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『解析概論』輪読
1
:
RSKTTM
:2005/07/26(火) 23:02:10
立ててみました。
書名:『解析概論 改訂第3版』
著者:高木貞治
出版社:岩波書店
交代で解説を行い、他の人がそれに質問、間違いの指摘などを行うことにします。
適宜他の本を参照してもよいことにします。もちろんその場合は、その本を持っていない人でも分かるように書きます。
解析概論持っていない人でもおかしなところがあったらどんどん突っ込んでしまってください。
あ、ちなみに現在僕は所々飛ばして今P57の偏微分と全微分のあたりまでしか進んでないです。やばい(^^;
2
:
RSKTTM
:2005/07/26(火) 23:03:06
第1章 基本的な概念
1. 数の概念
まず数の概念と四則演算については分かっているものとします。また自然数、整数、有理数、無理数について深く考えないことにします。きちんと定義しません。本来ならば自然数を定義して、そこから整数→有理数(ここは問題ないはずですが)→実数と数の範囲を広げていくのでしょうが、この本ではそれは行われません。我々もこれらについてはとりあえず経験に従うことにします。
自然数 1, 2, 3, …
整数 …-2, -1, 0, 1, 2, …
有理数 整数p, q(p≠0)を用いてq/pと表される数
無理数 有理数でない実数
10進法について
有理数を10進法で表すと有限小数か循環する無限小数になります。逆に有限小数と循環する無限小数は有理数になります。したがって無理数は無限小数でも循環する無限小数でも表されません(なぜなら無理数とは有理数で無い実数のことだから)。
数の幾何学的表現
実数を直線上の点として表すことができます(数直線)。直線XX´上で0を表す点をOとし、これを原点とします。xを表す点Pはx>0のとき半直線OX上に、x<0のとき半直線OX´上にとることにします。xを表す点と原点の距離つまりOPをxの絶対値といい|x|で表します。
次の不等式が成り立ちます。
|x|+|x´|≧|x+x´|≧|x|-|x´|.
これは三角不等式といいます。証明は略します。実数の公理を出発点として証明しなくてはならないのだと大変かもしれませんが、我々は「a≧0かつb≧0のときa≧b⇒a^2≧b^2」さらにはこれを示すための「a, b, c, d≧0のとき(a≧bかつc≧d)⇒ac≧bd」などを使ってもよいので、簡単です。
3
:
RSKTTM
:2005/07/26(火) 23:04:06
二つの実数x, yの組(x, y)は平面上の点に対応させます。
同様に三つの実数x, y, zの組(x, y, z)は空間内の点に対応させます。
一般にnこの実数の組(x_1, x_2, …,x_n)をn次元空間上の1点といいそれをPで表します。
Pを(x_1, x_2, …,x_n), P´を(x_1´, x_2´, …,x_n´)をするとき
sqrt((x_1-x_1´)^2+(x_2-x_2´)^2+…+(x_n-x_n´)^2)(ただしsqrt(x)は√xを表す。)
をP, P´の距離といい、PP´で表します。
今Pを固定し、
PP´^2=(x_1-x_1´)^2+(x_2-x_2´)^2+…+(x_n-x_n´)^2<δ^2
を満たすならばP´はPを中心とする半径δのn次元の球の内部にあるといいます。
また
|x_1-x_1´|<δ, |x_2-x_2´|<δ,… ,|x_n-x_n´|<δ
ならばP´はPを中心として稜(空間図形の辺のことは正確には稜というらしいです)が座標軸に平行で、その長さが2δなるn次元の立方体の内部にあるといいます。
これらの定義は2次元、3次元の場合の拡張になっています。
2. 数の連続性
全ての実数を次の性質を満たす二つの集合A, Bに分けることを考えます。これらは本文中の表現と同じものです。
(鄯)R=A∪B(Rは実数全体の集合).
(鄱)A≠∅ฺ, B≠∅ฺ,
(鄴)a∈A, b∈B⇒a<b.
このような組み分け(A, B)をDedekindの切断といい、Aを下組、Bを上組といいます。
ここで組み合わせ的にはAの最大元と, Bの最小元の存在について次の4通りが考えられます。
1. 下組Aに最大元max(A)が存在し、上組Bに最小限min(B)が存在する.
2. 下組Aに最大元max(A)が存在し、上組Bに最小限min(B)が存在しない.
3. 下組Aに最大元max(A)が存在しせず、上組Bに最小限min(B)が存在する.
4. 下組Aに最大元max(A)が存在せず、上組Bに最小限min(B)が存在しない.
ただし最大元、最小元を次のように定義します。
定義(最大元、最小元)
Sを実数の集合とする。
MがSの最大元である⇔(def) (M∈Sかつ(∀x∈S)(x≦M)).
mがSの最小元である⇔(def) (m∈Sかつ(∀x∈S)(x≧m)).
しかし1. が起こると矛盾します。なぜならM=max(A), m=min(B)とするとM<p<mなる実数、例えばp=(M+m)/2を持ち出すとp∈AとするとMがAの最大元であることに矛盾します。またp∈BとするとmがBの最小元であることに矛盾します。以上よりp∉ฺAかつp∉ฺBとなりますが、これはR=A∪Bに矛盾します。したがって1. は起こりえません。
では2. , 3. , 4.は起こりえるのでしょうか。
ここで次の公理が成り立つことを認めることにします。
4
:
RSKTTM
:2005/07/26(火) 23:05:39
公理(Dedekindの公理)
実数の切断(A, B)について次のいずれか一方のみが成り立つ。
1. 下組Aに最大元max(A)が存在し、上組Bに最小限min(B)が存在しない.
2. 下組Aに最大元max(A)が存在せず、上組Bに最小限min(B)が存在する.
(本文中では定理 1.(Dedekindの定理))と書いてありますが、我々はこれを議論の出発点とするのでDedekindの公理と呼ぶことにします。また本文中の「実数の切断は、下組と上組の境界として、一つの数を確定する」という書き方はちょっとあいまいなので公理をこの形で述べることにします。)
これは直観的には数直線に途切れが無いことを意味しています。
3. 数の集合・上限・下限
定義(上界、下界、上に有界、下に有界)
Sを実数の集合とする。
(∀x∈S)(x≦M)なる実数Mが存在するときSは上に有界であるという。またこのようなMをSの一つの上界という。
(∀x∈S)(x≧M)なる実数Mが存在するときSは下に有界であるという。またこのようなMをSの一つの下界という。
Sが上に有界でかつ下に有界のときSは有界であるという。
ある数が上界ならばそれよりも大きい数はやはり上界です。下界についても同様です。
5
:
RSKTTM
:2005/07/26(火) 23:07:10
命題
Mが集合Sの上界であるときN>Mなる実数NはSの上界である。
Mが集合Sの下界であるときN<Mなる実数NはSの下界である。
証明
上界について示す。
MはSの上界であるから、(∀x∈S)(x≦M).
N>Mだから(∀x∈S)(x≦M<N), すなわち(∀x∈S)(x<N).
ゆえにNはSの上界である。
下界についても同様にして示せる。
このように上界、下界というのはたくさんあるわけですがその中でもぎりぎりのところ、つまりなるべく小さな上界、なるべく大きな下界というものに着目します。
定義(上限、下限)
上に有界に集合Sの上界全体の集合に最小元があればそれをSの上限という。
下に有界に集合Sの下界全体の集合に最大元があればそれをSの下限という。
上の上限について次がいえます。
命題
次の同値がいえる。
aはSの上限である
⇔(1) (∀x∈S)(x≦a),
(2) a´<a⇒(∃x∈S)(a´<x).
なお下限についても同様のことが成り立つ。
証明
(1)はaがSの上界であることを意味している。よってaがSの上界全体の集合の最小元であることと(2)が同値であることを示せばよい。
aがSの上界全体の集合の最小元であるということは、a´<aなるa´はSの上界全体の集合に属さないということと同じである(最小元の定義より)。したがってa´は¬(∀x∈S)(x≦a´)すなわち(∃x∈S)(x>a´)を満たす。以上よりaがSの上限であることと(1), (2)の同値が示せた。
さてSに最大元が存在するときそれはSの上限でしょうか。これは直観的には明らかかもしれませんが、上限というのはある種の集合の最小元として定義されていますから、字面だけ見るとそんなに明らかではないような気もしてきます。以下でこのことを証明します。
6
:
RSKTTM
:2005/07/26(火) 23:11:05
命題
集合Sに最大元M=max(A)が存在するならばMはAの上限である。
下限についても同様のことがいえる。
証明
先ほどの命題を利用する。最大元の定義からして、Mは(1)を満たす。またa´<MとするとM∈Sであるからa´<xを満たすSの元xが最低一つは存在することになる。よってMは(2)をも満たすのでSの上限である。
定理2. (Weierstrassの定理)
Sは空集合でないとする。
集合Sが上に有界ならばSには上限が存在する。
集合Sが下に有界ならばSには下限が存在する。
証明
Sが上に有界だとして、Sに上限が存在することを示す。
RをSの上界でない実数全体の集合AとSの上界全体の集合Bに分ける。
このとき(A, B)は実数の切断である。
7
:
RSKTTM
:2005/07/26(火) 23:11:49
∵全ての実数はSの上界であるかないかのどちらかであるからR=A∪B.
またSの元pをとりq<pなる実数qをとるとqはSの上界ではない(qより大きいSの元pが存在しているから)。
ゆえにq∈AであるからA≠∅ฺ.
そしてSは上に有界なので、当然Sの上界が存在するからB≠∅ฺ.
a∈A, b∈Bとする。
aはSの上界でないからあるSの元xが存在してa<x_0.
また上界の定義より(∀x∈S)(x≦b).
よってta<x_0≦b.
ゆえにa∈A, b∈B⇒a<b.
以上より(A, B)は実数の切断である。
するとDedekindの公理より
1. max(A)が存在し、min(B)が存在しない。
2. max(A)が存在せず、min(B)が存在する。
のうちどちらか一方のみが起こる。
そこで2. のみが起こることを示す。
1. が起こるとして矛盾を導く。
1. が起こると仮定する。
max(A)∈Aであるからmax(A)<xなるSの元xが存在する。
ここでmax(A)<b<xなる実数をとる。
するとmax(A)<bよりb∉ฺA.
またbより大きいSの元xがあるからb∉ฺB.
これはDedekindの切断の定義に反する(R=A∪Bに反する)。
したがって1. は起こりえない。
ゆえに2. が起こるからSの上界全体の集合の最小元すなわちSの上限が存在する。
8
:
RSKTTM
:2005/07/26(火) 23:15:52
とりあえず最初ということでやってみました。
どんどん突っ込みお願いします。
あと一部長すぎて省略されています。ごめんなさい。
訂正
>>1
したがって無理数は無限小数でも循環する無限小数でも表されません
のところは
したがって無理数は有限小数でも循環する無限小数でも表されません
の間違いです。
9
:
Je n'ai pas de nom!
:2005/07/26(火) 23:26:32
ハイラー/ワナーのスレと被るとこありそう。
10
:
Мечислав(☆9)
◆QRDTxrDxh6
:2005/07/27(水) 00:10:58
スレたて乙です。
つっこみではないですが、
>>3
>空間図形の辺のことは正確には稜というらしいです
昭和21年、日本数学会が物理学会から分離独立した際、
数学の用語を洗いなおそうとして、そのときに
稜→辺、函数→関数
などの言い換えが行われたという話を
一松信先生のエッセイで読んだような記憶が。
そのときに「極大値」とか「環」などというのも見直しておけばよかったのになーと
思ったり。
11
:
RSKTTM
:2005/07/27(水) 19:42:37
高校のときの数学の先生がちょっとこだわってまして(稜と辺)。
あとその先生いわく、よくドットコムとか言ってるドットはドットじゃなくて
ピリオドだとのことです。ドットはこれ→・ のことだと言っていました。
しかしこちらについては辞書などに「ドットとは中点のことである」という記述を
見つけることができなかったので、やや疑問です。
さて、もし他に何もないようなら次の担当の方を募集したいと思います。
12
:
RSKTTM
:2005/07/31(日) 13:33:36
いないようなので次も僕がやることにします。
4. 数列の極限
a_1, a_2, …, a_n, …と数を一列に並べた物を数列と呼びます。数列とは独立変数が自然数であるような関
数である(本文の言い方では項a_nが自然数の範囲内において変動する変数nの'関数'である)と、とらえる
こともできます。
数列は{a_n}と表します。
(余談ですが、{a_n}というのは数列全体を表すもので、第n項を表すときはa_nと書きます。僕は{a_n}というの
はたぶん{a_1, a_2, …, a_n, …}という集合の記法を省略したものなのではないか、と思っているのですがどう
なんでしょうか。)
nが限りなく大きくなるときa_nが一定の数αに限りなく近づくならば、数列{a_n}はαに収束(あるいは収斂(し
ゅうれん))するといい、αを{a_n}の極限といいます。これを
lim_[n→∞]a_n=α
または
n→∞のときa_n→α
と書きます。
(本文では「αをa_nの極限という」と書かれていましたが、"数列"の極限という言い方をするので{a_n}の極
限という言い方をしたほうがいいかな、と思いそう書きました。)
正確には任意の正数εが与えられたとき、それに対してうまくn_0をとると
n>n_0のとき|α-a_n|<ε
となるならば{a_n}はαに収束するといいます。これがいわゆるε-n_0論法です。
13
:
RSKTTM
:2005/07/31(日) 13:35:27
定義(数列の極限)
(∀ε>0)((∃n_0∈N)(n>n_0⇒|a_n-α|<ε))
が成り立つとき{a_n}はαに収束するという。
(Nは自然数全体の集合)
数列{a_n}が収束するときその極限αは一意的に確定します。
命題
数列{a_n}が収束するならば、それは唯一つの極限を持つ。
証明
数列{a_n}がαに収束し、かつβに収束するとする(α<βと仮定する)。つまり極限の定義より、
(∀ε>0)((∃n_0∈N)(n>n_0⇒|a_n-α|<ε)),
(∀ε>0)((∃n_0∈N)(n>n_0⇒|a_n-β|<ε))
が成り立つとする。
これはどんな正数εが与えられてもうまく自然数n_1, n_2をとれば
n>n´=max{n_1, n_2}のとき|a_n-α|<εかつ|a_n-β|<εということである。
すると特にε<(β-α)/2としてもこれは成り立つ((β-α)/2>0に注意)。
このとき|a_n-α|<ε⇔α-ε<a_n<α+εなどに注意すれば、
β-ε<a_n<α+εとなるがこれは
ε>(β-α)/2を意味し、矛盾する。
β>αと仮定しても同様の矛盾が起こるからα=β.
14
:
RSKTTM
:2005/07/31(日) 13:37:15
もし、どんなに大きい正数Rをとってもそれに対して
n>n_0ならばa_n>R
となる自然数n_0が存在するならば{a_n}は+∞に発散するといい、
lim_[n→∞]a_n=+∞と書きます。-∞に発散も同様に定義します。
定義
(∀R>0)((∃n_0∈N)(n>n_0⇒a_n>R))
が成り立つとき、{a_n}は+∞に発散するという。
(∀R<0)((∃n_0∈N)(n>n_0⇒a_n<R))
が成り立つとき、{a_n}は-∞に発散するという。
{a_n}が収束するとき、{a_n}から有限個の甲を取り去っても、取り去った後の数列はやはり収束し、同じ極限
値を持ちます。これは当然のことです。なぜなら上で使われてきたn_0より先には無限に多くの番号がある
のですから、少々項を取り除いたとしても影響はないからです。
15
:
RSKTTM
:2005/07/31(日) 13:38:32
定理3.
収束数列の部分数列は、元の極限値に収束する。
ここで部分数列というのをきちんと定義しておいたほうがよいでしょう。『解析入門』(杉浦光夫著)を参照します。
定義(部分数列)
自然数の値をとる数列{n(k)}(k∈N)が狭義単調増加であるとき、{a_n}から作られた数列{a_n(k)}を{a_n}の部分数列(あるいは部分列)という。
ただし狭義単調増加を次のように定義します。
定義(単調増加・単調減少)
数列{a_n}が全ての自然数nに対しa_n<a_(n+1)を満たすとき、{a_n}は狭義単調増加であるという。
数列{a_n}が全ての自然数nに対しa_n>a_(n+1)を満たすとき、{a_n}は狭義単調減少であるという。
数列{a_n}が全ての自然数nに対しa_n≦a_(n+1)を満たすとき、{a_n}は広義単調増加であるという。
数列{a_n}が全ての自然数nに対しa_n≧a_(n+1)を満たすとき、{a_n}は広義単調減少であるという。
上のようにして部分数列を定義すれば、「数列の若干項を取り去った」場合が含まれるだけでなく、例えば偶数番目の項だけを残したような場合も含まれることになります。
16
:
RSKTTM
:2005/07/31(日) 13:40:08
定理3.の証明
{a_n}はαに収束するとする。つまり
(∀ε>0)((∃n_0∈N)(n>n_0⇒|a_n-α|<ε)).
さて自然数値を取る狭義単調増加数列{n(k)}を用いてできる{a_n}の部分数列{a_n(k)}について考える。
n(k)は高々第n_0+1項目でn_0より大きくなり、その後もずっとn_0より大きい。すなわち
k>n_0⇒n(k)>n_0.
よって{a_n(k)}は
(∀ε>0)((∃n_0∈N)(k>n_0⇒|a_n(k)-α|<ε))
を満たしているから、αに収束する。
さて本文には「数列の各項a_nが絶対値において一定の数を超えないとき、その数列は有界であるという」
と書かれていますが、ここでは今まで出てきた有界の定義を採用することにします(単に僕の好みです)。
これらの定義は同値です。
a_nが(すでに出てきた定義により)有界ならば全ての自然数nに対しN≦a_n≦MとなるN, Mが存在しますが
このとき-max{|N|, |M|}≦a_n≦max{|N|, |M|}が成り立ちますから、a_nは「絶対値において一定の数(max{|N|, |M|})を超えない」ことになります。
逆は自明です。a_n≦|M|⇔-M≦a_n≦Mだからです。
収束する数列は有界で、極限値もその限界を出ません。
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