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パープルストリーム・ファンタジア 幸運の紫水晶と56人の聖闘士

1彗斗:2012/07/05(木) 23:06:51 HOST:opt-183-176-190-251.client.pikara.ne.jp
さあ! やって参りました! パープルストリーム・ファンタジア 〜紫水晶(アメジスト)と56人の聖闘士(マンティスト・ファイター)〜!! この小説は皆さんご存じの月波煌夜さんの作品「紫の乙女と幸せの歌・愛の花束」と知らない人が多いと思いますが私「彗斗(ケイト)」の作品「エクストリーム・クライシス」のコラボ作品です。
登場人物は月波さんの作品を見て頂くとわかりますが「ソフィア」を始め「シュオン」に「ヒース」や「シェーラ」等のメインキャラが登場し、私の方からは見ている人はご存じとは思います「ノゾミ」や「ハヤテ」、「ナギサ」に「ダン」や「レン」と本作には登場していなくてここが初登場のメインキャラが後二名ほどいます。
少し遅くなりましたが協力してくれた月波煌夜さん!! 本当に有難う御座います!! この後、話を進めていく上で名前がわからない、口調がわからないなど尋ねる事が有ると思いますが。その時は宜しくお願いしますっ!!

275彗斗:2012/10/21(日) 20:49:50 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
心愛さん>>
はい! それじゃあ頑張って行きますよ〜!!(この頑張りが空振りに終わる事を恐れながらww)

そこの辺りを参考にしながらぼつぼつ作る事としましょう(まだ何も出来てないからww)

イルファーレとなると……かなり組織的には大きいですね、さて休日を無駄に振るか、そのまま隠れ続けるか……ある意味この三人衆とイルファーレのやり取りは見物です☆

276心愛:2012/10/21(日) 21:52:42 HOST:proxy10057.docomo.ne.jp
>>彗斗さん

《イルファーレ》はたった12人の小さな私設騎士団ですけど、レオン殿下が王立騎士団から直々に引き抜いた精鋭さんたちですからね!
レオンの身辺警護から戦争から人の捜索まで何でもやっちゃいますよ(^-^)/

277彗斗:2012/10/24(水) 21:27:59 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
心愛さん>>
やはり……レオンの為なら何でもしちゃうのかww

さすがイルファーレ……でも相手は……半分人間じゃないも同然な奴らばかりですからね……上手い事見つかるかな?

278彗斗:2012/11/08(木) 19:29:57 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第61話 魂の追憶 〜エレメント・メモリアル〜
 この場所は嘗て栄華の道を歩いていた……無い物は無いと言っても過言ではないぐらい栄えている場所、すると空に薄っすらと色んな色をした大群が街に近寄って来る……その様子を……一人の青い風船を持った幼い少女はただ意味も分らず茫然と見つめていた。
 そして次の瞬間……街は……一夜にして滅び去った。その大群の力によって……何も言わずに浮かんで行く血の赤で染められた紅い風船がその惨状を物語っていた。
―――私は……生きている!!
 一瞬にして廃墟と化した瓦礫の中から幼い少女は這い出してからそう強く思った。目の前に滅茶苦茶になった亡骸が転がっていたとしてもそれを恐ろしいとは思わなかった。そして道と思しき場所の傍らに座り込みひたすら考えた。その幼い頭で……何が起こったのかそして、これから何をすればいいかを……
(何をすれば……何からすれば……)
 そう考えているだけで二日過ぎた。殆ど動かない為、空腹にはならなかった。謎の壊滅から三日目を告げる朝日が出たその時、彼女の心の中である一つの答えが出て来た。
――憎悪・憤怒・怨恨……そして復讐。
 そう、人間に対する怒り・恨み・憎しみ!! 復讐という目的が幼い彼女の心の中で渦巻き始めた……その対象は……あの組織……怪獣を倒す為ならどんな方法も問わない冷酷非道な組織「アルデュレフ」。恐らくアイツらが極秘に作った兵器でこの町ごと吹き飛ばしたのだろうと幼い少女は考えた。
「フッ、フフッ。フフフハハハハハッ!!」
 この瞬間こそ、少女が完全に狂気に呑まれた瞬間だった。その瞳には幼い子供に宿る独特の煌めきなど微塵も感じさせない寧ろその瞳にはその逆である狂気が纏わりついていた……!
「死んだ死んだ! 私以外みんなみ〜んな死んじゃった!! フフハハッ!!」
 その狂気に満ちた幼き者の悲痛な叫び声が廃墟と化したビル群の隙間に空しく木霊した……。
――――――――――――――――――
(……そして今、私は……生まれ変わってここに居る!!)
 ルミナスはそう強く思った。その顔には幼き頃から変わらない狂気に満ちたおぞましい笑みが顔一面に広がっていた……。
 だが、今の彼女は……幼かったころとは違う。何故なら…………
――狂気は殺意に、憎しみは殺戮欲に、憎悪の対象は……全人類へと変わってしまっていたのだ。

279彗斗:2012/11/09(金) 19:43:40 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第62話 救出劇
「……でよ、あそこで走り回ってる人影を助けりゃいいんだな?」
「いやだからこうしている間にも死にそうになってるって!! 追い駆けられてる人ぉ!!」
 上空で念を押す緑色の髪を持った少年とその言葉に一々ツッコミを入れている橙色の髪を持った少女は救助対象を目の前としていながらこの期に及んで口論となっていた……
「大丈夫だって! あれはただ単にじゃれてるだけ……」
 その発言を耳にした途端、急に変な疲れに襲われガクッと龍の背中に頭を垂れ下げた。
 暫くして頭を持ち上げた後、本気で深々と嘆息しながら呆れ混じりに呟いた……
「……一つ聞いていい? アンタの頭の中ってどうなってるの? ちょっと見せて欲しいわね……」
「ん? 今何か言ったか?」
 どうやら当の本人には聞こえていないらしい。それだけが唯一の救いと言うべきだろうか……
 誤魔化しも兼ねて少女はこう返事をした。
「別に何でも無いわ。さ、早くしないと……助けようとしている人間が目の前で……」
 と言いながら横を振り向くと……彼の姿が無い。慌てて前方斜め下を覗くと……物凄いスピードで急降下している彼が居た……
「…………本当に頭蓋骨をかち割って中身を見てみたいわ……案外プリンだったりしてね……」
 この行動にはホトホトあきれ果てたのだろう。彼女はそのまま高度を下ろして大群の後ろを陣取った。前方斜め上には緑髪ことダンの姿が映っている……と不意にダンが右手を挙げて振り下ろした。
(今だっ!!)
 その瞬間、橙髪の少女ことレンが龍に指示を出して目の前の大群に黄色の電撃光線を浴びせ始めた。すると、彼女の計算通り大群がこっちを向き一斉に襲いかかって来た。
「ん? 後ろを見て!! ほら、龍が……!!」
「ふざけんなぁぁぁっ!!! 今この状況でウソをって……ええぇぇぇぇ!?」
 明らかにパニックに陥っているサツキはランに言われるがまま全力疾走しながら後ろに向き直った後、困惑した。いや、正しくはするしかなかった。
 龍の様な化物に乗った人間などお伽話の世界だと思っていたからだ。
 だが、メテオは目の前で起こっている光景をちゃんと認識していた。その意味を呑みこんだ後、自力で融合を解き皆に重要な事を伝えた。
「みんな安心しろ! アイツらは俺の仲間だ!!」
「お前には一体どんな知り合いがいるんだぁぁぁ!? この状況で知り合い紹介かぁ!?」
 どうやらサツキにとっては余計に混乱を招く事だったようだ……と、勝手に一人で喚くサツキを無視してメテオは残りの三人に説明した。
「アイツらは俺が元々住んでいる世界にいる英雄達だ。まぁ……簡単に言えば自分達と同じだと思っていてくれ」
「「「いや、このタイミングで説明されたら余計に訳が分らないんですけど!?」」」
 そうこうしている間に無言で走っていたクロードがぽつりと一通りの要約をした。
「成る程……つまり、あの二人の男女は貴方の旧友と言う事で解釈はあっているか?」
「あぁ……大体それで合っている」
「「「「この状況で分ったんかいっ!?」」」」
 この男、一体どんだけ冷静な分析力を持っているんだ……!? とサツキは驚きの余り声も出ない……
 とそのツッコミの後、背後にあった黒い壁が見事に消し飛んで二体の雄々しき龍が五人の前に降り立った……

280彗斗:2012/11/10(土) 07:21:27 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第63話 妖と公爵
 今この町は混乱の最中にある。だが、幸いにも民衆は殆どその騒ぎを知らない。その事にこの者は腹を立てていた。
「……何故このようなチマチマとした事しかやらない? 貴様等の考えは一体何だ」
 この様な言葉を目の前に跪いている男女二人を後ろに従えている一人の二十半ばの年齢だろうか、血の色にも似た髪の男に向って言い放った。
「もう一度問う、お前達の考えとはなんだ? 答えなければ……」
「ずばり、結論から申しますと……王国内部からの破壊を計画しております。言い換えますと……王国自身の自滅です」
 この男もとんでもない事を企てる男だ。その冷酷な表情からして……恐らく、目的の為なら手段を選ばないタイプだろうと推測できる。
 ただ、その男の主はそのやり方が気に喰わない様だ。
「だから……か。未来人の手まで借り、挙句の果てには冥国に居る選りすぐりの戦士の情報を盗み偽物を作らせたのも……全て手はず通りか」
「全く持ってその通りでございます。後しばらくお待ちになって頂ければ……必ず」
 冥国から絶達のデータを盗み、偽物を作らせた張本人は……この男だったのだ。最後に……その者は期待の念を込めてか込めずにかこの様な口調で男を励ました。
「なら……それで良い。私の計画には……紫水晶(ヤツ)が必要なのだ。ライラック公爵よ……期待しているぞ」
「私めにお任せを……必ず遂げて見せます」
 ライラック=イフリート公爵は軽くその場で一礼してその場から立ち去った……残されたのは……影になっていて見えないがイフリート公爵に指示をしていた彼、一人である。
 彼は嘲笑的にイフリートを独り言で評した。
「結末を知りながらその身を捧げる若き夕星(せきせい)……か見せて貰おう、その王国に対する恨みと怒りを……」
――――――――――――――
 イフリートは音も立てずに廊下を歩いて行く。二人の重臣を連れて……ふとそこでイフリートが立ち止まる。それに合わせて重臣も立ち止まり主人の顔色を伺う為なのか一言こう言った。
「ご主人……どうかなされたのですか? 御気分が優れないとか……」
「いや、唯……俺はお前たちにすまないと思っている。これだけは謝らせて欲しい……アイリス、バーサー……すまないな、こんな事に撒きこんでしまって」
 二人の重臣、アイリス=ベルハーツとバーサー=イルナ―ドはかける言葉を失った……彼の自責の念があまりに強過ぎたのだろう、言い返すに言い返せない心情だった。
 だが、あえてここで言葉をかけなければ……思ったのか。旧友として、友と言う立場から二人は言葉を綴った。
「イフリート、それは可笑しいでしょ? 言う事を間違えて無い?」
「?」
「それにだ……俺たちは友達なんだろう? それなら俺たちは何処までも一緒さ」
 その言葉にイフリートは少し救われた様な気持ちと……平和に俺たちが過ごす為にはこの方法しかないんだと言う現実を改めて実感した。
 その方法は……王国への復讐。
「わかった。それじゃ行くとするか……王国をブッ壊しに!!」
「えぇ!」
「あぁ! 行こうぜ!」
 そして……その三人の影は暗闇の中へと姿を消していった…………
「ふっ……甘い、そして……純粋過ぎる」
 彼はその暗闇に消えていく影を見ながら人知れず呟いた……その人物の名は……操鬼だ。
 何故、彼だけが此処に…………?

281彗斗:2012/11/10(土) 07:24:30 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>
最後の方の操鬼の口調が分らなかったので適当に合わせてしまいましたスミマセン!!

勿論操鬼もですが他の御一行の口調と特徴を書いて頂けませんか?

282ピーチ:2012/11/10(土) 09:32:09 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
慧斗さん>>

ごめん忘れてた!!

めぐみ…「〜わよ」とかはあんま使わない。天音ほどではないが、髪がものすごく長い。

みなみ…めぐみとゆうきには基本的に敬語。敵と見なしてるものにはむちゃくちゃ言葉遣い悪い。髪の長さは足の付け根辺りくらいまで。

ゆうき…めぐみと同じく「〜わよ」とかはあんま使わない。みなみと髪の長さは同じくらい。

操鬼……女。元は人間だった霊。アクアに才能を見込まれ、人としての魂を売った。

アクア…めぐみを取り込もうと目論んでいる妖。が、最終的には消滅する。

…かな? アクアは「〜わよ」とか使ってもいーよー! …多分アクアは怨念だけで甦ったのかなぁ?

283彗斗:2012/11/10(土) 13:32:55 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>
え……操鬼は女だったのかっ!? それは今初めて知った……

残念ながら復活原因は怨念だけでは無いんだな〜これが

怨念だけならともかく今回はピーチさんには申し訳ないけど……桁違いに二人とも強くしております。

まぁこの二人はラストに戦う相手ですからね。それなりに強くなって貰わなきゃいけませんから。

それに……今回だけと言う事で……アイツが二人に色々な事をしていますのでとんでもない事が出来る様に……

284彗斗:2012/11/10(土) 14:28:11 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第64色 闇色の妖術師と三つ子の暗殺者
「今帰ったよ。どう? そっちの具合は?」
「それが……ちっとも良くなって無いのよ」
 リョウキが扉を開けて拠点にしている部屋に帰って来た。どうやら、その様子からしてイルファーレの妨害には遭っていない様だ。
 そして……そこから時を暫く開けて開け放っていた窓の方からももう一人の兄が帰って来た。最も……窓からと言うのもおかしな話だが……。
「あらよっと! どうやらその様子じゃまだまだ良くなって……」
 と言葉の途中でリョウは何かに勘付いた。いや、正しくは今更、勘付いたと言った方が良いだろう。
 この少女の……様子が変だと言う事に……
「……ほ〜う? コイツは知らなかったな……まさか……」
 リョウはそう言いながら少女の方向への歩みを止めてはいない。……だが、彼の右手には……あの大鎌がしっかりと握られていた。
「ちょ……ちょっと……リョウ兄ィ?」
 リョウカの声も振り切って、リョウはそのまま彼女が寝ているベッドの隣りまで歩いた。そして……大鎌をベッドに向けて大きく掲げて……
――ブゥゥン!!
 その大鎌を……何と! 彼はベッドに向けて振り下ろしたのだ!! 勿論の事だが、ベッドには天音が寝ている。彼は、わざと天音の心臓部分に当たる様に鎌を振り下ろした!
「えっ!? 危な……!?」
 リョウキが驚きの声を挙げたその瞬間、天音は横に素早く転がりベッドを挟んで反対側に落っこちてしまった……。そう、まるで寝ているふりをしていた様な身のこなしだ。
「「…………」」
「どうだ? 流石に寝ているケガ人に武器を振り下ろすとは思わなかっただろう? なあ……神代天音さんよ!」
 その様にリョウが問いかけてもベッドの向こうに転がり落ちたまま何の変化も無い。寧ろ、その虚無を楽しんでいる様にも見て取れるほどだ。
 ……やはり、俺の勘違いだったのか? と考えた矢先、女の声がした。
「まさか……そんな手荒な事をするとはね。れっきとした暗殺紳士かと思ってたけど……違ったみたいね」
「ふん! 人生、思い切った事をしないと自分の殻は破れないんだよ!」
 リョウはいきり立ってその言葉に対して言い返した。暗殺を業としている者はそう簡単に自分の道を否定されたくないだろう。何しろ……その道が自分の生き様そのものなのだから……
「まぁ……それもそうね。貴方達にとってそれこそが生きる道って事かしらね」
 そう言い終わったと同時に彼女はスッとベッドの影から立ち上がった。
 その元気そうな様子を見てリョウは少しだけ嘆息を覚えた……
「あのなぁ……元気なんだったらスッと目を覚ましてハイ元気ですって俺たちとしては言って欲しいんだが……」
「あら? 貴方たちじゃない。先に私をここに連れて来たのは。それに……」
「「それに……?」」
 リョウカとリョウキは天音の最後に言った言葉を繰り返した。それで彼女は勿体ぶったのだろうか? かなり間を開けてからこう言った。
「貴方達が面白く見えたから観察しただけよ」
「これだから女はいやなんだ〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!!!」
 リョウはその場で頭を抱えて大きな声で嘆き始めた……

285彗斗:2012/11/10(土) 16:54:51 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第65色 時空大戦開幕 〜逆襲の大空〜
「……何だこの感覚、まるで怒りがこの国を包んでいるかのような……」
「何かとんでもなく大きな気配があるわ……気を付けて」
 ヒースとナギサは不自然に歪んだ気配を察して赤黒く染まった空を睨みつけていた……とその時、何かが急に目の前から切りかかって来た!
「っ!」
「はっ!」
 二人は間一髪でその斬撃を避けて剣らしきものを弾き、少しだけ間合いを取る。と、そこに立っていたのは……
―――――――
「なんか……嫌な事しか起こらねェ気がするなァ……」
「このまま嫌な予感でいてくれたらうれしい事極まりないけどね……」
 ジル、ユーリエも山の中で急に変に歪んだ気配を察し背後にあった赤黒い渦が出来ている空を睨んでた……。その時、ユーリエが口を開く。
「戻った方がいいみたいね」
「今回ばかりは珍しくお前と同じ考えだ」
 二人は互いの顔を見た後、頷き合ってから、来た道を戻り始めた……
―――――――――
「なんだこの妙な空気は……」
「皮膚の感覚が……痛い」
「気を付けろ……この空気尋常じゃねぇぞ!!」
「「「えぇ(はい)」」」
 クロードも少し不快な表情を見せ赤黒く渦巻き曇ってゆく空を見詰ていた……それは不幸の予兆か或いは……破滅へのカウントダウンか。どちらにしろこの王国全土が……混乱する事態となるのには変わりない事だから……
――――――――――――――――
「ん? なぁにあの空の色……」
 リョウカが指さした場所には紅く紅く透き通った空が広がっていた……
「これまた厄介な事が起こりそうな予兆ね」
 リョウカの隣りに立ってぽつりと天音は呟いた。リョウキも肩をすくめて呆れ気味にぽつりと一言。
「こりゃ、何としてもメテオを見つけて協力しないと不味いって訳だ」
「……ひとまず外に出よう。話はそれからだ」
「え!? ちょっと……何するのよ!」
 いつの舞にやら立ち直ったリョウが天音を背負いながら窓を飛び出す。それに続いてリョウキ、リョウカも続け様に飛び出した。
――――――――――――――――――
「ねぇ……昇? 今度は空が……」
「あのなぁ……悪い冗談はよせって……!?」
 その空を見た昇もその質問を言いかけていた柊一も絶句した……
「と…とにかくアイツらの様子見だ!」
 とチラッと天使たちに目配せしてみたが彼等も慌てている。
「どうするの? 話しかけるの?」
「仲間は一人でも多い方が良いに決まってる!! ここは勇気を出して……」
 昇は柊一を引っ張りながらすたすたとその天使の集団の方向に歩いて行った……
――――――――――――――――――
 各自でそんな動きがあった直後、突如上空に巨大な人間のホログラムが現れた!!
 そのホログラムは仮面を付けていて顔は分らない。と、おもむろにそのホログラムに投影されている人物は話しだした。
「我が名はイフリート。王家にならこの名が分るだろう。なら察しはついている筈だ。我は……復讐に来たのだ!! この王国に!」
 イフリート……と名乗るホログラムに投影された男は高々と復讐を宣言した。
「 ……イフリート……まさか彼が……」
 王宮にある窓から街の様子を眺めていた一人の少年は固く唇をつぐんだ。

286心愛:2012/11/10(土) 17:29:45 HOST:proxyag082.docomo.ne.jp
>>彗斗さん

おおう! なんか壮大な復讐劇が……っ?

何回も繰り返してますけど、この人数を同時に操れる彗斗さんには尊敬の一語しかないです(*´д`*)


ローエンシュタイン王家にも何か複雑な因縁があるみたいですね←


頑張ってください!

287彗斗:2012/11/10(土) 22:48:43 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
心愛さん>>
はい! もうそれはそれは大き過ぎる復讐劇の始まりでございます。

勿論、ピーチさんのキャラ達も大きな戦いの渦に……

それと……この作品には別作品のゲストが四人ほどちょこっと……?
 
まだまだ登場していないオスヴァルトにクラウスにティルダに……後……後……誰だっけ(笑)

何名か忘れてる気が……ww

……ま、まぁそれはともかくとして……新しいメンバーを加えて新スタートを切る新章「王国転覆計画」シナリオについてもどうか御期待下さい!!(あまり期待しない方が身の為d(ドスッ)……byノゾミ)

288ピーチ:2012/11/10(土) 23:08:42 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
慧斗さん>>

どんな復讐劇だどんな復讐劇なんだぁー!?←

まさかの巻き込まれるんだ天音達w

ま、頑張れ←おい

289彗斗:2012/11/10(土) 23:26:34 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
☆新章 王国転覆計画篇☆
第一乃策 警告
「……一難去ってまた一難ってわけね……」
 突如としてナギサとヒースの前に現れた三人の奇怪な人間達……どの人物からも人間らしい感情が籠っていない。
 その人間達の放つ異形の雰囲気にヒースはギョッとして一瞬だけ立ちすくむ。だが、その様な状況に陥ったとしてもなおヒースの心の中で戦いの炎が再び燃え上がった!
「……だが、その方が逆に燃えたりしないのか? 俺はするぜ! 思いっきりな!!」
「……ハッ!! やっぱり人間って奴には、奴の様に煩くて闘う事しか知らないかの様な馬鹿共が何処にでもいるらしいな」
「ウガッ! 何だ……あそこに居る奴の発言を否定できない俺がいる……!?」
 その男の発言は、どうやら的はいている様だ。それに引き換えナギサは……極力隙を見せずに用心する事しか出来ないが……思考は使える。
(コイツ等……いきなり現れておいて……何者?!)
 ナギサが腰に差している剣を取ろうとしたその時、三人目の男がやれやれ……といいたげな表情でナギサに向って問いかけた。
「おっと誤解はしない方が良いぞ? 俺たちはまだ何も闘うとも言って無いからな」
「? ……一体アンタ達は……」
 とナギサが言い駆けた瞬間一陣の強い風が吹き過ぎようとして二人とも目を瞑って開けてみると……
 居なくなっていた。しかも後形も無く……
「先程の質問には答えておこう。俺たちは「ZERO・NOIDO」お前達の敵では無いがあちら側でも無いと言う事を忘れるな」
 何気なく過ぎ去った風は彼の言葉の末尾を見事に消し去ってしまった……

290彗斗:2012/11/11(日) 07:13:12 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>
この作品に出て貰ったからには、勿論の事思いっきり巻き込まれて貰いますっ☆

結末に関してはまぁそう焦らずに……まだまだ「始まったばかり」なんですから(笑)

その代わり天音ちゃんには日ごろのストレス発散にはもってこいだと思うけどねw(ポジティブに考えればあの二人組への厳しさはある程度軽減されるかも?)

291彗斗:2012/11/11(日) 08:16:26 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第二乃策 白銀の月輪、黄金の日輪
「……なんかえらい事になって無いか? 俺は気のせいとしたいんだが……」
 半分泣き事が混じっている様な口調でラギアは静かにぽつりと呟いた……だがそう現実は甘く無い、街には……あの時街を襲った時の様に大群が送り込まれていた。唯、決定的に違うのは……その送り込んで来る量だ。
 目で見ただけでも前の時の5倍は軽く越えている……
「……はぁ、何でこう私達が七人全員揃った時は七人揃って面倒事に巻き込まれるのかしら……」
「それは、決まっている。大抵こう言う流れはお約束だからな」
 それはそれで、ある意味答えになって無いと思いながらもノゾミはある呪文を唱える……この呪文は……時空転送だ。
 次の瞬間、ノゾミはある場所へと消え去った……
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ハァッ……ハァッ……ハァッ」
 一人の住民が街を逃げ惑う、一斉に振って来た大群にその場に居た人間を彼を覗いて皆殺しにされたのだ。彼は腰が抜けてしまっているのか、歩みがぎこちない。
――ザッ…………ザッ………ザッ……
 死を告げる足音がじわじわと迫って来る……ここには運悪く一緒に逃げている人はいない。もうここまでか……と彼はじっとその足音が近づいて来るのをただ無言で待った。
――ザッ…ザッザッザッ
 足音はもうその角をまがった所まで迫っている、明らかにいつ聞いてもこの音は……人間の足音では無い。
 彼は力無く頭(こうべ)を上げて前方を見据えた。するとそこには……二人の見た事も無い様な歪(いびつ)な人が立っていた……
(これでやっと楽になるのか……?)
 そう思って彼は唇をグッとつぐんで次に来る一瞬の痛みを堪える準備をしていた……がその勝手な空想は無駄に終わる。
 何時まで経ってもその痛みがやってこないのだ。恐る恐る目を開けると……そこには全身銀の貴族衣装で金髪の髪を持った青年と同じ様な全身金の貴族衣装で銀髪の髪を持った青年二人が立っていたのだ。
(い……何時の間に……)
 人の気配さえ感じ無かったこの辺りに人がいる筈は無い。ならどうやって彼等は現れたのだろうか……そんな事迷う暇などないとでも言う様に二人の青年はあり得もしない速度で星人の懐に飛び込んで……
――ドスゥン!! ドガッ!!
 二人同時に二体の星人を殴り付けたのだ! 勿論速度の関係もある為、物凄い勢いで殴られた後後ろにあった建物の瓦礫の中に一瞬で消し飛び動かなくなってしまっていた……
――刹那
 正にその言葉が正しい。一寸の隙も与えない圧倒的な力とスピード、命を助けられた彼はその二人の青年に駆け寄ろうとしたが……瞬きをした瞬間、砂煙を残して何処かに消え失せてしまった……
「い……一体彼等は……?」
 その時、砂煙を巻き上げる程の風が吹き一切れの紙が助けられた男の顔にへばり付いた、その紙をとって内容をよく見ると……
「礼には及ばないぜ。弱い物の見方になるのが、当たり前だからな!」
 とだけ書かれていたのだ……彼はその辺りを見渡したが……それらしき人影はまたとは見なかった。
 また次の追手が来る事を恐れた男は急いでその場を後にした……
「これで良かったんですか? またあの二人と逸れてしまいましたけど……」
「いいんだよ。時期に会える筈だから焦る事はねーよ」
 二人の金髪銀髪で貴族格好の青年は走り去っていく男を見ながら一人ボソッと呟いた。
「生きておけ……そうでもしないと誰かを悲しませる事になる」
「……全く持ってその通りです」

292彗斗:2012/11/11(日) 13:27:18 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第三乃策 天使との交渉
「あのすみませ〜ん!」
 まず柊一がそのグループの中にいるリーダーらしき少女に声をかけた。まぁ当然の事ながらリーダーの少女が返事をする前にその近くに居た少年が聞き返してきた。
「あん? 何でこんな所に人が……? お前等ここで何してる?」
 流石に今さっきからずっと様子を見ていたともいえず柊一は適当な嘘付いた。
 昇はにしては大変珍しく、彼女等に話しかけた後、一言も言わずに黙って隣で立っている……
「ちょっと山で迷っちゃって……僕たちはある人を探してるんですが……この人知りませんか?」
「! おいバカッ! この人達に見せた所で何にもなる訳……!」
 流石、天然の柊一と言った所である。味方と判定出来ていない人物に向ってこの様な人の紙を見せての聞き込みなど相当の天然にしか出来ない離れ業である……だが、昇の心配は無駄に終わった……
 二人ともかなり驚く結果となったのだ。
「!? コイツは……クロス!? おい皆、コイツ……似てねぇか?」
 一人の少年がそう言ったのを引き金に皆が寄ってたかって集まり始めた。そして先程、柊一が話しかけた少女が今度は昇に話しかけて来た。
「……貴方達もこの人を探してるの?」
「ま……まあ色々あってな……ん? ちょっと待てよ? 俺たちも? と言う事はアンタ達もか?」
「ご名答、私達は後からこの地に来たのよ。だから……私達にもる場所までは……」
「でも、あの人一体何だったのかな? これをクロスにって……」
 そう言いながら取り出したのはあの時、四人衆から渡された重要な書物だった。渡された時とほぼ変わらない状態でどうやら柊一が保管していたようだ。
「? 何その手紙みたいなの?」
「!! おいセン! それロイダーからの手紙じゃないか?!」
「はははは!! おいクウ! 冗談がきつ過ぎるぜ!」
 セン……と呼ばれたリーダーの隣りに居たクウと少年は驚愕の色を浮かべてその書物を指差した……だがセンを始め他のメンバーはそんな事は無いと笑っている……
 それなら本当の事を話そうと考えた昇はロイダーの手紙を手に取り、一歩前に出てこう説明した。
「確かにそこの奴の言うとおりだ。コイツはロイダーからクロスに宛てた手紙だ。コイツを渡すように俺たちは言われた。勿論、人質にも似た物を取られてな……」
「人質……!? まさかそんな事をしてまで見ず知らずのアンタ達にロイダーはそんな事を任せたのか!?」
 昇はその問いに首を横に振った。実際の所、人質を取られてはいない。人質に似た状況になっているためだ。そこの弁解は柊一が取り次いだ。
「人質を取ると言うか……それに似た状況になってるんだ。今、その人質がこの場所の何処かに居るんだよ」
「……成る程な。要は大切な人を探してるって訳だ」
 その後クウは話に割って入って来てチラッとセンに目配せした……センは最初はその目配せの意味が分らずポカーンとしていたが、
「天使さんの仕事ってのは変なのを退治するだけじゃないよな?」
 そのクウの一言で全ての察しが付いたのか、すぐに笑顔を作ってこう言い返した。
「まさかアンタにそんな事言われるとはね」
 そして昇達の方に向って笑顔で自己紹介を始めた。
「まだ名乗っても無かったわね。私は七聖徒のリーダーであるセン、「来島 恒」よ。よろしくね」
 そして他のメンバーもセンにつられて自己紹介を始めた。
「そんで、俺は副リーダーのクウこと「七星 九龍」だ! ヨロシクな」
「私は「咲間 楓」。特に何もコメントは無いから次宜しく」
「あ、それじゃ……僕はリュウこと「榎戸 貴琉」。どうか宜しくね」
「あ、次あたし? え〜っと……あたしはサイって言うんだけど……ホントの名前は「浚季 彩奈(ざらき あやな)」って言うの……お願いだから本当の名前で覚えてね!!」
「それじゃ次は俺だ、俺は……自己紹介が苦手だから名前だけって事で……名前は「最果 冽璽(さいはて れつじ)」ヨロシクな」
「……最後に私、私は「棘 輝鞠(いばら てまり」名前、覚えとく程度で良いから……」
 一通り自己紹介が終わったのか二人の方を向いてコクリと頷くセンを見て昇は
「よっし! それじゃ、あの町に向って行こうぜ! 探してる人に会う為に!」
 壮たからかと宣言した、これは……天音が居ない所為からだろうか……?

293彗斗:2012/11/11(日) 20:37:32 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
ここから先の展開が……書かれていたノートを失くしてしまった!!

300を目前にして……一切のストーリーが浮かばなくなった私はどうすりゃいいんだ……!?

今私の頭の中にあるのは新しい作品のキャラ達の原案とストーリーのみ……四作同時進行はちょっと気が引けるし……どうしようか……

294彗斗:2012/11/12(月) 21:32:20 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
シナリオが浮かばないけど……何とか更新ぐらいは出来る……! それなら見つかる時まで……アドリブで!!(おいっ!! byハヤテ)
――――――――――――――――――――――――――
第四乃策 人間殲滅作戦
「アイリス、時間的にはそろそろか?」
 イフリートはたまたま近くに居たアイリスに声をかけて返事を仰いだ。だが帰って来たのはその質問の答えでは無かった……
「イフリート……アンタあの宣言流した時、あんな口調で良かったの? あたしとバーサーは思いっきり腹を抱えてその場で笑い転げてたわよ(笑)」
「……もういい、お前には何も頼まない。バーサーも同様だ(怒)」
 親友とも呼べる存在の人間にまさか腹を抱えて笑われるとは思いもしなかったイフリートは、少し怒った様に短くアイリスにそう告げると手元にあるスイッチを押した……
「さて……気を取り直して……一気に崩壊させるとするかな……この禍々しいこの腐り切った王国を!!」
 その大きく見開かれた眼(まなこ)には……復讐と言う名の狂気しか映り込んでいなかった……。
――――――――――――
「ん? 何だこの轟音……?」
「ギ―クのベルグが居るからこんな音がしてるんじゃないのか?」
 ジャッジの適当な受け答えは無視してクロスが耳をすませる……どうやらこの音は……上空から聞こえる音の様だ。従ってベルグの奏でる轟音では無い。
「……あの赤黒い渦から何か出てきてますけど……」
「…………あの様子からして……明らかに大砲だな。だが……妙にデカイな」
「もしかして……あれでこの辺り一帯を吹き飛ばすんじゃ……」
 リアスとネクロ、そしてサエリヤからその言葉を聞いた瞬間クロスの頭の中にある一つの結論が浮かんできた。
――この戦いは……この国に恨みを持つ物の仕業だと!
 とすれば街の半分を影で覆う程巨大な大砲を使う訳が無い、これはこれで説明が行くだろう。だが問題はあの大砲にどうやって近づくかだった……
(翼さえあれば……あの距離へ行く事も造作じゃないのだが……)
 魔術を使えばノゾミ達でも行く事は出来るだろう。だが、それでは辿り着いたとしてもその大砲を破壊する為に使う魔力が残っている保証は無い。かと言って、ここで自分達が出て行けば一層騒ぎが大きくなるだろう……
(!! そうだ、アイツらなら……出来る)
 そう考えたクロスはネクロ、サエリア、リアス、ジャッジ、リアスの五人の協力を得る為に、一から作戦の手はずを指示した。
「みんなよく聞いてくれ! 今、私達はマルグリットの領土内にいる。それはノゾミ達、ナルキ達、そして……メテオの旧友達や七聖徒も同じはずだ。そこで……」
「そこで……? なんだ?」
 ネクロが聞き返してきたが勿体ぶっているのかいないのか中々口に出そうとしない……その時、ネクロの頭の中に一つの答えが出て来た。その言葉を早速口にする。
「ひょっとして……全員を引き合すのか? 俺たちの力で……」
「勿論だ。そうでもしないと……ソフィア嬢は護れないからな」
 やはり……か。とネクロは心の中で苦笑した。クロスの考える事はときたま付いていけない時がある。だがその方法しかないのなら無理だとしても付いて行くしかないだろう……
「……なら、まずセン達との連絡を優先しないとな」
「あぁ、その通りだ。その通信の回復についてはギ―クのみが不在なのでネクロ、サエリア、リアスの三人で当たってくれ。俺はジャッジに話がある……」
「?」
 キョトンとしているジャッジに肩を回してコソッと耳打ちを始めた……だがその内容を聞いたジャッジは驚愕する……
「何だと!? それは不可能じゃないのか?!」
「やってみる価値は無いとは言えない筈だ。今はこれにかけてみるしかない」
「…………わかった。それなりの手はずは整えておく」
 そう言ったっきりジャッジは奥に引っ込んで座禅を組み静かに瞑想をし始めた……
「それじゃ皆。各自、勝利へとつなげる為に頑張るぞ!!」
 クロスはその宣言を高らかと告げてから現場の視察へと消えて行った……

295彗斗:2012/11/14(水) 22:01:01 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第五乃策 死の絶対座標、破滅の刺客
「……まず、あれを壊すしかねぇな。話はそれからだと思うぜ、どうせアイツらは納得しねェだろうしな」
「それに関しては賛成だ。あれを壊してから話を付けた方が……説得力はある筈だ。お前はどう思う?」
「…………」
 肝心の三人組のリーダーは黙りこくっている……。大体この様な時にこんな考え方をしていると言う事は、客観的にこの事態を見下していると言う事だ。だが、客観的でないと見えない事実が在る事も、また事実なのだが……
 中々結論を出さないリーダーの様子を見かねたのか、最初に口を開いた少年はリーダーらしき人物の後頭部を掴んで半分脅し文句の様な口調でこう言った。
「早く結論をださねぇと……この首をもぎ取っちまうぜ?」
「……そんな事をしても俺が動じないと知っていてか?」
「チッ!」
「Ω(オメガ)その辺にしておけ……」
「黙ってろΣ(シグマ)」
 Σ(シグマ)と呼ばれる少年の忠告を他所にΩ(オメガ)と呼ばれる少年は腹いせに握っていたリーダーの頭を握りつぶした……自分の仲間、しかも自分達のリーダーを殺すとは、何と残虐なのだろうか……だが少年は飛び散った血飛沫に一つも顔色を変えずその頭を握り潰された少年を見下ろして冷たくこう呟いた。
「いい加減元に戻れよ。∞(ループ)」
 頭を握りつぶされてそこに横たわっている少年の名は∞(ループ)。この三人のチームの名は「ZERO・NOIDO」。そう、この三人はナギサとヒースに脅しをかけて来たあの三人組だったのだ。
 その言葉をかけた直後、∞の潰された頭の部分が徐々に再生し始めたのだ! 果てる事の無いほぼ完璧なまでの永久的な命を宿す者、これが∞の由来だ。
 因みに、Σは賢い者の意味を、Ωは最強且つ最凶の戦闘能力を持つ者と言う意味で付けられた名らしい。
「短気な所をいい加減な直せ。おかげで記憶が一部飛ぶ所だった」
 ∞は立ち上がりながらブツブツとそう呟き再び考え込み始めた。それを許せなかったのか今度はΩが自分の腕を服の袖に引っ込めて、∞のこめかみに突き立てた。
 その手から出て来たのは……なんと物を握っている手では無く、∞の顔がすっぽり入る位の大きな大砲だった。
「……お前は少しやり過ぎだ。周りの人間を俺と同じ様に考えている。昨日だっていちゃもんを付けて来た盗賊を一つ後形も無く消したところだろう? それだからこの国で化物が出たなどと騒がれるんだ」
「フン! 第一、相手が先に手を出したんだ。当然の結末さ」
 Ωは気味が良い様な笑みを浮かべてその喧嘩を吹っ掛けて来た盗賊団を嘲笑っている様な感じがする……
 その様子を見たΣと∞は同時に頭を抱えて短く嘆息した……。
「大体そんな価値観があるから何でも見境なく殺してしまうんだろうが……」
「物の考え方が変わるきっかけが在ればと思ってここに来たのに……何て事だ……」
「だぁぁっ!! そんな事をねちねちと言う物じゃねー!! ……結論はどうするんだ?」
 何故か二つに増えた大砲を二人のこめかみに突き付けていた……流石に自分と同じ立場でないΣは∞に助けを求めた……いざ、こう言う時にΣは頭の回転が速い。
 Σは∞とは違い生き返る事は出来ない……仕方無しに後回しにしていた結論を自らの口から言う事にした。
「あぁ、分った分った。壊しに行くぞ。あの大きな大砲を」
「よっし!! じゃあ行こうぜ!」
 そのまま大砲を両手に戻しそのまま飛び去るΩ、それに続いて∞、Σと三つの赤黒い空に飛び出していった……結果、逆襲の一色に染まった空に宵闇、桔梗、紅蒼(せきそう)である三が、尾を引いて光る流星の様になっていた……

296彗斗:2012/11/22(木) 18:03:36 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第六乃策 破壊と破滅
「……このままで良いのかよ、お前の弟二人に好き勝手やらせておいた上にアテナにまで抜け駆けされてんだぞ?」
「…今は待つ。それだけだ」
「……なら何故アテナの抜け駆けを止めなかった。それは明らかにお前の不注意だぞ」
「やりたい奴は好きにすればいい。俺は止めもしなければ、早く行けと急かしもしないだけだからな」
 白一色の変化の無い空間で三人のイレギュラー達はそれぞれの顔を眺めながら話しこんでいた。勿論の事この三人は柊一と昇に書状を託したあの三人である。名をそれぞれ向って右から無表情その物の様な顔をしている人物が滅壊神 ロイダー、その隣に居る明らかにへらへらと客観的にこの事態を見つめている人物が半骨神 スカル、そして威厳の塊としか言いようのない位の威圧感を放っている人物が皇帝神 カイザーである。
 とここで、フッとスカルがソフィア達の世界を映している鏡をチラッと見てから鏡を指差した。
「あれは放って置いたら流石に不味いだろ……俺が行って来ても良いか?」
「……その必要は無い」
 そう言いながらロイダーはスカルの提案を却下して鏡を別の方向にターンさせた。すると、そこに映っていたのは∞達の三人だった。彼等を見て、ロイダーは……
「この自体によく似た事件が来ると予測していた。だから手は廻してある」
「フッ……お前の心配は取り越し苦労だったにすぎないと言う事だ」
 カイザーは鼻でスカルを笑った後、凄まじい殺気を放つスカルをスルーしてロイダーに向き直った。
「あのイフリートとか言う男、下手をすれば俺たちの予想を裏切る事態を引き起こしかねない。どうする? 今の内に八つ裂きにするか? 滅んで行く姿をのんびりと眺めるか?」
 その言葉にロイダーは声を上げずに口角を上げて笑いこの先の事態を頭の中に思い浮かべた……と同時に笑っていた顔とは対照的に苦虫を噛み潰したような表情を見せ、苦々しく吐き捨てる様に返答した。
「お前の言う事はよく分るが、今俺達だけが早合点して動いたとしてもアイツ等には分る筈もないだろう。先程も言ったが、今はその時が来るまで待つしかない」
「ケッ、どうせその間にお前の弟達に手柄を全部横取りされるに決まってるぜ! それでもいいのかよ」
「何度言えばいい、俺たちは下手にあの世界にはいけないんだ。そこをわきまえろ」
 短くはなったその一言でスカルを秒殺した後ボソリと人知れず考えた……
(もし……カイザーの言う事が本当なのなら紫水晶に蓄積しているアレを使われると大変不味い事になる……下手をすれば……いや、下手にしなくてもあの世界が消し飛ぶ事になるやもしれないな……)

297彗斗:2012/11/22(木) 18:55:44 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第七乃策 放たれた妖
「……あの変な大砲要塞から何か出て来てるけど……?」
 リョウカが指差したその先には黒い…と言えばいいのか赤黒いと言えばいいのかおびただしい数の異形としか言いようのない化物が飛び降りていた……
「あ…あれ? ひょっとして俺の目はこんなに逝かれちまったってか?」
「間違いであってほしいけど……どうやら敵は本気どころか殺意剥き出しの様ね……」
 その様な事を口々に呟いていたがそのゴタゴタを掻き消す様にリョウは背負っていた天音を屋根の上で下ろしぽつりと呟いた。
「五秒だけ……待ってろ。すぐにかたを付けて来る」
 その瞬間、天音は自分が聞いた言葉を疑う暇も無く空に浮かんでいる無数の妖が一瞬にして無残に引き裂かれていく様を自分の目で目の当たりにした……
「……四秒弱か…ざっとこんなものだな」
「最近の化物は面白味の欠片も無い奴等ばかり……倒すたびに腕が鈍って行きそうです……」
「もっとこう強いのはいないのかしら……困ったものね」
 常人ならこんな事はあり得ない。いくら天音でも限界がある。天音の頭の中では既に目の前に居る三人に対する結論が頭の中に出ていた……
――この三人……唯者じゃない…!
「……貴方達、そう言えば名前を聞いて無かったわね」
「確か…そうだったっけな。俺の名前は「嵜良 澪」この中のリーダーだ」
「そして僕が「嵜良 凌悸」。一応この中ではサイドで戦ってます」
「最後に私が「嵜良 涼香」! 私は結構、戦線で戦ってる事が多いかな……? まぁとにかくヨロシクね☆」
「えぇ、分ったわ。リョウカちゃんと……銀髪君」
「「いや、その呼び方だとどっちか分らないけど!?」」
 天音は然程取り合う様子も無く赤黒い大空を見渡した。こんな血よりも赤く闇よりも黒い色の空は見た事が無い。天音は誰だってそうだと思っていた。そして何か妙な気配を感じて上を見た瞬間……!!
――見えない透明且つ巨大な何かが天音の上に落下して来た……

298彗斗:2012/11/22(木) 23:45:25 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第八乃策 流星の共鳴
「…? 今、誰か俺を呼ばなかったか?」
 メテオはその場に居る全員に確認した。サツキを始めダンもレンもランもユウもミオも全員が首を横に振った。
「……じゃあ一体誰が俺を……!」
 考え過ぎかと思った矢先、またあの声が聞こえた。どうやら街の方向の様だが……声の主がハッキリとしていない。眼を閉じて静かに辺りの気配を感じ取る……そして、
――メテオ! ここだ、俺達を助けてくれ!!
 その直後、メテオは一瞬の内にその場から消え失せていた……
―――――――――
 影妖鬼 イザナギ。リョウ達が居る世界でも発見、または討伐依頼が届くのは稀な標的(ターゲット)である。間一髪で天音を助け出し、天音が下敷きにされる事態は免れた。この類の化物となるとまず違うのは身体能力、知能辺りと言った所か。何よりも怨念だけで動く他の化物とは違い、イザナギには意思がある。つまり、人間の心を宿した化物であると言う事だ。攻撃パターンは本来なら、空間を突き破って放つパンチや弾丸程度の大きさの呪怨塊と呼ばれる塊を流星群の様な量とスピードで此方にぶつけてこようとしたりと様々な攻撃パターンがあるが今回に限ってはその常識は通用しないと考えても良いだろう。しかも今回は、仲間を八つ裂きにされて怒っているのか顔にある地獄の黒炎の鎧の部分から蒼い炎が少し覗いている。
「こんな厄介な奴を手懐けたのか、イフリートって奴は……」
「……こんなに大きい妖っている物なのね」
「僕たちの世界じゃこんなのがゴロゴロと……」
 イザナギは地獄の黒炎の鎧に身を包んでいてちょっとやそっとの攻撃ではダメージ一つ与えられない。そこでリョウ達は決まってある行動を取る。
「水だ。奴の鎧に水をぶつけるんだ!」
 幾ら地獄の黒炎と言われても炎である事に変わりは無い。だからこそ纏っている炎の力を払い除け、鎧にヒビを入れやすくする為なのだ。だが……
「……生憎こんな奴の相手をするとは予想して無かったから水に関係する物は一切持ってきてないよ……」
「……私も右に同じよ」
 自分が水関係の携帯アイテムを持っている筈も無い事ぐらいは自分で熟知している。そこで、別の手段に出た。
「……とにかく足を払って胸に輝いているあのコアを破壊しろっ!!」
 そのまま三人がイザナギに向って行く中、イザナギは三人に目を向けていなかった。向いている視線の先には……天音だ。勿論の事、天音も負けていない。イザナギの威圧感の倍はありそうな威圧…と言うよりも威嚇と言う方が正しい視線を投げかけている。
「……アイツってあんな顔が出来たんだな」
 リョウがこう呟いたのに対してコクリと声も出さずに頷く二人、天音は三人の方を見ずに睨みあったまま言葉を残した。
「―――三人共、死にたくないなら余計な手出しはしない方が良いわよ」
――ザワリ……
 リョウは暗殺者特有の寒気を感じた。そう、それはまるで……天音が自分達と同じ様な殺気を放っていたからかもしれない。とそう思った刹那! イザナギが突然、天音を握り潰そうと腕を伸ばしたのだ!
「! まっ……!」
 間に合わない、今の距離では到底、天音を助ける事は出来ない。三人全員が諦めかけたその時、一つの蒼い閃光が走ったと同時に聞いた事のある懐かしい声が聞こえた。
――やっぱりお前か、俺を呼んでいたのは……
(この声は……メ…テオ……?)
――ドガァァン!! バキキギギ……
 イザナギは力一杯天音の居る場所を民家の屋根ごと握り潰した。木や煉瓦の砕ける音がする……とその時、化物を挟んで反対側から一つの声が聞こえた。
「な〜にボサッとしてんだ? リョウ、リョウキ、リョウカ! 目の前に敵がいるってのにバカかお前等は」
「「「メ……メテオ!!」」」
 その化け物の背後に立っていたのは蒼い髪と瞳、そして聞き覚えのあるその声を持った人物……従僕(フットマン)の服を着たメテオが天音をお姫様だっこをして悠然と立っていたのだ!!

299彗斗:2012/11/26(月) 18:28:51 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第九乃策 妖の声
「……何で私がこんな事されてるのかしら?」
「おっと、こう言うのは好きじゃ無かったかな? お気に召さなかったんなら謝っとくよ」
 天音の不満に対してメテオは謝罪の言葉を述べた後、天音を下ろしてから焦った様な口調でこう続けた。
「だけども、今はそんな状況じゃない。現にこの王国が破壊されてるんだ、ここでそう呑気な事はやってられない」
「……わかったわ、一応礼は言っとくわよ。青髪君」
 メテオはその呼び方は満更でもない様な笑みを天音に返してから、イザナギに向き直りジッと目線を外さずに見据えた。リョウ達もメテオの隣りに立っている。その時、メテオがフッと声を出した。
「……コイツ……俺たちの知ってるイザナギじゃないぞ」
「「「え!?」」」
 確かに目の前にいるのはイザナギと同じ外観、攻撃方法から対処法まで全く同じのイザナギであるがメテオは俺達の知っているイザナギとは違うと言った。これはどう言う事なのか……続け様にメテオが口を開いた。
「確かにコイツは外観や攻撃方法は本物と一緒だ。だけどな、コイツ……中身が違う。中身は全くの別物だ!」
「それってつまり……」
「イザナギの鎧に身を固めた偽物……って事ですか!?」
「冗談はよしてくれよ!? 大体どうやったらあの黒い炎を纏った鎧が装着できるんだよ?!」
「……確かに、あの青髪君の言う通りかもね。強ち間違いじゃないと思うわ」
 その話しに突如、割って入ったのは天音だ。そして天音はその鎧を着込んでいる正体に心当たりがあった。その正体は……もう決まっている様なものだ。天音はその単語を口にした。
「……妖よ。妖がこの化け物に化けてるのよ」
「? 妖……ですか」
 いまいちピンとこない三人は放置して天音は自分が立てた仮説を話し始めようとした時! イザナギが急に暴れ始めたのだ!!
 その様子にピンと来た天音は別の漠然とした仮説を立てる。
(この様子からして……イフリートとか言うあの男に何かをされた人物が内部で抵抗してるのかしら……? それなら!)
 と考えた矢先、天音は懐から鈴と扇を取り出し、メテオ達よりも一歩前に歩み出てメテオ達にこう言った。
「……この化け物に憑いている魂を祓うわよ。ちょっと危なっかしい感じがするけど……協力してよ?」
「……チッ、仕方ねぇな今回だけだぜ」
「わかりました、出来る限りアシストします」
「オッケー! 任せてよ!!」
「それじゃ、何とかしよう。最早一刻の猶予も無いからな」
 それぞれの返事を聞いた後、五人は、偽物のイザナギの暴走を止めるべく猛然と足元へとダッシュした。

300彗斗:2012/11/26(月) 20:22:49 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
☆300レス到達! ちょっとしたゲストも色々登場スペシャル☆
桜「……何で私たちなのよ。これ、私達の出て無い別の作品じゃない!」
爽「まぁまぁ、そう怒るなって。俺達の作品ができてからこの企画を思いついたらしいぜ?」
彗斗「そう言う事で今回の300レス到達記念は……」
桜「私、桜と」
爽「この俺、爽と……」
彗斗「作者の彗斗でお送りしまーす!!」
――――――――――――――――――――――――――
桜「で、早速本題に触れるけど……アレ、何よ」
爽「確かに何だよ、ちょっとしたゲストも色々登場って……」
彗斗「あーあれね、あれはこの作品に登場s……」
麗奈「紹介が遅ーい! 待ち切れないから出て来たわよ!」
桜・爽「うわっ!?」
彗斗「……案外、麗奈って短気だったのか。ま、まぁ何はともあれこの、麗奈もこの進行役として加わって頂きましょう!!」
爽「で、作者は何を言いかけてたんだよ?」
桜「確かに、そこは気になるわね」
麗奈「実は私も何も聞かされてないから気になるわよ」
彗斗「……妨害しといてその発言は無いだろ……コホン、実はここに集まったメンバーには共通点があります。それは……」
爽「それは……?」
桜・麗奈「やたらと勿体付けてくる作者ね……」
彗斗「ゲストとしてこの作品に登場するキャラ達です! 勿論ここには招待して無いけどブライトやシャインも登場するよ☆」
桜・爽・麗奈「……面倒事が一つ増えた様な気がするのは気のせい……?」
彗斗「そ…そんな事言わずにこの作品はかなり長いからね!(下手すると書いているシリーズの中では断トツかも……)それだから色々ゲストと化も必要になって来る訳で……」
桜「……もういいわ。アンタの戯言とか言い訳とかは聞き飽きたから」
爽「んじゃ俺達はこれで……」
彗斗「おーい!? これだけだと内容が薄っぺらくなっちゃうからもうちょっとここに居てよね!?」
麗奈「……で次の話す内容は?」
彗斗「あっと、そうでした。次の内容はこの章に登場した王国に恨みを持っていると思われる男、イフリートとその一味についてちょっと説明しておけばと思います」
爽「おっ? 面白そうじゃん! もうちょっとここに残ってこうぜ桜」
桜「はぁ……これだからアンタは……」
彗斗「現在の話では王国の上空に突如現れた巨大な大砲、それを巡ってイフリート側の謎の軍団とノゾミ・アスカ・リョウ・サツキ率いるチームが激突する……と言うのが今までの話、ここからは今まで表立って動かなかったルミナス、夢幻博士等も動き出し事態はとんでもない方向へ……と言うのが今考えているシナリオです☆ あと勿論、レイフォード、クラウス、ルイーズ、ティルダ、レオン殿下等々と言ったキャラ達も続々登場と言う訳ですのでお楽しみに☆」
桜「……私達が出て来る幕なんて一つも無い気がするけど……」
爽・麗奈「そ〜だそ〜だ! ウソだったのか〜!!」
彗斗「いや、だからすぐに出すとは言ってない! この章には麗奈達が出て貰う事にするよ。桜ちゃんが面倒臭そうにしてるからね」
麗奈「それなら納得☆」
桜・爽「そこで納得するのっ!?」
彗斗「そうそう、この話が始まった時に疑問に思った人もいるかも知れません。何故シュオン様やソフィア様が最初に登場するキャラ……にならずにヒースになったかと言うと……」
麗奈「……と言うと……?」
桜「……そろそろ鬱陶しくなってきたから封印して口でも封じましょうか」
爽「そうそう、俺も大砲で作者をドカーンと……」
彗斗「……二人ともそう言うの実際にやったらエライ事になるの分ってるよね? ……話を戻します。ズバリ! ヒースが一番傍観していて可哀そうだったからですww」
桜・爽・麗奈「何!? 最後の「ww」って!? しかも傍観って何様だ作者(コイツ)!?」
彗斗「ま、何はともあれ他にもメテオの活躍、天音ちゃん達御一行の言動や神様たちの行動にも注目です(笑)」
桜「……ま、いいわ。(笑)ってのが気になるけど……見逃すとしましょうか」
爽「そうだな。一々ツッコミ入れてたらキリが無いもんな」
麗奈「それじゃ、そろそろ……」
彗斗「こんなグダグダスペシャルをご覧いただきありがとうございましたー!!」
桜・爽・麗奈「いや、そんな事にしたの作者(アンタ)だろっ!!」

301彗斗:2012/11/27(火) 20:11:40 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第十乃策 妖怪祭り
「……な、何これ……」
「…………俺に聞かれても分るはず無いってわかってるよな? それに俺の肩をガッチリと掴むの止めような?」
 ナギサ、ヒース達の方もあの三人との会話の後、気持ちの悪い妖達の襲撃を受けていた。勿論の事だが、周囲をあっと言う間に包囲されてしまっている程の数だ。後一つ言える事と言えば、皆揃ってヒース達を殺そうとしている事に変わりない事だけだ。従って、この量を相手にしなくてはいけない。
 流石にこの状態に危機を感じたヒースは食い込む程の握力で肩を握って涙目になっているナギサに協力を促した。
「……相手はやる気満々みたいだし、俺達も応戦するしかないだろ? それに……あの屋敷にはソフィア嬢が居るからな。奴等はソフィア嬢が目的だと考えられるから何としてもここで食い止めなくちゃ不味い事になりかねないしな。取りあえずナギサ、俺の肩から手を話してくれよな?」
 そう言われて素直に肩から手を話したものの、涙目になっているのは変わりない。グロテスクと言う表現が一番似合っている奴等の姿は正直に言うと長い時間は見られない物だ。
「だ……だってさ、こんなの斬ったりするの? ちょっと勘弁願いたいんだけど……ダメ?」
「ダメな物はダメだ。正直言うと俺だってこんなのを斬ったりするのはご免被るな」
 そう言いながらもじりじりと間合いを詰めて来る集団を前に、ヒースとナギサは背中合わせになり周囲の何処からでも攻撃に備えれる体制に入った。その直後、ヒースがぼそりと呟いた。
「……俺の掛け声と共に攻撃を始めろよ? 準備はいいか?」
「えぇ、いつでもオーケーよ」
「よし、それじゃ……かかれっ!!」
 猛然とヒースは走っている途中で剣を抜き目の前に居た妖を切り付けた。とここである事にナギサは気が付く。
――霊体の敵をどうやって斬るのかと……
「あ……ヒース、幽霊って斬る事が出来ないわよ」
「……それを先に言えぇぇ!!?」
 そのやり取りの後、二人は同方向にダッシュして霊体の体を通り抜けて包囲を脱出し、そのまま走り去ろうとしたが……霊体の追跡を撒ける筈が無い。瞬く間に追い付かれてしまった……
「あ……これは不味いかも……」
「何で俺はあの時斬れもしない相手を攻撃できると思ったんだろうなぁ!? この状況なら素直に逃げろぐらい言えよな!?」
「いや、あの時は気が動転してて……」
 妖達の攻撃を避けながら平然とそんなやり取りをしている二人……常人ではないナギサならともかく、ヒースもそれについていけるとは……流石、日ごろ体を鍛えているだけはある。ごちゃごちゃとその辺りでやり取りが続いていたその時!
――ヒュッ!
 二人の走っている延長線上に一つのお札が投げられた。そして何処からともなく一陣の風と共に声が聞こえて来た。 
「浄結界! 二眼封印!!」
 その瞬間、ナギサとヒースの周囲に居た妖達が瞬く間に動かなくなってしまったのだ……不意に走るのを止めて辺りを見渡すと……一人のナギサと同い年ぐらいの少女が立っていた。
「……よくあの数の鬼神を相手に生きていたわね……しかも無傷でって……」
 呆れの感情が混じった言葉を吐き少女は此方に近づいてきた。幸いナギサにもヒースにも聞こえていない声量だった為、二人には聞こえていない。
「……そうだ、自己紹介して無いわね。私は折谷 晶。アンタ達が良ければ私を連れていてくれないかしら。出来る限りの事なら力になるわよ?」
「…………いきなりすぎて何が何なのか分らないんだけど……」
「……俺も同感だ」
「はぁ……仕方ないわね。一から説明すると……」
 アキは目の前で状況を呑みこめていない二人に向って、今起きた状況と自分についての詳しい事について説明をし始めた……

302彗斗:2012/11/28(水) 20:35:04 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第十一乃策 イフリートの目的
 ここは、王室の一角であるとある部屋。その部屋の持ち主であるレオンは神妙な顔つきで外に浮かんでいる大砲を見続けていた。
「……なぜ、なんだろうか……なぜ彼は……」
 ふと気を紛らわせるためにこんな事も呟いてみたが大した効果も無い。時だけが刻々と徒に過ぎてゆく。
 とその時、フッと背後に小さな人影が現れた。その人影はレオンにどんどん近付いて……とうとうレオンの真後ろにまでやってきた。そこでようやくレオンがその気配に気付き後ろを向くと……
「ルイーズどうしたんだ?」
「いや、何となく兄様から不安そうな雰囲気が漂っていたから……ちょっと様子を見に来ただけじゃ」
「そうか、それなら丁度良いルイーズに話があるんだ」
 レオンは自分の後ろに立っていた小さい王女であり自分の妹「ルイーズ」にある話を聞かせた……
――――――――――――
 今から数百年前の事、この国が未だ今ほど大きく無かった時代の話だ。勿論その頃には今の様な統率力は当時の王家には無かった為、戦いが絶えなかったと言われている。そして、その小さかった王家に仕えていた三人の臣下達がいた。
 その一人の名はエルソルド=グライン。また、彼は王国成立当初から王の元について革命を指揮した事から「革命者」と呼ばれ民衆にも慕われていた。そしてもう一人の人物はライラック=イフリート。勿論この人物も庶民出身と言う事もあった上、国にある物を大切にしていたことから「愛国賢者」と呼ばれ民衆から慕われていた。そしてもう一人賢者と呼ばれ民衆に慕われる臣下が居た、その人物の名はジクラス=フリート。彼は三人の中で一番の戦略家で色々な戦いを彼の力で乗り越えて来た。その事から民衆からは「竜王(ジークフリート)卿」と呼ばれ皆から尊敬のまなざしを浴びていた……
 がいつの時か、ジクラスが病に倒れ帰らぬ人となり、王家の臣下として残ったイフリートとグラインは当時の国王を交えて今後の国の行く末について議論したと言う。イフリートは国外の協力や武器を手に入れて他国に負けない国をつくれば、時間が経てば従う意思を見せる国が出て来る筈だと主張した。だが一方でグラインは自国の兵力を増やす事によって他国を力で抑え込むことを提案した。
 ここで二人が対立し、民衆の中にもイフリート派とグラン派と言う様な派閥が出来てしまった。その事態を重く見た国王は民衆に愛されていたイフリートの提案を採択。
 だがその直後、グラインは国王にある事を耳打ちした為に形勢が逆転。イフリートは民衆に知られない為に極秘裏で処刑、グラインの提案を採択して戦乱の渦はとんでもない位に大きくなり、何十年と続いた戦乱も終止符が打たれ現在の王国の姿になりそこから力を持って来た者が今の貴族階級の人達となった……と言う事である。
――――――――――――――
「な……何じゃと!? あのイフリートとか言う男は元はこの王国の家臣じゃったと言うのか!?」
 ルイーズはひとしきり話し終えたレオンに疑問をぶつけた。レオンはその通りとでも言いたそうに首を縦に振った後、みのけがよだつ様な事を言った。
「そう、つまり……私達ローエンシュタイン王家を消滅させようとしていると言う事だよ」
 そういってのけた後、顔が青くなっているルイーズにある古臭く薄っぺらい書物を渡した。その書物を見てレオンは呟く。
「その書物にはイフリートとその仲間達が書いた最期の言葉が記されている……」
 その言葉を聞いた後、ルイーズは恐る恐るそのページを開くとそこには……
―――――「この王国に……復讐と混沌を……」ライラック=イフリート
 とだけ書かれていた。しかも怒りの余りにか書きなぐった痕跡すら見て取れる。よほど王家に裏切られた怒りが強かった心の現れなのか……次のページには二つの最期の言葉があった。この書かれた内容も恐ろしい物だった……
――「この世に生れし者は破滅の道を辿る、そして最期は滅び去る運命のみが待ち構える」バーサー=イルナ―ド
――「狂気に触れし者、全てを混沌へと導く者、そして闇と光を見違えた者。全て身を滅ぼす道を辿らん」アイリス=ベルハーツ
 憤怒と憎悪。その言葉がこの遺言達の意味をあらわすのに相応しいと言っても過言ではない。ルイーズは足が震えている事に今、やっと気が付いた。その書物をパッと取り上げ、もとあった位置に収めながらレオンはどこか悲しげにぼそりとまた呟いた。
「これが……王家に対する当然の報いと言うのなら……受けて立つしかない……そうだろう? ルイーズ?」
 ルイーズを見るレオンの瞳には……悲しみの色しか映っていなかった……。

303彗斗:2012/11/29(木) 19:02:09 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
心愛さん>>

無理やりルイーズとレオンを登場させてしまった第十一話。何となく違和感が残るのはこの二人の口調。

何がどう違うのか分らないので心愛さん、ご指摘お願い致します!!

304心愛:2012/11/30(金) 12:35:33 HOST:proxyag119.docomo.ne.jp
>>彗斗さん

…やー、まさかこんな壮大かつすごいお話にしていただけるとは(~_~;)
「そーいや国の名前どうしよ、マ、マリ、マル……マルグリットでいっか!」と超適当に決めてた自分の頭を殴ってやりたい←



え、そうですか?
違和感なくするっと読めちゃいましたけど(・∀・)

ヒースのソフィアの呼び方は「御嬢様」で、「ソフィア嬢」はルイーズとレオンですよってとこ以外は特に…。


無理に言うなら、
「……ああ、ルイーズ。どうしたんだ?」
「そうか、それなら丁度良い。実はお前に話しておかなくてはならないことがあるんだ」

みたく(違いよく分かりませんけど)、レオンは次期王様らしくゆったり余裕を持った感じで喋るかなーと。

あとレオンは、シュオンに対抗できる数少ない男で怖いもの知らずなところがありますので、ただあきらめるっていうよりは、少し前向きと言いますか、そういう姿勢やセリフも、後からでも付け足してもいいかなっとちょっとだけ思いました( ´∀`)


でも、ほとんど完璧だと思いますよ! ルイーズもばっちりです!

305彗斗:2012/11/30(金) 18:37:18 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
心愛さん>>
そう言って頂けたら幸いです……

何故か単なる登場をと思っていたのに結構重みのある内容になってしまって、内容に押しつぶされていないかと無駄に変な心配をした訳です(笑)

ついでに後一つ程書ききれなかった箇所を続きにポロっと書いておきますのでそちらもお楽しみに☆

306彗斗:2012/11/30(金) 19:40:10 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第十二乃策 消滅手段
「……クロス、この脅しの様な事態。絶対に裏があると考えて良いだろう」
「? ネクロ、それは一体どういう事だ?」
 ネクロはスッと音も無くクロスの隣りに歩み寄りある疑問が残る点について片っ端から挙げていった。その内容を聞いてクロスも納得した
「確かにネクロの言う事には一理ある、イフリートの経歴を遡って調べてみても、どうして「愛国賢者」と呼ばれて愛されていた者が民衆たちを襲って殺しているのかが理解できない。それに武器一つ持っていない連中がどうやって王国を消すのかも分らないしな」
「……魔法と言う考え方はあるが……それは不可能か?」
 ネクロはダメ元でクロスに聞いてみたが、意外と気が付かなかったらしく少し考えてから首を縦に振った。
「確かに。イフリートは外国の文化などに興味があった上に、自らも国外の物を収集していたと聞いている。もしかしたらその収集した物の中に魔法系列の書物が混じっていたのかも知れないな」
「それなら……魔法に関係する物を所有していたとしてもこの巨大になった王国を消すほどの魔力が有るのかどうかだが……考えにくいか」
「そう考えた方が妥当だな。元は一般人、たとえ扱えたとしてもナルキ達の部下程の実力だろうと見えるしな」
 魔法を使って王国を消滅させる……仮に魔法関係の書物を持っていたとしても、そんな事は不可能に等しい。もし、彼が魔法を会得したとしても元が一般人なので大した戦力にもならないと考えた方が妥当だと思えるからだった。それならまた壁に突き当たる事となる。一体どうして武器を一つも持たない彼らが強大に膨らんでいる王家に喧嘩を吹っ掛けたのか……?
「……そう言えば、カノンから連絡があった。かろうじてアイツらとの回線は生きていた」
「で、その内容は?」
「紫水晶(アメシスト)と呼ばれる一人の女性を奴等に関係する輩が狙っていたとの事だ。何か参考にならないか?」
「わかった。少し考えさせてくれ……ついでにその紫水晶(アメシスト)とか言う女性について調べてみるとしよう」
 そう言った後、クロスはネクロを元の場所に戻して別の場所に消え去ってしまった……その場所は……時空書物館である。
 ここにはかつて関わった場所に関する過去のデータや未来に起こる事を記している本を集めた施設、勿論ここにはクロスのみしか入れない事になっている。
「さて……一体何がどうなってるのか……整理しておく必要があるな」
 クロスとしては空間移動(スペース・トリップ)していた際に襲撃して来た奴等の正体の特定もしていない状況だった為そちらも並走していると言う形で調査を進めていたが一向に進展の欠片さえも見つける事が叶わずにいた。
(また新しいワードを見つけたんだ。奴等の特定の手がかりになってくれと祈るしか無いがな……)
 絶望的な気分になりながらも、クロスは一通り、紫水晶(アメシスト)の事、及びイフリートの身辺調査を始めた……がこれと言った手掛かりはつかめない。ここで何かを見落としている気がしたクロスは席を外して一旦調べ挙げた情報の整理を頭の中で始めた。
(ここ最近ソフィアと呼ばれる人物はシュオンと結婚している……それと、彼女の瞳には自分の意思に関係なく、幸せを与える力があると……ん?)
 ここでクロスの頭の中に一つの疑問が浮かび上がった。過去に王国全土を騒がせた紫水晶騒動。その後、シュオンと結婚したソフィアは自身の瞳の能力を使う事が無くなり今は、彼女自身が幸せに包まれている……と言う事は。一つの結論がクロスの頭の中を過った。その途端、余裕が焦りに変わった。
「!! な……何だと!? イフリートはこんな事を目論んで……っ!!」
 クロスは調べかけている物をその場ごとそのまま放置して仲間達の元へと飛んで行った。あの時、彼は何に気が付いたのだろうか……そしてイフリートは何を企んでいるのだろうか? クロスはその時、心の中でふとその自分なりに考えた結論を呟いた。
(まさかとは思っていたが……イフリートはソフィア嬢の体内に蓄積しままにある幸福のエネルギーを悪用し自らの力に変えようとしている……!! それは流石に不味い事になる!!)

307彗斗:2012/12/02(日) 17:40:15 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第十三乃策 月光と聖灰
「……で俺達はバラバラになっちまったって訳だ。だが、デルトは運良く俺達の近くに居たからノゾミ達と離れずに済んだんだ」
 ナルキは隣を歩いているカイとカノンに彼らが空間転移して気絶していた時の話をしていた。その話しを聞いてカノンも驚きを隠せずにいた。
「それじゃあ……キルシアさんやソルディさんも……?」
「あぁ。アッサリと俺達も撃沈だ。クロス達はどうなったのか知らないがな」
「……一つ良いですか? あの時、クロスは「歪みが出来ている為に俺達の住んでる世界に化物がやって来た」……って言ってましたよね?」
「あ、あぁ……そ、それがどうかしたのか?」
 少し真剣みを帯びた質問だったので、流石のナルキも少しばかりタジタジとした。そこでカノンもカイが言いたい事に気が付いた。そこでフッと声が漏れる。
「……アテナさんの所、大丈夫なのかしら……?」
 その言葉を聞いた時、ナルキは瞬発的に頭を働かせ今まで起きた事の状況整理を始めた。あの時襲撃を受けて、ノゾミ達と逸れてそれぞれ散り失せてしまった。となると、この国に侵入する事を誰かが拒んでいたと言う事になる。だが、その妨害がまともに出来なかった為に、偽物の紘と雹を使って第三者がナルキ達を攻撃して来たという事になる。……と言う事は…そこでナルキの結論がまとまった。
(奴等は俺達の息の根を止めようとしてくるに違いない。勿論、クロス達もノゾミ達も一人残らずだ。後、俺の残しておいたニセの置手紙を読んだ頃だろうから、セン達もここに来る。とすると七聖徒も一人残らずって事か……)
 相手は相当大きな組織に違いない。ナルキの知っている人物の中で、時空干渉が出来るのはメテオとクロスのみだけだからだ。従って、相手は高度な時空移動技術を持っている可能性と誰かの後押しを貰っている可能性が浮かび上がった。その考え込んでいるナルキを見てカノンが一声かけた。
「あの……ナルキさん……?」
「ん? あぁ、すまないな。少し考え事をしていたんだ。それと……ここからはお前達だけで行動して欲しい。俺はスピッツやレーナ達を見つけないといけないからな」
「……分りました。十分気を付けて下さいよ。大怪我して帰ってきたら何をしてもナルキさんのそばからノゾミが離れようとしないんですから」
 その言葉を聞いて少し笑いを含んだ笑みをカイに返してくるりと背を向けた。そして、一つの笛の首飾りをカノンに渡してからこう言った。
「……この事は秘密だぞ。俺は今から援軍を呼びに行く。それまで待てなかったらこの龍笛を吹け。そうすればお前達が頼れる仲間がやって来る筈だ」
 そう彼はカノンに言い残した後、一瞬にして大空に飛び去ってしまった……
――――――――――――――――――――
「ナルキ、俺達はこれからどうすりゃ良いんだ?」
 ここは王国上空、一人で飛行していたナルキの隣りに金銀の青年たちが現れた。まず、口を開いたのは金髪で銀の貴族衣装に身を包んだ青年だ。その青年にナルキはこう返答した。
「俺がお前達の言っている麗奈とか言う奴を連れて来る。だがその代わりにこの人間達の安全を優先して欲しい」
 そう言った後、ナルキは彼等にノゾミやソフィア達全員の写真を手渡した。それを見て口を挟んで来たのは銀髪の青年だ。
「あれ? この人は……ナルキさんが言ってた人じゃないですか。……まぁ、別に支障は無いんですけど」
「それなら良い。とにかくこの人物達の誘導と合流も図る様に願いたい」
「「御意に」」
 二人は顔を見て頷き合うとそのまま空中で四方に飛散していった……

308彗斗:2012/12/06(木) 20:47:10 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第十四乃策 協力要請
「成る程ね……つまり、貴女もクロスに……」
「えぇ、そう言う事になるわ」
「だ…誰だ? そのクロスとか言う奴は……?」
 大体の事情は呑み込めたのはナギサのみ、一方でヒースは何の為に自分達を助けたのか事態が分っていない様だった……ヒースの言葉に呆れて嘆息を漏らしながらアキは、一言こう罵った。
「全く……何処の世界にもアホってのは居るみたいね」
「全く事情が分らない俺に普通そんな事言うかぁぁぁぁ!?」
「煩い、それと……さっき戯言を吐いた黒髪のアンタ、名前は?」
「……ヒース=ユーゼル。ヒースとでも呼んでくれ」
 秒殺された為なのか、ヒースはツッコミなども一切せずに暫く沈黙した後、やけに素直に返答した。そのヒースの顔を仰ぎ見た後、二人の前に立ち、こう言った。
「私はクロスの極秘命でここに居るの。ナギサちゃんの話からして命令した筈のクロス自身がここに赴いているとすれば……事態は相当深刻な状態になっているって事になる。だからあなた達の力を貸して欲しいの」
「……分ったわ。貴女に来るように言ったとなると、恐らくクロスもかなり焦ってるみたいね。私は協力しか方法が無いと思うけどね。ヒースは?」
「あれだけ言われたのは癪に障るが……。状況が状況だしな、仕方がねぇ、協力してやるよ」
 ここで四の五の言っている場合ではない事は確かな事なのだ。このままでは遅かれ早かれ、郊外にある村々や別の国にまで影響が出てしまう。ここで何としても食い止めなければならないのが彼の望みだ。
 アキはヒース達の返事を聞いて少し安堵の表情を見せたかと思えば、また真剣な顔つきに戻った。
「それじゃ、誰か他の味方の人と連絡できる人はいないかしら?」
「それなら……ここに無線があるけど……」
 と言いながらナギサは懐からもしもの時の為にとクロスが各自に持たせておいた小型の無線通信機を取りだした。
「ありがとう。……で、ここからなんだけど……リーダーって誰かしら?」
「え〜っと……このハヤテって人よ」
 この状況下でこんなに焦り一つ見せずによくこんな事が出来るな……とヒースは思ったりしたが口に出してもまた秒殺されるだけ無駄だと割り切って口を出さないようにした。そしてヒースが見ていると……ハヤテと連絡が奇跡的に繋がった。
「……もしもし?」
「貴方がハヤテね?」
「そうですけど……これナギサの通信機ですよね?」
 困惑しているハヤテを納得させる為にアキはこう言った。
「そうよ、今ちょっと借りて話をさせて貰ってるの。私の名はアキ。私もあなた達と同じ様にクロスの命を受けてここに来たのよ。私に力を貸してくれないかしら?」
「…………言いたい事は分りました。それと、ナギサに代わってくれませんか。仲間の無事を確認するのもリーダーの仕事ですから」
 その言葉を聞くとナギサに通信機を返してその様子を見ていた。どうやらナギサと相談している様だ。ここでこの国の出身の様な気がするヒースに色々聞いてみる事にした。
「ところで……ヒース、だったわね。この国はしょっちゅう戦争をしてるの?」
「いや、そんな事は一切して無い筈だ。だが……」
「昔はしていたかもしれない……でしょ?」
 先の言葉を言われて言う言葉が無くなったまま立っているヒース。ここである事がピンと頭に浮かんだ。
「……まさか、俺にイフリートとか言う奴を知らないかと聞いてるんじゃないか?」
「当たりよ。まさか貴方に言い当てられるとは思っても見なかったわ」
「……若干バカにした言い方がまた癪に障るが……まぁいいか」
 アキの小馬鹿にした発言がヒースの癪に障った様だが、あえてヒースはスルーする事にした。スルーせずにツッコミを入れたとしても恐らく黙殺か或いは秒殺の可能性があるからだった。
「それじゃ話題を元に戻そうかしら。これは私が調べた事だけど……貴方はこの国の王家が隠してる真実を知ってるかしら?」
「……? レオンハルト殿下が隠している事……?」
「その様子だとこの事に関する事柄は欠片も知らないみたいね。じゃあ教えてあげるわ……この事件に関係する王家とイフリート達の一連の因縁を……」
 そして彼女はヒースにレオンが語ったのと同じ事を話し始めた……

309彗斗:2012/12/07(金) 18:20:56 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第十五乃策 裂鬼刃解放
「チッ! コイツ暴れまわって手が付けられねぇぞ!!」
「死角がある筈だ! どんなに強い化け物でも必ず弱点は見える筈だ!」
 メテオの言う事も然程当てにならないこの状況。どう打開し、天音のアシストをこなせるかによって勝敗の白黒がはっきりと決まってしまう……
 その上、この化け物を鎮めるのに肝心な天音に怪我を負わせる訳にはいかない……それならどうすればいいのか……
(いや、周りの言う事に振り回されてちゃ何も出来っこない。考えろ……良い策を考えるんだ……)
 リョウは必死に思索を頭の回路に巡らす、がとても良い物は思い浮かばない。それよりかも相手の暴れ方のせいで尚更近づけなくなっているのだ。
 焦りだけがリョウの心の中に伝わって来る……
(あんなに暴れちゃ手の付け様が……ん? そうか!)
 ある事を閃いたリョウはイザナギの両脇に立っている建物に目を向ける。そして……思い切った行動に出たのだ!!
「奴の両脇にある建物を打ち壊せ!! そうすれば奴の動きは鈍る筈だ!!」
 リョウのかけ声に反応して二人は顔をリョウに向けてコクリと頷いた。そして両脇にある建物の内部に入り込みある技を二人同時に別々の建物に仕掛けた。
「裂虎裏連斬!!」
「ダブルソーサラースラッシュ!!」
 同時に化物の両脇にある建物に嫌な音が走った。それを見たリョウは思わずニヤリと笑みを浮かべてしまう。程無くして二人が出て来た後、リョウはメテオに声をかけた。
「やるぞ。アレ!」
「……仕方ないな、一ちょやってやるか!!」
 二人はおもむろに両手を重ねて一つの呪文を呟いた。
「「降臨せし星の光、神秘の力を携えし星屑の力を我に注げ!! メテオライド!! バンギス・アサシン!!」」
 二人が高々と掲げた両手は青白く光り二人を包みこんだ……そして、眩いばかりの蒼い光を残してその場に現れたのは……銀河色の髪をした一人の少年だけが立っていた……
「……久しぶりだね。バンギス・アサシン」
「ホ〜ント。何年ぶりなのかしら?」
 嬉々とした二人の表情に少し口角を上げて笑うアサシン。手にした大鎌には流星の刻印が施されていた……
 そして彼は高々と一つの言葉を告げる。
「正義を持ちながら悪に心を染めた者の末路だ! 今ここで罪の数を悔いるがいい!! 震撃砕掌!」
 手を地面についた瞬間、両脇の建物がイザナギに凭れかかり始め……そして。砂塵と共にその煙幕の中に消えて行った……

310彗斗:2012/12/15(土) 13:41:25 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第十六乃策 闇色と煌めく二つの閃光
 倒壊した建物の下敷きになってしまったイザナギらしき化物は、建物の圧力で思う様に身動きが出来ていない。
 とその頃合いを、チャンスと見たリョウは天音に声をかけた。
「今しかない! コイツを黙らせるなら今がチャンスだ!!」
 コクリと頷いた天音は身動きできていないイザナギの偽物に颯爽と近づき、懐から二つの道具を取り出した。
――リン……
 鈴の音がその辺り一帯に静かに且つ冷たく響く。とその時、天音はある声を聞いた。
(俺を…早く止めて……!!)
 天音は一瞬立ち止まり周囲を見渡すが、辺りにはメテオとリョウ達の四人しか姿は無い。一般の人間達はとっくの昔に何処かに避難していた筈だ。
「気のせいかしら……? 今さっき誰かの……」
「! やばい! 天音ちゃん! 前を見て!!」
 リョウカの言葉に反応して前を見たと同時に目を疑った。いつの間にかイザナギが瓦礫の山から抜け出し、天音を握りつぶそうと手を伸ばしていたのだ!!
「っ! ま…まず……」
 最期の言葉を言おうとしたその時! いきなり天音の後ろから飛び出した銀の斬撃波と金の光球の嵐がイザナギの伸ばした手を引っ込ませた!
「最近やたらと私は人に助けられたりするわね……一応、礼は言っとくけど」
 天音はそう言いながら後ろを振り向くとナルキと話をしていた例の金銀青年二人が立っていたのだ。と銀髪の青年が片手をスッと前に出し、イザナギに向ってパチンと指を鳴らした……するとたったの数秒である変化が起こったのだ!
――ドガッ! ドガッ! シュルルル……ガッ!
 地中から飛び出した金色と銀色の鎖がイザナギに巻き付き、再びイザナギの自由を奪った。その直後に金髪の青年がある言葉を天音達五人にかける。
「ブルメテウス=メテオ、嵜良澪、嵜良凌悸、嵜良涼香、神代天音とはお前たちの事だな?」
「いかにもそうだが……何故俺達の名前を……?」
 メテオがそう聞き返すと、金髪の少年は答える気もなさそうな感情が籠った言葉で短くこう答えた。
「今は問いかけ合いをしている時ではない。俺達としても急ぎの用があるからな……」
 そう言いながら金髪の青年は天音に顔を向け、イザナギを指差しながらポツリと一つ呟いた。
「良いのか? その化け物が苦しんでるぞ?」
「! 言われなくたって分ってるわよ」
 天音は再びイザナギの近くに駆け寄り鈴と扇を構えた。
 とその時、銀髪の少年が気を利かせたのか眩いばかりに輝く金色の鎖を操作してイザナギの足を払った。
――ドドーン!!
 地に倒れた頃合いをチャンスと見た天音は化物の体に飛び乗り首の付け根の辺りに鈴を置いた。
(こんなに大きい物に試した事は無いけどやってみるしかないわね……)
 天音はそんな事を考え込みながら、小さく且つ力強く囁いた。と同時に扇を赤黒く染まった大空に掲げる。
「古より護られし光と闇……」
「こ…れで……良い」
 イザナギによく似た化物は、一寸の身動きもせずに呪文を唱え終わるのを待っていた。今まで色んな妖を封印する為にこの術を用いたがどの妖も、全員暴れていた。だがこの妖だけは違っていた。
 そう、この妖が空に向けていた眼差しは、全ての苦しみから解放される様な眼差しで赤黒い大空を仰ぎ見ていたのだ。
「その共存を望まぬモノなら……」
「私…の…本……当の、目的を……果た…せるか……ら」
 途切れ途切れに呟くその言葉には満足した感情が籠っていたこの結末で十分だと……この言葉は憑依されている者が思っている事なのか、それとも……妖自身が思っている事なのか……それは分らない。
 ただ、どちらにせよこの妖は自分達に危害を加えかねない危険の塊である事に変わりは無い。だからこそ今、芽が生え出して間もない内に排除しなくてはならないのだ。ただその事を、重々天音は理解していた。
 そして無感情に術の最期の言霊を綴った。
「桜吹雪の舞にて闇よりも深き場所に……封印されよ」
 その術を唱えた直後、魂が抜けた様に動かなくなった巨体はジワジワと変な音を立てて崩れ去った……その崩れ去った後には……一人、女性の姿をした者が倒れていたのだ。
「……やっぱりか、コイツは……」
 メテオはちいさく呟きながらその倒れている女性の姿をした者に近づいて行き、隣で立ち止まる。天音はその隣で立ち尽くしていた。ハッと我に返りメテオに問いかける。
「彼女が……どうかしたの?」
「あぁ……コイツは、神か仏みたいな奴かも知れねぇな」
「!?」
 訳が分らないと言いたそうな顔で天音はメテオの横顔を見詰ていたが、メテオはフッとこんな事を言い始めた。
「要するに……コイツは何者かに操り人形にされていた神様の類みたいな者かも知れないって事だよ」

311彗斗:2012/12/20(木) 16:38:02 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
補足

上にある話に出てきた女性は、このままでは力が使えないと考えたとある方の為に急遽追加した新キャラでございます。(気が付いた人はいると思う……)

名前までは明かしませんが彼女の設定等を書いておきます。

???
 突然、変身を解いて天音達の前に現れた謎の女性。実体でありながら神であるメテオ達とは違い、一応霊体らしく触ろうとしても簡単に体を貫通してしまう。(しかし実体になろうとすればなる事も出来る)
 彼女自体も変身が解けた衝撃で、記憶を失くしており。一時的に天音達について回る事に。

 この急遽追加したと言う事もあり設定も穴だらけかもしれませんが生温かい目で見守って頂ければ幸いですm(_ _)m

312チェリー:2012/12/20(木) 19:10:11 HOST:ntfkok217066.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
厨坊(ペイン)>>1

313チェリー:2012/12/20(木) 19:14:20 HOST:ntfkok217066.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
〜最凶を超越えた僕からの助言〜

厨坊、努力しろよ。

314チェリー:2012/12/20(木) 19:48:46 HOST:ntfkok217066.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
>>1(ペイン)は、ラノベ作家目指してるの?

315彗斗:2012/12/29(土) 03:08:15 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第十七乃策 タイム・バグ 〜暗殺者と門番の密約〜
「……一体何がどうなってんだ…偽物のイザナギと言い、あの化け物の数と言い、この異変全部がおかしなことになってるぞ……?」
「!! ……この状況……タイム・バグに似ている……?」
「「「タイム・バグぅ?!」」」
 リョウがふと口にした疑問に対して思い出した様にメテオは「タイム・バグ」と呼んだ。その返答に反応してリョウ達三人は、即座に反応した。その煩い声にメテオと天音は耳を塞ぐ。
「ちょっと煩いぞ……とにかく一から説明するとだな……」
 「タイム・バグ」について簡単に説明するとこうなる。
 まず時間の流れが一つ、縦に走っているとする。するとその時間の流れに沿って空間が形成され、時が経つにつれて一つの世界が出来上がるのだ。
「まぁ、この世界を「A」と呼ぶ事にするぞ。となると、この世界の他にも同じ方法で誕生した、数多の世界が存在する事になるんだ……」
 そう言いながら皆に解りやすい様にメテオは、棒きれで地面に絵を描き、一つのまとまりに「A」と記した。
 そして他に世界を示す丸いまとまりを他に三つ描き、それぞれに
「B」、「C」、「D」と書き込んでからメテオは顔を上げて、全員の顔を見る。
「そこの金銀のお二人さんは知っているだろうが、お前らには説明しとくぞ」
 と言いながら天音やリョウ達を指差しながら言った後、「A」と「B」の二つの世界を消して隣同士にもう一度描いた。
「勿論の事だがお互いを隔絶し合っている訳だから……当然、時間の流れるテンポも違ってくる。……と言う事は、だ」
 そこで言葉を切った後、メテオは二つの世界をまた消して、合体させた。その様子を見ていたリョウ達は真剣にメテオの顔を見ている。
「何者かによって合体した世界にはある物が残る、それは何だ? リョウ、答えてみろ」
「はぁ!? いやいやいや……この類の問題は全然詳しくない俺が分るってのか!?」
 口調にもいきなりすぎた為か焦りが見えている。その慌てる仕草を見ながら、メテオは笑って答えた。
「だな、その答えは御尤もだ……と言いたいところだが、コイツは誰でも簡単に分る事なんだよ」
「「「!?」」」
「天音とか言ったな? 今さっきの説明で恐らく大体は分ってるんだろ? こいつ等にちょっと教えてやってくれ」
 メテオは人の心を見透かした様に天音に回答する様に振った。チラッと目線をやった三人の表情からして殆ど訳が分っていないらしい……小さくため息をついて、天音は言われた通りに回答した。
「仕方ないわね……蒼髪君の説明からして、テンポの違う二つの世界がぶつかると、時間衝突が起こって、簡単に言ってしまえば「時の歪み」が発生する。因みにこれが蒼髪君の言っていた「タイム・バグ」で、そのうち放って置いたら……衝突って言うぐらいだから「世界同士の融合」が始まるって訳ね?」
「まぁ、大体はそんな所だな。取りあえず……俺は今から行くところがあるが……付いて来るか?」
「行く行く!! 皆行くよね?」
 リョウカの行動のテンポには正直付いていけないな……と思いながらもリョウは首を縦に振った。リョウキもリョウと一緒に首を縦に振っている。天音も、表情からしてそれに異論はなさそうだ。
 だが、金銀の二人組は首を縦に振らなかった。
「あ〜……すまねぇな。俺達はまだちょっとやり残してる事があって……」
「すみません……僕たちはちょっと同行は出来ないかと思いますので……合流は後ほどと言う事で」
「え〜……まぁいっか、それじゃまたね☆ え〜っと名前は……」
 リョウカが名前を言おうとした時、二人は顔を見合わせて小さく笑った。そして、思い出したかのような口調で銀髪の青年が最後にこう言ったのだ。
「僕たちとした事が、まだ名を名乗っていませんでしたね。僕の名は「シャイン」。僕達は仲間を探してる所なのですが……月色の髪の少女を見かけていませんか? 僕達の仲間なのですが……」
 暫くの間、リョウ達や天音、メテオも考えたがそれらしき色の髪の少女を見てはいない。皆の言葉を纏めてリョウが言う形になった。
「すまないな。生憎の所だが俺達はその人はみていない……で、そっちの金髪は……?」
「あぁ、俺か? 俺は「ブライト」とでも呼んでくれ。それと……この世界に後一人、厄介な奴が紛れ込んでる。ソイツには気を付けろよ」
 そう言い残した後、二人は赤黒い大空に飛び去ってしまった……
(厄介な奴……? 一体何の事なのか……まぁ、後で考えた方がよさそうだな)
 リョウはブライトの言葉を反芻してみたものの、結論に至る事は無かった。

316彗斗:2012/12/30(日) 11:17:46 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第十八乃章 流星と天使と暗殺者
 正直な話、センはホトホトあきれ果てていた。暇潰しが出来ると言う事で、全員揃ってやって来てみたまでは良いが、肝心の手紙を書き残していったクロスにも、はたまたクロスを始めとする神々の一人にもあえていない……おまけに、クロスの兄ことロイダーが絡みの二人を抱え込むことになってしまっているのだから……
 今、セン達が居る場所は王国の上空、広過ぎて捜索が困難な事が玉に傷だが、道には迷わない筈だと自身満々に言ったクウのアイデアである。
「全く…何処の誰かしら? これをすれば誰かは見つかるって言ったのは?」
「スミマセンでした。センお嬢様に手を煩わせる様な真似をして本当に申し訳ありませんでした……」
 センの逆鱗に触れる前にクウは平謝りを繰り返す。その様子を端から見ていた柊一や昇達は……
「何処にでもああいう奴はいるもんなんだな」
「ん〜……似てると言えば似てるかもね……心当たりが無い事は無い」
 昇も柊一もセンの姿に彼女の面影を感じていた……と同時に平謝りを続けているクウに哀れみさえ感じるのだった……
((まるで俺達と天音を見てるみたいだ……))
 昇と柊一がクウに哀れみの意を示している時、人気の無くなっている筈の地上に何かを見つけたテマリが皆に伝えた。
「あそこに何かいるわよ。人……みたいだけど確認した方が良いんじゃないかしら?」
 テマリの提案にセンに目線が一斉に注がれる。平謝りを続けていたクウも謝り続けるのを止めて、センの近くに立っている。
 暫く頭を掻いて考えていたセンがおもむろに指示を出した。
「その人らしい物体を確認した方が良さそうね。もし一般人だったら困るし……見に行くわよ!」
―――――――――――――
「……で、コイツはどうするんだ?」
「決まってるだろう。お嬢様の所に連れて行くだけだ」
「お嬢様……? 一体誰の事よ?」
「ソフィア嬢。紫水晶(アメシスト)と言った方が伝わりやすいか?」
 メテオは先程の戦闘からずっと気を失っている女性を背負いながら今の主について話し始めた。
「……成る程な。どうりで見た事無い服装をしてる訳だ……」
「私、その人知ってるわよ?」
「「「「ハイッ!?」」」」
 いきなりの知ってる人発言に一同は驚きを隠せない。真っ先にこの事についてリョウが言及した。
「なら何でその事を先に言わないんだよ!? 此処に来た事あるって先に言えば良いだろうが!?」
「その時は記憶が混乱していたから思い出せなかったけど……此処にある彼女のお屋敷になら行った事ぐらいあるわよ?」
 その発言に頭を抱えるリョウ。まさか今になって此処に来た事がある発言をするとは……完璧に不意を突かれたのだろう。
 続いてリョウカが色んな事を聞いていた。
「へぇーそれなら此処の街には……」
「来た事は……多分あったかしら。それははっきりとは覚えてないけど……」
「……ま、とにかくお嬢様の屋敷に行く事にするか……」
「あ〜〜っ!! メテオじゃない!!」
 突如として、上空から聞き覚えのある声が聞こえた……メテオは恐る恐る上を見たと同時に信じられないとでも言う様な顔で、彼女等の名前を呼んだ。
「セン!! それに七聖徒……! お前等。留守番は!?」
「こんな手紙がクロスの居た場所に置かれていたから此処に来たって訳よ」
 そう言いながらセンはあの時、見つけた置手紙をメテオに投げつけた。高速で飛んできた手紙を受け取り内容を見たと同時に納得した顔になった。
「……あれ? そこに居るのは……天音?」
「ん? あぁっ!! 天音!」
 天音は聞き覚えのある二人の声を聞いて少し嘆息した……
「やっぱりアンタ達も居たのね……でもどうしてアンタ達がこの人達と……」
 柊一と昇は、天音が居なくなった時から今に至るまでの詳しい経緯を天音に洗い浚い話した。その話しの中にロイダーの名が出た時、メテオは……
「何で兄貴が……? しかもアテナやスカルやエンペラーまで……何が起こっていると言うんだ?」
「詳しい説明は彼の兄達と合流した時にするわ。とにかく、私達もその紫水晶のお嬢さんに会いたいしね」
 その言葉を聞いて、メテオは暫く考えた……そして口角を上げてセン達に結論を伝える。
「わかった、ならお前達も俺の行くところに来いよ。連れてってやるから」
 メテオの言葉に皆が頷いた時、その辺り一帯にいた全員が瞬時に消え去った……

317彗斗:2013/01/01(火) 00:34:49 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
謹賀新年!! お正月ズペシャル!

「……この服で良いよね? 似合ってるよね?」
 そう言いながら服を着替えるボックスの中でゴタゴタと言っているのは……誰なのだろうか。
「そろそろ出て来て下さい! 早く始まっちゃいますって!!」
「いや……もう始まってるんだけど…」
「あ…本当ですね……早く出て来た方が良いと思いますけど……」
 そして…そのボックスの前で三人の少女たちが、早く出て来るように急かしている……といきなりボックスの中から誰かが飛び出してきた。
「正直な話、似合うかどうか分らなかったんだけどこんな感じでどうかな?」
「おぉ! すごくいい感じで似合ってますよ? ねぇ? 皆さん!」
「確かに、凄くいい感じで似合ってます」
「この格好も悪くないわね……」
 今この場に居る少女たちに共通している事は……何故か全員和服であると言う事。これにはいまだに、誰も納得していない。
「アスカちゃん、ソフィアちゃん、天音ちゃん……何で私達全員和服になってるの?」
 ノゾミはこう聞いてみたが、アスカもソフィアも天音も、全員口を揃えて同じ事を口にした。
「「「さぁ…全然……」」」
「お正月だからって事にしとこうかしら……仮にも作者は日本人だし……」
「仮にもって言葉が引っ掛かるけど……まぁスルーしても良いかしら?」
 天音は確認の言葉を、ノゾミを除く二人に求めた。そう言うとソフィアもアスカも口をそろえて言った。
「多分……良いと思う」
「良く分らないけど……深く追求しない方が…」
「……ソフィアちゃんの言う事に一理ありね。あえてノゾミちゃんの言った事は、スルーしておきましょう」
 アスカとソフィアの言う事に従って、簡単に割り切った天音はあえてその結論を選択した。
 ただ…ここで最大の疑問が残った。それは……
――故にこの面々でのお正月スペシャルなのか……と言う事である。
「何の為の物なのかしら……? このイベント……」
「ただ話をさせたかった……なんて言う下らない作者の思い付きだったら私は本当に消し飛ばしますよ」
「あの…言ってる事が平穏では無い気がするんだけど……」
 暫くは無しに参加せずに考えていた天音は頭の電球に明かりが灯った様だ。そしてその考えを皆に話した。
「多分…この作者がやりたかった事は……(ゴニョゴニョ)」
「な〜るほど! その為に……」
「納得は出来ますよね。やりたかった気持ちも分らないでもないですけど……」
「ノゾミさん達の作者は時折、こんなことをするんですね」
「え〜っと、一つ言っとくけど…ソフィアちゃん……この作者(バカ)に限ってそれは当り前なの…(当たり前どころの話では無いかも……)え〜っとそれでは最後になりました! せ〜のっ!!」
「「「「今年一年改めまして宜しくお願い致します!!」」」」
「後、勿論の事ですが……協力して下さっているソフィアちゃんの作者様である月波s…じゃなかった(汗) 心愛さん!!」
「それって作者様に失礼じゃないですか? ……気を取り直して、天音さんの作者様であるピーチさん! そして我らが彗斗の作品を見て下さっている皆さん!!」
「「今年一年良いお年を送れる事を願っています!! そして、今年一年間また宜しくお願いします!!」」
「私達からもお願いするわよ」
「皆さん、これからも宜しくお願いします」
「「「「では……さようなら〜!」」」」

318心愛:2013/01/01(火) 10:23:17 HOST:proxyag103.docomo.ne.jp
>>彗斗さん

あけましておめでとうございます!

ソフィアにも和服を着せて戴きましてありがとうございました……!
ミレーユには着せたことはあれど、和服スキーのここあはソフィアたちにも着せてみたいでも世界観的に無理がある……と涙を呑んでおりましたので嬉しいですありがとうございます!


コラボが完結したので、邪気眼少女とソラの波紋もよろしくお願いしますと新年早々浅ましく宣伝して立ち去りますw


今年もよろしくお願いします!
彗斗さんと皆さんにとって、良い一年になりますように(o^_^o)

319彗斗:2013/01/01(火) 11:40:12 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
心愛さん>>

こちらこそ明けましておめでとうございます!!

今年一年この駄目になっている作者を宜しくお願い致します!

正直な話……この更新を済ませた後「あ…流石にちょっとやり過ぎたかも……」と独り言が出てしまいました(笑)

でもこの様なコメントをして頂けたら幸いです(*^_^*)

今年一年よいお年を☆

320ピーチ:2013/01/01(火) 18:29:12 HOST:EM1-114-84-225.pool.e-mobile.ne.jp
慧斗さん>>

明けましておめでとうございます!

ソフィア様たちが着物! 意外と似合いそうなのが……!

天音は通常通りだよねー!

321彗斗:2013/01/01(火) 19:07:02 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>

明けましておめでとうございます!!

勿論の事ですが、天音ちゃん通常通りの服装で登場して頂きました☆

着物にしてみようと考えたのは…元を辿ると天音ちゃんの影響かな……

何か正月に合う物 → 天音ちゃんの着てる和風の着物 → 正月に丁度良い服装だ!! とつまらない連想をしてしまったのが今回のスペシャルに繋がったと言う訳ですww

まぁそんな話はさて置き……今年一年宜しくお願い致します!! それと、良い一年をお過ごしください☆

322彗斗:2013/01/02(水) 14:48:25 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第十九乃策 大合流
 天音やリョウ達はメテオの力によって、エインズワーズ邸に一瞬で移動して来た……だが移動して来た場所が…メテオにとって不味かったようだ……シェーラがいた。
「リョウ!! コイツの面倒宜しく頼むぜ!!」
 背負っていた女性を預けて、彼女の居る方向とは逆の方向に風を切る程のスピードで走り出すメテオ。
 この屋敷に初めて来た時、それを実際に体験しているのだからメテオ本人も結末をよく熟知している筈だ……
 やはり後ろから前回よりも三倍は優に超えているスピードで、シェーラが近づいて来ていた……だが、目の前は行き止まりになっている。諦めかけていたその時、メテオの脳内にある電球がピカリと光った!
 土壇場で思いついたメテオは、行き止まりの壁の近くにまで走った後、大きく跳躍し壁を軽くキックしてシェーラの後ろを取ったのだ!
――ビターーン!!
 予想的中、壁に激突したシェーラ。その衝撃で気を失ってしまった様だ……。壁にぶつかって、のびているシェーラをお姫様だっこして自分の部屋に空間移動して寝かせておいた。
 クルリと振り向いて歩きだそうとしたが踏み出そうとした足が動かない……蒼い顔をしながら、メテオは自分の行った事を今更ながらに悔いた。
 何故かと言うと……シェーラは目を瞑ったまま、しっかりとメテオの片足首を掴んでいたのだ!!
 数秒間だけ、反応が遅れていたら……恐ろしい事になっていただろう。瞬間移動した為に、メテオの足首を掴んでいる手ごたえが無くなったを感じたシェーラはムクリと起きて少々残念そうな顔をした……
―――――――――――――
「よっと…待たせたな」
 メテオは謝罪の意を述べた後、天音達は少々驚いた顔をしていた。
「おい…今さっきコイツを追い駆けてたのって……」
「早すぎて顔はよくは見えなかったけど……髪の色でよく分ったよ」
「恐らく…いや、絶対に今さっきのはシェーラちゃんね……こんなのを追い駆けてるとは……思いもしなかったわ」
「やっぱり知り合いだったか…その様子からすると……あり得ないほどの豹変ぶりだったみたいだな……」
「それはどうでも良いけど……この物騒な代物はどうにかならないのかしら……」
 天音はチラリとリョウ達に目配せをした。その視線に気が付いたリョウは女性を背負ったまま、こう言い返した。
「どうするもこうするもって……どうにもならないぞこれは!?」
「……ねぇ…話は変わっちゃうけど…何か変な空気が流れてるんだけど……私の思い過し?」
 リョウカの言う事は間違って無いだろうと、辺りを警戒しているメテオ。と、その時! 後ろから何かが抱き着いて来た!!
「みつけましたよ〜!! ……あ、天音さん、柊一さん、昇さん、お久しぶりです!!」
「……久しぶりなのは分るけど……その行動は何なの…」
 メテオの背後から飛びついて来たシェーラ、絶対に放す気はなさそうだ……とその時この騒ぎを聞き付けた人物がやって来た……
 何と運の悪い事にハヤテやダン達がやって来たのだ! すっかり絶望的な気分になっていた所に……さらなる追い打ちがやって来る……
「えっ!? メテオじゃない!! アンタどうしてこんな所で……!」
「ただいま〜…ってシェーラちゃん!? 何がどうなって何してるの!?」
 ナギサとアキが帰還して来た所だったのだ! 事態は時が経つにつれて、悪い方に悪い方に泥沼化している……とここで頼りになる救世主がついて来ていた。
「! ヒースーッ!! シェーラを何とかしてくれ―!!」
 取りあえず事情が分らないヒースは色んな事を聞いていた……と、その騒ぎに紛れて四人も人数が増えている事に気がついた……
「! お嬢様! シュオン! なんで此処に!?」
「……何か大変そうですね…」
「…あ、害虫とユーリエもいるからね」
「俺もちゃんと名前で呼んで欲しいんだけどなァ!?」
「……シェーラちゃん…一体何してるの?」
 ヒースが引き剝がすのに手間取っているのを横目で見ながら、今までの経緯をシュオンとソフィアに全て説明した。
 シュオンはその話しを聞くと…チラリとハヤテに目配せをした。目配せに気がついたハヤテはコホンと咳払いをしてシュオンより一歩前に出てこう言った。
「……外に行っていたのなら…ノゾミを見てないか? アイツ急に居なくなって……」
 メテオはハヤテの言葉から推測して……一つ嫌な予感が脳裏をよぎった……ハヤテの耳を貸して貰い、ゴニョゴニョと耳打ちをした。
「ちょっと寄り道しちゃったけど……連れて来たわよ!!」
 突如、何処からともな声が響き、いきなり廊下の空間を裂けて人間らしきシルエットが姿を現した。
「全部コイツから聞いたわ。これは…どうやら不味い事みたいよ!!」

323彗斗:2013/01/02(水) 22:02:59 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第ニ十乃策 未完成のチーム
「とにかく……今いるメンバー全員に言っとくわ。この戦い……何か裏があるってね!」
「「「「「「!!」」」」」
 その場に居た全員がその一言にビクリと反応する。特にアスカやリョウ、サツキ等のメンバーが特に反応した。
 その様子を見てノゾミは一つため息を漏らした後、頭を掻きながら話を続ける……
「一つ…これはこの屋敷の人間には話し難い事なんだけど……」
 と言いながらノゾミは頭を掻く事を止めて、ある一点を指差した……ノゾミが見つめる一点には……ソフィアの姿があった。
 ソフィアを指し示した意味をハヤテ達はいち早く察した。
「…まさかとは思ってたけど、敵の狙いはやっぱり……!」
「そうソフィアちゃん、あなたのその能力よ…ここに居るクロス達がその事について教えてくれたの……」
 一同の間に衝撃が走る……敵の狙いはハヤテ達の言った通り、ソフィアだった……クロスはその事についての詳しい経緯を調べ上げ、この結論に達したと……ゆっくりと伝えた。
「…だが、敵の狙いは思考する所によると…「ソフィア嬢自身」では無いんだ。それだけは分って欲しい」
「そ…それはどう言う事なんですか?」
 ソフィアも流石に怖いのだろう。偶然やって来たハヤテ達がついていたし幻だったとは言え、沢山の人が殺された。貴族同士の争いを見慣れていた事はあってもこれだけは流石にこたえる筈だ。
 ソフィアの問い掛けにコクリと頷いたクロスは、ゆっくりとその返答をした。
「簡単に言うと、敵の戦力はソフィア嬢が敵の手に落ちるか落ちないかによって勝敗が決まる事を意味している筈だ。その箇所を逆にとれば……」
「圧勝出来る可能性があると考えてる。でももしも、クロス達に見込まれた私達がこれだけ揃って勝てない相手だとしたら……」
 いつにも無く真剣に皆に問いかけるノゾミ。と、その時サツキがその言葉を続けた。
「元々強いかどうかは分らない。だが敵の手に落とさない事が此方が有利に闘う為の必須条件であり、そこのお嬢さんが此方にいる限りは、此方に風が吹いている……と言う事か?」
「だけどよォ……今明らかに王国ごと敵が目ェ付けてる奴を消そうとしてるのは一体何の為なんだァ?」
 ジルの問い掛けも尤もであり、そこが最大の謎であった。普通ならこんな大掛かりな事をする前に、ソフィアを此処から奪い去ってから王国を消す方が妥当なのではないか……と。
 その問いかけはリョウの一言でおおよそ解決できた。
「これは……おそらくこの国の一番偉い人に圧力をかけていると考えるべきだな」
「…と言う事は……まさか……」
 ヒースは嫌な予感しかしていないながらもそこまでは言葉にできたがその先の言葉は出ない。代わりにメテオがその言葉を言った。
「イフリートとか言う奴が、もしかしたらレオンハルト殿下に圧力をかけている可能性がある……と言う事か…」

324彗斗:2013/01/07(月) 16:55:38 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第二十一乃策 荒れ果てた街の中で……
「……酷い。誰がこんな事を……」
 破壊され尽くした街を見てハッと息を呑んでいたのは…他でもないイルゼだ。
 その前を二人、デルトとセイラが歩いていた。
「これは再興不可能なレベルにまで痛めつけられてるな…周囲の国も防御態勢に入ってるだろうし……」
「……助けは来ない…のね」
 ただ周囲に見える物と言えば……瓦礫の山だ。後、少しだけだが死人の匂いもしている……あまりこんな場所には居たくないのが現状だが、道も分らないほど破壊されていては迷わない訳がない。
 何処かに人がいれば救助はするが…まず命の保証は出来ないだろう。この状況でいつ敵に襲われてもおかしくないからでもあった。
「!! 何かの気配……!?」
「敵の反応か?!」
「そんなの分る訳ないでしょ!? 全く…私は気配探知しか出来ないの!!」
 セイラは取りあえず物陰に隠れる様に指示を出した。そうでもしなくては、敵であった場合の対処が出来ない。
 その感知距離は最初の反応箇所は、5㎞先だったのが急に500m先まで縮まった。
「うそっ…この速さは信じられない……もうそろそろ来るわよ!!」
――その矢先、宵闇・桔梗・紅蒼色の三つの光が王宮の方向目指して飛んで行った……
「い…今のは一体……?」
「魔法系列の類じゃねぇとなると……あれか」
 デルトは、ゆっくりとセイラの方に向きながら尋ねた。セイラ自身もちょっと信じられないと言った顔つきでその返答をした。
「えぇ、信じられないけど……恐らくジェット飛行の類ね」
「アイツらか……? だがそれにしては人数が少ない気がするが……」
「とにかく急ぐに越した事は無いわ!! 行きましょ! イルゼさん!! デルト!」
「え?! えぇ…」
「ったく……取り越し苦労だと思うがな…」
 荒廃した街に迷っていた三人は新たな道しるべを見つけ、再び歩き出した。目指す場所は……イルゼを持つ人の居る王宮。そう、レオンハルト殿下の元だ。

325たっくん:2013/01/08(火) 12:52:48 HOST:zaq31fa4b53.zaq.ne.jp
どうせなら
メテオスマッシュとか叩き込みましょうよ

326彗斗:2013/01/09(水) 20:47:49 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第ニ十二乃策 王家の秘策
「…ここが王宮…だな?」
「間違いない。座標もちゃんと一致している」
「じゃ、王様に洗い浚い吐いて貰おうか」
 王宮に降りた三つの影、それぞれの特徴は宵闇・桔梗・紅蒼の影だと言う事、即ち…デルト達の頭上を通過したあの三人だ。
 王宮に近づいた途端、イルファーレの団員が行く手を阻む。
「貴様…何者だ!」
「今は怪しい者を通すなと殿下から仰せつかっているんだ。用があるのなら後にしろ!!」
「……ここは俺の出番だ」
 そう短く言うと、二つの集団の間に立ったのは∞だ。立ちはだかった瞬間、∞の瞳が怪しく鈍く光り二人をジッと見据えた。
「…一般人にその技は…」
「細かい事は良いんだよΣ。コイツなりのやり方に任せておけば」
 そう言っている間にイルファーレの団員二人の瞳に輝きが失せた。そして二人の輝きが失せた途端、∞に向って跪き二人揃って同じ事を言った。
「ようこそ…∞様……」
「洗脳完了…少し手荒だとは思うが悪く思わないで欲しい」
 その様な事をボソリと呟いた∞はΣとΩを連れてその二人を案内役に王宮に入った……とそこに三つの影がニュッと木の葉の乗った頭を出した。
「今さっきのは……?」
「サッパリわからねぇな。イルゼ嬢はどう思う?」
「さぁ…でもあの三人…レオンに会いたがっている様に見えましたが……真意を確かめる必要がありそうですね」
 イルゼは首を傾けて少し考える様な仕草をした後、頭に乗っている木の葉を払い落し、ブルッと払い落した後三人は王宮の門から入って行った……
――――――――――――――――
「殿下、お客様をお連れしました」
 一人だけ人数を減らしたのか∞は、ΣとΩを連れて部屋に入った。そこには悠然と椅子に腰かけている少年がいた。
 その少年を見てΩが早速言葉を発した。
「お前さんがレオンハルト皇太子様……か?」
「その口のきき方は無いだろ……この人に直接聞かない限り俺達がどうしなくてはいけないかが分るんだからΩは少し黙ってろ」
「まぁ、それはともかくとして……次の君達は何の用かな?」
「単刀直入に聞く。アンタの精神構造を見て確信したよ。誰かに脅されてるんじゃないか?」
 その単刀直入過ぎる発言に少し驚いたかの様な仕草を見せたレオンは暫く止まった後、不意に笑い出した。
「いきなりな事を聞く人だね。王家がこんな事に動じていたとなっては恥になると思っていたが……既に君たちに見抜かれていたと…言う事かな?」
「そう思っていても構わない。だが今なら遅くは無い……とにかく会って欲しい奴らがいる。一緒に来てもらえるか?」
 ∞はそう言いながら近づこうとした矢先……一筋の針の様な物が飛んで来た!
 瞬発的に後ろに飛び退いた∞は辺りを見回し、その様子を見ていたΩが一言呟く。
「……アンタに懐いている用心棒がいるみたいだな…」
「そりゃあ、命を助けられた人に対する礼儀ってもんが有るでしょ!」
 スッと降りて来た人影はレオンの前に立っていた。その人影は本来この場所に居ないと思っていた……人物だった。
「私はレーナ! レオンさんの用心棒に雇われた魔術師よ! いざ…勝負っ!!」

327彗斗:2013/01/09(水) 20:48:05 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第ニ十二乃策 王家の秘策
「…ここが王宮…だな?」
「間違いない。座標もちゃんと一致している」
「じゃ、王様に洗い浚い吐いて貰おうか」
 王宮に降りた三つの影、それぞれの特徴は宵闇・桔梗・紅蒼の影だと言う事、即ち…デルト達の頭上を通過したあの三人だ。
 王宮に近づいた途端、イルファーレの団員が行く手を阻む。
「貴様…何者だ!」
「今は怪しい者を通すなと殿下から仰せつかっているんだ。用があるのなら後にしろ!!」
「……ここは俺の出番だ」
 そう短く言うと、二つの集団の間に立ったのは∞だ。立ちはだかった瞬間、∞の瞳が怪しく鈍く光り二人をジッと見据えた。
「…一般人にその技は…」
「細かい事は良いんだよΣ。コイツなりのやり方に任せておけば」
 そう言っている間にイルファーレの団員二人の瞳に輝きが失せた。そして二人の輝きが失せた途端、∞に向って跪き二人揃って同じ事を言った。
「ようこそ…∞様……」
「洗脳完了…少し手荒だとは思うが悪く思わないで欲しい」
 その様な事をボソリと呟いた∞はΣとΩを連れてその二人を案内役に王宮に入った……とそこに三つの影がニュッと木の葉の乗った頭を出した。
「今さっきのは……?」
「サッパリわからねぇな。イルゼ嬢はどう思う?」
「さぁ…でもあの三人…レオンに会いたがっている様に見えましたが……真意を確かめる必要がありそうですね」
 イルゼは首を傾けて少し考える様な仕草をした後、頭に乗っている木の葉を払い落し、ブルッと払い落した後三人は王宮の門から入って行った……
――――――――――――――――
「殿下、お客様をお連れしました」
 一人だけ人数を減らしたのか∞は、ΣとΩを連れて部屋に入った。そこには悠然と椅子に腰かけている少年がいた。
 その少年を見てΩが早速言葉を発した。
「お前さんがレオンハルト皇太子様……か?」
「その口のきき方は無いだろ……この人に直接聞かない限り俺達がどうしなくてはいけないかが分るんだからΩは少し黙ってろ」
「まぁ、それはともかくとして……次の君達は何の用かな?」
「単刀直入に聞く。アンタの精神構造を見て確信したよ。誰かに脅されてるんじゃないか?」
 その単刀直入過ぎる発言に少し驚いたかの様な仕草を見せたレオンは暫く止まった後、不意に笑い出した。
「いきなりな事を聞く人だね。王家がこんな事に動じていたとなっては恥になると思っていたが……既に君たちに見抜かれていたと…言う事かな?」
「そう思っていても構わない。だが今なら遅くは無い……とにかく会って欲しい奴らがいる。一緒に来てもらえるか?」
 ∞はそう言いながら近づこうとした矢先……一筋の針の様な物が飛んで来た!
 瞬発的に後ろに飛び退いた∞は辺りを見回し、その様子を見ていたΩが一言呟く。
「……アンタに懐いている用心棒がいるみたいだな…」
「そりゃあ、命を助けられた人に対する礼儀ってもんが有るでしょ!」
 スッと降りて来た人影はレオンの前に立っていた。その人影は本来この場所に居ないと思っていた……人物だった。
「私はレーナ! レオンさんの用心棒に雇われた魔術師よ! いざ…勝負っ!!」

328彗斗:2013/01/09(水) 20:48:44 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
二回書き込みをしてしまいましたが片方はスル―でお願いします

329矢沢:2013/01/10(木) 10:49:32 HOST:ntfkok217066.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
この記事シカトしてるから大丈夫

330たっくん:2013/01/11(金) 12:47:00 HOST:zaq31fa5b92.zaq.ne.jp
↑糞スレ立てんな

と言いたいとこだが・・我慢するよ
それが大人だ

本音は嫌いだからな俺

331たっくん:2013/01/11(金) 12:49:15 HOST:zaq31fa5b92.zaq.ne.jp
糞スレやめよう
皆が迷惑だよ

332矢沢:2013/01/11(金) 12:49:45 HOST:ntfkok217066.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
たっくんは何時か死亡する。

333たっくん:2013/01/11(金) 12:50:54 HOST:zaq31fa5b92.zaq.ne.jp
皆が迷惑だ
頼むから糞スレ立てないでくれ頼む

まあ今回だけ大目に見てやろう

334たっくん:2013/01/11(金) 12:51:25 HOST:zaq31fa5b92.zaq.ne.jp
たこ足頼むぞ

335矢沢:2013/01/11(金) 12:52:04 HOST:ntfkok217066.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
>>333おめでとう、君は何時か死ぬ。

336たっくん:2013/01/11(金) 12:53:58 HOST:zaq31fa5b92.zaq.ne.jp
こんな糞スレ立てられんじゃ
皆の立場がないよ
良スレ立ててきた俺らの立場がよ

もうちょっとマシな小説書けないのかよ
見ずらいよ

目つぶっとくよ

337矢沢:2013/01/11(金) 13:02:22 HOST:ntfkok217066.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
>>336
死ね

338矢沢:2013/01/11(金) 13:02:41 HOST:ntfkok217066.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
>>336
失明しろ

339矢沢:2013/01/11(金) 13:03:02 HOST:ntfkok217066.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
>>336
おまえにアベンジする

340彗斗:2013/01/14(月) 10:50:35 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第二十三乃策 仲裁役
 いきなり王宮にやって来た三人組、しかしその一方でレオンも手は打っていた様だ。レオンの打っていた策はレーナを自身の用心棒として雇っていた事だ。
 そこについては∞も誤算だったと言うべきだろう。
「…取りあえず説得してみる。二人は下がっていてくれ」
「「了解した」」
 ∞はΩとΣを入口付近にまで後退させて、レーナと一対一になるように仕向けた。怪しげにレーナの手の内で光っている銀の針を見て∞はある事を懸念した。
(毒などが塗られていなければ闘いやすいが……相手は機敏な上、身のこなしが軽く、攻撃する速度が速すぎて見えない……一体どうすれば……?)
 問題はレーナの持っている銀色の針に毒が塗られているか否か、と言う事なのだろう。もしも塗られていれば一発掠っても命取りになる上、神経毒も混入されていればハッキリ言って命は無い。
 だが逆に塗られていないのなら、数枚∞の方が手数は劣るものの力の差で圧倒は出来る。そう踏んでいたのだが……予想外の出来事が起きた。
――ドゴォォン!!
 突如として背後から聞こえた轟音に、顔を聞こえた方に向けてしまったのだ。だがそこには計算外どころの話でない事態に陥っていたのだ。
 待機させていた二人が何者かの襲撃を受けたのだ。
(! 何だと!? ……一体何事…!?)
 前方からの気配を感じ、∞が前を向いた時には……指の間に針を挟み、クローを使う様な要領で襲いかかってこようとしていたレーナの姿があった……
(……速い!? 避け切れるものではないぞ?!)
 と諦めかけていたその刹那! ――――全ての轟音が止まり辺りが一瞬で静かになった……
 勿論の事だが、Ω、Σ、その二人と争っていた二人も止まり、目線を部屋の中央に向けていた。ΩもΣもそうだった。
 寸前で戦いの手を止めたレーナも∞の背後をジッと見つめていた……
(一体……何があったと言うんだ……?)
 ∞も皆が向いている方向を見ると……一人で白煙の中、灰色の髪をした青年が灰色の巨剣を背中に背負って立っていた……そこにレオンがその青年に声を掛けた。
「……まさか、君がナルキと呼ばれている人……だね?」
 青年はレオンの言葉を聞き、顔を下に向けたままゆっくりと立ち上がった……そして顔を上げて大きくその場にいた者全員に宛てたメッセージを口にした。
「……まぁその通りだな。あの夜、クロスから聞いたんだろ? それなら一通り事情は分ってる筈だ。こいつ等と共に一緒に来て貰おうか」
 そう言った後、ナルキは∞達三人に向って同じ様な事を口にした。
「勿論、お前達三人にも来てもらうぜ。ロイダー達について洗い浚い知ってる事を全部吐いて貰わないといけないからな」

341彗斗:2013/01/14(月) 11:33:40 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第二十四乃策 恐怖の数遊び 〜countdown(カウントダウン)〜
 何処の誰が考えたのかも分らない数字を数える事は安易な事、だが時としてその数えている数字がゼロになった時、世にも恐ろしい事が起こる事もある。
――現に今がその状態なのだから。
「……今、発射までの時間はどのくらいだ?」
 イフリートは何となくそんな回想を頭の中に思い描いていたが、思い直したかのように赤黒い暗雲の立ち込める大空をみて近くにいた黒く鋭い爪のついた翼を持つ少年に背中越しに問いかけた。……が、この少年がまともにこたえる筈もなく、いい加減な言葉が返ってきた。
「さぁ? あと5、6時間位じゃね? 時間はいくらでもあるんだ、そう事を急かす様な必要はねぇと思うぜ?」
 その少年の言葉を真に受けたのか受けなかったのかイフリートは考えこんでいた……そして暫くしてぽつりと呟いた。
「時間はいくらでもある……か。死神のお前達ならではの答えだと私は思うがな」
 そう言いながら顔をその返答した少年の方に向けると……いつの間にか二人増えていた。一人は退屈そうに空中で寝そべった状態で浮遊していて、もう一人は暇潰しのつもりなのか、手の内にあるカードを床に並べていた。
 少年たちの顔は暗がりに隠れてしまっていて見えないが、一人だけイフリートの質問の返答をした少年は壁に凭れて、イフリートの方をしっかりと見ていた。
「死神だから……か、死神は不死と言うしな。人間のアンタからしちゃ最も正解に近いんだろうが俺達から見れば、それが正解じゃない」
「? つまり……何が正解だと言うんだ?」
 イフリートは興味深そうにその少年の話に聞き入った……ふりをしていた。その事ぐらいは相手もお見通しなのだろうが、あえてそんな事は口にもせずに、ある言葉を口にした。
「俺達はアンタの言う通り死神だから、色んな奴を見て来た。でも結局の所、奴等が持ってる答えは正解とは程遠かった」
 両手を上げて肩を上げる仕草を見せながら、その少年はそんな事を呟いた。だがその直後ある事を付け足した。
「でもな、それが正解でもあり、疑問にもなってるんだ。正解の無い質問なら回答は無限大に広がる……そう思わないか?」
「フッ……お前達は本当に面白い連中だ。一緒に居て飽きないな」
「……そりゃどうも…」
 あまり嬉しくないのか少年は薄いリアクションを取ってもといた場所に戻った。そしてその様子を見ていたイフリートはまたポツリと呟いた。
「正解では無いがどれも正解か……その理屈が通ればどんな事も正義になる……か」
 そう言ったイフリートの双眸にはまた暗雲が立ち込める赤黒い大空が映っていた……。とその矢先、ある事を呟いた。
「お前の言葉を信じよう、今から再び王宮に圧力をかける。発射準備完了過程をLEVEL2に上昇させろとバーサーに伝えてくれ」
「……あいよっ…」
 その少年はその言葉を聞いた時、悟った様な表情をした。だがその表情にはイフリートを含む、その場にいた全員が気にかけていなかった……

342彗斗:2013/02/08(金) 19:08:48 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
今回はたまたま書き込む事が可能になったので一応、今後の行方を書いて置きます。

もしもこれのために更新が気になってしまった方には申し訳ありませんが・・・・・・後一ヶ月程度お待ちください!

本当に申し訳ありません!!

343彗斗:2013/02/08(金) 20:06:08 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
「ただ俺は・・・この戦いに身を投じる前に、お前に言わないといけないことがある」
 ハヤテは視線を逸らさずに紅色に染まった瞳で彼女を真剣に見つめ、彼女の前に一歩近づき、耳元でこう呟いた。
「もしも俺がこの戦いで生きていたら一生、ずっと・・・俺の隣で笑って居てくれないか・・・」
 そう言った直後、ハヤテは彼女の手を優しく握ったまま暫くの間、放さなかった。

「アンタ達は今まで私がどんな事に巻き込んでも文句一つ言いもしなかった・・・」
 ノゾミは過去の出来事を一つ一つ思い出しながらそう言った。そしてまだ言葉を続ける。
「これが私の最後のワガママだと思って真剣に聞いてほしいの!!」
 その言葉を言っている最中、自分でも気が付かない内に涙がこぼれていた・・・
ーーこれが今まで一緒に居た仲間の顔を見る最後の戦いになるかもしれない・・・そんな思いがノゾミの胸中をよぎったのだ。そんな思いを胸に抱き、みんなに聞こえる以上の声量でこう言った。
「私は此処に居るみんなで元の世界に還りたい! わたしが絶対にみんなを死なす様な事はさせない!! それを心に深く刻みつけておきなさい!!」
 発言が終わったと同時に大きな返事が返って来た!

344彗斗:2013/02/08(金) 23:36:21 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
あ・・・書き忘れがあったので追加しときます。

上記がハヤテとノゾミが関係している場面の一部です

345彗斗:2013/02/09(土) 00:14:57 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
今後、明らかになる・・・

ーーイフリートの真の目的。
「私は・・・この様な事をしろとは言っていない!」

ーーそして、新たなる敵。 
「私達はいわば・・・貴方達の闇に当たる存在・・・」

ーー命を賭けた大博打。
「成功すれば大逆転、失敗すれば・・・全滅は免れない策だ・・・」

ーー時空をも越えた絆。
「私達でも・・・」
「やれることはあるって言ったのはお前等だもんなぁ?」
「ふっ・・・わーったよ、付いて来いよ」

ーー真の闇との対決。
「私自身にしか私の空いた心の穴は埋められない!! 私の痛みは私自身にしか分からないっ!!」

 この王国が覆る程の壮大な物語・・・
ーー一時完結!!
 刻一刻と近づく最期の時・・・!
 果たして滅ぶのは・・・悪か? 王国か? それとも・・・真実と勝者はどちらか一人!! 


近日更新再開!!

346心愛:2013/02/09(土) 18:15:53 HOST:proxyag087.docomo.ne.jp
>>彗斗さん

果てのなさそうなスケールにここあはわくわくですw


そろそろ受験勉強も大詰めでしょうか?
彗斗さんがご自分の実力を思う存分発揮できることを祈っています!
ソフィアのしあわせを呼ぶ力が、彗斗さんにも届きますように。

後悔のないよう、頑張ってきてくださいね!
ここあはゆっくり気長に待ってますので!

347彗斗:2013/02/10(日) 00:41:42 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
心愛さん>>

自分でやらなきゃいけないのに本気でその力に縋りたいと思ってしまったw

ある高校に入りたいんだけど理由はほかでもない、何たってその高校には小説を書く部活があるからさっ☆

その為にも力を貸して欲しいんです、ソフィア様ー!!(おいぉい・・・)

348心愛:2013/02/11(月) 11:47:31 HOST:proxy10033.docomo.ne.jp
>>彗斗さん

それは素敵な学校ですね!
明確な目標があるっていうのは素晴らしいことだと思います!


ソフィアたちを丁寧に書いてくださっている彗斗さんにはきっと《紫水晶》の加護があるはずヽ(≧▽≦)/

でもほら、ご存じのとおりソフィアの力にも限度がありますので(笑)
やっぱり一番は彗斗さんのがんばりにかかってますよ(*´д`*)

ソフィアのパワーは最後の神頼み的なものとして受け取っちゃってくださいw
画面の向こうから送っておきますので(ぇ


というわけで、お勉強の邪魔をしてはアレなのでコメントはこれでいったん止めることに致します。
最後まで、悔いのないよう戦ってきてください!

『紫の歌』キャラ総出で応援してますよ!

349彗斗:2013/02/11(月) 15:28:48 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
心愛さん>>

それではソフィア様の御力を有り難く頂戴させていただきますw

さて受験まで後一ヶ月・・・をいつの間にやら切ってますね(汗)

そろそろ本腰入れて勉強・・・ですが、もう既に新しい小説が動き始めようとしています!

詳しい内容は受験終了後に始動する予定ですのでお楽しみに☆(因みにノゾミの話が終わった後です)

350彗斗:2013/03/12(火) 21:44:43 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
☆更新再開のお知らせ&危険な新作情報☆ 

内容は上にある通りです! 

まずは今日から更新を本格的に再開させたいと思います!!

一か月待たせてしまいましたがその分良い(?)文章を書き綴る(駄文の可能性アリ)ことが出来ると思います☆

「何たって受験中も私達の話を考えていたんでしょ?」

それがそうなんですよ〜。私は少しでも魔が差すと色んな事が浮かんできてしまって……ってノゾミは何を言わせるか! 決して受験中とはいえ休憩時間は考えたけどテスト書いてるときには考えてない!!

「あら? 意外にまともな答えじゃない。……でもちょっと裏を返せば…」

そうそう、この話には裏があってテストを書いてる時は、と言いましたが解き終わった空き時間にこっそり監督の先生に見つからないように……って今度は桜か!? これじゃあここで発表する予定のあの子達が出て来れないでしょうが!!

……まぁいいや、取りあえず出て来て。

???「……呼んだか? 彗斗?」

……はい、やって来てくれたのは、全く以って他の主人公とは一線を画す異色の主人公(自分で言うな)緋神 雷輝(あけがみ らいき)君でございます☆

雷輝「いきなり呼び付けられて訳が分らんが……取りあえず宜しく」

この様に無礼な他の連中とも一線を画するのが特徴ですw

そして……煩い奴等は一応追い払った所で今の内に……

雷輝「今の内にって……え〜僕(作中ではこの言い方は使いません)が主人公として作者 彗斗が性懲りも無く次に出す新たな話は『An side GENERATION 〜DARKNESS〜』です……えっと読み方分りますかね?」

『アン サイド ジェネレーション 〜ダークネス〜』です(一応、読み方を書いておきます)。この作品は……(汗)

雷輝「な…何だよ、言葉に詰まる程の物かよ……?」

正直な所、この話の主人公である緋神 雷輝と『An side GENERATION」は……ノゾミ達の話と同じ時期に作られたもう一人の主人公とストーリーだったんです……。

簡単に言うと要するにノゾミと雷輝、どちらがこの掲示板に書かれてもおかしくなかった……とでも言いましょうか。

雷輝「じゃあ…なんで俺の方じゃなくてノゾミの姉御の話を……」

正直ストーリーをよりリアルに表現できるか、続ける事が精神的に出来るか……等の問題を抱えている時期だったのでストーリーが比較的明るく課題もそれほど多くないノゾミの方に……と言った理由があった上に……

雷輝「上に……? まだ何か俺の作品は問題があるのかよ……」

とにかくストーリーにのめり込み過ぎた負の遺産……と言っても過言ではないと思います……。ストーリーのグロさは牙が担当する「エクストリーム・レジェンズ」のリョウ達が繰り広げるストーリーを遥かに上回ってる程です。笑いも恐らく一切ありません……

雷輝「そりゃ作者自身が書くのを控えるのも無理ねぇわな……」

何故自身が禁じた禁断の話を書く事にしたのかと言いますと……実は後々話さなくてはいけないので今、話しておきますが……これよりももっとヤバい代物が……一つ残っているんです。(桜達が出て来る「界螺旋聖・遠方見聞録」のラスト辺りでその話を詳しく……)

そこで! その作品に馴れる為にはいつものメンツ達だけでは馴れっこ無い!! ならどうすれば……? と思考した時…彼を見つけたんです☆

雷輝「…俺はうってつけの実験台だったって訳か……」

まぁ、そんなこんなで今回、私自身から見れば門外不出の新作を出しますが生ぬるい視線でも良いので見て頂ければ幸いです。

雷輝「登場キャラの数だけ黒歴史が実在している……そう考えると恐ろしい話だぜ。一応呼んでくれる気になってる人はくれぐれも気を付けてくれよな!!」

351彗斗:2013/03/12(火) 22:24:55 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
お知らせ早々一発目は……この話だっ!!
――――――――――――
第二十五乃策 死神×妖
 誰もいない暗い廊下、そこにある暗がりから聞こえて来た規則的な足音……誰かいるのには違いない。
――ふとその足音がピタリと止んだ。
「……誰だ、俺の後ろに居るのは」
 口調をきつくして言葉を放った人物は振り向きもせずに自分の後ろにある影に呼びかけた。すると……
「あら……流石と言いたいわね」
 出て来たのは黒いベールを和服の様な服の上に纏ったいかにも妖美な雰囲気を漂わせる女性だった。声で判断しているのか振り向く事は一切しないまま声を掛けた人物は彼女の名を呼んだ。
「アクア……だったな。操鬼はどうした?」
「それを貴方に答える筋合いはないわ。あの子を何処へやろうと私の勝手でしょ?」
 以外に素っ気なく後姿だけを見せたままの人物に答えた後、アクアと呼ばれる女性はある言葉を口にした。
「死神……」
 その言葉に少し反応する仕草を見せた後ろ姿の人物、その様子を面白そうに見てアクアは続けた。
「貴方は死神……妖である私にとっては本当に珍しいのよ貴方は……」
「……それがどうかしたか?」
 後ろ姿しか今だ見せない死神と呼ばれ反応した人物もアクアと同じ素っ気の無い態度で接している。
 そこで彼女は前に回り込みある事を呟いた……
「死神は確か妖と同じで肉体ダメージは受けないのよね?」
「確かにそうだ。だからそれがどうかしたのか?」
「ウフフ……別にはぐらかそうとか真意を聞きだそうとかそう言うのじゃないの……ただ…」
 アクアがその言葉を呟いた後、アクアとその人物の間に暗闇で色はよく見えないが水が落ちる音がした……そして暗闇でもはっきりと見える物があった。それは……
――アクアの腕が確実に目の前の人物の心臓部を抉り、貫通しているのだ。
「只単に死神は妖の攻撃も動じないのかと思って……」
「フッ……生憎だがお前と俺は同じ種族だ。お前の攻撃は全て無効化できる」
 アクアが引き抜いた後はぽっかりと穴が開いていた……勿論アクアの肩腕も血に染まっている……だが血は一滴も地面に落ちていない。
「……?」
「不思議か? そりゃ人間を相手にしているんじゃ人間に対する常識は俺達、死神には通じねぇよ」
 片手の指を軽くならすと……抉られて穴が開いた肉体は瞬く間に元に戻り、アクアの肩腕についていた血は一滴残らず体の中に収まってしまった……
「あらあら……それなら不死の死神と謳われてもおかしくないわね」
「……そりゃどうもっ……」
 アクアを避けて再び歩き出した死神はそのまま足音を刻みながら暗闇の中に身を沈めた……その姿を見てアクアは
(死神デッド……そう言えば名前で呼んで無かったわね)
 と密かにこう思いながら彼女も暗闇に身を沈めたのだった……

352彗斗:2013/03/13(水) 18:26:41 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
第ニ十六乃策 死神×破壊者
「バーサー! いるかー!?」
 アクアと分れた後、デッドとアクアに呼ばれた少年はイフリートの側近であるバーサーを呼んだ。
「ん? デッド、呼んだか?」
 塔の様に塔の様な形になっている部屋の上空からバーサーが落ちて来た。落ちて来たバーサーを見てデッドはこう言った。
「イフリートからの伝言だ。発射準備完了過程をLEVEL1からLEVEL2に上昇させろってさ」
 バーサーは返事もせずに身を縮めて大きく上に跳躍した……そしてその後――――機械的な声が空中要塞の内部に響き渡った……
 デッドは上空から隅の方の棚に置いてあった写真立てに目が移った。その写真を手に取り移っていた写真をジッと見る……
 背後に人の気配がしたので振り返ってみると、バーサーが立っていた。
 デッドは悪びれたり誤魔化す気も無かったので先に断っておいた。
「いや、ただこの写真が気になってな……一体これは……」
「小さい頃のイフリートとアイリス……そして俺が昔のマルグリットを背景に写ってるんだ」
「昔のマルグリット? 今とは大変な変わり様だな」
 デッドはバーサーの言っている事が信じられないと言った風に彼の近くに取り付けられていた窓から瓦礫塗れの街を見下ろした。
 悲しそうに小さい笑みを漏らしたバーサーはこう言葉を続けた。
「全て変わり果ててしまった……俺の故郷もアイリスの故郷もイフリートの故郷も……」
「お前等の故郷は……どうなっちまったんだ?」
「戦禍に巻き込まれて全員の故郷はダメになった。しかも……俺の目の前でさ……」
 グッと固い握り拳を作ったバーサーはまた言葉を続けた。
「アイリスは、目の前で故郷を焼き払われた上に目の前で親を殺されたと言っていた……そしてイフリートは……」
 デッドは聞く気にもなれなかった。その時彼の拳は一層固くなったように見えた。
「イフリートの目の前で家族や屋敷の使用人全員が、一斉掃射で皆殺しにされた所を目の当たりにしていると言っていた……。しかも屋敷は焼き尽くされた。そして、そのまま諸国を放浪としていたそうだ……」
「…………」
 とうとうデッドは、バーサーにかける言葉を失ってしまった……。そして彼はイフリートと出逢った時のエピソードをポツリポツリと話し始めた……
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 その頃、彼は傭兵に近い仕事をやっていた。だが偶然寄ったその国には軍隊こそあったが戦争はしていない国だった。
「こんな所に居ちゃ俺が飢え死にしちまうな……」
 バーサーも立ち寄った当初は、そう思っていたそうだ。仕事がない為、路上で野宿である。
 歩き疲れた体で路上の脇に座り込み、その後に横になり眠りに就いた……
「泥棒!! 泥棒よ!!」
 バーサーはその声を聞いて飛び起き、すぐさま辺りを見回した。
 その後、すぐさま大通りに出て暗闇に目を凝らす……すると一つの人影が見えた。
 バーサーは標的を確認するなり走り出し、懐にしまっていた護身用のナイフを鞘から引き抜いたと同時に――――もう一つの大きな黒い影がその標的を取り押さえたのだ。
その大きな影が此方に気が付き此方に近づいて来た。
 ……大きな影と言うのは馬で、その馬に跨っていたのは炎を模したかの様な紅色の髪をした少年だった……
「君もあの泥棒を……?」
「……まぁな、気が向いたからとっ捕まえようとしてただけだ」
 バーサーはぶっきらぼうに答えた後、そっぽを向いた。その様子を見ていた紅色の髪の少年は眩しいばかりの笑顔を浮かべてこう言った。
「そんなに優しい人なのなら僕と一緒に来ない?」
「?! お前一体何を言って……?!」
 バーサーはその時いきなり一緒に来ないかと言われた時は驚いたのだと言う。だが今になって考えればその申し入れを断れなかったとしか言い様が無かったのだと言う……
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「でも……何故そこで断らなかったんだ?」
 デッドの質問に対してバーサーは頭を書きながら恥ずかしそうに答えた。
「実はな……その時金がなくて困ってたんだ……だからてっきり俺を雇ってくれるんだって勘違いしてさ……」
「…………」
 今度は一気に場が白けてしまった……。デッドもバーサーを白い目で見ている……。
「そ…そんな事言ったってその時は金が無かったんだから仕方ないだろ?!」
「……そんな変な話でもイフリートはお前の命の恩人とでも言うべきか……?」
 その質問に対してバーサーは胸を張って答えた。
「そうさ! こんな情けない話だが、俺の命の恩人に変わりは無い……あ? デッド!?」
「そんなアホ話に付き合っていられるかってんだ……」
 ドア越しに騒いでいるバーサーを一瞥してデッドは暗い廊下を引き返し始めた……。

353心愛:2013/03/13(水) 23:09:52 HOST:proxy10041.docomo.ne.jp
>>彗斗さん

お久しぶりです!

受験、本当にお疲れ様でした。
ここあの高校は今日が入試の結果発表で、外の騒ぎを聞きながら彗斗さんはどうだったのかなぁとぼんやり思っておりました←


そして相変わらずの巧みなキャラ使い!
規模は留まるところを知りませんね!


紫の歌の本編も、とても久々に更新しましたのでお時間ありましたらご覧になってくださいませ。

354彗斗:2013/03/14(木) 14:15:39 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
心愛さん>>

ほんとうにお久しぶりです!!

まだ受験の結果は出ていません。
面接の時、出て言った部屋で厳つい先生が笑っていたのは本当に焦った……ww

早速、更新した紫の歌も拝見させてもらいます☆

355彗斗:2013/03/15(金) 18:11:01 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
第ニ十七乃策 一途な思い
 ここはある人物の部屋。その部屋の主は椅子に腰かけてジッと大空を仰ぎ見ていた……
 その人物とはアイリス=ベルハーツ、彼女はイフリートの側近である。
「…変わったのね、イフリートもバーサーも……」
 意味深にそう呟く彼女の頬には、涙が流れ落ちた後が二筋だけ残っていた。一体何に涙していたのだろうか?
「どうしたの? そんな暗い顔して……」
 突然掛けられた声にビクッと反応したアイリスは慌てて涙の後を吹き、声を掛けて来た人物の方に向き直った。
「あなたは確か……ラルと言ったかしら……?」
 アイリスの問いにラルと呼ばれた少女はニッと満面の笑みを返して
「私の事、覚えていてくれたんだ!」
 と明るい声で言った。すると続けてアイリスは不思議そうに扉を見て首を傾げながらこう言った。
「私は……部屋の鍵を掛けた筈なんだけど……貴方はどうやって入って来たの?」
 その問いを聞いてラルは胸を張って答えた。
「私は普通ではありえない現象を起こす事が出来るのよ。壁を通過する事ぐらい朝飯前よ!!」
 彼女の様に超常現象や幻覚、幻聴を作り出す事が出来る能力者を『異常能力者(サイコショッカー)』と呼ぶ。人間のサイコショッカーは異常な能力を体に宿している為に寿命が短いという欠点があるが彼女にはそのデメリットが無い。
 何故なら彼女は……
「……死神…だったわよね? あなたも……」
 死神だからだ。不死身の肉体を有する死神はあらゆる攻撃で損傷した自身の肉体を蘇生させる……寿命どころか、死ぬ事自体が許されない存在なのである。
「でも……デッド君達とは違って少し小さいみたいだけど……何歳?」
 アイリスから見た感じはデッド達が十七辺りの少年で、ラルのみが一回り小さい十五、六の少女の様に見えていた。だが返ってきた答えは予想を鮮やかに裏切るものだった……
「う〜んと……十一億五千万…」
「あ、うん。とにかく凄い事は分ったから良いわ……」
 その数字には二十三歳になろうとしている彼女も聞く事を控えたくなるような数字だった……。彼女で十億を超えているのなら一体デッド達は何歳になってしまうのだろうか……?
「ひょっとしてさ……お姉ちゃんってあの紅い髪の男の人が好きなの?」
「えっ!? いきなりどうしたの?!」
 流石にいきなりその発言をされたのでは動揺を隠しきれなかった。何故なら……
――的を射た発言だったから……

356彗斗:2013/03/16(土) 21:26:31 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
第二十八乃策 届かぬ想い
「い…一応聞くけど紅い髪の男の人って誰の事……?」
 アイリスはラルの言った事を確認した。アイリスがそう聞くとキョトンとした様にアイリスの顔を見てこう言った。
「え? イフリートに決まってるじゃん。今更誰なんて冗談は言わない方が良いんじゃないの?」
「そ…それもそうよね。ハハ…アハハ……」
 うまい具合にラルが勘違いしてくれたので、然程言及はされなかったから良かったものの……今度言及されれば言い逃れなど出来る筈も無い……何しろ目の前にいる相手は、超常現象をも引き起こすサイコショッカーである。人の心を読む事ぐらい、容易い事なのだろう……。
「……で、如何なの? イフリートって人は?」
「うっ……!」
 思ったよりも早く第ニ波が押し寄せた……。アイリスの顔はある種の恐怖で右半分が引き攣って何とも言えない顔になっている……。
 その様子を見てラルは溜息をついた後、こう言った。
「はぁ…その様子だと図星ね」
 コクリと頷くしかなくなったアイリスは素直に頷いた。そしてポツリとある一言を漏らした。
「私はあの人の笑った顔をもう一度見たくって……」
 そこまで言った後、アイリスの顔は真っ赤に紅潮していた。恥ずかしくてこれ以上は言えなくなったのだろうか。見切りを付けたラルは、クルリと踵を返して背中を向けたままこう言った。
「貴女はその気持ちを忘れない方が良いと思う。彼がもし貴女の事を忘れたとしても……」
「? それはどう言う事?」
「それは死神の私に聞いても分りっこないわ。お姉ちゃん自身が見つけ出さなくちゃ」
 意地悪そうに口角を上げてニタッと笑ったラルはその表情のまま壁の中に吸い込まれていった……
「……何よ、自分で言った癖に……」
 少し頬を膨らませて不満げに呟くアイリス。だが、彼女の口から暫くの間をおいて出て来た言葉は……
「……ありがと、ラル」
 感謝の意を表す言葉だった……。

357彗斗:2013/03/17(日) 20:51:25 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
第二十九乃策 神々の最後の切り札
「……と言う訳で今、この国は一刻を争う緊急事態となっているって訳だな」
 ギ―クはその場にいるノゾミやソフィア達全員に大まかな一連の騒ぎの真相を伝えた。その説明を聞き終わったと同時にハヤテは口を開いた。
「じゃあ、何故クロス達が定めた時空間法則の観点からみると……今の俺達は思いっきりその法則に違反してるって事だよな? その点についてはどうなんだ?」
 少しギ―クが間を置いて話そうとした所でクロスが片手でそれを制し、クロスが代わりに答えた。
「そこは俺が説明する。今回は特別だ、その法則を破る事を覚悟した上でこの行動に踏み切った。ただそれだけの話しだ」
 その発言の意味合いについては、自分自身に過失があると暗示している様に見える発言だった。その答えにハヤテは納得したのか、それ以上の言及はしなかった。
「それはそれとして……どうやってあんなでかいもの撃ち落とす気だよ? 落っこちれば間違いなくこの国は壊滅的な被害を受けるぞ!?」
「その点についてはジャッジと検討した結果を発表しようと思っていた所だ」
 そこで一息入れたクロスはジャッジの隣りに歩み寄った後、暫くの間をおいて話し始めた……
「この王国全てを……別の場所に転送する!」
「「「「「うっそぉ!?」」」」
 全員がその言葉を発した後、間髪いれずにセンが聞き直して来た。
「何かの間違いよね……!? そんなこと出来っこないわよ!? ジャッジさんも何か言ってよ!!」
「確かにセンの言う通りだ! 空を飛んでて解ったがこんなデカ過ぎるこの国を全部どこかに飛ばす何て……!」
 その抗議にも似たセンとクウの発言を片手で制したジャッジは口を開いた。
「これはイチかバチかの大勝負……少しのミスも許させるものではない事は理解している……だがこれより他に方法は無いのだ。皆分ってくれ……」
 彼には珍しく、皆に懇願する様に話していた……。その言葉にいち早く反応したのはノゾミだ。向き合っている二人とジャッジの間に入り込むようにして割り込んでからこう言った。
「仕方ないわよ。他に方法は無いみたいだし。……で、その内容は?」
 ノゾミの言葉を聞いてコクリと頷いたジャッジはクロスに目配せした。その視線に気が付いたクロスはジャッジに頷き返した後、一歩前に踏み出してから静かに片手を上げる……。
「この作戦に必要不可欠となる要素が……これだ」
 そう言い終わった途端、突如ノゾミ達の前の空間が歪みだし、何も無かった所に色の付いた歪んだモノが出て来た。だが、歪みが無くなっていくに連れて正体を現していく四つのモノ達はあまりにも危険なものだった……
「……!! お前たちは!!」
「……何であんた達が生きてるのよ!?」
「……まさか生きていたとはね…」
「しぶといと言えばいいのか運が強いと言えばいいのか……よく分らないわよ貴方達は」
 ダンも、レンも、カイも、カノンも彼らの突然の参戦に驚きを隠せない様だ。それはそうだ、嘗てノゾミ達が死に追いやった筈の張本人達がその場に立っていたのだから……
「フッ……随分と逞しくなったものだな。クロス、メテオ」
「……お前等とまさか共闘しなくてはいけなくなるとはな…夢にも思わなかった」
「ヒャッハー!! お前等と手を組むのは癪に障るがいっちょ派手に暴れるぜ!」
「あ…あははは……シュオン君ゴメンねー? 騙したりして……」
――アテナの力を借りてこの世に蘇ったクロスの兄、ロイダーとカイザー、スカルそしてアテナ本人がノゾミ達の目の前に立っていたのだ!!

358彗斗:2013/03/18(月) 09:24:58 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
第三十乃策 七人の天使と音速貴公子
「え…じゃあアテナは神様だったって訳なのかな?」
「ゴメンねシュオン。そんな嘘でもつかないと周りがパニックを起こすんじゃないかと思ったから……」
「……何があったか知らんがアテナ、お前シュオンにどんな嘘をついたんだ?」
 暫くそのやり取りを見ていたクロスがアテナに尋ねる。するとアテナは……
「別に、ただその辺を通りかかったただの妖精ですって……」
「そんな見え透いた嘘誰でもわかるぞ?! 第一、この世界に妖精は存在しないだろう!!」
「ここに妖精みたいに可愛い娘がいるってのに失礼ね!!」
 それはあくまで例えであって本物ではないのだが……と思いつつもクロスは呆れて返す言葉も無くなってしまった。そうこうしている内にソフィアが
「あの…作戦の内容をノゾミさん達に伝えなくて良いのでしょうか……?」
「おっと、忘れる所だった。全く……バカと長い間付き合っているとバカが伝染る(うつ)とはよく言ったものだな……」
 ボソリと小さく呟いたクロスはノゾミ達の前に立ち、小さく咳払いをした後、大きく言った。
「この作戦に必要な要員は……七聖徒とハヤテ!! お前達だ!」
「えっ!? 何で俺なんだ?!」
 いきなりの名指しの抜擢にハヤテはクロスに聞き返した。ハヤテがその発言をする事を予測していたかのようにクロスは淡々と答えた。
「空を飛べる要員が必要なのは火を見るよりも明らかだ。だが、あの周囲をよく見てみろ……」
 そう言うと空中に浮かんでいる主砲らしき大砲の付け根や外殻を指差しこう言った。
「あの色合いが変な雲はカムフラージュと言っても過言じゃない。実は……あの雲の中に隠れている外装という外装には全て、誘導弾頭を装填する事が可能な機関銃が装備されている事が分った」
「それはつまり……」
 ……嫌な予感しかしない。それは、傍にいる誰しもが悟っている事だった。そして……
――嫌な予感は期待を裏切らなかった……
「そうだ。桁外れの機動力、かつその高速で動く中で的確に目標を撃ち抜く力を持ち合わせた人物はハヤテ、お前以外に誰がいる?」
「うっ……」
 返す言葉に詰まってしまったハヤテは、仲間であるノゾミ達に目配せしたが……皆が皆、ハヤテと目を合わそうとしない……
(くそ〜。外部からの弁護は無しか……それなら仕方ないな……)
 これでいよいよ諦めがついたのか、ハヤテはクロスのいる方向に顔を合わせて……
「分った、その抜擢を引き受ける。だけどもし仮に撃ち落としたとして、落ちて来るあの大きな物体をどうやって……」
「そこについては問題ない筈だ。ロイダー達が力を合わせて撃ち落としたアレを分子レベルに破壊すると言ってくれた。彼らがそう言ったのなら心配ないだろう」
 彼らがその発言をした時点で、落ちてくる心配は解消する事を約束されたけど、別の心配が生じているのは間違いないな……とハヤテは内心思ったが、状況が状況だ。あまり深く探求しない事にした。とそこにノゾミが会話に入って来た。
「ところで、何でアテナがこんな所に?」
「あぁ、アテナか? アテナは所謂おまけと言った所だ。アテナにその話をしたら豪く参加したいと言って来たから勝手にしろと言ったのだが……まさか本当に来るとは予想していなかったという訳だ」
「流石…と言った所かしらね?」
「さぁな、アイツとは長い付き合いだが、とにかく人の予想を裏切る事が大好きでな……正直な所、チームワークを乱さないか心配だ」
 クロスの懸念は果たして現実となるのか、心配のまま終わるのか……。全てはアテナの気分次第と言った所だ……

359たっくん:2013/03/18(月) 11:28:49 HOST:zaq31fa59a5.zaq.ne.jp
>>1
またクソスレか
くだらんスレだな〜

俺に100円よこせ
持ってるんだろ?サイフの中に

早くよこせよ100円
分かったなカス

360たっくん:2013/03/18(月) 11:29:43 HOST:zaq31fa59a5.zaq.ne.jp
お前らは俺に金を恵んで
なんぼのもんなんじゃ
分かるか?早くサイフから100円出せよ
グズグズするなよ

361彗斗:2013/03/19(火) 11:19:33 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
第三十一乃策 戦艦撃墜計画(プラン)
「とにかく話を元に戻すぞ。私達はハヤテ達のバックアップに回る、だがくれぐれも気を付けろ。奴等は何を仕掛けて来るか分らないぞ」
 そう言った後に、ハヤテ達全員の顔を見て、彼らの心の中にある覚悟を意思を読み取った。やる気は全員あるようだ。
「あぁ、それで……何時決行するんだ?」
「早い方が得策だと考えている。私達としても早く根源を断ち切りたいのでな。つまり……早ければ明日だ」
 クロスのいざという時の決断力には毎回驚かされるな……とハヤテは内心つくづく思ったが反論はしなかった。今更この結論に反論した所で、何も変化がないのは分り切っていたからだ。
 と、そこにメテオが割って入って来た。
「ちょっと待った! 何で七聖徒とハヤテだけで俺は入ってないんだ!? そこの所について説明してくれよ!」
「あぁ……そう言えばそうだったな」
 と思いだした様な口調でクロスはメテオの前に歩み寄りコソッと耳打ちをした。
「実はある人物からの懇願でお前をその作戦要因から外して欲しいと言って来た奴がいたんだ。その意見には反対したんだが……」
「根負けした……?」
 メテオは先を読んでクロスの言葉を続けたが、クロスは顔を横に振った。
「……正しくは倒されただ…」
「! 倒すってまさか……!!」
 メテオはチラリとリアスを見たがもう時は遅かった。リアスは此方に向って術をかけていたのだ。
――そして間もなく術は発動した
「魔眼 パラライズ・アイ!」
「リッ…リアス〜!! 頼むからそれだけはイデデデデ……!!」
 メテオの懇願も聞かず無慈悲にな視線を、痺れて動けなくなったメテオに向って放っている……。そして何故か……
「なっ?! 何故私まで……?!」
「当然と言って欲しいわね。貴方が全部ばらしたんだから兄弟そろってお仕置きよッ!!」
 こっそりと耳打ちをしていたつもりが、リアス本人にばれてしまい結果としてクロスも、とばっちりを受ける形となった。
「……ひょっとしたらあの人は天音より怖いのかも……」
「…………取りあえず逆らわない事が唯一の救われる道と言う事か……」
「何か言ったかしら?」
「「いいえ、何でもありません……」」
 リアスとメテオ達のやり取りを見て柊一と昇の立場と天音の姿を重ねてみると……ある意味では本当にそっくりなのかもしれない……

362たっくん:2013/03/19(火) 12:03:28 HOST:zaq31fa59a5.zaq.ne.jp
>>361
早く小銭出せよカス
グズグズするな

まあお前の糞スレは
俺には関係ないからな

363下平:2013/03/19(火) 13:51:18 HOST:ntfkok217066.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
たっくん、死ぬよ。

364下平:2013/03/19(火) 13:52:17 HOST:ntfkok217066.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
>>1に殺されてしまう(嘘)

365矢沢:2013/03/19(火) 13:53:41 HOST:ntfkok217066.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
矢沢からの助言

366矢沢:2013/03/19(火) 13:55:47 HOST:ntfkok217066.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
>>1さん、下平は矢沢です。

367矢沢:2013/03/19(火) 13:56:03 HOST:ntfkok217066.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
自作自演です、>>1さん。

368矢沢:2013/03/19(火) 13:56:22 HOST:ntfkok217066.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
>>1さん、【自慰頑張れ】

369彗斗:2013/03/19(火) 18:38:07 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
第三十ニ乃策 機械人間(アンドロイド)と貴公子と……
「……ところでお前等はどうして俺が来ると分っていた?」
 ナルキは隣を歩くレーナの横顔を見て、思い出した様に皆に聞いた。すると皆の顔を見てレーナがクスッと小さく微笑んだ。
「きっと偶然よ。私は偶然落ちて来た場所が王宮だったし、デルトとセイラはイルゼさんをレオンさんの元に帰す為に同行していたのよ。尤もな話だけど……」
 そこで言葉を止めたレーナは、チラリと例の三人組を見て厳しい要状を作った後、こう言い添えた。
「グレイとアイツ等が来るとは思ってもみなかったわ」
 アイツ等とは一連の勘違いの発端となった∞、Ω、Σの三人である。その言葉を聞いて真っ先に口を開いたのはΩである。
「何だと! まるで俺達が邪魔者扱いみたいな言い方しやがって……!!」
「煩い。いい加減にしとかないと、幾ら頑丈なアンタの体でも瞬く間に数十個の風穴が開いちゃうよ」
 拘束されている状態で、首筋に発射寸前の風で出来ている弾丸を突き付けられては流石のΩも黙るより他無かった。そこである事を盾にΣがある事を口にした。
「……こんな手荒な真似をしている事がロイダーに知れたら……お前たちはどうなるかな? 文字通り八つ裂きになってしまうかもしれないぞ?」
「んなっ!? お前等ロイダーの奴が放った手先だったのか! と言うよりロイダー達はもう死んだ筈じゃ……!?」
 そこまで言っても信じないナルキ達を見て、やれやれ……とでも言いたそうな表情で∞は肩を竦めた。そして、説得の殺し文句を言い放つ。
「信じれないのなら論より証拠、急いで紫水晶の居る館に戻って本人に聞いてみろ。首を横には振らない筈だ」
「居るのか……本人が?」
 ナルキが∞に詰め寄った。すると悪びれる様子も無く簡単に口を開いた。
「俺達は冥界の王妃である虚空神 アテナの力を借りて蘇った。イフリートの連中も謎の技術を駆使して、絶達の偽物を作っている」
 その言葉を待ってましたとでも言う様な表情を作ってΩが口を開いた。勿論、弾丸を突き付けられたままではあるが……
「その通り! 俺達はもう一つの組織と繋がってるんだよ! アイテテテ……」
「……人造人間一家(ヒューマノイドファミリー)か……」
「フッフッ……何時から気がついていた? グレイ…いやナルキ!!」
 そのどこか不気味な笑い声が聞こえたのは、ナルキが人造人間一家の事について口走ったとほぼ同時のタイミングだった。
「――やはりお前達も絡んでたか……!!」
 苦々しげに呟いたナルキ達の前には……あの時死んだはずの本物の絶達が経っていたのだ!!

370心愛:2013/03/20(水) 10:22:57 HOST:proxy10056.docomo.ne.jp
>>彗斗さん

機械人間(アンドロイド)とか、機械人形(マシンドール)と似たような記述にびびったここあですどうもですw


プロフィール載せていきますね↓






*オスヴァルト=フェル=カークランド


エインズワーズ家をも凌ぐ圧倒的な財力を持つ大富豪、カークランド伯爵家現当主。
一方的な恨みと憎しみからソフィアを強引に連れ去ったことを今では自分なりに反省している……はず。
ジルとユーリエ、見ず知らずのアイリーンを遠まわしながらも援助するというひねくれた優しさを持つ。
孤児院や病院の経営などに日々忙しくしている、最近評判を上げてきた領主様でもある。

濃青の髪に鳶色の瞳、片眼鏡(モノクル)。
身長が低めで童顔なため、実年齢より幼く見える。
高確率で相手を見下した発言をし、毒を吐く。
シュオンに負けず劣らずクールで達観した思考の持ち主だが、からかわれたりしたり無邪気な人間を相手にすると途端に子供っぽくなる。愛の花束『お子様伯爵と未来への翼』参照。
一人称は「ぼく」、ちょっとわざとらしい感じの敬語口調。



*アイリーン


オスヴァルトが領有するローエン地方、下町出身の元気な少女。
少し天然入ってる。言っちゃえば分かりやすくアホいシェーラより分かりにくい天然と思う。
姉御肌で面倒見がよく、はきはきものを言う。このへんはイルゼに近いかも?
唯一の家族だった母親を亡くし、悩んでいたもののオスヴァルトの助言(?)の結果、偶然に彼が経営する孤児院に行くことに。

夕陽色の髪、同色の瞳。イメージとしてはキャロットオレンジに近い。
一人称は「あたし」、目上の人には敬語。18歳くらい。



*レイフォード


言わずと知れた、エインズワーズ公爵家に仕える超影薄執事。
誰かと一緒の空間にいても、声を出さなければその存在すら感知されない。
が、勘がいい人、もしくは洞察力が備わっている人には普通に気づいてもらえる。
陰ながら毎日シュオンの実験による爆発の後処理をしたりシュオンに遊ばれたり個性派ばかりの使用人をまとめたりしている苦労人。

特に特徴のない茶色の髪、瞳。燕尾服着用。
最近、メイドのティルダと良い感じ。
愛称レイさん。
存在感が零だから、という悲しすぎる由来あり。
オスヴァルトと比較すると、丁寧で優しい感じの敬語口調。一人称「私」。
特に決めてないけど、イメージ的には25歳くらいかな。



分からないことありましたら何でもお訊きください!

371彗斗:2013/03/20(水) 13:22:15 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
心愛さん>>

確かに言われてみれば似ている所があるのかも……? でもミレーユちゃんと絶や∞達は明らかにかけ離れてるし、ミレーユちゃんの様な可愛げの欠片も無いww

プロフィール見させて頂きました☆ 他の二人はともかくとして……レイさんだけ酷過ぎ……ww

372彗斗:2013/03/20(水) 16:58:33 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
第三十三乃策 絶達の仕掛けた罠
 一歩だけゆっくりと踏み出した絶は、暗黒に限りなく近い黒色に染まった双眸をナルキ達に向けた。そして∞達を指差し、予想もしなかった事を呟いたのだ。
「一つ断っておくが俺達は戦う為だけに、お前たちの目の前に姿を現した訳じゃない」
 絶が肩手を掲げたと同時に、拘束されていた月色の少女の隣りに立っていた隼の姿が消え失せた。その直後に∞達を拘束していた魔法陣が砕け散る。
「――なっ!」
 ナルキは振り向くと同時に背負っていた剣を手に握ったがそれ以上動かす事が出来ない。何故なら……
――前に立っていた筈の絶が一瞬の隙を見て彼の後ろに立ち、片手でグル・グランドを差し押さえていたのだ。
「話の続きがある、それを聞いてから俺達を倒すなりお前たちの勝手にしろ」
 そう言った後、絶はナルキの耳元でこう言った……
「俺達はお前達を助けに来た……」
「……それは一体どういう意味だ!」
「勿論こちらには「望月 麗奈」という人質が居る。無論、お前が俺達と∞達の条件が飲めなかった場合は……」
「麗奈を殺す……とでも言いたいのか?」
「その通りだ」
 そこで会話が途絶え、距離を取った絶とナルキは暫く睨みあった……と沈黙を破る様にナルキが口を開く。
「……分った、お前達の詳しい事情は屋敷でロイダーやアテナ達から聞く事にする。まずは麗奈を解放して貰おうか」
 その言葉を聞いた絶は目線で合図すると彼等は麗奈を解放したが……解放されたと同時に麗奈自身の口から信じられない発言が飛び出した!!
「いや〜皆さんお疲れ様です! 中々良かったですよ今の演技!」
「演技……? ま、まさかお前等……最初からグルだったのか!!」
 デルトのその声を聞いて真っ先にクスリと小悪魔の様な微笑を浮かべたのは隼だ。隼に続いて、みな笑い出したのだ。
「全部アンタ達を引っ掛ける為の罠よ!」
 怒りの余り拳を固く握り、ワナワナと震えだすデルト……だが絶はそんな事を気にも留めずナルキに話しかける。
「確かに今さっきのは演技だが、助けに来た事は本当だ。アテナの所に連れて行ってくれないか? 俺達は奴にちょっとした用があるのでな」
 その言葉を聞いて、ナルキはジッと絶達の顔を見回してみた。だがこの発言に嘘は無いように思えたのか一つため息をついた後に
「はぁ…ノゾミ達にどんな言い訳をすればいいのか……まぁ良いだろう。取りあえずついてこい」

373彗斗:2013/03/22(金) 01:48:31 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
第三十四乃策 炎煌騎士と領主様
 もうかれこれ数十時間もの間、馬車に揺られている気がする……
(元を辿れば俺自身に運がなかったと考えるべきか……)
 周りを見渡せば歩く兵士と騎馬兵のみ、これから戦争でも始めるのかというぐらいの規模である。そして、そ軍団の中に入る羽目になってしまったこの男達――スピッツとキルシアはお互いの顔を見合わせて深く深くため息をついた……
「俺達はなぜこの様な事に巻き込まれているのだろうか……」
 スピッツがやれやれ……と呆れた様な表情で呟いたのに対して、最早、全て手遅れだと言いたげな表情をしているキルシアは全てを悟った様な言い方をした。
「仕方が無い。彼の前で偶然、魔法を使わなくてはいけなかったのだから」
「さっきから何をごちゃごちゃとぬかしているのですか? 諦めが悪いのにも程がありますよ」
 突如、彼らの会話に入ってきたのは濃青の髪に鳶色の瞳で片眼鏡(モノクル)をかけた幼い印象が残る少年であった。正に彼こそが、返事すらしていないキルシアとスピッツを無理矢理軍隊に引き込み、今のように連れまわしている張本人である。
「……私達は返事すら出してもいないのにも関わらず、このような軍隊に半ば強引に引き込むとは一体どういう事ですか? 詳しい事情をお聞かせください」
 相手の気分を損ねないように敬語を使うスピッツも、その隣で頷いているキルシアにも共通する点があった。彼らを護衛するかのように7人の衛兵が置かれ周囲を見て警戒している。しかも、スピッツ達自身は騎士(ナイト)のような甲冑を着さされていた……
 問いかけられた少年は面倒臭そうな表情を作った後、こう吐き捨てた。
「答えるまでもありませんよ。貴方達を私は知っているからです」
「? それは一体どういう事ですか? 初対面である筈の貴方様と私達、なのに貴方様だけが何故、私達を知っているのですか? 詳しくお教え願います」
「それ以上は答えられません。ぼくは彼に会って見ないと気が済みませんので」
 そこで言葉を濁した少年は、だんだん気味の悪くなっていく大空を見て少し表情を曇らせた。
「それに……ぼくはあの人達に顔向け出来るようにならなくてはいけないのです」
 そこで言葉を切った彼は踵を返しスピッツ達に向き直った。
「ぼくはこれが最後のチャンスだと思っています。でも今回はぼく一人の力では、どうしようもない事だとちゃんと解っています。そこでぼくは不本意ながらも偶然、私の前に現れた君達の力を借りることにしたのです」
「……大体の理由は分かりました。そう言う事なら私達にお任せください。オスヴァルト=フェル=カークランド卿」
「回りくどいのでフルネームで呼ぶのは止めてください。後…本当に君たちは良いのですか? 命を落とすかもしれないというのに……」
 その言葉を聞いたスピッツとキルシアは顔を合わせた後、小さく笑った。
「……どうして笑っていられるのですか? 貴方達はそこまでして死にたいのですか?」
「いいえ……なら逆に聞きます。オスヴァルト様、貴方は死を恐れた事が無いと胸を張って言えますか?」
「…………」
 流石のオスヴァルトもこの問いには答えられなかった。一度ぐらいは死を覚悟したこともあった。つまり、それは――死を恐れた事があるという事だ。
「――ですよね。人間である以上は死を恐れる筈です。私達だって怖いのは当たり前ですから」
「そ…それなら何故笑ったのですか? 怖いと言っておいて笑うのはおかしいと思いますが」
「「それは……」」
 その問いをしてくる事を、二人は予期していたかの様に返答した。
「「――護るべきモノが……あり、遠くに離れても繋がっていると信じられる仲間がいるからです」」

374彗斗:2013/03/23(土) 19:28:03 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
第三十五乃策 謎の足音と暗殺者(Ⅰ)
「やっと終わったね〜」
「あぁ、ああいうのはどうも好きになれなくてな。気が滅入ってしまうかと思った……」
「よく言うよ兄さんも」
 リョウ兄弟達が誰も居ない筈の廊下を歩き、自分達に割り当てられた部屋に帰っていた時の事だ……ふと、背後が気になりリョウが振り向いた。
「どうしたの? 何かいる?」
「……何か…な。明らかに何かが隠れてるな」
 背負った鎌に手をかけ、静かに息を殺す……だが何かがいる気配は感じない。
 気のせいか……と考え直したリョウは警戒を解き、先に進もうと踵を返したその時!!
――カタッ……
 静まり返った空間に不自然な音が響いたのだ。すぐさま恐れを抱いたリョウカがリョウの腕に掴み掛ってきた。おそらく縋りでもしたいのだろう。
「ちょ…ちょっと何!? 今さっきの音!?」
「知るか! その前に此方からけしかければ騒ぎが大きくなるだろうが!!」
 コソコソと話を交わした後、自身の腕に纏わりついているリョウカを引きはがそうとリョウカの顔に手を出した時――規則的で乾いた足音が聞こえてきた……
「……そこの角から来るけど……兄さんどうする?」
「そりゃ決まってるだろ!? 今更何を言わせる気なんだ?!」
 そういった後、悪魔よりも性質の悪そうで不気味な笑みを浮かべたリョウはこう言った。
「標的だったら抹殺だ……いいな?」
 コクリと声もあげずにうなずいた二人は兄と一緒に、一瞬にして闇に消えた……


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