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貧困スレ
1
:
チバQ
:2009/10/21(水) 21:46:08
労働運動スレより独立
非正規雇用・母子家族などなど貧困にかかわるさまざまな話題を収集するスレ
主にルポ系の記事がメインになりそうな予感
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2009102002000236.html
日本の貧困率15・7% 07年 98年以降で最悪
2009年10月20日 夕刊
厚生労働省は二十日、全国民の中で生活に苦しむ人の割合を示す「相対的貧困率」を初めて発表した。二〇〇七年は15・7%で、七人に一人以上が貧困状態ということになる。十八歳未満の子どもの貧困率は14・2%だった。
厚労省は国民生活基礎調査の既存データを使い、一九九八、〇一、〇四、〇七の各年にさかのぼり、経済協力開発機構(OECD)が採用している計算方式で算出。〇七年の全体の貧困率は九八年以降で最悪、子どもは〇一年に次ぐ水準だった。
長妻昭厚労相は同日の会見で「子ども手当などの政策を実行し、数値を改善していきたい」と述べ、同手当を導入した場合に貧困率がどう変化するかの試算も今後公表することを明らかにした。
政府は六〇年代前半まで、消費水準が生活保護世帯の平均額を下回る層を「低消費水準世帯」と位置付け増減などを調べていたが、その後は貧困に関する調査はしていなかった。相対的貧困率は、全人口の可処分所得の中央値(〇七年は一人当たり年間二百二十八万円)の半分未満しか所得がない人の割合。
全体の貧困率は九八年が14・6%、〇一年が15・3%、〇四年が14・9%。〇七年は15・7%と急上昇しており、非正規労働の広がりなどが背景にあるとみられる。
関連しそうなスレ
労働運動
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/2246/1114776863/l50
社会福祉総合スレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/2246/1225898224/l50
農業総合スレ(限界集落もこのスレの対象かも・・・)
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/2246/1060165378/l50
人口問題・少子化・家族の経済学 (母子家庭など)
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/2246/1148427444/l50
文部スレ (新卒採用問題なども・・・)
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/2246/1116734086/l50
541
:
名無しさん
:2015/12/07(月) 20:05:46
>>540
企業への働きかけも
東京都では、さらに、若い人の採用に偏りがちな企業側への働きかけも行っています。正社員を希望する中年の非正規労働者を試しに雇ってもらおうという取り組みで、期間となる1か月、東京都が給料を負担します。
この取り組みで働き始めた男性を取材することができました。坂元竹秀さん、41歳です。
坂元さんは、オフィス機器のシステム開発会社で営業社員として働いています。これまでアルバイトとしてコンピュータ関連の会社で作業員をした経験はありますが、営業の経験はありません。このため、当初は、営業の仕事は希望していませんでしたが、東京都の担当者から勧められ、今回、チャレンジすることにしたといいます。
一方、坂元さんの紹介を受けたシステム開発会社では、営業社員を募集していましたが人材が集まらず、頭を悩ませていたといいます。東京都からの申し出を受け入れ、営業経験のない坂元さんを試しに雇うことにしました。この会社の牧野幸雄社長は「営業経験がないために仕事を覚えるまで時間はかかるが、本人のやる気を評価して思い切って決断した」と話しています。
坂元さんは1か月の試用期間を経て、正社員として採用されました。慣れない仕事ながらも、これまでにない前向きな気持ちで働いているといいます。坂元さんは「今までは1年後に自分がどうしているかもわからなかったが、今は、仕事に励んでいる姿を思い描くことができる。正社員になれたことで安心感とやる気を感じています」と話していました。
問題解決に向けて
労働市場は今、人手不足と言われていますが、中年フリーターはその経歴や年齢から、いわば取り残されているというのが、今回の取材を通しての実感です。東京都は、人手不足のいまこそ、企業に対し中年の非正規労働者にも目を向けてほしいと変化を促しています。取り組みはまだ始まったばかりで正社員として採用されるケースはそれほど多くはありませんが、坂元さんのように働く側がこれまでの経歴にとらわれず、新しい仕事にチャレンジし、企業にとっても新たな人材の獲得につながるということになれば、ひとつの解決策になるのではないかと思います。
フリーターは多様化する働き方のひとつではあるものの、社会への影響も少なくありません。将来、高齢化した際に生活保護に陥るリスクも高く、社会保障などにかかる費用が14兆円に上るという試算もあり、より本格的な対策が求められていると思います。
542
:
とはずがたり
:2015/12/16(水) 02:56:15
年収600万円以上の大企業正社員が突然、貧困に! 低所得者を「自己責任」と突き放している中流クラスが危ない
http://www.excite.co.jp/News/column_g/20151215/Litera_1783.html
リテラ 2015年12月15日 08時00分 (2015年12月16日 01時56分 更新)
『今日からワーキングプアになった 底辺労働にあえぐ34人の素顔』(増田明利/彩図社)
格差の広がりや社会保障の削減、競争の激化で、貧困層が急速に拡大している。本サイトはこれまで、高齢者、シングルマザー、奨学生、子ども、障がい者などの貧困についてレポートしてきたが、今や貧困はそういった社会的弱者だけのものではなくなってしまったようだ。
『今日からワーキングプアになった 底辺労働にあえぐ34人の素顔』(増田明利/彩図社)では、学歴もあり、新卒で正社員として就職できたフツーの人たち、ある時期までは中流以上だった人たちの"貧困"が赤裸々に描かれている。
大学を卒業後、広告代理店に勤務した山口拓男さん(50歳)は順調に出世し、制作部長となった。もちろん賃金も高かったという。
会社は各種企業のカタログ、ポスター、パンフレットなど紙媒体の広告宣伝物の企画、デザイン、制作や地方テレビ局のCMまで手掛けていた。
「社員の総数は20人の小所帯なんですが常にライター、デザイナー、カメラマン、映像作家、たまにですがタレントさんも出入りしていていつも賑やかでした」
そんな山口さんだったが、東日本大震災で状況は一変する。企業の経費削減傾向が強まり仕事が減り、会社の資金繰りが逼迫。事業を停止する事態となり失業した。そうなると家計は途端に苦しくなる。住宅ローン、税金、2人の子どもの教育費。解約した定期預金は200万円になった。しかし50歳間際では再就職もままならない。
「失業手当が切れてからは、アルバイト、パート、期間限定の非正規労働を継ぎはぎして日銭を稼ぐような感じだね。(略)時給はどれも1000円が目安ですね」
妻もパートを始めたというが生活費として使えるのは12〜13万円。家族4人ではかなりギリギリの生活だ。高脂血症で通院していたが、しかし月4800円ほどかかるので通院をやめたという。
また工業系大学の情報工学科を卒業した垣沼寛貴さん(44歳)も、卒業後ソフトウェア開発会社に就職し、その後同業他社に引き抜かれ年収600万円ほどの給与を貰っていた。妻もインテリアデザイナーとして働いていたので世帯収入は1千万円以上。しかし勤務から10年目の2008年頃にリストラにあい失業してしまう。
通算15年のキャリアがあった垣沼さんだが、再就職の活動をする中で糖尿病を発症していたことが判明。このことで、再就職は困難を極めた。そのため健康食品のフランチャイズに手を出したがこれも失敗。
「蓄えを取り崩すだけでなく、子どもの学資保健まで解約したりカードローンで借金を作ってしまったものだから妻がブチ切れてね。小学4年生の娘を連れて実家に帰ってしまった」
その後離婚となった垣沼さんだが、仕事は月16万円ほどのパートのかけ持ち。家賃も滞納して家を追い出された。
543
:
とはずがたり
:2015/12/16(水) 02:56:31
>>542-543
「とりあえず手持ちのお金約2万円とスーパーのポイントカードで貯めた8000円を現金化してここ(山谷)に来たのが去年(13年)の8月でした」
こうして日雇い労働者が集まる山谷で日雇い労働で月10万円ほどを稼ぎ、ベッドハウスや、マンガ喫茶で生活をする日々だという。
数年前まで、IT企業の一線でプログラマーとして年収600万円も稼いでいても、リストラ、そして健康問題が重なればたちまち行き詰まり、家も無くし日雇い労働に頼るしかなくなる。
また意外に思えるかもしれないが銀行マンも貧困とは無縁ではないという。
大学を卒業して、中京地域に本社を構える地方銀行に就職した永島圭介さん(26歳)の手取り給与は17万円。ボーナスを含め年収は280万円ほどだ。銀行は初任給が抑えられるが、順調に昇格すれば30代前半で500万円、40代では700万円ほどの年収になる。
だからといって安泰とは決して言えない。
「1年上の先輩の代は80人中12人くらい辞めているらしい。ノイローゼになったり失踪した人もいるという噂です」
銀行の仕事は決して奇麗ことばかりではない。プレッシャーも大きい。そのために辞めていく人も多いのだ。そうしたことを見てきた永島さんは切り詰めた生活を送っている。さらに将来にも漠然とした不安さえある。
「お上は地銀は1県1行体制にする構想を持っている。そうすると下位行のうちなんか飲み込まれる方だからリストラされる確率が高い。そうはならなくともある年齢に達すると関連会社に出されたり取引先に転職させられることもある。最後まで銀行員でまっとうできるのは一握りですから」
他にも日本郵政の社員アルバイトとなったが5年経っても年収230万円ほどで正社員になれない30代男性、公立図書館に務めているが民間委託された管理運営会社の社員で年収200万円。そのためスーパーでパートもこなす30代の女性など、一見安定して堅い仕事だと思われている職業、職種にも貧困は大きな口を開けて立ちはだかっている。
本書では34人の様々な"貧困"にスポットを当てた上でこんな指摘がなされている。
「問題なのは中流以上のポジションにいて危機感の希薄な人たちだ。『ふーん、世の中にはこんな貧乏人がいるのか』『こんな稼ぎで恥ずかしくないのかね』『自分の毛並み、経歴は一級品。間違ってもこんな惨めな人間に落ちぶれることはない』『ただ文句を言っているだけ、自己責任でしょ』。こんな感想を持つ人が多いのではないかと思うが、実はこういう人がデッドラインにいることがある」
しかも彼らはそのことに気づかないばかりか、消費増税、法人減税、社会保障や生活保護の削減といった、自分たちのセーフティネットを断ち切るような安倍政権の格差助長政策を積極的に支持し続けている。
彼らに、自分たちこそが将来、強者の餌食になってしまうということをわからせるためには、いったいどうすればいいのだろうか。
(伊勢崎馨)
544
:
とはずがたり
:2015/12/20(日) 00:34:01
高齢者の「貧困率が高い国」 1位韓国、日本4位
Forbes JAPAN 12月15日(火)13時30分配信
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151215-00010540-forbes-bus_all
OECD加盟国の65歳以上人口のうち、12.6%が相対的貧困層に属することが最近の調査でわかった。相対的貧困層とは、所得がその国の世帯平均の50%に満たない集団を意味する。統計全体では高齢の女性は男性よりも貧困状態に陥るリスクが高い。この傾向は75歳以上のグループをそれ以下の年齢集団(66歳以上75歳未満)と比較した場合に、明らかになっている。
OECDのレポートによると、65歳以上の貧困率が最も高い国は韓国で、その割合はなんと50%にのぼる。オーストラリアとアメリカでも年金生活者の貧困率が高く、それぞれ35.5%、21.5%となっている。一方、年金生活者の貧困率が低いのはオランダとフランスだ。韓国では年金制度が十分に整っていないことが、高齢者の貧困率の高さにつながっていると、レポートは述べている。
OECD加盟国の65歳以上の貧困率
データ出典元:Pensions at a Glance 2015, OECD and G20 indicators
Niall McCarthy
545
:
名無しさん
:2015/12/20(日) 13:32:30
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151217-00000002-jct-soci
「生活保護者が朝からパチンコはよくない」 別府市の「巡回」「支給停止」にネットで称賛相次ぐ
J-CASTニュース 12月17日(木)18時22分配信
大分県別府市がパチンコ店など市内の遊技施設に「生活保護受給者」がいないか巡回調査し、見つけた受給者の支給額を減額していた。ネット上では「どんどんやれ」「当然ですな」と称賛の声が巻き起こっている。
今から2年前にも、生活保護費の不正受給やギャンブルへの使用を禁止した「小野市福祉給付制度適正化条例」が兵庫県小野市で施行されたことで、多くの賛辞が寄せられた。
■「市民感覚からすると、受け入れられないでしょう」
別府市の調査は、2015年10月の計5日間、市職員35人が市内にある13のパチンコ店と市営別府競輪場を巡回。見つけた生活保護受給者25人を一人ずつ市役所に呼び出して注意し、次の巡回で再び見つけた場合は1か月分支給額を大幅に減らした。
市によると、こうした調査は少なくとも25年前から年1回のペースで実施されていた。巡回する時間帯は10時頃から16時頃まで。3回以上見つけた受給者については、2か月にわたって支給額を減らした。
これまで大きな問題は起きておらず、「パチンコ店からも苦情は来ていない」という。ただ、その調査内容自体は12月15日の市議会で初めて外部に明かされ、16日付け朝日新聞電子版に報じられた。
調査を始めた理由について市の担当者は、「別府市は他都市に比べて生活保護の受給率が高く、遊興施設も多いです。市民感覚からすると、受給者が昼間からパチンコ店に入り浸る様子は受け入れられるものではないでしょう」と話す。
実際、受給者が遊技施設に出入りする様子を見た市民から頻繁に苦情、抗議が寄せられていたようで、「(苦情が)来ない日はないくらいでした。今でも週に2〜3回は受けています」と明かした。そのためか、朝日新聞の報道後に寄せられたメールのほとんどが市の取り組みを「励ます」ものだったという。
市担当者「人権には十分配慮していると考えています」
また、以前から生活保護制度そのものに否定的な意見が多いネットでも
「どんどんやれ」
「これを皮切りに全国展開だ」
「当然ですな」
と別府市の対応を評価し、応援する声が湧きあがっている。
ただ一方で、「受給者への人権侵害になるのでは」との指摘も上がっているのも事実。報道によると、厚生労働省は「調査は適切でない」との見解を示している。
前出の別府市担当者にこの点をぶつけると、「人権には十分配慮していると考えています。受給者がパチンコを一切してはいけない、と言っているのではなく、『朝や昼間からパチンコ店に入り浸るのは良くない』というだけです。職員の巡回しない夜間については、あえて勧めませんが、(受給者が)気晴らしで行くことを厳しく咎めません。もちろん受給者にも楽しみが必要だと認識しています。ただ、出来れば地域活動やボランティアなどギャンブルとは違う部分で発揮して頂きたいとは思っていますが」との答えが返ってきた。
実は、2013年にも今回と似たような議論が巻き起こっている。きっかけはこの年に兵庫県小野市で施行された「小野市福祉給付制度適正化条例」だ。同条例は、生活保護や児童扶養手当の受給者が過度の浪費で生活できなくなる事態を防ぐために作られ、生活保護費を不正受給したり、ギャンブルに使ったりするのを明示的に禁止する珍しい内容だった。
支給の厳格化を目指すものと受け止められたためか、ネットでは称賛の声が比較的多かった。
546
:
とはずがたり
:2015/12/20(日) 19:25:36
沖縄の貧困率は全国平均の2倍、その深刻な理由
ダイヤモンド・オンライン 12月18日(金)8時0分配信
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151218-00083468-diamond-soc
戦後70年。沖縄の本土復帰からは43年が経過した。しかし沖縄は現在もなお、深刻な貧困問題を抱える。特に、沖縄の子どもの貧困の「これから」と「いま」には、どのような特徴があるのだろうか?
● 戦後70年の節目に 全国のケースワーカーが沖縄へ
2015年11月27日・28日・29日の3日間、沖縄県宜野湾市において、全国公的扶助研究会の主催する「第48回全国公的扶助研究会全国セミナー」が、「戦後70年 今問われる 貧困・格差・不平等 〜沖縄で考える『命・くらし・平和』」というテーマのもとで開催された。参加者は約450人。うち約150人は離島も含む沖縄県からの参加者だったが、約300人は沖縄県以外からの参加者だった。
「全国公的扶助研究会」は、前身から数えて50年の歴史を持つ研究会で、中心となっているのは福祉事務所で働くケースワーカーたちだが、会員の中には、関連する福祉職・公的扶助の研究者なども多数含まれている。…日本の生活保護・日本の貧困の「今」を知り、「どう解決していくことができるのか? 」を公共の果たすべき役割とともに知ろうとするならば、毎年晩秋〜初秋に開催されるこの全国セミナーは、絶好の機会なのである。
この全国セミナーでは、毎年、初日に全般的な問題に関する基調講演などがあり、2日目・3日目は個別具体的な問題(例:就労支援・政策研究・子どもの貧困対策・精神障害者支援……)をテーマとした分科会の数々が開催される。
今回は、基調講演で語られた沖縄の背負ってきた歴史と現在の沖縄の貧困の関係、2日目の「子どもの貧困」分科会で自らの経験を語った20代女性の話を中心に紹介する。
● 子どもの貧困率は全国で一番 貧困が止まらない3つの背景
初日の2015年11月27日、プログラム全体の冒頭に、山内優子氏(沖縄大学非常勤講師)が記念講演を行った。1947年に石垣市で生まれた山内氏は、1970年に沖縄県庁に就職し、以後、女性相談所や児童相談所に30年間勤務。沖縄県中央児童相談所長を最後に沖縄県庁を退職し、その後も、沖縄の子どもの貧困問題への取り組みを続けている。2012年に制定された「沖縄振興特別措置法」に子育て支援・困難な状況にある青少年の支援に関する条文(第84条の4)が含まれたことも、山内氏の熱心な働きかけの成果として知られている。
山内氏は最初に、概況から語りはじめた。県別の貧困率に関する最新データは2007年のものだが、全国の相対的貧困率が14.4%であったのに対し、沖縄県は2倍以上の29.3%だった。母子世帯率・児童扶養手当の受給率も、沖縄は全国の概ね2倍にあたる。生活保護率は全国で5位。10代女性が母親になる若年出産率は11.7%。いずれも、貧困の深刻な状況を伺わせる数字である。
ついで山内氏は、
「ひとり親世帯の貧困率は全国で54.6%ですけれど、沖縄県は全国で一番、貧困の子どもが多いんです」
と、沖縄の子どもたちの貧困の状況を語りはじめた。高校進学率・大学進学率では全国を下回り、高校不登校率・高校中退率では全国を上回る。非行少年の補導率は全国の6倍。中卒後・高卒後の進路未決定率は全国の3倍という。深刻な状況を物語る数字の数々に、会場から重い溜息が漏れた。私も溜息をついた。この状況で生活保護率が高くならないわけはないのである。
山内氏は、そのうち大きな背景は3点であると考えているという。
1点目は、第二次対戦末期の沖縄戦が地上戦で、子どもも巻き込まれたこと。沖縄戦では県民12万人が犠牲になり、人口比では4人に1人である。犠牲者を年代別に見ていくと、10歳未満が2万4000人、10代が2万人、20代が2万8000人。合計で7万2000人。死者の60%は20代以下だったということになる。
この事実を山内氏は「これからを担う世代と子どもが数多く死んでいるんです」と伝えながら、写真を何点か紹介した。米軍が設置した孤児院に収容されている子どもたちが全員、子ども服が用意されていなかったために全裸でいる写真・下半身に着るものがない孤児院の男の子が、局所を隠すために脚を組んでいる写真。もちろん、住環境も行政機能も何もかも、戦争で失われた。役所が爆撃を受けて戸籍が消失したことによる問題も発生する中での「すべて焼き払われた中からの、ゼロからの出発」(山内氏)だったという。
2点目は、米軍の統治が1972年まで続いたことである。まず、沖縄戦で孤児となった子どもたちを米軍は一時的に孤児院に収容したが、養育し続けるつもりはなかったらしく、その後は県内で引き取り手を探した。簡単な手続きで子どもたちは引き取られていき、「新たな悲劇」(山内氏)につながったという。
547
:
とはずがたり
:2015/12/20(日) 19:25:49
>>546-547
子どもの育ちを守るための法制度整備の動きも、占領下の沖縄では遅れざるを得なかった。本土ではGHQの指令により、1947年には「保護を必要とする子だけではなく、すべての子どもが対象の素晴らしい法律」(山内氏)である児童福祉法が制定され、同法に関連して授産所・母子寮・児童館が開設された。家賃無料の母子寮の中に学童保育があり、働く母親の帰りを子どもたちが待つための場が設けられたりもした。
しかし沖縄県では、すべてが1953年に琉球政府が成立して以後のこととなった。基地は作られたが、学校は毎年の台風で飛ばされる劣悪なもの。児童相談所の設置は1954年のことであった。この後、捨て子・家出児童・浮浪児・人身売買の問題が表面化する。子どもが米軍基地内の食糧を盗もうとし、射殺されたり軍法会議にかけられたりすることもあったという。人身売買や家出児童の問題1955年以後に増加した。山内氏は「引き取った孤児を育てられなくなったのでは」と見る。
この他、本土では1956年に制定された売春禁止法が沖縄にはなかったことから、「性的問題児」も発生した。1969年に122件があったという。米軍相手の管理売春に少女が巻き込まれており、幸いに保護されれば、本人が「問題児」とされるのである。また青少年非行・長期欠席児童の問題も大きく、1964年には長期欠席児童が小中学合わせて913人。学校に行きたくても行けないことから「親のある孤児」と呼ばれていた。この時期、山内氏は高校生で、小学校にも中学校にも行けない子供がたくさんいることにショックを受けたという。
山内氏は最後に、1972年の本土復帰後についても述べた。戦後27年間の格差是正のための経済復興計画に、実に8兆円が投入されたが、対象は主に「道路・ダム・箱もの」。沖縄の地元に還元されなかったため「ザル経済」と呼ばれ、その間にも子どもの貧困は深刻化し、格差は拡大していった。…
● 「大学生がまぶしかった」 貧困の連鎖から脱出しつつある女性
現在の沖縄県が抱えざるを得ない構造的・歴史的な問題に引き続き、沖縄県の20代女性・Sさんの話を紹介したい。Sさんは2日目の2015年11月28日、「子どもの貧困」に関する分科会で、貧困家庭に生まれて乳児院・里親・社会的養護のもとで育った自らの体験を話した。7人きょうだいの6番目にあたるSさんは、小学4年だった10歳から大学生だった20歳までの時期を、兄姉・弟たち6人とともに養護施設で過ごすことになった。
Sさんは、養護施設の学習ボランティアだった琉球大学の女子学生に、
「きれいで優しくて、『大人になったら、あんなお姉さんになりたい』と憧れた」
という。学校で「施設の子」と差別され、施設にもなかなか馴染めず孤立しがちだったSさんは、「話を聞いて、自分のために時間を使ってくれる、初めての大人」であったその女子学生に、多大な影響を受けた。女子学生は、小学生だったSさんに、
「勉強すれば選択肢が広がる。あなたも選べるようになる。選べるようになるための力をつけよう」
という言葉をかけつづけ、Sさんの大学入学後まで寄り添い続けた。Sさんは見事、琉球大学に入学した。
ところが大学で思い知ったのは、「自分は困窮している」という事実だった。20歳までは施設にいられるものの、その後はアパート生活。生活のためにバイトが不可欠、多い時には4つのバイトを掛け持ち。同級生の多くは、親の援助があり、バイトをしなくても生活ができ、運転免許も自動車も親の援助で所有していたりする。Sさんは、
「友達と遊べないし、飲み会にも行けない。同じ社会に生きているはずだけど、違う社会の気がしました。同じ琉大生だけど、同じ学生と思えなくなりました」
という。Sさんはその後、いったん大学を除籍となったが、「その後」を気にし続けていた施設職員・経済的支援を提供してくれた人々などの人的・経済的援助のもと復学。しかし、やはり居心地の悪さがつきまとう大学生活だった。
そのころ、生活保護を利用していた両親が病気で入院。兄姉たち・弟は、結婚した相手や子どもと一緒に生活保護を利用して暮らしており、両親のために動けるのはSさんだけ。必死の対応を続けているうちに、結局は退学に至った。…
この後、バイトでの仕事ぶりを評価した上司から「正社員になっては」という話があり、現在のSさんは、沖縄県の大手企業に正社員として勤務を続けている。…
Sさんに、紆余曲折はあったとしても正社員としての現在があり、希望と実現を積み重ねていけそうな将来があることを、私は心から喜びたいと思う。しかし、Sさんの現在は、幸運と本人の努力によってご本人一人にもたらされた例外的な「まずまず」である。どのような状況の子どもにも「希望に向かって歩む」が可能になるために、誰が何をすることが必要だろうか?
みわよしこ
548
:
チバQ
:2015/12/21(月) 21:58:13
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151220-00000042-asahi-soci
「うちはこれ以上無理」母子家庭、諦めさせたバスケの夢
朝日新聞デジタル 12月20日(日)23時22分配信
「うちはこれ以上無理」母子家庭、諦めさせたバスケの夢
保育園が閉まる直前に駆け込む北海道の女性。「おなかすいた。早くおうち帰ろう」と息子たちは車へ急いだ=内田光撮影
■子どもと貧困 シングルマザー編
ジリリリリリリン。
午前5時45分、携帯電話のアラームが鳴り出す。聞こえてはいるが、体は鉛のように重い。5分後、また鳴る。10分後。3度目のアラームで、北海道に住む介護職の女性(43)は体を布団から引きはがす。
高1の長女(16)は部活の朝練へ。女性は長男(6)と次男(2)に食パン1枚を半分ずつ食べさせ、保育園に送る。7時半には職場の介護つき住宅に着く。
職場では一日中立ったり座ったり。病院や役所にも足を運ぶ。甲状腺に持病もあり、調子が悪い日は汗が止まらない。職場の食堂で午後2時に食べる200円の定食が一番まともな食事。朝は食べず、夜も自分はご飯と砂糖だけだ。
保育園が閉まる直前に滑り込む。帰って夕食を食べさせ、午後10時までに寝かしつける。洗濯と翌日の夕食の準備をし、持ち帰った仕事をこなし、午前2時すぎに眠りにつく。
長女を連れ27歳で離婚。資格を取って働けば安定すると思い、介護の職場で長くパートなどで働いた。月収は手取りで約18万円。別の男性との間に長男、次男が生まれたが、結婚はしなかった。子どもが小さいうちは夜勤をやめ、手取りは一時11万円に減った。
今年10月、正社員になったが、月収はパートの時とほぼ変わらない。正社員は全員ひとり親。パートも含め、子どもの病気で急に休むことも少なくない。勤務変更に追われ、土日出勤も多い。
そんな暮らしの中で、諦めさせたこともある。
長女は小1から校区のミニバスケットボールチームに所属。全国大会に行くほどの強豪で、小5でレギュラーになった。月謝の4千円に加え、遠征費が年15万円以上かかった。他の親のように遠征に同行できない代わりにと、夜練習の送迎を任された。1年は踏ん張ったが、小5の3月、長女に伝えた。
「全国大会行けるけど、うちは、これ以上は無理なんだよね。6年生から転校しない?」
549
:
とはずがたり
:2015/12/23(水) 16:46:45
就職率はハローワークの2倍以上 横浜のジョブスポット
http://news.goo.ne.jp/article/kanagawa/bizskills/kanagawa-34066127.html
12月20日 12:09神奈川新聞
横浜市がハローワークと連携して生活保護受給者らを就労支援する「ジョブスポット」が各区役所内に順次開設され、就職率を着実に上げている。2015年度は60.7%(9月末現在)でハローワークの約2.6倍に上る。利便性の良さに加え、専門の職業相談員がマンツーマンできめ細かい相談に応じられることなどが要因。市は本年度中に全18区で設置を完了する。
ジョブスポットは2013年にスタート。区役所内の一角にハローワークの職業相談員3人が常駐している。生活保護受給者らは、日ごろ相談を受けている区の就労支援専門員を通じて、最寄りのジョブスポットを利用できる。相談は原則予約制で週1回程度。自己分析や書類記入、面接のアドバイスのほか、事業所とのマッチングなども行う。
市によると、ジョブスポットでの就職率は13年度が48%、14年度が56・5%、本年度は60%台と堅調に推移している。今月には港南区と緑区でスタート。残る西、金沢、南の3区も本年度中に開設する。
就職率がハローワークに比べて高い要因について、港南区の男性相談員は、同じ担当者がマンツーマンで定期的に対応できるため、相互に信頼関係を築けることが大きいと指摘。一方、ハローワークの個別相談は予約待ちになることもあるという。男性相談員は「これまでの経験を生かし、相談者の特性を把握して一日も早く就職につなげたい」と話す。
9日に行われた市会本会議で高橋徳美氏(自民党)の一般質問に対し、林文子市長は「区役所内に設置されているため、支援を受けている人が利用しやすい。(区の福祉サービスとジョブスポットによる)一体的な支援が実績に結びついた」と述べた。
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チバQ
:2015/12/26(土) 12:46:34
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151226-00504429-shincho-soci
中年フリーターの「老後破産」で生活保護費が5倍に いま政治家が取り組むべきは「中年フリーター対策」だ
デイリー新潮 12月26日(土)7時30分配信
少し前まで夢ある子育て世代だったはずの中年の間に、フリーターが激増している。滅入る話は、そこに止まらない。彼らが老後を迎えたとき、一斉に「老後破産」状態に陥って、生活保護費が今の何倍にも膨らみかねないという。日本を覆すような話なのだ。ノンフィクション・ライターの白石新さんがリポートする。
***
フリー・アルバイターを縮めた造語であるフリーターとは本来、少年や青年、いずれにせよ若者を対象とした言葉だったはずだが、最近、“中年”と呼ばれる世代のフリーターが激増している。
彼らの収入は月15万から20万円程度と、生活保護受給者とあまり変わらず、家賃と光熱費を支払ってしまえば、やっと食べていける程度しか残らない。もちろん、年金を納める余裕などないし、それどころか、健康保険料すら支払えない。
そんな人たちが増えているのはなぜなのか。そのことは近い将来、想像を上回る「老後破産」社会が到来することを暗示しているのではないだろうか。
■中年フリーター高田さんの場合
「不安は、ないんです。ただ……」
と言葉を濁したのは、45歳になる高田淳史さん(仮名)だ。ある離島出身の高田さんは、高校卒業と同時に神戸にある石油関連企業に就職した。まだ、バブル真っ盛りの時代である。だが、それから数年して、
「阪神大震災があって、会社の先行きがあやしくなったんです。なにもかもが壊れてしまったあの地震のあとは、ぼくの価値観も大きく変わってしまって」
勤め先の将来に不安をおぼえて退職し、東京に出てきたという高田さん。いったんは、ある会社に正社員として入社したものの、すぐに退職してしまった。それ以来、ずっとフリーターである。いろんな仕事をしてきたが、ここ5年ほどは、百貨店などの催事で使う冷蔵庫などの什器をリースする会社で働いている。といっても、日雇いである。おもな仕事内容は、冷蔵庫などの設営と撤去だという。
「早くて2週間前に、急なときは当日なんてこともありますが、会社から〈○月○日に○○百貨店○○店へ行けますか〉といった内容のメールが届くんです。自分の体力と相談して、1日にどれだけの仕事を掛け持ちできるか考えてから返信します。賃金は1現場につき4500円です」
平均すれば、1カ月に30カ所ほどの現場を回る。4500円の“基本給”は1現場につき5時間までの金額で、労働時間がそれを超過すれば1時間1000円の残業代が支払われる。こうした合計で、手取りの月収は多いときで15万円ほどになるという。
「まず家賃を払います。次に光熱費。残りのお金でなんとか生活するという感じですかね」
高田さんの自宅は東京都内にある。ひとり暮らしだから、なんとかギリギリの生活はできると語るが、
「蓄えはありませんし、年金も払っていません。病気になったりケガをしたりすれば、立ち行かなくなるのはわかっています」
仕事は軽くない。生活にもまったく余裕がない。しかし、意外にも会社からは、それなりに“いい扱い”も受けているという。
「設営場所の周囲には高価なモノも置かれたりで、それなりに緊張感がある現場なので、なにも考えないで労働できる、というわけではないんです。それに、慣れる前に辞めてしまう人も多いだけに、長続きすると、会社も優先的に仕事を回してくれたり、仕事内容が比較的ラクなところを斡旋してくれたりするんです」
■ブラック企業の正社員にはならない
会社から一定の評価を得ているのだろう。そうであれば、正社員にならないかと打診されたりしないのだろうか。
「そういう声をかけられることもあります。でも正直なところ、ぼくのような立場の、会社が責任を負わずにすむ人間を大勢雇っている会社は、本質的にブラック企業なんですよ。一部のポストに就ける人は潤っていますが、そうでない人は、精神を病むほど異常な量の雑務をやらされ、追い込まれているのを見ていますから。安易に正社員になったりすれば、それこそ病気やケガをするのと同じ結果が待っていると思います」
そう冷静に分析する高田さんだが、その口調は重くはなく、意外なほど飄々としている。ただし、達観しているのではない。諦観しているのである。
「この時代にいまから正規雇用されることなんて、まずないと思っていますから。独身ですし、最後は国のセーフティネットに頼るしかないですよね」
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チバQ
:2015/12/26(土) 12:46:56
■失われた20年で非正規雇用が爆発的に増加
高田さんのような非正規雇用の、いわゆるフリーターが目立ちはじめたのは1990年代半ばごろのことだった。以来、その数は増えつづけている。
厚生労働省によると、雇用者に占める非正規雇用者の割合、すなわち非正規雇用率は、80年代半ばには十数%だったものが、今年は40%近くにまで達している。いまや、この国の労働力の5人に2人、実に2000万人以上が非正規雇用者というのが実情なのだ。
労働経済ジャーナリストの小林美希氏によると、
「80年代後半、自由な働き方を示すものとして“フリーター”という言葉が誕生する一方、労働者派遣法などが改正され、企業が責任を負わずに簡単に労働力を確保できるようになりました。その後、折からのバブル崩壊で、93年大学卒業組からはじまる、いわゆる“就職氷河期組”がどっと社会に出ました。彼らが不本意ながら非正規雇用で就労した結果、非正規雇用者は爆発的に増えたのです」
それから、およそ20年が経過したが、
「景気は回復せず、“失われた10年”が“失われた20年”になるとともに、フリーターたちは中年世代にさしかかっています。彼らの多くは、老後を考えて生活を変えたくても、いまの職場から動けないという状況におかれている。休んで収入がストップしたら、生活が立ち行かなくなるからです。ほかの可能性を考える精神的な余裕もなくなっています」(同)
■中年フリーター馬場さんの場合
続いて紹介する馬場弘明さん(仮名)は、現在46歳。すでに同じ仕事を10年以上つづけている“熟練”の中年フリーターである。九州出身で、大学を卒業すると、いったんはコンピューター関連企業にSEとして就職したそうだが、
「企業体質が合わなくて、研修期間中にやめてしまいました。以来、フリーター暮らしで、もう15年間、空調設備のメンテナンスをやっています」
メンテナンスと一口に言っても、その内容は細分化されており、およそ100項目にものぼるという。仕事に赴くのは都内が中心だが、時に地方への出張もあるそうだ。
「空調設備が置かれているのは、狭い場所がほとんどなので、無理な姿勢がつづくのがつらいですね。時間帯も、相手先の都合などによって早朝から深夜まで不規則なので、体力的には最近、かなりきつくなってきました。そのうえ老眼がすすんできたので、細かい作業の時は、目がつらくて本当に困ります。近視なのでコンタクトレンズを使っているのですが、老眼になると、近くを見るのが本当に難しくなるんです」
そう言って笑う馬場さんの表情からは、苦悩が透けて見える。それでも、15年間、この仕事ひとすじに磨いてきた腕をもってすれば、それなりの見返りは得られるのではないだろうか。
「毎月、1カ月ほど前に提示される予定表に、働ける日を書き込みます。1現場あたり1万円の日雇いです。夜勤の時は1万2000円になりますが、体力的にきついので、あまりたくさんの仕事を詰めこむことはできません。毎月、だいたい12から13カ所の現場に出ていて、それでなんとか生活できる感じですかね」
むろん、生活できると言っても、ギリギリである。
「年金も払ってないし、生活に余裕はありません。好きな音楽活動をつづけるためには、自由な働き方はいいんですが、時々、ひとりっきりになると、いろいろ考えますね。友人からはよく“孤独死するよ”と言われるんです」
それでも馬場さんに、いまの生活を変えようという気持ちはない。
「実家の両親は、僕に結婚してほしいと思っているみたいなんですが、いまは交際している女性もいないし、結婚なんてまったく考えていません。この仕事をやめて、ほかになにかがあるという気もしませんね」
そこまで語って、馬場さんはぽろっと漏らした。
「“日本は厳しいな”とは思います」
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:
チバQ
:2015/12/26(土) 12:47:21
■簡単に立ち行かなくなる
たしかに、日本の状況は日に日に厳しくなっているが、そのことは、中年フリーターの増加と軌を一にしていると言っていい。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査によると、35歳から54歳までの非正規雇用者(女性は既婚者を除く)の数は今年、273万人を超えた。これは大阪市の人口を若干上回る数字である。前出の小林氏はこう指摘する。
「デフレがつづいているかぎりは、彼ら中年フリーターも、たとえギリギリであっても、衣食住をまかなって生活を維持することができます。しかし、一度物価が上昇すれば、たちまち立ち行かなくなります。それに、いまは働いているからなんとか生活できていても、老後になればすぐに限界が訪れます。たとえば、健康保険料を払っていないから、体調を崩してもなかなか病院に行かない。病状が悪化してようやく医者にかかったときには、自己負担の医療費が大きくのしかかってくる。年金も払っていないから受給できません」
その結果、どうなるのかと言えば、
「将来、生活保護などの社会保障費が、爆発的に増えることになってしまうと思います」(同)
■中年フリーターの増加で生活保護費が5倍に
まさに「老後破産」へと向かってひた走っている感のある中年フリーター。これまで時代に翻弄されてきた彼らだが、将来、「老後破産」を迎えるようになった時、日本の社会保障費はいったいどれほど嵩むことになるのだろうか。小林氏はこう予測する。
「2008年に政策研究機関であるNIRA(総合研究開発機構)が発表したレポートでは、今後、就職氷河期世代が老人になった際には、生活保護に必要な予算が、約17兆から19兆円にのぼると試算されていました。非正規雇用の人々が現状のまま放置されつづければ、実際にそのくらい、あるいは、それ以上のコストがかかることになってしまうでしょう」
ここ数年、生活保護の給付総額は年間3兆円台だから、その増加ぶりは、すさまじいばかりだ。17兆円といえば、先ごろ新規上場した郵政3社株の時価総額と、ほぼ同額であるが、それ以上に、日本の一般会計予算の5分の1に近い金額だと言ったほうが、より衝撃的かもしれない。
それほどの巨費が、単年度の生活保護費として必要になるというのだ。しかも、それらはまさに、中年フリーターたちの“老後破産対策費”と呼ぶべきものなのである。
■非正規雇用者を正社員にできないのか?
ところで、先に紹介した2人の実例には、驚かれた読者も多いと思うが、
「1カ月で十数万円稼げる中年フリーターは、実はまだ勝ち組なんです」
そう語るのは、一般社団法人officeドーナツトーク代表、田中俊英氏である。不登校、ニート、引きこもりから貧困問題まで、長年、子どもや若者の支援活動に従事してきた田中氏は、中年フリーターに接して、こう実感するという。
「ようやく仕事に就けても、時給800円程度のアルバイト。グローバリゼーションのなかで、一度この流れにはまってしまったら、もう正社員にはなれないし、月収が手取り15万円を超えたらラッキー、という人々が、非正規雇用者のなかにはかなりいます」
このような流れを変えるべく、行政も取り組みはじめてはいる。たとえば東京都は、今年から「東京しごと塾〜正社員就職プログラム〜」を開始した。30歳から44歳という、まさに中年フリーター世代を対象に、3カ月の職務実習を経験させ、正社員として働けるようにうながす、という支援活動である。
それに対して、前出の小林氏は、
「企業にとって、非正規雇用の労働力はメリットが大きく、大幅に控えることはできませんが、その一方で、雇用の分かれ目が人生の分かれ目になっているのが現状ですから、行政が乗り出して正社員化をうながすことは必要でしょう」
と、一定の評価をしながら、続けてこうも言う。
「こうした支援に積極的に参加できるのは、おそらくなんらかの方法で、自ら現状を打開できるような人が多い。ですから、むしろこうした取り組みに挑めない人を支援する方法がないかぎり、中年フリーターが減るようなことにはならないと思います」
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:
チバQ
:2015/12/26(土) 12:47:42
■最後は国のセーフティネットに
このままでは中年フリーターと、彼らが行き着く将来の「老後破産」は、増える一方にならざるをえないのか。冒頭で高田さんが「不安は、ないんです」と言って言葉を濁したことに触れたが、彼の言葉は、実はこうつづいていた。
「なんというか、本当に不安は、意外なほどないんです。ただ、それ以前に、希望が、ない」
その言葉を、田中氏はこう読み解いた。
「いまの若者は、たとえ低収入でも幸福感をおぼえている人が多い。一方、バブルの時代に、それを享受していなくても、少なくとも空気に触れた経験がある人たち、つまり、主として就職氷河期世代の中年フリーターは、いまの日本を見て絶望してしまうんです」
激増する中年フリーターたちは、こうして絶望しながら「最後は国のセーフティネットに頼る」という流れに逆らえずにいる。このままの状態がつづけば、彼らはそう遠くない将来、具体的にはあと20年もすれば、一斉に「老後破産」状態に陥ることになるだろう。
だが、そうなったときには、「希望」は中年フリーターのみならず、この国に暮らすあらゆる人たちの前から失われてしまいかねない。だからこそ、いま国家が、政治家が急いで取り組むべきは、中年フリーター対策なのである。
「特別読物 急増の『中年フリーター』で空前の『老後破産』――白石新(ノンフィクション・ライター)」より
白石新(しらいししん)
1971年、東京生まれ。一橋大学法学部卒。出版社勤務をへてフリーライターに。社会問題、食、モノなど幅広く執筆。別名義、加藤ジャンプでも活動し、マンガ『今夜は「コの字で」』(原作)がウェブ連載中。
「週刊新潮」2015年12月24日号 掲載
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:
チバQ
:2015/12/27(日) 22:53:05
http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/213139
【貧困の現場から】(1) 母と子3人、所持金200円
2015年12月15日12時30分 (更新 12月15日 13時00分)
街がイルミネーションで彩られ始めた11月中旬の夜。九州のある街で、母の梓(42)と小学6年の美雪(12)、小3の直樹(9)、小2の沙織(8)=いずれも仮名=の3きょうだいが「子ども食堂」ののれんをくぐった。
入るとき梓は少しうつむいていた。子どもたちを「ただで食べられるレストランがあるんだ。ママも料理作らなくて楽だから行こう」と連れ出した。「家が貧乏だと思われたくない」から、ごまかした。子どもたちは、食堂の和室に座ると「レストランじゃないじゃん」と口をそろえた。
でも、ミンチカツの載ったカレーライスとナシが運ばれると、子どもたちは「すごーい、ナシだよ。カレーだよ」と声を上ずらせた。無言でカレーをかき込み、カチカチとスプーンが皿に当たる音が響いた。
元気な声で「おかわり!」。美雪は3杯、直樹も2杯をたいらげた。「おなか、ぺこぺこで来たんです」と梓は涙声になった。
来たときは緊張した様子だった子どもたち。カレーを食べ終わると、沙織が「しちろく しじゅうに」と学校で習ったばかりの九九を唱え始め、みんなの笑い声が上がった。久しぶりのだんらん。「おなかも心も満たしてもらった」と梓は感謝した。
□ □
夫とは数年前に離婚。パート従業員としてスーパーで働き、賞味期限が切れた食品をもらっていたため、食べるものには困らなかった。
ところが夏にスーパーが突然閉店し、働き口を失った。貯金もなく、月に16万円あった収入は10万円程度の失業保険だけになった。
就学援助を受けて小学校の給食費は免除されているが、アパートの家賃に光熱費、持病を抱える子どもの通院代などの支払いは待ってくれない。豆腐ばかりの鍋やキャベツの千切りで我慢し、食費を節約してぎりぎりの生活を続ける。
子どもたちは、給食以外に食べ物を口にできない日もあり、「おなか減ったよ」と繰り返した。
そんな時、インターネットで子ども食堂の取り組みを紹介する本紙の記事を読み、「自宅近くにもないか」と探して見つかった。すがる思いで運営者にメールを送った。「財布に小銭しかなく、悩んでいます。子どもたちだけでもご飯を食べさせてください」
初めて子ども食堂に来た日、梓の財布には200円ほどしか入っていなかった。
□ □
「またレストランに行こうね」「今度はどんなごちそうが出るのかな」。子どもたちも食堂を気に入った。あれから何度か通い、古米をリュックサックいっぱいに詰めてもらったこともあった。美雪が熱を出して寝込んだ時は、家で雑炊を食べさせることができた。
だが、失業保険はあと数カ月で切れる。来年、美雪は中学生になり学費もかさむ。せめて高校までは行かせたい。美雪と直樹が夢中になっているサッカーも月に4千円ほどかかるが、続けさせてあげたい。
ハローワークで再就職先を探す日々。子育ての制約があり条件がなかなか合わない。ほかの公的支援が受けられないか福祉関係者に相談しながら、なるべく早く生活を立て直したいと思っている。
「子ども食堂に偶然出合えて、ありがたい。生活が安定したら私が子ども食堂に寄付して支えたい」
この子ども食堂が開かれるのは週に1度。梓のような親子のほか、住む家がない少女、子どもたちだけで暮らす少年たちが訪れ、寄る辺ない生活の中でひととき、空腹を満たす。
関連記事「貧困連鎖、奪われる未来」
=2015/12/15付 西日本新聞朝刊=
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チバQ
:2015/12/27(日) 22:54:04
http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/213343
【貧困の現場から】(2) 公園で夜風に凍えた16歳
2015年12月16日 12時00分
11月の夜風にさらされ、公園のベンチで震えていた。福岡県内に住む優(19)=仮名=は16歳だった3年前、公園で寝泊まりするホームレスになった。
朝起きると当てもなく街を自転車でさまよう。夕方には高校に通う中学時代の友人と合流して遊ぶ。友だちが帰った後は、公園のテーブルに突っ伏して眠った。
怪しまれないよう、近くの三つの公園で順番に寝泊まりした。風が強い日はトイレの壁際でうずくまる。おなかがすけばコンビニでおにぎりを盗んだ。ジャンパーとジーパンは着たきりだったが、下着だけは友だちが時々、洗濯してくれた。約60キロあった体重は1カ月で50キロを切った。
「もう限界だ」。わざと事件を起こして、温かいご飯と寝る場所がある少年院に逃げ込もうと考え始めた時、見かねた地元の先輩(22)が手を差し伸べた。
「俺の家に来い。遠慮しないで甘えろ」
◇ ◇
床一面に弁当の空き容器や服が散乱し、食べ残しの酸っぱいにおいが鼻を突く。大量のコバエが部屋を飛び回る。小学生のころの優は、自宅だった市営住宅の押し入れに隠れて、毎日のように泣いていた。
物心が付いたころから両親は離婚し、母は家にいなかった。父と、10歳以上離れた「腹違い」の兄の3人暮らし。父はわずかな収入もパチンコにつぎ込み、兄を殴ってはバイト代を奪っていた。「夕食も朝食も食べられず、学校の給食しか口にしない日が珍しくなかった」と振り返る。
家に帰るのが嫌で暗くなるまで校庭で遊ぶ優に、事情を知る先生がこっそり給食のパンをくれたり、「ごみ屋敷」のような自宅を片付けに来てくれたりしたこともある。同級生の家に泊めてもらうことも多かった。お風呂と温かい夕食はうれしかったが、「俺んちがいかに駄目かを思い知らされた」。
母と会えるのは年に1度、運動会の時だけだった。
◇ ◇
中学に上がったころ、父が事故で働けなくなり、里親の元へ。居心地が悪く、中2の時に暴走族に入る。高校受験にも失敗。里親も手を焼き、16歳の春、児童相談所の仲介で再婚していた母に引き取られた。
初めて暮らした母は豊かな生活ぶりで、広いマンションに高級バッグや時計がたくさんあったのを覚えている。当たり前のように与えられた1日3食と自分の部屋。だが、「勉強して高校に入れ」と繰り返す継父になじめず、2人の義弟妹にも気後れした。わずか1カ月で母の家を出た。
所持金1万2千円はすぐに底を突く。「初めは友人宅を泊まり歩いたが、すぐに行き場がなくなった」。廃業した観光ホテルに忍び込み、寝泊まりしたこともある。やがてたどり着いたのが公園だった。
◇ ◇
優はいま、少年の立ち直りを支援する団体の紹介で、契約社員として小さな事業所で働く。朝8時半から夜9時まで働き、給料は手取りで約20万円ある。義兄と2人でアパートも借りた。
1カ月前、上司から「正社員になるチャンスがある」と告げられた。あの時、先輩から救われ、支援団体とも出合い、どん底から助けてもらえた自分は幸運だと思えるようになった。
「今まで、その日生きていればいいという気持ちしかなかった。彼女もできて、ちょっとだけど、家族を持つことも考え始めた。子どもには自分のような経験を絶対させたくない。だから、正社員になりたい」
かつて寝泊まりした公園で優は力を込めた。
ひとり親家庭と離婚 ひとり親家庭となる原因の8割は離婚。厚生労働省の調査によると、年間の離婚件数は1950年代は7万台で推移していたが、2002年の約29万をピークに、14年も約22万2000と高い水準にある。11年度の調査で、母子家庭は約124万世帯、父子家庭は約22万世帯。一般世帯の男性の平均給与所得(10年)は507万円だが、母子家庭の母親の平均年間就労収入(11年度)は181万円。母子家庭の場合、パートやアルバイトなど非正規の割合は47.4%に上る。父子家庭の父親も360万円にとどまる。
関連記事「貧困連鎖、奪われる未来」
=2015/12/16付 西日本新聞朝刊=
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:
チバQ
:2015/12/27(日) 22:54:49
http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/213774
【貧困の現場から】(3) 支援つながり母子再起
2015年12月18日 12時00分
中学1年の海斗(13)は学校を休んで毎日、母陽子(46)の世話をし、料理を作り、洗濯もした。「お母さん、俺がおらんとトイレもいけんから」
小5の美咲(11)=いずれも仮名=も学校に通いながら手伝った。陽子は重い糖尿病を患い、動けなくなっていた。収入は途絶え、冷蔵庫にあるのは卵とふりかけぐらい。海斗が安いもやしを炒め、美咲は文句も言わず我慢した。
昨年暮れから今年春にかけ、母子3人の暮らしは追い詰められていた。
◇ ◇
陽子は20年以上看護師として働き、建設関係の仕事をする夫と4人で普通に暮らしてきた。暗転したのは4年前に陽子の実父が亡くなってからだ。
実母に認知症の症状が出始め、世話が必要になった。陽子自身も持病の糖尿病が悪化し、3年前、患者を抱えるような力仕事が難しくなり、仕事も辞めざるを得なくなった。
同じころ、夫は酔うと陽子に手を上げるようになり、生活費を渡すこともほとんどなくなった。自宅マンションを売却したが、ローンの借金が残った。陽子はスナックでアルバイトし、何とか生活費や教育費を稼いだ。
糖尿病のためインスリンを1日4回注射していたが、自己負担は月に2万数千円。どうなるか分かっていたが、お金がなく、注射をやめた。
今年正月を迎えるころには足が痛くて外出もままならなくなり、スナックも辞めた。住民税も滞納し、1年近く支払いが滞っている水道がいつ止められるか-。
「もう、母子で心中するしかないのか…」
今年6月、陽子はつえをつきながら町役場の窓口を訪ねた。生活保護の受給を相談するためだ。
「ここでは何もできませんよ」。役場の担当者からは受給資格がないと告げられた。代わりに、施行したばかりの生活困窮者自立支援法に基づいて、行政から相談業務を委託された民間団体の連絡先を教えられた。
「生活保護も受けたいし、病院にもかかりたい」。陽子はすがる思いで民間団体を訪ねた。
◇ ◇
対応は素早かった。困窮者に無料で食料を提供する福祉団体を教えてもらい、その日のうちに米などを受け取ることができた。
離婚は成立したが、陽子には行き場がなく、前夫との同居を余儀なくされていた。これが、生活保護受給の妨げとなっていた。団体の担当者は初期費用なしで入居できるアパートを紹介し、すぐに母子で転居した。
保護の申請方法も、身体障害者手帳の受け方も、担当者が付きっきりで教えてくれた。間もなく生活保護の受給が始まった。
医療費の自己負担分も免除され、糖尿病の治療を再開させると足が少しずつ動くようになってきた。美咲が熱を出しても看病もできる。海斗は「料理の道に進みたい」と夢を口にするようになった。
自立支援法は4月に施行されたばかり。従来のセーフティーネットでは網からこぼれ落ちていた母子は、ぎりぎりで救われた。
「もしこの団体に出合わなければ、本当に心中していたかもしれない。私のように、どこに相談していいか分からない人は少なくないのでは」と、陽子は同じ境遇の人を思いやる。
かつては家事もできなかったが、九州北部の町にある2DKの部屋は今、掃除が行き届く。「普通の生活がありがたい。海斗と美咲が元気であれば十分です」。母子3人は前を向き、新たな歩みを始めている。
生活困窮者自立支援法 家計が苦しい人の生活再建を支援する制度を盛り込み、「第2のセーフティーネット」と呼ばれる。各県や福祉事務所を持つ自治体に、就労や住居など幅広い相談を引き受ける総合窓口を設置するのが柱。自治体が直接実施するケースと、民間団体などに委託するケースがある。
ほかにも、子どもの学習支援や親の就労準備支援などのメニューもあるが、各自治体で差があり、支援の質の向上が課題だ。総合窓口の連絡先は自治体に問い合わせれば分かる。
関連記事「貧困連鎖、奪われる未来」
=2015/12/18付 西日本新聞朝刊=
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:
チバQ
:2015/12/27(日) 22:55:43
http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/213997
【貧困の現場から】(4) 未婚の母夜の街に生きる
2015年12月19日 12時00分
夜も9時を回ると、通りにはミニスカートのキャバクラ嬢や黒服のボーイが立ち始める。
福岡県警の捜査員が踏み込むと、店内では16歳の少女が接客していた。県警は先月、福岡市内のスナック経営者を風営法違反(無許可営業、年少者雇用)の疑いで逮捕した。珍しい事件ではない。
「今は暴力団対策の影響で警察の取り締まりが厳しく、未成年者は無許可の店で働くしかない」。九州最大の歓楽街、福岡市・中洲の事情通はこう明かし、「そういう子たちは18歳を過ぎて、九州各地から稼ぎのいい中洲のキャバクラに出てくる」と声を潜めた。
そんなとある盛り場の一角。ラウンジのボックス席で奈央(仮名)は焼酎の水割りを作っていた。
◇ ◇
「君、いくつ?」
「21でーす」
正直に答えられるようになったのは最近のこと。5年前、16歳から歓楽街で働いてきた。「ハタチ」と偽って。時給は2千円。客の勧めで酒を飲めば「ドリンクバック」は1杯200円、「同伴出勤」すればさらに加算され、一晩で1万5千円以上になる。
奈央が小学2年の時、父親の暴力に耐えかねた母が自分と弟の手を引き、家を出た。縁もゆかりもない土地で、母は飲み屋で働き2人を育てた。奈央には、貧しかったことと、学校で方言が分からず苦労した記憶がある。
中学入学後に母は再婚。継父は優しかったが、新しく弟や妹が生まれると、奈央は「居場所がない」と感じるようになった。友達の家を転々とし、中学卒業後、ラウンジでアルバイトを始めた。
17歳のとき、同じ年の恋人との子を妊娠。中学時代に2度中絶手術をしており、「もうおろしたくない」と出産を決めた。客には「カクテルいただきまーす」と言いながらジンジャーエールを飲み、おなかの膨らみを隠して妊娠8カ月まで店に出た。
女児を出産。恋人とは別れ、ラウンジは週2日に減らして居酒屋、エステ店、祭りの夜店と四つの仕事を掛け持ちして娘を育てる。「ほんとはもっと一緒にいたい。超かわいい。まじ親ばかになります」
娘は昼は保育園、夜は近くに住む祖母宅で過ごす。生活保護で暮らす祖母も余裕はなく、「おむつ代」として月4万円渡す。残った分は娘の将来のために貯金に回す。もし祖母が体を壊したら、貯金が底を突いたら-。そんな不安が時折頭をもたげるが「立ち止まってはいられない」。
◇ ◇
奈央が働く盛り場には、中卒で働き、10代で出産したシングルマザーが少なくない。彼女たちの多くもまた、母子家庭育ちだ。
行き場のない少女を、時に法を犯しながら受け入れる夜の街。「みんな頑張って育ててる。でもどうしても駄目で、乳児院や児童養護施設に預けた人もいます」
出勤前、アイラインを強調したメークの奈央に、3歳の娘が「ママー」と無邪気に駆け寄った。
若年出産と貧困 人口動態統計によると、2014年の出生児のうち母親が10代なのは1万3011人(全体の1.3%)。その約8割は婚前妊娠。労働政策研究・研修機構の調査では、出産年齢が若いほど母子世帯、低収入となる割合が高い。子の養育環境も厳しいことが予測され、児童虐待が起きやすいと指摘される。
DV被害者や子どもの支援に取り組む北九州市のNPO法人「FOSC」によると、貧困家庭で育つ少女は生活のために歓楽街に働きに出て、若年出産する傾向がみられる。野口真理子理事長は「寮を完備し、孤立した少女を迎えている性産業もある。彼女たちがそこに流れざるを得ない現状を改めなければ、貧困の連鎖は止められない」と指摘する。
関連記事「貧困連鎖、奪われる未来」
=2015/12/19付 西日本新聞朝刊=
558
:
チバQ
:2015/12/27(日) 22:56:24
http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/214350
【貧困の現場から】(5) 引きこもり15歳「夢ない」
2015年12月21日 17時00分
中学卒業資格で働ける求人情報を検索する彩と母親。条件に合うものはなかなか見つからない
写真を見る
彩(15歳、仮名)は毎日昼すぎに万年床から起き出す。母と2人、九州のある街に暮らす。自宅アパートは2DKで家賃4万5千円。収入は母が受給する生活保護費と児童扶養手当などの約16万円だけだ。
毎朝、母が中学校の担任教諭に「今日も休みます」と電話を入れる。学校からは、そろそろ進路を考えてと言われている。
しかし、もう2年間も学校に行っておらず、公立高校は受かりそうもない。私立は経済的に難しい。「小学生のころはイラストレーターになりたかったけど、もう忘れちゃった。将来の夢なんて、ない」。彩は、衣類や雑貨が積み重なり、足の踏み場もない部屋で力なく語った。
◇ ◇
彩が記憶をたぐる。小学校低学年のころは幸せだった。父は会社に勤め、マンションも買った。
だが、やがて父の母に対する暴力が始まり、それは激しくなる一方だった。「夜、ふすまが飛んできても目をつぶり、寝たふりをした」。父はギャンブルにも手を出し、約500万円の借金を抱えて自己破産。心を病んでしまった母は、彩が小学3年の冬に1人で家を出た。
父はタクシー運転手となったが、手取りは10万円前後。家事を全くせず、食事は彩が見よう見まねでカレーやパスタを作った。そうしないと生きていけなかったから。家にはごみが散乱。頭にシラミが湧いていることに気付いた先生が、見かねて家の掃除に来たこともある。
小5の春、親戚の家に引き取られることになり、クラスでお別れ会まで開いてもらった。だが親戚間でもめて、話が立ち消えになると「いまさら学校に行けない」と登校しづらくなった。その年の冬から小6が終わるまでは、ずっと学校の保健室通い。中学生となり、数カ月は教室に通ったがなじめず、以来ずっと引きこもったままだ。
◇ ◇
中学進学と同時に、生活保護の受給が決まった母と一緒に暮らし始めた。母の精神状態は安定せず、パニックを起こして児童相談所の一時保護所に入れられた時は「捨てられた」と怖かった。
母からは「あんたは私を恨んでいるんやろうね」とよく言われる。「恨みはない。母も大変だったのは知ってるから」。母が、自分を置いて家を出たことに苦しんでいるのを、彩は分かっている。一方で「大人は勝手だ」という拭いがたい不信感もある。
彩は先日、がんばってハローワークに行き、「定時制高校に通いながらできるバイトを探したい」と相談した。この家を出て、アルバイトしながら学校に通いたい。そうしないと、このまま一生抜け出せない気がするからだ。
しかし、職員からは「引きこもりなのに働けるの」と言われた。何も言い返せず、落ち込んだ。「将来」が見えないまま、彩は今日も、散乱した部屋の中で過ごす。
精神疾患と貧困 精神疾患と貧困 貧困の背景には、ひとり親や低学歴、非正規雇用などさまざまあるが、病気で働けなくなった結果によることも少なくない。特に親に精神疾患などがあり、適切な支援が受けられなければ、子どもの生活や命にまで影響を及ぼしかねない。
厚生労働省が2005年1月〜14年3月に子どもが虐待死した777事例を分析したところ、実母に「育児不安」があった事例が25%、「精神疾患」と「うつ状態」がそれぞれ15%(複数回答)みられた。
一方、東京都の05年の調査では、育児放棄などの児童虐待が行われた家庭のうち、3分の1が貧困状態だったことが分かっている。子どもを守る観点から、精神科などの医療機関と保健所、生活保護担当部署、学校、児童相談所など相互の連携が求められている。
=2015/12/20付 西日本新聞朝刊=
559
:
チバQ
:2015/12/27(日) 22:57:16
http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/214349
【貧困の現場から】(6) 働きづめが「養育放棄」に
2015年12月21日 17時00分
麻衣(34)=仮名=は毎朝、小学生の3人の子どもを学校に送り出す時、千円札をそれぞれに渡す。午前中はコンビニのアルバイト。午後からはパチンコ店で働く。仕事が終わるのは毎日未明だ。休みはほとんどない。
小学4年の聖也(9)、3年の広志(8)、1年の恵美(6)=いずれも仮名=は学校から帰ると、テレビを見て時間をつぶし、コンビニやスーパーで弁当を買って夕食を済ます。子どもたちだけでスープを作ることもあった。心配した担任の先生が時々様子を見に来た。母が帰るころには、3人とも眠っていることが多かった。
2年ほど前に離婚して以降、こんな生活が続いた。
◇ ◇
麻衣が無理をして長時間働くのには理由がある。かつて生活保護を受けていた時、役所の担当者から「ゲームなど売れるものは全部売ってください」と繰り返し言われたからだ。自分が働けば子どもたちが窮屈な思いをしないで済むと考えた。
だが、働き始めてしばらくすると、子どもたちは親がいない家を抜け出し、深夜のスーパーやコンビニ、ゲームセンターをうろつくようになる。遠い母の勤務先の方向に足が向いていることもあったという。
聖也が同級生の所持品を勝手に家に持ち帰り、麻衣は学校から呼び出された。そして今年の春、聖也はぬいぐるみを万引し警察に補導された。
通告を受けた児童相談所の担当者が麻衣たちのアパートのドアを開けると、部屋にはペットボトルが散乱し、弁当の空き箱が押し入れの中にまで積み重なっていた。子どもたちはほとんど風呂に入らず、着替えもせずに寝起きしていた。
収入は20万円以上。生活保護よりも多かったが、一日中働いた麻衣には家事をする余裕がない。児相は「養育放棄」と判断し、子どもたち3人は施設で一時保護された。
◇ ◇
広志が算数の問題を解き、ボランティアの大学生と答え合わせをする。聖也と恵美は、同年代の子どもたちとのおしゃべりに夢中だ。母子4人はこの秋、九州南部のある街のアパートで生活を再スタートした。子どもたちは、地元のNPO法人が運営する学習支援の会に通う。
一時保護された後、児相は子どもたちを里親に預けるか児童養護施設に入れようとしたが、旧知の支援者が自宅に母子を引き取った。支援者の家族が、麻衣に料理や掃除、洗濯の仕方を教えた。
当初、子どもたちは支援者宅でお金を盗むこともあった。子どもたちが通う小学校の先生は支援者宅を訪ね、定期的に子どもの状況について情報交換した。学校では校長や担任らが3人を見守った。
生活保護を申請する際には、校長が役所に「母親には当面、仕事より子どもとの生活を優先させてほしい」と頼んだ。受給が決まり、しばらくは子育てに専念できる環境が整った。
多くの人に見守られながら支援者宅で数カ月間暮らすうち、子どもたちの表情は目に見えて明るくなり、問題行動もなくなった。「ぬいぐるみを万引したのも寂しかったからだろう」と、支援者は思いやる。
3人とも勉強する習慣が付いておらず、学習支援でもボール遊びをしてしまうこともある。ただ、いすに座る時間は少しずつ長くなってきた。「子どもが宿題をするようになった」と麻衣は喜ぶ。
その麻衣も、掃除、洗濯ができるようになった。子育てと家事のバランスを取りながら、母子で生活再建を目指す。「次は無理のない範囲で働き、生活したい」。そう再起を誓った。
無料塾と学習支援 無料塾と学習支援 文部科学省が2014年に公表した調査結果では、学習塾や習い事などへの年間支出額(学年別)は、公立学校では中学3年が最多で36万4000円、私立学校では小学6年が最多で72万4000円に上る。受験競争が過熱する一方、貧困世帯の子どもたちが取り残される「教育格差」の拡大が指摘される。一方、各地の自治体やNPO法人が相次いで無料や低料金の塾を開設し、ボランティアの元教師や大学生らが勉強を教える活動が広がっている。4月に施行した生活困窮者自立支援法の事業としても、自治体や、自治体から委託を受けた団体が困窮家庭の子どもへの学習支援を実施できるようになった。
=おわり
=2015/12/21付 西日本新聞朝刊=
560
:
チバQ
:2015/12/27(日) 22:58:16
http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/206287
子どもに居場所を 善意の食堂、九州にも広がる
2015年11月10日 11時14分
連載「子どもに明日を」
子どもが集う「くるめこども食堂」。食後はお絵描きなどして過ごす=10月25日、福岡県久留米市
子どもが集う「くるめこども食堂」。食後はお絵描きなどして過ごす=10月25日、福岡県久留米市
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経済的貧困や親のネグレクト(育児放棄)など、さまざまな事情で十分な食事を取れない子どもたちのための「子ども食堂」が、九州でも広がっている。ひとり親世帯の3割が経済的理由で食料を買えなかった経験がある、との調査結果もある。気軽に立ち寄って、悩みを相談できる居場所づくりを兼ねている場所も多い。だが、運営は自費や寄付で賄うところが大半だ。善意が、子どもたちの空腹を満たしている。
「おかわり」「僕も」。ちゃぶ台を囲んだ子どもたちが元気な声を上げる。10月25日、福岡県久留米市の「くるめこども食堂」。商店街のイベントスペースで8月に開設され、毎月最終日曜日にカレーライスを提供している。子どもの負担は300円だが、絵を描いたら100円引きで、おかわり自由。この日は約40人に100皿を提供した。4皿平らげた母子家庭の子どももいた。
運営する河野大助さん(38)は子どもたちにあえて事情は聞かない。「自分が子どものころは近所のおっちゃん、おばちゃんが何も聞かずに世話を焼いてくれた。そんな大人が必要」と思うからだ。
子ども食堂は2012年8月に東京都大田区の青果店が始めた取り組みで、全国に広がっている。河野さんは今年7月、ニュースで取り組みを知り、電気やガスも止められ、満足な食事にありつけなかった自分の少年時代を思い返した。
「同じようにおなかをすかせた子は今も大勢いる。見過ごせない」。支援者などから野菜の提供を受け、足りない分は自費で運営を続けている。
国立社会保障・人口問題研究所の12年7月の調査によると、子どもを抱え、過去1年間に経済的な理由で食料が買えなかった経験のある世帯は、ひとり親世帯で32%、両親がそろう世帯でも16%に上る。福岡県の教育関係者は「給食頼りの小中学生で、夏休み明けにげっそりとやせてくる子もいる」と明かす。
◇ ◇ ◇
長崎市の中心街近くのうどん屋を改装した「夢cafe…ひまわり」。昨年11月から、毎週木曜日の午後6時半〜9時にカレーを無料提供している。「今日初めてのごはん」とうれしそうに食べる子どももいる。今月5日夕、記者が足を運ぶと、女の子3人が黙々とカレーを食べていた。
自費で運営している川井健蔵さん(68)は、子どもから相談を受け、学習会も開いている。「問題山積の子どもにも夢や目標を持ってほしい。必要な支援へと、子どもをつなげる場を目指したい」
福岡市博多区の板付北公民館では、食育活動などに携わる人たちが今月28日から、毎月第4土曜日に昼食を出す準備を進める。子どもが持ち寄る200円と公の基金を活用するという。
若者の貧困や孤立問題に取り組んできた、福岡市の一般社団法人「ストリート・プロジェクト」も昨年4月から、JR博多駅前のマンションで15〜25歳を対象に無料で食事を提供。支援者が寄付した食料を利用したり、古本の売却益を活用したりして賄い、これまでに31人が利用した。
坪井恵子理事長(55)は「ここに来る子たちは虐待など重い課題を抱えているが、まずはおなかを満たしてほっとしてもらわないと本音も聞き出せない。『ご飯を与えれば解決』ではなく、長い目で多方面から支援していきたい」と語った。
=2015/11/07付 西日本新聞朝刊=
561
:
チバQ
:2015/12/27(日) 23:10:37
http://www.asahi.com/articles/ASHD36QRRHD3UUPI001.html
ひとり親 波打つ収入、綱渡り 児童扶養手当4カ月ごと
錦光山雅子2015年12月27日09時49分
困窮するひとり親世帯への公的手当は、数カ月分がまとめて支給されるため、家計に激しい収入の波をもたらす。その支給方法によって、貧困から抜け出せなくなる家族の姿を追った。
大阪府の30代女性は11日、中学生の長男と外へ出かけ、串揚げを食べた。
この日は待ちに待った、児童扶養手当の支給日だ。約17万円が振り込まれた。前日まで所持金数百円。1週間近く、ほぼ豆腐と米飯の食事でしのいできた。
昨年末、体の不調で失業。今は月5万円の養育費と、2、6、10月に入る児童手当(4万円)と、4、8、12月に入るひとり親世帯が対象の児童扶養手当で暮らす。手当の入る偶数月と入らない奇数月で、収入は激しく波打つ。
電気、水道、ガス、ネット、NHK、携帯、学校給食費や教材費。滞納していた公共料金を一気に支払うのも、手当の支給日だ。これで手当の半分が消える。
手当で一息つくものの、長くは続かない。どの料金を滞納するか払うかで、じきに頭がいっぱいになる奇数月が、やって来る。「手当の支給前が、一番しんどい」
562
:
名無しさん
:2015/12/31(木) 09:41:58
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151231/k10010357381000.html
子ども貧困対策の基金 寄付呼びかけ強化
12月31日 5時01分
政府は、子どもの貧困対策を強化するため、子どもたちを支援しているNPOなどを助成する基金を創設しましたが、これまでに集まった寄付は600万円余りにとどまっていて、今後、企業などに対し寄付の呼びかけを強化していくことにしています。
政府は、いわゆる貧困状態の家庭における17歳以下の子どもの割合が、統計を取り始めた昭和60年以降、もっとも高い16.3%となっていることなどから、子どもの貧困対策を強化するための基金を創設し、集まった寄付の総額に応じて、助成する団体の数や助成額を検討することにしています。
しかし、基金の創設から2か月余りたった今月22日の時点で、寄付の総額は644万円5641円にとどまっています。寄付の内訳は、個人が218件だった一方、企業は4件となっていて、政府は、基金の創設に経団連の幹部ら財界人も関わっていることを踏まえ、今後、直接、企業を訪問するなどして寄付の呼びかけを強化していくことにしています。
内閣府の担当者は「寄付が十分に集まらなければ来年度の助成事業を十分に行えなくなる可能性があり、多くの人に関心を持ってもらい寄付を増やしていきたい」と話しています。
563
:
チバQ
:2016/02/08(月) 20:20:33
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160208-00000012-sasahi-soci
増殖する「中高年派遣」34万人の悲鳴 法改正を逆手にとった「派遣切り」も〈AERA〉
dot. 2月8日(月)16時12分配信
増殖する「中高年派遣」34万人の悲鳴 法改正を逆手にとった「派遣切り」も〈AERA〉
中高年の男性派遣社員が就けるのは現場の仕事ばかり。Cさん(54)は、写真の安全靴とゴム手袋を使って倉庫内でピッキング作業をする(撮影/写真部・植田真紗美)
リストラなどで増え続ける中高年の派遣社員。その数は34万人と、派遣全体の約3割に達した。人格まで否定されるブラックな現場では、法改正を理由にした雇い止めの動きも出始めている。(編集部・野村昌二)
「じゃあ、いつ辞める? 今月? 来月?」
関東地方の派遣社員の50代男性Aさんは昨年9月、職を失った。その約1カ月前、派遣先のリーダーの男性社員(40)に事務所内のロッカールームに呼び出されて叱責された後、別の社員から突然そう切り出され、契約を切られたのだ。
都内の有名私立大学を卒業後、正社員として流通関係の企業や学習塾で働いた。だが、40歳を前に勤めていた塾が廃業。必死に仕事を探したが、中高年に正社員のイスはなく、生活のため派遣会社に登録した。しかし、紹介されるのは警備、引っ越し、倉庫作業といった「3K」と称される仕事ばかり。15社近い派遣会社に登録し、倉庫を中心に働いてきた。
●パワハラを告発したら
昨年3月から派遣されたのは、神奈川県内にある倉庫。医療品の「ピッキング」と呼ばれる作業だった。小学校の体育館くらいの広さの倉庫で、棚から商品を取り出し、箱に入れ、梱包し、配送の準備をした。倉庫では14〜15人が働いていたが、リーダーを除いて全員が中高年の派遣社員だった。
Aさんの時給は、県の最低賃金ぎりぎりの900円。毎月の手取りは15万円にも満たず、交通費も支給されない。それでも、朝から夕方までまじめに一生懸命働いた。それが突然、契約終了を告げられたのだ。
思い当たる節はあった。リーダーの社員は自分が気に入った派遣社員ばかりをひいきし、気に入らない派遣社員には仕事量などで露骨に差別した。たとえば、商品情報を読み取るスキャナーを気に入った派遣社員にだけ使わせたり、逆に気に入らない派遣社員の仕事を減らしてやる気をそいだり。少しでもミスをすれば「お前、飛ばすぞ」と怒鳴られた。そうしたパワハラに我慢できず、Aさんは会社の役員に訴えたのだ。
ロッカールームに呼び出されたのは、その日の夕方だった。リーダーは、「不満があるなら直接自分に言え」と言った後、別の社員と相談するよう告げた。すると、いきなり冒頭の通告──。
この社員は保身から、面倒な問題を背負いたくなかったようだ。後日、Aさんは派遣会社の営業マンに「どうにかならないですか」と頼んだが、翌月いっぱいで一方的に契約を打ち切られた。のちに理由は、役員に告げ口をしたことだと聞かされた。
「ショックでした……。お前は派遣だからさっさと辞めろといわんばかりですよね」(Aさん)
564
:
チバQ
:2016/02/08(月) 20:21:00
●部長の執拗なセクハラ
労働者派遣法(派遣法)が施行されたのは、今からちょうど30年前の1986年。当初は、「専門知識を生かして自由な働き方ができる」として働く側からも歓迎された派遣社員だが、企業側からは契約期間終了で「雇い止め」にできることから、人手不足のときだけ一時的に雇える「雇用の調整弁」として扱われるようになった。その間、勤め先の倒産やリストラなどで正社員の地位を追われたり、親の介護のため仕事を辞めたりする中高年の失業者が増加。そうした人たちが働き先を求め、派遣市場に流れ込んだ。
総務省の労働力調査によれば、中高年(45〜64歳)の派遣社員の数は2014年平均で34万人と、04年の2.4倍に膨らんだ。約119万人いる派遣社員の3割近くを占めるに至っている。
だがその現実は厳しい。40歳を過ぎると仕事は極端に減り、職種はキャリアを問わない単純労働ばかりになる。提示される時給も、低くなる一方だ。現場では、派遣社員の経験やスキルばかりか、人格すら軽視した事態が広がっている。
都内の大手飲料メーカーで、一般事務の派遣社員として働いていた女性Bさん(41)は、50代後半の男性部長から、たび重なるセクハラを受けた。14年8月から働き始め、翌15年1月に別の部署の仕事も兼任することになった。セクハラをしてきたのは、兼任先の部長だ。
懇親会の席で、部長はBさんの年齢や結婚歴はおろか、夫婦生活にまで言及し、
「子づくり、がんばりなさい。年齢的にもあと1年くらい大丈夫だろう!」
と言い放った。隣に座っていた男性社員には、
「なあ、子づくり教えてやれ!」
などと、お開きまで2時間近く繰り返した。部長は勤務中も、
「ご主人と、年に数回は、ねえ?」
など性生活を示唆する質問をしつこく続けた。
「不妊と絡んでいるので、私の中では笑って聞き流すことのできない話でした」(Bさん)
精神のバランスを崩し、夫に声を荒らげたり、突然涙があふれて止まらなくなったりした。やがて、激しい頭痛にも見舞われ、脳神経外科を受診すると、ストレスからの「緊張型頭痛」と診断された。抗不安薬や睡眠薬が手放せなくなった。
●苦情の半数は人間関係
派遣会社に環境改善を求めたが、対応は鈍い。そればかりか、処遇面で不利益を被らないよう、派遣先へは匿名で対応するよう強く求めていたにもかかわらず、実名を告げられてしまった。そのせいか、Bさんは週5日勤務だった契約を週3日に減らすと一方的に通告された。
Bさんは昨年4月、1人でも入れる労働組合「派遣ユニオン」(東京)に加入した。派遣先と派遣会社を相手に団体交渉を行い、前者から和解金、後者からは和解金と謝罪文を勝ち取った。昨年5月で職場を離れ、問題も解決していくうちに、薬を飲まずにすむようになった。現在は別の派遣会社に登録し、別の派遣先で働くBさんが言う。
「いつも笑顔で正社員に気を使う一方、契約を切られたり、仕事を紹介されなくなったりするのではという不安から、何かあっても泣き寝入り。そんな派遣社員は多い」
厚生労働省が4年に1度実施している「派遣労働者実態調査」(12年)によれば、派遣社員の苦情の内容(複数回答)は、「人間関係・いじめ」が51.7%、「セクハラ」も2.6%ある。派遣労働の現場で、「精神的に追いつめられる」「ストレスを感じる」「尊厳を傷つけられる」と嘆く中高年は少なくない。
「正社員は、僕たちが派遣というだけで頭からなめてかかり、バカにしています」
そう話すのは、神奈川県内の男性派遣社員Cさん(54)だ。
565
:
チバQ
:2016/02/08(月) 20:21:31
●若い社員からモノ扱い
大学を卒業後、正社員として学習塾などで働いた。だが、35歳の時に勤めていた会社が事実上倒産。正社員の仕事を探したが見つからず、アルバイトでつないだ。40歳で結婚して子どもが生まれ、少しでも収入がいい仕事に就こうと思い、3年前に派遣会社に登録した。以来、倉庫内での作業、引っ越し、事務所移転の現場などで働いている。
派遣先ではプライドを傷つけられることばかりだ。親子ほど年齢が離れた正社員からモノ扱いされる。名前で呼ばれることはなく「お前」と呼ばれ、「使えないヤツだな」などと罵倒される。口にこそ出さないが、「派遣の分際で」と見下しているとしか思えない。
今は倉庫で物置資材のピッキングの作業をしているが、毎日のように「スピードが遅い」と年下の正社員から怒鳴られる。決して遅いわけではないと思うが、言い返すことはしない。黙々と作業を続けるだけだ。
「バカなヤツを相手にしても仕方ないと思ってます。でも、そう割り切らないと、派遣ではやっていけないです」
派遣法は施行以来、規制緩和の流れの中で幾度となく法改正されてきた。派遣業務の原則自由化(99年)、製造業への派遣解禁(04年)……。その都度、政府は「多様な働き方に対応できる」とうたったが、実態は企業の思いのままに低コストの労働力を調達できる歪んだ労働市場を生んだのではなかったか。昨年9月には、中高年の派遣労働者をさらに追いつめる改正派遣法が成立、施行された。
今回の法改正最大のポイントは、業務内容を問わずすべての派遣社員が同じ職場で働ける期間の上限が「最長3年」になったことだ。それまで秘書、通訳、財務処理などは「専門26業務」と呼ばれ、派遣社員として同じ職場で期限なく働くことができたが、それ以外の業務と同様、最長3年になった。同じ派遣先でも違う部署に移らなければ、4年目以降は就業することができない。
●3年後の雇い止め通告
これにより派遣社員は、正社員への道が狭まっただけでなく、失業して無職になってしまうリスクが高まった。求人の少ない中高年の派遣社員にとっては「死刑宣告」にも等しい。法改正を奇貨とした「派遣切り」の動きも出始めている。
「私がホームレスになろうが、行き倒れになろうが、餓死しようが、会社はそんなことおかまいなしってことですよね」
都内に住む女性Dさん(56)は怒りをあらわにする。16年間働いてきた派遣先から、3年後の雇い止めを通告されたのだ。
26歳で離婚し、シングルマザーとして2人の子どもを育ててきた。00年に派遣会社に登録すると、都内の大手コンサルティング会社に派遣された。業務内容は、専門26業務の一つ「事務用機器操作」だった。
派遣先とは3カ月単位の契約を繰り返し更新し、ずっと同じ部署で働いた。今の時給は1830円と、16年前から100円アップしただけ。月収は手取り22万円程度で、ボーナスはない。月1万円近い定期券代は自腹を切っている。幸い実家に身を寄せているので家賃はかからないが、老いた母(86)と契約社員の娘(32)と暮らしているので、生活はぎりぎりだ。
派遣会社から昨年5月ごろ、法改正などを理由に、3年後には契約が更新できないかもしれないと聞かされた。驚いて部長時代から知っている派遣先の社長に直談判した。事実なのかと問い詰めるDさんに、社長は言い放った。
「派遣でも人によっては部署を替えて残ってもらう人もいる。しかし、あなた、今56歳でしょう。3年後は59歳。60歳間近で、同じように使うということはありえない。よっぽど特殊技能とかあれば話は別だが、あなたはそこまで優秀じゃないんだ」
一瞬、頭の中が真っ白になり、何を言われているのかわからなかった。我に返って抗議すると、社長はこう言った。
「3年あれば、辞めた後の準備期間としては十分だろう」
後日、このことを派遣会社に伝えると、しれっと言われた。
「先様がそうおっしゃっているので、私どもは法令に則っているだけの話ですから」
「先様」とは派遣先のことだ。
566
:
チバQ
:2016/02/08(月) 20:21:45
●資格が10件あっても…
Dさんは証券2種外務員、ビジネス能力検定2級、秘書技能検定2級など10件の資格を持っている。だが、いくら資格を持っていようが、還暦間近になったDさんに今と同じような派遣先があるとは考えにくい。3年後、仕事はあるのか、体力的に働けるのか、医療費が余分にかかるのではないか。日雇い派遣でつないでいくしかないのか──。日々、不安に押しつぶされそうになりながら暮らしている。家族には心配させたくないので、あまり詳しくは伝えていない。Dさんはこう話した。
「仕事を奪われるということは、収入が途絶えて生活の基盤を失うということです。法律が改正されたからといって、今まで頑張ってきた人間を切るのは、非人間的な行いだと思います」
中高年派遣社員は今後も増えるだろう。これは、明日の正社員の問題でもある。
※AERA 2016年2月15日号
567
:
名無しさん
:2016/02/13(土) 11:24:12
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160212/k10010406261000.html
子どもの貧困対策強化 超党派の議連発足へ
2月12日 5時34分
子どもの貧困対策を強化しようと、超党派の国会議員の有志が近く議員連盟を発足させ、学習の支援や生活援助、それに親の就労支援などの提言をまとめ、政府に実現を求めることにしています。
内閣府などによりますと、貧困状態にある17歳以下の子どもの割合は平成24年の時点の推計で16.3%と、調査を始めた昭和60年以降最も高くなっていて、背景には所得の低いひとり親家庭の増加などが指摘されています。
こうしたなか、子どもの貧困対策を強化しようと、自民党の田村前厚生労働大臣ら与野党7党の国会議員の有志の呼びかけで議員連盟が発足することになりました。議員連盟では、各地の支援活動を視察したり、当事者から話を聞くなどして実態を把握したうえで、▽学習や進学の支援や▽食事などの生活援助、それに▽親の就労支援など具体的な対策を検討することにしています。
議員連盟は今月下旬に設立総会を開き、ことし夏をめどに提言をまとめ政府に実現を求めることにしています。
568
:
とはずがたり
:2016/02/13(土) 19:51:13
>>561
児童扶養手当の「まとめ支給」に隠された恐るべき貧困への罠
http://diamond.jp/articles/-/84310
みわよしこ [フリーランス・ライター] 【第35回】 2016年1月8日
2015年12月24日、政府予算案で児童扶養手当の増額が決定された。ひとり親家庭の一部しか対象にならず、金額も十分とはいえず、しかも政府予算案では「不正受給対策の強化」がセットにされている。
福祉給付、特に現金給付を増額するのは、容易なことではない。増額以外の方法で、「優しさ」「絆」「民間の力」といった精神論によるのでもなく、厳しい状況にある人々を経済的に助ける方法は何もないのだろうか?
?年明け早々の2016年1月4日、通常開会が開会された。審議の大きな柱の一つは、2016年度予算案だ。
?政府予算案には、ひとり親家庭を対象とした児童扶養手当の36年ぶりの増額が盛り込まれた。しかしながら増額幅は「充分」とはいえない上、ひとり親世帯に対する「不正受給対策の強化」がセットにされようとしている。児童扶養手当の「不正受給」とは、事実上、ほぼ「事実婚の疑い」。。
?さて、この政府予算案が発表された3日後の2015年12月27日、児童扶養手当をテーマとした記事が、朝日新聞の1面・2面に掲載された。デジタル版では、児童扶養手当を受給している世帯の収入が不安定であることの問題点を浮き彫りにした「ひとり親?波打つ収入、綱渡り?児童扶養手当4ヵ月ごと」、2013年9月に起こった関東地方の母親による女子中学生殺害事件を、母親の収入状態の変動から検証した「強制退去の日に娘殺害?収入波打つ中、借金重ね生活破綻」、低所得世帯への現金給付を「渡し方」に着目して経済的破綻を防ぐ方法を提示した「(視点)低所得世帯への公的手当、毎月支給が有効策」の3本となっている。いずれも、錦光山雅子記者の手になるものだ。ひとり親家庭が、貧困の上に数多くの問題を積み重ねてしまう構図が、背景とともに浮かび上がってくる記事に、私は強い衝撃を受けた。
ひとり親家庭へのダブルパンチ
収入の低さと激しい波
?最初の記事では、大阪府で中学生の息子と暮らす30代女性の暮らしぶりが描かれている。2014年、体調不良で失職したままの女性の収入源は、元夫からの月額5万円の養育費・月額1万円の児童手当・月額4万2000円の児童扶養手当。月あたりの収入は10万2000円。同じ家族構成に対する大阪市の生活保護費は、家賃補助を含めて約20万円。「持ち家に住んでいる」などの理由で住居費負担がないのであれば、「月あたり10万2000円」は「暮らせないわけではないけれど、苦しい」という金額であろう。
?ところが記事によると、児童扶養手当の支給日直前の1週間を、母と息子は「ほぼ豆腐と米飯の食事でしのいで」、支給日前日の所持金は数百円。「待ちに待った、児童扶養手当の支給日」、約17万円が振り込まれると、外に出て親子で「串揚げを食べた」。同じ日、「電気、水道、ガス、ネット、NHK、携帯、学校給食費や教材費。滞納していた公共料金を一気に」支払うと、「手当の半分が消え」、「手当で一息つくものの、長くは続かない」。
?なぜ、ここまで苦しい生活になってしまうのか。児童手当が4ヵ月に1回(2・6・10月)、児童扶養手当も4ヵ月に1回(4・8・12月)のまとめ支給だからだ。記事には、母親の月ごとの収入の激しい変動が、グラフで示されている。4ヵ月分の児童扶養手当が支給される月には22万円、手当支給のない月は5万円。同記事によれば、家計相談員養成講座の講師は
「収入が極めて少ないので、手当なしには生計が成り立たない。何らかの事情で滞納が生じ、その解消を数ヵ月おきの手当に一度頼ると、その分後で生活費にしわ寄せが来て、また滞納を繰り返すようになる」
?と語り、また九州地方で困窮者の家計再生事業を展開する生協「グリーンコープ連合」の乗務理事は、
「家計を支えるための公的手当がまとめ支給であるがゆえに、公共料金などの滞納とまとめ払いを繰り返す不健全な家計運営を余儀なくされている」
?と、公的手当を受けている低所得世帯に現れがちな「自転車操業」のメカニズムを、原因とともに指摘している。
?県営住宅を家賃滞納によって強制退去となる日にシングルマザーが中学2年生の娘を殺してしまった関東地方の事件で、追いつめられていく母親の姿を家計から浮き彫りにした2本目の記事にも、母親の収入のグラフが示されている。冬休み明けでパート収入が減り手当支給もない2013年1月、および児童手当4ヶ月分4万円が支給される2013年2月、中学に入学する娘の制服などの費用を工面するために厳しいやりくりを強いられた母親は、「ヤミ金」から借り入れてしまい、返済に苦しんだあげく、経済破綻に追い込まれ、娘殺しの悲劇へとつながっていく。…
569
:
名無しさん
:2016/02/23(火) 21:58:27
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160223/k10010419281000.html
子どもの貧困対策で超党派議連が発足
2月23日 20時43分
子どもの貧困対策を強化しようと、23日、超党派の議員連盟が設立総会を開き、ことし夏をめどに、学習支援や生活の援助、それに親の就労支援などについて提言をまとめ、政府に実現を求めていくことになりました。
議員連盟は与野党7党の国会議員の有志が呼びかけて発足し、国会内で開かれた設立総会にはおよそ50人の議員が出席しました。
会長を務める自民党の田村前厚生労働大臣は「子どもの貧困が解消していないのは、うまく支援が行き渡っていない点があるからだ。問題点を探り、早急に貧困を解消したい」と述べました。
貧困状態にある17歳以下の子どもの割合は、所得の低いひとり親家庭の増加を背景に、平成24年の時点の推計で16.3%と、調査を始めた昭和60年以降、最も高くなっています。
議員連盟では、学習や進学の支援や食事などの生活援助、それに親の就労支援などについて、ことし夏をめどに提言をまとめ、政府に実現を求めていくことにしています。
570
:
チバQ
:2016/02/26(金) 00:45:11
http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/s/224803
いま、学校で(1) 生徒の食「配給」が命綱
2016年02月16日 03時00分
生徒指導室の食料は生活が厳しい生徒に提供したばかり。米を残すだけで、段ボール箱は空だった
生徒指導室の食料は生活が厳しい生徒に提供したばかり。米を残すだけで、段ボール箱は空だった
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高校3年の大樹(18)はカップラーメンをリュックサックにいっぱい詰め込んでもらうと、頭を下げた。
「先生、ありがとうございます」
福岡県のある公立高校。「生徒指導室」に置かれた段ボール箱にはパック入りのご飯やカップラーメン、レトルトのカレー、缶詰が入れられている。家で十分な食事が取れない生徒が持ち帰る。他の生徒には知らせていない。
指導室に米やカップ麺
大樹は生活保護を受ける父親と2人で暮らし、奨学金をもらい高校に通う。生徒支援を担当する教諭の田中幸四郎(31)が大樹の異変に気付いたのは2年生の時。修学旅行費の積み立てなど、月に約1万円の校納金がまったく入金されなくなった。
家庭訪問しても、父親は居留守。何度も通うと「うるさい! せからしい!」と怒鳴られた。父親は息子に食事を全く与えず、大樹の奨学金も流用していた。
大樹は週に数回、夕方飲食店でアルバイトをし、店のまかないで食いつなぐ。生徒指導室の食料は、大樹の「生命線」だ。
間もなく卒業。本当は専門学校に進学したかった。学力は申し分なかった。だが、田中はこう伝えた。
「1年間で100万円かかる。奨学金をもらっても、お父さんが流用する。就職したほうがいい」。大樹は泣く泣く進学を諦めた。
田中が生徒指導室で食料提供を始めたのは約3年前。生徒の相談に乗っているうちに、経済的な理由や養育放棄で食に困窮するケースが少なくないことに気付いた。がりがりに痩せ、「最後に何を食べたか覚えていない」と話す生徒もいた。
民間の支援団体代表にそうした現状を話すと、「私たちが食品を提供しましょう」と申し出てくれた。これまで継続的に受け取った生徒は約10人。田中の個人的努力と民間団体の取り組みが、子どもたちの食をかろうじてつなぐ。
「学校は子どもを救う最前線。子どもたちが抱える問題は、目を凝らさなければ見過ごしてしまう」
家庭や行政の福祉部局を日々、走り回る田中は自らにこう言い聞かせる。
◇ ◇
小学2年の葵(8)は、母子家庭で中学1年の兄と3人暮らし。母親は精神疾患を抱え、育児もままならない。自宅アパートは脱ぎ捨てた服やごみ袋であふれ、足の踏み場もない。
母親は、体調がいい日は食事を作るが、それ以外はコンビニ弁当か菓子パン。一日の食事が給食だけの日も珍しくない。教師たちがおにぎりやパンを買い、職員室で隠れて食べさせるのが日課だ。
スクールソーシャルワーカーの山田由希子(50)によると、葵がある日、口元に前日の給食で飲んだ牛乳の跡を付けて登校した。顔を拭きながら「ちゃんと顔を洗っている」と聞くと、葵は「顔とか洗ったことないよ」。「歯磨きは?」と聞くと、「保育園のときにしたことがある」。
様子を見かねた山田が昨年夏、母親に「夏休みの間だけ、児童相談所の一時保護施設に預けませんか」と提案すると、母親は二つ返事で応じた。
寂しい思いをしているだろうと山田が施設へ面会に行くと、葵は「ご飯が3回あって、おやつも出るとよ」「お部屋がきれいで、お布団も1人ずつにあるんよ」と満面の笑みで話した。
「食事を満足に取れない子には、児相の保護施設ですら天国なんです」と山田は言う。
葵にとって、1カ月間の施設生活は楽しい思い出。 「またあそこに行きたいんだけど、どうしたら行けると?」。葵が山田に尋ねる。「もう行かん方がいいよ」と諭すと、葵は不満そうにつぶやく。
「なんで? また行きたいなぁ」 (登場人物はいずれも仮名)
◇ ◇
深刻化する子どもの貧困。その現実を教育現場から報告する。
=2016/02/16付 西日本新聞朝刊=
571
:
チバQ
:2016/02/26(金) 00:45:33
http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/225035
いま、学校で(2) 制服買えず入学式欠席
2016年02月17日 03時00分
福岡県古賀市教育委員会の窓口前に掛けられたリユース用の制服。希望者は名前や連絡先を届け出て、サイズを選ぶ
福岡県古賀市教育委員会の窓口前に掛けられたリユース用の制服。希望者は名前や連絡先を届け出て、サイズを選ぶ
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3年前の春、九州北部のある公立中学校。入学式に新入生の陽介(仮名、12)の姿はなかった。2日目も、3日目も。母親は電話で「体調が悪いから」と説明するばかり。ぴんときた担任教諭は学校指定の制服業者に電話した。
「ああ、その子、受け取りに来てませんよ」
採寸して注文はしたが、約3万5千円のお金がなくて取りに行けず、登校させられなかった-。母親は、そう打ち明けた。
校長が立て替え、制服を陽介の家に届けた。担任の勧めで母親は就学援助を申請し、校長に少しずつ返済すると約束した。
4日目、陽介は真新しい制服に身を包み、ようやく校門をくぐった。
翌年からこの中学では、制服を取りに来ていない生徒がいないか、入学式前に制服業者に確認するようにした。スタートから子どもがつまずくようなことがあってはならない。
◇ ◇
「制服だけじゃない。収入のある家庭には何でもないことも、貧しい家庭の子にとっては関門なんです」。福岡市の学校関係者は打ち明ける。
市立中学校に修学旅行をためらっている佳純(同、14)がいた。担任が「旅行代は就学援助で賄えますよ」と説明すると、母親は消え入りそうな声で答えた。
「でも、きれいな下着やパジャマをそろえてあげられない。お小遣いも1万円なんて無理。惨めな思いをさせるくらいなら」。佳純は結局、参加しなかった。
〈男子11万2972円。女子12万1572円〉
福岡市のある市立中学校で、入学前後にかかる制服や運動着、通学かばん、校納金(テスト代など)の保護者負担金の合計だ。就学援助を受けても、1年生への年間支給額は約4万8千円で約4割しか賄えない。さらに部活に入れば、例えば野球部ならスパイク、グラブなどで初年度に約15万円かかる。
「義務教育は、これを無償とする」。憲法26条はこううたうが、実際は公立校であっても保護者の負担は重い。家庭の懐事情によって学びの場に格差が生じる。それを防ぐため、対策に乗り出した自治体もある。
◇ ◇
福岡県古賀市は2007年度から、中学、高校の卒業生に制服を無償提供してもらい、買うお金がない生徒に回す「制服リユース」の取り組みを続ける。毎年100人前後が制服を残し、すぐなくなってしまう。「小さくなった」と2、3年生がもらいに来る場合も多いが、新入生も30人前後が利用する。
同県嘉麻市では、小学校で行う単元テストや、年間約4千円かかる中学校の学力分析テストを11年度から全額公費で行っている。部活のユニホームや中学の体育で使う柔道着なども学校が購入して、貸与する。
旧産炭地の嘉麻市で、小中学生の就学援助率は41・6%と県内2番目の高さ。生活保護家庭も1割近い。
「家庭環境が厳しい子が途中でつまずくことのないようにしたい。そのために公でできることはする」。同市教育委員会の木本寛昭教育長は力を込めた。
=2016/02/17付 西日本新聞朝刊=
572
:
チバQ
:2016/02/26(金) 00:45:53
http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/225259
いま、学校で(3) 貧困が招く「10歳の壁」
2016年02月18日 03時00分
九州のある高校が実施する検定試験。小学生レベルの問題から始まる
九州のある高校が実施する検定試験。小学生レベルの問題から始まる
写真を見る
〈次のひらがなをカタカナにしなさい〉
(1)ばなな(2)あいすくりーむ(3)しゅーくりーむ…
これは、九州北部の高校が、全校生徒を対象に実施する検定試験の実際の問題だ。この学校では高校の授業と同時に、小学1年〜中学3年レベルの基礎的学力の埋め合わせを進める。
きっかけは、10年前に行った学力調査。当時の3年生に小学校の問題を解かせたところ、6割の生徒が小学3〜4年レベルでつまずいていることが判明した。
「このレベルが解けない生徒は、基礎的学力を身に付ける時期に両親が離婚したり、家庭の経済状況が苦しかったりするなど、何らかの要因を抱えていることが多い」。同校教諭の加藤信介(60)は言う。
加藤の言葉をデータが裏付ける。全校生徒の約4割がひとり親家庭。低所得のため税金が免除される非課税世帯は3割超に上る。
加藤は今年、3年生が進学のため日本学生支援機構に奨学金を申請した書類を見て驚いた。
〈生活保護世帯 父の年収0 中学生の姉妹あり〉〈母子家庭 母の年収30万円 兄弟2人〉〈母子家庭 母の年収85万円 小中学生の妹、弟あり〉
行政関係者からは「こんな学生を進学させてどうするんですか」と言われた。進学しても学費を稼ぐためアルバイトに追われ、疲れ果てて中退する卒業生は少なくない。
◇ ◇
「10歳の壁」。多くの教師がこう呼ぶ現象がある。
子どもは幼少期、親や周囲の大人から話しかけられたり、本を読み聞かされたりしながら言葉を学ぶ。養育を放棄され、大人との関わりが極端に少ないと語彙(ごい)の習得が遅れ、抽象的な概念や複雑な問題を考える能力が育ちにくいとされる。
文章の読解や分数などが登場し、学習内容が難しくなる小学3年、4年時に、こうした問題が表面化することが多いという。背景に、貧困が横たわることも少なくない。
九州中部の公立中学校に通う3年生の浩輔(15)も、そんな一人だ。
〈王はりこうになりたかった〉。浩輔は授業の音読で、「走れメロス」のこの一節をうまく読めなかった。「利口」という言葉を知らなかったからだ。
浩輔が小学校に入って間もなく、両親は離婚。母子家庭になり、母は昼間は仕事、夜は飲み歩いた。浩輔と3歳下の妹は「公園や商業施設のフードコートで夜遅くまで過ごしていた」。小学校からの申し送りには、こう記されていた。
「幼いころから積み上げるべき思考力が育っていない」と浩輔を見守ってきた教諭の田尻和夫(55)は思う。中学卒業を目前に「俺、どうせばかやけん」と口癖のように話し、生活すべてに投げやりになっているような姿が、何よりも気にかかる。
専願で私立高校に合格した浩輔。「このまま行けば高校を中退してしまいかねない。何とか踏ん張って卒業し、安定した職に就いてほしい」。祈るような気持ちで送り出す。
(登場人物はいずれも仮名)
=2016/02/18付 西日本新聞朝刊=
573
:
チバQ
:2016/02/26(金) 00:46:23
http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/225523
いま、学校で(4) いつか高校に行きたい
2016年02月19日 03時00分
作業着のまま定時制高校で授業を受ける潤。1人暮らしのための蓄えは70万円を超えた
作業着のまま定時制高校で授業を受ける潤。1人暮らしのための蓄えは70万円を超えた
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16歳の朱美は昨年3月に九州北部の公立中学校を卒業し、今はアルバイトをしながらお金をためている。
2年前の春。スクールソーシャルワーカーの佐藤真由子(38)は、いつも黒ずんだブラウスを着ている3年生の朱美の姿が気になった。声を掛け続けると、1カ月ほどたったころ朱美が打ち明けた。
「うちには、お金ないけんさ」
派遣労働者の父親と2人暮らし。借金取りに気付かれないよう、公営団地の部屋の電気をつけず息を潜める夜があること。
食事は、給料が出たときに父親が買い込んだカップ麺と菓子パンばかりで、制服のブラウスも1着しか持っていないこと。
朱美が徐々に心を開いてきた1学期のある日、佐藤が家庭訪問すると、「暇だから勉強しとった」。手には使い古した参考書。朱美の成績は学年で中の上。生活は苦しくても勉強は欠かさず、公立の普通高校に合格する学力があった。
担任は奨学金を借りて進学するように説得した。だが、父親は「奨学金も借金やろ。高校なんか行かんでいい」と拒み続けた。
2学期に入り、3年生は進学の話題でもちきりになる。朱美は「学校は嫌いだから、高校には行かん」と言い張り、やがてほとんど登校しなくなった。結局、進学せずに卒業した。
でも、朱美は進学をあきらめていなかった。卒業後しばらくして、佐藤の携帯に連絡してきた。
「すぐに進学しなくても、高校に行けると?」。働きながら通える定時制高校があると伝えると、「お金をためていつか行くよ」。
◇ ◇
朱美が目指す定時制高校。そのうちの一校に通う潤(17)は朝5時半に家を出て建設現場で働き、学校へ着くのは午後5時半ごろ。作業着姿で9時まで授業を受ける。
「早く自分の力で生活できるようになりたい」。潤の表情は明るい。
母親と2人暮らし。毎月約13万円の生活保護費が暮らしを支える。潤は毎月10万円の給料から7万円を蓄え、1人暮らしに備える。
潤の頑張りには理由がある。従来、生活保護世帯の高校生が収入を得た場合、保護費が減らされていた。だが、国は、2014年度から進学や自立のための預貯金であれば、保護費は減額されない、と実施要領を改正した。
そのことを潤は入学した2年前の春、担任の橋田進一(49)から教えられた。
ただし、卒業後に就職しても、1人暮らしをしない限り「世帯収入」とみなされ、母親の保護費が減額される。蓄えは母親のためでもあり、「建設会社を起こして家を建てたい」という自分の夢のためでもある。
この定時制高校で、生徒の3割は生活保護世帯。ただ、潤のように預貯金ができている生徒はまだ3人にとどまる。
橋田は言う。「預貯金ができるようになり、貧困の連鎖を断ち切るチャンスが広がった。生徒たちを後押ししていきたい」
(登場人物はいずれも仮名)
=2016/02/19付 西日本新聞朝刊=
574
:
チバQ
:2016/02/26(金) 00:47:16
http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/225746
いま、学校で(5) 担任が教室で子守代行
2016年02月20日 03時00分
教諭の合田は通帳を預かり、校納金の納入計画書を作って卒業まで支える
教諭の合田は通帳を預かり、校納金の納入計画書を作って卒業まで支える
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「進級が厳しいから、面倒をみてもらえないか」
九州北部の私立高校。昨年1月、同校教諭の合田保(52)は、1年生の担任から望(16)について相談を受けた。
望は、ひと月約3万円の奨学金を受けているが、1月までに振り込みがあった学費などの校納金は、2カ月分の約6万円だけ。3月までに残額の約30万円を納めなければ進級ができず、退学処分になる。
望は母子家庭で、母親は無職。生活保護を受けているが、奨学金も生活費に充てていた。「支払う金がない」と途方に暮れる母親に、合田は提案した。
「奨学金の通帳と印鑑を私に預けませんか。学校側と掛け合って、何とかお子さんを卒業させます」
合田はいま、望を含めて5家庭から通帳と印鑑を預かる。親から委任状をとり、卒業までの納入計画書を学校側に提出し、奨学金のやりくりを代行する。これまで、十数人の生徒を同じ方法で卒業させた。
当初、学校側はトラブルを恐れて合田の活動に難色を示していたが、今では認めている。「本当はやってはいけない事かもしれないが、生徒を卒業させるためにはやむを得ない。親からも感謝されている」
‡
九州のある小学校。4年生の担任教諭、大迫裕子(48)は、生後10カ月の赤ちゃんを抱いたまま、5時間目の授業をしていた。机に向かう児童の間を行ったり来たり。幸い、赤ちゃんはずっと寝息を立てている。
赤ちゃんは、このクラスの遼(10)の一番下の妹。ほかに小2、保育所の年長、年中がいる5人きょうだい。生活保護を受ける母親と暮らす。大迫が教室や職員室で赤ちゃんを預かるのは、これで5回目。理由はこうだ。
1学期、母親からたびたび「給食を食べたら遼を家に帰して」と学校に電話がかかり、やむを得ず帰していた。
母親は子守を長男の遼に任せて、通院や買い物のため外出していた。遼は朝も弟妹を保育所に送ってから登校するため、たびたび遅刻。成績は落ち、友達は離れ、クラスでも浮き始めた。
「どうしても出掛けなきゃいけないときは、学校に連れてきて」。昨秋、大迫がこう伝えると、母親はさっそく赤ちゃんを職員室に連れてきた。
遼の早退は次第に減ってきた。休み時間に計算や漢字に取り組み、勉強の遅れを取り戻そうとしている。
赤ちゃんが教室に来たことで、家庭事情を知った級友は「大変やな」と遼に声を掛けるようになった。昨年末には母親のパートが決まり、赤ちゃんも近く保育所に入ることが決まった。
教師がそこまでする必要があるのか、と言う同僚もいる。大迫は、遼の母親も貧しいひとり親家庭に育ったことを知っている。教師にとって「困った親」も、かつて救われなかった子どもかもしれない-。「家庭が荒れていたら、子どもは救えない。家庭を変えていかないといけないんです」
合田と大迫。一教師の踏み込んだ行動が、子どもたちを支えている。
(登場人物はいずれも仮名)
=おわり
=2016/02/20付 西日本新聞朝刊=
575
:
とはずがたり
:2016/02/26(金) 19:26:30
貧困の逆の話しだけど
北京に住む億万長者は100人、ニューヨークを抜き世界1位に=米国人は困惑「中国って共産主義国だよね?」
http://www.recordchina.co.jp/a129902.html
配信日時:2016年2月26日(金) 12時10分
25日、AFP通信によると、中国で富裕層を対象とした雑誌を出版する「胡潤百富(Hurun Report)」は、米ニューヨーク市を抜いて中国北京市が世界で最も多くの億万長者が住む都市になったと発表した。資料写真。
2016年2月25日、AFP通信によると、中国で富裕層を対象とした雑誌を出版する「胡潤百富(Hurun Report)」は、米ニューヨーク市を抜いて中国北京市が世界で最も多くの億万長者が住む都市になったと発表した。
胡潤百富がこのほど発表した調査結果によると、2015年に資産総額10億ドル(約1100億円)を持つ億万長者の数が、北京では100人、ニューヨークでは95人だった。北京の億万長者の数は2014年から32人増えたが、ニューヨークではたった4人しか増えなかった。3位はロシアのモスクワで66人の億万長者が在住している。また、40歳未満の億万長者の40%以上は中国在住だという。
576
:
とはずがたり
:2016/02/27(土) 13:05:34
2016年02月24日(水) 週刊現代
「たった62人」の大富豪が全世界の半分の富を持つ
?あまりにも異常な世界の現実ピケティ、クルーグマンも警告
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47989
賢者の知恵
週刊現代コラム一覧
大富豪が巨万の富を握り、庶民は重労働と薄給にあえぐ。そんな100年前の世界に、私たちは逆戻りしている。富める者はますます富み、一度落ちれば這い上がれない。これでいいわけがない。
ユニクロ柳井社長もその一人
もし、日本国民の半数が持っている資産と同じ額を、たったひとりが独占しているとしたら?多くの人は「いくら何でも、それはおかしい」と思うだろう。
実際には、日本でこのようなことは起きていないが、スケールを地球全体に広げてみると、あながち絵空事でもない。
世界経済に不穏な影が差し始めた今、国際貧困支援NGO「オックスファム」の報告が、各国に衝撃を与えている。
「世界のトップ62人の大富豪が、全人類の下位半分、すなわち36億人と同額の資産を持っている」
大ざっぱに言えば、1台の大型バスに収まる程度の金持ちが、世界の人口の半数を養える額、約180兆円を持っているということ。気の遠くなるような話だ。
現在、世界の総資産額ランキングのトップは、マイクロソフト創業者、ビル・ゲイツ氏の約9兆1000億円。以下、メキシコの通信王カルロス・スリム氏の8兆9000億円、投資家ウォーレン・バフェット氏の8兆3000億円……という具合に続く。
日本のトップであるファーストリテイリング・柳井正社長は、資産総額約2兆3000億円で第41位と、日本人ではただひとり、この「金持ちバス」の乗客名簿に名を連ねる。
上位10人の中には、米財閥一族のコーク兄弟や、ウォルマート創業家のウォルトン一家のように、家族・親族で複数ランクインしている金持ちもいる。まさに彼らは、生まれながらの「世界の支配階級」たちだ。
「この10年、世界中で金持ちと庶民の格差が広がり続けています。特に米国は経営者の年俸がうなぎ上りで、以前は100万ドル(約1億1500万円)もらっていた人物が、今は1000万ドルもらっているというケースも珍しくありません。
でも、いくら会社が儲かっていたとしても、社長の給料が10倍なんて、何を根拠に決めているんでしょう。説明がつかないと思いませんか」
こう肩をすくめるのは、'14年、著書『21世紀の資本』が日本を含め世界中でベストセラーとなった、フランスの経済学者トマ・ピケティ氏である。
ピケティ氏は、同書の中で「資本主義社会では、長い目で見ると、格差がどんどん広がってゆく」「20世紀は、戦争などの影響でたまたま格差が小さくなっただけ」と、科学的裏付けをもとに主張し、大反響を呼んだ。
「彼らのような大富豪の資産は、世襲による相続分や、金融資産もかなりの部分を占めています。
ビル・ゲイツ氏やアップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏のように、一般家庭に生まれ、何か新しいものを生み出して一代で大金持ちになった人は、まだいいでしょう。
例えば世界2位のスリム氏は携帯電話を作っているわけではなく、国営電話セクターの民営化で巨万の富を得た人物です。また、ヨーロッパ屈指の大金持ちであるフランスのリリアンヌ・ベタンクールは、化粧品会社『ロレアル』創業者の娘というだけで、経営者としての実績はまったくありません。こんな状況は、あまりにも不公平だと思います」(前出・ピケティ氏)
577
:
とはずがたり
:2016/02/27(土) 13:05:44
ビル・ゲイツだけで1億人分
ゲイツ氏ら世界のトップ中のトップが持つ資産額は、ギリシャやデンマークの国家予算にも匹敵する。夏には貸出料が週5億円のクルーザーに乗り、家族とバカンスを楽しむゲイツ氏は、現在軽井沢に要塞のような「別荘」を建設している。
また、総資産2兆6000億円を誇る世界34位の富豪・サウジアラビアのアルワリード・ビン・タラール王子は、一機あたり400億円の最新鋭旅客機・エアバスA380の内部を一流ホテルのように改装し、プライベート・ジェットとして使っている。
さらに東京・渋谷にある柳井氏の自宅は、周囲に高さ4m近い塀がぐるりと巡らされ、中にはテニスコートもあるという、まさに「城」だ。
彼ら大富豪が、スーパーで買い物でもするような感覚で数千万円、数億円を使える一方で、世界には1日100円足らずの生活費で暮らす極貧層が約12億人、200円以下で暮らす人がおよそ30億人いる。全人類の半分近くは、雀の涙のような収入で何とか糊口をしのいでいるのだ。
ゲイツ氏の全財産を使えば、単純計算で日本国民よりも多い、1億3000万人の貧困層を1年間養うことができる。だからといって、当然ながら、彼の命に貧しい人々の1億倍の価値があるわけではない。それに、ゲイツ氏に普通のサラリーマンの何百万倍も能力があるとは考えづらい。
これからの「正義」の話をしよう
はたして、一人の人物が億単位の人を養えるほどの大金を手にすることに、妥当性はあるのか。著書『これからの「正義」の話をしよう』がベストセラーになった、ハーバード大学のマイケル・サンデル教授が言う。
「普通に考えれば、数千億円、数兆円という富を一人の大富豪が独占することには、意味がありません。到底使い切れないですからね。せいぜい数十億円もあれば、一人の人間が満足できないということはないはずです」
'10年に来日して東京大学で授業を行った際、サンデル氏は学生に「イチロー選手の年俸はオバマ大統領の年俸の42倍(当時)だが、これは妥当か否か」という問いを出し、大激論となった。
影響力や責任の重さを考えれば、オバマ大統領の年俸はイチローより高くてもおかしくないだろう。しかし実際には、人は必ずしも世の中への貢献に見合った報酬がもらえるわけではないし、生まれた瞬間に莫大な資産を相続する者もいる。大企業の創業者ともなれば、自分の報酬額を自分で決めることさえできる。
日本もすでに超格差社会
その一方で、働けど働けど貧しいままの人は、世界中に数知れない。
「『カネを持っている』ということが、『休暇のあいだに贅沢をしたり、豪華なヨットや自家用飛行機を持つ権利がある』ということだけを意味するのであれば、あまり大した問題ではないでしょう。
でも実際には、高度な教育、手厚い医療、安全な暮らしといったものも、金持ちほど手に入れやすいわけです。政治権力への影響力もカネ次第です。事実、大富豪がやると決めた戦争で、今も庶民や貧困層が死んでいる」(前出・サンデル氏)
サンデル氏が教えるハーバード大学でも、学生の親の平均年収は約5000万円。金持ちの子は最高の教育を受けてエリートになり、ますます富と権力を得る。貧乏人の一族は、何代経っても貧乏なまま。今や、それが米国の常識だ。
金持ちと貧乏人の格差が、日に日に大きくなってゆく。すでに日本も、そんな「超格差社会」へ突入していると、前出のピケティ氏は警告する。
「日本の場合、少子化で人口が減っていることが大問題です。子供の数が少ないということは、これからは相続のとき、一人の子供に多額の資産が集中するということ。当然ながら、金持ち一族に生まれた子と、庶民の家に生まれた子では圧倒的な差が出てきてしまう。
出生率を上げない限り、日本国内の格差は今後、広がり続けます」
578
:
とはずがたり
:2016/02/27(土) 13:05:57
>>576-578
日本では今、上位1%の富裕層が、国富のおよそ1割を持つようになった。豊かな「1億総中流社会」が終わりつつあることは、国民も気づいている。何かと外国人を非難したり、かと思えば「日本はやっぱりすごい」と自画自賛したりする近年の風潮にも、もうすぐ「繁栄の終わり」がやってくるという心細さがかかわっているのだろう。
不安を紛らわそうとするように、日本政府は「トリクルダウン(富の浸透)が起きるから、心配はいらない」と連呼してきた。グラスタワーのてっぺんに注がれたシャンパンは、グラスのふちから溢れ出し、やがて最下層まで流れ落ちる。同じように、大企業が潤えばカネは末端まで行きわたり、庶民も豊かになる、と。
だが、アベノミクスの主唱者の一人、元経済財政担当相の竹中平蔵氏が、この年明けに突如「トリクルダウンはない」と発言。安倍総理以下、政権幹部もトリクルダウンを否定するようになり、国民を唖然とさせた。
ノーベル経済学賞受賞者の、ポール・クルーグマン氏が解説する。
「トリクルダウン説を支持する保守派の政治家や学者は、『富裕層の税金を軽くして、貧困層への福祉は削るべきだ』『さもないと、富裕層は働くのがバカバカしくなり、経済全体の成長が妨げられる』と主張してきました。
しかし、時が経つにつれて、トリクルダウンなど起きないということが次第に明らかになってきています。かくなる上は、高額所得者に重税を課し、その税収を貧困層支援に回すしか手はありません」
例えば、今春から所得の低い65歳以上の高齢者に配られる「臨時福祉給付金」は、予算額およそ3600億円。これで1250万人に一律3万円を支給できるというのだから、柳井氏が持つ2兆3000億円のうち、何分の1かだけでも召し上げて国民のために使うことができたなら、救われる人もいそうなものだ。
カネを転がすだけの人たち
とはいえ、相続で億万長者になった富豪ならまだしも、柳井氏のように、自らの才覚で富を築いた人物からウン千億円も巻き上げるのは、少し理不尽な気もする。日本の格差研究の第一人者で、京都大学名誉教授の橘木俊詔氏が指摘する。
「私は、自力で成功した経営者は世の中に貢献しているから、たくさんもらう資格があると思います。彼らは大きな会社を作り、何万人という雇用を生んでいますからね。
ただ、日本では所得税の最高税率が下がり続けています。30年前は最高で70%取られていたのが、今は45%。金持ちが税金を払うことを嫌がり、政府も彼らの言い分を認めているのです。
海外の富豪のように寄付をするなど、儲けた分だけ社会に還元するという文化が根付いていないことが、日本の金持ちの最大の問題点でしょう」
いつからか、日本人の間でも常識となった「自己責任」という考え方。これはつまり、「オレが手に入れたカネは、オレの才能のおかげだから、独占して当然だ」という論理の裏返しである。
しかし、どんな億万長者も、その事業にカネを払ってくれる庶民がいるから暮らしてゆける。それに、汗水流して働かず、他人のカネを転がして大金を得ているような人々は、本当に世の中を豊かにしていると言えるのか。格差・貧困研究が専門で、昨年度のノーベル経済学賞を受賞したアンガス・ディートン氏も言う。
「大富豪といえども、全員が自分の力だけで地位を築いたわけでは決してありません。たまたま金持ちの家に生まれた人もいる。単に運がよかっただけの人もいる。逆に、彼らに劣らぬ才能を持っていたのに、環境やチャンスに恵まれなかったために、消えていった人もたくさんいます。
このまま格差が拡大し続け、すでに地位を得た富裕層だけが世の中のルールを作るようになるのは、非常に危険です」
ごく少数の人々が、圧倒的な富と力を独占している??世界を覆うテロの恐怖も、そんな庶民の怒りが形を変えて噴出したものだとも言える。
少なくとも、この「異常な社会」がまだまだ続くことは、目の背けようのない事実である。
「週刊現代」2016年2月27日号より
579
:
名無しさん
:2016/03/12(土) 16:03:41
http://www.afpbb.com/articles/-/3073560
世界の最富裕層1%の保有資産、残る99%の総資産額を上回る
2016年01月18日 14:02 発信地:パリ/フランス
【1月18日 AFP】世界人口の1%にあたる富裕層が保有する資産は、それ以外の99%の人々の資産全てを合計したよりも多いとの報告を、英非政府組織(NGO)「オックスファム(Oxfam)」が18日に発表した。
貧困撲滅を掲げるオックスファムは、「世界経済フォーラム(WEF)」年次総会(ダボス会議)がスイス・ダボス(Davos)で開幕するのを前に、報告書「最も豊かな1%のための経済(An Economy for the 1% )」を発表。「悪化の一途をたどる不平等は、62人が所有する富と、世界人口のうち所得の低い半数の人々が有する富とが等しい世界をつくり出した」と述べた。
オックスファムによると、この62人という数字は「ほんの5年前には388人だった」という。
また報告書は、世界の不平等の影響を受けるのは、圧倒的に女性が多いとも指摘。「悪化する不平等の背景にある主要な傾向の一つとして、ほぼ全ての先進国と大半の発展途上国で、労働者に分配される国民所得が減少していることが挙げられる。世界の低賃金労働者の大多数は女性だ」と説明している。
その上でオックスファムは、経済的不平等への取り組みの重要性を指摘する声は世界の首脳レベルでも増しているが、「貧富の差は過去12か月間で劇的に拡大した」と指摘。前年のダボス会議に先立って発表した、世界の富裕層1%の持つ富はもうすぐ残る99%の持つ富の合計を上回るとの予測について「2015年中に現実のものとなった」と述べた。
報告書によれば、世界の極貧層は1990年から2010年の間に半減したが、世界でも所得の低い10%の人々の平均年収は過去25年間で3ドル(約350円)も増えていないという。(c)AFP
580
:
チバQ
:2016/03/15(火) 00:23:52
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/229361
公立中の制服“経済格差” 素材、機能2万円違い 同級生との「比較」不安も
2016年03月08日 03時00分
福岡県内の公立中学校の新入生保護者説明会で配布された学生服のチラシ。高いものと安いもので2万円程度の価格差がある(写真の一部を加工しています)
福岡県内の公立中学校の新入生保護者説明会で配布された学生服のチラシ。高いものと安いもので2万円程度の価格差がある(写真の一部を加工しています)
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教育の場に貧富の差を持ち込まない-。それが、学生服を公教育に導入した理由の一つとされる。九州の各教育委員会によると、8政令市・県庁所在地の市立中学校は全て制服を導入。多くは「標準服」と呼ばれる詰め襟やセーラー服だが、同じように見えてもブランドや素材などで価格に開きがある。同じ自治体で標準服、ブレザー型と学校で異なるケースも。義務教育の制服にも少なからず経済格差が生じている。
「夏服を涼しく改良しました」「ブランド製品で高級感が違います」
福岡県粕屋郡の女性(42)は2月、長女(12)が今春進学する公立中の新入生保護者説明会に参加して驚いた。同中は標準服を採用しているが、学校が指定する四つの制服業者から、それぞれ取り扱う標準服の特徴説明があったのだ。
抗菌、瞬間消臭、形態安定、洗濯機で丸洗いOK、撥水(はっすい)、UVカット、ストレッチ素材…。各業者が3〜4種類の商品を扱い、価格で着心地やポケット数も違う。詰め襟の上下セットは一番安いもので2万4750円。最高値は大手スポーツメーカーの「数量限定品」で4万4千円だった。
女性は「家計の状況に応じて選べるのはいいけど、友達と比べられてしまうのでは」。セーラー服のリボンも価格で光沢や質感が違い、ある女児(12)は「リボンだけでもいいものを買ってほしい」と話した。
一方、ブレザーの採用校には、服装の乱れを防ぐために標準服から切り替えた学校もある。ただ独自のデザインが多く、同じ自治体の公立中でも進学先によって価格が異なっている。
制服メーカー大手「トンボ」(岡山市)ユニフォーム研究室の佐野勝彦さんによると、現在の制服の始まりは、新たな学校制度が始まった昭和20年代。導入に法律的根拠はなく、物資不足のころ、子どもが日々の服装を気にせず、学校に行きやすいようにと、当時の文部省が「標準的な服の導入を」と提案したという。
私費での購入は今も昔も変わらない。兄弟、親戚での「お下がり」も一般的な制服。支給品という考えもあるが、佐野さんは「現在まで、支給品にするかどうかを議論した形跡は見当たらない」と説明した。
義務教育の現場で標準服に“貧富の差”が生じていることについて、文部科学省児童生徒課は「課題として認識はしているが、制服は校則に基づくもので国として一律の対応は難しい。貧困世帯への配慮など、自治体でも対応を検討してほしい」としている。
=2016/03/08付 西日本新聞朝刊=
581
:
とはずがたり
:2016/03/21(月) 23:27:36
ギャンブルやセックスそしてアルコール以外に,もしかするとジャンクフードみたいなささやかなものにしか楽しみがない貧困者の行き着く先の心の闇に理解を示さないとただ抑圧するだけではダメだと思うけどサンケイはその辺を思いやる優しさは無いようだ。。
その上で,甘えがあるならちゃんと正す方向にいけないと思うが,現代社会は行きにくく,心の優しい人間心が折れやすくなっているのは困った事だ。。
「することはセックスだけ」米国もか…生活保護を食い荒らす低所得者層の実態
http://www.iza.ne.jp/kiji/events/news/130924/evt13092415350048-n1.html
2013.6.8 12:30
米フロリダ州が今年4月、低所得者に対して発行する生活保護費の支給のための「デビットカード」の使用制限を条例化した。来年2月から実施され、禁止されるのはカジノやストリップ、酒屋での使用。もちろん、生活保護者がそれらを利用していい理由は一切ない。公的扶助が少ないと思われがちな米国だが、生活保護を“食い物”にしたり、まるで自身が稼いだ金のように遊興費にあてる不届き者は少なくない。それは米国だけでなく、日本に共通する問題でもある。
■何でも使える“食料支援カード”
「EBTを使用するのは自由だ」
「あなたがすることはセックスをすることだけ。そうすれば9カ月後に大金が手に入れられる」
これは、2011年夏にインターネット上で全米で話題となったビデオクリップ「Its Free Swipe Yo EBT」の歌詞だ。歌っているのは、チャプターという黒人女性歌手。EBTと呼ばれる生活保護費が振り込まれるデビットカードのありようとともに、子供を産めば働けないため低所得者として“保護”される米国の現状を揶揄(やゆ)してもいる。
内容は過激だ。ビールを片手に、他の母親たちとタバコを吸ったり、ハンバーガーなどの高カロリーで栄養価の低いジャンクフードを買いにいく場面があったり…。「税金の行き着く先はここです」などといった指摘さえある。
自助努力の国、低福祉国家と思われがちな米国だが、実はそうでもない。食料や住宅、医療などで支援制度は少なくない。
そのうち食料支援は、低所得者向けの食料品購入補助制度「フードスタンプ」と呼ばれる。正式名称は「補助的栄養支援プログラム」(SNAP)。州によって基準は異なるが、目安は4人家族で月収入2500ドルとされ、月100ドルが支給されるという。
この生活保護費が振り込まれるのがEBTカードだ。複数の米メディアによると、フロリダ州議会が条例で禁じたのは、ストリップやカジノなどの遊興費、ビールなどのアルコール類、タバコなどの購入にこのカードを使うことだ。
同州議会は昨年、同様の形で、カードによるケーキやクッキーなどのお菓子類の購入を禁ずる案を提案している。いずれも栄養確保に悩む低所得者というよりは、過度な栄養摂取であったり、栄養とは全く関係のない、むしろ不健康になるための不正使用だ。
582
:
とはずがたり
:2016/03/21(月) 23:27:50
>>581-582
■増える受給者と生活保護詐欺
これはフロリダだけでなく、米国内で全体の問題でもある。EBTをめぐっては、食料購入時に名前や住所の提示が必要ではなく、カード転売をはかる不届き者も多いとされる。
例えば、今年4月、フロリダ州で、客からEBTカードを購入し、商品に変えていたコンビニエンスストアのオーナーと息子が詐欺容疑で逮捕された。覆面捜査官を使った捜査では、210ドルのEBTカードを安く買い、2人はそれを使ってビールやタバコなどを購入。2人は同様のやり方で8万8千ドル(約880万円)を詐取していたとされる。
また、今年3月にはニュージャージー州の安売り店の店主が2年半もの間、EBTでは買えないような商品を客に購入させたとして詐欺容疑で取り調べを受けた。その額は520万ドルにも及ぶという。
確かに、フードスタンプの受給者は増えている。
受給者は2013年3月時点で4767万人。総人口が約3億1400万人で、その約15%が受給者になる計算だ。09年の受給者は3300万人だったから、約4年で1300万人も増えている。
米農務省の統計によると、その経費は12年会計年度(11年10月〜12年9月)が746億ドル(約7兆6100億円)。ほぼ毎年、過去最高を更新し、13年は2月までの5カ月間で318億ドルに達した。低所得者対策が、その時の政権の政策として扱われてきたため、受給者の条件が緩和されてきたという経緯もあるが、増え方は尋常ではない。
また、低所得者の増加は、一部の富裕層と貧困層との“格差”が広がっているという現実が理由だとしても、使い方のルールまで緩めて、甘やかす必要はない。
■10カ月連続で過去最多を更新
一方、日本でも生活保護費の不正使用は問題化している。
厚生労働省は5月22日、全国で生活保護を受けている人が2月時点で215万5218人(前月比1576人))となったと発表した。10カ月連続で過去最多を更新しており、受給世帯も157万4643世帯となった。
都道府県・政令市別では、東京都が29万720人で最も多く、大阪市15万2321人、大阪府8万7763人が続く。
生活保護費の不正受給が増加。平成23年度は全国で3万5568件、金額は173億1299万円で過去最悪となった。働いて収入があるのに申告しなかったケースが約45%にのぼる。生活保護受給者が多い関西圏でも不正受給・使用は問題化している。
生活保護とギャンブルをめぐっては、兵庫県小野市が今年4月1日、生活保護費や児童扶養手当をパチンコなどのギャンブルで浪費することを禁止する条例を施行した。
政府は、不正受給の罰金を30万円以下から100万円以下に引き上げるなど、生活保護法改正法案を国会に提出。今国会中に成立する見通しだ。
もしこれらが“効力”を発揮しなければ…。ギャンブルや飲酒、ストリップの禁止など実にバカバカしい規制だが、米国を見習うべきかもしれない。
583
:
とはずがたり
:2016/03/23(水) 14:46:47
スタバが売れ残り寄付
飢餓撲滅へ米7600店で
http://this.kiji.is/85201362969313286?c=49769094296027144
2016/3/23 11:39
【ニューヨーク共同】米大手コーヒーチェーンのスターバックスは22日、複数のNPOと連携し、米国内の約7600店舗で売れ残った賞味期限切れなどの食品を寄付する取り組みを始めると発表した。廃棄食品を減らすとともに、安定的な食事ができない生活困窮者を救済する狙い。
米農務省によると、米国民の6人に1人に当たる約5千万人が十分な食事を得られていない。
スターバックスは、NPOを介して食品を届ける「フードバンク」と呼ばれる仕組みを活用。開始から1年で500万食を配布し、2021年までに5千万食に拡大、飢餓撲滅を目指す考えだ。
584
:
チバQ
:2016/04/06(水) 17:16:20
http://mainichi.jp/articles/20160305/k00/00m/040/077000c
子どもの貧困
.経済損失 最も深刻なのは沖縄県
毎日新聞2016年3月4日 20時20分(最終更新 3月11日 18時19分)
日本財団、深刻度を都道府県ごとに偏差値にして発表
日本財団は4日、子どもの貧困問題を放置した場合の経済損失の深刻度を都道府県ごとに偏差値にして発表した。最も深刻になるおそれがあるのは沖縄県(偏差値13)で、損失が小さいのは福井県(同63.9)だった。
日本財団は昨年12月、15歳の子ども約120万人のうち、1人親家庭の15.5万人、生活保護家庭の2.2万人、児童養護施設の2000人の計約18万人を対象に、貧困対策がないまま64歳になった場合の生涯所得や納税額などを推計した。対策が進み、高校中退率などの教育格差が改善された場合と比較すると、約4兆円の損失があると試算した。
集団の平均からどれぐらい離れているかを示す偏差値を、都道府県の経済規模(県内総生産)に照らした損失額の割合や、山形大の戸室健作准教授がまとめた都道府県ごとの子どもの貧困率などを参考に、独自に「課題深刻度」として算出した。その結果、沖縄県▽大阪府▽高知県の順に損失が大きくなる可能性があった。
また、15歳未満の子ども1人当たりの児童福祉費(医療費、保育園の運営費など)を都道府県ごとに調査。損失が深刻になるおそれが平均値より高いのに、貧困対策につながる児童福祉費が少ないのは北海道▽奈良▽埼玉▽宮城▽神奈川▽愛媛▽広島▽兵庫▽岡山▽大阪−−の10道府県だった。
日本財団は「有効な対策に予算をかければ、経済的なメリットは大きい。特に就学前や小学生の子どもに対する支援が手薄で、官民を挙げて取り組む必要がある」と分析している。【黒田阿紗子】
585
:
とはずがたり
:2016/04/06(水) 19:01:33
生活保護の受給世帯、過去最多に 昨年12月の速報値
http://www.asahi.com/articles/ASJ32563NJ32UTFL004.html
2016年3月2日19時38分
昨年12月に生活保護を受けた世帯は163万4185世帯だった。前月より1965世帯増え、過去最多を更新した。受給者も前月より1210人増えて216万5585人だった。ともに2カ月ぶりの増加。厚生労働省が2日、速報値を公表した。
受給世帯(保護停止中を除く)の種類でみると、高齢者世帯が前月より1877世帯増の80万5723世帯で、全体の49・6%を占めた。
586
:
とはずがたり
:2016/04/06(水) 19:02:07
<NY外為>円急伸、一時109円台
http://news.goo.ne.jp/topstories/business/160/962874ecad9769acfd4e543fc389b91d.html
(毎日新聞) 01:23
5日のニューヨーク外国為替市場の円相場は一時、日銀が追加の金融緩和を決めた2014年10月31日以来、約1年5カ月ぶりの円高水準となる1ドル=109円台に上昇した。
原油安が進むなか、投資家の間でリスクを回避し安全資産である円買いが強まったとみられる。
587
:
とはずがたり
:2016/04/20(水) 11:05:56
震災で職を失いAV女優になった66歳の現実
日本の底辺でいま何が起きているのか
http://toyokeizai.net/articles/-/114395
中村 淳彦 :ノンフィクションライター 2016年04月20日
588
:
とはずがたり
:2016/05/08(日) 23:19:59
不況だなぁ・・・。
「格安デリヘル」に流れ着いた25歳女性の現実
「風俗嬢は超高収入」は過去の幻想である
http://toyokeizai.net/articles/-/115480
中村 淳彦 :ノンフィクションライター 2016年04月27日
「風俗嬢は超高収入」は過去の幻想
1980年代、1990年代の性風俗の全盛期を知る中高年の男性を中心に、この数年間の風俗業界の深刻な不況と、風俗嬢の収入の下落を理解していない方が多いです。たとえば「風俗嬢は超高収入で、ラクして稼いでいる。消費と遊びが大好きな女ども」みたいな意識は、過去の栄光に基づいた時代錯誤な認識です。
風俗業界に大打撃を与えたリーマンショック以降、その傾向は特に顕著となって、現在風俗嬢の大半は中小企業のサラリーマンと同程度か、それ以下の賃金でカラダを売っています。カラダを売って中小企業のサラリーマン以下の賃金とは夢も希望もないですが、本当のことです。
風俗嬢たちがそのような厳しい状況なので当然、経営者たちも儲かっていません。風俗嬢への誤解と同じく、たまに「風俗経営者は女性たちから搾取して暴利を貪っている!」みたいな批難をする人がいますが、大きな間違いです。この10年間ほど、風俗業界から景気のいい話はまったく聞こえてきません。
歌舞伎町などの繁華街の活気が失われた原因のひとつは、堅実になった風俗嬢たちがお金を使わなくなったからです。理由は単純で、風俗嬢の可処分所得が減ったからです。性風俗の単価が下がり、さらに男性客数は減ってしまいました。この数年の性風俗店は志願者の半数を断っている状態です。もう、人並みの女性では裸になっても稼げないのです。
589
:
チバQ
:2016/06/17(金) 23:36:21
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160616-00122821-toyo-soci
中学生が売春に走る沖縄の貧困の残酷な現実
東洋経済オンライン 6月16日(木)5時0分配信
中学生が売春に走る沖縄の貧困の残酷な現実
5歳の子供がいるシングルマザー、照屋由美子さん(33歳、仮名)
女性、特に単身女性と母子家庭の貧困が社会問題となっている。前回に引き続き、平均年収全国最下位、離職率全国1位に苦しむ沖縄で貧困に苦しむ女性のルポをお届けする。このルポは「総論」を語るものではなく、あえて「個人」にクローズアップしている。そこから浮かび上がってくる真実があると信じているからだ。われわれは、現実に起きていることから目をそむけてはならない。
沖縄最大の歓楽街・松山には、性風俗が密集する。路上にはスーツ姿の若い男性キャッチがあふれ、一晩中立ち、ひっきりなしに声をかける。歓楽街の真ん中にある雑居ビル前で、男性ピンサロ経営者・上地氏(仮名)を待つ。沖縄の住人たちの夜の始まりは、遅い。21時を過ぎてから、出勤する女性が続々と前を通り過ぎる。雑居ビルでは、数店の風俗店が派手にネオンを灯す。しかし、上地氏が経営するピンサロは、いくら探してもそのビルにはなかった。
「うちは違法店だから、看板はないのですよ。空テナントに見えるここが、うちの店です。白看板の営業です」
現れた上地氏は、恰幅のいい男性だった。3階の真っ白のプレートが掲げられた店を指して、そう言う。22時に開店、朝5時まで営業する。風営法でキャバクラや店舗型風俗店の営業時間は深夜0時か1時までと定められているが、松山では基本的に誰もコンプライアンスを守っていない。
■ 「本番」の価格は40分1万円
エレベーターを降りると殺風景な扉があった。インターホンを押すと中から若い店員が鍵を開ける。1メートル先の人が見えないほど暗い。大音量の音楽が流れている。店内には、べニア板で仕切られたプレールームがあった。学園祭のような手作りだ。
「店舗型ピンサロは風営法の許可を得ようがないので、無許可。完全な違法営業です。だから、沖縄のピンサロは看板出さない。税金も払ってないですね。お客さんはキャッチが集める。価格は時期によるけど、40分1万円が基本。本番で1万円です。観光客が多い時期や週末は、1万3000円とか値段を高くする。暇なときは40分9000円とか8000円まで下げることもある。それと地元の人間と観光客で値段を変える。沖縄の人間はカネがないから、値切りの交渉に応じることもある」
590
:
チバQ
:2016/06/17(金) 23:36:46
価格は観光客か地元住民か、そして季節、天候、人出によって変動する。40分1万円は、安価な価格帯だ。路上で声をかけるキャッチが観光客か地元住民かを見分け、価格交渉して客を看板のない店に誘導する。女性はシャワーのない狭い部屋で、40分以内で客と本番する。女性の取り分は売り上げの半分、キャッチは売り上げの1割、残った4割が店の収入となる。
貧困が蔓延する沖縄出身の風俗嬢たちは、ほぼ全員が経済的な理由でその仕事に就く。夜の仕事は大都市圏と異なり、職種によって階層がある。上からキャバクラ→デリヘル→店舗型ヘルス→ソープ→ピンサロ(抜き屋)→ちょんの間、という順位で、キャバクラで働けるスペックの沖縄出身の女性が、違法店で本番を売ることはない。
「その職種で働けるかは、年齢と容姿の問題。容姿がよければ、飲み屋(キャバクラ)ができる。容姿と体型が悪かったり、中年女性だったりすると、うちのような抜き屋(ピンサロ)しかない。抜き屋には飲み屋は当然、ソープもできない子が流れてくるわけ。うちは本番店だから、松山では最下層ですよ。うちにいる女の子たちは学歴ないし、容姿もよくない。みんなほかに行き場所のない子たちです。だから、店をやってしまった以上、女の子への責任はあると思っている。ほかに行き場所のない貧困の子たちがうちで働いているから、摘発されるまで続けるしかないですね」
上地氏は高校中退によってレールから外れた。10代後半から雇用がなくて苦労している。さまざまな職種を転々として20代半ばに松山の夜の仕事に足を踏み入れ、31歳から風俗店経営をしている。
「沖縄は、僕が子供の頃からずっと貧しい。観光産業が潤っても、基本的に内地の会社が儲かっているだけ。沖縄の人間はそういう会社に安くコキ使われているだけ。自分で商売しようという知恵も勇気もないし、本土の人間に利用されやすいわけ。自分もずっと貧しかったから、行き場所のない女の子たちには情が入る。貧しい女の子たちを助けているといっても、売春斡旋だから売春防止法違反。それと無許可営業だから風営法違反がつく。警察に捕まれば、よくて執行猶予、悪くて実刑1年くらい。それは仕方のないことですね」
上地氏は那覇市内で飲食店と風俗店を3店舗経営する。容姿に恵まれない貧困女性たちが集まるこのピンサロは、ほとんど儲かっていないという。
■ 夜10時から子供を保育園に預ける
22時半、照屋由美子さん(33歳、仮名)が出勤する。早足に待合室へ入ってワンピースの下着に着替える。照屋さんは5歳の子供がいるシングルマザーだ。週に何度かの出勤日は、21時過ぎに子供と一緒にアパートを出る。バスで松山へ向かい、繁華街の近くにある夜間営業する保育園に子供を預ける。子供が保育園で眠る間、22時半から閉店の朝5時までピンサロで本番を売る。
沖縄の離婚率は全国1位だ。2013年は人口1000人に対して2.59組が離婚している。2位は北海道2.09組、全国平均1.84組で圧倒的な都道府県1位だ。繁華街近くにある保育園は、続々と風俗嬢やキャバ嬢のシングルマザーたちが子供を預けに来る。20〜21時半が保育園のピークとなる。照屋さんは「お客が来るまで」という条件で、取材に応じてくれた。
「正直、疲れています。睡眠時間は毎日3時間くらい。お店は朝5時に終わる。私だけ送迎で帰って、朝起きるのは9時くらい。10時〜16時までグループホームで介護職して、保育園で子供を引き取るのは夕方17時以降です。翌日に介護の仕事がないときは朝5時半くらいに迎えに行けて、一緒に過ごせるけど、ダブルワークしているから子供は保育園で過ごす時間が長い。かわいそうだけど、仕方ないです」
グループホームは時給720円。週3〜4日出勤しても、月収は6万5000円ほど。週3日平均で本番を売ることで、なんとか月収17万〜18万円を確保する。アパート家賃4万円、保育園代4万円の支出が痛い。児童手当1万5000円、母子扶養手当4万円が支給されることで、なんとかギリギリの生活を送る。彼女は童顔でかわいらしい顔だったが、体型はぽっちゃりだった。キャバクラやデリヘルで働けるスペックはなく、5年前からピンサロ勤めである。
591
:
チバQ
:2016/06/17(金) 23:37:09
「出身は北関東です。16歳のときに家出して沖縄に来ました。親とは縁を切っています。お互い興味がないので、もう8年くらい連絡は取っていません。それに地元には友達はいない、ゼロです。地元に戻ることは一生ないと思う、これからもずっと沖縄で暮らします」
16歳で家出して沖縄移住、親と絶縁、地元に友達はゼロ――とは尋常ではない。いったいなにがあったのか。
「ずっと、イジメられていました。小学校低学年から汚いとか死ねとか、全員から言われ続けた。田舎の小学校で1クラスしかなくて、イジメは沖縄に逃げる16歳まで、ずっと。小学生の頃から自分が生まれてこなければよかったって意識があって、どうして私を産んだのって親を憎んだ。だから、人と付き合うのがうまくない。人が怖い。中学校に入ってから誰か友達が欲しいと思っても、同じ小学校だった人たちに邪魔された。悪いウワサを広められた。中学でも友達は全然できなかったし、なにもできなかった。本当に誰とも話さないで16年間を過ごしました」
■ 地元を捨てて沖縄に逃げた
高校進学はしなかった。コンビニで働きながら、30万円を貯めて家を出ようって決めた。コンビニの同僚に「沖縄って楽しそう」と冗談半分で言われ、地元を捨てて沖縄に逃げることを決めた。
「那覇の飲み屋で働くことにして、18歳って年齢をごまかしてキャバクラで働いた。時給2500円くらいだった。求人広告で面接に行って、そのまま事情を話した。年齢がバレないようにバイトをさせてもらって、寮みたいなところに住めた。沖縄は親切な人が多くて、助けてくれる人がいた。1年後にはアパートも借りることができました。18歳になって飲み屋の仕事を減らして、居酒屋とかコンビニとか、エイサーとかいろんなアルバイトを転々として、20歳で最初の結婚しました」
19歳のとき、出会い系サイトで沖縄出身のサラリーマンと知り合った。恋愛関係になって20歳で結婚。安定した生活だったが、26歳のときに旦那が地元に近い北関東に転勤となった。「内地には絶対に戻りたくない」と、離婚している。
「おカネに困るようになったのは、離婚後。ずっといろいろな昼の仕事と、水商売の仕事でダブルワークした。どんなに頑張っても稼げるのは17万〜18万円くらい。今と同じくらい。離婚して生活どうしようって不安になって、その頃にヘルパー2級も取りました。学歴がないと仕事がない、介護がいいかなって思って。6年前、スナックに客で来た沖縄の人と付き合った。寂しかったし、一人じゃキツイってことですぐに再婚した。最初はいい人と思ったけど、ふたを開けたらDVとか生活費くれないとか、ギャンブル好きとか借金まみれとか、メチャクチャでした。とんでもない男だった。息子は、その男との子供です」
妊娠したことを男に告げれば、ギャンブルやお酒を控えて普通の生活をしてくれるかと期待したが、なにも変わらなかった。子供が生まれて半年後、離婚した。バツ2となる。
「今のグループホームで介護職しながら、風俗を始めた。最初からピンサロです。太っているのでデリヘルは断られた。子供のためにも売春みたいなことはしたくないけど、仕方ないです。飲み屋ができる年齢じゃないし、それしか生活する手段がありません。介護で社員になるには介護福祉士を持ってないとダメだし、家賃と保育園と生活費でどうしても17万円くらいは稼がないとやっていけない。だからすごく無理してダブルワーク続けています。子供は5歳でまだまだ先は長いけど、ずっと風俗はやるしかないかな」
照屋さんは何度もため息をつきながら、暗い待合室でそう語る。50分間くらい話しただろうか。キャッチが酔客を連れてきた。照屋さんは店員に呼びだされ、酔客の手を引きながら本番する部屋へと消えていく。後ろ姿は疲れ切っていた。
592
:
チバQ
:2016/06/17(金) 23:37:34
■ 中学生も働く、未成年専門の「抜き屋」
「近くに18歳以下の子供ばかりの抜き屋がありますよ。場所教えましょうか?」
上地氏は、そんなことを言う。白看板のピンサロから歩いて2分ほど、セクシー系の店舗が営業する同じようなビルがあった。空テナントのような白い看板の店が、その未成年専門店のようだった。はやっているのか、キャッチと男性客の出入りは多い。
「あそこは未成年専門の抜き屋、当然、本番もさせている。未成年の中には、中学生もたくさんいますよ。沖縄では18歳以下の子供を雇用するのは、本当に簡単なの。口コミですぐに広がって、沖縄中から働きたいって女の子が集まる。違法店はそもそも地下に潜っているから、子供を雇用するかしないかは経営者の判断。未成年だからって値段が高いわけじゃない、うちと同じ40分1万円だよ。逆に女の子を安くたたいている。リスクある営業ってことで店側の立場が強いわけ」
未成年ばかりの本番ピンサロは、沖縄以外には基本的に存在しない。2000年代半ば以降、全国的に摘発されているからだ。事実上の治外法権となっている松山でも未成年だけは即摘発のリスクがあり、極めて危険な営業だ。ここ数年はヒエラルキー下位の職種である違法ピンサロに未成年が集まっているという。
「シングルやネグレクト家庭が多いから、一部の子供たちはどうしても中学生で自立を迫られる。中学生は普通のアルバイトはできないので、どうしても夜に流れる。10年くらい前まではキャバクラがそういう未成年の働く場所になっていたけど、条例(青少年保護育成条例)が厳しくなって、ちゃんと看板を掲げるキャバクラは未成年を雇用しなくなった。だから違法ピンサロに、どんどん流れるわけ。結局、中学生を雇うところは少ないから集中する。賃金を安くしてもほかに移る店がないし、辞めないから買いたたく」
早くに自立を迫られる貧困世帯の未成年たちは、ピンサロや援デリ(売春組織)、個人売春などをして、なんとか収入を得る。16歳を超えれば飲食店やコンビニなどの仕事がある。未成年の中でも、特に貧困家庭の中学生が経済的に困っているという。
「キャバクラが昔みたいに未成年を囲えば、売春する未成年は減りますよ。子供はカラダ売るより、キャバクラのほうがまだいい。いろいろな人との会話、接客することが勉強になるわけだし。一度、中学生を雇用しちゃうと、県全体から集まる。一人が働くとその友達に口コミで広がるから読谷の子が多い年もあれば、コザや宜野湾が多かったり、バラバラ。未成年は松山だけじゃなくて、仕事ができる場所と店に集まる」
■ 中学生の娘を売る母親も珍しくない
貧困と格差が蔓延する沖縄の現実は、とんでもないことになっていた。本土で生活するわれわれには信じられない話だったが、上地氏は当たり前のように語っていた。
「10日くらい前、うちで働く母親が娘を連れてきましたよ。中学2年だったかな。“娘がおカネを返さない、働いて返してもらう”って言っていた。もうメチャクチャですよ。未成年を雇うのは簡単だけど、うちはできるだけ長く営業したいから手を出しません」
沖縄は産業と雇用の多くを米軍基地やその周辺のサービス業、観光業などに頼ってきた。民間投資が多くはないため、圧倒的におカネが足りない。いびつな状況は、すぐに繁華街の現実に表れる。違法店舗を摘発しても、経済的に困る女の子たちは別の場所に流れるだけだ。大人の女性はもちろんだが、特に子供たちには、売春してほしくない。それを止める手段は、今の沖縄のどこにあるのだろうか。
本連載では貧困や生活苦でお悩みの方からの情報をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。
中村 淳彦
593
:
とはずがたり
:2016/06/20(月) 15:17:07
米で路上生活86歳、帰国へ ネット募金、支援広がる
http://www.asahi.com/articles/ASJ6J62W9J6JULZU012.html?ref=goonews
平山亜理=ロサンゼルス、清川卓史
2016年6月18日11時43分
米国で長年暮らし、数年前からホームレスになっている86歳の日本人男性が22日に帰国する。路上生活から救おうと、日米両国の支援者が連携。帰国費用を寄付で集め、日本で暮らす部屋もすでに確保した。
男性は茨城県出身の宮田満男さん。日本の土を踏むのは44年ぶりで、「帰国したら親の墓参りをしたい」と話している。
宮田さんは1970年代初めに渡米。和風住宅のリフォームを日本の会社に頼まれたからだったが、依頼主が倒産して帰国費用もなくなった。日本に残した妻と娘とは連絡がとれなくなり、米国にとどまった。
594
:
とはずがたり
:2016/06/29(水) 13:39:28
人間が人間らしく生きる為に暫くは正職について働くという行為が必要で非正規が増えて行く世界的な潮流は資本の論理と人間性が真っ向からぶつかる厳しい現実である。どうすりゃいいのかねぇ。。
世界的に共同して徴税しないと課税逃れを避けられないのと同様に労働者の搾取を避けるのも世界的に共通の基準を作らないとだめかも。
欧州は移民で低賃金労働を導入して社会の分断がテロをもたらした。日本は移民を排除してテロの風潮は起きていないが時折絶望する者による犯罪が発生している。。
やむなく非正規、ミドル男性の苦悩 気づけば40歳過ぎ
http://www.asahi.com/articles/ASJ2354NMJ23ULFA020.html?ref=goonews
古賀大己、北川慧一2016年2月3日22時04分
契約や派遣社員など非正規の職から抜け出せない40歳前後の「非正規ミドル」が増えている。特に男性は「正社員の仕事がないため」が4割超と、「やむなく非正規」を続ける人の割合が他の世代や女性の同世代を上回る。低所得で老後への備えも十分積めないまま年を重ね、政府が1月末に打ち出した非正規支援策からも置き去りのままだ。
昨年末、東京都内で開かれた就職面接会の会場。千葉県に住む41歳の男性が硬い表情でブースを回っていた。9月に派遣の仕事を辞め、正社員の職をつかもうと必死だ。だが、いまだ願いはかなっていない。
1998年に九州の大学を卒業して18年。気づいたら40歳を過ぎていた。独身。結婚して子供を育てるという、若いころに思い描いた自身の姿は遠い。「ずるずると派遣社員で来てしまった」と肩を落とす。
就職活動に取り組んだ90年代後半はバブル経済崩壊後の「氷河期」の真っただ中。地元の百貨店などを目指したがかなわず、地元の中小商社に入った。だが営業の仕事が合わず、転職するため3年で辞めた。パソコン関連の資格を取り、派遣で働きながら就活を始め、やっと東京のIT会社で正社員に。商社を辞めてから7年経っていた。
ただ、喜びもつかの間。2008年秋のリーマン・ショックのあおりで、1カ月後に上司から突然、「来なくていい」。解雇になり、再び派遣社員としてコールセンターや携帯会社などの職を転々としながら、食いつないできた。「正社員の安定した職を得て、将来設計を組み立て直したい」。男性はつぶやくが、見通しは立っていない。
595
:
チバQ
:2016/07/03(日) 18:57:12
http://www.asahi.com/articles/ASJ6G0PCCJ6FPTFC036.html
「子ども食堂」全国に300カ所 開設急増、半数が無料
中塚久美子、河合真美江、丑田滋2016年7月1日21時50分
地域の子どもに無料か安価で食事を提供する「子ども食堂」や同様の取り組みをする場所が、5月末時点で少なくとも全国に319カ所あることが朝日新聞社の調査でわかった。子どもの貧困への関心が高まり、今年に入って開設が急増。6月以降の開設も相次いでおり、今後さらに増える見通しだ。
全国の子ども食堂を把握する組織はなく、各地の子ども食堂のネットワークや子どもの居場所づくりに取り組む団体などの情報をもとに、朝日新聞が1カ所ずつ聞き取った。困窮家庭の学習支援の場や、夜を独りで過ごすことが多い子どもの居場所などで、食事を共にする活動も数に含めた。
調査の結果、都道府県別で最も多かったのは東京で50。滋賀29、神奈川、京都、大阪が22、沖縄17と続いた。全ての都道府県に最低でも1カ所はあった。
2013年までに開設したのは21カ所だったが、この年に子どもの貧困対策法が成立。6人に1人という子どもの貧困率が14年に公表され、支援の機運が高まった。調理や食材提供、遊び相手など活動が身近で参加しやすいことを背景に、開設数は14年13カ所、15年100カ所、今年5月末までに185カ所と急増した。給食がなくなる夏休みを前に、6月以降も開設が相次いでいる。
開催頻度は月1回が139カ所で4割を占めた。月2、3回が71カ所、週1回が57カ所。週5日以上も15カ所あった。時間帯は平日夜が目立つが、登校前の朝食のほか、給食がない土日の昼食や長期休暇中心に取り組むところもあった。
子どもの料金は、「お手伝い」などの条件付きを含めて無料が175カ所で55%を占めた。有料の場合は50〜500円で、100〜300円のところが多い。保護者など大人については子どもより高く設定されているところが多かった。
596
:
とはずがたり
:2016/07/13(水) 13:35:54
会津若松市議の妻逮捕 生活保護費634万円を不正受給疑い
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160713-00010001-minyu-l07
福島民友新聞 7月13日(水)11時4分配信
生活保護費を不正受給したとして、会津若松署は12日午前9時50分ごろ、詐欺の疑いで、会津若松市、フィリピン国籍、自称ホステスの容疑者(45)を逮捕した。容疑者は会津若松市議(55)の妻。同署によると、容疑者は容疑を認めているという。
市議は福島民友新聞社の取材に対し、自身が生活保護の申請を手伝ったとした上で「妻が働いているとは知らず源泉徴収票を見て驚いた。私が不正受給に関わったとの誤解が生じているので公人としてきちんと釈明したい」としている。
逮捕容疑は、会津若松市から生活保護を受給していた2011(平成23)年9月から14年2月までの間、飲食店で働いていたが、収入がないように装って市に生活保護費の給付を申請し、生活保護費約634万円をだまし取った疑い。
同署などによると、市が14年6月、容疑者の勤務先から源泉徴収票などの提出を受けて不正受給の疑いがあることが判明し、同署に詐欺の疑いで告訴した。容疑者は10年12月から14年9月まで生活保護費を受給していた。同署は同日、市議から容疑者の生活保護申請の経緯など事情を聴いた。
597
:
とはずがたり
:2016/07/27(水) 03:00:05
結局難関私立中高一貫校に合格してたんだから頭は良くてそういう人が最終的に成功したからどうのこうの云っても余り説得力は無い様な気もするけど。。
勝ち組がつくる「普通」を放棄し、何度でも「人生をあきらめ」れば人生は楽しくなる!
http://www.excite.co.jp/News/column_g/20160725/Bizjournal_mixi201607_post-7412.html
ビジネスジャーナル 2016年7月25日 06時01分 (2016年7月25日 21時10分 更新)
本連載では、武蔵大学社会学部助教の田中俊之氏が「男性学」の視点から、「男」をめぐるさまざまな問題についてお伝えする。前回記事で、田中氏はお笑いコンビ・髭男爵の山田ルイ53世が自身のひきこもり経験を書き綴った『ヒキコモリ漂流記』(マガジンハウス)を取り上げ、同書に描かれる「生きるとは何か」「普通の人生とは何か」といった問題について論じた。
かつては、「大学を卒業→企業に就職→結婚して子供をもうける→住宅ローンを組んで定年まで働く」といった流れが「普通の男の人生」とされていた感があるが、男爵は「中学受験に合格→中学校で留年→引きこもる→苦し紛れに高校受験するも、不合格→五年間、二十歳まで引きこもる→大検取得→大学合格→二年足らずで失踪→上京→芸人として、下積み生活始まる→借金で首回らなくなる→債務整理→やっと一回売れる!!……そして、今」と、壮絶な人生を送っている。
今回、田中氏と男爵が対談を行い、男性の生き方からお笑い界の裏側まで、語り尽くした。連載特別編として、お伝えする。
●「勝ち組」がつくる「普通」の恐怖
田中俊之氏(以下、田中) 以前、男爵のラジオ番組に出演させていただいた時にもお話ししたのですが、僕の問題意識として、「“普通”って、けっこう大変なんじゃないか」というものがあります。そして、前回記事でも紹介したように、中年男性の約7割が「毎日がつまらない」と感じている現実がある。…
598
:
とはずがたり
:2016/08/02(火) 01:04:56
貧困の多くは「脳のトラブル」に起因している
「見えない苦しみ」ほど過酷なものはない
http://toyokeizai.net/articles/-/127404
鈴木 大介 :ルポライター 2016年07月16日
私事になるが、ここ半年以上、僕は外出をする際に、必ず首からヒモで下げられるようになっているガマグチ財布を持ち歩いている。別に妙なファッションにハマってしまったわけではない。このガマグチは、昨年初夏に僕自身が脳梗塞で倒れてからの、お守りだ。
なぜ首から下げるガマグチがお守りなのか??詳しい経緯などは先日出版させていただいた闘病記である拙著『脳が壊れた』(新潮新書)に書いたが、端的に言えば脳梗塞によって軽い高次脳機能障害となってしまった僕は、買い物先のレジでの支払いができなくなってしまったからだ。
高次脳機能障害とは、脳細胞が外的ダメージや虚血(血流が悪くなること)によって壊死してしまった結果から起きる障害で、身体のマヒなどとは別に、知覚、記憶、学習、思考、判断などの認知や情動などにトラブルが起きることを言う。
僕の場合、注意欠陥や情緒の抑制困難(脳梗塞を起こした右脳には感情の抑制をつかさどる部位があり、そこにダメージがあった)、そして初期は極度の集中力低下という症状が出た。
結果、できなくなってしまったさまざまなことのひとつが、レジでの支払いだ。指の動きにもマヒはあったが、それ以前に極度に低下してしまっていた集中力と認知能力で、小銭を数枚数えると何枚数えたかわからなくなり、端数をどのように出すかを考えられない。加えて感情の抑制もできないから、レジ前の店員のいらだつ顔や後ろに並ぶ人の気配にパニックを起こしてしまう始末。
そこでガマグチである。これならば、もう自分でカネを数えるのをあきらめて店員に財布を差し出して数えてもらえばいいし、札で出してお釣りを財布に戻してもらってもいい。リハビリを経て現在ではほぼ社会復帰できているが、今でもガマグチをお守りとして持ち歩いている。
それなりに地獄のような苦しさを伴う経験だったが、この脳梗塞発症は、僕にとっては本当に僥倖だった。なぜならば、この小銭が出せなかったりレジ前でパニックや感情の爆発を起こしてしまうという人たちを、僕はそれまでの貧困者や面倒くさい人たちの取材の中で、何度も見てきたからだった。
話すことの順序が立てられず、声が出ない
高次脳機能障害になった僕の行動は、そして訴える苦しさの内容は、驚くほどに彼ら彼女らに酷似していた。僕を襲った症状は、いわば「貧困当事者あるある大事典」みたいなものだった。
心の中がつねに何かでいっぱいで、何を見ても号泣してしまう発作。発作の後に訪れる、身体を縦にしていることもまぶたを開けていることも困難な極度の疲労感や虚脱感、猛烈な睡魔。
人に何かを合理的に説明しようとしても、何から話せばいいのかの順序が立てられず、声が出ない。出ない声にまごまごしているうちに、相手に言葉をかぶせられて、焦りといらだちと情けなさと悲しさがごっちゃになった、もう意味のわからないパニックになってしまう。
長文を読むと3行で睡魔が襲ってくるし、漫画を読もうにもそのセリフ、そのコマの次にどこを読めばいいのかわからなくなる。
理由のない不安の発作が始まると、サランラップで全身をぐるぐる巻きにされたように息が詰まり、窒息しそうな苦しみから逃れられない。それが不安なのかもわからない。
こんな僕の症状は、僕がこれまでの貧困者取材の中でさんざん聞き取ってきたものだった。
リハビリや妻と友人の支えで、この苦しさは徐々に緩和されはした。が、僕のデジカメの中に、入院中の僕が自分自身を写した1枚の写真がある。幸い下肢にマヒの出なかった僕は、入院中から再発予防と減量のためのウォーキングを始めていたのだが、病院のガラス窓に映る自分を写したその写真の僕は、おそらく誰もが「健康体」と太鼓判を押しそうな姿だ。…
599
:
とはずがたり
:2016/08/03(水) 21:31:39
相模原19人刺殺 植松容疑者が「生活保護」受給できたワケ
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/newsx/186994
2016年8月3日
一体どんな手段を使って受給資格を得たのか。神奈川県相模原市で起きた45人殺傷事件で、殺人容疑で送検された植松聖容疑者(26)が市から生活保護を受給していたことが分かった。
市によると、植松容疑者は今年3月24日から31日まで8日分の生活保護費を受け取っていたという。分からないのは、小学校教師の父親もいて、自動車も所有していた植松容疑者がなぜ、生活保護を認められたのかということだ。
生活保護を受け取る場合、ケースワーカーによる生活実態の確認や収入の調査を経て、審査を通る必要がある。植松容疑者のケースは果たしてきちんと調査したのか。市に問うと「詳細は個人情報なので答えられません」(地域福祉課課長)と回答した。
「『生活保護をどうやったらもらえるのか』と聞かれました」
植松容疑者から相談を受けた知人は日刊ゲンダイにこう打ち明けたが、実は相模原市では生活保護の不正受給問題がたびたび起きている。
「昨年6月、生活保護費の架空請求手続きで約266万円を着服した市のケースワーカーの男が懲戒免職されました。受給者に現金で直接手渡すと偽って、飲食費や借金返済に使っていたのです。今年5月にも市内で生活保護費を横領した不動産会社社長が逮捕されました。社長は市内の十数棟のアパートの1室に数十人を住まわせる『貧困ビジネス』を行っていたようです。このうち、入居者3人が失踪したにもかかわらず、市は昨年まで生活保護費を支給していた。いずれも『相模原市は生活保護の申請が通りやすい』との噂を聞きつけ、犯行に及んでいたようです」(相模原市内の福祉関係者)
措置入院となった病院の検査で、植松容疑者の体から大麻の陽性反応が出たにもかかわらず、県警に通報しなかった相模原市。今回明らかになった生活保護費をめぐる問題でもしっかりとした検証が必要なのは言うまでもない。
600
:
とはずがたり
:2016/08/16(火) 17:34:18
“高学歴下流”34歳男性は人生をやり直せるか
http://mainichi.jp/premier/business/articles/20160719/biz/00m/010/011000c
2016年7月20日藤田孝典 / NPO法人ほっとプラス代表理事
貧困は固定化している(4)
私たちのNPO法人「ほっとプラス」(さいたま市)にある日、34歳男性から相談電話がかかってきました。「契約社員をしているんですが、仕事も暮らしも展望がないんです。話を聞いてもらせませんか」??弱々しい声でした。
東京六大学の一つで法律を勉強し、学生時代は弁護士を目指していました。しかし、司法試験に何度も落ち、結局法律の道をあきらめました。ここ6年ほど、法律知識を生かせる実務書系の出版社で契約社員の編集者をしています。
妻と子供2人で世帯年収300万円
給与は月平均でおよそ18万円、年収で約200万円。働き始めた当初は、がんばって働けば正社員にしてもらえるだろうと思っていましたが、会社には6年間何も言われず、契約も待遇も変わりません。
妻と4歳、2歳の子供がいて、妻のアルバイト収入を合わせて世帯年収は約300万円。東京都内の2DKアパートの家賃が月10万円では家計にゆとりはありません。目の前の仕事と暮らしに追われながら、空回りした正社員登用への期待も捨て切れないでいます。
「20代は司法試験を目指してがんばりました。でも、ずっと合格できず、生活のために受験をあきらめて働き始めました。夢を追ったのは自分で、合格できなかったのも自分の力のなさです。そのことはよく分かっています」
彼が弁護士を夢見たことも、司法試験に合格できなかったことも、誰にでもある人生の一コマ。責められません。
「最近、これからの子供の教育や、自分と妻の健康、老後のことを考えると、胸が締め付けられるような不安を感じるんです。今より収入の高い仕事を探さないと、暮らし向きが良くなる展望はない……ただ、この年齢で転職できるのか、正社員として働けるのか、不安ばかりで……」
助けてほしいというよりは、誰かに話を聞いてもらいたかったのでしょう。とりとめもない話をじっと聞きました。その後、家賃を安く抑えられる公営住宅があること、仕事を探す場所はハローワークだけではなく、職業紹介・就労支援をする自治体運営のジョブカフェもあること、職業訓練プログラムがあることなどを説明しました。
601
:
とはずがたり
:2016/08/16(火) 17:34:32
>>600-601
34歳で非正規なら正社員はもう無理なのか
契約社員としての職歴しかないことが、彼の正社員雇用への道を狭めています。非正規雇用が4割を超えてもなお、非正規の仕事は職歴とはみなされにくい現実があります。そこに34歳という年齢も加わって、彼は焦り、苦しんでいます。
問題は失敗したことではありません。何らかの理由で新卒時に正社員になれず、非正規で職業人生をスタートさせた人が、その後の職業教育や職業選択をやり直す仕組みが、あまりに少ないことが問題なのです。その結果、ある年齢を超えた時点で低賃金や不安定雇用は固定化し、やり直せなくなります。
就職氷河期だった1998年ごろ就職でつまずき、不安定な仕事に就いた若者たちがそろそろ40歳を超えます。そのまま非正規の仕事に就いている人は、年齢からいっておそらく今後も非正規のままの可能性が高い。年収が400万円に達することはなく、年を重ねるにつれて職を失うリスクも高まります。
「努力が足りなかったのだ」「力がなかったのだからあきらめろ」と、彼らの雇用の不安定さと低収入を責めるのは簡単です。しかし、塊としての彼ら「貧困世代」が20年後、今度は生活保護を必要とする集団になる可能性があります。
不本意で不安定な働き方が続く
厚生労働省「非正規雇用の現状と課題」(2015年)は、最新データとして次の数字を挙げています(総務省の労働力調査を基に集計したもの。別の調査では非正規率が40%超の結果もある)。
▽非正規雇用労働者1980万人▽非正規率37.5%▽非正規雇用者の内訳パート981万人、アルバイト405万人、契約社員287万人、派遣社員126万人▽25歳から54歳の非正規労働者は計約1070万人??。
1990年に881万人だった非正規雇用労働者は、25年間で1000万人も増えました。また正社員として働く機会がなく、不本意ながら非正規で働いている人の割合は25?34歳で26.5%、35?44歳で17.9%、45?54歳で16.9%もいました。
経済的な余裕がなく、教育や職業訓練への投資もままならない層がどんどんふくらみ、年を重ねるうちに、中間層だった人たちがしだいに下流に向かう現象が起きています。
この流れを押しとどめることは、20年後の社会に対する私たちの責任です。
602
:
籐吉郎
:2016/08/17(水) 01:21:42
>>601
44歳までなら大丈夫
各業界とも少子高齢化で人手不足が進んでる
今の時代経験がなくても極端に選ばなければ正規雇用で雇用されます
603
:
とはずがたり
:2016/08/17(水) 19:21:38
日本が「本物の格差社会」になるのはこれからだ
http://www.newsweekjapan.jp/column/ikeda/2010/04/post-160.php
2010年04月08日(木)15時52分
民主党が野党だったころ、「小泉改革のおかげで日本は格差社会になった」と自民党政権を批判するキャンペーンを張っていたが、最近はいわなくなった。民主党政権になっても、格差は縮小しないからだ。もともと所得格差の指標としてよく使われる「ジニ係数」でみると、日本はOECD(経済協力開発機構)諸国の平均より少し高い(格差が大きい)程度だ。見かけ上の所得格差が広がっている最大の原因は、高齢化による引退である。
しかし世界的には、所得格差は拡大する傾向がみられる。特に英語圏では高額所得者の独占度が高まり、たとえばアメリカでは所得上位0.1%の高額所得者の所得総額は、1970年代までは全所得の2%程度だったが、2000年には7%を超えている。これに対して日本の独占度は、この30年間ずっと2%で、ほとんど変わらない。他方、所得格差の拡大した国ほど成長率の高まる傾向がみられ、この点でも英語圏が最高で日本は最低である。
世界的な格差拡大の原因は、二つあると考えられている。一つはIT(情報技術)の普及によって知的労働者の情報生産性が上がったため、それに対応して高級ホワイトカラーの賃金が上がる一方、単純な事務作業がコンピュータに代替されて、ブルーカラーの賃金は下がったのである。逆に日本でこういう格差が広がっていないのは、雇用慣行が硬直的なためにITによる業務の合理化が進んでいないことが原因と考えられる。したがって成長率も上がらないわけだ。
もう一つの原因は、グローバル化による新興国との競争で単純労働者の平均賃金が下がっていることだ。日本で起こっている「デフレ」の最大の原因は、実はこれである。中国のGDPは今年、日本を抜くとみられているが、人口は10倍だから、一人あたりGDPは日本の1割である。これが日本に追いつくには、少なくとも20年はかかると推定されている。逆にいうと、今後20年間は、日本の賃金は中国に近づく(下がる)傾向が続くわけだ。
このような「格差拡大」は、グローバルにみると先進国と新興国の「格差縮小」なので、必ずしも悪いことではなく、それを止める方法もない。したがって日本がこれに対応する方法は、二つしかない。新興国と競合しない知識集約的な産業を発展させることと、新興国と競合しない内需産業に労働人口を移動することである。
成長率を高める点では前者が重要だが、知識集約産業にはあまり雇用吸収力がない。日本の成長率が高まることが今後あまり期待できない以上、内需産業、特に福祉サービスの労働生産性を引き上げることによって、格差の問題にも対処することが賢明だろう。
総合研究開発機構(NIRA)は、このような方向で福祉政策を効率化する提言を3月に発表した。日本の福祉システムは、老年世代への給付が手厚く巨額の政府債務も将来世代の負担になるなど、世代間の不公平が大きい。また「終身雇用」などによって企業が福祉コストを負担してきたため、見かけ上は「高福祉・低負担」にみえるが、このようなシステムは企業収益の悪化によって維持できなくなってきた。
したがって現在の非効率な福祉システムを改め、年齢・地域・雇用形態・性別などに依存しないで低所得者を税で支援する「負の所得税」のような福祉システムが望ましい。日本の社会保障支出は、年間約30兆円に及ぶ。これだけの所得を合理的に再分配すれば、絶対的貧困を解決することは不可能ではない。必要なのは子ども手当のような無原則なバラマキではなく、福祉や税制の抜本改革である。
604
:
名無しさん
:2016/08/27(土) 10:54:42
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160824-00000059-mai-soci
<乳幼児栄養調査>ゆとりない家庭、魚や野菜少なめ
毎日新聞 8月24日(水)14時0分配信
◇菓子やカップ麺多め
経済的な暮らし向きにゆとりがないと感じている家庭の子どもは、魚や野菜などを食べる頻度が低い一方、菓子やカップ麺などを食べる頻度が高い傾向にあるとの調査結果を、厚生労働省がまとめた。家庭の経済状況と子どもの食事内容の関連を調べたのは初めてで、24日公表した2015年度の「乳幼児栄養調査」に盛り込まれている。
調査は乳幼児の食生活改善に役立てるため10年ごとに実施され、昨年度が4回目。全国の6歳までの子ども3871人の親から回答を得た。今回は初めて家庭の経済状況と、主な13品目を子どもが食べる回数の関連なども調べた。
経済的に「ゆとりがある」(全体の8.4%)と「ややゆとりがある」(20.9%)と回答した家庭の子どもは、49.5%が魚を週4日以上食べていたが、「あまりゆとりはない」(28.3%)と「全くゆとりはない」(9.2%)とした家庭の子は34.7%にとどまり、15ポイント近い差があった。大豆・大豆製品▽野菜▽果物--も同様に約4〜12ポイント、ゆとりがない家庭の方が低かった。
一方、菓子・菓子パン、インスタントラーメン・カップ麺は、ともにゆとりのない家庭の子の方がよく食べており、カップ麺などを食べたことがない子は「ゆとりあり」で24.7%、「ゆとりなし」で15.6%だった。厚労省母子保健課は「栄養バランスが取れていないとまでは言えないが、品目によっては比較的差がある」と分析する。
調査では、子どもに増えているとされる食物アレルギーについても初めて聞き、23.6%がアレルギー症状が出る食べ物を食事から除いたことがあると答えたが、このうち42.1%は医師の指示を受けず自己判断していた。また「過去に除去していた」と答えた人の約6割は、医師の指示なく制限を解除していた。
食物アレルギーは命に関わる場合があるが、保護者の自己判断で必要ない食品まで除くと、栄養バランスが崩れる懸念もある。同課は「医師の指示を仰ぐことが必要」と指摘する。
朝食を食べないことがある子どもは6.4%で、対象年齢などは異なるものの、10年前と似た水準だった。ただし、保護者が「全く食べない」「ほとんど食べない」という世帯では、子どもが「必ず食べる」割合がいずれも約8割に下がり、親の食生活を反映していた。【堀井恵里子】
◇村山伸子・新潟県立大教授(公衆栄養学)の話
小学5年生を対象とした厚生労働省の研究と同様の結果で、幼児の頃からの傾向だと確認できた。ゆとりがない層では大豆製品など安いものも摂取が少なく、お金がなくて買えないだけでなく、健康的な食生活のための知識や意欲、調理技術がないことが影響している可能性もある。
◇川端輝江・女子栄養大教授(基礎栄養学)の話
生活にゆとりのない家庭は、ゆとりのある家庭と比べ、親の年齢が若く、共働きやひとり親も多いと考えられる。子どもの食事内容の差は、金銭的な問題だけでなく、親の食べ物の好みや栄養や健康に関する知識、調理にかけられる時間の差を反映しているのだろう。栄養バランスの偏りは年齢が低いほど将来の健康問題への影響が大きい。生鮮食品は買い物が重要なので、時間の余裕がない家庭でも買い物がしやすい流通システムがあるといい。
605
:
名無しさん
:2016/08/27(土) 11:06:38
>>604
関連
http://news.livedoor.com/article/detail/11023256/
低所得者ほどカロリー過剰摂取…1日5000kcalな食生活
2016年1月3日 17時0分 デイリーニュースオンライン
かつて肥満といえば裕福さの象徴だったが、今や肥満は貧困の象徴となった。厚生労働省は2015年12月初旬、「国民健康・栄養調査」で「低所得世帯は高所得世帯に比べて、肉や野菜の摂取が少なく、穀物の摂取が多く、栄養バランスが取れていない」と発表して話題となった。同報告書ではさらに、肥満者の割合でも男女とも低所得層のほうが高い傾向にあるとした。
今や太っていると低所得者だと社会ではみなされるのだ。とりわけ日本、アメリカなどの先進諸国ほどその傾向が顕著だ。生活保護受給率全国ワーストワンを誇る大阪市役所の職員に聞いた。
「刑務所から出所したばかりの人を除けば、たしかに肥満傾向にあるという印象が強いです。気になるのはお子さん連れで来られる場合です。そのお子さんも例外なく肥満している。昔なら栄養状態がいいと我々も気にならなかったのですが……」
1日5000kcalも摂取する生活保護受給者の食生活
貧困だからこそ太る。これはハンバーガーやファミレス、コンビニ弁当にみられるファストフードでの食事ばかり摂っているからだという。
「生活保護受給層の1日の食事を聞いてみました。30代女性ですが、朝、昼、晩と近隣で買ったコンビニ弁当3食、そしてインスタントの味噌汁です。これを毎日続けていたら、それは太りますよね?」(前出の大阪市職員)
成人の男性で建築業や宅配業といった肉体労働をしている者ならば1日3500kal摂取しないと体力的にもきつい。だが丸1日家にいて動くことのない生活保護受給者が3食コンビニ弁当、それに加えてアイスクリームやチョコレート菓子を延々と食べ続ける。摂取カロリーは約3000kalを超える。これだけでも1日のカロリー摂取量は高い。太る原因がここにある。大阪市健康局に聞いた。
「成人男性なら1日に1800kal、成人女性なら1日1500kalも摂取していれば十分です。1日に3000kalの消費は明らかにオーバーです」
先述した生活保護受給の30代女性の場合、コンビニ弁当3食に加えてチョコレート1枚、アイスクリーム1個は必ず1日に一回摂取しているという。消費カロリーは最低3500kalを超える。コンビニ弁当以外ではファミレスでの食事だ。高カロリーであることには違いはない。大阪市健康局関係者が語る。
「食事だけならいざしらず酒も呑み、つまみも摂っていました。1日の摂取カロリーは5000kal強。それでいて運動はしない。就職活動はできない状況だそうで。だから外にも出ない。太って当然です。そして太っているからこそ仕事も出来なくなる。悪循環です」(同)
子どもが過度に太っていればネグレクトとみなす
こうした高カロリー摂取は大人だけでは済まない。生活保護受給者層ではその子どももまた大人と同じくジャンクフードにみられる高カロリー食品を摂取している。肥満傾向は増すばかりだ。大阪市子ども相談センター関係者は次のように証言する。
「小学校5年生児童で身長は140㎝ですが体重は55㎏という子がいました。もちろん虐待とかネグレクトではない。話を聞くと食事はファミレスかマクドナルドのハンバーガーばかりです。まずはカロリー面からのケアが大事と判断しました」
児童相談所では現在、大人とまったく同じカロリーを摂取させるのも、「ネグレクト(育児放棄)」とみなすという。冒頭部で紹介した大阪市役所の職員が“太っている来所者”の印象をこう語る。
「太っている。つまりカロリー計算ひとつしない。これは金銭管理も出来ないことを現します。子どもがいること。これは自分の生活水準を考えず出産する、つまり避妊もしないわけです。すべての生活が無計画ということがわかります」
今、日本、アメリカのホワイトカラー層では肥満、喫煙は、「自己管理できない」ことを現す指標とされている。都市銀行勤務の女性(35)が語る。
「禁煙は当然です。1日の摂取カロリーは1200kalに抑えてます。休日のジム通いはかかせません。健康であること、それが行内、ひいては社会人としての評価につながりますから」
606
:
名無しさん
:2016/08/27(土) 11:06:52
>>605
この女性によると、今、都市銀行では太っている男性は管理職に就けず、若くして関連会社に出される傾向があるという。続けて都市銀行勤務女性が語る。
「都市銀行の頭取職を見て頂ければわかります。太っている人はいませんよね? 太っていること、それは自分を律することができないとみなされます。自律していない人を金融機関の管理職には据えられません」
もちろん生まれながらにして肥満体質の人もいる。だがそれでも太っていることは、「自己管理出来ていない」ことを表に出すようなものだ。
「経済的に自立している人は、自分を律することができる。だから太らない。でも、自分を律することができない者は経済的にも自立できていない」(大阪市生活保護担当者)
経済的自立と社会人として自律できているかどうか。ここを見極める鍵が、今、肥満かどうかであることのようだ。太っているだけで社会人としての信用にかかわる時代の到来だ。
川村洋(かわむらひろし)1973年大阪府生まれ。大学卒業後、金融業界誌記者、地元紙契約記者を経てフリーに。週刊誌や月刊誌で活躍中
607
:
名無しさん
:2016/08/27(土) 11:10:01
>>604
関連
新たな飢餓…貧しいのになぜ太る?
米国をむしばむ貧困と高カロリー食品
トレイシー・マクミラン/ジャーナリスト
2014年7月29日(火)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20140722/268982/?rt=nocnt
貧困と肥満率の関係
2015/2/18
http://socius101.com/post-983/
アメリカの貧困と格差の凄まじさがわかる30のデータ
2014/3/26
http://socius101.com/poverty-and-inequality-of-the-us/
608
:
とはずがたり
:2016/08/28(日) 19:36:59
貧困たたき
新宿で緊急抗議デモ 作家の雨宮処凛さんらも
http://mainichi.jp/articles/20160828/k00/00m/040/019000c
毎日新聞2016年8月27日 20時04分(最終更新 8月28日 13時46分)
子どもの貧困問題を扱ったNHKのニュース番組で体験を語ったひとり親家庭の女子高校生がインターネット上で中傷され、人権を侵害された問題で、「生活苦しいヤツは声あげろ 貧困たたきに抗議する新宿緊急デモ」が27日、東京・新宿であった。最低賃金引き上げを求める若者グループ「AEQUITAS(エキタス)」が主催し、作家の雨宮処凛さんらも参加した。
約500人(主催者発表)の参加者が「貧困たたきは今すぐやめろ」「貧困知らない政治家いらない」とコールしながら繁華街を歩いた。都留文科大3年、栗原耕平さん(21)は「当事者の女子高校生に見てほしいと思い、デモとスピーチをした。ものすごく生活が苦しい人しか声を上げられないというのではおかしい」と話した。
番組に登場した女子高校生は、ネット上でプライバシーをさらされたうえに発言や容姿を中傷され、持ち物や趣味についても「ぜいたくだ」「貧困ではない」などと非難された。エキタスのメンバー、原田仁希(にき)さん(27)は「貧困状態にある人が抑圧されて声を上げられなくならないよう、バッシングを許さない人がいることを示したかった」と話した。平均的な生活水準を下回る「相対的貧困」では貧困とみなさないかのような風潮に対し、原田さんは「どこまで貧困だと声を上げられるというのか。貧困のラインが必要最低限の衣食住を満たせない『絶対的貧困』の方に引き寄せられようとしている」と危惧する。
28日には名古屋市や京都市でも同様のデモが予定されている。【西田真季子】
609
:
名無しさん
:2016/09/03(土) 18:42:04
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160903-00000016-mai-soci
<貧困>「貧乏人らしく」女子高生たたきの大誤解
毎日新聞 9月3日(土)9時0分配信
貧困について語り、NHKニュースで取り上げられた女子高生に対するバッシングが止まりません。そこには「貧困」の基準を巡る大きな誤解があります。人々の貧困への視線を読み解きます。【NPO法人ほっとプラス代表理事・藤田孝典】
ネットやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)には今も「貧困をたたいてるんじゃない、貧困のふりをしてることをたたいているんだ!」「映画やランチを楽しんでいるのに貧困? 支援? ふざけるな」「NHKは捏造(ねつぞう)をやめろ」といった声があふれています。
18日放送のニュースで女子生徒は、母子家庭の経済事情で専門学校進学をあきらめたことを明かしました。
アパートの部屋に冷房がないこと、パソコンの授業のために母にキーボードだけを買ってもらって練習したことなど、番組は母と2人暮らしの女子生徒の暮らしぶりも伝えました。その映像にイラスト用の高価なペンが映ったことから、女子生徒のものとされるツイッターが特定され、1000円の昼食を食べていたこと、好きな映画を見に行っていたことが攻撃されました。
女子生徒をたたく人たちは、「彼女は本当の貧困ではない。飢餓寸前になるまで助けるべきではない」と主張しているように見えます。ある国会議員もその論調に乗ったツイートをしました。ここに、貧困問題を考える上で重要なポイントがあります。
つまり、「貧困とはどのような状態を指すのか」「貧困であるかどうかを決めるのはいったい誰か、そしてその基準は?」という問題です。
◇その社会の「普通の暮らし」ができているかどうか
「貧困」の言葉から何を想像するかは人それぞれですが、多くの人は、貧困とはものを食べられず、服も買えず、住むところにも困っているという状態をイメージするでしょう。
このように、肉体・生命維持で精いっぱいの極限状況を「絶対的貧困」と呼びます。発展途上国で見られるタイプの貧困で、国連は、低所得、栄養不良、健康不良、教育の欠如など、とうてい人間らしく生きられない状態と定義しています。
貧困について、特に欧州では、19世紀半ばから議論が始まりました。絶対的貧困は社会が対応しなければいけないという認識が広がり、20世紀に入ると、社会保障で貧困をなくす動きにつながりました。その意味では、先進諸国では絶対的貧困は解決された、とも言われています。
1960年代になって、英国の社会学者ピーター・タウンゼントが「相対的剥奪」(Relative Deprivation)という概念を提唱しました。「最低限のものを食べられて、着る服があれば貧しくないのか、人間的な生活と言えるのか」と問題提起をしたのです。これが「相対的貧困」という概念です。
タウンゼントはいくつかの「剥奪指標」を示しました。ちゃんと食事をしているか、外食をしているか、友人関係を維持しているか、習い事や教育にお金をかけているかといった指標です。
冷蔵庫を持っているか、ホームパーティーを開いているか、という項目もありました。国によって違いますが、通常の人が享受しているこれらの指標がもし剥奪され、その社会の人間が考える「普通の暮らし」ができていなければ、その人は「相対的に貧困である」と考えられます。
社会生活から剥奪されたものをとらえ、先進国の貧困、普通の暮らしを定義しようとしたわけです。そして、国民の半数から60〜70%ほどが実現している指標が欠けている場合、何らかの支援、所得補償が必要と判断されます。
この概念は「貧困を再発見した」と言われました。欧州ではこうした議論が半世紀以上続き、貧困を巡る議論はすでに成熟しています。絶対的貧困と相対的貧困の混同は起きません。
610
:
名無しさん
:2016/09/03(土) 18:42:14
>>609
◇「支援を受けたいなら貧乏人らしくしろ」は傲慢だ
ところが、今回の貧困バッシングでは、女子生徒の1000円ランチがたたかれました。「貧困であることをアピールし、支援を求める高校生がランチに1000円もかけるとは何事か」という偏狭な批判です。貧困なのだから映画を見てはいけない、アニメグッズをそろえてはいけない、と求める批判者は、支援されるべき貧困を「絶対的貧困」と考えています。そして、「貧しい者は貧しくしていろ」という懲罰的態度を無自覚に相手にぶつけています。
「貧乏人は貧乏人らしく」という目線は、貧者を「劣った者」と見なし、隔離した16世紀英国の貧者隔離思想に近いものです。
昔の英国社会では貧困は罪でした。本人が怠惰で、なまけていて、努力する意思もないから貧しくなったのだと見なされました。貧困の「個人原因説」です。貧困者はムチで打ってでも働かせるべきだと考えられ、懲役にも近い形の収容所に送り込まれていたのです。
日本の憲法第25条は、相対的貧困の考え方を先取りする形で、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とうたっています。にもかかわらず、日本ではいまだに貧困バッシングが続いています。2012年の生活保護バッシングも同じ構図です。
誰もが何かのきっかけで、ある日貧困に陥るかもしれません。そのとき貧困バッシングは自分に向かってくるかもしれないのです。
611
:
とはずがたり
:2016/09/06(火) 22:54:03
江東区役所で包丁を持ち職員と口論、容疑の女を現行犯逮捕
TBS News i 2016年9月5日 15時01分 (2016年9月5日 16時20分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20160905/Tbs_news_68280.html
5日午前、東京の江東区役所で生活保護を受給する60代の女が、包丁を持って職員と口論になり警視庁に現行犯逮捕されました。
5日午前10時45分ごろ、江東区役所で「包丁を持った女性が騒いでいる」と110番通報がありました。
駆けつけた警察官が、包丁を持って職員と口論をしていた60代の女を現行犯逮捕しました。この騒ぎによるけが人はありませんでした。
調べによりますと女は生活保護の受給者で、午前9時半ごろ、職員に電話をして「刺し殺しに行く」と話していたということです。警視庁は女が生活保護費をめぐるトラブルから犯行に及んだとみて、詳しいいきさつを調べています。(05日14:07)
612
:
チバQ
:2016/09/08(木) 22:35:41
http://toyokeizai.net/articles/-/134801
月収13万円、37歳女性を苦しめる「官製貧困」
公営図書館の嘱託職員は5年で"雇い止め"に
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中村 淳彦 :ノンフィクションライター 2016年09月08日
この連載では、女性、特に単身女性と母子家庭の貧困問題を考えるため、「総論」ではなく「個人の物語」に焦点を当てて紹介している。個々の生活をつぶさに見ることによって、真実がわかると考えているからだ。
今回紹介するのは、図書館で非正規雇用で働く女性だ。ごく一般的な女性である彼女が、なぜ貧困に苦しむようになったのか。
この連載の一覧はこちら
都内の閑静な住宅街、真夏の陽が痛い。アスファルトからは湯気のように気体が立ち昇る。門構えが立派な高級住宅が建ち並ぶ中に、公営の図書館がある。公園が隣接し、放課後に遊ぶ小学生や小さな子どもたちの声が聞こえた。
谷村綾子さん(37歳、仮名)は、この図書館に勤める図書館司書だ。館内に入ると神聖とも言える静かな雰囲気、司書たちはカウンターで貸し出し返却業務、カートを押して本の整理、カウンター奥の事務スペースでは黙々と事務作業をする。館内は広く、週刊誌や文庫本から専門書、地域の資料まで幅広い本がそろう。谷村さんの終業時間は17時15分。隣の公園で待つと、17時20分にはやって来た。黒髪、清楚で堅いイメージ、おだやかでまじめそうな女性だった。
「市の嘱託職員になります。図書館で働く司書の7割くらいは非正規雇用で、給与は安いです。未婚、ひとり暮らしなので正直、毎日不安と焦りばかりです……」
役所、義務教育機関、福祉施設の運営、公園管理、文化観光、清掃、防犯防災などなど、市区町村の仕事は幅広い。膨大な業務があり、とても正規採用された職員だけではこなせない。それぞれの公共機関で多くの非正規職員を雇用して、業務を回して運営している。
賞与はなく、年収204万円
駅近くの喫茶店で話を聞くことにした。駅に向かって歩きながら、給与明細を見せてもらう。支給総額は17万円。所得税、住民税、社会保険料を引かれて、手取り金額は13万3442円。賞与はなく、年収204万円である。非正規職員の平均賃金は205万1000円(平成27年賃金構造基本調査統計)、谷村さんは平均的な非正規労働者と言える。
年収204万円、手取り13万3442円で、家賃5万円のアパートでひとり暮らし。手取り給与から家賃を差し引くと、月8万3000円しか残らない。貧困では「相対的貧困」という概念が使われる。「相対的貧困」は国民1人当たりの可処分所得の平均の、さらに半分に満たない状態を言うが、家賃を引いた可処分所得が99万6000円の谷村さんは、実質的にはこの水準に近いといえるだろう。行政機関で通常の常勤職員として働き、非正規雇用の平均給与を稼ぐひとり暮らしの女性が「相対的貧困」に足を突っ込みかねない時代に突入している。
「その日暮らしは十分できます。もっと経済的に厳しい人がいるのも十分承知はしています。けど、ずっとギリギリの生活で、何のぜいたくもしていないのに貯金すらできない。嘱託は1年契約、更新は最長5年と決まっていて、今は4年目です。来年はすごく頑張っても、仕事で成果を出しても確実にクビになります。低賃金なので蓄えはないし、年齢ばかり重ね、私はいったいどうなってしまうのだろうって」
家賃5万円。自宅は最寄り駅から15分と遠く、都内ではかなり安い。仕事はシフトによって、終業は17時15分か20時15分。谷村さんはいつも仕事帰りに駅前のスーパーマーケットで割り引かれた食材や総菜を買い、帰宅する。部屋にはテレビもパソコンもない。調べものはスマートフォンでする。夕飯を食べて家事をして、休日や空いた時間は自宅で勉強をしている。
悩んだ末に今年4月から学芸員の資格を取得しようと、通信制大学の科目履修生になった。給与が安いので外食や交遊、買い物はほとんどしない。仕事、家事、勉強を繰り返す孤独で単調な生活で、毎日職場や自宅で何度か「私、これからどうなっちゃうの」と、不安になる日々という。
613
:
チバQ
:2016/09/08(木) 22:36:08
「図書館司書は専門職です。私は子どもたちのための児童書や児童文学に詳しくて、たまに自分が企画してフェアみたいな企画をやっています。でも役所は誰でもできるって考えているし、いくらでも交換ができる部品くらいにしか思われていません。だから、非正規なのでしょう。私は司書の仕事をどうしても続けたくて、今ここが2カ所目です。前は他県の図書館で働いて、満期5年で契約が切れてしまったので都内に引っ越しました。また、あと1年半しか仕事ができないって考えると不安で、たまに眠れなくなることもあります」
嘱託職員は最長5年と、労働する期間が定められる雇用だ。勤務先の公営図書館は嘱託職員が中心となって運営している。必要な人材であっても毎年、誰かが契約切れで辞めていく。非正規採用の職員が無期雇用となる道はなく、司書の仕事を継続したいなら、別の自治体が運営する図書館に非正規として再雇用されるしかない。
5年の契約が切れるときは40歳目前
「5年の契約が切れるとき、私は39歳です。すごく司書の仕事は好きで続けたいけど、またギリギリの生活から抜けられない覚悟をして、同じような非正規を渡り歩くか、またはほかに能力ないけど、もう少しまともな生活ができるような仕事をなんとか見つけるか。年齢もあるし、本当は将来がないなら今すぐちゃんとした仕事を探したほうがいい気もするし。悩みばかりです」
彼女はメールで応募してくれた女性だ。応募理由はどうやらまじめに働いても抜け道のない生活に悩み、取材というより、誰かに相談をしたくて応募をしたようだった。同じ司書の同僚は地方公務員だったり、非正規ならば親元で暮らしていたり、配偶者がいたり、ひとり暮らしという同僚はいない。
図書館などの公共サービスは、自治体が民間の指定管理会社に運営を委託する流れがある。将来的に賃金上昇や雇用改善が期待できない業種だ。私は「年収200万円は非正規の平均で決して珍しい例ではなく、むしろ一般的。40歳で異業種に転職しても、おそらく賃金は似たり寄ったり」「学芸員の資格を取得しても雇用は少ない。貧困から抜け出すキッカケにはならない可能性が高いのでは?」と伝えた。谷村さんは“やっぱり”という表情になってため息をつく。
「悩んでしまうのは、あと何年でクビという不安から逃れたいから。ひとり暮らしで貯金がゼロなので、働き続けないとホームレスになっちゃいます。だから、本当に、働ける期限があるのは怖い。やっぱり正社員として働きたいって思う。きっと、自分にもそういう働き方ができるというかすかな希望を持っています。あとは世の中にはボーナスがあると聞きます。もし、ボーナスをもらえるような職に就けたら、もっと人間らしい生活ができるのかなとか」
どうして、ただただまじめに勤労する女性が苦しむのか。単身で暮らす20〜64歳の女性の3人に1人(32%)が貧困状態にある(国立社会保障・人口問題研究所)。さらに65歳以上の単身女性になると47%と過半数に迫る勢いとなっている。
さらに公共機関で働く彼女は、残酷なほどの正規非正規格差の渦中にいる。全産業での正規職員の平均賃金は321万1000円(平成27年賃金構造基本調査統計)と比べると約6割の収入しかない。さらに職場の同僚にいる正規の地方公務員と比べると、正規は平均年収669万6464円(平成26年地方公務員給与実態調査)と好待遇で、非正規の賃金は正規の3分の1にも満たない。
努力や自身の成長、仕事の成果ではどうにもならない絵に描いたような官製貧困、官製格差だ。貧困から抜けて、普通の生活をするためには学芸員の資格取得ではなく、ダブルワークをして長時間労働によって差額を埋めていくしかない。実際に同じような官製貧困に悩む、介護職の女性たちのダブルワークは常識で、その一部は性風俗に流れている。
低賃金や格差の現実で精神的に追い詰められ、悩み、身動きが取れなくなるのは谷村さんのような、よりまじめな一般女性たちだ。いったい、どうしてそうなってしまったのか。
614
:
チバQ
:2016/09/08(木) 22:36:43
新卒入社の会社では長時間労働の末、倒れた
両親と妹は父親のリストラを機に地元の北海道に帰り、谷村さんは社会人1年目からひとり暮らしを始めた。中堅大学の文学部を卒業して、IT系の中小企業に就職する。
「新卒入社の会社は5年間ほど勤めました。残業は月100時間ぐらいあったけど、残業代は出ました。なので、手取り25万円は超えていました。実は、お酒飲むのが好きで、その時代はよく友達と飲みに行ったりした。すごく忙しかったけど、自分のこれまでを振り返ると、いろいろ友達もいたし、当時がいちばん普通の生活だったなって。そのような普通の生活ができたのは、当時だけ。結局、残業代はたくさんもらっていたけど、長時間労働の過労で倒れて体調を崩しました。精神科では抗うつ神経症って診断されて、働けなくなりました。両親のいる実家に帰って、しばらく休んでから大学時代に取った図書館司書の資格を生かそうと図書館に勤めた。今と同じ嘱託職員で、手取りは12万円程度でした」
実家から図書館に勤めていた頃は、手取り12万円の貧乏だった。貧乏ながら好きな本を買う、買い物する、友達と遊ぶ、休日に問題意識のある障害者分野のボランティアに行く、ということはできた。貧乏の領域を超えて、貧困になったのは図書館勤務を継続したいと、都内に引っ越してひとり暮らしを始めてから。最低限の衣食住で可処分所得は消え、一切の遊びや余暇活動ができなくなった。昔のように友達と会うこともなくなり、自宅で独り悩む時間が増えた。
学生時代から“まじめな普通の子”だった。恋愛は誰かが教えてくれるわけではない。気づいたら出遅れていた。初めて男性を好きになったのは20代半ば、現在の図書館勤めになってから出会いはないし、どこかに出かけるおカネすらない。
「25歳くらいのとき、飲み屋さんで、好きな人ができたことはありました。北海道のときに30歳手前、初めて男性とお付き合いしました。そのときの相手は好意を持ってくれるけど、なんとなくちょっと引っかかるみたいな。クセがある人でした。精神年齢が低いというか、自己中心な性格でたまに激高しちゃうみたいな。今まで誰かと付き合ったことがなくて、好きな人ができないままより、一度ぐらい誰かと付き合ったら、いい部分も見えてくるかもみたいな意識でしたが、さすがに結婚まではいきませんでした。男性経験みたいなものは、それだけです」
「結婚や出産は、収入がある人の特権」
飛行機代がなくて、実家に帰れないと言う谷村さん
高度経済成長以降の日本は、結婚前提、企業を通じて妻や子どもに再分配される制度設計だった。労働者派遣法改正による非正規化の影響によって、多くの労働者は収入が下がり、世帯主の収入だけでは生活を支えられなくなったのが現在だ。そして女性の単身世帯は3人に1人が貧困という、壮絶な貧困社会に突入した。
「結婚すれば、生活が変わるみたいなことはよく言われていますが、非正規で低収入な自分にまったく自信がないし、誰かが見初めてくれるとはとても思えない。やっぱり結婚とか出産は、普通以上の収入がある人の特権というか、自分にかかわることとはとても思えないです」
うつむきながら、悲観的なことを語り出した。
「うちの図書館、一緒に働く3〜4割くらいが正規の公務員の方々です。正規の方々が職場で話していることって買い物とか旅行とか、子どもの教育とか、そういう話。正規でちゃんとしたお給料があって、家族で暮らしている人たちは、子どもにたくさん習い事をさせて、年に何度か海外旅行に行くんだ……って。何か別世界というか。私は飛行機代がなくて、今の職場で働き出してから一度も実家には帰れていないのに。この差って、何なのでしょう? 仕事をまじめにやっているだけではダメなのでしょうか。正直、ずっとすごく苦しいです」
安倍政権は「働き方改革」「一億総活躍」などの指標を立て、さらなる女性の社会進出を後押ししようと動いている。しかし、全雇用者の4割を占める非正規職員や、貧困に近い状態の生活を強いられる非正規女性たちが、自分の力だけでその苦しい状態から抜け出せる道はほとんど用意されていない。それだけでなく、彼女がかかわる公共事業は民営化や非正規化による予算削減で、ギリギリの生活の現状維持すらできない状態だ。
谷村さんは貧困状態の現状維持すら否定される中で、かすかな希望をもって今日も学芸員の資格取得の勉強をする。
615
:
チバQ
:2016/09/08(木) 22:38:54
http://toyokeizai.net/articles/-/131513
「沖縄の貧困」を最底辺で支えるヤミ金の壮絶
那覇市内の"高齢売春特区"で起きていること
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中村 淳彦 :ノンフィクションライター 2016年08月19日
沖縄の夜は遅く、ゆったりとしている。沖縄県那覇市の栄町と呼ばれる繁華街は夜9時過ぎから活気づく。住所は那覇市安里、ゆいレール安里駅の東側に妖光なネオンが広がる。
ヤミ金業で働く大城君(28歳、仮名)に呼ばれて栄町にきた。昭和にタイムスリップしたようなにぎにぎしい街に驚く。栄町中心部にある栄町市場には若者が集まり、隣接する栄町社交街は郷愁を誘う小さな旅館やスナックが密集し、旅館を掲げる店舗では平均年齢60歳ほどの高齢売春婦たちが客引きをする。
事実上の“高齢売春特区”
「おばさんたちは50〜70歳くらい。栄町周辺は元赤線で旅館は全部がちょんの間(性的なサービスをする風俗店)です。値段はどこも同じで、本番を売って15分5000円。おばさんたちの収入は15分3000円。旅館で届出をしているので摘発されることはないんですよ」
大城君は、そう言う。栄町社交街はもともと「ひめゆり学徒隊」で知られる第一高等女学校の跡地で、戦後に赤線となった。1958年の売春防止法施行で赤線は廃止されたが、飲食店や旅館として届出することで営業を続ける。本番を提供するちょんの間は違法風俗だ。2000年以降、全国的に風当たりは強く、沖縄も例外ではなく宜野湾市の真栄原新町、コザ吉原は摘発で壊滅状態となった。
しかし、栄町社交街は、そのまま生き残る。栄町で売春する女性たちは総じて高齢で、加齢によってどこにも採用されなくなった女性たちの働く場所となっている。沖縄はほかの都道府県と異なり、警察は売春防止法違反や風営法違反を基本的に見逃している。おそらく膨大な貧困層が行き場を失うことが理由だ。栄町で売春する女性たちは、本当に中年を超えた初老の女性ばかり。事実上の“高齢売春特区”といえる。
大城君は栄町が故郷だ。中学校時代の同級生、先輩後輩が何人もヤミ金業を運営し、さまざまな業者の債権回収や融資の手伝いをする。高校中退以降は地元の友達のツテで違法カジノや風俗店で働き、10年ほど前から仲間たちが続々とヤミ金に手を染めた。
ヤミ金とはヤミ金融の略称で、貸金業として登録をしていない金融業者である。法律外の暴利でおカネを貸し付けする違法ビジネスで、全国に存在する。ヤミ金はすべて現金、債権回収、電話1本で貸し付ける融資と人手がかかる仕事で、定職に就かない大城君に地元の仲間たちから声がかかる。
「売春婦とか水商売のおばさんは、その日暮らしですよ。ほとんどがヤミ金からおカネ借りてる債務者です。おばさんたちは夜9時くらいから客を取って、朝方4時くらいまで働いている。深夜1時あたりには売春したおカネを持っているので、栄町では深夜1〜2時くらいがヤミ金の集金時間帯なんですよ。0時を回ると、ちょんの間の前にバイクが何台か停まります。ヤミ金の取り立てですね。売春したおカネをすぐに返済させるわけ。ヤミ金は夕方から夜までは営業と融資、夜から深夜に掛けて集金に回って、1日の最後に栄町で集金する。それで1日が終わる」
沖縄特有のヤミ金システム
沖縄ヤミ金は週掛けと呼ばれる金利を採用し、本州をはじめとする他の都道府県のヤミ金とはシステムが違う。その仕組みを説明しよう。
10万円を貸すとする。沖縄では融資時に利息3万円を最初に差し引かれて、現金7万円と10万円の借用書を交換する。そして、その場で初回(1週間分)の返済を求められ、実際に手にするのは現金6万円。その日から毎週1万円を元金返済し、10週間続ければ完済となる。他の都道府県では一般的なトイチ(10日に1割)、トサン(10日に3割)など、元金が減らないシステムと比較すると暴利を貪るが、生かさず殺さずが続く、まだ良心的なシステムといえる。
616
:
チバQ
:2016/09/08(木) 22:39:19
「ヤミ金業者はみんな横でつながっている。約束の日に集金に行っておカネがないとなったら、あいつカネがないから、貸し付けてくれってほかの業者に頼む。追い込まれているから利息が高くても借りるんですよ。そうやって債務が雪だるま式に増えていく。栄町のおばさんたちは20社、30社から借りていますよ。1日4〜5社の返済がある。おばさんたちは売春しても15分3000円にしかならないから、1日の稼ぎはせいぜい1万2000〜2万円程度でしょう。売春しても解決しないわけですよ」
ヤミ金業者の多くは母子家庭育ち、中学時代にヤンキーだった者たちだ。大城君もそうである。中卒、高校中退して一度は働いてもすぐに辞め、夜の仕事を転々として20歳前後でヤミ金に落ち着く。
債務者はクレジットカードが作れず、消費者金融が貸し出さない風俗嬢や男性店員、違法風俗で働く売春婦、博打好きのおじさんなどで、似た者同士でおカネが行き来して、債務者は暴利をむさぼられている。底辺の貧困層の中に、さらに残酷な弱肉強食があるのだ。
「債務者はみんな学歴が低い貧困層です。普通の人は借りないですよ。だから何も考えていない人が多い。返済に困ってから現実に気づく人がほとんどで、司法書士に泣きついて債務整理が入っても一時的に取り立てをやめるだけです。ヤミ金は自宅に行ったり、旦那とか彼氏の職場とか行くから、結局、返してきますよ。債務者は優しい人とかまじめな人ほど、追い込まれますね。誰かから奪う、陥れるみたいなことは毎日なので、ヤミ金の人たちは普通の感覚じゃないですよ」
葬式にだって回収へ行く
全国どこもヤミ金を営むのは、地元の元不良少年たち。債務者は明日、明後日の生活が苦しい貧困層だ。おカネのない貧困層から奪う弱肉強食なので、追い詰められて自殺する債務者は定期的に現れる。悲劇には慣れている。葬式まで回収に行く者もいるという。
「これから回収ですけど、債務者を取材できたら5000円か1万円出せます? あの子は風俗嬢だったかな」
深夜23時ごろ、大城君はそんなことを言い出した。私がうなずくと、軽自動車で那覇の市街地に向かう。車で10分ほど、小さなアパートの前で停まった。大城君は1階の部屋のチャイムを押し、女性と話す。
1分もしないで話がまとまり、自宅アパートから平良瑠美さん(29歳、仮名)がやってきた。取材謝礼を1週間分の支払いに充てるとのことだ。平良さんは違法店のピンサロ嬢、体型は若干太くスペックは高くはない。4カ月前からヤミ金に手を出している。
「半年くらい前にお客さんが全然入らない店に移ってから、ドン底です。週末でもお客さん2人だけとか、平日ゼロとか。夜10時から朝6時までのオープンラストいても、全然稼げなくなった。1日6000円とかで、送迎代引かれて5000円とか。そんな状態が続いて、生活はキツイというか無理になりました。家賃を支払ったら生活費なくなっちゃうし、食べなきゃいけないし。家賃滞納すると、今度は出て行けってなるし。おカネが全然足りなくて、友達にヤミ金を紹介してもらった」
平良さんの月収は1日5000円×22日で11万円ほど。生活保護水準を下回るかなり厳しい金額で、ヤミ金の負債は現在進行形でだんだんと増えている。現在は4社から10万円、合わせて40万円の負債がある。一人暮らしで家賃、光熱費、携帯を合わせて定期的な支払いは6万円ほど。可処分所得は5万円しかないのに、ヤミ金に週4万円の返済をしなければならない。家計は完全に破綻していた。
617
:
チバQ
:2016/09/08(木) 22:39:37
「全然、おカネが足りなくて困っている最中です。もっと働くしかなくて、昼間働けるソープを探しています。なんとかおカネを作って返すしかないです。消費者金融とか銀行は、風俗嬢は無理、おカネを借りるのはヤミ金しかないんですよ。無駄使いをしたわけではないのに、ほんとうに大変なことになっちゃいました。もう自分でもわけがわからないです」
19歳の頃は1日2万5000円稼いだ
彼女は沖縄の離島出身。高校卒業後、福祉系専門学校への進学で那覇に出た。専門学校の学費と家賃は両親が支払い、生活費は自分で稼ぐというプランだった。19歳の平良さんが高収入求人情報誌にあった日給3万円の求人に応募したら、そこは真栄原新町のちょんの間だった。10年前の学生時代に売春を始めている。
「興味本位でした。求人見て、本当に3万円ももらえるのかなって。まだ学生だったので、すごいと思って面接に行っちゃった。離島には風俗ないし、友達にそういう人もいなかったし、全然わからなくて言われるままちょんの間に立ちました。即体験入店みたいな。それまで彼氏くらいしか経験なくて、何もわからなかったけど、1週間くらいで慣れちゃった」
両親や地元の友人は、離島。那覇に住み始めたばかりで、専門学校から離れていれば誰にもバレないと思った。当時、真栄原は盛況で19歳の平良さんにはお客がつき、1日2万5000円は稼いだ。学校に行きながら売春で月20万円以上を稼ぎ、それなりにゆとりある専門学校生活が続いた。
「1年くらいした頃、学校の同じクラスの男友達にバレちゃった。店の目の前にいて、“何しているの?”みたいな。一応、口止めしたけど、それから学校に行きづらくなった。沖縄は夜の仕事への偏見は、けっこうすごい。同じクラスだったし、徐々に学校に行かなくなって、最終的には辞めた。辞めてからは真栄原の仕事を続けて、地元と那覇を行ったり来たり。気づいたら10年とか経っちゃって、焦りばかり」
本当はどうしたいのか?を尋ねると、「昼の仕事をして普通の生活がしたい」と言う。彼女は風俗嬢を10年間続けているが、貯金があるどころかヤミ金の支払いで食事も満足に取れない状態だ。地元に帰ろうにも、ヤミ金の返済を終わらせないと身動きが取れない。違法風俗で本番を売っても貧困状態で、ヤミ金の負債は膨らむばかり。これから始めるソープランドとのダブルワークが、最後の手段となる。
「風俗の仕事はすごく疲れるし、嫌になる。だから精神的に疲れて、何年に1度か那覇を離れて地元に逃げちゃう。でも地元に帰っても最低賃金の仕事しかないし、希望みたいなのは何もない。昼の仕事に就いて普通の生活をするのが夢だけど、それはおカネがある人だけができること。私はいつまで経っても無理です。今は本当にヤミ金のおカネを返して、リセットするしかないです。今年中には何とかしたい」
彼女が溜息をつきながら語る「昼の仕事ができるのは、おカネがある人だけ」とは、風俗嬢たちがよく言う言葉だ。一般的な仕事に就くと、最初の給与の発生は就業初日から1カ月半〜2カ月先になる。手元に30万円はないと、その空白の期間を乗り越えることができない。
沖縄は基本的に最低賃金に張りついた仕事ばかりで、恋人ができてもDVが蔓延して、男もおカネを持っていない。手元に30万円という壁が乗り越えられず、日払いの売春の世界から抜け出すことができないのだ。平良さんは裸の世界に足を踏み入れてから、気がつけば10年間が経ち、栄町のおばさんたちは30年間以上が経ってしまっている。そこにヤミ金たちが付け入り、さらに貧困が深刻化している。
618
:
チバQ
:2016/09/08(木) 22:40:00
「1年前から彼氏がいます。半同棲みたいな感じ。いい人だけど、仕事を辞めないと結婚は考えられないってハッキリ言われています。とにかく借金を返さないと何も考えられない。彼氏に何言われるかわからないけど、ソープで稼ぐしか道はないです。本当にきつい、頭がおかしくなりそうです」
彼女は大城君の言う典型的な“優しい人、まじめな人”である。ヤミ金からは「返済踏み倒したら、実家に取り立てにいく」と言われている。離島で風俗嬢であることがバレると、あっという間に島中にうわさが広がって生きていけない。両親に迷惑をかけることになる。バレることは最も恐ろしいことで、法的措置をしても債務からは逃れられない。どこにも逃げ場はないのだ。
栄町に戻った。深夜1時半。大城君の言うとおり、旅館を掲げるちょんの間の前にバイクが停まる。おばさんたちはこの数時間で売春したおカネを、そのまま回収される。まさに貧困から抜け出しようのない無間地獄だった。
「かわいそうだけど、仕方ないですよね。おばさんたちは50歳、60歳になって、ずっと売春から抜け出せないし、抜け出しようがないんですよ。さっきのピンサロ嬢も借金は返せて、仮に昼の仕事でゼロからやり直しても、たぶんすぐに戻ってきますよ。債務者の女の子が夜を卒業して、昼の世界で幸せにやっているみたいな話は聞いたことない。彼女たちは学歴も手に職もないから、最低賃金の仕事しかなくて、それじゃあ生活できないですからね」
平良さんのような離島出身で一人暮らしする女性は、那覇にネットワークや人脈がないので、風俗か昼間の最低賃金の仕事か、その2択しかない。どちらを選択してもおカネが足りない。彼女が望む“安定した普通の生活”を手に入れるのは、非常に困難なのだ。
借金返済のため観光客からボッタくる
違法風俗だけでなく寂れたスナックが立ち並ぶ栄町社交街
昭和の雰囲気が色濃く残る栄町社交街には、違法風俗だけでなく、無数の寂れたスナックが営業する。スナックのママたちも売春する高齢の売春女性たちと同じく、その日暮らしの貧困層だ。売春女性と同じく、そのほとんどがヤミ金の債務者という。
「だから、ボッタくるんですよ。この辺の店はボッタくりばかり。客を見て高額請求するわけ。たとえば座っただけで、3人で6万円とか。カネがありそうな観光客だったら10万円とか。そうやっておカネを作ってヤミ金に支払う。あと看板も電気もつけないで営業している店があるけど、それはヤミ金の集金をかわすため。居留守を使う。もうみんな今日をどうやって切り抜けよう、それだけ。それが栄町の現状です」
栄町は、貧困という苦界に身を落として何十年も生き延びた高齢女性たちが漂流する最後の"特区"だった。そして貧困が蔓延する場所には弱者を食い物にする貧困ビジネスが蔓延する。
郷愁が漂う街には、日本の中でずば抜けて最悪の最貧困県沖縄の厳しい現実が詰まっていた。
619
:
とはずがたり
:2016/09/10(土) 19:19:29
最近,ベーシックインカム(昔田中康夫支持者さんが支持してた)を俺も潜在的可能性を認めつつある。なんか色々不透明すぎ。生活保護扱う公務員も首に出来るし支給するしないの不透明も解消出来る。
藤沢市 生活保護費が不正支出、金庫と壁の隙間から同額の現金
TBS News i 2016年9月10日 05時38分 (2016年9月10日 08時00分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20160910/Tbs_news_68671.html
神奈川県藤沢市で生活保護費およそ157万円が不正に支出され、担当する課の金庫と壁の隙間に同額の現金が見つかったことが分かりました。市は、職員による不正の可能性も高いとみて告訴する方針です。
市によりますと、不正に支出されたのは生活保護受給者が鍼灸院で治療を受けた際に支払われる医療補助費で、2013年の1月から8月の間に受給者10人の名前を使い、合わせて19件の架空請求があったということです。受領証は、受給者の印鑑が押され偽造されていました。
市が調べていたところ、担当の課にある金庫と壁の隙間を捜すよう促す匿名の投書などが寄せられ、指示通りの場所から不正に支出された同額のおよそ157万円が封筒19通に小分けされて見つかったということです。市は、職員による不正の可能性も高いとみて告訴する方針です。(09日23:24)
620
:
とはずがたり
:2016/09/10(土) 19:41:00
知り合いの財政学者に一寸議論挑んだ。ざっくりベースの数字を持ってるから頼もしい。
月7万を全国民1億2千万人にばらまくとすると7*12=84万で84万×1億2千万=100兆8000万。
消費税1%増やすと2兆増収と云われているけど彼は2.5兆位と睨んでるとのこと。このままだと消費増税50%〜40%が必要になるけど,生活保護費の支給額やその分の公務員の給料,稲作農民への生保的ばらまきや中心商店街への生保的ばらまきや過疎地への生保的ばらまきをけずればそんなに要らない。
生活保護だけで4兆円,農水省関連で2兆円とか支出してるんだから消費増税半分の20%ぐらいでいけるんちゃうか。残る50兆円は政府支出削減で対応(まあ50兆も削るのは大変そうだけど),まだ足りなければ富裕層への課税強化もOK。
勿論問題点はあって,皆が月7万貰う事で働く気を失ってしまうとモノの供給が滞って悪性のインフレに襲われる可能性がある。
http://lochtext.hatenablog.com/entry/20121110/1352531313
生活保護の給付総額は今年度、3兆7000億円を超える見通しで、この5年で約1兆円も増えている。
生活保護給付総額、3兆7000億円超へ
http://www.maff.go.jp/j/budget/2017/attach/pdf/index-60.pdf
農林水産予算総額 28年度予算額 23,091億円
621
:
とはずがたり
:2016/09/10(土) 19:43:59
とりま不要な財政支出50兆円分程募集しますw
622
:
とはずがたり
:2016/09/11(日) 00:18:57
>>620
>勿論問題点はあって,皆が月7万貰う事で働く気を失ってしまうとモノの供給が滞って悪性のインフレに襲われる可能性がある。
月七万,夫婦に子ども一人で月21万貰えるならとりま軽くバイトでもしながら結婚生活も出来そうで新しい需要が生み出され寧ろ雇用もGDPも増える可能性の方が高そうな気がしている。。
623
:
名無しさん
:2016/09/11(日) 16:48:11
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160911-00010004-newswitch-bus_all
中間所得層3分の2が貧乏になっている先進国の現実
ニュースイッチ 9月11日(日)11時23分配信
拮抗する米大統領選で待ち受ける答え
9月2日に発表された8月の米国雇用統計では、新たな雇用創出件数が15万1000人と、予想の18万人を下回った。雇用の伸びは年ベース2・5%で上昇しているものの、米連邦準備制度理事会(FRB)が目標とする3%を下回っている。また、賃金上昇が見られず、インフレ懸念もないことから、市場は20―21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げ先送りと予想し、12月に利上げが実施されるかどうかに注目している。
レイバーデイ休日が明けた6日からの米国市場では、ナスダック総合指数が過去最高高値を付けたが、地区連銀総裁2名が9月利上げに積極的な発言が引き続き、株価市場では様子見が続きそうである。そして、大統領選挙まであと2カ月となり、ニュースの焦点となりそうだ。
民主・共和両党の候補者の第1回テレビ討論が26日に予定されている。世界のメディアがトランプ対クリントンの舌戦に集中するだろう。CNN/ORCの調査では、今のところほぼ五分五分の接戦で11州(オハイオ、フロリダ、バージニア、ノースカロライナ、ペンシルベニア、コロラド、ウィスコンシン、ミシガン、ネバダ、アイオワ、ニューハンプシャー)が勝敗のカギを握る。
中西部オハイオ州のようにかつて鉄鋼業が栄え、地元経済を支えてきた中高年の白人労働者は、IT革命や新しい成長分野から取り残され、中間所得層から脱落しつつある。格差が拡大するなか、彼らのルサンチマンがトランプ支持のコアになっている。「米国を再び偉大にする」というトランプ候補のスローガンは、この支持層には効き目があるようだ。
格差拡大が米国大統領選挙の根底にある。マッキンゼー・グローバル・インスティチュートのリサーチは米国経済は国内総生産(GDP)が伸びても中間所得層がその恩恵を受けない構造を指摘。中間所得層は1993年から05年にはGDP成長の約18%を配分されたが、その比率は05年から14年にはわずか4%に減少している。
同リサーチによれば、この傾向は先進国25カ国5億人の人々の生活においても同様に、見られる。93年から05年までの期間で生活水準が以前よりも悪くなったのはわずか2%だったが、05年から14年までのグローバル化が進んだ10年間では、中間所得層3分の2の実質所得が減少したという。特に、若い世代、母子家庭、教育レベルの低い層に貧困が拡大している。
米国のホスピタリティやサービス産業では雇用創出が見られるが雇用保障はなく、また専門性の高い職種では実質賃金の上昇が見られるが若い世代にエントリーレベルの機会が少なく、世代間での賃金格差に加え教育レベルでの格差も広がっている。
大井幸子(国際金融アナリスト兼SAIL社長)
624
:
名無しさん
:2016/09/19(月) 16:18:18
http://www.huffingtonpost.jp/2016/09/15/_n_12038808.html
9年で平均所得73万円減、所得格差は過去最大 厚労省が調査結果発表
The Huffington Post | 執筆者: ハフポスト日本版編集部
投稿日: 2016年09月16日 18時54分 JST 更新: 2016年09月16日 18時54分 JST
公的年金などを除いた世帯間所得の格差が2014年に過去最大となったことが、厚生労働省が9月15日に発表した調査でわかった。高齢化で所得の少ない世帯が増えたことが主な原因という。
「所得再分配調査」はおよそ3年に1回実施されている。対象は約4800世帯。
1世帯あたりの平均所得は、392万6000円で、前回2011年より12万1000円の減少だった。2005年調査との比較では73万2000円減っていることも明らかになった。こちらも高齢化が影響している。
世帯間の格差を指数で表した「ジニ係数」(格差が大きくなるほど1に近づく)では0.5704で、前回よりも0.0168ポイント増えて格差が広がっている。調査を開始した1962年以来格差が最も大きくなっている。
■厚生労働省が「格差は拡大していない」と発表
こうした数字から、NHKを始めとする報道各社はこの結果を「格差拡大」と報道している。しかし、実は厚生労働省の発表資料を見ると、「格差は拡大していない」という部分が強調されている。これはなぜだろうか?
それは「格差」を、年金・社会保障などを再配分した後の数値で比較しているためだ。再配分後の所得では、1世帯あたりの平均所得は481万9000円。ジニ係数では世帯間格差は0.3759で、確かに前回より0.0032ポイント減った。
厚労省はさらに、再分配によって格差を縮める「改善度」について、過去最高の 34.1%となっているとし、「再分配機能の拡大により、格差の拡大を防止している結果」と概要に記している。
■最も再配分の恩恵を受けられない層が20?24歳
「改善度」が最高ということは、つまり年金など所得の低い世帯が受け取る社会保障費が増加しているという意味だ。世帯間の格差を縮めている代わりに、「世代間」の再配分には不均衡が生じているとも言える。
世帯間の比較は、年齢階級別の世帯員所得再配分状況で見ることができる。
平成26年所得再分配調査報告書(厚生労働省)より作成
再配分で得られた世帯員1人あたりの再分配後の所得と当初の所得を比較すると、60歳以上はプラス、59歳以下はマイナスになっている。(40?44歳では差し引きゼロ)この差額を当初の所得で割った「再配分係数」では、20?24歳の最も若い世代が、最も再配分の恩恵を受けられない層となっている。
625
:
名無しさん
:2016/09/22(木) 13:42:48
55歳元金融屋が貧困生活に転落した深刻理由
東洋経済オンライン 9月12日(月)5時0分配信
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160912-00133939-toyo-soci
626
:
名無しさん
:2016/09/24(土) 16:25:56
http://www.sankei.com/west/news/160923/wst1609230052-n1.html
2016.9.23 16:50
「生活保護受け暇 時間つぶしに…」7年間のキセル乗車 容疑で59歳無職男を逮捕 大阪府警
近鉄でキセル乗車を繰り返していたとして、大阪府警東住吉署は23日、電子計算機使用詐欺と鉄道営業法違反の疑いで、大阪市東住吉区住道矢田(すんじやた)、無職、下村聖一容疑者(59)を逮捕したと発表した。「生活保護を受けるようになり、金を使わず時間をつぶすためにやった。7年間の日課だった」と供述しているという。
逮捕容疑は8月23日、近鉄矢田駅(同区)で150円の乗車券を購入した後、橿原神宮前駅(奈良県橿原市)を経て名張駅(三重県名張市)で折り返し、矢田駅隣の針中野駅(同区)で降車。翌24日も矢田駅から乗車し大阪阿部野橋駅(同市阿倍野区)で折り返して針中野駅で降車し、正規料金との差額計2260円をだまし取ったとしている。
近鉄によると、下村容疑者は平成22年ごろから、駅や電車内の清掃状態や、駅員らの勤務態度についてクレームを繰り返していたという。今年2月、車掌が乗車中の下村容疑者に乗車券の提示を求めたが拒否したため、不正乗車の疑いが浮上。近鉄が7月になって同署に相談していた。
http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000084090.html
7年間ほぼ毎日“キセル” あらゆる駅でクレーム(2016/09/23 18:56)
一番安い切符を購入し、あらゆる駅で降りては駅員にクレームを付けていたということです。
逮捕された下村聖一容疑者(59)は先月、近鉄電車で150円の乗車券を購入し、大阪の「矢田駅」から三重県の「名張駅」まで乗車するなどし、乗り越し運賃1990円を支払わなかった疑いが持たれています。下村容疑者は7年間、ほぼ毎日、不正乗車を繰り返したとみられます。警察の調べに対し、下村容疑者は「やることも金もないが、150円で一日過ごせる。クレームを言うのが楽しかった」と容疑を認めているということです。
627
:
とはずがたり
:2016/09/24(土) 18:44:53
>生活保護になって時間ができた。金を使わずに時間が潰せた
近鉄の最安切符で不正乗車 男のあきれた言い訳とは?
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160923-00000005-kantelev-l27
関西テレビ 9月23日(金)20時0分配信
電子計算機使用詐欺などの疑いで逮捕されたのは大阪市東住吉区の無職・下村聖一容疑者(59)です。
「男は自宅近くにある近鉄矢田駅からこの初乗り運賃の切符で電車に乗ったという事です。」
下村容疑者は8月23日、東住吉区の近鉄・矢田駅で、最も安い150円の切符を購入。
その後、本来2240円の乗車券が必要な三重県の名張駅まで行き、駅を出ずに引き返しました。
そして150円の切符の区間内である針中野駅で降りる不正乗車をした疑いなどが持たれています。
警察によると、「窓枠にホコリが付いている」などと近鉄の社員にクレームつけることもあったという下村容疑者。
不正乗車を7年もの間繰り返していたという事です。
調べに対し下村容疑者は、「クレームを見つけるのが7年間の日課だった。生活保護になって時間ができた。金を使わずに時間が潰せた」と容疑を認めています。
628
:
とはずがたり
:2016/10/03(月) 13:45:56
喜ばしい中国とインドネシアの改善を受けて,次はインドと行きたい♪
世界の貧困7.7億人に減少=13年、世銀報告
http://www.msn.com/ja-jp/news/world/%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E8%B2%A7%E5%9B%B0%EF%BC%97%EF%BC%8E%EF%BC%97%E5%84%84%E4%BA%BA%E3%81%AB%E6%B8%9B%E5%B0%91%EF%BC%9D%EF%BC%91%EF%BC%93%E5%B9%B4%E3%80%81%E4%B8%96%E9%8A%80%E5%A0%B1%E5%91%8A/ar-BBwUABZ
時事通信 8 時間前
【ワシントン時事】世界銀行は2日、1日1.9ドル(約190円)未満で暮らす「極度の貧困」状態にある人口が2013年に全世界で約7億6660万人となり、前年に比べ1億1430万人減少したとする報告書を発表した。今週ワシントンで開く国際通貨基金(IMF)・世銀総会に合わせ、貧困に関する最新のデータを公表した。
世界の総人口に占める極度の貧困者の割合は13年に10.7%で、前年比1.7ポイント低下した。中国とインドネシアの経済成長などを背景に、東アジア太平洋地域の貧困者が7100万人と、前年から半減した。一方、貧困者数が世界の過半を占める南アジアとサハラ砂漠以南のアフリカ地域では改善が進んでいない。
世銀は30年までに極度の貧困を事実上なくす目標を掲げている。世銀のキム総裁は、貧困が多い国の不平等な状況を解消し、「経済成長を促進する必要がある」と訴えた。
629
:
とはずがたり
:2016/10/10(月) 21:40:43
「最後の砦」救護施設の現実とは 厳しい社会復帰、進む高齢化
http://news.goo.ne.jp/article/fukui/nation/fukui-20161010174652166
17:43福井新聞
日常生活を送るのが困難な障害のある人が生活保護を受けて入所する「救護施設」は、憲法で保障された「健康で文化的な最低限度の生活」を守る「最後の砦」といわれる。福井県内唯一の救護施設「大野荘」(大野市)では、30?90代の143人(9月1日現在)が自立を模索しながら暮らす。高齢化が進み、人生の大半を施設で過ごしたまま生涯を閉じる入所者もいる。
■老いに直面
午前11時半すぎ、大野荘の食堂に入所者が次々と集まってくる。がっちりした体格の中年男性、おしゃべりに興じる白髪の女性、車いすや歩行器を使っている人など年齢も障害の程度もさまざまだ。
入所の問い合わせは県内市町だけでなく、県外からもあり、現在は男性89人、女性54人が2?4人の相部屋で生活している。1960年の開所当初から入所している人もいて、平均年齢は67歳。10年前に比べ約5歳上がった。食事や入浴などの生活介助が必要な人は全体の約3割いる。
家族と分けて、施設の住所で住民票登録する「世帯分離」を行って生活保護を受ける入所者もいる。親が亡くなり、きょうだいやおい、めいが身元保証人の人も目立つ。保証人がおいやめいの世代になると、面会の回数も極端に減る。入所者の葬儀を施設で営む場合が年間3、4件あり、引き取られないまま保管し続けている遺骨もある。
■中間施設
施設では一人一人に個別支援計画をつくり、部品加工や農作業などの作業訓練のほか、系列のグループホームなどでの自活訓練を提供している。自室でテレビを見てくつろいでいた男性(72)は、部品加工の作業を終えたばかり。「やっぱりもっと仕事をしたいよ」と笑う。
施設長の木間幸生さん(66)は「救護施設はあくまで中間施設で、社会復帰や地域生活への移行を目指している。高齢などで寝たきりになれば養護老人ホームなどに移ってもらおうとするが、満室で移れない場合が多い」と説明する。
生活保護法に基づいて設置される救護施設は「最低限度の生活」を提供する場所だ。他の福祉施設に比べて職員の配置基準などは低い。祖父母と同じ世代の入所者と接する若い職員の中には、信頼関係をつくるのに大きな負担を感じるという。
■精神障害6割
近年は精神障害のある人の割合が増える傾向にあり、現在は約6割を占める。精神科病院への長期入院を減らす国の方針が背景にある。木間さんは「退院しても地域の受け皿が十分ではなく、救護施設と病院を行き来する人も少なくない。(障害者の)総合支援法や差別解消法など法整備は進んでも、制度のはざまに置かれる人は必ずいる」と指摘する。
相模原市の知的障害者施設で入所者19人が刺殺され27人が負傷した事件から2カ月余りがたった。県知的障害者福祉協会の会長も務める木間さんは、障害のある人との共生が進まない現状に危機感を募らせる。
「救護施設ができた当時、社会から隔離して収容するという発想があったことは事実。社会も企業も生産性ばかりを追い求め、障害のある人を排除する風潮が今も根強い。(容疑者の)障害を否定するような発言には、それを許していた社会のいろいろな問題が潜んでいる」
630
:
名無しさん
:2016/10/11(火) 06:20:13
http://news.mynavi.jp/news/2014/11/18/308/
アベノミクスで恩恵を受けたのは…"富裕層"と"超富裕層"が100万世帯超える
御木本千春
[2014/11/18]
野村総合研究所は18日、2013年の純金融資産保有額別世帯数と資産規模の推計結果を発表した。それによると、純金融資産保有額が1億円以上5億円未満の「富裕層」および同5億円以上の「超富裕層」の世帯数は計100.7万世帯となり、2000年以降のピークである2007年を10.4万世帯上回った。
純金融資産保有額の階層別にみた世帯数
内訳は、富裕層が95.3万世帯、超富裕層が5.4万世帯。前回調査の2011年と比べると、富裕層は25.4%増、超富裕層は8.0%増、合計では24.3%増となった。増加した理由としては、2011年時点では純金融資産が5,000万円以上1億円未満だった「準富裕層」268.7万世帯のうち、多くがこの2年間に資産を増やして富裕層になったためと推測している。
富裕層・超富裕層の保有する純金融資産総額は前回比28.2%増の241兆円。内訳は、富裕層が同16.7%増の168兆円、超富裕層が同65.9%増の73兆円となった。2007年の254兆円には届かなったものの、2009年(195兆円)、2011年(188兆円)の推計結果を大きく上回った。
同調査は、富裕層・超富裕層の純金融資産総額に関しては、リーマン・ショックや東日本大震災の影響から、ほぼ回復したと判断。純金融資産額の増加が著しい理由については、保有する金融資産に占める株式や投信の比率が高いことが考えられるほか、富裕層・超富裕層には、上場企業等のオーナー経営者や上場・非上場企業の株主が多く含まれるため、アベノミクスによる株価上昇がもたらした金融資産増加の影響が大きかったと分析している。
631
:
とはずがたり
:2016/10/14(金) 09:07:08
"自業自得な人工透析患者"批判が粗雑で残念な理由
藤田孝典/NPO法人ほっとプラス代表理事
2016年9月28日
http://mainichi.jp/premier/business/articles/20160927/biz/00m/010/006000c
632
:
チバQ
:2016/10/18(火) 02:53:26
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161017-00140240-toyo-soci&p=1
「若者の貧困」に大人はあまりに無理解すぎる
東洋経済オンライン 10月17日(月)6時0分配信
「若者の貧困」に大人はあまりに無理解すぎる
若者たちが働いても「しんどい」状況は、大人たちによって「つくられた」ものだった?(写真:AH86 / PIXTA)
生活困窮者支援を行うソーシャルワーカーである筆者は、若者たちの支援活動を行っていると、決まって言われることがある。「どうしてまだ若いのに働けないのか?」「なぜそのような状態になってしまうのか?」「怠けているだけではないのか?」「支援を行うことで、本人の甘えを助長してしまうのではないか?」などである。
要するに、"若者への支援は本当に必要なのか? "という疑念だ。これは若者たちの置かれている現状の厳しさが、いまだに多くの人々の間で共有されていないことを端的に表している。今回の連載を通して、「若者なんだから、努力すれば報われる」という主張など、ナンセンスであることを明らかにしていきたい。
■もはや通用しない労働万能説
若者は働けば自立できる、働きさえすればまともな生活ができるという神話(労働万能説)が根強く存在している。働けばそれに見合った賃金を得られ、その賃金によってまっとうな生活を営めるというものだ。
賃金を得るために、若者はどのような職場に入るか、どのようなキャリアを積むかで悩まなくてはならない。また、安定した仕事に就くように要請する社会的な圧力にも悩まされる。そのため、就職活動で人気があるのは、やはり一部上場企業であり、公務員志望の学生も増えている。
しかし当然ながら、上場企業へ入社できたり、公務員になれる人数はもともと決まっている。すべての人がまともな賃金を得られる職業を確保することも、現実では不可能である。
事実、働いてもまともな賃金が得られる保証がない職種も増えている。そして、その仕事はたいてい非正規雇用で、終身雇用ではないため、不安定な就労形態をとっている。賞与や福利厚生がない職場も多く、働いたからといって、生活が豊かにならないことが現在の労働市場で起こっているのだ。いわゆる「ワーキングプア問題」が注目されるようになってきた。働いても貧困が温存されてしまうのである。
これは何も本人が低学歴であったり、コミュニケーション能力が低いということに由来しているわけではない。大学を卒業しても、普通に働いて生計を維持することが急速に困難になっているのだ。
仕事は選ばなければいくらでもある?
労働社会学者の木下武男氏は、これらの若者の雇用について、「経済界・企業は、多くの若者を日本型システムから排除すること、つまり、若者を犠牲にしながら、日本型システムを温存しようとしたのです」(『若者の逆襲 ワーキングプアからユニオンへ』旬報社)と述べている。つまり、経済界や企業は、意図的に若者の雇用を崩壊させてきた経緯があることを的確に指摘しているのだ。若者たちが働いても「しんどい」状況は、労働社会学者が指摘するように、大人たちによって"つくられた"のである。
ブラック企業の台頭も若者の困難に拍車をかける。普通に働きたいが、普通に働くことも許してもらえず、短期間で使い捨てにされてしまう。それによって、うつ病や精神疾患を発症してしまい、働けない状態に追いやられることも珍しくない。だから、「働けば何とかなる」という「労働万能説」はもはや通用しない。
633
:
チバQ
:2016/10/18(火) 02:53:59
■たとえ行き着く先がブラック企業でも…
またこの労働万能説を論じる人々は、労働していない若者や、労働を望まない若者を怠惰だと見なす傾向がある。そのため、できるだけ早く労働するように、なかば「仕事は選ばなければ何でもある」と、労働に若者を駆り立てる。たとえ、駆り立てられた若者が行き着く先がブラック企業であったとしても─―。
若者の一部は、望まない非正規雇用やブラック企業に長年、身を投じた揚げ句、「結局は報われない労働だった」とすでに体感していたり、今後もそうなりたくないと思っている場合が多い。だからこそ、働く先を選びたいのである。これはぜいたくでも何でもない当たり前の要求だろう。安心して働くことができない雇用が増え続けている中で、労働に対するインセンティブが湧いてこない若者たちが出てくるのも当然である。そして、彼らに強調しておかなければならないことだが、何でもいいからすぐに仕事に飛びつくことは、極力しないでほしい。
劣悪な労働環境でも人が集まってくることがわかれば、その労働者の処遇はいつまでも良くならない。安心して失業し続けられる社会には、劣悪な労働環境がここまで拡散することはない。そもそも社会保障が充実している他の先進国では、賃金に依存しなくても、ある程度暮らしていけるため、過酷な労働にはそれなりの対価が支払われるし、ひどい企業も淘汰されていく。社会保障や社会福祉が遅れているからこそ、失業したときに困るし、早急に労働や労働市場へ駆り立てられることになる。
たとえば、ブラック企業を辞めたが、すぐに仕事をしないと生活に困ってしまうので、急いで再就職をした別の企業も、またブラック企業であったという話はいくらでもある。じっくりと仕事を選び、準備をして余裕を持って就職をしてほしいし、その環境こそ整備していきたいものである。
そして、労働市場の劣化は、若者の労働意欲を奪っていく。どのように働いていくべきかを悩み、資格をいくつも取る人々、自己啓発に関する書籍を読みあさる人々などをよく見かける。本質的には、この労働市場の構造を変えずに、彼らの苦悩は消えないのにもかかわらず、である。
また、たとえ働かなくとも、若者たちには父母や祖父母がいるので、多少おカネに困ったとしても、家族が手を差し伸べてくれるのではないかという神話(家族扶養説)がある。
自分たちの生活だけで精一杯で…
しかし、もうかつてのように、家族は若者を救えない。家族の世帯員が縮小し、相互扶助機能は前例がないレベルまで弱まっているからだ。世帯年収も減少傾向にあり、若者の親世代や祖父母世代は、自分たちの生活だけで精一杯であろう。
634
:
チバQ
:2016/10/18(火) 02:54:11
■家族への依存も、もはや困難に
わたしは生活に困窮してしまった若者たちの相談を受けて、年間何十件も生活保護申請に同行する。NPO法人全体としては、なんと年間300件超(! )である。申請に行くと、福祉事務所職員は必ず、「頼れる家族はいませんか?」と聞く。
しかし、家族が扶養できた事例には、残念ながら一件も出会っていない。若者が生活に困窮していたとしても、家族は頼れないのだ。そもそも家族を頼れる関係にあるのなら、NPOや役所には相談しないのではないか。
奨学金を借りて大学に進学する学生の多くも、家族による学費負担や仕送りが十分に期待できない状況にある。家族相互に扶助が可能な世帯は、いったいこの日本にどれくらい残っているのだろうかと嘆息せざるを得ない。雇用の不安定化や賃金、年金の減少、物価の高騰などで自分自身の生計を維持することがやっとだという世帯が一般的であるように思う。
また、悲しいことだが、家族自体が自らの子どもを、搾取の対象とする事例もある。
長年、児童虐待を受けてきたり、十分な養育や教育を家族から受けることができなかった若者の存在だ。家族の存在自体が温かいものではなく、若者本人に対して、害悪を与える存在として機能する場合もあるということだ。社会的には"毒親"などと評する論調もあるくらいである。
家族がいても期待される機能が発揮できない。あるいは家族関係自体にストレスを生じやすく、同居や支援を求めることによって、問題が悪化することもある。たとえば、精神疾患を有する若者が実家で生活している場合、疾患に対する理解が不十分な両親が、就労をしきりに促すことによって、過大なストレスを生じるといった相談事例は後を絶たない。
彼らには、「家族の支援をきっと受けられるから大丈夫だよ」などとは口が裂けても言えない。このような家族と別居して暮らしたいが、生計を維持できないから、自由な暮らしを阻害されている。これに対してどうしたらよいかと相談を受ける。すなわち、「実家から出られない若者」の悩みである。
いずれにしても、若者たちを取り巻く環境を見る際には、家族への依存は困難になっていると想定しておく必要があるだろう。さらに20歳を超えた成人に対して、家族がどこまで面倒を見るべきなのか、についても議論を進める必要がある。諸外国では当然であるが、成人した場合、血のつながりのある者同士でも、日本ほど扶養をすることはない。主に夫婦間や未成年の子どもに対する扶養義務くらいで、成人後は生活や就労を政府や社会システムが保障していく。「困ったら家族を頼る」ということが当たり前の社会でなくなることを示していきたいとも思う。
つまり、困ったら家族が助けてやればいいという論調は、ややもすると社会福祉や社会保障の機能を家族に丸抱えさせることにつながってしまう。これでは家族が共倒れの状況を招きかねず、さらに社会福祉や社会保障の発展も妨げる。そういう点において、家族扶養説は危険な前近代の思想であると言えるだろう。
藤田 孝典
635
:
とはずがたり
:2016/10/24(月) 18:26:47
韓国の格差深刻、カースト制度みたい? 上位10%のエリートらに所得集中
http://www.iza.ne.jp/kiji/economy/news/161004/ecn16100412000001-n1.html
2016.10.4 12:00
【経済裏読み】
韓国の労働市場階層は、「4階級」に固まった垂直構造からカースト制度と似ていると指摘されることが多いという。それはこの国の上位10%への所得の集中度が米国に次ぐ水準であることからもわかり、格差は深刻化している。
賃金統計の結果からもうかがえ、一番上の階級の「大企業正社員」を100とすると、最下位層の「中小企業非正社員」は35。アジア通貨危機前の1995年には韓国の上位10%への所得集中度は30%未満だったことから、この間の経済成長の成果のほとんどが一部の“エリート”に集中分配されたことになる。
上位への所得集中は米国に次ぎ世界2位
聯合ニュース(電子版)によれば、韓国国会立法調査処が世界トップ所得データベース(WTID)と国際通貨基金(IMF)の資料を分析したところ、韓国の上位10%への所得の集中度(2012年基準)は44・9%だったという。日本を含むアジアの主要国で最も高く、世界でも米国(47・8%)に次ぐ高い水準となった。
所得集中度は所得上位の人たちが所得全体に占める割合を算出し、不平等の水準を判断する指標で、フランスの著名な経済学者、トマ・ピケティ氏らが提唱している。
主要国の上位10%への所得集中度をみると、米国や韓国のほか、シンガポール(41・9%)、日本(40・5%)が40%を超えた。だが、韓国はアジア通貨危機前の1995年には上位10%への所得集中度は29・2%で、米国(40・5%)や日本(34%)、シンガポール(30・2%)に比べ低かった。
それが通貨危機後、急速に所得集中度が上昇したのである。95年〜2012年の上昇幅は15・7ポイントで、シンガポール(11・7ポイント)、米国(7・3ポイント)、日本(6・5ポイント)などを上回り、所得不平等が最も深刻な国となってしまったわけだ。
映画「雪国列車」さながらの状況
こうした現状を踏まえ、韓国経済新聞(電子版)は自国の労働市場階層について「4階級」に固まった垂直構造からカースト制度と似ていると指摘する。そして、上の「大企業正社員」から下の「中小企業非正社員」まで、厳格に分離された“雪国列車”のようだと表現した。
「雪国列車」とは2013年公開の韓国のSF映画である。雪と氷に覆われてしまった世界でわずかに生き残った人類は、動き続ける列車「スノーピアサー」の中で生活。しかし前方車両に住む富裕層がすべてを支配し、最後尾に住む貧困層は奴隷同然の扱いを受けていた。そんな中、貧困階級の主人公が理不尽な支配に立ち向かうべく、仲間と反乱を企てる…。たしかに、韓国の労働市場階層の状況を彷彿させる。
636
:
とはずがたり
:2016/10/24(月) 18:27:12
>>635-636
この国の労働市場階層の厳しさは賃金統計からもうかがえる。全労働者の10%にも満たない一番上の階級「大企業正社員」の賃金を100とした場合、上から二番目の階級「大企業非正社員」は62。三番目の「中小企業正社員」は全労働者の57%を占めるが、賃金は大企業正社員の半分程度の52でしかない。そして、最下位階級である「中小企業非正社員」の賃金は35に落ちる。労働者の30%がここに属する。
OECD平均より43日多く働く韓国人
それでも、韓国人労働者1人当たりの年間労働時間は、経済協力開発機構(OECD)加盟諸国の中で2番目に長いのだという。一方、平均購買力評価基準賃金は、中下位圏(平均の80%)に止まった。仕事は多いが、収入は割合少ないのだ。韓国紙、東亜日報(電子版)が報じている。
OECDが発表した「2016年の雇用動向」によると、昨年の韓国国内就業者1人当たりの平均労働時間は2113時間で、OECD34加盟諸国の平均(1766時間)より347時間も長かった。
一日の法定労働時間8時間で割れば、韓国の労働者は年間264日を勤務し、OECD平均(221日)より43日多く働いたことになる。
一方で韓国人労働者の賃金はOECDの平均より少なく、物価水準を考慮した購買力評価(PPP)を基準にすれば、韓国就業者の昨年の平均年間実質賃金はOECD平均(4万1253ドル)の80・3%の3万3110ドル。年間実質賃金を労働時間で割ると、昨年の韓国就業者の1時間当たりの賃金(15・7ドル)はOECDメンバー国の平均である23・4ドルの67・1%に過ぎなかった。
韓国よりも労働時間が長い国は、年間2246時間を働いたメキシコだけで、日本の年間労働時間は1719時間で、世界17位だった。労働時間が最も少なかったのはドイツで年間1371時間。ドイツの労働者は、韓国の労働者より3カ月間(93日)も少なく働いたことになる。
韓国の労働市場階層は、「4階級」に凝り固まったカースト制度と似ていると言われることから、どれだけ長時間働いても上位10%に所得が集中してしまう。
その一方で、労働市場に柔軟性ができれば、正社員・非正社員の身分構造が崩れる。それを恐れる“特権階級”が存在することも確かである。新卒の学生が「公務員試験」に集中する現象も、結局は差別を受ける非正社員になることを恐れるからだ。
突き詰めて言えば、国内の構造改革がなされなければ、労働者をめぐる環境は改善されないというわけである。今のところ、変わる兆候は見られない。
637
:
とはずがたり
:2016/10/28(金) 13:13:11
3歳児、おなかすいて盗んだ 両親は借金背負い不在
http://www.asahi.com/articles/ASJ4C3DS1J4CPTFC006.html
山内深紗子2016年5月8日05時02分
万引きで補導されたのは3歳の保育園児だった。2012年春、西日本のスーパーマーケット。ズボンとシャツのポケットにあめとチョコを詰め込み、背中にロールパンの袋を隠していた。
数カ月前から児童相談所(児相)が「経済困窮によるネグレクト(育児放棄)」の疑いで見守っていた家庭の次男。「一度にたくさん盗んでいるからこの子は初犯じゃない。食べさせて、きつく叱ってください」。警察官は母親(43)に言った。
5歳上の長男、4歳上の長女も万引きでの補導歴が複数あったが、次男が補導されたのは初めてだった。
トラック運転手の父親(50)は仕事で深夜まで帰らず、泊まる日も。母親は家政婦として住み込みで働き、ほぼ子どもだけでアパートで暮らしていた。
料金滞納でガスは年中不通。水道、電気もよく止まった。子どもたちの食事は1日15分ほど戻る母親らが用意したカップ麺やそうめん。空腹を満たすため万引きした。小学校を休みがちになり、午前1時ごろまで遊ぶ日もあった。
638
:
とはずがたり
:2016/10/28(金) 13:13:29
「ティッシュって甘いんだよ」幼い姉妹、母と空腹の日々
http://www.asahi.com/articles/ASHDL4VDGHDLPTIL01K.html
足立耕作、山内深紗子2015年12月19日21時41分
白飯、サラダ油、しょうゆ。
2年前に生活保護を受けるまで、長野県に住む女性(30)の食卓に、しょっちゅう並んだ献立だ。ざっくり混ぜて食べると、油のコクで空腹が満たされる気がした。最初はツナ缶の残りの油をかけていたが、缶詰は買えなくなった。長女(9)と次女(8)は「おいしいよ」と食べた。
「うちはこれ以上無理」母子家庭、諦めさせたバスケの夢
孤立を防ぐために 母子家庭の主な相談窓口一覧
特集:子どもと貧困
おなかをすかせた2人は当時、女性に隠れてティッシュペーパーを口にした。次女は塩をふってかみしめた。「ティッシュって甘いのもあるんだよ」。後になって長女が教えてくれた。いい香りのするもらい物のティッシュは、かむと一瞬甘いという。
そんな困窮状態になっても、周囲に「助けて」とは言い出せなかった。
2010年、夫の暴力に耐えきれず家を出た。派遣社員として工場で働き、月収は多くて15万円ほど。だが、うつ状態で休みがちになった。収入は落ち込み、光熱費を滞納し始めた。
夫から「役立たず」「ダメなヤツ」と罵倒され続けてきたことで、「自分がすべて悪い」という心理状態が続いた。夏でも窓を閉め切り、買い物に出かけるのもためらった。
国民健康保険料を滞納したために呼び出された役所では、「収入10万円でも払っている人はいるんだ」と職員に言われた。ぜんそくの長女が風邪をひき、手持ちがないまま訪ねた薬局で、「後日必ず払います」と懇願したが、「慈善事業じゃない」と断られた。
親類や知人も生活は苦しく、「甘えるな」「節約したら」と言われた。「人を頼っちゃいけないんだ」。そう思い込んだ。
2012年暮れ。次女が風邪をひいた。この状況を何とかしなければと訪れた病院で、小児科医らに生活保護を勧められた。だが役所では、うつだと話しても、「もう少し働いたら」と何度も促された。「やっぱり頼っちゃダメなの」。申請をあきらめた。その後、クレジットカードのキャッシング(借金)を繰り返したが、数カ月で返済が滞った。
13年12月。電気の止められた部屋で、野菜の切れ端が入った薄い雑炊を3人で1杯ずつすすった。ろうそくの炎を見つめるうち、長女から「死んじゃうの?」と聞かれ、決意した。
あのときの小児科医に助けを求め、福祉相談に応じている病院の職員に付き添われて生活保護を申請。うつが悪化し、就労は困難だとして認定された。
今は月18万円ほどで暮らす。前は何も欲しがらなかった長女や次女が、「マック食べてみたい」「弁当にから揚げ入れてね」と言うようになった。
女性は振り返る。「周囲の厳しい視線を感じて殻に閉じこもった。周りの人もがんばってるんだから自分だけ助けてって言うのは恥ずかしく、なかなか言い出せなかった」
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とはずがたり
:2016/11/14(月) 11:36:43
日本の「最貧困地域」再生で見た甘くない現実 「西成特区構想」を率いた経済学者の奮闘
http://news.goo.ne.jp/article/toyokeizai/bizskills/toyokeizai-143634.html
11月13日 15:00東洋経済オンライン
大阪・西成「あいりん地区」。ピカピカの超高層ビル「あべのハルカス」の足元、縦横1キロメートルの狭い三角地帯に、日雇い労働者、ホームレス、生活保護受給者、そして地元住民と2万人が密集する。これまで勃発した暴動の数24回。3人に1人が生活保護を受け、結核罹患(りかん)率は全国平均の28倍という世界最貧国並みの高さ。少子高齢化、貧困、治安、衛生、差別など社会問題が凝縮し衰退が進む地域の、まさに近未来像を一変させるべく、橋下徹前大阪市長が「西成特区構想」の大号令を発した。その陣頭指揮を託されたのが、学習院大学経済学部教授の鈴木亘氏だ。『経済学者 日本の最貧困地域に挑む』にはその奮闘が記されている。
衰退しきったどん底のスラムから
──2012年に着任されたときはどんな状況でしたか。
どん底でしたね。ホームレスがあふれ、不法投棄ゴミが散乱し、昼から酒飲んで立ち小便してる。町全体が臭気のドームでした。すべての社会問題を放り込んで、フタしてグツグツ煮えたまま放置されてる、まさに闇鍋状態。衰退しきったスラムでした。大阪万博を機に日雇い労働市場として発展してから50年近く経ち、みんな年取って暴動起こす元気がないだけ。人も減って簡易宿泊所や飲食店は廃れていく。ある意味、暴動がバンバン起きていた時代より問題は根深かったとも思いますね。
──そもそもあいりん地区が“闇鍋”で放置されてきた背景とは?
官も民も、地域内が利害関係者だらけと言っても過言じゃない。支援者組織、労働組合、普通の町内会、商店会に暴力団関係まで、とにかくあらゆる組織がせめぎ合っている。
大阪市側も福祉局あり建設局ありその他各局バラバラに入ってそれぞれの利害だけで動いてる。地域の象徴である「あいりん総合センター」という一つの建物内に国・府・市の管轄が混在する。要するに収拾がつかなくて、行政も避けて通ってきた。一人ひとりと向き合って、地道に合意形成をしていかないと何かの弾みで暴発しかねない状態でした。
──実際、本全体の8割が改革会議本番に向けた地域の根回しや、対役所工作の赤裸々な逸話です。
貧困者対策、不法投棄ゴミ問題、結核、治安対策など喫緊の課題解決と、観光や教育、町の活性化、子育て世代呼び込み策。痛みを伴う構造改革と、明るい将来像という両極を同時進行で議論していきました。
ただ、改革の中身以上にどう実行するかが重要と考えていました。本番の「あいりん地域のまちづくり検討会議」の前に、各組織へのドブ板行脚、顔見世興行に飛び回った。地域の事情に明るく、同じ思いの同志“7人の侍”で結束し、役所に都合のよいようにさせない、地域が長年望んできたボトムアップによる町づくり改革をねじ込んでいく準備を重ねた。行政と住民との仲は最悪でしたが、協力してプレーパークを作るとか合同会社を立ち上げるとか、町の改善の一歩となるような小さな成功体験を積み重ねていきました。お互い意思疎通できるようにしとかないことには何も始まりませんから。
お役所と地域住民のハブ役に徹して
──役人懐柔策、彼らが動く論理・動かない論理を知り尽くしての作戦の数々が、面白かったです。
鈴木亘(すずき わたる)/1970年生まれ。上智大学経済学部卒業後、日本銀行入行。98年日銀退職、大阪大学大学院経済学研究科入学、2001年博士号取得。日本経済研究センター、阪大助教授、東京学芸大学准教授などを経て現職。12年3月から15年11月まで大阪市特別顧問、16年9月に東京都特別顧問に就任。著書多数(撮影:梅谷秀司)
640
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とはずがたり
:2016/11/14(月) 11:36:56
>>639-640
そう、結果的に物語の相当の部分が対役所工作の話になりましたね。
日本の行政ってデカいしやっぱりすべての中心。地域だけで大改革は進まない。いかに行政を絡ませるか、巻き込むか。むしろ行政を主役にして動かすくらいのことをやらなきゃいけない。だけど民間の活動家たちにその発想はなかった。
そもそも地域住民の合意を取らずに日雇い労働市場を町に固定させたのが行政。行政代執行や強行策が繰り返されてきた歴史に、今直面している問題の元凶はすべて行政にある、という怨念が地域に渦巻いていた。行政は行政でこの町の合意形成など不能だと思っている。
今回は行政と住民を絡めた改革にすることが最重要だったので、両者のハブ役に徹しました。役人を動かすため、時に華を持たせたり、貸し借り関係を作ったり損得勘定に訴えたり、黒子に徹して出世に一役買ったり便宜を図ったりと、あの手この手。自分が間に入ってリスクは取る責任も取ってやる、だから動けと。
──そしてついに、半年間計6回の検討会議本番にこぎ着ける。立場を異にするリーダーたちが一堂に会するのは、あいりん史上初だったとか。
無関心層や反対派にこそ参加を呼びかけ、全町内会長、労働団体にひざ詰めで参加を依頼しました。綱渡りで大変だったけど、傍聴人も含め毎回約200人余りが参加し、やって本当によかった。
行政がやると、自分たちの意に沿う人物だけ集めてオーソライズ(公認)してもらい、反対集団の怒声にはひたすら頭を下げて鳴りやむのを待ち、ちゃっかり議会に通して再生事業を強行するわけです。でもこの地区に限っては、もう全員集めてみんなで話し合おうと。最初は案の定、怒声・罵声が飛び交う大混乱でしたが、回を追うごとに何とか道筋ができみんな乗ってきて、最後はまとまった。やっぱり賛成派も反対派も様子見派も、みんな集まって話し合うのが民主主義の原点ですから。
活動家らは距離が近すぎるとヤジを飛ばしにくいらしい
──会議をかき乱す活動家対策ではいろいろ奇策も飛び出しました。
体育館を会場とした会議は完全な開放型で、35人の委員たちは傍聴席に囲まれてグループごとに議論していくのですが、活動家の怒声に委員が萎縮して議論に入れなかったりしたときは、私が傍聴席に上がっていってレクチャーしたり質問に答えたりして場を収めました。
ある回では傍聴席を最前列、委員席を後ろと逆にしたんです。面白いもので、活動家らは距離が近すぎるとヤジを飛ばしにくいらしく、委員たちをドツくのも首を後ろにひねってではやりにくい。おかげで静かに進行できました。回も最後のほうになると、傍聴席で騒いでた連中も話し合いの輪に取り込まれていき、単に妨害したいだけの連中にはほかの傍聴人から「オマエら邪魔だ」と声が飛んで、小さくなっていた。重要なのは意見する場を反対派にも作ったこと。みんなで決めたことだ、後になってから騒ぐな、と言える。
──でもその後、肝心の橋下さんは市長を降りてしまいましたが。
もちろん、改革は継続せざるをえないよう舞台装置を整えておきました。上からの号令方式だと、上が代わるやこれ幸いと手抜きしてしまう。だから下の役人から考えさせて下からの積み上げで全部やらせる形を仕込んだ。住民と共同でやる事業もたくさん作っといたので、途中で「イチ抜けた」はできない。だから橋下さんが辞め私が去った今も、改革は着々と進行中です。古汚い一大ドヤ街のイメージも10年後くらいには変わっているだろうと思います。
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