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鈴扇霊
9
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ピーチ
:2012/06/07(木) 00:26:26 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
『第三話・距離』
「―――何で、だろう・・・」
どうして、天音にあれほど毛嫌いされるのだろう。
いくら考えても・・・答えは、ない。
「あー、いた!天音ー!!」
「え?」
天音は、突然聞こえた声に耳を向けた。あの声は、恐らく宮園 亜矢と、塗米 このみだろう。
「え、じゃないよ!今日、絶対出てって言ったじゃん!会議!」
「・・・あ・・・ゴメン!忘れてた!」
「・・・ったく・・・」
「でもさ、天音が言うことって何でか許せるんだよねぇ・・・」
「なーんか、天音って得してるっぽいよねー」
「そんなことないよ?私だって、両親いないし」
「・・・あ、そっか・・・」
「ゴメン・・・」
「いいよ、気にしなくても」
苦笑しながら、天音が小さくそう言った。
そんな声が、小夜の耳の奥で聞こえた気がした。
「おーいっ!!さーよー!!」
気付いたら、自分の耳元で大声をあげている一人の人が視界に映った。湖野上 由宇だ。
「え?あ、はいっ!!」
「全く・・・どうしたの?」
「あ、いや―――何か、天音とはやっぱり無理かなぁ・・・って思って」
「あー・・・確かに、何か天音に距離置かれてるよね、あんた」
「・・・うん・・・」
由宇の言葉で、再び小夜の瞳に翳りが帯びた。
「・・・見える(まみえる)御魂(みたま)よ、我が力の根元となれ。その違える(たがえる)ことのない御力(みぢから)を抑え込み、我の力と同化させよ」
小さく、囁くような声。しかし、それでいて澄み切っており、良く響き渡る。
「迷える魂よ、今還れ。己の行く道へと」
そう。その声の主は神代 天音。その声を遮るように響いた、もう一つの声があった。
「・・・相変わらず、結構な術者でいらっしゃいますねぇ」
嫌味とも取れるその声に、天音は振り向かずに答える。
「―――近寄らないで。汚れた者と話すことなんか、ないわよ」
「・・・随分なこと言ってくれるじゃねぇの?」
「良く言うわね・・・神代 龍と神代 神楽を殺めた人間は、どこの組織に属していたのかしら?」
「あーれーはー・・・こっちの父親達が勝手にやったこと。俺達には関係なし。火の粉飛ばすのも、止めてほしいね。ついでに言わせてもらえば、実際に殺ったのは・・・」
「私からしたら変わらない。そうよ、あの時から・・・!」
もう一つの声の主、三池 猟弥は肩を竦めながら、そのまま天音にこう言った。
「ま、いいや。俺はあんたに伝言があるだけだし」
「・・・伝言?」
「兄貴からのな」
「・・・っ・・・」
「今度、正式な話し合いをしよう。そう言ってたぜ?―――闇夜の人間もな」
「―――・・・お断り」
「・・・あくまでも来ないってわけか・・・まぁいーや」
そう言った後、猟弥は天音にしか聞こえないような小さな声で呟いた。
――――――来ないなら、こっちから行くからな―――。
そう、呟いた。
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