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掌編小説スレ
1
:
管理人
:2004/04/25(日) 13:38
いしごまで短い(30レスくらいまで)のが書けたら、
ここへ投稿していただけると、うれしいです。
2
:
『風切羽』
:2004/04/25(日) 13:39
「おなか減ったぁ」
「夜食つくろっか。梨華ちゃん、なに食べたい?」
「焼肉」
「夜食だって」
駅から梨華ちゃんの部屋までの、短い距離が本当は一番好きだ。
ときどきしか会えないあたしたち、部屋にいる時間は、イコール、ベッドの上の時間。
想われてるんだ、と思える瞬間が確かにあって、でも、その後でどうしてか寂しくなる。体目当て、なんて思ってるわけじゃないけど。
だから、ぼそぼそ話すくらいしかできないような、こんな短い散歩が、あたしには特別。
3
:
『風切羽』
:2004/04/25(日) 13:40
下を向いて歩くから、猫のうんちとか、ガムのかすとか、ろくなものを見ない。
アスファルトに、縦に長い字で、「止まれ」。
だよね、と変な納得をしながら、白い「止」の字のはしっこに、黒いものを見つけた。
「あ、羽」
ひょいと取り上げてみる。カラスのだろう、この夜よりも、黒い羽。
細い首筋を撫でると、梨華ちゃんはのけぞって笑った。
笑い方が、みんなの中やカメラの前と違うもので、ぶっちゃけ、あたしの上にいるときの表情に似ていて、背中にオレンジ色の震えがきた。
4
:
『風切羽』
:2004/04/25(日) 13:40
「うりゃ」
そればっかりは気づかれたくないと思って、あわてて無邪気なふりで、一生懸命くすぐった。
「やー、ちょっと」
梨華ちゃんは初め、たしかに笑っていた。
けれど、すぐに、ごっちん、と冷たい声で呼んだ。
「それ汚いよ。バイ菌いっぱい」
ととのった眉が、マンガみたいに典型的な感じで、まんなかに寄っていた。
「あー、だよね、汚いかも」
あたしは羽を、自分の目の前で、くるくるまわした。
闇色の風切羽は、芯から片方が短くて、片方が長い。
長いほうを、人差し指で、しゅびびとなぞった。切ない、やわらかさ。
5
:
『風切羽』
:2004/04/25(日) 13:41
「これさぁ、半分半分に生えてたら、飛べないんだよね」
「そうなの?」
いちおう疑問形にはなっていたけれど、梨華ちゃんが本当にもう、少しも興味がないみたいだったから、あたしは羽を、梨華ちゃんから遠いほうへ投げた。
羽はもう飛べない。
風にもならないただの空気に押されて、すぐ足元に落ちた。
梨華ちゃんの目が、ついと動いてそれを見たので、あたしは右足で羽を踏みしめた。そして馬が砂を蹴り上げるみたいに、足の裏で羽を後ろへ引きずって蹴った。
6
:
『風切羽』
:2004/04/25(日) 13:41
もしも梨華ちゃんにとって。
「コンビニ寄ってこうよ、お茶ほしい」
あたしが汚くなったなら。
「うん。飴買う、あたし」
汚いあたしなんか。
「お茶とー、あ、ビデオも買おう」
必ず捨ててしまおう。
「テープ? VHSの? ごっちん、アナクロだねぇ」
できるだけ遠くへ。
「うるさいよ」
もう二度と届かないところへ。
7
:
『風切羽』
:2004/04/25(日) 13:42
「ごっちん」
この公園を突っ切ればコンビニ、というところ。少し暗くなっているところ。
梨華ちゃんの指先が、ちょっと、あたしの手のひらを触った。
「ん」
照れくさくて前を向いたまま、華奢な指をそっと握った。冷たい。
だけど、握った手は、すぐに振りほどかれた。
「あ、ごめ」
手をつなごう、の合図だと思ったのは、勘違いだったんだ。
かなしくなった、あたしの耳にそのとき、梨華ちゃんが小さくささやいた。
「こう」
あたしの腕の内側に、細い腕が入り込んで、冷たい指が一本ずつ、あたしの指にからまった。
思わず、梨華ちゃんの顔を見た。
梨華ちゃんも、あたしを見ていた。
8
:
『風切羽』
:2004/04/25(日) 13:43
「夜食、肉まんは?」
「あくまで肉なんだね」
「おなか減ったぁ」
公園は、もうすぐ終わる。
いびつな羽で、あたしたちは、どこまで。
――― end ―――
9
:
りはびりホリデイ
:2004/05/22(土) 02:09
休日だー。暇だー。ケータイ開いても着信0だー。メールも0だー。
泣いちゃうもん。でも泣かないもん。
ねるかな。まてまて、今日はホリデイ。寝るには少し早い。
寝てばっかいると魚になるってお母さんが言ってたから動こう。
んじゃ、よしこだ。
るるる るるる
10
:
りはびりホリデイ
:2004/05/22(土) 02:11
「もっしー。よしこぉう」
「おぉう! もっしぃー!」
「今日、ひま系?」
「あぁー。今日ノンひまけぇー」
「あぁーそうなんだ」
「ごめんなり」
「許すなり」
「ばいなら」
「ばいちゃ」
がちゃん、って感じで切れちった。
んで、どうする。
うーん……。
るるる るるる
11
:
りはびりホリデイ
:2004/05/22(土) 02:11
「もっしぃー。あいぼぉーん」
「おう! ごっちぃーん!」
「あいぼん今日ひま?」
「今日はぁ……」
「ん?」
『だぶるゆぅーでぇーすぅ!』
「んぁっ!?」
「あはははっ! びっくりしたぁー?」
「したしたぁー。なんにぃ、のんもいるのかい?」
「うん、ちょっと待って」
「あい」
「もすもす、ごっちぃーん?」
12
:
りはびりホリデイ
:2004/05/22(土) 02:11
「あん、のんのぉー」
「ごぉっつぅぃ〜ん」
「のんのぉ〜」
「ごぉっつぅぃ〜んごぉっつぅぃ〜ん」
「ははは!」
「じゃあ、あいぼんに変わんねぇー」
「あーい」
「ごっちぃん?」
「そうよぉー」
「言わなきゃいけないことがあったんだけど」
「なんに?」
「新曲うたえねぇー。ばいっ!」
13
:
りはびりホリデイ
:2004/05/22(土) 02:13
がっちゃん、って感じで捨てられた。
あ……結構凹んでる。なんか凹んでる。
時計を見ても、30分も進んでない。どうしよ。
寝る? 寝るか。うん、寝ちゃおう。
でもケータイ連打。
うーん……。高速で電話帳を動かす。
……すとぉっぷ!!
うぇっ!? ……マジでかぁ…。
うーん…。
るるる るるる
14
:
りはびりホリデイ
:2004/05/22(土) 02:14
「はいはぁーい」
「おいっすー」
「久しぶりだね。ケータイで話すの」
「だね」
「なんか用事?」
「うーんとね」
「うん」
「今日、ひまじゃないよね?」
「うーんとね、ちょっと待って」
「うん、待つ」
「……あ、今日空いてるよ」
「マジで!」
「うん、ほんと」
「あいてんだぁー」
「空いてるよ」
「じゃあ遊べますか」
「え、私とごっちんとでっ!」
「そういうことになるね」
「うわぁー二人きりで遊ぶのって初めてじゃない?」
「そうかも」
「なにして遊ぶの?」
「なにしよっか」
「うーん、そうだね」
「うん」
「……うーん」
「うん」
15
:
りはびりホリデイ
:2004/05/22(土) 02:17
「なにしよっか?」
「笑っちゃうね」
「ね」
「じゃあさ、よしこの話する?」
「よっちゃんの!? 別にいいけど」
「じゃあさ、梨華ちゃんウチ覚えてるよね」
「うん、覚えてるよ」
「じゃあ来てくれるかな?」
「うん、いく」
「……あっそ」
「ん?」
「いや、なんでも。じゃあ待ってるね」
「うん、待ってて」
「ばいなー」
「じゃあ、また後でぇー」
どうするよ。梨華ちゃん来ちゃうよ。
まいったなー。んふふー。まいったなぁー。
───weekend★
16
:
名無し145
:2004/05/22(土) 23:16
>りはびりホリデイ
後藤さんのふわふわした感じがかわいいですねー。
会話がリアルっぽくて好きでした(加護さん……)。
17
:
愛してる
:2004/10/23(土) 21:57
「後藤さ〜ん」
いつものハイテンションで駆け寄ってくる高橋。
「愛ちゃんは、いつも、元気だね・・・」
「はい。久しぶりに後藤さんに会えると思ったら、もぅ、嬉しくって嬉しくて」
楽屋中に響き渡る大きな声に満面の笑み。
その笑顔の向こう側に見える明らかに不機嫌な彼女の笑顔・・・。
「ハハハ・・・あっ、そぅ」
引きつり笑いの私。もう、笑うしかない。
「なになに、高橋〜。ごっつぁんの事そんなに好きなんだ〜。」
こーゆー事になると、すぐ、首をつっこんでくるやぐっつぁん。
あ〜。もぅ、これ以上話を大きくしないでよ(涙)・・・。
「はい!メールもいっぱ〜い送ってるんですけど・・・
なかなか返事くれないんですヨー」
うっ、そんな事、ここで暴露しなくても・・・・
「そーなんだ。ごっつぁ〜ん、こんなに愛されてんのに駄目じゃんかー」
「えーと・・・はいはい。じゃ今度ね。」
ついつい、愛想返事をしてしまう・・・鬱だ。
「きゃー。嬉しいです!待ってますから!」
「良かったね〜。高橋。」
付いていけそうもないハイテンションで喜ぶ高橋とやぐっつぁんを横目に
恐る恐る彼女の様子を伺う私。
うわっ、やばい、梨華ちゃん目がマジで怒ってるよ・・・・コワイ。
18
:
愛してる
:2004/10/23(土) 21:57
コンサートも無事終了し、ホテルへ着いたものの
梨華ちゃんへの言い訳を探すのに必死。
ホントなら嬉しいはずの梨華ちゃんとの相部屋なのに
今日は・・・かなり気まずい雰囲気。
部屋に入ってから、一言も口を聞いてくれない。
「あ、あのさ、今日のこと・・・怒ってる?」
「・・・」
あぅ、無視されてるよ(涙)
「高橋はかわいい後輩ってだけで、別に・・・何でもないからさぁ。」
「・・・かわいい?」
何もそんな所に反応しなくても
「えっ、イヤ。ただの後輩だよ。うん。」
「メール」
「えっ?」
「聞いてない」
あ〜そういえば、言ってないよ。つーか、恐ろしくて、言えなかったんだけど。
「あっ、そ・・・うだっけ? いや、どうしても教えてくれって言うからさ。つい」
「誰にでも、いい顔して」
「・・・う、うん」
「誰にでも、やさしくして」
「・・・うん」
「優柔不断」
「・・・うん」
「サイテイ」
「・・・・」
最低・・・さいてい・・・・サイテイ・・・SAITEI・・・頭の中でリピートする言葉
好きな人から「サ・イ・テ・イ」って言われる事が、こんなに辛いなんて知らなかった。
19
:
愛してる
:2004/10/23(土) 21:58
「何で、ごっちんが泣いてるの?泣きたいのはこっちだよ・・・」
なんでだろ、自然と涙が溢れてくる。
心臓になんか突き刺さったみたいで、凄く痛いんだけど・・・
「・・・アハッ、なんでだろう・・・ね」
涙で擦れた声で呟きながら、気が付くと、梨華ちゃんの胸に倒れ込んでた。
「ごっちん・・・!?」
少し驚いたような彼女の声
「・・・嫌いにならい・・・で
他の誰に嫌われても、梨華ちゃんにだけは嫌われたくない・・・よ。」
「ごっちん・・・」
いつもの優しい彼女の声
「あたし・・・言い過ぎちゃったね。」
「グスッ・・・・嫌いになってない?」
「嫌いになんて・・・ならないよ。・・・大好きだよ。」
少し照れてる甘〜い彼女の声
「うん。
ごとーは、梨華ちゃんだけ好きで居てくれれば、他の好きなんてイラナイから。」
見つめる先
彼女の潤んだ瞳がスローモーションのようにゆっくりと降りてくる
唇が重なる 柔らかな唇
彼女の香りに包まれる
アイシテル・・・そう 誰よりも愛してるよ
END
20
:
名無し
:2004/10/23(土) 22:00
卒業した頃の書いてみた短編です。
いしごま不足だったので初投稿してみましたが。。。(汗
21
:
名無し145
:2004/10/24(日) 00:13
なんだかすごく懐かしい感じがしました。
よかったです。
22
:
名無し145
:2004/10/25(月) 22:28
後藤さんがかわいらしくていいなぁ。
石川さん、ちょっと怖いけど、それもいい(笑)。
23
:
夢ふわり
:2005/11/13(日) 00:33:59
梨華ちゃんの性質は知ってるから。
例えば年下相手には大人振りたいだとか。
例えばそのクセ甘えたがりとかいうフザケタ性格だとか。
そういうのはもうしっかりきっちり一応認識済みだから。
だから今さら三好ちゃんに妬いたりはしない。
しないけど。
やっぱり面白くはない。
「オモシロイユメヲミマシタネー。」
「なにそれごっちん。」
たぶん梨華ちゃんの『なにそれ』はごとーのカタコトにかかってる。
だけどごとー的にはあんまり意味はないし、なんとなく拗ねて見せようとしただけ。
それにしたって、拗ねる表立った理由とかも特に見当たらない。
いちいち説明するのもまどろっこしいから、『なにそれ』が『面白い夢』にかかってると勘違いしてる風を装う。
24
:
夢ふわり
:2005/11/13(日) 00:34:39
「みよしちゃんに襲われる夢見たんでしょ?」
「ええ?ああ、香港の?」
一瞬笑顔のままきょとんとして。
だけどすぐに思いついたように正解を唱える。
そう、それですよ。
「襲われてないよー。ただね、部屋にね、三好ちゃんが入ってきてね?」
くすくすと。
オンよりもちょっとだけ低めのトーンで、甘ったるく訂正を入れる梨華ちゃん。
ねぇちょっと。
エロいよあんた。
「てか『部屋に入ってきた』って。その時点で既におかしいよ。」
「知らないよ夢だもん。」
25
:
夢ふわり
:2005/11/13(日) 00:35:32
言いながら頬を軽く脹らませる。
そして『だもん』て。
年齢にそぐわず、しかし姿形にはぴったりと当てはまる言動にくらくらする。
誰を責めるわけにもいかず。
しかも自分ですら理解し難い感情をどう処理して良いのか分からず。
ソファの上で膝を抱える。
そのままぽてりと。
横に腰かけてる梨華ちゃんに倒れこんでみた。
やらかい肩に、ほっぺ押し付けて。
「・・・ごっちん?」
どうしたの?と。
ごとーに軽くすりよってくる梨華ちゃん。
なんでごとーの夢見ないのさ。
どーしてラジオゲスト呼んでくれないのさ。
ごはん食べいこーよ。
あそんでよ。
言いたいことは山ほどあるけど。
口に出すのも悔しいので。
「・・・梨華ちゃんハレンチ。」
いつもの憎まれ口でごまかした。
26
:
二月
:2005/11/13(日) 00:49:52
>>23-25
リハビリというか、なんというか・・・。
後藤さん片想い一歩手前って感じです。
旧暦名で某掲示板にてお世話になっていた者です。
小説紹介スレで話題にしていただいていたようで、浮上して参りました。
い、生きてます・・・
続きモノは、近々ある形できちんと完結したものを提示させていただくつもりでいます。
その時はまた、この掲示板をお借りしてお知らせさせていただけると有難いです・・・。
では久々のお目汚しを失礼致しました。
27
:
名無し犬
:2005/11/13(日) 03:25:43
…!!!!
うわーうわー!!
ほ、本物さんですか!!?
久々の衝撃です。
相変わらず、ツボを分かってらっしゃる。
拗ねてる後藤さんとか色っぽい石川さんとか
素敵すぎますから…!!
某掲示板の方でも待ってます!
28
:
かんりのひと
:2005/11/13(日) 21:54:12
この掲示板やっててよかったなぁ。
こんな過疎地でよければ、どんどん利用してやってくださいませ。
「ハレンチ」ってかわいいですね。
ほんと、石川さんは後藤さんと飲みに行ってあげていただきたい。
29
:
魔法使い
:2005/11/20(日) 14:14:15
「いいなぁ、ハリーポッターはぁ・・・」
「何、どうしたの?ごっちん」
「んぁ、ハリーポッター。いいなぁって思ってたの」
「ハリーポッター?なんでいきなり」
「だってぇ、魔法使えるんだよ?うらやましいじゃん」
「まぁ、そりゃあ魔法使えれば色々できるだろうしね」
「でしょう?はぁ…いいなぁ」
テレビの画面には、杖を振り回しながら敵に立ち向かう男の子
どうやらあたしがご飯作ってる間、暇で古いDVDを引っ張り出して見てたみたい
「ほら、ごっちんもうすぐご飯できるから食べちゃお?」
「うん。あ、DVDつけっぱなしでもいい?」
「え〜?しょうがないなぁ、いいよ」
「へへっ、さすが梨華ちゃん」
「さすがの意味がわかんないから…」
ごっちんにツッこみつつ、できたご飯をテーブルに運ぶ
「おっ、オムライッスぅ♪ごとー、ちょうど食べたい気分だったんだよねぇ」
「あ、ほんと?ならよかった」
「ほんとほんと、やっぱ梨華ちゃんはすごいね」
「ふふっ、ありがと」
ニコニコ笑顔でオムライスを見つめるごっちん
この笑顔見ると『作ってよかった』て思える
本当は、ごっちんのほうが料理上手なんだけどね
やっぱ作ってあげたいと思うし、ごっちんもおいしそうに食べてくれるからいつも作るのはあたし。
30
:
魔法使い
:2005/11/20(日) 14:16:22
「りぃかちゃん?」
「ほぇ?」
「いや、ほぇ?じゃなくてね・・・何、ボーっとしちゃって。食べようよ」
「いや、ごっちんニコニコかわいいなぁ〜って」
「へっ!?・・・な、に、言ってんのさ//」
「ふふっ、真っ赤になっちゃってるし。か〜わいい♪」
「//・・・あ゛〜っもぉ!梨華ちゃんいじわるだ」
真っ赤な顔でちょっと膨れながら抗議するごっちん
そんな姿でさえ可愛いなぁと、多分ニヤけながら見つめていたら
もっと膨れて、ごっちんはフイッとテレビのほうを向いてしまった
あら、拗ねちゃったぁ・・・
こうなると、うちのごっちん結構手強いもんなんです
「ごっちん?」
「・・・」
「ご〜っちん」
「・・・」
あらら、だんまり
「ごっちんってば」
「・・・」
「真ぁ希ぃちゃん?」
「・・・」
あ、今ピクッていった
ちょっと反応したよねぇ
それでもこっちは向かないつもりらしい
31
:
魔法使い
:2005/11/20(日) 14:18:09
「ねぇ、真希ちゃん」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
ごっちんが見つめる先は、ハリーポッター
だけど、さっきまでみたいにビックリとかムカッとか、感情表現は一切なし・・・
きっとDVDなんてちゃんと見てない、こっちに意識を集中させてるはず
「・・・はぁ」
「なによ」
ほら、ね?
溜め息1つに、すぐ反応が返ってくるあたりがその証拠
「ごっちん」
「・・・ん」
まだテレビのほうを向いてたごっちんに
ちょっと強引に、キス
「なっ・・・梨華ちゃん!?」
超びっくり顔のごっちん
そうだよね、あたしからキスってあんましないし
32
:
魔法使い
:2005/11/20(日) 14:19:18
「ね、こっち向いて?」
「ぁ・・・うん」
あまりに突然のことに、まだ呆然とした顔のごっちん
「何よ、そんなにびっくりした?」
「え?あぁ、うん。驚くっしょ、だって・・・」
「いきなりキスしたから?」
「うん・・・というより」
「というより?」
「その・・・今日まだキスしてないなぁって思ってて」
「うん。そうだったね」
「で、その・・・キスしたいなぁって思ってた、から//」
そしたら梨華ちゃんしてくれたから
真っ赤になりながら、そんなことを告白するごっちん
でも、今回は仲間が1人。
きっと、あたしの顔も赤い・・・
ていうか、ごっちん
あなたはハリーポッター見ながらそんなこと考えてたんですか?
「ねぇ、ごっちん」
「ん〜?」
「映画見てたんじゃないの?」
「えっ?」
「だから、映画見ないでそんなこと考えてたの?」
「え、あ、いやぁ・・・映画見てたよ」
いやいや、後藤さん
最後のほう微妙に声、裏返ってますから
33
:
魔法使い
:2005/11/20(日) 14:20:32
「ほんとぉ?」
「ほ、ほんとだよ」
「へぇ〜・・・じゃあ、この髪長い先生の名前は?」
テレビ画面に映る、少し髪の長めの男の俳優さんを指して言うと
「あ、スネイプ先生」
あっさり答えられました・・・
「あれ?本当にちゃんと見てたの?」
「うぇ?あぁ・・・さっきは、見てなかった、です」
って、ちょっと罰が悪そうに斜め下らへんを見ながら言うごっちん
「やっぱり。でも、なんでスネイプ先生わかんの?」
「それは、ほら。前にも見たことあるし」
「えっ?」
「だって、第一弾ってけっこう前だよ?一回くらい見ててもおかしくないでしょ?」
今度は、微妙に苦笑い?
今日のごっちんは、表情豊か。さっき無表情だったりもしたけど、それもある意味表情でしょ?
まぁ、あたしと2人のときはいつも表情豊かだけどね。
でも後輩の前とかだと、ポーカーフェイスだから。
ポーカーフェイス。ね?
34
:
魔法使い
:2005/11/20(日) 14:21:57
「そっか・・・そうだよねぇ」
ちょっとだけ、つまんないなぁと思いつつ納得。
「そうだよ。一回見たからねぇ、スネイプ先生ぐらいは覚えてるさ」
「そっかぁ・・・」
「そうそう」
うん。ハリーポッターについて話してるんだけどさ。
あたしはけっこう前から、ハリーポッターとかどうでもよくなっちゃってたりして
さっきからごっちんが横から抱きしめながら、ゆらゆらと揺れてて
なんか心地いい揺れが気持ちよくって、そのままずーっと揺られてたい気分
あたしが、目を瞑りながら気持ちよさに浸っていると
「でも、やっぱ魔法使えるっていいよねぇ」
って、横からのんびりとした声
「ごっちん。まだハリーポッター?」
せっかく、いい気持ちだったのに
ハリーに邪魔されたぁ・・・
って、あたしがちょっと拗ねそうになってると
「だってさぁ、魔法使えたらさ、梨華ちゃんの望みをなんでも叶えてあげられるじゃん」
35
:
魔法使い
:2005/11/20(日) 14:23:46
「えっ?・・・」
ごっちんにとっては、何気なく言った言葉
でも、あたしは何気ない一言が嬉しくて
なんかちょっと感動・・・
「あ、でもさぁ、梨華ちゃんは魔法使えるよねぇ」
「はっ?」
いきなり、不思議なことを言い出すごっちん
いやいや、あたし魔法なんて使えないからね?
「梨華ちゃんは魔法使いだもんね♪」
・・・ごっちん
それって、あれですか?
マジカル美勇伝だったりする?
あれは、違うのよ?
なんて、頭の中でごっちんに呼びかけてるあたし
もちろんごっちんは、そんなの無視で
不思議そうな顔してるあたしに
「使えるじゃんよぉ。まぁ、ごとー限定だけどね」
36
:
魔法使い
:2005/11/20(日) 14:24:52
ごっちん限定?
あのぉ・・・あたしは一体どんな魔法が使えるんでしょう?
眉を下げて、首を傾げているあたしを見かねて
ごっちんはあたしの耳元でヒソヒソと答えを教えてくれる
「なっ!?・・・///」
答えを知ったあたしの顔は、あっという間に真っ赤っか
それを見て、へへッて笑うごっちん
『梨華ちゃんの魔法のキス1つで、ごとーは幸せになれちゃう』
「なっ、そんなのごっちんだって魔法使いじゃん//」
「え〜、なんで?」
「それは・・・」
「ん〜?」
「もぉっ、わかるでしょ?//」
「んぁ、わかんない」
すっごい笑顔のごっちん。
絶対わかってるじゃない!!
「ねぇ、梨華ちゃん教えてよ」
「・・・//」
「梨華ちゃん?」
37
:
魔法使い
:2005/11/20(日) 14:25:29
期待に満ちた顔で見られたら
あたし言うしかないじゃん
ふっ、とごっちんを見ると
ニコッて笑って『教えて?』って
「・・・わかった」
あたしも、ごっちんに答えを教えてあげる。
でもやっぱり恥ずかしいから、耳元でね?
『あたしも、真希ちゃんのキス1つで幸せになれるよ』
自分で教えてって言ったのに、やっぱ赤いごっちん
そんな赤い顔で、あのふにゃって笑顔されたら
それだけでも幸せな気分になれちゃうあたし
すごく恥ずかしかったけど、言ってよかったかな
「へへっ、ごとーもハリーの仲間入りかな?」
なんて、大袈裟に楽しそうにしてるごっちん
わかってるんだよ。
ごっちんのリアクションが大袈裟なときは照れ隠しなんだよね?
38
:
魔法使い
:2005/11/20(日) 14:26:57
「ふふっ、そうだね。あたしも仲間入れるかな?」
ごっちんに言ったら絶対『違うよぉ!』とか言われちゃいそうだから
あたしも今はごっちんに合わせてあげるよ。
とか言って、結局はあたしも照れ隠し。
「じゃあ、2人で仲間入りしちゃおっ。てゆうか2人とも魔法使いになっちゃったね」
「そうだね。2人とも魔法使いだね、なんか楽しそうかも」
「・・・んぁっ!!」
「なっ、何?ごっちん」
「梨華ちゃん魔法使えたら、ごとーが叶えてあげる意味ないじゃんよぉ・・・」
「えぇ?」
「梨華ちゃんも魔法使えたら、自分で叶えられちゃうもん」
さっきまでは楽しそうにしてたのに、ちょっと落ち込んじゃったみたい
「そんなことないよ?ごっちん。あたしごっちんに叶えて欲しいなぁ」
「ん・・・ほんとに?」
「本当に。あたしの望み叶えてくれるんでしょ?」
「うんっ!」
ふふっ、もう元気になっちゃって
「さっ、ごっちんご飯冷めちゃうよぉ。食べよ?」
「うん。てか、ごとーお腹へってたのに梨華ちゃんが」
「はい。もぉいいから食べるの!いただきまーす」
「えぇっ!?・・・はぁ、いただきまぁす」
39
:
魔法使い
:2005/11/20(日) 14:27:37
渋々って感じでスプーンを手にもつごっちん
でも、その顔は楽しそうで、あたしも自然と笑顔になる。
あ、そうだ。
「ねぇ、ごっちん」
「ふぁい?」
「ごっちんの望みはあたしが叶えるんだからね?」
「えっ!?」
「さぁて、あたしも食べよっ」
「ちょ、梨華ちゃん!?」
「ん〜、やっぱおいしぃね」
呆気にとられた顔してるごっちん
うん。満足♪
その後、真っ赤になったごっちんが
『あたりまえじゃんか、そんなの』
って恥ずかしそうに呟いてたのは、あたしの聞き間違じゃないよね?ごっちん。
40
:
松
:2005/11/20(日) 14:33:12
初めまして。
少し長い話しになってしまってすみません・・・。
ちょっと前に、ハリーポッターを見てて思いついたものです。
下手な文ですが、少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。
41
:
名無し犬
:2005/11/20(日) 20:09:38
めっちゃ楽しませてもらいました!!
照れまくる2人が可愛い。
後藤さんと石川さんにはこういう感じが似合いますねー。
42
:
名無し145
:2005/11/23(水) 02:12:02
かわいい話で、楽しく読めました。
後藤さん、「ハリーいいなぁ」って言いそうですねw
にゃんにゃん音源を思い出しちゃったり。
( ´ Д `)< ねこ、いいよね・・・
43
:
二月
:2006/03/09(木) 03:07:24
またもやお借りします。
微妙に暗め、になるのでしょうか。
44
:
ごめんね
:2006/03/09(木) 03:07:54
これでいいと。
自分に言い聞かせた時期もあった。
確かにあった。
だけど、今なら本当にそう思えるから。
この道を選んで良かったと。
伝えなくて、良かったんだと。
45
:
ごめんね
:2006/03/09(木) 03:08:26
感情に振り回されて、どうしたら良いかわからない時があった。
優しくしたいのに。
仲良くしたいのに。
一緒にいたいのに。
思いばかりつのって、結局は子供染みた接し方しか出来なかった。
それで何度も傷つけた。
悲しい顔ばかりさせた。
そのたびに。
「ごめんね」と。
どうしても口には出せなかった。
真希ちゃん
そう呼ばれるたびにくすぐったくて。
ごっちん
そう呼ばれるたびに嬉しくなって。
だから。
触れてくれるだけで良い。
会話が、普通に流れるだけで。
そう。
偶然に柔らかく触れた指先の感触を酷く愛しく感じても。
それを放したくないと思ったとしても。
それはごとーの胸の中で消化すべき気持ち。
46
:
ごめんね
:2006/03/09(木) 03:09:16
あの時告げていたら。
全てを伝えていたら。
きっとたぶん今はない。
だからやっぱり思う。
あの時、溢れそうになった言葉を呑み込んで良かった。
「ごっちん?どしたの難しい顔して。」
今さら捨てられない。
居心地の良い距離と関係。
「・・・なんでもない。」
「んー?変なの。」
例えば。
不思議そうな顔はするけど。
突然掴んだ腕を振り払われない、とか。
「・・・ごっちん?」
そういう方が、よっぽど大事だと思うから。
このままでいる選択肢をとった、あの時のごとーは偉いと思う。
ただ、唯一。
一つだけ、伝える言葉があるとするならそれは。
「・・・なんでもない。」
「んー?変なごっちん。」
47
:
ごめんね
:2006/03/09(木) 03:09:50
だいすきだったのに、素直に言えなくてなれなくてごめんね。
優しくなくてごめんね。
いつも傷つけてごめんね。
だけど。
「ごめんね。」は、ごとーの心のふたのような気がして。
それを言ってしまったら、もう止まらなくなりそうで怖いんだ。
やっとやっと、大事に出来はじめたのに。
またそれすらも出来ないぶきよーなごとーになっちゃいそうで怖い。
だから言えない。
ねぇ梨華ちゃん。
この道を選んで良かったと。
あの時、伝えなくて良かったんだと。
頭で思うだけじゃなく、心からそう思える日がくるまで。
ごめんねさえも。
言えないごとーで。
ごめんね。
48
:
ごめんね
:2006/03/09(木) 03:10:22
+++ごめんね・ヲワリ+++
49
:
二月
:2006/03/09(木) 03:16:02
後藤さん片想いネタでした。
>>27
名無し犬様
お、おそらく一応本物かと思われます・・・。
こんなものやあんなものしか書けませんが、覚えていてくださって光栄です。
ユーレイものも、今年中にはなんとかケリを付けたいと思ってます。
>>28
かんりにん様
暖かなお言葉に甘え、またもお借りしてしまいました。
二月はこの掲示板がとても好きなのです。落ち着けます。
管理運営の方が大変かと思いますが、ぜひ頑張ってください。
えーと・・・お目汚し失礼致しました。
お付き合いくださった方、感謝です。
50
:
名無し145
:2006/03/10(金) 17:20:46
散文だけど韻文みたいな感じ。
雰囲気があって素敵でした。
また書いてください。
51
:
名無しさん
:2006/03/11(土) 14:26:37
ニ月さんのいしごまは、ほのぼのしてて昔から大好きです
ごめんねはキャプテンコンのいしごまをイメージして読んでしまいました
52
:
二月
:2006/07/28(金) 00:44:57
短いのですが、ちょっとお借りいたします。
53
:
星屑の言葉
:2006/07/28(金) 00:46:16
はぐらかした言葉がある。
はぐらかした気持ちがある。
それは、もうずっときっと。
そのまま宙に浮かべておけば、ふわふわと漂って消えてしまうものだと。
そう思っていた。
54
:
星屑の言葉
:2006/07/28(金) 00:46:54
左の肩が熱い。
どうしたものか。
酔って体重を預けてくる後藤を左肩で受け止めながら。
潤んだ瞳は決してアルコールだけのせいではない。
涙目になりつつ、石川は凭れてくる後藤を眺めた。
「・・・ごっつぁん、呑み過ぎじゃない?」
「んぁー。そかも。なんかぼーっとするねぇ」
「するねぇじゃなくって。そろそろ部屋戻ろう?」
ホテルにない説された、所謂「お酒を出す」店で。
周りをスタッフに囲まれながら、後藤は些か呑みが過ぎたらしい。
頬がうっとりと桃色に染まり、石川を見る視線が時折・・・妙に熱っぽい。
(こ、怖い・・・ッ)
絶対に何か企んでいるのだと、石川は確信する。
後藤がこの瞳をした時は、ろくな目にあったためしがない。
着替え中に写メを撮られたことがある。
一緒に作ったクッキーの一つが、何故か塩辛かったこともある。
麦茶だと渡された飲み物がめんつゆだったあの瞬間の衝撃は忘れられない。
途端に口内に広がるめんつゆの風味を氷で薄れたアルコールで打ち消して。
石川は後藤を引きずるように、店をあとにした。
55
:
星屑の言葉
:2006/07/28(金) 00:47:35
「ホラごっちん、ちゃんと・・・ちゃんと歩い、て・・・っ」
「よーしもーいっけんいこ〜」
「単に言いたいだけでしょそれ・・・ってか重いから!ホラってば!鍵は?鍵どこ?」
「どこだったかなー、さいふにつっこんだままかなー」
「ちょっと漁るよ?・・・カードキーってこういうとき不便だなぁもう・・・あ、あったあった。」
やっとの思いで宿泊しているフロアまで後藤を引きずり、後藤の部屋までたどりついた。
開けるよー、と前置きをして、石川はリーダーにカードキーを通す。
「着いたよごっつぁん。」
「んー?」
「お部屋だよ。」
「はーい。」
「・・・」
凄まじいほどの空返事ぶりに、一息つきつつ後藤を見やる。
頬の赤みが薄れている。
店内が暑かっただけなのだろうか。
そういえば、後藤と呑んだ数少ない体験を振り返ってみても、表情や態度にこれほど変化が出た記憶はない。
ホテルに宿泊だという安心感からか。
疲れていて酔いがまわるのが早かったのだろうか。
何にせよ、『酔い潰れる後藤』という珍しい現象を、石川はようやく少しだけ楽しんだ。
普段より、幼くなる。
カワイイなーなどと思いながら、それでもやはり身長は自分よりも幾分高い後藤を。
廊下を歩いてきた時と同様、引きずるようにベッドサイドまで運ぶ。
「ごっつぁん着替えは?」
「んー・・・ジャージ・・・」
「どこ?」
「かばんのなか・・・」
振り返れば、荷の解かれていないデイバッグ。
「・・・」
漁るのは面倒かもしれない。
と、いうよりもひっくり返した後の片付けが面倒だ。
石川は後藤の格好を足から順に眺める。
緩めのデニムにプリントのTシャツ。
このまま寝ても、それほど差し障りがないと、石川は勝手に判断し、勝手に納得した。
「よっし、ごっつぁん寝るぞー!」
「あーい。」
機嫌良く返事をして見せるが、石川に体重を預けたまま動こうという気配がない。
もはや石川も介抱することが当たり前のようにベッドの掛け布団を捲りあげ、後藤を座らせた。
56
:
星屑の言葉
:2006/07/28(金) 00:48:12
そのまま横たわってくれると思いきや、石川の首根っこに引っ付いたまま離れない。
膝が疲れてきて、とりあえず石川もベッドに腰をおろす。
殆ど抱きしめられている状況で、至近距離からアルコールが香る。
「梨華ちゃん」
「なに?」
「前に聞いたね。・・・覚えてる?」
心臓が一度膨張したような感覚。
その後は、ただ只管に鼓動が早くなる。
覚えている。
「あの時、梨華ちゃんは『メンバーだ』って言ったね。」
首に絡んだ腕。
自然、声は石川の耳元で囁かれる。
「今は?梨華ちゃんもごとーも、もうモーニングのメンバーじゃないね?」
「あ、え、」
「キャプテンコンももう終わっちゃうからそれも無しね?」
「あの、だから、と」
するり。
二人の間に空間が生まれる。
絡んだ視線は、宙に放った問いを問われた時と同じだった。
石川には次の後藤の言葉が分かってしまう。
―――梨華ちゃんにとって、
57
:
星屑の言葉
:2006/07/28(金) 00:48:51
「梨華ちゃんにとって、ごとーってどのポジション?」
消えかかっていたと思っていた言葉は、後藤によってあっさりと現実に戻ってきてしまった。
脳に直接血液が流れ込むようだ。
ドクドクととても騒がしい。
少し目線をずらしても、見つめられている感覚は消えない。
指先まで熱い。
「と、と・・・」
『友達』と言いかけて、それは逃げることだと思い、やめる。
それはこの場に相応しくない言葉であろうことを、石川は理解している。
酔った勢い。
けれど。
「あのね、あの・・・その、」
「―――・・・」
「ご、ご、真希ちゃん、」
緊張で喉が震える。
頬が熱い。
心地良い関係を、自分の答え方次第では崩してしまうことになるのかもしれない。
石川は、次の言葉が見つからない。
「だから、つまり、わたしは・・・」
58
:
星屑の言葉
:2006/07/28(金) 00:49:23
「りかにゃんカワイイにゃ―――ん!」
「ひぃぃぃぃぃ!!!」
59
:
星屑の言葉
:2006/07/28(金) 00:50:06
どーんと。
緊迫した石川の声を遮って、後藤が唐突に叫ぶ。
そのままベッドに石川を引き倒し、脚を使って拘束した。
「ごごごごごっつぁん・・・ッ」
「もう寝るんにゃーん」
「はな、離し・・・」
「おやすみ〜」
「おやすみはいいんだけど、ねぇ、ちょ、ごっちん、重い・・・!!」
石川の必死の抵抗空しく、しばらくすると後藤から穏やかな寝息が漏れ出す。
唖然としてすぐ側にある寝顔を見つめる石川。
開いた口が塞がらない。
「・・・こっ・・このまま寝るのぉ・・・?」
情けない声に、返答はなかった。
60
:
星屑の言葉
:2006/07/28(金) 00:50:40
+++ + +
61
:
星屑の言葉
:2006/07/28(金) 00:51:16
押し倒した人が諦めたように体の力を抜いて。
そのまま自分の腕の下敷きになったままで、徐々に眠りに入っていく。
それを如実に皮膚で感じる。
規則正しい吐息。
後藤は目を開ける。
「『真希ちゃん』ね・・・。」
月明かりに照らされた寝顔を綺麗だと思う。
この感覚はいつからだったのだろうか。
妙な体勢で寝かせてしまったために、その表情は決して穏やかだとは言えない。
石川の頬にかかる髪を、はらう。
その頬を撫でるように。
『む』、だか『う』、だかと唸って、石川は少し身じろいだ。
幼い仕草に苦笑する。
「・・・まだやっぱ怖いや。」
62
:
星屑の言葉
:2006/07/28(金) 00:51:46
宙に。
浮かべておけば消えるものだと思っていた。
会う機会が少なくなれば。
比例して薄くなっていく気持ちだと思っていた。
はぐらかした言葉がある。
はぐらかした気持ちがある。
それは、もうずっときっと。
そのまま宙に浮かべておけば、ふわふわと漂って消えてしまうものだと。
そう思っていた。
思っていたのに。
63
:
星屑の言葉
:2006/07/28(金) 00:52:27
+++星屑の言葉・ヲワリ+++
64
:
二月
:2006/07/28(金) 00:58:55
星屑の言葉
>>53-63
あれです、雰囲気モノって感じです。
深くは考えないでいただきたいです。
前回コメントくださった2名様、有り難う御座います。
>>50
名無し145様
アバウトーに打ち込んだものでしたので、曖昧な感じに仕上がってしまいました。
『また書いて下さい』とおっしゃっていただけて、本当に嬉しかったです。
有り難う御座います。
>>51
名無しさん
昔から、と言うことは、色々な過去の恥ずかしい駄文をご存知ですか・・・
(今も成長ないですが)
は、恥ずかしい・・・!!
でもとても嬉しいです。
ほのぼのは一貫したテーマですので、感じていただければ光栄に思います。
有り難う御座います。
キャプテンコン石後大盛り上がり!ということで・・・遅ればせながら。
お付き合いくださった方、お目汚しを。
有り難う御座いました。
65
:
名無し募集中。。。
:2006/07/30(日) 20:42:12
初めて二月さんの作品を読ませて頂きました
雰囲気がすごくいいですね
また書いて下さい
楽しみにしています
66
:
名無し145
:2006/08/01(火) 19:08:32
わあい、再降臨キター。
ほんと、いい雰囲気ですね。
リアルでもハロパ後も、ちょっとはなんかあるといいんですがw
67
:
名無し募集中
:2006/08/09(水) 17:22:44
ありがとうございました
二月さんのいしごまいいですねぇ
次回作も楽しみに待ってます
68
:
名無し145
:2010/01/14(木) 22:05:36
ここにも帰ってきて欲しい
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