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ダンゲロス二次創作スレ

202サンライズ:2011/12/02(金) 03:08:00
その黄色い水たまりを見て、その目を輝かせる∞。

「素晴らしいって…わ、私、お漏らししちゃったんですよ…。」

「君みたいな可愛い眼鏡っ娘を逝かせた上におもらしさせられるなんて…眼鏡っ娘冥利に尽きるね。」

そして、∞は両手を合わせて杓を作り、尿溜まりの前に跪いた。
その様は、聖なる泉から水を掬う聖女の如く、どこか神聖さの伴うモノであったが、しかし―。

「(この人、の、飲もうとしてませんか…?私のおしっこを…。)」

そのような行為を想像したことも無いみずきにも、∞が何をしようとしているのか察しがついた。
そして、ある種の賢者モードである今のみずきに、そんな行為は許容出来なかった。

「いっ…いっ…」

それはみずきにも無意識のうちのことであった。聖泉を成していた尿が、火事場のクソ力と言うべきか、
かつてない早さで∞の右手を覆い、ボクシンググローブとなった。

「…!」

「いっ………いっ……いやあああああああああああああああああああああああああ!!!」

BAKOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOON!!

みずき渾身のアッパーカットは∞の顎を捉え、そしてインパクトの瞬間に放たれた尿弾は、
みずきが全裸であった故の威力で、彼女の体を車田漫画の如くに上空へ打ち上げた。
そして、何故みずきごときの、しかも座った体勢からのパンチを∞が躱せなかったかと言えば、
それは、尿に殴られて宙を舞い、湯船へと堕ちていく彼女の満足気な表情から一目瞭然だろう。

「ああっ!む、∞さーん!!」


「今日はお世話になりました。殴っちゃったのはホントにごめんなさい。」

失禁するまで弄ばれたにも関わらず、前半の台詞を一切嫌味なく言えるあたりがみずきの人の良さの証だろう。
一方、頭に包帯を巻いた∞もみずきを責める気は全く無かった。

「またいつでも遊びに来なよ。今度は泊まっていくといい。」

「そっそれはちょっと…∞さん…エッチなことしそうですし…。」

「あれ〜?あんなにお風呂場で喘いでたの誰だったっけ?」

「……意地悪…。」

頬を膨らませ、ジト目で睨みつける、みずきがあまりしそうにない表情もまた美しく感じた。何しろ眼鏡っ娘だから。



「…。」

夜9時半―課題を済ませたみずきは何をするでもなくベッドに寝転んでいた。
眠ってしまってもいいのだが、流石にまだ少し早い。今日は、凄い1日だったなと、心中で呟く。
∞にはエッチなことをたくさんされたけど…でも、大事なことを教わった。
兄に恋をすることも、性の快楽を求めることも、決して悪では無いのだと。

電気の光にミサンガをかざしてみると、目の前に兄の顔が浮かんでは消え、浮かんでは消えしている。

「いいですよね…兄さん…。」

兄の名を呼ぶと、みずきはどこか恥ずかしげに、下半身へと手を伸ばす。少女この晩、生まれて初めての自慰に耽った。


その頃、一家でも1人の少年が絶頂を迎えていた。一一である。彼が思い浮かべるのは、今日見てしまった2人の少女の裸。
パニックになって、自分も全裸のまま∞を抱えて浴場から飛び出してきたみずきと鉢合わせし、
みずきが更にパニクってこけたために顔面騎乗位の状態にまでなった。彼の能力「ToLOVEるメーカー」にとって、この程度のToLOVEるを引き起こすのは朝飯前である。

「白王さん…っ∞ちゃんっ…うっ…!」

ティッシュの中に吐き出される白い欲望の残滓。顔立ちも声も女の子そのものといった印象の彼だが、
男の象徴たるそれは不相応に立派だった。

「呼んだ?」

背後からの声に一気に鳥肌が立つ。よく知っている声。たった今オカズにしていた2人の少女の一方にして彼の姉(自称)・一∞。

「む…∞…ちゃん……。」

一番見られてはならない人間に見られてしまった。家族をオカズにしていたのがバレたのもまずいが、
それが彼女だというのが尚更マズイ。

「何…別にぼくはこれをネタに一くんをどうこうしようなんて全く思ってないよ。
ただ、弟があまりに性に飢えてるようだから、処理してあげようと思っただけさ。
妄想してたことを何でもお姉ちゃんに言ってご覧?」

「あ、ああ………。」

コンドームと眼鏡をすっと取り出していつもの笑みを浮かべる。願望が叶うというのに、なぜだか怖気が止まらない。
その性、何処までも不敵。その心、何処までも透明な闇。誰よりも眼鏡に愛されし少女──────その名は、一∞(にのまえ・むげん)。

203minion:2011/12/02(金) 05:51:01
やったー、眼鏡っ娘だー、やったー!

∞ちゃん無双すぎるw よく考えたら、一日で三人相手してるんじゃ……w

みずきちゃんはやっぱりえろい子だと思いました。

204あやまだ:2011/12/02(金) 11:28:21
おもらしだのひとりえっちだの、まったくこの子はけしかりませんな!
みずきのためを思ったような発言をしつつ結局おいしくいただいちゃってる∞ちゃんまじ策士ww
やー、おもしろかったです! ごちそうさまでした!

205minion:2011/12/21(水) 13:19:49
『眼鏡の悪魔』


 私──────比良坂死育(ひらさか・しいく)は虚ろな瞳で、姉である比良坂灰土(ひらさか・はいど)を見つめながら、心の裡で静かに呟いた。
 ──────いったい、何が悪かったというのだろうか。
 歯車の僅かな狂い。ちょっとしたボタンの掛け違い。
 躓いた小石は、何だったのか。
 ──────そうだ、全ては。
 あの眼鏡の悪魔が現れてから、狂い始めたのだ。


 始まりは、ほんの些細な出来事だった。
 学園で行われた他愛もないイベントで私たち姉妹が知り合ったその悪魔は、優しく、親しげで、そして何よりも──────狡猾だった。
 ちょっとした好奇心。それとも、文字通り魔が差したというべきか。
 姉は悪魔の甘言に乗り、差し出された眼鏡を掛けてしまったのだ。
 おそらくは、ただのファッション感覚。年頃の少女ならば誰しもありがちな軽いお洒落のつもりだったのだろう。
 だが、その火遊びとも言えない程のささやかな冒険心は姉を──────灰土を、灰燼に帰し、土に還す程にその身も心も灼き尽くす炎を生むこととなってしまった。
 健常な視力を持つ者が度の入った眼鏡を掛けた際に感じる眩暈。
 人によっては吐き気を催す事さえあるその気分の悪さを。
 姉は認識してしまった。確かな生の証として。
 死の対極である生。
 タナトスに対するエロス。
 死に近ければ、それゆえに生に敏感になる。
 眩いばかりの衝撃は、何よりも激しく生を実感させる。
 生きるという苦しみは、喜び。
 何よりも肉体はそれを求めていた。
 そして、求めていたものが満たされたとするならば。
 充実感と共に溢れ出るその感覚を。
 人は、快楽と呼ぶ。
 無論、それを受け入れることに戸惑いと恐れはあっただろう。
 しかし、その誘惑を断ち切る事は出来なかった。
 死にたいという破滅願望。
 生きたいという存在願望。
 どちらも人に備わった本能的欲求だというのなら。
 釣り合う天秤を傾けさせたのは、生の欲求──────性の欲求だった。

206minion:2011/12/21(水) 13:20:20
 姉が自らを慰める行為に耽るようになったのは、その日からだった。
 現場を目撃した訳ではなかったが、その必要はなかった。
 何しろ、部屋に篭った後、或いは長い手洗いを済ませた後に出てくるその姿を見れば一目瞭然なのだ。
 自分たち姉妹の代名詞でもある透き通るような白い肌がほんのりと薄桜色に色づいているのだから。
 それでも、それだけでは姉を止めるつもりはなかった。
 自らを慰める行為は非生産的であり、背徳的であるとはいえ、それ自体は決して罪に問われる事ではない。
 たとえ、宗教的、倫理的に罪深いとしても。
 異変を感じたのは、ある日のこと。姉が何者かからの電話を受けているところを偶然耳にしてからだった。
 会話の内容は詳しく聞き取れなかった。
 それでも違和感を感じたのは、その声の調子だった。
 いつもなら自信に溢れ、他者を圧する口調を常とする姉の声が、微かに甘く濡れていた。
 漏れ聞こえる言葉遣いこそ普段と何ら変わる所は無い高圧的なものだったが、その根底に流れる質感はそう、一言で言えば──────媚びていた。
 例えば姉に彼氏が出来たというのなら、祝福もしよう。
 嫉妬や独占欲が九割を占めていたとしても、残りの一割は純粋に喜ぶ気持ちが私にもあった筈だ。
 だが、その時の姉の声に混じる媚びた甘さは愛しい恋人に想いを寄せる少女のものではなく──────主の機嫌を窺い、その命に従う事に歓びを覚える隷奴のそれだった。
 次の日から姉が自辱を行う時間と回数は、日を追う毎に増えていった。
 今思えばその時が、姉の最後の分岐点であったのかもしれない。無理にでも止めさせていれば、と思い返しては今更ながらに後悔する。
 取り返しが付かない、今となっては。


 数日後我が家に小さな荷物が届き、事件が起こった。
 それまでは恥ずかしさからか決して眼鏡姿を見せなかった姉が、如何なる心境の変化か、私の目の前で眼鏡を掛けたのだ。
 最初の日に受け取ったものとはデザインが違っていた。レンズの厚さ的に、度数が上がっているのだろう。
 その眼鏡を、上気した顔で。
 身内に痴態を晒す露出羞恥に身を震わせながら、邪な情欲に濡れた瞳をレンズ越しに潤ませて。
 妹に見せつける事で、見られる事で。
 浅ましく発情していた。
 隣同士の部屋の壁越しに聞こえる苦しげな吐息と切なく押し殺した声が、歓喜の色に染まるようになったのはこの頃からだった。
 再び数日後、姉の眼鏡が変わっていた。
 今度は電話の声も荷物が届いた事も気付かなかったが、何が起こったかは明らかだった。
 外出する、と姉が眼鏡ケースを手にしたままで口にした時、私は全てを悟った。
 見られる事に歓びを覚え、より大きな快楽を求めて。
 不特定多数の視線に晒されながら、昏い欲望を満たす。
 その誘惑に抗しきれなくなったのだ。
 夜遅くに帰宅した姉は、私の眼前で慌ただしく震える手つきで眼鏡を取り出す。
 公衆の面前だけでは満足しきれなかったのか。それとも──────。
 お預けを命じられ、焦らされ続けていた飼い犬が、漸く主人の許しを得たときのように。
 甘やかな愉悦の快楽に溺れる喘ぎと嬌声を、姉はもう隠そうとしなかった。

207minion:2011/12/21(水) 13:21:07
 私の目の前には、眼鏡があった。姉が最初に掛けた、最も度の弱い眼鏡だ。
 最早この度数では姉は満足出来ず、役目を果たして静かに佇んでいたそれを、私はゆっくりと手に取る。
 眼鏡を掛けてしどけなく恍惚の表情を浮かべる姉の姿。
 調教され、飼い慣らされ、躾けられ。
 それでもこの上なく、暗黒の幸福感に身を委ねていた。
 双子である私たち姉妹は、性格こそ違うものの鏡に写したように同じ容貌をしていた。
 同じ感性をしていた。
 それならば。
 私も姉と同じになれるのだろうか。
 姉と同じように、共に──────。
 生まれた時から、ずっと同じように。
 共に深淵に堕ちる絶望と、それを上回る期待と歓び。
 ごくり、と喉を鳴らす音が生々しく響いて──────。
 
 遠くで、電話が鳴り始めた気がした。












 「…………というような事があってはいけないからね。初心者が眼鏡を掛けるときは用法・用量・度数を守って必ず経験者の指示に従うように」
 長い独り語りが終わり、眼鏡の少女は私たち姉妹に注意を終えた。
 「くっ…………眼鏡がそんなに奥深いものだったなんて……!」
 「そんな訳がないでしょう、灰土姉…………」
 少し呆れながら私は、騙されている姉を軽く窘めた。全く、馬鹿馬鹿しい話だ。
 「まぁ、冗談はさておき。眼鏡に興味がある事はぼくとしても嬉しいからね。折角の縁だから、この眼鏡はきみにプレゼントするよ」
 そう言って、彼女は姉に派手すぎず、それでいて野暮ったさの無い趣味の良さそうなデザインの眼鏡を手渡した。
 「へぇ、なかなかお洒落ね。有難く頂いておこうかしら」
 答えた姉の声が、少し上ずって聞こえたのは、きっと私の勘違い。
 眼鏡を見つめる私の胸が、きゅんと甘く疼いたのはきっと、気のせい。
 「それと、電話番号も交換しておこうか。何かあったらいつでも相談に乗るよ」
 彼女は優しく、親しげに微笑んだ。まるで──────悪魔のように。



                                  <了>

208minion:2011/12/21(水) 13:22:01
Aマホ『羅漢との麻雀交流戦で勝利しよう』より、比良坂姉妹のおはなし。麻雀はしません。

DTさんは決してこういう話を読みたかった訳ではないと思うんですが、つい……。
minionさんは頭おかしいんじゃないだろうか……。

あ、今回はえろくはないです。短いし。



えろいバージョンを見たい方は、めがねめがねと書き込みを(略)

209DT:2011/12/22(木) 00:05:59
めがねめがね

210サンライズ:2011/12/22(木) 02:14:26
めがねめがね

211稲枝:2011/12/23(金) 00:26:25
ダンゲロス流血少女の全員集合絵です。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=23817526
直リンク↓
tp://img06.pixiv.net/img/inaesake/23817526.jpg

212稲枝:2011/12/23(金) 00:31:35
【重点】全員の場所と名前がわかった人のキャラの一枚絵を描きたいと思います【先着一名】【豆腐】
●一人一回
●できるだけわかりやすくそれぞれの名前と位置を書いて下さい。
ヒント
●キャラは全員分+転校生4人
●キャラ説通りの姿をしているとは限らない
●似たキャラは同じ場所にいることが多い

213稲枝:2011/12/23(金) 00:39:02
追加ヒント
●キャラ説通りの武器をもっているとは限りません!大抵素手です。キャラ同士の絡みに注目しましょう。

214稲枝:2011/12/23(金) 00:54:26
追加ヒント
●左側の黄短髪の子が視ているのは巨人の肩に乗った女の子。
●他の人の描いたイラストのデザインを参照したりしなかったりしています。

215ゴクソツ機構汎用・イの15号:2011/12/23(金) 01:30:46
イナズマさんの勇姿が 私には嬉しいです
感情はありませんが ピガッ

216鳩子:2011/12/23(金) 01:51:16
あってる!?
tp://0006.x0.to/23817526.jpg

217稲枝:2011/12/23(金) 01:52:08
追加ヒント
●髪型、髪の色などは特にキャラ説と同じとは限りません。
●キャラ同士の絡みを参考にして下さい

218稲枝:2011/12/23(金) 01:54:27
>>216
残念!4人外れです!

219ははは:2011/12/23(金) 01:59:14
どうだ!
tp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2412524.jpg

220鳩子:2011/12/23(金) 01:59:42
>>218
みくりや と あやがさきが逆
あとみづか と きはらが逆!

221ははは:2011/12/23(金) 02:00:44
>>219
これ無しで(*´ω`*)

222稲枝:2011/12/23(金) 02:02:26
>>219
残念外れです!

223あやまだ:2011/12/23(金) 02:08:05
文字でごめん!
tp://www1.axfc.net/uploader/Sc/so/303018&key=aaa

224DT:2011/12/23(金) 02:08:07
どうだ!
tp://0006.x0.to/oo/gif/kotae.jpg

225ははは:2011/12/23(金) 02:08:25
tp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2412560.jpg
謎は全て解けた!

226DT:2011/12/23(金) 02:09:35
>>224
オンセ書いてねー!書いてない包帯がおんせ!

227稲枝:2011/12/23(金) 02:12:55
>>223 正解!

228稲枝:2011/12/23(金) 02:28:48
解答はこちら
tp://img06.pixiv.net/img/inaesake/23820370.jpg
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=23820370
●らちかはかぐやを狙っている。
●破都宮は三上の能力対象
●七宮と焦土原はブラコンつながり
●忌祓とシックルは設定上敵対関係
細かい髪型や色などはさすがにチェックしきれませんでした。ごめんなさい。

229しらなみ:2011/12/23(金) 09:24:34
わーい、全体絵だ、わーい。稲枝さんお疲れさまでしたー

230ε:2011/12/23(金) 09:27:15
あんな弥勒菩薩みたいな奴いたっけ?と思ってたら戈止権現像かwww

231稲枝:2011/12/23(金) 11:58:29
髪の色などをやや修正しました。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=23824534
tp://img06.pixiv.net/img/inaesake/23824534.jpg
キャラ当てに参加してくださった皆さん、ありがとうございました!

232minion:2011/12/28(水) 20:12:11
『ダンゲロスSSエピローグ 〜眼鏡の王子様〜』


 「あーっ…………ほんっと、疲れたなぁ……」
 トーナメントでの激しい戦いを終え、ある意味最大の難関とも言える退屈な表彰式を乗り越えた少女──────伝説の勇者ミドは大会からの帰路、大きく伸びをしながら呟いた。
 激戦に次ぐ激戦で傷ついた身体は治療を受けて回復していたものの、疲労感と厭戦気分まで癒えた訳ではなかった。
 無理もない。本来なら自分など及ぶべくもない、己の実力を遥かに超えた化物たちと渡り合い、そして──────勝利したのだから。
 「もうあんな戦いはこりごり! さ、帰ってぱーっ、と遊ぶぞーっ! 逆ナン! ホストクラブ! 性感マッサージ!」
 未だに優勝を信じられない気持ちの方が多くを占めていたが、優勝賞品に指先で触れてみれば少しは実感も湧いてくる。
 にへら、とだらしない微笑が思わず零れる。
 ”イデアの眼鏡”。
 優勝賞金は持ち帰るには嵩張りすぎるので、目録を受け取るだけで後日の振込みという事になったが、この眼鏡は掛けて帰る事にしたのだ。
 普段は伊達眼鏡であるミドに合わせ、”イデアの眼鏡”に度は入っていない──────今は。
 理想の眼鏡であるところの”イデアの眼鏡”は、持ち主に合わせて自己判断で最適化する。
 つまり、視力矯正を必要としないミドが持ち主となれば、そのレンズに度は必要ない。もし今後、ミドの視力が悪化するような事があればそれに対応するのだろうが。
 勿論、”イデアの眼鏡”に秘められた力はそれだけではない。
 それだけではない、何かがあるらしいのだが──────ミドにとってはどうでも良かった。
 大変に貴重な文字通り伝説の装備であったが、何よりも大切な事は。
 自らの力で勝ち取った栄冠。
 虚飾でも虚構でもない。
 夢でも幻でもない。
 本当の、本物。
 その証だった。

 「渡葉美土(わたりば・みつち)…………いや、伝説の勇者ミド、だな?」
 「へっ?」
 それ故に、その喜びに浸っていたミドが気を緩めてしまっていたとしても、誰も責める事は出来ないだろう。
 人気のない閑静な住宅地。街中のその空白地。
 気付いた時には、既に前後の道を塞がれていた。
 薄汚れた黒衣に身を包んだ謎の二人組。
 前方には槍のように鋭い痩身の男。後方には熊のような巨躯の大男。
 まるで出来の悪い死神を思わせるような不吉な出で立ち。
 これだけの距離に近付かれるまで気付かなかった不明を、彼女の未熟と捉えるのは誤りであろう。
 幾ら油断していたとはいえ、大会の優勝者であるミドに一人たりとて気配を悟らせなかった事から、いずれも相当の使い手である事に疑いの余地はない。
 「凄いファッションセンスだねー…………乱交のお誘いなら嬉しいんだけど、そういう雰囲気でもないかなー?」
 「”イデアの眼鏡”……大人しく渡してもらおうか」
 軽口を叩くミドに取り合う様子もなく、端的に目的を述べる。
 異国の行者、或いは乞食にも見える異様な風体の二人組。そのうちの一人、恐らくリーダー格であろう細身の男が再び口を開いた。
 「手荒な真似をするつもりはない…………が」
 その先は聞くまでもなかった。もし断れば実力行使に出る、というのだろう。
 確かな実力に裏打ちされた自信。その気になれば、幾らでも好きに出来る。
 ──────そもそも、わざわざ声など掛けなければ不意打ちすら可能だったのだ。
 敢えてそれを行わなかったのは言葉通り無駄な争いを避けようとしたのか、或いは小娘一人どうにでもなる、という嘲りか。
 軽く見られるのには慣れている。それを勝機に変える事も。

233minion:2011/12/28(水) 20:12:23
 とはいえ、一対一ならまだしも二対一は分が悪すぎる。大会では二人の敵と戦う三つ巴戦を経験したミドであったが、連携する二人の敵と戦った訳ではない。
 しかも今のこの状況はその場合よりも更に悪い。一時的な共闘ではなく、確実な熟達性、連携性を持つであろう敵二人。
 唯でさえその佇まいを見るだけでも、高い戦闘能力を持っている事は明らかだった。
 それでは、大会参加者、中でもミド自身が立ち会った強者たちと比べてみればどうだろうか。
 ミドの戦闘感覚は、両者に明確な上下を付けなかった。
 希望としては勿論、下であってくれれば良かったのだが、願望を判断に組み入れたりはしない。事実を事実として認識できる冷静さがミドの強みであった。
 強者は強者を知る、という言葉がある。しかしミドの意見は違う。
 弱者こそが、より正しく強者を知るのだ。
 力で、能力で敵わぬ相手であるからこそ、知恵と感覚を総動員し相手を知ろうとする。
 それが出来なければ策も何も無い。
 無残に噛み殺され、餌にされるだけだ。
 正体不明である事に間違いはないし、軽んじられるような容易い相手とはとても言えない。
 それでも死線をくぐり抜けたミドであるならば──────。
 「分かった、分かったって。もー、仕方が無いよね、命には代えられないんだから」
 降参、とばかりにミドは大きく両手を頭の後ろで組み──────。
 「なんて、言う訳無いでしょ!」
 背負ったナップザックの口に手を突っ込むと、取り出した煙幕玉を思い切り地面に叩きつけた。
 たちまちのうちに真っ白な煙が辺りに立ち込める。
 「プライドは、命でも買えないんだよ!」
 勝ち取った栄光、その誇りは。
 自分が自分である証明は。
 誰にも屈したりはしない。
 ミドは会心の捨て台詞を発すると、勢いをつけて走り出す。


 前か、後か。二つに一つの選択肢、彼女が選んだのは大男の立ち塞がる後方だった。
 未踏の前方よりも、歩いてきた後方の方が地形は頭に入っている。
 それに、道を塞ぐ体積は遥かに大きいものの、鈍重そうな体躯の隙を突けば──────。
 その目論見と共に駆け抜けるミド。
 先程までミドの胴体があったであろう高さの空間を、轟音を立てて暴風が吹き荒れた。
 大男がその丸太のような剛腕を横薙ぎに払ったのだ。
 直撃していれば肺から空気という空気全て──────いや、それどころか血反吐と断末魔を撒き散らしていてもおかしくはなかっただろう。
 それ程の威力を、脅威を感じさせた。
 しかし実際にはミドはすんでの所でこれを避け、ほとんど飛び込み前転のような形で死の腕を掻い潜っていた。
 転がる勢いを殺さず、むしろ活かすようにして立ち上がり、駆け出す。
 逃げ足には何よりも自信があった。白煙を盾に、振り向きもせずミドは走る。

 視界の悪さは同条件。だが予め逃走経路を視認して心の準備をしていたミドならともかく、男たちに追う術は無い。
 その筈だった。
 だが、次の瞬間。
 「っ!?」
 風を切り裂く鋭い音。
 冷たささえ感じさせる痛み。
 駆け出した勢いのまま、ミドは激しく路上にもんどり打って倒れた。
 足首から流れ出る鮮血。鋭利な刃物で深く切り裂かれていた。
 ナイフ、或いはそれに類するものを投げた──────そこまでは瞬時に判断が付いた。
 しかし、いったいどうやって此方の位置を?
 徐々に白煙が薄れてゆく。
 ミドが苦しげに身体を起こし、振り仰いだ眼差しのその先には。
 「無駄な事は止めろ。そんなもので我々の眼は欺けん」
 冷酷に語る男の指先に握られていたその武器は。
 恐ろしいまでの正確さと切れ味をもってミドを襲ったその武器は。
 銀色に鈍く輝くメタルフレームの眼鏡だった。

234minion:2011/12/28(水) 20:13:14
 特別に偽装した武器。いや、魔人能力──────?
 考えてみれば当然の事だ。相手の正体を詮索する暇もそのつもりも無かったが、仮にも大会の優勝者を襲うような連中である。普通の人間である筈がない。
 だがその正体を知る前に、ミドは更なる攻撃に晒される。
 転げ回るようにして大男の前蹴りを躱すと、膝を突いたままで腰に吊るした剣を引き抜く。
 牽制するかのように正眼に構えると、素早く思考を巡らせる。何か、状況を打開する策は──────。
 しかしその一瞬の猶予さえ、大男は与えてはくれない。
 望月を削り取るが如く弧を描いた中段の回し蹴りが、ミドを襲う。構えられた剣の刃先を恐れる事、微塵もなく。
 鋼のような豪脚がミドの右肩を捉え、みしり、と軋むような破砕音が体内から響く。
 同時に、自動車に跳ね飛ばされたかのようにブロック塀に叩きつけられた。
 ──────鎖骨、折れたかな。
 他人事のように冷静に、僅かに眉を顰めただけで表情を保とうとしたミドであったが、そんな努力も虚しく大男は見透かしたように告げる。
 「張り子の強がりは、剣だけにしておけよ」
 やはり、見抜かれていた。ミドの持つ剣が実体を持たぬまやかしである事を。
 ミドの愛剣「まるごし」は見かけこそ鋭い剣であるものの、その実、柄以外はただの幻影に過ぎない、虚飾の武器だった。
 調べはついている、という事なのだろう。大会の帰り道の襲撃である、それも当然の事だった。

 暴虐を受ける。
 万全の体調であったとしても、避けられたかどうか。
 大男の杭打ち機のような横蹴りがミドの肋骨に突き刺さる。べきり、と先程よりも格段に嫌な音がした。
 「ぁうっ……!」 
 手荒な真似をするつもりはない、と言う前言は、必要と有らば即撤回する。
 軍人のような冷徹な合理性。君子のような豹変ぶり。
 ただの個人ではない。
 それなら──────?
 続けて加えられる攻撃による痛みが、徐々に麻痺してくる。
 目が霞む。息が乱れる。うまく思考がまとまらない。

 ──────あー、もう一回くらい、セックスしときたかったなー……。

 生存の危機に瀕した生物としての本能か、それとも素の欲望か。甚だ区別の付きづらい所ではあったが、そんな思考がミドの脳裏を過ぎって。
 ミドは意識を手放した。

235minion:2011/12/28(水) 20:13:53
 「…………回収するぞ」
 「あぁ」
 必要最低限の会話を交し、男たちは倒れたミドへと近付く。
 だが、そのとき。
 「酷い事をするね。眼鏡っ娘は全人類の宝だというのに」
 ふわり、とブロック塀を越えてその前に立ち塞がったのは眼鏡の少女。心底嘆かわしい、といった表情で首を振りながら男たちに相対する。 
 「処分する」
 不意の乱入にさえ、心を動かされた様子もなく痩身の男は目撃者の消去を決断する。そこに一瞬の躊躇もない。
 邪魔者は、排除するのみ。冷徹な判断。
 その冷血を受け流し、眼鏡の少女は続けた。
 「なるほど、二人共言うだけの事はあってなかなかの実力者のようだ。ひょっとするとこのぼくでも危ういかもしれない」
 空惚けたような表情で、飄々と語る。
 「しかし、一つ考えてみてはどうだろう? 此処は人里離れた深い山中でもなければ、今は野蛮な原始時代という訳でもない」
 「何が言いたい?」
 迂遠な物言いに焦れたように、大男が問う。
 だが、問いを返し話を続けてしまったのが、大男の失敗だった。
 失敗というのが言い過ぎなら、浅慮だった。
 問答無用で攻撃を仕掛けるべきだった。
 しかし、そうはさせない、無視できない語り──────騙りだった。
 その声を聞いた時点で、術中に嵌っていた。
 「何が言いたい、だって? そうだね、ごく簡単な話だよ。簡単で、単純で、当然で、明快な話だ。何せ、ぼくは自他共に認める善良なる一般市民だからね」
 肩を竦めて、溜めを作る。
 「姿を現す前に、呼んでおいただけさ。警察を──────魔人警察を、ね」
 パトカーの鳴らすサイレンの音が、聞こえ始めた。

 治外法権である学校社会を卒業した魔人たち。その行先としては残念ながら犯罪者となる者も多い。超常なる力を持つ心弱き者が平穏に暮らすには、この世界は余りにも誘惑が多く、そして絶望に満ちている。
 無論、一般社会はそんな彼らを許しはしない。道を過った魔人を糺すのも、また魔人の役目。
 言わば体制側に与する分別のつく魔人たちが勤める治安組織。その最たるものが魔人警察だった。
 「一般の警察官では何十人束になろうと、きみたちにしてみれば物の数ではないだろう。そこは論を待たないとしても、相手が魔人警察官だとすれば、話はどうなるだろうね?」
 当然の話だが、練度や質というものがある。恐らく魔人の中でも実際の戦闘──────有り体に言えば殺し合いに特化しているであろうこの男たち二人を相手に、魔人警察官がそのまま互角の勝負が出来るかというと、その確率は低いと言わざるを得ない。
 しかしそれも、あくまでも同数の場合において、である。
 数は力。先程の話と矛盾するようだが、一般人と魔人では話が違う。
 同じ魔人同士ならば──────多数の弱兵が少数の強兵を圧する事も十分に有り得る。
 「つまり、まんまとしてやられた、と?」
 持って回った長口上も、通報を受けて魔人警察が駆け付けるまでの時間稼ぎ。
 「スマートじゃない、とは言わないでほしいな。さっきも言った通り、善良な一般市民の権利を行使しただけだからね」
 悪びれた様子も無く、自称善良な一般市民は嘯く。
 次第に近付き、大きくなってくるサイレンの音。
 痩身の男と眼鏡の少女の視線が静かに冷たく交錯する。
 その刻は、僅か。
 「…………この場は退いた方が良さそうだな。”イデアの眼鏡”、暫し預けた………………一∞(にのまえ・むげん)」
 怒りも無念さも、あらゆる感情も窺い知れぬ言葉を残し──────二人は立ち去る。

236minion:2011/12/28(水) 20:14:38

 神経を逆撫でするけたたましいサイレンに、ミドは薄く瞼を開いた。
 ぼんやりとした視界に映る人影。
 不思議な浮遊感は、横抱きに抱えられているからだった。
 「王子……様?」
 ミドも勇者である前に、一人の乙女だった。
 自らの危機を助けてくれた人物に、全乙女の理想像である”白馬の王子様”を重ね合わせる。
 曖昧な意識、重なる逆光。僅かに確認出来たのは、垣間見える整った口元と、眼鏡のアンダーフレーム。
 「うぇひひ…………イケメン眼鏡の王子様とセックス…………」
 ミドも乙女である前に、一人のビッチだった。 
 助かった安堵の為か激痛に耐えられなくなったか、それだけを口にするとミドは再び気を失う。
 「やれやれ…………困ったお姫様だね」
 王子様と呼ばれた眼鏡の少女は軽く呆れたように、抱いた少女を見下ろした。

 メガネ=カタ──────それは古代ヨーロッパの都市国家”グラッスィア”に於いて眼鏡原理主義を掲げた独裁政党”テトラグラストン”直属の親衛隊が用いた戦闘術である。
 その戦闘技術は単純な近接戦闘から暗殺まで多岐に渡り、敵対国家だけではなく国内の反対論者まで恐れさせたという。
 だが、”グラッスィア”滅亡と共に”テトラグラストン”も崩壊し、メガネ=カタは歴史の闇に消えた──────その筈だった。
 それが何故、今この場所に──────?

 顔を上げ、表情を引き締める∞。
 「亡霊は、墓場で眠りに就いていればいいものを…………」
 呟きは、やがて訪れる激動への予感だった。





『ダンゲロスSSエピローグ 〜眼鏡の王子様〜』改め『幻想魔眼結社テトラグラストン第一話 亡霊』 <了>

237minion:2011/12/28(水) 20:15:35
ミドちゃんまじヒロイン。たびびとさんちょっと痛々しくてごめんなさい。
あと、サンライズさんの設定をお借りしました。

今後はシリーズ化して色んな眼鏡っ娘を……(※第二話の予定はありません)

238たびびと:2011/12/28(水) 21:09:07
めがねー!
トーナメント本編ではほとんどヒロイン扱いしてあげられなかったので、
これはとても新鮮かわいいです! イデアの眼鏡、大切にします。
ありがとうございました!

239サンライズ:2011/12/28(水) 21:58:19
わーい。メガネ=カタ設定が使われてるー。でもメガネ=カタが古代ローマカラテみたいだwww

240minion:2012/01/04(水) 15:30:05
Aマホ『ミスダンゲロスコンテスト優勝』より一 二十六(にのまえ・にとろ)
tp://s1.gazo.cc/up/s1_10461.jpg

老子曰く、恨みに報ゆるに徳を以てす。
マッチョドラゴンさんは本当に、本当に、本当に猛省してくださいね。
次は許しませんよ! minionの顔も三度まで!

自動書記で寝てる間に勝手に出来ました。

241minion:2012/01/04(水) 19:47:30
『打ち捨てられし心の社』


 ぴん、と張り詰めた一本の糸のような早朝の冷気。吐く息が靄のように白い。
 「んっ……流石に寒いなぁ」
 手編みの毛糸の手袋を填めた両手を擦り合わせながら、少し気弱そうな小柄な少年──────一一(にのまえ・はじめ)は思わず呟いた。
 今日は一月四日、三ヶ日を過ぎたばかりである。それもまだ日の出前、夜の闇が辛うじて朝の光を抑え込んでいる。
 しかしそのせめぎ合いもあと少しで覆るであろう境界の時間帯。
 そんな時間に一が何をしているかと言うと、当たり前といえば当たり前、新年の参拝──────初詣である。
 先日近所を散歩していたところ、竹林の奥で偶然に見つけたその神社はとても小さく、忘れられたようにひっそりと周囲の木々に溶け込んでいた。
 一の傍には、他に誰もいない。
 勿論、他の家族から除け者にされた、という訳ではない。家族と一緒の参拝はもっと大きな神社で既に済ませていた。
 しかしそれはそれとして、小さいながらも神秘的なこの社に惹かれたのも事実。自然と一体化したような厳粛で清冽とした空間は、静かに一人で訪れるに相応しい。
 これが例えば傍若無人な眼鏡の姉であったり、何かと口やかましい黒髪の姉であったり、酒乱の姉であったり、騒音と迷惑の申し子たる暴走双子姉妹たちであったり、誰か他の家族が一緒だとそうは行かない。
 また、仮に比較的大人しい幼い妹たちや物静かで上品な姉たちだったとしても、一人である、という事からは程遠い。
 毎日が賑やかな一家だが、時には心静かに過ごしたい、と思う事も一にはあるのだった。
 そんな一の心境にうってつけだったのが、この名も無き神社であった。
 いや、神社である以上は何かしらの名前があり、祀られている神も居る──────或いは居た、のだろうが、入り口の石碑に刻まれた文字は既に年月と風雨に晒されて風化しており、窺い知る事は出来なかったのだ。
 ひょっとすると、いや、かなりの確率で最早忘れられ、打ち捨てられた過去の神域なのかもしれない。事実、この時間の所為もあるのだろうが他に人の気配は全くしない。僅かに早起きな小鳥の囀りが聞こえるばかり。
 それでも一にしてみれば、大した問題では無かった。自分と向き合う場に、他者の存在は関係が無い。その必要も無い。
 そんな口にするには恥ずかしく、益体もない事をつらつらと考えながらさして長くもない石段を上ってしまうと、すぐに拝殿に辿り着いた。
 その前に鎮座する賽銭箱の存在がどうにか拝殿を威厳のあるもの足らしめていたが、それが無ければ粗末な庵にしか見えなかったかもしれない。
 ほう、と一つ溜息を洩らすと一は財布から五円玉を一枚取り出し、賽銭箱に投げ入れる。
 折角ここまで来たのだから、祈願くらいしてみるのも良いだろう。
 からんからん、と底の木板に当たる音からすると、どうやら中はほとんど空っぽのようだった。参拝客が途絶えて久しいか、賽銭泥棒にでも狙われたか──────恐らく前者だろう。
 「でも、逆に競争相手がいなくてお願い叶えてくれそうかも……」
 健気にも前向きな思考を持つ事にして、一は古びた大鈴に括りつけられた鈴の緒を揺らし、二礼二拍手一礼。物知りな妹に教えられただけの付け焼刃の作法知識に過ぎないし、そもそも神社によっては作法に細かな違いも多いらしい。
 とはいえ、そこまで詳しくない一にしてみれば、何とか敬意を尽くす努力は買ってもらえたら、という心境だ。
 そう思いながら一は目を閉じると、願い事を心中で口にする。

242minion:2012/01/04(水) 19:47:44
 「可愛い女の子や綺麗なお姉さんとたくさんえっちな事ができますように」
 「って、声に出してないから! っていうか、そんな事お願いしてないからね!?」
 ぱちり、と瞼を開けざまにツッコんだ一の目の前に居たのは。
 「流石一さん、新年早々に罰当たり級の変態ですね」
 一の内心を勝手に代弁した、紅白の巫女装束に身を包んだ流麗な美女──────竹取かぐや(たけとり・かぐや)だった。
 もう変態なのはかぐやの中で確定事項のようなのでそこの訂正を求めるのは諦め、代わりにかぐや自身の出で立ちを尋ねる。
 「なんて格好してるんですか…………」
 「ん〜…………侵蝕?」
 それを言うなら神職だろう、と一はツッコみたかったものの、あながち間違いでもない気がしてきて言わずにおいた。
 「ちなみに今日は和服なので、履いてません」
 「ええっ!?」
 「靴を」
 過剰に反応した一を挑発するように片足を持ち上げ、代わりに草履をぷらぷらと見せてくるかぐや。
 「やーい、引っかかった引っかかった」
 「子どもですか……」
 見事に一杯食わされ、一は悔しさを隠そうと呆れた表情を作る。
 それでも白いお御足が袴の裾から垣間見えたりして、内心ちょっと嬉しかったのは事実だったりする。
 「まぁ、ぱんつも履いてないんですけどね」
 「ぶはっ!?」
 思わず吹き出してしまった。いや、冗談だと思うけどこの人ならやりかねない──────。
 振り回されっぱなしの一だった。

 それにしても、相変わらずの神出鬼没である。いつの間に来たのかとか、そもそも何故此処に居るのかなど、疑問は尽きない。
 疑問は尽きないが、どうせ尋ねても惚けて教えてくれないのは目に見えている。
 「はぁ…………」
 全く困った人だ、と一は溜息をつく。見た目の第一印象はむしろ近寄り難い程の美人だと言うのに、意外にお茶目というかやりたい放題というか…………。
 ただそんな一面があるからこそ、自分のように大して力も取り柄もないような人間でも、構えずに普通に会話する事が出来る。
 ひょっとして、実はそこまで計算に入れて──────?
 一瞬脳裏に過ぎった考えを、一は頭から追い出す。
 ──────いやいや、それはないよね。

 「ところで、一さんは何をしに此処へ?」
 聞きたかった事を逆質問され、一は我に返る。
 「えっと……参拝、ですけど」
 他に言いようもないので、素直に答える。
 「散歩の途中でたまたま見つけて、ちょっと気になったっていうか」
 「たまたま…………ですか」
 それを聞いたかぐやの切れ長の瞳が、妙に真剣味を帯びる。今まで見た事がないような鋭さ。
 思わず一も不安になってしまう。
 「あ、あの…………かぐやさん?」
 「うら若き女性にたまたまなんて言わせる一さんほんと変態ですね」
 「あなたが勝手に言ったんじゃないですかー!?」
 ちょっと真面目な表情したと思ったら、すぐこれだ……。と、一はがっくり項垂れる。
 「とりあえず、嘘は言ってないみたいですね」
 「嘘なんてつきませんよ……」
 信用がなさすぎる、と悲嘆にくれる一。何も悪い事はしてないのに。
 「おっぱい揉んだりはしましたけどね」
 「あ、あれはちょっと手が当たっただけでっ……! ……っていうか、人の心を読まないでください!」
 何ともやりづらい。

243minion:2012/01/04(水) 19:48:04
 「まぁ、祈願するのは構いませんがあまり大層なお願い事はしない方が身の為ですよ」
 「どういうことです?」
 「身の丈を過ぎた望みは身を滅ぼす、というお話はよくあるでしょう」
 確かに、昔話、或いは寓話ではしばしば見られる結末である。だが、何故それを今──────?
 「気になるあの娘との仲が進展しますように、くらいなら害はありませんから」
 ではもし、そんな微笑ましい願いではなく、もっと大それた願いなら──────?
 「つまり、かぐやちゃんルートはおすすめしません、という事です」
 「どれだけ高嶺の花なんですか……いや、まぁ実際そうなんでしょうけど」
 いつものように煙に巻かれたような気もするが、諦めの境地だった。

 結局その後は他愛もない話をしたり、良いように弄ばれたりして時間は流れて。
 一人で静かに過ごす、という当初の目的は達成できなかったものの、それなりに充実した時を一は過ごす。
 なんだかんだ言っても、かぐやのような美女と二人きりの時間を持てたのは幸運だと言って良いだろう。実際、彼女と話そうとしても近付く機会さえない者も多いのだから。
 「じゃあ、そろそろ僕はこの辺で」
 「はい、それではまた」
 朝日も昇り、会話のきりもいいところで別れを告げる。
 名残惜しい気持ちもあるものの、どうせまた思ってもみないところで会うのだろうから。
 再会の約束はせずに、一は神社を後にした。


 数日後、ふと気になって再び神社を訪れようとした一だったが、どうした事か幾ら探せども全く見つからず、二度と辿り着く事は出来なかった。
 そしていつしかそんな神社があった事さえ忘れ、日常へと戻ってゆく。
 ──────その時が来るまでは。



                              <了>

244minion:2012/01/04(水) 19:49:21
ゆとりGKやホーリーランドもあるけど、どうしてもかぐやちゃんを書きたい。それがジャスティス。

minionの中ではかぐやちゃんはおとぼけやりたい放題キャラ。すごく使いやすい!w

245オツカレー:2012/01/04(水) 21:23:57
新年早々minionさん、素晴らしいお年玉をありがとう!
minionさんのかぐやちゃんはお茶目すぎて可愛いです!
今年は物騒なことにならないようにがんばります!

このお返しはいずれ……!

246稲枝:2012/01/06(金) 22:25:02
安価です。
自分の女性キャラの裸を描いて欲しいって方は、
>>247にキャラの詳細と共に書いて下さい。

247白金:2012/01/06(金) 22:32:42
じゃあ白金光留 1次ダンゲロスの番長です。

248稲枝:2012/01/07(土) 18:20:27
かけましたー
白金光留さん
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=24219076

249稲枝:2012/01/07(土) 23:51:00
ちょっと修正しましたー
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=24227493

250オツカレー:2012/01/10(火) 23:37:32
遅れましたがヒャッハー団完成しましたー
tp://blog-imgs-31.fc2.com/o/t/s/otsukaworks/dangerous031.jpg

251ぽぽ:2012/01/10(火) 23:45:42
>>250
無茶振りを拾って頂き 有難う御座います!!
すっごく嬉しいです

252稲枝:2012/01/17(火) 13:14:40
初GIFアニメとして作ってみました
末永めしあ
tp://inaeyunomi.blog.fc2.com/blog-entry-89.html

253minion:2012/02/15(水) 01:37:20
バレンタインSSできましたー。minionバッカじゃないの!? minionバッカじゃないの!?

tp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=817114

デザイン・設定・口調が違うって人はごめんなさい!

254minion:2012/02/15(水) 01:38:02
バレンタインSSのイラスト&一言コメントです。

<1>tp://s1.gazo.cc/up/s1_14318.jpg ボツラフ
   tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=25089543 ダンゲロス子
 一番手と言えばやっぱりゲロ子ちゃん。強引な先輩キャラもいいよね!
 一くん爆発しろ!

<2>tp://s1.gazo.cc/up/s1_14319.jpg ボツラフ
   tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=25089965 北部理里
 えっちなお姉さんは好きです。またこんなプレイか!
 一くん爆発しろ!

<3>tp://s1.gazo.cc/up/s1_14320.jpg ボツラフ
   tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=25090304 夢追中
 至って自然な展開と言うか、容易に想像できたので。死亡済みの正史と矛盾してるみたいでごめんなさい。
 一くん爆発しろ!
 
<4>tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=25090671 鈴木三流
 実際こんな感じじゃないかと思います。宝塚!
 一くん爆発しろ!

<5>tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=25091188 鏡宮那雲
 佐賀のときのイメージなので、ちょっと大人しかったかも。
 一くん爆発しろ!

<6>tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=25091782 竹取かぐや(女教師24歳)
 この組み合わせがなんだか一番楽しそう。相変わらずのスーパーお茶目タイムです。
 一くん爆発しろ!

<7>tp://s1.gazo.cc/up/s1_14326.jpg ボツラフ
   tp://s1.gazo.cc/up/s1_14328.jpg ボツラフ
   tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=25092435 埴井葦菜
 なんだこのニヤニヤ度は!? 安心のヒロイン力です。
 一くん爆発しろ!

<8>tp://s1.gazo.cc/up/s1_14332.jpg ボツラフ
   tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=25093447 守口衛子
 この潜在力の高さ……! 末恐ろしい子!
 一くん爆発しろ!

<9>tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=25093822 一∞&一四
   tp://s1.gazo.cc/up/s1_14334.jpg ボツラフ 一刹那&一模糊
 優しいお姉さんの気遣い+美少女のサンドイッチだと……? 羨ましい!
 一くん爆発しろ!


 一くんを爆発させる会の会長が描いてくれました。爆発四散!

255minion:2012/02/17(金) 19:34:30
tp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=823808
葦菜のフラグを粛々と立て続けるだけの簡単なお仕事。一くん爆発しろ!

tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=25153258
SS読むのがめんどくせえ人はこっちだけでも(ネタバレです)

256minion:2012/03/09(金) 10:47:48
【ほとんど猥褻】SSできましたー。おねショタに耐性のない人は見たらだめです! なお、一部に特殊な場面がありますが、原案者のせいなのでminionは悪くない!【原案者のせい】
tp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=873823

SSめんどくせえ、って人はヒロインのお姉さんだけでも。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=25645601

257minion:2012/03/13(火) 23:50:53
佐賀SSできましたー。え? 後編? 何の事です?
tp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=886806
軽くえろいシーンがあるので、苦手な人は第三章だけ読み飛ばしてくだされば。

tp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=886855 導入編
tp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=886888 前編

258ε:2012/03/14(水) 05:29:22
ホワイトデーなので、なんかホワイトデーっぽいSSを
tp://ipusiron.seesaa.net/article/256212945.html

259minion:2012/03/19(月) 21:21:52
佐賀後編嘘予告。「鈴木さん の やりなげ ! こうかは ばつぐん だ!」
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=25924413

260minion:2012/03/21(水) 00:14:16
一四一ホーリーランドSS。ホーリーランドのSSスレでは問題があるかもしれないのでこちらに投稿。
tp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=907281

261ルフトライテル:2012/03/29(木) 01:54:33
自キャラと一くんのSSかいたー。
tp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=930118

262minion:2012/04/04(水) 07:34:55
SD葦菜。ぷりぷり怒ってます。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=26326725

263ε:2012/04/04(水) 08:10:29
可愛い

264(名前は省略されました):2012/04/15(日) 21:33:13
tp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=978780
夢追中の話。ifストーリーです。

265minion:2012/04/19(木) 23:49:50
一くん×衛子のいちゃいちゃシーンです。教育が大事。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=26666397

266minion:2012/04/30(月) 22:32:33
一四一ホーリーランドSS。
tp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=1017795

267仲間同志:2012/05/01(火) 03:21:14
最萌とは何かを自分なりに突き詰めた結果、
最萌とはキャラじゃないという答えに辿り着き投稿を取りやめたキャラ(?)がこちらになります。
毎度、沢山のキャラをお借りしております。本当にありがとうございます。

■キャラクター名
夢幻の欠片

■性別
無性

■年齢(学年)
その他

■特殊能力
『無限 No.Xer』(カップリング万歳 或は仲良き事は美しきかな)

周囲の人々・人外・物体・その他諸々をちょっとだけ仲良くさせる。

■キャラクター説明
希望崎学園地下迷宮に眠っていた秘宝。これも所詮は儚き幻か。
これを得た者は、周囲の種々雑多な事物と仲良くなれたりなれなかったり。

■プロローグSS
堕天使の像は厳かに告げた。

『問おう。最萌とは何だ』



――――――



希望崎学園の地下迷宮。
迷宮探索愛好の徒、いつもの三人が奥地に眠る秘宝を目指して侵攻をしていた。

「そろそろこのフロアの一番奥になりますね。何か見つかるといいですが……」

先頭を歩くのは頼れる壁役。物語を愛し、物語に生きる少女、虚居まほろ。

「弱い敵はみんな倒しちゃったからねー。怖い敵が待ち構えているかも」

続いて歩くは俊足のアタッカー。夢を愛し、夢に生きる少女、夢追中。

「これで大したものが見つからなかったら承知しないわよ」

最後を歩くは使役する蜂による索敵兼アタッカー。名声を愛し、皆に愛される少女、埴井葦菜。

三人は今日も地下迷宮を訪れ、群がる弱敵達をなぎ倒し、宝箱から戦利品を集め、探索を楽しんでいた。
が、しかし、今日はどうにも、珍しいアイテムも見つからなければレアモンスターにも出会わない。
凶悪な罠にも出会うことなく、気付けば現在のフロアの探索も終わりを迎えようとしていた。
フロアの最奥には珍しいものがある――残る頼みはこのお約束だけである。

「野生の熊とドラゴンにまだ遭っていないのが心配ですけれど……きっといいものが見つかりますよ」

前を行くまほろが、葦菜の文句に慰めの言葉をかけた。ちょうどその時である。
まほろの背後ににゅるりと伸びた影。希望崎学園(地下でも地上でも)名物、触手が突如として暗がりから姿を現した。

「っ!危ないっ!」

緊急事態を前に、咄嗟に使役する蜂を攻撃に転じさせようとする葦菜。
だが、それを夢追が引き止めた。

「待って!」

そして、触手に驚き、その場を飛び退ったまほろと、蜂を嗾けようとした体勢で中途半端に固まった葦菜の前で、
夢追は親しげに触手へと歩み寄り、声をかけた。

「こんにちは!――姦崎君」

暗闇の中から現れた触手――よく見れば何やら学ランを纏い、顔(?)にメガネを掛けたその触手は、
希望崎学園の良心、稀代の超絶技巧の持ち主、和姦派の触手……姦崎姦その人(?)であった。

268仲間同志:2012/05/01(火) 03:21:57
>>267 の続き



――――――



「びっくりさせてごめんねー」

「あ、あの、僕のことはお気遣いなく……」

「私はホーネットやSucieじゃないんだから暗がりで触手の見分けなんてつかないわよ……」

「(私にも見分けはつきませんから……)」

ぶつくさと文句を言う葦菜をなだめつつ、偶然にも迷宮探索に来たという姦をパーティに加えた4名は、探索を再開していた。
姦と夢追は、以前、希望崎学園に転入してきたばかりの夢追に姦が周辺の道案内をしたという縁があったため、既知の間柄であった。
頼りなさげな言動とは裏腹に、確かな実力を持つ姦は重要な戦力となる。
特に、今回の敵との遭遇状況を考えると、この後に危険な相手とやり合う可能性が高い。
そんな理由からの急遽4名体勢探索であった。

そして、その作戦は功を奏することとなる。


***


「野生の熊!まほろ!危ない!」

「えいっ!」

「あっ!姦崎君!」

「僕が動きを止めている間に!」

「凄い!熊を絡め取った!」

((酷い光景だ……))


***


「あーっ!ドラゴン!!」

「ちょっと!あんたがいくらドラゴン好きだからって飛び込むんじゃないわよ!」

「わ、わかってるけどー」

「皆さん!危ないです!」

「やあっ!」

「ああっ!姦崎君!」

「僕が動きを止めている間に!」

「すすす凄い!ドラゴンを止めてる!」

((これは酷い……))


***


こうして姦の活躍によって、4名は無事にフロアの最奥まで到達したのであった。

269仲間同志:2012/05/01(火) 03:22:56
>>268 の続き



――――――



そして話は冒頭に移る。
最後の部屋は不思議な力によって護られ、侵入することが出来ない仕組みとなっていた。
白く光るモヤモヤが壁となって、外部からの侵入者を押し戻すのだ。
そのモヤモヤを突破する方法――それはこの手のダンジョンのお約束、横に鎮座する堕天使の像が発する問いに正解する事だ。

何度も迷宮探索を繰り返してきた面々に迷いは無く、即座に像を起動させた。
迷宮内に隠された暗号についての問いか、ロジカルな問いか、はたまた数学的な問いか。
そう身構えていた4名にかけられた言葉、それが……

『問おう。最萌とは何だ』

これである。
無言で像を蹴飛ばそうとした葦菜を引き止めるまほろという微笑ましい光景をしばし差し挟み、その後、全員は頭を捻った。
最萌とは。

「あんたはそういう本とか読んでないの?」

「読みますけれど……萌えと一口に言っても、定義は人それぞれですし……」

「最燃だったら私は師匠だけどなー」

「あ、それなら……皆さんの好きな人の特徴を挙げて、それをまとめてみるとか……ど、どうでしょう?」

「何言い出すのよ!わ、私は別にあんなヤツのことなんて好きだとかそんなんじゃなくてほらあれよ!」

「葦菜ちゃん落ち着いて」

「埴井さん落ち着いて」

――そんなやり取りを繰り返していた時。

『時間切れだ!愚か者め!』

堕天使の像から、無情な音声が轟いた。
ちょっとここまで来て!?もう少し時間を貰えませんか?毒ガスとか噴き出すの!?え!?だ、大丈夫!?
像の宣言に色めき立つ4名。像の問いに答えられなかった場合は大抵、何某かの罠が作動する。
なんとか罠から身を護ろうと身構えた全員に対し、しかし、罠が作動する事はなく、像は言葉を続けた。

『愚かな者達よ。それならば後学の為に教えよう。最萌とは――』

厳かに、神託を告げるが如く。



『最萌とは――カップリングだ!』

「えっ」

「えっ」

「えっ」

「えっ」

『えっ』

270仲間同志:2012/05/01(火) 03:24:07
>>269 の続き



――――――



『よいか。確かにキャラ単体にも萌えは存在する。萌えるキャラというものはいくらでも存在する。
 だが!真なる萌えを!最上の萌えを求めるならば!それはキャラとキャラとの掛け合いにこそ存在するのだ!
 それならば最も萌えるキャラ同士の掛け合いをひとつ答えろだと?愚かな!カップリングの可能性を狭めてどうする!
 カップリングとはそこに無限の可能性を秘めているからこそ!そこに無限のカップリングが存在しうるからこそ最上の萌えとなるのだ!』

堕天使の像の言葉は延々と続いていた。
ヘッドライトの明りを使い、手持ちの文庫本を取り出して読書を始めるまほろ。
そろそろ本当に蹴飛ばしてもいいんじゃないの?むしろ蹴飛ばすべきなんじゃないの?と逡巡する葦菜。
どうしたものかと所在なさげに沢山の触手であやとりめいたことをして時間を潰す姦。
唯一、夢追だけはふんふんと頷きながら像の言葉を聴いていた。

「ねぇ……そろそろ帰らない?そんな像の妄言なんて聞いててもしょうがないわよ」

とうとう痺れを切らした葦菜が夢追に声をかけた、その時であった。

『例えば!其処に目立ちたがりで行動力に溢れ、我侭気質の女の子がいたとする!
 なんだかんだと面倒見が良く、他人の世話も焼くが、自分の気持ちを素直に表現できない不器用な女の子だ!
 それだけでも萌える!だが!さらに其処へ女の子が思いを寄せる相手がいた場合を想定してみるがよい!
 頼りなげな見た目と言動、しかしいざという時には男を見せる、そんな男の子が相手だ!
 そのふたりが不器用に笑いあったりデートをしたり、ぶつかり合ったりする……萌え滾るだろう!』

「あんた何言ってんのよおおおぉぉぉーーー!!!???」

堕天使の像が随分と馴染み深い気のする喩え話を始めた。

「ちょっとどきなさい!そいつ蹴っ飛ばしてやるから!」

「え、でも私、ちょっと理解できたような」

「理解しないでいいわよこんなの!」

「埴井さん落ち着いて」

『例えば!元気の塊のような女の子と、奥手で気弱な男の子がいたとする!
 普段は元気な女の子が男の子を振り回し、どう見つくろっても仲の良い友達同士といった間柄だ!
 それが女の子のピンチに、男の子が普段は見せぬ勇気を見せつける!
 それを見守る女の子の胸に仄かな暖かい想いが芽生える!どうだ!萌えに萌えるだろう!
 真なる萌えとはキャラクターに固着するのではない!キャラとキャラの間!カップリングに真髄があるのだ!』

「……はっ!?そういえばさっきの姦崎君の活躍は胸にグッと来るものが……!」

「えっ、いや、あの、僕はそんな……」

『そうか!分かるか!』

「意気投合してるんじゃないわよっ!!!」

(話が噛み合っていないような……)

こうして、騒ぎはしばらくの間、続いたのであった。

271仲間同志:2012/05/01(火) 03:25:01
>>270 の続き



――――――



「で、結局見つけたのがこれだけ……と」

地上に戻った葦菜が、戦利品を改めて見直しながら、そう言った。
場所は迷宮から移って夢追の屋敷。姦とも別れ、いつもの三人による今回の探索の反省会であった。

あの騒ぎの後、お前達には見所がありそうだという堕天使の像の先見(?)によって、最後の部屋への入室に成功した4名。
そこに置かれた宝箱の中から得たもの……それが、葦菜が手に持つ『夢幻の欠片』であった。

――萌えとは欠片のようなもの。欠片を合わせ、掛け合わせ、そうして真の萌えとなる。

頭の痛くなるような、像の台詞を思い出し、葦菜は顔をしかめた。
今回の探索は骨折り損であったものだ……そうため息をついた。
だが、夢追はそんな葦菜を見て、でも今回は凄いものが見れたじゃないですかと口を出した。

「姦崎君のドラゴン縛り!凄かったですよねぇ!」

「ああ……えっと……」

「うーん……」

凄かったというより酷かった、とは流石に言い出せない葦菜とまほろ。
互いに顔を見合わせて苦笑するより他なかった。

「だってドラゴンですよ!あのドラゴン!ドラゴンを止めるなんて……えへへ」

「はいはい、あんたがドラゴン好きだってのは分かっているから」

「確かに言葉だけで聞けば凄い事をやっていますよね」

浮かれる夢追の様子を見ながら、葦菜とまほろは再び苦笑した。
しかし、その笑顔は先程よりも暖かく、穏やかであった。
明らかに楽しそうに笑う夢追の笑顔にほだされ、細かいことなどどうでも良い気分になってしまったのだ。

――まあ、楽しめたのならそれはそれで、今回の探索も成功ってことで、いいかな。

声に出さず、それでもお互いの考えを見通し、頷きあうふたり。

「ほら!それじゃ夕ご飯にしましょ!」

反省会はこれまで。ここからは祝勝会に切り替えよう。
はーいと元気良く返事をして、食事の準備に取り掛かる夢追。
手伝いますよとその後を追って土間へと向かうまほろ。

そんなふたりを見送りながら、葦菜はふと手に持った欠片に目線を落とした。

「もしかして、こんな結末も、あんたのせいだったりするの?」

ぼんやりと色を変えて、夢のように、幻のように揺らぐ欠片は何も答えなかった。

「ま、あたし達にはあんたなんて必要ないけどね」

――どうせ、こんなものが無くても、仲良くやっていけるのだから。

葦菜は無造作に欠片を荷物の山へと放り投げると、土間へと向かっていった。



――――――



静かに囲炉裏の火がゆらめく板張りの客間。
一角にまとめられた荷物の上で、夢幻の欠片が淡い彩光を放っている。

土間からは、せめて盛り付けくらいは手伝うわよ、それは助かります、などと、仲の良さそうな少女達の笑い声が響いていた。



仲良き事は美しきかな。<終>

272仲間同志:2012/05/03(木) 12:20:08
折角なので、
夢幻の欠片応援SS

■ガールズトーク

ホー「……とまあそんな感じで、蜂さん達ったら……もう……///」
葦菜「ふーーーん。ホーネットも相変わらずねぇ。理解に苦しむわ」
夢追「葦菜ちゃんは可愛い系の男の子がお好みですもんねぇ」
葦菜「う、う、うっさい!そういうあんたはどうなのよ!」
夢追「私ですか?」
葦菜「理想の男性像とか、恋人に望む条件とか、そんなの!」
ホー「あ!それ私も興味あります!」
夢追「うーーーん……そうですねぇ……」
葦菜「(真っ当な答えが返ってくるか怪しいけれど)」
ホー「(そもそもそういった目で男の人を見ているんでしょうか)」
夢追「あ!ありました!恋人に望む条件!」
葦菜「へえ」
ホー「聞きたいです!」
夢追「恋人には是非、ドラゴンを倒して私を迎えに来てもらいたいです!」
葦菜「え……」
ホー「それはまた……」
夢追「あれ?素敵だと思いません?」
葦菜「あんたの恋愛脳は本当に古典的ね……はぁ」
ホー「確かに素敵ですけれど……ちょっとハードルが高いですね。ふふふ」
夢追「あれー?」
葦菜「……っていうかさ、それだと、ほら。この前の迷宮のアレ」
夢追「はい?」
葦菜「ほら、姦崎。あいつがその条件満たすってことになっちゃわない?」
夢追「あー、そうですね。あのときの姦崎君は格好良かったですねー」
ホー「葦菜ちゃんが電話で言ってた話?」
葦菜「そうそれ。その条件だと触手が満たしちゃうじゃない」
夢追「えっ。何か問題があります?」
葦菜「えっ」
ホー「ドラゴンをやっつける触手さんですかー。確かに格好良いですねー」
夢追「やっぱりそう思いますよね!」
葦菜「えっ」
夢追「葦菜ちゃんさっきからどうしたんです?」
葦菜「え、いや、あの、さ……触手だよね?」
夢追「触手ですよ」
ホー「触手ですよね」
葦菜「えっ、触手……ありなの?」
夢追「えっ、触手に何か問題が?」
ホー「触手に問題でもあるんですか?」
葦菜「えっ、なにこれ私がおかしいの?」


***


葦菜「……なんて事があって……どうなってるのよまったく」
スー「えっ、触手に何の問題があるの?」
葦菜「相談する相手間違えたわよもうやだーーー!」


***


葦菜「ねえ……私おかしくないわよね……触手がおかしいのよね……ねぇ……」
歌琴「(葦菜ちゃん……やっぱりSucieさんの元でアイドル業をするのは大変なのね……)」
葦菜「ねぇ……そうだといって……お願い……」
歌琴「だ、大丈夫だよ!葦菜ちゃんは正常だから!」
葦菜「そうよね!そうよね!」
歌琴「(葦菜ちゃん程のアイドル力でも苦労してるんだから……私も頑張らなきゃ!)」
葦菜「私は正常……触手が悪い……ぶつぶつ」
歌琴「よしよし」




仲良き事は美しきかな<終>

273仲間同志:2012/05/03(木) 13:09:24
折角なので、
夢幻の欠片応援SSその2

■その仮面の下に笑顔を

夢追「インタビュー結果によると、毒島さんって本当にマスクを外さないんだって……」
ワシ「どんな素顔なのか興味あるねー」
夢追「うーん」
ワシ「かといって見せてーって言っても流石に見せてくれないよね多分」
夢追「よしっ!今から毒島さんを我が家に招待しよう!」
ワシ「どうしたの突然?」
夢追「早速準備しなくちゃ!……えへへ」


***


夢追「それで、この刀は『袖の浦』という銘で……」
毒島「……」
夢追「そしてこれ!このお面は被った者にささやかな心の充足を与えるという一品!」
毒島「……そう」
夢追「被ってみます?」
毒島「(ヒョイ)」
夢追「オーバーマスク……ですと!?」


***


夢追「はい!最近暑くなってきたのでひんやりしたものメインで、鹿肉の冷製です!」
毒島「……おいしそう」
夢追「それではいただきましょう!」
毒島「……いただきます」
夢追「(期待の眼差し)」
毒島「(ウィーン、ガシャン、もぐもぐ)」
夢追「ハイテクだーっ!?」


***


夢追「それでも温泉なら……温泉ならあるいは……」
毒島「……」
夢追「そう思っていた時期が……私にもありました」
毒島「……いいお湯……ですね」
夢追「そうですねー」
毒島「……ふう」
夢追「……それ……蒸れません?」
毒島「……大丈夫……です」
夢追「そうですか……」


***


夢追「最後の砦、就寝時!」
毒島「……灯り……消します?」
夢追「……」
毒島「……」
夢追「……そうですねー」
毒島「……おやすみなさい」
夢追「おやすみなさーい」
毒島「……」
夢追「……えへへ」
毒島「……夢追さん?……なんだか……嬉しそう」
夢追「えへへ、そうですね。今日は一日とても楽しかったので」
毒島「……夢追さん……今日……私の素顔……見ようと……していましたね」
夢追「あ、ばれちゃってました?」
毒島「……そんなに……素顔……気になります……?」
夢追「ああ、いえ、そうではないんです」
毒島「?」
夢追「毒島さんって本当にマスクをつけたまま生活してるんだなーって」
毒島「??」
夢追「常時マスクをつけて生活なんて凄いじゃないですか!本当に徹底していて素敵でした!」
毒島「……そう……かな」
夢追「そうですよ!」
毒島「……」
夢追「それじゃあおやすみなさーい」
毒島「……おやすみなさい」
夢追「(すやすや)」
毒島「……ありがとう」
夢追「(すーすー)」
毒島「……心の充足……得られたよ」


***


ワシ「私は素顔気になるんだけどなー……」





仲良き事は美しきかな<終>

274仲間同志:2012/05/03(木) 17:25:23
夢幻の欠片応援SSその3

■バロネス夜渡の人生相談

夢追「こんにちはー!バロネス夜渡さんいらっしゃいますかー?」
ワシ「このお店、入って大丈夫なのかな……」
夜渡「なーにアンタ?まだお店はやってないし、そもそもここはアンタみたいな子供の来る場所じゃないわよ」
夢追「ああ!バロネスさん!お久しぶりです!」
夜渡「うん?……ああーあの時のマフラーっ娘!」
夢追「その節は私が騙されていたみたいでご迷惑を」
夜渡「いーわよいーわよ。おねーさん細かいこと気にしないから」
夢追「本日はあの時のお詫びにやってきまして」
夜渡「そんな固くなるようなことじゃないわよー」
夢追「いえいえ、そんな……」
夜渡「まあ、こっちにお掛けなさいな」
夢追「あ、失礼します……それで、お詫びと言ってはなんですが、これを受け取って頂けませんか」
夜渡「なーにこの鉄板……あら、星座の模様?綺麗じゃなーい。コースター?」
夢追「コースターとして使って頂いてもいいですし、いざというときは投擲武器に……」
夜渡「へー……ああ、そういやアンタにはアタシの能力披露したんだっけ」
夢追「あの時はどうも……えへへ」
夜渡「それじゃありがたく頂戴するわね。あ、ちょっと待ってて。今飲み物でも入れるから」
夢追「あ、お気遣い無く……」
夜渡「遠慮するんじゃないわよ……ところでアンタ、あっちのあのでっかい鳥はなんなの?」
夢追「ああ、私の親友のオウワシと……オウワシ?そんなに隅っこで固まってないで!ほら!」

***

夢追「それで、バロネスさんからパンフレット代を……えへへ」
ワシ「そういえばあったねー……ふふ」
夜渡「アンタ達仲良いわねー」
夢追「大親友ですから!(ぎゅっ)」
ワシ「ど、どうも……あ、かなめちゃん」
夜渡「ふーん……ね、アンタ達」
夢追「はい?」
ワシ「なんですか?」
夜渡「アタシはそーいうのに偏見ないから、応援してるわよ!」
夢追「へっ!?」
ワシ「ななななにを言い出すんですか!?」
夜渡「だーいじょうぶよ!愛さえあれば性別とかほかのなんか、あれとか、問題ないから!」
夢追「あ、いや、私とオウワシは」
ワシ「ちょっと何を言っているんですか私とかなめはあのちょっと仲良くて昔からの親友で!」
夜渡「照れない照れない!」
ワシ「キーッ!」


■人生相談その2

夢追「こんにちはーバロネスさんまた来ちゃいましたー」
夜渡「あらアンタいらっしゃ……えっ、ちょ、アンタ後ろ!触手!」
夢追「ああ、こちらは姦崎君と言って、私のお友達で……」
姦崎「こ、こんにちは」
夜渡「ちょっと、アンタ……」
夢追「はい?」
夜渡「ちょっとこっち来なさい」
夢追「はい」
夜渡「……アンタね、いーい?何があったか知らないけど若い身空で自棄になっちゃだめよ!」
夢追「へっ!?」
夜渡「そりゃアンタだって若い身体持て余すことだってあるかも知れないわよ」
夢追「えっ?えっ?」
夜渡「でもほら、今しか出来ないことだって一杯あるでしょ?なんか、ほら!ね?」
夢追「えっ?あの」
夜渡「なんかあったらおねーさんが助けてあげるから!大丈夫!」
夢追「えっ、何で私こんな心配されてるんです?」


■その3

夢追「こんにちはーバロネスさんまたまた来ちゃいましたー」
夜渡「あーらいらっしゃい。アラ、今日は一人なのね」
夢追「どうもー」
夜渡「ちょっと待ってて。飲み物入れるから」

***

夢追「あー、コースターに使ってくれてるんですねー」
夜渡「2回くらい武器にも使ったわよー」
夢追「おおー……ん?社?ああ、そう。気の抜けたのをバロネスさんに……」
夜渡「どうしたのアンタ?いきなりぶつぶつ」
夢追「あ、すみません。私の服とちょっとお話を……うん、そうそう」
夜渡「服と……?アタシには何も聞こえないけど」
夢追「ああ、私にしか言葉が聞こえないみたいで……えっ、いやそんなこと……」
夜渡「……」
夢追「……はい、失礼しました。えっと、何の話をしていたんでしたっけ」
夜渡「……ね、アンタ」
夢追「はい?」
夜渡「ほら、このデザート、アタシのおごりだから遠慮せず食べて」
夢追「え、いいんですか?ありがとうございます!」
夜渡「……ね、何か悩みがあるなら、おねーさんが相談に乗るから」
夢追「へっ!?」
夜渡「大丈夫よ。アンタが思っている以上に、世の中はアンタに優しいんだから!」
夢追「えっ、何で私こんなに可哀想な子を見る目で見られてるんです?」
夜渡「アタシはこう見えて結構人の相談事には良く乗ってるんだから!安心なさいな」
夢追「えっ?えっ?」
社「(全く安心できない人生相談ですね……)」



仲良き事は美しきかな<終>

275minion:2012/05/07(月) 23:53:18
一くん×葦菜のいちゃいちゃ新婚さんSSできましたー。耐性の無い人が読むと頭がおかしくなって死ぬ。あと、あやまださんは悶絶して死ぬ。それとminionはノードラッグです。
tp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=1039190
SS読むのだるいよ! って人はこちらだけでも。これもう嫁ってことでいいですよね!
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=27106096

276フランソワ:2012/05/09(水) 16:53:33
わーい、フランとゴリラのミニゲームできたよー

●フランとゴリラの絵合わせゲーム
tp://ipusiron.seesaa.net/article/269250529.html

277ヌガー:2012/05/09(水) 21:54:16
イチゴとリンゴとサクランボの場所がすぐわからなくなるのはもう記憶力の低下が始まってるせいなんでしょうかね…

278フランソワ:2012/05/09(水) 23:44:27
>>277
仕様です。

279仲間同志:2012/05/12(土) 01:06:30
ダンゲロスキャラクター同士で結婚式を開催しましたー!

tp://www32.atwiki.jp/madromanticist/

280minion:2012/05/12(土) 21:18:31
埴井葦菜、おさなづまのはだかえぷろん。一くんの嫁に貰ったので何の問題もありません!
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=27203324
通りすがりの桃尻娘が描いてくれました!

281サンライトイエローシャワー:2012/05/13(日) 18:11:41
一〇×一一のBL物。minionさん貸していただきありがとうございます。

tp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=1053482

282仲間同志:2012/06/10(日) 13:44:39
思わずやってしまいました……。真野八方SS。


長きに渡った世界格闘大会も無事に閉会し、早1年。
大会中に数々の伝説を残し、驚異的な実力と好成績を残し、そしてMVPに選ばれた男、
真野八方は、激戦で負った傷も癒え、いつも通りの平穏なバトル生活を送っていた。

そんな彼の前に、その日、希望崎学園報道部の取材と称して、ひとりの人物がやってきた。


〜〜真野八方という男〜〜


「ダンゲロス報道部より参りました、夢追中が四身のひとつ、佐倉光素と申します。
 本日は世界に名立たる魔人格闘家の取材という事で、真野さんにお話をとやって参りました」
「ああ?お前、夢追?夢追って確か死んだんじゃなかったっけか?持病の悪化だとか」
「先日、人の縁により復活しまして!四分割されましたけれどこの通りです!」
「おお、そうか」
「今はいわゆる『神』をやってます」

「そうか、よし、ぶっ殺す」
「ギャー!」


――――――


「いきなり何をするんですか!」
「俺は神だとか調子に乗ってる奴が大嫌いなんだよ!」
「ええー……」
「でもお前、神だとか言ったわりに、特別強い訳じゃないんだな」
「いや私これでも魔人として結構強いんですけど……真野さんが強過ぎるだけで……
 じゃなくて!別に神だからって強いわけではないんですよ!真野さん神について誤解してるでしょう!」
「誤解だぁー?」
「私の言う神というのは一神教の神でも、インド神話なんかに出てくるとんでもない力を持った神でもなく!
 古き日本の原始信仰的な、自然や事象に夢を見出し、その夢に輪郭を与え、そうして生まれる――」

「そうか、よし、ぶっ殺す」
「ギャー!」


――――――


「せめて話を聞いてくださいよ!」
「小難しい話なんか聞いてられるかよ!」
「ええと、じゃあ!神って言葉を使ったから真野さん誤解したんです!
 えー、私は桜の花弁で出来てますんで、桜の妖怪とか!妖精とか!そんなんでどうです?」
「なんかずいぶんランクダウンしたな」
「そもそも同列なので別にダウンはしてないんですけど……そ、それならお話を聞いてくれます?」
「ところでお前、俺の投げを何発も喰らって元気だな。もしかして不死身だとか、そういうアレか?」
「ああ、それは力を減じることなく同一の分身体を生み出す、分霊という技で対処してまして、
 さっきから投げられるたびに交代していて……まあ見た目不死身に見えないことも……」

「そうか、よし、ぶっ殺す」
「ギャー!」


――――――


「そもそも真野さんはどうしてそんなに神だとか不死身だとかが嫌いなんですか!」
「そういう輩は自分に都合の悪いことを無視しやがるからだ!ちゃんと苦しんで生きやがれ!」
「お、おお……なんだか男らしい理由。ちょっとグッときました……が!
 都合の悪いことなんていくらでも背負ってますよ私!死ぬ時は死にますし!」
「あぁん?そんなこと言って人間にとっちゃどうでもいいことをガタガタぬかすんじゃねーだろうな」
「素敵な恋のお相手がいないんですよ私っ!
 元々同一の存在だったかなめとかほづみはしょっちゅう惚気て……うう羨ましいっ!」
「お……おう。すげぇ庶民的な悩みだな……いや、なんか悪かった。俺も色恋沙汰では悩んでるしな」
「ああ……真野さんもわかってもらえます?」
「おう。惚れた云々ってのは厄介だからな……思い出して頭痛くなってきやがった」
「あ、そうしましたら私がちょっと奇跡のおすそ分けをしますよ!これでも恋愛成就の神社やってますし。
 分かりあえた記念にひとつ。私の能力で真野さんに運命のお相手との縁を引き寄せてみましょう」
「ああ?うさんくせーな」
「バタフライエフェクトから望む事象を奇跡的に引き寄せる……発火点はコイントスでもなんでもいいので……
 あ、お金持ってないや。えっと、じゃあちょうど持っていたこのお菓子で。これをぽいと投げればそれだけで……」

(ぽーん)

「あー!爆弾もなかがおそらを飛んでるー!」
「げっ!この声!?」
「お、聞き覚えのある声ですか?成功ですかね?」
「あーーー!!!」
「げぇっ!きらら!」
「まのさーーーん!!!」
「おや、これは可愛らしい運命のお相手ですね」
「ぐあー!くっそー!夢追!てめぇ!覚えていやがれー!」
「おや真野さんどちらへ?」
「あっ、まのさんまってー!」
「うわあぁぁ!くるなぁー!くるんじゃねー!」

「いっちゃった……あ、取材忘れた……でもまあ、仲が良さそうでなによりです」


<終>

283minion:2012/06/24(日) 01:19:51
不定期一くんの嫁。守口衛子です。とてもかわいい。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=28170395
通りすがりの委員長が描いてくれましたー。

284minion:2012/06/26(火) 23:57:58

>>261より、一くんの同級生、大棟哀。気弱で眼鏡で巨乳……えろハプニングに巻き込んで下さいと言わんばかりの!
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=28235332
通りすがりのセクハラ要員が描いてくれましたー。

285仲間同志:2012/07/05(木) 00:17:10
裸繰埜夜見咲らちか応援SSを作成しましたー!徹頭徹尾女の子ふたりがいちゃつくだけ!ただし若干アブノーマル表現あり!

tp://madromanticist.shisyou.com/home/content/ss066.html

■応援作成経緯■
遡る事、流血少女。
そこで頂いた応援、『プロローグ・千坂らちか』が始まりでした tp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/39801/1313498016/201-207

お返しにと作成した上記応援の続きを作成。
『裸繰埜夜見咲らちか vs 夢追中』 tp://madromanticist.shisyou.com/home/content/ss035-2.html

するとそこへ頂いた更なる続編『鈴宮逆音vs夢追中』 tp://madromanticist.shisyou.com/home/content/ss0002.html

思わぬリレーSSとなり、そこまでして頂いたならいっそ、ずっといちゃいちゃし続ける話に変えてやる!と、
『裸繰埜夜見咲らちか vs 夢追中』 の結末を変更した応援を、今回、作成しました。

286minion:2012/07/11(水) 20:23:15
ダンゲロスホーリーランド3より、優しき暗殺者ジークリンデ・ファタイディガー。ホリラン3ではこの子が一番かわいいですね! 嫁に欲し(ry
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=28554286
通りすがりのドイツ人が描いてくれました。

287minion:2012/07/18(水) 22:48:30
SSできましたー。一くんと嫁がいちゃいちゃするだけの平和なお話です。原案協力ルフトライテルさん。今回の特別ゲストは米ットさんキャラの誰か!
tp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=1249330

SS読むのめんどくせぇ、って人はこっちだけでも。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=28716908 一&葦菜
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=28717101 一&葦菜&衛子
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=28717373 一&衛子
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=28717641 理里&ほのか

通りすがりの犬が描いてくれました。わんわん。

288サンライトイエローシャワー百合魔王:2012/07/21(土) 21:25:54
幕間と言うには試合の行方に全く関わりが無いのでこちらに投稿するにしました。
趣味が全開のエロSSなのでご注意を。
一応SS2幕間SSスレ>>87の仲間さんのSSの前日譚になってます。

tp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=1258227

289サンライトイエローシャワー:2012/09/13(木) 03:26:35
「ソーコアート・オンライン」

 5つの遺影の前で、雨竜院血雨は手を合わせていた。
白金七光、TEX−コ89、岡崎康子、神尾まほろ、そして (ピー)ちゃん、先のハルマゲドンを共に戦い、散っていった仲間たちだ。
ハルマゲドン後、勝者の番長グループも敗者の生徒会も、遺恨を残しつつ多くは穏やかな日常へと戻っていった。
血雨もその1人である。結局、雛を殺した黒幕はわからずじまいであった。ただ、あのとき現れてゴクソツに思いを告げた少女、彼女は――。

「岡崎先輩……遺影なのに目線が隠れてる……」

まるで非行少女のような扱いの岡崎にホロリと涙しつつ、血雨はこれからのことを考えていた。
まずは姉と雛の墓参りに行こう、と。

✝✝✝✝✝

290サンライトイエローシャワー:2012/09/13(木) 03:28:35

「失礼します……内人先輩!」

「やあ、血雨くん」

内人王里に会おうと電算部部室を訪ねてみれば、ちょうどそこにいた彼女は大きなスクリーンでアニメ鑑賞をしていた。人生の大半を十束学園で過ごしてきた血雨は基本的に世間知らずで、アニメやゲームのようなメディアには酷く疎いのだが、そんな彼女でもその内容の異様さは一目で判った。
何しろ、どうやらファンタジーじみた世界観に見えるがそこら中触手だらけである。モンスターはもちろん、触手が木々のように立ち並び、街中に触手の像が建てられている。血雨が見入っているうちにストーリーは進み、ボス触手との戦闘が始まる。ボスは手強く、主人公もヒロインも精力をどんどん削られていく。
主人公はヒロインが時間を稼ぐといってアヘ顔ダブルピースを晒している間に、アイテムの「夕日屋の釜飯弁当」を食って体力を回復する。

『夕日屋の釜飯弁当を食べたら力が漲ってきたぜオカマッ!』

強引にねじ込まれたタイアップで世界観からすると明らかに浮いているが、先述の通りこの手のメディアに疎い血雨は「どこかで見たことあるな」と思いながらも特に違和感を抱かない。
最後は体力を回復した主人公が触手への関節技からレイプへと移行し、ヒロインとの合体技で見事触手に潮を噴かせる。ダンジョンを姦落させた2人が倫理コードを解除し、触手や他の攻略者と乱交パーティを始めるところで話は終わっていた。

「な、なんですかこのアニメ……」

「SAO(ショクシュ・アート・オンライン)。今放送中のアニメだ。作中だけじゃなく地上波の倫理コードも無視しているところが人気らしい」

呆然といった様子の血雨の問いに、王里は答える。ゲームの世界に飛び込んだかのような仮想現実を味わえるオンラインゲームで、プレイヤーが開発者の企みによりゲーム世界に閉じ込められてしまう。現実へ戻るにはゲームをクリアするしかない。主人公は、ショクシュ・スキルを会得し、レベルをあげ触手をアサルトファックしていく。そんなストーリーなのだと王里は言う。

「面白いのかはよくわかりませんでしたけど……意外ですね。内人先輩がこんな『肉』欲の塊みたいな作品を見るなんて」

「触手はともかく、設定が好きなんだ」

あんこラテを啜りながら言う。
血雨は知らないが電脳世界を舞台にした冒険劇というのはSFではよくある題材であり、そして王里はそういった世界に憧れていた。

「彼らは排泄もしなければ筋肉痛も無いという。肉欲に囚われているのはいただけないが、私も意識だけになって電子の海へダイブしたいな、と見ていると思うんだ」

23世紀の少年のように機械の体に憧れる王里だが、彼女が考える、「肉」の煩わしさから解放されるもう1つのルートが、電脳世界への移住であった。血雨がふと彼女の顔を見れば、眼鏡の奥のいつもは濁り気味な瞳が、夢見る少女のそれへと変わっている。

「でも……「でも現実じゃ糞尿垂れ流しですよ」

血雨の台詞は合成音声によって遮られた。声のした方を振り向けばドアを開けてガシュンガシュンと部室に足を踏み入れるゴクソツの姿が。

「ヒヤリ! ハット! な、何をしに来た浮気者ッ!」

現れたゴクソツに対し、王里は飛び上がって3回転すると着地してキッと睨む。以前はゴクソツにメロメロだった王里だが、白河一との一件以来やや険悪気味であった。

続く

291piera:2012/09/18(火) 01:08:06
◆ミラと出会う前のうつる◆
〜禁断の恋故に〜


 私は恋をした。鏡に映った自分の姿に。
「きもい」
 突如として浴びせられる親友からの罵声。私は目をまるくした。あすかとさつきは私の古くからの親友だ。そんな二人が突如として私に冷たい眼差しを向けている。
 ファーストフード店の、のんきなBGMが、返って私の心を不安にさせた。
「はっきり言わなくてもきもいな」
 長い静寂の後に、さつきはダメ押しと言わんばかりにそう告げる。
「二回言わなくても聞こえてるよ!」
 私は半泣きで叫んだ。レジの前でたむろするお客たちが、こちらへ振り向くが、そんな事は気にもならなかった。
 なにせ、今、私こと加賀美濃うつるは恋をしたのだ。それも決して手の届くことのない存在に。
「あすかー! あたしどうしたらいい? こんな気持ち初めてだよー!」
 私はもう一人の親友であるあすかに半泣きで縋りつく。
「死ねばいいと思いますよ」
 しかし、あすかの態度は非常に冷たい。何でなの!? 私はこんなに本気なのに!
「真面目に聞いてよ…! 冗談とかじゃないんだよ…? 私ね、ようやく、人を心から好きだって思えたの!」
 私は身を乗り出し、真剣にそう訴える。しかし、
「……明日から話かけないでください」
 あすかは私の腕を振り解いて、あらぬ方向へと視線を向ける。
「あすかちゃん優しいなー。あ、うちには二度と話しかけなくていいから」
 さつきもそんなあすかを見て同調した。
 私は真剣なのに、酷過ぎる……!
「えぇ!? な、なんで。止めてよ…、そういう冗談」
「はは、あんたも冗談はいい加減にしろ」
 さつきはぴしゃりと私の頭を叩く。さつきは私の幼馴染だ。
「ひ、ひどいよぅ」
 けど、さつきなら、私の話を真剣に聞いてくれるはず!
「そもそもあんた話が突飛」
 しかし、さつきは呆れたような目で私を見ている。
「とっぴ?」
 聞き返すと、さつきは大きなため息を吐いた。
「いいか? 男なんか眼中にないって態度とってたあんたがさぁー、浮かれたように好きな人ができたって言うから、こちとら真剣に話聞いてやろうじゃないのって意気揚々と来ていたわけ。それが何だ? 蓋を開けてみれば、ただのあほ話。かよって言う」
 さつきは不愉快そうに乱暴にドリンクを掴むと、ストローでそれを一気に飲み干していく。
「で、でもね」
「死んでください」
 私の言葉を遮るように、あすかがそう付け加える。あすかの視線は未だにあらぬ方へ向いている。
 さすがにちょっとその態度は無いよ。

292piera:2012/09/18(火) 01:08:23
「ちょっと軽々しくそんなこと言わないでよ…! 私だって傷つくんだから」
 そうあすかに言うが、
「いや、一回死んどけよ、マジで。うちらの真剣な気持ちを返してくれ」
 さつきがそう返す。
 しかし、
「そんなの……、私知らないもん」
 勝手に勘違いしたのはそっちだよ。
 二人は互いに顔を見合わせ、示し合わせたように立ちあがった。
「そうだな。うちらの縁もここまでだったってことだな」
「そうですね」
「え!? え!? ちょっと待って! なんでそうなんの?」
 私はさつきの腕を掴んだ。しかし、振り返ったさつきの目に浮かんでいる涙を見て思わずその手を放す。
「いや、それはうちらの台詞だよ…。どんな頭の打ち方すりゃ、そんなことになるってんだよ…。病気か? 病気だと言ってくれよ…!」
 病気…。そうだよ。これは、
「恋の病……かな」
「もう……、帰っていいですわよね?」
 あすかが明らかに不機嫌な声色でそう告げる。
「あすか、もうちょっと付き合おう。きっとこれは本題の前の壮大な照れ隠しか何かだ……。そうだよな? そうだといってくれ……!」
 そんな事を言われても…。
「も、もう本題だよ? 私ね、自分に恋しちゃったんだ……。て、てへ?」
 どう答えたらいいか分からず、私は二人にはにかんで見せる。しかし、さつきは唇を噛み締め、拳を震わせた。
「帰ろうあすか。こいつはもう私たちの知るうつるじゃない」
「あ、待ってよ! まだ話は――」
「うつる! 女なら自分の恋路は自ら突き進め」
 さつきは涙声で力強く、私に背を向け告げた。
「こんな形で大切な親友を失ってしまうなんて……。あちらの世界でもお元気でね、うつるさん」
「え? え? ちょっと! ちょっと待ってよ…!」
 私が止めるのも聞かずに二人は行ってしまった。禁断の恋。それを犯してしまったがゆえに、私は大切な親友を二人も失ってしまったのだ。
 愛しの人。彼女は鏡の向こうから、いつも私を見守ってくれている。
「あぁ」
 ため息まじりに、私は手鏡を開いた。そっと鏡面に指を添える。そこにいるのに届かない。まるで夜空の星に手を伸ばすかのように、私と彼女には絶対的な隔たりがある。
「これが恋……」
 人を愛するってこんな気持ちなんだ。
 私はぎゅっと自分の胸元を握りしめる。

 I love me....

293minion:2012/09/20(木) 22:59:40
稲枝さん流血少女2名簿イラスト最多採用おめでとう記念鈴木さん。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=30256595
通りすがりの鈴木一郎が描いてくれました。

294サンライトイエローシャワー:2012/09/23(日) 01:43:32
「生徒会室」――嘗てそう看板が掲げられていた部屋には、今は「番長部屋」の看板が掲げられている。先のハルマゲドンで勝利を収めた番長グループがこの部屋を接収したのだ。

「(ああ、ここはもう生徒会室じゃないんだ……)」

元生徒会室に久々に足を踏み入れた雨竜院血雨は、部屋を見回してそんな思いを一層強くした。備品などは基本的に元のままだが、個人の私物と思しきものは当然入れ替わっており、そして当然生徒会役員は1人もいない。それに

「(『アレ』はどこにいったんだろう……)」

生徒会室で、否妃芽園のあらゆる人物・物品より存在感を放っていた「アレ」が今は影も形もない。そのことについて訪ねようした血雨だが、目の前の人物の言葉で遮られた。

「安心して雨竜院さん、別に今更何かしようってんじゃ無いから」

「は、はあ……」

血雨の様子が不安げに映ったのか安心させるように番長・阿鼻狂華は言う。後半戦で番長グループのリーダーであった獅子口チギリが戦死したため、彼女が番長と相成ったのだ。今は元生徒会長の椅子は彼女のものだ。本人は非常に嫌々であったが。

「(う〜〜ん、まあそれについても不安ではあったんだけどさ……それにしても)」

胸大きい、と血雨は心中で呟く。長身の血雨は小柄な狂華を見下ろす形となっているのだが、組まれた腕の上に鎮座する矮躯に不相応な乳房はでんっとした存在感を放っていて、血雨は自分の貧乳が恨めしくなる。

「殺し合いなんてした仲だから警戒されても当然かもだけど、それはお互い様ってことで。それより、今日呼んだのは今起こっている問題についての話……ただ、別にあなたのことは呼んでなくて、呼んだのは後ろの……」

「内人先輩……ですよね?」

血雨と共に入室した元生徒会の2人が、その後ろに控えていた。片やゴクソツ、そしてもう一方がそのロボットアームに小柄な体を抱かれた少女・内人王理。彼女は前日から意識不明の状態であった。

「いそ、粟島! 例の件について説明して差し上げて」

もう先輩ってば、などと言いながら立ち上がった少女は手元の資料を見ながら説明を始める。ここ数日で数十名の生徒が昏睡状態に陥るという事件が発生し、学園を騒がせていた。死傷者や行方不明者が出たわけでもない、今までの血生臭い事件とは違うそれについて調査を始めた番長グループは、すぐに原因らしきものに行き着く。昏睡状態となった生徒達は皆あるゲームをプレイしている最中にそうなったと思われるのだ。タイトルは「ソーコアートオンライン」、ゲーム研究会製作である。

「ゲーム研究会の部長さんは事件が起こる前日から行方不明ですが、それとこの件との関連の有無は不明です」

粟島は資料を読み進める。あまりにも怪しすぎるが証拠は無い。ゲームを配って歩いたゲーム研の部員たちは「どうして配っていたのかもわからない」などと証言していた。魔人能力によるものではとの推測も当然なされたが所詮推測の域を出ない。

「それで、生徒会の依頼でこういうお仕事をしてた電脳部さんにも調査の協力を願おうと」

「部長をお呼びしたわけなんだけど……」

その王里自身が今や件のゲームをプレイして昏睡状態である。ファンタスティックな危機管理能力を誇っていた彼女ともあろう者が、と血雨は思うがすぐにある考えに行き着く。

「(内人先輩……やっぱりゴクソツのことで)」

ゴクソツがそのロボットアームに抱く傷つけ、傷つけられた少女へと落とされた無機質なカメラアイの視線はどこか寂しげな風に見えた。

295piera:2012/09/25(火) 16:11:25
tp://ll.la/fLP8
中途半端ですが…。
練習がてらウディタ遊んでて作っちゃいました。

296piera:2012/09/25(火) 16:11:50
passはdngです。

297piera:2012/09/26(水) 08:10:52
tp://ll.la/36QJ
パスはdng

Verアップ?
オンセとピーちゃんが敵で出てくるのは変わらず。
変更内容は、
マッチョドラゴンがボス格です。

仲間は白河一と七種しちみです。
しちみを仲間にするのは難しいかも。
白河の居場所はすぐ分かると思います。

298minion:2012/09/27(木) 21:45:31
ダンゲロス最萌トーナメントより、戌井しおり。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=30407466
通りすがりの犬が描いてくれました。わんわん。

299minion:2012/09/27(木) 21:54:09
>>298はR-18という事でお願いします。

300鳩子:2012/09/28(金) 06:40:44
私もRPGつくっちゃいました。途中ですが。
tp://0006.x0.to/aaii/d_rpg.zip

遊ぶためにはRTPというものをインストールしないといけないので
tp://www.famitsu.com/freegame/rtp/vxace_rtp.html
↑から落として下さい。
game.exeクリックではじまります。

301piera:2012/09/28(金) 14:41:11
tp://ll.la/ud9G
Ver.0.13くらい?

大幅に更新しましたが、何も分からない中
手さぐりで作ってるので、色々と不具合があるかもしれません

更新内容は次レスに思い出せる限り、あげていきます。


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