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Breather

104ピーチ:2012/11/06(火) 22:57:58 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>

だよねー!

あたしも一時期書いてたけど挫折した←

105ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/11/07(水) 19:36:22 HOST:EM117-55-68-2.emobile.ad.jp




   Good morning .



 しばらくして泣き止むと、風花が優しくわたしに言った。


「ひよりごめんね……ドア、開けていいよ」


 風花も泣き止んだのかわからないけど、今まで泣いていたことはたしかで声が少し震えていた。
 トイレの鍵を開けるとドアは簡単に開いて、妃奈が泣きながらわたしを抱きしめてくれた。


「ひより……ごめんなさいっ」


 泣いている顔をみせたくないのか、意地を張って顔がみえないように抱きつく妃奈。
 わたしは、本当にこの二人と仲良くなれるのかな。
 少し不安も残ったけど、それより期待のほうが大きかった。


「ううん、いいよっ」


 にこりと笑うと、目に少し涙が浮かんだ。
 それを拭いてわたしは二人をみつめて、ぽつりと一言ちいさな声でいう。


「その……信じても、いいよね?」


 二人は一度顔を見合わせたあと、楽しそうに笑って言った。


「もちろん!」



 やっと、仲良くなれたんだ。


     ×


「おはよー」
「ん、おはよ」


 今日も鈴木くんとさり気なくあいさつをかわした。
 ちらって風花がわたしをみたのに気づき、おそるおそる聞く。


「もしかして風花って、鈴木くんのこと……」
「わああああっ! そそそそんなことないいい!」


 図星か。
 可愛いなあ風花。


「ライバル、なのかな」
「……そうだね」


 風花がライバルなら敵わない気がしてきた。


 ――でも。




「どっちの恋が実っても文句はなしね!」
「お互いを応援すること!」



 そう、約束しあい、わたしたちは笑い合った。



「二人とも健気だなあ」



 自分が一番健気なくせにそう言って笑う妃奈。




 わたしは今、とっても幸せです。




 明日も明後日も、これからずっと。
 君に「おはよう」を届けます。



     fin.




 とってもとってもぐだぐだでしたが、これで終わりです!
 なんか鈴木くんどうでもよくなっちゃったかもしれないw

106ピーチ:2012/11/07(水) 19:55:08 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>

風花ちゃん&ひなちゃんやさしー!

鈴木君はどうでも良くなっちゃったかw

107ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/11/07(水) 19:57:48 HOST:EM117-55-68-2.emobile.ad.jp




   ゆるふわcouple



「ねえ夏月くん」
「なになにー?」
「好きー」
「あは、俺もー」



 ゆるゆるふわふわ。
 今日も君に恋してます。



     ×



「悠莉ー、彼氏待ってるよ」
「ごめん夏月くん! すぐ行くー!」


 日乃悠莉(ひの ゆうり)と藤原夏月(ふじわら なつき)。
 学校でも有名なゆるふわカップル。
 それがわたしとわたしの彼氏だった。


「悠莉っ、早く会いたかったー」
「わ、わたしも! ていうか不意打ちでそんなこと言うなんてずるいよー」
「昨日不意打ちでほっぺにちゅーしてきたのは誰だったっけか」
「ごめんなさいわたしです」


 ゆるふわってより、ギャグ路線に突っ走っててちょっと不安。
 でも安定の仲の良さだし、ケンカしたことも一度もない。


「あ、そういえば同じクラスの空(そら)ちゃんが夏月くんに会いたがってた」
「なにそれ、俺モテ期?」


 ふざけるような口調でそういう夏月くんだけど、本当にその通り。


「夏月くんは毎日がモテ期だよね」
「えっ」
「空ちゃん可愛いからなー」
「……」


 ちらちら夏月くんをみながらわざとらしくそう言う。
 夏月くんは信用されないことがいちばん嫌いだから、なんとなく嫌がらせ。


「って、本当に空ちゃん登場しちゃった」
「え、どれどれ?」
「そこの校門に立ってる清楚系の子!」
「えー、悠莉のが可愛い」


 不意打ち照れるよ。
 そう思ったとき、空ちゃんが夏月くんをみつけて駆け寄ってきた。


「夏月く〜ん」


 空ちゃんは男タラシで有名で、男を落とす方法とかいろいろ知ってる。
 甘ったるい猫撫で声も、猫かぶりだって気になった男の好みの女になるためなら何でもするような人だ。
 空ちゃんはどちらかというと派手めなタイプだけど、わたしが大人しめなほうだからその夏月くんのタイプに合わせて清楚系になったんだろう。


「え、君だれ?」


 本当は空ちゃんってわかってるくせに、夏月くんがにこにこ作り笑いを浮かべて聞いた。


「あたし空っていいます! 夏月くんかっこいいなあって思ってて〜」
「へえ、ありがとー。でも俺かっこよくないよ」


 へらりと笑う夏月くん。
 何こいつ、余裕か!


「ねえ、よかったらメアド交換しない?」


 夏月くんの制服の袖をくいっと引っ張って、空ちゃんが急接近した。
 ちょっと待って、彼女の目の前でそんなことする?


「あー……ごめん、悠莉のこと不安にさせたくないから」


 きゅん。
 もうやばい好きすぎる。


「えー、悠莉ちゃんメアド交換だけで不安がるの? 重くない?」


 空ちゃんの冷めた目。
 それでわたしをじっとみつめてきた。

 こわい!



   -



 きる!

108ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/11/10(土) 15:21:28 HOST:EM117-55-68-133.emobile.ad.jp




   残り数センチ




 君とわたしの、残り数センチの距離。
 近いような遠いような曖昧の距離に、縮まることのない関係。


 中学生のわたしは不器用だった。





 こんな恋、もう終わらせてしまえ。
 そう思って、好きという感情を捨てた。



     ×



「花乃ー」
「はーい」
「今からおもしろいもの見に行かない?」
「んー、行く」


 白雪花乃(しらゆき はの)。
 それがわたしの名前。

 花乃って漢字からよくはなのって読み間違えられたりするけど、無理もない。
 はのなんて読めないもん。
 それでもわたしはこの名前を気に入っていて、白雪っていう苗字も嫌ではない。


「音羽が興味持つことなんてあるんだー」


 冗談半分に友達の音羽(おとは)に言うと、音羽はにやりと不敵に笑って言った。


「そりゃあ、友達の元好きな人だし?」
「へ?」


 間抜けな声がもれた。
 その瞬間目の前に広がったのは、男子たちが体育館でバスケをしてる姿。
 周りは女子で埋め尽くされていて、なんかもう黄色い歓声の嵐だ。


「……わたしこんなの興味ないんだけど。ていうか騒がしい女子とか嫌い、気持ち悪いっ」
「まあまあ、全国の可愛い女子を敵に回すような発言はやめて男子をじっくり見なされ」
「えー」


 嫌そうな表情をしながらも、音羽の言うとおりに試合中の男子に目を向けた。

 うわ、こいつ学校で一番イケメンって言われてるやつじゃん。
 試合中の人の中で一人だけ有名で知っている人を見つけじっと見る。
 なんか、よくよく見るとどっかで会ったことあるような……


 ってあれ。



「悠斗……?」
「そ、やっと気づいたー?」



 中学校のことを思い出した。
 すっごく仲が良くて、大好きだった悠斗。 
 でも、残り数センチだけ距離があって、告白することもないまま悠斗は転校してしまった。


「どうしてここに……」


 悠斗はわたしにじっくり見られていることに気づいたのか、ふわりと笑って手を振った。


「え、あ……」


 何か返すこともできず、ただ戸惑うわたし。
 そんな中、女子たちはまた黄色い歓声を飛ばした。


「きゃあああ!」
「今絶対あたしに手振ったよ!」
「いやあたしでしょ」
「悠斗最高ー!」


 盛り上がる体育館。
 突然現れた悠斗。
 そして、思い出したくなかった中学の出来事。



 そこで、わたしの意識は消えた。



     -

109ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/11/10(土) 21:24:08 HOST:EM117-55-68-150.emobile.ad.jp




   残り数センチ



「ん……」


 目を開けると、そこにはぼやけた白い天井が広がっていた。
 数秒後に周りを見るとどうやらここは保健室、らしい。


「どうして……」


 そう思いながらつぶやくと、わたしの手には携帯が握られていた。
 そして携帯には新着メール一件の文字。

 -----

 悠斗だよ。
 ごめん、音羽って人に花乃のメアド聞いちゃった。
 よかったら登録しといて。

 花乃、体育館で急に倒れたんだよ。
 貧血らしいから、放課後までゆっくりしてな!
 放課後になったら迎えに行くから待ってろよ。

 -----

 顔が熱い。
 わすれたはずの恋がまたあふれ返ってしまった。
 昔の、悠斗に対する思いがどんどんあふれ出す。


「悠斗……」


 わたしは一人、声を殺して泣いた。
 なんでこんなに涙が出るのかわからない。
 だけど……



 会えて嬉しい。


     ×


 -----

 ごめん、HR長引いた!
 今から迎えに行くから準備しとけよー!

 -----

 悠斗からメールがきた。
 なんとなく、パパッと前髪を直して寝癖がないか確認する。


 ガラガラと音をたてて保健室のドアが開いた。


「花乃、起きてる?」
「う、うんっ」


 あれ、わたしどんなテンションで悠斗と話してたんだっけ……


「じゃあ帰ろっか、歩けるか?」
「大丈夫だよ、ありがと悠斗」


 なんかわたしらしくしていられない。
 こうしている今も心臓がばくばくいってる。


「……ねえ悠斗?」
「んー?」


 うん、なによりこれだよね。



「女子の目線が痛い」



 そりゃあんなかっこよく成長した悠斗を見てキャーキャー騒ぐ女子はたくさんいたけど!
 そんな人の隣にこんな地味な女がいるのもどうかと思うけど!



 そんな冷たい目線送らないでよ。


「はは、気のせい」


 あ、悠斗笑ってくれた。
 なんて思いながら、わたしも中学生のころの調子を思い出して話す。


「もー、悠斗の馬鹿!」
「花乃に言われたくねー」
「ていうかわたし何で倒れたんだろっ」
「疲れとかじゃねー?」


 わたし疲れるキャラじゃないし。
 貧血とかも滅多にないし。


「……あ、人混みだからだ」
「あれ、花乃って人混みだめなの?」


 ――やっぱり、心の距離は中学のころより遠い。
 あと数センチって感じでもない。
 会ってないうちに、お互いのこともわからなくなっていったんだ。


「うん、なんか人混みとか騒がしいとこ行くと具合悪くなるの」
「そっか」


 平然を保ってる悠斗だけど、なんかそわそわした表情してる。
 そして悠斗が、はずかしそうに一言言った。


「あのさ!」
「……うん?」



「今まで離れてた分……俺絶対、花乃の気持ち取り戻してみせるから」




 こんなこと言われたら。
 もっともっと、中学のころより好きになっちゃうじゃん、馬鹿。


     ‐

110ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/11/11(日) 18:52:17 HOST:EM117-55-68-33.emobile.ad.jp




   残り数センチ



「花乃、家って変わってない?」
「あ、うん、はい」


 ぎこちなく返事をすると、悠斗は笑って言った。


「緊張しなくていいから、いつも通りの花乃になれよー」


 わしゃわしゃと乱暴にわたしの頭を撫でる悠斗。
 好きって思いがどんどんあふれてくる。


「悠斗はずるいよ……」
「花乃に言われたくねー」


 本当にずるい。
 そんなことを思っているともう家についてしまったようだ。
 見慣れた風景に、小さくため息を吐く。


「あ、そういえば悠斗ってどこに引っ越してきたの?」
「んー、どこだと思う?」
「……ここ!」


 冗談半分で、ふざけてわたしの家の隣の家を指差してみた。


「……なんでわかったの?!」
「本当にそこなの?!」


 ミラクル。
 すごい、わたしの勘って。


「と、ととと隣ですか」
「動揺しすぎだろ」
「……だってうれしい」
「花乃のそういうとこがずりーんだよ」


 昔みたいなやり取り。
 それよりちょっと成長した、ほんの少し大人な会話。


「音羽に感謝しなきゃだなあ」


 ぽつりとわたしがつぶやくと、悠斗も笑った。


「まあ、音羽に頼んだの俺だしな」
「へ?」
「俺がいるってこと、音羽にお願いして花乃に伝えてもらったんだ」
「……全部仕組まれてたってわけか」
「はは、ごめん」



 わたしの恋が、また始まった。


     ‐

111ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/11/11(日) 19:11:25 HOST:EM117-55-68-33.emobile.ad.jp




   可愛いは正義



「信原です、よろしくお願いします」



 無愛想な野郎が、部活に入ってきた。



     ×


「うち、可愛げのない野郎は募集してないんでー」
「なんすかそれ、差別っすか」


 無愛想ボーイはさみしげにそうつぶやいた。
 どうしよ、あたしの心にズッキュンしたよ!
 この野郎可愛げありまくりじゃねーか!


「……ごめん冗談、君可愛げあるわ」
「なにそれ、先輩きもいっすよ」
「ぁあん?」
「……なんでもないっす」


 なかなか素直で可愛いじゃないか。
 いや、本気で。


「じゃあ入部決定他締め切りってことで自己紹介!」


 いえーい、と地味に盛り上がる部員。


「あたしは三年の軽音楽部の部長、羽乃百合花(はの ゆりか)! えーと、ギターとたまにボーカルね! 基本楽器全般得意だけど」


 名前と性格合ってないとか知ってますから!
 気にしてますから!


「ええっとお、わたしは二年生の風音のの(ふうね ――)でえす。キーボードとたまにボーカルやってまあす」


 ののはハッキリ言ってぶりっ子ちゃん。
 いやまあ可愛げあるし良し!ってことで採用した。


「俺は冬樹るな(ふゆき ――)です! あ、ちなみに二年です。ベースやってます」


 るなくんはね、こりゃあもう可愛いんだ。
 こんなに可愛い子見たことないわこんにゃろ!


「三年の副部長、羽音洸樹(はのん こうき)です。俺も全般楽器得意だけど、基本はドラムやってるよ」


 洸樹はね、正直何でいるんだかわかんないんだわ。
 あたしと同じ学年だし、可愛くないし。
 あ、どちらかというとかっこいい系かな。


「信……あ、お、俺は信原祐樹(しのはら ゆうき)です。楽器はベースが得意です。よろしくお願いします」


 ちょっと待て。


「え、信原くん今自分のこと信って言いかけたよね?」
「あ、ちが、それは……」
「一人称信だったりした?」
「……む、昔の話です!」


 かわいすぎるうううう!



 というわけでまあ、新バンドが成立したわけですが。
 見ての通りね、あたしの可愛いの基準でメンバーが選ばれてまっす★←
 てことでよろしくねん★←



     ‐


 ギャグ系小説です!
 もはやギャグしかありません!

 w、記号、←、(笑)とかたくさんでてきます!
 嫌な人はみないでね!
 本当息抜きのギャグギャグ短編なんで文句受けつけてませんえへwww

 よろしくね!

112ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/11/12(月) 19:11:29 HOST:EM117-55-68-187.emobile.ad.jp




   可愛いは正義




「るなくん、るなくんるーなくんっ」
「せんぱい、せんぱいせーんぱいっ」



 るなくんはあたしの神。
 ほんっとに可愛くてお気に入りな後輩さん!



「……百合花先輩、るな先輩のこと大好きなんですね」
「あっれえ? 信くん嫉妬〜?」
「なっ、違います! 俺もるな先輩と仲良くしたかっただけです!」


 信くんはツンデレだなあ。
 俺とかいってるけど本当は信って呼びたいんだろうね、自分のこと。


「あは、信くんおいでー」
「るな先輩っ」


 男同士のハグ。
 普通なら暑苦しく感じるものだけどるなくんと信くんがやったら別。


 超 絶 可 愛 い 。




「るなくうん、わたしともぎゅうってしよお」



 ののがるなくんの腕に絡みついた。
 うん、ののは本気でるなくん狙いだからね。
 るなくんと仲良しこよし〜なあたしのことはあんまり好きじゃないんだって。


「はいはーい、ののちゃんぎゅー」



 それに気づかず平然とののにぎゅってするるなくんもすごいよね。
 るなくんは女子を完全なお友達って思ってるから、それもふつうに感じるんだろうね、


「はいはい、馴れ合いはそこまでにして練習しようか」


 パンパンと手を叩いてその場を静まらせたのは予想通り洸樹。
 通称つまんねえ野郎だ。



「あ、俺、その……」



 信くんが顔を赤くさせて言った。




「る、るな先輩といっしょにベース練習したいですっ」





 何この可愛い生物。
 え、何なのこの子やばい。




 可愛すぎる仲間とともに、日々成長してゆくのでした。


     ‐


 終わりじゃないよたぶん!

113ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/11/16(金) 20:39:17 HOST:EM117-55-68-182.emobile.ad.jp



 どもども!
 ねここですーw

 テスト期間により更新ストップしてました!
 ちゃんと勉強してたねここえらい!←
 一教科暗記した範囲とぜんっぜん違うとこでて泣きそうになったけどw

 てことで更新スタートします!


 てかあれですね。
 携帯はいじってたけどパソコンしてなかったみたいなw


 ということでがんばろう。
 今月部活休みないけど更新がんばります!w



 どうか見捨てないで見守ってやってね!
 ばいばい!

114ピーチ:2012/11/16(金) 21:12:00 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>

何かちょー久しぶりのコメした気がする←

あたし今がテスト期間だけど全く勉強と言うものをしていない(おい

テストの三字を捨てたからねあたしは!←

115ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/11/17(土) 17:25:13 HOST:EM117-55-68-60.emobile.ad.jp

>ピーチ

捨てるな捨てるなw
ねここ今回初めてちゃんと勉強したわ←

116ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/11/17(土) 18:09:08 HOST:EM117-55-68-60.emobile.ad.jp




   可愛いは正義




「あ、あのあの……部活中に失礼しますっ」


 さあ練習!って思ったら突然もんのすごい可愛い女の子があたふたしながら部室に入ってきた。


「はいよはいよー! 誰に用?」
「そのっ、るな先輩……ちょっといいですか?」


 るなくんに先輩つけるってことは一年生か。
 るなくんはあいかわらずほわほわーってした雰囲気で部室出ていったけど、あたしはにやにやが止まらなかったよ。


「告白だよねえ」


 二人がいなくなったあと、あたしはぽつりとつぶやいた。
 洸樹もにこにこしながらつぶやく。


「青春だなー」
「だねー」


 ふっはああ。
 なんか年寄みたいじゃないあたしたち。


「えぇ、でもお……洸樹先輩と百合花先輩も青春中じゃないですかあ」


 おぬし、余計なことを。

 まあねうん、あたしと洸樹って仮にも付き合ってるんです。
 告白は洸樹から。
 あたしは洸樹のこと侮辱してるオーラあるけど、一応本当に大好きなんだからな!てかはっずいなこれ!


「ののはいいんかい、あんな可愛い後輩ちゃんがるなくんに告白して」
「それは嫌だけどぉ……るなくんがあの子といることを望むなら、わたしに止める権利はないしぃ」


 ぶりっ子しながら良いこと言ってんなのの。
 あああかわいい。
 るなくん、ののの気持ちに気づいてないのかなあ。


「ののは良い子だよ、うん」
「百合花先輩は……女の子で初めて心から好きって思えた人ですよお」
「ほんとっ?! うれしー」
「……るなくんに会いたいですう」


 結局そこなのねw


 そしてしばらくして、るなくんが落ち込んだ様子で帰ってきた。


「おー、おきゃーりるなくんんん!」
「ただいまです、百合花先輩」
「で? 返事どーしたの?」
「へっ? あ、え、なんでわかって」
「女の勘ってやつよ」


 この様子じゃ振ったんだろうなああ。


「あんな可愛い子振ったの?」
「だって俺なんかあの子と釣り合わないし、それに俺は好きな人いるんでー」
「だ、だれそれ!!」



 ……ん?
 ちょい待てよ。



 るなくんの好きな人わかっちゃった。




      ‐

117ピーチ:2012/11/18(日) 12:54:52 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>

捨てた捨てたw

あたし最初だけだったわ←

118ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/11/18(日) 15:48:10 HOST:EM117-55-68-52.emobile.ad.jp




   可愛いは正義




「……俺今日帰ります」
「へっ?」
「具合悪いんで」


 そう言ってそそくさと部室を出ていくるなくんは、何かちょっと元気なくて具合も悪そうだった。
 具合悪いのが本当なら一人じゃ帰らせらんないよなあ……


「洸樹ー」
「ん、もう準備済み」
「いってら」
「メールするね」
「あーい」


 あたしたちの会話、これで成り立ってるんです(キリッ)。

 まあつまりは、洸樹にるなくんを追わせたってこと。
 メールするってのは、るなくん送ったあと時間あったら戻ってくるしなかったら気をつけて帰れよ的な感じのメール送るよってこと。


「先輩ってえ、ある意味尊敬しちゃいますう」
「……照れるっ」


 さーて、あたしたちも仕事仕事。


「のの」
「わかってますよお」
「ん、よろしい」
「早めにお願いしますねえ」


 あたしたちの会話、これで成り立ってるんです(どや)。

 つまり、るなくんに告白した後輩ちゃん捕まえて事情聴取ってやつをしようって意味ね。
 あたしが探してくるからののは部室で留守番頼んだみたいな。


 とか考えてたらあっというまに一年校舎ついたんですけど。
 放課後の教室ってムードあるよね。
 なんて思ってたら例の女の子いたよね。


「失礼しまーす」
「っえ、あ……軽音楽部の」
「そうですそうです、まあちょっと来てくださいな」
「えっ?」


 戸惑う女の子を半ば無理矢理部室に連れ込んだ。
 なんかこれ、あたしがレズに興味あるみたいじゃね?w


「たっだいまー! 捕獲完了っ」
「おかえりなさいですう」
「あ、あのっ、えと……わたし帰ります」
「あはっ、帰らせないよ」


 あたし、のの、女の子、あたしの順でしゃべった。
 もう完全にあたしがレズっぽいねw


「るなくんに告白、したんだ?」


 直球に訊くと、女の子はじわりと涙をにじませて言った。


「……はい」
「振られたの?」
「…………はい」


 でもるなくんはきっと――





「失礼します! ただいまっ」





 あたしがうまく話をしようと思った瞬間に、走ってきたのか息を切らするなくんがあらわれた。
 わあ、グットタイミング★



「ゆいごめん……俺、素直じゃなくてっ」
「……るな、せんぱい…………」

119ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/11/18(日) 15:53:57 HOST:EM117-55-68-52.emobile.ad.jp





   可愛いは正義





「俺、ゆいのこと好きだよ」





 やっぱり。
 だってるなくん、普段告白されて振ったりするのにこんな落ち込んだりしないもん。



「洸樹ありがと」
「百合花こそおつかれ」



 ふふっと微笑み合う。




 そして、ののも。
 満面の笑みでふたりを祝った。



「ふたりともおめでとう」




 泣くの我慢してるんだなって思った。
 ふたりがいなくなったら思う存分泣かせてやらなきゃ。



「さあさあ、リア充は帰った帰った!」
「え、なんすか百合花先輩。俺まだみんなといたいです」
「どうせお互い初恋でしょ? ふたりでラブラブしてきな」



 じゃなきゃののが可哀想だよ。



「……ありがとうございます、じゃあさようなら」



 るなくんがゆいちゃんを連れて部室を出ようとした





 瞬間。




「待って!」




 ののが呼び止める声。
 るなくんは振り向いて、いつものゆるゆるな雰囲気でどうしたのって訊いた。




「…………なんでもない、幸せにね」



 そう言ったののに、るなくんは驚いてから微笑んだ。



「ありがと、のの」
「のの先輩っ、ありがとうございます」



 ふたりが本当に部室からいなくなったとき。
 ののはわたしの腕の中で泣いた。



「のの、良く頑張った!」
「ゆりかっ、せんぱっ……」


 あーあ、あたしの制服びしょびしょじゃん。
 なんて思いながら、微笑んでののの頭を撫でる。



「ののなら絶対良い人見つけられるよ。だってののこんな良い子で可愛いんだもん」



 あたしは最初、ののが嫌いだった。
 ぶりっ子で、いつも我侭で男の目ばっか気にして。
 でも本当は違くて、初めてあたしや部員のみんなに嫌われたくなかったって本音を漏らしたときに「あたしこの子好きだな」って思った。



「こんなキツイ性格のあたしが大好きって自信持って言える子だもん。絶対大丈夫」


 ぎゅっとののを抱きしめる。
 いつの間にかあたしも泣いていて、ののに「何で泣いてるんですか」って馬鹿にされた。



 そしてののは泣き止んで、満面の笑みで言った。



「わたし、これからもがんばりますっ! るなくんより良い人見つける!」


 がんばれ。
 あたしと洸樹は、ふたりでののに告げた。



     ×



「あの……俺忘れられてません?」



 実は洸樹が心配だから洸樹のあとを追えと言われた信くん。
 部室に入り損ねちゃった信くん。


 そんな信くんは、今なにが起きているのかもわからず諦めて帰るのでした。



     -



 つづくかな?
 ののちゃんのぶりっ子がなくなるかもw

 そして信くんは本気でねここが忘れてました←
 ごめんなさい!

120ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/11/18(日) 16:40:00 HOST:EM117-55-68-52.emobile.ad.jp




   可愛いは正義




 それからの、あたしたちの日常。


     ×



 るなくんの彼女のゆいちゃんが、部活に遊びに来た日のこと。


「るなくーん!」
「百合花せんぱーい!」
「ちょっとだめです百合花先輩! るな先輩も離れてください〜っ!」


 あたしがるなくんに抱き着こうとしたら案の定るなくんも受け入れて、ゆいちゃんが焦ってる感じ。
 あわてた反応が可愛くて、あたしもるなくんも半分おもしろがりながらやってる。


「まあまあゆいちゃん、これが日常茶飯事なんだよ」
「そんなあ……」
「ハグはあいさつ! そう思わなきゃこれから先嫉妬心であふれかえっちゃうよ」
「うう……わかりました」


 ののはどんどん可愛く成長していって、ゆいちゃんからはすっごい信頼されてる。
 良きお姉さんと良き後輩、みたいな(笑)



「この手の話は俺は入れない……」



 信くんはあいかわらずだけどね。
 でもひとつ変化はあった。


「の、ののの、のの先輩!」
「どしたの信くん」
「いっ、いっしょに練習しませんかっ?!」
「あはは、いいよー」


 どうやらののに惚れちゃった感じ(笑)?
 

「のの、そこは断っとけ!」
「先輩は黙っててくださいよ! 俺がのの先輩好きでいるくらいいいじゃないですか! ……って、あ」


 うん、天然\(^o^)/
 みずからののの前でのの先輩好きって言っちゃったしね。


「うわああぁあああのの先輩わすれてください今のおおおぉおお!!」
「や、わたし嬉しかったし」


 ののも脈ありって感じで、ふたりが付き合うのもあとは時間の問題だなあ。



 そしてあたしたち。


「洸樹〜」
「ん?」
「今日何人に告白された?」
「えっと……五人?」


 洸樹がモテてモテてしょうがないです。
 いつものことだけど。


「昨日は?」
「……六人です」
「しね!」
「えw」


 これでもあたし洸樹大好きだし、ちょっと嫉妬。


「全部振ったよね?」
「どうだろうねー(笑)」
「……洸樹もーいい」


 あたしの気持ち知らないくせに、ばかばーか。


「百合花、怒んなよ」
「怒ってないし」
「……百合」


 …………



「ばかあ……」


 あああ、あたし顔真っ赤だし!
 百合って呼ばれると恥ずかしくなんのに、洸樹に呼ばれたら死んじゃうようれしすぎて!


「ん、許して」
「……もっかい百合って呼んで」
「百合」
「もっかい」



「百合、大好き」
「あたしも洸樹だいすき」




「「「「部室内でいちゃいちゃすんなやこの青春バカップルが!!!」」」」



 るなくんとゆいちゃんとののと信くんに一気につっこまれるほどのバカップルに成長しました。



 軽音楽部なんていいながら名前だけだし、目標は可愛いは正義とかいう意味わかんないやつだし。
 それに個性豊かすぎるし変な人しかいないこの部活だけど。

 この宇宙の、この世界の、この国の、この地方の、この県の、この市の、この区の、




 この場所の。




 この、軽音部が。
 あたしの高校生活を最高のものにしてくれた。




「みんな、いつもありがとう! だいすき!」



 軽音楽部は永遠無敵です!



     fin.



 友情系だけど恋愛系でもあったかなあ!
 個人的に洸樹くんとるなくん大好き←
 百合花もキャラがすっごい好きでした!
 もちろんののも、ゆいちゃんも信くんもね(笑)


 とっても楽しかったです!

121ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/11/22(木) 19:48:22 HOST:EM117-55-68-50.emobile.ad.jp





   あまのじゃくな恋



 あたしがもっと素直だったら。
 あたしがもっと可愛かったら。
 あたしがもっと甘えていたら。


 何かが変わっていたのかな。



     ×


「たっきー先生っ」
「たっきーかっこいい!」
「勉強教えてー!」


 高校の数学教師、滝沢先生。
 愛称はたっきー先生で、一部(ていうかほぼ全員)の女子から絶大な支持を得ている。

 無理もないって思う。

 滝沢先生が教える数学はすっごくわかりやすいもん。
 それに滝沢先生の性格も顔もイケメンだから。


「滝沢先生、モテモテですね」
「好きなやつ以外からモテても意味ねえけどなー」
「……その好きなやつって誰なんですか!」
「気になんの?」


 にやにや笑う滝沢先生。
 こいつ、好かん。



「……気にならないけど、探し出してからかってやりたい」
「希未ちゃん鬼畜ー」
「いいから教えろー!」
「絶対わかんねえと思うけどな」
「なにそれ、あたしが頭悪いの馬鹿にしてんのか阿保」
「教師に阿保はないだろ」
「はっ、教師? どこにいんの?」



 いっつも子供っぽいやり取りしかしてないけど、それが一番心地良かったりする。
 うん、だから数学の時間は好きかな。
 得意科目数学とか言ってみる(最高点数41点)。


     ×


「課題忘れたやつ立ってー」


 はいきました魔の数学の時間(笑)
 滝沢先生が一人一人課題チェックしてくイケメンなんだけどてかあたし課題やってないんだけど。


「希未は?」


 みんな立ってるけどあたしは立つ気ない。
 だって忘れてはないし。
 とか思ってたらにっこにこした笑顔で話しかけられちゃったよ。


「やりました」
「ん、見せてみ?」
「はいどーぞ」


 プリントを見て数秒後、にこにこしながら滝沢先生が顔をあげた。


「なあ、これどこをどう見ればやったって言い切れんの?」
「名前書いたじゃないですか」
「うん、課題名前書くことじゃないからね理解しようね」
「でも忘れたわけじゃないしー」
「忘れじゃないなら何かなこれは」
「いや、なんかやんなきゃって思ってたけどめんどいからやめた。忘れてたことにはならない」
「屁理屈言うな!」



 いやあ楽しい。
 女子様の目線がすんごい冷たくて痛いけど。


 てかまず課題わかんなかったんだよね(どや)



「たっきざっわせっんせーい」
「はいはい、希未何?」



 話しかけるたびいちいち名前呼んでくれるとこは好き。
 なんか、ちゃんとあたしの話を聞いてくれてんだなって思えるから。
 まあ、そんなのあたし以外の人にも余裕でしちゃってるんだけどな、はっ。



「課題がまったくわからないので再提出しろと言われてもできませんが何か」
「問題ありまくりだろそれ」
「放課後よろしくしてやんよ」
「上から目線やめようね、放課後付き合ってやっからよー」
「うん、さんきゅー滝沢」
「……今日から馬鹿って呼んでい?」
「教師のくせに?」
「教師呼び捨てにする?」
「ごめーんてへぺろっ」



 とりあえず滝沢先生の放課後はあたしのもんだ!
 てへっ!



 楽しみだな、とか思ってみたり。


     -



 ふっへえええ。
 教師と生徒の恋。

122ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/11/22(木) 20:08:30 HOST:EM117-55-68-50.emobile.ad.jp




   あまのじゃくな恋




「せっんせーい! きたよー」
「遅ぇよお前のクラス! 俺のクラスなんかHR1分で終わらせたから!」
「いやそれは異常じゃね。配布物配ったんかよ」
「配布物とか学級委員に任せっきりだし」
「ちょっと滝沢……先生。それはあまりよろしくない。てか悪すぎ」
「てへぺろー」


 か わ い い だ と 。
 いやほんと可愛かったわやっべえ。
 てへぺろとか禁句。



「先生、早く教えて」
「はいはい、どこがわかんないの」
「全部」
「……聞くまでもなかったわ」


 まあそんなこんなで個人授業しちゃったあたしたち。
 うっわあ帰り道女子の目線痛すぎてやばいわあ。



「ねえ〜、希未ちゃん」
「あいよ?」
「希未ちゃんってたっきーと付き合ってるの?」
「付き合ってる? は? どーゆー意味で?」
「だから、恋愛的な意味で付き合ってるの?」



 まっさか。
 このあたしが?
 あのスーパーハイパースペシャルデラックスイケメンな滝沢先生と?



「ないないないない。ぜんっぜんない。むしろ付き合える欠片もない」
「え〜、じゃあ希未ちゃんってたっきーのこと好きなの?」
「え……それは恋愛感情で?」
「うん、そうだよ」



 そりゃかっこいいなっては思うし数学も滝沢先生のおかげで好きになったけど。
 名前呼ばれる瞬間とかどきききききーんとかするし話してると楽しいけど。


 これがみんなのいう「好き」って感情なのかはよくわからない。



 なんせ初恋経験なしだかんなっ、はっ。
 聞くまでもなく告白されたこともしたこともないし。



「わかんない、けど……滝沢先生って女子に人気じゃん?」
「うん、超人気だよねー」
「その滝沢先生ラブな女子たちの気持ちは恋愛的なものなの?」



 あたしの難しい質問に、女の子は少し戸惑ってからそれでも断言した。




「少なくともあたしは本気で好き。他の子も本気でたっきーが好きだと思う」




 それなら。
 あたしの中途半端な気持ちは、その子たちにとってすごく嫌なものなのかもしれない。



「きっとあたし、女子によく思われてないよね……」
「てか、陰で悪口言われまくりだし今ではいじめ計画立ってるし希未ちゃん不登校なるかもよ」
「えええええまじかよ。ちなみに君は誰の味方なんですか」




 女の子はふっとちいさく微笑んで、可愛らしく言った。



「わたしはたっきーの味方、かなっ」





「なにそれ」
「たっきーの好きなものは守る! けどたっきーが悲しむようなことする人は大っ嫌いだし味方もしないよ。それだけ!」
「ええええええ」




「あ、ちなみにあたしの名前は乃愛(のあ)だよっ」




 ひらりと可憐に手を振って、乃愛……ちゃんは目の前から消えていった。
 なにあの美少女。
 そしてなにあの良い人。


     -

123ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/11/22(木) 20:53:26 HOST:EM117-55-68-23.emobile.ad.jp




   あまのじゃくな恋




「…………」



 言われたそばからなにこの展開。
 帰り道ね、ちょーっとこわい女子様と出会って校舎裏っていうのかな、うんそこらへんに呼び出されてね。
 八人の女子に囲まれちゃってるっていう気まずーい状態なわけよ。


「あの、えと……なにか御用?」



 あたしの発言に呼び出した女子たちは黙り込んでしまった。
 あ、でも大人しいってわけじゃなく、ただ怒ってるみたいな沈黙ね。



「ちょっと、呼び出したなら何とか言えやこら」
「はあ? てめえ誰に口聞いてんだよ」
「いや君たち以外に誰がいるというんだよ」



 あれれれれ。
 低能?
 低能なのかなっ。


「こいつうっぜー」
「早くやっちゃおうよ」
「まあ待ってよ、校舎裏は危険じゃん?」
「いいよ、早く殴りてー」
「てかたっきー来ないよね」
「来たら逃げる」
「でもますますこいつ気に入られんじゃん」


 7人でいっせいにしゃべんなや(笑)
 そして、リーダーらしき人が前に一歩歩み出て、みんなに指示を出した。



「いいわ、何があってもあたしがあんたらを庇う。好きなだけやって」



 その一言を境に、8人の様子は豹変した様子であたしを睨んできた。
 まあ、あたし阿保だからまさか殴られるとかおもわ……思うよね。



「え、ちょっと待とうよ(笑) 君たち本気かね」
「黙れよ」
「ごめんね黙れなくて。ていうかそのね、人の質問に答えないのはどうかと思う」
「こいつうざいんだけど」
「……滝沢先生との仲がそんなに羨ましい?」



「っ、うぜえんだよ!」



 あたしの顔より少し右に、固く握られた拳がぶつかる。
 壁にパンチしたっぽいけど、次は絶対直であててくるよね。




「8対1とかこれ完全いじめじゃん(笑) なに? 弱いから大人数じゃなきゃあたし如きにも立ち向かえない?」
「はあ? あんたなんか一人で余裕だわ」
「じゃあ一人でどうぞ。そんな人数いらないじゃん?」
「……うっざ、そろそろいー?」



 手出された時点でアウトだよねってぐふうっ←
 手出されちった。



 頬にパンチ。
 相手が女子でよかった、そんな泣くほど痛くない。



「ちょっと待ってー、あんたたっきーにちくんなよ?」
「……殴っといてちくるなはないだろ。滝沢先生は多分何も言わなくても察するわ」



 そう思ったから。
 あたしは滝沢先生を信じた。




 ていうか、少しずつ近づいてきてる足音が滝沢先生だってことにも気づいてる。



「たきざわせんせーっっ!!!」



 精一杯の声で叫んだ。
 その瞬間、滝沢先生があらわれてあたしの身体をふわりと抱き上げる。
 これははずいぞ!



「遅いじゃんか」
「てか気づいてたのかよ」
「当たり前。滝沢先生の足音とかすぐわかるわ」
「いやなんでだし」
「数学の時間滝沢先生の足音が聞こえてくると憂鬱な気分になってくる」
「……俺の授業が憂鬱でよかったねほんと。じゃなきゃ君助かってなかったかもよ」
「うん、ありがと滝ちゃん」
「滝ちゃん……?」



 あ、やべ。
 女子の存在わすれてた。


     -

124ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/11/23(金) 17:55:37 HOST:EM117-55-68-158.emobile.ad.jp




  ▼ キャラクター紹介


 スランプ気味なので、今までのキャラを整理していきます!


 ▽ Breather(>>3>>4/完結)

 梨花(りか) : 天然気質な無自覚鈍感系女子。ふわふわした雰囲気で女の子らしい一途な子。/日向の彼女、健の幼馴染
 日向(ひなた) : 甘え気味で可愛い系の男子。一途で彼女想い。/梨花の彼氏
 健(たける) : 俺様系で素直じゃない男子。気まぐれで不器用。/梨花の幼馴染。梨花が好き

 ▽ rabbit(>>7>>8>>9/完結)

 翔(しょう) : 俺様気質でモテモテ男子。女子の気持ちを気遣えることから女子に大人気。/優花の彼氏
 優花(ゆうか) : 学校でも有名な真面目女子。真面目すぎる容姿からあだ名は地味子。寂しがり屋。/翔の彼女
 由利(ゆり) : 人一倍努力家で一途。一生懸命な姿が可愛く男子に人気。/翔の元カノ
 花(はな) : 可愛いけどタラシ。/翔に告白したが振られる

 ▽ Wonder×Wonder(>>11>>13>>14/未完結)

 俊太(しゅんた) : 学校一かっこいいと噂される男子。女子に優しく面倒事が嫌い。/桜の彼氏
 桜(さくら) : 心優しい子だけど自分の中で溜めこみすぎる。嫉妬や束縛が嫌い。/俊太の彼女、恭の元カノ
 恭(きょう) : 女遊びが激しく、イライラすると女でも構わず殴る。/未友の彼氏、桜の元カレ
 未友(みゆ) : 学校公認の不思議ちゃん。性格とは裏腹に超絶美少女で一途。/恭の彼女
 日笠太一(ひがさ たいち) : 学校で二番目にかっこいい男子。/未友が好きで告白したが振られた

 ▽ わすれもの(>>15>>16>>18>>21>>23/未完結)

 百合(ゆり) : お転婆で元気な女子。根は真面目で優しい子。可愛いが似合わないと思い込んでいるが実際可愛い。/涙の彼女、渓人の友達、百花の親友
 百花(ももか) : 女を捨てた子。忘れ物が激しく特技は言い訳。人見知りが激しい。/百合の親友、渓人の友達
 吉田渓人(よしだ けいと) : チャラい男子。一途でちょっと大胆。/百合が好き、百花の友達
 涙 : みんなより一個上の生徒会役員。優しく相手を気遣える。照れ屋。/百合の彼氏。

 ▽ 砂糖多めで。(>>28>>29/完結)

 莉奈(りな) : 面倒事とキャピキャピした女子が大嫌いな女子。大雑把で一人大好き。可愛いものも好き。/由羽と友達になる
 佐藤由羽(さとう ゆう) : 超絶美女。男子にモテてモテて大変。/莉奈と友達になる

 ▽ 本気の恋(>>30/完結)

 未恋(みこ) : 面倒事が嫌いなサバサバ系女子。特技は存在感を消すこと。/奏太の彼女役から本当の彼女になる
 奏太(かなた) : 女子にモテすぎるが故女子嫌いに。俺様。/未恋の彼氏役から本当の彼氏になる





 つづく。
 疲れるわ←

125ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/12/01(土) 09:46:47 HOST:EM117-55-68-175.emobile.ad.jp





 あたしが、もう少し勇気を出してれば。

 もう遅いかもしれないけど。
 すうっと息を吸って、大きな声で叫んだ。



     ×



「課題忘れてきたやつ立ってー」



 がらがらがら。
 大きな音を立ててクラスの数人が席から立ち上がった。

 人数は五人。
 一人は恥ずかしそうに俯く女子。
 もう一人は俺やっちまったぜみたいな暗ーい男子。
 そのまた一人は全然気にしてなさそうな男子。
 そしてさらにむしろ先生に怒られたいとかで奇声発してる女子。
 からの最後、反省の色が全く見えないあたしの親友の悠花。



「はい、五人ねー……って、逢沢は?」


 にこにこしながらイケメンスマイルで滝沢先生が聞いていた。
 あたしが数学の課題提出するとでも思ったか。



「やったよー」
「うん、見せてみ」
「ほれ」



 3年1組1番、逢沢莉乃。
 あたしの独特な文字でちゃんと課題のプリントにそう書いてあるじゃないか。



「これのどこがやってつうの?」
「名前を書きました」
「……課題忘れな」
「はっあ? 課題忘れてないし、てかむしろ嫌すぎて覚えまくってたし」
「それはそれは、そんなに課題のことを考えててくれたんですね」
「そうだよ! 課題なんて消えればいいと思ったわ!」



 その一言で、滝沢先生は教卓に戻って笑顔で告げた。



「課題忘れの五人は明日まで提出な。逢沢は今日から一週間居残り補習」
「先生そんなにあたしといっしょにいたいの?」
「課題大量に追加して自力で解かせてあげようか?」
「ごめんなさいなんでもないです口を慎みます」



 今日もにぎやか、ほのぼのとしたあたしの日常。
 まあ、なんだかんだいって滝沢先生はあたしのお気に入りな先生かも。



 そこらへんの女子みたいに、恋愛感情がどうとかは芽生えないけどね。



     ×



「りっちゃーん!」
「はるちゃーん!」


 休み時間は悠花とのイチャイチャタイム。
 悠花はあたしのことを唯一りっちゃんとかくっそ可愛いあだ名で呼ぶ。
 ちなみに悠花はゆうかじゃなくてはるかだよ!
 だからあたしははるちゃんって呼んでる。


「いいないいな、りっちゃんてば滝沢先生と仲良くて」



 はるちゃん。
 こんな可愛い女の子オーラ振りまいてますが。





 実はものすっごいチャラチャラしたお馬鹿な女の子です。




「良くない! なんであたしだけ補習?! はるちゃんだって課題やってたけどどーせ全問ハズレでしょ?!」
「なにそれ失礼」
「事実を言ったまでだ」
「うわあああぁぁああんりっちゃんひどいいいいいぃい」



 うん。
 たのしー(笑)





     ×



 とまあ、これがあたしの高校生活最後の一年の日常。
 卒業までに、あたしの気持ちに進展はあるのか?!←



     -




 つづく!

126ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/12/01(土) 11:03:40 HOST:EM117-55-68-175.emobile.ad.jp






   ▼キャラクター紹介2


 ▽ 電話越しのあなたに。(>>31/完結)

 花(はな) : 小悪魔天然系女子。無自覚で可愛い発言しちゃう子。/海斗の彼女
 海斗(かいと) : 甘えん坊系の小悪魔男子。一途。/花の彼氏

 ▽ ふいうちのキス(>>32/完結/おふざけ短編)

 ゆーくん(本名は作品中には出てきてません) : ツンデレ男子。ツンツンしてるくせにたまにデレるクールな子。/女の子の彼氏

 ▽ あのね、(>>33/完結/会話だけの作品)

 圭(けい) : 俺様系とみせかけて実は甘えたがりの男子。/女の子の彼氏
 みーくん : うさぎのみーくん。可愛くて愛されキャラ。/女の子のペット

 ▽ 「ありがとう」(>>34/完結/死ネタ)

 ユリカ : 優しく友達思いの女の子。周りを明るくさせるのが得意な人気者。/カイの彼女、交通事故で死んでしまう
 カイ : 一途で友達思いの男の子。周りを盛り上げるのが得意な人気者。/ユリカの彼氏

 ▽ 憂鬱magic(>>35>>36/完結)

 憂(ゆう) : 素直じゃない女の子。ネガティブ思考で他人に思われることに慣れてない。/海人が好き、朱音の友達
 朱音(あかね) : 明るくていつも笑っている女の子。クラスの人気者。/憂の友達、海人の友達
 海人(かいと) : 毒舌だけど常識人。実は優しくて相手を思いやれる。/憂の友達、朱音の友達

 ▽ enjoy!(>>38>>39/未完結)

 遼(りょう) : 無自覚だけどモテる男子。一途で優しい。/奈々の元カレ、遥の友達、和希の友達、優花の友達、美月の友達、奈実の友達
 奈々(なな) : 可愛くてモテる。一途で優しく相手を思いやれる子。/遼の元カノ、奈実の双子の姉
 奈実(なみ) : 可愛くてモテる。一途だけど少し歪んだ愛情を持つ子。/遼が好き、奈々の双子の妹、遥の友達、和希の友達、優花の友達、美月の友達
 遥(はる) : あきらかにチャラい男子。根は優しくて真面目。遼曰く女好き。/遼の友達、和希の友達、優花の友達、美月の友達、奈実の友達
 和希(かずき) : チャラ男代表。ちょっとナルシスト。大の女好き。/遼の友達、遥の友達、優花の友達、美月の友達、奈実の友達
 優花(ゆか) : 明るくて人気者。人と関わるのが得意。/遼の友達、遥の友達、和希の友達、美月の友達、奈実の友達
 美月(みつき) : 清楚系な見た目とは違ってチャラ目。/遼の友達、遥の友達、和希の友達、優花の友達、奈実の友達




 以上!
 つづく!
 つかれる!

127ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/12/01(土) 14:00:15 HOST:EM117-55-68-131.emobile.ad.jp





   大好きな先輩へ




 ふわりと冷たい空気が俺たちを包んだ。
 雪が降り、うっすらと校庭の砂の上に積もり始める。



 今日は、今まで最高学年として俺たちを引っ張ってくれた先輩方の卒業式。




 留年する人――は、いないと思う。
 何せ三年生はみんな笑顔で卒業するっていう目標で一年生のころから団結してきたみたいだし。



 在校生として、卒業生を見送る俺たち。
 学校にはいつもと違うそわそわした落ち着かない雰囲気の生徒がたくさんいて、いつも制服を着崩す人たちも今日ばかりは正しく着こなしていた。
 「苦しい」なんていいながら、シャツを第一ボタンまでしっかりしめてみる。



 ……やっぱり慣れないな。
 それでも、と俺はふたたび制服のチェックをし始めた。



     ×



「なあ瑠夏(るか)、俺変じゃね?」
「どこが?」
「だって……シャツ第一ボタンまでしめてるしズボン腰パンじゃねえし、ネクタイちゃんとしてるし」
「いつものお前より遥かに良い人そうに見えるけどな」
「ひっど」



 チャラいやつとして有名な親友の空(そら)も、今日はちゃんと制服を着ている。
 なんだかやっぱり落ち着かないな。


 そう思ったとき、三年の先輩が二年校舎の廊下を歩いているのを見かけた。



「留奈(るな)先輩!」



 思わず教室から飛び出して声をかけると、留奈先輩はにこにこ笑った。



「瑠夏くんだー!」
「俺もいますよ!」
「空くん! 制服似合わなーい」



 ――留奈先輩は、俺の好きな人だ。
 同じ軽音楽部でボーカルとギターを担当していた留奈先輩。
 いっつも笑顔で、辛いことがあっても笑ってて――でも、ふたりきりになったときに俺だけに弱音を吐いてくれた留奈先輩がいつの間にか大好きになっていた。



「いつのまにか卒業生になっちゃってた」
「留奈先輩留年してくださいよ」
「えー、やだよう」
「俺、留奈先輩ともっといっしょにいたかったです」
「……うん、そうだね」



 寂しそうな留奈先輩の笑顔。
 俺が慰めてあげたいのに。
 もう、こんなことをするのも最後なのかな。



「留奈先輩、卒業式終わったら俺と遊んでください」
「へ?」
「今日……ダメですか?」
「だ、だいじょうぶ! だめじゃない! わたしも留奈くんと遊びたい!」





 じゃあ、そのときにまた。




 微笑み合って、俺は教室に戻った。




「なあ、お前留奈先輩大好きだな」
「うっせ、黙ってろ」



 空に言われたくねえわ。



     -きる-

128ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/12/16(日) 13:24:40 HOST:EM117-55-68-51.emobile.ad.jp






   ( 学校一可愛い超絶美女の落とし方。 )






「悠莉ちゃんって本当可愛いよね」
「だよね、憧れちゃう!」
「めっちゃモテモテだしね」
「性格も良いしさ〜!」
「顔良くて性格も良いとか、完璧じゃん」




 ――――そんな褒め言葉聞き飽きた。



 わたしが可愛いとか当たり前。
 憧れるとか、ろくに努力もしない人に言われたくない。
 モテるのは可愛い子の特権だし。
 性格良くなきゃモテないもん。
 完璧な子になりたくて努力したんだから。





 心の底からの「可愛い」が通用する女の子になりたい。
 そう思って必死に努力したのに、わたしが心から思うたった一人の君は振り向いてくれないのかな。




     ×




「悠莉ちゃんおはよ〜」
「おはよ、朱里ちゃんっ」





 逢沢悠莉、高一女子。
 学校一可愛い超絶美女の称号を持つ……とか言ってはみるけど、実際そんなもの興味ない。




 そしてわたしがたった今挨拶を交わしたのが春乃朱里。
 同じクラスで――簡単にいえばわたしの嫌いな人。





 朱里ちゃん、とか呼んでるけどそれは言葉だけ。
 実際心の中ではそんな親しく呼んでない。
 春乃朱里はかなり性格に裏がある女子でぶりっ子するくせにたいして可愛くない。



 まあ、裏ありまくりのわたしが人のこと言えるようなものじゃないけど。




「よ、朱里」




 笑顔で教室に入ってきたのは朝月蓮。




「わ、吃驚したあ……蓮くんおはよ〜」




 頬を赤く染めてぶりっ子する朱里を見て勘付く人は分かっちゃうけど、蓮くんは朱里の彼氏。
 そして蓮くんは、わたしの好きな人でもある。




「蓮くんおはよっ」
「はよ、逢沢」




 春乃朱里は名前呼びで、わたしは名字呼び。
 かなりの距離感があるのがはっきりと伝わってくる。




 でも、学校一可愛い超絶美女が春乃朱里みたいな地味な女に負けるわけにはいかない。




「蓮くんっ、この前借りたCD! すっごいよかったよ、ありがとー!」
「だよな! やっぱ逢沢は趣味合うから話しやすいわ!」




 蓮くんに良く見てもらえるように、蓮くんの好きな歌手を調べたんだ。
 ちょっとマイナーだったから趣味が合う人も都合良く少なくて、春乃朱里よりも趣味については分かり合える仲になった。




「この歌手のファン少ないから、蓮くんくらいしか話せる人いないんだよね」
「俺も! 逢沢くらいしか趣味の話通じねえわ」
「今度さ、近くでライブするらしいんだけど……いっしょに観に行かない?」
「マジ?! 行きたい!」




 わかってる。
 蓮くんが好きなのはわたしじゃなくてその歌手だってこと。
 わたしが同じ趣味だから仲良くしてくれるだけだってこと。




 でも、ぜったい奪ってみせるんだ。




「え〜、ふたりともライブ行くの〜? 朱里も行きた〜い!」





 ちっ、と心の中で舌打ち。
 趣味のことも何も知らないくせに、彼女気取んないでよ。




「ごめん……もうチケット買ってあって、二枚しかないんだー……」




 残念そうに言いながら、心の中ではにやっと微笑んでいた。
 元々チケットが二枚しかないのは事実だしね。




「えー、じゃあ普通はカレカノで行くべきでしょ〜」




 朱里がむっと口を尖らせて、少し本性を出しつつぶりっ子して言った。
 いらっとしても、わたしは本性はぜったい出さない。




「そう、かな……やっぱり蓮くんもわたしとじゃ嫌かな」




 さり気ない上目遣い。
 ちょっと引き気味に、それでも完全には引かずに寂しそうに言う。


 どれもこれも、全部計算通り。




「このチケット、逢沢が俺と行くために買ってくれたんだろ?」
「うん、どうしてもいっしょに行きたくて」
「なら俺逢沢といっしょに行くよ」




 蓮くんが笑った。
 悔しそうに朱里が俯く。




 やっぱりみんな、わたしの計算通りに動いてくれるのね。



     (きる)

129ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/12/16(日) 13:37:48 HOST:EM117-55-68-51.emobile.ad.jp






   ( 学校一可愛い超絶美女の落とし方。 )





「でもぉ、蓮くんと悠莉ちゃんふたりっきりなのは朱里不安だよお……」




 まだまだ粘る朱里。
 しつこい女って、嫌われる対象なんだよ。
 馬鹿な朱里は気づいてないみたいだけど。



 蓮くんは少し困ったように俯いて言った。




「ごめん、でも……俺がいっしょに行きたいのは逢沢なんだよな」
「蓮くんは朱里のこと嫌いなの?! 朱里より悠莉ちゃんがいいの……?」
「それは、」
「蓮くんのばかぁ……」




 泣きじゃくる朱里。
 きっとこれは朱里の計算なんだろうけど、大誤算だと思う。



 しつこくて急に泣き出す女って、一番嫌われるタイプなのに。




「……ねえ、いい加減諦めたらどう? 蓮くん狙いなの丸わかり、キモイんだよブス」




 朱里は泣きながら教室を立ち去るふりをして、わたしの耳元でそうつぶやいて言った。




 わたしがあんなやつにブスって言われる筋合いない。
 そんなことわかってる。




 なのに、





「朱里っ」





 朱里を追いかけた蓮くんの背中を見つめて、ものすごく胸が苦しくなった。




 可愛くなっても無意味なんだ。
 性格が良くても無意味なんだ。




 どうしたら蓮くんは振り向いてくれるの?




 悔しくて、気づいたら涙があふれてた。




「悠莉ちゃん?!」
「逢沢さんどうしたのっ?」





 クラスのみんながざわめいてわたしを心配する。




 心配なんてそんなのいらない。
 蓮くん以外の心配なんて意味がない。





「……ごめんね、大丈夫。ちょっと具合悪いから保健室行ってくるね」




 ついていこうか?、と声をかけてくれた子もいたけど断ってしまった。
 だってわたしが行く場所は保健室じゃないから。




 すれ違い様にさり気なく朱里に渡された紙に、三階の女子トイレで待ってると書いてあった。




 素直についていくってわけじゃないけど、ちゃんと立ち向かいたい。
 そう思って、重い足取りでゆっくりとトイレに向かった。




     (きる)





 かなりぐだぐだなお話だしタイトルどうでもよくなってます←
 許してねてへ←

130ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/12/23(日) 12:30:01 HOST:EM117-55-68-24.emobile.ad.jp







   ( 放課後の教室で、 )





 わたしは君が好きで、
 君はあの子が好きで、
 あの子は君が好きで、




 いらないのは誰ですか?




     ×




「ねえ奏汰ー」
「んー?」



 英語の課題未提出で居残りを食らったわたしと奏汰。
 二人しかいない教室には放課後特有の不思議な雰囲気が流れていて、わたしは流れに身を任せてぽつりと言った。



「好きだよ」



 ふいに言ったその言葉で、プリントに英文を書いていく奏汰の手が止まるのがわかった。



 あ、わたし振られる。
 本能的になんとなくわかってしまったから、へらりと笑って誤魔化してみた。




「何真に受けちゃってんのー、嘘に決まってんじゃん」
「ちょ、吃驚させんなよ」
「ばーか、奏汰が皐月ちゃんのこと好きなのくらいみんな分かってるってば」




 皐月ちゃんが奏汰の好きな人って結びついたのは思いのほか簡単だった。
 女子があんまり好きではない奏汰が自分から進んで話しかけに行くめずらしい女子の一人だし。



 それに何より、皐月ちゃんと話している奏汰の表情はそれは優しげで特別なものだったから。




 勝ち目なんてないってわかっていても、
 奏汰を好きでいたいと思う気持ちのほうが大きいんだ。




「皐月ってさ」



 奏汰が英文を書く作業をやめて、楽しそうに笑って話し始めた。



「素直で健気ってイメージだったんだけど、喋ってみたら全然違くてさ……なんかすげえ素直じゃなくて強がりなんだよな」




 やめてよ。
 そんな楽しそうな、特別な顔して皐月ちゃんのこと話さないで。




「そんなとこに惹かれて、いつの間にかすげー好きになってた」




 そんなのわたしに言わないでよ。
 わたしは奏汰が好きなの、大好きなの。





 ねえ、気づいてよ。





「……里乃?」




 奏汰が不思議そうに、俯いたままのわたしの名前を呼んだ。
 



「奏汰ってほんと馬鹿、鈍感」
「え?」
「人の気持ちに気づけないくせに自分の気持ちばっか押しつけないでよ」




 戸惑う奏汰。
 それもそうだよね、馬鹿なのはわたしだ。





 でも。



 この状況に耐えられなくて、課題のプリントを放置して鞄だけ持って急いで教室を出た。




「里乃!」




 後ろからわたしの名前を呼ぶ奏汰の声なんて聞こえない、






 聞きたくない。





   ( つづきます )

131ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/12/23(日) 13:11:22 HOST:EM117-55-68-24.emobile.ad.jp







   ( 放課後の教室で、 )






「あ、里乃ちゃんだー」




 課題を提出しないまま校内から出ると、下駄箱の近くに皐月ちゃんが立っていた。
 おそらく今一番会いたくない相手であろう皐月ちゃんに、何故かわたしは冷たい態度をとってしまった。




「今急いでるから、ばいばい」
「奏汰に振られたの?」




 くすっと鼻で笑うような調子で皐月ちゃんが聞いてきた。
 出た、皐月ちゃんの女子にしか見せない本性。




「まず告白してないし」
「残念だねーっ、奏汰はあたしのことが好きなんだっけ」
「……告白されたら付き合うの?」
「うん、まあ来る者拒まずだしねー」




 そんなのやめてよ。




「いい加減な気持ちで付き合うのはやめてよ」
「別にそんなのあたしの勝手じゃん」
「そうだけど……奏汰には幸せになってほしいの」
「そういう偽善者マジうざい」




 思わず泣きそうになった瞬間。
 後ろから、大好きな人の声が飛んできた。




「皐月、やっと本性を現したなー」




 にこっと笑った奏汰の顔。
 もしかして奏汰は皐月ちゃんの本性に気づいてた……?




「奏汰、あたし……里乃ちゃんに言わされてただけなの」




 泣き落としかよ。
 そんなツッコミもどこへやら、奏汰は笑って言った。




「はいはい、面白くない冗談はいいからさ……里乃、行くよ」
「う、うんっ」




 戸惑いながら、奏汰についていった。
 行き先は、さっきの教室。






     ×




 夕日に照らされた教室は、やっぱり放課後独特の不思議な雰囲気が流れていた。
 そしてわたしはきっと、これから奏汰が言う言葉を予想していたように思う。




「俺、里乃のことが好き。付き合ってくれませんか?」




 恥ずかしそうに微笑む奏汰。




「お願いしますっ」



 わたしも泣きながら微笑んだ。






 放課後の教室が、わたしたちを結んでくれました。
 大好きだよ、奏汰。




     fin.





 駆け足でごめんなさい!
 そして雑でごめんなさい!


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