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架空戦記系ネタの書き込み その86

1名無しさん:2017/04/10(月) 20:00:51
このスレは単発ネタも含める関係上、スレタイトルを『中編以上のネタの書き込み【架空戦記版】』から改名いたしました。
そのため単発ネタもOKとなりました。
ですので、単発・連載・嘘予告等を問わす、ミリタリー分多めのネタは、こちらに書き込んでください。
※例:史実準拠の歴史を歩む世界への転生・介入等


憂鬱世界内でのネタ、漫画・アニメ・ファンタジー等の別世界への転生・介入等は、『ネタの書きこみ』へどうぞ。
そこから同一のネタを題材とした投稿が(個人、複数人問わず)連続する場合は『中編以上のネタの書き込み』へどうぞ。

日本大陸に関するネタは『日本大陸を考察・ネタスレ』へどうぞ。
青の軌跡やガンダム関係に関しては『【青の軌跡】ガンダム総合スレ【憂鬱ガンダム】』へどうぞ。
コードギアスと憂鬱とのクロスは『提督たちの憂鬱×コードギアス ネタSSスレ』へどうぞ。

その他個別ネタスレがあるジャンルは、個別ジャンルのネタスレへどうぞ。

ネタ内容に関係のない雑談・議論、現代の事件・政治等に関する話題は『雑談スレ』にお願いいたします。


投稿にあたってはマナーを守り、常識の範囲内でお願いいたします。
二次創作にあたってはルールのあるものもありますので(例:らいとすたっふルール2004等)そちらも参照ください。
※ 投稿にあたっては下記注意事項をよく読み、それに則りお願いする次第です。

デン氏作成「中編以上のネタの書き込み用 規則12条 -   Ver1.03」更新2015年10月30日

――このスレには注意すべき事や規則があります。以下の文をお読みになり承諾できる方のみお読み・書き込みしてください。

1.ここは中編以上のネタ用スレなので様々な話が長期に渡って飛び交う可能性があります。場合によっては個人的に好きな内容や嫌いな内容が出る事がありますので、それらを覚悟した上でお読み・書き込みをしてください。
2.ここは中編以上のネタ用スレなので「少々の議論」はともかく、「本格的過ぎる議論」や「相手の価値観を潰す議論」は絶対にしないでください。以前それが原因で話が失速や潰れたりしています。冷静かつ楽しく書き込みを行って下さい。
3.ここでの話題はネタスレで中編以上のネタスレへの移行が推奨された話題のみです。それ以外の話題についてはネタスレに書き込むようお願いいたします。
4.「不適切発言」や「暴言」、「高圧的な発言」はしないでください。
5.ネタSSを投稿する際は出来るだけ、前持って投稿宣言をして下さい。いきなりですと動揺や迷惑、SSの分断の元になる可能性がありますのでご協力をお願い致します。
6.ネタSSは原則何でもご自由ですが「生々し過ぎる・性的・残酷すぎる」SSは禁止です。それらを守れれば「自重しないSS」はOkです。後は七つ目を読み、警告を入れましょう。
7.ネタSSが人を選ぶ様な場合はSSの最初に警告で目立つ様に表示してください。
  また、ウィキに搭載しても良い場合は警告の時に一緒に供述してください。またこのSSに限り何か禁止、許可したい場合なども警告に一緒に供述してください。
8.他作者の二次創作関連の話は慎重に取り扱いましょう。荒れる可能性が高く、他作者のファンの皆様の機嫌を損なう可能性があります。十分気をつけましょう。
9.産業作品や他作者の二次創作関連も含め、批評などは「きちんとした理由」なしに書き込まないようにしましょう。元々二次創作などは炎上しやすく、些細な事でここの掲示板に多大な迷惑をかける可能性が高いです。そこら辺もよく考えた上で書き込みましょう。
10.新規SSを投稿する際には議論の混乱を避けるため2015年時点で最も議論されている戦後夢幻会世界か、そうではない全く別の作品かを明記しましょう。
11.戦後夢幻会世界についての新規SSを投稿なさる際には議論の混乱を避けるためにひゅうが様・yukikaze様のルートがベースか否か、又はお二方とは異なるルートかを明記しましょう。
12.みんなで仲良く話しましょう。


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その85 ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/9191/1490158606/
その84:ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/9191/1488902638/
その83:ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/9191/1485991411/
その82:ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/9191/1484464169/
( 中 略 )
その1:ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/9191/1405263128/

516yukikaze:2017/04/22(土) 22:11:48
それでは投下します。御笑納ください。

戦後夢幻会世界ネタSS 『海軍で隼を一番上手く飛ばせた男』

「まあそうですなあ。あの直前は人生でも最悪な期間でしたな」

煙草をくゆらせながら、初老の男はそう答えた。

「ええ。だからと言って、203空の連中を恨むつもりはないです。あれは半ば自業自得です」

白煙が天井に昇るのを見ながら、男は遠い目をしつつ、言葉を紡いだ。

「ソロモンで負傷して、まあ死なずに済みましたが、視力は悪くなるわ、一時的にですが
左半身に痺れが残るわでしたから。小園中佐や笹井中尉が『坂井は絶対に治るから』と
強硬に主張してくれたお蔭で、軍に居残ることは出来ましたが」

おかげで、あの2人には足を向けて寝られませんわ、と、坂井は苦笑しつつ話を続ける。

「ただねえ。やはりあの時期のブランクは大きかった。復帰した私に命じられたのは、
大村空での教官職です。笹井中尉から『赤松さんのような教え方をしてくれ。貴様なら
出来ると思っているんだ』と言われ、私も『笹井中尉の期待に応えなくては』と、
私なりに努力はしましたが、空戦技術は異様なほどのスピードで変わっていっていました」

そう言うと、坂井は戸棚に飾っている2つの飛行機の模型を手にしながら、説明をし出した。

「御存じとは思いますが、私が乗っていたのはゼロ戦21型です。良い機体でした。パイロットの
意志に応えるかのように、まるで手足の如く動いてくれた機体です。相手の不意を突いて
敵を倒す場合、後下方からの攻撃が最適なのですが、低高度での動きが良いこいつは、本当に
良い飛行機でした」

そう言いながら、彼の右手に持たれたゼロ戦は、まるで舞の扇のようにひらひらと動いていた。
それはまるで、かつて彼が愛機を縦横無尽に天空を駆けさせたかのように。

「ですが、私が戦場から離れている間に、軍用機は進化していきました。高速での編隊空戦。
これまでの海軍の基本戦術とは真逆の戦法ですが、「攻撃的だが、味方の被撃墜率も高い」
従来の戦法ではパイロットが枯渇するという海軍上層部の判断は、今ならば間違っていないといえます」

『今ならば』という部分に力を入れつつ、坂井は左手に持った模型の台座を握りしめる。

「『局地戦闘機雷電』。この飛行機は確かに新たな戦法にあった機体でした。高火力に重防御。
高速域でのロール性も抜群の機体です。これが陸海の主力戦闘機になったのも当然でしょう。
ですが・・・こいつはゼロ戦21型ではなかった」

ゆっくりと何かを噛みしめるかのように、坂井は言葉を発する。

「思い通りの反応をしてくれんのですよ。21型では何でもないことがこいつではできなかった。
そのもどかしさ、苦しさを理解できる連中は、すでにこの世にはいません。
何故だかわかりますか?
私が、内地でヒヨッコ達と赤トンボ飛ばしている間に、戦法の転換を成し得なかった面子は
一人また一人と戦死していったんですよ。私よりもうまく飛ばせたパイロットですら例外では
なかった。あのソロモンでの戦はそう言うものだったんです」

そう言う坂井の顔は、まるで地獄の底を強制的に味わったような顔つきであった。
これまで自分が信奉していたもの、自分が築き上げてきた価値観や実績、それが目の前で音を立てて
崩れ去ったのだから、それは当然であったろう。

「辛かったですよ。自分の脳内に思い描いているイメージと、実際の機動が一致せんのです。
かつての同僚達も「怪我のせいだから」と慰めるのも癇に障りました。怪我のせいだったらどんなに
よかったか。あの戦闘機と私とでは決定的に合わんかったんですよ」

結果的に、復帰した坂井の技量が伸び悩む中、坂井が教えたヒヨッコ達が、すぐさま雷電の特徴を
掴んで、見る見るうちに技量を伸ばしていった事実に、坂井は耐えきれなかった。
部隊内でのトラブルは日を追うごとに多くなり、何度も坂井をかばい続けていた笹井や西沢ですら
坂井を持て余しつつあった。

517yukikaze:2017/04/22(土) 22:13:07
「ロッテ戦術が導入されていましたが、誰も私と組もうとしませんでしたね。当然です。私も
誰とも―たとえそれが笹井中尉であっても―組もうと思わなかったし、相手も同じだったでしょう。
新しく入ってきた連中は半ば公然と『死にたければどうぞおひとりで死んでください。あんたの下手
くそな操縦に付き合わされて死にたくありません』と言ってのけましたし、笹井中尉からも『これ以上
トラブルを起こすようなら、もう飛行機には乗らせん』と通告されましたしね」

そんな失意の笹井の転換こそ、フィリピンでの決戦であった。
マリアナにおいて、海軍は確かに勝利したものの、その代償として戦力の根幹である基地航空艦隊と
母艦航空隊を壊滅一歩手前になるほどの損害を受けていた。
無論、アメリカ海軍も空母機動艦隊が壊滅する羽目になったものの、相手は世界最大の国力を持つ
アメリカである。
半年も満たない時間で、彼らは戦力を整えると、フィリピンへの侵攻を開始する。
未だ戦力の回復途上である日本海軍において、内地にて錬成を続けていた203空を遊ばせてやる余裕など
どこにもなかった。

「203空の連中は戦意を高揚させていましたが、私は一人で『ああ。ここが死に場所か』と思っていました。
当時の203空は、全て雷電で固められるはずだったのですが、マリアナでの大被害のお蔭で、他の部隊に
引き抜かれたりして、雷電とゼロ戦32型の混成部隊になっていたんです。
私はゼロ戦32型に乗ることになったんですが、こいつも雷電よりはかなりマシとはいえ、21型のあの
絶妙な操縦を再現するにはどこか違和感がありました。
『ソロモンで死んでりゃよかった』と、本気で思っていましたよ」

日本海軍でも有数の精鋭部隊と見られていた203空であったが、フィリピンの航空戦はそんな彼らにとっても
苦闘の連続であった。
と・・・いっても、彼らの腕が劣っていたのではない。
単純に相手の戦力が圧倒的なまでに上だったのだ。
第203空は定数が72機あったが、相手は1,500機近い数である。
無論、全てが戦闘機でもないし、これだけの数が一斉に来たわけでもないが、それでも数の差は、圧倒的
という言葉すら生ぬるいレベルであった。

「もうね。生き残るのに必死でしたよ。雷電がF6F相手に高速域で戦える戦闘機であっても、相手は数に任せて
殴りかかってくるんですから。せめてもの救いは、雷電の防御が硬くて、あいつに乗っていた面子は辛うじて
命を拾ったくらいですね」

淡々と語る坂井であったが、言外に彼はこういっていた。
雷電程防御が硬くないゼロ戦に乗っていた面子は助からなかったと。

「ロッテ戦術もくそもありません。編隊を組もうにも、四方八方から相手は来るんです。律儀に編隊を組もうと
無理な機動をした瞬間、爆発してお陀仏ですよ。私の機体も何発も浴びて、飛んでいるのが奇跡でした」

その点では、32型の防御強化も無駄ではなかったでしょうね、と、坂井は淡々と言った。
何とも皮肉なことではあるが、坂井を苦しめる原因となった「低速域での絶妙な操縦性能をある程度低下させる
代わりに防弾装備を付けた」ことが、結果的に坂井の命を救ったのである。
無論、坂井がそれに対してどう思っているかは、彼の表情と口調が何とも微妙なものであったことからも
理解できるものであった。

「203空の基地に戻るのは自殺行為でした。飛行場は穴だらけだろうし、敵さんの戦闘機はしつこく付きまとう
のは確実。それ以前に、こちらの機体は飛んでいるのがやっと。こりゃもう不時着しかないと腹をくくって
ようやく、それなりに整地されている所を見つけた時は、神仏に感謝しましたよ」

もっとも、脚すら出なくなったことで、胴体着陸した坂井は、周囲を見て「そりゃあ整地されているはずだ」
と、妙に感心したという。
彼が降り立ったのは、陸軍の第七飛行師団が用意していた野戦飛行場の一つだったのだ。

「そのことを知った時は、そりゃあバツが悪かったですよ。何しろ胴体着陸したお蔭で、せっかく整地されて
いた場所が元の木阿弥になってしまいましたからねえ。こりゃあスマンことをしてしまったなあと、向こうの
担当にどうやって詫びようかと頭を悩ませていたんですわ」

518yukikaze:2017/04/22(土) 22:13:59
だが、坂井の心配とはよそに、陸軍側の反応は鈍かった。
坂井の報告に対しても、「ああそうか」程度のものでしかなく、機体の片付けについても「どうせアメちゃん
が爆弾で掘り起こすから関係ないよ」と、投げやりなものであった。

「いやもう・・・なんじゃこりゃあという気分でしたね。新聞とかでも『第七飛行師団は陸の荒鷲』なんて
精鋭部隊として宣伝されとったのに、そんな片鱗が全く見えんのですわ。最初は驚き戸惑っていた
私でしたが、時間がたつにつれてふつふつと怒りがこみ上げてきましたね。こっちは死に物狂いで戦って
いるのに、陸軍がこんな体たらくじゃあ、死んだ海軍の連中が浮かばれんと思いましてね」

気付いた時には、反抗的な空気を纏わせていた陸軍士官を思い切り殴り飛ばしていたという。
紛れもなく軍法会議ものの蛮行だったのだが、それ程までに坂井の怒りは凄まじかったのだ。

「いやもう、さっきまでの投げやりな空気が一瞬のうちに殺気立ちましたよ。殴られた士官もですが
周りの連中も「海軍の野郎」という空気を放ちましたし。今考えても向う見ずなことしでかしたなあ
という気分でしたが、不思議と怖くはありませんでしたね」

怖さよりも怒りの方が勝っていたと、坂井は述懐していた。
自業自得とはいえ、部隊の中で孤立していた坂井であったが、それでもなお、自分よりも若い連中が
多勢に無勢で落とされていくのを見て、何も感じないほど薄情な男ではなかったのだ。

『なぶり殺しにしたけりゃしやがれってんだ。だがな、はっきり言っておくぞ。てめえらはこの世で
最低最悪の臆病者だぞ。昨日の戦ではなあ、俺の部隊の連中も、てめえら陸軍の連中も、大空で
あんだけの大軍相手に勇敢に戦っていたぞ。年端もいかない陸軍の搭乗員が、乗機を火だるまに
されても、最後までアメ公に食らいついていったのをこの目ではっきりと見たぞ。にも拘らず
てめえらはなんだ!! たった一回の戦で『もう戦なんてやめた』か? ふざけるのも大概にしろ!!』

地面に胡坐をかいて、腕組みしながら、坂井は辺りに大きく響くように怒鳴り付けたという。
別に陸軍の人間がそれで動きを止めるとか期待していた訳ではない。
ただ思いの丈を腹の底からぶちまけたかったという。

「『貴様に何が分かる!!』って、自分が殴った士官から怒鳴られましたね。『俺達が貴様以上に
悔しくないと思うのか!! これまで一緒に苦楽を共にしてきた多くの戦友が、勇敢に戦い散っていった
ことがどれだけ辛いか・・・。にも拘らず、富永の野郎は臆病風に吹かれて逃げ、木村の野郎は
『貴様らは臆病者だ』と、俺達から飛行機を取り上げ、弾除け扱いにまで落としやがったんだ。
俺達には、仲間の敵を討つ機会すら与えられないんだぞ・・・』と。
あれが『断腸の思い』という奴なんでしょうねえ。あの士官が血の涙を流していたのを、私は一生忘れませんよ」

いつしかそこにいた全員が悔し涙を流していたという。
彼らだって誇り高い陸軍飛行第13戦隊なのだ。例え矢尽き刀折れても、最後まで戦う誇り高き男達なのだ。
にも拘らず、彼らは、的外れな命令を出した挙句、恐怖のあまり敵前逃亡した愚かな指揮官によって仲間達を
失い、更には八つ当たりじみた総指揮官の判断によって、仇討の機会すら取り上げられたのである。
彼らのプライドをへし折るには十分だっただろう。

普通ならば、坂井も彼らに同情して何も言えなかったであろう。
だが、この時の坂井は、自分でも何かわからない感情で動いていたという。

「飛行機が取り上げられた? バカヤロウ、嘘つくんじゃねえ。数機ほど巧妙に隠しているってのを気付いて
いないとでも思っているのか!! そんなバカ大将の大馬鹿命令なんて聞いてられるか。よしわかった。
じゃあてめえらの戦闘機に俺が乗って戦ってやる。俺は海軍だ。陸軍の命令なんかに従う義理も義務もねえ。
それなら文句ねえだろうが」

陸軍の全員があっけにとられるのを尻目に、坂井は彼が目をつけていた小山の方にずんずんと進むと、そこに
立っていた兵をあっさり押しのけて、目的の物を見つけていた。

「コンクリート製の有蓋掩体壕だったんですわ。Z工法といってね。土を土堆体という小山状に積み上げ、
その上を筵などで覆い、さらに太い金網か木枠を被せ、コンクリートを流し固める。コンクリートが固まると、
中の土を出して上に載せて覆土とし、擬装するんですが、よく使われとりましたよ」

そしてそこで彼は運命的な出会いをする。
海軍で三枚のプロペラに慣れていた彼にとっては、懐かしいと言っていい2枚のプロペラを持つその機体は
坂井には、今にも飛び立たんと抑えに抑えているように見えたという。

519yukikaze:2017/04/22(土) 22:14:55
「そこから先は押し問答でしたね。『良いから乗せろ』『バカヤロウ、海軍なんぞに俺達の翼に触れさせるか』
ってな具合に。まあ最後は『うるせえ!! こいつが死ぬのは空の上だ。アメ公の爆弾で押しつぶされて
死ぬなんて、こいつが喜ぶと思うのか』って、啖呵切っていたら、さっきの士官が『構わん。俺が責任を取る』
って、許可をくれましたね」

坂井にとっては、目的を果たせたと言っていいのだが、その時は戸惑いの方が強かったそうだ。
まあ当然だろう。勢いとはいえ殴り飛ばした士官が、自分の援護射撃をするなんて想像の範囲外だからだ。
困惑する坂井に、その士官は、何でもないことのように言ってのけたという。

「『そいつは俺の親友の機体だ』って言ったんですわ。『俺よりも腕が立って、立派なパイロットだった』と
言ってね。後でわかったんですが、その親友さんは、富永が逃げようとしたのを咎めたら、連中に撃たれて
一命は取り留めましたが、もう空を飛べないんじゃないかって言われるほどの重傷だったそうなんですわ。
まあ、その親友さんは、東条の意向もあって、手厚い治療を施されて、戦後になりますが、警察予備隊
時代に出来た救難隊で大分ご活躍されたそうなんですが、今でも太田さん――ああ、私が殴り飛ばして
しまった中尉さんは、『あいつは戦闘機パイロットのままだったら、空軍の総大将になれたんだが、
人の命を救い続けて、少将に成れたことを誇りにするえらい奴だからなあ』と、いつも言っていますよ。
余談が過ぎましたね。それで太田さんが言ったんですよ。『確かにこいつは飛びたがっている。それなら
飛ばしてやった方があいつも喜ぶ』とね。まあ『海軍野郎。飛ばせてやるがそいつは絶対に壊すな。後、
絶対に返せ』と言われましたがね」

借りパクされたら堪らんと言うことですね。まあ結果的に、終戦までお借りすることになって、第13戦隊
の戦友会の席で、今でも酒の肴にされとりますが、と、坂井は、アルバムに保存している戦友会の写真を
なぞりながら、懐かしそうに語っていた。

「忘れもしません。あの10月28日の戦いは。連合艦隊が本土とブルネイから全力出撃したその日、私の
第二のパイロット人生が始まったんです」

その日、坂井は、太田中尉から渡されたマニュアルを丁寧に読んでいたという。
太田の親友が纏めていたそれは、何故か少しばかり扇情的な絵を多用していたものの、反面、要点がよく
纏められており、全く機体に障ったことのない坂井にも、容易に理解できる内容であった。

「正式なマニュアルというよりは、飛行第13戦隊の部隊向けだったらしいですわ。『これ問題にならんか
ったんですか?』と聞いたら、太田さんが『だから部隊向けなんだよ。ちなみに頭の固い面子には、
『友邦独国の虎戦車の教本を参考にしました』と言って『いい加減なことをぬかすな!!』と、怒鳴られたら
『いえ。独国から見本で購入された虎型戦車の教本にあると中央に勤務している同期が言っていたのであります。
ご確認ください』と言い返すと、どうやら本当だったようで、二度と言わなくなったよ』と、いたずらっ子の
ような顔で言っていたなあ。ほう? 他の部隊でも似たようなのがあったんですか。いやはや、陸軍さんは
こういう面では海軍よりもしゃれっ気がありますなあ」

そうしているうちに、臨時基地に、敵艦載機が接近しているという報が入ってきた。
機数は4機程度。もっとも、向こうにしてみれば、戦力の枯渇というよりは、こちらの空域の哨戒程度の
感覚なのであろうというのが、この基地全員の認識であった。

「『連中・・・もう勝った気でいやがる』と、太田さんたちは憎々しげに言っていましたね。この時には
飛行戦隊の戦隊長さんも腹をくくって『俺が全責任取るから、お前らは最後まで思う存分空を飛んで来い』
と、言ったことで、戦意も取り戻せていたから猶更でしたね。で・・・私がついつい言ってしまったんですわ。
『それなら、連中に戦争を教育してやりましょう』って。みんな、ニヤリと笑いましたね」

もっとも、第13飛行戦隊にも悩みがなかった訳ではない。
現在、この臨時飛行場にある機体は7機しかない。周囲に点在している機体をかき集めれば、十数機程度に
なるかもしれないが、それをすべて賄えるほどの設備をこの飛行場は有していなかった。
なので、当面は、現在ある機体でやりくりする必要があるのだが、それだと陸海軍で基本となるロッテ戦術
が組めない機体が発生するのだ。

「なので『私は単機でやらさせてもらいます。ロッテを組もうにも、陸軍さんといきなり連携取るなんて
そりゃ無理でしょう』と言って、好きなようにさせてもらいました。向こうの戦隊長さんは、私が危なく
なったら助太刀しろとは言ってのけていましたが」

520yukikaze:2017/04/22(土) 22:15:50
後に連合国パイロットから『赤い尾翼のオスカーにだけは気をつけろ。奴はとんでもないエースだし、
奴に気を取られると、奴の仲間たちが狙ってくる』と、最注意で語られることになる戦法であるが、
実際には、やむを得ない措置でしかなかったのだ。
そして・・・

「敵は護衛空母所属のF4F4機でした。あれも初期と比べると大分いい機体になっていて、32型でも舐めて
かかると落とされる機体なんです。この機体でどう戦えるかというのを図るには、ある意味最適な機体
でした」

敵が視認できた時、坂井は、いつも以上に慎重に襲撃位置のポイント取りを行ったという。

「何しろ陸軍さんが見ていますからねえ。無様な真似は出来ません。計器やら何やらの配置が陸海共用に
なってくれていたお蔭で、操縦自体はそう困難は生じなかったのですが、飛行機を普通に飛ばすのと
空戦とは全然違いますから。そりゃあもう細心にも細心を重ねて行いましたとも」

そうして坂井は、深呼吸一つすると、エンジンのスロットを上げた。

「いやもう驚きましたよ。頭では分かっていましたが、Ⅲ型の加速性能は想像以上でした。やはり頭が
21型のままだったのでしょうなあ。現状に切り替えた時は、もう射撃せんといかん位置でした」

手で頭をかきながらそう話す坂井であったが、周囲からは『あれほどまでに見事な据え者切りは見たこと
がない』と絶句されたように、1機を落とすと、慌てたもう1機も悠々と落としてのけていた。

「あの時はねえ。全身に衝撃が走りましたよ。2機目を落とす時に旋回したんですが、その時に、
21型の時にできた、あの絶妙な操縦ができたんです。最初はまぐれかと思ったんですが、2機目を
落として、血の昇った相手が、乱射しながら一撃離脱かけてきたのを、自分の想定通りに躱して
のけたことで、これまでのもやもやが完全に消えましたね」

結果的にこの空戦で、坂井は2機撃墜し、残り2機も、坂井に気を取られすぎたことで、坂井の援護役
の陸軍の2機に落とされ、完勝に終わっている。

「もうね。嬉しかったですよ。もう戦闘機パイロットとしては駄目だと思っていたのが、あの1戦で
自信を完全に取り戻すことができたんです。飛行場に戻った時に思わず言いましたよ。『頼む。俺から
この機体を取り上げないでくれ。こいつは最高の戦闘機だ。こいつに乗っている限り絶対に負けない』って。
古参の人達が『そうだよな。隼は強いもんな』って泣いて喜んでいましたよ」

相手の強大な戦力を考えれば、今回の戦果も蟷螂の斧であったかもしれない。
だが、誇りを汚された飛行第13戦隊の面々にとっては、今回の完勝と、何より海軍パイロットが陸軍機を
本気で褒め称えたという事実は、彼らの傷ついた心を癒すには何よりの薬であった。

「それ以降はまあ、アメちゃんに対する嫌がらせですな。向こうの大将も、連合艦隊にかかりきりにならんと
いかんですから、基本は護衛空母の機体相手でしたが、向こうも広い戦域を護衛空母部隊の戦力で何とか
せんといかんでしたから、日を経つこどに苦しくなっていっているのがわかりましたね」

それが肌に感じられたのが、10月30日の戦いであったという。

「戦隊長さんが『海軍さんの艦隊がシブヤン海まで来ているんだ。海軍さんの飛行部隊は助けに行くそう
なんだがもだが、うちも助けにいきたい。すまんがいってくれんか』と言ったんです。そりゃあ味方を
助けにいかにゃいかんと、私が先導していったんですが、そりゃあ壮観な艦隊でした」

懐かしそうに坂井は目を細めていた。
彼の眼下にあったのは、金剛型と伊勢型を除くすべての戦艦である。
特にソロモン海の戦で全国民に知られた大和型2隻は、坂井をして『あんなデカい戦艦を日本は持っていたんか』
と、心から驚いたという。

「で・・・私らが対峙したのは第一次攻撃隊と、護衛空母群からなる第三次攻撃隊でした。敵の戦闘機が少なかった
こともあって、戦闘機は他の部隊に任せて、うちらは雷撃機の阻止に全力を尽くしましたね。爆弾はともかく
雷撃による浸水程面倒なことはありませんから。そう言った点でも隼は有用でした」

もっとも、坂井たちが戦ったのは雷撃機だけではなかった。
雷撃機を守ろうと坂井たちに攻撃を加えた戦闘機もいたのだ。

「勇敢なパイロットでしたよ。こちらの戦闘機を振り切って、何としても雷撃機を守ろうという意志が
こちらにも伝わってくる、そんな立派なパイロットでした。戦後、撃墜したパイロットが、マリアナで生き残って
いた、エースパイロットのブラシウ氏だったことを聞いた時は、成程なと思いました」

521yukikaze:2017/04/22(土) 22:16:56
「ああそうそう。私らが『アメちゃんも苦しいんじゃないか』と思ったのが、第三次の空襲です。その時の部隊が
対地専門の筈の護衛空母部隊なんですよ。あんだけ正規空母を持っているアメちゃんが、わざわざ護衛空母部隊を
繰り出してくる。こりゃあ向こうも懐が苦しいんじゃないのかって思いましたね。まあうちらは『ここでこいつら
減らしておけば後が楽だ』と、60機位いた機体を減らすのに必死でしたが」

結果的に、彼らが帰還した後に、ハルゼーが出した最後の攻撃隊によって、第三次攻撃時点で煙を吐いていた
瑞鳳は沈み、龍鳳も大破してしまったのだが、それを坂井たちのせいにするのは酷であろう。
事実、この時期の陸軍第13飛行戦隊の奮戦は、『フィリピン戦での陸軍部隊の白眉』と言われるだけの戦績
(最終的にはフィリピン戦を通じて、戦闘機28機、攻撃機32機の撃墜を記録している。なお自軍は、56機中
38機の損失を受けている。)を残している。

「レイテて艦隊がアメちゃんを吹き飛ばしたことを知った時は、もう基地中が万歳三唱でしたよ。アメちゃんの
攻撃がピタッと止まって、『アメちゃんが逃げていくぞ』と聞いた時は、歓声を上げていました。だから
木村から『米軍は逃げている。今すぐ追撃しろ』なんて命令が下った時は、全員が馬鹿にしていましたね。
『無能大将の命令なんざまともに聞けるか。最初から最後まで足を引っ張りやがって。そんなに追撃したけりゃ
防空壕で震えている花谷のケツでも蹴飛ばしやがれ』って、全員が貶していました。
まあそれでも戦隊長さんが『あんなバカの命令なんか聞く気はないが、それでも戦友たちの傘になってくれんか』
と、頭下げたから『戦隊長殿の頼みならば』って、雷電部隊が対地用のロケット弾詰み込んで、うちらはその
護衛として飛びましたよ。結果的に、無茶な命令でひどい目にあったレイテの旅団の撤退を助けられたのが
幸いでしたが、もっとも、それは向こうも陸軍兵の速やかな撤退を第一義に考えて、それ以外はしないように
自制していたのが大きかったでしょうね」

かくしてフィリピンでの坂井の戦いは終わったのだが、それからが大変だったという。

「今でこそ笑い話ですが、みんな私が死んでいたと思っていたんですわ。13飛行戦隊の皆さんも、私がここにいる
なんてことを伝える余裕なんてどこにもありませんでしたから。なので原隊復帰をするべく連絡を取ったら、
電話口で『坂井は生きとったんか!!』と、驚きの声があがり、『今まで何しとったんじゃ!!』と、笹井中尉
から怒鳴られたんで『陸さんの戦闘機に乗って、アメちゃんの飛行機を落としていました。赤い尾翼の隼です』
と申告すると『あの時の隼はお前だったんか!!』と、二重に驚かれました」

もっとも、坂井が大変だったのはそれ以降だった。
レイテ沖での決戦は、日本海軍にとっては大勝であったものの、同時に在フィリピンの陸軍上層部の無能さから
陸海軍の関係が一気に悪化していたのであった。
如何に東条が、事実上、軍の政策ラインから外され、逃亡した富永を筆頭に、的外れな作戦指揮を連発した
木村や、無能の限りを尽くした花谷が、苛烈な処罰を受けたからと言って、海軍側の反発が簡単に収まる
状況ではなかったのだ。
故に、『現場の陸海軍将兵が一致協力して米軍に立ち向かった』という図は、陸海協調が必要と判断している
上層部にとっては、これ以上ない程の宣伝材料であったのだ。

「もう酷いもんでしたよ。今でいうと完全な客寄せパンダです。講演の依頼がひっきりなしに来るんですが
その時も軍の広報から『陸軍の名誉を傷つけず、陸海協調を果たしてほしい』なんてこと言われて、13飛行戦隊の
皆さんと一緒になって呆れかえっていましたから。遂には映画まで撮られた日には『こりゃ一体どこの何という
話だ?』という位にまで脚色されていましたわ。お蔭で戦後の一時期はうそつき呼ばわりですよ」

坂井曰く『正直な話、谷口監督には悪いですが『フィリピンの荒鷲』は、二度と見たくありませんね。映画の
出来云々じゃなくて、私を大川内伝次郎、太田中尉さんが長谷川一夫、太田さんの親友役で黒川弥太郎、
従軍看護婦役で高峰秀子とか、当人達にしてみりゃあ、恥ずかしすぎて見れませんよ』と、困った顔で
言っていたが、こうした宣伝により、陸海軍の感情的な反発は、表面上は鳴りを潜めたものの、今度は
海軍での坂井の居場所がなくなろうとしていた。

522yukikaze:2017/04/22(土) 22:17:30
「まあ私が203空で浮いていたのが悪かったんですが、203空において『俺達だって苦労したのに、なんで
あいつばかり』という声が強くなったんですわ。13飛行戦隊の場合は『俺達の無念をよくぞ晴らしてくれた』
と、第四航空軍の面々から感謝されていたのでトラブルも起きなかったんですが。後は隼を褒めたことで
『俺達の戦法が間違っていたというのか』と曲解されたりもして・・・」

語っていくうちに陰鬱な気分になったのだろう。坂井の声の張りもなくなり、眼も虚ろになっていった。

「結局、司令や笹井さんでも抑えきることができなくなって、笹井さんと面識があった高田GF参謀長が
一肌脱いでくれて、13飛行戦隊への出向という形で事態を抑えてくれたんです。寂しかったですよ。
何しろ見送りに来たのが、笹井中尉に西沢に本田といった旧台南空の連中だけでしたし。むしろ
13飛行戦隊の面々の方が喜んで出迎えてくれましたよ。太田中尉なんか『あいつが帰ってくるまでは
責任もってあいつの隼を飛ばせ。あいつが帰ってきたら新しい隼調達してくるから心配するな』でしたよ」

そのころには、飛行第13戦隊は『ご褒美』として4式戦が受領されており、坂井もそれに乗ったのだが
評価は芳しくなかったという。

「一度だけ乗らさせてもらったんですが、やはり隼の方があっていましたね。操縦桿を力っぱい振れば
格闘戦用の旋回能力もかなりあるんですが、とにかく操縦桿が重くて、いざという時に不安を覚えましたし。
後はエンジンですね。栄と比べると無理がきかない。そこが不満でした」

頑迷と言われるかもしれないが、それでも戦果を上げ続けている坂井に対し、13飛行戦隊は『坂井少尉の
好きなようにさせてやれ』と、寛容であった。
そこには『坂井は海軍だから』という意識があったからとも言えるが、それ以上に、フィリピンで坂井が
単機で操る隼と、残りの重戦部隊との連係プレーによって得たスコアを無視することは不可能であった。

「そうこうしているうちに、いよいよアメちゃんが本土に迫ってくるということで、私らが派遣されたのが
沖縄でした。当時、アメリカが来ると思われたのはマリアナだったのですが、マリアナに進出したくても
マリアナでの受け入れ態勢が整っていませんでした。なので、我々は支作戦で沖縄や台湾に艦隊が来ると
判断されて、その防衛のために派遣されたんです。連合艦隊も悲壮だったようですが、うちらも悲壮でしたよ。
何しろ、マリアナにかかりきりの艦隊が助けに来る可能性は低いと見ていましたから。まあ本土で戦死
出来るのがせめてもの慰めと言い合っていましたね」

だが、沖縄での戦いは、坂井たちの想像をはるかに超えるものであった。

「いやもう最初から防戦一方ですよ。フィリピンの時よりも酷かったんじゃないですかね。何しろ
フィリピンの時は『決戦』の心構えがあったのに対し、ここでは『あくまで牽制』という意識が強かった
ですからねえ。全員が『ヤバイ。まともに戦ったら磨り潰される』って、慌てて退避しましたよ。
第八航空師団や第二航空艦隊が瞬時に消し飛んだのを見れば猶更ですよ」

嘉手納から必死の思いで、南部に作っていた臨時基地に移動した坂井たちであったが、翌日の空を見て
絶句したという。

「何が驚いたかって、ペロ8・・・ああ、P-38のことですが、あいつらが空を飛んでいるんですよ。
何でアメリカ陸軍機がここにいるんだって驚きましたが、向こうでも陸海軍の対立が激しくて、陸軍の不信
が元で、ニューギニアにいた精鋭部隊をわざわざ輸送させたと聞いた時は、どこも同じかと思いました」

こうした状況下で、第13飛行戦隊は「座して死を待つよりも打って出るべきでは」という意見が出されたが
戦隊長は絶対に首を振らなかったという。

「偉い人でしたよ。『自暴自棄になって戦うな。最後まで粘り強く戦うんだ。連合艦隊は必ず来てくれる。
フィリピンの時も来てくれたじゃないか。俺達が打って出るのはその時だ』といって、部隊の一人一人を
説得したんです。私もついつい『連合艦隊を信じてください。お願いします』と頭を下げて、出撃を主張
していた人たちも『戦隊長殿と坂井さんが言うのなら』とひいてくれました」

この時、坂井は心の底から神仏に祈ったというが、その後の展開に腰を抜かすことになる。

「翌日から天気が悪くなってきましてねえ。『こりゃあ明日はアメちゃんも空飛ばんだろ』と言い合って
いたら、気象班の人間が『おいマテ。こりゃあ嵐になるんじゃないのか』って言うんですわ。
4月にそんなことあるかいと思っていたら、例の『神風』ですよ。その時ほど私は『この世には神も
仏もいるんじゃな』と、呟いて、みんなと一緒になって『もっと降れもっと降れ』言って、飛行場班の
人らに『整地するうちらのことも考えやがれ』と言われましたわ」

523yukikaze:2017/04/22(土) 22:18:18
そうこうするうちに『第五航空艦隊と第六航空軍の連中がやったらしいぞ』『アメちゃんが大混乱している
ようだ』『連合艦隊が来てくれるんだ』という声が聞こえる中、沖縄を守る第32軍司令部から、4月17日
早朝、連合艦隊の宜野湾突入と併せて、反攻作戦を決行することが告げられる。

「もう本当にうれしかったですね。連合艦隊は来てくれたんだと。仮に宜野湾に到達したのが駆逐艦1隻
であってもそれは変わらなかったでしょう。彼らは約束を守ってくれたんだと。じゃあ次は俺達の晩だって
整備兵の皆さんは徹夜で整備していましたよ」

この時、沖縄に展開していた第七飛行師団の残存部隊は、第13戦隊の32機を皮切りに、第24戦隊の16機、
第208戦隊の彗星陸爆隊20数機、それに切り札と言っていい、第75戦隊の天雷及び屠龍(どちらも襲撃機ver)
の10機程度であったが、それでも彼らは意気軒昂であった。
連合艦隊の襲来により、アメリカ海軍空母機動艦隊はその対処にかかりきりなのだ。
アメリカ陸軍の兵力もそれほど多いとは考えられない(実際に彼らが持ち込んだ戦闘機は30機程度で、
半ば象徴的なものでしかなかった)ことから、今この時だけは押し込めると考えたのであった。

「みんな『もうこんな好機はこの時だけだぞ』って言っていましたね。実際、アメリカの空母機動艦隊は
しぶといことを痛感していましたからねえ。連中が牙をむく前に、とにかくアメリカ陸軍に打撃を与えておけと。
だからこそみんな『すまない』って、宜野湾の方に頭を下げながら、出撃しましたわ」

1945年4月17日午前6時30分。
連合艦隊の宜野湾突入と同時に発令された『義烈』作戦は、太平洋戦争における、日本陸軍最後の攻勢作戦
として名を残している。
突然の奇襲により、アメリカ陸軍は大混乱に陥り、そしてそれは宜野湾への連合艦隊突入と、挺身部隊による
総司令部への襲撃及び司令官殺害で頂点に達することになる。
そしてその混乱は空でも起きていた。

「驚いたことに、予想されたアメリカ陸軍機による迎撃もなかったんですよ。これは、海軍の特殊部隊が
陸軍航空部隊の兵舎に向けて攻撃叩き込んで、何人もの人間を死傷させたことが大きいのですが、
こちらはもう、それこそ我が物顔で攻撃しましたわ」

第七師団に命じられた攻撃箇所は、後方にある敵軍団及び師団司令部であった。
日本陸海軍は、挺身部隊の少なくない犠牲を基にして、彼らの居場所を探り当てており、たった一撃に
全てを賭けていたのだ。

「ほんと博打ですよねえ。何しろ外れたらそこで終わりなんですから。それでも現状を考えるならば
それ以外にないのも事実なのですが。だから、一番強力な襲撃機部隊が軍団司令部を狙い、
陸幕部隊で師団司令部を潰すことにしました。うちらも余分な重量になることは覚悟の上で、
疾風部隊は虎の子のロケット弾を全機装着していました」

沖縄戦において、第七飛行師団の最初で最後の大攻勢は、対空火器や、遅ればせながら出てきた
アメリカ陸軍航空隊や、アメリカ護衛空母部隊の艦載機の一部によって、爆撃機部隊が半減する被害を
受けながらも、敵司令部の大半に攻撃が成功し、唯一生き残った第七歩兵師団司令部が、即座に
遅滞防御作戦への移行を命令することにより、アメリカ陸軍の沖縄攻略作戦の遅延は決定づけられる
ことになる。幸いにも、アメリカ陸軍の前線部隊が粘り強く戦ったことと、午後からはアメリカ海軍の
空母機動艦隊の残存部隊が、阻止攻撃に全力を挙げたことで、32軍の戦果拡大は頓挫されることになるが
それでも、当初案に策定したラインまで戦線を押し上げることになっている。

「これが私にとって事実上、最後の戦いと言えるものでした。あの戦いで、私はP-38を2機撃墜して、
最終的にはあの戦争終了までに54機落とすことができました。笹井さんや松さんの120機、西沢や岩本さんの
160機近い数は当然、菅野や杉田、武藤にも及びませんが、それでも戦闘機パイロットとして満足できましたよ」

そう言って、坂井は満足そうに話を締めくくった。
確かに彼の撃墜数を見れば、日本海軍でも15位以内に辛うじて入る状況ではある。
だが彼のことを『撃墜王倶楽部の中では大したことがない』と言うものは一人もいない。
前述したブラシウを皮切りに、フレミングやトーマス・マクガイアといったエースクラスを撃墜してのけ、
最後の戦闘では、復讐に燃えるボング率いる1個中隊の待ち伏せにも生き延びる(この時のボングの行動は
彼の名声を傷つけるのに十分であり、彼は失意のうちに帰国した後、ジェット戦闘機への転換訓練中に
事故死することになる)など、『赤い尾翼のオスカーはエースキラーだ』と、連合国パイロットからは
死神扱いされているからだ。

もっとも、当人は『エースキラー』『大空のサムライ』と呼ばれるよりも、こう呼ばれる方を好んだとされる。

『海軍で隼を一番上手く飛ばせた男』と

524yukikaze:2017/04/22(土) 22:24:25
これにて投下終了。長すぎるわ馬鹿野郎という抗議は受け付けます。

大空のサムライとか見ていると、本当にこの人は『ゼロ戦21型』で
止まってしまったんだなあという観が。
近年の研究では、むしろ52型の方が現場では好まれていたのですが、
なまじ21型で戦果を上げ続け、ブランクが発生しちゃったことで、
過去の栄光に縋ってしまったのかなあと。

本作でもそこら辺の苦悩を書きつつ、低高度低速域では21型に匹敵する
操縦性の良さと、21型を超える加速性能に上昇性能、更に12.7mm2門なれど
炸裂弾と命中率が高い武装と、それなりの防御力という、恐らく坂井が一番
扱いやすい隼Ⅲ型と組み合わせることで、彼の闇を払しょくさせることにしました。

以下は突っ込みとその答えになります。

525名無しさん:2017/04/22(土) 22:30:51
操縦は52型の方がやりやすかったという報告もあるがどうなんだろうな。

具体的には21型は両手で動かさないとロールが取れなかったのに対し
52型は片手でロールが取れて、しかも素早く切り返せたとか。

後、陸軍のは海軍と違ってスロットの入り方が逆だから、事故死しなかったな。よくも

526ひゅうが:2017/04/22(土) 22:31:55
乙でした。
ああ、あの人らしいなぁというのがもうねw
後期の日本軍はいやらしい戦いぶりに拍車がかかっている様子もw

527名無しさん:2017/04/22(土) 22:34:23


この人ってもっさんの元ネタっぽいけど、戦争後半は不遇だったのか

528New:2017/04/22(土) 22:37:29
乙。坂井さんは軽戦専門の”職人”ですね。ブランクというかアホらしい
速度で高度化する航空戦について行けなくなるのは(史実とかみてると余計に)
仕方ないよなあ・・・・。
自分は零戦より隼好きなんで活躍を見れて幸いですw
しかし富永たちはよく”帰国中に事故死”とかにならずに済んだなあ(汗)

529名無しさん:2017/04/22(土) 22:37:54
でもまあある意味坂井さんが普通ではあると思うんだよな
史実じゃベテランの方が雷電に適応できなかった人が多かったって言われるように
機種転換なんて本来そう簡単に1か月2か月で済む話じゃないんだよね
新型に普通に適応できるベテランが本来は異常なはず…

でもまあ何が言いたいかと言えば、新しい翼を得て再び思うままに飛べた坂井さんおめでとう!

530yukikaze:2017/04/22(土) 22:40:15
Q 何で海軍の坂井が隼操縦できんだよ
A 雷電が『陸海共用戦闘機』になったことで、陸海で計器やら操縦席での配置やらを
  統一することになりました。坂井が乗っていたのは、その統一型の隼。

Q 隼強すぎね?
A 低速度低高度域での空戦では太平洋戦争末期でも強いですよ。こいつ。

Q アメちゃん対策しているよね?
A レイテのアメリカ海軍航空隊って、ルーキー以上ベテラン未満が殆ど。初陣も多い。
  沖縄の場合は、海軍航空隊はほとんど出ず、ルーキーが多い護衛空母か、ベテランだが混乱中の陸軍
  要は「戦った時の状況が、日本側にとって有利な状況」

Q 何気に日本側のパイロットの撃墜数凄くね? 50機以上で15位以内ギリギリかよ
A 割と真面目にレイテやマリアナ、それに本土爆撃に来た爆撃機相手にスコア稼いでいます。
  ちなみに日本陸軍は大陸戦線でスコアを稼ぐ人間が多く、陸軍まで入れると、30位以内に入るか
  入らないかのレベルです。ちなみに拙作世界での日本軍での最高スコアは上坊良太郎陸軍大尉の
  208機という数字。

531名無しさん:2017/04/22(土) 22:42:41
エーリッヒ・ハルトマンもMe262嫌ってましたなー
案外彼もまた古い人だったかもしれませんね

532名無しさん:2017/04/22(土) 22:46:10
上坊良太郎って陸軍トップエースなのに、あんまり知名度無くて
ノモンハンで戦死した篠原弘道がトップエースだと思ってる人多いよね

岩本徹三は撃墜スコア200越えたかな?

533名無しさん:2017/04/22(土) 22:47:09
古いというかプロペラ機しか乗っていない当時のパイロットの大抵は多かれ少なかれ拒否反応あると思うよ。
扱い方や挙動がプロペラ機とは大きく違うし、同じ方法では飛べない。

二輪乗っていた人が初めて四輪に乗るようなもんだ。

534名無しさん:2017/04/22(土) 22:48:40
戦後ストパンのもっさんは、零戦から雷電・紫電改に乗り換えることなく
陸軍からの隼に乗るな。これ

535名無しさん:2017/04/22(土) 22:50:27
>>534
使い魔も決定しちゃうなw

536名無しさん:2017/04/22(土) 22:51:33
戦後ストパンのもっさんの使い魔は犬系じゃなくて隼か
ハンナみたいな耳になるな

537名無しさん:2017/04/22(土) 22:54:44
乙です。
隼三型を評価された陸軍将兵も嬉しかったんだろうなぁ。
疾風や雷電/雷電改が出てくるまで陸軍の主力として常に戦い続けてきた隼シリーズの傑作が海軍の歴戦パイロットにまで評価されたのだから。

ベテラン勢は時代の変化に追いつけなかった者たちは次々と食われていったんだろうね……。
その中でも対応したパイロット達は紫電改や疾風、雷電を駆って暴れくるったのだろうけど。

538名無しさん:2017/04/22(土) 22:55:30
>>533
双発戦闘機のパイロットたちが一番適応しやすかったと聞きますな。

539名無しさん:2017/04/22(土) 22:57:53
>海軍で三枚のプロペラに慣れていた彼にとっては、懐かしいと言っていい2枚のプロペラを持つその機体は
この時期の一式戦は二型,三型では?
3翅ペラじゃない?

540名無しさん:2017/04/22(土) 23:01:13
雷電や紫電だと四枚プロペラだよなあ。
隼や零戦は三枚プロペラ

541名無しさん:2017/04/22(土) 23:04:36
隼三型は三枚プロペラだね。

542名無しさん:2017/04/22(土) 23:05:03
もっさんの使い魔は犬が死んで(史実の負傷の意味で)、二代目が隼とか?

543名無しさん:2017/04/22(土) 23:06:18
二枚プロペラの隼は無いことは無いけど、初期型の隼Ⅰ型だから
これで戦って撃墜できたら、ものすごい偉業を立っていることになってるぞ

544名無しさん:2017/04/22(土) 23:14:25
>>538
ああ、確かに。軽快な機動のできない双発機は初期ジェット機の機動とよく似てるものがある。

545yukikaze:2017/04/22(土) 23:15:15
>>525
スロットは確か隼以降では海軍機と同じじゃなかったでしたっけ。
近年の研究では、52型の方がぶん回せたとなっているんですよねえ。

>>526
あの人らしく書いてみました。

>>527
割と不遇というか完璧に浮いていますね。343空時代では杉田とかマジギレして、
半ば厄介払いで坂井は横須賀に飛ばされたりしています。

>>528
拙作世界の雷電って、ある意味、開戦前からのパイロットに対してはカルチャーショック
与えた機体だと思っています。
富永は、日本でもまず例がない『敵前逃亡による将官への銃殺刑』でしたし。

>>529
なので、1943年後半から、ソロモンから引き揚げてきた面々が半年以上かけて内地で
錬成して慣れた状態でマリアナに送り込まれます。
アメリカ海軍航空部隊の損耗の原因が、この雷電の巣となっていたマリアナでの迎撃戦。

>>532
海軍連中は160機程度で終了ですね。

>>537
何気に雷電の次の陸海共用戦闘機が疾風ですので、中島も大満足です。

>>539>>540
ゴメン。Ⅰ型のイメージのままで書いていました。この部分は後で修正します。
あと「飛行第13戦隊」と「第13飛行戦隊」で表記が混在していますので、
これも「飛行第13戦隊」で統一させてください。

546銑鉄:2017/04/22(土) 23:25:42
乙です。

読んでいて、今では更新が途絶えてしまった某HPにあった陸軍撃墜王のお話の最後の一言
「四式戦よりも一式戦三型を選びます。負けない。」
を思い出しました。

547名無しさん:2017/04/22(土) 23:30:47
乙です、マクガイアさんフィリピンで死なずにすんだと思ったら沖縄で散るか

まあ坂井の言い分もわからないわけじゃないんだよな、ずっと格闘戦を学び続けたのに
いきなり変えろなんていわれても難しいよ

548名無しさん:2017/04/22(土) 23:32:36
乙です
侍じゃないけど、ある意味で訓練された武者が無双する時代に先祖返りしてたのがこの時代の空戦だからなあ
今だとミサイルキャリアー化してる部分が強いけど

549トゥ!ヘァ!:2017/04/22(土) 23:33:44
乙です

坂本さんなんやかんやで思う存分飛べたのですね。良かった。

ところで太田中尉の親友って誰だろう?
作中でも書いてありましたが戦って大将になれた可能性があることより人を助けて少将になれたことを心底喜ぶとはいい人だ。

550弥次郎:2017/04/22(土) 23:37:31
乙です

熱い戦いでしたね…
ベテランだからこそ生き残れたというべきか、それともベテランだからこそ21型で止まってしまったというべきか…
でもまあ、転換訓練をこなして戦い抜けたのは流石はエースですな

>>低速度低高度域での空戦では太平洋戦争末期でも強いですよ
劣勢で性能差があったというイメージがありましたけど、性能差では負けていない所もあったんだなというのは正直驚きましたね…
あ、でも負けてしまったのはそれを米軍が割けていたからなんですかね?

551時風:2017/04/22(土) 23:42:25
乙です
坂井さん、良かったなぁ……!色々言われてますが、個人的に大好きな撃墜王の一人なんで、思い通りに飛べたようで本当に良かった…
確かに、格闘戦中心だった時代から怪我の間に編隊空戦へ、それに伴って機体も移り変わっていたら、性能や戦い方は頭で分かっていても感覚が慣れませんよね…
ゲームですが、自分も蒼の英雄の難易度シミュで零戦から飛燕に乗った時の戦闘で斜め後ろにつかれた時に回避機動したら「ここで翼端失速するの!?」ってなりましたから…

552名無しさん:2017/04/22(土) 23:44:06
>>550
P-51の部隊ですら隼と低空での格闘戦は絶対やるなと通達が出てたらしいからねぇ

553名無しさん:2017/04/22(土) 23:49:51
史実だと戦場を選べない日本側と戦場を選べるアメリカ側だったからなあ
戦後世界だとカウンターで殴る→アメリカがふらついてる間に戦線縮小の繰り返しで手札を選ぶくらいはできましたからね

554yukikaze:2017/04/22(土) 23:52:41
>>546
割とその一節が根幹になっとります。

>>547
確認されているのでもエース級を3人落としています。
もう少し落とすかとも思いましたが、流石にやり過ぎと思いやめました。

>>549
ヒント:「隼のマニュアルを少し扇情的な美少女の絵を多用して分かり易く作った」
ちなみに彼は、戦後、国防空軍で救難隊設立を強く働きかけ、最終的には初代航空救難団団長
にまで昇っています。(当人はそこで退役)
なお、退役後は、趣味の同人作業に従事する傍ら、救難の長年の知識から、各都道府県の救難活動への
オブザーバーとかしていたりしています。

>>550
低空域での加速性能が良かったので、油断していたら痛い目を見るって感じですね。
まあ負けた最大の理由は、数の暴力と経験値の積み重ねの差でしょうねえ・・・

555弥次郎:2017/04/23(日) 00:01:33
>>554
なるほど…
それなら低空域での戦いを避けようとするのも当然ですね

>>数の暴力
知ってた(白目

556名無しさん:2017/04/23(日) 00:24:38
>>553
それでもその努力して確保した戦力を瞬く間に磨り潰してしまう数の暴力(白目)

557弥次郎:2017/04/23(日) 00:29:24
ひさーしぶりに日企連ネタを投下します
3分後位からー

558名無しさん:2017/04/23(日) 00:30:52
>>556
アメリカ海軍「一戦ごとに戦力が熔けてるんですがそれは」

559名無しさん:2017/04/23(日) 00:31:55
>>556
アメリカ軍「おう、同数以上必ずぶっ殺されて質がマジやばいんですけど…特に海軍」

560弥次郎:2017/04/23(日) 00:33:14

大日本企業連合が史実世界にログインしたようです「蝶が羽ばたき、嵐が巻き起こる」3 -ドゥーチェは思考する-



ベニート・ムッソリーニという人物は、現代において、割と評価を受ける人物であった。
スターリンさえ認めた共産「趣味」者でありながらも、イタリア王国の忠実な頭領として地位を確保し、事実幅広い教養を納め、
ローマ進軍を成し遂げた軍人でもあり、ローマ教皇とも政治的に渡り合い、イタリア人らしく恋愛にも情熱的であった。
無論、無神論者で度々ローマ教皇と対立し、差別的な言動がある程度見受けられるなど、問題もあった。
しかし、現在においてもヒトラーに対するドイツ人のような極端なタブー視などは見受けられず、
出身地であるプレダッピオには記念碑があって献花が続いているという状況を鑑みれば、
彼が唾棄すべき独裁を敷いて、イタリアに甚大なダメージを与えたというのではないと言えるかもしれない。

さて、昨今の、西暦1936年2月26日に極東の島国 日本列島において発生したカウンタークーデターと、
その後の大日本企業連合の蜂起と大日本帝国の支配の確立は、遠く離れた地中海へもその報が届けられていた。
報告については正直、信じられるものとは言い難かった。人型の機械に、巨大な艦隊に、「企業」の支配。
さしものムッソリーニも、そして彼の部下たちも俄かには信じられなかった。中には警戒を強めていた部下もいた。

「そうさ、日企連は別に変な組織ではないのだよ」

しかし、情報が集まるにつれて、彼の警戒は徐々にほぐれた。
鼻歌さえ歌う彼は、しかし冷静な目で日企連に関する資料を読みふけっていた。
社会趣味者としての視点。それは日企連の本質を見抜く一助となっていた。

---社会主義的な資本主義・思想に基づいて連携し合い、社会福祉 社会利益を追求する企業連合

それが、彼の結論だった。
イタリア・ファシズムの実行というのは政党と政府の管理下で財界・財閥・労働者が一体となって統制経済の実践によって行われた。
細かいところは少々省くのだが、結論だけを言えば現在の日企連の支配体制と驚くほどに似ている。
主権者の天皇の権限を多く認めているところが違うのだが、そんなものは枝葉末節。
要するに日企連というのは自分の体系化した狭義の「ファシズム」の実践例として注目できる。
まるで、お手本のようですらある。形ばかりを真似たドイツの伍長とは全く違う。
はっきり言おう。ムッソリーニは日企連の一連の行動と発表した政策に脱帽した。
もっとも、それを実践できるかという点についてはまだそこまで信頼してはいない。そこは調査が必要だ。
手放しでほめるレベルではない。今のところ、イタリアに入ってきている情報だけでは何とも言えない。

ついでに言えばムッソリーニはあまり日本の制度については詳しいとは言えない。
だが、天皇、イタリアで言えば国王を擁立していることくらいは知っていた。
そして駐イタリア大日本帝国大使館の日本人とのやり取りを通じて、それが権力基盤や権力の担保となることを確信した。
これまでの日本の天皇は権力者が支配の正当性を担保するものであったが実質的にはそこまで権限を有しているわけではない。

「まずは今回のオリンピック査察、いや、それ以外でもっと積極的に動くべきかな?
 シモイの伝手が使えるはずであるし、もっとアプローチをすべきか……」

既に駐日大使には指示を飛ばしてある。情報収集だ。
警戒は必要。しかし、それと同じだけの期待値はある。
彼らと自分が見ているものは全然違うのだろうという予感があるが、それは枝葉末節。

彼の言うシモイ、下井春吉は、一言で言うなればイタリアに惚れこんだ
一言でいうならば、イタリアに惚れこんだ教育者・文化人である。昭和の日本にイタリアを紹介したとも言えるかもしれない。
他ならぬ彼こそが、詳細な情報をイタリアへと提供してくれるソースとなったのである。

「ともあれ、我々として彼らの動きに注視することに変わりはない」

彼らが一体どう動くのか。
資本主義の走狗たる企業とは名ばかりの、社会主義的な行動理念の彼らが、一体どのように世界をかき乱すのか。
支配階級が率先して社会的な平等を推し進めるというのは一体どういう理由からそう動いたのか。
彼の思考は、急速に回転を増していった。

「ドゥーチェ、アジアのこともいいですけど、エチオピアのことも考えてください」

そんなムッソリーニに、ピエトロ・バドリオが呆れて声をかけたのも無理もないことであったが。

561弥次郎:2017/04/23(日) 00:33:47
以上。wiki転載はご自由に。
ようやく書けた……
アシハラナカツクニの構造なんて大真面目に考えると頭がぐわんぐわんしますよ。
SFチックに、しかし、ロマンと理屈を付け加えるって面倒ですね。

この後、下井春吉さんはアシハラナカツクニで晩餐会に招待され、色々と吐く羽目になりました
まあ、彼も有名人ですからね。日企連が察知できないわけではないんですよ。
日企連にしてもうまくやれば地中海の物産をゲットですから。

562yukikaze:2017/04/23(日) 00:48:33
>>561
更新乙です。
あいかわらず頭領は無駄な所で鋭いというかなんというか・・・

うちも久方ぶりに支援SS書いてみましたけど、何だかんだ言って
ノッている時は最終的に書き上げられますがそうでない時は悲惨ですからねえ。

さてと、坂井さんSSの修正やってから、今度は何にするかねえ。
ひゅうが氏のように小ネタ系列をいくつか投下って形にしましょうかねえ。

563トゥ!ヘァ!:2017/04/23(日) 00:54:05
乙です

遂に我らがドゥーチェが登場!
個人的には平時の政治的なことに関して彼はヒトラーやスターリンすら超える傑物と思っております。
ただいささか以上に軍事に関しては無能過ぎるだけで…

564弥次郎:2017/04/23(日) 01:03:43
>>yukikaze氏
日企連に限らず、AC世界の企業って案外狭義のファシズムに近い政策をとっているんじゃないかなと思いまして
社員の福利厚生とか適当にするとサボタージュとか起こって生産能力が落ちて、速攻で凋落しそうです
まあ、我らがレイヴンやリンクスはサボタージュする社員を容赦なく鎮圧するんですけどねw

>>ノッている時は最終的に書き上げられますがそうでない時は悲惨
全然書けなくて辛かったですね…
アイディアは浮かべど形にできず悶々とするのを繰り返していました
とりあえずできた、ちょっとずつでもいいから書いていこうと思い立ち、今回の話は出来ましたね

>>トゥ!ヘァ!氏
これまでは台詞程度だったので是非とも出さねば、と思いました
冷静に調べるとドゥーチェって単なる独裁者じゃないんですよね…

>>軍事
イタリアの性といいますか、伝統的に軍事でへっぽこと言いますか…w
そこもまた、イタリアらしいんですけどねw


さて、返信はこれまでにして寝ますか…

565名無しさん:2017/04/23(日) 01:14:12
マッキャンベル「良かった、俺は無事だった…」

そういやサッチも落とされたようだけど誰が落としたんだ?

566名無しさん:2017/04/23(日) 02:27:21
更新乙です、首を長くして待ってた甲斐があった・・・

そういや企業が支配して国民総社員って、社会主義や共産主義と同じっちゃ同じですね
どちらも似たようなことしてるから、類は友を呼ぶみたいな感じでヒトラーもムッソリーニも気づいたわけか

書くのが難しいときは息抜きで別のを考えればすっきりするかも?
というわけで、日企連の技術で生産性ほぼ無視したエース専用戦闘機、乗ってるエースは好きな色を選べて
Acfaのカラードランクにあやかったカラードと呼ばれ恐怖のどん底に陥れる無敵の戦闘機を提案します!(願望

567ひゅうが:2017/04/23(日) 03:19:41
乙でした。
ドゥーチェは美術、特に絵画を嫌っていたりと癖も強いですが、当代一流の教養人ですからね。
社会主義も経験済みでレーニンに最も評価されたイタリア人の一人ですし。

568弥次郎:2017/04/23(日) 09:46:27
>>566
お待たせしました

企業が台頭できたのも、その境遇であるとか対応が政府なんかよりもマシだったからというのが考えられます
恐らく国家時代末期はモラルブレイク寸前だったのかもしれませんし、国家よりも企業の庇護を求めているのかなと

>>類は友を呼ぶ
共産主義や社会主義と言っても、根本には資本主義がありますからね
あくまで手段としての方策であって、国家の革命だとか世界の革命は考えていません
そんなわけで完全に平等というわけではないのですが、社会主義あるいは共産主義の欠点もある程度克服できるという強みがあります

まあ、本家本元のカール・マルクスやレーニンが見たらどう思うのかはちょっと想像するのが怖いかなってw

>>ひゅうが氏
深い教養の持ち主で、イタリアをまとめ上げたというのがカッコいいです
スターリンやチャーチルと言った敵さえも認めた人物って相当ですしね
少々差別的と言いますか、容赦のないところもありましたけどそこまた人間らしいというべきか

そんなバックグラウンドを持つ彼なら、日企連の体制を見て理解できるところはあるんじゃないかなと
日企連のような企業からすれば、やっていることは元の世界では当たり前のことかもしれませんけど



さて、出かける前に裏設定的な何かを投下しておきます
10時くらいからスタートしますね

569弥次郎:2017/04/23(日) 09:50:44
訂正、10時はあんまりにも遠いので3分後にします(汗

570名無しさん:2017/04/23(日) 09:53:05
>>558-559
そういいつつ日本の首を徹底的に締め上げられるアメリカはマジ超大国。
数と質を揃えても全く及ばない圧倒的国力を的確に活かして追い込んでくるからなぁ。

571弥次郎:2017/04/23(日) 09:53:51
大日本企業連合が史実世界にログインしたようです 設定 -裏話的な何か-


・タケミカヅチのリンクスネームの初期案は「呑龍」あるいは「鵺」。
 愛機の名前の初期案は「屠龍」(航空機の名前を採用するアイディアはHienなどに転用)
 しかし、航空機の名前を被らせるのも奇妙で、一応上位ランカーだから日本神話関連にしようと変更。
 鵺の名前は虎鶫に転用されていくことに。

・タケミカヅチの本名は武田某、もしくは井伊某の予定だった(レッドライダーというのも『赤備え』から由来する)、しかし没。

・UnKnownの名前は最初はフレッド・Nの予定だったが、結局4主に採用
 FreQuencyの曲を聞いている最中にティンときたので綴りを一部変更し「UnKnown」に決定

・UnKnownの正体はしっかり設定が定まっている
 どうして強いのか、どうして演技が無茶苦茶上手いのかもちゃんと説明がつけられる

・何仙姑は元々非転生者で倉崎所属のリンクスとなる予定だった
 天才肌のテスター兼パフォーマー。群れることを嫌う典型的な山猫で高いAMS適性の持ち主という位置づけ。
 しかし、ルナスカイとキャラが被っているために没に。そこで名前だけを同時期に考案していたガンスミスに名前を流用

・虎鶫はメアリー・シェリーのパートナーというコンセプトで設定がスタート
 華麗な女王の対極、泥臭い兵士あるいはナイト、女王を悩ますモンスターという方向でキャラ付け。
 泥臭い兵士ということで自衛隊経験者(複数回)。ちょうどいいので自衛隊上がりというキャラに。
 平安のエイリアンを聞いたことで名前を決定。初期案はまんま「鵺」の予定だったが、あんまりにも露骨すぎるので虎鶫に。

・BFFは当初はそこまで友好企業という設定ではなかった。
 メアリーも日企連に所属にするつもりだった。しかし流石にBFFの設定が変わりすぎるので没にした。

・BFFとは逆にひどい目に遭ったのがインテリオル。最初は第一次リンクス戦争後に和解したとする予定だった。
 しかし、インテリオルと手を組むと最大の企業体であるGAをBFFと共に敵に回すことになるので、
 これではひっくり返せないのでは?と懸念が出た。アンサラーを作るという設定を遺して活かすためにも、
 GAおよびBFFとの友好関係を作るのが良いと判断。結果最終的な敵味方が分かれることに。

・一目連はテンプレート的な日本のイメージを形に。象徴的な意味合いの強いリンクスが欲しかったのですんなり決定

・アンジェもメアリーも最初は日企連に所属し、fA時代も現役という設定だった。
 しかし、年齢とかを色々考慮すると限界では?と思い引退させることに。

・霞スミカが日企連所属というのは初期案から引き継いでいる
 サー・マウロスクを撃破したのは霞スミカという設定だったがアナトリアの傭兵に変更

・霞スミカファンクラブは紳士が集まっている
 説教されても「我々の業界ではご褒美です!」と興奮できるレベル。特に整備班には精鋭が集っている。

・首輪付きの初期設定は、アスピナ出身の元少年兵で、日企連がアスピナ機関から引き抜くという設定だった。
 名前は「アレックス」「レオ」など候補が多数。
 しかし、設定中に既存のAC小説と被るところが多すぎるかな?と思ったので大きく変更。
 出身などについてのパーソナルは定義しないことに決定。

・アンサラーは、初期案で量産型がオーメルの工廠で建造中で首輪付きにとっつかれる予定だった
 しかし、もっとダイナミックに生かそうと思ったのでUnKnownによってとっついてもらった

・テクノクラートについては地味に生き残るという設定だったが、話を膨らませていったら四大企業の一角にまで成り上がってしまった。
 これは正直初期案にもなかった、想定外過ぎる出来事。

・最初、日企連ネタは首輪付きをメインカメラとして進行する、ゲート無しのネタの予定だった
 神崎島ネタやGATE 自衛隊(ryを見て大幅に予定変更することに

572弥次郎:2017/04/23(日) 09:54:31
以上。wiki転載はご自由に。
あんまり出せていなかった設定を色々と吐きだせてすっきりです

573トゥ!ヘァ!:2017/04/23(日) 10:59:55
乙です

色々設定の変更もあったのですね。
確かにテクノクラートがここまで躍進するssは中々見かけませんねw

574yukikaze:2017/04/23(日) 11:39:51
それでは修正版を。

(改訂前)
そしてそこで彼は運命的な出会いをする。
海軍で三枚のプロペラに慣れていた彼にとっては、懐かしいと言っていい2枚のプロペラを持つその機体は
坂井には、今にも飛び立たんと抑えに抑えているように見えたという。

(改定後)
そしてそこで彼は運命的な出会いをする。
そこにあったのは、陸海共用戦闘機となっていた雷電ではなく、内地において暇つぶしに見て
いた国策映画に出ていた機体であった。
大空を機敏に動き、坂井に羨望と郷愁を抱かせたその機体は、彼の目には
今にも飛び立たんと抑えに抑えているように見えたという。

575New:2017/04/23(日) 12:13:04
乙。ドゥーチェ!ドゥーチェ!
評論というか観察眼は優れてる統領・・・エチオピアを何とかしなさいよw
初期設定からいろいろと変わってるなあ
二度とテクノアラートとは言わせないw

576弥次郎:2017/04/23(日) 15:38:37
>>トゥ!ヘァ!氏
即興で決めるところもありましたけど、史実世界にログインという設定を思いついてからは、
一気に形になった感じがします。雪だるま式と言いますか、最初の一押しがあってから一気に決まりました

>>テクノクラート
こればっかはリアルでイレギュラーでした(汗

>>New氏
ドゥーチェ!ドゥーチェ!(AA略

初期設定とだいぶ違うと言いますか、ちょっと納得がいかなかったところもあったので時間をおいて進化させました
熟成させたとも言います。初期案のままだと、どうにも平凡過ぎて面白みに欠けてしまいそうだったので、史実世界にログインさせました

>>テクノアラート
むしろアラートが成っているのはオーメルなんですよねw

577名無しさん:2017/04/23(日) 18:58:41
坂井三郎は警察予備隊でも海上警備隊でも居場所はなさそうですね
怪我もあるし

578弥次郎:2017/04/23(日) 20:29:24
パイロットはどの程度の負傷なら現役続投できるんでしょうかね?
片足失ったり視力を落としても飛んでる人はいますけども、あれは逸般人過ぎて参考にならないんですけど

579名無しさん:2017/04/23(日) 20:33:14
普通なら重度の疾病傷害を受けたら飛行資格停止になります

580名無しさん:2017/04/23(日) 20:44:10
両足失っても飛んでる人いるしなあ

581弥次郎:2017/04/23(日) 20:47:48
>>579
平時ならそれなんでしょうけど、割と足失う程度では飛ぶことをやめてませんよね…

582New:2017/04/23(日) 20:50:05
せやな・・・(牛乳飲んでるスツーカ乗りを見つつ)

583弥次郎:2017/04/23(日) 20:54:09
そもそも被弾さえしない異能生存体もいますし…(フィンランド見ながら

584yukikaze:2017/04/23(日) 20:59:00
>>577
居場所がないというよりも、当人が完全に戦闘機パイロットとして満足
しきっちゃっていますからねえ。
拙作世界だと、周囲が『国防空軍に入れば』と言って、一応ジェットに乗ってみますが
そのセリフが『うん。これは俺には合わん』で終了。

当人曰く『やりたいことはやった』で、後はもう前述した戦記作家として頑張ってもらうか
あるいは空に従事させたければ、ヘリコプターパイロットにでもさせますかねえ。

585名無しさん:2017/04/23(日) 21:14:04
機体の選り好みが随分激し過ぎる人だなその人>坂井
特化型というかなんというか

586ひゅうが:2017/04/23(日) 21:24:18
>>584
うちだとですけど、戦後にこっちでは存続を許された日系航空企業の一角で録を食んでいる間に書いた著作がヒット。
それで戦場作家に転身したと思っていますね。
こちらではさんざん倉崎さんのオモチャにされた(つまり大村空にいっていない)ので反感を持つ人もわりと少ない感じですので。

坂井さん「ところで、自分はなぜこんなところにいるのだろうか…」
チャック「よくきたなジャッ…いやジャパニーズ。さぁ秘訣をきりきり吐け」

こんな感じで戦後も気苦労をしてますので。

587名無しさん:2017/04/23(日) 21:29:47
言っちゃ悪いが終戦後で30手前で結構重症の負傷持ちで
機種転換に手間取ってた前歴考えたら無理もないと思う>選り好みが激しい
実際機種転換訓練での死亡事故ってベテランの方が多いようだし

588yukikaze:2017/04/23(日) 21:31:36
>>585
支援SSでも書いたんですが、坂井の場合はどうしてもブランクが長くて
坂井離脱後にソロモンに残って戦った面々が『ゼロ戦の特性では限界がある
雷電の特性を生かして戦うようにできないとどうにもならない』と、血の
戦訓から無理やり納得したのに対し、『この機体じゃあ十全にまで能力引き
出せんだろ』と、知識では分かっていても感情で納得できない状態でしたから。

だからこそ、復帰した部隊でも半ば自業自得で孤立していたとしていますし、
当人も、戦後時間がたってから、『当時の軍の判断は正しかったといえる』と
軍の方針転換に納得している訳です。

正直、坂井が特異というよりも、坂井のような考え方の人間も多かったと思いますよ。
史実でも、疾風は結構運動性良かったのですが、隼との特性が違うために、『疾風よりも
隼や五式戦が良かった』なんていうパイロットいますし。

589名無しさん:2017/04/23(日) 21:34:39
まあ、アドルフ・ガラントなんか視力検査表を丸暗記した上で身体検査に臨んでいるし。
ところでひゅうがさん世界の坂井氏は一時的にせよ国防空軍には参加してるのかな?

590霧の咆哮:2017/04/23(日) 21:36:27


確かに独裁者の中では人気有る方だな>ムッソリーニ
最後は独裁者の法則通りに無残だけど。

この人がもっと軍事面で有能なら、イタリア3軍もまともな兵器開発や活躍出来ただろうに・・・
ただ、空軍はどっちかというと現場の反発や無知が問題だったから、そこは特に厳しいか
陸と海はともかく。

こういう裏話系も纏めれば有りか・・・メモメモ
(自分も没った設定とかかなりある)

首輪付きの扱いは自分も悩んでるなぁ・・・
意表を付いてどなたかの番外編のように女性とかにすると言うのも有りかも知れないが。
現状、今までの自分の台詞ネタとかでもそこら編は曖昧にしたままだ。

首輪付きがメインのお話だったら、全く別のお話になってたんだろうな。
ゲート関係で救済や取引も出来ないから、他企業の取り込みもスムーズじゃ無かったろうし。
ルナスカイの覚醒のアイディアも沸かなかった。

テクノクラートは何であそこまで躍進したんだろうなwww
自分も予想外。

591ひゅうが:2017/04/23(日) 21:37:33
>>589
してませんね。本人も戦闘機パイロットとしては引退した気持ちでいましたから。

592名無しさん:2017/04/23(日) 21:38:06
ストパンでもっさんが特定機種に拘っていたのはモデルの人の再現だったのか

593弥次郎:2017/04/23(日) 21:40:24
拘ってたというより、それしか合わないから性能を我慢してのっていたといった感じでしょうか?

594弥次郎:2017/04/23(日) 22:01:02
>>霧の咆哮氏
最後はアレでしたけど、結構評価は高い人ですからねぇ
そもそもナチスが駆逐されたドイツと比較してイタリアだとまだムッソリーニの政党の後継政党がいますし

>>三軍
そこは…なんというか、イタリアらし過ぎる事情があったというか、残念すぎたと言いますか…(汗


>>首輪付き
下手にキャラクター付けができないんですよねぇ(汗
何しろ公式で名無し&パーソナルが不明なのが厄介この上ないです

首輪付きメインの話だと、史実世界にログインネタより刺激が少なくなってしまったかなぁと思います
どうしても戦闘メイン&暗闘メインですしね
一連の流れも決定してあったのですが、やはり明るめな話とは出来なかったですね、正直。
力で企業連と企業連側の勢力を潰す感じでしたし
あと日企連ルートをとるかORCAルートをとるかというので迷うところがありました

>>テクノクラート
こればっかりは本当にイレギュラー…

595霧の咆哮:2017/04/23(日) 22:04:56
パーソナル少な過ぎは問題だが、だからこそ幼女や合法ロリやショタとか文字通り自由自在に首輪付きの設定は各自で好きに造られてるわけだが。

596名無しさん:2017/04/23(日) 22:10:23
アナトリアの傭兵はそこまで好きにはできないからねー

597弥次郎:2017/04/23(日) 22:14:06
>>595
首輪付き=プレイヤーという設定なので色々と妄想が出来て、想像はたやすいんですけどねぇ…
きっぱり決めてしまうべきでは?と思いつつも、どういうキャラにすれば釣り合うかなぁと迷う日々

>>596
むしろアナトリアの傭兵の方が簡単に設定できて楽でしたね

598名無しさん:2017/04/23(日) 22:31:43
ASEに雇用された坂井三郎ってのが脳裏に浮かんだ。

599New:2017/04/23(日) 22:53:24
首輪付きは守護者だったり革命者だったり破壊者だったりするから不安定というか
不定形なキャラで定着してるからね

600弥次郎:2017/04/23(日) 23:07:14
混沌七穴に死すというわけではありませんが、顔のないイレギュラーに顔を与えてどうしようというのか、という感想ですね

601名無しさん:2017/04/23(日) 23:22:59
人類種の天敵「とりあえず呼ばれたので日企連潰しますね」

602弥次郎:2017/04/23(日) 23:24:02
>>601
UnKnownが喜び勇んで飛んでいきましたよ(震え声
いや、ある意味UnKnownも人類種の天敵なんですけど・・・

603名無しさん:2017/04/23(日) 23:26:08
天敵と天敵の戦いという神話的対決

604名無しさん:2017/04/23(日) 23:32:20
排除くん?

605yukikaze:2017/04/23(日) 23:40:11
>>586
拙作世界だと、大村空時代は、笹井の一言もあって、史実のような鉄拳制裁は
かなり抑えていたので、この時の評価は悪くないのですが、やはり203空時代の
一件で、旧203空の面々からは、戦前からの台南空所属の面子の一部以外からは
嫌われており、ついでに言えば『大空のサムライ』で隼Ⅲ型を手放しで褒めるあまり
暗に32型以降のゼロ戦やらを『改悪』としたことで、海軍パイロットを怒らせる羽目になっています。

むしろ陸軍の方が坂井を好いていたというべきですかねえ。
何しろ『隼のⅢ型は強かったんだ』と、言ったことに『よくぞ言ってくれた』と溜飲を
下げたパイロットも多く、(隼Ⅲ型で相手のエースを落としまくっていますので、隼の
絶好の宣伝にもなりました)後は飛行第13戦隊での和気藹々としたエピソードで
戦後にあった『陰惨な陸軍』ではなく『洒落っ気の多い明るい陸軍』というイメージを
示すことで、旧陸軍の風当たりを弱める遠因にもなったことに感謝した人も多かったんですわ。

606名無しさん:2017/04/23(日) 23:47:55
海軍のキャラなのに海軍に嫌われてると言う

607名無しさん:2017/04/23(日) 23:59:19
赤松も戦後の方が厳しいかもな、ある意味風紀がおおらかだった旧軍と違って
風紀もしっかり引き締められると思うから徐々に居場所がなくなるって…

608New:2017/04/24(月) 00:05:35
>>603 互角過ぎて最悪ネクストで殴り合いになる可能性あるな・・・・

609yukikaze:2017/04/24(月) 00:07:39
>>607
それでも赤松はまだマシなんですよ。
酒好き&女好きですけど、海軍でも屈指の理論派ですので、いざとなれば
戦技教導隊所属にすることで、航空部隊の底上げできますし。
(しかも拙作世界の国防空軍には、この時代では多分一番有名な加藤隊長が
睨みを利かせていますし)

問題は『赤松程理論派ではなく、機体の性能に自分の能力がマッチしたが故に
エースになっていた面々』ですね。
割と本気で坂井が受けていた苦悩と同じことをジェットで繰り返す可能性が高いです。
せめてもの救いが、乗りやすく運動性も良いセイバーという点ですが、ハルトマンですら
えらい苦労していますからねえ・・・

610名無しさん:2017/04/24(月) 00:11:09
文字通り世代が違うからなぁ…
20代前半ならともかく、30代に近いとどうしても無理がきかなくなるし…
現代でもパイロットの現役なんて30代前半ぐらいのようだし

611名無しさん:2017/04/24(月) 00:11:32
加藤隊長も生きていたのか、そら彼が睨み聞かせたら逆らえる人間なんてほぼいないか
あの人退役したら写真家として余生を送りそう

612yukikaze:2017/04/25(火) 00:35:13
戦後の国防空軍では、まあ加藤隊長と亀井凱夫少将(阿部さんと同期です)
に頑張ってもらおうかなあと。

しかし、ひゅうが氏世界では、阿部さんは、朝鮮戦争時に海上警備隊警備局長
勤めていますけど、この人の上司(海上警備隊総監)は、よほどの大人物じゃないと
本気で胃が痛かっただろうなと。
少なくとも、史実のような海上保安庁系列の人間が、頭抑えようとしても、あっさり
叩き潰されること確実だろうし。

何気に海軍でも43期〜44期辺りが上司になるんだろうが、阿部部下にして平然とできるって
44期の栗原悦蔵位かねえ・・・

613名無しさん:2017/04/25(火) 09:34:58
遅ればせながらyukikaze様乙です。

まあ、海軍もパイロット達に配慮をする事があっても、それでも兵が軍服に合わせなければいけないのが軍隊という組織ですからねえ
坂井氏も負傷時期が違ったら、雷電への転換訓練にもっと時間が取れていれば、あるいは結果も違ったのかもしれませんが。
「もはや一式戦の時代にあらず」と嘆いた人と同じ絶望を零戦21型、隼3型に乗っていた時に味わう事が無かったのが坂井氏の幸いだったのかもしれません。

614名無しさん:2017/04/25(火) 11:25:37
「何、普通に飛ばしてくれれば良いさ。但し極限まで」
倉崎重蔵氏。新たな生贄……ではなくテストパイロットを迎えて。

615yukikaze:2017/04/25(火) 12:41:28
>>613
多分、納得して使っていたと思いますよ。
紫電改に対して酷評していますけど、どちらかというと、343空での一件で
『坊主憎けりゃ袈裟まで』という点もありますし。(当初は普通に評価していた)

何というか、史実での彼の21型への過度の信仰も「その時期に戦果を上げ続けていた」
という点が、一番大きいんじゃないでしょうかねえ。

>「もはや一式戦の時代にあらず」と嘆いた人と同じ絶望を零戦21型、隼3型に
  乗っていた時に味わう事が無かったのが坂井氏の幸いだったのかもしれません。

まさにそうだったと思います。
自分の理想とする機体で戦果を上げ続けていたという点で、坂井氏は幸福でした。
ただし、「坂井氏の幸福=現実での正解」ではないことも事実です。
だからこそ支援SSでは「今ならば海軍上層部が正しいと言える」と、坂井氏自らに
発言させています。




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