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( ^ω^) 2012年芸術の秋ラノベ祭りのようです
1
:
名も無きAAのようです
:2012/11/22(木) 23:10:10 ID:.UzZnagU0
( ^ω^)ラノベ祭り投下及び報告スレだお
開催期間
11月18日(日)0時〜25日(日)23時59分
スレ立てを行った作品については、
作品URL
作品名
使用した絵のURL(任意)
以上のテンプレを使用して投下報告を行うこと
これがなければラノベ参加作品と見なされない
絵のURLについては、RESTさんのところからhを抜いて記載してくれればおk
スレタイに【ラノベ祭り】などの記載をするかは任意(宣伝効果はあるかもわからんね)
次スレは
>>950
を踏んだ人が立ててくれ
初代スレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1348068145/
前スレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1353163378/
57
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 02:18:32 ID:Yx23OjVg0
さて、それからも彼らは街角に立ち続けました
時には積極的に売り込もうともします
しかし一向ににぶどうは売れません
ξ゚⊿゚)ξ やっぱりだめみたいね はぁ
( ゚∋゚) 魔法少女様 物事、酸いも甘いもあって当然です
( ゚∋゚) いずれ甘き成果となるでしょう そう、葡萄の様に・・
全ての物事は葡萄の仮象に過ぎないのですから
ξ゚⊿゚)ξ (だから意味わかんねーんだよコイツ)
落ち込む魔女を、小鳥はぶどう哲学を以って励まします
葡萄哲学は生活のちょっとした一場面にも有効なのです
なぜなら人生とは生活の積み重ね、日々の生活にも有効な思想こそが真の力ある思想
痒い所にも手が届く、それがぶどう哲学!
しかし来る日も来る日も売れないと、ぶどうの叡智を吸収した小鳥も焦ります
頑張って売り込もうとしますが、彼の肉体を見ると人々は恐れをなして逃げていくばかり
彼の大きな体は、ぶどう売りの邪魔になるだけだったのです
58
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 02:18:34 ID:nGAgifBo0
こんなになっても小鳥という表記を変えるつもりはないというのか……ッ!
しかし葡萄ってこんなに深い果物だったんだな
59
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 02:19:30 ID:Yx23OjVg0
( ゚∋゚) (私は魔法少女様の力に、それも真の力になりたい)
( ゚∋゚) (しかし私の大きな肉体がその障害となる)
( ゚∋゚) (どうすれば良いのだろう・・ 葡萄様、私めに知恵をお与え下さい・・)
小鳥がぶどうに祈っても、ぶどうは何も答えてくれません
ぶどうの偉大なる知恵は我々が汲み取らねばならないもの
だからこそ、得られた知識は我々に深く身につくのです
時には厳しさを以って我々に立ちはだかる、それがぶどう哲学
彼は悩み続けました
結局自分は魔女の力になれない、周りの手伝いはできても真に望んでいることを叶えてやれない
いつしかそれは絶望にも似た色合いを帯び始めます
ξ゚⊿゚)ξ ぶどうは、ぶどうはいりませんかー
( ・∀・) 今日もいらぁ
ξ゚⊿゚)ξ 買ってけクソが
( ・∀・) いーらね
( ゚∋゚) ・・・・・・
そうして小鳥はある日、大きな決意をしました
60
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 02:19:37 ID:cKNwt71c0
おい地の文ブッ飛んでんぞwwww
61
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 02:20:33 ID:Yx23OjVg0
( ゚∋゚) 魔法少女様 少し時間をもらってよろしいでしょうか
ξ゚⊿゚)ξ え? 別にいいわよ、いようがいまいが変わらんし
その言葉を聞くと、小鳥は少しだけ悲しそうな顔をしました
だけどすぐに力強い表情に戻ると、どこかへと歩き出します
ξ゚⊿゚)ξ ぶどうは、ぶどうはいりませんかー
( ・∀・) ねぇ、マッチョ戻ってきたよ
ξ゚⊿゚)ξ あら本当ね、なんなのかしら
戻ってきた小鳥の手の中には、謎の液体の入った瓶がありました
そしてすぐさま魔女に切り出します
( ゚∋゚) 魔法少女様 私は貴方様に恩返しがしたかった
( ゚∋゚) しかし私は木偶の坊、貴方様の力になるどころか邪魔をしてばかり
ξ゚⊿゚)ξ まぁ邪魔っちゃ邪魔だけど・・ お前汗臭いし・・ ムワッとするし・・
( ・∀・) いい香水知ってるよ
( ゚∋゚) そこで私は決意しました ・・いえ、葡萄が決意させてくれました
ξ゚⊿゚)ξ は?
( ・∀・) ?
62
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 02:21:42 ID:Yx23OjVg0
( ゚∋゚) 葡萄の役目とは、それ即ち食べられること 自身の身を捧げる、自己犠牲の精神
( ゚∋゚) これぞ究極の葡萄哲学 貴方様ならお分かりになってくれるはず
ξ゚⊿゚)ξ だからしらねーよ、なんなんだよぶどう哲学って お前と私の温度差がさっきからすげーんだよ
魔女は目を見張りました
ああ、どうしてこの小鳥はこれほどまでに賢いのだろう! そして私のことを考えてくれているのだろう!
感極まって目には涙がきらめきます 葡萄哲学は感動の哲学なのです
( ゚∋゚) 私はずるずると貴方様に迷惑をかけたくはない ですから
( ゚∋゚) バシャッバシャッ
ξ゚⊿゚)ξ !?
( ・∀・) !?
小鳥は、持ってきた液体を頭からかけました
そう、それは────食用油
63
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 02:22:33 ID:Yx23OjVg0
ξ;゚⊿゚)ξ えー・・ ちょ、ちょっと待って・・ あんた何・・ 何してはんの・・ えぇ・・ まさか・・
( ゚∋゚) 魔法少女様 貴方様に貰った命、お返しします・・ どうか美味しくお食べ下s
シュッ
(;;:从∋从
ボッ
(; ・∀・) うぎゃああああああああああああああああああああああああああああ!!
ξ;゚⊿゚)ξ (ええええ・・ なんか・・ なんか知らんけどマッチョ自殺した・・!)
(; ∀) うわ、な、なんか臭・・ おええええぇぇぇ!! 人肉の焼ける匂いがするよー!!
ゲボシャアァァ
ξ;゚⊿゚)ξ (くせぇ・・)
魔女は大きな悲しみのあまり、膝から崩れ落ちます
側で見ていた子供は、小鳥のその犠牲心に心を打たれて泣き叫びます
小鳥は… 小鳥は自身の命を、心優しい魔女に捧げたのです…
燃えゆく炎の中、小鳥はこう願いました
もし生まれ変わったら、美味しい美味しいぶどうになりたい、と それだけを願いました…
こうして小鳥の悲しい、けれどもぶどうに満ち溢れた生は幕を閉じたのです────
ξ゚⊿゚)ξ (なんで死んだんコイツ)
64
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 02:23:39 ID:Yx23OjVg0
ボオオオオォオォォォ
(; ・∀・) おええぇ・・ なんか壮絶な場面に立ち会っちゃったよう・・! ぐええぇぇっぷ・・!
ξ゚⊿゚)ξ (わけわからん・・ いいや、全部忘れてどうぶつの森やろ)
スタスタ
(; ・∀・) !? うわ、無表情で帰ってく! 後始末しろよおい! 公共の場所だぞ! なんてぶどう売りだよ、もう!
幼い子供にグロテスクな光景みせつけやがって!
(; ・∀・) 全く、変なトラウマ植え付けられちゃったよ! 焼身自殺するマッチョなんて一生見たくな・・
(; ・∀・) (・・うん? マ・・ マ、マッチョ・・?)
( ・∀・) (マッチョ・・ マッ・・ マ、マッチ・・ョ)
( ・∀・) (マッチ・・ 魔法少女・・ 魔法・・ 少女・・ おばさん、少女・・ 燃える・・ マッチ・・ 少女・・ おばあさん・・)
( ・∀・) !!!!
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
川 ゚ -゚) ──こうして小さなアンデルセン少年が見たワンシーンが
のちの「マッチ売りの少女」となりました ぶどうとマッスルに感謝しましょう
('A`) ばかやろう
〜Fin〜
65
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 02:24:27 ID:.a/p/E0c0
地の文がwww温度差激しいwww
66
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 02:24:30 ID:nGAgifBo0
ほんとばかやろう
乙!!!!!
67
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 02:24:34 ID:Yx23OjVg0
おわりです
幼きアンデルセン少年と炎上するマッスルが一緒に描かれている絵も最後に使おうと思ったんですが
RESTさんを穴が空くほど探しまくってもアンデルセン少年がいませんでした ふざけるなよ貴様等、なんなんだこの祭りは
それはそうとNo.35の方、素敵な絵をありがとうございました
68
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 02:25:01 ID:TCZ108Zc0
壮絶な終わりかた・・・乙です!!
69
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 02:25:19 ID:c7BGPkOk0
またお前かwwwwwww
乙乙ww
70
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 02:26:44 ID:0GMkeeZE0
またあんたかwwww乙!
深夜に笑わせんなばかやろうwwwww
71
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 03:03:31 ID:ToTp39p60
>>67
小鳥じゃねぇwwww
まさかこんな面白ギャグになるなんてwww描いてる時はwww思いもしなかったwwww
ありがとうございまwwwww
72
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 03:41:15 ID:jLb9rTIk0
投下します!
73
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 03:43:12 ID:jLb9rTIk0
さっきまで、ネオン煌めく駅前の繁華街を闊歩していたものだとばかり思っていたのに、いつの間にか住宅街に迷い込んでいた。
周りは薄暗く、申し訳程度に備え付けられた電灯がぽつぽつと道を照らしていた。
私は迷子になっていた。
( ^Д^)影のお前のようです (^Д^ )
ttp://boonrest.web.fc2.com/maturi/2012_ranobe/e/172.png ◆No.172
74
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 03:44:34 ID:jLb9rTIk0
見当をつけようと辺りを見回すが、どこかで見た事があるような家が立ち並んでいる。
道を聞こうにも、静まり返ったこの道で歩いているのは私だけだった。
良い年をしてみっともない限りだが、私はしたたかに酔っていた。
歩いているうちに酔いが回ったらしく、足取りは少し覚束ない。
これで妻に手渡す土産の品を提げれば立派な酔っ払いの出来上がりだ。
たしか、仕事帰りに一杯引っ掛けて行こうと思って居酒屋の暖簾をくぐったはずだ。
しかし、手の平にはいつも持ち歩いている皮鞄がどこにもなかった。
まさか店に置いてきてしまったのか、はたまた路上でうっかり居眠りをして忘れてここまで歩いてきてしまったのか。
慌ててポケットを探れば、貴重品の類は持っているらしい。
ならば家に一旦帰って、また街に繰り出したのか。
75
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 03:46:02 ID:jLb9rTIk0
( ^Д^)「俺も若いなぁ。」
そう、独りごちた。
冷たい風が頬を掠め、火照った体を冷やす。
それにしてもどうも先程から記憶が曖昧で居心地が悪い。
歩き続けても住宅街は終わりを見せず、まるで同じ所をぐるぐる回っているような気がした。
そんなまさか――。
考えただけでぞっとした。
この道の端と端をメビウスの輪のように繋げてそこを延々と歩かされる、そんな様子が簡単に想像できた。
私は少しだけ歩調を速め、何か目印になりそうなものを探した。
76
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 03:47:42 ID:jLb9rTIk0
かなりの距離を歩いたはずなのに、景色は一向に変わる気配がなかった。
依然としてブロック塀で囲まれた民家が立ち並ぶ。
家は一様に古かった。
本当に人が住んでいるのだろうか ?耳を澄ましても、衣擦れの音すら聞こえない。
私はほとほと困り果て、歩くのを止めて道の真ん中で立ちつくしていた。
77
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 03:48:41 ID:jLb9rTIk0
( :::;.:. )「あんた、迷子だろう。」
不意に声を掛けられた。
ぎょっとして振り返ってみれば、サラリーマン風の中年の男が私の真後ろに立っていた。
あと少し踏み込んでいれば、私の肘が男の頭にぶつかるところだった。
(;^Д^)そ「わぁ! あんた、一体いつからそこに !?」
明らかに異様ななりをしていた。いや、見た目に変わった所はない。
違和感を感じさせるのはその奇妙な姿勢だ。
頭を下げ、俯いたままこちらに話し掛けている。
顔には暗い影が落ち、よく見えない。
取り立てて身なりに特徴がない分、余計に気味が悪かった
78
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 03:50:04 ID:jLb9rTIk0
( :::;.:. )「なぁ、あんた、迷ったんだろう?」
再度同じ質問をする。
こういう手合いに長く付き合ってはいけない、手っ取り早く言いくるめてこの場を立ち去らねば。
(;^Д^)「あぁ、お気になさらず。もうしばらく歩けば家に着きますので。」
そう答えて早足で歩き出す。
大体アイツは足音もたてずにどうやって俺に近づいた ?
( :::;.:. )「年甲斐もなく、飲むからだよ。だから迷子になったんだ。あんたは酒が弱いのに。」
一定の距離を保って、男がついてくる。
早く――この男から離れなくては。
( :::;.:. )「大人しく家にいれば良かったんだ。早めに布団に入って寝れば良かった。もしくは、家に帰らなければ良かった。」
嘲るような声が後ろから響く。
額に玉のような汗が浮かんでいた。
かなりの距離を取ったのに、声は肩越しから聞こえた。
( :::;.:. )「あんな女のこと、放っておけば良かったのに。」
79
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 03:51:18 ID:jLb9rTIk0
早足だったのが駆け足に変わり、駆け足だったのが全力疾走へ変わる。
コートがはだけるのも構わずがむしゃらに走った。
(;^Д^)「はぁ、はぁ、はぁ。」
どこかに出口はないのか、何かここから抜け出すきっかけのようなものは――。
周りの景色は目紛るしく動き回り、線状の渦を描いていた。
私はめまいにも似た不快感に捕らわれながら走り続けた。
( :::;.:. )「あ、踏切。そっちに行っちゃいけない。危ないんだせ、そっちは。」
アイツの罠かもしれない、だか行かない訳にもいかない。
男の声はすぐ耳元で聞こえていた。
80
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 03:52:10 ID:jLb9rTIk0
カンカンカン――。
カンカンカン――。
81
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 03:53:07 ID:jLb9rTIk0
私は絶望していた。
確かに踏切はそこにあったが、すんでのところで遮断機が道を閉ざしたのだ。
轟々と音たて、車両が分厚い壁を作り出した。
あと少し、あと少しでくぐり抜けられたのに、私はどうしていつもタイミングが悪いのだ。
早く、早く、開いてくれ。
( :::;.:. )「血がカーテンまで飛び散ってた。」
( :::;.:. )「つい、かっとなったからって灰皿でめった打ちはないよなぁ。」
( :::;.:. )「出掛けて、また帰れば、全部なかった事になると思ったんだろ ?」
男があと数歩のところにいた。
82
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 03:54:57 ID:jLb9rTIk0
(;^Д^)「あんた、一体何なんだ !?ペラペラ喋っているが、俺の何を知っている !?」
( :::;.:. )「俺 ?俺は……。」
男が私に近づくと、素早い動きで私の頬を両手で捕えた。
頭をがっちりと固定され、視線を逸らすことができない。
男がぎくしゃくと不自然に首を震わせながら面を上げた。
ハ,;';::;゚ )「俺はお前だよ。」
83
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 03:56:37 ID:jLb9rTIk0
濁った瞳が私を見つめていた。
((; ゚Д゚))「は……あ、あぁ……おま、えは」
男の太い首筋から一回り小さい女の顔が据え置かれていた。
眼窩はえぐれ、凹んで中からドロドロとした液体が零れ出していた。
前歯は殆ど折れており、腫れ上がった口はただの黒い穴のようだった。
( ^Д^)「お前は俺じゃないよ……」
首を振って答えた。
彼のおかげで私は今まで忘れていたことをすっかり思い出していた。
それは私がついさっき殺したはずの妻だった。
84
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 03:57:03 ID:QfGKROsQ0
こええええやめろよこの時間に!!
85
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 03:57:29 ID:jLb9rTIk0
【TV】< 八時のニュースをお伝え致します。
昨夜深夜、VIP町の自宅マンションで、28才の主婦が死亡しついるのが発見されました。
【TV】< 同日未明、VIP署に被害者の夫が出頭し、殺人容疑で逮捕されました。
【TV】< なお男性は「妻の夜遊びを咎めた所口論となり、かっとなって殺した。」と供述して……。
86
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 04:03:08 ID:jLb9rTIk0
以上です。
読んで下さった方、そして素敵なイラストの作者さん、
ありがとうございました。
シリアスを希望されていたのですが、
作者さんのご期待に添えたのか甚だ不安です。
絵を見てたらどうしても書きたくなっちゃったので、
もしイメージ違うようでしたらゴメンナサイ!!
87
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 04:07:32 ID:QfGKROsQ0
>>78
あたりマジで怖かった
乙だけどこの時間に読むんじゃなかったくそ
88
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 04:07:34 ID:HtPnMyH.0
続けて投下しちゃうね
こんな夜だから人いないもんね
89
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 04:08:17 ID:HtPnMyH.0
星を、食べる
.
90
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 04:09:02 ID:HtPnMyH.0
男は口を開いた。
( ・∀・)「プラネタリウムで星を探す程度には、僕たちは星を忘れてしまったのかも知れない」
静まり返ったプラネタリウムに、男の声は小さく響く。
女はその響きに対してこう答えた。
o川*゚ー゚)o「なんで忘れてしまったの?」
暫く時間をおいて、再び男は口を開く。
( ・∀・)「生きてるから」
o川*゚ー゚)o「……そう」
二人の頭上には狭い夜空が永遠に広がっていた。
.
91
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 04:11:11 ID:HtPnMyH.0
その晩、女は夏草の茂る草原で星を仰いだ。
o川*゚ー゚)o「……見えない」
街の明りは星々の命を殺していた。
女の目の前から星々が次第に消えていく。
o川*゚ー゚)o「ん……」
女は星に手を伸ばす。
すると、右手に柔らかな温かみを感じた。
掌の上には星が一つ、ふわりと浮かんでいた。
小さな輝きを見つめ、女はこう言った。
o川*゚ー゚)o「あの人が言ったの。私たちは星を忘れてしまったって」
星は黙って聞いている。何か考えているようだった。
女は、再び言葉を発する。
o川*゚ー゚)o「悲しい?」
女の問いに対して、星は一言だけ答えた。
「それは君たちが決める事だよ」
.
92
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 04:12:40 ID:HtPnMyH.0
夏草が風に揺れる。潮の匂いに交じって星々の残り香がふわりと舞った。
o川*゚ー゚)o「そう」
「何故そんな事を聞くの?」
o川*゚ー゚)o「君達が消えてしまいそうだから」
女の言葉を聞いて星は笑う。
「消えないさ。この星ではなく、また宇宙に生きるだけ」
o川*゚ー゚)o「それって寂しい?」
「それは君たちが決める事だよ」
そう。と女が一言添えた。続けて、瞬きをすると星の姿は消えた。
女の掌から、温もりも何もかもが消えた。
そして、風は秋の足音をさせた。
.
93
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 04:13:33 ID:HtPnMyH.0
秋になってもプラネタリウムは美しかった。
( ・∀・)「あれはアンドロメダ」
o川*゚ー゚)o「うん」
( ・∀・)「古代エチオピアの王家は偽物の宇宙で今も輝いているんだ」
女は男の顔をじっと見ていた。頭上には星々が輝いている。
男は狭い宇宙を覗いた。空は裂け、月が顔を覗かせた。
偽りの宇宙は喜びを表現した。
( ・∀・)「二匹の魚は永遠に離れる事は出来ない。幸せ者だ」
女はかぶせる様にして言った。
o川*゚ー゚)o「どうして?」
すると男は、すこしだけ微笑んでこう答えた。
( ・∀・)「だって、みんな一人じゃないか」
o川*゚ー゚)o「そっか」
この日、これ以上二人が会話を交わす事は無かった。
.
94
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 04:14:39 ID:HtPnMyH.0
ある日の晩、女は星を見に行った。
o川*゚ー゚)o「おいで」
固く結んだ拳を解くと、そこには星があった。
星は何も言う事無く、女の顔を見つめている。
女も星を見つめ、しばらくは喋る事が無かった。
o川*゚ー゚)o「アンドロメダはカシオペアの兄弟」
突然、女が消えた声で呟いた。
声は消えていたにもかかわらず、星に伝わる。
「そう。ペルセウスとケフェウスも」
星も消えた声で呟いた。
o川*゚ー゚)o「君は誰の兄弟?」
女の問いに対して、星は二、三秒考えたふりをして口を開いた。
「君たちの兄弟だよ」
星の声に誘われたように風がなびいた。女の髪が、さらりとたなびく。秋の声がこだまする。
95
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 04:15:31 ID:HtPnMyH.0
o川*゚ー゚)o「だとしたら、君はお兄さん? それとも弟?」
星は、またしても二、三秒考えたふりをして口を開いた。
「弟さ」
女は訊ねる。
o川*゚ー゚)o「私より後に生まれたから?」
「そうじゃない」
o川*゚ー゚)o「なら、どうして?」
「それは、僕が星だからに決まってるじゃないか」
その答えに、頭上の星々が声を立てて笑い始める。
風は止み始めた。
女は風が止むのを見計らった様に口を開く。
o川*゚ー゚)o「宇宙から生まれたから?」
星は自慢げに、こう答えた。
「そうだよ」
.
96
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 04:16:13 ID:HtPnMyH.0
o川*゚ー゚)o「なら、私は何から生まれたの?」
笑っていた星々が顔を見合わせる。
再び風が吹き、木々がざわめいた。星の残り香はしない。
「簡単な事じゃないか」
星は呆れた風に俯いた。
o川*゚ー゚)o「え?」
「人さ」
女が瞬きをすると星は消えていた。
頭上の星々の声も聞こえなくなった。
o川*゚ー゚)o「変なの」
静かになった星空にオリオン座の声が響いた。
「もうそろそろだね」
風が冷たくなり、冬がのしかかった。
.
97
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 04:17:09 ID:HtPnMyH.0
プラネタリウムは冬の寒さを感じる事は無い。
何故なら、宇宙だから。
女はプラネタリウムを羨ましく思った。
( ・∀・)「君は星を食べた事があるかい」
男は女に問う。
o川*゚ー゚)o「無いよ」
女は満天の偽物を見上げながら続ける。
o川*゚ー゚)o「アナタはあるの?」
( ・∀・)「もちろんさ」
男の声にプラネタリウムは身を震わせた。
次第に空が落ちてくる。ゆっくりと降りてくる星々は、まるでくしゃくしゃにしたティシューのようだった。
( ・∀・)「ほら、食べてごらん」
男は燻った星を女に手渡す。
98
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 04:17:58 ID:HtPnMyH.0
o川*゚ー゚)o「うん」
女は星を口に含んだ。
降りてきた星々は、ゆっくりと宇宙へ帰っていく。
宇宙が、おかえり、と言った。星々は、偽物の癖に、と笑った。
( ・∀・)「おいしいかい?」
女はその問いかけに答えない。
しかし、それに構うことなく男は続ける。
( ・∀・)「今君が食べたのは木星」
o川*゚ー゚)o「違う。これはリゲル」
女は否定する。
( ・∀・)「何故そう思うんだい?」
男の問いかけに女は、こう答えた。
o川*゚ー゚)o「私はとても双子になれそうもないから」
99
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 04:19:22 ID:HtPnMyH.0
( ・∀・)「でも、僕たちは皆双子だ」
男の言葉に星々は頷く。
o川*゚ー゚)o「だとしても、私は星と双子になりたい」
頷いていた星々が驚き、今度はざわめく。
( ・∀・)「星は弟でしかないんだよ」
そうだそうだ、と言った風に星々は再び頷いた。
o川*゚ー゚)o「それでも一緒にありたい」
女はそういうと、口を大きく開け星を戻した。
ぽろん、と音を立てて落ちる星に男は視線を移す。
プラネタリウムに風が吹いた。
風の匂いに、生えているはずの無い夏草を感じた。
男はただ一言、
( ・∀・)「星を忘れたくないんだね」
と漏らした。
100
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 04:20:21 ID:HtPnMyH.0
その夜、女は星を見に行った。
雪の混じる大地は、星々の輝きを受けて青白く光っている。
冬になっても人の灯りは暖かく星々を殺していた。
o川*゚ー゚)o「……ん!」
女が星空に手を伸ばすと、一筋の光が指先に落ちる。
次第にそれは球体となり、喋り始めた。
「今日も来たんだね」
o川*゚ー゚)o「うん」
ついに、星は常々疑問に思ったことを聞いた。
「夏も秋も冬も君は来る。何故?」
女は答える。
o川*゚ー゚)o「消えてしまうような気がするから」
星は再び口を開いた。
「消えないよ。宇宙で生きるだけ」
101
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 04:21:13 ID:HtPnMyH.0
冷たい風が吹く。
o川*゚ー゚)o「夏に言ったこと覚えてる?」
その風は星々を巻き上げてゆく。
「それは君たちが決める、って事?」
巻き上げられた星々は、レエスのカァテンの様に薄く伸びて行った。
o川*゚ー゚)o「うん。だから、決めるね」
カァテンは色鮮やかに染まり、オーロラとなる。
「そうか。決めちゃうんだ」
ゼウスがオーロラを纏い始めた。
o川*゚ー゚)o「ちょっと怖い」
そして、ゼウスは口を開く。おお、ベテルギウス。こっちへ来なさい。
「聞かせてよ、決めた事」
君たちはもう、この星には居られないよ。
.
102
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 04:22:05 ID:HtPnMyH.0
o川*゚ー゚)o「それは……」
女が真実を言いだそうとした時、猫になった男が女の隣に座った。
∧∧
( -∀-)
o川*゚ー゚)o「君も聞きたいの?」
∧∧
( ・∀・)”
女の問いに対して、猫になった男は大きく頷いた。
その時。 びゅう、と冬の風が星の声を
o川*゚ー゚)o「じゃあ、言うね」
運んで いって
「うん。聞くよ」
その こえは
.
103
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 04:22:49 ID:HtPnMyH.0
しだいに
まんてんのほしぞらを
あらたな うちゅうへ
だれもしらない
うちゅう
へ
.
104
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 04:23:50 ID:HtPnMyH.0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
可愛キュートは買って間もない缶コーヒーを開けた。
缶から上っていく湯気は、冬の澄んだ空気に色を染める。
∧∧
( ・∀・)
その湯気に覆いかぶさるように野良猫が頭の上から顔を覗かせた。
o川*゚ー゚)o「まだ飲めないよ。熱いもん」
可愛は、早く冷めろと言わんばかりに飲み口に息を吹きかける。
時間は経てど、着ているコートから電話の着信音が鳴りやむ事は無い。
o川*゚ー゚)o「あ」
ふと気が付いた様に、可愛が空を仰ぐ。
そこには満点の星空が広がっていた。
o川*゚ー゚)o「……綺麗」
缶コーヒーから伸びていた湯気は消えてしまった。
野良猫は、飲み口から少しだけ除く星々をじっと見ていた。
http://boonrest.web.fc2.com/maturi/2012_ranobe/e/53.jpg
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
105
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 04:24:44 ID:HtPnMyH.0
「食べていいよ」
o川*゚ー゚)o「え?」
「星」
o川*゚ー゚)o「本物の星を?」
「うん」
ほしは ゆっくりと おりてきました
おんなは おりてきた ほしを つかみとります
∧∧
( ・∀・)
ねこになったおとこは そのようすを みていました
ただ、そこには
ほしの においだけが ただよっていました
.
106
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 04:25:48 ID:HtPnMyH.0
女が星を見る事は、二度と無かった。
星を、食べる
―了―
.
107
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 04:27:51 ID:QfGKROsQ0
おお…終わり?
なんかナンセンス文学読んでるような明晰夢見てるような不思議な感覚だな…
乙
108
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 12:36:33 ID:3N9zxaIE0
>>73
ふおおおお絵使ってくれてありがとうございます!!
ホラーで不思議な感じがとても好みです!遅レスすみません
109
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 13:02:44 ID:K.Khobl6O
いい浮遊感だ
日常と幻想の狭間でふわふわしてる感じ
110
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 13:06:07 ID:.a/p/E0c0
投下させていただきます
111
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 13:07:00 ID:.a/p/E0c0
( ><)「兄者さーん、起きてますかー。ビロードなんです、開けてくださいなんです」」
<すまんすまん、今行く
( ><)「はいなんです」
ガチャ
( ´_ゝ`)「やあ、おはよう」
( ><)「おはようございま…」
ttp://boonrest.web.fc2.com/maturi/2012_ranobe/e/114.jpg
(;><)「めちゃくちゃ憑かれてるんです!?」
112
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 13:07:46 ID:.a/p/E0c0
( ><)おつかれ申し上げるようです
113
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 13:08:42 ID:.a/p/E0c0
(;><)「あの…兄者さんなんですかそれ」
( <●>( ´_ゝ`)「なにって何が?」
( ><)「何って…ああ、わかりました。また見えないんですね」
( <●>( ´_ゝ`)「だから何がだって」
( ><)「今、兄者さんの背中によくわからない霊が大量に乗ってるんです」
( <●>( ´_ゝ`)「おぉ、通りで肩が異常に凝っていると思った」
( ><)「それで凝ってるだけですむのも、おかしいと思うんです」
( ><)「というか、いい加減にしてください」
114
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 13:09:30 ID:.a/p/E0c0
(#><)「あんた一体どんだけ霊を怒らせれば気がすむんですか!!この前だって…
( ;_ゝ;)『おっきい兄者が妹者のおもちゃ壊したせいで、こんなことになったのじゃー!」
l从・∀・ノ!リ『まさかあいつがつくも神だったとは…』
( ><)『ほんともう、あんた学習しろなんです』
( ;_ゝ;)『こんな年食った男の体なんかいやなのじゃ! 今日は友達と遊ぶ約束だったのに!!
可愛い妹者の体に戻りたいのじゃー!』
l从・∀・ノ!リ『妹者さん流石に俺も傷つく』
(。>_ゝ<)『うわぁあああああああん!!』
(´<_`;)『くそ…!兄者なのに妹者だと思うとなんだかかわいいぞ!』
( ><)『お願いします弟者さん、正気に戻ってほしいんです』
ttp://boonrest.web.fc2.com/maturi/2012_ranobe/e/105.png
115
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 13:10:17 ID:.a/p/E0c0
(#><)「みたいな感じで,つくも神になりかけの妖怪の依りしろ壊して、大変な目にあったじゃないですか!!」
( <●>( ´_ゝ`)「悪気はなかったんだがなぁ」
(#><)「なお悪いんです!今回もどうせ兄者さんが何かしたに決まってるんです!
( <●>( ´_ゝ`)「信用ねぇな俺。一応お前の雇い主ですよ?」
( ><)「週1で,悪霊神様幽霊様を怒らせて、僕や弟者さんを走りまわせてなかったら、こんなこと思わないんです」
( ><)「とりあえず今回の心当たりは」
( <●>( ´_ゝ`)「色々ありすぎて絞り込めません」
(#><)「ちくしょー!」
116
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 13:11:08 ID:.a/p/E0c0
(#><)「やっぱりじゃないですか!悪気はなくても自覚があったら十分ですよ!」
( <●>( ´_ゝ`)「だって俺らが住んでる町、魑魅魍魎うようよしてるじゃないか
そりゃあ誰かさんの地雷を踏むこともあるだろう」
( ><)「地雷を踏む数が尋常じゃないんです!
うっかり幽霊にぶつかって謝らないのは、まぁ、見えないから仕方ないんです」
(#><)「けど神様へのお供え物をうっかり劇薬に変えたり、悪霊の愛の営みにうっかり突入したり…
これはもう天然ボケじゃ片づけられないんです!」
( <●>( ´_ゝ`)「劇薬じゃなくて、ちゃんとしたおにぎりだったんだけどな」
( ><)「ご自分の料理の腕を自覚してほしいんです…僕が死にかけたの忘れましたか?」
( <●>(;´_ゝ`)「…あれ死にかけてたのか、てっきり美味しさのあまりに気絶したのかと」
( ><)「それ普通に腹が立つんです」
117
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 13:12:04 ID:.a/p/E0c0
( ><)ハァ…
( ><)「まぁいいんです。僕ももう慣れました」
( ><)「掃除をするだけの簡単なお仕事ですって言われたのに、本当の仕事は兄者さんのしりぬぐいだったなんて…
掃除なんかより、よっぽど重労働だったんです…」
( ><)「弟者さんが半分負担してるから、まだいいですけど」
( <●>( ´_ゝ`)「殺し合いとかがあるわけじゃないからいいだろ」
( ><)「兄者さんの料理でたまに死にかけてるんです」
( <●><●>)_ゝ`)「それはすまん」
(;><)「うわ、浸食してきてるんです!」
118
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 13:12:50 ID:.a/p/E0c0
( ><)「そういえば今日、弟者さんは…」
( <●><●>)_ゝ`)「今頃北の国で、カニでも食ってるんじゃないか」
(;><)「そうですよね…うぅ…じゃあ僕しかいないんですね…」
(;><)「とりあえず色々言ったら落ち着いたんで、いつものところで原因を聞いてくるんです」
( <●><●>)`)ノシ「おう、すまん。コックリ様によろしく」
( ><)(本体がよく見えなくなってるんです…)
( ><)「僕が帰ってくるまで余計なことしないでくださいねー!」
<わかってるー
(;><)(兄者さんのことだから、信用はしきれないですけど…)
( ><)「とにかく急いで鳥居に行くんです!」
119
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 13:13:38 ID:.a/p/E0c0
*****
ttp://boonrest.web.fc2.com/maturi/2012_ranobe/e/160.jpg
爪 ー )「いや、もうさ…これ何件目?」
(-_-)「おめでとう、今ので300件めだよ」
从 ゚∀从「そのうち100件は『モララー君の好きな人を教えてください』だったな」
(-_-)「すごいもててるんだね、『モララー君』」
从 ゚∀从「見る目がない奴、多いんだな」
爪 ー )「てか…え、何?前まで一日50件ぐらいだったじゃん。なんで急に6倍になんの?」
(-_-)「今、ホラーブームきてるらしいよ」
爪 ー )「……もう」
( ><)「コックリ様!質問しにきたんでs爪#'ー`)「もういやだあああああ!!」
(;><)ビクッ
120
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 13:14:24 ID:.a/p/E0c0
爪#'ー`)「モララーの好きな人探るのも飽きたわ!!こいつ悪趣味すぎるんだよ!!ただのドMだもの!!」
从 ゚∀从「あいつ見た目はいいのになぁ」
爪#'ー`)「あと俺らの年齢なんか聞いてどうするつもりだ、300件目!!」
(-_-)「その子創作が好きみたいだから、ネタにでもするんじゃないのかな」
从 ゚∀从「好奇心旺盛だな」
爪#;ー;)「もう色々視るのは嫌なのおおおおおっ!!!働きたくないでござる!!!」
(;><)
(-_-)「あれビロードだ」
从 ゚∀从「まじだ、やっほー」
爪'ー`)「え」
(;><)「えっと…聞きたいことが、あったんですけど…」
(;><)「ごめんなさい!出直してくるんです!!」
爪;'ー`)「待って待って!帰らないでいいから!」
121
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 13:15:39 ID:.a/p/E0c0
(;><)「あそこまで叫んでるフォックスさん見るの、初めてだったんです…」
爪'ー`)「ごめん…あまりに仕事しすぎて…」
(-_-)「実質答えてたのフォックスばっかりだからね」
从 ゚∀从「一番知識あるもんな」
爪'ー`)「もっとお前らも働いてくれよ…」
从 ゚∀从「だが断る!」
爪'ー`)「ふざけんな呪うぞ」
从 ゚∀从「呪い専門のハイン様をなめんなよ!」
(-_-)「やめなよ二人とも…そういえば、ビロードは何の用できたのかな?」
(;><)「この流れで言うのすごく抵抗があるんですけど…」
爪;'ー`)「すまんかったって。ああ言ったけど質問だったらきちんと答えるって」
122
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 13:16:24 ID:.a/p/E0c0
( ><)「だったらいいんですけど…実は、兄者さんが憑かれたみたいで…」
从 ゚∀从「またか!兄者の奴も懲りないな!」
(-_-)「この前もつくも神もどきを怒らせて、妹者と中身交換されてたよね」
(;><)「弟者さんが『中身が妹者なら外見が兄者でも問題ない』と、言って
泣いてる兄者さんの姿の妹者さんを、撮影し始めたときはどうしようかと…」
从 ゚∀从「弟者ぶれねえな」
(-_-)「弟者は妹者のこと大好きだからねぇ」
( ><)「結局ここで聞いたつくも神を復活させる儀式で、弟者さんの純潔(笑)を捧げた結果、事なきを得ましたけど…」
爪;'ー`)「弟者の奴、ほんとに捧げちゃったのか…」
123
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 13:17:10 ID:.a/p/E0c0
(;><)「…って昔のこと話してる場合じゃないんです!今は兄者さんに憑いてるのがなんなのかを知りたいんです!」
爪'ー`)「まぁそうだよな。それにしても…はぁ…301件めか」
(-_-)「ここまできたら、一回増えようが同じでしょ」
从 ゚∀从「がんばれ働きもののフォックスくん!」
爪;'ー`)y━・ヒョイッ「なんかの絵本みたいに言うな」
爪'ー`)y━・〜スパァ…
( ><)「あ、煙草の煙が…」
爪'ー`)y━・〜〜「ここに呪いの原因を映すからな」
爪'ー`)y━・〜〜〜〜「このぐらいでいいか」
124
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 13:17:58 ID:.a/p/E0c0
プカァ…【(;´_ゝ`) (<○>/<○> )】
(;><)「なんか、ひびが入ってる人形が映ってるんです…」
爪'ー`)y━・〜「あちゃー…兄者よりによって…」
(-_-)「とことん地雷踏むね。あれワカッテマスの人形じゃないか」
从 ゚∀从「あいつしつこいからなぁ」
( ><)「不安になる発言ばかりしてるんです…なんですかあの人形?」
(-_-)「ワカッテマスっていう霊をかたどった人形だよ。あいつ自分に関わるものを、壊されるのが嫌いだから…」
从 ゚∀从「大量に兄者に憑いてたろ?ワカはそもそも悪霊だから、いくら兄者が鈍感だからって、度が過ぎたら最悪死ぬぞ」
(;><)「予想外に緊急事態だったんです!ど、どうしたらいいんですか!?」
爪'ー`)y━・〜「多分兄者のことだから、その人形もまだ持ってるだろ。きれいに直してやれば、ワカッテマスも落ち着くんじゃねぇの?」
(-_-)「うん、それで大丈夫だと思う」
125
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 13:18:44 ID:.a/p/E0c0
( ><)「わかったんです、じゃあ急いでその人形を直してくるんです!」
爪'ー`)「おう、兄者に今度から気をつけるように言っとけよ」
(-_-)「また何かあったらいつでもくるといいよ」
从 ゚∀从「今度来るときはお供え物もってこいよー」
( ><)「ありがとうございましたなんです!」
爪'ー`)「…ただ、余計なことしてる気がするけどな、兄者だし」
(-_-)「まぁそこまでは聞かれてなかったから、いいんじゃない」
从 ゚∀从「いつものように、どうにかなるだろ」
126
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 13:19:34 ID:.a/p/E0c0
*****
( ><)「兄者さん!戻ってきたんです!」
( ´_ゝ`)「おうお帰り」
( ><)「あれ、大量にいた霊が消えて…」
( <○> <○>)ブツブツブツブツブツ
(;><)「違う!くっついて巨大化しただけなんです!」
( ´_ゝ`)「ビロード、コックリ様は何か言ってたのか?」
( ><)「案の定兄者さんのせいでした」
( ´_ゝ`)「そうか、毎度毎度申し訳ないな」
( ><)「兄者さん、今、大きなギョロ目の木の人形って持ってますか?」
( ´_ゝ`)「ん?持ってるぞ。なんだそれが原因なのか?」
( ><)「壊れているのを直せばいいそうなんです」
( ´_ゝ`)「…おかしいな。その人形なら、俺がもう直したはずだが」ゴソゴソ
( ><)「え、そうなんですか?」
127
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 13:20:30 ID:.a/p/E0c0
( ´_ゝ`)つ(*<●>・・<●>)「ほらこれだ」
/(;><)\「ほあああああああ!!どうしたんですかこれ!!」
( ´_ゝ`)つ(*<●>・・<●>)「直したついでに可愛くしてみたんだ」
(;><)「あんたのセンス狂ってるんです!」
( <○> <○>)ナオセ…ナオセ…
(;><)「言葉を発した!やっぱりそれが今も憑かれてる原因ですよ!」
( ´_ゝ`)「そんなことないだろ、可愛いもん。なーサカッテマス」
(*<●>・・<●>)「ウン ソウダネ!(裏声)」
(;><)「な、名前までつけてやがるんです!」
( <○> <○>)シネ…シネ…
(;><)「どんどん物騒になってるんです!その余分な部品を今すぐ取るんです!」
128
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 13:21:20 ID:cKNwt71c0
お、お前はサカッテマス!!wwwww
129
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 13:21:38 ID:.a/p/E0c0
( ´_ゝ`)「でもこれ彫ってるし…」
(;><)「ギャーーー!本当だ!!」
( <○> <○>)コロス…コロス…
(;><)「とうとう殺意が芽生えてるんです!ほら兄者さん謝って…」
( ´_ゝ`)「む…なにやら意識が遠のくような…」
(;><)「とうとう呪いが効いてきたんです!
( ><)つ(*<●>・・<●>)バッ!「あーもう!その人形よこすんです!」
(;´_ゝ`)「あぁ俺のサカッテマス…」
(;><)つ(*<●>・・<●>)「名残惜しそうにするんじゃないんです」
130
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 13:22:24 ID:.a/p/E0c0
( ><)φ(<●>・・<●>)「うーん…ちょっと小さくなりますけど…」ゴリゴリ
( ´_ゝ`)「その鼻の部分とかがんばったのに…」
( ><)φ(<●>・<●>)「黙ってろなんです」ゴリゴリ
( ><)φ(<●><●>)チョーン「こうですかね…」
( ´_ゝ`)「おぉ最初に見たのと似ている」
(;><)つ(<●><●>)「兄者さんが彫ってなければもっとよかったんですけど…」
( ><)つ(<●><●>)「ごめんなさい、これでこの駄目男を許してもらえませんか」
( <○> <○>)……
( <○><○>)
スッ…
( ><)「あ…消えてくれたんです」
( ´_ゝ`)「!!肩こりがすっきり消えた!」
(;><)「よかったですね…これに懲りたら、今度からはもう少し慎重に生きてください」
( ´_ゝ`)「多分無理だな」
( ><)「言ってみただけなんで、期待はしてないんです」
131
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 13:23:19 ID:.a/p/E0c0
〜次の日〜
( ><)「兄者さん、おはようございますなんです、開けてくださいー」
( ´_ゝ`)「開いてるよ」
(;><)「うわ!…庭にいたんですか」
( <○>( ´_ゝ`)「おう、落ち葉を集めていたんだ」ブツブツブツ…
( ><)
( <○>( ´_ゝ`)「ほら見ろ、これだけあれば焚き火ができるだろう」マタ…コワシタ…ユルサナイ
( <○>( ´_ゝ`)「丁度隣のブーンからもらった、芋があってだな…」アニジャ…ノロウ
( <○>( ´_ゝ`)「…?どうした無言で」ノロウ…ノロウ…ノロウ…ノロウ…
( ><)「もう関わるの嫌なんです」
おわり
132
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 13:25:37 ID:.a/p/E0c0
使用したイラスト
No.114 ttp://boonrest.web.fc2.com/maturi/2012_ranobe/e/114.jpg
No.105 ttp://boonrest.web.fc2.com/maturi/2012_ranobe/e/105.png
No.160 ttp://boonrest.web.fc2.com/maturi/2012_ranobe/e/160.jpg
被ってるの多いけど、もったいない精神で投下しました('A`)
祭りもあと少しだけど、みんな盛り上がっていこうぜ
それではありがとうございました
133
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 13:28:59 ID:c7BGPkOk0
乙乙
兄者懲りないなwwwww
134
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 13:31:09 ID:cKNwt71c0
乙www色々ぶっこんできたな
サカッテマスわろた
135
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 13:39:39 ID:DW4aLqsM0
ワロタ乙wwww
兄者は少し慎重になればいいあと弟者お前もだ
まさかサカッテマスが来るとはwww
136
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 13:49:30 ID:FAp8yccY0
乙
おにぎり不味く作るあたり心当たりがあるのでつらい
弟者の純潔()に関してはもはや妹者が可哀想
カニ食べたくなった
137
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 20:55:23 ID:tFLjG.4M0
投下完了したので報告させていただきます
連載なんだ、うん。すまない。
作品URL
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1353667594/
作品名
( ´_ゝ`)デザート×キャラバンのようです(´<_` )
使用した絵のURL(任意)
ttp://boonrest.web.fc2.com/maturi/2012_ranobe/e/11.jpg
ありがとうございました!
138
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 20:58:01 ID:iPMofZM60
今日が最後か?
139
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 21:00:03 ID:zOrbJzTI0
日曜日が最後だよ!
一瞬びっくりしたじゃねーか!
140
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 21:02:16 ID:iPMofZM60
ごめんよWW
141
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 22:15:08 ID:TgcL0sS.0
誰もいないうちに投下!
142
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 22:16:12 ID:TgcL0sS.0
l从・∀・ノ!リ人 流石稲荷神社へようこそ、のようです
ミセ*゚‐゚)リ「はぁ…なんでこんなとこに来ちゃったかなぁ」
肩から掛けたキャンバスバックを握り締め、青い空を仰ぐ。
ろくに整備もされていない道の両脇は木々が囲んでいる。
地元の人間でも滅多に来ないような場所だ。
ミセ*゚‐゚)リ「ん?・・・鳥居?」
こんなところに鳥居なんかあっただろうか。
鳥居の両側には朱色の旗が立ててあるが、日に焼けてほとんど字を読むことは出来ない。
ミセリは、好奇心から鳥居をくぐる。
鳥居からは二十段ほどの石段が続いていた。
ミセ;゚‐゚)リ「ふぅ…画材抱えて登るのは結構きつい」
上った先にはこじんまりとした神社があった。
参道から伸びた先に拝殿、その奥に本殿があり、脇には申し訳程度の手水舎、左右に狐の像があるだけだ。
ミセ*゚‐゚)リ「だいぶ寂びれた神社ね」
自然と感想が口から零れた。
143
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 22:17:58 ID:TgcL0sS.0
「そんなことはないのじゃっ!」
ミセ;゚‐゚)リそ
l从・へ・ノ!リ人「うちの神社の文句はダメなのじゃ!」
そこにいたのは、巫女装束に身を包んだ小さな女の子。
いつの間にそこにいたのか、女の子はミセリの足元から見上げ頬を膨らませている。
ミセ;゚‐゚)リ「えっと…その、ごめんね?」
l从・∀・ノ!リ人「ごめんなさいしてくれたから、許すのじゃ!」
ミセ*゚‐゚)リ「あなたはここの子供?」
l从・∀・ノ!リ人「そうなのじゃ。妹者はこの神社のお巫女さんなのじゃ」
ミセ*゚ー゚)リ「可愛いお巫女さんね」
l从・∀・*ノ!リ人「えへへー」
ミセリは妹者と名乗る幼女に手を引かれ拝殿へ足を運んだ。
二人は賽銭箱の隣に腰を下ろす。
寂れてはいるが、どこもかしこも綺麗に掃除されており、落ち葉も落ちていないことにミセリは気が付いた。
144
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 22:18:26 ID:c7BGPkOk0
ああ、あの絵か!支援
145
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 22:19:08 ID:TgcL0sS.0
l从・∀・ノ!リ人「おねえちゃんは、ここにお参りに来たのじゃ?」
ミセ*゚ー゚)リ「んー…ここに来たのは偶然、かなぁ」
l从・∀・ノ!リ人「この世に偶然はないのじゃ」
ミセ;゚ー゚)リ「?」
屈託なく笑う妹者には似つかわしくない言葉につい驚いてしまった。
l从・∀・ノ!リ人「この世にあるのは必然だけだって兄者が言ってたのじゃ!」
ミセ*゚ー゚)リ「へぇ、お兄さんいるんだ」
l从・∀・ノ!リ人「おっきい兄者とちっちゃい兄者がいるのじゃ」
ミセ*゚ー゚)リ「仲良しさんなのかな?」
l从・∀・ノ!リ人「もちろんなのじゃ!」
暫く楽しくお喋りをしていると、もう夕陽が落ちかけていた。
寂びれた神社に差す夕陽が辺りの木々を赤く染めていく。
その光景は更に寂しさが増して見えた。
それがあまりにも綺麗でミセリは息を吐く。
ミセ*゚ー゚)リ「わあ…きれい…」
この風景を描きたい。
その衝動に押され、キャンバスバッグからスケッチブックと色鉛筆を取り出し、目の前の風景を写生していく。
背の高い木々が作る影と夕陽の赤が、参道で交差する。
146
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 22:20:07 ID:TgcL0sS.0
ミセ*゚ー゚)リ「…ふう」
ミセリが書き終わると妹者が体を乗り出し、スケッチブックを覗き込む。
l从・∀・ノ!リ人「きれいなのじゃ!おねえちゃん、絵が上手なのじゃ!」
ミセ*゚ー゚)リ「ありがとう、妹者ちゃん」
自分の絵を褒められて嬉しい。
そう思うのにミセリの顔は一瞬曇る。
l从・∀・ノ!リ人「おねえちゃん?」
ミセ*゚‐゚)リ「わたしね、今悩んでることがあるんだ」
どうして、初めてあった子に話を聞いてもらおうと思ったのか。
それはミセリにも分からなかった。
l从・∀・ノ!リ人「・・・そういうことなら神様にお願いするといいのじゃ!」
ミセリの話を聞き終えると妹者は立ち上がり、賽銭箱を指さす。
ご利益があるにしろ、ないにしろ、気休め程度にはなるだろうと腰を上げ、賽銭箱へちょうどあった五円を投げ入れる。
からんからん、と乾いた音がした。
それからミセリは妹者と別れ、神社を後にした。
黄昏の中を歩きながら、ミセリは思う。
明日、あそこへ行ってみよう。
147
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 22:22:03 ID:TgcL0sS.0
翌日、ミセリは幼稚園へ来ていた。
ここには昔からお世話になっている。
門の前で外で元気に遊ぶ子供たちを眺めていると、よく知っている声が耳に入ってきた。
/ ゚、。 /「あら、ミセリさん。お久しぶりですね」
そう言って出迎えてくれたのは、右手に男の子を抱え、左肩には女の子を乗せたダイオード先生だった。
その後ろでは、キュート先生とモララ―先生が子供たちと遊んでいるのが見える。
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/ ゚、。 /「どうぞ、中へ」
ダイオードは先ほどまで構っていた子供たちを下ろし、園内へミセリを招き入れた。
そのまま室内へと入り、いつもの部屋へ案内される。
案内された部屋は、子供たちが遊び散らかしたオモチャが散乱していた。
/ ゚、。 /「今日は新しい絵本ですか?」
ミセ*゚ー゚)リ「いいえ、今日は違うんです。ちょっと・・・思うところがありまして」
/ ゚、。 /「そうですか」
ダイオードは深く聞くこともなく、ただミセリに優しく微笑んだ。
/ ゚、。 /「ミセリさんが作った絵本、みんな大好きなんですよ。
普段絵本なんて読まないようなジョルジュくんだって読みたがるんです」
ミセ*゚ー゚)リ「それは嬉しいかぎりです」
148
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 22:23:28 ID:TgcL0sS.0
ミセリは絵本作家を志している。
子供のころから絵本が大好きで、今は子供たちが笑ってくれるような絵本を作ることが目標だ。
そのため、この幼稚園に自作した絵本を置いてもらい反応を聞かせてもらっている。
ミセ*゚ー゚)リ「でもわたし…絵本作家、諦めようか迷ってるんです」
/ ゚、。 /「それはどうして?」
こんなとき、静かに聞いてくれるダイオードには救われる。
ミセ*゚ー゚)リ「何度も何件も…会社に持ち込んだりコンクールに出しているのに全く駄目なんです。
わたしに才能がないんだって、痛いほど思い知っちゃって」
/ ゚、。 /「でも絵本作家はあなたの小さいころからの夢なんでしょう?」
ミセ* ー )リ「…だから…迷ってるんです」
ミセリが顔を伏せる。
小さいころからの夢と、現実。
胸がきしりと痛む。
迷いたくなんかない、夢を追いかけたい。そう思うのに現実がミセリの胸に突き刺さる。
(メ・∀・)「あれ、ミセリちゃんじゃん」
二人を包む重い空気を破るように入ってきたのは、モララ―だった。
/ ゚、。 /「どうしたんですか、モララ―先生」
(メ・∀・)「いやー、顔を引っかかれて血が出ちゃったんで」
確かにモララ―の顔には赤い線が入っている。
(メ・∀・)「そうそう、ちょうど良かったよ、ミセリちゃん。すこーし待っててね」
そう言い残し、モララ―は部屋を出ていく。
戻ってきたのは一分も経たない頃だった。
(メ・∀・)「これこれ、ミセリちゃんにどうかなって」
モララ―が差し出してきたのは一枚の紙だった。
『ニュー速町、絵本コンクール』
その紙にはそう書かれていた。
149
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 22:24:31 ID:TgcL0sS.0
(メ・∀・)「隣町の小さいコンクールだし、賞金も出ないみたいなんだけど…君にどうかなと思ってさ」
ミセリはその紙を強く握りしめる。
/ ゚、。 /「試してみてからでも遅くないんじゃないですか?」
ダイオードからの声に更に紙を握る手に力がこもる。
夢を諦めようとしていた私に、タイミング良く渡された小さな希望。
まるで神様から与えられたチャンスのようだ。
バッと顔を上げたミセリの顔には迷いがなくなっていた。
ミセ*゚ー゚)リ「鈴木先生もモララ―先生もありがとう!わたし、帰るね!」
ミセリは慌ただしくカバンにチラシをねじ込み、走っていく。
/ ゚、。 /「頑張ってくださいね、ミセリさん」
(;・∀・)?
突然飛び出していったミセリにモララ―が頭に?マークを飛ばしている傍らで、ダイオードがにこりと笑った。
家に帰りついたミセリは画用紙を引っ張り出し、新しい絵本の内容に思いを馳せる。
ミセ*゚ー゚)リ(どんな話がいいかしら)
ミセ*゚ー゚)リ(ロボットの男の子が人間と友達になる話なんてどうかな)
ミセ*゚ー゚)リ(うん!そうしよう!じゃあ、男の子はこんな感じ…)
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ミセ*゚ー゚)リ(で、女の子は心を閉ざしてしまった無表情な子)
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画用紙にアイデアを出していくミセリの顔は輝いていた。
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150
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 22:25:32 ID:TgcL0sS.0
ニダーは神社に来ていた。
気晴らしに散歩をしている途中、偶然見つけた神社だった。
<ヽ`∀´>「・・・はあ」
賽銭箱の横に腰を下ろし、深いため息を吐いた。
l从・∀・ノ!リ人「おじさん、落ち込んでるのじゃ?」
<ヽ;`∀´>そ
いつの間にか小さな女の子がニダーの隣に寄り添うように座っている。
<ヽ;`∀´>「いつからそこに…」
l从・∀・ノ!リ人「今来たのじゃ!兄者たちがお客さんが来たって教えてくれたのじゃ」
<ヽ;`∀´>「ウリはお客さんってわけじゃないニダ」
l从・∀・ノ!リ人「でもおじさん、ため息吐いてたのじゃ。
悩み事があるなら神様に相談するといいのじゃ」
<ヽ`∀´>「悩み事・・・ウリの悩みは奇跡でも起きない限り解決しないニダ」
l从・∀・ノ!リ人「じゃあ、妹者がお悩みを聞いてあげるのじゃ!」
<ヽ;`∀´>「いや、子供に言ってもどうしようもないニダ」
l从・∀・ノ!リ人「話すだけでも少しは気分が晴れるって父者が言ってたのじゃ!」
<ヽ`∀´>「・・・まあ、いいニダ。じゃあウリの話を聞いてほしいニダ」
話し終えると確かに少し気分が晴れていた。
帰りに幼女にお礼を言い、五円玉を賽銭箱に投げ入れ神社を後にした。
151
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 22:26:47 ID:TgcL0sS.0
(゚A゚* )「ニダやん!今まで何してたん!?」
ニダーを出迎えたのは、まだ中学生ほどの少女、のー。
<ヽ`∀´>「ちょっと散歩に行ってたニダ」
(゚A゚* )「散歩!?開店時間まであと三十分しかないんよ!」
のーはぷりぷりと怒りながらニダーに飛び蹴りをくり出す。
ニダーは小さいながらも中華飯店を経営している。
今現在の従業員はニダーとのーだけであったが、以前はそれなりに従業員も多くお客も多かった。
それが今は閑古鳥が鳴いている。
店内のテーブルとイスには何度も修理された跡があり、壁にも傷がある。
ちょうど半年前。
通りを挟んで向かい側にデパートが建つ計画が出た。
その時は、フーン程度だったニダーはすぐに顔色を変えることになった。
ヤの付く職業の方がやってきたのだ。
用件は簡単。
この一帯を駐車場にするから出ていけというものだった。
ニダーは拒んだ。
大切な自分の店。大切なスタッフ。通ってくれる常連客。
それらを守りたかった。
しかし現実はそう甘いものではない。
彼らが店の中で暴れ、悪い噂を流し、守りたかったものは尽く自分の手をすり抜けていった。
残っているのはお客が一人も入らなくなった店とのーだけだ。
152
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 22:28:20 ID:TgcL0sS.0
<ヽ`∀´>「そんな慌てなくてもお客は来ないから開店時間なんか関係ないニダ」
(゚A゚* )「ニダやんのバカ!アホ!マヌケ!フニャチン!」
<ヽ;`∀´>「ふ、ふにゃちん!?そ、そんなことないニダ」
(゚A゚* )「うるさい!ニダやん、なに不抜けたこと言いよんねん!
もしかしたら誰か来るかもしれんやろ?来てくれたのにそのまま帰さす気かアホ!」
<ヽ`∀´>「…もう、もういいニダ。この店は終わりにするニダ」
(゚A゚* )「またそんなこと言うて!寝言は寝てから言えや!」
<ヽ`∀´>「もうウリは決めたんだニダ・・・
それに…このままいたらのーも痛い目に遭うニダ」
(゚A゚* )「うちのことなんか…!
うちだってニダやんとの店を守りたいんや!」
二人が言い合っていると、店の扉がバンっと大きい音を立てて開いた。
( `ハ´)「ふん、ちんけな店アル」
入ってきたのは、黒服に身を包んだガタイの良い男を筆頭とした数人のヤクザだった。
大柄な男は客席の一つに腰を下ろした。
( `ハ´)「なにしてるアル。この店は客に水も持ってこないアルか?」
(゚A゚* )「っ今お持ちします!」
男がただのヤクザではないことはすぐに分かった。
後ろに数人従えているからではなく、この男の雰囲気がそう告げていた。
幹部の上層部、下手な真似をすれば命さえ危ぶまれる。
153
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 22:31:16 ID:TgcL0sS.0
のーが冷水を運んでくると男の前に置いた。
のーも分かっているのか、いつも気丈に振る舞う彼女の手が微かに震えている。
( `ハ´)「おい、お前」
<ヽ;`∀´>「は、はいニダ!」
ニダーはビクつきながらも返事を返す。
( `ハ´)「今からお前自慢の料理を持ってくるアル」
<ヽ`∀´>「少々、お待ちください、ニダ」
頭を一つ下げると厨房へ引っ込んだ。
<ヽ;`∀´>「や、やばいニダ!これで機嫌をそこねでもしたら・・・」
ぞわり。
背中に冷たいものが伝った。
顔色はどんどん悪くなる一方。
(゚A゚* )「ニダやん!なにぐずぐずしとんねん!」
のーから褐が飛ぶ。声も少しばかり震えていた。
<ヽ`∀´>「でも・・・もし機嫌そこねて因縁でも付けられたら・・・
なにされるかわからないニダ」
(゚A゚* )「もー!ニダやん!自信を持ちい!!ニダやんの中華は天下一品やねん!
わたしが保障する!あいつにニダやんの料理食べさせてギャフンと言わせたろ!?」
のーがしっかりとニダーの手を掴む。
合わせられた手から震えが伝わってきた。
のーは震えるほど恐がっているのに、こんなにも強く、自分を奮い立たせてくれる。
そうだ、これはチャンスかもしれない。
あの男に自分の料理を認めさせれば店を潰さなくても済むかもしれない。
そしてこれからも、のーと働くことが出来る。
ニダーはノーから勇気をもらうと調理場に立った。
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154
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 22:32:32 ID:TgcL0sS.0
l从・∀・ノ!リ人「あ、また来てるのじゃ」
妹者の目線の先にはセーラー服を着た少女がミミズを取っている。
川 ゚ 々゚)「みっみっミミズ〜」
少女の名は素直くるうという。
ここ数日、この神社に通っている。
別になにか特別なことをするでもなく、時間を潰しているようだ。
l从・∀・ノ!リ人「くるうおねえちゃんは何してるのじゃ?」
川 ゚ 々゚)「くるうちゃんはミミズを可愛がってあげてるのです」
そう言うくるうの手の中のミミズはブチブチと千切られ無残な状態だった。
川 ゚ 々゚)「・・・また死んじゃった」
自分で殺したにも関わらず、くるうの表情は悲しみに包まれている。
川 ゚ 々゚)「くるうはいっつもこう…可愛がりたいのに皆死んじゃう」
l从・∀・;ノ!リ人「妹者がお悩み相談を受けるのじゃ!」
なかなかにグロテスクな光景に顔を青ざめながらも、妹者はにこりと笑った。
155
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 22:33:39 ID:TgcL0sS.0
妹者に言われるがままに参拝を済ませ帰る途中、公園で仲良く遊ぶ親子の姿が目にとまった。
くるうは暫くその光景を見ていた。
くるうの中に黒く赤い感情がぐるぐると巣食い始める。
ダメだダメだダメだ
そうだ、大好きなミミズを探そう
心を落ち着かせなければ
くるうは公園へ入り、一心不乱にミミズを探す。
温かな家族と自分の家族を比べてしまう。
会社が倒産し暴力を振るい始めた父。
家族のことなどお構いなしに遊びまわる母。
わたしにはないものを持っている人たちを壊したい。
ダメだ、そんなことしてはいけない。
頭ではダメだと言い、心では壊したいと願う、どうしようもない破壊衝動。
いつかこの衝動が爆発したら。
そう考えると恐ろしい。
自分が恐くてたまらない。
*(‘‘)*「おねーちゃん、なにしてるのー?」
⌒*リ´・-・リ「ミミズさん、捕まえてるの?」
今日で二度目の声掛けに、声がしたほうへ顔を上げる。
そこにはランドセルをからった小学生の女の子二人がくるうの手元を見ていた。
ttp://boonrest.web.fc2.com/maturi/2012_ranobe/e/91.jpg
156
:
名も無きAAのようです
:2012/11/23(金) 22:34:48 ID:TgcL0sS.0
川 ゚ 々゚)「くるうはミミズが好きなんです」
*(‘‘)*「へえー、おねえちゃん変わってるねー」
⌒*リ´・-・リ「ミミズさん、びちびちしてる」
無邪気に笑う子供たちに、くるうは毒気を抜かれてしまったように、もやもやした気持ちが落ち着いていった。
从'ー'从「あれれ〜、ヘリカルとリリがいないよぉ?」
*(‘‘)*「あ、おかあさん!こっちこっち」
おかあさんと呼ばれた女性がヘリカルの呼びかけで三人の元へ歩いてくる。
从'ー'从「遊んでもらってたの〜?」
にこにこと柔らかな笑みを浮かべる女性に、無意識に自分の母親を比べ、落ちつたはずの黒い感情が頭をもたげ始める。
从'ー'从「あらあら〜…あなたのお名前は?」
川 ゚ 々゚)「・・・くるう」
从'ー'从「くるうちゃん、わたしと少しお話しない?」
そう言うと、娘二人にブランコで遊ぶよう言いつけ、渡辺はくるうとベンチに腰を下ろした。
从'ー'从「わたしね〜、困ってる子をほっとけないのよ〜」
くるうとカウンセラーの渡辺を夕陽の赤が照らしていた。
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