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( ^ω^)達はアインクラッドを生きるようです。
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どーも作者です。
新しく作らせてもらいました。
設定だけ作っておいて最初の二話で終わる予定だったこの話がこれだけ続くことになろうとは。
半分くらいは終わっている予定なので、もう少しお付き合いいただければ幸いです。
話の投下の前に、各人の見た目データと大まかな設定を載せておきます。
この話は
川原礫著
『ソードアート・オンライン』シリーズのアインクラッド編を基に書かせていただいています。
基本的に設定を順守しているつもりですが、拡大解釈とまだ書かれていない設定に関しては想像で書いているので、その旨ご容赦の上、お楽しみいただけますようお願い申し上げます。
まとめ
ブーン芸VIP様
http://boonsoldier.web.fc2.com/
大変お世話になっております。
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走り出すブーンとツン。
ドクオが続き、モララーがショボンに駆け寄る。
( ´_ゝ`)「景気づけの!」
(´<_` )「一発!」
放たれる二つの大技。
兄者の鎚は上下の衝撃。
ジャンプして放たれたそれはゴーレムの脳天を叩きながら大地を叩きつける。
その衝撃波は、下から上に向かう波動となって放射線状に広がって敵の動きを止めた。
弟者の持つ斧の攻撃は右から左。
横に並んだ二匹のゴーレムを切り裂き、そのまま後方にも斬撃が飛んだ。
そしてそのまま左から右への一撃。
少しだけ斜めに、空に向かって放たれた斬撃は二匹のゴーレムをポリゴンに変え、
後ろにいたゴブリンと蜂を後方にノックバックさせる。
兄弟の作った敵のいない空間に躍り出るブーン達三人。
二人の攻撃で動きを止めヒットポイントも減らした敵を追撃するブーンの剣。
風のように縦横無尽に敵陣の中を舞い、切り裂き、ポリゴンに変えていく。
ツンの動きは閃。
細剣を構え、隙を見逃さずに鋭い攻撃を与える。
正確性を上げた武器と己の能力値は、敵のヒットポイントを確実に減らした。
そしてドクオの動きは陰。
敵の死角と懐に忍び込み、武器を振るう。
必ず二回以上剣を振り、ソードスキルを使わずとも敵のヒットポイントを大きく削る。
そしてツンとドクオの攻撃によりヒットポイントを減らした敵は、ブーンという名の風の攻撃により、
ポリゴンへと変わっていった。
大技を放って三人の動くスペースを作った流石兄弟も、その後ろから敵を倒している。
特にゴーレムは動きは緩慢だが攻撃能力が高く、ヒットポイントもゴブリンや蜂よりは多い。
そのため三人の攻撃を潜り抜けてやってくる敵も多い。
というよりは、そこに二人がいることを分かっている三人が、あえて流していた。
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(´<_` )「信頼してくれるのは嬉しいがな」
( ´_ゝ`)「もっとそっちで倒していいぞ」
ξ゚⊿゚)ξ「遠慮しなくていいわよ!」
('A`)「働け」
( ^ω^)「おっおっ。そいつらは頼んだお!」
ここにきて無駄口をきく余裕も出てきたのか、会話も増えていた。
( ・∀・)「まったくこいつらは」
モララーは自分の背中側にいるロマネスク達三人に意識を向けつつも、
五人の攻撃を潜り抜けてやってくる蜂とゴブリンを退治していた。
その動きは無駄が無く、敵の動きに合わせて身体を動かし、
躱しながら反撃し、交わしつつ抑え、敵を倒していった。
ショボンは武器を持ち替え、円盤型の武器を縦横無尽に飛ばしている。
周囲の敵は仲間に任せ、道の広さと位置取りの関係で近寄れないでいる敵に攻撃をしていた。
それはすぐには結果の見えない行動だったが、徐々に効果を見せ始めた。
( ^ω^)「おっおっ。最初からヒットポイントが減ってるから楽だお」
ξ゚⊿゚)ξ「ゴーレム以外はこっちにも回しなさいよ」
(´<_` )「いや、だからゴーレムもそっちで片付けてくれよ」
戦闘が長時間にも及ぶと、どうしても集中力が切れてミスが生まれる。
十回攻撃を当てれば倒せる敵に対して二回ミスをすれば、
その分相手に攻撃をするタイミングを与えてしまい、それだけ自分や仲間が死ぬ確率が高くなる。
ならば、十回で倒せる敵を九回で倒せるようにしてしまえばよい。
更に八回、七回にしてしまえばよい。
それを可能にしたのがショボンの攻撃であり、
前線で戦うメンバーはそれを分かっているからできる戦い方を行っていた。
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敵のヒットポイント総量と現在のバーのカラーと幅から現時点でのヒットポイント量を推測し、
自分の攻撃によって削ることの出来る量を考えながら戦う。
敵との一対一での戦闘では誰もが行うことだが、その精度には個人によって雲泥の差がある。
更に周囲の敵と仲間の位置も確認して技を放つ。
集団戦、特にこういった乱戦状態では難しいことなのだが、
VIPの面子はそれを一見、事も無げに行っていた。
罠が発動してから今まで守られることしかできなかったロマネスク達三人も我を取り戻し、
武器を構えなんとか戦おうとするが彼らの戦い方を目の当たりにして二の足を踏んでいる。
(´・ω・`)「我々で何とかしますので後ろにいてください。
万が一そちらに流れた場合は声を駆けますのでよろしくお願いします」
ショボンの指示は口調は穏やかだが有無を言わさない力強さがあり、
三人はただ見守ることだけしかできなかった。
(´・ω・`)「右前前方のゴーレムの後ろに蜂二匹!」
六人が先頭に関係ない『会話』をしているのに対し、
ショボンは戦闘に関わる『指示』のみを口にする。
一体の強敵と相対した時やある程度統制のとれた敵集団を撃破する時の指示とは違うが、
それは要所要所で注意点や方向性の指示を出していた。
それはまるでショボンという司令塔のもとに他のメンバーが動くだけの様にさえ見える。
( ・∀・)「(……なるほどね)」
('A`)「(ハァ…マッタクアイツハ)」
普段と同じであり普段と全く違うその指示に、とりあえず前の敵を倒すことに集中するメンバー。
その戦いは30分を超えようとしているが、まだ終わりは見えていなかった。
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-調査班-
モナーにメッセージが届いたとき、彼らはフィールドダンジョンの最深部で採取をしていた。
( ゚∋゚)「ショボンから渡されたデータよりも、収穫数が少ないな」
(*゚ー゚)「そうですね。代わりに載っていないアイテムが取れたりしてますけど」
(,,゚Д゚)「これ、おれのレベルじゃ判別できないから頼むぞゴルァ」
小ボスレベルの敵を危なげなく粉砕した後の広場。
円形に広がる芝生の周囲、大きな樹の根元にうすぼんやりと光る場所があり、
探索をするとアイテムがポップした。
( ゚∋゚)「敵の強さは変更が無かったが、獲得アイテムには変更があるな」
( ´∀`)「敵の強さも上がってたもなよ」
後ろから屈むように覗き込んできたモナーが声をかける。
足元ではビーグルがマントの裾と戯れていた。
(,,゚Д゚)「そうなのか!」
( ´∀`)「今確認したもなけど、リストに載ってる倒した敵の最大レベルが上がってたもな。
といっても1レベルもなけど、情報屋さんのリストに載っているレベルよりも大きいもなからね」
( ゚∋゚)「そうだったか」
(*゚ー゚)「でも、それほど強敵ではなかったですよね」
( ´∀`)「みんなが強くなったからそう感じただけもなよ」
(,,゚Д゚)「まだまだだぞゴルァ」
( ´∀`)「油断しないことは良いこともなけど、自分の今の強さを過不足なく判断するのも大事もなよ。
自分でするのが難しいなら、周りの意見を聞くのが大事もな」
(,,゚Д゚)「そうか。じゃあしぃ、おれの強さを教えてくれ」
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(*゚ー゚)「…………ダメ出しになっちゃうから帰ってからね」
(,,゚Д゚)「…………お手柔らかに頼むぞゴルァ」
張り詰めた中にも穏やかな空気を纏って採取を続ける二人。
モナーは周囲の警戒に戻り、クックルがその横に立った。
( ゚∋゚)「モナー。このあとなんだが……」
( ´∀`)「今日はこれくらいで一度ホームに戻るのを提案するもな」
( ゚∋゚)「?まだ午後も早いし、このレベルならもう一つくらいクエストを」
( ´∀`)「今さっきクーからメッセージが届いたもな。
ショボン達がクリスタル無効及びモンスターポップの罠にかかったと思われるもな」
( ゚∋゚)「なんだと!」
あくまでも穏やかなモナー。
しかしその内容に思わず声を荒げたクックル。
しぃとギコも採取を終了していたため後ろに立っており、その会話を聞いていた。
(*゚ー゚)「も、モナーさん」
(,,゚Д゚)「どういう事だゴルァ!」
( ´∀`)「どうもこうもそのままもなよ。
さっき情報屋のアルゴさんからクーに連絡が入ったそうもな。
それによればショボン達が進んでいる予定のルートに詳細不明のトラップがある可能性があるらしいもな。
クーがショボンにメッセージを送ったけど届いた形跡もなく、
位置情報もロスとしているそうもな。
モナも確認してみたもなけど、同じく位置を確認できなかったもな」
(,,゚Д゚)「す、すぐに」
( ゚∋゚)「ああ。ホームへ戻ろう」
(*゚ー゚)「え?行かないんですか」
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( ´∀`)「今モナ達が行っても、何の役にも立たないもなよ。
罠が発動したと思われる場所にたどり着くときにはすべてが終わってるもな。
もしくは、モナ達も罠にかかって……。終わりかもしれないもなね」
表情を強張らせたギコとしぃ。
しぃの顔色は青ざめている。
対してモナーとクックルは落ち着いており、クックルはさすがにいつもよりも厳しい表情をしているが、
モナーはあくまでも穏やかだった。
しかしその言葉は辛辣であり、ギコとしぃに自分の無力さを確認させたものだった。
(*゚ー゚)「で、でも…」
( ゚∋゚)「いつでも動けるようにホームで待機するのが一番だ。
ギコ、ブーンの店の手伝いをした時に道具屋の倉庫のマスター設定を貰っているだろ?」
(,,゚Д゚)「!あ、ああ。貰ってるぞゴルァ」
( ゚∋゚)「しぃ、ツンとショボンの」
(*゚ー゚)「はい!貰ってます!お店の食材庫と衣服の倉庫ですよね。
ふささんのお店の方も大丈夫です。
あと、兄者さんと弟者さんに武器・防具庫のマスターも。ギコ君は」
(,,゚Д゚)「!モララーの店も手伝った時に倉庫使ったぞゴルァ!」
( ゚∋゚)「ギコには牧場と農場のマスターも使えるようにしてある。
二人がいれば、ギルドの倉庫の中の物は全部出し入れ自由だ。
これは重要な役目だからな」
(*゚ー゚)「はい!」
(,,゚Д゚)「ゴルァ!」
( ´∀`)「それじゃあ戻るもな」
腰に付けた革のポーチから転移結晶を出すモナー。
それを見てギコとしぃも結晶を手にした。
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( ゚∋゚)「よし、帰るぞ」
(*゚ー゚)「はい!」
(,,゚Д゚)「ゴラァ!」
クックル、ギコ、しぃの順に転移結晶を使ってその場から消えていく。
▼・ェ・▼「くぅん…」
( ´∀`)「心配もな?モナも心配もな」
不安げに自分の足にすり寄るビーグルを抱きかかえるモナー。
少しだけ強く抱きしめてしまいビーグルが体を震わせる。
( ´∀`)「あいつのこともあるもなから、何事も無ければ良いもなけど……。
でも、ショボン達なら大丈夫もな。ドクオとフサもそばにいるもなしね」
ビーグルのわきを両手で支えて空に掲げるモナー。
▼*・ェ・▼「きゃん!」
嬉しそうにビーグルが鳴く。
( ´∀`)「ビーグルもそう思うもなね!
よし!モナー達も帰るもな!」
クリスタルが壊れ、モナー達も自分たちのホームのある街へと飛んだ。
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-護衛班-
戦闘が一時間を超えた頃、やっと終わりが見え始めた。
(´・ω・`)「よし、残りゴブ5!蜂7!ゴレ4!ブーンと僕は蜂に専念するよ!他は継続で!」
( ^ω^)ξ゚⊿゚)ξ( ´_ゝ`)( ・∀・)
「了解!」
('A`)(´<_` )
ゴーレムや木々の後ろに隠れながら攻撃を始めた蜂に対してはショボンとブーンが担当し、
それ以外の向ってくる敵を他のメンバーで抑える。
その流れは今までと同じで、兄者と弟者が大技で敵のヒットポイントを削りつつ動きを封じ、
ドクオとツンが速攻をかけての撃破が基本の形だった。
モララーもそのラインから外れてやってくる敵に対応していた。
七人の顔には疲れが浮かんでいるが、それでも見えた終わりを感じて精一杯の戦闘を行っていた。
そして十数分後。
('A`)「ラスト!」
数が少なくなり、周囲の空間が空いて動きの良くなった敵に苦戦したものの、
最後のゴブリンの胴体をドクオの片手剣が切り裂いた。
そして耳障りな叫び声を上げながらポリゴンへと変わると、ブザーが鳴る。
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(´・ω・`)「……トラップクリア……かな」
周囲に敵がいなくなってもそれぞれに武器を構えていたメンバー達。
しかし空が元の青空に戻り、ショボンの呟きを聞いて構えを解いた。
(;^ω^)「終わったのかお」
ξ;゚⊿゚)ξ「空も元に戻ったしね」
(´<_`;)「流石に疲れたな」
(;´_ゝ`)「流石なおれたちも流石にな」
('A`;)「…まだそんなことを言う余裕があるじゃねぇか」
一番先に飛び出して蜂を倒し続けていた剣を杖の様にしながらブーンが膝をつき、
そこにツンが駆け寄る。
そこに集まる様に動き出すメンバー達。
満身創痍でヒットポイントも全員イエロー、それももうすぐレッドになろうとする位置まで減っていた。
前の五人が動き出したのを見てから、同じように回復ポーションを口にしたショボンも歩き始める。
その背中に、剣技によって赤く光り輝いた剣が振り下ろされた。
第十一話 終
第十二話 錯走 に続く
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乙
すげー躍動感だった
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ですよねー!続きが気になる終わり方しやがって!乙!!
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キタ━(゚∀゚)━!
支援です
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以上、本日の投下終了です。
少し短くなりましたが、何とか三月中に投下となりました。
いつも乙とか応援とか、本当にありがとうございます。
次回は今回の連続話を一区切りさせる話になる予定です。
4月中にできればと思っておりますが、10日にSAOの新刊がでるのでもしかすると少し遅れるかもです。
それではまたよろしくお願いします。
ではではまた。
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乙
-
乙
ドクオの側にずっといるハイン可愛い
つまりドクオ爆散しろ
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ナーブギア
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おつ
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ω・)乙。モララーのイラつきはマタンキにたいしてだったのかな…。あるいは?
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ショボンを切りつけたのはマタンキなんじゃなかろうかと予測している
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ショボンかわすよな?な?
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4人が注視してる前でハイド出来るって相当じゃないですか?
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コンビメーション
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あれ…モララー…最後…
まさかな…
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武器とは限らないじゃないか
武器の形した光るハリセンかもしれないだろ
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そんなセガの某オンゲじゃないんだから...
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光るハリセン(最強武器)の可能性
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ω・)今までずっとほのぼのした感じだったから、今回は初めて窮地にたたされた緊張感がよかった。
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今日初めて読んだけど原作より好きだ
作者応援してるから
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続きはまだですか?
楽しみにしてますね
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楽しみに待ってる
ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1528.gif
まとめTOP絵をちょっとトレス
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こいつ…動くぞ!?
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やるじゃない…
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ぶ、ブーンが動いとる……。
ありがとうございます!!
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それでは、第十二話の投下を始めたいと思います。
よろしくお願いします。
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第十二話 錯走
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1.作戦(夕方)
澄んだ金属音が周囲に響く。
その音に振り返ったドクオ、ブーン、兄者、弟者、ツンは、
即座に腰のポーチから取り出したヒールクリスタルでヒットポイントを全快させた。
そして武器を構えて走り出そうとするが、
ただ一人悠然と自分達を見ているショボン笑顔を見て、動きを止めた。
いつでも動けるように、武器は構えたままで。
(´・ω・`)「ありがとう、モララー」
( ・∀・)「少しは防御しろよ」
自分のすぐそば斜め後方ににいるであろうモララーに、振り向かずに言葉をかけるショボン。
すでにモララーのHPは全快している。
今ショボンを背後から攻撃しようとした者がトラップ解除後から
ショボンしか見ていないことに気付いていた彼は、
密かにクリスタルを使用していたのだ。
(´・ω・`)「今回の作戦では、モララーに命を預けてたからね」
(;・∀・)「まったく……。で?これが答か?」
(´・ω・`)「さあ。どうだろ。まだ振り向いてないし」
( ・∀・)「おまえは…」
ショボンを狙って後ろから振り下ろされた剣。
赤く鈍く光る剣技によって振り下ろされた剣を止めたのは、モララーの爪だった。
( ・∀・)「まったく。横にいたおれが気付いていなかったらどうするつもりだったんだよ」
(´・ω・`)「だから、今回は命を預けてたからさ。
それに、確信してたよ?モララーなら守ってくれるって」
(;・∀・)「はぁ…」
.
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モララーの爪も青く輝いている。
爪に止められてからずっと、剣を振り下ろした者は力を込めて剣を押し力任せに攻撃を続けているが、
モララーの爪を押し込んでショボンにダメージを与えることが出来ないでいる。
それどころかモララーは笑顔を見せていた。
更に言えば力任せに剣を振り下ろそうとしている者を小馬鹿にしたような顔で見ていた。
( ・∀・)「ソードスキルはタイミングとどれだけシステムの流れに力を乗せることが出来るかだ。
ただ闇雲に力を加えたところでそれは攻撃力をアップさせることは出来ない。
そしてそれを続けたところでソードスキルを続けることには限度があるし……」
剣を振り下ろした者がそれに気付いたのと、モララーがにやりと笑ったのはほぼ同時だった。
剣が光を失う瞬間に力を込める方向を変え、爪との反発力を使って後方に飛び退いた男。
そしてそれよりも早く剣技を続けるモララー。
とは言ってもモララーの使った剣技も単発重攻撃の一つであり、爪による追撃は出来ない。
つまり本来ならばお互いに剣技の終了による硬直を起こすところなのだが、
モララーは追撃を行った。
(#・∀・)「はっ!」
普段のモララーには似つかわしくない、力の籠った低い掛け声から放たれたのは、左手の拳。
剣の使い手が驚きで息をのむ。
それはそうだろう。
これは知る人ぞ知る剣技の連携。
爪の剣技から流れるように繋がって放たれた体術スキルの技。
反応の遅れた剣の側面に、青く光る左の拳が当たる。
鈍い激突音の後、砕け散る剣。
その音を聞いてようやく振り返るショボン。
呆然としながらも更に後方に飛び退いた者を見て口を開いたが、
それは喋るためではなく驚きのためだった。
(´・ω・`)「?…あなたが?」
意識せずに漏らしたショボンの言葉を聞き、その者は悲しそうに顔をゆがめながら呟いた。
.
-
(-_-)「…死んでください。ショボンさん」
.
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軽く二度指を振ると新しい片手剣がヒッキーの左手に現れる。
(´・ω・`)「……クイックチェンジ……」
ヒッキーの行った操作を冷静に観察しながらも、
取り出したクリスタルで自分のヒットポイントを全回復させるショボン。
そしてその間にヒッキーは剣を右手に持ち替え、ショボンに切っ先を向けた。
(;ФωФ)「ヒッキー!止めるのである!」
(・∀ ・;)「ヒッキーさん!いきなりどうしたんっすか!」
その光景を驚きと共に見守ってしまっていた二人が声をかける。
しゃがんでいたロマネスクを後ろから支えるように抑えているマタンキ。
二人とも動揺しているように見えるが、特にロマネスクは酷く狼狽えているように見える。
(-_-)「…死んでください」
二人の言葉を無視して突撃するヒッキー。
その瞬間速度はモララーの予測を超え、進路を防ぐことも出来なかった。
(;・∀・)「ショボン!」
再びショボンに向かって振り下ろされる剣。
今度は剣技を発動していないが、攻撃力は相当なものだろう。
('A`)「ま、今度はおれが守るわけだけど」
鳴り響く金属音。
いつの間にか傍に寄っていたドクオが振り上げた片手剣が、振り下ろされたヒッキーの片手剣を弾いた。
(;´・ω・`)「ドクオ!」
('A`)「おれにも良いかっこさせろよ」
剣を弾かれて体勢を崩したヒッキーに追撃をするドクオ。
.
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川を流れる木の葉の様な軌跡を描きながら剣を振る。
動きの先を予測しにくいその剣を、体勢を整えながら弾くヒッキー。
そしてその力を使って後ろに飛び、構えを整える。
('A`)「!」
ドクオはヒッキーのその一連の動作に驚きつつも、更に前に出た。
(;-_-)「邪魔をしないで!」
('A`)「殺しをしたいならおれでもいいだろ」
(-_-)「それじゃあ……」
ヒッキーの片手剣がドクオを攻撃する。
それらすべてを受け流すドクオ。
('A`)「そんな攻撃じゃおれは倒せないぞ」
(;-_-)「どいて…ください」
ヒッキーの攻撃は決して甘くはない。
それを受け流す実力をドクオが持ち合わせているだけで、
生半可な実力の持ち主では、既にその刃の餌食となっていることだろう。
(;-_-)「くっ…」
('A`)……
どこか辛そうに、けれど覚悟を感じさせる面持ちでドクオを見るヒッキー。
再びヒッキーの剣がドクオを襲う。
しかしそれはドクオを傷つける為というよりも、ドクオを退かすか横をすり抜けるための攻撃であった。
('A`)「悪いけど…」
ヒッキーの目的が分かっている以上、その動きを邪魔する為に何をすればいいのかは、簡単に分かる。
もちろんその行動を実際行えるかどうかは別の話なのだが、ドクオは一見軽々と行っていた。
.
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('A`)「おまえの思う通りにはさせないさ」
以前に観察した通り、ヒッキーは相当な実力者だったことを確信しつつ、ドクオは応戦する。
おそらくは自分と同等のレベル。
自分よりもレベルが高い可能性もある。
そんなことを考えながら、剣を交わす。
時折自分からも攻撃を仕掛けてはいるが、それはヒッキーを後退させる目的のためであり、
彼を傷付けるつもりは微塵も無い。
(-_-)「……」
ドクオと剣を交わすことにより、今のままでは目的を達することが出来ないと思ったのか、ヒッキーは呟いた。
(-_-)「恨まないでください」
ヒッキーの剣のスピードが上がる。
('A`;)「うをっ」
スピードだけでなく、一撃一撃の重さも別物のように重くなっていた。
('A`)「だけど!」
本当のところ、その急激な変化にドクオは驚いていた。
しかし表情には出さず、すぐにそれに対応してヒッキーの攻撃を捌いていく。
対人戦において、相手を傷付ける覚悟の有る無しは、その攻撃に顕著に現れる。
同等のレベルで使用武器も同じ、そして装備のレア度も同じな二人が戦えば、
その心の差が勝敗を分ける。
('A`)「ここを通すわけにはいかない!」
だが、ドクオはヒッキーの剣を抑えた。
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-
それは自分の後ろにいる仲間を守りたいという思いと、
同等レベルの者達との真剣勝負という経験量の違い。
ドクオはその二つによって剣にこもる心の差を埋め、更に凌駕した。
(;-_-)「なんで…」
('A`)「悪いな」
VIPの中で行われる決闘形式の訓練は、対人戦闘という場においての訓練でもあった。
罰ゲームや雰囲気を柔らかくすることで訓練そのものは穏やかなものとしていても、
実際の決闘は至極真剣に相手を倒すために自分のすべてを出し切って戦っている。
それによってVIPのメンバーは、対人戦闘において数値に現れないスキルを鍛え、磨いていた。
ヒッキーが振り下ろした大振りの一撃を弾き返すドクオ。
大きな攻撃が弾かれればその分大きな反発が生まれる。
(;-_-)「くっ」
(;ФωФ)「やめるのである!ヒッキー!」
(・∀ ・;)「だめっすよ!ヒッキーさん!」
衝撃により、ドクオの剣から離れたヒッキー。
体勢を立て直しながら構えを取ろうとした瞬間、ヒッキーに向かって細剣、鎚、斧、爪が襲い掛かる。
しかしそれは空振りに終わった。
ξ#゚⊿゚)ξ「逃げないで戦いなさい!」
(´<_` )「おれ達もいるぞ」
( ´_ゝ`)「死ね」
( ・∀・)「素早いな」
意識していなかったはずの四人からの攻撃を避け、バックステップを踏んだヒッキー。
ショボン達ともロマネスク達とも距離を取り、両方を見ながら剣を構えている。
(;ФωФ)「ヒッキー!」
(;-_-)「ロマネスク……さん」
.
-
(;ФωФ)「もう止めるのである!我は」
(・∀ ・;)「ロマネスクさん!!…ダメっすよ!ヒッキーさん!」
(;-_-)「くっ」
ヒッキーに近付こうとするロマネスクを止めるマタンキ。
ロマネスクの使う片手剣とマタンキの使う両手剣は近くの地面に突き刺してあり、
今の二人は丸腰である。
(´・ω・`)「二人とも、とりあえず武器を」
(;ФωФ)「そ、それは」
(・∀ ・;)「ヒッキーさん!俺らは丸腰っす!
ヒッキーさんはそんなことをする人じゃないって信じてるっす!
だから!!」
ロマネスクを後ろから支えながらヒッキーに言葉を投げかけるマタンキ。
(・∀ ・;)「ヒッキーさん!!」
(;-_-)「くっ…」
改めてショボン達に対して切先を向けるヒッキー。
ショボンを中心に、左に兄者とツン、右に弟者とモララーが立つ。
(-_-)「僕は…僕は………。殺さなきゃいけないんだ」
ヒッキーの剣が再び赤く光った。
(´・ω・`)!
( ・∀・)!
ξ゚⊿゚)ξ!
( ´_ゝ`)!
(´<_` )!
その時、青い風が吹き抜けた。
.
-
( ^ω^)「どーーーーおぉっっっん!!!」
.
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両手を広げたブーンが掛け声とともに真横から自分のふくよかな腹を使って体当たりをした。
ξ゚⊿゚)ξ「あのバカ」
五人の後ろから吹き抜けたブーンという名の風。
そしてその風の陰から躍り出る一人の男。
ドクオが、ブーンの体当たりによって転がった男の首元に、片手剣の切先を当てた。
('A`)「武器を離して大人しくするんだな」
転がった男はすぐに体勢を立て直していたが、自分に刃を向けた男に睨む。
しかしそれは一瞬のことで、すぐににやにやと笑顔を見せた。
そして視線をショボンに向ける。
.
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(・∀ ・)「いつから気が付いてたんっすか?」
.
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マタンキが右手に持っていたアイスピックのような武器を離し、
両手の掌を空に向け、おどけた様に笑った。
(´・ω・`)「違和感は、最初から」
(・∀ ・)「さぁっすがショボンさんっすね。ってぇことはぁ、全部計算っすかぁ?」
(;-_-)「ロマ!」
(;ФωФ)「ヒッキー!」
態勢を崩して倒れていたロマネスクだったが、その原因を作ったブーンと、
即座に駆け寄っていたツンによってマタンキとは離れた場所に移動していた。
そこに片手剣を放り出したヒッキーが駆け寄る。
(;-_-)「ロマ!大丈夫!!」
(;ФωФ)「ヒッキー!すまなかったのである!吾輩のためにあんなことを…」
(;_;)「よかった…」
ξ゚⊿゚)ξ「詳しいことは後で聞くけど、とりあえずそこにいなさい。
ブーン、身体は大丈夫?」
( ^ω^)「僕は大丈夫だお」
ξ゚⊿゚)ξ「それじゃあこいつら監視してて。私が戻ってくるまでもう動くんじゃないわよ」
( ^ω^)
ξ#゚⊿゚)ξ「返事!」
(;^ω^)「はいだお!」
ξ゚⊿゚)ξ「よろしい。動いたら後でどうなるか分かってるわよね」
(;^ω^)「……はいだお」
.
-
ツンはブーンの二度目の返事を聞いてから、一目散に駆け出した。
その場に残ったのは三人。
震えているヒッキーを落ち着かせるように肩に手を乗せているロマネスク。
その横に、一歩退いた形で二人を観察する様に座るブーン。
そしてブーンの視線の延長線上には、ツンが駆け寄ったショボン達がいた。
(´・ω・`)「すべての物事が計算通りに進むのなら楽なんですけどね」
(・∀ ・)「まぁたまたぁ。味方はもちろん敵の行動すら駒の様に扱ってるくせにぃ」
(´・ω・`)「……人聞きの悪い」
(・∀ ・)「いやぁ。さすが鬼畜なショボンさんっすよね」
( ・∀・)「なんだこいつ」
(・∀ ・)「で、駒の皆さんはいつから気付いてたんっすかぁ」
ξ゚⊿゚)ξ
( ´_ゝ`)
(´<_` )
無言で武器を構えなおす三人。
('A`)「そこの三人、落ち着け」
(・∀ ・)「お!さぁすが筆頭駒のドクオさんっすねぇ。
どんな時も冷静でかぁっこいいぃっすよ」
('A`)「………ちょっと黙ってろ。クズ」
(・∀ ・)「ありゃ。筆頭駒さんまで怒っちゃいましたぁ?
すぅみまぁせぇ〜ん。だまっていいぃっすぅかぁ?ショボンさん」
(´・ω・`)「…完全に黙られても聞きたいことがあるから困るけど、
ちょっとは静かにはしてほしいかな」
(・∀ ・)「はぁ〜い。駒の皆さんもおしずかにぃどうぞぉ」
.
-
ξ゚⊿゚)ξ「……さっさと倒そう」
( ´_ゝ`)「同感だ」
一歩踏み出したツンと兄者の前にショボンの背中が立ちふさがった。
ξ゚⊿゚)ξ「ショボン」
( ´_ゝ`)「おまえ」
(´・ω・`)「乱戦状態にして逃げるつもりみたいだけど、逃がすつもりはないよ」
(・∀ ・)「ありゃぁ。ばれちゃってるっすね。ざぁんねん」
モララーと弟者が静かに動き、マタンキを囲む様に立つ。
(・∀ ・)「すげぇっすよショボンさぁん!よぉく訓練された駒っすね!」
本気で感心したような、けれどイラつく喋り方でショボンに語りかけるマタンキ。
それを受けてツンと兄者の武器が陽光にきらめくが、まだ襲い掛からなかった。
(・∀ ・)「……ホント、よく訓練された駒っすね」
誰にも聞こえないような小さな声で呟いたマタンキ。
ドクオが切先をマタンキの首元に当てたまま身体を動かし、足元にある武器を兄者に向けて蹴った。
('A`)「兄者、頼む」
( ´_ゝ`)「……ん」
武器を下し、マタンキを睨みながら転がってきた武器を手に取る兄者。
(´・ω・`)「どう?」
( ´_ゝ`)「ほどほどにレア物だな。怪物級ではないが……一撃刺殺属性も持ってる」
(´・ω・`)「なるほどね」
.
-
(・∀ ・)「うまぁくいくと思ったぁんすけどねぇ〜。稀代の戦術師様にはばれちゃったぁかぁ。
どおぉしてぇばれたぁのかなぁ」
(´・ω・`)「……」
(・∀ ・)「あれぇれぇえ。黙ってどぉしたんっすかぁ?」
(´・ω・`)「僕を殺すことが目的…ではないよね?誰でもいいから殺すことでもない。
目的は、何?」
(・∀ ・)「なぁんでしょぉ」
ξ#゚⊿゚)ξ「あーもうその喋り方やめなさい!イライラする!」
(#´_ゝ`)「斬るか」
(・∀ ・)「だぁめっすよぉ。たんきはそんきっていぃますしぃ」
(´<_` )「兄者、落ち着け」
( ・∀・)「ツンも。イライラしても隙を作るだけだ」
ξ#゚⊿゚)ξ「分かってるわよ!」
( ´_ゝ`)「弟者がそういうなら抑える」
(´<_` )「きも」
ξ゚⊿゚)ξ「きも」
( ・∀・)「きも」
('A`)「きも」
(´・ω・`)「きも」
(・∀ ・)「きも」
大金鎚を構えなおした兄者。
それを抑えるように、目の前にツンの細剣の切先が横から差し出される。
.
-
ξ゚⊿゚)ξ「とりあえず冷静にはなった。礼は早めに言っておく。ありがと」
( ´_ゝ`)「え、あ、うん」
冷静になったツンの言葉で冷静さを取り戻す兄者。
そして言葉も目線も交わさず、ただマタンキを警戒しながら左右に分かれて移動する二人。
(・∀ ・)「ありゃりゃぁ」
マタンキと彼の首元に片手剣の切先を当てたドクオを中心に、武器を構えた五人が並んだ。
(´・ω・`)「さて、答えてもらおうか」
(・∀ ・)「きれぇいにぃ、囲まれちゃいましたぁかぁ」
ξ゚⊿゚)ξ「もう無駄よ。あんたのその言葉より、兄者の方がきもいから」
( ´_ゝ`)「え?そういうことだったの?」
(´<_` )「兄者ナイス」
('A`)「よくやった」
( ・∀・)「流石だ」
( ´_ゝ`)「……ものすごくうれしくない」
軽口は叩いているが、その視線と構えは厳しくマタンキを警戒している。
(・∀ ・)「もおぉぉぉ。みなさぁんれいせぇいなんでぇすぅねぇ」
(´・ω・`)「もう無駄だよ。そろそろ質問に答えてもらいたい」
(・∀ ・)「さきにぼぉくの質問にこぉたえてぇ、ほぉしいなぁ」
(´・ω・`)?
(・∀ ・)「どぉしてばぁれたぁんすぅっか?」
.
-
(´・ω・`)「……」
(・∀ ・)「見当はぁ。つぅいているっすぅけどね」
首元の剣を気にすることなく、ただショボンを見るマタンキ。
その表情は笑顔で嬉しそうですらあり、口調とあいまって全員の心に小さなささくれをつくる。
(・∀ ・)「モナーかクックル。っすよねぇ?いや、モナーだけかなぁ」
(´・ω・`)
表情を変えないショボンを見て、笑顔を見せ続けるマタンキ。
ほんの少しだけ、口の端が引きつった様に上に上がった。
(・∀ ・)「せぇいかぁいだぁ。
あ、ねぇねぇショボンさぁん、クックルはまだ喋ぇることがぁできないんすぅよねぇ。
ってぇことはぁ、あの時のぉことをぉ、まぁだぁ気にしてぇるっすねぇ。
狙いどぉおりだぁけどぉ、ほぉんとぉに愚かぁなやつだぁなぁ」
最後の言葉は全員の感情を爆発させた。
そしてそれをマタンキは見逃さない。
思わず片手剣を握る手に力を込めたドクオの顔を、マタンキは再び見る。
そして、その凶悪な笑顔を初めて正面から見て思わず息をのんでしまったドクオに向かって、
しゃがんでいたマタンキは立ち上がろうとした。
それは喉元に当てられた片手剣に自ら刺さろうとすらしている行為であり、
息をのみ警戒心に穴を作られたドクオは思わず剣をひいてしまう。
そしてマタンキの手は立ち上がる前から動いていた。
手首を二度振り、その手に両手剣を持つ。
それは簡単な操作でストレージから武器を取り出すスキル。
つい先ほどヒッキーが行ったと同じスキル『クイックチェンジ』によって、
瞬時にマタンキは両手剣を装備した。
そして、立ち上がりながら自分に対して武器を向けている四人を牽制する為に両手剣を振り回した。
(´・ω・`)「ドクオ!」
.
-
周囲を囲んでいたメンバーはともかくドクオはすぐそばにいたため、両手剣の有効範囲に入っている。
('A`)「くっ」
バックステップで飛び退くが、ちょうどジャンプした上空、両手剣が横から襲い掛かった。
('A`)!!
辛うじて片手剣の側面で剣を受け止める。
しかし、うねる様な両手剣の軌道は、ドクオの右手を襲う。
ξ゚⊿゚)ξ「ドクオ!」
( ・∀・)「おい!」
勢いによって飛ばされるドクオ。
マタンキの頭上に浮かぶカーソルがオレンジに変わった。
( ´_ゝ`)「ふん!」
飛ばされたドクオの一番そばにいた兄者がその身体を盾にしてドクオの身体を止めた。
( ´_ゝ`)「大丈夫か」
('A`)「サンキュ」
短く会話した後に、手首から先が欠損してしまったため落ちていた剣を左手で持つドクオ。
兄者もドクオが自らの足でしっかりと立ったのを見て、その右側に鎚を構えて立つ。
だが時すでに遅く、マタンキは出口のそばに移動していた。
(・∀ ・)「………ちっ」
しかしその左目にはナイフが刺さっている。
.
-
(・∀ ・)「さぁすがぁっすねぇ。ショボンさぁん」
どこか面白そうに、けれど憎悪に満ちた右目でショボンを見るマタンキ。
忌々しげにナイフを抜くと、左目は潰れていた。
(・∀ ・)「なぁんのぉ迷いもぉなく目を潰そぉうとぉしてくるぅなぁんてぇ。
かろぉうじておれの両手剣がその駒をぉ傷つけぇるのがぁ早かぁったすぅけどぉ、
当たるぅのがぁ一秒はやかぁったらぁそっちぃがオレンジっすぅよぉ。
両目ぇはぁ、潰さぁれたぁくないっすぅからぁ。とぉりあえずぅ、撤退させぇてぇもらいまぁすぅねぇ」
抜いたナイフを放り投げた先に転がるもう一本のナイフ。
ショボンはマタンキの両目を狙ってナイフを二本投げていたが、一本は防がれていた。
部位欠損して潰れた左目をかばいもせず、両手剣を構えてショボンを見るマタンキ。
ショボンは表情を変えず、ただ投擲用のナイフを構えている。
そのナイフは、麻痺毒の追加により黄色く彩られていた。
その異様な光景に、思わず見守ることしかできないメンバー達。
(・∀ ・)「でぇもぉ、きめたぁっすよぉ」
(´・ω・`)「……何を」
(・∀ ・)「あんたたぁちのぉ中で、ゆういぃつ人を殺す覚悟をもぉってるショボンさぁんをぉ、尊敬するぅってぇ」
(´・ω・`)「……」
(・∀ ・)「だぁからぁ。きめぇたぁっすよ」
(´・ω・`)「……黙ってろ」
思わず漏らしたショボンの呟き。
それを聞き、本当に嬉しそうに笑うマタンキ。
.
-
(・∀ ・)「あんたはおれがころすってね」
.
-
出口に向かって駆け出したマタンキ。
直前のマタンキの言葉に息をのんでいたメンバー達は出遅れてしまった。
しかしすぐに後を追おうとするが、ショボンに止められた。
(´・ω・`)「もう無理だよ」
(´<_` )「だが」
(´・ω・`)「追跡系のスキルもちで一番のドクオが出ていない以上、
出遅れた状態で後を追うことは不可能だよ」
ξ゚⊿゚)ξ「それはそうかもしれないけど…」
自然とショボンの周りに集まった五人。
(´・ω・`)「それよりも、とりあえずは湖に向かおう」
(;・∀・)「いやいや、さっさとクリスタルで帰ろうぜ」
(´・ω・`)「依頼は依頼。ここまで来たんだちゃんと完了させよう」
( ´_ゝ`)「まったくこいつは…」
('A`)「お前らしいって言うかなんと言うか」
五人に向かってショボンが微笑む。
諦めたように微笑みを返す五人。
それに頷きでこたえ、ショボンが歩き始めた。
(;ФωФ)「わ、吾輩達は…」
(;-_-)「す、すみませんでした」
(;ФωФ)「謝っても意味がないのは分かっておるが!けれど!」
(´・ω・`)「とりあえず、湖に行きましょう」
.
-
(;ФωФ)「え?」
(;-_-)「え?」
(´・ω・`)「依頼は完了させます。詳しい話は、その後にお願いします」
それは穏やかだが、反論することを憚れる、有無を言わせない迫力をもっていた。
(;ФωФ)「…分かったのである。」
(;-_-)「は、はい…」
頷くロマネスクとヒッキー。
それを見てからショボンは各人に指示をだす。
まずはブーンをクリスタルで帰らせた。
まだ出来ると抵抗はしていたがはたから見ても疲れているのはよく分かったため、
最終的にはツンの恫喝によりクリスタルを使わせた。
そしてブーンの位置にはドクオが入る形で隊列を整える。
五人が戦闘時の担当を念の為打ち合わせをしている最中に、
ショボンは溜まっていたメッセージを読み、いくつか返事を送った。
その後出発する八人。
本来なら戦闘がある予定だったが何故かモンスターはポップせず、
ウインドウを開いたままのショボンは困ったように、けれどどこか嬉しそうに笑っていた。
辿り着いた湖は、広く、静かな湖面は少し傾きかけた陽光できらめいていた。
.
-
2.帰還
ショボン達が全てを終わらせてホームのある40層に戻ると、
転移門前にはしぃとギコ、そしてジョルジュがいた。
転移門から出てくるショボン達を見てあからさまにホッとした顔をした三人。
その表情を隠そうともしていない三人を見て、全員の顔がほころぶ。
(*゚ー゚)「みなさん!」
(,,゚Д゚)「良かったぞゴルァ」
小走りに駆け寄ってきたしぃ。
ツンの前で何かを躊躇したように立ち止まるが、ツンはそんな彼女を笑いかけながら抱きしめた。
(*゚ー゚)「つ、ツンさん」
ξ゚⊿゚)ξ「なに、心配しちゃった?ありがとうね」
(*゚ー゚)「心配なんかしてませんけど、顔を見たら安心しました」
ξ゚⊿゚)ξ「またまた強がっちゃって」
(*゚ー゚)「もう、怒りますよ!」
笑いあう二人。
しぃの目にはうっすらと涙が浮かんでいる。
.
-
(,,゚Д゚)「良かったぞゴルァ」
('A`)「なんだ。お前も心配してくれたのか」
(´<_` )「お前に心配されるとはなぁ」
(,,゚Д゚)「まだ二人には勝ててないからそれまでは生きててくれないと困るぞゴルァ」
( ´_ゝ`)「え?じゃぁおれは死んでもいいの?」
(,,゚Д゚)「本気の兄者にも勝ててないからダメだゴルァ」
真剣な目で三人を見るギコに、思わず顔を綻ばせる三人。
(,,゚Д゚)「なんだゴルァ」
(´<_` )「まあ、まだまだお前には負けはないさ」
( ´_ゝ`)「おれの本気を見せてやるよ」
('A`)「片手剣で負けるつもりはないけどな」
(,,゚Д゚)「……お手柔らかに頼むぞ」
ギコに呟きに笑う三人。
.
-
(´・ω・`)「ジョルジュもお出迎え?」
_
( ゚∀゚)「メッセージで無事なのは分かってたけど…」
(´・ω・`)「ありがと。心配してくれて」
_
( ゚∀゚)「べ、別にそこまで心配なんかしてないんだからね」
( ・∀・)「きも」
(´・ω・`)「きも」
_
( ゚∀゚)「……」
( ><)「嘘なんです!すごく心配していたんです!」
ジョルジュの冗談に真顔のツッコミをしたモララーとショボン。
するとおもわず黙ってしまったジョルジュの後ろから、ビロードが叫んだ。
(´・ω・`)?
( ><)「ジョルジュさんもクーさんもすっごく心配していたんです!」
(*‘ω‘ *)「ちょ、ビロ、静かにするっぽ」
( <●><●>)「ビロードはうるさいですが、言っていることは間違っていないのはワカッテマス」
_
(;゚∀゚)「ちょ、おまえら出てくるな」
(´・ω・`)「今日の戦闘訓練の皆さんですよね。ビロードさん、ぽっぽさん、ワカッテマスさん。
皆さんにも迷惑をかけてしまったようですね。申し訳ありません。
もし今日の訓練に問題があったら…」
( ><)「そんなのは無いんです!ジョルジュさんもクーさんもすごくよくしてくれたんです!」
(´・ω・`)「そうですか。それは良かった」
後方に居たビロードが駆け寄ってジョルジュの隣に立ち、ぽっぽとワカッテマスが並んでその後ろに立った。
.
-
( ><)「でも!わけがわかんないんです!」
(´・ω・`)「え?」
( ><)「だからここで一緒に待ってたんです!教えてほしいんです!」
(´・ω・`)「えっと…。なにを?」
( ><)「だから分けが分かんないんです!それをです!」
(;´・ω・`)「…え?」
小さな体で肩を震わせるビロード、それは怒っているようにすら見える。
( ・∀・)「おいジョルジュ。なんだこいつ」
_
( ゚∀゚)「…なんて言って良いのやら。
訓練中にお前らがトラップに引っかかったかもしれないって情報が入って、
こいつらも心配してくれたってだけだと思ってたんだけど」
ショボンに詰め寄り始めたビロードを見て、こそこそと話しはじめる二人。
( ・∀・)「それだけじゃないだろ。これ」
_
( ゚∀゚)「いや、なんかごちゃごちゃ言っていたけど、まさかここまでとは。
メッセージを貰った時まだ一緒にいたから無事だってことを説明したら、
一緒に出迎えたいとしか言ってなかったし」
( <●><●>)「ビロードは興奮してしまっているので、私が質問します」
鼻息の荒いビロードの肩にワカッテマスが手を置き、そのまま横に立つ。
( <●><●>)「トラップに引っかかったそうで、お疲れ様でした。ご無事で何よりです」
(´・ω・`)「ああ、いえ、ご丁寧にどうもありがとうございます」
( ・∀・)「(ホントはトラップの後の方が大変だったけど、それはメッセージ入れてないからな。
ま、入れてたとしても部外者のこいつらには漏らさないか)」
.
-
( <●><●>)「トラップに引っかかったかもしれないという情報をクーさんが手にされた時、
私達はすぐそばに居ました」
(´・ω・`)「それはお騒がせしてしまい申し訳ありません」
( <●><●>)「私達はすぐに援護に行かれてはいかがですかと言いました。
しかし、クーさんとジョルジュさんは行かれず、私達の訓練を続行してくださいました」
(´・ω・`)「はあ」
( <●><●>)「何故ですか?」
(´・ω・`)「…え?」
( <●><●>)「何故ですかとお聞きしています」
(;´・ω・`)「え、いや、その…え?」
(*‘ω‘ *)「助けに向かわない理由を、信じているからだって言ってたっぽ!
心配だけど、信じてるから行かないって言ってたっぽ!
それに今は私達を訓練するからって言ってたっぽ!」
(´・ω・`)「ああ、なるほど。そういう事ですか」
(*‘ω‘ *)「わかんないっぽ。なんで助けに行かなかったっぽ」
いつの間にかショボンと三人を囲む様に面々が集まっている。
そして四人がする会話を面白そうに聞いていた。
さらにその外側、周囲には野次馬もいる。
狩り帰りやこれから夕方の戦闘に向かうプレイヤーがほとんどだが、
公園ということもあってデート中のようなカップルもいる。
(´・ω・`)「分かる必要は、ありません。
皆さんはVIPのメンバーではないのですから」
(*‘ω‘ *)!
( <●><●>)!
( ><)!
.
-
にこやかに切り捨てたショボンの言葉に、息をのむ三人。
周囲のメンバーは全員が全員眉間に皺を寄せた。
(´・ω・`)「と、いうのは少し冷たい言い方ですが、事実です。
ぼくたちの絆を冷たいと思うのなら、皆さんはそうではないギルドに入ったり、
あるいは仲間を作ればいいことですから。
僕達のギルドは互いの技量と経験を信じ、理解し、
そこから自分がすべき最善の一手を考えることを、良しとしています。
そして今回二人が取った行動は、最善の一手だったと思います」
( ><)「……」
(*‘ω‘ *)「……」
( <●><●>)「……で、ですが」
(´・ω・`)「失礼ですが、皆さん今日の戦闘でレベルは上がりましたか?」
( <●><●>)「は、はい。三人とも一つずつ」
(´・ω・`)「先に組んだ今日の予定通りの結果です。
各々の弱点の改善と、良い点の強化は進みましたか?」
( <●><●>)「それは、明日からの課題です」
(´・ω・`)「今日のクーとジョルジュがすべきことは、
皆さんが一日でも長く生きるための手助けでした」
(*‘ω‘ *)!
( ><)!
( <●><●>)!
.
-
(´・ω・`)「僕達もまだまだ弱いです。けれど、皆さんは僕らよりも弱い。
例え低層階に居ても、これから先どんなイベントが発生してしまうか分からない。
その階にふさわしくない強敵と出くわさないという保証は全くありません。
今日は、そのもしもの時を乗り越える力を手に入れる手助けをするのが二人のすべきことでした。
……二人が訓練を中断して僕らのところに駆け付けたとします。
その間に、皆さんがそんな強敵と出会ってしまうことが絶対にないとは言い切れません。
今日という機会を大事にした行動を、二人を取ったんです」
(*‘ω‘ *)「……やっぱり分からないっぽ」
(´・ω・`)「……」
(*‘ω‘ *)「私達は、ただの依頼者だっぽ。
仲間でもなければ、友達でもない。ただの依頼者だっぽ」
( ><)「ぽっぽちゃん…」
(*‘ω‘ *)「そんな私達の『もしも』を備えるために、大事な仲間のピンチに駆けつけないなんて…」
(´・ω・`)「そうですね。ただの依頼者です。
先ほど言ったように、ぼくらギルドの事を分かってもらう必要もない、
言ってみれば、ただの通りすがりのプレイヤーです。
でも、ぼくらは、このゲームをプレイする仲間でもあります」
(*‘ω‘ *)!
( ><)!
( <●><●>)!
(´・ω・`)「このデスゲームに囚われた。仲間でもあると思っています。
……他人で、通りすがりだけど、仲間。
これがぼくの、そしてギルドVIPに所属するみんなの気持ちです」
(*‘ω‘ *)「……」
( ><)「……」
( <●><●>)「……」
ショボンの言葉を神妙な面持ちで聞く三人。
そしてVIPのメンバー達。
.
-
(;*゚ー゚)「……」
(;,,゚Д゚)「……なぁ……しぃ…」
(;*゚ー゚)「き、きかないで……」
(;,,゚Д゚)「ゴルァ……」
(;*゚ー゚)「(そんなこと考えたことなかった)」
そんな中動揺を隠せない二人。
と一人。
_
(;゚∀゚)「え?」
( ・∀・)「おまえ……」
_
(;゚∀゚)「え、あ、いや知ってたぞ。うん。知ってた知ってた知ってたし」
(´・ω・`)「分かっていただく必要はありません。
でも、そういう気持ちでいるものも少なくないと、ぼくは思っています。
そして、ぼく達ギルド『V.I.P.』は、その精神を持って依頼にあたっています」
数名の動揺を気にせずに話し続けるショボン。
そしてその言葉を聞いて、三人は戸惑いながらも頷いた。
( <●><●>)「……分かったつもりですが、実は分かっていないのは分かってます」
(;><)「結局わかってないんです!」
( <●><●>)「ならば、ビロードは分かったというのですか?」
(;><)「そ、それは……よくは分かんないんです。で、でも…」
(*‘ω‘ *)「ぽっぽたちは、自分たちのことで精一杯っぽ。
でも、経験を積んで、レベルを上げれば、少しは出来ることが増えて、
周囲に目を配ることが出来るようになるかもしれないっぽ。
…VIPの皆さんは、きっとそれが出来ているんだっぽ」
ぽっぽの言葉に頷く二人、そして改めて三人でショボンを見る。
( ><)「今日は、ありがとうございましたなんです!」
.
-
(´・ω・`)「それは、ジョルジュとクーに言ってあげてください」
(*‘ω‘ *)「もう一杯言ったっぽ」
( <●><●>)「だから、そんなお二人の仲間である皆さんにも言いたくなりました」
( <●><●>)
( ><) 「「「ありがとうございました!」」」
(*‘ω‘ *)
横に並び、ギルドメンバー全員に頭を下げる三人。
(´・ω・`)「お役にたてて良かったです」
( <●><●>)
( ><) 「「「またすぐ宜しくお願いします!」」」
(*‘ω‘ *)
(´・ω・`)「それはまた依頼の申請をしてください。
ちょっと詰まってるので少々遅くなると思いますけど」
( <●><●>)「ダメでしたか」
(*‘ω‘ *)「結構ケチっぽね」
( ><)「わわっ!二人ともダメなんです!」
_
( ゚∀゚)「終わった後クーに次のお願いした時に、同じことを言われてたよな」
ジョルジュの呟きにバツの悪そうな顔をする三人。
沸き起こる笑いを聞きながら、野次馬達も四散していった。
.
-
3.会議(VIP)
ギルドVIPホームの会議室。
白い壁の大きな部屋に、ギルドの面々がいつもの場所に座っていた。
簡単な食事をとりつつ教育班と調査班の報告を終わらせる。
ショボンはずっとウインドウを開き、それぞれの情報をまとめていた。
最初クーやツンは食事中のその姿を行儀が悪いと眉をひそめていたが、今は誰も何も言わない。
調査班の持ち帰ったデータとアイテムは精査の必要があるものではあったがそれは後回しにし、
教育班と調査班の六人は勿論のこと護衛班と哨戒班の五人もショボンの報告を始めさせた。
ショボンはそれに答え、簡潔に、けれど大事な点は漏らさないで報告を進めていく。
この後詳細な報告書はショボンがまとめて全員に配られるのは分かっていたが、
何が起きたのか、各々の目には何が見えていたのか、それを聞き漏らすまいと全員が真剣だった。
そして話は、ヒッキーがショボンを狙い、その後その黒幕がマタンキであったことにまで及んだ。
( ´∀`)「……」
( ゚∋゚)「………」
ショボンは全員の顔を見まわしながら話していたが、
モナーとクックルが表情を変えなかったことに安心しつつ違和感を覚えた。
(´・ω・`)「マタンキが逃げた後は、ロマネスクさんとヒッキーさんを湖までお連れして、
そこで二人から色々と…あの時の状況とか何が起きたのかは聞いたけど…。
一応明日また執務室に来てもらってさらに細かい話を聞く予定だから、そこら辺はまた明日。
……これで、起きたことは全てかな。
僕が彼を怪しいと思っていた理由とかは幾つかの要因が重なっているから後にするとして。
みんな、起きたことに関して何か漏れはあるかな?」
.
-
モララーを筆頭に、護衛班と哨戒班だったメンバーの顔を見るショボン。
誰もが首を横に振ったりOKのサインを出したため、補足は無いと判断した。
(´・ω・`)「じゃあ細かい話に入っていくけど…。
まずはツン、ブーンの具合はどうだった?大人しく寝てた?」
ξ゚⊿゚)ξ「帰った時は眠ってた。
会議前に食事届けたら起きてこっちに来るって言ったけど、顔色悪かったから殴って寝かしといた」
( ・∀・)「(それってツンに殴られたから顔色悪くなったんじゃ)」
(´<_` )「(そうだな。逆だろうな)」
( ´_ゝ`)「(ブーン…生きていてくれよ)」
ξ゚⊿゚)ξ「なに、そこの三人、なんか文句あるの?」
( ・∀・)「いえ、」
(´<_` )「なにも」
( ´_ゝ`)「ありません」
(´・ω・`)「じゃあ大丈夫だね。詳細な報告書を書く前にブーンにも話を聞くとして…」
川 ゚ -゚)「ロマネスクさんとヒッキーは、何と言っていたんだ?マタンキの事を」
(´・ω・`)「うん。今日聞いた限りだけど、『知らなかった』の一点張りだったよ」
川 ゚ -゚)「…そんなばかな」
_
( ゚∀゚)「クーはロマのおっさんたちが嘘をついてるって言うのかよ」
川 ゚ -゚)「嘘をついていないと思う方が不自然だと思うが?」
_
(#゚∀゚)「二人はそんなことで嘘をつけるような奴じゃねぇよ」
川 ゚ -゚)「友人だからといって、見誤るな。お前はこのギルドの一員で、
その言動によって全員の命が危うくなる可能性があることを覚えておくんだな」
_
(#゚∀゚)「ギルド内以外に信じられる奴を作っちゃだめなのかよ!」
川#゚ -゚)「信じるか信じないかを冷静に判断しろと言っているんだ!」
.
-
( ´Д`)「二人ともやめるもな!」
言い争いを始めたクーとジョルジュ。
ジョルジュが感情的であるのは誰の目にも明らかではあったがその気持ちも分かるため、
口を挟めないでいた。
しかしそこにモナーが割って入った。
( ´Д`)「やめるもな。ギルドの中で言い争いとかしたらダメもな…」
悲しそうに呟くモナー。
( ´Д`)「ダメもな。…お互いの意見を言い合うのは良いもな。
でも喧嘩したり、言い争いしたり、お互いに感情的になっちゃダメもな。
ほんのちょっとしたことで関係が終わってしまったりしてしまうもなよ…」
( ゚∋゚)「…モナー」
(*゚ー゚)「モナーさん」
川 ゚ -゚)「そう…だな。モナー。すまなかった。ジョルジュ、すまなかった。お前の友人を」
_
( ゚∀゚)「いや、おれの方こそすまん。おれだって、分かってるんだ。
一緒にいて、ギルドにいたのなら、分からないはずないって。
何かしらの違和感とか、あったはずだって。でも……」
( ゚∋゚)「マタンキは、良いやつだった。
少なくとも、おれとモナーと……彼と、パーティーを組んでいた頃は」
調査班と教育班のメンバーが驚いたようにクックルを見る。
それ以外のメンバーはマタンキが最後にクックルについて喋った内容により、
うすうすとは感づいていたためそれほど驚きはしなかった。
( ゚∋゚)「あの後……。変わってしまったのかもしれない」
.
-
全員が、クックルの言う『あの後』というのが、クックルとモナーの元パーティーで死者が出たこと。
二人、マタンキも入れれば三人の目の前で死んだことだと分かっていた。
そしてその原因の一つを自分が作ってしまったとクックルが悔やんでいることを知っているため、
何も言えなくなる。
しかしマタンキのクックルに対しての言葉を聞いた何人かはちらっとショボンを見たが、
ショボンは黙って視線とほんの少しの動作だけで何も言わないよう指示をだした。
(´・ω・`)「とにかく」
意識して響く声を出したショボン。
全員が彼を見る。
(´・ω・`)「その点に関しては明日、もう少し突っ込んで二人に聞いてみるので、
報告はまた明日の夜にでもするよ。で、しぃ、明日は悪いけど…」
(*゚ー゚)「40層のバーボンハウスですね。分かりました。昼夜ともはいります」
(´・ω・`)「ごめんね。疲れたら設定だけしてNPCのスタッフに任せて良いからさ」
(*゚ー゚)「いえ、大丈夫です。任せておいてください」
ξ゚⊿゚)ξ「あら、やる気十分じゃない」
川 ゚ -゚)「良いことだ。私が楽になる」
(´・ω・`)「クーは明日の聞き取りの時に同席を頼むよ」
川 ゚ -゚)「えー」
(´・ω・`)「サブマスなんだから。これは絶対です」
川 ゚ -゚)「はーい。……だから早くモナーをサブマスにしろと…」
( ´∀`)「モナーはやらないもなよ」
(*゚ー゚)「あ、あの…」
(´・ω・`)「どうした?」
.
-
いつものように脱線し始めた会話を、しぃがおずおずと手を上げることによって引き締めた。
(*゚―゚)「いくつかわからないことがあったので、良いですか?」
(´・ω・`)「なに?」
(*゚ー゚)「ショボンさんは最初からマタンキさんを疑っていたみたいですけど、何故わかったんですか?」
(´・ω・`)「それは説明するのは難しいな。
経験としか言いようがないところもあるけど、結局は言葉の節々や行動を観察した結果…なのかな」
(*゚ー゚)「経験と観察」
(´・ω・`)「うん。特に彼は自分が強いことを隠しにしているようにも感じたから。
今日は両手剣を使っていたけれど、もしかしたらメイン武器は違うかもしれない。
実際今日使っていた剣技は500くらいの物ばかりだったしね。
ただ何となく……もっと戦闘はこなしているような気がした。動きの端々からね」
(*゚ー゚)「そうなんですか…」
(,,゚Д゚)「ブーンはなんでマタンキがロマネスクに刺突武器を突き付けてるって分かったんだゴルァ
そっちからは見えてなかったんだろ?」
('A`)「ああ、それね」
ξ゚⊿゚)ξ「そういえばそうね。まあ大体予想はつくけど」
(´<_` )「いまここにいないあいつが裏にいたんだろ?」
('A`)「ま、そういうこった」
( ´_ゝ`)「まったく。俺らにも教えてくれればいいのに」
(´・ω・`)「あの瞬間、あれに関して動けるのはドクオとブーンだけだったからね。
僕にすらその件に関してあの時にはメッセージは来てないよ」
( ・∀・)「マジか!あいつがねー」
.
-
('A`)「しぃが入ってくれて作れた時間を、料理と刀スキル以外を高めることに充ててたからな。
どのスキルを鍛えるかいろいろ相談もされたし。今では幾つかのスキルではおれに匹敵するよ」
(*゚ー゚)「え?」
(,,゚Д゚)「そ、そうなのかゴルァ」
(´・ω・`)「そうだね。まずはあの時の哨戒班の動きについて説明しようか。
ドクオ、抜けてたら補足を頼むよ」
('A`)「わかった」
(´・ω・`)「哨戒班は、今回は基本的に先行して道を進んでもらって、
モンスターを減らしてもらっていたのは分かってるよね」
頷くしぃ。
ギコは頷かず目が少し泳いでいたが、気にせずに話を進めた。
(´・ω・`)「メンバーはドクオとふさ、そしてNSからデミタスとハイン、そしてトソンに来てもらった。
順調に進んでいたんだけど、マタンキに対して不信感を覚えたのでドクオにこちらに来てもらったんだ」
(,,゚Д゚)「だけど哨戒班の攻撃の要はドクオじゃないのかゴルァ」
(´・ω・`)「そう。だからそうなると哨戒班が手薄になる。
そこでぼくは、手配しておいた保険を発動させた」
(*゚ー゚)「保険?」
(´・ω・`)「ギルドNSの残りメンバーと助っ人に、逆方向から湖に到着しておいてもらったんだ」
(*゚ー゚)「は!?」
(,,゚Д゚)「ふぇ!?」
にこやかに話すショボンと驚きの声を上げる二人。
ジョルジュとクックルも少し驚いた顔をしたが、二人ほどではなかった。
.
-
(´・ω・`)「で、ドクオは自分が抜ける代わりに逆方向から来てもらえるように連絡をした。
ドクオは自分の隠蔽スキルを最大限に利用して逆方向から僕たちのいるエリアに到着。
護衛班の誰にも気付かれない様に合流していた」
('A`)「昨日のうちにそんな準備をしてあるってショボンから教えてもらった時はびっくりした」
(*゚ー゚)「な、なんでそんなことを」
(´・ω・`)「言ったよ?保険だって。何があるか分からないからね。手は打っておいた方が良い」
(*゚ー゚)「私達にも言ってくれれば」
(´・ω・`)「保険は使わなければ使わないでそれで良いからね」
('A`)「こいつの秘密主義は今に始まったことじゃない」
川 ゚ -゚)「だな」
ξ゚⊿゚)ξ「そうね」
(´<_` )「だが、作戦に関しては言っておいてくれてもいいんじゃないか?」
(´・ω・`)「それは謝るよ。ごめんなさい。
ただ、保険を知っていると余裕が生まれてしまう可能性があるからね。
保険だって万能じゃないから、まずは自分達の力で乗り越えたかったんだ」
(´<_` )「……そうだな。
最初から知っていたら、『あいつらを呼べ!』って叫んでただろうからな。
……兄者が」
( ´_ゝ`)「え?そこでおれ?」
( ・∀・)「言うな。確実に」
ξ゚⊿゚)ξ「言うわね」
川 ゚ -゚)「言う」
(*゚ー゚)「…ですね」
( ´_ゝ`)「え?しぃちゃんまで?」
思わず漏れる微笑み。
緊迫とした空気は変わらないのだが、ほんの少しだけ穏やかな空気がつつむ。
.
-
( ´∀`)
( ゚∋゚)
それはモナーとクックルも柔らかく包み、
マタンキの事によって表情が硬かった二人にほんの少しだが笑みが戻った。
(´・ω・`)「その後のドクオの動きはさっき説明した通りだね。
トラップが発動したので解除のために姿を現した。
トラップ解除はモララーにお願いしてもよかったけど…」
( ・∀・)「俺のスキルレベルじゃ一発解除は難しかっただろ。どうだ?ドクオ」
('A`)「おれのレベルでギリギリだったからな」
( ・∀・)「じゃあダメだ」
ξ゚⊿゚)ξ「結構ポップ数多かったから、解除が遅れたら危険だったわね」
( ´_ゝ`)「おまえらゴーレムの相手しやしないし」
('A`)「兄者と弟者が戦った方が早いだろ。
そのかわりゴブリンと蜂はおれ達で倒したし」
ξ゚⊿゚)ξ「ゴーレムも結構頑張って削ったわよ」
( ´_ゝ`)「むーーーー」
(´<_` )「はい、兄者の負け」
今度は笑いが広がる。
緊張感も大事だが、その時でも笑顔を見せることが出来るのは素晴らし事だ。
そんなことを考えながら、ショボンは続けた。
(´・ω・`)「ここから先はトソンからもらった報告書によるけど、説明するね」
再び部屋に広がる緊張感。
.
-
(´・ω・`)「ドクオが離れた後、残りの四人は先のエリアに進んだ。
で、ほぼ同タイミングでシャキン達六人が合流。
この件に関してはトソン達にも話していなかったから合流したことに驚いたみたいね。
報告書の口調がきつかったよ。
そして全員でエリアのモンスターを倒した後、ふさと助っ人の三人、合計四人はドクオの後を追った」
(*゚ー゚)「どうしてですか?そんな指示をいつ?」
(´・ω・`)「僕は出してないよ」
(;*゚ー゚)「え?じゃあなんで」
('A`)「ショボンからのメール『シャキンくる』と書いてあったから、
このあとシャキン達と合流できるのは分かってた。
だからおれが離脱する時にふさには言っておいたんだ。『後を頼む』って」
(;*゚ー゚)「?」
(,,゚Д゚)「どういう事だゴルァ」
('A`)「だから、そっちが大丈夫になったら後を追ってくれって意味で、
『(そっちが大丈夫になったらおれの)あと(を追ってくれ)、頼んだ』って言った」
(*゚ー゚)「はい?」
(,,゚Д゚)「へ?」
('A`)「ん?」
(;*゚ー゚)「え、いや、ちょ、え?何を言っているんですか?」
(,,゚Д゚)「何言ってるのか分からないとかいうレベルの話じゃないぞゴルァ」
('A`)「え?ギコがバカなのは良いとして、しぃまでどうした?」
(#,,゚Д゚)「ゴルァ」
.
-
(;*゚ー゚)「い、いや普通分からないですって」
('A`)「ふさはちゃんと分かったぞ?」
(;*゚ー゚)「分かる方がおかしいんです!」
('A`)「エエエエエエエェェェェエ」
そのあとドクオの「いやだから、『あと』っていうのは『うしろ』って意味であって」といった声や、
しぃの「普通分かりません!フサさんが来たのだって奇跡ですよ!」という会話が続いたが、
もちろん結果は出ずにおわった。
最後まで不思議そうな顔をしているドクオとだんだん言葉がきつくなるしぃを見て、
周囲のメンバーは困惑と笑いを重ねた。
(*゚ー゚)「とにかく、指示はもっとちゃんとしてください」
('A`)「はーい」
(´・ω・`)「続き、良いかな?」
(;*゚ー゚)「あ、はい。お願いします」
(´・ω・`)「それで、合流したNSの皆はそのままエリアをキープ。
こちらからの連絡を待ちつつポップしてくるモンスターの排除をしてくれてた。
こちらに向かったふさと助っ人は、ぼく達がトラップに囚われたエリアの隣で待機。
あのタイプのトラップ発動中は別空間に切り離されてるから、入ってこられないからね。
前にギコが戦ったフラグの立て方によって途中参加もできるイベントボスと違って」
(,,゚Д゚)「…」
(*゚ー゚)「…」
それは二人がVIPに入るきっかけとなったクエストボスとの戦いのこと。
あの時のことを思い出し、表情を引き締めた二人。
(´・ω・`)「そして、ぼく達がトラップを解除したのを確認したふさ達は中に入り、
隠蔽スキルを使って自分達の身体を隠しつつ、状況を観察しながら前後の通路に分かれて待機。
別方向からマタンキとロマネスクさんを見て状況を判断。
ブーンとドクオにそのことをメッセージで連絡…ってところかな」
('A`)「モララーがあいつの剣を砕く前には来てたな。
『マタンキが刺突武器でロマネスクを刺そうとしてる』ってな」
.
-
ドクオが補足説明をすると、ショボンは話すのを止めて全員を見回した。
全員が…と言うわけではないがほとんどのメンバーは納得したようだった。
ξ゚⊿゚)ξ「で、ふさは今どこに行ってるのよ…ってまあ、聞く必要もないけど」
ツンが少し呆れたように聞くと、ショボンは笑顔を見せた。
(´・ω・`)「もちろんマタンキを追跡してもらってるよ。助っ人さん達と一緒にね」
そこで大きくため息をついたのは四人。
( ・∀・)「それで追わなくてよかったわけか」
(´<_` )「おかしいと思ったんだ。いくらドクオが追えなかったとはいえ、全く追わないなんて」
( ´_ゝ`)「考えてみれば、いくら部位欠損していたとはいえ、
ドクオが走り出さなかった時点でおかしかったんだな」
ξ゚⊿゚)ξ「……ブーンノヤツワタシニハチョットオシエテクレテモヨカッタノニ」
('A`;)「ツン、ブーンを怒らないでやってくれよ」
ξ゚⊿゚)ξ「あら。何か聞こえた?しないわよ。そんなこと」
('A`;)「そ、それなら良いんだけどよ」
ξ゚⊿゚)ξ「あとで怒るのは自分の限界レベルの動きを何度も繰り返したことに対してよ」
('A`)「あ、やっぱり怒るには怒るんだ」
ξ゚⊿゚)ξ「まったく…一回頭痛が来たらちゃんと治まるまでその動きはするなって、
口が酸っぱくなるくらい言ってるのにあいつはほんとに…。
でもそうね。怒ってるうちにいろいろ思い出しちゃうかも」
ドクオを見ながら、そこにブーンがいるかのように怒りをあらわにしたツン。
それを見た全員が「ブーン頑張れ」と思った。
(*゚ー゚)「そ、そういえば、その助っ人さんって誰なんですか?」
.
-
全員が身震いしたのを感じ、しぃが話を変えるように慌てて喋る。
(´・ω・`)「ん?助っ人?ああ。しぃもギコも知ってるやつらだよ」
(*゚ー゚)「え?私達が知ってる人なんですか?」
(,,゚Д゚)「?」
(´・ω・`)「そうだね…。
明後日、NSの皆も集めて食事会をしようと思うんだけど、みんなの予定はどうかな?」
突然話を変えたショボンに戸惑うしぃだったが、他のメンバーは普通に回答していった。
('A`)「おれは大丈夫だ」
_
( ゚∀゚)「おれも」
ξ゚⊿゚)ξ「昼に依頼品を渡す予定があるけど、夕方からなら大丈夫よ。ブーンにも後で聞いとく」
川 ゚ -゚)「薬の製作があるが、まあ大丈夫だろう。
あーでもそうだった。忘れてた忘れてた。すまんショボン。
それに使うアイテムとか採取しに行かなきゃいけないから、明日の同席は無理だな」
( ゚∋゚)「あれ?この前農園から持って行った量じゃ足りないのか?
あれならまだ持って行ってくれて大丈夫だぞ。
ショボン、おれも大丈夫だ。来られる」
川 ゚ -゚)「…ちっ。あ、どうせなら明日はモナーもいっしょ」
( ´∀`)「モナーも明後日なら大丈夫もな。
明日じゃなくてよかったもな。明日は何匹か出産の予定があるから忙しいもな。
ほんとう、明日じゃなくてよかったもな。クー、何か用もな?」
川 ゚ -゚)「……なんでもない」
( ・∀・)「おれも大丈夫だ。
ただデレちゃんに品物渡すのが12時前だから、そのあとデートすることになったら…」
ξ゚⊿゚)ξ「あら、モララー。あんたもデレに納品なの。
私も12時半にショボンの店で待ち合わせして、ご飯食べながら品物渡す予定なのよ。
良かったらくる?おごらせてあげるわよ」
( ・∀・)「…………いい。自分の店で一人で食う」
.
-
(´<_` )「こっちも大丈夫だな。依頼されてる防具は全部出来ているし」
( ´_ゝ`)「ああ、特に予定はない」
(´<_` )「……この前言ってた依頼された鎌、出来たのか?」
( ´_ゝ`)「…………依頼?」
(´<_` )「よしわかった。帰ったら依頼書のチェックするからな」
( ´_ゝ`)「えーーーーー」
(´<_` )「『えー』じゃない!ギコ、すまんが明日朝店に来てくれ。素材集めに行くかもしれん」
(,,゚Д゚)「分かったぞゴルァ!おれも明日明後日は予定無いから一緒に出られるなら大歓迎だゴルァ」
(*゚ー゚)「わたしも特に予定はないので…」
(´・ω・`)「じゃあみんな大丈夫だね。みんな。
その時に助っ人の彼らも呼ぶから、改めてちゃんと紹介するよ。
(*゚ー゚)「あ、はい」
異議を言わせぬ流れに思わず頷くしぃ。
他のメンバーもそれぞれに了解の仕草を取る。
といってもしぃとギコ以外は大体察しがついているようで、
更にショボンがしぃとギコに教えない理由もなんとなく分かっているのか呆れたようにショボンを見た。
(´・ω・`)「さて、それじゃあ今日は終わりかな。誰か他に何かある?」
その視線に気付いているのかいないのか、にこやかに全員の顔を見るショボン。
(´・ω・`)「うん。じゃあ終わりだね。
今日は本当、みんなお疲れ様でした。ゆっくり休んでください。
明日以降のことは、明日朝にメッセージを入れるので、担当の人は宜しく」
立ち上がり、お辞儀をするショボン。
そして体を起こすと同時に一回柏手を打った。
.
-
(´・ω・`)「では解散!お疲れ様でした」
_
( ゚∀゚)ξ゚⊿゚)ξ川 ゚ –゚)( ´_ゝ`)
( ´∀`)( ゚∋゚)( ・∀・)
(,,゚Д゚)(*゚―゚)
「お疲れ様でした!」
('A`)(´<_` )
それぞれに席を立ち、部屋出ていく。
そして部屋に残ったのはショボンとモララーだった。
( ・∀・)「ショボン、このあとちょっと良いか?」
(´・ω・`)「僕は大丈夫だけど、モララーは疲れてないの?」
( ・∀・)「疲れてないわけじゃないけど、ちょっと確認しておきたいことがある」
(´・ω・`)「わかった。じゃあ執務室で良いかな」
( ・∀・)「おう」
モララーを先に外に出し、部屋の電気を消すショボン。
普段なら隣の部屋で一回のんびりするところだが、さすがに今日は全員自室に戻ったようだ。
ショボンの部屋でもある執務室に向かうショボンとモララー。
フサギコからのメッセージでマタンキを見失った事をショボンが知ったのは、数分後だった。
.
-
4.五人
(;ФωФ)「ほんとうに、本当にすまなかったのである」
(;-_-)「すみませんでした!すみませんでした!」
(´・ω・`)「…そういうのは、本当にもう良いですから」
ギルドの執務室。開いた扉の前で何度も何度もお辞儀をするロマネスクとヒッキー。
動こうとしない二人をクーがホームの外まで送ってから執務室に戻ると、
執務机に突っ伏してぶつぶつ呟いているショボンと、机の周りにそれを見て笑っている三人の仲間がいた。
(´・ω・`)「なんなのあれいったい…」
川 ゚ -゚)「お疲れショボン。お疲れみんな」
ξ゚⊿゚)ξ「クーこそお疲れ様。なんか酷かったみたいね」
川 ゚ -゚)「ああ。基本的には知らぬ存ぜぬの繰り返しだった」
(´・ω・`)「酷いとかいう問題じゃないよホントに…」
('A`)「結局マタンキに対する情報は対して得られなかったんだろ?」
川 ゚ -゚)「ああ。彼らも釣り好きのソロプレイヤーくらいの認識だったようだな」
(´・ω・`)「大体それだけでギルドに入れちゃうこと自体おかしんだよ」
川 ゚ -゚)「ショボン、ぐちぐちうるさい」
(´・ω・`)「だってさ」
( ^ω^)「こういうショボンを見るのも久しぶりだおね」
垂れた眉をさらに垂らしているショボンと、楽しそうなブーン。
クーは呆れたように肩をすくませ、ツンとドクオはそんな三人を見て笑顔だ。
.
-
ξ゚⊿゚)ξ「ショボンはもうちょっと気を抜けばいいのよ」
( ^ω^)「そうだお。ギルドは皆で作るものだお」
(´・ω・`)「じゃあギルド管理の…」
ξ゚⊿゚)ξ「無理」
( ^ω^)「無理だお」
(´・ω・`)「むーーー」
川 ゚ -゚)「だから早くモナーをサブマスの役職に」
(´・ω・`)「クーももっと事務仕事をしてくれてもいいんだよ」
川 ゚ -゚)「嫌だ」
('A`)「またこりゃはっきりと断るな」
川 ゚ -゚)「ドクオでも良いぞ?」
('A`)「おれにできるかよ、そんな仕事。戦闘してた方が気楽だ」
(´・ω・`)「ぼくもドクオにはやらせたくないな」
('A`)「…ヒトニイワレルトカナシイヨネ」
ドクオを抜く四人の笑顔。
ひとしきり笑った後、ショボンが起き上がって大きく伸びをした。
(´・ω・`)「ギルドを作った時点で事務仕事はやるつもりだったから、良いけどさ。
戦闘指揮はクーとクックルが出来るようになってきたし、
あとはモナー、モララー、兄者、弟者とかが出来るようになってくれるとありがたいかな」
ξ゚⊿゚)ξ「兄者…」
川 ゚ -゚)「兄者…」
('A`)「兄者…ねぇ」
(´・ω・`)「そう言うけど、結構いけると思うんだけどな。兄者」
.
-
('A`)「それはそれとして、今回の件はどう決着するんだ?」
(´・ω・`)「…とりあえずは、特になにも。
一応アルゴさんにお礼の連絡をして、ANGLERに関して情報収集も依頼したけど、
今のところは低層階の釣り好きで結成したサークルのようなギルドって事しか分からなかったし」
ξ゚⊿゚)ξ「追加で調査は依頼したんでしょ?」
(´・ω・`)「一応ね。何か出てくるのかどうか…それは分からないけど」
('A`)「マタンキの事も」
(´・ω・`)「もちろん」
( ^ω^)「今回の依頼に関してはどうなったんだお?」
(´・ω・`)「釣りはしなかったけど湖まではお連れしたから、完了は完了。
ただ正直ギルドとしてのお付き合いは遠慮したかったから、
現時点で支払えることの出来るコルを貰って当初の魚による支払いは遠慮したかったんだけど…」
川 ゚ -゚)「押し切られた」
ξ゚⊿゚)ξ「あら」
('A`)「おや」
( ^ω^)「おっお。珍しいおね。ショボンがそういう駆け引きで負けるの」
(´・ω・`)「あれは駆け引きとかそういったレベルの物じゃないよ」
川 ゚ -゚)「99パーセント泣き落としだな。二人して土下座して、『罪滅ぼしを!』って叫んでた」
ξ゚⊿゚)ξ「あらら」
('A`)「ハハハ」
(;^ω^)「おっおっお」
(´・ω・`)「押し通して断ることもやれたけど、そうしたら店の入り口で土下座してそうな勢いだったから」
.
-
川 ゚ -゚)「というか、するって言っていたな。さっきの残り1パーセントは脅しだと私は判断した」
あからさまに肩を落としたショボン。
今度は笑うことが出来ず、四人は引きつった笑顔を見せながら互いの顔を見た。
(´・ω・`)「ただ納品は週二回にしてもらった。最初は毎日のように来るって言い張ってたけど…」
川 ゚ -゚)「来たら受け取らない、契約も完全破棄、以後すべての依頼も受け付けない。
それで何とか週二回でOKさせたよ」
(´・ω・`)「……一回でも連続で来たら、その瞬間にそうしてやれるのに…」
( ^ω^)「ショボンが黒いお」
ξ゚⊿゚)ξ「ジョルジュと一緒にご飯食べに来てついでに置いていくとかしそうよね」
(´・ω・`)!
川 ゚ -゚)!
('A`)「珍しいな。ツンが思いつくことを二人が思いつかないなんて」
ξ#゚⊿゚)ξ「…それはどういう意味かしら。ドクオさん」
('A`;)「いえ、ツンさん。特に他意はございません」
川 ゚ -゚)「確かにしそうだな」
(´・ω・`)「…ジョルジュに言っておかないと……」
( ^ω^)「フサの店の方にもだお」
(´・ω・`)「だね」
大きくため息をつくショボンとクー。
ξ゚⊿゚)ξ「まあそれに関しては良いとして、
マタンキと釣りギルドの関係に関してはどう決着をつけたのよ」
.
-
(´・ω・`)「釣りギルドってこれまた直接的な。ANGLERね。名前。
……信じるしかないよ。マタンキの行動とANGLERは無関係だって。
ギルマスもそう言い張り、情報も出てこないからね」
( ^ω^)「……だおね」
(´・ω・`)「だから、とりあえずは今言ったことをまとめて全員に報告することにした」
ξ゚⊿゚)ξ「………ふうん」
(´・ω・`)「納得できない?」
ξ゚⊿゚)ξ「あんただってしてないでしょ?」
(´・ω・`)「まあね」
( ^ω^)「…マタンキの言っていたあのセリフが、問題だおね」
('A`)「まるでマタンキが仕組んだような言い様だったな。クックルが声をなくした仲間の死が」
川 ゚ -゚)「だが、出来るのか?そんなことが」
ξ゚⊿゚)ξ「前にモナーから聞いた話だと、そんな風には思えなかったけど」
(´・ω・`)「でも、モナーはなんとなくマタンキの事を怪しんでいたみたいだよ」
('A`)「ああ、そうだな」
ξ゚⊿゚)ξ「そういえば…良いわけ?それ、他の皆に説明しなくて」
(´・ω・`)「『モナーがマタンキの事を怪しんでいた』って事実が、
クックルの心を更に傷付けないとは言えないからね。
それに気付けなかった自分を、また責めてしまうかもしれない」
川 ゚ -゚)「また、声を出せなくなるかもしれない」
('A`)「それで済めばいいがな」
( ^ω^)「変なことを…いうなお…」
.
-
(´・ω・`)「モナーと相談して、折を見て話すつもりだけどね。
喋ることが出来なくなった頃のクックルと今のクックルは、違うと思うし。
クックル以外のメンバーには、個別にちゃんと話しておくよ」
ξ゚⊿゚)ξ「マタンキねぇ…。ただのお調子者に見えたのに」
川 ゚ -゚)「戦闘能力だけじゃなく、他のスキルも鍛えてあったんだろ?」
('A`)「ふさ達が見失ったってことは、そうだろうな」
(´・ω・`)「うん。転移結晶も使いまくったみたいだね。
なんとか三回までは追えたみたいだけど」
( ^ω^)「三回も追えたのかお?」
(´・ω・`)「うん。三人には聴覚系のスキルも鍛えておいてもらったから、
クリスタルで飛ぶ際の指定を聞いて、なんとか。
それに、マタンキはあの時点でカーソルは既にオレンジだった。
オレンジプレーヤーがクリスタルで飛べるのは圏外村だけだからね。
それほど多くないから、少し聞き取れれはあたりをつけることは可能だよ。
でも飛んだ先で待ち伏せされたりするかもしれないから、すぐに追って跳べないのが懸念点だったけど」
('A`)「圏外村ってことは、そこですぐ戦闘になることもあるからな」
(´・ω・`)「そういうこと。
最初からうちのギルドやぼくを殺すことを狙っていたとしたら、
ふさの顔は知られている可能性が高い。
だからふさが先頭を切って飛ぶのは止めてもらったんだ。
残り三人のローテーションで三回は即座に跳べたけど、
四回目はちょっと時間をおいたら見失ってしまったって報告されたよ。
それ自体は賢明な判断なんだけど、残念は残念……だね」
('A`)「命あっての物種……」
.
-
(´・ω・`)「うん。分かってるよ。
今日は、一応三人にアライメント回復クエストのスタート地点を見て回ってもらってる。
でもとてもじゃないけど全部の監視は出来ないから、見付けるのはまあ無理だろうね。
確認させてもらったけど、ロマネスクさんとヒッキーさんのフレンドリストからも消えてた。
これは確認させてもらったよ」
川 ゚ -゚)「ふさは戻ってきたんだよな」
(´・ω・`)「昨日のうちにね。今日は店に出てるよ。
こっちの店をしぃに任せちゃったから、頑張って開けてる」
('A`)「なあショボン、そろそろあの子に店に出てもらえないのか?」
(´・ω・`)「ん?あの子?ああ、ヘリカルちゃんの事?
彼女はもともとブーンのサポートが出来るようにと思って低層での道具屋をしてもらってるから、
料理スキルはそれほど上がってないんだよね。
そっちは普段の食事や道具屋の隅に置くパンを作るくらいでしかレベル上げてないだろうし。
意識して上げてるって話は前にしてたけど、店を一人で任せるのは当分無理かな。
それに、たとえ任せられるレベルだとしても、今は呼べないよ」
ξ゚⊿゚)ξ「あら。どうしてよ」
(´・ω・`)「今回の件、最初からぼく単体が狙われたのか、このギルドが狙われたのか分からないからね。
ただ、どう考えても計画的だから、たまたま狙ったとかじゃない。
そんな危険な状態の時に入れるのはね。当分は今まで通り陰から支援だよ」
ξ゚⊿゚)ξ「女の子が増えるのは楽しいのにな」
川 ゚ -゚)「だが、兄者もいるからな。そっちも注意が必要だ」
('A`)「確かに。ヘリカルちゃん可愛いからな」
( ^ω^)「……もう一人注意する人物が…」
('A`;)「ち、違うぞ!そういう意味で言ったんじゃないからな」
( ^ω^)「おっおっお。冗談だお」
.
-
('A`)「やめろよまったく」
ξ゚⊿゚)ξ「ドクオだと冗談だと思われないから」
('A`;)「だからそういう事を言うとだな、いらぬ誤解をだな」
川 ゚ -゚)「お兄さんの方はどうなんだ?」
(´・ω・`)「ぃょぅ君ね。彼は順調。
週一で現状報告を貰ってるけど、隠密系のスキルはふさ以上、ドクオに近いよ」
ξ゚⊿゚)ξ「すごいじゃない」
(´・ω・`)「その分戦闘系スキルは少しおろそかだから、そろそろそちらも鍛えるメニューを増やす予定」
川 ゚ -゚)「私は会ったことないんだよな。二人とも」
ξ゚⊿゚)ξ「あら、そうなの?」
川 ゚ -゚)「ヘリカルちゃんの売っている薬は私が作った物だが、ブーン経由でしか卸してないからな。
一度お手紙を貰ったが、礼儀正しくて良い子だった。早く会いたいものだ。
ブーンは二人には会っているのか?」
( ^ω^)「ヘリカルちゃんには時々会うけど、ぃょぅ君には会ってないお。
ショボン、ぃょぅ君もまだギルドに入れないのかお?」
(´・ω・`)「実はさ、本当はそろそろ良いかなと思ってたんだ。
でも、さっきも言ったけど、今回みたいなことが起きるとね。
ぼく達よりも幼い二人に無用な危険を与えてしまうのはさ」
川 ゚ -゚)「しょうがないか」
('A`)「…そうだな」
(´・ω・`)「もともとギルドとして二人と会うメンバーは限定してあるしね。
ふさだけじゃないかな。二人と会ってるのは」
( ^ω^)「あの二人と最初に仲良くなったのはふさだおね」
.
-
(´・ω・`)「うん。だからさ。
ギルドがそれなりに注目されちゃってるから一応って感じで陰からサポートにしてたけど、
今回はそれが幸いしたよ。
本気の悪意の持ち主なら、集団の弱いところを狙うだろうからね」
立ち上がるショボン。
(´・ω・`)「さて、ぼくは報告書を仕上げてから店に顔を出すけど、みんなはどうする?」
そう言いながら机の上の書類をまとめ、自分の周りにいる仲間達を見る。
( ^ω^)「店に戻るお」
ξ゚⊿゚)ξ「私は服の製作ね。来週までの納期物があるから、今のうちに片付けちゃうつもり」
川 ゚ -゚)「私も薬の製作をしないと。
ブーン、量は昨日聞いた分で変更なしで良いんだな?」
( ^ω^)「大丈夫だお」
('A`)「おれはギコとジョルを誘って狩りだな。
兄者たちの素材集めに行ってたら、手伝いに合流すればいいし」
(´・ω・`)「じゃあまた夕飯の時にだね」
( ^ω^)「よろしくだお」
ξ゚⊿゚)ξ「そうだ、ブーン。最近あんた食べすぎじゃない?」
( ^ω^)「そんなことないお。でもショボンとふさの料理が美味しすぎて、
知らず知らずのうちにいっぱい食べてるかもしれないけど」
('A`)「うそだな。太らないと思って暴飲暴食してるだろ」
(;^ω^)「突然なにをいっているんですか、ドクオさん」
.
-
ξ#゚⊿゚)ξ「…ブーン?」
(;^ω^)「ツンさんもそんな険しい顔をしちゃダメですお」
('A`)「イイキミダーリアジュウメ」
(;^ω^)「ドクオ!」
('A`)「さっきのお返しだ、ばかめ」
ξ#゚⊿゚)ξ「で、ほんとのところはどうな訳?あんたダイエットするって言ったわよね。
その腹!あご!首回り!」
(;^ω^)「あ、アインクラッドでは体型変わらないお」
ξ#゚⊿゚)ξ「心構えを言ってるのよ!スピードでなくなるわよ!」
(;^ω^)「それは大丈夫だと思うお」
ξ#゚⊿゚)ξ「分からないでしょ!よし、今日から食べる量のチェックするからね!」
(;^ω^)「そんな…。あ!注文のお客さんがいたんだったお!
ツン、その話はまた今度だお!じゃ、ショボン、また夜に!」
ξ#゚⊿゚)ξ「こら!待ちなさいブーン!」
ショボンに手を振って慌てて部屋を出るブーンとそれを追うツン。
残った三人は、呆れたように、けれど楽しそうに顔を見合わせて笑った。
.
-
5.夜会
ギルドVIP、NS、そして助っ人三人が集まったその夜は、壮観だった。
15+6+3=24
総勢二十四人。
(正確には二十三人+ビーグルだが、システム的にカウントされない場合以外は
ショボンは人数に入れているため、椅子もちゃんと用意している)
流石にいつもたむろしている会議室の隣の部屋では狭い為、
誰もがバーボンハウスを休業してそこで行うと思っていた。
しかし、
(´・ω・`)「………店は休みたくないなぁ。嫌な予感もするし」
というショボンの一言で、午前中手の空いている数名で、会議室の模様替えを行った。
とは言ってもほとんどはクリック出し入れできるのだから力仕事などは無い。
簡単なクリックで会議用の机と椅子を片付けた後白い壁を淡いベージュに変え、
床をふかふかの絨毯に変える。
その上にギルド所有で保管してあったソファーやクッション、そしてローテーブルを置き、
更に部屋の隅に観葉植物を置いて完成した。
そのはずだった。
.
-
ξ゚⊿゚)ξ「ホントあんたたちセンスないわね」
ツンが現れたのは模様替えが完成した数時間後。
宴会の二時間前。
ξ゚⊿゚)ξ「はい、さっさと替えるわよ」
ツンの指示と言う名の怒声が響く会議室。
開始予定時刻の20分前に出来上がった部屋は確かにすばらしかった。
気持ちが落ち着き、ゆったりと出来るような柔らかい雰囲気が部屋を包んでいる。
それでいて人の動きも意識してあり、気持ちよく食事と会話を楽しめそうだ。
部屋を見て満足そうに頷くツンを見てその感性を素晴らしいと感心しつつも、
それならもっと早く来てくれよと思わずにはいられないメンバーだった。
(´・ω・`)「一昨日はお疲れ様でした!そしてありがとう!
今日は楽しもう!乾杯!!!」
_
( ゚∀゚)( ^ω^)ξ゚⊿゚)ξ川 ゚ -゚)
( ´_ゝ`)( ´∀`)( ゚∋゚)
ミ,,゚Д゚彡( ・∀・)
(,,゚Д゚)(*゚ー゚)
(`・ω・´)(´・_ゝ・`)( ゚д゚ )<_プー゚)フ
( ^Д^)( ´―`)| ^o^ |
「「「かんぱーい!」」」
('A`)从 ゚∀从
(´<_` )(゚、゚トソン
▼*・ェ・▼「きゃん!」
ほぼ全員が「ハインぶれないな…」と思うなかの乾杯。
そしてそれぞれに会話を始めた。
.
-
(,,゚Д゚)「驚いたぞゴルァ」
m9(^Д^)プギャー
(,,゚Д゚)「ムカつくからそれ止めろゴラァ」
( ^Д^)「はっはっは」
ギコとしぃがプギャー達三人に近寄ってグラスをそれぞれにグラスを当てる。
(*゚ー゚)「でも本当に驚きましたよ。助っ人って言うから…」
( ´ー`)「ショボンとドクオの指導の下、ずっとこっそり訓練してたーよ」
| ^o^ |「最初はショボンさんに怒られたバツだったのですが、今では感謝しています」
(*゚ー゚)「そうだったんですか。
…罰というのはその…やっぱりあの時個人情報をペラペラと喋ったアレ、ですか?」
( ´ー`)「そうだーよ」
(;*゚ー゚)「なんか、すみませんでした」
(,,゚Д゚)「でも三人はこのギルドってわけじゃないから別に従う必要はなかったんじゃないか?」
(*゚ー゚)「うん。そうだよね」
( ^Д^)「おまえら、本気で怒ったショボンに刃向う自信あるか?」
(,,゚Д゚)「…………ない」
(*゚ー゚)「…………ないです」
m9(^Д^)プギャー
(,,゚Д゚)「だから止めろそれ」
シャキン達と話しているショボンをちらっと見る五人。
.
-
( ´ー`)「でも、怒られたから従ったわけじゃないだーよ」
| ^o^ |「ショボンさんは、本当に私達の事を心配してくださいました」
( ^Д^)「で、言われたんだよ。メニューを作るから鍛えてみますかってな」
(*゚ー゚)「そうだったんですか」
( ´ー`)「目標とするスキルバランスがちょっと悪い気がしたけど、やってるうちに真意も分かっただーよ」
(*゚ー゚)「真意?」
| ^o^ |「私たち三人がやってきたことを活かしてくれたのです」
(,,゚Д゚)「やってきたこと?」
('A`)「三人はいろんなギルドやソロプレーヤーと共同でクエストや狩りをしているからな。
自分達だけで戦うことはもちろん、他の奴と一緒に戦う時に力となるスキル構成を組んだんだよ」
(*゚ー゚)「なるほど。そうだったんですか。ってドクオさん!」
(,,゚Д゚)「いきなり来るなゴルァ!」
しぃとギコの後ろから普通に会話に参加したドクオ。
五人は円になって話していたため残りの三人はドクオが違づいてきたことに気付いており、
驚いたしぃとギコを見て笑っている。
(;,,゚Д゚)「三人とも、気付いたなら教えろよゴルァ」
('A`)「お前ら驚きすぎ。人が折角解説に来てやったのに」
(;*゚ー゚)「びっくりした」
.
-
('A`)「あ、そうだ。忘れないうちに渡しておく。
プギャー、始まったばかりで悪いけど、帰る時にはこれ使ってくれってさ」
プギャーの前に浮かぶトレードウインドウ。
そこには転移結晶が三つ入っていた。
( ^Д^)「ここに来る時も転移門から隠蔽使って周りに気付かれないようにやってきたけど、
帰る時も誰にも見られない様にってことか?」
('A`)「みたいだな。
今回起きた事の詳しい話は後でモララーとモナーから説明する手はずになってるらしいから、
詳細はそっちで理解してくれ。
ショボンが言うには、もし今回の件がうちのギルドやメンバーの誰かを狙った事であるのなら、
VIPと懇意にしていることは知られないほうが良いそうだ。
NSはもう無理だけど、おまえらはまだVIPと近いってことは広まってないだろ」
( ´ー`)「わかっただーよ」
(*゚ー゚)「ドクオさん、今も見張られている…ってことですか?」
顔を強張らせて呟くように小さな声でドクオに問いかけるしぃ。
震える身体を支えるように両手で自分の身体を抱きしめたその姿を見て、
まわりの四人が同じように顔を強張らせてドクオを見た。
('A`)「見られちゃいないだろ」
しかし、ドクオの返答は即答で簡潔で軽かった。
そしてその軽い物言いで、全員の緊張感が緩和される。
(*゚ー゚)「え?でも」
('A`)「あいつがよくやる、『念には念を』だろ。
言われて、ここ二時間くらい周囲もよく観察してたけど、いなかったし。
もちろん周辺の建物でも買われて、おれらが確認できないところから見張られたらアウトだけど」
(,,゚Д゚)「ゴルァ…」
(*゚ー゚)「そういえば、ショボンさんとクーさんはどうしたんですか?」
キョロキョロと周囲を見るしぃ。
.
-
(*゚ー゚)「さっきまでシャキンさん達と話していたのにもういないです。
それに、説明をモララーさん達に任せるなんて」
('A`)「ああ、ちょっと野暮用が出来て店の方に行くってよ。
で、しぃにも伝言。悪いけど、しぃも料理や飲み物のチェックを頼むってことだ。
これだけの人数だとふさ一人じゃ回らないだろうしよ」
(*゚ー゚)「はい。分かりました」
(,,゚Д゚)「野暮用って、二人で大丈夫なのかゴルァ」
('A`)「圏内だし、大丈夫だろ。
クーがそばにいるなら、ショボンも無茶なことはしないだろうし」
(,,゚Д゚)「それなら良いが」
('A`)「心配か?」
(,,゚Д゚)「あんなことのあった後だ、当り前だゴルァ」
('A`)「ま、そりゃそうだ」
(*゚ー゚)「でもドクオさんがここにいるなら、私達がでしゃばることも無いですね。
私達は、私たちにできることをします」
('A`)「ん。頼む」
(*゚ー゚)「それじゃあギコ君、フサギコさんとちょっと打ち合わせしてくるね」
(,,゚Д゚)「分かったぞゴルァ」
視線を走らせ、エクストと話しているフサギコを見付けるしぃ。
そしてギコに告げてから、改めて三人にお辞儀をした。
(*゚ー゚)「すみません。また後でいろいろお話聞かせてください」
( ^Д^)「おう」
( ´ー`)「また後でだーよ」
| ^o^ |「お仕事頑張ってください」
.
-
(*゚ー゚)「ありがとうございます。プギャーさん、シラネーヨさん、……と、お名前は…ぎ、ギコ君」
(,,゚Д゚)「お?名前?ん?なんだっけ」
|; ^o^ |「ブームです!ブーム!なんでみなさん忘れるんですか!誰かの差し金ですか!」
(*゚ー゚)「以前ジョルジュさんに、ブームさんと会ったら一回は必ずやらないといけないって言われました。
お約束だって」
(,,゚Д゚)「同じくだゴルァ」
|; ^o^ |「ジョルジュさーん!!」
離れた場所でデミタスとゲラゲラ笑っているジョルジュに駆け寄るブーム。
プギャーとシラネーヨはギコとしぃに軽く手を振ってから、笑いながらその後を追った。
しぃはフサギコの元へ。
ギコは所在なさげに突っ立っていたが、後ろからツンに頭を叩かれてモナーと三人で喋りはじめた。
('A`)「……さて、あとはショボンとクーが何をしてくるかだな」
从 ゚∀从「ん?ドックン何か言ったか?」
('A`)「なんでもない。つーか離れろ」
从 ゚∀从「イヤ。さっきは空気読んであげたから、今はダメ」
('A`;)「離れてるのが本当の姿だろうが」
从 ゚∀从「そんなのは聞こえませーん。認めませーん。ダメダメでーす」
この部屋にいる者は、それぞれに食事と会話を楽しんでいた。
そしてこの時建物の一階にいる者は、会話を苦しんでいた。
.
-
(´・ω・`)「はい。それでは確かにいただきました。ありがとうございました」
バーボンハウス。
店内のカウンターの中に立つショボン。
そしてカウンターを挟んで立つ男が二人。
ロマネスクとヒッキーである。
( ФωФ)「予定時間より遅くなって申し訳ないのである」
(-_-)「申し訳ありません。釣果の集計が遅くなってしまって…」
( ФωФ)「それはこちらの事情。約束を守れなかったのが事実である」
(-_-)「…うん。ごめんなさい」
(´・ω・`)「昨日から何度も言っていますが、魚の提供はもう無くても」
( ФωФ)「ダメなのである!これはけじめであるから、やらせてほしい」
(´・ω・`)「………そうですか」
胸を張って自論を唱えるロマネスク。
隣のヒッキーは所在なさげにロマネスクの後ろにいた。
その姿からは、ドクオと対等に剣を交わしていた姿を想像できない。
ため息とも深呼吸ともとれるほど大きく一度息を吐いたショボン。
(´・ω・`)「わかりました。とりあえずは、昨日決めた形で納品してください。
ただし、納品で来る前には必ず僕に連絡し、ぼくが居る時に来るようにしてください。
あと、ジョルジュ…いえ、ギルドのメンバーと親交を深めるのは個人の自由ですから問題ありません。
その流れで当ギルドの経営する店を理由することも、ぼくが止めることではありません。
ただし、そこにギルド間の交流や今回の作戦の支払い等を行おうとする場合は、
厳正なる対処をさせていただきます。よろしいですね」
( ФωФ)「分かったのである」
.
-
ショボンの口調は穏やかだが鋭さを持っており、
見た目の年齢差が10以上あるロマネスクに対して攻撃とも取れる言葉を紡いだ。
対してロマネスクは全てを受け止めたうえで口を開いた。
( ФωФ)「当然のことである。吾輩達はそれだけのことをしでかしてしまったのであるから。
だが、挽回のチャンスも欲しいのである。
吾輩達のしてしまったことは、命にかかわる重大なミスである。
自分達だけならぬ、ショボン殿たちの命を危険にさらしてしまった…。
もう、こんなミスはしたくないのである。
……虫の良い考えで、思いであることは重々承知しているのである。
だが、ショボン殿たちについて学ぶことが出来れば、
二度とこんなことをしでかさない知識と心構えを身に着けることが出来るようになるような気がするのである。
吾輩もギルドのマスターとして、命を守りたいのである。
だから、挽回のチャンスを……」
ショボンを見るロマネスクの瞳は強く、まっすぐで、静かだが力強い言葉はショボンを圧倒する。
(´・ω・`)「………」
( ФωФ)「………」
(;-_-)「………」
ミセ*゚ー゚)リ「ごちそうさまでした!」
.
-
じっとお互いの顔を見る二人と、心配そうにその二人の顔を交互に見るヒッキー。
その緊迫した状態は、一人の常連客によって壊された。
(´・ω・`)「あ、はい。いつもありがとうございます」
ショボンはロマネスクの言葉の真意を測ろうと思いじっと見つめていたのだが、
それは失敗に終わった。
いや、失敗というよりロマネスクの表情にも視線にも嘘や欺瞞は感じられない以上、
本来ならば信じるしかない。
ミセ*゚ー゚)リ「新作のケーキ美味しかったですよ!
クリームが最高でした!」
(´・ω・`)「ありがとうございます。レシピを作った者が喜びます」
ほんの少しほっとした表情をしてロマネスクから視線を外したショボンは、
彼女の言葉に嬉しそうに微笑み、お辞儀をする。
ミセ*゚ー゚)リ「また来ますね!いこ!フィレフィレ!」
(‘_L’)「ミセミセ。今日も食べすぎだぞ」
ミセ*゚3゚)リ「ぶーー。たっておいしいんだぽん」
(;‘_L’)「……可愛い顔が台無しだぞ。あとちゃんと喋れてない」
ミセ*゚ー゚)リ「私はこの口にするとちゃんと喋られないのよね。
でも、それも可愛いでしょ?ねっ」
(*‘_L’)「あ、うん。…………可愛い」
腕を組み、楽しそうに店を出ていくカップル。
そんな二人にあてられて、黙って二人を見送った三人。
しかし同じようなタイミングで我に返った。
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