメージを打ち出し、狙うはタイの富裕層。一足先に、高級果物で国内販路を開拓してきた石本さんは「貿易自由化の波は必然的。TPP(環太平洋連携協定)を恐れるのではなく、打って出る覚悟が必要だ」と期待を寄せる。

 ただ、ミカン産地には疲弊もうかがえる。紀宝町に隣接し県内最大の産地の御浜町では、かんきつ栽培面積が現在七百ヘクタールと、十年前と比べ二割減少。国内のミカン消費低迷と農家の高齢化が響く。

 会社を退職後、ミカン農家になった南木甫久(もとひさ)さん(76)は「老後の稼ぎにと、栽培を始めたのが間違い。年を経るごとに生活はカツカツだ」と頭をかく。

 一・三ヘクタールの畑を購入したものの、ミカンが市場でだぶつくようになり、現在使用するのはほぼ半分。一方で畑の造成工事などにかけた費用の返済が、年数十万円のしかかる。TPPによって貿易の自由化が進めば、海外から安価な農産物が押し寄せることになり「この上、外国産のミカンが入ってきたら、農家は全部つぶれる」。畑を継ごうとする長男(44)の先行きに不安を募らせる。

   □   □

 寒暖差が大きい伊賀の盆地がはぐくんだコシヒカリ、キヌヒカリ…。小屋で一時保管する米を横目に、伊賀市下柘植の農業奥沢重久さん(64)は「安い外国産の米に消費者の目が向いてしまえば、ダメージは大きい」とこぼす。

 九年前にJR西日本を辞め、父親から農地を受け継いで専業農家へ。三ヘクタールの田んぼで収穫した米は農協に出荷するほか、道の駅で販売するなど販路を工夫している。「味の差は歴然」と品質に自信を持つが、価格競争が迫られると心もとない。

 山あいにある二十戸ほどの集落は、一ヘクタールに満たない土地で耕作する兼業農家が主体。先祖からの土地を大事にする土地柄もあり、大規模化によるコストダウンは難しい。「仮に集約化するにしても、限界がある」。集落の今を見つめるにつれ、TPP交渉参加には否定的な思いがこみ上げる。

 <環太平洋連携協定(TPP)>原則としてすべての物品の関税をなくし、貿易や投資の促進を目指す多国間の自由貿易協定。アジア太平洋地域の米国や豪州、ベトナムなど11カ国が締結に向け、交渉に参加。日本国内では、締結によって自動車などの輸出産業の国際競争力が高まる一方、安い農産物やサービスにより農業や医療分野などで影響を被るとして、賛否が割れている。

92チバQ:2012/12/04(火) 01:40:23
http://www.chunichi.co.jp/article/shuin2012/mie/CK2012120202000227.html
<見極める衆院選> (3)雇用 
ベッドの上に座り、テレビに目をやる男性=四日市市塩浜で


 テレビに映る政治家は他党をあげつらい、節操ない離合集散ばかり。生活保護を受けながら、四日市市塩浜のアパートで暮らす男性(21)は選挙報道を目にするたび、政治への希望がうせていく。

 半年前、派遣社員として二年間働いてきた県内の自動車部品梱包(こんぽう)工場を突然、解雇された。家賃が払えなくなってアパートを追い出され、一時、公園で寝泊まりした。幼いころ県内で一緒に暮らした両親は離婚し、ともに疎遠なまま。生活困窮者の支援団体を頼り、二十歳にして生活保護を受け始めた。

 毎月の支給額は十万円ほど。一人で暮らす六畳の部屋は家賃三万三千円で、ベッドと冷蔵庫だけで部屋がいっぱいになる。残る金で食費や光熱費、日用品などを賄う。仕事に就くためハローワークに毎月通い、資格や経歴を問わない求人先に問い合わせる。

 中学卒業のみの学歴に加え、車の運転免許もない。近所で見つけたコンビニのバイト募集では、面接した店長が履歴書に目をやり、「中卒だからね」と不採用を告げられた。

 働きたくても働き口がなく、生活保護で食いつないでいる。「個人の力では貧困から抜け出せない人もいますよ。僕らの背中を後押ししてくれるような社会になってほしい」

  □   □

 鈴鹿市の自動車関連企業で契約社員として働く藤田昌弘さん(55)は、この二十年あまり、非正規雇用の仕事を転々としてきた。「いつも末端から切られる。吹けば飛ぶような身の軽さを感じた」

 高校卒業後、関東の港湾関連会社で、大型クレーンを使ったコンテナの積み降ろしに従事。年に一千万円近くを稼ぐ代わりに危険も多く、作業中の足の骨折をきっかけに転職を考えた。

 正社員での採用は難しく、埼玉県にある自動車関連会社の期間従業員に。契約が切れると、自動車メーカーや金属加工会社など五社を渡り歩いた。給料は港で働いたときの半分以下。一人暮らしのためなんとか生活はできたが、転職したことを悔いる日々が続いた。

 仕事のあっせんを受けて来た鈴鹿市でも、かつての自分のような若い非正規労働者を目にする。「非正規労働者が増えたのは、規制緩和した国の責任。一過性の公共事業ではなく、労働者の身分保障をしてほしい」との思いを強くする。

 選挙には毎回欠かさず足を運ぶが、今回の選挙は「どの政党も聞こえの良いことばかり」。藤田さんの胸に響く訴えは、まだ見つかっていない。

 =終わり

 (この連載は、加藤弘二、中平雄大、佐野周平、小柳悠志、戸川祐馬、久野賢太郎、宿谷紀子、安部伸吾が担当しました)

93チバQ:2012/12/04(火) 21:55:40
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121201-00000119-mailo-l21
選択の足もとで:’12衆院選/1 雇用 なお続くリーマン禍 /岐阜
毎日新聞 12月1日(土)13時10分配信

 ◇失業長期化、孤立する若者
 「安定した生活が送れるのなら、やっぱりいつかは結婚したい」。照れくさそうに岐阜市の男性(34)は笑った。職や住居を失った労働者を支援する同市の民間相談所「ぎふ派遣労働者サポートセンター・結」のスタッフの隣でふと本音がこぼれた。
 大学卒業後、さまざまな形態で仕事を転々とした。趣味を優先させ、融通の利く短期雇用を好んだ。正社員にはいつでもなれると思っていた。
 甘い考えを打ち砕いたのはリーマン・ショック。会社の倒産や雇い止め、有給休暇の欠勤扱いや求人情報との落差。さまざまな理不尽を突きつけられた。「役に立たんからクビだ」。派遣会社からは仕事を紹介されなくなり精神的に追い詰められ、8月に体調を崩した。まともに食事もできず、体重は10キロ落ちた。
 大学では建築学を専攻し、専門知識があることに自信はあった。かつての同級生たちは家庭を持ち、福利厚生の整った会社でそれなりの地位を得て働いている。「おれにだって、これくらいの権利があってもいいはず。自分だけダメだと思うと惨めだ」
 今後は、生活保護を申請し、資格を取りながら再就職を目指す。「企業の労働基準法順守を徹底してほしいし、生活保護以下の暮らしを強いられるようなら最低賃金を上げるべきだ。政治家にはもっと実情を見てほしい」。投票先は慎重に選ぶつもりだ。
  ◇    ◇
 11月に岐阜労働局が発表した県内の10月の有効求人倍率は0・94倍。2カ月連続で1倍を切った。新規求職者数も増加傾向にある。「ソニーイーエムシーエス美濃加茂サイト」の閉鎖に伴い、大量に失業者が生まれると予想され、厳しい雇用情勢はまだまだ続きそうだ。
 「結」によると、09年ごろの「全盛期」に比べ派遣切りの相談は少なくなったが、仕事の内容にこだわり、失業期間が長期化し、社会から孤立して引きこもる若者が増えているという。今年4月から県の事業としてに就労支援を行っている「ジョブステーション」(岐阜、多治見)を訪れたのは、10月末までに延べ約1万2700人。「就職格差」は確実に拡大しているという。担当者は「キャリアブランクを作らないことが、その後のステップアップにつながりやすい。生活環境を整えていくことも必要」と話す。
  ◇    ◇
 大学生の就職内定率は改善傾向にあるが、例年内定率95%超を誇る朝日大(瑞穂市)でも内定まで長期化する学生が増えているという。
 法学部4年の男子学生(22)は3年の年明けから就職活動を始めたが、内定が出たのは8月末。就職をあきらめかけていた。「求人は多いけど、やりたい仕事の募集は少なかった」と話す。全国大学選手権初出場を決めたラグビー部主将の石原裕介さん(21)は、夏に内定をもらったが、最近就職活動を再開させた。「ラグビーと両立させながら人の幸せにつながる仕事がしたい」ためだ。「人物重視」にシフトする企業と、やりがいを求める学生との間でミスマッチが起きている。
  ◇    ◇
 長引く経済低迷、雇用環境の悪化、財政危機……。重たい課題の解決の道が見えてこない中で衆院選の公示が間近に迫った。日本の課題が、県内ではどんな形で表れているのか。それぞれの現場を取材した。【加藤沙波】=つづく
12月1日朝刊

94チバQ:2012/12/04(火) 21:55:57
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121202-00000009-mailo-l21
選択の足もとで:’12衆院選/2 消費増税 「もう商売にならん」 /岐阜
毎日新聞 12月2日(日)10時24分配信

 ◇景気低迷に負担先行
 「50年近くやっとるが、こんなに客が来ないのは初めて。正月は3日から店を開け、以前は初詣や晴れ着姿を撮影した写真の現像が100本以上あった。今やデジタル全盛時代。現像の仕事はほとんどない」。柳ケ瀬に近い岐阜市神田町の目抜き通りで写真店を営む小林正昌さん(76)は嘆く。デジタルカメラの普及に伴う構造不況に長引く不景気が重なり、業界はどん底にある。月7万〜8万円かかる現像機の電気代も重くのしかかる。来客がない日は、新品のフィルムを現像して現像液の劣化を防ぐ。デジタル化に対応してデジタルプリンターを導入したが、客足が遠のいており、稼働率は低迷している。「情けない状態ですな」
 小林さんは県写真材料商組合の理事長。15年前には県内に150店以上の会員を数えたが、今では10分の1に減った。「景気が底を打っている時に消費税が上がったらもう商売にならん」
  ×    ×
 609店で組織する岐阜市商店街振興組合連合会理事長の古川洋治さん(69)も消費増税には反対している。「デフレで物が安くなっている時に消費税を上げると、値上げができない。増税分は身銭を切ることになる」と話し、「消費税ではなく、ぜいたく品に高く課税する物品税にしてほしい」と語気を強めた。
  ×    ×
 岐阜市長良友瀬に住む長縄利加子さん(33)は夫と義父母、子供3人の7人暮らし。子育てをしながら週2回、近くの高齢者福祉施設で働く。仕事の日は早朝、6歳になった双子の颯斗(はやと)君と爽斗(あきと)君を幼稚園へ送り出した後、長女の美玲ちゃん(2)を連れて自宅から自転車で10分の職場へ通う。美玲ちゃんを勤め先の託児所に預け、午前10時から入所者の昼食を作る。短大時代に保育士免許を取得。保育所で働くことも考えたが、時間の自由が利く今の職場を選んだ。
 民主党の目玉政策だった子ども手当への期待は大きかった。しかし、東日本大震災の復興財源を確保するため、前回の選挙公約だった月2万6000円の満額支給は見送られた。「家計が潤うと期待したが、制度が続かなかった。無理があったんでしょうね」と残念がる。
 来春から颯斗君と爽斗君は小学校に進み、2年後には美玲ちゃんも幼稚園に入る。長縄さんは、消費増税が社会保障の維持に必要なことは分かるという。「増税するならサービスとして返ってくる制度を作ってほしい。家計が苦しくなって、補償がないと先が不安」。しばらくパートで家計を助けながら、仕事と子育てを両立していくという。
  ×    ×
 消費税は14年4月から段階的に引き上げられるが、増税と一体だったはずの社会保障改革は大半が先送りに。負担先行に納得していない納税者が多い。【立松勝、梶原遊】=つづく
12月2日朝刊

95チバQ:2012/12/04(火) 21:56:24
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121203-00000028-mailo-l21
選択の足もとで:’12衆院選/3 TPP 農業は輸入警戒 /岐阜
毎日新聞 12月3日(月)11時6分配信

 ◇製造業は輸出に期待
 関税撤廃による域内貿易の拡大を目指すTPP(環太平洋パートナーシップ協定)に日本は参加すべきか否か。置かれた立場によって利害は対立する。
 「工業の一部の会社にだけ有利になるTPPには賛成しかねる」。牛舎で飛騨牛にエサの稲ワラを与えながら、飛騨牛約700頭を飼育する高山市の繁殖肥育農家、中田清隆さん(43)は反対を論じた。「日本の農家は規模が小さく、ぎりぎりのコストで安全な食物を生産している。安い海外農産物には勝てない。生産者が減って自給自足できなくなり、食料を盾に外国の圧力が強くなったら軍事力を向けられるより怖い。生産力を守ることが国を守ることにつながる。TPPを推進する政治家は農業が分かっていない」
 米とトマトを栽培している同市の専業農家、大森治良さん(64)も参加には反対だ。「海外から安い米が入ってきたら太刀打ちできない。消費者は安くていいと思うかもしれないが、食の安全を考えるといかがなものか」と述べ、強い口調で付け加えた。「第1次産業を守らなければダメだ。農林業で国土を守っていかなければいけない」
  ×    ×
 土岐市の駄知体育館で30、1日に開かれた「美濃焼だちもの新作見本市」。地元の陶磁器メーカー43社の新年に向けた新作が展示された。駄知陶磁器工協組の加藤源一郎理事長は「白を基調にした製品が多いでしょ。景気が悪くなると白物が多くなるんですよ。食卓を少しでも明るく、という気持ちが働くんでしょうか」と会場を見渡した。
 駄知町は古くから陶磁器の産地として知られ、家庭向けの茶わんや丼などのメーカーが多い。窯元を取り巻く環境は厳しい。加藤理事長は「毎年数%ずつ出荷量が低下している。廃業したり倒産する会社も相次いでいる」とこぼす。新しく開業する会社は皆無。ここ20年の低落傾向が収まる様子がないという。
 政府は昨年4月、中国からの陶磁器の特恵関税を凍結し、2・3%を課税。日本に照準を定めた中国製品に足かせをはめた。TPPとは逆の動きだが、中国は参加交渉に加わっておらず、中国製品には関税をかけながら域内への輸出を狙うことも可能だ。しかし、加藤理事長は「中国製品の脅威は衰えていない。日本のマーケットに合わせて製造し、太刀打ちできない価格で乗り込んでくる。わずかな関税では歯止めにはならない」と憂えている。
 かつては結婚式の引き出物として陶磁器製品は6〜7割を占めていたというが、バブル崩壊後は激減した。加藤理事長は「円高、需要の激減、中国製品の安売りがトリプルパンチ」とため息をついて言葉をつないだ。「TPP参加によって、陶磁器メーカーがほとんどない米国への輸出が活発になれば、いちるの希望につながるかもしれない」
 TPP参加で米国などの関税がなくなれば輸出が飛躍的に高まるのではないかという期待が業界にはある。日本陶磁器卸商業協同組合連合会(多治見市)の坂崎義雄理事長(64)は「海外の新しいマーケットは業界にプラスになるだろう。アジアでも動きやすくなると思う」と参加に期待をかけている。【宮田正和、小林哲夫】=つづく
12月3日朝刊

96チバQ:2012/12/04(火) 21:56:40
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121204-00000260-mailo-l21
選択の足もとで:’12衆院選/4止 原発 子どもの命、守るため反対 /岐阜
毎日新聞 12月4日(火)16時39分配信

 ◇母親、力抜き公約見極め
 ♪ いーやんか いーやんか いーやんか 原発やめてもいーやんか−−
 11月30日、岐阜市中心部で約15人の女性が「応援します『脱原発』」とかかれた横断幕を掲げて歩いた。シュプレヒコールは上げず、鍵盤ハーモニカとペルー発祥の四角い打楽器「カホン」のリズムに合わせ歌をくちずさむ。ベビーカーを押しながら、子供を抱きかかえながら。みんな普通のママさんだ。
 「子供の命より大事なものなんてないはずなのに」。羽島市の主婦、早矢仕ちさこさん(33)は憤る。昨年3月の福島第1原発事故以降、「放射能が怖くて子供に県内産品を食べさせられない」という福島県内の主婦らとインターネットなどで知り合り、野菜を送り届ける活動を始めた。「3人目がほしいけど、私たちは放射能を浴びているから……」と切実な悩みも聞いた。この国は原発ゼロに向けて歩み始めるとどこかで思っていた。
 6月、大飯原発(福井県)の再稼働問題が持ち上がった。近隣の自治体でも慎重な意見が多く、「絶対止められる」と機運が盛り上がった。早矢仕さんらもネット上で呼びかけ、県内の母親たちと、再稼働をやめてほしいという内容の手紙計283通を古田肇知事宛てに送った。しかし「再稼働」決定は覆せなかった。
 「がっくり来たけど、ここでやめてしまったら反対する人が減ってしまう。国の思うつぼではないか」。8月には子育て中の母親たちと「命と未来のお散歩会」を新たに作り、毎週金曜日、岐阜市内を歩いている。「シュプレヒコールはハードルが高いから」と知り合いの音楽家に歌を作ってもらった。当初、数十人いた参加者は徐々に減り、5人も集まらない時も。そんな時はまだ1歳にならない子供の顔を見つめて気持ちを奮い立たせる。「この地域も放射能が降り注ぐかもしれない。そうしたら子供たちが……」。8月末までの予定だったお散歩会は来年3月まで延長する。
 11月29日、岐阜市内で立候補予定者に出す公開質問状の内容を話し合った。県内候補者にエネルギーや子育て政策などの質問項目を今月10日に送付し、回答は「おーい!止めたいママアクション」のホームページなどで公開するという。
 「卒原発」を掲げる日本未来の党が結党したが、過度な期待はしないという。「また大飯のように肩すかしされるかもしれない。私たちがくじけるわけにはいかないので、力を抜いて慎重に見極めます」
  ×    ×
 大垣市の会社社長、中井信義さん(69)は原発をすぐになくすことに懐疑的だ。「日本は資源がない。危ないから反対というのなら飛行機も飛ばしちゃいけない」。ただ、「地熱や風力など代替エネルギー政策をしっかり示す党がない。(原発問題を)政争の具にしてはいけない。いいかげん、政治ごっこはやめてほしい」と注文をつけた。【三上剛輝、山盛均】=おわり
12月4日朝刊

97チバQ:2012/12/04(火) 23:01:06
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_date1&k=2012120400872
原発・TPP、曖昧さ目立つ=消費増税は二分−各党公約ポイント【12衆院選】
 4日公示された衆院選の主な争点は、原発、環太平洋連携協定(TPP)、消費増税だ。各党の公約を見ると、消費増税は賛否がほぼ二分しているが、原発とTPPについては分かりにくい主張が目立つ。
 東京電力福島第1原発事故後初の大型国政選挙とあって、多くの党が「脱原発」を掲げている。ただ、その内容には濃淡がある。
 民主党は、2030年代の原発稼働ゼロを目指し、日本未来の党は22年までの全原発廃炉、みんなの党は20年代稼働ゼロを掲げた。共産、社民両党は、即時ゼロで廃炉のプロセスに入るとしている。ただ、脱原発に向けた環境整備などで説得力が乏しいのが実態だ。
 自民党は再稼働の判断を全ての原発で3年以内に行い、10年以内に原発を含む中長期のエネルギー戦略を確立するとしている。日本維新の会は付属文書に盛り込んだ「既設の原発は30年代までにフェードアウト(消失)」の扱いをめぐって混乱したが、公約ではないと位置付けた。
 TPP交渉に関し、参加を明確にしているのはみんなだけ。維新は「参加、ただし国益に反する場合は反対」とし、新党改革は「参加を慎重に検討する」。民主党は野田佳彦首相が参加に意欲を示すものの、党内に根強い反対論がある。このため、参加の是非は「政府が判断する」との表現にとどめた。
 自民党は「聖域なき関税撤廃を前提にする限り反対」と慎重だ。公明党は賛否を示さず、国会に調査会などを設けて審議するよう求めている。未来や共産、社民各党などは参加反対だ。
 原発、TPPに比べれば、消費増税をめぐる各党の主張ははっきりしている。賛成は、3党合意を交わした民主、自民、公明各党と、与党の国民新党。民自公3党でも、低所得者対策については、給付付き税額控除を主張する民主と、軽減税率導入を掲げる自公に分かれる。
 維新の主張は、消費税率を11%まで引き上げ、うち5%分を地方消費税化。残る6%分は、新たに創設する「地方共有税」とし、地方交付税に代わる自治体間の財政調整機能を持たせるとしている。未来やみんな、共産各党などは増税の凍結や撤回を訴えている。(2012/12/04-14:19)

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98チバQ:2012/12/04(火) 23:02:04
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_date1&k=2012120400970
脱原発で民自対立=消費税で賛否、TPPも争点−衆院選公示【12衆院選】
 衆院選が4日公示され、各党の論戦が本格的にスタートを切った。「脱原発」「消費増税」など国民生活に大きな影響を及ぼす経済政策で、各党の主張が対立。選挙結果次第で、争点となる重要施策が大幅な見直しを迫られる可能性もありそうだ。
 「昨年の事故を受けた国民の覚悟は将来の稼働ゼロだ」−。野田佳彦首相は2030年代に原発稼働ゼロを目指す方針をこう強調する。日本未来の党なども脱原発を訴え、国民の根強い原発不信に応える構え。
 ただ、経済性に優れた代替電源が確保できない状況下では、脱原発で電気料金が上昇しかねず、産業界や国民生活に悪影響が及ぶ。このため、自民党は最終判断を10年以内に行うとして、将来も原発を維持する余地を残し、民主との違いを鮮明にする。
 消費税をめぐっては、社会保障と税の一体改革法を成立させた民主、自民、公明3党が、増税の着実な実施を進める考え。これに対し、みんなの党、未来などは増税凍結を訴え、真っ向から主張が対立する。日本維新の会は、消費税率を11%に引き上げた上で、税収を全て地方財源に充てる方針を掲げ、独自の主張を展開する。
 経済再生のためのデフレ脱却に向けては、野党がそろって金融緩和の強化とインフレ目標を柱とする政府と日銀のアコード(政策協定)締結を訴える。特に、自民は日銀法改正を視野に入れた「大胆な金融緩和」(安倍晋三総裁)を要求。日銀法改正に反対し、中央銀行の独立性に配慮も示す民主との立場の違いは明確だ。
 環太平洋連携協定(TPP)交渉参加でも賛否が分かれる。みんなが交渉参加に積極的な姿勢を打ち出す一方、未来などは反対に回る。野田首相と安倍総裁は参加に前向きな姿勢をにじませつつも、最終判断での立場は明確にしていない。(2012/12/04-15:37)

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99チバQ:2012/12/04(火) 23:19:05
http://senkyo.mainichi.jp/news/20121204ddm001010052000c.html
選択の手引:2012衆院選(その1) 脱原発、問われる本気度
毎日新聞 2012年12月04日 東京朝刊

 ◇施設集中、青森2区 地元では公約封印
 原子力施設が集中する青森県下北半島。本州最北端の市、むつ市で11月27日、青森2区から出馬予定の自民前職の事務所開きがあった。大間町の金沢満春町長が約200人を前にあいさつした。

 「先生は原子力の必要性を訴えている。日本人が積み重ねてきた科学技術、建設業をはじめ多くの人たちの思い。一つのことですべて捨てていいのか」

 東京電力福島第1原発事故は安全神話を崩壊させた。今なお約16万人が避難生活を送り、帰郷のめどが立たない。「一つのこと」と済ますにはあまりに大きな代償を払い、迎える初の衆院選。各党とも目標に差こそあれ、原発依存から脱却を図るという最低ラインでは一致する。だが青森2区の状況は異なる。

 脱原発を唱える立候補予定者は共産新人のみ。自民前職は「福島第1原発は古い設計だった。東通原発のような最新の原発と一律で議論すべきでない」。民主新人は「30年代原発ゼロはあくまで目標。不断に見直す」。未来前職ですら「六ケ所再処理工場は稼働させる。大間原発もしっかり造る」。雇用も財政も原発に依存するこの地域では、脱原発依存を競い合っていたはずの各党も声を潜める。

 六ケ所村で再処理工場の完成を目指す日本原燃の川井吉彦社長は11月28日、青森市内での記者会見で、期待交じりにこう語った。「(自民党は)当然ながら原子力は一定割合で進めることになると私どもは思う」

  ◇   ◇

 野田政権は、9月14日の閣僚会議で「30年代に原発稼働ゼロ」を目指すエネルギー・環境戦略を決めた。しかし翌日、枝野幸男経済産業相は三村申吾青森県知事を訪ね、進捗(しんちょく)率4割に満たないJパワー(電源開発)大間原発の工事再開を認めた。

 40年運転すれば50年代も稼働することになり、30年代ゼロ目標と明らかに矛盾する。

 閣僚会議から5日後、政府は戦略そのものの閣議決定を見送り、今後のエネルギー政策について「柔軟性を持って不断の検証と見直しを行いながら遂行する」との1枚の紙を内閣の決定とした。

 野田政権の「脱原発」方針の後退は、急だった。転機は9月2日。野田佳彦首相とほぼ全閣僚が集まった首相公邸での会議で、「原発ゼロとする場合の課題」を洗い出した資料がテーブルに並んだ。核燃料サイクルを巡り青森県や米国と共同歩調を取ってきた歴史や、建設が中断している大間原発がサイクルの中核を担う原発であることが強調されていた。

 出席者の一人は「それまで世論のムードで話を進めていた。ようやくいろんな事実が出てきて、こんな難しいことなのかと分かった」と振り返る。首相側近は「見通しが甘かった。気づくのが遅いと言われればその通りだ」と打ち明ける。

 原発を続けるのか、なくすのか。なくすとすれば、どう実現するのか。脱原発は、原発に依存するこの国の現実を正面から見つめる作業を避けて通れない。各党の本気度が問われている。【阿部周一、酒造唯】

  × × ×

 選挙公約があいまいで、争点がわかりにくいと指摘される今回の衆院選。各党の公約の背景を掘り下げ、その未来像を探った。

100チバQ:2012/12/04(火) 23:20:04
http://senkyo.mainichi.jp/news/20121204ddm003010056000c.html
選択の手引:2012衆院選(その2止) 脱原発阻む壁、どう突破
毎日新聞 2012年12月04日 東京朝刊

 <1面からつづく>

 ◇米の反発で方針後退
 野田政権が「脱原発」方針を後退させたのは、原発立地自治体や、電気料金高騰による産業空洞化などを懸念する経済界のほか、同盟国の米国から強い反発があがったためだ。

 政府のエネルギー・環境戦略発表に先立つ9月初め、ルース駐日米大使が首相官邸に藤村修官房長官を訪ねた。米エネルギー省のチュー長官から大使館に届いた1通の公電を伝えるためだ。公電には「prudent(賢明)な判断を求める」とあった。抑制的な言い回しだが、意図は明白だった。

 チュー長官は3月に来日した際も、エネルギー・環境会議の議長を務める古川元久国家戦略担当相(当時)と会食し、「周辺国のエネルギー戦略に影響を与えることを懸念する」と伝えていた。

 日本が原発ゼロにかじを切れば、石油や天然ガスの高騰を招き、中国やロシアなどが一層、原発への傾注を深めると予想される。一方、米日欧は福島原発事故前から原子力産業が斜陽化していた。長官の懸念は、今後、中国やロシアが原子力技術で優位に立ち、米日欧が主導してきた国際的な核管理体制が揺らぐことにあった。

 外務省幹部は解説する。「日本がその連携から離脱すれば、米国の核政策が崩れる。日米関係への影響の大きさは、米軍の新型輸送機オスプレイの沖縄配備以上だ」

 1970年、日本初の商業用軽水炉として関西圏に電気を送った敦賀原発1号機は米ゼネラル・エレクトリック(GE)が設計段階から全てを請け負って製造された。それから42年。GEの原子力事業は日立と統合し、米国のもう一つの原子炉メーカー、ウェスチングハウスは東芝の傘下にある。米国の原子力産業が日本に依存する中、米国が引き続き日本の脱原発に懸念を示すのは確実だ。

 衆院選に臨む12政党のうち自民党、日本維新の会、国民新党、新党改革を除く8党が「原発ゼロ」を掲げた。どの党が政権を取ろうと、「30年代原発ゼロ」の閣議決定を阻んだ圧力は大きな壁となる。「脱原発」を選挙向けのスローガンに終わらせず、壁を突破させるには、有権者の眼力も試される。

 ◇袋小路の核燃再処理
 原発が抱えるもう一つの大きな問題が使用済み核燃料の扱いだ。日本は一貫してこれを「資源」とみなし、再処理工場でプルトニウムを取り出して原発の燃料に再利用する道を歩んできた。

 しかし、青森県六ケ所村の日本原燃再処理工場は19回も完成延期を繰り返し、建設費が2兆円を超えても操業のめどが立たない。使った量以上の燃料を生み出す「夢のエネルギー」、高速増殖炉の実用化にいたっては文字通り夢物語だ。

 回らない核燃料サイクル。だが、再処理政策をやめた瞬間、「資源」は「ごみ」に変わる。その場合、青森県は六ケ所村の施設に貯蔵している使用済み核燃料を電力各社に送り返す方針だ。各原発の燃料プールはあふれ、発電不能となる。

 加えて、日本は海外保管分も含め原爆製造に転用可能なプルトニウムを45トン保有する。長崎型の原爆4000発分に相当する。非核兵器保有国として唯一日本に再処理を認めてきた日米原子力協定は18年に改定期限を迎える。1〜2年以内に改定交渉を開始する必要がある。核不拡散に最大の関心を払う米国が利用計画のないプルトニウム保有を認めることはない。

 再処理を中止するなら使用済み核燃料を地中に廃棄する「直接処分」しかないが、場所探しは難航必至。国民的議論が必要だったが、政府は6月、エネ環戦略をまとめるために国民に示した選択肢からこのテーマを外した。結果、戦略は「30年代原発ゼロ」を掲げながら「再処理事業継続」と矛盾を抱え込んだ。戦略作りに携わった一人は「9月に戦略を示す期限が決まっていて、議論の時間が全くなかった」と敗因を挙げる。

 この難問に各党はどう答えを出すのか。民主は公約で「必要性などの観点からあり方を見直す。直接処分のあり方について責任をもって方向性を示す」。自民は「エネルギー政策の基本的方向性の議論を踏まえ、今後のあり方について慎重に見極める」とした。「再処理工場の即時廃止」を訴える未来は、使用済み核燃料を金属容器に入れて空冷する「乾式貯蔵」の実施を挙げた。維新は公約に「使用済み核燃料」の項目があるが、具体策の記載はない。

 廃棄物の処理方法を持たない原発は「トイレなきマンション」とやゆされて久しい。問題先送りのツケは将来世代に回るが、論戦は低調だ。【阿部周一】

102チバQ:2012/12/07(金) 23:40:37
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012120702000092.html
人権守る話聞こえない 野宿者の排除進める中、選挙カー素通り
2012年12月7日 朝刊

 衆院選と東京都知事選のダブル選挙のさなか、江東区が亀戸駅近くの竪川河川敷公園周辺で野宿する人たちの排除を進めている。「どんな暮らしをしていても、生きる権利は平等なはず」。選挙権も行使できない人たちのもどかしさは募る。 (小林由比)

 「これはいじめじゃないか」。冬の冷え込みとなった五日朝。首都高の高架下にある公園に、ヘルメット姿の区職員やガードマンが大挙し、公園の入り口を封鎖した。野宿者たちのテントがある川堤との間に、高さ二メートルの鋼板が次々と取り付けられていった。

 野宿者と支援者が区職員らともみ合っているわきを、選挙カーが通ったが、そのまま通り過ぎた。「地元で起きていることなのに、降りてもこない」。一年半ほど暮らす男性(54)が吐き捨てるように言った。

 公園の再整備を機に、区は三年ほど前から立ち退きを強く求めるようになった。今は追い出された十人ほどが公園のわきで暮らすが、この日の「隔離」で、トイレや水道が使えなくなった。郡司春彦さん(53)は「おれたちに人権はないのか」と悔しがった。

 二十年ほど前まで、横浜で荷役をしていた。「そのころ区議選の投票をしたのが最後だな」。以来、住所が定まらない生活をしてきた郡司さんの元には投票券は届かない。「投票はしたい。でも、今は今日、明日の自分と仲間のことを考えるので精いっぱい」。ラジオで選挙のニュースはよく聴いている。「原発とかTPPも大事。でも根っこの話で、人権を守るのが大事ってことを言う人がほとんどいないもんな」

 仕事に就けなかったり、低賃金で貧困にあえぐ人がいる一方で、過労死するような働き方を強いられていることにも矛盾を感じる。「少し賃金が下がってもさ、仕事を分け合う働き方もあってもいいと思うんだけど」

 公園わきで野宿する人の中には、東日本大震災の津波で母親と家を流された人もいる。支援を続けている山谷労働者福祉会館の向井健さん(40)は「被災地に寄り添うのと同じ気持ちで、別の理由で家をなくした人々についても寄り添う社会になれば」と願う。都市が抱える大きな課題に、多くの候補者が触れることがないのが気掛かりだ。「有権者に関心を持ってもらうためにも話をしてほしい」

<竪川河川敷公園の野宿者への対応> 江東区は2009年度から4年間の計画で、東西2キロの公園の改修を開始。工事に支障があるとして、昨年度の工区にあった野宿者のテントに対し立ち退きを求める手続きを進め、今年2月、工区に残ったテント1張りに行政代執行を行った。その後、工事が終わった場所に移った野宿者に対し再び撤去の手続きを開始。テント1張りに対し、今月3日から7日に撤去を行政代執行すると警告していた。

 区は現在野宿者たちが暮らす場所も公共用地であるとして立ち退きを要求。「一般の人が公園を使えるようにするため」として5日、公園に出入りできないよう工事した。区は一連の手続きについて、「無料アパート提供や生活保護受給の手続きなど支援策は講じてきた。自主的に撤去してもらえずやむを得ない」としている。

103チバQ:2012/12/08(土) 10:44:19
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121208-00000112-san-bus_all
国債増発 二律背反の両立課題 景気対策/財政規律 市場は厳しい視線
産経新聞 12月8日(土)7時55分配信


拡大写真
国と地方の長期債務残高(写真:産経新聞)

 16日投開票の衆院選での政党公約からは、景気対策と財政健全化をどう両立するかが課題として浮上している。日本経済は景気後退に直面しており、民主党も自民党も大規模な補正予算の編成などで下支えする考えだ。ただ、日本の財政状況は先進国でも最悪の水準だ。財源のあてがないまま国債を発行して、過度な対策を行えば、財政規律が緩む恐れもあり、新たな難題も抱えかねない。

 民主党政権は10月に国費ベースで約4千億円、11月に約9千億円の経済対策を決定。衆院選公約でも、来年冒頭に「大規模な補正予算を編成」するとした。

 自民党も新政権発足後、大型補正予算と来年度予算を合わせて切れ目のない経済対策を実行、今後2〜3年は景気の落ち込みなどに対応できる弾力的な経済財政運営を行うとしている。

 景気の底割れを回避するためには、政府の迅速な対応が欠かせない。平成26年4月に予定される消費税率引き上げも「経済状況の好転」が前提だからだ。

 自民党が主張する防災目的の公共投資は内需を刺激する効果が見込まれ、民主党が掲げる環境分野などの育成も成長を後押しする。

 ただ、大型の対策を行うため、財源を国債を増発してまかなえば、市場から財政規律の緩みと判断される懸念がある。

 日本は国と地方の長期債務残高が24年度末で約940兆円と国内総生産(GDP)の約2倍で、ギリシャなど欧州の重債務国を上回る水準だ。それでも国債価格が暴落しないのは、大部分が国内で消化されているうえ、財政規律が守られると市場がみているからだ。財政再建の手を緩めれば、格下げなどをきっかけに国債価格が急落、国債を返済する費用が膨らみ、財政悪化が加速しかねない。

 財政健全化に向け、民主党も自民党も公約で、新たな借金に頼らず政策に必要な経費を賄えるかを示す基礎的財政収支を32年度に黒字化する目標を掲げた。

 だが、消費税率を10%にしても財政赤字は残る見込みだ。日本総合研究所の河村小百合主任研究員は「小出しのムダ削減では全く足りない。社会保障制度や地方財政制度の改革に着手する必要がある」と話す。

 景気が一時的に上向いても過去の借金はなくなるわけではない。各党は税収増につながる成長戦略を着実に実行すると同時に、市場の信頼を確保するため、財政再建の道筋を示す知恵が求められそうだ。
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104チバQ:2012/12/10(月) 00:08:38
http://senkyo.mainichi.jp/news/20121209ddlk42010271000c.html
2012衆院選ながさき:諫干開門、深まる対立 反対派、自民政権復帰に期待 賛成派との溝は埋まらず /長崎
毎日新聞 2012年12月09日 地方版

 諫早湾干拓事業(諫干)の潮受け堤防の開門調査を巡り、干拓営農者ら反対派は自民党の政権復帰による開門中止に期待を寄せる。だが、5年間の開門調査を命じた福岡高裁判決の確定を受けて環境影響評価書の公告・縦覧が始まるなど、事態は動き出しており、開門賛成派との溝も埋まっていない。【大場伸也】

 「税金を無駄に使った自然破壊型の公共事業」。10年12月に福岡高裁判決の上告を断念した当時の菅直人首相は民主党代表だった03年、衆院選のマニフェストで諫干を批判し、即時中止を訴えた。だが準備は着々と進められ、12月現在41の法人・個人が既に営農している。

 開門反対派の危惧は多岐に渡る。開門に伴う塩害の発生や降雨時の浸水被害、高潮の発生などが懸念され、菅氏が地元に何の相談もなく決断したことも事態を一層複雑にした。

 自民新人の加藤寛治氏(66)は農協組合長という経歴もあり、開門に強硬に反対の立場。「法律は人命を守るためにあるのに、判決は住民を危険にさらす」と批判する。諫早市と隣接する雲仙市長だった無所属新人の奥村慎太郎氏(58)も「地域住民の願いを無視した、政治家のパフォーマンスだ」と菅氏をこき下ろし、関係者が同意しない限りは開門に反対という立場だ。

 これに対し、共産新人の矢崎勝己氏(63)は開門賛成の立場から反対派に譲歩を求め、地元の小長井町漁協組合長だった森文義氏(63)は「有明海は諫干で死んだ。開門すれば再生する」と訴える。

 民主前職の川越孝洋氏(69)は複雑な立場。「判決結果は踏まえないといけない」としつつ、大票田の諫早への配慮などから「国は営農者と漁業者が納得する案を示していない。今のままでは開門には反対」と主張している。

〔長崎版〕

105チバQ:2012/12/10(月) 20:58:13
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121210-00000003-khks-l04
衆院選 若者雇用策に冷めた声 経済界「まず景気回復を」
河北新報 12月10日(月)6時10分配信

 衆院選(16日投票)で、若者の雇用対策が争点の一つに上がっている。宮城県内の雇用情勢は比較的好調だが、東日本大震災の復興需要に支えられている一面もある。雇用拡大を公約にうたう政党の訴えに、経済界からは「産業施策抜きに労働問題を語っても意味はない」と、冷めた声も漏れている。

◎正規採用低下
 「徐々に正社員の枠が狭まっている」。若者の就業を後押しする「みやぎ若年者就職支援センター」(仙台市)の担当者は焦りを隠さない。
 センターからは、研修を受けた年間約1500人が新たな職場へ巣立つ。雇用形態の比率は正規、非正規が4対6程度。契約社員で採用した後に長期雇用へ移るケースが増えたこともあり、正規採用の比率は低下傾向にあるという。
 民主党は2009年の衆院選で格差是正などを訴えて躍進した。今回、発表された政権公約では「非正規問題に引き続き取り組む」など淡泊な表現が目立つ。一方、自民党は「労働力の流動化」「試用採用への3年補助」などを盛り込む。
 連合宮城の山崎透会長は民主党に対し、「最低賃金アップなど具体的に表記してほしかった」と注文を付ける。自民党には「公約に企業側の論理が目立つ」と批判した。

◎世代間に格差
 総務省の労働力調査によると、25〜29歳の失業率は04年に60〜64歳を逆転した。09、10年には7.1%台に達し、全年齢平均を約2ポイント上回った。世代間の雇用格差が解消される気配はない。
 若者の就職環境が好転しないまま、ことし8月には「改正高年齢者雇用安定法」が成立。退職年齢に達した従業員の希望者全員を、65歳まで継続雇用することが事業者の義務となった。
 厚生年金の支給開始時期が引き上げられるのに伴う措置だが、若者の採用がさらに減る懸念は拭えない。県内の経済団体幹部は「社会保障分野で完結すべき問題を、企業に押し付けた。景気回復なしに雇用増は図れない」と苦言を呈する。

◎中小支援策を
 雇用難には、景況に加え、本人の職業観など複雑な要因が絡む。「『著名な企業でない』との理由で内定辞退を申し出る」「小さな職場トラブルで退職する」。雇用の現場からは、保護者の過干渉を問題視する声も聞こえてくる。
 県中小企業団体中央会の高橋幸夫専務は「雇用の受け皿となる国内企業のほとんどは中小規模。各社のアピール力を補うため、優良就職先を業界団体が推奨できるようなシステムがあってもいい」と提案している。

106チバQ:2012/12/10(月) 22:38:09
http://mainichi.jp/area/hiroshima/news/20121206ddlk34010294000c.html
争点を行く:ドキュメント衆院選・広島/1 投票まで10日 原発 /広島
毎日新聞 2012年12月06日 地方版

 ◇「ゼロ」の是非、見極めを
 衆院選が公示された。原発政策、景気対策、社会保障、外交・安保…。政党乱立の選挙戦は、主張の違いが分かりにくい。有権者は何を思い、国のかじ取りを託す選択をしようとしているのか。県内各地を歩き、耳を傾けた。

 東京電力福島第1原発事故後、初めての国政選挙。原発政策を巡る論争は、師走の選挙戦を熱くする。12月に入り、朝は氷点下に冷え込む県北地方。三次市の農業、花本識吏(さとし)さん(44)は5日、仲間とつくるグループ「きつねの八百屋さん」が地元産ユズやシイタケ、小カブなどを販売先に届けるのに合わせて、電気の代わりにろうそくをともして「エコ」を考えるイベントのチラシを配っていた。

 アニメ「鉄腕アトム」が好きだった。「安全神話を植え付けられていた」と振り返る。「選挙では『原発は止める』と訴えている政党や候補者の中から、他の政策の実現性も考えて選びたい」と言う花本さんは、三次市内で月2回ある脱原発デモに参加する。福島の事故後、東京から家族で郷里に避難した徳岡真紀さん(39)に誘われた。徳岡さんは「原発とTPPは外せないがゲームみたい」と憤る。「地域にあるエネルギー資源を地域で使えば産業も生まれる。原発反対の主張をきっちり見極めたい」

 衆院解散後の先月30日にあったデモには高校生数人が飛び入り参加した。高校3年の男子生徒(18)は「選挙権があれば、原発問題を第一に考える」。一方、沿道の会社でデモを見ていた女性(26)=安芸高田市=は「今すぐ止めろというのは無責任すぎる」と語る。電力不足は困るし、不景気の中、原発産業に関わる人やその家族も気になる。「順序が違う。まずは福島で寒い冬を過ごす人たちにぬくもりある生活を」と望んだ。

 被爆地・広島。ツイッターを通じて2カ月に1回、市街地で反原発デモを主催する田野淳路(じゅんじ)さん(45)は先月25日のデモで、政党別の原発政策別一覧グラフを参加者に配った。政党乱立に「票の食い合いになるのでは。ベストはないからベターを選ばざるを得ない」と言う。

 参加者は約40人。声援を送る観光客もいたが、首相官邸前のデモの規模には遠く及ばない。福島県郡山市から今年1月に避難してきた加藤聖子さん(34)=西区=は「地元に原発がないから?」と温度差を感じる。「福島を忘れてもらいたくない気持ちも込めてデモに参加する」。廿日市市の会社員、森本道人さん(28)は「テレビや新聞では、原発よりも経済中心で報じられている気がする」と話した。

 5日夜、広島市街地を東西に貫く平和大通り。毎冬恒例のライトアップイベント「ひろしまドリミネーション」に大勢が繰り出していた。孫たちと訪れた安佐南区の男性(67)は「寒ければ暖房で暖かくなる現代の生活は手放せない。原発も一つの課題と思うが、優先してやることはもっとある」と話す一方、「『原発ゼロ』に反対しているのは経済界。新しい電源開発は潜在的なチャンスのはず」と求めた。【加藤小夜、吉村周平】

 ◇各政党で主張異なる
 原発・エネルギー政策を巡って県内では、原発ゼロに前向きな政党と、慎重姿勢を見せる政党の候補が、各選挙区でぶつかる構図になっている。

 民主党は「30年代の稼働ゼロ」をマニフェスト(政権公約)に明記した。日本未来の党は「卒原発」を掲げ、10年以内の完全廃炉を打ち出した。共産党は即時原発ゼロの実現を主張する。

 自民党と日本維新の会も原発依存度を下げていく方向だが、自民は「10年以内に電源構成のベストミックスを確立」と数値目標は示していない。維新は「原発は30年代までにフェードアウト(消滅)」とするが、公約とは位置づけていない。

 比例中国に候補を立てる党では、公明党は可能な限り速やかに原発ゼロ、みんなの党は電力完全自由化で20年代の原発ゼロなどを訴え、社民党は稼働原発をただちになくすと主張する。

107チバQ:2012/12/10(月) 22:38:56
http://mainichi.jp/area/hiroshima/news/20121207ddlk34010480000c.html
争点を行く:ドキュメント衆院選・広島/2 投票まで9日 景気対策 /広島
毎日新聞 2012年12月07日 地方版

 ◇特効薬なく「現場見て」
 足踏みを続ける日本経済。各党はデフレ退治や円高の解消、新しい産業の後押しを掲げるが、師走の風は現場の人たちに冷たく吹き付ける。

 田園地帯が広がる東広島市黒瀬町で6日午後、部品加工メーカー「クロキ工作所」社長の黒木泰子さん(55)は、医療機器メーカー向け部品の出荷作業に追われていた。

 働いているのは社長含め23人。マツダの自動車に使われるピンや、医療機器用ネジなどを生産する。沖縄・尖閣諸島問題で日系自動車メーカーの中国での販売が激減すると、あおりで9月の売り上げは前年同月比で2割も減った。08年のリーマン・ショック、昨年の東日本大震災。業績は大きく影響された。「各党が中小企業対策を言うが、現場を見ているのか。本当に必要な時に金融機関からお金を借りられたり、内需を拡大してほしい」

 部品のできを点検する製造部長の田仲稔さん(43)は「円高は製造業には痛手。何とかならないか」とぼやく。田仲さんの部下で旋盤のオペレーター、望月勇太さん(23)は、取引先から届いた注文書を手に部品製作に取りかかった。9月に結婚したばかり。「政策がころころ変わると安心して生活できない」

 黒瀬町から北に上がった西条盆地には新産業系の企業や大学、研究機関が集まる。バイオ企業「フェニックスバイオ」(同市鏡山3)副社長の島田卓さん(53)は、本社内で契約書に目を通していた。ヒトの肝細胞を持つ試験用マウスなどを手がけ順調に業績を伸ばす。得意先の多くは海外製薬企業。その資金力を目の当たりにしてきた。「科学振興を図るのなら、ばらまきでなく長期的な視野で配分を」と注文する。

 大手鉄鋼メーカーJFEスチールを頂点に多くの工場が集まる福山市。選挙カーが走り回る6日も、西浜義夫さん(63)が経営する鉄工所(同市瀬戸町)では、いつもと同じ旋盤の音が響いた。35年間、JFEなどに納める特殊な車輪や歯車などの部品を作り続ける。「法人税減税を唱える政党もあるが、『大企業が潤ったら中小も』なんて何十年も前の話。消費増税で下請けがコスト削減を強いられかねない」

 今年度末で廃止される福山市営競馬。冷え込んだ6日、古い木造厩舎は風でシャッターがガタガタと音を立てた。調教師の高本敏明さん(65)は差出人が無記名の手紙を開いた。「仕事を失う730人の関係者を心配しています」。高本さんは「何十年も尽くしてきた人や若い人もいる。何とか次の仕事を見つけてやりたい」と唇をかんだ。厩務員の山地正展さん(26)は「働き出した頃には不景気。国が助けてくれると思えないから、投票に行ったこともない」。

 同市神辺町の場外馬券売り場「シャトル神辺」は6日も客でにぎわっていた。馬券を買った男性(64)=同市引野町=は苦笑する。「昔は1万円賭けたこともあったが、今は1000円がやっと。もう景気のいい時代じゃないけえ」【植田憲尚、稲生陽】

 ◇経済再生、各党が独自案
 景気対策を巡っては、各党が中小企業対策、自然エネルギーなど新しい産業への後押しを通じた経済再生を訴える。民主党は中小企業、ものづくり産業の海外展開や資金繰り支援や中小企業支援税制強化・改善を掲げる。自民党は円高是正や製造業を後押しするため、先端設備投資を促す新法の制定を提案する。日本維新の会は規制改革や為替レートに左右されない産業構造を主張する。

 日本未来の党や共産党は自然エネルギーなど新しい産業の成長を促す公約を掲げる。比例中国に候補を立てている公明党は、防災・減災への公共事業でデフレの原因となる需要不足解消を主張。みんなの党は中小企業の競争力向上を支援する条例を制定。社民党は大企業中心から暮らしや地域を支える経済実現を訴える。

108チバQ:2012/12/10(月) 22:39:52
http://mainichi.jp/area/hiroshima/news/20121208ddlk34010459000c.html
争点を行く:ドキュメント衆院選・広島/3 投票まで8日 消費増税と社会保障 /広島
毎日新聞 2012年12月08日 地方版

 ◇将来世代思い不安と困惑
 尾道市沖に浮かぶ百島(ももしま)で唯一の診療所「百島診療所」では7日朝、順番を待つお年寄りが待合室で寄り添うように腰掛け、世間話に花を咲かせていた。

 島民約570人のうち65歳以上が65%(約380人)に上る。診療所は昨年4月、医師不足にあえぐ離島での診療を志して神奈川県から移住した医師の次田展之さん(39)が開設し、島民の健康と安心を支えている。午前の診察を終え、患者と雑談を交わす次田さんは「今の日本は増税で問題が解決するような単純な状況じゃない」と語った。

 逼迫(ひっぱく)する社会保障費を賄う目的で消費増税法が8月、国会で成立した。健康と将来世代の不安を抱えるお年寄りの反応はさまざまだ。

 診察を終えた藤本サチ子さん(74)は「年金が減る中での増税は苦しいけれど仕方ないのかしら」。00年に神戸市から夫と郷里に戻った。数年前に大病を患い、今も月3回、船で本土の病院に行く。ただ、岡山県内で設計関係の仕事に就く長男は増税前にマイホームを希望する人が殺到し、忙しそうという。

 「増税はすべきと思う」と語る宮地義雄さん(77)は10代で兄弟と大阪で運送会社を興し、50年以上も経営者として腕を振るった。脳梗塞(こうそく)を機に仕事を辞め、7年前に先祖の地である島に移った。「わしは年金に頼らなくてもいい蓄えがあるが、多くの人はそうではない。制度を基本に生計を考えるのだから、子ども手当みたいに『財源がない』といって、途中で仕組みをころころ変えないのが大前提や」

 島民は船で尾道市中心部や福山に買い物に出かける。フェリー乗り場がある港は、平日休日問わず島民が行き交う。釣り客に船を出している赤松美佐男さん(44)は「消費税が5%の時は客に負担させなかったが、10%になったら検討しないと」とこぼす。

 島民が向かう先の尾道本通り商店街。観光客でにぎわう休日以外は人通りは少ない。最古参の喫茶店「メキシコ」店長、河尻輝子さん(69)は「昔に比べて喫茶店もずいぶん減った。常連さんに支えられて細々やっているけれど…」と不安を語る。「マサヤ靴下専門店」社長の木曽一徳さん(63)は「年金で暮らすお客さんが多い。増税すれば消費は間違いなく冷える」と話す一方、「将来を考えれば仕方がない。富裕層から税金を多く取る方法も考えて」と複雑な表情だった。

 7日正午前、商店街にはクリスマスツリーがあちこちに並び、「ジングルベル」のメロディーが流れていた。安芸高田市から来た主婦、江原かおりさん(44)は「消費税が3%から5%に上がった時はだんだん慣れていった。国の破綻は大変だが、税率を一気に上げられれば厳しい」と語った。買い物をしていた女性(76)は年金を頼りに一人暮らし。小学3〜高校2年の孫が4人いる。「孫たちを思うと『今どうにかしてあげなければ』という気持ちになる。増税するなら目的をしっかり定めて」。近くの通りのあちこちに、衆院選立候補者のポスターが貼られていた。【豊田将志、中里顕】

 ◇増税賛否隔たり大きく
 消費増税は、今年8月に成立した税と社会保障の一体改革関連法の柱。14年4月に8%、15年10月に10%に段階的に引き上げるとするが、付則で「経済状況の好転」を条件にした。増え続ける社会保障費を増収分で補い、将来世代の負担を軽減しながら社会保障制度の充実を図るのが目的とされる。引き上げが実施されれば、現行税率の97年に5%(それまでは3%)になって以来となる。法成立の過程では、民主党の分裂を引き起こした。

 民主、自民は、社会保障費財源以外には使わないと強調する。民自との3党合意で法案に賛成した公明は8%段階からの軽減税率導入を主張。未来、みんなは「凍結」、共産は「中止」、社民は「廃止」を訴える。維新は消費税の地方税化を掲げる。

109チバQ:2012/12/10(月) 22:40:44
http://mainichi.jp/area/hiroshima/news/20121209ddlk34010256000c.html
争点を行く:ドキュメント衆院選・広島/4止 投票まで7日 平和・安全保障 /広島
毎日新聞 2012年12月09日 地方版

 ◇緊張緩和に「外交正して」
 呉市街地を見下ろす休山中腹にある「呉海軍墓地」には、日清・日露戦争の時代から太平洋戦争に至るまで命を落とした旧海軍兵約13万人を慰霊する碑が建ち並ぶ。真珠湾攻撃から71年を迎えた8日朝、海上自衛隊に約35年勤め、週末はボランティアで公園管理をしている西山保さん(76)=熊野町=は、火ばさみでゴミを拾いながら言った。「軍も自衛隊も命令であれば、おかしなことでもやらざるを得ない。今は文民統制と言うが、まともな人でなければ困るわね」

 戦艦「大和」を生んだ海軍の街には戦後、海自の基地が置かれ、国際情勢に敏感に揺れる。

 「結局、パフォーマンスにしか見えない。息子とも『日本の外交は下手くそだ』とよく話しています」。夫が海自勤務の主婦(45)は、政治家の口から勇ましい言葉が飛び出す度にあきれる。01年9月11日の米同時多発テロ。夫は緊急呼び出しで呉地方総監部に向かった。同じ官舎の玄関ドアがバタバタと開き、隊員たちが一斉に出動していった。驚いた近所の子は大泣きしていた。夫は紛争地域への派遣はないが、「長期の洋上勤務では『帰ってこれるか』と不安になる」

 海自隊員が時折顔を出す繁華街の飲食店。女将は「『9・11』以降、呉の経済は変わった気がする。隊員の業務が忙しくなり、外に飲みに出る隊員も減ったみたい」とこぼす。緊急事態の際には宴会がキャンセルになることもあるが、「それは覚悟の上。もう少し隊員が出られるようになれば、街にとって良いのだけれど」と話した。

 衆院選の公示前から、有力政治家の口から「国防軍」「核武装容認」などきな臭い言葉が飛び交った。選挙戦に入って刺激的な言葉はなりを潜めた感があるが、近隣諸国との緊張関係をどう解決するか、道筋は見えていない。

 00〜05年、夫の仕事の関係で中東シリアに住んでいた渡辺弥生さん(53)=安佐南区=は01年、アフガン戦争下の米軍への給油活動目的で海自艦船がインド洋に派遣されたのを知り、「日本人もテロの標的にされないか不安に思った」と振り返る。03年3月のイラク戦争開戦時にはエジプトに一時避難した。「どちらかの肩を持っていると思われるのも怖い。『戦争はしない』とはっきり言っていた方がよい」と語った。

 師走の平和記念公園(中区)は修学旅行シーズンが終わり、観光客も少なくなった。安佐北区の団体顧問、柳教朗(のりあき)さん(68)は毎朝、「過ちは繰返しませぬから」と刻まれた原爆慰霊碑に手を合わせる。「亡くなった友人が被爆者だった。10年ほど前から通勤時に公園を通るようになった。それ以来、続けている」。中国や韓国との領土を巡る問題には、隣国に暮らす1人として不快感を覚える。「だからこそ、ちゃんとした外交をしてほしい」と政治に注文する。

 やはり出勤途中だった男性会社員(55)=中区=は「武力で対抗するのは、それこそ過ちの繰り返しでは。『力』で対抗するなら、『技術力』や『経済力』で」と語った。【吉村周平、寺岡俊】=おわり

 ◇領土問題対応に違い
 外交面ではいずれの政党も「中韓露との関係改善」などアジア重視の姿勢を掲げるが、尖閣諸島など領土問題の取り扱いでは違いも。自民、維新は「実効支配の強化」を主張するが、「領土問題は存在しない」とする政府見解に対し、維新は国際司法裁判所の活用を提案する。

 安全保障では、社民は「多国間の安全保障体制構築」、共産は「日米安保廃棄」を掲げる。その他の党は「日米同盟の深化・再構築」を基軸に据える。未来は「安全保障基本法の制定と国連平和維持活動への参加を進める」とする。

 「集団的自衛権」については自民、維新は認める姿勢だが、民主は明確な方針を打ち出していない。みんなは「自衛権の範囲を明確化する」。公明、社民、共産は「認めない」という立場だ。

110チバQ:2012/12/11(火) 23:20:20
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/fukui/news/20121207-OYT8T01466.htm
[衆院選]争点・課題を追う<上>「脱」より「安全」立地の胸中


 7日夜、約30人が県庁前に集まり、声をそろえた。

 「原発反対、全部廃炉」

 首相官邸前で毎週金曜日、群衆が脱原発を訴えているのと同様に、関西電力大飯原子力発電所3、4号機が再稼働した7月以降、福井県でも定着した。福島第一原発事故をきっかけに、原発の安全性を危ぶむ人々が増えたからだ。

 政治に関心が低いといわれる若者の姿も目立つ。毎回参加している福井市のレゲエミュージシャン中村義広(29)は言う。「行動しないと政治は変わらない。脱原発をマニフェストに掲げたり、口にしたりするのは簡単。衆院選では、それを実行に移せるかどうか、見極めたい」



 原発の是非が衆院選の大きな争点となっている。ただ、長く原発と共存してきた福井では、違和感を覚える人もいる。高速増殖炉「もんじゅ」の近く、敦賀市白木地区に住む橋本昭三(84)もその一人だ。

 「漁業は不振、農業は減反政策で衰退した。『まともな道もない不便な所に嫁さんは来ない』と皆が不安だった。国策に協力することが過疎からの脱却になる、と。反対はなかった」

 もんじゅの誘致を決めた1970年当時、区長を務めていた橋本は述懐する。

 70年代以降、若狭湾沿岸には次々と原発が建設され、全国最多の14基にまで増えた。期待通り、雇用や税収が安定し、道路などのインフラが整備され、交付金で公共施設も整った。

 今、もんじゅはトラブル続きで止まったまま。大飯原発3、4号機以外の原発は、再稼働のめどは立っていない。大消費地への電力供給を原子力に頼るエネルギー政策と、交付金など「原発マネー」に依存した地域経済のあり方も問われるように。選挙戦では、政党の多くが脱原発を掲げる。

 橋本は「関西の発展を陰で支えてきたという誇りもある。『脱原発』という言葉が、私たちの生活に不安を与えていることを都会の人は考えてほしい」と複雑な心境を吐露する。「原発の争点化」には反対だが、政治家に言いたいこともある。「地元の人間にとっても安全が一番大事。国は責任を持って安全対策を進めてもらいたい」



 13か月に1回の定期検査と、それに伴う最大3000人の作業員の長期滞在。嶺南の経済は原発を軸に、長期にわたり安定的に循環した。3・11以降、その経済構造が揺らいでいる。

 定期検査が終わると、嶺南から作業員の姿が消えていった。敦賀市を本拠に、県外の原発立地自治体でも営業所を構える建設資材・機械工具販売会社会長の小森英宗(64)は「9月決算までは原発の耐震補強工事で需要があった。10月以降は厳しい」と頭を抱える。

 敦賀商工会議所が10月に原発停止が経営に影響を与えたかどうかを調べたところ、7割以上の事業所が「影響がある」と答えた。担当者は「来年以降の事業の見通しが立たない企業も多い」と危惧する。

 小森は、社員31人の生活に責任を負う立場だ。争点を原発と認めつつ「票取り合戦ではなく、日本の将来や経済を真剣に考えて」と願っている。



 原発、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加を巡り揺れる農業、北朝鮮による拉致問題――。衆院選の争点、福井が抱える課題の現場を訪ねた。(敬称略)

(2012年12月8日 読売新聞)

111チバQ:2012/12/11(火) 23:20:42
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/fukui/news/20121208-OYT8T01121.htm
[衆院選]争点・課題を追う<中>風化、置き去り家族ら懸念



帰国10年を前に記者会見する地村夫妻。2人は帰国を果たしたが、4人の特定失踪者に関する有力な情報は入ってきていない(10月4日、小浜市役所で)  2006年、当時の安倍内閣が新設した拉致担当相。その椅子に座ったのは6年あまりで13人。民主党政権に替わってからの3年間では8人を数える。

 「これだけ替わっていたら、進展するはずはない。政府は(拉致問題解決に向け)やりますといいながら何をしたのか。家族は誰を信じたらいいのか」

 11月23日、敦賀市の市福祉総合センターで開かれた「拉致・特定失踪者問題の早期解決を願う集会」。特定失踪者の宮内和也(若狭町、1997年失踪、当時32歳)の義兄で、県特定失踪者家族会の代表を務める澤香苗(56)が強い語気で訴えた。語りながら、歴代の担当相の顔写真を印刷したパネルを1枚ずつ紙芝居のようにめくり、政府の対応不足を印象づけた。

 宮内が姿を消したのは、三方町(現若狭町)の職員だった97年。その年の1月に日本海で起きたロシア船籍タンカー「ナホトカ号」の重油流出事故の影響を調査するため、4月24日夕、若狭町の世久見海岸に巡回に出ると言い残したまま行方不明に。2日後、巡回に使ったとみられるカヌーやジャンパーが海岸などで見つかったが、以降、消息に関する情報はない。

 2002年10月、拉致被害者の小浜市の地村保志(57)、富貴恵(57)夫妻が24年ぶりに帰国した。しかし、宮内を含め、県内に4人いる特定失踪者について有力な情報はこの10年間、入ってきていない。



 2005年の衆院選は郵政民営化、07年の参院選は年金問題。09年の衆院選は政権交代するかどうかが最大の焦点となった。拉致問題は常に政府が抱える課題でありながら、国政選挙のメーンテーマからは外れてきた。

 支援団体「救う会福井」の会長、池田欣一(89)は「拉致問題が風化しつつある。被害者がいる福井県ですら、そうだ。消費税や原発など様々な課題があるのはわかるが、拉致は人権問題で、国家的な課題。とても悲しい」と話す。

 東京の民間団体「特定失踪者問題調査会」代表の荒木和博(56)は「北朝鮮内部に協力者を作り(拉致被害者を)中国に逃がして救出するなど、今までとは違う形で臨まなければ前に進まない」と、政府対応に課題があることを指摘。「だからこそ拉致問題が争点にならないことに、慣れっこになってはいけない」と警鐘を鳴らす。

 89年に越前町で消息を絶った特定失踪者の山下貢(敦賀市、当時39歳)の母、きよ子(89)は言う。

 「拉致問題が取り残された感じになっていてさみしい。演説で一言触れるだけでもいい。それだけでも少し、胸のつかえがとれる」

 その言葉は、候補者たちに届くだろうか。(敬称略)

(2012年12月9日 読売新聞)

112チバQ:2012/12/11(火) 23:21:10
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/fukui/news/20121210-OYT8T01390.htm
[衆院選]争点・課題を追う<下>TPPに不安



丹精込めて育てたコメを見つめる渡辺さん。「TPPに参加すれば価格下落は避けられない」と悩みは尽きない(福井市高柳町で)  コシヒカリ発祥の地・福井。県内の全農家の92%にあたる1万7694戸(2010年現在)がコメ作りに携わる。

 彼らの多くが今、気にかけているのが環太平洋経済連携協定(TPP)だ。日本が参加して関税がゼロになり、海外産の安いコメが一気に入ってくれば、国産米は価格面では太刀打ちできない。

 福井市や坂井市の8ヘクタールでコシヒカリなどを育てる福井市の渡辺源治(もとはる)(45)は「いくら質のいいコメを作っても、3分の1の価格の外国産が入ってきたら勝負にならない」と表情を曇らせる。

 愛知県などでの研修で腕を磨いて22歳で帰郷し、農家を継いだが、「農業は自分の代で終わり」と思っている。米価は下落気味で、肥料代など必要経費は高止まり。赤字の不安をぬぐえない。そのうえTPP参加の可能性があると聞き、明るい将来が見えないという。

 ◇

 福井県の農協(JA)はTPPに真っ向から反対している。県内の農業生産額の6割を占めるコメが打撃を受けかねないからだ。収益率の高い葉物野菜などへの転作も、冬は雪に覆われる北陸では燃料費がかさむため難しい。TPP参加で、農業人口や農地が一気に減る可能性があるという。

 JA県中央会の農業対策部長、田黒吉之(50)は「一部の農家は付加価値のあるコメや野菜を作ったり、流通を工夫したりして生き残れるかもしれないが、県内の農家のほとんどは痛手を被る」と言う。「TPP参加で『国は農業のことはどうでもいいのか』との倦怠(けんたい)感が農家に広がってしまう。日本の食料を支えるとの誇りがなければ、農業を続ける意欲もわかない」と士気への影響も懸念する。

 県によると、2000年に3万1058戸だった農家数は10年には1万9233戸に減った。その8割が農業収入より給与所得が多く、農業離れのハードルは低い。

 農家が減ると農地が荒れ、里山が消え、集落も廃れる――。田黒は「農村風景は日本の文化。その風景が消えて、本当にいいのか」と疑問を投げかける。

 ◇

 代々継いできた土地で、素朴に作物を育て続ける人々がいる。

 坂井市の片岡史行(38)は会社勤務などを経て7年前に実家の専業農家を継いだ。当時7ヘクタールだった田は、今は3倍の23ヘクタールに。さらに規模を広げる予定だ。

 TPP参加を見据えて大規模化による効率的な農業を目指したわけではない。高齢化や後継者難でやめていく農家の農地を引き受けた結果という。

 TPPを巡る論争は「ぴんとこない」が、政治に求めることは一つだ。「育てた作物が適正な値段で売れて、農業だけでも生活できるようにしてほしい」(敬称略)

 この連載は、原典子、野中明子、酒本友紀子、井上敬雄、藤戸健志、布江田嘉一が担当しました。

(2012年12月11日 読売新聞)

113チバQ:2012/12/11(火) 23:47:42
麻生財務、高村外務ってとこ?
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20121211/plt1212110709002-n1.htm
「自民圧勝」不可避 麻生「財務相」内定情報2012.12.11
連載:永田町・霞が関インサイド
 12月5日夜7時過ぎ、友人の某紙政治記者から電話があった。共同通信社が衆院選情勢調査の結果を速報してきたが、驚愕の予測数字が出たと伝えてきたのだ。

 それからはそれこそ、約束の夕食中にもかかわらず、てんてこ舞いの何時間かを過ごした。

 同社の電話調査(約12万人を対象)によると、自民党が衆院の絶対安定多数(269議席)をはるかに上回る293議席を獲得する勢いという結果が出たのである。

 同夜のうちに各社の議席推計を聞き及んだが、翌日の朝日新聞(朝刊)も272議席という具体的な数字を報じた。そして、議席数は報じなかったが、読売、産経、日本経済新聞もほぼ同じような結果となった。

 にわかに信じられなかった。例によって某紙の有力記者と、自民、公明両党で過半数(241議席)に届く、届かないで賭けをしている。だが、届くとする筆者が自民党220(プラス・マイナス20)議席、件の有力記者は200議席を下回ると見通していた。

 そうしたなか、衝撃の情勢調査の結果が報道された。識者は、バンドワゴン(勝ち馬に乗る)現象やアナウンスメント効果で説明するが、個人的には得心がいかない。

 2005年の郵政選挙、09年の政権交代選挙の時は衆院解散時点で結果は分かっていた。が、今回は野田佳彦首相の乾坤一擲の16日解散後、第3極の分裂もあり、自民党の安倍晋三総裁と、民主党代表の野田首相との党首力の戦いとなるうえに、有権者は投票に当たって真剣に両党の政策比較を行うとみていた。

 もちろん、それでも「自民圧勝・民主大敗」は不可避であると。残る1週間の選挙戦で逆アナウンスメント効果が利いてくるとは思うが、自民、公明両党が絶対安定多数を制するのは間違いない。

 永田町と霞が関の住人たちの関心は、安倍政権の主要閣僚と自民党執行部人事に集中している。

 次期政権の実態は「安倍・麻生(太郎元首相)連立内閣」であると、筆者は早くから指摘してきた。麻生氏は副総理・財務相が確定的である。

 官房長官には、安倍氏最側近の菅義偉幹事長代行の名前が挙がるが、麻生氏が推す、細田博之元幹事長ではないか。菅氏は、自民党大勝で勢いを増す石破茂幹事長への歯止め役として留任するはずだ。

 興味深いのは、首相秘書官(政務担当)に今井尚哉資源エネルギー庁次長(1982年旧通産省入省)を抜擢する可能性が高い。であれば、強力な安倍官邸となる。(ジャーナリスト・歳川隆雄)

114チバQ:2012/12/12(水) 22:47:51
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121212-00000506-san-pol
沖縄3区「鳩山の呪縛」いまだ解けず…辺野古、語られないビジョン
産経新聞 12月12日(水)8時59分配信


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日米両政府が普天間飛行場の移設先に予定している米軍「キャンプ・シュワブ」に接する海岸。基地の境界フェンスには「基地はいらない」などの垂れ幕が並ぶ=4日、沖縄県名護市辺野古(水内茂幸撮影)(写真:産経新聞)

 土砂降りの雨の中、日本維新の会の橋下徹代表代行は、眼下に広がる海岸を見つめながら悩んでいた。

 米軍普天間飛行場の移設が予定されている沖縄県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沖。橋下氏は11日に衆院選応援のため沖縄入りし、宜野湾市の普天間飛行場を視察した後、辺野古を訪れた。

 海岸近くのリゾート施設の駐車場から移設予定地を視察した橋下氏は、同施設顧問の男性から移設問題について問われ「よく考えます」とだけ言って、15分間の滞在を切り上げた。

 名護市を含む沖縄3区には日本維新の会から大城俊男氏が出馬。「いったん辺野古を認め、県外移設を目指すべきだ」とする大城氏は視察に同行しなかった。

 その後、橋下氏は那覇市での街頭演説で「辺野古移設以外の代替案を持っていない。まずは県内移設し、沖縄の負担軽減を考えさせてほしい」と言葉を慎重に選びながら、日米両政府の現行案を容認した。

 「明日、沖縄に来る自民党の幹事長は『鳩山由紀夫元首相が破綻させた日米同盟を復活させる』と主張するでしょう。それは『普天間飛行場の辺野古移設をやる』ということですよ!」

 公示前日の3日、同県沖縄市で開かれた決起集会で、民主党を離れ、今は日本未来の党に属する玉城デニー氏が声を張り上げた。

 巨大な「絶対阻止!辺野古移設」の垂れ幕を背に、玉城氏は「沖縄の意思を示そう」と呼びかけた。玉城氏の応援には沖縄の“革新系”が結集。連合沖縄は、民主党候補の崎浜宏信氏でなく玉城氏を推薦した。

 「政治がぶれたらどうなるか民主党政権の3年間で嫌というほど見せられた」と玉城氏。民主党からの離党は必然だった。

 移設問題をめぐって民主党は、平成21年の前回衆院選で鳩山元首相らが「最低でも県外」の公約を掲げ勝利を手にしたものの、迷走の揚げ句、辺野古案に回帰。結局、決着を目前にしていた移設問題に「呪縛」をかけ、関係者の身動きを取れなくしただけだった。

 迷走した民主党は今回、「国外でも移設先は迷惑する」(崎浜氏)と、飛行場廃止を訴えている。基地縮小へ向けた日米両政府の合意を政権政党自らが軽視する構図は変わらない。

 ◆「失政象徴の地」

 「アメリカとの信頼関係がある自民党が、隙のない日本をつくる!」

 公示を迎えた4日朝、自民党の石破茂幹事長は3区の公認候補、比嘉奈津美氏の出陣式で、玉城氏の予想通りの言葉を口にした。

 石破氏は早くから選挙戦第一声の場所を「民主党の失政を象徴する地」沖縄と決めていた。石破氏は「鳩山氏は何の(代替案の)あてもなく、軍事的知識もなく『国外、最低でも県外』と口走った」と批判した。

 ところが、石破氏や比嘉氏も演説では正面から「辺野古移設」を唱えることはしなかった。

 会場には、鳩山政権の迷走の間に、条件付きの「県内移設容認」から「県外移設」に転じた仲井真(なかいま)弘多(ひろかず)知事も出席。比嘉氏は「私は知事と同じ立ち位置」と主張している。

 自民党は前回衆院選で保守系が分裂、漁夫の利を得た玉城氏の当選を許した。移設反対派は勢いづき、翌年の名護市長選での容認派現職の敗退につながった。

 今回、自民党は政治経験のない比嘉氏に白羽の矢を立ててまで、なんとか保守を一本化したが、住民を刺激する「辺野古移設」を正面切って唱えることはできずにいる。悩みながらも辺野古移設やむなし、と訴えた橋下氏の対応とも微妙に異なっている。

 ◆有権者 冷めた視線

 移設反対派は市民活動家など県外勢力の影響が強いといわれる。

 しかし、以前から辺野古に住む農業男性(72)は「住民の反対者は4割くらい。もう終わった話」と、移設を争点に掲げる選挙に冷めた視線を投げかける。すでに、辺野古地区には政府の「振興費」による真新しい公民館や国立高等専門学校が完成している。

 中国の海洋進出戦略を踏まえれば、西太平洋の「キーストーン」(要石=かなめいし)とされる沖縄の地政学的な重要性は今後も変わらない。その中で日米同盟の深化と基地の負担軽減をいかに両立させ、“基地経済”に頼ってきた沖縄の新たな将来像をいかに示すか。

 鳩山元首相のかけた「呪縛」が、選挙戦でのこうしたビジョンの提示すら阻んでいるようだった。(水内茂幸、山本雄史)

115チバQ:2012/12/12(水) 23:41:47
http://mainichi.jp/select/news/20121212mog00m010056000c.html
衆院選:高速無料化 「使えない」しまなみ海道 /愛媛
2012年12月12日


自宅近くから見えるしまなみ海道の多々羅大橋(後方)と金山加代子さん=今治市伯方町伊方で2012年12月6日撮影
拡大写真 ◇島の人口減などに直結
 愛媛県今治市・伯方島に住む金山加代子さん(68)=同市伯方町伊方=の自宅から、大三島と生口島(広島県)に架かる多々羅大橋が見える。遠くから友人が来るとみんな一様に島と海と橋の織りなす風景に感嘆するが、金山さんはいつも皮肉を返すという。「あれは観賞用。見るための橋であって、使うためじゃないの」

 6年前、現在98歳になる母親の介護のため、大阪市の広告宣伝会社を退職して帰郷。伯方島と四国本島をつなぐ「瀬戸内しまなみ海道」の使い勝手の悪さに驚いた。今治市中心部へ行くだけで片道2000円以上の通行料。安い服や化粧品を買いに行こうとしても、それ以上に「橋代」がかかる。母親が病気になっても中心部にある大きな病院に通院させられないし、最近はせきが止まらないという金山さん自身も行く気がしない。通院で通行料がかさめば、年金暮らしの2人の生活はたちまち窮してしまう。

 3年前、高速道路の原則無料化をマニフェストで掲げた民主党が政権を取り、大喜びした。しかし、しまなみ海道は無料化社会実験の対象に入ることもなかった。そのうえ当時の前原誠司・国土交通相は、さらに高くなる新上限料金制度を打ち出した。後に撤回されたが、金山さんは「私たちは結局、票のために踊らされただけだった」と思った。

 国交省は今年、しまなみ海道を含む本四道路の通行料を14年度から一般高速道路並みとする方針を示した。金山さんは喜ぶ一方、不安も芽生えた。「なぜ、今すぐじゃないのか。政権によって方針が変わるんじゃないのか」。3年前の前回衆院選にはあった期待感が、今回はゼロという。

 島しょ部住民でつくる「今治市島嶼(とうしょ)部橋無料化を実現する会」の代表、松岡映二さん(66)はしまなみ海道を「日々生活道」と表現する。住民が通勤、通学、買い物などに毎日利用するもので、他に代えがないからだ。その使いにくさは島しょ部の急激な高齢化、人口減少と直結している。

 無料化の署名集めを始めて5年。松岡さんは「しまなみ海道がなぜ造られたかが問われるべきだ」と訴える。当面目指すのは一般高速道路並み料金への引き下げにとどまらず、島民対象の大幅割引だ。「前例や既得権益にとらわれた規制を取り払う政治家が出てほしい。大幅割引はシステムを考え直すことで実現できる」と考えている。【津島史人】

116チバQ:2012/12/12(水) 23:58:04
http://www.asahi.com/area/hokkaido/articles/MTW1212110100005.html
2012年12月11日10時41分
《2012総選挙》生活の現場(上)



■在宅介護 地方の当惑

■利用者点在、移動に時間


 【諸星晃一】この冬も、寒さが落ち着くまで介護老人保健施設に入ろうか。それとも、家にとどまろうか。


 初冬を迎え、夕張市の女性(83)は迷っていた。左半身にまひがある。冬の冷え込みで、自宅にいても左のほおが強く痛むのだ。


 介護保険の要介護度は5段階の「3」。家の中を動くにも、車いすは欠かせない。同居の息子夫婦は共働きで、日中は一人で過ごしている。


 昨冬も一昨年の冬も、施設に入った。今年、家も選択肢になったのは「定期巡回・随時対応サービス」を利用しているから。ホームヘルパーと看護師が定時に訪れ、必要なら24時間駆けつけてくれる。


 11月末、サービスを提供する「希望の杜(もり)訪問看護ステーション」(同市)の介護福祉士、三上薫さん(38)が介助をしながら気持ちを確かめていた。「半分はショートステイ(短期入所)して、残りはおうちで過ごすこともできるよ」。女性は顔をしかめてつぶやいた。「行きたくないよ」


■運営側が自腹


 このサービスは国の「施設から在宅へ」の大号令のもと、4月の介護報酬改定で新設された。住み慣れた地域や自宅で医療、介護をまとめて提供する――。税と社会保障の一体改革が目指す「地域包括ケア」の柱として、政府の期待は大きい。


 夕張市の人口に占める65歳以上の割合は45・1%(10月1日現在)で道内一。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2060年には日本の2・5人に1人が65歳以上になり、全国各地で夕張並みに高齢化が進む。


 同ステーションは4月にサービスを始め、利用者の評判も上々だ。ただ、課題も少なくない。夕張市は南北35キロ。川沿いの細長い平地に市街地が点在する。巡回こそ新サービスの肝だが、現在8人の利用者宅は分散し、訪問頻度も1日1〜3回とまちまちだ。


 常勤の介護スタッフは2人。自ら運転するが、1人勤務の日曜日は移動距離が150キロを超える。都市部のように効率良くはまわれない。


 移動の実費は利用者に請求もできるが、ステーションの運営会社の須藤義(ただし)社長(46)は「負担増で、利用に二の足を踏む人も出かねない」と請求していない。


 在宅で要介護度3の人は、保険の月の限度額は約27万円。枠内なら1割の自己負担で済むが、超えた分は全額、自己負担だ。政府は要介護度がより重い人の利用を想定するが、そうした人ほど、電動ベッドや車いすなどの福祉用具が要る。介護保険で借りられるが、割高の新サービスの利用額も含めると、保険の限度額内に収まらない。


 「在宅介護の質を上げる大事な第一歩だが、制度の改善点は多い」。須藤さんはそう感じている。


■15分短縮の影


 4月の介護報酬改定では、買い物や洗濯など、身の回りの世話をする訪問介護の「生活援助」にも変化があった。時間区分が「60分以上」から「45分以上」に短くなった。


 小樽市の6月の調査結果からは、現場の戸惑いがみてとれる。市内の事業所24カ所の75%が影響が「ある」「多少ある」と回答。ヘルパーからは「調理の品数が減り、掃除も行き届かない」。利用者からは「忙しそうで、心配事などを話せず何か寂しい」との声も寄せられた。


 「60分以上」の介護報酬は1回2910円。「45分以上」になり、560円下がった。同市の「ヘルパーステーションせせらぎ」はこの影響だけで、昨年より1〜2割減収した。4月から、常勤職員の月給を2万円下げた。


 国は掃除や洗濯などの組み合わせ次第では、1回30〜40分で済むと指摘。時間を短縮した分で、より多くの利用者に効率良くサービスが提供できると説明している。


 貞広展子(のりこ)所長(42)は「利用者がご近所同士ならいいが、そんな都合の良いことは地方ではまれ。このままでは在宅介護を支えられない」と反論する。市介護保険課の担当者も「介護保険の財政が厳しく、施設は簡単に増やせない。在宅へシフトすることで、介護給費を抑えたい国の意図が見えてくる」と指摘した。


   ◇


 総選挙は16日に投票日を迎える。原発、消費増税、環太平洋経済連携協定(TPP)に関心が集まるなか、選挙戦で取り残されがちな生活の中の切実な課題を報告する。

117チバQ:2012/12/12(水) 23:58:35
http://www.asahi.com/area/hokkaido/articles/MTW1212120100004.html
2012年12月12日09時35分
《2012総選挙》生活の現場(下)



■子育て支援 先細り

■低賃金あえぐ母子家庭


 【上山浩也、林美子】午後7時10分開始の授業にあわせ、女性たちが札幌市西区のビルに集まってきた。NPO法人が運営する「こども学舎」。通信制短大で、保育士などの資格を取ることができる。学生は昼と夜の部で計約200人。そのうち約160人がシングルマザーだ。


 市内在住の女性(36)は12年ほど前に離婚し、中学生の娘がいる。昨年まで介護サービス会社の正社員だった。年収は180万円ほど。勤続年数が伸び、賃金カットのため退職させられたという。


 今は二つのパートをかけ持ちし、1日7時間働いて手取りは月11万〜12万円。保育士と幼稚園教諭の資格を取り、正規雇用の職に就きたいと願う。ただ、それでも求人は月収15万〜20万円ほど。子ども2人の母子家庭で生活保護を受けている札幌市のモデルケースでは、保護費は冬季で月28万円弱(児童手当などの分は差し引かれる)だ。


 民主党がうたった月額2万6千円の子ども手当は実現せず、中学生の子ども手当(現児童手当)は昨年10月、1万3千円から1万円になった。「この減額は大きい」とため息をつく。ひとり親世帯に支給される児童扶養手当も3万円台で、前年度の収入で決まるため上限額に届かない。


 だから、家計に直接影響が出る消費増税には反対だ。「増税分を社会保障に回すと言われても、実際にどう配分されるか分からない。選挙の時だけ期待させて何も変わらない」と不信感が強い。


 厚生労働省が今年9月に発表した調査では、2010年の母子家庭の平均年収は291万円。母子家庭を支援するNPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ・全国連絡会」は、この額は同居親族も含めた収入で、実際は平均223万円だと指摘する。


 民主党は総選挙の公約で児童手当の額には触れず、他党も日本未来の党が「中学まで年間31万2千円の手当」を掲げる程度。子育て支援や格差問題の議論は全般に低調だ。


 支援策は現金の手当などに限らない。こども学舎に通う人の学費は、月額最大10万円の高等技能訓練促進費で賄われている。こども学舎の南邦彦教務課長(37)は「誰でも失業の可能性はあり、学び直せる制度は評価できる。ただ、資格を取っても子どもの教育費などがかかり、この給料では勤められないとの声もある。保育に回す財源をきちんと増やすべきだ」と話す。


■「学童」も揺らぐ


 支援が行き届いていない子育ての現場はほかにもある。


 札幌市東区の、民家を利用した学童保育所「ふうせんクラブ」。玄関に飛び込んだ子どもたちが「たっちゃーん!」と叫ぶ。「ねぇねぇ」と、話を聞いてとねだる。


 「たっちゃん」こと佐藤竜也さん(36)は45人が通うクラブ唯一の正職員で、他の4人は1日4時間のパートだ。


 学童は共働きや片親の小学生が対象で、仕事と子育ての両立を担う。自治体直営の地域もあるが、札幌市は父母会などが運営。厚労省の所管で、児童数や開設日数などに応じて補助金が出る。


 だが、市内の学童でつくる市学童保育連絡協議会(市連協)によると、正指導員の平均年収は244万円。15年以上勤めても280万円だ。厚労省の調査では、保育士の11年度の平均年収は324万円(平均勤続年数8・4年)で、これを下回る。


 指導員になって14年目の佐藤さんの悩みは、パートがしばしば入れ替わること。他の学童も似た状況で、収入が低く将来の見通しが立たないため、同じころ指導員になった人はほとんど辞めてしまった。「指導員の交代が早いと、子どもたちが言うことをきかないなど落ち着きがなくなる」と心配する。


 補助金が不十分なのは、指導員の仕事が1日6時間で計算されているためだ。実際は子どもが来る放課後以外の時間も仕事は多く、土曜日や長期の休みには丸1日子どもを預かる。市連協によると、正指導員の8割は年間2千時間以上働いている。厚労省の調査では、昨年度の全産業の年間平均労働時間は1756時間だ。


 政府は8月、子ども・子育て関連3法を成立させ、消費税の増税分を財源に学童を質量ともに引き上げるとしたが、基準づくりはこれから。菊地千佳子会長は「学童は家庭がわりの大切な場所。子育てが大事とうたうならもっと強力な支援が必要だ」と話す。

118チバQ:2012/12/13(木) 00:11:35
http://www.chugoku-np.co.jp/senkyo/syuin/12/News/hiroshima/Sh201212120003.html
'12/12/12
待機児童の解消いつ 不況下、公約に違和感
 広島市で認可保育所に入れない待機児童が増えている。長引く不況で共働き夫婦が増えたためだ。この衆院選をはじめ、過去の国政選挙で、各党は競うように子育て支援を公約に掲げてきた。しかし現実は違う。働きたくても子どもを預けられない母親たちは、公約とのギャップにやりきれない思いを抱える。

 10月、長女(1)の保育所の入所申し込みに区役所を訪ねた時のことだ。西区の女性(30)は窓口で仕事を見つけるよう勧められた。求職中だと入所が後回しになると。「そんな簡単に言わないで」―。言葉をのみ込んだ。

 出産直前までは正社員として広島県西部の会社に勤めていた。育児休業後に降格した先輩や、育児と残業の両立に悩む同僚を目の当たりにし、退職した。

 会社員の夫(32)の収入だけでなんとか暮らせるが、娘のため貯金したい。11月初め、福祉施設に採用が決まった。それでも希望した保育所に空きはない。

 ようやく見つかった預け先は一度断られた無認可保育所。1人欠員が出る12月だけの条件で、費用は入所料込みで6万円。迷わず飛びついた。「来年からの不安は忘れて前に進むしか…」。そう自らに言い聞かせる。

 広島市の待機児童数は4月現在、335人。中国地方の7割を占める。昨年同期から125人も増え、増加数は全国の自治体で大阪市、福岡市に次いで多い。満員で申請を諦めた人を含んでおらず、潜在的な数はさらに多いとみられる。

 都市部に集中する待機児童。自民党政権時の2001年、「待機児童ゼロ作戦」が閣議決定された。保育所増設などを進めたが、全国で2万人を超える水準で推移。民主党に政権が移ってからは、リーマン・ショックの影響で2万5千人前後で高止まりする。

 今回の衆院選も二大政党は待機児童解消を公約に据える。ただ「保育所を増やせば預けたいと思う親も増える」(厚生労働省保育課)という「いたちごっこ」の状況が続く。

 飲食店にパートで勤める女性(23)=広島市西区=も、長男(4)と長女(3)の保育所探しに苦労した。

 働き始めた2年前、入所まで半年待った。保育所の託児サービスなどでしのいだが、掛かったお金はパート収入を上回った。結局、通所はかなった。でも兄妹別々の保育所。朝晩の送迎に2カ所を自転車で回る日々だ。

 自動車関連会社に勤める夫(34)の月収は右肩下がり。多い時から10万円近く少ない月もある。「こんな時代だから私も働かないと」

 今回の争点の一つ、消費税増税を前提にした税と社会保障の一体改革。その一環で待機児童対策などを柱にした子ども・子育て関連3法が成立した。

 「子ども手当も満額は出なかった。子育てしやすい社会に本気で取り組んでくれるんでしょうか」。初めて選挙権を得た前回は、子ども手当に期待して民主党に入れた。今回はまだ、投票先を決めきれないでいる。(田中美千子)

【写真説明】仕事帰り、子ども2人を迎えに2カ所の保育所を回るパート女性

119チバQ:2012/12/14(金) 22:29:25
http://mainichi.jp/select/news/20121214mog00m010026000c.html
衆院選:道路偏重、航路「置き去り」 瀬戸内フェリー、廃止相次ぎ
2012年12月14日

 16日投票の衆院選で、相次ぐフェリー航路の減少に対する政策が候補者から聞こえてこない。瀬戸内海では、本州と四国を結ぶ航路がこの25年間に15本廃止され、現在7本。国策で引き下げられる高速道路料金に太刀打ちできず、フェリー会社の経営が悪化したことが背景にある。「道路ばかり優遇され、我々は政治から置き去りにされている」。元乗組員は悲痛な声を上げる。【小林慎】

 「昔は昼も夜も30分おきに船が出て、乗組員は24時間走り回っていた」。今年10月に運航を休止した「国道フェリー」(高松市)の元機関士、村上増規(ますのり)さん(43)=岡山市=は振り返る。同社が運航していたのは高松港と岡山県・宇野港を結ぶ「宇高航路」。100年以上の歴史を持ち、本四間の大動脈だったが、今残るフェリー会社は1社だけだ。

 運航休止を余儀なくされた大きな要因が高速料金だ。当初は船より高かったため「共存」できたが、年々値下げが進み、09年3月には自公政権が休日1000円をスタート。民主政権でも11年6月まで継続された。「国は何てことをするんだって気持ちでした」。10年夏以降、給料を2割カットされたが、料金を乗用車で片道2480円に引き下げるのが限界だった。

 村上さんは10月末に退職した。次はフェリーとは無関係の仕事に就くつもりだ。「国は高速道路にだけ税金を使って不公平だ。車を使えない人もいるのに、公共交通をどうするのか。政治家は選挙戦で語ってほしい」と訴える。

 フェリーには、大量の物品を安価に輸送できるメリットもある。四国運輸局の調査では、四国の荷主企業92社のうち55社が航路廃止で影響が出ると回答した。同局は本四間のフェリーがなくなれば、物流コストが全体で年間約370億円膨らむと推計している。建設機械大手「タダノ」(高松市)は昨年度、建設用クレーンなど約2400台をフェリーで本州や九州へ出荷した。クレーン車は時速50キロ以上出せないため、法定最低速度が同50キロの高速道路は走れない。担当者は「航路がなくなると非常に困る。政治家は何とか存続を考えてほしい」と話す。

 大阪大大学院の土井健司教授(交通計画)は「国の交通政策は高速道路偏重で、ユーザー目線が欠けている。政治家は地域性を考慮し、船や鉄道など全ての交通手段が連携・補完できる交通体系を構築するよう知恵を絞るべきだ」と指摘する。

120チバQ:2012/12/14(金) 23:44:23
http://mainichi.jp/select/news/20121215k0000m010082000c.html
自民党:水面下で政権移行準備 衆院選勝利を見込み
毎日新聞 2012年12月14日 20時46分(最終更新 12月14日 20時57分)


 自民党が衆院選(16日投開票)の勝利を見込み、水面下で政権移行の準備に入った。毎日新聞などの情勢調査では単独過半数に届く勢いだが、公明党と連立を組んで政権運営を安定させ、民主党や日本維新の会などから政策ごとに協力を得る部分(パーシャル)連合も視野に入れる。年明けには安倍晋三総裁が訪米して日米同盟重視の外交方針をアピールするとともに、大型の12年度補正予算案を編成して経済優先の姿勢を示したい考えだ。

 「自民党は3年前(の自公政権)とは次元の違う経済政策でデフレから脱却し、円高を是正する」

 安倍氏は14日、名古屋市の街頭演説で、経済対策に最優先で取り組む方針を強調した。自民党幹部は「来年夏の参院選までは経済対策に特化し、憲法改正など『安倍カラー』は抑える」と語る。

 衆院選で自公が過半数に届かなければ、第三極政党などとの連携を模索する必要が出てくるが、自公で300議席を上回る情勢となっており、両党は速やかに自公連立政権を発足させる方針だ。安倍氏は公明党の山口那津男代表と17日に会談し、連立協議を行う予定。衆院選後の特別国会は26日に開会し、同日中にも組閣する日程で調整している。

 ただ、参院は両党だけでは過半数に届かないため、国会運営を安定させるには他党との協力が必要になる。安倍氏は「政策ごとに理念と政策が一致したところと一緒にやっていきたい」と話している。山口氏も14日、埼玉県戸田市で記者団に「自公が合意形成の中心軸として積極的役割を果たそうと思う。一貫して自公でという姿勢を取っており、選挙が終わっても変わらない」と強調した。

 消費増税を柱とする税と社会保障の一体改革では民主党と3党合意を結んでおり、年金・医療制度などの改革へ向け民主党と協力することを想定。金融政策などでは日本維新の会やみんなの党など第三極との連携も視野に入れているようだ。

 安倍氏は新内閣の初閣議で、補正予算案の編成と、13年度予算概算要求の仕切り直しを指示するとみられる。通常国会の召集は来年1月末になりそうで、補正予算案は2月に成立。13年度予算案の成立は5月の大型連休前後にずれ込む見通しで、40〜50日程度の暫定予算編成が必要になる。参院選をにらみ、補正や13年度予算案には防災と経済対策を兼ねた公共事業費を盛り込んで景気浮揚を図る。

 外交・安全保障政策で安倍氏は、尖閣諸島を巡る中国との対立や北朝鮮のミサイル発射などについて、民主党政権下で日米同盟が揺らいだ「外交敗北の結果」と主張。06年の首相就任時には最初の海外出張先に中国を選んだが、今回は日米関係の再構築を優先させる方向。ただ、米国は減税の期限切れなどの「財政の崖」問題を抱え、外務省幹部は「オバマ大統領と日程が合うかは分からない」としている。【犬飼直幸、鈴木美穂】

121チバQ:2012/12/15(土) 11:36:51
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121212/plc12121207190004-n1.htm
衆院選後26日に特別国会召集、首相指名へ
2012.12.12 07:13 [衆院選]

衆院選後の主な政治日程
 政府は11日、衆院選後に開く特別国会を26日に召集する方向で調整に入った。同日に首相指名選挙が行われ第96代首相が誕生する。次期首相は直ちに組閣に着手、皇居での首相任命式、閣僚認証式を経て新内閣が発足する運びになりそうだ。会期は3日間にとどまる見通しで、平成25年度予算案の閣議決定は来年になるのが決定的となった。

 特別国会の召集日は現内閣が決める。ただ、自民党が政権復帰を念頭に、25年度予算編成に早期に着手するため年内の召集を要望、政府側も「早めに召集せざるをえない」(首相周辺)との判断に傾いた。

 年末召集のため、今回の特別国会は首相指名のほか新正副議長や常任委員長の選出など必要最低限にとどめ、次期首相の所信表明演説は見送る。来年1月召集の通常国会での施政方針演説が初の国会演説になる。会期や日程の詳細は16日の衆院選後に最終調整する。

 予算編成の越年は細川護煕(もりひろ)内閣の6年度以来19年ぶり。政権に復帰した場合、自民党は通常国会の冒頭に24年度補正予算案を審議、成立させたい方針だ。25年度予算案の国会提出は2月になり、2年連続の暫定予算の可能性もある。

 特別国会は憲法54条で衆院選から30日以内に召集することが定められている。自民党から民主党へ政権交代した21年の前回衆院選後は、鳩山由紀夫民主党代表(当時)が国連総会出席を希望したことから、麻生太郎内閣(同)が衆院選から17日後に召集した。

122チバQ:2012/12/17(月) 19:58:50
当たらないゲンダイだけど
http://gendai.net/articles/view/syakai/140044
浮かれ過ぎ 自民党周辺で飛び交う安倍新内閣組閣名簿
【政治・経済】
2012年12月11日 掲載
興味の焦点は人事だと!
 今度の衆院選、新聞の圧勝予測に笑いが止まらない安倍自民党。

 さっそく、派閥の長老たちは軍資金を持って新人候補の事務所を訪れ、「当選後は、ぜひうちの派閥に」とリクルート活動に精を出しているが、その一方では、「安倍内閣リスト」なるものも出回っている。もう政権を取った気なのだから、浮かれすぎだが、出どころはどこかというと安倍総裁自身なのである。

「応援で全国を飛び回っている安倍総裁ですが、候補者の事務所や県連本部に立ち寄った際、『○○候補は非常に優秀な方で、いつも助けてもらっている。引き続き、私のそばで腕を振るってもらいたい』と入閣をにおわせることを言っているようです。聞かされたスタッフは驚いて周囲に話すので、それがどんどん広まっている。アノ人には入閣の打診があったとか、生々しいウワサが全国に飛び交っています。もはや選挙をどう戦うかより、誰が入閣するかに関心が集まりつつあります」(自民党事務所スタッフ)

 圧勝予測に対し、陣営を引き締めるべき大将がこれじゃあどうにもならないが、出回っている話には、妙なリアリティーもある。

 党内に広がっている話を総合すると、麻生元首相は副総理・財務相、外相には高村副総裁を起用。女房役の官房長官には、前回の安倍政権で官房副長官を務めた側近の下村博文が有力視されている。目障りな石破茂幹事長は防衛相に追いやり、後ガマには参院選を見据えて策士の菅幹事長代行。元通産官僚の細田博之総務会長は経産相に起用。安倍に近い高市早苗と古屋圭司は、環境など軽量級大臣として確実に入閣させるというのが下馬評だ。

「12月16日の投票後、年内に新政権を発足させるため、安倍総裁は今からいろいろ考えているようですが、正直浮かれすぎです。『自衛隊の国防軍化』発言が出て、有権者の不安が広がっていることを知らないのでしょうか。今後、失言が飛び出せば自民・公明過半数割れの可能性もある。そうなれば組閣もメチャクチャですよ」(政治評論家・浅川博忠氏)

 一度、緩んだ陣営を引き締めるのは難しい。

123チバQ:2012/12/17(月) 20:01:44
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012121702000301.html
26日、安倍内閣発足
2012年12月17日 夕刊

衆院選から一夜明け、党本部に入る自民・安倍総裁=17日午前、東京・永田町で(北村彰撮影)


 自民党は十七日午前の役員会で、首相指名選挙のための特別国会を二十六日に召集し、同日中に組閣を終え、安倍新内閣を発足させる方針を決めた。十七日から公明党との連立政権発足に向けた政策協議に入り、十八日に自民党の安倍晋三総裁と公明党の山口那津男代表が会談し、週内に合意する運びだ。安倍氏は党役員・閣僚人事にも着手し、石破茂幹事長を続投させる方針を決めた。

 役員会では、新政権の運営方針について協議。安倍氏はこれに先立ち、党本部で記者団に、公明党との連立協議について「今日、明日、幹事長レベルで話し、明日、正式な党首会談を開きたい」と述べた。

 政策協議はまず両党の実務者レベルで行い、大規模な緊急経済対策の早期策定と二〇一二年度補正予算案の編成を中心に協議する。公明党は選挙中から十兆円規模の大型補正予算を編成すべきだと主張。安倍氏も「(衆院選の影響で)一三年度予算の編成が遅れるので、(景気対策のため)補正予算は大型にしないといけない」と述べていた。

 消費税増税を含む社会保障と税の一体改革をめぐる自民、民主、公明の三党合意を堅持していくことも自公両党で確認する見通しだ。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012121700415
石破幹事長留任へ=官房長官、菅氏軸に調整−自民
 自民党の安倍晋三総裁は17日未明、衆院選で同党が圧勝したことを受け、党役員・内閣人事に着手した。石破茂幹事長は留任させる意向で、官房長官は菅義偉幹事長代行の起用を軸に調整する方針だ。また、麻生太郎元首相を副総理兼財務相などで処遇する案が浮上している。
 安倍氏は、来年の参院選で過半数を確保するためには、石破氏との「二枚看板」で引き続き臨む必要があると判断した。石破氏は同日未明のフジテレビの番組で「参院まで勝って初めて政権奪還になる。しかけた仕事はやらねばならない」と述べ、来年夏の参院選に向け、続投に意欲を示していた。
 一方、自民、公明両党の連立により、公明党からは太田昭宏前代表の入閣が有力。国土交通相や復興相で起用されるとの見方が出ている。 (2012/12/17-03:55)

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012121700806
官房長官に菅氏有力=安倍内閣26日発足−あす自公党首会談

記者の質問に答える自民党の安倍晋三総裁=17日午前、東京・永田町の同党本部 自民党の安倍晋三総裁は17日、衆院選で公明党と合わせ325議席を獲得して政権奪還を決めたことを受け、安倍政権の人事の検討を加速、内閣の要となる官房長官には、側近の菅義偉幹事長代行の起用が有力となった。自民党は同日、幹部協議で、特別国会を26日に召集する日程を確認。安倍氏は同日の首相選出後、直ちに組閣を行い安倍内閣を発足させる意向だ。安倍氏は並行して、公明党との連立に向けた協議も本格化させる。
 安倍氏は、自民党圧勝に貢献した石破茂幹事長を続投させる方針。党内では、安倍氏の盟友である麻生太郎元首相を副総理兼財務相などで処遇する案が浮上している。高村正彦副総裁は留任が濃厚だ。公明党からは太田昭宏前代表の入閣が有力となっている。
 安倍氏は17日午前、党本部で記者団の質問に答え、衆院選の結果について「予想以上の議席を取ることができた。それだけ責任が重い」と強調。18日に公明党の山口那津男代表と党首会談を行い、連立に向けた政策協議に入る意向を表明した。
 両党は、大型の2012年度補正予算案を編成する方針。山口氏は会見で、補正や被災地復興、社会保障と税の一体改革に関する制度設計などが政策協議のテーマになるとの認識を示す一方、自民党が掲げる憲法改正については「重い課題なので、結論を急ぐ必要はない」と述べた。
 安倍氏は17日午前、党本部で石破氏ら幹部と会談し、今後の取り運びについて協議。衆院議院運営委員会に代わる各派協議会を19日に開いて特別国会について調整することなどを確認した。 
 自公両党は、衆院での法案再可決が可能となる3分の2を超える勢力を確保した。ただ、安倍氏は再可決による「ねじれ国会」乗り切りには慎重な考えを示しており、当面は法案ごとに一致できる党に協力を求める「部分連合」で対応する意向だ。(2012/12/17-13:01)

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124チバQ:2012/12/17(月) 20:58:35
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121217/stt12121707260002-n1.htm
内閣参与に浜田教授 安倍総裁方針
2012.12.17 07:24
 自民党の安倍晋三総裁は16日、政権復帰を果たした新政権で、国際金融論の専門家、米エール大の浜田宏一教授(76)を内閣官房参与(経済担当)に起用する方針を固めた。デフレ脱却に必要な経済政策や国際金融について助言を求める。

 安倍氏は、デフレ脱却のため日本銀行と政策協定を結び、インフレ目標を定めたうえでの大胆な金融緩和を進める方針を打ち出している。この主張に対して、日銀の白川方明総裁や野田佳彦首相が反発、是非をめぐって論争になった。

 その際、浜田氏は「(日銀の対応は)結局うまくいかなかった。安倍発言は全面的に正しい」との激励のファクスを安倍氏に送った経緯もある。10日には自民党本部で安倍氏と会談、経済政策について助言した。

                   ◇

 【プロフィル】浜田宏一氏

 はまだ・こういち 昭和11年生まれ、東大卒。東大経済学部教授などを経て、61年からエール大教授。平成13年から15年まで内閣府のシンクタンク「経済社会総合研究所」の所長を務めた。

125チバQ:2012/12/17(月) 21:11:05
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20121217/plt1212171826028-n1.htm
小泉進次郎氏は首相補佐官? 永田町、霞が関で取りざたされる安倍布陣2012.12.17

 第46回衆院選は、安倍晋三総裁率いる自民党が絶対安定多数(269議席)を大きく上回る294議席を獲得し、「政権奪還」を確定させる地滑り的勝利を収めた。連立を組む公明党(31議席)と合わせて325議席となり、参院で否決された法案の衆院での再可決が可能となった。野田佳彦首相の民主党は3年3カ月に及ぶ大失政に有権者の鉄槌が下され、57議席の大惨敗だ。永田町の関心は、安倍新政権の人事に移った。「デフレ脱却」や「景気回復」の司令塔として麻生太郎元首相を、石破茂幹事長は留任させる方向。選挙戦のスターだった小泉進次郎青年局長は、官房副長官か首相補佐官での起用が取り沙汰されている。 

 「予想以上の議席を取ることができた。それだけ責任が重い」

 17日午前、安倍氏は東京・永田町の党本部で、小選挙区237議席、比例区57議席という選挙結果について、こう語った。16日夜には、「前回は(お友達内閣などの)レッテルを貼られたが、今回はバランスを取りながら、総合力を発揮していきたい」と語っており、新政権の発足に向けて、事実上の閣僚・党役員人事に着手した。

 安倍氏は18日、公明党の山口那津男代表と党首会談を行い、連立に向けた政策協議に入る意向。

 一方、民主党は小選挙区で27議席、比例区で30議席の計57議席と惨敗。藤村修官房長官や城島光力財務相、田中真紀子文科相という大物多数が落選した。

 石原慎太郎代表、橋下徹代表代行(大阪市長)の「日本維新の会(維新)」は、小選挙区で14議席、比例区で40議席の計54議席。本拠地の大阪では強さを見せたが、東日本では全敗した。

 「卒原発」を掲げて嘉田由紀子代表(滋賀県知事)が立ち上げた「日本未来の党(未来)」は、小選挙区で2議席、比例区で7議席の計9議席。党内実力者の小沢一郎氏の地元・岩手県でも「1勝3敗」となり、いわゆる「小沢神話」は終焉が見えてきた。

 内政外交にわたる政治的混乱を引き起こし、多大な国家的損失を招いた民主党政権が幕を降ろしたことで、日本は「国家再生」や「デフレ脱却」「経済再生」に向けて大きく歩み出す。

126チバQ:2012/12/17(月) 21:11:32
 安倍氏を首相とする新政権は26日に召集される特別国会で誕生するが、永田町や霞が関ではすでに、安倍新政権の閣僚人事について、さまざまな情報が飛び交っている。これらをまとめたのが、「安倍新政権の閣僚・党役員名簿(予想)」だ。

 安倍氏は、麻生太郎元首相を「経済政策の司令塔」に起用する方針。具体的には、副総理兼務で、財務相や経産相、復活させる経済財政諮問会議を所管する経済財政担当相などを念頭に置いている。麻生氏は9月の自民党総裁選で「安倍氏当選」の原動力となり、衆院選最終日(15日)には、安倍氏と2人で東京・秋葉原で最後の街頭演説に臨んだ。

 自民党閣僚経験者は「安倍氏は、麻生氏の手腕に期待している。麻生氏はリーマン・ショック時の首相として、経済対策を立て続けに実施した。麻生氏自身も『俺なら予算編成はこうしたい』『日本経済を再生させる』と周囲に語るなど、意欲を持っている」という。

 麻生氏以外にも、大物や派閥領袖がズラリ。総務相に谷垣禎一前総裁、法相に伊吹文明元財務相、外相に高村正彦氏と岸田文雄元特命相、国交相に二階俊博元経産相らの名前が挙がっている。

 「安倍氏は再登板だけに、慎重に人事を進めるはず。谷垣氏を入閣させればタカ派色は薄まり、『安倍氏も大人になった』と評価は高まる。外相は高村氏がベストだが、高齢ゆえに岸田氏らの目もあるかも。国交相は『国土強靱化』計画を主導する重要ポストだ」(安倍氏周辺)

 内閣の要である官房長官は、菅義偉幹事長代行を軸に調整している。ただ、党内には、経験と安定感から細田博之元官房長官や、甘利明元経産相を推す声もある。

 石破幹事長は衆院選で、安倍氏の金融政策などに異議を唱えたため、重要閣僚にスライドさせる案もあったが、17日朝までに、幹事長を続投させる方向が強まった。

 「安倍氏は、石破氏を警戒している。このため、主権侵害を繰り返す中国などへの牽制として、安全保障のスペシャリストである石破氏を防衛相として入閣させ、封じ込める案も浮上した。ただ、来年夏の参院選を見据えて、衆院選で圧勝した石破氏は外しにくくなった。この場合、お目付け役の菅氏も幹事長代行に留まる可能性がある」(前出の閣僚経験者)

 女性では、環境相に高市早苗元特命相や、国家公安委員長に稲田朋美衆院議員の名前が。拉致担当相に、民間から、ジャーナリストの櫻井よしこ氏の名前も取り沙汰される。いずれも、安倍氏に近い面々だ。

 今回の衆院選で、安倍、石破両氏に匹敵する全国行脚を断行した人気者の小泉進次郎青年局長は、「官房副長官か首相補佐官に抜擢して、官邸の発信力強化を担当することになりそうだ」(安倍氏周辺)。

 安倍氏は前回、在任日数366日の短命政権で終わった。その原因の1つは、間違いなく人事の失敗といえる。

 政治評論家の浅川博忠氏は「安倍氏は当然、前回の失敗を学習しているはず。マスコミや野党に『また、お友達内閣だ』と批判されないよう、老壮青や派閥のバランスを考えて人事をするだろう。今回の衆院選は敵失で勝った。安倍氏も自民党も失敗は許されない」と語っている。

127チバQ:2012/12/17(月) 21:30:57
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/121217/fnc12121721080008-n1.htm
次期日銀総裁人事 、安倍政権に近い積極緩和派起用へ 「ねじれ国会」が壁に
2012.12.17 21:07 (1/2ページ)
 安倍晋三政権の誕生が決まり、来年4月に任期を終える日銀の白川方明総裁の後任選びが本格化する。2%の物価目標設定など、安倍氏が主張してきた「大胆な金融緩和」を支持する積極緩和派が起用される公算が大きい。だが、日銀総裁人事は衆参両院の同意が必要で、連立を組む公明党と合わせても参院で過半数に届かない「ねじれ国会」が妨げになる可能性もある。

 白川総裁は来年4月8日に、山口広秀、西村清彦両副総裁も3月19日に5年の任期を終える。安倍氏は、政府と日銀が政策協定(アコード)を結んで2%の物価目標を設定し、日銀法改正も視野に大胆な金融緩和を行うと主張。16日夜も、正副総裁人事について、「物価目標に賛成していただく方になっていただきたい」と明言した。

 次期総裁候補には、元日銀副総裁の岩田一政・日本経済研究センター理事長(66)や、元日銀副総裁で元財務事務次官の武藤敏郎・大和総研理事長(69)、小泉政権で経済財政担当相を務めた竹中平蔵・慶大教授(61)、伊藤隆敏・東大大学院教授(62)らが浮上している。

 市場関係者が「一番の積極緩和論者」(エコノミスト)とみるのが岩田氏だ。政府と日銀が共同で、円安効果も見込める50兆円規模の外債購入基金を設置すべきだと主張している。伊藤氏も、前回の安倍政権下で経済財政諮問会議の民間議員を務めており、物価目標に関する著書もある。

一方、厳格な物価目標導入の必要性を安倍氏に提言している米エール大の浜田宏一教授(76)を挙げる声もあるが、浜田氏は安倍政権で内閣官房参与(経済担当)への起用が固まった。

 ネックはねじれ国会だ。日銀の正副総裁は衆参両院の同意を経て内閣が任命するが、衆院での再可決ができない。平成20年の前回人事では、自公政権下の政府・与党が日銀副総裁の武藤氏の昇格案などを提示したものの参院で同意が得られず、約3週間、日銀総裁が空席になった。経済再生を担う大切な人事でありながら、「政争の具」にされる危険をはらんでいる。

128チバQ:2012/12/18(火) 03:11:11
http://mainichi.jp/select/news/20121218k0000m010107000c.html
自民党:「経済再生相」新設方針…「政策の司令塔」担当
毎日新聞 2012年12月18日 01時41分(最終更新 12月18日 01時51分)

 自民党の甘利明政調会長は17日のBSフジの番組で、新政権が経済財政諮問会議を「マクロ経済政策の司令塔」と位置づけ、担当大臣として「経済再生担当相」を新設する方針を明らかにした。また、政権公約に「経済の司令塔」として創設を盛り込んだ「日本経済再生本部」については、官民連携で成長戦略の土台を協議する場とし、再生担当相のもとで諮問会議と一体的に運営する体制作りを進めていることも明らかにした。

 甘利氏は「安倍晋三総裁から、諮問会議と再生本部を合体させ、両方を担当する大臣で経済再生をしたいと指示を受けた」と説明。再生担当相について「看板ポストになる」との認識を示した。【佐藤丈一】

129チバQ:2012/12/18(火) 03:12:02
http://mainichi.jp/select/news/20121218k0000m010106000c.html
政権交代:「政財」パイプ、再び太く…安倍総裁、広い人脈
毎日新聞 2012年12月18日 01時33分(最終更新 12月18日 02時52分)

 安倍晋三自民党総裁の財界での人脈は広く、06年9月から1年間の首相在任当時も、政策決定や人材登用などで協力関係を深めてきた。民主党政権とは脱原発などを巡って対立してきた経団連などの経済界も、自民党の大勝を歓迎。経団連は民主党政権発足後に中止した「政党の政策評価」を再開する方針を固めており、「政財」のパイプは政権交代後、再び強く結びつきそうだ。【宮島寛】

 自民党は経団連の要請を受け、18日朝、安倍総裁らが出席して政策懇談会を開く。26日からの特別国会で、安倍政権が発足するのは確実で、補正予算策定や来年度の予算編成、税制改正に向けて、経済界側の要望を聞き取ることなどが目的だ。

 06年の首相就任前、安倍総裁が「美しい国」構想を打ち出すと御手洗冨士夫会長(当時)は同趣旨の構想を発表。安倍総裁も経団連の海外使節団派遣に同行するなど「非常に親密な関係を築いてきた」(経団連)。

 一方、民主党政権が誕生した09年秋は、鳩山由紀夫首相(当時)には御手洗会長さえなかなか面会できない状況だった。米倉弘昌現会長は政府の国家戦略会議に招へいされていたが、原発政策などには関与できなかった。このため、経団連は政権交代前から自民党シフトに着手した。「政党の政策評価」の再開は、各企業の自民党への献金額拡大につながる可能性がある。自民党は経団連と「考え方がほぼ同じ」(経団連幹部)なだけに、同党の高評価が確実だからだ。

 安倍総裁を支える経済界の筆頭格は保守系のベテラン経営者約10人で運営する「さくら会」だ。前回の安倍政権時にブレーン的役割を果たした「四季の会」の実質的な後継組織で、JR東海の葛西敬之会長と富士フイルムホールディングスの古森重隆会長を発起人に、三菱東京UFJ銀行の畔柳信雄相談役や三菱商事の小島順彦会長などで構成。安倍氏が病気による首相退任で影響力を失った後も再登板を呼びかけ続け、安倍氏も総裁選翌日の9月27日には、激務を押してさくら会の祝勝会に駆けつけている。

 葛西氏や小島氏はアーミテージ元米国務副長官ら知日派米要人と親しく、安倍総裁が目指す日米関係修復に向け民間特使的な役割を果たす可能性がある。また前回の首相在任中、不祥事をきっかけにした受信料の支払い拒否騒動で揺れたNHKの経営委員長に古森氏を起用するなど、人事面でも頼ってきた。民主党政権が、実質国有化された東京電力の会長人事などで、経済界からの協力が得られず、苦労したのとは対照的だ。

 しかし、日銀への金融緩和圧力や対中強硬姿勢など、安倍氏の個別政策には懐疑的な経営者もいる。ある金属会社首脳は「自民党の国土強靱(きょうじん)化計画は箱モノ回帰」と、公共事業で景気刺激を図ろうとする姿勢を批判する。米倉会長も11月、安倍氏の金融緩和論を「無鉄砲」と批判し物議をかもした。経団連は直後に安倍氏にわびを入れ、関係を修復させたが「うっかり本音が出た」(他の財界団体関係者)と見る向きは多い。

130チバQ:2012/12/18(火) 03:14:10
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2012/12/17/kiji/K20121217004799420.html
公明・太田昭宏前代表の国交相有力 
 自民党の安倍晋三総裁は17日、公明党の太田昭宏前代表を入閣させる方向で検討に入った。国土交通相での起用が有力視されている。官邸で首相を支える官房副長官には加藤勝信総裁特別補佐(衆院)、世耕弘成政調会長代理(参院)を充てる考えだ。安倍氏は党本部での記者会見で今回の衆院選で指揮を執り圧勝につなげた石破茂幹事長を続投させる考えを正式に表明した。高村正彦副総裁も留任させる方向だ。

 公明党内で発言力を持つ太田氏は内閣の重しに適任である上、副総理として起用する意向の麻生太郎元首相との関係が良好で、入閣させる方向となった。公明党も18日の自公党首会談を受け太田氏を推す方針だ。

 加藤、世耕両氏は安倍氏に近く、9月の党総裁選で陣営の中心メンバーとして安倍氏の勝利に貢献したことが評価されたとみられる。

 安倍氏は会見で、石破氏の続投について「衆院選と参院選を取って初めて安定的に政策遂行できる体制が整う」と理由を説明した。石破氏の衆院選での功績を評価。9月の総裁選で安倍氏を地方票で上回った石破氏に配慮することで、党運営を円滑に進める狙いもある。
[ 2012年12月17日 23:07

131居酒屋へ逃ワズ集りなう ◆S3/.7DxKSg:2012/12/18(火) 19:49:17
やっぱり出た!!晋ちゃんまんじゅう
スポーツ報知 12月18日(火)7時2分配信
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/economy/confenctionery/
 政治をモチーフにしたまんじゅうで知られる菓子卸売業「大藤」(東京・荒川区)は17日、新商品「日はまた昇る 晋ちゃんまんじゅう」と
「日本をトリ戻す!」を20日から随時発売すると発表した。
 安倍首相時代の07年に発売した「晋ちゃんまんじゅう」は同社史上最高となる55万個を販売。総裁復帰後の今年10月に発売した
「帰ってきた晋ちゃんまんじゅう」も在庫切れとなっていた。議員会館の売店や靖国神社の境内などで販売される。

132チバQ:2012/12/18(火) 21:28:41
こゆ毒好き









只今、特別国会に向けて準備中です。 今夜はホテルで夕食。 メニューは例のカツカレーです。 安倍晋三 4時間前 (携帯より)

http://www.facebook.com/photo.php? fbid=278533195603464&set=a.132334373556681.21871.100003403570846&type=1#

133チバQ:2012/12/18(火) 22:45:25
ザクザク

http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20121218/plt1212181145004-n1.htm
“女性枠”で小池、小渕氏らの入閣が浮上 調整続く「危機突破内閣」安倍人事2012.12.18

衆院選で圧勝した自民党。菅氏(前列左)や、甘利氏(同右)らの入閣が有力視されている【拡大】

 自民党の安倍晋三総裁は18日、衆院選での勝利を受け、新内閣の26日発足に向けた準備を加速させた。連立相手となる公明党の山口那津男代表とは午後に国会内で会談。週内の連立合意文書の締結を目指し政策協議を進める。並行して自民党役員・閣僚人事の調整を続けた。

 「危機突破内閣になるだろう。この職責を担えるメンバーを厳選していきたい」

 安倍氏は17日午後の記者会見で、閣僚人事についてこう語った。

 これまでに、麻生太郎元首相を副総理兼財務相にする人事を内定。女房役の官房長官には、側近の菅義偉元総務相を起用する方針だ。麻生氏は周囲に「俺ならこう予算編成する」と語るなど、強い意欲を示している。

 内閣として景気回復を最優先させるため、「デフレ脱却」「円高対策」に取り組む経済再生担当相を創設し、自民党が公約で掲げた「日本経済再生本部」も担当させる。甘利明政調会長の起用が取り沙汰されている。

 連立を組む公明党には閣僚1人を割り当てる方針で、太田昭宏前代表の国交相での起用が有力視されている。「太田氏は、麻生氏との人間関係が良好だ」(公明党筋)という。

 女性閣僚を起用する予定で、小池百合子元防衛相や、小渕優子元少子化対策担当相の名前が浮上している。

 官房副長官には、安倍氏に近い加藤勝信総裁特別補佐(衆院)と、世耕弘成政調会長代理(参院)を軸に調整を進めている。

 経済担当の内閣官房参与には、安倍氏の大規模な金融緩和政策を理論的に支える、米エール大の浜田宏一名誉教授の登用が固まった。政務担当の首相秘書官には、かつての安倍内閣で事務の首相秘書官に就いた経産省資源エネルギー庁の今井尚哉次長を充てる意向だ。

 党役員人事では、石破茂幹事長を続投させ、高村正彦副総裁も留任させるという。

134チバQ:2012/12/18(火) 22:46:10
朝鮮日報
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/12/18/2012121800495.html
記事入力 : 2012/12/18 09:04
衆院選:靖国参拝賛成派、安倍内閣に大挙入閣か
韓国関連の妄言で知られる麻生元首相の名前も

 26日に発足する予定の安倍晋三内閣で、麻生太郎元首相が、外相か財務相を兼務する副首相となる可能性が高まった。これは毎日新聞が17日付で報じた。2008年から09年にかけて首相として在任していた麻生氏は、韓日議員連盟などで活動中の親韓派として知られているが、従軍慰安婦強制動員を否定し、戦犯が合祀(ごうし)されている靖国神社参拝を主張するなど、安倍氏と極右的な歴史観を共有している。曽祖父の麻生太吉氏は、日帝強占期に1万人以上の韓国人が強制徴用されたことで知られる麻生炭坑の創業者だ。


 麻生氏は「日本が朝鮮半島を支配していた時代、創始改名は朝鮮人が希望したため行われた」「日本がハングルの普及に貢献した」などの妄言でも知られる。麻生氏は今回の自民党総裁選挙でもいち早く安倍氏支持を表明した。麻生氏が副首相に就任した場合、強制徴用や慰安婦強制動員の問題で進展は難しくなるとみられる。


 安倍氏の側近で靖国神社参拝賛成派の高村正彦自民党副総裁も入閣が予想されている。「日本の領土を守るため行動する議員連盟」の会長を務める山谷えり子氏も、安倍氏の側近ということから入閣の可能性を排除できない。山谷氏は米国に設置された日本軍強制動員慰安婦碑の撤去運動を展開しており、米国メディアに従軍慰安婦の存在を否定する広告を掲載したグループの中心的なメンバーでもある。


 週刊文春は、韓国批判を展開する極右ジャーナリストの桜井よしこ氏が拉致担当相に就任する可能性があると報じた。元ニュースキャスターの桜井氏は政治家ではないが、日本による侵略戦争を正当化する人物として、安倍氏とも非常に親しい。


東京= 車学峰(チャ・ハクポン)特派員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

135チバQ:2012/12/18(火) 22:49:24
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20121218/plt1212181826010-n1.htm
自民ツートップの暗闘 安倍氏VS石破氏 金融政策でギクシャク 「角福」以来の因縁2012.12.18


自民党ツートップ。安倍総裁(右)と、石破幹事長の関係はかなり微妙だ【拡大】
 自民党の安倍晋三総裁は、衆院選圧勝を受け、閣僚・党役員人事に着手した。来年夏の参院選で勝利を目指す「司令塔」には、衆院選で指揮を執った石破茂幹事長を留任させる意向を表明した。ただ、金融政策などをめぐって露呈した2人の関係はギクシャクしたままだ。自民党ツートップの知られざる距離感。確執の遠因として、田中角栄、福田赳夫両元首相による「角福戦争の因縁」を指摘する向きもある。

 「衆院選と参院選を取って、初めて安定的に政策遂行できる態勢が整う。石破幹事長は衆院選で東奔西走し、大変大きな貢献をしていただいた。留任していただきたい」

 安倍氏は17日午後の記者会見で、こう語った。石破氏が衆院選を圧勝に導いた功績を評価するとともに、9月の総裁選で安倍氏を地方票で上回った石破氏に配慮することで、党運営を円滑に進める狙いがある。

 ただ、安倍氏側近の中には、石破氏を党の人事とカネを握る幹事長ポストに残して安倍氏が官邸入りすることに、「石破派でもつくられて、母屋を取られかねない」という懸念があった。お目付け役として送り込んでいた菅義偉幹事長代行の官房長官起用を検討していた事情もある。

 そこで、自民党優勢のまま衆院選が大詰めを迎えた先週末、安倍氏側近は「財務相か、外相として入閣しないか」と、石破氏にひそかに打診した。党からの「石破外し」を試みたのだ。

 外交・安全保障問題のエキスパートとして知られる石破氏だが、元銀行マンでもあり、経済・財政問題にも関心が深い。石破氏は揺れた。

 相談を受けた関係者は「閣内に入ったら、座敷牢に閉じ込められるようなもの。自由な言動はできなくなる。受けるべきではない」と進言。開票が進む16日夜、石破氏は最終的に要請を断った。

 安倍氏個人としては、石破氏の選挙戦での行動力や発信力を評価していたため、最終的に「石破氏の幹事長留任」で両者の利害が一致した。

 外交や安全保障政策では「保守政治家として意見が近い」とされる2人だが、金融政策などでは意見が食い違った。安倍氏が「デフレ・円高対策」として、大胆な金融緩和策を掲げたのに対し、石破氏は「極端な円安は決して日本経済に良いことではない」と発言した。

136チバQ:2012/12/18(火) 22:49:34
 今年9月の自民党総裁選以降、安倍、石破両氏は二人三脚で「政権奪還」を目指してきた。当初は連絡も密に取っていた。だが、安倍氏が先月初め、赤字国債発行に必要な特例公債法案について「北風路線」から「太陽路線」にかじを切った際、石破氏への伝達が遅れた。石破氏がテレビ番組で「北風路線」の継続を強調するチグハグさも見られた。

 2人の微妙な関係について、政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「同じ保守政治家でも、石破氏は角栄元首相の木曜クラブからつながる経世会系で、安倍氏は福田元首相の清和会系の流れをくむ。いわゆるハト派とタカ派など、政治手法や感覚などで違いがある。いわば、次々世代による『角福戦争』のようなものだ」と分析・解説する。

 「角福戦争」とは、1972年の自民党総裁選をきっかけに勃発した、角栄、福田両陣営による権力闘争のこと。角栄氏が脳梗塞で倒れる85年まで続き、日本政治史に残る激しさで知られる。

 石破氏は慶応大学卒業後、都市銀行に勤めていたが、24歳のときに参院議員だった父、二朗氏が他界。二朗氏の友人だった角栄氏に「キミがお父さんの遺志を継ぐんだ」と説得され、角栄氏のそばで政治のイロハを学んだ。石破氏の選挙戦術は角栄氏仕込みといえる。

 一方の安倍氏は、祖父が「日米安保改定」を成し遂げた岸信介元首相で、父は安倍晋太郎元外相。晋太郎氏は、清和会を立ち上げた福田氏から同派を受け継いだプリンスで、安倍氏には清和会直系という強烈な自負がある。

 露骨な「権力闘争」を感じさせない安倍氏と石破氏だが、側近や本人たちの潜在意識には、40年前の熾烈な政争の記憶が潜んでいるのか。だとすれば、この対立のミゾは極めて深い。

 幹事長留任が決まった後、石破氏はTBS系番組で、安倍氏との関係について、「適度な距離感は必要だ。『それは違う』という人がいることは大事だ」と語り、安倍氏への直言もいとわない姿勢を示した。

 今後、2人の確執はどうなりそうか。

 前出の鈴木氏は「安倍氏周辺は『ポスト安倍』に石破氏を推す気はないはず。女性首相あたりをワンポイントにして、その後は(清和会の流れをくむ)小泉進次郎青年局長を考えているのでは。一方、石破氏としては、(安倍氏の3歳年下でもあり)幹事長としての役割を淡々とこなしていくはずだ。そうしたなかで、地方などから『石破待望論』がわき上がるのを待つのではないか」と語っている。


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