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( ^ω^)達はアインクラッドを生きるようです。
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どーも作者です。
新しく作らせてもらいました。
設定だけ作っておいて最初の二話で終わる予定だったこの話がこれだけ続くことになろうとは。
半分くらいは終わっている予定なので、もう少しお付き合いいただければ幸いです。
話の投下の前に、各人の見た目データと大まかな設定を載せておきます。
この話は
川原礫著
『ソードアート・オンライン』シリーズのアインクラッド編を基に書かせていただいています。
基本的に設定を順守しているつもりですが、拡大解釈とまだ書かれていない設定に関しては想像で書いているので、その旨ご容赦の上、お楽しみいただけますようお願い申し上げます。
まとめ
ブーン芸VIP様
http://boonsoldier.web.fc2.com/
大変お世話になっております。
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(,,゚Д゚)「驚いたぞゴルァ」
m9(^Д^)プギャー
(,,゚Д゚)「ムカつくからそれ止めろゴラァ」
( ^Д^)「はっはっは」
ギコとしぃがプギャー達三人に近寄ってグラスをそれぞれにグラスを当てる。
(*゚ー゚)「でも本当に驚きましたよ。助っ人って言うから…」
( ´ー`)「ショボンとドクオの指導の下、ずっとこっそり訓練してたーよ」
| ^o^ |「最初はショボンさんに怒られたバツだったのですが、今では感謝しています」
(*゚ー゚)「そうだったんですか。
…罰というのはその…やっぱりあの時個人情報をペラペラと喋ったアレ、ですか?」
( ´ー`)「そうだーよ」
(;*゚ー゚)「なんか、すみませんでした」
(,,゚Д゚)「でも三人はこのギルドってわけじゃないから別に従う必要はなかったんじゃないか?」
(*゚ー゚)「うん。そうだよね」
( ^Д^)「おまえら、本気で怒ったショボンに刃向う自信あるか?」
(,,゚Д゚)「…………ない」
(*゚ー゚)「…………ないです」
m9(^Д^)プギャー
(,,゚Д゚)「だから止めろそれ」
シャキン達と話しているショボンをちらっと見る五人。
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( ´ー`)「でも、怒られたから従ったわけじゃないだーよ」
| ^o^ |「ショボンさんは、本当に私達の事を心配してくださいました」
( ^Д^)「で、言われたんだよ。メニューを作るから鍛えてみますかってな」
(*゚ー゚)「そうだったんですか」
( ´ー`)「目標とするスキルバランスがちょっと悪い気がしたけど、やってるうちに真意も分かっただーよ」
(*゚ー゚)「真意?」
| ^o^ |「私たち三人がやってきたことを活かしてくれたのです」
(,,゚Д゚)「やってきたこと?」
('A`)「三人はいろんなギルドやソロプレーヤーと共同でクエストや狩りをしているからな。
自分達だけで戦うことはもちろん、他の奴と一緒に戦う時に力となるスキル構成を組んだんだよ」
(*゚ー゚)「なるほど。そうだったんですか。ってドクオさん!」
(,,゚Д゚)「いきなり来るなゴルァ!」
しぃとギコの後ろから普通に会話に参加したドクオ。
五人は円になって話していたため残りの三人はドクオが違づいてきたことに気付いており、
驚いたしぃとギコを見て笑っている。
(;,,゚Д゚)「三人とも、気付いたなら教えろよゴルァ」
('A`)「お前ら驚きすぎ。人が折角解説に来てやったのに」
(;*゚ー゚)「びっくりした」
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('A`)「あ、そうだ。忘れないうちに渡しておく。
プギャー、始まったばかりで悪いけど、帰る時にはこれ使ってくれってさ」
プギャーの前に浮かぶトレードウインドウ。
そこには転移結晶が三つ入っていた。
( ^Д^)「ここに来る時も転移門から隠蔽使って周りに気付かれないようにやってきたけど、
帰る時も誰にも見られない様にってことか?」
('A`)「みたいだな。
今回起きた事の詳しい話は後でモララーとモナーから説明する手はずになってるらしいから、
詳細はそっちで理解してくれ。
ショボンが言うには、もし今回の件がうちのギルドやメンバーの誰かを狙った事であるのなら、
VIPと懇意にしていることは知られないほうが良いそうだ。
NSはもう無理だけど、おまえらはまだVIPと近いってことは広まってないだろ」
( ´ー`)「わかっただーよ」
(*゚ー゚)「ドクオさん、今も見張られている…ってことですか?」
顔を強張らせて呟くように小さな声でドクオに問いかけるしぃ。
震える身体を支えるように両手で自分の身体を抱きしめたその姿を見て、
まわりの四人が同じように顔を強張らせてドクオを見た。
('A`)「見られちゃいないだろ」
しかし、ドクオの返答は即答で簡潔で軽かった。
そしてその軽い物言いで、全員の緊張感が緩和される。
(*゚ー゚)「え?でも」
('A`)「あいつがよくやる、『念には念を』だろ。
言われて、ここ二時間くらい周囲もよく観察してたけど、いなかったし。
もちろん周辺の建物でも買われて、おれらが確認できないところから見張られたらアウトだけど」
(,,゚Д゚)「ゴルァ…」
(*゚ー゚)「そういえば、ショボンさんとクーさんはどうしたんですか?」
キョロキョロと周囲を見るしぃ。
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(*゚ー゚)「さっきまでシャキンさん達と話していたのにもういないです。
それに、説明をモララーさん達に任せるなんて」
('A`)「ああ、ちょっと野暮用が出来て店の方に行くってよ。
で、しぃにも伝言。悪いけど、しぃも料理や飲み物のチェックを頼むってことだ。
これだけの人数だとふさ一人じゃ回らないだろうしよ」
(*゚ー゚)「はい。分かりました」
(,,゚Д゚)「野暮用って、二人で大丈夫なのかゴルァ」
('A`)「圏内だし、大丈夫だろ。
クーがそばにいるなら、ショボンも無茶なことはしないだろうし」
(,,゚Д゚)「それなら良いが」
('A`)「心配か?」
(,,゚Д゚)「あんなことのあった後だ、当り前だゴルァ」
('A`)「ま、そりゃそうだ」
(*゚ー゚)「でもドクオさんがここにいるなら、私達がでしゃばることも無いですね。
私達は、私たちにできることをします」
('A`)「ん。頼む」
(*゚ー゚)「それじゃあギコ君、フサギコさんとちょっと打ち合わせしてくるね」
(,,゚Д゚)「分かったぞゴルァ」
視線を走らせ、エクストと話しているフサギコを見付けるしぃ。
そしてギコに告げてから、改めて三人にお辞儀をした。
(*゚ー゚)「すみません。また後でいろいろお話聞かせてください」
( ^Д^)「おう」
( ´ー`)「また後でだーよ」
| ^o^ |「お仕事頑張ってください」
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(*゚ー゚)「ありがとうございます。プギャーさん、シラネーヨさん、……と、お名前は…ぎ、ギコ君」
(,,゚Д゚)「お?名前?ん?なんだっけ」
|; ^o^ |「ブームです!ブーム!なんでみなさん忘れるんですか!誰かの差し金ですか!」
(*゚ー゚)「以前ジョルジュさんに、ブームさんと会ったら一回は必ずやらないといけないって言われました。
お約束だって」
(,,゚Д゚)「同じくだゴルァ」
|; ^o^ |「ジョルジュさーん!!」
離れた場所でデミタスとゲラゲラ笑っているジョルジュに駆け寄るブーム。
プギャーとシラネーヨはギコとしぃに軽く手を振ってから、笑いながらその後を追った。
しぃはフサギコの元へ。
ギコは所在なさげに突っ立っていたが、後ろからツンに頭を叩かれてモナーと三人で喋りはじめた。
('A`)「……さて、あとはショボンとクーが何をしてくるかだな」
从 ゚∀从「ん?ドックン何か言ったか?」
('A`)「なんでもない。つーか離れろ」
从 ゚∀从「イヤ。さっきは空気読んであげたから、今はダメ」
('A`;)「離れてるのが本当の姿だろうが」
从 ゚∀从「そんなのは聞こえませーん。認めませーん。ダメダメでーす」
この部屋にいる者は、それぞれに食事と会話を楽しんでいた。
そしてこの時建物の一階にいる者は、会話を苦しんでいた。
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(´・ω・`)「はい。それでは確かにいただきました。ありがとうございました」
バーボンハウス。
店内のカウンターの中に立つショボン。
そしてカウンターを挟んで立つ男が二人。
ロマネスクとヒッキーである。
( ФωФ)「予定時間より遅くなって申し訳ないのである」
(-_-)「申し訳ありません。釣果の集計が遅くなってしまって…」
( ФωФ)「それはこちらの事情。約束を守れなかったのが事実である」
(-_-)「…うん。ごめんなさい」
(´・ω・`)「昨日から何度も言っていますが、魚の提供はもう無くても」
( ФωФ)「ダメなのである!これはけじめであるから、やらせてほしい」
(´・ω・`)「………そうですか」
胸を張って自論を唱えるロマネスク。
隣のヒッキーは所在なさげにロマネスクの後ろにいた。
その姿からは、ドクオと対等に剣を交わしていた姿を想像できない。
ため息とも深呼吸ともとれるほど大きく一度息を吐いたショボン。
(´・ω・`)「わかりました。とりあえずは、昨日決めた形で納品してください。
ただし、納品で来る前には必ず僕に連絡し、ぼくが居る時に来るようにしてください。
あと、ジョルジュ…いえ、ギルドのメンバーと親交を深めるのは個人の自由ですから問題ありません。
その流れで当ギルドの経営する店を理由することも、ぼくが止めることではありません。
ただし、そこにギルド間の交流や今回の作戦の支払い等を行おうとする場合は、
厳正なる対処をさせていただきます。よろしいですね」
( ФωФ)「分かったのである」
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ショボンの口調は穏やかだが鋭さを持っており、
見た目の年齢差が10以上あるロマネスクに対して攻撃とも取れる言葉を紡いだ。
対してロマネスクは全てを受け止めたうえで口を開いた。
( ФωФ)「当然のことである。吾輩達はそれだけのことをしでかしてしまったのであるから。
だが、挽回のチャンスも欲しいのである。
吾輩達のしてしまったことは、命にかかわる重大なミスである。
自分達だけならぬ、ショボン殿たちの命を危険にさらしてしまった…。
もう、こんなミスはしたくないのである。
……虫の良い考えで、思いであることは重々承知しているのである。
だが、ショボン殿たちについて学ぶことが出来れば、
二度とこんなことをしでかさない知識と心構えを身に着けることが出来るようになるような気がするのである。
吾輩もギルドのマスターとして、命を守りたいのである。
だから、挽回のチャンスを……」
ショボンを見るロマネスクの瞳は強く、まっすぐで、静かだが力強い言葉はショボンを圧倒する。
(´・ω・`)「………」
( ФωФ)「………」
(;-_-)「………」
ミセ*゚ー゚)リ「ごちそうさまでした!」
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じっとお互いの顔を見る二人と、心配そうにその二人の顔を交互に見るヒッキー。
その緊迫した状態は、一人の常連客によって壊された。
(´・ω・`)「あ、はい。いつもありがとうございます」
ショボンはロマネスクの言葉の真意を測ろうと思いじっと見つめていたのだが、
それは失敗に終わった。
いや、失敗というよりロマネスクの表情にも視線にも嘘や欺瞞は感じられない以上、
本来ならば信じるしかない。
ミセ*゚ー゚)リ「新作のケーキ美味しかったですよ!
クリームが最高でした!」
(´・ω・`)「ありがとうございます。レシピを作った者が喜びます」
ほんの少しほっとした表情をしてロマネスクから視線を外したショボンは、
彼女の言葉に嬉しそうに微笑み、お辞儀をする。
ミセ*゚ー゚)リ「また来ますね!いこ!フィレフィレ!」
(‘_L’)「ミセミセ。今日も食べすぎだぞ」
ミセ*゚3゚)リ「ぶーー。たっておいしいんだぽん」
(;‘_L’)「……可愛い顔が台無しだぞ。あとちゃんと喋れてない」
ミセ*゚ー゚)リ「私はこの口にするとちゃんと喋られないのよね。
でも、それも可愛いでしょ?ねっ」
(*‘_L’)「あ、うん。…………可愛い」
腕を組み、楽しそうに店を出ていくカップル。
そんな二人にあてられて、黙って二人を見送った三人。
しかし同じようなタイミングで我に返った。
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(;´・ω・`)「そ、それでは今日はこの辺で」
(;ФωФ)「そ、そうであるな。では行こうか。ヒッキー」
(;-_-)「う、うん。お、お、おじゃましました」
何故か三人とも落ち着きをなくしたように挨拶をする。
そしてロマネスクとヒッキーは一度大きく頭を下げるお辞儀をしてから、店を出て行った。
(´・ω・`)「ふぅ……」
川 ゚ -゚)「大変だったな」
カウンター内にあるドアが開き、クーがショボンの隣に立った。
(´・ω・`)「クー。…陰で見てたんだから、助け舟を出してくれても良いんだよ」
川 ゚ -゚)「いやいや、私程度では割り込めんよ」
(´・ω・`)「まったく…」
川 ゚ -゚)「それに、さすがに出て行ったほうが良いかなと思ったら、
あのバカップルが来たから良いかなと思った次第だ」
(´・ω・`)「バカップルとか言わないの」
川 ゚ -゚)「はーい」
(´・ω・`)「でもまあ、思ったより早く帰ってくれてよかったよ」
川 ゚ -゚)「うむ」
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(´・ω・`)「上にみんなが集まっていることを知っていて、
全員に謝りたいから入れてほしいとか言い出すんじゃないかと、ちょっとひやひやした」
川;゚ -゚)「それはさすがに穿ち過ぎじゃないか?」
(´・ω・`)「そう?まあみんなを守るためにも、それくらいのほうが良いでしょ」
川;゚ -゚)「それはそうかもしれんが」
(´・ω・`)「さて、店はNPCのカレンちゃんに任せて僕も上に行こうかな」
カウンターを人差し指で叩いて出したウインドウを操作するショボン。
ドア付近にいた地味なメイド姿の女性がこちらに向かってきて、ショボンと幾つか言葉を交わした。
川 ゚ -゚)「ああ、すまんショボン」
(´・ω・`)「ん?」
川 ゚ -゚)「実は来客でな、私は呼びに来たのもあるんだ」
(´・ω・`)「え?」
川 ゚ -゚)「ブーンの店の方に彼女がいるはずだから、行ってやってくれ」
.
-
会議室。
(`・ω・´)「ま、今回一番の裏方はおれ達だからな」
( ・∀・)「ショボンの依頼とは言え、よく来たよな」
( ゚д゚ )「それほど大変ではなかったぞ。あの三人も使えたしな。
うちのギルドにスカウトしたいくらいだ」
ミ,,゚Д゚彡「シャキン達にはお世話になったから!」
<_プー゚)フ「強いモンスターと戦うのは楽しいぞ!!」
(´・_ゝ・`)「だからお前は剣を出すな剣を」
(゚、゚*トソン「あ、あのモララーさん」
( ・∀・)「お、トソン。その眼鏡やっぱり似合うな」
(゚、゚*トソン「あ、ありがとうございます!」
( ・∀・)「良いって良いって」
▼・ェ・▼「きゃん!きゃん!」
ξ゚⊿゚)ξ「何ビーグル、これ食べたいの?しょうがないわね。はい、あげる」
▼*・ェ・▼「きゃん!」
( ;ω;)「確保しておいたとっておきのお肉が……」
( ´∀`)「ありがとうもな、ツン、ブーン」
ξ゚⊿゚)ξ「良いの良いの。あ、こっちも食べる?ビーグル」
▼*・ェ・▼「きゃん!」
( ;ω;)「おーーーーーん!!そっちまで!!!楽しみにしていたチキン!!!」
ξ゚⊿゚)ξ「あんたはあっちの野菜スティックを食べてなさい」
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('A`)「それよりこいつをどうにかしてくれ」
从 ゚∀从「どいつだ?」
('A`)「おまえだ!」
从 ゚∀从「え?わたし?」
( ^Д^)「バカップルが」
(,,゚Д゚)「バカップルだ」
('A`)「ギコにだけには言われたくない気がする」
从*゚∀从「どっくん、どっくん、カップルだって!」
('A`)「喜ぶな!」
从 ゚∀从「えーーーー」
( ゚∋゚)『あいかわらずだな みんな』
(*゚ー゚)「クックルさんも笑顔で安心しました。はい、お茶です
あ、それ新しいボードですね。持ちやすそう」
( ゚∋゚)『ありがとう。もらがつくってくれた』
( ´_ゝ`)「ま、みんな色々抱えてるって事さ」
( ゚∋゚)
(*゚ー゚)
( ´_ゝ`)「ん?どうした?」
(´<_` )「いきなりやってきて、兄者がいきなりまともなことを言ったら、そりゃみんな言葉をなくすだろ」
( ´_ゝ`)「え?そういうことなの?二人とも?」
(*゚ー゚)「え、いや、そんなことはないですよ。突然後ろから来られたのでびっくりしただけです」
( ゚∋゚)『そうそう』
.
-
( ´_ゝ`)「なんか色々釈然としない」
(´<_` )「考えるな」
(*゚ー゚)「それが良いと思います」
( ゚∋゚)『うむ』
| ^o^ |「ジョルジュさんもう止めてくださいよ」
_
( ゚∀゚)「はいはい。ちょっとした冗談なのに」
|; ^o^ |「だいたいなんで私なんですか」
_
( ゚∀゚)「なんとなく面白そうだったから」
|; ^o^ |「なんとなくで心が折れそうになりましたよ!」
_
( ゚∀゚)「あ、でもこの前助けた時に忘れていたのはマジだぞ」
|; ^o^ |「……うわぁ」
( ´ー`)「諦めるだーよ」
|; ^o^ |「心が折れそうです」
宴は続く。
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-
ブーンの雑貨店。店内。
カウンターにはNPCのスタッフがおり、やってきた客の対応をしている。
といっても販売作業しかできず、鑑定といったようなブーンが居なければ出来ないような対応は、
本日は非対応となっていた。
今どうしても売却したい者はカウンターにある案内を見て別の店に向かうが、
常連や急ぎではない者は「またにするか」と呟いていた。
それはひとえにブーンの人柄と、他の店よりちょっとだけサービスしてくれることを知っているからだった。
そんな店内に、頬に特徴的なペイントを施した女性がいた。
棚に置かれたアイテムを手に取り、値段を確認したりしている。
(´・ω・`)「何か欲しい物はありましたか?」
(アルゴ)「お値段も周囲より少しだけ安くしてあるのが、繁盛店の秘訣だネ」
気配を消して後ろに立ったショボンが突然声をかけても全く動じないアルゴ。
振り向いたその顔には、いつものいたずらっ子の様な笑みさえ浮かんでいた。
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(アルゴ)「売り上げはちゃんとあるのかナ?」
(´・ω・`)「もちろんですよ。ブーンと相談して薄利多売としているだけです」
(アルゴ)「なるほど。
てっきりここは人の出入を激しくすることによって情報を集める為なのかと思ったけど、違ったかナ」
(´・ω・`)「もちろん違いますよ。
そんなこと人に聞かれたら誤解されてしまいますから、止めてくださいね」
(アルゴ)「もちろん噂や推測を外に漏らしたりしないヨ。
そこは安心して欲しいネ」
(´・ω・`)「そうですね。そこは信用していますよ」
(アルゴ)「アハハハハハ。嬉しいネ」
思わせぶりな視線を投げかけ、外に出るドアに向かうアルゴ。
ショボンは黙って後に続くが、一回だけ中に続くドアよりこちらを伺っているクーに視線を向けた。
頷き、中に消えるクー。
歩きながらそれを確認し、ショボンも外に出た。
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-
(`・ω・´)「いやいやいやいや。やっぱり女の子はだなぁ」
(゚、゚トソン「シャキンさん、いろいろ古いですよ」
(`・ω・´)「……え?」
( ・∀・)「夢見すぎだよな」
(`・ω・´)「え?そう?」
ξ゚⊿゚)ξ「もしかして…」
(`・ω・´)「!!ちゃう!断じて違う!」
(´・_ゝ・`)「良いんだ良いんだ。見栄を張らなくて」
(`;ω;´)「だってちがうもん!」
m9(^Д^)プギャー
( ´∀`)「恥ずかしいことじゃないもなよ」
(*゚ー゚)「なんかモナーさんが大人です」
( ´∀`)「モナーは大人もなよ」
( ゚д゚ )「おお!余裕のある発言!」
_
( ゚∀゚)「あーでもシャキンの気持ちも分かるというか」
(`・ω・´)「だよな!」
_
( ゚∀゚)「でもそこまで夢も見てないけどな」
( ´_ゝ`)「ま、恥ずかしいことじゃない」
(´<_` )「そういうことだ」
(`・ω・´)「違う!おれは違うんだ!!」
( ´_ゝ`)「だからそうムキになるとだな」
<_プー゚)フ「逆に確信してしまうってことだ!」
(´<_` )「だな」
.
-
(`・ω・´)「おまえらは否定しないと確定するだろうが!」
ξ゚⊿゚)ξ「当り前よ」
( ^ω^)「おっおっおっ」
('A`)「まったくこいつらは…」
从 ゚∀从「どっくんは?」
('A`)「え?」
从 ゚∀从「どっくんは?」
('A`)「………」
从 ゚∀从「………」
( ´ー`)「バカップルだーよ」
ミ;,,゚Д゚彡「こういう話題は苦手だから…」
(;゚∋゚)『同じくだ』
ミ*,,゚Д゚彡「でも、興味もあるから」
( ゚∋゚)『ふさ…』
|; ^o^ |「……ついさっきまで先日の報告でドシリアスだったのに、
こんな会話をしていて良いんでしょうか」
▼*・ェ・▼「キャン!」
.
-
(アルゴ)「説明を、してもらおうか」
路地裏の暗がり。
人通りは無く、時間も遅く街の明かりからも外れているため闇が支配している。
壁に沿うように立つショボンと、道の真ん中に立つアルゴ。
(´・ω・`)「説明?」
(アルゴ)「!だ、だから!」
(´・ω・`)「あなたが見たことの説明ってことですか?
ぼくが何故あの人達と会っていたのか」
(アルゴ)「…そういうことだ」
(´・ω・`)「何故?」
(アルゴ)「え?」
(´・ω・`)「何故、アルゴさんにそんな説明をしなければならないんですか?」
(アルゴ)「!そ、それは…」
厳しい顔をしてショボンを問い詰めようとしていたアルゴであったが、
不思議そうにこちらを見るショボンの問い掛けに、逆に言葉をなくしてしまう。
(´・ω・`)「何故ですか?」
(アルゴ)「…言うつもりはないと?」
(´・ω・`)「必要や理由があればしますが、どちらも思い当りません」
(アルゴ)「………」
(´・ω・`)「それにこれは、『情報』になる可能性があります。
『情報屋』のアルゴさんに問われるがままに説明するような内容だとも思えません」
(アルゴ)「………」
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-
苦しそうな表情でショボンを見るアルゴ。
ショボンはその視線を、表情だけは平静に受け止めている。
(アルゴ)「一つだけ、答えてほしい。
これは、『情報』じゃなく、今まで交わしてきたきた取引や言葉から、
私がこれからもお前を信じたいからだ」
(´・ω・`)「………なにを、ですか?」
(アルゴ)「お前は……オレンジ……いや、レッドプレイヤーなのか?」
(´・ω・`)「違います」
(アルゴ)「…信じて良いんだな」
(´・ω・`)「ギルドの仲間に誓って」
(アルゴ)「分かった。……信じるよ」
射るような視線でショボンを見ていたアルゴであったが、
その言葉を最後に表情を和らげて視線を一回外すと普段の表情に戻った。
(アルゴ)「悪かったナ。こんな時間につき合わせて」
(´・ω・`)「いえ」
(アルゴ)「ギルド『ANGLER』とプレイヤー『マタンキ』の情報、入ったら随時連絡するヨ」
(´・ω・`)「よろしくお願いします」
歩き始めたアルゴの後に続くショボン。
そして大通りに出た。
(アルゴ)「じゃあナ。また連絡するゼ」
ショボンが別れの挨拶をする暇も無く駆け出したアルゴ。
その姿は街の風景に隠れ消えた。
(´・ω・`)「………ふぅ」
小さくため息をついたショボンは悩むように右の眉を人差し指で軽く二回叩いた後、
バーボンハウスに戻った。
.
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そして会議室を素通りし、執務室に戻る。
ドアを開けたままソファーに座ると、少しして自然にドアが閉まった。
川 ゚ -゚)「お疲れ様」
(´・ω・`)「クーもお疲れ様」
白い壁から浮き出るようにその姿を現したクー。
先日作戦時にフサギコやデミタスが来ていたマントを羽織っている。
川 ゚ -゚)「これはすごいな。私のスキルでも隠れることが出来た」
(´・ω・`)「ツンとモララー、弟者に依頼したものの一つだよ。
耐久性とか難点はまだまだあるけど、
隠蔽スキルの強化に特化したものとしては問題なしだね」
川 ゚ –゚)「だが…」
(´・ω・`)「うん。アルゴさんはいたことに気付いていただろうね。
流石だよ」
川 ゚ -゚)「良いのか?」
(´・ω・`)「アルゴさんのもう一つの目的は、『クーに聞かせる』ことだったと思うから。
だから多分あんな簡単に帰ったんだと思うよ」
川 ゚ -゚)「目的の一つは達したという事か」
(´・ω・`)「そういうこと。
もしかしたらどこかから見てることも考えて、
念の為クーにはここに戻るまで隠れたままにしてもらったけど」
マントを外し、ショボンの対面のソファーに腰掛けるクー。
疲れたような顔をしたショボンをみて、少し悲しそうな顔をする。
川 ゚ -゚)「大丈夫か?」
(´・ω・`)「うん。大丈夫。自分で決めたことだからね」
.
-
川 ゚ -゚)「なら良いが」
(´・ω・`)「みんなにさせてる事の方が、心が痛むよ」
川 ゚ -゚)「それこそいらぬ心配だな。
私達も、自分で決めたことだ。
これで地獄に落ちるとしても、後悔はしない」
(´・ω・`)「………そこまで酷いことしてるのかな。ぼく達」
川 ゚ -゚)「いや、してない」
(´・ω・`)「だよね。びっくりした」
クーの言葉に身を乗り出して驚いた顔をしたショボンだったが、すぐに顔を綻ばせる。
そして視線を交わし、笑顔を見せる二人。
そのまま笑っていると、ドアが開いた。
中を覗き込む二人の男。
( ^ω^)「やっぱり戻ってたお!」
_
( ゚∀゚)「ホントだ!早く来いよ!まだ夜は長いぞ!」
(´・ω・`)「はいはい」
川 ゚ -゚)「そうだな。今日はみんなで楽しもう」
部屋を出る二人。
四人で笑いながら、みんなの待つ部屋のドアをくぐった。
.
-
6.深淵
「どうでしたか?」
「順調と言えば順調…といったところでしょうか」
「そうなの?」
「ああ。」
「あれで…ねぇ」
「それで、あいつは今どこに?」
「ふつうに森で狩ってる」
「あまり目立たない様にしてもらわなくてよいのですか?」
「よいでしょう。いくら情報屋と手を組んだとしても、見付けられないでしょうから」
「いざとなれば、情報屋も殺せばよい。ですか?」
「あ、でもそれは難しそうだよ」
「というと?」
「前にちょっとイライラした時に狙ったんだけど、なかなか隙がなかったんだよね」
「それで?」
「早漏は嫌われない?彼女に」
「……それで?」
「はいはい。この前森で見かけた時にまたちょっと狙ってみたんだけど、
ガードがさらに厳しくなってた。そう簡単には殺せないかも」
.
-
「なにかあったんでしょうか」
「どうだろ。レベルも上げてるだろうから、それだけかもしれないけどね」
「情報屋としてはまだ利用価値もありますから、殺さない様に気を付けましょう」
「はーい」
「それがよいですな」
「あ、ねえねえ。この前言ってた圏内殺人がどうのこうのって、結局どうだったの?」
「ああ、あれですか。結局トリックを使用して死んだように見せかけただけだったようです」
「なんだ。つまらないの」
「ただ…」
「どうした?」
「裏に『笑う棺桶(ラフィンコフィン)』がいたようです」
「ほお!」
「へー」
「そして、解決には血盟騎士団の副団長と攻略組の黒の剣士が関わっていたとかいないとか」
「…つまらん」
「そいつら、みんな殺したいな」
「噂ですよ。噂」
「でも、あいつらを殺したら楽しそうだよね」
「先ずは、目の前のあいつらですよ」
.
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「……ギルド『VIP』」
「ギルマスのショボン、剣士のドクオとジョルジュ、道具屋ブーン。とりあえず狙うのはこんな感じ?」
「あいつが、ツンとか言う女を殺したいとか言ってたな」
「指定できるならドクオを殺りたい」
「あなたはジョルジュですか?」
「そうですね。ま、その時の気分で」
「あのギルドは、殺すのに面白そうなやつが多いよね」
「半分は殺したいですが、その五人は確定ですね。主要メンバーの様ですし」
「サブマスはどうしますか?」
「クーとか言う女ですか。出来れば残して、仲間が半分以上殺されて壊れていく姿が見たいですね」
「いいね。それ」
「では、その女は残す方向で」
「いいでしょう」
「ねえ、いつやる?」
「ちゃんと殺すためにも、もう少し調べましょうか」
「つまんないのー」
「では、わたしも引き続き情報を集めることとします」
「よろしく」
「ちゃんとやってよ。おじさん」
「小僧もな」
「しかし……」
.
-
「ん?なんかいった?」
「どうかしましたか?」
「いや、その日が来るのが楽しみだと思ったのである」
第十三話 終
.
-
間違えた…
第十二話終了でした。
あと、とりがとれてるし…。
誤字脱字も含め、もう少し注意深くしないとだめですね。
次回への教訓にします。
乙や感想、考察ありがとうございます。
良い意味で予想通りだったり裏切れたりしていれば嬉しいですが、いかがでしたでしょうか。
次回は残りのメンバーの話の予定ですが、息抜きの閑話やクエスト攻略の話なんかもネタのストックがあるのでまだ未定です。
4月中に投下ができなかったので次回は6月にできればと思っておりますが、ちょっと厳しいかもです。
それでは次回、またお会いできれば幸いです。
ではではまた。
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乙
面白かったです
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乙
毎回シリアルな展開で終わってホッとする暇がねぇ
どっくんは爆発しろ
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結局ヒッキーが襲った理由が分からなかったんだが、マタンキに何らかの理由で脅されてたのか?のくせにマタンキ自身がロマネスクが狙われたり、よく分からんのだが…
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またんきが無関係のロマ使ってヒッキー脅して囮にさせ、主攻はまたんき
という設定だが実際は全員グル
って読めるけど、どうなんでしょ
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おもしろかった、乙です
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乙
数話前にはワカビロぽっぽまで黒幕に絡んでそうと思わせる伏線もあったし気になる
プギャー達がただのモブで終わらなかったのがなんかちょっと嬉しい
ああいう一見モブっぽいけどやる時はやる立ち位置のキャラクター大好き
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乙 ミセリとフィレンクト付き合ってたのかよwww
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乙
毎回展開が面白い!
次も楽しみにしてるけど、無理しないでやりやすいように投下してくれよ
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アングラーはアンダーグラウンドともかけた名前だったのかね
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面白かった!
戦闘だとブーンがだんだん尖った性能になってきてて好きだ
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ミセミセ
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面白すぎて禿げそう
作者応援してる次が楽しみだ
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>>400
フィレフィレ
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ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1543.gif
モナーが青色のスキルを覚えたようです
▼*・ェ・▼!!
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ビーグル可愛いなwww
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まだまだかかるのかなー
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そろそろ来るころだな
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8月こそは…何回最初から読み直したのかわからねぇ
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それでは、第十三話の投下をしたいと思います。
よろしくお願いします。
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( ^ω^)達はアインクラッドを生きるようです。
第十三話 ダイヤモンドだね
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0.アルマース
西暦2023年八月初旬。
深夜。
一週間単位で借りることの出来る部屋でモララーはスキルを鍛えていた。
( ・∀・)「……こんなもんかな」
そこは街外れの牧場の二階。
キッチンは無いがベッドルームとリビングが分かれており、
更に風呂までついたその部屋をモララーは気に入っていた。
そして夜は家具を片付けたリビングで剣技を練習することが日課となっていた。
剣技は、敵に当てなくてもレベルを上げることが出来る。
『行う』ことが大事であり、敵に当てることや技で倒すことは大事ではない。
勿論剣技によって敵を倒すことにより経験値のボーナスが付くであろうことは想定しているが、
モララーは夜の日課を欠かすことはなかった。
今日やる分と決めていた内容を軽くオーバーしてから一息つくと、ベッドルームに移動する。
それほど柔らかくはないが寝心地の良いベッドに腰掛けると、大きく息を吐いた。
そのまま動かなくなるモララー。
まるで彫像のように瞬き一つせず、感情の無い表情で足元をみている。
どれほどそうしていただろう。
一度ゆっくりと目を閉じて、開く。
そして最近覚えた爪を外しながら自嘲気味に唇をゆがめ、ウインドウを開いて爪をしまう。
代わりに鉱石を一つ出してサイドテーブルに置くと、愛用の工具袋をその横に置いた。
( ・∀・)「考えても仕方ない。気分転換〜」
袋から最近使えるようになったノミと金鎚を出して構え、鉱物に衝撃を与える。
叩くたびに澄んだ金属音が響く。
( ・∀・)「……こい!」
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気合いと共に一発叩くと、テーブルの上の鉱物が光り輝いて形を変えていく。
( ・∀・)「キター!」
何故か踊りだすモララー。
流石に人前ではできないが、一人の時は必ずやってしまうその奇行。
けれど理由はあった。
( ・∀・)「よし、出来上がり!」
光が収まると同時に踊るのを止め、形を変えた、鉱石だったものを手に取るモララー。
それは、黒い指輪だった。
黒曜石の様に深く濃い黒。
しかしライトの光を受けて輝いている。
( ・∀・)「スペックスペック」
指輪をタップしてウインドウを出す。
( ・∀・)「よしよし。やっぱ踊ると違うね」
ステイタスアップの効力を持った指輪に満足し、けれど軽い動作でテーブルの上に置いた。
そのままベッドに倒れるように寝転がり、ウインドウを開く。
スクロール操作をして自分の覚えたスキルを確認し始める。
( ・∀・)「明日はこれとこれを重点的に鍛えるか………ん?」
一番下までスクロールした時に、見知らぬスキルを見て動きを止めた。
( ・∀・)「なんだこりゃ」
上半身を起こし、ベッドに腰掛けて、クリックした。
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1.アーカンサスダイヤモンド
2023年8月末。
浮遊城アインクラッド。
百層に及ぶその世界は、三分の一ほどが攻略されていた。
その勢いは人の心に明かりを灯すのに十分な力を持っており、
一部の者には攻略組への強い憧れを抱かせていた。
そして、それは時に仲間に入りたいと自らのレベルを上げようとする行動につながり、
ほんの少しではあるが全体的にプレイヤーの活動を外に向けて活発化させていた。
( ・∀・)「さぁって今日は何を作ろうかな」
そして街が増え行えることが増えると、マイペースに自分の楽しみを見付ける者も増えていた。
( ・∀・)「ピアスは昨日作って目標レベルまで上げたし、指輪はとりあえず充分だし」
最前線の主街区。
転移門のある公園。
夜間戦闘を行った者が帰るにはまだ早く、朝から出るにはまだ少し早い、そんな時間。
人影まばらな公園の片隅。
商売をするにはかなり良い場所に、モララーは絨毯を広げていた。
( ・∀・)「とりあえずはブレスレットとネックレスかな。
そろそろアンクレットとか新しい装飾具を覚えても良い気もするけど」
呟きながらもまずは絨毯にアクセサリーを並べる。
どれも可愛く可憐で女性に人気が高そうであるが、八割方買うのは男である。
( ・∀・)「このピアスなんかは最高傑作なんだけどな…」
その手に持たれたのは小さな花のピアス。
淡い紅色をした、透き通るほど薄い花弁。
中心には小さな真っ白な真珠が輝いている。
( ・∀・)「……」
すっと日の光を当てるかのように目の高さまで上げると、
真珠の中心に花弁と同じ淡い紅色の光が浮かぶ。
( ・∀・)「可愛い女の子につけてほしいよな…」
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悲しそうに呟き、指先でピアスをタップするとウインドウが開く。
『攻撃力+4』
『防御力+3』
『素早さ−1』
( ・∀・)「……どうせまた屈強な男が買うんだろうな」
絨毯の中心、目を引く一番良い場所にピアスを置いた後、その横に『素早さ+1』をもつ指輪をおく。
可愛い女の子に買ってほしいと言いながらも、
その金額と能力値から考えて冷静に商売をするモララーだった。
ミ,,゚Д゚彡「……負けたから」
( ・∀・)「遅いよばーか」
屋台『バーボンハウス』をひいたフサギコが、ふてくされたように男を見ている。
ミ,,゚Д゚彡「向こうに行くから」
( ・∀・)「ここにしろよ。暇な時間に話せるし、昼飯買うのも楽だしさ」
ミ,,゚Д゚彡「もう賭けはしないから」
屋台や絨毯を広げて商売をする者にとって、
レベルの高いプレイヤーが多く通る最前線の転移門広場は絶好の場所である。
もちろんその売る品のレベルが低ければ見向きもされないため、自然と淘汰はされてしまう。
つまり定期的に、もしくは常駐できる生産系の職をもったプレイヤーは、
周囲から見てもある程度の高レベルの品を扱っていると判断された。
またそんなプレイヤーの数はけっして多くは無い。
そのため徐々に顔見知りにもなり、とくに売る品のジャンルが違えばライバルにもならないため、
自然とフサギコやショボンは彼と話す様になっていた。
( ・∀・)「今日はフサギコか。ってことは昼飯はタダで食えるな」
ミ;,,゚Д゚彡「賭けはしないって言ってるから」
モララーの隣に屋台を設置するフサギコ。
公園の中にも人が集まりやすい場所と集まりにくい場所があり、
モララーとフサギコ・ショボンは毎日のように場所取り争いをしているのだった。
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( ・∀・)「そんなつれないこと言うなよ」
ミ,,゚Д゚彡「……」
黙って準備を進めるフサギコ。
そして争いは場所取りだけでなく、気まぐれな賭け事を行っていたりもした。
( ・∀・)「ふーさーぎーこー。しゃべれよー。まだ忙しくなる時間じゃないから暇だぞー」
ミ,,゚Д゚彡「……今日は負けないから」
( ・∀・)「!そうこなくっちゃ!」
それはかなり簡単な賭けだった。
例えば先に売れるのはどちらの店か。
例えば買い物をする客は男か女か。
例えばこの後売れるアクセサリーは何か。
例えばこの後売れるサンドイッチの種類は何か。
そんなことを即座に決め、勝った方が負けた方に売り物を上げたり、
同じ公園で露店を開いているプレイヤーのアイテムをプレゼントしたりしていた。
( ・∀・)「フサギコには勝ち越してるかな」
ミ,,゚Д゚彡「今日は負けないから」
( ・∀・)「この前勝ったのどっちだっけ?」
ミ,,゚Д゚彡「……モララーだから」
( ・∀・)「へっへっへ。じゃあ賭けの内容は決めて良いぜ」
コンプレックスを数多く抱えたフサギコにとって、
ギルドVIPのメンバーは気取らず喋ることのできる仲間である。
そして自分の喋り方を気にせずに会話してくれるモララーは、
同じように感じることの出来る、話すのが楽しい知り合いだった。
ミ,,゚Д゚彡「ううううううう。絶対勝つから!」
口調は激しいが笑顔で準備を進めるフサギコ。
モララーも笑いながら絨毯にアクセサリーを並べている。
その後も会話をしながら準備を進めていると、ちらほらと人が多くなりはじめた。
早朝の光から、朝の光へと周囲が変わる。
それを確認すると、会話よりも商売に重点を置き始める二人だった。
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2.クァジマダイヤモンド
( ・∀・)「ユニークスキル?」
朝から昼まで一気に慌ただしく通り過ぎると、やっと休憩に入ることが出来た。
モララーは戦利品のホットドッグを食べながらフサギコから聞いた単語を繰り返す。
( ・∀・)「……なんか聞いた覚えあるけど…」
ゲームの中にいるけれど、モララーは別にゲーマーではない。
その為このゲーム専用の単語はもちろん、ゲーム専用の単語にも知らない言葉が数多く存在した。
それはモララーと絨毯を挟んで反対側にいるフサギコも変わらないのだが、
おせっかいな仲間が色々と講義をしてくれたことにより、今ではそれなりに知識を得ていた。
ミ,,゚Д゚彡「この世界に一つしかない、一人しか使えないスキルの事だから」
( ・∀・)「ああ、そっかそっか。そんな名前だったな」
話の発端はなんであっただろう。
おそらくは二人のメイン武器がエクストラスキルを持たないと使えない武器のため、
そこから話が発展したと思われる。
エクストラスキル。
最初から使える、選ぶことの出来るスキルと違い、
ある一定の条件をクリアしないと選ぶことが、使うことが出来ないスキル。
その条件にも種類があり、バラエティに富んでいる。
例えばVIPのメンバー必須スキルとしている体術は、
あるイベントをクリアすれば使えるようになるエクストラスキルである。
とは言ってもそのイベントがなかなか大変なのだが、目標を定めることはできる。
例えばフサギコが今メイン武器としている刀。
これは最初から使える曲刀を頑張って使っていると、
いつの間にか使えることが出来るようになるエクストラスキルである。
そう、『いつの間にか』使えるようになる。
明確なレベルや経験値だけでない何かの規定。
もしかするとランダムな運なんじゃないかと邪推してしまうようなその条件。
スキルを覚えた時のすべてのパラメータを解析すれば、
もしかすると分かりやすい基準があるのかもしれないが、
今この世界ではそれを出来る状況ではないため、
刀を覚えたいプレイヤーは『いつの間にか』を夢見て曲刀を振り、使い続けるしかない。
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このようなエクストラスキルの話から、ユニークスキルに話は進んでいた。
ユニークスキル。
このアインクラッドにおいて、一つしかない、一人しか使うことの出来ない夢のスキル。
今はまだ存在だけが噂として広まっており、存在が確定されてはいない。
つまりユニークスキルを使えるプレイヤーは世に知られていない。
自分一人だけが主人公であるスタンドアロンのゲームと違い、
このゲーム、『ソードアートオンライン』はプレイヤー一人一人が主人公である。
レベルの上げ方、スキルの選び方、ステータスの鍛え方、
プログラムの中では全てが自由で自分の力は自分で決めることが出来る。
そんな、全員がシステム上は同条件に居られるこの世界において、
ユニークスキルは唯一と言ってよい、ゲームが認めた『差別』であった。
( ・∀・)「けどあれって、ほんとにあるかどうか分からないだろ?」
ミ,,゚Д゚彡「あるって話だから」
( ・∀・)「…ユニークスキル…ねぇ…」
そしてそんなスキルの存在が知られてはいるが、実際にそのスキルを持つ者は未確認であり、
かつどうやれば得ることが出来るのかは謎に包まれていた。
ホットドッグを食べ終えたモララーは、わきに置いておいたサンドイッチを手にする。
因みにこれはちゃんと購入したものである。
ミ,,゚Д゚彡「!これが良いから!」
蒼いティアドロップ型の鉱石が一つぶら下がったネックレスを手にしたフサギコ。
『正確性+3』
これもまた、ステータスアップの特典の付いたアクセサリーである。
( ・∀・)「それでいいのか?二敗分だから、もっと高いのでもいいぞ?」
ミ,,゚Д゚彡「これで良いから!」
( ・∀・)「おれはいいけどよ」
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-
モララーはフサギコからネックレスを受け取り、トレードウインドウを使ってフサギコに渡す。
これによってネックレスの所有者はモララーからフサギコに移った。
ミ,,゚Д゚彡「ありがとうだから」
( ・∀・)「はいはい。あーチクショウ
まさか一勝した後二連敗するとは」
ミ,,゚Д゚彡「読みが当たったから!」
悔しそうに唇をゆがめるモララーと、笑顔のフサギコ。
ミ,,゚Д゚彡「そろそろ午後の準備をしなきゃだから」
受け取ったネックレスをしまったフサギコが立ち上がり、
一回モララーにお辞儀をしてから屋台に向かう。
( ・∀・)「……ふさぎこ」
ミ,,゚Д゚彡「なにだから」
自分の名を読んだ声に振り返るフサギコ。
( ・∀・)「もし、……もしだけどよ、自分の知ってるやつがユニークスキルをゲットしたらどうする?」
.
-
ミ,,゚Д゚彡「見せてもらうから」
( ・∀・)「へ?」
ミ,,゚Д゚彡「スキルウインドウにどんな風に載ってるのか見せてもらうから、
あと実際に使って見せてもらいたいから」
( ・∀・)「ああ……そうだよな。うん。
お前はそういうやつだな。うん
じゃあもしおまえがユニークスキルの持ち主になったらどうする?」
ミ,,゚Д゚彡「そんなこと、ならないから」
( ・∀・)「『もし』だよ、『もし』」
ミ,,゚Д゚彡「決まってるから」
( ・∀・)「どんなふうに?」
ミ,,゚Д゚彡「ショボンに話して、どうするのが一番いいか相談するから」
( ・∀・)「ショボンに?」
ミ,,゚Д゚彡「それでみんなとも話して相談して、どうするか決めるから」
( ・∀・)「みんな……ねぇ」
呆れたように呟いたモララーと、それを見て不思議そうな顔をするフサギコ。
互いに心に止まる棘を感じていたが、夕方の忙しさがそれを消していった。
.
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3.アイリッシュダイヤモンド
日が暮れて、夜の狩りに向かう者達を見送ったモララーは、
フサギコと夕方になって合流したショボンに別れを告げて部屋に戻った。
そしてリビングのテーブルの上に今日の夕飯を置く。
屋台バーボンハウスで買った夕飯はリアル世界で言うところの焼肉丼と言ったところだろうか。
白米の代わりに使っているメリルという食べ物は、
現実世界の日本米より一回りから二回りほど大きいが、
食感や味はほぼ同じで、モララーは気に入っている。
ただ残念なことに色がどぎつい紫のため、
皿や丼に単品で盛られている状態だと食欲が減退する者が多いらしかった。
(´・ω・`)「赤米とか古代米とか、そんな感じだと思えば良いと思うんだけどな」
( ・∀・)「味も似てるよな。こっちの方が食べやすいくらいだろ」
(´・ω・`)「!そうだよね!」
以前、売れ残ったメリルのおにぎりを見ながら、呟いたショボンに反応したモララー。
それに反応したショボン。
ショボンとモララーは、その日から一気に仲良くなったといっても過言ではない。
メリルは、調理スキルの高い者が手の込んだ炊き方をするとかなりの絶品になるらしい。
モララーはまだ食べたことは無いが、
ショボンが売れゆきがそれほどよくないことを悲しそうに呟きながら漏らしたそれを聞いて、
いつか食べさせてもらおうと企んでいた。
今日の料理はおにぎりの様に色があからさまに分かってしまう料理と違い、
紙の様な丼に入っていた。
メリルの上にたっぷりと乗った肉やかかっているタレによって色の影響はかなり抑えられたらしく、
モララーが帰るころには売り切れていた。
ビックリしつつ残念そうな顔をして残っているメニューを選ぼうとした時に、
ショボンが陰からこっそり出してくれた時は彼の後ろに後光が見えた気分だった。
もちろん定価の金額は払ったがサービスで色々トッピングしてくれていたため、
肉の上にも野菜やら付け合せやら卵の様な物が色々乗っていて、
豪勢な夕飯をすることが出来た。
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( ・∀・)「うまかった!」
一緒に貰ったお茶を飲みつつ一息つく。
ソファーの背凭れに身体を預け、何を見るでもなく天井を見上げた。
今までの経験から、夕方二人で店をやっている時は次の日は二人とも露店を出さない。
おそらくは二人とも狩りに行くのであろう。
( ・∀・)「パーティー、…ギルド…か…」
今食べた丼は、本当に美味しかった。
でも、なぜか、昼間仕事の合間にフサギコと喋りながら食べたランチを思い出す。
そしてその前の日もフサギコとランチをしていた。
その前の日はショボンと食事やアイテムの事を話しながら食べた。
とりとめもなく、なんとなく、思い出す。
しばらくの間そのまま天井を見上げていたモララーだったが、
何の前触れもなく身体を起こして立ち上がると家具を片付けて、今日のノルマを始めた。
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4.アレンコンダイヤモンド
西暦2023年 九月初旬
( ・∀・)「うーむ」
順調に爪のスキルとアイテム作製スキルのレベルを上げていたモララーだったが、
ここ数日低迷を感じていた。
( ・∀・)「しかたない、…出るか」
自分の持つアイテムを確認していたのだが、どうしても素材が足りない。
その素材は普段なら買い物客が持っているのを安く買いたたくところなのだが、
最近持っている客が少なくて手に入っていなかった。
だが今作りたいアイテムにはどうしてもその素材が必要だった。
( ・∀・)「はぁ…」
小さくため息をつき、戦闘用の装備を選ぶモララー。
レベルは高いがどこでも手に入りそうな防具。
爪は使える者が少ないこともありプレイヤーメイドのほどほどに高レベルの物を使っているが、
防具関係にはこだわっていなかった。
そしてそこに、自分で作ったアイテムを装備する。
両手に一つずつリング。
左手にブレスレット、
両耳にピアス。
首にはペンダント。
右の腰に鎖の様な装飾具。
『攻撃力+5』
『防御力+8』
『正確性+3』
『素早さ+1』
etc…
( ・∀・)「今日はこんな感じでいっか」
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-
ストックの中からできるだけ落ち着いた見た目をした装飾具を取り出して装備をする。
そして今から向かうフィールドダンジョンの特性に合わせ出来るだけプラス効果を付けた。
リビングの鏡で身だしなみをチェックするモララー。
( ・∀・)「よしよし。良い感じ良い感じ」
テーブルの上に置かれた花をモチーフにした豪奢なカチューシャ。
あまりのスペックの高さに売るのをためらっているが、
自分で身に付ける度胸も無い。
一応、念のため、使わないけどさ。
誰に聞かせるわけでもない謎の言いわけをしながらそれをストレージに保存し、
部屋を出るモララーだった。
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フィールドダンジョン。
『ふりかえりの森』
比較的ソロプレーヤーでも入りやすく、更に欲しい素材が落ちているダンジョンはここが適当だった。
( ・∀・)「コストパフォーマンスが良くないんだよな」
中央にある大きな湖を囲む様に広がるその森は、出没するモンスターのレベルは低くない。
だが一度に出てくる数がほとんど一匹か二匹であるため、ソロでも戦いやすかった。
迷宮の種類としても特に難しくは無く、地図があれば迷うことも無いし、各種クリスタルも使える。
妙なトラップも今のところ報告はされていないし、攻略自体は難しくない。
だが二つ、気を付ける点があった。
一つは街道のリセット。
朝8時に森の配置がリセットされ、新しい地図が無いと迷ってしまう。
森のそばにある町の道具屋で地図が売られているため、
『ふりかえりの森』に入る者は必ずそこで地図を買っていた。
そしてもう一つが中心の湖。
この森では、その湖に行くことは出来ない。
地図の中心には大きな湖が描かれているし、
街道を歩いていると、森の向こうに湖が見えることがある。
だが地図には湖に向かう道は載っていない。
森の向こうに見える湖に向かって進んでも、前に見えていた湖がいつの間にか右や左に移動し、
更には見えなくなってしまう。
街道のリセットと絡めて様々な憶測が飛んだが結局真相はまだ分かっておらず、
フロア自体も無事にクリアできたためそれほど話題にもならなくなっていた。
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森に入る時のモララーの服装は、部屋を出た時の装備とは変わっていた。
と言ってもケープ付きのマントを羽織っただけなのだが、
それによってモララーのあるスキルレベルが格段に上がっていた。
隠蔽−ハインディング−
そのスキルレベルが高いと、周囲の景色に自分の身体を溶け込ませて見えなくさせることが出来る。
もちろん完全に消せるわけではないし、
対応するスキルを持つ者やモンスターには見破られてしまうこともある。
だがソロプレイヤーには必須スキルであると言ってもよい。
一度に対処できるモンスターの数が少ないソロプレイヤーにとって、
モンスターの群れと遭遇しそうになった時は隠れてやり過ごしたり逃げたりすることが、
重要となるからだった。
基本ソロで戦っているモララーも意識してスキルレベルは上げてあるが、
レベルは高ければ高いほど良いため、スキル効果をアップさせるマントを装備していた。
1エリアごと地図を確認しつつ進んでいくモララー。
途中遭遇したモンスターは同時に出てきた数が二匹までは一度に相手をして倒し、
三匹以上は隠れ、時には逃げてやり過ごした。
そして目的の鉱石を充分に確保した時には、空は赤くなりかけていた。
( ・∀・)「こんなもんか」
安全エリアでHPを全回復させたモララーは残りの回復POTを腰のポーチに移動させる。
念の為クリスタルも持ってきたが、今回は使わずに済みそうだ。
そしてもう一つ、違う色のクリスタルを手にしてじっと見つめて少し悩んだ後、
そのクリスタルも腰のポーチにしまった。
かわりに出した地図を広げる。
( ・∀・)「……帰りはこのルートだな」
鉱石の採集を目的としている時は地図で一つずつ確認していたが、
あとは脱出するだけならばそんな必要はない。
モララーにとってその程度のルートは覚える自信があったし、
ついでに帰りしなにもう一回採集できそうなポイントもチェックをした。
( ・∀・)「…よし」
地図をしまうと腰をひねる様なストレッチをし、
呟くような声で気合を入れると、モララーは出口へのルートを進み始めた。
.
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5.ケベックダイヤモンド
そのエリアに入った瞬間、モララーは妙な違和感を感じた。
そこは森の中では大きなエリアに属し、
中心には鉱石を採取出来る石舞台があるエリアだった。
更にその石舞台のそばには芝生エリアが広がっており、
安全地帯であればコンサートでも開けそうな立地であった。
石舞台に繋がる道は大きなS字を二つ描いており、
ある程度進まないと中央のフィールドを見ることは出来ない。
( ・∀・)「なんか、さっき採取した時と雰囲気が違う気が…」
自分を落ち着かせるために独り言を呟くモララー。
普段のモララーであれば君子危うきに近寄らずを実践しているところだが、
何故か今日はそのまま進んでいく。
それはいざとなればポーチの中にあるクリスタルを使えば良いという安心感からの行動ではあったが、
それ以上に嫌な予感を感じており、進まなければいけないような気がしていた。
S字の道を半分くらい来たところで改めてフードをかぶりなおし、
マントの前を合わせて身体を包むようにする。
このエリアでは中央のフィールドに一つ目に角を一つ持った人型のモンスター『サイキュロプス』が現れる。
ポップ数は1から3の間でのランダム。
昼前に入った時は2体だったため戦い、勝利し、アイテムもゲットできた。
見た目はギリシャ神話に出てくるキュクロープスにそっくりであり、
名前もラテン名と英名を混ぜたようだった。
しかし神話に出てくるそれは巨人のはずなので、
このエリアに出てくるサイキュロプスのサイズが180センチ程のことを考えると、
どちらかと言えば日本神話に出てくる一つ目の鬼と呼んだ方がしっくりきていた。
更に色も赤と青の二色が確認されており、
特に青が持つ棍棒は日本の昔話に出てくる鬼の持つそれにそっくりで、
このエリアに入るプレイヤーの間では、『赤鬼、青鬼』の愛称で呼ばれていた。
.
-
そんなことを考えながら中央のフィールドが見渡せる場所に辿り着いたとき、
モララーの目の前には思いもしなかった光景が広がっていた。
( ・∀・)「……へ?」
そこには、神話に出てくるようなキュクロープスが居た。
( ・∀・)「…サイクロプスが英名なんだっけ」
身の丈は3メートルほど。
勿論ただ背が高いのではなく、横幅もしっかりとあり、
その威圧感は見ただけで身を震わせてしまいそうになるほどだった。
( ・∀・)「なにこれやだこわい」
肌の色は青銅色で、それこそ青銅のような硬さを思わせる光沢を放っている。
片手には背丈ほどの棍棒を持ち、大地を突けば地面が震え、
振り回せば空気を裂く音がうねる様に身体を襲う。
顔の中心にある横に長い目の奥では、黒い瞳がギョロギョロと動き、
周囲を見ている。
( ・∀・)「こんなのもいるんだー。へー。なにかのいべんとかな」
モララーの呟きは、たとえすぐ横に誰かいたとしても聞こえなかったであろう。
それほどに小さい声は誰かに聞かせるためではなく、自分を落ち着かせるためなのだが、
それは成功しているようで事態を悪化させない程度の効果しかもっていなかった。
( ・∀・)「って……あれ、え?まじ…か?」
その巨神と戦う人影が一つ。
身の丈ほどの両手剣を振り回す姿は勇ましく頼もしく見えるが、
少し観察すれば劣勢であるのは明らかだった。
そしてモララーは、その者と話をしたことがあった。
(;・∀・)「あいつ確か、フサギコとショボンの同じギルドのやつ…。だよな。
確か名前は、ジョルジュ…だっけか」
.
-
一気に現実に引き戻され、巨人以外を観察する。
と同時に無意識のうちに右手が動きウインドウを出す。
そしてメッセージウインドウに自分の名前とジョルジュの名前、
そして状況を簡潔に書いてメッセージを交わしたことのある二人に送った。
(;・∀・)「ジョルジュも相当強いって話だったよな。確か」
心の中の確認が、口から洩れる。
それほどに動揺しているのだが、視線は確認すべきことを抑えていく。
それはモララーも幾つかの死線を乗り越えてきた実績からの無意識な行動だった。
(;・∀・)「いや……やばいだろ。あれ」
先程も確認したモンスターの頭上に浮かぶ名前は『キュクロープス』。
神話と同じ名前。
ヒットポイントバーは三本。
まだ一番上の半分しか減っていない。
対してジョルジュのヒットポイントバーは既に半分まで減っており、
イエローになっていた。
( ・∀・)「逃げられない?」
血の気の引くような感覚がモララーを襲う。
おそらくクリスタルは使えるはずだが、逃げること…クリスタルを使うことができないのだろう。
ジョルジュの後方と右横には、普段出現するサイキュロプスの赤と青が一体ずつ居た。
(;・∀・)「転移結晶を使って跳ぶまでの数瞬に攻撃されたらキャンセルさせられちまう」
思わず自分の腰あるポーチをまさぐった。
どれほど戦っているのかは分からない。
だが、あの状態でまだ生きていられたのはジョルジュの強さが本物であることに他ならない。
けれどしかし、これ以上は続かないであろうことも確かだった。
巨神「 ーーーー!!!」
音と言うよりは空気の砲撃の様な叫び声を上げた巨神キュクロープス。
そして棍棒を振り、ジョルジュに向かって振り下ろした。
(;・∀・)「!!!」
.
-
振り下ろされる棍棒を受け止めることはおそらく無理。
けれどただ逃げてもそのスピードと攻撃範囲でヒットポイントが多量に削られることは、
戦っていないモララーにも分かる。
( ・∀・)「!」
その瞬間目の前で行われたことに、モララーは一瞬ついていけなかった。
自分に向かって振り下ろされた棍棒を凝視しながら両手剣を構えるジョルジュ。
そして両手剣の攻撃範囲内に入る瞬間、彼は飛び上がりながら両手剣を左から右に剣技を放った。
緑色に光り輝いた両手剣が青銅の棍棒に当たる。
鈍い金属音が響いた瞬間、左側に吹っ飛ぶジョルジュがいた。
巨神サイキュロプスが放った棍棒はほんの少し軌道を反らせたが、
勢いは変わらず大地を叩きつけた。
衝撃波が円を描いて広がる。
しかしその場から吹っ飛んでいたジョルジュにまでは届いていない。
逆に近くにいた赤青のサイキュロプスを巻き込んでおり、2匹の動きを止めていた。
(;・∀・)「剣技による反発力を使って回避?
んなこと思いついてもやれるやつがいるなんて」
モララーの視線の先で、倒れていたジョルジュが両手剣を杖の様にして立ち上がる。
( ・∀・)「今なら逃げられる!」
しかし逃げようとはせず、今の回避で一目盛だけ減ったHPを回復させるかのように、
腰のポーチから取り出した回復POTに口を付けた。
( ・∀・)「はあ!?なんで逃げないんだよ!!」
思わず大声を上げてしまうが、巨神の咆哮と土煙でエリアは包まれており、
ジョルジュにその声は届いていない。
.
-
( ・∀・)「もしかして、転移結晶持ってないのか?
でも、普通に逃げることくらい……!!」
その場から動かずに、両手剣を杖の様にしているジョルジュを見て、その足元に視線を向ける。
ジョルジュの右足首から先は欠損していた。
(;・∀・)「マジかよ」
POTを飲みながら、真剣な顔で巨神を見るジョルジュ。
欠損時間があとどれほどなのかは分からないが、巨神と赤青が動き始めるより前だとは考えにくい。
(;・∀・)「た、助けないと」
踏み出そうとする足が、震えている。
( ・∀・)「え?」
足が動かない。
( ・∀・)「お、おい、おれの足…」
震える足を支えるように手を添えるが、その震えは止まらない。
(;・∀・)「い、いやだ、おれは、変わるんだ。この世界には、逃げるために来たんじゃない…」
両足をそれぞれの手で叩くモララー。
(;・∀・)「もういやだ。見てみぬふりをするのは。あの時みたいに動けないのは。
ここには別人に、勇気を持った男になりたくて来たんだ」
止まらない震え。
それは上半身にも及ぶ。
( ;∀;)「おれは、変われない?あの頃のままなのかよ」
.
-
『……逃げて…』
.
-
目の前に浮かぶ母親の必死な笑顔。
.
-
涙で曇った視線の先に、両手剣を構えたジョルジュの姿。
その先には獲物を見付けた巨神がゆっくりと身体を向けている。
赤と青も硬直が解け、動き始めている。
ジョルジュの足の欠損は回復していない。
( つ∀;)「 」
震えたままの右足で、一歩踏み出す。
そしてもっと震えている左足を、更に前に出す。
( ・∀・)
涙を拭き、さらに一歩前に出る。
( ・∀・)「なんとか逃がすことが出来れば、おれならそのあと転移結晶で飛べる!」
震えたままの足。
けれどその歩みは勢いを増して、走り始めた。
マントを脱ぎ棄てる。
( ・∀・)「おれは……かわるんだ!」
ジョルジュに対して身体を完全に向けた巨神サイキュロプス。
一つ目に怒りに満たし、ジョルジュを睨む。
_
(;゚∀゚)「流石にそろそろやばいか」
口を開くと、飲み終えた回復POTを地面に落ちて転がった。
POTで回復する時間は稼げたものの、
右足首から下が欠損しているから逃げることは勿論動くのも難しい。
視界の隅のカウントは、残り13秒。
_
(;゚∀゚)「あと13秒なんとか防げれば…」
( ・∀・)「おれがその13秒を作ってやるよ!」
.
-
ほんの少しだけ死を覚悟した瞬間、自分の横を走り抜けた男をみてあっけにとられる。
_
( ゚∀゚)「え?お、おい!」
その顔には見覚えがあるが、友人と呼べる間柄ではない。
(#・∀・)「とりゃあああああああああ!!!!!!」
爪を赤く光らせて突進するモララー。
光る爪は残像を残し、まるで炎の様にジョルジュの目には映った。
巨神「ぐるああああ!!」
突然現れたモララーに反応が遅れた巨神。
その足元に潜り込み、右足の踵の少し上側に最初の一撃を与えるモララー。
それは単発の剣技であり硬直時間もほとんどないため、
そのまま剣技ではなく二回爪を振るい、いったん距離を取った。
自分を攻撃した者を見るために、巨神が振りかえる。
自分を見下ろすその怒りに満ちた瞳に恐怖で身体を震わせそうになるが、
モララーは巨神が自分に対して体を横に向けた瞬間に跳躍した。
それは今自分が覚えている爪の剣技の中で一番数の多い連撃。
一発一発の攻撃は強くないが、八連撃を全て当てればかなりのダメージを与えることが出来る。
しかも突撃属性をもっており、前に向かって跳躍したモララーの身体は普段の倍の距離を飛び、
一瞬にして巨神の右足に辿り突き、地に足を付けることなく右手に装備した爪でまず左から右に攻撃をした。
青い爪痕が巨神の肌に傷を作る。
モララーはそのまま身体をひねって一回転し、その爪痕をなぞるようにもう一度一閃する。
巨神の肌に浮かぶ爪痕の青い光が濃くなり、上からは苦痛に耐えるような唸り声が降り注いだ。
モララーはそこでやっと土に足を付け、同時に手首を返して右下から左上に向かって爪を振る。
更に振り上げた右手を弧を描くように左下に下ろし、今度は右上に向かって攻撃。
右上に振り上げた右手を更に弧を描くように右下に下ろし、再度左上に振り上げる。
.
-
腕を振って目の前に無限大の図を光の残像で描き、重なる中央に爪で格子の線を引いた。
巨神「ぎゅりゅああああああああぁああああぁああああ!!」
最初の攻撃と合わせて五つの攻撃を命中させ、更に一撃を加える。
( ・∀・)!
七つ目の攻撃は、今までと変わって下から上への一撃。
今描いた格子の図を打ち消すような強く長い斬撃を与える。
それは今装備している爪の持つ攻撃範囲をはるかに超え、
足元から三メートルほどの高さまで爪痕を残す。
( ・∀・)「よし!」
そして八つ目の攻撃を放つために腰を落とし、
爪を構えて突進しようとした瞬間、横から衝撃が襲った。
( ・∀・)「うげっ」
重なり合って転がるモララーとジョルジュ。
突進してきたジョルジュがモララーの身体に体当たりをしてきたのだった。
(#・∀・)「てめぇ!」
_
(#゚∀゚)「周りをよく見ろボケ!」
起き上がってジョルジュに悪態を吐こうとしたモララーだったが、
今まで自分がいた場所を巨神の持つ棍棒がすさまじい速さで通り過ぎたのをみて、
冷や汗を流した。
(;・∀・)「あー。サンキュ。助かった。」
_
( ゚∀゚)「あ、いや、こっちこそサンキュ。おかげで持ち直したぜ」
慌てて立ち上がる二人。
そして武器を構えながら巨神と距離を取る。
.
-
( ・∀・)「結晶はどうした?使えないのか?」
_
( ゚∀゚)「もってたのは使い切った」
( ・∀・)「うわ。転移結晶も?」
_
( ゚∀゚)「使おうとしたら後ろから攻撃くらってキャンセルと消滅」
(;・∀・)「うわぁ」
無駄口を叩きながらも武器を振るう二人。
しかし連携は取れていないため、巨神と二匹の攻撃を受け、躱し、
反撃してダメージを与えるのが精一杯だった。
( ・∀・)「ていうか、こいつなんだ?」
_
( ゚∀゚)「知らん」
( ・∀・)「言い切りやがったよこいつ」
_
(;゚∀゚)「おれにも分からないんだよ。ここの湖に行けるルートが出来たって噂を聞いて、
ちょっとチャレンジしに来ただけだから」
( ・∀・)「……湖に?」
_
( ゚∀゚)「ああ。あの石舞台で儀式を行うと、鍛冶の神様が現れて道を作ってくれるって」
( ・∀・)「誰から聞いたのか知らねえけど、それ多分正解だけど間違ってる」
_
( ゚∀゚)「あ?」
( ・∀・)「あいつがキュクロープスだとしたら、鍛冶の神様だから現れたのは正解。
でもただでは作ってくれないってことだろ」
_
( ゚∀゚)「!」
( ・∀・)「……まったく」
連携は拙いが二人とも実力者ではあるためその戦い方は安定している。
だがこの巨神と二匹を倒すには絶対的な攻撃力が足りないのは事実であり、
二人のHPはじりじりと減っている。
.
-
( ・∀・)「POTの残りは」
_
( ゚∀゚)「あと一本」
( ・∀・)「ダメじゃん!ダメダメじゃん!」
_
( ゚∀゚)「何も言い返せない」
( ・∀・)「逃げるしかないけど」
_
( ゚∀゚)「逃げ道は出入り口の二つ。
でも向かおうとすると赤と青が立ちふさがるし、うしろからでかいのも攻撃してくる」
( ・∀・)「やろうとはしたんだ」
_
( ゚∀゚)v「もちろん」
( ・∀・)「この状態でも余裕だなおい」
_
( ゚∀゚)「……おまえは転移結晶持ってるんだろ。逃げてくれ」
( ・∀・)「は?」
_
( ゚∀゚)「自分の蒔いた種で、他の誰かを死なせるわけにはいかねえよ。
しかもそれが仲間の友達だなんて、死んでも死にきれねぇ。
おまえが転移結晶を使ってる間は俺が守るから、だから…」
.
-
『おまえ、あいつと友達なのかよ』
.
-
( ∀ )「ふざけるな」
.
-
『なわけねぇじゃん。担任に言われたからしょうがなくだよ』
.
-
_
( ゚∀゚)「え?」
.
-
『だよなぁ』
『ほら、おれ中学受験すっからさ、内申内申』
.
-
( ∀ )「何言ってやがる」
.
-
ジョルジュの漏らしたほんの一つの言葉が、
モララーの心に耳障りな言葉を思い出させた。
.
-
『おれがあんな奴と友達になるわけないだろ』
.
-
あんな父親の子供である自分に、友達が出来た。
母親を守ることが出来なかった自分に、友達が出来た。
友達が、できた。
そう、思っていた。
嘘だった。
うそだった。
ウソダッタ。
だまされた。
そうなんだ。
できるわけないんだ。
ともだちなんてできるわけないんだ
.
-
( ∀ )「 こんなおれにともだちなんてできるわけない 」
( ∀ )「 もうにげたくないからたたかっているんだ 」
( ∀ )「 ともだちのためとかじゃない 」
( ∀ )「 じぶんのために 」
( ∀ )「 よわいじぶんをかえるために 」
( ∀ )「 もうにげるのはいやだから 」
( ∀ )「 だから 」
.
-
_
(;゚∀゚)「お、おい」
( ∀ )「一人で逃げるくらいなら、最初から飛び出したりしない」
_
( ゚∀゚)「へ?」
突然ぶつぶつと呟き始めたモララーに動揺するジョルジュ。
おもわず肩を掴もうとしたジョルジュの手を払いのけ、
心配そうに自分を見る男を強い瞳で見るモララー。
(#・∀・)「おれは、戦う。逃げたりしない」
_
(;゚∀゚)「い、いやでも」
「「戦闘中によそ見とは流石だな!!」」
巨神が振り下ろした棍棒を、真下から打ち返す巨大金鎚と大斧。
_
( ゚∀゚)「おまえら!」
( ´_ゝ`)「華麗なる流石兄弟がうちの可憐なる兄者、仲間の危機を救うために推参!」
(´<_` )「二人とも大丈夫か」
( ´_ゝ`)「弟者ノリ悪いー。やろうって言ったのにー」
(´<_` )「やるなんて一言もいっとらん。っていうか気持ち悪いからその喋り方やめろ」
( ´_ゝ`)「兄者かなしいー」
(´<_` )「一回フロアボス戦参加して来い」
( ´_ゝ`)「遠回しな死亡フラグキター」
同じ顔をした二人を呆然と見るモララー。
そういえばショボンやフサギコと喋っているのを見たことがあるような気もするが、
直接話したことは無かった。
_
( ゚∀゚)「余裕なのはお前らだろ」
巨神の棍棒を跳ね返した後、防戦しつつも反撃を加える二人。
鮮やかな連携で防御と攻撃を行う。
巨大な金鎚と斧を軽々と振り回して棍棒の軌道を変え、
空いた場所に片方が攻撃を加えている。
.
-
巨神のHPを確認すると、
いつの間にか一本目のヒットポイントバーは消え、二本目になっていた。
( ´∀`)「ぼおっとしちゃだめもな」
更に横から現れる長身の男。
背よりも高い三又の槍がきらめいた。
▼・ェ・▼「キャン!」
それは狼を連れたビーストテイマー。
( ´∀`)「モナ達が近くで狩りをしていてよかったもな」
露店をやっていると時折ビーストテイマーを見るし客にもいるが、
彼のように菁銀色の毛並みをした狼を連れたテイマーは彼しか見たことが無いため、
モララーは覚えていた。
( ´∀`)「赤鬼さんの相手は任せてほしいもな。
とりあえずそっちに行かないようにしておくもなよ」
( ・∀・)「そっか、フサギコと同じギルドの」
_
( ゚∀゚)「モナー!ビーグル!クックル!」
記憶の中の名前を呼び起こそうとした時に、隣で名前を叫ぶジョルジュ。
思わず眉をひそめてしまうと同時に、名前が一つ多いことに気付く。
( ・∀・)「クックル?」
モナーとビーグルが赤いサイキュロプスに向かう背中の向こう側に、
同じく長身の男が鬼神のごとく槍を振るっていた。
.
-
( ´_ゝ`)「クックルナイス!」
(´<_` )「棍棒はおれ達で封じるから攻撃は任せた!」
二人の声に頷く男。
二人との連携は見事なもので、巨神の振り下ろす軌道を即座に理解して立ち位置を変え、
その処理は二人に任せて他の攻撃を気にしつつも色とりどりのエフェクトを輝かせながら攻撃を続けていた。
その動きに見とれてしまったモララーだったが、
青いサイキュロプスがいたことを思い出して慌てて周囲を見ながら武器を構えた。
ξ゚⊿゚)ξ「反応遅いわよ。ま、この状況じゃ仕方ないか」
そんなモララーの視界に映る豪奢な金髪。
その輝きに負けない美貌を誇る少女が、隣に立つ。
( ^ω^)「おいすー。ちょっとおくれてごめんだお」
ξ゚⊿゚)ξ「今のところ私達の出番はない…かな?」
_
( ゚∀゚)「ツン!ブーン」
( ・∀・)「あ、あんたら」
屋台によくやってくる二人。
カップルなのかよく分からないが、
美少女の方が男の方を好きらしいのはなんとなく分かる。
( ^ω^)「ジョルジュを助けてくれてありがとうだお」
( ・∀・)「あ、いや、うん」
にこやかにお礼を言うブーンと呼ばれた男に、妙な返事をするモララー。
ξ゚⊿゚)ξ「ジョルジュ、今のうちに言い訳考えておいたほうが良いわよ」
_
( ゚∀゚)「え?」
( ^ω^)「ショボンがかなりおかんむりだお」
ブーンが少し頬を引きつらせながらジョルジュに言った言葉。
.
-
( ・∀・)「ショボン?」
耳慣れた名前を聞いたモララーが問いかけると、横で何か大きなものが落ちたような音がした。
( ・∀・)「え?」
_
( ∀ )「やべぇ…どうしよう」
(;・∀・)「え?ジョルジュ?だよな?」
両手剣を落としてしまったジョルジュが顔面蒼白になっていた。
ξ゚⊿゚)ξ「で、モララー…だったわよね。あっちは見なくていいの?」
(;・∀・)「え?」
金髪の美少女、ツンと呼ばれた少女が指差した先で戦っていたのは長い黒髪の女性。
臙脂の胴着に紫の袴を穿いた美人が、薙刀を操って青いサイキュロプスと対峙していた。
( ・∀・)「一人じゃ!」
思わず走り出そうとするモララーの前に差し出されるツンの細剣とブーンの片手剣。
ξ゚⊿゚)ξ「心配ご無用よ」
( ^ω^)「あの二人なら大丈夫だお」
( ・∀・)「え?二人?」
モララーの視線の先では薙刀を振るう美人のみ。
その動きは優雅さがあり、切り裂く血しぶきやポリゴンへと変わる肉片が花弁のようにさえ見える。
( ・∀・)「……よく見るとグロイな」
( ^ω^)「クーも容赦ないから」
.
-
川 ゚ -゚)「いくぞフサギコ!」
ミ,,゚Д゚彡「いつでも大丈夫だから!」
クーと呼ばれた美人が青いサイキュロプスの棍棒を跳ね上げる。
ほぼそれと同時にその青い体にいくつもの黄色い光の筋が走った。
ミ,,゚Д゚彡「これで終わりだから」
サイキュロプスの後方から現れるフサギコ。
濃紺の胴着と袴姿で、刀を一振りしてから鞘に納めた。
その動作と共に青いサイキュロプスがポリゴンへと変わった。
( ・∀・)「フサギコだよな」
普段喋る時とは表情すら違うその凛とした姿に、思わず息をのんだモララー。
ミ*,,゚Д゚彡「モララーだから!」
だがこちらに駆け寄ってきたフサギコはいつものフサギコで、
なんとなく悪態を吐いてしまう。
( ・∀・)「空気よめ」
ミ,,゚Д゚彡「え?」
_
( ゚∀゚)「クー!うしろ!」
笑顔で駆け寄ろうとしてきたフサギコに、思わず一言漏らしてしまうモララー。
だがそれと同時にジョルジュの大声が響く。
川 ゚ -゚)「ん?」
青いサイキュロプスを倒したことを確認したクーもこちらに歩み寄ろうとしたが、
その後ろでは新しい青いサイキュロプスが実体化した。
.
-
ξ゚⊿゚)ξ「クー!」
既に棍棒を振り上げていた青いサイキュロプス。
ジョルジュの声とツンの叫びで振り向いたクーだったが、武器を構えるには遅い。
(´・ω・`)「ドクオ!ブーン!」
青いサイキュロプスの額に刺さる大振りのナイフ。
到着したショボンが投げたそれは、サイキュロプスの動きを一瞬止める。
態勢を整えるだけならばクーにとってその一瞬があれば充分であり、
攻撃と防御両方につなげられるよう薙刀を構える。
本来ならば即座に攻撃か回避をすべきなのだが、
ショボンの声によって彼女は最良の動きをしていた。
('A`)「油断するなよ」
( ^ω^)「こんなポップの仕方もあるんだおね」
ショボンがナイフを投げる前から走り出して加速していたドクオと、
ツンが叫ぶのとほぼ同時に飛び出したブーンが青いサイキュロプスに左右から一撃を与える。
青「ぎゃりゃああああ!」
雄叫びをあげて硬直する青いサイキュロプス。
クーはそれを確認してから改めて距離を取り、
ドクオとブーンは追撃を一回行った後左右に広がってそれぞれに武器を構えた。
(´・ω・`)「クーとフサは引き続き青の相手!倒さないで足止め!
ドクオはモナーのフォローに!
モナー!もう少し動きを止めておいて!
ジョルジュ!現状報告!」
戦場に戻るべく走り出すフサギコ。
モララーは自分の知らぬ者の様に指示を出すショボンを見て驚くが、
すぐに一歩引いて周りを見渡せる位置に移動した。
_
( ∀ )「あ、あの、その、おれはただ湖で良い魚を」
(´・ω・`)「ジョルジュ!敵の情報!」
_
( ゚∀゚)「!あ、ああ、そうだな」
.
-
ショボンを見た途端に再び顔色を悪くしたジョルジュだったが、
そのショボンから発せられた鋭い口調の言葉で我に返る。
_
( ゚∀゚)「青は今見た通り倒されて後の再ポップが異常に早い。
赤は再ポップはそれほど速くないが、強さがランダムだ。
おそらくこのエリアに出る赤サイキュロプスのレベルの内でランダムで出ると思う。
でかいのはよく分からない。
弱点は不明。棍棒は通常でも振りは早くて通常棍棒のソードスキルしか今のところは出してない。
一本目の半分くらいはおれの両手剣で削ったけど、
半分は助太刀してくれたモララーが削ってくれた。
両手剣でのソードスキルで効かなかった技は無いけど、
特に大きくダメージを与えた技も無かったと思う」
不完全で推測ばかりだが自分が戦った内容から情報をひねり出すジョルジュ。
一見粗野で敵のステイタスやスキルを読むのは苦手に見えるが、
ここまで戦って生き抜いてきた経験と実力は確かなものだった。
( ・∀・)「へー。ちゃんとそういうの考えてたんだ」
_
(;゚∀゚)「うわ。ひでぇ」
(´・ω・`)「モララー。ジョルジュを助けてくれてありがとう。
感謝はまた後でゆっくりと。で、」
( ・∀・)「おれの武器は爪。攻撃したのは右足踵付近。
使ったのは突進単発斬撃技と、突進を最初と最後に打つ八連撃。
属性は最初と最後が突で、残りは斬。
最後の突は出さなかったから、最大威力は与えられなかった。
その他で通常斬撃を二発当ててる。
とりあえず斬と突ではプラス補正もマイナス補正も認められなかった。
私見だけど、あのモンスターは名前からしてキュクロープスがモデル。
鍛冶の神なのに武器が棍棒なのが気になるが、
前に見た絵画も棍棒だった気がするからそこまで注意する必要もないとも思う」
(´・ω・`)「ありがとう。さすがだね。
キュクロープス、英名サイクロプスに関しては僕も同じ意見だよ」
_
(;゚∀゚)「……」
ξ゚⊿゚)ξ「なかなかやるわね」
(;^ω^)「ぼくより凄いお」
ξ゚⊿゚)ξ「あんたは観察とか苦手だからね」
.
-
( ・∀・)「で、逃げないで戦うのか?今のお前らなら撤退も可能だろ?」
(´・ω・`)「最初は逃げるつもりだったけどね。
この敵、もしかすると一回しか倒せないイベントモンスターの可能性もあるから」
( ^ω^)「そうなのかお?」
(´・ω・`)「みんなに先行してもらってちょっと調べたんだ。
先に兄者たち四人が辿り着いたのも連絡貰ってたから余裕があったしね。
まだ未確定だけど、あのモンスター、イベントボスである可能性は高い」
( ・∀・)「イベントボス?」
(´・ω・`)「詳しい話は後で。モララーは連携が難しいと思うから、後ろにいるか脱出を」
( ・∀・)「…いや、いるよ。ここまでかかわったんだし」
(´・ω・`)「よかった」
ニッコリと微笑んだショボンに違和感を感じつつも、
すぐに戦場に視線を移した彼に何も言えないモララー。
( ・∀・)(「良かった」?何が?笑って?)
(´・ω・`)「ブーン!クーとチェンジ!クーは青のHPが赤になったら麻痺!」
( ^ω^)「了解だお!」
川 ゚ -゚)「分かった!」
駆け出したブーンと、その動きに合わせて距離をとるクー。
(´・ω・`)「モナー!ドクオ!ビーグル!HPを赤く!ツン!その後麻痺!」
( ´∀`)「分かったもな!本気出すもなよ!ビーグル!ドクオ!」
▼・ェ・▼「きゃん!」
('A`)「ん」
ξ゚⊿゚)ξ「相変わらず覇気がないわね」
今までのらりくらりと赤いサイキュロプスの繰り出す攻撃を受け止め、時に流し、
他のメンバーに攻撃しないようその場に留まらせていたモナーが攻撃に転じた。
.
-
(´・ω・`)「兄者!弟者!クックル!カウント15で本気出していいよ!
とりあえず二本目を消す!15!」
( ´_ゝ`)「おそいぞ!」
(´<_` )「了解した!」
( ゚∋゚)「 」
( ・∀・)「え?本気出してない?」
モララーの呟きを聞いて笑顔を見せるショボン。
そして自らも円形の武器を構える。
(´・ω・`)「今やってもらっているのはあのモンスターの動きを読むための、
防御と警戒が中心だからね。
『本気の攻撃』はしていない。
でも、だいたい読めたから……。10!!」
ショボンのカウントダウンと共に敵と距離を取り始める三人。
(´・ω・`)「モララー、ぼく達の戦いをよく見ておいてもらえると嬉しい。
みんな!残り2までにセット!!9!ジョル!」
( ・∀・)「え?」
_
( ゚∀゚)「おう!」
両手剣の剣技を使い、間合いを詰めるジョルジュ。
(´・ω・`)「8!」
そのまま一撃を与えつつ離脱。
与えるダメージが大きい大技の一つだが、剣技後の硬直時間が長い。
位置取りさえ間違えなければ今の様にそのまま離脱もできるが、使うタイミングは難しい。
本人の熟練度は勿論のこと、仲間のサポートが必須と言ってもいい技であろう。
(´・ω・`)「7!」
.
-
突然の大技を受けて叫ぶ巨神。
足元を駆け抜けて背を向けたまま硬直したジョルジュを見付け、棍棒を振り上げた。
(´・ω・`)「6!」
巨神の額に当たる緑色の光。
棍棒を振り上げたと同時であったため巨神はバランスを崩す。
光の正体はショボンの投げたチャクラムだった。
(´・ω・`)「5!」
体勢を立て直した巨神が、横目で自分を睨むのを確認したショボン。
巨神の注目を自分に向けさせることに成功しカウントを叫びつつ、
エリアの一番外側を沿い、巨神の後ろ側に向かって走る。
そして、走りながら受け取ったチャクラムを再び投げた。
(´・ω・`)「4!」
巨神を取り囲むように移動を始めたフサギコ、ブーン、モナー、ビーグル、ドクオ。
(´・ω・`)「3!」
ショボンを追って体勢を整えた巨神。
その背中に放たれる弟者の強力な一撃。
(´<_` )「とりゃあああ!!」
剣技によって飛び上がったその跳躍は、十メートルに届くほどである。
そして振り下ろされた斧が巨神の背筋の上に赤い線を刻んだ。
巨神「ぎゃりゃああああああぁぁぁぁああっぁああ!」
頭上の悲鳴を聞きながら着地し硬直した弟者を兄者とクックルが運ぶ。
( ´_ゝ`)「流石だな」
( ゚∋゚)「 」
(´<_` )「褒めても防具のメンテナンスぐらいしかやらないぞ」
(´・ω・`)「2!」
.
-
攻撃によって動きを止めた後、自分を攻撃した者を探そうとまた振り返ろうとする巨神。
いつの間にかツンとクーも巨神を取り囲む輪の中に入っていた。
(´・ω・`)「1!」
全員の武器が光り輝く。
赤、青、緑、紫、橙。
色は違えど、その切先は全て巨神に向かっている。
(´・ω・`)「ゴー!!」
号令によって全員が動いた。
数名は突進属性のある剣技を。
ある者は最大回数の連撃を。
時に最大威力の単発重攻撃を。
力強く、激しく、柔らかく、優雅に、勇ましく、舞うように、巨神のそばで乱舞する光。
(´・ω・`)「防御!」
唯一遠目から巨神の頭に向かってチャクラムを投げていたショボンが叫ぶ。
巨神「 !!!!! !!!!! 」
音になっていない叫びをあげる巨神。
それは二つ目のHPバーも消え、残りの一つになった瞬間だった。
その音にならない声は衝撃波となり全方位を襲う。
ショボンの声で防御態勢は取っていたものの、突風の様なそれにある者は押されて後ずさり、
ある者は倒され地面を転がった。
(´・ω・`)「ふさ!ドクオ!クー!ブーン!」
.
-
ミ,,゚Д゚彡「だ、大丈夫だから!」
('A`)「問題ない!」
川 ゚ -゚)「同じく!」
( ^ω^)「大丈夫だお!」
転がった四人が態勢を整える。
今すぐに回復をしなければいけないわけではないが、
他のメンバーに比べるとHPが減った量は大きい。
(´・ω・`)「四人はPOT回復!」
ショボンが走りながらチャクラムを投げ、巨神の注意を自分に向けようとするが、
巨神の生み出した気流が巨神を守る様に渦を巻いている。
四人は何も言わずに回復POTを取り出し、小走りに後方へ退避する。
(´・ω・`)「なにかくる。モナー!クックル!防御!
クーも僕と頼む!」
( ´∀`)「分かったもな!」
( ゚∋゚)「 」
川 ゚ -゚)「了解した!」
モナーとクックルが、それぞれ槍と棍を回転させる。
クーとショボンは合流し、その間に二人とも武器を棍に替えていた。
隣り合わせに立った二人はそれぞれに棍を回転させる。
ギリギリで当たらない近さであるため、棍のレベルの低い二人の出す防御の剣技でも、
充分な広さを持てた。
(´・ω・`)「兄者!弟者!ジョルジュ!」
名を呼ばれる前に動いていた三人はそれぞれに武器を構えて三組の後ろに一人ずつ立つ。
(´・ω・`)「ドクオ!フサギコ!ブーン!ツン!」
そしてその後ろに四人が分かれて立った。
.
-
( ・∀・)「棍の剣技で特殊攻撃への防御。
その後ろに敵の棍棒が来た時の物理的防御をする重量武器班。
そしてその後ろには攻撃に転じる際のスピード重視の軽量武器班…か。
なるほどね」
戦闘エリアの外で、解説者の様にモララーが呟く。
それは正確で正しい観察であったが、一つ因子が抜けていた。
(´・ω・`)「ビーグル頼むよ!モナー!タイミング宜しく!」
▼・ェ・▼「きゃん!」
( ´∀`)「わかったもな!ビーグル頑張るもなよ!」
モナーの足元で毛を逆立てて威嚇をしている一匹の小型狼。
それがショボンに名前を呼ばれると一声鳴き、
モナーが名を呼ぶと嬉しそうに身体を震わせて足元に擦り寄った。
( ・∀・)「?」
巨神「ぐぎゃああああぁぁぁらうあぁぁああああ!」
巨神の叫びとともに、渦巻いていた気流が周囲を襲う。
(´・ω・`)「っ!!みんな!!!」
( ´∀`)「大丈夫もな!」
( ゚∋゚)「 」
川 ゚ -゚)「大丈夫だ!二人ならいける!」
四人の生み出した剣技の光はそれぞれの後方に居る仲間を包み、
荒れ狂う気流からその身を守る。
しかし敵の気流も恐ろしい強さであり、
幾ばくかの風の刃が剣技の壁を突き抜けて中の者を襲った。
( ´∀`)「ビーグル!回復!」
▼・ェ・▼「きゃん!」
.
-
巨神の放った風が弱まった瞬間に自分のお供の名を呼ぶモナー。
その声に反応したかのように身体を震わせる小型狼。
( ・∀・)「……まじか?」
水で濡れた体を乾かすかのような動きをすると、抜けた毛が周囲を漂い全員のもとに届く。。
そしてその毛に触れた瞬間、彼らのHPは回復した。
( ゚∋゚)「 」
_
( ゚∀゚)「サンキュ!ビーグル!」
ビーグルの放った回復技は回復量は微々たるものだが、
その意志によって広範囲に広がり、
更に当たった毛の量によって回復量も変わる。
POTによる回復を行える状態ではない時は、非常に有益な技だった。
ξ゚⊿゚)ξ「ありがと!」
(´・ω・`)「ビーグルちゃんありがとう!」
( ´∀`)「ビーグルナイスもな」
全員から感謝の言葉をかけられて、嬉しそうに一声鳴く小型狼。
( ・∀・)「……あの狼も、仲間なんだな……」
渦巻いた気流を解き放った巨神が叫ぶ。
攻撃判定は無いもののその激しい声に身をすくませた。
巨神は変貌していた。
青銅の様な光沢をもっていた肌は赤黒く肉感的になり、
顔の中心の一つ目は真円の様に丸く大きく見開かれ、
その中の瞳も赤く輝いている。
.
-
(;・∀・)「げっ」
( ^ω^)「あからさまに怒ってる感じだおね」
ξ゚⊿゚)ξ「さっさと倒されればいいのに」
( ´_ゝ`)「青銅系の鉱石かアイテムをゲットできるかと思ったのに」
( ´∀`)「筋肉マンもなね」
▼・ェ・▼「キャン!」
その姿を見ても軽口を叩くメンバー達。
思わず眉間に皺を寄せてしまうモララー。
(´・ω・`)「武器も変わる!」
今まで持っていた棍棒を大地に突き刺す巨神。
そしてそばに会った白い大理石のような柱を掴むと、
一気に引き抜いた。
土煙が舞い、大地が揺れる。
ミ,,゚Д゚彡「をををををっをを」
川 ゚ -゚)「なんだありゃ」
(´<_` )「結局ハンマーは使わないってことか」
('A`)「キュクロープスは鍛冶師だけど、あんまり神様ってイメージは無いんだよな。
名前から台風とか暴風とかのイメージは出ても」
( ´_ゝ`)「鍛冶屋の風上にも置けんな」
ξ゚⊿゚)ξ「前から気になってたんだけど、そういうのって風下ならおけるの?」
( ゚∋゚)「 」
全員「へーーーーーーー!!!すごい!クックル博識!」
(*゚∋゚)「 」
( ・∀・)「余裕だなおい」
.
-
引き抜いた柱の先は二回りほど太く、更に見るからに頑丈な棘が規則正しく十数本ついていた。
川 ゚ -゚)「また実践的な武器だな」
ξ゚⊿゚)ξ「釘バットね」
( ´_ゝ`)「モーニングスターな」
ξ゚⊿゚)ξ「何それ」
( ´_ゝ`)「武器の名前!棍の一種で」
ξ゚⊿゚)ξ「一種も何も、どうみても棍でしょ。あれ」
( ´_ゝ`)「……もういい」
( ´∀`)「兄者は武器には真面目もな」
( ・∀・)「なあフサギコ。いつもこんなかんじなのか?」
ミ,,゚Д゚彡「そうだから!」
( ・∀・)「へーーー」
(´・ω・`)「ジョルジュ!兄者!弟者!防御中心!
モナー!クックル!三人のサポートを!
残りは削るよ!
ヘイトは僕が取るけど、常に状況をみてスキル選択して!」
大きな瞳で睨む巨神に対して臆することなくチャクラムを投げるショボン。
残りのメンバーはショボンの言葉にそって武器を構え、
チャクラムは吸い込まれるように巨神の目に当たった。
巨神「ぐりゅあああぁああああわああああ!」
雄叫びと共に自分を攻撃したショボンを見る巨神。
.
-
( ・∀・)「自分に敵の敵対心、【ヘイト】を向けさせ、その隙に仲間が足元を攻撃してHPを削るのか。
理想的と言えば理想的かもしれないけど、大丈夫なのか」
ショボンの後ろをジョルジュが追うように走る。
それは巨神の振り下ろしたモーニングスターからショボンを守るためだった。
(;´・ω・`)「早い!」
_
(#゚∀゚)「どりゃあああああああ!」
巨神の様な叫び声を上げながら、モーニングスターに向けて単発重攻撃を当てるジョルジュ。
身体ごと当たることで軌道を変え、ショボンへの直接攻撃を外す。
衝撃波によりショボンのHPが数ドット減ったが大した量ではない。
しかしジョルジュのHPは半分ほど減った。
(´・ω・`)「ジョルジュ!」
勢い余ってゴロゴロと転がるジョルジュ。
止まると同時にショボンに向かってサムズアップをするが、
強がりなのは明らかだった。
(´・ω・`)「ちぃっ」
ジョルジュと離れるように駆け出すショボン。
(´・ω・`)「ジョルジュは回復!」
ショボンの後を追う弟者。
駆け出すと同時に投げたショボンのチャクラムは、巨神の目を攻撃していた。
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