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【場】『黄金原駅』 その3
237
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』/灰羽先里『一般人』
:2015/11/02(月) 23:30:09
>>236
恋姫の男女感が微妙に露になる中、会話は進む。
「ええ、本当、無事で……いえ、無事ではないけど生きていてよかったです」
「まあ葬式とか面倒だしな」
「お前冗談でもそういうこと言うなよ……マジで」
男の子が小学生らしい散漫さをみせたりもしたが、女の子が注意する。
特に幼いながらもカップルとかそういう雰囲気は無く、ただの友達のようだ。
「そうですか……ええと、それなら一緒にお見舞いの品でも買いに行きます?
そのメールの内容にもよりますけど……」
「ん? 一緒に行くのか? 別にいいけど」
女の子がそう誘ってきた。
なんとなく恋姫に気を使った様子から社交辞令かもしれないが……
238
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/02(月) 23:40:07
>>237
恋姫には友達が少ない。
男友達など、学校ではまさか、まさか……
「……」
「…………えひ。
シャレにならんけど……よかったよな。」
陰気な笑みを浮かべる。
そして。
スス
ス
「……なんかロールケーキ?
駅ナカで売ってるやつ希望か何とか……そういう依頼……」
「……えひ。
パーティ組む?」
(なんか気ぃ遣われてんのかこれ……?)
ここでフッておいてまた会うのも気まずい。
行き先が同じで済むなら、まあ一緒にクリアするのも悪くはない。
239
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』/灰羽先里『一般人』
:2015/11/02(月) 23:48:44
>>238
「ちょうど駅にいてラッキーですね」
「俺たちは何買えばいいんだ?」
「う、ん……まあ、お姉さんの買い物先でいいのがあればそれ買おう」
というわけで、3人はパーティを組むことになった。
小学生どもは買うものが決まっていないようなので、とりあえず恋姫についていくようだ。
「お姉さんのお友達は結構怪我、重いんですか?」
「こっちはどうだっけ?」
「1ヶ月と3ヶ月だな……お前、自分の姉の状態くらい覚えとけよ」
240
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/02(月) 23:57:55
>>439
「えひ。タイミングいいよな……
RPGなら……あちこちたらいまわしされるとこだ。」
スス
トン
「んじゃ、いこ……」
トコ
トコ
駅の中へ向かおう。
そっちにはコンビニもあるはずだし。
(しかし朱鷺宮……あいつ意外にスイーツ好きか……)
・・・そして。
「……えひ、グレイズだな。
僕んとこも、ほとんど同じ……
ほんと……生きててよかった。」
(事故っつーか……アレだけどな……こっちは。)
トコ
「あ……ちょい寄らせて。
雑誌も頼まれてんだよな……」
とりあえずコンビニに寄る。
暇つぶしとか乱数調整ではなく、雑誌を買うためだ。
241
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』/灰羽先里『一般人』
:2015/11/03(火) 00:05:45
>>240
「雑誌ですか。ふむ。食べ物よりも暇つぶしのほうがいいか……?」
「スマホがあればいくらでも暇潰せるだろ。
少なくともうちの姉ちゃんは心配いらねー」
仔カルガモのように小学生ズが後ろをついてくる。
コンビニに入ると、それぞれ何を買うか探してか、いったんバラバラに離脱したが。
「コンビニによく置いてある総集編っぽい漫画なんてどうだろうか」
「俺はスルメイカにしよう」
「お前のお姉ちゃんスルメイカ好きなの?」
「姉ちゃんがいらなかったら俺が食う」
「ああ、そう……」
242
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/03(火) 00:22:21
>>241
「えひ、僕のはあった……雑誌、と……」
恋姫は週刊誌を買った。
それと、もうひとつ。
デン!
「ゲームも欲しいらしくてな……
ハード持ってないなら、始める前からゲーム―オーバーだが……」
「まあ……持ってるだろ。
ゲーマー的に考えて……」
(もし持ってなかったら……
どうするかな……こいつらにやるか……?
朱鷺宮には僕のゲームでも貸してやるか……)
安価なDL専売パズルゲーム。
まさかハードごとくれ、ってことじゃああるまい。
「……んじゃ、ケーキ屋とやらに行こうぜ。」
トコ
トコ
お会計を済まし、向かおう。
駅ナカのケーキ屋。普段はまず行かない店だ……
243
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』/灰羽先里『一般人』
:2015/11/03(火) 00:33:59
>>242
「ハードとか聞いてないで大丈夫なんですか?」
「スマホのアプリでいいんじゃねえ?」
「ま、まあ、わざわざ買ってきてって言ってるんだから、
アプリはいいのがないんじゃないの? 多分……
私スマホ持ってないから詳しく知らないけど」
相変わらず好き勝手言いう少年少女。
女の子は結局、総集編な漫画を買ったようだ。
2人ともゲームには興味が薄いらしい。パズルだからかもしれないが。
「ケーキかぁ、うーん、コンビニのやつより高けーよなきっと」
「さあ……私も普段行かないから知らないけど、
安いのもあるんじゃないのか? とりあえず行ってみよう」
244
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/03(火) 00:45:31
>>243
「……連絡先知ってんだし聞けばよかったか。」
「凡ミス〜……
えひ、てへぺろ……」
ニヤ
口で言うだけ。
舌を出してペロッとはしない。
「まあ……サプライズってことにしとこう……」
トコ
トコ
ケーキショップとやらに行こう。
どこにあるのかもしれないが――
「……ん。」
フワ
フワ
何となく甘い匂いが漂ってきた。
クリームとかそーいう匂いだ。
「えひ……クエストクリア、近いっぽいな。」
(妙なのにエンカしなきゃだが……
えひ、フラグ乙……つーか今は洒落ならん……)
子連れ恋姫だ。
絡まれたりはするわけにはいかない。しないだろうが。
245
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』/灰羽先里『一般人』
:2015/11/03(火) 00:54:47
>>244
「もしかしてこの姉ちゃん金持ちなんじゃないか? 美人だし……」
「美人ってことは関係あるのか? 確かに綺麗な人だけど……」
コンビニの安いものであろうと、ゲームを気軽に買うというのは
小学生からしたら大変金持ちに見えるらしい。
さらに2人で話しているせいか、遠慮のない言葉も飛び出す。悪口ではなく褒め言葉だが。
2人は特にフラグなどは感じていないらしい。
「ん? 安心しろ、立花も可愛いぞ」
「えっ、ああ、お、おう……」
「なんか今日は可愛い格好してるな」
「い、いや、この格好は母がな……」
と思ったらなんか男の子が女の子をテレさせている。
やはりリア充なのか?
246
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/03(火) 01:09:17
>>245
「えひ……おだててもサービスとかは……」
イラ
「……ないだろ。
常識的に考えて……」
(急にイチャイチャデレデレしやがって……
少なくとも男の方は将来チャラ男なの確定的に明らかだなこれ……)
突如始まったリア充ムーヴ。
敵は外ではなく、内にいたとは……
(まああれか……?
微笑ましいラブコメってやつか……)
・・・・とはいえ相手は小学生。
「……こっちかなぁ〜?」
フワ
ちなみにゲームは600円くらいだ。
そして恋姫には、稼ぎがある。
トコ トコ
「…………! あれっぽいな。
リア充……スイーツオーラがプンプンしてる……」
「えひひ。
んじゃ、買うか……」
キラ
キラ〜
ようやっと、ケーキショップを見つけた。
少し客はいるが――並ぶとかはいらなさそうだ。
247
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』/灰羽先里『一般人』
:2015/11/03(火) 01:17:03
>>246
「あれがケーキ屋ですか。いい匂いがしますね」
2人で会話していて少し遅れ気味だったので、
女の子のほうが小走りでテテテと走って恋姫の横に並んだ。
男の子が褒めてくるのが苦手で、逃げてきたのかもしれない。
「スイーツオーラってなんだ!? なんか強そう」
「目には見えないオーラなんだよ……」
「くっ、俺にはオーラを感じ取れないというのか」
遅れて追いついてきた男の子が恋姫の戯言を真に受けて騒いでいる。
彼にとってオーラと言ったら戦闘力が上がりそうな言葉なのかもしれない。漫画脳か。
248
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/03(火) 01:26:28
>>247
「あー……僕はああいう……
甘いお菓子、あんま好きじゃないんだよな。」
ヒク
鼻を少しひくつかせつつ言う。
これは、どちらかというと事実だ。
・・・・そして。
「えひ、気功術かよ……
まあ……オーラはともかく買ってくるわ……」
「ロールケーキ……
ロールケーキ……」
トコトコ
店の方に行く恋姫。
ここでケーキを買って、そのままバスで病院だ。
「すいませぇーん……」
買おう。
売り切れではないはずだし。
(そういや……梨はいいのか?
まあ……あとで聞いてみるか、一応……)
まあ多少の懸念はあるが――
249
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』/灰羽先里『一般人』
:2015/11/03(火) 01:36:43
>>248
ロールケーキは普通に売っていた。
フルーツがたっぷり入っているので、果物はいらないかもしれない。
「私はこういうフルーツがいっぱい入ってるのより、
なんにも入ってないシンプルなやつが好きだな。
昔は味の変化がないと飽きたりしたんだが、子供の舌だと単調でもいけるんだよな……」
「立花は幼稚園とか行ってたころのほうが大人の舌だったのか?」
「え?」
「え?」
小学生はなにかよくわからないコントをしている。
「おっクッキーあるじゃん。安いし、買おうぜ」
「またもやお前が食べたいだけだろ……」
250
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/03(火) 01:48:51
>>249
小学生コントを後ろに聞く。
何ともフシギな内容ではあるが――
(大人ぶりたいなら分かるが……
子供ぶりたい……とかでもないよなこれ?)
(……えひ、消防トークに深読みもアレか。)
まあ……今はいい。
アリガトウゴザイマシター
「……」
トコ
「……? えひ、何か買うのか? スイーツってやつ。」
ロールケーキを買った恋姫。
これで差し入れセットは万全だ。
・・・・善は急げ。
そろそろ行こう。
(RTAじゃないけど……
ヒマしてるみたいだしな……えひ。)
何か買うならそれを待ち、バス停へ。
病院近くには駅があった――はず。
251
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』/灰羽先里『一般人』
:2015/11/03(火) 02:14:56
>>250
「ほら、行くぞー」
「ちょっ待て、今金を払う!」
女の子が、男の子を急かしている声が後ろから聞こえた。
そして小走りで2人が追いついてきて、3人はバス停へ向かった。
→ ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/netgame/9003/1439312622/93へ
252
:
牡丹『ウェイト・アンティル・ダーク』
:2015/11/07(土) 23:14:37
秋というにはまだ寒く、冬というにはまだ温い夜。
いつもの法被とステテコ姿で、震えながら駅前を行く。
夏の風物詩が花火であるなら、この時期の風物詩は―――
「どーもーーっ、空いてる?」
おでんの屋台だ。
駅前や飲み屋街によくある一軒の暖簾を潜り、適当に席を選ぶ。
この手の店は、広くないと相場で決まっている。
誰かの隣に座ることになるかもしれない。
253
:
高井戸リルカ『アングラガルド』
:2015/11/08(日) 00:03:14
>>252
「ねー、おみそ!」
と、隣からこの屋台には似つかわしくないほど幼い声が聞こえてくる。
どうやら先に座っていたらしいぞ。
「もっとおみそー!
おみそかけてなのー!」
そこには、小学生くらいしかなさそうな少女が、
おでんの串を持って店の人に何やらせがんでいた。
暖かそうなコートを羽織っているものの、少女一人だ
ちなみにその持っているおでんはちくわと卵…
そこに塗りたくられたかのように味噌が塗られている。
「んー…
もっとほしいのにーなの…」
どうやらその上にあったこんにゃくはもう食べ終えてしまったようだ。
味噌おでんを食べているらしいことはわかるが…
254
:
牡丹『ウェイト・アンティル・ダーク』
:2015/11/08(日) 00:25:54
>>253
「大根とちくわとじゃがいも。
……あと日本酒、ぬる燗ね」
ひとまず注文を済ませ、隣の少女に向く。
子供が一人で来るような店じゃあない。
それは入るべきではないという意味ではなく。
「お嬢ちゃん、一人かい? お父さんとかお母さんは?」
こんな寒い日に、子供をほったらかしにしとくのがあり得ない。
加えて、この界隈ならもっと、子供が好みそうな店がたくさんある。
そういう意味だ。
255
:
高井戸リルカ『アングラガルド』
:2015/11/08(日) 00:29:59
>>254
「んー…
おみそおかわりーなのー」
そう言って卵を口の中に放り込んでまた何か要求している。
「…んー?」
自分に対して声をかけられた。
リルカはそう感じたのか、視線を牡丹の方へと向けた。
「おうち、すぐちかくだったからーなのー。」
そう言って白亜荘の方向を指差して微笑んだ。
額にゴーグルを載せている。
「おとーさんとおかーさん?
えーっと…たしかとーいとーいところ…
あ、そうだなの。」
そう言って両手をパンと叩いた。
「いまは『じごく』なのー!」
爽やかに答える。
「あ、あたらしーのなのー!」
そう言って次の味噌おでんが現れたのを見てまた微笑んだ。
256
:
牡丹『ウェイト・アンティル・ダーク』
:2015/11/08(日) 00:40:58
>>255
>「いまは『じごく』なのー!」
「そ、そうかい……そりゃ、なんとも……」
反応に窮する答えが返ってきた。
『じごく』というのもそうだが、それを嬉々として答えているのもそうだ。
運ばれてきた燗を猪口に注ぎ、一口飲んで間を置く。
詳細を確かめる気にはならなかったが、想像はつく。
ロクでもない親だろう、ということだ。もちろん、それを子供の前で口にしたりはしない。
「……親父さん、この子の勘定、アタシと一緒にしといてね」
そうカウンター越しに告げ、改めて向き直る。
「今日は好きなだけ食べな」
「アタシ、牡丹っていうの。お嬢ちゃん、名前は?」
257
:
高井戸リルカ『アングラガルド』
:2015/11/08(日) 00:45:40
>>256
「でも、すぐにあえないし、
もどってこれないところっていわれたから…
ひとりでさみしくないようにしないとなのー。」
少しさみしそうにつぶやきながらまたおでんを食べる。
「おみそー、なのー」
すぐに味噌を要求し始めている。
「んー?すきなだけなのー?
ありがと!おなかすいてたからなのー!」
嬉しそうにリルカは微笑んで見せる。
そして、なんだかどんどんと注文し始めている。
「…あ、わたしのなまえはー…
たかいど リルカ っていうなまえなのー。
しょーがくせい、なのー。」
そう言って軽く頭を下げた。
家に住み始めたおかげか、小綺麗な感じである。
258
:
牡丹『ウェイト・アンティル・ダーク』
:2015/11/08(日) 00:58:49
>>257
少女に気付かれないように、静かに奥歯を強く噛む。
どれだけロクデナシでも、この子には唯一無二の親ということだろう。
「……」
そして、やはり気付かれないように財布の中身を確かめる。
屋台のおでんは基本的に安い。その分、酒で利益を取るからだ。
大丈夫だろう。……たぶん。
「小学生ねー…… おでんが好きなの?
言っちゃあなんだけど、子供が来て楽しい店じゃあないんじゃない?」
それに、ただ食べるだけならコンビニの方がもっと安い。
尋ねつつ、箸でじゃがいもを崩す。
259
:
高井戸リルカ『アングラガルド』
:2015/11/08(日) 01:10:35
>>258
「んー、いっぱいたべられてしあわせーなのー。」
幸せそうな表情でむしゃむしゃ味噌おでんを食べ続ける…
いかにも何の悩みもなさそうな感じだ。
何も知らないのだろうか。
「んー?おでんは…
おみそがいっぱいもらえてすきかなーなの。」
そう言って味噌おでんをまた口の中に運んでいく。
「ここねー、おみそいっぱいあるんだよなのー」
そう言ってまたいろいろ食べ終えると…
「おみそーおかわりー」
そう言ってまた店の人に声をかけた。
「それに、えーっと…はくあ…そういうなまえのおうちに
ちかーいところにあったから、いってみよっかなーっておもってなのー」
そう言って軽く微笑んで見せる。
260
:
牡丹『ウェイト・アンティル・ダーク』
:2015/11/08(日) 01:21:45
>>259
「味噌ねぇー。味噌も美味いねぇ。
身体にも良い。……まあ、食べ過ぎると塩分がアレだけど」
ツボからからしを取り、皿に落とす。
味噌もウマイが、酒のアテにはこっちの方が良い。
「はくあ? ……ああ、『白亜荘』!
ってーと、小学生ってことは『秋映学園』かい?」
寮の管理人は事情を知っているのだろうか。
ふと気になったが、そこまで首を突っ込むのも野暮だ。
続く言葉を飲み込んで、今度はちくわにかぶりつく。
「……っと、風が冷たくなってきたね。
お嬢ちゃん、寒くない? 大丈夫かい?」
261
:
高井戸リルカ『アングラガルド』
:2015/11/08(日) 01:25:59
>>260
「うーん、おみそだいすきだからなのー。
いっぱいあってしあわせなの」
軽く微笑みながらまたもぐもぐとおでんを食べた。
「んー、あ、そうなのー。
そこにいるのー。
おうちからちかいがっこなのー。」
どうやらその通りらしい。
一応彼女は管理人と話を通してある。
スタンド使いであるが故だろうか。
「んー、ちょっとまえはあつかったのに
こんどはさむいのー。
…でもこれはおいしいのー。」
コートを羽織っているが、やはり少し寒いのかもしれない。
おでんを食べているおかげでまだ暖かいようだが。
「おいしいのがいっぱいあるから、
ちょっとあったかいかなーなの。」
もうすでにおでんの串は6本くらいは皿の上に転がっている。
結構食べるのだろうか
262
:
牡丹『ウェイト・アンティル・ダーク』
:2015/11/08(日) 23:13:54
>>261
「これ掛けときな」
自分の羽織っていた法被を、少女の膝元に載せる。
毛布の代わりだ。薄手だが、無いよりはマシだろう。
(なんだか、酔っ払うような気分じゃあないね。)
最後の大根を口に運び、熱燗を飲み干す。
カウンターに四、五枚札を置き、
「明日また来るよ。釣りはそん時にちょうだい」
「お嬢ちゃん、アタシ帰るから。食べ終わったら、
その法被、ここのおじさんに渡しといてもらってもいいかい?」
そう言って、席を立つ。
別れ際に、少女の頭を軽く撫で、暖簾の外へ。
「うー、さむさむ……」
263
:
高井戸リルカ『アングラガルド』
:2015/11/08(日) 23:17:23
>>262
「ん、ありがとうなの。
ちょっとあったかくなってきたのー。」
嬉しそうに牡丹に顔を向けた。
「あー、もうかえるなのー?
じゃあ、これはおじさんにわたしとくからねなのー」
そう言って大きくうなずいてから牡丹に大きく手を振る。
「おねーちゃんまたあおうねなのー!」
そう言って彼女を送ったあと…
「あ、おかわりー!」
またしてもリルカは味噌おでんのおかわりを注文したのであった。
264
:
宝塚『ヴェルサイユ』
:2015/11/11(水) 23:01:34
『プオォ――z__ン』
「……随分遠くまで来たもんだ」
列車が走り去る。
『真紅のスーツ』が、改札を抜けて、駅から出てくる。
腕には、鮮やかな赤の『トランク』。
胸には、金に輝く『バラの造花』。
265
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/11(水) 23:08:55
>>264
「……うおっ。」
(なんだあれ……派手なカッコしてんな……)
ジロ
『宝塚』に反応する少女が一人。
べつに知り合いでも、ない。
(なんかのコスか……?
えひ、それか『スーパースター』か……?)
桜色の目。黒いロングヘア。
人形の様な顔立ちの、小柄な少女――『稗田 恋姫』。
この町のご当地アイドルだが……まあ、あまり有名でもない。
チリン
チリーーン
そして。
「……っと。」
走って来た自転車を避けようとして――
コロッ
「あっ……」
手に持っていた袋から、『ガチャガチャのカプセル』が落ちた。
コロコロ
コロリ
ちょうど、『宝塚』の前に。
「あー……」
(変なフラグ、立たなきゃいいけど……)
拾うために、歩み寄っていく。
266
:
鷲ノ巣『ゴールディー』
:2015/11/11(水) 23:12:23
「…………くぁ。……」
「うぅ。……」
あくびが漏れたのを、拳の甲を当てて、塞いだ。
「町並み、は……変わら、ない。……か」
黒髪黒瞳の少女が歩いている。
眼が大きく、視線の動きは定まらず、落ち着きに欠ける。
退院してしばらくぶりに、町を散策に歩いてきているのだ。
>>264
(宝塚)
気づいてはいない。
こちらが気づけば、『知り合い』だったのを思い出すだろう。
267
:
宝塚『ヴェルサイユ』
:2015/11/11(水) 23:18:52
>>265
「……ん?」
足元に転がってくる『ガチャガチャのカプセル』を無造作に拾い上げ――
ようとして、寄って来た少女と目を合わせる。
「おいおい、気ィ付けなよ?
――しかし、これ」
気安く声をかけたあと、
足元の『カプセル』を見つめ。
「どっかで見たこと、あるような気がすんなあ……
なんだっけ、『モット君』とか何とかいう――」
遠い記憶を探るように、そう呟いた。
268
:
宝塚『ヴェルサイユ』
:2015/11/11(水) 23:22:22
>>266
足元に視線を落としているので、まだ気付いていない。
もし気付けばすぐに思い出す――いや、そもそも、
何年会わずとも、忘れるはずがない。
269
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/11(水) 23:27:52
>>267
(宝塚)
「えひ、すいませぇん……」
ス
陰気な笑み。
しゃがみ、拾う。
カプセルの中身は『空っぽ』だ。
・・・・そして。
「……モット君、知ってんのか……えひ。
そのカプセルだよ……お前もあれに課金したクチか……?」
「もしそうなら……
人は見かけによらないな……」
思わぬ共通の知人。
笑みをこぼしつつ、カプセルは袋に納めた。
(……てことは、こいつも『そう』か。
バーゲンセール……えひ、いまさらか。)
>>266
(鷲ノ巣)
もちろん知らない顔だ。
目線の端に入ってはいるが――
(めっちゃ挙動不審だなあいつ……『キョロ充』か?)
(僕も……人のことは言えんが。えひ。)
あまり気には留めていない。
鷲ノ巣が一方的に恋姫を知っている可能性は、ないではないが。
270
:
鷲ノ巣『ゴールディー』
:2015/11/11(水) 23:36:44
>>269
(稗田)
キロ リ
眼が動く――知った顔、よく知らない顔、記憶を探る。
覚えている……ような? イマイチはっきりとしない。
(当然でもある。タレントがそこらを歩いてるという発想がないからだ。)
(…………級友。……は、ない、ね。……)
穏当な選択肢。『無視』。
視線を外して、歩みを進めようとしたところで、
>>267-268
(宝塚)
「………………え」
「え、ええ――ッ!?」
声が出た。自分に似合わない大声だ。
咄嗟に来ている服を隠すように両手が胸とスカートのあたりを彷徨う。
ゴシック調のボレロにスカート。退院したばかりと『キメすぎた』。
奇異の眼で見られるのはまだいい。知り合いに見られるのは――
チリリ
かけている『土星のネックレス』が首元で揺れる。
271
:
宝塚『ヴェルサイユ』
:2015/11/11(水) 23:44:31
>>269
「ああ……昔『15万』ほど突っ込んだ。
フィギュアも手に入れたんだが――どこやったかな、あれ」
忘れちまった、と豪快に笑い、
ふと、寂しげな顔を浮かべた。
「そう――そん時は『知り合い』に案内してもらったんだった。
懐かしいな……今、どこで何やってんだろう」
寂寥感をはらんだ風が、駅前を吹き抜ける。
>>270
> 「え、ええ――ッ!?」
「ん――!?」
突然の『叫び声』に、『まさか』って顔であたりを見回す。
今の声は、『まさか』。
「れ」
「――――廉?」
突然現れた『知り合い』に、少し間の抜けた声で呼びかける。
272
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/11(水) 23:58:45
>>270
(鷲ノ巣)
>>271
(宝塚)
「15万か……スマホゲーなら十分廃人だよな、常識的に考えて。」
自分はそれよりも多い。
なんだか金銭感覚がマヒしそうだ。
ビュ ォォ
風。そこに込められた意味は、恋姫には推し量れないが――
「あー……その知りあいってのは、僕は知らんけど……」
「モット君なら……僕、たまに遊ぶよ。
マフィーもだけど……ゲーム通信プレイで。」
ゲーム仲間だ。ともだちコードも知っている。
ときたま『狩猟ゲーム』で通信協力するのだ。
・・・・それを教えたのは、なんとなくだ。
「どこ住みかとかは知らんけど、この辺で――」
と、そこに鷲ノ巣の大声。
(えひっ、声でけえ……)
「えひ……知りあいか……」
(気まず〜〜……)
知りあい二人、初対面の恋姫。
ここで気さくに話せるほどのコミュ力はない。
そういうわけで。
「あー……僕はお邪魔キャラかなこれ。
えひ、まあ、後はお若い二人でごゆっくりぃ……」
・・・・その場を去ろうとする。
止められれば止まる。
が、まあ、知り合い同士積もる話もあるだろう……
(世間ROMって14年は経つんだし……そこんとこは空気読むわ……)
273
:
鷲ノ巣『ゴールディー』
:2015/11/12(木) 00:16:55
>>271
(宝塚)
久しぶりに会った。宝塚は変わっていない。自分は――自分は?
少なくともあの頃着ていたのは、制服が多かった覚えがある。
(それよりも、挨拶……挨拶……って、なんだっけ)
グルン グルン
思考が脳内を駆け巡り、動悸が止まらない。
久しぶりに会うのだからなんと声をかければいいのか。
「…………ぅ……ぁ。……」
《ガギ ギ》
声が出ない。いっそ逃げ出してしまいたい。
『自己防衛本能』が生じ……それに『応じる』。
ズズ ズ・・・・・
ギヂ ギヂヂン
『瑠璃色の像』、『巨眼の怪物』が姿を現し、本体に覆いかぶさる。
大顎を擦り合わせ、噛みしめて、異様な音を立てている。
>>272
(稗田)
既に意識から外れている。
スタンドの像は目撃された……、かもしれない。
274
:
宝塚『ヴェルサイユ』
:2015/11/12(木) 00:29:15
>>272
「そうか、モット君もマフィーも元気でやってんのか。
いや、最近見てなかったから何かホッとしたぜ……ありがとな」
礼を言うと、立ち去る稗田を見送る。
「あー、ま、そうだな……いや、気を使わせちまったか。
またなーッ」
>>273
「あー、『久しぶり』だな」
稗田を見送った後、鷲ノ巣と正対する。
その落ち着かない様子も、今は懐かしい。
……少しばかり動揺が激しすぎる気もするが。
「こら、廉。アタシ相手に遠慮はいらねえだろ。
『今まで通り』――それで、良いんじゃねえか?
とりあえず、『久しぶり』。だろ?」
鷲ノ巣の発現した懐かしい『それ』に、
何ら躊躇わずに歩み寄る。
影を踏まないように、そっと。
(こんな流れでブン殴られたことも――あったっけか)
275
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/12(木) 00:35:35
>>273
>>274
(鷲ノ巣、宝塚)
「えひ……気にスンなし。
マフィーに会ったらよろしく……」
「んじゃ……」
トコ
トコ
その場を歩き去った。
その目には――
ズズ ズ・・・・・
ギヂ ギヂヂン
(……やっぱスタンド使いか。
ここで帰ったのは……えひ。
フラグ的に、ミスじゃなさそうだな……)
「……こわちか〜。」
鷲ノ巣のスタンドを捉えていた。
危険そうなヴィジョン。
どうやら、今日の自分は空気を読めていたらしい。
276
:
鷲ノ巣『ゴールディー』
:2015/11/12(木) 00:46:19
>>274
(宝塚)
《ギギ ガギィー》
唸り声を上げているが、飛びかかりはしない。
本体はあわあわと口を開いて閉じたりしている。
>「こら、廉。アタシ相手に遠慮はいらねえだろ。
>『今まで通り』――それで、良いんじゃねえか?
>とりあえず、『久しぶり』。だろ?」
「…………………………」
「……は、はひ。……」
バッ
気が抜けたような返答しか出来ず、口を抑えて顔を背けた。
みっともない、みっともないが……こんなものかもしれない。
「うれ、しいです。……その、ひさ、しぶり、に、会え、て。……」
「え、えと。……旅行、です、か? 移住、とか?
もし、そうなら……住むところとか決まって……?」
何を聞いたらいいか判らないので、思いつく質問を聞いた。
277
:
宝塚『ヴェルサイユ』
:2015/11/12(木) 00:54:53
>>276
「――ああ、アタシも嬉しいぜ、廉」
ニカッ、と笑う。そうだ、これでいい。
「んー、まあ『引越し』だな。ちょっと『心機一転』したくなってよ。
いらないもん全部処分したら、これしか残んなかった」
手持ちの『トランク』をさして笑う。
「住むとこも決めてねえな。これから探すつもりだけどよ……
廉、いいとこ知らないか?」
278
:
鷲ノ巣『ゴールディー』
:2015/11/12(木) 01:08:33
>>277
(宝塚)
「…………そ、そうなん、です、……か」
『嬉しい!』 改めてそう思った。
言葉には出さない。表情にも……いや、表情には出るかも。
両手で頬を押さえ、火照っているのを改めて実感した。
「…………いいとこ、いいところ。
えっと、ええと……アキラさん、いくつ、でした、け」
「あ、あ……でも、大丈夫、か……な?」
スマホを取り出し、マップ検索を開始する。
279
:
宝塚『ヴェルサイユ』
:2015/11/12(木) 01:13:05
>>278
「おうよ。廉もこっちにいるなんてなあ……
また会えて良かったよ。本当に」
幾分声のトーンを抑えて、実感の篭った声で言う。
一切偽りの無い本心だった。
「お、どっか紹介してくれるのか?」
「アタシ?『24』だけど」
なにやら検索を始めた鷲ノ巣を、
期待をこめて見守る。
280
:
鷲ノ巣『ゴールディー』
:2015/11/12(木) 01:19:56
>>279
(宝塚)
「が、学生でなくても……えと、もしかしたら。……」
ス
スマホの画面を宝塚に向ける。
表示されているのは――『メインストリート』の一角。
『白亜荘』、という場所のようだ。『学生寮』とあるが……
「ここ、オーナーが篤志家? で……ええと、えと。……
面接みたいなのでOKが出る、と入れる、かも、です」
「あ、一緒に行きますから、大丈夫です。説明しますから。……」
わたわたと手を振って必死な表情で伝える。
281
:
宝塚『ヴェルサイユ』
:2015/11/12(木) 01:25:59
>>280
「が、『学生寮』……か」
思わず、自分の服装をまじまじと眺めた。
どっからどう見ても、間違いなく学生には見えなかろう。
「ま、まあ、廉がそう言うなら――(ダメ元で)行ってみる、か」
「入居者の口利きがあれば、多少通りやすくなるかもしれねえし」
自分に言い聞かせるように呟くと、鷲ノ巣の方を向いた。
わたわたする鷲ノ巣を落ち着かせるように、ポン、と頭に手を置く。
「っし、行こうぜ、廉。その『白亜荘』に」
282
:
鷲ノ巣『ゴールディー』
:2015/11/12(木) 01:34:17
>>281
(宝塚)
「にゅ、入居者じゃないけど伝手ありますッ!
お知り合いというかなんというかがええと……ッ」
――――どこまで説明したモノか。
あそこの特殊性などは、聞かれると引かれるかもしれない。
「い、いきましょう。大丈夫です、多分」
カツン カツン カツン
大股でぎこちない歩調で歩き出す。
どうなる、どうなる……不安はある。動悸は止まらない。
「……あ、は、は」
『楽しい』。これこそが出てきた甲斐があったというか。
「ま、また仲良くしてください、ねッ」
背を向けたまま、後ろに続くであろう宝塚に頼む。
正面から出は恥ずかしくて言えないからだ……
283
:
宝塚『ヴェルサイユ』
:2015/11/12(木) 01:42:16
>>282
「ふゥん……ま、信じるぜ。
さあ、出発だ」
迷い無く、鷲ノ巣についていく。
『信じる』ことは、ちっとも難しくない。
「あったり前だろ?
これから、『また』よろしくな、廉ッ」
背中越しに、鷲ノ巣に言葉を投げかける。
顔を見られずにすんでよかった、と、少し思った。
きっと、照れ臭そうな顔をしているだろうから。
284
:
鷲ノ巣『ゴールディー』
:2015/11/12(木) 01:46:56
>>283
(宝塚)
「………………ッ!!」
嬉しさに肩を震わせながら――歩みを進める。
向かうべきは『白亜荘』。しかし大丈夫だろうか。
「(入れられるかもしれなかったんだよ、ね。……)」
「(『スタンド使いばかりの寮』)」
続きは以下のスレにて――
【個】学生寮『白亜荘』 その3
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/netgame/9003/1408367127/
285
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』
:2015/11/12(木) 23:14:52
駅前のベンチに小学生くらいの女の子が座っていた。
頬杖をついて、ぼうっと植え込みを眺めている。
「募金詐欺……いやいや、無いな」
286
:
森ノ宮『スカイダンサー』
:2015/11/12(木) 23:58:11
>>285
佇む立花。
目の前の植え込みを眺めている。すると――
「しまった、高度調整ミスッ――」
『ボスッ!』
……植え込みに『誰か』突っ込んだぞ。
『顔面』から行ったらしく、ジタバタともがいている。
しかも『奇妙』なことに、
そいつは『空』から降って来たように見えた。
287
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』
:2015/11/13(金) 00:02:52
>>286
「……?」
空から降ってきた人間に、
少女は数秒ほど、ぽかんと口を開けて眼をぱちくりさせた。
「……あの、大丈夫ですか?」
とりあえず近寄り、定番の声をかけてみる。
だが頭が埋まっていて聞き取れるのだろうか。
それ以前に呼吸ができるのか。
288
:
森ノ宮『スカイダンサー』
:2015/11/13(金) 00:13:28
>>287
「・・・!」
「・・・・・・!!」
何か叫んでいるようだが、全く聞き取れない。
どうやら、声は届いているようだ。
立花の危惧は正しいようで、バタバタする
手足の動きが徐々に弱まっていく。どうも苦しそうだ。
助けてみますか? Y/N
289
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』
:2015/11/13(金) 00:21:38
>>288
「大丈夫……ではなさそうですね」
さすがに見殺しにするつもりは無い。
しかしどうやって抜くべきか。
少女は力に自信はなかったし、『超能力』もこの状況で使えるようなものではない。
「と、言ってられる状況でもないか。
精々踏ん張るしかないな……」
助けてみますか? →Y/N
腰を掴み、ぐいぐい引っ張ってみることにした。
290
:
森ノ宮『スカイダンサー』
:2015/11/13(金) 00:31:59
>>289
『グイグイ』
頑張って腰の辺りを引っ張ってみるが、案外しっかり
植え込みにハマっているのか、中々首が抜けてくれない。
「・・・ぬ!」 「・・・ぬって!」
何やら、そいつが叫んでいるようだが……
腕で、首の周りの植え込みを指差している。
そちらを先に『どけてくれ』ということだろうか?
291
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』
:2015/11/13(金) 00:39:29
>>290
「縫って……塗る……?」
言葉の意味はよくわからないが、
ジェスチャーはなんとなく伝わったようだ。
「痛たた」
袖で手を隠しても刺さる枝葉を、
痛がりながらもぐいぐいと掻き分けてみる。
292
:
森ノ宮『スカイダンサー』
:2015/11/13(金) 00:44:41
>>291
チクチクする枝を掻き分けると、だいぶ息が楽になったのか、
ジタバタする動きがおさまった。
「ご、ごめん、だいぶ・・・楽になった・・・よ」
途切れ途切れに、植え込みから声が聞こえてくる。
そのまま、そいつは植え込みに足をかけた。
「呼吸さえできれば・・・っとォ!」
『ス ポ』
「あ、うわ、ッ」
そのまま踏ん張り、首を引っこ抜き――
勢い余って、後ろに倒れこむ。
293
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』
:2015/11/13(金) 00:53:26
>>292
「にゃあ!?」
少女は森ノ宮のすぐ前に立っていた。
そして森ノ宮が勢い良く頭を引き抜いた動きに、
なんかこう、足が当たったりして巻き込まれて、
具体的にどういった動きが加わったのかはわからないが――
森ノ宮(成人男性)の顔面は、立花(小学生女児)の尻の下敷きになったのだ!!!!!11!
これぞ古来より伝わるラッキー・スケベ・メゾットである。
294
:
森ノ宮『スカイダンサー』
:2015/11/13(金) 00:59:59
>>293
『どこのtoloveるだよ!』と突っ込まれそうな状況になった。
「痛ててて・・・って、うわ、ごめん、大丈夫!?」
『お約束』みたいな反応をしつつ、
身を起こそうとしたが、立花が乗っかっているのに気付いた。
「ごめん、俺がちゃんと確認すれば・・・ええと、立てる?」
尻の下からなのでカッコはつかないが、
とりあえず気遣った。
ムリに立ち上がろうとすると状況が悪化しそうだしね!
295
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』
:2015/11/13(金) 01:08:16
>>294
「えっ? ああっ……すいません、乗ってしまって」
少女の慌てた声と共に森ノ宮の視界が開く。
森ノ宮は、自分の顔の上に乗っていたものが、色は白でクマのプリントであることを確認してもよい。
土に顔を突っ込んでいた森ノ宮に乗ったためか、
彼女の尻も土で少し汚れていることを見抜き、手で土を落としてやるのもいいだろう……
「……ええと、それで、大丈夫ですか?」
少女は再度訪ねてくる。
296
:
森ノ宮『スカイダンサー』
:2015/11/13(金) 01:14:27
>>295
地の文でセクハラ方面に誘導されている・・・!?
「あ・・・っ、ああ、大丈夫さ。
息が出来ないんで、少しパニクっちまって。ありがとね」
チラッと『クマ』を見てしまったからか、
少し『罪悪感』的なものを滲ませつつお礼を述べた。
「こんな小さい子に助けてもらってたとは思わなかったけど・・・
いや、なんか情けないな」
「お礼に何かあげるものも、ちょっと手元に無いし・・・ううん」
何やら思い悩んでいるようだ。
297
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』
:2015/11/13(金) 01:19:54
>>296
「いえ、別にお礼は構いません。
顔、汚れてますよ」
少女は恩に着せるつもりはないようだし、
さらに言えば特に怒っても気にしてもいないようだ。
森ノ宮の顔についた土を優しく取る。
「……ところでなんで空から降ってきたんですか?
飛び降り自殺では無いと思いますけど」
298
:
森ノ宮『スカイダンサー』
:2015/11/13(金) 01:30:01
>>297
「ありがとう・・・」
優しい子だ。ちょっと和んだ。
「あっ、その・・・『スタンド』、じゃない、『スタント』の練習中でね。
ちょっと『飛びすぎて』、着地に失敗したんだけどさ」
どう説明したもんか、と悩んでからこう言った。
「人が空を飛べる・・・って言っても信じてくれないかな・・・?」
299
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』
:2015/11/13(金) 01:41:40
>>298
「スタン……ト。スタントマンの方なんですか。
空を飛ぶというと、最近ネットで見ましたね。
ジャングルの王者……というか、ムササビみたいな感じのスーツを着て
高いところから飛び降りるっていう」
動画を見たい方はウイングスーツで検索だ!
「でも相当危なそうですね。
あなたは普通の服だから、私がネットで見た空を飛ぶ方法ではないとは思いますが、
やっぱり落っこちることもあるみたいですし。
まあ、スタントマンなら危ないのが仕事みたいなものでしょうけど」
300
:
森ノ宮『スカイダンサー』
:2015/11/13(金) 01:49:38
>>299
「あれは良いものだ・・・でも高いんだよね、最低でも『10万』はするんだ」
安月給じゃ買えないよ、と肩を落とした。
「普段は落ちないんだけどね・・・この街で飛ぶのは初めてだから、
ちょっと『風』を捕まえ損ねちゃった」
そう言って、男は空を見上げた。冬の透き通った青が広がっている。
「・・・っと、なんだか随分話した気がするね。そろそろ行かないと・・・
そうだ、お礼ってほどじゃないけど」
駅前の『自動販売機』に歩いていく。
「この季節は冷えるでしょ、何か一本奢るよ」
301
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』
:2015/11/13(金) 01:57:59
>>300
(若手のスタントマン……確かに貧乏そうなイメージはあるな。
金はなくても夢はありそうだが。じゃなきゃあ好き好んで危険な仕事は選ばないだろう……)
「なんだかよくわからないけどカッコよさげなことを言いますね」
少女は手を後ろに組みながら、森ノ宮についてくる。
自販機を見上げた。
(断るのも悪いしな……暖かくて適当なもの……)
「ありがとうございます。
ええと、ではお茶で」
302
:
森ノ宮『スカイダンサー』
:2015/11/13(金) 02:05:12
>>301
「ははは、男は『カッコつけ』てナンボさ――
まあ、さっきは最高にカッコ悪かったけどね」
自販機の前でICカードを取り出す。
「お茶だね、了解」
お茶とミルクコーヒーを買うと、立花にお茶を手渡す。
そうして、男は、駅前に立つ。
「それじゃ、俺はこれで・・・
『テイクオフ』、『スカイダンサー』!」
タタッ、と駆け出すと――男の足元に、『滑走路』が現れた。
傍らには、空色の『スタンド』。
男の体に、『グライダー』のような翼が現れ……たちまち風を捕まえる。
その姿はみるみる小さくなり、冬の空にとけるように消えていった。
303
:
森ノ宮『スカイダンサー』
:2015/11/13(金) 02:05:58
>>302
304
:
立花『リンネ・ラジオ』『XTC』
:2015/11/13(金) 02:13:36
>>302-303
「ありがとうございます」
再度お礼を言って、
両手でお茶を受け取り、喉を潤す少女。
「ブフッ!
ケホッ……エホッ……!」
だが次に森ノ宮が取った行動に、お茶を噴出した。
苦しそうにむせる。
「……コホッ
やっぱりかよ……というか一旦ごまかしたのに普通に発現するのか」
少女のつっこみは誰に聞かれることもなく、冬の寒空に吸い込まれていった。
305
:
穂村公康『フー・シュニッケンズ』
:2015/11/18(水) 23:23:59
ビュオォ――ッ
『老師ッ!
ヤリマシタ!
厳シキ修行ノ末ッ
トウトウ『奥義』ヲ体得シマシタ!』
『名ヅケテ”絶招””槍如遊龍”ッ!
ミテクダサイ!老師ッ!穂村老師!』 ブンッ ブンッ
「へー、あっそ。凄いね。
これ月給22万円ッて書いてっけど、総支給か?
手取りだといくらくらいなんよ。
保育園中退に金の計算なんてできねーぞ」
『ア、アノ老師?』
後ろで『槍』を振り回すスタンドを無視し、
咥え煙草でベンチに寝ころびながら求人広告雑誌を眺めている。
306
:
稲葉 承路『エンジェルシティ・アウトキャスツ』
:2015/11/18(水) 23:50:30
>>305
「・・・・・・『カネ』っつったか、今よォ〜」
何かの『におい』をかぎつけてやって来たぜ。
『アレッシーヘア』に厳つい『グラサン』の『ブ男』がな!
307
:
穂村公康『フー・シュニッケンズ』
:2015/11/19(木) 00:06:20
>>306
「あん?」
ヒョイッ
『老師ッ!
ポイ捨テハダメデス!』
求人雑誌を投げ捨て、声の主に向き直る。
ちなみに此方の容貌はトラ模様のYシャツに黒スーツ。
「よぉ。
今の仕事飽きたから、
暇潰しに仕事探してんだけどよ」
「なんかパッとしねーのな。
大体、大卒のみ、要エクセル技術てなんよ。
俺、ランドセルすら背負った事ねーし、
声変りしてから足し算覚えたんだぜ」
「無理無理。
やめたやめた。
んで、オタクは何?
半グレみてーな見た目してっけど」
308
:
稲葉 承路『エンジェルシティ・アウトキャスツ』
:2015/11/19(木) 00:15:00
>>307
向かい合う『どう見てもヤクザ』と『どう見てもチンピラ』――
『駅前』に『あってはならない』風景が展開されている。
「はァ―――?
いやいや、アンタ『小学校』すら行ってねーのかひょっとして」
「そんなもん『肉体労働』くらいしかねーだろ、仕事・・・
ま!おれも『高校中退』だがね」
呆れた。
「俺ァ通りすがりの稲葉こと『オカネスキー』よ。
だがまァ、ちょっとカネのニオイは薄まった気がするぜェ〜」
309
:
穂村公康『フー・シュニッケンズ』
:2015/11/19(木) 00:27:36
>>308
「俺?ああ、保育園中退。
なんかガキの頃捨てられたとかよ。
高校中退とかすげー高学歴じゃん」
ギュッ
煙草を踏み消し背後に投げ、
背後で構える偉丈夫のスタンドが慌ててキャッチ。
バシィッ
『ダカラ老師ッ! 「おめーが拾うの見越して
ポイ捨テハオヤメクダサイ!』 投げてるに決まってんだろ。察せよ」
「俺、穂村君ね。
黄金町のマスコットの穂村公康君。
仕事はアレよ。ヤのつく自由業で三次団体の組長代理とかそんなん」
「オタクは随分『銭ゲバ』な感じだけど、
仕事何してんの?サッカー選手には見えねーけど」
310
:
稲葉 承路『エンジェルシティ・アウトキャスツ』
:2015/11/19(木) 00:37:50
>>309
「・・・サラッと言われたがなかなか『ヘビー』な経歴よのォ〜」
苦労してんのな、というような表情を浮かべた。
グラサンのせいであんまり伝わらないかもしれん。
「フンフン、穂村か――って『ヤ』の字なのかよ!?
見た目通りじゃねーか、おい!」
見た目通りすぎる職業紹介に、「伏せろよ!」って感じで突っ込んだ。
「えぇー・・・今の仕事辞めたい、って、
そりゃ『足抜け』したいってこったろ?
そう簡単に行くモンなのか?」
まあその『ソレ』があれば大丈夫なのかもしれんがね、
という視線をチラッと『シュニッケンズ』に送った。
「あ?俺か?
いやそれが最近こっち越してきたばっかでよォー。
今は『職探し中』よ。ま、貯金はまだあるから当面問題ねーが」
311
:
穂村公康『フー・シュニッケンズ』
:2015/11/19(木) 01:10:27
>>310
「いやよ。
この間ネカフェで『サラリーマン金太郎』読んでよ。
ふと「サラリーマンやってみてェ」ッて思ったんだわ。
上司に「屋上へ行こうぜ…久々にキレちまったよ」って」
グッ
「言いてェ〜、と思ってよ。
ヤバくね?すげー痺れたわ」
「その程度の理由で職探ししてたんだけど、
やっぱタルイからやめたわ。ヤクザの方が楽だわ」
無表情のまま冗談めいた事を話す穂村。
『シュニッケンズ』は目を合わせて来た稲葉に会釈した。
「おー、おー。
アテもなくこっち来た訳な。
てか、おめーちゃんと挨拶しろよな」
『ハイッ!申シ訳アリマセン!
我ハ”フー・シュニッケンズ”!
穂村老師トトモに”武”ヲ極メントスル”スタンド”デス!』
シュビィッ!
片膝をつき、稲葉に自己紹介をする『シュニッケンズ』。
「はい、よくできました。
希望の職種とかあるわけ?」
312
:
稲葉 承路『エンジェルシティ・アウトキャスツ』
:2015/11/19(木) 01:27:19
>>311
「あー・・・それはマジな話なのか?」
冗談だよな?って顔で穂村を見た。
「おう、よろしくな。『フー・シュニッケンズ』・・・
慣れねーうちは噛みそうな名前だな」
「つーか当たり前のように出てるし普通に喋るのな」
(『モット君』みたいなモンなんかねェ〜)
なんか自己解決してた。
「希望の職種かァ〜・・・とにかく『カネ』だ!
『ドカッと儲ける』可能性がある仕事を探してる」
「そのためなら多少の『無茶』も覚悟よ。
『ヤ』のつく道には、まだ踏み込むつもりはねーけど」
そう言って、グラサンをグイッと持ち上げる。
両瞼に彫られた『¥』と『$』の『刺青』を剥き出しに、ぎらついた目を向けた。
「多少の『お手伝い』ならやれなくもねーぜ」
313
:
穂村公康『フー・シュニッケンズ』
:2015/11/19(木) 01:40:03
>>312
「いつだって大マジだっての。
なァ『バカ』?」 『シュニッケンズデス!』
「そーそー、それそれ。
おーッてお前、そのスミマジ?
拝金主義者だから『\』マークって。
ビックリマンシールを家の柱に張るガキのノリじゃねーか。
後でお母さんがカンカンに怒んぞ」
稲葉の瞼の刺青に多少驚いた様子を見せる。
「お手伝いねぇ。
俺ん所、風俗店とかオシボリとか
そんなんばっかだしハイリスクハイリターンな仕事は…」
「あ」
「あったわ。
知り合いの知り合いから回されてきた
厄介な案件が1つ」
314
:
稲葉 承路『エンジェルシティ・アウトキャスツ』
:2015/11/19(木) 02:00:38
>>313
「・・・やっぱどこも『漫才』ぽくなるのかねェ〜」
「大マジだぜェ。
むしろこれ以外に彫る『図柄』が思いつかねー」
瞼をグリグリやりながら笑う。
「・・・だよなー・・・
きょうび『ヤーさん』も安定志向ってやつか」
穂村の言葉に、やっぱりな、って調子でうなずく。
だが続く言葉に、目をギラッと輝かせた。
(金銭欲にまみれた)純粋な輝きだ。
「お?
なんかあんのか! 儲かりそーな仕事か、そいつァ」
315
:
穂村公康『フー・シュニッケンズ』
:2015/11/20(金) 00:07:09
>>314
「あのよ」
「トーキョーに住んでる俺の『兄弟分』。
その兄さんが頼まれた仕事が俺に回ってきたんだけどよ。
詳しくは聞いてねーが、あの兄さんの『依頼』なんて、
『借金取り』とか『占有屋』とかそんなエゲつねーもんばっかだし、
第一俺ぁこの町から出たくねーし」
「なぁ?」
「おめーやってみっか?
どんなウシジマ君な仕事かはわかんねーけど、
金払いだけは良いと思うぜ。俺ぁ絶対にやんねーし、
オタクがやらないっていうならなかった事にすっけど」
316
:
稲葉 承路『エンジェルシティ・アウトキャスツ』
:2015/11/20(金) 00:15:45
>>315
「ほォ〜・・・」
『エゲツない』 『カネ払いのいい仕事』
(・・・・・・
十分な『キーワード』じゃねーか、おい)
「おいおい、勝手に話進めんなよ・・・
んなもんお前、『引き受ける』に決まってんだろーが」
「この稲葉 承路さんの『黄金色』の人生にはよォ〜、
『儲け話』に『NO』と言う選択肢は存在しねーからな」
317
:
穂村公康『フー・シュニッケンズ』
:2015/11/20(金) 23:45:48
>>316
「へー、やるのな」「オッケー」
液晶にヒビの入った最新スマホを取り出し、
「稲葉』の頭を軽く、ほんとに軽くこつく。
「『樊』の兄さんにはナシつけとくわ。連絡先交換しようぜ。
そん時が来たらこっちから連絡すっからよ」
318
:
稲葉 承路『エンジェルシティ・アウトキャスツ』
:2015/11/21(土) 01:51:16
>>317
『コツッ』
「あだッ・・・へッ、まーそういうこった。よろしくなァ」
年季の入った『ガラケー』を取り出す。
(『買い替え』――? 動くんだからまだいらねーだろ。
そう『稲葉』は考えているッ)
そして連絡先を交換する――いや、
『交換する』と思った時には既に交換を終えているッ!
要するに交換『した』。
「おう、頼むわ。『連絡』待ってるぜェ〜」
「じゃ! そうと決まれば長居は無用だぜッ
またな穂村ッ!そしてその厳つい『スタンド』よォ」
そう言うと、待ち受ける『カネの予感』にウキウキ気分で去っていく。
319
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/29(日) 23:17:53
――駅前 ゲームセンター
デッ デデッ デデン!
パーパパ パー ♪
「…………」
電子音のファンファーレ。
最近では自己ベストの記録。しかし。
(……なんなんだ、この感じ。)
「……えひ。」
(ダメだ……何しても、アガらない。)
少し無理に笑みを浮かべる。
空しい。筐体から離れる。
(あいつのせいだ……
あいつが、余計な事、してくれるから……)
・・・・あの日から。
「はぁ〜〜……」
(馬鹿じゃねえの……くそ、くそ。)
長いため息をつき、ゲーセン内を歩く。
320
:
溝呂木『レッドバッジ・オブ・カラッジ』
:2015/11/29(日) 23:42:48
>>319
チャリンッ♪
「おっと」
紙幣を小銭に両替して、取り出し口から100円硬貨を取り出す時。
ちょっと手が滑っちゃって、一枚の100円硬貨が零れ落ちてコロコロと転がっていく。
まぁたかだか100円、慌てるようなものでもないし、どこまで転がるのか目で追っていくと……
コツン
おや、誰かの靴にぶつかったようだ。
視界に入るのは小さな靴。多分女の子の靴。
そのまま視線を上に移せば、あれま可愛らしい黒髪のお嬢さんじゃないか。
ちょっと不機嫌そうだけど、ゲームの成果が良くなかったのかな。
「やーごめんねお嬢ちゃん、手が滑っちゃってさぁ」
ともあれ僕はにへらっと覇気のないスマイルを浮かべながら、100円を拾おうとそっちに近づいていくわけだ。
321
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/29(日) 23:53:01
>>320
コツン
「……」
足に何か当たった。
100円玉――顔を上げる。
(……なにへらへらしてんだ……イラつく……)
イラ
「……なにじろじろ見てんだよ。事案発生すんぞ……」
視線を感じて、眉を顰める。
人形の様な顔立ちの、眉間にしわ。
「……早く拾えよ。」
不機嫌さを隠せない声。
少し足を引いて、拾わせてやろう。
・・・・拾ってやる義理はない。
322
:
溝呂木『レッドバッジ・オブ・カラッジ』
:2015/11/30(月) 00:08:31
>>321
「わぁ辛辣ー」
「へいへい拾いますよって」
ただでさえ猫背気味な背をさらに丸め、ひょいとしゃがんで硬貨を拾う。
そのまま小銭入れに投入すれば、無事にミッションコンプリートだ。
それでまぁ、このまま立ち去ってやりたいゲームやってもいいんだけどさ。
「しかしお嬢ちゃん、随分不機嫌だねぇ」
「切れたナイフかよって感じだけど、なんかあったのかい?」
「それとも、大人は無条件で嫌いなお年頃かな。やだなぁ、気づけば僕も立派なオジサンだよ」
すっと立ち上がって、見下ろす形で話しかけてみるわけだ。
相も変わらず覇気のない表情でね。これは素だからしょうがない。
なんでそんなことするのかって、なにせほら、そっちの方が面白そうじゃないか。
323
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/30(月) 00:25:13
>>322
「…………」
イラ
イラ
(くそ、八つ当たりとか……
DQNもいいとこだろ……常識的に考えて。)
「……別にぃ?
何もないってぇの……人をDQNみたいに言うなよ。」
シッ
シッ
「さっさとあっち行けよ……
あっちで脱衣麻雀でもしてろ……」
手で払うようなジェスチャー。
こういうタイプは着いて来たりしそうだからだ……
トコ
トコ
(見下しやがって……保護者気取りかよ……)
イラ
イラ
対戦ゲーム台の方へ行こう。
気持ちよく勝てば、気分も晴れる、かも。
324
:
溝呂木『レッドバッジ・オブ・カラッジ』
:2015/11/30(月) 00:37:11
>>323
「不機嫌にせよ反抗期にせよ、人類平等に抱える悩みだと思うけどねぇ」
「まっ、そんなに言われちゃオジサンも傷付いちゃったから退散しようかな」
微塵も傷ついてない顔で、僕は踵を返すわけだ。
うん、そりゃ興味はあるけど、こうもにべもなく返されちゃうとね。
というかここでついてっちゃったら最悪不審者扱いでお縄だからね、僕。
元々ガンシューのためにお金崩してたわけだし、そっちに行くのもやぶさかじゃないわけだ。
さて、そんなわけで怪しい男を撒いた恋姫だが、対戦ゲーム台は現在人気が無いようだ。
対戦がしたいなら誰かが入るのを待つか、あるいは先に入って乱入を待つか、だが。
325
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/30(月) 00:58:58
>>324
対戦ゲーム台には人がいない。
トスッ
恋姫は迷わず腰を下ろす。
しかし、周りにも人はいない。
イラ
イラ
(……何でこんなに、イライラするんだ。)
「……」
ガタッ
椅子から立ち上がる。
そして、意味もなく店内を歩き回る。
(……もう、帰ろうかな……
でも、帰っても、お婆ちゃんいないし……)
グル グル
「……」
(もうちょっと……遊んで帰ろう……)
トコ
トコ
縦シューはもうやりつくした。
今日まだ手をつけていないのは……ガンシュ―ティングだ。
そっちに行こう。
(ゾンビとテロリスト、撃ちまくろう……
そしたら、イライラもなくなるかも……)
「……えひ。」
トコ
トコ
無理やり陰気な笑みを浮かべ、そっちへ。
326
:
溝呂木『レッドバッジ・オブ・カラッジ』
:2015/11/30(月) 01:14:24
>>325
そうしてガンシューの筐体に近づくと……
「あれ、また会ったねぇ」
ガンシューに興じる僕と遭遇する訳だ。
現在テロリストと交戦中。イベントシーン中で微妙に手持ち無沙汰なところだね。
「ああ、ガンシューやるのかい? 悪いね、脱衣麻雀やってなくて」
「始まったばっかだし、なんなら入ってってもいいけど」
「おっとイベント終わった」
ババババと、画面に向けて引き金を引く。
その度に、画面の中のテロリストが胸を抑えて倒れていった。
さて次は右から来るんだったかな。ソロだと対応面倒なんだよね。
327
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/30(月) 01:46:52
>>326
トコ トコ
「……うっさい。こっちみんな。」
ガンシューの筐体に歩み寄って。
(何でこんな展開になんだよ……
あいつが全部の、悪いフラグだったのか……?)
チャリ
ン
「……やるよ。
待つのも、めんどいし……」
(……ここでやらないと、もっと、駄目になりそうだ。)
ポケットから100円玉を出して、入れる。
ガシ
つまり、2Pでエントリーだ。
銃を握る。画面を見据える。
ババババババ
「……脱衣麻雀、気にしてんのか?
だとしても……スコアは、やんないから……」
(言いすぎだったか……?
くそ、何でこんな、上手くいかないんだ……)
・・・・右から来る敵を、撃つ。
328
:
溝呂木『レッドバッジ・オブ・カラッジ』
:2015/11/30(月) 02:05:04
>>327
「いらっしゃーい」
顔は画面に向けたまま、一瞬だけ視線をそっちに向けて、また画面に戻す。
何があったのかは知らないけど、入って来たからにはゲーム攻略の相方だしね。
細かい事情を聞くとかするより、まずは目の前のテロリストを一掃する方を優先しなきゃ。
「おっ、ナイスカバー。やるねぇ」
「こりゃオジサンも負けてらんないかな、っと」
ババババババ
バババババババ
上、左と出てくる敵の出がかりを潰していく。
そこそこやり込んでるから、パターンは覚えてるんだよね。一面だけは。
二面以降も覚えてるけどちょっとうろ覚えだ。まぁ相方の腕次第だけど、なんとかなるでしょ。
「ちなみに脱衣麻雀もたまにやるからそんなに気にしてないよ、僕は」
「最近脱衣麻雀置いてあるゲーセンも減ったんだけどねー。あれはあれで麻雀ゲーとしては癖が強くて面白いんだけど」
「主流はネット対戦の本格麻雀になっちゃったし、割と寂しいんだこれが」
イカサマシステムとか、理不尽難易度とかね。
そもそも二人麻雀って時点で中々。確かアガリ率上げるために配牌偏らせてるんだよね、意図的に。
そんなことを、テロリストの屍の山を築きつつ話すわけだ。ちっちゃい女の子と。あ、これ事案かな? セクハラっぽい?
329
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/30(月) 23:05:01
>>328
「カバーじゃねえよ……
僕のスコア、稼いでるだけ……勘違い乙。」
「褒めても何のフラグも立たないぜ……」
ババババ
ババババババ!
引き金を引き、銃口の先を動かす。
このゲーセンのゲームは、たいていやった。
・・・・それこそ脱衣麻雀とか以外。
(2Pプレイ、捗る……けど……
やっぱ、もやもやは……無くならない……!)
電子上のテロリストを何人薙ぎ払い、スコアが何点増えようとも――
「聞いてないっての……
自分語りで建つのはたいてい死亡フラグ……」
脱衣麻雀トークには特に何も思わない。
ゲームの話だし、このくらいは、なんでもない。
ババババ
(……こいつ、やりこんでるな。)
「……お前、ゲーマー……?
……だから何、ってわけでもないが……」
何となく、聞く。
無言でいるよりは、心に何かしら吹き込む気がして。
330
:
溝呂木『レッドバッジ・オブ・カラッジ』
:2015/11/30(月) 23:26:07
>>329
「それツンデレライバルキャラの常套句じゃない?」
「野菜の星の王子様とか」
軽口を叩きながら、バスバスと見えない弾丸を画面に打ち込む。
キャバァーン!
ドォォォォォォーン!!
画面の中で爆発音。
ここからステージは地下に移動するんだ。
まず最初に落石を排除するために炸裂弾を撃たなきゃいけないから、今のうちに弾丸を切り替えておく。
「背景語りは勝利のフラグでもあるさ」
「負けられない理由があるんだー、みたいな。脱衣麻雀で負けられない理由も何もないけど」
ドッパォォン!
で、炸裂弾発射。
これが一番壁壊しが早いんだよ。ガシガシ発射だ。
「んー、ゲーマーって言うか、遊び人?」
「いや定職にはついてるけど。学生時代からよくゲーセン通ってたしね」
「そういうお嬢ちゃんは、ゲーマーなのかな」
「これで初見ですゲームはほとんどやりません、とか言われたら才能の格差に軽く凹むとこだ」
331
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/11/30(月) 23:47:59
>>330
ガチャン!
弾丸の種類を切り替える。
落石排除のため。
ドッパォォォーーン!!
――撃つ。
「こんなテンプレ台詞言うツンデレ……
リアルにはいないっての……アニメの見すぎじゃね……」
「つーかアニメでも、絶滅危惧種だろ……」
ドッパォォーン!
もう一発。これで落石はクリア。
画面が移動し、切り替わる。
ガチャ!
(この後は……
硬い敵出てくるトコ……)
「負けたら、ハダカが見れねえんじゃねえの……?
えひ、そんな理由で勝利フラグ立つのは、ギャグキャラくらいだな……」
ク
少しだけ、口角が上がる。
ムス
(……こんなしょうもないトークで笑うとか……チョロインかよ……)
すぐに、またへの字口になる。
気分まで戻るわけじゃあない。
ガチャ
……弾種をまた切り替える。
「遊び人……将来は賢者か、スーパースター……?
僕は……ゲーム、好きだよ。ここもよく来てる……
つーか、初見プレイでこれならプロゲーマーに転職不可避だろ……」
ドバァーーーン!
ドバァーーン!
「……常識的に考えて。」
沸いて来た重武装のテロリストを撃つ。
撃ちながらだと、少し、口が軽くなる気がする。
332
:
溝呂木『レッドバッジ・オブ・カラッジ』
:2015/12/01(火) 00:06:29
>>331
「次代の流れを感じるね。悲しいなぁ」
バオッ!
バオッ!
重武装テロリストを倒していく。
……微妙に撃つタイミング調整して、できるだけトドメを奪えるようにしつつ。
まぁできるだけだけどね。スコア勝負挑まれたんだから、このぐらいは応じとかないと。
「できれば転職先は勇者がいいかなぁ」
「システム上無理ってツッコミは無しの方向で。ダメなら次は盗賊でも始めてみようか」
バオッ! ドォォォーン!
最後の一体を倒す。
さぁいよいよボス戦だ。イベントシーンを挟んで出てくるのは……血塗られたダビデ象!
……すごいよねこのゲーム。
ここまでテロリストばっかだったのに、急にナチスの遺産がどうのこうの言い出して動く石像がボスなんだよ。
美しくも力強い、岩石の巨人が立ちはだかってくるわけだ。ジャンル変わり過ぎだろ。そういうとこが好きなんだけど。
ガチャッ
ババババババババ
「それを聞いて一安心。残念ながら現実はそう非常識じゃないらしい」
弾種を再び通常のものに切り替え、巨人を撃っていく。
なぜか盾を持っているので、相手が攻撃してくる瞬間が狙い目だ。
「しかし僕もここにはよく来るけど、やっぱゲーセンにいる他人って認識しないもんだねぇ」
「今日まで君のこと全然気にしてなかったや。多分何度かエンカウント自体はしてるんだろーけど」
333
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/12/01(火) 00:33:59
>>332
「おじさんとロリの間には……埋められない溝があるもんだな……」
ドパァーーン
バオッ!
バオッ!
「あ……」
横取りされた。
思わず声を漏らすが、挑んだのはこっちだ。
「クッソ……盗賊が適職なんじゃねーの……
まあ……勇者も、人のモン盗んだりはするけど……」
(……プレイヤースキルの差を見せつけてやんよ。)
負ける気はない。
ガチャ
そして舞台は最終決戦へ。
まさかの動く石造だが、これに驚いたのは初回だけ。
(いつ見てもここ超展開すぎる……
ひょっとしてギャグでやってんだろうか……)
ババババババ
ババババババ
防御の間を縫って撃ちまくる。
「リアルはリアルだから……な。」
グァァァー!
石像が悲鳴を上げる。
そして、近くにある大きな岩を持ち上げる……そろそろ終幕だ。
ガチャ
「僕もあんまり……気にしてないし……
モブキャラか、そうじゃないかなんか、分からないしな……」
ドッパォォーン!!
・・・・岩に向かって、炸裂弾。
334
:
溝呂木『レッドバッジ・オブ・カラッジ』
:2015/12/01(火) 00:49:38
>>333
「うん、オジサンとロリの間には埋められない溝があるらしい」
「年季の違いって奴かな!」
ここぞとばかりに調子に乗って煽る。
まぁほとんどポーズだけどね。実際、スコア的にはどっこいぐらいか。
「箪笥漁りねー」
「人んちに上がり込んで箪笥の中漁っても許されるなんて良いご身分だよアレ」
「たまにめんどくさくなってスルーしちゃうけど」
「ちなみにお嬢ちゃんは賢者狙い? それともスーパースター?」
ババババババババ
バババババババババ
「世の中誰もが主人公だぜ?」
「……うわクッサ。自分で言っといてなんだけど引くねこれ」
「というかまぁ、いちいちゲーセンにいる人観察して覚えてるほうがレアだよね」
ガチャッ
ドッパォォォン!
弾薬換装。
炸裂弾を大岩にぶち込んで……破壊!
あとはラストスパート、よろけた巨人に残弾全部ぶち込むだけだ。
あんまり時間かかると自爆しちゃうから、早めに倒さないとね。
ガチャッ!
バババババババババ
335
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/12/01(火) 01:05:59
>>334
ガチャ!
「えひ、言ってろ……!
年季の溝なんて、児ポ法の溝に比べたらベリーイージーだ……」
バババババ
ババババ
意味不明な煽りを返す恋姫。
こうして、『スコアを競い合う』のは――久しぶりだ。
ニヤ
「主人公ね……えひ、今時漫画のキャラでも、そんなこと言わないぜ。」
「ある意味勇者だな、お前……」
(僕も……主人公なのか? ……鬱展開ばっかで、やになるな。
えひ、でも、悲劇のヒロインになるには……王子様がいないもんな。)
顔には、陰気な笑み。
心の底の靄は、晴れないけれど。
「んでもって僕は………………スーパースター。」
「人気漫画の主題歌」
「歌えるくらいには……!」
ババババ
ババババ
石像を撃ちまくり、そして――
グォォォォオオ ――――!!!
ガラガラガラガラ
ドシャァァァーー!!
石像が、轟音と共に、粉々に砕け散った。
最後のイベントシーンが、始まる……スコアは、ほぼ同じ。
勝ったのは――――
336
:
溝呂木『レッドバッジ・オブ・カラッジ』
:2015/12/01(火) 01:21:08
>>335
――――――ボス撃破ボーナス分、勝ったのは僕の方だ。
「ふふーん、どうやら年上の沽券は守れたみたいだ」
「まっ、そもそも先に始めてた訳だから多少僕の方が上になるに決まってんだけどね」
エンディングが終わって、スコア表示画面。
バン、バン、バンと画面を撃ち、名前を入力してスコアを刻む。T・E・Kっと。
「人とやるのは久しぶりだけど、楽しかったよ」
「いやぁこの歳にもなるとゲーセンに付き合ってくれる友達も中々いなくてねぇ」
まったくいないってわけでもないけどさ。
でもまぁ、みんな段々こういうのからは卒業してっちゃうんだよね。寂しいなぁ。
だから、うん。こうして2Pプレイでスコアアタックってのは結構久しぶりで、素直に楽しかったわけだ。
「お嬢ちゃんはどうだった? 少しは気晴らしになったかい?」
337
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/12/01(火) 01:42:09
>>336
「クッソ……負けたの、久しぶりだ。」
そもそも、このゲームで2Pプレイをしたことさえ。
「別に、くやしくなんか……ないんだからね。
えひ……どう? テンプレばっちりのツンデレっぷり……」
バン
バン
バン!
「オジサン世代に……どストライクか? 賞品にしといてやんよ。」
(……くやしいな、これ。
クソ、熱くなっちゃったな……)
刻む名前は、H・E・R。
陰気な笑みを浮かべて、そちらを見上げる。
「僕もまあ……」
「……クソゲ―じゃあ、なかったよ。イラつくけどな。」
少しは、気が晴れた。
内側で溢れ出した灼熱は消えないが――表に出た熱は。
「……別にお前のおかげとかじゃあないぜ。
ゲームが……面白かったからな。フラグは、無しだ。」
「……えひ。」
そう言って、また笑う。
人形の様な顔立ちは、本当は、よく笑う作りなのかもしれない。
338
:
溝呂木『レッドバッジ・オブ・カラッジ』
:2015/12/01(火) 02:02:47
>>337
「あっはっは、こりゃ嬉しいサービスだ。ありがたくもらっとくよ」
へらっと覇気のない顔で笑いながら、ガンコンを筐体備え付けのホルダーに置く。
流石に連コインするゲームでもないしね。気軽にもう一戦行っとく? ってボリュームのゲームでもない。
「楽しかったなら良かった、良かった」
「世の中楽しいことしてた方が楽しいからね」
別に世話焼こうとか、そういうこと考えてたわけでもないけどさ。
でも、不機嫌な人が多いよりは楽しんでる人が多い方が世の中楽しいじゃない。
ちょっと陰気だけど、可愛らしいスマイルも見れたしね。
「ちぇっ、未来のスーパースターとフラグ立てとけばおいしかったのになぁ」
「ま、攻略不可能キャラなら仕方ないさ。ルート実装の要望は運営に送っとかなきゃ」
肩を竦めて、筐体脇のカゴに入れていた上着を回収。
いそいそと羽織って、さて、そろそろ帰ろうかなって感じだ。
「でも、今度ゲーセンで見かけた時にでも、気が向いたらでいいから乱入なりなんなりしてくれるとオジサン喜んじゃうよ」
「さっきも言ったけど、最近ゲーセンに付き合ってくれる友達が中々いないんだ」
339
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/12/01(火) 02:14:33
>>338
「えひ……言ったろ、溝は深いんだよ……
攻略したら、牢獄ルートでバッドエンドまっしぐら……」
「このご時世だからな。えひ……」
ガコ
ガンコンを置く。
手汗をぬぐう。
「まあ、スーパースターになっても遊んでやんよ。
……もちろん、スキャンダルにならない範囲で、な。」
(ゲーセン誘うような友達は……今、いないしな……)
入院している『友達』の顔が浮かぶ。
もう少しだけここで遊んで、お見舞いにでも行くか。
「かえんの? 乙……
僕はもうちょい、楽しいことしていく……」
ヒラ
ヒラ
保護者気取りのいやなやつじゃなく、ゲーム仲間。
そうわかったのだから、小さく手を振って見送ろう……
340
:
溝呂木『レッドバッジ・オブ・カラッジ』
:2015/12/01(火) 02:21:52
>>339
「そうだねぇ。法的にも、マスコミ的にも、事案にならない程度にね」
「じゃ、元気でねー」
手をひらひらと振り返しながら、立ち去ろう。
おーさぶ。いよいよ冬真っ盛りだね。
今夜は鍋でも作ろうかな……なんて考えながら、帰路につくわけだ。どっとはらい。
341
:
伊丹 玄『ノー・ブロークン・ハーツ・O・T・F・F』
:2015/12/13(日) 02:02:49
一人の男がベンチの上に寝転がっている。
顔に新聞紙をかけて、眠っているようだ。
非常に邪魔である。
「……」
ごろり、と寝返りを打ち……
「がっ。」
ベンチから転げ落ちた。
男は起き上がり、きょろきょろとあたりを確認している。
342
:
稲葉 承路『エンジェルシティ・アウトキャスツ』
:2015/12/13(日) 22:16:16
>>341
チャリン チャリン
「・・・なにやってんだ、ありゃあ」
ここで駅前の自販機の小銭入れを漁るブ男が一人登場ゥ〜
ベンチから転げ落ちた『伊丹』を呆れ顔で見ている。
「まったく情けねえ姿よのォ〜・・・ガキには見せられねえな」
ガサ ゴソ
暴言を吐きつつ、自販機の下に手を突っ込んで小銭を探している。
まったくもって、子供には見せられない姿だ。
343
:
伊丹 玄『ノー・ブロークン・ハーツ・O・T・F・F』
:2015/12/13(日) 23:02:37
>>342
「あ?」
ザリザリザリザリ
「なんだ?あいつ。」
自分のことを悪く言われたことに対しては、イライラはするものの怒りはしない。
イライラはするが。
「はは。」
ザリザリザリザリ
ポケットを漁ってみるとジャラジャラと小銭の存在を感じる。
適当な小銭を握って取り出す。
百円玉だ。日の光を受けてきらきらと光っている。 ザリザリザリザリ
「小銭でもなくしたのか?」
男のほうへと近づき聞く。
その顔は悪戯っぽく笑っている。
344
:
稲葉 承路『エンジェルシティ・アウトキャスツ』
:2015/12/13(日) 23:40:00
>>343
「あァん?」
声を掛けられて、自販機から目を離……さない。
こいつ、小銭漁りに集中してやがる。
「バカ言え、する訳がねーだろ」「カネ落とすなんて、そんなマネ、なあ」
むしろ逆だ・・・これは俗世間から切り離された哀れな銭貨の『救済事業』って
ヤツだぜェ」
ガサガサ ゴソゴソ
「おっ 『50円』・・・やりィ〜」
50円を手に、ようやく顔をそちらに向ける『ブ男』。
派手目の悪趣味な服装に、デカいサングラスが妙にマッチしている。
髪は、横に大きく広がったアフロヘアーだ。
「つーか、誰だアンタ・・・って、
さっきそこで落っこちてたヤローじゃねえか。目は覚めたのかよ」
顔を確認するなり、またもや暴言が飛び出した。
基本的に失礼なヤツらしい。
345
:
伊丹 玄『ノー・ブロークン・ハーツ・O・T・F・F』
:2015/12/13(日) 23:50:44
>>344
「『救済事業』?」
「救われるべきはお前じゃあないのか?」
ザリザリザリザリ
ザリザリザリザリ
失礼さではこちらも負けていない。
ガンッと強く自販機を蹴り付ける。
「『50円』ね。」
男は革ジャンを身にまとっていた。 ザリザリザリザリ
チャックを開けられた革ジャンの下には黒いシャツが覗く。
随分と痛んだジーンズを履き、半長靴を使っている。
「あ?覚めてなかったら、俺はなんで歩いてる?」
ザリザリザリ
「お前は寝たまま歩くのか?」
ガンッと自販機を蹴り、百円玉を投入する。
346
:
稲葉 承路『エンジェルシティ・アウトキャスツ』
:2015/12/13(日) 23:58:12
>>345
「・・・」
「あっ、てめー、俺が『カネがねーから』こんなことしてると思ってんな」
鬱陶しい感じの『ドヤ顔』を浮かべた。
「残念ながらこいつは『趣味』だぜ」
「ま! そうやって気楽に『カネ』使っちまうヤツには
分からんとは思うがね」
自販機に『100円玉』を投入する伊丹を見て、
両手を広げ、やれやれといった調子で言う。
「世の中には『夢遊病』ってモノもあるんだぜ・・・俺には関係ねーが。
寝てる間に勝手にカネ稼いでくれるなら、それもアリかも分からんけどな」
347
:
伊丹 玄『ノー・ブロークン・ハーツ・O・T・F・F』
:2015/12/14(月) 00:03:19
>>346
「ほぉ、それはまたご高尚なことで。」
「小銭漁りが趣味とはな。」
「バカな考えだ。」
小ばかにするように笑う。 ザリザリザリザリ
落ち着き無く足が貧乏ゆすりをしている。
「夢遊病?俺にも関係ないな。」
ザリザリザリザリ
笑ったまま、ボタンを押し、商品を手に取る。
飲料水だ。軟水と書かれている。
「ま、寝てる間にイライラが消えてくれるならアリか。」
348
:
稲葉 承路『エンジェルシティ・アウトキャスツ』
:2015/12/14(月) 00:37:36
>>347
「バカな考えねえ。ま、そー思うのはアンタの勝手だぜ」
「俺は人にとやかく言われて変わるような生き方はしてねー」
チャリン
50円玉をポケットに突っ込み、両腕を組む。
「あー、つーか『水』ならその辺にあんだろ」
「俺ァわざわざカネ払って水買う連中は理解出来ねーな」
「何のために『水道代』払ってんだ? いや家がねーのかも知れんがね」
349
:
伊丹 玄『ノー・ブロークン・ハーツ・O・T・F・F』
:2015/12/14(月) 00:53:14
>>348
「はっ。そうかよ。」
飲料水を飲む。
ふたを閉めると、ぐっと握り締めた。
「俺からすれば味が付いただけでどれも同じだよ。」 ザリザリザリ
ザリザリザリザリ
「それに水道代払ってるのは俺じゃないからな。」
にやりと意味不明な笑いを浮かべる。
「お前は金に困ってないらしいが、そんなことしてなんになる。」
そんなこととは小銭漁りのことだろう。
「金なんて貯めても死んだら無にかえるだろ。」
350
:
稲葉 承路『エンジェルシティ・アウトキャスツ』
:2015/12/14(月) 01:06:44
>>349
「だったらなおのこと『水道水』で良いんじゃねーか?」
「ま、どうでもいいがね」
本当にどうでも良さそうにそう言って、自販機に寄りかかる。
「確かに死にゃあカネは、いや何だって『無』だな」
「だがそこにある『思い』は死なねー」
「だからこそそのカネをどう『集めたか』、それは大事なことなんだぜ」
そう言うと、財布から古い10円玉を一枚取り出した。
「例えばコイツは俺が『10歳』の時――生まれて初めての
『報酬』に貰ったモンだ。近所のジジイに頼まれた
『届けモン』のな」
もう一枚。こちらは比較的新しい『100円玉』だ。
「そしてコイツはこの街に引っ越す途中――
電車内で落ちてたのを拾ったモンだ。
つまり『11月11日』のこったな・・・」
「俺は手元の全ての『カネ』の入手した時間も、
手に入れた方法も、手放したカネのことも
『覚えて』るぜ。それァ、俺が死ぬまで絶対に『消えねー』」
351
:
伊丹 玄『ノー・ブロークン・ハーツ・O・T・F・F』
:2015/12/14(月) 01:24:46
>>350
「思い?」
伊丹は顔をしかめた。
何を言っているんだお前は、という顔だ。
ザリザリザリ ザリザリザリザリザリ
ザリザリザリ
「は。はっはっはっは!」
「おもしれぇ。金についてなんでも覚えてるんだな。」
ゲラゲラと大笑い。 ザリザリザリ
今にも手を叩きそうな勢いだ。
ニッと歯を見せる。
ザリザリザリ
「分からないでもねぇ。」
「俺も喧嘩したときのことはよく覚えてる。」
「イライラしたこともな。」
352
:
稲葉 承路『エンジェルシティ・アウトキャスツ』
:2015/12/14(月) 01:31:41
>>351
「おうよ。この稲葉さんをナメんなよ」
そう言うと、グラサンをス…と外した。
両瞼には、それぞれ『$』と『¥』の刺青が彫られている。
「あー、ケンカかァ・・・いや、俺はてんで弱ェからなあ」
「アンタ、アレか?口より先に手がでるタイプっつーか」
「・・・」
そういや、さっきからやたらと暴言を言い放ってたことを思い出した。
ツツツ
目線が泳ぐ。
「ひょっとして、今」
「割とイラついてたり・・・ハハ・・・しねェよな」
353
:
伊丹 玄『ノー・ブロークン・ハーツ・O・T・F・F』
:2015/12/14(月) 01:49:29
>>352
「稲葉、それがお前の名前か。」
「ほぅ。刺青か。」
感心したような、驚いたような声を出す。
馴染みがない、というよりはその模様に驚いているのだろう。
(徹底してやがる。) ザリザリザリ
ザリザリザリザリ ザリザリザリザリザリ
「あぁ。話すより、殴るほうが気持ちいいときがあるだろ?」
乱暴者の理論だ。
「お前に教えておいてやるよ。」
「俺は『常にイライラしてる』。生まれつき、理由はわからねぇ。」
「頭ん中で響いてる雑音のせいかも知れねぇし、別の物もかも知れねぇ。」
「ただいつだってイラついてんだぜ。」
354
:
稲葉 承路『エンジェルシティ・アウトキャスツ』
:2015/12/14(月) 02:01:04
>>353
「おう。稲葉 承路ってんだ。よろしくなァ」
「そんでこいつは『思い』の現れよ」
トントンと、瞼を叩く。
「いや、俺は基本『殴られる』サイドだし、
あいにくと『気持ち良く』はねェんだよな・・・」
残念ながら『M』ではなかった。
「いつでもイラついてんのか。そりゃあ難儀だな」
「とりあえずよォ〜、水じゃなくて『乳製品』メインに
摂ってみたらどうだ?『カルシウム』足りないんじゃねェの」
「つーか、『頭の中の雑音』って何だよ。耳鳴りか何かか?」
355
:
伊丹 玄『ノー・ブロークン・ハーツ・O・T・F・F』
:2015/12/14(月) 02:09:15
>>354
「俺は伊丹 玄。いたみ、はるかだ。」
「あいにく俺は刺青入れてないんでね。」
両腕を大げさに広げてみせる。
ザリザリザリザリザリ ザリザリザリザリザリ
ザリザリザリザリザリ
「は、もったいねぇ。殴るのも殴られるのも楽しいのによ。」
「難儀も難儀だ。慣れてきたが、イライラするのに変わりはねぇ。」 ザリザリザリザリザリ
ザリザリザリザリザリ
稲葉に問われ、考える。
うんうんと犬のようにうなっている。
「いや。テレビの砂嵐と鑢の音を合わしたみてぇな、食器同士がこすれあうみてぇな音だ。」
「ザリザリザリザリザリと昼も夜もなく鳴り続ける。」
356
:
稲葉 承路『エンジェルシティ・アウトキャスツ』
:2015/12/14(月) 02:21:44
>>355
「伊丹か、ま! よろしくなァ〜」
(あんまカネの匂いはしねー奴だが、『縁』ってのは
持っといて損はねーだろうしな)
フランクな態度の裏には、ゲスい考えがあった。
まあそれはともかく。
「いやいや・・・だってケガでもしたら『丸損』じゃねーか。
俺ァ儲からねーことはしないぜ」
大袈裟に首を振って否定する。
(それに俺のは・・・『ケンカ』じゃあ済まねーしな)
「食器の擦れる音・・・うェッ、想像しただけでゾワゾワするぜ。
そんなもん四六時中聞かされてんのか・・・キッツイな、そりゃあ」
「『医者』とか、当たったりしてみたのかよ?」
357
:
伊丹 玄『ノー・ブロークン・ハーツ・O・T・F・F』
:2015/12/14(月) 02:31:07
>>356
「よろしく、ねぇ。」 ザリザリザリザリザリ
ザリザリザリザリザリ
にやりと笑って見せた。 ザリザリザリザリザリ
ナニを考えているのだろうか。
それとも何も考えていないのか。 ザリザリザリザリザリ
ザリザリザリザリザリ
「丸損。まぁ、そうだろうな。」
怪我の治療費というのがある。 ザリザリザリザリザリ
金に異常な執着を見せる稲葉からすれば損、なのだろう。
伊丹はそんなこと眼中にないが。
ザリザリザリザリザリ
「医者は天敵なんだよ。」
「偉そうに講釈を垂れる、あいつらが病原菌そのものだ。」
「だれかれ構わず首が後ろを向くまで殴りたくなる。」
358
:
稲葉 承路『エンジェルシティ・アウトキャスツ』
:2015/12/14(月) 02:50:03
>>357
「おいおい・・・またズイブン『物騒』だな」
伊丹の、敵意の籠もった発言に引きつった顔で応じる。
グラサンをかけ直し、目を伏せた。
「何かあったのか・・・?いや、良いや。
あったとしてもあんま言いたくねーことだろうし」
(そーいやあ、昔医者を『ミンチ』にしたこともあったな。
あれは、そう・・・『200万』貰った時だ)
(うん・・・まあ、悪い気分じゃあなかったな)
それを伊丹に話したら、どんな反応をするだろう。
ふと思い、すぐにやめた。こいつは『そっち側』には
踏み込んでない。そう見えたからだ。
「ま、俺ァそろそろ行くけどよ・・・ケンカ売るなら、
俺以外にしてくれよな」
「じゃーなァ」
ひらひら手を振りながら、ブ男は去る。
359
:
伊丹 玄『ノー・ブロークン・ハーツ・O・T・F・F』
:2015/12/14(月) 23:53:26
>>358
「『物騒』?まさか。」
「何もなかったぜ。殴ろうとしたら止められたからな。」
ザリザリザリザリ
しかしその声色には怒りの色がにじんでいる。
ザリザリザリザリ
「おう。じゃあな。喧嘩はいつか買ってくれよ。」
止めることもなく見送る。
所詮は少し話した程度の相手。 ザリザリザリザリ
そんなに長く付き合う必要もない。
(……あいつ。) ザリザリザリザリ
(なんか、別のこと考えてたんじゃないか。)
なぜ稲葉が目を伏せたのか、伊丹には分からない。
しかし、なぜか嫌な雰囲気を感じた。
(まぁ、いいか。)
しばらくして伊丹はベンチの上に寝転がった。
360
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/12/15(火) 02:21:25
友人の見舞いに、中古ゲームを買いに行った。その帰り。
「…………」
どうにも中途半端な気持ちで街を歩く。
クリスマスソングが聞こえてくる。
(リア充以外にはハードモードな季節キタコレ……えひ。)
ワイ
ワイ
雑踏を少し避けて歩く。
ニット帽と眼鏡で、一応の変装済み。
ワイ
通りがかった『元クラスメイト』には、気づかれない。
「……」
ストン
路傍に設置されたベンチに腰を落とす。
偶然、空いていてよかった。
キラ
キラ
電飾が灯りつつある街並みを、特に何をするでもなく。
361
:
人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』
:2015/12/16(水) 23:26:43
>>360
ベンチに腰を下ろす稗田。
と――
「ふぁ……あ、も、だめぇ」
ドサッ
なんか目の前で女が倒れた。うつ伏せだ。
どうも駅から出てきたところのようで、手にはバッグが握られている。
「」
こいつ・・・・・・ピクリともしないぞ。
362
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/12/16(水) 23:42:31
>>361
「…………」
「……は?」
ガタッ
(なんっ……酔っ払いか……?
……どいつもこいつも、無視してやがる……)
クリスマスを迎える町。人びとはそれぞれ事情がある。
だから、いきなり倒れた女に構うのは――
(変なフラグ立ちそうだが……放置はやばいだろ……常識的に考えて……)
ソロ ソロ
「……おいっ。」
「ここ、セーブポイントじゃないぞ……
セーフゾーンでもないぞ……襲われても知らないぜ……」
ユサ
事情の無い恋姫くらいのものだ。
おそるおそる近付いて、しゃがむ。
・・・・ゆすってみる。
363
:
人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』
:2015/12/16(水) 23:46:48
>>362
ユサ
「…………」
ユサッ
「…………………………」
ゆすってみる稗田。だが反応はない。
最悪の可能性が頭をもたげた、そのとき。
「ぐぅ」
……なんか聞こえた。
「…………むにゃ」
364
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/12/16(水) 23:56:25
>>363
「……」
「……えひっ。」
「寝落ちかよ……おい、起きろって……」
ユサ
ユサ
寝ていただけか――
いや、寝ているのもよくないのだが。
・・・・もうすこしゆする。
(……視線めっちゃ集まってる……)
「……おいっ。」
ヒソ
「起きないと薄い本が厚くなるぞ……!」
ユサ
ユサ
耳元で意味不明な文句を叩きつけつつ、もうすこしゆする恋姫。
365
:
人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』
:2015/12/17(木) 00:19:12
>>364
「…………んぅ〜……」
流石に、路上でブッ倒れてる人間は目立つ。
まあ、『酔いつぶれた酔っ払い』程度の認識で、
ちらちら見ながら素通りしていく者が大半だが……
しばらくゆすっていると、女がゴロッと寝返りを打った。
「薄いパンが分厚く……うふふふ」
寝言のような、うわ言のようなセリフを吐きながら、
女が目をうすーく開けて、トロンとした目つきで稗田の顔を見た。
「あらぁ……ここ、どこかしらぁ」
「堅いおふとんだと、思ったんだけど……」
女の顔は少し赤らんでいるが、酒の臭いはしてこない。
バッグから、何かはみ出しているのが、ちらりと見えた。
366
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/12/17(木) 00:37:18
>>365
「……おはよう。昼だけどな……黄金町民の朝はおそい。えひ。」
ニマ
ダウナーな笑みを浮かべる。
そして、桜色の目を少し細めて。
フワ
髪からは、ミントのような芳香。目が覚める(かもしれない)
「ここ……黄金原駅前だ。わかるか?
朝チュンするには人多すぎの場所だぜ……常識的に考えて。」
ユサ
もうちょっとゆすっておく。
再度眠りにつかれたりしても、困るのだ。
「酔っぱらってんのか……?
オフトンあるところに帰って寝ろよな……」
(……? なんだあれ……)
・・・・声を掛けつつ、バッグに視線。
367
:
人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』
:2015/12/17(木) 00:46:12
>>366
「…………あら、あらぁ」
ふわ、と、いい香りの髪に軽く手を添えた。
ふわふわとした笑顔を、稗田に向ける。
「すてきな髪の毛ねぇ」
「えきまえ?
ほんとだわぁ…………うーんと、どうしてここに
いるのかしら」
「お酒は飲んでないわよぉ。
そうそう、確か『キャンドル』を――あら?」
首を傾げた。
ググ グ
バッグに視線を向ける稗田。
と――バッグが不自然に『膨らんだ』や否や、
ポン
『メヘェェェェェェ』
その口から、『羊』がハミ出した。
だいぶギュウギュウに詰め込まれていたらしく、
心なしか苦しそうに鳴いている。
コロ コロ
それと、なにか、小さなものが転がっている。
赤い、円筒状の『包装』に包まれていて、ほのかに、
『バラ』の花のような芳香がする。
368
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/12/17(木) 01:08:25
>>367
「えひっ……」
ピク
髪に添えられた手。
あまり慣れていない。
「……褒めても、何のフラグも建たないぜ。
僕に触ると……やけどするしな……えひ。法律的に考えて。」
フワ
――やや目を細めて、やんわり払いのける。
そして。
バッグから出てきた存在。
「……うおっ!」
ォォォオオ――
「……ペットにしては、扱い……雑いな。」
傍らに人型のヴィジョンが発現する。
ペスト医師のような仮面と――蒼炎を噴く黒衣が、不気味な像だ。
コロ コロ
「えひ……なんだっけ……」
「これが……あれか?
そのキャンドルってやつ……?」
フワ
転がった『包装』に目を向ける。
鼻をくすぐる、なんとなく優雅な感じの芳香。
「んで……キャンドルがどうしたんだ?」
・・・・話を続ける。
369
:
人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』
:2015/12/17(木) 14:17:57
>>368
「…………ふらぐ?」
『何それ?』みたいな顔で、首を傾げた。
「ああっ、カバンに入れてたの、忘れてたわぁ」
『メヘヘヘヘヘ』
カバンと、ついでに『羊』を回収し、
何か発現している稗田の『スタンド』に気付いた。
「……あらっ、何かしらぁ……その子」
「あっ、そうそう、『キャンドル』ねぇ。
長いこと探してた『アロマキャンドル』を、
何とかして『一つ』だけ手に入れたんだけどぉ」
「それがあんまり良い香りで……思わず眠くなっちゃったのよ」
『包装』には、アルファベットで商品の名前が記されているようだ。
少々文字が小さいため、詳しくはわからない。
拾い上げれば、 はっきりと書いてあるものが分かるだろう。
370
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/12/17(木) 23:05:26
>>369
「…………説明すんのはめんどい。」
カリ
「まあ……褒めても何も出ないって言いたかったやつ……」
頭を軽く掻きつつ。
傍のヴィジョンは、警戒を示すかのように青い焔を灯している。
「えひ……何かしらはこっちのセリフだろ、状況的に考えて……」
「まあ……それより……」
恋姫は『羊』に視線を向けたあと、『キャンドル』に移して。
「そんなレアアイテムなのか……?
嗅いだだけで寝るとか……なんかやばいんじゃないの……」
ジ
目を細めて――
スッ
拾い上げて、見てみよう。匂いも見てみよう。
(……そんなキクのか?
それかこいつの睡眠耐性低すぎ……?)
隈こそないが、最近不眠気味の恋姫の目。
……夜更かしはいいのだが、寝れないのはいらいらする。
371
:
人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』
:2015/12/17(木) 23:23:00
>>370
「あらぁ、照れちゃってぇ…………」
「でもほんと、いい香りだわぁ。どんなシャンプー使ってるのかしら」
ほんわかした受け答え。
稗田が『キャンドル』に興味を示したのを見て、
嬉しそうに話し出す。
「とっても『珍しい』のよぉ…………それ。
今まで扱ってた『雑貨屋』さんも取り扱わなくなっちゃったし、
たまたま、古物商巡りで一つ見つけたんだけど」
「とーっても『落ち着く』香りなのよぉ」
拾い上げてみる。包装に記された名前は『Flourished Rose』。
直訳すると『繁栄するバラ』だが、『盛大に茂る』といったほどの意味合いだろうか。
紙の包み越しに匂いを嗅ぐと、ふわりとバラの花の香りがする。
それが稗田の好む香りかは分からない。
ただ、それに関わらず、体の内側から『溶け出す』ような感覚があるだろう。
神経が、一気に『リラックス』していくように感じるかもしれない。
「どうかしらぁ?
わたしは、とってもよく眠れるんだけど」
372
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/12/17(木) 23:45:44
>>371
「……照れてないって。
シャンプーは、まあ……企業秘密……えひ。」
などと言いつつ、緩む口元。
・・・・そして。
「ガチでレアアイテムじゃん……
メーカーが倒産したとか……? プレミア的な……?」
スン スン
そして、匂いを見よう。
小さな鼻を動かす恋姫。
恋姫の学力は中一相当で、英語にはとんと弱い。
だが、今回は――
ふ
わ
・
・
・
「うぁ…………」
恋姫にもその名前の意味が、理解できた。
トロ ォ 〜 ン ・・・
まぶたがとろりと落ちそうになる――表情がやや弛緩する。
バラの香り以上に、薔薇色の心地だ。
ハフ ゥ
「めっちゃきくぅ……
えひ、どハマりしそう……」
普段ありえないほどリラックスした声、吐息。
一瞬恋姫の頭の中に「何かやばいのでは?」という疑問符が浮かぶほど。
・・・・寝落ちするのも頷ける。
373
:
人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』
:2015/12/18(金) 00:01:40
>>372
「うふふ、それは残念ねぇ」
冗談めかしてそう言って、笑う。
「そうなのかしらねぇ……作ったところの情報も、ほとんど無いし、
その『古物商』の人も、詳しいことは知らないみたいだったわぁ」
そういえば、包装にも『メーカー』の名前がどこにもない。
唯一、商品名の下に、小さく『I.F.』という刻印が見て取れた。
「ね…………良いでしょう?
クセになっちゃう香りなのよねぇ」
トロン、となっている稗田を見て、ニッコリ微笑む。
それにしても、相当に強い『リラクゼーション効果』だ。
火も灯さないうちから、十分な効き目があるように感じられる。
「気に入っちゃったかしら……でも、
本当に珍しいから、ちょっとやそっとじゃ手に入らないのよぉ」
「そうねぇ……ちょっとだけ削って分けてあげちゃおうかしら。
『芯』を通せば使えるし、そのまま『香り』として使っても良いし」
374
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/12/18(金) 00:32:17
>>373
フ - ・・・
甘い息を吐きだす。
寒い空気を吸い込むと、いくらか効きが薄れてきた。
「……凄いふわふわする。」
ニマー
それでも、恋姫の笑みは少し柔らかい。
「……なんかこれ……えひ。
やばい薬とか、はいってんじゃないか……」
「……こりゃ寝落ちもするわな。」
再度嗅ぎそうになるのを抑える恋姫。
頭の奥の奥まで、薔薇色に染められたら、帰ってこられない気がした。
・・・・とはいえ。
「……えひっ! まじで……
こりゃ……ますますどハマりして……廃人待ったなしコースかな……」
「まじでくれるの……?
このキャンドルのステマなやつ……?」
ジィー
キャンドルに、そして人吉に視線。
もらえるものなら、恋姫としても、もらっておきたかった。
375
:
人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』
:2015/12/18(金) 00:48:25
>>374
「うーん、どうなのかしらぁ」
「前に買ってた雑貨屋さんは、そういうものじゃない、って言ってたけど」
「もっと『純粋』なものだって」
「もちろん、良いわよぉ。
起こしてくれた『恩返し』のつもり……なんちゃって」
包装を少し開け、バッグから小さな『ハサミ』を取り出し、
キャンドルに慎重に切り込みを入れていく。
パキッ
そうして、『サイコロ』ほどの大きさの塊を削り落とす。
このサイズでも、香りは十分すぎるほどだ。
それを、『油取り紙』に包んで、稗田に差し出した。
「はい、どうぞ。
でも、やらなきゃいけないことがあるときは、
使っちゃダメよぉ…………寝ちゃうもの」
376
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/12/18(金) 01:06:36
>>375
「……ならいいんだけどぉ……
まあ……そういうんじゃなくても……ヤバイかも……」
パキッ
はまってしまうだろうな、と思った。
少なくとも、太陽に陰りがある限りは。
「寝落ちするやばさは僕も知ってる……えひ。」
ゴソ
差し出された『包み』をポーチに。
二度手に入るかはわからない。攻略本があればいいのに。
「とにかく……ありがとな。
今夜はおもっきり……スヤァ出来そう。」
ニタ
浮かぶダウナーな笑み。
「んじゃ……僕はそろそろ行くぜ……」
ガタ
ベンチから立ち上がった。
一休みしていただけで、ここをセーブポイントにする気もない。
377
:
人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』
:2015/12/18(金) 01:14:57
>>376
「うふふ、そうねぇ。お互い、よい眠りを……って、ことで」
稗田に倣うように、立ち上がる。
流石に、駅前のアスファルトをベッドにはできない。
……もう、少し目がトロンとしてきてるのは内緒だ。
「それじゃあねぇ」
「あ、その『キャンドル』、また欲しくなったら連絡ちょうだいねぇ。
わたしも、すぐには使い切らないと思うから……」
「あの香りを気に入ってくれて、嬉しかったわぁ」
そう言って、メモ用紙にさらさらと連絡先を書いて渡すと、
ふわふわした足取りで家路に就いた。
その日は、それはもう『熟睡』できたそうな。
378
:
稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』
:2015/12/18(金) 01:36:04
>>377
「えひ…………僕も嬉しかった。
んじゃ、その時はまた……ちゃんとベッドで寝ろよな。」
トコ
トコ
そうして、その日は家に帰ったのだった。
心の癒しを得たことは、恋姫にとってとても大きなことだ・・・・
「……えひ……」
スン
スン
(まじでどハマりするわ……
自重しなきゃダメ、絶対……えひ。)
379
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/12/23(水) 23:34:06
『クリスマスが今年もやってくる』。
駅前ではそんな歌が流れ、イルミネーションに彩られ。
いよいよクリスマスが来るという駅前で。関東也哉子は―――――
「ひゃっ」
コテン
「ひぐっ、〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」
……足を滑らせて、転んでいた。とても痛い。
というか今の、足をくじいた。立てない。とても痛い。
380
:
加賀『プライベート・ライン』
:2015/12/23(水) 23:43:15
>>379
クリスマスが今年もやってくる。
寂しかった出来事は誰かに『与え』ちゃったからァ……
消し去るのはクリスマスじゃなくて僕なわけだ。
恋人はサンタクロースではなく僕自身だね。
誰かになにかを『与える』んだからね。
「おっと。」
目の前で誰かがこけた。
……どうしよっかなァ。
手を貸すのもいいけど、貸さないのも人生だねェ。
決めた。貸さずに声をまずかけよう。
「ねェ。君大丈夫?」
声をかけて、一つ思い出した。
僕は今よれたスーツに曲がったネクタイだ。
僕からすればいつもの格好なんだけど、これかなり不審者じゃない?
いや、不審者じゃなくてもさァ……
こう、色々あるよねェ。
381
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/12/23(水) 23:49:38
>>380
「あっ」「えとっ」
声をかけられて、焦る。
不審者がどうこう、と言うよりは、『気を使わせてしまった』という感覚だ。
無事を証明するように、慌てて立ち上がろうとして。
「だ、大丈夫です! ちょっと転んだだけで……」
「ぁ痛っ」
……立てない。
まぁ足をくじいたのだからすぐには立てなくて当たり前だ。
すぐに足首を抑えて、うずくまる。
「ぐぅっ……だ、大丈夫です、ほ、ほんとに……」
脂汗を滲ませているが、表情は努めて明るく振る舞おうとしている。
382
:
加賀『プライベート・ライン』
:2015/12/24(木) 00:01:39
>>381
「大丈夫、ねェ?」
「どの口がそういうわけェ?」
どうみても大丈夫じゃないよねェ?
僕は目の前で明らかにけが人の女の子を見下ろす。
うん、いい眺めなんだけどォ……そういう状況でもないよね。
「君、えっと、見たことある気はするんだけどォ。」
「まァいいか。お嬢ちゃん、道でそういうことすると邪魔になるんだよねェ。」
「君は良識のある人だと思うんだけど、どう?どっか道の端まで肩でも貸そうか?」
まいったなァ。
僕はスクールカウンセラーであって、医者じゃないんだ。
体は治せないし、まず僕お薬扱えないし。
かといってこの程度で救急車呼ぶのも馬鹿らしいしィ。
ちょっと様子でも見ようかなァ。
383
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/12/24(木) 00:14:43
>>382
「うっ」
……痛いところを突かれた。
確かにどう見ても大丈夫じゃないし……通行の邪魔になる。
「……その」「……すみません、お願いします……」
顔を赤くして俯いて、お願いする。
ああ、このまま消えていなくなってしまいたい!
とはいえ確かに助けてくれるとありがたいし、ここでうずくまっているのも迷惑だろう。恥は忍ぼう。
「えっと……」
……ところで、冷静になってみれば、この人の顔を見たことがある気がする。
あまり日常的に見ているわけではないが、確か学校で何度か……
そう、あれは確か全校集会とかで……見たような……名前は……確か……
「……加賀先生、でしたっけ……?」
……なんかそんな名前だった気がする。
384
:
加賀『プライベート・ライン』
:2015/12/24(木) 00:23:31
>>383
「いいよォ。謝んなくて。」
「転んだのは君の落ち度だしィ?手を煩わせてるわけでも無いし。」
「たとえ、煩わせたとしてもその足の痛みが報いだし。」
僕は与えるだけだよ。
施しをね。
「せーの。あ、痛かったらいってね。」
僕は肩を貸して道の端まで女の子と歩く。
昔酒に酔った同級生を介抱したことがあるけど、それを思い出す。
あれ、彼はどんな顔してたっけ。
「んー?」
「そう、加賀真。よく覚えてるね。非常勤のスクールカウンセラーのことなんて。」
正直僕が学生のころは気にも留めなかった……いや、留めてたか。
385
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/12/24(木) 00:35:41
>>384
「えっと、じゃあ……」
「……ありがとうございます」
謝るよりは、確かにお礼を言う方がずっといい。
顔は赤いままだが、にこりと笑って、お礼を言った。
「あ」「はい」「じゃあ」
「せーのっ」
「っぅ……へ、平気です。ちょっとだけ痛みますけど」
肩を貸してもらって、立ち上がる。
立った時に少しだけくじいた足が痛んだが、我慢できないほどでもない。
そのまま、ゆっくりと片足をひきずって歩く。
「えへへ、よかったぁ、間違ってなくて。
転校してきたころ、クラスのみんなと、先生の名前、頑張って覚えましたから。
先生もたくさんいますから、全員覚えてるわけじゃないんですけど……」
高等部や大学部の先生の名前は、流石に覚えきれていないが。
保険の先生や司書さんなんかの名前は、頑張って覚えたのだ。
386
:
加賀『プライベート・ライン』
:2015/12/24(木) 00:47:59
>>385
「はァい。」
お礼を言われて悪い気はしない。
悪い気は、ね。
「ま、痛いのは生きてる証拠だからさ。」
ちょっとは我慢してもらわないとねェ。
さすがにそんなにわがままなお嬢ちゃんじゃないだろうしね。
「転校?ふゥん。」
転校生。転校生。
こんな顔の転校生……
僕は頭の中で名簿をめくる。
えっと、こういう顔の子、いた気がする。
「関東さんか。」
「関東 也哉子さんだね?」
うん。そのはずだ。
「まァ。僕の名前も顔も覚えずに生活するのが一番いいんだけどねェ。」
僕の世話になら無いってことは、健やかで悩みの無い生活ってことだ。
そういう生徒が増えれば平和だし、僕も楽だしwin-winだよね。
387
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/12/24(木) 00:56:16
>>386
「あはは、痛くないに越したことは、ないですけどね」
うん、冗談めかして笑える程度には、痛くない。
「あ、はい、そうです。
関東也哉子……去年から秋映に通ってます」
少しだけ驚いた顔。
だって、生徒が先生を覚えているのならともかく、先生が生徒の名前をいちいち覚えているとも思えないからだ。
「先生、よく知ってましたね、私のこと。
自分で言うのもなんですが、あまり目立つ生徒じゃないと思いますし……
それに、幸いというか、まだ先生のお世話にもなっていませんし」
……実を言えば、カウンセリングルームを頼ろうとしたことは何度かある。
何度かあるが、幸いにして、その前に頼れる友人がいたのだ。
それは本当に幸せなことだと、也哉子は思う。
388
:
加賀『プライベート・ライン』
:2015/12/24(木) 01:07:44
>>387
冗談かな。
ま、冗談言えるぐらいなら大丈夫でしょ。
たかだか足くじいただけだと思うし。
放っておいたら勝手に治りそうだねェ。
人体って偉大だし。
「去年からか。そこまでは覚えてなかったなァ。」
細かい部分は覚えにくいんだよねェ。
タグ付けしにくいって言うか。
「ん?僕が生徒のこと覚えてたらおかしい?」
「あっはは。僕はね、暇つぶしで退屈しのぎで金稼ぎのためにスクールカウンセラーやってるんだよねェ。」
給料泥棒って言われるために働いてるって言ってもいいよ。
「でもさ、もし自分の存在意義が分からないって真面目な話する子が来てみなよォ。
退屈しのぎとか言ってられなくなっちゃうでしょ?だからさ。」
「ちゃんと名前で呼んで上げるんだよ。目の前にいるのは生徒であるまえに普通の人間だからね。」
……ちょっと熱くなってる気がする。
落ち着こう。クールダウンクールダウン。
悪い癖だ、忘れてしまいたいけど、これを『与える』気にはならない。
「話の種を見つけたら世間話でもして、暇を潰すんだよ。」
症状が軽ければ、ね。
389
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/12/24(木) 01:24:32
>>388
「いえ、おかしいって言うわけじゃないんですが……」
言いかけて、口をつぐむ。
先生の話を聞くためだ。
黙って、時折相槌を打ちながら、話を聞く。
給料泥棒の持論。
「…………すごいですね、先生」
ほう、と息を吐きながら。
話を聞いて、そう零す。
「その、なんて言うんでしょうか……プロ、とはまた違うんですが……
ああ、働いている大人なんだな、って。そんな感じです」
しみじみとそう言って……から、ハッとする。当たり前のことだそれ。
「……あれ、当たり前ですね、これ」
「す、すみません、そうじゃなくって、えっと、えっと……」
あわあわと手を動かしつつ、良いわけのように言葉を探す。
い、良い言葉が見当たらない。ぎぶみー国語力。
390
:
加賀『プライベート・ライン』
:2015/12/24(木) 01:39:15
>>389
「凄くもなんとも無いよ。」
慌てる関東さんを前に、僕はそう言った。
ぶっきらぼうに、なんでもない風に。
「僕はこれが出来て普通だと思ってる。」
「君の言う当たり前だってね。」
この子、聞き上手なのかな。
僕よりスクールカウンセラー向いてるんじゃない?
いや、僕の方が適当に出来るかな。
勉強させないことには分からないけど。
「にしてもねェ……」
「今時の子がこういう仕事に対する姿勢にすごいって言うってことは……」
「案外、みんな楽してるのかなァ。僕以上の給料泥棒がいるのかな……?」
僕より楽をしてる人がいれば僕は給料泥棒じゃない。
多分、だけど。いや、だって僕より大泥棒がいたら泥棒とか言えないよねェ?
世の中の人みんな僕より大変で、ずうっと苦労してると思うんだけど。
「君はどう思う?僕は僕以上に楽してる奴がいるならもっと僕は楽していいと思ってる。」
391
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/12/24(木) 01:57:02
>>390
「そう、なんでしょうか」
普通、なんだろうか、これは。
あの膨大な数の生徒の名前を、いちいち覚えようとして。
悩んでいる子と向き合ってあげようというのは、普通で当たり前のことなんだろうか。
それは不真面目な言葉とは裏腹に――――とても、真摯であるような気がして。
「ど、どうでしょう。他の人のことは、ちょっとあたしにはわかりませんが」
そう、一言前置きして。
「えっと……ああ、そうだ」
「『有能な怠け者』……というやつでしょうか」
どこかで聞いたことのある言葉。
それはきっと元の意味とはまるで異なるのだろうが、しかししっくりくる言葉でもあった。
「先生は、そんな感じがします。
楽をするために頑張っている、というか。
それはきっと、先生を頼る子にとっては、とても頼もしいことだな、って」
くすくすと笑いながら、そんなことを言う。
頼りにならない風にも見えるけど……うん、この先生はきっと、頼りになる先生だ。
392
:
加賀『プライベート・ライン』
:2015/12/24(木) 02:20:23
>>391
「そうだよ。僕にとっては普通なんだから。」
他人の名前と顔を適当に覚えて、適当にお話してればお金になる。
すっごく割がいいように思うよ。
もちろん僕は、だけどねェ?
「ん?あーいいね、それ。『有能な怠け者』しっくりくる。」
僕の理想にかなり近いんじゃない?
怠け者ってところがいかにも給料泥棒だ。
やァこれからはそっちの方が格好いいかなァ。
いや、キザかしらん?
「楽するためなら頑張るさ。え?君達もそうなんじゃないの?」
「受験とかで楽になるから勉強してるんじゃないの?」
わっかんないなー。僕もこの子達も同じハズなのに。
「頼もしい?あっはは。勘弁してよ。僕は楽したいんだから。」
「遊びに来る子なら歓迎するよ。」
暇つぶしになるしね。
「関東さんは悩み事とかないの?」
「今機嫌いいからさ、仕事抜きで聞いてもいいよ。」
「君が聞き上手で褒め上手なお礼ね。お礼。」
おかげで今すごく気分がいい。
うん、いいよ。うんうん。
393
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/12/24(木) 02:44:33
>>392
「うーん、あたしが勉強するのは……な、なんでなんでしょう。
立派な大人になりたいから、だと思いますが……」
少なくとも、一般的な中学生に明確な目的意識を持って勉強をしている者はそう多くないだろう。
やれと言われたからやる。義務教育と言うのはそういうものだ。
だから、どうして勉強するのか? と言われても咄嗟には答えられない。
「あたしの悩み、ですか?」
ともあれ、振られた話題。
悩み、悩み……確かにひとつ抱えているが、これを相談していいものか。
『スタンド』のことなんて、聞けるわけが無いし。
「えっと……そ、そうですね……」
言葉を選ぶ。
どうしたものかとも思うが、せっかくの機会なのだし。
「じゃあその、せっかくなので。たとえ話になりますが……」
「例えば」
「『銃』を持っている人がいるとします。
その人は、『銃』で誰かを傷つけます」
「……その人が誰かを傷つけないようにするためには、やっぱり、こっちも『銃』を持って戦うしか無いんでしょうか」
「……あ、警察とかは、その、考慮しない方向で。たとえ話、なので」
394
:
加賀『プライベート・ライン』
:2015/12/24(木) 03:04:34
>>393
「立派な大人ねェ。いいんじゃない立派な考えだし。」
ありふれてる。
本当はなんで勉強してるか分かってないのかな。
それとも世の中の汚さにもまれてない?
僕には関係ないことだから、どうでもいいことなんだけどね。
「そう。悩み悩み。」
「……なにそれ。」
なに言ってるんだろうこの子。
心理テストかな?だとしたら趣味がよくない『かも』
他人を試すなんてねェ。
いや、穿ちすぎか。
「僕なら逃げるねェ。」
「銃とか危ないし、近寄りたくないし、僕が標的じゃないなら逃げるほうが楽だよ。」
「あーでもなァ。もし、もし、僕を狙ったりして闘わざる終えないんだったらァ。」
「誰かに頼る、かなァ?僕一人でやるのは面倒くさい。」
僕の精神である『これ』が闘いに向かないみたいに
僕自身闘いに向いてないはずだ足ね。
「敵が銃を持ってるから自分も銃を持ちましょうなんてナンセンスだね。」
「たとえ持っても懐に忍ばせとくもんだよ。見せびらかしたりしないさ。」
395
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/12/24(木) 03:15:53
>>394
「……やっぱり、そうなんでしょうか」
逃げる。あるいは、誰かに頼る。
それは一つの、模範解答なのだろう。
そうしろと、也哉子の中の『誰か』もそう勧めてくる。
だが。
しかし。
「でも……例えば」
「『銃』を持ってる友達がいて、もし『銃』を持ってる人に襲われたら、その子が助けてくれるって言うんです」
「それは嬉しい事でもあるんですが……
でも、あたしはそれでいいんでしょうか。
あたしには、なにかできることは無いんでしょうか」
世界に『銃』を……『スタンド』を持っている人がいる以上は。
世界に、『スタンド』で誰かを傷つける人がいる以上は。
見て見ぬ振りも、もちろんできるのだろう。だが……なにか、できないのだろうか。
少しでも、『スタンド』で傷つく人を減らすことはできないのだろうか。
悩みといえば、そればかり。それが、也哉子がずっと考えていることだ。
396
:
加賀『プライベート・ライン』
:2015/12/24(木) 23:41:08
>>395
「そうなんじゃない?……知らないけど。」
なんかしっくりきてないみたいだねェ。
悩んでる人って大抵の場合聞いてあげるとすっきりしたりするんだけど。
……もう少し、聞いてあげるべきかな。
だとすれば、もうちょっと投げかけるしかないよね。
ん?なんだか今凄くマジになってない?
ヤだなァ。ダサいダサァい。
「ふぅん。銃を持った友達かァ……」
女の子だし、発言力のある子ってことかな?
もしあなたが苛められたら助けてあげる的な。
……違うかな。
悩み事を聞くとき、聞いてあげるのが必要なときと解決策の提示が必要な時があるけど……
この子はどうありたいんだろ。方向性すら見えてないのかなァ?
ま、それが悩みなんだけど。
「いいか悪いかは僕には分かんないなァ。」
「ほら、僕は見ない振り知らない振りだし。他人にどうにかして貰う方がイイ。」
「でもなァ……関東さんってその友達を放っておけないっていうかさァ、色んな人に手を差し伸べたくなる人?」
仕事抜きだ。
見立てみたいなことはしたくない。
でもやっぱり知るしかない。
僕はそういう風にやってきたしねん。
397
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/12/24(木) 23:56:09
>>396
「その、銃じゃなくて剣でもいいし、単に喧嘩に強いとか、そういうのでもいいんですけどね」
所詮はたとえ話。
……たとえ話でなければ説明できない話。
こんな曖昧な言葉で相談するのも、申し訳なく思うが。
しかし『スタンド』なんて言っても通じるわけが無いのだから、仕方ない。
「あたし、ですか」
「あたしは……そう、ですね」
「友達が怪我しそうなら、助けたいと思うし……
友達でなくとも、助けになりたいと、そう思います」
放っておけよ、危ないだけだぜ!
そんな声が『どこか』から聞こえる気がした。
自分でもそう思う。そんな危なっかしいこと、する必要があるのか?
……いいや、しなきゃいけないんだ。逃げたら全部、壊れちゃうから。
「世界が少しでも、優しくなればいいなって。
傷付く人が少しでも減ればいいなって、そう思うんです」
「もちろん、あたしなんかにできることはたかが知れてますけど……
……それでも、少しでも何かできないのかな、って」
398
:
加賀『プライベート・ライン』
:2015/12/25(金) 00:17:16
>>397
「あっはは。分かってるよ。たとえ話でしょ?」
軽薄そうに笑ってみせる。
……なんていうか、青春の淡い香りがするなァ。
僕は牛乳で濡れた雑巾みたいな臭いの青春だったけど。
あれ?思い出せないな。
黒板消しで遊んだことは覚えてるんだけど。
「そう、君だよ。」
これは君のお話だろう?
君の言葉じゃないと意味が無いんだよねェ。
正直さ、こういうのは面倒くさいんだ。
仕事みたいだからね。
でもなァ、聞くって言っちゃった手前おしまいって言いにくいし。
「あっはは。うん。若いねェ。」
まっすぐだなァ。ヤだヤだ。世の中優しければどれだけいいか。
君は守ってもらえるけど、僕は守ってもらえないんだよォ?
社会にも、法にも、君の方が守られてるんだよ?
あっはは。ほんと、若いってヤんなっちゃうな。
「だったら君が盾になるしかないよ。」
「そうでなければ看護師さんだ。カウンセラーだ。癒す人にならなきゃ。」
理想も夢も全部全部混ざって溶けて現実なんだよ。
最低も最悪も全部現実だし、受け入れるべきなんだよ。
君がやってるのは川の流れに逆らって泳ぐようなモンだよ?
疲れるし、ヤんなっちゃうことだよ?
分かんないだろうなァ。
「でないと、君は『いっぱい』になれないよ。」
「あっはは。でも、カウンセラーはよしてよ、僕の仕事減っちゃうし。」
399
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/12/25(金) 00:34:21
>>398
「う」
若い。
……自覚はある。甘ったれた考えだ。
世界はずっとそう言うものだし、長いものには巻かれるべきだ。
理性と感情がそう囁く。じゃあ、あたしを悩ませているのはなんだろう?
「……盾になるか」「癒す人になるか……」
反芻するようにつぶやく。
盾になる。それはきっと素敵なことだ。傷つく人はきっと減る。
癒す人になる。それはきっと素敵なことだ。世界はちょっと優しくなる。
どちらもとっても素敵なことで……少しだけ、違和感がある。
なにか、なにかもうひと押し。妥協だけはしてはならない。
カウンセラー。その響きに、なにかもうひと押し、惜しいものを感じるのはなぜだろう?
「……?」
「『いっぱい』……って、なんですか、先生?」
ところで、気になったのはその言い回し。
『いっぱい』になる? 少し不思議な言い回しだ。
400
:
加賀『プライベート・ライン』
:2015/12/25(金) 00:54:39
>>399
「あっはは。」
僕は笑う。
笑い飛ばす。君の若さなんて直に消えるものだから。
「盾も癒しも両立できるけどねェ。」
「僕さァ、学生のころよくハンバーグ定食とトンカツ定食のどっちにするか迷ってたんだよね。」
「ゲン担ぎっていうかね。大事なときは好きなモノか縁起がいいモノか。」
「ま、大抵ミンチカツ定食食べたけどね。」
あれって二つの料理混ぜたみたいな料理だよねェ。
考えた人は尊敬するよ、一日だけね。
「『いっぱい』ってのは、『いっぱい』だよ。」
「お腹いっぱい、胸いっぱいね。」
両手を広げてみせる。
これが僕の両腕いっぱいね。
いっぱいいっぱい。
「僕の先生が言ってたよ。『人間は容器だ。』ってね。」
「悩みがいっぱいになれば病むし、腹がいっぱいになれば食べなくていい。」
「『いっぱい』は終わりであり始まりなんだよ。」
「君はやりたいことをやって『いっぱい』にならないと満足できないと思うよ。」
世の中にはそういう人間がいる。
僕は彼らが得意じゃない。
どいつもこいつもまっすぐで、真面目で……
あぁ、そうか、あいつらも若いんだな。きっと。
401
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/12/25(金) 01:12:36
>>400
「…………『人間は』……」
「『容器』、ですか」
先生の、そのまた先生の言葉。
満たされれば終わる。あるいは、満たされることで始まる。
なら、あとは『何で満たすか』、だろうか。
「…………………あっ」
――――――そうだ。
人が容器であるのなら―――――重要なのは、『何で満たすか』であるはずだ。
『スタンド使い』も人であるのなら。
ならばやはり、『何で満たすか』が問題になるはずで。
「ああ……そっか」「そういうことなんだ……」
道が開けた、気がした。
暗闇の中を進んでいたのが、やっと道を見つけた気がした。
ペコリと礼をする。先生にはお礼を言わなくちゃいけない。
「先生、ありがとうございます」
「あたしの悩み……なんとなく、大丈夫になった気がします」
まだ、絶対にこれが正解だ! とは言えないけれど。
それでも、一歩前に進めた気がした。
だから、ニコリと笑ってお礼を言うのだ。
402
:
加賀『プライベート・ライン』
:2015/12/25(金) 01:33:02
>>401
「そう、容器ね。」
お猪口の奴もいれば壷の奴もいるけど、おおよそそんな感じだ。
満足できるか、納得できるか、それだけだ。
「あ、そう。よかった。」
我ながら適当な見立てだったけど、よかったのかなァ。
ま、人間所詮は一人。
咳をしても一人。くしゃみをしても一人。死ぬときも一人。
お悩み解決も一人。
カウンセラーなんてそんなもんだ。
「迷ったならカウンセリングルームに来なよ。」
「僕がいれば相手してあげるよ。疲れない範囲でね。」
暇つぶし、退屈しのぎ、金稼ぎ。
マジになりすぎたらキリが無い。
楽に楽に安きに安きに流され流されやるんだよ。
給料泥棒だからね。
「お礼とかいいよ。これも暇つぶしなんだからさ。」
「足の調子どう?」
そういえばこの子が足を滑らせたのが最初か。
随分と話が転がった気もするねェ。
「あ、そうだ。クリスマスプレゼントでもあげようか。」
403
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/12/25(金) 01:41:58
>>402
「はい、なにかあれば、またお願いします」
くすくすと笑いながら、そう返す。
何がおかしいわけでもない。でも、とっても機嫌がいいから。
「ふふ。でもあたし、先生のおかげで助かっちゃいましたから。
やっぱり『ありがとうございます』、なんです」
うん、お礼を言いたい気持ちに、嘘をつくことなんてないのだ。
「あ、足ですか?」
言われて、足を軽く動かす。
まだ痛む……が、酷い痛みではない。
「……とりあえず、大丈夫そうですね。
歩く分には平気そうです。ご迷惑おかけしました」
そう言って、またぺこりと頭を下げる。
「クリスマスプレゼント……ですか?
そんな、悪いですよ。もうあたし、先生にはよくしていただいたのに」
404
:
加賀『プライベート・ライン』
:2015/12/25(金) 01:56:42
>>403
「……あっそ。君はしばらくカウンセリングルームに用なさそうだけどね。」
目をそらす。
なんだろう、この子は。
ダメだ。どうりでカウンセリングルームに来ないわけだ。
あそこはサボり場で保健室だ。
健全で健常で普通なヤツは来ない。
「あ、そうそう。足は保健室ね。僕んとこ来ても治せないから。」
僕は治さない。
与えるだけ。
言葉とかなにかを与えるだけ。
傷を無に返さない。
「えェー。いらないのォ。僕、こんなサービス滅多にしないよォ?」
嘘だけど。
これぐらいいつでも出来る。
リップサービスみたいなもんだ。
ま、別になんでもいいけど。興味ない。
「ま、いいんだったらいいけどね。無理強いするつもり無いし。」
405
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/12/25(金) 02:06:07
>>404
「そうですね。
しばらくは、大丈夫そうです。
湿布がもらえるなら行ったかもしれませんけど。ふふふ」
はにかんで答える。
道は、なんとなくだけど見つけた。後は手探り進むだけだ。
少なくとも、『カウンセリングルーム』に頼るようなことは、しばらくはなさそうだ。
「え、ええーっ」
「い、いらないってわけじゃないんですが、その」
「そ、そう言われるとその……き、気になっちゃうじゃないですかぁ」
そりゃあ遠慮したこっちも悪いが、その、滅多にしないとか言われると、気になる!
し、むしろ断ったほうが悪い気がする。
もらっちまえよと『誰か』が囁く。……うん、今回は、『誰か』に従っていいと思った。
「えと、じゃあ、その」
「プレゼント……頂けますか?」
406
:
加賀『プライベート・ライン』
:2015/12/25(金) 02:16:55
>>405
「湿布ゥ?あ、あったかも。」
腰痛用にね。
湿布より軟膏の方がいいんだけど匂いがキツいんだよねェ。
そう言って、僕は少し嫌な感じがした。
こんな風な物言いしたら、来て欲しいって思われるかもしれない。
ヤだよ。僕、子供に興味ないし。
「あっはは。もらうんだ。」
「じゃあもう一度聞くよ。『クリスマスプレゼント』はいるかい?」
それがスイッチだ。
許可が出ればすぐにでも。
407
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/12/25(金) 02:26:11
>>406
「ふふ、なんでカウンセリングルームに湿布があるんですか?」
冗談かなにか、と受け取ったらしい。
口元に手を当ててくすくす笑う。
本当にあったとしても、単に話のタネとでも判断したか。
「う」「は、はい……」
……がっついたようでちょっと恥ずかしい。
顔を赤くして、ちょっとだけ俯く。でも、もう言ってしまったし。
どうしてかもう一度尋ねてきたから、こちらももう一度答えなくちゃ。
「えと」「はい」
「『クリスマスプレゼント』をくださいな、先生」
408
:
加賀『プライベート・ライン』
:2015/12/25(金) 02:40:02
>>407
「おもちゃもある。」
嘘じゃない。ギターとか置いてる。
持ち込んだものだけどね。
ま、冗談だと思ってるならそう思わせとこ。
変な感じになんないし。僕が。
「あぁ、もちろん。」
許可は得た。それに、いい眺めだ。
うん。実に機嫌がよくなる。
いっぱいにはならないけど。
「さ、口閉じて。目も閉じて、零れ落ちるからね。」
なにもかもが。
おとなしく従ってよ?
従わなくてもいいけど、出来ればね。
「……僕の先生はアリストテレス先生が好きだった。」
「『欲望は満たされないことが自然であり、多くの者はそれを満たすためのみで生きる。』」
「アリステレスの言葉でそれが一番好きらしい。」
「さ、準備できたね。」
もったいぶるように指で数字を表す。
一、二、三、四、五。
片手が開き、全ての指がまっすぐに伸びる。
じゃんけんのパーで、数字の五。
『プライベート・ライン』彼女の口内に、今年のクリスマスに食べるつもりだったショートケーキの一部分を与える。
今日は気分がいい。イチゴも放りこんであげよう。
スポンジと生クリームとイチゴの三位一体を口内に広げるといい。
「ちょっとした手品だよ。」
409
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/12/25(金) 02:58:52
>>408
「?」
「??」
目はともかく、口も閉じる?
零れ落ちる? なんのことだろう。
なんのことだかわからないまま、言われるがままに目と口を閉じる。
(アリストテレス?)
(……なーんで今アリストテレスの話……あっ、『欲しがるのは恥ずかしゅうにゃあ』っちゅうことかね?)
……気を使われた、のだろうか。
いずれにせよ、目を閉じているから数字は見えない。ただプレゼントを待つ。
そして――――――――甘い。
「――――――!?」
「ふぁっ、んぐっ」
思わず声が出そうになって、でも声を出すとケーキが口から出てしまうから、あわてて手で口を押える。
驚きで目を丸くしながら、もぐもぐと咀嚼して。
ゴクン
……甘くて、おいしい、ケーキ。
―――――なぜ?
「んふぁっ」
「て、手品?」
「いや、でも今」
「なんで」
困惑する。
ありえない――――手品と言うより、まるで魔法。
そう、こんなこと、『超能力』か何かじゃなければ―――――
「―――――あっ」
もう一度、慌てて口をつぐむ。
銃を見せびらかすことはしない。さっき、先生自身が言っていたことだ。
「あっ、えと」
「い、今のは……?」
410
:
加賀『プライベート・ライン』
:2015/12/25(金) 03:10:42
>>409
「あっはははははは!」
僕はけらけらと笑う。
空を打ち抜くみたいに上を向いて。
あー楽しい。なんて面白いんだ。
僕はこうでなくちゃ。
「今の?言ったでしょ?ちょっとした手品だよ。」
「あっはは。」
若さもまっすぐさも斜に構えたモノには通用しない。
すかして逸らしてどこかに流す。
関東さんに興味もなにも沸かないけど、からかう気にはなったよ。
「銃は簡単に見せびらかさない。でも、あることは分からせないといけない。」
「微妙なトコだよ。ホントにねェ。」
持ってなければ狙われる、でも一度出せば相手と同じになるかもしれない。
危険って言うのはそういう事に対しても言う。
411
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/12/25(金) 03:19:47
>>410
「て、手品、ですか」
まだ、口の中が甘い。
目を丸くしたまま、口元に手を当てて、不思議な甘さの余韻を確かめる。
いたずらされた、というのはわかる。
多分、いたずら好きなんだ、この人は。
「………………もう!」
「先生は、ちょっといじわるです!」
頬を膨らませて、ぷりぷりと怒ったポーズ。
あくまでポーズ。本気で怒っているわけでもない。
それに――――『銃は簡単に見せびらかさない』『あることは分からせないといけない』。
……この人は、『スタンド使い』なんだ。
『銃』を持っている人。それで、こんなしょうもないいたずらを仕掛ける人。
あるいは、世のスタンドがこんなことにばかり使われれば……それはそれで、幸せな事なのだろうと思う。
412
:
加賀『プライベート・ライン』
:2015/12/25(金) 03:29:10
>>411
「そう手品だよ。」
「失礼だなァ。僕は平凡で平均な一般市民なんだよォ?」
君とは違う意味でね。
非戦闘員ではあるのさ。
「じゃあ、僕はそろそろ帰るよ。」
待ってる人は居ないけど。
欠けたケーキを食べてしまわないと。
どうせどっかで買えばいい。
驚いた関東さんの顔を思い出せば、美味しくなる。
なにせ、いい眺めだったから。
「あ、関東さん。」
「知らない人から物貰ったり、食事に誘われたり、なにかモノを尋ねられたりしたら注意しなよ?」
「世の中君が思うほど優しくないかもしれないんだから。」
「君はつけ込まれるかもしれないよ?」
そしてそれが相手を付け上がらせる。
実に面白い。
でも、終わればそれっきり。
どうなるか、分かったモンじゃない。
「じゃあね。最近みんな浮き足立ってるから、それに乗せられないように。」
「またね。困ったらカウンセリングルームね。」
君らは子供だ。法律が、社会が、守ってくれる。
社会の歯車であるところの僕も君を守ってあげる。
そうして僕はその場を立ち去った。
え?関東さんがちゃんと帰れたかって?知らないよ。興味も無い。
本人に聞きなよ。ほら。
413
:
関東 也哉子/ヤーコ『一般人』
:2015/12/25(金) 03:42:46
>>412
「あっ、はい」「えと、今日はありがとうございました」
もう一度、ぺこりとお辞儀。
文字通り『一杯食わされた』ことなんて忘れてしまったように。
忘れているわけではないのだけれど、忘れてしまったように。
……そもそも、不機嫌はポーズだ。
特に何か不利益を被ったわけでもないのだ。ちょっと、からかわれただけで。
「せ、先生がそれを言うんですか……?」
……でも、たった今人のことをからかった人に『知らない人には気をつけて』なんて言われても。
「ま、まぁ、でも、そうですね。
肝に銘じておきます」
ともあれ、しかし、忠告自体は真っ当なわけだし。
……うん、真っ当な忠告を、真っ当じゃない人がしているから違和感があるだけで。
忠告自体は真っ当なんだから、しっかり受け取るとして。
「はい」
「先生も、お気をつけて。
よいクリスマスと、よいお年を」
なんだかんだ言っても、やっぱりこの人は先生なんだなぁ、なんて思いつつ。
手を振って見送って……先生が見えなくなったところで、ほっと一息。
「…………うん」
「あたしも、がんばらなきゃ」
道は、見つかったから。
決意を胸に秘めながら、也哉子も(少し歩きづらそうにしながらも)帰路につく。
もちろん、ちゃんと家には帰れました。
ふふ、誰かさんのおかげでしょうか、なんてね。
414
:
球良 楽人『ストーン・サワー』
:2016/01/05(火) 23:25:33
「はは…………ははは…………」
「コイツは凄いぞ……『可能性』をビンビンに感じるじゃあないか……!」
駅前、『午後1時』。
真っ昼間から酔っ払いか、はたまたタダの『キ印』か。
奇声を上げる奴がいる。
手にはアルミ缶が二本。
415
:
灰羽『アクエリアス』
:2016/01/06(水) 22:24:01
>>414
「ん? なんだあれェ……」
彼女は通りすがりの中学生である。
隣に守護霊(スタンド)がいることを除けば、飾り気の無い少女だ。
『……ぐるあーん』
「え? もしかして気になるのかぁ?
やめとけよォ〜。あれだよ、ほら、あの……レンヒメさんも言ってたじゃん。
コワチカとかいうやつ」
一般人から見たら、独り言にしか見えないため、
そう言う少女も十分に変人に思われるだろうが。
大柄な女性型のスタンドは道端のニオイを嗅ぐ犬みたいに、何が起こるのか気にしているようだ。
416
:
球良 楽人『ストーン・サワー』
:2016/01/06(水) 22:52:51
>>415
「〜♪」
『人の目なんか見えやしねー』って様子の痩せこけた青年がそこにいた。
げっそりした頬と、べったり目の下に貼りついた『クマ』が、
『見ちゃいけない』雰囲気を醸し出している。
「よォしよし…………だいたいこのサイズなら
『5〜6秒』もあれば十分だな」
青年が手にしている『コーラ』と『コーヒー』を
ぽい、と空中に投げ上げる。
次の瞬間――
『パ ン』
2つの『アルミ缶』が、空中で『破裂』した。
「良いぞ!良いぞ!臭ェ花火だ!ははははははッ!」
ビチャ ビチャ
全身にコーヒーとコーラを浴びながら、青年は声を上げて笑う。
皮膚をあちこち『缶の破片』で切ったようだが、
これっぽっちも気にしちゃいない。
417
:
灰羽『アクエリアス』
:2016/01/06(水) 23:09:00
>>416
「んもォォ、行くぞ?」
少女は立ち止まった犬のリードを引っ張るがごとく、
スタンドを引っ張って進もうとするが
「えっ何? うっわぁ!?」
『ウヒャー』
精密性皆無の『破裂』は、当然周囲にも被害をもたらす。
遠巻きにしていた周囲の人々はともかく、スタンドが興味津々で近づいていた少女は
射程範囲に入ってしまっていた。
「ムッ」
まあ、距離が多少離れていたことと、スタンドの防御により、
缶の破片で傷つくことはなかったが、コーラが少しかかってしまった。
少女はムッとした顔で(口でもムッと言いながら)騒いでいる男を睨む。
418
:
球良 楽人『ストーン・サワー』
:2016/01/06(水) 23:25:07
>>417
「アァ―――――………………」
青年は『恍惚』とした表情で固まっていた。
虚ろな瞳で中空を見据え、そのまま『10秒』。
ギョロ ッ
ふいに、周囲を見回し――遠巻きの『群衆』、
そして『灰羽』に目を止める。
「うお、ッ」
その存在に初めて気付いたような反応。
少し『怯えた』ような目を見せ、
「…………ンだよ」
「見せモンじゃねーぞォ、おい」
一転、低い声で凄んできた。
ただ、少しばかり『震え声』だが。
419
:
灰羽『アクエリアス』
:2016/01/06(水) 23:40:30
>>418
「……うぐぅ」
少女は怒り覚めやらぬ様子で、しかし同時に脅しが効いたのか
不満そうにしつつも言い返すことはせず、目を逸らした。
通常であれば弱みと取れる青年の怯えたような瞳も、震え声も、
異様な形相と態度を考えれば、触れてはいけないものという印象を深めただけである。
『ンガァァア?』
『ダラァ!?』
『ドルルルァァ!?』
だが一方、そういう雰囲気だとか空気だとか読めないスタンドが威嚇し返してくる。
女性型スタンドはでかく、ムキムキで、その胸は豊満であった。
420
:
球良 楽人『ストーン・サワー』
:2016/01/06(水) 23:56:41
>>419
「……へッ、へへへ……いや、怖がらなくても
いいんだぜ。うん、分かればいいんだ。分かれば」
『灰羽』が竦んだ途端、尊大に出る青年。
だいぶ、(人間的に)『小さい』男のようだが。
「……」
と、ようやく灰羽の傍らのスタンドを認識する。
「え」
「うわッ」
「うわあああぁぁあッ!?」
ドスン!
大げさなくらいの『驚愕』!
後ろに倒れて腰から落ち、そのまま這いずって
スタンドから距離を取ろうとする。
「なッ、なんだそいつ! なんだよ、聞いてねえぞ!」
421
:
灰羽『アクエリアス』
:2016/01/07(木) 00:07:25
>>420
『グルルアァン?』
「……」
『フンス』
「……」
少女は急に取り乱した青年と、自らの傍らのスタンドを交互に見た。
スタンドはどことなくドヤッとした顔を返す。
「あれあれェ〜? どうしたんですかぁ?」
さきほどまでの不気味さの助長とは違い、わかりやすくビビッている青年に
余裕を持ったのか、少女は近寄ってきた。
女性型スタンドは威嚇をやめて、ゴリラのように穏やかな雰囲気を発している。
422
:
球良 楽人『ストーン・サワー』
:2016/01/07(木) 00:23:47
>>421
『ドヤ顔』で歩み寄る『灰羽』。
こいつら――良い勝負だ。
「ハァ、ハァ、ハァ……クソッ、急に強気に出やがって――!」
先ほどまでの自分を棚に上げつつ、灰羽に言う。
冷や汗がダラダラと流れているが、コーラと混じって
よく分からないことになっている。
ついでに体も冷えてきた。
「どうした、って……そいつだよ、そいつ!」
『スタンド』を指差して、叫ぶ。
もう余裕も何もあったものではない。
「一体全体『何者』なんだ!?
『説明』を……説明を、してくれ、頼む」
423
:
灰羽『アクエリアス』
:2016/01/07(木) 00:41:24
>>422
待て! ドヤ顔をしたのは『アクエリアス』だ。
灰羽は……口の端を歪めた妙な表情をしているぞ。笑顔のつもりかもしれない。
「ちょ、ちょっとぉぉ、あんまり騒がないでくださいよ。
変な目で見られるじゃないですか」
異常な行動を取ったり騒ぐ男に近寄っている時点で、
変な目で見られる対象に入ってしまっているため、手遅れである。
「え〜……
そういうのは聞くほうから話すのがマナーってよく言うでしょう。
さっきの缶を爆発させたのがあなたのですかぁ?
ヴィジョンは見えませんでしあけど」
『アクエリアスー!!』
「ちょ」
少女は野良犬とコミュニケーションをとるように、
警戒した様子で言葉をかけてくる。
隣のスタンドは何故かスポーツ飲料の名前を叫んでいる。
424
:
球良 楽人『ストーン・サワー』
:2016/01/07(木) 01:07:54
>>423
>待て! ドヤ顔をしたのは『アクエリアス』だ。
!? ……その通りだった。これは『球良』の
『動揺』を表している、そう考えていただきたいッ
(申し訳ありません)
「変な目……?
ま、良くあることだ。ちょっと怒鳴って、
追っ払えばいいだろ」
「もしかしたら『ファン』かも――いや、
ぼくに『理解者』はいないし、いらないな」
どうもこの男、『奇異の目』は慣れっこらしい。
いつも、さっきの調子で凄んで見せるのだろうか……
「缶?爆発? ああ、あれはぼくがやったけど。
なんだか『目が覚めたら』、『出来た』。
変な『女』の夢を見たよーな気もするけどな」
「それで『ストーン・サワー』と名づけた。
ぼくの『感覚』が、そう言っていた――気がする」
中空を見上げながら、喋る。
目つきが、また『ヤバい人』のそれっぽくなった。
>『アクエリアスー!!』
「喋ったぞ、こいつ……!?
おい、『アクエリアス』ってのが、こいつの名前なんだな?」
425
:
灰羽『アクエリアス』
:2016/01/07(木) 01:20:55
>>424
「ふーん。なりたてなんですかぁ。
夢……?」
一発で名前と分かってもらえた楽人の勘の良さに『アクエリアス』もニッコリだ。
トトロとメイちゃんみたいなやり取りである。
「うーん、変なことするのは勝手ですけど、他人の迷惑にならないようにお願いしますよ。
せめて爆発させるならベトベトするコーラとか、シミになるコーヒーじゃなくて、
空き缶とかミネラルウォーターにしといたほうがいいですよォ」
楽人が(比較的)普通に話しているからか、周囲に人が戻りつつある。
少女はそれが逆に気になったのか、そわそわした。
「目覚めたてっていうなら許してあげます。特別にですよ?
私も暇ではないですしぃ」
426
:
球良 楽人『ストーン・サワー』
:2016/01/07(木) 01:33:54
>>425
「なりたて……よくわからんがお前はベテランなのか?
……あ、ベテランなんですかね?『アクエリアス』さん」
なぜか『アクエリアス』にだけ腰が低い。
多分ちょっと『ビビってる』んだろう。『小さい』。
「いやいやいやいや、透明なモンぶちまけたって面白くも何とも無いだろ。
もうちょっと考えてものを言いたまえ、うん」
『常識』が欠けてそーな奴とは思えない口振りで、
『灰羽』に言う。卑屈になってみたり尊大に振る舞ったりと、随分と忙しない。
「お前に『許される』いわれは――ッくショいッッ」
ブハックショ〜イ
灰羽の言葉に反論しようとして、盛大に『クシャミ』をする。
「……クソ、こりゃ冷えたか……?
まあいい、ぼくの『ストーン・サワー』。覚えとけよ、
『アクエリアスさん』、それとそこの……あー、お前」
「はははッ……『あばよ』ッ!」
そう言って、人並みの間を縫って去っていく。
後日、しっかり風邪を引いたのは言うまでもないのであった。
427
:
灰羽『アクエリアス』
:2016/01/07(木) 01:50:06
>>426
「えっ、いや、まあ……多少はねぇ?」
スタンド使い暦は一年ちょっと……ベテランかと言われると、微妙なところだ。
……しかしスタンド使いになったのが中二で、今も中二……
そこに触れることは死を意味する。
「色つきの液体だと面白いのかぁ?
そういやファンとか言ったりしてたな……アーティストかなんかか?
現代アーティストって理解できない」
『バイバイ』
名乗らなかった少女が現代アートに思考をめぐらせている間に、
『アクエリアス』はぶんぶん手を振って名も知らぬ青年を見送った。
結局『スタンド』の名前だけ交換した彼らだった。
「……なんかいつも思うけど、お前、私よりも扱いがよくないかぁ?」
『……』
「くそっぉ、コーラがベタつく……せめてノーカロリーでやれよ」
そして少女はむかつきが再燃したのか、不機嫌そうに帰っていった。
428
:
人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』
:2016/01/07(木) 22:33:59
「んんー…………っ」
「ふう……眠いわぁ」
『AM7:00』。
駅構内の『待合室』で、大きく伸びをする。
正月休みも終わり、仕事が再開してから2日。
「しばらく休んでたから…………朝起きるのが辛いわねぇ」
彼女の場合は普段からそうなのだが、ともかく。
「…………暇ねぇ……」
『電車待ち』である。
429
:
石動 遥道『アルター・ブリッジ』
:2016/01/07(木) 23:37:45
>>428
やがて、同じく電車待ちであろうサラリーマン風の男が一人、待合室に入ってくる。
長らくアイロン掛けをしていないらしき、もっさりとした背広を身に纏い
朝から仕事の疲れを滲ませながら、眠そうな表情を浮かべている。
鞄などは持ち歩いておらず、手ぶらだ。
そしてあなたのほど近くで立ち止まる。
椅子には座らず立ったまま、ポケットに手を突っ込むと一本の煙草を取り出し、口に咥えた。
……待合室に限らず、駅構内は『全面禁煙』である。
430
:
人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』
:2016/01/07(木) 23:45:35
>>429
「ん〜…………」 コックリ コックリ
ムクッ
「あらっ、いけないいけない」
ヒマさに負けて、意識を手放しかけつつ、何とか寝ないように
頑張っている。ここで倒れたら『遅刻』待ったなしだ。
「…………あっ」
近くに人の気配を感じ、目をやって、『煙草』に気付く。
『アロマ』は好きだが、煙草の匂いはあまり得意ではないし、
一応『禁煙』というやつだ。
「あの……すみません、ええと、そのぉ」
遠慮がちに男に声を掛け、自分の口元を指差す。
婉曲なやり方だが、初対面の男性に、直接面と向かって
抗議するほど『勇気』はなかった。
431
:
石動 遥道『アルター・ブリッジ』
:2016/01/07(木) 23:58:18
>>430
「はい?」
あなたの抗議に気付く。
「ああー、すいません、紛らわしかったですね」
バツが悪そうに頭を掻く。
謝罪しながらも、咥えた煙草を仕舞ったりはしない……
だが、火をつけようともしない。
「良かったら一本どうですか。ウチの人気商品なんです」
そういって煙草を取り出したポケットから箱を取り出す。
煙草の箱ではない。大きさ、形ともよく似ているが、派手な赤い色のパッケージには
可愛らしい猫のキャラクターや星などが描かれ、『シガレットチョコ』と書かれていた。
箱から一本取り出し、あなたに差し出す……。
432
:
人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』
:2016/01/08(金) 00:04:38
>>431
「あら…………?」
『紛らわしい』ってどういうことかしら、というような表情を
しているうちに、『箱』を差し出された。
のんびりしたしぐさで、しばらく見入る。
「『シガレット』……『チョコ』、あらっ、お菓子だったのねぇ。
ええと、ごめんなさい、早とちりしちゃって」
ペコ
小さく頭を下げて、謝る。
仕事でも謝る事多いわよねぇ(トロいから)、とか考えつつ。
「えっ、いいんですかぁ」
「それじゃあ、いただきます。ありがとうございます〜」
差し出された『シガレット』を受け取り、
口にくわえてみる。味はどんなものだろう?
433
:
石動 遥道『アルター・ブリッジ』
:2016/01/08(金) 00:19:38
>>432
「いえいえ、こちらこそすいません。へへ……
今時『シガレットチョコ』なんて珍しいでしょう。
子供に煙草を吸う真似なんてさせたくない親御さんが多いですからね」
シガレットチョコを手渡す。あなたは、それを口にする。
シガレットチョコは、煙草のように細い筒状の紙の中に、何の変哲もないチョコレートが入っている。
ただそれだけの菓子だ。
紙が邪魔で食べにくく、『煙草を吸う真似』をすることに興味がなければ、
紙をむいてしまって『ただの細長いチョコレート』として食べたくなる。
チョコレートの味も、普通だった。
「ウチの会社は、こういう時間に取り残されたような商品ばっかり売ってましてねえ。
だから経営も火の車で……ああ、すいません、いま会ったばっかりの人にする話じゃあないですね」
未来への不安とも、過去への郷愁とも取れる感情を顔に浮かべ、笑う。
434
:
人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』
:2016/01/08(金) 00:37:09
>>433
「そうですねぇ、わたし、初めて見たかも……」
紙をくわえて、煙草を吸う仕草を真似てみる。
……そのまま、チョコが溶け出すまでぼーっとしていた。
「……これ、なんか落ち着きます……
このまま寝ちゃいそう、うふふ」
「いいお菓子だと思いますけど……経営が苦しいのは、辛いですよねぇ。
わたしは『寝具メーカー』に勤めてるんですけど、最近『若い人』が少ないとかで、
『一人暮らし』を始めるひとが少ないんですよねぇ」
シガレットをくわえたまま、話し出した。
声にあわせて、包み紙がゆらゆら揺れる。
「そうすると『ベッド』なんかは、あんまり売れなくって。
今年の『春』はどうなるのかなぁ……ふわぁ」
「考えると、眠くなっちゃいます」
435
:
石動 遥道『アルター・ブリッジ』
:2016/01/08(金) 00:57:40
>>434
「あっはっは、お姉さん面白い人だねえ。
咥えたまま寝ると、たぶん体温で解けて、目が覚めたときにはすごい事になってそうだ」
今度は普通に笑う。
心の距離が縮まったのか、敬語ではなくなった。
「あー、なるほどねえ……寝具業界も大変なんだ。
絶対数が減ってるのもあるんだろうけど……
据え膳上げ膳の親元で暮らして、近くの会社に入って、
大博打に出ることも無理をすることもなく『人生というレール』の上を『通り過ぎていく』……
……こりゃ俺のことか」
そう言いながら線路を見つめる。
「あー、なんか会社行きたくねえや。
いっそこのまま電車が停まっちまえば、今日だけでも、どこか別のところへ出かけられるかね」
ユラァ……
あなたは、『陽炎』のようなものが私の身体に重なって見える。
完全に重複しているためはっきりと区別しづらいが、それは『スタンド』だった。
436
:
人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』
:2016/01/08(金) 05:35:17
>>435
「そうなんですかぁ……服が汚れちゃうかな」
寝ないようにしないと、と呟いた。
「『レールの上』を……ですか?」
『石動』の言葉に釣られて、線路を見る。
その述懐までは理解出来なかったのか、少し不思議そうな顔をしていたが、
>ユラァ……
「えっ、えぇ……っ?」
突如発現した『陽炎』に驚きの声を上げた。
シガレットの包み紙が、ぽとりと落ちる。
「わたしも時々そんな風に思います…………でも、あの」
「……何をするつもりなんですかぁ」
石動を見上げ、恐る恐る声をかける。
437
:
石動 遥道『アルター・ブリッジ』
:2016/01/08(金) 20:30:52
>>436
「『脱線事故に巻き込まれた』って事にすりゃあ、会社に言い訳も立つか……」
などと半ば独り言のように言いながら、先程までとはまるで違う冷徹な眼で線路を見ていたが……
「あーやめやめ。
休みたいなら仮病でも無断欠勤でも一人で勝手にやりゃあいいんだし、
人様を事故に巻き込んで迷惑かけることじゃねーや。
お姉さんだってせっかく気合入れて駅まで来たんだ、帰りたいとは限りませんよねえ……どうしました?」
思いついた凶悪な『悪戯』を取り下げ、スタンドは引っ込む。そしてあなたに向き直る。
考え事に夢中であなたの様子にまで注意を払っていなかったため、その時に気がついた。
「いえね、ちょっとした『妄想』をしただけですよ。いやお恥ずかしい。
でも、そんなに驚くほどヤバイ顔してました?…………それとも、
なにか、見えました?」
再び心の距離が開いたのか、丁寧口調に戻っている。
438
:
人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』
:2016/01/08(金) 20:59:13
>>437
「…………………………………………」
『怯え』と『驚き』が入り混じったような表情で、『石動』を見た。
「いいえ、何も…………ううん、ごめんなさい。見えました」
「ぼやっとした……『影』のような、ロウソクの『灯り』のような」
誤魔化そうとして、やめる。『嘘』をつき通せる自信はなかった。
「えっと……その。何か『しよう』としても、
それを『できる』としても、『実行』しなければ……
思うのは、自由だと思います」
「わたしも、小うるさい『課長』がどこかに
『転属』にならないかなぁ、って思うこともありますから……」
ぽつりぽつりと、思い浮かんだことを喋っていく。
言葉が途切れるのが怖いからだ。
439
:
石動 遥道『アルター・ブリッジ』
:2016/01/08(金) 22:11:24
>>438
「そう、ですか……『惹かれあう』って話、本当だったんだなァ」
まだ『スタンド』に目覚めて数日。
しかし『相手にも見える』ということの意味は、判っている(はずだ)。
「『夢』を見たんですよ。その後だったなァ、『超能力』に目覚めたのは。
それで思ったんです。この力があれば、今までとはまったく違う人生を生きることもできる、ってね。
潰れる寸前の会社なんか行かなくたっていい。『持たざる者』から欲望のままに奪って生きる事だってできる。
でも、同時に思ったんですよ、本当にそれでいいのか、って。
それまでの人生をすべて投げ捨てて『自由』を手にしたとして、それは本当に俺の欲しているもんだろうか。
考えてもわからないんで、とりあえずこのまま……会社を辞めたりしないで過ごすことにしたんです。
『レール』か、『自由』か。
何らかの『分岐点』までは、レールの上をもう少し進んでみよう、って」
遠くで踏み切りの鳴る音がする。二人が乗るはずの電車が近づいている証拠だった。
そろそろ時間だ。
440
:
人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』
:2016/01/08(金) 22:34:56
>>439
「『スタンド使い』は『惹かれあう』……」
「そうかも、知れませんね」
自分が、これまでに会った人々を思い出す。
「自分の人生を変えられるような『力』……
でも、あなたはそれに溺れないでいるんですね。
凄いことだと、思います。うん」
たとえそれが『判断の保留』に過ぎないのだとしても、
そこで一旦『踏みとどまる』ことが出来るのは、やはり
良いことなのだろう。ふと、そう思った。
「『分岐点』まで――えっと、上手く言えないですけど……
頑張ってください、とっても、大切な判断だと思いますから」
「……ふわ、ぁ。
ごめんなさい、ちょっと安心したらぁ……急に眠く……」
たどたどしく、思いつくままに言葉を紡いだあと、
緊張の糸が切れたように欠伸をする。
パァアーーッ
列車が、ホームに入ってくる。
気だるそうに立ち上がり、そちらに目をやった。
「……そういえば、これからお仕事だったかしらぁ……
行きましょうか、……ええと、お名前、伺っても?」
441
:
石動 遥道『アルター・ブリッジ』
:2016/01/08(金) 22:44:53
>>440
「あー……うん。
自分じゃ優柔不断なばっかりだと思ってたけど、アンタ、いい人だな」
ガタンゴトン ガタンゴトン プシューーーーッ
電車が到着し、ホームに停車した。
「俺は石動 遥道(イスルギ ハルミチ)。スタンドの名は『アルター・ブリッジ』」
ほぼ同時に名乗る。一拍をおいて電車の扉が開く。
442
:
人吉 佐和子『クラウド・ボーイ』
:2016/01/08(金) 23:00:29
>>441
「石動さん、ですね。よろしくおねがいします……
あっ、わたしは人吉 佐和子(ヒトヨシ サワコ)と申します」
『メヘェェェ』
鞄から、『枕みたいな羊』の『スタンド』が顔を出した。
「この子は『クラウド・ボーイ』」
「それじゃあ、そうですね……うふふ、
これも何かの縁ですし、降りるまではご一緒しましょうか?」
そう言って微笑みかけ、列車に乗り込む。
『〜♪』
発射のジングルがなる。ゆっくりと、汽車が駅を離れていく。
……道中、人吉が何度と無く眠りに落ちかけたのは、また別の話だ。
443
:
石動 遥道『アルター・ブリッジ』
:2016/01/08(金) 23:16:11
>>442
「人吉さんですか、よろしく。
『羊』……か。なるほど、これは奇妙な縁かもしれませんね。
夜の夢でスタンドに目覚めた私には……」
多眠症の気がある女性と、眠りに関係していそうな『羊』のスタンド。
『ファム・ファタール』との関係は……偶然だが、『出来過ぎ』だと思った。
「はい、まあ、どっちかの降りるところまで」
プシューン
ガタンゴトン……ガタンゴトン……
二人は電車に乗り込み、扉は閉まり、走り出した。
人吉は席に座り、俺はその前で立っている。
その後は話らしい話もなく……どちらか先に降りる方の駅で、別れた。
444
:
青田『トライブ・コールド・クエスト』
:2016/04/03(日) 23:18:11
駅前、監視カメラの真正面でベンチに寝ころび、
顔に帽子を被せている。眠っているようだ。
445
:
青田『トライブ・コールド・クエスト』
:2016/04/04(月) 00:06:45
>>444
ふらりと立ち上がると、そのまま歩き去った。
446
:
青田『トライブ・コールド・クエスト』
:2016/09/28(水) 22:58:54
駅から出入りする人間から見える位置のベンチでスマートフォンを弄っている。
447
:
青田『トライブ・コールド・クエスト』
:2016/09/29(木) 09:08:23
>>446
男は居なくなっていた。
448
:
坂下 佳侑希『レイルウェイ・チルドレン』
:2018/12/29(土) 21:04:40
タタン
タタン
タタン
タタン
この時期の電車は混み具合が本当に読めなくってうんざりするんだよ。
変な時間の上りが妙に混んでたり、朝イチの下りに人が溢れてたり、
私がどうにかこうにか意を決して乗り込んだずっとずっと遠くまで行く電車が、
ずっとずっと遠くまで行きたい人でそれなりに繁盛しちゃってたり。
すっごく遠くまで行こうっていうのに、立ちっぱなしってのは流石にしんどいんだよね。
タタン
タタン
タタン
タタン
だから私は、惜しげもなくズルを、イカサマをインチキをしてしまうんだ。
『誰がいつどこで降りるか』が『分かって』、そのタイミングを好きにいじれる私の『裏技』。
使いすぎると自分がどんどん弱っていって甘えていってつまらなくなっていくような気がするけれど、
だけどだからって言って、この街を出るのってのに最後だからってのに使わないってのは、
それはそれで違うじゃん?
タタン
タタン
タタン
タタン
「『レイルウェイ・チルドレン』って、いうんだよ」
誰に聞かせるともなく呟いて、私は座席を確保する。
そのくらいは、私の『手のひらサイズの未来予知』があれば、まるっきり楽勝って感じなんだ。
思えば、色々なことがあって、その色々が大体全部いいことで、
思い返してみれば、私の人生って奴はどうやらうまいこと行ってるみたいで。
だから、
タタン
タタン
タタン
タタン
だからやっぱり私は、行かなきゃいけないんじゃないかって思うんだ。
もっと色々なことがあって、もっといいことがあって、もっとうまく、行ったらいいと思うから。
「たくさん考えると、疲れちゃうよねえ」
この電車は座席の下からも暖房が効いていて、
ひとたび座ったらたちまち私の身体は暖められて、どうにも抗いがたい眠気に襲われるんだ。
疲れていて、暖かくなっって、眠たくなって。
だから今から私が眠ってしまうのも、きっと無理のないことだと思う。
次に目を覚ましたら、きっとずっと遠いところに辿り着いているんだろうけど。
それでも、それって別にさみしいことじゃないって思うから。
だから私は、薄く笑って瞼を閉じる。
楽しいこととたくさん遭って、楽しいことがたくさん待ってて。
まったく、ひょっとして私の人生、最高なんじゃないか。
タタン
タタン
タタン
タタン
両耳を塞ぐイヤホンからは、昔のヒット曲が絶え間なく流れている。
居場所の要らない女の子が人の心を渡っていくような、そんな歌。
車輪のリズムと慣れたメロディに包まれて、
どうしようもなく本当にまるっきりおめでたくて幸せな私は、小さく一つ呟いて、意識を手放してみるんだよ。
「ぐんない」
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