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僕たちのピグマリオン先生のようです 2

579名も無きAAのようです:2016/02/04(木) 04:06:23 ID:LHuZp9P20



( ´_ゝ`)『とにかく、ハインの怖い話は勘弁な!』

爪'ー`)y-『んー、じゃあ、貞子なんか面白い話ねぇの?』

川;д川『え、私ですか?』

( ´_ゝ`)『さっきからずっと黙ってるけど、どうかしたの?部活には積極的に参加しなきゃだよ?』

川д川『怖い話をするのが部活動だったんですか、米道部は』

爪'ー`)y-『でも、本当にハインの怖い話はやばいぜ?後味が悪い結末ばっかりで』

川д川『へぇ…。高岡くん、怖い話好きなんですか?』

从 ゚∀从『好きっていうか、話のネタになるからね』

580名も無きAAのようです:2016/02/04(木) 04:07:47 ID:LHuZp9P20


川д川「って、やり取りしましたよね?」

从 ゚∀从「確かにしたね」

川д川「どうしてバッドエンドが嫌いな高岡くんが、後味の悪い怖い話をたくさん知ってるんですか?」

从 ゚∀从「それは、みんなと話す時にネタになるからで…」

川д川「確かに、話のネタになるという発言あの時は私もそういう意味で言ってるのかと思っていました。でも、本当は違いますよね?」

从 ゚∀从「…何が言いたいんだい?」


川д川「…あれって、本当は『話を書くときのネタになる』、って意味ですよね?」

(;-_-)「な、なるほど!」

581名も無きAAのようです:2016/02/04(木) 04:09:24 ID:LHuZp9P20


从 ゚∀从「…」

川д川「…どうですか?他にも沢山ありますが、まだ足りませんか?」

从 ゚∀从「……」

(-_-)「高岡くん?」



从* ゚∀从「…あっははははは!やっぱり君は最高だよ、貞子!」

(;-_-)「!?」

川д川「…どうやら、満足していただけたようですね、狂本くん」



从 ゚∀从「…あぁ、“伏線回収”ご苦労様ってところかな」


.

582名も無きAAのようです:2016/02/04(木) 04:10:13 ID:LHuZp9P20


(;-_-)「伏線回収ってことは、やっぱり…」

从 ゚∀从「…えぇ、貞子の言う通り僕こそがバッドエンド作家、『狂本クルウ』ですよ」


川д川「…どうしてこんなことをしたんですか、狂本くん」

从 ゚∀从「それは前々から言っているけど、君がどうして転校したか知りたかったからだよ」

川д川「だからって、シベリアから転校してくるなんて…」

从 ゚∀从「…転校くらいするさ。だって、君は僕にとって大切な友達なんだから!」

川д川「…狂本くん」

583名も無きAAのようです:2016/02/04(木) 04:10:59 ID:LHuZp9P20


(-_-)「貞子さん、なんで転校してきたか説明してあげたら?」

从 ゚∀从「いや、もう説明してもらわないでも平気ですよ。貞子はシベリアがつまらなかったって言ってましたし…」

(-_-)「学校がつまらなかった、だけで貞子さんが転校するとは思えないんだよね。それに、つまらなかったとはいえ、高岡くんという友達はちゃんといた訳だし」

从 ゚∀从「確かに、友達なのに何の説明もなく転校されてショックでしたけど、僕の存在くらいで転校しないというのは無いのではないかと…」

(-_-)「…いや、むしろ、高岡くんの存在があったからこその転校だったんじゃない?」

从; ゚∀从「え?」

川;д川「!!」

584名も無きAAのようです:2016/02/04(木) 04:11:39 ID:wy0hcyrE0
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585名も無きAAのようです:2016/02/04(木) 04:11:56 ID:LHuZp9P20
(-_-)「だって、貞子さん言ってたじゃない」



川;д;川『あなたは、私にとってシベリアでの唯一のお友達で、私が誰よりも幸せになって欲しいと願ってた人なのに…!』


(-_-)「あれだけ大事に思っている友達を、説明もなく転校して悲しませるようなこと、貞子さんがするとは思えないんだよね。…何かよっぽどの理由がない限り」

从; ゚∀从「そ、そうなのかい?貞子!」

川;д川「…それは」

586名も無きAAのようです:2016/02/04(木) 04:13:02 ID:LHuZp9P20


(-_-)「貞子さん」

从; ゚∀从「教えてくれ、貞子!どうして君は、僕をおいて転校してしまったのかを…!」

川;д川「でも、でも…!」

从; ゚∀从「頼む、貞子、真実を教えてくれ…僕は君が転校してから、ずっと怖くて怖くて仕方がなかったんだ。君が転校してしまったのは、僕のことを嫌いになってしまったんじゃないかと…!」

川;д川「そんなことないですよ!私が狂本くんを嫌いになるだなんて、そんなことありえません!」

从 ゚∀从「じゃあ、どうして、僕を置いて去ってしまったんだい?」

川;д川「…真実を話せば、狂本くんはショックを受けるかもしれませんよ」

从 ゚∀从「それでも、知りたいんだ。もし、君がそのことで苦しんでいるのなら、僕に分けて欲しい。僕はどんな時でも君の味方なのだから」

587名も無きAAのようです:2016/02/04(木) 04:13:47 ID:LHuZp9P20

川д川「…でも」

(-_-)「貞子さん、大丈夫だよ」

川д川「大丈夫って、何も知らないくせに…」

(-_-)「大丈夫だよ。高岡くんだけじゃなくて、僕もついてるんだから」

川д川「……相変わらず、先生にそう言われると、本当に大丈夫な気がするから不思議ですね」

(-_-)「だって本当に大丈夫だもの」

588名も無きAAのようです:2016/02/04(木) 04:16:07 ID:29mi3vgk0


川д川「はぁ…」

川д川「…わかりました、話します」

从; ゚∀从「ありがとう、貞子!」

川д川「大丈夫っていったんだから、責任もってくださいね、ヒッキー先生」

(-_-)「もちろんさ」


川д川「……少し長くなるかもしれませんが、シベリアにいた時のお話をさせていただきますね。どうして私が、転校したのかを…」

589名も無きAAのようです:2016/02/04(木) 04:18:11 ID:LHuZp9P20

長くなると思うので、今回はここまで。
次から貞子のシベリア時代のお話。
消費したお題は、次の話書いたらまとめて書きます。

590名も無きAAのようです:2016/02/04(木) 07:55:47 ID:GVi52jE.0
おつ
いいところで切りよる…

591名も無きAAのようです:2016/02/04(木) 12:36:24 ID:yVkwPr9U0
まさかの冗談の米エンドがここまで使用してもらえるとは嬉しすぎる!!
のんびり続き待ってます!

592名も無きAAのようです:2016/02/05(金) 04:36:49 ID:MHVUdFBs0


593名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 04:39:49 ID:NYzjkL4w0



一生懸命受験勉強して、入学したシベリアで私が学んだことといえば、勉強ができれば良いってわけじゃない、ということでした。

『土井貞子、本当頭良いよな。絶対勝てねぇよ』

『なんたって、小学校の時から秀才で有名だった卯速ニュッですら敵わないんだもんな』

『ま、俺らにも一つだけ勝てることあるぜ?あいつに』

『勝てることあんの?俺ら』


『友達がいるっていう点においては、勝ててるさ』

594名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 04:42:38 ID:NYzjkL4w0

川д川『……ない』

( ^ν^)『なんだぁ?土井、お前また教科書隠されたのか。仕方ねぇな、お前がどぉおおおしてもっていうんなら、席が隣の俺様が教科書見せてやってもいいぜ?』

川д川『結構です』

( #^ν^)『人の親切をてめぇ…!』

ヒソヒソ…

『…ニュッの奴、また土井貞子に話しかけてるよ』

『お似合いだろ、冷徹な学年首席様と、嫌われ者の万年二位コンビ』

『確かにな』

( #^ν^)『おい、聞こえてんぞ、てめぇら!誰が万年二位だと?!次のテストこそは、こんな根暗女、負かしてやるっつーの!』

( ・∀・)『朝から威勢がいいなぁ、ニュッ』

( ;^ν^)『…せ、先生、おはようございます』

( ・∀・)『まったく、僕以外の先生だったら怒られてたぞ?』

( ;^ν^)『すいませんでした』

( *^Д^)『ニュッざまああああ!』

( #^ν^)『あの脳筋め…』


川д川『…』

595名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 04:43:46 ID:NYzjkL4w0
憧れていた学校生活は、毎日が退屈でつまらないことの繰り返し。
勉強ができれば学校生活は楽しめるかと思っていたけれど、むしろ、妬まれて教科書を隠されたり、地味な嫌がらせをされる毎日。

川д川(くだらない…つまらない…)


( ・∀・)『さて、今日はこのクラスに新しい仲間が加わることになった』

( *^Д^)『え、何、転校生!?』

( ・∀・)『あぁ。…しかも、みんなも知っている有名人がね』

( ^ν^)『有名人?』

( ・∀・)『入ってきていいよ』


ガラッ
『…ししし失礼します』


ザワッ…!

( ;^Д^)『え、ちょ、ええええ!?』

( ;^ν^)『んな、まさか…!?』



川 ゚ 々゚)『ぼぼぼ僕は狂本クルウですすす。よろろ、よろしくお願いします…』



( ・∀・)『今、世間を騒がせているバッドエンド作家、狂本クルウくんだ。みんな、仲良くするように』


( ;*^Д^)『えええええええ!?』

( ;^ν^)『だ、大ファンなんだけど…』


川д川(天才バッドエンド作家、狂本クルウか。…ま、私には関係ない話ですね)


天才バッドエンド作家の狂本くんは、瞬く間に学校の人気者になりました。私のつまらない学校生活にはまったく無関係な存在…

で、終わるはずだったのに

596名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 04:44:52 ID:NYzjkL4w0



川*ー川『…うまく描けた』

ガラッ!

川 ゚ 々゚)『…』

川д川『…狂本くん?美術部に何か御用ですか?』

川 ゚ 々゚)『こ、こ、この絵』

川д川『これですか?今度開催されるコンクールに出す予定の油絵ですけど…』

川 ゚ 々゚)『…うう、うっ』

川;д川『え?な、なんですか、どうかしましたか?』


川* ゚ 々゚)『ううう美しい、いま、今までみたどんな絵よりも…』


川;*д川『…え?』




これが、中学一年生から同じクラスだった私と狂本くんの、中学三年目にして、初めての会話でした。

597名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 04:45:55 ID:NYzjkL4w0
私たちは瞬く間に仲良くなりました、まるで今までの空白の期間を埋めるかのように。

川д川『…遅いなぁ、狂本くん』

ガラッ

川 ゚ 々゚)『貞子、お、お待たせ!』

川д川『狂本くん、待ってましたよ』

川 ゚ 々゚)『最近仲良くなった隣のクラスの友達と、長話しちゃってたたた』

川д川『そうでしたか』

598名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 04:46:37 ID:NYzjkL4w0

仕事が忙しくて、あまり学校に来れない狂本くんでしたが、学校に来た時は放課後、必ず美術部に来てくれました。その度に、二人でお互いの作品について感想を述べあっていました。

川д川『新刊読みましたよ。主人公が死ぬシーン、まさか前半に出てきた喘息を患っている設定がラストで関わってくるとは…いい伏線でしたね』

川* ゚ 々゚)『あ、ああありがとう。コンクールに出てた貞子の作品も、よかった。夕陽の風景画が、特に…』

川д川『…夕陽好きなんですよ、私。なんか寂しい感じがして』

川 ゚ 々゚)『さ、寂しい感じがするのに、好きなの?』

川ー川『寂しそうな夕陽を見ていると、私なんかでも受け入れてくれそうな気がして。まぁ、思い上がりかもしれませんけどね』

川 ゚ 々゚)『…夕陽が受け入れなかったとしても、僕が君を受け入れるよ』

川д川『あのー、前々から思ってましたけど、狂本くんって、実は普通に喋れますよね?』

川; ゚ 々゚)『そそそそんなことない!』

川д川『ま、狂本くんがそういうならそれでも構いませんけどね』

599名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 04:47:20 ID:NYzjkL4w0

川 ゚ 々゚)『と、ところで、僕も前から聞きたかったんだけど』

川д川『なんですか?』

川 ゚ 々゚)『どうして、美術部以外で貞子に話しかけちゃいけないのの?』

川д川『…ほら、狂本くん人気者ですから、いつも周りに大勢の人がいるじゃないですか。教室で話してたら、みんなとも話さなきゃいけなくなるのが嫌なんです。私、あんまり騒がしいの好きじゃないですので』

川 ゚ 々゚)『あ、そ、そうかぁー。確かに、大勢いるから、うるさいよね。静かなのが好きな貞子には』

川д川『はい、だから美術部だけでお話しましょうね』

川 ゚ 々゚)『うん、わ、わかったぁ』


とびっきりの嘘でした。
ただ私は、学校で嫌われ者の私と、学校で人気者の狂本くんが関わっていることをバレるのが嫌だったのです。

600名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 04:48:11 ID:NYzjkL4w0




从 ;∀从「貞子おぉおおお!」

川д川「…そんな泣かないでくださいよ、狂本くん」

从 ;∀从「だって、貞子が教科書隠されたりしてるのも知らなかったし、嫌われてるのも気付かないで僕はのうのうと生きてたなんて…ああああ!」

川д川「別に他の人たちに嫌われてたの、私、一ミクロンも気にしてなかったですけどね。教科書も隠されたって、内容覚えてたから平気でしたし」

(-_-)「…じゃあ、貞子さんはどうして二人が関わっているのがバレるのが嫌だったの?他の人なんて眼中になかったみたいなのに」

川д川「私はただ狂本くんに嫌われたくなかったんです。もし、狂本くんと私が関わっているのがバレたら、私に関する良くない噂を狂本くんに知られることになったでしょうから」

从; ゚∀从「そんな…僕はどんな噂を聞かされたとしても、絶対に気にせず君と一緒にいたよ!」

川д川「…まぁ、その噂がデマなら私も気にしなかったでしょう。でも、その噂は事実だったから知られたくなかったんですよ」

(-_-)「それはどんな噂だったんだい?」

601名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 04:49:02 ID:NYzjkL4w0


川д川「…私に関わると不幸になるという噂です」


从; ゚∀从「…え?」

川д川「くだらない噂だと思うでしょうけど、実際に私と仲良くして下さった方々は、成績や部活の功績などが下がってしまいました。妬みもありましたけど、その噂もあって私は嫌われるようになったんです」

从# ゚∀从「…く、くだらない!そんなの、貞子のせいでもなんでもないじゃないか!そいつらが努力不足だっただけで貞子は何も悪くないのに!」

川д川「…いえ、本当に私と関わったことが原因なんです」

从# ゚∀从「貞子、君は優しすぎるぞ!」

川д川「狂本くん…」

(-_-)「…そこまで言うってことは、本当に貞子さんと関わったことで、他の人たちは成績が下がったのかい?」

从# ゚∀从「ヒッキー先生、何をバカなことを!」

川д川「はい、そのとおりです」

从# ゚∀从「貞子!」

(-_-)「高岡くん、とりあえず今は貞子さんの話を聞こう。きっと、納得いく答えが聞けるはずさ」

从# ゚∀从「………わかりましたよ」

川д川「ありがとうございます。…では、話を続けますね」

602名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 04:50:24 ID:NYzjkL4w0

中高一貫クラスだった私たちは、難なく高校一年生になり、ある課題が出されました。

川д川『…進路希望調査ですか』

川 ゚ 々゚)『おおおかしいよねぇ。シベリア大学附属校なんだから、進路希望調査しなくてもいいのにね』

川д川『シベリア大学にそのまま上がらない人もいますからね』

川 ゚ 々゚)『ふーん、そ、そうなんだ。貞子は大学受験するの?』

川д川『さぁ、どうしましょう。将来の夢もないですしね』

川 ゚ 々゚)『貞子は絵が上手いから、美大とか受験するのも良さそうだよねねね』

川*ー川『…美大、ですか。そうですね、それも良いかもしれませんね』

川* ゚ 々゚)『う、うん、合ってると思うよ!』

603名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 04:51:04 ID:NYzjkL4w0


川д川『狂本くんはどうするんですか?進路』

川 ゚ 々゚)『ううーん、悩んでるんだよね』

川д川『そうなんですか?狂本くんはシベリア大学にそのままいくと思ってましたが、行きたい大学でもあるんですか?』

川 ゚ 々゚)『いや、悩んでるのは、大学とかじゃなくて…』

川д川『じゃあ何を悩んでるんですか?』



川 ゚ 々゚)『さ、作家、やめようか悩んでるんだ』


川д川『へー、作家を…』


川д川



『って、ええええええええええ!?』


.

604名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 04:51:45 ID:NYzjkL4w0

川;д川『作家やめちゃうんですか!?』

川 ゚ 々゚)『ななな悩んでるんだよね』

川;д川『売れっ子なのに、どうして!普通の男の子になりたいってことですか?』

川 ゚ 々゚)『…まぁ、貞子にだからいうけど、僕、実は嫌いなんだ』

川;д川『嫌いって何を?』



川 ゚ 々゚)『バットエンド書くの、嫌いなんだ』


.

605名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 04:52:50 ID:NYzjkL4w0

川д川『…バットエンドが、嫌い?』

川 ゚ 々゚)『うん、嫌いなの、バットエンド。書くのも読むのも好きじゃないんだ』

川;д川『バ、バットエンド作家なのにですか?』

川 ゚ 々゚)『本当はシリアスやホラー的なのも書くの好きじゃないし、バットエンドなんて、もっての外って感じだよ。本当は童話とか絵本とか、ハッピーエンドで終わる作品が好きだし書きたいんだ』

川;д川『じゃあ、何でバットエンドなんて書いてるんですか?』

川 ゚ 々゚)『ずっとハッピーエンドでデビューしようと努力してたけど、ダメだったんだ。そんな時、息抜きで書いたバットエンド作品を雑誌に送ったらあれよあれよとデビューが決まって、気付いたらバットエンド作家になってた…』

川д川『息抜きで書いた作品でデビューしちゃうなんて天才ですね…』

川 ゚ 々゚)『よくわからないけど、バットエンドを書く才能はあるみたい。でも、得意なこととやりたいことって違うからね』

川д川『でも、作家をやめなくてもハッピーエンドを書けばいいじゃないですか』

606名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 04:54:02 ID:NYzjkL4w0


川 ゚ 々゚)『バットエンド作家の僕がハッピーエンドを書くことは許されないんだよ、貞子。バットエンド作家の僕がハッピーエンドを書いてしまったら、評判ガタ落ちさ』

川;д川『そうなんですか…』

川 ゚ 々゚)『…実はというと、今まで出版してきた作品たちには、本当は続きがあるんだ』

川;д川『え、バットエンドに続きが?』

川 ゚ 々゚)『うん。出版してもらえないから、誰にも読んでもらえないけどね』

川д川『それなのに何で書くんですか?』

川 ゚ 々゚)『…だって可哀想じゃないか、バットエンドのまま終わってしまうなんて。だから、ハッピーエンドをいつも書くんだ。きっと蛇足で、お話的には台無しなんだろうけど』

川д川『狂本くん…』

川 ゚ 々゚)『つまんない話しちゃってごめんね。…やっぱり作家やめちゃダメだよね、これからもバットエンド作家として頑張るよ。ハッピーエンドは僕だけが知っていればいいんだし、みんなが望んでいるものを書かなきゃね』

607名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 04:54:49 ID:NYzjkL4w0

川д川『…私、読みたいです。狂本くんが書くハッピーエンドで終わる物語』

川 ゚ 々゚)『本当?じゃあ、今度書いたハッピーエンド持ってくるね』

川д川『そうじゃなくて』

川 ゚ 々゚)『ん?』

川д川『本として出版された作品として、ですよ』

川; ゚ 々゚)『…でも、狂本クルウはバットエンド作家だし』

川д川『狂本クルウは確かにバットエンド作家かもしれませんが、別名義でやればいいじゃないですか』

川 ゚ 々゚)『別名義…』

川д川『ハッピーエンド作家として売れっ子になって、サイン会とかあっても、そのマスク外して、喋り方も普通にすれば狂本くんだってばれないですよ、きっと!』

川* ゚ 々゚)『そ、そうだね。名前も服装も喋り方も全部変えちゃえばバレないよね…!』

川д川『私ですら気付かないと思いますよ』

川 ゚ 々゚)『えー、貞子は気付いてよ』

川д川『努力はします』

608名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 04:55:42 ID:NYzjkL4w0

川* ゚ 々゚)『でも、そう考えたら楽しみになってきたなぁ。どんな話書こうかな』

川д川『どんな作品書きたいんですか?』

川* ゚ 々゚)『童話形式とか、児童文学的なのが書きたいんだよね』

川д川『いいじゃないですか、ハッピーエンドが似合うジャンルですし』

川* ゚ 々゚)『そう、それと絵本の文章書く作家にも憧れ…』


川; ゚ 々゚)『…って、あー!!!!』


川;д川『え!?な、何ですか?!』

609名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 04:56:22 ID:NYzjkL4w0

川;* ゚ 々゚)『めめめめちゃくちゃ良いこと思いついた!!むしろ、何で今まで思いつかなかったんだろ!』

川д川『何を思いついたんですか?お話のネタですか?』

川* ゚ 々゚)『違うよ、貞子!もっと良いこと!』

川д川『なんですか?』

川* ゚ 々゚)『僕はお話を書くのが好き、貞子は絵を描くことが好きだよね!』

川д川『えぇ、まぁ、そうですね』



川* ゚ 々゚)『だからさ!僕たち、二人で絵本作家になればいいんだよ!』



川;д川『…え?』

610名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 04:57:08 ID:NYzjkL4w0


川* ゚ 々゚)『僕たち、前々からナイスコンビだとは思ってたけど、まさか人生のパートナーとしてもナイスコンビだとは思わなかったよ!』

川;д川『ちょ、ちょっと待ってください!私は絵本作家になんてなれるほど、ちゃんとした絵描けないですよ!?』

川 ゚ 々゚)『貞子の絵、素敵だよ。貰った絵、全部画集にしたいくらい』

川;д川『でも、私の絵は基礎だってなってませんし…絵本作家になるならちゃんと絵の勉強しなきゃいけません。色彩についても詳しくありませんし…』

川* ゚ 々゚)『…あはは』

川;д川『な、何がおかしいんですか?』

川* ゚ 々゚)『嬉しくて、思わずね。貞子、絵本作家になってくれる気満々じゃない』

川;д川『あ』

611名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 04:58:00 ID:NYzjkL4w0



川 ゚ 々゚)『ねぇ、貞子。嫌なら断ってくれてもいい』

川д川『…』

川 ゚ 々゚)『だから、良かったら…』



川 ゚ 々゚)『僕と絵本作家、目指さない?』


つまらない学校生活を送る中で、将来の夢なんて、持ったこともありませんでした。勉強して、適度に部活で絵を描ければいいやと思ってました。


だから、高校一年生になって、私は初めて



川ー川『…絵の勉強、沢山しないとですね』


将来の夢を持ちました。



こうして、私は進路希望調査表の第一志望に、美大受験と書きました。

それが間違いだったのです。

612名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 04:58:42 ID:NYzjkL4w0


( ・∀・)『…土井、なんで呼び出されたかわかる?』

川д川『いえ、分かりません』

( ・∀・)『進路希望調査のことなんだけど』

川д川『あぁ、なるほど。すいません、どこの美大を受けるかとか、まだ具体的なこと書けなくて…』

( ・∀・)『いやいやいや、そーいうことじゃなくて』



( ・∀・)『何ふざけたこと言ってんの、ってこと』


川д川『…』

613名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 04:59:46 ID:NYzjkL4w0

( ・∀・)『美大なんて行けるわけないでしょ?』

川д川『確かに今の実力では、そう言われても仕方ないです。ちゃんと予備校に通うつもりです』

( ・∀・)『画力とかの問題じゃなくて』

川д川『じゃあ何ですか?』

( ・∀・)『名門大学に行ってもらわなきゃ困るんだよ。学年首席なんだからさぁ』

川д川『私には関係ないことです』

( ・∀・)『僕が担当する生徒なんだから大アリだよ。名門大学に行ってもらわないと困るんだよ』

川д川『…知りません』

614名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 05:00:28 ID:NYzjkL4w0

( ・∀・)『いやだなぁ、勉強できるくせに物分りが悪い奴って。ってかさ、中学の時に君の勉強の邪魔にならないように周りに集ってた奴ら蹴散らしてやった恩忘れたわけ?』

川д川『そんなこと頼んでません』

( ・∀・)『あれ?そうだったっけ?でも、良かったじゃん。くだらない噂で離れていくような奴らと縁切れて』

川д川『…そもそも噂流したのも先生だし、実際に先生がみんなの成績とか下げたじゃないですか』

( ・∀・)『やめてよ、そんな言いがかりは。僕は不正なんて行ってないよ?』



( ・∀・)『…ただ、見込みがないと思って、「期待」しなかっただけさ』


.

615名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 05:01:14 ID:NYzjkL4w0

川д川『…じゃあ、私にも期待しないでください』

( ・∀・)『してないよ、元から。俺、昔から頭いい奴嫌いだし』

川д川『でも成績とか下がってませんけど?』

( ・∀・)『なんか知らないけど、君には効かない。だから余計腹が立つ』

川д川『そんなこといわれても…』

( ・∀・)『そもそも何で美大なんて行きたいわけ?』

川д川『…将来の夢、的な』

( ・∀・)『もしかして、将来の夢は絵本作家とかほざくんじゃないだろうね?』

川;д川『…え』

616名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 05:02:01 ID:NYzjkL4w0


( ・∀・)『お前以外の生徒は僕のこと、優しくて話しやすい先生だと思ってるからね。例に漏れず、狂本もその一人だったわけよ。別名義でお前と絵本作家になるとか言ってたよ』

川;д川『…狂本くん』

( ・∀・)『狂本の戯言かと思ったら、進路希望調査にお前が美大とか書いてきたから俺もビックリしたよ』

川д川『そうでしょうね…』

( ・∀・)『土井、狂本みたいな小説書くしか能が無い馬鹿と関わると大変だろ?お前は一人でいる方がお似合いだぞ。人を不快にするほど頭のいい奴は孤独でいるべきだ』

川д川『…いい加減、パワハラで訴えますよ』

( ・∀・)『学年で嫌われ者のお前と、教師からも生徒からも人気のある俺。どっちが信頼あるかなぁ?』

川д川『……ともかく、私は美大を受験させていただきますので』

( ・∀・)『そんなことしてみろ、期待するのやめるぞ』

川д川『元から期待されてませんので構いません』

( ・∀・)『勿論、お前じゃない。狂本クルウをだ』

川;д川『は…?』

617名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 05:02:51 ID:NYzjkL4w0

( ・∀・)『実はというと、最近狂本に期待するのやめてるんだ。売れっ子作家だから特待生としてシベリアにいれてるけど、もし、売れっ子作家じゃなくなったら…』

川;д川『や、やめてください!』

( ・∀・)『なんだよ、お前らしくないな。人のことで動揺するなんて』

川;д川『お願いします、狂本くんには、狂本くんだけには何もしないでください…!』

( ・∀・)『じゃあ狂本クルウと関わるな。それと、美大を諦めて名門大学に行け』

川;д川『そんな…』

( ・∀・)『まぁ、簡単には返事できないよな。わかる、わかるよ。初めて出来たまともな友達だもんなぁ、中学三年の頃から仲良くしてたんだもんなぁ』

川д川『…先生、私と狂本くんが仲良くしてたの知ってたんですか』

( ・∀・)『当たり前だろ。担任だぞ、俺は』

川д川『気付いていたなら、どうして何時もみたいにすぐに引き離さなかったんですか…?』

( ・∀・)『夢を見させてからの方が、失った時のショックも大きいかなぁとおもって』

川д川『…先生は、なんでそんなに私に辛く当たるんですか』

( ・∀・)『言っただろ?俺、頭いい奴が嫌いなんだよ。特に、お前みたいな奴』

川д川『たったそれだけの理由で?』

( ・∀・)『たったそれだけの理由だよ?』

川д川『…もう帰ります、失礼しました』

( ・∀・)『狂本と関わるのやめる気になったら教えてくれなー』

618名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 05:04:21 ID:NYzjkL4w0

川д川(…よくよく考えてみたら、馬鹿らしい。先生が期待しないだけで狂本くんの作家人生がどうにかなるわけないのに。学校の成績とかは小細工できても、学外のことは先生がどうこうできるわけない)

( *^ν^)『土井貞子。モララー先生になんで呼び出されてたんだ?成績下がったのか?』

川д川『違います』

( ^ν^)『じゃあ、何で呼び出されたんだよ。教えろよ』

( ^Д^)『おい、学年首席に絡んでるそこの万年二位!』

( #^ν^)『万年二位って呼ぶんじゃねーよ!』

( ^Д^)『まぁまぁ、それよりさ、クルウの新刊読んだか?』

( ^ν^)『あ?読んだけど?』

( ^Д^)『今回のバットエンド、どう思う?』

( ^ν^)『んー…なんていうか、悪くはないけど、生ぬるかったな』

( ^Д^)『だよなー。クルウの作品は、バットエンドだから面白いのに』

( ^ν^)『そうだな。今回の作品は、取りようによっては…そうだな、まるで』





( ^ν^)『ハッピーエンド、のようだったからな』




川;д川『…!』

619名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 05:05:42 ID:NYzjkL4w0



ガラッ!

( ・∀・)『おかえり、帰ってくると思ってたよ』

川;д川『狂本くんのバットエンド作家としての人生を台無しにする気ですか!?』

( ・∀・)『新刊の話?バットエンド作家がハッピーエンドまがいのもん書いちゃダメだよなぁ。これからもこんなことが続いたら、売れっ子じゃなくなっちゃうよな』

川;д川『そしたら、狂本くんはシベリアにいれなくなってしまうじゃないですか』

( ・∀・)『それだけじゃないぞー?バットエンド作家としてハッピーエンド書いて、名声を失ったら、作家としても終わりだ。最悪、絵本作家にもなれないだろうな』

川;д川『そんなことは…!』

( ・∀・)『ないって言い切れるのか?』

川;д川『それは…』

( ・∀・)『これでわかっただろ?君の軽はずみな行動で、狂本の作家人生を殺してしまうかもしれないってこと』

川;д川『私のせいって…先生のせいじゃないですか!』

( ・∀・)『お前が狂本に関わらなければ、俺もこんなことしなかったよ』

川;д川『私は、私は…!ただ、狂本くんと友達でいたいだけです!』

( ・∀・)『高校生になったんだからさ、いい加減にごっこ遊びなんて卒業しなよ。もう充分夢見れただろ?世間の人気者と友達ごっこできたんだしさ』

川;д川『友達ごっこなんかじゃ…』

( ・∀・)『ごっこじゃないなら、友達のために尽くせるよな?友達のために行動できるよな?』

川д川『…』

( ・∀・)『で、どうすんの?狂本とまだ関わるの?』


川д川『私と狂本くんはナイスコンビです、だから…』

( ・∀・)『だから?』

620名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 05:06:23 ID:NYzjkL4w0




川д川『…もう、狂本くんとは関わりません。美大も受けませんし、絵本作家も諦めます』




.

621名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 05:07:50 ID:NYzjkL4w0

こうして私は、狂本くんと関わること、美大に行くこと、絵本作家になるという将来の夢も諦めることになりました。

唯一の救いは、狂本くんも仕事が忙しかったので、狂本くんに冷たい態度をとらなくて済んだということだけです。

こうして、またつまらない学校生活に逆戻りしました。一瞬でも楽しい思いをしてしまった私は、その学校生活に耐えられなくなり、不登校に…

学校に行くのは、テストを受ける時だけでした。

622名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 05:08:51 ID:NYzjkL4w0

川д川(やっとテスト最終日終わった…さっさと帰ろう)

ヒソヒソ…

『…土井の奴、不登校だった癖にテスト簡単に解いてるらしいぜ。職員室で聞いちゃった』

『化け物かよ』

『いくらシベリアが進学校だからって、アイツ桁違いすぎるだろ…』

『シベリアの授業なんてアイツにはレベル低いんだろうな』

『なんだかなぁ、あーいう天才が身近にいると努力する気失せるよな』

『そうだよな。俺たち凡人がいくら努力したって、天才には勝てないんだからな…』

『きっとアイツからみたら俺らなんか虫ケラみたいに見えるんだろうな』

『そりゃそうだろ。だから何時も一人だし。俺たちと関わることなんてアイツにとっては無意味なことなんだろうからさ』

『先生たちも持て余してるみたいだぜ?』

『自分より勉強できる生徒なんか邪魔でしかないだろうしな』



『あーあ、どっか行ってくんないかなぁ』


川д川


川д川(…あぁ、そうか。その点がありましたか)

623名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 05:10:20 ID:NYzjkL4w0



川д川『お久しぶりです、モララー先生。この度、転校することにしました』

( ・∀・)『へぇ、逃げるんだ』

川д川『何とでも言ってください。次に行く学校も、すでに決まってますので』

( ・∀・)『あっそう。じゃあ、書類とかは事務の人に頼んで用意しといてあげるよ。君と関わるのも最後だし、それくらいはちゃんとやってあげる』

川д川『ありがとうございます』

( ・∀・)『こちらこそ、いなくなってくれてありがとう。みんなも喜ぶよ』

川д川『…そうですね』

( ・∀・)『狂本に別れの言葉は伝えたのか?』

川д川『いえ、関わらない約束ですので』

( ・∀・)『ならよし。用がないならもう行っていいよ』

川д川『…はい』

624名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 05:11:03 ID:NYzjkL4w0

川д川『失礼しました』ガラッ

(; ^ν^)『おい、土井!お前、転校するって本当か!?』

川д川『…えぇ、まあ』

( #^ν^)『ふざけんな!お前、不登校になってやっと帰ってきたと思ったら転校だと!?俺はずっとお前を負かすために努力してきたんだぞ!勝ち逃げする気かよ!』

川д川『勝ち逃げ…?何の話か分かりませんが、私に関わらない方がいいかと思いますが』

( ^ν^)『…ってか、何で転校するんだよ、この学校のレベルが低いからか?』

川д川『貴方に教える義理はありません』

( #^ν^)『なんだと!』

川д川『…それにしてもビックリしました。この学校にまだ私に話し掛けてくる人がいるなんて』ボソッ

( ^ν^)『あ?』

川д川『…何の話かまったく分かりませんでしたが、これからも努力し続けて頑張ってくださいね』

( ^ν^)『…お前が居ないなら、努力しなくても俺がこの学校のトップに決まってんだろ、くそが』

625名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 05:12:07 ID:NYzjkL4w0



川д川『…今日でこの学校ともお別れですね。憧れて勉強して入ったのに、どうしてこんなことになったんですかねぇ』

川д川『…まぁ、どうでもいいですけどね。もう来ることもないでしょう』


川д川『さようなら、大嫌いだった学校生活。さよなら、大嫌いだったモララー先生』


川д川『あぁ、それと』




川ー川『…さよなら、私の唯一のお友達』


.

626名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 05:15:16 ID:NYzjkL4w0


川д川「…こういうわけで、私は転校を決め、自分の家に一番近い聖vipへ来たわけです」

(-_-)「…それが貞子さんの転校してきた理由だったんだね」

川д川「はい。転校すれば狂本くんに迷惑かけることもありませんし、皆もそれを望んでいましたからね」

从 ;∀从「全ての元をただせば、僕が貞子を苦しめていたんだね…」

川д川「狂本くんがいなければ、私は将来の夢を持てることもありませんでしたよ。それに悪いのはモララー先生ですし、狂本くんが気にすることありません」

从 ;∀从「でも、僕が絵本作家を目指そうだなんて言わなければ…僕がモララー先生に自慢しなければ、こんなことには…!」

川д川「どうせあの先生のことです。狂本くんが言ってなかったとしても、いつかはこうなっていましたよ」

从 ;∀从「でも、僕が貞子の人生を台無しに…」

川ー川「そんなことないですよ。私、転校したこと後悔していませんから。転校しなければシベリアでずっとつまらない学校生活を送っていたでしょうけど、今はとても楽しい学校生活を送れていますし」

从 ;∀从「でも、絵を描くことを嫌いになってしまったのは僕のせいだよ!」

川д川「…私が絵を描くのを避けるようになったのは、狂本くんと絵本作家になる約束をしたのにも関わらず、狂本くんに理由も言わず逃げてしまった自分が許せなくてですよ。自業自得です。本当の友達なら、理由くらい伝えるべきでした。黙って去ってしまったら、狂本くんが悲しむこと、分かってたのに」

627名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 05:16:12 ID:NYzjkL4w0

从 ;∀从「…やっぱり、僕にはバットエンドがお似合いなんだね。自分自身が大切な友達を苦しめていた元凶だったなんてね。こんな僕が、ハッピーエンド作家になんてなれるわけないんだ」

(;-_-)「高岡くん、そんなことないよ」

川д川「そうかもしれませんね」

(;-_-)「貞子さん!?」

从 ;∀从「いいんです、ヒッキー先生。事実ですから」

川д川「…確かに『狂本クルウ』はハッピーエンドは作れないかもしれません。でも、別名義ならハッピーエンド作家になれるはずですよ」



川ー川「…でしょ?『高岡ハインリッヒ』くん」


从 ;∀从「!!」

628名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 05:17:32 ID:NYzjkL4w0


川д川「だから、狂本くん…いえ、高岡くん。もし、良かったら…」


从 ;∀从「あ…」




川;ー;川「私と絵本作家、目指してくれませんか?」




从 ;∀从「…貞子、それじゃあ」




「絵本作家になるために、僕たち沢山勉強しなきゃだね」

629名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 05:19:04 ID:NYzjkL4w0

消費したお題
・喘息
・私

そろそろ最終回。

630名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 05:26:10 ID:r7BPhwqw0
乙乙

631名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 06:26:35 ID:nyd7RTto0
更新きた、乙です

632名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 07:14:46 ID:FJ78dPz.O
おつですーモララーにはクズが似合うな

633名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 08:46:20 ID:WUDg8ltg0
ヒッキーのピグマリオン効果とモララーのゴーレム効果どっちが効力として強いのかな

634名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 18:40:24 ID:ctX31KNs0
もうそろそろ終わりか、今から感慨深くなってきた


635名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 19:25:18 ID:H.wfz4Kw0

もうすぐ終わっちゃうの寂しいな

636名も無きAAのようです:2016/02/09(火) 19:49:10 ID:cHgcuzwk0
クソなモララーもいいな



637名も無きAAのようです:2016/02/11(木) 02:39:18 ID:PTVd0Jgw0

今日でちょうど三年目だったので、本来なら描くつもりなかったシベリア大学付属キャラを成績順で(高校一年春時点)

http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1929.jpg

ついでにキャラ紹介。

川д川
土井 貞子
(シベリア大学付属在学時点)
夕陽が好きで、絵を描くことと、勉強することだけが楽しみ。シベリアに憧れて入学したけど、狂本が来るまではつまらない学校生活を送っていた。狂本とはナイスコンビ。

( ^ν^)
卯速 ニュッ
小学生の頃は秀才で有名。シベリア入学後は貞子のせいで影が薄くなった。貞子とはずっと同じクラスで、席も隣で良くちょっかいをかけていたが、覚えてもらえていなかった。
万年二位があだ名だったが、貞子がいなくなってからは皮肉を込めて学年首席様に。

(´<_` )
流石 弟者
貞子たちとは隣のクラス。いつもやる気がないが、友達はいる。
兄者と良く入れ替わっているが、兄者よりイケメン、そして兄者とは違い言葉数が少ない。狂本の正体をシベリアの生徒で唯一知っている。狂本の親友。

川 ゚ 々゚)
狂本 クルウ
売れっ子バットエンド作家。
特徴的な喋り方をしているが、実は普通にしゃべれる。
特待生でシベリアに在学している。ほとんどの成績には問題ないが、苦手な教科の成績と、売れっ子故の悩みとして、出席日数に問題アリ。シベリアの生徒は、親友の弟者以外は狂本クルウを本名だと思っている。

( ^Д^)
指差氏 プギャー
シベリアの番長。学業はすこぶる悪いが、スポーツ特待生なので、体育はかなり優秀。レスリング部。番長だけど、動物好き。

( ・∀・)
茂羅 モララー
貞子の中学から持ち上がり担任。同僚や生徒たちからは、優しくて話しやすくて、頼り甲斐のある先生として大人気。生徒が教師からの「期待」にどれだけ影響されるか、良く理解している。

638名も無きAAのようです:2016/02/14(日) 03:15:21 ID:ltjz93DY0


(*-_-)「本当、二人が仲直りできてよかったよー!」

川ー川「…はい、本当に良かったです」

从 ゚∀从「えぇ。これで何の心残りもなく、シベリアに帰ることができます」

(;-_-)「えっ!?シベリアに帰っちゃうの!?」

从 ゚∀从「はい。貞子の転校の理由も聞けたし、将来の夢も改めて誓いあえましたから」

639名も無きAAのようです:2016/02/14(日) 03:16:15 ID:ltjz93DY0

川д川「…シベリアには、いつ戻るんですか?」

从 ゚∀从「できれば今週中にでも。シベリアで僕のこと噂になっちゃってるみたいだし、早いところ帰らないとね」

(;-_-)「いっそのこと、残ってもいいんじゃない?」

从 ゚∀从「あはは、僕も残りたいですけど、シベリアの制服に誓って、友達に約束したんです。…必ずシベリアに戻るって」

640名も無きAAのようです:2016/02/14(日) 03:17:11 ID:ltjz93DY0



(´<_` )「…」

( ^Д^)「また見てんのか?その空席」

( ^ν^)「ペットロスならぬ、狂本ロスか?」

(´<_` )「別に。ボーッとしてると自然と視線がそこにいくだけ」

( ^Д^)「会いたいよなぁ、クルウ」

( ^ν^)「もう会えねぇだろうけどな」

(´<_` )「…会えるさ。そのうち」

( ^Д^)「連絡でもあったのか?」

(´<_` )「連絡があったわけじゃないけど…」



(´<_` )「…まぁ、約束したから」

641名も無きAAのようです:2016/02/14(日) 03:19:42 ID:ltjz93DY0

川д川「高岡くん」

从 ゚∀从「なんだい?貞子」

川д川「…高校卒業したら、また会いましょう。その時までに必ず、昔よりも絵、上手くなってみせますから」

从 ゚∀从「それは楽しみだなぁ。僕も沢山文章の勉強しておくよ。…後さ、次に会う時には、下の名前で呼んでくれたら嬉しいな」

川ー川「次に会った時、素敵なハッピーエンドが書けるようになってたら、そうしますね」

从* ゚∀从「あぁ!」

(*-_-)「うんうん!これから頑張ってね、二人とも!」

642名も無きAAのようです:2016/02/14(日) 03:20:53 ID:ltjz93DY0



パチパチパチパチ…


「あぁ、なんて素敵なハッピーエンドなんだろうねぇ」


(;-_-)「!!」

川;д川「え…」

从; ゚∀从「なっ…!?」


「立ち聞きしてごめんね、でも、ドアを開けっぱなしだったからさ。声かけようかと思ったけど、なんか面白い話をしてたから水差しちゃいけないなぁっと思って、ずっと待ってたんだよね」



( ・∀・)「…そう、ずっと待ってたんだよ。狂本を泳がせて、夢を見させてから二人をどん底まで落とすのを、さ」



川;д川「モララー先生……?」

643名も無きAAのようです:2016/02/14(日) 03:21:36 ID:ltjz93DY0

从; ゚∀从「なんでモララー先生が聖vipに!」

( ・∀・)「職員室で、部活の練習試合に聖vipに来たついでに、元シベリア生の高岡くんと土井さんに顔合わせたいって言ったら簡単に君たちの居場所教えてくれたよ。白衣を着た女の人が嬉しそうにね」

从; ゚∀从「ペニサス先生…」

( ・∀・)「…いやはや、それにしても、驚いたなぁ。まさか君がこんなところにいるなんて。そもそも生きていたことにビックリだ」

川;д川「…」

从# ゚∀从「なんてことを…!貞子を傷付ける人は誰であっても許しません!」

( ・∀・)「じゃあ、狂本は今の発言に対して怒る必要ないよ」

从# ゚∀从「怒りますよ!」

644名も無きAAのようです:2016/02/14(日) 03:26:12 ID:ltjz93DY0

( ・∀・)「んー、ってか、さっきから黙ってるけどなんか言ったら?折角の感動の対面なんだからさ…あぁ、そっか。あんまり嬉しくて喋ったら吐きそうなのかな」


( ・∀・)「こうして会うの、学生の頃以来だもんねぇ。それに君、途中から不登校になっちゃったから、ほとんど顔合わせてなかったし…」


从; ゚∀从「学生の頃以来?」

川;д川「まさか…」

645名も無きAAのようです:2016/02/14(日) 03:26:55 ID:ltjz93DY0







( ・∀・)「本当にお久しぶり。元シベリア学年首席、〝ヒキコモリ王子〟の小森ヒッキーくん!」




.

646名も無きAAのようです:2016/02/14(日) 03:27:45 ID:ltjz93DY0
消費したお題
ヒキコモリ王子

647名も無きAAのようです:2016/02/14(日) 04:26:24 ID:p83ldf9U0
おつー!
悪役のモララーはこえええ
ヒッキーはどうでるのか

前回の話でお題(私)回収ありがとうございました。

648名も無きAAのようです:2016/02/14(日) 07:04:58 ID:aazIBink0
乙、ついにラスボスか……

649名も無きAAのようです:2016/02/14(日) 09:26:16 ID:oWcQjtEQ0
乙乙!モララー怖いな…
ヒッキーもシベリアの生徒だったのか
続きがすごく気になる

650名も無きAAのようです:2016/02/14(日) 15:26:48 ID:wr3F7Nro0


651名も無きAAのようです:2016/02/14(日) 16:08:12 ID:BIF4BBdc0
乙です
貞子…のつもり
http://imepic.jp/20160214/580360

652名も無きAAのようです:2016/02/14(日) 16:57:17 ID:0AGzILAE0
>>651
か、可愛い!!美人さん!
ありがとうございます!

653名も無きAAのようです:2016/02/19(金) 00:12:54 ID:tIHzMbyQ0
追いついちまった・・・
怒りをぶつけるようだがモララータヒね

654名も無きAAのようです:2016/02/26(金) 21:08:55 ID:ZL1OoU420
支援

655名も無きAAのようです:2016/03/07(月) 12:06:07 ID:W89CfAcs0
今日の投下楽しみ

656名も無きAAのようです:2016/03/07(月) 21:09:04 ID:W89CfAcs0
明日だった

657名も無きAAのようです:2016/03/08(火) 19:15:00 ID:/lkawLT20


最終回、投下します。

658最終回:2016/03/08(火) 19:16:02 ID:/lkawLT20
( ・∀・)「しかし、本当に驚きだよね、人生って何が起こるかわからない。元学年首席だった君がこんな底辺校で働いて、いつも万年二位だった僕がシベリアの教師だなんて、笑えちゃうよね」

(-_-)「…そうだね、こんなに幸せな毎日が送れるだなんて、高校生の頃は思いもしなかったから笑えちゃうよ」

( ・∀・)「……強がり言ってんじゃねぇぞ、ヒキコモリ王子が」

(-_-)「強がりなんかじゃないよ、僕は聖vipのみんなが好きだから」

( ・∀・)「こんな底辺校の生徒たちが好き?将来的に何も期待できないような奴らを?」

(-_-)「僕は、みんなのこと期待してるよ」

( ・∀・)「お前が生徒に対して期待なんて、それこそ信じられない。嘘だろ?」

川д川「嘘じゃありません、ヒッキー先生は私たち生徒に対して、たくさん期待をかけてくれます」

( ・∀・)「…ふーん、お前が期待ねぇ」

(-_-)「…」


( ・∀・)「あぁ、小森。お前って本当に可哀想な奴」


.

659最終回:2016/03/08(火) 19:16:46 ID:/lkawLT20

从# ゚∀从「か、可哀想って何がですか!」

( ・∀・)「なぁ、狂本。愛を与えられずに育った人間が、人を愛することができるだろうか」

从; ゚∀从「は?」

( ・∀・)「ちなみに、僕はできないと思う」

从; ゚∀从「そんな話、今関係ないでしょう」

( ・∀・)「大アリさ。つまりね、誰にも期待されずに育った人間が、人に期待することなんて出来ないんだよ」

(;-_-)「…!」

( ・∀・)「だから、誰にも期待されなかったお前が教師だなんて、到底無理なんだよ、小森」

660最終回:2016/03/08(火) 19:17:37 ID:/lkawLT20

川д川「そんなことありません!」

( ・∀・)「…ふーん、随分感情を露骨に現わせるようになったんだな、土井」

川д川「…聖vipのみんなと、ヒッキー先生のおかげですよ」

( ・∀・)「あっそ。ところで小森、お前なんで教師になろうと思ったの?」

(-_-)「それは…」

( ・∀・)「もしかして、自分が学生時代に誰にも期待されなかったから?だから、底辺校の期待されない生徒たちに自分が期待をかけてやってるのか?」

(;-_-)「そんなんじゃないよ!」

( ・∀・)「どうかなぁ、君のかけてる期待って、本当はただの自己満足じゃないの?自分がしてもらいたかったことをしてるだけでさ」


川#д川「もうやめてください!!」


.

661最終回:2016/03/08(火) 19:19:22 ID:/lkawLT20
( ・∀・)「…さっきから、小森をやたら庇うね、土井」

川д川「ヒッキー先生は不登校だった私にですら、期待をかけてくれましたから」

( ・∀・)「じゃあ小森はお前にとって恩人だとでも?」

川д川「そうですね、恩師といっても過言ではありません」

(-_-)「貞子さん…」

( ・∀・)「土井、なんてお前は可哀想な奴なんだろう」

川д川「何が可哀想なんですか」

( ・∀・)「小森はお前の恩人なんかじゃないよ、むしろその逆」

川д川「は?」

( ・∀・)「小森さえいなければ、お前は俺にちょっかいをかけられることもなく、楽しい学校生活を送っていただろうよ」

川д川「…どういうことですか?」

662最終回:2016/03/08(火) 19:20:44 ID:/lkawLT20

( ・∀・)「俺、頭がいい奴が嫌いっていったよな。お前みたいに人を不愉快にするほど頭いい奴のことが嫌いだと」

川д川「そうですね」

( ・∀・)「お前さ、学生時代の小森にそっくりだったんだよ」

川;д川「……まさか、私に辛く当たっていた理由って」

( ・∀・)「お前の頭の良さが小森に似てたから、お前の人生をめちゃくちゃにした」

(;-_-)「…!」

( ・∀・)「だから、小森はお前の恩人なんかじゃなくて、お前が嫌われて不登校になる原因そのものだったんだよ」

663最終回:2016/03/08(火) 19:21:24 ID:/lkawLT20

从; ゚∀从「信じられない、モララー先生、あなたって人は…!」

(-_-)「…モララー君、君はどうしてそんなに僕のことが嫌いなの?」

( ・∀・)「不愉快だからさ、お前の存在が」

(;-_-)「そんな…だって、僕たち」



(;-_-)「友達だったのに…!」



( ・∀・)

664最終回:2016/03/08(火) 19:22:18 ID:/lkawLT20

( ・∀・)「…小森、本当にお前って不愉快だよ、僕を不愉快にさせる天才だな」

(;-_-)「え?」

( ・∀・)「お前、僕にあんなことされた癖に、まだ僕のことを友達だったなんていうのか」

(-_-)「……うん」

( ・∀・)「お前の人生を無茶苦茶にして、夢も台無しにして、お前が好きだったものを出来ないようにしてやったのに?」

(-_-)「それでも、僕にとって、モララー君は…」

( #・∀・)「それ以上喋るな!!」

(;-_-)「…モララー君」

( #・∀・)「そこまで言うなら、聞かせてやるよ!俺がどれだけお前のこと嫌いだったかを、お前と一緒にいた時、どんな想いでいたのかをよぉ!!」

665最終回:2016/03/08(火) 19:23:25 ID:/lkawLT20
『モララー君ってイケメンだし、運動もできるし憧れちゃうよね』

『後は勉強さえ一位取れれば完璧よね。もちろん、今でも充分いいんだけど』

『そりゃ無理よ、だって一位はあの小森君よ?勝てるわけないわよ』

『彼、断トツで学年トップだものね』

『学年二位でも充分すごいわよ、モララー君は』

( ・∀・)『おやおや、なんだい、僕の噂?』

『も、モララー君!なんでもないわよ』

( ・∀・)『そう?僕の名前が聞こえた気がしたんだけど』

『気のせいよ!じゃあ、私たち帰るから、あはは…』

( ・∀・)『気をつけてねー』



( ・∀・)『小森ヒッキーねぇ』




( ・∀・)『……勝てるわけねぇだろ、あんな化け物』


.

666最終回:2016/03/08(火) 19:24:08 ID:/lkawLT20


中学3年間クラスメイトである小森ヒッキーは、天才だった。

( ・∀・)『これはこういうことだよ』

『うーん、わからん…』

( ;・∀・)『えー?まじかよ、結構わかりやすく教えたと思うんだけど』

『俺頭悪いからなぁ…ちょっと小森に聞いてみるか。おーい、小森!』

(-_-)『なに?』

『この問題なんだけど、教えてくれないか?』

(-_-)『…あぁ、これはね、この式をこうやって応用すると簡単に解けるよ』

『お、おぉー!なるほど!!すっげぇわかりすいな、サンキュー』

(*-_-)『どういたしまして』

( ・∀・)『…』


小森は単に勉強ができるだけではなく、人に教えるのも得意だった。頭が良すぎる奴は、人に教えるのは上手くないという仮説は小森には適用しなかった。

それくらい、小森は勉学に関しては優秀だった。

667最終回:2016/03/08(火) 19:25:29 ID:/lkawLT20
( #・∀・)『どうしても小森にテストで勝てない…』

『でもさ、勉学以外は全部勝ってるじゃん。小森の奴、運動能力とか皆無に等しいし。それに、あんまりに頭が良すぎるから、皆に避けられて友達いないしさ』

( ・∀・)『友達の話はどうでもいいとして、運動で勝ってもなぁ。運動だと、スポーツ特待生の奴らの方が僕より上手いし』

『そりゃそうだろ』

( ・∀・)『なんか僕が一番になれるもので、完膚なきまでにアイツを負かしてやりたい』

『あるじゃん、お前が誰にも負けないこと。お前相手じゃ、きっと小森なんてお話にならないだろ』

( ・∀・)『え、何?そんなのあった?』

『ほら、あれだよ、あれ!』

( ;・∀・)『…あー、なるほど、あれね。でも、あれで勝ったとしてもどうなの?』

『そうなんだけどさ。なんでもいいから小森に勝ってみたら、意外と優越感感じられるかもよ?』

( ・∀・)『……それもそうだな、よし、早速明日の放課後にやってみるか』

668最終回:2016/03/08(火) 19:26:11 ID:/lkawLT20




( ・∀・)『小森、放課後空いてるか?』

(;-_-)『え、あ、うん。空いてるけど…』

( ・∀・)『僕と勝負しようよ』

(;-_-)『しょ、勝負!?僕、喧嘩とかは勘弁というか…』

( ・∀・)『ばっか、違うよ。もっと平和的なものさ』

(-_-)『平和的なものって…?』





( *・∀・)『ゲームで勝負だ!』




(-_-)『…ゲ、ゲーム?』



.

669最終回:2016/03/08(火) 19:26:59 ID:/lkawLT20

僕が誰にも負けないこと、それはゲームだった。僕はどんなジャンルのゲームでも、負けたことがなかった。

( ・∀・)『シューティングゲームでも、パズルゲームでも格闘ゲームでもなんでもいいよ』

『小森は何のソフト持ってんだ?』

(;-_-)『あの、その…』

( ・∀・)『なんだよ、僕なんかの相手はできないっていうのか?』

(;-_-)『そうじゃなくて、僕、ゲーム機持ってないんだ、一つも。やったこともないし…』

( ;・∀・)『は?!ゲーム持ってないとかマジ?』

(;-_-)『うん。読書と勉強と料理以外興味なくて…』

( ・∀・)『人生損してるよ、お前…』

『んじゃ、俺のゲーム機貸してやるから、モララーと戦ってみ』

(;-_-)『いいの?』

( ・∀・)『とりあえず、操作が簡単なパズルゲームで対戦しよう』

(;*-_-)『う、うん。ありがとう』

( ・∀・)『初心者でも、僕手加減しないからそこんとこよろしく』

(*-_-)『うん!』

670最終回:2016/03/08(火) 19:27:46 ID:/lkawLT20


結果はもちろん、僕の圧倒的勝利で終わった。初心者相手に大人気ないといわれたってよかった。僕は小森に勝てればどうでもよかった、小森が僕に負けてくれればなんだって。

小森が自分のゲーム機を買ってからは、放課後は毎日、教室で色んなゲームをやった。一緒に連んでいた友達が塾でいない日でも、小森と二人で見回りの先生に注意されるまでゲームをやり、小森を負かしてやった。
小森が負けて悔しそうな顔をするのを見るのが、とても幸せだった。ゲームをしている間だけ、優越感に浸れた。


でも、それは最初だけだった。小森ヒッキーは、僕が思っている以上に天才だったのだ。

(-_-)『…よしっ!』

(-_-)□<ばいよえーん!

( ;・∀・)『なっ…!』

( ;・∀・)□<…ばたんきゅー

(*-_-)『やった!!初めてモララー君に勝てた!』

( ;・∀・)『ま、負けた…嘘だろ?も、もう一回!!』

(-_-)『うん!』

何回も何回も何回も勝負したが、僕はそれ以降勝てなかった。他のゲームも、次第にヒッキーが勝つようになると、僕はまったく歯が立たなくなってしまった。



僕は、ゲームですら、小森ヒッキーに勝てなかった。


.

671名も無きAAのようです:2016/03/08(火) 19:28:15 ID:noaR1fMU0
支援

672名も無きAAのようです:2016/03/08(火) 19:28:43 ID:Zpphzoqs0
ついにきたか

673最終回:2016/03/08(火) 19:29:38 ID:/lkawLT20


高校に進学すると、今まで部活に入っていなかった小森が部活に入ると言い出した。


(-_-)『僕、コンピュータ部に入部しようと思うんだ。自作のゲームを作りたくてさ』

( ・∀・)『ふーん。いいんじゃないの?』

どーでもいい、小森がどこに入部しようが僕には関係ない。

(*-_-)『モララー君も、コンピュータ部入らない?』

( ;・∀・)『え、なんで僕まで…。僕は別にゲームやるのは好きだけど、作りたいとかは思ってないし』

(*-_-)『入部してみたらゲーム作りたいと思うかもしれないよ?それに、僕が作ったゲーム、モララー君に一番にプレイして貰いたいんだ』

( ・∀・)『…なんで?』

(-_-)『ゲームをやったことなかった僕を、モララー君が誘ってくれたから…僕、本当に嬉しかったんだ。毎日一緒にゲームしてくれたのも嬉しかったし、だから僕が作ったゲームは一番にプレイして貰いたいんだ』

( ・∀・)『…あっそ、わかったよ。僕も入部するよ』

(*-_-)『ありがとう!モララー君!』

674最終回:2016/03/08(火) 19:30:54 ID:/lkawLT20


ゲームに誘ったのは、お前を完膚なきまでに負かしたかったから。

ゲームを毎日一緒にやったのも、お前が悔しそうにする顔を見たかったから。

勝てなくなっても、一緒にゲームしてるのは、悔しいから。僕の一番大好きなものまで、負け続けて逃げるのが嫌なだけ。

今だって、同じ部活に入るのは、小森より面白いゲームを作ってやろうと思ってるからだ。


(*-_-)『嬉しいな、同じ部活に入れるなんて。…僕ね、ゲームの楽しさを教えてくれたモララー君には本当に感謝してるんだ。あの時、誘ってくれてありがとうね』

( ・∀・)『…どういたしまして』

あぁ、あの時、ゲームをやろうだなんて誘わなきゃよかった。


本当、お前は僕を不愉快にする天才だよ、小森。

675最終回:2016/03/08(火) 19:31:45 ID:/lkawLT20

高校一年生では、大きなトラブルもなく、僕らは高校二年生になった。変わったことといえば、それまで功績がなかったコンピュータ部が、規模の小さいロボットプログラミング大会や、ちょっとした自主制作ゲームの大会で、賞を取ったということだけだ。

もちろん、賞を取れた理由は単純だった。うちの部活に小森がいたから。

小森は、プログラミングに関しても類い稀なる才能を発揮した。

(-_-)『この前の大会、賞とれて本当に良かったよね。みんなで夜遅くまで作った甲斐あったね』

( ・∀・)『グループ発表だったけど、ほとんどお前が作ったもんだろ。他の奴はお前の打ち込んだデータ吹っ飛ばしたり、足引っ張ってただけじゃん』

(-_-)『そんなことないよ、僕だけじゃあんな面白いゲーム、きっと作れなかったもの』

( ・∀・)『あっそ、本当お前っていい奴だよなぁ』

(;*-_-)『そうかな?そんなことないと思うけど、ありがとう』

676最終回:2016/03/08(火) 19:33:07 ID:/lkawLT20


だから、嫌いだ。

大嫌いだ。なんでそんな風に笑えるんだよ、なんでそんな屈託もなく笑えるんだ。

少しくらい、傲慢に驕り高ぶって、「自分のおかげで入賞できた」くらい言えよ。

そうすれば、少しは僕のこの気持ちだっておさまるのに。データを吹っ飛ばした奴とかに対して、文句くらい言えよ。あいつがデータ吹っ飛ばしさえしなければ、もっと出来の良い作品にできたはずだろ。

なんでそんな「いい奴」なんだよ、何なんだよ、お前は。


あぁ、不愉快だ。

677最終回:2016/03/08(火) 19:34:02 ID:/lkawLT20


(-_-)『ところでさ、モララー君は進路どうするの?』

( ・∀・)『僕はこのまま内部進学するつもりだよ』

(-_-)『そっか、そうだよね』

( ・∀・)『え?何、まさか受験するつもりなの?』

(-_-)『実はそのつもりなんだよね』

海外の大学にでも行くつもりなのだろうか。こいつならどこの名門大学だって行けるだろう。

( ・∀・)『どこ受験すんの?』

(-_-)『具体的にはまだ決めてないんだけど、ゲームのプログラミングとかが学べる大学に行こうかなぁって』

( ;・∀・)『…え?』

(-_-)『専門学校でも良いんだけどね』

( ;・∀・)『本気で言ってんの?』

(-_-)『うん。…でも、二者面談で言ったら、ショボン先生に反対されちゃった』

( ・∀・)『そりゃそうだろ。シベリア開校以来の学年首席がそんなこと言ったら、ショボン先生だって怒るよ』

(-_-)『ショボン先生にも、そう言って怒られたよ。「シベリアの学年首席の癖に、そんな勝手なことされたら担任である俺の面子が丸潰れだ」ってね』

( ・∀・)『あの人らしい解答だな』

678最終回:2016/03/08(火) 19:35:14 ID:/lkawLT20

中学校から持ち上がりで担任のショボン先生は、悪い意味で生徒の間で有名な先生だった。体育の先生だったからか、スポーツ特待生には優しく、勉強だけが出来る生徒に対しては冷たいことで有名だった。

僕は勉強も運動もできたので、目を付けられていなかったが、小森は運動音痴で、勉強だけができる生徒だったから、ショボン先生には中学生の頃から目を付けられていた。


(-_-)『将来、ゲーム会社に勤めたいっていったら「勉強しか能がないお前には無理だ」って言われちゃった』

( ・∀・)『あーあ、どうすんの?』

諦めるしかないだろうけど。

(-_-)『ショボン先生に、僕のゲームを認めて貰おうと思ってるんだ』

( ;・∀・)『いやいやいや、認めるわけないだろ。相手はあの脳筋のショボン先生だぞ?』

いかに小森がゲーム作りの才能があったとしても、あいつにその凄さがわかるはずがない。

(-_-)『大きな大会で優勝すれば、ショボン先生も認めてくれるかもしれないと思ってさ』

( ;・∀・)『大きな大会って、まさか…』


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