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番外企画スレ
1
:
管理人★
:2020/10/27(火) 16:39:53 ID:???
通常の妄想ロワとは違う企画を実施する際はこっちで盛り上がろうー。
3650
:
名無しさん
:2025/05/08(木) 19:48:59
>>3644
鬼として成長しザンキやカブキ程ではなくとも戦えるようになったマヤは不良達を殺めぬように攻撃したりザンキと共に異形の存在を連携して倒したり仲間を助けるために独自に動いたりしていた
しかしマイキーと信彦の元に集結した不良達や異形達は続々と姿を現し、マヤとザンキは各々対応に追われて徐々に離散していく
そんな最中、不良達に取り囲まれたマヤは臆することなく対抗するものの、さすがに物量相手に手数が追いつかず少し押され気味な状況になっていた
ザンキは他のサーヴァント同様に脅威となる異形を退治して助けにこられない中、見かねた美遊兄が不良達を蹴散らしてくれた
美遊兄「大丈夫か?」
美遊兄にしてみれば妹とそう大差がなさそうな少女が苦戦していると思い助けるべく不良たちを斬り倒したのだろう
しかし、目の前で人の命が散りゆく様を目撃したマヤにはどのように映っていたのだろうか
3651
:
名無しさん
:2025/05/08(木) 23:16:28
>>3650
マヤ「助けてくれたことは嬉しいけど……殺す必要まであったのかな……?」
美遊兄「……こいつらは殺さなきゃ止まらない。だから殺したんだけど……子供に見せるような光景じゃなかったな……。悪い……」
マヤ「私はさ、人を守るために鬼になったんだよ!それなのに、こんなのって……こんなのって……!」
美遊兄「……人を守るため、か。お前は優しいんだな……。でも俺はそんな正義の味方になれないんだ。俺の行動が悪だと思われるなら、悪でもいい……」
マヤ「……でも悪人は私を助けようとしないと思うんだ」
美遊兄「……俺には、まだ子供の妹が居てさ。だからお前のことが妹とちょっと被ったのかもしれない」
マヤ「そうなんだ……。まあ人を殺すのは良くないことだと思うけど……悪人じゃないと思うよ。そういえば名前はなんていうの?」
美遊兄「衛宮士郎だ。お前の名前も教えてくれるか?」
マヤ「私はマヤ。条河麻耶だよ!」
3652
:
名無しさん
:2025/05/10(土) 16:23:29
>>3649
クロックアップには流石のシャドームーンも抵抗出来ず、地獄兄弟からの猛攻を受けた
そして最後にそれぞれの必殺技を決めるつもりの地獄兄弟だが、矢車さんが待ったを掛ける
矢車さん「待て、相棒。今、あいつに攻め込むのは危険だ。ひとまず距離を開けろ」
影山「じゃあこのセイバー達も……っと!」
影山がアルトリアと一護を両手に抱え、矢車さんと共に後ろに下がる
そしてクロックアップが終わった時、地獄兄弟やアルトリア、一護が居たであろう位置へ信彦はシャドーブレードで勢い良く一閃していた
地獄兄弟の姿は目視出来なかったが超感覚器(アラームポイント)で身に迫る危機を察知して、自分を攻撃するであろう敵にシャドーブレードを一閃していたのだ
ベテランの戦士である矢車さんだから慢心せず信彦がシャドーブレードを真横に動かそうとしているのに気付けたが、もしも気付けなければ二人の必殺技で仕留めきれなければ危うかっただろう
そして矢車さんは未だに優勝狙いだから、用心深く行動したのだ
信彦「少し痛いが、そのくらいだな。そんな半端な覚悟じゃ俺は倒せんぞ」
矢車さん(あのキャスターを倒せば優勝が近付くと思ったが……こいつもかなり出来る。面倒なことになったな……)
そしてクロックアップの多用は出来ない。
矢車さんはそれを〝カズマに負担が掛かる〟と影山に言い聞かせているが、実際は優勝するためにまだ魔力を温存しておきたいというのが矢車さんの本心だ
もっともマスターのカズマの死は自分達の消滅を意味するので、カズマに負担を掛けたくないというのもまた本心ではあるのだが
3653
:
名無しさん
:2025/05/11(日) 19:41:22
シャドームーン相手に一護、アルトリア、地獄兄弟が戦っている間、ザンキや名護さんはマスターでは対処しづらい異形の存在達を掃討していて加勢できる状況ではなかったね
ソリテールは蓮子やユウキの護衛に当たっているし、アリスもユウキ救出後はキリトと共に不良や異形の討伐しているようだ
3654
:
名無しさん
:2025/05/12(月) 08:14:22
「ちっ、逃げられたか」
現代京都に似つかわしくない飛竜に騎乗し離れていく少年少女の姿を見届けながらマイキーは悪態をつく
剣士みたいな姿の少女ユウキに強烈な一撃を加えてトドメを刺そうとしていたのだが、流石に高速で飛翔してくる巨体の幻想種に対抗する術はなく折角の機会を取り逃したことに苛立ちを覚えるしかなかった
(茅場達がいればもっと楽に戦えるんだが、あの野郎。どうにかして引きずり出せないか)
さらにはこの終局に際しても姿を現さずに傍観を決め込んでいる男とキャスターにも怒りの矛先が向く
如何に軍勢を率いて足止めには成功しても、相手は一騎当千のサーヴァント、そして手練れたマスターを複数相手にしているのだ
マイキーとアベェンジャーが奮闘してもどうにかしてカバーされてしまう程の戦力差がある、せめてこちら側にももう一組味方がいれば戦いやすくなり敵を仕留めやすいと考えずにはいられなかった
しかしないものねだりしても仕方がないと割り切り、マイキーは一度乱戦を俯瞰しつつ己が従者と念話をし始めた
『アベェンジャー、そっちの状況はどうだ』
『少し面倒な奴らを相手している。二人一組のアサシンだ。超高速か時流操作で目にも留まらぬ攻撃を仕掛けてくる。一発一発は対したことのない攻撃だが、その間に必殺技や回避の行動をされると目障りだな』
『そっちも手こずっているんだな。分かった、今から令呪を使う。だから俺たちの願いを邪魔する奴らを仕留めろ!』
「令呪をもって命ずる!感覚を研ぎ澄ませ!敵対者に起こる異常事象に対抗し、その首を討ち取れ!」
念話で戦況を確認した後にマイキーは躊躇いなく令呪を切ると、契約の縁によって伝達する絶対命令がシャドームーンに力を与えた
その効力により超感覚器(アラームポイント)や即応触角(センサーアンテナ)がより強化され、さらにはタキオン粒子が全身を駆け巡るようになる
つまり一時的にだがシャドームーンもクロックアップができるようになり、地獄兄弟の独壇場を崩して攻勢に出ることも可能となった
そして、その光景と自分の手の甲から痣の一部が消えるのを確認したマイキーは再び自分の戦いに戻る
今度はアサシンのマスターであり、何かと支援してこちらの行動を乱し、なおかつ孤立しているカズマを狙いを定めていた
※令呪の効力は地獄兄弟との勝負がつくまで持続しますが、その後は効力が切れる感じ。クロックアップできない相手に一方的な戦いにならないような塩梅です。
3655
:
名無しさん
:2025/05/12(月) 14:52:53
>>3654
カズマ「お前なら俺に来るだろうと信用してたぜ!」
カズマは敵感知スキルでマイキーが自分に向かってくることを察知した。しかしこれは想定の範囲内だ。
相手は着実に潰せる奴から潰すだろうと考えていた
カズマはこれでも歴戦の冒険者であり、経験値が豊富なのだ
カズマ「狙撃!」
カズマは狙撃スキルでマイキーの右脚を狙った。まさか右脚を狙われるとは思わずマイキー躱し切れず右脚を少し負傷してしまう
マイキー「……てぇっ!このォ――」
それでもカズマを狙おうとするマイキーだが
カズマ「逃走!」
カズマは逃走スキルを使ってマイキーから逃げ出した
マイキー「おい!お前、それでも聖杯戦争の参加者かよ!」
カズマ「生憎と俺は生きて元の世界に帰りたいだけだからな!それに接近戦は苦手だ!だから――」
カズマが逃走する方角――それは伊織とカブキが居る地点だ。
カズマはずっと突っ立っていたわけじゃない。戦局を把握し、個々の強さを確認していた。
そして接近戦のスペシャリストは彼らだと思ったのだ
カズマ「今、アヴェンジャーのマスターに追われてる!接近戦はお前ら得意だろ?頼んだぜ」
カブキ「とんだヘタレだなァ。まあでも人間を守るのが鬼の仕事だ。わかったぜ!」
また伊織も断る理由がなく、受け入れた
そしてマイキーは動きがカブキより鈍い伊織に蹴りを放つ
カズマ「クリエイト・ウォーター!そしてフリーズだ!」
マイキーは蹴りを放つために片足立ちに一瞬なる。
その瞬間を逃さず、カズマが地面を凍らせることでマイキーは転び、攻撃が不発に終わってしまう
カブキ「やるじゃねえか!」
カズマ「まあ伊達に異世界で経験を積んできたわけじゃないからな」
これがカズマ流の戦い方だ。団体戦でこそ、カズマは真価を発揮する
3656
:
名無しさん
:2025/05/13(火) 11:25:31
>>3655
カズマの小賢しいスキルに翻弄されてマイキーは隙を晒してしまい、その好機を逃さず伊織とカブキがすかさず剣を振るう
躱せぬ状況、動かぬ身体、刃がゆっくりと迫る光景を見つめながら、己がしくじりを後悔し――マイキーは死を覚悟した
しかし、マイキーの身体は切り裂かれることはなく
金属同士が激しくぶつかる音が大きく鳴り響いた
瞑っていた眼をゆっくりと見開いたマイキーは、憎たらしげに目の前にいる男に言葉を放った
マイキー「茅場、どういうつもりだ」
茅場「なに、頑張っている君の手助けさ。そう簡単に倒されてしまってはこれまで便宜を図った意味もなくなってしまうからな」
マイキー「だったら、最初から俺達と一緒に戦っていればいいだろう!」
茅場「私としては傍観するつもりだったが、少し気が変わってね」
突如マイキーの前に現われた茅場は構えた盾で剣士と鬼の刀を防ぎ、虚を突かれた二人に向かって剣を振るった
しかして歴戦の猛者たる伊織とカブキは攻撃を防がれた時点で思考を切り替えており、無理に力押しせずに後退することで彼の攻撃を躱した
一旦距離を置いてから前衛を担う二人は手練れの盾使いに警戒する。この時、後方支援に徹していたカズマも増援の登場には驚きを隠せなかった
カブキ「なんだコイツは!一体どこから現われた!イリュージョンってやつか!?」
伊織「茅場…先程の問答で出てきた、黒幕とやらか」
???「黒幕、ねぇ。確かにこの異変の中核にはいるけど、果たしてどうなのかしら」
不意に背後から声が聞こえ、背筋がぞくりとする伊織とカブキ
警戒を怠っていなかった二人は突如として現われた妖しき気配を感じ取り、反射的に刀を振るっていた
しかしその攻撃も結界らしき障壁により防がれてしまい、同時に正体不明な存在の姿を目撃する
紫「まったく、武士(もののふ)というものは容赦がないわね」
伊織「…貴様は、何者だ」
カブキ「どうにも妖しげな雰囲気がプンプンしているな」
紫「キャスター、とだけ言っておきましょう。とりあえず、貴方達には別の場所にいってもらおうかしら」
妖怪の賢者がそう口にするやいなや、伊織とカブキは宙から落ちる感覚に陥ってしまう
それはキャスター・八雲紫が彼らの足元に展開したスキマが原因であり、二人は為す術なく別の空間へと呑み込まれてしまった
そして別の場所、あるいは異空間へと引き離されてしまった伊織とカブキ、すぐ近くには巨体を有するあやかしが彼らを標的として狙い定めていた
カブキにしてみれば魔化魍のような存在、伊織にしてみれば大怪異のような存在であるため、ひとまず二人はそれを対峙することに専念する
※紫のスキマ送りで伊織とカブキは強敵との戦闘する羽目になりました。
人々を襲う怪異と戦ってきた二人なら倒すことはできますが時間がかかるでしょう。
ちなみにスキマ空間を維持する魔力消費を抑えるため紫はこの強敵を要石にしています。つまり強敵を倒せばまた元の場所に戻れるでしょう。
※ちなみにカズマをスキマ送りする・しないについてはご自由にどうぞ。
3657
:
名無しさん
:2025/05/13(火) 18:05:36
>>3656
紫は小細工が面倒なカズマもスキマ送りにしたんだよね
カズマ「……なんだ、ここ?まさかまた違う異世界に転移されたのか?」
カブキ「わからねェ。とりあえず目の前の魔化魍を倒すしかなさそうだなァ」
カズマ「まあ、そうだな。俺はサポートするから前衛はお前らに任せたぞ」
カブキ「ああ、任せろ!」
一方、京都の方では――
キリト「カズマ!!茅場……お前のサーヴァントはカズマに何をした!?」
ユウキ「カズマ……!どこに行ったの!?」
カズマがスキマ送りにされたことでキリトやユウキは困惑していた
マヤ「あれ?カブキが消えた!?」
またカブキのスキマ送りにもマヤが反応していた
3658
:
名無しさん
:2025/05/13(火) 21:09:16
シロッコを倒した夏油も玉藻と共に黒幕戦に参戦したね
辿り着いた時にちょうどカブキがスキマ送りにされて鬼は術師に近しい存在だと思ってる夏油は静かに怒りを燃やす
3659
:
名無しさん
:2025/05/14(水) 00:05:44
茅場「やはりここまで生き残ったか、キリト君。それと私の死後、ALOで〝絶剣〟として名を馳せていた天才剣士、ユウキ君。よくここまで頑張った」
キリトとユウキを眺め、茅場――いや、ヒースクリフは二人に惜しみない賛辞を送る
茅場「他のプレイヤー達も、よくここまで辿り着いたよ」
まるでゲームであるかのように聖杯戦争の参加者やサーヴァントを〝プレイヤー〟呼ばわりする茅場
茅場「さぁ、これからがラスボス戦だ。私とマイキーくん、そしてそのサーヴァント達を乗り越えて――願いを叶えたまえ。私達に負けるようでは、残念ながら君達の願いは叶えられない」
マイキー「茅場、お前どっちの味方だよ!」
茅場「もちろん私はマイキー君達の味方だ。――だがGGOのプレイヤー達やアスナ君が脱落したのは残念だな」
3660
:
名無しさん
:2025/05/14(水) 19:16:17
>>3659
「え?」
――アスナが脱落?
茅場晶彦の言葉を聞いた瞬間、ボクは思わず動揺してしまった。
「アスナが脱落したって……どういう、こと……?」
ボクがキリトにそう聞くと――キリトは悔しそうに歯噛みしながら、俯いていた。
そういえばキリトはボクが生きることがアスナの〝願い〟って言ってた。
それに茅場の言葉を合わせると――キリトの言葉の真意が読み取れた気がする。
「もしかしてアスナはこの聖杯戦争に参加して、死んじゃったの……?」
ボクの言葉に、キリトは首を縦に振る。
キリト「……ごめん、ユウキ。アスナはサーヴァントとして召喚されて、キャスターのヤツに殺されたんだ……。俺が、もっと早く間に合ってれば……!」
ユウキ「そん、な――」
まさかアスナがサーヴァントとして召喚されてたなんて。
その願いが〝ボクが生きること〟だなんて。
茅場「アスナ君はキリト君とユウキ君の真価を発揮するために重要な存在だ。だからサーヴァントとして召喚されるように、私が仕組んだ。……だが安心するといい。アスナ君はあくまでサーヴァントだ。君達の世界のアスナ君には何にも関係ない」
ユウキ「そうだね……。サーヴァントならたしかにボク達の世界のアスナは無関係かもしれないよ。でも――」
サーヴァントのアスナと実際のアスナは無関係。そんなことはわかってるよ。
でも、だからって――サーヴァントだって生きてる。アスナはこの世界で精一杯生きた。一護もこの世界で必死に生きてる。
そんなみんなを――〝サーヴァントだから〟の一言で済ませたくない。
だからボクは――理屈じゃなくて心に従うよ!
「サーヴァントだって生きてる!それなのに、まるでサーヴァント達を道具みたいに言うことは絶対に許さない!茅場晶彦――お前はボクが倒す!」
――この相手には手加減しない。
アスナやキリト――みんなを巻き込んだこの元凶だけはボクが倒す!
キリト「俺も一緒に茅場と戦うよ、ユウキ。あいつのやってることは――俺も許せないんだ」
茅場「それでいい。これこそが私の望んだ〝聖戦〟だ」
3661
:
名無しさん
:2025/05/14(水) 19:17:27
(ごめん
>>3660
は仮投下スレに仮投下するつもりが誤爆した)
3662
:
名無しさん
:2025/05/15(木) 11:46:39
>>3645
令呪によりクロックアップができるようになったシャドームーンは、早速体内のタキオン粒子を励起して2人1組のアサシン達へと向かって行った
このあり得ざる神秘の力が一時的なものでありいつまで保つのか分からないため、地獄兄弟に余計な行動をされる前に仕留める必要があったのだ
一方、シャドームーンのクロックアップに呼応してキックホッパーとパンチホッパーもクロックアップするが、装着者たる矢車と影山は驚きを隠せなかった
影山「あいつ、なんでクロックアップできるんだ!」
矢車「令呪の力で一時的にできるようになったのか!クソ、厄介だな」
信彦「まずは目障りなお前達から消し去ってやる」
こうなっては優勝を狙うために力を温存する訳にもいかず、矢車は影山と連携して攻めてくるシャドームーンに対応する
一護やアルトリアが感知できぬ時流の流れにて一進一退の攻防を繰り広げる三者であるが、地獄兄弟の手数の多さを研ぎ澄まされた知覚で捌ききり的確に反撃するシャドームーンの方が徐々に押し始めていた
やがて攻撃を見切ったシャドームーンがシャドーブレードで切り裂き、それをもろに受けてしまった矢車と影山は盛大に火花を散らしながら吹っ飛ばされてしまう
だがそれで矛を収めることなく、シャドームーンは即座に追撃となるシャドーキックを放ち矢車を亡き者にしようとした
影山「兄貴は、やらせない!」
矢車「影山!?」
だが、同じく負傷していたはずの影山が深い絆で繋がっている大切な兄貴を守るべく、力を振り絞って立ち上がっり矢車の前へと割って入りこんだ
そしてシャドームーンの必殺技を矢車の代わりに喰らってしまい、間もなく爆発四散してしまった
矢車「影山ぁぁぁーーーーー!!!!!」
【影山瞬@仮面ライダーカブト 消滅】
3663
:
名無しさん
:2025/05/15(木) 12:41:53
(
>>3660
は許可出たので通しということにしてください)
3664
:
名無しさん
:2025/05/17(土) 09:31:28
>>3658
(あの耳に尻尾、藍と同じ狐の妖怪のようね。それにしては尾の数が少ないけれども、九尾の状態ではサーヴァントという枠には収まらないから本数を減らされた状態で現界しているのかしら?)
(それに、あの鏡と雰囲気。狐の妖怪以外の要素がありそうだけど…ふふふ、一体なにかしらね?)
茅場達が登場後に遅れて参じた玉藻の前を見て、妖怪の賢者たる紫はその容姿に注目してその素性と謎に興味を抱いていた
なにせ使役している式神・八雲藍と同じ妖獣とそっくりなのだから、九尾の狐に思い至るのは自然なことであった
ただし、「人間に興味を持った日本神話に主神である太陽神・天照大神が、記憶を消して人間に転生した存在」という独自設定を引っ提げている玉藻の前であるため、そこら辺までの事情を一発で見抜くには至っていなかった
余談だが、本来の八雲紫であれば強力な式神である「八雲藍」を使役できる
しかし今の彼女はサーヴァントの身であり、強大な力を持つ九尾の狐を引き連れられる程のスペックを与えられなかったがために此度の聖杯戦争では式神の八雲藍を召喚できなかったようだ
3665
:
名無しさん
:2025/05/17(土) 23:01:28
>>3660
ユウキ「やぁあああ――!」
茅場「なるほど、これが〝絶剣〟の攻撃か。噂に違わぬ実力だ」
ユウキの怒涛の攻めを、ヒースクリフは盾で防ぐ
ユニークスキル〝神聖剣〟は健在であり、流石の〝絶剣〟でもこの守りを崩すことは難しい
加えて茅場は血盟騎士団の団長として戦ってきた経験がある。もっともシステムの保護で敵からの攻撃でHPが0にならないように小細工していたが、その実力は非常に高い。
そしてユウキと同時に攻撃を仕掛けてくるキリトに少々、茅場は驚いた
茅場「噂には聞いていたが本当にソードアート・オンラインのスキルを身体が覚えてるようだね、キリト君」
3666
:
名無しさん
:2025/05/17(土) 23:02:12
ソリテールはモブの不良や異形達と『お話』した結果、アヴェンジャーがかつて『護流五無(ゴルゴム)の一員だと判明した
それを蓮子に伝えると、蓮子はアヴェンジャーの攻略のヒントを他の主従に伝えるためにその情報を叫んだ
しかし新たに乱入してきたキャスター達のことをモブ達は全く知らず、そちらの情報は得られなかった
そしてカブキ達がスキマ送りにされたのを見てソリテールの知的好奇心が刺激され紫と『お話』したくなるように思う
3667
:
名無しさん
:2025/05/17(土) 23:02:53
>>3662
ここに来て影山を失った矢車さんはシャドームーンに憎しみを募らせる
ちなみに影山が死亡したことで令呪の効果は切れ、シャドームーンはクロックアップが不可能になった
しかし矢車さんは手負いであり、魔力の消耗を考えるとクロックアップは多用出来ないとマイキー及びシャドームーンは判断。しかも何やら虚空に向かってブツクサと呟いている
そこでこの中で一番弱ってるアルトリアをまずは排除しようと考えたシャドームーンは一護の攻撃を回避しつつ、遅れてやってきたアルトリアの攻撃を必要最低限の動きで躱し、シャドーブレードでアルトリアを切り裂き、大ダメージを与える
一護「――ッ!避けろ、セイバー!」
アルトリア「私は大丈夫で――」
大ダメージを受けたことで反応が遅れたが、眼前にはシャドーキックを放つシャドームーンの姿
それをモロに受けたアルトリアは爆発四散してしまった
一護「アヴェンジャー……テメェ、どこまで殺したら気が済むんだ」
信彦「俺には叶えたい願いがある。そのために戦うのが聖杯戦争だろ?」
一護「ふ、ざけんな!」
またここに来て玉藻の前は夏油と共に紫と戦うことに決めた
夏油としては呪術師に近いであろうカブキがスキマ送り(=夏油視点から見ると死亡したようにも見える)にされたことで紫に対して静かに怒りを燃やしているのと、放置すると危険なサーヴァントという合理的な判断の結果だ。
幸いなことに今回は呪術が効く相手だ。玉藻の前の本領発揮が出来るだろう
【アルトリア・ペンドラゴン@Fateシリーズ 消滅】
3668
:
名無しさん
:2025/05/18(日) 08:26:20
ソリテールも紫戦に参加して弾幕ごっこならぬガチの弾幕戦になってたね
3669
:
名無しさん
:2025/05/18(日) 08:58:06
異形の集団の大部分を片付けたザンキさんも紫討伐に動き出したな
見た目は人間そのものだけど魔化魍に近い気配を感じ取ったらしい
3670
:
名無しさん
:2025/05/18(日) 11:35:27
茅場達が割り込んだ頃には、モブ達はマスター達だけでも対処出来るくらいの数までだいぶ減ってたんだよね
3671
:
名無しさん
:2025/05/18(日) 16:40:42
>>3669
同じ鬼であり、マヤと仲が良かったカブキに危害を加えられたのも理由だったね
マヤ『師匠……。カブキが、あのキャスターに何かされちゃった!』
ザンキ『落ち着け、マヤ。何人かのマスターが行方不明になったがサーヴァントは無事だ。きっとあのキャスターのスキルか、宝具だろ。あのキャスターを倒せば戻って来ると、俺は思ってる』
それは熟練の戦士としての〝勘〟だった
3672
:
名無しさん
:2025/05/18(日) 16:42:11
>>3666
名護さん「何?ゴルゴムだと!?ならばアヴェンジャーは、シャドームーンだというのか!」
名護さんはゴルゴムや護流五無(ゴルゴム)の知識を聖杯から与えられてる。
ゆえにシャドームーンの情報も齎されており、アヴェンジャーの特徴はシャドームーンと見事に合致していた
しかしシャドームーンは並行世界に複数存在しており、どのシャドームーンかまでは特定出来ていない
流石に護流五無(ゴルゴム)のシャドームーン――秋月信彦が〝変身〟するシャドームーンという情報までは聖杯から与えられてなかったのだ
矢車さん「シャドームーン。お前が俺の相棒を……!」
そして矢車さんもシャドームーンに怒りと憎しみを募らせるが、彼の実力を知っているがゆえにそう簡単に倒せないことも理解してしまっている
そして茅場が現れるまで、キリトの傍で戦いを見守っていたアリスが口を開く
アリス「シャドームーンはまるで相手の行動を先読みしているかのように戦っていました!そこに勝ち目があるのかもしれません!」
矢車さん「先読みか……。だが俺のスキルや宝具にそれを対処する術はない……」
悔しそうにやさぐれた態度で矢車さんが零す
一護「たしかにあいつは天鎖斬月の軌道を読んでるみたいだった。なかなか厄介だな……」
アリス「そこで私に秘技があります。――武装完全支配術(エンハンス・アーマメント)!」
瞬間、金木犀の剣の刀身が黄金色の花びらになる。
攻撃を先読みされるなら、それでも対処出来ない広範囲攻撃を。それこそがアリスの願いだった
事実、超感覚器(アラームポイント)や即応触角(センサーアンテナ)は反応したが信彦に出来たことは、少しでもダメージを減らすための防御のみ。
しかし武装完全支配術(エンハンス・アーマメント)はアリスの必殺技ともいえる技術であり、あまり連発するとマスターであるキリトへの負担が大きいのがネックだ
3673
:
名無しさん
:2025/05/18(日) 18:12:27
「さて、そろそろ動かなきゃねえ。茅場が色々とうるさいし」
周囲を俯瞰しながら宙に浮いていた紫がゆっくりと戦場に降り立つ
アヴェンジャー達が率いていた集団は既に半壊状態。茅場晶彦は因縁のある者達と戦闘に入った
ここでいよいよ最後のサーヴァントが戦いに介入しようとしていた
近くに降り立った新手のキャスターの顔を見て蓮子は驚愕した
今までは遠目でよく見えなかったが、その顔が見覚えのあるものだったからだ
「……メリー……?」
呆然と呟く蓮子。新手のキャスターの顔は彼女の相方にして親友であるメリーことマエリベリー・ハーンにあまりにもよく似ていた
「あらあら、私の顔に何かついてるかしら?」
「蓮子、あのキャスターに見覚えでも?」
まじまじとキャスターを凝視する蓮子にソリテールが声を掛けた
聡明な彼女らしくもない反応に興味深く思うソリテールだが、流石に戦場で呆けていられては困る
ソリテールの呼びかけに蓮子もはっとした
「ご、ごめん…ちょっと知り合いに似てただけ…私の勘違いだったみたい」
頭を振りながら意識を切り替える蓮子
確かにキャスターの顔はメリーに似ているが髪の長さなどは異なるし、何より漂う雰囲気が違いすぎる
妖しげで胡散臭いキャスターのそれとのんびり屋で少し抜けている所があるメリーでは似ても似つかない。偶然顔が似ていただけだろうと蓮子は結論づけた
「そうそう、駄目よ気を逸らしてたら。せっかくのラスボス戦なのに」
「ふん、随分と余裕ですねえあれだけのことをやっておいて…!」
紫の飄々とした態度にこの場のもう一人のキャスターである玉藻の前が怒りを見せた
自身のマスターである夏油ははっきりと言葉に出さずとも目をかけていたカブキが奪われたことに怒りを抱いている。マスターの怒りは玉藻自身の怒りである
「ああ、私がスキマ送りにしたマスター達ならご心配なく。あの子達はまだ生きているわよ。彼らのサーヴァントが消滅していないのが何よりの証拠」
――最も帰って来られるかは彼らの努力次第だけど
不穏な一言を入れつつ事実を述べた紫はさらに続ける
「それに余裕も何も私は茅場の酔狂に付き合ってあげてるだけだもの」
「酔狂ね。茅場とやらは結局何が目的なのかしら」
紫の発言にソリテールは疑問を呈する
茅場晶彦なる人物の行動ははっきり言って支離滅裂だ
状況からいってアヴェンジャー達を差し向けたのは茅場だろう。しかし、アヴェンジャーを勝利者にしたいのであれば最初から共闘すればよいのにそれをせず、
共倒れを狙って聖杯を独占するにしても中途半端な戦況で介入するという非効率的なことをしている
その上、先程見せたキャスターの能力からしてマスターを容易に暗殺することが可能だろうに、態々何人かを拉致して分断などというこれまた回りくどいことをさせている
マスターの何人かは茅場晶彦を知っていたそうだが既に戦闘に入って事情を聞けそうもないため何がしたいのか全くソリテールには見えてこなかった
「そうね…せっかくの機会だしここでネタばらししておきましょうか。"ラスボス戦"を前に何も分からないままじゃ締まりが悪いでしょうし」
へえ、と目を細めるソリテール。思いの外、目の前のキャスターは話したがりらしい。お話を楽しみたいソリテールにとっては願ったり叶ったりである
臨戦態勢に入っていた玉藻の前やザンキ達も重要な情報に耳を傾けざるを得なかった
「一部のマスターや茅場の姿を見て察している者もいるかも知れないけれどここは現実世界ではない。そして地球上ですらない」
「ここは地球から約38万km離れた天体――月に座す古代遺物(アーティファクト)、ムーンセル・オートマトンが創り出した仮想空間の中よ」
3674
:
名無しさん
:2025/05/18(日) 18:59:36
>>3662
、
>>3667
スキマ空間で強敵と戦っている3人は前衛と後衛に分かれて上手く戦っていたが、やはり一筋縄で倒せる相手ではなく少しダメージを負っていても未だ健在であった
そんな最中、伊織とカブキをサポートしようとしていたカズマが疲労感に襲われ膝を突く
カズマ「ぐっ…あいつら、派手に宝具を連発してるのか…っ!」
急激に生命力を奪われる感覚に襲われ前後不覚に陥るカズマ
彼のサポートが失われた事により魔物が勢いを増し、同じく疲労状態の伊織を撥ね除けてカズマに襲いかかろうとする
が、寸前にカブキが割って入り化物の攻撃を受け止め、未だ不調のカズマに声を掛ける
カブキ「おいお前、大丈夫か!?」
カズマ「た、助かったぁー…ありがとうな、えーっと…緑と赤の変な奴」
カブキ「カ・ブ・キ、だ!てめぇはとっととどっかに退きやがれ!」
カズマ「あぁ、ちょっと気怠いけどそうするぜ。ちなみに俺はカズマ、覚えといてくれよな」
カブキ「なんでこんな状況で自己紹介してるんだよ!」
カブキが変身音叉を用いて敵と戦う合間にカズマは少し苦しげながらも彼の邪魔にならないように退避し、一旦様子見をする
地獄兄弟の状況が分からず、念話での情報共有を試みても何故か交信ができない、これはこの異空間による影響なのだろうか?
一方アサシンとの繋がりは残っているように感じ、一時は激しかった魔力消耗も今では小康状態に落ち着いている
しかし、また彼らが宝具を使うようならば自身が再びガス欠状態に陥るかもしれないという心配もあり、目の前の戦いにおいて安易に魔法を使うわけにはいかなくなった
せめて暴れている怪物が大人しくなった時にドレインタッチで魔力を奪えればこの欠乏状態を解消できるのだが……
一方、怪異に吹き飛ばされた伊織は何とか立ち上がり二本の刀を構え直す
幸いにして追撃されることはなかったが、やはりこの状況の不味さを痛感せざるおえなかった
とにかくあの強敵を倒さなければこの状況を打開できない、ゆえに足を踏み出そうとしたその直前に伊織は感じ取ってしまった
自身と契約しているサーヴァントとの縁が消えてしまったことを
伊織(そうか、セイバーは…)
この数日間を共にした異国の少女にして高潔なる騎士道を体現した剣士、この京都聖杯戦争にて共に戦った相棒の姿を見ることなく喪った感覚だけを得たことにもの悲しさを感じていた
かの者が振るうは華麗にして他を圧倒する剣技であり、己が師匠や盈月の儀のセイバーと時と同様に剣を極めようとする身としては見とれてしまい、同時に超えてみたいとも思っていた
伊織(すまない、セイバー…貴殿の分まで、後は俺が戦い抜こう!)
己が力不足ゆえに彼女に負担を負わせてしまったのではという責任感を抱きつつも、サーヴァントを喪い聖杯戦争の勝者になりえなくなったとしても、宮本伊織は生き抜くために戦うことを選び取った
未だ身体が鈍っている感覚が抜けきらないものの、セイバーへの魔力供給がなくなったことにより幾らか楽になり、標的に向かって素早く駆け抜ける
伊織「カブキ殿、遅れてすまない。一気に片を付ける、一旦離れてくれ」
カブキ「なんだ、とっておきでも見せてくれるのか?」
伊織「あぁ」
カブキ「よし分かった、なんだか知らないが任せた!」
先の不良集団との戦いで共闘した際に名前を把握していた伊織はカブキに合図を送り、カブキも見物とばかりに化物から一旦距離を置く
代わりに伊織が二、三撃ほど打ち込み敵の注意を引きつけたところで、伊織は日本の刀を手にした両腕を交差させて必殺奥義を放つ
伊織「秘剣・燕返し 比翼の段」
それは、全く同時に繰り出される六つ斬撃による絶巧絶技
これにより堅牢な外殻を貫き・破壊し、強烈な一撃を受けた怪異は一時的に気絶してしまった
伊織「ぐっ…後は、たのんだ」
そして秘剣を放つのに気力を使った伊織もまた、これまでの疲労やダメージが祟って気を失い倒れてしまった
3675
:
名無しさん
:2025/05/18(日) 19:00:09
>>3674
カズマ「えっ、えっ…?一体何が…?」
伊織が奥義を放つ一瞬を見ていたカズマは何が起こったのか理解が追いつかずに驚くしかなかった
一方鬼として闘い続けていたカブキも全ては理解できているわけではないものの、それがとてつもない絶技であることを感じ取っていた
カブキ(あれが、伊織の秘剣…はは、俺が鬼ならば、あいつは剣の鬼、ってか)
もしマスター同士で戦う際にあの秘剣を使われていたら…躱すことは不可能であり、防ぐのも困難であっただろうとカブキは内心思っていた
そもそも一時的に共闘していた際にも魔化魍を倒す鬼と遜色ない武士であり、そこはかとなく異様さみたいな気配と感じてはいたのだが
ともあれ、今は味方として強敵をノックダウンさせてくれたのだ、この好機を逃すわけにはいかなかった
カブキ「行くぞ、カズマ!ここでケリを付けるぜ!」
3676
:
名無しさん
:2025/05/18(日) 19:55:53
呪詛師の類縁であり自身と同じような気配を隠し持つカブキをスキマ送りにした黒幕のキャスター(八雲紫)、そのマスターである茅場を許すわけにもいかず
黒幕のキャスターの相手を玉藻の前に任せて、夏油はそのマスターを討ち取ろるべく動き出したが
マイキー「おっと、そうはさせない!」
夏油「くそっ、只の猿が邪魔をするな!」
マイキーが夏油を蹴り飛ばそうとしてきたため、やむなく夏油は游雲で受け止め彼と交戦することになってしまった
この時マイキーといては不本意ながらも一応は助けられた義理もあるため、茅場が因縁の相手と戦うのを邪魔させないように夏油を妨害したのだ
ついでにいえばシロッコ戦の負傷を残したままなの夏油ならば倒しやすいのではとマイキーは考えていたが、やはりそう易々と事が運ぶことはなかった
この程度の手負いであれば数々の呪霊と戦ってきた夏油にしてみれば少しハンデであるという認識であり、呪霊なしでも体術と游雲でマイキーと互角に戦っているのであった
余談だが、
>>3670
のようにモブ不良達の相手をマヤと美遊兄が担っているため彼女彼らはまだしばらく黒幕戦に参加できないようだ
3677
:
名無しさん
:2025/05/18(日) 22:04:28
>>3673
ここで紫の口から今回の聖杯戦争が行われた理由が明らかになるんだよね
茅場はSAO事件後に電脳世界に自身のデータを写した際に、偶然異なる世界まで観測領域を広げたムーンセル・オートマトンによって拾われ聖杯戦争の舞台に招かれてしまう(茅場晶彦候補話より)
キャスターである八雲紫を召喚した茅場はあらゆる手を尽くして聖杯戦争に優勝。願いを叶える権利を得る
元の世界に戻ることも可能だったが、元々異世界に恋い焦がれていた茅場は様々な異世界を観測しつつ人間の可能性を試すためにムーンセルと契約して聖杯戦争の運営と観測に携わることになった
茅場は次の聖杯戦争として自分自身で参加者を選定、紫の境界操作を利用することで霊子ハッカーの素養がない人間もムーンセルに招き入れることが可能になった(夢の世界を通して各マスターの精神だけをムーンセルに招いた…らしい)
茅場は目をつけたマスター候補の中で最も願いへの渇望が強かったマイキーこと万次郎に接触。彼と秘密裏に交渉を行って『シード枠』として参加させた
また、太歳星君のような強大な神霊を召喚させたのは各々願いを持つ主従が強敵を前に協力し合えるのか『中ボス』としての役割を充てがったというのが真相。そして『中ボス』が倒されるまで万次郎はシード枠として身を潜めることを許すという契約を茅場と交わした
また万次郎が他の参加者に先んじて召喚したアヴェンジャーの希望により茅場は聖杯戦争の舞台は人間と人外が住まう世界として設定した
アヴェンジャー曰く手駒を増やして聖杯戦争を有利にするためとのことなんだけど本音としては人と異種族は本当に相容れないのかムーンセルにシミュレートさせたかったかららしい
……結果は見るも無残、人とそれ以外で対立し合う環境になってしまい信彦は優勝する決意をさらに固めることになった
以上が紫の口から語られた聖杯戦争の実態である
3678
:
名無しさん
:2025/05/19(月) 09:44:43
>3675
カズマ「あー、もう!なにがなんだかわからないけど、しょうがねぇなあ!」
気絶した怪物に対してカズマが近付いていく。念の為にカブキという護衛をつけて。
そして気絶した怪物の眼前まで来ると、カズマは容赦なくドレインタッチして魔力を吸収。必然的に気絶している怪物は弱る
カズマ「これで弱くなったはずだ!カブキ、後は任せた!」
カブキ「任せろ!」
そしてカブキは音撃打 業火絢爛により怪物を撃破、三人は元居た場所に戻った
カズマ「アサシン兄弟、ユウキ、キリト、蓮子〜。戻ったぞ――って何かすごいことになってんな!」
ユウキ「ごめん、カズマ!今は話してる余裕がないんだ!」
カズマ「そりゃ見ればわかるって……」
3679
:
名無しさん
:2025/05/20(火) 09:45:32
カブキ達が戻って来るまでの間の話
>>3676
夏油は焦る気持ちでマイキーを早急に排除しようとした
しかし夏油は知らないことだが運の悪いことに相手は〝無敵のマイキー〟だ
精神的に焦り、シロッコ戦の負傷がある夏油の動きは本来より鈍い
そして優勝という確固たる目標と、そのために夏油を仕留めようと殺意を剥き出しにするマイキーでは必然的に差が出てくる
夏油の認識不足、負傷、焦りなど様々な要因により精彩を欠いた夏油の腹に核弾頭のようなマイキーの蹴りが見舞われ、夏油の口から胃酸が溢れ落ちる
夏油「ただの猿だと思ったら、なかなかやるようだな……」
マイキー「当たり前だろ。俺は〝無敵のマイキー〟だ。ダチや妹を生き返らせる願いを持つ俺とお前じゃ背負ってるもんが違うんだよ」
夏油「背負ってるもの、か……。今の私も多少は背負ってるつもりなんだけどね……!」
3680
:
名無しさん
:2025/05/24(土) 18:59:26
>>3677
「これが今回の聖杯戦争の実態よ。理解できたかしら?」
扇子で口元を隠しながら語り終えた紫を前に暫し沈黙する蓮子達。あまりの突飛な情報を受け入れるのに彼女達も時間を要した
「……正直色々と言いたいことがあるけどここが仮想空間ならまさか京都の結界って…」
「察しの通りムーンセルが設定した世界の境界線ね。この京都の外なんて最初から存在していない。違和感のないようにNPCとして造られた住民には記憶にロックがかかっているけど」
「成る程、私達(サーヴァント)にまでムーンセルについての知識にロックがかけてあったのはマスターのより自然な反応を茅場が見たかったからかしら」
「そして、増加した"凶暴な魔物"の正体。これは例のアヴェンジャーの手勢のことね」
「うふふ、御名答」
蓮子とソリテールの推察に満足そうに頷く紫。さらに"聖杯"の核心について紫は語り出した
「疑っていた子もいるからもう一つだけ言っておくけど聖杯の機能は本物よ。聖杯の正体はムーンセルの使用権。人間が想像する範疇の願いであればいくらでも万能の願望機として機能させられますわ」
「待て」
やる気が出てきたでしょ、と胡散臭い笑みを浮かべながら話す紫にザンキが待ったをかけた。表情こそ変身しているため見えないがその声には静かな怒りが籠もっている
「マヤは…俺のマスターには他人を犠牲にしてまで叶えたい願いなどない。なぜ彼女を聖杯戦争に巻き込んだ」
「あら? うーん、茅場は強い渇望や願いを持つ人物を集めたと言っていたけど……」
ザンキの問い掛けに暫し考え込む紫。その素振りから本当に理由は知らないらしい。僅かな沈黙の後、目を細めながらザンキに答えを返した
「私は参加者の選定には関わっていないから想像になるけど、その子が内に願いを隠しているのでなければ或いは―――」
「―――巻き込まれただけの人間を自分の願いのために犠牲にするのかどうか茅場は知りたかったのかもねえ」
「何だと……!」
紫の回答に激怒するザンキ。真意はどうあれ茅場晶彦は筋金入りの狂人には違いないとザンキは判断した
百歩譲って願いのために戦う意志を持った者同士で争わせるならまだしも、平穏に生きていた無垢の人間を巻き込むなど断じて許すことはできない
「あらあら、そんなに怒らないで頂戴。マスター想いの貴方に朗報もあるのよ」
「私達とアヴェンジャー主従を倒した後、本心から願えばこの聖杯戦争からログアウト…つまり生きて離脱することが出来る。その場合は願いを諦めることになるけどね。何でも茅場曰く自分達に勝った者には等しく然るべき"報酬"が渡されるべき何ですって。彼、基本的に理不尽だけど変な所でゲームを律儀な設定にするのよ」
「最も……脱出にせよ優勝にせよ私達を倒すことが出来ればの話だけど」
薄気味悪い笑みをうかべていた紫だがパチンと扇子を閉じ、腰掛けていたスキマから立ち上がる
その瞬間、夜の闇が一層深まった錯覚を蓮子達は覚えた。話はここまでということだろう
「ふん、言われなくてもやってやりますよ。優勝するのは私の御主人様。ラスボスっぽく振る舞ってるけどお前達なんてただの通過点に過ぎません!」
玉藻の前の目的はマスターを支え、優勝に導くこと。聖杯戦争の真実を知ってもその意志に一点の曇りもない。むしろ聖杯が"本物"であることを知ったことでさらにやる気に満ち溢れている
「必ず俺はマヤを生かして帰す。そのために茅場晶彦は止めてみせる!」
ザンキには最初から願いはない。悔いのない最期を迎えたが故に。今の彼は新たな弟子となった少女を生かして帰す、ただそれだけを考える
「もう少し楽しみたかったけど、仕方がないわね。せっかくだから君の死に際の言葉でも聞かせてもらおうかな」
ソリテールは一切ぶれない。聖杯戦争が始まってから今に至るまでその胸にあるのは利己心のみ。魔族とはそういう生き物である
戦意に満ちた三騎のサーヴァントを前にしても紫の不敵な態度は変わらずその笑みを深めた
「果たして貴方達はこの夜を乗り越えることが出来るかしら―――さあ、本気で愉しみましょう」
3681
:
名無しさん
:2025/05/24(土) 21:47:41
>>3680
紫との戦いではキャス狐とソリテールが後衛、ザンキさんが前衛で戦っていたな
太歳星君戦である程度互いの戦闘スタイルが分かっていたから自然とそうなっていた
一方で紫は…
紫「まずは小手調べね。幻巣『飛光虫ネスト』」
紫の背後に生じた大量のスキマから無数の弾幕が3人に襲い掛かった
3682
:
名無しさん
:2025/05/25(日) 01:14:11
『カズマ!』
スキマから戻ってきたカズマに、矢車さんが念話で声を掛ける。
そこには悲哀やアヴェンジャーに対する憎しみが込められており、瞬時に周りを見渡したカズマは1つのことに気が付く
『矢車……影山は、まさか――』
『ああ。相棒は逝った。こんな俺を庇ってな……』
矢車さんは虚空を見上げ、哀しく呟いた
3683
:
名無しさん
:2025/05/25(日) 13:40:59
>>3681
「おっとぉ!?」
「チィッ……!」
無数の弾幕を前に玉藻は呪層・黒天洞による防御に徹し、ザンキは弾幕を烈斬で切り払う。しかし、防げど防げど弾幕の雨は止まず反撃に移れない
「あらあらもうギブアップかしら?」
これ程の魔力の放出を続けながらも紫には疲労一つ見えない。このままでは圧倒的な物量に押し潰されてしまうだろう
「これが君の戦い方? 随分と無駄が多いのね」
だがソリテールのみこの場のサーヴァントで余裕を保てていた
紫が放った光弾は数こそ圧倒的に多いが太歳星君の消滅の凶星と異なり一発一発の威力は然程でもない。ソリテールが戦闘時身に纏う魔力の防壁で十分防ぎきれるものであった
「それじゃあ、今度は私のやり方を見せようかしら」
ソリテールの手に小さな光球が浮かび上がる。紫の弾幕に比べれば弱々しく見えるが、その光球には恐ろしい程の魔力が籠められていることに見る者が見れば気付くだろう。自身の魔力を極限まで圧縮したそれをソリテールは紫にかざし──
──一筋の閃光が弾幕を突き破った
轟音とともに土煙が舞い上がり、紫の姿が見えなくなる。同時に弾幕の雨も止んでいた
今の一撃は大魔族が持ちうる魔力を可能な限り圧縮して敵に放つシンプルだが強力なソリテールの切り札。さしもの紫も大きなダメージは避けられないと思われたが………
「あらあら何とも単純な突破方法ねえ」
………土埃から現れた紫には傷一つついていなかった。前方に編まれた四重の結界がソリテールの一撃を防いでいたのだ。自身の誇る最強の魔法を事もなく受け止められたことにさすがのソリテールも僅かに顔を顰める
「様々な魔法を学んだけど結局これが私にとっての最強の魔法だったのよ。皮肉でしょう?」
「強力なのは認めるけど美しさでは落第点ね──おっと」
他の二騎も黙って成り行きを見ている訳では無い。玉藻は呪術による炎や氷の嵐を、ザンキは紫の死角に回り込みに音撃斬を叩き込もうとする
しかし、玉藻の攻撃はソリテールと同様に防がれザンキは結界そのものに強烈に弾かれ吹き飛ばされる。紫の代名詞でもある『四重結界』は攻防一体の技なのだ
「むう…思ったより手強いですねぇ……!」
三騎がかりで予想以上の苦闘を迎えていることに歯噛みする玉藻
太歳星君のような分かりやすい圧倒的な暴力はないが、紫の変幻自在の戦い方に太歳星君とはベクトルの異なる厄介さを感じていた。残念ながら後先考えて勝てる相手ではないらしい
「仕方がない、掟破りの出血大サービス第二弾!もう一回私の宝具を披露してやりますから、私の御主人様のためにも死ぬ気で頑張りなさい!」
出雲に神在り、是自在にして禊の証、神宝宇迦之鏡也――『水天日光天照八野鎮石 』!
3684
:
名無しさん
:2025/05/25(日) 18:32:17
>>3683
キャス狐の援護を受けてザンキさんとソリテールもさっきより紫の動きに対応できるようになっていたな
さすがの紫も宝具バフを受けたサーヴァントの全力の攻撃を結界で受け止め続けるのは難しいから回避を中心に立ち回るようになっていた
そんな中ザンキさんは紫が自分の攻撃、特に音撃武器である烈斬によるものはかなり慎重な回避を行っていることに気づいた
敵はやはり魔化魍と同じ"魔"に属するサーヴァントであると確信したザンキさんは、未だ有効打をあたえられていないが元々脆弱な肉体で召喚されるキャスター、必殺の音撃斬を直撃さえさせれば勝機はあると判断していた
紫「貴方が一番厄介かもしれないしそろそろ座に帰ってもらおうかしら」
一方で紫もザンキさんをこの場で最も厄介なサーヴァントとして優先的にターゲッティングしていた
3685
:
名無しさん
:2025/05/28(水) 00:09:20
>>3682
『カズマ……。俺の最期の願いだ――』
矢車さんはこれまで利己的な理由。というよりも影山のために戦ってきた。
だが影山は最期まで自分やカズマを想って死んだ。
『兄貴……俺をまた人間に戻してくれてありがとう。カズマのことは――兄貴に頼んだよ』
影山は死ぬ間際、そんな念話を矢車さんに送っていた
ゆえに矢車さんは願いを変える必要かあった。
たしかに影山は生き返らせたいが、聖杯で生き返らせたところで――彼は本当に喜ぶだろうか?
影山の秘めた〝燃えカスのような正義感〟がほんの僅かに矢車さんの背中を押した
『あぁ。なんだ?矢車』
〝最期の願い〟と聞いて彼が何か覚悟を固めたことをカズマは悟る。
それでも矢車をサーヴァントのマスターとして止めず、彼の願いを聞こうとするのはカズマが根はお人好しだからだろう
『俺はアヴェンジャーを――シャドームーンを倒したい。そのために令呪を2つ使ってくれ。……残り1つは俺を怪しんでるだろうから無理しなくても良い』
3686
:
名無しさん
:2025/05/28(水) 00:10:13
>>3684
ザンキ『マヤ。これは同じ鬼のカブキや他のマスターに共有した方が良い情報だからお前に託すけどな……このキャスターは魔化魍と似たような〝魔〟の気配を感じる。それをみんなに伝えてくれ』
マヤ『わかったよ、師匠!』
そしてザンキは紫に対して挑発する
「俺が厄介というのは、俺がお前にとっての弱点だと言ってるようなものだぞ。かつて〝魔〟を相手にしたサーヴァントは苦手か?」
3687
:
名無しさん
:2025/05/28(水) 00:12:01
>>3660
キリトとユウキ
もちろんキリトは生身ゆえに身体能力が大幅に劣るが、それでも一流の剣士
そんな二人に茅場――ヒースクリフは一歩も引かずに戦っていた
戦況は茅場が有利というわけではないし、当然ヒースクリフにも傷が付く
しかしそれすらも今の茅場は望んでいる展開だ
〝絶剣〟と呼ばれた未知の剣士――ユウキ
そして黒の剣士、キリト
この二人を相手にラスボスとして立ちはだかることのなんと愉快なことか
カズマ達が帰還したのも見えた。彼らが加勢するかもしれない
だが楽しい。何故なら茅場はこの一戦をするためだけに、色々と仕組んできたのだから
ユウキ「どうしてそんなに楽しそうなの!?人を殺すことの何が楽しいのさ!」
キリト「違うんだ、ユウキ。こいつは多分、誰かを殺すことを楽しんでるわけじゃない」
茅場「そうだとも。ラスボスとして君たちと剣を交えてる時間が、なにより楽しい。この〝聖戦〟こそが私の願いだ」
ユウキ「なに、言ってるの!?頭がおかしいよ!」
キリト「ユウキが驚くのも仕方ないけど……茅場はそういうやつだ。だからこいつだけは倒さなきゃいけない!」
ユウキ「……! わかったよ、キリト!」
3688
:
名無しさん
:2025/05/28(水) 18:18:05
>>3686
ザンキの挑発に紫は言葉を返さず手招きをした。来るなら来いと言うつもりだろうか。
「おい、話がある」
一旦ザンキは紫から距離を取り、玉藻とソリテールに話を持ち掛けた。当然この間も紫からの弾幕による攻撃は続いているが宝具による支援を受けた玉藻達は然程苦も無く捌けている。
「このままでは埒が明かない。俺があのキャスターを仕留めるから奴の足止めを頼めるか」
今でこそある程度優勢に戦えているが、玉藻の宝具は長時間維持できないことは先の太歳星君戦で実証済み。宝具の効果が切れれば再びジリ貧に陥るだろう。
故にザンキは短期決戦を仕掛けることにした。紫が逃げられないように他の二騎が足止めをしつつ、ザンキが接近して必殺技『音撃斬 雷電斬震』を叩き込む。危険だが宝具による支援を受けている今の三騎ならそれを成せるとザンキは判断した。
もしも紫が宝具の効果が切れるまで完全に逃げに徹したり、蓮子らマスター狙いに動かれればそうもいかないが、幸いそのような行動をとる素振りはない。茅場の意向か紫自身の矜持かは不明だが。
「ふむ……御主人様以外の者が指図するのは気に入りませんがいいでしょう。やるからには必ずあのいけ好かないあの目玉女をギッタギタにしてやりなさい!」
「へえ、もしかして相打ち覚悟かしら。 たまにいるのよね貴方みたいな人間」
優勝を狙う玉藻にとっては危険な役目をザンキが負い、力をある程度温存しつつ敵のキャスターを倒すことができる悪くない作戦だ。聖杯に然程執着のないソリテールも特に断る理由はない。
「奴は奇妙な空間を通り自在に転移する。俺が合図をしたら奴の周囲を取り囲むように攻撃して退路を断て」
段取りは決まった。後は機会を待つのみ。そうこうしている内に魔力消費の影響か紫の弾幕が途切れだす。一際弾幕の密度が薄くなった瞬間、ザンキは叫んだ。
「いくぞ…!」
ザンキの号令とともにソリテールが無数の剣で紫を取り囲み、玉藻が呪相・密天で周囲に嵐を巻き起こす。さらにザンキが一直線に駆け出し距離を詰める。二騎の包囲を紫が破る前に勝負を決めなければならない。
一方で取り囲まれた紫は狼狽するでもなくただ微笑むのみ。戦いを見守ることしかできない蓮子はその様子に一抹の不安を覚えるのであった。
3689
:
名無しさん
:2025/05/30(金) 17:08:18
>>3683
にて玉藻の前が宝具を使用したことによる紫の反応
(…あぁ、そういうことだったのね)
玉藻の前の宝具開帳時における口上を聞いたことで紫は相手の素性を把握した
宝具の基点となっているあの鏡は十中八九八咫鏡であり、出雲大社に祀られる神宝にして、天照大神の御神体であるならば――紫の博識たる頭脳と高精度な推察により、それを扱う彼女の由縁へと結びつけていく
あれなるは、絶世の美女にして白面金毛九尾の狐が化けたものであるとも言われた日本三大化生の一角“玉藻の前”であり、どういうわけか神霊“アマテラス”の御魂を宿した転生体である、と
何故神の一面が人間へと転生し大妖怪に至ったのかまでは憶測しかできないものの、英霊の座から与えられた知識により“神性を宿した玉藻の前”が存在していること把握したために確証を得るに至っていた
3690
:
名無しさん
:2025/05/31(土) 10:25:50
>>3688
無数の剣と嵐に囲まれた紫は時に結界や傘で凌ぐがその場から身動きが取れない。だが紫は動じず静かに宣言する。
──『弾幕結界』
紫に接近していたザンキを包囲するように無数の弾幕が出現し一斉に殺到した。その数は今までの攻撃の比ではない。
──やはり罠か
だが、ザンキもこの程度の妨害は想定内。そもそも先程紫に出来た隙は少々不自然であった。最初からザンキが他の二騎から離れるのを狙って意図的に作った隙なのだろう。
『頼めるかマヤ』
『うん!令呪で師匠を応援するよ!』
マヤの令呪が一画消失すると同時にザンキの全身に活力が満ちる。そのまま上昇した身体能力で強引に弾幕結界の突破を図った。
時に妖力弾を撃ち落とし、時に僅かな隙間に体を滑り込ませすり抜ける。全てを躱しきることは出来ずいくつか被弾するが足は止めない。止めれば圧倒的な物量による圧殺が待つのみである。
そうして、最後の一陣を突破したザンキは紫に肉薄した。紫は丁度結界で玉藻らの攻撃を打ちはらった直後。サーヴァントになったことで紫は長時間結界を維持することが出来ず、ザンキはこれまでの戦いで既にその弱点を見切っている。またとない好機だった。
「終わりだ!」
結界が解除され無防備になった紫の胴に烈斬を突き立てる。服を裂き肉を断つ感触。勝負あった──
「ガハッ……!?」
「何……!?」
烈斬を突いた瞬間、苦悶の声が上がる──紫ではなく後方の玉藻から。見れば裂けた紫の服の下には不気味な空間──スキマが顔を覗かせていた。そして、そのスキマは玉藻の背後に繋げられ烈斬の剣先は玉藻の背中を穿っていた。
「うふふ……惜しかったわねぇ」
紫は最初からこれを狙っていた。紫は玉藻の正体についてほぼ確信を持っている。即ち日本最大の妖狐“玉藻の前”。音撃武器である烈斬は確かに紫のような魔に属する者に対して有効であるが、それは玉藻も同様である。寸の所で清めの音を送り込まなかったため消滅こそ免れたが重症を負い玉藻は膝を突く。
そして衝撃に一瞬硬直したザンキを逃す程紫は甘くない。玉藻が欠けたことで包囲から脱した紫から光の線が放たれ、それに触れたザンキの身動きが取れなくなった。その様は蜘蛛の巣に絡め取られた哀れな虫の様。
紫が使ったのはスペルカードルールにおいて『八雲の巣』と名付けられた技。妖力の糸に触れた者の動きを封じる魔の糸である。平時であれば直ぐにザンキも抜け出せただろうが弾幕結界による負傷と無理を通したことによる膝の古傷が脱出を阻んだ。身動きの取れない獲物を前に紫は空中で手を上げて──
───カンカンカンカンカンカン
突如戦場に響き渡る場違いな音。ある筈のない踏切の音がけたたましく鳴り響く。音源は上空。ザンキが見上げればそこには一際巨大なスキマが開いていた。
「ぶらり廃駅下車の旅、終点は英霊の座になります。ごゆるりとお楽しみくださいませ」
紫の言葉とともにスキマから巨大な鉄塊──廃電車が飛び出す!
身動きの取れないザンキを押し潰した後、紫はパチンと指を鳴らし──大爆発が起きた。
───『無人廃線車両爆弾』
「そんな…師匠ーーー!!」
「少しばかり派手な葬送になったけど楽しんで頂けたかしら」
師が無慈悲に押し潰される瞬間を目にしたマヤが絶叫をあげる。もうもうと煙が上がる爆心地にはザンキの姿は影も形もなかった……だが、マヤも紫もこの場の誰もが気づかなかった。電車に押し潰される瞬間、ザンキの腕に"奇妙な痣"が刻まれたことを。
3691
:
名無しさん
:2025/05/31(土) 16:25:17
(ソリテールの台詞が一部途切れていたのでそこだけ修正)
>>3690
「どうやらゲームセットみたいね」
ザンキの消滅を見届けた紫は悠然と蓮子の前まで降りてくる。もう勝った気かと蓮子は思ったが三騎いたサーヴァントは一人は消え、一人は重症、唯一戦えるソリテールも太歳星君から続く消耗は無視できず一人では到底抗えない。
他のサーヴァント達はアヴェンジャーの相手で手一杯で援軍は見込めそうもない。こちらのサーヴァント達を全滅させたら紫はアヴェンジャーに加勢するだろう。そうすれば、均衡は破られ何もかも終わりだ。
──敗北。その2文字が蓮子の脳裏を掠めた。
「うふふ、そんな顔をしないで頂戴。私は貴方と交渉しに来たのだから」
「……どういうつもり?」
敵の意外な提案に疑問を覚える蓮子だが、意図は分からずとも少しでも時間が稼げるかもしれないと先を促した。
「──最後の令呪でアサシンを自害させ、ムーンセルに残りなさい。そうすれば茅場に頼んで貴女は生かしておいてあげる」
紫の発言とともに、ソリテールの周囲を弾幕が取り囲み包囲する。蓮子の選択を邪魔させないとでも言うように。
「別に迷うことはないでしょう? 貴女がこの局面で最後の令呪を使わなかったのは恐らくそのアサシンが信用できなかったから。ならばいっそ、そんなサーヴァントは切り捨てても問題ないでしょうに」
「それに私は知っているのよ"蓮子"。貴女が誰よりも神秘を──封じられた幻想を追い求めていることを。そんな貴女のことが私は気に入ったの」
「元の世界に帰れないとはいえそれの何が問題かしら。このムーンセルには貴女が求めるものが全てある。遍く世界の謎を解き明かすことができるのよ」
──さあ、どうする?
紫の問いに沈黙する蓮子。僅かな、しかし永遠にも思える静寂が訪れる。やがて意を決したように蓮子は口を開いた。
「──これが私の答えよ、『アサシン、
全力でキャスターを倒しなさい』!」
蓮子の腕から最後の令呪が消える。同時にソリテールからかつてない勢いの魔力が放出され、弾幕の包囲はぶち破られた。反応が遅れた紫は結界で防ぐことも出来ず吹き飛ばされる。
「ははっ、随分大胆なことをするね。良かったのかしら私を自由にして」
「……覚悟の上よ。でもせめてあのキャスターを倒すまではしっかりと協力してもらうわ」
「そうね、どうもあのキャスターは私のことが気に入らないみたいだし今回ばかりは積極的に戦おうかしら」
無論ソリテールの令呪という箍を外すことに迷いはあった。だがマスターすら命がけで戦っている中で、自分だけ無力を理由にやれることをやらない訳にはいかない。蓮子も腹を括ることにしたのだ。……それに何より紫の一方的な交渉という名の強制が気に入らない。
「正直いってかなり迷ったけど──私は帰ることにしたわ。世界の秘密は自力で解き明かすものよ、秘封倶楽部を舐めないで頂戴!」
「それに私には大事な相方がいるの。メリーを放り出して勝手に解散することなんて出来ない!」
3692
:
名無しさん
:2025/05/31(土) 21:22:11
>>3691
吹き飛んだ紫が復帰する前に何とか玉藻も体制を立て直していた
烈斬を刺されたことで大ダメージを受け、宝具の効果も時間経過で切れてしまっていた。このままでは令呪を使ったとはいえアサシン一人では勝ち目が殆どないだろう
玉藻「ぐぬぬ…この私一生の不覚……」
勝利を前にした油断を呪う玉藻。優勝を見据えて後先考えていたことが祟ったか。ともかく玉藻は自身に不甲斐なさを覚えていた
玉藻『…ご主人様、申し訳ありません。どうか不甲斐ない私の我儘を一つ聞いて頂けないでしょうか。あのキャスターを仕留めるために令呪が必要なのです』
夏油『いいだろう、君には今まで無茶に付き合わせてきた借りがある。出来る範囲で援護するよ』
玉藻『ああこの玉藻なんという果報者か!ご主人様のためにも全力全霊を持ってあのいけ好かないキャスターを座に叩き返してやります!』
マイキーと戦いながらも夏油は念話に応え、玉藻に令呪を使う。内容は『宝具を再び使い維持せよ』。
玉藻「目にもの見せてやりますよ……!」
再度発動する玉藻の宝具。令呪の補助を受けても相当な無茶をしている自覚はあるが構わない
何故なら"重症を負った"今だからこそ使える切り札があることを玉藻は知っているからだ
3693
:
名無しさん
:2025/06/01(日) 05:30:43
>>3690
マヤ「師匠……」
師匠の死を目にしたマヤはショックで項垂れる。これまで自分を支え道を示してくれた師が居なくなった自分は一体どうすればよいのか
粗方敵集団を片付けた士郎はそんなマヤの様子を見かねて声を掛けた
士郎「お前はここで隠れているんだ……俺は奴を殺しに行く」
鋭い顔でキリトたちの戦場を睨みながら士郎はマヤに告げる。奴とは言うまでもなく元凶である茅場晶彦のことだ
マヤ「こ、殺すって…」
士郎「言葉通りだ。あのキャスターには俺たちでは勝てない。だがサーヴァントである以上マスターを失えば消滅する」
士郎の考えはキャスターを討つのに最も確実な方法だ
しかし黒幕といえども人の命を奪うという行為は、理屈では理解できても平和な世界で生きたマヤにとって心情的に到底受け入れられないものであった
マヤ「そんなこと私できないよ……」
士郎「そうだ、それでいい。お前が手を汚す必要なんてない。そんなことをするのは俺みたいな人間だけで十分だ」
そう言い残すとマヤが止める間もなく士郎はキリトたちに加勢すべく彼女を残して駆けていった
一人取り残されたマヤはどうすることもできず蹲る
マヤ(師匠…私どうしよう…)
考えても考えてもその答えは出そうになかった――
3694
:
名無しさん
:2025/06/01(日) 15:12:42
>>3691
「やれやれ、振られてしまいましたわ…」
ソリテールの攻撃で吹き飛ばされた紫が復帰する。体はボロボロだがその歩みは淀みない。精神に依る生命体である妖怪は謂れのある武器以外には強い耐性があるため、少なからずダメージを負ったが致命傷には遠かった。
「悪いけど全力でと言われたから手加減抜きで殺らせてもらうわ」
再び発動した玉藻の宝具と令呪の支援を受けたソリテールはともすれば生前以上の力で猛攻撃を開始した。無数の剣と魔力の放出が容赦なく紫に向けられるが、紫も千年以上生きた大妖怪。結界術や境界操作で攻撃を凌ぎ互角に渡り合う。
「ねえ、聞きたいことがあるのだけれど」
「何かしら?話せることは話したはずだけど」
互いに撃ち合いを続けながらもまるで世間話をするかのようにソリテールが話しかける。紫もそれに対して日常会話のような調子で続きを促す。
「この聖杯戦争の舞台を選んだのってもしかして茅場ではなく君かしら」
「…ええそうよ、それが何か?」
「どうして"京都"とやらを舞台に選んだの?」
ソリテールの疑問、それは何故京都を舞台に選んだのか。紫は聖杯戦争が始まるまでの経緯や参加者の選定については話したが舞台選びについては一切触れていなかったのだ。
「私が知る限り最も発展した都市と霊地の豊富さを併せ持っていた場所だったからよ。実際茅場が選定したマスターは日本人が多かったし召喚された太歳星君の分霊も京都に根差していたから悪くないチョイスだと思ったけど」
「そうね、実際蓮子は京都の霊地に詳しかったから大いに助かった──残念ね、せっかく彼女のためにこの舞台を用意したのに拒絶されちゃって」
「…………」
ソリテールは紫の舞台選びの真意に確信をもっていた訳ではない。だが言葉を弄び他者を餌食にするのは魔族の最も得意とする所。紫に生じた僅かな動揺と隙を幾人もの人間の観察を続けてきたソリテールは見逃さなかった。
一気に紫に接近し至近距離で魔力の放出を行うソリテール。紫も咄嗟に結界で弾こうとするが急場凌ぎの結界は硝子のように破壊され魔力の放出は紫の腹部を大きく抉った。
「────ッ!!」
「へえ、どうやら私より君の方がずっと"人"に近い感情を持ってるみたい」
だが紫の反撃は速かった。接近したソリテールの周囲に突如妖力の糸が出現し、その体を縫い止める。そのまま紫はお返しと言わんばかりに大きく手を振りかぶりソリテールに振り下ろした。その顔に笑みはなく、ゾッとする程冷たい視線をソリテールに向けている。
身の危険を感じたソリテールは前方に強固な魔力の盾を出現させ、攻撃に備えるが──
「──疾く去ね」
──魔力の盾ごと体を横一直線に両断された。上半身と下半身が泣き別れになり飛行魔法を維持できず、落下するソリテール。明らかに致命傷だった。
これも紫の境界操作の一端、スペルカードルールでは『知能と脚の境界』と名付けられた技である。直線状に境界を走らせそこに存在する物を分断したのだ。全てに境界を引けると言う事は二つに分けられぬ物は無いと言う事である。
これ程の技、当然魔力の消費が少なくないため今まで使用を控えていたがソリテールへの怒りが戦術的判断を上回ったのだ。
3695
:
名無しさん
:2025/06/01(日) 15:36:10
>>3693
一人で無為な時間を過ごすマヤ。一人で考えても答えはでない。ならばいっそ沸々と湧き上がる昏い情動――憎しみに身を任せてキャスターと戦えばいいのではないか
無謀だとは分かっていてもこの感情を止めるのは難しい。キャスターの方へ向かおうとしたその時――
マヤ「えっ、し、師匠!?」
サンキ「言ったはずだぞ、マヤ。鬼にとって最も大事なのは自分の中の鬼を殺すことだと」
――その手を消滅したはずのザンキが掴んだ。幻かと思ったがその姿も声も確かに彼女が尊敬した師匠その者だ
歓喜に涙を浮かべたマヤ。声を掛けようとしたがふと違和感を覚えた。ザンキの手が酷く冷たい。まるで死人のように――
マヤ「師匠…その、手が……」
ザンキ「説明していなくて悪かった。二度と使うまいと思っていたからな…」
ザンキは自身の再起を可能とした鬼に伝わる禁呪――返魂の術についてマヤに説明する。一時的な蘇生を果たすが、やがて意識を失い最終的に永遠の闇に魂が囚われる禁断の術である
サーヴァントと化したザンキにとっては術のデメリットも気にする必要はないが、術師としての才能があるマヤがまかり間違って使うことのないように今までこの術について黙っていたのだ
ザンキ「どの道俺はただの死人、気にするな。消えるのが多少早くなっただけのことだ」
マヤ「師匠……」
師が生き返ったわけではないと知って悲しむマヤだが感傷に浸っている時間はない。ザンキは戦場に行かなくてはならないのだ
ザンキ「マヤ、お前はあの男が言ったようにここで隠れていろ。俺がキャスターと決着をつける」
マヤ「でも…!」
ザンキ「あのキャスターはお前の手に余る相手だ。かといってマスターの命を奪うことも出来ないだろう。何より俺もそんなことは望んでない」
先の士郎と同様のことを話すザンキに悔しさに震えるマヤ。だがザンキは弟子と共に戦ってこそ真価が発揮されるサーヴァントだ。このまま戦っても再度返り討ちになる可能性だってある。果たしてこのまま師匠を見送るだけでよいのか?
――意を決してマヤは初めて師匠に反抗した
マヤ「…やっぱりやだ!師匠『私と一緒に戦って!』」
マヤは最後の令呪を切りザンキに共闘を命じた。対魔力のないザンキはこの命令に抗うことは出来ない。そして令呪を失ったマヤはこの命令を取り消すことも出来ない
ザンキ「馬鹿な…!お前自分が何をやったか理解しているのか…!?」
マヤ「分かってる…!私足手まといにならないように頑張るよ!」
マヤの決意は固い。なにより令呪を使われては問答も無意味だ。観念したザンキはため息をつき最後の確認を行った
ザンキ「……お前に令呪はもうない。後戻りはできないぞ」
マヤ「うん…!」
ザンキ「ならばついてこい…!キャスターを必ず倒すぞ!」
マヤ「分かったよ師匠!」
二人の鬼は最初で最後の師弟揃い踏みの戦いに臨もうとしていた
3696
:
名無しさん
:2025/06/01(日) 22:14:59
>>3694
「はは…油断、した訳じゃなかったけど…ま、しょうがないか……」
紫によって両断されたソリテールは地に落下した。
いかに魔族とて上半身だけで生存することは不可能、もう間もなく彼女は消滅する。
「ソリ…テール……」
無残な姿になって転がったソリテールに蓮子の胸も苦しくなる。
本質は人心を持たぬ怪物であったとしても、自身の令呪による戦いの結果でこのような姿になってしまったことに蓮子は罪悪感を抱いていた。
『ねえ、蓮子…最期にお願いがあるの…』
『何かしら……』
『君に私自身の口で伝えたい言葉があるわ…私はもう動けないから近くに来てくれる?』
ソリテールの念話に一瞬逡巡する蓮子だが、ソリテールの方へ歩みを進めた。
蓮子もまた、曲がりなりにも相棒として戦ってきたサーヴァントを看取りたい気持ちはあったからだ。
『そうそう、もっとこっちへ…後一歩…』
言われるまま蓮子はソリテールに近付き最後の一歩を踏み出す──
「……残念、最後に外しちゃったわ」
──フリをして足を止めていた。蓮子の目の前にはソリテールが飛ばした剣が突き刺さっている。
もしも蓮子がソリテールの言う通り足を踏み出していたら、間違い無く剣に刺し貫かれ命を落としていただろう。
「やっぱり何も変わっていないのね貴方は……」
失意と哀しみを滲ませた声で蓮子はソリテールに語りかけた。既に二人は念話抜きで話せる距離にいる。
蓮子は生前のソリテールの所業を忘れてはいなかった。
ソリテールが関わった人間は最終的にほぼ全員彼女自身の手によって殺されている。決して人が心を許してはならない悪魔。
それでも、それでも結果としてソリテールはこの聖杯戦争で誰も殺めず、蓮子という人間と共に戦い抜いた。
だから蓮子はこの経験によってソリテールに何らかの心境の変化があったのではないかと微かな期待を抱いた。──抱いてしまった。
故に蓮子はソリテールを試したのだ。結果は見ての通り、魔族という種の業の深さを証明するだけに終わってしまったが。
「『君に会えて良かった』、『人と魔族は分かり合える』、『掛け替えの無い親友』──そう言ってほしかった?」
果たしてこの戦いを通してソリテールに何か変化があったのか──否、何一つ変わらない。
結局彼女は最期まで己の好奇心の赴くままに戦っただけなのだ。生前から今に至るまで、人の心を持てないモノ。それが魔族。
「………………うん。さよなら、ソリテール」
気付けば蓮子は涙を流していた。頭の中では本当にどうしようもない存在だと理解しているのに、ソリテールの死に悲しみを覚えている自分がいる。
或いはこれも並外れた探求心という共通点を持つ蓮子とソリテールを隔てる人間性の一つなのだろうか。
そんな蓮子の泣き顔を見たソリテールは満足そうに微笑みながら目を閉じた。
蓮子に初めて出会った時と何一つ変わらない張り付けたような笑顔で。
「素敵。君の末期の言葉が聞けなかったのは残念だけど…ま、その顔が見られただけ良しとしようか…な」
その言葉を最後にソリテールの姿はこの世界から消失した。
【ソリテール@葬送のフリーレン 消滅】
3697
:
名無しさん
:2025/06/01(日) 23:49:48
>>3694
ソリテールを仕留めた紫であったが、ふと不気味な呪言を耳にした。
──いざや散れ、常世咲き裂く怨天の花……
声の方へ顔を向ければ玉藻の前が両手を紫の方へと突き出していた。手中には紫色の禍々しい気。そのまま力の塊を
──
「──常世咲き裂く、大殺界(ヒガンバナ セッショウセキ)!」
──紫に向かって思い切り投げつけた。
玉藻とて宝具を発動した後、ただ黙ってソリテールと紫の戦いを見ていた訳ではない。
呪層界・怨天祝奉で魔力を練り上げつつ、機をうかがっていたのだ。
瀕死の時のみ発動できる己が持ちうる最強の呪術、『常世咲き裂く大殺界』を放つ機会を。
そしてついに機会はやってきた。
紫がソリテールに手傷を負わされたことで玉藻への注意が逸れたのだ。
そうして放たれ迫る呪毒の塊に対し、紫はいくつもの対処法を恐ろしい速さで頭の中で選び吟味する。
──スキマによる退避
否、退避するより先に攻撃が命中する。
──敵の飛び道具を吸収し撃ち返す技『枕石漱流』
否、それで防げる規模の攻撃ではない。
──『四重結界』による防御
己の最も信頼する防御。目前の魔力塊相手でも十分防ぎきれる見込みあり。
それに敵は瀕死、この一撃に耐えさえすれば次の攻撃を仕掛けることは最早出来ないだろう。
──答えは決まった。
瞬時に紫の周囲に結界が張られ、呪毒と衝突する。その瞬間、忽ち毒気が周りに溢れ出した。
「ぐっ……!瀕死の状態でここまでやるとは見上げた根性ね…!」
「当たり前でしょう、愛の力こそ最強!そして逆境でこそ愛は激しく燃え上がるってもんですよ!」
想定以上の毒気の強さに紫も舌を巻く。
瀕死のサーヴァントに根比べで負けるつもりはなかったがこれでは暫く動けそうにもない。
「愛ね。傾国の妖狐の発言とは思えないわ」
「ふん、あれだけ宝具を使えばさすがに真名はバレてますか。ですがいつまでも古い認識でいるからそんな目に遭うのですよ、ざまぁみさらせ年増女!」
「いや、どう考えても貴女の本体の方が私より年う」
「あーあー聞こえない!聞こえない!」
どこか緊張感のないやり取りを繰り広げながらも内心玉藻は焦っていた。
毒気の侵攻が止まっている。
結界すら浸食した呪毒により紫の体の一部が爛れ始めるが、そこまでだ。致命傷には至らない。
玉藻自身強がってこそいるが相当な無茶を押し通している自覚がある。
このままでは先にこちらが力尽きると玉藻が絶望を感じ始めた矢先──
「待たせたな。さっきは済まなかった」
──紫を倒すための最後のピース、ザンキ師弟が戦場に馳せ参じた。
驚く玉藻だが今は理由を聞いている場合ではない。
「どんな手品を使って切り抜けたかは知りませんが、まあいいでしょう。見ての通り奴は今身動きが取れない状態。倒すなら今しかないです。それでこの背中の傷は今回だけ特別大サービスでチャラにしてやりますよ!」
「そうか感謝する。行くぞマヤ!」
「うん、一緒に戦おう師匠!」
これが正真正銘のラストチャンス。
二人の鬼は決着をつけるべく全速力で駆け出した。
3698
:
名無しさん
:2025/06/02(月) 09:49:56
>>3697
紫が玉藻の呪毒に手こずっている隙に距離を詰めるザンキたち。
その姿を確認した紫もまた全力で迎撃することを決意する。
『深弾幕結界 ─夢幻泡影─』
師弟の周囲にこれまでの比ではない規模の弾幕が出現する。
その威容は間違いなくこれがキャスターの切り札だとザンキに確信させる程。
だが、ザンキは怯まない。先の戦いで対処法は学んでいる。
凄まじい物量の攻撃だからといって足を止めるのは逆効果、むしろ恐怖を克服して進み続けるからこそ活路が見出だせるのだ。
「俺の後ろに着いてこい!足を止めるな!」
「はい、師匠!」
ザンキはマヤに貸し出していた分も含めてディスクアニマルを総動員し、弾幕の突破を図った。
前方に展開したディスクアニマルたちは時に妖弾を叩き落とし、時に頑強な体を盾代わりとしてザンキたちの道を作る。
だが圧倒的な物量を前に一体、また一体と傷付き破壊されていく。
そんな彼らの姿に内心謝罪しながらも足は止めないザンキたち。気が付けば全てのディスクアニマルは破壊されていた。
──後は自力で突破するしかない!
今度はザンキがマヤのために道を切り開く番だ。
一瞬で弾幕の抜け道を見抜き、時には己の体を盾として差し出し、決してマヤへ累を及ばせない。
本来であれば、ここまで強引な突破を仕掛けるのは無謀な切り札(ラストワード)であったが度重なるダメージと消耗により紫の弾幕操作にも乱れが生じている。
ソリテールと玉藻の奮戦は決して無駄にならなかった。
ボロボロになりながらも最後の一波を突破したザンキたちの目の前には丁度玉藻の毒気を振り払った紫がいた。
──今こそ決着をつける時!
「くっ……!」
ザンキたちの動きを封じようとする妖力の糸を切り払い、紫に肉薄したザンキは烈斬を突き立て──ずに止めた。
紫の前にはスキマが口を開けていた。
さらにもう一つのスキマがザンキの後ろに出現している。
そのまま烈斬を突いていれば自分で自分を刺し貫いていただろう。
「同じ戦法が二度通じると思うな!」
ザンキは刺突ではなく、斬撃で攻撃。
紫は傘で受けようとするが身体能力で劣り、消耗し切った状態では受けきれず傘ごと腕を切断された。
「今だマヤ、合わせろ!」
「うん、行くよ師匠!」
致命的な隙を晒した紫にザンキとマヤ、二人の鬼は同時に音撃弦を突き立てる。そして──
「音撃斬・雷電激震!」
「音撃斬・雷電斬震!」
──同時に清めの音を送り込んだ。
「かっ……は……!」
摩多羅神に比肩するとされた大妖怪も絆を最大限まで高めた師弟の同時攻撃には耐えられず、吐血しながらゆっくりと崩れ落ちる。
紫に致命傷を与えたことを確認したザンキは静かにマヤに語りかけた。
「……マヤ、帰ったらこの聖杯戦争のことは全て忘れろ。鬼にしろ、呪術師にしろ本来お前のような平穏に生きる者が身を置いていい世界じゃない」
「ううん、私ぜったいに忘れないよ。鬼のこと、呪術師のこと、師匠のこと!この聖杯戦争で経験した全部のことを!!」
「そうか」
──強くなったなマヤ。一言そう言い遺した瞬間、ザンキの姿は消えていた。
返魂の術で黄泉帰りを果たした者は、意識が永遠の闇に堕ちる前に悔いがなくなれば成仏することが出来る。
成長したマヤの姿を見届けたザンキは、最早この世界に未練はなかった。
「ありがとう師匠……」
今度こそ師匠との永遠の別れになったマヤ。
だが今度は泣かない。遺された烈雷を師への葬送曲としてただ静かに鳴らすのであった。
【ザンキ@仮面ライダー響鬼 消滅】
3699
:
名無しさん
:2025/06/02(月) 22:43:05
>>3699
「これで終わり、ですね……」
ザンキたちの勝利を見届けた玉藻は重い足取りでその場を立ち去った。
行き先は当然夏油の元。ご主人様(マスター)に最後までが尽くすのが良妻賢狐の努めである。
魔力をほぼ使い果たし煙一つ出せない程の消耗で、夏油を援護どころか彼の元に行くまでに消滅しかねない有り様だったが確固たる意志で歩みは止めない。
一方で倒れ伏した紫の前には蓮子が立っていた。
紫が倒されたことを確認した蓮子は、彼女が消滅する前にどうしても聞きたいことがあったのだ。
「うふふ…私を笑いに来たのかしら…見ての通り…間もなく消えるわ…」
「その前に聞きたいことがある。貴方は一体何者で何がしたかったの?私のことを知っていた…?」
蓮子の質問に何が可笑しいのか薄く笑いながらポツリポツリと紫は答えた。
「私の真名は『八雲紫』、しがない土地の管理人に過ぎない」
息も絶え絶えになりながらも紫の笑顔は消えない。
今際においても真意を悟らせないつもりだろうかと蓮子は思った。
「正直目的なんてなかった。茅場と一緒に他の世界を観測するのが楽しかっただけ。
幻想郷はとっくに賢者たちの手を離れても機能するようになってたから、態々ムーンセルに頼るまでもなかったし、月の技術で幻想郷に介入するのも気に入らなかったもの」
でも、と紫はそこで言葉を区切る。
その顔に笑みはなく感情の読み取れない神妙な顔をしていた。
「茅場が聖杯戦争の参加者に貴女を選定した時、何となく気に入った。ただそれだけのことよ。
京都を舞台に選んだのも霊地が多くて色々と都合が良かっただけ。他意はないわ」
「……本当に?そもそも気に入ったって言うけど私と貴方は初対面じゃない」
「さて…正直に言って私自身も貴方への感情はよく分からないわ。
所詮サーヴァント(わたしたち)は英霊の座という分厚い書から一部のページを切り取った存在に過ぎない。私も厳密には『八雲紫』その人ではないの」
八雲紫の正体は依然として明らかになってはいない。
ムーンセルといえども観測していない事象を再現することは出来ないのだ。
だが"有力な説"をベースに情報を抽出することならできる。それは即ち──
「私に話せるのはここまで……それに世の中には語られない方が良いこともありますのよ」
「ならそれを解き明かすのが私たち秘封倶楽部よ。ムーンセルの力を借りなくたっていつか暴いてやるわ」
「ふふっ…それは楽しみね……」
一時の対話を終えた紫の姿が薄れていく。
そろそろ時間切れねと紫は静かに目を閉じた。
「さようなら蓮子。いつかの夜にまた逢いましょう」
「あっ……」
紫は最期にもう一度笑った。胡散臭い笑みではなく穏やかな表情で──
蓮子には不思議とその表情が親友であるマエリベリー・ハーンと重なって見えた。
不意に朝日が差し込む。夜が明けのだ。
ムーンセルにより再現された偽りの日の出とはいえ、その美しさは本物と何ら変わりない。
眩しさに蓮子が一瞬目を閉じ、次に目を開けた時には既に紫は消えていた。夜の闇が朝日に掻き消されるように。
その光景に蓮子から一筋の涙が零れる。
涙の理由は蓮子自身にも分からなかった。
【八雲紫@東方project 消滅】
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