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【ガヴドロSS】サターニャ「ソードアート・オンライン?」
1
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 00:50:07 ID:G2YbFmz.
オリジナル要素多数
31
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 22:42:58 ID:WNjo6LJU
〜第1層 迷宮区〜
ガヴリール「サターニャスイッチ!」
サターニャ「OK! うりゃっ!」
【片手細剣 リニアー】
ラフィエル「ナイスです! ガヴちゃん、もう一体来てます!」
ガヴリール「えっ──うわっ!」
ヴィーネ「ガヴ!?」
ガヴリール「大丈夫だ! 誰かカバー入れるか!?」
ヴィーネ「私が──」
サターニャ「任せなさい! ってい!」
【片手細剣 リニアー】
ガヴリール「サンキュー、助かった!」
ラフィエル「ガヴちゃん大丈夫ですか?」
ガヴリール「問題ない、ちょっとモロに食らっただけだ」
ヴィーネ「ポーション持ってるでしょ? また敵がポップする前に飲んどきなさい」
32
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 22:44:27 ID:WNjo6LJU
ガヴリール「んー、節約したいからいいわ」
ヴィーネ「駄目よ! 飲んで!」
ガヴリール「わかったよ…」
サターニャ「ねぇ、ヴィネットってたまに怖いわよね」
ラフィエル「無理はないですよ。HPがゼロになったら私たちは……ね」
サターニャ「そうだったわ…。節約以前に死んだら元も子もないものね」
ガヴリール「ふぅ。飲んだよ、これでいいだろ?」
ヴィーネ「えぇ。ガヴ、あんた予備のポーションは持ってる?」
ガヴリール「えっと…今ので最後だな」
ヴィーネ「それじゃ私2つ持ってるし1つ渡しとくわね」
33
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 22:47:44 ID:WNjo6LJU
ガヴリール「いいよ別に。ポーション高いしさ」
ヴィーネ「いいから、持っときなさい」
ガヴリール「……わかったよ」
サターニャ「っていうかお母さんみたいね」
ラフィエル「そうですね♪ ガヴちゃんはちっちゃい子どもみたいで可愛いです♪」
ガヴリール「ん、お前ら何コソコソ話してるんだよ」
ラフィエル「なんでもないですよ?」
ガヴリール「そうか? そんじゃもうちょい先進むぞ」
ヴィーネ「それにしても迷宮区って初めて来たけど、名前の通り本当に迷宮ね…」
ラフィエル「そうですね。マッピングして下さった人たちには頭が上がらないです」
サターニャ「それでも所々マップが抜けてる箇所もあるわよね? これってどういうこと?」
ガヴリール「まだ誰も行ってない場所ってことだろ。ボスの部屋に進む過程で関係ない所にいっても意味ないからな」
サターニャ「ふーん、そうなんだ」
34
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 22:49:24 ID:WNjo6LJU
ラフィエル「でも面白そうですよね。まだ誰も行ってない場所に、前線で戦っていない私たちが行くって」
ガヴリール「冒険が好きな人ならいいんじゃないか? 私は効率重視であまり好まないけど」
サターニャ「私行ってみたいかも」
ヴィーネ「ちょっと危なくないかしら」
ガヴリール「そうだな…。私らのレベルなら問題いと思う」
サターニャ「じゃあ行きましょうよ! ワクワクしてきたわ」
ガヴリール「うーん、それじゃ迷宮区入口のすぐ右がマッピングされてないしそこに行くか」
ヴィーネ「そこなら何かあってもすぐ逃げられるだろうしいいかもね」
サターニャ「そうと決まれば一度入口まで引き返しましょ! 私、先行ってるわね!」
ラフィエル「サターニャさん! 1人で行ったら危ないですよ!」
ガヴリール「ったく、あいつほんと馬鹿だな。私たちも早く追いかけるぞ」
ヴィーネ「そうね、急ぎましょ!」
────────────────────────
35
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 22:56:18 ID:WNjo6LJU
サターニャ「遅かったわね、何分待たせるのよ」
ガヴリール「お前が1人で突っ走るのが悪いんだろ」
ヴィーネ「そうよ。何があるか分からないんだし、今後は1人で行動しちゃ駄目だからね」
サターニャ「わかったわよ…」
ラフィエル「なんだかデジャブですね」
ガヴリール「ふぅ、それじゃもう1回中に入っていくか──」
サターニャ「そうね!」
ガヴリール「──と、言いたいところだけど腹減った。ヴィーネ、ご飯食べたい」
サターニャ「えー!」
ヴィーネ「はいはい、ちゃんと作ってきたから待ってなさい」
サターニャ「とは言っても私もお腹空いたわ。ここでちょっと座って休憩ね」
ラフィエル「私もペコペコです。ヴィーネさん、今日のお昼は何でしょう?」
ヴィーネ「今日はサンドイッチを作ってみたわ。美味しく出来てるといいんだけど…」
36
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 22:58:29 ID:WNjo6LJU
ガヴリール「ヴィーネの飯ならなんでも美味いよ、っと。んじゃ頂きまーす」
ヴィーネ「……どうかな?」
ガヴリール「美味い! やっぱヴィーネの飯は世界一だな!」
ヴィーネ「そう! …よかったぁ」
サターニャ「うん、美味しいわ。あっちじゃ食べたことない味だけど、流石ヴィネットね」
ラフィエル「この味付け美味しいです♪ どうやって作ったんですか?」
ヴィーネ「この白いソースは市場に売ってる2種類の野菜とタリの実を混ぜて作ったの。みんなの口に合ってよかったわ」
ガヴリール「ほんと美味いよ。所でヴィーネの料理スキルは今どのくらいなんだ?」
ヴィーネ「一昨日ようやく50になったくらいかな。まだまだ誇れる程じゃないけどね」
サターニャ「凄いじゃない。もう20分の1は上がってるんだし、全プレイヤーの中で最高の料理スキルなんじゃない?」
ラフィエル「その内お店出したら儲かりそうですね♪」
37
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 22:59:48 ID:WNjo6LJU
ヴィーネ「別にそんなことしないわよ。それにこの世界の料理はやり方が味気なくてつまらないもの」
ガヴリール「確かに包丁翳したり時間を設定したりするだけだもんな」
ヴィーネ「そうなのよね…。これじゃ料理上手は一生語れそうにないわ」
サターニャ「私も自炊して少しは上げた方がいいのかしら…」
ラフィエル「そうですね。今の私たちにはお肉を焼くことすら儘なりませんしね」
ガヴリール「私はヴィーネがいるから1足りとも上げないけどな」
ヴィーネ「あんたは現実世界でも料理できないじゃない」
ガヴリール「失礼な。私だってカップ麺くらい作れる」
サターニャ「お湯入れるだけの行為は料理とは言えないんじゃない?」
ガヴリール「うっさいなー」
ラフィエル「でもガヴちゃんは天界だとお料理してましたし、やれば出来る子ですよね?」
ガヴリール「そうだそうだー。私はやらないだけだからな」
ヴィーネ「なんで誇らしげなのよ…」
38
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 23:00:51 ID:WNjo6LJU
サターニャ「ふぅ、美味しかったわ。ヴィネットご馳走様」
ラフィエル「ご馳走様でした。今日も美味しかったです♪」
ガヴリール「ごっそさん」
ヴィーネ「お粗末様でした。早く料理スキル上げてもっと美味しいもの作るわね」
ガヴリール「ヴィーネの料理に今後も期待だな。さてと、そんじゃそろそろ行くか──」
サターニャ「そうね!」
ヴィーネ「あ、食後のお茶もあるんだけど…」
ガヴリール「──と言いたかったが、食休みは大事だしもうちょいダラダラしてから行こう」
サターニャ「あんたねぇ…。まあ私も頂くけど」
ラフィエル「もう少し休憩ですね♪」
────────────────────────
39
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 23:06:03 ID:WNjo6LJU
ガヴリール「…なあ、私たちもう2時間は歩いてるよな?」
ヴィーネ「そうね、大分奥まで来たと思う。それにしても未開の土地ってなんだか怖いわね…」
ガヴリール「そうは言っても出てくるモンスターは変わんないけどな」
サターニャ「前線にいる人はずっとこれをやってるのよね。ほんと凄いわ」
ラフィエル「ボス部屋なんてどこにあるか分かりませんからね。それに敵の情報もありませんし」
ガヴリール「だな。私たちにはできない所業だ」
サターニャ「私はいつか前線で戦ってみたい気持ちもあるけれど──ん?」
ヴィーネ「サターニャどうしたの?」
サターニャ「あそこに何かない?」
ガヴリール「何処だ?」
サターニャ「ほらあそこ、あの岩と岩の間に何か挟まってる気がするんだけど」
ラフィエル「あ、ほんとですね。何か箱みたいなものがある気がします」
ガヴリール「そうか? 私には見えないな」
ヴィーネ「……あんた背が低いからね」
ガヴリール「言うな。とりあえず行ってみよう」
40
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 23:10:03 ID:WNjo6LJU
ラフィエル「近くで見るとこの岩大きいですね」
サターニャ「3メートルくらいかな。ジャンプしても全然届かないわ」
ヴィーネ「よじ登って取るしかないのかしら」
ガヴリール「かもな。よし、サターニャ行ってこい」
サターニャ「言われなくても行くわよ。私が見つけたんだし」
ラフィエル「落ちないように気をつけて下さいね」
サターニャ「わかってるわよ、っと!」
ガヴリール「ま、この高さならほとんどダメージ受けないし大丈夫だろ」
ヴィーネ「サターニャってほんとゲームの中でも身軽よね。ちょっと羨ましい」
サターニャ「よっ、ほっ、…ふぅ、到着! 流石私ね」
ガヴリール「ポーズ決めてないでその箱早く確認しろ」
サターニャ「ふんっだ。ガヴリール、ここからだとあんたが余計に小さく見えるわ」
ガヴリール「……お前降りてきたら斬るからな」
サターニャ「あんたなんかには負けないわよ。っと、そんなことよりもこの箱よね」
41
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 23:13:23 ID:WNjo6LJU
ヴィーネ「何か入ってるのかな」
ラフィエル「もしかして宝箱でしょうか」
サターニャ「下に持ってくのも面倒だしここで開けちゃうわね。よいしょっと」
ガヴリール「どうだ、何入ってた?」
サターニャ「おぉー!? すごい…。ねぇ、凄い綺麗な物が入ってたわよ!」
ラフィエル「どうやら本当に宝箱だったようですね♪」
サターニャ「そうみたい。えぇと、これは…装備のようね──えっ!?」
ヴィーネ「どうしたの?」
サターニャ「ちょっと待って、凄いわよこれ! まぁいいや、今下りるわね!」
ガヴリール「……あいつどうしたんだ?」
ヴィーネ「さぁ? とにかく凄いアイテムを見つけたようだけど…」
サターニャ「っと、下りる方が簡単だったわね──じゃなくて! 凄いわよこれ」
ラフィエル「それさっきから何回も聞いてます。一体何が凄いんですか?」
サターニャ「言うよりもこれを見た方が早いわ!」
42
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 23:14:24 ID:WNjo6LJU
ガヴリール「装備名は星宙の額冠か。それで──はぁ!?」
ヴィーネ「び、敏捷値プラス8!?」
ラフィエル「とんでもない代物じゃないですか!」
ガヴリール「こんな序盤にこれ程の化け物パラメータの装備があっていいのか!?」
サターニャ「ふふーん、どうかしら。みんな私を褒めてもいいのよ?」
ヴィーネ「凄いわよサターニャ!」
ラフィエル「素晴らしい働きです♪」
ガヴリール「よくやった!」
サターニャ「そ、そんなに褒められると照れるわね」
ガヴリール「とにかくとんでもないものを見つけたんだ。来た道を引き返すのにも同じ時間がかかるし、今日はもう引き返そう!」
ヴィーネ「それが得策ね」
ラフィエル「サターニャさん、うっかり落とさないで下さいね?」
サターニャ「そんなことしないわよ…。ちゃんとしまっておくから」
ガヴリール「よしよし、そんじゃ収穫もあったことだし帰りますか」
────────────────────────
43
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 23:15:45 ID:WNjo6LJU
〜第1層 トールバーナ〜 とある酒場
ガヴリール「いやー、サターニャはほんと神だよ! 私とってもハッピー! 今日も楽しもう!」
ヴィーネ「また始まってるし…」
サターニャ「ガヴリールには自重という言葉がないのかしらね。それに私は神じゃなくて悪魔だし…」
ラフィエル「まあまあ、そういう2人も飲んでるじゃないですか♪」
ヴィーネ「ラフィもでしょ」
ラフィエル「はい♪」
サターニャ「ぷはぁ…。それにしてもこのアイテムどうすればいいのかな」
ヴィーネ「どうするって、サターニャが着ければいいんじゃないの?」
ラフィエル「私もそれがいいと思います」
サターニャ「えっ? 私でいいの?」
44
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 23:16:47 ID:WNjo6LJU
ヴィーネ「サターニャは敏捷パラメータにほとんど全振りしてるんだし、当然だと思うわよ」
ラフィエル「そもそもサターニャさんが見つけた装備です、こんな状態ですがガヴちゃんも文句は言わないと思います」
サターニャ「そっか…。それじゃ有り難く着けさせて貰うわね」
ガヴリール「なーにー? 今私のこと誰か呼ばなかった?」
ヴィーネ「なんでもないわよ。あんたはお気楽でいいわね」
ガヴリール「毎日楽しいよ? ハッピーガールだよ!」
サターニャ「……あんた絶対頭もハッピーになってるわよね」
ラフィエル「間違いないですね♪」
ヴィーネ「はぁ…。そろそろ毎晩お酒を飲むのも考えた方がいいのかもね…」
ガヴリール「さーて、どんどん飲むぞー♪」
────────────────────────
45
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/28(木) 23:18:18 ID:WNjo6LJU
ガヴリール Lv6 片手剣
ヴィーネ Lv5 両手槍
サターニャ Lv6 片手細剣
ラフィエル Lv5 両手斧
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46
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/03(日) 23:50:18 ID:sbG1MUbI
〜第13層主街区 レンバータ〜
ガヴリール「攻略組が第15層突破したみたいだだぞ」
サターニャ「相変わらず早いわね。私たちもほとんど休まずレベリングしてるはずなのに追いつけないわ…」
ヴィーネ「これが上には上がいるってことなんだろうね」
ガヴリール「だな。そういえばラフィエルはどこ行ったんだ?」
サターニャ「それならさっき、ちょっと1人で散策したいって東の方に行ったわよ」
ガヴリール「ふーん。……男か?」
ヴィーネ「なんでそうなるのよ…」
サターニャ「それはないわね。私たちってほぼ他のプレイヤーと交流ないし」
ガヴリール「なるほど。私らは社会不適合者みたいなものだもんな」
ヴィーネ「そんなこと言わないの。悲しくなるじゃない…」
47
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/03(日) 23:51:46 ID:sbG1MUbI
ガヴリール「すまん。それにしても今日はやりたいことがあるから早く帰ってきて欲しいんだけど──」
ラフィエル「みなさーん、すみませんお待たせしましたー」
ヴィーネ「噂をすれば、ね」
ガヴリール「どこ行ってたんだよ」
ラフィエル「秘密です♪」
サターニャ「何よそれ、美味い話なら教えなさいっ」
ラフィエル「内緒です♪」
ガヴリール「やっぱ男か」
サターニャ「かもしれないわね」
ラフィエル「……一体何のお話ですか?」
ヴィーネ「なんでもないわ。2人もその辺にしときなさいね」
ガヴリール「へーい」
48
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/03(日) 23:53:05 ID:sbG1MUbI
サターニャ「そういえば今日は何をするの? またいつもの所でレベリング?」
ガヴリール「いや、今日はちょっと16層まで行ってみようと思ってな」
ヴィーネ「16層に? 私たちのレベルだと厳しいんじゃない?」
ガヴリール「別に戦いに行く訳じゃないから心配無用だ」
サターニャ「それじゃあ観光ってこと?」
ガヴリール「それも違う」
ラフィエル「ではもしかしてガヴちゃん、あれのことでしょうか?」
ガヴリール「ん? なんだ、ラフィエルは知ってんのか」
ラフィエル「はい♪ と言っても、さっき知ったことですけどね」
ガヴリール「それじゃ話は早いな。最前線のプレイヤーはもう主街区に辿り着いたのか?」
ラフィエル「そうみたいですよ♪」
ガヴリール「そうか、これは益々急がないとだな」
49
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/03(日) 23:54:17 ID:sbG1MUbI
ヴィーネ「一体何の話?」
サターニャ「そうよ。2人だけわかったような感じで気に食わないわ」
ガヴリール「そうか、お前らは知らないんだったな。……とりあえず時間が勿体ないから転移門まで移動しながら話すぞ。着いてきてくれ」
サターニャ「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! ……何も走る必要ないじゃない?」
ヴィーネ「そうよ! なんだか恥ずかしいし…」
ガヴリール「何言ってんだ。こうでもしないと祭りに遅れてしまうだろ」
ヴィネサタ「「祭り?」」
ラフィエル「そうですよ! 厳密に言えば街中に散らばるアイテムを拾いに行くという祭りですけどね♪」
ヴィーネ「それは祭りなのかしら……」
ガヴリール「どう考えても祭りだろ。それに噂では超レアアイテムまであるらしいぞ」
ラフィエル「各フロアボスのラストアタックボーナスと同等のアイテムがあるという噂まであります!」
サターニャ「なんですって!? そんな美味しい話は見逃せないわ」
50
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/03(日) 23:56:04 ID:sbG1MUbI
ヴィーネ「でもどうしてそんなものが街中に?」
ガヴリール「なんでもとあるプレイヤーが受けたクエストボーナスの報酬が、その祭りの情報らしくてな。第16層の主街区ブランシュには、無数のアイテムが散らばっているというものだったそうだ」
サターニャ「あんたよく知ってるわね」
ガヴリール「とある情報屋から買ったものだからな。いやー、高かった」
ヴィーネ「情報屋ねぇ…。もしかしてラフィもそこから?」
ラフィエル「まさか、そんなお金の無駄遣いはしませんよ♪」
ガヴリール「何!? じゃあラフィエルは何処で知ったって言うんだよ」
ラフィエル「私は聞き耳スキルを上げてますからね♪ 街中の喧騒の中を毎日歩くことが楽しくて、つい今日もやってしまいました♪」
サターニャ「へぇー。あんなスキル使い道ないと思ってたけど、案外役に立つのね」
ヴィーネ「宿屋なんかのプライベートスペースを盗み聞きできるのは知ってたけど、周囲の声も聞こえるようになるのね」
51
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/03(日) 23:57:34 ID:sbG1MUbI
ラフィエル「そうなんですよ♪ 反対に私は宿屋で聞き耳スキルを使うことはほとんどしません♪」
ガヴリール「ふーん、意外だな。腹黒いお前のことだから、良からぬことに使ってるとばかり思ってたぞ」
ラフィエル「酷いです! 宿屋ではサターニャさんの部屋の前でスキルを使うくらいしかしてないんですよ…」
サターニャ「うぇっ!? あんた何してんのよ!」
ラフィエル「いやー、驚きました。まさかサターニャさんが夜な夜なあんなことやこんなことを……」
サターニャ「ストップ! ストーップ!!」
ラフィエル「更に日が登ってる時間帯では言えない事まで…。流石の私でもちょっとだけ反省してます。ごめんなさい」
サターニャ「聞いてたの!? あんたアレ聞いてたって言うの!?」
ガヴリール「おい、急いでるんだから足止めるなよ」
サターニャ「それどころじゃないわ! 私のプライベートが侵されてるのよ!?」
ラフィエル「なんて、冗談ですよ♪ 私の聞き耳スキルだと、まだそのようなことはできません」
サターニャ「あんたってやつは、今日こそは絶対に許さな──えっ、あ、冗談か」
52
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/04(月) 00:04:13 ID:UhIqavD.
ラフィエル「すみません♪ サターニャさんの反応が面白くてつい」
サターニャ「全く、焦らせないで頂戴。はぁ、よかった」
ヴィーネ「何もよくないと思うけど……」
ラフィエル「知らぬが仏です♪」
ヴィーネ「あんたは悪魔よ」
ラフィエル「そんな…!」
サターニャ「全く、この私を無下にする嘘はSS級悪魔的行為なんだからね! 覚えときなさい!」
ラフィエル「肝に銘じておきます♪」
ガヴリール「サターニャが馬鹿でよかったな。っと、さて転移門に着いたな」
ヴィーネ「第16層。どんな街なのかしら…」
ラフィエル「行けばすぐにわかりますよ♪」
サターニャ「そうよ! この私に相応しいお宝を見つけるまで帰らないわ!」
ガヴリール「情報料以上は稼がないとだ…。よし、行くぞ!」
ガヴィーネサタラフィ「「「「転移、ブランシュ!」」」」
────────────────────────
53
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:17:04 ID:DSaBROtU
〜第16層主街区 ブランシュ〜
ガヴリール「ふぅ。……ん? ここがブランシュ?」
ヴィーネ「なんか思ってるよりも普通……?」
ラフィエル「西洋の作りじゃないですね。どちらかというと日本風なんですけど少し古いというか──」
サターニャ「まさに江戸って感じね」
ガヴリール「それだ! お前よくその言葉知ってたな」
サターニャ「これくらい知ってるわよ!」
ヴィーネ「ブランシュって名前に違和感を覚えるわね。本当にこの街に財宝が散らばっているのかしら」
ラフィエル「プレイヤーもそれ程多くは見当たりませんし…。そうだ、こういう時こそスキルですよね♪」
ガヴリール「おっ、早速役に立つ所を見られるのか」
ヴィーネ「可哀想だから熟練度が上がってもサターニャの部屋に近付いちゃ駄目よ?」
ラフィエル「程々にします♪ さてと、では歩きながら始めちゃいますね…」
サターニャ「プレイヤーが近くにいないと始まらないものね」
ガヴリール「どうだ? 何か有力な情報はあるか?」
ラフィエル「うーん、これといってないですね…。それにどうやら街中ではまだアイテムが落ちているという話すらないようです」
54
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:17:44 ID:DSaBROtU
ヴィーネ「ガセネタだったってこと?」
ガヴリール「見た感じ100人以上プレイヤーはいそうだしそうかもしれないな…。くそっ、情報料高かったのに…!」
サターニャ「そんなぁ…。レアアイテム欲しかったのに」
ラフィエル「仕方ないですよ。たまにはこういうこともあります」
ヴィーネ「ガヴどうする? 今日はもう戻っていつも通りレベリングする?」
ガヴリール「そうだな。こんなとこにいても私たちのレベルじゃ効率はよくないし、一度戻って──」
『鼠小僧が出たぞー!』
ガヴリール「ん? なんだ?」
サターニャ「今の何かしら?」
ラフィエル「東の方から聞こえましたね。それに鼠小僧とは何のことでしょう…」
ガヴリール「とりあえず行ってみるか」
────────────────────────
55
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:19:06 ID:DSaBROtU
ヴィーネ「何なのここ…! すごい人集りね」
ガヴリール「これじゃ前に進めないな」
ラフィエル「私たちと一緒でプレイヤーの方もちらほらいるみたいですが、NPCの数も尋常じゃないですね」
サターニャ「何かのイベントに間違いないようだけど、何が始まるっていうのよ」
ヴィーネ「前も全然見えないわね──あ、あそこに誰かいるわよ」
ラフィエル「ほんとですね。屋根の上に人影があります。あれは……盗賊の類でしょうか?」
ガヴリール「黒い手拭いをしてるから恐らくそうだろう。しかしあいつは何してるんだ?」
『皆の者、拙者鼠小僧でござる』
サターニャ「せ、拙者…?」
ヴィーネ「それにござるって…。まあゲームなんだし世界観は大事よね」
ラフィエル「しかしどうやらあの方が有名な義賊、鼠小僧さんのようですね」
『汝ら町奴達に幸を使わす者なり」
ガヴリール「何を言ってるのか全然わかんねぇ…」
ヴィーネ「うーん…。私たちに幸を与えるって言ってるのかな?」
ラフィエル「恐らくそういった意味だと思います」
56
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:20:45 ID:DSaBROtU
『巳の刻より一時、この地ブランシュへ拙者の財を擲つ。それまで暫し待たれよ』
サターニャ「巳の刻って何よ…」
ガヴリール「あーもう、わかんねぇことだらけだな…。おいお前! 質問がある!」
ヴィーネ「ちょっとガヴ…!」
『何用だ、小童』
ガヴリール「相手はNPCだ、別にいいだろ。おい、お前はブランシュ一帯に宝をばら撒くんだよな? 勝手に取っていいんだな?」
『左様』
ガヴリール「ちなみにそれは早い者勝ちってことか?」
『如何にも』
サターニャ「あいつこっちの言葉理解してるじゃない。なんで合わせてくれないのかしら…」
ラフィエル「そういう設定なのですから仕方ないですよ」
『他に意はごさらぬか?』
ガヴリール「あぁ、もういい」
57
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:21:35 ID:DSaBROtU
『よかろう。さすれば皆の者、暫し待たれよ』
サターニャ「行っちゃったわね…」
ガヴリール「あー、疲れた。ったく、あの喋り方苛つくわ」
ヴィーネ「しょうがないわよ。鼠小僧は江戸時代にいた人だから──」
『ボーナスイベント 唐紅の千両箱』
ヴィーネ「──っと、やっぱりこれはイベントだったのね」
サターニャ「今のがイベント発生前のチュートリアル的なやつだとしたら、かなりプレイヤー少なかったわよね? もしかして私たちラッキーだった?」
ラフィエル「そうですね。索敵スキルを使ってましたが、周囲のプレイヤーは50人程だったと思います」
ヴィーネ「ラフィはまた恐ろしいスキルを上げてるんだから…」
58
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:22:17 ID:DSaBROtU
ガヴリール「ということはこれに参加するのは50人くらいしかいないのか。……あ”っ!? ヤバい、あいつに大事なこと聞くの忘れてた!」
サターニャ「うわっ!? びっくりした…。何よいきなり」
ガヴリール「巳の刻のことだよ! くそっ、なんだよ巳の刻って…」
ヴィーネ「巳の刻って言うのは江戸時代の時に使われてた時間の単位のことよ」
ラフィエル「巳の刻から一時と言っていましたので、恐らく午前10時から正午までのイベントのようですね♪」
サターニャ「あんたたちよく知ってるわね」
ヴィーネ「たまたまよ」
ガヴリール「でも助かった。10時まで後1時間くらいあるし、それまで街を散策しながら土地感を養おうか」
ラフィエル「そうですね。新しい情報やアイテムがありそうな場所も見つけたいですし♪」
────────────────────────
59
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:23:17 ID:DSaBROtU
ガヴリール「さてと、10時まで後3分か。結構見てこれたな」
ヴィーネ「そうね。街の中は圏内だから戦闘も起きないし、楽だったわね」
サターニャ「そういえばそのお宝を探す時も4人で行動するの? 別れた方が効率が良さそうだけど」
ガヴリール「言われてみたらそうだな…。よしっ、サターニャの提案を飲むのは癪だがここは二手に別れよう」
ラフィエル「どうやって別れますか?」
ガヴリール「まずは私とサターニャは別々にしよう」
ヴィーネ「それはいい案ね。それじゃ私とラフィも別れるってことでいいのよね?」
ガヴリール「その通りだ」
サターニャ「待ちなさいよ。なんで私とガヴリールが一緒じゃないの? まあ私だってこいつとは嫌だけど。ついでにラフィエルとも嫌」
ガヴリール「そんなの言われなくても理解しろよ。……馬鹿だからだよ、私らは」
サターニャ「あー、なるほどね──って酷くない!?」
ヴィーネ「まあまあもう始まっちゃうし、それじゃ久しぶりに天使と悪魔に別れて捜索しましょう」
60
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:24:16 ID:DSaBROtU
ラフィエル「そうですね♪ サターニャさんが何故、私と一緒に行動したくないのか非常に気になりますけど」
サターニャ「当たり前でしょ! あんたと一緒にいてろくなことがないもの!」
ガヴリール「うるさいヤツだな…。とにかく今回はそれで行くぞ。何かあったらメッセージ飛ばしてくれ」
ヴィーネ「わかったわ!」
『ボーナスイベント 唐紅の千両箱 スタート』
ガヴリール「お、始まったな。それじゃ2時間後に転移門の所で落ち合うってことで、お互い頑張ろう!」
サターニャ「あんたたち天使達には負けないわよ!」
ラフィエル「頑張りましょうね、ガヴちゃん♪」
ヴィーネ「レアアイテム見つけたいわね…!」
ガヴリール「ちなみに負けたチームが今日の昼飯奢りだからな」
サターニャ「そんなぁ!」
ガヴリール「嫌なら負けなきゃいいだろ。つべこべ言わずに探してこい!」
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61
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:35:04 ID:DSaBROtU
〜第16層主街区 ブランシュ〜 カジノマチ
ガヴリール「とりあえずあれから道なりに走ってきたけど、何もないな…」
ラフィエル「そうですね。アイテムは宝箱に入っていることが一般的ですし、この街並みに落ちていればすぐわかるはずですが……」
ガヴリール「悪魔チームはどうなってんのかな。サターニャにだけは負けたくないんだけど」
ラフィエル「路地裏なんかも探してみましょうか」
『ちょいとそこの別嬪さんや。拙者の店に寄っておくんない?』
ガヴリール「あ? うっさいな、今はそれどころじゃないっての」
『そう言わずとも見てくんさいよ、これ!』
ガヴリール「なんだよ、只の両手剣じゃねぇか」
ラフィエル「……!? ガヴちゃん! あれ! あの1番奥の棚に置いてある剣見てください!」
ガヴリール「奥? 別にNPCの武器屋なんてたかが知れてるだ、ろ!?」
『おや、如何しやんせい?』
ラフィエル「如何にもレアアイテムっぽい剣じゃないですか?」
ガヴリール「あぁ、そう見える。おい、おっさん! その奥の箱に入ってる剣も売ってるのか!? それいくらだ!?」
『いやいや、いかんぞ嬢ちゃん。こいつは如何様にも使わせん』
62
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:35:54 ID:DSaBROtU
ラフィエル「あの! その剣、どうしても欲しいのです! お売り頂けませんか?」
『分を弁えるのだ無礼者が。よもや汝等の猪口才、生かしておけん』
ガヴリール「なんだこいつ、短気すぎるだろ…。それになんかヤバそうだ」
ラフィエル「そうですね…。これは一度逃げた方がいいかもしれません」
『良かろう、街に蔓延る不届き者は拙者が成敗してくれようぞ。但し、汝等にもし敗れることがあれば、この剣を好きにするがいい』
『デュエル 初撃決着モード』
ガヴリール「おいおいマジかよ!? NPCとデュエルなんて聞いた事ねぇぞ!?」
ラフィエル「ガヴちゃん受けるんですか? 相手の強さが分かりませんよ?」
ガヴリール「強さは分かんなくても受けるに決まってる。これは初撃決着のデュエルなんだ、HPがゼロになることはない」
ラフィエル「そうですよね…。あの剣、ガヴちゃんの物にしてくださいね!」
ガヴリール「勿論! 勝負だおっさん!」
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63
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以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:36:55 ID:DSaBROtU
〜第16層主街区 ブランシュ〜 ニンギョウノマチ
サターニャ「なによ、宝なんて何処にもないじゃない…」
ヴィーネ「そうね…。いつも通り街にお店が並んでるだけだわ」
サターニャ「もうどうなってるのよ! 早くしないとレアアイテムを誰かに取られちゃうわ!」
ヴィーネ「そうは言っても見つからないものは仕方ないわよ」
サターニャ「もしかしてここら辺はもう他のプレイヤーに取られちゃったのかしら」
ヴィーネ「それはないと思うわよ。プレイヤーと殆どすれ違ってないし」
サターニャ「そうよね…。まだ私たちが本気で探してないだけなのかな」
ヴィーネ「まあ、まだ始まったばかりよ。そんなに気を落とさなくても──痛っ!?」
サターニャ「ヴィネット!? 大丈夫?」
ヴィーネ「イタタタ、……私は大丈夫よ。それよりこの女の子だわ。ごめんなさい、怪我はない?」
『こ、こちこそおゆるしなんし! わっちは大丈夫でありんす!』
ヴィーネ「それならよかった…。立てるかな?」
『た、立ていんす! 痛っ…!』
64
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:37:52 ID:DSaBROtU
サターニャ「膝から血が出てるじゃないの! ほら、これを飲みなさい」
『で、でも…』
ヴィーネ「安心していいのよ。傷が治る薬だからね」
サターニャ「そうよ。遠慮はいらないわ!」
『ありがとう、ございんす…』
ヴィーネ「よしよし、ちゃんと飲めて偉いわね。あなたお名前は? お母さんかお父さんはどこ?」
『わっちはお粧由。禿でありんす故、母も父もいないんす」
サターニャ「かむろ…? それにいないってどういうこと?」
ヴィーネ「禿は吉原の女郎見習いのことよ。親がいないのも多分、色々理由があると思うわ」
サターニャ「よしわら? じょろう? 言ってることがよく分からないけど、それじゃこの子どうすればいいのかしら…」
ヴィーネ「そうね、聞いてみましょうか。ねぇ、あなたのお父さんとお母さんに代わる人はどこにいるのかな?」
『はっ…! そうでありんす! わっちは花魁様の元へ行かねばなりんすえ。先を急いでいんす!』
ヴィーネ「やっぱり花魁の所へ行く途中みたいだったみたいね」
65
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:38:43 ID:DSaBROtU
サターニャ「お、おいらん? 聞き慣れない単語ばかりで目が回りそうだわ…」
ヴィーネ「簡単に言うと仕事場の上司かしらね。とにかくこの子は行く宛があるみたいでよかったわ」
サターニャ「そうなのね。それじゃ私たちも再度アイテム探しの旅に出かけ──」
『あれっ!? ない! ないでありんす!』
ヴィーネ「ん、どうしたんだろ」
サターニャ「捜し物かしら?」
『花魁様の大切な簪がないんでありんす!』
サターニャ「かんざし? 何よそれ」
ヴィーネ「あんたって本当に何も知らないわよね…。簪っていうのは、髪をまとめるための道具よ」
サターニャ「そんなことまで知ってるヴィネットの方が珍しいと思うけど、まあいいわ。それで、簪とやらを落としてしまったの?」
『はい…。あれがないと花魁様に怒られてしまいんす…』
ヴィーネ「さっき私とぶつかった時に落としちゃったのかな。でも周りには何も落ちてないし…」
サターニャ「ここに来るまでに落とした可能性が高そうね」
『後生の頼みでありんす! 高貴な姫君方、わっちと共に花魁様の簪を探してくんなまし!』
サターニャ「探すって言われても、私たちには大事な用事があるんだけど…」
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以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:39:25 ID:DSaBROtU
ヴィーネ「こんな年端もいかない女の子の頼みを断る訳にはいかないわよ」
サターニャ「そうだけどさ。でも──」
『見つけて頂けたのなら、此方の反物を授けんす! 姫君方、どうかお願い致しんす!』
サターニャ「何を取り出して、って布? ヴィネット、これってもしかして…」
ヴィーネ「アイテムっぽいね。きっとこれを元に裁縫スキルで装備を作れってことだと思う」
サターニャ「そんなの私上げてないわよ…」
ヴィーネ「私は少し上げてるけど、この反物は高級そうね。私の熟練度だとまだ無理そう…」
サターニャ「もしかしてだけどこのボーナスクエストって、こうやって何かのフラグを立ててアイテムを回収しなければいけないってことなのかもね」
ヴィーネ「その可能性が高そうかな…。道理で探しても宝箱が見つからない訳よ」
サターニャ「これはもう、この子に従ってアイテムを頂くしかないわね。ヴィネット、勿論受けるわよね?」
ヴィーネ「当たり前じゃない! 頑張りましょう!」
『ありがとうございんす!』
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67
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以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:42:02 ID:DSaBROtU
〜第16層主街区 ブランシュ〜 カジノマチ
ガヴリール(初撃決着モードか。相手のレペルが分からない以上無闇に突っ込むのは無謀だが、後手に回るよりはマシだよな…)
ラフィエル「ガヴちゃん…」
ガヴリール(おっさんの武器は刀か。恐らく敏捷値に多く振ってあるNPCだろうし、レベルが互角なら力でいけそうか)
ガヴリール(後10秒。とにかく一撃で決めることに集中しよう。おっさんの刀をソードスキルで弾いて2発目を当てる意識で行こう)
『START』
ガヴリール(上段の構え…! こっちは──)
ガヴリール「うおおぉぉぉおお!」
【片手剣 バーチカル・アーク】
『小童の分際で猪口才な! 拙者の剣技、見るがいい!』
ガヴリール(早っ!? だけど慌てる程じゃない。力は私の方が上だと思う、予定通り初撃で刀を弾いて2発目を食らわせてやる!)
ガヴリール(おっさんのソードスキルがイマイチわかんねぇけどなんとかなるはず…!)
68
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:43:09 ID:DSaBROtU
ガヴリール「食らえおっさん!」
『ぬっ!? 小童よ、中々やりよるな』
ガヴリール(重っ!?)
ガヴリール「……ふんっ、大人しく斬られとけばいいのによ」
ラフィエル「ガヴちゃん、私の識別スキルだとこのおじさんはレベル15.6程度です。ですが油断しないで下さい!」
ガヴリール「わーってるよ、っと!」
ガヴリール(このおっさんは筋力に多く振ってるタイプだな。私の方がスピードは上だ)
ガヴリール(初撃で決まらなかった以上、こっからは手数で一気に押すしかないな)
ガヴリール(おっさんが次に放つソードスキルを見切ってその隙にぶち込んでやる…!)
『先の勢いはどうした? よもやよからぬ事を考えているのではあるまいな?』
ガヴリール「うっせぇハゲ。御託はいいから向かってこいよ」
69
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:43:57 ID:DSaBROtU
『……格の違いもわからぬ不届き者が。如何様にしてくれようぞ』
ガヴリール(このおっさんが喧嘩っ早くて助かるわ…)
ラフィエル(格の違いが分からないのは果たしてどちらなんでしょうね♪)
ガヴリール「ん? なんだ…? おい、刀納めんじゃねぇよ、戦わねぇのか?」
『傾奇者よ…。敵の心配をするなど笑止千万。お主は自身を案じた方がよいぞ』
ガヴリール「はぁ?」
ガヴリール(こいつ頭おかしいんじゃねえの?)
『ふっ…。虚けの戯言は聞くに耐えんと言うか。よかろう、ならばこれを食らうが良い』
ガヴリール「はぁ…」
ガヴリール(はよ来い)
ラフィエル(まだですかね)
70
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:45:35 ID:DSaBROtU
『見敵必殺の一太刀にて汝を切り捨てん…』
ガヴリール「へいへい」
『奥義、虎落笛!』
【刀スキル モガリブエ】
ガヴリール「やっぱスピードが足りねぇよ」
『な、に!? 拙者の奥義が容易く躱されるなど──』
ガヴリール「そんじゃ、今度はこっちの番ということで」
ガヴリール「うおりゃ!」
【片手剣 シャープネイル】
『ぐおぉぉお! 小童の分際で…! 無念……!』
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71
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:46:29 ID:DSaBROtU
ガヴリール「という訳で無事勝利!」
ラフィエル「お疲れ様です♪」
ガヴリール「まあ正直、初めに剣が交錯した時から勝敗はわかってたけどな」
ラフィエル「私もレベルが低すぎて笑いを堪えるのに必死でした♪」
ガヴリール「私もだよ。まあそれはさておき…。おい、おっさん」
『ひいぃぃい! 慈悲を! どうか主様の寛大なご慈悲を!』
ガヴリール「別に身包み剥ぎ取る訳でもないから落ち着けよ。私からの要求は特にないぞ?」
『……何故?』
ガヴリール「そう言われても、理由がないからな…。
『なんと有り難きお言葉…』
ガヴリール「でもその奥にある剣は貰っていいよな?」
72
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:47:29 ID:DSaBROtU
『左様でございます。どうぞ、お納め下さい』
『Bloody Angel』
ガヴリール「サンキュー!そんじゃ、もう用はないから帰るわ!」
ラフィエル「またどこかでお会いしましょう♪」
『拙者も此にて失礼仕る』
ガヴリール「ふぅ、ようやく1つ目のアイテムゲットだな」
ラフィエル「ですね♪」
ガヴリール「他のお宝もこんなに骨が折れるイベントばかりなのかな…」
ラフィエル「どうなんでしょう。先が思いやられます…」
ガヴリール「悪魔チームもそろそろいいアイテム手に入れてる頃だろう」
ラフィエル「ガヴちゃん、天使の意地もありますし負けられないですよ?」
ガヴリール「だな。よし、それならまたブラブラしながら宝を探しますか!」
ラフィエル「はい♪」
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73
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:49:43 ID:DSaBROtU
〜第16層主街区 ブランシュ〜 ニンギョウノマチ
サターニャ「ないわね…」
ヴィーネ「ないね…」
『どうしんしょ…』
ヴィーネ「ねえ、お粧由ちゃん。心当たりはないのかな?」
『心当たり…。1つだけありんす』
ヴィーネ「教えてくれる?」
『はい…。実は姫君方に無礼を働く数刻前、わっちは道に迷っていんした』
サターニャ「道に? ここに来たのは最近ってこと?」
『そうではありんせん。いつなる時も新造のお喜美と一緒でありんしたから。でありんすが、1人で外を行くのは初めてで…』
ヴィーネ「そっか…。それで迷ってしまったのね」
サターニャ「でもそこからかんざし、だっけ? それをなくす説明はつかないわよ」
74
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:50:38 ID:DSaBROtU
『わっちは何分不器用でありんす故、花魁様から見合う簪を頼まれたんす』
サターニャ「ふむふむ」
『迷った末、品を選んで金子を払ったことは覚えていんす…。そして釣り銭はなかったのでそのまま店を後にしんした」
ヴィーネ「そうなんだ……、あれ?」
サターニャ「……あんた、買った簪は受け取ったの?」
『……えっ?』
ヴィーネ「お粧由ちゃんの話だと、お金を払った後に簪を受け取っていないような気がするんだけど…」
『もしやわっちは貰ってきてない…?』
サターニャ「馬鹿じゃないの!? お金だけ払って何で目的の物を忘れるのよ!」
『お、おゆるしなんし…』
ヴィーネ「こんなに小さい子に馬鹿とか言わないの。サターニャだって商品受け取らずに外出たことあるでしょ?」
75
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:51:18 ID:DSaBROtU
サターニャ「言われてみればたしかに、先週もプレイヤーのフリマでそんなことがあったような…」
ヴィーネ「ゲームの中でもあるのね…。いつかこの世界で詐欺にあっても知らないわよ」
サターニャ「あ、あの時はたまたま忘れただけよ! そもそも相手もアイテムストレージ開けなんて言ってこなかったし!」
ヴィーネ「もう、しっかりしてよね…」
サターニャ「とにかく! そのお店に置いて来たと分かったのはラッキーね! すぐ向かいましょう」
ヴィーネ「お粧由ちゃん、そのお店に案内してくれる?」
『わかりんした!』
────────────────────────
76
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:52:38 ID:DSaBROtU
『姫君方、着きんした! ここでありんす!』
サターニャ「小間物屋、むらさきせん? へぇ、色んなものが売ってるわね」
『し・せ・ん、でありんす!』
サターニャ「あっ、紫せんね」
ヴィーネ「まあ難しいから間違えるわよね。仕方ないわよ」
『仕方ありんせん』
サターニャ「……なんか馬鹿にされてる気がするわね」
ヴィーネ「そんなことないわよ』
『そんなことないんす』
サターニャ「それならいいけど…。さて、それじゃこんなとこに突っ立ってないで中に入っちゃいましょ」
ヴィーネ「そうね」
『ごめんくんなまし! わっち、朝霧様の禿でありんす!』
サターニャ「朝霧様?」
ヴィーネ「どうやら人の名前っぽいけど…」
『ちょっと待てぃ、今行かぁ!』
77
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:53:47 ID:DSaBROtU
サターニャ「あ、誰かいるっぽいわね」
『よかった…』
ヴィーネ「それにしても流石江戸ね、凄い話し方だわ…」
『へいらっしゃい! お、誰かと思えばおめぇ、高尾太夫んとこの童じゃねぇか! えれぇ顔してどぉした?』
『実はさっき買ったばかりの簪を忘れたので取りに来んしたんでありんす! どこにありんしょ?』
サターニャ「そういえばどこにもないわね」
『簪? それはおめぇ、さっき買ったこの簪のことけぇ!』
『そうでありんす!』
『それならおめぇが持っていかねぇから売りモンにしたに決まってらぁ!』
ヴィーネ「えっ?」
サターニャ「ちょっと! なんでこの子が買ったものをまた売ってるのよ! 寄越しなさい!」
『そうでありんすぇ! 渡しておくんなまし!』
『べらぼうめぇ! この簪はオイラのでぃ! この童が買った証拠がどこにあらぁ!』
サターニャ「うぐっ…! そう言われると…」
『本当に買ったでありんすぇ…』
78
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:55:00 ID:DSaBROtU
『てやんでぃ! もう一度買いたいなら金貨1両出しやがれぃ!』
『そんな金子持っていんせん…』
サターニャ「ヴィネット、どうしたらいいのよ…」
ヴィーネ「大丈夫よ。証拠ならあるもの」
『なんでぃ小娘! 証拠があるんかぃ!』
ヴィーネ「えぇ。あなたが話したこと、それが証拠よ」
サターニャ「話したこと?」
ヴィーネ「あなたさっき、お粧由ちゃんが買ったって自分で言ったわよね?」
サターニャ「言われてみたら確かに…。あんたひどいじゃない! こんな小さな子からお金騙し取ろうとするなんて!」
ヴィーネ「そうよ。あなたの嘘はもうわかってるんだから、早くその簪を渡して」
『なんでぃ、オイラの口が悪さを仕出かしたって訳かい。仕方があるめぇ…。今日の所は渡してやっからもう帰んな!』
『まことでありんすか! ありがとうございんす!』
ヴィーネ「ふぅ、なんとか取り返せたわね。行こっか、お粧由ちゃん」
サターニャ「こんな店二度と来ないわよ! フンっだ!」
79
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:55:51 ID:DSaBROtU
『姫君方! 此度はまことに、まことにありがとうございんした!』
ヴィーネ「当然のことをしたまでよ。別に大したことしてないわ」
サターニャ「そうよ。これからは1人で街を歩く時は詐欺に気を付けた方がいいわ!」
『そうしんす!』
ヴィーネ「さてと、それじゃこれで一件落着ということで、お粧由ちゃんは花魁様の所に戻るのかな?」
『そうでありんす!』
サターニャ「気を付けて帰るのよ」
『でありんすがその前に、姫君方に此方の反物を授けんす!』
『鴇色の反物』
ヴィーネ「やった! 見てサターニャ、アイテムよ!」
サターニャ「ようやくって感じね。でも私は貰えてないけど、それって…」
ヴィーネ「活躍度とか関係あるのかな?」
サターニャ「酷くない!? 私だって活躍したわ! あれ? しなかったかしら…」
ヴィーネ「まあまあまだ1つ目だから」
サターニャ「それもそうね…」
80
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以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/03/07(木) 20:56:35 ID:DSaBROtU
『では姫君方!わっちはこれにて失礼致しんす!』
ヴィーネ「そっか、クエスト? が終わったから帰るのよね。気を付けてね」
サターニャ「今度会う時は、この大悪魔様のこともちゃんと評価してくれると助かるわ!」
ヴィーネ「何言ってるのよ…」
『ほんにありがとうございんした! それでは、おさればえ!』
サターニャ「お、おさればえ…?」
ヴィーネ「行っちゃった…。またね、って意味なのかな」
サターニャ「そうかもしれないわね。それにしてもこれで1つ目…」
ヴィーネ「想像以上に大変よね」
サターニャ「どの報酬もこんな感じなのかしら…。もっと楽に回収できるとばかり思っていたのに…」
ヴィーネ「私もよ。でも泣き言も言ってられないわ。早速だけど次を探しましょう」
サターニャ「そうね。レアアイテムは限られているもの、絶対に私たちの物にするわよ!」
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