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番外企画スレ
1602
:
名無しさん
:2022/03/23(水) 13:27:45
もしたっくんがセフィロスに食い下がれていればクルーゼ組に悠々と撤退させることは無かっただろうけど、そうなると今度はピーターが魔力切れでグリーン・ゴブリンに押し切られてただろう
どちらにせよたっくんの消滅は避けられない状態だったけどマスターだけでも生き残らせる展開にはなった
幸か不幸か草加が接触したけれど……
1603
:
名無しさん
:2022/03/23(水) 22:58:23
戦闘から離脱した医者とレジィ、クルーゼとセフィロスは太陽が昇る前に再び出会った。
医者はとにかく離脱を優先して距離を稼ぐことを優先していたが、
クルーゼとセフィロスの軍人と武人のコンビが撤退しながらも医者の逃走ルートを予見して先回りしていた。
レジィもそれに気づき、警戒しながら医者と一緒に接触する。
疲弊したクルーゼ達にも医者達にも戦意は無く、
同盟の確認と今後について話し合うつもりだった。
知っている主従についての情報交換や自分達を敵視しているであろう敵への対処など、
今後の方針を話し合い、その場は解散した。
クルーゼは今にも倒れ込みそうなくらい消耗しているのだが、表面上は全くそんな素振りを見せなかった。(医者には気付かれていたが)
離れていくクルーゼとセフィロスの背を眺めながら医者がレジィに語りかける。
「キャスター。」
「どうした。」
+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜
「そのマスターを殺しなさい!」
「わかった!」
医者の指示でキャスターが攻撃を放つ!
「なっ貴様ら裏切ったな!フォーリナー!」
クルーゼは動揺し、フォーリナーが実体化してレジィの猛攻撃に対処する。
フォーリナーとクルーゼの距離が離れた途端、医者が強化された身体能力でクルーゼに肉薄した
「な、なんだその速さはぁ!ぎゃぼ!!!!」
人間離れした医者のスピードにクルーゼは何もできず首をへし折られた
「貴様らぁ!!よくもマスターを!!」
「おっと!」
怒り狂うフォーリナーだがマスターが死んだことでどんどん力が抜けていく。そこにキャスターが追加の攻撃を加える!
「ぐあああ…こ、この私がこんな醜態をおおお…」
倒れ込んだフォーリナーをいたぶるように攻撃!攻撃!攻撃!
フォーリナーはただ転がって呻くしかできない!
あんなに強かったフォーリナーもこうなってしまってはどうにもできない。
そんなフォーリナーに医者は消えたくなければ自分のサーヴァントになれと告げる。
フォーリナーは歯噛みしながら医者に忠誠を誓うのだった。
強力なサーヴァントを2体従えた医者。勝利の前祝いのように頭上の雲が割れ差し込んだ光が彼女を照らす。
どこからともなくファンファーレが鳴り響き、グライダーに乗ったグリーンゴブリンが頭上で紙吹雪を撒いていた。
+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜
「……っ?」(今のは…何?)
「おい?」
既にクルーゼの背は遠く、小さくなっていた。怪訝な顔をするキャスターに医者は応じる。
「…昨日から連戦続きで消耗が酷いし、眠いわ。とりあえず寝床を探しましょう。」
(…白昼夢?昨日から碌に寝ていないのが祟ったのかしら…。医者の不養生で敗退なんて笑えないわ。一旦休息を取りましょう。)
医者はグリーンゴブリンに宝具にもなった禁薬の作り方や化学式を教えてもらい、科学的に調合して擬似禁薬を作り出し、自分に注射した
この中世的な天空都市という環境では、オリジナルの禁薬には遥かに及ばない劣化版しか作れないが、それでも喧嘩宿や殺人鬼、処刑課などの超人達に匹敵する身体能力を獲得した
元の世界の超人達のような格闘術や殺人術までは模倣できないので直接の殴り合いには彼らに一歩劣るが、それでも強者相手に対応できて殺人医術を使える医者へとグレードアップした
ちなみに元の禁薬だと凶悪な二重人格が生まれるはずだが、劣化版だからか、あるいは元から凶悪な犯罪者であるアクダマであるからか、特に性格の変化は見られなかった
本当に?
* 擬似禁薬の副作用として医者の精神面に影響が出始めました
いきなり二重人格になることは(多分)ありませんが身体的・精神的にプレッシャーのかかる状況下で
普段のような冷静な判断から逸脱した行動をとる可能性が高まります。
(原因は時間がなく治研の不十分、
ここまで医者が自身の体力を消耗したり生命力と密接な魔力の消耗に追い込まれたコンディションを想定できなかった
グリーンゴブリンもわざわざリスクを説明しなかった等が考えられる)
1604
:
名無しさん
:2022/03/24(木) 01:36:59
>>1601
グリーンゴブリンが消滅したのを確認して、草加はピーターに駆け寄る。
「君が乾のマスターか。まさか彼がここで死ぬとは……本当に残念だよ」
厄介な敵が減ったことに内心喜ぶ草加だが、表面上は巧の死を惜しむような演技をする
その表情は本当に巧の死を悲しんでいるようであり、ピーターは彼を疑わなかった。実際巧の死には多少思うところもあり、それが草加の演技をより精巧にしていた。
ちなみに目先の敵よりも巧を看取ることを優先した件についてピーターは何も言及しなかった。知り合い同士で最後に何かを語らったのだろうと納得している。
「この形見は俺が貰ってもいいかな?乾のやつに、託されたんだ……」
草加が回収したファイズギアをピーターに見せる。
ファイズブラスターやファイズアクセルは巧と共に消滅してしまったが、予備のベルトを持っておいて損はない。無論、他人にカイザギアを渡す気はないが万が一のことがある。ファイズやカイザは多少ベルトが外れやすいという弱点も草加は熟知していた
それから二人は互いの情報を交換し、暫くするとココア達もやってきた
1605
:
名無しさん
:2022/03/24(木) 05:43:21
四日目の深夜、詳細不明の場所
そこは神殿のような石造りの構造物の内部であり、複数の光源が灯る厳格な聖域のようにも感じられる場所だった
中央には魔法陣によって封じられた大魔王バーンの巨躯があり、その近くには台座とチェス盤らしき物が置かれている
8×8の市松模様のような盤面は同じなのだが、チェスの駒々とは違い聖杯戦争に召喚されたクラスを模した駒が置かれている
それは以前に大魔王バーンが用意した魔導具であり、彼が封印された後でも聖杯戦争の進行に合せるように駒を動かす術式が組み込まれていた
現在、盤外には倒された駒が8騎、盤上には現存する駒が8騎が残っているが、やがて盤上の駒が2騎、ライダーとアルターエゴの脱落に呼応して盤面の外へとはじき出された
その瞬間から、大魔王バーンの封印に変化が生じる
脱落したサーヴァント9騎分の魂、その膨大な魔力がバーンを封じる魔法陣に干渉して徐々に消し去る
さらに1騎分の魂は何処かに隠されている聖杯へとくべられて、ここから本当の聖杯戦争が開幕する
※バーンは即座に解放されてもいいし、朝や昼になるまで徐々に解けていくでもいいです
※封印が解かれた後はリレミトで野外に出て、ルーラで要所に移動するかもです
1606
:
名無しさん
:2022/03/24(木) 07:56:24
たっくんは知らないけど木場の仇をピーターが討ったんだな
ついに一度も会うことなく退場した二人だけど奇妙な縁を感じる
1607
:
名無しさん
:2022/03/24(木) 10:12:55
セフィロスと巧の戦いを眺めてた草加はクルーゼがフォーリナーのマスターだということやフォーリナーの真名がセフィロスだということもムスカに伝えていた
ちなみにクルーゼという名前までは草加に特定出来なかったが、特徴的な仮面のせいでムスカによってすぐに特定された
1608
:
名無しさん
:2022/03/24(木) 10:13:28
草加からライダーとアルターエゴの脱落を聞いたムスカは高笑いしていた
これで一気にサーヴァントは減り、バーンが復活する頃合いだ
これで計画の第一段階は完了した。
後はバーンを倒すのみだが、ほとんど傍観していただけの第一段階と比べてかなりの苦戦を強いられるだろう
ムスカは護身用に部下を引き連れ、レムリア島に向かった。自分だけここに留まりバーンからマスター狙いでもされたらたまったものではない
1609
:
名無しさん
:2022/03/24(木) 11:35:27
>>1608
はムスカがシャア達を見送った後の出来事でいいかな?
ライダーとアルターエゴの脱落は少なくとも日が昇る前だと個人的には認識しているが、草加側の事情で報告が遅れたってことかな?
もしくは自分の認識を改めてレムリア側の戦闘終了が朝方でもいいけど
1610
:
名無しさん
:2022/03/24(木) 18:57:42
>>1608
を改変
先のイメージ映像から数時間後、まだ日が昇る前の暗い時間帯に草加からムスカへ念話による連絡が届いた
レムリア島での戦闘が終わりライダーとアルターエゴが脱落、戦線離脱した医者組とフォーリナー組の情報を伝え生き残った対聖杯の面々と接触した、と
この報告を聞いてムスカは高笑いしていた、これで一気にサーヴァントが減りバーンの復活が間近に迫った、とにかく計画の第一段階は順調に進んでいる
後はバーンを倒すのみだが、ほとんど傍観していただけの第一段階と比べてかなりの苦戦を強いられるだろう
ゆえに、大魔王バーンが動く前に自身も動く、ムー島内にいる主従三組のうち対聖杯側に接触しようと帰還を急がせた
そして朝、飛空挺の発着場に到着したところでホメロス達と遭遇する
幸運にも彼らが探していた対聖杯の集団であったため、自分の正体は伏せて彼らに取り入るように部下を付けさせた
そして彼らがレムリア島に向かった後、ムスカは独自に開発した新兵器を実戦投入すべく部下達に命じた
それらの積み込みが終わり次第、自分も護身用の部下を引き連れてレムリア島に急行する
1611
:
名無しさん
:2022/03/24(木) 19:02:19
>>1590
三人はムスカの計らいにより船の中でも特別待遇の部屋を用意された。そこにはムスカの部下が誰一人入れず、多少は安心して気を休ませることが出来た。
これはバーン戦に向けてマスターやサーヴァント達を休ませるためだ。それに部屋にまで部下を同行させないことで自分が本当に善意から協力しているだけで何も企んでいないと見せ掛ける
ちなみにホメロスは国王から直々に激励されたことを多少は誇らしく思い、島を守ろうとより一層に気を引き締めた
1612
:
名無しさん
:2022/03/24(木) 19:33:21
(医者 情報整理の幕間)
医者は横になり、眠りに落ちるのを待ちながら生き残った主従について考えている
何名かのサーヴァントはレジィやフォーリナー(セフィロス)の見立てて正体についても予測している
(バーサーカーとそのマスター、シャア。)
(レムリアの高官。巨人に変身する戦士の伝承。ハヤタ・シンというのがいるらしいけど…バーサーカーよりフォーリナーっぽいから違うかしら。)
(「元」指名手配犯のチノ・カフウとクリミナル…ある意味お似合いの主従ね。)
(criminal(犯罪者)のサーヴァントの癖にアクダマらしくないわね。
チノ・カフウは『マコトさん』と呼んでいた…深海マコトという英霊で間違いないでしょうね。)
(グリーン・ゴブリンを攻撃したアサシン。雲雀恭弥。並盛中学の風紀委員長。)
(ボンゴレ・ファミリーというギャングに所属する「雲の守護者」ね。全盛期が少年の姿というのは解せないけど。
マスターはあのサムライっぽい少年かしら。)
(同盟相手のクルーゼとフォーリナー。いずれ敵対した場合、サーヴァントの地力はもちろんマスターの地位も厄介ね…。
サーヴァントも長剣使いということしかわからないし。)
(クルーゼの消耗具合からして何か宝具を使ったんでしょうけど、私達はその場から逃げてたからね。)
(人形遣いのキャスターのサーヴァント。リマージュ・マズルカ・エルマ。
マスターの男を瀕死に追いこんだらしいけど、生きていたのか、マスターを替えたのか…。)
(ムーにいたらしい人形使いはコイツね。人形兵によるごり押しや兵種による多様な攻撃は厄介ね。
キャスター本体かマスターを狙うべき?)
(ステンカラーコートの男。こっちのキャスターが言っていた「カイザギア」本来の持ち主というのがブラフでなければ「草加雅人」ね。
…受肉した元サーヴァント。そんな存在がいるとはね。)
(アイツ!!!私を見下しやがった!!!殺してやる!!!)
(残ってるマスター…フォーリナーの戦ったライダーのマスター。
念話によると英霊としてのグリーン・ゴブリンの敵だったようね。あの力、下手したらサーヴァント並みに厄介ね。)
(殺す!!!!!!!草加雅人!!!!!!殺してやる!!!!!)
(あとはレムリアの軍人で、セイバーのマスターだったホメロス。こいつが今どうしているかは)
(殺す!!!!!!!!!!!!!!)
「黙れ!」
自分の怒鳴り声で医者は我に返った。
医者だって人間。
睡眠が不足すれば思考がまとまらず、寝ぼけて寝言を吐く事も有る。自然な現象だ。
医者は考え事を中断し、ただ無心に眠ることにした。
1613
:
名無しさん
:2022/03/24(木) 21:13:45
>>1607
クルーゼをマスターだと判断したムスカは思案する
彼はレムリア島で士官クラスの軍人だ。一国の隊長という地位は聖杯戦争では優位に働く。
今までならば大して気にしなかった。なんなら数を減らすために有用な存在だった。
しかしいずれ敵となることを考えるなら、そろそろ自分の権力や武力を利用して排除するべきだろうか?
どうせバーンと戦う時、彼らが率いる軍の雑兵程度では役に立たない。
それに草加から聞いた「乾巧」の性格を聞く限り、彼を殺したクルーゼはほぼ間違いなく聖杯狙いだ。
だが聖杯狙いにとってもバーンは邪魔な存在。クルーゼに連絡を取り、協力を申し出るという手もある
(* ムスカはムー島の王だが、レムリア島は別の国であるため直接的には干渉できない、という設定)
1614
:
名無しさん
:2022/03/25(金) 08:36:33
>>1604
の続き (ちなみに
>>1556
で巧は草加のことについてピーター達には話してなかったので知らない)
(ルカちゃん。ピーターさん達は大丈夫?)
(マスター、まだ隠れてて。)
戦闘後のピーター達の元に馬車小屋でココア達がやってきた。
マズルカは御史台で前方の状況を把握しつつ移動、ココアは小屋の中にいる。
到着した時には戦闘痕だらけの場所にピーターと初めて見る男(草加)が残されていた。
先ほどの断末魔の叫びと状況からみてピーターと協力してグリーンゴブリン達を倒した…らしい。
ライダーは…と問うマズルカに、ピーターは巧の消滅を伝え、更に細かい状況を伝えようとしたが、
マズルカの登場に遅れて気が緩んだのか、気を失ってしまった。
これはスーツ越しかつ屋外で直撃は避けたとはいえ周囲にグリーンゴブリンが撒いた有毒ガスの影響が出ていたことや、
またパンプキンボムの爆発を背中から受けたダメージのせいであった。
マズルカは草加にピーターを助けてくれた事の礼を述べたが、
その後の両名の間には数秒、気まずい空気が流れた
一応ピーターと一緒に共闘したようだが、ちょうどここに来たマズルカにしてみたらいきなり生えてきた相手の正体も目的も何もわからない。
実体のある人間…のように見えるが、イメージ映像からの考察(
>>1572
)を元にすると消去法でココアを不意打ちしたキャスターのマスターではないかという考えすら浮かんでしまう
負傷しているらしい(
>>1578
)相手を疑うのは心苦しいが、ピーターと比べればピンピンしているようなので
ここは相手の正体は深く追求せず事を荒立てずにピーターを馬車小屋に詰め込んで治療をしつつ急いで距離をとることにした。
もしもピーターがもう少し起きて何か話していたらマズルカももう少し警戒を緩めていたかもしれない。
草加の方もいきなり初対面でこのキャスターの信用を得られるとは思っていないのか無理に距離を縮めようとはしなかった。
ただマズルカに対してこの聖杯戦争の黒幕は「大魔王バーン」である事を伝えた。
1615
:
名無しさん
:2022/03/25(金) 09:00:56
>>1614
「君が俺を疑う気持ちも理解出来る。だが大魔王バーンには気を付けた方がいい。奴はこの聖杯戦争の黒幕だ。そして俺や君たちだけでは確実に勝てない」
草加がバーンのことを語る表情は真剣そのものだった
それはバッターを殺されてココアと契約する前、セフィロスだけでも倒してくれまいかと頼み込んでいたマズルカ自身と少し被る
だから草加自身はともかく、大魔王バーンの情報は嘘偽りない真実にも聞こえた。もちろん自分達だけでは勝てないという点も含めてだ。
そしてマズルカもまたセフィロスについて草加に教えた。
「フォーリナー、セフィロスか。そういえば乾を倒した男の姿も君の言うセフィロスの特徴と一致しているな。俺が駆け付けた時にはもう遅かったが……」
草加は悔しそうに歯噛みする。当然演技である。
セフィロスの戦闘を目撃して真名も聞こえたのに初耳のように振る舞うのも演技だ。セフィロスと巧の戦闘を観戦していたなんて言えば、間違いなく疑われるだろう。
「もし俺と手を組む気になったら連絡してほしい。もちろんセフィロスを倒すことにも協力するよ」
草加の言葉を聞いてマズルカはどうしようか悩む。
とりあえずピーターが気絶から目を覚ましたら、草加雅人について聞いてみようと思う。
ちなみに草加は信用を得るために真名をさも当然かのようにマズルカやピーターに教えている。
もしも巧が「グリーンゴブリンに似たやつが知り合いに居る」とピーターに伝えた時に草加の名前を出し、性格を伝えていたらここで彼の本性に気づけたのだろうが名前までは教えていなかったのでまだ誰も草加の本性を知らない
1616
:
名無しさん
:2022/03/25(金) 20:15:57
「着いたぞ、ここなら少し落ち着けるだろう」
「ああ、すまない、少し休ませてもらう」
クルーゼはセフィロスに肩を貸してもらいながらとある一室に辿り着き、ひとまずベッドの上に腰を掛けて一息をついた
この場所はレムリア島にある軍管理下の収容所であり、先日の基地襲撃事件で大量に拿捕された半グレ達が檻の中に詰め込まれていた
先の戦場から退却して医者達と今後について協議した後、クルーゼ達はいつもの拠点としている基地ではなくあまり人に知られていないこの刑務所にやってきた
これでしばらくは他の主従と遭遇する心配は少なくなる、彼らもしばらくは休んで英気を養うことにした
ちなみにだが、この施設には自爆装置が仕掛けられている
表向きは囚人達の暴動が発生して収拾がつかないときの最終手段として用意されたものであるが、万が一に敵が襲来した時に起爆して返り討ちにするキルゾーンとして予め用意していた場所なのだ
たとえ爆発でサーヴァントを倒せなくても同伴しているマスターを巻き添えにすることは容易である、もしマスターが生き残ったとしても足止めには使えるため自分達の逃走時には何の躊躇いもなく起爆スイッチを押すつもりで前々から計画していた
だが、今のクルーゼはセフィロスの激戦により魔力および生命力を削られた状態であり、とてもそんな緊急時の事など考えている余裕はない
今はともかく休息と安全を第一に優先し、その時が来るまでは起爆させる事など考えていないでいた
さて、疲労感が身体に重くのし掛かり遂にはベッドに横たわったクルーゼは、超一流の戦士ではあるが魔力消耗の激しいセフィロスと今後の方針について軽く話し合う
彼が全力で戦い続けられれば優勝も容易く感じられるが、如何せん優勝までに自身の体が持たないとも感じていた
この魔力供給の問題を改善すべく、クルーゼはセフィロスに次のように指示を出してみた
「…ここにいる囚人達を、お前の魔力の糧になってもらおうか」
「つまり、“魂喰い”か」
「さすがに不服かな?」
「いいや、問題ない。マスターへの負担を減らすためにも、いくらか魔力を蓄えておこう」
「ああ、それで頼む」
「だが、看守達はどうする?」
「…やむを得ない、彼らも一緒に消えてもらおう」
「了解した」
クルーゼは自身の魔力とは別にセフィロスの魔力を増強すべく、もはや無用な存在である半グレ達を生贄に捧げることを画策した
ただし囚人達を血祭りにすれば当然看守達にもバレてしまう、そして外部に連絡されてしまうとと潜伏している身としては都合が悪い
なのでクルーゼ達は非情に徹する、使える駒であればまだしも戦況を変える要素にもなりえず自分達の不利益になりかねない少数を取っておく必要はない
こうして方針が決まった後にセフィロスは部屋から立ち去り、気怠さから抜け出せないクルーゼはベッドの上で休むことに専念し始めた
クルーゼは心を静めて身体を休ませようとするが、その意思に反して身体の方から強烈な信号が送られてきた
それは突然の発作であった、幾度と体験しても慣れることのない苦痛に悶え苦しむクルーゼは、携行していた薬を何とか取り出して口に放り込み、激痛が引くまで耐え続けなければならなかった
この発作はクルーゼの中に仕組まれた一種の呪いである
彼が元いた世界は遺伝子工学が発展しており、とある資産家が相応しい後継者を作るために生み出されたクローンがクルーゼの正体である
醜悪な理由によって歪まされた生を得たクルーゼは、しかし本来人に備わっている機能に欠落があり長くは生きられない呪縛に囚われてしまった
今しがた服用したのは細胞分裂を低減しテロメアを延長させ老化を遅らせる薬である
この薬はクルーゼの数少ない親友であるギルバートが提供してくれた物であり、これで朽ちていくしかない自分の命を今までなんとか引き延ばしていた
しかしこの世界にはギルバートはいない、そして手元に残っている薬は数日分しかない
つまりは彼が正常でいられるのはあと僅かな時間しかないのだが、その事についてはクルーゼは絶望感を抱いていなかった
なぜなら彼は、自分のような存在を作り出した人間や世界に対して絶望しており、それらに対して憎悪を抱いている
だから、クルーゼは残り僅かな命であったとしても聖杯を獲るために全力を尽くすつもりである、そのために今も感じる痛みも耐え抜き次に備えようとする
そうこうしているうちに発作は治まり、クルーゼもやっと楽な姿勢に戻れた
全身に湧き出た大汗が不快に感じるものの、それ以上に動こうという気力が全く起きない
だからこそ、今度こそ眠りにつくべく、クルーゼは少し前の事を夢想し始めた
シャア・アズナブル
ついこの間であったばかりの政務官であり、後に聖杯戦争のマスターであることがわかった男
この人物とは政治的な話であったり聖杯戦争について少しだけ言葉を交えたが、クルーゼはこの男に対して少しばかり興味を抱いていた
彼の声が親友に似ているのもあるが、あの好青年のような表情の裏には何か秘めている想いがあるとクルーゼは感じ取っていた
それが何なのかは分からない、それに今は敵対する可能性があるが、今一度彼の中にある何かを曝け出せないか、などと微かに思い始めていた
それと、バーサーカー
シャアの従者であり必要以上に喋ることはなく、そう何度も顔を合せることはなかったが、それでも彼の瞳はクルーゼにとってとても印象的だった
あれは自分に似ている、世界に絶望し、大きな決意を抱いて必死に努力を重ねてきた、それらを物語るような鋭い目つきを感じとれる
彼の真名は分からないためその詳細も分からずじまいだが、同じような憎悪を抱く存在との出会いはなにかしらの因果を感じずにはいられなかった
そして気付けば日がかなり昇っていた
いつの間にか眠りに落ちていたクルーゼは、いくらか気力を取り戻した体でベッドから立ち上がり、施設内にある通信室へと向かう
収容所は至って静かである、つまりはフォーリナーが全てを片付けた後なのだろう
これで魔力の補充ができたとクルーゼは思いつつ、通信機で基地本部に連絡を入れる
対応した者に事情(勿論カバーストーリー)を説明した後に島全体の状況について報告を受け、ムー島の密偵やムスカ国王からクルーゼ宛に通信があったことも聞く
前者はホメロス達が朝方飛空挺に乗り込みレムリア島へ向かった、その際に帰還したばかりのムスカ国王が彼らに接触したことも補足されている
後者については折り返し連絡が欲しいとのことで連絡先が伝えられた
この段階での王の帰還、およびホメロス達や自分への接触についてかなり思うところがあるものの、その本人から誘いに応じて直接連絡してみることにした
1617
:
名無しさん
:2022/03/25(金) 21:52:37
>>1611
部屋の中で誓いのペンダントを眺めるホメロスを見て、マコト兄ちゃんは問い掛ける
「さっきから眺めてるそれは、お前にとって大切な物なのか?」
問いを投げ掛けられたホメロスはマコト兄ちゃんにかつての友であるグレイグ立てた誓いについて話した。二人で国を共に守ろうと誓ったことを。
しかし自分は迷走し、友とは道を違えてしまった。だがハドラーの影響で何か大切なものを思い出した、と。
「友か。俺にも大切な友がいる」
マコト兄ちゃんはタケルやアランのことを語る。
自分の妹のために自己犠牲を厭わない優しい男、天空寺タケル。
自分が迷走していた時、友への気持ちで。友情という心の力で新たな力に目覚め、自分を止めようとしたアラン。
「今の俺が在るのも、あいつらのおかげだ」
友想う故に、我あり。
マコト兄ちゃんとホメロスは互いの友を語り、認め合っていた。
そしてマコト兄ちゃんはチノを友と。ホメロスはハドラーを友のようなものだと語る。
皮肉な話だが、この聖杯戦争で友が出来た、と。
「私もライダーさんやおっこさんや炭治郎さん……そしてまりなさんやマコトさんと友達になりました」
チノの言葉にホメロスは謝罪する。
自分のせいで死んだ者も居るのだ。今となっては罪悪感がある
「……ホメロス。お前はハドラーの想いを繋ぐのか?」
マコト兄ちゃんの答えに対してホメロスは頷いた。
かつて友と立てた誓いのためにこの島を守る。ハドラーの想いはわからないが、出来るものなら多少は繋いでやりたいという気持ちもホメロスにはあった
1618
:
名無しさん
:2022/03/25(金) 21:53:34
>>1614
ライダーの死を知ったココアは動揺した。
カイトの時とは違い、その最期の姿すら見届けず知人が死んだ。
乾巧という人間のことをココアはあまり知らない。カイトのように親しくなったわけじゃないし、決闘者として誇り高い魂を見せたわけでもない。
だがライダーは仲間だ。
知り合ってそれほど経っていないが、ぶっきらぼうで素直になれない……それこそ以前のチノと少し似ているような気がする。
急激に魔力を消費して弱っている自分やマズルカを回復するまで見守ってくれたのもピーターと巧だ。
『ココアとキャスターはここで待ってろ。グリーンゴブリンは俺達が倒す』
あの時の言葉は、もしかしたら彼なりにココアのことを気遣ったのだろう。
ぶっきらぼうな言い方で、当時は足でまといって思われていると感じていた。だが今思い返すと巧の表情には見覚えがある。――覚悟を決めた天城カイト。彼もまた、巧のような表情をしていた
『ココア。これから先、お前にはもっと過酷な試練が訪れるかもしれない』
「カイトさん……」
過酷な試練。
カイトの話していた言葉の意味が身に染みて伝わる。
ライダーは死んだ。どんな死に方をしたのかすら、わからない。もしかしたらカイトとは違い、悲惨な死に方をしたのかもしれない。
『どんな過酷な運命でも諦めるな。俺は残酷な運命に抗い、かっとビングで乗り越えた男を知っている!』
誰が死んでも、どんなことが起こっても。
ココアは諦めない。軽く頬を叩き、前を向く。
「チノちゃん、ルカちゃん、ピーターさん、カイトさん、オービタルさん、ライダーさん……」
愛する妹と、共に戦う仲間達と、かつてその命を散らせ熱い魂を託した決闘者と、命を懸けて自分を守ってくれたロボットと、ぶっきらぼうな正義の味方の名前を呼ぶ。
今思うとこの聖杯戦争で色々な人と出会い、別れてきた。
だからココアは彼らに向けて、こう口にするのだ。
「私、諦めずにがんばるね……!」
きっとカイトなら、どんな過酷な運命にも諦めないから。
残酷な運命に抗ったカイトの知り合いをココアは彼から話された情報しか知らないが――それでもココアは諦めないため、前を向くために魔法の言葉を声高らかに叫ぶ
「――かっとビングだよ、私!」
1619
:
名無しさん
:2022/03/25(金) 21:54:22
>>1611
「小動物。君はこの聖杯戦争で一番弱い」
「はい。その通りです……」
飛行艇の部屋の中で寝転びながら、雲雀はチノに言葉を投げる。
それはこの場にいる誰もがそう思っている事だ。チノはあまりにも弱い。だから誰も雲雀に言い返せず、チノが少しだけしょんぼりとする。
「小動物にも小動物の生き延び方がある。今も君が生きてるのが何よりの証拠さ」
雲雀はチノを決して見くびってはいない。
ここまで生き延びていることを幸運の一言で片付けるには無理があるし、彼女は彼女なりに聖杯戦争に向き合っていることも知っている。
香風智乃には沢田綱吉や竈門炭治郎のように戦う力がない。だが彼らと同じく不思議と人が集まってくる存在なのかもしれない。
現にチノは自分のサーヴァントであるマコト以外にも炭治郎やまりなから大切にされていた。
ライダー(木場)がチノを庇って死んだということも、マコト兄ちゃんから聞いた。
「小動物の生き延び方……ですか。私にはよくわからないです」
「誇りと覚悟。それが小動物達が生き延びるために必要なものさ」
「誇りと覚悟……」
「小動物。君だって誰にも譲れないものはあるはずだよ」
雲雀が風紀の二文字を誰にも譲らないように、チノにも譲れないものがあるはずだと雲雀は話す。
ちなみに雲雀や沢田綱吉も中学生だ。だからこそ雲雀は彼女に対して平然とこんなことも聞く。年下の少女扱いもせず、対等に接する。
「譲れないものですか……」
チノは考える。自分の譲れないものを。
昔のチノならきっと、ずっと悩んで答えを出せなかったかもしれない。大切な人に出会う前の、あのチノなら。
「ココアさんです。ココアさんだけは、譲れません……!」
迷うことなくハッキリとした口調でチノは大胆にも宣言する。
チノは誇りなんてそんな立派なものを持っている自信はない。
だが譲れないものが誇りと雲雀から聞き、すぐに答えは出た。チノにとって譲れないものはココアだ。大切な友達で、お姉ちゃんだ。
「ふうん。……あの小動物が命を懸けて君を託した理由が、なんとなくわかったよ」
チノの誇りは沢田綱吉と同じものだった。
そういう小動物には必然的に惹かれる。竈門炭治郎も誇りを問われたら、似たような答えを返すのだろう
1620
:
名無しさん
:2022/03/26(土) 07:52:05
>>1599
自分を追跡してくる元セイバーの部下達にイラついた医者は人気のない場所で彼らを殺し始める
相手はただの人間であり彼らを一方的に狩ることは負傷した医者でも難しくない
だが仲間を放置して逃げる者が一人だけいた。彼は大きな無線機のようなものを背負っており、不審に感じた医者は追おうとするが「国王万歳!」と叫びながら無謀にも飛び込んできた部下たちに遮られ逃してしまう
普段の医者ならもっと違う手段で追っ手に対処したのだろうが、ついカッとなって冷静な判断が出来なかったと医者は自分の軽率な行動を反省した
実際は精神的に追い込まれた医者が擬似禁薬の影響で冷静な判断を下せなかったことが原因なのだが。
だがそんな精神状態でも「国王万歳!」という言葉を聞き逃さなかった。国王が何らかの形でこの聖杯戦争に関わっている可能性が浮かび上がる。そしておそらくそいつは草加と手を組んでいる
だがそれ以上に草加についての苛立ちが特に大きく、それが
>>1612
で草加雅人のことを考えただけで態度が急変したことに繋がる
一方、殺人現場から逃げた部下は草加に医者の凶行を連絡する。今回は場所の特定を目的としている追跡であり、その中には通信兵も含まれていた。
草加は医者を冷静な大人だと思っていたが、どうやら違うらしい。彼女らしくもない凶行に及んだことをほくそ笑む
「報告感謝するよ。後はそこら辺の憲兵にでも殺人事件として通報してくれないかな?」
草加の指示を受けた通信兵はそれに従い、憲兵に通報した。ちなみに身分を隠すために無線機は処分済みだ
1621
:
名無しさん
:2022/03/26(土) 09:01:37
>>1614
、
>>1615
草加の元から離れた後、ひとまず人気のないところでココアとマズルカは気絶しているピーターの手当をする
幸いピーターには大きな負傷はなく、パンプキンボムの爆発でダメージは受けたもののスパイダースーツのおかげで傷や火傷は少ない
グリーンゴブリンが撒いた有毒ガスは幻覚を見せたり意識不明にするタイプなので体を蝕むことはなく、しばらく休ませておけばそのうち目覚めるだろうとマズルカは診断する
一通り手を尽くしたところで、緊張状態から抜け出したココアもまた眠気に襲われ始めた
昨日から今までに彼女の日常からかけ離れた出来事ばかりが続いたのだ、何度休息を挟んでいても慣れることはない
マズルカは自分が周囲の警戒をするから休んでいて、と声を掛けたがココアはすでに眠りに落ちていた
そしてマズルカは一人思案する
先程の襲撃で敵は撤退、たぶん消耗し過ぎたためにすぐにはこちらを探すことはないとは推測するが、万が一に備えて予断は許さないでいる
自分達は馬車小屋に潜んで気配を消しつつ、周辺の警戒は人形兵達に任せることにしている
それと、新たに現われた「草加雅人」を名乗る男、その彼から伝えられた黒幕「大魔王バーン」
セフィロス以外にも新たな強敵や敵か味方か分からない存在の登場に頭を悩ませつつ、彼らについても考察を重ねる
なにはともあれ、今はピーターの回復を待って彼から事情を聞くこと、ムー島にいる炭治郎とアサシンやチノ達との合流が性急であると考え始めていた
※マズルカ思案中が朝方くらい、ピーターとココアが目覚めるのは昼前くらいにして他との足並みを揃えたいところです
1622
:
名無しさん
:2022/03/26(土) 22:08:53
>>1617
、
>>1619
他の皆が語り合う姿をエレンは遠目に眺めていた。
友と立てた誓い。譲れない大切な人。
エレンにも多少は共感出来る決意だ。自分もそういうもののために、戦ってきた。
全てを完遂して果てた彼はランサーに向かって「願いがない」と言ったが、それは嘘だ。
――……死にたくねぇ。ミカサと……みんなと一緒にいたい……
かつてアルミンに話したその言葉こそエレンの願い。だが殺戮者であると同時に人としての心も持ち合わせているエレンは自分の罪深さを理解している。だから人々の幸せを奪った自分が許されて生き返るなんて願いを彼は持たない。そんな資格はない
――だったら、お前は何のため戦っているんだ!?
ランサー・宮本明に問われた言葉はエレンの中でずっと引っ掛かっていた。
今までシャアの指示通り動いてきた。燃え尽きたエレンはそこまで強い意志が強くなく、だからシャアの支持に従いなし崩し的に対聖杯グループの中に混ざっている
だが必死に生き抜く彼らを見ているとほんの少しだけ、心が揺れる。なにより友のことを語るホメロスと大切な人のために頑張るチノには共感出来る部分もある
「そのココアっていうやつは、そんなに大切なのか?」
だから興味からエレンはチノに問い掛けた。
これまで全く喋らなかったバーサーカーの言葉に周囲の視線が集中する。
「はい。ココアさんは私の友達で……家族みたいなものです」
友達で家族。
きっと何か事情があるのだろうとエレンは察した。それこそ自分とミカサのような……。
(ランサー。俺の戦う理由がやっと決まった気がする)
今は亡きランサーの問いにようやくエレンは答えを出す。
自分には願いがない……わけじゃない。だがそれを叶える資格はない。
だがこいつらのために戦うのも悪くない。知り合ったばかりの連中だが、何の意味もなく戦うよりは全然マシだ
1623
:
名無しさん
:2022/03/26(土) 23:07:06
仮眠を取って幾らか体調を戻した医者は、ここに来て二度目の自己整形を始めた
前回は面を知っている雲母坂まりなを騙すために一般人の貌に変えたが、今度は殆どの関係者に面が割れたためやはり意表を突くべく処刑課の女の貌に変え始めた
整形が終わる頃には日は昇り、昼手前になっていた
1624
:
名無しさん
:2022/03/27(日) 10:34:47
時刻は昼頃。ムーからの飛空艇がレムリアに接近している時だった。
突如、聖杯戦争のマスター達の脳裏に言葉が響き渡る。
『この聖杯戦争に招かれた者達よ…
余がこの度の儀式を行った者「大魔王バーン」である。』
『これを聞いている者達よ
まずは今まで生き残れた事を祝福しよう…』
『お前達の望む「聖杯」は他のサーヴァントの魂を器に注ぐことで完成する
つまり生き残った最後の主従のみが聖杯を手に入れ望みを叶える事が出来る、という事だ…』
『だがそれは不可能な事
なぜなら余は今まで脱落してきたサーヴァントの魂を預かっておる
つまり余を倒さぬ限り聖杯は完成せぬのだからな…』
つまり大魔王は「お前達が束になろうと自分を倒すことはできない」という自信があるのだ。
『さて…じきに全ての主従がレムリアに集うわけだが…』
『ムーからやってくる者達よ…
お前達が余と戦うに値するかどうか…試させてもらうとしよう。』
「!!!気を付けろ!!!」飛空艇の中で深海マコトが叫んだ直後、飛空艇が大きく揺れた。
大魔王の炎の魔法…メラを受けた飛空艇が墜落したのだ。
飛空艇はレムリアにかなり近づいていたため、島の外に落下することはなかったが、発着場に激突して炎上した。
咄嗟にチノとホメロスをマコトが、シャアをエレンが抱えて脱出し、爆発に巻き込まれずに済んだ。
そして彼らは攻撃を放った者を目にする。
「ふむ…少し手加減しすぎてしまったか?」
角の生えた長髪の大男
大男といってもエレンの変化した巨人とは比べるべくもない、人間よりやや大きいという程度の体躯に、
簡素な服や防具を纏っている。
巨大な武器を構えているわけでもなければモンスターの大群を引き連れているわけでもない
しかしその男から漏れる威圧感は今まで出会ったサーヴァントを凌駕していた
大魔王バーン。封印が解けた魔王は封印の間からルーラでレムリアの飛空艇発着場まで飛び、降りようとしている飛空艇をメラで墜落させたのだ。
意外にも真っ先に動いたのはチノだった。
「マコトさん!令呪でお願いします!『船の人たちを助けてください!』」
「!わかった!」
『ダイブ トゥ ディープ!』
『ギロットミロー! ギロットミロー!』
『ゲンカイガン! ディープスペクター! ゲットゴー!覚悟!ギ・ザ・ギ・ザ!ゴースト!』
ディープスペクターに変身したマコトが、燃え盛る飛空艇に突入する。
令呪のブーストを受けた彼は外壁を容易に破壊すると中の乗組員やムスカの部下、
無関係に乗り合わせた者達を手際よく外に運び出していく。
バーンはつまらなそうにその光景を眺めつつ、墜落した船の方向に手の平をかざし何らかの攻撃を放とうとする
そこに急接近して攻撃を放つ影。
雲雀恭弥がトンファーでバーンに攻撃を加えたのだ。
「さっきの大魔王って、キミ?」
バーンは船への攻撃を中止して雲雀に対処する。…左腕一本で。
「軽い攻撃だな…はぐれサーヴァント風情の攻撃が、この大魔王に通じると思っているのか?」
そこに、シャアからの指示を受けたエレンが、逆側から攻撃を仕掛けた。
バーンは雲雀の相手をしながら、肉を切り刻もうとする刃、足を斬り落とそうとする刃に対処していく。
そこに飛空艇の乗員を救出し終えたマコトがディープスペクターのフォームで戦闘に参加するべく躍りかかる。
バーンは嘆息した。
「ここまで生き残ってきた猛者と思い期待していたが…この程度であったか。」
バーンは闘気を解放した。
* 大魔王バーン(若バーン状態)がレムリア島の飛空艇発着場に現れました。
* 封印が解けた後に転移呪文でワープしました
* チノが令呪1画を使用しました(残り2画)
* 封印は現時点で完全に解けたのかそれともこれでも徐々に解けてる最中なのかは未定
* アナウンスではムスカの事には触れてない(戦略、もしくは一応の義理)
* 「生き残った最後の主従のみが聖杯を手に入れる」というが本当か、ブラフかも未定
(fate原作みたくサーヴァントの魂全部注ぐ必要があるかは不明)
1625
:
名無しさん
:2022/03/27(日) 10:44:41
>>1624
大魔王を称する災厄が襲来し、ホメロスに緊張が走る
ハドラーという魔王と共に戦った彼だからこそ大魔王という称号の恐ろしさを誰よりも理解しているつもりだ。魔王のハドラーでもあれほど強かったというのに、それを上回る大魔王に勝ち目があるのか?
そうこう考えているうちに、バーンの左腕に吹っ飛ばされた雲雀が受け身をとり、ホメロスの近くに着地した。
こんな状況なのに相変わらず好戦的な目付きで、再びバーンへ攻撃しようとする雲雀をホメロスが呼び止める。自分と再契約するつもりはないか、と。
「やだ」
しかし雲雀はたったの二言で提案を蹴り、向かおうとするが――ホメロスが立ち塞がる。
「……なにしてんの?キミ」
「私にも退けない理由がある。意地でも再契約させてみせる!」
雲雀はホメロスを今一度見つめる。猿山の大将だった男は何時しか『死ぬ気の覚悟』を秘めた者の瞳をしていた。
「いいよ。再契約してあげる」
雲雀としてもこの状況では本気で戦えない。
ホメロスと契約する気は皆無だったが、彼の瞳を見て考えが変わった。今のホメロスとならば再契約をしても良いと思えた
「大魔王がどうしたというのだ。私は最強の魔王――ハドラーと誇り高き英雄、グレイグの友だ!」
堂々たる姿で啖呵を切るホメロスに雲雀は更に上機嫌になり、再契約が成立する
「小動物。見てて、僕の戦い」
ホメロスと再契約を果たした雲雀はチノの近くに跳躍すると、それだけ言い残して再び戦闘に身を投じた
「雲雀さん、マコトさん。がんばってください!」
チノには見守ることしか出来ないけども。それでも彼女は戦場に向かう仲間たちを精一杯に応援した
1626
:
名無しさん
:2022/03/27(日) 10:46:00
>>1624
ムスカとクルーゼが連絡を取り合っている時にバーンが出現した
本当はもっとじっくりと交渉をしたかったムスカだが、仕方なく自分がマスターだと明かして共にバーンを討伐しないかクルーゼに提案する。ちなみに黒幕である大魔王バーンを倒すために身分を隠して潜んでいたという名目だ
この時のムスカはバーンの力を恐れているようでもあり、大魔王バーンが強大な存在だということはムスカの様子を通じてクルーゼにも伝わってきた
どの道、このアナウンスによりほとんどの主従がバーンの居る場所に集うだろう。ムーからやってくる主従を試すということは、飛行艇を襲っているのだろうか?
幸いにもフォーリナーは宝具により空中戦も可能となる。
バーンがどんな者か確認することも含め、クルーゼはムスカの提案をひとまず保留すると飛空艇の発着場へ向かった
きっとそこにシャアやバーサーカーも居るのだろう……
1627
:
名無しさん
:2022/03/27(日) 10:46:35
レムリア島に存在するだいたいの主従に接触し終えた草加は少し休憩して、食事をする。これだけサーヴァントが減り、そろそろバーンが復活する。自分も本格的に戦闘に参加する準備をしなければならない
クルーゼという仮面の男にはムスカが連絡を取ると言っていた。セフィロスの実力を知っている草加は下手に自分から接触せず、今はムスカに任せるのが適切だと判断する。
見た感じかなり消耗していたが、万が一がある。単独で挑むのは危険だ
だが彼がバーンを倒すために協力してくれるならば、これ以上なく頼りになるだろう。そこはムスカの交渉技術に期待するしかない
『ムスカ大佐。ヤツの言葉を聞く限り、バーンは飛行艇の付近にいる』
バーンのアナウンスを聞いた草加は現場へ急行する
ムー島からやってくる主従を試すという言葉の意味は、つまりそういうことだ
そしてバーンを見つけた草加はカイザに変身。他のサーヴァント達と戦っているバーン目掛けてゴルドスマッシュを放つ。
完全に不意をついた一撃だ。上手く決まれば負傷を与えられると思っていたが、バーンは当然のように片腕で四角錐状のポインタを受け止め、もう片方の手でそれを打ち破りつつカイザ自身を殴ることにより吹っ飛ばす
「化け物め……!」
無様にも地面を転がされたカイザは再び立ち上がると他のサーヴァント達に呼び掛ける。
「俺は草加雅人。この悪夢のような聖杯戦争を止めるため、君たちに協力するよ」
ちなみにゴルドスマッシュでバーンに大ダメージを負わせようとしたことは事実だが、対処されることは想定の範囲内だった。
最低限のやり取りで上手くグループに紛れ込む方法としてはこれが一番手っ取り早いと考え、実行しただけのこと
実際、この場にいる誰もが草加の行動に疑問を持たない。そんなことを考える余裕もないし、このタイミングで加勢に来た彼を受け入れるのは当然だ。
草加は自分の計画が寸分の狂いもなく円滑に進んでいることに満足するが――弾丸がカイザを襲った。草加はすぐさまカイザブレイガンで攻撃を弾くが、仮面の下の表情は穏やかではない
医者と再契約していたキャスターとそれを引き連れた女を睨み付ける。もちろん仮面で隠された素顔は、誰にも見えないのだが。
「みんな、気を付けて。そいつは嘘吐きよ!」
「人聞きが悪いことを言わないでくれるかなぁ?俺は彼らと一緒に大魔王バーンを倒し、聖杯戦争を終わらせたいだけさ」
医者は草加雅人の始末を最優先した。
大魔王バーンという例外も厄介な存在だろうが、生き残りの中で最も邪魔な存在は自分と同じく裏で暗躍するタイプの草加雅人だ。
国王と繋がりがある疑惑が真実なら早急に排除しなければならない。このまま野放しにしたら確実に厄介な存在になる。
(やっと会えたわね、草加雅人。……殺してやる!!!)
それに医者は草加に対して苛立っていた。彼の姿を見ただけで殺意が湧いてくる。
だが冷静な判断力はまだ失われていない。他の連中はバーンの相手に集中して協力を望めそうにないが、逆に言えば誰の邪魔も入らず草加と戦うことが出来る
草加は今まで色々と根回ししてお人好しの連中に取り入ろうとしてきたのだろうが、そんなことは無駄だ。バーンという強大な存在を前にこれまで築いてきた信用は無駄となる
整形したことでムー島の連中に何も疑われずに済んだことも医者にとっては追い風だ
キャスターと共に草加雅人をここで排除する。これは医者が聖杯を勝ち取るためには避けて通れない道だ。
医者は整形こそしたが擬似禁薬が効力を失ったわけではない。医者とキャスターの二人で挑めば勝算はある
※草加と医者&レジィが戦い始めましたが、他の主従はバーンに集中してそれどころではありません
1628
:
名無しさん
:2022/03/27(日) 10:47:35
>>1624
ココアより先に目を覚ましたピーターはマズルカに「草加雅人」や先程の戦闘の事の顛末を聞き、情報を整理した。
ピーターから話を聞く限り、どうやら草加雅人はライダーと本当に仲が良い知り合いのように思えるがやはり完全に信用して良いのかは怪しいところである
遅れてココアが目を覚ます。
彼女はピーターの無事を確認すると、早々にチノと合流しようとした。
その方針にマズルカやピーターも賛成。ココアは気合を入れる。
「チノちゃん。きっと不安だと思うけど、今から迎えに行くからね。お姉ちゃんに任せなさい!」
――大魔王バーンのアナウンスが響き渡ったのは、その時だった。
「大魔王、バーン……?」
アニメや漫画でしか聞きなれない大魔王という言葉にココアは困惑。ピーターが急いでマズルカに自分達の頭に響いた言葉の内容を説明する。
「ふむ……。ふむふむ……。これは急いだ方が良さそうだね……」
『ムー島からやってくる者達』にはおそらくチノや炭治郎も含まれているとマズルカはココアに説明。大切な妹の危機に姉は急いだ。
「今すぐ私が助けに行ってあげるから……それまで待っててね、チノちゃん!!」
『ココア。妹を守るお前が焦ってどうする。お前はチノにとっての希望だ、その程度で狼狽えるな』
脳裏にカイトの声が響いた気がする。
もしかしたらきっと都合の良い幻聴かもしれない。それでもカイトに背中を押されたココアは、落ち着きを取り戻す
「……そうだよね、カイトさん。チノちゃんのために、私がしっかりしなきゃダメだよね!」
気高き決闘者の魂は、ココアの中でずっと生き続けている。
ココアが聖杯戦争に向き合えるほど成長したのは、彼の影響も大きい
「みんな、巻き込んでごめんね。でも私、チノちゃんが心配だから……!」
「かっとビング。諦めない心――だよね?マスター」
自分の方針に巻き込んでしまうことになった二人に謝るココアへ、マズルカは魔法の言葉を放った。
かっとビング。ココアがあれだけ口にしていただけあって、その精神はマズルカにもなんとなく理解出来た。もちろんピーターも、ココアの諦めない心を悪いだなんて言わない。
「うん。ありがとう、ルカちゃん!ピーターさん!」
三人はチノや炭治郎が到着したはずである発着場を目指し、急いだ
1629
:
名無しさん
:2022/03/27(日) 13:19:49
エレン達に戦闘を任せつつ、シャアは状況を俯瞰する
無論、凄まじいプレッシャーを放つ大魔王には相当の警戒を向けてはいるが、シャアはそれ以外の者達についても警戒を向けていた
まずは大魔王バーンに攻撃して自分達に強力すると言った草加雅人
確かに強大な敵と戦う意思を持ち共闘できるかもしれないが、突如現われた謎の男でありその心中まで測れる訳ではない
自分達を利用しようとする第三勢力ではないかと推測し、シャアはその疑いを解かずに彼のことも注視する
次にその草加を嘘吐き呼ばわりする女とキャスターらしき男
昨晩の夢にて生き残っているキャスター二騎の片方ではないかと思い、その彼女達なら草加という男についての情報を得られるかもしれない
しかし、その女は草加に対して殺意を剥き出しにして常軌を逸しているようにも感じられる
また敵の敵は味方と呼べるほどの判断材料もない、さらには何かしら危険な気配を感じ取り彼女達についてもシャアは警戒を緩めない
その他にも留意すべきことが多い
クルーゼとフォーリナー、あの二人組もまた大魔王の号令によってこちらにくる、そのようにシャアの予感は強まっていた
できれば大魔王バーンと戦うために共闘したいが、未だ優勝を狙っているならばどう動くかは未知数であり予断は許さない
医者とアルターエゴ、イメージ映像ではこの二人組もこちら側にいるはずだ
あれは戦場を掻き乱す厄介な輩である、この状況下でも何をしでかすか分からない
ゆえに彼らの登場には最大限警戒して戦況を見極めなければならないだろう
一方、アサシンから聞いていたライダー組とキャスター組がこちらに来ることも考えている
特に片方のマスターはチノが探しているココアという少女であり、この戦闘にチノが巻き込まれていると簡単に予想して急行している可能性が高い
なにはともあれ、この二組は自分達に近くほぼ間違いなく共闘できるだろう、そしてあの大魔王バーンを倒すためにも一つでも戦力が欲しい
そのために少年少女達に凄惨な戦争を見せる事になってしまう、と大人として些か自傷気味に思うシャアでもあった
※シャア達は昨晩のイメージ映像以降にライダーとアルターエゴが脱落したことを知らないため、情報と認識と現状に些か齟齬が生じています
1630
:
名無しさん
:2022/03/27(日) 17:39:24
ムスカはバーン出現より少し遅れて、レムリア島に到着した
草加が謎の女とキャスターに計画を妨害されたことは念話で聞いていたが、女のマスター自らが前線に立ちカイザと戦っている状況はこの目で見るまで想像も出来なかった
しかしムスカには護身用の部下や兵器がある。
ムスカは自分が草加雅人のマスターであることを明かし、島を荒らそうとする大魔王を討てるこの瞬間を待っていたと説明。あくまで王として聖杯戦争を止めたいと他のマスター達に話した。
「そこの君は島を荒らす大魔王の討伐を妨害する気か?魔王の悪事に加担するだなんて、愚かだと思わんかね!?」
善人のように振る舞うムスカだが、実際のところは女とキャスターを始末する大義名分が欲しいだけだ。
これでムスカは草加に加勢する理由付けに成功した。
「……これ以上その大魔王と手を組むなら、君はここで始末するしかない」
なおも草加への攻撃を止めない医者に対して残念そうに語り掛けると、ムスカは彼女を始末するように部下達に指示を出した
1631
:
名無しさん
:2022/03/27(日) 17:49:20
>>1630
「フフフ…」
様々な思惑を抱えながらも自身を討伐しようと共闘する主従の中にいるムスカを見てバーンは笑みを浮かべた。
「余はかつて人間の絆、その閃光のような力の前に敗れた、そしてあと一歩で願いが叶う寸前に見せた奇蹟でその恐ろしさを改めて実感した。
どうすればその力を十全に発揮させずに済むのだろうかと、そこに現れたのがうぬらであった。
そして余は一計を案じた、敢えて己の脅威を見せることでそれを討たせるために共闘を組ませるように仕向けた。
絆などではない利害の一致という不完全な団結をな」
彼はこの場にいる存在全てを侮ることはしない。
奇蹟とは何から起こるか分からぬもの、その可能性を完全に潰すまでは油断などしてはならない。
「世界を救う聖戦などではない、これは聖杯戦争だ。
己の願いをかけて競い争う戦であり、それ故に綻びはいくらでも生じる」
「よく動いてくれたぞムスカ、わざわざ聖杯戦争の時期を早めたのもうぬの存在あってこそだ。
余を討つ要となる者が清廉潔白な奴では危うかったからな」
そうして自身に対峙する主従にバーンは語る。
「余を討つことは不可能だが、もし万が一討てたとしても聖杯を顕現させ願いを叶えるにはあと少しサーヴァントを聖杯にくべる必要がある。
余との戦いの後に聖杯を得ようとする者は間違いなく疲弊しきったうぬらの不意をつくであろうな。
ならばここで全力を出し切るというのは危うい選択となる、そして聖杯を欲する者は後の事を考えて力を温存しなければならん」
バーンは笑みを浮かべていた。
彼らとて馬鹿ではない、ここで力を出し切れば後はどうなるかなど言われずとも分かっているだろう。
「では問おうか、此度の戦争に招かれた者たちよ。誰が捨て石となる?」
ここにいる者全てが一致団結することなどあり得ないと彼は確信していた。
1632
:
名無しさん
:2022/03/27(日) 18:10:49
>>1624
戦う意義を見出したエレンに迷いは無い。
立体機動装置込みでも人間の状態では話にならないと判断したエレンは即座に巨人となり、バーンに立ち向かう。
その姿は正しく悪魔。バーサーカーの名に相応しい狂戦士。
だが彼は――エレン・イェーガーは悪魔であると同時に人間だ。むしろやるべき事をやり遂げた今の彼は、悪魔というよりも人間としての側面が強い
多くの命を奪った自分には願いを叶える権利がない。ミカサに――家族に再会させてくれだなんて、願えるはずもない。
それでも友のために戦う男や家族のために戦う少女を守ることくらいは出来る。
敵を駆逐することでしか彼らを守れないけれど。それでも彼は眼前の大魔王を駆逐するべく、進撃する
「進撃の巨人、か……」
バーンと戦闘しながら、その様を見たマコト兄ちゃんがポツリと呟いた。
仲間を守るために進撃する巨人――進撃の巨人、と。
1633
:
名無しさん
:2022/03/27(日) 19:57:47
>>1624
、
>>1625
の後、
>>1631
の手前ぐらい
巨人化したバーサーカー、再契約により全力を取り戻した雲雀、人助けも一通り終わり戦線に戻ってきたマコト
この三騎が何度も攻撃を仕掛けるが、大魔王バーンは的確に攻撃を見切り有効打を与えず、返り討ちにしている
三騎もまたバーンの猛攻を辛うじて防ぎ大きなダメージを負っていないが、力を合わせてもその力量差を埋められず対抗する術を模索し続けている
その最中、隙を狙うように刃の衝撃波が大魔王バーンに向かって飛んでいく
それすらも魔界の神は対応するが、その鋭き攻撃に一言感嘆を述べる
「この剣気、まるでハドラーや勇者にも匹敵する威力…どうやらまともな英霊もいたものだな」
「それはこちらの台詞だ、小手先程度の攻撃とはいえ簡単に防がれるとは。さすがは名に違わぬ化け物だな」
少し離れた場所から攻撃を仕掛けたのはセフィロスであり、その近くには仮面を付けた軍服の男、クルーゼも立っていた
さらにはレムリアの軍人達も周囲に展開して臨戦態勢を整えていた
「久しぶりだな、シャア・アズナブル」
「ラウ・ル・クルーゼ…!貴方も、大魔王の討伐に来たのか!?」
「さて、どうかな。あちらにおられるムスカ国王から知らされて様子を見に来たところだが、国王が恐れていたようにかなりの強敵だな」
「まだ、優勝を狙っているのか」
「当然、だがさすがにあれを放っては優勝も厳しいかもしれない。だから一応は同盟を結んだ貴方との間柄だ、少しくらいは共闘もいいだろう」
「それは心強いが、しかし聖杯戦争に大部隊を出すとは些かやり過ぎではないか?」
「用心だよ、一国の国王が有事とはいえレムリア島に軍勢を引き連れている、ならばレムリアの軍人である私も相応の抑止力を用意せねばならない」
「それに、だ。元マスターや元セイバーを名乗り裏事情を知るその二人組も相当怪しい、と私は睨んでいる。貴方もそうでは?」
「…まだなんとも言えない、が確かにこのタイミングでの都合の良さには疑問を抱いている」
※セフィロスは本格的には攻勢に出ず、まだクルーゼを護衛できる程度にしか攻撃を仕掛けないつもりです
1634
:
名無しさん
:2022/03/27(日) 19:58:36
>>1631
バーンの問い掛けに対して真っ先に反応したのは、意外にもエレンだった
エレン・イェーガーは止まらない。この心をはとうに燃え尽きている。しかしチノやホメロスを見て、彼らを守ろうとする奴らの姿を見て……かつての自分と同じように化け物を駆逐しようとする宮本明の命を奪って。
様々な出会いや別れの末にエレンは戦う理由を見つける事が出来た。彼の心に再び火がついた。
一度着火した炎は止まらない。
この聖杯戦争では何が起こるかわからない。未来の記憶なんてわからないのだから。
だがそれで良い。あんなものは今の自分に必要ない。
宮本明の夢と人生を奪った。
しかし彼は最期まで自分の選択を悔いることなく、消えていった。
胡桃という少女を救えなかったことだけは悔しそうだったけど。それでも彼は自分の人生自体を悔いているようには見えなかった
エレンは最期、彼にこう語り掛けた。
「俺はとっくに燃え尽きてるんだ。今更、戦う理由なんて何も無い」
もしも聖杯戦争に呼ばれていなければ、再び誰かを殺すことなんてなかった。サーヴァントとして聖杯戦争に呼ばれた時、エレンはガッカリした
正直、ランサーを殺す時はエレンの心に罪悪感もあった。
「すまない……」
宮本明を殺したエレンは彼に謝罪した。何も悪くない人類の英雄を自らの手で殺す。
たとえ相手のマスターが暴走し、令呪によって操られた存在でも――それは決して気持ちの良いものじゃない。
そんな自分が正義を気取っていいわけがない。
エレン・イェーガーの手は血に塗れている。誰かを救おうだなんて、守ろうだなんて思い上がりも甚だしい。
それでもチノとホメロスを守りたいと思ったから――自分は決して英雄なんかじゃないけれど、誰よりも早く身体が動いていた
シャアは令呪を使い切っている。誰もエレンを止めることは出来ず、今の彼は自由だ。
もう何も背負っていないからこそ自由に『仲間を守るために全力で戦う』という選択をすることが出来た
「バーサーカーさん……」
チノの声が聞こえた。純粋無垢な少女は血に塗れた悪魔を心配するように名前を呟き。
「絶対に死なないでください。きっとバーサーカーさんも、私達の仲間です!」
本当にお人好しにも程がある。
でもその気持ちは素直に受け取ろう。今この瞬間、エレン・イェーガーは香風智乃の仲間になる
「私も援護しよう!」
ホメロスが呪文でエレンを最大限に援護する。対魔力を持つバーンには一切通用しなかったが、彼の勇気を無駄にはしない。
いくら通用しないとはいえ、呪文により一瞬だけ隙が出来る。エレンの肩に雲雀がトンと乗り、跳躍してバーンにほんの数秒間だけ猛攻を仕掛けた。
バーンはその全てを防ぎ、雲雀は即座に距離を取る。バーンにはその行動の意図が読めたか、あえてそれを受ける。
彼らが拓いてくれた道を――エレン・イェーガーが進撃する。理不尽に命を奪おうとする大魔王を駆逐するため。
自分に出来る最大限の力を込め、その拳をバーンへ叩き込んだ
1635
:
名無しさん
:2022/03/27(日) 19:59:29
>>1631
バーンの問い掛けに対して深海マコトは悩んでいた。
自分がシンスペクターとなり、全力を出し切ればきっと状況は好転する。だがバーンを相手に疲弊してしまうと他の敵からチノを守ることが出来なくなってしまう。
マコト兄ちゃんの目的は大魔王バーンの討伐以上にチノやココアを再会させて無事に帰すことだ。
彼が悩んでいる間にも戦況は進む。バーサーカーがバーンへ全力で仕掛けたのだ。
この中で最も英雄に相応しくない狂戦士の勇姿にマコト兄ちゃんは驚愕する。
「……」
何やら悩んでいる様子のディープスペクターを見つめ――
「小動物の守護者。今の君の顔、つまらないな」
それだけ吐き捨て、雲雀もまた戦意を失うことなくバーンへ挑んだ。
深海マコトのことを雲雀恭弥は多少なりとも認めている。そんな彼が俯くというのなら。誇りや覚悟を少しでも見失うというのなら――自分やバーサーカーの戦いを見せることで、気合いを入れ直してやろう、と。
そして
>>1634
へ続く
1636
:
名無しさん
:2022/03/27(日) 20:00:04
エレンがバーンへ全力の進撃を仕掛けた時、ココア達が到着した
一度は「あの巨人を駆逐してやる」と言い出すほどバーサーカーのことを憎んでいたピーターは、エレンの勇姿に驚愕した。
あいつは間違いなく許されるべき存在じゃない。ヴィランに近しい存在だと考えていた。
だが今の巨人は他のマスターやサーヴァントと協力し、共に戦っている。
水色髪の少女はあいつを仲間と呼び、騎士のような男は彼を援護する始末だ。
「チノちゃん!!」
「ココアさん……!?」
そしてココアの反応を見るに、あの少女が噂のチノらしい。
巨人の行動に色々と悩むことはあるが、何か心境の変化でもあったのかもしれない。
ならば彼は仲間だ。元ヴィランが必死に戦っているというのに、ヒーローが眺めているだけではいられない。ピーターも前線へ立ち、バーンへ挑むことを決意する
1637
:
名無しさん
:2022/03/27(日) 21:17:16
そういえば、役者が勢揃いして自分達を邪魔する者がいない事を確認した医者は使い慣れた医療器具を取り出したな
それらはレジィが宝具で生み出した神秘付きの道具であり、銃やナイフを使うよりも攻撃のキレが桁違いな様子
メスで斬りかかったり注射を射とうとしたり、その他多数の手段でとにかく草加を殺そうとしていたな
1638
:
名無しさん
:2022/03/27(日) 21:45:51
ココアはチノの元に駆け寄り、ピーターが進撃の巨人の勇姿に心打たれている中
マズルカは最大限の人形兵を投入してマスター達の護衛および戦闘に備えていた
ただし状況は非常に混沌を極めている
数時間前に出会ったばかりの草加、見知らぬ男(ムスカ)、そして複数人の軍人達がもう一人のキャスターと謎の女と戦っている
仮面の男およびセフィロスがレムリアの部隊を率いているようで、こちらやチノ達に攻撃する様子もなく別の男(シャア)と何か話している
なにより、複数の英霊達がまとめて掛かってもびくともしない大魔王バーンの存在
誰が敵で誰が味方か判別しづらいが、今はただココアのために動くことを優先する
1639
:
名無しさん
:2022/03/27(日) 22:21:01
>>1631
、
>>1633
ムスカに労いの言葉を掛けるバーンを目撃したシャアとクルーゼは予想通りあの二人組はバーン同様見過ごせない存在だと判断する
彼らと戦っている謎の女の存在も疑問に思うが、キャスターと共に戦っている点から医者だと考えるのが妥当か。
バーサーカーやフォーリナーにはこの場で段違いに強いバーンの討伐を最優先して貰う必要があるが、マスターである自分達は手を持て余している
それに医者側はムスカの部下達による数の暴力によって明らかに押されていた。
クルーゼは抑止力として引き連れてきたレムリア島の軍人達に指示を出し、ムスカの部下達の相手を引き受けさせる。いずれ敵になる存在を消耗させてくれたことは結構だが、圧倒的な権力を持つムスカは早急に潰さなければ厄介だ
ムスカの部下達とクルーゼ率いる軍人達がぶつかり合い、予期せぬ展開にムスカが苛立ち始めた
バーンに計画を全て台無しにされ、せっかくの部下達もクルーゼに対処されている。これでは自分が道化のようだ
1640
:
名無しさん
:2022/03/28(月) 06:40:30
・シャア達ムー島から来た対聖杯はライダーとアルターエゴの脱落を知らない、客にココア達は炭次郎の脱落を知らない
・ココア達はクルーゼ組と医者組が組んでいる可能性が高いことを共有しているが、シャア達は聖杯狙いの同盟まで思い着く余裕はないだろう
・
>>1639
の内容的に、クルーゼは医者だと察していて、シャア達は医者の変装にまだ気付いていない。諸事情によりクルーゼも伝達していないと思う。ただし戦闘スタイルからしてそのうちバレる可能性大
これ以外にも情報差関連はありそうだが、とりあえず今は激戦ゆえに悠長な情報交換は難しい
一応各々が隙を見て聞き出すとは思うが、それが各人の思惑や戦況にどれだけ影響を及ぼすだろうか
1641
:
名無しさん
:2022/03/28(月) 07:15:13
>>1634
「なるほど、まずはうぬが起点となるか」
渾身の一撃をぶつけたエレンの拳、だがそれはバーンによって受け止められた。
無論一撃で仕留められると思っていないエレンはそのまま追撃をかけようとする。
「その魂の力は認めよう、だが――」
そう言ってバーンは拳を掴みながら回転し、エレンを持ち上げて投げ飛ばした。
不意を突かれたエレンはこらえる暇すらなく飛ばされる。
飛ばされた方向にはチノたちがおり、それを見たピーターと雲雀が対応し、チェーンと糸でエレンをキャッチする。
その隙にシャアたちの方向へメラを放つ、それを見たセフィロスは即座に魔術で相殺する。
「魂で余は殺せん。それと先に言ったではないか、捨て駒は誰だと」
瞬間、バーンの手に闘気が集中する。
今までのような小技ではない、彼が使う技の一つ。
「カラミティウォール!」
そうして巨大なエネルギー衝撃波の壁がチノたちの方へと向かっていった。
1642
:
名無しさん
:2022/03/28(月) 08:07:58
>>1641
深海マコトは悩む。しかし彼が迷っている間にも、戦況は進む。
このままではチノ達が死ぬ。あの不思議な攻撃に対抗する術を自分達は持たない。
進撃の巨人も、孤高の浮雲も、再会を果たした姉妹も、誇り高き魔王の想いを繋いだ軍人も、蜘蛛のようなスーツ姿の男も――誰も彼もが死んでしまう。
大幅に戦力を削られることを危惧したクルーゼが咄嗟に令呪でセフィロスに対応させる。だが流石のセフィロスでも単独で受け切ることは難しく、圧倒的な力の前に押される。ほんの少しだけでも時間を稼げたこと自体が奇跡的だと言えるだろう。ちなみに片翼の天使は既に使用済みで、このままではセフィロス自体が危うい。仕方なく一時撤退も視野に入れる。
敵も味方も入り乱れ、各々が全力で大魔王に対処している。
この状況でもチノは前を向き、令呪を使った。
「マコトさん……あの大魔王を倒してください!」
まだ中学生の少女が頑張ってるというのに、自分が弱気になってどうする。
きっとタケルやアランなら、後先考えずに全力であの大魔王へぶつかるはずだ。
「チノ――お前の想い、確かに受け止めた!」
『セブンシンカ!』
シンスペクターゴーストアイコンが現れる。
これこそが深海マコトの真骨頂であり、彼が真の力を引き出すための宝具
『アーイ!バッチリミロー!バッチリミロー!』
「俺達の覚悟、見せてやる!――変身!」
『シンカイガン!シンスペクター!』
『プライド!グリード!ラスト!ラース!エンヴィー!グラトニー!スロウス!ブレイク!』
『デッドリーシン!』
拮抗するセフィロスにシンスペクターが加勢。彼が正宗で戦うように、シンスペクターもまたディープスラッシャー・ソードモードを手にしていた。
「俺に合わせてくれ、フォーリナー!」
『シンダイカイガン!グリードスラッシュ!』
電子音という分かりやすい合図にセフィロスは彼の言葉の意味を察し、同時に攻撃を放つ
ディープスラッシャー・ソードモードの刀身にエネルギーを纏わせた斬撃とセフィロスの全力の一撃がカラミティウォールを打ち破った
「聞け、大魔王バーン!俺達は誰一人、捨て駒にしない!!」
深海マコトはもう迷わない。必ずこの大魔王を倒し、チノ達を守ると啖呵を切る
1643
:
名無しさん
:2022/03/28(月) 08:44:27
>>1640
についか
・ムスカ達の正体暴露後にココア達が来たため、ココア達は草加の正体や謎の眼鏡男(ムスカ)について曖昧
1644
:
名無しさん
:2022/03/28(月) 11:32:56
それまではクルーゼを護衛する程度にしか攻撃を仕掛けなかったセフィロスだが、クルーゼにメラを放たれたことで攻勢に出る
先程のカラミティウォールで理解した。セフィロスであれど大魔王バーンを単独で撃破することは難しく、護衛に徹してもあの一撃をまた放たれては自分一人で対処することが困難だ。
あの時、クリミナルの助力がなければこちらの戦力は一気に削られていた。勝ち目は薄れ、その後クルーゼに同じ攻撃を放たれていたらセフィロスが脱落していた可能性も否定出来ない
ならば攻勢に出てマスターを狙う隙を与えず、自分達サーヴァントの相手に専念させる。
片翼の天使セフィロスとシンスペクター、戦力としては特に大きい二人が揃い踏みしたことでバーンとの戦力差は埋まっていく
実質的にサーヴァントと同等の力を有するピーターの参戦も大きく、スパイダーセンスという唯一無二の固有能力を持つ彼はバーンにとってある意味、他のサーヴァント以上に厄介でもある
そしてパラメータこそ大したことないが圧倒的な大きさというアドバンテージを持つエレン。セフィロスやシンスペクターほど特化した戦力ではないが、小回りの利く行動やアサシンでありながら暗殺ではない直接戦闘を得意とし、パラメータも三騎士並のアサシン
それぞれの力は大魔王バーンに及ばないが、共闘することで彼らは互角に渡り合っていた
しかし自分に切り札を使わせたあの仮面のライダーに似たサーヴァントとこうして共に戦うことになるとは、セフィロスは想像もしていなかった。多少だが、感慨深く感じる
1645
:
名無しさん
:2022/03/28(月) 18:59:56
>>1644
「あくまで余を打倒することにこだわるか…」
そう言いながらバーンはマコトを立ち直らせたチノの方をチラリと見て考える。
力で言えばあの小娘など考慮するだけ無駄な存在、だがその覚悟とやらがクリミナルの戦意を取り戻させた。
(厄介だな、即座に始末しようにもサーヴァントどもが防ぎに来る。もしやるとすればまず奴らから行動不能にするしかあるまい)
バーサーカーにアサシン、クリミナルは闘志を激らせており、フォーリナーはまだ本腰を入れていない様子だが、それでも十分脅威である。
他にバーサーカーを止めたマスターも入れて現状排除しなければならない存在は5人。
打撃と魔法攻撃での攻めを続けるにはいささか不安が残る。
となれば必然あの技を使うしかないということになる。
「仕方あるまい、本来であればもう少し後で使いたかったところだが、うぬらの覚悟と力に敬意を表して我が奥義を見せてやろう」
そう言ってバーンは構えを取る、ただ両腕を天地上下に構えただけのもの。
チノやココアは特に変化を感じなかったが、対峙するピーターとサーヴァントたちは構えから来るプレッシャーを感知し身構えた。
「これを――天地魔闘の構えという」
1646
:
名無しさん
:2022/03/28(月) 20:46:11
>>1645
大魔王が奥義を語り凄まじい重圧を感じた英霊達だが、その実形だけで見れば不動の構えを取ったのみ
まるで虚仮威しのようにも感じられるが、実際に対面する戦士達は否応なく警戒感を募らせる
かといって、あれだけ猛攻を仕掛けてきた化け物が攻撃の手を止めている絶好の機会でもある、不気味ではあるものの相手の真意を確認するためにも、ここは攻勢に出て叩ける内に叩いておきたいという心理も揺れ動いていた
ゆえに、現状の最大戦力であるシンスペクターと片翼の天使、そして進撃の巨人が同時に出て、八刀一閃、ラースフレイム、硬質化した鉄拳をそれぞれ繰り出す
どれもが強力な攻撃技であり微動だにしない大魔王バーンに迫るが、事態は一瞬にして急変する
八連続の瞬時斬撃は「天」から振り下ろされた手刀「カラミティエンド」で一太刀も与えられずに返り討ちにされる
業火のエネルギー弾は「地」から振り上げた攻防一体の技「フェニックスウイング」によって跳ね返される
堅固な豪腕が届く前に膨大な「魔」として放たれた不死鳥の業炎「カイザーフェニックス」が巨人に迫った
宿敵の奥義に似た必殺技を相殺されたセフィロスは、持ち前の敏捷の高さゆえに直撃をギリギリ回避したが多少のダメージを受けて一旦後退する
自らの必殺技が自分に返ってきて一瞬対応に遅れたマコトだが、直前に人形兵イアフォートレスが盾となり威力を減衰させたものの衝撃によって吹き飛ばされる
大漢だろうと確実に圧壊させる拳を放ったエレンは焼却の全てを焼き尽くす攻撃によって片腕を失い、さらには全身に大火傷を負ってしまう
これが大魔王バーンの奥義、三つの超必殺技を連続して同時に繰り出す究極のカウンター技、すなわち「天地魔闘の構え」である
1647
:
名無しさん
:2022/03/29(火) 20:26:57
大魔王バーンの天地魔闘の構えの前に傷つき倒れる進撃の巨人
巨体の全身をも覆う炎の前には強靭な体も役には立たず、ついにはグズグズと肉体が崩れエレンが姿を現す
「まずは一人。何か言い残すことはあるか?」
そう冷然と言い放つバーンは、しかしエレンの返り血を浴びた凄惨な姿で天地魔闘の構えを再びとっていた
バーンは知っている
人間は時に仲間のために、時に希望のために、バーンの哲学にはない力を発揮することを
ましてやここにいるのは名だたる英雄たち
彼らならこの程度の絶望は必ず覆しうると、彼らの強さから信仰している
そしてその逆転をひねり潰す策も当然用意していた
たとえば、バーンパレスを地盤としているレムリア島の部分を沈めればそれだけで何人かのマスターは危機に陥りサーヴァントは致命的な隙を晒すだろう
バーンに油断は無い、あるのは余裕だけだ
だが、その余裕が崩れた
(バーサーカー以外の顔色が変わった)
突如として、バーサーカー以外のサーヴァントもマスターも、みなそれまでとは違う感情を顔に浮かべていた
バーンがその理由を知ることはない
彼の対魔力が自動で弾いた、バーサーカー・エレンの心象風景の光景はバーンだけが見ることができない
1648
:
名無しさん
:2022/03/29(火) 21:50:04
大魔女マズルカと妖路歴程の操る人形兵。
その大きな強みは言うまでもなく数だが、それだけではない。
それは特に、一度敗退した敵との再戦で発揮される。
兵種や装備の組み合わせにより相手に応じた戦術を構築できる点だ。
勿論バーンと戦うのは初戦だが、多くのサーヴァントが戦った様子を観察して戦略を決定した。
生半可な攻撃や魔術では魔力のようなオーラ(闘気)を纏う、この大魔王にはとても通じない。
そこでマズルカは『ゴシックコッペリア』という、巨大な鈍槌(ハンマー)を持つ、猫の耳のような飾りをつけた人形兵を数体呼び出した。
他の人形兵達より数が少ない、そのやや特殊な人形兵は、他の人形兵とは一線を画す怪力を誇る。
手持ちのこの人形兵を全てバーンに向けて攻撃させる。
また、自分やココア達を守るのに支障が出ない程度に、数体のピアフォートレス達にも鈍槌を持たせて戦線に送り込む。
戦術甲を装備して旅団の壁として活躍する事の多いピアフォートレスだが、人形兵達の中では鈍槌の扱いにも長ける。
なんとか自分がバーンにダメージを与えられるとしたら、この戦法に賭けるしかないと考えた。
また、たとえこの人形兵が蹴散らされたとしてもその僅かな隙に他のサーヴァント達が活路を開く可能性に賭けた。
* ゴシックコッペリア(超パワー型)とデモンリーパー(超スピード回避型)の人形兵はシナリオ途中から生産可能になるので
やや希少という扱いにしてみた。
* ゴシックコッペリアは3〜4体ぐらいのイメージ。
* ココア達の防衛に重点を置いているマズルカですが人形兵もバーンとの戦いや戦闘の余波である程度減ってると思う
1649
:
名無しさん
:2022/03/29(火) 23:16:34
補完小話
>>1637
この神秘付きメス+α、実は医者が仮眠を取っている間にレジィが病院に侵入して医療器具類の領収書から精製した物である
基地襲撃の時とは違い警備が手薄であることや下手に騒ぎを起こして他の主従と再度戦闘になると不味いので、霊体化して密かに潜入していたようだ
>>1630
レムリア島に飛空艇で近づいていたムスカ一団は、発着場が燃えているのを確認して接岸を断念
なのでムスカと親衛隊は現場付近の上空に到着した後に地上へと降下、現場へと向かった
また飛空艇に残った兵士達はムスカの号令があるまで待機し、新兵器を投入する準備を進めていた
1650
:
名無しさん
:2022/03/30(水) 00:10:08
>>1641
これはシンスペクターとセフィロスがカラミティウォールを打ち破った後、バーンが天地魔闘の構えを取る前の話。
メラを見たホメロスは自分のよく知る呪文をバーンが使っていると見抜いた
それならば呪文を封じられると考えた彼はマホトーンを使うが、残念ながら対魔力スキルによりその意味を成さない
「なっ……。マホトーンが通じないだと!?」
自分の予想が否定されて動揺するホメロスだが、近くに居たチノとココアが声を掛ける。
「落ち着いてください、ホメロスさん。まだ私達は、負けてません」
「うん。チノちゃんの言う通りだよ、ホメロスさん。どんな状況でも諦めない心――それがかっとビングだよ!」
二人の少女の前向きな姿勢にホメロスの心が震え立つ。
呪文が通じなくても、自分にはまだプラチナソードがあるではないか、と。
ちなみにココアがホメロスの名を知ったのは、チノが彼のことを呼んだからだ。
「フッ……。まさかオレより遥かに年下の少女達に勇気付けられるとはな。
だが――お前達に感謝しよう。かっとビングという言葉は初耳だがな」
1651
:
名無しさん
:2022/03/30(水) 09:53:58
>>1639
自分の思惑通りに進まないことに苛立つムスカだが、さすがに怒ってばかりでは状況は好転しないと考え直し冷静に対処しようと努める
まずは状況整理だ、最初の目論見であるバーン討伐に乗じて対聖杯に取り入り疲弊した隙を突いて他者を蹴散らし優勝を目指す、は既に頓挫した
加えて明確な邪魔者であるキャスター組を排除すべく投入した親衛隊もクルーゼの差し金によって機能していない、全く忌々しい限りである
そのため草加はサイドバッシャーを駆使して戦っているが、上手く連携して攻撃してくる二人を相手に少し苦戦している様子である
なので、ムスカと草加は方針を転換する
飛空挺に搭載した新兵器・ロボット兵(レプリカ)を投入させるべく、ムスカは部下に号令を出した
この新兵器はムスカが元いた世界のロボット兵を複製するべく秘蔵の魔術師達によって作らせたものであり、主にゴーレムの技術とムスカが持つラピュタの情報を元に完成したものである
無論、模造品ゆえに強固な装甲や高出力のビーム砲を再現することは適わなかったが、それでもマスター相手なら相当な脅威でありサーヴァント相手でも一定の抑止には使える代物である
そしてそれらを今はキャスター組やレムリア軍部隊に差し向ける、それらを殲滅した後に草加と共に一時撤退する事を画策していた
大魔王バーンについては対聖杯の主従達に任せるしかない、そして双方のどちらかが勝とうとも疲弊した隙を突いて再度強襲するつもりである
1652
:
名無しさん
:2022/03/30(水) 09:54:39
>>1651
新兵器の投入により、再度ムスカ組が有利になる
そもそも草加と医者では戦士としての経験値に差がある。いくら身体能力が強化されてるとはいえ、直接戦闘では草加の方が優れている。
二人で連携されると厄介だが、医者単独ならそれほどでもない。使い慣れた医療器具を使用することで戦士としての経験の差をカバーしているが、それでも医者は草加と違い必殺技などの決定打がない
ムスカはレジィの相手をロボット兵に引き受けさせることで医者と草加が一騎打ち出来る状況を作った
1653
:
名無しさん
:2022/03/30(水) 20:34:58
>>1651
、
>>1652
レムリア軍人の乱入やレジィ達の攻撃により大打撃を受けた国王親衛隊だが、新兵器の参戦により今度は立場が逆転する
ロボット兵の堅牢さは軍人達の携行武器では歯が立たず、低出力のビーム砲でも防ぎようがなく甚大な被害を受けてしまい、またロボット兵に阻まれたレジィも手こずり医者と分断されてしまう
しかし彼らとてやられてばかりではなかった、レムリア側もまた切り札としてロケットランチャー(仮称)を投入する
高火力の爆発物を複数当てられれば強硬なロボット兵であろうとも装甲を破られ機能を停止する、これでレムリア軍人達にも対抗する術ができた
あとは親衛隊+ロボット兵vsレムリア軍人の総力戦となる、その結果どちらが勝ち残ったとしても軍勢としての機能は激減するだろう
それはともかく、レジィもまた軍事基地から押収した契約書からロケランを『再契象』で再現し、複数のロボット兵を撃破して医者の援護に向かう
しかし、カイザとサイドバッシャーに挟み打ちにされていた医者はすでにボロボロの状態であった
1654
:
名無しさん
:2022/03/31(木) 07:12:31
「やるんだな、エレン! 今! ここで!」
「ああ。もう俺の体は限界だ。だから『叫ぶ』」
バーン以外のその場のマスターとサーヴァント、そしてムー島やレムリア島の軍隊にムスカが投入した巨神兵型ロボットまて全員が、エレンの心象風景を知覚する
それはエレンの宝具、『進撃の巨人』の発動の前段階だ
このエレンの心象風景や身体に触れた、もしくはエレンによって触れさせられたもののうち、条件を満たしたものが影響を受け地ならしを行う
そしてこの場で影響を受けるのは、エレンより身長が大きいバーンとセフィロスとマコトのみ
他はロボット兵と軍隊の一部だ
エレンは告げる
今から影響を受けた全ての人間がバーンも含めて狂化することを
「――大魔王、アンタは聖杯に何を願う」
静かに問いかけるエレンと対称的にマスターもサーヴァントも軍隊も様子がおかしい
それでもバーンは大魔王の矜持にかけて答える
「魔界を太陽で照らす」
「脆弱であるという理由だけで太陽を独占する人間を一匹残らず駆逐し人間界を滅ぼし、素晴らしき自由な空を私は手に入れる」
それを聞いたエレンの体から雷光が迸る
バーンについたエレンの血がそれに呼応する
「そうか……なら、仕方ないよな」
「お前と同じだよ……俺も、アンタも、多分、生まれた時からそうなんだ。自由が欲しかった。そのために行うどんな行動も、全て俺の自由意志によるものだ……」
「だから俺も進み続ける……敵を駆逐するまで」
そして、エレンの口が大きく開かれ
バーンの構えが、揺らいだ
(道を通じて宝具の内容をバーン以外のこの場の全員に説明しました)
(バーンが天地魔闘の構えを解いて妨害しなかった場合、エレンの宝具が発動しセフィロスとマコト兄ちゃんと巨神兵型ロボット兵と軍隊の一部に狂化Aが付与されます)
(もしかしたらクルーゼもエレンより背が高くて狂化します)
1655
:
名無しさん
:2022/03/31(木) 08:11:48
>>1654
バーサーカーに不吉な気配を感じたバーンは瞬時に思考する。
自身の奥義を見た上で発動させるもの、他の者たちの様子を見てもかなり大それたものだと予想を立てる。
天地魔闘の構えはバーンが絶対の自信を持つ奥義、だがそれは生前のうちに破られている。
自信はあれど過信は禁物、今のバーンにはそう考えている。
そしてバーサーカーがこの状況で仕掛ける切り札、その気迫を見て決断した。
オリハルコンによる剣と同等の一撃であるカラミティエンドならば硬質化を意に介さず治癒阻害の効果と合わせて首を断てば、バーサーカーを即死させることは可能と判断。
即座に構えを解き、何か仕出かす前に始末しようと全速力でバーサーカーの方へと向かう。
1656
:
名無しさん
:2022/03/31(木) 17:26:12
>>1654
バーンも含めて狂化する。めちゃくちゃな手段だが、サーヴァント三人の必殺技へカウンターを叩き込んだあの構えを攻略するには適している。
戦場に慣れていないチノとココア、そして宝具の内容を知らないバーンを除いた全ての者が構えに対する攻略法を察する
聖杯狙いのクルーゼやセフィロスがエレンの蛮行を止めようともしなかったのはそういう理由。無窮の武練を持つフォリナーならば狂化しても十全の戦闘能力を発揮し、バーンを倒せるという自信がクルーゼにはあった。あの妙な構えさえ狂化で対策したらなんとかなる、と。
チノやココア、そして彼女達の味方であるキャスターが自分より身長が低かったことにエレンは安心する。これで心置きなく、宝具を発動することが出来る。
シャアやホメロスは明らかに『こちら側』の人間だ。彼らも覚悟を決めて戦場へやってきたに違いない。
だから多少は申し訳なさもあるが、彼らを巻き込む。今にも限界を迎えそうな体で敵を駆逐するため――
チノとココアはバーサーカーの蛮行に困惑した。しかしバーン戦で彼が戦う姿を見てきたチノはエレンが考え無しに仲間を巻き込む人間には見えない。きっとバーンを倒すためにそうするしかないのだと、信じることにした。
「どうしよう、チノちゃん!このままじゃ皆が……」
「大丈夫ですよ、ココアさん。バーサーカーさんはそんなに悪い人じゃないです。だから今はバーサーカーさんのことを、信じてください」
チノがギュッとココアの手を握りしめる。
バーサーカーが悪い人じゃない――それはあくまでチノの主観の話だ。エレンは多くの命を奪ってきた大罪人である。
チノに諭されて、ココアもバーサーカーを信じてみることにする。ココアの場合、知り合って間もないバーサーカーを信じるというよりも、妹を信じるという意味合いの方が強いのだが
1657
:
名無しさん
:2022/03/31(木) 17:28:03
>>1655
構えを解き、全速力で突撃するバーンの前にセフィロスが立ち塞がる
縮地。相手との間合いを瞬時に詰める単純明快なスキルだが、シンプルゆえに敵に対する攻撃にも仲間を守るための防御にも使える
バーサーカーの宝具は厄介な構えを持つ大魔王を討伐するに適したものであり、セフィロスやクルーゼとしてもその効果には期待している
目標としてはバーサーカーが宝具を発動するまでの僅かな時間、バーンを足止めすること。
宝具発動までにそれほど時間は掛からないだろうが、場合によっては悍ましき熾天の彼方(スーパーノヴァ)の使用も考えつつセフィロスはバーンと対峙した
1658
:
名無しさん
:2022/03/31(木) 17:30:55
>>1653
「君はマスターの身にしてはよく頑張った方だ。じゃ、そろそろ死んでくれないかな?」
『Exceed Charge』
医者が十分に弱り切ったことを確認した草加は必殺技(カイザスラッシュ)を発動することに決定。カイザブレイガンの銃口から射出されたマーカーがボロボロの医者を捕縛する。その拘束力は並大抵のオルフェノクすら脱せないものであり、所詮はマスターである&カイザに追い詰められてボロボロになっている医者の力ではどうしようもない
このままだと数十秒後には医者の身体はカイザに切り裂かれ、死亡することになるだろう
※医者は力で対抗出来ないだけで何らかの手段で対抗出来る可能性はあります。ただし身動きは取れません。喋ることは可能だと思います。医者やレジィが何も出来なければ医者はこのまま脱落する可能性が極めて高いです
※ちなみにカイザスラッシュで検索するとその技を発動している場面のみの21秒の動画が出てきます
1659
:
名無しさん
:2022/03/31(木) 18:51:37
>>1657
同じようにマコトや雲雀、マズルカの人形兵にピーターもバーンの足止めに参戦していたな
流石の魔王といえども、これだけの数を突破してバーサーカーに辿り着くのは難しい
1660
:
名無しさん
:2022/03/31(木) 19:01:38
>>1659
縮地でセフィロスが真っ先に立ち塞がり猛攻を仕掛ける、これによってバーンの突撃速度が若干弱まる→少し遅れてその後も次々とやってくるって感じだっけ
足止めという意味ではピーターの糸が特に活躍してた印象
1661
:
名無しさん
:2022/03/31(木) 19:08:55
エレンの宝具に何か危ういものを感じ取ったピーター。イーサン・Dボゥイを殺された件で一時期エレンのことを憎んでいた彼は一瞬だけエレンのことを疑いそうになるが、自分がボロボロになってでも魔王を駆逐しようとする今のバーサーカーの姿勢を信じることにした
1662
:
名無しさん
:2022/03/31(木) 19:13:22
>>1659
「魔界を太陽で照らす、か。その願い自体を否定する気はない。――だがそのために人々を殺すなら、お前の罪は俺達が止める!」
シンスペクターが叫ぶ。
大魔王の願いは、意外にも自分の友・アランと似たものだった。
しかしアランは皆と共に青い空を見れたことを幸せだと感じ、逆にバーンはこの青い空を独占しようとしている。
人間が太陽を独占していると彼は考えているようだが、人間を駆逐することで自分が手に入れようという考えもまた独占と変わらない。
だから深海マコトは大魔王バーンの罪を止めるために戦う
「大空を君一人に独占させる気はないよ。空があると雲は自由に浮いていられるからね」
雲雀もまた大魔王バーンへ言葉を投げ掛ける。
大空。その言葉はこの青空のみを指しているわけではなく、他にも様々な意味が存在するのだがこの場にいる誰もがそれを知らない
「まあでも――いずれ大空と青空でさえ僕が咬み殺すけどね」
チノのことをチラりと見る。
良い顔だ。どうやらあの小動物は、この状況でもそれほど大袈裟には動じないくらいの『覚悟の炎』を灯したらしい
「ココアさん。私達も応援しましょう!」
「うん。……私の見てない間に成長したね、チノちゃん」
真っ直ぐと前を向くチノを感慨深くココアが見つめ、二人は叫ぶ。
「マコトさん、雲雀さん、バーサーカーさん。がんばってください!」
「ルカちゃん、がんばれ〜!かっとビングだよ!!」
1663
:
名無しさん
:2022/03/31(木) 19:23:02
バーサーカーの切り札を発動させる一瞬の時を稼ごうとするセフィロスたち。
そんな彼らを前にしてバーンは焦りを感じた。
(ザコどもめ…!鬼眼が使えればいとも簡単に排除できる雑兵如きが、いつまでも余の邪魔をするな!)
鬼眼の能力を用いれば”瞳”に封じて一気に数を減らせるのだが、今の自分ではそれを行うことはできない。
バーンは今までの繰り返してきた聖杯戦争によって生み出された魔力は封印を解くのにも使用したが、復活した時の戦力とすべく自身の瞳にもある程度の蓄えも行ってきた。
受肉したことで現界のための魔力が必要なかったとはいえ、今まで大技を絶えず使えたのも膨大な魔力を鬼眼に蓄えていたからである。
サーヴァントとして召喚されてからバーンは様々な要因から鬼眼の力を使うことはなかった。
そのため、使用した時にどれだけの魔力を持っていかれるのかが予想が立てられない。
だが間違いなく戦闘に支障が出るレベルでの魔力消費となるのは確信しており、それ故にその力を封じていたのだった。
(このままでは間に合わん…ならば、我が奥義で活路を開くのみ!一手遅れるかもしれぬが邪魔者を一気に蹴散らし、その隙にバーサーカーを消し去る!)
自分を何が何でも止めようとする者たちを見渡し、そうしてバーンはその場で急停止してすぐ構えを取る。
自身の奥義と共にその矜持を見せつけるように。
「余を…この大魔王バーンをなめるでないわッ!」
天地魔闘が放たれる。
「天」である「カラミティウォール」はマコトと雲雀の前に壁としてそびえ立ち、「地」である暗黒闘気を込めた「掌圧」はマズルカの人形兵たちを吹き飛ばし、「魔」である「カイザーフェニックス」はピーターの放った糸を焼き尽くしながらセフィロスへと放たれる。
一瞬の硬直の後、開けた突破口からバーンが飛び出す。
目指すべきものはただ一つ。
「うぬらの命運はこれで尽きるッ!」
そのまま「カラミティエンド」にてエレンの首を飛ばそうと――
「――いいや、ここからは俺たちの進撃だ」
咆哮が轟いた。
1664
:
名無しさん
:2022/03/31(木) 19:23:53
>>1663
エレンに向けて放ったカラミティエンドを、狂化によりパワーアップしたセフィロスが神速の一閃を放つことでエレンの代わりに対処した
カイザーフェニックスを上級魔法で相殺し、縮地の技術で一瞬にして距離を詰め、一閃を放つ。普段ならセフィロスでも流石にここまでの芸当は不可能だっただろうが、狂化によってパワーアップしたことで魔法の威力も上がりカイザーフェニックスやカラミティエンドに対抗することも出来た
ちなみにカイザーフェニックスを相殺する際、ホメロスも呪文をカイザーフェニックス目掛けてぶつけている。
そしてグリードスラッシュによってカラミティウォールを打ち破ったシンスペクターも駆け付ける。
本来ならばセフィロスと協力してようやく打ち破れる技なのだが、彼もまた狂化スキルによってパワーアップしている。
セフィロスは無窮の武練を持ち、深海マコトはクラススキルである背負いし罪を持つ。エレンがそこまで考えていたわけではないが、彼らは狂化されても十全の戦闘能力を発揮出来ていた
逆にそれらに類するスキルを持たないバーンは天地魔闘の構えや魔術の使用が難しくなるという理不尽な状況を強いられる
しかしバーンも狂化した代わりに身体能力が上がり、狂化を付与されない雲雀やピーターは彼らの戦闘についていけない。こうなってしまうと、先程以上にスペックがあまりにも違い過ぎる。ただでさえ凄まじい戦闘力のセフィロス、シンスペクター、バーンのみが狂化で更に強さを底上げされたのだから。
雲雀はホメロスに説得されて仕方なく引き下がり、ピーターと共にチノやココアやホメロス、マズルカの傍へ駆け寄った。いざという時のための護衛だ。
もちろんあの三人が負けたら、自分が咬み殺すくらいには考えているが。それまでは炎真の相手をツナに譲った時のように、彼らに獲物を譲ってやる。きっとこれはバーサーカーの誇りを掛けた戦いだ
「マコトさん……」
チノが心配そうにシンスペクターを眺める。戦闘能力こそ上がったし背負いし罪によりデメリットは少ないが、やはり狂化というスキルは恐ろしく見える。
「小動物。彼らはああなっても、君に手を出さないよ」
共に過ごした時間はまだ短いが、深海マコトと雲雀恭弥には奇妙な信頼関係がある。
バーサーカーは誇りのために覚悟の炎を使い果たそうとしている。
フォーリナーはよくわからないが、なんとなく彼がバーンを無視して自分達を襲ってくるようには見えない。もちろんバーンを倒した後まで彼が生き残っていたら、自分達と戦うことになるのだろうが……。
ちなみにクルーゼも狂化を付与されたが、エレンの指示で待機している
1665
:
名無しさん
:2022/03/31(木) 19:24:47
>>1664
さすがの大魔王バーンもバーサーカーの特異な宝具によって天地魔闘の構えや数々の術まで封じられるとは予想していなかったな
生前だと自らも知らない弱点を突かれて攻略されてしまったが、その記憶を持つため同じ轍を踏むまいと警戒はしていた
あるいは、以前にサーヴァントとして現界した時に似たような宝具を受けていれば、自らの圧倒的戦闘能力を過信せずにすぐさまの対応ができただろう
いずれにせよ、今のバーンはキャスターでもなくセイバーであり、この所見殺しの術中に嵌まる他しかなかった
ただし、これだけの強制力を持つ宝具を使うということは、バーサーカー本人にも凄まじい負担が掛かっているとバーンは推察する
事実、霊基再臨したエレンは展開を維持するために自らの霊核すら燃やし、少しずつ崩れている
ゆえに、バーンは狂化による猛威でフォーリナーとクリミナルに応戦し、隙あらば狂戦士を討ち取るか、狂戦士が自滅するまで耐えることも戦術として考え初めていた
1666
:
名無しさん
:2022/03/31(木) 19:25:28
>>1665
戦術を考え始めるバーンだが、思考の単純化の弊害なのか他のサーヴァントやマスターよりバーサーカーの様子ばかりに意識がいってるのがな…
たしかにバーサーカーさえ死ねば再び有利になるけど各種技を封じられたバーンとほぼ今まで通り戦えるセフィロス&シンスペクターだと後者の方が優勢
そして何もサーヴァントは近距離戦闘を得意とする者ばかりではない
マズルカはマッドラプター(射手)を呼び出し、矢を放たせることで援護する
1667
:
名無しさん
:2022/03/31(木) 19:26:13
>>1666
技と術を封じられても、セフィロスとシンスペクターの猛攻があっても、強靱なる大魔王バーンはそう簡単に隙を見せずに二騎を相手にしても互角に応戦していた
だが、その二騎の攻撃の合間に複数の弓矢がバーンに向かって飛んでくる、それはマズルカが召喚した人形兵マッドラプターが射放ったものだ
致命傷にならない攻撃であり、実際にバーンが腕を振るだけで簡単に弾かれてしまったが、それでも一瞬だけ注意を引きつけることには成功した
「天を望むというなら、お前に相応しい光景をくれてやろう」
その隙を逃さず、丁度の間合いに入ったセフィロスがバーンに向けて宝具『悍ましき熾天の彼方』を解き放つ
この一手の判断ミスによりバーンは片翼の天使の宝具開帳を阻止することが適わず、気付けば別次元の宇宙を見せつけられていた
彼の目の前には燦然と輝く太陽が浮かんでいる、それは地上から上空を見上げた時に確認できる小さな円形ではない、自分という存在すらちっぽけに思わせる程に規格外の大きさであり、如何に魔界の神を名乗るバーンでも膨大な熱量と光量を放つ重圧に圧倒されてしまう
だがそう思えるのも僅かな間、すぐさま彗星が次々と惑星を破壊して神々しい太陽にすら衝突、今度は宇宙すら消滅させる超爆発の光に呑まれ、バーンの思考もまたホワイトアウトする
それは現実時間では一瞬のことであったが、尋常ならざる超常事象を体感したバーンは心身共に甚大な影響を及ぼしていた
それでも、規格外の霊基を持つ大魔王はセフィロスの宝具を受けても膝を突くことはなく、様々な状態異常に苛まれながらも闘志を燃やし続けていた
だがしかし、宝具による大ダメージは着実にバーンの動きを鈍らせたことには変わりない
宝具を放ったセフィロスはすでに距離を離しており、そして気付けば六翼を展開したシンスペクターの攻撃が迫っていた
1668
:
名無しさん
:2022/03/31(木) 19:34:16
>>1664
「そうだ、チノ君。彼からは清廉なる勇気が感じられる。二度の聖杯戦争の当事者である私の言葉だ。信じてくれないかな?」
そうムスカも付け加える。
「なに混ざろうとしてるの?」
「よしたまえ、今我々が争うのは奴の思う壺だ。剣を納めてはいかがかな?」
「ムスカ大佐……貴方には聞かなければならないことが多々あります」
「私も君たちと語らいたいと思っているよ……この戦いを生き残れたら、ね」
「ア、アサシンさん、ホメロスさん。落ち着いてください」
「王様なの? 大佐なの?」
ポカンとするココアと睨みつけてくる雲雀とホメロスをチノを頼りにヌルっと対聖杯グループに潜り込むムスカ大佐王様好き
1669
:
名無しさん
:2022/03/31(木) 19:47:47
>>1667
「この青空は、皆のものだ!――俺達の心の叫び聞け!」
元の世界ではアランが愛し、天空寺タケルが守り、深海マコトが切り拓いた青い空。
この世界では木場勇治や宮本明や竈門炭治郎。そしてマコト兄ちゃん自体はその存在を認知していないが、乾巧や天城カイトが守った空。
そして今はチノや雲雀を始めとした仲間達と共に守ろうとしているこの青空を――大魔王に独占させやしない!
――青い空も、いいもんだなぁ……息子よ……
三人の父のうちの一人、ダントンの死に際の言葉が脳裏に蘇る。
必殺の一撃を放つ為に空高く飛翔したシンスペクターはまるで青空と一体化したかのようだった。
バーサーカーの宝具により思考が単純化されているが、深海マコトという男は元からそれほど思慮深いわけではない。しかしその意志は――散った仲間や父親達から受け継いできた想いは、狂化してもなお鈍らない。
『シンダイカイガン!シンスペクター!デッドリーオメガドライブ!』
「大魔王バーン!――俺達の生き様、見せてやる!」
我ら思う、故に我ら在り。
ライダー(木場)やおっこやまりなや炭治郎。それに一時的にだが共闘したランサーや強敵(とも)のハドラーは散っていったが、彼らが居たから今の自分達が居る。彼らを想うから、今の自分達が在る。
そして青空からやってきた急降下キックが、バーンへ届いた。
大魔王バーンは皮肉にも、自らが望んでいた素晴らしき青空によって強烈な攻撃を受けてしまう
1670
:
名無しさん
:2022/03/31(木) 19:48:23
かつて敵だったセフィロスすらもが共闘するという異常な戦況を眺めながら、マズルカはココアに囁く。
「マスター。私が指示したら令呪全てを使って最強の宝具を使うよう命じるんだ。」
「最強の宝具……?」
最強の宝具――それはもちろん妖路歴程 時空爆散のことだ。
しかしその名前はあえて伏せる。きっとそれはココアにとって辛い決断を迫ることになるから。
ココアは以前、天城カイトというサーヴァントと契約していたとマズルカは聞いている。そして彼は誇りを胸に勇敢に戦い、決して最期まで諦めることなく銀河へ魂を昇華させた――と。
そしてココアはまたしても、サーヴァントを失うことになるだろう。
少し前のココアだと、不安が残った。
だが人形兵の捨て身の戦術や自爆技を絆が成せる技だと理解してくれた今のココアならば、きっと自分の真意も理解してくれるはずだとマズルカは思う
「適切なタイミングで最強の宝具を使えば、どんな強敵でも倒せるんだ。でも令呪を全て使わないと発動さえ出来ないだろうね……」
「うん。ルカちゃんがそう言うなら、合図があった時に令呪を全部使うね!」
「ありがとう、マスター。君の教えてくれたかっとビングを胸に、私なりに頑張ってみるさ」
1671
:
名無しさん
:2022/03/31(木) 19:51:34
>>1658
エレンの地ならしはムスカやクルーゼの兵の一部も巻き込んでいる
親衛隊となると高身長が条件の一つなので必然的に大多数が狂化し、ロボット兵やクルーゼ兵と共に狂化していないクルーゼ兵を襲い始めた
これでレムリア軍人たちの統率は完全に崩壊、突然戦友が発狂して同士討ちしてくるのをなすすべ無く受け入れ死んでいく
しかし、この状況はレジィにとっては好都合
単調な動きしかできなくなったために連携に綻びが生じ、援護が間に合う一瞬の隙を見つけた
1672
:
名無しさん
:2022/03/31(木) 22:57:14
>>1670
読み手は地の文でマズルカの真意がわかってるけどセリフだけ見ると胡散臭いなw
1673
:
名無しさん
:2022/03/31(木) 23:16:16
(
>>1671
の修正です)
>>1658
エレンの地ならしはムスカやクルーゼの兵の一部も巻き込んでいる
親衛隊や兵士となると高身長の者が多く、必然的に大多数が狂化し、ロボット兵、ムスカの親衛隊、クルーゼの兵士達は武器を捨てて見境なく互いに殴り合いを始めた
これで両島の軍人たちの統率は完全に崩壊、運よく発狂しなかった者も突然戦友が発狂して同士討ちしている状況に右往左往するしかなかった
しかし、この状況はレジィにとっては好都合
自分に対峙していた親衛隊の連携が崩壊し、援護が間に合う一瞬の隙を見つけた
1674
:
名無しさん
:2022/03/31(木) 23:21:34
>>1673
この時エレンが兵士達に飛ばしていた命令は「互いに殴り合ってろ」というものだった。
宝具の効果で狂化&強化してる兵士達なら一応間接的に神秘を付与されてるから僅かにでも傷を負わせられる可能性はあったのだが
却ってマコト達の邪魔になったり流れ弾でマスターが負傷するリスクがあると考えて余計な事をしないよう無力化する意図があった
1675
:
名無しさん
:2022/04/01(金) 00:19:54
>>1671
この投下指摘があって修正話が投下されて
>>1673
になったな
企画も佳境に入ってきたけど色んなところが絶妙なバランスで噛み合ってる亜種聖杯だよね
1676
:
名無しさん
:2022/04/01(金) 22:52:22
>>1673
カイザスラッシュを放つ際の特徴的な構えや身動きを封じられた医者を見たレジィは彼女が命の危機に瀕していることを察する
しかし残された時間はほんの僅か。その間にカイザをなんとかしなければ、カイザスラッシュの威力に耐えられず医者は死ぬだろう。レジィは草加がバーンへ放ったゴルドスマッシュを思い出し、貫通系の必殺技をしてくると推測。ロボット兵を撃破したロケランを撃とうにもその程度でカイザを止められないと判断する。医者に令呪を使って自分をブーストするように提案する。
医者は身動きこそ取れないが令呪の行使は可能だ。レジィの提案を聞いた医者は躊躇なく令呪を使い、彼に命令する。
「令呪で命じる。すぐに私を抱えてあの攻撃を回避しなさい!」
普段のレジィならカイザスラッシュを回避することは無理かもしれないが、令呪によるブーストの掛かった彼は医者を抱えると間一髪で必殺の一撃を回避した
カイザスラッシュを放ち終えた影響か医者を拘束していたマーカーは消え去り、彼女は再び自由を取り戻す
禁薬の影響で草加雅人を殺すという思考回路は変わらないが、これでひとまず危機を回避することには成功した
「しぶといなぁ、君達は……!」
仮面の下で草加雅人は忌々しげな表情をしていた。勝利を確信していただけに、妨害されて腹が立つ。
そしてレジィはカイザスラッシュを空振りし、一瞬だけ隙が出来たカイザ……ではなく、サイドバッシャーに向けてロケランを放つ
草加雅人は手練だ。あの奇妙な剣でロケランを対処してくる可能性がある。だから確実に当てられるサイドバッシャーをまずは狙う
完全に破壊することは出来なかったが、ある程度の損傷を与えることには成功した
草加からボロボロにされた今の状況は医者にとって身体的・精神的にプレッシャーの掛かるもので、禁薬の副作用で冷静な判断から逸脱した行動をしてしまう可能性がある。だがそれは医者に限った話であり、彼女と契約しているレジィは至って冷静だ。暴走のリスクがある医者をレジィがどれだけサポート出来るかも、この勝負では重要となっている
1677
:
名無しさん
:2022/04/02(土) 01:49:27
>>1667
、
>>1669
強烈な宝具が連続で炸裂し、巨躯の魔神が地面に倒れ伏した
如何に神霊の如き英霊以上の大魔王であろうとも、歴戦の英傑が織りなす必殺技を受けてはたたでは済むまい
それと時同じくして、マコトやセフィロスに付与されていた狂化スキルも解除されていた
即ち、バーサーカーの霊基が限界を迎えたことを意味していた
大魔王バーンが予想していたように、エレンは霊核を燃焼させてでも目の前の理不尽を駆逐するために無茶を押し通していた
宝具の維持が終わる前に降臨者と罪人が勝負を決めてくれたためにエレンの英断は無駄にはならなかった、そして役割を成し遂げた彼の身体は徐々に崩れ始めていた
大魔王バーンとの戦いに一段落がついたところで、周囲の者がエレンの異変に気付きそちらに注目が集まっていた
マコトもまた彼なしではこの聖杯戦争の黒幕と渡り合えなかったと思い狂戦士の最期を見届ける、そしてセフィロスもその様に考えていたがマスターの護衛および動かぬ大魔王に対して警戒を緩めていなかった
実際、大魔王バーンは一瞬だけ思考停止状態に陥っていたし、満身創痍であることには変わりなかった
これ以上の戦闘には大きな支障が出る状態でもあったが、それでも彼にはまだ立ち上がるだけの生命力、残された心臓があった
1678
:
名無しさん
:2022/04/02(土) 03:25:34
>>1677
命を燃やし尽くしたエレンの身体が徐々に崩れ去っていく。
人は死ぬ。必ず死ぬ。それは巨人のサーヴァントとて例外ではない。
クラスこそ狂戦士として呼ばれたし、生前の行いも決して褒められたものじゃないかもしれない。
しかし自分の身を犠牲にしてでも皆を守り抜いたバーサーカーのことを深海マコトは『狂戦士』ではなく『英雄』だと思っている。
フォーリナーもきっとエレンに対して何か思うところがあるのだろう。大魔王を険しい表情で警戒しつつ、バーサーカーの最期を無言で眺めている。
「バーサーカーさん……っ!」
チノが心配そうに声を掛け、駆け寄る。
随分と魔力を使ったし、精神的にも疲れ果てただろうに。彼女はバーサーカーのことを本気で心配している。
その様子をココアとピーターが見守る。かつて自分の仲間を殺した存在がこんな最期を迎えるなんて不思議な気分だが、それでもピーターは今のエレンを責めようとはしない。二人のやり取りを見守る。
「チノか。お前とは『家族』のことを聞いてから、少し話したいと思ってた……」
崩壊を始める自分の肉体を気にすることもなく、エレンは語り始める。
皆の視線がエレンとチノに集中した。
「……俺にも大切な家族や仲間が居た。オレが聖杯戦争に呼ばれた理由は、きっとそいつらと一緒にいたいって最期に願ったからだと思う」
自分が許されるわけがない。そんなことはエレン自身が誰よりも強く感じているが、それでも彼は「ミカサやみんなと一緒にいたい」と思ってしまった。聖杯で都合良く願いを叶える気なんてないのに。
「家族や友達が大切なのは、当たり前です。……私だってこの聖杯戦争でずっとココアさんを探していました。まりなさんという大切な友達も出来て……。出来るなら今でもまた会いたいと思っています。
マコトさんや雲雀さんのことも失いたくないです。もちろんバーサーカーさんのことだって……」
「でもオレはお前の大切な仲間を巻き込んだ。あいつらが生き残れるかどうかもわからないまま、戦いに巻き込んだ。本当、悪かった……」
「バーサーカー。俺達サーヴァントはみんな覚悟を決めて聖杯戦争に参加している」
クリミナルの言葉に対して誰も否定しない。少なくともバーン戦に参加したサーヴァント達は、覚悟を決めて黒幕との戦いに臨んだ。
聖杯狙いのフォーリナーやクルーゼも、願いを叶えるためとはいえ覚悟は決めている。だから彼らはバーサーカーの散り際に他の主従を襲うだとか、そういう無粋なことをしない。もしかしたらエレンに対して一定の敬意を表しているのかもしれない。
「お前は俺達の英雄だ。お前の迷いがない進撃――その覚悟を絶対、無駄にはしないと誓う」
「私も誓います。バーサーカーさん……私達のために戦ってくれて、ありがとうございました」
深海マコトと香風智乃。
きっと彼らなら――
「この聖杯戦争はまだ終わってない。次はそこのフォーリナーと殺し合いになると思う」
エレンの言葉を否定せず、セフィロスは堂々とした佇まいを崩さない。むしろ自分が聖杯狙いであり、大魔王を完全に討伐した後はこの場にいる全員と戦う気でいることを明かす。
所詮は利害の一致で手を組んだのみ。クルーゼもこの場にいる全員へ宣戦布告をした。
シャア、ホメロス、チノ、ココア、ピーター……バーン討伐戦に参加していたマスター達の視線が集まるがクルーゼは何も動揺しない。
再び、バーサーカーが口を開く。
「それでもお前らなら……あのフォーリナーにも勝てる。人類を救うのは……チノ。お前だ」
香風智乃。
この場で最も無力でありながら、様々なサーヴァント達の心を動かした存在。
エレンは彼女に後を託す。出来るなら自分も力になってやりたいけど、もう限界だ。
「チノ……もう時間だ。オレはそろそろ眠くなってきた……。――家族を大切に、しろよ……」
「はい。おやすみなさい、バーサーカーさん。……私達を助けてくれて、ありがとうございました」
そして遂にエレン・イェーガーは消滅する。
彼は殺戮者や悪魔ではなく、英雄としてその命を燃やし尽くした
【エレン・イェーガー@進撃の巨人 死亡確認】
――だがバーサーカーが消滅した瞬間、突如として巨大な魔獣が姿を現す。
それは大魔王バーンが宝具により変化した姿。――鬼眼王。
バーサーカーの犠牲を無駄にしないためにもピーターは糸を発射。チノとクリミナルを掴み、強引に化け物から引き離す。
ピーターから見たバーサーカーは何がしたいのかよくわからないやつだった。他の主従を襲ったり、助けたり……。
それでも最期まで戦い抜いた彼の意志くらいは汲んでやろうと思う
まだ余力が残っていたセフィロスもまた咄嗟に距離を取り、正宗を構える
雲雀がトンファーを。ホメロスがプラチナソードを構え――マズルカは人形兵を総動員。
再びシンスペクターに変身しようとするマコトを呼び止める。
「君には全てが終わった後にフォーリナーを倒してほしい。私のマスターは、あいつに殺されたんだ」
「……あの化け物はどうするつもりだ?」
「私とレキテーちゃん。そして『魔女の旅団』がなんとかするから、任せておいてよ!
それに真正面からセフィロスとまともに戦えるのは君くらいしかいないはずだよ。マスターのチノちゃんを守りたいなら、君は次に備えるべきじゃないかな」
セフィロスと戦う上でシンスペクターという戦力は欠かせない。消耗具合からしてクリミナルだけでどうにかなるとは思えないが、そこは彼の仲間達がなんとかするだろう。
大魔王バーンを討伐するという利害の一致によりマズルカはセフィロスとも一時的に共闘するが、相手はバッターを殺害した男だ。個人的な怨みがある。
それに大魔王ほどじゃないにせよ、危険人物に変わりはない。セフィロスは倒すべき存在だというマズルカの考えはココアに再契約を持ちかけた時から、何も変わっていない
そしてもしもあのセフィロスでも化け物に対して勝ち目がないと判断したら、その時は――
1679
:
名無しさん
:2022/04/02(土) 09:13:11
>>1678
「見事だ…此度の聖杯戦争に招かれた者たちよ…。余にこの宝具を使わせたこと、誇りに思うがいい」
対峙する敵手たちを見渡しながら鬼眼王となったバーンは彼らに称賛の言葉を送る。
「これで宿願を叶えることは叶えることは不可能となった…。このままいけばうぬらが何をせずとも余は消滅する」
「どういうことだ…?」
バーンの消滅宣言に対し、マコトは疑問を投げかける。
今までその目的にこだわってきた大魔王がここに来て敗北宣言のようなものをしてきたのだから当然であろう。
「この鬼眼王を使用すれば少しの時間で余は自滅する。だがここに来てはそれも受け入れよう、勝利するために今まで築き上げたもの全てを捨てようとな…!」
魔獣と成り果てようとも、今回の宿願を叶える機会を投げ捨ててでも。
始まりの聖杯戦争から今までの間に費やした全てを捧げて彼は勝利を掴むことを選択した。
「敗れて消滅するならば、うぬらに勝って消滅する…!それが今の余の全てッ!」
その瞬間、巨体が消える。
先ほどまでとは比べものにならない凄まじい速さで彼は一先ず距離を取り、見極めようとする。
消耗した者が多いとはいえ、その戦意は微塵も失せない。
自身が戦える時間はほとんどないとはいえ、迂闊に攻めれば反撃を喰らう可能性は大いにある。
(そう、どんな状況であろうとも奇蹟は起こる…起こるのだ…!)
決着の時はもうすぐそこまで来ている。
1680
:
名無しさん
:2022/04/02(土) 12:12:29
>>1679
「……なるほど。どうやらオレは一つ、見誤っていたようだ」
己が全てを捧げてまで勝利を掴もうとする大魔王の姿を見て、ホメロスは認識を改める。
これまでは正直、バーンに対して良い印象はあまりなかった。聖杯戦争を仕組んだ黒幕であり、許し難い存在だ。同じ魔王でもハドラーのような誇りや信念を持ち合わせていないと思っていた。だが全てを投げ捨てでも勝利を掴み取ろうとするその姿勢は自分の知るあの魔王と似たものを感じる
「大魔王バーン。お前に一つだけ問いたいことがある。――ハドラーという魔王を知っているか?」
――我の真名は“ハドラー”、魔王軍の一員として勇者達と敵対した魔王の端くれだ、その脅威をお前らにもしらしめてやる!
ハドラーの言葉を思い出し、バーンへ問い掛ける。大魔王と魔王。そしてこの、魔王で在りながらどこか誇りのようなものを感じる態度。
これらの要素から、もしや彼らは知り合い同士なのでは?とホメロスは考えたのだ
もちろんバーンとハドラーがどんな間柄であろうが、この大魔王に味方をするつもりはない。
だがハドラーのマスターだった者として、それだけは聞いておきたかった
1681
:
名無しさん
:2022/04/02(土) 21:45:44
>>1679
距離を取ったバーンへマッドラプター達が一斉に弓矢を射る。他のサーヴァント達を未知の形態になった敵へ突撃させる行為は危険であり、人形兵を使って攻撃するのが最も安全だと判断したのだ
それに加えて接近戦を得意とする人形兵達をバーンへ突撃させる。時間経過で消滅するのなら、それまで時間を稼げばいい。そのためにマズルカは人形兵達を犠牲にする
「ルカちゃん、みんなが死んじゃうよ……!」
バーンやバーサーカーが語っていたように、この聖杯戦争は黒幕を倒せば終わりというわけじゃない。
サーヴァント達の消耗が少なく済むなら、それが一番だ
「マスター。以前、君自身が言ったはずだよ。これが私達の繋がり……。そしてかっとビングさ!」
オービタルが命を賭してカイトに尽くしたように、人形兵達もまたマズルカに尽くす。それが彼女達の絆であり、人形達の在り方だ。
「――うん。そうだったね……!」
ならばココアに出来ることはただひとつ。
「かっとビングだよ、ルカちゃん!人形兵さん!」
仲間の犠牲に俯くことなく、マズルカを全力で応援する。それが今、保登心愛に出来ること
1682
:
名無しさん
:2022/04/03(日) 19:58:19
>>1681
「この蚊トンボめが!!」
通常の英霊相手ならば、人形兵たちの攻撃もまた一定の抑止にはなっただろう
しかし、その巨大な身体にはどのような攻撃も効果は薄く、逆に鬼眼王バーンの圧倒的暴力によって蹴散らされてしまう
さらには人形兵の数体を巨大な手で掴み取り、お返しと言わんばかりにマスター達の方に向けて全力で投げつけた
この攻撃はスパイダーマンが巧みにウェブを使ったことでマスターも人形兵も事なきを得たが、今度は巨人の方がマスター達に向かって急接近してきた
残り時間の少ないバーンは下手に時間稼ぎを狙う弱者の戦法を忌み嫌い、この決戦にてなおも絶望を抱かない弱き人間達に自ら鉄槌を下すべく、これ以上の奇跡を潰すべく激情を乗せて突進してきた
全解放された膂力による大質量を阻むのは容易ではない、そのため相手を止めるのではなく全力で回避するために各人が咄嗟に動いた
セフィロスがクルーゼを、マコトがチノを、マズルカが人形兵デモンリーパーに指示してココアと自身を、雲雀がホメロスを、ピーターがシャアを掴まえてギリギリのところで躱すことに成功する
だが、突進が終わってもバーンの猛攻は終わらず、充分な回避ができていないチノ達に向けて巨大な腕を振るった
それを雲雀と、この危機を防ぐべくシンスペクターに変身したマコトが腕を攻撃して僅かに軌道を逸らして彼女らへの直撃をギリギリ回避することに成功するが、すかさず巨大な足で蹴り出し雲雀とマコトは直撃を受けてしまう
その僅かな間に非力なマスター達を人形兵が退避させ、続けてピーターが大量のウェブで鬼眼王バーンの拘束を試み、ホメロスがはやぶさ斬りで上半身だけ露出したバーンに攻撃を仕掛ける
しかし進撃の巨人とは比べ物にならないほどの怪力を前にしてはウェブによる拘束も無意味であり、上半身だけのバーンはホメロスの攻撃を見切り防いでピーターの方へ投げ返し、それをキャッチしたタイミングで鬼眼王の腕で殴り飛ばす
さらにセフィロスが瞬間移動の如くバーンの目の前に現われ、再度『悍ましき熾天の彼方(スーパーノヴァ)』を放ってバーンに最大級のダメージを与えようとする……のだが、勇者のドルオーラの直撃すら耐えきった鬼眼王はこの規格外の宝具すらも耐え抜き、腹部の鬼眼から光線を放って片翼の天使をも突き放してしまった
たった数十秒の間で、この有様である
これが大魔王としての野望とプライドを殴り捨て、勝利に固執して猛獣へと堕ち、自動消滅という代償を背負った代わりに得た絶対的な力の象徴である
もはや暴君と化したバーンと太刀打ち出来る英霊はいない、ゆえにバーンは勝利を確信しつつも最後まで気を緩めず、徹底的に殲滅せんと辺りを見渡す
「マスター、今だ!令呪全てを使って!!」
1683
:
名無しさん
:2022/04/03(日) 20:56:17
>>1682
「魔王」
人々の平穏を脅かし、世界を掌握する野心を抱き、秩序を破壊する破壊の権化
けれども、人々の希望となり救世の存在として現われる勇者によって打ち砕かれる運命にある邪悪な存在
でもそれは御伽噺の存在としか認識しておらず、その驚異度をあまり考えたことがなかった
実際、勇者がどのようにして悪なる者を倒したのかは物語ではそうそう語られない、試練や苦悩や離別や挫折に、仲間や奮起や人々との繋がりとか、そういった経緯が描かれることなく終わることが多い
故に、一度は英傑達の奮闘で倒れた大魔王が再び立ち上がり、彼我の差を見せつけてくることなんて、想像していなかった
一度倒した相手だから、この面子ならばまた倒すこともできる
未知なる形態であれば、人形兵たちで味方のリスクを減らせるはず
敵が口を滑らせ己が弱点を語ったのだ、であれば時間稼ぎが有効である
それらを簡単に覆された、相手の脅威を測れなかったというのもあるが、それ以上に“大魔王”という箔が人智を凌駕していた
できることならば、使わない事に越したことはない
大魔王を倒しても、セフィロス達や草加達のような聖杯狙いが聖杯戦争を止めないだろう
その時のために、自分達の戦力をなるべく多く残し、それらにも対処できる手札を増やしておきたい
――いいや違う、これは私の…
一度はマスターを、バッターを失った自分が、今のマスターを、保登心愛を今度こそ生き残らせるために
その結果、彼女にまた離別の想いをさせてしまうのは、少し心苦しいが
今この時、この窮地の最中で、最善かつ迅速に目の前の脅威を排除してマスターを守るには
もう、手段を選ぶこともなく、ただ決意を持って彼女は声をあげた
「マスター、今だ!令呪全てを使って!!」
1684
:
名無しさん
:2022/04/03(日) 20:58:17
>>1683
(ごめん、仮投下するつもりが誤爆した…)
(もう疲れて眠るので、問題あれば破棄したり修正かけたり自由にしてください)
1685
:
名無しさん
:2022/04/04(月) 19:28:26
>>1682
「そんな……」
圧倒的な力を前に流石のココアも気圧されてしまう。
たった数十秒。一分も経たない間にこの有り様だ。
シンスペクターやセフィロスすらも勝ち目がない相手に、どうしたらいいというのか。
だがこの瞬間――
『どうした、ココア。……この程度で諦めるのか?』
――聖杯戦争から脱落したはずの天城カイトが現れた。
他の者には視認出来ない幻影だが、ココアだけには彼の姿や声が――気高き魂が見える。
それはまるで、カイトが散った後に魂だけで遊馬やシャークの決闘に駆け付けた時のように
「カイトさん……?」
突然カイトが現れ、ココアは呆気に取られる。
彼はたしかに死んだはずの存在だ。
『俺はお前に全てを託し、出来る限りのことを叩き込んだ。この程度の逆境――決闘者なら乗り越えてみせろ。今この場でチノを助けられるのは……お前のかっとビングだ」
保登心愛は普通の日常を謳歌していただけの一般人だ。
それでもカイトはこの聖杯戦争でココアに大切なモノを託していた。――諦めない心と決闘者の魂を。
『お前の手札にはまだ切り札が残っているはずだ。――勝て、ココア』
最期にそれだけ言い残して、天城カイトは再びココアの前から消滅した。ココアを信じ、この決闘の結末を託して。
「――うん。わかったよ、ルカちゃん!カイトさん!かっとビングだね!!」
だからココアはこの瞬間だけ決闘者として――これまで温存していた切り札となり得る魔法カードを発動する。
「ルカちゃんに令呪で命ずるよ!最強の切り札を使ってこの魔王を倒して――!!」
屈託のない表情で、全ての令呪を使い果たす。
どんな困難にも諦めず前を向き、決して挫けない。
それこそが、かっとビング。ココアがこの地で培った諦めない心だ。
1686
:
名無しさん
:2022/04/04(月) 20:01:28
マズルカは令呪を受け、目にも留まらぬ早業で術式を編み始めた。
バーンは目の前のキャスターが持つ本に魔力が高まっていくのを感じ取った。
(あの本。何らかの魔術の起点か!発動前に叩き潰してくれる!)
一直線に呪文を練るマズルカの元へ向かうバーン。
その目の前に、マズルカが戦闘前に仕舞っていた馬車小屋が現れた。
その上に立つローブを纏った金髪の魔女が飛び乗り、魔術の詠唱を唱え始める。
そしてバーンに向かって呪文を唱えながら跳躍して飛び掛かった。
強大な魔力の高まりは未だ馬車小屋の後ろから感じ取れる。
バーンはマズルカの切り札が詠唱終了から起動までタイムラグのある物だと瞬時に予想した。
(本が力を発揮する前に自身が捨て身で時間を稼ぐつもりか。舐められたものよ!)
自分に飛び掛かるキャスターと馬車小屋の背後の本。
小屋といっても今のバーンの前には一撃で跡形もなく粉砕できる紙きれのような存在でしかない。
こちらに飛び掛かるキャスターを殺すのも、馬車小屋ごと本を潰すのも一手で済む。
そしてバーンが攻撃したのは目の前のキャスター。
例え強力な切り札だろうと術者のキャスターを一瞬で殺せば術式は不発。
せいぜい行き場を失った魔力が中途半端に暴発する程度に終わるだろう。
そして自殺同然に自分に飛び込むキャスターを横殴りの一手で粉砕した。
余波を受けただけの馬車小屋も衝撃だけで台風に飛ばされるボロ小屋のように砕けて吹っ飛んでいく威力。
霊基など粉々に粉砕された筈だった。
しかし馬車小屋が吹っ飛んだ後、そこに残っていたのはローブと帽子を外したマズルカだった。
同時にバーンは理解する
(人形か!!)
マズルカは時空爆散の術式を組みながら、同時に馬車小屋を展開し、
マズルカと似た髪型の人形兵に帽子をローブを剥ぎ取らせ着用させた。
そして術式を編む僅かな時間を稼ぐことに成功したのだ。
(このような場面でキャスリングとは、小癪なッ!)
と、悠久の時を過ごした知恵者であるバーンはチェスにおいてルーク(城)とキング(王)を入れ変える指し手の一つ、キャスリング(入城)を想起する
その特殊な動きはチェス本来だと多数の条件を満たさなければならず、特にキングにチェック(王手)が掛かっている場合は成立しないのだが、バーンはこれと同じような場面を一瞬だけ思い返した
それは武人ハドラーが自身に反旗を翻してそれを返り討ちにする際、ハドラー親衛隊の一柱であるルークのブロックが特殊能力を発動させて主君ハドラーを救出し代わりに戦死した、という一幕である
元々は新生したハドラーにバーンが与えた新たなる戦力であり、なおかつバーンが所持していたオリハルコン製のチェス駒から生み出した禁呪法生命体である
それがこのような形で自己犠牲の精神を発揮して主君のために動き、創造主の想定した動きを超えて、ハドラーとの間に気付かれた強固な絆によって無理を押し通したのだ
それは苦し紛れのような小さな奇跡、だがあの大事な場面で邪魔をされたバーンにとっては苦虫を噛み潰すような記憶として鮮明に覚えている
そして本来ならば取るに足らない記憶としてそのまま封を閉じているところだが、奇しくもマスターの一人からハドラーについて問われたことで連想してしまったのかもしれない
ともあれ、あの時のように「入れ替え」という状況は似てはいるが、厳密には細部の状況は違っている、それでもこの重大な局面で羽虫程度でしかないキャスターに出し抜かれたことに、バーンは憤りを感じずにはいられない
無論、奇跡に辟易しているバーンはこの場にいる全員を侮ることなく、徹底的に叩き潰すつもりでいる
キャスターが令呪によって魔力を増幅させて何か仕掛けてくる様子であり、たとえ対城宝具級の攻撃を仕掛けられたとしても耐えきる自身がある、とはいえ万が一すら油断するつもりはないバーンは身代わりの人形兵を壊してすぐに本命への攻撃に転じた
――しかしながら、ここはバーンの思惑を越えた超常が集う闘争の場なり
一寸の虫にも五分の魂、それは神の雫が最後に見せつけた人間達の底力の如く、バーンの想像を超えた奇跡が起きてしまった。
マズルカは大魔王に妖路歴程を投げつけた。
(太陽の代わりにこれで満足していろ!大魔王!)
「妖路歴程・時空爆散――――!!!!」
その閃光に、大魔王バーンは三度フォーリーナ―の『悍ましき熾天の彼方(スーパーノヴァ)』を受けたのかと錯覚した。
そうだとしたら、またダメージを受けようとも耐えられただろう。
喩え心身を折る幻想を流し込む宝具といえど、3度目ともなれば何を見せられるか知っている分、心構え、馴れというものが生じるものだ。
「ぐっ…!」
これは『英霊』のマズルカの技ではない。あくまでキャスターという器で顕現したサーヴァントの技。
世界に穴を開け、対象を世界の外側の無の領域まで弾き飛ばす力などない。
だがその単純で莫大な魔力の爆発は、大魔王といえど霊基を消し飛ばすに十分な威力を持っている。
「…!」
巨大な爆発が起き、太陽の存在感が霞むほどの閃光が周囲に放たれた。
【マズルカ@ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団 霊基消失】
【真・大魔王バーン@ダイの大冒険 霊基消失】
(ごめんね。ココアちゃん。)
(この宝具は全ての魔力を使う技…。肉体のあった英霊マズルカなら重体で済んだかもだけど、サーヴァントの私が使えば消失は避けられない。)
(…元気でね。)
1687
:
名無しさん
:2022/04/04(月) 20:03:23
戦場からひたすら遠ざかっていた人形兵の速度が落ちたかと思うと、ただの木の人形へと変化した。
消える直前に減速していたとはいえ、突然抱えられた状態から放り出された形になり、ココアは地面を転がった。
体に擦り傷ができる。聖杯戦争が始まってから初めてまともにできた傷だが、それよりココアは精神的ショックで呆然としていた。
最強の宝具。
それが何かココアは知らなかった。とても巨大な人形兵が現れて戦ってくれるのだろうか、程度に思っていた。
あの暴れる大魔王を倒して、マズルカもボロボロになりながらも生き残って笑って、聖杯を欲しい人達ともなんとか説得して、
みんなで元の世界に戻る方法を探せるのではないかと思っていた。
マズルカがなぜ宝具について語らなかったか。それぐらいココアにだって分かる。
それでも、マズルカの言うがまま、深く考えずに自爆の後押しをしてしまった。
「ルカちゃん……うっ…うううっ………ううううっ……」
かっとビング、その魔法の言葉さえも今のココアには思い浮かばない。
ただ涙を溢れさせることしかできない。
ドガッ!!!
「ギャアアアアア!?」
いきなり何か降ってきて涙で滲む地面に激突した。
激突した何かは勢いよくバウンドして近くの木に激突し、跳ね返ってココアの近くに突き刺さった。
「えええええ!?」
正体不明の落下物にビビりまくって距離をとるココア。
そうやらそれは木の棒のようだった。
先ほどの爆発で吹っ飛んで来た何かだろう。
運よくそこら辺の地面に落ちたが、直撃したら死んでたかもしれない。
ここが聖杯戦争という死と隣り合わせの場所だと思い出したココアは大事な妹の事を思い出した
「チノちゃん!!」
マズルカ消滅のショックと魔力の大量消費による疲労により思考力が低下して嘆きに支配されていたココアは我に返る。
「何してるの私!かっとビングだよ…!」
頬を叩き無理やりにでも自分を奮い立たせる。多分きっと近くにいる筈だ。
サーヴァントを失った自分に何ができるのか、という考えより先に、とにかくチノに会いたい、守りたいという気持ちがココアを動かした。
そして先ほど降ってきた落下物の正体に気付く
「…バット?」
そのバットはかなり遠くから飛ばされてきた筈なのに折れても曲がってもいないようだった。
「バット……って、もしかしてバッターさんの?」
ココアはマズルカからバッターについて、元マスターだがセフィロスに殺されてしまった事などは聞いていた。
しかし名前の通りバットを振るって戦う人物だったとは…。
丈夫なバットだなあと思いながらココアはそれを手に取り、おそらく近くにいるであろうチノ達を探し始めた。
*反射のドナムは切れてるのでマズルカホームランは打てないほぼ丈夫なだけのバット。魔性特攻ぐらいはあるかも
1688
:
名無しさん
:2022/04/04(月) 20:04:16
ちなみにムスカはロボット兵を半分だけ投入しており、残りは飛空挺に温存している
そもそも大魔王バーンを討伐した後に生き残った主従達を叩くために用意した切り札なのだ、計画が破綻して早期投入せざるを得なかったとはいえ全部の戦力を投入するほどの愚行はしない
バーサーカーの宝具で暴れたのも地上にいて認識された範囲内、飛空挺のロボット兵達には影響はない
それと、ムスカは元の世界から持ち込んだ飛行石の欠片を腕に埋め込んでいる。
そしてロボット達の中枢にも、この世界で発掘された飛行石が埋め込まれている。
これはかつてムスカがこの世界に転移された時に、ラピュタ崩壊の際に飛行石の塊の一部が一緒に転移したもの、その欠片の1つである。
ムスカはムーの王になった後に飛行石の研究を続けており、
万が一の際は身一つで腕に埋め込んだ飛行石からロボットにムスカの意志を飛ばして、柔軟な命令や強制終了させる事が可能である。
ちなみにこの世界で発掘されてロボットに組み込まれている飛行石はラピュタほどの技術力はないため高度な精製まではできておらず、
このような真似ができるのはムスカただ一人である。
(既に投入した者は部下達による正規手順によって起動していた)
1689
:
名無しさん
:2022/04/04(月) 20:49:30
>>1688
この情報はもちろん草加も共有している
残されたロボット兵は出来る限り温存するつもりだが、カイザスラッシュを回避した後も懲りずに攻撃を続ける医者は厄介だ
執念深いだけでも草加やムスカにとって邪魔なのに冷静さを欠いていることで歯止めが効かない。相手はサーヴァントでもないのに、これではまるでバーサーカーを相手にしているようだった
だが逆に言えば判断力を欠如している彼女には漬け込む余地がいくらでもある。
カイザはわざとベルト部分に攻撃を受けると、派手に転がりベルトが弾け飛び医者の近くへ落ちる。
「くっ!だが俺にはまだこいつがある……!」
カイザの変身を解除された草加はすかさずファイズに変身。
「甘いわね、草加雅人。これであなたを殺す!変身!!」
医者は地面に転がるカイザギアを拾い上げるとカイザに変身した。医者はカイザギアの死というデメリットを理解しているはずだが、禁薬の副作用で冷静な判断力を失っていた彼女はそれすら一時的に忘れていた
ここまでは全て草加の計画通り。医者の死が確定してこのまま逃走しようとするが、カイザに変身した医者がそれを許さない
元から禁薬で強化されていた身体能力にカイザのスペック。そして草加への執念が合わさり、草加が想定していた以上に厄介な存在と化していた
1690
:
名無しさん
:2022/04/04(月) 22:59:33
草加カイザ・相馬カイザに続き医者カイザ
出会わずに死んだ木場とたっくんといい555勢は原作を思わせる展開が多いよね
1691
:
名無しさん
:2022/04/05(火) 19:56:54
妖路歴程・時空爆散の余波の光や、発着場の地面が巻きあげられて生じた噴煙などが医者と草加の元にまで飛んできた
両者ともダメージを受けるほどではないが視界が遮られ、草加はその場から離脱しようとサイドバッシャーに跨りエンジンを点火
しかし医者は噴煙を突き破るように、サイドバッシャーに跨った草加の背に弾丸のような速度で追跡を開始する
サイドバッシャーは先ほどのレジィの攻撃で破損している。変形機能を使用してもどの程度戦えるかわからない。確かめる暇も今はない。草加は逃げに徹する。しかし加速にも影響が出ている。
それでも一度引き離してしまえばバイク対人間、逃げ切れる。だがトップスピードまで加速するまでに追いつかれれば背中を攻撃が襲うだろう。
1692
:
名無しさん
:2022/04/06(水) 11:52:04
「ココアさん……!」
自分を呼ぶ姉の声に、妹が駆け寄る。
擦り傷以外はこれといって大きな傷がなく、ココアの無事を確認したチノは安堵した。
だがチノと共に来たマコトと雲雀、ホメロスは彼女が何かを失っていることに気付いた。
各々がそれぞれの対処に必死で、詳細はわからないが――閃光が大魔王を消し飛ぶ瞬間だけは目撃している。そしてこの場にココアのサーヴァントが居ないということは……。
「ココアさん。キャスターさんは、どこに行きましたか?私はまだあの人とあまり話をしていないですが……ココアさんを守ってくれたことのお礼を言いたいです」
「チノちゃん。キャスターさんは――ルカちゃんはね……」
そしてココアの口から先程起こした奇跡が語られた。
遅れてやってきたピーターやシャアもそれを聞き、セフィロスやクルーゼすらも黙って聞いていた。
セフィロスとクルーゼは聖杯狙いだが、キャスターのおかげで大魔王を倒せたのだ。彼女の犠牲なくして聖杯を狙うことは出来ず、ならばこの程度の時間は設けよう。
「オレは少女達に助けられてばかりだな……。すまない……」
ホメロスは自分の無力さを痛感した
二人の少女に勇気づけられた(
>>1650
)後、大魔王に立ち向かうことは出来たが大した役には立てずキャスターの少女の自己犠牲に助けられた。結果的に自分を勇気づけてくれた少女の片割れはサーヴァントを失うことになり――その心境はハドラーを失ったことのあるホメロスにも理解出来る。
もちろん雲雀と再契約したことでホメロスも勝利に貢献しているのだが、それでも同じマスターで直接的に役立ったピーターと比較して自分はあまりにも無力だ、と。
しかしその無力感はピーターも同じだ。キャスターと過ごしていた時間もホメロスより長く、相手を拘束する手段もあるのに容易く突破された。
「誰にも譲れない誇りはある。君達、小動物が互いを誇りに思うように――キャスターも大きい小動物。君のことを誇りに思っていたようだね」
ココアとチノを交互に眺め、雲雀はそう口にする。
「それに――まだ戦いは終わってないよ」
そしてセフィロスとクルーゼを一瞥して、まだ敵がいることを皆に知らせた。
セフィロスとクルーゼは雲雀の言葉を否定しない。大魔王バーンが倒れた今、自分達は敵だ。
「ああ。バーサーカーやキャスターの生き様を無駄にしないためにも、俺達はまだ戦わなければならない」
雲雀の言葉にマコトが続く。この戦いで多大な犠牲が出たが、これで聖杯戦争が終わったわけじゃない。
「はい。この戦いよりも前に死んでしまったライダーさんやまりなさんや炭治郎さんの分も含めて、私達は皆さんの想いを犠牲にしないために、進まなければなりません……」
「……うん。諦めない心。魔法の言葉――かっとビングだね、チノちゃん!」
「はい。かっとビングというのは、変な言葉だと思いますが……その諦めない心は嫌いじゃないです」
かっとビングという魔法の言葉を口にして、挫けようとしないココアにチノが微笑む。
皆がそれぞれ話し終えた後、シャアがクルーゼに声を掛けた。
これにて共闘は終わるはずだが、まだ大魔王の残党――ムスカと草加雅人がいる。彼らをどうするか、という話し合いだ。
ちなみにファイズの姿をシャアは目撃しており、その特徴を聞いたピーターとココアは巧を思い出す。しかしライダーは既に死んだはずだとピーターは説明。カイザ(草加)だけでなく、ファイズについても警戒心を強める
当然だがカイザが医者でファイズが草加ということは、ここに居る誰も知らない
1693
:
名無しさん
:2022/04/06(水) 12:09:07
「ははははは、ありがとう諸君!あの大魔王を消し去ってくれて!」
対聖杯側のシャアと聖杯狙いのクルーゼが一定の距離を保ちつつ黒幕の一翼であるムスカ達をどうするか話し合いを始めて間もない頃
さらに遠くの方から甲高い笑い声を挙げつつ賞賛の言葉と拍手を送るムスカが自らの存在感を示すかのように姿を晒す
(ちなみに一度はチノ達の対聖杯グループに潜り込もうとしたムスカだが、鬼眼王バーンが一団を襲撃した際にしれっとその場から離れていた)
「特に巨大な姿に変じて英雄達すら敵わない光景を見たときは私も絶望しかけたが、君のキャスターのおかげでこの窮地を切り抜けられた。それに関しては本当に感謝しよう!」
相手側にどう捉えられようとも構わず、ムスカは本心から人形使いの魔女が為した偉業を褒め称える。
なにせ自分や草加が想像していた以上に大魔王バーンという異次元の化け物であった、終末の使者とすら錯覚してしまう程に圧倒的な絶対者のように映っていたのだ。
彼女の献身がなければ聖杯戦争の関係者全員を瞬く間に殲滅とする勢いであった、そう思うとムスカも恐れ戦かずにはいられなかった。
「だが、聖杯戦争は終わっていない!私には宿願がある!聖杯が欲しい!だから、君達にはここで退場してもらおう!!」
そしてムスカが片腕を天に掲げると、そこから青い光が空へと伸びていき、やがて一団上空に滞空していた飛空挺へと差し込んでいく
すると飛空挺から飛び立つ影が無数と落下する、そして一団を包囲するようにロボット兵が地上へ立ち並び、同じく上空を旋回するように飛んでいた
〜 ・ 〜 ・ 〜 ・ 〜 ・ 〜
ムスカにしてみれば、対聖杯+αが自分達の関与なしに大魔王バーンを撃破して、さらには疲弊してくれたこの状況は、計画が狂ったとはいえ当初の予定に近いたため好機とみていた
だが困ったことに力を温存しているはずの草加が未だ襲撃者と戦闘を続けている、これでは生き残り達を一網打尽にすることが今すぐできずに苛立ちを覚えていた
しかしだからといって自分達の正体を彼らに曝かれた以上、草加が戻ってくるのを悠長に待っているわけにはいかず、ムスカは少し悩んだ上に博打に出た
腕に埋め込まれた飛行石に自らの思念を送り、飛空挺で待機していたロボット兵数十体を一斉に機動させて行動を起こさせる
そして対聖杯達が自分に対してアクションを起こす前に数で勝るロボット兵達で包囲させ、ビーム砲を一斉に掃射させた
ラピュタ文明が製造したビーム砲のように着弾して大爆発を起こすことはないが、それでも無数のビーム攻撃が一斉に迫られてはサーヴァントとて一筋縄ではいられない
実際、大魔王バーンに蹂躙されて疲弊しているマコト、雲雀、ピーター、ホメロスは非力なチノやココアを守るべく防衛に徹する他なく、多少は反撃してロボット兵を倒してもその弾幕はそう簡単に途切れることはなく厳しい状況に置かれていた
一方、シャアとクルーゼはムスカに向かって駆け出していた。地上や宇宙空間にて数々の戦場を駆け抜けたMS乗りの二人は、MSの操縦とは違う生身であってもロボット兵の攻撃を読み切りなんとか躱しながら統率者であるムスカに接近する
もし躱しきれない攻撃が進撃を阻むロボット兵が現われた時にはセフィロスに露払いしてもらい、ムスカの横暴を止めるか、彼の腕を斬り落とすか、最悪彼を殺す覚悟で移動速度を緩めることなく突き進んでいった
だが、このロボット軍団ですらムスカの策略の一つだった
上空で滞空していた飛空挺で爆発音が複数回鳴り、やがて浮力を失い真下へと落下していく
実は、ムスカがロボット兵の一体に飛空挺での待機を指示し、対聖杯一団をある程度足止めしたところで飛空挺の動力を破壊するように命令していたのだ
飛空挺一艇と忠実なる部下達を代償に一定範囲を大質量で壊滅させる過剰な攻撃、当然サーヴァントには効き目が薄いだろうが生き残ったマスターには絶体絶命の脅威となる、墜落時点での破壊の嵐を前にしては例え英霊とてマスターを守り切るのは困難であろう
真上から落下する巨大な船舶とムスカの真意に気付いた時には既に遅く、防戦に徹していた一団はなんとか回避行動を取ったものの、直後に発生した墜落時の衝撃、破裂、爆発、大地が抉られる音が鳴り響き、否応なしに大破壊に巻き込まれてしまった
粉塵が巻き上がる中、ホメロスとピーターを退避させるべく全力を尽くした雲雀だったが、墜落の衝撃で無数の残骸が飛び散ったことでピーターは複数の傷を負い、ホメロスは片足に金属片が深々と刺さっていた
一方、マコトもチノとココアを助けだそうとしたが衝撃波によって吹き飛ばされてしまい、彼の手が離れたところでチノとココアが一緒に倒れていた
あの一瞬の最中、ココアはチノを庇うように抱えていたためチノは無事であったが、ココアの腹部には大きな木片が突き刺さっていた
そしてこれで終わりではない、あの神風の如き自爆攻撃によって複数個体も巻き込まれて機能を停止したものの、いまだ大多数のロボット兵達は健在であり、様子を伺いつつ煙が晴れたら殲滅攻撃を再開するつもりでいた
〜 ・ 〜 ・ 〜 ・ 〜 ・ 〜
一方、ファイズに変身した草加がサイドバッシャーで逃げようとし、カイザに変身した医者が草加に迫り、レジィがそれをサポートするもう一つの戦場にて
サイドバッシャーの加速よりも早く草加の背後に迫った医者が容赦なく攻撃しようとした
「マスター、避けろッッ!!」
だが背後のレジィから大声で呼び掛けられ、気付けば医者の身体は閃光に貫かれてしまった
この時、上空を飛んでいたロボット兵がビーム砲で医者を攻撃しており、レジィの前には三体のロボット兵が突如として立ち塞がり彼を妨害していたのだ
これもまたムスカと草加が仕掛けた博打の一つであり、念話で軽く連絡し合った後にロボット兵による強襲を狙っていたのだ
一歩間違えれば失敗もあり得る突発的作戦だがものの見事に成功し、魔術的なビーム攻撃によってカイザの装甲を抜けて身体に風穴を開けられた医者は勢いを失い、草加の逃走を許してしまう
更に大ダメージによって変身が解除された医者は、なおも草加への憎悪を募らせて自らの治療に取りかかろうとするが、直後に墜落の衝撃で吹き飛ばされた飛空挺のプロペラが医者の頭に直撃してしまい即死、やがて全身が灰となって崩れてしまった
【医者@アクダマドライブ 死亡確認】
〜 ・ 〜 ・ 〜 ・ 〜 ・ 〜
背後で発生した轟音や惨劇に対してクルーゼとセフィロスは目もくれず、シャアだけが一瞥した後に、一点突破で包囲網を向け出した
そしてムスカに差し迫ったが、その彼らの前にサイドバッシャーに跨がった草加が現われて立ち塞がる
一刻も早くムスカを倒すべくシャアとクルーゼは銃器で攻撃するもののまだ充分な射程距離ではないため上手く当てられず、一気に距離を詰めたセフィロスが斬りつけんとするが草加によって妨害されてしまう
今のセフィロスは大魔王バーンとの激戦によりかなり消耗しており、さらには何度も攻撃を受けたことで攻撃のキレが些か欠いていた
1694
:
名無しさん
:2022/04/06(水) 14:56:51
>>1693
片足に金属片が刺さったホメロスは、満足に剣を振るえなくなってしまった。
絶体絶命の状況だ。このロボット兵達をどうにかしても、この足ではもう戦えない。皆を守れない。
――だがそれが逆に彼の覚悟を後押しした。
「令呪で命ずる。アサシン、このロボット共を殲滅しろ。私と共に戦ってくれ……!」
「いいよ」
ココアがそうしたように、ホメロスもまた令呪全てを躊躇なく使い果たす。
そして雲雀もまた彼の覚悟を見届け、断りもせずに受け入れた。
「糸使いの少年。そしてクリミナル。少女達のことはお前達に任せる……」
「深海マコト。君は後で咬み殺す。……だからそれまで、そこの小動物達のことは預けておくよ」
「……わかった。ホメロス、雲雀。お前達の想いは俺が繋ぐ。姉妹の命も、繋いでみせる――!」
ホメロスと雲雀にマコトは力強く返事をして、ピーターもまた承諾した。
居残るなら拘束を得意とする自分だと思っていたが、令呪でブーストされた雲雀ほどの力は発揮出来ない。それにクリミナルの状態を考えると護衛は一人でも多い方が良いだろう
「小動物……」
雲雀はチノの方をチラりと見た。
大怪我を負ったココアを心配して、涙を流しながら必死に名前を呼んでいる。
「残念だけど、ここらでお別れだよ。――君達の道は僕がこじ開ける」
死ぬ気の強さは、覚悟の強さだ。
そして今、雲雀は死ぬ気でロボット兵達を咬み殺そうとしている。
令呪全てを使い果たしたホメロスと共に、一騎当千のアサシンが征く。
結果的に雲雀はホメロスと共にロボット兵を一匹残らず、咬み殺した。
ホメロスも雲雀の固有スキル、戦場の鬼により奮起して普段以上のポテンシャルが発揮出来た。
なにより雲雀恭弥は大群を相手にする殲滅戦において圧倒的な力を発揮していた存在だ。
彼の負けん気はここでも遺憾無く発揮され、一匹も残さず咬み殺したことはもはや、意地にも等しい。
「雲雀さん……っ!?」
全てが終わり、光の粒子となりかけた雲雀にチノが声を掛ける。
この時、既にホメロスは死んでいた。しかし彼は何かを成し遂げたような――そんな悔いのない表情でこの世を去った。
「小動物……。君達には君達の生き延び方がある。僕は君達の未来を。君達の宿した死ぬ気の強さを――空から眺めておくよ」
「そんなの……嫌です……!雲雀さんまで、いなくならないでください……!」
「……君のその顔、つまらないな。そこの小動物にもまだ助かる余地はあるはずだよ。小動物なら小動物らしく、最後まで諦めずに足掻くといいさ。
――それが僕の知る香風智乃だよ」
その言葉を最期に雲雀恭弥は消滅した。
孤高の浮き雲は、この地で出来た新たな仲間に看取られて大空へ舞い上がる。
「雲雀さん……。雲雀さん…………!」
チノの叫び声が、虚しく響き渡る。
マコトが彼女の肩に手を置き、スっと近くにあったバットを持ってきた。
チノがココアの心配をしている間、ココアはバットのことを話していたのだが、先程まで取り乱していたチノの耳には届いていなかったようだ。
「チノちゃん……。このバットは、ルカちゃんが私に託してくれたんだよ……」
身体がすごく痛むが、ココアは必死に話す。
マズルカや皆の犠牲を無駄にしないために。チノの頑張りを無駄にしないために。
天城カイトから託された熱き魂を、燃え上がらせて。
「かっとビング、だよ……チノちゃん。お姉ちゃんに、任せなさい!」
保登心愛は強い想いで意識をつなぎ止め、なんとか気丈に振る舞う。
――何故かって?
それは彼女がチノの姉であり、チノが彼女の妹だからだ。
姉という太陽に照らされた妹もまた、涙を拭って立ち上がる。
雲雀やホメロスの犠牲を無駄にしないためにも……。
【雲雀恭弥@家庭教師ヒットマンREBORN! 霊基消滅】
【ホメロス@ドラゴンクエスト11 過ぎ去りし時を求めて 死亡確認】
※この場にいるロボット兵達は全滅しました
1695
:
名無しさん
:2022/04/06(水) 15:13:50
ムスカはまだ1つだけ、草加以外には未だ知られていない能力があるんだよね
それは神がかった射撃能力であり、それはこの世界に転送されて国王になってからも腕を衰えておらず、最後の奥の手として国民にも秘匿している
流石にサーヴァント相手には通用しないけど、マスター相手ならこれだけあれば十二分に脅威になる
懐に隠し持った銃と予備の弾、流石に本当の本当にピンチの時しか使えないが出番は来るだろうか
1696
:
名無しさん
:2022/04/06(水) 15:18:11
>>1693
医者の死亡後、間もなくして契約していたレジィも消滅する
思い返せば草加雅人に踏み荒らされてばかりの聖杯戦争だった。相馬も医者も草加雅人に殺されたようなものだ
一度は医者に命を救われたが再びマスター不在で消滅する。聖杯戦争の行く末も見届けられないままに
「草加雅人……お前も運命に翻弄され、道化となって死んでくれよ」
最期に呪いのような言葉を吐き捨てレジィは消滅した
お前「も」という言葉は生前似たような言葉を伏黒恵に吐いたからか、それとも草加雅人や呪いのベルトに翻弄され続けたレジィ自身に対する皮肉なのか……
【レジィ・スター@呪術廻戦 霊基消滅】
1697
:
名無しさん
:2022/04/06(水) 21:04:44
気付けば、ロボットが全滅した場所の様子を見ている一団がいて、チノ達にそろそろと近づいてきた
墜落した飛空艇に乗っていて、マコトに救出された者達が、マスター達がバーンと戦っている間にここまで逃げて来ていたのだ。
ムーの軍人も何人かいるらしく、マコトやピーターは状況の不味さに緊張する
しかし、一人の黒い大きな診療鞄(マコトに救出される時も肌身離さなかった)を持った初老の男性が進み出てきた。
彼は軍医で、傷ついたココアの応急処置をすると申し出た
船と一緒に通信機を失った兵士達も見て見ぬフリをしてくれた。
軍医はなるべく平らな所に乗客の上着を敷いて寝かせ、鞄から消毒液や包帯、糸と針などを取り出して応急処置に取り掛かった。
だが重体のココアの命は、この世界、この不十分な環境では依然、風前の灯火だ。
「…待っててください。ココアさん。」
チノとマコトは一刻も早く決着をつけるべく、草加達の逃げた方向へと向かった。
1698
:
名無しさん
:2022/04/06(水) 21:55:19
>>1697
ムーの軍人はマコト達にムスカの真相を聞いた
彼らがココアの治療を見て見ぬふりをしたのは、それも理由だ。それに彼らも軍人であり、傷付いた民間人を助けるくらいの良心は持ち合わせている
そんな彼らを信用してピーターもチノとマコトに同行を志願した
元々ライダーのマスターだったからファイズの性能をよく知っているし、ファイズが悪行に使われることを好ましく思えない。
ムスカと手を組んでいるということは、あのファイズはきっと草加雅人だ。
巧がベルトを託した?それとも無理矢理にでも奪い取った?
そのどちらかわからないが、どちらにせよ乾巧という男はあんな悪人に加担しないはずだと信じている
とりあえず自分が草加を倒し、ファイズを取り返す。それが乾巧のマスターだった自分の責任だ
1699
:
名無しさん
:2022/04/07(木) 08:45:56
三日目 正午過ぎ
レムリアに破壊の音が鳴り響く最中だった。
聖杯戦争の参加者は、またしても幻を見る。
それは今までの儚い夢のようなものではなく、強烈な紅い光を伴い、眼を焼くような幻痛と、
ズキンズキンと激しい頭痛を伴う苛烈なものだった。
業火に満たされた世界の中に10枚のカードがあった。
最後の幻で残った8枚の他に、新たに2枚のセイバーの絵柄の描かれたカードが並んでいる。
そのカードが、激しく炎を上げて燃える。
燃える絵柄は、アルターエゴ、バーサーカー、ライダー、キャスター、キャスター、アサシン、そして追加されたセイバーのうちの1枚。計7枚。
残ったカードは、クリミナル、フォーリナー、セイバー。計3枚。
その直後、世界が荒れ狂い、意識が揺さぶられる
意識が途切れる直前、マスター達は強烈な光を見た。
その光は一瞬で消えたが、マスター達は直感で理解した。
「聖杯は、そこにある」と。
*聖杯に脱落したサーヴァント達の魔力が急激に入ったため、聖杯が一瞬出現しました
あと1騎サーヴァントが脱落した場合、聖杯が安定して実体化します。(fate/zeroの終盤のような感じ)
そのおおまかな方角・距離をマスター達は幻を通して感じました。
1700
:
名無しさん
:2022/04/07(木) 08:46:31
この光景はいつもの白昼夢のようにマスター達にとっては数秒足らずだった。
前回の聖杯戦争の生き残りであるムスカは当然、聖杯戦争の進行によって起こるこの現象を知っている。
そしてその聖杯戦争で、自分より先に聖杯の場所に辿り着いた瀕死の敵に、出現した聖杯を破壊されてしまうという苦すぎる経験をしていた。
そして今回の幻視の異様さに危機感を感じる。
(なんだこの荒れ狂うイメージは。前回はこのような事は無かった。
まさか最初の聖杯戦争以降、この儀式を影で繰り返していた大魔王が消えた事で魔術が不安定になっているのか?
そうだとしたら、もうこれが聖杯を手に入れる最後のチャンスかもしれん。
いや、やることは変わらない。残りの主従を倒し、今度こそ私が聖杯を手に入れる!)
ムスカは草加に先ほど見たイメージについて伝えた。
そして聖杯の出現した位置に陣取り、やってくる他の主従を迎え撃つことにした。仮に他の主従が自分の元に来ないようならロボット兵などを差し向けるなり他にやりようはある。
1701
:
名無しさん
:2022/04/07(木) 09:57:30
>>1700
ムスカ達を逃してしまったシャア、クルーゼ、セフィロスもマスター二人でイメージ映像を考察。アサシンと彼と再契約したホメロスがおそらく死んだであろうことを察したシャアは、一度は手を組んだ戦友ホメロスの死を内心で弔う
そして聖杯の出現した位置にムスカが居ると考え、そこへ向かおうとする。聖杯戦争の関係者なら、必然的に聖杯の出現場所へ向かうだろう。
ちなみに最優先はムスカと草加雅人という異分子の排除だ。先程のロボット兵といい、バーン程ではないが厄介な敵である
セフィロスが草加を引き付け、クルーゼが指示を出し、サーヴァントを失ったシャアがムスカを狙うという作戦だ
「待ってください……。私達も、戦います……!」
ムスカを倒しに行こうとする三人にチノが声を掛けた。
深海マコトとピーターも一緒だ。シャアはココアのことを質問したが、チノが治療中だと答えた。
ホメロスやアサシンについては、察している。途中から何かを破壊する音が鳴り響いていたので、きっと彼らがロボット兵を命懸けで殲滅したのだろう。
最後にチノが手にしたバットについてシャアは質問した。その無骨なバットは、あまりにも目の前の少女に似合わなかったから。
「これはココアさんから託されたお守りです。私では戦えないと思いますが……ココアさんがどうしてもというので……」
ちなみにココアは「どうしても」と言って押し付けたわけじゃない。
お守りとして渡されたものを、素直に受け取っただけだ。
それでも姉のお守りを持ち運んでいると言うのは恥ずかしかったから、少しだけ言い訳した
チノとシャアのやり取りが終わった後、マコトが口を開く。
「俺達も草加雅人を倒そうと思っている。フォーリナーとそのマスター。お前達とは全てが終わった後に、全力で戦いたい」
マコトの意見をクルーゼ達は承諾。
そしてピーターの口からファイズに関する情報が話される。
とりあえず最終決戦で両者が正々堂々と戦えるように。そしてライダーのマスターとして、ファイズを悪用する草加雅人とは自分が戦いたいとピーターは話した
もしも自分が死んだらその後は託すが、出来れば自分で草加と決着をつけたい……と。
ちなみにムスカの対処は先程三人で話し合った作戦通りシャアが行う予定だ
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