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パープルストリーム・ファンタジア 幸運の紫水晶と56人の聖闘士

1彗斗:2012/07/05(木) 23:06:51 HOST:opt-183-176-190-251.client.pikara.ne.jp
さあ! やって参りました! パープルストリーム・ファンタジア 〜紫水晶(アメジスト)と56人の聖闘士(マンティスト・ファイター)〜!! この小説は皆さんご存じの月波煌夜さんの作品「紫の乙女と幸せの歌・愛の花束」と知らない人が多いと思いますが私「彗斗(ケイト)」の作品「エクストリーム・クライシス」のコラボ作品です。
登場人物は月波さんの作品を見て頂くとわかりますが「ソフィア」を始め「シュオン」に「ヒース」や「シェーラ」等のメインキャラが登場し、私の方からは見ている人はご存じとは思います「ノゾミ」や「ハヤテ」、「ナギサ」に「ダン」や「レン」と本作には登場していなくてここが初登場のメインキャラが後二名ほどいます。
少し遅くなりましたが協力してくれた月波煌夜さん!! 本当に有難う御座います!! この後、話を進めていく上で名前がわからない、口調がわからないなど尋ねる事が有ると思いますが。その時は宜しくお願いしますっ!!

375彗斗:2013/03/24(日) 08:43:30 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
第三十六乃策 謎の足音と暗殺者(Ⅱ)
「……いつまで経ってもやって来ない……?」
「まさか……向こうは僕達の動向を察しているとでも?」
「一般人ならともかく私達は暗殺を生業としてるのよ? そんな事があったら引退を考えなくちゃ」
 天井にペッタリと密着した状態で、リョウ達三人がコソコソと話している。だがその時!
「! 足音だ!!」
 小さくリョウキ達に呟いた後、それぞれの武器に手をかける。……だが、現れたのは――どこからどう見ても何の変哲もない、この屋敷にいるただの執事である。
「ちょ…ちょっとどういう事!? 彼の気配は感じてたけど……彼、暗殺者か何かなのかしら?」
「ちょっと嗾けてみる価値はありそうだ。やってみるぞ!!」
「「OK!!」」
 そう言ってリョウ達は天井に張り付いたまま、三方向に散っていった……

376彗斗:2013/03/24(日) 23:09:56 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
第三十七乃策 謎の足音と暗殺者(Ⅲ)
 誰も居ない廊下を一人で歩く人物―――何の変哲もない茶髪と、印象がはっきりと残らないような髪と同じ色の瞳。その人物が着用している燕尾服から察するに、エインズワーズ邸の執事であるようだ。だが、この三人はというと……
「暗殺者……? それともスパイ?」
「ハッキリと言うが、彼の気配の消し方は異常だな。……彼は人間じゃないのか?」
「兄さんそれはちょっと言い過ぎだって……あの人が暗殺者じゃなかったら失礼極まりないよ!」
 リョウキを除く二人は思いっ切りスパイやら暗殺者やら、挙句の果てには人間じゃないのではないか…と思っているらしい……。だがリョウ達が何を思おうと、リョウ達の下を平然と通り抜けた人物は、明らかにこの屋敷の執事であることに変わりない。
「ちょっと尾行(つ)けてみようよ! 危険かもしれないけど……」
「……一つ言う。俺達はつける以前の問題で、すでに危険な状況だぞ」
「「えっ?」」
 二人はゆっくりと周囲を見渡してみると……彼らが張り付いている周囲を除いて、黒く蠢く塊が……天井という天井に隙間なく張り付いていたのだ!!
「「「ぎゃあぁぁ!!?」」」
 たまらず三人は天井から飛び降り、一目散に逃げ出した。だがその塊は天井を這って付いて来ている……。
「な…何だアレ〜〜!?」
「間違いなく喰われる……あっ! あの人が危ない!!」
 リョウキは前方にいる気配の消し方が暗殺者と思しき、執事の格好をした人物を見た。その人物はその騒ぎに気が付き、踵を返してこちらを見た。容姿も特徴が無い為、顔にもやはり特徴がない。至って普通の顔である。
「に…逃げて! あんなのに喰われたいわけ!?」
 リョウカが逃げるように急かしているとその忠告も聞かず、執事は黒い塊の前に立ってある塊を投げた――導火線が付いた筒状のモノである。
 それを見た途端、黒い塊はこちらを襲うのを止めて、その物体に迷いなく飛びついた。
「……一体何が起こってんだ……? それとアンタ、一体何者だ?」
「私はこの屋敷の執事ですが……。それと、貴方達は確か……リョウさん、リョウキさん、リョウカさんですね?」
「そうだが……なぜ俺たちの名を……?」
 怪訝な表情を作った後、疑いの念を込めた質問を返した。すると執事はあることを聞いてきた。
「ひょっとして……貴方達も私が居た事に気が付かなかったのですか?」
「すみません……いつの事ですか? それ?」
「うわぁぁぁぁん!!」
 リョウキがその言葉を呟いた瞬間、執事は大粒の涙を撒き散らしながら何処かへと走って消えてしまった……
「……リョウキ兄ぃ? 何かあの人が傷つくようなこと言った?」
「いや……ぼくにはそんな覚えが一つもないんだよね……」
「お前等……まさかとは思うが、レイさんに対して禁句の単語を口走ったか?」
 ハッと後ろを振り向くとそこに立っていたのは蠢く黒い塊――もといシュオンのペット、鬼喰竜 イーストの集団を宥めているメテオの姿があった。
「……ひょっとして、居なかったことに気が付かなかったとかいう質問に対していつの事かって返答した事が……」
 リョウキの返答を聞いてメテオは片手を額に当てた後、呆れ果てたような口調で呟いた。
「それが禁句なんだよ……今さっきお前らが話していた奴の名前はレイフォード。とんでもなく影が薄いことで屋敷の中では特に有名なんだ。レイフォード自身もそれをかなり気にしているようでな……できれば今後はこのことは言わないようにな」
「「「はい、以後気を付けます……」」」
 三人の返事を聞いた後、メテオは三人に紙切れを渡した。
「分かればいい。お前達にだけこの注意をしてなかったしな。それと、その紙切れはお前達の部屋がどこにあるか書いてある。くれぐれも間違わないようにな?」
 それだけ言った後、メテオは屋敷の奥にイーストの集団を連れて消えていった……。

377彗斗:2013/03/25(月) 07:34:55 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
第三十八乃策 両者激突!!
 屋敷に束の間の休息の時間が流れる……だがあるテレパシーを介した一言が彼らの休息に水を差した。
「――至急、この屋敷の大広間に集合してくれ! ……変わった客達がいる」
 その言葉を聞いてノゾミ、アスカの団体が真っ先に到着した。大広間には中央で何者かと話をしていると思われるクロス達七人の神様と、その周りを取り囲むようにシェーラを含む数人のメイドや、ヒースを含む数人のフットマン執事達が集まっていた。様子からしてかなりの大事であるようだ。
「どうしたんでしょうか……クロスさん」
「いつもみたいに、ただ暇だったから呼んでみた。みたいなノリじゃないわね……いったい何事かしら?」
 ノゾミ達に続いてサツキ、リョウ達の団体も到着した。皆、口々に何事かといきなり呼び出された訳を知ろうとしていた。
「アスカ、ノゾミ。お前たちは何か知らないか?」
「ったく……俺は今さっきまで自分の部屋に戻ろうとしてたのによ……」
 不満げに呟くリョウを他所に、更にもう一人登場した。先程、イーストの集団を宥めていたメテオだ。
「何だ? いきなり呼び出されたかと思えばこの状況か?」
 そうこうしている内に、騒ぎ出したノゾミ達の気配を察してシェーラとヒースがノゾミ達の方に駆け寄ってきた。
「えっと……明らかにノゾミさん達の知合いですって感じの人たちが……」
「来てるな。って言うか俺はあいつに見覚えあるんだけどな……」
 ヒースが指差した方向には、宵闇色の髪と瞳を持ったナギサにとっては見覚えのある人物が立っていた……。彼もヒースの視線に感付いてジッとこっちを向いている。
「なんであいつらがここに……?」
「わからねえな。どうして俺達を脅すような事をした奴がこんなところに……」
 クロス達がノゾミ達の存在に気が付いたのは、その会話の後になる。こちらにツカツカと歩み寄ってくる彼の顔は深刻そうな表情をしていた。
「――ノゾミ、アスカ。お前達なら彼らを見ればすぐわかると言っている。誰かわかるか?」
 そう言って人ごみの中央を指さした時、人だかりが無くなり、問題の人物がこちらに歩み寄ってきた……
「何で?! アンタ達が何で生きてるの!?」
「正直な所、信じられないです……あいつ等が生きていたなんて……」
 クロスの隣に立った人物達は皆、全てを見透かしたような目線をノゾミやアスカ達に送っていた。先頭に立っていたのは、闇の様に黒い髪の色をした少年と、紅と蒼の双眸を持った紅蒼の髪をした少年だった。ノゾミ達は苦々しく彼等の名を呟いた。
「――人造人間一家(ヒューマノイドファミリー)……!! アンタ達だったのね!」
「チーム「SPIRAL・ZERO(スパイラル・ゼロ)……まさか貴方達も一枚かんでたとはね……」
 その声を聞いた黒髪の少年――ヒューマノイドファミリーのリーダー、絶は敵意剥き出しのノゾミ達を見て、ある人物に話しかけた。
「……ナルキ、ノゾミ達は相変わらずだな」
「えっ!? 兄さんが連れてきたの!?」
 状況が状況だった為、そこで兄の名が出るとは思っていなかったノゾミ。一方で真っ向から対立しているアスカ達と∞は、目線だけで火花をバチバチと発する事が出来そうなほど睨み合っていた……
「よく聞かせてもらおうじゃない。なんでアンタ達が何故ここにいるのかをね!」
「色々と複雑な説明がいるからそこについては却下だ。それより何故ここにお前達がいる?」
 いつ大乱闘に発展してもおかしくないこの状況に……遅れて登場した連中がいた。
「せっかく自分の部屋に戻って良い気持ちで寝てたってのに……なんで急に呼び出しなんかするのよ……」
「……お前等、ちょっとは空気を読め」
 メテオの注意に今更になって登場した連中――天音と柊一と昇はキョトンとした顔になっていた……

378たっくん:2013/03/25(月) 10:38:22 HOST:zaq31fa52d6.zaq.ne.jp
    【宇宙の帝王フリーザおよび白人女性の身体について】

私が立てたスレッドをご利用下さい。
以前カードダススレッドというのを設立しましたが
それの続編です。ただ今回は白人女性が加わりました。
外国人女性の身体を欲すと同時に宇宙の帝王フリーザを愛してしまうというスレッドです。
フリーザだけではありません。超サイヤ人孫悟空も含まれています。
以上がスレッドの内容です。

ドラゴンボールはフリーザ戦のみです。
そして女性は白人のみです。外国人以外の話は一切しませんのでご了承下さい。
今度はエピソードスレです。皆さんが好きなエピソードを教えて下さい。
ちなみに一番好きなのはナメック星編(フリーザ戦)および人造人間編(セル戦)です。
以前お話した通りです。
最もフリーザ戦VS超サイヤ人孫悟空です。
それ以前は知りませんでした。(今現在は存じております)
放映当時、超サイヤ人孫悟空を見てドラゴンボールを知りました。
フリーザ時代がスタートなのでそれ以降は勿論知っています。
次に印象的なのはセルゲーム。



【ピッコロ大魔王編】1988年〜1989年

【サイヤ人編】1989年

【ナメック星編】1990年〜1991年

【人造人間編】1992年〜1993年

【魔人ブウ編】1994年〜1996年

【GT】1996年〜1997年



一番好きなのはフリーザ戦。次にセル編です。

379彗斗:2013/03/27(水) 09:59:32 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
第三十九乃策 英雄と謳われし者達
 薄暗くジメジメとした場所に大量の人々が逃げ込んでいた……。そう、ここは一時的な民衆の避難場所である。
「……酷いものだな。一瞬にしてこれほどの量の人々の生活が……失われたと?」
 部屋の片隅で他人事のような口調で呟く黒髪の少年の言葉を聞いて、レモンの様な黄色の髪の少女が怒った様な口調でその少年を叱りつけた。
「何よ他人事みたいに! 今ここにいる人達の他にも死んじゃった人達だっているのよ!?」
「だが……その人間を助けられなかったことにお前は責任を感じている……違うか?」
「そ…それは……」
 少年の冷静な的を射た発言に、勢いを殺がれた少女。すると少年は、自分の肩までしかない身長の少女の頭に手を置いて、少女に優しく言い聞かせた。
「誰もお前の責任とは思っていないし、誰もお前を咎めたりしないさ。それに……」
 そこで話すのを止めて屈みこみ、俯いて聞いていた少女の顔を覗き込み、優しく笑うと少年はこう言った。
「お前が周囲の人達に優しいのは、俺達が一番よく知ってるからさ」
「…………」
 少年がそう言った後、少女は頭に置かれた手を半ば乱暴に振り解き、その場を去った……。
「サナ……お前が気が強い癖に泣き虫なのもずっと前から皆知ってるさ」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 出口を抜けた先には綺麗な街並み……ではなく、この辺り全体が廃墟の様になってしまった光景が広がっていた。
「……タツミのバカ」
 この場に居る訳も無いあの黒髪の少年に向かって、あの少年にサナと呼ばれた少女は呟いた。
「サナ……また喧嘩でもしたの? 泣き顔になってるけど……」
 ハッと言われた直後にサナが振り返ると……出入口の上に腰かけている緋色の髪をした少女が心配そうに呟いた。
「……アオイ…何でここに……?」
「そりゃ決まってるでしょ? あなたの事だからどうせタツミに口喧嘩みたいなもので負けて泣き顔になって出て来るだろうと思ってたのよ」
 半分泣きべそをかいているサナに向かってアオイと呼ばれた緋色の髪の少女は、あっさりと答えた。
「……だって、タツミが他人事みたいに言うんだもん……」
「それがアイツらしさなのよ。仕方ないでしょ? サナだって分かってる癖に」
 出入口の上に腰かけたまま少女は長く細い足を組み、片目を瞑って、見透かした様な口調で言った。
「……そうだよね。確かにワサビの言うとおりだよね」
「ワサビ言うな〜〜!!」
 ワサビ……こと緋山 葵は大声で、サナこと黄城 紗奈を叱った……。だがサナは知らん顔である。
「ありがとう、ワサビ! おかげで吹っ切れた……気がするよ!!」
「何!? その考え込む様なその一瞬の仕草!?」
 どうやらアオイのツッコミに一切反応を示さなかったと言う事は、耳に入っていないようだ……。

380彗斗:2013/03/28(木) 21:02:30 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
第四十乃策 強行策
 事情を一通り天音達三人に説明した後、昇が真っ先に口を開いた。
「……あいつ等から人間じゃない雰囲気が出てるが……あいつ等は一体何者だ?」
 雰囲気からしても、身に着けている物からしても、ノゾミやアスカ達とは明らかに違う事が伺える……。言い換えれば、彼等から滲み出ている雰囲気は、人間独特の雰囲気ではなかった。
「あの三人は昔、俺とアスカ達七人で倒した筈だった……言わば機械人間(アンドロイド)だ。それと隣にいる七人組の連中はノゾミやナルキが倒した人造人間一家(ヒューマノイドファミリー)と聞いていたが……まさか生きているとはな……!!」
 苦々しげに呟くメテオを他所に、クロスとノゾミ、そしてアスカやナルキを含めて何か会話をしていた。恐らく突如として現れた連中をどうするべきか検討しているのだろう……と考えていたメテオはフッと部屋の隅を見やった時――鋭い爪の生えた黒い翼が見えた気がした。
(! まさか奴等も……!!)
 追い駆けようとしたが、距離的にも今自身が置かれている状況的にも、とても追い駆けれる状況ではなかった為、断念せざる負えなかった。そこで、天音達をそのままにして、リョウ達にそっと近づきボソリと呟いた。
「リョウ、ひょっとするとこの件には……」
「何だと!? 死神が!?」
 リョウは、メテオの思惑通りの反応をした。その後、リョウはリョウキとリョウカを集め、メテオの言った事の確認をしていた。
「何だって!? 奴等は改心したんじゃなかったのか……!?」
「嘘つきもいいとこよ!! 見つけたらボコボコにしてやるわ!!」
「……一ついいか? なぜ改心した奴等が敵方に回っているかよく考えてみろ」
 メテオの一言に士気が収まった三人は一生懸命考えている……。とその時、リョウキの電球がピカリと光った。
「ひょっとして……スパイ!?」
 その言葉を待っていたのか、メテオは力強く頷くと三人にある指示を出した。
「これは極秘で行ってくれ。他の連中には気づかれると後が面倒だ。奴等も恐らく誰の委託も無く勝手に行っているのだろうし、兄貴達が奴らに関する事を何も言わない所を見ると、奴等の事は知らない様子だ」
 そこまで言った後、メテオは息を吸い残りの言葉を続けた。
「先程も言ったように、これは極秘指令だ。お前達三人は誰にも気づかれないように死神デッド、ジーク、ラルの確保を頼む!」
「「「了解!!」」」
 そう言った直後、リョウ達三人の姿が一瞬にして消えた……と同時に突然コソコソ話をしていた後ろから天音に話しかけられた。
「あら? 銀髪君達はどこに行ったの?」
「え!? あ…あぁ、ちょっと用事があるって……」
 コソコソとメテオ自身も後ずさりを始める……そこに柊一の鋭い指摘が入る。
「ひょっとして……何か隠してる?」
「ギクッ!!」
 その瞬間、身の危険を感じたメテオは自らの魔法を使い、その場から姿を消した……。
「あっ!? アイツ逃げやがったぞ!?」
「何か明らかに隠してるわね……私達も何とかして青髪君たちの行方を追うわよ!!」
 ノゾミ達に気付かれない様に静かに出口から脱出、そして屋敷の兵士達の目を何とか掻い潜り……荒廃した街へと三人はメテオ達を追って出発した……。
「ああいうのが無茶っていうんだよなァ?」
「確かにそうね……。アキさん、どうしましょうか?」
 屋敷の門の陰から街へと向かって行く三人を見ながら屋敷の警備を担当していたジル、エインズワーズ邸のメイドのユーリエ、そしてリョウの知り合いであるアキがその姿を見逃すはずがなかった……。
「まぁ、天音ちゃんの助けてもらった恩返しをしたい気持ちも分からないでもないけど……限度ってものがあるわよ……。ジル君、ユーリエちゃん。付いて来てくれるかしら?」
 アキのかけたその言葉に仕方なさげに頷くジルと、勿論とでも言いたげに頷くユーリエの様子を見て頷き、彼女達も行動を開始した……。

381彗斗:2013/03/28(木) 23:49:30 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
第四十一乃策 蒼き毒の名
「……やっぱりか。サツキ達も動いてるね〜」
「そ…そんな呑気に……お前、大丈夫か?」
 ここは山の奥地、誰にも知られない場所で人知れず、二人の青年がコソコソと話をしていた。青年達の特徴と言えば、燻った碧い髪と緑味を帯びた碧い瞳を持った青年と、焦げ茶色の髪と瞳を持った青年である。発言の内容からして碧い瞳を持った青年は楽天家で焦げ茶色の瞳をした青年は心配性である事が伺える……。
 そんな時、碧(へき)色の瞳をした少年はある言葉を口にする。
「大した連中だよ。何たって僕の竜の力を応用してこの雲を創り出したんだから……」
「……技術面に関しては、俺達が劣っていると……?」
 焦げ茶の瞳を鈍く光らせた青年の言葉に、軽く頷く碧色の瞳を持った青年。コクリとうなずいた後、青年は言葉を続ける。
「僕達は傭兵種族だ。戦乱の時代に対抗する為だけにこんな力を身につけた……でも、それを逆に平気で利用してしまう所が凄いと思っただけだよ」
「本当の所は?」
 その短い問いを聞いた途端、青年は悪魔と言う表現も良い所な極悪人面でこう吐き捨てた。
「こうもあっさりと利用されたんじゃ傭兵一族の恥だよね? 本当はこの組織を完璧に潰したいぐらいだよ?」
「……シアン、お前本当にドス黒いな」
「ロイ、忘れたかい? その言葉は僕にとっては大層なほめ言葉だって!」
 この思いっ切り貶すために使われる言葉を、大層な褒め言葉だと思っている半ば壊れている彼の名はシアン=ロドロス。そしてシアンの言葉に呆れた顔をして、片手を額に当てている青年がロイ=アルカイドだ。勿論の事、二人とも同じ傭兵一族の出である。
 因みに二人は慣れ親しんでいる仲なので、フルネームで呼ぶことはまず無い。
「シアン〜!? さっきから何を物騒なこと言ってるの?!」
「本当ですよ! 何事ですか!? さっきから組織を潰すとか……」
「……ついでにこの二人にも聞こえていたようだな……クロナ、ソティ」
 このクロナ、ソティと呼ばれた二人の本名はクロナ=ベンセルとソティ=ビーギスである。流れから読める通り、この二人もシアンやロイの顔馴染みの仲間であり、従ってフルネームで呼び合う事もまず無い。
「クロナ、それにソティまで……! それじゃ役者が揃った……と言う事かな〜?」
「ん? シアン今お前なんて……?」
「ううん、何でもないよ。だけど君たちと僕がいないと出来ないことがあるんだ。それを思いついただけだよ」
 慌てて誤解を招かない様な発言をしたシアンだったが、かえって仲間たちに興味を抱かせるような発言をしてしまっていた。だが、そんなお構い無しに彼は自身の思っている事を正直に仲間たちに伝えた。
「「「なっ……何だってぇぇぇぇ!?」」」
「うん♪ そのまんまの意味だよ♪」
「おま……本当に正気か!?」
「だからさぁ……ロイ、さっきから言ってるじゃん? サツキ達をウンと困らせるにはこれしか方法がないよ。それに僕達は怪獣を駆使して奴等を足止めする役割を担っているんだよ? そこのところ分かってる?」
 言っている口調は、どこか無責任さと言うか能天気と言うか……そんなものを漂わせているが、言っている内容自体には筋が通っている様な感じがしている。その予想外の反論には流石のロイやクロナも反論が出来なかった。
「それは確かにそうだが……」
「で…でもあれを使ったら……」
「危険過ぎる賭けなんじゃ……」
 その三人の抑止を止める様に、掌を前に出したシアンは先程とは打って変わって冷徹に呟いた。
「君達が心配している点については僕も痛いほど熟知している。そこについては僕も最善を尽くす。それでいいかい?」
 いつもは能天気で何をするかわからないシアンがいつにもまして真面目に語るのを見て、その気迫に押されたのか、彼等は渋々ながらも頷いた。
「それなら覚悟はいいね? アレを開放するよ……」
 そう言った後、シアンは胸の前で飛び切り複雑な術式を組み解放した。
「解き放つ……『真・覇厳獣 ヴァン・タトナス』!!」
――その術式を開放した途端、大地が、大気が、時間が、空間が悲鳴を上げた様な風の音が聞こえた……

382彗斗:2013/03/30(土) 13:14:51 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
第四十二乃策 力に勝る物
――耳を劈く様な激震が轟く!!
「っ! ハヤテ、七聖徒はここに残れ! 行くぞ皆!!」
 そのクロスの言葉にその場にいた全員が屋敷の外から荒廃した街に飛び出していく……。その様子を傍で見たハヤテは、ふとある事に気が付いた。
「……お前たちは行かなくても良いのか?」
 ハヤテが話しかけたのは……その場から動こうとしない絶や∞達であった。と、その問いかけに対して絶が冷たさの混じった発言をした。
「あいつ等の事だ。俺達が居なくてもやってくれるさ」
「ちょっ……それはどういう事よ!! 無責任過ぎない!?」
 そこまで言っていたセンを片手で制し、ハヤテは説得をしてみた。
「いいからセンは黙っていてくれ。……お前達は知らないのか? 人伝に聞いた話だが……民衆の中に、紅蒼の髪をした少年や黒い髪の少年に命を助けられた……と口にしている人達がいるんだ」
 その話を聞いた時、七聖徒は信じられないとでも言うような表情になった。だがハヤテは構わず話を続ける。
「これが指し示す意味は自分達で理解している筈だ! 俺が知る限りは絶、お前達は変わったんだと……」
 そう言った時、絶達はハヤテから目を逸らした……。それでもなお、ハヤテは話をつづけた。
「俺が聞いた話が事実なのなら、頼みがある――ノゾミを、仲間を……助けてやってくれないか」
「……俺達が誰か分かっていて、あえてそんな事を言うか?」
 ハヤテの思いがけない言葉に、絶はハヤテに聞き返した。ハヤテは、真っ直ぐ絶の目を見ている。そして静かにこう答えた。
「今この状況で、敵味方は関係無い! 大切なのは、昔の事を忘れて今の相手を信じれるかどうかなんだ!! 助けてくれ絶、∞! 少なくとも俺はお前達を信じる!! だから、お前達も俺達を信じてノゾミを……仲間を助けてくれ……!!」
 ハヤテは、心の底から懇願しているように見えた。七聖徒も、黙ってその言葉に聞き入っていた。その時、絶が踵を返し、ハヤテに向かってこう言った。
「……信じてみよう。お前達を」
「もしお前がコウだったとしても……同じこと言ったあろうな」
「行ってくれるのか!! 絶! ∞!」
「「……そこまで言われたら動くしかないんじゃないか?」」
 そう言った直後、十色の流星が空に飛び立った……。

383彗斗:2013/03/31(日) 13:03:23 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
第四十三乃策 覇恐の権化
「ちょ…ちょっと何よアレ!!」
「正に規格外……どころの表現には収まらないな」
 空を飛ぶ事のできるノゾミやクロス達十四人は、荒廃しきった中心地にやって来た。そこに待っていたのは―――規格外という表現も該当しない、巨躯の怪物が街の残骸を跳ね飛ばしていた……。
「正直、これだけの人数で戦って勝てるのか?」
「それはやってみなくちゃ分からないぜ! 行けっ!! クサナギ! ベルク! アヌビス! デュラフ!」
 ギークは、先陣切って駆動人形を起動。先制攻撃を仕掛けた。そのギークの様子を見てクロスは……
「出来る限りのことをしてこの場で食い止めろ!! 『歪刀 神威』!」
 自らも持てる力を出すことに決めたようだ。クロスの持つ『歪刀 神威』と呼ばれる刀は普段、クロス自身も使う事を控えている代物だ。その能力は――刀として肉体を斬る事は勿論の事、霊体や空間、果ては時間まで切り裂いてしまうと言うとんでもない代物なのだ。
「俺達も加勢しなくては……ネクロ! 合体技だ!」
「リアス! 私達も!!」
 ジャッジとネクロ、サエリアとリアスもギークとクロスの後に続く。そして……
「ノゾミ、それとアスカ、サツキと言ったな……ここは俺達に任せて元凶を絶やしに行け。化け物自身の意思で暴れているようではなさそうだ」
 ギーク達の奮闘を見て……ロイダー達四人組も動く……その後ろ姿は嘗ての邪悪さを纏った禍々しい神々の雰囲気ではなくなっていた。
「ロイダー……! ここは任せたわよ!」
「それなら……みなさん、ここはお願いします!!」
「すまない……ここは任せた! 急げ! 時間が無いぞ!」
 三人は元凶の姿を追って荒廃した街の奥へと足早に去って行った……

384彗斗:2013/03/31(日) 22:54:51 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
第四十三乃策 限界への挑戦
 正に化物……その呼び名が相応しい程の巨躯を有する怪獣。人間であるノゾミ達が使用する程度の魔法程度では……到底効き目はないだろう。そこで珍しくクロス達が重い腰を上げた……と言う事である。
 とここでノゾミ達を化物から離した張本人達は……化物を前にまちまちな反応をしていた。
「久々だよな? こんな強い奴と戦えるなんてよ!!」
「押し通る!!」
「アンタ達……私の力で生き返ってること忘れてない!?」
「アイツ等は能無しだからな……痛い目見て帰って来なければ良いが……」
 ロイダーは、アテナの言う事を聞いている様だ。だが……カイザーとスカルは、強い相手を見ると興奮する性なのか、見境無く挑みかかっている……。となると結末は一つしかなく……。
「チッ! 何て奴だ! 俺の駆動人形の攻撃が一切通ってねぇ!!」
「! スカル、前だ! よく見ろ!」
「「あ? ウゲェェェェ!!?」」
 何の前触れも無く、いきなりカイザーとスカルの元に合流したギーク。
 だが、同じ場所に三人も集まっていたら、当然の事だが攻撃も集中する訳で……。結果として、巨大な足での踏みつけ攻撃に気が付いたカイザーが、二人に注意した。が、哀れな事に反応に遅れた二人は……当然の如く巨大な足の下敷きにされてしまった―――プチッと言う哀れな音と共に……。
「馬鹿じゃないのアイツ等……」
 呆れた口調で、間抜けな事をした二人を貶すような発言をするアテナ。だがロイダーは全てを見透かしたような口調で、アテナに言った。
「確かにあいつ等は頭が足りない馬鹿だ。……だが、アイツ等には共通して言える事もある。それは……」
「こっ……この程度で……」
「くたばるような俺達じゃねーぞ……!!」
 ロイダーが続きの言葉を言おうとした途端、彼らを踏み潰した足がグラグラと不自然に激しく動き始めたのだ! その様子を驚きで目を見張るアテナを脇に、ロイダーは静かに呟いた。
「――アイツ等、ギークとスカルは……不死身だ」
「「うりゃぁぁ〜〜!!」」
 その瞬間、化物の視界が上下反転する事態になったのは、誰も予想しえなかったに違いない……。

385彗斗:2013/06/23(日) 16:38:55 HOST:opt-115-30-217-109.client.pikara.ne.jp
第四十四乃策 FLIGHT ON!! 〜音速飛翔!〜

「……大丈夫なのか? ノゾミ達は……。」

「大丈夫……と考えるしかないですよ。なんたって珍しくクロスやギーク、七大神とロイダー達が居るんですよ?」

 いつまで経っても心配を拭い切れていないハヤテを励ますように、センが話しかけた。他の七聖徒メンバーは既に準備は出来ていた。だが、ノゾミにもしもの事があったら……そう考えると飛び立つ準備が進まなくなるのだ。

(確かに絶たちや∞達がノゾミ達の援軍に向かったが……何か嫌な予感がする……!)

 そう考えたハヤテの脳内にある豆電球が、いきなりピカリと光る。それと同時にハヤテはどこかへと駈け出した。それを見てセンが声をかける。

「ちょ…ハヤテさん!? 何処に行くんですか!?」

「すまないちょっとシュオン達に用があるんだ。準備が出来ているのなら先に行ってくれ。」

 そう言って小さく笑って見せたハヤテは扉を開け、その先に消えて行った……。その後、センはハァ……と短くため息を吐いた後、こう言った。

「こんな状況でシュオンさん達に聞かなくちゃいけない事なんてあるんですかね……? まぁ、いいか。皆さっさと支度が出来たらそこら辺を旋回してウオーミングアップをしていくよ!!」

 この時、センは気が付くべきだった。なぜこのような時にシュオン達に聞かなくてはいけない事があるのか。そう、この言葉は嘘なのだ。それならハヤテは何処へ行ったのか……? そんな事は聞くまでもないだろう。

――彼はノゾミの元へと向かったのだ……。


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