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Breather

39ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/10/05(金) 21:15:12 HOST:EM117-55-68-157.emobile.ad.jp



     enjoy!



「え、振ったのって遼くんのほうじゃなかったの?!」


 ゲーセンに向かいながら奈々との出来事を奈実に説明すると、奈実は驚いたように声をおおきくさせた。


「俺の記憶が正しければ俺が振られたはずなんだけど」
「や、奈々受験終わった日泣きながら帰ってきたしさ、その日から全然元気なかったから……」
「……奈々、俺のこと嫌いで振ったんじゃないのかな」
「違うと思うよ……だって奈々、彼氏大好きって毎日のろけてたもん」


 奈実の話を聞いて思わず頬が緩んだ。
 楽しそうにはしゃぎながら俺の話をしてくれる奈々の顔が思い浮かぶ。


「奈々に会いたい」
「……未練がましい男だと思われちゃうよ?」


 奈実の不安そうな目を見て、奈々が泣いているのを想像してしまった。
 俺は、奈々を泣かせたくない。


「ごめん、俺抜けるわ」


 そう言ってゲーセンへ向かっていた足を止め来た道を戻ろうとした瞬間、ぐいっと腕を引っ張られた。


「奈実?」
「行かないでっ……!」


 奈実はさっきまで応援するかのように奈々の話をしていてくれた。
 だから、今だって応援してくれると思ったのに。


「……ご、ごめん……がんばって、ね」


 奈実は俺が不思議そうな目で見ているのに気づきパッと腕を放して顔をそらしてきた。
 辛そうな奈実の表情を見て俺はどうしたらいいかわからず、悩んだ結果少し乱暴にくしゃっと奈実の頭を撫でてみる。


「俺、やっぱゲーセン行くわ」
「え……でも奈々が」
「奈々はもう少し心の準備ができてから行くし、俺は今ゲーセン行きたいから」


 本当はゲーセンなんて行く気分じゃないし今すぐ奈々の傍に飛んでいきたいくらいだけど。
 奈々と同じ顔で、そんな不安そうな顔されたら焦る。


「ごめんね遼くん」


 ちいさな声で奈実がつぶやいた言葉は、俺の耳には入らなかった。


     ×


「なあ遼」


 そそくさと近づいてきてにやにやしながら話してくる遥。


「ん?」
「お前さ、元カノの妹好きになってんじゃね?」
「は? 俺が奈実を?」
「だってさー、さっき奈実の頭撫でたのだってアピールしまくりだったじゃん!」


 遥が騒ぐと、俺はたしかに周りからはそう見えたかもしれないと少し反省する。


「奈実と奈々が似てるからつい」
「お前、一途だなー」
「嫌いで別れたわけじゃねえんだよ」
「ま! 今くらいは奈々さんのこと忘れて楽しんだっていーんじゃね?」


 遥はなんだかんだいって良いヤツだ。
 周りを盛り上げてくれるし、何より居場所をつくってくれるような気がする。


「遥ー」
「んー?」
「お前が女子につられて一緒にゲーセン来てくれてよかったよ」
「んだよそれっ! まるで俺が女好きみたいな言い方すんなよ!」


 実際そうじゃん、とふざけながら俺たちは笑い合った。


     -


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