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貧困スレ

766チバQ:2017/07/13(木) 19:56:31
「孫の面倒は一生みる」と言ってくれた義父も…


渡邊真由美さん(仮名、40歳)は「働きたくても仕事はない」と言う(写真:編集部)
別に家庭を作った元旦那は消えてしまった。同じ市内に住む資産家の義父も、離婚のとき「孫の面倒は一生みる」と言ってくれたが、上の子の深刻な状況を目の当たりにして近づかなくなった。渡邊さんは窮地に陥った現状に絶望し、これから生きることを半分あきらめてしまっている。

「惨めです。本当に惨め。元旦那とか義父とか見返してやりたいみたいな気持ちがあったから、引っ越しはしなかった。でも、もうダメ。すべてを忘れて、この街から出ようかなって」

朝、下の子を小学校に送り出し、昼近くになると引きこもる上の子がイライラして床をたたく。ドン、ドン、ドドドンという音が天井から聞こえてくると、渡邊さんはうんざりして外に出る。高級車でスーパーへ行き、買い物をして、娘が起き出す14時頃に自宅に戻る。

帰路はいつも足が重い。農地を越えてヨーロピアンな街並みが見えてくると、いつも気分が沈む。玄関を開けて、穴だらけの家に一歩入る。そして、深いため息をつく。

本連載では貧困や生活苦でお悩みの方からの情報をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。

767チバQ:2017/07/23(日) 18:25:49
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170723-00721413-jspa-life

ユニクロも高くて買えない正社員OL。「実家を出たとたん、生活苦に…」
7/23(日) 8:50配信 女子SPA!
ユニクロも高くて買えない正社員OL。「実家を出たとたん、生活苦に…」
写真はイメージです。
 貧困や賃金格差がニュースで報道されていますが、他人事だと感じている人も多いのではないでしょうか?

 ところが、何不自由なく暮らしていた人であっても、ちょっとしたきっかけで急に貧困状況に陥(おちい)ることもあるようです。詳しく話を聞いてみました。

「中小企業の一般事務として働き11年。なかなか昇給がなく、いまだに手取り月収15万円という厳しい収入ながらも、実家暮らしのためなんとかやってこれました。

 でも、家を出て一人暮らしをしなければならなくなった途端、想像以上に生活が苦しくなってしまって……」と話す、山中沙希さん(仮名・31歳・メーカー/未婚)。

◆母親の熟年再婚きっかけで家を出ることに

 家を出るキッカケとなったのは、母親の熟年再婚だったそうです。

「両親は私が高校生のときに離婚したのですが、『妻と娘が二人で暮らしている限りは無償』という条件で、父親名義のマンションにずっと暮らしていたんです。

 でも、母が再婚しマンションを出ることになったところ、『まだ値が付くうちにマンションを売りたいので、これを機に沙希もマンションを出てくれ』と言われてしまって。

 金銭的に余裕がないので私だけでもマンションに残りたかったのですが、もともとシビアな性格のうえ10年以上ろくに会話をしたこともない父親に甘えることなどできず、仕方のない状況でした」

◆手取り15万円で家賃6万5000円は高すぎた…

 山中さんが引っ越し先として選んだ場所は、勤務先まで電車で40分の郊外ターミナル駅。駅から20分ほど歩くアパートなら家賃6万5000円で1DKの部屋に住めるので、都内に住むよりずっとお得だと思ったとか。

「でも、いま考えれば手取り15万円で家賃6万5000円は高すぎですよね。もっと不便で狭くても、家賃4万円程度の部屋にすべきだったんでしょうが、これまで都内の広めのマンションで生活していたのでいきなり感覚を変えられなかったんです」

 実家暮らしのときは生活費を3万円入れているだけで、そのほかの固定費はスマホ代1万円くらい。贅沢はできずともオシャレも遊びも不自由を感じることなく楽しめていたそうですが……。

「いまは家賃6万5000円に加え水道光熱費とスマホ代で月に8万円以上は飛んで行ってしまうので、自由に使えるのは7万円弱。しかも、これまでは私が入れた生活費と母のパート代でやりくりしていた食費と日用品代も、全部自分で払うとけっこうかかってしまって。

 やれ米だ水だ洗剤だティッシュだと、節約しているつもりでも月に2〜3万円はなくなってしまいます。実家暮らしの頃は母がパート先のスーパーから食材をいろいろもらってきていたので、あれで得しているぶんも大きかったんだなぁと」

◆病気で将来が不安。豆苗を育てておかずに…

 そんな山中さんに追い打ちをかけるように、先日甲状腺の病気が発覚。生活に支障が出るほどの病状ではないものの、2週間おきの通院で月5000円〜1万円はかかってしまうとか。

「通院費も痛いですが、『もし悪化して働けなくなってしまったら』と思うと怖くて怖くて。通院費をのぞいても月に3万円程度は自由になるお金がありますが、少しでも貯金に回したいのでもう外食なんかできません。

 夜はほぼ自炊で、安いうえに2〜3回は再生できる豆苗にめちゃくちゃ助けられてます。食べた後の根と豆を水に付ければ1週間ぐらいでまた食べ頃に育つので、常時4〜5個は同時に育て、サラダや炒め物、みそ汁と何にでも使っていますね」

 また、これまで昼食は月の半分は同僚と1000円程度のランチ、もう半分は500円程度のコンビニご飯で済ませていたそうですが、いまは毎日お弁当だとか。

「中身は豆苗炒めなど夕飯の残り一品に卵焼き、ごましおご飯という毎日同じ質素な内容ですが、『病気になっちゃったから健康のために』というとみんな納得してくれるので助かっています」

768チバQ:2017/07/23(日) 18:26:08
◆洋服代は郊外型の大型古着屋で購入して節約

 そのほか、大幅に節約するようになったのが洋服代。

「以前は月に1〜2万円は洋服代にあてていましたが、いまは無理。プチプラと言われるユニクロすら手が出ないので、家の近くの古着屋で今年流行りの色やデザインの服を血まなこで探し買っています。

 郊外って、“ビンテージっぽい古着”ではないフツーの今風の服が一枚数百円で買える大型の古着屋があるんですよ。この点は郊外に引っ越してよかったですね」

◆もっと若いうちにスキルアップ転職しておけばと後悔

 ただ、このように頑張っても貯金できるのは月にせいぜい1〜2万円。もっと安い家に引っ越したくても先立つものがなく、不安で眠れない夜も少なくないとか。

「派遣のほうが月々の収入はよかったりするので転職も考えましたが、病気になってしまったし、やっぱり給料が安くても正社員の立場を手放すのは怖い。実家暮らしでなんとかなっていたからって、どうしてもっと若いうちにスキルアップ転職をしておかなかったんだろう……と後悔ばかりしています。

 しかも、病気の症状はまだ軽いのに、飲み会も『お酒は病気によくないから』と断り、お金がなくてネイルができないのも『病気で爪が弱ってるから』と言い訳し、何でもかんでも病気のせいにしているうちに鬱々としてきてしまって……。明るい未来を思い描けません」

 たまに母親を頼りたくなるけれど、再婚相手との生活を邪魔するのが申し訳なく頼れないという山中さん。なかなか厳しい状況のようです。

―お金がない…女の生活苦シリーズ vol.5―

<TEXT/丸本彩乃>

女子SPA!

769チバQ:2017/07/23(日) 18:26:52
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170722-01366308-sspa-soci
東京に流れ着いた貧困女子のリアル ネットで出会った男と駆け落ちした末に…
7/22(土) 8:50配信 週刊SPA!
東京に流れ着いた貧困女子のリアル ネットで出会った男と駆け落ちした末に…
※写真はイメージです
「ワーキングプア」や「ネットカフェ難民」という言葉が登場したのが約10年前のこと。その頃、少年少女だった今の「若者」たちは貧困という状況をより身近なものとして育った世代であり、そしてその問題は今、彼ら自身にも降りかかっている。「失われた20年」のなかで生まれ育った世代の苦悩を探った。

◆ネットで出会った男性と駆け落ちした末に……

 樋口美里さん(仮名・28歳)は昼は事務職、夜はスナック、土日はキャバクラという3つの仕事を掛け持ちしている。そんな彼女が東京にたどり着くまでの道は、まさに波瀾万丈だった。

「親とウマが合わず、二十歳のときに東北の実家を出て、ネットで知り合った彼と岡山県で暮らし始めました。でも彼は定職に就かず、私だけがバイトで働き詰めになって……その結果、過労で卵巣が破裂して鬱病も併発。長期入院することになったんです」

 その後、彼と別れた樋口さんは新たな男性に出会い、岡山県から遠く離れた神奈川県で再び同棲を開始。だが結婚も秒読みかと思われた矢先に破局してしまい、着いた先が現在暮らす女性限定シェアハウスだった。家賃は光熱費を含め4万50000円。10代から30代まで10人の女性が暮らしているが、住人同士の仲が悪く「四畳半の個室に寝に帰るだけの場所」だという。

「23時半までスナックで働いて帰るのは深夜なので、住民との会話もないですね。ほぼ毎日スナックの乾き物とビールを夕飯代わりにして食費も浮かせています。岡山時代の借金がまだ残っているし、一人暮らしの資金を貯めたいから。明日は土曜日なので、午後からキャバクラに出勤。昼職だけだと月15万円しか稼げないので」

 これだけ働いても月収が20万円を少し超えるくらいという厳しい生活だが「初めて自由に使えるお金ができたことがうれしい」と樋口さんは話す。取材当日に着てきたワンピースは、水商売の初給料で買ったものだという。

「同世代のコがオシャレを楽しんでいる20代前半に、自分は地獄みたいな生活だった。男は裏切るけど、お金は裏切らないです」

 苦しい生活ながら彼女はどこかふっきれた顔をしていた。

※写真はイメージです

取材・文/SPA!若者の貧困問題取材班

日刊SPA!

770名無しさん:2017/07/23(日) 18:48:02
当事者の自己責任で片付く話ばかりですね。

771チバQ:2017/07/29(土) 20:59:21
>>770
たしかに家賃が高額とか暮らし方を替えれば解決しそうな話もありますね

772とはずがたり:2017/07/30(日) 19:33:10
2017.07.26
早稲田大学で起こった「非常勤講師雇い止め紛争」その内幕
悲鳴を上げる大学雇用
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1116734086/3380-3384
田中 圭太郎 ジャーナリスト

773チバQ:2017/08/06(日) 17:51:28
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170805-01373977-sspa-soci
なぜ特定の街で貧困が生まれるのか? “駅から徒歩7分以内か否か”で二極化する実態
8/5(土) 8:50配信 週刊SPA!
なぜ特定の街で貧困が生まれるのか? “駅から徒歩7分以内か否か”で二極化する実態
時代に取り残されたかのような人けのなさ
これまであらゆる形態の貧困問題を見てきたSPA!だが、今回は貧困を生む“街”の構造を解き明かすべく取材を敢行。なぜ特定の街で貧困が生まれるのか? そこから脱することは可能なのか? 住民の声とともに見ていきたい。

⇒多摩ニュータウン写真ルポ

◆日本全国の郊外で“富の二極化”が拡大

 週末にもかかわらず子供の姿さえ見当たらない無人の公園、人通りもまばらなうえ高齢者ばかりが目につく商店街、画一的に並んだ、空室の目立つ団地――。我々が訪れたのは、’70年代以降、首都圏で有数の新興住宅地として賑わいを見せた多摩ニュータウンの団地群。居住者の大半を占めた団塊世代の高齢化に対し、若い世代の流入は右肩下がり。“世代交代”が行われず、時代に取り残されたかのような物寂しい光景が広がっていた。

「こうしたケースは多摩ニュータウンに限った話ではなく、日本全国で起きつつある問題です。家を買う人も借りる人も絶対数が減っている今、活気があり富が集中するエリアと貧困が集中するエリアの“二極化”が進んでいるんです」

 そう語るのは、不動産コンサルタントの長嶋修氏だ。いわく、二極化の基準は“駅から徒歩7分以内か否か”なのだそう。

「多摩ニュータウンしかり、同じような問題を抱えて地価下落率がワーストとなった千葉県柏市の大室地区しかり、駅周辺は今でも大きなマンションが建ったりと活気があるんですよ。ですが2〜3km離れてバス移動が必須となると極端に人気がなくなり地価は下落する一方。ただでさえ空き家の増加が問題視されている今では、どうしても利便性の高い都心部、駅近の物件へと人口が集中します。こうした傾向が続けば、駅から距離のある郊外の住宅地はどこであれ、スラム化のリスクが高いんです」

 需要が減り、地価が下がると住宅価格や家賃も下落。そうなると新たに流入してくる若い世代はおのずと低所得者層ばかりとなり、その地域に貧困が集中する状態に陥ってしまうわけだ。

「いまや、田園調布のような高級住宅地も油断できない状況です。かつては富裕層が集まる街でしたが、車の送迎が前提じゃないと住めないためお金があっても若い層は寄り付きません。しかも最低敷地面積が定められているため、小さな家を建てられず、中流家庭も入ってきづらいんです」

 さらに、自治体の施策もこの二極化に拍車をかけているという。

「少子高齢化時代においては、自治体の税収はどうしても下がってしまいます。人がまばらにしか住んでいないエリアのためにインフラ施設を修繕・更新するのでは財政がもたなくなるため、コンパクトなエリアに住民を集めようと『居住誘導地域』を定め、そのエリアの開発に注力します。こうした『立地適正化計画』から外れた地域はインフラ修繕などが後回しになり、なかば放置されるように。結果的に、同じ生活圏であっても富裕層と貧困層の“二極化”が色濃くなっていくんです」

774チバQ:2017/08/06(日) 17:51:44
話を多摩ニュータウンに戻そう。この地域に36年住む田中明子さん(仮名・72歳)に話を伺った。

「ご近所さんは亡くなられる人も増えましたし、最近は別の棟で孤独死があったと聞きました。残ったお年寄りはみんな年金生活ですし、今さら出ていけない。ただ、ウチは4階ですがエレベーターがないから階段がツラくて……」

 続いて話を伺ったのは、商店街で買い物をしていた秋山正さん(仮名・36歳)。

「この団地で育ち、今は母親と二人暮らしです。緑は多いし団地内のスーパーで買い物もできるから生活しにくいってことはないんだけど、自分を含めリッチな人は住んでないですよね。新しく入ってくる家族もいますが、正直稼ぎが多そうには見えないし。言い方は悪いですが、新しい人はゴミ出しの仕方とかマナーが悪かったりね。あとはやっぱり建物が古いですよね。でも、建て替えはどうしても無理みたいで……」

 話を聞いた住民たちにはどこか諦観さえ感じられたが、こうした地域は黙ってスラム化するのを待つしかないのだろうか?

「北海道の下川町は人口3000人ほどの田舎ですが、バイオマス発電事業で公共機関の電気代や灯油代を大幅に削減し、浮いた費用を子育て支援に回すことで転入者が増えています。周辺地域の地価が大暴落するなか、昨年ついに下川町だけが下げ止まったんです。同じように千葉県流山市も住民の高齢化の進む街でしたが、駅の構内に子供を保育園まで送迎してくれる施設を造るなど、子育てしやすい街をアピールすることで最近は総人口が右肩上がりの状態です」

 自治体の方針で街の未来を変えることはできる。しかし、多くの地域は「地価の下落→低所得者の流入」という貧困のスパイラルから抜け出ることは困難なのだ。

【長嶋 修氏】

不動産コンサルタント。’67年生まれ。個人向け不動産コンサルを行うさくら事務所の代表取締役社長。近著『不動産格差』(日経プレミアシリーズ)が好評

― [新型貧困を生む街]潜入ルポ ―

775チバQ:2017/08/13(日) 15:04:55
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170811-01373978-sspa-soci
月収13万、ネットカフェに寝泊りする日雇い労働者・30歳「こんな生活続けたくない…」
8/11(金) 8:50配信 週刊SPA!
月収13万、ネットカフェに寝泊りする日雇い労働者・30歳「こんな生活続けたくない…」
(日刊SPA!)
これまであらゆる形態の貧困問題を見てきたSPA!だが、今回は貧困を生む“街”の構造を解き明かすべく取材を敢行。なぜ特定の街で貧困が生まれるのか? そこから脱することは可能なのか? 住民の声とともに見ていきたい。

◆“新たなドヤ街”が都心の外縁部に出現

 労働者に日雇いの仕事を斡旋する「寄せ場」、日雇い労働者のための簡易宿泊施設が立ち並ぶ「ドヤ街」。過去の遺物のように思われがちなこれら地域だが、今も形を変えつつ残り続けているという。

 新宿駅近辺のネットカフェで出会ったのは田島明さん(仮名・30歳)。彼もすでに3か月以上家のない生活を続けている。

「友人とルームシェアをして家賃を折半していたのですが、彼が地元へ帰りひとり暮らしに。家賃の負担ができず、退去して新宿駅徒歩15分で月3万円のシェアハウスに転がり込みました。共用スペース以外はカプセルホテルの一室に近い寝床があるのみ。ただ、ほかの住民から嫌がらせを受けるようになり、2か月で退去。それ以降はネットカフェ生活です。仕事はずっと食品倉庫で働いています。同僚や上司には、家がないことがバレてないと思うんですが……。親を頼ろうにも、母が病気の自宅療養中で僕どころではありません」

 仕事が終わるのは20時頃。その後、ナイトパックが適用される22〜23時まで公園などで時間を潰し、今夜の寝床に入る。

「シェアハウス時代、自分の置かれた状況や寂しさで発狂しそうになっていましたが、今はこの生活にも慣れました。いつまでもこんな生活を続けたくないけど……少しずつ貯金するしかないですね」

 田島さんの月収は約13万円。そこから日々の宿泊費や通信費、生活費を差し引くと手元には毎月1万円が残るかどうかだという。NPO法人・もやい理事長の大西 連氏はこう語る。

「住まいを借りられるよう保証人になったり大家と交渉するなどの支援を我々も行っているのですが、こうした貧困は目に見えづらく、こちら側から積極的にサポートの声をかけにくいのが現状なんです」

 全労働人口における非正規雇用の割合は4割を超えたともいわれる昨今。今後も増加が続けば、それに比例するように“新たなドヤ街”が都心を取り巻くように増え続けていく可能性は高いだろう。

【大西 連氏】

もやい理事長。社会活動家。NPO法人「自立生活サポートセンターもやい」の理事長を務め、生活困窮者への支援のほか現場の声の発信に注力する

― [新型貧困を生む街]潜入ルポ ―

776名無しさん:2017/08/13(日) 18:45:28
東京ならスキル無しでも 寮付・月収13万以上の仕事なんて幾らでも見付かる。
深刻なのはそういう選択すら出来ない地方。

777チバQ:2017/08/16(水) 20:28:21
https://www.nishinippon.co.jp/feature/life_topics/article/313647/
支援団体が「夜の世界白書」 風俗店勤め 限られる高収入 月12日で43万円 徐々に減少
2017年03月10日 14時33分

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 ●知られたくない 進む孤立化

 東京を拠点に、性風俗店で働く女性たちを支援する一般社団法人「Grow As People」(GAP、角間惇一郎代表理事)が、初の報告書「夜の世界白書」をまとめた。若いうちは高収入でも、年齢が上がると減少していくことや、職業が明らかになることを恐れ、孤立しがちな女性たちの姿が浮き彫りになった。

 調査は現状を把握して支援に生かす狙いで、2015年度にインターネット上で実施。女性がホテルなどで客と会う「デリバリーヘルス」といった関東の無店舗型風俗店などに勤める377人から有効回答を得た。

 実際に接客した実働日数と月収の全体の平均は、11・8日で43万995円。年齢別では18〜22歳が16日、81万9200円と最多で、43歳以上では7日で18万2千円と最も少なかった。

 風俗業を始めたきっかけ(複数回答)は生活費や学費、借金返済など金銭的な理由が延べ215人で最多。「仕事がない」(60人)「なんとなく」(47人)が続いた。「なんとなく」は27歳までが半数超、「仕事がない」は33歳以上が6割超を占めた。GAPは「20代でなんとなく始め、30代で他の仕事に移りにくくなり、40代になると収入が減っていくという姿が表れている」と指摘する。

 職業については「誰にも知られたくない」と答えた人が多く、仕事以外では外出を控え、家に閉じこもる傾向も強かったという。

    ★   ★

 GAPは全国の性風俗店で働く女性のトラブル処理や転職支援などに関わっている。

 九州北部の20代後半の女性からは、今年に入り相談メールが届いた。連絡を取ると、出産予定日が数日後に迫っていた。

 昨春から昼間の仕事と掛け持ちをしていて、店にも相手の男性にも妊娠の事実を「話せなかった」。GAPは店に連絡を取り事情を説明。出産後の行政手続きを含め、対応に奔走した。

 女性は「頼れる人がいなかった」と話し、支援に感謝しているという。

 転職支援では12年度以降、GAPを通じて37人が一般企業などに就職した。

 提携する関東のNPO法人でインターンとして働く20代後半の女性は高校卒業後、週3日ほど風俗店で働いていたが、昨夏「このままで大丈夫だろうか」と相談した。電話対応や資料整理などインターン先での経験を通じ「昼の仕事でもやっていけるかも」と自信がついてきたという。

 GAPへの相談はメール=info@growaspeople.org=で。

 ●セカンドキャリアは… 悩む「40歳の壁」 角間GAP代表理事に聞く

 GAPの活動について、代表理事の角間惇一郎さん(33)に聞いた。

 -支援のきっかけは。

 「2010年に風俗店のオーナーと知り合う機会があり、直後に大阪で(風俗店勤務の女性が子ども2人を餓死させた)事件が起きたことがきっかけ。何ができるか、実態を知るために風俗店で2年間働いた」

 -現場で見えたものは。

 「店で働く女性には他人に言えないことがあり、社会的に孤立しやすい。『男に殴られた』『借金でどうしようもなくなった』など、店にはトラブルの情報がある。その情報を行政や弁護士などにつなぐ支援ができると分かった」

 「抱える問題は人それぞれだが、引退する時が来るのは誰しも同じ。店でのキャリアは遅くても40歳ころには終わる。私たちは『40歳の壁』と呼ぶのですが、次の仕事、セカンドキャリアを支援することは活動の軸になると感じた」

 -活動して良かったと思うのは。

 「支援を続けるには、多くの人の関わりが必要。風俗店員やNPO、ボランティアと、いろんな立場で関わってくれる人が増えていくのはうれしい」


=2017/03/10付 西日本新聞朝刊=

778チバQ:2017/08/21(月) 19:52:48
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201708/CK2017080802000159.html
<脱 子どもの貧困>(上)「海水浴」の機会も調べよ 首都大学東京・阿部彩教授

2017年8月8日


写真
 子どもが、楽しい時間を過ごすはずの夏休み。近年は貧困問題が影を落とす。厚生労働省によると、二〇一五年時点の「子どもの貧困率」は13・9%で、過去最悪だった前回調査(一二年)より2・4ポイント改善したが、国際的にはなお高い水準だ。解決に向け、どのような取り組みが必要か、識者に聞いた。一回目は首都大学東京の阿部彩教授。親の所得だけでなく、「海水浴」などの指標を設け、子どもが経験する機会が奪われていないかにも目を凝らすべきと説く。
 「子どもの貧困率」が2・4ポイント減少したことは大きい。ただ改善は国の貧困対策の影響というよりも、景気が良くなり親の所得が回復したからだ。経済状況が再び悪くなれば、貧困率も悪化する可能性があり、景気に左右されない支援が求められている。
 特に、ひとり親家庭の貧困率は50%を超える状況で、そこに手を打つためには現金支給が欠かせない。政府は昨年、ひとり親家庭に支給する児童扶養手当を引き上げた。だが、対象は二人目以降に限られ、それほどのインパクトはない。
 厚労省の調査は、所得を基に貧困率を推計しているが、欧州では、子どもの具体的な生活状況を把握できる「剥奪指標」を使った調査を取り入れている。「海水浴に行く」「学習塾に通わせる」といった項目を聞き、子どもが経験する機会が奪われていないかを調べるものだ。
 全員が海水浴に行くべきだということではない。一般的な家庭で、少しでも金銭に余裕があれば子どもにしていることができないのは、家計の危機的状況を意味している。子どもの生活がどれほど脅かされているかがストレートに反映される。
 近年、民間団体による子ども食堂や学習支援がメディアで注目されている。重要な活動だが、そもそも公的機関が担うべきこと。週に一回、月に一回という支援よりも、全中学校で給食を始めるなど、継続的で漏れのない取り組みが先決だ。
 なぜ、ご飯を食べられない子どもがいるのか。なぜ、母親とご飯を食べられない状況なのか。子どもたちがそうならないようにするために、社会はどうするべきかという議論に至っていない。労働環境や学校での取り組みなど、社会の仕組みを変えなければ、根本的な解決にならない。
◆都の実態調査 食の困窮は中2で11%
 都は2月、阿部教授の研究室と連携して初めて実施した子どもの生活実態調査の結果を発表。「生活困難層」が2割以上に上った。
 4市区(墨田区、豊島区、調布市、日野市)の小学5年、中学2年、16〜17歳の子どもとその保護者を対象に実施。保護者と子どもそれぞれ約8000人から回答を得た。
 「生活困難層」は(1)所得が一定基準以下(2)家計の逼迫(ひっぱく)(「電気料金」「家賃」「食料」など7項目で支払えなかった経験が一つ以上)(3)子どもの体験や所有物の欠如(「海水浴」「クリスマスプレゼント」など15項目から三つ以上該当)-の三つの要素のうち一つ以上該当している家庭と定義。小5で20.5%、中2で21.6%、16〜17歳で24%に上った。
 中2でみると、食べ物に困窮した経験があるのは11.2%、経済的な理由で過去1年間、海水浴に行けなかったのは4.0%だった。
<あべ・あや> 米・タフツ大大学院で博士号取得。国際連合などを経て、現職。研究テーマは、貧困、社会保障など
<子どもの貧困率> 平均的な可処分所得(手取り収入)の半分を下回る世帯で暮らす18歳未満の子どもの割合。厚生労働省によると、2015年時点は13・9%で、7人に1人の割合になる。過去最悪だったのは12年の16・3%。経済協力開発機構(OECD)の直近のデータでは、加盟国など36カ国の平均は13・3%で、日本はこれを上回っている。

779チバQ:2017/08/21(月) 19:53:45
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201708/CK2017081002000171.html
<脱 子どもの貧困>(下)「あれも、これも」の予算を 兵庫県明石市・泉房穂市長

2017年8月10日


写真
 子どもを核とした町づくりをしている。全ての子どもに対し、行政と地域が連携し、みんなで応援するというコンセプトだ。貧しい家庭の子どもだけでなく、誰ひとり見捨てずに支える。
 親の収入で線を引いて支援をすると、こぼれ落ちてしまう子がいたり、どこで線引きをするかで議論が複雑化したりする。明石市は中学生までの医療費と第二子以降の保育料を無料にしているが所得制限はしていない。
 相談のチャンスが失われると、問題は長引きやすい。支援は早期に、継続的にすることが大事だ。今年一月から、市が把握した妊婦全員への面談を始めた。早くに親の困り事を知り、フォローする。また児童手当は漫然と振り込まず、乳幼児健診などで本人の健康が確認できるまでは支払わない仕組みだ。
 子ども食堂は、小学校区ごとに一カ所できるように整備している。子どもの目線に立てば、市内に一カ所程度では通えない。二〇一九年春、市内に児童相談所を設置する予定で、食堂と連携する仕組みをつくり、子どもの危機にいち早く気付ける拠点としたい。子ども食堂はブームのようだったが、これからは実際の課題に向き合っていく時期に来ている。
 行政の政策で、予算を何に振り分けるかは「選択と集中」と言われる。子どもについては「あれか、これか」ではなく、「あれも、これも」必要だ。子どもの貧困というのは、子どもを貧しさに追いやっている政治の貧しさの表れだと言える。
 明石市では、他の市に比べて、子ども施策に予算を投じている。結果として、人口は増加に転じ、新たに生まれる赤ちゃんが増え、税収も上がった。子どもにしっかりとお金を使うことは町の未来のためにもなる。予算をシフトすることで、子どもたちが救われる。
<いずみ・ふさほ> 53歳。明石市生まれ。東京大卒業後、NHKディレクター、衆院議員、弁護士などを経て、2011年より現職
<兵庫県明石市> 瀬戸内海に面し、大阪市や神戸市に通勤する人のベッドタウン。子どもの医療費の無料化や教育環境の整備など、子育て世代への支援を充実させているほか、障害者施策にも力を入れている。人口は4年連続で増加し、17年7月時点で29万5296人。子どもの出生数も15年以降、2年連続で増えた。市によると、20代〜30代の子育て世代の流入が進んでいる。18年度からの中核市移行を目指している。
◆学習支援で「連鎖」絶つ
 都内で就学援助制度を利用しているのは2015年度で16万2000人余りと、全体の20.4%を占める。13年度の22.3%と比べてやや減少している。首都大学東京の阿部彩教授(貧困・格差論)と都の16年調査によると、授業が分からないと感じる中学2年生の割合は全体で24%なのに対し、生活困窮層は52%と跳ね上がり、経済状況が子どもの学びに大きな影響を与えていることが浮かび上がった。
 都の主な対策は、生活困窮家庭やひとり親家庭の子どもを対象に、学習を支援する事業などがある。生活困窮家庭向けは、16年度は39区市と西多摩福祉事務所で実施され、本年度は46区市に拡大。利用者も年々増えている。
 「貧困の連鎖」を絶つ取り組みとしては、高校卒業程度認定試験の講座受講料を支援している。いずれの事業も、19年度末に都内全62自治体が取り組めるよう体制を整える目標を掲げている。 (木原育子)

780チバQ:2017/08/25(金) 14:03:06
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170825-00185474-toyo-soci
年収100万円「52歳ゲイ男性」の深すぎる苦悩

8/25(金) 5:00配信��
279

「最近のLGBT運動は、同性愛者や性同一性障害者の中での勝ち組と負け組をつくり出している」と言うハルオミさん(筆者撮影)

現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。今回は都内在住で、非常勤や派遣講師で生計を立てるハルオミさん(52歳)のケースに迫る。彼は子どもの頃から、恋愛対象が同性だった。

 都心のビル街が虹色に染まった。横断幕や小旗、うちわが躍る。プラカードには「結婚したい!」「多様性=強み」「自分らしくいられる未来を」のメッセージ。風船で埋め尽くされたフロート(山車)から1970年代のディスコミュージック「セプテンバー」が流れる。若者はもちろん、車いすに乗った高齢者、家族連れといった参加者が沿道の人々とハイタッチを交わしていく。

 2017年5月、東京・渋谷。LGBTなど性的少数者への理解を訴える東京レインボープライドのパレードが開かれた。6回目となる今年は、過去最高の約6000人が参加。企業の出展ブースでは、博報堂DYグループのLGBT総合研究所をはじめ、ブライダルや美容、保険、アパレル、旅行業界などの各企業がLGBT向け商品やサービスを紹介した。

■「年収100万円のゲイには何の恩恵もない」

 ゲイのハルオミさん(52歳、仮名)は今年もパレードには参加しなかった。無精ひげを生やし、帽子からシャツ、パンツまで全身を黒で統一。冷めた口調でこう語る。

 「かつてないLGBTブーム。すてきなホテルで結婚式を挙げることができて、旅行や化粧品におカネをかけられるエリートにとっては、いいでしょうね。でも、私のような非常勤講師で生計を立てている年収100万円のゲイには何の恩恵もありませんよ」

 筆者は性的少数者への偏見をなくすためには、さまざまな手法のアプローチがあっていいと思っている。一方で、年を追うごとに広告代理店や企業の存在感が増していくイベントに対し、「企業は金儲けになるからやってるだけ」「LGBTへの理解が進んでいるとは思えない」といった批判が、当のLGBTたちの間から出ているのも事実だ。

ハルオミさんは続ける。

 「イベントがいくら盛り上がっても、いじめや差別がきっかけで貧困に陥ったり、セックスワークに就かざるをえなかったりするような最底辺の人たちは疎外されたまま。最近のLGBT運動は、同性愛者や性同一性障害者の中での勝ち組と負け組をつくり出してしまっているんじゃないでしょうか」

 ハルオミさんは、1990年に同性愛者の団体が東京都から公共施設の利用を拒絶されたことに端を発する「府中青年の家事件」の当事者の1人でもあった。事件は後に裁判に発展。20代の頃、ゲイやレズビアンたちの権利獲得のための運動に情熱を傾けた彼が、現在のLGBT運動と距離を置き、貧困状態に陥るまでに、どんな曲折があったのか。

 東京で自営業を営む両親の下で育った。比較的裕福な家庭だったという。幼稚園児の頃から、好きになるのは男の子。妹とは、当時の人気アイドルグループ「光ゲンジ」の中で、誰がかっこいいかという話で盛り上がった。深刻ないじめや差別に遭うことはなかったと言い、高校時代には米国に1年間留学。大学卒業後は都内の私立高校で英語教諭の職を得た。

 東京都の宿泊施設「府中青年の家」の利用をめぐる問題に直面したのはちょうどこの頃。ハルオミさんが所属していた同性愛者団体がこの施設に泊まった際、ほかの利用者から「ホモの集団」「またオカマがいた」などの差別発言を受けた。これに対し、都側に適切な対応を求めたところ、反対に「青少年の健全な育成に悪い影響を与える」として、以後の利用を断られてしまったのだ。

 この団体は1991年に損害賠償を求めて東京都を提訴した。ハルオミさんも裁判準備や支援集会への参加、海外の同性愛者団体との連携などに奔走。こうした活動と仕事の両立は難しく、英語教諭の仕事は辞めた。当時はバブル景気で、私塾の教師や翻訳などの仕事はいくらでもあり、収入はさほど落ちなかった。しかし、「身分の保証はありませんでしたから、精神的には不安でした」と言う。

■表に出せる“正しいゲイ”ではなかった

 定職がなくなった分、プライベートと活動の境目はあいまいになった。暇さえあれば事務所の電話番を務め、海外の団体との英語によるやり取りは一手に引き受けたという。一方で、仕事を投げうってまで貢献したのに、団体の中で自分が正当に評価されていないとの思いが、ハルオミさんの中ではくすぶり続けた。

781チバQ:2017/08/25(金) 14:03:54
 「裏方仕事ばかりで、いいように使われるだけ。まるで便利屋。理由はわかってます。私がめちゃくちゃな恋愛ばかりしていたからです。とにかく相手をとっかえ、ひっかえでした。私は、世間や団体が求めるような、表に出せる“正しいゲイ”ではなかったんです」

 いろいろなボタンの掛け違いがあったのかもしれない。公私ともに疲弊したハルオミさんが「少し休みがほしい」と申し出たところ、団体幹部から「(休んだ後に戻ってきても)もうあなたのポジションはない」と言われ、これがきっかけでうつ病を発症したという。

 ハルオミさんはこう言って当時を振り返る。「メンバーは滅私奉公して当たり前と言わんばかりの団体にも問題があったし、僕自身、カルト信者のようにのめり込んでいました。活動への思い入れが強かっただけに、あのとき、“もうお前の帰る場所はない”と言われて、目の前が真っ暗になりました」。

 また、裁判のさなか、母親にゲイであることを知られた。母親からは「せっかく五体満足に産んであげたのに」「こんなふうに育てたつもりじゃなかった」と泣かれたという。

 1997年、訴訟は原告側が勝訴。しかし、ハルオミさんに残されたのは、不安定な仕事と、慢性的なうつ状態と、疎遠になった家族――。団体には所属し続けたが、以前のような濃密なかかわりを持つことはなくなったという。

 そうした中、なんとか中国地方の大学で、正規採用の働き口を見つけた。そして、ほどなくして東京のLGBTの交流会で出会った東北出身の男性と恋愛関係になる。「ピアノを弾いている姿を見て一目でかわいい! と思ったんです」というハルオミさん。相手の実家に遊びに行ったとき、両親が「息子が2人できた」と喜びながら、次々とごちそうを振る舞ってくれ、それとなくゲイカップルを認めてくれたこともうれしかったという。

 ハルオミさんは恋人と東京で一緒に暮らすことを決意。大学の仕事は5年で辞めた。しかし、この頃すでに景気は悪化。東京では非常勤や派遣講師の仕事しか見つからず、500万円ほどあった年収は減り続ける一方だった。

 結局、恋人とは40歳になる直前に破局。ハルオミさんは「彼は私の収入が下がったことに文句を言ったことはありません。彼も喫茶店やパン屋でアルバイトをしていましたし。ただ、私自身に“自分が稼がなきゃ”という古臭い固定観念があって。焦りやイライラが彼に伝わってしまったんだと思います」と言って、かつてのパートナーをかばう。

 幸いだったのは、家族と十数年ぶりに連絡を取ったこと。自営で成功した両親はハルオミさんの窮状を見かね、アパートを買ってくれたという。母親との関係も往時ほど苛烈ではなくなった。ただ、いまだに息子がゲイだと知らない父親だけが「まだ、結婚しないのか」と聞いてくるという。

 「家賃がかからないので、年収100万円でも、病気さえしなければ、飢え死にしない程度には生きていけます。でも、8月いっぱいで今の仕事の契約が切れます。その後は無職。(扶養しなければならない)子どもがいないことが、孤立したゲイの数少ないメリットなのかもしれません」

■最大の後悔は、パートナーと別れたこと

 ハルオミさんは今も、人生で最大の後悔は、このパートナーと別れたことだという。しかし、私には、彼のつまずきは、彼自身も認めるその「恋愛体質」と関係があるようにもみえた。若い頃に全身全霊を注いだ同性愛者団体から認めてもらえなかったのも、安定した仕事を失ったのも、原因は恋愛だったのではないか。

 私は、ゲイやレズビアンに性に奔放な人たちが多いとは思わない。ただ、ストレートに比べて性的マイノリティのカップルは出会う確率自体が低いから、恋愛に積極的にならざるをえない面はあるだろう。また、いじめや差別、家族との不仲などから、精神的に不安定になり、恋愛に依存せざるをえない人も少なくないのかもしれない。

 恋愛をやめられないことと、自身がLGBTであることは関係があると思うかと尋ねると、ハルオミさんは「わからない」と言う。恋愛はやめられないのかと重ねて問うと、「『パリ、夜は眠らない。』という映画を知っていますか」と言ってきた。

 1980年代のニューヨーク・ハーレムを舞台に、黒人ゲイたちの姿を中心に描いたドキュメンタリー映画である。LGBTに対する風当たりは、今とは比べものにならないほど過酷だった時代。ダンスパフォーマンスの様子や、ゲイたちのインタビューで構成されている。中には命を落とす人も出てくるが、バッドエンドではない。

782チバQ:2017/08/25(金) 14:07:40
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170811-00183613-toyo-soci
26歳男性「正社員で年収200万は幸運」の真意

8/11(金) 5:00配信��
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ダイスケさんは、正社員で年収200万円だった過去を「けっこういい給料をもらっていた」と話す(筆者撮影)

現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。今回は埼玉県に住む、現在は無職のダイスケさん(26歳)のケースに迫る。彼は農業を目指して四国に移住し、挫折した経験を持つ。

 源泉徴収票の支払金額の欄に「給料賞与 217万4200円」とあった。埼玉県在住で、今は無職のダイスケさん(26歳、仮名)。「ガス販売会社の正社員でした。この会社では、けっこういい給料をもらってたんです」と説明する。年収200万円が「いい給料」?  驚く私に対し、彼はこう続けた。

 「僕の同級生で200万円ももらっている人なんていないですよ。そもそもほとんどが非正規(労働者)ですし」

 ダイスケさんが別の源泉徴収票なども見せてくれた。以前、正社員として勤めていた農業法人は「給料 146万2434円」、現在、妻がフルタイムのパートで勤めている介護施設は「給与賞与 135万1277円」、飲食店アルバイト時代のある月は「総支給額 12万5650円」――。確かにこれらと比べると、年収200万円は恵まれて見える。

 「(ガス販売会社で)人生で初めてボーナスというものをもらったんです。うれしかった。住宅手当も家族手当も、交通費まで出ました。週休2日で、好きな本を読んだり、興味のあるイベントに行ってみたりという週末を初めて過ごしました」

■母親の再婚相手から虐待を受けた

 ダイスケさんの夢は農業経営だ。一時期、野菜の栽培と販売で生計を立てていたこともある。現在の失業状態に陥るまでには、想定外のトラブルなどさまざまな曲折があった。

 子どもの頃に両親が離婚。その後、母親の再婚相手から毎日のように虐待された。柔道の絞め技をかけられ、フライパンで殴られ、流血ざたや警察沙汰になったこともある。高校卒業後、学費が安く、寮生活ができる公立の農業専門学校に進んだのは、貧しさと暴力から逃れるためでもあった。

 農業は思いのほか性に合った。専門は野菜全般。中でも得意なのはナスとニンジンである。ダイスケさんは「施肥の管理や、脇芽などを間引くタイミング。頭を使って手間暇をかけると、ちゃんと成果が返ってきます。農業はクリエーティブな仕事ですよ」と言う。

 専門学校を卒業後、農業法人に就職した。正社員で、年収は約145万円。農作業のほかに直売店舗の切り盛りを任されることもあり、このときは、朝3時に起きて市場で野菜を買い付けると、夜9時の閉店まで、休みなく働いた。残業代はなし。はたから見ると、いわゆるブラック企業だが、ダイスケさんは「このときは楽しかったです。1ヘクタールの土地の管理をすべて任されたんですから。ニンジン栽培のコツを教えてくれたのも、ここの社長でした」と振り返る。同僚の女性と結婚したのも、この頃だ。

 2年後、妻とともに知人のツテがあった四国へ移住。地元の農業法人に勤めながら、独立のための資金を貯め、新規就農者向けの国の給付金を受けるための準備を進めた。

 しかし、ここで致命的なトラブルに見舞われた。給付金を受けるには事前に農地を準備することが条件で、通常は自治体や農業委員会などが間に入り、空いている民有の休耕地を紹介してくれる。ダイスケさんも地元の市役所から約1ヘクタールの借地を提示されたが、申請直前になり、そこが、元の所有者が亡くなった後の相続登記手続きが完了していない土地であることがわかったのだ。名義が未変更の土地では、給付金は下りない。

 「会社(農業法人)にはすでに辞めると伝えてしまった後でした。最初、市役所からはすぐに利用できる土地と説明されました。ところが、後になって相続者は複数おり、中には連絡が取れない人もいて、手続きが完了する見通しが立ちそうにない、という話になって……。給付金があれば、年間150万円を5年間にわたって受けることができたのですが、結局、自己資金100万円だけで見切り発車するしかありませんでした」

783チバQ:2017/08/25(金) 14:08:39
■「行政のミス」で貧困に転落

 複雑に入り組んだ土地の権利関係を、所有者でもない個人が整理することは難しい。穏やかな人柄のダイスケさんははっきりとは言わないが、完全に行政側のミスである。これを機に生活は貧困へと転落した、という。

 飲食店などでアルバイトをしながら、当初、予定していた借地でナスとニンジンを育てた。夜間も気温35度を超える四国の夏をエアコンなしで乗り切り、医療費を抑えるために歯痛をこらえながらクワを振るった。しかし、赤字はかさむ一方。貯金が20万円を切ったとき、「このままでは、再スタートも切れなくなる」と、四国からの撤収を決意した。移住からわずか2年後のことだったという。


 2015年2月、雲ひとつない快晴。軽自動車と軽トラックに家財道具を積み込み、東名高速上りをひた走った。正面に山肌の半分ほどが雪で覆われた富士山が見えたとき、「ああ、戻ってきたんだ」と、胸中に安堵と失望が交錯したことを今もはっきりと覚えている。

 関東圏に移った後の目標は、農業で再起すること。収入のことを考えて畑違いの仕事への転職も試みた。しかし、就職活動では、独立のために短期間で農業法人を退社したことや、農業収入の不足分を補うために就いたアルバイトなどの履歴が不利になったという。履歴書を見た面接官から「なんでこんなに転職してるの?」などと批判めいた口調で聞かれるのだ。現在、通っているハローワークの講習会の講師からも「履歴書に一貫性がない」「(四国での)自営業の期間が短いのは印象が悪い」と指摘される。

 「講師はハローワークに天下りした60代の元公務員です。アドバイスをしてくれているのはわかるのですが、あなたたちのときとは時代が違うと言いたくなります」

 ダイスケさんは「履歴書は妻のほうが悲惨なことになっている」という。彼が厳しい中でも正社員の仕事を探したのに対し、彼女は正規、非正規を問わず、働けるところで働いたからだ。履歴書の職歴欄は、薬局のアルバイトや市役所の契約職員、NPO法人の臨時職員など非正規雇用がほとんどで、雇い止めによる転職回数も多い。

 取材では、妻も話を聞かせてくれた。

 「この1年で20社くらいの面接を受けたでしょうか。面接官からはたびたび“あなたの履歴書からは、何の魅力も感じない”“契約社員とか、アルバイトが多いね”“勤続期間が短いね”と言われます。履歴書を見ただけで何がわかるの? と思いますが、不採用が続くと、今まで頑張ってきたことをすべて否定された気持ちになり、落ち込みます」

 夢に向かって挑戦し、努力を惜しまなかったという自負がある。それに、不安定な非正規雇用を増やしてきたのは社会のほうではないのか。たった一度、つまずいただけなのに、再起のチャンスをつかむことも許されない――。疎外感にさいなまれながら、ダイスケさんがなんとか職を得たのが、冒頭の年収200万円のガス販売会社だった。

しかし、ここでもトラブルに見舞われる。

■財布泥棒の「犯人」として疑われた

 入社から1年がたったこの春、職場でアルバイトの財布が紛失する事件が起き、ダイスケさんが犯人として疑われたのだ。盗まれたという時間帯に、事務所には彼しかいなかったなどの不利な状況に加え、事件前、上司から接待用にゴルフセットをそろえるよう言われたときに自腹で買うのかと尋ねたり、営業車のガソリン代は経費で賄えるのかと確認したりしたことも、周囲におカネに執着する人間という印象を与えてしまったようだ、と言う。

784チバQ:2017/08/25(金) 14:09:21
と言う。

 「同期入社の友人から“雇ってくれている会社におカネのことを聞くのはまずかったね”と言われました。でも、それって、ちゃんと確認しないといけないことですよね」とダイスケさんは途方に暮れる。会社からは退職を促され、結局はそれに応じた。

 現在、毎月の手取りはダイスケさんの失業保険と、妻のパート収入を合わせた28万円ほど。失業中につき、家事を引き受けている彼によると「肉類は格安スーパーで買うグラム40円の鶏むね肉だけ。果物はぜいたく品です。飲料水は大型スーパーで、無料でもらえるサービスを利用しています」。相変わらず歯の治療には行けないので、虫歯は抜けるに任せるしかない。

 国の福祉制度の利用も考えたが、生活保護はわずかながら貯金があるので使えない。第二のセーフティネットと言われる生活困窮者自立支援制度の住宅扶助も窓口で「一生に一度しか使えない制度」と説明され、断念。国による生活福祉資金貸付制度も返済時に利子が付くと聞いてやめた。

 せめて健康保険料と住民税の免除を、と役所に相談したが、「そのような制度はありません」の一言で終わり。ダイスケさんの前年の所得に基づき、今年は20万円近い税金を収めなくてはならない。「生活保護以外のセーフティネットはないも同然」と痛感した、という。

 若い夫婦にとって、唯一幸せなのは2人の絆に揺るぎがないことだ。ダイスケさんは「どんなときも否定的なことを言わない。いつも、“どうにかなるよ”と言ってくれます。妻には感謝しかありません」、一方の妻は「面接や職場でどんなに嫌なことがあっても、(夫のいる)家に帰ってくるとホッとします」という。仲のよい夫婦だが、子どもについては「欲しいけれど、今はとうてい無理」と口をそろえる。

 ダイスケさんはガス販売会社を不本意な形でクビになり、「心身ともに疲れ果てました」とうなだれる。ここなら独立資金を貯めるための余裕が持てそうだと、期待した矢先のトラブルだっただけに、なかなか気持ちが切り替えられないのだという。

■福祉関係の仕事に就きたいが…

 今も、工場勤務や飲食店など選ばなければ仕事はある。一方で、今度、農業を再開するときには、障害を持っている人や虐待に遭った子どもたちに就農機会を提供する「農福連携」を目指したいと思っているという。特色のある農業のほうか、生き残りやすいとの期待があるからだ。このため、次の就職先は福祉関係を希望しているが、福祉業界は賃金水準が低すぎて、今度は独立のための資金集めという目的が果たせない。

 「農業では採算が取れるまでに5年はかかります。もう一度、挑戦するのか、それともあきらめるのか。あきらめるなら、仕事は生活の糧を得るための手段と割り切って生きていくことになる。子どものことを考えると、決断までに残された時間はそう多くはないんです」

 この秋には失業保険が切れる。「それまで、もう少しだけ考えさせてほしい」。

 話を聞いている間、ダイスケさんは時々、手のひらを見つめ、指の付け根あたりを指先でなでるような仕草を見せた。触れさせてもらうと硬いマメができていた。

 「毎日、クワを握っていましたから。本当はもっと硬くて、黄色いマメだったんです」

 このマメが日ごとに柔らかくなっていく。そのことが悔しくて仕方ない、という。

本連載「ボクらは「貧困強制社会」を生きている」では生活苦でお悩みの男性の方からの情報・相談をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。

藤田 和恵 :ジャーナリスト

785チバQ:2017/08/26(土) 05:14:22
http://toyokeizai.net/articles/-/185051?utm_source=yahoo&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=related
「海外旅行格差」から見える日本の深い分断線
この10年で格差が拡大している
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「ニューズウィーク日本版」ウェブ編集部 2017年08月19日
若者の「海外旅行離れ」が言われるなか、全国の都道府県別の若者の海外旅行の実施率に大きな差異が出ている。世帯収入別に見た子どもの海外旅行の実施率もこの10年で格差が拡大した。


8月のお盆休みを海外で過ごす人も多いだろう。1973年以前の固定相場制の時代では、「1ドル=360円」の為替レートを受け入れられる富裕層しか海外旅行には出かけられなかったが、今では誰もが簡単に国境を越えられる時代だ。

若者の「海外離れ」が進んでいる


当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら
2016年の総務省『社会生活基本調査』によると、過去1年間に海外観光旅行をした国民の割合は7.2%、およそ14人に1人だ。しかし時系列推移をみると、1996年の10.4%をピークに減少の一途をたどっている。20代前半の若者の経験率も、この20年間で16.4%から12.9%に下がっている。このような変化を指して、国民(若者)の「海外離れ」などと言われている。

不況で経済的ゆとりがなくなった、インターネットで国外の情報が容易に得られるので行く必要性がなくなったなど、要因はいろいろ考えられる。大学生の場合は、学業の締め付けが厳しくなっているので、時間的余裕がなくなっていることもあるのではないかと思う。若者の内向化といった精神論を振りかざす前に、客観的な生活条件の変化に注目する必要がある。

生活条件という点でみると、地域間の違いも見逃せない。同じ若年層でも、都市と地方では海外旅行の経験率に大きな差異がある。15〜24歳の海外観光旅行経験率を都道府県別に出し、高い順に並べると<表1>のようになる。

全国値は9.7%だが、県別にみると東京の18.2%から青森の2.1%までの開きがある。東京は5人に1人で、青森は50人に1人だ。時間的余裕のある学生が占める割合等にもよるだろうが、この違いはあまりに大きい。同じ国内とは思えないほどの格差だ。

高率県の多くは首都圏や近畿圏に位置し、そこから遠ざかるほど率が低くなる傾向にある。海外への玄関口(国際空港)へのアクセシビリティという地理的要因もあるだろう。

経済的要因も関与している

また海外旅行には費用がかかるので、経済的要因も関与しているとみられる。<表1>の海外観光旅行経験率は、各県の1人あたり県民所得(2013年)と+0.5669という相関関係にある。こうした社会的、経済的条件により、若者のグローバル体験の機会に地域格差が生じている。

家庭環境による差も大きい。とりわけ、生活の全面を家庭に依存する子ども世代の格差が拡大している。小学生の海外観光旅行経験率を家庭の年収別に出した統計があるので、それをグラフ<図2>にしてみる。

年収が高い家庭の子どもほど経験率が高いが、注目されるのはこの10年間の変化だ。年収1500万円超の富裕層だけがグンと伸びている(12.0%→22.0%)。その一方で、年収300万円未満の貧困層では減少している。子どもの海外旅行経験の格差が拡大していることがわかる。

近年の学校現場では、グローバルな世界で通用する「生きる力」の育成が重視されているが、富裕層は同様の目的で国際体験を子どもに積ませようという意識が高いのだろうか。

こうした体験格差が、学校でのアチーブメントの違いに転化するであろうことは想像に難くない。大学入試も人物重視の方向に転換されるが、そうなった時、幼少期からの体験の違いがモノを言うようになる。

面接での仕草、立ち居振る舞い、話題の豊富さ……。ペーパーテストにも増して、育った家庭環境の影響を受ける要素だ。学校の特別活動は、こうした体験格差を是正することを目指さなければならない。

海外旅行の経験率という指標から、地域格差や階層格差によって深く分断された日本社会を見ることができる。

786チバQ:2017/08/27(日) 09:13:34
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170826-00000080-jij-pol
生活に満足、最高の74%=「この先悪く」も2割強―内閣府調査
8/26(土) 17:06配信 時事通信
 内閣府が26日公表した「国民生活に関する世論調査」によると、現在の生活に「満足」「まあ満足」と答えた人は合わせて約74%に上り、調査項目に加わった1963年以来最高となった。

 一方、生活がこの先「悪くなっていく」とみている人も2割強いた。

 生活に満足しているとの回答は、前年よりも3.8ポイント上昇して73.9%となり、これまで最高だった95年の72.7%を上回った。所得・収入について満足と回答した人は51.3%(前年比3.2ポイント増)で、不満と答えた人の46.9%(同2.7ポイント減)と逆転した。所得・収入で満足が不満を上回ったのは96年以来。内閣府の担当者は「景気が緩やかに回復しているため」と分析している。

 生活はこの先どうなると思うかとの質問には、「同じようなもの」が65.2%で最も多く、「悪くなっていく」は23.1%。「良くなっていく」は9.4%にとどまった。

 長時間労働是正などを柱とする「働き方改革」に絡み、今回初めて「自由時間が増えた場合にしたいこと」を質問。トップは旅行の47.0%で、趣味・娯楽が34.8%、スポーツが18.7%だった。

787とはずがたり:2017/09/15(金) 13:08:30

米国の貧困率、改善も「数年内に悪化」か
Forbes JAPAN 2017年9月15日 10時45分 (2017年9月15日 12時46分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/economy_clm/20170915/ForbesJapan_17725.html

米国勢調査局は9月12日、「米国の所得と貧困」に関する年次報告書を発表した。米国では2016年、貧困率が前年から0.8%ポイント低下、12.7%となった。これは朗報だといえる(ただし、それでも貧困者数はおよそ4060万人だ)。

家計所得の中央値は前年比3.2%増となり、2015年の5万7230ドル(約631万円)から5万9039ドル(約651万円)に増えた。また、医療保険に加入していない人の割合は、9.1%から8.8%に低下した。

さらに、世帯所得のみから貧困率を割り出す際の問題点を補うために政府が採用している「補完的貧困値」で見ても、貧困率は14.5%から13.9%に低下している。

「貧困」の定義の問題点

貧困者数に関する調査については、長年にわたって結果の正確さが問題視されてきた。統計に用いるのはサンプル(約9万5000世帯)であり、例えば税務記録に基づく分析結果などとは異なる。貧困の唯一の尺度として世帯所得に頼るのは、あまりに短絡的だとの批判もある。

米国内では確かに物価が下落しているが、不動産や医療、教育にかかる費用は増加している。貧困世帯の子供が大学を卒業することがどれほど困難か(大学を卒業する人の数は、富裕層では貧困層の8倍)、学費負担の影響の大きさ、医療費の増加の仕方を考えれば、世帯の消費支出を把握するだけでは何を予測するにも十分だと言えるだろう。

「補完的貧困値」は、公式な貧困者支援の対象とはならないものの、「低所得世帯・低所得者を支援するための政府プログラムを利用している人」を考慮し、国勢調査局が発表している数値だ。
つまり、所得が公的貧困ラインを上回っていても、政府の支援が必要な世帯はあるということだ。

この補完的貧困値に基づいて考えると、2016年の貧困率は13.9%。2015年から0.6%ポイント低下しているものの、公式な貧困率をかなり上回っている。

医療費に絡む危機的問題

所得が貧困ラインを下回る世帯のうち、医療保険に加入している世帯の割合は、83.7%だ。貧困ラインを400%上回る世帯の医療保険の加入率は95.6%。そうした中で、トランプ政権は医療保険制度改革法(オバマケア)で定められた保険会社への補助金を突然、大幅に削減すると発表した。

グループ別に見た貧困

貧困率は人種によって大きく異なる。貧困ライン以下で生活する白人の割合は8.8%。黒人とヒスパニック系の割合はそれぞれ、22%、19.4%となっている。アジア系は10.1%だ。

また、人種を考慮しない場合の女性の所得は、男性の約83%。どの年齢層で見ても、貧困ライン以下で暮らしている女性は男性よりも多い。さらに、婚姻の有無を考慮すると男女差は一層拡大する。配偶者どうしが同居する世帯の貧困率は5.1%。だが、世帯主が独身男性の場合は13.1%、独身女性の場合は26.6%になる。

貧困も「循環」

貧困率は歴史的に見て、長期にわたって上昇を続けたことも、下落し続けたこともない。米国では1959年以降、貧困率は最も低かった年に約11%を記録。一方で1980年代以降は、何度か15%に達している。

最新の報告書では13%を下回ったが、再び上昇に向かう時期が来るのはそれほど先のことではない可能性がある。遅くとも数年後には、再び上昇し始めるかもしれない。
Erik Sherman

788とはずがたり:2017/09/17(日) 22:29:55

世界の9人に1人飢える=紛争などで増加―国連報告書
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170917-00000082-jij-int
9/17(日) 20:16配信 時事通信

 【パリAFP=時事】人類の11%、9人に1人に相当する8億1500万人が2016年、慢性的に飢える状況にあったとの報告書を国連がまとめた。

 世界の飢餓人口は過去10年、減少傾向が続いてきたが、報告書は16年について「前年から3800万人の増加に転じた。紛争と(日照りや豪雨といった)気象状況が主な原因だ」と訴えた。

 15日付で公表された報告書は、世界食糧計画(WFP)、国連児童基金(ユニセフ)、世界保健機関(WHO)、国連食糧農業機関(FAO)、国際農業開発基金(IFAD)の国連5団体が協力してまとめた。シリアや南スーダンといった戦闘が続く国々で5300万人が「食べ物に不安を抱きながら」今も暮らしている。

 世界では5歳以下の子供1億5500万人が栄養失調で、その後の人生の健康や学力への影響が懸念される。うち約5200万人は衰弱し、身長にふさわしい体重を伴っていない。その一方で、世界には肥満児が4100万人もいて、増加傾向にあるという。

789チバQ:2017/10/17(火) 20:22:13
貧困とは何ぞやということを誰かこの爺さんに説明してやってくれ
百田尚樹‏
@hyakutanaoki

「俺たちはワーキングプアだ。貧困だ!」と、ネットカフェに寝泊まりしている若者が言う。
しかし、世界のどこに、スマホをいじりながら漫画を読み、ネットカフェに寝泊まりしている貧困層がいるのだ。
17:59 - 2017年10月16日

790チバQ:2017/10/21(土) 10:22:16
https://news.goo.ne.jp/article/mainichi_region/region/mainichi_region-20171019ddlk08010072000c.html
<この国の片隅から>17衆院選で考える/上 貧困救済したい…「こども食堂」 遠ざけるジレンマ /茨城
10月19日 00:00毎日新聞

 「どうぞ」と差し出されたお盆に、所狭しと並ぶご飯とおかず。湯気と香りを鼻から吸い込み、「いただきます」と手を合わせる。記者の隣では、小学生の男児がみそ汁をかきこんでいた。

 毎月第1、3土曜日、茨城保健生活協同組合(水戸市城南)の一室で開かれている「にこにこ食堂」を訪れた。給食のない土曜日にも子供たちが栄養のある食事を取れるよう低価格の食事を提供する、いわゆる「こども食堂」だ。

 この日の献立は、サケのマヨチーズ焼き▽冬瓜(とうがん)と鶏肉の煮物▽野菜いっぱいみそ汁▽季節のサラダ--など。オープンから毎回通っているという女児(9)が頬張っていたインゲンは、隣に座るボランティアの男性が育てたものだという。女児は「苦手なホウレンソウも食べられるようになった」と喜んだ。

 にこにこ食堂は2016年7月、同生協がオープンした。中学生以下とその保護者は100円、その他は300円でおなかいっぱいの昼食を食べられる。

 長男(10)と共に来ていた水戸市の女性会社員(47)は「安いのがなによりうれしい。忙しくて家では作れない品数や料理が並ぶ。毎週開いてほしい」と話す。家庭環境を詳しく聞くことはできなかったが、夜遅くまで働いているらしく、子供に満足な食事を出せないやりきれなさがうかがえた。

       ◇

 厚生労働省によると、平均的な年収の半分を下回る世帯で暮らす18歳未満の割合を示す「子供の貧困率」は2015年に13・9%。一人親世帯に限ると5割以上になる。03年から悪化傾向で、12年には過去最悪の16・3%に達した。非正規雇用の増加などが背景とみられる。

 「こども食堂」は元々、貧困対策を主な目的に始まった。だが最近は貧困よりも「子供の居場所」や「地域の交流の場」としてアピールしている。

 県内の運営関係者は「食堂に通っていると、『貧しい子』と思われてしまうから」と明かす。だが、それは本来の意義を薄め、かえって貧困に苦しむ子供を遠ざけるジレンマにもなる。関係者は「本当に貧困で苦しむ子供たちのための場所になりきれていない」と声を落とす。

 子供たちが傷つかないよう、家庭環境にはあえて触れないようにしているが、同生協の岡部佳代子理事(63)によると、子供が「親が仕事だから昼食はお菓子で済ませた」「夜は親がいないから食べない」などと、貧困をのぞかせることもあるという。

 子供たちは食べ終わると、自転車にまたがり、「また来るね」と手を振った。こども食堂が根本的な解決にならないことは分かっている。それでも、どこかで泣いている子が救われるかもしれない。【玉腰美那子】

       ◇

 この国の片隅でもがきながら生きている人々の姿を通じ、この衆院選で問われているものが何か、改めて考えたい。

………………………………………………………………………………………………………

 ■ことば

 ◇こども食堂

 保護者の困窮や共働き世帯などの理由で、自宅で満足な食事がとれない子供に、地域住民やボランティアが無料、または低額で温かい食事を提供する取り組み。2012年に東京都大田区内で始まったと言われる。全国のこども食堂の取り組みを紹介する「こども食堂ネットワーク」(東京都)には、今年10月現在で約270カ所が登録されている。自治体が運営するケースもある。

791チバQ:2017/10/21(土) 10:23:47
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201710/CK2017101702000285.html
派遣労働者 描けぬ未来 「雇用改善」は遠い国のこと

2017年10月17日 夕刊


東京湾岸行きのバスを待つ男性。派遣で夜勤の仕事を始めて10年がたつ=千葉県船橋市で
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 大晦日(おおみそか)の東京・日比谷公園に「年越し派遣村」が設けられ、「派遣切り」で住まいを失った人が寝場所を求めて続々と集まったのは九年前。衆院選で安倍晋三首相は雇用の改善を強調するが、不安定な非正規雇用の割合は高止まりしたままだ。東京湾岸一帯の倉庫や工場で働く非正規労働者からは、将来を描けない不安の声が漏れた。 (中沢誠、写真も)
 東京湾岸から近い千葉県船橋市の西船橋駅周辺は、派遣会社の営業所が目立つ。駅南口の通りは午前七時すぎになると、送迎バスを待つ労働者が列をなす。
 仕事を終えた人たちで再び喧噪(けんそう)が始まる午後六時。バスから降りてきた三浦昭寛さん(38)=神奈川県座間市=に声を掛けた。
 日給七千円。この日はレーンを流れるペットボトルや生活用品を商品ごとに振り分ける作業だった。「六千八百円の原付免許の更新料を払わないといけなくて…」。普段は派遣で週五日、神奈川県内の倉庫で携帯電話の部品の仕分けをしているが、給料日は一週間先。蓄えもなく、派遣会社に日雇いバイトの仕事を紹介してもらった。
 高校でいじめを受け、中退してから職を転々としてきた。「四、五年前に比べれば、時給は百円ほど上がったかな」。月の収入は十六万円ほどで生活はギリギリだ。
 人手不足なんだろうな、とは思う。別の派遣会社からは一週間を置かずに「働きませんか」と連絡が入る。外国人も増えてきた。それでも非正規から抜け出せない。
 三年近く付き合っている彼女との結婚を考え、昨秋、正社員の仕事を探した。飲食店や電機メーカーなど、六社の面接を受けたが、いずれも不採用。「企業は必要なときに安く働かせられる人がほしいだけ」と思い知らされた。
 非正規労働者が雇用の調整弁という状況は、今も変わらない。有効求人倍率一・五倍、戦後二番目の景気拡大…。与党の訴えもどこか遠い国のことのように感じるが、衆院選の投票には行くつもりだ。
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 「すぐに金がほしいから」と話す男性(22)は、日雇いで働くようになって二年。衆院選投票日の翌日に誕生日を迎える。「同じ職場で働く四十、五十代を見ると、いつか自分も、と将来に不安は感じる。でも、今必要なのは明日を生きる金」。政治には期待しない。
 人通りが減った夜の八時前、男性が湾岸行きのバスを待っていた。六十四歳。十年前にリストラに遭った。再就職はかなわず、派遣で物流倉庫の夜勤を続ける。
 年金は月五万円にも満たない。重さ二十キロを超える家電製品を運ぶこともあり、「体中ガタガタだけど、生きるためには仕方がない」。いつまでこのまま働き続けるのか。見えない明日を憂い、つぶやいた。
 「今のままでは何も変わらない。どんなかたちでもいい、政治に変化を求めたい。選挙には行く」。この日も、朝五時までの作業が待っている。
<非正規労働者> 1999年の労働者派遣法改正で建設業や警備業など5業種を除くほぼ全業種が対象となり、派遣労働が広がった。2004年には5業種のうち製造業が派遣可能になった。リーマン・ショック後、不況で派遣労働者の契約を打ち切る「派遣切り」が相次ぎ、社会問題となった。その後も非正規労働者は増加し、06年の1678万人から16年は2023万人に。厚生労働省の調査によると、このうち希望しても正社員になれない人の割合は15・6%を占める。

792チバQ:2017/11/17(金) 23:07:51
http://toyokeizai.net/articles/-/196136?utm_source=Twitter&utm_medium=social&utm_campaign=auto
正社員になれなかった56歳男性の厳しい貧困
夕食は毎日、卵かけご飯か納豆ご飯だけ
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藤田 和恵 : ジャーナリスト 2017年11月09日
現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。
おカネがなくて虫歯を放っておいたら…


この連載の一覧はこちら
時々、どうにも言葉が聞き取りづらい。一緒に入ったファミレスで出されたハンバーグも半分以上が残ったままだ。なぜだろう――。不思議に思っていると、キイチさん(56歳、仮名)が教えてくれた。上あごの歯は奥歯数本を残してすべて抜け落ちてしまったことと、数年前に胃がんの手術を受けて胃の3分の2を摘出したことを。

「歯医者は高いから。虫歯を放っておいたら、抜けてしまいました。(口腔内を)見られたくなくて、最近はあまり笑わなくなりましたね。胃がんのときもおカネがなくて。医者から“このままだったら、死にますよ”と言われ、消費者金融で30万円ほど借金をして手術を受けました。以来、一度に食べられる量が減ってしまったんです」

貧困は健康格差を招く――。キイチさんの体がそれを物語っていた。

経済的な事情などで高校を中退。正社員として就職した地元の中小企業の月給は、わずか十数万円ほどだった。もともと車好きだったこともあり、よりよい待遇を求めて長距離トラックの運転手へと転職。稼ぎは倍増したが、労働条件にはさまざまな問題があった。

運送会社の管理の下で出勤時刻も乗車する車両も決められていたのに、雇用形態は個人事業主。走行距離は1回の乗務で往復約1000キロに上ったが、会社側からは経費節減のためにできるだけ高速道路を使わないよう命じられ、やむをえず、睡眠時間を削って一般道路を走った。バブルの崩壊とともに復路は積み荷がないことが増え、それにつれ給与もダウン。20年近く勤めた頃に腰痛が悪化し、退職を余儀なくされた。もちろん退職金はゼロ。

その後、派遣社員として群馬や埼玉などの工場で働いた。給与は、月100時間ほどの残業があれば最大で30万円にはなった。一方で派遣元から用意された寮は、隣の部屋との仕切りが障子1枚きりだったり、部屋干しした洗濯物のほとんどがカビだらけになったりするような物件ばかり。にもかかわらず、家賃5万5000円を天引きされた。あるとき、同じ仕事に就いている正社員にはボーナスがあることを知り、派遣元に正社員になりたいと相談したところ「年齢的に無理です」と言われてあきらめたという。

そして埼玉・上尾にある大手自動車メーカーの工場で派遣社員として働いているときにリーマンショックに遭った。大部屋にキイチさんら派遣社員100人ほどが集められ、雇い止めと退寮の通告を受けた。重苦しい空気の中、誰一人として質問や抗議の声を上げることはなく、失業保険の申請方法の説明に無表情で聞き入る同僚たちの姿を、今もよく覚えているという。

「テレビで『派遣切り』のニュースを見ていたので、不安に思っていました。ショックでした。何年も正社員と同じように働いたのに、おかしいなとも思いました。けど、どうにもならない。1人ではどうにもできないじゃないですか」

793チバQ:2017/11/17(金) 23:08:16
50社以上立て続けに不採用

寮を追い出されたのは冬の最中。カビだらけの服は捨て、残ったありったけのシャツやセーター、コートを着込み、駅前や公園で1カ月ほどホームレス生活を送った。その後、雇用促進住宅に入居。ハローワークに通い、紹介された会社の採用面接を受けたが、不採用が続いた。次第に気分が滅入り、「酒に逃げるようになってしまった」という。50社以上立て続けに落ち、1晩で焼酎2リットルを空けるようになった頃、ハローワークの相談員から医療機関を受診するよう勧められた。うつ病と診断された。

運送会社や派遣会社による理不尽な仕打ちの数々に、さぞ怒っているものと思いきや、キイチさんは意外にも穏やかな表情でこれまでの働き方をこう振り返る。

「トラック運転手の仕事は面白かったです。いったん出発してしまえば、車内で好きな音楽を聴くこともできましたし。どんな曲を聴いていたかですか? 私の世代のアイドル、明菜やキョンキョンですよ。派遣は立ち仕事のうえ、3交代で夜勤もあったので腰はつらかったですが、好きな車にかかわれる仕事でしたから。できるならもう一度工場で働きたいと思っています」

キイチさんはうつ病診断後も就職活動を続けている。給与や雇用形態に特に条件を付けているわけではないが、年齢のこともあるのか、なかなか定職には就けない。そうした中、雇用促進住宅の取り壊しが決定。不動産会社で賃貸アパートを探したが、入居には身元保証人が必要だと言われた。両親はすでになく、ほかに頼れる親族もいなかったので、やむをえず、1年ほど前にインターネットで見つけたNPO法人が運営する知的・精神障害者を対象としたグループホームへと引っ越したのだという。

この施設の入居費用は1日2食付きで月約8万円。ところが、キイチさんに言わせると、食事はすべてレトルト食品で、しかもブロッコリーや白菜の煮物など野菜ばかりだった。さらに職員は世話人1人が夕方から朝にかけて泊まっていくだけで、あとはほったらかし。終始温厚だった彼が珍しく不満をあらわにした。

「(食事は)肉なんて一度も出たこと、ありません。NPOっていうのは非営利なんですよね。なのに、法人の理事長はランクルとか、エルグランドとか、高級車をとっかえひっかえしていましたよ。後になってテレビで『貧困ビジネス』という言葉を知りました。この施設のことだと思いました」

結局、70万円ほどあった貯金は半年余りで底をつき、施設を追い出された。今年に入ってからは、付き合っている女性の賃貸アパートに「居候させてもらっている」。その女性もうつ病でフルタイムの就労は難しい。現在、毎月の収入は、最近支給が認められたキイチさんの障害年金と、女性の生活保護費を合わせて約13万円。いちばんの困りごとは、満足な食事ができないことだという。

うつ病の症状はさまざまだが、体調が悪くなると自炊ができないという人は多い。キイチさんたちも自炊は難しく、食費は割高になりがちだ。食事は基本、朝はコンビニの100円の総菜パン、昼はインスタントラーメン。夜は卵かけご飯か納豆ご飯を交互に食べる。たまのぜいたくが、格安のソーセージか豆腐を付けること。時々、精神障害者向けのデイケア施設に通うのは、無料で提供される弁当が目当てだと打ち明ける。

「総菜パンも、本当はコロッケやソーセージの入ったのを食べたいです。でも、それが買えるのは割引セールのときだけです。野菜を取ったほうがよいのはわかっているのですが、たとえばレタスを買っても、2人では食べきれず腐らせてしまいます」

794チバQ:2017/11/17(金) 23:08:36
おカネか命か、日々選択を迫られる

キイチさんは、自分が胃がんになったのは、失業してうつを患って以降、ろくな食事ができなくなったことと関係があるのではないかという疑念を捨て切れない。また、同居している女性は心臓に持病があり、医師からは塩分などを控えるよう指示されている。しばらく、医師から勧められた宅食サービスを利用したが、「1食500円以上かかるのでとても続けられませんでした」。結果、半年ほど前に心不全の発作に見舞われた。おカネか命か――。彼らの暮らしは日々、そんな究極の選択の繰り返しである。

企業による脱法行為や派遣切り、貧困ビジネス――。キイチさんの来し方から浮かび上がるのは、行政の不作為である。企業が社会保険料などの負担を避けるため、実質的な従業員を個人事業主として扱う手口は今に始まったことではない。しかし、行政が本腰を入れてこの問題の改善に乗り出したという話はついぞ聞いたことがない。また、工場など製造業への派遣は改正労働者派遣法による規制緩和で認められたが、雇い止め対策などに目が向けられることはなかった。貧困ビジネスも社会問題化して久しいが、野放し状態。彼が被害に遭ったと訴えるNPO法人は、今も厚生労働省所管の「福祉医療機構」が運営する情報サイトで入居者の募集を続けている。

不安定雇用を強いられながら社会や会社に貢献したキイチさんは、必要がなくなると簡単に切り捨てられた。戦後最長と称される「いざなみ景気」もアベノミクスも、彼の暮らしにはなに1つ恩恵をもたらしてはいない。

不思議だったのは、社会や政治に対する不満について尋ねたとき、キイチさんが「日本がアメリカに加担して戦争ができる国になってしまったことです。もう1つは、自宅前の道路の車の騒音がひどいので早く対策をしてほしいことです」と答えたことだ。安倍晋三政権下で成立した安全保障関連法と、地域の道路整備についての話である。どこか借り物のような言葉に違和感を覚え、働かされ方に不満はないのですかと水を向けてみると、まるで覚えた「答え」を思い出すように「白髪頭の何とかという総理大臣が……」と話し始めた。小泉元首相による一連の規制緩和政策のことだ。

「好きでこういう状態になったわけじゃない」

こうした「答え」は、雇用促進住宅への入居手続きを手伝ってくれた地元議員や、その議員が所属する政党の人たちが話していたことだという。10月に行われた衆院選でも、頼まれてこの野党政党の候補のビラ配りなどを手伝った。ただ、政策に共鳴したからというよりも、「ホームレスをしていたときに、お世話になったので」という感謝の気持ちが大きいようだった。

もしかすると、キイチさんは卵かけご飯しか食べられない現実に困ってはいても、怒ってはいないのかもしれない。私の戸惑いを気遣うように、彼が言った。

「私だって好きでこういう状態になったわけじゃない。それは確かですよ」

口元を隠した、独特の空気の抜けたようなしゃべり方。その言葉はやはり、耳を澄まさなければ聞き取ることができなかった。

795チバQ:2017/11/17(金) 23:10:10
http://toyokeizai.net/articles/-/193885
年収300万円「非常勤講師」が苦しむ常勤の壁
20年で100以上の大学の公募に応募したが…
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藤田 和恵 : ジャーナリスト 2017年10月25日
現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。



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秋の深まりは慌ただしく、そして唐突だった。前日までの陽気から一転、冷気を含んだ雨が、夏の名残をかき消したその日、JRの駅ホームのベンチでたたずむジロウさん(55歳、仮名)の姿があった。ディスカウントショップで買ったという紺色のジャケット。いつも重たいショルダーバッグをかける左肩部分が白く毛羽立っている。おもむろにバッグからおかかのコンビニおにぎりとスポーツドリンクを取り出した。これがこの日の昼食だという。

「時々、隣で女子高生たちもお昼ご飯を食べています。そんなときは、“なんなの?このおじさん”という視線を感じます」

任期付き教授から非常勤講師へ

ジロウさんは1年前まで、地方にある私大の任期付き教授だった。その後、大学での職を得ることができず、現在は、東京都内の私大と関東近郊の専門学校で非常勤講師として勤める傍ら、子ども向け福祉施設の指導員や高齢者施設の夜間受付などの仕事をかけ持ちしている。500万円以上あった年収は激減。今ではすべての仕事を合わせても300万円に届かない。

夜間受付の勤務を終えて深夜に帰宅した翌日に1時限目の授業が入っているときは、朝6時に出勤しなくてはならない。職場間の移動には2時間近くかかることもある。しかし、仕事によっては交通費も出ない。心身はもちろん、時間的にも経済的にも余裕はなく、昼食は駅のホームでおにぎり1個を食べるのが精いっぱいだ。

ジロウさんはこの20年間で100以上の大学の公募に応募してきたが、採用されたのはわずか5校ほど。採用の過程が不透明なことが、どうにも納得できないと憤る。

「大半が出来レース。公募の段階ですでに合格者が決まっているとしか思えないことがありました」

ある私大では、書類選考を通過し、事務担当者から面接日を指定された直後に担当教授から電話があり、「ご辞退いただけないでしょうか」と頼まれた。納得できずに食い下がると、すでに合格者が決まっていると打ち明けられた。

また、別の私大では、面接までこぎ着けたが、不合格。後になってその大学に勤める知人から「学部長の推薦を受けた人が選ばれた」と教えられた。論文や書籍などの執筆件数では断トツで勝っているのに、教授らと面識のある10歳以上年下の若手研究者にポストを奪われたこともある。

試験を受けても合否の連絡が来ないこともあったという。ある有名私大では、ジロウさんから何度も問い合わせをした結果、ようやく不合格と告げられたが、なぜか不合格通知は出せないと言われた。また、別の大学では採用試験から半年近く過ぎても合否が判明しないので、業を煮やして文部科学省を通して問い合わせたところ、ようやく走り書きのような手書きの不合格通知が届いた。

今年に入ってからも、ある地方の私大の公募の面接を受けた。このときは、模擬授業の手応えもよく、担当者からは業務内容や給与など採用条件について詳しい説明を受けたという。ジロウさんは「(担当者からは)“授業の時間割は、先生のご都合によって組み替えることもできます”とも言われました。十中八九、合格したと思いました」と振り返る。しかし、結果は不合格。理由はわからない。

796チバQ:2017/11/17(金) 23:10:33
研究業績を積んできたという自負がある

ジロウさんの専門は児童福祉で、共著なども合わせると20冊近い著作がある。フィールドワークにも積極的に携わり、児童虐待に関するユニークなアンケート調査を行った際には、テレビ局や新聞社から取材を受けたこともあるという。

相当の研究業績を積んできたという自負のあるジロウさんは「(選考の基準が)実力主義じゃないんです。大学も経費削減を迫られているので、(人件費が低くて済む)若手を雇うという判断はある程度理解できますが、こんなことばかりしていると教員の質は下がる一方だと思います」と訴え、その証拠として、ここ数年、大学教員によるアカデミックハラスメントをめぐる裁判ざたや懲戒処分が相次いでいることを指摘した。


大学の教員ポスト自体が減少傾向にある中、選考過程の不透明さを指摘する声は少なくない。大学院の博士課程を修了したポストドクターらの間では、公募にも、本当に一から選考する「ガチ公募」と、すでに内定者が決まっている「コネ公募」があるといわれる。文部科学省所管の科学技術振興機構が運営する研究者人材データベースで、多くの大学が教員採用の際に利用する「JREC-IN Portal」の求人にもコネ公募があるとされる。「コネをつくるのも実力のうち」との考えには一理あるが、すでに採用される人が決まっているのに、公正性という体裁を整えるためだけに公募をかけるのだとすれば、それは看過できない問題なのではないか。

コネで入ったら自由な研究ができなくなってしまう

ジロウさんは地方の進学校を卒業後、東京の私大に進んだ。大学の研究者になるのが夢だった。大学院などを経た後、全国の大学で任期付きの講師や准教授などとしてキャリアを積んだ。この間、人脈をつくる機会がなかったわけではない。若い頃、学会などに顔が利く教授から公募の際には推薦しようと持ち掛けられたが、断ったという。

「コネで入ったら、お世話になった人に頭が上がらなくなる。自由な研究ができなくなってしまうと思ったんです」

現在、妻と3人の子どもは地方都市で暮らしている。自宅は妻が両親から相続した持ち家だが、東京で生活するジロウさんには別途6万円を超える家賃がかかる。家族と離れて暮らす理由を「自己投資です」と言い、関東圏のほうが非常勤講師や教員の仕事を見つけやすいほか、参加したい研究会なども東京で開かれることが多いからだと説明する。

妻は嘱託の保育士で、年収は200万円足らず。夫婦の収入を合わせても家計は厳しく、ジロウさんは大学での仕事を失って以降、酒とたばこをやめた。食事はコンビニのおにぎりのほか、牛丼などのファストフードで済ませることがほとんど。食費は抑えられるが、代わりに持病の糖尿病の状態を示すヘモグロビンA1c(エーワンシー)の数値は、この1年間で「6.5」から「7.7」に急上昇した。

コネや人脈を利用する機会を拒んできたことに「悔いはない」と語る。その一方で、高校生になる子どもたちがアルバイトに精を出す姿を見たり、大学受験を控えた子どもが「国公立しか受けない」と言っているのを聞いたりすると、申し訳なく思うと言う。また、大学時代の同窓生たちがいわゆる大手企業に就職し、今は年収1000万円以上を稼ぐまでになっていると知ると、「もう少し賢く生きる道もあったのでは」と複雑な気持ちになる。

797チバQ:2017/11/17(金) 23:10:49
話を聞く中で、ジロウさんはこれまで希望するポストを得られなかった理由を「運が悪かったからだ」と嘆いた。一方、別の場面では「運のせいにはしたくない」とも言う。私がそのことを指摘すると、揺れる心の内をこんなふうに語った。

「自分が選んだ道なので、運のせいにはしたくない。運のない、かわいそうな人だとは思われたくないんです。でも、これまで数えきれないほど屈辱的な目に遭ってきたのも事実。運で片付けないとやりきれない気持ちになることもあるんです」

学生らしい理想に燃えた日々は今も彼の中にある

ジロウさんからは、取材場所として東京・高田馬場界隈の喫茶店を指定された。そこから程近い早稲田大学の出身なのだという。その喫茶店はサークル活動や飲み会の後などによく利用した。店内の深紅のじゅうたんやレトロな装飾を見て、学生時代とほとんど変わっていないと喜び、大学の4年間を「人生の中でいちばん輝いていた時代。まさに青春でした」と振り返る。

高校までは受験勉強一色。大学に入ってからはサークル活動の一環で、地域の子ども会でのボランティアに明け暮れた。その中で、発達障害や児童虐待に関するリアルな問題に触れるうちに、生涯の研究テーマとなる児童福祉に興味を持ったのだという。

ジロウさんによると、当時のサークルには「セツルメント運動」の名残があった。セツルメントとは、もともとは宗教家や学生らによる貧民救済活動の一種。日本では1920年代に東京大学の学生らが関東大震災の被災地域などに出向き、さまざまな救済活動を展開したことで知られる。今でいうボランティア活動の走りでもある。学生らしい理想に燃えた日々は今も彼の中で色あせることがない。

コネ公募がまかり通る世界で、理想を追い求めても幸せが待っているとは限らない。しかし、いまやその理想こそがプライドを支える拠り所なのだ。現在も別の大学の選考結果を待っている。絶望の一歩手前。「実力」が評価される未来を信じている。

本連載「ボクらは『貧困強制社会』を生きている」では生活苦でお悩みの男性の方からの情報・相談をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。

798とはずがたり:2017/11/18(土) 10:46:46
>「一般事務なんて贅沢だ。どんな仕事でもいいから働け」と言うなら、それは横暴というものです。「自由」を標榜する新自由主義者は、「田舎に住んでいるから仕事がないんだ。東京で働け」と言い、彼らは他者の自由は認めず、まるで全体主義的な発想です。……
みんなが一般事務しかやらなかったら社会は動いていけないし田舎で住むからカネ寄越せってのに一々答えてられないやろ。
寧ろ安倍は田舎に税金の無駄遣いして人手不足なのに仕事作りまくり。全然自由主義ではない。云ってる事がM,滅茶苦茶だ。

水野和夫 アベノミクスは完全に失敗した
http://gekkan-nippon.com/?p=12704
2017/11/9 水野和夫, 立ち読み

アベノミクスを見直せ

 日経平均株価が約26年振りに2万3千円台を回復したと報じられています。安倍首相はこの間、株価があがったことをアベノミクスの成果だとして強調してきました。しかし、株価があがったからといって国民生活が豊かになったわけではありません。実際、実質賃金は下落傾向が続いており、格差や貧困が拡大しています。こうした状況を転換するためにも、アベノミクスの見直しが必要です。

 ここでは、弊誌(とは註:月間日本)11月号に掲載した、経済学者の水野和夫氏のインタビューを紹介したいと思います。全文は11月号をご覧ください。

日本は階級社会になった

―― 安倍首相は解散総選挙にあたり、アベノミクスがいかに成果を上げてきたかということを訴えていました。この5年にわたるアベノミクスの評価を聞かせてください。

水野 安倍首相はアベノミクスによって企業収益が増加したことを強調しています。確かに企業の当期利益は2001年度をボトムに増加基調に転じ、2017年度の最終利益は過去最高益を更新する見込みです。しかし、その一方で、賃金は1997年から現在に至るまで下落傾向が続いています。国民総所得における賃金・俸給の割合は、1980年度には46・5%ありましたが、2015年度には40・5%まで低下しています。

 これは本来労働者が受け取るべき賃金が企業利益に付け替えられていることを意味します。労働分配率は、働く人の能力が低下しない限り、循環的な変動はあったとしても、大きく低下することはないからです。この労働者の「逸失賃金」はおよそ200兆円を超えるほどの巨額です。経済学者のトマ・ピケティは『21世紀の資本』(みすず書房)で、グローバル企業の経営者たちが「レジに手を突っ込んでいる」と言ったほうがいいと指摘していますが、同じことが日本でも起こっているのです。

 また、日本では金融資産を持たない世帯が急増しています。1987年には金融資産非保有世帯(2人以上世帯)は3・3%でしたが、2016年には30・9%となり、調査開始以来最高水準となりました。このうち40歳代の非保有率は35・0%で、リーマンショック以降の上昇幅を見ると、20歳代に次いで高いという結果になっています。40歳代は子育て中の人が最も多い世代です。この世代で格差が広がっているということは、子供たちの間で生まれたときから格差や不平等が生じているということです。

 このように、現在の日本では格差や貧困が拡大し、階級社会になってしまっています。なぜこれでアベノミクスが成功したと言えるのか、理解に苦しみます。

―― 安倍首相はアベノミクスによって有効求人倍率が上昇したと主張しています。

水野 有効求人倍率が上昇した要因はいくつかあります。一つは、団塊の世代がごっそり退職したことです。団塊の世代の退職者のほうが新卒者よりも多ければ、人手不足になるのは当然のことです。しかし、これは人口構成の変化によって生じたことであり、アベノミクスのおかげではありません。

 もう一つは、建設業で人手不足が生じていることです。これは東日本大震災や熊本地震などの自然災害と、東京オリンピックによるところが大きいと思います。しかし、オリンピックの招致には安倍政権も関わっていますが、自然災害はアベノミクスとは何の関係もありません。

 また、有効求人倍率のデータを細かく見ると、最も希望の多い「一般事務の正社員」の有効求人倍率は1・0を大きく下回っています。つまり、労働者たちが最も希望する仕事は企業からほとんど提供されていないということです。それゆえ、全体の有効求人倍率が上昇したからといって、それほど自慢できることではないのです。

 「一般事務なんて贅沢だ。どんな仕事でもいいから働け」と言うなら、それは横暴というものです。「自由」を標榜する新自由主義者は、「田舎に住んでいるから仕事がないんだ。東京で働け」と言い、彼らは他者の自由は認めず、まるで全体主義的な発想です。……

799とはずがたり:2017/11/27(月) 10:59:36
学校法人潰したから貧乏なんであって国会議員やってたから貧乏ではないやん。

「おカネまったくないねん…」あの小泉チルドレンが貧困を告白!
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171127-00010000-gendaibiz-pol
11/27(月) 7:02配信 現代ビジネス

いまはシェアハウスに住んでいる
「元国会議員でホームレスになったりする方もいる」――。自民党総務会長の発言に世間が驚いた。いったい、ホームレス状態にまで追い込まれている元国会議員は実在するのか。

現在の井脇氏の姿はこちら

本日発売の週刊現代が、小泉チルドレンとして世間の注目を浴びた「あの人」の切実すぎる近況を報じている。

「元国会議員で生活保護を受けたり、ホームレスになったりする方もいると聞いている」

自民党の竹下亘総務会長の発言が話題だ。

国会議員の議員年金は、'06年に廃止されている。だが、

「このままでは有為な人材が集まらなくなる」

と、11月14日に開かれた自民党総務会で、議員年金復活が議題になったのだ。

村上誠一郎代議士が言う。

「国会議員の報酬は年間約2100万円ですが、私設秘書への給与や地元事務の経費でほとんどがなくなる。

議員年金がないと、引退すればホームレスになってしまってもおかしくないのです」

言及された「ホームレスになった元議員」とは誰か。「彼女では?」と記者のあいだで噂になったのが、この女性である。

井脇ノブ子。

「やる気、元気、井脇!」をキャッチフレーズに、'05年の郵政選挙で「小泉チルドレン」の一人として初当選(比例近畿ブロック)。

ピンクのスーツを着込み、中年のオッサンばりのルックスで知られていた。

'09年に落選後は、いつの間にか世間から姿を消していた井脇氏が、本誌の取材に答えた。

「おカネ、まったくないねん。持ち家ももちろんない」

井脇氏は、いま71歳。ホームレス疑惑は否定するが、都内のアパートで、元支援者の女性(76歳)と、「シェアハウス」状態で生活しているのだという。

「いまの収入は国民年金が毎月7万8000円。そこから毎月3万円だけ払って、(元支援者の)部屋に住ませてもろうとんねん。

選挙は何回も出たけど、費用は全部自己負担やった。ポスター代や宣伝カーのガス代といった借金の返済が、やっと来年の3月ごろ終わるのよ。ほっとするわあ」

生活のやりくりは大変のようだ。この日も着ていたピンクのスーツは、かつての教え子に送ってもらったものだという。

議員年金があれば……と思わないか?

「あったほうが助かるわな。私は保険もゼロや。死んでも一銭も出えへん。
だから月3000円の保険、あるやろ。あれを掛けようかなと思うとんねん。そしたら葬式代100万円くらい出るやろ」

井脇氏は、小学4年のとき、兄が殺人容疑で誤認逮捕された。真犯人が捕まるまで地元・大分で村八分同然だったという。

「村の人が通りかかって『殺人犯の妹や』というてくんですよ。私は『大人が何を言うか』と大声で言い返したよ。負けておれるかと思った」

母親に「差別のない社会をつくりなさい」と言われたことが井脇氏の政治家としての原点だ。

地盤も看板もカバンもないなか、代議士になった。

だが'11年には、経営していた学校法人が12億円もの負債を抱える。連帯保証人として、債務の返済に追われた。自宅は差し押さえられ、'15年には競売によって強制売却された。

それ以来のシェアハウス暮らしである。

「二世、三世の議員が多いことはおかしい。そりゃあ選挙は強いよ。だけどそれだけの情熱をみんなが持っているかというと、疑問やなあ。

小選挙区制は、政治家をダメにしたね。ペコペコ頭を下げる議員ばっかりになっちゃったよ」

今は政界引退の身だが、自民党二階派の「特別参与」の肩書を持ち、毎週の会合にも出席している。

今の彼女なら、弱者の視点に立った政治ができるかもしれない。

週刊現代

800とはずがたり:2017/11/27(月) 18:40:48
「低所得層」とは、どのくらいの収入の人たちのことなのか
https://thepage.jp/detail/20160421-00000008-wordleaf
2016.04.25 07:00

 ここ数年、ニュースなどで低所得者あるいは低所得層というキーワードに触れる機会が多くなっています。日本経済は長期的な低迷が続いており、相対的な豊かさが低下してきていますから、こうしたキーワードが目に付くのも無理はありません。しかし、低所得者とはイメージ的には分かりやすくても、実際、どの程度の収入の人のことを指すのかはっきりしていません。ここでは低所得者について少し詳しく解説したいと思います。

低所得層の定義とは?

 実は低所得者に関する明確な定義というものは存在していません。マスメディアなどでは年収300万円以下を指していることが多いようですが、統一された基準ではないと考えた方がよいでしょう。

 所得水準を考える際に注意する必要があるのは、個人の年収と世帯年収の違いです。同じ年収300万円でも、夫婦が仕事を持ちそれぞれが300万円を稼いでいる場合には、世帯年収は600万円となり、平均値は超えることになります。年収500万円で専業主婦の世帯よりも所得は多くなりますから、一概にどちらが豊かとは断定できません。

低所得層の世帯収入はどのくらい?

 厚生労働省など、福祉行政を担当する官庁では、世帯収入が生活保護水準に近いところを低所得者として位置付けることが多いようです。住民税が課税されない所得水準を基準にすることもありますし、相対的貧困率を計算する際の貧困線(可処分所得の中央値の半分)を基準にすることもあります。ちなみに、住民税が課税されない所得水準は、東京で夫婦と子ども一人の場合は200万円程度、相対的貧困率を基準にする場合には122万円となります。

 ただ、この水準では、子どもがいる世帯の場合、現実に生活するのが困難になってきますから、生活保護などの支援が必要となります。実際に生活が困窮している層と、先ほどの年収300万円以下の層を同じ所得階層として位置付けてよいのかは解釈が分かれるところでしょう。厚生労働省も、調査によっては200万円以下を低所得者とするなどケースバイケースの対応をしているようです。

公的支援を受けられる水準は?

 もっとも、税金という面から見た場合、所得水準の解釈は少し変わってきます。日本の所得税は累進課税制度となっており、所得の低い人からはほとんど税金を取らず、所得の高い人からたくさん徴収する仕組みになっています(所得税として徴収される税金のうち半分は、納税者の4%にすぎない1000万円以上の高額所得者からのものです)。累進税率の上昇ペースは、600万〜700万円、1000万〜1500万円を境にして大きく変化します。つまり税制の面では、600万円以下は所得が少ない人、600万〜1000万円を中間層、1000万円以上を高額所得者と見なしていると解釈することが可能です。

 総合的に考えると、世帯年収が300万円以下の場合には、低所得者と考えてよいかもしれません。しかし、公的な支援を受けることができる水準ということになると、200万円以下が基準と考えれば分かりやすいでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

801とはずがたり:2017/12/03(日) 22:14:34

どうしたら偽名で年間200万も貰えるんだ?そんなんで行けるならおれだってやりてえぞ。ちゃんと困ってる奴の所へ渡るように制度設計せえや

うっかり実名…6年間で生活保護費1200万円“詐取”
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20171129-00000048-ann-soci
11/29(水) 18:44配信 テレ朝 news

 うっかり実名を書いてしまったことから不正が発覚しました。

 派遣社員の坂田智司容疑者(53)は、東京・江戸川区の福祉事務所で、実在しない「酒田明」という無職の人物になりすまして生活保護費約150万円をだまし取った疑いが持たれています。警視庁によりますと、坂田容疑者は他の給付金を申し込む際に実名を書いた書類を提出し、顔を知っていた職員が嘘に気が付いて不正が発覚したということです。容疑を認めていて、「6年間で1200万円ほど不正に受け取った」と話しています。

802とはずがたり:2017/12/10(日) 09:31:23

生活保護世帯の大学進学、一時金支給へ 政府方針
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171210-00000005-asahi-soci
12/10(日) 3:06配信 朝日新聞デジタル

 生活保護を受ける世帯の子どもの大学や専門学校への進学を支援するため、政府は来年4月から入学時に一時金を支給する方針を固めた。親元を離れる場合は30万円を配る。同居を続ける場合は10万円とし、さらに生活保護費の住宅費の減額ルールをやめる。来年の通常国会に提出する生活保護法の改正案に盛り込む。

 受給世帯の大学などへの進学者は昨年度で4619人。進学率は33%で、全世帯の73%を大きく下回る。この教育格差が親から子どもへの「貧困の連鎖」を生んでいるとして、対応を求める声が広がっていた。

 一時金の名称は「新生活立ち上げ費用」。パソコンや教材のほか、一人暮らしを始める場合は生活用品などに使うことを想定する。

朝日新聞社

803とはずがたり:2017/12/14(木) 21:26:24
生活保護費引き下げへ 都内4人世帯で13%減の試算も
https://news.goo.ne.jp/article/asahi/politics/ASKDG4WC1KDGUTFL00C.html
20:05朝日新聞

 厚生労働省は14日、生活保護費のうち食費や光熱費などの生活費にあたる「生活扶助費」を、来年度から引き下げる方針を決めた。地域や世帯類型によって増える場合もあるが、都市部や多人数の世帯の多くが減る見通しだ。厚労省が8日に示した原案では減額幅は最大で1割を超す。当事者や支援団体らの反発は強く、厚労省は減額幅を縮小した上で来週に支給水準を正式に決める。

 生活扶助費の支給水準は5年に1度見直されており、この日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の部会が大筋で了承した。

 生活扶助費は、生活保護を受けていない一般世帯の年収下位10%層の生活費とバランスを保つように決められている。厚労省は、世帯類型ごとに一般低所得世帯と均衡する扶助額を算出。特に多人数世帯や都市部の世帯で現在支給されている扶助額が、同じ類型の一般低所得世帯の支出より高い水準になっていた。

 扶助額は地域別には6段階ある。減額幅が大きい見通しの東京23区や大阪市など上位2段階の受給者が約6割を占めるため、生活扶助全体でも減額となる。

 原案では、東京23区で40代夫婦と中学生、小学生の4人家族は13・7%減の15万9960円、65歳の単身高齢者は8・3%減の7万3190円となる。一方、6段階で最も水準が低い地方に住む30代母と小学生の母子世帯は、13・4%増の10万5020円になる。(佐藤啓介)

804とはずがたり:2018/01/06(土) 16:46:12

中高年の引きこもり初調査へ=政府、40?59歳の実態把握
14:35時事通信
https://news.goo.ne.jp/article/jiji/politics/jiji-180106X956.html

 政府は、引きこもりの長期化を踏まえ、40?59歳を対象にした初の全国調査に乗り出す。人数を推計するほか生活状況などを把握し、今後の支援策に生かす。これまでは15?39歳を対象に調べていたが、対象者の加齢に伴い、中高年にも調査を拡大する必要があると判断。2018年度予算案に調査費2000万円を計上した。

 具体的な調査方法は、40?59歳の人が居る5000世帯を抽出。本人や家族に、外出頻度や引きこもりになったきっかけ、家庭状況、必要としている支援などを尋ねることを想定している。政府は調査結果を、まずは家族の支援につなげたい考えだ。

 政府は09年に成立した「子ども・若者育成支援推進法」に基づき、10年と15年に引きこもりの調査を実施。だが、引きこもりの長期化によって、「子ども・若者」に該当しない人が増えている。80代の親と50代の無職の子供が同居し、社会から孤立して困窮する状況は「8050」問題と呼ばれ、公的な支援を求める声が広がっている。

 長期化の傾向は、過去2回の調査結果に表れている。学校や仕事に行かず半年以上、自宅にこもる人は推計で、69万6000人から54万1000人へと減少。だが、引きこもりの期間については、最長の「7年以上」との回答が16.9%から34.7%と大幅に増加した。

805とはずがたり:2018/01/25(木) 19:18:58
これあるよね。高福祉を支持する左翼の一定層は恵まれたインテリ層である。俺はそれを恵まれた層が優しさを持ってるからだと解釈してたけど(逆が貧乏から自力でのし上がった橋下みたいな元貧困層が右翼になる),もっと構造は絶望的なのかも。。
>そのうえ大沢によれば、「負担分を無視して純粋に政府からの所得移転だけをみても、日本は一番豊かな上位二〇%のほうが一番貧しい二〇%よりも多く移転されている」。つまり今の制度は、豊かな層の方が得るものが多く、「低所得層は、負担は相対的に重く、受け取るものは相対的にもかなり貧弱」だ。非正規雇用のひとり親家庭などは、「政府が所得再分配することによって却(かえ)って貧困が深まってしまう層もいる」という。
>そうだとすれば、高所得層が「高福祉高負担」を支持し、低所得層がそれを支持しないのは当然のことだ。現在の制度のまま「高福祉高負担」になったら、自分が得をするのか損をするのかを、人々はよく理解しているのだともいえる。

(論壇時評)福祉の逆説 充実を支持する層は 歴史社会学者・小熊英二
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13328706.html?rm=150
2018年1月25日05時00分

 福祉の充実が、貧しい人に支持されていない。嘘(うそ)のようだが本当の話だ。

 福祉の専門家である大沢真理・宮本太郎・武川正吾が座談会を行った〈1〉。そこで武川は、福祉に関する5年ごとの意識調査の結果を紹介している。

 それによると2000年には55%、2010年には7割近くが、税は高くても福祉が充実した「高福祉高負担」を支持していた。ところが問題は、「高福祉高負担」の支持者が、「比較的所得の高い人、負担を余(あま)り感じていない人」だったことだ。支持が多いのは高所得男性と高齢者で、低所得者、身体労働者、生産労働者、若年層は支持が相対的に低かった。

 これは逆説的な話だ。普通なら低所得層が福祉の充実を支持し、高所得層が福祉の負担を嫌うものだ。だが大沢はこの結果を、「ちゃんと国民は負担と給付の構造を実感していた」と評している。

     *

 どういうことか。高福祉高負担とは、負担は重くなるけれど、そのぶん見返りも大きくなることだ。いまの福祉が、所得の高い人から税や社会保険料を多めにとり、所得の低い人に重点的に給付する制度だったら、所得の低い人は「高福祉高負担」を支持するだろう。ところが、日本の制度はそうなっていない。

 大沢によれば「日本の税・社会保障制度はOECD諸国の中でも最も累進度が低」い。とくに社会保険料は、低所得の人ほど相対的に負担が重い。自営業や非正規雇用の人に多い国民健康保険や年金の一号被保険者の保険料は、「低所得者の当初所得の一〇〇%を超えてしまう状況」まである。また所得が高い傾向がある正社員と専業主婦の世帯は、年金や税控除の面で有利だ。

 そのうえ大沢によれば、「負担分を無視して純粋に政府からの所得移転だけをみても、日本は一番豊かな上位二〇%のほうが一番貧しい二〇%よりも多く移転されている」。つまり今の制度は、豊かな層の方が得るものが多く、「低所得層は、負担は相対的に重く、受け取るものは相対的にもかなり貧弱」だ。非正規雇用のひとり親家庭などは、「政府が所得再分配することによって却(かえ)って貧困が深まってしまう層もいる」という。

 そうだとすれば、高所得層が「高福祉高負担」を支持し、低所得層がそれを支持しないのは当然のことだ。現在の制度のまま「高福祉高負担」になったら、自分が得をするのか損をするのかを、人々はよく理解しているのだともいえる。

     *

 貧しい人が福祉の充実を支持していないという状況は、選挙にも表れる。

 政治学者の西澤由隆は、1993年から2010年の国政選挙のパネル調査データを解析し、階層別の政治意識を検証した〈2〉。それによると、所得が下位30%の層は「福祉よりも減税」を求め、むしろ高所得層の方が「増税しても福祉充実」を望んでいた。そもそも下位30%の層は、福祉を政党選択の基準としていなかったという。

 西澤はこの調査結果をもとに、日本の論壇にみられる議論のあり方を批判している。論壇上には、「保守」「革新」に代わる対立軸として、税が重くとも福祉が充実した社会の是非を争点にできないかという議論がある。その前提は、欧米でそうであるように、低所得層は福祉充実をうたう政党を支持するはずという認識だ。だが西澤は、日本の有権者の意識は「経済学者・政治学者が想定する『前提』とは真逆(まぎゃく)」だというのだ。

806とはずがたり:2018/01/25(木) 19:19:21
>>805-806
 そのうえ近年では、社会全体が余裕を失い、これまで「高福祉高負担」を支持していた高所得層まで、そこから離れ始めた。武川の調査によると、2010年には7割近くあった「高福祉高負担」への支持は、15年には00年の水準である5割台まで下がり、かわって「低福祉低負担」への支持が上昇したという。

 この変化は、雨宮処凛(かりん)の感慨とも合致する。雨宮は09年の「年越し派遣村」には支持が集まったのと対照的に、12年には生活保護叩(たた)きが広がったことへの変化をこう述べる〈3〉。「多くの人がこの国の『格差と貧困』に麻痺(まひ)し、諦め、『そんなもんなのだ』と受け入れていく過程そのものに思えた」

 つまり問題はこうだ。もともと日本の福祉は、貧しい人の支持を得ていなかった。そのうえ近年は、社会全体が余裕を失うなかで、ますます福祉への支持が失われ、格差が拡大しているのだ。

 だが思うに、人々は格差と貧困を肯定しているわけではない。彼らが不信の目をむけているのは、福祉そのものではなく、本当に必要な人に恩恵がまわっていない現在の制度だ。それならば、まず制度の歪(ゆが)みを正すことが先決だろう。

 歪みを正すには、正確な現状認識をもたらす報道が必要だ。小林美希は保育士の待遇が悪いことを問題視し、東京23区内の私立認可保育所の財務諸表を調べ、「園長、事務長、用務員」の人件費率が異様に高い保育所、その保育所での活動以外に収入や補助金が転用されている保育所をリスト化した〈4〉。この調査報道は、23区だけで約85億円の公費が「本業」に使われていないこと、各種の歪みを是正すれば現在の補助金額でも保育士の待遇改善が可能なことを示している。

 働いて税や社会保険料を納めれば、それだけいいことがある。そのような「働いたら報われる」という実感が持てる制度への改革が急務だと大沢はいう。それは福祉だけでなく、日本の政治や社会への信頼そのものを取り戻す道だ。

     *

 〈1〉大沢真理・宮本太郎・武川正吾 座談会「本来の全世代型社会保障とは何か」(世界2月号)

 〈2〉西澤由隆 論文「世論調査による政治的格差の時系列分析」(http://www1.doshisha.ac.jp/~ynishiza/ynishiza2014/downloadables/jpsa16_NIshizawa_v160913_FINALa.pdf別ウインドウで開きます)

 〈3〉雨宮処凛「貧困は誰もが陥る可能性 『流行(はや)りもの』超え、構造解決を」(Journalism1月号)

 〈4〉小林美希「職業としての保育園」(世界2月号)

     ◇

 おぐま・えいじ 1962年生まれ。慶応大学教授。『生きて帰ってきた男』で小林秀雄賞、『社会を変えるには』で新書大賞、『〈民主〉と〈愛国〉』で大佛次郎論壇賞・毎日出版文化賞、『単一民族神話の起源』でサントリー学芸賞。

808チバQ:2018/02/14(水) 20:03:31
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180214-00000058-asahi-soci
奨学金受けた息子亡くし8年、夫婦に265万円の督促状
2/14(水) 17:41配信 朝日新聞デジタル
奨学金受けた息子亡くし8年、夫婦に265万円の督促状
手元に残る、月々2万円の振込伝票
■奨学金破産

 手元にはA4封筒の束がある。中には奨学金の貸与が決まったことを告げる、日本学生支援機構からの通知。埼玉県立蕨(わらび)高校の仲野研(けん)教諭(59)は高3の生徒たちに配り、呼びかけた。

 「開ける前に、自分が月々、いくら借りることになるのか封筒の端に書いてごらん」

 正しく書ける生徒は約100人のうち7割ほど。「じゃあ、大学を卒業したら、どれぐらいの金額になる?」「毎月、いくらずつ返す?」。ペンをもつ生徒たちの手が止まった。

 仲野教諭らが担う「奨学金」事務は、申請書類を集めて機構に送るなど、手続きを支えるのが役割だ。作業は単純だが、数百万円単位のお金に関わるだけに責任は大きい。

 「私が借りた40年前と違い、いまは利子がつく場合もあるし、回収は厳しい。借りるデメリットも知らせないと、子どもたちを窮地に追いやりかねない」。生徒や保護者には、「奨学金といってもローンです」と伝えている。

     ◇

 0・37%――。

 機構が2016年度、回収が難しいと見込んだ奨学金約1690億円のうち、実際に債権回収をあきらめた割合だ。同じように税金をもとに事業を運営する機関では、教育ローンなどを貸す日本政策金融公庫(国民生活事業)12・3%、個人向けに融資する商工組合中央金庫6・4%。比べると、桁違いに低い。

 機構は、債権放棄の基準をこう定めている。

 〈返還未済額が1万円未満でかつ2年以上無応答〉

 つまり、1万円でも残額があり、2年前まで連絡がついていれば請求を続ける。例外は自己破産、行方不明など。本人が死亡しても、債権を放棄するとは限らない。

 12年秋、北海道の港町に暮らす夫婦のもとに、265万円の一括返還を求める督促状が届いた。39歳の息子を膵臓(すいぞう)がんで亡くし、8年がたっていた。「なんで、いまごろ」。連帯保証人である夫宛ての書類を見ると、息子は借りた185万円のうち80万円ほど返していた。残金と利息の合計123万円に加えて、延滞金が142万円。延滞金は死後の分も含まれていた。

 妻(77)が機構に電話をすると、担当者は言った。「払えなければ裁判になります」。脅されているようだ、と感じた。

809チバQ:2018/02/14(水) 20:06:18
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180212-00000004-asahi-soci
奨学金破産、過去5年で延べ1万5千人 親子連鎖広がる
2/12(月) 5:01配信 朝日新聞デジタル
奨学金破産、過去5年で延べ1万5千人 親子連鎖広がる
国の奨学金の保証制度
■奨学金破産

 国の奨学金を返せず自己破産するケースが、借りた本人だけでなく親族にも広がっている。過去5年間の自己破産は延べ1万5千人で、半分近くが親や親戚ら保証人だった。奨学金制度を担う日本学生支援機構などが初めて朝日新聞に明らかにした。無担保・無審査で借りた奨学金が重荷となり、破産の連鎖を招いている。

【写真】父親「入学した時はこんなことになるとは…」

 機構は2004年度に日本育英会から改組した独立行政法人で、大学などへの進学時に奨学金を貸与する。担保や審査はなく、卒業から20年以内に分割で返す。借りる人は連帯保証人(父母のどちらか)と保証人(4親等以内)を立てる「人的保証」か、保証機関に保証料を払う「機関保証」を選ぶ。機関保証の場合、保証料が奨学金から差し引かれる。16年度末現在、410万人が返している。

 機構などによると、奨学金にからむ自己破産は16年度までの5年間で延べ1万5338人。内訳は本人が8108人(うち保証機関分が475人)で、連帯保証人と保証人が計7230人だった。国内の自己破産が減る中、奨学金関連は3千人前後が続いており、16年度は最多の3451人と5年前より13%増えた。

 ただ、機構は、1人で大学と大学院で借りた場合などに「2人」と数えている。機構は「システム上、重複を除いた実人数は出せないが、8割ほどではないか」とみている。破産理由は「立ち入って調査できず分からない」という。

 自己破産は、借金を返せる見込みがないと裁判所に認められれば返済を免れる手続き。その代わりに財産を処分され、住所・氏名が官報に載る。一定期間の借り入れが制限されるなどの不利益もある。

 奨学金にからむ自己破産の背景には、学費の値上がりや非正規雇用の広がりに加え、機構が回収を強めた影響もある。本人らに返還を促すよう裁判所に申し立てた件数は、この5年間で約4万5千件。16年度は9106件と機構が発足した04年度の44倍になった。給与の差し押さえなど強制執行に至ったのは16年度に387件。04年度は1件だった。

 奨学金をめぐっては、返還に苦しむ若者が続出したため、機構は14年度、延滞金の利率を10%から5%に下げる▽年収300万円以下の人に返還を猶予する制度の利用期間を5年から10年に延ばす、などの対策を採った。だが、その後も自己破産は後を絶たない。

 猶予制度の利用者は16年度末で延べ10万人。その期限が切れ始める19年春以降、返還に困る人が続出する可能性がある。(諸永裕司、阿部峻介)


     ◇

〈国の奨学金制度〉 1943年に始まり、現在は日本学生支援機構が憲法26条「教育の機会均等」の理念の下で運営している。2016年度の利用者は131万人で、大学・短大生では2・6人に1人。貸与額は約1兆円。成績と収入の要件があり、1人あたりの平均は無利子(50万人)が237万円、要件の緩やかな有利子(81万人)が343万円。給付型奨学金は17年度から始まり、新年度以降、毎年2万人規模になる。

 高校生向けの奨学金事業は05年度に都道府県に移管されており、全額が無利子の貸与となっている。大学生向けで給付型を採り入れている自治体もある。

810とはずがたり:2018/03/05(月) 16:24:02
「親が貧しい子」は勉強でどれだけ不利なのか
100点満点のうち「平均20点」も低い現実
http://toyokeizai.net/articles/-/179582
橘木 俊詔 : 京都女子大学客員教授、京都大学名誉教授

教育の経済効果と貧困対策
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouikusaisei/bunka/dai3/dai5/siryou3.pdf
大阪大学 社会経済研究所
大竹文雄

811チバQ:2018/03/05(月) 18:32:15
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180305-00010001-doshin-hok
82歳母と52歳娘、孤立の末に 札幌のアパートに2遺体 「8050問題」支援急務
3/5(月) 10:01配信 北海道新聞
82歳母と52歳娘、孤立の末に 札幌のアパートに2遺体 「8050問題」支援急務
母親と娘とみられる遺体が見つかったアパート居室の玄関には、立ち入り禁止のテープがはられていた=1月、札幌市中央区
いずれも低栄養、低体温症
 80代の親と50代の子どもが身を寄せる世帯が社会から孤立してしまう「8050(はちまるごーまる)問題」―。全国で表面化する中、札幌市内のアパートの一室でも1月、2人暮らしの母親(82)と娘(52)とみられる遺体が見つかった。娘は長年引きこもり状態だったという。道警は母親が先に亡くなり、一人になった娘は誰にも気付かれずに衰弱死したとみている。専門家は「支援策を整えなければ同様の孤立死が増え続ける」と訴える。

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 高層マンションの建設ラッシュが続く札幌市中央区の住宅街の一角。築40年の2階建てアパートの1階の部屋で2人の遺体は見つかった。道警の司法解剖の結果、2人の死因はいずれも低栄養状態による低体温症。母親は昨年12月中旬に、娘は年末にそれぞれ飢えと寒さで死亡したとみられる。捜査関係者は「2人は都会の片隅で誰にも気付かれずに亡くなった。何とか救う方法はなかったのか」と漏らした。

 道警によると、1月6日午後、検針に来たガス業者が異変に気付き、別室の住民が室内に入って遺体を発見した。ストーブには灯油が入っていたが、エラーと表示され停止していた。冷蔵庫は空で、床には菓子の空き袋や調味料が散乱していた。室内には現金9万円が残されていた。

 親子は週に1回だけ近所の銭湯に通っていた。銭湯の女性店主(78)は昨年12月26日、アパート近くの自動販売機でスポーツドリンクを買う娘の姿を目撃した。「ペットボトルを抱えて何度もしゃがみ込み、ふらふらしていた」

 女性店主の息子が駆け寄った。一言も話さなかったが、アパートの前まで送った。「もう少し手を差し伸べていれば…」。息子は今も悔やんでいる。

 近所の住民によると、母親は夫と死別後の1990年ごろに娘とアパートに入居した。当時、収入は年金だけで生活保護や福祉サービスは受けていなかった。娘は高校卒業後、就職したものの、人間関係に悩んで退職し、引きこもり状態になったという。

北海道新聞

812チバQ:2018/04/03(火) 20:10:35
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180403-00000028-mai-soci
<生活保護世帯>かすむ将来、春なのに 進学率3割の壁
4/3(火) 13:00配信 毎日新聞
<生活保護世帯>かすむ将来、春なのに 進学率3割の壁
高校2年の時にスケジュール管理のために女性が持ち歩いていた手帳。大学で学びたいという思いが記されている=大阪市で、大久保昂撮影
 生活保護世帯の子どもが大学に進学するのは、依然としてハードルが高い。小さいころから保護を受けて育った大阪府出身の女性(18)はこの春、関西地方の私立大に進んだ。貧困、虐待、家出--。数々の苦難の末に手にした切符だが、進学と同時に保護の対象から外れるため、台所事情は苦しい。「学校の先生になるのが中学校のころからの夢だった。でも、奨学金を返すの大変だろうな」。その胸には、期待と不安が交錯している。【大久保昂】

 3歳の時に両親が離婚。家計を支えようと、母親は二つの仕事を掛け持ちした。無理がたたったのか、小学校に入るころに母親は精神疾患を患い、生活保護を受けるようになった。母親は家事が手に着かなくなった。満足に入浴できず、何日も同じ服で登校した。学校で虐待を疑われ、小学3年の時、祖母に預けられた。

 待っていたのは「本物の虐待」だった。毎日のように「ブタ」とののしられ、暴力を受けた。約1年後、逃げ出すように母親の元へ戻った。

 小中学校で登校できたのは、通算3年ほど。私立の単位制高校に進んで勉強し直すことにした。将来、教育に携わる仕事に就く夢があったからだ。

 高校2年になると、母親の状態が悪化した。「家から出ないでほしい」と玄関に立ちふさがり、高校にもアルバイトにも行かせてくれなくなった。「きっと寂しいんだろうな」と受け入れた。しかし、携帯電話を止められ、食料も尽きて、児童相談所に駆け込んだ。母親は精神科に入院し、女性は一時保護された。退院した母親と一緒に住むのがつらくなり、家出して知人の家に身を寄せるようになった。

 高校からは授業料を請求されるようになった。出席が足りず、10単位以上も取りこぼしたからだ。大阪府では私立高校の授業料は無償だが、単位を落として追加履修する分は自己負担だ。家出後も母親と連絡を取っていたが、お金のことは聞けなかった。自分で工面しようと、「援助交際」を重ねた。1回2万円。紳士的な相手ばかりでなく、時に暴力を振るわれた。「お金以外は虚無感しか残らない。それでも、高校を卒業したかった」

 昨秋、推薦入試で私立大に合格。春からワンルームマンションで1人暮らしを始め、教員免許や保育士資格の取得を目指す。ただ、お金の心配は消えない。20万円の入学金は、社会福祉協議会から借りた。学費と生活費のために毎月12万円の奨学金を借り、月3万5000円の家賃はアルバイトで稼ぐつもりだ。「光熱費を節約し、自炊をすればきっと大丈夫」。自分を納得させるように言った。

 ◇一時金、識者「不十分」

 生活保護を受けながら大学で学ぶことは、現行制度では原則認められていない。高校卒業後は、自分で働いて稼ぐことが前提となっているからだ。大学に進む場合は保護世帯から独立させ、別世帯として取り扱うことになっている。

 専門学校や短期大学も含めた大学進学率が7割を超える一方、生活保護世帯の進学率は3割強にとどまる。国は今年度から最大30万円の一時金を支給する支援策を決めたが、世帯を独立させる仕組みは維持する。名古屋市立大の桜井啓太専任講師(社会保障論)は「保護世帯から進学した学生の生活苦は卒業まで続く問題で、一時金だけでは不十分。保護を受けながら通えるようにし、自立を目指せる環境を整える必要がある」と指摘している。

813とはずがたり:2018/04/17(火) 14:12:34
「親が貧しい子」は勉強でどれだけ不利なのか
100点満点のうち「平均20点」も低い現実
https://toyokeizai.net/articles/-/179582
橘木 俊詔 : 京都女子大学客員教授、京都大学名誉教授 2017年07月13日

814チバQ:2018/04/22(日) 22:43:11
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180418-00216062-toyo-soci
シングル父45歳、非正規ゆえの壮絶3人子育て
4/18(水) 5:00配信 東洋経済オンライン
シングル父45歳、非正規ゆえの壮絶3人子育て
なぜタクヤさんはシングルファーザーになったのだろうか(筆者撮影)
現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。
今回取り上げるのは、「現在の給与では生活保護を受けないと生活できない」と編集部にメールをくれた、3人の子どものシングルファーザーだ。

■「学校くらい好きに行っていいよと言いたかった」

 大阪府内の公営住宅。子どもたちは壁際にしつらえた3段ベッドで、寝起きしている。普通より奥行きのある造りの押し入れが“勉強部屋”だという。外で拾ってきたカラーボックスを運び入れ、机代わりにしている。たくましくも見える子どもたちの様子を横目に、シングルファーザーのタクヤさん(45歳、仮名)はこう語る。

 「学校くらい、大学でも、専門学校でも。私立でも、公立でも、好きに行っていいよと言ってあげたかった」

 自治体の嘱託職員として障害者福祉にかかわる部門で働いている。月収は約17万円。

 父親の思いとは裏腹に、長男は高校卒業後、すぐに働き始めた。「『なんで大学行けへんの?』と聞いても、『働く』と言ってききませんでした」。

 次男は、授業料と昼食代、定期代は自分でアルバイトをして稼ぐからと言って昨春、公立大学に進んだ。それでも足りない分は、入学時に社会福祉協議会などから約80万円を借りた。学校は遠方にあり、実習なども多いため、朝6時に家を出て、帰ってくるのは夕方6時。その後、日付が変わる少し前までレジ打ちのバイトをし、遅い夕食を食べて眠るのは深夜2時ごろだという。そんな生活を1年、続けている。

 「18歳の子どもに借金を背負わせたんです。申し訳なくて死にたくなりました。本人は『電車の中で寝てるから大丈夫や』と言うんですが……。大学の友達と遊びに行くところも見たことないです」

 今春、高校受験を控えた末っ子には早々に「私立はあかんで」と伝えたという。府立高校なら入学金や授業料、制服代などを合わせても年間30万円ほどですむが、私立高校の場合、入学時だけで約60万円、年間だと100万円を軽く超えるからだ。

 幼い頃から、子どもたちに我慢をさせてきたことは「山ほどある」。一緒に買い物に出かけたときに「おやつ、買ってええで」と言っても、そろって「いらない」と首を横に振るばかり。気を使っているのだと気づいてからは、たとえば飴とチョコレート、せんべいを見せて「どれがええ?」と聞くようにしたが、それでもいちばん安い商品を選んできたという。

 あるとき、学校側から部活の遠征費が支払われていないと連絡を受け、「家じゅうをひっかき回しておカネを用意したこともあります」。遠征があるのに、家計が苦しいと思ったのか、親に黙って参加しなかったこともあったようだという。きょうびの連絡網にはLINEが使われることが多いのだが、子どもにスマートフォンを持たせる余裕はなく、タクヤさんのところだけは連絡先が自宅の固定電話だった。

 子どもたちが公園のビワの実やクコの実を食べているのを見たときは「たくましい子やなと思うと同時に、我慢させてんねんな、申し訳ないなと思いました」。今年の冬は野菜の値段が軒並み高騰し、生野菜をほとんど食べさせてやれなかったことも気がかりだという。

 「子どもたちに申し訳ない」――。取材中、タクヤさんは何度もそう繰り返した。

815チバQ:2018/04/22(日) 22:43:27
■20年近い結婚生活だったが…

 大学では、福祉を専攻。社会福祉士や障害者ガイドヘルパーなどの資格を取り、新卒で社会福祉法人に就職した。正社員で、月収約19万円。この頃、もともと面識のあった女性がメンタル面に不調があるというので相談にのったところ、それがきっかけで交際が始まり、結婚した。「話も合い、共通の趣味もありました。(メンタルの問題は)理解し合っていけると思っていました」。実際に結婚後、しばらくは共働きで、世帯収入は毎月30万円ほどあったという。

 その後、職場で起きた解雇問題などに反発して退職、障害者作業所に転職した。正職員で、賃金水準もほとんど同じ。人間関係にも恵まれる一方で、利用者の処遇改善などの業務を買って出たことで仕事が増え、帰宅が深夜になることが珍しくなくなった。同じ頃に妻の体調が悪化。家事と保育園の送り迎えなどはすべてタクヤさんが担うようになったという。

 職場から保育園に子どもたちを迎えに行き、家で夕飯を作り、再び職場に戻る――。こうしたハードワークを数年間続けた結果、心臓病を発症。手術を受けたが、施設や作業所など体力を使う現場への復帰は難しくなった。「上司は『早く帰れ』と心配してくれていました。やりがいのある仕事で、僕がつい頑張りすぎてしまったんです」。

 それからはタクヤさんが自治体の非常勤職員などとして働いたが、給与水準はダウン。妻は定職に就くことができず、最低生活費に足りない部分を生活保護で補うようになった。また、妻は仕事中に頻繁に携帯に電話をかけてきて不安を訴えるなどしたため、彼が転職を余儀なくされたこともあったという。

 「妻の面倒を見ることを苦痛だと感じたことは一度もないんです。不安定なのは病気のせいですし、病気も個性のひとつだと思っていました。(妻は)病院では感情性気分障害と診断されましたが、統合失調症の傾向もあったと思います」とタクヤさん。

 しかし、3年ほど前、妻が浮気をしていることがわかった。悔しい思いもあったが、「子どものことを考えると、これ以上(夫婦生活を)続けることはできない」と判断。親権はタクヤさんが持つことで早々に離婚を決めた。20年近い結婚生活を「子育ても家事も1人でやってきたので、ずっとシングルファーザーのようなものでした」と振り返る。

■「正社員で働けばええやん」

 厚生労働省の「全国ひとり親世帯等調査」によると、2016年度、父子世帯数は約19万世帯。母子家庭の約123万世帯に比べると少ないが、離婚が増えるのに伴い、ひとり親世帯は増加傾向にある。また、平均年収(父親もしくは母親自身の収入)は、父子世帯が420万円、母子世帯が243万円。シングルファーザーはシングルマザーよりも正規雇用の割合が高い一方で、子どもとのコミュニケーション不足や周囲のコミュニティからの孤立といった問題に陥りがちだといわれる。

 非正規雇用のタクヤさんが抱える問題は母子世帯のそれに近い。彼自身は、シングルマザーを含め、いわゆるママ友のコミュニティに入っていくことに抵抗はないという。「スーパーの安売り情報や節約料理の方法なんか、よく教えてもらっています」と屈託がない。

 それよりも、職場の同僚男性らから「正社員で働けばええやん」と、暗に「男なんだから」とのニュアンスを含んだ言葉をかけられることに戸惑うという。新卒で育児休暇や短時間勤務制度が充実した企業に正社員として入ることができたならいざ知らず、「残業も断れないような会社で、仕事と子育てを両立することは難しいと思うのですが、なかなか理解してもらえません」。

816チバQ:2018/04/22(日) 22:43:44
 仕事柄、妻の障害を冷静に理解し、「子どもたちとの生活自体は楽しい」というタクヤさんの話しぶりは、本人の穏やかな人柄もあり、あまり悲壮感を感じさせない。そんな彼が「死にたくなる」ほど打ちのめされたのは、子どもたちの高校卒業後の進路をめぐる選択だったという。

 児童扶養手当や医療費助成などを利用すれば、貧しいながらも暮らしていくことはできる。しかし、メンタルの不調や病気などでいったんつまずくと即生活保護を受けざるをえず、進学にそなえた貯金もままならなくなる。そうなると子どもは大学進学はあきらめるか、もしくは借金をして、なおかつバイト漬けの日々を送るしかない。長男と次男の現状がまさにそれだ。タクヤさんはこう訴える。

 「福祉の仕事の給与水準が共働き前提で、夫婦のどちらかが働けなくなると食べていけなくなるほど低いことや、生活保護が唯一最後のセーフティネットであることが問題なんだと思います。貧しかったり、夫婦のどちらかに障害があったりする場合は子どもを産まなければ、問題は解決するのか。そんなことはないですよね」

■生活保護を抜け出し「精神的に自由になれた」

 タクヤさんに会ったのは3月下旬。自宅近くの喫茶店で話を聞いていると、彼の知り合いの女性グループから声をかけられた。

 「聞いたでー。〇〇君すごいな。おめでとう!」

 この日は府立高校の合格発表の翌日。タクヤさんはママ友と思われる女性たちとしばらく世間話で盛り上がった後、「私立はあかんで」と伝えていた末っ子が府立高校に合格したことを教えてくれた。地域では最難関の学校だという。

 合格発表の日は子どもと一緒に学校まで行った。冷たい雨が降る中、渡り廊下に張り出された紙を見上げ、息子が先に自分の番号を見つけ、「あった、あった、あった」と歓声を上げたという。帰りしなに2人で食べたラーメンは、久々の外食だった。

 この頃、野菜の異常な高値もひと段落。その日の夜は、「野菜を食べたい」という子どもたちのリクエストにこたえ、キャベツを1玉使ってお好み焼きを作ったという。

 また最近、念願だった生活保護を抜け出すこともできた。上の子どもが保護の対象から外れたためで、食費が減るわけでもなく、かえって医療費は自己負担になるなど以前よりかかるようになり、暮らしが楽になった実感はない。ただ、これで貯蓄型保険に入ったり、自身の裁量で貯金したりできるようになるので「精神的に自由になれた」という。

 今は父子3人暮らし。近所で1人暮らしをしている長男がよく戻ってくるので時々4人暮らし。支え合ってきた家族に、ゆっくりと春が訪れているのかもしれない。

本連載「ボクらは『貧困強制社会』を生きている」では生活苦でお悩みの男性の方からの情報・相談をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。

藤田 和恵 :ジャーナリスト

817チバQ:2018/04/22(日) 22:44:37
https://toyokeizai.net/articles/-/210985?utm_source=yahoo&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=related
「日雇い派遣」で食い繋ぐ34歳男性の壮絶半生
年収は100万円に届かないのに「配慮」ばかり
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藤田 和恵 : ジャーナリスト 2018年03月07日
現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。
今回取り上げるのは、「ブラック企業を渡り歩いてきた」「壮絶な人生で本が1冊できるのではないか」と編集部にメールをくれた34歳の男性だ。
「明日2/27(火)男性限定! 引越作業 神保町 9時〜18時」「宅配便の仕分け作業 22時〜30時・8160円 24時〜33時・9000円」「本日欠員のため今からお仕事できる方を探してます ピッキング作業 到着〜18:00まで 最低6000円保障 皆様のご応募お待ちしております!!」

この1年、日雇派遣などで食いつないでいるというユウスケさん(34歳、仮名)が、スマートフォンのアプリを開いて見せてくれた。宅配便ドライバーの助手、倉庫内での仕分け作業、居酒屋――。そこには、1日限定のさまざまな求人情報が掲載されていた。

日雇派遣は原則禁止されているはずだが…
あり得ない――。現在、日雇派遣は原則、禁止されているはずだ。リーマンショックが起きた際、不安定な日々雇用が社会問題となったことから、2012年に労働者派遣法が改正され、派遣会社との契約が31日以上、年収500万円以上などの諸条件をクリアするか、ソフトウエア開発といった専門性の高い業務でなければ、日雇派遣は認められなくなった。


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私がそう告げると、ユウスケさんは「ええー! そうなんですか。じゃあ、この仕事、全部、違法なんですか」と驚きの表情を見せた。

ユウスケさんの話では、日雇派遣にありつくまでの流れはこうだ。まず求人情報が掲載されているインターネットから応募する。いったん仕事をした後、募集企業である派遣会社に出向き名前などを登録して、専用アプリを利用するためのコードなどを入手。あとは、そのアプリに連日情報が送られてくるので「いつでも、どこからでも」応募できるようになる。

ざっと見ただけでも、男女雇用機会均等法で禁止されている性別を限定した募集はあるわ、都内の深夜労働なのに時給が最低賃金とほぼ同額だわで、脱法・劣悪の見本のような求人ばかり。「18:00までに来てくれたら6000円」という募集などまるでオンコールワーカーである。業種にしても、専門性が高いとは到底言えず、禁止された日雇派遣そのものだ。

一方でよく見ると雇用形態は「アルバイト」となっており、「派遣」とは書かれていない。しかし、募集企業の欄に記載されているのは、派遣会社である。派遣法改正をめぐっては、日雇労働で生計を立てている人がいるとの理由で禁止に反対する声も少なくなかったが、いずれにしても不安定雇用をなくそうという当初の目的は見る影もなく骨抜きにされているということだ。

818チバQ:2018/04/22(日) 22:45:01
長期派遣が決まったこともあるが…
ユウスケさんによると、ある派遣会社を通して営業職での長期派遣が決まったこともあったが、派遣先会社に携帯電話代を負担してほしいと求めたところ、ろくに出社もしないうちに雇い止めになった。その後、派遣会社の登録も取り消しを余儀なくされたという。

「同じ営業の正社員には携帯電話が支給されていたので、僕も電話料金を負担してくれるよう交渉したんです。すると自宅待機を命じられ、結局クビ。たくさん仕事を紹介してくれていた派遣会社だったのに、それ以降は電話で問い合わせても“仕事はないっすね”“今忙しいんで”と切られるようになってしまいました。ああ、ブラックリストに載ったんだなって……」

路上の落ち葉清掃の仕事では、現場を仕切っていた社員からユウスケさんら派遣労働者は事務所内のトイレではなく、近隣の公園の公衆トイレを使うよう命じられた。仕事中、暖を取るために設置されたストーブを囲む輪にも派遣労働者は近づくことを禁じられた。派遣労働を「多様な働き方」などと言う人もいるが、これではただの「身分差別」である。

この間、同じ仕事でもインターネットに掲載される給与のほうが、アプリに通知される給与より高いことにも気が付いたという。「たとえば、ネットだと日給1万円なのに、アプリでは7000円といった具合です」。事実なら、同一労働同一賃金の原則にも反するが、ユウスケさんが派遣会社に確認したところ、期日、内容ともに同じ仕事だと認めた。「(インターネットという)オープンサイトのほうには高い給与を提示し、できるだけたくさんの人を釣って派遣会社に登録させることが目的なんじゃないか」と推測する。

派遣労働の理不尽ばかりを経験したこの1年。年収は100万円に届かないという。

生まれも育ちも東京。物心ついたころから父親はおらず、母親は多くを語らなかったが、いわゆる非婚シングルマザーだったのではないか、という。中学生のころ、母親の再婚相手から心身ともに虐待を受けた。「飼っていたネコには刺身をあげるのに、僕にはビスケットしかくれなかったことを、よく覚えています」。

ユウスケさんは「(母親への)わだかまりは、もうないです。(継父とは)とっくに離婚してますし」と振り返るが、彼の肘には、この継父からダンベルを投げつけられて骨折したときにできた傷痕が今も残っている。
 大学は家計に余裕がない中で私大に進んだ。このため学校を1年間休学。アルバイトなどを掛け持ちしておよそ400万円を貯め、奨学金に頼らずに卒業した。

就職は、知人の紹介でイベント企画会社に入社。しかし、残業代も割増手当も付かない職場だったため、半年ほどで退職した。その後、別の会社でネットカフェ店長として複数店舗の切り盛りを任されたものの、あまりの忙しさで帰宅できたのは1カ月のうち数日だけ。自身もネットカフェに寝泊まりをしながら、アルバイトやパソコンの管理に追われた。

30歳で転職したが、ここでも一方的に業務を増やされて始発で出勤して終電で帰る日々が続く。その後に移った専門商社でも1カ月の残業時間が150時間に上ったことから、早々に辞めた。今から1年ほど前のことである。
これらの会社での雇用形態はすべて正社員だった。異常な長時間労働にもかかわらず、賃金は手取りで毎月20万円から、多くても二十数万円。「残業代は基本給に含まれていると説明されました。とにかくボーナスというものを一度ももらったことがないんです」。

819チバQ:2018/04/22(日) 22:45:28
「壮絶な人生で本が1冊できる」
ユウスケさんには、喫茶店で話を聞いた。不当な働かされ方にさぞ怒っているのだろうと思ったら、意外にも彼はネットカフェを訪れたさまざまな客についての話を始めた。

ブース内でアルコールランプを使って薬物をあぶっている男や、薬物の影響で下着姿で店内をうろつく女。中高年のサラリーマンと女子高生が利用した後に避妊具が放置されていたことや、寝泊まりしていた派遣労働者の「お得意さん」がいつの間にかブース内で冷たくなっていたこと。店舗によってはホームレスが多く、シャワー室の利用後は大小便が詰まるなどして掃除が大変だったことや、風営法に触れかねない実態を見逃してもらうため月1回、警察署にビール券を付け届けていたことを話してくれた。

ユウスケさんが働いていた2000年代なかば、会員制、本人確認義務などの規制が導入される前のネットカフェはたしかに社会問題の縮図のような場所だった。彼の体験談はユニークだったが、自分が売り上げを伸ばしたことや、「壮絶な人生で本が1冊できる」と話す様子はどこか武勇伝を語っているようにも見え、違和感を覚えた。だから、私は最後にこう尋ねた。

「こんな働かされ方はおかしいとは思わなかったのですか。労働組合が身近にないなら、今は若者たちによるデモもよく行われています」

これに対し、彼は「(会社の)代表には言いました。でも、変わらなかった。(それ以上訴えて)窓際に追いやられ、(クビになって)就職活動しなければならなくなるのも怖かった」と答えた。一方で若者たちによるデモについて、こう指摘した。

「ヒダリの人たちのパワーが強まっていると感じます。あの人たち、あんなふうに顔を出してますが、ちゃんと仕事をしているんですかね。背後に怪しい団体がひもづいてるんじゃないですか」

「ヒダリ」や「背後」の意味を聞くと、「中核」「韓国系」「朝鮮総連」という言葉が出てきた。若者たちによるデモとは、反原発運動を源流の1つとした若者グループ「エキタス」のことなのだが、私が取材した限り、メンバーに日本共産党の青年組織「民青」の関係者がいる一方で、政党や政治とは関係ないいわゆる普通の学生や非正規労働者も大勢いる。また、中核派や、民族団体である在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総連)がこうした活
動に組織的にかかわっているという事実も確認できなかった。ユウスケさんの主張は、黒を見て白と言っているに等しいのだが、彼は「そういう印象を持たれていることは事実」と譲らない。

そもそも私に言わせれば、残業代も払わないような中小企業の経営者に向かって文句を言っても、聞き流されるのがオチだ。「和を乱す」ことへの不安は理解できるが、おかしいと思ったなら、その怒りをエネルギーにして労働組合に加入するなり、法律を駆使するなりして闘わなければ、状況を変えることは難しいだろう。

子ども時代の虐待経験とうまく折り合い、過酷な社会を生き残ったユウスケさんはたくましく、賢い人だと思った。ところが、「こんな働かされ方はおかしいと思わないのか」という話になった途端、私たちの会話はかみ合わなくなった。

「自分を律して頑張るしかない」
ユウスケさんが「私がストイックに働いている間に、彼らは徒党を組んでラップとかでわちゃわちゃやっている」と言うと、私が「ストイックなのではなく、いいように搾取されただけ。徒党ではなく、会社に対して力が弱い労働者たちが連携しているのだ」と反論。彼が「中小企業では、オーナーとの距離が近いから、お互いに配慮しなくてはいけない」と言うと、私が「あなたは長時間労働に耐えて会社に『配慮』したかもしれないが、オーナーが昇給やボーナスで『配慮』してくれたことがあったのか」と問う。

同じ言語で話しているのに、言葉が通じない。明るかった店外の景色はとっくに夜景に変わっていた。もう潮時だ。

ユウスケさんはいま、正社員の仕事を探している。「次もブラック企業だったらどうしようという心配はあります。でも、自分を律して頑張るしかありません」。

今まで十分に律してきたし、頑張ってきたじゃないか。これから必要なのは……。私は言葉を飲み込んだ。

820チバQ:2018/04/22(日) 22:46:17
https://toyokeizai.net/articles/-/208228
59歳「派遣に堕ちた」困窮男性が見続ける夢
勤続10年、時給は「40円」上がっただけ
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藤田 和恵 : ジャーナリスト 2018年02月15日
現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。
職場でモノを言うのはやめた
大みそか、街はどこも浮かれていた。札幌市内のある商業施設の駐車場入り口。家族連れなどを乗せた車両がにぎやかに行き交うそばで、案内板を掲げた誘導員のヨウジさん(59歳、仮名)は黙々と立ち続ける。気温は昼すぎには氷点下に。黒っぽいコートを重ね着し、分厚い手袋と耳あてで防寒しても、顔の筋肉はこわばり、足先の感覚はない。


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「人手が足りないので、年末は31日まで出勤でした。年始の休みも元日と2日だけ。帰省ラッシュがピークだとか、有休を組み合わせれば9連休になるとか――。シフト制の、時給制で働く契約社員にとっては、どれも無縁のニュースです。休日が少ないと収入は増えますが、体がつらい。かといって、休日が取れると体は楽になりますが、収入が減る。これも非正規労働者の“あるある話”です」

駐車場管理員として勤続10年。この間、時給は840円から880円に、40円上がっただけだ。年収は200万円に届かない。寒冷地手当もボーナスも住宅手当も家族手当もゼロ。あまりの待遇の悪さに、特に若者が定着しないという。1年間で職場の顔ぶれの半数が入れ替わることも珍しくない。

最近は募集をしても人が集まらないと言い、人員が足りないため、本来1時間の昼休が30分しか取れない。会社は商業施設を中心に複数の駐車場管理を請け負っており、ある現場では、10日連続の勤務を強いられた同僚もいるという。会社の方針が変わり、ここ数年は有給休暇も取れなくなった。

いずれも法律や就業規則に違反している可能性が高いが、職場で声を上げる人は誰もいない。かつてヨウジさんは職場環境について愚痴をこぼしたとき、そばで聞いていた年下の正社員から「契約社員が何言ってるんだ。二度とそういうことは許さない」と語気荒く、一蹴されたことがある。以来、職場でモノを言うのはやめた。不満のある者は黙って辞めていき、彼のように再就職口を見つけるのが難しい中高年以上の働き手はとどまる代わりに口をつぐむ――。いつのまにか、そんな「ルール」が出来上がってしまったのだという。

北海道内の産炭地で生まれた。兄弟が多く、経済的な理由から大学進学を断念。高校卒業後、札幌にある資材製造会社に就職した。技術系の正社員として、勤続20年を超える頃には年収は400万円を超えていた。帰宅は毎晩のように深夜近くで、結婚のタイミングは逃しつつあったが、暮らしぶりはおおむね順調だった。

安定した生活が一転したきっかけは、借金の連帯保証人になっていた友人と連絡が取れなくなったことだった。ヨウジさんは多くを語らないが、金額は自身の年収を軽く超えていたという。会社を辞めた退職金で穴を埋め、自己破産をして片をつけた。

このとき、すでに40代半ばすぎ。正社員の働き口はなかなか見つからなかった。折しも労働者派遣法が改正され、製造業への派遣が解禁。「やむをえず派遣会社を渡り歩くことになった」。

821チバQ:2018/04/22(日) 22:46:38
派遣に対する「差別と偏見」
「派遣に堕ちた」。正社員時代、短期間ながら役職者として派遣労働者を使う側にいたというヨウジさんは、自らが使われる側に転じたことをそう表現した。たぶん、彼に派遣労働者を見下す意図はない。確かに派遣労働者の中には、専門性の高い技術を武器に労働市場を生き抜くことができる人もいれば、それぞれの事情から短期雇用を望む働き手もいる。一方で規制緩和が進む中、彼のように安く買いたたかれ、理不尽な雇い止めに遭う「不本意派遣」が大量に生み出されたのも事実だ。これにより、多くの職場にいらぬヒエラルキーがもたらされたこともまた否定できない。

実際に多くの派遣先は差別と偏見にまみれていた。ヨウジさんが派遣されたある職場の仕事は、重さ20キログラム近い荷物をトラックから所定の場所まで移し変えることだった。期限は午前中いっぱい。多い日は1人で500個近くを運ばなければならないこともあった。

ヨウジさんは、正社員なら、荷物が多ければ人員を増やしたり、作業を午後に延ばしたりするなど臨機応変な対応がなされたはずだと言う。しかし、派遣労働者は代わりが利くとでも思っているのか、そうした配慮はない。昼前になって正社員が手伝いに入ることもあったが、それは同時に「時間内に仕事ができない使えない派遣」とみなされることでもあった。実際に仕事を失う仲間もいた。切られたくなければ、死に物狂いで終わらせるしかない。そんなとき、つくづく自分は「労働者」ではなく、「労働力」なのだと痛感したという。

ミスをしたときの風当たりも強かったという。工場内でフォークリフトの運転中、通路に放置された製品にぶつかってしまったときなどは、正社員から「これだから派遣は……」と言われた。ヨウジさんに言わせると、運転の不注意もあるが、荷物を放置しておくほうも悪い。派遣労働者を格下とみなすような物言いに、「ほとんどの職場で、正社員との間に会話がなくなっていきました」という。

正社員には正社員の言い分があるだろう。ただ、ヨウジさんがその後、駐車場管理の仕事に就いたのは、「派遣を渡り歩く」ことに心身ともに疲れ果てたからでもあった。

非正規労働者となってから十数年。60歳を前にして、健康格差も顕在化しつつある。

逆流性食道炎の持病があり、医師からは年1回の胃カメラ検査を指示されているが、実際に検査を受けるのは経済的な事情から2、3年に1度が限界。胸やけがひどくなるなど「本当に調子が悪くなってから」だ。歯科医師からは歯槽膿漏と言われたが、放置。健康診断で要再検査とされた項目についても「病院に行くと、(おカネがなくなり)生きていけなくなっちゃう」と、こちらも捨て置いたままである。

実は、ヨウジさんには職場以外にもうひとつ居場所がある。高校時代に兄の影響で、労働組合運動にかかわりを持つようになり、今も個人加入できる、ある地域ユニオンに加入しているのだ。最近は休日を利用して「働き方改革」に反対するデモなどに参加している。3年ほど前、東京で若者たちが「最低賃金1500円」を求めるデモを行うようになってから、札幌でも沿道の反応がよくなってきたという。

一方でユニオンへの理解はなかなか進まないと感じることもある。以前、ある女性が、退職金が規定どおりに出ないとユニオンに助けを求めてきたケースでは、交渉のかいあって退職金を得られたものの、それっきり女性と連絡が取れなくなった。かなり後になって再び女性から電話があったと思ったら、またしても同様の相談を持ちかけてきたという。

822チバQ:2018/04/22(日) 22:47:04
困ったときだけ頼られても「労組」の活動は続かない
労働組合は、言ってみれば会社側に対して弱い立場にある労働者同士の支え合いである。困ったときだけ頼られても、その活動は続かない。まるでユニオンを便利屋かなにかと勘違いしたかのような振る舞いに、ヨウジさんは「自分の問題が解決したら、それっきり。自分のことしか考えない労働者が増えたと感じます。ただそれは、学校で労働者の権利や労働運動の歴史についてちゃんと教えられていないことが原因だとも思います」という。

私的な付き合いの酒席でも、たびたび賃金や待遇の不満が話題になるので、1人でも加入できるユニオンがあると持ちかけてみるのだが、大抵の友人から「あ? 何よそれ。社会党系か? 共産党系か?」「そこに入ったら、俺の給料が上がるのか?」などと揶揄された揚げ句、拒絶される。「口を開けば仕事の不満ばかりなのに、いざ労働組合の話をすると『へー』『は?』で終わってしまう。不思議で仕方ありません」。

少し話はずれるが、私も、職場で雇い止めや賃下げに直面した知人に地域ユニオンを紹介したことがある。しかし、大抵の場合、彼らは「労働組合って、赤い鉢巻をまいて団結ガンバローと言わなきゃいけないんでしょう」「会社にけんかを売りたいわけじゃないんで……」など、正しいような、正しくないような理由で労組の敷居をまたごうとはしなかった。いずれにしても、彼らに団結権は憲法で保障された権利だという認識はない。

話をヨウジさんに戻す。私が、今の職場で労働組合はつくらないのかと尋ねると、彼はこう答えた。「無理だと思います。駐車場管理の業界は、警察OBや自衛隊出身者が多いんです。中でも労働組合への反発が強い人たちですから……」。

ヨウジさんの見立てが正しいかどうかは別にして、雇い止めと隣り合わせの契約社員が独りで行動することは、確かに難しいのかもしれない。

職場もユニオンも、現状は八方ふさがりに見えるが、ヨウジさんにはひとつ夢がある。それは定年退職後、ユニオンの労働相談員になることだ。派遣労働者に「堕ちた」悔しさも、職場で声を上げることができないふがいなさも――。すべて経験した自分ならではの寄り添い方ができるのではないかと思うのだ。

真冬の北海道の屋外で働くのに、時給880円は割が合わない。それでも、いつかこの経験が役に立つはず。そう信じて遠い春の訪れを待つ。

823チバQ:2018/05/06(日) 14:59:11
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180505-00055524-gendaibiz-bus_all
いじめ、女性不信、時給1200円…知られざる「男性保育士」の苦悩
5/5(土) 11:00配信 現代ビジネス
いじめ、女性不信、時給1200円…知られざる「男性保育士」の苦悩
写真:現代ビジネス
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近年、保育園や保育士に関するニュースが騒がしい。最近では女性保育士の「妊娠順番ルール」が衝撃をもって受けとめられた。今回は『ルポ 保育格差』著者のジャーナリスト・小林美希氏が、知られざる「男性保育士」の問題に迫る。
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ある男性保育士は「心が折れた」
 都内の認可保育所で働く木村俊宏さん(仮名、20代後半)は、「あまりのプレッシャーの大きさに、正職員はムリだと思った」と、今は派遣保育士として働いている。

 中学生の頃から保育士に憧れ、男性も増えてきたことで保育の道に進もうと踏み切った。新卒採用された保育所では1年目に2歳児クラスに配置され担任を任された。

 夢が実現して充実した保育士生活を送るはずだったが、まず、書類業務がネックとなった。

 日々、連絡帳の記入や日誌作りに加え、月案、週案、日案といって、月齢や年齢に応じた成長を促すためどのような保育を行うか狙いや計画を立てる書類業務もある。

 他にも「児童票」という子どもの成長と保育の課程を年に何度か記していく書類の作成もある。

 園児が怪我をすればインシデントレポート。保育士が書かなければならない書類は山のようにある。

 しかし、木村さんの職場では、ひとつひとつ教えてもらえるわけではなく、見よう見まねでパソコンに向かうしかなかった。なんとか書いたものはあっさりとダメ出しされる。

 そのうち、書類作成を意識しすぎて保育中にも気が気でなくなり、1年目の木村さんにとっては大きなプレッシャーとなった。

 保育についても先輩保育士は仕事を教えてくれない。新卒で右も左も分からないにもかかわらず、先輩が思うように木村さんが動けないと、「ちがう!」「まだやってないの!」と、ヒステリックに怒るばかり。

 「いったいどうすればいいのか」と右往左往する辛い毎日を送った。園児を連れて公園にお散歩に出る時、子どもがお漏らしをしたりした時のための着替えや、ケガをした時のための救急セットの入ったリュックを持つのは“下っ端”の役割。

 それに気づかずにいると「あんた、なにしてんのよ」と舌打ちされる。先輩の金切り声を聞く度に、「ポキッ、ポキッと音を立てるように心が折れていった」。

 そうした、いじめのような状態が続くと精神的にギリギリとなり、心療内科にかかるまで追い込まれた。医師からは休職を勧められた。

 勤め先の保育所には男性の保育士は木村さんのほか一人しかいない。職場はキツイ性格の女性の保育士ばかりで、「結婚願望がなくなった」と思うほどの女性不信に陥った。

824チバQ:2018/05/06(日) 14:59:37

保育士不足がもたらした現実
 筆者の知る限り、10数年ほど前までは「保育士は0歳児から5歳児まで全ての年齢の保育を経験して一人前」と言われていた。そして、新卒1年目はベテランや中堅の保育士と組んで経験を積みながら担任を任されていたはず。

 しかし、待機児童解消のため急ピッチで保育所が作られると保育士不足に拍車がかかり、そうは言ってはいられない。

 ここ数年で、経験2〜3年目でもクラスリーダーになり、20代のうちに主任や副主任になるケースは珍しくなくなった。保育所によっては、非正規でも担任をもつケースもある。

 正職員でいる以上、担任になることからは、ほぼ、逃れられない。

 木村さんは「自分にとって保育士は天職。他の職業なんて考えられない」と思いながらも、退職を決意。他の保育所で心機一転、リハビリを兼ねて非正規で働くことに決めた。

 何か所かの保育所を経て、今は、派遣保育士として大手が運営する認可保育所で勤務している。職場は男性保育士が半数近くを占め、働きやすさを感じている。

 時給1200円で1年契約。月収は10数万円だ。

 前に働いていた保育所では、1年契約が満了する3週間ほど前に突然「今月末で終わりです。更新はありません」と契約が打ち切られたこともある。

 それでも、木村さんは「いつ切られるかという心配があっても非正規でしか働けない。一人暮らしの身には厳しいが、正職員でも月収は19万円程度だった。好きな保育の仕事を完全に辞めるよりは、非正規で自分の心と体のバランスを見ながらでも働きたい」と話す。

いじめ、女性不信、時給1200円…知られざる「男性保育士」の苦悩
〔PHOTO〕iStock
非正規で働くケースが目立ってきている
 全国福祉保育労働組合が行った認可保育所保育士の18年春闘に向けた「福祉職場で働くみんなの要求アンケート」では、仕事や職場で強いストレスを感じる原因について「責任や業務量の増加」(49.5%)に次いで、「職場の人間関係」(12.6%)が挙げられている。

 また、東京都が2014年3月に発表した「東京都保育士実態調査報告書」でも、退職理由のうち「職場の人間関係」が20.6%を占め、3位になっている(複数回答)。

 行政機関の労働相談員も「保育士からの相談には、職場で無視される、電話がかかっても内線を回してもらえないといった内容が多い」と話す。

 総合サポートユニオンに寄せられた相談のなかで多いのは「労働基準法違反」(72.2%)で、内訳は「賃金未払い」「休憩が取れない」「有給休暇が取れない」だった。

 次いで多いのが「パワーハラスメント・いじめ」(32.8%)となる(複数回答、2017年11月末現在)。

 人手不足の状態では、気持ちに余裕もなくなりギスギスしがち。保育所は閉鎖的になりやすく、よけいにパワハラやいじめも起こりやすくなる。

 同ユニオンの相談員である池田一慶さんは、「配置基準がギリギリだと過重労働となり研修や教育も受けられない問題がある。休憩時間も有給休暇も取れないなかで新人がつぶされ、30代の中堅も無理をしてバーンアウトして辞めていく。配置基準は保育士なら誰でもいいわけではなく、まだ何も知らない1年目を考慮してもいいのではないか」と憤る。

 保育士として働くものの、パートや非常勤、派遣など非正規で就労するケースはもともと子育て中の女性に多い。第一線で担任をしながら朝晩、遅番、残業をこなしながら育児と両立できないからだ。

 しかし、木村さんのように、いきなり現場に放り出されて新人のうちに精神的ダメージを受けて非正規で働くケースは、男女を問わずここのところ目立ってきている。

 これまで男性保育士の最大の問題といえば、低賃金で結婚に躊躇してしまう、いざ結婚が決まると収入の多い異業種に転身する「男の寿退社」だった。昨年の内閣府「経営実態調査」でも、保育士の平均年収は315万円にとどまっている。

 過去、筆者はそうした男性保育士ならではの問題も取りあげてきた。

 ある20代の男性は、「恋人がいて結婚したいと思っても、手取りが20万円を切るため自信がない」と、結婚に踏み切れないでいた。また、別の30代の男性も「結婚が決まって、他の職業に転職活動をしている」と、保育士に見切りをつけようとしていた。

 ところがいま、働き盛りの男性が、賃金を主な理由ではなく、業務や責任の重さを理由に非正規に転じるというのは、新たな問題として注視しなければいけないのではないだろうか。

 前述の木村さんは「保育という仕事が好きでやる気があっても、派遣や契約社員では評価されずにあっさりと切られてしまう。保育士不足が解消しないのは当然だ」という矛盾のなかでも保育士であろうと、もがいている。

小林 美希

825とはずがたり:2018/05/08(火) 08:00:03

貧困層の子、勉強時間が短い傾向 兵庫・尼崎で初調査
https://www.asahi.com/articles/ASL517HHLL51PIHB041.html?ref=tw_asahi
宮武努2018年5月8日07時44分

 経済的に恵まれていない家庭の子と、それ以外の子との間には、生活習慣の傾向に違いがあるのか――。兵庫県尼崎市が子どもの貧困対策に取り組むため、小中学生を対象にそんな調査を初めて実施した。勉強時間、ゲームへの依存度、虫歯の有無……。調査結果から様々な格差が浮かび上がった。

 市によると、「子どもの生活に関する実態調査」と名付けたこのアンケートは昨年9月、市立学校に通う小学5年と中学2年、その保護者を対象に実施した。

 収入を含めて回答した約2330世帯を、相対的貧困=キーマーク=の状態にある家庭(約230世帯)と、それ以外の家庭(約2100世帯)に分け、両グループの傾向を比べた。

 1日に授業以外でどのくらい勉強するかを尋ねた質問では、小中学生ともおおむね貧困層の子の勉強時間が短い傾向にあった。「まったくしない」と答えた子の割合を両グループで比べると、小学生では貧困層の方が4・5ポイント高かった。中学生ではさらに差が開き、10・8ポイント差となった。

 テレビやゲーム、携帯電話・ス…

826とはずがたり:2018/05/11(金) 13:39:05
沖縄に就職した友人が結構物価高いし(地域手当安くて)給料は安いからなと云ってた。
確かに田舎って特定のものは安くても一般工業製品(個人的経験だと玩具とか)は競争ないから結構高い。

沖縄の場合,域外から移入される生鮮食料品とかが更に安くて,結局沖縄の物価が安いってのは労賃が安いってだけなような。。

沖縄独自の財源使って生活保護とか出来ないのか?生活保護特区でも指定すればいい。

2018.5.11
沖縄の知るほどに驚く貧困、低収入・高コストで生活苦が止まらない
http://diamond.jp/articles/-/169625
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沖縄には深刻な貧困が存在する。人々の生活苦が止まらないのはなぜなのか。現地で生の声を聞くと、本土からはわからない実態が見えてきた(写真はイメージです)
沖縄の貧困率は全国平均の2倍!
貧しいのに生活保護を受給できない事情も
 沖縄に深刻な貧困が存在することは、もはや周知の事実だ。今回は、沖縄と生活保護の「いま」を紹介したい。国の制度である生活保護は、沖縄と全国の共通点、および沖縄の独自性の中で、どのように機能したり機能しなかったりするのだろうか。

 沖縄県の子どもの貧困率は29.9%(2016年、沖縄県調査)に達し、同時期の全国平均16.3 %(2015年、内閣府)の2倍近い数値だった。むろん、多数の子どもが貧困状態にあるということは、親など大人の貧困が存在するということだ。子どもに限定しない沖縄県全体の貧困率は34.8%であり、全国平均18.3%の約2倍であった(2016年、戸室健作氏)。

 沖縄県はこの深刻な貧困に向き合い、独自の実態調査(2015年度〜)、「沖縄県子どもの貧困対策計画」の策定と実施(2016年度〜2021年度)、30億円の独自予算措置(2016年度)など、スピード感のある施策の数々を実施している。また内閣府も、全国で最も深刻な沖縄の子どもの貧困問題にモデル事業として取り組むべく、「沖縄県子供の貧困緊急対策事業」(2016年度〜)を実施している。スピード感の維持と継続性が課題ではあるが、沖縄県は課題先進地であるとともに、取り組みへの先進地ともなっている。

 とはいえ、沖縄県の生活保護率は貧困率から見ると不自然なほど少なく、人口ベースで2.5%だ(2017年)、大阪府・北海道・高知県に続いて全国4位である。貧困率から単純に計算すると、生活保護の受給資格がありながら受給していない人々が、受給者の10倍以上存在することになる。行政側に尋ねると、「血縁や地縁の助け合いがあるから」「皆さん、生活保護より車を選ぶ」といった回答が多いのだが、どうも釈然としない。

 いずれにしても、貧困をはじめとする沖縄の社会問題は、一筋縄で捉えられるものではない。貧困一般との共通点もあれば、地理的条件や歴史的経緯と関連した独自の“貧困”もあり、それらが複雑に入り混じっている。「知ろうとすれば知るほど、わからなくなる」というのが、私の正直な思いだ。それでも無理やり要約すると、沖縄の貧困の特徴は、次の3点になるだろう。

【沖縄の貧困の特徴】

(1)収入が低く生活コストが高いため、必然的に貧困になる
(2)狭い社会・濃密な人間関係の中で、憎悪も偏見も濃縮されがち
(3)公共インフラが整備されにくい、あるいは充分に整備されていない

 公共インフラの問題は、旅行者としてホテルや旅館などに宿泊していると、気づきにくい。多くの場合、断水などのトラブルがない限りは水洗トイレが利用でき、浴室では温かなお湯を使ってシャワーを浴びたり入浴したりできるはずだ。しかしそれらは、公共インフラとしての下水道が存在することを、必ずしも意味しない。

 たとえば、竹富島・西表島・波照間島など魅力的な島々を含む沖縄県竹富町では、トイレの水洗化率は100%に達しており、全国(78.3%)および沖縄県(71.5%)よりも高い。しかし下水道の普及率は8%に過ぎない(沖縄県調査)。さらに、基地の影響もある。日本の公道・上下水道・送電線などは、基本的に他国の軍事基地の中を通過できない。このため、公共インフラの設置・整備がさらに困難になる。

 このような問題を念頭に起きながら、今回は主に、生活コストの問題を概観してみよう。

827とはずがたり:2018/05/11(金) 13:39:28

稼げない一方、生活コストは高い
移住者も音を上げる沖縄の生活苦
 観光で訪れた沖縄に憧れて移住を試みたものの、継続できずに撤退する人々は少なくない。充分な収入を得られる仕事は簡単には見つからず、生活コストは高い。「暮らして行けない」という理由によって撤退するのは、自然の成り行きであろう。

 現在、沖縄県の最低賃金は時給737円(2017年10月発効)で、全国最低ランクだ。2018年1〜3月の完全失業率は3.6%で、全国最高となっている。2017年〜2018年にかけては、全国的に失業率の減少が見られ、全国では2.9%→2.5%となっている。2017年、沖縄県と同等に高い失業率が見られた北海道では、1年間で3.8%→3.1%と減少している。沖縄県でも3.8%→3.6%と若干の減少は見られているものの、他地域に比べると減少幅は少ない(総務省統計局「労働力調査」による)。沖縄県の1人あたり年間県民所得は213万円で全国最下位、全国平均の306万円を大きく下回る。

 それでは、生活コストはどうだろうか。やや古いデータだが、全国の51政令都市を対象とした「地域差指数」(2013年、総務省統計局)を参照すると、全国を100としたとき、那覇市は101.2となっている。最も高いのは横浜市で106.0、ちなみに東京都区部は105.9だ。那覇市に対しては、「特に高いわけではなさそうだ」という印象を受ける方が多いだろう。

 しかし食料に限定すると、東京都区部(104.9)や横浜市(105.9)に比べて、那覇市は104.8。特に安いというわけではない。しかも所得が全国平均の3分の2に過ぎないことを考えると、「高っ!」と悲鳴をあげるべき金額だ。

 品目別に見てみると、県外から船や飛行機で運搬される品目で、特に高さが目立つ。代表的なものは白米だ。本土で1本200円のゴーヤが沖縄では2本100円であるとしても、本土では1800円で買えるコメ5キログラムを沖縄では2300円で購入せざるを得ないとすれば、地元農産物が安価に買えるからといって生活がラクになるわけではないことは明らかだろう(政府「小売物価統計調査」(2017年)を参照)。

 ちなみに福岡市出身の私は、沖縄に行く際、福岡市を経由することが多い。午後のフライトで福岡市を発ち、夕方に那覇市に到着すると、「さっき福岡市のスーパーで4個200円で売られていたのと同じトマトが、500円!」と驚くことになる。それでも私には「那覇での今晩のおかずは、福岡で買って行く」という選択肢がある。だが那覇市民は、その地での収入とその地の物価でずっと暮らしているのだ。

生活保護費では住める家がない
沖縄の離島の「住」は東京より深刻
 離島では、さらに状況が厳しくなる。週に数便の船便で運ばれてくる生鮮食料品を、島に1軒しかない商店から購入せざるを得ないとなれば、価格競争は起こりにくい。その商店にも、経営を維持するために値引き販売できない事情がある。したがって、生活コストは“高止まり“しやすい。

それなのに、沖縄県の離島は、生活保護基準では6段階の最低ランク「3級地の2」に位置づけられている。離島多数を含む竹富町を例にとり、41〜59歳の健常者の単身世帯として生活保護の生活費分(生活扶助)を計算してみると、6万4780円となった。ここから買い物に行くバス代や船の運賃を捻出し、水道光熱費を支払う。夏になればエアコンを使用しないわけにはいかない。「とても暮らせないだろう」というのが正直な実感だ。

 さらに、住まいの問題も大きい。前述の竹富町では、生活保護費の家賃補助(住宅扶助)の上限額は3万2000円なのだが、離島ではそもそも人が住める状態の賃貸住宅そのものが少ない。賃貸アパート検索サイトで探してみても、物件がヒットしないのだ。地域の事情を知る人によれば「少なくとも5万円以上だろう」ということである。

 たとえば5万円の賃貸住宅に済んで、差額の1万8000円を生活費から捻出するとなると、「とりあえず死なない」ことが精一杯という生活になるだろう。しかも福祉事務所からは、「家賃が高額すぎる」という理由による転居指導がなされる可能性があるし、従わない場合には生活保護打ち切りもあり得る。住み慣れた地域、これからも住み続けたい地域に公営住宅の空きがない限り、生活保護で暮らすことも難しい。

828とはずがたり:2018/05/11(金) 13:40:32

濃密な地域コミュニティでは
生活保護への偏見も増幅される
 沖縄で「ゆいまーる」と呼ばれる血縁・地縁の中での相互の助け合いは、徐々に薄れつつある。そういった助け合いが機能するということは、小規模で濃密なコミュニティが存在するということでもある。そこでは悪意も敵意も偏見も増幅される。生活保護で暮らすことは、偏見をぶつけられて排除される覚悟とセットになりかねない。地方では「車か生活保護か」の二択になりかねないのだが、生活保護に対する偏見が強いコミュニティの中では、「生命と引き換えに社会の一員であることを選ぶか、生命を守るために社会の一員であることを諦めるか」という究極の選択もあり得る。「血縁者が生活保護を利用し始めたので縁を切った」という話は、九州全域で頻繁に耳にする。

 人口が約30万人の那覇市は、賃貸物件もスーパーマーケットも多い。生活コストは安くはないが、離島ほど苛酷な状況ではない。しかし那覇市でさえ、生活保護では生活コストが高い方から3番目の「2級地の1」に位置づけられている。生活保護費の生活費分は、41〜59歳の健常者単身世帯で7万2450円、家賃補助の上限額は3万2000円。家賃がこの範囲におさまる賃貸物件は存在するのだが、おおむね「築年数40年以上、エレベータなし」。安全面に不安が感じられるし、疾患や障害を持つと暮らせなくなりそうだ。

貧困が連鎖する沖縄の歴史
低すぎる生活保護基準の見直しを
 沖縄県内の心ある生活保護ケースワーカーたちに「生活保護に関する最大の問題は?」と尋ねると、異口同音に「生活保護基準が低すぎること」と語る。さらに「これでは暮らせません」「非人道的です」「政府は、本土の人は、『沖縄だからこれでいいや』と思ってるんじゃないですか?」といった言葉が続くこともある。

 2013年以来、生活保護基準は全国的に低められすぎている。その上に2018年10月から予定されている引き下げが重なることになるのだが、本記事で具体例をいくつか挙げたとおり、沖縄県は全体的に生活コストが低く見積もられすぎている。生活保護制度が想定する地域の生活コストは6段階だが、那覇市が高い方から3段階目(2級地の1)、宜野湾市・沖縄市・石垣市・宮古島市など市部の一部が高い方から5段階目(3級地の1)、その他は最低ランク(3級地の2)だ。これが到底「暮らせない」ものであることは、すでに述べた。

 県全体の就労環境の問題、自動車を保有していないと事実上暮らせない生活環境の問題、貧困が連鎖した結果と見るべき子どもの貧困の深刻さなど、問題は数多い。

 沖縄本島で働く生活保護ケースワーカー・Aさんは、さらにアルコール依存症や生活習慣病の問題を挙げ、「沖縄は問題が山盛りといいますか……ひどい言い方ですけど、沖縄社会全体が、日本の中のスラムのような気もします」と語る。

 その背景にあるのは、27年間に及んだ米軍統治だ。当時の沖縄県民は、日本国憲法も社会福祉関連法規もない状況に置かれていた。

「基本的人権もない状態で必死で生きてきて、貧困の問題でやっとスポットライトが当たった感じがします」(Aさん)

 ケースワーカーたちは、国に実施要領を変えてほしいと訴えることができる。地域のニーズや住民の声を拾い上げ、国に伝えることもできる。

「役所の職員としての責務だと思います。しないのは業務の怠慢です」(Aさん)
 
 そういうAさんたちの粘り強さは、実際に生活保護の実施要領を動かしてきた。たとえば現在の生活保護制度では、DV被害者が心身と生命の安全を確保するために新しい住居に転居する場合、初期費用(礼金・敷金類)を給付できる。Aさんたちの働きかけによって、2015年に盛り込まれたものだ。

829とはずがたり:2018/05/11(金) 13:40:41
>>826-829

本土にいては見えにくい
沖縄の知るほどに驚く貧困

 そのAさんは、現在、国会で審議されている生活保護法改正と、10月から予定されている生活保護基準の引き下げを憂慮している。

「これ以上引き下げたら、セーフティネットになり得ないでしょう。生活保護法改正も、大学進学支援だけに焦点があたっているような気がします。進学が難しい子どもの支援は抜け落ちているし……と言いますか、ありませんし」(Aさん)

 心から「このままでよい」「これが正解だ」と考えている人々は、実のところ、それほど多くはないだろう。生活保護基準の「見直し」は、この数年、事実上「引き下げ」を意味するものとなってしまっているが、たとえば沖縄県で生活コストに見合うように引き上げが行われたら、沖縄県の最低賃金も上がり、「稼げない」「暮らせない」という悩みは確実に減少する。反面、リゾート滞在やレジャーの費用は若干高くなるかもしれない。

 本土の生活を享受している者として、ときには自分のために沖縄を訪れることができる者として、分配を是正するために投票などの手段を講じることのできる者として、引き続き、本土の大都市圏にいては見えにくい問題の数々に、目を凝らしていきたい。

(フリーランスライター みわよしこ)

830チバQ:2018/05/21(月) 21:14:47
https://joshi-spa.jp/749002
2018.05.20
性産業に飛び込む貧困女性「脱ぎたくても仕事がない…」
 家族や知人にバレる可能性があるリスクを犯しても、AV業界で働きたい貧困女性も多いという。AV事務所社長のミュウ氏に詳しく聞いた。
脱ぎたくても仕事がない女性も多い

「AVでも企画女優は3万〜6万円が相場。それでも女優志願者が多くて供給過多だから、不細工なコは『トイレのシーンを見せるだけ』というのような日当1万円のエキストラ仕事などに群がっています」とミュウ氏は言う。

 以前紹介した“風俗嬢をしながらAV女優を目指すも仕事がない女性”もそうだったが、「今は『脱ぎたくても仕事がない』という、女優未満の“セミプロ”みたいなコばかりですよ」と話す。

「この前もそんな女性が面接に来ました。たまにAVにも出ているけど、それ以外はコスプレして自作の少しエッチなDVDを売っているとか。しかもツイッターで声を掛けられた男性に『撮影込み1万円』でセックスまでさせているって……。

『なんでそんなことしちゃうの!』と説教したんですが、本人は安売りしている自覚もなく、それが普通だと思っているんです」

 若い女性でもそうなのだから、アラフォー以上のAV志望者の状況は推して知るべしだろう。

「そういう年齢の女性には『仕事はないから介護とかやったほうがいい』と勧めます。ただそれでもどんどん応募が来る時代なんです」

―女性の貧困と性 vol.6―

831チバQ:2018/05/21(月) 21:16:37
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/227790
足立区でひもとく「貧困」
中学で不登校…「禁煙」が読めずアルバイトをクビになった
2018年4月24日
「ファミリーレストランにアルバイトとして採用された22歳の女性がいました。しかし、ほどなくして解雇に。その理由は『禁煙』の漢字が読めず、意味も分からなかったためでした……」

 これは、ノンフィクション作家の黒川祥子氏が取材の過程で知った現実だ。22歳女性は生活保護世帯に生まれ、中学で不登校になり、漢字やローマ字すら書けなかった。

「働く意欲があればまだしも、そのマインドすらない子もいます。2014年に『子どもの貧困対策法』が施行され、貧困世帯の子どもは教育、生活、就労、経済的支援を受けられるようになりました。ただし、残念ながら一部の生活保護世帯の親は、“勤労”や“就学”の意識が著しく欠如している。親子2代、3代にわたって生活保護という負の連鎖も始まっています」(黒川氏)

 生活保護費の金額は自治体によって違うが、母子家庭で子ども2人がいると、生活扶助のほか、母子加算、児童養育加算が加わって、月額30万円以上の支給額になる。子どもがアルバイトしようものなら、その分の保護費が減額されるため、あまり働かせたがらない。また、上の娘が結婚してすぐに離婚。子連れで実家に戻り、さらに給付費が上乗せされることもある。加算金のために子を産み、産みっぱなしの親に子が育てられる。

■港区民との年収差は777万円

 都内23区で最も貧困が深刻なのが足立区だ。総務省統計(16年)によると、平均所得は23区最下位の338万円。港区民の1115万円の3分の1に満たず、世帯年収300万円未満の割合が37%を占める。16年の生活保護世帯数は過去最多の1万8986世帯。総扶助額は469億円に上り、一般歳出の約2割と予算を圧迫している。

 足立区では「あだちプロジェクト」という子どもの貧困対策も行っており、生活保護の対象世帯でなくても、低所得であれば修学旅行費(実費)や卒業アルバム購入費(6640円)などを免除している。朝食抜きで登校する児童・生徒も多かったため、給食にも力を入れている。

 ただし、学力試験は都内下位に低迷。小中校の不登校の割合は04年に比べて14年は倍以上の878人となった。

「都内有数の貧困地域で子どもをサポートしている女性によると、朝になっても親が子を起こさず、母親が料理する姿をほとんど見ない子もいる。菓子パンや弁当を与えておしまいです」(黒川氏)

 株価に一喜一憂する大人がいる一方、将来の希望が見いだせない子どもたち。「子どもの貧困対策法」は第1条で「子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されてはならない」と基本理念を定めている。ところが現実は貧困世帯に生まれた子どもが、怠惰な親に引きずられて未来を閉ざしてしまっているのだ。

「日本の地域別将来推計人口」(2018年)によると、港区や渋谷区と違い、足立区の人口はこれから大幅減少に転じる。足立区の今は、少子化が進む日本の近い将来の縮図に過ぎない。

832チバQ:2018/05/21(月) 21:17:18
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/227842
足立区でひもとく「貧困」
貧困層と共働き世帯が利用する「子ども食堂」って何だ?
2018年4月25日
 生活困窮によって食事もままならない家庭が増加している。

 そんな子どもたちが利用しているのが、「子ども食堂」だ。

「こども食堂安心・安全向上委員会」の調査によると、地域の子どもに無料または低価格で食事を提供する「子ども食堂」は全国に2286カ所。年間延べ100万人が利用しているという。

「子ども食堂」は12年に東京都大田区の八百屋の店主がオープンしたのを機に全国的に広がった。対象は、貧困家庭の子どもやその親、または共働きで夜に親がいない家庭の子どもたち。定期的にバランスの取れた温かい夕食を食べながら、食事の場を通して地域の人たちと交流を深めるという。

 東京都には現在335カ所あり、足立区は11カ所だ。

 東京都「子供の生活実態調査」(小中高=2017年3月)によると、「過去1年間に、お金が足りなくて、家族が必要とする食料を買えないことがありましたか」との問いに、小学5年生の保護者の9.7%、中学2年生の保護者の11.2%、16〜17歳の保護者の9.8%が「あった」と答えている。約1割の子どもが食費もままならない環境に身を置いているのだ。

 また、16〜17歳の平日(学校や仕事に行く日)の一日の食事の平均回数は、2食以下が13.3%、困窮層に限れば2食以下は22.7%という。

 豊島区で4カ所の子ども食堂を運営する「豊島子どもWAKUWAKUネットワーク」では、毎月2回オープンする。

「大人は300円、子供は無料で利用できます。時間は17時半から20時ごろまで、食事は地域のボランティアが集まって作ります。要町と椎名町の2カ所は会場が大きいので、予約は要りません。それぞれ毎回50〜80人、多い時で100人。小学校低学年のお子さん連れの親子や小中学生が1人で訪れている。共働きだったり、シングルマザー世帯などが利用しています」(理事長の栗林知絵子さん)

■文京区では「こども宅食」がスタート


 子ども食堂は、自治体の補助を受けながら運営される。子どもと一緒なら親・祖父母などの保護者も一緒に利用できる一方、ボランティアの人手不足や予算が厳しく、運営危機の団体も少なくない。貧困家庭には、社会福祉協議会や民生委員らが、子ども食堂を利用するよう声掛けするという。

 文京区ではNPOなどと共同で、貧困世帯に直接食品を送る「こども宅食」事業を昨年10月にスタートさせた。

 東大やお茶の水女子大などが立地する文教地区で、平均世帯年収は500万円以上と比較的裕福な家庭が多いイメージだが、実は生活困窮家庭の子どもは1000人以上いるという。支援対象となる区内の「児童扶養手当」受給世帯は約700世帯、「就学援助」受給世帯は約1000世帯に上る。

「これらのひとり親家庭の受給世帯を対象に、2カ月に1回ペースで1年間、お米、パスタ、缶詰、レトルト食品などの保存食を中心に配送しています。17年は150世帯を募集したところ、458世帯の応募がありました」(子育て支援課の担当者)

 一体どこの国の話かと耳を疑うが、これが今の日本の現実だ。

833チバQ:2018/05/21(月) 21:18:18
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/227932
足立区でひもとく「貧困」
中学生の4割が誤答 タブレットのない子供は読解力が落ちる
2018年4月26日
「1639年、ポルトガル人は追放され、幕府は大名から沿岸警備を命じられた」

 おいおい、警備を命じられるのは幕府ではなくて、大名だろ! こんな一文を目にすると、そんなツッコミを入れたくなるが、キョトンとする中高生が少なくない。

 国立情報学研究所の研究チームが昨年11月、中高生の読解力を調査。冒頭の文章と対で「幕府は、1639年、ポルトガル人を追放し、大名には沿岸の警備を命じた」を示し、2つの文の意味を問うたところ、中学生は43%、高校生は28%が「同じ」と解答したというのだ。

 そんな時代を反映してか、「AIVS教科書が読めない子どもたち」がベストセラーに。読解力の低下は社会問題になっているが、にわかに浮上したわけではない。

 出版文化産業振興財団が2010年に1カ月に読む本の平均冊数と世帯年収の関係を調査。すると、最低3冊以上本を読むのは、世帯年収が「1500万円以上」の人が最多で40・5%だったが、「0冊」「読まない」と回答した人が最も多かったのは「300万〜500万円未満」で28・8%。読書量は、世帯年収と比例する傾向が見て取れる。おのずとその影響は子供に及ぶだろう。

■公立の中でも伝統校に“移民”する

 足立区の平均所得は、23区最下位の338万円で、5世帯に2世帯は300万円未満だ。そこで昨年度の全国学力・学習状況調査の結果を見てみると、小6の国語は知識力を問う「A」と活用力を問う「B」ともに、全国平均を上回り、Aは東京都平均と同じ76点で、Bは都平均を1・1点下回る58・9点。それが中3になると、「A」「B」ともに全国平均を下回る。中学に上がると、授業についていけない生徒が増えている。

 年収が下がると、なぜ読解力が低下するのか。大阪産業大元客員教授の八幡義雄氏は「iPadをはじめとするタブレットの所有台数が大きな要因です」としてこう言う。

「富裕層は、2〜3歳でiPadが与えられていて、子供は普通に使いこなすようになります。読み聞かせをしていたおばあちゃんの代わりをタブレットがしていて、子供は日本昔ばなしを見ていたりします。そして、タブレットでひらがなや漢字、計算の練習もする。子供をヤル気にさせる仕掛けがありますから、親が紙のドリルを『やりなさい』というより子供は楽しんでできるのです。子供はタブレットに触れているうちに探究心や好奇心を広げていきますから、ない子との読解力の差は広がる一方です」

 平均年収1000万円を超える千代田、中央、港の都心3区は、国立や私立の中学に進学する割合が3割を超える。が、足立区は1割に満たず、9割超が地元の公立中だ。しかも、教育熱心な都心3区のエリアだと、同じ公立の中でもより伝統のある学区に住もうと区内で引っ越しする“公立小移民”も生まれている。東京・千代田区の名門・番町小に娘を通わせた40代男性が言う。

「公立でも伝統校には、教育熱心な親が集まり、子供はその環境で育つので、いわゆる“学区年収”が高い学校は、“友達力”が違うと思います。ウチの娘も友達に感化されて、女子ご三家に匹敵する私立に合格できましたから。そういえば幼稚園に入る前から、タブレットで読み書き計算はやっていました」

 その番町小、今年の受験では、開成や麻布、桜蔭などの男女ご三家に複数の合格者を出すなど過去最高の進学実績だったという。幼少期の読解力の差は、子供の将来を大きく左右する――。

834チバQ:2018/05/21(月) 21:19:05
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/228008
足立区でひもとく「貧困」
23区内で最多「生活保護世帯」を狙う貧困ビジネスの魔の手
2018年4月27日
 貧困層や低所得者をターゲットに暴利をむさぼるビジネスを、貧困ビジネスと呼ぶ。借金がある人、若い非正規労働者、生活保護世帯、場合によっては年金生活者までもがターゲットにされるという。

 生活に余裕のない貧乏人から金が取れるの? そう思いがちだが、現実は違う。細く長く――。まるで悪代官が農民らから年貢を搾り取るように、貧困層から確実に金をむしり取っているのが現実だ。

「日本の『地下経済』最新白書」(SB新書)の著者で、経済学者の門倉貴史氏がこう言う。

「いい例が脱法ハウスです。役所へはレンタルオフィスで届け出を出しているのに、室内を3畳程度の居住スペースに区切り、共同住宅仕様にした一種のシェアハウス。非正規で働く未婚の単身者や、地方から出てきてアパートを借りるには予算的にキビシイ若者をターゲットに荒稼ぎをする。料金が安いとはいえ、間取りが狭い部屋の面積から考えたらメチャクチャ割高です。2016年度の国交省の発表では、全国に2004棟もあり、うち1527棟が東京に集中している。ざっと76%。新宿区や世田谷区に多いのも特徴です」

 生活保護世帯も貧困ビジネスの格好のターゲットだ。

 東京都福祉保健局の「福祉・衛生行政統計年報」(16年度)によると、23区内の生活保護世帯数は――。

①足立…1万8820
②江戸川…1万5383③板橋…1万4198
④大田…1万3561
⑤練馬…1万3106

 東京都の生活保護世帯は総数23万2042世帯あって、ここまでが上位5区部。総世帯数に占める割合では、山谷がある台東区、足立区、荒川区の順で多かった。

 どうやって、生活保護者が狙い撃ちされているのか?

「簡単に言うと生活保護費のピンハネです。ホームレスを簡易住宅に入れて生活保護を受けさせ、家賃としてその大部分をかすめ取ってしまう。背後には暴力団がいて、暴力団排除条例の施行でシノギが厳しくなったため、資金源のひとつにされているという見方もあります。定期的に安定した収入を得られますからね」(門倉貴史氏)

■簡易宿泊所は暴力団の資金源に

 ホームレスには家がない。住所不定では生活保護の申請が認定されにくい。

 これに目を付けた暴力団ら悪徳業者がボランティアを装って近づき、簡易住宅を提供して生活保護を申請させる。行政の審査が通ってしまえば、生活保護費の大半は悪徳業者の“取り分”という構図だ。

 家賃のほかに、光熱費、管理費、運営費などが次々加算され、10万円ちょっとある保護費のうち手元に残るのは2万円ほど。部屋はベニヤ板で仕切られた3畳スペース……。むごい話ではないか。

 暴力団の手先たちがホームレスを探し歩き、足立区や江戸川区の簡易宿泊所に入れている可能性もあるということだ。

 貧困ビジネスはコレだけじゃない。門倉貴史氏は、前出の著書の中で、礼金・敷金ゼロのゼロゼロ物件をはじめ、クレジットカードのショッピング枠を使って購入した商品のネットオークション出品、金に困った高齢者の麻薬の運び屋、臓器売買なども、その範疇だと指摘する。

 貧困ビジネスの闇は深い。

835チバQ:2018/05/21(月) 21:19:48
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/228117
足立区でひもとく「貧困」
対策待ったなし 虐待が見過ごされやすい地域は確実にある
2018年4月28日
 2014年、足立区の夫婦が3歳の次男にリードをつけてウサギ用ケージに監禁し、死に至らしめた上、その遺体を荒川に捨てたというショッキングなニュースが流れた。「足立区ウサギ用ケージ監禁死事件」である。この夫婦は次男の死亡後も、次男が生きているように見せかけて児童手当や生活保護費を受給していたという。

 当時の2人には、次男の死亡後すぐに生まれた子も含めて7人の子どもがいた。みんなで頻繁に外食に出かけるなど、円満な家庭として振る舞っている。家賃や駐車場料金を滞納していたが、周囲には困窮ぶりを見せていなかった。

 果たして、貧困が夫婦を子どもの虐待へと向かわせたのだろうか。

「『鬼畜』の家 わが子を殺す親たち」(新潮社)でこの事件を追ったノンフィクション作家の石井光太氏は、「必ずしも貧困が理由ではなく、夫婦の育った環境などさまざまな要因があります。ただ、竹ノ塚で働いていたホストとホステスが出会い、計画性もなく子どもをたくさん産み、2LDKのアパートに10匹以上の犬と暮らしていた。そんな状況でも周囲の人たちがおかしいと思いづらい地域だったということは言えると思います」と言う。

 平日の昼に子どもがフラッと歩いていても不自然とは思われない地域、途中で幼稚園に通わなくなっても特別視されにくい地域など、虐待が見過ごされやすい地域というのは、確実にあるという。

 そこで男女が結びつき、虐待が起こり、通報されることなく過ごして重大事案になるというケースは珍しくない。

■全国的に件数は上昇

 ただし低所得層が多いとされる足立区で特別に虐待件数が多いのかというと、そうとも言えない。

 足立区内の児童相談件数は2010年度の335件から、14年度には855件にまで上昇し、16年度では778件。数年で急上昇しているように見えるが、子育てなどの相談対応や家庭・学校への支援に虐待の通告先の役割も担う「足立区こども支援センターげんき」に聞くと、「虐待件数の上昇は足立区に限らず、全国的なもの。虐待への認知度の高まりも、件数増加の一因と思われます。また、世帯数に対する割合を見れば、足立区が特に虐待率が高いわけでもありません」(担当者)と言う。

836チバQ:2018/05/21(月) 21:20:27
 その上で、「低所得家庭への経済支援が不十分な今の段階では、経済状況を立て直せても虐待数が減るかどうかは分かりません。ただ、虐待には複合的な要因があるので、貧困の解決だけでは難しいとは思います」と話す。

 背景が複雑であるがゆえに、対策も困難を極めるのだ。

「貧困と虐待は、因果関係にはないけれど、相関関係はあると思います。きちんと社会と関わることができない男女が親となり、貧困に陥り、かつ人との関わり方や子育ての仕方がわからないゆえに虐待に至ってしまうという例は多い」(石井光太氏)

 足立児童相談所も「虐待が起こる要因はさまざまで、それらが複合的に絡み合っています。その中のひとつが貧困ですが、厚労省も子どもの貧困と虐待との関連性は示しています」(担当者)と言う。実際に厚労省は、子どもの貧困対策の中に、ひとり親や多子世帯などへの支援の充実と並べて、「児童虐待防止対策強化プロジェクト」を入れている。

「虐待は、子どもが“こうしてほしい”と訴えられず、介入が難しいケースも多い。養育力の低い家庭を生活再建させる法的な仕組みをもっと充実させていかなければ、虐待から救えない家庭をなくすことはできない」(足立区こども支援センターげんき)

 対策は待ったなしだ。 (おわり)

837とはずがたり:2018/05/22(火) 20:18:41
60代継続雇用の薄給を嫌う人は老後破綻
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180522-00025208-president-soci
5/22(火) 9:15配信 プレジデントオンライン

「65歳定年企業」が増えつつある。中には給与の激減を嫌って、「60歳で引退」を選ぶ人もいるようだが、これは非常に危険だ。ファイナンシャルプランナーの山崎俊輔さんは「年金支給まで『無収入期間』が発生し、老後のマネープランを崩壊させるリスクがあります」という。ゆとりある老後のために「超重要」という60代のベターな生き方・働き方とは――。



838とはずがたり:2018/05/30(水) 20:36:32
017年04月25日
「独身・無職・中年」の絶望。生活保護で命をつなぎ、家でネットを眺める日々…
https://nikkan-spa.jp/1322031

839とはずがたり:2018/05/30(水) 21:19:54
これで人が育つ? 生活保護、3年で160億円カット 安倍政権で続く減額
https://mainichi.jp/articles/20180508/ddm/041/010/123000c
会員限定有料記事 毎日新聞2018年5月8日 東京朝刊


子育て世帯の生活扶助費の推移
 <access>

 政府は2018年度から、生活保護の生活費相当分を3年かけて減額する。その一方、「人づくり革命」の一環として、保護世帯の子どもの大学進学を支援する方針を打ち出した。こうした見直しは「子どもの貧困」にどう影響するのか、調べてみた。【佐藤丈一、西田真季子】

 見直しによる生活費本体部分の削減は180億円。加えて1人親世帯を対象にした母子加算を平均2割カットして20億円減らす。総額200億円を削減しつつ、中学生までの「児童養育加算」(月1万円)を高校生まで拡大するため40億円増額。全体では17年度比で年額1・8%、国費で160億円分のカットとなる。

 一方、安倍政権は昨年12月に経済政策パッケージを決定。人づくり革命で「子育て世代、子どもたちに政策…

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840チバQ:2018/06/05(火) 21:23:44
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180605-00223343-toyo-soci
48歳「市の臨時職員」、超ブラック労働の深刻
6/5(火) 15:00配信 東洋経済オンライン
48歳「市の臨時職員」、超ブラック労働の深刻
昼休みが10分しか取れないことも珍しくないというヨシツグさん(編集部撮影)
現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。
今回紹介するのは、「市の臨時職員として働いているが、市長が変わっても正規職員に登用される見込みもなく不安になっている」と編集部にメールをくれた48歳の男性だ。

 「すみません。年度末は時間が取れそうにありません」

 「今週、来週ですが、(4月に)異動してきた正職員の指導や、引き継ぎなどがあり日程的に厳しいです」

 首都圏のある地方自治体に勤める臨時職員のヨシツグさん(48歳、仮名)に、最初にメールで取材のお願いをしたのは2月下旬のことだった。仕事が立て込んでいるなどの理由で、何度か日程のキャンセルと再調整を繰り返した。ようやく会えたのは5月の連休明け。年度の変わり目とはいえ、非正規公務員もここまで忙しいものなのか。

 「忙しいです。昼休みが10分くらいしか取れないことも珍しくありません。弁当をかきこんで終わりです。昼ご飯を食べる時間もないような民間のひどい会社に比べたら、まだマシと言われてしまうかもしれませんが……」

■典型的な「官製ワーキングプア」

 税務部門で、土地や家屋に関する税額を算定する仕事に携わっているヨシツグさんはさらにこう続ける。

 「2月、3月は申告関係の書類が集中して提出され、案件によっては記載内容が正しいかどうかを電話などで確認しなければなりません。4月は記載に誤りがあったり、駆け込み申告されたりしたケースについて、納税通知書の差し替え作業に追われます。年度によっては(正規の)新人職員が配属され、教育係を任されます。残業時間はそう多くはないのですが、日中はつねに時間に追われている感じです」

 勤続10年以上。フルタイムで働きながら、年収は190万円に届かない。典型的な「官製ワーキングプア」である。

 ただでさえ忙殺される年度末、ヨシツグさんには、さらに非正規公務員ならではの大きなストレスがある。この時期、契約更新のための面接を受けなければならないのだ。「4月以降も自分はここで働けるだろうか――。毎年、不安で仕方ありません。3月中旬に面接が行われた年もあり、このときは本当に胃が痛くなりました」と振り返る。

ヨシツグさんにとっていちばんの不満は賃金の低さである。

 働き始めて1年目、上司から給与の引き下げを打診された。年収ベースで約20万円のダウン。このとき、「(引き下げに)同意するなら契約を更新する」と告げられた。一方的な賃金カットは法律でも原則禁止されているが、失業したくない非正規労働者にとって拒絶するという選択肢はない。ヨシツグさんもはらわたが煮えくり返る思いを押し隠し、賃下げを受け入れたという。

 ヨシツグさんは「正規職員と同じ仕事をしているんですから、同一労働同一賃金を守ってほしい」と訴える。

 総務省が実施した「地方公務員給与実態調査」に基づくデータによると、ヨシツグさんが勤務する地方自治体の職員の平均年収はおよそ700万円。1800近い自治体のうち上位100団体にランクインしている。残業は主に正規職員が担っているとはいえ、彼の年収は正規職員の4分の1ほど。「あまりにも差がありすぎます」。

841チバQ:2018/06/05(火) 21:24:03
■公務員試験合格は格差の根拠となるのか? 

 正規職員の中には、難関とされる公務員試験を突破したことをもって格差の根拠とする人もいるが、ヨシツグさんはこう持論を展開する。

 「肝心なのは、非正規も正規も日々の仕事に違いはない、ということです。試験に受かったのは事実でしょうが、それは通過点にすぎない。ここまでの格差を正当化する根拠にはなりません」

 正規職員の同僚らはボーナスの支給時、さりげなくその話題を避けるなど気を使ってくれるという。職場の人間関係には恵まれているが、それによって賃金格差への不満が和らぐことはない。「(職場には)1000万円プレーヤーもいます。私たちのような臨時職員を安く使いながら、彼らにさらにボーナスを支給する必要がありますか」とヨシツグさんは怒る。

 大学を卒業後、地元の金融機関に就職。年収は350万円ほどあったが、別の金融機関に吸収合併されたのを機に辞めた。

 ヨシツグさんに言わせると、合併相手の金融機関は、地元では融資の回収方法が強引などと評判が悪かったほか、同業者の間でもノルマが厳しいとのうわさがあった。合併に向けた準備は先方の金融機関社員の指示の下で進められ、このときは連日深夜までのサービス残業と休日出勤を強いられた。わずか数カ月で体重が10キロ落ち、これは体がもたないと、退職を決めたという。

 現在は両親と同居。自分の雇用形態や給与については詳しく話していない。自宅から電車の最寄り駅まで、バスなどを乗り継いで1時間以上かかるため車は必需品だと言い、車両の維持費や実家に入れる「家賃」などを差し引くと、貯金をする余裕はない。「1人暮らしは到底無理」。

 結婚については「願望がないわけではありませんが、今のままでは(相手に)絶対に迷惑をかけます」と躊躇する。結婚する場合、共働きが条件となる。ヨシツグさんは「生活のために働いてもらわなくてはならないというのが、どうにも申し訳なくて。どこかに、“家計を支えるのは男”という古い考えの自分がいるんだと思います」と分析する。

 また、子どもを持つことは「ギャンブルでしかない」と言う。「今の仕事だっていつまで続けられるかわからない。その先はもっとわからない。(非正規労働者にとって)子どもを育てることは、危険すぎるギャンブルです」。

 現在も定期的にハローワークに通うなど就職活動を続けている。条件は「生活できるだけの給料と、うつ病にならない程度の(業務の)密度」。誰もががむしゃらに働き、仕事で自己実現したいと思っているわけではない。ヨシツグさんの希望は当然で、簡単なことのはずなのに、実際にはこれらの条件を満たす仕事を見つけるのは難しいのが現実だ。

■「労働組合には不信感しかない」

 ヨシツグさんに話を聞く中で、どこまでも平行線をたどった話題がひとつあった。職場の労働組合をめぐる評価である。

 実は、ヨシツグさんの給与は今年4月から大幅にアップした。年収で約20万円の増加。自治体の正規職員らでつくる労働組合が市と交渉した結果だという。しかし、彼は「労働組合には不信感しかない。まったく信用していない」と突き放す。なぜなのだろう。

 「(勤続1年目で)賃下げされたとき、労働組合に匿名で投書をしたのですが、無視されました。世間で“非正規の待遇がひどい”と騒がれるようになってようやく動くなんて遅すぎます。それに、今回は(一部の嘱託員など)賃金が上がらなかった職員もいます。それなのに、労働組合はまるで非正規職員全員の賃上げを勝ち取ったかのように、ビラなどで大々的にアピールしたんです」

842チバQ:2018/06/05(火) 21:24:21
 ヨシツグさんによると、給与は今回の賃上げにより、10年前の水準に戻ったにすぎない。一方で職場の労働組合に加入している非正規職員はゼロで、彼自身も組合員ではないという。

 私はあえて彼に「正論」をぶつけてみた。

 ――労働組合は基本、組合員の利益のために賃上げや労働環境の改善に取り組む組織である。そして賃上げは本来、働き手が労働組合に入るなどして、自らが要求して勝ち取るものだ。今回、労働組合は自分たちの『取り分』を削り、組合員ではない非正規職員のために賃上げを実現させたのであり、ヨシツグさんは、組合に入って声を上げることもせず、組合費も払わず、利益だけを享受したということになるのではないか――。

 すると、ヨシツグさんはこう反論した。

 「労働組合なんて、入れるわけないでしょう。そんなことしたら即雇い止めです」

■「非正規」で働くことの現実

 十数年前、私が非正規労働者の過酷な働かされ方について記事を書くと、正社員を中心とした、主に企業内労働組合の組合員から「まずは正社員が直面している賃下げや不当解雇の問題について書くべきだ」「正社員の待遇が上がれば、それと連動して非正規社員の待遇も改善される」と指摘され、議論になったことが何度かあった。そして現在――。本音は知らないが、さすがに表立ってそのような物言いをする労組関係者はいなくなった。

 多くの労働組合が非正規労働者の組織化や待遇改善に取り組むようになった「変化」を、私は肯定的に眺めてきた。しかし、当の非正規労働者から見える景色は少し違うのかもしれない。長年にわたり無視され、冷たく見放されてきた恨みは簡単に払拭できない。「10年前の賃下げを行ったのは自治体であり、労働組合ではない」という「正論」はヨシツグさんにとってはさして重要ではないのだ。

 ヨシツグさんと会ったのは、彼の希望もあり、職場の最寄り駅からは5駅ほど離れた場所だった。理由は「職場の人に見られるとまずいから」。

843チバQ:2018/06/05(火) 21:26:02
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180515-00220027-toyo-soci
40歳非常勤講師、「夫婦とも雇い止め」の深刻
5/15(火) 16:00配信 東洋経済オンライン
40歳非常勤講師、「夫婦とも雇い止め」の深刻
ヒロキさんは2013年4月に採用され、1年ごとに契約更新を繰り返してきたが、今年3月に雇い止めされた(編集部撮影)
現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。

■2018年3月をもって一律雇い止め

 昨年10月末のことだった。大学構内にある非常勤講師の控室。フランス語の授業を終えたヒロキさん(40歳、仮名)が、いつものようにコーヒーを飲みながら一息ついていたとき、顔見知りの中国語講師から突然、こう言われたという。

 「さっき新しいフランス語の先生が大学の中を案内されているのを見かけたんだけど。大丈夫なの?」

 まさか自分はクビなのか――?  すぐに担当の専任教員の部屋に駆け込み、学科長も交えた席で説明を求めた。動揺するヒロキさんに対し、彼らはこう説明したという。

 「2013年以降に採用した非常勤講師は2018年3月をもって一律雇い止めとなります」

 来年3月となると半年もないではないか。生まれて間もない子どもや、初めての子育てに奮闘しながら共働きをしている妻の顔が頭をよぎった。次年度に向けた非常勤講師の求人件数が最も多いとされるのは8〜9月。転職のタイミングとしても最悪だ。

 「どうしてもっと早く言ってくれないんですか。こっちにも生活があるんですよ。よくそんな非人間的なことができますね!」

 ショックのあまりいつになく口調が激しくなった。しかし、学校側は「すでに契約書で合意がなされていること。もう決まったことだから、どうにもならない」と言うばかり。形ばかりの話し合いは30分ほどで打ち切られた。

 2018年3月をもって雇い止め――。実は全国で、ヒロキさんと同じような目に遭った非正規労働者は少なくないと言われている。背景にあるのは、改正労働契約法18条による「無期転換ルール」だ。

 労働契約法18条は、2018年4月から勤続5年を超える有期雇用労働者は、使用者に無期雇用への転換申し込みができると規定している。しかし、一部の企業や団体は、非正規労働者が無期転換申込権を獲得する前に雇い止めを強行。いわゆる「無期転換逃れ」である。ヒロキさんが採用されたのは2013年4月。そして、5年後の2018年3月、まさに無期転換申込権が発生する直前でのクビを宣告されたのだ。

 ヒロキさんの勤務先は首都圏のある短大で、1年ごとの契約更新を繰り返してきた。あらためて過去の雇用契約書を確認してみると、2014年4月以降、「2018年3月31日を超えて(契約を)更新することはできない」との文言が突然追加されている。これ以降の契約書も同様で、大学側はこれを根拠に「すでに合意済み」と主張しているのだ。

 不更新条項の新設は、働き手にとってきわめて重要である。しかし、このくだりが追加された理由などについて、大学側からヒロキさんら非常勤講師への説明は一度もなかったという。彼は当初、この文言が加えられたことに気がつかなかった。更新手続きは毎年なかば自動的に行われており、「隅々まで(契約書を)読んでいなかったんです」と打ち明ける。

 気がついたのは、2017年4月の更新時。驚いたものの、契約書とは別に交付される「労働条件通知書」には「契約を更新する場合がある」との記載があったほか、周囲には勤続10年以上の同僚がいたこともあり、まさか本当に雇い止めにされるとは思わなかった。幼い子どもを持つ自分がクビになるなんてありえないと信じたい気持ちもあったという。「どこかで事態を楽観視したい自分がいました」。

 しかし、仮にもっと早い段階で不更新条項を知っていたとしても、契約を更新するには、大学側が示した条件に従うよりほかはなかっただろうと、ヒロキさんはいう。一般的にも労働者個人と使用者の力関係は対等とはいえない。この時も一抹の不安を抱えながらも、契約書に署名、捺印をしたという。

844チバQ:2018/06/05(火) 21:26:40
■「人をモノ扱いするようなやり方は許せない」

 ヒロキさんは、ある地方都市で生まれ育った。高校生のとき、1990年代のフランス映画『ポンヌフの恋人』を観てパリにあこがれる「早熟な子どもだった」という。東京の有名私大に進み、フランス文学を専攻。大学院を卒業後、パリに留学した。勉学に費やした時間は充実していたが、博士号を取得するまでには至らなかった。

 30代半ばで帰国し、短大でフランス語を教える非常勤講師の職を得た。その後はこの短大を中心に複数の学校を掛け持ち。授業は合わせて週5コマで、年収は150万円ほどだった。私生活では、留学時代に知り合った女性と結婚、ほどなく子どもが生まれた。妻は都内の国立大学で非常勤職員として働いており、年収は約200万円だという。

 「専任教員になりたいわけではないんです。大学院時代の優秀な先輩たちもほとんどが非常勤講師のままですし」とヒロキさん。博士号を取っても専任教員になれない「ポスドク」や、「高学歴ワーキングプア」が社会問題となる中、高望みするつもりはないという。

 とはいえ、雇い止めを知ったのは、これから勤務する大学や授業のコマ数を増やし、翻訳などの副業にも力を入れ、収入を安定させていきたいと考えていた矢先の出来事だった。「ずっと雇ってくれとは言ってない」と話すヒロキさんは無期転換を心待ちにしていたわけではないという。「人をモノ扱いするようなやり方は許せなかった」。

 ヒロキさんは学科長らと話をした直後、大学非常勤講師らでつくる労働組合・首都圏大学非常勤講師組合に加入し、大学側と団体交渉を続けてきた。しかし、両者の主張は平行線のままだった。

■ヒロキさんの妻も9月末で雇い止め

 はたしてヒロキさんは3月末で雇い止めされた。これにより収入は半分以下に。さらに間の悪いことに、妻も9月末で大学非常勤職員の仕事を雇い止めになる。彼女の場合は、契約期間の上限は3年というのが採用時の条件となっており、その期限が9月なのだ。

 ただ、妻によると、3年上限について知ったのは勤務初日。面接などでは長く働き続けたいとの希望を伝えていたのに、おかしいなと思ったという。が、就職にあたり、世の中の子育て世帯の多くがそうであるように保育園探しには苦労した。ようやく子どもの預け先と仕事が決まったのに、初日から採用条件をめぐってもめる気にはなれなかった。

 不安を抱きながら働き続けてきたが、最近になって、上司から契約更新はないとあらためて告げられたという。「今の保育園はやっとの思いで見つけたんです。失業したら、追い出されるんでしょうか。また保育園を探しながら、仕事を見つけなくてはならないんでしょうか。正直、やっていける自信がありません」。彼女はそう言って涙を流した。

845チバQ:2018/06/05(火) 21:26:57
 ヒロキさんのケースは、短大側の「無期転換逃れ」に当たるのだろうか。

 改正労働契約法が施行されたのは2013年4月。大学側が「2018年3月をもって雇い止め」との文言を契約書に加えたのは2014年4月である。また、外国人向けに英語で書かれた契約書には、2018年4月以降は契約を更新しないなどと記した文章の冒頭に「In response to the 2013 labor law(2013年の労働法を受けて)」との記載がある。大学側が改正労働契約法の施行を受け、新たに不更新条項を設けたことがうかがえる。

 無期転換などに関する労働相談を受け付けてきた日本労働弁護団によると、使用者側が契約更新の際に突然、不更新条項を盛り込んでくるのは無期転換逃れの典型的なパターンのひとつであり、裁判では違法と判断される可能性が高いという。

 また、ヒロキさんの妻のケースは一見、無期転換逃れとは無縁に見えるが、そうとは言い切れない。彼女は上司から雇い止めを通告されたとき、契約終了から6カ月が過ぎれば再雇用が可能だとも言われたという。さらに「その場合は6カ月後に“たまたま”“偶然”もう一度働きたくなったという体裁を取ってほしい」との旨を念押しされたというのだ。

 改正労働契約法18条は、契約終了後に6カ月以上の期間が空いた後に再雇用された場合は、勤続5年の通算はリセットされるとしている。しかし、このクーリング制度を無期転換逃れのために悪用することは法律の趣旨に反する。彼女の話が事実なら、こちらも脱法行為の可能性が高い。

■社会にとって初めての試みの「無期転換ルール」

 改正労働契約法18条が制定された背景には、2008年のリーマンショックが引き起こした「派遣切り」がある。非正規労働者の大量雇い止めという深刻な事態を受けてつくられた法律が求めているのは、非正規労働者の雇用の安定であり、無期転換させないために雇い止めをすることではない。ヒロキさん夫婦が、この法律ができたばかりに仕事を失い、貧困へと陥るのだとしたら、本末転倒も甚だしい。

846とはずがたり:2018/06/05(火) 21:47:39

40歳非常勤講師、「夫婦とも雇い止め」の深刻
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1256129168/843-845
5/15(火) 16:00配信 東洋経済オンライン

現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。…

■2018年3月をもって一律雇い止め

 昨年10月末のことだった。…まさか自分はクビなのか――?担当の専任教員の部屋に駆け込み、学科長も交えた席で説明を求めた。動揺するヒロキさんに対し、彼らはこう説明したという。
 「2013年以降に採用した非常勤講師は2018年3月をもって一律雇い止めとなります」

 来年3月となると半年もないではないか。生まれて間もない子どもや、初めての子育てに奮闘しながら共働きをしている妻の顔が頭をよぎった。次年度に向けた非常勤講師の求人件数が最も多いとされるのは8ー9月。転職のタイミングとしても最悪だ。…しかし、学校側は「すでに契約書で合意がなされていること。もう決まったことだから、どうにもならない」と言うばかり。

 2018年3月をもって雇い止め――。実は全国で、ヒロキさんと同じような目に遭った非正規労働者は少なくないと言われている。背景にあるのは、改正労働契約法18条による「無期転換ルール」だ。

 労働契約法18条は、2018年4月から勤続5年を超える有期雇用労働者は、使用者に無期雇用への転換申し込みができると規定している。しかし、一部の企業や団体は、非正規労働者が無期転換申込権を獲得する前に雇い止めを強行。いわゆる「無期転換逃れ」である。ヒロキさんが採用されたのは2013年4月。そして、5年後の2018年3月、まさに無期転換申込権が発生する直前でのクビを宣告されたのだ。

 ヒロキさんの勤務先は首都圏のある短大で、1年ごとの契約更新を繰り返してきた。あらためて過去の雇用契約書を確認してみると、2014年4月以降、「2018年3月31日を超えて(契約を)更新することはできない」との文言が突然追加されている。これ以降の契約書も同様で、大学側はこれを根拠に「すでに合意済み」と主張しているのだ。

 不更新条項の新設は、働き手にとってきわめて重要である。しかし、このくだりが追加された理由などについて、大学側からヒロキさんら非常勤講師への説明は一度もなかったという。彼は当初、この文言が加えられたことに気がつかなかった。更新手続きは毎年なかば自動的に行われており、「隅々まで(契約書を)読んでいなかったんです」と打ち明ける。

 気がついたのは、2017年4月の更新時。驚いたものの、契約書とは別に交付される「労働条件通知書」には「契約を更新する場合がある」との記載があったほか、周囲には勤続10年以上の同僚がいたこともあり、まさか本当に雇い止めにされるとは思わなかった。…30代半ばで帰国し、短大でフランス語を教える非常勤講師の職を得た。その後はこの短大を中心に複数の学校を掛け持ち。授業は合わせて週5コマで、年収は150万円ほどだった。私生活では、留学時代に知り合った女性と結婚、ほどなく子どもが生まれた。妻は都内の国立大学で非常勤職員として働いており、年収は約200万円だという。…

847とはずがたり:2018/06/05(火) 21:47:55
>>1752
 ヒロキさんは学科長らと話をした直後、大学非常勤講師らでつくる労働組合・首都圏大学非常勤講師組合に加入し、大学側と団体交渉を続けてきた。しかし、両者の主張は平行線のままだった。

■ヒロキさんの妻も9月末で雇い止め
 はたしてヒロキさんは3月末で雇い止めされた。これにより収入は半分以下に。さらに間の悪いことに、妻も9月末で大学非常勤職員の仕事を雇い止めになる。彼女の場合は、契約期間の上限は3年というのが採用時の条件となっており、その期限が9月なのだ。

 ただ、妻によると、3年上限について知ったのは勤務初日。面接などでは長く働き続けたいとの希望を伝えていたのに、おかしいなと思ったという。…

 ヒロキさんのケースは、短大側の「無期転換逃れ」に当たるのだろうか。

 改正労働契約法が施行されたのは2013年4月。大学側が「2018年3月をもって雇い止め」との文言を契約書に加えたのは2014年4月である。また、外国人向けに英語で書かれた契約書には、2018年4月以降は契約を更新しないなどと記した文章の冒頭に「In response to the 2013 labor law(2013年の労働法を受けて)」との記載がある。大学側が改正労働契約法の施行を受け、新たに不更新条項を設けたことがうかがえる。

 無期転換などに関する労働相談を受け付けてきた日本労働弁護団によると、使用者側が契約更新の際に突然、不更新条項を盛り込んでくるのは無期転換逃れの典型的なパターンのひとつであり、裁判では違法と判断される可能性が高いという。

 また、ヒロキさんの妻のケースは一見、無期転換逃れとは無縁に見えるが、そうとは言い切れない。彼女は上司から雇い止めを通告されたとき、契約終了から6カ月が過ぎれば再雇用が可能だとも言われたという。さらに「その場合は6カ月後に“たまたま”“偶然”もう一度働きたくなったという体裁を取ってほしい」との旨を念押しされたというのだ。

 改正労働契約法18条は、契約終了後に6カ月以上の期間が空いた後に再雇用された場合は、勤続5年の通算はリセットされるとしている。しかし、このクーリング制度を無期転換逃れのために悪用することは法律の趣旨に反する。彼女の話が事実なら、こちらも脱法行為の可能性が高い。

■社会にとって初めての試みの「無期転換ルール」

 改正労働契約法18条が制定された背景には、2008年のリーマンショックが引き起こした「派遣切り」がある。非正規労働者の大量雇い止めという深刻な事態を受けてつくられた法律が求めているのは、非正規労働者の雇用の安定であり、無期転換させないために雇い止めをすることではない。ヒロキさん夫婦が、この法律ができたばかりに仕事を失い、貧困へと陥るのだとしたら、本末転倒も甚だしい。

848チバQ:2018/06/21(木) 08:46:19
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20180620-00000042-nnn-soci
月給5万、除染作業…苦悩する外国人労働者
6/20(水) 14:23配信 日テレNEWS24

Nippon News Network(NNN)

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「1年間で休み7日、でも我慢我慢」――福島県の一軒家、ここで寝泊まりしているのは、ベトナムから来日した14人の外国人たち。不当な賃金の未払いやパワハラを受けるなどしたため、職場を逃れNPOが運営する施設に駆け込んできたといいます。

生活する1人の過去の給料明細を見せてもらうと、1か月で19日間働いて、支給額が5万円という人も。基本給が低いだけでなく、天候不順などで現場が休みになったのに欠勤扱いにされ、給料を天引きされたことも低賃金の理由だと主張します。

建設会社の実習生として来日したカインさん(24)。両親を残して3年前に実習生としてやってきましたが、十分な説明もないまま福島第一原発の除染作業を命じられたといいます。

カインさん「直接、福島に行って、除染を手伝っていました」「(除染と知っていたら)絶対に日本に来なかったでしょう」

彼らは日本で働きながら、技術や知識を身につける技能実習制度で来日しました。しかし、この制度のもとでは、原則、職場を変えることはできず、仮に不当な扱いを受けても泣き寝入りせざるを得ないのが現状だといいます。

このような事態を受け政府は今年3月、技能実習生による除染作業を禁止。近い将来、日本の職場に本格的に加わることになる外国人労働者たち。課題への対応も急がれます。


【the SOCIAL viewより】

849チバQ:2018/07/11(水) 11:57:50
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180711-00056289-gendaibiz-bus_all
この10年で日本の「子どもの貧困」を取り巻く状況はこう変わった
7/11(水) 11:00配信 現代ビジネス
この10年で日本の「子どもの貧困」を取り巻く状況はこう変わった
写真:現代ビジネス
「子どもの貧困」再発見から10年
 2008年は、「子どもの貧困・再発見」の年と呼ばれることがある。

 拙著『子どもの最貧国・日本』をはじめ、数冊の子どもの貧困に関する書籍が、この年偶然同時期に発表されたこともあって、新聞やテレビなどマスコミがこの問題に注目を始めた。

 一方、今から振り返って見れば、社会的に刮目を浴びた理由のひとつには、当時の日本社会において「子ども」と「貧困」というふたつの言葉が、どうしても合致しないという思いが多くの人の中にはあり、ちょっとした驚きがあったからではないだろうか。

 日本は、先進国であり、教育制度は整備され、保育所はあり、医療は皆保険であり、子どもがいれば児童手当も利用できる。

 2000年代半ばにはワーキングプアや格差の問題がクローズアップされても、せめて子どもには優しい社会であるはずだという、(もしかしたら根拠はあまりなかったかもしれない)認識があったからではないか。

 しかし、現実は7人にひとりの子どもが貧困であり、ひとり親世帯ではその数値は半分に及び先進国で最も高いことがOECDの数値を基にエビデンスとして提示された。

 ただ、この数値がOECDのものであり、政府の公式発表のものではなかったことも今から見ると不思議なことだ。

 先述のように2008年にこの問題が関心を集めても、当初政府の反応は鈍かったのである(後述するが、現在はその姿勢は異なる)。

 すでに多くの人の記憶から落ちてしまっているように思えるのだが、公的な貧困率の発表すら政府は必要がないとして拒否していた。貧困率を政府が発表をするのは、2009年の政権交代後のことである。

 2008年当時の政府は、貧困率そのものを否定しようとやっきだった。

 現代の日本には格差は存在するが貧困は存在しないとか、貧困率だけで議論するのはいかがなものかとか(昨年貧困率の改善が発表されると、首相は自分の成果だと強調したのだが)、貧困率には資産の面が反映されていないとか(反映した指標を作るともっと厳しい子ども間の不平等が目立つのだが)。

子どもの貧困対策法のインパクト
 もう一点、政府が主張していたのは、貧困率にのみ目を向けると児童手当など現金給付サービスだけが焦点化され、教育や保育などの現物給付の施策の充実が反映されないというものであった。

 ただ、OECDによって指摘されたのは貧困率の高さだけでなく、日本の子どもや子育て家庭をめぐる予算の少なさでもあった。

 欧州などと比較すると、貧困率を下げるために有効な手段である現金給付に加え、現物給付サービスもかなり少ないことが示された。

 OECDの指摘を意識してのことだろうが、現物給付(公的教育支出)の少なさについては2009年の文部科学白書が特集として取り上げ、マスコミも貧困率の高さと同時にこうした点も報道し始める。子どもには優しい国と思われていた日本社会のさらなる暗部が見え始めた。

 確かに、ここ数年政権与党は、こうした教育費の私費負担の高さを意識した選挙公約や政策案を練り始めている(10年前には考えられなかった点である)。

 そのひとつが保育・幼児教育の無償化である。

 一方で無償化ではなく、待機児童問題など保育へのアクセス面を先行するべきだという反論もある。

 ただ、どちらを優先するのであれ、保育や幼児教育にかけられている資源量の少なさについての共通認識を持っておく必要はあるだろう。

 先にも触れたように、これまで日本社会は子どもや家族に税金をかけることに消極的だったのである。

 図1を見ても、保育や幼児教育に対する公的な社会支出は先進国の中ではまだまだ低いのである。

 確かにここ数年保育予算は増加している。保育は成長産業と言えるだろう。にもかかわらず世界的にみればまだまだ予算的には制約を受けている状況にある(逆に言えば、他の先進国は日本以上に保育の予算が増えているのである。その理由は別の機会に譲りたい)。

850チバQ:2018/07/11(水) 11:58:13
もちろん、2008年当時と現在の政府の動きは異なる。特に2012年末の政権奪還後、政府は大きな一歩を踏み出した。法律制定に向け動いたのである。

 生活保護の基準切り下げを進めるための弥縫策(びほうさく)としての意味もあったが、あしなが育英会などの当事者団体の声にも耳を傾けざるをえなくなっていたのであろう。

 2013年6月、子どもの貧困対策法が、すべての政党が賛成して成立した。

 法律制定のインパクトは大きかった。

 それまでその存在すら知らない人々の関心を、法律の制定、それに伴うマスコミ報道等がひきつけていった。

 私はある自治体の幹部から、「法律制定以前、うちの市に貧困な子どもが存在するはずがないと思っていました」と吐露されたことがあった。根拠はあまりないイメージはやはり存在していたのだと思う。

子ども食堂を始めた動機は?
 もちろん、法律によって刺激を受けたのは行政関係者だけではない。一般市民も触発されている。

 その代表格が子ども食堂の活動だろう。法律制定の翌年2014年ごろから、子ども食堂は全国各地で作られ一般市民の方を中心に運営がなされている。

 現在では、小さいものまで含めれば1000近く(またはそれ以上)に及んでいる可能性がある。一種のブームと言っていいだろう。

 子ども食堂(またはそれに類似の活動)を始めた方に会うといつも感じるのは、草の根的・自発的に動いたのは初めてという方ばかりであることだ。

 また、みなさん「いてもたってもいられなくなった」と自分たちの活動の始まりを語ることが多い。子どもの貧困をめぐるマスコミ報道に触れて、内発的な思いに突き動かされたという。

 子ども食堂は批判を浴びることもある。「それで子どもの貧困を解決できるのか」とか「子ども食堂に本当に困っている子どもは来ない」とか。

 しかし、子ども食堂などをやっている人はそうした批判はあまり気にしていないように見える。それは、彼らが子どもの貧困問題とも深くつながるある危機感を持っているからではないかと思う。

 ある子ども食堂を始めた年配の方からその活動動機としてこんなことを聞いたことがある。

 「俺たちが小さい時もご飯に困ることはあった。でもそうした時、昔は隣の人がご飯を食べさせてくれた。隣がダメだったらその隣だった」

 子どもの貧困は、ここ数年急上昇してきたわけではない。80年代から長期的な上昇トレンドにある。それと並行して進行しているのは、親族網の急速な縮小と地域コミュニティの関係の希薄化だろう。

 確かに、かつての地域や親族間には閉鎖的な縛りがあり、息苦しさを感じる場合も多かった。しかし、その協力関係があったから生活がなりたっていた部分もあったのである。

 今、親族はともかく地域のつながりは必要性そのものが薄まり本当に小さくなっている。子ども食堂はそうした地域社会が抱える課題を新たなムーブメントを起こすことで逆に照射しているようにも見える。

 少なくとも、子ども食堂を始めた人々はしんどい子どもたちの問題は自分の地域にもあるはずなのに、それが見えなくってしまったことに対する「やばさ」のようなものを感じているのではないか。

 一方で、経済的に困窮している方からすれば、このことは折り重なるハンディを彼らが抱えていることを意味する。

 先に述べたように、子どもや家族に対する公的支援(公助)は少ない、それに加え地域や親族網(共助)の減少が襲っている。

 共助は、全体でも減ってきたが、特に貧困を抱える家族に集中して少ないことが後述する沖縄などの各地域での子どもの貧困調査では見える。貧困な家族ほど、相談相手や頼りになる人が少なく孤立と向き合っているのである。

851チバQ:2018/07/11(水) 11:59:23
過労死ラインを超えて働く父親たち
 では、公も共も薄いのであれば、残りの「自助」はどうなのだろうか? 
 典型的な自助の方法とは、簡単に言えば働くことである。

 十分に働いていれば、貧困に陥らないで済むのではないか? 
 子どもを持つ家族の労働ということでは、日本社会は先進国の中ではやや異質だ。親たちは本当に良く働いている、つまり失業率が最も低いことが分かっている。にもかかわらず貧困率は高い。

 親たちの働き方の調査分析を試みているのが、国の補助金を活用し、各地で始まっている子どもの貧困調査の一部である(こうした調査も法律の成立がもたらした成果である)。

 これらの調査の嚆矢となったのは2015年から始まった沖縄での調査であるが、そこでは初年度、税務調査を基に貧困率を29.9%と提示し全国的にも注目を浴びた。

 沖縄の調査では親たちの働き方の調査を試みてきたが、3年目の乳幼児調査では、父親たちがかなりの長時間労働に従事していることがうかがえた。

 例として、図2において5歳児を持つ父親の1週間の平均労働時間を示す。全体と貧困ライン未満の世帯(低所得層Ⅰ)と貧困ラインの1倍から1.5倍の世帯(低所得層Ⅱ)、1.5倍以上の世帯(一般層)で区分して分析している。

 すると、全体では、週60時間以上(過労死ラインである)という極端な長時間労働をする父親が4分の1近くに及ぶことが分かった。

 さらに、こうした労働時間の長さには階層差があることもはっきり見える。低所得になるほど長時間労働に従事しているのである。

 低所得層Ⅰでは過労死ライン以上に働く父親は約3割に及んでいる。異常な数値ではないだろうか。

 これは沖縄という地域のみの問題ではないだろう。子どもを抱える親たちは日本社会では働きに働いているのである。自助による努力はもうこれ以上無理なのではないか。

 今、政府は働き方改革に取り組んでいる。しかし、こうした子どもを持つ世帯の経済状況ごとの分析などのエビデンスは寡聞にして聞かない。

 子どもを持つ親たちの場合、育児にかかる費用の高さのために長時間働かざるを得ないのである。

 だとしたら、彼らの労働時間を短くし(特に父親の)イクメンを促進するには、育児費用や教育費があまりかからないようにするなど経済的な支援(公助)を高めるのは必須ではないか。

852名無しさん:2018/07/11(水) 11:59:36
「何とかならないでしょうか」(高校生の声)
 さて、この10年で見えてきたことの最後に当事者や若者の声を上げてみたい。

 これは先述したように、法律制定にも影響を及ぼした。

 沖縄の高校生調査における自由記述欄(公表を前提に記述願った)からも、高校生自身のこの問題に対する関心の高さがうかがえた。いくつかを引用してみたい。

 「私の周りに進学してやりたいことがあるけれど、経済的に苦しく進学をあきらめる・自分のやりたいこととは違うものをする子が多い。ひとり親で多い。私も、家計が苦しいため、最悪夢は諦めて就職しないといけないかもしれない。これから沖縄を変えられる人材もいるかもしれないのに、経済的な理由で潰されるのはもったいないと思います」

 「なぜか不安になることがたまにあります。家計が苦しくて大学に行くべきか悩みます。親に無理させてまで夢を叶えたいのかどうかも分からないです」

 「私は両親にとても愛されていると自覚しているし、経済的にもあまり不安はありません。自分の環境がとても恵まれている事は十分理解しています。周囲の知り合いには、そうではない人がたくさんいます。助けてあげてください」

 「進路に不安はつきないけど、私は今のゆめを実現させたいです。ゆめがやっと決まったからです。ただお金がかかるとなると、このゆめもあきらめなくてはなりません。だから、そこに悩んでいます。支援があれば、私だけでなく、多くの人がゆめを叶えて、国のために良い働きをしてくれると思います」

 「私は県外の国立大学に行きたいと考えています。母は仕事を2つ掛け持ちして土日も働き、私の大学費用と兄の予備校費用を稼いでくれています。私もバイトをして自分の大学費用のためにこつこつ貯金しています。給付型の奨学金制度がもっと充実していれば…と、いつも思います。何とかならないでしょうか」

 「沖縄の貧困がいつかなくなってほしい」

 彼らは自分のことだけを問題としているのではなく、そこから仲間たち、親の暮らし、さらには社会や国全体のことを射程にしているのである。

 私たちは彼らの声にきちんと答える必要があるのではないだろうか。それができる土台はこの10年で少しずつそろってきたと思う。

山野 良一

853チバQ:2018/07/13(金) 20:39:35
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180713-10000001-mbsnews-l27
【特集】44歳で手取り月18万円…学童保育を支える指導員の現実
7/13(金) 15:07配信 MBSニュース
働く親にとって、放課後子どもを預かってくれる「学童保育」は欠かせない場所ですが、そこで働く人たちの処遇は決していいものとは言えません。

【特集】44歳で手取り月18万円…学童保育を支える指導員の現実
MBSニュース
多岐にわたる仕事内容
大阪・西淀川区にあるたんぽぽ学童保育。この学童で働くのは、44歳の森岡恵治さん。この道24年のベテラン指導員です。出勤は午前10時。子どもたちが来る前に事務作業に取りかかります。

「子どもたちが来る時間と帰る時間を(パソコンで)管理している」(森岡恵治さん)

この施設には、小学3年から6年までの12人の子どもたちが通っています。夏休みでも学童保育はあるため、アルバイトの指導員と夏の予定を打ち合わせします。

「プールじゃなくて、あそこ行ったらどうやと思って。ドラゴン公園のある川西市の川」(森岡恵治さん)

落ち着いて仕事ができるのは昼過ぎまで。ここからが本番です。

【特集】44歳で手取り月18万円…学童保育を支える指導員の現実
MBSニュース
午後3時。放課後、次々とやってくる子どもたち。

<算数のプリントを前にして>
「ここが真っすぐな線やとしたら?こっからここまでなんぼ?」(森岡恵治さん)
「むずかしい」(男の子)

指導員としての森岡さんの仕事は多岐にわたります。1人1人の宿題を手伝だったり、外へお出かけして、みんなで遊ぶことも。

午後4時。子どもたちのおやつも用意します。きょうは手作りのホットケーキ。週に3日はおやつを作ります。

Q.どんな先生?
「やさしい。いろいろ教えてくれる。宿題とか」(男の子2人)
Q.好き?
「うん」
Q.どれくらい?
「(両腕を広げて)これくらい」

【特集】44歳で手取り月18万円…学童保育を支える指導員の現実
MBSニュース
夕暮れ時の午後6時、ようやく子どもたちを家に送ります。

「ほんまに一生懸命生きてる子どもたちと関われる。すごく楽しい仕事で、やりがいのある仕事やと思ってます」(森岡恵治さん)

【特集】44歳で手取り月18万円…学童保育を支える指導員の現実
MBSニュース
手取り月18万円、休みは日曜と祝日だけ
森岡さんが暮らしているのは大阪・西淀川区の市営住宅。結婚はまだ。家賃3万円の部屋にひとり暮らしです。

Q.給料はどれくらい?
「明細あるけど、これになります」(森岡恵治さん)

24年間働いてきた森岡さんの給料は、手取りで月18万円、年収は250万円ほどです。休みは日曜と祝日だけ、ほとんど遊びには行けません。

「自分はまだこの年やけど独身なので、単身やからこそ給料安くても生きていければいいかという感じでできてますけど。将来的な不安とか…すごく不安になってくる」(森岡恵治さん)

なぜ給料が安いのか。それは国が設定する運営費の低さにあります。例えば、19人の児童を預かる施設で常勤1人非常勤1人の指導員の場合、これに対し設定された運営費は約500万円で、補助金と保護者が支払う保育料で賄います。これが給料の元となるため、おのずと支給額は低くなります。

854名無しさん:2018/07/13(金) 20:39:57
「奥さんの理解があって仕事をさせてもらってる」
7月8日、年に一度の学童関係者が集まる研究会が行われました。

「インフルエンザにかかったときは、どう対応するつもりだった?」(男性指導員)
「週末については月曜からを乗り切るために調整する。熱出すのは土曜の晩みたいな」(男性指導員)

それぞれの学童の労働環境など話し合いましたが、ここでも指導員の処遇の悪さが浮き彫りとなりました。

「正直生活は贅沢はできないし、しんどい部分はありますけど。やり続けたいと思ってますので、この給料(20万円弱)でも頑張っていくしかないかな」(大阪市の指導員・39歳)

「手取りで13、14万円くらい」(寝屋川市の指導員・37歳)
Q.子どもは
「1人で、もうすぐ1人生まれるんで2人。奥さんの理解があって、なんとか仕事をさせてもらってるかな」

【特集】44歳で手取り月18万円…学童保育を支える指導員の現実
MBSニュース
学童需要は高まるも…
そもそも学童は放課後の子どもたちを預かってほしいと地域の保護者が共同で作ったもので、当時は自らの家を開放し指導員を保護者が見つけ出して雇っていました。しかし時代は流れ、核家族や共働き夫婦も増え、子育て環境は大きく変わりました。学童保育は今の社会にとって欠かせない存在になっています。

「私にとっても子どもにとっても、よりどころ」(保護者)
「(年齢が)下の子の面倒をみたり、お兄ちゃんのいうことを聞いたりとか。小さな家族みたいな役割」(保護者)
「子どもを育てるチームの1人として、大事な機関だと思ってます」(保護者)

国も3年前から指導員の処遇改善のため新たに補助金を出すなど、動きはじめました。それでも高まる学童需要に追い付いていないのが現状です。そこには学童に対する根本的な意識の差があると専門家は言います。

「学童に対する見方。国の意識の低さ、自治体の意識の低さというところがあるのでは。指導員のやりがい思いが、行政に伝わっていないんじゃないかな」(労働法に詳しい 遠地靖志弁護士)

【特集】44歳で手取り月18万円…学童保育を支える指導員の現実
MBSニュース
指導員たちの努力でギリギリ成り立っている学童保育
再び、たんぽぽ学童保育の森岡さん。午後7時。子どもたちが帰った後も仕事は続きます。

「きょうの1日の活動の日誌です」(森岡恵治さん)

日本の子育て社会を支えてきた学童保育。それは今、指導員たちの努力によってギリギリのラインで成り立っています。

「『預かっている』ということの責任ある仕事なんで、その責任に見合う、働き続けられるような、せっかく思いをもってやってる指導員は多いと思うんで。指導員が安心して働き続けられるような職場にしていけたらなと思います」(森岡恵治さん)

MBSニュース

855とはずがたり:2018/07/16(月) 22:28:40

実はみんな読み切れない トマ・ピケティ『21世紀の資本』を簡単図解 恥をかかないために
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1046080617/1923-1925
週刊現代講談社

ポイント1『21世紀の資本』におけるピケティの3つの功績。

(1)最大の功績は、それまであまり注目されず、データも不十分だった「格差論」を歴史的なデータに基づいて示したことだ。約15年もの歳月をかけて、世界の税務データを収集した。

(2)そのデータを惜しみなく、インターネット上の「世界トップ所得データベース(WTID)」において無料公開している。これは、格差についての議論がより活発になることを願ってのことである。

(3)ピケティ教授は格差を是正するために、富裕層への累進課税を提唱している。いままさに、この是非を巡って世界中で大きな論争が巻き起こっているのだ。

ポイント 2財産の成長率は、労働によって得られる賃金の成長率を上回る。

株や不動産、債券などに投資することで財産は増えていく。こうした財産の成長率は、給与所得者の賃金が上がる率よりも、常に高くなる。これがピケティ教授の理論の核心である。(とは註:算術級数的にしか労働所得は増えないけど幾何級数的に資産は増えるという指摘ですな。食糧生産は算術級数的にしか増えないけど人口は幾何級数的に増えるから飢餓が発生する,故に晩婚と節制せよとマルサスは説いて予想を外した。)

では、財産の成長率が賃金の成長率を上回ると何が問題なのか。

主に資産運用によって財産を築いている富裕層は、株や不動産を保有しているだけで、多大な利益を獲得できる。一方、平均的労働者は働けども賃金はゆるやかにしか上がらない。賃金を貯蓄したところで大きく増えるわけでもない。こうして格差が広がってしまう。(とは註:労働者階級も貯蓄出来るなら同じ率で増える筈である。そうなってないとするならば利率が100万円よりも100億円の方が良いか,19世紀の労働者みたいに生存賃金で貯蓄が出来ないか,貯蓄出来ない性格のものが富裕層になれてなくてできる家計が富裕層になってるかのどれかである。此処はそう大した指摘でないような気がする・・。)

ポイント3「持てる者」はより豊かに、「持たざる者」はより貧しくなる。

こうした状況は今後も続 くのか。カギとなるのは技術革新である。将来的にバスが自動操縦になれば、運転手は不要になる。会計ソフトの導入で、経理事務員は減っていく。このよう に、最新技術を導入すると作業効率は上がるが、労働者は職を奪われる。富裕層はそうした技術に投資して、ますます儲かるばかりだ。(とは註:此処だな。儲かるなら投資すれば良いだけだが,労働者が失業して投資が出来ないまま固定化してる可能性がある。)

ポイント4 21世紀は「相続」によって格差がさらに肥大化していく。

「重要なのは、格差の大きさそのものではなく、格差が正当化されるかどうかだ」

ピケティ教授は、後述する東大の講義でも、そう強調していた。たしかに、機会が平等に与えられた上で、努力して得た財産に差が生まれるのは仕方ない。しかし近年は、働かずとも相続によって利益を増やしている層が増大している。

特に、先進国では少子化が進んでおり、祖父母や両親の財産を子息が一身に受け継ぐことも少なくない。裕福な家庭に生まれた人は、さらに裕福になることが約束されているということだ。こうした事態は、真面目に働いてきた労働者の不満につながる恐れがある。(とは註:日本は相続税が高いのに再配分効果が薄いそうな。相続税への信認はどうなのか?)

ポイント5 1910~1950年代は格差が小さかった例外的時代。

昔はそんな格差はなく、いまが「たまたま」格差社会なのだという意見もある。だがピケティ教授は、2度の世界大戦があった'10年~'50年代こ そ、「たまたま」格差が小さかったに過ぎないと反論する。インフレや急激な経済成長によって格差が拡大することを恐れた政府が意図的に経済に介入した結果 だというのだ。

856チバQ:2018/07/19(木) 16:17:26
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/nagasaki/article/433587/
「まさか」身近な貧困に衝撃 子ども食堂開設した主婦の思い [長崎県]
2018年07月18日 06時00分
子ども食堂の開設に向けて準備をする立石さん
子ども食堂の開設に向けて準備をする立石さん
写真を見る
 子どもたちの第2の家に-。食事を十分に取っていない小学生がいることを知った佐世保市内の主婦が18日、同市三浦町に子ども食堂を開く。「都会のことだとばかり思っていた」子どもの貧困が身近でもあることに衝撃を受け、「温かい食事を出すことはできる」と主婦の経験を生かすことを決意。食事はもちろん、宿題や読書などもできるような場所を提供する。

 主婦は同市万津町の立石多恵子さん(60)。子ども食堂「宝ハウス」を毎週水曜日に開き、放課後の子どもを受け入れる。夏休み中は午前11時から午後2時まで開放する。

 きっかけは昨年11月、市内の小学校の教員から「育児放棄や経済的な問題で1日の食事が給食だけという児童がいる」という話を聞いたことだった。「まさか佐世保で」。身近にこんな悲しい現実があることにショックを受けた。

 1人で食事をせざるを得ない子どもや貧困で満足な食事ができない子どもに低額や無料で食事を提供する子ども食堂があることは知っていた。「ご飯を作ることはできる」。夫に相談すると「できる範囲でやりなさい」と理解を示してくれた。

 アパートの2室を借り、6月に改装。食事用のテーブルのほか、宿題や読書をするスペースを設けた。運営は主婦や元教員など5人ほどで分担。できたての食事の提供にこだわり、食器の片付けや掃除などは子どもたちも手伝ってもらう。

 月1回が多い子ども食堂だが「困る子どもがいるはず」と毎週開催。子どもに対する偏見を避けるため、誰でも来られるようにした。

 「その中に本当に困っている子どもが交ざってくれたらと思う。長く続けられる場にしたい。おばあちゃんたちと話す感覚で来てほしい」と立石さん。小中学生の食事は無料。大人は「気持ちで料金をいただく」。ボランティアや支援を募っている。

=2018/07/18付 西日本新聞朝刊=

857とはずがたり:2018/07/22(日) 21:49:36
勿論こんな男性職員言語道断で懲戒免職ものだが,女性としての魅力を持った女性が申請者だったと云う事だろうということで思い出したが,ほんとは愛人として扶養して貰ってるのにそれを隠して生保申請する連中も居るらしい。東大阪とか多いとか聞いた。そういうのってどうやって摘発すれば良いのかねえ。

生活保護受給の女性に「胸が大きいですね」。江戸川区の男性職員がセクハラ発言
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180722-00010001-huffpost-soci
7/22(日) 12:00配信 ハフポスト日本版

東京都江戸川区は7月20日、生活保護受給者を支援する男性職員が担当する複数の女性に、「胸が大きいですね」などとセクハラ発言をしていたと発表した。区は男性職員を停職3カ月の懲戒処分とした。(浜田理央 / ハフポスト日本版)

区によると、ケースワーカーを務めていた50代の男性職員は2016年4月から18年5月、生活保護受給者の女性6人に対して、性的な発言や業務に関係のない電話・メール連絡を繰り返した。

産経ニュースによると、「胸が大きいですね」と発言したり、食事に誘ったりしていたという。


被害を受けた女性が5月24日、「前担当者から言葉による性的な嫌がらせを受けていた」と区に相談し、事態が発覚。区は男性職員をケースワーカーの業務から外した。

NHKニュースによると、被害にあった女性の中には「生活保護が打ち切られてしまうと困るので言えなかった」と話している人もいる。

男性職員は事実関係を認め、「親しくなるための冗談だった。相手が不快になると思わなかった」「恋愛感情をもっていたのでやってしまった」などと話しているという。

江戸川区の岡村昭雄福祉部長は、「被害に遭われた方に誠に申し訳なく思います。今後は再発防止に向け、職員に対する指導を徹底し、信頼回復に努めてまいります」とのコメントを出した。

浜田理央 / ハフポスト日本版

858チバQ:2018/07/31(火) 22:16:21
有料記事だから、最初しか読めないけど美談系の記事なのか?これ
https://mainichi.jp/articles/20180704/dde/001/040/054000c

多様化する貧困 路上生活減り「ビッグイシュー」部数減
会員限定有料記事 毎日新聞2018年7月4日 東京夕刊
ホームレス状態にある人の生活再建を支える雑誌「ビッグイシュー」の販売者が減少している。求人倍率向上や生活保護の利用増で、販売する路上生活者が減少したことが主な理由だが、東京都府中市の駅前に立つ小沢佳子さん(69)は全国唯一の女性販売員として奮闘している。「お客さんとの交流で心が豊かになる」と生きがいを感じている。【蒔田備憲】

 「元気かい?」「今日も頑張っているね」。京王線府中駅前でビッグイシューを並べる小沢さんに通行人から…

859とはずがたり:2018/08/01(水) 18:23:37
60代女性が熱中症で死亡 電気止められ冷房使えず 札幌
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180731/k10011558201000.html?utm_int=all_side_ranking-access_004
2018年7月31日 20時08分

29日、札幌市西区のアパートで1人暮らしの60代の女性が倒れているのが見つかり、その後、死亡が確認されました。警察によりますと、死因は熱中症で、部屋にはクーラーや扇風機はありましたが、料金を滞納していたため電気を止められていて使えない状態だったということです。

29日午前11時半ごろ、札幌市西区琴似のアパートの部屋で、この部屋に住む60代の女性が倒れているのを、通報を受けて駆けつけた警察官が見つけました。

女性は病院に搬送されましたが、その後死亡が確認され、警察が死因を詳しく調べたところ、熱中症によって29日の午前に死亡したことがわかりました。女性は激しい脱水の症状が見られたということです。

警察によりますと、女性は5階建てのアパートの4階の部屋で1人で暮らしていて、部屋にはクーラーや扇風機はありましたが、料金を滞納していたため電気を止められていて使えない状態だったということです。

気象台によりますと、札幌市では29日は最高気温が前日より2度4分高い31度まで上がり、真夏日となっていました。

860チバQ:2018/08/08(水) 18:10:16
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180808-00010002-asahit-soci
【平成家族】非正規シングル女性、収入12万円の「充実」と「取り残され感」
8/8(水) 12:13配信 朝日新聞デジタル
【平成家族】非正規シングル女性、収入12万円の「充実」と「取り残され感」
女性の趣味の水彩画。テーマを決めず、思いのまま筆を運ぶ=滝沢美穂子撮影
【アーカイブ:内容は2018年1月6日の初出時点のものです】

 非正規雇用で未婚、親と同居。収入は少ないけれど、友人はいて「生活は充実している」。平成に入り「男性稼ぎ主モデル」から「女性活躍」への変化の波があります。取り残されていると感じる非正規シングル女性の内なる声に耳を傾けました。(朝日新聞記者・山内深紗子)

【写真特集】産め圧力・男性不妊・タワマン保活……多様化する「平成家族」の風景

【平成家族】非正規シングル女性、収入12万円の「充実」と「取り残され感」
新しいお弁当袋をミシンで縫う女性=滝沢美穂子撮影
弁当作ってもらうのも負い目
 関西地方の一軒家。契約社員の女性(45)は、年金暮らしの両親と同居している。

 昨年12月上旬の夕食後、食卓で母(78)が父(78)に漏らしたこんな言葉が偶然、耳に入ってきた。

 「あの子、弁当袋を新しく縫ったんよ。まだ私に作らせる気やわ……」

 女性は大手菓子店で働いている。短大卒業後に就職した会社は、女性の総合職がなかった。正社員だったが、29歳で退職した。その後、正社員としての再就職先を探し続けているが、年齢や経験不足が壁になり、ずっと非正規職を転々としている。いまの給与は、手取りで月12万円ほどだ。

 非正規になってから、母は「私が弁当を作るから、貯金にまわしなさい」と言って、弁当を作り続けてくれる。定番は、好物の卵焼きと俵型のおにぎり。それに、前の晩のおかずが入る。「500円弁当を買うから」と伝えても、母は用意してくれていた。

 母が漏らした言葉を耳にした日の夜、両親が眠っているのを確認して、食卓に置き手紙をした。

 「ダイエットにつき、もう弁当は必要ないです」

 それでも翌朝、食卓に少し小さな弁当箱が置かれていた。その日は無言で朝食を囲み、出勤した。

 「口実だったのに、心がズシンと重くなった」

【平成家族】非正規シングル女性、収入12万円の「充実」と「取り残され感」
非正規シングル女性の数の推移
孤独ではないが、焦りも
 40歳を過ぎて、両親とけんかすることが多くなった。入浴する時間や掃除のタイミング……。生活のリズムが異なり、お互いの将来の不安も重なって、こらえきれずに感情をぶつけ合ってしまう。さっぱりした性格の母も、何かと心配してくれる父も、最近は疲れが目立つ。「もっとしっかりして」という小言に、返事ができない。

 本当は同居をやめて、自立したい。でも、この給料では家賃を払えない。自分が「半人前」のように感じ、現実逃避から休日は眠って過ごす日が少し増えている。

 半人前なのは、パートナーがいないからなの? 女性は35歳を迎えてから、こんな思いにとらわれるようになった。結婚願望は薄かったはずなのに。

 2004年に、酒井順子さんのエッセー「負け犬の遠吠(ぼ)え」がベストセラーになった。「30代以上、未婚、子どもなし」の女性を「負け犬」と呼び、論争を呼んだ。女性の生涯未婚率は上昇し続け、15年には14.06%になった。結婚することは、当たり前の時代ではなくなっている。

 女性は非正規で働くようになって給料は減ったが、時々行く一人飲みで20代から60代まで幅広い年齢層の友人ができた。決して孤独は感じない。美術を学んでいたので、仕事の傍ら版画や水彩画の制作も続け、充実していると思っていた。だが正社員の仕事につけない年月が長くなると、焦りもでてきた。

 恋愛は苦手で、男性とお付き合いをした経験は少ない。10年前から、インターネットの結婚相談サイトや婚活イベントで出会いの機会を増やす努力をしているが、成果はない。

 「婚活は、好きになれる気持ちがあるのかどうかのイメトレ」と言う。最近は婚活を「もはや実験」と考えるようになり、人を好きになるという意味が分からなくなってきた。

861チバQ:2018/08/08(水) 18:10:29
老いれば、経済力のない自分は
 実家から徒歩15分離れたところには、4歳上の姉夫婦が5年前に建てた住まいがある。天然木のドアを開けながら「ただいま〜」と声をかけると、小学生のめいとおいが「おかえり〜。待ってたよ!」と出迎えてくれる。

 正社員で働く姉の夫(47)も交え、週に1回は5人で夕食をともにする。両親との食事は年々軽めになり、女性には物足りなくなった。総菜を買うと高くつくし、栄養が偏らないようにと、姉が誘ってくれるようになった。

 姉の家では、めいやおいたちとトランプをしたり、宿題を見たり。習字の発表会に一緒に出かける機会もできた。めいは月に1回は実家に泊まりに来る。子どもたち2人は慕ってくれる。でも最近、それがつらい。もしこのまま独りで老いれば、経済力のない自分は、あの優しい子どもたちに迷惑をかけるのでは、と思ってしまうから。

 数年前、姉から真顔で「結婚しなくてもいいから子どもを産みなよ」と言われたことがある。必要とし、必要とされる人間関係にあこがれがある。だが、踏み込めない。心の中では「ネコみたいにひっそりと死にたい」と願っている。だが、めいやおいの顔が浮かび、すぐに打ち消す。

 食卓では、仕事のことや、子どもたちのその日の出来事が話題にのぼる。

 「店長が25歳の男性になって。うまく差配できずに現場は混乱よ」。一番キャリアの長い自分が、店長と契約社員をつなぐ役目になった。

 「どうしてこの給料でそんなことせんとあかんのかな」。ビールを飲みながら姉夫婦に愚痴ると、「うまく立てながら動かすしかないね」と率直な助言が返ってくる。硬くなっていた体や心が、「まぁいいっか」とゆるんだ。

【平成家族】非正規シングル女性、収入12万円の「充実」と「取り残され感」
35〜54歳の非正規シングル女性に聞いたアンケート結果
非正規、主婦からシングル女性に拡大
 総務省の労働力調査によると、35〜54歳で非正規のシングル女性は2002年の約24万人が12年には約60万人に。この10年間で2.5倍と、大幅に増えた。

 16年の労働力調査では、働く女性のうち56%が非正規で、その約半数が35〜54歳だった。かつて非正規は主婦パートが中心だったが、製造業に派遣労働が解禁されたこともあってシングル女性にも広がった。

 公益財団法人「横浜市男女共同参画推進協会」などが実施した同じ条件の女性を対象にした調査(15年)では、年収250万円未満が約7割を占めた。非正規の理由を「正社員で働ける会社がなかった」と回答した人は約6割にのぼった。

 調査した福岡女子大の野依智子教授(ジェンダー)は「経済困難だけでなく、未婚や非正規であることで心理的な圧迫を受けている人が多かった」と指摘。そのうえで「国は最低賃金の引き上げ、非正規単身世帯への家賃支援、最低限の年金保障をすべきだ」と求める。

862チバQ:2018/08/20(月) 22:51:08
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180801-00176130-diamond-soci
副業でAV出演しても食べるだけで精一杯、地方出身OLのマイルド貧困
8/1(水) 6:00配信 ダイヤモンド・オンライン
副業でAV出演しても食べるだけで精一杯、地方出身OLのマイルド貧困
写真はイメージです Photo:PIXTA
 格差や貧困問題の是正が放置されているうちに、「アンダークラス(パート主婦を除く非正規労働者)」が900万人を突破、日本は「階級社会」への道を突き進んでいる。中でも「中間階級」が崩壊、新たな貧困層が生まれてきた。それは、どん底一歩手前の「マイルド貧困」とも呼べる新たな階級だ。そこでDOL特集「『マイルド貧困』の絶望」第3回は、本業だけでは生活が苦しく、副業としてAVに出演している、地方出身のOLたちを追った。(ライター 根本直樹)

● “ギリギリ女子らしい”生活が したくてAVに出演する女性たち

 昨年あたりからさまざまなメディアで取り上げられるようになった「AV出演強要問題」によって、アダルトビデオ業界を取り巻く状況は厳しいものになりつつある。だが、そんな世間の風潮に困惑する女性たちもいる。いわゆる「企画モノ」と呼ばれるジャンルのAV作品に出演する、素人女性たちだ。

 これまで20本近くの作品に出演したことがあるという、看護師の女性は言った。

 「だまされたり、脅されたりして出演させられる女性がいるのは事実だと思います。でも、大半の女性は必要に迫られて、自ら望んで出演しているんです。強要問題が騒がれ過ぎて仕事が減ったりしないか、すごく不安です」

 副業で企画モノ女優をしている女性の多くは、地方出身の首都圏在住者。OLなどの本業だけでは経済的に厳しく、AVの仕事を月に1〜2本入れることで「ギリギリ女子らしい生活が送れる」のだという。しかし、現実はそれすら厳しいようだ。

● 年収200万円の派遣OL キラキラ女子に囲まれる憂鬱な日々

 渋谷区に本社を構える、中堅IT企業に勤務する派遣OLの葉山瞳(仮名・27歳)も、そんな“副業企画モノ女優”の1人だ。

 「本業の月収は、だいたい手取りで18万円前後。家賃とスマホ代を払ったら、ご飯を食べるだけの生活しかできない。これじゃ、何のために東京に出てきたか分からないじゃないですか」

 彼女は訴えかけるような口調でそう言うと、すぐに寂しそうにうつむいた。

 目鼻立ちのはっきりとした、どちらかといえば美人だが、どことなく地味で暗い雰囲気が漂う。女優歴は約1年半。本業の派遣OLの仕事は週4日勤務で、年収は200万円強だという彼女の暮らしぶりを聞いてみた。

 「OLとしての仕事内容は、サイトの記事を入稿する作業です。社員の人から次から次へと送られてくる文章や写真データを、フォーマットに合わせて配置するだけ。慣れれば誰でもできる単純作業ですよ。毎日10時から18時まで、ひたすらパソコンに向き合うだけの退屈な仕事です。会社行って、帰って来て、冷凍庫にストックしてあるご飯をチンして食べたら寝るだけ。以前は、結構残業があって助かっていたんですが、最近は働き方改革っていうんですか。そのせいなのか残業がどんどん減っちゃって、貧乏になる一方です」

 西新宿の自宅は築30年近くで、外壁がけばけばしい原色に塗装されたマンションの一室。家賃は6万2000円。窓を開けると、隣の雑居ビルの壁がすぐ目の前まで迫り、エアコン室外機の鈍い音が流れ込んでくる。5畳半のワンルームにはベッドと机、ソファが置かれ、大量の洗濯物が…。

 「ほとんどゴミ屋敷ですよね。お金に余裕がなくなると、何もする気が起こらなくなっちゃうんですよね」

 北海道内陸部の地方都市で、3人姉妹の末っ子として生まれた彼女は、地元の高校を卒業するとすぐに札幌に出て、配管工事会社の事務職に就いた。

 「父親が、水道工事の仕事をしている関係で紹介されたんです。社員15名ほどの小さな会社でした。正社員採用でしたが、給料は手取りで16万円ほど。でも、家賃2万円の社員用アパートに住めたので、今より生活は楽だったような気がします。彼氏もいたし、わりと楽しかったかな。何より精神的に楽でしたね。私以外に女性は経理のおばさんが1人しかいなかったので、気を使わなくてよかった」

863チバQ:2018/08/20(月) 22:51:30
 彼女は、そう振り返った後、今の心境についてこう語る。

 「こっちに来てからは、周りはキラキラ系の女子社員ばかり。とくに実家住まいのOLとは大きな格差を感じます。自分だけが貧乏で、かわいそうな子みたいな気分になって、それがすごく辛いですね」

 札幌の会社には約5年間勤務したが、当時、付き合っていた彼氏が川崎の工場に働きに出たのを機に上京した。23歳になっていた。

 「当初は、蒲田にあった彼の部屋に転がり込んだ形ですね。貯金は300万円ほどありましたが、彼氏が職場で上司とケンカして仕事を辞めてしまい、最初の1年で貯金はほぼ底をついてしまいました。今ですか?私にもうお金がないとわかったら、すぐに別の女のところに行っちゃいました。いまさら田舎に帰る気にもならなくて、だらだらとこっちに居着いちゃった感じですね。今、恋人はいません」

● ハンド&フットのモデル面接 実はAV出演の勧誘だった

 そんな彼女が、AVの世界に入ったのは約1年半前のことだ。

 「同僚から女子会や合コンに誘われるたびに、今度はなんて言って断ろうと考えるのが辛くて。実際はお金がないだけなんですが。仕事して食べるだけの毎日じゃ生きてる意味がない。洋服やアクセサリーもほしいし、化粧品や美容院代だってかかる。月々数万円でいいから余計にあれば、少しは余裕のある生活ができるのになぁってずっと思っていて、ネットでアルバイトを探していたんです」

 働く女性の副業といえば、風俗やキャバクラなどが思い浮かぶが、本業でくたくたになった後、そうした店でさらに働く自信が彼女にはなかった。

 「だから、なるべく短時間でそれなりに稼げる仕事を探していたんです」

 あるとき、求人サイトで「ハンド&フットのみの写真モデル、日当3万円以上」という広告を見つけた彼女は、胡散臭いと思いながらも申し込みメールを送り、面接を受けたのだという。

 「清潔でオシャレな感じの事務所で、面接担当者はキャリアウーマン風の女性。それで安心していたら、私の手と脚を見て、『残念だけど、パーツモデルはちょっと厳しいかな。でも、もっと稼げる仕事がありますよ』と言って、AV作品への出演を勧められたんです」

 ここ数年、ありがちな「AV勧誘」の手法の一つである。

 「最初はびっくりしましたが、無理強いしてくる雰囲気でもなくて、安心感がありました。話を聞いているうちに、月に1、2回我慢して働けば10万円くらいになりそうだと思って、その日のうちに契約書にサインしちゃいました」

● 裸をさらしても生活は楽にならず 親や友人バレにおびえる毎日

 彼女は、現在までに計9本の作品に出演した。

 「毎月、最低でも2、3本は出演依頼があると言われていたんですが、土日の撮影は人気が高くて、申し込んでもあぶれることが多いんです。結局、2ヵ月に1本か2本ほどの仕事しか入らず、本番NGの私の出演料は、1本3万〜5万円。“脚フェチモノ”とか“マッサージモノ”なんかに出演しました。お金的には、完全にアテが外れちゃいましたね」

 生活費の足しになればと軽い気持ちで始めた副業だったが、次第に大きな不安に取りつかれるようになったという。

 「本番なしといっても、顔出しで全裸になるわけです。いつか、会社の人や田舎の友人、親にバレるんじゃないかと、それを考えると胃のあたりがきゅーっとしてきて、心臓がドキドキし始めるんです。普段はなるべく考えないようにしているんですが、AV始めてからは常に精神が不安定な状態。精神安定剤を飲まないと眠れなくなりました」

 裸をさらしてもなお生活は楽にならず、しかも“バレ”を恐れる毎日。

 「安易に足を踏み入れなければよかった」とも思うが、それでも彼女は「生活のためにも、もう少し続けるつもり」と語る。

 先の見えない、不安だらけの日々はいつまで続くのだろうか。

根本直樹

864チバQ:2018/08/20(月) 22:52:05
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180808-00176761-diamond-bus_all
59歳・年収500万円、突然雇い止めされた非常勤講師のマイルド貧困
8/8(水) 6:00配信 ダイヤモンド・オンライン
59歳・年収500万円、突然雇い止めされた非常勤講師のマイルド貧困
写真はイメージです Photo:PIXTA
 格差や貧困問題の是正が放置されているうちに、「アンダークラス(パート主婦を除く非正規労働者)」が900万人を突破、日本は「階級社会」への道を突き進んでいる。中でも「中間階級」が崩壊、新たな貧困層が生まれてきた。それは、どん底一歩手前の「マイルド貧困」とも呼べる新たな階級だ。そこでDOL特集「『マイルド貧困』の絶望」第4回は、突然雇い止めを通告された59歳の非常勤講師を追った。(ライター 黒田透)

● 日大の2学部で突然 非常勤講師15人が雇い止めに

 アメリカンフットボールの危険タックル問題で注目を浴びた日本大学。だが、実は、もう一つ大きな問題を抱えている。スポーツ科学部と危機管理学部で、英語の授業を担当する非常勤講師15人が、2018年3月で雇い止めとなったのだ。

 この二つの学部は、16年に新設されてばかり。非常勤講師らは採用時、16年4月から4年間の雇用を約束されていたにもかかわらず、昨年11月に大学側が突然、雇い止めを通告。首都圏の非常勤講師らで組織する「首都圏大学非常勤講師組合」を通して抗議したものの、最終的には解雇されてしまったのだ。

 背景には、今年4月以降、非常勤講師たちを容易に切れなくなるという“ルール”が適用されたことにある。そのルールとは、通算5年を超えて働く有期契約労働者が希望すれば、無期雇用にしなければならないというもの。そこで慌てて、雇い止めを強行したものとみられている。

 非常勤講師たちにとっては、突然、雇用を奪われ、収入が絶たれるのだから死活問題。現在、雇い止めにあった非常勤講師らが大学を相手取り、裁判を起こしている。

● 59歳にして2度目の雇い止め 収入は大幅ダウン

 真砂久晃さん(59歳)も当事者の一人。日大スポーツ科学部と危機管理学部で、非常勤講師として英語を教えていた。

 「昨年11月の説明会で唐突に通告されました。そんな時期に言われても、既にどの大学も翌年度の非常勤講師の枠は埋まってしまっています。失った収入をカバーするのは厳しい。住民税も、前年度の収入で計算されますから大変です。書類には、『20年3月まで継続して担当してください』と書かれてあったのに…」

 真砂さんは、昨年、約30年間勤めた日大の工学部でも雇い止めに遭っている。工学部から突然、「来年度は、契約を半期空けてくれませんか」と言われたのだ。理由はやはり継続雇用による無期転換を避けるためと見られる。 “クーリングオフ”を伝えてきたのだった。

 「嫌ですと断ったら、『お疲れ様でした』と記念品を送られてきました(苦笑)。こちらはクーリングオフが嫌だと伝えただけで、働くのが嫌と言ってはないのに。30年近く働いてこんな目に遭うとは…」

 工学部に続いて、スポーツ科学部と危機管理学部を雇い止めされた分、真砂さんの収入は大幅ダウン。それでも日大の別の学部や、他の大学で英語の授業を合計14コマ教えているため、現在は月給42万円ほど。年収にして500万円ほどだ。

865チバQ:2018/08/20(月) 22:52:20
 とはいえ、非常勤講師はしょせんバイト扱い。額面の数字ほど、いい生活は期待できない。

 「国民年金や国民健康保険など合わせて、年間50万円くらいの負担になります。また、家のローンが75歳まで残っています。非常勤講師なので、ボーナスが出るわけでも、退職金が出るわけでもありません。そういう意味で、老後はやはり不安です。年金も少ないでしょうし。ただ非常勤講師は、大学によって75歳や80歳まで働けます。私は70歳までは働くつもりです」

 既に、子どもが社会人になり働いてることもあり、学費や子育てにかかる費用はないのが救いだ。

● 研究を志して非常勤講師から 専任講師を目指すがかなわず

 真砂さんが非常勤講師の世界に入ったのは、大学時代に専攻していた英文学の研究者を志したから。ただ、周知のとおり、大学で研究者になるのは狭き門だ。その入り口となる専任講師にならないと、准教授や教授といったその先が見えない。非常勤講師として大学で働きながらそのチャンスをうかがった。

 「1990年、31歳のときに非常勤講師になりました。指導教授が、知り合いの日大工学部の先生から『うちに英語の授業に来てくれる人はいませんか』と聞かれ、私に話がきたのです。キャンパスが福島県郡山市で、自宅のある所沢市から遠かったので迷いましたが、結婚することが決まったので決断しました」

 当初は、非常勤講師勤めも待遇がよく、遠方からの通勤ということもあってか、グリーン車代が出ていたという。

 「郡山で朝、2コマ教えて、夜は東京の予備校で教えていました。平成の初め頃はまだまだ学生が多くて、大学の学部が次々と新設されていたこともあり、英語の非常勤講師の仕事は引く手あまたでした。その後、順調に他の大学でも担当することが決まり、非常勤講師として食べていけるようになりました」

 しかし、専任講師の夢には届かなかった。

 「論文を書いたり、何度か大学の専任講師に応募したりしたのですがダメでした。40代くらいまで頑張ってみましたが無理で、非常勤講師でやっていかざるを得ないなと思いました。不安ですか?そりゃ、少しはありましたが、ある程度授業のコマ数を持っていたので、なんとか食っていけるかなぁとは思っていました」

 それでも、非常勤講師の立場は不安定だ。雇用契約は基本的に1年契約、毎年更新するという。通常であれば、よほどの問題を起こさない限り更新されていくが、カリキュラムの変更でせっかく得た授業を失うこともあるし、今回のように突然雇い止めに遭う可能性もある。

 「例えば、月曜日に行っていた英語の授業を水曜日に変更しますと言われても、簡単には対応できません。他大学の英語の授業と被るケースもあるからです。過去に何度かそういうことがあり、担当コマ数が減りました」

● 30歳前からのスタートで 年収200万〜300万円がゴロゴロ

 非常勤講師の道を選ぶ人の多くが、研究者を志している。ただし、大学院の修士課程や博士課程で学んだ後に非常勤講師になるため、ほとんどの人が30歳前のスタートとなる。

 英語など語学系の講師ならコマ数をもらえるチャンスも多いが、それ以外の専門科目となると、そもそも担当できるコマ数自体が少ない。そのため、年収200万〜300万円の非常勤講師はゴロゴロいる。しかも、教授はおろか専任講師にすらなれる保証はない。

 「研究者、非常勤講師という選択をしたころ頃は、まだ若いってこともあったんでしょうね、楽天的でした。今、過去の自分に何か伝えることができるとしたら、『そんなに甘くないよ』と言いたい」(真砂さん)

 真砂さんはまだ恵まれている方だが、それでも常に不安が付きまとう。そのため老後の生活に備えて節約を心がける。

 「昼飯はコンビニ弁当を買うこともありましたが、今はウィダーインゼリーとかソイジョイといったもので空腹をごまかしています。交通費も出ますが、回数券を買うようにしていますし、買い物はポイントが貯まるものを使っています。服はほとんどユニクロです」

 仕事終わりの一杯がささやかな息抜きだったが、今では自宅飲みが多い。

 60歳は目の前だが、働き続けないといけない。「日々の授業で喉はかれますし、腰も痛めます。それでも働かないといけません」

 日大との裁判も続いている。真砂さんに、身も心も休まる日はまだまだ訪れそうにない。

黒田透


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