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大河×竜児ラブラブ妄想スレ 新避難所

1まとめ人 ◆SRBwYxZ8yY:2009/06/16(火) 03:01:04
ここは とらドラ! の主人公、逢坂大河と高須竜児のカップリングについて様々な妄想をするスレの避難所です。
アクセス規制で本スレに書けない、とかスレに書けないような18禁のエロエロ話を投下したい時とかに
お使いください。

283◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/09(木) 22:45:32 ID:???
「あっ! あっ! あっ! あっ!」
 必死で甘く応える大河の声が、速度を上げた注挿と同期する。
 それもまた可愛いのだった。
 竜児は高まっていく。
 竜児はやがて激しく腰をふりたくる。
 大河の身体を信じて、遠慮なく貫きまくる。
 大河の胸の上で、ちいさな乳が薄いプリンのように揺れる。
「っ! っ! ! ! ……!」
 喘ぎ声すら追いつかず、大河は目蓋をきつく結んで、ただただ唇からちいさな桜色の舌を出したまま震えるばかり。
 なにもかも可愛い。
 竜児は高まる。
 おのれも息を詰め、歯を食いしばって汗を散らす。
「し、死んじゃう! 死んじゃう!」 
 かつて知らないほど高められてしまった大河が叫ぶ。
「イって! りゅうじっ! イって!」
 必死で懇願してくる。
 果てることで応えようと、竜児は目すらつぶって、獣のように尻をふりたくった。
 ひたすらに、ひたすらに、ふりたくった。
 けれど。
 竜児は不意に、その動きを止めてしまう。
 驚いたように双眸をかっと見開き、大河の向こうの畳を見やる。だが畳など見ていないのだ。
 息を詰めていた分、ただただ激しく喘ぐ。
 射精はしていない。
 先に竜児の体力の限界が来たのだった。疲れ果てた。いささか情けなかった。
 一方、大河はといえば、動きを止められるのも駄目なのだった。
「あ……っ! りゅ、じ、ご、ごめ、なさい、ま、またっ!」
 切れぎれに詫びて、絶頂してしまう。
 白く激しく美しい、大河の絶頂を眺めて。感じて。
 喘ぎながら竜児は涙を流す。
 涙しながら、竜児は気づいたのだった。
 おのれが大河の絶頂にも、精液搾取の反射にも、射精しなかったのは、耐えていたせいではなかったらしいということに。
 初めて体験するつながりによって、大河の身体によって、知らぬところまでおそろしいほどに高められているのは感じていても、なお、竜児は。
 どうやら俺は、たんに射精できないのかもしれない――

  * * *

 つながってから、これがもう何度目かはわからない。
 けれどそれは、何度見ても素晴らしかった。
 大河の絶頂を眼下にしながら、汗まみれに喘ぎながら竜児はやはり涙を流す。
 初めて遠慮なく激しく腰を使った後も、竜児は体力の回復を待って、注挿を再開した。
 二度、三度と、狂おしく腰を振りたくり、挑戦した。そして。
 挑戦して、敗北するたびに、確信は深まっていく。
 俺は射精できない。
 大河にだけは気づかれまいと、楽しむ素振りすら見せて、竜児は休憩をはさんで体力の回復を待つ。
 それまでに大河からは何度も、射精するよう懇願された。哀願された。
 これが竜児の責めであると、遊びであると意地悪であると、大河には思われた方がいい。
 そう大河には思っていて欲しい。
 勃起が萎えないことだけが、唯一の救いだった。
 大河に気取られまいと、快感に苛まれてとろけきった大河の瞳に微笑みを見せて、ふたたびゆるやかな注挿を開始しながら。
 竜児はまったく困惑していた。

284◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/09(木) 22:46:28 ID:???
 なぜだかがわからない。
 驚くほどに高まっているはずなのに、どうしても射精のトリガーが身体の内部で引かれる気配がない。
 下腹部のどこか、勃起の付け根、睾丸の奥あたりに感じるはずの、やはりスイッチを連想させる、あの感覚だけがまったく遠い。
 どうすればいいのかがわからない。
 想像の中で大河を犯し、射精したことなら幾度もあった。なのに。
 想像をはるかに越えて素晴らしい、大河との心と肉のつながりをこの現実に得ているというのに、なぜおのれは射精できない。
 こんなことがあるものだとは思いもよらなかった。
 他の男も、こんな困難に見舞われることがあるのだろうか。
 なにか技術があるのだろうか。
 まったくわからない。教えられても、知らされてもいない。
 やはり、おのれで解決法を見つけるしかないのだ。
 しかも、これこそ、今度こそ、自分ひとりで見つけるほかはない。
 今夜、竜児が学んだ多くのことは、すべて大河とふたりで見出して来たのだった。
 大河を可愛がる方法、大河とつながる方法。
 未熟な竜児に、大河はこの上もなく大切なはずの自分の身体のすべてを捧げてくれた。ゆだねてくれた。
 そうして、すべてをふたりで探り当てて来たのだ。
 だが、これこそ、今度こそ、竜児はひとりで見出さねばならない。なぜなら。
 竜児が射精できないと知れば、きっと大河はむしろ自分に問題があると、大河の身体に問題があると、考えるはずだからだ。
 竜児をひどく罵りもするくせに、もっとも大事なぎりぎりのところで大河はいつも優しい。
 竜児を傷つけるくらいなら自分が傷ついた方がましだと、常に迷わず選ぶような女なのだ。
 しかしその想いは、逆に竜児のものでもあった。
 竜児は自分が優しいなどとは思わない。だが、大河が傷つくくらいなら、おのれが傷ついた方が全然ましなのだった。
 愛しているから、だと思う。
 愛しているから、隠さねばならない。
 けれど、また。
 大河も竜児を愛しているのだ。
 そして大河は竜児よりも何倍も鋭い。
 遅かった。
「竜児、どうしたの……?」
 愛してくれる者から、隠しきれるものなどないのだった。
「大河……」
 大河の眼差しがこわくて、竜児は一瞬、目を泳がしかける。
「竜児っ」
 優しく叱咤されて、竜児は観念して大河の瞳を見て、おのれの目の奥を晒した。
 大河の宝石のような瞳が吸い込む光とともに、俺の心も吸われていくなどと、竜児はつい思ってしまう。
 本当に、そうなのかもしれなかった。
 大河はもう答えを得たのかもしれなかった。けれど。
「どうしたの? 竜児。教えて、私に」
 声音こそ穏やかに、しかし大河はあくまで竜児の口から聞かせて欲しいと、挑んでくる。
 震えていても、喘いでいても、猛獣の瞳。
 場違いにも、竜児はちょっと痺れてしまった。これが俺の女なのだ。
 そして今は、ふたりですべてを生きていく同志。
「おう。どうも射精できないらしい」
 応えて、素直に告白する。大河は震えない。
 竜児が素直に言ったことに対して、大河は微笑んでくれたようだった。まるでご褒美のようだった。
「そう……で、竜児は、どうしたいの?」
 どうしたいの、と来た。
 なるほどと竜児は思う。
 射精をしない、と決める手もあるのだった。
 ふたりは確かにつながることに成功したのだ。
 だから射精をせず、このまま終わるという手もある。けれど。
 竜児には欲もあった。愛もあった。
「さっき言った通りだ。俺は射精したい。おまえに、それを見せたい」

285◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/09(木) 22:47:29 ID:???
「……うん、わかった。私も竜児に射精して欲しい。私で、気持ちよくなって欲しい」
 惚れぼれとする猛虎の瞳はそのままに、大河は頬を薔薇色に染めあげた。
「さて……どうすればいいんだろね……?」
 そう言って、大河は瞳を眇めて竜児からも視線をそらし、唇も結んで思案顔になる。
 つまりは、ふたりで見つけようね、ということなのだった、大河は。
 今度こそはひとりで、などと悩んでいた竜児は、また危うくヘマをやらかしかけていたらしい。
 大河が呼ばわるとおり、俺はまったく馬鹿な奴だと、竜児は思う。
 ふたりで生きていくとはどういうことなのか、いまいちよくわかっていない。
 ふたりで生きていくとはこういうことだと、大河の方がよっぽどわかっているようだった。
 おまえがいなければ駄目だと、竜児は思う。
 おまえが愛を教えてくれるのだと、竜児は思う。
「愛しているよ、大河」
「へっ? なに? なによ……っ! あ、愛しているわよ、私だって。……あ、言えた」
 あれほど妙に、言うのに苦労していた言葉を、さらっと言ってしまって大河は気づいた。そしてコロコロと表情を変える。
 やった言えたわーい、と瞳を細めて唇をほころばせ。そうかと思えばすぐに、えーでもこんなん……? と、瞳も眇めて唇もつんと尖がらせる。そしてまた微笑んで……と表情のセットを繰り返す。つまりはまったくいつもの大河であった。
 さすがの鈍で鳴らした竜児も気づく。
「おまえひょっとして、さっき言いたかったことって、愛してるってことか?」
 でもそんな指摘自体がまさに鈍感であるのには気づかない。これまたいつもの竜児なのだった。
「うわあ、あんた。モロに言わないでよ。なんかさらに台無し感が……まあ、そうよ。言いたかったの、それを、あんたに。あーあ、だけどなんかもっとこう、激しくロマンティックな感じで言いたかったな……」
 などと言って、結局、大河は薔薇の唇を蕾と尖らせたところで表情を落ち着かせてしまう。
 べつにおねだりと勘違いしたわけではないけれど、竜児はその大河の唇を、唇でひとつ、ついばんで言った。
「じゃあ、俺がおまえの中でイッた時に、聞かせてくれよ。もう一度」
 そんなことを言われたら、想わずにはいられなくて。大河はまたへその下を熱く疼かせて、つい竜児のものをきゅっと締め付けてしまう。跳ね返ってきた快感に、震えながら切なげに耐えて、
「い、言いたいけど……自信ない」
 恥ずかしいのか、照れたように微笑んで大河は言う。
「きっと私、そんなの……だ、駄目だもん……」
 竜児に射精されたら、私もイクに決まってるもん……と。
 竜児は少し驚いたように眉を上げて、それからまた優しげに(大河にはわかる)目を細めて、もう一度、大河の唇をついばんでくれた。
 優しい竜児、大好きな竜児。
 気持ちよくなって欲しい。でも、どうすれば。
 考えるだけではよくわからないから、大河は訊いてみるしかない。
「竜児は、射精したことあるんだよね?」
「おう……そりゃあ、あるよ。もちろん」
「ん……じゃあ、その方法は使えないの……?」
 すると竜児は、急にどぎまぎして、頬なんか気持ち悪い(でも大河は可愛いと思う)ピンク色にしてみせる。
「方法って、手でこする、とかか? あ、いや、そうじゃねえよな……」
 ほうほう手でこするとは。
 思わず大河は興味津々、詳しく訊きたくなる。
「そうじゃない、ってことは……ほ、他の方法とかも、あるの?」
 すると竜児はいよいよ耳まで真っ赤にして、薄い唇を尖らせて。本当のことを言ってくれる時の顔をして、ぶつぶつと呟く。
「方法ってか……お、おまえなんだよ」
「へ?……わ、私?」
「おう……ほんとにわかんねえのか? わ、わかんねえか……ああくそ、だからな」
 とうとう竜児は目をつぶり、急に痒くなったみたいに頭なんか掻きだして。
 やがて、うしっ、と決意のうなずき。目を開いて大河を見つけて、それでもやっぱり唇を突き出して。なんで不平でも漏らすように言うのだか。
「お、おまえを想って、するんだよ……」

286◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/09(木) 22:49:42 ID:???
「え? ……えーっ!?」
 竜児の言葉が腑に落ちて、大河は驚いて、絶句してしまう。
 驚いたけれど、やっぱりずきずきしてしまうのだった。なんだかすごく、嬉しいみたい。
「そんな驚くことじゃねえだろ……。とっ、当然じゃねえか……と、当然、なんだよ」
 当然というわりには何度もどもって、竜児は今度は正真正銘、不服そうに言う。
 大河はなんだか胸もどきどき。
「とっ、当然なんだ……わ、私で、したの……一回、だけ……?」
 ふう、と竜児がついたため息は、観念のため息のようだった。
「何度もしたよ。数もわかんねえくらい。おまえを想って、何度もした……射精した」
「はっ、はうっ。はう……っ!」
 ずきずきがきつくなって、大河は思わず喘いでしまう。竜児はすぐにおちんちんを大きくして、私のあそこは勝手に竜児のを何度も締めつけて、困ってしまう。思わず言ってしまう。
「りゅ、竜児の、えっち……っ」
「……ほんとな。俺も驚いた。おまえにはえっちなんだよ、俺」
 そんなことを言われても、やっぱり嬉しいのだった。
 そう、でも。だけど、すると。
「じゃ、じゃあ、なんで射精できないんだろ……?」
 つながってるのに……と大河は独り言してしまう。
 私を想って何度も射精したというのに、その私とつながってさえいるのに、竜児は射精できないというのだった。
 じゃあ、すると。やっぱり。そんなのやだけど。
「わ、私の身体がいけないのかな……?」
 そんなことしちゃだめなのに、我慢できなくて。つい大河はすがるように上目遣いで竜児の顔を見てしまう。
「いや、それはない」
 一切、躊躇も間もなく、竜児は断言する。
「おまえの身体は最高だよ……まあ、おまえが最高なんだが、とりあえず……おまえの身体は最高だと思う。こんなにえっちで可愛い女、ほかにいるわけねえ。おまえで射精できなかったら人類が滅ぶ」
 いきなり人類の命運とか担っちゃたりして、でも竜児は本気なのだった。大真面目で淀みなく言ってのける。
 そんなの嬉しいに決まってるけど、バカだとも思ったり。
「ほ、褒めすぎ。他の娘なんか、知らないくせに……」
「まあな、確かに他の女は知らねえ。おまえが初めてで……最後の女だ、俺には」
 こんなの駄目。まっすぐ、ほだされてしまう。
 名前を呼ぶのがせいいっぱい。
「竜児……」
 けれど負けじと、大河も一生懸命に言う。
「わ、私も……私もなの。竜児が初めてなの……竜児にしか、あげないの……」
 竜児は嬉しそうに、優しい目(私にはそう見えるの!)をして、微笑んでくれた。
「そうか……じゃあ」
 そこで竜児は言葉を区切って顔を寄せ、またひとつ、薄くて熱い唇で大河の唇をついばんで、
「いっぱいえっちなことしような、大河」
 吐息の届く近さで語りかける。
 大河は驚いて、嬉しくて、声も甘くとろけてしまう。
「りゅ、竜児……っ」
 ずきずきっ! と、大河のへその下が甘く激しく疼く。あまりの刺激に閉じた目蓋の長い睫毛も震わせて大河は耐える。
「これからずっと、たくさんえっちなこと、しような、大河。……ずっと、ずっと、いっぱい可愛がってやるからな、大河……」
 そんなの、嬉しくて。駄目。
「あう……っ、りゅ、りゅうじ……っ」
 あまりにずきずきして、大河はとうとう甘い喘ぎを漏らす。指先までも甘く痺れる。

287◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/09(木) 22:50:24 ID:???
 目蓋を開けば、潤んだ瞳に星を揺らして竜児を見つめて、大河は応える。
「う、うんっ、うんっ。う、嬉しい……っ。い、いっぱい、可愛がってね? わ、私、可愛くするから、がんばるから……だから、ずっとずっと、可愛がってね? 竜児……っ」
「がんばんなよ。遅いんだよ。おまえもう、とっくに可愛いんだよ。この世で一番可愛いんだよ、ダントツだよ、おまえは……俺に、とっては」
「竜児……」
「離さねえぞ」
 こわくて優しい眼差しで大河の瞳を捉えて、声音も低く優しくして、竜児はそう言った。
 その短い誓いの一言が、瞬間、誰も――竜児さえも大河すらも思わぬ重さと鋭さを得て、心も身体も貫いて大河の魂に届く。



 かつて愛があったようだった。
 なぜならば離されて、そこが癒えぬ傷となったからだ。
 いつまでも思い出したように血を吹き流す、ふたがれることのない傷があるから。
 先に心の傷があるのだった。そしてそれより先には遡ることができない。
 遡っても、かつて一度も愛などなかったとしか思えない。
 ただ傷が――不思議と血を止めぬ傷が心にあるから。
 私はどうも、もがれては癒えない何かをもぎ取られたらしいと。
 離されてはいけない何かから離されてしまったらしいと。
 大河はときどき他人事のように、血を流す心の傷を眺めてきた。
 へえ、まだ出るものなのねと。
 もう私は痛くないのに。
 不思議、と。
 もがれたもの、離れたものは何なのか。
 愛かと思えば、鼻で笑ってしまうのだ。
 そんなものなわけはない。
 なぜならそんなものは心のどこにも見当たらないからだ。
 ただ傷しか、見当たらないじゃない。



 それは言葉に過ぎない。
 けれどそれは大河が愛する者の言葉だった。
 自分よりも、大切に思えるひとの言葉だった。
 想い人から好かれない私は切なく悲しく哀れだと、恋が否応無く鍛え上げたおのれ自身への愛を越えて。にもかかわらずそのおのれよりも大切だと、心の底から初めて想えた、ただひとりのひとの言葉だった。
 ただ見ているだけで、生きてさえいけると思えたほどの、ひとの言葉だった。
 だから、だというのか。
 魂に届いた言葉はひるがえって、大河の心の傷を焼いた。そして求めていたものが何かを大河に知らせた。
 身体へとひるがえったそれは、大河の唇をわななかせ、瞳から涙となって出た。
 この涙を見ても竜児は驚かない。
 ただひたすらに優しく、愛しさを込めた眼差しで大河を見つめてくれるだけ。
 竜児は幾多もの大河の涙たちから、きっとこの特別な涙を見分けることが出来ない。それでも。
 知らずに、大河すら知らなかった求めているものをくれるひと。
 愛している、私の奇跡。
 竜児。
「竜児……嬉しい」
 ようやく微笑んで、大河が言った言葉は、ただそれだけ。
 離さないで、とも言わないで。なぜなら。
 離さないで、なんて言っても、意味はないから。
 離さないで、と言っても、離れるものは離れることを、大河は知っているから。
 だから。
「私も、離さないよ、竜児……」
 今は、それだけと、誓って。
 いつか、教えてあげると思って。
 こみあげる愛しさにまかせて。
 大河はおのれから薔薇色の唇を竜児の唇に逢わせた。

288◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/09(木) 22:54:24 ID:???
 衝撃で取り戻してしまった心。その心から身体を取り戻したくて、唇を唇でついばんだ。
 魔法よもう一度解けてと、竜児の舌に舌を絡めた。
 竜児の言葉に貫かれたように、竜児の身体に貫かれたくて。
 竜児の舌を必死で貪った。けれど。
 なかなか魔法は解けなくて。
 どうして、と。
 大河が焦りを感じ始めた時、竜児が舌を絡めるのを止める。
 駄目、駄目、と。
 大河は竜児の舌を追いかけるけれど、竜児の舌は退くばかり。
 やめてはいや。やめてはいやなの。
 けれど、とうとう竜児は唇を離す。
 大河は悲しくて涙を流す。
「やめちゃいやぁ、竜児……っ」
 懇願する。
 どうしたのだろう。嫌がられたのかと不安になる。
 けれど。
 竜児はちゃんと、愛しそうに大河を見つめてくれていて、
「やめねえよ。舌、出せ、大河」
 そう、命令してくれるのだ。
 だから大河は思わず、
「はい……」
 と返事をして。
 濡れた唇から桜色の舌を出す。
「もっと、口開けて。もっと舌、伸ばせ」
 ずきん、と、来た。
 とうとう、魔法を解除する甘い疼きの呼び声が身体に響いたのだった。
 嬉しくて、大河は別の涙を流す。
 はい、と、
「はひ……」
 口を開けたまま恥ずかしい返事をして、大河は自然と目蓋を閉じて、一生懸命、舌を伸ばす。竜児に捧げる。
「いい子だ」
 なんて、竜児は言って。
 唇と唇が触れるほど近づいて、宙に竜児へと捧げられた大河の舌の裏を、竜児の舌が舐め上げる。
 ずきずきっ!
「はっ! はっ!」
 甘い疼きがきつくて、大河はとうとう喘いでしまう。
 やっぱり竜児は助けに来てくれたのだった。
 魔法を、解きに来てくれたのだ。
 まるでおとぎ話の王子さまのよう。
 なんて素敵なの! 嬉しい! と、そう、素直に思って。
 大河は舌を竜児に嬲られるがままにゆだねる。
 へその下は毒のように甘くずきずきと疼き。
 大河が声をあげるたびに、挿し込まれた竜児が太くきつく漲っていくのが分かる。
 竜児のえっち。
「あっ! あっ! お、おっきい、の……りゅうじ、の、おっきく、なって……っ!」
「おまえが可愛い声なんか出すからだよ」
 だって、竜児なんだもん。
 竜児、大好き。
「あうっ! あうっ! 好きっ! 好きっ!」
 快感に貫かれて、大河は夢中になって竜児にしがみつく。
 それがさらに竜児を激しく勃起させる。漲りを取り戻したそれを、大河の熱く濡れたきつい穴に深く深く挿し込む。ぴっちりと、根もとまで。
 たまらなくなって、竜児も喘いでしまう。
「ああ……大河……っ」
「あっ! 奥っ、深いの! お、おっきい……っ!」
「最高の穴だ、おまえの穴、最高の穴だ……くそっ、この穴に射精してえ……!」
 射精のあの感覚を必死でとりもどしたいと、竜児は大河の奥までぴっちり挿入した勃起を、意志の力で息づくように何度も漲らせる。

289◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/09(木) 22:57:14 ID:???
 大河は竜児のいやらしい言葉に身も心も貫かれてしまった。初めてそれとわかる感覚、漲らされて脈打つようにきつくなる快感に苛まれながら、大河は必死で応えた。
「してっ! してっ! 私のに、射精して! 竜児のなの! 私の、竜児の穴なの! 竜児のためだけの穴なの! なにされてもいいの! なにされても! 私の穴、使って! 射精してっ!」
 涙をちぎって叫ぶ、驚くほどいやらしい言葉に、大河の愛があふれる。伝わる。
「た、大河……」
 竜児は涙を流す。
 その愛しい涙を見つけて、大河は一瞬、微笑んだ。
「優しい、私の竜児……遠慮しちゃ、だめ……! 私はあんたのものなの! あんたのものにして! なにしてもいいの、竜児! 私、なにされてもいい! お、おも、おもちゃみたいにして! 私を、おもちゃみたいに使って! 私の身体、私の穴、使って! 私の穴、竜児のおもちゃにして! わ、私、なりたいの、竜児なら、私、竜児の、おもちゃになりたい……っ。だって、あ、愛してるの……っ!」
 喘ぐように一気に告白して、大河は驚いたように瞳を大きく見開いた。見開かれても星を揺らして、涙もとめどなく。
 竜児もまた、眦が裂けるほどに目を見開いて、あふれる涙をこぼす。
 涙して、ただ抱きしめた。
 いったいそうするよりほか、これほどの愛におのれの何で応えられるという。
「大河……」
 大河もまた、せいいっぱい腕をまわして、竜児をきつく抱きしめ返す。
「竜児……さ、お願い、ね? おちんちん、挿して……」
「お……おう」
 うながされて、竜児は応えて腰を使い始める。勃起を引き抜いて、また深く挿し込む。
「あぁっ! りゅ、竜児、好き。愛してるの……」
 引き抜く、挿し込む。
「あっ! 好き、愛してるの……っ」
「好きだよ、愛してるよ、大河……」
 徐々に注挿の速度を上げていく。疲労は完全に消えているようだった。
「あっ! あっ! あっ! りゅ、りゅうじっ! しゅ、しゅき、あいしてるのっ!」
 快感に突き上げられ、大河は舌の根まで甘く震えさせる。
 可愛くてたまらなかった。大河の声は何度でも竜児を漲らせた。
「あーっ! りゅ、竜児……っ! あ、あのね? あの、イけって、ゆって? 命令して、欲しいの……」
 これは初めてのお願いのはずだった。竜児は少し驚いて、訊ねかえす。
「た、大河。イキたいのか?」
 大河はコクンとうなずいて、
「うん。イキたいの……イけって、め、命令して? 竜児……そしてね、私がイったら、その穴、使って……」
 竜児は息を呑んだ。
「っ! た、大河……」
「だめ、腰、止めちゃ……挿して? 挿して? あっ! あっ! そ、そう……っ!」
 うながした注挿に甘やかに応えてから、いっそ大河は微笑んで言うのだ。
「め、命令、してね? 竜児……私、いっぱいイクから。いっぱい、可愛い声、出すから。だからね? イってる時の、私の穴、使って? イってる時の穴で、おちんちんしごいて? イってる時の、私の穴、竜児のおもちゃに、して……」
 こいつをどうすればいいのか。
 たまらなかった。
「うん、うん……わかったよ、大河。するよ。イってるおまえの穴、使うよ……」
「うん……挿して! 挿して!」
 竜児は大河の悦ぶやり方で腰を使う。責めを詰める。
 大河は入り口を何度も擦られるのが好きだった。
「あっ! やっ! やっ! 竜児の、好きに動くの! 私じゃ、なくて……っ」
 大河は奥まで深くゆっくりハメられるのも好きだった。
「あーっ! りゅ、りゅうじ……っ!」
 大河は素早く引き抜かれるのも好きだった。
「あーっ! め、命令っ! 早くっ!」
「だめだよ、大河。我慢するんだ……」
 大河は子宮をつつかれるのも好きだった。
「やぁんっ! やぁんっ! ひ、ひど……っ! だ、だめだってば……っ! め、命令、してっ!」
「だめだ。まだイクな、大河」

290◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/09(木) 22:57:53 ID:???
 ぜんぶ、してやる。
「うぐ、うぐ、うーっ! んっ、んっ、んぐ! ひ、ひどっ! ひどいの! も、もう、許して! め、命令してっ! りゅ、りゅうじっ! ひ、ひど……許して、許してっ……あーっ!」
 耐えきれず舌を出して声をあげる以外、ちいさな歯を食いしばって耐え続けている大河の頬を、竜児は手のひらで優しく撫でて、
「可愛いよ大河。俺のおもちゃ。愛している。イけ」
 命令した。
 絶頂をこらえて辛そうに眇められていた大河の瞳が、わあっと花が咲くように見開かれて星を散らした。こらえて硬くしていた薔薇の唇もふわりと開いて、その一瞬の自由に、大河は、
「愛してるの。使って」
 驚くほどはっきりと、そうとだけ言って。
 絶頂した。
 痙攣して、匂いと涙と汗を散らして、大河は白く美しい動物になる。
 淡色の髪雲を従えた、熱く滑らかな動物になる。
 その動物のいやらしい穴に、竜児は漲り切った勃起を突き入れた。
 熱くきつく濡れて狭い穴に、竜児は何度も突き入れた。
「おーっ! おーっ!」
 大河が可愛い獣の声を上げる。
 精液搾取の反射に白い尻を跳ね上げる。何度も竜児をきつく締める。
 切れぎれに放尿して、竜児の股間を熱く濡らす。
 すべて捧げてくれているのだ、この女は。
 途方もない。
 おのれに何が返せるというのか。
 絶頂する大河を貫きながら、絶頂を越えて貫かれる大河の快感が竜児に流れ込んでくる。
 今夜何度もそうしてきたように、またも竜児は涙する。
 涙すら流す。
 そして、気づいた。


 俺は大河の涙を流しているのだと。


 泣きながら、突き入れて。
 竜児はとうとう気づいたのだった。
 大河がすべてを捧げてくれたから、竜児は大河の涙すら流すのだと。
 俺の身体を流れる甘い疼き。身体の奥の知らない臓器に流れ込み散る、毒のように甘い流れ。
 知らぬはずだった。そんな臓器など、俺には無い。
 それがあるのはきっと大河だ。
 大河から、来ているのだ。
 大河がすべてを捧げてくれるから。
 泣きながら、突き入れて。
 いまや今宵の初めてのキスの謎すら解けたのだと思う。
 唇におのれのすべてを込めて。
 大河は最初から竜児にぜんぶを捧げてくれていたのだ。
 だから竜児は大河の涙を流す。
 大河を苛む快感に想いを寄せて、大河を貫く快感をこの身に受け止めて。
 だから竜児は大河の涙すら流す。
 それこそが愛だと思っていた。
 これほどに愛しているのに、なぜ射精できないと思っていた。
 泣きながら、突き入れて。
 竜児にはわかった。愛はそれだけではないと。
 おそらくふたつの愛があるのだ。その両方がないと完成しないような、ふたつの愛が。
 大河が捧げ、俺が受け止める。これは愛だ。ただし奪う愛だ。
 いけないわけではない。それも無くてはならない愛だ。
 けれど、わかった。
 俺はわかっていなかったことが。

291◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/09(木) 22:59:26 ID:???
 ヒントはいくらでも、そこらじゅうにあったのだ。
 大河のように俺は美しくない。
 大河のように俺は可愛くもない。
 かといって格好良くもない。だから。
 俺は俺の身体が恥ずかしい。
 なにを考えていたというのか。
 身体にまつわる恥も哀れもなにもかもを投げうって、大河は竜児に自分のすべてを捧げてくれていたというのに。
 与えてくれていたというのに。そうだ。
 大河の愛は与える愛だ。
 それが、奪う愛と対になる、もうひとつの愛なのだ。
 泣きながら、突き入れて。
 竜児はついに決意する。
 逆にする。逆にしなければならない。
 おのれのすべてを大河に捧げる。与える。
 おのれのすべてを大河に受け止めてもらう。
 射精ができるかどうかなぞ、知ったことではなかった。とにかく。
 俺のすべてを大河に捧げなければ、愛は完成していない。
 俺のすべてを大河に奪わせなければ、愛は完成しない――
 泣きながら、突き入れて。
「大河!」
「りゅ、りゅう、じ……」
 途切れぬ絶頂に震える大河に呼びかける。
「俺はおまえのものだ、大河!」
 あふれる涙を吼えて散らす。
「俺はおまえに俺のすべてを捧げたい! 俺のすべてを奪ってくれ! 俺の涙を流して欲しいんだ、おまえに! 大河!」
 唐突な上になにがなにやら滅茶苦茶だが、竜児は思ったとおりの思いのたけをぶちまけた。けれど。
 唐突なのに、滅茶苦茶なのに。
 大河は痙攣に抗って、微笑んですらみせて。
「うん、わかった……」
 一片の謎もないかのように応えてくれたのだった。
 わけがわからないが、こいつは最高。
 俺の女は最高の女。
 思って、竜児は、優しさもここまでと、
「じゃあ、いくよ。大河」
 穏やかな声でひとつ、言って。
 大河の返事も待たずに。
 腰を激しく使い出す。
 動物になった大河を追って、おのれも動物になるために。
 獣に、なるために。



 竜児に激しく貫かれて。
 大河は狂おしい快感の中、必死に目蓋を開いて竜児を見つめていた。
 私の甘い声を燃料にして、私を貫く愛しい獣。
 渦巻き貫く毒のように甘い快感も、愛しくて大河が微笑むことを止めることは出来ない。
 喘いで、汗を散らして。私の竜児ったらひどい顔。
 月の影に下から蒼く照りかえされて、竜児の顔はスペースお化け屋敷ライド全開。
 汗が目に入ってぎゅっと閉じ、かっと見開いては私を見つめる竜児の目なんて、血走って、もう。
 殺すぞ――――――っっ!
 犯すぞ――――――っっ!
 奪うぞ――――――っっ! てなもん。
 奪ってくれとか言ってたくせに、奪う気まんまんの鬼畜犯罪者にしか見えない。
 私じゃなかったらきっと気絶モノ。心臓の弱い方はお控え下さい。
 竜児ったら汗だくで、必死で腰をふりたくり、息を詰めたり喘いだりで口も歪んでひんまがり、インコちゃんみたいなイマイチ色の舌も踊らせて、次には歯も食いしばって、まるで間近に警察が迫ってとにかく大忙しの、全力疾走の凶悪逃亡犯。
 もう笑っちゃいそう。だって竜児ったら、まるで。
 全力疾走、の。
 大河は笑わなかった。
 泣いた。

292◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/09(木) 23:05:39 ID:???
 竜児に向けた大きな瞳は光を揺らす泉になった。
 気づいたのだ。気づいて、とめどなく涙があふれる。
 大河はこの竜児を知っていた。
 私を目指して、死に物狂い。
 ひどい顔して、全力疾走。
「竜児……っ」
 文化祭のミスターコンテスト、福男レース。
 父に裏切られて、だけどミスコンテストで優勝して。
 たったひとりになった私のために。
 たったひとりになった私を目指して。
 私の傍に俺がいてやるんだ、って。
 竜児はレースに参加したのだ。参加して、そして。
 走ってくれた。
 ひどい顔して、死に物狂いで、全力疾走。
 ゴールにいる、私を目指して。
 私の、ために。
 二度と無いと、思っていた。
 あんな素晴らしいこと。
 こんな素敵なひと。
「来て……っ!」
 立ち上がらなきゃ。
 立ち上がれないけど、立ち上がらなきゃ。
 立ち上がって、今度こそ竜児を迎えるの。
 今度こそ、遠慮して座りなおしたりなんかしない。
 今度こそ、私は立ち続ける。
 私のために走ってくる、竜児のために。
 竜児が走ってくる。私のために。
 素直に叫ぶの。何度でも。
「来てっ! 来てっ!」
 そして立って迎えるの。
 ゴールに飛び込んだ竜児の胸に飛び込むの。
 涙を隠さず、甘えるの。
 大好きって、今度こそ言うの。
 今度こそ。絶対。
 そうしないと。絶対。
 こんな素晴らしいこと。
 こんな素敵なひと。
 竜児の熱く濡れた胸に、手をあてた。
 竜児の激しく振りたくられる腰に、両脚を絡めて締めつけた。
 両手を必死に伸ばして、竜児の首にしがみついた。
「来てっ! 竜児っ、来てっ!」
 私を深く貫いて、その時。
 竜児の動きが、ぴたりと止まった。
 止められるのも、駄目なのだった。
 瞬時に大河は高まって、甘い声ひとつ上げずに絶頂しそうになる。
 寸前の反射で締めつけて、跳ね返ってきた快感のあまりのキツさに息も止まって、大河は気づいた。
 驚くほど先の方まで、竜児の勃起がかつてないほど太く凄まじく漲っていることに。

293◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/09(木) 23:07:32 ID:???
「りゅ、りゅう、じ……っ」
 竜児は歯を食いしばって、静かに喘いでいた。
 すべての殺戮に勝利して、周囲を埋め尽くす亡骸をひと眺めする、勝ち誇った獣の中の獣のような目をして、薄暗い部屋のぐるりを見渡して。
 そんな目のまま、大河の瞳に目を落とす。
 そんな目のまま、優しい光を宿してみせる。
 月光の中、凄まじく、美しく、
「来たよ、大河。来た」
 とだけ、言う。
 ふたたび勝利した獣となって、来てくれた竜児。
 大河は痺れてしまう。
 なんて凄まじいのだろう。
 なんて美しいのだろう。
 これがこのひとの絶頂なのだ。
 私の竜児の、絶頂なのだ。
「じき射精する。おまえの舌をくれ、大河。俺に射精されてイっている、おまえの舌を吸いたい」
 こんなものまで、奪われるのだ。
 そんなところまで、奪ってくれるのだ。
 最高の男。
 嬉しくて、とろけて。
 来てくれた竜児を迎えるために、すべてを奪ってもらうために。大河はそっと桜色の舌を竜児に捧げた。
 大河の絶頂が来る。



 絶頂する大河の舌を吸いながら。
 絶頂する大河の穴めがけて最期と尻をふりたくる。
 すでにスイッチは入っていた。
 竜児は瞬時に高まっていく。
 俺の涙を、おまえに注ぎ込むのだ。
 俺の血を、おまえに注ぎ込むのだ。
 獣のように腰をぶつけて、なおかつ愛しいと思うおのれを、どうすればよいのか。
 俺は、魂は、どこにあるという。
 どきどきと鳴る心臓も足りはしない。
 俺の心臓を手に取り出して、大河の心臓にのめり込ませても。
 くっつけ、こすりあわせても足りはすまい。
 なにも及ばない。捧げ足りない。
 だから俺はせめてと、涙を、血を注ぎ込むとでも。
 大河。
 大河。
 妹のように思った女だった。
 娘のように思った女だった。
 そして今は、やはりどんな言葉も及ばない。
 酔った大人の女の声だろうか、窓の外、誰かが遠くで大きな笑い声でわめいている。
 苦しくてたまらない。
 苦しくてたまらないと、大河も瞳をきつく閉じる。
 苦しくてたまらないと、大河も声をあげる。
 大河の目蓋の上に結ばれた雫は、俺の汗か、おまえの汗か。
 美しいおまえ。
 俺の女。


 いま、俺の涙が、大河の中に。
 俺の血がおまえの中にあふれる、と竜児は思った。


(この章終わり、16章につづく)

294高須家の名無しさん:2009/07/10(金) 00:16:56 ID:???
竜児と大河の愛し合う姿にすごく感動した!
時間をかけた?かいあって今回一番地の文が
かがやいていたと思います。

295高須家の名無しさん:2009/07/10(金) 00:28:28 ID:???
おつかれんす
本スレに厄介なの来てるから困る

296◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/10(金) 01:29:45 ID:???
てかなんというか、次こそは終章のはず。驚きの?長編になってしまった……

>>294
感想ありがとう!

14章が内的世界が多いために地の文のスタイルをポエムっぽく変えてわりと
成功していた(自己満足)ので、否応無く現実世界が多くなる(エロい?)15章が、
どうすれば14章に負けないテンションを維持できるのかと、ちょっと迷ったりしてました。

実作業の時間はあまりかかってないんですが、ここで大河と竜児がミッションの他に
何がしたいのか見極めるためもあって、少し寝かしたりもして、それで投稿の間が
空いた感じです。空いた時間にSSSを書き散らしていたという。

一番いい、と言ってもらえてありがたいです。そう読んでいただけて、とても嬉しい。

>>295
ありがとんす!

ああ、見ました。なんかいますね……あれ前のと同じっぽいけど、コピペ?

まあ、告知は、よかったらほどよい頃合で……。

297◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/10(金) 18:05:28 ID:???
大河は胸はちいさいままでおk。

298高須家の名無しさん:2009/07/10(金) 19:43:03 ID:???
ここにもペタンコ信者が!!

299高須家の名無しさん:2009/07/10(金) 21:01:23 ID:???
電車の中で読んでたら気づいたら目的地から2駅も過ぎてた。
くやしいのうwwくやしいのうwwGJした!あと時間返して!

300◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/10(金) 22:04:50 ID:???
>>298
大河にはひとの好みすら変えてしまう魔力があるという……!
というわけでぺたんこ信者ではなかったり。

もとからちっぱい好きのひとは、たまらないのねきっと……!


>>299
ありがとう! 
読んでて乗り過ごさせるとは、くっくっく、作者冥利に尽きるわ……!

時間は書くときに先払いしているらしいよ?(思いつき発言

301高須家の名無しさん:2009/07/11(土) 21:30:20 ID:???
現本スレにレスしようとしたらIP規制が来ました。ということで、こちらにレス
して届くかどうか?

現スレの>>188です

>>213
QHsKY7H.TYさま 
ありがとうごさいます。
前半の大河の勘違いな方向に突っ走っちゃうところが大好きです。
ややパワーダウンはさせていますけれどそのシーンはほぼ残っています。
性交渉的なものはありません。キスが4回のみです。
後半竜児が大河をテイクダウンしてしまうシーンはありますが、
それはある意図に基づいたものでそのつもりはありません。
大河が竜児の心を繋ぎとめるためのシーンとなります。

IP規制も来てしまったので避難所の方で進めてみようと思います。

302◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/11(土) 21:46:21 ID:???
>>301
わぁ、いらっしゃいましまし
このレスは代理投稿希望ってことでしょうか。ど、どなたかがきっと……_ノ乙(、ン、)_

SS本編の方もこちらで進めるとのことですが、本スレへの代理投稿を希望するなら
一応、その旨も添えた方がいいかもしれません。トリップも生成した方がいいのかな……?

303高須家の名無しさん:2009/07/11(土) 22:13:43 ID:???
>>301
すみません。レス先をミスりました。
本スレへは告知しておいたので心配ないと思います。

304高須家の名無しさん:2009/07/11(土) 22:52:41 ID:???
こっちに投下するなら、元々現本スレに投下するはずのやつだから
代理希望出しておいたほうがいいよ。
トリップは複数の人が代理投下するかもだからタイトルだけでおk

できれば代理したいけど携帯からがほとんどなのが悔しい…。

305◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/12(日) 03:51:25 ID:???
結局、今夜は投下無しかしら……

QHsKY7H.TYさんの、逢坂大河〜Remember竜児〜も続き楽しみだよね。

306◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/12(日) 11:08:53 ID:???
なるほど、だからタイトル「 - た い が - 」なのかと感心した……GJ

307高須家の名無しさん:2009/07/12(日) 12:08:44 ID:???
なほるどなっとく

308◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/12(日) 23:23:16 ID:???
ちょっと大河にもらい泣きしそうになった。
QHsKY7H.TYさんぐっじょぶ。

309高須家の名無しさん:2009/07/12(日) 23:28:35 ID:???
本スレに書いたほうが喜ぶと思うぜ?

それとあなたの並び寝ると本編後のニヤニヤも期待してるでがんすよ

310◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/12(日) 23:49:25 ID:???
>>309
クックック、私がOCN全面アク禁にまきこまれているとは知らないようだね……!
というわけで半永久的に避難所暮らし。本スレには書けません(泣

携帯試したら、こちらも一時的?規制_ノ乙(、ン、)_wwwぐったりと草植えるしか

>それとあなたの並び寝ると本編後のニヤニヤも期待してるでがんすよ
ありがとうでがんす!

311高須家の名無しさん:2009/07/13(月) 00:15:05 ID:???
携帯まで巻き込まれてるとは…

もう●買ってしまえ!!!!

312◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/13(月) 02:05:57 ID:???
>>311
まあ、携帯は一時的なものなはずだけど……

●買っても、アク禁抜ける保証はないと、風の便りで聞いたの……ねん

313高須家の名無しさん:2009/07/13(月) 07:58:07 ID:0YmJtPtc
●買ったけど全然使ってないや。Jane自体使ってないし…。

安心しろ!ドシドシ代理投下しちゃるきん!

314◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/13(月) 11:17:52 ID:???
◆eaLbsriOas@避難所です。代理投稿歓迎。感想いつも拝見しています。ありがとう!
暑いので、ぬるめのSSをと思ったら……
***

・今年の夏なの

「暑……ちょっと、近寄んないでよね、あんた」
「……近寄ってねえだろ? 1メートルは離れてるだろ?」
「じゅうぶん近いのよ、あんた犬赤外線出すから。5メートルは離れて」
「遠赤外線みたいに言うな。てか、それじゃ居間の外じゃねえか……仕方ねえ、じゃあ俺、
 自分の部屋行くわ」
「駄目。却下。居間にいろ。許す」
「……ったく。こんくらい離れりゃいいか? はいはい、おありがとうございますっと……」
「……」
「……」
「……あーつーいーっ! もーっ、竜児なんとかしてよ! エアコンエアコン!」
「そんな暑っ苦しい格好してっからだろ。ったくしょうがねえな。窓閉めるか……ほれ」
 ピッ……ブーン……
「ひゃあ! 竜児っ、風向っ、真下向けて真下! ……おっけー! さあ来い冷気! 苦しゅうない!
 ……来た来た、来たよ竜児っ!」
「それはそれは姫、良うござんした」
「うんっ!」
 ……ブーンウンウンウン……
「……なにこれ、うるさ……ねぇ竜児、あんたんとこのエアコン、壊れてない?」
「おう、どうした。冷たい風、来ないか?」
「ううん。冷たいのは来てるけど……ブーンブーンうるさくない?」
「ああ、そりゃ今年からのウチの仕様だ、うるせえのは。掃除もなんも、いろいろしたけど
 だめだった。やっぱ古いんだよ、ウチのエアコン」
「え? なに? ちゃんと聞こえなかった」
 ……ウンウンウン……
「おう……ウチのエアコン古いの! だからうるせえの!」
「へー、古いのってそうなんだ。私の家のって、あれでもかなり静かなのね……」
「は? なんつった? 微妙に聞こえねえぞ?」
「っんもぅ! だから……! いいや、めんどくさ。竜児っ、ちょっとこっち来て!」
「なんだよ、犬赤外線はいいのか?」
「いいの! もう涼しいから! 早くこっち!」
「へいへい……ほら来た」
「そんなとこじゃあんた、涼しくないでしょ? もっと近う寄れ! 苦しゅうない!」
「……はいはい。ほら来た……おう……涼しい……」
「でしょでしょ! うっさいけど!」
「おう、涼しい……な……」
「ん……ねぇ、竜児」
「な、なんだ? 大河」
「……抱っこ、して?」

315◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/13(月) 11:18:49 ID:???
「おう……なんだ、もういいのか?」
「うん、去年ごっこはもうおしまい。ね、竜児……だから、抱っこ……きゃっ!」
 ひょいっ
「ほらよ、膝の上っと」
「わ、腋、持っちゃだめだってば、もぅ……えっ!? 嘘っ!? 嗅いだ!?」
「嗅いでない嗅いでない……でも、こっちは嗅いでいいだろ?」
「えっ……首筋?」
「いや、耳の後ろのとこ」
「えーっ……でも、汗かいてるし……っ!」
「……いい匂いだよ、大河。大好きだよ、おまえの匂いも」
「りゅ、竜児……っ。ね……その、暑くない? くっついて……」
「熱いよ、おまえは。小鳥みたいだ」
「ご、ごめんね。竜児、暑がりだもんね……。でも、くっつきたかったの。離れてるの……いや」
「……いや、俺こそごめんな、大河。さっきは、暑いからくっつくな、なんて言って。ちょっと……
 照れちまったんだよ」
「っ! ほ、ほんとう?」
「ああ、本当だ。辛かったな、去年ごっこ。くっつかないなら去年と同じじゃないの、って、
 おまえに言われて。じゃあ去年と同じにしてみるか、なんてやってみたけど……」
「うん……でも、もう、同じじゃないの……も、もう、変わっちゃったの……」
「……そうか? 俺は、なんてか、そんなに変わってねえ」
「えーっ!? そこは変わってよ、あんた。せめて変わったって言いなさいよね。もーっ!
 竜児ったら、あいかわらず鈍犬ちゃんなんだから……」
「おう……すまねえ。でもさ、ほんとにあんま変わってねえんだよ。その、なんて言ったらいいのか」
「うう! まだ言うかこの……っ。ひ、ひどい……わ、私はこんなに変わっちゃったのに……
 あ、あんたのこと、大好きで……大好きなの、わかって。両想いになれて、こ、こんなに……っ」
「大河……泣くなよ、泣くな……な? ……ふー……これ、問題あるから今まで黙ってたけどさ。
 だから……変わってねえってのは……つまりさ、俺、おまえと出逢った頃から……なんてか、その、
 駄目、だったんだよ……」
「うっく……だ、駄目? 駄目って、なによ……っ」
「……つまりさ、俺、おまえに触りたくてたまらなかったんだよ……出逢ったころから、ずっと」
「え……えぇっ!?」
「ああやべ! やべえよな、やっぱ! 駄目だったか!? 言うんじゃなかったか!?」
「そ、そそそそんんあの、やあ、や、やばっ、やばばああいに、っき、きま、決まっってるるう」
「お、落ち着け大河! どもり方まで変わってるぞおまえ!? ショックだったか。ほら、どうどう……」
「すーはー、すーはー……っすうううっ……はあぁ……おっけー、もう平気。喋るれ……れる……」
「おう、大丈夫か。大丈夫かあ?」
「だっ、大丈夫じゃないっ! さあ続き! 聞かせなさいよ!」
「おう、続き……だからな、ああもう言うわ! ずっと我慢してたんだよ! 最初のころから、
 おまえに触りたくて、くっつきたくて! おまえの寝顔見て、キスしたくなって我慢したことも、
 何度もある! ん、だ、よ……ずっと、しちゃいけねえって、ぜんぶ、我慢してたんだよ……俺は」
「あっ……あっ、あっ、あっ、あんた! あんた、だって、みのりんのこと好きだったんでしょ!?
 そ、それなのに! それじゃあ、あんた、あんた、ふ、ふま、ふまたた!」
「ふ、ふまたた……?」
「ち、違うっ! ふ、ふた、ふたまま!」
「ふ、蓋ママ……?」
「わわわわかってるでしょ? あんた! だから、そのっ、みのりんのこと好きで、そ、それで、
 わ、私のことは……え? 寝顔で……え? 寝てて、触りたくて、くっつきたくて、キスしたくて……
 えぇ!? あ、あんた、ずっと、最初っから……最初……えぇ!? さ、最初っから、ずっと、
 あんた、私のこと、やっぱり、そんな、え、え、えええ、えっちな目で見てたわけ!?」

316◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/13(月) 11:19:35 ID:???
「おう……えっちってか……まあ、そうだよ」
「そうだよって、あんた……こ、このっ! えっち!変態!ドスケベ!エロ犬!ふたまた野郎!
 あ、言えた……じゃなくて、なんで!? なんであんたそうなのよ!?」
「な、なんでって……おまえが可愛いかったからに決まってんだろ」
「え……えーっ……そ、そんな、そんなの。だ、だって私、ち、ちびだし……」
「なんだそれ。可愛いじゃねえか」
「うう……む、胸も無いし……」
「好み変わっちまったじゃねえか、おまえのせいで」
「えーっ、ど、どしよ……く、口、悪いし」
「声が可愛いんだよ、おまえ卑怯なんだよ」
「ら、乱暴者だし……」
「マゾじゃねえがどうしても嫌いになれねえ」
「わーん! ど、どうしよ……ど、どうしても、駄目。どうしても、どうしたって、う、嬉しいの……っ!」
「大河……」
「さ、最初からなんて、あんた、ただのえっちで、ドスケベで、ふたまた野郎で、最低なのに……
 さ、最初から、なんて、私、嬉しい……」
「ただのえっちって、おまえね……。俺はさ、櫛枝のことだって本気だった。でも、どうしてもおまえのこと、
 可愛いって思うのもやめられなかった……やめられるわけがねえ、おまえ可愛いんだから。
 だけどおまえは北村のことが好きで、だから、俺は我慢したんだ……おまえに触りたくても、
 キスしたくなっても、我慢した。ずっと、なんとか我慢し続けた……」
「竜児……」
「もちろん、櫛枝のこともある。北村への俺の思いもある。でもな、大河。俺が俺の欲を我慢できたのは、
 きっと、たぶん……結局は……おまえのことが大事だったからだ。おまえの想いを大事にしたかったからだ。
 他の誰かのことよりも、俺の欲よりも、おまえの……あれ? おかしいな……そんなこと、あるのか?
 そんなことだったのか……? あれ? いくらなんでもおかしいぞ。だって、だけど、それじゃあ……」
「りゅ、竜児……?」
「だけど、それじゃあまるで……俺、おまえのこと、最初から……」


 最初から、愛していたのか……?


「っ!……う、そ。……嘘っ! 嘘っ! 嘘っっっ!」
「……なあ? 嘘っぽいよなあ? さすがにそんなの、出来すぎてるよなあ。でも、でもさ、考えたら
 そうなった……どうしても、そうなる。おかしいのに、ありえねえのに……俺、おまえが可愛くて、
 だけど俺、おまえが大事で、だから俺、ずっと我慢できて、だから俺、最初から、おまえのこと……
 あ、愛してたんだ、大河……っ!」
「りゅ、竜児……っ! わ、私もっ、私も、なの! きっと、最初から……っ」
「……と思ったけど、そういやそんなことして単純におまえに嫌われたくないって俺の欲もあったな。
 落とし穴だ」
「ズコー!」


***おしまい***

317◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/13(月) 11:27:08 ID:???
>>313
ありがてえ……た、たのんだ、ぜ……_ノ乙(、ン、)_バタ...ッ

318高須家の名無しさん:2009/07/13(月) 12:50:43 ID:???
>>313
2chするならJane使おうぜ!

>>314-316
去年ごっこわろた
オチもわろた

しかし地の文無しの会話だけでここまで丁寧に情景を描けるとは…
俺も見習わなければならないね

319高須家の名無しさん:2009/07/13(月) 12:56:50 ID:???
代理してきたぞい。

いいねいいねー。会話だけでここまでニヤニヤできるとは思わなんだ。
ふははは、これで夏の暑さにも負けねぇ!

320◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/13(月) 19:00:49 ID:???
竜児、たぶん嗅いだね……

>>318
感想ありがとう!

>見習わなければ
恐縮です……(私 
恐縮でーすっっっ!(梨本

会話SS、音声ドラマ(ラジオドラマ、CDドラマ)のホン書く要領と近そうです。
音楽使えないから、長い間だけはとれないのが欠点ですけど。


>>319
ありがとう!

季節ネタを大事にしたいタワシ。そうすればほら、この同じ暑さの中を
大河と竜児も過ごしてんのか……なんてなごんでみたり。

321 ◆askgvpoGB.:2009/07/14(火) 00:51:17 ID:???
>>306
感想ありがとうございますー
並び寝るの続き、楽しみにしてますね。

322◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/14(火) 20:38:11 ID:???
みんなやさしいのね……ん

>>321
どういたしまして。
あまりに感心してへぇボタンが手元にあったら満へぇ押してました(懐かしい

同じ時期に相前後して竜虎の夜ネタ書いていたのも今ではちょっと懐かしく。
私の方はまだ終わってませんが(゜∀。)アヒャ

「並び寝る」も読んでいただけてるようで、ありがとうございます。
さすがにこれほど長くなると、もはや読んでもらえてるだけでありがたいレベル……


みんなもありがとよっ

323◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/15(水) 06:52:45 ID:???
◆fDszcniTtkさんの正体を見た。パンツに反応するひと。

324高須家の名無しさん:2009/07/15(水) 07:08:51 ID:???
そりゃ女の三大神器は「生パンツ」「生胸」「生尻」だからね。
文豪も生パンツには反応する男ってことよ。ちょっと親近感

325高須家の名無しさん:2009/07/15(水) 08:37:44 ID:???
パンツなどただの布きれに過ぎん!

326◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/15(水) 11:49:04 ID:???
>>325
パンツなんてただの飾りですよ、大佐。エロい人にはそれがわからんのです。

327高須家の名無しさん:2009/07/15(水) 15:43:43 ID:???
エロパロが最近荒らしにあってるな、投下が竜×亜しかないからか?
竜虎スレに来たらどうしようかと不安でいっぱいだ…。

328◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/15(水) 15:49:22 ID:???
お世話になります。告知のみ代理投稿、お願いします……

--
◆eaLbsriOas@避難所です

>>384
おかえりなさい。待ってました! GJ!


>>372が不意にパンツ祭りを始めたと聞いて、本スレ代理投稿用に書いてみたら、
どうにも微妙に本スレにはあげられないシロモノになった気がする、そんな夏。

微エロ注意、読みたいひとは新避難所へ。大丈夫かもしれないけど自粛する。あと、
親父、先に涅槃に行く。タイトルは「洗濯こわいの」
--

329◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/15(水) 15:49:55 ID:???
というわけでパンツ祭り参加作品。何のひねりもない。竜児はパンツをひねりたいらしいけど。
微エロ注意、なので代理投稿はナシでお願い。午前中には書きあがっていたが、実は悩んでた。
***

・洗濯こわいの


「パンツ見せろ、大河」
「……はあ!? な、ななな、なんですってえ!?」
「おう、聞こえなかったか。悪ぃ。パンツ見せろ、って言ったんだよ」
「きっ、聞こえてるわよ!? あんた気でも狂ったの!? なっ、なんであんたなんかに私がパンツ
 見せなきゃなんないわけ!?」
「そりゃおまえあれだよ。洗濯するからついでにさ」
「ついでぇ!? ついででパッ、パンツ見られたらたまったもんじゃないっての!」
「おう、そうか、すまねえ……」
「あっ、謝って済むことじゃないっ! このっ、え、え、えお、えおろ……っ! いだぃ、じだがんだ……
 っお、覚えてなさいよ! もう! まったく、なんだってのよ……」
「大河」
「なによ!?」
「ついでじゃないからパンツ見せろ」
「うぎゃあ!? あ、ああああんたっ! 謝ったじゃないよ!?」
「だから、ついでじゃないって言ってるじゃねえか」
「そっちだけ!? パ、パンツの方は!?」
「おう、だから見せろよ、パンツの方を」
「はああああああ!? だっ、だから、な、なで、なでんっ!?」
「なでん……?」
「違うっ! なんでよっ!?」
「だからさ、チェックするんだよ。汚れてたら洗うからさ」
「っいいいいいい!? し、ししし失礼にもほどがあるっての! 汚れてなんかないわよ!
 ちゃんと朝、履き替えたもん! そっ、そそそれにっ、じ、自分でチェックできるってば! 馬鹿っ!」
「いやあ、どうだか。おまえ雑だからさ。やっぱ俺がチェックした方がいいって」
「っひいいいいいっ!? な、なんでそうなるのよ!? なんなの!? なんなのよ一体っ!?」
「まあそう赤くなるなって。変なことするでなし、あんま気にすんな。さ、パンツ見せろ、な? 大河」
「そっ、それ自体が変なことだっての! あっ、赤くも、なるっての! あんたこそ何よ!? 何なわけ!? 
 かっ、顔色ひとつ変えないでそんなことっ! ああああんたのがおかしいよ!」
「おう。そりゃあだって、俺、おまえの保護者だもん。赤くなったらおかしいだろ?」
「ほ!? ほおっ!? ほごっ!? ほごおっ!?」
「北斗の拳ごっこはいいからさ。ほら、じゃあ、触んねえから。自分でスカートめくれよ、大河」
「っ!? め、めくるわけないでしょっ!? この馬鹿い……いいいいいっ!? な、なんでっ!?」
「よーしよし、いい子だ、大河。もうちょっとめくって……いい子だ」
「て、手が勝手にっ!? な、なんで……っ!?」

330◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/15(水) 15:50:18 ID:???
「おう、今日はクマさんか。可愛いな、大河。しかしこれじゃあ……大河、ちょっと脚、開いてくれよ」
「はあ!? ば、馬鹿言って……う、嘘っ!? ま、まさか……っ!?」
「よし、いいぞ、いい子だ、大河……ほら、もうちょっと開いて……どれどれ……」
「う、嘘だ……あは……ゆ、夢よね、これ……りゅ、竜児の息が内ももにあたってる、けど……あは、
 な、なんてリアルな夢……」
「夢じゃねえよ……うーん、表は大丈夫だけど、裏地のあて布はわかんねえな……」
「っ! 嘘……うそ……うそでしょ……?」
「ちょっとめくってくんねえかな、大河」
「や、やだ! やだ、やだよ……っ。そんなの……ひっく……いやあ……っ!」
「馬鹿だなおまえ、泣くなって。そんなに嫌なら、おれがめくってやるからさ」
「ち、違うの! ま、待って、待って竜児っ! そ、それだけは、それだけは駄目……それ、それだけは、
 や、やだあ! そ、そんな、あんたになんか、嫌っ! そんなあんたになんか、見せたくないのっ!」 
「大河……?」
「うぐ……やだよお……だって、あんた、へ、平気なんだもん……ひ、ひどいよ……チェックだ、なんて。
 どうでもいい、みたいに、なんて……ひ、ひどい……っ。そんなの、絶対だめ……やだあ……っ!」
「……嘘だよ、大河」
「え……っ?」
「ついでとか、洗濯とか、汚れてるかもとか、ぜんぶ嘘だよ、大河。平気でも、ねえよ……俺」
「りゅ、竜児……?」
「見たかったんだよ、俺。おまえの……パンツを」
「え、えぇっ……」
「やべえよ、俺。心臓すげえよ。ばくばくいってる。な? 顔も熱くてひでえ……平気じゃ、ねえよ……
 おまえのパンツ……パンツ見せてるおまえ、可愛くて、駄目なんだ……たまらねえんだよ……」
「っ! や、やだ……りゅ、竜児……っ」
「見たいんだ……見たかったんだよ、ずっと、俺、おまえの……」
「そ、そんな、ずっとなんて……そんなの、嘘っ。や、やだ……う、嘘じゃ、ないの……?
 ず、すっと、なの……? りゅ、竜児のえっち! す、すけべ……こ、困っちゃう……」
「大河……俺、見たいんだ……もっと、見たい……」
「え……えーっ……も、もっと? もっと、って……えーっ……」
「可愛いよ、大河、その声……震えて、可愛い……な? 大河、パンツ……めくっても、いいだろ?」
「えーっ……だ、だめだよ……っ!」
「見たいんだ、大河。おまえの……見たい。見たくてたまらないんだ、俺……な?」
「えーっ……えーっ……み、見たいとか、だめだってば、竜児……そんなに、いっぱい、見たいなんて、
 言っちゃいや……こ、困っちゃう……ど、どうしよ……だ、だめえ……っ」
「見せてくれ、お願いだから、大河」
「えーっ、お願い、なんて……こ、困っちゃう、困っちゃう……っ。み、見たい、なんて……
 み、見るだけ? 竜児、へ、変なこと、しない?」
「おう……し、しねえよ……」
「は……っ。ほ、ほんとね? み、見るだけだからね? へ、変なことしちゃ、いやなんだから……
 で、でも……えーっ……や、やっぱり、だ、だめえ、だめだよ……っ。竜児に、見られたら、私……
 それで、も、もし、へ、変なことしたいって、竜児に言われたら、私……えーっ……えーっ!
 や、やっぱだめ! だめえ、竜児……っだ、だめだってば………………っ!」

331◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/15(水) 15:50:43 ID:???

  * * *

 むくり……。
「……夢、じゃんよ……嘘つき……竜児……いないし……ベッド、だし……夢じゃん……嘘つき……
 やっぱ、夢だったんじゃないよおおおおおぉぉぉぉっっっ!?」
 ガチャ
「大河ぁ、どした騒いで?」
「っひいいいいいいぃぃぃぃ――――――――――っっっ!?」
「わあうるっせ!? おまえ叫ぶなよ!?」
「く、来んなああああっっっ!!」
「わっぷ! おまっ、枕投げんなって! いきなりひでえなおまえ……どうしたんだよ?
 どうせまたうたたねして、嫌な夢でも見たのか?」
「ゆ、夢……そう、夢……夢なのね? 竜児……夢、だったんだよね?」
「いや、わかんねえけど……そうなんじゃねえの? 俺が見たわけじゃねえから、あれだけど」
「よ、よかったあ……ってか、竜児っ! なんであんたここにいんの!?」
「またひでえなおまえは……さっきからいるだろ? 掃除洗濯しに来てやったに決まってるじゃねえか」
「ひ……っひいいいいいいいぃぃぃぃぃぃっっっ!? 洗濯っ!?」
「わあ!? 叫ぶなってだから! 洗濯がどうしたんだよ? 洗濯はこわかねえだろ?」
「洗濯こわいの、今は! ま、待って、あんた、ひょっとして……」
「おう、そうそう。おまえの……なんての、下着とかだけどさ」
「いやああああああぁぁぁぁぁっっっ!? ぱ、パンツ!?」
「うるっせ!? 叫ぶなって。あとパンツとは言ってねえだろ俺!? し、下着っつったろ?」
「だから!? パ、パンツがなによっ!?」
「パンツパンツ言うなこっちが恥ずかしいわ!? あ、ああ、だからさ、パ……いや、下着はさ、
 洗ってねえから。やっぱ自分で洗った方がいいんだろ?」
「……へ? あ、うん。うん、そう……当然、そう。……よかった……よかったあ……っ」
「は? 何がだよ」
「よかった……あんた、夢と違ってて、まともで……よかった……」
「おう……どんな夢見たんだか」
「あ、あのね、竜児っ。あ、あんたがね、いきなり……って言うわけないでしょ!? 馬鹿!
 このヘンタイ! エロ犬! ドドドドスケベ野郎っ!」
「逆ギレんなよ、まったく。いいよ、聞かねえよ……おう、そうだ、大河」
「な、なによ……」
「おまえ、新しいパンツ履けよ?」
「ま、まだ言うかこの……っ!? え、なに? 新しい……なに!? えっ? 嘘っ!? 嘘でしょ!?
 わ、わ……わ、わた、し……嘘、うそ……わ、私、パンツ、はいて……」


***おしまい***

332◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/15(水) 16:00:40 ID:???
>>327
あれまだ続いてるの? おっかね……くわばらくわばら。

333高須家の名無しさん:2009/07/15(水) 16:02:56 ID:???
流石俺仕事が早いぜ。リロードしてフルボッキ余裕でした。GJ!

334高須家の名無しさん:2009/07/15(水) 17:40:54 ID:???
>>327
でもなぜか回避されてるよね
つーかアニキャラ個別板ってそんなにローカルルールにガチガチじゃないし
アンチスレもあるしキャラスレでも変態紳士な書き込みあるし
2chらしいっちゃ2chな普通の板なのになぜか竜虎スレはオアシス状態
俺自身もそうだけど喧嘩売るような書き込みを自制してるせいか?

335◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/15(水) 18:39:30 ID:???
>>333
ありがとう! てか、やっぱおっきでしたか。やっばw
代理投稿不可にしといてよかった……。

なんかさあ、ギシアンネタとかも考えてみたりするんだけど、どうもね、
ギャグにならないんだよね。まっすぐときめきずきずき導入部になる、気がする。


>>334
オアシスだよね……みんなが自制してる様なんか見えてくると、もはやね、
風雨の中で大竜のともし火を絶やすまいと、みんなで手に手を寄せて覆って
守っているようにすら見えてきて、orange気分。泣けるよ好きだよ泣けるよ……

336高須家の名無しさん:2009/07/15(水) 19:05:36 ID:???
>>335
なかなか良いこと言うじゃねえかよおお

337高須家の名無しさん:2009/07/15(水) 21:15:38 ID:???
>>335
それはおおげさすぎるだろお

338◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/15(水) 22:05:18 ID:???
>>336
腹黒だからな……(-ι- ) クックック


>>337
大河×竜児スレは元気だけど、他スレとか見てるとね……ちんぱい

339◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/16(木) 01:27:25 ID:???
本スレのパンツSSは健全でいいよね……(軽い自己嫌悪

340高須家の名無しさん:2009/07/16(木) 02:46:32 ID:???
(注:本スレ>>434のネタバレです)



「ねえ高須君」
「おう、川嶋か。何だ?」
「さっきの実乃梨ちゃんの占いの時、なんだか微妙な表情してたわよね。何で?」
「あー……大河と櫛枝には黙っててくれるか?」
「わかったわ。約束する」
「実はさ、あのネタのカラクリわかっちまったんだよ」
「……ネタ?カラクリ?」
「最初の二桁の数の十の位の数をa、一の位の数をbとすると、二桁の数ってのは10a+bってことになるだろ。
 で、十の位と一の位を足した数はa+bだ。こいつを元の数から引くと(10a+b)-(a+b)=9aになる。
 aは一桁の自然数なわけだから、最終的に得られる数は9から81までの範囲内での9の倍数になるわけだ」
「あ、ひょっとしてあの表って」
「ああ、9の倍数は全部『愛』になってた」
「なるほど……今度誰かにやってみようかしら」
「理数系が得意な奴にはやめとけよ。すぐバレるから」

341◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/16(木) 02:52:40 ID:???
>>340
おお、これは新しい避難所の使い方……

ワンアイデアでさらっと終わるSSもいいですねっ

342高須家の名無しさん:2009/07/16(木) 07:20:49 ID:???
やはり全部愛になるのかw


これはまとめる時どうなるんだ?本スレまとめだよな?

343高須家の名無しさん:2009/07/16(木) 09:19:19 ID:???
関係無いが能登ってどう妄想しても失恋フラグしか思い付かない
本編でも春田の方が優遇されてるし
名前がある背景キャラ扱いが否めないのが共感出来るお
ゆゆこはスピンオフで救済してくれよと思う

344高須家の名無しさん:2009/07/16(木) 09:34:29 ID:???
能登はなんか男らしくないんだよね
主に麻耶-北村-大河-竜児関連において

人間らしくはあるんだけど

345高須家の名無しさん:2009/07/16(木) 10:50:34 ID:???
>>343
スピンオフは来るでしょ。
春田も群馬で拾われなかったらあんなしっかりしたところを持ってたとは
思えなかったキャラだし、能登も巧く作って書いてくれるかと。

>>344
モテにも彼女作るにも男らしさは必須ではないんだぜ

346◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/16(木) 10:55:50 ID:???
◆eaLbsriOas@避難所です。代理投稿歓迎。感想いつも拝見しています。ありがとう!
1年目の夏もこいつら楽しくなかったわけがない
***

・扇風機ぐっじょぶ

「ね、竜児……暑くない?」
「……」
「ねぇ、竜児ぃ……もーっ、あーつーいー!」
「わあだからおまえ大の字になって畳バタバタすんな! 下大家なんだぞ、ったく」
「無視するあんたが悪いんでしょ! うぅ、もっと暑くなった……」
「自業自得だろ……」
「ねー竜児ー、エーアーコーンー!」
「まだ午前中だろ。早ええよいくらなんでも。ウチ一番暑くなるの4時だぞ」
「ちぇ、このエコバ街道まっしぐらの犬っころめ……」
「……仕方ねえ」
「えっ? なになに、エアコンつけてくれるの?」
「いいや。だけど……よっと……これをおまえにやろう」
「なになに? ……えー、扇風機ぃ?」
「おう、おまえ今、こいつを馬鹿にしたな? 覚えとけよ……コンセント届くか……よし。ほら」
 カチッ、ブィーン……
「ひゃあ! 涼しーい!」
「そうだろそうだろ……なにやってんだ、おまえ?」
「えっ、だ、だって、この子、首、振る、んだもん……」
「それで扇風機の前をあっちこっちと膝歩きか……ちょっと見ていたい気持ちがムラムラと湧き起こって
 俺さまも複雑な気分を持てあまし気味だが、かわいそうな気もするから言おう。大河、首振りを止めろ。
 ……いやおまえは首振ってない。扇風機の方だ、そっち止めろ」
「え、止まるの? ……どうやって止めるの、これ」
「おう、マジか。なんちゅうお嬢様だおまえ、どこの姫だ、ったく。これ、引っぱんだ、よっと」
「おお、止まって、わー、涼しーい!」
「そうだろそうだろ。いらん運動をして汗かいた分、涼しかろう」
「別にあんたが威張ることないでしょ。偉いのはこの子」
「その偉い子を最初、馬鹿にしたのは誰だったかねえ?」
「……さあ?」
「……いや、まあ、べつに今さらおまえに何も期待しちゃいねえ。すまんな扇風機くん、かわりに俺が謝る」
「……」
「なんだ、大河。わかってる。おまえのやりたいことは。さあやれ」
「……」
「存分にやれ」
「ワ〜レ〜ワ〜レ〜ハ、ウチュ〜ジンダ〜アヨ〜〜〜〜〜〜〜っとこれ。きゃは!」
「……ぷっ」
「……ア〜ン〜タ〜ハ〜ワ〜ラ〜ウ〜ナ〜」
「マイクかそれは、おまえの」
「うん、そう。コ〜ノ〜バ〜カ〜イ〜ヌ〜ガ〜」
「ったく、幸せそうな、おまえ……」
「うん、楽しい……っそうだ、竜児! あんたもこっちきてやんなよ! 宇宙人!」
「おう? お、俺はいいよ」

347◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/16(木) 10:57:46 ID:???
「なによ、私見てニヤニヤキモく笑ってたじゃんよ。うらやましいんでしょ? さ、ほらほら!」
「お、おいおい。手、ひっぱんなって」
 ブィーン……
 ぶわ……っ!
「っ!」
「おう……」
「っみ、みみみみ、見た!?」
「み、いや、え? なに、見たよ、スカートがぶわって広がったのは」
「りゅ、りゅうじいいいいいぃぃぃぃ……っ!?」
「な、なんだよ、そんだけだよ! 俺が見たのは!」
「う、嘘つけっ! あ、あああんた、っみ、見たでしょ、そんだけじゃなくて、わ、っわわわ、私の……!」
「っ!? ば、ばか! 見えるわけねえだろ!? おまえこっちに頭向けてよつんばいになってんだぞ!?
 俺から見えるわけねえだろうが!?」
「……ほんとぉ?」
「ほ、ほんとだ、ほんと。この目を見ろ、な? ほら、嘘ついてる目に見えるか?」
「……見えない、けど。性犯罪者の目にしか……顔も赤いし」
「嘘つき越えてるじゃねえかそれ……か、顔赤いのは、なんだ、なんてか、ほれ……関係ねえけどおまえ、
 そろそろ、手、離さねえか? か、関係ねえけど。手、熱いし」
「っ!?」
 ぱっ。
「……エロ犬。手が腐る」
「腐んなよ。腐るもんそんな大事そうに抱えんなよ」
「……もーっ! あー暑っ!」
「おう、あたれあたれ。今こそ存分に風にあたれ」
「もぅ、余計な汗かいちゃったじゃない……はりついちゃって……はー、涼し……」
 ぱふぱふ……
「っいっ!? 胸……っ」
「は? っ!? み、見た!?」
「み、見てねえ見てねえ!」
「嘘っ! なんか今あんた言ったでしょ!? む、胸とか!」
「見てねえってだから! 見えそうでやばいって意味だよだから! だいたいおまえが悪いんだろが!?
 胸元とか指でぱたぱたすっから!」
「うぬぅ〜……っ。こ、こっち見んな!」
「あ、ああ、ああ! 見ねえよ! ほら、後ろ向いて座ればいいだろ!? これで完璧! 見えねえ!
 ったく……」
「な、なによ。私が悪いみたいに……ふんっ!」
「……」
 ブィーン……
「……ふーんだ……」
「……」
「りゅ〜う〜じ〜の〜ば〜か〜……」
「……」
「……ねぇ、竜児……」
「……なんだよ」

348◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/16(木) 10:59:58 ID:???
「あんた、暑いでしょ」
「暑くねえよ」
「嘘。だって、シャツの背中、びっしょりだよ。汗でべったり」
「……」
「こっち来て、扇風機あたんなよ……涼しいよ?」
「……いいよ。おまえ、あたってろよ。涼しいんだろ?」
「うん……涼しい、けど……」
「……」
「……もうっ! あったま来た! うるあああっっっ!」
「え!? わあばか、おまえっ!? やめろ、扇風機投げ……」
 どす。
 ブィーン……
「……どうよ、涼しいでしょうが」
「……ああ、涼しい……」
「至近距離で背中直撃だもんね、風」
「おう……」
「どう? 気持ちいい? 竜児……」
「ああ……でも、おまえ、つっ立って。今度はおまえが汗びっしょりじゃねえか……なのに、
 なんで笑顔だ、おまえ……?」
「……」
「……な〜ん〜で〜わ〜ら〜って〜る〜ん〜だ〜?」
「クス……ッ」
「宇宙人」
「宇宙凶悪犯」
「うるせえよ……な、大河。おまえも風、あたれよ」
「いいの、私は。あんたあたってろ」
「……じゃあ、ふたりであたるか」
「えっ……な、並んで? そ、それとも……」
「ばか。何赤くなってんだ。そのためにこれがあるんだろ、っと」
 ポチ。
 ブイィ〜ン……
「わあ、首振り!」
「そーだよ、これで風もおまえに……!」
 ぶわああああぁぁぁ……っっ!
「っひい!?」
「おう!?」
「……み、見たね……?」
「……す、涼し……」
「見たわよね、か、完璧に、今、あんた……!」
「す、涼し……げな、水色」
「っ! 見たね……!」
「……と、白」
「どぅあからっ! 見たんじゃんよおおおおおぉぉぉぉ――――――っっっ!!」
「わあおまえ飛びかかってくんな!? そ、そこにつっ立ってたおまえが悪いんだろが!?
 いでっ、いでえっ! 耳取れる! 耳無罪だろ!? わ、だからおまえ、ケツそっち向けたら……!」
 ぶわああああぁぁぁ……っっっ☆
「っひいいいいいぃぃぃぃ――――――っっっ! もぅ、あんたも殺しておまえも死ぬううううっっっ!!」
「死ぬの俺だけじゃねえか!? うっぎゃあああああぁぁぁぁ――――――――っっっ!!」


***おしまい***

349◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/16(木) 11:04:04 ID:???
すいません、代理投稿時、できたらタイトル「扇風機の恩返し」に差し替えお願いします……

350高須家の名無しさん:2009/07/16(木) 12:14:33 ID:???
あぶね、タイトル変更するの忘れるとこだった。
扇風機一つでニヤニヤさせられるとは流石。GJ!

351高須家の名無しさん:2009/07/16(木) 12:59:48 ID:???
しまぱんなの!?しましまなの!?

352◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/16(木) 20:55:46 ID:???
扇風機とだけ考えて書いてたら、思わずパンツ祭りにつながっていた……

>>350
ありがとう! そしてありがとう!

>>351
書いてたらこうなった。しまぱんらしい。竜児のしわざ。

353高須家の名無しさん:2009/07/16(木) 23:33:56 ID:???
エロパロスレ、ニセドラ!の人、可哀相だなあ。面白いのに

354◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/17(金) 01:45:34 ID:???
元祖と三題話と、いい調子だね、パンツ祭り……w
元祖どう落とすのかどきどき。
三題話ははだわいとかニューアイテムが出てきてますが。

やっぱこういう時にワンテーマで盛りあがるのが場所が元気な証拠だよね……

355◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/18(土) 02:02:06 ID:???
>>301
本スレ>>490
本スレにうpすればよかったのに。ラブレター事件が起きないという着想は万人のものだし、
QHsKY7H.TYさんの独創はむしろその前後の展開にあるのだし。

第一章だけ見たけれど、同じ着想から充分に独立したものを書いていると思うけれど……

356◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/18(土) 05:10:24 ID:???
QHsKY7H.TYさんの元と並べて第一章を精読してみたのだけど、

基本はQHsKY7H.TYさんのを借用して、
語りを俺から竜児へみたいに、一人称視点から原作寄りの三人称限定視点に変えて、
改行をつぶして段落化して組版かえて、
その上で全体的にアレンジと、大幅な加筆を加えてるわけね。

それで印象がかなり違って感じられたのだけど、

>>355で言ったみたいには「独立したもの」と言えるかは微妙で、
私の早とちりでQHsKY7H.TYさんには失礼してしまった(ごめんね!)けれど、
こんな大規模なアレンジ、私は寡聞にして知らないから、かなり感心してます。


ちなみにこんな時間に起きているのは、一度寝たけど頭痛で目が覚めたから_ノ乙(、ン、)_いでぇ

357高須家の名無しさん:2009/07/18(土) 06:09:59 ID:???
>>301です
>>356
最初から文化祭の終わりまで同じです。後の都合のために書き加えて
いる部分があるだけです。ですのでまったく独創性などありません。
SSと言うには独創性がなさすぎます。その癖だらだらと長いため、
スレへの投稿は控えました。
スレが荒れて、他の作者の方々に迷惑を掛けたくなかったからです。
その危険性はゼロとは言えません。
それでは私は読者に戻ります。みなさんの作品によって、とらドラ!を大いに
楽しむことができました。ありがとうございました。

358高須家の名無しさん:2009/07/18(土) 07:58:20 ID:???
>スレが荒れて

それはあまりにも人を信用しなさすぎな気もするがな
まあ投稿しない自由もあるから強制するつもりもないし権限も無いが

359高須家の名無しさん:2009/07/18(土) 08:04:50 ID:???
『まとめには保管しないでください』
と書いてあるけど
『転載はしないでください』
とはひとことも書かれていないな

360高須家の名無しさん:2009/07/18(土) 08:45:54 ID:???
そうだな。転載ならいいんだよな。

それよりちょっと気になった事があったんだけど、一話目で◆odaAq0EgoE氏の
『1話if』のが交じってるような気がするんだが…許可は取ってあるのか?

でも面白いし、URLをまとめに貼るってのはどうだろうか>まとめ人さま

361高須家の名無しさん:2009/07/18(土) 08:55:06 ID:???
>>301です
>>360
見返してみてご指摘の通りでした。まったく不徳の致すところです。
odaAq0EgoEさん。申し訳ありませんでした。

362◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/18(土) 11:32:43 ID:???
まあ、私もスレに投稿するかどうかについては>>358と同意見

>>360
>◆odaAq0EgoE氏の『1話if』のが交じってるような気が

すごいね、ちゃんと読んでいて。読み手としても素晴らしいわ。ドジな私と違って。

作品庫にURLを貼るってのに一票。
元ネタが作品庫にあるのだから参照関係作っとくのはいいことかも。

>>357
初SSが大作になってるあたりに、とらドラ!への自分の想いにケリをつけたい
という強烈な意志すら感じちゃうわけですが、なんか思いついたらまたSS書いて下さいよ


チラ裏。頭痛なおた。瞬時に二日酔いが来ただけだったぽく。

363◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/18(土) 12:30:54 ID:???
◆eaLbsriOas@避難所です。代理投稿歓迎。感想いつも拝見しています。ありがとう!
タイムリーとかどだい無理。
***

・七夕なの


「おう大河、短冊書いたか」
「もっちろん! われながら名文よ。ぷくくっ、あんた聞きたい? 吊るす前に知りたい?」
「聞かなくてもわかるよ。どうせあれだろ? 『北村くんの恋人になれますように』とかだろ?」
「こぉんのドスケベまんじゅう蟹があっっっ!」
「おうっ!? あっぶね! おまえいきなりローリングソバット繰り出すのやめろよ!?
 本物すぎるんだよおまえの!」
「いきなりだからローリングソバットなんじゃないよ。あ、あんたがこっこここ恋人だなんて
 破廉恥なこと言うから悪いんでしょ! この公然ワイセツ野郎! 刑法175匹ワンちゃん大行進っ!」
「おまえの中で恋人ってどんな言葉なんだよ……じゃあおまえなんて書いたんだ?」
 ひょいっ。
「あっ、こら! 巧みに取り上げるな! 勝手に見るな! 竜児のくせに!」
「勝手にゃ見ねえよ。見ていいだろ?」
「えっ……うん、いい」
「よし、じゃあ見るぞ。なになに『北村くんと突きあえますように』……いいのかこれで? おまえ」
「は? なに? いいに決まってるじゃないよ。名文でしょ!」
「名文もなんもねえだろ……」
「え? 竜児、どうしてそんな顔するの……? っや、やだ! ご、誤解しないでよ?
 すぐじゃないのよ、すぐじゃ! き、北村くんとはゆっくり仲良くなれればいいのよ! 
 それまで、あ、あんたにもちゃあんと手伝ってもらってさ! ゆっくり……なんての? そう!
 もうね、一生かかってもいいの! す、素敵よね? そんな恋も! だからその、それまで
 ずっと、一生、あ、あんたにも手伝ってもらって、その、ついでに美味しいご飯も作ってもらって、
 えと、ずっと、傍にいてもらって、ずっと、一緒にね?……あれ? なにそれ意味わかんない……」
「俺だっておまえの言ってることの意味わかんねえよ……」
「どうしてわかんないのよっっっ!?」
「どわっ!? あっぶねえ! だからソバットやめろって!? おまえのタイガーマスクばりなんだよ!」
「私はマスクじゃなあいっっっ!!」
「おおっ!? すげえ俺3度かわした……いやだから、タイガー……あーまぎらわしいっ!?」
「はあ、はあ、つ、次は逃さないわよ。あんたのレバーをもらう……」
「あげねえよ!? だから落ち着けって、なあ、すげえな、完全猛獣モードだ。なんだ? こりゃあ一体、
 どうすりゃいいんだ……?」
「い、イケニエ!」
「ひいっ!? い、イケニエ……?」
「そうよ! イケニエをよこせ! あんたの短冊! よこしなさいよ!」
「うわ、いいけどよ。おまえなんか、歯ぁむき出して、俺の短冊渡したら食っちまうんじゃねえだろな……?」
「だれが食べるかそんなもん! 私は虎! 羊じゃないっ! 見るだけよ! さあよこせ!」
「見るだけでなんでここまで凄まじいんだ……? ま、まあ、イケニエな? イケニエ。
 これで俺のレバーは無し。な? よーし、どうどう……わ、渡すぞ? 俺の短冊……ほら」
「ぐるるるる……なになに『櫛枝と恋人になれますように』……………………………………?」
「……ふ、普通だろ? な?」
「……ぅ」
「……た、大河?」
「うぎゃ――――――――――――っっっ!」
 バツンッ!
「うわあ食った!?」
「もぐもぐもぐもぐもぐ……うぇ、マズ……ぺっ!」
「わあぺっした!? 俺の願いごと……」

364◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/18(土) 12:31:47 ID:???
「あんたが悪いのよ!? みのりんとこここ恋人とか、この私を差し置いてあんただけドエロ
 決めようったってそうはいかないっての! さあ、とっとと書き直すがいい!」
「だからおまえの恋人の定義おかしいよ!? ああくそっ、なんてわがままでひどい女なんだ、
 おまえって奴は……う、唸るなよ……か、書くよ。新しいの、書けばいいんだろ?」
 サラサラ……っ
「よし、書けた」
「よこせ!」
「なんでおまえのチェックがいるんだよ!? ……だから唸るなって。わかった。ほら、見ろよ」
「ぐるるるるる……なになに『櫛枝を彼女に出来ますように』……………………………………?」
「ま、まさか……?」
「うぎゃ――――――――――――っっっ!」
 バツンッ!
「わあまた食った!? もぐもぐぺっした!? なんでだよ!?」
「『彼女』なんて言葉はこの世にはぬぁーいっっっ!! 次っ!」
「あるよ!? くっそー、ええもう……さらさら……じゃあいいよこれで!」
「……『櫛枝と付き合えますように』……うぎゃ――――――――――――っっっ!」
 バツンッ! もぐもぐぺーっ!
「なんでだよ!? おまえと同じだろ!? うぅ、ひどい、あんまりだ……も、もうどうすりゃ
 いいんだよ……っ? お、おまえ、お互いの恋を支援しあうんじゃなかったのかよ……?」
「するわよ、支援! してるよ、すでに! ほれ!」
「なに、なんだ、おまえ、もうひとつ短冊作ったのか……なになに……
 『竜児とみのりんが恋人になれますように』……!」
「……っく」
「大河……ってか、こっちは恋人でいいのかよ?って、うわあ!? なんでどばどば泣いてんだおまえ!?」
「うぐ……し、知るかっ! 身体の事情なんて! 勝手に出るんだっ! 気にすんな、このっ、
 ば、ば、か、犬……りゅ、竜児……竜児っ、竜児……っ。ねぇ、ど、どうして、私、泣くの……?」
「大河……」
「ちゃ、ちゃあんと、応援、するよ? 竜児と、みのりんのこと……短冊に書いたの、本当の気持ちだよ
 ……め、名文、でしょ……?」
「っ! た、大河……っ!」
「竜児のことも、ね、お願いしてやろうって、思ったの……短冊、書こうって……じゃあ、って思って、
 私、迷わずそう書いた……そしたらね、私、泣くの……泣いてたの。あれ、あれ? って、
 わけわかんないのに、涙が止まらないの……お、おかしいよね? なんで、だろね……?
 ん……短冊も、ごめんね、竜児。た、食べちゃって……」
「大河……」
「お、おかしい、よね……? 私が書いたら、泣いちゃって。竜児が書いたら、怒っちゃって……
 ご、ごめんね、竜児。七夕、台無しにして……私の、せいだね。私が、変な子なだけ。でも、もう、
 気にしないで。私、なんだか、おかしいから、帰る……」
「お、おう……」
「ん……じゃあ、竜児……さよなら……っ」
「おう……」
 ガチャ、バタン。カンカンカンカン……

365◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/18(土) 12:34:25 ID:???
「……って何がさよならだあの馬鹿っ!!」
 ガチャッ! ガンガンガンガン……ッ!
「大河っ! ちょっと待ておい、大河っ!」
「りゅ、竜児……っ!? は、離してっ!」
「いいや離さねえ。おまえ取り消せ」
「はあ? な、何を……?」
「っさよならをだよこの馬鹿っ! 何がさよならだ、二度と言うな! またねって言え大河! またね!
 おまえの挨拶はまたねしか受けつけねえ。受けつけねえぞ、俺は!」
「りゅ、竜児……ま、またね……?」
「おう、またな、大河」
「……いいでしょ? これで。じゃあ、手、離して」
「いいや離さねえ」
「なんでよっ!? 私帰るの! 手、離し」
「離さねえし、帰さねえ! おまえ放っとけるかよ!」
「なんで!? 放っといてよ!」
「放っとかねえよ! そんな、おまえ、そんなに泣いているおまえ……俺は、放ってなんか、
 いられねえんだよ……」
「竜児……。いいよ、大丈夫だから。すごく、泣いてるけど、変なだけ。意味なんか、ないから……
 変な子な、だけ……同情なんて、しなくていいから……同情、もう、私、ど、同情じゃ……」
「同情じゃねえよ、馬鹿たれ。同情なんかしてねえ。俺が帰って欲しくないだけだ、おまえに」
「っ!」
「帰って欲しくねえんだよ。俺が一緒にいたいだけなんだよ、大河。ただ、そんだけなんだよ……」
「りゅ、竜児……っ」
「……だから帰るな、大河。まだ、帰んないでくれよ。まだ、一緒にいようぜ、な? 七夕とか、
 どうでもいいからさ。いらねえからさ。捨てちまおうぜ、あんなの、くそくらえだ」
「竜児……」
「大河……おまえの言うとおりだよ。恋人とか、知るかよ。彼女とか、ねえよ。今はどうでもいいんだよ。
 今はどうだっていいんだ。大河、今は俺、おまえと一緒にいたいんだよ……」
「竜児……っ。……ね? そろそろ、手、離して」
「っ! い、いやだ、離したくねえ……」
「竜児……大丈夫だから、ね? 手、離して……」
「……」
「……ちょっと、痛いの」
「おうっ!?」
 ぱっ
「す、すまん……」
「……クスッ」
「……あ、くっそ。おまえ騙したろ。痛くねえな?」
「ぬるいね、馬鹿犬……あっと、待って。近寄らないで。離れて。……まだ、3メートル守って。
 ……そう」
「な、なんなんだよ……ったく」
「そんなに怒んないでよ、竜児……だって離れないと、私、あんたに抱きついちゃいそうなんだもの……」
「っ! た、大河……」
「駄目、手のひらも見せないで。そう……おかしいでしょ? それこそ……だって……
 抱きついちゃうなんて、おかしい……ほんとは、今だって、3メートルなんて、こんなの、
 私になら、すぐ……」
「大河……」

366◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/18(土) 12:35:27 ID:???
「……顔赤い。エロ犬。ん……じゃあ、私、やっぱり帰るね?」
「っ、そ、そんな、大河」
「だっておかしいもん。おかしくなっちゃうもん。私、抱きついちゃいそうで、あんた、エロ犬で。
 今夜、一緒にいたら、おかしくなっちゃう……だから、帰るの」
「そんな……べ、べつに、なんもしねえよ、俺は」
「……して欲しかったら、どうする? 私が」
「っ!……」
「……ほらね、やっぱりあんたはエロ犬。しちゃうぞ、って、顔に書いてある」
「おうっ!?」
「隠しても無駄。ん……じゃあ、竜児、また明日」
「お、おう……また、明日……」
「……また明日、だけど。明日、この続きはしないよ? して欲しいとか、嘘。冗談だから……
 冗談に、なるから……」
「っわ、わかってるよ馬鹿……っ!」
「どうだか……ま、揺れる笹の葉の音でも聞いてせいぜいエロ犬脳みそを冷ますことね」
「くそっ……すっかり調子取り戻しやがって……」
「うん……ありがと、竜児」
「た、大河……」
「……じゃあ、またね、竜児」
「お、おう。またな、大河……まただぞ? またな、だぞ? またな! 笑ってんじゃねえよ!?
 確認させろよ! またな!」


「……またね、竜児……」


 大河の後姿を見送って。竜児はひとつ、ため息をしてふり返り、夜もぬるい空気の中をとぼとぼと歩いて、
 階段をのぼる。ドアはなんと開けっぱなしだった。いろいろやばすぎだ、俺は。
 ひとりの居間。ベランダに笹が揺れている。
 捨ててしまおうかと悩んでいるふり、ベランダに出た竜児は大河の部屋の明かりがともるのを待つ。
 窓に出てくれなどとは思わない。竜児はただその光が欲しい。けれど。
 恋しい光はなかなか灯らないから、竜児は大河の短冊を二つとも笹にくくりつけた。もちろん誤字も直してやった。
 少し考えて、竜児は自分の短冊を作ることにする。
 迷いなく願いを書きつけて、それも笹に吊るした。その時。
 大河の部屋の明かりが灯り、竜児の目は殺意の光と照り返す。嬉しいだけだ。
 これで安心、安らかに眠れると竜児は思う。
 竜児も安らかに眠るだろう。


 ふたりの家の光が落ちて、星ぼしだけがかすかに煌く。
 夜の下で矛盾した三つの願いの短冊たちが、ぬるい風の中で仲良く笹の葉と揺れている。
 「ずっと」で始まる竜児の願いを大河が知ることはない。


 その願いだけが、本当になったのだ。


***おしまい***

367高須家の名無しさん:2009/07/18(土) 14:50:17 ID:???
GJ!

『北村君と突きあいたい』
というのは一体どういう事かね?ゴゴゴゴ
10文字以内で説明して頂こうか

368◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/19(日) 11:01:52 ID:???
>>367
ありがとう!

>『北村君と突きあいたい』というのは一体どういう事かね?ゴゴゴゴ
>10文字以内で説明して頂こうか
ただの誤字です。10文字以内成功。


竜児相手の場合は誤字じゃない。

***
「ねぇ、竜児。私、竜児と突きあいたいんだけど」
「はぁ? つ、つきあってるじゃねえか。俺たちとっくに」
「ううん、そうじゃなくて……竜児、好きよ。愛してるの」
 ドスドスドスドスドス!
「おうううううっ!? な、なんでいきなりボディーブロウ……」
「だから、突きあうから」
「そっちかよ!?」
「うん。竜児も愛してるって言いながら私を突くから」
「しねえよ!?」
「嘘つき。竜児が突くのは、ここ……それで」
「おう……くぱぁ」

ギシギシアンアン
***

こうですかわかりません。

369高須家の名無しさん:2009/07/19(日) 11:23:01 ID:???
むしろ大河が突っ込まれている

370高須家の名無しさん:2009/07/19(日) 18:02:09 ID:???
くぱぁじゃねえよ顔面凶器wwwwwwww
ワロタwwww

371◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/20(月) 12:05:21 ID:???
お休みだってのに、みんなおとなしいね……
リア充か? リア充なのか? あとうな重か。

372高須家の名無しさん:2009/07/20(月) 15:59:01 ID:???
      __________
      /| ゚_ο________/|
    | ̄,:ヘ  。    oノハヾo. .|  |
    | {非}    ゜. 从*・ 。.・) .|  | うなしげなの
    |  |ヾ゙ 〜'⌒ヽ(彡   ,ノミ) _|_|
    |/ ̄`〜'^ヽ、   _,ノ 。ο| /
      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

373◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/20(月) 18:45:19 ID:???
むう、また実乃梨スレDAT落ちしたのね……(-人-)ナムナム

>>372
それさあ、食べたら絶対……

***
「な、なんだ、こりゃ……」
「優作?」
「誰だそりゃ。な、なんなんだこれ、大河……?」
「うな重に決まってるじゃないよ。私特製。さあ、ありがたく食べるがいい」
「う、うなぎか? これ。頭落とせよ……てか頭小猿みてえでこええよ。UMAか」
「う、うなぎよ、多分……大丈夫、火は通ってるから」
「ど、どっちかってと、人魚みたいな……」
「ええぃ! つべこべ言わずとっとと食べなさいっての! うおりゃ!」
「むぐうっ! ……っう。の、飲み込んじまった……」
「くっくっく、食べたね。竜児……これであんたは不死になったの」
「た、大河!? てか、不死って……やっぱ人魚かこれ!?」
「そう。これであんたは永遠に私につかえる犬よ」
「な、なんだって……永遠に、おまえに……まさかおまえも!?」
「う、うん。た、たべちった。てへ。あ、味見で」
「てへじゃねえよ……なんてドジなんだおまえは」
「だ、だってずっと一緒にいて欲しかったんだもん……」
「大河……」
「というわけで、永遠によろしく」
「お、おう。こちらこそ……?」
「あとね、竜児。なんかもう、ついでにさ……私を食べて」
「おう……比喩表現」

ギシギシアンアン
***

違うか。

374高須家の名無しさん:2009/07/20(月) 19:44:01 ID:???
うなしげを食べると腹黒ナルシストになっちゃうの

あれそんなキャラとらドラにいたような…

375高須家の名無しさん:2009/07/21(火) 00:35:34 ID:???
pixvのとらドラ!タグに、まとめサイトの9スレ目に掲載されている眼鏡大河の絵があったんだけど
本人かしらー。

本人にしては今までの絵が登録されてないし、
色塗り希望とかタイトルについているから、勝手に転載なのかしらー。

376◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/21(火) 02:24:05 ID:???
>>374
北村ですねわかります……全裸ナルシストか

>>375
ちょっと検証する余裕ないけど、たしかにちょっと転載ぽいかしら……

377高須家の名無しさん:2009/07/21(火) 05:22:07 ID:???
本スレの勢いも落ちたな

378◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/21(火) 08:59:46 ID:???
>>377
そだね……みんななにしてんだろ
長編で次スレ待ちのひととかいると思いたく

379高須家の名無しさん:2009/07/21(火) 10:44:00 ID:???
容量が微妙なラインだからみんな牽制してんだよ

380高須家の名無しさん:2009/07/21(火) 15:57:57 ID:???
大河 竜児 好き で検索したらこんなサイトがヒットしたわけだが…

手乗りセーブル
ttp://sandworks.blog.shinobi.jp/

やっぱり大河×竜児は良いものだな

381◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/21(火) 16:33:23 ID:???
本スレでみんなが元気なのを見るだけで私は2828

>>380
作品庫ですね。細々とやってます。レスポンスほとんどないw

こっちの方が投稿先行させていて、収録追いついてません。追いつかせる気もない。
いくつかのSSはむこうが最新推敲版になってます。ちょろっと変わってる。

サイトだけでやってたら、書き溜めてた「並び寝る」はともかく、
私はSSSとか、こんなに書けなかったでしょう。てか書かなかった、たぶん。
反応ほとんど無いもんw 拍手くらい?

バレたらこの楽園を去らないといけないのかな……とか思ってた。そろそろかな、とも。
今までみんな本当に、ほんとうにありがとう……ん、じゃあ……さよなら……っ


……嘘。冗談。

382◇eaLbsriOas ◆dvuHYisf.g:2009/07/21(火) 16:53:42 ID:???
◆eaLbsriOas@避難所です。代理投稿歓迎。感想いつも拝見しています。ありがとう!
そんな日ごろの感謝を込めて……
***

・お礼するの

「なんだよ」
「なによ」
「お礼言えよ、おまえ」
「はあ!? なんで私がお礼言わないといけないわけ」
「ありがたいことなんだぞ、こうしてもらえるの。とにかくお礼言わないといけねえんだよ」
「なによそれ偉そうに。お互いさまでしょ? むしろあんたがお礼しなさいよ」
「まあ広い意味じゃお互いさま……なのかあ? いやもちろん俺もするけど。
 おまえのお礼が欲しいんだよ、たぶん」
「……じゃあふたりともお礼する、ってことね。まあいいわ。なんの?」
「おう、なんの、っておまえ。そりゃあれだろ、日ごろの感謝というか……」
「日ごろの感謝ぁ? 駄犬のくせによくもまあ……仕方ない、いいわよお礼、
 してやろうじゃない、先に。あんたも後からかならずお礼しなさいよ!」
「おう、するする。必ず後でする。ささ、どうぞ」
「……」
「……どした? ほら、早く」
「……」
「そこまで赤くなる必要なんかねえから、ほら……待ちくたびれちまうぞ?」
「……」
「……言えねえんなら、俺が先に言っちまうぞ?」
「うるっさいっ! 言えるっての! 私が先に言う! あんたは後!」
「おう……じゃあ、ほら、言えよ」
「……」
「……頑張れ、大河」
「っ! ぅるあっ! 言ったらあっ! そこで耳かっぽじってよっく聞くがいい!」
「おまえよくそんなこと言えるな……」
「うっさいっ、竜児っ! いっ、いいいいつも、その、あっ、ありがと……」
「えっ? ……いや、そうじゃねえだろ」
「えぇ? なに? もっと、ちゃんとしろっての? うぐ……わ、わかったわよ!
 なによ、わ、私だってちゃんとお礼くらい言えるっての! なめんな!
 だからそのっ! き、きき聞いて、竜児……っ」
「た、大河。聞くけどよ、いやだからそうじゃ」
「い、いいいつも、その、や、優しくしてくれて、ありがと……だっ、だからその、ね?
 ま、毎日、朝、起こしてくれて、その、お、美味しい朝ごはん、作ってくれて、
 お、お弁当も、美味しくて、その、ば、晩ごはんも、美味しいものいっぱいで……
 えと、あと、っそう! こぼしたら、すぐ染みぬきしてくれて、えっと、あと……
 私がドジしたら……あっ! こ、転ばないように、助けてくれて……んと……待って、
 いっぱいあるの、まだいっぱい、嬉しいこと、楽しいこと、っそう! 悲しくて、
 私が泣いたりしたら、一生懸命、慰めてくれるの……お、怒ったら、止めてくれて……
 ど、どうしよ、まだいっぱい、あるはずなのに、ほ、ほんとに! いっぱい、
 いっぱい……なのに、わ、わた、し……」
「た、大河、泣くなよ、な? いや、だからさ」


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