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架空戦記系ネタの書き込み その86

560弥次郎:2017/04/23(日) 00:33:14

大日本企業連合が史実世界にログインしたようです「蝶が羽ばたき、嵐が巻き起こる」3 -ドゥーチェは思考する-



ベニート・ムッソリーニという人物は、現代において、割と評価を受ける人物であった。
スターリンさえ認めた共産「趣味」者でありながらも、イタリア王国の忠実な頭領として地位を確保し、事実幅広い教養を納め、
ローマ進軍を成し遂げた軍人でもあり、ローマ教皇とも政治的に渡り合い、イタリア人らしく恋愛にも情熱的であった。
無論、無神論者で度々ローマ教皇と対立し、差別的な言動がある程度見受けられるなど、問題もあった。
しかし、現在においてもヒトラーに対するドイツ人のような極端なタブー視などは見受けられず、
出身地であるプレダッピオには記念碑があって献花が続いているという状況を鑑みれば、
彼が唾棄すべき独裁を敷いて、イタリアに甚大なダメージを与えたというのではないと言えるかもしれない。

さて、昨今の、西暦1936年2月26日に極東の島国 日本列島において発生したカウンタークーデターと、
その後の大日本企業連合の蜂起と大日本帝国の支配の確立は、遠く離れた地中海へもその報が届けられていた。
報告については正直、信じられるものとは言い難かった。人型の機械に、巨大な艦隊に、「企業」の支配。
さしものムッソリーニも、そして彼の部下たちも俄かには信じられなかった。中には警戒を強めていた部下もいた。

「そうさ、日企連は別に変な組織ではないのだよ」

しかし、情報が集まるにつれて、彼の警戒は徐々にほぐれた。
鼻歌さえ歌う彼は、しかし冷静な目で日企連に関する資料を読みふけっていた。
社会趣味者としての視点。それは日企連の本質を見抜く一助となっていた。

---社会主義的な資本主義・思想に基づいて連携し合い、社会福祉 社会利益を追求する企業連合

それが、彼の結論だった。
イタリア・ファシズムの実行というのは政党と政府の管理下で財界・財閥・労働者が一体となって統制経済の実践によって行われた。
細かいところは少々省くのだが、結論だけを言えば現在の日企連の支配体制と驚くほどに似ている。
主権者の天皇の権限を多く認めているところが違うのだが、そんなものは枝葉末節。
要するに日企連というのは自分の体系化した狭義の「ファシズム」の実践例として注目できる。
まるで、お手本のようですらある。形ばかりを真似たドイツの伍長とは全く違う。
はっきり言おう。ムッソリーニは日企連の一連の行動と発表した政策に脱帽した。
もっとも、それを実践できるかという点についてはまだそこまで信頼してはいない。そこは調査が必要だ。
手放しでほめるレベルではない。今のところ、イタリアに入ってきている情報だけでは何とも言えない。

ついでに言えばムッソリーニはあまり日本の制度については詳しいとは言えない。
だが、天皇、イタリアで言えば国王を擁立していることくらいは知っていた。
そして駐イタリア大日本帝国大使館の日本人とのやり取りを通じて、それが権力基盤や権力の担保となることを確信した。
これまでの日本の天皇は権力者が支配の正当性を担保するものであったが実質的にはそこまで権限を有しているわけではない。

「まずは今回のオリンピック査察、いや、それ以外でもっと積極的に動くべきかな?
 シモイの伝手が使えるはずであるし、もっとアプローチをすべきか……」

既に駐日大使には指示を飛ばしてある。情報収集だ。
警戒は必要。しかし、それと同じだけの期待値はある。
彼らと自分が見ているものは全然違うのだろうという予感があるが、それは枝葉末節。

彼の言うシモイ、下井春吉は、一言で言うなればイタリアに惚れこんだ
一言でいうならば、イタリアに惚れこんだ教育者・文化人である。昭和の日本にイタリアを紹介したとも言えるかもしれない。
他ならぬ彼こそが、詳細な情報をイタリアへと提供してくれるソースとなったのである。

「ともあれ、我々として彼らの動きに注視することに変わりはない」

彼らが一体どう動くのか。
資本主義の走狗たる企業とは名ばかりの、社会主義的な行動理念の彼らが、一体どのように世界をかき乱すのか。
支配階級が率先して社会的な平等を推し進めるというのは一体どういう理由からそう動いたのか。
彼の思考は、急速に回転を増していった。

「ドゥーチェ、アジアのこともいいですけど、エチオピアのことも考えてください」

そんなムッソリーニに、ピエトロ・バドリオが呆れて声をかけたのも無理もないことであったが。




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