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【もしもの時は】ここだけ世界の境界線【ここで】

353おんも:2019/05/14(火) 00:03:58 ID:???
>>352
荒れ狂う一陣の刃竜巻が如く、亡骸の路を形成しつつ突き進むソーマタージ!
敵兵達の合間に確かな動揺が生じた、肌で感じられるであろうか。奇襲の完全なる成功を

『傭兵を、傭兵を回せ!』
『ぶつけろ、バケモノにはバケモノだ!』

しかして敵陣は混乱から存外素早く復帰を果たす
ソーマタージから必要以上に距離を取って槍衾に囲み、それらを飛び越え紫紺の外套を纏いし影が襲い掛かる!
小柄な敵傭兵は瞬時に距離を縮め歩を進め、ワンインチ距離にて崩拳を突き出すであろう!アンブッシュ!

354ソーマタージ ◆P2bEA4mHeU:2019/05/14(火) 00:31:36 ID:???
>>353
「焦るなよ。殺しに来てんだ、殺される覚悟ぐらい出来てんだろ?」
リン、と一瞬の残心。混乱広がる敵陣においても、不遜な態度は尚も崩れず。
眼を細め、死体の服で刀を拭って立ち上がる。槍衾、切断しながら進むのも考えるべきか。
───そんな一瞬の思考すら途切れさせる、一際上等の気配!

「ッ!」
兵士を飛び越え現れる小柄な影。その拳の動きは見覚えがあった。中国拳法のどれかか。
縮地じみた接近にも臆さず、瞬間、横薙ぎに払いのける刀。柄頭が崩拳の直撃を逸らそうと唸る!


「ガハ───ッ!」
肉と骨がバラバラになるかのような激痛。木の葉の如く吹き飛ばされる身体。
しかしそれすらもまだマシだ。致命打たり得る一撃を逸らし、自ら飛び退く事で勢いを殺し、その上でこれなのだから。
アンブッシュへの対応としては及第点だろう。本人の採点では。

「大体、想像はつくが───!」
ヨロリと立ち上がり、刀を構える。若干フラつくが、まだ戦える、まだ動ける。
戦闘躯体は油断なく、紫紺の襲撃者を睨み付けた。打ち倒す意思を保つために。

355ユノ・ダルク:2019/05/14(火) 00:41:06 ID:???
>>354
「……やっぱりじゃないっすか、ご無沙汰してるっす」

外套のフードを払い除ければ覗くまんまるお目々、ラスボス見習いユノ・ダルクである
拳を解き手をフリフリ、殴打のダメージはしっかりと刻まれていた

「そっちの傭兵って事っすね」
「……ふふっ、一度闘ってみたかったっす」

されど呼応するように戦構は澱みなく
真・ラスボスグレイシジークンドーシステマコマンドー八太極真琉球護身暗殺喧嘩空手は相も変わらずその四肢に殺戮を齎しているのだ
砂煙の跳濁のみを置き去りに再度懐へ踏み込み、肘打ちそして跳ね上げるカタチでの裏拳の連携を繰り出さんと駆ける!

「……お互い、死なないようにしましょうっすね……?」

言いながらもその拳に躊躇いや手心は皆無!

356ソーマタージ ◆P2bEA4mHeU:2019/05/14(火) 01:00:13 ID:???
>>355
「参ったな、ここんところトラウマ刺激されっぱなしだ。廃人エンドになっちゃうよ」
さして驚く様子も無く、コキリと首を鳴らして相手の顔──何度も見た少女のものを捉える。
彼女の戦闘力は知っている。面倒な事になったと、誰に言うでもなく一人呟いた。
「俺の中では『出来ればやり合いたくない相手ランキングトップ3』に入ってたがね、お前の事。1位は秘密」

「殺す気で来んなよッ!!」
砂煙が見えると同時、ソーマタージは躊躇いなく刀を手放した。ワンインチ距離での長物はハンデとなるのを知っているからだ。
黒い刃が地面に落ちるより早く迫る、デタラメじみた勢いと名前の猛攻!ヒュッと息を鋭く吐き、拳を握る!

封殺するかの如く振り下ろされ、打ち合う固い肘。展性特殊合金によるフレームはそうそう砕けないが、それでもそれなり以上のダメージを負う。
されど痛みに呻く時間は無い。工業機械じみた素早さと精密さで動く手は、裏拳の手首を掴んで封じようとする為のもの。彼女の攻撃に迫ろうかという速度で放たれる掌底は、肘を粉砕しようとする為のもの。
遠慮なき連撃を凌ぎきる事が出来るかは分からない。しかしやるしかないのだ!戦意のエンジンは不本意だが猛烈な回転を始める!

357ユノ・ダルク【ヴァー・ヴィクティス】:2019/05/14(火) 19:53:34 ID:???
>>356
「ッッッ、……1番じゃないって事っすね……!」

肘と肘との衝突としては余りにも奇怪かつ仰々しく響くノイズ
しかして彼女も同じだ、痛みを感じるよりも早く速く疾風く
精密に殺人的に放たれる裏拳は顔面を押し潰す為の所作、アサルト!

「……ん、なっ……!?」
「雲手……!!」

ここでユノに衝撃走る、イナズマに打たれたが如きその正体は裏拳を「獲られた」事に起因する!
されど続く掌打撃をも無防備に受けるかは別である、逆の手を泳がせ鞭打が如きしなやかさを持って「打ち払う」!

「……皇捻!!」

そのまま片腕を獲られたまま強引に引き回し、投げへと繋げようとの膂力任せの小手投を狙った!
無理に堪えれば対人基準で見れば肩及び肘関節をそのまま破壊せしめるキケンな技である!

358ソーマタージ ◆P2bEA4mHeU:2019/05/15(水) 15:38:49 ID:???
>>357
「ツゥ……! ショージキ言や、バックも加味してあの女将校は二番目だったが……お前が今猛烈に追い上げてきてるな……ッ!」
車両衝突事故めいた衝撃音。痺れと痛みが一挙に押し寄せる。
僅か目を細めながらも裏拳を捕らえ、無慈悲なる破壊の掌を放つ、払われる!
次なる一手を打つ間も無く、身体がフワリと動く。力任せの投げ技だ。

激しく流転する世界。引き回されるのに逆らわず、機械の身体は容易く動き回り、転がされるだろう。
この膂力、この実力だ。無駄な抵抗は却って此方の腕を破壊するだけ。文字通り手に負えなくなる。
───極められた後なら、の話だが。


「───ッ!」
逆さになる直前、もう一方の腕は電光石火の速さで動き、コートの中から一本の刃を引き抜いた。双神威、その片割れである黒き短刀。高周波ドス・ダガー。
ソーマタージは長身である。腕も脚もそれに見合って長い。いかにも少女といったユノのものよりもずっと。リーチは十分。
彼の選んだ答え、それは本当に極められ、地面に俯せに転がされるよりも疾く、彼女の腕を攻撃して放させる事だった。

この戦場に相応しく、コンマレベルに迅速で荒々しい攻防一体。
全ては速度にかかっている。ユノの投げるのが早ければ、或いは対応が間に合えば黒い切っ先は虚しく宙を突きながら空振るし、逆に此方が早ければ、少女の腕にぞぶりと深く食い込むだろう。
全集中の血走った眼は、しっかりと握った一突きの行方を睨む。

//遅れました…申し訳ありませぬ…

359ユノ・ダルク【ヴァー・ヴィクティス】:2019/05/15(水) 19:57:44 ID:???
>>358
「ふふ、それは嬉しいっす……とてもっ!!」

ユノは少女めいて純朴であり、しかして真っ直ぐに捻じ曲がった邪悪を有する
無邪気の邪気、それは極めてよろしくない性質と言えた
この場面でも、エニシや絆よりも彼我の高め合う研磨を至福としているのだ

「……ん、ぐっ!?!?」

投げた、スモウ・アーツである小手投は意表を突くにも適している
確信、そのまま追撃を脳裏に描き……走る痛み!手は力を失いソーマを離す!致命的な間隙!
ナイフが突き立った事を理解するのは少し後だ!
今はリカバリーの為に雲手に振るう逆の腕をしならせ彼を打たんと!

//大丈夫ですよー、よければのんびりお付き合い下さいー

360日常世界 ◆AaNrqSY5ys:2019/05/15(水) 21:46:50 ID:???
日常生活とは、毎日繰り返される生活のこと。
具体的には、日々の生活の中で繰り返される出来事や習慣的動作、
そこで用いられる物の考え方や知識、接する物品などから構成される。

シュヴァイン「…」

例えば2mを超える筋骨隆々な体躯と身体のバランスから言えばやや長く太い腕が特徴的であるが、
そもそも突き出た下顎から覗く左右の太い牙や膨れた腹、豚鼻を有しながら
全体的に悪くない顔立ちが悪目立ちしている緑色の肌に獣の様な目を有する男の場合、
矢鱈とデカいフライパンに独自ブレンドのペーストをしいてから米をぶっこむだけの炒飯を
場所こそ問わないが朝食として作ったりする。

ドン、ドン、ドン

例えば耳の部分と背の辺りから小さな羽が生え、
風もないのにゆったりうねる金の長髪と赤の瞳を持つ少女は
そういう時に決まってカラの皿をテーブルに置き椅子に座ってスプーン片手にテーブルを打ち鳴らす。

例えば稲穂色な板状の地面に着きそうな程長い大量の触手っぽくウネる髪に
小麦肌で燃えるような赤い瞳で不敵な笑みを絶やさぬヒトの容をしたモノも
それにならい同じことをしていたりする。

何時からか正確な日時も思い出せないが、
大男が独自炒飯を作り出すと何処からともなくこの二名が湧くようになった。

シュヴァイン「…エンゲル係数がヤバタニエンなんだが?」

誰か助けて、大男は声にこそださないがこの状況を解決したい。
こういう時にこそ優秀で頼りになる越境者が通りかかるのだ、俺は詳しいんだ。

361ソーマタージ ◆P2bEA4mHeU:2019/05/15(水) 22:32:17 ID:???
>>359
「俺は嬉しくねーよ!」
力を求める無邪気なる邪悪。あどけなさと同居した飢えたる巨悪の気配を感じ、怒鳴り返す。
余裕が無いと言われればその通りだ。最早高まる事のない彼の身体は一切の鍛錬を無駄とし、ヒビ割れたアイデンティティは彼女の置き去るものに執着する。
乱れる前髪を正す間も無く、問答は終わりを告げる。

「シィ…ッ!」
空気を吐き捨てる鋭い音。そのまま力を込め、腕を両断せしめんとして、弾かれる。
振るわれた雲手は鞭の如くソーマタージの身体を打ち据え、無理な姿勢の彼をそのまま転がしたのだ。


「これも身体の一部だ。卑怯とは言うまいな」
立ち上がれば握ったままだった匕首を振るい、血を落とす。畳二枚分離れ、仕切り直しの格好となった。
こちらは片腕の痺れと関節の痛み。あちらは腕の切傷。五分かは分からない。
オベリスクめいて大地に突き立った振動剣を拾いに行く隙はない。どの道、あの反応速度ではいくらリーチがあろうと却って不利だ。これでいい。
ポンとジャグリングめいて放り投げ、持ち帰る。腰を落として姿勢を低くすると、ソーマタージはアビスの底から響くような声で叫んだ。
「腕の一本ぐらいは、大目に見てもらうぜ!」

「セイアアアアッッ!!!」
今度は此方から、地上疾る流れ星めいた猛烈な速度で斬り込む!腕の長さを利用した若干のリーチ差で!
顔に向けて切っ先を突き出す、戻す。腕へ突きだす。戻す。腹へ突き出す、戻す。首を刎ねようと横薙ぎに振るう、回る。身体を捻って胸を切り上げようとする、戻る。
意趣返しとばかりに放たれる、枷が解かれたような猛攻。息を吐く間すら与えぬかのように、カマイタチめいた連撃は当たったかどうかの確認もせず、残像を残してユノに襲いかかる。
その一撃一撃が鋭く、重い。攻撃に転ずる事を防ぎつつ、歯向かう体力を削り取るつもりだ!

362ユノ・ダルク:2019/05/15(水) 23:10:23 ID:???
>>361
「当然っす、なんなら魔法とか使ってくれても構わないっすよ」
「……なんったって、ラスボスはそうでないとダメっすからねっ!!!」

刺された腕の手を握り、開き、握り、筋肉で出血を押し止めた
どん、と踏鳴、轟々たる戦構は不敵な笑みを湛えている
突き出された刃!額で受ける!腕!肘で受ける!横薙ぎ!斬り上げ!同速で転じ受け逸らす!
されど無論全てを身を盾にした余りにも無謀な防御術に過ぎない!至る所より出血!
ソーマの殺人スキル溢れる刃を受けたのだ、当然の結果と言えよう!

「速……疾風い……っす、ね……!」

それでも口元には嗤い、臨死……否、臨闘恍惚!
膝から崩れそうになるのを気合いに堪え、反撃の拳を……!
遠方……ソーマタージが出陣を果たした本陣とは真逆……からの大爆音、それと立ち昇る煙。ややあって到達する衝撃波と巻き上がる砂嵐にそれは中断された

『……なんだ、今のは……あそこは本陣じゃないのか』

傭兵達は気がつかないが、越境者はそうではない
世界を渡る際の機微な、空間の揺らぐ様な……早い話が、越境反応。それも爆破が起こるほどの強引な
周囲の兵達はまるで時が停止した様に、黒煙を茫然と見上げている

「……」
「……お仕事、私の依頼主……居なくなっちゃったっぽいっすね……」

むぅ、と構えを解くユノ
無論一方的な武装解除に過ぎない故に、ソーマタージがそれに従う理由は皆無ではあるが

363ソーマタージ ◆P2bEA4mHeU:2019/05/16(木) 00:10:10 ID:???
>>362
「使えたらよかったんだけどな。ステ振り間違えたんでな」
酸素供給機に隠された不敵な笑いは、精神を落ち着けるためのもの。
人から魔に成り果て惑う彼は、結局のところそこまで狂えない。調子を合わせるだけで狂気は底をつく。波長が違うのもあるが。

「昔取った杵柄さ……!」
竜巻同士の衝突事故じみた、ミニマムな凌ぎ合い。散る火花、弾ける鮮血はある種の爽やかささえ伺わせる。
気圧されかける精神を狂気が塗り潰す!作った哄笑と雄叫びが口から漏れる!揺らめく残像は宛ら地獄の鬼炎めいて、ユノに朧げに重なっては何かを奪うか、奪われる。

「フィナーレだ───!」
静かな宣告。このまま戦闘不能に追い込むべく、弾かれ宙を舞った匕首を逆手に取った。
唸りを上げて襲いかかる黒い切っ先は、クロスカウンターめいてユノの鎖骨の隙間を狙い───止まる。


「……越境?」
ポカンと黒煙を眺める。強大な何かが来たと、越境者としての感覚が告げている。
敵の本陣がどうなったかは分からないが、恐らく無事では済むまい。どうする?と言いたげにユノの方を向いて肩を竦めると、コートの肘で挟んで血脂を拭い、匕首を懐の鞘に収める。

「……もっと強い奴が来てるかもな。こっちについてみるか?物は試しだ」
戦う気が無いなら、こちらも戦うつもりはない。友人相手なら。 冗談交じりに共同戦線を持ちかけるのであった。

364ユノ・ダルク:2019/05/16(木) 20:08:20 ID:???
>>363
「……スクラップヤードで、続きをしましょうっす」

ユノの拳とソーマタージの刃が交差し、まるで彫像或いは絵画めいて制止する
そのままの姿勢で提案するユノ、煌めく眼差しは純粋そのものだ。彼女は真っ直ぐに狂っていた

「まぁ、今はそうっすね」
「報酬が貰えないのは悲しいっす、一応確認も含めて行ってみますっすか」

言うが否や、未だ狼狽と混乱から抜け出せぬ傭兵達を掻き分け投げ飛ばし踏み越え飛び越え一直線
小規模なクレーターが形成され、燻る爆心地へと辿り着く頃には既に手傷も塞がりかけている

『……けほっ、けほっ、もー……』
『もう少し、その……陸山さん……丁寧に出来ないものですかね……?』

壊滅した本陣、死屍累々
煙の中から這い出て来る、ぐるぐるメガネに白衣姿の人影
所々焼け焦げ髪はくるんくるんに跳ねている
バイスや典宮陽梨を名乗り、しかしソーマタージからすればどう見ても久々登場のギャラエそのひとであろう

【……ふ、ふふふっ、失礼、しました……大変……でも、でも……そのお陰で、フフフっ……】

もうひとり、否、もうひとつ
あとを追う様に煙を斬り裂きぬめり出でる存在
全身を覆う白銀の鎧……否、科学アーマー?
手にした大型物理ブレードは理壊エネルギーの奔流を放電めいて纏っている
陸山と呼ばれたソレは、ソーマタージとユノを目視すれば完成された四肢を歓喜に震わせた

『……ん?』
『げ、ソーマタージ……?下手すると出落ちになる予感がしますねこれは……』

一方ギャラエは苦い顔、苦手意識があるのだろう

365ソーマタージ ◆P2bEA4mHeU:2019/05/16(木) 20:38:29 ID:???
>>364
「ヤダ」
即答である! ともあれ、これ以上続ければ本当にどちらかが死にかねないので助かった。
疲労がどっと来た気がする。あくまで気のせいだが、元気になれないのに変わりはないので、ユノが蹂躙しつつ通った跡を堂々と歩いていく。
まだ動ける己の軀が恨めしい。こんなんだったら新調なんてするんじゃなかった。
「腹痛くなんーかな俺」


「煙草やめっかな……」
やがておっとり刀で駆けつける頃には、わざとらしい疲労の色を見せて溜め息。酸素供給機の外れ、剥き出しの素顔で辺りを睥睨。
いた。陰謀の糸を張り巡らせる毒蜘蛛。相容れぬ存在。なんだか久しぶりなお邪魔虫。

「………………………………ギャラエ………」
遮るように手をかざしてから口元を隠し、首を捻り、両手の指でこめかみの辺りをグルグルし、口の中で小さく呟き天を仰いでたっぷり十数秒。パッと閃いたように指を開いて向き直る。
今の今まで忘れていた事を隠すポーカーフェイスで、目の前の女の名を呟いた。まだギリギリカッコつけれたと思ってる。

「隣のは?サイボーグ忍者か?ハンガーは好きか?」
フン、と鼻を鳴らし、顎でしゃくるのはギャラエの引き連れる人物。恐らくは機械生命体などではないだろう、“完成”しきっている人間だ。
以前七八そっくりの人物を連れていた事を思うと、その類なのだろう。それを差し引いても、異様な姿は初めて見るものだ。
どこぞの誰かの魂の同位相体、合わせ鏡の中の鏡像の一つだとしても、正体は矢張り掴めなかった。
分かるのは、隣の少女の持つソレと同じ類の狂気を宿しているであろうという事のみ。死合と切磋琢磨の殺戮をこそ望む、生まれながらの修羅であるという事のみ。

「その便器みたいなカラーリングのおべべが汚れつちまつ前に帰りな。お友達のギャラやんも、今なら両手の指を全部折るだけで許してやるから」

366おんも:2019/05/16(木) 21:19:59 ID:???
>>365
『……大丈夫ですよ、別に。忘れられてても』
『私、めげない挫けない、元気印がモットーなもので』
『ああでも大丈夫、私は忘れていませんよひととき足りとも貴方の事を。これって恋?え、ホントですか?』
『指を折られるのはご勘弁です、私って自分の体の自身がある所って手がキレイなとこだって思ってるんですよね、ほらほら、見ます?』

ケラケラ嗤いながらの応対は空虚な言葉の数々に飾られる
一方ソーマの隣立つユノは初対面故に小首を傾げるばかりだし、完成している陸山は戦意満ち満ち今にでも襲い掛かって来そうな剣呑を醸し出していた

【……典宮女史、いい……いいです?いいですよね……?】
【その、私……もう……】

『はいはい。ソーマタージさん、お仕事頼んでもいいですか?』
『……コレを無力化して下さい、寝癖が悪い子をキチンと寝かし付けて下さい』
『報酬はキチンとお支払い致しますので』

深々と頭を下げてのお仕事要請、半人の所作と違って全くの慇懃無礼そのものである

『あ、言い忘れていましたけど』

頭を上げればにこやかな嗤み、隣り合った完成体は足元に小型のクレーターを形成し影を置き去りにソーマタージとユノへと駆けている

『拒否権はないです、悪しからず』

「……!!」

反応するユノ、しかし完成体の方が一歩上を行く初速を有する!
横薙ぎ、そしてケンカキック!血の軌跡を描き吹き飛ばされるユノ!
貪婪に煌めく瞳でソーマタージを睥睨、恐るべき剣圧を持ってして斬り掛かる……恐るべき剣圧?
否、そうではない、剣圧で言えば例えば鈴虫はその遥か上を行く
ならば技能は?此方もロイや半人と比べれば天地と言えよう
だと言うのにユノを即座に圧倒し無力化しているのだ、つまり何かしらの手を隠したままソーマへと向かった!

367ソーマタージ ◆P2bEA4mHeU:2019/05/16(木) 21:51:42 ID:???
>>366
「それは最早愛だな。リアムギャラガー君」
空虚な言葉でカラカラ嘲るギャラエ。彼女を知らぬらしいユノには、ツンツンと突いてからコソコソ話。
「あいつバカなんだ。おバカ」

「おいお前。自分のペットの躾も出来ねーのか?
 ワンちゃんダメ。ステイだステイ。ダメ!」
指でバツを作るかのようにピシピシ合わせて挑発。ギャラエの言葉など耳に入っていないかのような振る舞い。
彼女らと違って戦いに高揚を覚えられぬ彼は、こうして見せかけだけでも上に立つ事でしか戦いに臨めない。
ここに来る前に拾っておいた刀の事を一瞬考えたその瞬間、敵は動く!


「ペットの始末は飼い主の仕事だろうが───!」
ギャラエに怒鳴る。隣のユノが吹き飛ぶ。成る程、この瞬間を見る限りでは恐るべき戦闘力。
───否、剣圧は狂気の極点に位置する鈴虫の物と比べれば、そよ風に等しい。斬りかかる動きは、半人やロイを始めとする熟練の戦士と比べれば、拙ささえ覚える。
どちらも、それだけではラスボスに成ろうとし、またそれだけの力を持つユノを無力化するには不足しているだろう。だが、敵はそれを成し得たのだ。

《Ready》
キーンという耳に悪い電子音と共に、腰の電磁鞘は起動。東方の高速抜刀術居合の構えでソーマタージは抵抗する。
その手の中では黒い刃の柄が半回転、神武の超鋼を思わせる硬度の峰が、横合いから殴りつけようとブレードへと迫る!
敵は何か、思いもよらぬモノを隠し持っている。正体も分からぬまま鍔迫りに持ち込むのは危険と判断したのだ!

襲い来るブレードを弾き逸らして流し、隙を作って意趣返しのヤクザキックを放つべく行われるそれは、近いものを挙げるのならパリィと呼べる。
……熟練のランナーなどの用いる動きと比べれば、真似事にも値しない荒々しさだが。
ただサイボーグの怪力を以って、刃を防ごうとしているその表情は、いつの間に装着されていた酸素供給機に阻まれて窺えない。少なくとも、彼女ら闘争狂と違って悦んでいない事だけは確か。
「何という日だ!」

368おんも:2019/05/16(木) 22:13:55 ID:???
>>367
尚、耳打ちされたユノは成る程と合点がいった様に手のひらを叩くのであった
根は素直で良い子なのだ、ただ闘争を好むだけで

【……ンぐぅっ!?!?】

立ったままの姿勢で体をくの字に曲げて吹き飛ぶ完成体
二本の足で地を掴んだままなのは類稀なる身体能力がそうさせているのだ、バランスも良い

【グ、ぅっ……なる、ほど、成る程……】
【犬扱いするだけ……えぇ、ありますね……】

瀉血を親指で拭い不敵に口元で笑みを湛える
ギャラエは遠巻きに眺めているし、ユノは目を回してノックアウト
傭兵達は相変わらず混乱の只中にいるし、風は矢張り赤い砂を巻き上げて踊っている
雲が遊び、切れてカタチを変え、陽光がふたりを祝福めいて指し示した今

【……いい、嗚呼……矢張り、世界は素晴らしい……】
【存在格、同調……!!!】

恍惚に鼻血を垂らし、獣めいた構えから再度斬り掛かる完成体
その速度は先よりも遥かに疾風く、重さは増して、尚且つ洗礼されている
早い話が、明らかに強い!それを持ってしての袈裟斬り、そして肩からの体当て!

【素晴らしい日です……!!】

369ソーマタージ ◆P2bEA4mHeU:2019/05/16(木) 22:27:21 ID:???
>>368
「濡れたか?」
リン、と高周波振動が空気を斬る音。構え直したソーマタージは、歯嚙みを隠そうともせずに強がった。
浅い。否、それ以上に敵が強い。相手の類稀な身体能力が、倒れる事を防いだのだ。
油断なく切っ先を向けたまま、円を描くようにジリジリと横に動いていると、完全体は動く!


「ッ!?」
疾風い!強い!先程と人が変わったかのように!
迎撃に振るう攻防一体の刃。ブレードと打ち合い、弾かれる!一拍遅れ、剣気に当てられたコートに一本の線が走り、ハラリと重力に従って開いた。
チラと聞こえた言葉を受け、合点が着いた。敵は何も隠し持っていない。ただ相対した者に合わせて強くなるだけなのだ。

「ガッ……!」
ニューロンの思考を途切れさせる体当たり。車両にぶつけられたかの様な衝撃に内蔵フレームが軋み、肺の中の空気が漏れる。
数cm浮き上がる足。ギンと鋭い眼で睨めば、地を穿かんばかりに踏み締め、刀を持ったまま完全体の身体に蛇の如き素早さで手を回す!

「───オオオッ!」
それは荒々しい投げ技。児戯のじゃれあいじみた力任せの動き。
しかし怪力、殺意を溢れんばかりに湛えたそれは、掴まれたが最後、万力じみた怪力で抑え込み、頭から叩きつける様に自分ごと放り投げ、無慈悲なマウントを取ろうとするだろう。
「死ぬにはいい日だろうさ!」

370完成体:2019/05/16(木) 22:44:26 ID:???
>>369
【嗚呼……矢張り……】
【……、っ!?!?】

ブレードを構えたまま悦に浸る
その様相は矢張りマトモとは遥かに異なっていた
ユノよりも露骨に、それは狂っている
そうしている合間にも絡みつく腕!対応をしようにもブレードでは得物が長過ぎる!リーチが裏目!
後頭部で激しく地面と衝突し、精悍な顔を顰めるのが薄透明のバイザー越しに見て取れるであろう

【……】
【……貴方、貴方……その、お名前は……?】
【私は、名は無く……ただ、完成体、と……】

しかして直後、近い場所で微笑みを浮かべ、カタチの良い唇は艶やかに動く
ブレードを保持してはいるが両の腕はソーマタージの足の下にあり、マウントポジションとしては最良のカタチを取れたと言っていい

371ソーマタージ ◆P2bEA4mHeU:2019/05/16(木) 23:39:45 ID:???
>>370
「ツゥ……ッ!」
衝撃による痛みに呻くのはこちらも同じ。しかし腕の力を最後まで緩める事はなく、バイザー越しに合わせる目は冷淡な敵意に満ちたもの。
刀を持たぬ手を硬く硬く握り締め、振り被る。相手が何かを言うのが聴こえた。


「生まれは中国、家は大道芸の傀儡戯の一族だった」
「ひどい名前だな、親から生まれる事を望まれてなかったのか?」
近付く微笑み顔、顎の下を擽ぐるかのように指を沿わせつつ少しばかり引き寄せ、地面との間に隙間を作ろうとする。
冗談っぽく静かに鼻で笑えば、バイザーを粉砕せしめんと、顔面を正面から打ち据えんとバンカーバスターめいた拳を放つ!

命を奪うにしろ奪わないにしろ、意識が邪魔だ。鼻っ面を狙う拳は、マトモに当たればバウンドして地面にぶつかり、二重の衝撃を整った顔の奥の脳髄に与える事だろう。
失敗するなら何度でも打ち込むまで。敵の反撃を許さぬ程に速く。そこにあるのはユノや目の前の敵のような歓喜でもなく、幾人かが抱える哀しみでもない。
余計な感情を削ぎ落とし、戦闘躯体としての役割を果たそうとする意識の残骸のみ。

「───名乗る名も、相手も棄てた。殺しの秘術師(thaumaturge)とでも覚えとけ」

372完成体:2019/05/17(金) 21:38:08 ID:???
>>371
顎をゆるやかに持ち上げられれば、官能的な笑みは変わらずにそのまま
熱っぽく艶やかに、ほうと紅色の吐息を漏らすのは直後にして直前、拳の激突する寸前の出来事だ

【……親?……どうでしょうか、余り私はぐぶっっ!!】

小首を傾げ、まるで日常会話めいたトーンで続ける内に阻まれる言葉
顔面を打ち抜く拳はその鼻を砕き後頭部をしたたかに地面に跳ねさせた!

【おぼ、っ……おぼえ、まし……た……】
【……嗚呼……なんて、ステキな……】

『あ、あのー……』
『出来れば、殺さないで欲しいなー、なーんて思うんですけどー……』

ダメ?と苦笑混じりに尋ねるギャラエ
それでも一応銃を取り出している所を見ると、これ以上のオシオキを成すにはもう一戦を重ねる必要があると言った所であろうか
更にギャラエの背後には次なる越境反応……大凡彼女の私兵であろう……が輝いている

『……報酬は出しますから、ほら、これとかこれとか……』

透明感のあるイラストがキレイな煙草の箱、パピコの縦半分(要するに食べかけ)、カップヌードル味噌味
さまざまなアイテムを放り投げて、最後にひとつ
大型の物理ブレード、ブルームーンのアッパーバージョン(硬化版)『ブルームーン・ディストーション』

373ソーマタージ ◆P2bEA4mHeU:2019/05/18(土) 12:26:56 ID:???
>>372
近付く顔と顔。耽美ささえ思わせるほんの一瞬の光景は、無粋にして無慈悲、そして悪趣味なまでに力強い拳に文字通り破壊された。
戦慄く腕に眼を細め、いつの間にやら酸素供給機の外れていた素の顔で息を吐き出す。
「シィ……ッ!」

「覚えんなよ。どうせこれからおっ死ぬんだ……」
硬い手を再度握り、無慈悲な撲殺の構え。背後から感じる気配への微かな逡巡の後、拳を下ろした。
流石にこれ以上の連戦は厳しい。損得勘定で考えれば、十分な戦果と言えるだろう。
鼻を鳴らして立ち上がると、服に付いた埃を払い、完全体には目もくれずにギャラエへとゆっくり向かった。


「俺が殺さないでおくべき理由を教えてくれ」
ぽいっちょぽいっちょと放られる物の一つ一つを吟味。煙草は懐に収め、最近暑かったのでパピコはありがたくいただく。カップ麺は背嚢にも収まりきらないので投げ返した。
そのうちの一つ、アッパーバージョンのブルームーンには眉をひそめる。既に得物はあるが、何かに使えるだろう。
気軽に渡せるだけ、予備が腐るほどあるのか。芽生えた疑念は捨て置いた。
「加工とか出来るかなこれ………」

「いいだろう、今回は見逃してやるョ。 だが次そのツラ見せたら、削ぎ落として見せたくても見せれないようにしてやる」
大型剣を背中に担ぐようにして保持。一歩、二歩おどけるようにして下がれば、ノックアウトされたユノを米俵めいて担ごうと、しゃがんで手を伸ばす。
その間も、一切の油断はなくギャラエを見つめたまま。まるで羆でも相手取っているかのようにゆっくりと後ろ向きに下がり、やがては本陣に帰る事だろう。

「それとも、大剣スタイルに鞍替えしようかしら。ダンテみたいに。ルドウイークみたいに」

374おんも:2019/05/19(日) 00:17:36 ID:???
>>373
『……流石、人間が出来てますねこの色男さん』
『実際の所、陸山さん……あ、これ(完成体)の昔の名前なんですけどね?……をヤラレちゃうと結構困るんですよ』
『バイスなら幾らでも補充出来ますけど、これはオリジナルですからね、戦力として貴重貴重重畳貴重』

ブルームーン・ディストーションはベースと基本は大差ない造りである
故に、スクラップヤードの工匠達にはある程度それに対する知識が広まっており、改造も可能であろう

『あぁ、早い話が好きにしちゃって大丈夫ですからねそれ』
『ノーマルのブルームーンより10%も軽くて、強度も増し増しです。因みにパピコはコーヒー味』
『……やだ、そんな見つめないで下さいよ、照れちゃいます』

ユノは目をくるくる回して気を失っている
ケガの度合いとしては既にラスボス体質による回復を終えている模様
目覚めれば飢餓感に近い空腹と気絶するような眠気に襲われる事であろう

『スタイル変えたらスキルもキチンとセットし直さないとですからね、ウッカリ忘れないよう気をつけて下さいね』
『……じゃ、私「達」もこれで』

頬嗤みながら手を振り見送るギャラエ
その背後には世界を渡りやって来た数人の私兵達

『……あの、誰か、手伝ってくれませんか……いや、初登場で格好付けないのは分かりますけど……』

完成体をおぶるが無論アーマー分重い
産まれたての子鹿めいて私兵に助力を求めるのであった


そんでもって本陣


『……』
『まぁ、結果としてこのシマはオレ達のもんだ』
『よくやった、金は……あぁ、金よりコッチなんだったな』

ほらよ、と貴金属や麻薬等々を受け取る事になるであろう
越境時にもこれらはある程度普遍的な価値を約束し、実に便利なアイテムと言えた

「……むぅ、早くリベンジやりましょうっすよー……」

とは意識を取り戻したユノ、ソーマタージの袖を引っ張り甘える様でいて殺し合いの続きを望むのでありましたとさ

//長期に渡ってありがとうございました、一先ずこれにてお疲れ様です!また宜しくお願いしますー!

375ソーマタージ ◆P2bEA4mHeU:2019/05/20(月) 21:13:09 ID:???
>>374
「あざっすと言わせてもらおう」
皮肉げに鼻を鳴らし、オリジナルとの言葉に眉をひそめる。
話ぶりからして、彼女の用意しているモノはクローンとはまた違う何かだろう。この修羅が存在する限り、これと同等のモノがいくらでも現れかねないという事か。
ユノを担ぐ指に、知らず力が篭る。矢張り今ここで鏖殺するか?───否、動けなくなった戦闘員がこちらにはいる。

「ハーイチャイチャイ、二度とツラ見せんじゃねーぞスカタンが。さよなら三角くたばれ四角」
「……アーマー脱がせれば?」
血の混じった唾と共に吐き捨て、神妙な顔でツッコミつつ彼も退いた。


「ぜっっっっってェーーーヤダ」
袖を引っ張るユノには目もくれず、報酬の確認をするソーマタージ。まずまずの儲けだ。
ふと思うのはついでに持ち帰ってきたブルームーン。忘れていたが、以前もギャラエの仕事に雇われた報酬として、一振り貰っている。これより前の世代のだが。
スクラップヤードの蜥蜴人間、彼ならば或いは……。静かに、厳しい顔でソーマタージは一人考える。

「……ネーどうせ甘えるんだったらもっと可愛げある要求にしてくんない?」
ついでに、自分の身の不幸の事も。


//こちらこそありがとうございましたっ 乙ありーなのです

376『聲』 ◆P2bEA4mHeU:2019/05/21(火) 22:27:42 ID:???
【狭間のスクラップヤード 現地時刻01:21】

───ソーマタージが引き戻され、数日後。
因果を拒む怨嗟は鎮められ、彼は再びこの地に戻された。肉体の傷、損耗はナノマシンによる治癒と修繕により回復し、今では稼働直後とそう変わらない体調を取り戻した。
あの時の事はすっとぼけ、揶揄し、話を逸らすその様子を見て、何人かの越境者は元に戻ったと断じ彼を自由にしてやった。
またいつもの日常が戻ってくるのだ。死と隣り合わせで、尚も固い信頼で結ばれた一期一会の修羅達。──自分にとっては、倦んだ世界という名の檻。

「…………」
スクラップヤードの外れ。ガラクタも少なく、小高い丘のようになっているそこの頂上には、物質の越境の際に一緒に引き摺り込まれた、枯れたニレの木が佇んでいる。
静かに降る小雨の下。ソーマタージは───一匹の修羅は、革手袋に覆われた手でその樹皮を撫でる。ゴツゴツとした、枯れ果てた命の跡。元の世界で、この木の事を知っていた者はいるのだろうか?
死という終わりが得られなかった今、再び男は肉体の檻に閉じ込められた。噴き出た自我が、敗れ意識を手放しかけた隙に彼を封じ込めたのだ。


佳き隣人、佳き仲間。あの日、あそこに現れた者達は、ソーマタージの存在を認めた全ての者達は、きっとそうなのだろう。
その中に自分が入らないのはもういい。受け入れられる事をしたとは思っていないし、そんな資格があるはずもない。
馴れ合う相手も世界も失った彼に許される事は、永遠の牢獄で他人の営みを眺め続ける事。無様な自分が願った罪を内から見つめ続ける事。
分かっていても───酷く堪えた。 忘れ去られ、自分という存在を認識するのが、自分一人だけだという事は。

「……クク、ク……」
木に額を押し付けて、嗚咽に似た嘲笑を漏らしていると、気配を感じた。振り向けば、見知った顔。
雨に肩と頬を濡らし、男は努めて戯けた様に肩を竦める。ソーマタージならこうするのだろう。
「……どうした?もう寝る時間だろ。じさまが腹でも痛めたか?」

377タェンティース:2019/05/21(火) 23:17:18 ID:???
>>376
「好きなんです、こう……」
「雨の夜、静謐に沁み入るような水音……」

半人はなんなら根暗である
故に晴天の青空よりも尚、このような夜を好んでいた
最もノーテンキな部分もある為、晴れも曇りも雨もある程度は好きなのだが
まぁそれはこの際どうでもいい

「……如何、如何致しましたかソーマ様」

常とやや異なる狂人を前に目を細める
傘を掲げ、雨を退ける為に彼にかざした

378『聲』 ◆P2bEA4mHeU:2019/05/21(火) 23:37:56 ID:???
>>377
「月光花か? 古い歌だ、忘れろ」
自分で言っておきながら手を軽く振り、意識の外へ追い出すようなジェスチャー。
差し出された傘を一度チラリと見ると、拒絶するかの様に手のひらを向けて下ろした。

「どうも。このソーマタージはいつも通りだし、あの日の事はいい思い出となって浪費されていくのだろう、って思ってな」
目を合わせずに滔々と言うのは半分本当の誤魔化しの言葉。“ソーマタージ”はいつも通りだ、朝になれば、この時間の事など忘れたように振る舞うだろう。気の触れた様に。
───少しだけ振り返って半分だけ見せた顔は、あの日の気配を多量に含んだもの。死を望んでいた時と比べれば、まるで萎びた様に覇気も生き苦しさもないが。


「……お前は、昔の事を覚えているか。“こう”なる前の…自分のいた世界の事を。自分を取り巻いていた連中の事を」
ふいに口を突いて飛び出たのは、なんて事ない、しかしそれでいてどうにか吐き出したかの如き問い掛け。
越境者となる前にいた世界の記憶は、人によりけりだ。越境の拍子で記憶を喪くした者もいると聞いた事があるし、単純に忘れてるだけという事もある。
男の場合は、何も忘れる事が出来なかった。過去の情景にいつまでも囚われ、過ぎ去る一瞬の中に永遠を見つけようとして、世界を越えていた。
その代償として、男の事を知る者は誰一人いない。皆が知っているのは『ソーマタージ』だ。皆の記憶に残ったのは『ソーマタージ』だ。この醜い罪人ではなく。

「人が本当に死ぬのは、誰からも忘れ去られた時だという。誰からも存在を認識されず、記憶にこびり付いているのは他ならぬオレだけなら、果たして生きていると言えるのかな。
 ……戯れ言だ。寝付きが悪いもんでな。 この事は忘れた方が、オレにもお前にもいいんだろうさ」

379タェンティース:2019/05/22(水) 00:03:25 ID:???
>>378
「月光……この腐敗した?」

世界に落とされたアレをイメージするらしい、半人的には
ともあれお節介に、拒絶を受けても尚傘をぐいぐいっと寄せる
過去や、それに近い何かを想うモノ特有の面の翳りを微かに見た気がして目線をややナナメ下に逸らした

「昔……です、か?」
「……えぇ、まぁ……覚えています、記録しています……」

半人の無機的な部分も、有機的な部分も、それを忘れる事はしない
過去の一切全てを引括めた上で、半人は半人として完成するのだから

「……ふ、ぅむ……?」
「生死の事情を、わたしは今一つ理解を完了させてはおりませんが……」

ただ、と右腕を伸ばす
線細く、陶器のように純白の肌の腕でソーマタージの頬に触れようと

「その言葉に真実性を証明させる事が不可能な以上……」
「……わたしは、わたしの目の前にいる存在を【生きている】と確実に認識致します」
「あなたが例え、何者だとしても」

忘れる事は難しそうだと苦笑をひとつ

380『聲』 ◆P2bEA4mHeU:2019/05/22(水) 00:45:14 ID:???
>>379
「いや鬼束ちひろじゃなく…いいやもう」
どこか抜けた空気もおしまい。傘を差し出されれば、今度ははっきりと拒絶するかのように押し戻そうとするだろう。
雨に濡れたままでいる事をよしとする、押し付け合いじみたやり取り。

「───そうか」
短く返していると、濡れた頬に触れられた。瞳だけを動かし、白い手を見つめる。
その肌は、体温を奪おうとするかの様な冷たさをかんじさせるだろう。冷却器官の存在を差し置いても、冷たすぎるもの。
生きる事を望まぬ者は、これ程まで冷たくなるのだろうか。かの魔王が地獄の底で永遠に凍えているのと同様に。
触れる手を振り払う仕草は、あくまでそっとどかすようなもの。数歩歩んで苦笑に濡れた背中で返すと、男は腰の刀に手を掛けた。


「オレはここにいる資格も無い男だ。死ぬ事も出来ず、ただこうして倦んだ日々を眺め続ける。
 救いを齎すオレにとっての弥勒菩薩はもういない。皆、消えた。誰も覚えていない、誰もオレを知らない世界で、何も出来ず生き続けるのが罰なんだ」
静かに語り終えると、男は振り返り刀を抜いた。黒い刀身は雨に濡れて遠くの光に照らされ、ボンヤリと表面を白く輝かせる。
刃を突き付けるその顔は───困ったような、今にも泣きそうな、そんな笑いだった。どういう貌をするべきなのか、もう分からないのだ。この永い夜は、彼の中のものをこそぎ取っていった。

「───それでも、もしも赦されるのなら───」
「せめて、覚えていてほしい。ソーマタージの陰で地を這う業人がいた事を。どうにも出来ず、諦めきった屑がいた事を」
高周波振動は滴る雨粒を瞬時に蒸発させ、白い蒸気を微かに立ち昇らせる。表情に影の差したと思えば、次の瞬間にはフラットな形状の酸素供給機が半分ほどを隠した。

「───オレは三橋翼。機械仕掛けの道化。 最後ぐらい、無様に滑稽に、銀の煙の中で踊り切ってやるさ。付き合ってくれるのならな」
鋭い眼を向け、男は静かに構えた。結局のところ、彼に出来る事と言えばこれだけなのだから。

381タェンティース:2019/05/22(水) 19:58:11 ID:???
>>380
「好きなんです、わたし……」
「……っと、奇遇ですね、丁度雨に打たれたい気分でした」

ジャンル的に根暗系御用達である
ともあれ無言で傘を押し問答、ややあって諦めて窄める
濡れる道を選ぶのならば諸共というやつなのだろう

「存在そのものに誰かしらの許可、資格が必要だと言うのでしたら」
「そして、あなたに咎を架すモノがいるのだとしたら」
「……わたしが斬ります」

人差し指でまるで唇に触れるように刃先に触れて優しくなぞり、半歩身を引いた
呼応するように引き抜く漆黒の刃、雨に濡れた鴉の嘴めいて夜曇天に鈍く輝く

「……!」
「三橋……翼、翼さま……」
「……素晴らしい、御名前です……」

目を見開き反芻、鸚鵡返して艶やかに微笑む
突き付けられた高周波の刃、月光の刃がそれに静かに静かに刹那、触れ合って鈴金鳴

「……ふふ、奇遇ですね」
「……丁度……踊りたい気分でした、この雨の下で。碧っちょろいダンスを」

構えは異なる、しかし鏡写しの武気を纏い戦備
全てにおいて厳格的な太陽は眠りこけて久しい
白銀の共犯者は雨雲だけだ、無傷で過ごす事だけが正路ではあるまい
スタートのシグナルが遠雷として鳴った、春の夜の嘶きが
半人は、タェンティースは全くの加減や手心と無縁に踏み込み決断的に袈裟斬りを放つべく月光を振るう。この戦話にこころを震わせながら

382『Silver Bullet』 ◆P2bEA4mHeU:2019/05/23(木) 00:46:06 ID:???
>>381
撫でる刃は高周波振動による高熱を帯び、ずっと触っていれば火傷してしまいそうな程。
死を乞う後ろ向きな自我と、火の付いたガソリンの如き苛烈な殺人衝動。相反するはずの二つのように、男の身体と刃は正反対の要素を持っていた。

「呼んでくれる者はもういない。どの道、これが最後となるしな。───自分の名前を褒められたのは、これが初めてかもな」
フ、と静かな笑いもすぐに潰え、ピリピリとした緊張が周囲を満たした。
細めた目は喜色ではなく、臨戦体勢の表れ。一度手首のスナップを利用し、円を描くように刀を振るい収める。
居合じみた構えは、投降のサインではない。殺戮遊戯の兆候。

「斬ってみせろ。他ならぬオレ自身が、それを良しとしなければならないのだから」
微笑みに返すべき表情も分からないが、言う言葉はあくまで静かな、落ち着いたもの。
全ての感情をパージするかのように、酸素供給機から蒸気が噴き出した。白い煙は雨粒に混ざり、濛々と周囲を満たす。
「───行くぜ」


姿勢を低くし構える、消える!否、縮地にも似た高速移動で、振るわれる月光の懐へと飛び込んだのだ!
今まさに身体を斜めに断ち切らんと迫るはずの刃。しかし彼女が感じるのは、剣が合成皮膚と人工筋肉を斬るよりもずっと早いタイミングでのインパクトだろう。
車両事故じみた壮絶な音。その正体は、斜めに振り上げた鞘だ。強固な機構電磁鞘が、下から掬い上げるようにして袈裟斬りの振り下ろしの瞬間を弾き防いだのだ!

所謂パリィに近い動き。反動はピリピリと片手を襲うが、男は怯まない。目の位置から線香じみた赤い光の軌跡を残し、揺らめく鬼炎の如き乱打を仕掛ける。
頭上から打ちのめす、振り上げて顎を揺さぶる、裏拳じみて顔面を狙う、そして、首を狙った抜刀。
頭の中で描いた、鞘を使った三連殴打と無慈悲な抜刀術。それを成すべく、竜巻の如き猛烈な勢いで魔手はタェンティースに襲いかかる!
以前と違い、純粋な身体能力と剣戟なよる対決。圧倒的な力を振るう事は無く、故に慎重なその攻撃は鋭い。

383タェンティース:2019/05/23(木) 20:34:10 ID:???
>>382
凛然たるケツイに煌めく蒼瞳、向き合う時は僅かだがそれでも赤光の宿るそれを見つめて細まる
雨に濡れる銀の前髪が額に張り付いた、色を濃く増して濡れながら
悴んだ感覚に背筋を伸ばす

「わたしが呼びましょう、翼。永遠に記憶に留めます、あなたを」
「……行きます」

幕は上がり、ベルが鳴った

「……!!」

胸を開く格好に仰け反り歯を軋ませる
弾かれ、しかしそれでも握る手に一切のブレは皆無
体勢はそうはいかずに頭部に衝撃、ひとつふたつみっつ
直後に喉元に焼け付く怖気、自然体的所作でまるで呼吸をそうするように、向かう熊風に孤月を輝かせた
金属音、月光を防御に構えた末の衝突、激しいノイズ
薄真珠色の衝撃波がふたりの足元から拡がり、波打つ湖面めいて周囲を舐める

「っ、せ、……エェッッ!!」

押して鍔迫り合いに持ち込み……否、直後にそれは柔軟に緩み、剣尖を転じ彼の刀を巻き込み下げて体崩しを狙わんと!
ケンドー・ジツに依るところの巻き下げである!
成否に関わらず直後、頭部狙いの柄打撃から横薙ぎを放つであろう!

384『Silver Bullet』 ◆P2bEA4mHeU:2019/05/23(木) 21:26:53 ID:???
>>383
頑強な鞘による殴打。常人ならば脳を揺さぶられるか、最悪骨が砕けていたであろうが、対する相手はそうもいかない。
一切の加減無く放たれた平行の死の線は、空間すら両断せしめんばかりに宙を奔り、阻まれる!

「ッ……!」
息を呑む微かな音。舞い上がる衝撃波にも動じず、修羅は軋みぶつかり合う刃の奥から、刺す様に鋭い眼を向けた。
今この瞬間、この時間、彼は初めて彼女をしっかりと“視た”。閉幕を齎すための終末機構ではなく、一人の戦士、掛け替えのない存在、自分という存在の生き証人として。
浮かぶ気配は喜色と言うには獰猛に過ぎたが、歓喜、それと感謝が一番近いのかもしれない。終の狭間のひと時の夢。それへの得も言われぬ感情。


「そうだ、夜はもう終わりだ!宴は解散だ!このオレの莫迦踊りを終わらせてみせろ、このオレの長い夜の夢を終わらせてみせろッ!」
雨と遠雷に照らされる顔。水の滴り垂れ下がった白髪の向こうから、赤い光を放つ血走った眼。どこまでも正常で、どこまでも狂った理性の光。
絵本は終わり、迷路は行き止まった。また『ソーマタージ』と言う罰が始まる。また自分が自分でなくなる。
───それでも記憶に留めると云うのなら、存分に甘えさせてもらおう。このやり方しか出来ないが、精々記憶野の片隅にでも留めてもらおう。赦されると云うのなら。

サイボーグとしての出力は互角か、素体の差でこちらが僅かでも勝るか。鍔迫りを制するため、圧し斬らんばかりに力を籠めようとした時、流される。
力の制御が一手遅れた。数歩退がる身体、下を向いた刀を、蒼い円光が上空へ放り上げる。巻き上げだ!
そして迫る柄。ボンヤリと開いた手の上を通過し、強かに顔面を打ち据え血を飛ばす。横薙ぎが後を追って向かい───宙を切る。

殴られた衝撃のまま、回転しながら倒れこむかの様にして姿勢を低くし、刃を回避したのだ。目の先数寸を月光が通過する様を、彼は見もせずに次なる攻撃に取り掛かる。
パシャリと地面の水を散らして踏ん張り、懐から抜き放ったのは黒き短刀。もう一振りの刃。高周波匕首!
低くした姿勢により、弧を描く刃は黒い残像を残してタェンティースの胸を狙い、顔を狙って突き出され、カポエイラじみた二連の回転ハイキックが側頭部へ襲いかかる。
短刀による素早い連撃。過去得意とした戦法。水を吸ったはずの服の重さも一切感じさせぬ動きは、正に刃風の如くしなやかに、しめやかに切創を狙う!

結果如何に問わず、垂れる血を拭いもせずに手を掲げ、落ちてくる刀を事も無げに掴み取れば、修羅は二刀を構えた。秘剣と謳われる剣豪めいて。
「シィ───ッ」

385タェンティース:2019/05/23(木) 22:02:06 ID:???
>>384
「夜は過ぎてもわたしは残る」
「そしてわたしは……えぇ、忘れません……この生き生きと仄紫に息吹く宝石の一幕を」

そらに雲、花に雨、蜜蜂と遠雷、嗚呼……初夏藍風
瞳を輝かせ応じるタェンティース、しかしそれは初恋やショウウィンドウを前にした乙女のモノではない
獲物を前にした猛禽、宿敵を前にした武者、獰猛貪婪なるギラつきによく似ている

「……っ!」

彼の武芸、そして武器はよく知っている
故にそれがもたらす害意も然り、それでも回避には余りにも距離が殺された
ぞぷりと頬を抉られそのまま右耳を吹き飛ばす!血ともオイルともつかぬ液体が散った!
最初の一滴が落ちるよりも速く疾風く迫る蹴り足、カポエイラ!
右腕を咄嗟割り込ませブロック!インパクトの刹那に微か跳び衝撃を軽減!
だがそれ故に吹き飛ばされて距離が生まれる、彼我の合間に吐息をひとつ漏らす距離が

「……」

引き抜くは赤刃、背負うは虚空の六刃の月輪
雨声をあげる風、かぐわしい空気に混じるほのかな水香
見えるもの、聞こえるもの、かおるもの、それらすべての一切を受け入れ……タェンティースは色を置き去りに踏み込んだ
月と赤の二連斬撃、追従するように虚空に踊る薄透明の刃が三つ刺突の軌跡に唸る!

386『Silver Bullet』 ◆P2bEA4mHeU:2019/05/23(木) 23:04:07 ID:???
>>385
「それじゃあ最期まで、とことん煌めこうか───!」
軽やかに蹴り足を地につけ、数度確かめるように、特殊ゼロニウム合金製の硬い爪先で、濡れた地面をトントンと叩く。
爛々としたギラつきに静かに眼を細めると、深く息を吐く。精神集中のために。
耳を削ぎ落とした。攻めるならあちら側からか。距離を取ったまま、リンと空気を鳴らし、身構える。

残像を残し迫る剣戟!一歩下がって紙一重に躱し振り被る、X字に振り下ろす!薄透明の牙突を、斜め上から打ち砕かんと!
当然、振り下ろした後は隙が生じるのみ。少し身を捩っただけで凌ぎ切れるはずもなく、残った一枚の刃は鎖骨のすぐ下に深々と食い込み、反対側から突き抜けた。
赤い人工血液が飛沫となって飛び散る。それよりも速く動く。


パッと放される手。勢いの乗った双つの刃は、ほんの少しばかりの時間円盤を形成し地面に落ちるだろう。
───それよりも速く、疾風く。野生動物めいて覆い被さるかの如く、上空から襲う手。空中で指が交互に絡み合い、大きな握り拳となる。
最接近戦では大型ブレードも、刀も、短刀でさえも邪魔となる。振り抜いて踏み込んだタェンティースは、既に此方の間合いだ。

「甘いッ!」
背中側からは両手による隕石じみたハンマーパンチ、同時にプレス機めいて挟み込むように腹を狙うのは、重い膝蹴り。
サイボーグの怪力で両側から叩き潰し、相手の内臓にダメージを与える、無慈悲なる暗黒喧嘩殺法!身に染み付いた殺しの動きに従い、続けて後頭部へ叩き込むような胴回し回転蹴りを放とうと跳び上がる!

387タェンティース:2019/05/23(木) 23:40:11 ID:???
>>386
「えぇ、えぇ……」
「わたし達は……」

剣戟、虚空の刃を交えた必殺の協奏曲は揺れる
燃える焦熱を乗せた刃達は致命の路を歩み逸らされ、水滴を切断し弾くに終わる
それでも虚空の一刃が捉えた彼の肉体、噴き出す深紅……
落ちる肉弾のふたつに大気が震えた、処刑台を建てるにもこれほど鈍いこだまはすまい
拳と膝に挟まれくの字に体をひしゃげ、見開かれる眼に血を吐く唇

「ぅぐぇっ、ぇぇっ……!!」
「……っ、セァアアァァッ」

宙を漂うまばたき程の刹那、隕鉄めいて襲い来る回し蹴りを上半身の稼働で躱す!頬を掠める疾風、波動!
続き着地と共に低い姿勢からの打ち上げ柄打撃!
そのまま腰を捻り大鎌めいて襲う後ろ回し蹴りまでの連続ムーブ!意図返しにも似たり!
格闘戦技ラヴレス拳がひとつ、散月(スプリットムーン)!

「わたし達は……その為に生きているのだから!!!」

血を口の端から流し、腹部と背部に激しい打撃痕を負い、耳と頬を抉られ、それでも凛然たる立ち振る舞いに翳りは皆無!
今この時、この場面、タェンティースは確実に生きているのだ。誰よりも……何者よりも、生き合っているのだ
風は鳴き、鈍重雲は流れ、カタチを変える……ひとのいとなみなどまるで意に介す事のないように
踊る、輝く、煌めく……ふたりの機人の、暴力というタクトは嬉々として振るわれ続ける
いちめんの、熱い光の雨の中で

388『Silver Bullet』 ◆P2bEA4mHeU:2019/05/24(金) 00:21:09 ID:???
>>387
振り下ろした脚は彼女の頭があった位置を素通りし、打ち鳴らされる太鼓の様に大地を揺らす。
片足の踵を地面に付けた不利な姿勢、隙を晒したのはこちらだ。羽撃く猛禽めいて素早く動くが、間に合わない!
両手を泥に叩きつけ、迎撃のメイアルーアジコンパッソ。打ち上げる柄を蹴り飛ばしながら立ち上がる頃には、死神の鎌にも似たソバットが迫る!

「が…ッ、くゥゥウ……!」
顔面の中心を叩かれ酸素供給機が砕ける。鼻血が噴き出し、グルンと回った瞳に釣られ、視界があらぬ方向を捉える。
たたらを踏みながら数歩下がり───持ち堪える。血と雨に濡れた身体に、同じく翳りは皆無。あの時と同様に、死力を尽くし切るまで終わらない、終われないのだ!

「そうだ……、それでこそだ……!」
タェンティースの方を向いたまま後ろ向きに下がり、血泥に塗れた顔でしっかりとその生き生きとした眼を見据えたまま、刀を拾う。
戦いに歓喜を感じるには彼はまとも過ぎたし、自分の行いを止めるには彼は狂い過ぎた。小賢しい選択を、血に濡れた彼の過去は許しはしない。
出来る事は、後に遺す事。そのためにこうして同じ所まで上がったのだ!罪深い殺人鬼の、小さく惨めで、全力を尽くすに足る願いのために!


「ここからはハードモードだ……。オレにも、お前にもな。
 そいつが嫌なら、今の内に死んでおけ───ッ!」
どうにか吊り上げた頬に、チラリと覗く素肌に黒い血管網が奔り、爆発的な熱波が辺りの水分を蒸発せしめんばかりに球形に撒き散らされた。

その姿は機械仕掛けの醜い悪魔。内に秘めた矛盾をキャンディーの如く狂気でコーティングした怪人。ナノマシンの変化による戦闘形態。
迸る紫電が雨粒を弾きとばし、赤く丸い複眼が威圧的な光を放つ。息が切れたかのように一度膝に手をつけば、ゆらり起き上がり天を仰いだ。
左腕と一体化した鞘に刀を収めると、鉛色の怪人は流れる雲に向かって怪鳥じみた叫びを上げ、飛びかかった!

「───ッツアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!」
残像を残し踏み込めば、次の瞬間怪物はタェンティースの目の前へ。先程よりもずっと速い!
鋭いジャブ、薙ぎ払うハイキック、大鉈めいたフットカッターごと振るわれる荒々しいアルマーダ。
───そして、後ろに回した手から放り投げてキャッチし、彼女の肩口から袈裟斬りに斬り裂こうと振るう匕首。それら全てが序の口に過ぎない。
紫電と黒い剣気を残して放たれる、身体能力を生かした斬撃と打撃は、戦闘開始時の暗黒舞踏じみて流麗に残酷に、タェンティースの身体を破壊しようと猛攻を掛ける。
爬虫類の肌に似た頑強な体表からは想像も付かない速度は、風に煽られる大火の如く揺らめきブレて、目にも留まらぬ速さで全身に迫る!

389タェンティース:2019/05/24(金) 21:18:00 ID:???
>>388
まるで研磨精錬されるが如くに彼我は高まり昂り、太陽と月が微睡む鈍色の夜にぎらめく
夢と恍惚の中それを享受するまなこを彼へと向けた

「……いい、いいぞ……冴えてきた……!!」

杉の木は根元の薔薇に気付かない
しかしタェンティースの研かれた感覚は今はこの殺戮空間のあらゆる物事を全知する

「ハードなのも好みです」
「……ふふっ、限界を超えて行きましょう」

ナノマシンによる変化、進化、神化を前に両の手のブレードを強く強く握る
後光めいて凛然と踊る虚空の刃は水濡に輝いた
迫り来る暴風、暴虐の大嵐を紙一重に躱し受け或いは逸らし
肩から胸に掛けての深紅が血を噴き出した
それでも不斃、タェンティースは決断的に鋭い反撃を振るうのだ
それは彼女が最も多く繰り出し、最も多く繰り返し、そして最も多くの敵を屠って来た……
単なる、しかし必殺、純粋なる技能の結晶……袈裟斬り!

390『Silver Bullet』 ◆P2bEA4mHeU:2019/05/24(金) 22:18:14 ID:???
>>389
其れは正に人の業のある種の到達点。一人の少年を魔に変え、修羅に貶め、何の保障もない怨身変化。
雨に混じって溢れる眼窩の血は、高速機動の弊害か、流せなかったいつかの後悔か。いずれにせよ、怪人が止まる道理にはならぬ。

竜巻が暴風を辺りに撒き散らす様に、激しい剣気は躱すタェンティースの肌を斬り裂こうと暴れ回る。弾かれ、また戻り、弾かれる。
吹き出る生命の液体が、隙間に入り込んだ雨粒が、千々に斬り飛ばされ霧散する!ミニマムな二人の剣戟応酬は、縦横無尽に空間を満たして何者の介入すらも許さない!
そして短刀が弾き飛ばされ、生じた隙に刃は滑り込む。ピ、と線が走った次の瞬間、赤い肩掛けが咲き乱れた。


「貰った───!」
乱れて失せた小宇宙的力場を満たすかの様に、バケツをひっくり返した様な雨粒が一度ドサリと二人とその周辺に降り注ぐ。
半開きの口腔からゴボリと零れた黒ずんだ血は、その水量に瞬く間に洗い流される。───されど、怪人も同じく不斃。
倒れこみそうになるその直前、捻った身体は元に戻る勢いを利用し、逆手に持った刀の切っ先を半人の腹に向けて勢いよく突き出す!貫通せしめんために!
振り抜いたこの瞬間、この時が絶好のタイミングと踏んだのだ。大型ブレードでは、素早い切り返しは不可能と睨んだのだ!

成否を問わず、怪人は一度膝を付く。流石に限界が近い。刀が彼女の腹腔に捩じ込まれようが、防がれようが、引き抜き振り戻し一度左腕の鞘に収めるだろう。
「正真正銘……、これがラストだ……。精々、超えてみせな……『ソーマタージ』の友人よ……!」

挑発的な荒い呼吸を数度に渡って繰り返すと、怪人は無理をして立ち上がる。前掛けの様に胸から下、地面まで汚す人工血液は、水溜りに溶けて消える。
いつしか白み始めた遠くの空。威圧的な赤い複眼で、タェンティースをジッと見つめた。彼女の動きを見るために。

391タェンティース:2019/05/24(金) 22:38:29 ID:???
>>390
地にも屋根にも軒並みに、降りしきる雨の音色、歌声……木霊のようだ
魂の対話を続けるふたり、星々の光を隠して曇色に輝き藍色の空を貪り喰らう浮遊物のたもとに於いて
アルコールよりも強烈で、竪琴の囀りよりも広漠たる戦欲の苦く焼けた朱が醸されている
腹から抜ける鋼の味を直感として察した、己の活動限界のリミットも同時にだ
故にそう、タェンティースにしても同じ事

「……」
「えぇ……しかし、それでも……」
「わたしはソーマタージさまの友人であり……翼、あなたの友でもありたいと、心からそう願います」

両腕を軽く、肘を曲げるようにして脱力、かつうなじに力を入れた立姿
無構に等しいそれは、魂の師より受け継がれし奥義のひとつ

「……ライトニング・ゼロ……!!!!」

それは後の先の究極系、能動的とすら紛う超速の反撃斬撃
零閃と呼ばれるその技は本来肉弾戦用である、その速度に耐え得る硬度の武器が存在しないのだ
だがタェンティースの振るう月の光はそれを可能にし、零の閃光を走らせる事であろう
深淵の向こう、白銀の太陽が目を覚ましかけている
螺鈿に波立つ水溜り、群青を増す森の噎せる生命の気配、散り舞う花弁の微かな香……夏は程近い

392『Silver Bullet』 ◆P2bEA4mHeU:2019/05/24(金) 23:43:17 ID:???
>>391
体液にしとどに濡れた刀。足で蹴るようにして力を込めて引き抜き、クルリと回して鞘に収める。
グロッキー状態のボクサーめいて覚束ない立ち姿は、その勢いに負けてフラフラと後方に下がる。
されど、構えに入れば芯を通された様にしっかりとその体躯は固定された。絶殺の奥義を成すためならば。

《Unknown unit has connected. System in jeopardy. Recommending immediate termination of use.》
鞘に内蔵されたシステムが、悲鳴じみたノイズ混じりの音声を吐き出す。過剰なまでのエネルギーを供給され震える。
友でありたい───その言葉に、怪人の口角が僅かに切なげに吊り上がったように見えたのは、果たして気のせいだろうか。

《EXCEED CHARGE》
エネルギーが最高値に達した。電光石火の速さで右手が伸ばされる。
畳三枚分の距離が、刹那の狭間に詰められる。赤い光の軌跡すら残像と化し、迫る怪人の手の中で刀はそれよりもずっと速く、疾風く『射出』される!
《Execution:DIE SET DOWN》


舞い上がる剣圧。吹き抜ける一閃。それは世の理すらも両断するかの様に宙を駆ける。───“三本同時”に!
圧倒的超高出力により撃ち出された刀は、掴まれてもその勢いは止まらない。振り抜けばそのまま回転する。
結局の所、現してしまえばその場で勢いを付けて回転しているだけだ。しかしその速度、その執念は音を超え法則すら乗り越え、寸分の狂いもなくほぼ同時に迫るに等しい、三つの斬撃を放つのだ!
これぞソーマタージの、一匹の修羅の扱う奥義の究極形!かの剣豪の三段突きは、瞬きすら許さぬ間に三箇所を突き殺したと謳われる。同じ様な事を、横薙ぎの斬撃で行なっているのだ!

地面と平行に、「三」の字を描く様に襲いかかる三本の黒き線。絶殺技は一切の躊躇いも加減も無く、タェンティースに向かって星の如き疾さで翔ぶ。
全ては彼女を信じたから。限界を超え、最後まで煌めき、記憶に留める。ならば、こちらは存分に全てを出し切るまで。
───超速の打ち合いは、すれ違うかの様な背中合わせで終わるだろう。腕と刀をピンと伸ばし、泥塗れの地面を抉った跡を残し、通り抜け振り抜いた姿勢で固まる怪人。

「───」
───攻撃の結果を確かめる事は、叶わなかった。
その身体に一筋の切れ目が走り、ジワリと人工血液が滲む。汚れが落ちていくかの様に、尋常とは違い黒くドロドロとしたタールめいた物質となり崩壊していく肉体。ナノマシンが崩壊しているのだ。
保持する事も叶わず落ちる刀。ゆっくりと体勢を戻してその手を見れば、鉛色のゴツゴツとした体表が溶け落ち、中の人の物が露わになっていく最中だった。

「……やっと……、血が出てきたぜ………」
「─────────ッッッ!!!!」
瞬間、間欠泉めいて噴き上がる鮮血!先の袈裟斬りと合わさり刻まれた歪なX字型の傷口は、容赦無く彼の力を奪っていく!
雨。雷。雲。太陽。刃。月虹。生命。 声にならない断末魔の絶叫。オーバーラップする視界は過ぎ去りし過去の情景に一度ピントが合わさり、ノイズに流れて虚無の暗黒へと戻った。

仰向けに倒れるその姿は、出土したかのように黒い汚れに濡れている。
泥に浸かり、最早見えぬあの日々。歪む素顔、表情は血泥に塗れ、感情をしめやかに覆い隠す。
朝焼けの希望の光が、息吹く生命の気配が、醒めた夢の鎖を粉々に砕くのを、三橋翼は確かに感じていた。
明け始めた天に手を伸ばし、不明瞭にボソボソと呟く言葉は誰かの名前だろうか?何人分にも及ぶそれらを言い終えると、彼は静かに動きを止めた。活動限界だ。
「───全て───永い夜の……夢だったよ……」

393タェンティース:2019/05/24(金) 23:59:18 ID:???
>>392
「……!!」
「あ、嗚呼……」

なんて、キレイな殺しの技術
タェンティースの視界いっぱいに拡がる虹輪、曙の予兆に鮮烈に輝く三の軌跡
竜涎の香りにも等しい死そのものだ、すぐ背後で墓が待っている
しかしてタェンティースは虚空を流れ、その魂の中で紫陽花と歌をまじり合わせるのだ、まだ呑まれる訳には、眠る訳にはいかない
黒閃と交差する零閃、究極の後の先はそれでも彼程の使い手を前にすればその有り様を変容させる
即ちそう、究極の同着剣として

「……お見事です、本当に……」

振り返り、直後吐血
ふらありと彼の頭に頭を寄せるカタチで仰向けに倒れ、血溜まりに体を浸す
永く短い祭は終焉を迎えた、音の疲れを癒す沈黙が訪れた
かくて到達するそれは不滅の沼などにではない
多様性の大河の陶酔に満ちた渦の最中、それこそがひとの存在の揺らぎを赦し、容認するメイルシュトローム

「……願わくば、また……ふふふ、戦いたいと思いますが……」
「難しそうでしょうか、翼……」

目線だけを動かして彼の横顔を覗くようにしながら

394『Silver Bullet』 ◆P2bEA4mHeU:2019/05/25(土) 00:30:45 ID:???
>>393
「いや……生憎だが、もう二度と……会う事は無いだろう……」
側の顔を見る事は無い。そもそもハッキリと見えてすらいないのだ。
天を向いたままポツリポツリと呟く言葉は、彼女の言葉を静かに否定するもの。少しだけ残念そうな口振りは、戦いを望んでいるわけではないが。

「オレとの決着は……あの時、もう終わったろ……。こいつはただのロスタイム……オマケだ……。
 また、この中に戻る……。もう二度と、終わった物を求めたり、終わりを迎えようとなど……するものかよ」
彼が顕現したのも、それが原因なのだから。それも無意味と分かった今、後は現れる意味は無い。
彼は自分の罪を認めた。自分の罰を受け容れた。いつか本当に全てが終わるまで、『ソーマタージ』の中で生きていく。
重なる罪の重さに押し潰されそうになりながら、誰にも認識される事もなく、孤独と虚無の中で永遠に見つめ続ける事を選んだ。


「───せめて……覚えていてほしい。『ソーマタージ』でもなく、『オレ』が居た事を……」
「最後の、最後に……、友達が……増えた……」
呼吸の感覚が短くなる。まだ動く片手がパシャパシャと泥の中を這い、今し方剣の対話を終えた新たな友人の位置を探そうともがく。
つ、と目尻から赤い雫が溢れる。顔が倒れるように横を向く。今にも泣き出しそうな、幼げな気配すら宿した笑いは、やがて消えだろう。

「───悪かったよ。俺は───赦してくれとは───せめて……、」
意味の無い言葉の羅列。それは最早タェンティースに向けたものではなく、やがては萎びるように小さくなっていく。
「───リリ、ィ───」
───それっきり、ソーマタージは動かなくなった。閉じた目は血に縁取られて濡れて、しかし安らかに。不眠の森を抜けたかの様に静かに。

395タェンティース:2019/05/25(土) 00:41:22 ID:???
>>394
「……残念、ご自宅にお邪魔するにも遠いですからね」

困った風に微笑むが、その頬の肉は抉れているし耳のあった場所からは真紅が溢れている
ここに居ますよ、と囁きかけながらその手を取るタェンティース
彼女の手は体温と汗と血と……生命を感じさせるに充分な要素に溢れる

「えぇ……翼も、わたしを、わたし達を忘れないで下さい」

この万代と刹那の出逢いを
奔放ないのちで踊る黄昏の空を
紫陽花の花が咲いている、雨はいつのまにか過ぎ去り彩雲が七色に輝いている
彼の額を撫でるように手を伸ばし、やがてタェンティースの活動限界が訪れるまでそうしているだろう
光立つ淡い夢の物語はこうして、現実へと帰結を迎える

396『Silver Bullet』 ◆P2bEA4mHeU:2019/05/25(土) 00:54:02 ID:???
>>395
静かな笑いが微かに動く。どうにか頷いたような、そんな動き。
悪魔は泣かないものだ。であるならば、今血の雫を垂らす彼は何なのか。───おセンチな研いだ。起きる頃には、蒸し返す事すらしないだろう。

全ては終わった。かくして彼はまた一人、虚無の深淵へと取り残される。
しかし、そこから抜け出す気は最早無い。この対話が記憶に残っている限り、彼の存在がわずか一人でも覚えている限り、彼がここを離れる理由はないのだから。


「寝れねーだろ、触ンなよ」
額を撫でられればパチリと目を覚まし、不服そうにソーマタージは言うのであった。

//おちまい

397 ◆T/233Moei6:2019/05/27(月) 23:11:37 ID:???
【神話世界エリュシオンにて】

 色んな方々の顔面を引きつらせるアレな事が起きていた。

「ご覧ください。いえ、本当は見たくもないのですが」

 魔法によるものか水晶が輝き地図めいたものが空間に投影される。

「我々が言うところの越境者の追跡行程です。ご確認を…」

 見ればゆく都市、ゆく都市で×印だったり髑髏マークがついていたり、
 なーんか一目見るだけで見る気を失わせるようなアレ。

「髑髏マークが一定レベル以上の惨事の発生した場所。
 ×印が、いわゆる、その、都市等などが出禁を発行したところになります」

 目線を巡らせばめぐらすほど…ナニコレ?な代物である。
 一般ピープルが一生に一度、体験しそうなイベントが立て続けになんやらかんやら。

「叙事詩のひとつやふたつをこしらえられそうですな…シツレイ」

 皮肉も言わねばやってられんというような場の空気である!!!!

398エドモンド・ルカ ◆4J0Z/LKX/o:2019/05/27(月) 23:27:06 ID:???
>>397
「いやぁ元気そうだなぁ、ミスカ達……」

王都エリシウムの代表である聖騎士エドは、越境者絡みの惨事の一覧に目を通しながら血の気を引かせていた。
五大陸も全てが平和な訳ではなく、所々として治安の悪さが顔を覗かせる部分もあるが。
それを加味してもこの関連性は偶然とは言えないだろう。越境者の通った後には軒並み草も生えない惨状が広がっているのだから。
そしてエドには惨劇の名を欲しいままにする、ある越境者の女傑に心当たりがあったせいか。
羊皮紙を持つ手が震え、羽ペンは勇者代行の握力で握りつぶされてインクを滴らせていた。

「あ、あのー……討伐軍の派遣などは……なさらないんですか?」

とりあえずエリュシオン全体の機運を探るべく、恐る恐る手を挙げて質問。
王都や聖騎士は教皇ガブリエラの許可がない限り動かないが、周辺国や都市国家などはそうもいくまい。教皇の影響力にも限界はある。

399 ◆T/233Moei6:2019/05/27(月) 23:38:37 ID:???
>>398

「一応は解決している場合も多いのですがね。一応は…はぁ…」

 太古の呪術の封印が〝中途半端〟に解けてゾンビクライシスになった都市もある。
 一都市がほぼ壊滅した惨状であるが呪術は完全に効力を失い霧散。

【完全なカタチで解放されていた場合、被害は地方一帯に及んでいたと予想された】

「廃墟都市は土地ごと暗黒化しました。教皇から浄化司祭団派遣の認可は降りました」

【いっそ拘禁してえ…って提案は幾度もされたが…王都とか収容所で〝なんか〟を解き放たれたらたまったものではないので却下。胃が軋む】

 早くどっかいってくんねーかなーな惨劇ばかりが起こっていたが、
 別大陸に行ってくれたおかげでよーやく整理がついてきたみたいな。

「尻ぬぐい…もとい、状況整理だけで24時間稼働状態ですな。皆、家に帰れていません」

 王都の優秀なる官僚達の顔色と健康状態がタノシイな事になって久しい。

400エドモンド・ルカ ◆4J0Z/LKX/o:2019/05/27(月) 23:54:49 ID:???
>>399
「とりあえず……『賢者』に行動を監視させておきますね」
「彼女も越境者なので……」

今代の賢者であるミスカもまた越境者。前ほど行動をともにしている訳ではないが、今でも顔が利く。
越境者、特にどこぞのロード・コミッサーが大暴走してしまわないように押さえつける大役を任せようとしているのだ。
しかし意図的に人災を引き起こすでもなく、災いの方から勝手に大挙してやって来るのだから。
いずれにせよ、エドの目論見は見事に失敗するだろう。

「現場の処理が終わったら、あとは僕が引き継ぎますので……」
「ディラさんとグスティオさんは一旦帰らせましょう、見たことない顔してます」

とりあえず現場の兵士や調査員を指揮するコマンダーは必須として、事務仕事はエドの勇者権限で何とかしてしまえるのだ。
越境者の立場をこれ以上悪化させない為にも、自分の手で処理してしまった方が何かと都合もいい。
エドは自らの安眠を対価に、事務処理に入り浸りの官僚を解散させるつもりらしい。
その中でも顔色が土気色を通り越して緑や紫がかっている者は、半ば強制的に王宮へ戻されるだろう。

401 ◆T/233Moei6:2019/05/28(火) 00:04:00 ID:???
>>400

「まあ、峠を越えればようやっとマシに――」

 人間、ゴールが見えて来れば多少は余裕も出てくるというものだ。
 五里霧中的に次は何が起こる!?みたいに構えねばならぬという、
 戦時下もかくやな有様よりは遥かにマシ…だから油断していました。はい。

【とまあ、緩いというか溜め息の大量生産工場と化していた議場であったのだが】

「シツレイします!」

 と、顔面蒼白の従士が羊皮紙片手に緊急要件だと入ってくれば、
 各々がモノスゲー嫌な予感を覚えるのも詮無きこと。

「かの大陸で変事が発生しました!」

 あー大陸ね。そーいえば惨劇が渡っていたね。うん。

【なんか議場の空気が冷やっこいモノになったし、すごく胃が覚悟を要求していますぞ】

402エドモンド・ルカ ◆4J0Z/LKX/o:2019/05/28(火) 00:21:49 ID:???
>>401
「」

ハラリとエドの手から羊皮紙が落ちた。白目を剥いたまま言葉が出てこないといった表情を見せている。
この新しく飛び込んできた案件に現場は一気に葬式ムードに。「誰が行く」「お前が行け」と責任のなすり付け合いが勃発する。
しかしそれは怠惰や腐敗などではなく、これ以上抱えたら潰れてしまうという至極真っ当な感情から生まれたものであり。
最終的にその視線は、長らく外征していたエドへ。未だこの現場の煉獄の如き空気を味わっていない者へと向けられるのだ。

「あ、はい……」
「う゛ッ……こ、これは……」

全てを悟り、諦めたような笑みを浮かべるエド。立て掛けた聖大剣を拾い上げると蒼白な顔面で書類を受け取る。
中身を見てみればおやまぁ、エドの想像を軽く超える惨劇ぶりに思わず呻きのような声が漏れてしまった。
されど自分が引き受けなければ、この責務は死に掛けている官僚たちに渡ってしまうのだから。

「じゃあ…………行ってきます」

英雄の半分は自己犠牲で出来ています。拷問めいた事後処理を引き受けるのだって勇者代行の務め。
打たれ強いエドもこの件ばかりは内臓をキリキリと締め上げる痛みに悲鳴をあげながら、きっと帰って来る頃にはやっぱり顔を緑色に変色させているだろう。

403 ◆T/233Moei6:2019/05/28(火) 00:32:34 ID:???
>>402

〝太陽を信奉する『教国』による『熱狂的侵攻』が発生〟

 当初の予測を遥かに裏切った練度と充実した兵站が織り成す、
 戦略レベルの奇襲作戦――隣国の国境付近の村々が虐殺の憂目に。
 当事者のみならず諜報などあらゆる対応が後手後手に回る見込み。

 太陽教…昨今、常夜の国の〝発生〟と共に急激に先鋭化しており、 
 それを国教とする『教国』たるや、いわずもがな。

「…大国が誕生しますな。極めて危険な」
「最終目標が常夜の国の打倒とするなら大陸中の聖遺物の確保が侵攻目的であるかもしれませぬ」

 か弱い人間が魔(ミディアン)に対するならばその手段は限られていくとはいえ――

「単純な領土獲得戦争…ではないですな。これはおそらく…」
「手をこまねけば正真正銘、大戦の勃発…ですな」

 優秀なる官僚達は即座に顔を青くしたり白くしたりする〝程度〟で済んでいたこれまでを懐かしみ腹を括る。

「エド殿…すぐに準備を。おそらく時間はエメラルドより貴重だ」
「教皇への資料を作成。報告を…。おそらくは既にご存じであろうが…」

404 ◆T/233Moei6:2019/05/28(火) 00:33:41 ID:???
//おちまい!!

405ジョシュア ◆4J0Z/LKX/o:2019/05/29(水) 22:45:38 ID:???
【2033年世界 ジョシュアのセーフハウス】

「それでよ、俺がベティをブン投げた時に……」

ボストンの夜景を見下ろすことのできるボストン・ヒルの小高い丘。
ジョシュアの知る現実には存在しない地形は、この世界もまた現実とは異なるものであるということをジョシュアに教えてくれる。
今日は珍しく男だけのサシ呑みということで、昼ごろからセーフハウスにて夫々水入らずでバーベキューを敢行しているのだ。
ビーチチェアに腰かけたジョシュアが肉を焼きながら談笑していた矢先のことである。ついに最後のビールが切れて。

「クソ、酒が切れちまった」
「取って来るから、火ィ見といてくれ」

家の地下室にまだ幾らか箱があった筈だと、ジョシュアは立ち上がって歩いて行く。
そういえば過去の彼はそれは凄まじい下戸であったのだが、いつのまにか飲めるようになったものだ。
歳を経て強くなったか、それとも身体の変化によるものか……
いずれにせよ、炭の爆ぜる音と心地良い夜風に吹かれながら、夜は更けてゆくのであった。

406かぶり ◆IqwQDoqGqI:2019/05/29(水) 22:55:07 ID:???
>>405
アキレス「ダッシャッシャッシャッシャ!!!!」
―――ギィ!!ギィ!!

ジョシュアの言葉に手を叩いて大笑いのアキレス
ベティは笑い事じゃない!! と憤慨したようにハサミを振り上げた

アキレス「あれ? ホントだ 悪いねジョッシュ」
―――ギィ♪

炭を足し団扇で扇いで火を強める これで暫く火が消えることはないだろう

ちなベティちゃんはマシュマロ焼きに忙しかった

アキレス「ジョッシュまだかなー」

407ジョシュア ◆4J0Z/LKX/o:2019/05/29(水) 23:05:21 ID:???
>>406
「…………」

そろっと近寄る人影は、まるで陽炎の如く歪んだ透明なものだ。
サイボーグ忍者ニヒラブラ、たまたま通りかかったカルゥゾ・シックが華麗に推参。
本当はジョシュアに用事があったのだが、様子を見る限り今日は尋ねてもお邪魔虫のようだ。

「(俺抜きで BBQとは いけ好かぬ)」
「(肉は貰うぜ 是天誅ぞ)」

故にデセプションクロークによる透明化を発動したまま、EMAグラップルで木からだらりとぶらさがり。
金色に輝くマイ箸でいい具合に焼けた肉をつまめば、そのままマスクの口元をパカっと開き、そこへと運んでゆくだろう。
傷だらけの口元だけが闇の中に浮かんでいる状態だが、つまみ食いに気づくにはしっかりと火を注視していなくてはならない。
ぼーっとしていた場合、網の上の肉はまるっと消えていることだろう。

408かぶり ◆IqwQDoqGqI:2019/05/29(水) 23:17:23 ID:???
>>407
アキレス「♪〜」
だがアキレス なんとラジオのチューニングに勤しんでいて気づいていないという失態
ひょいぱくひょいぱくとお肉が消えていく・・・が

―――ギィギィ♪・・・ギィ?
いい塩梅に焼けたマシュマロに舌鼓を打っていたベティちゃん 虚空に消えゆくお肉に気付いたぞ

―――ギィ!!ギィ!!
アキレス「どうしたベティ 誰か来たのか?」

敵集を知らせるベティ アキレスもやってきてしまったぞ カルゥゾピンチ?

409ジョシュア ◆4J0Z/LKX/o:2019/05/29(水) 23:28:33 ID:???
>>408
「(高ランク 牛肉赤身 いと美味し)」

霜降り肉をタレもつけずに口に放り込み、溢れる旨味に舌鼓。
けれどもその幸福も長くは続かない。後一枚を残してベティに気付かれてしまったのだ。

「やべっ……!」

正体が露見する前にサッサと退散。用事はまた今度聞けば良い。
グラップルで掴んでいた木の上に軽い身のこなしで飛び乗って、そのまま闇に紛れて消えた。
そんな騒ぎの中に駆けつけたのが、ビールの入った木箱を肩に抱えてやってきたジョシュアだ。

「待たせたな、追加のビールとジャーキーだ」
「……ん、どォした?ベティ……」

ジャーキーのカタマリをべしっと置いて、そのまま箱の中からビールを取り出してアキレスに渡しながら。

「ははーん、さてはベティ……お前我慢できずに食いやがったな?」

ニヤニヤと笑みを浮かべるものの、それはベティの主張とは真逆の理解であった。
騒ぐベティに待てと告げると残りの肉を紙皿に写し、彼女が食べやすいように皿を地面に置いてやる。
彼としてはベティの気持ちを汲んであげたつもりなのだが……

410かぶり ◆IqwQDoqGqI:2019/05/29(水) 23:46:38 ID:???
>>409
―――ギィ!!ギィ!!
待て 逃げるなとハサミを振り上げるが 無念 逃してしまった

そしてジョシュアがやってきた

―――ギィギィ!!ギィ!!
曲者がお肉を持って行った と弁明するが

アキレス「んもう お肉食べたかったんなら取ってあげたのに」

ナムサン!ジョシュアもアキレスもこちらの意図を理解してくれない

―――ギィ!!ギィg・・・ギィ♪
なおも状況説明をしようとするが 目の前には焼けたお肉
結局嬉しそうにお肉を食べ始めるのであった お肉には勝てなかったよ

アキレス「全く食いしん坊だなぁベティは そういえばジョッシュったらいつの間にいける口になったのさ
     ちょっと前までエラい下戸だったじゃん」

と 新たなおビール様を開けながら質問してみるテスト

―――ギィ♪
ちなベティちゃんはお肉に舌鼓を打っていた

411ジョシュア ◆4J0Z/LKX/o:2019/05/30(木) 00:01:36 ID:???
>>410
「ハハ、可愛いな……」

肉を食べたいという食の欲求に身を委ね、完全に弁明することを諦めたベティ。
そんな彼女の様子を見るなり、ジョシュアは思わずふにゃっとした笑みを浮かべて。
艶のある甲羅を手の甲で軽く撫でて、それからまた立ち上がってチェアへと戻って行くのであった。

食材も無くなったことだし、あとはジャーキーでも噛みながら言葉を交わすくらいか、と。
アキレスのチェアの隣に自分のそれを移動させ、並んで夜景を見下ろして。

「ん?そうだったか……?」

投げかけられた質問には、首を傾げて少し考え込んでいた。

「あー……あァ、そォだ……確か弱かった、かもな」
「コミッサーと飲んで、ゲロゲロに吐いたっけ……」

少しあやふやな様子だが、そんなこともあったかと。
自信なさげな声でアキレスから視線を逸らすのである。

「なんか、思い出したら急に弱いような気がしてきた……」
「クソ、グラグラしやがる」

意識してみると急に酒が回り始めたようで、ジョシュアは少し顔を赤くして目を虚ろにしている。
意識しなければ飲めるというのもおかしな話だが、今の彼は人間ではないので人間の常識は当てはまらないようだ。
かくかくと、偶に船を漕ぎながらも暫く意識を保ってはいたものの、やがてアキレスの肩にごとりとジョシュアの頭が乗せられ。

「くかー……くー……」
「……んが……」

なんとヨダレを垂らしながら寝てしまったのである。切り替えの早い男だ。
食いかけのジャーキーとビール瓶を腹の上で握ったまま、完全なる寝落ちをぶっこいてしまったのだ。

412かぶり ◆IqwQDoqGqI:2019/05/30(木) 00:19:17 ID:???
>>411
―――ギィギィ♪
そんなべティちゃんはお肉を食べるのに忙しかった

アキレス「そうか そりゃ大変だったな」
ジョシュアの失敗談を笑いながら聞いていたが なんといきなり酔いが回ってきたのか
あれよあれよとおねむの時間である

アキレス「なんだそりゃ 全くしょうがねぇなぁ」
ケラケラと笑うが 自分の肩に頭を載せて寝息を立てるジョシュアに苦笑を浮かべる

アキレス「炭は足したし この気温じゃ風邪をひくこともないだろ 俺も寝るか・・・」
と肩にジョシュアの頭を乗せたまま瞼を閉じる 避けも廻っていることだし 直に寝息が聞こえ始める

―――ギィ?
そしてお肉を食べ終えたベティちゃん 野郎2人が仲良くおねんねしていることに気付くと ジョシュアのチェアの下に潜り込みこちらもおやすみタイム

ラジオは静かな音楽を流し続けている 野郎2人とサソリ一匹の寝息が混じるのであった

//〆?

413 ◆4J0Z/LKX/o:2019/05/30(木) 00:24:23 ID:???
//〆!

414鬼久墨音:2019/11/12(火) 00:07:26 ID:???
「ふ、ぅーむ……」
「……うむん?……ふむ……ぅーん……?」

スクラップヤードの食堂、何やらノートと教科書を開き頭を悩ませる鬼久墨音
彼女は越境者でありチャイルドソルジャーであるが、同時に女子高生でもあるのだ
故に偶には勉学に励んでみたりもするが、

「……さっぱり分からん……大問題だな」

ぐてーんと机に伏して死に掛けなのだ、普段全くしないからね仕方ないね

415 ◆4J0Z/LKX/o:2019/11/12(火) 00:41:14 ID:???
>>414
「42だ」

どかっと座ったジョシュアが、真面目な顔でそう言った。
据わってもぐるぐるでもない澄んだ目で、真っ直ぐ墨音を見つめて。

「6x9=42、それが全てだ」

近頃の彼は、段々と某将校に似てきた節がある。

416鬼久墨音:2019/11/12(火) 00:50:17 ID:???
>>415
「……何?……42……」

どれどれ、と息を吹き返し計算再開
流石にそのひとつで全回答という奇跡は無論ないが、それでも牛歩ながらも進展があったらしい

「成る程、そういうモノか」
「……助かったよ、えーっと……あぁ、ジョシュア」

幾度か顔を合わせた、共闘した仲ではある
しかしこうして、落ち着いた空間での会話は初めてだ
と言うより、ジョシュア側が墨音を、或いは名を知らぬ可能性すらあった
コーヒーをずずと啜る、苦い

417 ◆4J0Z/LKX/o:2019/11/12(火) 00:57:14 ID:???
>>416
「ツッコミは無しか……」

小さくぼやきながらも、墨音の向かいに腰掛けてビールを呷る。
机がここしか空いていないという訳では無い。単純に彼女に興味があるのだろう。
なんというか、勉学に精進する越境者は珍しい。ジョシュアの知る限りミスカくらいなものだ。
学生で世界を股にかけること自体、珍しいことだとジョシュアは考えている。

「……若いのに越境者たァ、少し訳ありのよォだな」

缶を握り潰し、机の上にトンと置いて。
拳銃を取り出し、なんとなく墨音の側へとスライドさせる。
分解してみろとでも言いたげに、顎で指図。

……勉強の邪魔には違いないが、本人は息抜きでもさせているつもりなのだろう。

418鬼久墨音:2019/11/12(火) 01:04:14 ID:???
>>417
「……ん?なんだ?」

実際ツッコミは皆無であった
事通常であれば割と真面目な……ツッコミに回る事が多い墨音ではあるが勉強に関しては丸でダメなのだ

「まぁ……そう、な」
「訳があるから越境者でいる訳じゃないだろうが、」

銃を隻腕で受け取り器用に解体、パーツごとにキレイに並べ隻眼を向ける

「……訳がない越境者っていうのも、そうそういないだろう?」

元チャイルドソルジャーでね、と苦笑

「戦ってばかりで、余り勉強に打ち込めなかったからな」
「……こんなナリになっても、一応はしておくに越した事はないと……」

419 ◆4J0Z/LKX/o:2019/11/12(火) 01:38:04 ID:???
>>418
「いい腕だ、でも褒められはしねェな……」

バラバラに分解された拳銃を見て、頷きながら目を瞑る。
そのままパーツを手に取り、目を瞑ったままで器用に完全に組み上げて。
技術は十分、しかしそれは彼女の年齢にそぐわないものだと内心。

「同情する訳じゃねェが、お前みたいな子供が兵士に仕立て上げられてるのを見ると、なんというか……」
「似たような奴を知ってるだけに、落ち着かねェんだ」

墨音の様子を見ていると、どうしてもニアの事を思い出す。
二人はあまりにも似ている。ただ生まれが違うだけだ。
大人のエゴで生み出され、大人のエゴで殺しの技を仕込まれた。

「……まっとうな道を歩めるなら、それに越したこたァ無ェ」
「こんな事、そのうち忘れちまうさ」

だからこそ『普通の人間』が歩めるような道に戻る事が出来るのであれば、それ以上のことはないと。
銃の扱いなど記憶から消えてしまうような、そんな人生を歩んで欲しい。
ジョシュアもまた、そういったエゴを持っている。

420鬼久墨音:2019/11/12(火) 01:47:44 ID:???
>>419
「おかしいな、褒めてくれる所だと思っていたんだが」

ふふ、と片頬を釣り上げて自嘲気味に
しかして戦闘者として再起不能な程に失われた体は、それでも尚も戦う事を切望した墨音自身の決意によって未だ戦い続けている

「……私のな、私の世界は……」
「多分、余り平和な所じゃなかったんだ」

だから、と呟き半分になったコーヒーに砂糖をサラサラと
味の変化が楽しめて二度美味しい、墨音の好きな飲み方だ

「……必要なんだよ、戦う為の存在がな」
「だがありがとう、優しいのな……見た目より」

故に誰かに命じられたからではない
彼女は彼女自身の為に戦っているのだ、守るべき為に……約束の為に
最後に悪戯っぽく付け足して、鼻で笑って見せる

421 ◆4J0Z/LKX/o:2019/11/12(火) 01:56:13 ID:???
>>420
「俺は優しくねェ、甘いだけだ」

つい救いの手を差し伸べたくなる。目の前の脅威や苦痛から解放してあげたくなる。
実際にはそれが押し付けがましい独善として牙を剥く事だってあるということを知っているから。
衝動に身を任せず、ぐっと堪えることが出来るほどにジョシュアは成長できた。
故にその言葉は、まるで自らを戒めるように。

「……タバコ吸ってくる」
「…………必要なものがあったら、いつでも言ってこい」

煙が迷惑になるからと理由を付けて椅子から立ち上がる。
ビール缶を持ち上げてゴミ箱へ軽くトスすると、タバコの箱とライターを取り出し。
やはり甘さを捨てきれずに、ほんのりと手を差し伸べて去るのであった。

//〆!

422かぶり ◆qg2zP.O3iQ:2020/12/17(木) 23:05:03 ID:kwsurfGA
【ウェイストランド】
一体どこがどこを狙ったのが始まりだろうか
それを伺い知ることはすでに叶わぬ

そこに在る事実 それは核戦争後の世界

焼き尽くされ 乾いた大地 絶滅こそ免れたが大きく数を減らした人間
大量の放射能と変異した化け物 これらでこの世界は成り立っていた

いまいちピンとこないなら フォールなアウトとかの世界を創造するとよろし

そんな世界の ありふれたゴーストタウンの公園に場違いな男がいた

ジョージ「ふむ…茶葉を買えたね?」

薄汚れたベンチに座るは 場違いなほどに仕立てのいいスーツの上からコートを羽織った
場違いなほどに小奇麗な男

傍らには燕尾服の執事を従え 白磁の茶器で紅茶を頂いていた
傍らのラジオからは 雑音交じりの音楽が流れている

ジョージ「恐らくは ゲートがそろそろ開くはず っとその前に」

そんな人の途絶えた街に人の気配を感じ 視線を向けてみる
そこにいたのは・・・?

423くりのす:2020/12/17(木) 23:10:36 ID:LBGypDuY
そんな世界に似つかわしい見た目の少年が一人。
羽織るローブは薄汚く、顔には半分のペストマスク。
季節にしては寒そうな服装で肩を震わせながら歩いていた。

「お腹すいたな…」

もう何日も食べてないのだろう、ふわふわと呟きながらふと前を見ると。

「ひぇ、人がいる…?」

びくっと身構えてつつも、恐る恐る近づいてみる。

424かぶり ◆qg2zP.O3iQ:2020/12/17(木) 23:20:00 ID:???
>>423
人だ

それも少年とは比べ物にならないほどに小奇麗な男だ
金髪を後ろになでつけ 白い肌にはシミ一つない

さらに燕尾服の執事を伴っている

ジョージ「ふむ…」
その男は少年を品定めするかのような視線を向ける

この世界の人間だろうか? 身なりはそれっぽく感じる が

ジョージ(ペストマスク…?)

この世界は存外に科学が発展している 防毒マスクならばそれこそちゃんとしたフィルター付きの物が手に入るはずだ
なのに 半分に割れているとはいえ この世界にしては骨とう品に属するペストマスクはあまりにも不自然である

ならば おそらくは

ジョージ「キミ」

男は少年に声をかける

ジョージ「よろしければこちらに来て 一緒にお茶でもいかがかな?」
微笑を浮かべ ベンチに誘う

執事が白磁の茶器をもう一つ用意する ミルクと砂糖をたっぷりと使ったミルクティーを淹れてくれた

425くりのす:2020/12/17(木) 23:28:02 ID:???
>>424
甘いミルクティーの香りに誘われ、少年は警戒心を解いて近づいていく。
今まで食べたことのあるものといえば残飯と血生臭い動物くらいだったからか、
その匂いはより魅力的に感じたに違いない。

「でも…」

少年は踏みとどまった。なんせ向こうは貴族のような服装で方や薄汚いぼろ雑巾。
さすがに場違いなのは一目瞭然だ。

426かぶり ◆qg2zP.O3iQ:2020/12/17(木) 23:39:03 ID:???
>>425
ジョージ「まぁまぁ このようなゴーストタウンで巡り合ったのも何かの縁
     ここはひとつ親睦を深めようではありませんか」

傍らの執事に視線を送る 執事は茶器をもって少年に歩み寄り ミルクティーの入った茶器を差し出した

ジョージ「私はジョージ・ド・ウィッカム グレートブリテンの子爵で闇の勢力から民を護る任を帯びた魔狩人の1人
     同時にスプロールでハウンドインダストリーという会社を運営しています よろしければあなたのお名前をお聞かせください」

と この男は自分が何者かを包み隠さず告げる 少年がこちらの肩書に覚えがあれば越境者確定だし
少年の肩書次第でも判明できる そう考えての言葉である

427くりのす:2020/12/17(木) 23:52:05 ID:???
>>426
執事さんに渡されたティーカップの匂いを物珍しそうに嗅ぎ、そして一口。
ふんわりとした甘さと温かさに包まれ、笑みをこぼす。
そして一言一言、彼の質問に答えた。

「ボクはクリノス。魔狩人…?人じゃないアレのことですね。ボクも何度も襲われたことありますから…」

その存在自体は知っているようで。
ただ人里離れた場所にいたゆえか世間のことも彼の仕事も分からない様子である。

428かぶり ◆qg2zP.O3iQ:2020/12/18(金) 00:04:25 ID:???
>>427
ジョージ(やはりか)

魔狩人も ハウンドインダストリーもこの世界にはないものだ
自分の世界の人間かまでは判別できないが その表情は間違いなく魔狩人というフレーズを知っている顔だ

ジョージ「クリノス君 驚かないでほしいのだけど どうやら私と君は同じ境遇のようだ
     いや 私たち2人だけではない 君と同じような境遇の者はたくさんいる
     だからこそ…後ろを振り向いてくれるかな」

クリノスから視線を外し 彼の後方に視線をやる
先ほどまで何もないそこには 乳白色のエネルギーが渦巻いていた

ジョージ「君にもあれが見えるはずだ あれはゲート 世界を跨ぐ門
     ゲートをくぐる以外にも世界を跨ぐ方法はいくつかあるんだけどね」

そう言ってジョージは立ち上がり ゲートに向かう

ジョージ「どうか一緒についてきてほしい 君が何になってしまったのか 君は知る義務がある
     私を信じて 怖がらないで」

そう言ってゲートの手前 クリノスに手を差し伸べた

429くりのす:2020/12/18(金) 00:18:19 ID:???
ジョージの向いた方向へと視線をやるクリノス。
その先にあったものを見てごくりと息をのむ。記憶は曖昧だがその門を知っている気がした。
とても怖い何かがある、そう理性で感じ取ると一歩後ずさるが手を差し伸べてくれる人がいた。

生まれて初めて差し伸べてくれた手、初めて人として扱ってくれた彼がいるなら…

「ジョージさん…」

そうぽつりとつぶやくが、しっかりとジョージの手を握り締めて。
小さい彼はこの世界の心理を少しづつ理解することとなるだろう。

//この辺で〆ですかね、お疲れさまでした!

430かぶり ◆qg2zP.O3iQ:2020/12/18(金) 00:23:01 ID:???
>>429
こちらの手を握りしめるクリノスにやさしく頷き ゲートをくぐる
その先に待つものは また別のお話

//オツカレサマドスエ

431かぶり ◆qg2zP.O3iQ:2020/12/19(土) 23:14:00 ID:???
そこは一見すれば打ち捨てられた廃工場であった
無尽蔵に転がるスクラップと 古びた建屋やガレージがそうさせているのだろう

だが決定的に違うところ それは真新しい建物が立ち さらには銭湯やら畑やら芝生やらもあれば
そこが異様な場所であることは想像に難くないだろう

ジョージ「ここは狭間のスクラップヤード 世界の狭間の間に存在する場所
     乱立する世界と薄皮一枚近く 遠い場所 そして 越境者の楽園」

今しがた越境してきたジョージは 同行人にそう告げる

ロイ「よぅ 帰ってきたか」
アキレス「おかえりー」
―――ギィ!!

ジョージを歓迎するかのように 短足のおっさんやら 白人男性やら 巨大なサソリやらが声をかけてくる
さて同行人は…?

432くりのす:2020/12/19(土) 23:22:26 ID:???
>>431
ジョージに連れられこの世界にやってきた少年は真新しい建物を物珍しそうに見つめていた。

「サソリ…!?」

きらきらと目を輝かせるその先にはサソリさんである。
ある時は食用に、またある時は毒を使ったりとクリノスにとっては便利な生き物である。
野放しにしとけば食べちゃうかもしれない。逃げてサソリさん!

433イムカ・グリムナー【最善への希求:2020/12/19(土) 23:28:30 ID:???
>>431

「月月火水木金金。休み?くたばってから幾らでも休めるぞ」
「「「「サー!イエッサー!!」」」」

 ガラクタの山から生活に必要なスクラップを掘り出している男衆。
 そして、何か超絶ブラックな掛け声で指揮を執るのはイムカ・グリムナーである。

「報酬は次の仕事だ。役割を得てうれしいだろう?」
「「「「サー・イエッサー!」」」」」

 照り付ける太陽の下、ジゴクのような肉体労働の連鎖!終わりなき労働の日々!!

【ジョージは「越境者の楽園」と言いました。なるほどまるで「地上の楽園」の如きフレーズですな。ガハハ】
 【→ナチュラルにジョージを欺瞞者に仕立て上げようとする厳しき現実ッッッ!!】

>>432

【嗚呼、↑の冒涜的労働光景を見よ!己が楽園と称したタコ部屋に己がまんまと連行されてきた真実()を知ることだろう】

 先程まで紳士然として見えていたジョージがまるで悪徳奴隷商のように見えてきた頃合いじゃあごーざいませんか。
 月、月、火、水、木、金、金!終わりなき肉体労働がアナタを待つ!!

「む?見慣れない顔だな」

 奴隷商のボス()と思わしきとっても偉そうな女首領が無表情にそっちをじーっと見ています。

【※当然ながら、実際はちゃんとした拠点なので大丈夫である。タイミングが悪かった的な何かだ】

434かぶり ◆qg2zP.O3iQ:2020/12/19(土) 23:36:47 ID:???
>>432
そう サソリである 食ってよし素材によし・・・であるが

―――ギィ?

何か用かと疑問符を浮かべるサソリは 中型犬から大型犬ほどの大きさだった
さぁ 食えるもんなら食ってみろ!!

ロイ「そっちのは見ない顔だな 初めまして…でいいのか?」

短足のおっさんはおっかない顔でクリノスをまじまじと見やるし

アキレス「俺も知らないね やっほー ここは初めて?」
ジョージと同じ白人 なれどこちらはより現代風な男が笑みを浮かべる

ジョージ「取り合えず彼に何か食べ物を それとお風呂にも入れてあげたいのですが」

ロイ「そうか なら飯を用意してこよう」
ジョージ「クリノス君 先に暖かい湯に浸かって疲れを落としては如何でしょう?」

おっさんは新しい建物に向かい ジョージはそう提案してくる

>>432-433
ジョージ「えぇっと・・・」
越境者の楽園と言ったのに 超絶ブラックな現場がお出迎え

ジョージ「ちょっとお見苦しい点がありましたが あれは例外ですので安心してください
     彼女はミス・グリムナー ちょっと厳しいところもありますが 決して悪い人ではないので怖がらないであげてください」

と イムカへの精いっぱいのフォローが光るぞ!! 怖がらないでね!!!!(必死

435くりのす:2020/12/19(土) 23:54:25 ID:???
>>433
「…(どうしようこれ奴隷にされるの僕!?)」

なんとか表情には出さないつもりでいるが、冷や汗ダラダラである。
もうすっごい怖いこの将校さんを前に固まってしまっている。

「…ど、奴隷にしたくばお腹いっぱいのご飯ください!!」

違うそうじゃない。もう混乱しまくりでジョージの裏に隠れてしまう。

>>434
じりじりとサソリに近づいていく。
もう涎でそうになるくらい。これだけ大きければお腹いっぱいに…

そう思った矢先、見知らぬ二人に話しかけられてはたまたジョージの後ろに隠れる。

「風呂…?(あの熱湯に着けられて何日も放置される拷問の…?)」

見知らぬおじさまを前に、いやな記憶がフィードバック。
風呂を拷問かなにかと勘違いしているようで。
ともかく将校さんとかおじさまとか蛇ににらまれた蛙みたいになってるので連れてくなら今のutida.

436イムカ・グリムナー【最善への希求:2020/12/20(日) 00:00:04 ID:???
>>434-435

≪000011110101≫

 中型犬から大型犬ほどの大きさを称するベティをマニュピレイターで指さすサーボスカル(浮遊する髑髏型ドローン)。
 次にとても大きなサイズの蒸籠(セイロ)がシュンシュンを湯気を吐き出しているのを指さす。

≪0000111110101≫

【そのまま、サーボスカルは横回転グルングルンした。ベティの立ち位置をフレンズとしてしっかり説明なのだ!!】

「なんだかとても酷い事を言われている気がするぞ。私は比較的温和な淑女のはずなのだが?
 ああ、私はイムカ・グリムナー、君は?」

 と、まあ、大体どんな性格か察せられそうな事を言いながら、
 帰ってきたばかりのジョージに冷えたヌカ・コーラ(一部の人間にとっての最高の清涼飲料水)をポイー。

「む?奴隷にする気はないがお腹いっぱいのごはんならあるぞ?」

 初見のクリノスにが何やら言っているので、透明の固形物が幾つも刺さったホルダーを指さす。

「エネルギーグリス…遠未来の戦闘糧食だ。無味無臭、栄養満点、歯ごたえはシャキサク。
 徐々に舌に味覚障害が発生して味に鈍くなっていくが、栄養があるし構わんだろう。腹は膨れる」

 なにその奴隷御用達食料なアレである。ほら、お腹いっぱいになるぞ。

「あとはそこのベティだな。本当に腹が減ってどうしようもない場合には非常食になる」

 ひっどい。

【さっきからクリノスにイムカが提供している情報だと、スクラップヤードが奴隷収容所めいた何かになっていくので、
 良識ある人々はどうにか汁なアレであったアレ】

437かぶり ◆qg2zP.O3iQ:2020/12/20(日) 00:16:40 ID:???
>>435-436
―――ギィ!?
ベティちゃんは戦慄した
あの目はいろんな捕食者と同じ目だ

慌ててアキレスの背に上って避難重点 なおセイロを用意するサーボスカルには

―――ギィ!!
アキレス「はいはい」

やっておしまいと言わんばかりにハサミを振り上げるベティ
アキレスはサーボスカルをむんずとつかむと 湯気を上げるセイロにサーボスカルを収納した

ジョージ「ミス・グリムナー あなたの性根は理解していますが 何分軍人であるというだけで
     一定の威圧感を与えてしまうのは避けられないかと」

と とってもオブラートに包んだジョージが弁明
ヌカコーラはありがたくいただきますが お風呂の後でいただきましょう

ジョージ「仕方がありません ここで立ち話もなんですから移動しましょう」

と 背に隠れるクリノスを連れて銭湯へ

【少年を某猫虐待コピペしながらお待ちください】

〜場面転換 止まり木同盟の宿〜
真新しい建物の一階食堂

ロイ「ほれ 食えよ」

と クリノスに出されたのは ベーコンの塊と野菜のスープと白パン そして牛乳だ

ロイ「俺はロイ・ゴールドマンだ よろしくな」
アキレス「俺はアキレス・イニゴ・ブランチ・セペダ 長いからアキレスでいいよ んで背中にいるのがベティ」
―――ギィ!!

と各々自己紹介をした

438くりのす:2020/12/20(日) 00:26:56 ID:???
>>436

「僕はクリノスです、イムカさん初めまして。

そのような食べ物は見たことありません、もしかして…違法薬物を売りさばく商人とかなんですか…?」


味覚障害とか発生するのに栄養満点とかドラッグじゃありませんか!!
しかも見た目が見た目なので中々信用してもらえないイムカさんであった。

「そのサソリは非常食なんですね!(後で蒸して食べちゃおう(るんるん))」

非常食認定されました、良かったね!!

>>437

ハッと我に返った時にはお風呂という名の拷問は済んでいたようで。
目の前に出された戦闘食料…ではなく美味しそうなパンやベーコンが出されていた。

「こんなにたくさん頂いていいんですか…?
ロイさん、アキレスさん、始めまして。こんな見ず知らずの僕に親切にしていただいてありがとうございます。」

深々とお礼をしてパンを一口。
初めて食べるまともな食事にうれし涙をこぼす。

「ところでここは何をする場所なんですか?」

訳も分からず連れてこられたため少し不安なようである。

439イムカ・グリムナー【最善への希求:2020/12/20(日) 00:33:54 ID:???
>>437

≪000111111010101≫

 すぽーんとセイロに放り込まれてしまうサーボスカル。
 一応、精密機器だというのに何たる雑な扱いか!(なお、全環境対応なので壊れません。

【ナムアミダブツ!】

「ふむ、軍人生活が長すぎたからな。そこは致し方あるまい」

 と、割と素直に(というか無自覚部分大杉)でジョージの言葉を素直に受け取るイムカだった。

【ちなみに冒涜的労働光景であるが、世の中軍隊式なノリの方が好きな人種というのは存在するので、
 割と皆、楽しんでやっているフシがあると此処で弁明。時にはイムカ飯のせいで住人洗脳状態になることもあるけどね!】

>>438

「私の世界では士官は皆これを食べているのだが…?」

 世界が違えば文化も大幅にちがーうという証左であった。
 それはそれとして中々ロクデモナイ評価をされているっぽいイムカであった

「ふむ、ベティの生活は相も変わらずハードなようだ」

 自分で非常食と言っておいてコレである。ベティハード。

【とまあ、ファーストコンタクトはこんな感じだった。うーむ、ひっどい】

//では自分はコノヘンデーであります。ありがとーございましたーノシ

440かぶり ◆qg2zP.O3iQ:2020/12/20(日) 00:48:11 ID:???
>>438
齧ったパンだって硬くてボソボソの無酵母パンだったり酸っぱい黒パンではない
ふんわりと柔らかく小麦の味があふれ出る上等な白パン

奴隷はおろか 貴族様が食べるような代物だ
おまけにバターやジャムまでついていやがる

ベーコン入りの野菜スープだって野菜は傷んでいる様子もなし
塩もたっぷり効いている

ロイ「中々大変だったみたいだな 腹いっぱい食べていいんだぞ」
アキレス「・・・。」

ロイは優しそうな顔をするし アキレスは口をへの字に曲げた

ロイ「とりあえずお前さんの境遇というのを教えてやろう…」

ということで説明タイム 設定とかに書かれていることを話したと思ってくだされ

ロイ「ということだ お前さんがいつどこで越境するかはわからんが 何かあったら俺ら越境者と止まり木同盟の宿を頼れ
   これから長い付き合いになるかもしれんが よろしくな」

ロイ「ジョージ 部屋はすぐ用意できるが 今日のところはお前の部屋でこいつを預かってやってくれないか?」
ジョージ「わかりました」

こうして自らの境遇を知ったクリノス君の明日はどっちだ!?

//といったところで〆 オツカレサマドスエ

441くりのす:2020/12/20(日) 01:01:32 ID:???
>>439
「そうだったんですね…なるほど、違う文化も存在するのですね…」

誤解は解けたがまだまだイムカへの警戒心はあるようで。
ただ、今のところは自分に危害は加えてこなさそうなため一安心するクリノスだった。
ベティちゃんは…うん、きっと非常食だと思い続けちゃう。子供だからね!

>>440
いったん食事を止めるとロイの話を真剣に聞いている少年。
自分の置かれた状況にいまいち理解が追い付いていないが、何かあったらここを頼るということは分かったようだ。
それに先日知り合ったジョージやロイといった優しい人がここにいる真実は何より嬉しかった。
今後この世界に起こる事件に巻き込まれていくこととなるのだろう。

「(後でベティの毒を少し分けてもらおう♪)」

非常sy…ベティの生活もなにやら一風起きそうだ。

//お疲れさまでした!

442 ◆T/233Moei6:2020/12/22(火) 23:57:29 ID:???
ではではおいどんはコノヘンデー!

ニンジャ…ニンジャの長いマフラーが必須になったのは何時からであろうか!!

ではでは乙かりーんちょであります!ノシ

443かぶり ◆qg2zP.O3iQ:2021/01/30(土) 23:31:54 ID:kwsurfGA
【止まり木同盟の宿】
越境者にとってゲートとはなくてはならないものである
だがゲートって奴は基本的に気まぐれであり 絶体絶命な時に開いて助かったりするし
中々開かないことだってある

ロイ「そんでまぁ 俺たちゃしばらくゲートに締め出されてこの地で昼寝をこいているわけだ」

山間部に位置する集落を模した止まり木同盟の宿 ログハウスが立ち並ぶ中で越境者が木こりやら猟師やらで生きている場所
特に冬はやることも少なく 今は燃料を節約するために大部屋に越境者たちが集まり 編み物したり読書したりと冬ごもりなうな環境

ロイ「冬でも近場で猟ぐらいはできるもんだが まぁゲートが開かないんじゃやることも少ない お前らも暇してるんじゃないか??」

と話しかけたのは…?

444クルト・カントール【深紅の篭手】:2021/01/30(土) 23:38:47 ID:???
>>443

「ツモ。リーチ一発、チートイツ、ホンイツ、ドラドラ。ふむ、裏もノった。貴様ら全員ハコテンだな」

 ログハウスにてやることがないならギャンブルだ!とは誰が言いだしたのか。
 しかし、勝負の世界はヒジョーにキビシーのである!!

「デスーん。アブブブブブブブ」

【イムカが大物手をアガると、α-12はおめめをグルグルさせて倒れて泡を吹く】
 【→コイツラ…とロイも頭を抱えたくなる超俗物的光景!!】

「では猟に行くかゴールドマン」

 クルトは己の上官が齎したアワレな被害者たちを一瞥。嘆息をつくとアサルトカービンを手に取ろうとして、

「銃はダメとか制約はあるのか?」

 と、一応問うたものだ。

445クルト・カントール【深紅の篭手】:2021/01/30(土) 23:48:27 ID:???
>>444
//チートイツじゃなくてチンイツでした(どーでもいい修正

446かぶり ◆qg2zP.O3iQ:2021/01/30(土) 23:49:57 ID:???
>>444
ロイ「あぁそうだな そうしよう」
眼前で繰り広げられている蹂躙にも涼しい顔

ロイ「少しはたらいで返さねば」

説明しよう! 大三元爆弾の直撃を食らい 早々にハコったのは何を隠そう私です

ここは幻想よりな世界であるが そこまでテクノロジーの規制はないらしい 銃器も問題なく使える模様
ただし小物が多いので小口径弾にしておけと宿の猟師が教えてくれた

〜場面転換〜
雪深い山道であるが今日は風が無く寒さはマシだ 道中に仕掛けた罠に野兎が一匹かかっていたが
晩飯を豪華にするには少々物足りない

だが鹿の糞を発見 近くにいるらしい

さて ロイはレンジャー知識を用いて鹿がどこにいるかわりだそうとする
クルトは野生の動物を探知できるスキルは持ち合わせているだろうか?

447クルト・カントール【深紅の篭手】:2021/01/30(土) 23:57:47 ID:???
>>446

「………」

 ロイのナサケネー一言にやっぱり肩をすくめるクルトなのだった。

【ナムアミダブツ!!】

 猟師さんの言に従い、アサルトカービンのスマートシステムにて、小口径弾を選択。
 バレルも自動で調整されるところが、スプロールのハイテク銃器の特性であった。

【流石はサイバーパンク近未来武器。某ゲームがバグゲーであったことが悲しい】

 サイボーグの身体とは言え保温を疎かにしていい理由にはならない。
 また、クルトの肉体は可能な限り人体に近いように設計していることもある。

【ゆえに毛皮の帽子とコートという現地の猟師と同じスタイルだ】

「足跡も見つけた…こっちのほうだな」

 クルトはと言えば元々スカウトであり、ストーキングはお手のものである。
 鹿の痕跡をしっかりと見つけて追跡を開始する。

【出来れば臭いで気取られない風下を確保したい。そのように動いてみる】

448かぶり ◆qg2zP.O3iQ:2021/01/31(日) 00:12:50 ID:???
>>447
さすがにスカウト技能持ちが2人もいれば捜索も難しいものではなく
難なく鹿を発見 数匹で地中の草を食べているらしい うまい具合に風下も確保できた

ロイ「・・・・。」

ロイは視線でクルトに合図を送る 鹿を仕留めるのは任せたようだ
銃は使えないが有用性は理解できる 自分が投石紐を使うよりは確率は高いだろう

と 木に降り積もった雪がタイミング悪くどさどさと落ちる その音で鹿が警戒状態に移行
狙える時間はそう多くなさそうだ

449クルト・カントール【深紅の篭手】:2021/01/31(日) 00:20:05 ID:???
>>448

「………」

 クルトのステルス技能は猟においても発揮される。
 特に世界の波紋と同調することは野生動物に対しても相性がいい。

「………」

 鹿が警戒したとて、焦りの感傷をにじませることはない。
 努めて冷静に、鹿をサイバネアイのレティクルに捉えてトリガーを絞る。

【狩猟の流儀、なるべく下手に負傷させずに仕留めることだ。
 野生動物を長く苦しめるような狩りは埒外ですらある。ある種の敬意を忘れてはならない】

 パン!と耳に残る射撃音が響き渡ったのは、僅か数瞬後である。

【なお、クルトは射撃は兎も角、狩った際の処理に関しては素人に毛が生えた程度だ】

450かぶり ◆qg2zP.O3iQ:2021/01/31(日) 00:34:18 ID:???
>>449
冷静沈着に狙いを定め その銃撃はいったいの牡鹿の目に突き刺さり 脳漿を破壊させる
銃声に驚き ほかの鹿が逃げていくが これでいい 欲張ってはいけない 今日の満腹が未来の飢餓を生んではならない

ロイ「ナイスショット それじゃさっさと安全な場所へもっていこう
   血抜きしなきゃうまい肉にゃならんからな」

と手早く手足を縛って集落へと戻っていく

そこからは少々グロ注意な光景が続き 最終的においしい肉に変換できた
毛皮も損傷がなく美品として売りに出せるし 角も装飾品にできる まさに捨てるところなしだ

今日の晩飯は鹿肉のシチュー 狭間のスクラップヤードで生産したトマト缶を使ったおいしいシチューは
それを仕留めたクルトと捌いたロイが一番大きい肉を食べる権利がある 本来なら

ロイ「だが債務者にそんな贅沢は許されないのだ」
とげんなりロイ その権利はイムカのものであった

次辺りで〆

451クルト・カントール【深紅の篭手】:2021/01/31(日) 00:39:09 ID:???
>>450

「高い滋養、栄養価だな」

 イムカもさも当然というような態度でシチューをモグモグ。この御仁に殊勝な態度を期待するだけ無駄というものだ。
 なにより、ギャンブルの結果とは重い!重いのだ!!

【大三元爆弾直撃だからね。仕方ないね】

「ゴールドマン。俺の見立てだとお前さん、賭け事に弱いと思うのだが」

 ならばギャンブルを止めろと?それが出来れば苦労はしないのだ!

「デスデス、ヤクザとおじーちゃんのコンビでごはんがオイシーデス」

 とまあ、お子ちゃまも満足なので良しとしようなのだ。

【平和!!(ピンフではない!】

452かぶり ◆qg2zP.O3iQ:2021/01/31(日) 00:45:35 ID:???
>>451
ロイ「うっせばーかうっせばーか」
クルトの言葉に反抗する 賭け事をやめるなんてとんでもない

まだしばらくはゲートが開く様子もなし ゆっくりと銀世界で過ごすことになりそうだ…

//〆


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