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【場】『黄金原駅』 その3
138
:
門倉『ソウル・ダンジョン』
:2015/09/13(日) 03:52:00
>>137
「………
い、いや、そうだろう。そうだろうとも!
だから言っただろう。『元』が『木』に見えてしまったんだと。
確か………水か何かを零してしまったんだったな。
滲んでしまえば、似ているだろう?
『元気』の『元』と、『木曜日』の『木』。
横線があって、右と左に斜め棒があって………」
『門倉』はなおも食い下がる。
これ以上は放っておいてあげるのが優しさかもしれない。
「そ――それより! それよりも、だ。
鈴元くん。『手伝い』。『手伝い』って言ってくれたね。
『ミスコン』の時に風の噂で聞いたんだが、
君は『勧誘』やら『説得』が得意だって言うじゃあないか!
ならば、是非お願いしたい事がある」
『涼』の問いかけに便乗し、『門倉』は『手伝い』について言及し始める。
※今後の展開について、以下から一つ選んで下さい※
1.この場スレで終わるお願いをされる
2.いくらか後に引きずるお願いをされる
3.ミッションに繋がるお願いをされる(開催はかなり遅め)
139
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/13(日) 23:15:45
>>138
「そうやねぇ。僕もそう思いますわぁ。」
別に鈴元は鬼ではない。
門倉を苦しめたいわけでも苛めたい訳でもない。
「うん。言うたけど?」
「へ?」
「勧誘、説得ねぇ……人様に自慢できるほどやあらへんよぉ。」
謙遜しているのかそんなことを言う。
彼からすればスカウトの実績より運営の手助けをしたという側面を重視しているのかもしれない。
「でも、手伝えることあるんやったら手伝うわ。」
「なにしたらエエん?」
140
:
門倉『ソウル・ダンジョン』
:2015/09/14(月) 00:08:03
>>139
「ああ、よかった。君ならそう言ってくれると思ったよ」
『手伝い』を承諾する『涼』に『門倉』は笑顔で語りかける。
「いや――― 俺だってね、これでも『不動産屋』の端くれだし
『話』に関してはそれなりの自信があるんだ。一応はね。
だけど『相性』ってものがある。
俺にはこの格好がしっくり来るし、君には和服がよく似合っている。
つまりはこれが、『相性』だ。
いくら元が優秀でもこの『相性』が悪くっちゃあ、
けして上手くいかない事もあるんだ」
『門倉』は訥々と語り続ける。
「―――ここから少し歩いたところに『阿武名荘』ってアパートがある。
管理人の意向でとにかく『安い』のが特徴。
ここに一人の女性が住んでいる。
彼女の親御さんと俺とで仕事上の付き合いがあってね、
ある日突然頼まれたんだ。『彼女を連れてきてほしい』ってね。
それで俺が彼女の元へ出向いたわけだが………
彼女について褒め倒したんだけど、なぜか嫌われちゃったみたいでね。
どうしようかな、と考えていたところに、
天が、鈴元くん、君を遣わしてくれたってわけだ」
つまりは―――その女性を『説得』して欲しいという『依頼』。
「よければ、今から一緒に行ってくれるかな?」
141
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/14(月) 00:22:26
>>140
「うん。相性は重要よねぇ。」
人を相手にする職業なら特に重要だ。
不動産業は人と会話し相手の思う物件を紹介したりするのだから
対人能力は高くないといけないが
その能力も相性という見えざる壁の前にはあまり効果をなさない。
「いや、なんか大変なことになってはるんやね。」
門倉の話を聞いた後、そう言った。
色々とあったのだろうということは分かる。
女性とその親御さんや門倉自身に色々あっただろう。
「僕がお力になれるか分からんけど、頑張るわぁ。」
(色々聞きたいこともあるけど、それはおいおいやね。)
ひとまずは門倉についていくことにしよう。
142
:
門倉『ソウル・ダンジョン』
:2015/09/14(月) 00:37:59
>>141
承諾の言葉を受け、歩き出す『門倉』に
下駄を鳴らしながら『鈴元』はついていく。
「いや――― きっと力になってくれるよ。君ならね」
『門倉』はうんうん頷きながら断言する。
「彼女とは、ほとんど話は出来なかったんだが、
どうも自身の『実家』を嫌っているようで、
親御さんの使いで来たというと顔色を変えていたっけ。
そうだ―――
その時、ぽつり、と呟いた言葉が妙に印象に残っているな。
彼女は表情を変えずに、何かを呪うように、こう言ったんだ。
『
あの家の
桜の樹の下には
『死体』が埋まっている―――
・ ・ 』」
→ TO BE CONTINUED…
143
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/17(木) 00:54:31
DIONモールにはしばらく近寄れない。
なので、駅前の老舗ゲーセン『ウォーターメロン』に行こう。
「……」
トコ
トコ
今はその行き道だ。
何か興味を引くものとかがあれば足を止める。
・・・・なければゲーセンに着く。
着いてから何かを見つける可能性もある。
144
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/22(火) 01:49:05
>>143
恋姫は問題なく『ウォーターメロン』にたどり着いた。
ゲームセンターの前にある男がいた。
「?こないなトコにゲームセンターあったっけ?」
鈴元涼。知らない顔ではない。
「んー。」
入口の前に突っ立っている。
邪魔になるかもしれない。
145
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/23(水) 23:09:40
>>144
ウォーターメロン。
見るからに老舗のゲームセンター、って感じだ。
なんというか、汚くて、古い……と、そこに。
「……」
トコ
トコ
恋姫が着いた。
青いフレームの眼鏡、長い黒髪、色白の肌。
それから、桜色の瞳を持つ――人形の様な少女。
「ん……?」
チラ
見知った顔を見つけて、顔を上げる。
「…………お前、鈴元……だっけ。
そんなとこで何してんの……えひひ。
『スタン状態』にでもなってんの……?」
鈴元 涼。
ミスコンの運営側で、審査員でもあったか。
「……どくか、入れって意味な。
そこ、入り口だし……常識的に考えて……」
少し目を細める。
「僕は入るぜ……」
とはいえ、今、弾む話とかをする気もない。
ゲームをしに来たのだ。ゲームセンターだし。
146
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/23(水) 23:26:44
>>145
散歩していると意外なものを見つけるものだ。
このゲームセンターが珍しいかはともかくとして、新しく面白いものを見つけた。
「え?あ、稗田さん。こんにちはぁ。」
声をかけられ、振り向くと知っている人物がいた。
ぺこりと頭を下げて挨拶をする。
深い紺の着流しをみにまとい、肩まで黒い癖毛をのばした少年だ。
「どくか、入るか?」
小首をかしげて考えてみる。
ゲームは嫌いじゃない。
「僕も入ろかな?」
入ろう。どんなものがあるか気になるし。
「そういえば、ミスコンでゲームしてはったねぇ。ゲーム、好きなん?」
ミスコンの記憶が蘇る。
147
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/24(木) 18:49:46
>>146
ウィィーーーン
微妙に反応のよくない自動ドアをくぐり、店内へ。
……人はまばらだ。
あまり広くもないし、古そうなゲームが多い。
階段があるし、2階もあるのだろう。
「……えひ、そりゃ好きだよ。
クソゲ―はNGだけどな……常識的に考えて。」
トコ
トコ
「お前も……ゲームとかすんの……?
イメージ的には将棋とかしてそうだが……」
完全に服装のイメージだ。
ともかく、店内を歩いていく。
「……そういえば……あれだ。
お前の兄ちゃん、元気にしてるぅ……?
えひ、会ったこともないし……コミュもないが……」
たしかファンとかなんとか。
以前よろしく言っておいたはず。
「……ん?」
ピタ
・・・・と、恋姫は足を止める。
UFOキャッチャーの前で。
148
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/24(木) 22:35:36
>>147
「クソゲーねぇ……」
鈴元にはあまり馴染みのない言葉であった。
言葉の感じから意味は分かる。
が、似たような意味の言葉も使わない。
鈴元が扱う言葉ではないのかもしれない。
「うん。するよぉ。好きやし。
将棋はお爺ちゃんに教えてもらったわぁ。ピコピコってするゲームはお婆ちゃんに教えてもらったけど。」
デジタルなゲームをピコピコと表現する辺り、お年寄りの影響を受けているかもしれない。
「え?あぁ、うん。元気元気。元気すぎて大変なくらい。」
「そういえばミスコンの会場来てはったんよぉ。
稗田さんのこともっと好きになったってぇ。」
にっこり笑ってそう告げると稗田が足を止めた。
自分も止まってみる。
UFOキャッチャーだ。これもあまり馴染みがない。
基本的には家の中でお一人様だ。
「なんやオモロいモンでもあった?」
そういえばこのUFOキャッチャーの景品はなんであろうか。
149
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/24(木) 23:05:35
>>148
「まあ……逆に面白いのもあるけどな。えひ。
わざわざ踏みたい地雷はないだろ……」
ニタ -
・・・・陰気に、小さく口角を上げる。
非ゲーマーには、馴染み薄い言葉か?
あるいは、鈴元個人レベルでの話――か。
ともかく。
「……えひ、いい家族してるよな、お前。
んじゃあ……あれだ。また、兄ちゃんに……」
ニコ ォ
「……『応援ありがとう』って。
『ボイスメモ』みたいにして悪いけど……伝えといてくれる?」
アイドルらしい笑顔。
すぐ、元の陰気そうな目つきに戻るが。
「……」
――終えてから、筐体に視線を戻す。
半分は時計などの雑貨。
もう半分はキャラクターぬいぐるみ。
「……おもろいってよりかは……えひ。
あれだ……レアアイテム?」
恋姫が見ているのは、後者。
チャリ
チャリ
「……取れるかなこれ……
ゲットだぜ、って雰囲気じゃないな……」
言いつつもジーンズのポケットから、小銭を出す。
見ているのもいいし、そうしなくてもいいだろう。
150
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/24(木) 23:30:54
>>149
「そやねぇ。」
地雷。確かに踏みたくない。
地雷と分かっているのに踏むのは勇気がいることだ。
しかしいずれ踏まなければならぬ日が来るかもしれない。
「そうかなぁ。おおきにぃ。」
「はいはい。伝えとく。またあの人喜びはるわ。」
家族をいい家族と言われて少し照れる。
それにこうして人と人とを繋げられるのは面白い。
たとえ、ボイスメモでも。
「へぇ、最近はこんなん景品になるんやねぇ。」
一発取り出来なくてもワンコインでこういった物品を手に入れられるのは魅力的だ。
いや、そういう部分を刺激して金を落とさせる算段なのかもしれないが。
「あ、稗田さんやりはんの?おきばりやすぅ。」
特にすることもないので見ておこう。
151
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/24(木) 23:46:39
>>150
「喜んでくれたら僕も嬉しいわな……
……今のセリフも伝えてくれていいよ。えひ。」
ニヤ
本心だから。
ファンの喜びは恋姫の輝きになる。
・・・・さて。
「お前もやってみたら……? ここのは地雷難度じゃないし……えひ。
まあ、ベリーハードかハードかってだけでイージーではないが……」
「…………」
ジロ 〜
筐体を目を細めてみる恋姫。
見極めているのだ。景品の配置とか、色々。
チャリン
500円玉を入れた。
これで3プレイだ。
「………………あんまじろじろ見るなよな。
えひ、スキャンダルなっちゃうかもだぜ……
それかあれだ、ストーカー容疑ぃ……? えひ、冗談。」
ウィィーーーーーーン
別に見ていていいだろう。ともかく、恋姫はアームを操作する……
筐体から流れる軽快なBGMとは裏腹に真剣だ。
152
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/25(金) 00:06:57
>>151
「うん。」
一言一句違わず伝えるだろう。
もちろん物まねなどしない。
「僕?そやねぇ。やってみるんもオモロいかも。」
じっと筐体を見つめる稗田を見つめる。
何をしているか理解は出来る。
しばらくして自分も配置などを見てみるが……
やはりよく分からない。
「うふふ。僕じゃあ稗田さんと釣り合い取れへんし……
や、案外そういうモンなんかなぁ。」
スキャンダルとは無縁の人間だ。
まだストーカーの方が現実味がある。
着流しの少年のストーカー話題性はあるかもしれない。
一応和菓子屋の息子であるし。
「……」
どうだろうか。取れるように祈っておこう。
153
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/25(金) 00:25:03
>>152
もちろん、そうするべきだろう。
へたな物まねは、原作の価値すら落としかねない。
ともかく。
ウィーーン
「……」
「ワンプレイなら……200円だしな。
どうせゲーセン来たならやってみれば……えひ。
べつに『沼に誘い込む』ってわけでもないしな……」
筐体からは目を切らず、言う。
……なるほどゲームをしないでいるのは浮きそうだ。
デートスポット的な賑やかなゲーセンならまだしも。
ウィーーン
ウィーーン
「……よし。」
いい感じにアームが動く。
いい感じ。恋姫の表情がそれを物語る。
「…………えひ、謙遜おつ……
でも、そうだな……僕はみんなのお姫さまだかんな。」
「つり合いとかは――」
ウィーーン
アームが下がっていく。
黒くて丸い、鳥のようなキャラの上だ。
「……キタコレ?」
鈴元の祈りのおかげか?
真っ直ぐ、よく掴めそうな様子で、降りていく――
【※このレスの投稿時間末尾が偶数なら成功。】
154
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/25(金) 00:44:54
>>153
「へぇ、じゃあ試してみよかなぁ。」
「運よく取れたら贈りモンに出来るし。」
自分の物にする気はないらしい。
必要ないのかそれとも別の理由か。
「……おぉ。」
順調にいっているらしい。
さすがと言うべきなのだろうか。
「うん。皆のお姫さまやもん。
ちゅうか問題になったら僕、兄に何されるか分からんし。」
身内がファンですもの。
恐ろしい。
「取れる?」
クレーンは降りる。
狙いを定め、まっすぐに。
取れるか否か、その結果はすぐに分かる。
結果は―――
駄目であった。
アームは景品に突き刺さり、持ち上げることなく帰っていった。
155
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/25(金) 01:16:06
>>154
ウィィーーーーーー
「取れそ――」
ボスッ ・・・・
「……」
むなしく停止するアーム。
「…………キて……なかったな。
えひ、失敗フラグ立ってたか……」
ウィーン
そう、失敗だった。戻るアーム。
祈りは関係なかったようだ。
・・・・もちろん失敗にも関係ない。
「まあ、アレだ……あと残機2。
ノーコンクリアとか無理だし……難易度的に考えて……」
「次で決めてやんよ……」
カッコ悪いところを見せてしまう。
それは恋姫の望みではない。
「……」
スッ ……
ゆえにいきなり二戦目に挑むのはなんだ。
ボタンから手を遠ざけ、鈴元に向く。
「なんだっけ……贈り物? えひ、家族に?
一応言っとくけど、みんなのお姫さまは貢ぎ物……」
逡巡。
「……そう、貢ぎ物は、基本……なしだから。
それこそ問題になっちゃうしな……大炎上しちゃう……」
ファンに刺されるのはごめんだ。
ともかく、もう片方の筐体は空いている。
つまり雑貨の方だ。……やってみるなら今のうちだ。
156
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/25(金) 01:41:47
>>155
「あぁ……」
「や、大丈夫大丈夫。位置がちょっとズレてただけやもん。」
「稗田さんの腕やったら大丈夫。」
あまりこういうと失敗時のショックも増しそうなものだが
まぁ、それはそれ。失敗の可能性は失敗の可能性である。
「うん。楽しみにしとくわ。」
優しく微笑みそう告げる。
成功の可能性のみを信じている。
「ん?そうそう家族とかお弟子さんとか。」
「や、さすがに稗田さんにこう面と向かってモノ渡すんは、危ないっちゅうか……」
そうだ。危ない。それこそスキャンダルだ。
もし問題になってそれが自分の責任になるだけならいい。
しかしこの少女や家に迷惑をかけるのは望ましくない。
「……うふふ。基本的には、ね。」
例外もあるのかもしれないか?と含んだように言った。
アイドルもまた人間であり、女性である。
まぁ、こちらとしてもファンに刺されるのはごめんだ。
自分の兄でもあるし。
「まぁ、僕も試してみよかな。」
雑貨のUFOキャッチャーに1プレイ分のお金を入れる。
腕時計に狙いをつけてボタンを押す。
成功、するだろうか。
【投稿時間末尾が偶数なら成功。】
157
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/25(金) 23:05:11
>>154
「……なに笑ってんだよ。
馬鹿に……してるわけじゃないんだろうけど……
ふつうにスキャンダルはアウトだかんな……」
「……えひ。
マジレスするとこでもないか。」
含みのある笑いに、少し眉を顰める恋姫。
だが、すぐに陰気な笑みを戻す。
「えひ、つーか失敗フラグ積むなよ……
へし折るの大変じゃん……応援はうれしいけどな。」
(いうほど得意じゃないし……
まあ、無理ゲーじゃあないけどな……)
そこまで自信はない。
だが、このままとはいかない。
そして鈴元の操作を見るが――
ウィーーーン
ウィーーン
「あっ、もうちょい右ぃ…………えひ。」
ボスッ
アームは腕時計にぶつかり、そのまま上がっていった。
つまるところ――失敗なわけだ。
「……まあ、あれだ。引き際が肝心。
えひ……『まだいける』はもう危ない……」
プレゼントは店でも買える。
……さて。
「……僕は残機まだあるから……まだやるけど。
でも、終わったらコンティニューはしない……」
「他にも遊べるもん、いくらでもあるしな……
ステマとかじゃなくて……オススメなやつが……」
チラ
店内奥を見る。
歴史のありそうな、アーケード筐体たち。
ウィーーン
ウィーーン
恋姫はUFOキャッチャー筐体に向かう。
158
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/25(金) 23:44:28
>>157
「うふふ。難儀やねぇ。」
(アイドルの前に女の子やのに。)
スキャンダル。アイドルである以上避けねばならぬ事項ではある。
しかしそれは一人の人間の持つ恋愛や交流の権利を奪い取るもののようにも見える。
少なくとも、鈴元涼にとってはそうだった。
「フラグ?」
「や、気軽にお気張りやすぅ。」
フラグの意味は理解できなかったが、別に意味を聞いたりはしない。
そこで話の腰を折るのは好きでない。
さて、鈴元のUFOキャッチャーである。
何だかんだと言ってゲーム世代であるこの男。
成功の望みはあるかに見えた……
が、駄目。失敗である。
お婆ちゃんはUFOキャッチャーの知識など与えてくれてはいなかったのだ。
「アカンねぇ。ツいてへん。ここが止め時やね。」
けらけら笑ってそんなことを言う。
別に悔しいとかはないらしい。
まぁ、ゲームは遊びであるし、本気になるものではないのかもしれない。
だからこそ、稗田の進言を受け入れ連続プレイはしないのだ。
「そやねぇ。ゲームはたくさんあるし、ちょっと探してみよか。」
「稗田さんのオススメってなんちゅう名前?」
159
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/26(土) 00:29:33
>>158
「……僕はみんなのお姫さまだからな。
ちな、フラグってのは……お約束、みたいな……?」
「あー……あれだ。
漫画とかで……えひ。
説明ノーサンキュー……か?」
フラグ、というのはそう珍しい言葉でもない。
・・・・まあ、それはいい。
ともかく。
ウィーーーン
ウィーー ……
UFOキャッチャーを続ける恋姫。
「…………獲れないのはホント獲れないからな。
えひ、物欲センサー……とはまた違うんだろうけど。」
引き際は大切だ。
そもそも取りようがないものもある。
ウィーーン
「名前ぇ……『Raven』とか……?
僕は弾幕系が好きだけど……」
「……お前がやって面白いかな……ムズいし……
格ゲーなら『デモグラ』……?
でも、あれか……初心者狩りとかあるしな……」
……操作を止め、考える。
ゲームはアイドルと同じくらい、大きい。
「……いろいろやってみたら……?
ただ、対戦系はお勧めしない……カモにされる。」
結論はあいまいだった。
人にゲームをお勧めするなんて、なれてもいない。
160
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/26(土) 01:05:24
>>159
「はぁ、お約束事。フラグ……」
「異国の言葉はよう分からんわぁ。」
そういう事ではないのだが放っておいてもいいだろう。
「はぁ、なんや色々あるんやねぇ。」
勉強になった。
確かに取れないものもあるかもしれない。
全ては店の設定しだいなのだから。
「なるほど。じゃあ適当なん探してみるわぁ。」
トコトコと奥の方へと歩いていく。
古めかしい筐体はどれも正常に作動している。
(あ、お婆ちゃんに教えてもろたやつや。)
それはシューティングゲームであった。
リメイクもされている作品である。
「これでいこか。」
(にしても、稗田さんホンマにゲーム好きなんやなぁ。
こういうトコに来る位やもんねぇ。)
(あの時計、もし取れてたらどうしたやろか。
あげる相手正直おらんのよねぇ。大切な人には編みモン贈る予定やし。)
編み物、で一つ思い出すことがあった。
(そう言えば墨彦さんも稗田さんのフアンやったね。)
世の中は狭い。
161
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/26(土) 02:05:19
>>160
「……えひ、キャラ濃いよなお前も……
僕より年上でも、同じ時代じゃん僕たち……」
(異国の言葉て……えひっ……
ほんとマンガのキャラみたいだこいつ……)
・・・・ともかく。
「いてらー……」
UFOキャッチャーに興じる恋姫。
鈴元はそこを離れ、店の奥へ。
いくらでもある、という言葉はウソではない。
タイトルだけなら誰でも知ってそうな名作もたくさんある。
・・・
・・・
・・・
鈴元が友人の名前に思いを巡らせていたとき――
「……えひ。」
恋姫はわリとすぐに来た。
口元には笑み。
カァーッ
烏のモンスターに人形も持っている。
どうやら成功したらしい。
「……お、それやんの……? えひ、センスある……
やっぱ、名作って言われてるだけある……ステマじゃない。」
ガチャ
「……本物というかぁ……
まあ……面白いぜ……誰がやっても。」
恋姫は近くの筐体に向かう。
それもSTGのようだ。あまり有名そうな雰囲気でもない。
「……全クリはむずいかもだが。えひ。」
陰気な笑みを浮かべる恋姫。
鈴元から、視線を筐体へ。
ジャララ!
・・・・座ってからコインケースを出す動きに迷いがない。
162
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/26(土) 02:40:49
>>161
「?」
「僕、変な事いうた?」
外国はこの男にとって異国である。
そこの言葉なのだから異国の言葉なのである。
それはなんとも奇妙な言語感覚であるかもしれない。
……
……
筐体の前に座った時、稗田が戻ってきた。
「あぁ、おめでとう。」
よかった。取れたようだ。
にこりと笑いかけて言葉を贈る。
失敗より成功のほうがいいと思う。
「へぇ。これそないに凄いんや。
適当に選んだけどよかったぁ。」
ツいてなくても、いいゲームは選べるらしい。
稗田の筐体のゲームについては知らない。
勉強不足なのだろうか。
「まぁ、がんばろかな。」
筐体にコインを投入し、ゲームを開始する。
横目でちらりと見てみると、コインケースが目に入った。
店の仕事で似たようなものを使った気もする。
個人で使用するものだったとは……
鈴元は淀みなくゲームをこなしていく。
(この鉄板みたいな敵さんは倒せんのよな。)
163
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/26(土) 11:08:07
>>162
「ありがとな……えひ。
このキャラ、好きなんだよな……
強くはないが……僕はマイナーも好きだから……」
カァー
聞いてもいないことを言うあたり、機嫌がいいらしい。
筐体からは、視線をそらさないが。
カチ
カチ
「シューティングと言えば……って感じ。
王道、だな……RPGで言うなら『ドラクエ』的な……?」
「最近はオンゲだけど……
まあそれはそれで王道だし……」
……『ドラキュラクエスト』のことだ。
名作RPGシリーズ。
ともかく、鈴元と恋姫はお互いのゲームに集中する。
想像通り、鉄板の敵は倒せない。
だが、攻撃もしてこない。障害物だ。
パラララ
ドカン!
「えひ……」
恋姫の筐体の液晶では、無数の敵弾が表示されている。
桜吹雪もさながら、と思える、光弾の嵐。
敵を倒すというより、『避ける』事に注力しているようだ。
カチ
カチ
《ピチュン!》
「……あっ……クソ……抱え落ちた……」
コインケースには小銭がたくさん。
ゲーセンで使うためのものだろうか?
・・・・ともかく。
スック
「…………えひ。ミスった。お前の方はどう……?
スコアとかはあれとして……クリアできそう……?」
席を立ち、鈴元の後ろに立つ恋姫。
「えひ、後ろに立たれるの嫌なら……言えばどくぜ。
いきなり裏拳とか……そういうのはNGな……」
何かの漫画のネタだろうか?
表情はうかがいしれないが。
164
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/26(土) 22:18:54
>>163
「うんうん。好きなモンがあるんはエエことやね。」
世の中嫌いより好きが多いほうが気持ちよくやっていけるかもしれない。
もちろん、嫌いと上手く付き合えるなら嫌いが多くても十分やっていけかもだが。
「王道かぁ……なるほど。偶然選んだにしてはエエ感じやねぇ。」
「ドラクエが世の中のいろんな人と出来るようになったんは、まぁエエんかな……?」
ネット上の付き合いは顔が見えない付き合いだ。
現実とは違う部分が色々と問題になったりもするだろう。
誰もが争いたくて争っているわけではないのかもしれないが。
鉄板の敵は倒せない。
たとえ256発弾丸を当てようと、である。
しかし鈴元は順調に進めていく。鼻歌でも歌いだしそうなほど肩に力は入っていない。
大きい敵、小さい敵、中くらいの敵、機体は軽快に動き回り敵を沈めていく。
「なかなかやねぇ。」
ゲームもいよいよ大詰めと言ったところ。
一際巨大な敵が現れた。ボス、というものだろう。
「え?あぁ、エエ感じやで。」
「そういえば僕、もう一人稗田さんのフアンの人思い出したわぁ。」
「久染墨彦さんっちゅうねんけど。」
と、背後の稗田のほうに振り向いた。
振り向いてしまった。画面から目を離した。
昔から親に相手の目を見て話しなさいと言われ、その通りに行動した鈴元。
彼の操作する機体はあっさりと被弾。ゲームオーバーである。
「あ、あぁ。うふふ。目ぇ離したらアカンねぇ。」
「負けてもうたわ。」
165
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/26(土) 23:20:31
>>164
「えひ、いきなり難しいのやるよりは……いいよ。
これでSTGハマってくれたら、布教成功……ってとこか。」
恐らく笑んでいるだろう声色。
同じ趣味の者が増えるのはいいこと。
「あと、僕はオンゲ……好きだしな。
『ドラクエ』のは、今はやってないけど……」
・・・・ともかく。
ドン
パパ
パチュ!
「……けっこう上手いな。
えひ、上手い事切り返してる……」
「……もう一人?
あれか……お前も僕の――」
感想を述べていた恋姫。
怪訝そうな声――
「すっ……」
ズガーーン!
鈴元の自機が落ちる。
恋姫は、虚を突かれたような顔で、静止したが――
「……えひ、ひ…………久染か。知ってるよ……あいつ……
意外とコミュ広いんだな。えひ、世間が狭いのか……? 人間関係的に……」
・・・・口元に手を当てつつ、頷く。
「えひ、もったいないな……
あともうちょいだったのに……」
桜色の視線を鈴元から、そのゲーム画面に向ける。
166
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/27(日) 00:06:38
>>165
「なんか、こういうんは敷居高い感じするわ。」
なぜだろうか。
「僕、こう見えてもゲーム結構好きなんよぉ。」
友達が少ないせいか店と家、学校の三つを行き来するだけの日もある。
たまの休みなどどうすればいいか分からず
友達を遊びに誘えばいいものを誘えずに家でおとなしくゲームや読書にいそしんでいる。
それゆえに鈴元涼にとってゲームの腕を磨くことは日課となっていた。
「僕が稗田さんの何?」
が、どれだけ熟練の兵士であっても一瞬の隙が命取りになるように
鈴元がどれだけゲームに慣れていても不注意で死んでしまうこともある。
今回はその例ともいえるだろう。
「へぇ。知ってはるんや。墨彦さんのこと。世間は狭いちゅうか。
運命的ちゅうか。自分が好きなアイドルに名前知られてるっちゅうんもオモロい話やね。」
ちらりと横目で筐体の画面を見る。
やはりゲームオーバーだ。
「時の運やね。画面から目ぇ離した僕が悪いし。」
「うふふ。惜しい惜しい。
でも、もう済んだ話。しょうがない話。」
「それにこのゲーム楽しかったわ。」
167
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/27(日) 04:41:13
>>166
ピコ♪
ピコ♪
「えひ、ピコピコとか言ってたくせに……」
まんまと勝手に騙された。
恋姫の視線はゲーム画面に。
すでにスコア登録の画面だが――今回の鈴元は圏外、らしい。
トコ
トコ
「えひ、敷居……まあ、ファミリーゲームではないしな……
昔のゲームだから、バランス調整もあいまいだしぃ……」
「……名作だけどな。えひ。
クリアできなくても、楽しいし。
クリアできたら、もっと捗るぞ……」
ストン
今度は、さっきとは別の筐体に座る。
「……あ? さっきのか……お前も僕のファンになるのかって。
そう言おうとした……言わせんなよな、恥ずかしい……えひひ。」
自分で言っといて恥ずかしいも何もあるまい。
ともかく、つまり、もう一人のファン=鈴元だと思ったらしい。
・・・・そして。
「……まあ僕はローカルアイドルだし……
お姫さまでも……臣民の名前くらい、知ってることもあるだろ……?
運命とかじゃなくて、常識的に考えて……」
「ほら……お前も……いるだろ?
名前知ってる常連さんとかぁ……」
和菓子屋とアイドルでは、随分違う。
まあ、世間話の一巻だろう、これも。
168
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/27(日) 23:24:43
>>167
「ピコピコはピコピコやろ?」
ピコピコはピコピコである。
鈴元は自分の得点が圏外であることを知る。
が、やはりというか特に何も思わず筐体にタイトル画面を表示させる。
「うふふ。調整が曖昧なんも味やねぇ。」
「次は勝ちたいわぁ。」
あまり力の入っていない言葉であった。
クリアしたいという気持ちはあるのだろうが真剣な感じはしない。
「僕が稗田さんのフアンねぇ……
うふふ。僕にアイドルさんはまだ早いわ。」
何が早いのかは不明である。
鈴元の中では何かがまだ早いらしい。
「常連さん?あぁ、確かにねぇ。覚えてるお客様はおるよぉ。」
「お店にお金落としてくれはるんは嬉しいことやし、ウチの店選んでくれはるんも嬉しいことやわ。」
「ありがたいことやねぇ。」
169
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/27(日) 23:39:39
>>168
「えひ……まあゲームが好きなんだったら……
何でもいいけど……呼び方とかはな……えひ。」
「楽しいならな……」
ピコン!
タイトル画面が表示。
スコアラーには相応の技術がある。
・・・・ともかく。
「……あんまガバガバ調整だとアレだけど……
えひ、まあ次プレイは……がんばれよな……ほどほどに。」
(次はなさそうだなこりゃ……)
力の入っていない感想。
社交辞令と受け取り、返す。
「ファンってのは冗談みたいなもん……
まあ……まじになってくれたら嬉しいが……」
「……えひ、僕の仕事は常連さん命だしぃ。」
チャリ
チャリ
コインケースを開き、100円玉を出す。
客はまばらだ。
「……僕はまだまだプレイするけど……
お前、どうする……?
えひ、ここでゲーム沼に落ちちゃうか……?」
ニマー
同年代のゲーマー仲間が増えるならそれはいいこと。
もちろん、あまり散財せず、帰るのもいいだろう。
ここはもう覚えたのだし、これから何度でも来れる。
170
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/28(月) 00:00:01
>>169
「僕ゲーム好きやで。オモロいし。」
面白くないものもそれなりに好きである。
まぁ、あまりそういうゲームと出くわしてはいないが。
「ほどほどに。そやねぇ、ほどほどにねぇ。」
「昔、ピコピコばっかやってたら修行できんからやりすぎたらアカンって言われたわ。」
(僕は店継がれへんけど。)
自分は家にとってはただの労働力なのだろうか。
いや、そんなことはないはずだ。と自問自答してみる。真実のほどは不明である。
「はぁ、アイドルさんはそんな感じなんやねぇ。」
彼の家である和菓子屋は伝統とか色々なものも絡み合ってどれを尊重すれば言いか分かったもんではない。
上手く調整するのが大事だ。
「んーどないしよかなぁ。」
しばらくの沈黙。
答えが出たのか鈴元は口を開いた。
「もうちょっと遊ぼかな。今日は店番お休みやし。
ここでピコピコやってても怒られへんわ。」
(沼がなんかはイマイチ分からんけど。)
「そうや。さっきいうとった『Raven』?とか『デモグラ』?とか教えもらえるやろか。」
にこにこ笑って楽しそうに言葉をつむぐ。
この状況を楽しんでいるのだろう。
それからはっとした顔で唇に人差し指を当てた。
「もちろん。問題にならん程度でね。」
スキャンダルはこちらとしても避けたいのだから。
171
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/28(月) 00:18:32
>>170
「えひ……ゲームは一日一時間ともいうしな……
でも……面白いことは……やめたくないよ。」
「……えひ。
廃人とかはアレだが……」
でも、恋姫はやめない。
ゲームの中では全部上手くいく。
・・・・止める者もいない。
「……常連ってか、ファンだけどな。
僕らはファンがいないと輝けない……」
ファンさえいれば、アイドルは舞台で輝ける。
……ファンがいなければ、何も出来ない。
「……えひひ、お前も……好きだな。
まあ、好きって言ってたもんな……」
「…………教えるならデモグラかな……えひ。
『Raven』はむずいし……ハマると面白いけど……」
ガタ
チャリ チャリ
席を立った。
そしてコインケースをポケットに直す。
「……えひ、わかってるっての。
スキャンダルなって困るのは、僕だしぃ……」
「デモグラは二階な……
あれは名作……初心者でもまあ、楽しめる……」
トコ
トコ
鈴元を先導するように、階段へ。
172
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/28(月) 00:30:53
>>171
「ずっとオモロいままやったらエエのにねぇ。」
楽しい時間はすぐに過ぎる。
この時間もすぐに過ぎるだろう。
「なるほど。まぁ、僕らもお客様がおらんと商売できひんし……
なんちゅうか似とる感じはする、かなぁ?」
需要と供給の関係から見れば大抵のものはそうなのかもしれない。
ただし鈴元はそんなこと、微塵も思ってはいないのだが。
「うん好きやで。」
「うふふ。デモグラかぁ。今度は目ぇ離さへんよぉ。」
カラコロ
カラコロ
稗田の後に続く。
173
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/28(月) 00:41:09
>>172
「えひ……ほんとにな。
ずっと、楽しいままだったら…………」
トコ
「まあいいか……」
コツ
階段を登りはじめる。
「どうだろうな……似てんのかな。
えひ、僕は難しいことは、あんまりな……」
そして、昇り終えた。
このフロアは一階より、薄暗い。
・・・・空気もやや異なる。闘争的だ。
大会告知のポスターなども貼られている。
「デモグラは……格ゲーだ。
対戦するゲームだから……初心者狩りとかもある……」
「……僕はそういうのはしない。
あと……一人プレイも出来る。」
トコ トコ
「僕とやる……? 一人でやる……?」
そう言いつつ、筐体へ向かう。
幾つか並んでいる筐体のうちの一つだ。
174
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/28(月) 00:54:50
>>173
「うふふ。難しいことは僕も分からんわぁ。」
「二階は一階と雰囲気違うねぇ。」
ゲームの特色も違えば雰囲気も変わるのだろうか。
店側が意図的にそうしている部分もあるとは思う。
「あぁ、なるほどぉ。虎さんを狩るより兎さん狩る方が楽っちゅうわけやね。」
鈴元には理解できない感覚ではある。
しかし鈴元の理解に関係なく、初心者狩りは行われている。
それに鈴元は兎の側であるのだから、被害に会う可能性はある。
「僕のお相手してもらってもエエやろか?」
「僕とやってオモロいかは分からんけど。」
いいよと言われれば向かいの筐体に座ろう。
言われなければ適当な筐体に座る。
175
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/28(月) 01:02:48
>>174
「えひ……ここはあれだ。
『対戦用』……スコアアタックとかに向いたゲーム……」
「僕はここが好き。」
なるほど、妙な熱気だ。
まばらにいる客は年齢層が高い。
・・・・恋姫が最年少であることに疑いはないだろう。
「……勝つのが楽しいやつもいるしぃ……
えひ、僕はそういうんじゃないからな……」
負けるよりは面白いが。
まあ、ともかく。
「んじゃ……対戦するか……舐めプはしないかんな。
……してほしいなら、してもいいけど。」
「……コイン入れて、対戦モードで。
あれなら……ちょい練習してからでもおk。」
ストン
手順を指示して、向かい合った筐体の片側に座る。
チャリン
そして、コイン投入。
これで恋姫側は準備完了。
176
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/28(月) 01:13:50
>>175
「対戦用、そういうんもあるんやねぇ。」
ゲームにも色々あるのだなぁと感心している。
物珍しい訳でもないがきょろきょろと周りを見渡してみる。
客の年齢層が高い。新規ユーザーが少ないのだろうか。
それともいるが気付けないだけか。
「うふふ。安心したわぁ。狩られたらどないしようかと。」
よしんばされても文句を言わず強いと賞賛するだろう。
負けることに抵抗がないのだから。
「じゃあお願いするねぇ。」
「練習はちょっとさしてもらうけど。」
もう片側に座る。
チャリン
コインを入れ、ゲームを始める。
軽く二戦ほど済まして準備完了だ。
「僕準備出来たわぁ。」
ゲームセンター内の音に負けぬように呼びかけた。
177
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/28(月) 01:31:06
>>176
気のせいか、『古強者』ではないが――風格のある客が多い。
もっとも、ゲーマーとしての風格、という意味だが。
・・・・初心者っぽいのはいない。
「……一人でやるゲームも面白いけどな。
こういう……対戦系とか、協力プレイとか……」
「いくらでもあるし……
えひ。遊びきれないくらい……」
ギュィーーン
ドカン!
バシ!
派手な音に掻き消されない程度の声量は恋姫にもある。
ともかく、鈴元は練習をして。
「……えひ、ちょい待ち。
僕の方ももうすぐだから……」
恋姫はそう返した。
一人プレイモードでもしていたらしい。
・・・・少しして。
「お待たせ……」
「んじゃ、そろそろ本番……
えひ、もっかい言うけど、舐めプは無し。」
初心者狩りと変わらない。
違うとしたら、合意だ。合意は重要だ。
ギュイーーーーン!
「……いい?」
恋姫側はキャラを選んだようだ。
(*時間がかかるので、対戦内容はカットでよろしいでしょうか?)
178
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/28(月) 01:45:55
>>177
「僕一人でようゲームしてるわ。」
ゲームの相手がいないわけではないが、頼みにくいのだ。
相手が別にやりたいことがあったらと思うと頼みにくい。
今回はお互いゲームをするという目的があるので少しは気が楽だ。
女性だからちょっとアレだが。
「うん。待つわぁ。」
以前先生に教えてもらった腹式呼吸で返答する。
「うん、かまんよぉ。舐めプがなんかは分からんけど、手ぇは抜かんっちゅうことでエエんよね?」
鈴元はこの状況を初心者狩りだとは思っていない。
胸を借りるくらいの気持ちでいるだろう。
「じゃあよろしくお願いします。」
鈴元側も操作するキャラを選択した。
(はい。カットでお願いします。)
179
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/28(月) 02:02:22
>>178
「えひ……僕も一人のことのが、多いよ。
リア充じゃないんだし、な……」
・・・・事実だ。
だが、そこは変化しつつある。
スタンドを得てから、知り合いも増えた。
あるいは、元からの知りあいとの交流も。
(僕の、僕だけの『ブルー・サンシャイン』……
僕の太陽……ってのはさすがにクサいか……)
「えひ、そういうこと……手、抜いたら面白くないしな……」
「んじゃ……
対戦、よろー……えひ。」
雰囲気が変わるとか。
そういうのは、ない。
ただ、大好きなゲームをするだけ。
・・・・
・・・・
・・・・
数分後。あるいは十数分か。
ともかく、二人は対戦を終えていた。
「えひひ……おつー。
……お疲れさま、って意味な。」
「……デモグラ、どうだ……?
格ゲーにしては……操作もノーマルだし……」
席から立った恋姫が、鈴元に声をかける。
その表情は陰気だが、喜色が見えた。
(*対戦結果はそちらにお任せします。)
180
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/28(月) 02:18:35
>>179
「リア充?」
世の中には知らない言葉がたくさんある。
無知の知は重要である。
いや、知らなくても問題はないだろう。
「はい、よろしゅう。」
「もちろん僕は手ぇ抜かれへんしね。」
実力に差があるのにそういう事は出来ない。
全力を持って闘おう。もちろん、深みにはまり過ぎない程度に。
……
……
対戦は終了した。
「お疲れ様ですぅ。」
「そやねぇ、なかなかオモロかったわぁ。
相性とかもあるし、負けてる部分とか勝ってる部分とかいろんな要素が絡み合ってるんやねぇ。」
「勝てんかったんはちょっと悔しいけど、一本取ったりエエとこまでいったし、よかったわ。」
鈴元は笑っている。
けらけらと、いつも通りに。
「楽しかったねぇ。や、稗田さんがどうかは分からんけど。」
「またご縁があったら一緒にやってもらえるやろか?」
181
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/28(月) 02:36:28
>>180
伝わらない言葉を吐いてしまうのは欠陥か。
少なくとも、使われる方に罪はあるまい。
まあ、ともかく。
「操作はノーマルだけど……えひ、奥は深いからな……
もう何年も、研究進んでるし……」
超王道。それゆえにプレイヤーは多い。
日々、キャラクターの深みは増している。
「腕だけで決まるってわけでもないからな……
全一クラスとかは別だけど……全一。最強って意味な。」
「現に僕が一本取られたし……えひ。
お前、格ゲーのセンスあるんじゃない……?」
陰気な笑みを浮かべる恋姫。
悔しさは皆無ではないだろうが――
「……えひひ。
僕がどうだったって……言わせんなよな。」
・・・・楽しんでいた。
「ああ……いいぜ。僕はここに、よくいるから……
気が向いたら、また……対戦よろ。別のゲームでもいいしな。」
辺りを見回す。
デモグラだけではない。いくらでもある。
恋姫も言っていたように。
それこそ、全部は極めきれやしないくらいに。
「……つーかそのセリフだと……そろそろ帰る感じか?
えひ、まあ……あんま金使いすぎるのもアレだしな……」
現実的な話だが、こづかいは無限ではない。
恋姫もそうだし、鈴元もたぶん、そうだろう。
182
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/28(月) 23:45:31
>>181
「見方しだいでゲームの楽しみ方も変わるもんやねぇ。」
ゲームの研究か。
強くなる為にもっと楽しむためには必要かもしれない。
そこまで本気になれるならの話ではあるが。
「センス?ホンマ?」
褒められると嬉しいものだ。
たとえゲームであっても、自分の一面を認められるのであれば。
「うふふ。言わせんなって……そら、すんません。」
にぱっと笑って謝るようなことをいう。
「うん。また今度。今度はもっと強なるよ。」
どんなゲームでもいい。
今日のように遊べるのであれば。
まぁ、勝てればいいが。
イトマ
「まぁ、そやね。そろそろお暇させてもらおかなって。」
「あんさんはどないする?」
183
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/09/29(火) 00:02:40
>>182
「……研究なんてしなくても楽しいけどな。
えひ、でも強くなったら、それはそれでもっと楽しい……」
ニヤ
「センスあるなら、なおさらな。」
恋姫はゲームの話では、よく笑う。
趣味が合う相手とは、楽しく話せる。
・・・・ともかく。
「えひ……謝る事でもないだろ……
状況的に考えて……ネタで言ったようなもんだしな。」
「……僕はもうちょいいる。
まだやってないのあるし……」
恋姫にはやりたいゲームがある。
お金は無限ではないが、もうちょっとは使える。
「…………また今度な。
あんま、僕がここ来てんの……広めるなよな。」
積極的には、って意味。
隠し通したいわけではない。
「んじゃ、おつ―……」
・・・・小さく、手を振る。
184
:
鈴元 涼『ザ・ギャザリング』
:2015/09/29(火) 00:17:29
>>183
「うふふ。どっぷり深みにはまらんように気ぃつかわんとね。」
深みとは知らず知らずのうちにはまっているものである。
鈴元はもう片足を突っ込んでいるのかもしれない。
簡単に抜け出してしまうかもしれないが。
「うふふ。さいですか。」
「じゃあ、また今度。」
稗田に向かって小さく手を振り返す。
(もちろん広めんよ。僕にもそれくらいできるもん。)
さて、散歩の続きでもはじめよう。
楽しいことはまだまだたくさんありそうだ。
しかし、今以上の楽しみを見つけるには骨が折れそうだ。
そう思ってくすくすと口に手を当てて笑った後、鈴元はどこかへと消えていった。
185
:
斉賀『ベティ・ブー』
:2015/10/19(月) 23:22:10
「なんや暇やなぁ」
うちは斉賀 淡。女子大生。
ただいま駅前のベンチで暇を持て余してるとこや。
「ぽっぽっぽー……」
ぱらぱら
そこらにいる鳩に餌でもやって反応をみて暇でも潰すか。
しかしなんで駅前には鳩がいるんやろうな。
186
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/10/21(水) 22:51:52
>>185
くるっぽー
くるっぽー
駅前に鳩がいるのは、今の斉賀のように餌を与える人間がいるからだろう。多分。
鳩たちは我先にと餌に群がり、最も素早い者だけが餌を啄んでいく。
皆必死だった。ちょっとして生存競争の社会がそこにはあった。
「あの、すみません」
そうして斉賀が暇を持て余していると、声をかけてくる少女が一人。
白いブラウス、ベージュのポンチョ。紺色のロングスカート。
年の頃は中学生ぐらいだろうか。いかにも大人しい優等生、という雰囲気の少女。
艶やかな黒髪を手で押さえ、斉賀の顔を覗きこむように体を傾げながら、少女が尋ねる。
「となり、座ってもいいですか?」
その少女は、買い物袋を片手に持っていた。買い物帰りらしい。
187
:
斉賀『ベティ・ブー』
:2015/10/22(木) 00:25:21
>>186
「フフフ、争え……もっと争え……」
なんとなく呟いてみたけどそんな黒い心は持っとらんで。
うちは餌を取れなかった鳩のほうに優先的に餌を放る優しい人間やねん。
「おっ……おお、もちろんええで。
お嬢ちゃん買い物帰り?」
ちょっと恥ずかしい独り言聞かれてもうたかな。
斉賀インバァラァストゥ
ベンチを横にズレてスペースを開けるで。
別にうちのケツがデカくてベンチを占領してたとかじゃなくて、
一人だからちょい真ん中よりに座ってただけや。
188
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/10/22(木) 00:40:32
>>187
「あっ、はい。
ハロウィンが近いので、お菓子の材料を買いに」
少女は少し恥ずかしそうににこりと笑った。
斉賀のアレな独り言は聞いていたのか、聞こえていなかったのか。
「失礼します」
ともあれ、少女は一礼して空いたスペースにちょこんと座った。
買い物袋(それなりに大きい)を膝の上に置いて、一息つく。
「ふぅ」「……鳩、お好きなんですか?
でも、『争えー』なんて言っていじめたらかわいそうですよ。うふふ」
……なお、聞こえていたらしい。
189
:
斉賀『ベティ・ブー』
:2015/10/22(木) 00:52:32
>>188
「ハロウィン!
そういや、そういうのもあったやねー……
いつから日本上陸したんやろなあれ」
年々ハロウィンの存在感が増してきとる気がするわ。
ちょっと前までマイナー行事やったのに。
まあ、今でも子供達が家訪ねてトリックオアトリートとかそういうんやってるわけやなくて、
なんか店でハロウィンな商品が売ってたりする感じやけど。
やっぱり商売人の陰謀やろか。
「い、いや、ちゃうねん。
アレはちょっと口をついて出ただけっちゅうか……
イジメとらんし。
まあ、鳩は……うん、鴉よりは好きやな」
あの歩くときに首を動かすあたりがええよな。
でも見た目はスズメのほうが可愛えと思うわ。
190
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/10/22(木) 01:01:10
>>189
「どうなんでしょうねぇ。
あたしが子供の時はもうありましたけど。
幼稚園で仮装パーティなんかしたりして」
くすくすと、口元に手を当てて上品に笑う。
「ふふ、好きな子ほど苛めたくなるって奴ですか?
大抵の人は鴉より鳩の方が好きだと思いますけど」
なんて、冗談めかして。
この少女の中で、斉賀は既に『鳩が好きなお姉さん』に分類されたらしい。
ちょっとすれ違いがありそうだ。深刻なすれ違いではないかもしれないが。
191
:
斉賀『ベティ・ブー』
:2015/10/22(木) 01:16:46
>>190
「せやった?
幼稚園かー、幼稚園とかならやるかもやねー」
幼稚園保育園、小学校とか、子供の集まる場所ではそういう行事
行ってる印象あるわ。
というか、仮装ってあたり、バレンタインとかよりも子供受けはええ感じするな。
「別に鴉も嫌いなわけやないけどね。
なんやよう見たら結構可愛い顔しとると思うで。
鳴き声がダミ声すぎるのと、頭よすぎて逆にこわいところあるんが問題やな」
あとゴミ漁ったりするアグレッシブさも困るな。
まあ、鳩は鳩で糞害とかあるけど。
「それにしてもお菓子の材料っちゅうには大きな袋やね。
結構いっぱい作るん?」
192
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/10/22(木) 01:34:32
>>191
「えー、そうですかねぇ……」
「あたし、昔から鴉は苦手なんです。
子供のころ、親に『鴉と目を合わせると目玉をつつかれるぞ』って言われませんでした?
それで昔から顔を合わせたら目をつつかれる! って思っちゃって怖いんですよね」
苦々しい顔を見せる。
鳩はともかく、鴉は苦手らしい。
「あ、これですか?」
言われて視線を膝の上の買い物袋に落とす。
「えへへ。友達の分と、近所の子供に配る分まで買っちゃいましたから。
結構ちゃんとしたの作るつもりですし、練習用の分もありますし……」
「ちょっと手痛い出費になっちゃいましたけどね。
お姉さんは、お菓子を作ったりします?」
193
:
斉賀『ベティ・ブー』
:2015/10/22(木) 01:46:29
>>192
「まー、カラスにちょっかい出していいことは無いやろうね……
あいつら人の顔も覚えて復讐しにくるとかいう話も聞いたことあるし」
うちは『スタンド使い』やからねー。
カラスくらい怖いと思ったことないけど、すごい危険生物ってわけやないけど、
普通の人だと怖いって思うんやろかやっぱり。
「近所の子供までかー。はー。
このご時勢に近所付き合いしっかりしとるんやねぇー。
なんか仕草もお上品やし、結構いいとこの娘さんだったりするん?」
「うちも時々作ることはあるけど、
やっぱりねー、店で買ったほうが美味いし簡単やし……
彼氏とかいればもっとこう、作ったりもするかもしれんけど」
うちはもっぱら食べるほうやからなぁ……
ハッ、だからといってデブではないで。
ちょっとまあ、どっちかといえばぽっちゃり系ではあるけど……
194
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/10/22(木) 02:04:54
>>193
「それに、ゴミをつついてぐちゃぐちゃにしちゃいますし……
ウチの近くがナワバリになってるらしくて、よくやられちゃうんですよね……」
はぁ、とため息をついた。
「お上品だなんて、そんなことありませんよぉ。
ごく普通の、サラリーマンの娘ですとも。
一昨年ぐらいに引っ越してきたばかりなので、溶け込めるように頑張ってるんです」
「ちゃんとしたお店のもおいしいですし、最近はコンビニでも結構おいしいお菓子が買えますしね。
あたしもたまに買い食いしたくなっちゃいます。
お行儀悪いし、あんまり体によくありませんから、できるだけ控えてますけど」
なお、少女は特別太っているとかそういうことは無い。
少なくとも服の上から見る限りは、中学生並の肉付きだ。
「彼氏、かぁ……確かに恋人ができて、その人のためにお菓子を作れたら素敵ですねぇ……」
ほう、とため息。
今度は嫌悪感の混じったものではなく、羨望を込めたもの。
「でも、それならハロウィンよりもバレンタインデーですね。
そっちはまだまだ四ヵ月は先ですけど」
195
:
斉賀『ベティ・ブー』
:2015/10/22(木) 02:18:49
>>194
「ほらーそういうお行儀悪いとかちゃんと気にするとこが、
育ちがいい……というかこの場合は親御さんの教育がよかったっちゅうべきかな」
一方うちは……うん、改めて思い返すと買い食い多いわ。
……ちょっと控えよ。
「彼氏がいるからお菓子を作るんやなくて、
普段からお菓子を作るような女子力の高い子に彼氏ができるんやろか……
そういえばバレンタインっちゅうとチョコやけど、
ハロウィンのお菓子は……カボチャ? 君はどういうの作るのん?」
196
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/10/22(木) 02:32:43
>>195
「ふふ、そうですね。
ありがたいことに、きっとお父さんとお母さんの教育が良かったんです」
ちょっと誇らしそうにそう答える。
両親が褒められるのは、とても嬉しい事だ。
「どうでしょうねぇ。
そもそも、男の人がそんなにお菓子食べるのかなとも思いますが……」
お菓子が好きなのは、まぁどちらかと言えば女の方だ。
男も菓子が嫌いと言うのは少数派だろうし、女からもらえれば嬉しかろうが。
「ああ、はい。あたしはカボチャのクッキーを作ろうと思いまして」
買い物袋の口を少し開き、斉賀に見せる。
中には砂糖の瓶やバターの箱、卵のパックに加え、ごろんとカボチャも入っているようだった。
確かにこれは少し重かろう。
「もしお菓子で使い切れなくても、カボチャなら他になんでも作れますしね。
お味噌汁に入れたり、煮物にしたり……」
197
:
斉賀『ベティ・ブー』
:2015/10/22(木) 02:43:15
>>196
「んん? ということはお菓子作りの好きな女の子は
女同士でキャッキャするためにお菓子を作っとるんか?
女子力高そうなのに、むしろ彼氏からは遠ざかった気ィするで」
謎やな。かといって、うちのように自分で食う用にお菓子作るのも
むしろ女子力低い感じやし。謎や……
「なるほどねー
カボチャはお菓子にしたってなんかちょっと健康的な感じしてええしな。
でも重そうやなー。それで腕が疲れてベンチで休憩ってわけ。
お姉ちゃん持って行くの手伝ったろか?」
ところで味噌汁にカボチャ入れるんやな。このお嬢ちゃん家は。
うちん家は入ってたことないわ。
なんかその家特有のレシピってあるやんね。カレーにちくわとか。
カボチャは入れるの入れないのどっちのが一般的なんやろな……
198
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/10/22(木) 23:00:19
>>197
「男の人は別に女子力の高い女の子が好きじゃない、という話を友達がしてましたね、そういえば……」
まぁ女子力が極端に低いというのもどうかとは思うが。
女子力。女子力って何だ。振り向かないことさ。
「多分当日はお菓子をたくさん食べるので、甘さは控えめにするつもりです。
健康的かどうかは、ちょっとわかりませんけどね。ふふ」
と、手伝ってあげようかと言われて。
「えっ、そ、そんな、大丈夫ですよ。
家もそんなに遠いわけじゃありませんし、会ったばかりのお姉さんにそこまでしてもらうわけには」
慌てたように、というか慌てて手をわちゃわちゃ振る。
その後、ガッシリホールドするように買い物袋を抱いた。自分でやる、という意志表示のつもりらしい。
199
:
斉賀『ベティ・ブー』
:2015/10/22(木) 23:17:48
>>198
「女子力っていうのは、女の子らしさパワーって事やないんやろか。
女の子らしさが高いほど、男的には嬉しいんちゃう?
まあ、女子力の定義とかうちもよう知らんで雰囲気で使っとる言葉やけど。
男心は複雑っちゅうことか」
定義ちゅうても、なんか若者言葉っぽいからそもそも定義とかないかもしらんけど。
いやでも案外辞書とかに乗ってたりしてな。結構侮れんからな辞書。
「あ、そう?」
なんやこうまで買い物袋ガッチリ掴まれるとちょっと悲しいな。
いや、そうは言ってもうち、初対面のベンチに座ってただけの人やからな。
ちょっと馴れ馴れしすぎっちゅう話か。
200
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/10/22(木) 23:35:40
>>199
「うーん……逆に男の人が言う『男らしさ』ってあるじゃないですか。
例えば筋肉がたくさんついてて喧嘩にも強い、みたいな人って、私たちからするとちょっと怖いですよね?
それと同じで、女子力が高いと喜ぶのは女の子の方なのかもしれませんね……」
つまり友達グループで「女の子らしくてかわいい」と評価されるような、アレだ。
必ずしも女子力がモテに繋がるとは限らないのだろう。
「う、す、すみません」
ちょっと悲しそうな斉賀を見て、バツの悪そうな顔をする。
「お気持ちは嬉しいんですが、流石に悪いので……」
「でも、ありがとうございます。お優しいんですね、お姉さんは。
そのお気持ちだけでも、ありがたくいただきますね。」
201
:
斉賀『ベティ・ブー』
:2015/10/22(木) 23:42:42
>>200
「なるほど、マッチョばかりがモテるわけではないと考えると確かにそうやな。
お嬢ちゃん頭ええなぁ すごいすごい」
ここで! すかさずお嬢ちゃんの頭を撫でる!
今しがた馴れ馴れしいとか反省したばっかり? ……記憶にございませんなぁ。
隙あらば積極的にスキンシップを取っていくのがうちや。
ナデナデ
「いやぁ、優しいなんて照れるわぁ。もっと撫でちゃう。
うちは斉賀ちゅうんやけど、お嬢ちゃんのお名前は?」
髪型は崩さないように。あくまで明るい雰囲気で冗談っぽく。
顔色を伺い、嫌がりそうなら冗談で収まるうちにサッと手を引くのが斉賀のたしなみや。
202
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/10/23(金) 00:00:54
>>201
「わわわっ!?」
引いたと思わせたところでの素早い襲撃ッ!
その巧みなテクニックには結構ノンキしてた少女も結構ビビった!
「な、なにするがね急にっ!?
照れるにゃあ、あ、あたしの方だわさっ!」
そして飛び出す名古屋弁。
……標準語で喋っていたが、こっちが『地』らしい。
顔を赤くして、わちゃわちゃと抵抗にもならない抵抗をする。した。
「あ、あたしゃあ関東也哉子ですけども、そ、そんなことよりその、恥ずかしゅうてかんに……」
203
:
斉賀『ベティ・ブー』
:2015/10/23(金) 00:12:25
>>202
「おっ。いっがいー。
でもそんなところも可愛い可愛い〜」
ナデナデ
ふへへ。
若い子はええのう。
ちなみにうちの喋りはうろ覚えからの又聞きなのでホントに適当。
うち自身は大阪に住んどったことはないで。
「関東なのに名古屋弁ってか。
いや、これはさすがに何回もネタにされてそうやな。
可愛らしいものだからつい撫でちゃったけどごめんなぁ〜
パン食べる? 大分鳩にやってもうたからもうあんまりないけど」
ちなみに食パンや。
204
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/10/23(金) 00:26:41
>>203
「も、もう! からかったらいかんに!」
顔を赤くして、ぷりぷりと頬を膨らまして「怒ってますよ」というポーズ。
悲しいかなあんまり迫力とかは無い。一応控えめに手を払いのけつつ。
「お、オホン!」
「そ、そうやって誤魔化してもダメですからね!
食べ物で釣ろうとしたってそうは行きません! あたし、鳩じゃありませんし!」
ついにはぷいっとそっぽを向いてしまった。
ただまぁやっぱり迫力とかは無い。
本当に怒っているというより、ポーズで怒っている部分が大きいようだ。
子ども扱いをしてほしくない子供の心境が少し近いかもしれない。
205
:
斉賀『ベティ・ブー』
:2015/10/23(金) 00:34:27
>>204
「あはは、ごめんなぁ〜」
食パンじゃ釣る効果は無いわなぁ。
ここで鳩の食べかけの素パンをもぐもぐ食べだしたら
そっちのほうが驚きやったけど。
「あっ」
也哉ちゃんに食パン渡すポーズとりながら笑ってたら食パン落としてもうた。
「うわっ、鳩めっちゃ寄ってきよる。
ちょっ……うわっえぐいなー。鳴き声うるさっ」
ポッポー
クルル
ルルッポー
元々餌のせいで鳩が付近に集まってたのに
塊で落としたせいか鳩がいっせいに群がって来おったで。
これもう食パン回収不可能やな。まあ地面に落ちたモン回収してもなんやけど。
206
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/10/23(金) 00:51:06
>>205
「あっ」
ポトっと落ちた食パンを目で追う。
その件に関して也哉子には一切責任が無いし、そもそもなんか悪いことが起こったわけでもない。
元々鳩に与えられていた食パンが、うっかりまとめて投入されてしまっただけだ。
我先に我先にと鳩が食パンを漁る光景は正直エグイが、まぁ問題があるわけでも無し。
なのだが……
「す、すみません」
なんとなく悪いことをしてしまった気がして、也哉子は頭を下げるのだった。
自分が変に拗ねたせいで、食パンは犠牲になってしまったのではないか……
クルッポー クルッポー
クルッポー
クルッポー クルッポー クルッポー クルッポー
クルッポー
クルッポー クルッポー クルッポー クルッポー
「……ぷっ」
ごめんちょっといくらなんでもたかり過ぎ。
「ぷっ、あ、あはははははっ!
は、鳩、寄り過ぎっ、あははははははっ!」
なんだか妙にツボに入ってしまって、口元を押さえながらも爆笑してしまった。
207
:
斉賀『ベティ・ブー』
:2015/10/23(金) 00:58:18
>>206
「い、いんや、也哉ちゃんは悪ないで」
こいつら人の足を気にせず踏みつけていきよる……
ちょっと戸惑う光景やけど、也哉ちゃんが笑ってくれたんで
収支的にはプラスやな!
「ふう、やっと鳩も減ってきたわ……
餌も無くなってもうたし、うちもそろそろ帰ろうかな。
随分話しかけてもうたけど、也哉ちゃんは時間は大丈夫なん?」
208
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/10/23(金) 01:15:36
>>207
そのまま、しばらく也哉子は爆笑していた。
箸が転がっても面白い年ごろ、という言葉があるが、それにしてもよく笑っている。
とはいえ流石に鳩が減ってくる頃になると、笑いも大分収まってきた。
肩で息をしながら、目元の涙を拭う。
「はぁー……」「すみません、ちょっと、その、取り乱しました」
……冷静になって、恥ずかしくなってきたらしい。
顔がちょっと赤い。というか先ほどから顔を赤くしてばかりだ。
「そう、ですね。
あたしもそろそろ帰ります。
あんまり遅くなると、お母さんが心配しますし」
そう言ってゆっくり立ち上がり、スカートの汚れを軽く払った。
軽く伸びをしてから、クルリと斉賀の方を向く。
「今日はお話ししてくださってありがとうございました、斉賀さん」
まずはぺこりと頭を下げる。
そして顔を上げて、前に垂れてきた髪を後ろに払ってから、にこりと笑いかける。
「それと」「呼び方」
「よければ『ヤーコ』って呼んでください。
友達は大抵、あたしの事をそう呼ぶんです」
209
:
斉賀『ベティ・ブー』
:2015/10/23(金) 01:25:17
>>208
「いやーこっちこそありがとなぁ。
もともと暇しとったし」
鳩に餌やってるとか、言うまでもなく暇人丸出しやん。
「へー、ヤーコちゃん。うん、こっちのほうが可愛いかぁ。
ほななヤーコちゃん。楽しかったで。
お菓子作りがんばって。またなー」
というわけで手を振ってお別れや。
あー、うちもなんかお菓子とか用意して子供に押し付けようかなぁ。
ハロウィンを口実に子供を撫でくり回せるかもしらん。
……通報されないやろか。
210
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/10/23(金) 01:56:23
>>209
「はい。斉賀さんも、また会ったらよろしくお願いしますね」
小さく手を振ってから、踵を返す。
えっちらおっちら買い物袋を気にしつつ、帰路につくのだ。
(……味見、控えないとだわぁ。
あたし、太りやすいもんだでねぇ。気をつけにゃあいかんて……)
タイミング的にちょっと失礼なことを考えつつ、そのまま帰った。
211
:
牡丹『ウェイト・アンティル・ダーク』
:2015/10/31(土) 00:38:41
「トリックッッ」
「オアッッ」
「トリィートッッ!!」
『花火専門店 車屋』。
普段は木造の殺風景な軒先だが、今晩はどうやら電飾と甘い匂いに塗れているようだ。
つまり、店を挙げて『ハロウィーン』に乗っかっている。
和を看板に掲げておきながら、西洋に寄る。
見る人によっては滑稽に映るかもしれないが、これも商売。
イベントに乗るというのは大切なことだ。
そしてそれ以上に、ご近所づきあいは大事なんだよ、商店街的に考えて……。
そういうわけで、子供が近付いたら無差別にお菓子を渡す。
212
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/10/31(土) 23:31:24
>>211
トコ
トコ
…………人探しは専門家に任せた。
しばらくは、経過を待とう。
ビュ
ォォ
ォ
「っくしゅ……!」
「さむ〜……」
絶賛、ハロウィーン中だ。
もっとも恋姫はコスプレで街を歩く趣味はない。
(リア充どもじゃあるまいし……常識的に考えて……
しかし、どこもかしこもハロウィンイベ状態だな……
ネトゲん中と、都会だのリア充タウンだけじゃないのか……)
黄金町の商店街までとは。
ちなみに、今日は仕事帰り。
(さっさと和菓子買って帰ろ……帰ってネトゲしよ……)
ちょうど、花火屋の前を通り過ぎるところ。
子供と取るかは……まあ、牡丹の基準次第か。
213
:
牡丹『ウェイト・アンティル・ダーク』
:2015/11/01(日) 00:33:18
>>212
「おっ」
通り過ぎる恋姫に気付き、歩み寄る。
長身の自分からして、一定以上背丈が低いとだいたい子供に見えるのだ。
「ハッピーハロウィン! お嬢ちゃん、お菓子はどうだい?」
威勢の良い声で話しかける。
恋姫の目の前に差し出されたバスケットの中には、ラッピングされたお菓子の山。
214
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/01(日) 00:58:35
>>213
ビクッ
「えひっ……」
いきなりの大声。
不意を打たれたのは、下を向いていたのもあるが――
スク
顔を上げる。
(色々でっけえなこいつ……)
そう思った。
陰気な笑みを浮かべる。
「ハッピー、ハロウィーーン……えひ。
知らないやつからは〜〜って言うが……タダなら貰っとくかな……」
(期間限定の無料ガチャ……
えひ、引くよな……常識的に考えて。)
陰気な笑みを浮かべる。
ともかく、お菓子を受け取ることにしよう。
スッ
牡丹とは(たぶん)対照的に、白い小さい手。
伸ばして、お菓子をひとつとる。
(まあドロ甘いチョコとかだろうし……ちこりにやるか。)
「あれ? つーか……
ここって何の店だっけ……」
キョロ
キョロ
普段は利用しない店だ。
215
:
牡丹『ウェイト・アンティル・ダーク』
:2015/11/01(日) 01:10:04
>>214
「ん?」
「そうそう、お菓子はもちろんタダだからね。
今後ともご贔屓に……」
見上げてくる恋姫に、目線を合わせるように膝を曲げて屈む。
姿勢も、まあ、そういう感じになるだろう。
恋姫の取ったお菓子は……
案の定、甘そうなパンプキン・パイ(手のひらサイズ)だ。
カボチャの餡の表面に、『車屋』という文字が刻まれている。
「ここは『花火専門店』だよ。アタシ、店主。
一応、けっこー昔からある店なんだけど……」
「まっ、このご時世だし、若い子は知らないよねぇ」
はぁ〜〜〜、と、嘆くようにため息をつく。
「お嬢ちゃん、この町の子かい? 商店街にはあんまり来ない?」
216
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/01(日) 01:40:29
>>215
「えひ、どーも……」
(やっぱ初回無料だわな……
つーか、ダイレクトマーケティング乙……)
見上げる両目は桜色。
餡の文字に宣伝魂を感じつつ、パイを鞄へ。
そして。
「あぁ、花火か……そういやそうだったっけ……
えひ。ここはたまに来るし、この町の子だけど……」
(こいつは僕のこと知らないっぽい……
まあ、明らかにファン層じゃないし……)
花火屋。馴染みのない店だ。
あるいは祖母は知っているのかもしれないが。
「なんか……あー、あれだ。
ハロウィン過ぎて記憶ん中のMAPと一致しない的な……」
「つーか……
このお菓子手作り……?」
ハロウィーンへの本気度を感じる。
217
:
牡丹『ウェイト・アンティル・ダーク』
:2015/11/01(日) 18:17:42
>>216
「ま、マップ……?」
最近の言葉は難しいものだ。
が、ニュアンスは伝わる。
「まあ、商店街も通り一色ハロウィーンだから、ちょっと面食らうよね。
ニュースでやってる、都会の派手な仮装パーティもいいけど……
こういう地方の商店街で、見知った顔とワイワイやるのも味があるさ」
駅前通りは、手作り感のある装飾や電飾で埋め尽くされている……
人通りは多くはないが、それなりに盛り上がってはいるようだ。
……やっている大人の自己満足的なものも、あるのかもしれない。
「ああ、そのパイも一応、アタシの手作り。
八百屋さんからカボチャもらってさ、昨日から仕込みを……」
「……あっ、でも、衛生は気を使ったから! ホントに!
ちゃんと道具も熱湯で消毒して、私もビニール手袋したし……」
自慢げな調子から一転、焦ったように付け加える。
ただでさえ、食の安全が世間で騒がれている時代。
『人が触ったものは食べられない』という子供も少なくない。
恋姫に『ばっちい』『食べたくない』と思われないように、必死だ。
「そう言えば、お嬢ちゃん、一人かい? お父さんかお母さんは?」
218
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/01(日) 20:49:14
>>217
「まあ……盛り上がってるならなんでもいいよな……」
「いつもより人多いし……
えひ。仮装してるやつもいる……」
キョロ
辺りを見渡す恋姫。
いつもより、オレンジと黒の多いカラーリングの街並み。
ワイ ワイ
仮装もちらほら。
と、向き直って――
「……やっぱ手作り……衛生面も万全か。
えひ、まじ手ぇ込んでるよな……
お菓子屋さんでも通用すんじゃない……?」
(やっぱあれか……? 職人ジョブだし拘りあんのかな……
手作りスイーツ……えひ、見た目によらず女子力ポイント高い……)
妙な感心を覚える恋姫。
陰気な笑み。自分には料理は出来ない。
・・・・そして。
「僕これでも……14、だからな。
出歩くのに親とかいらないっての……」
「……どこまでロリに見てんだよ。」
(これだからスイーツってやつは……
えひ、そこまで言うこともないか……スイーツ系じゃなさそうだし……)
イラ
14にしては小さな、人形の様な容姿。顔を少し顰める。
心も、親の話をされれば荒れる程度には、まだ幼い。
219
:
牡丹『ウェイト・アンティル・ダーク』
:2015/11/01(日) 22:33:40
>>218
「そうだねぇ。賑やかなのは良いこった」
町の活力は、そのままそこで生きる人々の活力になる。
経済がよく回る、財布の紐が緩む。必然、店の売り上げが増える。
>「……やっぱ手作り……衛生面も万全か。
> えひ、まじ手ぇ込んでるよな……
> お菓子屋さんでも通用すんじゃない……?」
「そ、そうかい? 味もきっと悪くはないと思うよ」
ホッ
恋姫のリアクションに、一人安堵する。
花火すらも『危険な火遊び』と毛嫌いする手合いもいるご時世だ。
提供する側もナイーブになる。
「っと、14。ご、ゴメンね……そっか、中学生か」
(もっと下だと思った……)
とはいえ一回りは年下であり、自分の目から見れば子供。
だが、けっして『お子様』ではない。そういう歳だ。
「あー、えーと、ホラ。アタシくらいの歳になるとさ……
お嬢ちゃんくらいの歳の子って、みんな同じに見えちまうんだよ」
「しかし、ハロウィーン目当てじゃないとすると。
どうしてお嬢ちゃん、一人でこんなとこ(商店街)歩いてたんだい?
……自分でいうのも悲しいけど、14歳の子が回って楽しい場所じゃあ……」
220
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/01(日) 22:53:19
>>219
「えひ、DQNのバカ騒ぎは勘弁だけどな……
こういう……なんつーか健全な賑やか感はアリ……」
ニヤ
いかにも陰気なことを言う恋姫。
経済とかには疎いが、この雰囲気は嫌いじゃあない。
「あー……おう。」
(で、出た〜……僕は好みじゃないって言いづら奴〜……えひ。)
自分は食べないとは言いづらい感じ。
悪意のない相手には多少なり、憎まれ口も鈍る。
「んで……ああ、14、だ。
別に……そういうミスは気にスンなし。
ロリに見られんの嫌じゃあないし……えひ。」
陰気な笑みを深める。
・・・・そして。
「あー……仕事帰り。
隣の駅から帰ってきたとこ……」
キャスケットを被り、眼鏡で変装しているが――
何を隠そう、恋姫はこの町の『ご当地アイドル』だ。
221
:
牡丹『ウェイト・アンティル・ダーク』
:2015/11/01(日) 23:11:37
>>220
「ウン、分かる分かる。
『独りよがり』の五月蝿さじゃあなくて、『みんなで』やってる賑やかさが良いよね!」
勝手に意気投合ッ! そして勝手に嬉しそうだ。
だがDQNの意味は知らない。
「ろり?
うん、まあ、幾つになっても若く見られたいのは女の性さね。
お世辞や行き過ぎはゴメンだけど……
って、仕事!? はー、その歳で……いやいや、歳は関係ないね、ウン」
「しっかし、立派なもんだねぇ… 世間が浮かれてる中ねぇ」
腕を組み、仕事をこなしてきたという恋姫に、勝手に感じ入っている。
それこそ遥か昔、家の次男三男は幼いうちから職人に弟子入りして技術を身につけたという。
男社会の職場で働く身としては、尊敬すら覚える。
一方で恋姫の様子には、気づいた様子はない。
知らないからか、それとも変装をしていて気づかないからか……
「ちなみに何の仕事してるんだい?」
能天気に、そんなことを聞く。
222
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/01(日) 23:29:50
>>221
「……まあ……そうだな。そんな感じぃ……」
(リア充っぽい事言うやつだな……
まあ……雰囲気的に非リアじゃないだろう……)
積極的に『リア充』になりたいとは思わない。
「えひ……そこんとこは激しく同意。
んでもって、まあ、僕はあれだ……
ロリさで世間を浮かれさせるのが仕事っていうか……」
「……」
(ロリっての伝わってないな……向こうからしたら日本語でおkか? えひ。)
けど、若いままでいたい、とは思う。
今のままの自分でいたい――と。
・・・・なぜなら。
「……一応、アイドルってやつ。
つっても、今は……オフだけどな。いち町人Aって感じ……」
ニマー
陰気な笑みに、少しばかりの輝きが差す。
変装している意味がない気もする。
が、言いたくなるのが人情ってやつ。お祭りムードで緩んでいるのかもだが。
223
:
牡丹『ウェイト・アンティル・ダーク』
:2015/11/01(日) 23:45:26
>>222
「アイドルかぁー、いやぁ大変だねぇ。そんな若いうちから、
…………エッ、マジ? テレビとか出るやつ? ……ホントに?」
目を白黒させる。
疑うことは知らないらしい。
「エーッ……ゴメン、アタシってばテレビとかあんまり見なくて気づけなくて……!」
「あっ、でも、気づかない方がいいのか……騒がれちまうもんね」
無駄にひそひそ声だ。
「やだ、手作りのお菓子とか渡しちゃったよ……」
「ゴメンね、変なもの押し付けて……」
224
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/01(日) 23:58:04
>>223
「えひ……」
ニィ
笑みを深める。
アイドル。自分の輝き。
「まあ……テレビとかは出てないし……
マイナーだから、知らなくてもべつに……」
ヒソ
「えひ、気ぃ遣ってくれてサンクス……」
ヒソ
合わせるように、少し声を潜める。
少しだけ背伸びし、ひそひそ話をするようなポーズ。
・・・・そして。
「……」
「あ―……」
「アイドルへの貢ぎ物なら……事務所通さなきゃだけど……
このお菓子は、僕に……だろ?
なんつーか……そういう気づかいはイラネ、だよ……えひひ。」
アイドルの自分と、オフの――今の自分。
輝く自分と、そうじゃあない自分。
「トリック・オア・トリート……
今さらお菓子はナシで悪戯にしてくれ〜……ってのは、ナシ。」
「……えひ。」
同じ自分だけれど、少し、殻一枚分ほど……違う。
陰気な笑みを少しだけ深めて、恋姫は囁くように言う。
225
:
牡丹『ウェイト・アンティル・ダーク』
:2015/11/02(月) 00:19:44
>>224
>合わせるように、少し声を潜める。
>少しだけ背伸びし、ひそひそ話をするようなポーズ。
キュンッ
「……そうだね。アンタに、一度あげたモンだ」 ニカッ
恋姫につられるように、快活な笑みを浮かべる。
彼女がここに来たのは仕事じゃあない。
「アタシとしたことが、『無粋』なこと言っちまった。
……車屋謹製のパンプキン・パイ、是非ご賞味ください」
「あ、糖分は控えめだからね。その辺は気にしないで食ってちょうだい」
しかし、人々を浮かれさせ、笑顔にすること。
それを生業とするなら、きっと天職なのだろうと思った。
恋姫の仕事に少し、興味が湧く。
「……ね。名前、聞いても良い?」
「アタシ、牡丹。せっかくの縁だ、応援させてよ」
226
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/02(月) 00:42:13
>>225
ス
スニーカーの踵を地面に着ける。
「えひ……そういう気づかいは……まあ、ありがたい。」
(……半分くらいは食うか。
せっかく僕にくれたんだしな……)
(なんて……ツンデレ乙。
えひ。セルフツッコミとか……)
鞄の中のハロウィンの贈り物を、再び意識した。
ファン達からの声援と、どっちも大切で、比べることは出来ないのだろう。
・・・・そして。
「……えひ……名前か。僕は稗田……恋姫。
芸名は稗田こいひめ……みんなのお姫さま。」
ニ マ --
「……これから、応援よろしくな。」
アイドルらしく、笑った。
同じ陰気な笑みにも、明度の違いがあった。
・・・・そして。
「……そろそろ行くわ。遅くなるしな。
ハロウィンイベントがんばれがんばれ……」
ヒラヒラ
「……えひ。大事な事だから二回。
んじゃあな、牡丹。ばいばい……」
小さく手を振って。
引き止められなければ店の前を、去る。
227
:
牡丹『ウェイト・アンティル・ダーク』
:2015/11/02(月) 00:48:35
>>226
「恋姫ちゃん、ね。よし、覚えた」
すっく、と立ち上がる。
明度の違う笑みを、目に焼き付ける。
次に会うのは、もしかしたら『アイドル』の彼女かもしれない。
「ウン、最近寒いしね……遅くなるともっと冷えるし。
アタシも、お菓子配るのに戻んなきゃだし。お別れだ」
「機会があったら、またオフに……お店にも遊びに来なよ。
お茶と、ちゃんとしたお茶菓子くらいは用意しておくからさ!」
去る恋姫の、小さくなっていく背中を見送る。
228
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/02(月) 00:56:34
ブロロロロロ ・・・・
「うわ……」
バスが発車して行った。
「……てへぺろ。
ってやつか……」
イラリ
理由は単純。
時間を間違えたからだ。
・・・・さて。
(……どうするかな……ゲーセン行くか……?
それかリア充っぽくカフェで名前長いのでも飲むか……えひ。)
時間が浮いたわけだ。
駅周辺をとりあえず、歩き回る。
何か――面白げなものはないだろうか?
無いならゲーセンに行くし、そこで何かあるかもしれない。
229
:
ようこそ、名無しの世界へ…
:2015/11/02(月) 22:00:32
>>228
「見舞いって何を買っていきゃあいいんだ?」
「そりゃあお前……花とか。根がついたものは病気が根付くとかいって縁起が悪いらしいが」
「花ぁ? うーん、喜びそうにねぇなあ」
「あっおい、前を見ろ前を!」
男の子が余所見をしながら歩いてきた。
緊急回避しないとぶつかりそうだ。
年齢は小学生くらいだろうか?
子供なのでぶつかったところで大したダメージにもならなさそうだが……
230
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/02(月) 22:13:56
>>229
ススス
トン
ちょうど今は、立ち止まってラインを送信していたところ。
――なので。
どん っ
「いっ……」
フラ
避けられずに、ぶつかった。
青い眼鏡がずれる。
クイ
(子供か…………消防くらいか?)
「……前向いて歩けよな。
人生は残機無いから……
ワンミスで終わるんだし……」
「……えひ。
そりゃ大げさか……」
スマホから目を離しつつ、言う。
倒れたりしてるなら一応助け起こすくらいはしよう。
・・・・自分のよそ見も原因だし。
231
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』/灰羽先里『一般人』
:2015/11/02(月) 22:25:11
>>230
「のわっ」
恋姫が立ち止まっていたためか、倒れるほどではなかったようだ。
男の子はよろめく。
「あっ、どうもすいません」
謝ってきたのは男の子と話をしていた相手、同じ小学生くらいの女の子のようだ。
大きなリボンなんてつけて、普段着には少し過剰な可愛さの服装をしている。
「センリ、お前も謝れ……どうした?」
「足首がぐきってなった……痛ぇ」
「ああ、そう……
あはは。すいませんねほんと……」
転ばなかったのに今はうずくまってしまった男の子を放って先に行くわけにもいかず、
女の子は恋姫に気まずそうな愛想笑いを向けてきた。
232
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/02(月) 22:36:24
>>231
「別に……それ(謝る)ほどでもない。
気にスンなし……つーかお前こそ大丈夫かよ……」
ジロ
(なんだ……リア充か?
マセやがって……それか兄妹か……)
非リア的な思考に走る恋姫。
まあ、それはともかく。
(……見舞いか。)
「……あ、ちょいごめん。」
ス
「!」
スス
ス
スマホの画面を見ると、返信が来ていた。
男の子は心配じゃないわけじゃないが、さらに返信しておく。
ス
ススス
トン
「……はぁぁ〜〜っ……」
「……」
ニマ -
ため息。安堵の表情。
233
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』/灰羽先里『一般人』
:2015/11/02(月) 22:47:07
>>232
「ほら、なんかご機嫌斜めそうだぞ!? お前の足首はどうでもいいから早く謝っておけ!」
「うぐぐ、すいませんでしたァ!」
口では気にするなと言った恋姫だったが、リア充へのヘイトを敏感に見抜かれたか、慌てて謝ってきた。
ちなみに女の子のほうは小声だった(距離が近すぎて聞こえてしまったが……)
「おお、なんか機嫌が急に良く……?」
「あー痛」
恋姫の表情の落差に、おもわず小声で恋姫の機嫌メーターを実況する女の子。
一方男の子の方はやっと痛みが薄れてきたのか、眉根を寄せながらも立ち上がる。
234
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/02(月) 22:55:52
>>233
「だから別にいいっての……
えひ、DQN相手じゃあるまいし……」
ス
トン!
メールアプリを閉じる。
非リア思考が漏れ出していたか……
「いちいち実況もいいって……
ゲーム実況者にでも憧れてんのか……?」
「えひ。」
悪態をつきつつ、男の子に視線。
「……あー、僕も回避ミスって悪かったよ。」
一応、謝っておく。
それから。
「……お前らもお見舞い?」
何となく気になって、聞く。
自分にも、その予定が出来たからだ。
・・・・まずは差し入れを買うことだが。
235
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』/灰羽先里『一般人』
:2015/11/02(月) 23:02:59
>>234
「あ、すいません」
「そこで謝ってたらきりがねーんじゃねーか……?」
さらに謝る女の子。おそらく実況に対しての謝罪だろうが、
男の子につっこまれてしまっている。
「ああ、うちの姉ちゃんがなぁ。なんか交通事故? で入院して」
「そのお姉さんの友達で同時に事故にあった人が、私の知り合いでして、
じゃあ一緒にお見舞いに行こうかって話になりまして」
「もう見舞いの品とかいらなくないか? 顔だけ見れば……」
「お前は家族だからそれでいいかもしれないけど、こっちはそうもいかないんだよ」
彼らも見舞いの品をこれから買いに行くところのようである。
「『も』ってことは、お姉さんも誰かのお見舞いに行くんですか?」
236
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/02(月) 23:16:44
>>235
「えひ、別に怒ってるわけじゃないし……」
キリがないので止めよう。
実際、謝られる理由もそんなにないし。
(……普通にクラスメートとかか。
消防なら男女でも喋るか……常識的に考えて。)
リア充じゃなくても、ってこと。
「事故か……まじ生きててよかったなそれ……」
(残機、ないもんな……一発で全部抱え落ち……)
正直、他人事だ。
が、今は。そして『事故』は、少し親近感がわく。
「僕は……あ―……」
ポリ
「……」
ポリ
「友達、が。ちょっと……な。
怪我したらしいから、なんか差し入れようと思って……」
生きていたのはよかった。
だが、冷静に考えて――
「とりあえずメールして、返信待ちなう……えひひ。」
(重傷……だよな。
しかも、朱鷺宮まで……)
・・・・軽い事態ではない。
237
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』/灰羽先里『一般人』
:2015/11/02(月) 23:30:09
>>236
恋姫の男女感が微妙に露になる中、会話は進む。
「ええ、本当、無事で……いえ、無事ではないけど生きていてよかったです」
「まあ葬式とか面倒だしな」
「お前冗談でもそういうこと言うなよ……マジで」
男の子が小学生らしい散漫さをみせたりもしたが、女の子が注意する。
特に幼いながらもカップルとかそういう雰囲気は無く、ただの友達のようだ。
「そうですか……ええと、それなら一緒にお見舞いの品でも買いに行きます?
そのメールの内容にもよりますけど……」
「ん? 一緒に行くのか? 別にいいけど」
女の子がそう誘ってきた。
なんとなく恋姫に気を使った様子から社交辞令かもしれないが……
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