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( ^ω^)達はアインクラッドを生きるようです。
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どーも作者です。
新しく作らせてもらいました。
設定だけ作っておいて最初の二話で終わる予定だったこの話がこれだけ続くことになろうとは。
半分くらいは終わっている予定なので、もう少しお付き合いいただければ幸いです。
話の投下の前に、各人の見た目データと大まかな設定を載せておきます。
この話は
川原礫著
『ソードアート・オンライン』シリーズのアインクラッド編を基に書かせていただいています。
基本的に設定を順守しているつもりですが、拡大解釈とまだ書かれていない設定に関しては想像で書いているので、その旨ご容赦の上、お楽しみいただけますようお願い申し上げます。
まとめ
ブーン芸VIP様
http://boonsoldier.web.fc2.com/
大変お世話になっております。
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(*゚ー゚)「だから、何故ショボンさんは私たちをギルドに誘ってくれたのかです。
今だってそれほど戦力じゃありません。
私たちが気にせず入れるように嘘までついて」
( ゚∋゚)「ショボンが?嘘を?」
(*゚ー゚)「はい。あの時ショボンさんは
『(´・ω・`)「攻略組とは違うので、戦闘はしなくても構いません。
今ここには来ていませんが、ほとんど戦闘に参加しないギルドメンバーもいます」』
と言いました。でも実際は職業スキルを鍛えていても全員戦闘に出ていました」
( ´∀`)「ふさは、ギルドに入った頃は戦闘はしていなかったもなよ」
(*゚ー゚)「でも私たちが入った頃はされていましたよ。
私たちがショボンさんに助けてもらった時に、
このギルドには戦闘に参加しないメンバーはいませんでした」
再び熱く語るしぃ。
普段の出来るだけ自制しようとする姿勢からはあまり想像できない熱の入り方で、
その様子からも真剣に考えていることを伺えた。
(;゚∋゚)「そうか…、うん、そうだな…」
そんなしぃの勢いに押されるように口ごもるクックル。
しかしその横のモナーは優しいほほえみを浮かべた。
( ´∀`)「ショボンは、嘘はつかないもなよ」
(*゚ー゚)「?」
(,,゚Д゚)「?」
( ´∀`)「つくときは何か理由がある時もなけど、
その時はギルドのメンバーには嘘とわかるように嘘をつくもな。
誘った時、二人は登録されたメンバーじゃなかったけど、
ショボンの中では既にメンバー扱いだったと思うもな。
だから、ショボンは嘘はついていないもな」
(*゚ー゚)「?ど、どういうことですか?」
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( ´∀`)「ショボンが考える『ギルド』と、しぃやギコが今考えている『ギルド』は、違うもなよ」
(*゚ー゚)!
(,,゚Д゚)!
(;゚∋゚)「お、おいモナー」
(*゚ー゚)「そ、それはどういう」
( ´∀`)「そこから先はモナーの口からは言えないもな。
でも、今しぃが言っていた不安や苦しみをちゃんとショボンにぶつければ、
ショボンはちゃんと答えてくれるはずもなよ」
(*゚ー゚)「……答えを教えてもらう……。それで、良いんでしょうか」
( ´∀`)「それは自分で考えるもなよ」
(*゚ー゚)「…はい」
( ´∀`)「でも、これは分かってほしいもな」
(*゚ー゚)「ギコ君も私も、このギルドのメンバーで、
このギルドが大好きで、みんなが大好きで、守っていきたいです。
そしてそれは、ショボンさんはもちろん、モナーさんもクックルさんも、他の皆さんも同じ……。
ですよね?」
( ´∀`)「そうもな、そうもな。それを分かっているなら何も問題ないもな」
(*゚ー゚)「はい!」
(,,゚Д゚)???
(*゚ー゚)「ほら、ギコ君も。帰ったらちゃんと説明するから!」
(,,゚Д゚)「お、おう!とにかく頑張るぞゴルァ!
おれんもしぃはもちろん、みんなが大好きだゴラァ!」
(*゚ー゚)「うん!頑張ろう!」
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立ち上がり、大きく伸びをするしぃ。
それにつられてギコも立ち上がり、両手を天に突くように身体をのばす。
そのまま出発の準備を始めたギコとしぃを見ながら、クックルがモナーに耳打ちした。
( ゚∋゚)「おいモナー。大丈夫なのか?いろいろ言ってしまって」
( ´∀`)「大丈夫もなよ。クックル。
ショボンに口止めはされていないもなし、ショボンがしぃに言ったことが間違ってないのなら、
最初から隠すつもりはないもなよ。きっと。それに……」
( ゚∋゚)「それに?」
( ´∀`)「そろそろ今の状態も変わっていく気がするもな」
( ゚∋゚)「?」
いつもと同じ柔和な笑顔を浮かべながらクックルに返すモナー。
クックルはその答えにほんの少しだけ違和感を感じたが、
打ち消す様に表情を引き締めた。
( ゚∋゚)「!そういえばモナー。
ショボンから来た連絡はなんだったんだ?
動揺していたようだが」
( ´∀`)「…クックルにはばれちゃってたもなね。
大丈夫もな。ちょっと気になったことがあったけど、ショボン達なら大丈夫もな」
( ゚∋゚)「それなら良いが」
( ´∀`)「……今日の夜、またみんなで話すもなよ」
( ゚∋゚)「ああ、分かった」
(,,゚Д゚)「二人とも!こっちは準備できたぞゴルァ!」
(*゚ー゚)「次はどこに行きますか?」
今にも飛び出しそうな勢いの二人にこれからの予定を話しつつ、クックルとモナーも準備を始めた。
.
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−教育班−
フィールドエリアの戦闘訓練を終えた後、五人は主街区外れの芝生の上で円になって座っていた。
緑色の柔らかい芝が広がっているのだが、念のため下には大き目のシートが拡げられている。
すぐそばは大きな樹があり日陰を作り、彼らを挟んで反対側には外に向かう小道があった。
時間的には外に出ていく者も街に戻ってくる者もいるが、
層自体がそれほど人気のある層ではないため人通りは少ない。
川 ゚ -゚)「反省はこれ位かな」
( ><)「…はい、ありがとうございましたなんです」
(*‘ω‘ *)「…以後気を付けるっぽ…」
( <●><●>)「私たちがまだまだなのはわかってます」
_
( ゚∀゚)「おいおいおまえら、大丈夫か?この後も訓練するんだろ」
クーから突きつけられた注意点にあからさまに気落ちする三人。
しかしその後のクーの言葉で空気が一変する。
川 ゚ -゚)「さて、お待ちかねのランチタイムだ」
( ><)「やったです!」
(*‘ω‘ *)「ビロードはお子様っぽね」
( <●><●>)「お昼くらいで」
( ><)「!二人ともずるいです!」
身体全体で喜びをあらわしたビロードを見て、冷たくあしらう二人。
けれど先ほどまでの意気消沈ぶりから比べると、二人もテンションが上がったのは明らかだ。
( ><)「バーボンハウスの食事が外で食べられるって、昨日楽しそう話してたんです!」
(*‘ω‘ *)「何のことっぽ?」
( <●><●>)「そんな夢を見たのはわかってます」
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( ><)!!!!!
_
( ゚∀゚)「おもしろいな、おまえら」
三人の漫才…というかビロードがからかわれているのを見て思わず言ってしまうジョルジュ。
それを聞いて三者三様の視線でジョルジュを見るが、クーが目の前に紙の袋を置いてくれたので、
一気に意識はそちらに向かった。
川 ゚ -゚)「とりあえずそれをひと袋ずつ。サンドイッチだ。で、これが…」
五人の中央に置かれる大き目の三段重ねの重箱。
もちろん漆塗りではないはずだが、木目の箱に深い味わいの色と光沢を放つその箱は、
日本の伝統工芸を思い起こさせた。
川 ゚ -゚)「本当は段ごとに何を入れるのか決まっているんだがな、今回は気にせずに詰めたそうだ」
クーの説明を聞きながらよだれを飲み込む四人。
クーはそれをまったく気にせずに、重箱を持ち上げた。
四人の目の前に広がる華やかな惣菜。
青野菜のサラダ。その中には赤いトマトの様な野菜が彩りを添える。
その横には茶色いからあげの様な肉料理。
別の場所には焼いた肉と白い野菜、そして緑色のキノコを串で刺して焼いてある物もある。
もちろん魚料理もあり、素揚げした小さな魚を細切りの色とりどりの野菜と共にタレに絡めた料理などが分かる。
( ><)「美味しそうなんです!」
_
( ゚∀゚)「ショボン、気合入ってるな」
先程よりも更に分かりやすく喜びをあらわすビロード。
ぽっぽとワカッテマスは先に興味ないふりをしてしまった手前あまり気にしていないふりをしているが、
思わず呟いたジョルジュの言葉を聞き、ビロードと共に目をキラキラとさせた。
川 ゚ -゚)「こちらの段にはおにぎりも入っているが、さすがに多かった」
( ><)「食べます!」
(*‘ω‘ *)「食べるっぽ!」
( <●><●>)「食べられるのはわかってます!」
川 ゚ -゚)「…ら、別に包んで持って帰ってくれると嬉しいと言われていたんだが、大丈夫のようだな」
_
( ゚∀゚)「こんだけ喜んでもらえるならショボンも本望だろ」
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ちょっと引き気味に三人を見るクーとジョルジュをキラキラとした目で見る三人」
川;゚ -゚)「それじゃあ食べようか」
( ><)「いただきます!」
(*‘ω‘ *)「いただきます!」
( <●><●>)「いただきます!」
ちゃんと両手を合わせて軽くお辞儀をした後、
それぞれに紙袋を開いたり重箱に箸をつける三人。
( ><)「サンドイッチも美味しそうなんです!」
(*‘ω‘ *)「このお肉!すごくジューシーだっぽ!味加減もほんのり塩味で最高だっぽ!」
( <●><●>)「この小魚の和え物はマリネに似ていますね。
ほんのり柑橘系の果実の様な香りと酸味が合わさって食が進むのはわかってます」
川 ゚ -゚)「のど詰まらせるなよ」
大き目のカップに飲み物を注いで三人の前に置くクー。
それぞれに「ありがとうございます」と言いつつも箸と口を動かすのを辞めない三人を見て、
クーもジョルジュも楽しそうな笑顔を見せた。
川 ゚ -゚)「デザートもあるからな、余裕を残しておけよ」
( ><)「はいなんです!」
(*‘ω‘ *)「わかったっぽ!」
( <●><●>)「それも完食するのはわかってます!」
川 ゚ -゚)「ほら、ジョルジュもちゃんと食べろよ」
三人の声を聴きつつジョルジュの前にカップを置くクー。
_
( ゚∀゚)「クーは食べないのか?」
川 ゚ -゚)「私は…」
立ち上がり、小道を挟んだ反対側にある木を睨むクー。
川 ゚ -゚)「客が来たんでな。彼らを頼む」
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( ゚∀゚)?
表情を引き締め、木を睨みながら一直線に歩き始めるクー。
川 ゚ -゚)「デザートは共通タブに入れておいた。
それまでには戻るつもりだが、戻らなかったら先に食べていてくれ」
_
( ゚∀゚)「あ、ああ」
顔を見ないで呟いたクーの言葉は食事に夢中になっている三人にも聞こえ、
思わず口を止めて歩いているクーを見た。
その緊迫した雰囲気に、クーの背中をただ見つめる三人。
彼女の向う木の幹に、うっすらと人影が浮かんだのはそのすぐ後だった。
_
( ゚∀゚)「…鼠のアルゴ」
短めの金褐色の巻き毛を持った、頬に髭の様な三本の線をペイントしている女性プレイヤー。
情報屋のアルゴである。
ジョルジュが呟いた『鼠のアルゴ』とは通り名であり、それは頬のペイントに由来した。
(アルゴ)「よ。久しぶりだナ。クー」
川 ゚ -゚)「何の用だ?」
(アルゴ)「ん?ご機嫌斜めカナ?」
川 ゚ -゚)「仕事中なんでね。…私のところに来るなんて、珍しいな」
(アルゴ)「VIPの誰かを探していたんだヨ。…会えたのが君でよかった」
川 ゚ -゚)「?どういうことだ?」
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-
(アルゴ)「ショボンは作戦中かな」
川 ゚ -゚)「ああ。私達とは一緒ではないが」
(アルゴ)「もしかして、もう57層に行っているのか!?」
川 ゚ -゚)「……ギルドの作戦内容をそうやすやすと喋るわけにはいかないが…」
いつも飄々としていてつかみどころ無いイメージであるアルゴが慌てているようにも見え、
違和感を感じつつもギルドとしての常識を伝えるクー。
(アルゴ)「そんなことを言っている場合じゃないかもしれないゾ」
川 ゚ -゚)「どういう事だ」
何かしらの危機を感じさせるアルゴの表情に、更に警戒するクー。
『この女は情報を手に入れる為なら演技をすることぐらい当たり前だ』
といった思いが頭をよぎり、心の警戒を更に深め、アルゴの動きを観察した。
(アルゴ)「まあでもこれはアフターフォローみたいなもんか。
……ショボンはお得意様だしナ」
川 ゚ -゚)?
アルゴが右手を振ってウインドウを操作すると、クーの目の前にもウインドウが浮かぶ。
川 ゚ -゚)「57層の地図?」
(アルゴ)「広げてみナ」
促され、警戒しつつも広げると、今まさにショボン達が進んでいるであろう場所を含む地図が現れた。
川 ゚ -゚)「これは」
(アルゴ)「ここ数日、ショボンからこの付近のモンスターや宝箱、
採取ポイント等の情報を求められてかなりの量を売った。
で、さっきになってこの情報が入ってきたんダヨ」
ショボン達の目的地である湖のそば、上から見ると90度近い角度で曲がる道のエリアと、
その次の小さな広場のような場所が赤く染められている。
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川 ゚ -゚)「この色の違う場所がどうかしたのか?」
(アルゴ)「どうも、トラップがあるらしいネ」
川 ゚ -゚)「トラップ?」
クーは警戒を忘れたようにアルゴの話を真剣に聞き始めた。
それを感じたのか、逆にアルゴの方は余裕を持ち始めている。
(アルゴ)「まだ確定情報じゃないから本来なら売らないけどさ、
お得意さんにいなくなられるのは辛いからサービスでメッセージ送ったんだけど、
どうもショボンに繋がらないんだヨ。あと、ドクオもネ」
川 ゚ -゚)「そのトラップはどんなものなんだ?」
クーもウインドウを操作し始める。
ショボン宛にメッセージを送るが、届いた形跡がない。
(アルゴ)「クリスタル使用不可領域の形成。モンスターの大量ポップ。
迷宮の中でなら今までもあったトラップだけど、ここにきてフィールドエリアにも…」
川 ゚ -゚)!!
(アルゴ)「その中では外部との連絡は取れない。もしかしたら……」
川 )「……そんな……」
(アルゴ)「もう、行っているんだネ」
表情をなくしたクーを見て、すべてを理解するアルゴ。
川 ゚ -゚)「協力を、感謝する。情報料は」
しかしクーはすぐに表情を引き締め、唇と共に心をきつく律した。
心の中で感嘆の声を上げるアルゴ。
(アルゴ)「これはまだ売れるネタじゃないんでネ。
さっきも言ったけど、アフターサービスでいいサ」
川 ゚ -゚)「分かった。何か分かったら、こちらからも連絡する」
(アルゴ)「……ああ。期待しているよ」
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片手を上げて数回手を握るようなしぐさを見せて会話を終わらせるアルゴ。
しかしその場を動こうとはしない。
川 ゚ -゚)「?どうした?」
(アルゴ)「いや、やはりただってのは不味いな…。
よければ情報料の代わりに一つ、教えてくれないかナ?」
先程とはまた種類の違う真剣な表情を見せるアルゴ。
その顔はクーにとっては初めて見る顔で、
警戒しつつも得体のしれない情報屋の素の一面を見たような気がしていた。
川 ゚ -゚)「なんだ?」
(アルゴ)「ショボンは、何を企んでいる?」
川 ゚ -゚)「は?」
思わずすっとんきょな声を上げてしまう。
(アルゴ)「……サブマスターにも話していないのか」
その反応から、自分の求める答えをクーは知っていないとアルゴは判断したようだ。
川 ゚ -゚)「確かに腹黒だが、ギルド外にまで影響があるようなことはしていないと思うぞ」
クーはそれに気付いていないのか、呆れたように返答する。
(アルゴ)「いや、いい、すまないネ。変なことを聞いて。忘れてくれ」
川 ゚ -゚)「ああ」
再び片手を上げてから踵を返すアルゴ。
しかし三歩程進んでから立ち止まった。
(アルゴ)「……ギルマスが一人でどこかに行くのと、道具屋の動向は注意したほうが良い」
川 ゚ -゚)「は?道具屋って、ブーンの事か?」
(アルゴ)「じゃあナ」
答えずに走り去るアルゴ。
クーはその背中を見送った後一瞬だけ笑い、すぐに表情を引き締め、
彼女と同じように踵を返した後、ゆっくりと仲間のもとに戻った
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( ゚∀゚)「おい、クー」
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川 ゚ -゚)「ショボン達と連絡が取れない」
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( ゚∀゚)「!?」
川 ゚ -゚)「おそらくはトラップに引っかかったと思われる。
内容はクリスタル使用不可領域の展開とモンスターの多量ポップ。
アルゴはショボン達の進むルートにそのトラップがある可能性を教えに来てくれた」
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( ゚∀゚)「…どうする」
ジョルジュに対し、簡潔に状況を伝えたクー。
ジョルジュは一瞬言葉をなくしたがすぐに状況を理解し、
ギルマス不在時のギルドの決定権を持つサブマスターに次の行動の許可を求めた。
『どうする』
彼の言ったその言葉は、すぐにショボンのもとに向かってくれという言葉を期待して出た言葉だった。
そしてクーはその期待を裏切る。
川 ゚ -゚)「『どうする』?私達の今日の仕事は彼らを鍛えることだ。
午後からの予定は40層のフィールドダンジョンでの練習だ」
_
( ゚∀゚)「な!」
想像していなかった言葉に思わず言葉をなくすジョルジュ。
しかしすぐに我に返り、勢いよくクーに詰め寄った。
_
(#゚∀゚)「クー!おまえ本気で言っているのか!?」
川 ゚ -゚)「私達に与えられた仕事は、ショボン達のサポートじゃない。
ここにいる三人に、私達の戦闘を教えて更に強くなってもらうことだ」
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(#゚∀゚)「ショボン達が死んでも良いって」
川#゚ -゚)「ショボン達が死ぬわけないだろうが!!!!」
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(;゚∀゚)!
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クーの剣幕に身をすくませるジョルジュ。
どちらかと言えば沈着冷静。
一緒にバカ騒ぎはしてもどこか落ち着いていて100%の感情というよりは
選んだ感情を外に見せているような雰囲気を持つ仲間の初めて見る姿に、
ジョルジュは驚きと共にその強さを再確認した。
そして落ち着いた彼の視界の隅に映る、震える手。
それが自分に対する怒りからくる震えではないことぐらいは、ジョルジュにも分かった。
川#゚ -゚)「おまえはショボン達が死ぬとでもいうのか!!!」
_
( ゚∀゚)「…すまん」
素直に頭を下げるジョルジュ。
納得はしていない。
今すぐにでも仲間のもとに駆け付けたい。
けれど自分よりも仲間の事を『知っている』仲間が止める以上、動くことは出来ない。
_
( ゚∀゚)「……」
それが如実に顔に出ていたのであろう。
クーが口を開いた。
川 ゚ -゚)「…ショボンは保険はかけておくと言っていた。
それならば、これくらいのトラップはもちろん、
考えられるうちの最悪の事態の斜め上のことが起きても対処できる保険のはずだ。
あいつは、そういう男だからな。
おまえも、あいつのそういうところを見てきただろ?
そしてその『保険』の中に『私達が駆けつける』ことは入っていない。
さらいに言うならこの『私達』にはモナーやクックル達も含まれる。
例えおまえやギコが駆けつけようとしても、
私やモナー、クックルが止めることも計算しているはずだ。
逆に私達が行ってしまうことであいつの計算が狂う可能性もある」
_
( ゚∀゚)「そう…だな。ショボンなら、それくらいの計算はしていそうだ」
川 ゚ -゚)「だから私達は、信じて待つしかないんだ……」
お互いの顔を見ながら沈黙してしまう二人。
そしてそんな二人を見ていた三人が、おずおずと声をかけた。
.
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( <●><●>)「あ、あの…」
川 ゚ -゚)「おお、すまん。ちょっとこちらの話だ。
どれ、デザートも食べ終わったようだな。
それでは出発するか」
(*‘ω‘ *)「今日の訓練はこれで終わりでもいいっぽよ」
( ><)「充分訓練したんです!」
川 ゚ -゚)「それは出来ない相談だ」
( <●><●>)「本当は今すぐ行きたいのはわかってます」
川 ゚ -゚)「そりゃそうだ。仲間の危機かもしれないからな。
だが、私達はその大事な仲間に君たちの訓練を任された。
だから、まずはそれを実行する」
(*‘ω‘ *)「でもっぽ」
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( ゚∀゚)「大丈夫だ。あいつらは多少の事で倒される奴らじゃねえから」
( ><)「し、心配じゃ…」
川 ゚ -゚)「もちろん」
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( ゚∀゚)「心配だ」
( <●><●>)「な、なら」
川 ゚ -゚)「だが、それ以上にあいつらを信じているということだ」
(*‘ω‘ *)「信じてるっぽ…?」
川 ゚ -゚)「ああ、もちろん根拠のない信頼じゃない。
今までの経験、彼らの強さ、その知恵を知っているからこそだ」
( ><)「…知っているからこその信頼……」
_
( ゚∀゚)「心配だし、本当ならすぐにでも駆けつけたいぜ。
でも、俺らがいなくってもあいつらなら、切り抜けられると信じることが出来るってことだ」
クーとジョルジュを見る三人。
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先程の二人の話を聞いていて、彼らの仲間に危機が迫っていることは分かった。
どんな危機なのかは想像でしかないが、おそらくは命の危険にかかわること。
けれど、目の前の二人は助けに行かないばかりか笑顔すら見せている。
けれど、クーの右手は震えており、それを隠す様に左手で抑えている。
先程までは無かった眉間のしわが、ジョルジュの顔に浮かんでいる。
自分ならば、すぐにでも駆け出す。
横にいる自分の友も、おそらくはそうする。
けれど、目の前にいる自分達とはレベルの違う強さと経験をもった者達は、ここにとどまっている。
それが自分たちにはない強さだとするのなら、そんなものはいらないと思った。
同時に、その強さがなんなのか知りたいと思った。
( <●><●>)「……強がりなのはワカッテマス」
(*‘ω‘ *)「でも、きっとそれが私たちに欠けているものっぽ」
( ><)「わからないんです。でも、わかりたいんです」
( <●><●>)「だから、早く次の訓練にいきましょう」
川 ゚ -゚)「そうだな」
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( ゚∀゚)「おし!行くぜ!!」
ジョルジュの掛け声ののち、素早く準備を整え始める五人。
そして数分後には、次の目的地、40層の主街区転移門広場に移動していた。
.
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-護衛班-
戦闘を終わらせた九人はその場でまずヒットポイントを回復させた。
次のエリアや前のエリアに移動することも考えたが、
エリア移動による新たなモンスターとの戦闘は避けたかったためである。
もちろん自分達の戦闘終了後移動しながら回復薬を飲んでいたVIPの六人は完全回復していたが、
ロマネスク達三人は戦闘後にすぐ飲み始めなかったため、
六人が周囲を警戒する中じっと回復するのを待っていた。
(・∀ ・)「このポーションも、飲んだらすぐ回復すればいいっすよね」
( ФωФ)「そうであるな。飲みながらじわじわ回復するのを待つのはいらいらするのである」
ξ゚⊿゚)ξ「クリスタル使ったら良いじゃない」
(-_-)「……それはちょっと……」
( ^ω^)「クリスタルは高価だからなかなか使えないおね」
( ФωФ)「そうであるな」
( ´_ゝ`)「だが、命には代えられないだろ」
( ФωФ)「どうしてもの時用に一応買って持っているであるが、
幸いなことにそれを使わなければいけないような状態になったことはないのである」
(´<_` )「本当に使わなければいけない時に躊躇しなければいいが」
(・∀ ・)「やっぱ思い切りが必要っすよね」
( ^ω^)「だおだお」
( ФωФ)「だがしかし、物が手に入らないことには…」
( ^ω^)「物自体は定期的に入荷してるから、頑張ってお金を稼ぐと良いお」
ξ゚⊿゚)ξ「そうね。強いんだし、ギルドマスターならギルドのために釣り以外の事もしないとね」
( ФωФ)「…………」
(-_-)「ロマ、固まっちゃった」
ほのぼのとした笑いがいつしか湧き上がり、笑顔が浮かぶ。
そんな和気藹々とした雰囲気の中、三人のヒットポイントも全回復した。
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(´・ω・`)「さて、それでは出発しましょうか。
再ポップまでまだまだ余裕はある計算ですが、
先程のモンスターの数の様にイレギュラーなことが起きないとも限らないですしね」
ショボンの言葉に、それぞれに声を出して答える八人。
ヒットポイントが完全回復した時点で出発の準備は終わったため、隊列を整えながら歩き始めた。
そしてそれは、中央の大きなカーブを通り過ぎたところで起きた。
(・∀ ・)「宝箱発見!」
(´・ω・`)「え!?」
いきなり走り出したマタンキ。
隊列を外れ、カーブの内側の森の中に突っ込んでいった。
(´・ω・`)「マタンキさん!」
(・∀ ・)「宝箱は空けたもん勝ちって言ってたっすよね!」
(´・ω・`)「ダメです!このエリアに宝箱の情報は!!」
駆け出そうとしたショボンと既にマタンキのすぐ後ろに駆け寄ったブーン。
しかしマタンキは宝箱を開けていた。
(・∀ ・)「とりゃ!」
開けた瞬間、鳴り響く警報音。
赤く染まる空。
【CAUTION】
血の様な深い赤と闇の様に暗い黒に彩られた文字が空と周辺を飛ぶ。
それは時として今自分のいる世界がデジタルの世界だと忘れてしまうほど精巧に出来ている中で、
作り物の世界にいるということを瞬時に実感させ、そして恐怖が心を襲う。
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周囲の森からポップする緑色のゴブリン。
一メートル少しの体躯に緑色の肌。
頭や額には角を持ち、手にはこん棒や剣を構えている。
空には巨大蜂。
先程まで戦っていた蜂よりは小さいが、その羽音は耳障りで、警報音と共に心をざわめかせる。
森の奥からは体長二メートルを超えたゴーレム。
横幅もその身体を支えるにふさわしい大きさで、緑色のゴーレムはこん棒を、
茶色いゴーレムは体長より長い棍を、青いゴーレムは剣を持っていた。
鳴り響く警報に反応するかのようにポップし続けるモンスター達。
その中心にあるのは宝箱であり、
開けたマタンキはまるで呆けたように周囲を見つつ動かずにいる。
その影に気付いたのは三人。
警報が鳴った瞬間にエリアの出口付近から走り始めた黒い影。
その影が進みたい道を瞬時に判断し、まず動いたのがその三人だった。
( ・∀・)「とりゃ!!」
モララーの爪がゴブリンを切り裂き、数度の攻撃でポリゴンに変える。
( ´_ゝ`)「ふん!!」
兄者の鎚は数体のゴーレムを後退させる。
更に放たれた剣技による衝撃波はゴブリン達を巻き込んで吹き飛ばし、道を作った。
(´・ω・`)「解除を頼むドクオ!ブーン!出口の確認を!」
唯一その影の正体を正確に理解していたショボンの投げたナイフと針は蜂の動きを止める。
一撃で倒すほどの力はないものの、麻痺属性のナイフと毒属性の針の二重攻撃により、
ヒットポイントを減らしつつ動きを封じていった。
そうしてできた道を通り抜けた黒い影。
そして逆方向に青い風が吹き抜けた。
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黒い影はショボンが呼んだその名を持つギルドVIP一のソロプレイヤー属性を持つ男。
ドクオが宝箱のそばに駆け寄った。
('A`)「罠レベルが高い。…おれでもぎりぎりか」
マタンキを押しのけて宝箱の正面に立ち、ウインドウを出して操作すると警報が鳴り止む。
('A`)「解除完了!全部倒すぞ!」
地面に座り込んでいたマタンキの首根っこを掴んだドクオが仲間のもとに走り出す。
自分より体の大きい男を半分引きずる様に連れて移動したドクオ。
その頃には既に陣形を整えており、ロマネスク達三人を中心に置いて、
周囲から押し寄せるモンスターに対抗していた。
ξ゚⊿゚)ξ「一匹一匹がそれほど強くはないのが救いね」
( ・∀・)「油断は禁物だぞ、おい」
ξ゚⊿゚)ξ「あんたに言われなくても分かってるわよ」
( ^ω^)「ダメだったお。やっぱり出られない」
出口を偵察してきたブーンが戻ってきた。
ドクオがトラップを解除したことにより警報は鳴り止んだものの空は赤いままであり、
どうやらこのエリアは周囲から隔離されてしまったようである。
(´・ω・`)「トラップの発動による空間の閉鎖。
おそらくポップした敵を全部倒すか、僕達が全員死なない限り解除はされない」
('A`)「さらっと不吉なことを言うよな」
(´・ω・`)「現実は現実として認識しておかないとね」
(´<_` )「相変わらず冷静だなおい」
( ´_ゝ`)「おれ達も人の事は言えないだろ」
( ´_ゝ`)「おれ達は流石だからな!」(´<_` )
.
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軽口を叩きながらも敵を倒していく七人。
(´・ω・`)「とりあえず出口側に向かおう」
ショボンの一声で、ロマネスク達三人を守って戦っていた七人が隊形を変える。
出口に向かって先頭にブーンとツン。
進むべき道の正面にいる敵に攻撃を加える。
ブーンの機動性を生かしてはいないが、
二人のコンビネーションによる隙のない連続戦闘は確実に敵を倒しポリゴンに変えていく。
その後ろにドクオとモララー。
前の二人の視界から外れた敵を外側に排除し、
斜め前を含めた横からの攻撃を流し反撃しつつ前に進む。
倒しつつも深追いはせず、こじ開けられた道を広げることに意識を向け、
まずは移動することを優先していた。
その後ろに守るべき三人を連れ、しんがりを務めるのは兄者と弟者。
この二人の役割は倒すことではなく、近寄らせないこと。
広範囲の強い攻撃を放つことで敵を寄せ付けず、
更に互いの攻撃を的確に繋げることにより空白の時間をなくした。
コンビネーションということで言えば先頭の二人に劣らないのだが、
今回は敵の種類と仲間の特性を考えて一番後ろにいる。
そしてショボンは全方位に目を配っている。
全員の視界の死角。
放った攻撃の間隙。
その空白を狙ったモンスターの攻撃、いや動きに牽制の針を飛ばしている。
その攻撃は敵の攻撃を瞬間止めるだけだが、今仲間を守るにはそれで充分であった。
動きを止めたモンスターを追撃し、倒し、止め、
退けるのはそのモンスターの一番そばにいる仲間の役目なのだから。
全員が持てる力を存分に使い、出口の位置まで移動をした。
(´・ω・`)「よし!殲滅しよう!」
移動を終わらせ、ツン、ブーン、モララー、ドクオが振り向いた瞬間に飛ぶショボンの指示。
.
-
走り出すブーンとツン。
ドクオが続き、モララーがショボンに駆け寄る。
( ´_ゝ`)「景気づけの!」
(´<_` )「一発!」
放たれる二つの大技。
兄者の鎚は上下の衝撃。
ジャンプして放たれたそれはゴーレムの脳天を叩きながら大地を叩きつける。
その衝撃波は、下から上に向かう波動となって放射線状に広がって敵の動きを止めた。
弟者の持つ斧の攻撃は右から左。
横に並んだ二匹のゴーレムを切り裂き、そのまま後方にも斬撃が飛んだ。
そしてそのまま左から右への一撃。
少しだけ斜めに、空に向かって放たれた斬撃は二匹のゴーレムをポリゴンに変え、
後ろにいたゴブリンと蜂を後方にノックバックさせる。
兄弟の作った敵のいない空間に躍り出るブーン達三人。
二人の攻撃で動きを止めヒットポイントも減らした敵を追撃するブーンの剣。
風のように縦横無尽に敵陣の中を舞い、切り裂き、ポリゴンに変えていく。
ツンの動きは閃。
細剣を構え、隙を見逃さずに鋭い攻撃を与える。
正確性を上げた武器と己の能力値は、敵のヒットポイントを確実に減らした。
そしてドクオの動きは陰。
敵の死角と懐に忍び込み、武器を振るう。
必ず二回以上剣を振り、ソードスキルを使わずとも敵のヒットポイントを大きく削る。
そしてツンとドクオの攻撃によりヒットポイントを減らした敵は、ブーンという名の風の攻撃により、
ポリゴンへと変わっていった。
大技を放って三人の動くスペースを作った流石兄弟も、その後ろから敵を倒している。
特にゴーレムは動きは緩慢だが攻撃能力が高く、ヒットポイントもゴブリンや蜂よりは多い。
そのため三人の攻撃を潜り抜けてやってくる敵も多い。
というよりは、そこに二人がいることを分かっている三人が、あえて流していた。
.
-
(´<_` )「信頼してくれるのは嬉しいがな」
( ´_ゝ`)「もっとそっちで倒していいぞ」
ξ゚⊿゚)ξ「遠慮しなくていいわよ!」
('A`)「働け」
( ^ω^)「おっおっ。そいつらは頼んだお!」
ここにきて無駄口をきく余裕も出てきたのか、会話も増えていた。
( ・∀・)「まったくこいつらは」
モララーは自分の背中側にいるロマネスク達三人に意識を向けつつも、
五人の攻撃を潜り抜けてやってくる蜂とゴブリンを退治していた。
その動きは無駄が無く、敵の動きに合わせて身体を動かし、
躱しながら反撃し、交わしつつ抑え、敵を倒していった。
ショボンは武器を持ち替え、円盤型の武器を縦横無尽に飛ばしている。
周囲の敵は仲間に任せ、道の広さと位置取りの関係で近寄れないでいる敵に攻撃をしていた。
それはすぐには結果の見えない行動だったが、徐々に効果を見せ始めた。
( ^ω^)「おっおっ。最初からヒットポイントが減ってるから楽だお」
ξ゚⊿゚)ξ「ゴーレム以外はこっちにも回しなさいよ」
(´<_` )「いや、だからゴーレムもそっちで片付けてくれよ」
戦闘が長時間にも及ぶと、どうしても集中力が切れてミスが生まれる。
十回攻撃を当てれば倒せる敵に対して二回ミスをすれば、
その分相手に攻撃をするタイミングを与えてしまい、それだけ自分や仲間が死ぬ確率が高くなる。
ならば、十回で倒せる敵を九回で倒せるようにしてしまえばよい。
更に八回、七回にしてしまえばよい。
それを可能にしたのがショボンの攻撃であり、
前線で戦うメンバーはそれを分かっているからできる戦い方を行っていた。
.
-
敵のヒットポイント総量と現在のバーのカラーと幅から現時点でのヒットポイント量を推測し、
自分の攻撃によって削ることの出来る量を考えながら戦う。
敵との一対一での戦闘では誰もが行うことだが、その精度には個人によって雲泥の差がある。
更に周囲の敵と仲間の位置も確認して技を放つ。
集団戦、特にこういった乱戦状態では難しいことなのだが、
VIPの面子はそれを一見、事も無げに行っていた。
罠が発動してから今まで守られることしかできなかったロマネスク達三人も我を取り戻し、
武器を構えなんとか戦おうとするが彼らの戦い方を目の当たりにして二の足を踏んでいる。
(´・ω・`)「我々で何とかしますので後ろにいてください。
万が一そちらに流れた場合は声を駆けますのでよろしくお願いします」
ショボンの指示は口調は穏やかだが有無を言わさない力強さがあり、
三人はただ見守ることだけしかできなかった。
(´・ω・`)「右前前方のゴーレムの後ろに蜂二匹!」
六人が先頭に関係ない『会話』をしているのに対し、
ショボンは戦闘に関わる『指示』のみを口にする。
一体の強敵と相対した時やある程度統制のとれた敵集団を撃破する時の指示とは違うが、
それは要所要所で注意点や方向性の指示を出していた。
それはまるでショボンという司令塔のもとに他のメンバーが動くだけの様にさえ見える。
( ・∀・)「(……なるほどね)」
('A`)「(ハァ…マッタクアイツハ)」
普段と同じであり普段と全く違うその指示に、とりあえず前の敵を倒すことに集中するメンバー。
その戦いは30分を超えようとしているが、まだ終わりは見えていなかった。
.
-
-調査班-
モナーにメッセージが届いたとき、彼らはフィールドダンジョンの最深部で採取をしていた。
( ゚∋゚)「ショボンから渡されたデータよりも、収穫数が少ないな」
(*゚ー゚)「そうですね。代わりに載っていないアイテムが取れたりしてますけど」
(,,゚Д゚)「これ、おれのレベルじゃ判別できないから頼むぞゴルァ」
小ボスレベルの敵を危なげなく粉砕した後の広場。
円形に広がる芝生の周囲、大きな樹の根元にうすぼんやりと光る場所があり、
探索をするとアイテムがポップした。
( ゚∋゚)「敵の強さは変更が無かったが、獲得アイテムには変更があるな」
( ´∀`)「敵の強さも上がってたもなよ」
後ろから屈むように覗き込んできたモナーが声をかける。
足元ではビーグルがマントの裾と戯れていた。
(,,゚Д゚)「そうなのか!」
( ´∀`)「今確認したもなけど、リストに載ってる倒した敵の最大レベルが上がってたもな。
といっても1レベルもなけど、情報屋さんのリストに載っているレベルよりも大きいもなからね」
( ゚∋゚)「そうだったか」
(*゚ー゚)「でも、それほど強敵ではなかったですよね」
( ´∀`)「みんなが強くなったからそう感じただけもなよ」
(,,゚Д゚)「まだまだだぞゴルァ」
( ´∀`)「油断しないことは良いこともなけど、自分の今の強さを過不足なく判断するのも大事もなよ。
自分でするのが難しいなら、周りの意見を聞くのが大事もな」
(,,゚Д゚)「そうか。じゃあしぃ、おれの強さを教えてくれ」
.
-
(*゚ー゚)「…………ダメ出しになっちゃうから帰ってからね」
(,,゚Д゚)「…………お手柔らかに頼むぞゴルァ」
張り詰めた中にも穏やかな空気を纏って採取を続ける二人。
モナーは周囲の警戒に戻り、クックルがその横に立った。
( ゚∋゚)「モナー。このあとなんだが……」
( ´∀`)「今日はこれくらいで一度ホームに戻るのを提案するもな」
( ゚∋゚)「?まだ午後も早いし、このレベルならもう一つくらいクエストを」
( ´∀`)「今さっきクーからメッセージが届いたもな。
ショボン達がクリスタル無効及びモンスターポップの罠にかかったと思われるもな」
( ゚∋゚)「なんだと!」
あくまでも穏やかなモナー。
しかしその内容に思わず声を荒げたクックル。
しぃとギコも採取を終了していたため後ろに立っており、その会話を聞いていた。
(*゚ー゚)「も、モナーさん」
(,,゚Д゚)「どういう事だゴルァ!」
( ´∀`)「どうもこうもそのままもなよ。
さっき情報屋のアルゴさんからクーに連絡が入ったそうもな。
それによればショボン達が進んでいる予定のルートに詳細不明のトラップがある可能性があるらしいもな。
クーがショボンにメッセージを送ったけど届いた形跡もなく、
位置情報もロスとしているそうもな。
モナも確認してみたもなけど、同じく位置を確認できなかったもな」
(,,゚Д゚)「す、すぐに」
( ゚∋゚)「ああ。ホームへ戻ろう」
(*゚ー゚)「え?行かないんですか」
.
-
( ´∀`)「今モナ達が行っても、何の役にも立たないもなよ。
罠が発動したと思われる場所にたどり着くときにはすべてが終わってるもな。
もしくは、モナ達も罠にかかって……。終わりかもしれないもなね」
表情を強張らせたギコとしぃ。
しぃの顔色は青ざめている。
対してモナーとクックルは落ち着いており、クックルはさすがにいつもよりも厳しい表情をしているが、
モナーはあくまでも穏やかだった。
しかしその言葉は辛辣であり、ギコとしぃに自分の無力さを確認させたものだった。
(*゚ー゚)「で、でも…」
( ゚∋゚)「いつでも動けるようにホームで待機するのが一番だ。
ギコ、ブーンの店の手伝いをした時に道具屋の倉庫のマスター設定を貰っているだろ?」
(,,゚Д゚)「!あ、ああ。貰ってるぞゴルァ」
( ゚∋゚)「しぃ、ツンとショボンの」
(*゚ー゚)「はい!貰ってます!お店の食材庫と衣服の倉庫ですよね。
ふささんのお店の方も大丈夫です。
あと、兄者さんと弟者さんに武器・防具庫のマスターも。ギコ君は」
(,,゚Д゚)「!モララーの店も手伝った時に倉庫使ったぞゴルァ!」
( ゚∋゚)「ギコには牧場と農場のマスターも使えるようにしてある。
二人がいれば、ギルドの倉庫の中の物は全部出し入れ自由だ。
これは重要な役目だからな」
(*゚ー゚)「はい!」
(,,゚Д゚)「ゴルァ!」
( ´∀`)「それじゃあ戻るもな」
腰に付けた革のポーチから転移結晶を出すモナー。
それを見てギコとしぃも結晶を手にした。
.
-
( ゚∋゚)「よし、帰るぞ」
(*゚ー゚)「はい!」
(,,゚Д゚)「ゴラァ!」
クックル、ギコ、しぃの順に転移結晶を使ってその場から消えていく。
▼・ェ・▼「くぅん…」
( ´∀`)「心配もな?モナも心配もな」
不安げに自分の足にすり寄るビーグルを抱きかかえるモナー。
少しだけ強く抱きしめてしまいビーグルが体を震わせる。
( ´∀`)「あいつのこともあるもなから、何事も無ければ良いもなけど……。
でも、ショボン達なら大丈夫もな。ドクオとフサもそばにいるもなしね」
ビーグルのわきを両手で支えて空に掲げるモナー。
▼*・ェ・▼「きゃん!」
嬉しそうにビーグルが鳴く。
( ´∀`)「ビーグルもそう思うもなね!
よし!モナー達も帰るもな!」
クリスタルが壊れ、モナー達も自分たちのホームのある街へと飛んだ。
.
-
-護衛班-
戦闘が一時間を超えた頃、やっと終わりが見え始めた。
(´・ω・`)「よし、残りゴブ5!蜂7!ゴレ4!ブーンと僕は蜂に専念するよ!他は継続で!」
( ^ω^)ξ゚⊿゚)ξ( ´_ゝ`)( ・∀・)
「了解!」
('A`)(´<_` )
ゴーレムや木々の後ろに隠れながら攻撃を始めた蜂に対してはショボンとブーンが担当し、
それ以外の向ってくる敵を他のメンバーで抑える。
その流れは今までと同じで、兄者と弟者が大技で敵のヒットポイントを削りつつ動きを封じ、
ドクオとツンが速攻をかけての撃破が基本の形だった。
モララーもそのラインから外れてやってくる敵に対応していた。
七人の顔には疲れが浮かんでいるが、それでも見えた終わりを感じて精一杯の戦闘を行っていた。
そして十数分後。
('A`)「ラスト!」
数が少なくなり、周囲の空間が空いて動きの良くなった敵に苦戦したものの、
最後のゴブリンの胴体をドクオの片手剣が切り裂いた。
そして耳障りな叫び声を上げながらポリゴンへと変わると、ブザーが鳴る。
.
-
(´・ω・`)「……トラップクリア……かな」
周囲に敵がいなくなってもそれぞれに武器を構えていたメンバー達。
しかし空が元の青空に戻り、ショボンの呟きを聞いて構えを解いた。
(;^ω^)「終わったのかお」
ξ;゚⊿゚)ξ「空も元に戻ったしね」
(´<_`;)「流石に疲れたな」
(;´_ゝ`)「流石なおれたちも流石にな」
('A`;)「…まだそんなことを言う余裕があるじゃねぇか」
一番先に飛び出して蜂を倒し続けていた剣を杖の様にしながらブーンが膝をつき、
そこにツンが駆け寄る。
そこに集まる様に動き出すメンバー達。
満身創痍でヒットポイントも全員イエロー、それももうすぐレッドになろうとする位置まで減っていた。
前の五人が動き出したのを見てから、同じように回復ポーションを口にしたショボンも歩き始める。
その背中に、剣技によって赤く光り輝いた剣が振り下ろされた。
第十一話 終
第十二話 錯走 に続く
.
-
乙
すげー躍動感だった
-
ですよねー!続きが気になる終わり方しやがって!乙!!
-
キタ━(゚∀゚)━!
支援です
-
以上、本日の投下終了です。
少し短くなりましたが、何とか三月中に投下となりました。
いつも乙とか応援とか、本当にありがとうございます。
次回は今回の連続話を一区切りさせる話になる予定です。
4月中にできればと思っておりますが、10日にSAOの新刊がでるのでもしかすると少し遅れるかもです。
それではまたよろしくお願いします。
ではではまた。
-
乙
-
乙
ドクオの側にずっといるハイン可愛い
つまりドクオ爆散しろ
-
ナーブギア
-
おつ
-
ω・)乙。モララーのイラつきはマタンキにたいしてだったのかな…。あるいは?
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ショボンを切りつけたのはマタンキなんじゃなかろうかと予測している
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ショボンかわすよな?な?
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4人が注視してる前でハイド出来るって相当じゃないですか?
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コンビメーション
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あれ…モララー…最後…
まさかな…
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武器とは限らないじゃないか
武器の形した光るハリセンかもしれないだろ
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そんなセガの某オンゲじゃないんだから...
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光るハリセン(最強武器)の可能性
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ω・)今までずっとほのぼのした感じだったから、今回は初めて窮地にたたされた緊張感がよかった。
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今日初めて読んだけど原作より好きだ
作者応援してるから
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続きはまだですか?
楽しみにしてますね
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楽しみに待ってる
ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1528.gif
まとめTOP絵をちょっとトレス
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こいつ…動くぞ!?
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やるじゃない…
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ぶ、ブーンが動いとる……。
ありがとうございます!!
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それでは、第十二話の投下を始めたいと思います。
よろしくお願いします。
.
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第十二話 錯走
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-
1.作戦(夕方)
澄んだ金属音が周囲に響く。
その音に振り返ったドクオ、ブーン、兄者、弟者、ツンは、
即座に腰のポーチから取り出したヒールクリスタルでヒットポイントを全快させた。
そして武器を構えて走り出そうとするが、
ただ一人悠然と自分達を見ているショボン笑顔を見て、動きを止めた。
いつでも動けるように、武器は構えたままで。
(´・ω・`)「ありがとう、モララー」
( ・∀・)「少しは防御しろよ」
自分のすぐそば斜め後方ににいるであろうモララーに、振り向かずに言葉をかけるショボン。
すでにモララーのHPは全快している。
今ショボンを背後から攻撃しようとした者がトラップ解除後から
ショボンしか見ていないことに気付いていた彼は、
密かにクリスタルを使用していたのだ。
(´・ω・`)「今回の作戦では、モララーに命を預けてたからね」
(;・∀・)「まったく……。で?これが答か?」
(´・ω・`)「さあ。どうだろ。まだ振り向いてないし」
( ・∀・)「おまえは…」
ショボンを狙って後ろから振り下ろされた剣。
赤く鈍く光る剣技によって振り下ろされた剣を止めたのは、モララーの爪だった。
( ・∀・)「まったく。横にいたおれが気付いていなかったらどうするつもりだったんだよ」
(´・ω・`)「だから、今回は命を預けてたからさ。
それに、確信してたよ?モララーなら守ってくれるって」
(;・∀・)「はぁ…」
.
-
モララーの爪も青く輝いている。
爪に止められてからずっと、剣を振り下ろした者は力を込めて剣を押し力任せに攻撃を続けているが、
モララーの爪を押し込んでショボンにダメージを与えることが出来ないでいる。
それどころかモララーは笑顔を見せていた。
更に言えば力任せに剣を振り下ろそうとしている者を小馬鹿にしたような顔で見ていた。
( ・∀・)「ソードスキルはタイミングとどれだけシステムの流れに力を乗せることが出来るかだ。
ただ闇雲に力を加えたところでそれは攻撃力をアップさせることは出来ない。
そしてそれを続けたところでソードスキルを続けることには限度があるし……」
剣を振り下ろした者がそれに気付いたのと、モララーがにやりと笑ったのはほぼ同時だった。
剣が光を失う瞬間に力を込める方向を変え、爪との反発力を使って後方に飛び退いた男。
そしてそれよりも早く剣技を続けるモララー。
とは言ってもモララーの使った剣技も単発重攻撃の一つであり、爪による追撃は出来ない。
つまり本来ならばお互いに剣技の終了による硬直を起こすところなのだが、
モララーは追撃を行った。
(#・∀・)「はっ!」
普段のモララーには似つかわしくない、力の籠った低い掛け声から放たれたのは、左手の拳。
剣の使い手が驚きで息をのむ。
それはそうだろう。
これは知る人ぞ知る剣技の連携。
爪の剣技から流れるように繋がって放たれた体術スキルの技。
反応の遅れた剣の側面に、青く光る左の拳が当たる。
鈍い激突音の後、砕け散る剣。
その音を聞いてようやく振り返るショボン。
呆然としながらも更に後方に飛び退いた者を見て口を開いたが、
それは喋るためではなく驚きのためだった。
(´・ω・`)「?…あなたが?」
意識せずに漏らしたショボンの言葉を聞き、その者は悲しそうに顔をゆがめながら呟いた。
.
-
(-_-)「…死んでください。ショボンさん」
.
-
軽く二度指を振ると新しい片手剣がヒッキーの左手に現れる。
(´・ω・`)「……クイックチェンジ……」
ヒッキーの行った操作を冷静に観察しながらも、
取り出したクリスタルで自分のヒットポイントを全回復させるショボン。
そしてその間にヒッキーは剣を右手に持ち替え、ショボンに切っ先を向けた。
(;ФωФ)「ヒッキー!止めるのである!」
(・∀ ・;)「ヒッキーさん!いきなりどうしたんっすか!」
その光景を驚きと共に見守ってしまっていた二人が声をかける。
しゃがんでいたロマネスクを後ろから支えるように抑えているマタンキ。
二人とも動揺しているように見えるが、特にロマネスクは酷く狼狽えているように見える。
(-_-)「…死んでください」
二人の言葉を無視して突撃するヒッキー。
その瞬間速度はモララーの予測を超え、進路を防ぐことも出来なかった。
(;・∀・)「ショボン!」
再びショボンに向かって振り下ろされる剣。
今度は剣技を発動していないが、攻撃力は相当なものだろう。
('A`)「ま、今度はおれが守るわけだけど」
鳴り響く金属音。
いつの間にか傍に寄っていたドクオが振り上げた片手剣が、振り下ろされたヒッキーの片手剣を弾いた。
(;´・ω・`)「ドクオ!」
('A`)「おれにも良いかっこさせろよ」
剣を弾かれて体勢を崩したヒッキーに追撃をするドクオ。
.
-
川を流れる木の葉の様な軌跡を描きながら剣を振る。
動きの先を予測しにくいその剣を、体勢を整えながら弾くヒッキー。
そしてその力を使って後ろに飛び、構えを整える。
('A`)「!」
ドクオはヒッキーのその一連の動作に驚きつつも、更に前に出た。
(;-_-)「邪魔をしないで!」
('A`)「殺しをしたいならおれでもいいだろ」
(-_-)「それじゃあ……」
ヒッキーの片手剣がドクオを攻撃する。
それらすべてを受け流すドクオ。
('A`)「そんな攻撃じゃおれは倒せないぞ」
(;-_-)「どいて…ください」
ヒッキーの攻撃は決して甘くはない。
それを受け流す実力をドクオが持ち合わせているだけで、
生半可な実力の持ち主では、既にその刃の餌食となっていることだろう。
(;-_-)「くっ…」
('A`)……
どこか辛そうに、けれど覚悟を感じさせる面持ちでドクオを見るヒッキー。
再びヒッキーの剣がドクオを襲う。
しかしそれはドクオを傷つける為というよりも、ドクオを退かすか横をすり抜けるための攻撃であった。
('A`)「悪いけど…」
ヒッキーの目的が分かっている以上、その動きを邪魔する為に何をすればいいのかは、簡単に分かる。
もちろんその行動を実際行えるかどうかは別の話なのだが、ドクオは一見軽々と行っていた。
.
-
('A`)「おまえの思う通りにはさせないさ」
以前に観察した通り、ヒッキーは相当な実力者だったことを確信しつつ、ドクオは応戦する。
おそらくは自分と同等のレベル。
自分よりもレベルが高い可能性もある。
そんなことを考えながら、剣を交わす。
時折自分からも攻撃を仕掛けてはいるが、それはヒッキーを後退させる目的のためであり、
彼を傷付けるつもりは微塵も無い。
(-_-)「……」
ドクオと剣を交わすことにより、今のままでは目的を達することが出来ないと思ったのか、ヒッキーは呟いた。
(-_-)「恨まないでください」
ヒッキーの剣のスピードが上がる。
('A`;)「うをっ」
スピードだけでなく、一撃一撃の重さも別物のように重くなっていた。
('A`)「だけど!」
本当のところ、その急激な変化にドクオは驚いていた。
しかし表情には出さず、すぐにそれに対応してヒッキーの攻撃を捌いていく。
対人戦において、相手を傷付ける覚悟の有る無しは、その攻撃に顕著に現れる。
同等のレベルで使用武器も同じ、そして装備のレア度も同じな二人が戦えば、
その心の差が勝敗を分ける。
('A`)「ここを通すわけにはいかない!」
だが、ドクオはヒッキーの剣を抑えた。
.
-
それは自分の後ろにいる仲間を守りたいという思いと、
同等レベルの者達との真剣勝負という経験量の違い。
ドクオはその二つによって剣にこもる心の差を埋め、更に凌駕した。
(;-_-)「なんで…」
('A`)「悪いな」
VIPの中で行われる決闘形式の訓練は、対人戦闘という場においての訓練でもあった。
罰ゲームや雰囲気を柔らかくすることで訓練そのものは穏やかなものとしていても、
実際の決闘は至極真剣に相手を倒すために自分のすべてを出し切って戦っている。
それによってVIPのメンバーは、対人戦闘において数値に現れないスキルを鍛え、磨いていた。
ヒッキーが振り下ろした大振りの一撃を弾き返すドクオ。
大きな攻撃が弾かれればその分大きな反発が生まれる。
(;-_-)「くっ」
(;ФωФ)「やめるのである!ヒッキー!」
(・∀ ・;)「だめっすよ!ヒッキーさん!」
衝撃により、ドクオの剣から離れたヒッキー。
体勢を立て直しながら構えを取ろうとした瞬間、ヒッキーに向かって細剣、鎚、斧、爪が襲い掛かる。
しかしそれは空振りに終わった。
ξ#゚⊿゚)ξ「逃げないで戦いなさい!」
(´<_` )「おれ達もいるぞ」
( ´_ゝ`)「死ね」
( ・∀・)「素早いな」
意識していなかったはずの四人からの攻撃を避け、バックステップを踏んだヒッキー。
ショボン達ともロマネスク達とも距離を取り、両方を見ながら剣を構えている。
(;ФωФ)「ヒッキー!」
(;-_-)「ロマネスク……さん」
.
-
(;ФωФ)「もう止めるのである!我は」
(・∀ ・;)「ロマネスクさん!!…ダメっすよ!ヒッキーさん!」
(;-_-)「くっ」
ヒッキーに近付こうとするロマネスクを止めるマタンキ。
ロマネスクの使う片手剣とマタンキの使う両手剣は近くの地面に突き刺してあり、
今の二人は丸腰である。
(´・ω・`)「二人とも、とりあえず武器を」
(;ФωФ)「そ、それは」
(・∀ ・;)「ヒッキーさん!俺らは丸腰っす!
ヒッキーさんはそんなことをする人じゃないって信じてるっす!
だから!!」
ロマネスクを後ろから支えながらヒッキーに言葉を投げかけるマタンキ。
(・∀ ・;)「ヒッキーさん!!」
(;-_-)「くっ…」
改めてショボン達に対して切先を向けるヒッキー。
ショボンを中心に、左に兄者とツン、右に弟者とモララーが立つ。
(-_-)「僕は…僕は………。殺さなきゃいけないんだ」
ヒッキーの剣が再び赤く光った。
(´・ω・`)!
( ・∀・)!
ξ゚⊿゚)ξ!
( ´_ゝ`)!
(´<_` )!
その時、青い風が吹き抜けた。
.
-
( ^ω^)「どーーーーおぉっっっん!!!」
.
-
両手を広げたブーンが掛け声とともに真横から自分のふくよかな腹を使って体当たりをした。
ξ゚⊿゚)ξ「あのバカ」
五人の後ろから吹き抜けたブーンという名の風。
そしてその風の陰から躍り出る一人の男。
ドクオが、ブーンの体当たりによって転がった男の首元に、片手剣の切先を当てた。
('A`)「武器を離して大人しくするんだな」
転がった男はすぐに体勢を立て直していたが、自分に刃を向けた男に睨む。
しかしそれは一瞬のことで、すぐににやにやと笑顔を見せた。
そして視線をショボンに向ける。
.
-
(・∀ ・)「いつから気が付いてたんっすか?」
.
-
マタンキが右手に持っていたアイスピックのような武器を離し、
両手の掌を空に向け、おどけた様に笑った。
(´・ω・`)「違和感は、最初から」
(・∀ ・)「さぁっすがショボンさんっすね。ってぇことはぁ、全部計算っすかぁ?」
(;-_-)「ロマ!」
(;ФωФ)「ヒッキー!」
態勢を崩して倒れていたロマネスクだったが、その原因を作ったブーンと、
即座に駆け寄っていたツンによってマタンキとは離れた場所に移動していた。
そこに片手剣を放り出したヒッキーが駆け寄る。
(;-_-)「ロマ!大丈夫!!」
(;ФωФ)「ヒッキー!すまなかったのである!吾輩のためにあんなことを…」
(;_;)「よかった…」
ξ゚⊿゚)ξ「詳しいことは後で聞くけど、とりあえずそこにいなさい。
ブーン、身体は大丈夫?」
( ^ω^)「僕は大丈夫だお」
ξ゚⊿゚)ξ「それじゃあこいつら監視してて。私が戻ってくるまでもう動くんじゃないわよ」
( ^ω^)
ξ#゚⊿゚)ξ「返事!」
(;^ω^)「はいだお!」
ξ゚⊿゚)ξ「よろしい。動いたら後でどうなるか分かってるわよね」
(;^ω^)「……はいだお」
.
-
ツンはブーンの二度目の返事を聞いてから、一目散に駆け出した。
その場に残ったのは三人。
震えているヒッキーを落ち着かせるように肩に手を乗せているロマネスク。
その横に、一歩退いた形で二人を観察する様に座るブーン。
そしてブーンの視線の延長線上には、ツンが駆け寄ったショボン達がいた。
(´・ω・`)「すべての物事が計算通りに進むのなら楽なんですけどね」
(・∀ ・)「まぁたまたぁ。味方はもちろん敵の行動すら駒の様に扱ってるくせにぃ」
(´・ω・`)「……人聞きの悪い」
(・∀ ・)「いやぁ。さすが鬼畜なショボンさんっすよね」
( ・∀・)「なんだこいつ」
(・∀ ・)「で、駒の皆さんはいつから気付いてたんっすかぁ」
ξ゚⊿゚)ξ
( ´_ゝ`)
(´<_` )
無言で武器を構えなおす三人。
('A`)「そこの三人、落ち着け」
(・∀ ・)「お!さぁすが筆頭駒のドクオさんっすねぇ。
どんな時も冷静でかぁっこいいぃっすよ」
('A`)「………ちょっと黙ってろ。クズ」
(・∀ ・)「ありゃ。筆頭駒さんまで怒っちゃいましたぁ?
すぅみまぁせぇ〜ん。だまっていいぃっすぅかぁ?ショボンさん」
(´・ω・`)「…完全に黙られても聞きたいことがあるから困るけど、
ちょっとは静かにはしてほしいかな」
(・∀ ・)「はぁ〜い。駒の皆さんもおしずかにぃどうぞぉ」
.
-
ξ゚⊿゚)ξ「……さっさと倒そう」
( ´_ゝ`)「同感だ」
一歩踏み出したツンと兄者の前にショボンの背中が立ちふさがった。
ξ゚⊿゚)ξ「ショボン」
( ´_ゝ`)「おまえ」
(´・ω・`)「乱戦状態にして逃げるつもりみたいだけど、逃がすつもりはないよ」
(・∀ ・)「ありゃぁ。ばれちゃってるっすね。ざぁんねん」
モララーと弟者が静かに動き、マタンキを囲む様に立つ。
(・∀ ・)「すげぇっすよショボンさぁん!よぉく訓練された駒っすね!」
本気で感心したような、けれどイラつく喋り方でショボンに語りかけるマタンキ。
それを受けてツンと兄者の武器が陽光にきらめくが、まだ襲い掛からなかった。
(・∀ ・)「……ホント、よく訓練された駒っすね」
誰にも聞こえないような小さな声で呟いたマタンキ。
ドクオが切先をマタンキの首元に当てたまま身体を動かし、足元にある武器を兄者に向けて蹴った。
('A`)「兄者、頼む」
( ´_ゝ`)「……ん」
武器を下し、マタンキを睨みながら転がってきた武器を手に取る兄者。
(´・ω・`)「どう?」
( ´_ゝ`)「ほどほどにレア物だな。怪物級ではないが……一撃刺殺属性も持ってる」
(´・ω・`)「なるほどね」
.
-
(・∀ ・)「うまぁくいくと思ったぁんすけどねぇ〜。稀代の戦術師様にはばれちゃったぁかぁ。
どおぉしてぇばれたぁのかなぁ」
(´・ω・`)「……」
(・∀ ・)「あれぇれぇえ。黙ってどぉしたんっすかぁ?」
(´・ω・`)「僕を殺すことが目的…ではないよね?誰でもいいから殺すことでもない。
目的は、何?」
(・∀ ・)「なぁんでしょぉ」
ξ#゚⊿゚)ξ「あーもうその喋り方やめなさい!イライラする!」
(#´_ゝ`)「斬るか」
(・∀ ・)「だぁめっすよぉ。たんきはそんきっていぃますしぃ」
(´<_` )「兄者、落ち着け」
( ・∀・)「ツンも。イライラしても隙を作るだけだ」
ξ#゚⊿゚)ξ「分かってるわよ!」
( ´_ゝ`)「弟者がそういうなら抑える」
(´<_` )「きも」
ξ゚⊿゚)ξ「きも」
( ・∀・)「きも」
('A`)「きも」
(´・ω・`)「きも」
(・∀ ・)「きも」
大金鎚を構えなおした兄者。
それを抑えるように、目の前にツンの細剣の切先が横から差し出される。
.
-
ξ゚⊿゚)ξ「とりあえず冷静にはなった。礼は早めに言っておく。ありがと」
( ´_ゝ`)「え、あ、うん」
冷静になったツンの言葉で冷静さを取り戻す兄者。
そして言葉も目線も交わさず、ただマタンキを警戒しながら左右に分かれて移動する二人。
(・∀ ・)「ありゃりゃぁ」
マタンキと彼の首元に片手剣の切先を当てたドクオを中心に、武器を構えた五人が並んだ。
(´・ω・`)「さて、答えてもらおうか」
(・∀ ・)「きれぇいにぃ、囲まれちゃいましたぁかぁ」
ξ゚⊿゚)ξ「もう無駄よ。あんたのその言葉より、兄者の方がきもいから」
( ´_ゝ`)「え?そういうことだったの?」
(´<_` )「兄者ナイス」
('A`)「よくやった」
( ・∀・)「流石だ」
( ´_ゝ`)「……ものすごくうれしくない」
軽口は叩いているが、その視線と構えは厳しくマタンキを警戒している。
(・∀ ・)「もおぉぉぉ。みなさぁんれいせぇいなんでぇすぅねぇ」
(´・ω・`)「もう無駄だよ。そろそろ質問に答えてもらいたい」
(・∀ ・)「さきにぼぉくの質問にこぉたえてぇ、ほぉしいなぁ」
(´・ω・`)?
(・∀ ・)「どぉしてばぁれたぁんすぅっか?」
.
-
(´・ω・`)「……」
(・∀ ・)「見当はぁ。つぅいているっすぅけどね」
首元の剣を気にすることなく、ただショボンを見るマタンキ。
その表情は笑顔で嬉しそうですらあり、口調とあいまって全員の心に小さなささくれをつくる。
(・∀ ・)「モナーかクックル。っすよねぇ?いや、モナーだけかなぁ」
(´・ω・`)
表情を変えないショボンを見て、笑顔を見せ続けるマタンキ。
ほんの少しだけ、口の端が引きつった様に上に上がった。
(・∀ ・)「せぇいかぁいだぁ。
あ、ねぇねぇショボンさぁん、クックルはまだ喋ぇることがぁできないんすぅよねぇ。
ってぇことはぁ、あの時のぉことをぉ、まぁだぁ気にしてぇるっすねぇ。
狙いどぉおりだぁけどぉ、ほぉんとぉに愚かぁなやつだぁなぁ」
最後の言葉は全員の感情を爆発させた。
そしてそれをマタンキは見逃さない。
思わず片手剣を握る手に力を込めたドクオの顔を、マタンキは再び見る。
そして、その凶悪な笑顔を初めて正面から見て思わず息をのんでしまったドクオに向かって、
しゃがんでいたマタンキは立ち上がろうとした。
それは喉元に当てられた片手剣に自ら刺さろうとすらしている行為であり、
息をのみ警戒心に穴を作られたドクオは思わず剣をひいてしまう。
そしてマタンキの手は立ち上がる前から動いていた。
手首を二度振り、その手に両手剣を持つ。
それは簡単な操作でストレージから武器を取り出すスキル。
つい先ほどヒッキーが行ったと同じスキル『クイックチェンジ』によって、
瞬時にマタンキは両手剣を装備した。
そして、立ち上がりながら自分に対して武器を向けている四人を牽制する為に両手剣を振り回した。
(´・ω・`)「ドクオ!」
.
-
周囲を囲んでいたメンバーはともかくドクオはすぐそばにいたため、両手剣の有効範囲に入っている。
('A`)「くっ」
バックステップで飛び退くが、ちょうどジャンプした上空、両手剣が横から襲い掛かった。
('A`)!!
辛うじて片手剣の側面で剣を受け止める。
しかし、うねる様な両手剣の軌道は、ドクオの右手を襲う。
ξ゚⊿゚)ξ「ドクオ!」
( ・∀・)「おい!」
勢いによって飛ばされるドクオ。
マタンキの頭上に浮かぶカーソルがオレンジに変わった。
( ´_ゝ`)「ふん!」
飛ばされたドクオの一番そばにいた兄者がその身体を盾にしてドクオの身体を止めた。
( ´_ゝ`)「大丈夫か」
('A`)「サンキュ」
短く会話した後に、手首から先が欠損してしまったため落ちていた剣を左手で持つドクオ。
兄者もドクオが自らの足でしっかりと立ったのを見て、その右側に鎚を構えて立つ。
だが時すでに遅く、マタンキは出口のそばに移動していた。
(・∀ ・)「………ちっ」
しかしその左目にはナイフが刺さっている。
.
-
(・∀ ・)「さぁすがぁっすねぇ。ショボンさぁん」
どこか面白そうに、けれど憎悪に満ちた右目でショボンを見るマタンキ。
忌々しげにナイフを抜くと、左目は潰れていた。
(・∀ ・)「なぁんのぉ迷いもぉなく目を潰そぉうとぉしてくるぅなぁんてぇ。
かろぉうじておれの両手剣がその駒をぉ傷つけぇるのがぁ早かぁったすぅけどぉ、
当たるぅのがぁ一秒はやかぁったらぁそっちぃがオレンジっすぅよぉ。
両目ぇはぁ、潰さぁれたぁくないっすぅからぁ。とぉりあえずぅ、撤退させぇてぇもらいまぁすぅねぇ」
抜いたナイフを放り投げた先に転がるもう一本のナイフ。
ショボンはマタンキの両目を狙ってナイフを二本投げていたが、一本は防がれていた。
部位欠損して潰れた左目をかばいもせず、両手剣を構えてショボンを見るマタンキ。
ショボンは表情を変えず、ただ投擲用のナイフを構えている。
そのナイフは、麻痺毒の追加により黄色く彩られていた。
その異様な光景に、思わず見守ることしかできないメンバー達。
(・∀ ・)「でぇもぉ、きめたぁっすよぉ」
(´・ω・`)「……何を」
(・∀ ・)「あんたたぁちのぉ中で、ゆういぃつ人を殺す覚悟をもぉってるショボンさぁんをぉ、尊敬するぅってぇ」
(´・ω・`)「……」
(・∀ ・)「だぁからぁ。きめぇたぁっすよ」
(´・ω・`)「……黙ってろ」
思わず漏らしたショボンの呟き。
それを聞き、本当に嬉しそうに笑うマタンキ。
.
-
(・∀ ・)「あんたはおれがころすってね」
.
-
出口に向かって駆け出したマタンキ。
直前のマタンキの言葉に息をのんでいたメンバー達は出遅れてしまった。
しかしすぐに後を追おうとするが、ショボンに止められた。
(´・ω・`)「もう無理だよ」
(´<_` )「だが」
(´・ω・`)「追跡系のスキルもちで一番のドクオが出ていない以上、
出遅れた状態で後を追うことは不可能だよ」
ξ゚⊿゚)ξ「それはそうかもしれないけど…」
自然とショボンの周りに集まった五人。
(´・ω・`)「それよりも、とりあえずは湖に向かおう」
(;・∀・)「いやいや、さっさとクリスタルで帰ろうぜ」
(´・ω・`)「依頼は依頼。ここまで来たんだちゃんと完了させよう」
( ´_ゝ`)「まったくこいつは…」
('A`)「お前らしいって言うかなんと言うか」
五人に向かってショボンが微笑む。
諦めたように微笑みを返す五人。
それに頷きでこたえ、ショボンが歩き始めた。
(;ФωФ)「わ、吾輩達は…」
(;-_-)「す、すみませんでした」
(;ФωФ)「謝っても意味がないのは分かっておるが!けれど!」
(´・ω・`)「とりあえず、湖に行きましょう」
.
-
(;ФωФ)「え?」
(;-_-)「え?」
(´・ω・`)「依頼は完了させます。詳しい話は、その後にお願いします」
それは穏やかだが、反論することを憚れる、有無を言わせない迫力をもっていた。
(;ФωФ)「…分かったのである。」
(;-_-)「は、はい…」
頷くロマネスクとヒッキー。
それを見てからショボンは各人に指示をだす。
まずはブーンをクリスタルで帰らせた。
まだ出来ると抵抗はしていたがはたから見ても疲れているのはよく分かったため、
最終的にはツンの恫喝によりクリスタルを使わせた。
そしてブーンの位置にはドクオが入る形で隊列を整える。
五人が戦闘時の担当を念の為打ち合わせをしている最中に、
ショボンは溜まっていたメッセージを読み、いくつか返事を送った。
その後出発する八人。
本来なら戦闘がある予定だったが何故かモンスターはポップせず、
ウインドウを開いたままのショボンは困ったように、けれどどこか嬉しそうに笑っていた。
辿り着いた湖は、広く、静かな湖面は少し傾きかけた陽光できらめいていた。
.
-
2.帰還
ショボン達が全てを終わらせてホームのある40層に戻ると、
転移門前にはしぃとギコ、そしてジョルジュがいた。
転移門から出てくるショボン達を見てあからさまにホッとした顔をした三人。
その表情を隠そうともしていない三人を見て、全員の顔がほころぶ。
(*゚ー゚)「みなさん!」
(,,゚Д゚)「良かったぞゴルァ」
小走りに駆け寄ってきたしぃ。
ツンの前で何かを躊躇したように立ち止まるが、ツンはそんな彼女を笑いかけながら抱きしめた。
(*゚ー゚)「つ、ツンさん」
ξ゚⊿゚)ξ「なに、心配しちゃった?ありがとうね」
(*゚ー゚)「心配なんかしてませんけど、顔を見たら安心しました」
ξ゚⊿゚)ξ「またまた強がっちゃって」
(*゚ー゚)「もう、怒りますよ!」
笑いあう二人。
しぃの目にはうっすらと涙が浮かんでいる。
.
-
(,,゚Д゚)「良かったぞゴルァ」
('A`)「なんだ。お前も心配してくれたのか」
(´<_` )「お前に心配されるとはなぁ」
(,,゚Д゚)「まだ二人には勝ててないからそれまでは生きててくれないと困るぞゴルァ」
( ´_ゝ`)「え?じゃぁおれは死んでもいいの?」
(,,゚Д゚)「本気の兄者にも勝ててないからダメだゴルァ」
真剣な目で三人を見るギコに、思わず顔を綻ばせる三人。
(,,゚Д゚)「なんだゴルァ」
(´<_` )「まあ、まだまだお前には負けはないさ」
( ´_ゝ`)「おれの本気を見せてやるよ」
('A`)「片手剣で負けるつもりはないけどな」
(,,゚Д゚)「……お手柔らかに頼むぞ」
ギコに呟きに笑う三人。
.
-
(´・ω・`)「ジョルジュもお出迎え?」
_
( ゚∀゚)「メッセージで無事なのは分かってたけど…」
(´・ω・`)「ありがと。心配してくれて」
_
( ゚∀゚)「べ、別にそこまで心配なんかしてないんだからね」
( ・∀・)「きも」
(´・ω・`)「きも」
_
( ゚∀゚)「……」
( ><)「嘘なんです!すごく心配していたんです!」
ジョルジュの冗談に真顔のツッコミをしたモララーとショボン。
するとおもわず黙ってしまったジョルジュの後ろから、ビロードが叫んだ。
(´・ω・`)?
( ><)「ジョルジュさんもクーさんもすっごく心配していたんです!」
(*‘ω‘ *)「ちょ、ビロ、静かにするっぽ」
( <●><●>)「ビロードはうるさいですが、言っていることは間違っていないのはワカッテマス」
_
(;゚∀゚)「ちょ、おまえら出てくるな」
(´・ω・`)「今日の戦闘訓練の皆さんですよね。ビロードさん、ぽっぽさん、ワカッテマスさん。
皆さんにも迷惑をかけてしまったようですね。申し訳ありません。
もし今日の訓練に問題があったら…」
( ><)「そんなのは無いんです!ジョルジュさんもクーさんもすごくよくしてくれたんです!」
(´・ω・`)「そうですか。それは良かった」
後方に居たビロードが駆け寄ってジョルジュの隣に立ち、ぽっぽとワカッテマスが並んでその後ろに立った。
.
-
( ><)「でも!わけがわかんないんです!」
(´・ω・`)「え?」
( ><)「だからここで一緒に待ってたんです!教えてほしいんです!」
(´・ω・`)「えっと…。なにを?」
( ><)「だから分けが分かんないんです!それをです!」
(;´・ω・`)「…え?」
小さな体で肩を震わせるビロード、それは怒っているようにすら見える。
( ・∀・)「おいジョルジュ。なんだこいつ」
_
( ゚∀゚)「…なんて言って良いのやら。
訓練中にお前らがトラップに引っかかったかもしれないって情報が入って、
こいつらも心配してくれたってだけだと思ってたんだけど」
ショボンに詰め寄り始めたビロードを見て、こそこそと話しはじめる二人。
( ・∀・)「それだけじゃないだろ。これ」
_
( ゚∀゚)「いや、なんかごちゃごちゃ言っていたけど、まさかここまでとは。
メッセージを貰った時まだ一緒にいたから無事だってことを説明したら、
一緒に出迎えたいとしか言ってなかったし」
( <●><●>)「ビロードは興奮してしまっているので、私が質問します」
鼻息の荒いビロードの肩にワカッテマスが手を置き、そのまま横に立つ。
( <●><●>)「トラップに引っかかったそうで、お疲れ様でした。ご無事で何よりです」
(´・ω・`)「ああ、いえ、ご丁寧にどうもありがとうございます」
( ・∀・)「(ホントはトラップの後の方が大変だったけど、それはメッセージ入れてないからな。
ま、入れてたとしても部外者のこいつらには漏らさないか)」
.
-
( <●><●>)「トラップに引っかかったかもしれないという情報をクーさんが手にされた時、
私達はすぐそばに居ました」
(´・ω・`)「それはお騒がせしてしまい申し訳ありません」
( <●><●>)「私達はすぐに援護に行かれてはいかがですかと言いました。
しかし、クーさんとジョルジュさんは行かれず、私達の訓練を続行してくださいました」
(´・ω・`)「はあ」
( <●><●>)「何故ですか?」
(´・ω・`)「…え?」
( <●><●>)「何故ですかとお聞きしています」
(;´・ω・`)「え、いや、その…え?」
(*‘ω‘ *)「助けに向かわない理由を、信じているからだって言ってたっぽ!
心配だけど、信じてるから行かないって言ってたっぽ!
それに今は私達を訓練するからって言ってたっぽ!」
(´・ω・`)「ああ、なるほど。そういう事ですか」
(*‘ω‘ *)「わかんないっぽ。なんで助けに行かなかったっぽ」
いつの間にかショボンと三人を囲む様に面々が集まっている。
そして四人がする会話を面白そうに聞いていた。
さらにその外側、周囲には野次馬もいる。
狩り帰りやこれから夕方の戦闘に向かうプレイヤーがほとんどだが、
公園ということもあってデート中のようなカップルもいる。
(´・ω・`)「分かる必要は、ありません。
皆さんはVIPのメンバーではないのですから」
(*‘ω‘ *)!
( <●><●>)!
( ><)!
.
-
にこやかに切り捨てたショボンの言葉に、息をのむ三人。
周囲のメンバーは全員が全員眉間に皺を寄せた。
(´・ω・`)「と、いうのは少し冷たい言い方ですが、事実です。
ぼくたちの絆を冷たいと思うのなら、皆さんはそうではないギルドに入ったり、
あるいは仲間を作ればいいことですから。
僕達のギルドは互いの技量と経験を信じ、理解し、
そこから自分がすべき最善の一手を考えることを、良しとしています。
そして今回二人が取った行動は、最善の一手だったと思います」
( ><)「……」
(*‘ω‘ *)「……」
( <●><●>)「……で、ですが」
(´・ω・`)「失礼ですが、皆さん今日の戦闘でレベルは上がりましたか?」
( <●><●>)「は、はい。三人とも一つずつ」
(´・ω・`)「先に組んだ今日の予定通りの結果です。
各々の弱点の改善と、良い点の強化は進みましたか?」
( <●><●>)「それは、明日からの課題です」
(´・ω・`)「今日のクーとジョルジュがすべきことは、
皆さんが一日でも長く生きるための手助けでした」
(*‘ω‘ *)!
( ><)!
( <●><●>)!
.
-
(´・ω・`)「僕達もまだまだ弱いです。けれど、皆さんは僕らよりも弱い。
例え低層階に居ても、これから先どんなイベントが発生してしまうか分からない。
その階にふさわしくない強敵と出くわさないという保証は全くありません。
今日は、そのもしもの時を乗り越える力を手に入れる手助けをするのが二人のすべきことでした。
……二人が訓練を中断して僕らのところに駆け付けたとします。
その間に、皆さんがそんな強敵と出会ってしまうことが絶対にないとは言い切れません。
今日という機会を大事にした行動を、二人を取ったんです」
(*‘ω‘ *)「……やっぱり分からないっぽ」
(´・ω・`)「……」
(*‘ω‘ *)「私達は、ただの依頼者だっぽ。
仲間でもなければ、友達でもない。ただの依頼者だっぽ」
( ><)「ぽっぽちゃん…」
(*‘ω‘ *)「そんな私達の『もしも』を備えるために、大事な仲間のピンチに駆けつけないなんて…」
(´・ω・`)「そうですね。ただの依頼者です。
先ほど言ったように、ぼくらギルドの事を分かってもらう必要もない、
言ってみれば、ただの通りすがりのプレイヤーです。
でも、ぼくらは、このゲームをプレイする仲間でもあります」
(*‘ω‘ *)!
( ><)!
( <●><●>)!
(´・ω・`)「このデスゲームに囚われた。仲間でもあると思っています。
……他人で、通りすがりだけど、仲間。
これがぼくの、そしてギルドVIPに所属するみんなの気持ちです」
(*‘ω‘ *)「……」
( ><)「……」
( <●><●>)「……」
ショボンの言葉を神妙な面持ちで聞く三人。
そしてVIPのメンバー達。
.
-
(;*゚ー゚)「……」
(;,,゚Д゚)「……なぁ……しぃ…」
(;*゚ー゚)「き、きかないで……」
(;,,゚Д゚)「ゴルァ……」
(;*゚ー゚)「(そんなこと考えたことなかった)」
そんな中動揺を隠せない二人。
と一人。
_
(;゚∀゚)「え?」
( ・∀・)「おまえ……」
_
(;゚∀゚)「え、あ、いや知ってたぞ。うん。知ってた知ってた知ってたし」
(´・ω・`)「分かっていただく必要はありません。
でも、そういう気持ちでいるものも少なくないと、ぼくは思っています。
そして、ぼく達ギルド『V.I.P.』は、その精神を持って依頼にあたっています」
数名の動揺を気にせずに話し続けるショボン。
そしてその言葉を聞いて、三人は戸惑いながらも頷いた。
( <●><●>)「……分かったつもりですが、実は分かっていないのは分かってます」
(;><)「結局わかってないんです!」
( <●><●>)「ならば、ビロードは分かったというのですか?」
(;><)「そ、それは……よくは分かんないんです。で、でも…」
(*‘ω‘ *)「ぽっぽたちは、自分たちのことで精一杯っぽ。
でも、経験を積んで、レベルを上げれば、少しは出来ることが増えて、
周囲に目を配ることが出来るようになるかもしれないっぽ。
…VIPの皆さんは、きっとそれが出来ているんだっぽ」
ぽっぽの言葉に頷く二人、そして改めて三人でショボンを見る。
( ><)「今日は、ありがとうございましたなんです!」
.
-
(´・ω・`)「それは、ジョルジュとクーに言ってあげてください」
(*‘ω‘ *)「もう一杯言ったっぽ」
( <●><●>)「だから、そんなお二人の仲間である皆さんにも言いたくなりました」
( <●><●>)
( ><) 「「「ありがとうございました!」」」
(*‘ω‘ *)
横に並び、ギルドメンバー全員に頭を下げる三人。
(´・ω・`)「お役にたてて良かったです」
( <●><●>)
( ><) 「「「またすぐ宜しくお願いします!」」」
(*‘ω‘ *)
(´・ω・`)「それはまた依頼の申請をしてください。
ちょっと詰まってるので少々遅くなると思いますけど」
( <●><●>)「ダメでしたか」
(*‘ω‘ *)「結構ケチっぽね」
( ><)「わわっ!二人ともダメなんです!」
_
( ゚∀゚)「終わった後クーに次のお願いした時に、同じことを言われてたよな」
ジョルジュの呟きにバツの悪そうな顔をする三人。
沸き起こる笑いを聞きながら、野次馬達も四散していった。
.
-
3.会議(VIP)
ギルドVIPホームの会議室。
白い壁の大きな部屋に、ギルドの面々がいつもの場所に座っていた。
簡単な食事をとりつつ教育班と調査班の報告を終わらせる。
ショボンはずっとウインドウを開き、それぞれの情報をまとめていた。
最初クーやツンは食事中のその姿を行儀が悪いと眉をひそめていたが、今は誰も何も言わない。
調査班の持ち帰ったデータとアイテムは精査の必要があるものではあったがそれは後回しにし、
教育班と調査班の六人は勿論のこと護衛班と哨戒班の五人もショボンの報告を始めさせた。
ショボンはそれに答え、簡潔に、けれど大事な点は漏らさないで報告を進めていく。
この後詳細な報告書はショボンがまとめて全員に配られるのは分かっていたが、
何が起きたのか、各々の目には何が見えていたのか、それを聞き漏らすまいと全員が真剣だった。
そして話は、ヒッキーがショボンを狙い、その後その黒幕がマタンキであったことにまで及んだ。
( ´∀`)「……」
( ゚∋゚)「………」
ショボンは全員の顔を見まわしながら話していたが、
モナーとクックルが表情を変えなかったことに安心しつつ違和感を覚えた。
(´・ω・`)「マタンキが逃げた後は、ロマネスクさんとヒッキーさんを湖までお連れして、
そこで二人から色々と…あの時の状況とか何が起きたのかは聞いたけど…。
一応明日また執務室に来てもらってさらに細かい話を聞く予定だから、そこら辺はまた明日。
……これで、起きたことは全てかな。
僕が彼を怪しいと思っていた理由とかは幾つかの要因が重なっているから後にするとして。
みんな、起きたことに関して何か漏れはあるかな?」
.
-
モララーを筆頭に、護衛班と哨戒班だったメンバーの顔を見るショボン。
誰もが首を横に振ったりOKのサインを出したため、補足は無いと判断した。
(´・ω・`)「じゃあ細かい話に入っていくけど…。
まずはツン、ブーンの具合はどうだった?大人しく寝てた?」
ξ゚⊿゚)ξ「帰った時は眠ってた。
会議前に食事届けたら起きてこっちに来るって言ったけど、顔色悪かったから殴って寝かしといた」
( ・∀・)「(それってツンに殴られたから顔色悪くなったんじゃ)」
(´<_` )「(そうだな。逆だろうな)」
( ´_ゝ`)「(ブーン…生きていてくれよ)」
ξ゚⊿゚)ξ「なに、そこの三人、なんか文句あるの?」
( ・∀・)「いえ、」
(´<_` )「なにも」
( ´_ゝ`)「ありません」
(´・ω・`)「じゃあ大丈夫だね。詳細な報告書を書く前にブーンにも話を聞くとして…」
川 ゚ -゚)「ロマネスクさんとヒッキーは、何と言っていたんだ?マタンキの事を」
(´・ω・`)「うん。今日聞いた限りだけど、『知らなかった』の一点張りだったよ」
川 ゚ -゚)「…そんなばかな」
_
( ゚∀゚)「クーはロマのおっさんたちが嘘をついてるって言うのかよ」
川 ゚ -゚)「嘘をついていないと思う方が不自然だと思うが?」
_
(#゚∀゚)「二人はそんなことで嘘をつけるような奴じゃねぇよ」
川 ゚ -゚)「友人だからといって、見誤るな。お前はこのギルドの一員で、
その言動によって全員の命が危うくなる可能性があることを覚えておくんだな」
_
(#゚∀゚)「ギルド内以外に信じられる奴を作っちゃだめなのかよ!」
川#゚ -゚)「信じるか信じないかを冷静に判断しろと言っているんだ!」
.
-
( ´Д`)「二人ともやめるもな!」
言い争いを始めたクーとジョルジュ。
ジョルジュが感情的であるのは誰の目にも明らかではあったがその気持ちも分かるため、
口を挟めないでいた。
しかしそこにモナーが割って入った。
( ´Д`)「やめるもな。ギルドの中で言い争いとかしたらダメもな…」
悲しそうに呟くモナー。
( ´Д`)「ダメもな。…お互いの意見を言い合うのは良いもな。
でも喧嘩したり、言い争いしたり、お互いに感情的になっちゃダメもな。
ほんのちょっとしたことで関係が終わってしまったりしてしまうもなよ…」
( ゚∋゚)「…モナー」
(*゚ー゚)「モナーさん」
川 ゚ -゚)「そう…だな。モナー。すまなかった。ジョルジュ、すまなかった。お前の友人を」
_
( ゚∀゚)「いや、おれの方こそすまん。おれだって、分かってるんだ。
一緒にいて、ギルドにいたのなら、分からないはずないって。
何かしらの違和感とか、あったはずだって。でも……」
( ゚∋゚)「マタンキは、良いやつだった。
少なくとも、おれとモナーと……彼と、パーティーを組んでいた頃は」
調査班と教育班のメンバーが驚いたようにクックルを見る。
それ以外のメンバーはマタンキが最後にクックルについて喋った内容により、
うすうすとは感づいていたためそれほど驚きはしなかった。
( ゚∋゚)「あの後……。変わってしまったのかもしれない」
.
-
全員が、クックルの言う『あの後』というのが、クックルとモナーの元パーティーで死者が出たこと。
二人、マタンキも入れれば三人の目の前で死んだことだと分かっていた。
そしてその原因の一つを自分が作ってしまったとクックルが悔やんでいることを知っているため、
何も言えなくなる。
しかしマタンキのクックルに対しての言葉を聞いた何人かはちらっとショボンを見たが、
ショボンは黙って視線とほんの少しの動作だけで何も言わないよう指示をだした。
(´・ω・`)「とにかく」
意識して響く声を出したショボン。
全員が彼を見る。
(´・ω・`)「その点に関しては明日、もう少し突っ込んで二人に聞いてみるので、
報告はまた明日の夜にでもするよ。で、しぃ、明日は悪いけど…」
(*゚ー゚)「40層のバーボンハウスですね。分かりました。昼夜ともはいります」
(´・ω・`)「ごめんね。疲れたら設定だけしてNPCのスタッフに任せて良いからさ」
(*゚ー゚)「いえ、大丈夫です。任せておいてください」
ξ゚⊿゚)ξ「あら、やる気十分じゃない」
川 ゚ -゚)「良いことだ。私が楽になる」
(´・ω・`)「クーは明日の聞き取りの時に同席を頼むよ」
川 ゚ -゚)「えー」
(´・ω・`)「サブマスなんだから。これは絶対です」
川 ゚ -゚)「はーい。……だから早くモナーをサブマスにしろと…」
( ´∀`)「モナーはやらないもなよ」
(*゚ー゚)「あ、あの…」
(´・ω・`)「どうした?」
.
-
いつものように脱線し始めた会話を、しぃがおずおずと手を上げることによって引き締めた。
(*゚―゚)「いくつかわからないことがあったので、良いですか?」
(´・ω・`)「なに?」
(*゚ー゚)「ショボンさんは最初からマタンキさんを疑っていたみたいですけど、何故わかったんですか?」
(´・ω・`)「それは説明するのは難しいな。
経験としか言いようがないところもあるけど、結局は言葉の節々や行動を観察した結果…なのかな」
(*゚ー゚)「経験と観察」
(´・ω・`)「うん。特に彼は自分が強いことを隠しにしているようにも感じたから。
今日は両手剣を使っていたけれど、もしかしたらメイン武器は違うかもしれない。
実際今日使っていた剣技は500くらいの物ばかりだったしね。
ただ何となく……もっと戦闘はこなしているような気がした。動きの端々からね」
(*゚ー゚)「そうなんですか…」
(,,゚Д゚)「ブーンはなんでマタンキがロマネスクに刺突武器を突き付けてるって分かったんだゴルァ
そっちからは見えてなかったんだろ?」
('A`)「ああ、それね」
ξ゚⊿゚)ξ「そういえばそうね。まあ大体予想はつくけど」
(´<_` )「いまここにいないあいつが裏にいたんだろ?」
('A`)「ま、そういうこった」
( ´_ゝ`)「まったく。俺らにも教えてくれればいいのに」
(´・ω・`)「あの瞬間、あれに関して動けるのはドクオとブーンだけだったからね。
僕にすらその件に関してあの時にはメッセージは来てないよ」
( ・∀・)「マジか!あいつがねー」
.
-
('A`)「しぃが入ってくれて作れた時間を、料理と刀スキル以外を高めることに充ててたからな。
どのスキルを鍛えるかいろいろ相談もされたし。今では幾つかのスキルではおれに匹敵するよ」
(*゚ー゚)「え?」
(,,゚Д゚)「そ、そうなのかゴルァ」
(´・ω・`)「そうだね。まずはあの時の哨戒班の動きについて説明しようか。
ドクオ、抜けてたら補足を頼むよ」
('A`)「わかった」
(´・ω・`)「哨戒班は、今回は基本的に先行して道を進んでもらって、
モンスターを減らしてもらっていたのは分かってるよね」
頷くしぃ。
ギコは頷かず目が少し泳いでいたが、気にせずに話を進めた。
(´・ω・`)「メンバーはドクオとふさ、そしてNSからデミタスとハイン、そしてトソンに来てもらった。
順調に進んでいたんだけど、マタンキに対して不信感を覚えたのでドクオにこちらに来てもらったんだ」
(,,゚Д゚)「だけど哨戒班の攻撃の要はドクオじゃないのかゴルァ」
(´・ω・`)「そう。だからそうなると哨戒班が手薄になる。
そこでぼくは、手配しておいた保険を発動させた」
(*゚ー゚)「保険?」
(´・ω・`)「ギルドNSの残りメンバーと助っ人に、逆方向から湖に到着しておいてもらったんだ」
(*゚ー゚)「は!?」
(,,゚Д゚)「ふぇ!?」
にこやかに話すショボンと驚きの声を上げる二人。
ジョルジュとクックルも少し驚いた顔をしたが、二人ほどではなかった。
.
-
(´・ω・`)「で、ドクオは自分が抜ける代わりに逆方向から来てもらえるように連絡をした。
ドクオは自分の隠蔽スキルを最大限に利用して逆方向から僕たちのいるエリアに到着。
護衛班の誰にも気付かれない様に合流していた」
('A`)「昨日のうちにそんな準備をしてあるってショボンから教えてもらった時はびっくりした」
(*゚ー゚)「な、なんでそんなことを」
(´・ω・`)「言ったよ?保険だって。何があるか分からないからね。手は打っておいた方が良い」
(*゚ー゚)「私達にも言ってくれれば」
(´・ω・`)「保険は使わなければ使わないでそれで良いからね」
('A`)「こいつの秘密主義は今に始まったことじゃない」
川 ゚ -゚)「だな」
ξ゚⊿゚)ξ「そうね」
(´<_` )「だが、作戦に関しては言っておいてくれてもいいんじゃないか?」
(´・ω・`)「それは謝るよ。ごめんなさい。
ただ、保険を知っていると余裕が生まれてしまう可能性があるからね。
保険だって万能じゃないから、まずは自分達の力で乗り越えたかったんだ」
(´<_` )「……そうだな。
最初から知っていたら、『あいつらを呼べ!』って叫んでただろうからな。
……兄者が」
( ´_ゝ`)「え?そこでおれ?」
( ・∀・)「言うな。確実に」
ξ゚⊿゚)ξ「言うわね」
川 ゚ -゚)「言う」
(*゚ー゚)「…ですね」
( ´_ゝ`)「え?しぃちゃんまで?」
思わず漏れる微笑み。
緊迫とした空気は変わらないのだが、ほんの少しだけ穏やかな空気がつつむ。
.
-
( ´∀`)
( ゚∋゚)
それはモナーとクックルも柔らかく包み、
マタンキの事によって表情が硬かった二人にほんの少しだが笑みが戻った。
(´・ω・`)「その後のドクオの動きはさっき説明した通りだね。
トラップが発動したので解除のために姿を現した。
トラップ解除はモララーにお願いしてもよかったけど…」
( ・∀・)「俺のスキルレベルじゃ一発解除は難しかっただろ。どうだ?ドクオ」
('A`)「おれのレベルでギリギリだったからな」
( ・∀・)「じゃあダメだ」
ξ゚⊿゚)ξ「結構ポップ数多かったから、解除が遅れたら危険だったわね」
( ´_ゝ`)「おまえらゴーレムの相手しやしないし」
('A`)「兄者と弟者が戦った方が早いだろ。
そのかわりゴブリンと蜂はおれ達で倒したし」
ξ゚⊿゚)ξ「ゴーレムも結構頑張って削ったわよ」
( ´_ゝ`)「むーーーー」
(´<_` )「はい、兄者の負け」
今度は笑いが広がる。
緊張感も大事だが、その時でも笑顔を見せることが出来るのは素晴らし事だ。
そんなことを考えながら、ショボンは続けた。
(´・ω・`)「ここから先はトソンからもらった報告書によるけど、説明するね」
再び部屋に広がる緊張感。
.
-
(´・ω・`)「ドクオが離れた後、残りの四人は先のエリアに進んだ。
で、ほぼ同タイミングでシャキン達六人が合流。
この件に関してはトソン達にも話していなかったから合流したことに驚いたみたいね。
報告書の口調がきつかったよ。
そして全員でエリアのモンスターを倒した後、ふさと助っ人の三人、合計四人はドクオの後を追った」
(*゚ー゚)「どうしてですか?そんな指示をいつ?」
(´・ω・`)「僕は出してないよ」
(;*゚ー゚)「え?じゃあなんで」
('A`)「ショボンからのメール『シャキンくる』と書いてあったから、
このあとシャキン達と合流できるのは分かってた。
だからおれが離脱する時にふさには言っておいたんだ。『後を頼む』って」
(;*゚ー゚)「?」
(,,゚Д゚)「どういう事だゴルァ」
('A`)「だから、そっちが大丈夫になったら後を追ってくれって意味で、
『(そっちが大丈夫になったらおれの)あと(を追ってくれ)、頼んだ』って言った」
(*゚ー゚)「はい?」
(,,゚Д゚)「へ?」
('A`)「ん?」
(;*゚ー゚)「え、いや、ちょ、え?何を言っているんですか?」
(,,゚Д゚)「何言ってるのか分からないとかいうレベルの話じゃないぞゴルァ」
('A`)「え?ギコがバカなのは良いとして、しぃまでどうした?」
(#,,゚Д゚)「ゴルァ」
.
-
(;*゚ー゚)「い、いや普通分からないですって」
('A`)「ふさはちゃんと分かったぞ?」
(;*゚ー゚)「分かる方がおかしいんです!」
('A`)「エエエエエエエェェェェエ」
そのあとドクオの「いやだから、『あと』っていうのは『うしろ』って意味であって」といった声や、
しぃの「普通分かりません!フサさんが来たのだって奇跡ですよ!」という会話が続いたが、
もちろん結果は出ずにおわった。
最後まで不思議そうな顔をしているドクオとだんだん言葉がきつくなるしぃを見て、
周囲のメンバーは困惑と笑いを重ねた。
(*゚ー゚)「とにかく、指示はもっとちゃんとしてください」
('A`)「はーい」
(´・ω・`)「続き、良いかな?」
(;*゚ー゚)「あ、はい。お願いします」
(´・ω・`)「それで、合流したNSの皆はそのままエリアをキープ。
こちらからの連絡を待ちつつポップしてくるモンスターの排除をしてくれてた。
こちらに向かったふさと助っ人は、ぼく達がトラップに囚われたエリアの隣で待機。
あのタイプのトラップ発動中は別空間に切り離されてるから、入ってこられないからね。
前にギコが戦ったフラグの立て方によって途中参加もできるイベントボスと違って」
(,,゚Д゚)「…」
(*゚ー゚)「…」
それは二人がVIPに入るきっかけとなったクエストボスとの戦いのこと。
あの時のことを思い出し、表情を引き締めた二人。
(´・ω・`)「そして、ぼく達がトラップを解除したのを確認したふさ達は中に入り、
隠蔽スキルを使って自分達の身体を隠しつつ、状況を観察しながら前後の通路に分かれて待機。
別方向からマタンキとロマネスクさんを見て状況を判断。
ブーンとドクオにそのことをメッセージで連絡…ってところかな」
('A`)「モララーがあいつの剣を砕く前には来てたな。
『マタンキが刺突武器でロマネスクを刺そうとしてる』ってな」
.
-
ドクオが補足説明をすると、ショボンは話すのを止めて全員を見回した。
全員が…と言うわけではないがほとんどのメンバーは納得したようだった。
ξ゚⊿゚)ξ「で、ふさは今どこに行ってるのよ…ってまあ、聞く必要もないけど」
ツンが少し呆れたように聞くと、ショボンは笑顔を見せた。
(´・ω・`)「もちろんマタンキを追跡してもらってるよ。助っ人さん達と一緒にね」
そこで大きくため息をついたのは四人。
( ・∀・)「それで追わなくてよかったわけか」
(´<_` )「おかしいと思ったんだ。いくらドクオが追えなかったとはいえ、全く追わないなんて」
( ´_ゝ`)「考えてみれば、いくら部位欠損していたとはいえ、
ドクオが走り出さなかった時点でおかしかったんだな」
ξ゚⊿゚)ξ「……ブーンノヤツワタシニハチョットオシエテクレテモヨカッタノニ」
('A`;)「ツン、ブーンを怒らないでやってくれよ」
ξ゚⊿゚)ξ「あら。何か聞こえた?しないわよ。そんなこと」
('A`;)「そ、それなら良いんだけどよ」
ξ゚⊿゚)ξ「あとで怒るのは自分の限界レベルの動きを何度も繰り返したことに対してよ」
('A`)「あ、やっぱり怒るには怒るんだ」
ξ゚⊿゚)ξ「まったく…一回頭痛が来たらちゃんと治まるまでその動きはするなって、
口が酸っぱくなるくらい言ってるのにあいつはほんとに…。
でもそうね。怒ってるうちにいろいろ思い出しちゃうかも」
ドクオを見ながら、そこにブーンがいるかのように怒りをあらわにしたツン。
それを見た全員が「ブーン頑張れ」と思った。
(*゚ー゚)「そ、そういえば、その助っ人さんって誰なんですか?」
.
-
全員が身震いしたのを感じ、しぃが話を変えるように慌てて喋る。
(´・ω・`)「ん?助っ人?ああ。しぃもギコも知ってるやつらだよ」
(*゚ー゚)「え?私達が知ってる人なんですか?」
(,,゚Д゚)「?」
(´・ω・`)「そうだね…。
明後日、NSの皆も集めて食事会をしようと思うんだけど、みんなの予定はどうかな?」
突然話を変えたショボンに戸惑うしぃだったが、他のメンバーは普通に回答していった。
('A`)「おれは大丈夫だ」
_
( ゚∀゚)「おれも」
ξ゚⊿゚)ξ「昼に依頼品を渡す予定があるけど、夕方からなら大丈夫よ。ブーンにも後で聞いとく」
川 ゚ -゚)「薬の製作があるが、まあ大丈夫だろう。
あーでもそうだった。忘れてた忘れてた。すまんショボン。
それに使うアイテムとか採取しに行かなきゃいけないから、明日の同席は無理だな」
( ゚∋゚)「あれ?この前農園から持って行った量じゃ足りないのか?
あれならまだ持って行ってくれて大丈夫だぞ。
ショボン、おれも大丈夫だ。来られる」
川 ゚ -゚)「…ちっ。あ、どうせなら明日はモナーもいっしょ」
( ´∀`)「モナーも明後日なら大丈夫もな。
明日じゃなくてよかったもな。明日は何匹か出産の予定があるから忙しいもな。
ほんとう、明日じゃなくてよかったもな。クー、何か用もな?」
川 ゚ -゚)「……なんでもない」
( ・∀・)「おれも大丈夫だ。
ただデレちゃんに品物渡すのが12時前だから、そのあとデートすることになったら…」
ξ゚⊿゚)ξ「あら、モララー。あんたもデレに納品なの。
私も12時半にショボンの店で待ち合わせして、ご飯食べながら品物渡す予定なのよ。
良かったらくる?おごらせてあげるわよ」
( ・∀・)「…………いい。自分の店で一人で食う」
.
-
(´<_` )「こっちも大丈夫だな。依頼されてる防具は全部出来ているし」
( ´_ゝ`)「ああ、特に予定はない」
(´<_` )「……この前言ってた依頼された鎌、出来たのか?」
( ´_ゝ`)「…………依頼?」
(´<_` )「よしわかった。帰ったら依頼書のチェックするからな」
( ´_ゝ`)「えーーーーー」
(´<_` )「『えー』じゃない!ギコ、すまんが明日朝店に来てくれ。素材集めに行くかもしれん」
(,,゚Д゚)「分かったぞゴルァ!おれも明日明後日は予定無いから一緒に出られるなら大歓迎だゴルァ」
(*゚ー゚)「わたしも特に予定はないので…」
(´・ω・`)「じゃあみんな大丈夫だね。みんな。
その時に助っ人の彼らも呼ぶから、改めてちゃんと紹介するよ。
(*゚ー゚)「あ、はい」
異議を言わせぬ流れに思わず頷くしぃ。
他のメンバーもそれぞれに了解の仕草を取る。
といってもしぃとギコ以外は大体察しがついているようで、
更にショボンがしぃとギコに教えない理由もなんとなく分かっているのか呆れたようにショボンを見た。
(´・ω・`)「さて、それじゃあ今日は終わりかな。誰か他に何かある?」
その視線に気付いているのかいないのか、にこやかに全員の顔を見るショボン。
(´・ω・`)「うん。じゃあ終わりだね。
今日は本当、みんなお疲れ様でした。ゆっくり休んでください。
明日以降のことは、明日朝にメッセージを入れるので、担当の人は宜しく」
立ち上がり、お辞儀をするショボン。
そして体を起こすと同時に一回柏手を打った。
.
-
(´・ω・`)「では解散!お疲れ様でした」
_
( ゚∀゚)ξ゚⊿゚)ξ川 ゚ –゚)( ´_ゝ`)
( ´∀`)( ゚∋゚)( ・∀・)
(,,゚Д゚)(*゚―゚)
「お疲れ様でした!」
('A`)(´<_` )
それぞれに席を立ち、部屋出ていく。
そして部屋に残ったのはショボンとモララーだった。
( ・∀・)「ショボン、このあとちょっと良いか?」
(´・ω・`)「僕は大丈夫だけど、モララーは疲れてないの?」
( ・∀・)「疲れてないわけじゃないけど、ちょっと確認しておきたいことがある」
(´・ω・`)「わかった。じゃあ執務室で良いかな」
( ・∀・)「おう」
モララーを先に外に出し、部屋の電気を消すショボン。
普段なら隣の部屋で一回のんびりするところだが、さすがに今日は全員自室に戻ったようだ。
ショボンの部屋でもある執務室に向かうショボンとモララー。
フサギコからのメッセージでマタンキを見失った事をショボンが知ったのは、数分後だった。
.
-
4.五人
(;ФωФ)「ほんとうに、本当にすまなかったのである」
(;-_-)「すみませんでした!すみませんでした!」
(´・ω・`)「…そういうのは、本当にもう良いですから」
ギルドの執務室。開いた扉の前で何度も何度もお辞儀をするロマネスクとヒッキー。
動こうとしない二人をクーがホームの外まで送ってから執務室に戻ると、
執務机に突っ伏してぶつぶつ呟いているショボンと、机の周りにそれを見て笑っている三人の仲間がいた。
(´・ω・`)「なんなのあれいったい…」
川 ゚ -゚)「お疲れショボン。お疲れみんな」
ξ゚⊿゚)ξ「クーこそお疲れ様。なんか酷かったみたいね」
川 ゚ -゚)「ああ。基本的には知らぬ存ぜぬの繰り返しだった」
(´・ω・`)「酷いとかいう問題じゃないよホントに…」
('A`)「結局マタンキに対する情報は対して得られなかったんだろ?」
川 ゚ -゚)「ああ。彼らも釣り好きのソロプレイヤーくらいの認識だったようだな」
(´・ω・`)「大体それだけでギルドに入れちゃうこと自体おかしんだよ」
川 ゚ -゚)「ショボン、ぐちぐちうるさい」
(´・ω・`)「だってさ」
( ^ω^)「こういうショボンを見るのも久しぶりだおね」
垂れた眉をさらに垂らしているショボンと、楽しそうなブーン。
クーは呆れたように肩をすくませ、ツンとドクオはそんな三人を見て笑顔だ。
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