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【個】『門倉姉弟の語り尽くせぬ四方山話』 第二話【ミ】

1『門倉』:2016/01/01(金) 23:29:06

           YES → 【楽しかった?】 ─ YES → じゃあまだ語ろう
         /                  \
【語った?】                        NO → じゃあまだ語ろう
         \
            NO → じゃあ語ろう

(※これは『門倉』関連のイベント・ミッションを行うスレッドです。

前スレ
(ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/netgame/9003/1432991359/)

86『ある種の異能は場所に憑く』:2016/02/06(土) 20:45:00
>>85(ココロ)
そして、『ココロ』が全てを籠めた『夜の湖畔』の初演は厳かに終わりを告げた。
『ろうそく』は退場し、明かりが灯り、全てが元に戻る。

 その後、わずかな間をおいて―――

    パチ  ぱちぱち
                パチパチ
                           ぱち パチ

      パチパチ   ぱちぱち    パチパチ

                       パチパチパチパチ


『拍手』。それも真っ先に始めたのは、

「よかった! よかったよォ!
   美しく、幻想的な湖畔の風景が視えた!
    不自然な現代の疲れに自然の恵みは最高のサプリッ!

     すンばらしィ〜〜〜
                   『拳百発』ッ!
                             ブラボォ―――!」

こわもての『スーツ姿』の二人だ。
それにつられるかのように他の客も一斉に拍手を始める。

「あ! あの人たち、『武闘派芸術家』の『シメルとボコル』じゃあない?
  ローカルTVで番組持ってる人たち!」

『レミ』が小声で呟く。周りの『客』にも知っている者がいるらしく、
『彼らが絶賛するような芸術的な演出』だと思われたらしい。
『拳百発はテレビでの最高点よ』と『レミ』が教えてくれたが、何の事かはいまいち不明だ。

とにかく、『客』は、実はそう悪くなかったのかもしれない。
初回に『良い客』を引いた『幸運』。
この『成功体験』は今後の『ココロ』たちの自信に大いに繋がるだろう。

  ちらりと目に入った『黄金爺』が笑っているように思えた。

87『ある種の異能は場所に憑く』:2016/02/06(土) 20:47:24
………

    ………
          ………
                ………

「いい感じッスね!」

『ナイトくん』は『艶美』にこう語りかける。実際、『店』はいつも通り盛況していた。
『高級キャバレークラブ』。ザ・夜の店といった定番のスタイル。

「トキエちゃんもサユリちゃんとかもいーい感じに接客出来てるし。
 さすが『NO1』ッ! いや、他の娘だってそうか!
 全員、『ナンバーワン』の店なんてここでしか味わえないッスよ!」

それはそうよ、と『艶美』は不敵に笑う。しかもただの『NO1』ではない。
『全員がそれそれ黄金の夜の街でのNO1』。
こんな『オールスター』は、ここでしか味わえない。

「あ、そろそろ『SHOW』の時間ッスね! オレも準備するっス」

『ナイトくん』がピョンピョンと跳ねて見晴らしの良い場所まで移動していく。
『艶美』もまた、中央舞台に立ち、マイクを手に取る。
周囲が少しずつ暗くなり、照明の調整により、『艶美』にスポットライトが浴びせられる。

「みなさま! お楽しみ頂いておりますか?
 このクラブのママ、『艶美』でございます。
 これより、皆様に他では絶対に味わえない
   『光のSHOW』をお見せしたいと思います。

                      それでは、皆様、ごゆるりと、ご堪能を―――」


 『盛大な拍手』と共に、店内は完全に暗くなる。

  そして―――



   チカ         チカ チカ チカ
       チカチカチカチカ チカチカチカ
              チカチカチカチカチカチカ チカチカチカチカチカ チカチカチカ
      チカチカチカチカ チカチカチカ
                   チカチカチカチカ チカチカチカ
           チカチカチカチカ  チカチカチカチカチカチカチカ チカチカ  カチカチカチカチカ チカチカチカ
                  チカチカチカチカ チカチカチカ


  チカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカ
  チカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカ
  チカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカ
  チカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカ
  チカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカ
  チカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカ
  チカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカ
  チカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカ
  チカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカ
  チカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカ
  チカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカ
  チカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカ

88『ある種の異能は場所に憑く』:2016/02/06(土) 20:49:24

 次の瞬間、『床』が一斉に輝きだす! 『光の絨毯』とはまさにこの事だろう。
   赤・青・黄………『輝き』は変幻自在にその色を変え、
    『ネオン街』を店内に持ち込んだかのような華やかさだ!

   強いて言えば『LEDランプ』を用いた『イルミネーションショー』に近いが、
   それとは『精度』が圧倒的に違う! 『豆電球』より更に
    小さな細かな『粒』がそれぞれ光っているような圧倒的な『滑らかさ』!

    『ゲーム機』が数世代先に飛んだような、
      『ブラウン管』から『液晶』に変わったような、
            革命的『イルミネーションショー』ッ!
              それがこの店、『ENVY』の秘密兵器だッ!


「フフフ―――そんじょそこらのショーとは『解像度』がダンチッ!
 オレの『能力』と艶美ちゃんの『能力』の奇跡のコラボレーションッス!
 なかなか見れるものじゃあないですよ〜〜〜これは」

  この光景を前に、『ナイトくん』は独りほくそ笑む。

  『繁華街の小人』の能力は、実にささやかだ。
  それは『小さなものを輝かせる事』。
  ただ、その『精密動作性』は、『小人』の能力の中でもピカ1だ。
  無数のものを別々に色や輝度を変える事もお手の物。
  それを『艶美』の『グラマラス・ライフ』が部屋中に撒いた
  『燐粉』に持ちいる事で、この豪華な空間を作り出していた。

 『スタンド物質』である『燐粉』である事には大きな意味がある。
 ただの粉だと『客』や『従業員』が動くたびに『粉』が動いたり、
 付着してしまうという弱点があるのだ。
 『透過』する『スタンド物質』だと、それがない。

 問題は『スタンド物質』だと『一般人』には見えないという事だったが………

 『グラマラス・ライフ』の『燐粉』は、その能力の特性上、
 『一般人にも見える』ようにする事が可能な稀有な性質を持っていた。

                         その特性とは―――

89『ある種の異能は場所に憑く』:2016/02/06(土) 20:51:34

「上手く行っていますね。艶美さん」

『SHOW』を眺める『艶美』に、『サユリ』という名のキャバ嬢が声をかけてくる。
見た目は二十代前半といったところだろうか?
その美貌には『NO1』という称号も頷ける。

「ええ、サユリさん。あなたもよくやってくれているわ。
 『現役を退いた』なんて到底思えない『話術』。

           さすが―――二十年前の『NO1』ね」
                    ・ ・ ・

『艶美』の言葉に『サユリ』は照れたように笑う。

「この世界は世代交代激しいですからね。
 そして誰も『老い』には勝てない。

 でも時々『艶美』さんに呼ばれて、あの頃の自分になれるのには、
   本当に感謝しているんですよ。

     『艶美』さんの『魔法のメイク術』………本当に凄い」

『艶美』のスタンド、『グラマラス・ライフ』はあらゆる
『メイク用品』に変化する『蝶』のスタンドである。
そしてそれを用いた『メイク術』は『美しく』なる方向ならば、『老い』すらも超越する。
露出部分は全て化粧済みである為、手なども十分に美しくなっている。
『燐粉』は『化粧パウダー』であるがゆえに、その性質上、
スタンドながらも一般人に見える性質を有する事が可能となっているのだ。

「本来、多少の『老い』程度で仕事を追われるのは誰だって本意じゃないわよねェ。
 その『老い』を克服する手段を、私なら提供してあげられる。
  皆、その魅力にとりつかれて、手伝ってくれるわ。
   かつては世代を争い、『ライバル』だった人たちだってね。

  『各世代のNO1たち』が現役状態の、無敵の『オールスターゲーム』。

  スポーツあたりなら、そんな妄想をするファンも多いだろうけど………
  少なくとも、今、この『ENVY』ではそのドリームチームが見れるってわけねェ」

『世代ごとのナンバーワン』の『夢の布陣』と、『超高画質のイルミネーションショー』。

         元からの『キャバクラ運営』の手腕に加え、

        各々の能力を存分に駆使した二つの『ウリ』が、

   『艶美』と『ナイトくん』による『繁華街コンビ』の必勝の一手である。

90『ある種の異能は場所に憑く』:2016/02/06(土) 20:56:41

『SHOW』も終わりに近付いた頃、『艶美』は、ふと『対戦相手』を思い出す。
『あんな若い娘』相手に真面目にやりすぎちゃったかしら?
ちょっと大人気なかったかもね、などと考える。

しかし―――『若さ』だけに甘えた世間知らずのお嬢様には、
全力を持って『世間の厳しさ』を教えてやるのも、大人の義務だ。

『イルミネーションショー』は本物さながらの無数の『蝶の舞』を映し出している。
いよいよ『ラストの演出』だ。煌びやかでド派手な、ギラギラした『夜の華』。

圧倒的で妖艶な『輝き』に、酔いしれさせる事が『夜の店』の責務だ。
あの若造の多少の小細工では、到底達する事の出来ない『境地』。

                        負けるはずは―――微塵も無い。


「よかったな! ハデな演出!」
    「すごいね〜〜!」
      「トキエちゃんも知ってたの? これ」
                 「こんなのあるなんてなァ」

『SHOW』が終わると、『客』たちの賞賛の声が聴こえてくる。
当然だ。現代技術の最先端以上の光景を見せられて、
感動しないものなど居るはずはない。


 「でもさー」

                ………?

「あっちも素朴で良かったよなあ。ピアノも上手かったし」
  「あ、俺も思った。派手なのばっかりだとヘトヘトになるっつうか?」
    「バブル期じゃないんだし、会社終わりで更に盛り上がる! てのもなァ」
     「コスチュームもなんかほのぼの系つうか? 癒し系なんだよなあ」

まだ社会に出てそう日も経っていないだろう若いサラリーマンたちが喋っている。
その内容………あっち? あの小娘の『店』の話か?

…………

   やはり、未熟な感性では未熟なものしか理解できない、そういう事か?
   『艶美』はこの僅かな綻びに、一抹の不安のようなものを感じていた。

「『艶美ちゃァん』! ちょっと眉間に皺よっちゃってますよ! スマイル! スマイルぅ!
  ひな鳥がピーピー鳴いたところで、大勢にエイキョーなし! ドォンと構えてたら良くないッスか?」

その『不安』を『ナイトくん』が一蹴してくれる。
そうだ、『艶美』がこの小人に協力しているのは彼のこんな底抜けの明るさを気にいったからだ。
そんな彼が、『艶美』が輝く『一夜』を用意してくれる………『艶美』はこれに『応える』必要がある。

        もう客はほとんど捌いたはずだ。もうすぐ『決着』―――

 『繁華街』が自フィールドの時、私たちは『負けた事がない』。

   少なくともあんな『小娘』に打ち破れるような、ヤワな『店』ではないはずだ。

91『ある種の異能は場所に憑く』:2016/02/06(土) 21:01:15

………

    ………
          ………
                ………

            「ありがとうございました〜〜」

 そして今―――

  『ココロ』の店で、『レミ』が最後の『お客』を送り出した。

 「お! おお……これで! これでようやく終了じゃあッ!」

『接客的』な事に関しては何をしたわけでもない『レイク爺』が終了の雄たけびを放つ。
それにあわせ『ココロ』も肩の荷が降りたような気持ちになる。

初演から、『ココロ』たちは何度かの『夜の湖畔』を提供した。
その度に、店中がシンクロするような感覚を味わい、
『ココロ』からみれば、『店』は大成功だったように思えた。

ただ、もちろん、ここまではまだ『過程』。
そして『店』を選ぶのは、『客』。
今日一日の最終的な『結果』が出るのは、ここからだ。

『よるのとばり経由の従業員』が、
そして、『アナザーココロ』が、ほっと一息ついている。
彼女たちは『能力』が作り出した『群衆』。
いつかは消える運命をもつ者たちだが、
もちろん、『結果発表』まで残しておいても問題はないだろう。

いつのまにか、『絆』たちが『ココロ』の周りにやってきていた。
彼ら、彼女らもやはり『結果』が気になるのだろう。

『黄金爺』はまだ鎮座している………ちょっと怖い。

 ……… ……… ……… ……… ……… ………

「現在、『集計中』だ。結果はほどなく外で行う事とする。
 準備が出来次第、声をかける」

『黒子の小人』が淡々とそう告げる。
今のうちにやる事があれば、それをなせばいいし、
何も無いのなら、ただ『待てば』いい。

92ココロ『RLP』:2016/02/06(土) 23:07:30
>>91(GM)

「………」

      「………」

            「………」

                    「………」

最後の客が退店する。
レイク爺の声が――実感させる。


「お」

     「終わっ……たぁぁ……」

                  ハァァァァ ・ ・ ・

安堵と疲労の混じった息を吐き出す。
もちろん、エアピアノは継続しながらだ。

「レミさん……従業員のみなさんも、ピアニストさんも、絆の皆も。」

              「一先ず……お疲れ様、ね。」

とはいえ、結果はこれからだ。
本格的な安心にはまだまだ早い――

(お客様も……黄金翁も……
  楽しんでくれていたみたいで、良かったわ……本当に。)

           (あとは……)

まだ、実感も薄い。
大成功の感覚は心に刻まれたけれど。

          ・・・・まだ、解放の時ではない。

「…………ええ、分かったわ。ありがとう。」

黒子の小人に答える。
黄金翁含め、この店の仲間は、まだここにいるべきだろう。

    ♪   ♪   ♪

            今ココロに出来ることは……待つだけだ。

93『ある種の異能は場所に憑く』:2016/02/06(土) 23:26:38
>>92(ココロ)
一息ついた『ココロ』。しかし、まだその演奏は止めない。
結果発表の時まで、『彼ら』は存在させておく事にした。

  そして―――

「集計が終わった。外に来てくれ」

20分とかからず、『黒子の小人』が声をかけてくる。
外に出るのは………おそらく対戦相手と
対峙しつつの結果発表なのだろう。

94ココロ『RLP』:2016/02/06(土) 23:35:29
>>93(GM)

「……ええ。」

       「……ええ、今、行くわ。」

          スー

      ハー

深呼吸をしっかりとして。
『エアピアノ』――『RLP』を継続しながら、店の外へ。

      (……どんな結果でも。)

           (今なら、分かるわ。
             最悪じゃない、だけじゃあない。)

   (あのお店が……
    私が。私達が出来る……
     最高の、お店だったって。)

             ・・・・思い残しはない。
                  後は、どちらが勝つか。

                           (……大丈夫。)

95『ある種の異能は場所に憑く』:2016/02/07(日) 00:05:27
>>94(ココロ)
『ココロ』は深呼吸しながら、ゆっくりと店の外へと向かう。

 「ワシも行くぞいッ!」

そう言ってついてきたのは、他ならぬ『レイク爺』だった。
二人、はじまりの二人だ。

 ……… ……… ……… ……… ………

そうして外に出ると、眼前にいたのは向こうも二人。

「おひさしッスね? いや〜〜そうでもないか。
 見学来た時会いましたモンね!」

  『ナイトくん』。

「―――いい『店』は作れたのかしら?
  でも、現実はいつだって厳しいものよ?」

                      『艶美』。

ちょうど最初に会った時と双方が同じ布陣。
ここでいよいよ『最終結果』が発表されるという事か。

中央に陣取った『黒子の小人』はじっと二組の様子を見守っている。
お喋りが終われば、次の瞬間にもう『発表』という事かもしれない。

96ココロ『RLP』:2016/02/07(日) 00:22:36
>>95(GM)

「……ええ、着いてきて、レイク爺。」

         コク

     頷いて答える。

 ……… ……… ……… ……… ………

そして、店の外。
二人の『対戦相手』と、向き合う。

「貴方は……
 ええ、少しぶり……かしらね。」

      「あの時はありがとう……」

ナイトくんに会うのも、数時間ぶりか。
今日という日はココロにとって、とても長い……充実した日だ。

        ・・・・そして。

「ええ……いい店が。すごく、良い店が出来たわ。」

そう答える。
数時間前の動揺はもう、ココロにはなかった。

あるいはこの戦いが終われば。
いつものココロなのかもしれないけれど――

       「……だからきっと、大丈夫。
         現実が厳しくても、私たちは。」

今、この勝負は。全てを乗せた『店』は。ココロにとって。

         「大丈夫なのよ。」

              ニコッ  ・ ・ ・

                      ――演奏並に、尊いものだ。

97『ある種の異能は場所に憑く』:2016/02/07(日) 00:48:36
>>96(ココロ)
「………そう、それはよかった」

平静を装う『艶美』の顔色がわずかながら曇る。
たった数時間で挙動不審レベルの『ココロ』の怯えが
一切なくなっているのを感じ取ったのだ。

「ほッほッほ! オヌシらにも見せてやりたかったワイ!
 ウチの『湖畔』の店は最高じゃったゾイ!」

『レイク爺』が誇らしげに二人に言い放つ。
今はこの無闇な元気も、『ココロ』の力になってくれるだろう。

 ………
        ………
                     ………


         「それでは、発表する」

四人の言葉が途絶えて数秒後、『黒子の小人』が口を開く。

   「総投票:50票、無効票:1票 有効票:49票」

       結果を読み上げていく『黒子』。

時が捻じ曲がったかのように、それはゆっくりと感じられる。

 そして、

   「24票」

        結果は、
               「対」
                    とても僅差で、

                              「26票」

「以上の得票結果から」

               でも確実に、

                          「26票を得た」



                決まる!

          「湖畔代表の、勝利とする」

                                   .

98ココロ『RLP』:2016/02/07(日) 01:07:08
>>97(GM)

人間の性根はそう簡単に変わるものではない。
だけれど、大きな体験は、『きっかけ』をくれる。
ほんの少しの間でも、それは『勇気』になる。

ココロは――それだけの、『最高のお店』を、奏で上げたに、違いない。

 ………
        ………
                     ………

         ゴクリ


(……大丈夫よ、大丈夫。
 余計な事を考えるものじゃあないわ。)

            (大丈夫……)

流石に、心乱される。
けれどもそれを、外には出さないように。

勝っても。
負けても。

「…………………」

      勝っても……

            「…………」

                    ブル ・・・・

            (い……今さら怖気づいてどうするのよ!
              ……大丈夫、全部やったもの、私たちは。)

       (私達は――最高だった。
        そうよ……それは、間違いないじゃない。)

    (…………)

エアピアノの響きだけを残して、心を凪がせる。

            ――そして。

                   そして。

「あっ……」

(決まるんだわ……そ、そうよ決まるのは当たり前。
 だけれど……24対、26……これで、勝負が、終わって――)

              (私達は――)

       (あ)

              (湖畔)

       (私達――)

    「私達」

             「あ」

       「あっ!」

             「ああああああっ」

「……私たちだわっ!
  こ、湖畔代表って、そうよ、……私達……!」

   スー ハー

          スー ハー

                 「勝った……」

    「勝ったんだわ……
     レイク爺ッ! わ、私達……みんなでッ!」

                      「勝てた……勝てたのよ……」

       ヘ 
          タ

思わず、その場にへたり込むココロ―――
レイク爺と、視線が合う。どうしたらいいのか、喜びすぎて。

    「うれしい」
 
           分からない……         
                              「本当に」

        「……うれしくて、わ、私……」

                 「ど、どうしたら、良いのかしら
                      ……ねえ、ほ、本当に…っ!!」
 
  ♪       ♪
      ♪         ♪

    感情が逆流するかのように。
    エアピアノの音色だけを響かせ、ココロはへたり込んだまま。

99『ある種の異能は場所に憑く』:2016/02/07(日) 01:20:45
>>98
「ウッヒョヒョォ!  ウッヒョヒョ――イッ!!!」

『レイク爺』も感極まって感激の雄たけびを上げている。
勝利者たちはそれぞれの感情を爆発させ、勝利を全身で味わっていた。

と、その余韻を切り裂くような『声』。

「………な、な、なんでッ
      ………なんでなのよォ―――――ッ!

  なんで私の! この『ENVY』の店がこんな小娘の店に!
   『イカサマ』?  それともかわいい顔して
    『精神』を操るようなコスッずるい能力とか持ってるの!?

  そうでもなきゃ、この結果はおかしいじゃないッ!

       集計! 集計ちゃんとできてんの黒子ォ――――!」


それは、眼前の『艶美』のものだった。
さきほどの余裕は一切無く、目が血走り、表情が一変している。

    シュウゥ……
               シュウゥ……
                          シュウゥ………

そして、『ココロ』は奇妙な事に気づいた。
『艶美』の怒りにあわせ、彼女の『髪』、大きく盛られた『髪』が、
『蝶』と化し、次第に『消えていって』いるのだ。

 それと共に、『艶美』の顔から粉のようなものが『崩れ落ちて』いくのが分かる………

100ココロ『RLP』:2016/02/07(日) 01:37:50
>>99(GM)

眼の前ではしゃぎだす『レイク爺』に、思わず笑うココロ。

「う……うふ、ふふふふ……
 は、はしゃぎすぎだわ! レイク爺ったら……」

         「でも、私だって…… 
           私だって、そ、それくらい――」

  その時。


「ひ、ひぃっ……!?」

               ビクッ ・・・ 

切り裂くような怒声。
突然のことに、思わず、すくみ上るココロ。

(な、な……い、いきなり叫ばないでよ……
 いえ、でも、負けたのが……くやしいのは、分かるけれど……)

        (けれど!)

   ムカッ

    「い、イカサマだなんて……」

               「私は、私達はッ」

    シュウゥ……
               シュウゥ……
                          シュウゥ………

「……えっ?」

「え……えっ、あ、貴女、ど、どうしたの……?
 な……何が、何が起こって――」

        (あ……ちょ、蝶。
          この女の、スタンドの――)

               「こ、れって―――」

    ゴクリ

ぎゃふんとは言わせたかった。
しかし、ここまで。
ここまで取り乱すとは。

          フイ

(そ、そんな……勝ったからって、な、何も。
  何もそんな、この人に、惨めな思いをさせたいとかじゃあ……)

          (ぎゃふんとは、言わせたかったけれど……)

ココロは――しかし、なにも出来ることはない。
『艶美』からやや目を逸らしつつ……事の成り行きを、見守るしかない。

101『ある種の異能は場所に憑く』:2016/02/07(日) 01:54:57
>>100(ココロ)
『ココロ』は『艶美』の突然の変化に戸惑う。
あの『蝶』には見覚えがある。おそらく『艶美のスタンド』。
それが精神の動揺により、『能力が保てなくなっている』。
―――そう見るのが妥当か?

『髪』が『蝶』に変わってすぐに消滅していく。
もしかすると、あの盛り髪は『ウィッグ』のようなものとして、
『蝶』が化けていたものなのかもしれない。

『蝶』はやがて、全て消滅する。『髪』も驚くほど少なく、やせ細っているように思える。

「こんな……こんな若いだけが取り柄の女にィ。
             私がァ、この艶子がァ――――ッ!」

『精神』の動揺は激しく、『怒り』の感情だけが
暴走しているような感じを受ける。

 そして―――

「な、なんじゃあ、コイツ!
   ば……ババアじゃ! 中からババアがでてきおったッ!」

『レイク爺』が驚愕の声を放つ。
その言葉に『ココロ』が確認すると………
『艶美』の肌は確かにシワシワ。
顔も著しくたるんでおり、当初の美貌は見る影も無い。

『精神の動揺』だけでここまでの老化が起こるわけはない。
つまりはなんらかの『能力』が働いていた、という事なのだろう。

「はいはいはい! もうそのへんにしておこうか、ツヤコちゃん」

 ここで間に入ってきたのは『ナイトくん』だ。

「いや、すみませんッス。お見苦しいところをみせちゃいましたね。

 あと『完敗』ッス。まさかウチがホームで負けるとはねェ〜〜。
 正直ナメてたッス。すげーッス、マジで」

まずは『艶美』に、そして今度は『ココロ』たちに向かって語りかける。

102ココロ『RLP』:2016/02/07(日) 02:27:08
>>101(GM)

「えっ……」

            「あ……え!?」

   「そ……そんな……」

『化粧』は女を化けさせる。
ココロもそれは、十分承知のつもりではいたが――

        これは。


「ほ……本当だわ……こ、こんなことって。
 これが……これが、す、スタンド能力だったのね……」

       「……わ、私、ご……
          ごめんなさい、どうしたらいいか……」

もはや憎まれ口に怒りすら覚えない。
ひたすら驚愕。
そして困惑。             

しかし勝ったのは事実で、それを放棄する気など、ココロにはない。

「な……ナイトくん……」

視線をそちらに向ける。
ツヤコ。艶美の『本名』なのだろう――

「いえ、いえ……私達二人だけの力じゃあ、ないもの。
 私達だけだったら、きっと……いえ。
 違うわよね。……ありがとう。次も、必ず……勝ち進んでみせる。」

頷く。それは勝った者の務めなのかもしれない。
ココロは不思議と、そんな気がしていた。

       「…………」

そして。

        チラ

(この人は…………
  きっと、私が何か言える人じゃ、ないわよね……)

       ・・・・『ツヤコ』はどうするのだろう?

103『ある種の異能は場所に憑く』:2016/02/07(日) 02:48:08
>>102(ココロ)
敗北してなおも罵倒してくる相手。
当然勝った『ココロ』は怒ってしかるべきなのだろうが……
その正体の凄まじさに困惑してしまう。

『艶美』……『ツヤコ』はもう老婆といえるくらいの年齢になっていた。
これが、『スタンド』という魔法を失った彼女の『本来の姿』という事なのだろうか。
『ナイトくん』にたしなめられ、ようやく少し落ち着いたのか、口を閉ざしている。

「いや、マジでいけるかもですね、勝ち進んで、ユーショーくらいまで。
 万年最下位の今までの『湖畔』とはオーラがゼンゼンちがいますもん」

  『ナイトくん』はお世辞を言っている様子ではない。
  そして負けたのにも関わらず、飄々としている。

「じゃ、このへんでウチらは帰りましょうかね。
  悔しいのは悔しいッスけど―――
    別にこれで終わりってわけじゃあないですしね、『祭り』」

そう言うと『ナイトくん』は『艶子』を連れてどこかへと去ろうとしている。
何か聞きたい事や話したい事があれば、心残りのないよう、伝えておくべきだろう。

104ココロ『RLP』:2016/02/07(日) 03:00:35
>>103(GM)

「…………・ありがとう。
 きっと……貴女たちにだって、勝てたんだもの。」

ナイトくんの言葉は、素直に耳に届く。

            「この先も……
             ええ、やってみせるわ。」

     コク


頷いて返す。
老婆と化した――いや、『戻った』ツヤコには。

  「…………ええ。
   さようなら……ナイトくん。」

         (何も……言えないわよ。
           私が、勝った私が何を言ったって……)

               (イヤミに、なってしまうわ……彼女には。)

勝者はただ、黙って――見送ればいいのかもしれない。
憐れむのでもなく、蔑むのでもなく。
謝るのも、お礼を言うのも、違うだろう。

ただ、敬意を払って。
そうまでしてこの戦いに来た彼女を。

「さようなら…………艶子さん。」

余計な言葉はなく。

        ペコ

          粛々と。
                  舞台でするように。
                  頭を下げて。背中を見送る。

105『ある種の異能は場所に憑く』:2016/02/07(日) 03:13:39
>>104(ココロ)
『ココロ』は二人に余計な言葉をかけない。
だから彼らもまた、これ以上の言葉は紡がなかった。

そうして『ナイトくん』と『艶美』は去っていく。
『艶美』の豹変ぶりには驚かされたが、彼女は彼女なりの美学で戦っていたのだろう。
その思いを乗り越え、『ココロ』達は前に進まなくてはならない。

「それじゃあ、ワシらの方は皆のものに勝利の報告といこうかの!」

『レイク爺』が気を取り直し、『ココロ』にそう告げた。
そうだ、『絆』や『従業員』はまだ発現させてままだったし、
そうでなくても『レミ』が居る。
『店』に戻り、彼らに報告する必要はあるだろう。

106ココロ『RLP』:2016/02/07(日) 23:06:03
>>105(GM)

人には、ほっといてほしい時というのがある。
特に、自分より優位に立つ相手に対しては。

彼女には――慕ってくれる『夜の蝶』達がいるのだろう。
あるいは、ナイトくんが。慰めは、他ならぬ彼女の仲間――彼らがやること。

           ・・・・まして厳しい言葉など。
               ココロは最後まで、無言で。

「………………」

   ――♪
           ――♪

エアピアノの音。
レイク爺の声。

「あっ……」

「え、ええ。そうね。
 皆、結果を待っているはずだし……」

      クル

気を、取りなおそう。勝利の時間はこれからだ。
それに――優勝するなら、あと何度だって、勝って誰かを負けさせる。

     「……私だって。そうよ。
      私……絆の皆にも、報告しなくちゃあ……!」

        「あっ……黒子の皆さんも、お疲れ様……
           何というのかしら……これから先も、よろしくお願いね。」

       ペコ

ここまで世話になった『黒子の小人』達にも声を掛けて頭を下げる。
 
                            ・・・・建物の中へ戻ろう。

107『ある種の異能は場所に憑く』:2016/02/07(日) 23:19:02
>>106(ココロ)
『ナイトくん』と『艶美』には彼ら、彼女らの『仲間』が居る。
後の事はその『仲間』に任せればいいだろう。

そして、『ココロ』にも『仲間』がいる。
彼らに『勝利』を伝えて、今日のところは終わりとしよう。

『黒子』は『ココロ』の労いに無言で返す。
彼にとってはあくまで『職務』。労いなど必要ない、という事なのかもしれない。

 ……… ……… ……… ……… ………

そして、『ココロ』達は建物、『湖畔の店』へと帰っていく。

  「ん………どうだった?」

店に入ると、すぐさま『レミ』が声をかけてくる。
そして視線。『従業員』と、そして『絆』たちの視線が
一斉に『ココロ』に集まってくるのが分かる。

108ココロ『RLP』:2016/02/07(日) 23:29:14
>>107(GM)

「…………」

    キョロ   キョロ

仲間たちを――絆、よるのとばりの面々、黄金翁、そしてもう一人の自分。
彼らを見回すココロの顔は、喜色を隠しきれていない。

            ・・・・そして。


「……か、勝てました。」

その喜色は氷山の一角。
溢れ出す。

「私達……湖畔チームの、勝ち……!」

満面の笑み。
達成感。充足感。数え切れない。

言葉では表しきれない。
けれど、少しは整理できた。
だからこそ感情のままに――

     「皆のおかげで」

               「湖畔の勝ちだったわっ!!」

                            ・・・・ココロは喜ぶ。

109『ある種の異能は場所に憑く』:2016/02/07(日) 23:46:35
>>108(ココロ)
堂々たる『ココロ』の『勝利宣言』。

       ワアアアアァァァァ――――ッ

その言葉に場は一気に沸き立つ。

「よかったね。本当にね。
 まあ、この店なら、勝てると思っていたよ」

『レミ』は微笑む。

「……す、すごい……です……
  でも、この店、本当に、いいところ………」

  『アナザーココロ』も笑う。

「凄いじゃろッ 凄いじゃろッ!
 ワシらの店が一番じゃああ!!!」

    『レイク爺』が、改めて飛び跳ねる。

『……………よき、バショ、ジャ!』

         『黄金爺』の、厳かなコメント。

110『ブレーメンの音楽隊』@板踏甲賀:2016/02/09(火) 03:05:19
>>108-109

           ニッ

……勝利の報を聞いて『ブレーメンの音楽隊』は、揃って笑った。
ロバがいななき、それを号令にして四匹が整列する。
そしてロバが大きく息を吸い……

     「『おお友よ、このような旋律ではない!』」

……節をつけて、叫ぶ。
ダメだし? いや、『この旋律は』。

     「『もっと心地よいものを歌おうではないか』」

     「『もっと喜びに満ち溢れるものを』」

ロバが低く唸るようなバスボイスで独唱する。
その独唱に続くように、残りの三匹が息を吸う。

     歓喜よ、神々の麗しき霊感よ
   「『Freude, schoner Gotterfunken,』」

                天上楽園の乙女よ
              「『Tochter aus Elysium』」

  我々は火のように酔いしれて
 「『Wir betreten feuertrunken.』」

                  崇高な汝(歓喜)の聖所に入る
                 「『Himmlische, dein Heiligtum!』」

ロバがバス。
犬がテノール。
猫がアルト。
鶏がソプラノ。
四匹の動物によるアカペラ。四人の音楽隊によるオーケストラ。それで歌われる、この歌は。

      汝が魔力は再び結び合わせる
     「『Deine Zauber binden wieder,』」

                     時流が強く切り離したものを
                   「『Was die Mode streng geteilt;』」

      すべての人々は兄弟となる
   「『Alle Menschen werden Bruder,』」

                  汝の柔らかな翼が留まる所で
                 「『Wo dein sanfter Flugel weilt.』」

誰でも知ってる、有名な曲。
『ベートーヴェン交響曲第九番第四楽章』。その名を――――

    ひとりの友の友となるという
  「『Wem der grose Wurf gelungen,』」

                  大きな成功を勝ち取った者
               「『Eines Freundes Freund zu sein,』」

        心優しき妻を得た者は
    「『Wer ein holdes Weib errungen,』」

                    彼の歓声に声を合わせよ
                   「『Mische seinen Jubel ein!』」


――――――――『歓喜の歌』。

111『鈴付き小狐ストラップ』@鈴元涼:2016/02/09(火) 23:54:18
>>108-109

「うふふ。」

「うふふふふふふ。」

「えへへへへへへ。」

「あっはっはっはっはっは!」

子狐が笑う。高らかに。
ちりちりと鈴を鳴らしながら。
天高く笑う。

「咲いた咲いた。」

「花が咲いて思いが実った。」

「うふふ。あはは。」

愉快に笑う。
ただそれだけだった。

「おめでとう。」

112『軍人フィギュア』@朱鷺宮涙音:2016/02/09(火) 23:57:27
>>108-109
「…流石です、やりましたね!ココロさん!!」
大きな拍手をしながら、軍人フィギュアは嬉しそうに答える。

「これはみんなのおかげ…
 そして貴女自身の思いの力です。」

「だから、誇りとしてください。」

「私が望むとしたら…
 最高の思い出になればと」

「……そう思います!」

113ココロ『RLP』:2016/02/11(木) 02:46:41
>>109(GM)

「レミさん……皆さん。ありがとうございます。
  貴女たちが来てくれたから、お店が回った……
   私のお願いを聴いてくれて、本当に、ありがとうございました。」

短くなった髪。
いずれまた、元の長さに戻るけれど――
 
          ・・・・それでも今日のことは忘れない。

「……ありがとう。
 良いところになったのは貴女のピアノの……お陰だわ。」

        「素敵な、……素敵な演奏だった。」

もう一人の自分。
夢と現の――鏡写しの演奏会。

           ・・・・ココロは自信を持って讃えられる。

「レイク爺、私も……嬉しいわ。
  ……うふふ、同じことばかりでごめんなさい。」
 
          「黄金翁も……ありがとうございます。
            気に入ってもらえて……本当に、良かった。」

湖畔に憑いた存在と。
湖畔を愛する妖怪と。

彼らが誇るこの店はきっと、本当に――『良い場所』に違いないのだ。

            ――――そして。

114ココロ『RLP』:2016/02/11(木) 02:48:54

「よるのとばりのみなさん……
 それに、……ピアニストさん。」

     「本当に、ありがとうございました。
       ……いつか、お店に行ったら。よろしくお願いします。」

『西の能力』を、群衆たちを解除してもらう――なぜなら。
  
     それで、全員そろう。
     ココロの『絆』たち。

7人そろった絆の面々へと、向き直る。
彼らは本人じゃあないけれど――来てくれた心は、本物だ。
感謝の気持ちは……伝えきれないほど、大きいけれど、それを、少しでも。

>>110(板踏)

       ・・・ニコ

「……ありがとう。板踏さん。
 貴方が来てくれて、本当に驚いたけれど。」

     「今は。貴方が、貴方達が……いてくれることが。」

笑み返す。
彼らの賛辞への返答は――言葉だけではないべきだろう。

          _,.、.-―-.、., ♪
       、-''´       `'-.、,_
―--:‐''^ ´   ♪
                             ♪                 _,.、.-―-.、.,
                                            、-''´       `'-.、,_
                                       ―--:‐''^ ´

                 ――『伴奏』

音楽で報いてくれた彼らには。
ココロは音楽を以って、返礼する。

                       ――本当に、嬉しい。

>>111(鈴元)

音楽が終われば――次に、『鈴元』に、目を向けて。

「…………鈴元くん。
 ありがとう、私、貴方みたいに、上手に笑えないけれど――」

「けれど。」

   「……う、うふふ。
      あ、あは、あははは」

             「とっても、笑いたい気分よ。
               ふふ……ありがとう、ありがとうね。」

                   「……ふふ。」

さくらのように、美しく、儚くは……今はなれなくても。
ココロは――この戦いで、鈴元といっしょに、花を咲かせたのだ。

                  ・・・・そこには歓喜と感謝しかない。

115ココロ『RLP』:2016/02/11(木) 02:50:40
>>112(朱鷺宮)

笑いが、引いてきて。
寄せてくるのは拍手の音。

そして――『朱鷺宮』の拍手に、振り返る。
戦いの能力ゆえに、この勝負では雑用ばかり任せることになった。

            けれど。

「……ありがとう、朱鷺宮さん。
  心配しないで、私、絶対に忘れないわ。今日の事……」

      「どこへ行っても」

           「いつになっても……
             ずっと、素敵な思い出だわ。」


「……それに! 想い出だけじゃあない。これからだって。
  ……朱鷺宮さん、貴女の力は、この先でも借りることになるわ、きっと。」

          「……よろしく、お願いね。」

想いの量は、決して、変りはしない。
そして――戦いはこれからも続く。二回戦以降は、彼女の力も重要だろう。

               ・・・・改めて、絆を紡ぎ合おう。

そして――今は動かない、四人の絆。
ノイズで届かないとしても、それを掻き分けて、届く音でありたい。

>西

「西さん……貴女の能力が、なかったなら。
 そもそも勝負にもなっていなかったかもしれないわ。」

一番初めに、であった絆。
一番長い時間を過ごした絆。

「……ありがとう。
 西さん、貴女の『群衆』は――本当に、素敵な能力だわ。」

     「そんな能力を持つ、貴女も。」

前にあったときは、その恩恵を、拒絶したけれど。
今日分かった。群衆は冷たい力だけれど、こんなに今は、温かい。

『やさしいスタンドだったら、その人の心のどこか一つは、絶対にやさしいんだって』

>エリー

――いつかそう言ってくれた『絆』に、視線を向ける。

「ありがとう、エリー隊長……
 貴女が助けに来てくれて、凄く嬉しかった。
 貴女がいてくれると、私、勇気が湧いて来るの……
     だから……今は、ゆっくり休んでいてちょうだい。」

      (それに……貴女がいなければ。
        私、今みたいに、『RLP』に自信が持てなかった。)

黄金翁を呼び出した、エリーの能力。
幸運を引き寄せる妖怪が――あの『一票』を呼び寄せたならば。

       ・・・・そして。

>高天原

「高天原さん。」

勝利への立役者といえば――彼もその一人だろう。
能力ではなく、『料理』という道で。

「また会いたいって、思っていて……
 こんな形で会うとは、思わなかった、けれど……
 今日はありがとう。貴方はいつも、私に色んなことを、教えてくれる……」

「私も、教えるって、約束していたわよね。
 オススメの曲……後で、演奏するわ。
 あの時の約束……本当の貴方には、また、今度。」

最後に残った絆は。他の絆とは、場所が違う。

116ココロ『RLP』:2016/02/11(木) 02:53:43
>坂下

「坂下さん……」

ずっとこの戦いで、彼女はココロの腕に着けられたまま。
だからそこに、視線を向けて。

「今日は……本当に、ありがとう。
 貴女にも、凄く、助けれられて……
 いえ……そう、そうよね。お話は……また、今度。」

        「これは――『きっかけ』だものね。
           ……きっとまた会って、お話させて欲しい。」
 
      「けれど。」

彼女との物語は――
今ここにある、『腕時計の坂下との物語』は――――

「貴女に……腕時計の貴女に、
 ……小物として来てくれた、貴女に、ありがとう。」

        「……そうも、伝えたいわ。
          この先の勝負でも、よろしくね。」

>『絆』全員

そして絆全員に、向き直る。

「坂下さんだけじゃあないわ……
 皆、本当の、今どこかにいるみんなだけじゃないの。」

           「……今日の皆に、ありがとう。
               きっと。きっと、絶対、忘れない。」

             「そして……この先も。
                      最後の最後まで、よろしくお願いね。」


                           . . : :♪
.                         . : ∮ :
           . . . .          . : : : :
         . . : : : : :|ヽ: . .     . : : :#: :
       . : : r‐┐ : C|: : : : . . . :c/⌒: : :
     . : : : d d : : :   : :♭: : : :
   . :c/⌒: : : :        : : :
. : :♪: : : :
 : : :

                      ――この『演奏』を。
                          ココロの一番好きな曲を、絆へと捧ぐ。  

                            一回戦程度で、おおげさか?
                             それでもいい。それがココロの、気持ちだから。

117『ある種の異能は場所に憑く』:2016/02/12(金) 23:37:17
>>113-116(ココロ)
『ココロ』は本日、手助けしてくれた者に感謝の演奏を送る。
とりわけ感謝したいのは『絆』たちだろう。

『ブレーメン板踏』の炎調整、『鈴元狐』の花弁、
『朱鷺宮フィギュア』の助力に、『西キーホルダー』の群衆たち、
『高天原妖精』のメニュー、『エリーペン』の黄金爺
そして『坂下時計』の時刻表変更………

わずか『一票』という差を考えると、
どれが欠けても今日の『勝利』は成り立たなかった。
もちろんそれは、協力してくれた全ての者(絆)に言える事だろう。

「ふィ〜〜〜、ずいぶん長いコトかかった気がするのォ」

 『レイク爺』がピョンピョン跳ねる。

「じゃがあと二戦勝てば、もう『優勝』ッ!
  今回の『ココロちゃん』の手腕を見ればチョチョイのチョイじゃわいッ!」

実際にはそう容易い事ではないだろうが………
とりあえず明日に向けて今日は休んだ方がいいだろう。

      「チョチョイのチョイじゃわいッ!」

勝利に舞い上がる『レイク爺』と共に、『ココロ』は帰路に着く。

  こうして、ココロの『場所祭』第一日は幕を閉じた―――


                        → TO BE CONTINUED
                       (そして、『エピローグ』へ………)

118『ある種の異能は場所に憑く』:2016/02/12(金) 23:39:09
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
        グラマラス・ライフ
  最期まで芳醇な人生でいられる、ってあたし自身が信じなきゃ

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
蝶の形をした『群体スタンド』。
『化粧品』や『美容道具』など様々な『美容用品』に擬態し、
対象にあわせて『着飾らせる』のが能力。

この蝶が対象の周囲を舞う事で、魔法のように『着飾らせる』事が出来る。
顔だけでなく露出している肌全てに『メイク』を行う事も可能な為、
『手の皴』なども十分に隠せる。

通常は『実体化』していないが、能力上、多くの者に見てもらう為、
『一般人に視認出来るかどうか』は、本体の任意にON・OFF可能である。

『グラマラス・ライフ』
破壊力:E スピード:B 射程距離:A
持続力:A 精密動作性:C(メイクはA) 成長性:完成

※『蝶』は普段は『ウィッグ』に『擬態』しており、薄くなった本体の髪を隠している。

<><><><><><><><><><><><><><><><><><><>

また、『繁華街』の小人の能力は、
『小さきもの』を『ゴージャス』に『輝かせる』事。
様々な色や輝度で、高精密に輝かせる事が出来る。

その能力に『実』は一切なく、ただただ見栄えばかりの『コケおどし』。
しかし、虚構に浸かった夜の街においては、
このような『虚栄』が『ピストル』よりも役に立つ事があるのだ。

119『ある種の異能は場所に憑く』:2016/02/12(金) 23:40:50
【艶美について】
 『小場艶子(おば つやこ)』は、今年で御年78歳であり、
 戦後まもなくから黄金で『水商売』をしていた。
 どうにも冴えない顔立ちと、生来の陰気な性格から
 仲間内から『お通夜』などと揶揄され、パッとしない毎日を送っていた。
 だが、ある日、艶子は『神通力』に目覚め、
 それを用いる事で華やかな『夜の蝶』へと文字通り変貌する。
 そのまま彼女はNO1となり、『黄金町』で店を持つほどの存在となった。
 ただ、自分が能力に頼った『偽者』であるという意識はずっと消えず、
 年をとるほどに余計にその意識は強くなっていった。
 特に飾り気の無い『若い綺麗な娘』に対しては強い『嫉妬心(ENVY)』を抱き続けていた。

【繁華街チームの基本戦略】
基本は『キャバクラ』のイメージ。
美しく話術は巧みだったが年齢により『NO1』を退いた
『熟練の女性』たちを集め、『グラマラス・ライフ』の『メイク技術』によって若く見せる事で、
『各世代のNO1の最盛期』を集めたような『ドリームチーム』を作っていた。
また、『グラマラス・ライフ』の『鱗粉』をまんべんなくフロアに散りばめておき、
その『鱗粉』に『ナイトくん』の能力を使用する事で、
『プロジェクトマッピング』のように床に『光で絵を描く』ような演出も行う。
(※『鱗粉』はスタンド物質であり、一般人には『干渉出来ない』というのがポイント。
  これにより客が歩いても『鱗粉』は留まったままで床に残り、
  『ディスプレイ』の役割をする『鱗粉』が崩れる事はなかった)。

以上、『グラマラス・ライフ』による『ドリーム・チーム』と、
    『繁華街の小人の能力』と『グラマラス・ライフ』の併せ技による、
    『フロア』の光の演出の二本柱が『繁華街チーム』の必勝法だった。

120『ある種の異能は場所に憑く』:2016/02/12(金) 23:43:16

……………………

………………

…………

……



そして、『湖畔』―――

佇む『ココロ』は『第一試合』の事をぼんやりと思い返していた。
『夜の店』を作る為に悪戦苦闘したあの『思い出』。


       そして、更に続いた『試合』たちの事………

121『ある種の異能は場所に憑く』:2016/02/12(金) 23:45:40
  <〜〜 『第二戦』 〜〜>

『倉庫街』にある無人の『闘技場』に、『ココロ』と『レイク爺』は招かれていた。
おそらく試合をやっていない時に『無断』で使わせてもらうという算段なのだろう。
(あるいは、賄賂的なものを『黒子』あたりが払っているのかもしれない)

 そして―――

『ココロ』達を待ち受けていたのは、
目だけが不相応にギラつくガリガリの男と、
サングラスをかけたこわもての『小人』だ。

     「…………」

先日の『ナイトくん』と打って変わって、
今回の『小人』はじっとこちらを見据えたまま、喋らない。
正直言って、怖い。このサイズなのに相当の威圧感を感じる。

「ヒヒ………ボクの名は、
   『逸母 路夢(いつも ろむ)』………
               『闘技場』の常連だよ………

   常連っていっても…ボクは『戦う』方じゃあなくて……
        『見る方』……だけどね……
            『観戦フリーク』………ってヤツだ。

       こっちは………『アウトさん』……っていうんだって………」

それなりの間が空いた後、
ガリガリの男が『小人』も含めて自己紹介をし始める。

『ロム』と名乗るこの男………
『代表』にはてっきり『闘技者』が出てくるのかと思ったが、『観戦者』。
しかもとうてい、『強そう』には見えない。
この『場所』のイメージのまま、『戦い』が今回の対戦方法ならば、
もしかすると、そう手強い相手ではないのかもしれない。


「ほっほっほ、今回の『倉庫街』は『ハズレ』かもしれんのォ〜〜」

 『レイク爺』が大きな声で『ココロ』に耳打ちする。

「大きな声では言えんが、『倉庫街』の小人らは
 世間からハグれたようなヤツとか、戦闘バカしかおらんのじゃよ!
  元々悪いヤツと闘技者が主に集まる場所じゃから当然とも言えるが………
   なにかっちゅうと暴力で解決! 会話とか説得がニガテなヤツが多くてのォ〜〜〜
    じゃから『説得』が上手くいかんで、とりあえず居ないよりマシって感じの
    よわっちいヤツが『代表』になる事も多いのじゃよ!」

つまり、眼前の男は倉庫街の小人にとっての『ハズレ』、
『レイク爺』の言う『よわっちいヤツ』、という事か。

「ヒヒ………聴こえてるよォ。
 まァ………いいけどね。ナメてくれる分にはさァ」

『ロム』が不気味に笑い、『アウトさん』のグラサンが光る。
その光景に『レイク爺』は慌てて『ココロ』の後ろに隠れた。

「………でもいいかい? ロムの経験上、
  闘技場では『相手をナメたヤツは大抵やられる』。
   ………今夜、噛ませ犬になるのは、キミかァ、ボクかァ」

『ロム』は『スマホ』を弄る。サイズの大きいそれには、
何かの『データ』がズラッと書いてあるように思えた。
それにプラスしているのは、おそらく『ココロ』のデータではないだろうか。

         「………ヒヒ、愉しみだなァ………」

『ロム』の不敵な笑みに、『ココロ』の背筋に冷たいものが走る。

確かにこの男自体は貧弱そうだが、ほぼ確実に『スタンド使い』。
そして、この自信―――何かおそるべき能力を秘めている可能性もある。
(申し訳ないが)『レイク爺』の言う事を鵜呑みにするわけにはいかないだろう。

122『ある種の異能は場所に憑く』:2016/02/12(金) 23:49:12
  <〜〜 『最終戦』 〜〜>

「言い忘れておったが、
  『絆』が動かないのは、『絆』の相手が忙しい以外に、
       もう一つ! 理由があるのじゃあぁああッ!」

                             『レイク爺』が叫ぶ。

『鈴元の狐』と『朱鷺宮の軍人』が動かない理由―――
『対戦相手』の姿を見た瞬間、『ココロ』はその理由に思い至る。

「あら! ココロさん!
      その節はどうもありがとうございます」

ゆるくカールがかった『長髪』。目は勝気な『つり目』。
学園の『ブレザー』を膝丈のワンピース風に改造していて、
『白いレース』の長手袋をしている。

『ココロ』には『彼女』と面識があった―――。
『彼女』が………『学園の代表』、決勝戦の対戦相手ッ!!

『絆が動かない』もう一つの理由とは、
 おそらくは『ココロより絆の深い相手と対峙した時』だろう。

「このたび、わたくしがこの『学園』の代表として
 試合をさせて頂くことになりましたの。どうぞお手柔らかに」

眼前に居るのはまごう事なく『彼女』に見える。
………しかし、どこか、『違和感』を感じる。


 すた すた
         すた すた すた

          「私が『教育』してあげたのですよッ!」


         バァーz________ ン !


と、そこに物陰から颯爽と現れたのは眼鏡をかけた一人の小人だ。

「私は『スコラ』。『スコラ先生』と呼んで頂いて構いません!」

 突然出現した『スコラ先生』と名乗る小人が堂々と宣言する。

「『教育』の成果はてき面ッ!
 部長を勤める彼女はもうすっかり私好みの『優等生』となりました!」

『スコラ先生』のその言葉に心酔しているかのように、『彼女』は深く頷く。
その様子も明らかに、おかしい。


    プルプル
               ブルブル

 ………気付くと、二つの『絆』が震えている。
    それが『困惑』なのか『怒り』なのかは分からないが―――
      『彼女』と近しい二つの『絆』が、現状をよしとしていないのは確かだ。

  二つの『絆』に助けられてきた『ココロ』には
   その震えを止めてやる義務があるだろう。
     すなわち、眼前の『対戦相手』に正々堂々打ち克ち、
         『彼女』の心を下らない『教育』から開放してやるのだ!

123『ある種の異能は場所に憑く』:2016/02/12(金) 23:51:08


  ………
         ………
                ………
                      ………

今思い返してみても、あの強豪たちにどうやって勝ったのか。
無我夢中で戦い抜いた記憶は、
泥のような眠りの中の一かけらの『夢』のようで、どこか『曖昧』だった。

 『勝った』―――
  しかし、とにかく『ココロ』は『勝った』のだ。

                それは紛れもない事実。


 今日は試合終了後の『翌日』。
  『レイク爺』がお礼を言いたいという事で『湖畔』に出向いてきたのだった。
  時刻は………夜。いつもなら『ココロ』が出歩く時間ではないのだが、
  『レイク爺』の強引な指定に、否応なく付き合わせられる形となった。

   ゴ ォ  ォ ォ ォ
                ぉ ぉぉ  ぉ ぉ


  そして―――『あの日』のように『レイク爺』は『湖』から這い出てきた。

      「待たせたのぉッ! 『レイク爺』じゃァ―――ッ!」

124ココロ『RLP』:2016/02/13(土) 00:01:27
>>123(GM)

  ………
         ………
                ………
                      ………

       湖面を眺める。

あの日と違い、時間は夜で。
ココロは――

  ゴ ォ  ォ ォ ォ
                ぉ ぉぉ  ぉ ぉ


             「――!」

レイク爺の、目を向ける。
湖から離れる事はない。『彼』が来るのを、待つ。

「いいえ、レイク爺……今来たところだわ。
 ……う、うふふ……あの時と、同じ。派手な登場ね。」

         「……」

              「……ありがとう、レイク爺。
                私も…貴方に、お礼を言いたいから。」

125『ある種の異能は場所に憑く』:2016/02/13(土) 00:09:33
>>124(ココロ)

「おお、そうかい!
  『ココロちゃん』。『水溜ココロちゃん!』」

昨日会ったばかりだというのに、『レイク爺』は再会に感激しているようだ。
おそらく昨日からの『祭り』の余韻がまだ身体に残っているのだろう。

「『湖畔』の為にがんばってくれてありがとのォ。
 おかげで一等賞になれた。『感無量』とはまさにこの事!
 出来たら、ずっとずっとここに遊びに来て欲しいとワシは思っちょる!」

  『レイク爺』はぴょんぴょんと跳ねる。

126ココロ『RLP』:2016/02/13(土) 00:18:36
>>125(GM)

「こちらこそ……貴女のおかげで、素敵な経験が出来た。
 私……今までより、少しだけ……自分に、自信が持てる気がする。」

         ニコ ・ ・ ・

ココロは穏やかに、微笑む。

  初めは、半ば乗せられての参加だった。

     ・・・今は違う。あの『場所祭り』は、とても尊い。


――そして。
湖畔。湖に映る月、星。草の匂い、風の音、虫の声。

  「うふふ……」

            「ええ、そのつもりよ。
             言われなくたって、私は。」

「湖畔が……この町の、この場所が、一番……大好きだから。」

『水溜 ココロ』は湖畔を愛する。
湖畔も、ココロを愛してくれている。

     (……ここで会った人には、いい人がたくさんいる。
       それに……これからは。ずっと。あの祭りのことを、思い出せる。)

                   (……私の一番、特別な場所。)

127『ある種の異能は場所に憑く』:2016/02/13(土) 00:36:42
>>126(ココロ)
『ココロ』は改めて『湖畔』への思いを吐露する。
夜の『湖畔』は昼間とはまた違う雰囲気だったが、
その存在、その全てが『場所祭り』での勝利を祝福しているように思えた。

「そうかそうか! ならよかったのォ!」

  『レイク爺』は『ココロ』の返答にぴょんぴょん喜ぶ。
   しかし、ふと何かを思いついてしまったようにその表情が曇り―――

 「ただのォ〜〜〜………
    オヌシのようなキレイで儚げなオナゴは、
   ちょっとした拍子にどこか遠いトコロに行っちゃう気もしとるのじゃよ、ワシは。
   ある日、突然会えなくなる。
    そんな日が急に訪れてしまう『不吉』な予感じゃァ………」

 『レイク爺』はしょんぼり肩を落とす。
   不思議な存在の不思議な『第六感』、という事だろうか。

  「ここで生まれたワシは『湖畔』のみならず、この『黄金町』の全てを愛しとる。
   それは『ココロちゃん』、オヌシもそうじゃろう。

   しかし、ニンゲン、『ぬきさきならない状況』に巻き込まれる事もある。じゃろ?」

そんな事が起こりえるのだろうか?
もしかすると『レイク爺』のただの取り越し苦労なのかもしれないが―――

128ココロ『RLP』:2016/02/13(土) 00:52:41
>>127(GM)

「…………あ、会えなく……なる?
 わ、私は……そんなことは、ないと思うわ……
 私はこの湖が……それに、ええ。皆がいる、黄金町が好き。」

          「…………だけれど。」

ココロはまだ――子供だ。
そうでなくても、世界という『海』の中で、全てを決められるわけではない。

「レイク爺、私は……そう、ね。
 もしかすると、親が引っ越すかもしれない。
 もしかすると、想像もつかないことが、あるかもしれない……」

           「………」

                ・・・ココロは湖面を眺める。

湖に映る夜空は――きっとどこから見ても、同じものだろう。
そう思うけれど、いつかこの町を離れる時が来たとしたら。

          「…………」

「……レイク爺、その時は。もし私がどこかに行ってしまったら。
  貴方が……皆が……ねえ、私のことを探して、追いかけてくれるかしら……?」

ココロは……湖面の星空を見ながら、笑う。
世の中、何があるかなんて、分からない。

スタンドを得たこと。
テレビと急流下り。
哀しい人形のスタンド。
得難い友を得たこと。
テロに巻き込まれたこと。
ミスコンで優勝したこと。
敵と戦ったこと。

     ・・・そして、昨日までのこと。

       「……う、うふふ、なんて。これが私の我儘。
          でも、もしそうじゃなくても……私、忘れないわ。」

               「どんなことがあっても、レイク爺。
                場所祭りの事、この町で、湖畔で過ごした時間。」

                                  「…………絶対に、忘れないもの。」

129『ある種の異能は場所に憑く』:2016/02/13(土) 01:07:26
>>128(ココロ)
「ふゥむ………」

『追いかけてきてくれるか』との問いに『レイク爺』の表情は曇る。

「ワシはここで生まれた『存在』じゃし、
 『湖畔』を、そして今はほかの『場所』の小人の代表である『場所長』じゃあ。
 残念ながらここを離れる事はできんかもしれんのォ。

  じゃが、『絆』は―――『ココロちゃん』といつでも繋がっておる!」

 そう言いながら『レイク爺』が差し出して来たのは、

  『腕時計』『狐のぬいぐるみ』『軍人のフィギュア』『群衆のキーホルダー』
  『パンダのボールペン』『音楽隊のぬいぐるみ』『雪の精霊人形』。

   いずれも『場所祭り』中、『ココロ』を支えてくれた大切な『絆』たちだ。

「『こやつら』だってそうじゃ!
  これから『こやつら』とは違う道を歩むかもしれん。
   しかしあの『祭』のさなか、『こやつら』とオヌシには『絆』があって、
    力をあわせてみんなで危機を乗り切った! それは紛れもない事実じゃ!

   ええか? 『絆』じゃよ!
    ココロちゃんのピアノだって『聴いてもらえる人』が居るからこそ輝くのじゃ。

     楽しい『演奏会』が始まってしまえば、誰が偉いなんて事はない。
             ただただ、『みんなで楽しむだけ』じゃ!

     どこに行っても、どんなに年を重ねても、その事だけは忘れんで欲しいのォぉ!」

  『レイク爺』は熱心に『ココロ』に訴えかけてくる。

    老人は『説教』が好きだ。それに『湖畔』が一位になった事で
     気分が高揚し、逆に情緒不安定になっているのかもしれない。

130ココロ『RLP』:2016/02/13(土) 01:17:50
>>129(GM)

「……そう、そうよね。いえ、いいの、わがままだもの――」

レイク爺と同じように、曇る表情。
だけれど、続く言葉に。
差し出された絆達に。

           ・・・暗い表情は、していられない。

      「絆……」

「楽しむ、だけ………………」

思うに――ココロは今まで、一人じゃあなかった。
一人きりでいられる生き物では無かった。

              ――『RLP』。

『友達が欲しい』と願って目覚めた力。
それがココロのはじまり。


「……ええ、忘れない。
 レイク爺、それに絆の皆も――いいえ。」

         「……これまでに出会った皆のこと。
           ……これまでに、私が見てきた物。」

ココロはこれから先、どんな道を歩んでいくのか――それは分からない。
ましてや、絆の面々や、レイク爺は。

       けれど。

「全部、私の大切な物として、心の中に残っている。
 ……いつまでも。いつまでも。だから私は……忘れない。」
 
           「これから、私がどう変わっても……
             ……心の中の皆が、好きでいてくれた私を、なくしたくない。」

                           ・・・ココロは、そう、強く頷く。

131『ある種の異能は場所に憑く』:2016/02/13(土) 01:28:59
>>130(ココロ)
「ウム……」

『ココロ』の言葉に、『レイク爺』は賛同するように、深く頷く。

「そうじゃ! これらは持っていくといいぞい。
 ワシが居ない以上、もちろん『能力』などは使えんが………
 それより『大事なもの』が詰まっているはずじゃの!」

 そんな言葉とともに『ココロ』は『絆たち』をプレゼントされる。
 他の者が見ればガラクタにしか思えないそれらだが、
 『ココロ』にとってはまったく違った価値を持っている事だろう。

  「なんだか湿っぽくなっちゃったが………
            見てみい、今宵は『星』が綺麗じゃ!
         難しい事はおいておいて、
                今夜くらいはともに見ようぞォ!」

        『第一試合』で『ココロ』が表現した『湖畔の星』。
             新たな道を照らすかのように、
            まるで『黄金』のように瞬いていた。

132ココロ『RLP』:2016/02/13(土) 01:35:02
>>131(GM)

「…………ありがとう。」

「ええ。能力なんて……関係ないわ。
 それより大事なことって、いくらでもある……」

            (……ありがとう。みんな。
              ……ありがとう、レイク爺。)

       ギュ

『絆』の小物たちを受け取るココロ。
これから何があろうとも。

     ・・・それを失う日は、きっと来ない。
         ココロは、そんな風に、生きていきたい。


「! ……ええ、そうよ、そうよね。
 せ、せっかく……家を、抜け出してきたんだもの。」

           ・・・
                 ・・・

       「うふふ……ねえ、レイク爺。
         この町って……素敵よね。
          あのお星さまにも、負けないくらいに。」

                       「……………私、やっぱり。
                         ねえ、レイク爺……私、ここが好き。」

                                       「きっと、ずっと――」

133『ある種の異能は場所に憑く』:2016/02/13(土) 01:51:33
>>132(ココロ)
星を見ながらも、『黄金町』への最大限の愛情を語る『ココロ』。
ここで生まれ育った彼女ならば、当たり前の事だろう。
この場所に憑く『レイク爺』にも、当然その気持ちはあるはずだ。

      本当にこの町には、『感謝』しかない。

   ………
           ………
                      ―――と、ここで。


「お!
           おおお!
                          おおおおおッ!

  で
      で

              で

                  で、で、でおった! でおったぞォ!

                  『エジャチシュヌシさま』じゃあああああ!」


    唐突に、『レイク爺』の叫び声が湖畔を響かせる。

           『エジャチシュヌシさま』。

確か、『第一試合』の際に『レイク爺』が口走っていた謎の単語だ。
流れ的におそらくは『湖畔の主』や『神様』的な意味ではないかと推察されるが………
 地にひれ伏す『レイク爺』を横目に、『ココロ』はその『エジャチシュヌシさま』とやらを観察する。


      『?』
                                   『!』


                  『 ! ? 』

 『あの影』
           『あの形』

                    恐竜みたいな『あのフォルム』は………

    『いた』
                       本当に、『いた』!


  そして、

               ( ぱ ち く り )


                  ―――『ココロ』と『それ』とで、目があった。


  ……… ………  ……… ………  ……… ……… ……… ………


      日本有数の汽水湖『H湖』は、北側は深く、南は遠浅。

         ウナギ、カキ、スッポンの養殖が盛んな他、

             マリンスポーツのメッカでもある。

       『湖畔』は、『H湖県立自然公園』にも指定されている。

       そして現在、『場所祭ランキング』―――『第一位』。



                                   『ある種の異能は場所に憑く』→『了』

134『ある種の異能は場所に憑く』:2016/02/13(土) 01:57:55
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
             ライト・プレイス   ライト・タイム
          ああ、『この町』! 輝かしき日々よ―――

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
どこからか綿毛にのってやってくる
『完全自立型』の無数の小人のスタンド。

憑依した『場所』ごとに『コミュニティ』を造り、
それぞれの『場所』独自の、『小さきもの』に作用する能力を持つ。

定着すると次第に『文化』のようなものを持ち始め、
各々の『場所同士』で交流したり、張り合ったりもし始める。
普段は無用な諍いを避ける為、
まず人目にはつかないところに棲息している(例外もある)。

『ライト・プレイス・ライト・タイム』
破壊力:D スピード:C 射程距離:町
持続力:A 精密動作性:C 成長性:A

本体は不明だが、町に愛着を持って死んだ者か、
あるいは『場所』そのものなのかもしれない。
いずれにせよ、今現在、彼らは誰かに操られる事なく『完全自立』している。

当ミッションで開かれた『場所祭ランキング』はあくまで
この『小人たち』が勝手に行っている『格付け』である。
いうなれば『野良猫』たちが『猫会議』でそれぞれの住処のランキングを決めたようなもので、
このランクが人間世界や環境に影響を及ぼす事は一切ない事をここに宣言しておく。

135『ある種の異能は場所に憑く』:2016/02/13(土) 02:06:51
『ココロ』の元に『中古のピアノ』を買い戻したいとの話が来たのは、
『第一試合後』すぐだった。なんでも『ピアノ教室をやっていた祖母の形見』とかで、
孫が気づかないうちに売られてしまったのだという。
孫は『資産家』で、金に糸目をつけずに『ピアノ』を再購入してくれた。

そんなわけで『ココロ』は結果的に当初より少し『お金持ち』になれた。

ニヤニヤと事の顛末を見ていた『黄金爺』は
この後ほどなくして、『エリーペン』の解除と共にオサラバとなった。

                    →最終的に元々の所持金+『20万円GET!』
                   そして、『数え切れないほどの絆もまた、GET!』


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