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鈴扇霊

7ピーチ:2012/06/04(月) 00:45:26 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
『第二話・「裏界」と「闇夜」』

「―――はぁ」
天音は、小さくため息を吐いて、自らの運命を恨み、呪った。
「・・・なんだって闇夜と境界の連中しかいないのよ・・・」
そう。天音が通っている学校に、裏界の人間はいない。強いて言うなら、天音一人だ。それに引き換え、「闇夜」の人間はこの学校に集結している。境界の人間だって、少なからずいるのだ。
そう言った直後、不意に背後から声が聞こえた。
「なーに言ってんの?」
・・・その声の主は。
「・・・柊、昇・・・」
天神 柊一。「裏界」の一員であり、天音の良き相棒。ついでに言えば、神代一族の親戚でもある。彼女は、柊一のことを非常に信頼している。そして、もう一人は飛鳥井 昇。彼も、「裏界」の一員だが、神代一族の親戚ではない。どちらかと言えば、闇夜に属している小夜の親戚だが、それでも柊一同様に、一番信頼している人間だ。それ故に、彼ら以外には絶対に見せない一面なども、たまに見受けることができる。
「・・・あんた達、学校どうしたのよ?」
「・・・あのさぁ、年上の人間に向かって「あんた」はないんじゃないかな?」
「いいでしょ?別に私には先輩だの後輩だのは関係ないんだから」
それより、と天音が話題を変える。
「見つかった?」
「いや・・・まだ見つかってない。そっちは?」
「何人かの迷ってる人は見つけたけど、本命はまだ」
「んー・・・じゃあ」
柊一の黒曜石のような瞳に、きらりと何かの光が宿る。
「本格的に炙り出すか?最終的に、「入り口」を燃やしてもいいしさ」
その言葉を聞いた時の天音の反応は・・・。
「―――バカ」
「・・・」
天音の返答を聞いて、昇が苦笑気味に笑っている。柊一も、本気だった様子はなく、
「冗談」
と苦笑しながら呟いた。
「・・・でも、やっぱ本格的に探し出さないといけないよな・・・」
「うん・・・それはそうなんだけど・・・」
天音の歯切れの悪い言い方を無視して、昇がこう言った。
「―――あのさ、闇夜の力借りない?」
「・・・・・・え?」
昇の言葉に、天音の思考が停止する。
「あー・・・あのさ、そろそろヤバイだろ?もう、嫌いとか言ってる場合じゃ―――」
「絶対に、いや」
そう言って、天音は耳を塞いだ。闇夜の力を借りるなど。冗談じゃない。


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