「Oh! Miki! My precious honey, I’m so sorry for late.」
やってきた客は私の姿を見つけると慌てて駆けてきた40代半ばの米国人だったからだ
「いらっしゃいませ」を英語でなんて言えばわからなかったのだろう
それよりもなぜ外国人がこんなところにいるのという顔を浮かべられるのが経験済みであった私は笑顔で立ち上がった
「Hey Daddy!! What’s happen? You are late for 20 minutes」
「Oh sorry」
「Sorry? Dad, don’t you kid me? ・・・」
アメリカ育ちの私にとってはこれくらい朝飯前だが、これを聞いた店員は驚くであろう
顔だけ見たら純日本人の私が流暢な英語を話しだしたのだから
とはいえ「Daddy」とこの相手のことを呼び、つらつらと英語で間髪入れずに話し出せば、親子なのだなと彼らは感づいてくれる
おおよそ「親子で久々にあったにもかかわらず父親が遅刻し、怒られている」とストーリーを作るであろう
どこの国でも親子の喧嘩はあえて割り込もうとしないはずだ。タイミングをみて、怒っているふりを終えればあとは興味を持たないだろう
「・・・逃してしまいました、か」
構えを解くと砂埃は止んだ。自身も砂埃に目をやられてしまい、眼をこすりながら叢へと歩を進めた
何も言わずにナップザックから通信機を取り出し、起動させる
『Sorry. I miss Ms tricker. 』
『OK, I know, I know. But you tried hard, Chelsy.』
『Thanks, teacher.』 (まー修行番外編、『Chelsy』 episode0
「何でほっぺ噛んでんのっ?めっちゃ痛いっ」
「いやごめん。ごめんよ。余裕がなくて思いっきり噛んじゃった。
でも大丈夫、血は出てないよ、ちょっと赤いけど
I owe you my life. Thank you.」
「なんか全然嬉しくない〜。てかさっきのなんやったの?
野中ちゃんの顔がまるで動物みたいに毛がワサワサーって」
「相手を変化させる事ができるチカラを使ったからですよ」