したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。

タブンネ刑務所14

116ショーケースの裏側で:2017/07/06(木) 05:20:23 ID:wkpBM6l60
「フューッ、フィー、フィ〜」
「ググググッ!グググッ!ギギ…!」「フ… フィ…」

悲鳴から効果を確信したシルフィは、加減することなく妖精の風を巣の中に送り続ける
狭い巣の中では風が逃げ場なく全体に吹きわたり、さながら妖精の食器乾燥機といった様相だ
その地獄と化した我が家で、お隣ンネはわが子に覆いかぶさって風から守っていた

妖精の風が当たる箇所、すなわち背中全体は激痛と共に毛が抜け落ち、じわりと血が滲む
敏感な耳はそれにも遙かに勝る想像を絶する激痛に覆われ、お隣ンネの精神を幾度となく気絶寸前に追い込んだ
瞼にも風が当たって血が滲み、目を開けようものなら失明は免れないだろう
呼吸も満足にできない。一息吸っただけで肺に激痛が走ったからだ

だがそんな拷問にもお隣ンネは子供を守るために歯を食いしばって必死に耐え続ける
激痛に震えながらも庇う姿勢は崩さず、床に敷かれた枯草の床から僅かな土臭い空気を吸って息を繋ぐ
蹴られンネもそんな母の強さを触覚から感じ取り、息苦しさと痛い隙間風を懸命に耐えた


「…ミ、ミ?」
「フィッフィ…」

反応が芳しくないのが気に食わず、シルフィは妖精の風を煽るのを止めた
巣の中では突然風が止んだことに親子でひとまずはホッとしたが、
お隣ンネは油断をせずにすぐに次の行動に移った
入口を完全に塞いで風を送れないようにしようと、床の藁をひと固まり手に取った瞬間である
その時、タブンネの親子は暗闇の巣の中で月を見た

一方、巣の外のチビママンネであるが、怯えるわが子を抱いたままでは攻撃する事もできず、
かと言ってピンチの仲間を見捨てて逃げることも出来ず
つまり何をしていいか分からずただうろたえながら見ているだけだった
その見てる前でシルフィの体が光り、何か光の塊のようなものを巣の内部に吐き出していく
そしてキーン、キーンと高い音がしたかと思うと、お隣ンネの巣の屋根がまるで電灯のようにパッと光った

「ミ、ミィ?!」

異常な事態に困惑し、恐れるばかりのチビママンネの目の前で屋根は6回も光った
この頃になると一応お隣ンネが攻撃されているということだけは分かっていた
光るたびに巣の中からお隣ンネの悶え苦しむ音が聞こえてきたから
もはや小ベビンネは関係なく、ただ恐怖で足が竦んで動けなかった

「フィフィー!」
「ミッ?!ミッミ!」

巣の反対側からガサガサと草を踏む音が鳴り、シルフィはタタタと小走りでそこに駆け寄り
チビママンネも距離を取りながらも焦ってその後を追った

「ミヒィ・・・!」「フフッフフィ〜♪」
「グジィー グジィー…」


巣の中から這い出てきたそれが目に入った瞬間、チビママンネは戦慄し、シルフィはフィッフィと嬉しそうに笑った
居た、血と粘液に塗れた赤い肉の塊。お隣ンネのなれの果て、全身の皮を失った姿である
もちろん顔の皮も全て無くなっており、眼球もなく、折れた歯と歯茎を剥き出しにしたそれは何ともおぞましい
肘から先が無くなって白い骨が突き出た腕、ひん曲がって動かなくなった足で地面を這い、
地面に血の跡を残しながらゆっくりとではあるが逃げるように巣から遠ざかっていく

ここで説明しておくとシルフィの放った光の玉はムーンフォースと呼ばれる技だ
現在確認されているフェアリータイプの技の中では最も強力とされている技で
月から由来するエネルギーを炸裂する光弾として打ち出すという何とも美しい技だ
しかしシルフィのそれは見た目とは裏腹に余りにも残酷無比である

何の加減もなく闇雲に巣の中へ打ち出した光弾はお隣ンネ直撃はしなかったものの、
狭い巣の中での破裂は妖精の風のダメージを残していた半身の皮膚を容赦なく吹き飛ばした
その後のムーンフォースも直撃だけはしなかったものの、手足目耳、ついでに残ってた皮まで奪い去り
今の肉ダルマ状態になるに至ったというわけだ

「グジッ、グジッ、グジィィィィ」

お隣ンネ余りの負傷に恐慌して巣から逃げ出したかと思うだろうが、そうではない
この逃走は自分が食われているうちにわが子を逃がすという最後の作戦、哀しき最後の母の愛なのだ
だが誤算だったのはシルフィは食うために蹴られンネを襲ったのではない
タブンネで遊ぶために襲ったのだ




掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板