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鈴扇霊
24
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ピーチ
:2012/07/25(水) 08:42:32 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
『第八話・秘密』
「もー…何でこんなに広いのよ、この神社は…」
そうぼやきながらも、しばらく歩き続け、ようやく天音を探し出した。速攻で引き摺ってでも中に連れ戻そうとしたが、天音の声が、それを阻んだ。
「…迷えし魂よ。今還れ、己の行く道へ」
そう呟いた天音に続くかのように、彼女の手首に巻きつけられた鈴が鳴る。りん―――…と、涼しげに、軽やかに。
「…はぁ…」
ため息を吐いた天音が何気なく後ろを振り返ると、そこに梓が居た。驚いて、思わず全身がびくん、と痙攣する。その拍子に、手首に巻きついた鈴がりんと鳴る。
「あ…梓…?」
「今の…何?」
まるで、独り言だよね?と確認しているようにも聞こえるその声は、しかし嘘や偽りは通用しない。
それを悟った天音は静かに鈴を眺め―――そして重々しく口を開いた。
「…あのさ、このこと、誰にも言わないでくれる?」
「え?」
「今、梓が聞いたのは独り言なんかじゃない。それを教える代わりに、誰にも言わないでくれる?」
「…うん」
いつものように、にっこりと笑みを湛えた友人を見て、天音が自分の能力について話し出した。梓は途中、何度か声をあげることはあっても、それ以上のことは無かった。
「―――で、今この鈴を私が受け継いだ…ってこと。理解できた?」
別にできなくていいが。というより、できない方が助かるが、と思いながらも念のために確認したら、彼女は、「うん」とにこにこしながら答えた。
「じゃあ、さっきの人も?」
「うん、あの人は裏会を仕切ってる人」
「仕切ってる…」
「そ。だから何かと信頼の置ける人ではあるわよ」
「へぇ…」
「あ、それと」
「へ?」
「私、今夜ちょっと…」
「どこ行くの!?」
天音の一言に、梓が敏感に感応する。
「…いや、この敷地内にはいるから」
その言葉を聞いて、梓がほっと安堵の息を吐く。
「…それから、神社の中だから。ほんとにたまにだけど、参拝客も居るかもしれないから」
「…たまに?」
「そう。たまに」
神代神社にあまり参拝客が来ないのは、今に始まったことではない。彼女が幼い頃から、既に神社に来る人間は少なく、天音自身も、しれが当たり前だと自覚するようになっていたのだ。
「じゃあ、私ちょっと部屋行くから」
「え?部屋?」
「うん、ここは神社。家は隣。敷地内だけど」
つくづく分からない少女であると、梓の顔から思わず苦笑が洩れた。
「…来たかったら、来てもいいよ」
「ありがとう」
にっこりと笑みを湛えながら、しかし梓は速攻で天音にくっつく。
まぁ、仕方ないかと思いながら、天音はそのまま部屋へと足を向けた。
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