[
板情報
|
R18ランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
| |
【ガヴドロSS】サターニャ「ソードアート・オンライン?」
1
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 00:50:07 ID:G2YbFmz.
オリジナル要素多数
2
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 00:51:35 ID:G2YbFmz.
ガヴリール「よし、運良くみんな手に入れることが出来たな」
ヴィーネ「よかった…。限定1万本だったものね」
サターニャ「ふんっ! この大悪魔がいるんだもの、当然の結果だわ。でもこれってそんなに面白いの?」
ガヴリール「んー、まあ前評判がよかったから競争率凄かったんだろ」
ラフィエル「MMO、しかもフルダイブのVRなんて初めてですからね。ガヴちゃんに誘われたのがきっかけですけど、私は早く帰ってプレイしたいくらい楽しみですよ♪」
ヴィーネ「半ば強引に誘われた気もするんだけど…」
ガヴリール「細かいことは気にすんなって。それじゃそれぞれ家帰って、次はゲームの中で会おう」
サターニャ「そうね! これを手にするまでは睡魔にやられてたけど、一刻も早くプレイしたくなったわ!」
ヴィーネ「ガヴ、面白いからって徹夜してゲームなんてしないからね?」
ガヴリール「えー、なんで?」
3
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 00:52:20 ID:G2YbFmz.
ヴィーネ「当たり前でしょ。明日は家から引っ張り出してでも学校に連れていくからね」
ガヴリール「やだ」
ヴィーネ「あんたねぇ、子どもじゃないんだから…」
ラフィエル「まあまあ二人とも、その辺にしてください。ログインはもう出来るみたいですし、早くしないと出遅れちゃいますよ?」
ガヴリール「そうだったな! んじゃ、各自解散! ゲームの世界で会おう!」
ヴィーネ「ちょっとガヴ!」
サターニャ「行っちゃったわね」
ラフィエル「ガヴちゃんは相変わらず可愛いですね♪」
ヴィーネ「とりあえず私たちも帰りましょうか。話しはゲームの中でもできるんだし」
ラフィエル「そうですね♪ それじゃゲームの中で♪」
サターニャ「わかったわ」
────────────────────────
4
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 00:53:07 ID:G2YbFmz.
ガヴリール宅
ガヴリール「さてと、初期設定はこんな感じでいいか」
ガヴリール「これがナーヴギア…」
ガヴリール「ずっと発売されるのを待ってたんだ。意地でも1週間は部屋に篭ってやり続けてやる…!」
ガヴリール「ヴィーネは面倒くさいけど、知ったこっちゃないね」
ガヴリール「よっしゃ、それじゃ準備も出来たし行きますか!」
ガヴリール「LINK START!」
────────────────────────
5
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 00:54:47 ID:G2YbFmz.
〜第1層主街区 はじまりの街〜
ヴィーネ「あ、来た来た。サターニャこっちよ!」
ガヴリール「おせーぞ」
サターニャ「ごめん、迷っちゃったわ!」
ラフィエル「大悪魔様でも迷うことがあるんですね♪」
サターニャ「ゲームとか初めてだから仕方ないじゃない」
ヴィーネ「でもここ、ほんとに広いわよね。しかも凄いリアル…」
6
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 00:55:28 ID:G2YbFmz.
サターニャ「それにさっき窓に映る自分の顔見たら全然違うし」
ラフィエル「あらっ? サターニャさんはいつも通りじゃないですか」
サターニャ「えっ? どっからどう見ても違うと思うんだけど…。でもあんた達、よく私だってわかったわね」
ガヴリール「そりゃまあ、馬鹿なオーラが溢れてたからな」
サターニャ「なによ! ゲームなんだからそんなこと有り得ないでしょ!?」
ヴィーネ「喧嘩しないの。とにかく4人揃ったことだし、ガヴ、まずは何をすればいいの?」
ガヴリール「そうだな、とりあえずこういうゲームはレベルを上げて強くならないと話にならないからな。フィールドに出てモンスターでも倒すか」
ラフィエル「早速戦闘ですね。頑張ります♪」
────────────────────────
7
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 00:56:30 ID:G2YbFmz.
〜第1層〜 西のフィールド
ガヴリール「ヴィーネ! そっち行ったぞ!」
ヴィーネ「きゃっ!? このイノシシみたいなの早いわね」
ラフィエル「ヴィーネさん落ち着いてください♪ 一層目のモンスターなので、ゆっくり倒しましょう」
サターニャ「ゲームの中だから走っても全然疲れないわね! ヴィネット、私が代わりに倒してくる!」
ヴィーネ「気をつけてね!」
ガヴリール「…あいつ元気だな」
ラフィエル「サターニャさんは体を動かすことだけは得意ですからね」
サターニャ「ふっふーん、そんな突進当たらないわ! うりゃっ! …ってうわぁ!?」
【片手細剣 リニアー】
ヴィーネ「えっ!? 今サターニャの剣光ったわよね!?」
8
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 00:57:19 ID:G2YbFmz.
ラフィエル「えぇ。魔法…でしょうか。それに凄いスピードでしたね。イノシシが一撃です」
ガヴリール「ソードスキルってやつじゃないかな」
サターニャ「ちょ、今の何!? 私の動きめちゃくちゃ早くなかった!?」
ガヴリール「落ち着けって。さっきのサターニャの突進はソードスキルってやつだよ」
ヴィーネ「それは何なの?」
ガヴリール「んー、私も詳しくは知らないんだけど、説明書に書いてあったんだよね」
サターニャ「説明書? 私はそんなもの読んでないわよ?」
ガヴリール「読まなくてもスキルは発動するからな」
ヴィーネ「それじゃサターニャは偶然見つけたってことになるわね…」
ラフィエル「凄いですサターニャさん♪」
9
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 00:58:10 ID:G2YbFmz.
サターニャ「そ、そう? ま、大悪魔の手にかかればこれくらいは当然よ!」
ヴィーネ「それでソードスキルの説明は他にないの?」
ガヴリール「確か読んだ限りだと、剣や投擲、体術なんかにもソードスキルがあるらしい。武器ごとに色々あって、今のサターニャのスキルは細剣術のリニアーってやつだと思う」
ラフィエル「ということは、私が持ってる武器ではリニアーというスキルは使えないということですよね?」
ガヴリール「そういうことになるな。ラフィエルの武器は斧だからリニアーは使えないってことになる」
ヴィーネ「なるほどね。結構ゲームって難しいわね」
ガヴリール「慣れるまでは大変だろうけどその内覚えるよ」
サターニャ「あんまりわからないけどわかったわ! とにかく強くなればいいのよね!」
ガヴリール「……面倒だからお前はそれでいいよ」
10
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 00:58:58 ID:G2YbFmz.
ラフィエル「すみませんガヴちゃん、お話が変わるのですが、目の前に表示されてるものは何なのでしょう…」
ヴィーネ「私も聞きたかったわ。色々書いてあるみたいだけどさっぱりわからないわ…」
ガヴリール「あぁ、それはモンスターを倒したから報酬を貰いましたよっていう通知みたいなもんだ」
サターニャ「報酬?」
ガヴリール「基本的にゲームはモンスターを倒せばお金とアイテム、それに経験値が貰える仕組みになってるからな」
ヴィーネ「そうなんだ。それじゃ今表示されているのは──」
ガヴリール「6コル、は恐らくお金のことだろうな。それと経験値も書いてあるけど、アイテムはドロップしてないか」
サターニャ「あれっ? 私は8コルよ」
ヴィーネ「私は3コルしか貰ってない…」
ラフィエル「私は5コルですね。ガヴちゃん、何故差があるのでしょう」
ガヴリール「多分貢献度じゃないか? 誰がどれだけダメージを与えたか、っていうのをプログラムが判断してるんだと思う」
11
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 01:00:27 ID:G2YbFmz.
サターニャ「それじゃどんどん敵と戦った方がいいってことね!」
ガヴリール「確かにその戦い方だと稼げるし強くはなるけど、HPがゼロになっても知らないからな」
サターニャ「なによ。ゼロになればどうなるの?」
ガヴリール「デスペナルティがつく」
サターニャ「ですぺる?」
ガヴリール「デスペナルティな。このゲームのデスペナルティがどんなものかは知らないが、簡単に言えば倒されると、持っているアイテムを失ったりレベルが落ちたりするんだ」
ヴィーネ「そうなんだ。それじゃなるべくゼロになるのは避けないといけないってこと?」
ガヴリール「そういうことになるな。場合によってはしょうがないデスもあると思うから、そこは臨機応変に対応しないとだけど」
サターニャ「うぅ…。さっきから新しいことばかりで勉強してる気分になるわね…」
ラフィエル「確かに、ゲームと言っても情報が大事ということなのでしょうか」
ガヴリール「ラフィエルいい事言った! そうなんだよ。ゲームで強くなるためには情報がとにかく大事なんだ。そのためにはまず──」
12
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 01:01:26 ID:G2YbFmz.
ヴィーネ「っとごめんガヴ、その説明の前にちょっといい?」
ガヴリール「ん、なんだ? これから強くなる上で最も大事なことを話すんだけど」
ヴィーネ「それは現実世界でご飯食べてからにしない? だってほら、もうお昼の1時よ?」
サターニャ「そうね。現実の私はきっとメロンパンを欲しているに違いないわね」
ガヴリール「飯なんて食わなくていいだろ。1食くらい抜いても死にはしない」
ヴィーネ「駄目よ、きちんと3食食べなきゃ。それにゲームが発売されたからって、今日は徹夜なんてさせないからね」
ガヴリール「チェッ、ったくしょうがないな。30分だけだぞ」
ラフィエル「せめて1時間は欲しいです」
ガヴリール「えー、もう…。それじゃ1時間でいいよ。私は落ちないしとりあえず早く戻ってきてくれ」
サターニャ「私がいないからって、あんな雑魚にやられるんじゃないわよ」
ガヴリール「誰がサターニャの手なんか借りるかっての。ほれ、さっさと落ちろ」
サターニャ「言われなくても帰るわ──あれっ?」
13
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 01:02:51 ID:G2YbFmz.
ガヴリール「…? 何してんだよ。早く行けってば」
ヴィーネ「……ちょっと待って。あれっ? ガヴ、このゲームってどこからログアウトするの?」
ガヴリール「ん、あぁ言ってなかったっけ。手を上から下に振り落とせばウィンドウが──」
ラフィエル「やってもないんですよ。どこを見てもログアウトボタンが」
ガヴリール「そんな訳ないだ……ん? ほんとだ、ないな」
サターニャ「でしょ? もう、どうなってるのよこれ…」
ガヴリール「GMにもメッセージ飛ばせないみたいだ…。バグか?」
ヴィーネ「バグ? なんなのそれ」
ガヴリール「不具合みたいなもんだよ。まあなんにせよ、復旧するまでは現実世界に戻れないってこと」
ヴィーネ「えっ!? 嘘、午後から雨の予報だったから洗濯物取り込まなくちゃいけないのに!」
ガヴリール「不具合なんだから仕方ないだろ。多分運営は今頃てんやわんやだろうな」
ヴィーネ「そんな…。早く復旧してくれないと困るわ…」
14
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 01:04:02 ID:G2YbFmz.
ラフィエル「こればかりは仕方ないですよね…。私も外に干しているので戻ったらまた洗濯しないといけないのでしょうか…」
サターニャ「私は……特にやらなきゃいけないことはないわね」
ガヴリール「ま、しょうがないからもう少し戦いに慣れておこうぜ」
サターニャ「仕方ないわね。こうなったらもう少しあんたに付き合ってあげ──」
ゴーン ゴーン
サターニャ「きゃっ!? な、何、この鐘の音?」
ラフィエル「気味が悪いですね…」
ヴィーネ「不具合のアナウンスとか?」
ガヴリール「わからない、でも何かあるんだろう」
サターニャ「ガヴリール、一度街に戻った方が良さそうじゃな──」
ヴィーネ「サターニャ!? なに、あの子どこへ行──」
ラフィエル「えっ!? お二人共どちらに──」
ガヴリール「おい! くそっ! なんなんだよ、 一体何が起きて──」
────────────────────────
15
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 01:04:50 ID:G2YbFmz.
ラフィエル「ガヴちゃんこっちです!」
ガヴリール「みんな! よかった、お前ら無事か」
サターニャ「いきなり変な所に連れてこられるなんてなんなのよ…」
ヴィーネ「それにそこら中にプレイヤーが集まってるみたいだけど、やっぱりGMから連絡があるのかな」
ガヴリール「いや、それならメッセージが来るはず」
サターニャ「だったら何が始まるっていうのよ」
ガヴリール「そんなの私に聞かれても──」
『おいっ! 空に何か出てるぞ!』
ガヴリール「ん、空?」
ラフィエル「ほんとですね、何か降ってきました」
ヴィーネ「モンスター、じゃないわね…。あれがこのゲームのGMっていう人なのかな?」
サターニャ「だとしたらやっぱり説明が──」
16
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 01:05:42 ID:G2YbFmz.
『プレイヤーの諸君、ようこそ私の世界へ。私がGMの茅場明彦だ』
ガヴリール「私の、世界…?」
『既に諸君の中にも気付いている者がいるかもしれないが、このゲームにはログアウトボタンがない』
サターニャ「やっぱりその話だったのね。よかった──」
『しかしそれは不具合ではない』
ヴィーネ「……えっ?」
『繰り返す。ログアウトボタンがないのは不具合ではなく、ソードアート・オンライン本来の仕様である』
ガヴリール「仕様、だって…?」
『このゲームはログアウトは出来ず、ゲーム内でHPがゼロになったその瞬間、君たちの頭に付けられているナーヴギアから脳に高出力マイクロウェーブが照射され、脳を破壊する』
ヴィーネ「そんな、嘘よね…。ガヴ! そんな出鱈目ないわよね!?」
ガヴリール「そんなのわかるかよ!」
17
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 01:07:32 ID:G2YbFmz.
『既に1万人いたプレイヤーの内、304人がゲーム及び現実世界で息を引き取っている』
ラフィエル「ありえません…! そんなこと、あってはなりません!」
『もう一度だけ伝える。この世界でHPがゼロになった瞬間、現実世界にいる君たちも絶命する。これはゲームであっても遊びではない』
サターニャ「なによそれ…!」
『諸君がこの世界から解放される条件はただ一つ、この浮遊城アインクラッド100層のボスを倒すことのみ』
『以上で説明を終了するが、最後に私から諸君にちょっとしたプレゼントをアイテムストレージに送った。それでは、頑張ってくれ』
ガヴリール「手鏡…? なんだこれ──」
ヴィーネ「今度は何!? 突然光が!?」
サターニャ「うっ…! みんな大じょう──えっ!? ガヴリール、それにあんたたちも顔が戻ってるわよ!」
ラフィエル「えっ!? あ、サターニャさんもです!」
18
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 01:08:27 ID:G2YbFmz.
ガヴリール「何がしたいんだあいつ…!」
ヴィーネ「ログアウト出来ないってどういうことなの…。それにHPがゼロになったら──」
サターニャ「で、出鱈目に決まってるじゃない! そんなに驚いて馬鹿じゃないの」
ラフィエル「でも既に300人以上が亡くなってるって言ってましたよね…」
サターニャ「あ、あいつがそう言ったからって素直に信じるっていうの!?」
ヴィーネ「とても嘘とは思えないわ」
サターニャ「ヴィネットまで…。ガヴリール! あんたはどう思ってんのよ」
ガヴリール「……私も本当だと思う」
サターニャ「そんな…」
ガヴリール「とにかく一旦冷静になろう。街の中ではダメージを受けないんだ、どこか落ち着いて話せる所に場所を移そう」
ラフィエル「そうですね…」
────────────────────────
19
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 01:09:31 ID:G2YbFmz.
〜第1層 はじまりの街〜 街の外れ
ガヴリール「とりあえず今わかっていることはこのくらいか…」
サターニャ「HPがゼロになると現実世界の私たちも絶命する。100層のボスを倒すことでしかこのゲームから出られない。プレイヤーは残り9700人弱。ね」
ガヴリール「ほとんど何もわかってないな…」
ラフィエル「そうですね…。それにしても信じられません。ゲームで倒されると現実でも…」
ガヴリール「だな、確かに信じられない。けれど、これはもう現実なんだ。クリアすることでしか私たちは外に出られない。受け入れるしかないんだよ」
ヴィーネ「……嫌よ。嫌」
サターニャ「ヴィネット?」
ヴィーネ「なんで死ななきゃいけないの!? これはゲームなのよ!? なんで! なんでよ!」
ガヴリール「ヴィーネ落ち着け!」
ヴィーネ「落ち着ける訳ないでしょ!? あんた気付いてる? 私たちさっきまでモンスターと戦ってたのよ!? もしあそこでHPがゼロになってたら私たち死んでたんだよ!」
ガヴリール「んなことわかってるよ!」
20
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 01:10:41 ID:G2YbFmz.
ヴィーネ「嘘、そんなの嘘よ! ガヴ、あんたは何もわかってない。さっきまで私たちの目の前に死が近付いてたの! これがどういう意味かわかってる!?」
ラフィエル「ヴィーネさん、一度冷静になりましょう、ね?」
ヴィーネ「ラフィーは黙ってて!」
サターニャ「ちょっとヴィネット──」
ヴィーネ「サターニャも黙って! とにかく私はもう嫌。元々ゲームなんて嫌いなのに、なんでこんなことに巻き込まれなきゃいけないのよ!」
ラフィエル「ヴィーネさん…」
ヴィーネ「……私、もう決めたから」
ガヴリール「何をだよ」
ヴィーネ「私もう、この宿屋から出ない」
ガヴリール「はぁ? 何言ってんだ。クリアしないとこのゲームから出られないんだぞ?」
ヴィーネ「そんなこと知ってるわよ! でも街から出たら死ぬのよ!」
ガヴリール「だからってクリアしないと元の世界には──」
ヴィーネ「死ぬよりはマシでしょ!?」
ガヴリール「……」
21
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 01:11:46 ID:G2YbFmz.
ヴィーネ「モンスターに倒されるくらいなら、私はここで死んだように生きてる。そうすればいつかは出られるはずでしょ? ……私は怖い、もう嫌なの。それに比べてあんたはいいじゃない、ゲームが好きなんだからさ」
ガヴリール「……私だって怖いよ」
ヴィーネ「えっ…?」
ガヴリール「ヴィーネ。私だってさ、怖いよ。やだ、死にたくない」
ヴィーネ「ガヴ…」
ガヴリール「それは多分、ラフィエルもサターニャもそうだと思う」
ラフィエル「その通りです。ヴィーネさん、私も怖いんですよ? 死にたくありません」
サターニャ「わ、私は別に? この大悪魔、胡桃沢=サタニキア=マクドウェルがモンスター如きに倒される訳ないから、これっぽっちも怖くないけど?」
ガヴリール「声震えてるぞ」
サターニャ「うっさいわね! 怖くて悪かったわね!」
ヴィーネ「ラフィー、サターニャ…」
22
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 01:12:47 ID:G2YbFmz.
ガヴリール「みんな怖いんだよ。でもさ、クリアしないと現実に戻れないんだ。私は天界に、ヴィーネは魔界に二度と戻れないのは嫌だろ?」
ヴィーネ「……うん」
ガヴリール「やるしかないんだよ。私たちの現実は今からここなんだ。ゲームの中が、私たちが今を生きている場所なんだからさ」
ラフィエル「そうですね。恐らく家族にも連絡は行っているでしょうし、ヴィーネさんの御家族も心配していると思いますよ?」
サターニャ「ヴィネットはお父様やお母様に会いたくないの?」
ヴィーネ「……会いたいわ」
ガヴリール「ヴィーネ、腹を括ってくれ。私たちは1人じゃないんだ。助け合って生きていけばその内クリアできる」
ラフィエル「そうですよ♪ こちらには大悪魔様もいらっしゃいますし。ね、サターニャさん?」
サターニャ「うえっ!? そ、そうね。そうよ、ヴィネット! 私があんたを守ってあげるわ!」
ヴィーネ「……みんな、ありがとう。怖くて足が震えるけど、私も戦うわ」
ガヴリール「みんな不安なのは一緒なんだ。協力して頑張ろう!」
サターニャ「えぇ!」
ラフィエル「はい♪」
ヴィーネ「そうね!」
────────────────────────
23
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 01:14:29 ID:G2YbFmz.
────────────────────────
ガヴリール Lv1 片手剣
ヴィーネ Lv1 両手槍
サターニャ Lv1 片手細剣
ラフィエル Lv1 両手斧
────────────────────────
24
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 22:31:17 ID:WNjo6LJU
〜第1層 トールバーナ〜
ガヴリール「ようやく着いたな」
ヴィーネ「綺麗な所ね。日本とは違う街並みはワクワクしちゃうわね」
ラフィエル「そうですね♪ 今日はもう日も落ちてきてますし、早めに寝場所を確保した方が良さそうです」
サターニャ「この街にはメロンパン売ってあるかしら…」
ガヴリール「最前線はもう2層に行ってるみたいだし、思ったより人が少ないな。…よし、とりあえずラフィエルの言う通り今日の寝床を探すか。私、ちょっとそこらのNPCに聞いてくる」
ラフィエル「ありがとうございます♪ それにしてもあれから2ヶ月経ってようやく2層…。ペース的には遅いですよね」
ヴィーネ「そうね。でも私たちも最前線に立ってる訳じゃないんだし、人のせいには出来ないわ」
サターニャ「ゆっくりでもいつかクリア出来るんだから大丈夫よ」
ラフィエル「そうですよね。いつかは帰れますよね…」
ガヴリール「おーい、どうやら向こうに安い所があるらしいぞ」
ヴィーネ「ガヴが呼んでるわね、行きましょうか」
────────────────────────
25
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 22:32:18 ID:WNjo6LJU
サターニャ「……結構ボロい所だったわね」
ガヴリール「文句言うなよ。あっちの私の部屋よりはマシだったぞ?」
ヴィーネ「胸張って言うことじゃないでしょ…」
ラフィエル「お金は持っていた方がいいですからね。最初の内は節約ですよ♪」
ガヴリール「その通りだ、泊まるとこなんかよりも装備やアイテムの方が何倍も大切だからな」
サターニャ「それはそうだけど…」
ガヴリール「まあ何にせよ、話すのは飯食いながらでもいいだろ。街の中央には酒場も結構あったし行ってみよう」
ラフィエル「そうですね、お腹空きました♪」
ヴィーネ「あんた今日はお酒飲まないでよね」
ガヴリール「……それは約束できないな」
────────────────────────
26
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 22:33:46 ID:WNjo6LJU
〜第1層 トールバーナ〜 とある酒場
ガヴリール「よっしゃ、それじゃ今日もみんなお疲れさん。新しい街に着いたことを祝して乾杯!」
サタラフィ「かんぱ〜い!」
ヴィーネ「かんぱ──って結局飲むんじゃない!」
ラフィエル「まあまあ固いこと言わずに♪ ほらヴィーネさん、このピザ美味しいですよ?」
ヴィーネ「そうは言ってもね…。あ、ほんとだ、美味しい」
サターニャ「ぷはぁ! 店員さん、このワインもう一杯頂くわ!」
ヴィーネ「早っ。サターニャ相変わらずいい飲みっぷりね」
サターニャ「ふふーん、そうでしょ? これぞ大悪魔に相応しい嗜みってやつよね!」
ヴィーネ「そこはよくわからないけど」
ラフィエル「でもお酒って不思議な感じですよね♪ あちらでは未成年だと飲めませんし、酔うという感覚を疑似体験できるのは楽しいです♪」
27
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 22:35:06 ID:WNjo6LJU
ヴィーネ「それには同意できるわね。体も温かくなってくるし、気分が高揚するっていうのかしら。ほんと不思議な感覚──」
ガヴリール「いぇーい! みんな楽しんでるー?」
ヴィーネ「またか…」
ラフィエル「始まりましたね♪」
サターニャ「もう見慣れたわ」
ガヴリール「みんな元気なくない? どうしたの、楽しもうよー!」
ヴィーネ「はいはいわかったから、あんたは次からジュース飲みなさい」
ガヴリール「えー、なんで!? みんなでハッピーになれるんだから飲むの!」
ヴィーネ「あんたは子どもか!」
ガヴリール「子どもだもん! まだJKだもん!」
28
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 22:36:53 ID:WNjo6LJU
ヴィーネ「はあ…。いいからこれでも飲んでなさい…」
ガヴリール「お、ありがと! ヴィーネから飲ませてくれるなんて珍しいね!」
ヴィーネ「偶にはね…」
ラフィエル「うふふ、お疲れ様です♪ ヴィーネさんは最近、酔っ払いガヴちゃんの扱いが上手くなってきてますね♪」
ヴィーネ「こう毎日飲んでると流石にね」
サターニャ「……なんでガヴリールはアルコールに耐性がないのに飲むのかしらね」
ヴィーネ「それが謎なのよね。……あー、ワインが染みるわ」
ラフィエル「ヴィーネさん、なんだかおじさんみたいですよ?」
ヴィーネ「えっ!? そんな…!」
サターニャ「ヴィネットは将来お酒に依存すらかもしれないわね」
ヴィーネ「サターニャまで! ちょっと控えた方がいいのかしら…」
サターニャ「まあお酒はほろ酔いがいいって言うし、心配する程でもないんじゃないかしら」
ヴィーネ「そうよね…」
29
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 22:37:51 ID:WNjo6LJU
ガヴリール「みんな辛気臭い顔してどうしたのさー? こんなに楽しい夜にそんな顔してちゃ損だよ」
ヴィーネ「誰のせいでこうなってると思ってんのよ…」
ラフィエル「ガヴちゃんのお酒飲んでる時だけは羨ましいですよね」
サターニャ「全くね。……あ、すみませーん。ワインもう一杯頂けるかしら」
ガヴリール「私も!」
ヴィーネ「お前はもう止めろ」
ラフィエル「ガヴちゃん? このブルスケッタ美味しいので食べましょうね?」
ガヴリール「んぐっ!? んぅっ、うん、美味しい!」
ヴィーネ「全く、もー。……サターニャ、後でこっそりお水頼んで頂戴」
サターニャ「わかったわ」
ラフィエル「やれやれですね♪」
────────────────────────
30
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 22:41:16 ID:WNjo6LJU
ガヴリール「あ゙ー、みんなおはよ。今日も張り切って行くか」
サターニャ「……あんた大丈夫?」
ヴィーネ「いつものことでしょ。心配するだけ無駄よ」
ガヴリール「ったく、二日酔いのシステムいらねぇだろ」
ラフィエル「ワイン1杯でこうなるのは凄いです♪」
ガヴリール「何言ってんだ? あんまり覚えてないけど3杯は飲んでなかったか?」
ヴィーネ「確かに飲んでたわ。2杯目からは水をね」
ガヴリール「嘘だろ!? 全然気づかなかった…」
サターニャ「美味しいって言いながらずっと水を飲んでたあんたは滑稽だったわ」
ガヴリール「言うな! 忘れろ馬鹿!」
ヴィーネ「馬鹿はあんたの舌でしょ…」
ラフィエル「まあその辺にしましょう♪ 今日は1層の迷宮区に行くのですから」
ガヴリール「…そうだな、こんな軽い気持ちで行ったらやられちまう。みんな気を引き締めて行くぞ」
サターニャ「1番気を引き締めなければいけないのは誰かしらね…」
────────────────────────
31
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 22:42:58 ID:WNjo6LJU
〜第1層 迷宮区〜
ガヴリール「サターニャスイッチ!」
サターニャ「OK! うりゃっ!」
【片手細剣 リニアー】
ラフィエル「ナイスです! ガヴちゃん、もう一体来てます!」
ガヴリール「えっ──うわっ!」
ヴィーネ「ガヴ!?」
ガヴリール「大丈夫だ! 誰かカバー入れるか!?」
ヴィーネ「私が──」
サターニャ「任せなさい! ってい!」
【片手細剣 リニアー】
ガヴリール「サンキュー、助かった!」
ラフィエル「ガヴちゃん大丈夫ですか?」
ガヴリール「問題ない、ちょっとモロに食らっただけだ」
ヴィーネ「ポーション持ってるでしょ? また敵がポップする前に飲んどきなさい」
32
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 22:44:27 ID:WNjo6LJU
ガヴリール「んー、節約したいからいいわ」
ヴィーネ「駄目よ! 飲んで!」
ガヴリール「わかったよ…」
サターニャ「ねぇ、ヴィネットってたまに怖いわよね」
ラフィエル「無理はないですよ。HPがゼロになったら私たちは……ね」
サターニャ「そうだったわ…。節約以前に死んだら元も子もないものね」
ガヴリール「ふぅ。飲んだよ、これでいいだろ?」
ヴィーネ「えぇ。ガヴ、あんた予備のポーションは持ってる?」
ガヴリール「えっと…今ので最後だな」
ヴィーネ「それじゃ私2つ持ってるし1つ渡しとくわね」
33
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 22:47:44 ID:WNjo6LJU
ガヴリール「いいよ別に。ポーション高いしさ」
ヴィーネ「いいから、持っときなさい」
ガヴリール「……わかったよ」
サターニャ「っていうかお母さんみたいね」
ラフィエル「そうですね♪ ガヴちゃんはちっちゃい子どもみたいで可愛いです♪」
ガヴリール「ん、お前ら何コソコソ話してるんだよ」
ラフィエル「なんでもないですよ?」
ガヴリール「そうか? そんじゃもうちょい先進むぞ」
ヴィーネ「それにしても迷宮区って初めて来たけど、名前の通り本当に迷宮ね…」
ラフィエル「そうですね。マッピングして下さった人たちには頭が上がらないです」
サターニャ「それでも所々マップが抜けてる箇所もあるわよね? これってどういうこと?」
ガヴリール「まだ誰も行ってない場所ってことだろ。ボスの部屋に進む過程で関係ない所にいっても意味ないからな」
サターニャ「ふーん、そうなんだ」
34
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 22:49:24 ID:WNjo6LJU
ラフィエル「でも面白そうですよね。まだ誰も行ってない場所に、前線で戦っていない私たちが行くって」
ガヴリール「冒険が好きな人ならいいんじゃないか? 私は効率重視であまり好まないけど」
サターニャ「私行ってみたいかも」
ヴィーネ「ちょっと危なくないかしら」
ガヴリール「そうだな…。私らのレベルなら問題いと思う」
サターニャ「じゃあ行きましょうよ! ワクワクしてきたわ」
ガヴリール「うーん、それじゃ迷宮区入口のすぐ右がマッピングされてないしそこに行くか」
ヴィーネ「そこなら何かあってもすぐ逃げられるだろうしいいかもね」
サターニャ「そうと決まれば一度入口まで引き返しましょ! 私、先行ってるわね!」
ラフィエル「サターニャさん! 1人で行ったら危ないですよ!」
ガヴリール「ったく、あいつほんと馬鹿だな。私たちも早く追いかけるぞ」
ヴィーネ「そうね、急ぎましょ!」
────────────────────────
35
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 22:56:18 ID:WNjo6LJU
サターニャ「遅かったわね、何分待たせるのよ」
ガヴリール「お前が1人で突っ走るのが悪いんだろ」
ヴィーネ「そうよ。何があるか分からないんだし、今後は1人で行動しちゃ駄目だからね」
サターニャ「わかったわよ…」
ラフィエル「なんだかデジャブですね」
ガヴリール「ふぅ、それじゃもう1回中に入っていくか──」
サターニャ「そうね!」
ガヴリール「──と、言いたいところだけど腹減った。ヴィーネ、ご飯食べたい」
サターニャ「えー!」
ヴィーネ「はいはい、ちゃんと作ってきたから待ってなさい」
サターニャ「とは言っても私もお腹空いたわ。ここでちょっと座って休憩ね」
ラフィエル「私もペコペコです。ヴィーネさん、今日のお昼は何でしょう?」
ヴィーネ「今日はサンドイッチを作ってみたわ。美味しく出来てるといいんだけど…」
36
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 22:58:29 ID:WNjo6LJU
ガヴリール「ヴィーネの飯ならなんでも美味いよ、っと。んじゃ頂きまーす」
ヴィーネ「……どうかな?」
ガヴリール「美味い! やっぱヴィーネの飯は世界一だな!」
ヴィーネ「そう! …よかったぁ」
サターニャ「うん、美味しいわ。あっちじゃ食べたことない味だけど、流石ヴィネットね」
ラフィエル「この味付け美味しいです♪ どうやって作ったんですか?」
ヴィーネ「この白いソースは市場に売ってる2種類の野菜とタリの実を混ぜて作ったの。みんなの口に合ってよかったわ」
ガヴリール「ほんと美味いよ。所でヴィーネの料理スキルは今どのくらいなんだ?」
ヴィーネ「一昨日ようやく50になったくらいかな。まだまだ誇れる程じゃないけどね」
サターニャ「凄いじゃない。もう20分の1は上がってるんだし、全プレイヤーの中で最高の料理スキルなんじゃない?」
ラフィエル「その内お店出したら儲かりそうですね♪」
37
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 22:59:48 ID:WNjo6LJU
ヴィーネ「別にそんなことしないわよ。それにこの世界の料理はやり方が味気なくてつまらないもの」
ガヴリール「確かに包丁翳したり時間を設定したりするだけだもんな」
ヴィーネ「そうなのよね…。これじゃ料理上手は一生語れそうにないわ」
サターニャ「私も自炊して少しは上げた方がいいのかしら…」
ラフィエル「そうですね。今の私たちにはお肉を焼くことすら儘なりませんしね」
ガヴリール「私はヴィーネがいるから1足りとも上げないけどな」
ヴィーネ「あんたは現実世界でも料理できないじゃない」
ガヴリール「失礼な。私だってカップ麺くらい作れる」
サターニャ「お湯入れるだけの行為は料理とは言えないんじゃない?」
ガヴリール「うっさいなー」
ラフィエル「でもガヴちゃんは天界だとお料理してましたし、やれば出来る子ですよね?」
ガヴリール「そうだそうだー。私はやらないだけだからな」
ヴィーネ「なんで誇らしげなのよ…」
38
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 23:00:51 ID:WNjo6LJU
サターニャ「ふぅ、美味しかったわ。ヴィネットご馳走様」
ラフィエル「ご馳走様でした。今日も美味しかったです♪」
ガヴリール「ごっそさん」
ヴィーネ「お粗末様でした。早く料理スキル上げてもっと美味しいもの作るわね」
ガヴリール「ヴィーネの料理に今後も期待だな。さてと、そんじゃそろそろ行くか──」
サターニャ「そうね!」
ヴィーネ「あ、食後のお茶もあるんだけど…」
ガヴリール「──と言いたかったが、食休みは大事だしもうちょいダラダラしてから行こう」
サターニャ「あんたねぇ…。まあ私も頂くけど」
ラフィエル「もう少し休憩ですね♪」
────────────────────────
39
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 23:06:03 ID:WNjo6LJU
ガヴリール「…なあ、私たちもう2時間は歩いてるよな?」
ヴィーネ「そうね、大分奥まで来たと思う。それにしても未開の土地ってなんだか怖いわね…」
ガヴリール「そうは言っても出てくるモンスターは変わんないけどな」
サターニャ「前線にいる人はずっとこれをやってるのよね。ほんと凄いわ」
ラフィエル「ボス部屋なんてどこにあるか分かりませんからね。それに敵の情報もありませんし」
ガヴリール「だな。私たちにはできない所業だ」
サターニャ「私はいつか前線で戦ってみたい気持ちもあるけれど──ん?」
ヴィーネ「サターニャどうしたの?」
サターニャ「あそこに何かない?」
ガヴリール「何処だ?」
サターニャ「ほらあそこ、あの岩と岩の間に何か挟まってる気がするんだけど」
ラフィエル「あ、ほんとですね。何か箱みたいなものがある気がします」
ガヴリール「そうか? 私には見えないな」
ヴィーネ「……あんた背が低いからね」
ガヴリール「言うな。とりあえず行ってみよう」
40
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 23:10:03 ID:WNjo6LJU
ラフィエル「近くで見るとこの岩大きいですね」
サターニャ「3メートルくらいかな。ジャンプしても全然届かないわ」
ヴィーネ「よじ登って取るしかないのかしら」
ガヴリール「かもな。よし、サターニャ行ってこい」
サターニャ「言われなくても行くわよ。私が見つけたんだし」
ラフィエル「落ちないように気をつけて下さいね」
サターニャ「わかってるわよ、っと!」
ガヴリール「ま、この高さならほとんどダメージ受けないし大丈夫だろ」
ヴィーネ「サターニャってほんとゲームの中でも身軽よね。ちょっと羨ましい」
サターニャ「よっ、ほっ、…ふぅ、到着! 流石私ね」
ガヴリール「ポーズ決めてないでその箱早く確認しろ」
サターニャ「ふんっだ。ガヴリール、ここからだとあんたが余計に小さく見えるわ」
ガヴリール「……お前降りてきたら斬るからな」
サターニャ「あんたなんかには負けないわよ。っと、そんなことよりもこの箱よね」
41
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 23:13:23 ID:WNjo6LJU
ヴィーネ「何か入ってるのかな」
ラフィエル「もしかして宝箱でしょうか」
サターニャ「下に持ってくのも面倒だしここで開けちゃうわね。よいしょっと」
ガヴリール「どうだ、何入ってた?」
サターニャ「おぉー!? すごい…。ねぇ、凄い綺麗な物が入ってたわよ!」
ラフィエル「どうやら本当に宝箱だったようですね♪」
サターニャ「そうみたい。えぇと、これは…装備のようね──えっ!?」
ヴィーネ「どうしたの?」
サターニャ「ちょっと待って、凄いわよこれ! まぁいいや、今下りるわね!」
ガヴリール「……あいつどうしたんだ?」
ヴィーネ「さぁ? とにかく凄いアイテムを見つけたようだけど…」
サターニャ「っと、下りる方が簡単だったわね──じゃなくて! 凄いわよこれ」
ラフィエル「それさっきから何回も聞いてます。一体何が凄いんですか?」
サターニャ「言うよりもこれを見た方が早いわ!」
42
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 23:14:24 ID:WNjo6LJU
ガヴリール「装備名は星宙の額冠か。それで──はぁ!?」
ヴィーネ「び、敏捷値プラス8!?」
ラフィエル「とんでもない代物じゃないですか!」
ガヴリール「こんな序盤にこれ程の化け物パラメータの装備があっていいのか!?」
サターニャ「ふふーん、どうかしら。みんな私を褒めてもいいのよ?」
ヴィーネ「凄いわよサターニャ!」
ラフィエル「素晴らしい働きです♪」
ガヴリール「よくやった!」
サターニャ「そ、そんなに褒められると照れるわね」
ガヴリール「とにかくとんでもないものを見つけたんだ。来た道を引き返すのにも同じ時間がかかるし、今日はもう引き返そう!」
ヴィーネ「それが得策ね」
ラフィエル「サターニャさん、うっかり落とさないで下さいね?」
サターニャ「そんなことしないわよ…。ちゃんとしまっておくから」
ガヴリール「よしよし、そんじゃ収穫もあったことだし帰りますか」
────────────────────────
43
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 23:15:45 ID:WNjo6LJU
〜第1層 トールバーナ〜 とある酒場
ガヴリール「いやー、サターニャはほんと神だよ! 私とってもハッピー! 今日も楽しもう!」
ヴィーネ「また始まってるし…」
サターニャ「ガヴリールには自重という言葉がないのかしらね。それに私は神じゃなくて悪魔だし…」
ラフィエル「まあまあ、そういう2人も飲んでるじゃないですか♪」
ヴィーネ「ラフィもでしょ」
ラフィエル「はい♪」
サターニャ「ぷはぁ…。それにしてもこのアイテムどうすればいいのかな」
ヴィーネ「どうするって、サターニャが着ければいいんじゃないの?」
ラフィエル「私もそれがいいと思います」
サターニャ「えっ? 私でいいの?」
44
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 23:16:47 ID:WNjo6LJU
ヴィーネ「サターニャは敏捷パラメータにほとんど全振りしてるんだし、当然だと思うわよ」
ラフィエル「そもそもサターニャさんが見つけた装備です、こんな状態ですがガヴちゃんも文句は言わないと思います」
サターニャ「そっか…。それじゃ有り難く着けさせて貰うわね」
ガヴリール「なーにー? 今私のこと誰か呼ばなかった?」
ヴィーネ「なんでもないわよ。あんたはお気楽でいいわね」
ガヴリール「毎日楽しいよ? ハッピーガールだよ!」
サターニャ「……あんた絶対頭もハッピーになってるわよね」
ラフィエル「間違いないですね♪」
ヴィーネ「はぁ…。そろそろ毎晩お酒を飲むのも考えた方がいいのかもね…」
ガヴリール「さーて、どんどん飲むぞー♪」
────────────────────────
45
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 23:18:18 ID:WNjo6LJU
ガヴリール Lv6 片手剣
ヴィーネ Lv5 両手槍
サターニャ Lv6 片手細剣
ラフィエル Lv5 両手斧
────────────────────────
46
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/03(日) 23:50:18 ID:sbG1MUbI
〜第13層主街区 レンバータ〜
ガヴリール「攻略組が第15層突破したみたいだだぞ」
サターニャ「相変わらず早いわね。私たちもほとんど休まずレベリングしてるはずなのに追いつけないわ…」
ヴィーネ「これが上には上がいるってことなんだろうね」
ガヴリール「だな。そういえばラフィエルはどこ行ったんだ?」
サターニャ「それならさっき、ちょっと1人で散策したいって東の方に行ったわよ」
ガヴリール「ふーん。……男か?」
ヴィーネ「なんでそうなるのよ…」
サターニャ「それはないわね。私たちってほぼ他のプレイヤーと交流ないし」
ガヴリール「なるほど。私らは社会不適合者みたいなものだもんな」
ヴィーネ「そんなこと言わないの。悲しくなるじゃない…」
47
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/03(日) 23:51:46 ID:sbG1MUbI
ガヴリール「すまん。それにしても今日はやりたいことがあるから早く帰ってきて欲しいんだけど──」
ラフィエル「みなさーん、すみませんお待たせしましたー」
ヴィーネ「噂をすれば、ね」
ガヴリール「どこ行ってたんだよ」
ラフィエル「秘密です♪」
サターニャ「何よそれ、美味い話なら教えなさいっ」
ラフィエル「内緒です♪」
ガヴリール「やっぱ男か」
サターニャ「かもしれないわね」
ラフィエル「……一体何のお話ですか?」
ヴィーネ「なんでもないわ。2人もその辺にしときなさいね」
ガヴリール「へーい」
48
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/03(日) 23:53:05 ID:sbG1MUbI
サターニャ「そういえば今日は何をするの? またいつもの所でレベリング?」
ガヴリール「いや、今日はちょっと16層まで行ってみようと思ってな」
ヴィーネ「16層に? 私たちのレベルだと厳しいんじゃない?」
ガヴリール「別に戦いに行く訳じゃないから心配無用だ」
サターニャ「それじゃあ観光ってこと?」
ガヴリール「それも違う」
ラフィエル「ではもしかしてガヴちゃん、あれのことでしょうか?」
ガヴリール「ん? なんだ、ラフィエルは知ってんのか」
ラフィエル「はい♪ と言っても、さっき知ったことですけどね」
ガヴリール「それじゃ話は早いな。最前線のプレイヤーはもう主街区に辿り着いたのか?」
ラフィエル「そうみたいですよ♪」
ガヴリール「そうか、これは益々急がないとだな」
49
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/03(日) 23:54:17 ID:sbG1MUbI
ヴィーネ「一体何の話?」
サターニャ「そうよ。2人だけわかったような感じで気に食わないわ」
ガヴリール「そうか、お前らは知らないんだったな。……とりあえず時間が勿体ないから転移門まで移動しながら話すぞ。着いてきてくれ」
サターニャ「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! ……何も走る必要ないじゃない?」
ヴィーネ「そうよ! なんだか恥ずかしいし…」
ガヴリール「何言ってんだ。こうでもしないと祭りに遅れてしまうだろ」
ヴィネサタ「「祭り?」」
ラフィエル「そうですよ! 厳密に言えば街中に散らばるアイテムを拾いに行くという祭りですけどね♪」
ヴィーネ「それは祭りなのかしら……」
ガヴリール「どう考えても祭りだろ。それに噂では超レアアイテムまであるらしいぞ」
ラフィエル「各フロアボスのラストアタックボーナスと同等のアイテムがあるという噂まであります!」
サターニャ「なんですって!? そんな美味しい話は見逃せないわ」
50
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/03(日) 23:56:04 ID:sbG1MUbI
ヴィーネ「でもどうしてそんなものが街中に?」
ガヴリール「なんでもとあるプレイヤーが受けたクエストボーナスの報酬が、その祭りの情報らしくてな。第16層の主街区ブランシュには、無数のアイテムが散らばっているというものだったそうだ」
サターニャ「あんたよく知ってるわね」
ガヴリール「とある情報屋から買ったものだからな。いやー、高かった」
ヴィーネ「情報屋ねぇ…。もしかしてラフィもそこから?」
ラフィエル「まさか、そんなお金の無駄遣いはしませんよ♪」
ガヴリール「何!? じゃあラフィエルは何処で知ったって言うんだよ」
ラフィエル「私は聞き耳スキルを上げてますからね♪ 街中の喧騒の中を毎日歩くことが楽しくて、つい今日もやってしまいました♪」
サターニャ「へぇー。あんなスキル使い道ないと思ってたけど、案外役に立つのね」
ヴィーネ「宿屋なんかのプライベートスペースを盗み聞きできるのは知ってたけど、周囲の声も聞こえるようになるのね」
51
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/03(日) 23:57:34 ID:sbG1MUbI
ラフィエル「そうなんですよ♪ 反対に私は宿屋で聞き耳スキルを使うことはほとんどしません♪」
ガヴリール「ふーん、意外だな。腹黒いお前のことだから、良からぬことに使ってるとばかり思ってたぞ」
ラフィエル「酷いです! 宿屋ではサターニャさんの部屋の前でスキルを使うくらいしかしてないんですよ…」
サターニャ「うぇっ!? あんた何してんのよ!」
ラフィエル「いやー、驚きました。まさかサターニャさんが夜な夜なあんなことやこんなことを……」
サターニャ「ストップ! ストーップ!!」
ラフィエル「更に日が登ってる時間帯では言えない事まで…。流石の私でもちょっとだけ反省してます。ごめんなさい」
サターニャ「聞いてたの!? あんたアレ聞いてたって言うの!?」
ガヴリール「おい、急いでるんだから足止めるなよ」
サターニャ「それどころじゃないわ! 私のプライベートが侵されてるのよ!?」
ラフィエル「なんて、冗談ですよ♪ 私の聞き耳スキルだと、まだそのようなことはできません」
サターニャ「あんたってやつは、今日こそは絶対に許さな──えっ、あ、冗談か」
52
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/04(月) 00:04:13 ID:UhIqavD.
ラフィエル「すみません♪ サターニャさんの反応が面白くてつい」
サターニャ「全く、焦らせないで頂戴。はぁ、よかった」
ヴィーネ「何もよくないと思うけど……」
ラフィエル「知らぬが仏です♪」
ヴィーネ「あんたは悪魔よ」
ラフィエル「そんな…!」
サターニャ「全く、この私を無下にする嘘はSS級悪魔的行為なんだからね! 覚えときなさい!」
ラフィエル「肝に銘じておきます♪」
ガヴリール「サターニャが馬鹿でよかったな。っと、さて転移門に着いたな」
ヴィーネ「第16層。どんな街なのかしら…」
ラフィエル「行けばすぐにわかりますよ♪」
サターニャ「そうよ! この私に相応しいお宝を見つけるまで帰らないわ!」
ガヴリール「情報料以上は稼がないとだ…。よし、行くぞ!」
ガヴィーネサタラフィ「「「「転移、ブランシュ!」」」」
────────────────────────
53
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:17:04 ID:DSaBROtU
〜第16層主街区 ブランシュ〜
ガヴリール「ふぅ。……ん? ここがブランシュ?」
ヴィーネ「なんか思ってるよりも普通……?」
ラフィエル「西洋の作りじゃないですね。どちらかというと日本風なんですけど少し古いというか──」
サターニャ「まさに江戸って感じね」
ガヴリール「それだ! お前よくその言葉知ってたな」
サターニャ「これくらい知ってるわよ!」
ヴィーネ「ブランシュって名前に違和感を覚えるわね。本当にこの街に財宝が散らばっているのかしら」
ラフィエル「プレイヤーもそれ程多くは見当たりませんし…。そうだ、こういう時こそスキルですよね♪」
ガヴリール「おっ、早速役に立つ所を見られるのか」
ヴィーネ「可哀想だから熟練度が上がってもサターニャの部屋に近付いちゃ駄目よ?」
ラフィエル「程々にします♪ さてと、では歩きながら始めちゃいますね…」
サターニャ「プレイヤーが近くにいないと始まらないものね」
ガヴリール「どうだ? 何か有力な情報はあるか?」
ラフィエル「うーん、これといってないですね…。それにどうやら街中ではまだアイテムが落ちているという話すらないようです」
54
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:17:44 ID:DSaBROtU
ヴィーネ「ガセネタだったってこと?」
ガヴリール「見た感じ100人以上プレイヤーはいそうだしそうかもしれないな…。くそっ、情報料高かったのに…!」
サターニャ「そんなぁ…。レアアイテム欲しかったのに」
ラフィエル「仕方ないですよ。たまにはこういうこともあります」
ヴィーネ「ガヴどうする? 今日はもう戻っていつも通りレベリングする?」
ガヴリール「そうだな。こんなとこにいても私たちのレベルじゃ効率はよくないし、一度戻って──」
『鼠小僧が出たぞー!』
ガヴリール「ん? なんだ?」
サターニャ「今の何かしら?」
ラフィエル「東の方から聞こえましたね。それに鼠小僧とは何のことでしょう…」
ガヴリール「とりあえず行ってみるか」
────────────────────────
55
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:19:06 ID:DSaBROtU
ヴィーネ「何なのここ…! すごい人集りね」
ガヴリール「これじゃ前に進めないな」
ラフィエル「私たちと一緒でプレイヤーの方もちらほらいるみたいですが、NPCの数も尋常じゃないですね」
サターニャ「何かのイベントに間違いないようだけど、何が始まるっていうのよ」
ヴィーネ「前も全然見えないわね──あ、あそこに誰かいるわよ」
ラフィエル「ほんとですね。屋根の上に人影があります。あれは……盗賊の類でしょうか?」
ガヴリール「黒い手拭いをしてるから恐らくそうだろう。しかしあいつは何してるんだ?」
『皆の者、拙者鼠小僧でござる』
サターニャ「せ、拙者…?」
ヴィーネ「それにござるって…。まあゲームなんだし世界観は大事よね」
ラフィエル「しかしどうやらあの方が有名な義賊、鼠小僧さんのようですね」
『汝ら町奴達に幸を使わす者なり」
ガヴリール「何を言ってるのか全然わかんねぇ…」
ヴィーネ「うーん…。私たちに幸を与えるって言ってるのかな?」
ラフィエル「恐らくそういった意味だと思います」
56
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:20:45 ID:DSaBROtU
『巳の刻より一時、この地ブランシュへ拙者の財を擲つ。それまで暫し待たれよ』
サターニャ「巳の刻って何よ…」
ガヴリール「あーもう、わかんねぇことだらけだな…。おいお前! 質問がある!」
ヴィーネ「ちょっとガヴ…!」
『何用だ、小童』
ガヴリール「相手はNPCだ、別にいいだろ。おい、お前はブランシュ一帯に宝をばら撒くんだよな? 勝手に取っていいんだな?」
『左様』
ガヴリール「ちなみにそれは早い者勝ちってことか?」
『如何にも』
サターニャ「あいつこっちの言葉理解してるじゃない。なんで合わせてくれないのかしら…」
ラフィエル「そういう設定なのですから仕方ないですよ」
『他に意はごさらぬか?』
ガヴリール「あぁ、もういい」
57
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:21:35 ID:DSaBROtU
『よかろう。さすれば皆の者、暫し待たれよ』
サターニャ「行っちゃったわね…」
ガヴリール「あー、疲れた。ったく、あの喋り方苛つくわ」
ヴィーネ「しょうがないわよ。鼠小僧は江戸時代にいた人だから──」
『ボーナスイベント 唐紅の千両箱』
ヴィーネ「──っと、やっぱりこれはイベントだったのね」
サターニャ「今のがイベント発生前のチュートリアル的なやつだとしたら、かなりプレイヤー少なかったわよね? もしかして私たちラッキーだった?」
ラフィエル「そうですね。索敵スキルを使ってましたが、周囲のプレイヤーは50人程だったと思います」
ヴィーネ「ラフィはまた恐ろしいスキルを上げてるんだから…」
58
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:22:17 ID:DSaBROtU
ガヴリール「ということはこれに参加するのは50人くらいしかいないのか。……あ”っ!? ヤバい、あいつに大事なこと聞くの忘れてた!」
サターニャ「うわっ!? びっくりした…。何よいきなり」
ガヴリール「巳の刻のことだよ! くそっ、なんだよ巳の刻って…」
ヴィーネ「巳の刻って言うのは江戸時代の時に使われてた時間の単位のことよ」
ラフィエル「巳の刻から一時と言っていましたので、恐らく午前10時から正午までのイベントのようですね♪」
サターニャ「あんたたちよく知ってるわね」
ヴィーネ「たまたまよ」
ガヴリール「でも助かった。10時まで後1時間くらいあるし、それまで街を散策しながら土地感を養おうか」
ラフィエル「そうですね。新しい情報やアイテムがありそうな場所も見つけたいですし♪」
────────────────────────
59
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:23:17 ID:DSaBROtU
ガヴリール「さてと、10時まで後3分か。結構見てこれたな」
ヴィーネ「そうね。街の中は圏内だから戦闘も起きないし、楽だったわね」
サターニャ「そういえばそのお宝を探す時も4人で行動するの? 別れた方が効率が良さそうだけど」
ガヴリール「言われてみたらそうだな…。よしっ、サターニャの提案を飲むのは癪だがここは二手に別れよう」
ラフィエル「どうやって別れますか?」
ガヴリール「まずは私とサターニャは別々にしよう」
ヴィーネ「それはいい案ね。それじゃ私とラフィも別れるってことでいいのよね?」
ガヴリール「その通りだ」
サターニャ「待ちなさいよ。なんで私とガヴリールが一緒じゃないの? まあ私だってこいつとは嫌だけど。ついでにラフィエルとも嫌」
ガヴリール「そんなの言われなくても理解しろよ。……馬鹿だからだよ、私らは」
サターニャ「あー、なるほどね──って酷くない!?」
ヴィーネ「まあまあもう始まっちゃうし、それじゃ久しぶりに天使と悪魔に別れて捜索しましょう」
60
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:24:16 ID:DSaBROtU
ラフィエル「そうですね♪ サターニャさんが何故、私と一緒に行動したくないのか非常に気になりますけど」
サターニャ「当たり前でしょ! あんたと一緒にいてろくなことがないもの!」
ガヴリール「うるさいヤツだな…。とにかく今回はそれで行くぞ。何かあったらメッセージ飛ばしてくれ」
ヴィーネ「わかったわ!」
『ボーナスイベント 唐紅の千両箱 スタート』
ガヴリール「お、始まったな。それじゃ2時間後に転移門の所で落ち合うってことで、お互い頑張ろう!」
サターニャ「あんたたち天使達には負けないわよ!」
ラフィエル「頑張りましょうね、ガヴちゃん♪」
ヴィーネ「レアアイテム見つけたいわね…!」
ガヴリール「ちなみに負けたチームが今日の昼飯奢りだからな」
サターニャ「そんなぁ!」
ガヴリール「嫌なら負けなきゃいいだろ。つべこべ言わずに探してこい!」
────────────────────────
61
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:35:04 ID:DSaBROtU
〜第16層主街区 ブランシュ〜 カジノマチ
ガヴリール「とりあえずあれから道なりに走ってきたけど、何もないな…」
ラフィエル「そうですね。アイテムは宝箱に入っていることが一般的ですし、この街並みに落ちていればすぐわかるはずですが……」
ガヴリール「悪魔チームはどうなってんのかな。サターニャにだけは負けたくないんだけど」
ラフィエル「路地裏なんかも探してみましょうか」
『ちょいとそこの別嬪さんや。拙者の店に寄っておくんない?』
ガヴリール「あ? うっさいな、今はそれどころじゃないっての」
『そう言わずとも見てくんさいよ、これ!』
ガヴリール「なんだよ、只の両手剣じゃねぇか」
ラフィエル「……!? ガヴちゃん! あれ! あの1番奥の棚に置いてある剣見てください!」
ガヴリール「奥? 別にNPCの武器屋なんてたかが知れてるだ、ろ!?」
『おや、如何しやんせい?』
ラフィエル「如何にもレアアイテムっぽい剣じゃないですか?」
ガヴリール「あぁ、そう見える。おい、おっさん! その奥の箱に入ってる剣も売ってるのか!? それいくらだ!?」
『いやいや、いかんぞ嬢ちゃん。こいつは如何様にも使わせん』
62
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:35:54 ID:DSaBROtU
ラフィエル「あの! その剣、どうしても欲しいのです! お売り頂けませんか?」
『分を弁えるのだ無礼者が。よもや汝等の猪口才、生かしておけん』
ガヴリール「なんだこいつ、短気すぎるだろ…。それになんかヤバそうだ」
ラフィエル「そうですね…。これは一度逃げた方がいいかもしれません」
『良かろう、街に蔓延る不届き者は拙者が成敗してくれようぞ。但し、汝等にもし敗れることがあれば、この剣を好きにするがいい』
『デュエル 初撃決着モード』
ガヴリール「おいおいマジかよ!? NPCとデュエルなんて聞いた事ねぇぞ!?」
ラフィエル「ガヴちゃん受けるんですか? 相手の強さが分かりませんよ?」
ガヴリール「強さは分かんなくても受けるに決まってる。これは初撃決着のデュエルなんだ、HPがゼロになることはない」
ラフィエル「そうですよね…。あの剣、ガヴちゃんの物にしてくださいね!」
ガヴリール「勿論! 勝負だおっさん!」
────────────────────────
63
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:36:55 ID:DSaBROtU
〜第16層主街区 ブランシュ〜 ニンギョウノマチ
サターニャ「なによ、宝なんて何処にもないじゃない…」
ヴィーネ「そうね…。いつも通り街にお店が並んでるだけだわ」
サターニャ「もうどうなってるのよ! 早くしないとレアアイテムを誰かに取られちゃうわ!」
ヴィーネ「そうは言っても見つからないものは仕方ないわよ」
サターニャ「もしかしてここら辺はもう他のプレイヤーに取られちゃったのかしら」
ヴィーネ「それはないと思うわよ。プレイヤーと殆どすれ違ってないし」
サターニャ「そうよね…。まだ私たちが本気で探してないだけなのかな」
ヴィーネ「まあ、まだ始まったばかりよ。そんなに気を落とさなくても──痛っ!?」
サターニャ「ヴィネット!? 大丈夫?」
ヴィーネ「イタタタ、……私は大丈夫よ。それよりこの女の子だわ。ごめんなさい、怪我はない?」
『こ、こちこそおゆるしなんし! わっちは大丈夫でありんす!』
ヴィーネ「それならよかった…。立てるかな?」
『た、立ていんす! 痛っ…!』
64
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:37:52 ID:DSaBROtU
サターニャ「膝から血が出てるじゃないの! ほら、これを飲みなさい」
『で、でも…』
ヴィーネ「安心していいのよ。傷が治る薬だからね」
サターニャ「そうよ。遠慮はいらないわ!」
『ありがとう、ございんす…』
ヴィーネ「よしよし、ちゃんと飲めて偉いわね。あなたお名前は? お母さんかお父さんはどこ?」
『わっちはお粧由。禿でありんす故、母も父もいないんす」
サターニャ「かむろ…? それにいないってどういうこと?」
ヴィーネ「禿は吉原の女郎見習いのことよ。親がいないのも多分、色々理由があると思うわ」
サターニャ「よしわら? じょろう? 言ってることがよく分からないけど、それじゃこの子どうすればいいのかしら…」
ヴィーネ「そうね、聞いてみましょうか。ねぇ、あなたのお父さんとお母さんに代わる人はどこにいるのかな?」
『はっ…! そうでありんす! わっちは花魁様の元へ行かねばなりんすえ。先を急いでいんす!』
ヴィーネ「やっぱり花魁の所へ行く途中みたいだったみたいね」
65
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:38:43 ID:DSaBROtU
サターニャ「お、おいらん? 聞き慣れない単語ばかりで目が回りそうだわ…」
ヴィーネ「簡単に言うと仕事場の上司かしらね。とにかくこの子は行く宛があるみたいでよかったわ」
サターニャ「そうなのね。それじゃ私たちも再度アイテム探しの旅に出かけ──」
『あれっ!? ない! ないでありんす!』
ヴィーネ「ん、どうしたんだろ」
サターニャ「捜し物かしら?」
『花魁様の大切な簪がないんでありんす!』
サターニャ「かんざし? 何よそれ」
ヴィーネ「あんたって本当に何も知らないわよね…。簪っていうのは、髪をまとめるための道具よ」
サターニャ「そんなことまで知ってるヴィネットの方が珍しいと思うけど、まあいいわ。それで、簪とやらを落としてしまったの?」
『はい…。あれがないと花魁様に怒られてしまいんす…』
ヴィーネ「さっき私とぶつかった時に落としちゃったのかな。でも周りには何も落ちてないし…」
サターニャ「ここに来るまでに落とした可能性が高そうね」
『後生の頼みでありんす! 高貴な姫君方、わっちと共に花魁様の簪を探してくんなまし!』
サターニャ「探すって言われても、私たちには大事な用事があるんだけど…」
66
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:39:25 ID:DSaBROtU
ヴィーネ「こんな年端もいかない女の子の頼みを断る訳にはいかないわよ」
サターニャ「そうだけどさ。でも──」
『見つけて頂けたのなら、此方の反物を授けんす! 姫君方、どうかお願い致しんす!』
サターニャ「何を取り出して、って布? ヴィネット、これってもしかして…」
ヴィーネ「アイテムっぽいね。きっとこれを元に裁縫スキルで装備を作れってことだと思う」
サターニャ「そんなの私上げてないわよ…」
ヴィーネ「私は少し上げてるけど、この反物は高級そうね。私の熟練度だとまだ無理そう…」
サターニャ「もしかしてだけどこのボーナスクエストって、こうやって何かのフラグを立ててアイテムを回収しなければいけないってことなのかもね」
ヴィーネ「その可能性が高そうかな…。道理で探しても宝箱が見つからない訳よ」
サターニャ「これはもう、この子に従ってアイテムを頂くしかないわね。ヴィネット、勿論受けるわよね?」
ヴィーネ「当たり前じゃない! 頑張りましょう!」
『ありがとうございんす!』
────────────────────────
67
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:42:02 ID:DSaBROtU
〜第16層主街区 ブランシュ〜 カジノマチ
ガヴリール(初撃決着モードか。相手のレペルが分からない以上無闇に突っ込むのは無謀だが、後手に回るよりはマシだよな…)
ラフィエル「ガヴちゃん…」
ガヴリール(おっさんの武器は刀か。恐らく敏捷値に多く振ってあるNPCだろうし、レベルが互角なら力でいけそうか)
ガヴリール(後10秒。とにかく一撃で決めることに集中しよう。おっさんの刀をソードスキルで弾いて2発目を当てる意識で行こう)
『START』
ガヴリール(上段の構え…! こっちは──)
ガヴリール「うおおぉぉぉおお!」
【片手剣 バーチカル・アーク】
『小童の分際で猪口才な! 拙者の剣技、見るがいい!』
ガヴリール(早っ!? だけど慌てる程じゃない。力は私の方が上だと思う、予定通り初撃で刀を弾いて2発目を食らわせてやる!)
ガヴリール(おっさんのソードスキルがイマイチわかんねぇけどなんとかなるはず…!)
68
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:43:09 ID:DSaBROtU
ガヴリール「食らえおっさん!」
『ぬっ!? 小童よ、中々やりよるな』
ガヴリール(重っ!?)
ガヴリール「……ふんっ、大人しく斬られとけばいいのによ」
ラフィエル「ガヴちゃん、私の識別スキルだとこのおじさんはレベル15.6程度です。ですが油断しないで下さい!」
ガヴリール「わーってるよ、っと!」
ガヴリール(このおっさんは筋力に多く振ってるタイプだな。私の方がスピードは上だ)
ガヴリール(初撃で決まらなかった以上、こっからは手数で一気に押すしかないな)
ガヴリール(おっさんが次に放つソードスキルを見切ってその隙にぶち込んでやる…!)
『先の勢いはどうした? よもやよからぬ事を考えているのではあるまいな?』
ガヴリール「うっせぇハゲ。御託はいいから向かってこいよ」
69
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:43:57 ID:DSaBROtU
『……格の違いもわからぬ不届き者が。如何様にしてくれようぞ』
ガヴリール(このおっさんが喧嘩っ早くて助かるわ…)
ラフィエル(格の違いが分からないのは果たしてどちらなんでしょうね♪)
ガヴリール「ん? なんだ…? おい、刀納めんじゃねぇよ、戦わねぇのか?」
『傾奇者よ…。敵の心配をするなど笑止千万。お主は自身を案じた方がよいぞ』
ガヴリール「はぁ?」
ガヴリール(こいつ頭おかしいんじゃねえの?)
『ふっ…。虚けの戯言は聞くに耐えんと言うか。よかろう、ならばこれを食らうが良い』
ガヴリール「はぁ…」
ガヴリール(はよ来い)
ラフィエル(まだですかね)
70
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:45:35 ID:DSaBROtU
『見敵必殺の一太刀にて汝を切り捨てん…』
ガヴリール「へいへい」
『奥義、虎落笛!』
【刀スキル モガリブエ】
ガヴリール「やっぱスピードが足りねぇよ」
『な、に!? 拙者の奥義が容易く躱されるなど──』
ガヴリール「そんじゃ、今度はこっちの番ということで」
ガヴリール「うおりゃ!」
【片手剣 シャープネイル】
『ぐおぉぉお! 小童の分際で…! 無念……!』
────────────────────────
71
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:46:29 ID:DSaBROtU
ガヴリール「という訳で無事勝利!」
ラフィエル「お疲れ様です♪」
ガヴリール「まあ正直、初めに剣が交錯した時から勝敗はわかってたけどな」
ラフィエル「私もレベルが低すぎて笑いを堪えるのに必死でした♪」
ガヴリール「私もだよ。まあそれはさておき…。おい、おっさん」
『ひいぃぃい! 慈悲を! どうか主様の寛大なご慈悲を!』
ガヴリール「別に身包み剥ぎ取る訳でもないから落ち着けよ。私からの要求は特にないぞ?」
『……何故?』
ガヴリール「そう言われても、理由がないからな…。
『なんと有り難きお言葉…』
ガヴリール「でもその奥にある剣は貰っていいよな?」
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板