[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
401-
501-
601-
701-
801-
901-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。
●事情によりこちらでSSを投下するスレ 4●
1
:
tun
:2011/08/11(木) 01:48:49 ID:???
プロバイダー規制や本スレの空気などでSSを投下できない人が、
本スレの代わりにこっちでSSを投下するスレ。
sageるとIDが???になるので恥ずかしい人にはお勧め。
811
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:07:16 ID:4SnLyINA
〜〜
「あだだだだ……」
翌朝。
ソファで寝たせいか俺の身体はバキバキだった。
時計を見るとまだ4時。
いつもより2時間も早い目覚めだ。
二度寝はみこちんに怒られるので決してしない。
立ち上がって伸びをすると、身体のあちこちがポキポキと小気味の良い音を鳴らす。
洗面所で顔を洗って、トーストとコーヒーを準備する。
起きてしまったものはしょうがないので、このまま会社に行こう。
いつもよりのんびり出勤できるだけ、得だとでも思っておこう。
朝食の後、歯を磨いてからスーツに着替える。
髭はあまり伸びない方なので、毎日は剃らない。
早めに起きてしまったので出勤する旨を書き置きして家を出る。
せっかくなので、自転車ではなく徒歩で駅まで行こう。
朝の4時過ぎともなると、流石に出歩いている人は殆どいなかった。
ランニングしている学生や、朝帰りなのか眠そうな顔をした女性がいるのみだ。
夏でもこの時間では陽は昇りきっておらず、風が吹くと少し肌寒くも感じる。
ふと、そういえば、婚約して、今の家に住むのが決まったとき、この辺を尊と一緒に散策したことを思い出す。
出勤ルートから少し外れ、通りを二つほど横断すると、ちょっと大きめの土手に出た。
幅も深さも大したことはない、小さな川。
そこに映る朝陽を見て、二人で手を握り合ったあの日。
あの日の尊は、昨夜のような不機嫌な顔ではなく、もっともっと、素敵な微笑みを見せてくれていた。
「……そうだよなぁ」
その俺の大事な人を、生涯守り切る。
あの日、この朝陽に俺は誓った。
だから、その誓いを、きちんと守ろう。
朝陽に向けて、俺は拳を握った。
812
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:07:51 ID:4SnLyINA
〜〜
いつも通りの家路を辿り、玄関の扉を開ける。
そして転んだ。
『えっ……』
頭上の尊は、不測の事態に頭がついてきていないようだ。
ふふふ……しかしそれは俺もだ……。
まさか、無意識に尊に飛びかかろうとして転ぶとは……。
だが甘いっ!!
尊に無意識に飛びかかる可能性を考え……
家の前でスクワット100回やっておいたのだ!!(クワッ‼
脚どころか腰までもうヘトヘト、これで尊に襲いかかることはもうできない……。
つまり、尊の嫌がることはできない=尊を守ることに繋がるのだっ!!
どうだ見たか? この完璧なロジック……。
「くっくっくっくっくっ……」
『だ、大丈夫か……?』
うつ伏せのままほくそ笑んでいると、心配気な声が頭上から降ってきた。
尊に無駄な心配をさせてしまったようだ。
さっさと起き上がり、スーツを軽く払って整える。
「ああ、大丈夫」
靴を脱いで尊の横を通り過ぎる瞬間、ふんわりとした良い香りが鼻腔をくすぐる。
すぐさま横っ飛びに抱きつきたいが、掌に爪を、唇に歯を食い込ませて辛うじて耐え切る。
別府タカシ、我慢の子!
いつも通り支度を整えて食卓につく。
……おや?
今日の食事はあまり栄養バランスが良くないようだ。
緑黄色野菜が添えられているものの、なんとなく肉料理が多く、味噌汁ではなくコーンスープ。
813
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:08:21 ID:4SnLyINA
どれもこれも、俺の好物ではあるが……うーむ。
…………。
…………生理かな?
女性は生理のとき、貧血になりがちだと聞くし、血を作る為に肉が食べたかったのかも……。
そう言う意味では、バランスの良い食事と言えなくもないだろう。
まあ、俺の好物でもあるのだし、感謝して味わうとしよう。
『ぉ……おい』
「んむ?」
夢中になって食べていると、尊が急に話しかけてきた。
顔を見てしまうと触りたくなるので、できるだけ顔は見ない。
『……どうだ?』
「ん?」
なんのことやら考えて見みると、そう言えばまだ感想を言っていなかった。
黙って食べているのを見て不安になったか。
ぐふふぅ、愛い奴よ。
「美味しいよ。いつも通りさ」
『…………そうか』
おや、なんだか不満気だな。
というより、拗ねているようにも感じる。
顔さえ見れればすぐに判るのだが、流石に声音と雰囲気だけで尊の精神状態を判断するのは難しい。
しかし自分の条件反射が怖くて尊の顔を見るわけにもいかず、その日はそのままろくに会話も無く、二人で床に就いたのだった。
814
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:09:04 ID:4SnLyINA
〜〜
『…………』
午前6時12分。
夫は出勤済みである。
私は朝に弱く、6時前にアラームをセットしても絶対に起きることはない。
これは二十余年の経験からもわかることで、性格というよりも生態に近く、自分でもどうしようもないのだ。
だから、ここ1ヶ月近く、早起きして出勤する夫の背中を見送ることすらできていない。
ついでに言えば1ヶ月近く夫の身体に触れておらず、さらに言えば、1ヶ月近くのセックスレスである。
『…………』
結婚数年にして、否それ以前から、夫が私に1ヶ月も触れること無く過ごすなど、もはや天変地異の前触れである。
…………。
……原因はわかっている。
私だ。
1ヶ月前のあの日、私は夫にこう言い放った。
次に許可なく私の身体に触れたら、離婚してやる、と。
それ以来、一度も私に触れてこない。
どころか、翌日からはろくに目も合わせてくれない。
だが待ってくれ!
私も私なりに謝罪の機会を作ろうと努力したのだ!
815
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:10:03 ID:???
・・・
離婚発言のその晩、私はベッドで夫がやってくるのを待っていた。
私にとってはちょっとした意地悪というか……否、それでも言い過ぎたのには変わりないが、そんなつもりで放った言葉だった。
だからそのうち、夫が私に謝りに来てくれればそれを許し、あわよくばそのままイチャイt……ゴホン。
それはそれとして、私はベッドで待っていたのだが夫はいつまでたってもやって来ない。
逆に不安になった私はベッドから起き上がり、リビングを覗いてみると、奴はソファで寝ていたのだ。
夫はとてもぐったりとしていた。
近づいてみると、寝言かうわ言か、私の名前をしきりに呼んでいた。
私は自分の発言の軽率と重さを実感し、夫が起きたらきちんと謝ろうと思った。
しかし翌朝。
起きてみれば夫の姿は無く、早めに出勤する旨の書き置きが残されていた。
私は事の重大さを思い知った。
夫はどうやら、酷く怒っているらしかった。
朝は私が起きるまで、横で頭を優しく撫でてくれている夫が、ベッドにいないどころか家にもいない。
それもそうだ。
奴は昔から、私に触れると癒されると言っていた。
いつも汗水流して私の為に働いてくれているのに、その癒しを私は奪おうとしたのだ。
下手をすれば愛想を尽かされても……最悪、他の女に……。
想像するだけで泣きそうだった。
私は商店街が開く時間になると身支度もそこそこに家を飛び出し、買い出しに向かった。
産まれた病院も同じで、乳児室のなかですらお隣同士、ハイパー幼馴染である私からすれば、奴の好みなどとっくの昔に把握済みだ。
奴が好んでよく食べる緑黄色野菜を八百屋で買い込み、肉屋で普段は買わないような高い肉を牛、鳥、豚、もちろん国産で揃える。
他にもコーンスープの材料など諸々を買い、家に戻る。
下拵えをしてから、洗濯やら掃除やらを済ませ、本格的に料理に取り掛かる。
手間暇をかけて渾身の夕食を作り上げると、丁度いい時間だった。
朝食も昼食も摂っていなかったが、空腹などどこかへ飛んで行ってしまった。
食卓に料理を並べる前に、部屋着ではなくきちんとした服に着替え、普段はしない化粧をする。
どれもこれも、奴と仲直りする為の計画の一部だった。
私の計画はこうだ。
==========
「ただいま」
『おかえり』
「わあ、今日は俺の好物ばかりだね」
『一生懸命作ったのよ』
「すごく美味しいよ! お化粧までして、いったいどうしたんだい?」
『その……昨夜のことで謝りたくて……言い過ぎだったわ。ごめんなさい』
「俺こそやり過ぎだったよ。でも、愛し過ぎるがゆえなんだ」
『わかってるわ。私も愛してるもの』
「尊……!」
『あなた……!』
キャッキャウフフ
==========
概ねこんな感じである。
馬鹿馬鹿しいかもしれないが、私はどうにも素直になれないのが悪い癖だ。
しかしそれを今すぐ直すのは難しい。
だから、自分で自分が素直になる為のお膳立てをしようというわけだ。
そして、あとは奴が帰ってくるのを待つだけだ。
816
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:10:25 ID:4SnLyINA
・・・
結果から言えば、その計画は失敗に終わった。
夫はなぜか玄関に入るなり盛大に転び、以来、私の顔すら見ようとしなかった。
私の横を通り過ぎるときは拳を固く握って歯を食いしばり、何かを必死に耐えているようだった。
食事中も、いつもなら向こうから目を見てはっきりと感想と感謝を言ってくれるのに、こちらが聞くまで無言の上、最後まで私の顔を見てはくれなかった。
寝るときは同じベッドで寝たが、寝ているときでさえも私に近づこうとはせず、奴の態度は徹底していた。
そんな馬鹿馬鹿しい計画を繰り返すこと約1ヶ月……。
今日もまた、夫は早朝出勤で、書き置きを残して行った。
正直、私の方はもう限界に近かった。
相手に触れることで癒されていたのは奴だけではなかったのだ。
『……今日帰ってきたら、素直に謝ろう……』
私は決意し、夕食の支度に取り掛かった。
そして、ようやく準備が終わったところで、奴から電話がかかってきた。
817
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:10:54 ID:4SnLyINA
〜〜
上司からの急な誘いで、飲み会に付き合わされて遅くなってしまった。
どうやら、ここのところ尊との触れ合いが欠乏し過ぎてやつれていた俺を心配してくれたようだったが、お酒はあまり得意ではないし、ありがたくもあったが実際遠慮したかった。
しかし後輩たちに押し切られ、女性社員にホステスされたりホストしたりしているうちにこんな時間になってしまった。
尊には途中で連絡したものの、『そうか』とだけ言って電話を切られてしまった。
また怒らせてしまったらしい。
ここのところ、できるだけ尊に嫌な思いをさせないように努力していたが、流石にこの身も限界が近いようだ。
顔色が相当悪いのか、取引先の方から「もっと待遇良くするからうちに来ないか」などと冗談だか本気だかわからないお誘いを受けるほどだ。
「帰ったら、土下座してでも抱きしめさせてもらおう……」
818
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:11:32 ID:4SnLyINA
〜〜
玄関を開けると、真っ暗だった。
「……?」
明かりをつけてみるが、やはり誰もいない。
いつもなら尊が俺を出迎える為に玄関の明かりをつけて待っているはずなのだが……。
リビングに進むと、ここも電気はついていなかった。
「あれ?」
食卓には夕飯がセットしてあるが、どれもこれもだいぶ前に準備されていたようで、茶碗を触ってみると、既に冷たくなっていた。
今日の夕飯も、豪華だった。
「…………」
やはり、怒らせてしまったらしい。
それもそうか。
いくら急な誘いとはいえ、これだけの準備をして待ってくれていたのを無駄にしてしまったようなものだ。
「(これも含めて、ちゃんと謝らなきゃな……)」
おそらく、尊は不貞寝でもしているのだろう。
寝室を覗いてみると、案の定、ベッドの上が盛り上がっていた。
カバンをベッドに置き、尊の側まで近づく。
まだお許しを得ていないので触ることはできないが、近づくぐらいならいいだろう。
「尊……? あのさ……」
と、そこで、毛布から伸びてきた腕によってベッドに組み伏せられた。
「痛っ……!?」
ベッドに叩きつけられた衝撃に視界が眩む。
『タカシ……』
その声に、ハッとして目を開く。
俺を押し倒したのは、尊だった。
長い黒髪が艶やかに流れ、俺の顔の横まで垂れる。
その瞳は怒りなのか悲しみなのか不安なのか、涙を湛えて充血していた。
月明かりが窓から差し込み、尊の白い肌を照らしている。
そう、尊はなぜか、全裸だった。
『タカシ…………タカシ…………タカシ……タカシ……』
尊は俺の名前をうわ言のように繰り返し、痛いほどに俺の肩を握りしめていた。
その鬼気迫る表情に、俺は言葉が出ない。
『タカシ……タカシぃ……! 他の、他の女のところになんて行かないで!!』
その言葉と一緒に、尊の瞳から、雫が零れた。
『わ、私ならお前を満足させられるぞ? お前のことはなんでも知ってるからな。感じるところも好きな食べ物も映画も漫画も女の好みも性格も全部全部全部だ! ほ、ほら今すぐ気持ち良くしてやるから……!』
「ちょっ……! み、尊っ!?」
尊が俺のベルトに手をかけ、強引にズボンを脱がそうとしてくる。
そこでようやく俺は思考を取り戻し、尊の腕を抑えて抵抗する。
『な、なんで……? わ、私の体じゃ満足できないか? な、なんでもしてやる今ならなんでもするから! ヴァギナでも口でも胸でも……お、お尻はちょっと怖いけど大丈夫だお前は優しいから……
そ、それとも私のせ、性格に愛想が尽きたか? な直す直すよ? わ、私もこんな性格に愛想がつきかけてたんだ。直すまで待てないなら……そ、それなら……ほ、他の女のところに行っても
しょ、しょうがない、しょうがないけど私のこと捨て、捨てないで傍にお前の、タカシの傍に置いてくれなんでもするなんでもするからお前がいないとダメなんだお前じゃないとお前に触れていないと
お前が一緒にいてくれないなら私…………死ぬ、しか』
819
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:11:57 ID:4SnLyINA
「尊っ!!!」
聞いていられなくて、尊を抱き締めた。
その身体は夏とは思えないほどに冷え切っていて、本当に死にそうだ。
尊はまるで魂が抜けたかのように身体はピクリとも動かず、さっきまでの狂ったような言葉も止まっていた。
怒るどころではなかった。
何を勘違いさせてしまったのか、尊は俺が尊を捨ててしまうと思っていたらしい。
「そんなわけねぇだろっ……!」
力強く、抱きしめる。
「俺が、この俺が……尊のハイパー幼馴染のこの俺がっ……!!」
この1ヶ月を埋めるように。
「尊から離れるわけ……ないだろっ……!?」
強く、強く抱きしめる。
骨が折れてしまうほどに。
肉が千切れてしまうほどに。
その奥にある、彼女の心に、俺の心を繋ぐ為に。
愛を、伝える為に。
『私のこと、愛してるのか……?』
彼女の身体が震える。
「ああ……」
『私と、ずっと一緒にいてくれるか……?』
彼女の涙が零れる。
「愛してる。頼まれたって、手放さないよ」
尊の泣き声が部屋に満ちる中、満月の明かりに照らされて、俺は。
二度目の誓いを贈った。
820
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:12:24 ID:4SnLyINA
〜〜
二度目の誓いをしたあの日、尊が何であんなことになったかと言うと、単純な勘違いだった。
俺はあの日、飲み会に誘われて帰りが遅くなる旨を尊に電話で伝えた。
その時、喧しい会場からは少し離れたところで電話をしていた。
しかしそこで運悪く、一人で席を立った俺の様子を見にきた後輩(女性)が、電話中の俺に絡んできたのだ。
どうやら尊は、その声を聞いて、俺が不倫だか浮気だかをしていると勘違いしたらしい。
ただ、原因は俺にもあったようで、衝動的に抱きついたりしないように俺は尊の顔を極力見ないようにしたり、
更に、朝早く出て例の朝陽を拝むことで自戒を強めたりしていたわけだが、
それらのせいで、俺が怒っていると尊に勘違いを与えてしまっていたのだ。
それが1ヶ月も続いてからのあの電話で確信した(勘違いだが)尊は、どうにか俺を引き止めようと必死だったのだ。
そんなこんなで、あれから一週間。
「いってきます」
『うむ』
午前6時40分。
出勤には良い頃合いだ。
『あ、ちょっと待て』
尊に引きとめられて振り向くと、襟と裾を直される。
『まったく、だらしのない』
「いやぁ、昨夜尊に絞られたからぼーっとしちゃって」
『そ、そういうことを外で言うなとっ……!!』
冗談めかして言う俺と、真っ赤になって怒る尊。
可愛らしい妻を持って、俺は幸せだなぁ。
『……ちょっと来い』
袖を引っ張られ、もう一度家の中に入り直す。
『ん』
そうして、ドアを閉めるや否や、尊が両腕を広げる。
「はいはい」
俺は尊を優しく抱きしめ、髪を梳くように頭を撫でる。
尊はそれに返事をするように、俺の腰に腕を回す。
そうしてしばらくすると、尊から、一際強く抱きしめられる。
それは、もう行かなきゃの合図。
「そんじゃ、いってくる」
『……ん』
お互いがお互いに名残惜しく、離れる最後まで繋がっていたいとばかりに少しずつ離れて行く。
手と手だけが残って、その手の淵で小指を絡め合う。
「今日も愛してるぞ」
『ばか……私もだ』
絡めた小指も離れ、俺は玄関のドアを開ける。
外に一歩踏み出すと、地球を蒸し焼くように輝く太陽が俺を照らしている。
それでもこの体を包むのは、太陽の熱なんかじゃない。
821
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:12:46 ID:4SnLyINA
これは、大好きな人の温もりだ。
822
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/03(土) 21:13:25 ID:4SnLyINA
おわり
長文失礼
最近無駄に長くなりすぎ
823
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/04(日) 01:28:27 ID:???
激しくGJ!!
824
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/04(日) 02:22:26 ID:???
みこちんかわかわ
825
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/04(日) 04:28:55 ID:???
これはやばい
みこちんが可愛すぎて俺の頬がやばい
826
:
1/5
:2013/08/14(水) 00:28:32 ID:???
【ツンデレとプールへ行ったら】
夏なのでプールに行きたい。暑いからね。それだけの理由だからね。別に肌色占有率の変遷とかに興味はなくてね。スク水がどうとかどうでもよくてね。個人的には旧スクが一番好きだけどそれはどうでもよくてね。
「……後半に行くに従って本音が漏れていくのはどういう仕様なのか」
いつもの半眼がジロリと俺を睨み上げる。今日もちなみは鋭くて困る。というより、気づくと考えをひとりごちている俺に問題がある。
「べ、別に本音というわけではなくてだな……あ」
軽く声をあげると、ちなみは不思議そうに小首を傾げた。
「こほん。……か、勘違いしないでよねっ! 別に本音なわけじゃないんだからねっ!」
「…………。ばーか」
たっぷり間をとったあと、ちなみは全力で俺を馬鹿にした。
「否定はできない。だけど、我慢できなかったんだ。どうしてもツンデレ語を使いたかったんだ……!」
「……どうしてタカシはこうも馬鹿なのか。夏か。夏のせいなのか。なら夏のない国へ行って戻ってくるな。迷惑だ」
言葉以上に迷惑そうなしかめっ面で、犬でも追い払うかのようにシッシってされた。シッシって。
「ウッシッシ。なんちて。うひゃひゃ」
「……そこまで追い詰められてたなんて。……私にできることなら、なんでもやる。……だから、リハビリ、がんばろ?」
結果としては大成功なのだが、ちなみの哀れみの視線がどうにも辛いよ。つーか、なんだ、リハビリって。
なんでもやるとか言ってたので、一緒にプールに来てみた。
「も、もちろん水着DEワッショイですからね! プールですから! プールなので水着も変じゃないですから! もちろん将来的には一緒にお風呂に入った時に水抜き穴から手を入れる予定ですから、これは予行演習ということでよろしいでしょうか」
プールの監視員達からのものすごい熱視線を受けながら、一人ちなみを待つ。女性の着替えは時間がかかるものだ、男たるもの、どっしりと構えていたいものだ。
「さてはて、ちなみはまだかな?」ソワソワソワソワソワソワソワソワ
「……その動きは法に引っかかる。即刻やめるべき」
「お、俺のどっしりとした構えが犯罪だと!? どういう了見……」
くるりと振り向くと、そこに紺色の人魚がいた。
「……いったいどこにどっしりなんて擬音が存在するのか。……外宇宙にまで探検しても見つからないに決まってる」
いた。ここに俺の天国が。旧スク天国が今ここに。
「……じ、じろじろ見ない。ばか」
「ああ。あああ。ああああ」
肩にかけてたパーカーを着られてしまった。うすぺたい乳を隠され、これでは魅惑のデルタ地帯を鑑賞することしかできない。
「まあ、それは、それで」
827
:
2/5
:2013/08/14(水) 00:29:03 ID:???
「……う、うう。一体どこまで変態なら気が済むのか」
「はっ」
気がつけば、ちなみの下半身に鼻息が届くほど間近に迫り、全力で凝視していた。恥ずかしげな顔でこちらをちらちら見ているちなみが可愛い。
「恐るべきは、スク水の魔力か……!」
「……いや、衆人環視の中、女の子の下半身を凝視できるタカシの精神力の方が恐ろしいと思う」
成る程ちなみの言う通り周囲は夏休みということで人でごった返しており、さらにこちらをちらちら見つつヒソヒソ囁き合っており、さらにさらに言うならちなみは一見小学生的であり、これはもう完全に俺が変質者。
「ち、ちなみ、友人のちなみ。向こうの人があまりいないプールに行こう、すぐに行こう。楽しく一緒に遊ぶんだねぇー」
「……ちなみに、また、あの白いの飲ませるの?」ウルウル
はい出た、出ましたよちなみさんの秘技、幼女変化! 子供っぽく振る舞い、俺に致命的ダメェジを与える秘技! 主に社会的に致命的な被害があり、結構な確率で通報されるのでやめてください。
というわけで、もう何を言っても俺が加害者のイメージは覆そうになかったので、ちなみを脇に抱えて全力ダッシュ。
「お。おお。おおおー」キラキラ
抱えられたちなみは楽しそうで何よりだが、監視員達が無線で何か連絡をとりあってるのが視界の端に映ってたのがどうにも気にかかる。
「はぁはぁ……。あのなあ、ちなみ。ああいう冗談はお前の容姿と相まって洒落になんねーから、なるべく抑えるようにしてくれませんかねェ……?」
「……善処する」
「この政治家め」
「……秘書がやりました」
「政治家だ!」
「……えっへん」
よく分からんが胸を張っていばってるちなみの頭をなでつつ、ふと先ほどの発言を思い出す。
「つーか、白いのを飲ませるってなんだ。そんな非道なマネしてねーぞ」
「……前に、タカシの家に行った時に、カルピス飲んだ」
「あー。なんつーベタな」
「……白くてベタベタした液体を、タカシが無理やり私に飲ませた」
「無理やりじゃねえ。おかわりしてたし」
「……普段飲まないから、結構おいしかった。次遊びに行ったら、また出せ。濃いのな、濃いの」
「あー分かった分かった」
なんとなくちなみをなでながら周囲を見回す。ここはただの大きなプールだ。しかも結構な深さがあるため、人影は先ほどのレジャープールに比べ、あまりない。
「俺なら肩まで浸かる程度で済むが、ちなみのような幼女気質の人間の場合、ものの数秒で頭まで沈み溺れ死ぬこと請け合い」
「……その場合、絶対に道連れにしてやる」
手近な椅子にちなみのパーカーをかけてから、暗い笑みを浮かべる死神を連れ、件の深いプールへ。
828
:
3/5
:2013/08/14(水) 00:29:24 ID:???
「おお。こりゃ結構深いな。大丈夫か、ちなみ?」
「……へ、へっちゃら」
と口では言ってるが、常に泳いでいないといけないため、結構大変そうだ。顔にいつもの余裕がない。
「大丈夫か? 他のトコ行くか?」
「へっ、へっちゃらと、言ってる!」
「へーへー。疲れたら早めに言えよ、素早く上から押さえつけるから」
「……今こそ、道連れの時……!」
「うわっ」
がしっ、とちなみが抱きついてきた。……いや、今の擬音は間違いだ。
ふにょん、とちなみが抱きついてきた。
「え、ええと、ええぇとだな、その、間違いでなければ、その、俺の、俺様の黄金の右腕にだな、その、ふにょりと柔らか物質的な物が」
「…………」
ちなみは黙って頬を染めている。困ったような顔で、こちらをちらりちらりと伺っている。そんなの、こちらも困ってますよ!
「まあ、その、事故的なものですし、ええと、その」
「……う、うぅ。貧乳のくせにあててんのよをするとか笑止、とタカシは言う」
「言ってねえ!」
「……え、ええと。……一応、私のおっぱいです」
「分かってるよ! 何の謙遜だよ! びっくりしてんだよ!」
「……あまりの小ささに?」
「女体の柔らかさに! あっ」
「…………」
言わなくていいことを言いました。なぜなら、ちなみの顔がもう目に見えて赤くなっているから、言わなくていいと分かったのです。
「……えろ。タカシのえろ。えろー」
片手で俺に抱きついたまま、空いてる手でちなみがパシャパシャと俺に水をかけてきた。
「すいません。すいません」
「……このままではプールの中で犯されてしまう。エロ同人みたいに」
「そんな同人見たことねえ。AVではあるが」
冷静になりました。色々どうでもいい。
「はぁ……何もしてねえのに疲れた。しばらく泳ぐのはいいや、ぷかぷかと漂うことにする」
「……さながらタカシの人生のよう」
829
:
4/5
:2013/08/14(水) 00:29:49 ID:???
「人の人生をクラゲみたく言うない」
「……ふふり」
薄く笑って、俺の隣にぷかりとちなみが浮く。……が、すぐに沈んでしまう。
「……むぅ。浮かない」
不満げな顔で、ちなみが浮上してくる。
「脂肪が少ないと浮きにくいらしいな。これは全く関係ないが、おっぱいってのは脂肪の固まりらしいな」
「…………」
ちなみが無言で自分の胸をぺたぺた触った。心なしか悲しげだ。だがそれも一瞬のことで、こちらを見るとニヤッと笑った。
「……そのおっぱいを、タカシは先程どう評価したっけ?」
「ぐぅ」
正直ぐうの音も出ないが、悔しいのでぐうの音を絞り出す。
「……ふふり」
満足げに微笑み、ちなみはさっきと同じように俺の腕に抱きついた。
「お、おい」
「……別に、抱きつきたいわけじゃないもん。……脂肪が少ない、スレンダーな体つきだから、無駄に脂肪がついてるタカシにくっついて、一緒に浮かんでるだけだもん」ギュー
「別に俺はデブじゃないデブー」
「……急にデブ語を駆使しだした。はろはろー」ムニー
「腹を押すない。あ、そだ。浮き輪でも買うか? それなら俺にくっついてなくても浮かぶと」
「いらない」
「え、いや、でも」
「節約は大事。いらない」
「や、そんな高いものでもないし、それくらいなら」
「いらない」キッパリ
「……まあ、そこまで言うなら」
普段のだらだらとした口調ではなく、はっきりいらないとちなみが言う。経済観念のしっかりした娘さんで感心する。将来はこういうのを嫁にしたいね。貧乳だし。
「ん。いらない。節約大事。ちょー大事」ギュー
「……気のせいか、それ以外の何らかの目的を感じるのだが、気のせいだろうか」
「気のせい。タカシは勘が鈍いのだから、気のせいに決まってる」ギュー
「そうなのだろうか」
「そうなのだ」ムギュー
830
:
5/5
:2013/08/14(水) 00:30:11 ID:???
「先程から抱きつくというよりしがみつくという方が相応しいほどくっつかれてるのだが、それは関係ないのだろうか」
「ない。一切ない。これはただの浮き輪代わりにタカシを利用してるだけ。まったく、すぐ勘違いをする。これだから童貞は困る」
「妄想の中では億を超えるほど女性と交わってますが!?」
「……それで、一体どういう反応を期待しているというのか」
「『超すごい。抱いて』という反応」
「…………。超すごい。抱いて」
一瞬ものすごい蔑みの視線を受けたが、それでも言ってくれるちなみの優しさに感激するが、それ以上のむなしさに襲われたのでどうにもできない。
「……期待通りの反応なのに、どうして悲しそうなのか」
「よく考えたら全然すごくない上に、こんなので抱いてと言う人間なんて存在しないと気づいたから」
「……当然だ、ばーかばーかばーか。どざえもんになって死ね」
「今この瞬間に僕土左衛門になったら、もれなくお前もぼくドラえもんの妹になるがよろしいか?」
「……脅迫された。……水中でえっちなことをされるに違いない」
「してねぇ」
などと益体もないことをのたのた言い合いながら、ちなみにしがみつかれたり背中に乗られたりされました。色々柔らかかったです。
831
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/14(水) 02:07:17 ID:???
はうううううう!
うううううう!
832
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/14(水) 03:23:12 ID:mHrZcYPk
ニョワワワワ
833
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/14(水) 07:11:22 ID:???
これだからちなみんは可愛い!!
834
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/14(水) 16:17:33 ID:???
ちなみんは可愛いなあ!可愛いなあ!
835
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/18(日) 19:51:19 ID:???
>>830
GJ
ちなみんのちっぱいに吸い付きたい!
836
:
初めてはレモン味
:2013/08/30(金) 00:04:54 ID:ye//j46.
(
>>742-747
>>761-764
>>768-773
とかの続き)
『お兄』 ガチャ
「の、ノックしろばか」 ビク
『……なにしてんの?』
「は? 別に」
『メール?』
「……別に」
『…………あっそ』 ボフ
「…………」 ポチポチ
『…………』
「…………」 ポチポチ
『…………』 グイー
「……覗くんじゃねーよ」
『気のせい』
「いや気のせいじゃねーから」
『気のせい』
「はいはい……」 ポチポチ
『…………』
「…………」 ポチポチ
『……お兄』
「んー?」
『ユキって誰?』
「…………は?」
『メールの人』
「は? なにお前勝手に見たの?」
『このまえちょっと見えただけ』
「いつだよ」
『このまえ』
「……あっそ」
『…………』
「…………」 ポチポチ
837
:
初めてはレモン味
:2013/08/30(金) 00:05:14 ID:ye//j46.
『ねぇ』
「……なに」 ポチポチ
『ユキって誰なの?』
「知らねーよ」 ポチポチ
『は?』
「ユキなんて名前のヤツのアドレスねーから」 ポチポチ
『……なんで嘘つくの?』
「ついてねーよ」 ポチポチ
『……このまえ見たもん』
「しらねーよ」 ポチポチ
『…………見た』
「はいはい」 ポチポチ
『…………』
「…………」 ポチポチ
『………………彼女?』
「……はぁ?」
『だって隠すから』
「だから彼女いねーから」
『……別に隠さなくてもいーじゃん』
「だからいねーって……」
『…………』
「…………」
『…………』
「……はぁー……お前さぁ」
『…………なに』
「自由の『由』に希望の『希』だろ?」
『…………』
「これ『ユキ』じゃねーから。『ヨシキ』だから」
『…………』
「わかった?」
838
:
初めてはレモン味
:2013/08/30(金) 00:05:34 ID:ye//j46.
『…………』
「…………」
『…………』
「…………」
『…………マジ?』
「電話してみるか?」
『……しなくていい』
「…………」
『…………』
「…………」 チラ
『…………』
「……なに照れてんの」
『照れてない』
「耳赤いぞ」
『うるさい』
「勘違いしてごめんなさいは?」
『……うるさい』
「…………」
『…………』
「…………」
『……死にそう』
「…………」
『…………』 ムク
「…………」
『…………』 スタスタ
「……おい」
『…………なに?』
「枕は置いてけよ」
『うるさい』
「いやそれ俺の枕だから」
839
:
初めてはレモン味
:2013/08/30(金) 00:06:06 ID:ye//j46.
『……今顔見られたくない』
「…………ほーん」
『…………』
「…………」 スタスタ
『ぇ……? ……あ、ちょっと……』
「なに?」 スタスタ
『ちょっ、なに? こっち来ないでよ』
「気のせいだって」
『いやわかるから。お兄の気配がするから』
「忍者かよ……」 ガシ
『やめっ……ちょっとやめてって』
「枕取り返すだけだから」 ググ…
『わかったわかった返すから』
「から?」
『ちょっと目ぇつぶってて』
「なんで?」
『…………今顔見られたくないから』
「はい無理ー」 バッ
『あっ……!』
「…………」
『…………』
「……なにニヤニヤしてんの?」
『してない』
「すげーしてるよ」
『してないって』
「なに? 嬉しいの? 由希が彼女じゃなくて嬉しい?」
『うるっさい』
「じゃあなに?」
『お……お兄の顔面が破滅的に面白いから……』
「……へー……」
840
:
初めてはレモン味
:2013/08/30(金) 00:06:31 ID:ye//j46.
『……なに』
「…………」
『…………』
「…………」
『…………?』
「…………なぁ」
『……なに』
「…………キスして良い?」
『……は? …………は!?』
「…………」
『……は……え?』
「…………」 ヒョイ
『ちょっ……!?』
「…………」 ポイ
『った……!』 ボフ
「ほら、目ぇつぶれ」
『え? え?』
「すっから目ぇつぶれって」
『な、なんで……?』
「お前が可愛いからだろ」
『ぇっ……』
「…………」
『ぇっ、ぁっ……』 キュッ…
「…………」
『〜〜〜っ……!』
「…………」 スッ…
ベチ
841
:
初めてはレモン味
:2013/08/30(金) 00:07:12 ID:ye//j46.
『った!?』
「嘘だバカ」
『…………は? ……はぁ!?』 バッ!
「なに本気にしてんだバカ」
『は!? なんっ……!? はぁ!?』
「うそでーす。キスとかしませーん」
『っ……!! ……っ……はぁあぁああぁあぁぁああぁぁぁぁ…………』 ボフ
「ばーか」
『…………ありえん』
「はいはい」
『ありえねー……』
「希望もたせてごめんねー」
『…………別に望んでない』
「へー」
『…………はぁ……』
「…………」
『…………』
「…………」
『……ねぇ』
「ん?」
『……誰にでもこんなことすんの?』
「は? しねーよ」
『ほんとに?』
「ほんと。マジ」
『…………なにそれ』
「別に」
『…………』
「…………」
『…………お兄』
842
:
初めてはレモン味
:2013/08/30(金) 00:07:50 ID:ye//j46.
「なに」
『……キスしよっか』
「したいの?」
『…………うん』
「ふーん」
『…………』
「……いいよ」
『…………はぁ』
「顔上げろって」
『どーせまたデコピンでしょ』
「しねーよそんなこと」
『……さっきした』
「さっきのは嘘だし」
『…………』
「…………」
『…………』 ムク
843
:
初めてはレモン味
:2013/08/30(金) 00:09:15 ID:ye//j46.
『』
844
:
初めてはレモン味
:2013/08/30(金) 00:09:38 ID:ye//j46.
「ん…………」
『…………』
「……なんか喉乾いたな」
『…………』
「麦茶飲んでくるわ」 スタスタ
『…………』
>ガチャ、バタン
『…………』
『…………』
『…………』 ボフッ
『…………』
『…………』 ピ、ピ、ピ、prrrrrr
『……あ、友?』
『なんかさぁ…………なんか……』
『……レモンみたいな味した……』
845
:
初めてはレモン味
:2013/08/30(金) 00:10:01 ID:ye//j46.
終わり
久々に湧いたので
846
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/08/30(金) 06:22:35 ID:???
相変わらずこの妹は可愛すぎて困るね!
ニヤニヤが止まらねえぜ!
847
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/12/15(日) 22:34:01 ID:???
久々に投下しようとしたら規制されていたので。
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2805.jpg
848
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/12/15(日) 22:41:16 ID:???
おお、久しぶりや〜。相変わらず可愛い。
もっと描いて欲しいわぁ
849
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/12/16(月) 05:50:05 ID:???
>>847
超久し振り!!
かなみさん可愛いwwwwww
850
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2013/12/16(月) 11:26:59 ID:???
>>847
マフラーくんかくんかしてるかなみんくんかくんか
851
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/03/31(月) 18:53:55 ID:FgFuLhrk
そんなことよりちょっと俺の話聞いてくれよ
草木も眠る丑三つ時、俺はツンデレと怖い映画観てたの
というのもツンデレオカルト好きでさ
俺は逆に怖い奴苦手なのに道ずれにしてくるの
そんでわざわざ電気消して怖い映画見るのが最近の流行みたいでさ
最初は馬鹿正直に観てたんだけど今は違ってね
そろそろおばけ出る場面になりそうだなって感じたら夜食作りに台所逃げるの
そして出終わったの見計らってラーメン持って入室
すればツンデレ、おいしそう、言うから一口あげる訳
なら映画終わった後決まって、食った分やせる、って腹筋とストレッチしてさ
俺もプニプニの足とかふっくら背中押して補助すんの
だけど補助する度思うんだけどツンデレすぐ肉付く体なのかもね、気持ちいいからそのままでも良いけど
このまま一口ずつラーメンあげてたらゆっくりと、しかし確実に太っていくだろう
つまり、ツンデレは嫌がるだろうけど、俺と結婚するしか道は残ってないね、って話
852
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/03/31(月) 18:55:09 ID:FgFuLhrk
そんなことよりちょっと私の話聞いてほしいんだけど
草木も眠る丑三つ時、私はアイツと怖い映画観てたの
というのもアイツオカルト嫌いでさ
怖い心霊写真とか見て騒いでるの可愛いから道ずれにしてやるの
そんで雰囲気出しに電気消して怖い映画見るのが最近の流行でさ
最初はアイツ私の手ギュッと握って観てたんだけど今は知恵つけてね
そろそろおばけ出る場面になりそうだなって感じ取ったらラーメン作りに台所逃げるの
アイツの作るラーメンは煮込みすぎで麺ブヨブヨ、卵グチャグチャにかき混ぜて七味ぶっかけたヤツでさ
なのに何か不思議と妙においしそうで毎回一口もらうの
だから映画終わった後食った分やせるために腹筋します
すればアイツ足持ってくれて応援してくれてさ
ついでにふくらはぎ揉んで脂肪燃焼させてくれるし
だけどアイツと違って私太りやすいから、私の真横で夜食食べるアイツにも責任ちょっとあるよね
つまり、アイツは嫌がるだろうけど、私と結婚するしか道は残ってないの、って話
853
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/04/29(火) 23:31:48 ID:???
>>851
あなたの書くツンデレが大好きです!
・姉纏さんと職業意識
弟「うぁー……ダルかったぁ……」
姉「お帰り。何やら大儀そうにしておるのぅ」
弟「就活しんどい……説明会行っただけで死にそう……」
姉「なんじゃ、そんなことかえ。そのくらいお主と同い年の大学生なら誰でもやっとるじゃろうが。あまり甘えるでない」
弟「そりゃそーだけどさぁ……こっからさらに面接とかでふるいにかけられて、それでやっとスタート地点ってなぁ」
姉「人生は長いのじゃぞ?その程度のことでくじけてどうするんじゃ!」
弟「あーあ……姉ちゃんはいいよなぁ。家業さえ継げば後は何も言われないんだからさ」
姉「何をぬかすか。お主なんぞがうちの家元になりおったら、三日ともたずに挫折するわい」
弟「つーかさ、華道の家元ってどうやって稼いでんの?具体的な金策が全然見えないんだけど」
姉「そりゃあ華を活けて稼ぐに決まっておろう。茶会に呼ばれて華を活けたり、弟子の指導に当たったりの」
弟「それって、一回幾らくらいになんの?」
姉「俗な質問じゃのう……まぁ、羽振りの良い御家なら、一時に十人の諭吉を包むところはあるかの」
弟「うへぇ……なんじゃそりゃ。就活やる気無くすわー」
姉「その代わり、衆目監視の中で一息足りとも気の抜けぬ時間が、長い時では一日中続くこともざらじゃがの?」
姉「三十分も正座がもたぬ主にはとても勤まらぬ仕事じゃわい。諦めよ」
弟「……俺、やっぱり普通に就活するわ」
姉「そうせい、そうせい」
854
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/04/29(火) 23:47:34 ID:???
・姉纏さんとファンクラブ
弟「やっぱ楽に稼げる方法なんかねーかー」
姉「当たり前じゃ。地道が近道とよく言うじゃろが」
弟「へーい……」
姉「……しかしまぁ、儂の場合は後援会の援助なんぞもあるにはあるがのぅ」
弟「後援会!?姉ちゃん、後援会なんか持ってんの!?」
姉「うむ。何やら近所の有志が儂のために集まって、地域ぐるみで後押ししてくれとるようじゃの」
弟「知らんかった……姉ちゃん超有名人じゃん」
姉「うちのような小さな華道の家元がやっていけておるのは、ひとえにその人らの力添えがあったからじゃ」
弟「へぇー、姉ちゃんってすげぇや」
姉「じゃが……年寄りの性というのか、たまに儂を着せ替え人形か何かと勘違いして、なんやかやと儂に召し物を着せようとするのは正直参っとる」
弟「そんなことまでしてくんの?」
姉「日頃世話になっておるから無下にも出来ぬのよ……おかげでずいぶんと恥ずかしい格好もさせられたものじゃ」
弟「……たとえば?」
姉「白塗りで舞妓の衣装をやらされたり、その気もないのに文金高島田を着させられたり、時代劇のような姫の衣装を着させられたり……」
弟「……そりゃ大変だ」
姉「おまけにそれを写真に収めて保存しよるからのぅ……あまり良い顔ばかりもしたくないのじゃが、困りものじゃ」
弟「……姉ちゃん。それって後援会じゃなくて、ファンクラブっていうんじゃね?」
姉「……そうかもしれぬ」
855
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/04/30(水) 22:36:49 ID:???
・姉纏さんと花嫁のヴェール
弟「姉ちゃん、いいもんやるわ」
姉「うん?なんじゃと?」
弟「ほら、これ。プレゼント」
姉「これは……?」
弟「いつも世話してもらってるお礼に。春物のストールだよ」
姉「ほ、ほほう……主にしては気が利くではないか。まさか儂に贈り物とはの」
弟「姉ちゃんに合いそうなのとかよく分かんなかったから、色は無難に白にしたけどそれで良かった?」
姉「う、うむ……」
弟「なに照れてんだよ、別に他意はないからな?」
姉「てっ、照れてなぞおらんわ!!馬鹿にするでない!!」
弟「あーはいはい……(こりゃ逆に地雷だったかな?)」
姉「……の、のう。タカシよ」
弟「ん?」
姉「これな、色が白じゃから、こーして頭から被ると、花嫁のベールのように見えぬか?」
弟「ん……まぁ、見えないこともないけど」
姉「そ、そうか!そうじゃよな!」
弟「……?」
姉「うむ、うむ!」ニコニコ
弟「なにあの笑顔……初めて見る顔なんだけど」
その日一日中、姉ちゃんはベールを被ったままやたらと俺にべたべた引っ付いて来て困りました。
856
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/04/30(水) 22:48:18 ID:???
纏ねーさんかわいい。結婚するしかない。
857
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/04/30(水) 22:55:46 ID:???
・キスの音
友「ねーねー、キスの時ってどんな音がすると思う?」
女「音?キスの音気にするなんて初めて聞いたわよ?」
友「ほら、チュッとかブチューとか、レロレロとかあるじゃん?あれ自分からはどう聞こえるのか気にならない?」
女「そんなこと考えるの友ちゃんくらいよ……」
友「だって私経験ないんだもん、やったことないことは気になるじゃない!かなみはどんな音だと思う?」
女「え、えーと……やっぱり漫画とかみたいにチュッて音がするんじゃない?」
友「ふんふん」
女「でも正直、いろんな感触とかで頭ごちゃごちゃして、音まで気が回らないってゆーか……あ、あくまで想像だけどね?」ゴニョゴニョ
友「なにそれ?まるでしたことあるみたいな言い方ね?」
女「そ、そんなワケないじゃん!!誰がタカシなんかと……」
友「……かなみ。私、タカシくんの名前出した記憶は一度もないんだけど」
女「えっ……あっ!?」
友「そっかぁー、かなみはすでにキス経験者なのかぁー、うっらやましーい。私も山田にでも頼んでやってみようかしらねー」ヲホホホ
女「ち、違っ……今のは言葉の綾だよ!!やってないから絶対!!」
友「語れば語るだけ泥沼じゃない……どんだけ嘘つけないのかしら、この娘」
このあと無茶苦茶チュッチュした。(タカシ談)
858
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/04/30(水) 23:00:33 ID:???
>>857
は中学生くらいの年齢で補完していただければ。何にでも興味津々な年頃の女の子ってかわいいよね!
859
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/04/30(水) 23:04:15 ID:???
中学生友ちゃんの唇奪いたい
860
:
帰省
:2014/05/02(金) 12:56:09 ID:p8opL50k
『ただいまー……あれ?』
『(見慣れない靴……誰か来てるのかな)』
『お母さん、お客さん来てるの?』ガチャ
「お、久しぶり」
『……』
「……」
『……』パタン…
「おい」 ガチャ
『……兄貴?』
「あー……はい」
『……なに急に帰ってきてんの?』
「実家に帰ってきてわりーかよ」
『……』
「……」
『……久しぶり』
「おう」
『……いつきたの』
「お前が学校行ってる間」
『あっそ』
「……」
『……』
「びっくりした?」
『……しt、ない』
「どっちだ」
『うっさいばか』
861
:
帰省
:2014/05/02(金) 12:57:29 ID:2LKzVuQw
「……」
『……』
「……」
『……』
「……いつまで後ろ向いてんだ」
『……別に』
「久しぶりに聞いたわ、それ」
『……ばか』
「こっち向いて」
『……なんで?』
「別に?」
『……』
「……」 グイ
『……』 クル
「……」
『……』
「化粧……するんだ、な」
『……悪い?』
「……いんじゃね」
『……』
「ピアスなんかつけちゃって」 スッ
『……穴開けたわけじゃないもん』 ペチ
862
:
帰省
:2014/05/02(金) 12:59:01 ID:2LKzVuQw
「ふーん」
『……』
「……」
『……』
「……彼氏でもできた?」
『』 ビク
「―――……へぇ」
『!! ち、っが……!』
「やっとこっち見たな」
『!』
「……なに赤くなってんだよ」
『……違うし』
「なにが?」
『……』
「……」
『……なんもしてないもん』
「だからなにが」
『彼氏』
「でもいるんだろ」
『いるけど……20人目ぐらい』
「3年で……ビッチか」
『違うってば!!』
「ぅぉっ……」 ビク
『っ……』
863
:
帰省
:2014/05/02(金) 13:00:01 ID:2LKzVuQw
「……」
『……』
「……」
『……』
<ガチャ
母『ただいまー……あら? あんた帰ってたの?』
「お? あ、おう。ただいま」
『……』 スタスタ
「……」 ガシ
『!?』
母『来る時は連絡ぐらいしなさいよ。材料買い足さないと……』
「あ、晩飯はこいつと食いに行くから」
『は?』
「いいっしょ?」
母『そうなの? じゃあゆっくりしてるわ』
『ちょっ……』
「じゃ、行ってきます」 グイ
母『いってらっしゃい』
<バタン
864
:
帰省
:2014/05/02(金) 13:00:46 ID:2LKzVuQw
〜駅〜
『ちょっと』
「あ?」
『……どこまで行くの?』
「別に、考えてない」
『は?』
「……」
『ご飯ならその辺でいいじゃん』
「まだ昼過ぎじゃん。腹減ってんの?」
『そうじゃないけど……』
「いいから」 グイ
『……離してよ』
「逃げるじゃん」
『……、……離して』
「……」
『……』
「……俺のこと嫌いになった?」
『…………は?』
「……」 プイ
『……』
「……」
『……どういう意味』
「別に」 グイ
『ちょっと……』
「いいから」
『……ばか』
865
:
帰省
:2014/05/02(金) 13:01:44 ID:2LKzVuQw
〜〜
「……」
『……』
「……」
『……』
「……」
『……ナニコレ』
「ラブホ」
『(1時間も移動してラブホ……)』
『……なんでラブホ』
「……ラブホですることなんて一つだろ」
『は?』
「……」 グイ
『あっ』 ボス
「……」 ガシ
『!』
『(手首……抑えられて……)』
「……」
『……』
「……」
『……』
「……」
『…………?』
「……」
866
:
帰省
:2014/05/02(金) 13:02:37 ID:2LKzVuQw
『……なに?』
「……いや……抵抗しないから」
『は? ……え?』
「……」
『……! ……っ』 プイ
「顔赤いぞ」
『別に』
「―――いな」 ボソ
『……なんtぇんぅっ……!?』
「……ん」
『……っ……は……ふ……』
「……」
『……いきなりすぎ』
「不意打ちじゃなかったらキスしてもいいのか」
『ばか』
「……」
『……』
「彼氏は?」
『……(今きくかフツー……)』
『……いる』
「どうする」
『……なにが』
「……する?」
『……なにを』
「セックス」
867
:
帰省
:2014/05/02(金) 13:03:30 ID:2LKzVuQw
『……』
「メイクラヴ」
『……』
「子作り」
『……妊娠させんのかよ』
「したらどうする?」
『…………別に』
「……あっそ」 パ
『……』
「……」
『……手首痛い』 サスサス
「わり」
『……』
「……」
『……』 グイ
「ん?」
『……』 ポテ
「……」
『……』
「……俺の腕より寝心地のいい枕ならそこにあるぞ」
『うるさい』
「……」
『……ドキドキしてる』
「お前が?」
『お兄が』
868
:
帰省
:2014/05/02(金) 13:04:37 ID:2LKzVuQw
「……」
『……』
「……お兄、って……懐かしいな」
『は? ……あっ』
「兄貴、なんて言うからびっくりした」
『……うるさい』
「俺のこと忘れたかと思った」
『……』
「俺のこと嫌いになったかと思った」
『……ばか』
「……」 ナデナデ
『……』
「……」
『…………お兄が……勝手にどっか行くのが悪い』
「……」
『……』
「……」 ギュム
『んむっ』
「……俺の心臓、わかるか?」
『……』 コク
「……」
『……ドキドキしてる』
「……他の女だったら、こんなんならねー」
『!』
「……」
『……』 ギュウ
「……」
『……』
「……」
869
:
帰省
:2014/05/02(金) 13:05:25 ID:2LKzVuQw
『…………めっちゃドキドキしてる』
「……俺が?」
『………………あたしが』
「……」
『……』
「……」
『……』
「……」 クイ
『ん……』
「……―――」
『……―――』
『』
「……ん」
『ん……』
「かわいい」 ナデ
『……ばか』 ギュ
「……」 ギュ
『……』
「……」
『……お兄?』
「あ?」
『……他の女って……なに?』 ギロ
「えっ」
870
:
帰省
:2014/05/02(金) 13:05:45 ID:2LKzVuQw
〜〜〜
〜〜
〜
「……はぁ」
『まったく……』
「お前だって彼氏つくってたじゃん……」
『あたしは手も握ってないもん』
「……でもいたんだろ」
『告られたから合わせただけ』
「…………はぁ……」
『……なんで出てったの』
「……」
『……』
「……」
『……言わないと嫌いになる』
「卑怯だぞ」
『ばか。はやく』
「……お前が大事だからだ」
『……』
「……」
『……』 ベシ
「いてー」
『ばか、あほ、死ね』 ベシ、バシ、ドス
「やめろボケ」 ガシ
『……』
「……なんだよ」
『……そんなこと言われたら……。…………怒れない』
「…………愛いやつ」
『…………うるさい』
871
:
帰省
:2014/05/02(金) 13:06:10 ID:2LKzVuQw
おわり
長過ぎた…
872
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/02(金) 13:08:22 ID:???
実妹との恋愛とか……ふぅ
GJ
873
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/03(土) 12:41:33 ID:???
雰囲気がドキドキする
GJ
874
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/04(日) 18:56:54 ID:PbNA3tb.
書き上がったら予想外に長くなってしもた。
14レスお借りします。
875
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/04(日) 18:57:34 ID:???
・夢なら許される
ーーーー
ーーー
ーー
男(……あっるぇー?なんだここ?なんで俺こんなとこにいるんだ?)
男(ちょっと状況を整理しよう。俺は大学のサークル仲間と飲んで自宅へ帰ってきたはずだ)
男(たしか、けっこう酔ってたからそのまま部屋でバタンキューだったはずなんだが……)
男(……俺の部屋って、こんな真っ暗だったっけ?それとも酔っ払って部屋間違えた?)
男(自分の手先足先さえ見えん……どーなってんだこりゃ?)
女「……タカシ?」
男「その声……リナか!?」
女「そうですわ」
男「お前、なんで俺の部屋にいるんだ?」
女「いるに決まってますわよ。だってここは、タカシの夢の中ですもの」
男「……んん?」
.
876
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/04(日) 18:58:20 ID:???
.
男「夢?これ夢なの?」
女「そうですわ。これは酔い潰れたタカシの見ている夢ですの」
男「あぁ……そうなんだ。だから周りが真っ暗なんだな……まるで俺の人生のようだ、ワハハハ」
女「……」
男(……ここで俺のことバカにしたり憐れんだりしない辺り、本当に夢なのかもしれん)
女「……タカシ。あなた今、私のこと考えていましたわね」
男「おえっ!?な、なんでそれを!?」
女「分かりますわよ。だって私は、あなたの夢の登場人物ですのよ?」
男「あぁ、なるほど……なんか一人でボケて一人でツッコんでるみたいだな、俺」
女「……ねぇ、タカシ」
男「お、おう。なんだ、リナ?」
女「これが夢なら、私がここで何をしても許されると思いませんこと?」
男「そりゃ、夢なんて人に許可を求めるようなもんじゃないしな……でも痛そうなのは勘弁して欲しい」
女「そう……そうですわよね」モゾモゾ
男「……なんかモゾモゾ動いてる気配がするぞ?」
女「……タカシ」ピト
男「うぇっ!?」
.
877
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/04(日) 18:59:12 ID:???
.
女「……私、ずっと昔から、タカシとこうしたいと思っていましたの」ギュッ
男「リ、リナ?胸らしきものが当たってムニムニしてるぞ?いいのか?」
女「気にする必要なんかありませんわ。だってこれは、タカシの見ている都合の良い夢なんですもの」
男「いや、夢にしてはやけにリアリティーが……」
女「タカシ」
男「あ、はい。なんでしょう」
女「愛しています」
男「へ……?あ、え、っと。い、今なんて?」
女「愛していると、言いましたのよ。現実の神野リナが、こんなことを言うとお思い?」
男「……口が裂けても言わないだろうな。ってことは、やっぱりこれは夢なのか」
女「そう。やっと納得しましたのね」
.
878
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/04(日) 18:59:55 ID:???
.
男「夢だと思うとちょっとほっとしたな……俺今どこにいるんだろうと思ってた」
女「あら。たとえどこにいようと、私からは逃れられませんことよ?」スリ
男「……夢ん中のリナって超デレデレだな。なんか逆に気味悪ぃ」
女「何をおっしゃってるの……夢の私がこうなのは、タカシが深層心理でこうなって欲しいと思っているからですわ」
男「あぁ……そうなのか。そう言われると心当たりがない訳じゃないけど」
女「でしょう?……だから夢の中でくらい、私をタカシの好きにしてよろしくてよ?」
男「え、そんなことまで言っちゃうワケ?」
女「もちろんですわよ。夢の中でしか叶わないことがあるなら、ためらう必要などありませんでしょう?」
男「そうか……そうだよなぁ。それなら……」
女「……!」ドキドキ
男「俺、昔っから決めてたんだ。夢で好きな女が出てきたら、おもいっきりキザな台詞で口説こうって」
女「……え?」
男「これはその願いを叶えろという天恵だと受け止めたぜ。覚悟しろ、リナ」
女「そういうことではなかったのだけれど……まぁ良いですわ」
.
879
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/04(日) 19:00:19 ID:???
.
女「では、タカシ。私のこと、持てる全力で口説いてご覧なさい」
男「あぁ……リナ。俺さ、初めてリナに会った時から、お前のことずっと好きだった」
女「……はい」
男「ガキの頃は、なんて高飛車でイヤな奴だと思ってたけど、今思えば昔っから、それと同じくらいお前の魅力にやられてたんだよな」
女「……そうでしたの」
女「お前がコンプレックスだって言ってたそのブロンドも、お前が疎ましく思ってたその性格も、何もかも好きだ」
女「……うん」
男「リナ、愛してる。他の何にも例えようのないくらい、お前のこと大好きだ」
女「……うん、うん」
男「別府タカシは、たとえ砂を噛み泥にまみれても、神野リナのことを愛し続けることを、誓います」
女「……」
.
880
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/04(日) 19:01:07 ID:???
.
男(……うおおおおお!!言い終わって冷静んなると恥ずかしいなんてもんじゃねえええええ!!)
男(もしかしてドン引きしてたりしないよな?してないよな!?)
女「……タカシ」
男「は、はい!!」
女「ありがとう……私、とても嬉しいです」
男「……え、マジで?」
女「ええ。まるでこの世が全て違ったものに見えるくらい、清々しい気持ちですわ」
男「……お前も俺に負けず劣らず恥ずかしい奴だな。いや夢の中なら当然なんだけど」
女「私も改めて、あなたに心を伝えることにしたいのだけれど、聞いていただけますかしら?」
男「あ……うん、どうぞ」
女「……タカシ。私も、あなたのことが好き。大好き!」
女「たとえ百年の時が経っても、私のこの気持ちを覆すことは、叶いませんわ!!」ギュゥゥッ
男「おおう……なんて情熱的な告白。お前こんなキャラだったんか」
.
881
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/04(日) 19:01:38 ID:???
.
女「あぁ……胸がドキドキして止まらない。タカシにも聞こえていまして?」
男「いや……言っとくけど俺の心臓もすげぇバクバク言ってるからな。相殺されて何も聞こえん」
女「そう……私の言葉でそうなったのなら、女冥利に尽きますわね」
男「なぁ、リナ……お前今、どんな顔してる?」
女「……どんな顔、って言いますと?」
男「真っ暗でお前の顔が見えないから、本当に喜んでるのかワカンネーんだよ」
女「……喜んでますわよ。でも、嬉しいのと同じくらい泣きたいような気持ちにもなっていますの。なんでかしら?」
女「タカシには到底見せれない、泣き笑いみたいなおかしな顔をしていると思いますわ」
男「そっか……見たかったな、お前の顔。夢から覚める前にさ」
女「……あのね、タカシ」
男「なんだ?」
女「タカシがそこまで言うなら……私の顔、見せて差し上げてもよろしいですわよ?」
男「……え?」
*鼹鼹顥僖船鵐*
.
882
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/04(日) 19:02:19 ID:???
.
男「え、ちょ、おま……」キョロキョロ
男「ここ、俺の部屋じゃねーか!?」
女「ええ」
男「ええ、じゃねーよ!!お前人の部屋で何してんの!?」
女「タカシが酔い潰れて玄関開けっ放しで寝ていたから、イタズラを仕掛けましたのよ?」
男「イタズラって……あれ!?よく見たら家具の配置とか変わってる!!それに窓も……」
女「もちろん私一人では手に余りますから、協力者はいますけれどね」
女「もう出てきてもよろしくてよ。友子、山田さん」
友「はいはーい」ヒョコッ
山「おーっす」ヒョコッ
男「げえぇっ!?」ビクゥッ
.
883
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/04(日) 19:02:47 ID:???
.
男「お前ら……いつからここに?」
友「最初からに決まってるでしょ」
山「タカシの恥ずかしい台詞も全部聞いてたよー」
男「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!嘘だろぉぉぉぉぉぉぉ!!」
女「本当ですわよ。私が二人に頼んで、押し入れに待機してもらっていましたから」
友「そこの窓に貼ってある暗幕、私が写真の現像に使う時のヤツよ。光が外から漏れてこないように目張りしてたの」
山「あとは体に触れそうな家具をどけて、音の鳴る物を隠せば、夢を演出する真っ暗闇の出来上がりってことだよ」
女「それにしても、あそこまで簡単に夢だと信じるとは思っていませんでしたけれどね」
男「うるせー!!俺だって途中から薄々勘づいてたわ!!」
男「俺とリナしかいないと思ってたから、お前に乗っかってやったのに……」
女「あら、そうでしたの」
.
884
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/04(日) 19:03:54 ID:???
.
男「だいたいなぁ、こういうイタズラは夢のままで終わらすもんだろーが!!ネタばらしまでしたら興醒めだろ!?」
山「なんかスッゴい理不尽な怒り方してるなぁ……」
友「でも、そこは私も不思議だったのよねぇ。たしか最終的にタカシを強引に寝かせつけて、夢だと思わせたまま帰るつもりじゃなかったの?」
女「だって……あまりにも喜びが勝ってしまって、夢で終わらせるのがもったいなく思えてしまったんですもの」
男「うぐっ……そ、そういう言い方をされると怒りにくいな」
女「けれど、イタズラの最中に私が口にした言葉に、嘘偽りはありませんわよ?タカシはいかがですの?」
男「そ、そんなもん……本心に決まってるだろーが……」ブツブツ
友「本心であんなこと言えるのってすごい才能よねー」
山「天然ジゴロだね、タカシは」
男「そこ!うるさい!」
.
885
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/04(日) 19:04:38 ID:???
.
男「ああああ……いっそ全部本当に夢だったら良かったのにぃぃぃぃ……!!」
友「わー、すごーい。本物のレイプ目って初めて見た。写真撮っとこ」
山「友ちゃん……それはさすがにタカシが可哀想だから自重してあげよう?」
女「……私は、夢だったら良いなんて思いませんわ」
女「だって今夜は、私が長年胸に募らせていた思いが、叶った日ですもの」
男「お前はいいよ、イタズラ仕掛けた側だからダメージは少ないだろーさ……」
男「俺はこっ恥ずかしい告白の台詞聞かれて、半永久的にからかわれることが確定してるんだぜ……?」
女「全く、呆れたダメ人間ですわねぇ。そんなことでヘタレていて、私への責任が取れると思ってますの?」
男「……は?俺に何の責任取る必要があんだよ?」
女「分かっていませんわねぇ。それなら説明して差し上げますわ」
.
886
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/04(日) 19:05:06 ID:???
.
女「いいですこと?これが夢の中なら、あなたも私も、何をしても許されますの」
男「あ、ああ……そんなこと言ってたな」
女「けれど、ここは夢ではなく現実ですわ。現実なら、自分の言動には責任を取れなければならない」
女「それくらいは、いくらあなたでも存じてますわよね?」
男「なんという我が儘な理屈……こっちはハメられただけなのに」
女「それが出来なければ、あなたの言う嘘偽りない言葉は、その程度の物だったということになってしまいますわよ」
女「あなたそれでもよろしいのかしら?」
男「ああ、分かった、分かったよ!!責任取って、俺がお前を世界一幸せにしてやるよ!!これでいいのか!?」
女「そんなヤケクソで、私を幸せになんか出来ると考えない方がいいですわよ」
女「だって私、もうすでにこの世で一番幸せな女に、なっていますもの」
男「ぐぬぅっ……そこまで言われちゃ、俺も腹括らない訳にはいかないじゃんかよ」
.
887
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/04(日) 19:05:36 ID:???
.
友「あーあ、なんて言うか、私ら壮大なノロケを聞かされただけだったみたいねぇ」
男「の、ノロケってなんだよぉ!!こっちは被害者だっつーのに!!」
山「僕らはもうおいとまするから、タカシは神野さんと親睦深めてなよ」
男「うっせ!!二度とくんな!!」ペッペッ
友「あ、そーそー。それとねタカシ。リナは敢えて言わなかったけど、その娘ホントは今夜、あんたと既成事実作っちゃうつもりだったんですって」
女「と、友子!!それは言わない約束でしょ!?」
友「だってあんたたちばっかり幸せそうにして不公平なんだもーん」
山「もしそうなってたら、僕らはこっそり外出とくつもりだったんだけどね」
男「おいおい……お前らどんだけ用意周到なんだよ……」
友「でももしかしたら、リナはまだそのつもりでいるかもしんないわよー?」
山「殿、ゴムはこちらに。あとは貴殿の心次第にございます」スッ…
男「ここへきて山田もノリノリに!?お前らの用意したゴムなんざ怖くて使えねーよ!!」
友「ま、そゆことだからリナをよろしくねー!」
山「じゃあね。結果は明日聞かせてくれればいいから」
男「おい、待てお前ら!!おーーーーーーーーーい!!」
.
888
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/04(日) 19:06:12 ID:???
.
男「バカ野郎どもが……ゴムだけ残して行きやがって……!!」
女「……」
男「あー、リナ。あいつらの言うこと真に受ける必要ないからな?告白した当日に関係持つなんてエロゲみたいな展開、いらんよな?」
女「……わ、私は……別に、構いませんことよ……?」
男「え、いやいや。そりゃお前はそのつもりだったからいいかもしれないけど……」
女「夢の中で致してしまうより、こうして現実でタカシを感じながらの方が、良いに決まってますわ」
男「お前なぁ……ちょっと落ち着け。俺だって酒抜けきってないんだから、何するか分かったもんじゃねーぞ?」
女「……意気地無し」グィッ
男「うおっ!?」
女「……私が良いと言っているのだから、私の言う通りにすれば良いでしょう!」ガバッ、チュウゥゥッ!!
男「んっ、んんーーーーーーーッッッ!!?」
……その日、俺の初めては、リナからの逆レイプで奪われました。多分世界一幸せな逆レイプだったと思います。
<了>
.
889
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/04(日) 19:07:13 ID:???
おしまい。
>>881
の最後の行が文字化けしてますが、「パチン」という電気をつけた音が入ります。
もう少し夢の中でイチャイチャさせてみたかった。
890
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/05(月) 09:59:47 ID:???
GJ
夢オチの流れからの責任取らせるあたり周到だなww
891
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/06(火) 21:37:34 ID:???
>>870
すんばらしい……GJ!
>>889
リナ強引かわいいよリナ
892
:
おじさまと
:2014/05/20(火) 22:36:15 ID:???
午後10時。駅前広場の中央、ヘンテコな形のオブジェの前。
そこがいつもの待ち合わせ場所。
「(……いた)」
コートのポケットから片手を出し、口元まで覆うマフラーを少し緩めて歩き出す。
10歩手前ぐらいのところで、少し背の高めの中年男性が、私に気付いて手をあげた。
「やあ、今日も寒いね」
「……ども」
気さくな雰囲気のおじさまは、地味な色のスーツの上に地味なコートを重ね、全体的にくたびれている。
顔の皺と頭髪に混じる白髪が、アンティークのような程良い年季を感じさせる。
私がこれからこのおじさまとしようとしているのは、世間で言うところの、所謂『援交』だ。
『援交』と言ったら、嫌悪感を示す人は少なくないだろう。
売女と蔑む人も、頭も股も緩い女と馬鹿にする人もいるだろう。
しかし一口に『援交』と言っても、その内容は二つに大別できる。
要するに、身体を『許す』か『許さない』かだ。
私がしているのは後者である。
お金のために身体を許すなんて馬鹿げてる。
でも、お金は楽に稼ぎたい。
一回会って、ご飯を一緒に食べたり、ちょっとお話するだけで5千から2万。
身体を使わない分貰えるお金は減るけど、それでも小遣い稼ぎとしては十分な金額。
世の中には性欲と金を持て余した変態だけではなく、ただ寂しさを埋めたいだけの大人もいるということだ。
「それじゃあ行こうか」
「うん」
他人からすれば、もしかしたら父娘に見えなくもない年齢差。
横に並んで歩く時の、赤の他人よりも僅かに近いその半端な距離が、そのイメージを更に強くさせる。
「今日の学校はどうだった?」
「別に、いつもどーり」
「そうかい」
歩きながら話すその内容も、簡素で他愛ない。
まるで、娘との付き合い方がわからない父親と、父親への反抗期が抜け切らない娘のような会話だな、と頭の隅で思った。
〜〜
893
:
おじさまと
:2014/05/20(火) 22:37:18 ID:???
〜〜
駅前の通りから少し外れ、行きつけの24時間営業スーパーに入る。
何をするためかと言えば、もちろん買い物をするためだ。
とは言っても、出来合いのお惣菜と、お酒と、おつまみぐらいしか買うモノはない。
おじさまの持つ買い物カゴに選んだ品を放り込むと、カゴの中の品々を見ておじさまがポツリとつぶやく。
「久々に手料理が食べたいなぁ」
「ヤダ。めんどくさいもん」
……できないわけじゃないんだからね?
念のため。
残念そうな顔をするおじさまを置いてさっさと買い物を進める。そういえば洗剤も切れてたっけ?
他にも足りなくなっているはずの日用品をカゴに詰め込んでいく。
一通り揃えたら、結構な量になってしまった。
「持つよ」
「別に、平気」
レジのおばさんはにこやかに対応してくれた。
仲のいい父娘、とでも思っているのだろうか。
「レジ袋はご利用ですか?」
「……はい」
一応、顔を覚えられないように俯き気味に返事をする。
このスーパーはもう何度も来ているので、既に手遅れかもしれないけど。
スーパーを出てまたしばらく歩くと、おじさまの住むアパートに着く。
簡素で、外観は少し薄汚れた感じのアパートだが、内装は思いの外綺麗で、始めて来た時は驚いた。
コートを掛けて、荷物を部屋の隅に追いやると、キッチンに向かう。
冷蔵庫の中身を確認して、炊飯器を開いた。
「……ちょっと、お米炊いてないの?」
「ああ、済まないね。今朝は時間が無くて。今支度するよ」
「いい。私やるから、先に着替えてきて」
おじさまはもう一度、済まないね、と言って、奥の部屋に消える。
私は米びつからお米を出して、お米を研ぐ。
……この作業、地味にめんどくさいんだよね。
本来ならレンジでお手軽の某ゴハンでもいいのだが、なんでもおじさまの実家は農家らしく、作ったお米を毎年沢山送ってくれるんだとか。
894
:
おじさまと
:2014/05/20(火) 22:38:12 ID:???
「ありがたいけど、一人じゃ食べきれないんだよね」とは、おじさまの言。
おじさまは、このアパートで一人暮らしをしている。
未婚なのか、それとも離婚したのかは知らない。
特別、知りたいとも思わない。
他人では無いけど、友人でも家族でも無い関係。
距離感は大切だ。
変に踏み入っても、お互い困るだけだろう。
研ぎ終わったお米を炊飯器に突っ込んでスイッチを入れる。
……暇になっちゃったな。
お惣菜を並べるだけなので、他の料理の下拵えも必要無いし、お米が炊き上がるまであと30分以上ある。
冷蔵庫からりんごジュースを出して、コップに注ぐ。
その場で飲み干して、もう一度注ごうとすると、丁度着替え終わったらしいおじさまから「僕にも貰えるかな」と注文があった。
「わかった」と一言だけ返事をして、食器棚からコップをもう一つ出す。
もはや、勝手知ったるなんとやら、だ。
家の中のことは、寧ろおじさまよりも把握しているかもしれない。
キッチンから出て、ダイニングへ。
おじさまはソファに座って、テレビを見ていた。
「ん」
「ああ、ありがとう」
コップを受け取ると、おじさまはジュースをちびちびと飲み始める。
私はおじさまの隣に座り、コップをくるくると回して弄ぶ。
テレビでは、殺人がどうの、海外がどうのと、アナウンサーが真剣な面持ちで報道していた。
この時間帯のニュース番組は、どれも暗い内容ばかりで楽しくない、と思う。
たまにはもっと明るいニュースでもやったらいいのに。
「チャンネル、変えてもいいよ」
不満が顔に出ていたのか、おじさまがリモコンを差し出してきた。
それを受け取り、私はチャンネルを回す。
しかし、どの局でも似たような内容のニュースが流れていて、私は無言でリモコンを突き返した。
「相変わらず、ニュースが嫌いなんだねぇ」
「暗い話が嫌いなの。真面目な顔して悪い報告ばっかして、馬っ鹿みたい」
「じゃあ、映画でも見ようか?」
895
:
おじさまと
:2014/05/20(火) 22:39:36 ID:???
「昼ドラがいい」
「ドロドロしてて暗いじゃないか」
「アレはフィクションだもん」
おじさまの苦笑いが気に食わなくて、背中をバチンと叩いてやった。
ジュースが鼻に入ったらしいおじさまのしかめっ面が可笑しくて、少しだけ笑った。
〜〜
録画してあった(私が以前、勝手にやっておいた)昼ドラを消化していると、キッチンの方から機械音のメロディーが響いてきた。
正直、炊飯器にこの機能はいらないと思う。無駄に長いし。
「あとは僕がやるよ。座ってなさい」
腰を浮かした私を制して、おじさまが立ち上がる。
昼ドラもイイところだったので、私は画面に意識を戻した。
母親の不倫が娘にバレて、さらにその相手が娘の彼氏という展開だ。
なさそうでありそう、ありそうでなさそう、でも、ドラマとしてはありがちな内容。
だからこそ、フィクションと割り切って楽しめる。
ドラマも、小説も、漫画も、アニメも、そういうところが良いと思う。
現実のことは捨て去って、頭を空っぽにしていられる。
楽ちん、だ。
勉強も、仕事も、人生も。
楽ちんが一番だ。
それが、一番効率的ということなのだし。
「はい、どうぞ」
ご飯がほかほかと湯気をたてて私の前に置かれる。
テーブルを見ると、既にお惣菜も並び終えていた。
小鉢や小皿に取り分けられたその群れを見て、私は不満を漏らす。
896
:
おじさまと
:2014/05/20(火) 22:40:20 ID:???
「わざわざお皿に盛り付けなくてもいいのに」
「食事は見た目も大事だからね」
のらり。
「洗剤の無駄じゃん」
「僕のお金だから」
くらり。
「環境破壊」
「この街の上下水道は優秀だから、きっと大丈夫さ」
ひらり。
おじさまには、何を言ってもこんな感じでふにゃふにゃと躱されてしまう。
そしておじさまは、「それに」と付け足す。
「お客様は、大事にしないと」
「…………」
……よく回る舌と頭だ。
何を言っても無駄と悟った私は、お箸を持って手を合わせる。
「……いただきます」
「いただきます」
インスタントの汁物は、ちょっとしょっぱい。
健康のことを考えると、味噌汁くらいはちゃんと作った方がいいかもしれない。
……別に、おじさまの話をしたわけじゃなくて、私の話ね。
高血圧とか、将来怖いし。
「だから手料理が食べたいって言ったんだ」
「……声に出てた?」
「いや」
おじさまはそこで言葉を区切ってから味噌汁を啜り、薄く笑う。
「そんな顔をしているよ」
「……」
見透かしたような態度に少しだけ腹が立つが、図星なのでこれ以上は何も言わないことにした。
おじさまは私の考えていることを言い当てることが多い。たまに外すけど。
昔、人間は歳をとると妖怪になると、ひいおじいちゃんに脅かされたのを思い出した。
897
:
おじさまと
:2014/05/20(火) 22:42:37 ID:???
横目ででおじさまの顔を見ると、済ました顔でお惣菜に舌鼓を打っている。
……妖怪に見えなくもなくも、ない……かも。
そんな私の視線に気が付いたのか、おじさまと目が合う。
「こんな妖怪を眺めていないで、冷める前にご飯を食べた方がいいよ」
「……」
悔しいので、無視してお椀に口をつけた。
……やっぱり、味噌汁は作ろうかな。
〜〜
夕食後、お皿を洗い終わってリビングに戻ると、おじさまはソファに身体を沈ませていた。
テレビに目を向けてはいるが、ぼんやりしていて、おそらく眺めているだけなんだろう。
そんなおじさまの隣に、わざと勢いをつけて腰を落とす。
おじさまの腰がソファから少しだけ浮いて、着地する。
おじさまは一瞬驚いたような顔をしてから、ゆっくりとこちらを向いた。
「ああ、もう終わったのかい。ありがとう」
「別に。何見てんの?」
「え? ……ああ、えーと……」
やはり、眺めていただけのようだ。
おじさまは、うーん、と唸った後、何かを思いついたように顔を上げた。
「バラエティ番組じゃないかな。この声には聞き覚えがある」
「見覚えじゃなくて聞き覚えなんて、変なの」
顔を覚えてる、ならわかるけど、声を覚えてる、なんて。このテレビの時代に。
ラジオの時代の人かよ。
898
:
おじさまと
:2014/05/20(火) 22:44:33 ID:QBUdmwBM
「髪、少し伸びたね」
そんなどうでもいい会話をしていると、おじさまの手が伸びてきて、私の肩にかかっていた髪を掬い上げる。
親指と掌に挟まれた髪は、するすると零れ落ちた。
別に、髪を触られることに嫌悪感はない。すごく嫌がる娘もいるけど。
何が面白いのか、おじさまは、髪を掬っては零し、零しては掬ってを繰り返す。
「綺麗だね」
「別に、手入れとかテキトーだし」
―――綺麗じゃない。
なんとなく、最後の一言は口の中で止めておいた。
そして、そんな私を見て、おじさまは薄く微笑む。
最後に一度だけ髪を梳いてから、おじさまは私の頭に手を置いた。
「綺麗だよ」
私の顔を見ながらそんなことを言うおじさまに、なんて返せばいいのかわからなくて、テレビに目を向けた。
画面の向こうではバラエティからニュース番組に変わっていて、アナウンサーが真面目な顔で原稿を読み上げている。
殺人事件がどうだの、白骨死体がどうだの、暴動が、テロが。
それらは、私には一切関係のない場所で回っている。
赤の他人の中年の家に上がり込んで、ご飯を食べて、頭を撫でられて、綺麗だって言われて。
退屈だけど、幸せなのか。
そんなことも、わからない。
「ばっかみたい」
誰に向けた言葉なのかすら、私にはわからない。
唯、おじさまの掌の熱を感じて、抱えた膝に顔を埋めた。
窓の外に、まだ、雪は見えない。
899
:
おじさまと
:2014/05/20(火) 22:47:46 ID:QBUdmwBM
おわり
一昨年の冬とかに書き始めたやつなのでいろいろぐちゃぐちゃで推敲もまともにせすにこっちに投下
最近、幼馴染とか先輩後輩とか兄妹とかばっかなので、年の差もいいよねって話
学園ものだけじゃなくて、ファンタジーとかも久々に読みたいなぁ
900
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/20(火) 22:58:08 ID:???
オッサンになりたいと思ったけどたぶん俺だと手を出しそう……
901
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/20(火) 23:05:18 ID:???
援交と聞いてどうなるのかハラハラしたが和んだわ
GJ
902
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/21(水) 00:03:45 ID:???
文章上手だわ
GJ
> 最近、幼馴染とか先輩後輩とか兄妹とかばっかなので
スマンとしか言いようがないが、一人で出来る妄想の量は限られておるのだよ
つーかもっと燃料を……
903
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/22(木) 18:06:16 ID:???
最近ラノベとかアニメでも学園モノばっかだしそのせいもあるかと
904
:
出会い
:2014/05/24(土) 00:14:35 ID:0.s18Cfc
>>899
の続きっつーか前日譚っつーか
ブラック注意
905
:
出会い
:2014/05/24(土) 00:14:56 ID:0.s18Cfc
舞い上がった水飛沫が、スカートの裾を少しだけ濡らした。
少しだけなのはスカートだけで、膝から下はズブ濡れなのだが。
「……はぁ」
一つ溜息を吐くと、歩行者など自分以外には一人もいない大通りの歩道の真ん中で、私は傘を畳んだ。
途端に、土砂降りの雨が全身を激しく打ち、制服が水を吸って重くなっていく。
横を通る車が水たまりの水を跳ね上げ、また濡れる。
上を見上げると、どんよりと暗く、厚く広がる雲が見えたが、あまりの雨の激しさに、すぐに目を閉じた。
顔面に叩きつけるような水滴が、赤くなった頬を冷やしてくれる。
別に、赤面しているというわけではない。
赤くなった右頬は、殴られた痕だった。
暴行障害というほど、大袈裟なものではない。
クラスメイトの男子に告白されて、それを断わったら、その男子のことが好きだった友達に報復された。
ただそれだけのことだ。
なさそうでありそう、ありそうでなさそう、少なくとも、ドラマではありがちだ。
でも、これは現実。
クラスで1番仲が良いと思っていた友達――いや、友達ではなかったのかもしれないけど――にあっさりと縁を切られ、噂を流され、クラスで孤立した。
よくあることだ。
「ばっかみたい」
誰にともなく毒吐いて、傘もささないままに歩き出す。
風邪を引くかも、と思ったが、すぐにどうでもよくなった。
滅多に帰らない両親の夫婦仲は誰もが察するところで、同様に、親子の関係も推察するまでもない。
学校だけが居場所かと思っていたが――それも、もはや安住の場所とは言えなくなった。
906
:
出会い
:2014/05/24(土) 00:16:00 ID:0.s18Cfc
暫く歩くと川が見えたので、欄干の上から傘を投げ込んでやった。
修学旅行のとき、皆で買ったお揃いの傘。
一瞬後悔が頭の隅を掠めたが、後の祭り。
濁流に呑み込まれ、どんどん壊れながら流れていく様を見て、少しだけ笑えた。
私と彼女の友情くらい呆気なく壊れた傘は、同じぐらい呆気なく見えなくなった。
誕生日にもらったヘアピンも投げてみた。
交換したシャーペンも捨てた。
落書きしあったノートを破いた。
一緒に選んだキーホルダーを千切った。
破られたり悪質な悪戯書きで使い物にならなくなった教科書をグチャグチャに踏み潰して蹴り飛ばした。
全部泥水に呑まれて、消えてなくなった。
後悔と同じぐらい、清々した。
そのままぼーっと川を眺めていると、バッグの中でケータイが震えているのに気がついた。
この土砂降りの中では取り出せないので、近くのコンビニに入る。
ズブ濡れの私を見て嫌そうな顔をしてくる店員の嫌そうな挨拶を聞き流しながらケータイを見ると、知らない番号からだった。
結果は分かり切っていたけど、一応出てみる。
『うわっ、本当に出た!』『マジ!? どう? 可愛い?』『電話でどうやって判断すんだよ』『いや声がさ……』『あのー、タダでヤらせてくれるってマジ?』
複数の、若い男の下卑た声。
おそらく、どこかの公衆トイレの落書きでも見て来たのだろう。
少し調べただけでも、学校周辺で三箇所。私の電話番号と、いつでもエッチができる、といった旨の落書きがされているのを見つけた。
最初の頃は落書きを消すために、どこでこの番号を見たのか聞き出そうとしたりもしたのだが、1週間近くも続くとさすがに辟易する。
耳に入ってくる音にイライラする。ムカつく。能天気でいかにも頭が悪そうな声音と馬鹿な喋り方。
「死ね」
一言だけ返し、ケータイの電源を切って、ゴミ箱に捨てた。
そのまま店を出ようとすると、ケータイを捨てたのを見ていたのか、それともさっきの一言が思ったより大きかったのか、周りの客も店員も私をチラチラと気にしていた。
でも、別にどうでもいい。
もう、どうでもいい。
907
:
出会い
:2014/05/24(土) 00:17:39 ID:0.s18Cfc
またしばらく歩くと、スーパーがあった。
店先で、子連れの母親が、女の子に可愛らしいレインコートを着せている。
傘を忘れたらしいお爺さんが、空を見上げて困った顔をしている。
高校生のカップルが、肩を寄せ合って一つの傘に入って店を出て行く。
ありふれた光景。
ありふれた現実。
それなのに、今の私にとっては、こんなにも遠くて―――
「君、傘はどうしたんだい」
「―――は?」
顔を上げると、中年の男が私の前に立っていた。
「風邪を引くよ。ほら」
その男は私の手を取って、自分の傘を握らせた。
私は突然のことに何が何だか分からなくて、反応できない。
「あ、コーヒーは飲めるかな? ブラックだけど」
「の……飲め、ませ、ん」
「そうか、じゃあ少し待っていなさい」
彼は背を向けると、傘もささずに走っていく。
いや、彼の傘は私が持っているのだから、当然か。
そうして混乱していると、彼は小走りで帰ってきて、私の前で止まった。
「ほら、コレを飲みなさい」
また、勝手に私の手を掴んで、何かを握らせる。
見ると、アップルティーのようだった。
908
:
出会い
:2014/05/24(土) 00:18:03 ID:0.s18Cfc
。
「ほら、そのまま飲みなさい」
「ぇ……え?」
「キャップは開いておいたから、そのまま飲みなさい。まずは身体を温めないと」
「は、はい……」
促されるまま、口をつける。
確かにキャップは開いていた。
少し傾けると、甘い液体が舌に触れ、喉を通り過ぎて行く。
一口飲んで、それからもう一口飲んだ。
……あったかい。
ペットボトルを見て、また一口。
口から喉、胃の熱が、身体を少しだけ温めた。
見上げると、彼はまだそこにいた。
雨に濡れながら、私をじっと見つめていた。
その顔を見て、瞳を覗いたとき、私の口からは勝手に言葉が出てきていた。
小さな声で、しかしはっきりと。
目の前の、このおじさまにだけ伝わるように。
「私を、あなたの家に連れて行ってください」
おじさまは、困った顔をしていた。
909
:
出会い
:2014/05/24(土) 00:18:28 ID:0.s18Cfc
前半終了
910
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2014/05/24(土) 00:22:31 ID:???
うばぁぁぁぁぁ……乙
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板