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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第五章
332
:
明神
◆9EasXbvg42
:2020/03/16(月) 04:26:52
>「いやぁ〜、ガザーヴァも帰ってきてくれたし、我々としては嬉しい戦力アップだね!
これもすべて明神君のお陰だとも!
明神君、ふつつかな娘だがよろしく頼むよ! どうか可愛がってやって欲しい!」
バロールはいつになく上機嫌で父親ヅラしてやがる。
適当言いやがって、人間相手に可愛いがられるようなタマかよあの幻魔将軍がよぉ。
>「ちょっ! パパ! やめてよねそういうの!
ボクはあくまで、コイツがどうしてもって言うから仕方なく力を貸してやるだけだしー!」
「うん……うん?」
なんかその言い方だと、今後も俺に力貸してくれるみたいな感じじゃない?
帝龍戦では利害の一致で共同戦線張ったけど、これからは自由に生きていいのよ。
お父さんの元で今度はアルフヘイムの将軍やるとかさ。
再び回り始めたアルコールのせいで思考が纏まらない。
とりあえず気を落ち着けるためにエールを啜っていると、
ガザーヴァは小さくつぶやくように言った。
>「……セキニン。とってくれるんだろ」
「ぶべぇっ!?」
酒が気道に入って盛大に噎せて、俺は死んだ。
ほどなくして生き返ったが、周りのオタク殿たちのもの凄いドン引きした視線に刺し貫かれた。
ヒソヒソ聞こえる「事案では」の声に耐えられなくなって、俺は二度死んだ。
死にゆく意識の中、カザハ君の小さなつぶやきが聞こえる。
>「……ご愁傷様です」
うるせえよ!
◆ ◆ ◆
333
:
明神
◆9EasXbvg42
:2020/03/16(月) 04:27:47
>「ブラッドラスト……血の終焉……。……呪い……か……」
みたびこの世に生を受けた俺が衆人環視の中縮こまっていると、
なゆたちゃんが何か思案しつつ零す。
僕の人生も社会的に終焉を迎えそうです。誰か助けてください。
閑話休題、ガザーヴァの助力が得られるなら俺達のパーティは大きくジャンプアップする。
ゴッポヨとガザ公のレイド級二枚看板なら大抵の敵にも負けやしないだろう。
だが一方で、新たな懸案事項もまた加わっている。
――ジョンを蝕む『呪い』。
血の終焉、ブラッドラスト。
この状況を放置していれば、遠からずジョンは呪いに呑まれて血塗れの最期を迎えてしまう。
バロールの物言いには反駁したが、戦力的にもジョンが戦えなくなるのは厳しい。
早急に何らかの対策――例えば解呪や治療を、施さなければならない。
暫くうんうん唸っていたなゆたちゃんは、やがてひとつの街の名前を口に出す。
>「……エーデルグーテ」
「聖都……プネウマ……ああ、なるほど!」
なゆたちゃんの頭の中で何が帰結したのか、俺にも分かった。
聖都エーデルグーテ。国教プネウマ聖教の聖地にして、闇祓う光の街。
>「みんな、次はエーデルグーテに行こう……! ジョンのブラッドラストを治療するには、あそこに行くしかないよ!」
「だな。魔王様の呪いの知識が役に立たねえ以上、別の専門家に当たってみようぜ」
確かあの街には、魔族に受けた呪いを祓う為の聖水を持ってこいみたいなおつかいクエストもあった。
ブラッドラストがホントに呪いなのかはさて置くにしても、闇属性スキルを相殺する聖なるアイテムとかあってもおかしくない。
このままアルメリアに引きこもってるよりかは何かしら手がかりが見つけられるはずだ。
>《まさか、なゆちゃんの口からその名前が出るとは思わへんかったわ〜。渡りに船、って奴やろか。
スマホから石油王の声が賛意を示した。
若干恨みがましい声音が籠もっているのは……うん、バロールが悪いよ。
石油王が言うには、ブレイブとしての『本来の行き先』も、エーデルグーテの予定だった。
アルフヘイムに存在する国家はアルメリアだけじゃない。ヒノデとか明らか異国っぽいしな。
この大陸だけに限定しても、近場じゃフェルゼン公国っていう山岳国家がある。
この先ニブルヘイムの侵略に抗い、侵食現象を食い止めるには、
アルメリア以外の国にも出向く必要が出てくる。
そんな時に頼りになるのが、国を跨いで影響力のあるプネウマ聖教ってわけだ。
問題は、エーデルグーテのアクセスが尋常じゃなく悪いこと。
まず周りが海に囲まれてて陸路で行けない。当然鉄道も通ってない。
アルメリア国内からはエーデルグーテまで行ける海路はなくて、国境越えてアズレシアからの出港になる。
ほんでアズレシアに陸路で行くには山越えが必要で、道中がクソほど長え。
(イマココ)
アコライト→デリンドブルグ→アイアントラス→アズレシア→エーデルグーテ――
聞いて驚け、都合3都市を経由して陸路と海路両方使って初めてたどり着けるのだ!!!
徒歩での道程、なんと片道丸1年!!!
「無理無理無理無理!デリンドブルグがどんだけ広いと思ってんだよ!
見渡す限り畑、畑、畑の平野だぞ!あぜ道で野営しながらずっと歩くのかよ!」
334
:
明神
◆9EasXbvg42
:2020/03/16(月) 04:29:31
当然の反論だったが、バロールには腹案があるらしい。
魔法機関車さえ修理できれば、道中で合流して一気にコマを進められる。
俺達は機関車に追いつかれるまで、できる限り旅程を稼げば良い。
>「わかった。じゃあ、体調と物資の準備が整い次第、このアコライト外郭から直接出発するよ。
デリントブルグ経由でアイアントラスに行き、魔法機関車と合流。
それからフェルゼン公国入りしてアズレシアに行き、船を借りてエーデルグーテへ、ね。
みんなもそれでいい?」
「い、異論なし……めちゃくそしんどいだろうけど、悠長なことも言ってらんねえしな」
>「それから……言うまでもないことだけど、もし敵が現れたとしてもジョンは戦わないこと。
みんなも、出来るだけジョンを戦わせないように。その前に戦闘が終わるようにして。
わたしとエンバースが前衛に立つから、カザハと明神さんは後衛」
「それも了解。わかってんなジョン、正面で敵とかち合ったら迷わず後ろに下がってこい。
トーチカ被せてやっから。俺とカザハ君なら、お前が隠れるくらいの時間は稼げる」
正味な話を言えば、ジョンが事実上戦闘不能になるのはかなり痛い。
それでもやる。やってみせる。アコライトの作戦会議であいつに切った啖呵は、絶対にウソにしない。
それに隠密機動に長けるガザーヴァが先行偵察するなら、俺達は余裕をもって敵を迎え撃てる。
>「ガザーヴァは斥候として、ガーゴイルに乗って行く先の哨戒を――」
>「ヤダ」
ガザ公はさぁ……協力してくれるって言ったじゃん!言ったじゃん!!
このひと僕のパーティーのリーダーなんですよ!
>「…………。カザハ、哨戒お願い。ガザーヴァは明神さんと一緒に後衛、ってことで」
わぁ……なゆたちゃんが折れるの初めて見た気がするぅ。
今までみんなちゃんと指示聞いてくれる良い奴らばっかだったもんなぁ。カテ公は除く。
「まぁ後ろは任せとけよジョン。俺とガザっちが組みゃ無敵要塞だ。
お前が出てくるまでもなく寄ってくる敵全部ぶっ飛ばしてやらぁ」
主にぶっ飛ばすのはガザ公の役目になると思うけど。
俺は応援してるよ。オタク殿たちからハッピとサイリウムもらってきたしな。
「ガザぴっぴのイメージカラーっつうと何が良いかな。黒はなしね、サイリウムにそんな色はない。
とりあえず紫の濃いやつに闇の魔法オーラ纏わせていい感じの色にしよう」
とまぁそんなこんなで準備と静養に一週間を費やすことを決めて、
アコライト防衛戦祝勝会は幕を閉じた。
おそらくは。
何年かぶりに、アコライトの民は――熟睡出来た。
俺達が、その安眠を、勝ち取ったのだ。
◆ ◆ ◆
335
:
明神
◆9EasXbvg42
:2020/03/16(月) 04:30:46
すげえ疲れてたしお酒入ってたから、朝までぐっすりコースだった。
窓から差し込む朝日で自然に目が覚める。おええ……頭痛い……。
二日酔いの頭痛は脱水症状が原因らしい。
したがって深酒した次の日の頭痛は水分補給で治る。治れ!!
誰だ迎え酒とかいうエビデンスのない対症療法考案したやつは!!!
……水飲んでこよ
むくりと起き上がると、手がカサリとなにかに触れた。
頭がぼやぼやしたまま拾い上げる。手紙だ、何かが書いてある。
>【異邦の魔物使いは飽きたので普通のモンスターに戻ります。短い間でしたがお世話になりました】
目はすぐに覚めた。
寝間着もそのままで、俺は部屋を出た。
走り出す。
「……カザハ君!」
こんなわけわからん置き手紙を残すのなんかあいつしかいない。
一体どうして。ガザーヴァと分離して、あいつが俺達から離れる理由はなくなったはずだ。
このさきもずっと、一緒に旅をしていくって、そういう流れだっただろうが!
一方で、なんとなくカザハ君が逐電する理由にも検討はついた。
ガザーヴァは、能力的に言えばカザハ君の上位互換だ。
機動力も隠密性も同等で、何よりガザーヴァにはレイド級としての戦闘能力がある。
そんな妹分がパーティに居て、自分の存在価値を見失った――のだとすれば。
最低限の言付けだけ残してパーティを離れていくことに不合理はない。
だけど、だけどよ。
お前が俺達とつるむ理由は、俺達がお前と旅する理由は、それだけじゃねえだろ。
戦力になるかならないかなんざ、鼻息ひとつで吹き飛ばしてみせろよ!
それに。
「お前……お前!キャンディーズて!マジでいくつだよお前!!」
二十世紀のアイドルを彷彿とさせる置き手紙。
いやそんなこたぁどうでも良くて、ああもう結局また脳みそバグってる!!
336
:
明神
◆9EasXbvg42
:2020/03/16(月) 04:31:48
ブレイブに割り当てられた寝室にカザハ君は居なかった。
もう出発しちまったのか?クソったれ、まだ文句のひとつも言えてねえぞ!
ぜえはあ言いながら城壁内を駆け回る。
城壁から出たんなら、入門管理所が何か知ってるかも知れない。
思い立って、表に出た。
屋外の練兵場で、カザハ君が弓の練習をしていた。
なんか普通に居た。
「おるんかーーーーーい!!!」
ズコーーーーっ!!
すっげえ昭和臭いずっこけ方しながら俺は練兵場にまろび出た。
カザハ君に置き手紙を投げつける。
「お前っ……マジっ……心臓に悪いことすんなや……!!」
朝っぱらから何やってんだ俺は……。
あんだけ走り回ってゲロ吐かなかっただけでも、ジョンの訓練の成果は出てるといえるかも知れん。
とにかく!
「いいか、この先絶対に、こんな書き置き一つで消えるんじゃねえぞ。
お前が飽きようが嫌になろうが知ったこっちゃねえ。
俺の伝説を歴史に刻むのは、お前だ。ガザ公がそうであるように、お前の代わりなんかどこにも居ねえんだ」
キングヒルでの、あのクーデターの日。
俺が心で受注したクエストの達成条件は、今も何も変わっちゃいない。
世界救って、その様をカザハ君に刻ませる。俺は難易度を下げるつもりはない。
「あとなぁ、前からお前には言いたいことがあったんだよ。
昨日なんやかんやで結局言いそびれちまったから今言うぞ、謹聴しとけ」
あのクソ忌々しいバロールの言葉を借りるのは本当に癪だけど。
それでも、これだけは俺の口から言っておきたかった。
「……おかえり、カザハ君」
ようやく、ガザーヴァ混じりのシルヴェストルじゃなく、カザハ君におかえりを言えた。
前世からの因縁に端を発する哀しき精霊の堂々巡りは、これで一段落だ。
一度はパーティを離れたメンバーを迎え直して、俺達の旅は続く。
いつか世界を救って歴史に残る、その日まで。
◆ ◆ ◆
337
:
明神
◆9EasXbvg42
:2020/03/16(月) 04:32:47
>「……じゃ、マホたん。守備隊のみんな、お世話になりました」
一週間後、俺達はアコライト外郭の城門前で壮行を受けていた。
マホたんは外郭に残る。そう決めた彼女を、これ以上誘うことは出来なかった。
>「あたしはここに残るよ。これからも、このアコライト外郭を守り続ける。
あたしは、そのために地球からこの世界に召喚されたんだ……きっと、ね。
なら、あたしはそれをやり遂げる。みんなの活躍を、ここからお祈りしてるから」
「……頼もしいね。就活の時さんざん今後のご活躍をお祈りされてきた俺だけど、
生まれて初めて祈られて嬉しいと感じるよ。見ててくれよな、俺達の救世を」
マホたんは――昨日と変わらず晴れやかな笑顔だ。
だけどそれがやせ我慢だってことを、俺達は知っている。
ブレモンのモンスターには知性があり、意志がある。
他ならぬポヨリンさんはなゆたちゃんを何よりも大事に慕っているし、
物言わぬアンデッドのヤマシタだって、俺の意志を忖度して動く利口さがある。
初代の戦乙女、戦場で散った『ユメミマホロ』にだって、感情や意志があったはずだ。
プレイヤーとの絆は、余人が推し量るよりもずっと深いものだったんだろう。
きっと、肉親を失ったような痛みに、今も彼女は苛まれている。
「マホたん。この羽根なんだけどさ」
オタク殿たちに聞こえないよう、声を潜めてマホたんに声をかける。
懐から取り出したのは、純白の羽根。
帝龍との戦いで俺のもとに降ってきたものを、一週間かけて綺麗にした。
「ホントは返そうと思ってたんだ。あの場で唯一取り戻せた、その、形見みたいなもんだから。
この羽根の『持ち主』も、マホたんと一緒にアコライトを守り続けたいって……
今でもきっと、そう思ってるだろうしな」
この世界で死んだ命が、どこへ行くのかは知らない。
たまーにアンデッドになったりするけれど、大多数はあの世にでも行くんだろう。
それこそ、ヴァルハラみたいな。
きっとヴァルハラにいる初代は、ハラハラしながら二代目を見守ってると思う。
338
:
明神
◆9EasXbvg42
:2020/03/16(月) 04:34:11
「だけどこれ、やっぱり俺が貰っていいかな。
みみっちいゲン担ぎみたいなもんだけど、なんかこうパワーがもらえる気がする。
……一緒に世界を救ってくるよ」
まぁこんなもんは自己満足だ。
返せって言われたら返さない理由もない。
形見って意味じゃ、やっぱりマホたんがこれを持つべきだしな。
あらかたの別れの挨拶が済んで、城門が開く。
ここからはレールに沿った旅路じゃない。寄る辺なき中で、手探りでも進んで行かなきゃならない。
それでも行く。高難易度クエスト相手に尻込みしてちゃ、ゲーマーの名が廃りますからよ。
>「明神殿ぉ! 我ら、たとえ遠き空の下に在ろうとも心はいつも一緒でござるぞぉ!」
>「また、一緒にマホたんのコンサートで盛り上がりましょうぞぉぉぉ!」
「オタク殿ぉぉぉ!!貴君らの想い、情熱、愛!確かに受け取りましたぞ!!
このハッピにそれらを乗せて、世界を救って参り申す!!
……凱旋コンサートの会場、予約しといてくれよな!!」
俺がこの戦いで得たものは、ひとつだけじゃない。
アコライト守備隊――ブレイブと共に戦ってくれた、この世界の住人たち。
彼らの想いもまた、ピンクのハッピとともに俺の背中にある。
オタク殿たちの存在が、またひとつ俺が世界を救う理由になった。
だからもう、この足を止めるものはなにもない。
>「じゃあ――行きましょう、みんな!
根源海の彼方、万象樹ユグドラエアの麓にある……聖都エーデルグーテへ!
レッツ・ブレ――――イブッ!!」
「さあ!ちゃちゃっと聖都行ってサクっとジョンの呪い解いちまおうぜ!
ほんで流れで世界も救っちまおう。俺達の帰りを待ってる、これだけの連中が居るんだ。
行くぜ!レッツブレェェェェイブ!!!!!!」
【第5章 了】
339
:
ジョン・アデル
◆yUvKBVHXBs
:2020/03/18(水) 03:01:19
「ん・・・?ここは・・・?」
目覚めるとそこは牢屋と思わしき場所の中。
体に何十にも巻かれていた鎖は今は取り外され、手足に枷もなく牢屋という場所だという事を除けば自由な状態だった。
「いくらなんでもこれは警戒心がなさすぎじゃないか・・・?」
王都の時も思っていたがこの程度の牢屋に中の囚人に枷を付けていないのはセキュリティ的にどうなのかと思う。
力を使って壁をぶち抜いてそのまま脱出できそうなレンガの壁に囲まれいる牢屋。
先ほどより頭が冷静なお陰でスキルを使おうとは思わないが・・・。
「目が覚めましたか?」
見張りの兵士がこちらが目覚めた事に気づき話しかけてくる。
「あぁ・・・おかげさまで・・・しかしあまりにも無用心じゃないか?僕は十分警戒するべき対象だと思うが」
「バロール様の手によって今貴方の体に弱体化魔法が掛けられています」
本気で拳に力をいれ壁を殴りつける。
「・・・痛い」
壁には傷一つつかず、逆に僕の手からは血がでていた。
どうやら今僕の体は一般成人男性並みの力しかだせないらしい
僕の体は本気で何かを殴ったからといって怪我するほどヤワではない。
なるほど・・・これはそこらのセキュリティより万全だな。
牢屋の兵士は結果に満足すると報告にいってきます。と一言残し立ち去っていった。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪」
よく耳を澄ますと音楽が聞こえてくる、たしかこの歌は聴いた事がある・・・これは・・・
「ユメミマホロ!?」
聞き間違えるはずがない、ここに来た時強制的に聞かされた歌だ!しかも今は2人で歌っているように聞こえる。
「でもマホロは死んだはずじゃ・・・」
「マホロちゃんは生きてたんです」
兵士が報告を終え、戻ってくるなりそう言い放った。
「いやしかし」
「バロール様の許可が下りたので直接見にいきましょう」
「・・・」
僕はそのまま兵士に連れられ宴会真っ最中の場所に連れていかれるのだった。
340
:
ジョン・アデル
◆yUvKBVHXBs
:2020/03/18(水) 03:01:46
「〜〜〜〜〜〜〜〜♪」
ステージ上でなゆとマホロが楽しそうにダンスを踊っていた。
「一体これは・・・!?」
つれてきた兵士に事情を聞こうと振り返ると。
「おお〜〜〜〜〜〜〜!やっと起きたでござるか!いや〜〜〜〜よかったでござるな〜〜〜〜」
兵士達に囲まれあれよあれよと宴会の席に着かされた。
「ちょ・・・君達は僕の事がキライだったんじゃないのか?」
強引に中央のブレイブ達が集まる場所に押し込まれ。
おせっかいを焼いてくる兵士達に問う
「そりゃぶっちゃけていってしまえば好きではありませんぞ〜でも拙者達を統率してくれなかったら
全員生還なんて恐らくできなかったですからな〜感謝もしているのですぞ〜」
マホロに対する応援を続けながら兵士達は言う。
「ま〜とにかく今は歌って楽しめの精神が一番たいせ
うおおおおおおおおおおおマホロちゃああああああああん」
「気軽に・・・ね」
マホロの応援に専念し始めた兵士達を他所に目の前にある酒・・・はやめてジュースを飲みながら
ステージで踊っているマホロを見る。
・・・生きていたのか・・・?それにしてはなにか違和感があるな・・・
今ステージで踊っているユメミマホロに違和感を覚える。
本物であることは歌や踊りをみている感じほぼ間違いないと思うのだが・・・。
>「いやぁ〜、ガザーヴァも帰ってきてくれたし、我々としては嬉しい戦力アップだね!
これもすべて明神君のお陰だとも!
明神君、ふつつかな娘だがよろしく頼むよ! どうか可愛がってやって欲しい!」
>「ちょっ! パパ! やめてよねそういうの!
ボクはあくまで、コイツがどうしてもって言うから仕方なく力を貸してやるだけだしー!」
・・・今は無粋な事を考えるのはやめよう。
楽しい宴を邪魔する権利はだれにもないのだから。
341
:
ジョン・アデル
◆yUvKBVHXBs
:2020/03/18(水) 03:02:07
なゆは宴の最中に考え込んでいた。
理由は当然僕だろう、当然彼女はこう考えているはずだ・・・
ジョンを助けるにはどうしたらいいだろう
と
「なゆ・・・考える必要なんてない僕を素直に見捨ててくれれば・・・」
>「……エーデルグーテ」
その名は知識としてしっていた・・・。
聖属性の要所ゲームでも知らないプレイヤーは居ないといわれるほど必ずプレイヤーが訪れる場所。
僕も一度なにかのクエストで生かされた気がするが・・・。
「なゆ、僕の事はいいんだ。旅に僕は必要ない、だから・・・」
そこにいけば呪いのようなこの力をどうにかする事ができる可能性はあるかもしれない。
だがゲームなら遠い場所に一瞬でいけても現実では途方もない時間がかかるだろう。
バロールの魔法を頼るにしても時間を空けなければならない。
なゆは・・・みんなは僕のなんかの為ではなく世界の為に時間を使うべきなのだ。
>「みんな、次はエーデルグーテに行こう……! ジョンのブラッドラストを治療するには、あそこに行くしかないよ!」
>《まさか、なゆちゃんの口からその名前が出るとは思わへんかったわ〜。渡りに船、って奴やろか。
さて、頃合いやねぇ。せっかくの祝勝会の中、水を差すようで悪いんやけど……。
そろそろお仕事の話をしてもかまへんやろか〜?
いや、別にみんなはお祝いしてるのにうちだけキングヒルで書類に囲まれとるとか。
いけずやわぁとか、そんなことは全然考えてへんえ?》
>「おおっと! 五穀豊穣君のことをすっかり忘れていた!
じゃあ、そろそろ――次のクエストの話をするとしようか。
君たちの新たに向かう場所の話を……ね」
《せやね。アルフヘイムで戦うなら、聖都のバックアップは不可欠や。
アルメリア王国の影響力は国外では著しく減退してまうけど、プネウマ聖教会の権威は国外でも絶大やからね。
これからはアルメリアの外にも行ってもらわなあかん場合も出てくるし、協力者は多い方がええもんねぇ。
ただ――》
どちらにせよ、エーデルグーテにいかなくてはならないと説明を受ける。
それでも、爆弾を・・・僕を抱えていくメリットなんてないはずだ・・・なのに・・・。
>「それから……言うまでもないことだけど、もし敵が現れたとしてもジョンは戦わないこと。
みんなも、出来るだけジョンを戦わせないように。その前に戦闘が終わるようにして。
わたしとエンバースが前衛に立つから、カザハと明神さんは後衛。
ガザーヴァは斥候として、ガーゴイルに乗って行く先の哨戒を――」
敵に情けを掛けてしまうほどやさしい君達は・・・僕を見捨ててはくれないんだね。
342
:
ジョン・アデル
◆yUvKBVHXBs
:2020/03/18(水) 03:02:51
の後僕は自主的に牢屋に戻った、試したい事があって部屋より牢屋のほうが適していたからだ。
「ふうう・・・!」
ブラッドラストを発動させる、アジダハーカの時のように全力ではなく少しずつ。
戦闘時でもない限り全力発動は気分的に難しいが・・・。
それでもこれからふと気分が高揚するたびに暴走してはたまらない
だからどの程度までいけるのが試す必要があった。
「バロールの魔法が効いている今が試すにはちょうどいい!」
視界が赤く染まる、本能がむき出しになっていくような感覚。
力が強くなる・・・感覚が鋭くなる・・・体に溜まっていた今日一日の疲労がなくなる・・・
体の異常もなくなっていく・・・・・・!?
異変に気づいた僕は直ぐにスキルを解除する。
「バロールが僕に施した魔法の効力が弱まってる・・・」
壁を全力で殴る。
壁は少しへこみ、僕の手は痛くないわけじゃないが、血がでるほどではない。
弱体化はしているが先ほどより遥かに効果が弱くなっていた。
「・・・試す事すらできないのか」
牢屋のベットに倒れこむ。
やはり今の僕は爆発物だ、それも一体いつ爆発するかもわからない不良品。
なゆに甘えてる場合じゃない・・・早く別れなければ・・・早く・・・。
>「出来るだけジョンを戦わせないように。」
なゆならなんとかしてくれるんじゃないかという甘えと。
それでもマホロのようにどうにもできなかったという現実。
もし僕が完全に暴走したら?なゆ達と殺し合いをする事になったら?
そうでもなくても自爆するような事態になったら?
そんな事でなゆ達を悲しませるくらいなら・・・僕は・・・!
なゆ達に別れを告げようと牢屋から飛び出そうとしようとした時。
傷だらけの少女が目の前に現れる。
「なんだ・・・なんだよ・・・言いたい事があるならはっきりいえ!」
少女はなにも言わず佇んでこちらを無表情に見つめていた。
「恨んでるだろう?憎いんだろう!?だったらさっさと僕を殺したらどうだ!!一体僕の前にでてきてなにがしたいんだ!」
少女は喋らない。
「さっきはペラペラと喋ってたくせに・・・なんで今度はだんまりなんだよ!頼むよはっきりいってくれ!!!!」
「一体何事ですか!?」
騒ぎを聞きつけ牢屋に戻ってきた兵士に取り押さえられ、この件で牢屋に強制拘束される事になり旅が始まる日まで牢屋に監禁される事になった。
その間ずっと夜な夜な壁に向かって話すジョンが目撃され、周知の事実となる。
「君は一体僕に・・・なにをさせたいんだ・・・?」
旅が始まるまでの間・・・牢屋の扉の前に佇んだ彼女は一言も喋らなかった。
343
:
embers
◆5WH73DXszU
:2020/03/23(月) 23:22:45
【フィロソフィカル・バーンド・コープス(Ⅰ)】
焼死体の肉体が燃え尽きていく/その末端から中心に向けて、灰化の進行は止まらない。
〈マスター。あなたはもう助からない。誰を呼んだところで、もう間に合わない〉
「……ああ、そうだな」
〈だから……私をサモンして下さい。まさか、このまま顔も合わせずにお別れするつもりですか?〉
暫しの逡巡――焼死体の灰化した指先が、ひび割れた液晶に触れた。
魔力の燐光が渦を巻く/小さな騎士の輪郭を描く。
そして純白の騎士が、主を見上げた。
〈これが、あなたのエンディングですか〉
「どうやら、そうらしいな」
〈これが、あなたの望んだエンディングですか〉
「……さあ、どうだろうな。だけど、そんなに悪いエンディングじゃない気がするよ」
焼死体はあと数分もしない内に、■■■■の未練を果たす為だけの何かになる。
新しい仲間達を守り/己の強さを証明し――未来に待つ一周目を変える。
物語は続く――ただ、そこに宿る主観が消えるだけで。
〈あなたにとっては、そうかもしれませんが。でも私にとっては違う。
一巡目だとか、二周目だとか、そんな事は関係ないのですよ。
今ここにいる私の主は、今ここにいる、あなただけなんだ〉
瞬間、純白の閃き――灰化の及んでいない、焼死体の胸を貫く。
〈だから、あなたの欠片を下さい。いつか、あなたを呼び覚ます為に〉
「……ずっと前から思ってたけどさ」
〈……なんですか〉
「お前、俺には勿体ないパートナーだよな」
その言葉を最後に――焼死体は完全に灰と化した/なおも燃え続ける未練の炎。
遺灰に満たされた闇狩人のコートが――独りでに立ち上がる。
スマホを操作/黒手袋を装備/フードを目深に被った。
「――行こう、フラウ」
そして――いつもと変わらない/唯一無二の相棒への声色。
〈……それは、どうも。ですが……あなたは、最低のマスターだ。
そんな事、今言われたって――喜べる訳がないでしょうが〉
純白の騎士は吐き捨てるように呻いて、スマホの液晶に姿を消した。
344
:
embers
◆5WH73DXszU
:2020/03/23(月) 23:23:29
【フィロソフィカル・バーンド・コープス(Ⅱ)】
『おぉ〜っ! みんな、おかえりなさーいっ!』
「……【自爆】と【死線拡大】のコンボか?いや、違うな――」
そして物語は進行する/何の変化もなく。
『マホ――』
『おおーっと! ヤボは言いっこなしだよ? 月子先生……』
「なるほど。マホたんと俺達だけの秘密か――蠱惑的な響きだ」
[■■■■の成れの果て/闇霊]は完全に、焼死体として振る舞う。
勝利を祝う宴の喧騒に、微かな/しかし楽しげな笑みを零す。
『みんな、次はエーデルグーテに行こう……! ジョンのブラッドラストを治療するには、あそこに行くしかないよ!』
「……なるほど。ついでに俺も焼死体から“ただのしかばね”にジョブチェンジ出来る訳だ」
その身に染み付いた習慣のように、皮肉めいた諧謔を口遊む。
『それから……言うまでもないことだけど、もし敵が現れたとしてもジョンは戦わないこと。
みんなも、出来るだけジョンを戦わせないように。その前に戦闘が終わるようにして。
わたしとエンバースが前衛に立つから、カザハと明神さんは後衛』
「ああ、任せておけ。仲間を守りながらの戦いなら、随分前にスキルレベルを上げてある」
『それも了解。わかってんなジョン、正面で敵とかち合ったら迷わず後ろに下がってこい。
トーチカ被せてやっから。俺とカザハ君なら、お前が隠れるくらいの時間は稼げる』
「悪いが明神さん、それは不可能だ――ゲージ一本貯まる前に、俺が戦いを終わらせるからな」
焼死体と同じように仲間を思いやり/焼死体と同じように強さを誇る。
『じゃあ――行きましょう、みんな!
根源海の彼方、万象樹ユグドラエアの麓にある……聖都エーデルグーテへ!
レッツ・ブレ――――イブッ!!』
「……レッツ・ブレイブ。なあ、この掛け声、どうしてもやらなきゃ駄目なのか?」
だが――そこには、実質的に誰もいない/ただ焼死体のような現象が、そこにあるだけだ。
345
:
embers
◆5WH73DXszU
:2020/03/23(月) 23:24:00
【ロスト・グローリー(Ⅳ)】
『――駄目です。やはり誰とも連絡取れません。ログインの形跡もなし』
『……そうですか。では、仕方ありません。事前の取り決め通りに事を運ぶのです。
かのクランは最新コンテンツにおける不正ツールの使用が確認された。
故に、そのコアメンバー全員をアカウント凍結処分とする』
『本当に、いいのですか?運営が、意図的に誤BANを行うなど……』
『日本代表選手とそのチームに失踪されたとなれば、我々の沽券に関わるのです。
彼らが本当に引退したのなら――どうせ、真相は誰にも分からないのです』
『……一体、何があったのでしょう』
『ふん、ゲーマーなんて所詮、飽きたらそれまでの連中なのです』
『……そんなものなのでしょうか』
『そんなものでなければ、困るのです。
彼らが全員、全くの同時に何らかの事件に巻き込まれて、
日課のゲームもろくに出来ない状況にあるなんて……それこそ馬鹿げてるのです』
『それは……そうですね』
『なのです。どうせ、新シーズンが始まったら思い出したようにゲームを起動するのです。
もっとも、その頃には……彼らのアカウントは全てBANされているのですが。
ああそうだ。サブアカウントの方も、監獄にブチ込んでおくのです』
『ああ、それはいいですね。反省文を書くまで新シーズンはお預けにしてやりましょう』
『です。では……仕事を始めましょうか。彼らの代わりも、探さなくてはなりませんし』
『――“ハイバラ”。お前も結局、一山幾らの、口だけのゲーマーだったのですか?』
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