結論から申し上げると、日本の電気料金は諸外国と比較しておおよそ真ん中あたりです。電力中央研究所がIEA Energy Prices and Taxesをもとに、日本を含めた10か国(カナダ・デンマーク・フランス・ドイツ・イタリア・韓国・スペイン・英国・米国)の電気料金を比較しています。2013年の為替レート(1ドル=97.6円)で換算した結果、日本は高い方から5番目で、1kWhあたり約24円。1kWhあたり40円近い電気料金のドイツやデンマーク、1kWhあたり10円程度と安い韓国やカナダの中間に位置しています。実は、日本の電気料金は1990年代は世界と比較するとかなり割高な水準にありました。その後、燃料コストが上昇していく中でも、電力会社の経費削減や新たな設備投資の抑制で燃料コストを吸収し、電気料金単価は2010年までは徐々に値下がりしています。その後は値上がり傾向にありますが、諸外国と比べて割高といわれた電気料金は落ち着きをみせています。
諸外国の中で、ヨーロッパ各国の電気料金は2000年に入って右肩上がりに上昇傾向にあります。中でもドイツや英国は2000年から2013年にかけて電気料金は2倍になっていますし、イタリアやスペインも50%以上の値上がりとなっています。一方で同じヨーロッパでも、フランスはそれほど値上がりしてませんし、米国、カナダ、韓国の電気料金は非常に緩やかな上昇にとどまっています。
3社が建設する石炭火力発電所は出力200万kW(キロワット)を予定している。石炭火力の発電方式の中でも効率が高い「超々臨界圧(USC:Ultra Super Critical)」を採用する。5月1日に3社が共同でSPC(特別目的会社)を設立して、建設工事に向けた環境影響評価(アセスメント)のプロセスに入る(図2)。運転開始は2020年代の半ばを予定している。
現在のところ新設する火力発電設備の対策だけが明確になっている。2030年度のエネルギーミックスの目標では石炭火力が全体の26%、LNG(液化天然ガス)火力が27%を占める。政府は石炭火力の平均水準を現在の最高レベルの発電方式である「USC:超々臨界圧(Ultra Super Critical)」並みに引き上げる方針を打ち出した(図3)。
この方針に従って、新設する石炭火力はUSC以上の効率を発揮する設備に制限する。同様にLNG火力は発電効率が50%以上のコンバインドサイクル(複合発電)を標準に設定する考えだ(図4)。火力発電設備を新設する場合のガイドラインは「BAT(Best Available Technology、最新鋭の発電技術の商用化及び開発状況)」で決まっている。今後はBATの基準に見合わない発電設備は新設できなくなる。
太陽光や風力といった再生可能エネルギーは依然としてコスト高の上、発電量が一定しない弱点を抱えている。CO2を出さないエネルギー源と期待されていた原発は、以前のような積極的な活用はあり得ない。そうした中では、石炭火力や天然ガスを燃料とする発電に比重を置いていかざるを得ないのは明らかだろう。
ちなみに、13年版の世界エネルギー会議報告書『World Energy Resources』によると、世界の石炭埋蔵量は8915億トンで、今後113.8年間にわたって採掘が可能という。この採掘可能年数は、天然ガスの60年や石油の56年を大きく上回り、石炭は安定エネルギーといえる。
国内では、エネルギー効率が良く、コストの引き下げとCO2の排出削減が可能な新設の発電所が増えれば、旧式プラントは競争力を失い、自然に淘汰されていくだろう。それにもかかわらず、今頃になって新設計画を凍結すると言わんばかりの環境省の政策音痴ぶりに対して、不信感が高まるのは当然だろう。
世の中には脱原発を決めて自然エネルギーを推進するドイツのエネルギー政策を、何としても「失敗」と描きだしたい勢力があるらしい。10月6日にファイナンシャルタイムズが掲載した社説「The costly muddle of German energy policy」もそのあらわれなのだろう。「メルケルが脱原発を決めたのは大きな誤り」と書いて、「失敗」の根拠をあれこれあげつらっている。どれも言い古されたネタばかりだが、「ファイナンシャルタイムズが言うのなら本当かも」、と思う人もいるかもしれない。