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鈴扇霊

8ピーチ:2012/06/04(月) 22:28:40 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
『第二話・「裏界」と「闇夜」』

「・・・天音さ・・・何でそんなに闇夜の人間のこと毛嫌いしてるんだっけ?」
「・・・当たり前でしょ・・・父さん達を殺されたのに・・・」
「え?でも、それって―――」
「確かに!!それは境界の連中の仕業だったわよ!でも・・・」
事実、天音の両親は既に他界している。天音の言う「境界」の人間に殺されて。
天音は、その時の他の事実もまた知っていた。自らの両親を手にかけた人間は、境界の人間だけではなかったこと。その時、境界と手を結んだのが闇夜・・・。正確には小夜の両親だけだが。そして、自分の両親を殺めたのもまた、他ならぬ「闇夜」に属している人間―――飛鳥井 小夜の両親だと言うこと。
「もう、嫌なの・・・他の組織の人間と関わって誰かを失うのは・・・」
いつもなら絶対に弱音を吐かない天音が、肩を小刻みに震わせているのが目に入った。
「・・・それ、境界の人間だけじゃないってことか?」
「・・・さぁね」
もちろん、今の「闇夜」がまともだと言うことは天音自身が良く理解している。しかし。
「―――闇夜にも裏界にも、まともじゃなかった時期があったってことね・・・」
天音の両親を手にかけたのは闇夜の人間、小夜の両親だった。しかし、その裏で大まかな手引きをしていたのは・・・境界、だった。その小夜の両親も、境界の人間の手によって暗殺されたらしいが。
「まぁ・・・どんな形であれ、やったことに対する報いは受けなきゃいけない・・・それを、あいつらが教えてくれたのよ」
天音の言い分に、柊一が静かに尋ねた。
「まだ・・・境界のやつらのこと許してないのか?」
「え・・・?」
「天音の両親。そのことじゃないの?」
「あいつらだけじゃない!!」
「・・・え・・・?」
突然声を荒げた天音に、思わず柊一と昇の声が重なる。
「あいつらだけじゃない・・・父さん達は、あんな汚れた連中に殺されるほど弱くない!!」
「それって・・・境界の他に、龍達を陥れた奴が存在する・・・?」
昇の言葉に、柊一がはっとしたように呟いた。
「―――・・・闇夜・・・!?」
「・・・えぇ、飛鳥井・・・さんの両親にね・・・」
「・・・俺も、飛鳥井なんだけど・・・」
昇が、苦笑しながら呟いた。
「飛鳥井、小夜の両親」
「・・・そっか。そりゃ、毛嫌いするのも分からなくはないよなぁ・・・」
「そこ、納得する!?」
柊一があっさりと納得したのを見て、昇が大声で怒鳴った。
「そりゃまぁ・・・簡単に納得はできないだろうけど・・・」
と柊一は苦笑しながら答え、その後天音を見て言った。
「でも、今の闇夜はまともだと言えると思うよ?何も、そこまで毛嫌いしなくても―――」
「―――随分と、あの連中を庇うのね・・・」
「・・・天音?」
「そんなに信頼してるなら、あんた達が闇夜に移ればいい」
天音は、小さくそう言って、そのまま身を翻した。
「あ・・・おいっ!天音!?」
しかし、天音はその声に答えず、そのまま校舎内へと消えていった。
「・・・で、どーする?追い出されたみてーだけど?」
「・・・うーん・・・」
昇が尋ねる中、柊一は苦笑しながら腕組みをした。


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