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〜神天〜
11
:
ひらりん君
:2011/04/10(日) 21:01:34 HOST:222-151-086-009.jp.fiberbit.net
5page〜②
レイゼンと忍は市街地を走り回っていた。
「ハァ、全然見つかんないって!」
「見つからないではなく、見つけなければならないのです。だいたい神天法第47条により、神域経営者による仕事の妨害は死に値させる とあるのですから」
「神域って厳しいとこなんだな・・・ふぅ、交番に届いてたりしないか探してみっか!レイゼンはあっちを頼む」
「了解しました」
一時間後
「レイゼン、見つかったか?・・・・」
「いいえ、その調子ではそっちもみたいですね・・・」
「おまえらホントにやる気あるんでしゅか?」
「うるせー!ちびっ子!」
「ボクはちびっ子じゃないでしゅ!」
「だったら名前ぐらい明かしたらどうなんだよ!」
「そ、それはでしゅね・・・」
「忍、説明を付け足させてもらいます。愛天使とはあまり物心を付かせると人の愛を汚してしまう恐れがあるため心が健全であることが条件です。だから幼い人の魂や、人間以外の生物の魂が条件となっています。彼は言葉こそ与えられた身ですが、幼い故に名前を持たず死に至った魂という訳なのですよ」
「そ、そうだったのか・・・・悪かったな」
「分かればいいんでしゅ!さっさと弓と矢を探すんでしゅよ!」
「調子良いな〜。全く・・・」
忍は渋々と探しに行った。
「忍、この辺りで落ちたのは確実ですので、あの高台以外は考えられません」
「あの高台か、ちびっ子の飛行高度が低めで助かったぜ・・・・しかし高台とはどういう偶然^^;」
高台
「とりあえず侵入は出来たけど・・・・監視カメラに丸見え・・・・」
「大丈夫です。私が止めておきました。」
「その辺は抜かりないな・・・・よしっ!いくぞ!」
高台の最上部と続く螺旋階段は高度が増すごとに重みを感じた。
「上の方に何か魔力を感じますね・・・・」
「弓と矢の魔力じゃなくてか?」
夕焼けの染みる空模様は黒い霧に包まれていった
12
:
ひらりん君
:2011/04/14(木) 21:33:27 HOST:222-151-086-012.jp.fiberbit.net
5page〜③
「なんか、だんだん霧濃くなってね?それになんか気分悪いし・・・・」
「霧雲系の能力でしょうか・・・?どっちみち注意が必要ですね」
最上部へ近づくほど威圧感も増していった。
高台 最上部
「うわっ!霧で全く前が見えねーよ!」
「・・・・・」
「弓矢、弓矢っと・・・って見えねーよ!」
「忍、誰かいます・・・」
気配に気付いたように段々と黒い霧は晴れていった。
「何だぁ今の?・・・まぁいいや、お!弓矢あるやん!」
忍は弓矢に近づいた。しかし見えない壁のような物にぶつかった
「な、なんだこれ!?」
「どうやらここに何者かがいたのは間違いないようですね」
「今は・・・・午後二時か・・・もう四時まで時間がないってのに・・・」
「霧雲系のトラップですね・・・トラップは弱点があるので特定の魔法の力を加えれば解けます」
「じゃあ俺の影成系魔法は〜?」
「無理です」
「あ、そう・・・・」
「ですが、特定の解除方法は影成系は持ち合わせてあるはずです・・・ここで習得するほかありませんね・・・・」
「もう時間がない!やってやるぜ・・・・!」
13
:
ひらりん君
:2011/04/16(土) 10:49:02 HOST:222-151-086-003.jp.fiberbit.net
5page〜④
「・・・でどうやんの?」
「影成魔法は本来、解除用に開発されたものなんです。今でさえかなり改良されていますが」
「解除用?」
「はい、神天が戦争時代の頃、魔法を改良し罠系の魔法を解除する魔法が開発されたのです。しかし影成魔法は攻撃系に改良され、解除用の力が大幅に減ってしまいましたが」
「大丈夫なのか、俺の解除魔法は・・・・」
「どっちみち時間がありません、やりましょう」
弓矢の前に張られたバリアーは少し太陽の光を浴びてこちらを「こいよ」と挑発しているようだった。
忍は魔法陣を敷きバリアーを影で叩き付けた。しかし、バリアーは何度叩き付けられても無傷だった。
「・・・駄目か」
「これでは攻撃になってしまいますよ。力を込めるのではなく、加除する標的と周波数をリンクさせる感じで・・・」
「こうか・・・?」
忍の魔法陣が強いに光を帯びて輝きだした。それに合わせて張られていたバリアーも同じ光を帯びて輝いた。
「標的を自分の一体にしまして・・・・」
帯びていた光は次第に強くなって・・・・・
「一気に解除するっ!」
ガラスコップから勢いよく溢れ出す水のように、光はバリアーを突き破り空間の彼方へと消えていった。
「こ、これが解除魔法・・・」
「どうやら一々説明しなくても出来た見たいですね。さあ、弓矢を持って戻りましょう!」
「ふんふん、傷は一つも無しでしゅね。ま、セーフといったところでしゅ!」
「(うぜーっ!くそガキがー!)」
「では、私どもはこれで・・・」
「次は気をつけるんでしゅよ!」
「ちびっ子ももっと高く飛ぶんだなっ!」
「う、うるさいでしゅ!」
「子ども相手に大人げないですよ、忍・・・」
「お前も子ども扱いするのはやめるでしゅっ!」
「彼奴がシェブとかいう悪魔天使狩りの野郎を倒した暁忍か〜・・・あのバリアーを破るとはね、少しは手間掛けて作ったつもりだったんだけど」
「ゲシシ!まあ良いでねぇか。いつか戦える時を楽しみにしようぞ。ゲシシ!」
暁家 忍の部屋
「だぁ〜!疲れた〜!魔法使うのがこんなに疲れるとは」
「まあ、解除魔法は魔力を大幅に使用しますからね。慣れれば疲れなくなりますよ」
「にしてもあの霧とバリアーは何だったんだろうな」
「霧とバリアーは属性が違う魔法です。おそらく能力者2人が弓矢の力を察知して近づいた形跡だった、などが考えられますね」
「この近くにも結構能力者がいるんだな〜」
「まだスリーマンセルも組めていませんし、早いところもう1人スカウトした方が良さそうですね」
学校 廊下
「うーむ・・・・・」
「出さないんですか、今日もそのラブレター」
「契約取り消せばあのちび来るかな〜?なんて・・・・」
「・・・・・学校ではホントに成長がないですね・・・」
14
:
ひらりん君
:2011/04/22(金) 23:51:01 HOST:222-151-086-019.jp.fiberbit.net
6page〜①
いつものように忍の部屋の壁からすり抜けてレイゼンが姿を現した。
「おお、レイゼン。どうだ、2人目の使えそうな奴見つかったか?」
「・・・・今のところはまだ。場所も限られていますから人の運命に掛けるしかないですね」
「俺も一人で仕事こなすのはキツイからな、受験生だし」
今の言葉を物ともせず忍に依頼書を突き出した。
「しかし任務も充分大事なのでこっちも引けませんよ」
依頼に詳細はこうだった。
=========================
依頼種 魔獣退治
生息場所 43ーRT地点生息
魔力種 霧雲系
礼品 40000$
=========================
「礼品 40000$・・・・・」
「ちなみに金銭的な物は全て私が預からせてもらいます」
「なぬぃ!そういや悪魔天使狩りの奴を倒した時も・・・・」
「あれはたしか750000$でしたね」
「7っ!・・・・・でも今度が40000$ってことは今度のは弱いんだろ?」
「金額の決め方は逃走率です」
「トーソーリツ?」
「逃げずに追われれば戦う、という傾向が多ければ力量を計りやすいですからね。魔獣が意図的に召喚された物なら力量は計りにくく低い数値になってもおかしくありません」
「ってことは、魔獣ってのが弱いとは限らない」
「・・・ということですね。だいたいあの時間帯とあの場所なら影を利用することは簡単なはずですよ」
忍は疲れた様子でベッドに潜り込んだ。
「忍、ちなみにこの『43-pt』は君の学校みたいですよ」
「なっ!」
驚いてベッドから飛び起きるとレイゼンは面白がった、しかし少し困った表情で
「明日はもっと疲れますよ」
といい残しまた壁の向こうにすり抜けて消えていった。
レイゼンが去った後忍は一つ悔しさ故に舌打ちをし、曇った表情で眠りについた・・・
翌日 学校
一時間目、早くも授業に飽き飽きしていた忍はシャーペンを回しながら白紙のプリントを眺めていた。
すると教室に「ドォーン」という爆発音と一緒に衝撃波が走った。教室中のガラスが割れ、教室・・・廊下にまで悲鳴が聞こえるようだった。
避難放送が流れ、案の定「爆発原因は不明」という言葉が一緒に流れた。
15
:
ひらりん君
:2011/04/23(土) 15:52:32 HOST:222-151-086-017.jp.fiberbit.net
6page〜②
避難している人混みに紛れて忍は教室にいた。
それを察知したかのようにレイゼンがまた壁の向こうから現れた。
「やはり、来ましたね」
「ああ、早いとこ片付けなきゃな」
2人が窓から飛び出そうとすると火の放たれた廊下を誰かが走って来る音がした。
錬次だ。即座にレイゼンは姿を隠した。
「おい!忍!早くここから離れろ!」
「れ、錬次!お前こそ何やッてんだよ!」
錬次は忍の腕を引っ張った。
「今からならまだ間に合う、早く逃げるぞ!」
まずいことになった。このままだと魔獣の破壊活動を手放すことになる。しかし、錬次を放って置けば火の海に晒されるだろう。
一体どうすれば・・・・・・・
考えた末忍の口からはこんな言葉が出た。
「分かった、じゃ行こう!」
忍と錬次は燃えさかる道をがむしゃらに進んでいった。
(頼むぜ、レイゼン・・・)
(私の変身魔法『チェンジ』を甘く見てはなりませんよ)
90度の曲がり角で忍は窓の外へ、レイゼンは忍に姿を変え錬次と行動した。
「ふーっ!危ねっ!しかしレイゼンの魔法があんなもんだったとは・・・・」
正門側中庭
「くそぉ、レイゼンは今俺の替わりになってくれてるし勝てっかな・・・・」
すると上空から大きな黒い霧が見えた。
「もしかして、あれか?」
黒い霧は一点に集中して集まり強大なコウモリの形に変化した。
「今回もめっちゃ強そうだな・・・」
忍は渋々言いながら壁に影の段差を作り飛び越えるようにして魔獣に接近していった。
魔獣は「ギゴォォッ!」という叫び声を上げ忍に突進してきた。
「うおっ!来た来た〜!」
忍は思いっきりジャンプして魔獣の上を飛び越えた。
「これでも食らえ!」
忍は魔法陣を敷き自分の影を槍の様にし、魔獣を狙った。
魔獣は向かってくる影に対し自らの体を再度霧状に戻し攻撃を回避した。
「ええぇ!あんなの有りかよ・・・」
今度は魔獣が体を元に戻し圧力を高めた空気弾を打ち込んできた。
忍は即座に影で盾を作った。しかし、影は弾かれ空気弾が忍に直撃した。
「ぐうぅっ!何でだ!?何で俺の影が通用しないんだ!?」
レイゼンが焦げたコンクリートの地面から現れた。
「霧雲系の魔法は影成の魔法と打ち消し合う効果を持ちます。通常の攻撃で倒すのは少し難しいでしょう」
「レイゼン!」
「やっと避難が終わりましたよ。にしてもいきなりこう騒ぎを大きくされては大変ですね警察も動き出したようですし・・・」
「だったら尚更早く終わらせなきゃな。でも、俺の魔法は効いてアイツの攻撃が効くってどういう事だよ」
「本来霧と影は大きく分けた属性の中の『闇』に入ります。同じ属性では効果が少し薄いのですが、生体変化の出来る霧ではほとんどの攻撃をかわしほとんどの防御に効果がありません」
「それならどうやって攻撃するか・・・」
迷いの中、容赦無く魔獣は迫ってくる。
16
:
ひらりん君
:2011/04/24(日) 18:55:33 HOST:222-151-086-008.jp.fiberbit.net
6page〜③
「くそぉ!」
忍はただがむしゃらに攻撃をかわし続けた。
「忍、ひとまず建物の中に逃げましょう。」
二人は屋上の階段を下りていった。
その中を魔獣は霧状になって追ってきている。
走って、走って北校舎の階段で魔獣をいったん振り切った。しかし、階段の方も火が回ってきている。
「ちくしょおっ!何か倒す手だては無いのかよぉ!」
「霧雲は風と水の属性の合成魔法種です。それ故強い熱を加えれば蒸発するはず何ですが・・・・」
「この燃えさかる校舎でも全く蒸発してないだろ!」
「おそらく、体の周りに気流を作り熱を外に放出していると思われます。それに通常の火より温度の高い物でないと蒸発できません(魔獣なので)」
「もう、威力が薄くても攻撃するしかないだろ!」
忍は魔獣を後ろから影で叩き付けた。当たったようだがほとんどすり抜けたようだった。
魔獣は吠えながら急接近してくる。
忍はかわそうとしたが魔獣がまたコウモリの姿に変わり、翼の部分に左腕を切りつけられた。
「うあぁぁっ!」
魔獣はUターンしてこちらに向かってくる。
「くっ、それなら!」
忍は火の回った校舎の壁中に魔法陣を敷いた。
「食らえ!化け物がぁ!」
魔法陣から火で照らされ出来た影が槍のように鋭く尖り魔獣に勢いよく突き刺さった。
魔獣は苦しそうにうなり声を上げ霧状に体を元に戻した。
同時に忍の体に衝撃が走り魔の前がぐらついた。
「ううっ!」
魔獣は体を元の状態に戻そうとしている。しかし忍の体はいうことを聞かない。さらにその背後には火が迫っている。
「後もうちょっとだってのに・・・・」
そのとき一直線に延びる熱線が魔獣を襲い、霧の魔獣はあっという間に蒸発してしまった。
「!?」
煙の向こうに人の影が現れ、人影は煙を払い姿を見せた。
「やあ!久しぶりだね、忍君!」
人影はシェブ・ロックだった。
忍は目を疑った。
「お、お前なんで!?」
「君にあの言葉を聞かせてもらってから目が覚めてね、向こうでしっかり反省し仕事に戻ることになってね」
「おやおや、2人でだいぶ話が進んでいるようですが、消防士などに『逃げ遅れた人』と思われますよ」
「そうだな、速く逃げるぞ!」
忍達は警察沙汰にならないよう裏門から逃げた。
「あーらら、君の作戦失敗してるよ〜」
「ゲシッ!?シェブって野郎が来たのは想定外だったぜぃ。どっちにしろ帰ればお叱りを受けるんだ、ゲシシ!」
「しゃーない、次はボクらが出払うしかないか〜」
17
:
ひらりん君
:2011/04/27(水) 23:50:54 HOST:222-151-086-012.jp.fiberbit.net
7page〜①
放課後
「っつぅ〜!今日もつらかった〜!」
忍が背伸びをしながら学校の正門を通ると、門に腕組みをしながら寄っかかってるシェブがいた。
「やっ!忍君」
「おう!シェブ、どうした?こんな所まで来て」
「神天からの通達でね、現実世界本部みたいのが出来たってさ」
「現実世界本部?」
「ああ、なんでもスリーマンセルを組むメンバーを雇ったり何なりと出来るらしく、そのせいかレイゼン君も出払ってるようだよ」
「そういやレイゼンを最近見ないと思ったら・・・」
「本来は忙しい地位に立っている悪魔だからね」
「んで、言いたいことはそれだけか?俺も受験生なんで勉強の一つや二つしなきゃいけないもんで」
シェブは少し得意げな顔で言った。
「僕が君たちのスリーマンセルに付いた」
今度は逆に忍が顔をしかめて言った。
「いきなしそんな風に言われてもなぁ。そりゃ一度は助けてもらった身だが、本当に改心したんだろうな」
「疑われるのも無理はないけどね、それにこの前の事件を境に僕の熱線の熔接能力は捨て払ったさ」
「じゃあ、お前レイゼンに能力を・・・」
「ピンポーン!熱線の変な癖を早いとこ直さないとね」
そんな話しをしている内に学校内は誰もいない状態になった、夕日も沈みかけている。
周りからは少しずつ明かりが付いて、一つだけおかしかったのは音が急に静かになった事だ・・・・
すると、上空からふわっと何かが舞い降りてきた。
それは青い髪をしており、なにやら少し奇妙な紫のマント姿の少年が立っていた。
「はーじめまして、お二人さん」
そして何より嫌なくらい慣れ慣れしかった。
「この前の高台の解除能力、素晴らしかったよ。」
この言い方、あのバリアーを作った張本人であることは忍にも薄々気付いていた。
18
:
ひらりん君
:2011/04/29(金) 23:49:04 HOST:222-151-086-003.jp.fiberbit.net
7page〜②
忍は少し身構えた感じで聴いた。
「お前は・・・?」
少年は身構えた様子の忍に対して何も動じず、少し笑みを浮かべて答えた。
「ボクはInnist(イニスト)幹部のシェルト。でさぁ、ボクの高台の時のバリアーどうやったら解けたの?あの新作のヤツは自信あったんだけどなぁ」
「イニスト?」
「あっれ?知ってるんだと思ってたけど、成り立てひよっこ能力者じゃ知らないのも無理ないか〜。反乱軍の軍隊名をInnist(イニスト)って言うんだよ〜」
「は、反乱者だと!?」
幹部のシェルトはあざ笑うように言葉を返した。
「そーんな驚かなくても言いじゃんっ、いつかは戦う敵同士なんだし早いか遅いかでしょ。君も能力者ならいつでも攻撃態勢を整えておくべきだと思うよ〜」
忍は強く拳を握りしめ、いかにも戦闘態勢というように構えた、それを落ち着かせるようにシェブは忍の肩をポンとたたき一歩踏み出し前へ出た。
「要するにシェルト君、君は何をしに来たんだい?」
シェルトは口を軽く手で抑え笑いを堪えた。
「せっかちだなぁ、そんなことをすると寿命縮まっちゃうよ」
その言葉に対してシェブはまた冷静に話す。
「周りにバリアーを張っておいて戦う気満々じゃない、とでも言うつもりかい?」
さすがにシェルトの方も馬鹿馬鹿しくなったのか、笑うのを止め今までに見せなかった真剣な表情を浮かべた。
「それじゃ、君から霊として神天に行ってくるかい?」
「その言葉、そっくりそのままお返しするよ」
何秒かシェブとシェルトは睨み合っていた。
「やーめたやめた!からかい甲斐が無いなぁ〜。本来は暁忍一人をからかってやるつもりだったのに、変にキャラ被りなヤツがいると調子でないや」
シェルトは最初の笑った表情を戻した。
「次合う時を楽しみにしているよ〜」
シェルトはそう言い残して強い光とともに去っていった。
「シェブ、お前随分口達者なんだな・・・」
「・・・・そうでもないさ。それより明日休みだろう?本部の地図を渡しておくから来てくれよ」
忍は白い2つ折りの小さな紙を渡された。
「それと忍君、君は・・・・・」
「ん?何だ?」
「・・・・いや、何でもない。気にしないでくれ、それじゃ」
シェブは何か言いたそうだったが、黙って背を向け去っていった。
翌日
「ん〜と、ここを左に曲がって、その次ここを・・・・・」
忍が地図の通りに街道を曲がっていった先には静かな街には合うと思えないほどの大きなビルが建っていた。
「ま、まさかここじゃないよな・・・・・てか、間違ってたら大恥じゃ済まないし・・・・」
忍がビルの入り口を行ったり来たりしていると、そこにシェブが通りかかった。
「あれ?忍君じゃないか、早いね、もう来てくれたのか」
「ああ、そうなんだけどどこか分かんなくなっちって・・・・」
「分かんないって、目の前にあるじゃないか。この大きなビルだよ」
「えええええぇぇぇっ!!!どんだけ良いとこ設けてるんだよ!」
「なんでもある天使の能力者が大手会社の経営者らしく、その一式を貸して貰える事になったそうだよ。立ち入りが許可されてる所なら問題ないから大丈夫」
「案外能力者って数多いんだな・・・・」
「まあ、言ってみれば神天の乱世だからね。数が多くないと」
「・・・・まあそうだな」
忍はまだ少し圧倒されながらも、恐る恐る本部に足を踏み入れた。
19
:
ひらりん君
:2011/04/30(土) 15:57:18 HOST:222-151-086-008.jp.fiberbit.net
7page〜③
「忍君、こっちが本部だから入り口間違えないようにね」
シェブが指さした場所には、学校の階段の近くにある非常口様な鉄扉が立っていた。
「随分ついで扱いされてるな・・・・」
「まあ、大きい部屋らしいし借りられただけ良しとしようよ」
忍はその扉をゆっくりと開いた。
扉を開くとついでで作られた場所とは思えない空間が広がっていた。
入り口は両手を横に真っ直ぐ伸ばすぐらいの幅で、そこまで広くは無かったが両側には機械っぽいものがびっしり取り付けられ、それをカモフラージュするようにログハウスのような雰囲気に仕立ててあった。
「うおっ!なんかすげー!」
忍が感動していると通路からレイゼンが現れた。
「お久しぶりですお二人とも、その場で少しじっとしていて下さい」
なにやら両側の機械で何かしているようで、上から赤いレーザーがスキャンするように下りてきた。
「お待たせしました。もう良いですよ。とりあえずセキュリティも万全で無ければいけないので、登録だけはさせていただきました」
レイゼンの歩く方向へ付いていくと大きな場所へ出た。そこもまた凄く、大きく広い空間にカフェテリアにあるようなテーブルがいくつか並び、端の方には依頼書が張ってある掲示板がある。
「では説明をします。ここは言わば能力者の集うギルトとでも言いましょうか、休憩や情報交換、能力者を雇ったりすることが主となります。それと一人一人の個室があるので道具などの保管に使って下さい」
「すんげぇ設備だな・・・・」
「あと、ショップもありますので必要不可欠な道具を揃えることも出来ます」
「忍君、早速仕事といこうか」
「おうっ!そうだな・・・・これとかどうかな?」
レイゼンが途端に話を切った。
「忍、君の能力の成長には圧倒しますがこのまま 敵と戦って成長 なんてシチュエーションは通用しません。いままで忙しくて出来ませんでしたが、身体的な能力の向上を目指してもらいます」
「え?じゃあ仕事の方は?」
「確かに君は、戦いから新たな価値観を見つけ出し本当の迷いを消す事が最終目標になりますが、それには段階ってものが必要となります。つまりその第一段階、修行をしてもらいます」
「忍君達、大変そうだね。じゃ頑張れ〜」
「何を言っているんですか?君にもまだ能力を授けたばかり、早速手放す・・・なんてことは出来ないんですからね」
「な、なるほど・・・・」
そうして、本部見学もつかの間、忍達の修行がスタートした。
20
:
ひらりん君
:2011/05/01(日) 18:55:40 HOST:222-151-086-008.jp.fiberbit.net
7page〜④
さて、修行を始めた忍達だが・・・・・
「で、何をどうしてどうやって修行すんの?」
「今までは能力を上手く使いこなしてどうにか行きましたが、能力は生命体です。自分の基礎体力が足りないと逆に自分の体を能力に占領されてしまいます」
「え・・・マジで?」
「能力を与えるとき耳が痛くなるほど言いましたが・・・・まあ、それならもう一度説明しましょう」
神天でも「魔法」と呼ばれているものがあるが、本来魔法は存在せず微生物が究極的な進化を遂げたものである。その微生物は神天の大部分を支え、生命力がとても強く生き物に能力与えることで存在する事が出来る。時には生き物を害したり、微生物の能力を使い過ぎると暴走したりすることがある。しかし人間の生命力を高める微生物もおりそれが住み着いていると体のバランスを保つことが出来る。しかしまたその微生物は人間の生命力とリンクするため、体を鍛えたり健康を保つことが重要となる。
「・・・・とまあ、能力者に最低必要源の知識を教えたはずですが」
「あー、そうだっけか?」
二人の1時間も続く会話にうんざりしたシェブは会話に突っ込んだ。
「って、この前から説明ばっかりじゃないか〜。忍君は何も知らなすぎだなぁ」
「まあ、これで一通り話しましたから、もうトレーニングに打ち込めるでしょう・・・」
「で、どこでどうやってトレーニングすんの?」
「そうですね、基礎体力向上ですから人里離れた山奥とか・・・ですかね」
「へぇ〜そんなベタな設定で良いんだ」
「見るだけなら簡単ですからね、トレーニング内容は二人とも別々ですが覚悟はしておいて下さい」
レイゼンは懐からモノクロの凹凸のある珠を取り出した。
「レイゼンそれは?」
「これは『ライドボール』といって飛行、水中などの移動手段に用いられます」
レイゼンはライドボールを投げるとライドボールは変形し、グライダーの様な形になった。
「これはシェブが使って下さい」
「えー、俺は〜?」
「私が変身魔法を使えばいい話です」
修行は次回にお預けなのであった・・・・・
21
:
ひらりん君
:2011/05/02(月) 20:55:43 HOST:222-151-086-003.jp.fiberbit.net
7page〜⑤
一層と街に離れた山奥で忍達は拠点を築いていた。
「にしても、レイゼンお前動物とかにも変身できるんだな〜」
「攻撃が出来ないよう制限はされていますけどね。鳥類、獣類は一通り心得ていますから」
レイゼンは一息ついて話し始めた。
「では、やっと特訓が始められそうですね。早速ですが、忍には今日からこのGW中このメニューをこなして貰います」
忍はレイゼンからメニューの書いてある紙を渡された、几帳面なレイゼンらしく手書きで達筆だった。
「まさか甲羅でも背負って何かしらするんじゃないよな、えっと、山の麓まで下りて薪を割るそれを担いでまたここに戻ってこれを5回・・・って軽く雑用入ってるけども〜」
「しょうがないですよ、暫くここで特訓するんですから、何かしら雑用も混ぜないといけません。後、そんなどっかの人気漫画のような特訓方はやりません。それではシェブの方もありますので」
忍は渋々と麓まで走っていった。
「ったく、レイゼンのヤツめ、基礎体力向上とか何とか言って結局雑用かよ・・・・ブツブツ」
〜一日目終了〜
翌日 朝
「忍、起きて下さい早朝も特訓あるんですから・・・・」
「もう10分だけ・・・・」
「いや、もうこれ4回目なんですけど・・・」
「こっちも筋肉痛が激しいんだって、今日ぐらい大人しくしてても良いでしょ。勉強してるからさ〜」
「『勉強』という言葉を都合の良いときだけ使わないで下さい。だったら、教科書でも読みながら薪割り行って下さい」
「俺は二宮金次郎かっ!」
「いいから行っていてください、こっちもこっちでやること沢山あるんですから」
「そういやシェブはどんな特訓してるんだ?」
「君と違って基礎的体力が備わっているので、本格的に能力を使って実践を行っています」
「あーもーくそー!邪魔しに行ってやる!」
「何でも良いですから早く二宮金次郎になってて下さい!」
レイゼンの言葉にお構いなしで忍はシェブの特訓場を見に行った。
するとなにやらシェブが両腕をしっかりと伸ばし、集中力を高めているようだった。
「そういやシェブのヤツの新しい能力はまだ見ていなかったな・・・」
シェブは伸ばした両腕に拳をギュッと握りしめた。途端に周りに衝撃波が走った。忍は衝撃波に暫く圧倒されていたが、気が付くとシェブの周りには水煙が立ちこめていた。
「あ、あれは!?」
驚いている忍にレイゼンがやれやれと言わんばかりに話した。
「シェブに授けた能力は水災魔法といって水を操る魔法です。本来は水災害を防ぐものに使われており・・・・」
「はいはい、分かったから。そう言う説明聞き飽きたから」
「・・・・」
シェブが2人に気付いて近づいてきた。
「やあ忍君!1日しか経ってないけどもう良いの?よければ新しい能力を試してみたいんだけど」
「よっしゃあ!あの時みたいに返り討ちにしてやるぜ!」
「特訓メンニューが台無しじゃないですか、全く・・・」
22
:
ひらりん君
:2011/05/03(火) 18:52:55 HOST:222-151-086-009.jp.fiberbit.net
7page〜⑥
「じゃあ、始めようか」
傾斜のきつい山では今まさに戦いが始まろうとしていた。
「おう!久々に俺の力が発揮できるぜ!」
「ハァ、じゃあ始めますよ。練習試合開始!」
レイゼンのかけ声とともに2人は一斉に動き出した。
先手を取ったのは忍だ、山の木の影を上手く使い素早くシェブに接近していった。忍は影で作り出す刀『影刀』でシェブに斬りかかった。
シェブは木から木へ上手く飛び移っていたがさすがに素早さは忍に劣り、すぐに追いつかれてしまった。
「さすがに素早さには俺に勝てないな!」
忍の『影刀』がシェブのもう目の前に来ている。
「勝負はまだまだこれからだよ」
シェブの周りにはスカイブルーの魔法陣が敷かれた。そしてその瞬間、忍の周りに無数の水滴が浮かび、水滴は一つの水の粒になった。忍はそれに捕まり身動きが取れなくなった。
「ゴボッゴボッ!」
「忍君、あまいね。水の性質は何にでも形が変わるというのがある。それを生かした技だよ」
忍は水の中で必死にもがいている。
「忍、気絶は負けに値しますから降参か、これを抜け出さないと行けませんよ」
忍はもがきながらも魔法陣を敷いて、周りの木陰を利用して水を破壊しようとしたが水には波が立っただけで壊れまではしなかった。
(くっ、このままじゃ・・・・)
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