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タブンネ刑務所14

1名無しさん:2017/05/06(土) 00:36:57 ID:v4JFFnrY0
ここはタブンネさんをいじめたり殺したりするスレです
ルールを守って楽しくタブンネをいじめましょう。

116ショーケースの裏側で:2017/07/06(木) 05:20:23 ID:wkpBM6l60
「フューッ、フィー、フィ〜」
「ググググッ!グググッ!ギギ…!」「フ… フィ…」

悲鳴から効果を確信したシルフィは、加減することなく妖精の風を巣の中に送り続ける
狭い巣の中では風が逃げ場なく全体に吹きわたり、さながら妖精の食器乾燥機といった様相だ
その地獄と化した我が家で、お隣ンネはわが子に覆いかぶさって風から守っていた

妖精の風が当たる箇所、すなわち背中全体は激痛と共に毛が抜け落ち、じわりと血が滲む
敏感な耳はそれにも遙かに勝る想像を絶する激痛に覆われ、お隣ンネの精神を幾度となく気絶寸前に追い込んだ
瞼にも風が当たって血が滲み、目を開けようものなら失明は免れないだろう
呼吸も満足にできない。一息吸っただけで肺に激痛が走ったからだ

だがそんな拷問にもお隣ンネは子供を守るために歯を食いしばって必死に耐え続ける
激痛に震えながらも庇う姿勢は崩さず、床に敷かれた枯草の床から僅かな土臭い空気を吸って息を繋ぐ
蹴られンネもそんな母の強さを触覚から感じ取り、息苦しさと痛い隙間風を懸命に耐えた


「…ミ、ミ?」
「フィッフィ…」

反応が芳しくないのが気に食わず、シルフィは妖精の風を煽るのを止めた
巣の中では突然風が止んだことに親子でひとまずはホッとしたが、
お隣ンネは油断をせずにすぐに次の行動に移った
入口を完全に塞いで風を送れないようにしようと、床の藁をひと固まり手に取った瞬間である
その時、タブンネの親子は暗闇の巣の中で月を見た

一方、巣の外のチビママンネであるが、怯えるわが子を抱いたままでは攻撃する事もできず、
かと言ってピンチの仲間を見捨てて逃げることも出来ず
つまり何をしていいか分からずただうろたえながら見ているだけだった
その見てる前でシルフィの体が光り、何か光の塊のようなものを巣の内部に吐き出していく
そしてキーン、キーンと高い音がしたかと思うと、お隣ンネの巣の屋根がまるで電灯のようにパッと光った

「ミ、ミィ?!」

異常な事態に困惑し、恐れるばかりのチビママンネの目の前で屋根は6回も光った
この頃になると一応お隣ンネが攻撃されているということだけは分かっていた
光るたびに巣の中からお隣ンネの悶え苦しむ音が聞こえてきたから
もはや小ベビンネは関係なく、ただ恐怖で足が竦んで動けなかった

「フィフィー!」
「ミッ?!ミッミ!」

巣の反対側からガサガサと草を踏む音が鳴り、シルフィはタタタと小走りでそこに駆け寄り
チビママンネも距離を取りながらも焦ってその後を追った

「ミヒィ・・・!」「フフッフフィ〜♪」
「グジィー グジィー…」


巣の中から這い出てきたそれが目に入った瞬間、チビママンネは戦慄し、シルフィはフィッフィと嬉しそうに笑った
居た、血と粘液に塗れた赤い肉の塊。お隣ンネのなれの果て、全身の皮を失った姿である
もちろん顔の皮も全て無くなっており、眼球もなく、折れた歯と歯茎を剥き出しにしたそれは何ともおぞましい
肘から先が無くなって白い骨が突き出た腕、ひん曲がって動かなくなった足で地面を這い、
地面に血の跡を残しながらゆっくりとではあるが逃げるように巣から遠ざかっていく

ここで説明しておくとシルフィの放った光の玉はムーンフォースと呼ばれる技だ
現在確認されているフェアリータイプの技の中では最も強力とされている技で
月から由来するエネルギーを炸裂する光弾として打ち出すという何とも美しい技だ
しかしシルフィのそれは見た目とは裏腹に余りにも残酷無比である

何の加減もなく闇雲に巣の中へ打ち出した光弾はお隣ンネ直撃はしなかったものの、
狭い巣の中での破裂は妖精の風のダメージを残していた半身の皮膚を容赦なく吹き飛ばした
その後のムーンフォースも直撃だけはしなかったものの、手足目耳、ついでに残ってた皮まで奪い去り
今の肉ダルマ状態になるに至ったというわけだ

「グジッ、グジッ、グジィィィィ」

お隣ンネ余りの負傷に恐慌して巣から逃げ出したかと思うだろうが、そうではない
この逃走は自分が食われているうちにわが子を逃がすという最後の作戦、哀しき最後の母の愛なのだ
だが誤算だったのはシルフィは食うために蹴られンネを襲ったのではない
タブンネで遊ぶために襲ったのだ

117ショーケースの裏側で:2017/07/06(木) 05:22:25 ID:wkpBM6l60
「フィフィフィッフィィ〜」

お肉丸だしのお隣ンネを前にしてシルフィがやった事は捕食ではなく、妖精の風だった
コレにムーンフォースやったらすぐ死んで面白くないという悪魔的な判断からの技選択だ

「ガゥゴギュルブゲヂギギュビグバァァアアアアア!!!!」

全身急所となったお隣ンネの全身に妖精の風は万遍無く染み入り、
その激痛の上塗りにもはやタブンネの声では無くなった奇声を上げながら
グネグネと激しく体を捩らせたり転がったりしながら悶え苦しんだ
粘液まみれに体じゅうに枯草の切れ端が付着し、それはそれは悲惨なサマだ
暴れているうちに腹が裂けて腸が露出し、それにも妖精の風が当たって苦痛はさらに倍増した
血のあぶくを吐き散らし、はらわたを振り乱しながらのたうち回る様はこの世のものではない
夜の林の片隅に、一匹のポケモンによって地獄が体現していた

「フィフィフィフィフィフィーーーwwww」

シルフィはその命を尽くしたリアクションに興奮して大笑いし、
チビママンネはうずくまってその地獄から必死に目を逸らしていた、
大泣きする小ベビンネを抱きしめ、逃げるために震える足を必死に動かそうと心の中で頑張っているのだ

「ミィッ・・・ ミィッ… ウッミィィィィィィィ!!!」
「フィィ!フフフィ〜♪」

リアクションも鈍り、終わりも近付いて来てるだろうという時に、
突然藪の中から蹴られンネが現れ、シルフィに突進していく
お隣ンネからも草むらに逃げ込んで動かないでと言いつけられていて、その通りこっそり抜け出して隠れていたのだが
母の悲痛な声を聞き、最後の家族を守るために戻ってきてしまったのだ

だが、庇われていたとはいえその体は無事ではなく
方耳は完全に千切れ、片手も手首から先を失い、体の所々で皮が剥がれ赤い肉が見えていて、
普通の子タブンネなら動けなくなる程の辛い怪我だろう
しかし、この蹴られンネはどんなに怖くとも痛くとも、最愛の母を見捨てるなんて出来やしないのだ
その悲痛な勇気と愛に、シルフィは小笑いしながらのムーンフォースで応えた

「ミミーーーーッ!!」
「……!!!」

チビママンネは叫んで蹴られンネを止めようとしたが既に遅く
光弾は胴体の真ん中に直撃し、驚く間も悲鳴をあげる間もなく
蹴られンネは閃光とともに赤い霧となって消えた
骨や肉の破片がポタポタと降り注ぎ、枯れかけた草むらをおぞましい赤い斑点で飾った

「グジィーグジー、グジュグギュルルァゴギィギュググググググググ…」

その時、糸が切れたようにお隣ンネはその命を終えた
耳も目も既に無いというのに、どういう訳かわが子の死がわかったのだろう
その死に顔には安らぎなど一切なく、妖精の風責めの苦悶にも勝る歪みきった絶望の表情だった

「フィッフィ♪ フィッフィ♪」

対照的にシルフィは笑顔で小躍りするように跳ねて大喜びだ
ママ(社長)から禁止されてる妖精の風やムーンフォースもこっそりたくさん使っちゃった♪
でもまだまだまだ遊びたい、こんどはちっちゃい子と遊びたいなぁ
たとえばあのちっちゃい子!

そうしてシルフィは、泣き崩れたチビママンネの腕の中の小ベビンネに熱い視線を向けるのだった

118名無しさん:2017/07/06(木) 19:23:59 ID:Ol0WuxzU0
タブンネは草むらのハッピーセット。
これを教えたのが、同族の勇者ンネwwww

蹴られンネは無謀だったけど、片耳片手損失した子タブが
野生を生きれる訳無いから楽に死ねる最善の選択に感じた。

119名無しさん:2017/07/07(金) 01:40:31 ID:snJqtsJY0
乙乙!盛り上がってまいりました!

120名無しさん:2017/07/07(金) 03:20:28 ID:mFo2WtWo0
ついに小ベビンネ処刑の時ですね!

戦わず逃げもしないチビママンネ、
想像以上のポンコツぶりw

121名無しさん:2017/07/09(日) 23:25:30 ID:ijU4HYBc0
おおーwニンフィアやりおるw
ここまで来たらタブンネだけに絶望を与えるために生きているようなものだなw

ニンフィア「僕と契約して、タブンネ虐待愛好家になってよ!」

122名無しさん:2017/07/10(月) 01:27:10 ID:0AoNiqfM0
チギュピーっていう泣き声に萌える

123名無しさん:2017/07/13(木) 19:17:15 ID:6uRddFuk0
今話題になってるヒアリをタブンネに襲わせたい

124名無しさん:2017/07/15(土) 03:59:48 ID:3XRDVj260
更新が待ち遠しい

125名無しさん:2017/07/28(金) 21:49:10 ID:7CMONjYQ0
ラストの展開に迷っておられるのだろうか?

126名無しさん:2017/08/02(水) 23:44:05 ID:6uZfIeqM0
のんびり待つのが正解よ

127名無しさん:2017/08/03(木) 00:51:28 ID:dVDxYrFQ0
過去の作品を読み返してたら
「チギュピー!」って叫び声が結構有って面白かったw

128名無しさん:2017/08/03(木) 07:32:57 ID:XgiV6czs0
自分は「チイチ♪」って喜び声がムラッと言うかイラッとしてきて嗜虐心が煽られます

129ショーケースの裏側で:2017/08/05(土) 02:08:18 ID:9tntAZXM0
「ミィィィ…」

シルフィと目が合ったその時、チビママンネはガクガクと震えだした

悪い人間たちの元からからやっとの思いで我が家に帰ってこれて、
最後に残ったベビちゃんと、仲良しのお隣さんと平和に暮らせると思ってたのに…
あっというまに仲良しのお隣さんは赤ダルマに、可愛かったその子供は赤い飛沫となって消えた
冒険の終わりに待っていたのは平穏などではなく、血に飢えた捕食者
いや、捕食者ですらない、あまりにも残虐極まる桃色の皮を着た悪魔である
そして今、その凶悪な眼差しはこの腕の中で震え泣く幼いわが子に向けられているのだ

「ウッ、ウミィ… ウミィィィィィィィィ!!!!!!」

チビママンネは恐慌して泣きながら走り出し、ただガムシャラに木々の隙間を逃げ続けた
足がが震えてもつれ、何度も転びそうになったがその足は止まらない
母親の恐怖の感情を感じ取って小ベビンネは大泣きし、
シルフィはそれを頼りに足に余力を残しながら悠々と追ってくる
それはまるで幼児と大人の鬼ごっこの如き圧倒的な差だ
命を掛けた追いかけっこの間、シルフィの頭に浮かんでいたのは
母親の前で赤ん坊をいたぶり、その反応を見て楽しむという邪悪極まりない遊戯である

「フミミン!フミミン!ンミーーーッ!!!」
「フィッフィッフィ〜〜♪」

どんなに頑張ろうとも両者の距離は詰まっていき、それが1メートル半にまで縮まった次の瞬間…

「ンミミッ?!」

「バチッ」と破裂したような音とともにチビママンネの両腕が突然軽くなり、
そこにあって然るべきはずの小ベビンネの姿が忽然と消えた
掌と腕にヒリヒリと痺れるような痛みだけを残して
チビママンネには知る由もないが、電光石火という技をシルフィが仕掛けたのだ

「ヂィィィィー!!! ヂィィィィー!!!」
「ン、ンミィィィィィィィィィーーーーッ!!」

悲鳴にハッと振り返ったチビママンネの目に映ったのは、
見ただけで気絶してしまいそうな有りうべからざる光景だった
一番の甘えっ子で、いつもチィチィとママに甘えてきたあの子が
どんなに情けない姿を見せても、最後までママだけを頼ってくれたあの子が
自分のベビも、友達のベビも、知らないべビもみんな奪われて、
優しい人間のお陰で最後にたった一匹だけ守りぬけたはずのあの子が
悪魔に足を銜えられ、ヂーヂーと泣き叫びながら逆さ吊りのままじたばたともがいているのだ
しかも噛まれた所からタラタラと血が流れ、お尻と尻尾の一部を赤く染めている

「ミミーッ!!ビィィーッ!!」

チビママンネは大慌てで取り返そうと両腕を掴んで引っ張るが、シルフィも口を離すことなく引っ張り返す
もちろんその引っ張り合いの負荷は小ベビンネの体に掛かることになり
足首の噛み傷はさらに広がり、両肘はコキリと脱臼してしまう

「ウゴバァァァァァァーーーーー!!!」
「ミッヒ?!」

小ベビンネはさらに増した激痛に泣き叫び、それにチビママンネはハッと気づいて手を放した
ここが南町奉行所のお白洲ならばチビママンネは子供を取り返せていた所だが
残念なことにこの小さな林に大岡越前はいない

130ショーケースの裏側で:2017/08/05(土) 02:09:05 ID:9tntAZXM0
「ミィ… ミィ… ミィ…!!」

祈るように返してほしいと涙ながらに懇願するチビママンネだが、
それに対する悪魔の返答はまるでぬいぐるみを弄ぶかのように小ベビンネを振り回しながらの拒否であった

「フミ、フミ、フミ〜〜〜ン」

その挑発に対するチビママンネのリアクションは、涙ながらに額を地面に何度も叩きつけての連続土下座であった
母親なら激怒し、反撃に出て然るべき暴挙ではあるが、恐怖する心がそれを止めていた
先の出来事からも判るように、チビママンネは母性が強く子供のために辛苦に耐え抜く強い心はあるのだが
どうしても暴力だけには滅法弱いのである

「フィッフィw」

そのブザマな有様はシルフィを大いに喜ばせ、笑いで顎が緩ませる、
その時、小ベビンネは牙から解放され地に落ちた
叫びすぎて喉を傷めたのであろう。その母に助けを求める鳴き声はガラガラに濁っていた

「ヂイヂィ! ヂィヂイ!」
「ミミミミィ〜〜〜!!!」

情けない歓喜の声を上げ、ペタペタと地面を這いずり小ベビンネに手を伸ばしたチビママンネ
しかし手が触れるよりより早くシルフィは再び小べビンネを銜え上げてしまう。今度齧った所は右耳だ
再び返してと懇願するチビママンネをシルフィは首をプルプルと振ってそれを拒否した
小ベビンネは振り回され、耳を根元から裂く激痛の悲鳴が夜の林に響く

「フィッ!!」
「ンミッ!?」

ベビの耳は弱く、遠心力でブチッとた易く体から離れ、
小ベビンネはその勢いで70センチほど吹っ飛び土の上に投げ出された
あまりの痛さにもはや泣き叫ぶ事もできず
うずくまって痙攣しながらグミッ、グミッ、としゃっくりにもにたうめき声で泣き続けている
生き血が滴る千切れた耳はシルフィがコリコリと食べてしまい
その始終を見たチビママンネはガクガクと震え戦慄した

おちびちゃんの耳は一生元に戻らない。どうしてこんな事に…
涙を流し続けた小さな母の下瞼はヒリヒリと赤みを帯びていた
今日という日ほど、青い瞳が乾かぬ一日はなかっただろう…

「ミィッ… ミィッ… ミィ!!」

哀れな母親は投げ出されたわが子に駆け寄る、
しかし、素早く回り込んできた悪魔にいとも簡単にと赤ん坊を奪われてしまった
次に噛みつかれたのは尻尾だ
またもシルフィは首を振って振り回すが、先ほどよりもかなり動きが激しい
肉が千切れる感触と飛んでいくのが面白かったのだろう
さっきのような事故ではなく、今度は意図的に千切ろうとしているのだ
しかし尻尾は耳に比べて流石に丈夫でどんなに振り回してもなかなか千切れない
その為シルフィはベビをいっそう強く振り回し
チビママンネは取り返そうとそこに手を出したものの
手に顔に激しくわが子を叩きつけられて指は数本折れ、鼻血は出る
それでも諦め事無く何とか掴もうと頑張るが取り返せる気配はまるでない

131ショーケースの裏側で:2017/08/05(土) 02:09:38 ID:9tntAZXM0
「ンギ゙ィィィィィィィィィーーーー!!!!!!」
「ン゙ミ゙ィ!!?ミ゙ィ!」

「バチン」という太いゴムが切れるような大きな音と同時に、小ベビンネは再び飛んで落ちた
すかさずチビママンネはトタトタと痛めつけられたわが子に駆け寄るがその目前にまで近づいた途端…

「ギッオゴゴゴグオッシュ!ゴブギャァァァァァァ!!!!」
「ンミッ??!」

どういう訳か、小ベビンネが今まで聞いたこともないような激しい濁った声での悲鳴を上げたのだ
ハッとして小ベビンネをよく見てみると、ピンクの肉が露になった血まみれの無残な尻から
グニャグニャした紐のような物が伸びているのだ
そしてそれを自分が踏んでしまっている事に気がつく
チビママンネはこれが何なのか知る由も無いが、皆さんはお判りであろう。これは小ベビンネの腸である
千切れる際に尻尾の周りの皮が下の方に裂けて肛門を巻き込み
吹っ飛ぶ際に尻の皮と共に肛門が取れてしまっていたのだ

「フミミ、ミィ!!」

痛がってる様子から一応は体の一部だということだけは理解できたチビママンネ
慌てて足をどけ、下半身が赤く染まりきったのわが子を素早く抱き上げる
ようやく悪魔の牙からわが子をその手に取り戻す事が出来た
しかし、安らげるはずの母の腕の中にいる小ベビンネは苦痛に顔をゆがませ
口をぱくぱくとさせながらクィー・・・クィー…とか細い苦しそうな声で鳴き続けている
その声は母に救いを求める声だとチビママンネは痛いほど理解できていたが
飛び出したはらわたが地面に触れ夜風に晒され、母親に踏まれるという想像も出来ぬほどの苦しみに
癒しの波動も使えぬ未熟な母タブンネが出来ることなど何一つなかった

「フィッフィッフィ?」

一方、悪魔シルフィはというといまいち状況が掴めず、尻尾がついた血まみれの肉片を口にしながらポカンとしていた
そして母の腕に抱かれた玩具から伸びる紐のような物に興味が移る
それは網の目のような血管に赤い血が流れ、ヒクヒクと鼓動する小さな腸
肉食獣の本能のためだろうか、人間には気味悪く嫌悪するであろうそれに強く惹かれ
何の気なしに前足でその先端ををベシベシと叩いて玩具にし始めた

「ゴギュウルルルグボボッ!!グギギィグギギグゥ!!!」

シルフィが叩くのに同調して、小ベビンネは腕の中で激しく暴れまわる
大腸が1メートル半も離れた小ベビンネに導線のように激痛を直に伝えて来るのだ
苦痛のあまり、小ベビンネはここが母親の腕の中だということも忘れたように荒れ狂う
口の端に赤みの混じった泡を吹きながらヘドバンの如く頭を四方八方に振り回し
それが何度も母親の顔面に当たり痣を作らせた

「ミーミ!ミーミミィ!」

チビママンネは自分の痛みも忘れて必死に宥めようとするが、
小ベビンネが感じている苦痛はそんな事で和らぐような甘いものではない
遂には赤ん坊とは思えないほどの大暴れによって抱きしめる腕が滑り、再度地面にわが子を落としてしまう
シルフィはその時のドサリという音に気をとられ少しだけ腸遊びを止めた
小ベビンネは普通なら痛がって大泣きする所だろうが、地面に横たわったままハァ、ハァと大きく息を吐き続けている
弄るのを止めたことによって苦しみが和らいだからである
落ち葉が積もる地面に打ち付けられる痛みなど、獣にハラワタを直に弄ばれる地獄の責苦に比べたら愛撫にも等しい

「キィッ!!ピィッ!!クキィィィィィィ!!」
「フィッフィwフィッフィw」

シルフィが再び腸で遊び始めたのだ
もはやどうしたらいいかわからなくなっている母の眼の前で小ベビンネはビクンビクンと激しく悶え苦しみ、
泣きわめき白目を剥きながら落ち葉の上をのたうち回る
腸の先端を刺激される度に身をよじらせながらバタバタと暴れる構図
それはまるであのポンプを握ると跳ねるカエルの玩具の様である

「ミ、ミィ・・・
 ミィミィ!ミィミィ!ミーミ、ミッミ、ミミミ、ミィ!!…」

命がけの大冒険の末にたった一匹守り抜いた小さなベビンネ
その命よりも大切なわが子が無残にも玩具にされる様をあまりにも間近で目の当たりにし、チビママンネは思い、叫び訴えた
ベビちゃんがこんなにも苦しんでいるのに、どうしてあなたは喜んでるの?
怖いくらいに遠くへ遠くへ連れ去られて、悪い人間にひどい目に遭わされて、兄弟もお友達もいなくなって…
それでも、優しいひとに出会って助けられて、ようやくこのお家にまで帰ってこれたんだよ
ぴこぴこした小さなお耳も、ふんわりしたちいちゃな尻尾も、お空とおんなじ色のお目目も
とっても、とってもとっても可愛いのに、どうしてそんな酷い事が出来るの?
あのお母さんも男の子も、おちびちゃんも、だれも何も悪いことなんかしてないよ…

132ショーケースの裏側で:2017/08/05(土) 02:10:31 ID:9tntAZXM0
「ミィーッ!!ミィーッ!ビィーッ!!」
「フィ〜w」

チビママンネが声の限り叫ぶの心からの訴えを、シルフィは鼻で笑って流した
たかが使い捨てのオモチャ風情が何を訴えようとマトモに聞いてやる気などないのだ

「ギョグァァァアアアアアアアアア!!!!キハァァァァァァァァアアアアアアアアアアーーーーーーババババババブァ!!!!!」

そしてその必死さを煽るように腸を噛みしめながら引っ張り、小べビンネに一際大きな悲鳴をあげさせる
それは、普通に生きていたら一生出すことはないであろう声の、赤ちゃんが絶対に出してはいけない声の、
口からはらわたを吐き出すが如き狂気と苦痛を孕んだ凄絶な絶叫だった

「フィフィ〜ン♪フィィ〜〜♪」
「ミ、ミィ…」

その叫びにシルフィは大いに喜び、腸を銜えたまま嬉しそうに鼻歌を歌い
チビママンネあまりの光景には泣くことも喚くことも出来ずにガクガクと震えながらただただ絶句していた
そんなチビママンネに、シルフィは腸を口にしたままニッコリと笑いかけた
リアクションが思ったのと違うのでさらに挑発を重ねようというわけだ

「ミィィィィ… クィィィィ…!」

その効果は覿面で、恐怖により縮み上がっていたチビママンネの怒りが再びふつふつと湧き上がってきた
どうしてあんな悲しい苦しい叫び声を聞いて、笑っていられるの?
こんなに可愛いベビちゃんを苦しめて痛めつけて、ズタズタにして泣かせるのがそんなに楽しいの…?
べビちゃんが死んじゃったら、みんなが悲しむんだよ!
わたしも、ここにはいない優しい人間も、いつかここに帰ってくるパパンネも・・・
女子社員と夫ンネの顔が頭に浮かんだ瞬間、怒りとは別の熱いものが湧き出してきた
それは立ち向かう勇気である

「ギィーッ!グミ゙ィィーーーッ!!!」

咆哮を上げ、チビママンネは目の前の悪魔に捨て身の突撃を仕掛けた
それは昔のポケモントレーナーによって「捨て身タックル」と名づけられた技で
本来ならチビママンネの錬度では使えないはずの技だ
だが、心体の全力を以て真っ直ぐ怨敵に突撃するそれは奇しくも技であるそれに一致していた
その勢いにシルフィは突き倒されて腸を放し、チビママンネもまた反動でドンと強く尻もちをついてしまった

133名無しさん:2017/08/05(土) 08:20:33 ID:1b2treDc0
首を長くしてお待ちしてました

134名無しさん:2017/08/05(土) 17:29:54 ID:WikkpBy20
腸をいじるとは思いもよりませんでした!
耳も食べられてまさにハッピーセットですねw

135名無しさん:2017/08/05(土) 20:06:58 ID:Jb2T.oN20
ウゴバァァァァァァーーーーー!!!
グミッ、グミッ
ギッオゴゴゴグオッシュ!ゴブギャァァァァァァ!!!!
クィー・・・クィー…
ゴギュウルルルグボボッ!!グギギィグギギグゥ!!!
キィッ!!ピィッ!!クキィィィィィィ!!
ギョグァァァアアアアアアアアア!!!!キハァァァァァァァァアアアアアアアアアアーーーーーーババババババブァ!!!!!

小ベビの悲鳴の表現が、逐一最高すぎるwww素晴らしいwwww

136名無しさん:2017/08/06(日) 11:45:19 ID:m.FBWBAQC
ニンフィアってこんな性格だったの?!イーブイ進化形の中で一番凶悪じゃ
同じ属性でピンクってとこに敵がい心があるのかな

137名無しさん:2017/08/06(日) 12:54:14 ID:UIBeVwtM0
肉食であるという設定はありますね
凶悪なのは個体差かと

138名無しさん:2017/08/06(日) 18:07:41 ID:W5R8YGQ60
べビンネに無理矢理口を開けさせて触覚を突っ込み、「自分で噛みちぎって食べろ。でないと殺すからな」と脅してみたい

139名無しさん:2017/08/07(月) 20:47:53 ID:J4qGePqU0
想像してたよりも凄惨な痛めつけ方で素敵です!

残った身体パーツも滅茶苦茶に解体されてほしいwww

140ショーケースの裏側で:2017/08/10(木) 00:28:38 ID:F.uk4T/o0
「ミ、ミィ!」

倒れた事で一瞬安心して、わが子に注意を移したのがいけなかった
シルフィが素早く立ち上がりチビママンネに飛びかかってきたのだ
チビママンネは慌ててそれを受け止めて喉笛を噛みちぎられる事だけは避けることができ、
結果的に両者は押し合いの体制になった

体躯も膂力も大分負けているはずだが、チビママンネは何とか地面に押し倒されずに踏ん張っている
子を思う母の心
その奥底から湧き出る怒りによって小さな母の身躯には普段の何倍もの力が漲っていた
愛の力を以てしても押し倒されずに踏んばるのが精一杯なのが悲しいところだが

「ンミ…! フミィ…!」

組み合っている最中、チビママンネの耳はシルフィの心の奥底にあるもの
この鬼畜以下の所業を笑いながら為す邪悪な心の元、その正体を感じ取っていた
それは何の珍しくもない、肉食の生物が持つありふれた狩猟本能、そしてポケモンとしての闘争本能
発散される事無く心の底でドス黒く凝り固まったそれらが、シルフィの心を醜悪極まる悪魔に歪めているのだ

141ショーケースの裏側で:2017/08/10(木) 00:29:20 ID:F.uk4T/o0
チビママンネに判るのはこの程度の事だが、ここで少しシルフィが何故このような残忍な性格に成るに至ったのか
その来歴をもう少し踏み込んで説明しておこう
元々シルフィはアローラ地方・アーカラ島の野に生きる幼いイーブイであった
それがトレーナーであった社長の妹に捕獲されて彼女の島巡りの旅に加わったのだ
社長の妹は姉とは違い、本当に優しく思いやりがある性格であり
時を待たずしてシルフィは仲間のポケモンたちと同じように戦いを以てトレーナーの助けになりたいと思っていたのだが
扱いはその思いとは真逆の物であった

幼さゆえの力不足、そして愛くるしい見た目のため無理な実戦投入を躊躇われ、
学習装置やリゾートアイランドのアスレチックといった安全な手段で
戦わずして力をつけていくという悶々とした日々を過ごす羽目となる
それでも社長の妹の事は大好きで、可愛がられていくうちに仲良しになりニンフィアに進化し、
地味な努力の結果練度も上がり十分に実践に耐えうる力を身につけた
だがその時には既に遅く、社長の妹は既に島巡りの旅を終えてしまっていた

社長の妹は旅を終えた後はリーグに挑戦せずに普通の生活を選び
シルフィもまた戦いとは無縁の日々を送ることとなる
そしてある時社長が実家を訪れ、可愛らしさに一目ぼれしたため譲り渡されたというわけである
その後のペット暮らしは言わずもがな平和だが退屈なものだ
美味い飯も暖かな寝床も上等な玩具も十二分に与えられ、新しい飼い主とも気が合う
だが、シルフィは常に飢えていた

上に述べた境遇だけではこのような凶悪な性格には成るに至らない
シルフィを狂わせたのは、他でもない社屋で飼育されている子タブンネ達であった
もちもちふっくらとした餅かマシュマロのような柔らかさを思わせる体系、
心に残るミィミィチィチィとか弱く何所か切なさを含んだ鳴き声、
思わず飛びつきたくなるぴこぴこフリフリと扇情的な耳と尻尾
ケージの格子越しにあるその愛くるしい肉の塊は、シルフィの捕食者としての本能を容赦なく焚きつけた
アローラのイーブイとその進化系は人の管理の下でも本来の獣性を大いに残している
何代にも渡るブリーディングによって野性を失いかけている他の地方のそれとは大いに違う
これは地方毎のポケモン図鑑の表記の違いを見比べても判る事だ

シルフィもまた同じく野性を心の隅に置いたままであるが、彼は自分が人に飼われている身分ということをよく理解している
あれらを傷つけるなどしたら飼い主に迷惑がかかってお叱りを受けるであろう事を察し
格子の向こうに決して手を出すことは無かった

辛抱の日々の中、シルフィは子タブンネたちを狩り殺す様を妄想する事で自分を慰めていた
現実で満たされる事無く妄想だけを続けていくうちに、その内容は日々過激さ、陰惨さ、残酷さを増していく
脳内に悪魔を植え育てるが如きその行為は、人知れぬうちにその心までも闇に染めていった

142ショーケースの裏側で:2017/08/10(木) 00:29:55 ID:F.uk4T/o0
社長に木の実や菓子などを与えられた時、わざわざ第一飼育室にまで持って行って子タブンネたちの目の前で食べることがあった
貧相な餌しか与えられぬ子タブンネたちに御馳走を食う様を見せつけての憂さ晴らしかと思われるだろうが、真実はなお悪い
この時、シルフィは妄想の中でタブンネを喰っていたのだ
目の前のオボンを、ポフィンを、血に塗れて悶え苦しむベビンネに見立て乱雑に千切り喰らう
傍目には餌をやや乱暴に遊びながら食べているようにしか見えないが…
甘味に飢えた子タブンネ達にとっては羨望極まる光景だが、その実は蒲焼の匂いだけで白米を食うが如き惨めな食事であった

そしてある時、シルフィの夢は唐突に叶った
あの子タブンネの反乱に困り果てた男二人に呼び込まれた時である
生きたベビンネを目の前にして、もはや理性も忠義も何もかもが吹き飛んでしまった
思う様目の前の肉を引き裂き喰らい、必死に仇を討たんとする小さな愛と勇気を腹ごしらえに蹂躙した後
シルフィの心に訪れたのは束の間の満足と喜び、そして地の底よりも暗く深い嗜虐への飢え
この喜びを大好きな飼い主と分かち合いたく、ベビンネを銜えて社長のもとへ走った

あの時の勇者ンネと餌食となるベビと出会った事が切欠で、理性という殻を破って魔獣シルフィが現世へと産まれ出たのである

143ショーケースの裏側で:2017/08/10(木) 00:30:33 ID:F.uk4T/o0
チビママンネがその悪魔と組み合うこと2分弱、動けぬ間にも小ベビンネの命の灯火は刻々と小さくなっていく
しかしチビママンネは何もできない
少しでも力を抜こうものなら眼前にあるこの牙が己の喉に向かう事が容易に想像出来るからだ

一方、シルフィの方はというと次の一手、この遊びのフィナーレに相応しい強烈な一撃を思いつき
何の躊躇もなくそれは実行に移した

「ミミッ!!?」

シルフィの顔面がチビママンネのそれに当たりそうな程に近づいたかと思うと
チビママンネの視界は月に覆われた

その光により目が眩んでいる隙に、シルフィは身を翻してチビママンネから離れる
チビママンネは何のつもりなのか分かりかねたが、間もなくぞわぞわとした胸焼けのような不快感に襲われた
ふと自分の胸を見てみると、提灯のように赤く光っているのが見て取れる
口から体内にムーンフォースを撃ち込まれたのだ

「ンミ… ンミ? グィィィィィィィ??!!!! ジビーーッ!!!」

疑問に思う間もなく不快感は熱さへ、熱さは激痛へと胸の中で目まぐるしく形を変え
食道をゆっくりと下に降りながらチビママンネの体内を蹂躙していく
想像を絶する激痛にのたうち回り、両手で胸を加減なく搔き毟る
その胸は古木のささくれの様に皮膚がめくれ血の合間に剝き身の胸肉を覗かせ
搔き取られた無数の桃色の毛玉がタンポポの綿毛の様にふわふわと宙に舞う
胸の中にある苦痛の元を素手で掻き出さんとしているのだ
余りの激痛に気が狂い分別がつかなくなった事による、正しく狂気の沙汰であった

ブリュリュリュィビチチチィ!! ジビビビビビビ グロロロロェ!

全身が悲鳴を上げ、崩壊しかけているチビママンネの身体から逃げ出すようにあらゆる物が外へと躍り出る
大便、小便、屁、胃液と胃の中身、汗、涙、涎、鼻水。いずれも血の赤みを帯びていた
ムーンフォースの光の塊は止まることなく、五臓六腑を蹂躙しながら体内を下っていく
今度は腹を裂かんばかりに掻き毟るが傷ひとつつかない
既に手の爪が全て剥がれ落ちてしまっていたからだ
一時も頭から離れなかったわが子の姿が、声が、露と消えるほどの苦痛
先ほどまでの母としての覚悟など最早消し飛んでしまっていた

「ギッヒ… ギィィィィィィ!!!!グビィィィィィィィ!!!!」

狂乱の末、チビママンネが最後に取った体勢は
中腰で前かがみにしゃがむ和式便器に跨っているかのような排便の姿勢であった
意外に思えるかもしれないが、物凄く腹が痛い時に取る体勢と考えれば自然な事だろう
とにかくもう、この光の塊を何としてでも体外へひり出してやろうとしているのだ

「キィィィィィィィィィィィィ!!!!!アアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!」

「ボムッ」という爆発音、そして閃光と共にチビママンネの姿はシルフィと小ベビンネの前から消えた
ムーンフォースが尻の中で炸裂し、その勢いでで吹き飛んで行ってしまったのだ
まるで屁が爆発して吹っ飛んだ様なコントのオチの如き最後である
彼女がいた筈の場所には夥しい血痕と骨と皮が付いた肉片、そしてズタズタになった両足だけが残されていた

144ショーケースの裏側で:2017/08/10(木) 00:31:31 ID:F.uk4T/o0
「…… フィ…?」

小べビンネはあまりに凄惨な光景に身を硬直させ、泣くこともできなかった
大好きで信頼しきっていた母親が目の前で苦しみ抜い末に無残にも消えうせるという始終
それを余すところなく見てしまった絶望は痛みすら忘れさせるほどだ
対照的にシルフィはスッキリとした満足げな笑顔である、こんな派手な遊びは又と出来まい

一瞬の静寂の後、近くの木の上の方がガサリと鳴り、何かが落ちてきて木の枝が折れた所に突き刺さった
それは変わり果てたチビママンネである
全身血と汚物にまみれ、腰があるべき所には血が滴る内臓がぶらりと垂れ下がっていた

「……」

タブンネの生命力はかくも強く、このような状態になっても意思を失う事は無かった
片目には視力が、血に汚れた両耳には聴覚が辛うじて残されている
しかしこの深手である。それらが命とともに消えうせるのは時間の問題であろう
シルフィは落ちてきたそれを死んだものと思いこんで興味を向けず
小ベビンネは変わり果てたそれを愛する母だと認識できなかった

「チィ… チィ…♪」「フィー?」

チビママンネの目の前で繰り広げられるそれは、あまりにも信じがたい光景だった
愛するベビが腸を引きずりながら悪魔の足に縋りつき、甘え声を出しているのだ
チビママンネの心は再び震えわが子の元へ向かい止めようとした、
が、声は出ず、手は動かず、両の足は何処にあるのかすらわからない

この時、小ベビンネはあまりの絶望で既に心が壊れていた
「ママが死ぬはずが無い、いなくなるはずがない」と思い込むあまり、
あろうことか目の前にいる悪魔を母親だと認識してしまったのだ
桃色の毛皮に青い瞳、間違える要素も無くもないのだが

「フィッフィッフィ〜」「チィ… チィ…」

意外なことに、シルフィは座ってから前足で小ベビンネを優しく抱きよせた
自分を母親だと思い込んでいる事を何となくではあるが理解していたのだ
優しそうなポケモンに無邪気に甘える光景に、チビママンネは気の迷い程度に安堵した
ベビちゃんの可愛さに負けて改心し、もしかして助けてくれるのではないか、と
その時、小ベビンネの無事な方の耳の触覚が不意にシルフィの胸に触れた

『これからたくさんもがき苦しんで死んで あたちを楽しませてほしいな♪』

「チピャァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!」

それは、この世に生まれ落ちて34日にして生きる希望を全て断たれた赤ん坊の、あまりにも悲壮な慟哭であった

そしてシルフィは己を母と慕う子を嗤いながら痛めつけ始めた
耳を千切り取り、足を噛み折り、突き出して許しを乞う小さな両手を容赦なく噛み千切る
両目は爪で潰された後にほじくり出され、上唇に噛みついてから額にかけて顔の皮を剥ぎ
全身まんべんなく妖精の風を浴びせ、最後に爪で胴を裂き動く内臓を露にしてシルフィの責苦は止まった
口が無事な間、小ベビンネは泣き叫んでいたが、
それは助けを求めるというよりか、母に許しを乞いているような泣き方だった
小ベビンネにとって目の前のピンクは未だに母であり
愛する母に八つ裂きにされるという絶望感は余りにも計り知れない

「…ァ …ァ」

何よりも守りたかったわが子が、守らなければならなかったわが子が、目の前で肉塊にされる
この世で最後に見る光景にしては、余りにも無慈悲が過ぎている
怒ろうが悲しもうが手も足も動かず、祈ろうにもチビママンネは神を知らない
もはや苦しまずに安らかに眠ってくれと願うことだけが、チビママンネが出来る唯一の愛情だ

「フィッフィッフィ〜♪」

そんな切ない母の願いを冒涜し嘲笑うかのように、シルフィは瀕死の小ベビンネに更なる追い討ちをかける
悪魔が選んだトドメの一撃は、剥き出しの内臓に目がけての放尿であった

「ヂュブルルルルルルン!ボルンッ!!」

肺に肝臓に心臓に肺にジョボジョボと放尿され、
湯気が立ち上ると同時に動かなくなりかけていた小ベビンネの身体は激しく痙攣しだす
やがてそれも弱弱しくなり、小便が止まるのを待たずして小べビンネの命の音は完全に消え去った
赤ん坊の消えかけた命の灯火を、母親の目の前で小便でかき消すという邪悪極まる暴挙

それは、チビママンネの心を肉体が滅ぶより早く死に至らしめるのに十分な殺傷力を持っていた

145名無しさん:2017/08/10(木) 09:21:05 ID:E.cC3vGE0
更新ありがとうございます!
シルフィはバトルできなかった欲求不満をようやく晴らせたのですね。

トドメが臓器に小便(笑)
苛立たせてくれたチビ親子に相応しい死に方だwwww

146名無しさん:2017/08/10(木) 09:55:50 ID:3dtleJPI0
しかも小ベビ視点から見れば
他の子を放置してまで自分最優先でいてくれたはずのママからの暴力&とどめの放尿
最後の「あたちを楽しませて♪」の一言もシルフィをママと見間違えていた小ベビにはこのためにママは自分を構っていたのかと言う誤解と更なる絶望を与えるものになるとか悲惨がすぎる

147名無しさん:2017/08/10(木) 20:31:31 ID:FmMU.vIw0
陰惨とか残虐とか通り越して、もはや感動的なくらいw
腹の底から小タブざまぁという笑いがこみあげてくるw

148名無しさん:2017/08/10(木) 23:35:52 ID:27gSByis0
更新乙ンネ
あー子ベビに囲まれてりゃそうなるわな…

149名無しさん:2017/08/11(金) 04:52:33 ID:AxUw3JsM0
エヴァ2号機の補食シーン思い出した。
あの時はもうやめてくれと思ったけど、
相手がタブだといいぞもっとやれに変わるw

そして、ここまで嫌われるベビンネは今まで居なかった気がする

150名無しさん:2017/08/12(土) 12:37:19 ID:8t1evfeIC
ニンフィアが肉食ってのこの話で初めて知ったよ
パルレのイメージしかなかったから意外だったわ

151名無しさん:2017/08/12(土) 15:53:08 ID:46BYY41g0
どっちかっていうと雑食じゃね
完全な肉食や草食はそう多くない

152ショーケースの裏側で:2017/08/17(木) 14:12:44 ID:JxXnoVAA0
「フィッフィ〜♪」

静まり返った林でシルフィはただ一匹歓喜の声をあげた
小便の湯気が立つ血肉の塊と吊られたズタ袋はそれに何の反応も示すことはない

チビママンネの愛と勇気も女子社員の慈悲と友情も
悪魔によっていとも簡単にズタズタに踏みにじられ、汚辱と絶望に塗れながら打ち捨てられた
もし、チビママンネが女子社員が受け入れてたら、女子社員がベビを運ぶ役を買って出なかったら
小ベビンネが怖い女に売れていたら、社長一行がシルフィが逃げ出したのに気づいていたら…

この胃の物がこみ上がって来るような最悪の結末は避けられていただろう
一旦その牙を剥いた運命というものは、血に飢えた獣よりも残酷なのかもしれない

153ショーケースの裏側で:2017/08/17(木) 14:13:28 ID:JxXnoVAA0
「…残っちゃったですね」
「ミィィ…ミィ」「ミッミッ」

ここで場面は再びデパートに移る
イベントは終わって後片付けもひと段落し、
女子社員は檻に集められた売れ残った子タブンネたちをぼんやりと眺めていた
会場を桃色に埋め尽くす程沢山いた子タブンネも、売れ残ったのは19匹
いずれも人見知りしたり人間を怖がってたりしている消極的な子タブだった
皆一様に怯えきっていて、抱き合ったり丸まったりしながらすし詰めの檻の中でプルプルと震えている
心優しい女子社員も、この子タブンネ達にとっては人間という恐ろしい生き物のうちの一匹でしかないからだ

「きっとこの子たちにも優しいお母さんがいたのだろう」「この子たちはどこに連れて行かれるんだろう」
女子社員は子タブンネ達の切なさと行く末を案じ、気持ちを落ち込ませていた

「この子たちは、これから何所に行くのでしょうか…?」
「う〜ん、まだ決まった訳ではないざんすけど、
 ここに入っているポケモンショップに移してそこに販売するざんすかね〜」
「そうなのですか…」

まあ納得できる返答ではあったが、心のもやつきはさらに大きくなる
この子たちはもはやどうあろうと商品でしかないという冷酷な事実を改めて認識させられたからだ
救われる道は優しい飼い主に買ってもらう以外にないのは分かっているが
こんなに怖がってる子が売れるのだろうか
いや、売れたとしても人間と共に暮らして本当に幸せになれるのだろうか…?

「ハハハ、やったなテイツ君、大成功じゃないか!」
「あっ、どうもこんな所までお疲れさまでざんす!
 いや〜お陰様で200以上いたチビちゃん達も今やこの通りざんすよ!」

憂いの女子社員とは対照的に、やたらテンションが高い中年男性が催事場に現れた
このデパートの本社の社長である
言うまでもなく上機嫌の理由はイベントの大成功によるものだ

「おお、君はショーの司会をやってくれてた子だね!いやー結構な名司会だったよ!」
「それ以外にも早出してトラブルを解決してくれたりお世話も泊まり込みでやってくれましたざんすよ
 今回の一番の功労者と言っても過言ではないざんすね〜」
「…ありがとうございます」

せっかくの店長から直々のお褒めの言葉であるが、女子社員はあまり嬉しさを感じられなかった
作り笑いで愛想は尽したが、その心内では憤りすら感じている
タブンネたちの涙を知ろうともせず、ただ数字だけを見て手放しで喜んでいるこの二人にに

「この成功ぶりなら他の支店でもやる事になりそうだよ、クリスマス前あたりに
 ここでも来年の夏あたりにもう一度くらいやりたいねぇ」

154ショーケースの裏側で:2017/08/17(木) 14:14:36 ID:JxXnoVAA0
「…子はいつか必ず親から離れていくもの。このタブンネたちはそれが早まっただけだよ」

あまりにも言い訳じみた暴論。だが確かに聞いたはずの女子社員は俯いたまま口を紡ぐ
不思議なことに、その心はこの屁理屈に反論するどころか無理に納得しようとしているのであった
それは、小売の平社員の自分からしてみれば雲の上の存在である本社の社長の言葉という事と
自分が許される理屈を探していた心の弱さのためなのだろう
どんなに心正しくあろうとしようが、
彼女も仕事だからと言い訳してタブンネを傷つけた者たちの一員に変わりはしないのだから

一息程の沈黙の後、女子社員は顔を上げ、最後の反論を喉の奥から絞り出した

「それでも、突然に家族とお別れするのは悲しすぎるのです…」

女子社員は幼少期に母親を事故で喪っていた
それ故、あの母性溢れるチビママンネにあれ程まで入れ込んでいたのかもしれない

155ショーケースの裏側で:2017/08/17(木) 14:15:27 ID:JxXnoVAA0
またまたところ変わって高級住宅街にあるお屋敷と呼んで差し支えない程の大きさの小奇麗な一軒の家
そこには実業家の夫妻と大学生の娘が暮らしていた
こう書くと何不自由なさそうな裕福な一家だが、夫婦は娘のことで深刻な悩みを抱えていた

「そういえば、アルマ(娘)はどうしてる?」
「デパートに行って帰って来てから部屋に閉じこもってますよ」
「また例のお化け趣味か… 変なポケモンは飼い始めるし全くどうなってるんだ…」

高校まで何の問題もなく優等生そのものだった娘だが、大学に入ってからオカルト趣味に凝り始め
今ではすっかりオカルトマニアと化していた
そんな娘の部屋からは、防音部屋にも関わらず子タブンネの悲鳴が漏れている

「ンビィィィィーーーッ!!ンビィィィィーーーッ!!」
「フフフ、もっと遠慮なく怖がっていいのよ♪」「ムキュウウ♪」

お屋敷の2階の一室、魔道書やまじないの道具などオカルトグッズに飾られた部屋
そこに全身紫ずくめの女と小さなムウマ、そして籠の中で泣き叫ぶ子タブンネの姿があった

娘とはデパートにやってきたあの怖い女で、ムウマはそのペット
そして泣き叫ぶ子タブンネは言わずもがなあの勇者ンネである

「ヒッ?!ヒッ!ヒィッ!!ヒギャァァァァァァァ!!!」

しかし、ここから出してと籠の格子を掴んで揺らしながら泣き叫ぶ姿に、もはや勇者の面影はない
両耳には3本ずつ大きな銀色のピアスが通され、腹と背には大きな魔法陣の焼き印がこんがりと押され
尻尾は溶かした蝋で固められ、左足には鎖鉄球つきの小さな足かせがガッチリと嵌められている
ここに連れてこられた時には勇者ンネは必死に暴れ抵抗していたが
怖い女によって縛りあげられ、上記の装飾が施されると一変して怯えるばかりになった

終の棲家になるであろうゴシック調の装飾を施された大きな黒い鳥籠は比較的まともではあるが
問題はその中に床材として敷かれている物で、それは無数の子タブンネやベビンネの頭がい骨である
ポケモンの頭蓋骨はオカルトショップで各種売っていて、その中から小さいタブンネのそれだけをまとめ買いした物だ
どういう訳だかタブンネの物だけ他のより異様に安かった為に思いついた装飾である
人間がそうであるように、勇者ンネもまた足もとに敷き詰められたそれに本能的な恐怖を覚え震え上がった

156ショーケースの裏側で:2017/08/17(木) 14:16:05 ID:JxXnoVAA0
「ムキュッキュッキュ〜♪ ムキュキュッキュ〜♪」「ふふふ、美味しそうねぇ… どんな味がするのかしら?」

勇者ンネが泣き叫ぶ様に笑顔で大喜びのムウマ。
赤い玉を光らせながらくるくると宙返りして喜びを表現している
ここでの勇者ンネの役割は、前述の扱いが示すとおり愛玩ポケモンなどではない
では何かというと愛しき悪霊への生贄、すなわちムウマの餌である
恐怖を餌とするムウマの腹を満たすために、命尽きるまで心を搾取されるというのが勇者ンネの運命だ

「ハァ、ハァ、ハァ… ハァーッ… ハァ・・・」
「あらぁ、もう限界?」

あまりに泣き叫び過ぎたために疲れ果て、膝をついてゼェゼェと息を切らす勇者ンネ
怖い女はそんな哀れな勇者に情けをかけることなく
「これで元気を出してね」と尻尾の先端にライターでカチリと火をつけた
蝋で固める際に予め蝋燭の芯を仕込んでおいたのだ

「クピャアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーッ!!!!!!」

自らの尻尾が燃えているという事実に恐怖し、勇者はとうに枯れ果てた喉で泣き叫び髑髏の上を転げまわる
火は小さいので毛皮に燃え移るということは無かったが、
チャームポイントであるしっぽを焼かれるという精神的ダメージは人間が思うよりもずっと大きい

「フフフ… 元気になったみたいね。…でもこの仔はなんでこんなのを怖がるのかしら?」

先ほどから勇者ンネを泣かせていたもの、それはノートパソコンに映る動画であった
動画サイトで映画の恐ろしい怪物やら肉食ポケモンの捕食シーンやらいろいろ見せていたのだが
その中で一番怖がったのは、女にとってはまるで意外なことに
手違いで再生したニンフィアが餌を食べるだけの可愛らしい動画であった

157名無しさん:2017/08/17(木) 15:05:27 ID:IOZH/SZQ0
乙ンネ

158名無しさん:2017/08/17(木) 19:10:07 ID:pZ9OUFoY0
おっと、ここで場面転換と来ましたか
勇者ンネも楽に死ねそうにないね

159名無しさん:2017/08/18(金) 20:55:05 ID:HFcL1BMw0
勇者ンネがどうなったか気になってましたけど、良い飼い主に沢山遊んでもらえているので安心しましたw

160名無しさん:2017/08/22(火) 22:11:48 ID:NTPdUjlE0
元々の避難所死んじゃったみたいだな

161ショーケースの裏側で:2017/09/13(水) 23:01:35 ID:DoeBjDB60
「シルフィ〜!! 何所にいるの〜?」

ペット業者の社長と男二人のの声が夜の林に響く
社屋に戻ったと同時に居ないことに気づき、急ぎ戻ってきたのだ
フィッフィーと元気のいい返事が聞こえてきたので、3人は藪を分け入り林の中に入って行った
男二人にはその居場所に思い当たる節があった。あのタブンネたちの巣がある場所である

「なんだいこりゃあ…」 「え…? シ、シルフィは大丈夫だよね…?」

その場所に立ち止まった瞬間、血とはらわたの匂いがぷうんと鼻についた
懐中電灯で照らしてみると、血と肉片と、散り散りになった桃色やクリーム色の毛皮が辺り一面に散らばっている
そして一目みただけではその正体が分かり得ぬ赤黒い肉の塊も

「…ニンフィアのじゃねぇです、こりゃタブンネの毛皮ですぜ」
「そーなの、良かった〜」

もしかしたらシルフィのではないかと身震いしたが、違うと知ってほっと一安心した社長
タブンネが惨殺されてるという事はまるで気にしてないのが彼女らしい

「フィッフィ〜」
「あ、あっちにいますぜ」
「シルフィ!!」

足が取られやすい林の中だというのに、社長は躊躇わずにシルフィヘと駆け寄った
シルフィも嬉しそうにしっぽを振りながら走り寄り、社長に抱き付く
残虐な悪魔も大好きな社長の前では子供に戻ってしまうのだ

「良かった〜… も〜、勝手にボールから出たらダメだよ〜っ!」
「大事は無いみたいで良かったですなぁ… ん?」

不意に兄貴分はシルフィが居た方向に何か異様なものがある事に気がつく
木にぶら下がっている何か…。それが肉塊、タブンネの惨殺死体だと男二人が気づくのにそう時間は要さなかった

「ゲッ!! こりゃさっき放した奴じゃねえか!!」
「な、なんだってこんな事に…」

背格好が似ていたので兄貴分はもしやと思い、死臭に顔をしかめながら亡骸を検めると
予想通りに逃がす際に肩につけたマーカーが見つかった

(ひょっとしてシルフィがやったんじゃないのか?だがどうやって?それにしても酷過ぎる…)

様々な疑問を頭に浮かべながらも、兄貴分はとりあえず社長にこのことを報告した

「えーっ!もう死んじゃったの!?」

野生に返して一時間足らずの間にまさかの死亡。これには社長も声を張り上げて驚いた
言うまでもなくタブンネが可哀想とはそれほど思ってはいないのだが、別の大きな心配がある
これではとても契約を果たしたとは言えず女子社員に代金を返さなくてはならないということだ

「そういえばあの赤ちゃんはどうしたの? 一緒に死んじゃった?」
「あ、そういや見てませんでしたぜ」 

弟分が遅れて死体のある藪の中から戻ってきた

「赤ん坊の死体は近くに転がってましたぜ、いやはやしかし酷ぇ事になってます」

弟分が指したところに兄貴分は向かい、社長も怖いもの見たさで付いてきた
懐中電灯で照らされたそれは、余りに惨たらしく変わり果てたものだった

162名無しさん:2017/09/14(木) 00:01:49 ID:762N629k0
「うーわー、酷いよ〜」
「な、何だってこんな事に?」

乱雑に引き裂かれた胴体から臓器を覗かせ、尻からは腸が巻尺のように飛び出て
手足と耳と尻尾は千切られて無造作に散らばっている
だがそれらより何よりも異常性を示していたのは、ビショビショの全身から立ち込める強い尿臭である
それは下手人が悪意を以て引っかけた物だという事は全員が容易に思い至る事ができた

「食うためじゃねぇ、遊びで殺したんだ」
「えっ?!変質者がこの辺に居るって事?」
「いや、人間の仕業とも思えねぇです」

刃物によるそれではない腹の裂け目と手足の切り口、
そして落ち葉に混ざり転がっているズタズタの耳に残っていた歯型
弟分はその二つから人間の仕業ではないと判断した

だが三人は別の理由から薄々ながら確信していた、尿の臭いに覚えがあったからだ
これをやらかした犯人はシルフィだ… と

「もーっ!シルフィっ!お客様のものに手を出したら駄目なんだよっっ!!」
「フィフィーッ!!…」

突然の叱責にシルフィは驚き、耳を下に下げて困惑した表情をしながらササっと木陰に身を隠した
叱るべき点がややズレている所が社長らしさである
ポケモンを叱るのも大事だが、やらかした事はトレーナーが責任を取らねばならない
社長もまたそれを理解していて、謝罪と返金でもって全うしようとしていた

「…うん、それはそれとして、あの子にちゃんと伝えなくちゃ」

苦虫を噛み潰した様な表情で携帯を取り出し、
デパートを出る際に登録しておいた電話番号にかけようとする社長
しかしポチポチと操作し始めた所で、弟分が止めに入った

「待ってくだせぇ社長! それだけは止めてくだせぇ!」

その言葉で社長の指がピタリと止まった
覚悟は決めていたが、躊躇いと思うところがあったのだ

「そんな事して何になるんすか、だれが得をするんですか!
タブンネの親子は森へ帰って幸せに暮らしてる。そう思い続けていた方があの子にとって幸せですぜ!
 自分が野に離したせいで死んじまったなんて知ったら、どんなに悲しむか…」

普段は社長に頭が上がらない弟分だが、この時ばかりは躊躇いもなく考えを通そうと頑張る
あの女子社員に何か恋でもしたのだろうか? 横で見ていた兄貴分は何も言わずただそう思った

「そうだね… これは見なかった事にしちゃおうか」

ここは優しい嘘をつき通した方がお客様にとって一番いい。そう思うことにして、社長は携帯を閉じた

こうして社長一行はこの惨劇を誰にも教えることはなく、自分たちの胸にしまっておく事にし
すっかりしょぼくれたシルフィもボールにしまって車で会社へと戻って行った

163名無しさん:2017/09/14(木) 06:54:31 ID:oGLFmbSA0
乙乙
シルフィには罪はないね、遊んだだけだしね

164名無しさん:2017/09/14(木) 20:02:51 ID:NKZi4ypY0
更新乙ンネ

165名無しさん:2017/09/15(金) 18:39:56 ID:ayRasExs0
切なさを感じる終わり方。

166ショーケースの裏側で:2017/09/30(土) 04:11:41 ID:5I/tEMbc0
「ただいまです」
「ミィミィ♪」「…チィ?チィ♪」

帰宅した女子社員を出迎えたのは可愛い二匹の新しい家族
眠る我が子を胸に抱き、満面の笑みを向ける小さなママンネ
そしてうつらうつらと目を覚まし、帰ってきたのに気づくとチィチィと嬉しそうに笑う小さなベビンネ
寂しさや悲しみとは無縁の、今までとは違う暖かな我が家がそこにあった

「ミミー♪」「チッチ!チッチ!」

チビママンネに手をひかれて玄関を上がり、楽しいふれあいが始まる
二匹の頭を撫でたり、オモチャで一緒に遊んだり…
あの時のわだかまりは心が通じ合うとすっかり消え去り
人見知りの小ベビンネも、女子社員に大分心を許すようになってきた

「チカー、ご飯ですよ〜」

皆で居間に行くと、食卓には晩御飯のおかずが並べられていた
ハンバーグ、ポテトサラダ、ほうれん草のバター炒めにコーンポタージュスープ
どれも女子社員の好物で子供のころよく食べていたものだ
チビママンネも見たことがない御馳走に目を輝かしている
そして、嬉しい食卓の向こうに、エプロンを着けた母親がにっこりと微笑みかけていた

「あれ… お母さん…」

あまりにも当たり前のようにそこにいたので一瞬は素のままに受け入れたが
その違和感に気づいた瞬間、女子社員の目の前は白い光に覆われた

167ショーケースの裏側で:2017/09/30(土) 04:12:21 ID:5I/tEMbc0
「うぁ…」

無機質な蛍光灯の光が寝起きでぼやけた目に突き刺さる
デパートから帰ってきた時には疲れ切っていて
着替えもせずにそのままベッドに倒れこんで眠ってしまっていたらしい
意識がはっきりしていくうちに、ぼんやりと記憶が蘇ってくる
あの小さなタブンネの親子は元いたお家へ帰って行って、お母さんは…
気を逸らすように時計を見てみると既に午前2時を回っていた

「…何か食べなきゃ」

夕食を食べていなかったので普通ならかなり空腹のはずなのだが、あまり食欲がない
とりあえず手軽に小さなカップ麺で軽く済ますことにした
夢の中で見た食卓と頭の中で比べてしまい、女子社員は少し悲しい気持ちになった
食べ物だけじゃない、シンとした中にファンヒーターの音だけが響くこの部屋のなんと寂しいことか

食べ終わって何の気なしに携帯電話をチェックしてみると、一件の見慣れない宛先が
あのペットポケモン業者の社長からだ

「…タブンネさん、森へ帰ったんですね」

メールに添付された画像には、森へ向かっていくタブンネの後姿が写っていた
ベッドに寝転びながらその写真をまじまじと眺める
チビママンネの姿を見ていると冷え切っていた心が暖かくなっていくのがはっきりとわかる

「今頃おうちの中で、親子一緒に仲良くおやすみしてるのでしょうか…」

もし、女子社員が小さな親子の無残な末路を知ってしまったら、
自分の行いを気が狂うほどに後悔し、その心に人生を狂わす程の深い傷を負う事になるだろう
しかし幸いなことか、彼女がそれを知りうることは永遠に無いのだ

女子社員がが見た夢は、何も知らぬ偽善者の身勝手な妄想か、朦朧のうちに彼岸を垣間見たか…

168ショーケースの裏側で:2017/09/30(土) 04:12:54 ID:5I/tEMbc0
「ミッ、ミッ?!」「グミーッンミーッ!!」
「ちょ、ちょっとなんなのよコイツら!?… ギャァーッ!!」

勇者ンネの目の前であの怖い女が吹っ飛ばされた
最強の戦士にして偉大な群れの長、勇者ンネのパパンネがわが子を救出しに来たのだ

「うわぁーん!覚えてなさいよ〜!!」「キュルルルゥ〜!」
「ミーミィ!ミーミィ!」「ミ、ミィ〜」

長ンネの猛攻に怖い女とムウマは泣きながら一目散に逃げ出していき
勇者ンネは一緒に来ていた自分のママンネに籠から救出された

「ミギュルグ… グミィィィィィィ!! グミィィィィィィィィィ!!!!」
「ミィ、ミィ♪」「ミーミミー!」

勇者は母の胸に飛び込み、今までの恐怖と苦痛を洗い流すように思い切り泣いた
次代の長として常に強くあろうとしている勇者ンネも、母の前ではただの子供なのだ
長ンネもそんなわが子を叱ることなく、微笑んでその頭をそっと撫でた

「ミッミッ」「ミミ!」

母の胸でひとしきり泣き、顔を上げた勇者ンネの目の前にいたのはあのチビママンネだった
泣いている所を見られてアセアセと恥ずかしがったが、そんな勇者を小さな母は抱きしめた

『あかちゃんをたすけてくれて ありがとう』

チビママンネが伝えたかったことはこの感謝の気持ち、ただそれだけである
心から心へ熱いものが伝わり、勇者の心は誇りで高鳴った

「ミィッ!ミィ!ミィィ!!」

長ンネは腕を振り上げ、勇ましく鬨のような大声を上げた、
これから皆で、人間捕まった子供たちを取り戻しに行くと宣言したのだ

「ミィミィ!ミィミィ!」

勇者ンネもそれを真似るように腕を上げ気合いを込めて叫ぶ
これからタブンネの戦士たちの、奪われた仲間を取り戻す勇者の旅が始まるのだ

169ショーケースの裏側で:2017/09/30(土) 04:13:45 ID:5I/tEMbc0
「ミィィ!?」
大きなガシャンという金属音で勇者ンネは飛び起きた
そして曖昧なままの眼に映るのは、格子越しに見下してくる怖い人間
父に倒され、泣きながら逃げ出した筈のあの人間だ!

「ピーィッ!!??」
「何驚いてるのよ ご飯持ってきてあげたのに」

そう言って怖い女が格子の隙間からねじ込んだのは、緑のヘタがついた白い種の塊のような何か
一体何なのかと具体的に説明するとピーマンの芯だ
無造作に投入されたそれはあろうことか漏らした糞の上に落下してしまった

「ンミ、ミィィ…」

この糞の付いた残飯は自分に与えられた食事だと勇者ンネは理解できていたが
もちろん食べる気になれるはずもない。腹は死ぬほど減っているにも関わらずだ
この最低最悪の食事を前にして、勇者はただ立ち尽くすことしか出来ない

「何してるの、さっさと食べなさい。さもないと…」
「フミュギュギュググワァ!!」

女がライターをカチッカチッと鳴らすと、勇者ンネは震え上がり慌ててピーマンを拾い上げて口に入れた
焼印と尻尾を?燭にされた時の恐怖と苦痛がフラッシュバックしたのだ
無理やり飲み込もうとして何度も嗚咽し、死に物狂いで噛み砕こうとして舌や口内を噛みながら頑張るが
それでも苦みと臭みが2重に重なるそれはなかなか喉を通ってくれない

「ミグーッ!ミグーッ!ンミ゙ッ!!」

涙を流し、目一杯の血が混じった唾液とともに汚物を無理やり喉の奥に流し込む
それが胃に落ちた後、勇者ンネはゼェゼェと苦しそうに息をしながらポロポロと大粒の涙を零した
苦しみは過ぎ去った筈なのに、命令されて糞を食べてしまったという屈辱で涙が止まらない
勇者と呼ばれた子タブンネなら尚更だ

170ショーケースの裏側で:2017/09/30(土) 04:17:05 ID:5I/tEMbc0
「食べたわね、じゃあまた寝ていいわよ…」

怖い女はそう言いながら勇者ンネの籠に厚手のカーテンのような黒い布をかけた
もともと部屋が薄暗いこともあってか、籠の中は自分の手もまともに見えぬほどの真っ暗闇だ

「クミィ・・・」

勇者ンネは寝ころんではいるが眠れない
硬い髑髏の床が、ジンジンと痛み出した焼印と尻尾蝋燭の痕が、化膿しだした耳のピアスの痛みが
口内に残る気持ち悪さが、ピーマンの芯一本では満たされるはずのない空腹が
糞を食わされた屈辱が、弱い自分への悔しさが
勇者ンネが眠りにつくのを寄ってたかって妨げていた

「ミ… ミ…」

眠りもせずにじっとしていると、色々な思い出が頭に浮かびあがってくる
先ほど夢に見たためだろう、一番強く思い出したのは両親の最後の姿だ

聞きなれない大きな音が鳴って、見たことないやつ、人間というやつが現われて…
群れにあった巣はみんな壊され、強かったはずの群れの戦士たちは人間の味方のポケモンに次々と倒され
泣き叫びながら子供を連れて逃げ惑うママンネたちも襲われて子供たちはみんな捕まっていった

その中で父である長ンネはルカリオの波動弾の直撃で臓物をあたり一面に撒き散らしながら息絶え
最愛のママンネは自分や兄弟たちを守ろうとしてドリュウズのアイアンヘッドを顔面に受け倒れた
骨ごとグチャグチャに砕かれた母の顔面を、急速に静まり死に向かっていく父の心音を
勇者ンネは生涯忘れることは出来ないだろう

「フミィ… チィィ…」

その記憶はあまりにも鮮明だ。先ほどまで見ていたあれが夢だということがはっきり分るほどに
自分は何もできず、助けてくれる者はもう誰もおらず、一生ここから出られずに苦しみぬいて死んでいく
そんな絶望が幼い心を夜の闇よりも暗く覆っていた

「チィィ… チィィ…」

だが、そんな勇者ンネの心にただ一つ光明がある
この恐ろしい人間から恩タブの子である小ベビンネを守ったというただ一つの功績だ
それは勇者としての誇りとなり、支えとなって押しつぶされそうな心を正気に保っていた

もし、勇者ンネがあの小さな親子があの忘れえぬ悪魔の牙にかかり
凄惨極まる死を迎えたという事実を知ってしまったら
張りつめた心は粉々に砕け、二度と正気には戻れないだろう
幸か不幸か、この狂っていた方が気が楽な地獄の中、勇者ンネはその真実を知りえることは無いのであった

171名無しさん:2017/09/30(土) 10:45:13 ID:nmNNgb/M0
乙ンネ

172名無しさん:2017/09/30(土) 21:11:08 ID:UdOZI2uI0
チカちゃんには悪いが、死んでくれて本当に良かった
夢で見た様な展開は怒髪天モノなので

173名無しさん:2017/09/30(土) 21:25:59 ID:zDc9/MU60
夢オチ&「現実は非情である」

チカちゃんは早いとこ忘れなさい
その分、勇者ンネが代わりに苦しんでくれるから

174ショーケースの裏側で:2017/10/02(月) 02:19:08 ID:kZV2RQug0
『いや、人が考えるいい物が必ずしもポケモンにとってもいい物だとは限りませんぜ
 このドリュウズも高いフーズよりも車に轢かれたフシデの死骸の方を喜んで食べやがりますし…』 

寝巻に着替え、寝室でベッドに腰掛けるペット業者の女社長
ボーっとする中で先ほど交わした雑談の弟分の何気ないこの一言をぼんやりと思い出していた
寝室にはシルフィも一緒だ
先ほど怒られてしょんぼりしていたが今はケロリとして呑気に毛づくろいなどしている
社長はそんなシルフィを少しの間見つめた後、何かを思い立ったようにふらりと部屋から出て行った

「フィ〜?」

シルフィはトイレに行ったのだろうと思い、特に気に留めなかったが、トイレにしてはずい分と長い
さすがにおかしいと思い、様子を見に行こうかと気迷い始めたとき
社長が両手に何やら色々と下げて部屋に戻ってきた

「シルフィ、今日は特別にお夜食を食べちゃお。好きな方を選んでねっ」
「フィィ〜!」

シルフィの目の前に出されたのは洒落た餌皿に盛られたいつも食べさせている上等なポフィン
もう一つの方なのだが床にゴミ袋を敷き、そこにバケツから何やら薄汚れたピンクの塊をドサリと落とした

「アゥ… ァゥゥ…」
「どう?この子を好きにしちゃっていいんだよ?」

その塊の正体は皆さんお察しの通り血で汚れたの子タブンネだ
腕と足、そして口元から夥しく血を流し、グネグネと腰を曲げながら苦悶の表情でのたうっている
大きな毛抜けがあってデパートに出荷されなかった個体を持ってきたのだ
それにしてもなぜ血まみれなのかというと、社長が食べやすいようにと加工したからである
逃げられないように金槌で脛を両足とも潰し、
叩かれると痛いからと両肘にナイフを入れて関節を壊し
噛みつかれないよう顎を外してからペンチで全ての歯を一本ずつ丁寧に抜いて出来上がりだ
抵抗されてシルフィが怪我などしないようにという親心なのだが
最も、シルフィにしてみれば完全に余計な御世話であり、子タブンネにしてもただの拷問され損である

175ショーケースの裏側で:2017/10/02(月) 02:20:09 ID:kZV2RQug0
「フィッフィィ〜〜♪♪」

シルフィが選んだのは子タブンネの方だ。その選択には全く迷いは見られない
トレーナーの許しをもらって堂々と出来るという喜びも大きかった

「ゥゥゥゥゥゥ!! ァァァ!!!」

本能的に命の危機が分かったのだろう
シルフィが迫ると子タブンネはぎこちないハイハイでバタバタと逃げ出した
手足を動かすたびにズキン!ズキン!鋭い痛みが全身を走り
声が出なくなった口からは音にならなかった悲鳴を赤い涎と共に絶え間なく吐き出し続ける
普通なら体を動かすこともままならぬ針の筵の如き激痛であるはずだが
鼻息が当たる距離にまで迫る死への恐怖がこの哀れな子タブンネを突き動かしている
だがそんな辛苦に塗れた命がけ逃避も、幼い寿命を30秒程伸ばす事だけしか成果は無かった


「ァァァァァァァボボボボボボギュギュ……」

耳に噛みつかれて振り回され、ビタン、ビタンと強く床に叩きつけられると
子タブンネはぐったりと動かなくなった
だが息絶えたわけではなく、背骨にダメージが行って動けなくなっただけである
普通の肉食ポケモンならここで喉笛を噛みちぎって止めを刺すのだが
シルフィは息があるうちに食べたほうが楽しいという理由でそれをしなかった

「クプププププポポポポ・・・」

生きながら臓物を食いちぎられ、白目をむき口と鼻からコポコポと血のあぶくを吹き出す子タブンネ
シルフィは腸を引っ張ったり、肺を噛みつぶして中の空気が弾けるのを楽しんだりと
顔中血まみれになりながら臓物を玩具にしてのお夜食を満喫した

社長は眼前で振り拡げられる惨劇を止める事も諌めることもせずただ見つめていた
その視線は陰惨さへの嫌悪や残虐な光景に対する恐怖などもなく
遊ぶ子供を見つめる母親のような優しいものだった
そしてシルフィが食べ終わるのを待ち、その頭をそっと撫でながら語りかける

「ごめんねシルフィ、私、今までシルフィの事を分かってあげてなかったんだね」
「フィー?」

その謝罪の言葉の内には何か吹っ切れたような爽やかさがあった
すぐ横に転がる無残な骨肉にはとても不釣り合いな

「でもね、私、シルフィの気持ちならよーくわかるよ」
「フィ?」
「私ね、お仕事でたまにいらないタブンネを処分… 殺しちゃうんだけど
 その時に心がきゅーんとなって、すっごく気持ちよくなっちゃうんだ」
「フィ〜??」
「それだけじゃないよ、普通にお世話する時もタブンネちゃんたちをちょっとだけ苛めちゃうんだ
 わざと冷たいお水で洗ったり、おやつをちょびっとしかあげなかったり…
 ふふふ、赤ちゃんたちの前でお母さんタブンネのお乳をペンチで千切っちゃったりもしたんだよ
 怖いね、シルフィ」
「フィーフィ♪」
「ふふふ、おかしいよね。こんなこといけないって、変だって分かってるはずなのにね
 …これは私とシルフィだけの秘密だよっ」
「フィー♪」

そうして社長は先ほどまで可愛い子タブンネだった赤くてヌメつくものをゴミ袋に閉じ
生臭い床を雑巾がけして、シルフィの顔もタオルと濡れティッシュで奇麗にしてから
愛するポケモンと共にベッドに入るのだった

176名無しさん:2017/10/02(月) 19:42:53 ID:/GojdRq.0
更新ありがとうございます!
遊びつつエサを与えるという点はポケリフレっぽいw

177名無しさん:2017/10/03(火) 00:15:33 ID:5gaCr5kE0
わかる!社長さん、その気持ちよーくわかります!w

178名無しさん:2017/10/19(木) 22:37:51 ID:k0EXRYh.0
個人的に萌えるタブンネちゃん虐待シチュエーション
・出掛ける前に下剤入りのフードを食べさせ、戦闘中に粗相させて恥をかかせる。帰宅したら罰として粗相した物を耳、鼻、口に詰め、肛門を溶接する
・手足や耳を切断して食べさせる
・複数匹飼ってわざと極度のストレスに曝した上、食事を与えずに共食いさせる
・生まれたてを踏み殺す
・全身に灯油をかけて燃やす
・オーブンにブチ込み、不安がって泣き出した所でオーブンのスイッチを入れて苦しみながら焼け死ぬ所を観察する
・触覚を固結びして観察
・異物を大量に誤飲させて苦しませる
・土下座させた所を写メる
・触覚を片方引きちぎって肛門に差し込んで溶接する
・口か肛門から内臓が飛び出るまで何度も踏んづけ、飛び出した内臓を炙る

179名無しさん:2017/10/21(土) 00:04:21 ID:DHTmp2vw0
なかなか素敵なシチュエーションw自分だったら・・・

・洗濯機に放り込み、回転水責めでトラウマを作成
・親の前で子供を痛めつける(逆パターンも有り)
・孵化したベビンネを生かさず殺さずで虐待し続ける
(成体は可愛くないので、飽きたらチビンネの内に処理)

180名無しさん:2017/10/21(土) 00:14:16 ID:LYe4pJus0
往年の名作
押し入れの隠し子
空き巣ベビンネ
あたりが思い起こされるシチュエーション

181名無しさん:2017/10/25(水) 20:24:09 ID:0brSP26w0
自分は閉じ込め系かな

.競られていく時籠から必死に手を伸ばし助けを求めるベビンネ達
.調理されながら鍋やフライパンの中で抵抗する姿
.水槽観察物は最高
.箱詰め子タブンネも捨てがたい

となるとどうしてもベビチビ系になってしまうけど

182名無しさん:2017/10/28(土) 00:13:36 ID:aFG7HAuQ0
大切に育てられた後に、天から地獄に突き落とされるのも良い。

例えば、「冷凍子タブンネ」
ママンネが子供達の前でボコられ、子供達も少しずつ凍っていくのが萌える。
善良個体だからイラッとせずに読めるのも良かったw

183ショーケースの裏側で:2017/11/01(水) 04:39:38 ID:7pG2fGlk0
「…いたぞ、」

二日続けてのイベントでの激務
足は棒になり、背骨は微かに痛み出し、瞼は見開けぬほどに重い
だが、気が利く社員は胸に滾るものを抑えきれずに市街地の外にある草むらをうろついてた

遅い来るミネズミやチョロネコをドレディアが退きながら30分ほど歩きまわり
ようやく目当ての物を見つけた。いや、音が聞こえてきたというところだ
それはガサガサと草が揺れる音

(焦ってはいけない… ここで焦れば全てがオシャカだ…)

自分の首元にまで届く草むらを、足音を殺しながら慎重を極めて歩く
もし、この時に他の野生ポケモンと出くわして戦闘にでもなったらその隙にこの音の主は姿を消してしまう
そして音に近づいてる事を感じ取りながら揺れる草むらの眼前に辿り着いたその時

「ミッミッ!」
「でかいな…」

草むらからタブンネが飛び出してきた
小柄なチビママンネに見慣れていたからだろうか。目の前のタブンネは110cmの標準サイズだが
気が利く社員にとってはなかなかの大形の個体に感じられた
威嚇の声を上げ、一触触発の状態である

「行け、ドレディア」

ボールから飛び出したドレディアの前に野生タブンネは一瞬たじろいだが
向けられた戦意を敏感に感じ取り、目の前の敵を打ち倒すべく腕を振り上げた

「ギガドレインだ」

体から緑色に光るものが抜けて行くと感じた次の瞬間、野生タブンネはバタリと地に倒れ伏した
疲れ切ったかのように体が動かせず、反撃どころか立ち上がることすらできない

「ミ゙… ミ゙…」

普通のポケモンバトルならこの時点で勝負ありで、トレーナーはこれ以上手出しをさせないのだが
血に飢えた今の気が利く社員は様子が違った

「あっけないなぁ、こんなんじゃあ全然満足できないよ!」

興奮が抑えられなくなり、倒れたタブンネをサッカーボールの如く蹴り飛ばす気が利く社員
「グェッ」と悲鳴を上げながら転がる野生ンネを間髪入れず耳をつかんで引き起こし
そのままふっくらとした柔らかな頬を何度も殴りつけた

「ミッ?ミッ!ミビャァァァッ!!」

その狂気を伴った暴力に瀕死の体力では何の抵抗もできず
不運な野生タブンネはただその拳を受けて訳もわからぬまま泣き叫ぶ事しかできない
ドレディアは狂ってしまった主人を悲しみも怒りもせず
そこに生えている植物の如くただ黙って見つめていた

184ショーケースの裏側で:2017/11/01(水) 04:40:14 ID:7pG2fGlk0
「ハァ… ハァ… ん?これは…」

目鼻が判別出ぬほどボコボコに殴りつくした後、
少し落ち着いた気が利く社員は何気なく野生ンネの胴体に目を向ける
そこである事に気づいた瞬間、気が利く社員の口角が嫌らしく上がった

「ドレディア!コイツの巣を探すんだ。もっと遊べるぞ」

もはや目を開けることも出来なくなったタブンネを投げ捨て、気が利く社員は乱雑に周りを探し始めた
地に積もる枯草を蹴り上げ踏みつけ、落ちていた木の枝でザクザクと突きながら
ドレディアはキョロキョロと地面を見まわしながら周りを探している
やがて気が利く社員は枯草の下に子供がギリギリ入れる程度の大きさの地面に空いた穴を見つけた
その穴を懐中電灯で照らすと、「ピィッ」という甲高い声の悲鳴が
そう、気が利く社員が探していたのはタブンネの巣、そしてそこにいる子タブンネである
野生ンネの腹部に変色した乳首を見つけ、子育て中のタブンネであると判断したのだ

「グィー… グィー…」

野生ンネは鳴いて威嚇するが、弱り切ったその声が威嚇である事を分かって貰える筈もなく
ドレディアが巣に押し入り中の子タブンネたちは次々と巣の外に追いやられていく

「ミィーッ!!」「ミィ?ミィ!?」「ビィィ!ビィィ!」

訳も分らぬうちに寒空の下に追いやられ、3匹の哀れな子タブたちは不安と恐怖に鳴きしきる
そのうちの1匹が倒れている母親に気づき、助けを求め泣きながら駆け寄ると
それを気が利く社員はザクリと足で背中から踏みつけた

「ミ゙ッ・・・ ブベェ…クミィィ…」

足をばたつかせ、小さな両手で必死に地を掻き、脱出しようと必死にあがくが
40センチに届かない小さな体では成人男性の体重からはそう簡単に逃れられず
少し力を込めて足首を捻り踏みにじると、未消化物と共に白いミルクをゲェェと嘔吐した
まだ離乳が完全に済んでいない子タブンネだったのだ

「ミィィン!ヂィィィィィ!!」

その足に少し大きな子タブンネが駆け寄り、必死に持ち上げて兄弟を助けようと健気にも頑張る
この子は三兄弟の一番上の姉であり、弟たちの世話を率先して手伝ういいお姉ちゃんであった
そんな頼りになるお姉ちゃんも鬼畜と化した気が利く社員によって首根っこを攫まれて捕まってしまうと
すると頼りになるお姉ちゃん一転パニックになってベビのように泣きわめき、小便まで洩らす有様だった

「ドレディア!もう一匹はお前にやるよ。好きに遊んでいいぞ」

その場でただオロオロするばかりであった最後の子タブンネはドレディアに捕まった
当然泣きわめくが、ドレディアの方もどう遊んでいいものかいささか困っている

「キィィ… キ…」

家族が絶体絶命の状況の中、野生ンネはパタパタと弱弱しく地面をたたいて威嚇することしかできない
その顔が無傷であったならば、さぞかし歪みきった絶望の表情を見せてくれた事だろう

「ビュ… グ… ギ…」「クヒィィィ…」「ミヂィィィィ!!ミヂィィィィ!!」

悲鳴と呻き声が身を切る夜風と草のざわめきに交じる
己の衝動を律する事なく子タブンネの首を絞め、踏み潰す気が利く社員
手の内の子タブンネは痙攣とともに力が抜けていき、
足下のタブンネは折れる寸前まで背骨が軋み胃液を吐きながら窒息に喘ぐ
この2匹の哀れな子タブの絶命を以て気が利く社員の疼くものは満たされようとしていた

185ショーケースの裏側で:2017/11/01(水) 04:40:49 ID:7pG2fGlk0
「やめてください!!」

突然聞こえた人間の声に頭が真っ白になり、背筋には冷たいものが走る
「女子社員に見られた」
振り返ってその声の主を確認した瞬間、気が利く社員はそう勘違いした

「…誰だ?」

背丈は女子社員と同じくらいだが、よく見たら男の子。それもまだ声変わりする前の少年
赤い帽子に群青色のジャケット、腰には数個のモンスターボールが付いたベルト…
月の光で判ることはこの程度か
ともかく、目の前の少年がポケモントレーナーであることを気が利く社員は理解できた

「何の理由があってそんなちっちゃな子たちを殺そうとするんですか!
 すぐにその子たちを放してください!」

気が狂ったヤバいやつなのではないかとトレーナーの少年は声をかける際に覚悟していたのだが 
振り返った悪人の顔は狂人のそれではない
悪事がばれて必死に言い訳を探している、小ずるい大人にありふれた情けない表情だ
少年は毅然と気が利く社員を睨みつけ、子タブ達を助けるべくつかつかと向かっていく

「ヒュルル、キュウ!」

両者の間にドレディアが割って入り、少年の前に立ちふさがる
泣きじゃくる子タブンネを両手の葉っぱで抱えている事が、
少年にこのドレディアが悪人の手持ちポケモンであることを理解させた

悪人がポケモンを繰り出してきているならば、少年もポケモンを出して対抗するほかない
投げられたボールから光とともにチャオブーが飛び出し、ありふれたポケモンバトルの始まりである

ポケモンバトルにおいて、操るトレーナーの心理状態は勝敗に大きくかかわる
心不確かならば格下相手に敗北することはままあることなのだ
これによりイッシュ地方のチャンピオンがバッヂの一つも持たぬ少年に敗北した事は有名な話だろう

さて、今の気が利く社員はというと、相手がポケモンを出しているというのに指示を出せていない
いわずもがな、決して見られてはいけない場面を見られてしまった動揺のためである

一方のトレーナー少年に目の前の非道に対しての正義感と闘志に燃えている
勝敗はこの時点で決まっている様にも思えた

「チャオブー、ニトロチャージ!」
「…!
 ドレディア!はなびらの舞いだ!」

火の玉と化したチャオブーが迫ってからようやくの指示。相性が悪い相手を前にしてあまりにも遅すぎる
戦って勝つ、トレーナーが思いを通すにはこれに勝る方法なはない
チャオブーは今まさに、トレーナーの義憤を炎に変えて悪の傀儡へとぶつけようとしている
しかし

186ショーケースの裏側で:2017/11/01(水) 04:44:48 ID:7pG2fGlk0
「そんな… 何で…」

この可憐な赤い花は少年の正義も怒りも優しさも、何一つ主人の所へ通さなかった
それは、舞いと呼ぶには余りにも暴力的で、怒りに荒れ狂う竜にも匹敵する破壊力を秘めていた
チャオブーは一度は耐えて炎の一矢を報いたもののすぐに吹き飛ばされ
相性を考えて繰り出されたココロモリは何も出来ずに地に落ち
最後に残ったシママもまた無情にも花の嵐の中に倒れた

この結果はつまるところ、あまりにもポケモンの練度の差が開きすぎていたというだけである
ブランクがあるとはいえ10年近く戦いを繰り返してきたドレディアにとって、
旅を始めてから数か月のトレーナーのポケモンたちを倒すにはただの一言の指示で十分だったと言う訳だ

ドレディアに抱かれていた子タブンネはいつの間にか姿を消していたが
トレーナーのズボンにかかった血しぶきと辺りに散らばる骨肉の欠片がその末路を物語っていた

一方で気が利く社員は肩の力が抜け、踏まれていたタブンネは這いずって靴の下から抜け
首を絞められてたタブンネはボトリと落ちた

「フィィ…」「フィー、フィー…」

2匹のタブンネはよろよろとおぼつかない足取りで気が利く社員から逃げ出す
まだダメージが残りうまく歩けないのだ
トレーナーは抱き上げて助けようと歩み寄ったが
草の隙間から2匹のチョロネコが飛び出し、子タブンネの首筋に噛みつくと
引きずりながらも素早く草むらの奥へと連れ去っていった
追いかけたトレーナーだったが気が利く社員にリュックを掴まれて止められた
ポケモンが戦えぬ状態で草むらに入るのは危険であるからだ
そして弱々しい悲鳴の後、クチャクチャと生肉を咀嚼する不気味な音が聞こえてくる
未だ倒れたままの野生タブンネの腫れた目から一筋の涙が流れた
姿は見えずとも、その耳で最愛の子供たちの最後を知ってしまったのだ

「あっ、あああ… あああ…」

打ちひしがれ、立ち尽くしたまま震えるトレーナー
悪人にポケモン勝負で一方的に惨敗し、守ろうとした子タブンネたちは全員死んでしまった
少年にとっては今までの人生で一番のこの上ない完全敗北
目の前が真っ暗になるというのはこういう事なのであろう

バトルの勝者であるはずの気が利く社員も苦い表情だ
勝負に勝とうとも、ポケモンの子供を苛めてる所を見られたという事実は変わらないのだから

やがてトレーナーの少年は涙を流しながらトボトボと去っていき
気が利く社員も興をそがれ、自宅へと帰ることにした
先ほどまでの興奮はどこへやら、満足感など何所にもなく
心のもやつきと共に一日の疲れがドッと押し寄せてきていた

それにしても、気が利く社員は何故こんな行動を取ったのであろうか?
昔は他の多くのトレーナーと同じようにポケモンを育てるためにタブンネ狩りをしてきた彼だが、
ただ昔のトレーナー時代を懐かしんでの行為ではない。
チビママンネを殴る蹴るしてるうちにトレーナー時代に幾度となく感じていた衝動がぶり返してきていたのだ

それは、見てるとつい苛めたくなってしまうというタブンネが持つ魔性じみた性質の為なのである
学者などが証明したわけではないのでまだ俗説の域を出ないのだが
タブンネの虐待事件は保護団体などに認知されてるだけでも他のポケモンのそれより圧倒的に多い
あのペット業者の社長もまた、その魔に憑かれてしまっているのだろう

「…早く帰って寝よう」

だが、自分の衝動の理由など今の気が利く社員の頭に無く
あの少年がいつか勤務先のデパートに来るかもしれないという事を考えると
たまらなく憂鬱な気持ちになるのだった

187名無しさん:2017/11/01(水) 08:47:50 ID:317LEQLk0
乙ンネ!

188名無しさん:2017/11/02(木) 00:41:22 ID:.piL6pZg0
少年が誰かは知らないけど、人のささやかなストレス解消は邪魔しないで欲しいですなw
チョロネコは後始末グッジョブ!!

189名無しさん:2017/11/02(木) 09:47:48 ID:YB3MF/eQ0
>タブンネが持つ魔性じみた性質

媚びた顔、ピンクチョッキ、不用意に草むらを揺らす、変な触覚…苛めたくなる要因が多いw

190名無しさん:2017/11/08(水) 21:32:45 ID:fq6HHygg0
ポケダンでは、タブンネは教師やってたけど、冤罪吹っ掛けて、村八分にして路頭に迷わせたい

191名無しさん:2017/11/26(日) 23:09:22 ID:1mi9K5q.0
USUMで助け呼ぶ無限湧き経験値タンクポジになれるかと思ったけどラッキーに取られちゃったな

192名無しさん:2017/11/29(水) 02:02:35 ID:6M7cHQs20
タブンネは助けを呼んだ!

タブンネ「同胞たちよ助けてミィ!!!」
しかし、誰も来なかった…
タブンネ「ミィ…」
トレーナー「よし。助けがくるまで、みねうち連打だ!」
タブンネ「ミィィィ―!!!!」

こうなるのやりたかった…

193名無しさん:2017/11/30(木) 08:55:06 ID:2G8Cqgj60
助けが来ないのは、こいつが最後の一匹とかいうオチだったりしてww

194名無しさん:2017/12/10(日) 15:11:17 ID:.jMHm6WY0
モグラ叩きならぬタブンネ叩きをやりたい

195ミィミィタブンネ学園文化祭:2017/12/17(日) 02:15:02 ID:IMquuUJo0
少し思いついたのを一つ投稿します
学園祭に行った時に思いつきました、駄文でしょうが楽しんでいただけたら嬉しいです

今日はアローラ地方にあるとある高校の文化祭の日だ
クラスの生徒達はそれぞれ出し物や劇や出店を行い、来校した客を楽しませ、もてなすのだ

パンフレットの見出しに
今回は第10回目記念として可愛いタブンネが主役の文化祭を行います!
皆さん遊びに来てください!
というなんとも気になる見出し文が書かれていた

俺は早速相棒のルカリオを連れて遊びに行くことにした

ミィーッ!ミィーッ! タブタブネ〜!!
教室から聞こえてくるこの声はタブンネの声だ
元々ここにはいなかったのだが、他地方の誰かがタブンネを捨てたらしく、アローラ地方に住みつき、その物凄い繁殖力で勢力を伸ばし生態系を壊しているため、アローラではタブンネは嫌われているのだ
アローラで嫌われているタブンネが何故文化祭の主役なのか?
学祭に来たのは暇なのもあるが、俺はその理由も探る為にここに来たのだ

このクラスの出し物はタブンネジュースという露店のようだ
アローラ地方のポケモン、ガオガエンがタブンネの足と頭を掴んで雑巾絞りの様にタブンネを絞っていた
ただ力が強いので、タブンネの血を絞り出すどころか、何回かに一回爆散させてしまってる
これじゃジュース屋さんところかただのスプラッター会場だが、絞られる瞬間のタブンネの絶望した表情とダブダブの身体がキュッとスリムに捻られるところは何度見てもルカリオと一緒に笑ってしまうのだった

早速ルカリオが俺におねだりしてきた
ルカリオは肉食ポケモンだからな、よし買ってやろう

俺「タブンネジュースくれ」

ガオガエンは頷くとデヤッ!!という掛け声と共に新鮮な生きたままのタブンネを捻ってコップに注いでくれた
その際血肉が飛び散ってしまうが、新鮮なものをその場で絞ってくれてるから仕方ない
ルカリオに渡すとルカリオは喜んでタブンネジュースを飲んだ、やはり新鮮は美味いらしい

すると俺達の足元にチビンネ共が泣きながら走り寄ってきた
その視線はタブンネジュースに注がれている
そうか、さっきの絞られンネはこいつらのママンネって事か

ルカリオはまだタブンネの臭いの残る生暖かいタブンネジュースをチビンネ共にぶっかけた
チビンネ共は初め、まだ親の匂いのするこの生暖かい液体の匂いを嗅いで、親の事を思い出し若干安心したのかミィ…♪と鳴いていたが、やがてジュースが冷たくなりベトベトと気持ち悪く身体にまとわりついている事に気付くとミッ…とまた悲しそうに泣き出し始めた

「あーコラ!逃げんなってば!」
そんなチビンネをガオガエンと男子生徒がつまみ上げ、籠の中に乱暴に放り込む
籠の中に放り込まれるごとにチビンネ共はチギャアとかチビッ!とか鳴いている
まあお前らも次でママンネのところに行けるから安心しろ

男子高校生にお金を払って俺達はタブンネの絶望ミィミィボイスを背にして教室を後にした

196名無しさん:2017/12/18(月) 23:47:27 ID:wBeE7HKg0
>>195
乙乙
たまに爆散するってひどいなw 食べ物は無駄なく絞らないとね!

197ショーケースの裏側で:2018/02/28(水) 00:45:17 ID:NkxHpBdU0
「ミ…」
イベントから一週間後、デパートの中に入っているペットショップの店舗
イベントで売れ残った子タブンネのうちの一匹が店先のショーケースに入れられていた
その前を幾人もの人間が通り過ぎていき、
時折、人の流れから外れて何人かが展示されてるポケモンたちを見に来る
無論彼らはペットショップのお客さんで可愛いポケモンを見に来ているだけなのだが、
未だ人に慣れない臆病な子タブンネにとっては巨大な怪物が迫ってくるに等しい
近づいてくるたびに脅え、展示ケースの隅に逃れて丸まりながら立ち去るのを待つ
この対応だと人間がすぐに飽きて立ち去ってしまうので子タブンネにとっては正解だったのだが
ショーケースに並ぶ商品。すなわち看板商品としてはあまりいただけない

「ピッピキピィ〜♪」「ミィィン…」

売れ残りンネを苦しめるのは見に来るお客だけではない、人間に劣らず慣れ難いお隣さんだ
壁に遮られて姿は見えないがピィピィと甲高い声で楽しそうに鳴くのが堪らなく耳ざわりであり
しかもその鳴き声が恐ろしい人間を引き寄せてくる事さえある
それに明るいうちにだけうるさいならまだしも、
どういう訳か真夜中に突然起きだしてドタドタと遊びだす事があるのだ
夜行性の気があるのはそいつのポケモンとしての習性で仕方がないのだが
この哀れな幼いタブンネにはそれを理解できる頭も許容できる心の余裕も無い
さりとて正体不明のポケモンに対して抗議したり威嚇したりする勇気もなく
小さな両手で懸命に耳を塞ぎ、脅え震えながら耐えるしかなかった

「クミィ…?」

そんな売れ残りンネだが、密室に一匹だけの暮らしは多感な子供時代にあってあまりにも退屈
暇つぶしになるような事と言えば怖い人間が沢山いる外の世界をガラス越しに見る事しかない
ボーッと眺めていると、色とりどりの見飽きた怪物の群れの中に懐かしい桃色を見つけた

「ふふ、おやつ買って帰ろうね」
「ミィミ、ミィ♪」

それは、自分が知っている子タブであり、同じ群れの年上の幼馴染
自分がいた巣の近所に住んでいてベビ時代からよく世話を焼いてくれたお姉ちゃんタブンネだった
イベント会場で一度はぐれたきり一度も会っていなかったのが
今、あろうことか恐ろしい敵である人間に抱っこされて笑っているのである

「ミィッ!ミィッ、ンッミィ!」
「ミミ?!」
「ん、どうしたの?」

居ても立ってもいられず、売れ残りンネはベチベチとガラスを叩きながらお姉ちゃンネを必死に呼ぶ
お姉ちゃンネはそれを逃さず聞き、驚きとともに振り向いた
もちろん一緒にいる人間にも自分の存在を気づかれ、一緒に自分の前に来てしまったのだが
そんな事は構いやしなかった

198ショーケースの裏側で:2018/02/28(水) 00:46:27 ID:NkxHpBdU0
「ミィ!ミィ!ミィィ!!ミィ!」
「ミミ、ミーミ!」
「…? ひょっとしてお友達なの?」

人間が正解であるそれに至るのはそう不思議な事ではなかった
お姉ちゃンネを買ったのは言わずもがなこのデパートのイベントなのである
2匹のタブンネはショーケースを間に挟みミィミィと語り合う
売れ残りンネはガラスに両手をつけ悲壮に目元を濡らしながら
お姉ちゃンネは飼い主の人間の女性の腕の中で動揺し困惑しながら

『ここから出して!一緒に帰ろうよ!おうちに、ママとパパの所に帰ろうよ!』

売れ残りンネは必死に訴えたが、お姉ちゃンネは何の答えも口に出せない
この一週間の商品としての乾いた日々
売れ残りンネはあの群れで過ごした幸せな日々を夢に見ない日は無かった
パパンネもママンネも兄ンネも姉ンネも傍にいて、群れのタブンネたちもいっぱいいいて
友達のちょっとやんちゃな子タブに自分にヨチヨチついてくる年下の子タブ
お隣さんの巣にいるちっちゃくて可愛い生まれたてのベビたち
そして、いつも優しくしてくれていたこのお姉ちゃんタブンネ…
いつまでも続くと思っていた日常。あの2人と2匹がやってくるまでは

「お姉ちゃんはいつもボクを助けてくれた。お姉ちゃんなら何とかしてくれる」

愛と信頼による盲信か、追い詰められたか弱い心が生んだ妄執か
売れ残りンネは一週間のうちに胸に貯まりきった切ない願いを止め得ぬ涙とともに吐き出した
今の彼にとってお姉ちゃンネとの出会いは地獄の底に垂れ下がる蜘蛛の糸
どんなにか細くとも、縋らずにはいられない

「ンミィ…」

その期待に対しお姉ちゃンネは俯き、唇を噛みしめるしかできない
彼女は頭が良いとまでは言わないまでも、物わかりのいいタブンネである
自分は売れ残りンネを故郷に連れて帰る事はできないし、この透明な箱から出してあげる力もない
自分の、いや、自分たち子タブンネの無力さはよく分かっている
出来る事と言ったら、飼い主の顔を物欲しげに見つめる位だ

「いや、一緒にしてあげたいのは山々なんだけどねー…」

幸か不幸か、この飼い主はタブンネが身長が1m以上にも育つのを知っていた
イベントで衝動買いしてからネットで調べて知ったという経緯なのであまり褒められたものではないが
自分の住宅事情では体重30kgのポケモンを2匹飼うのは無理だという最低限の分別はついている

「フミィ…」

言われるまでもなくその考えを敏感に察し、お姉ちゃンネはしゅんと俯いて落胆してしまう
群れにいた時もそうだったのだが、彼女は我儘を言わないし、言えない子だった

「ンミーッ!!グミッ!!ビィッ!!クミィィーーン!!ヒィィーーッ!!」

口を閉ざしたお姉ちゃンネとは対照的に売れ残りンネの懇願は一層強く、激しく
そして見苦しくなっていく
キュウキュウと耳障りな音を出しながらガラスを引っ掻き、
顔を涙と鼻水でくしゃくしゃにしながら甲高い声で必死に呼びかけ続ける

「ミィミィ、ミミッミッミ、ミィミ…」
「ミミッ…!」

「わたしは今、しあわせだよ。早くあなたもいい人間に出会って、しあわせになってね」
お姉ちゃンネが売れ残りンネにしてあげられる事は、この言葉をかける事だけだった
こんな言葉が救いになる筈もなく、言われた瞬間売れ残りンネは絶句してしまう

199ショーケースの裏側で:2018/02/28(水) 00:48:55 ID:NkxHpBdU0
巣を壊し、パパやママやみんなを殺傷し、子供たちを攫い
そして仲間たち一緒に袋の中にぎゅうぎゅうに詰め、冷たい水をかけ、
狭くて暗い所に閉じ込めて何時間も揺さぶり
ヒリヒリする何かで股間を拭かれ、解放されたと思ったら大勢の人間が迫ってきて…
怖くてずっとずっと逃げ回ってたらまた捕まって、この透明な箱に閉じ込められて

…イベントの時に餌を貰ったのを差し引いても、人間が嫌いになる所以としてはあまりにも十分すぎる
この小さくて臆病なタブンネは人間を信じることができず
「いい人間」なるものがこの世に存在ことなどとても信じる事ができなかった
それ故にイベントで最後まで売れ残ってしまったのだ

その一方、お姉ちゃンネの方はというと一週間のうちにすっかり人間との暮らしに順応していた
もちろん買われた当初は業者たちのひどい扱いによる人間への警戒心や不信感、
そして家族と引き離された怒りと悲しみは少なからず心にあった
しかし、今の飼い主と一緒に暮らすうちにそれらは薄まり消え去ろうとしている

ママンネが作ってくれた草の寝床より柔らかく暖かい毛布つきのフカフカベッド
パパンネが頑張って採ってきてくれた森の木の実よりもずっと美味しい食べ物
恐ろしい捕食者の気配が全くしない安全な住処
そしてベビの世話や食べ物探しなどの練習を兼ねたお手伝いもする必要なく
ただ遊んでいるだけで褒めて可愛がってくれる新しいママ
草むらの中ではあり得ない満たされた生活にお姉ちゃンネは虜になり、
自らを金で買った人間を本当の母親以上に依存し慕うようになっていた

売れ残りンネが毎夜夢に見るほどに求め、恋焦がれていたかつての群れでの生活は
今のお姉ちゃンネにとっては最早懐かしくほろ苦い思い出でしかない

「ゴメンね。あとでおっきいおやつあげるからさ」
「ムミィ…」

お姉ちゃんネは涙声で一鳴きし、飼い主の胸に顔を埋めてしまった
それは後ろめたさから売れ残りンネの顔を見ていられないからと、
本当の姉のように慕ってくれていた売れ残りンネに涙を見せたくないからか
それは彼女自身にもにもはっきりとは分からない
そして人間はそんなお姉ちゃンネを売れ残りンネから隠すようにショーケースに背を向け、立ち去っていく

「ミィミィ!ミィミィ!ミィーーーーーーーーーーーーン!!」

人間に抱かれたまま自分の目の前から去っていく最後の希望に
売れ残りンネは必死で追い縋ろうとケースの中で必死に足掻いた
何とか引き止めようと先ほどよりも一層大声で力の限りに叫び、
眼前の透明な壁を壊すべく、赤くヒリつく手の痛みも忘れて必死に叩き引っ掻いた
しかしどんなに頑張ろうとガラスにはヒビのひとつも入らないし、人間は歩みを止めない

「ミィミィ… ミィミィ…」

やがて飼い主の姿は見えなくなり、憎い一人と愛しい一匹の音もタブンネの耳が届く範囲からすら消えた
しかし売れ残りンネはそれでも諦められず、力が入らなくなった手で弱弱しくガラスを引っ掻き
哀しげな声で涙を流しながらお姉ちゃンネに呼びかけ続ける
その絶望の涙に覆われた目には周りの状況など全く見えて無かった

「ピッピ〜♪」
「おとーさん、おとーさん、ピッピ欲しーっ!」

自分のすぐ近く、お隣さんのケースの前に恐れていた筈の人間たちが居る事も

200ショーケースの裏側で:2018/02/28(水) 00:54:22 ID:NkxHpBdU0
すみません、USUMで遊んでいたところここまで間が空いてしまいました
でももう少し完結ですのでもう少しだけお付き合い下されば幸いです
関係ないけどウルトラホールのせいで色違いタブンネさんの価値がダダ下がりですね
自分も2匹ゲットしました

201名無しさん:2018/02/28(水) 19:24:36 ID:yglag/XU0
おおー乙!!
お待ちしておりました

202名無しさん:2018/03/02(金) 03:43:17 ID:49avPu6w0
ショーケースの続き、ありがとうございます!

ここで冒頭に戻ってきましたね、この子は順応できるのかな?

203名無しさん:2018/03/04(日) 13:35:01 ID:S3qoe5Fc0
乙ンネ
やっぱり子タブには、泣きながらガラスをぺちぺち叩く姿が良く似合う

204名無しさん:2018/03/29(木) 01:56:33 ID:iyuOG52g0
今年も来ました桜シーズン。お花見で出たゴミ(ごちそう)を野良タブンネ達が貰える季節です

205名無しさん:2018/03/29(木) 04:40:15 ID:6G5JMGTc0
>>204
そのお花見料理のどれだけにタブンネの肉が使われてるやらw

唐揚げとか丸ごとくすねたらその唐揚げがいつの間にかいなくなっていたベビンネで驚愕の再会なんてことも…

206名無しさん:2018/03/31(土) 21:28:45 ID:PVt0cX320
自分の子どもを当てろゲームとかやらせたいな

207名無しさん:2018/04/01(日) 11:12:46 ID:PuFH98O60
タブンネと桜は面白かったな

208ショーケースの裏側で:2018/04/06(金) 00:47:07 ID:Dxc7CVbQ0
ちょうどその頃、ペットポケモン業者の社長はあの地獄の第二飼育室で男二人を待っていた
かつて男二人が管理していた悪臭に満ちた汚い部屋とは打って変わって
殺風景とも言えるほど小奇麗な一室となっている
とある目的の為三人で頑張って掃除をしたのだ
掃除中、糞尿や死体由来の悪臭やベビンネのミイラが出てくるなどのトラブルにより
社長は終始不機嫌で男二人は作業中に冷汗が流れっぱなしだったが
それでも何とか方付けは終わり、今は新たな計画の次の段階に移っている最中というわけだ

「ふぅーっ、社長!早速見つけて来ましたぜ」
「おっ、また早かったね〜、見せて見せて〜」
「いや〜ひとつ30キロはいくらなんでも重すぎますぜ」
「おー、3匹と赤ちゃんたちも捕まえちゃったんだ!でもボールに入れてくれば良かったのに」
「いや道中のセンターで調達しようと思ったんすが、運転中に急に見つけたもんで」

そう言って男たちが持ってきたのは、中身が詰まった麻袋が4つ
あの捕まえた子タブンネを運ぶ時に使っていた物だ
だが、4つのうちの3つがグネグネと身をよじらせるように動いていて
中身がいつものそれとは違う事をと示している
それを一人二つずつ両脇に抱え、その重さに額が汗でテカテカと照り返している

「ミヒッ?!」「ンミ!?」「ミミ!」

男たちはそのうちの3つの袋の口を開け、その中身をずるりと床に下ろす
中から出てきたのは両手両足を縛られた成体のタブンネたちだ
不安そうにキョロキョロと周りを見回したり、呆然としていたりと皆困惑した様子である

「ミィ!?ミィミィ」「ミミ!ミィ」「ミーミ?ミーミ!?」

3匹のタブンネのうちの一匹、比較的体が大きいタブンネが何かに呼びかけるように鳴き出す
それに釣られ、2匹のタブンネも焦りだし何かを探してるような素振りだ

209ショーケースの裏側で:2018/04/06(金) 00:48:09 ID:Dxc7CVbQ0
「ほれほれ、心配しねーでも赤んぼはちゃんとここにいるぜ」

そう言って兄貴分がもう一つの袋から取り出して見せたのは、中身が入った青い洗濯ネット
その中身は言わずもがなベビンネである。かなり恐怖しているようで、体を丸めブルブルと震えている
3匹のうちいずれかの実子なのだが、男たちに母子の区別はつかないし気にもしていない
兄貴分は床を滑らせる様に投げてタブンネたちの近くに寄こした

「チィ!チィィ!」
「フミッ!ミミー!!」

タブンネのうちの一匹が縛られた手でベビを抱き上げ、ネットを噛みはじめる
どうにかして出そうと頑張っているのだが、太くてごわごわの合成繊維の網はそう簡単に噛み切れはしない
悲しいかな、野に生きるタブンネにジッパーの仕組みを一目で理解することは出来なかった

「ミィ!ミッ!!ミィィ!ミー!!」「ミ゙ッ!ヴミ゙ィー!」
「あらら〜、怒っちゃったよぉ。もっと丁寧に扱ってあげなきゃ」
「あー、すいません」

他の2匹のタブンネが怒りの声をあげた。
一匹は子供がだだを捏ねて大声で喚くように、一匹は太い声で吠えるように
怒りの理由は言わずもがなであろう
が、3人はこの程度の威嚇は日常茶飯事で、いちいち相手にしててもしょうがないという態度だ
社長は半笑いしながら申し訳程度に注意し、兄貴分は少しだけ顔をしかめてポリポリと頭を掻いた

ここでなぜこの3匹と子供たちが捕まったのか説明すると
3匹のうちの1匹、具体的に言うとうるさい声で威嚇してるタブンネが
落ち穂を拾っていた所を見つかったのがこのタブンネたちが捕まった切掛である
まず手始めにうるさいタブンネがメスであることを確認してからルカリオとともにふん縛り
それから様子を見にきた網噛みタブンネも勢いで捕獲し、その足跡を辿っていったら近くにある巣も見つかり
守っていた唸りタブンネとベビと子タブたちもあえなく全員御用という運びである

「とりあえず赤ん坊を返してやりましょうや、そうすりゃ少しは落ち着くでしょうぜ」

弟分は麻袋から残りのタブンネたちを一匹取りだし、洗濯ネットから出して仰向けに床に置く
するとベビンネはハイハイをしだしタブンネたちの所へ真っすぐ向かっていった
本タブからすれば全力を以て敵から逃げているつもりなのであろう
しかし、涙声でチィチィと高い声で切なげに鳴き、
綿毛のように小さくて白い尻尾を小刻みにぷりぷりと揺らしながら一生懸命に這っていくその姿
電池で動く動物の歩く玩具のように滑稽で愛らしく、社長はもとより兄貴分ですらも口の端が緩むほどだ

210ショーケースの裏側で:2018/04/06(金) 00:48:58 ID:Dxc7CVbQ0
「ハハハ、面白ぇ。オモチャみてーだ」
「あっ、わたしもやる〜」

その様を面白く思った社長と兄貴分もネットからべビンネを取り出し、床に置いた
3匹のベビンネが一斉に母親の所へ向かっていく様はまるでレースのようでもある

「ミィッ!! ミィッ!!」「ミギーッ!ンギーッ!!」「ミーミ… ミーミィ!」

そんなベビンネたちを一匹は早くこっちへ逃げてこいとし、もう一匹は助けに行こうと足掻き
そしてもう一匹は洗濯ネットに手こずりながら無理をしないでと慰める
ちなみに網の中に入れられたままのベビは未だ出されないままであった

「チッチ、チッチ…!」

社長の放ったベビンネは弟分のそれと同じく順調にタブンネ達の所へ向かって行ったが
兄貴分のベビンネだけは他のベビとは様子が違う
一匹だけハイハイが下手で明らかに進むのが遅い

「チィーチィー… チー…」

そのベビンネは余りにも幼すぎる小さな手足をプルプルと震えながら小刻みに動かし、
小虫にも等しい筋力でその体を何とか引きずって前に向かっていると言った具合で
「ハイハイ」というよりかは「モゾモゾ」と表現するのが正しい
見た目も他のべビに加えて一回り小さく、毛並みもまだ生え揃ってはおらず薄い
それもそのはず。こいつは他のベビと比べてもかなり幼く
生後十日ばかりの昨日ようやく目が開いたばかりのベビンネなのだ
ハイハイレースどころか、ハイハイの練習にすら時期尚早だ

「チィッチ…チィッチ…」「ヂィ!ヂヂィ!!」「チヒー… チヒー… チ…」

3人からは見えてはいないが、幼いベビは泣いていた
光を授かって間もない両の目は涙の海に沈んで霧中の如く霞み
まだ触覚が短くて巻き切ってない幼い耳は他のタブンネや人間の騒ぎ声に苛まれる
それでもなお眼差しは真っすぐに温かな桃色を
ヒヤリングポケモンの聴覚は雑音の中から忘れえぬ声をしっかりと捉え
大すきなママンネの元へ頑張って、いや、命を懸けてたどり着こうとしている

しかし、そんな健気な頑張りを兄貴分は全くもって理解してはくれなかった

「なんか俺んだけ遅ぇな? ホラホラもっとガンバレよ。ムチ入れんぞムチ」

兄貴分は遅いのをまどろっこしく思い、小さなお尻にペチペチとデコピンを入れた
それでも全力ではなく、丸めたハナクソを飛ばす時のように軽くはじく程度なのだが
強い刺激に慣れてないベビンネにとっては結構な激痛である

「チィィッ!チッ!ピッ!ピィィッ!!」
「あははっw あんまり苛めちゃ可哀そうだよ〜w」

幼ベビンネは一層甲高い、まるで天敵に襲われた小鳥のような悲鳴をあげた
前に進むだけで精一杯というのにこの仕打ち。幼いベビはもう耐えられない
一匹のタブンネは怒ってビャアビャアと威嚇し、もう一匹はミィミィと涙ながらに慈悲を乞いた
そうしてもう一匹は…

211ショーケースの裏側で:2018/04/06(金) 00:49:46 ID:Dxc7CVbQ0
「ミッ… ミッ… ミゴォォォォォォォォーーッ!!!!!」

怒声と共に立ち上がり、兄貴分へ突進していった
儚くか細い力を、無垢で繊細な心を必死に奮わせ、母親の元に向かおうとする小さな、だが尊い命
それを大きな手で弄び、流す涙を嘲笑う… そのような非道、何が相手だろうと許せるものか!
両手足を縛っていた筈の紐は、怒りにより限界を超えた膂力で引き千切れていた
その時に相当な無理がかかったのだろう。手首と足首から床に赤い滴が落ちる程に流血している
だがその痛みも、烈火の如く胸に滾るものに遮られ前頭葉には届いてはいない
そして兄貴分はあまりに突然のそれに反応しきれず、タックルで転がされてしまった

「おお?!痛ってぇ!!何だいきなり?!!」
「あ、兄貴!大丈夫ですかい?」
「え、あれ?縛ってたんじゃないの?!」

次にタブンネが怒りの矛先が向けたのは社長だ
ベビを救うためにまずは兄貴分を攻撃した怒りのタブンネだったが
実の所、幼いベビの純心を弄ばれるのを笑っているこの女の方が許せなかったのだ

「ミ、ミィッ!!ミミィ!」

しかし踵が地から離れようとしたその瞬間、仲間の声が一瞬の正気を取り戻した

「ミッミ!ミッミ!」『ミィィィィィ!!ビィィィィィ!!』
「ミィ!」

ハッとして振り返ると、赤ちゃんを助けてと訴える仲間たちと、
異常な状況に張りつめた心が限界を迎え、怯え泣き叫ぶベビたち
踵を返し、ベビたちを救うべく駆け寄ると目の前にボールが落ち、閃光とともにポケモンが現れた

「ガウッ!」

ルカリオである
至近距離、驚く間もなく発射された真空波を怒りンネは避ける術はなかった

「ミグッ…」

急所である鳩尾に見えぬ衝撃がめり込み、床に崩れ落ちる
まだ意識と感覚はあるものの手足が言う事を聞かず、立ち上がることが出来ない
ポケモン勝負であれば「勝負あり」の状態である

「お〜、すっごい早わざ。ルカリオちゃんつよ〜い」

元来の無愛想な性格ゆえ、社長に褒められてもルカリオはムスッと黙り込んだままであった

「オメ、いちおう社長なんだぞ!ちっとは愛想よくしろや!」
「ワウ、ワウ」
「そんなことより社長、兄貴、いいかげん準備を始めましょうや」

呆気に取られるタブンネたち、そしてさらに激しく泣くベビたちの前で3人の人間は作業を始める
作業といってもタブンネたちの拘束を解き、べビを網から出すだけなのですぐに終わるのだが
「いちおうって何?」と兄貴分に言いたかった社長だが、
話題が変わると残念ながら完全に突っ込むタイミングを逃してしまった

212ショーケースの裏側で:2018/04/06(金) 00:53:00 ID:Dxc7CVbQ0
「…ミィ?」

ハッと起き上った怒りンネ、その眼前には2匹の友とベビたちの姿が
仲間たちは固く縛られていたはずの手足は解かれ、慣れない環境に怯えるベビたちを宥めようとしている
そして怪我をしていたはずの自分の手足には白いものが巻かれている
包帯で治療した後なのだが、野生のタブンネにその意味を理解することは出来なかった
先ほどまでいた人間たちの姿はない。が、そう遠くない場所に潜んでいる事は丸わかりだ
他に違和感があるものと言えば、天井から果実のようにぶら下がる見たことがない物体だ
シャー、ウィーンと聞き慣れぬ音がかすかに聞こえる事と、
目玉のような光る何かがこちらに向いていて、何かに見られているような気になる事が怒りンネの不安を煽る

「さ〜て、このタブンネちゃんたちで大丈夫かな〜」
「…期待できる気がしませんがね」


その頃、3人は別室でノートパソコンを見つめていた
ウィンドウの中に映るのは、先ほどの部屋のタブンネたち
一般家庭用の防犯カメラで監視をしているのだ
既に察している方も多いだろうが、
このママンネたちは商品となるベビの世話をさせるために連れてこられたのだ
わざわざモニターで監視しているのは。都合のいいタブンネかどうか見極め中というわけだ

「あっ、ベビちゃんたちがお乳をせがみだしたよ」
「へぇ、ちっとは環境に慣れてきたみてーですな」

さっきのドタバタした状況ではどれがどのタブンネかすら分かってなかったが、
腰を据えて観察してみるとタブンネそれぞれの個性が見えてくる
ちなみに男たちが一緒に連れてきたベビは8匹。どれがどれの子か3人ははわかっていない

「ミミィ!ミーミ!」「チィーチ!チィ!」「ヂャァァァァァ!!!ビャァァァァ!!!」
「…こいつぁガキの扱いが下手ですな」「うぇ〜、泣かせちゃってるよ〜」

連れてきた際に威嚇していたタブンネ。
後頭部に識別用の青いマーカーが付けられているので以後青ンネとしておく
8匹のベビの内なんと6匹がこいつの実子なのが観察のうちに判明した
だが見るからにベビの扱いが下手であり
母乳を飲ませる際、位置が悪いと尻尾を引っ張ったり顔を押して退かしたりと粗雑そのものだ
当然ベビも母の胸の前で泣くわ怒るわの大混乱だ
元来自信過剰で無鉄砲な性格であり、自分の親としての器を知らずに産み過ぎた結果である
ちなみに先ほどデコピンをされていた幼いタブンネはこいつの子だ

「ミミ!ミッ!」「チィチ!」「チチ…」

兄貴分に突進したタブンネ。
先のそれと同じ箇所にに黒いマーカーが押されたので黒ンネと呼称する
8匹中2匹がこのタブンネの実子である
こいつはなかなか堅実でしっかりした性格なのだが、母親としてはいささか頭が堅すぎるきらいがあるようだ
授乳を済ませると甘えようとするベビたちを諌め、胡坐をかいたまま聞き耳を立てて周囲を警戒している
このような状況ではベビに甘えさせてる場合ではないというのは賢明な判断だが
ベビ達にそんな理屈が分る筈もなく、泣きそうな顔でしょぼくれてしまうのであった

「ミィーミ、ミーミ」「チィィ…」「チーチ」

最後にベビ入りの洗濯ネットを開けようとしていたタブンネ
赤いマーカーが付けられたこいつは赤ンネと呼ぶ事にしよう
授乳をしないことからママンネではない事が判明した
青ンネと非常に仲がよく常にすぐ側に居るので、姉妹なのではないかと推測されている
このタブンネは青とは違い優しく気配りができる性格で
青ンネが授乳してる際に、泣いてしまったりお乳が上手く飲めなかったりしたベビのフォローをしている
泣くべビがいれば人間がするように抱っこしてゆさゆさと揺すってあやし
怒るベビがいれば抱き寄せて頭を撫でながら宥め
ウンチをしてしまったベビが居ればお尻を拭いてあげたりと授乳をしなくてもかなり忙しい
というか、授乳以外の全てを赤ンネに任せっきりと言っても過言ではない

213ショーケースの裏側で:2018/04/06(金) 00:53:59 ID:Dxc7CVbQ0
「青の奴はダメっぽいですなぁ、」
「そうだね〜、あの子と比べるとね。でも一応次の実験を見てからにしようよ。リマ君、おねがい」
「へい、行ってきまさぁ」

弟分は大きな袋を持って部屋に戻ってきた
中身はタブンネたちの餌となる野菜クズとそれからあと一つ大事な物だ

「ホレ、メシの時間だぜ」
「ミッ?!」「ミッミ!!」「ミィ!」

弟分はガチャリとカギを解いてドアを開け、大小の紙袋を置いて素早く外に出る
大きいものは30kgサイズの米袋、小さいのは社長のアレを買った時のドラッグストアの紙袋だ
大きいほうの中身はタブンネたちの餌として近くの町のスーパーや農場からタダ同然で調達してきた物で
言うまでもなくママンネたちの餌なのだが
餌が入っているのを知らないタブンネ達にしてみれば敵が置いて行った得体の知れぬ物体
もちろん警戒し、近づこうとしない

「ウミ〜〜ン♪」
「ミ!ミィ!」「ミッミィ!」

しかし不意に袋が倒れてキャベツの尻とサツマイモの端が姿を覗かせると
青ンネが授乳をおっぽり出し、黒ンネが止めるのも聞かず食べに行ってしまった
乳に吸いついていたベビは振り落とされ号泣し、赤ンネが慌ててあやしに入る
刈り取りが終わってしばらく経つ麦畑でわずかな落ち穂をチビチビ食べていたという行動からお察しの通り
青ンネはこの数日間かなり空腹だったのだ。ほかの2匹も同じくらい空腹だということはさておき
もちろんこの様子はカメラでバッチリ取られており、見ていた2人の失笑を買った

「ウハハ!あいつやっぱりバカタブですなー」
「ぷぷ〜っw いくらなんでも食い意地張りすぎだよ〜w」

「ンミ?」

聴力の賜物か、誰かにバカにされているのを感づいた青ンネ
無駄にプライドが高いタブンネであり、バカにされるのが大嫌いなのだ
それでも食べるのを止めない所が最高にバカなのだが

「ヂィィ…」
「ミ?」「ミィ?」

今度は小さいほうの紙袋がガサガサと音を立てながら倒れ、中からベビンネが這い出してきた
このタブンネたちのベビより少し大きい、ようやく立っちが出来るようになった位のベビだ
このベビが今回の実験の肝、このタブンネたちが仕事に使えるかどうかの試金石である
見知らぬべビにどう対応するかを見て、商品となるベビンネを保育させるのに使えるかを判断するのだ
ちなみに前日に調達して来たベビで、実験に都合のよい状態にするべく
閉所監禁24時間、絶食16時間の処置を施され、心身とも程よくやつれた状態になっている

214ショーケースの裏側で:2018/04/06(金) 00:55:15 ID:Dxc7CVbQ0
「チィィ、チィ…」
「ミッ? ミーミ」

まず最初に試金ベビの一番近くにいた青ンネである
一瞥してお互いに目が合ったものの、特に構う事もなくプイと顔を逸らしまた食事に戻ってしまう

「チィィ、チィチィ!」
「ミミ!!」
「ヂィィ… 」

それでも大人に助けてほしくて縋りつく試金ベビを、あろうことか手で押しのけて大声で威嚇
人語で表すなら邪魔するなと叱りつけて追い払ってしまった。
久しぶりのまともな食事を邪魔されたくなかったのであるが、あまりにもあんまりな対応である
哀れな試金ベビは半ベソかきながらのよちよち歩きで逃げて行ってしまった

「ミッ?」
「チーチ、チィ…」

次に試金ベビが頼ったのは黒ンネ、今だに寝そべって授乳中である
先ほどの青ンネから受けた心傷から、助けて欲しくて近づいたのは変わらないが若干恐る恐るだ
あのバカとは違い、迷い子を捨てては置けぬという良識が黒ンネにはあった

「チィーチィ… チィー…」
「ミミ…」

静かに眼を閉じ、聴覚を研ぎ澄ませて聞き耳を立てる
回り、いや、辺り一帯の音でこのベビの親タブンネを探そうというのだ
タブンネがタブンネを探す時はこれが一番確実なのである
しかし聞こえてくるのは聞きなれぬ人間の機械の音に十数匹の子タブンネの悲しげな声
さらに耳を凝らしてみても入ってくるのは車の音、タブンネではないポケモンの足音…
結局、試金ベビの母親と思しきタブンネは黒ンネの耳に入る範囲には居なかった
実際に居ないのだからその聴力は正確無比ではあるのだが

「ミッ、ミッ、ミミミ…」
「チィー…」

母親の不在を伝えられると、しゅんと耳が下がり、悲しそうな顔をする試金ベビ
ママがいなくて大ショックという様相でないのは、ベビ自身も聴覚で薄々分かってはいたからである
黒ンネはそんなベビを頭を撫でながら慰めた
「そのうち会えるさ」と何とも無責任な慰めをしなくてはならなかったのが
彼女にとってとても悔しい所だ

「チィィ…」
「ミグッ?!」

ベビの心は幾分かは落ち着いた
しかし、その視線が乳を飲む黒ンネのベビ達に移ると黒ンネはギョッとして体を強張らせた
前述のとおり黒ンネも腹ぺこの栄養不足、授乳できてはいるものの乳の量は僅かで
はっきり言って他タブのベビに分けてやる余裕などない

「ミッ!ミッ!」

サッとわが子を隠すように片腕で覆い、軽い威嚇の様にキツめに鳴く黒ンネ
体に余裕があれば分けてやったのだろうが、今はどうしても駄目だ
乳を飲んでる筈の自分のベビ達も肥立ちが良くなく、かなり不安なのだ
しかし、それでもベビはその視線を別に向けなかった。すごく怖がってはいるが
飢え切ったベビが母乳を目の前にして、どうして我慢ができようか、

「チィチィ… チィチィ…」

ベビンネは空色の瞳に溜めた涙をぽろぽろと零しながら、お乳をせがむ鳴き方でか細く鳴いた
『おちちちょうだい… おちちひとくちだけちょうだい…」
その切なく、悲痛な声は黒ンネの心を揺さぶり、息が詰まるほどの罪悪感で大いに苦しめる
そして、とても残念なことに、今の彼女はその心の痛みに耐えることは出来なかった

215ショーケースの裏側で:2018/04/06(金) 00:56:46 ID:Dxc7CVbQ0
「ミガァーーーーーーーーッ!!!!」
「ヂィィィィーーーーーーーーーー!!!!」
「ビビッ?!」「ヂッ?!」

切なる懇願によってベビにもたらされたのは、剣道の気合の如き怒声である
あまりの声量と迫力に部屋のタブンネたち
そして、別室に置かれている子タブンネたちすらもみな一様に驚きびくりと体を震わせる
罪悪感を怒りに変え、相手に叩きつける… ある意味逆ギレに近い心境か
これを至近距離で直撃した試金ベビは全身が凍てつくほどに恐怖し
コテンと尻餅をついておまけに糞までちびってしまう
そして恐れおののきながら早足のハイハイで黒ンネにしっぽを向けて逃げて行ってしまった

「ヂィィィィィ!ビィィィィ!!」「ビャァァァァー!!ヂュィィィィ!!」
「ミィ、ミィミィ、ミィミィ…」

試金ベビのみならず、乳を飲んでいた黒ンネのベビたちも巻き添えで泣き出す始末だ
慌ててわが子をあやそうとぎこちない手つきで頑張る黒ンネだが
生来どうにもこういった事は苦手である
決して表に出すことは無いが、心の中で目の前のわが子にも負けぬ程に泣いていた
お腹を空かせたベビを怒鳴って追い払うなど、誰が好んでやるものか
本当は助けてやりたい、抱きしめて乳だっていくらでも吸わせてやりたかった
だが今の自分は赤子の空腹すら十分に満たせぬ無力なママンネ
わが子の命を守るには鬼にもならねばならぬのだ
唇を噛みしめ、尻を汚して己から遠ざかる哀れな母無し子に胸の内で必死に詫びた

「ヂィ… ヂグゥ… グズッ…」

もはや同族のタブンネさえも信じられず、部屋の隅で丸まって震えながらメソメソと泣く試金ベビ
両親は消え失せ、他のの大人タブンネたちからは疎まれ拒まれる…
他者の助けが無くては生きられないベビにとって、この状態には死にも等しい
赤子にそんな小難しい理屈は分る筈もないが、その小さな心の中はは絶望で一杯だ
そんな時、急に手足が床から離れ、体が宙に浮く

「ヂヂッ?ヂッ!ヂヂーッ!!」

何が起きたかわからず怖くなって手足をバタつかせていると、背中に温かいものがふわりと触れた
どうにかベビたちをあやし終わった赤ンネが試金ベビを抱き上げたのである

「ヂヂィ!!ヂヂィー!!ヂャーーーー!!」
「ミィィ、ミィミィ♪」

未だ恐慌状態の試金ベビは訳も分らず腕の中で手足を振り回して大暴れするが、
赤ンネは手慣れた様子で宥めながらそれをいなし、
そして疲れて暴れるのを止めたのを見計らい、ベビの耳をそっと胸に押しつけながら抱きしめた
チビママンネや女子社員もやっていた、あの心音でベビンネを落ち着かせる方法である

「ヂヂィ… ヂヂ…? ヂヂィ… ヂィ…?」

ようやく優しい大人に出会って安心したのか、胸に顔を埋めて落ち着いた様子だ
こうすることで怖い他のタブンネを見ないようにしてるのだ
ところで、上記の鳴き声に不自然に疑問符が混じっているが
これはベビンネが安らぎつつも何か違和感を感じているからである




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