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【個】『門倉姉弟の語り尽くせぬ四方山話』 第二話【ミ】
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:
『ある種の異能は場所に憑く』
:2016/02/06(土) 20:56:41
『SHOW』も終わりに近付いた頃、『艶美』は、ふと『対戦相手』を思い出す。
『あんな若い娘』相手に真面目にやりすぎちゃったかしら?
ちょっと大人気なかったかもね、などと考える。
しかし―――『若さ』だけに甘えた世間知らずのお嬢様には、
全力を持って『世間の厳しさ』を教えてやるのも、大人の義務だ。
『イルミネーションショー』は本物さながらの無数の『蝶の舞』を映し出している。
いよいよ『ラストの演出』だ。煌びやかでド派手な、ギラギラした『夜の華』。
圧倒的で妖艶な『輝き』に、酔いしれさせる事が『夜の店』の責務だ。
あの若造の多少の小細工では、到底達する事の出来ない『境地』。
負けるはずは―――微塵も無い。
「よかったな! ハデな演出!」
「すごいね〜〜!」
「トキエちゃんも知ってたの? これ」
「こんなのあるなんてなァ」
『SHOW』が終わると、『客』たちの賞賛の声が聴こえてくる。
当然だ。現代技術の最先端以上の光景を見せられて、
感動しないものなど居るはずはない。
「でもさー」
………?
「あっちも素朴で良かったよなあ。ピアノも上手かったし」
「あ、俺も思った。派手なのばっかりだとヘトヘトになるっつうか?」
「バブル期じゃないんだし、会社終わりで更に盛り上がる! てのもなァ」
「コスチュームもなんかほのぼの系つうか? 癒し系なんだよなあ」
まだ社会に出てそう日も経っていないだろう若いサラリーマンたちが喋っている。
その内容………あっち? あの小娘の『店』の話か?
…………
やはり、未熟な感性では未熟なものしか理解できない、そういう事か?
『艶美』はこの僅かな綻びに、一抹の不安のようなものを感じていた。
「『艶美ちゃァん』! ちょっと眉間に皺よっちゃってますよ! スマイル! スマイルぅ!
ひな鳥がピーピー鳴いたところで、大勢にエイキョーなし! ドォンと構えてたら良くないッスか?」
その『不安』を『ナイトくん』が一蹴してくれる。
そうだ、『艶美』がこの小人に協力しているのは彼のこんな底抜けの明るさを気にいったからだ。
そんな彼が、『艶美』が輝く『一夜』を用意してくれる………『艶美』はこれに『応える』必要がある。
もう客はほとんど捌いたはずだ。もうすぐ『決着』―――
『繁華街』が自フィールドの時、私たちは『負けた事がない』。
少なくともあんな『小娘』に打ち破れるような、ヤワな『店』ではないはずだ。
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