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鈴扇霊
1
:
ピーチ
:2012/06/03(日) 23:01:14 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
こんにちは ピーチです。
何かもう説明面倒くさいんでナシで。
荒らしは止めてください程度でーす
2
:
Mako♪
:2012/06/03(日) 23:17:00 HOST:hprm-57422.enjoy.ne.jp
ピーチ>>
きたよん♪こっちの話も、乗せるんだね♪楽しみにしとくわぁ(^.^)
応援してまーす!
3
:
ピーチ
:2012/06/03(日) 23:36:50 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
〜登場人物〜
・神代 天音(かみしろ あまね)・・・十四歳。彷徨える魂を鎮めることや、霊の言葉を聞き、時にはその頼みなども聞くようなことを専門とする家系の人間。その魂の行くべき所へ向かうために、「道を創る」手伝いなどもしている。極稀に妖退治なども行っていたが、今ではそれが本職と言っても過言ではない。神代家が初代から属している裏組織「裏界の」中で二番手の力を持つ。神代家伝来の能力を受け継ぐと同時に、それ以外の異能力も生まれつきの持ち物。
・奥平 海斗(おくだいら かいと)・・・二十代前半。「裏界」を仕切るほどの力量の持ち主。何が元凶か、生まれつき奇妙な能力を持っている。元々少数で人材不足のため、自らが動くことも少なくない。
・飛鳥井 小夜(あすかい さよ)・・・十四歳。天音とは違う裏組織、「闇夜」に属している。霊感が桁違いに並外れているが、だからといって何か対策を練っているわけでもない。唯一の特技と言えば、傷の治療くらい。
・飛湘 あおり(ひしょう あおり)・・・十四歳。小夜同様、闇夜の一員。霊感はそれなりにあり、それなりに役立っているが、人の居場所を特定する「場所視」を得意とする。天音とも仲がいい。
・三池 隆弥(みいけ りゅうや)・・・十五歳。天音や小夜達とは敵対関係になっている「境界」を仕切っている。何でも自分の思い通りにならないと気がすまない性格で、邪魔者とみなしている天音の始末を何度も試みるが、いつもあと一歩の所で逃げられる。天音の両親を手にかけた張本人。「呪いの唄」を駆使することに非常に長けている。
・三池 猟弥(みいけ りょうや)・・・十三歳。隆弥の弟。隆弥同様、天音を邪魔者とみなす。自分の視界に必要ないものがあれば、即座にそれを排除する。妖獣などを招来する術(すべ)を持ち合わせ、そのことになったら、「境界」一の実力を発揮する。
・天神 柊一(あまかみ しゅういち)・・・十五歳。裏界の一員で天音の相棒。「神代」一族の親戚で、天音同様、「霊を鎮める」ことや妖退治を専門とする。その他にも、妖獣を招来することや人の考えを読み取る、他人の力を自分に取り入れるなどの特技を持つ。かつては陰陽師の一族でもあり、その方面の能力に関しても非常に長けている。妖獣の招来は、猟弥とほぼ同レベル。天音とは違う学校に通っている。「闇夜」のメンバーとも仲がいい。
・飛鳥井 昇(あすかい しょう)・・・十五歳。「裏界」の一員。小夜の親戚だが血筋的には違うため、闇夜に属しているわけではない。しかし柊一同様、闇夜のメンバーと仲がいい。「聖なるもの」を呼び起こす術を持つが、莫大な能力と時間を有するので、それを駆使することは少ない。
・氷見野 千草(ひみの ちぐさ)・・・二十代前半。闇夜を仕切るほどの力量を持ち、なおかつ穏やかで物腰も柔らかい。海斗と仲が良く、違う組織でありながらもよく話をしている。その実力は、海斗に勝らずとも劣らず。
・・・多分、途中で追加ありでーす
4
:
ピーチ
:2012/06/03(日) 23:39:11 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
まこ>>
あーっ!早速来てくれたー!!
うんっ!頑張って更新するから!!
5
:
ピーチ
:2012/06/03(日) 23:43:44 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
『プロローグ』
―――古来より伝わりし「護りの森」と
その護りの森が通じている「異界の戸」
その二つが同時に開かれた時―――。
今、再度として封印を行わん時・・・。
「聖なる空間」が「汚れしもの」の棲家になる前に―――。
6
:
ピーチ
:2012/06/04(月) 00:21:00 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
『第一話・裏組織』
「・・・迷えし魂よ・・・今還れ、己の行く道へ」
七月半ば。小中学生・・・他には、高校生までがそろそろ夏休みに入るといった時期だ。昼間も、かなり暑い―――が、そんな暑さも忘れ去るような涼やかな鈴の音が、どこからともなく聞こえてくる。
りん・・・と儚げな、優しい鈴の音色が、あまり人気(ひとけ)の無い学校の一部に響き渡る。その音が完全に響き終わったのを認めて、その少し後に、いささか不機嫌さを含んだ少し高めの声が響いた。
「・・・で?何でこんな所にいるの?」
神代 天音。その外見こそ普通の中学生だが、実際はただの中学生ではない。強いて言うなら―――能力者。
その中でも、彼女はある一種の裏組織・裏界(りかい)に所属している。・・・と言うより、裏界の中で二番手を誇る実力者とも言えるだろう。尤も、数少ない組織の中での「二番手」だが。
「何でって言われても・・・多分、同じことを感じたから」
その天音の声を聞いて、少し後退しながら答えるもう一つの声の主は、飛鳥井 小夜。彼女もまた、強いて言っての能力者。しかし、天音とは違う組織・闇夜(やみよ)に所属しており、天音とはいささか非友好的な関係。本来なら、闇夜に所属している人間がもう一人この学校内にいるが、今は別の用件で学校を休んでいる。
「・・・来た所で、何もできないくせに・・・」
と、忌々しげな視線を向ける。その視線に対し、小夜がしっかり反論する。
「な、何もできないわけじゃ・・・」
「・・・だったらあなたに何ができるの?私はまだ、今みたいな霊を送り届けることができる。その能力を受け継いでるから。じゃあ、あなたは?咄嗟に使える特技と言ったら霊感くらいでしょ?」
天音の尤もな意見に、小夜はぐっと押し黙る。そう。天音は紅色の鈴と同じ色の紐を用い、「鎮めの唄」を唄ってその迷える魂の「行くべき所」へと向かう道を創る仕事を担っていたのだ。そして、これからも担っていく。それが、天音の中での“誓い”の一つでもある。
これは、神代家に代々伝わる特殊な能力(ちから)であり、天音はその血を色濃く受け継いでいる。したがって、その実力は神代家の中でもずば抜けている。それと同時に、妖や邪を放つもの、土に還ったことを認めぬ霊などを封じるための道具―――紅い扇を用いた「封邪」を駆使し、その扇に半永久的に封ずることをも専門とする家系だ。
「とにかく、私はあんたに助けを求める気はないから」
それだけ言って帰ろうとする天音を見て、小夜が慌てた口調で言った。
「ちょ・・・この学校に、「裏界」の人間が一人しかいなくても!?」
小夜の言葉に、天音は一瞬立ち止まった。そして、振り返らずに、無表情な声音で言った。
「別に。私には父さんや母さんがついてるから」
そう。自分には、あの男に殺された両親がついてくれている。
それだけの会話で、天音が一方的に踵を返した。
「あ・・・っ」
そう言った声は天音には届かず、しかし別の人間に届いた。
「あーあ、完全に相手にされてねぇな」
これじゃあ俺もやばいじゃん、と少々困ったような声が聞こえる。
その声を聞いた小夜は、咄嗟に振り返り、後退った。
「・・・別に、学校でまで何かする気ねぇから」
そう言って周りをぐるりと見渡した人間は、三池 猟弥。天音や小夜とは敵対関係にあり、その二つの組織とも違う、また別の組織・境界に属している。境界は、「闇組織」とも呼ばれている。裏界や闇夜とは、また別の意味での「闇」で活動しているような組織だから、そう呼ばれるのだ。
「大体、今回は神代に用があっただけだしな」
「え?」
「いや、別に」
そう言って、猟弥はそのまま踵を返した。
7
:
ピーチ
:2012/06/04(月) 00:45:26 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
『第二話・「裏界」と「闇夜」』
「―――はぁ」
天音は、小さくため息を吐いて、自らの運命を恨み、呪った。
「・・・なんだって闇夜と境界の連中しかいないのよ・・・」
そう。天音が通っている学校に、裏界の人間はいない。強いて言うなら、天音一人だ。それに引き換え、「闇夜」の人間はこの学校に集結している。境界の人間だって、少なからずいるのだ。
そう言った直後、不意に背後から声が聞こえた。
「なーに言ってんの?」
・・・その声の主は。
「・・・柊、昇・・・」
天神 柊一。「裏界」の一員であり、天音の良き相棒。ついでに言えば、神代一族の親戚でもある。彼女は、柊一のことを非常に信頼している。そして、もう一人は飛鳥井 昇。彼も、「裏界」の一員だが、神代一族の親戚ではない。どちらかと言えば、闇夜に属している小夜の親戚だが、それでも柊一同様に、一番信頼している人間だ。それ故に、彼ら以外には絶対に見せない一面なども、たまに見受けることができる。
「・・・あんた達、学校どうしたのよ?」
「・・・あのさぁ、年上の人間に向かって「あんた」はないんじゃないかな?」
「いいでしょ?別に私には先輩だの後輩だのは関係ないんだから」
それより、と天音が話題を変える。
「見つかった?」
「いや・・・まだ見つかってない。そっちは?」
「何人かの迷ってる人は見つけたけど、本命はまだ」
「んー・・・じゃあ」
柊一の黒曜石のような瞳に、きらりと何かの光が宿る。
「本格的に炙り出すか?最終的に、「入り口」を燃やしてもいいしさ」
その言葉を聞いた時の天音の反応は・・・。
「―――バカ」
「・・・」
天音の返答を聞いて、昇が苦笑気味に笑っている。柊一も、本気だった様子はなく、
「冗談」
と苦笑しながら呟いた。
「・・・でも、やっぱ本格的に探し出さないといけないよな・・・」
「うん・・・それはそうなんだけど・・・」
天音の歯切れの悪い言い方を無視して、昇がこう言った。
「―――あのさ、闇夜の力借りない?」
「・・・・・・え?」
昇の言葉に、天音の思考が停止する。
「あー・・・あのさ、そろそろヤバイだろ?もう、嫌いとか言ってる場合じゃ―――」
「絶対に、いや」
そう言って、天音は耳を塞いだ。闇夜の力を借りるなど。冗談じゃない。
8
:
ピーチ
:2012/06/04(月) 22:28:40 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
『第二話・「裏界」と「闇夜」』
「・・・天音さ・・・何でそんなに闇夜の人間のこと毛嫌いしてるんだっけ?」
「・・・当たり前でしょ・・・父さん達を殺されたのに・・・」
「え?でも、それって―――」
「確かに!!それは境界の連中の仕業だったわよ!でも・・・」
事実、天音の両親は既に他界している。天音の言う「境界」の人間に殺されて。
天音は、その時の他の事実もまた知っていた。自らの両親を手にかけた人間は、境界の人間だけではなかったこと。その時、境界と手を結んだのが闇夜・・・。正確には小夜の両親だけだが。そして、自分の両親を殺めたのもまた、他ならぬ「闇夜」に属している人間―――飛鳥井 小夜の両親だと言うこと。
「もう、嫌なの・・・他の組織の人間と関わって誰かを失うのは・・・」
いつもなら絶対に弱音を吐かない天音が、肩を小刻みに震わせているのが目に入った。
「・・・それ、境界の人間だけじゃないってことか?」
「・・・さぁね」
もちろん、今の「闇夜」がまともだと言うことは天音自身が良く理解している。しかし。
「―――闇夜にも裏界にも、まともじゃなかった時期があったってことね・・・」
天音の両親を手にかけたのは闇夜の人間、小夜の両親だった。しかし、その裏で大まかな手引きをしていたのは・・・境界、だった。その小夜の両親も、境界の人間の手によって暗殺されたらしいが。
「まぁ・・・どんな形であれ、やったことに対する報いは受けなきゃいけない・・・それを、あいつらが教えてくれたのよ」
天音の言い分に、柊一が静かに尋ねた。
「まだ・・・境界のやつらのこと許してないのか?」
「え・・・?」
「天音の両親。そのことじゃないの?」
「あいつらだけじゃない!!」
「・・・え・・・?」
突然声を荒げた天音に、思わず柊一と昇の声が重なる。
「あいつらだけじゃない・・・父さん達は、あんな汚れた連中に殺されるほど弱くない!!」
「それって・・・境界の他に、龍達を陥れた奴が存在する・・・?」
昇の言葉に、柊一がはっとしたように呟いた。
「―――・・・闇夜・・・!?」
「・・・えぇ、飛鳥井・・・さんの両親にね・・・」
「・・・俺も、飛鳥井なんだけど・・・」
昇が、苦笑しながら呟いた。
「飛鳥井、小夜の両親」
「・・・そっか。そりゃ、毛嫌いするのも分からなくはないよなぁ・・・」
「そこ、納得する!?」
柊一があっさりと納得したのを見て、昇が大声で怒鳴った。
「そりゃまぁ・・・簡単に納得はできないだろうけど・・・」
と柊一は苦笑しながら答え、その後天音を見て言った。
「でも、今の闇夜はまともだと言えると思うよ?何も、そこまで毛嫌いしなくても―――」
「―――随分と、あの連中を庇うのね・・・」
「・・・天音?」
「そんなに信頼してるなら、あんた達が闇夜に移ればいい」
天音は、小さくそう言って、そのまま身を翻した。
「あ・・・おいっ!天音!?」
しかし、天音はその声に答えず、そのまま校舎内へと消えていった。
「・・・で、どーする?追い出されたみてーだけど?」
「・・・うーん・・・」
昇が尋ねる中、柊一は苦笑しながら腕組みをした。
9
:
ピーチ
:2012/06/07(木) 00:26:26 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
『第三話・距離』
「―――何で、だろう・・・」
どうして、天音にあれほど毛嫌いされるのだろう。
いくら考えても・・・答えは、ない。
「あー、いた!天音ー!!」
「え?」
天音は、突然聞こえた声に耳を向けた。あの声は、恐らく宮園 亜矢と、塗米 このみだろう。
「え、じゃないよ!今日、絶対出てって言ったじゃん!会議!」
「・・・あ・・・ゴメン!忘れてた!」
「・・・ったく・・・」
「でもさ、天音が言うことって何でか許せるんだよねぇ・・・」
「なーんか、天音って得してるっぽいよねー」
「そんなことないよ?私だって、両親いないし」
「・・・あ、そっか・・・」
「ゴメン・・・」
「いいよ、気にしなくても」
苦笑しながら、天音が小さくそう言った。
そんな声が、小夜の耳の奥で聞こえた気がした。
「おーいっ!!さーよー!!」
気付いたら、自分の耳元で大声をあげている一人の人が視界に映った。湖野上 由宇だ。
「え?あ、はいっ!!」
「全く・・・どうしたの?」
「あ、いや―――何か、天音とはやっぱり無理かなぁ・・・って思って」
「あー・・・確かに、何か天音に距離置かれてるよね、あんた」
「・・・うん・・・」
由宇の言葉で、再び小夜の瞳に翳りが帯びた。
「・・・見える(まみえる)御魂(みたま)よ、我が力の根元となれ。その違える(たがえる)ことのない御力(みぢから)を抑え込み、我の力と同化させよ」
小さく、囁くような声。しかし、それでいて澄み切っており、良く響き渡る。
「迷える魂よ、今還れ。己の行く道へと」
そう。その声の主は神代 天音。その声を遮るように響いた、もう一つの声があった。
「・・・相変わらず、結構な術者でいらっしゃいますねぇ」
嫌味とも取れるその声に、天音は振り向かずに答える。
「―――近寄らないで。汚れた者と話すことなんか、ないわよ」
「・・・随分なこと言ってくれるじゃねぇの?」
「良く言うわね・・・神代 龍と神代 神楽を殺めた人間は、どこの組織に属していたのかしら?」
「あーれーはー・・・こっちの父親達が勝手にやったこと。俺達には関係なし。火の粉飛ばすのも、止めてほしいね。ついでに言わせてもらえば、実際に殺ったのは・・・」
「私からしたら変わらない。そうよ、あの時から・・・!」
もう一つの声の主、三池 猟弥は肩を竦めながら、そのまま天音にこう言った。
「ま、いいや。俺はあんたに伝言があるだけだし」
「・・・伝言?」
「兄貴からのな」
「・・・っ・・・」
「今度、正式な話し合いをしよう。そう言ってたぜ?―――闇夜の人間もな」
「―――・・・お断り」
「・・・あくまでも来ないってわけか・・・まぁいーや」
そう言った後、猟弥は天音にしか聞こえないような小さな声で呟いた。
――――――来ないなら、こっちから行くからな―――。
そう、呟いた。
10
:
ピーチ
:2012/06/08(金) 22:53:16 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
『第四話・中心』
「―――え?」
「聞こえなかったか?来ないならこっちから行くって言ってんだよ」
「・・・いつ、から・・・?」
「まだ。決まってはねーけど・・・」
「・・・それって、私だけ?」
「いや、それもまだ未定」
「・・・あっそ」
猟弥の言葉に軽く返し、そのままその場を去った。
「・・・天音って・・・」
「小夜ー!」
小夜が、ぶつぶつと何かをぼやきながら歩いていると、頭上から小さな声が聞こえた。
「―――・・・その声・・・」
「あぁ、昇だけど・・・」
「ちょ・・・天音が見つけたらまたうるさく言われるんじゃ・・・!?」
「・・・それがさぁ・・・」
昇がそこまで言いかけた時、昇の背後から、もう一つの影が現れ出た。
「なーんか・・・天音に追い出されたって感じ・・・かな?」
そう。昇の後ろから出てきた影は、昇と仲の良い天神 柊一のものだ。
「あ・・・天音に追い出されたぁ?」
「うん、何か闇夜の話したら・・・ねぇ・・・」
「・・・!」
「まぁ、今の闇夜がまともだってことくらい、天音も分かってるはずなんだけどなぁ」
昇が、そう呟くな柊一を見た。彼は、少し難しそうな表情を浮かべながら
「じゃあ・・・さ、天音と仲直りする?」
小夜に向けて投げかけられたその言葉に、彼女は青褪めながら講義した。
「じ、冗談じゃないわよ!そんなことしたって・・・」
―――どうせ、余計に距離を置かれるだけ。
そう言いかけたが、あえてその言葉を飲み込む。彼らは何も関係ない。自分の問題に人を巻き込むわけには、いかない。
「・・・本当にそう思ってるなら、いいけど」
柊一がそう言って、薄い笑みを浮かべた。まるで、悪戯を思いついた子供のような表情を。
それを見た昇が、いささか表情を引き攣らせながら、
「・・・今度は、何考えた?」
と、尋ねた。この顔をしたときの柊一は、どうせろくな事を考えてはいまい。
「いや・・・天音が本心では何考えてるのかな・・・っと思って」
「・・・・・・小夜、ほっとけ」
「・・・いいの?」
「あぁ、俺が何とかするから」
そう言って、笑顔のまま柊一を引き摺り、そのまま校内の敷地を出て行った。
「―――よく考えたら、勝手に入っていいものなのかな・・・?」
今更のように呟いて、小夜がいささか本気の表情で腕組みをした。
11
:
ピーチ
:2012/06/10(日) 16:19:54 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
『第五話・上司』
「あっまねー!!」
そう叫んで、あきなり天音に飛び掛ってきたのは、金築 梓(きんちく あずさ)だ。
「・・・どーしました?」
「いや、ただ見つけたから」
にこにこしながら、本音をはっきりと答える。天音ははぁ・・・と小さく息を吐き、そのまま梓に引きずられるようにしてその場を後にした。
「あ、そーだ天音」
「ん?」
「今度さ、天音の家に泊まっていい?」
梓の言葉に、天音の行動、思考が一旦停止をする。
「・・・えーと、今何と?」
「だから、天音の家泊まっていい?って」
天音は、梓の顔を見て小さくため息を吐きながら、前置きにこう言った。
「・・・・・・あのさ、一つ言っておくけど・・・」
「うん」
「私の家に来るのは構わないけど、神社よ?いいの?」
天音の質問に、梓は少し考えてから答えた。
「うん、いいよ」
「夜に、知り合いやちょっとした用がある人も少なくないわよ?」
「いいよー」
梓の見事とも言える即答に舌を巻き、しばらく考え込んでから言った。
「・・・分かった。いつ?」
「別に、あたしはいつでもいいよー」
「じゃあ・・・来る気があるなら、都合的には土曜辺りが一番いいかもね」
「うん、分かったー」
じゃあ明日だねー、と答え、そのまま教室に一目散に駆けて行く梓を見て、やれやれと肩を竦めた。そう。今日は週の終わり。
その直後、天音の携帯が鳴った。何の飾り気もない、ただの着信音が。
「―――もしもし?」
その声に呼応するかのように、少し低めの男の声が聞こえてきた。
『今、大丈夫か?』
「・・・大丈夫なわけないでしょう?今、何時だと思ってるんですか?奥平さん?」
『ははっ、学生らしく、学校行ってる・・・』
「当たり前です。一応、これでも柊達よりはましなつもりですから」
『・・・まぁいい。本命、見つかったか?』
奥平、と呼ばれた電話の主が、受話器の向こう側で未だに笑っている光景が、手に取るように想像できることに、天音が思わず苦笑を洩らした。が、「本命」の一言を聞いて、すぐに天音の表情が戻る。
「・・・いえ、まだ見つかってません」
『・・・まぁ、無理もないだろうな。天音、来週の月曜辺りから出かけてくれるか?』
「は?」
上司の突然の言葉に、天音の思考が一瞬停止する。しかし、奥平は天音の上司でもある。上司の言葉には逆らわない方が良いと言うことを、飛鳥井 昇と言う人間がしっかりと教えてくれた。
「・・・分かりました。月曜からですね?」
『あぁ、なるべく早くな』
明日から、と言わないことを考えると、日曜までに準備を済ませて行けと言うことだろう。
「で、場所はどこですか?」
『あー・・・っと、六原神社って言う所だけど』
「って・・・それ、鹿児島を出ろってことですか!?」
『あぁ。だから、なるべく早く』
「―――あぁもう!分かりました、行きますよ!」
そう言った直後、時計を確認した天音はあっと呟き、奥平にこう告げた。
「すいません。そろそろ授業始まるんで、続きは後から話してください」
『・・・忙しいな、分かった』
電話を切った後、天音は小走りになりながら教室へと向かった。
12
:
ゴッドハンド洋一
:2012/06/10(日) 17:46:06 HOST:ntfkok244208.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ
13
:
ゴッドハンド洋一
:2012/06/10(日) 17:46:45 HOST:ntfkok244208.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
主人公はそう叫んだ。
ピーチの霊圧が…消えた…
14
:
ゴッドハンド洋一
:2012/06/10(日) 17:47:11 HOST:ntfkok244208.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
何…だと…
15
:
ピーチ
:2012/06/10(日) 20:09:11 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ゴッドハンド洋一さん>>
何それ?あたし何もしてないよ?ww
荒らしだったら今度からコメしないからww
訳わかんないこと書きたいなら自分でそれなりのすれ作ったらいいんじゃない?ww
16
:
ゴッドハンド洋一
:2012/06/11(月) 03:50:14 HOST:ntfkok244208.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
>>15
雑魚臭いぃいいいいいいいいいいいいいいいいいw
クソ臭いランドセル担いで、栗でもシコシコしてろ不細工wwww
17
:
ゴッドハンド洋一
:2012/06/11(月) 03:51:15 HOST:ntfkok244208.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
>>1
「すれ」×
「スレ」○
「スレッド」◎
(笑)。。。。(笑)!!
18
:
ゴッドハンド洋一
:2012/06/11(月) 03:54:31 HOST:ntfkok244208.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
「すれ」●
↑
鼻糞かな(笑)
19
:
ゴッドハンド洋一
:2012/06/11(月) 03:55:08 HOST:ntfkok244208.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
>>1
肛門で待ってる///
約束しただろ…
20
:
ゴッドハンド洋一
:2012/06/11(月) 03:55:29 HOST:ntfkok244208.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
>>1
行こ・・・
21
:
ピーチ
:2012/07/23(月) 21:36:18 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
『第六話・長期欠席』
授業が全て終わり、天音が教室を出ようとした直後。梓が大声で天音のその足を留めた。
「あっまねー!!」
「…どうなさいましたか?」
冗談半分で、天音は自分を呼んだ友人に目を向ける。その友人、梓に至っては。
「いや、部活入ってないよね?だったら一緒に帰ろー」
と、何の悪気もない笑顔を向けてくるわけだから、天音も天音で怒ることもできない。
「別にいいけど…私、今から校長室に寄っていくから遅くなるわよ?」
「うん、待ってるからいいよ」
そう言って、既に歩き出している天音に合わせて梓も歩き出す。校長室は、二年生の教室から一番遠い場所に位置する。従って、あまり足を運ぶ者はいないのだ。
「にしてもさー…物好きだよね、天音も。わざわざ校長室に寄っていくなんて。しかも、放課後に」
「ん…ちょっと言っておかないといけないことがあるから」
「へぇ…」
二人でそんな話をしていると、遠い場所でも近く感じる。その証拠に、話している内に校長室に着いた。
「校長先生、いらっしゃいますか?」
天音のその声で、彼女が覗き込んだ“校長室”と書かれた部屋から声が返ってくる。天音の通う学校の校長、西崎 雄途(にしざき ゆうと)の声だ。
「ん?あぁ、神代さんか。どうした?」
「少し話が…と言うより、断っておかないといけないことが」
「そうか。葬儀でも行くのかな?」
「いえいえ、縁起でもない」
軽く受け流す天音に対し、西崎は全く態度を変えず、“本題は?”と言うように、しかし優しく問いかけた。
「―――で、何の用かな?」
「…来週から、しばらく学校を休ませていただきたいんですが…」
率直に言った言葉に、西崎は当然の如く固まっている。無理もない。彼は、今年この学校に来たばかりだからだ。
「前の校長先生になら、前もって事情をお話していたんですが―――」
そう。天音だけでなく、奥平と一緒に「裏界」のことを説明し、何か事情があれば休む―――そう約束していたのだ。その話を切り出した途端、
「あぁ。そのことか」
と、西崎が妙に納得したような表情になった。
「え?」
「いや、村野さんから話は聞いていたよ。君だったのか」
納得、と言わんばかりの表情に、天音のカオには、少なからず安心と不安の両方が存在した。
「…あの、そのこと口外してないですよね…?」
「あぁ、大丈夫。村野さんから“極秘”って聞いているからね」
彼が先程から連呼している村野とは、前学校長の名前である。
「…じゃあ」
「でも、そろそろ夏休みだろう?それが終わってからでも良いんじゃないかい?」
「いえ、上のものになるべく早急に、と言われたもので」
「そうか…分かった、来週から休むんだね?」
「はい、お願いします」
「分かった」
「あ、じゃあ失礼します」
そう言って、天音は天音は梓が待っている図書室へと足を運んだ。中に入って、ついでに自分も本を借りる。
「あ、遅かったねー」
いつもと変わらぬ、そののんびりとした口調で、天音を見つけた梓が言う。天音が本を借り終えてから、二人で学校を後にする。
「じゃあ、明日行くからねー」
バイバーイ、とのんびりした口調が、天音の背中に響き渡る。何度もそれを繰り返すのは、どういった心境からだろうか。
22
:
ピーチ
:2012/07/24(火) 22:03:51 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
『第七話・先客』
「…分かったから、うん。もう来た方が早いよ、うん…」
『分かったー、じゃあ今から行くねー』
その会話を最後に、天音はようやく受話器から手を離した。そう。今まで梓の電話の長話に付き合わされていたのだ。
「梓が来たら、なぁ…」
友達としては仲良く出来るが、好感も持てるが。あの話の長さは少し異様だ。彼女自身、そう思うことが何度かある。
そんなことを考えながら三十分ほど経った後、神社の方から足音が聞こえてきた。参拝客が来たのか、梓が来たのか。確率的には後者が高い。この『神代神社』は、参拝客の出入りがそこまで激しくない。要するに、参拝客が少ないのだ。極端ではないが。
「こんにちはー」
にっこりと笑みを湛えながら、神社の外から梓が顔を出す。
「あ、いらっしゃい」
天音の方は、予想していたのでそこまでの驚きはない。
「ごめんねー、いきなり押しかけて」
「いいのいいの。こっちも、泊まるなんて言われたら今日くらいしかないからさ」
そう言って、天音は冷蔵庫に入っていた冷たいお茶を差し出す。
「あ、どーも」
そう言って、梓はにこにことしながらお茶を受け取る。
「…言い忘れてたけど」
天音が、そう前置きしながら口を開いた。
「―――私、普段家に食材無いから」
「…はい?」
天音の言葉に、さすがの梓も表情を失い、必死で意味を理解しようとしている。
「…だから、何か食べたいものがある時は、自分で買ってね」
「…うん」
ようやく意味が理解できたのか、今度は恐ろしく冷たい笑みを浮かべ、勢い良く天音に詰め寄った。
「つーまーりー、天音ちゃんは普段、何も食べてないってことかなー?」
「え?あ、いや…食べてるよ?ちゃんと」
たまにだが、と、天音が頭の中で付け加える。そこに。
「―――失礼、ちょっといいかな?」
「え?」
声のした方を向いて、天音があっと声を洩らす。そう。昨日の電話の相手―――奥平がそこに居た。
「お、奥平さん…」
「準備は終わった?」
柔らかい物腰でそう尋ねる奥平に、天音は薄い苦笑を浮かべながら、
「…えぇ、大体は」
とだけ答えた。それに対し、奥平は
「あ、そうだ。柊一も一緒に行ってもらうから」
と付け足す。
「はぁ!?」
思わず、天音が声を荒げた。その反応を見て、奥平も驚いたのか、しきりに目を瞬(しばた)かせている。
「あ、いや…私一人で十分です」
そう言って、何が何でも柊一の名前を話に出さないように努めているが、彼はそれを見て、
「…喧嘩したな」
と、ぼそりと呟いた。
「…えぇ、私が一方的に怒ってるだけですけど」
「へぇ?何があったのか聞きたい所だけど―――」
そこまで言って、梓を見てから肩を竦めて言う。
「柊一に、直接聞いてみるよ」
「えぇ。どうぞ御勝手に」
しかし、天音のその言い方には耳も貸さず、柊一も一緒に行かせるから、とだけ言ってそのまま帰っていった。
…正しくは、自分に火の粉が飛ばない場所に移動したのだろう。
「…ね、ねぇ天音?」
「へ?」
呼ばれて振り返ってみれば、梓の瞳がキラキラと輝いている。そうだ。梓が居ることを、忘れていた。
「今の人、誰っ?知り合い?」
「…んー、どうなんだろ。知り合い、かな?」
「へぇ…」
なぜか、梓の瞳は依然輝いたままだ。その理由は、至って簡単であった。
「―――あの人、何かミステリアスな感じでかっこいいねぇ…」
「……」
そうだった。梓は、ミステリアスな雰囲気を持つ人間を見かけると、すぐさま飛びついていくのだ。男女問わずに。
このままだと話も長引きそうだったので、天音は一度、話題を逸らした。
「そ、そう言えばさ、梓って神社とかって好きだっけ?」
答えは、NOだった。…はず。
「ううん、あんまり好きじゃない…って言うか、はっきり言って苦手」
「やっぱり」
苦笑しながら、天音がじゃあ、と言いながら梓に尋ねた。
「寝る前、どうする?」
「…それ、考えてなかった」
家なら、一人で寝るらしい。が、ここはあくまでも神社。普通の神経をした人間ならまず夜に近寄ることはないだろう。多分。
「まぁ…いざとなったら睡眠薬あげるから」
と面白そうに笑いながら言う天音に、梓が
「それだけはご勘弁」
と訴えたお陰で、睡眠薬はなし。…普通のはずだが。
「…あ」
「え?」
「あ、いや。ごめん…ちょっと待ってて」
そう言って、天音はそのまま外に出て行った。
「あ、ちょ…天音?」
23
:
ピーチ
:2012/07/24(火) 22:25:12 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
※お知らせ
明日からしばらく更新できませーん
多分読んでる小説には一気にコメすると思いまーす。
24
:
ピーチ
:2012/07/25(水) 08:42:32 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
『第八話・秘密』
「もー…何でこんなに広いのよ、この神社は…」
そうぼやきながらも、しばらく歩き続け、ようやく天音を探し出した。速攻で引き摺ってでも中に連れ戻そうとしたが、天音の声が、それを阻んだ。
「…迷えし魂よ。今還れ、己の行く道へ」
そう呟いた天音に続くかのように、彼女の手首に巻きつけられた鈴が鳴る。りん―――…と、涼しげに、軽やかに。
「…はぁ…」
ため息を吐いた天音が何気なく後ろを振り返ると、そこに梓が居た。驚いて、思わず全身がびくん、と痙攣する。その拍子に、手首に巻きついた鈴がりんと鳴る。
「あ…梓…?」
「今の…何?」
まるで、独り言だよね?と確認しているようにも聞こえるその声は、しかし嘘や偽りは通用しない。
それを悟った天音は静かに鈴を眺め―――そして重々しく口を開いた。
「…あのさ、このこと、誰にも言わないでくれる?」
「え?」
「今、梓が聞いたのは独り言なんかじゃない。それを教える代わりに、誰にも言わないでくれる?」
「…うん」
いつものように、にっこりと笑みを湛えた友人を見て、天音が自分の能力について話し出した。梓は途中、何度か声をあげることはあっても、それ以上のことは無かった。
「―――で、今この鈴を私が受け継いだ…ってこと。理解できた?」
別にできなくていいが。というより、できない方が助かるが、と思いながらも念のために確認したら、彼女は、「うん」とにこにこしながら答えた。
「じゃあ、さっきの人も?」
「うん、あの人は裏会を仕切ってる人」
「仕切ってる…」
「そ。だから何かと信頼の置ける人ではあるわよ」
「へぇ…」
「あ、それと」
「へ?」
「私、今夜ちょっと…」
「どこ行くの!?」
天音の一言に、梓が敏感に感応する。
「…いや、この敷地内にはいるから」
その言葉を聞いて、梓がほっと安堵の息を吐く。
「…それから、神社の中だから。ほんとにたまにだけど、参拝客も居るかもしれないから」
「…たまに?」
「そう。たまに」
神代神社にあまり参拝客が来ないのは、今に始まったことではない。彼女が幼い頃から、既に神社に来る人間は少なく、天音自身も、しれが当たり前だと自覚するようになっていたのだ。
「じゃあ、私ちょっと部屋行くから」
「え?部屋?」
「うん、ここは神社。家は隣。敷地内だけど」
つくづく分からない少女であると、梓の顔から思わず苦笑が洩れた。
「…来たかったら、来てもいいよ」
「ありがとう」
にっこりと笑みを湛えながら、しかし梓は速攻で天音にくっつく。
まぁ、仕方ないかと思いながら、天音はそのまま部屋へと足を向けた。
25
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ピーチ
:2012/08/26(日) 11:40:08 HOST:i118-18-142-51.s11.a046.ap.plala.or.jp
鈴扇霊 〜初めての世界(いばしょ)〜
『プロローグ』
―――「のうりょくしゃ」だって、しられたくなかった。
しったら、みんなきっとおびえるから。
おれがわるいわけじゃないのに。
―――でも。
「はじめまして」
そういってくれた人がいた。
それが、はじまりだった―――。
26
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ピーチ
:2012/08/26(日) 11:56:43 HOST:i118-18-142-51.s11.a046.ap.plala.or.jp
『第一話・出会い』
「だーかーらっ!ちかよるんじゃねぇって!!」
そうどなりながら、おれがうしろをふりかえる。そして、おれがタイショウにしてるザコれいをなぐりつけた。
まわりでは、クラスメイトやそのおやたちがきみわるそうにおれをみてる。
まぁ、とうぜんだろうな。こんなものがみえるやつ、いるわけが―――。
「あれ?どうしたの?」
……いきなり、うしろからこえをかけられた。そっちをみたら。
―――かたよりもすこしながいくらいの、まっくろなかみ。それとおんなじ、まっくろなひとみ。
かみはうしろで一つにくくってて。やさしそうなかおからは、ジャキなんてまるで見つからない。
そうおもって、おれがこたえずにむししてたら。
「…あ」
いきなり、そういっておれが見てたほうとおなじほうを見た。
「……きみ、あれが視えるの?」
しばらくぼうぜんとした後、そいつがいった。それをきかれて、おれのほうこそびっくりして、
「お、おまえこそ視えるのか!?」
と、おおごえできいた。まわりから、よけいにへんなシセンをおくられる。けど、そんなのきにしてるひまもない。
「うん。まぁ、いちおう」
にがわらいみたいなかおでつぶやいたそのかおは、どこかこまったような。
「でもさ、きみさっきなぐってなかった?あれを」
そいつのことばに、
「あぁ。うざかったから」
ってかんたんにかえした。するとそいつが、
「…へぇ…すごい、ねぇ…」
なんか、わらいをかみころしながら、そういわれた。
「…るせ」
おれがそのままかえろうとしたとき、そいつがいった。
「ねぇ、そういえばさ。なまえ、なんていうの?」
「へ?」
そういえば、たしかにおたがい、まだなまえもしらなかった。
そのかんがえにおもいいたって
「飛鳥井 昇」
なまえだけ。ほんとうになまえだけをいって、そいつにきく。
「で、おまえは?」
そいつの口からつむがれたなまえは。
「そういえば、まだいってなかったよね。はじめましてって。おれは天神 柊一」
―――それが、であいだった。
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