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仮面ライダー総合@エロパロ避難所

1名無しさんが妄想します:2010/09/05(日) 23:57:15
エロパロ板 仮面ライダー総合エロパロスレ
の避難所です。エロパロ板に書き込めないときなどに。

*煽り・荒らしはスルーしましょう。あくまでも大人の為のスレです
*作品投下後、数レスまたは半日待ってからの作品投下にご協力お願いします
 (作品が流れるのを防止するためetc.)
*保管庫についてはエロパロ板のスレ参照
*次スレは>980が立ててください(不可能な場合は代理を頼んでください)
*ネタバレを含む雑談は警告+改行を入れる
*ネタバレを含む作品は名前欄に明記するか前書きで説明する
*エロパロ板へ転載希望あれば投下時に書き添える

200海夏妊娠話1:2010/12/29(水) 11:48:59
どうしよう……………

洗面所の前で、夏海が何かを手に不安げな表情を浮かべて呟く。

大樹さんには言えない……こんなこと……
でも、どうすればいいの……私……

いくら考えても答えは出ない。
夏海はため息をついて、それをごみ箱に捨てる。
彼女が持っていたそれは妊娠検査薬。
それに示されていた結果は―――

陽性。







それから数日経ったある日。
「夏海ちゃん、最近元気ないね?どうしたの?」
「えっ?そんなことありませんよ?」
士も栄二郎もいない時、夏海の様子がおかしいと感じたユウスケが、夏海に尋ねる。夏海は、内心ドキンとしたが、笑顔で答えた。
「最近あいつ来ないもんね。やっぱり海東がいないと寂しい?」
少し、からかうつもりで言ったのに、その夏海は海東の名を出した途端、泣きそうな顔になった。
やはり、海東の名前を出されると弱ってしまう。
「………夏海ちゃん……?」
いつもなら、「そんなことありません!」とムキになるのに。いつもと違う夏海の様子に、ユウスケは怪訝な顔をした。
「おい、夏みかん。お前が元気がない原因はこれか?」
と、そこに士がやって来て、夏海が使った検査薬を取り出した。
「士くん!!どうしてそれを!!」
「知られたくないなら、こんなモン普通に捨ててんじゃねぇよ」
呆れたように溜息をつきそう言う士に、夏海は黙ってしまった。





「妊娠四ヶ月?」
「はい……」
ユウスケの言葉に返事をして、視線を落とす夏海。
先日、自分で検査をしたが、やはりそれだけでは不安で、病院で調べてもらおうと思った夏海。でも、祖父に一緒に来てほしいなんて言えるはずがない。いや、妊娠したかもなんて事が言えるはずかない。色々考えた末、すごく勇気がいったが一人で病院に行った。
「おかしいな……って、思ってたんです……その………ずっと………なかったし………」
自分のそういうことを話すのは、やはり恥ずかしいのだろう。俯き、耳まで赤くして言う夏海。流石に二人とも、何が?と、そんな野暮なことは聞かなかった。
「夏海ちゃん。それ、海東に言わなきゃ……!」
夏海は首を振る。
「どうして?だって、その子は海東の……!」
「駄目です!!絶対に駄目!!赤ちゃんができた……なんて……」
そんなことを伝えたら、きっと海東を困らせてしまう。それに、こんなことで自由な彼を縛り付けたくはないから。
だから。
「大樹さんには何も言わないでください」
「言わないで……って、夏海ちゃん!!どうするの!!」
ユウスケが眉を寄せて夏海に尋ねるが、彼女は何も答えずに立ち上がった。
「病院……行ってきます……」
「病院って………まさか……夏海ちゃん!!!」
嫌な予感がしてユウスケは夏海の後を追う。
「夏海ちゃん!!待って!!夏海ちゃん!!」
次第にユウスケの声が小さくなり、そこには士が一人残された。
夏海は海東には秘密にしておいてくれと言っているが、そのまま放っておけば、否応なしに海東にわかってしまう。
と、言う事は。

きっと、夏海は………

「納得いかねぇ………!!」
一人考え、苛立ちを含み呟く。その床には、夏海が今向かっているだろう産婦人科の診察券が落ちていた。

201海夏妊娠話2:2010/12/29(水) 11:49:36
二人が出てからしばらくして。

「やあ、こんにちは」
何も知らない海東が、笑顔でやってきた。
「あれ?士だけ……?」
きょろきょろと、部屋を見渡して言う。
「あぁ……」
ぶっきらぼうに答える士。
「またお宝か……?」
「あぁ、今回も素晴らしいお宝が手に入ったよ」
士の問いに笑顔で言う海東。
「………………」
海東は知らないから仕方ないのだが、その笑顔に次第に腹が立ってきて、士はガタンと立ち上がった。


夏海があんなに悩んでいるのに、いつもこいつはお宝、お宝。一体何をしてんだ!!


「おい、海東!ちょっと来い!!」
乱暴に海東の腕を掴み、引っ張る士。いきなりの事に海東は怪訝な顔をした。
「ちょっと、なんだい士!離したまえ!!」
「るせえ!!いいから来い!!」
海東の抗議を無視して、彼を外まで引っ張り出す士。
「……っの、馬鹿野郎が!!」
バキィッ!!!と、派手な音が響き、海東が勢いよく倒れる。
手加減無しの本気のパンチだ。
「いきなり……何を!!」
海東の口の端から血が流れていた。いきなり殴られて訳がわからないふうだ。
「るせえ!!夏みかんの事、いつまでもフラフラしてんな!!」
「夏海の……?」
流れた血を拭い、首を傾げる。
「おまえ、あいつが今どんな思いでいるか、一人でどれだけ悩んでるか、わからねぇだろ」
「……?何の事だ…………?」
「自分で夏海に聞いてみろ。これ以上、あいつ放っておいたらお前がしたみたいに掻っ攫うぞ」
士はポイと、海東に何かを投げつけた。
「…………?」
眉を寄せて、士が投げたそれを不思議そうな顔で手に取って見る。それが何か、認識できた途端、ガバリと身体を起こした。
「今、夏海はっ?」
「病院だ。随分思い詰めた顔してたぞ」
「有難う、士!行ってくる!!」
立ち上がり、走り出す。
「お前っ!どこの病院か知ってんのか?」
「産院片っ端から叩く!!」
くるりと振り返りいつものように指鉄砲を撃つ仕種を見せて、走っていった。
途中、足をもつれさせ、倒れそうになっている。
「ったく、馬ー鹿……」
夏海が忘れていった診察券をヒラヒラさせて、海東の背中を見送る。
まあ、尋ねられても元から教える気なんかなかったが。

あいつ、あんな焦るくらいは想っているのか……

「喜べよ、夏みかん……」
海東はお前が思ってるより、ちゃんとお前の事愛してるよ。
「あーあ……何やってんだかな、俺……」
士は嘲笑を浮かべて呟いた。

202海夏妊娠話3:2010/12/29(水) 11:51:37
ユウスケは夏海の後を追い、そのまま産婦人科まで来ていた。
ここに来る途中も、ユウスケは何度も夏海を説得したが、彼女は黙ったままだった。結局は、受付を済ませてそのまま診察を待っている。
それにしても、男の身で産婦人科に来るのはかなり肩身が狭い。お腹の子の父親でもないから余計に。
それでも、夏海を放っておくわけにはいかない。
「ねえ、夏海ちゃん。赤ちゃん、どうすりつもりなんだ?」
「………………」
「ねぇ、夏海ちゃん……もしかしてさ………」
ユウスケが言わんとする事を察したのか、夏海はスカートをギュッと握りしめた。
「今日……予約しようと思います」
「駄目だよ!!!!!」
ユウスケはガタンッと立ち上がり声をあげる。しかし、周りから一斉に睨みつけられて、慌てて座った。
「駄目だよ、夏海ちゃん。これは夏海ちゃんだけの問題じゃないよ?一度で良いから海東に話さないと」
相変わらず首を横にする夏海。
「大樹さんに……迷惑がかかるから………」
そして、震えた声で言う。
「大樹さん……自由な人だから……私に赤ちゃんが出来たなんて知ったら……邪魔になるじゃないですか……」
「夏海ちゃん………」
「そんなの……駄目……大樹さんの重荷になるの……嫌だから………だから、こうするのが……一番良いんです……」
だから、堕胎する………と、そう言う夏海の表情は、今にも泣きそうで。本心ではない事が伺える。
確かに、海東は今でも自由奔放で、相変わらずイマイチ掴み所がない。いつもの表情の裏側にある、その本心は滅多に見せない。
だけど。
夏海の前だとそのスタイルは全部崩れ去る。
と、言うことは、それくらい夏海の事を想っていると言うことで、赤ちゃんが出来たからって迷惑がることなんてない。と、そう思うのに。
「そんなことないと思うよ?夏海ちゃんが思うより海東は………」
「光さん、光夏海さん」
その時、看護士が夏海の名前を呼ぶ。
「はい」
「夏海ちゃん待って」
ユウスケの声を無視して、夏海は診察室に入った。





「夏海ちゃん……」
待合室でユウスケは一人、そわそわしながら夏海を待っていた。本当なら、無理やり夏海を家まで連れて帰りたいくらいだ。しかし、仲間ではあるが、夏海の妊娠とは無関係な自分が口を出す問題ではない。
いっそ、漫画みたいに海東が駆け付けてくればいいのに……と、都合のよい考えがよぎったその時。
男が一人、病院に駆け込んできた。
「……………?」
必死な形相で入ってきたのは海東だった。彼は、息を整える隙もなく、受付に尋ねる。
「すみませ……こちらに光なつみ……」
漫画みたいなことが起こった!!
一体どれだけ走ったのか、息を切りながら尋ねている海東にユウスケが呼び掛けた。
「海東!!」
その声に海東が振り返る。
「小野寺くん!じゃ、ここに夏海も?」
「ああ!今、ちょうど診察受けてるけど、夏海ちゃん、とんでもないこと考えてる!」
「まさか……!」
ユウスケの言葉の意味を察して、険しい表情を見せる海東。「うん」と頷くユウスケ。
「お前が止めてくれ!!」
「うん」
海東は慌てて診察室に向かった。

203海夏妊娠話4:2010/12/29(水) 11:54:43
「どう?悪阻とか始まった……?」
診察室では、先生が見ていたカルテを置いて夏海に尋ねていた。優しそうな、雰囲気の良い女医だった。
「いいえ、まだ……」
「そう。じゃ、エコー見てみましょうか?そっちに寝てくれる?」
「はい」
夏海は、言われたとおりにベッドに横になる。
「失礼します」
看護士が夏海のお腹を出すと、女医はエコーを当てて、赤ちゃんの様子を見る。夏海も一緒に、ふよふよと浮き動いている赤ちゃんを見て、心音も聞いた。
「………うん、赤ちゃんは元気に育っているわ」
「そうですか……」
「……で、この前は迷っていたけど、結局どうするの?」
「………………」
自分の中で懸命に動く小さな姿を見て、正直、涙が出るほど愛おしさが込み上げた。
愛する海東との子供だ、産みたくないはずがない。
でも、考えを変えるわけにもいかないのだ。
「まだ、結婚はしてないのよね……子供のお父さんには相談したの……?」
「……………いいえ……」
「言えないような人なの……?」
また、俯き黙ってしまう。溜息をつく女医。
夏海は、一度深呼吸して顔をあげた。
「あの……先生……!私…………堕ろそ……」
「ちょっと待って!夏海!!」
ガラッと勢いよくドアが開き、海東が夏海の言葉を遮った。
「大樹さん!!」
「もしかして、あなたが赤ちゃんのお父さん?」
「そうです!僕が、赤ちゃんの……父親……です!」
「………!!」
突然の、海東の出現に言葉が出ない夏海。いや、それだけではなく、自分が父親だと女医にはっきりと告げたことにも驚いた。
海東は、ハァハァと肩で大きく息をしていて、走ってきたのだとわかる。彼は病院を知らないから、きっと、いろいろ探し回ったのだろう。
「夏海っ!!ど……どうして、僕にっ……何も言わないんだ!!」
夏海の肩を掴んで言う。まだ、息が乱れていてしっかり話すことが出来ない。
「大樹さん……だって……」
「だってじゃない!!僕に……内緒で……赤ちゃん堕ろすなんて、絶対……許さないからな!!!」
「大樹さん……」
海東は女医に向かい、まっすぐ見つめた。
「先生!!赤ちゃん……産みます!ぜっ……絶対産みますから!!いいよね、夏海!」
「だい……き……さん……」
思いがけない海東の言葉に、夏海は涙ぐんで、こくんと頷いた。



※※※※※※※※※※

ごめんなさい、また続きます。
次の投下で終わりますのでしばしお待ちを。

204海夏妊娠話5:2010/12/31(金) 22:16:23
大晦日にこんばんは。
夏海妊娠話しが書き終えたので投下します。
海夏エロ無しです。嫌いな方はスルーで。


※※※※※※※※※※※※



「夏海……」
「……はい……」
「僕、まだ怒ってるからね……?」
「…………」
産院から三人で帰ってきてから、海東と夏海は二人きりで部屋にいた。
夏海はソファーに座り、その向かい合わせに海東が跪いた恰好で彼女を見つめている。
「夏海……?どうして僕に何も言ってくれなかったんだい?」
そのまま尋ねる海東に、夏海は黙ってしまった。
「……………」
今まで夏海を抱くときは、避妊をしたことがなかったから、いつかはできるだろうと思っていた。
それくらいは覚悟していたのに、夏海は違ったのだろうか……?
「赤ちゃん、いらなかったの……?僕との赤ちゃんは迷惑だった……?」
夏海は首を横に振る。
折角できた、一番好きな人との赤ちゃんを、産みたくないはずがない。
「じゃあ……どうして?」
「……………」
「夏海……?」
海東は夏海の手を握り、まっすぐ見つめてくる。
「……………だって…………」
夏海は、重々しく口を開いた。





あの後、夏海を連れて診察室を出ようとした海東だったが、「折角来たんだから」と、女医が海東にエコーで赤ちゃんを見せてくれた。
「……………っ…!!」
まだ全然目立たないお腹の中で、懸命に動いている小さな赤ちゃん。夏海の胎内に確実に息づいている小さな命を見て、海東は感動して思わず涙を流した。
「じゃあ今度は、何もなかったら一ヶ月後に来て?あ、もう母子手帳も貰える時期だから貰いに行ってね」
「はい。ありがとうございました」
どこか嬉しそうにそう言う女医に海東は頭を下げて、夏海を連れて診察室から出た。
「夏海ちゃん、海東!」
相変わらずそわそわしながら二人を待っていたユウスケだったが、診察室から出てきた夏海はとても幸せそうで、良い方向に落ち着いたのだ胸を撫で下ろした。だが、反対に、目が赤くなっている海東を見て、不思議な顔をした。
暫くの間海東は、それをネタにされ笑われる羽目になる。





「大樹さんに……迷惑がかかるから……」
「…………?」
「初めてわかった時は……嬉しかったの……」
そうだ。嫌なはずがない。
士との時もそうだったが、できても良いと思って海東に抱かれていた。
好きな人との子供だから、困る事はない、と。
だけど、良く考えたら。
「でも……私、どうしようって……大樹さんには言わないほうが良い……って……」
「どうして……?」
「大樹さん、いつも言ってるじゃないですか……自由を奪われるのが一番嫌だ……って……」
「……っ!!」
目を見開く海東。
「赤ちゃんができたなんて言ったら……大樹さんを縛ることになるから……きっと……私の事、重荷になる……」
夏海の言葉に、何も言えなくなる。重荷だなんて、そんな風に思ったことなどない。例え夏海に赤ちゃんができたとしても。
「そんなの嫌だから……」
「………………」
「だから……わた……し……」
そう言う声が、涙で震える。
「夏海………」
「わた……し………あかちゃんを………」
堕ろそうとした。そう言う前に、耐え切れなくなったのか、涙がポロポロと零れ落ちた。

205海夏妊娠話6:2010/12/31(金) 22:17:03
「……………」
そんな姿を見ていたら、怒っていた自分が情けなくなってきた。以前、夏海から自分はダメな男を好きになる、と、言われたが、そこまでダメな男だと思われていたとは……
しかし、夏海を責めるわけにはいかない。いや、そう思われても仕方ないことばかりしてきた。
士の言う通りに、いつもフラフラして夏海を一人放っているのは事実。でも、離れていても心は強く結ばれていると思っていた。だが、それは、自分勝手な思い込みで、本当は夏海をこんなにも不安にさせていたのだ。
赤ちゃんが出来たのに、誰にも相談できずに一人で悲しい決断をして、どれだけ辛かったか……
「なつみ………」
海東は立ち上がり、泣いている夏海の頬をその手で包み、胸に抱き寄せた。
「ごめんね……夏海……」
「だい……き……さん……」
夏海は震える手で大樹にしがみついて、嗚咽を漏らした。
夏海の背中を宥めるように撫でながら、今までの事を思い返す海東。
宝を捜し当て、写真館に戻るといつも笑顔を見せてくれていた夏海。今まで、少し拗ねられたことはあったが、宝を探しに旅に出るのを引き止められた事も、本気で責められた事もなかったから。
だから。
「夏海は、僕がどんなに長い間いなくなってもいつも優しかったから、僕の事わかってくれてるって、思ってたんだ……僕、ずっと夏海の優しさに甘えてた。寂しかったね……ごめんね……」
「だいき……さ………」
「馬鹿だ……僕。そんなふうに夏海を苦しませて、本当に……ごめんね。夏海」
申し訳ない、と切に思った。
「僕達の赤ちゃん……産んで……くれるよね……?」
細いの肩に手を置き身体を離して、今だ涙を流している夏海に尋ねる。産院でも夏海に聞いたけど、もう一度、確認。
「はい……」
「ありがとう、夏海」
海東は、夏海の涙を拭いキスをして、強く抱きしめた。
その時、海東にある決意が浮かび上がる。それは、今までも考えたことはあるが、まだずっと先の事だと思っていた。
でも、僕達の子供なんて、これ以上ないお宝が手に入る今、迷うことはない。
今度こそ、トレジャーハンターは廃業だ。
「夏海」
「はい……」
次に発する海東の言葉に、やっと落ち着いた夏海は号泣することになる。




「結婚しよう……結婚、してください。夏海」

206海夏妊娠話7:2010/12/31(金) 22:18:49
夏海が海東の求婚を受けて一ヶ月が経った。
「夏海、大丈夫?ゼリー作ったけど、食べられるかい?」
「平気……ありがとう……」
海東は、ベッドに横になっている夏海の身体を起こして器を渡す。夏海は悪阻が始まり、食べたらすぐに吐いてしまいほぼ一日中気分が悪くなっているため、殆どの物が食べられなくなっていた。
「どう……?」
「美味しいです。これなら食べれそう」
ゼリーを一口食べてから、ありがとう。と、青白い顔で微笑む。
この時夏海は、妊娠五ヶ月に入っていた。
あの時、結婚を決めた二人だったが、実はまだ結婚式を挙げてはいなかった。本当は、夏海のお腹が目立つ前に、式を挙げようと思っていたのだが、先の騒動から数日して夏海の悪阻が始まり、それどころではなくなった。
結局は、入籍だけ済ませて、赤ちゃんを産み、落ち着いてから式を挙げようと言うことになった。
違う世界に住む二人が、本来入籍できるはずがないのだが、海東が結婚を決め、兄純一に二人で報告に行った所、純一の方から話しを持ちかけてきたのだ。夏海の戸籍を手に入れる、その条件として純一が言ったのが、海東が自分の世界に定住し、純一の補佐になることだった。
それを聞いていた夏海も、良い話しだとは思った。しかし、それは栄次郎と離れることになる。だから、夏海は少し迷い、すぐに答えを出せなかった。だが、住む世界は別になるけど永遠に逢えなくなるわけじゃないから、と、栄次郎に背中を押されて純一の話しを受け入れた。
だから、今、夏海は海東の世界の人間となっている。
あれから海東はと言うと、本当にぱったりと他の世界に行くことはなくなった。夏海は、一度だけ海東に聞いたことがある。本当に旅に出なくていいのか?と。
すると海東は、「ここに夏海っていう大事なお宝があって、あともう一つ、どこに行っても手に入らないお宝が手に入るのに、どうして旅に出なくちゃいけないんだい?」と不思議な顔をして、反対に尋ねてきた。それからは、一度もその質問をしたことはない。
今、海東は、光写真館に夏海を残し、兄の仕事を覚えるべく純一の手伝いをしている。
そう、二人はまだ光写真館で生活をしている。だが、子供を産み、落ち着いたら海東の世界に移り住む予定だ。






そして、出産予定日より三日が過ぎた日。とうとう、夏海に陣痛が始まった。
産院に着き、分娩室で陣痛の間隔が縮まるのを待つ夏海。最初は弱かった痛みも時間が進むにつれ次第に強くなってくる。今まで体験したことのない痛みに、苦しい、早く抜け出したい。そんな思いばかり頭に浮かんでいた。
「頑張って!夏海」
そんな夏海の手を、海東は強く握り締めた。



その瞬間は、海東と夏海、若い夫婦にとっては待ち遠しい事だっただろう。悪阻は酷かったが、出産自体は特に問題無く、夏海は元気な赤ちゃんが産んだ。それはそれは、夏海によく似た可愛らしい女の子だった。
名前は、生まれる前から決めていた。二人の名前から取って「夏樹」と。
二人は、手探りながらも精一杯の愛情を注いで夏樹を育てた。
特に、海東が夏樹を可愛がりすぎな感があり、それはもう夏海が妬くのではないかと言うほどの溺愛ぶりで、正直、周りは少し引いていた。

207海夏妊娠話8:2010/12/31(金) 22:25:19
そして、夏海の出産から一年後―――


ある晴れた日。街中の小さなチャペルで、一組のカップルが結婚式を挙げる。
そこには、もう数人の招待された人達が座っていた。その中には、懐かしい顔も見られた。

その、控室。

今日の主役である新婦が既に着替えを終えて、椅子に座っている。上品なレースがあしらわれたシンプルなデザインのウェディングドレスとベール。
それは、美しい花嫁姿の夏海だった。
コンコンと、控室のドアがノックされる。
「夏海、海東くんとユウスケくんが来たよ」
「はい、おじいちゃん」
返事をすると、まず栄次郎が入ってきた。
これより前に、栄次郎と二人きりの時、挨拶をした夏海。栄次郎は今さら、と笑ったが、本当は今までの事が思い出されて、二人とも少し泣きそうになっていた。
「夏海……」
そして海東とユウスケが入ってくる。
「大樹さん……」
「綺麗だよ、夏海」
「……ありがとう」
少し恥ずかしげに頬を染めながら言う夏海。彼女も、初めて見る海東の正装に、実はときめいていた。
「ホントに綺麗だよ、夏海ちゃん」
「……ありがとうございます。ユウスケ」
「夏樹ちゃんも可愛いね」
夏海の傍で立っている、可愛らしいピンク色のドレスに身を包んだ夏樹を見て、ユウスケが頭を撫でる。夏樹は嬉しそうに笑っていたが。
「小野寺くん!僕達のお宝に気安く触らないでくれないか」
海東がユウスケの腕を掴んで言った。いまだ溺愛ぶりは健在である。
「大樹さん、止めてください!」
「夏海、だって小野寺くんが」
「だって、じゃありません!いい加減に、そんなみっともない事するの止めてください!」
「………………」
夏海に言われては何も言えなくなり、海東はふて腐れた。そんな海東に、ユウスケが耳打ちする。
「お前、意外と尻に敷かれてんのな」
「煩いよ、小野寺くん」
吐き捨てるように言い、ふい、そっぽを向いた。
その時。
「馬子にも衣装ってホントだな」
控室のドアが開き、男の声が聞こえた。
「士くん!!」
「よう」
それは、士だった。
彼の姿を見て、そこにいる四人はホッとした。士に招待状を渡した時、「俺は絶対行かねえ!」と、言っていたからだ。
「士くん、ありがとう」
「勘違いするなよ。俺はただ、緊張してガチガチになってるあの馬鹿を、笑ってやりに来ただけだ」
海東を指差しぶっきらぼうにそう言う姿を見て、照れ屋な士らしいと夏海は微笑む。
純白のウェディングドレスを身に纏った夏海を見つめ、士は素直に綺麗だ、と思った。
正直、自分ではない男の隣に、その姿で夏海が立つとは思ってもいなかったが。
「まぁ……あれだ……」

おめでとう

士が小さく呟き、少しだけ、二人の時間が止まる。
見つめ合う二人を、ユウスケと海東はただ黙って見ていた。
「おい、海東」
「何かな?士」
「テメェ、一発殴らせろ」
士が海東に向かい合い、乱暴に胸倉を掴んで言う。周りの空気が一瞬固まった。
「ベタ過ぎるね。だが断る」
しかし海東は、笑顔で士の腕を掴んで振り払った。
「それは普通父親の台詞だ。それに、君にはもう、二年前に思いっきり殴られたからね」
「馬鹿か、あれはあれだ」
「でも、あれで目が覚めたよ。ありがとう、士」
「別に、お前のためにしたんじゃねぇよ」
やはり、ぶっきらぼうに言う。そして、夏海を見た。
「おい、夏みかん」
「はい……?」
「海東に飽きたらいつでも戻ってこいよ。夏樹も一緒に面倒見てやる」
「なっ……!何を馬鹿な……」
「わかりました」
「えぇっ!!ちょっと、夏海!!」
思ってもいなかった夏海の言葉に、海東が夏海に詰め寄る。
「大樹さんに飽きたら……ですよ」
クスクス笑いながら、海東に言う夏海。
「飽きさせないようにしないとなぁ、海東」
「あ……当たり前だ!おかしなことを言わないでくれたまえ!」
ポンとその肩を叩いて言うユウスケの手を振り払い、ムキになって言い返す海東。その様子が可笑しくて、皆が笑っている中、栄次郎に抱かれていた夏樹も一緒になって笑っていた。

コンコン

「海東さん、そろそろはじまります」
「はい」


さあ、そろそろ式が始まる。

208海夏妊娠話9:2010/12/31(金) 22:27:20
教会のドアの前。入場を待つ夏海と栄次郎。夏海は栄次郎の腕に、自分の腕を絡める。
「おじいちゃん………」
「ん……?なんだい、夏海……?」
もう、こんなふうに栄次郎と一緒にいることはできない。少し寂しいけど、これからは新しい世界で、新しい家族との、新しい生活が始まるのだ。
「んーん、なんでもありません」
夏海は首を振った。
「では、入場してください」
大きく教会のドアが開いた。
「さぁ、いくよ、夏海」
「はい。おじいちゃん」
パイプオルガンの曲が響く中、二人は一歩を踏み出した。
その曲に合わせて二人がゆっくりと歩く。祝福してくれるのは、古い友達と、今まで旅をした、色んな世界で知り合った人達。

そして。

一歩一歩、中央通路を二人で歩を進ませ、夏海が見つめるその先には――――


「夏海」
祭壇の前で、正装した海東が夏海を見つめている。
海東との距離が縮まり、二人は海東と向かい合う。
「じゃあ、夏海を頼みましたよ海東くん」
「はい」
海東は、栄次郎に深く頭を下げて夏海の傍に寄り添った。そして、祭壇の前に立つ二人。
賛美歌の後、誓いの言葉を交わし、指輪を交換する。
「それでは、誓いのキスを」
神父の言葉に、海東がベールを上げると夏海は瞳を閉じる。その肩に手を添えて、静かにゆっくりと唇を重ねた。
それはとても神聖で、美しい口付けだった。
式が滞りなく終わり、皆から祝福の言葉を受けながら退場する二人。その間、二人はずっと手を繋いでいた。





最初は、理解不可能な人だと思ってた。周りを掻き回して、結局はその笑顔で何でも煙に巻いて。
しかも、一番最低な方法で、私を愛していた人から無理矢理引き剥がした貴方。一時期は憎んでいたときもあった。
でも本当は、凄く寂しがり屋で優しい人。その心に触れた時、愛しさが込み上げた。
だけど貴方は、私が思っていたよりも、ずっとずっと私を愛してくれていた。

だから。

貴方に誓います。




お宝以外、何もなかった僕が初めて愛した君。
でも、愛し方がわからない僕は、散々君を傷付けて、許し難い罪を犯した。
それでも君は、僕を選んでくれた。こんな最低な僕を。
それなのに、想いが繋がっても尚、好き勝手してきた僕を、見捨てもせずにずっと愛してくれていた。

だから。

僕は誓おう、君と夏樹に。





変わらない、永遠の愛を。




※※※※※※※※※※※※※
これで終わりです。
年を越す前に書き終えてよかったです。
それでは、よいお年を。

209名無しさんが妄想します:2011/01/01(土) 11:50:16
>>199&>204
完結おつかれ!良いお年玉だ、感動的だな
純一兄さんも平穏そうでなにより

210名無しさんが妄想します:2011/01/01(土) 23:39:06
>>208 乙〜完結待ってたよ!

211名無しさんが妄想します:2011/01/14(金) 22:21:30
エロパロ板の694さん乙!

212名無しさんが妄想します:2011/01/16(日) 08:29:36
本スレが書き込めんかった
容量オーバーか
次スレはテンプレどうすっかね

213名無しさんが妄想します:2011/01/16(日) 09:28:20
自分も気づいて今立てようかとしてたとこ。
オーズで考えてみたけど、話し合ってからの方がいいかな?

214名無しさんが妄想します:2011/01/16(日) 10:23:23
現行だしオーズでいいんじじゃないの?

215名無しさんが妄想します:2011/01/16(日) 13:07:31
んじゃスレ立て行ってくる。
不備があったらフォローよろしく。

216名無しさんが妄想します:2011/01/16(日) 13:30:47
立ててきた。

仮面ライダー総合エロパロスレ13
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1295151571/

217名無しさんが妄想します:2011/01/16(日) 13:37:03
>>216 乙!!
しかし、容量オーバーはやいな。
まあ、それだけ投下が多いということで、喜ばしいことだな。うん。

218名無しさんが妄想します:2011/01/16(日) 13:42:26
>>216乙!クスクシエの破廉恥なフェア自重w
規制中なのでこっちで、以下補足と訂正


*ねたバレは前書き警告+空白改行を入れる
*カップリング説明や注意書きは前書きか名前欄に明記推奨

保管庫のパスはsage、プラス保管庫参照。
「現行」とは2010年6月当時の現行TV作品のこと。
環境により閲覧できないことがあります。

219名無しさんが妄想します:2011/01/16(日) 21:12:34
>>218
補足ありがとうございます。
本スレに転記しました。

220名無しさんが妄想します:2011/01/16(日) 21:14:10
>>218
補足乙!
転載してきた

221220:2011/01/16(日) 21:16:23
二重転載しちまった orz
5103に一発バズーカでも打ち込んでもらってくる

222名無しさんが妄想します:2011/01/18(火) 11:33:47
以下エロパロ板の>24宛て


エロパロ板>16と、(年月日じゃなく)月日を合計した『半角8文字がパス』。

パソコン推奨だが、2chDAT落ちスレミラー変換機ver.12
ttp://mirrorhenkan.g.ribbon.to/
とかに過去スレURLを入力して直接読む方法もあるよ。

223規制中なので:2011/01/21(金) 19:04:19
ダブルファイナルステージ&トークショーDVD
個人的見どころ(要約)



・冴子と3人の男達による修羅場!!俺が得した!
 冴子さんエロいよ冴子さん流石です。
・冴子と若菜がムキになってキャットファイト。
・「橋で電話越しに会話するフィリ若」を切なく再現コーナー。
・「橋で電話越しに会話するフィリ若」をなぜか照亜樹で甘酸っぱく再現、
 駆け落ちの相談がプロポーズみたいで燃える。
・「ジーン編ラストで振り切りすぎるキス魔照井」再現でてんやわんや。
・ライアー編で照井が「所長には無理だ」と男役変装させた件、
 所長の安全の為だった旨を説明し和解。
・照井の中の人の撮影思い出話「女性との絡みもありましたし〜etc.」
 亜樹子の中の人「わたしのことですか?!」
 「リリィです」「(´・ω・`)ショボーン」

だめだ、照亜樹の熱愛にばかり注目してしまう

224携帯でエロパロスレに書き込めないのでこちらで:2011/02/08(火) 12:51:16
バレンタインネタに海夏で便乗しようかと思ったら


「〜〜♪」(←チョコ作り中)

「なーつみ、なにしてんだい?」
「あ、大樹さん。チョコ作ってるんです」

「僕の……?」

「はい(真っ赤)」

「嬉しいな…あっ!!」

「え?何ですか?」

「そんな温度上げちゃ駄目だよ!テンパリングは60度くらいか………あー!!いきなり冷やしたら駄目だ!!チョコが分離する!!だからね、夏海。チョコは…………云々」

と、背中からわんわん文句を言ってきて、挙げ句キレた夏海から笑いのツボをくらい笑い倒れる海東が浮かんだ俺………
でも、ちゃんとと完食して夏メロンもいただきます。

よし、後で海夏VDネタでエロ書く!!!

225名無しさんが妄想します:2011/02/08(火) 15:14:49
>>224 海東空気読めwだがそれがいい


海夏DVネタ、と空目して
ヤンデレかと勘違いしたのは俺だけでいい

226名無しさんが妄想します:2011/02/08(火) 20:35:13
>>225
多分、勘違いする人がいると思ったw>DV


まぁ、士→←夏前提で海夏凌辱もネタだけは浮かんでいるがw

227名無しさんが妄想します:2011/02/23(水) 23:10:49
む………なんか、カキコミ出来ないっぽい……

だ……誰か……新しくスレを……!!

228名無しさんが妄想します:2011/02/24(木) 00:41:20
>>227
本スレの話だよね?
板全体が移転したんだよ。

229名無しさんが妄想します:2011/03/01(火) 18:41:54
オンリーで亜樹子本買えてウハウハですよー

そういやエロパロ板>1&>16のテンプレに
「投下終了したら『おわり』だと分かるようにする」旨が書いてないな。
ここで終わりなのか・まだ投下中なのか、状況が分からなくて
感想レス付けられないことあるし、次スレで書き足すか

230名無しさんが妄想します:2011/03/08(火) 23:53:37
また規制くらった……前回は半年だったけど今度はどれくらいだろう orz

>>199
別スレに解凍蜜柑を投げてるのはお前でいいんだよな?
頼む、供養なら本スレかここでしてくれ
あそこじゃレスが入れにくすぎる……

231名無しさんが妄想します:2011/03/09(水) 19:44:12
>>230のおかげで作品投下に気付いた、トンクス

232名無しさんが妄想します:2011/03/10(木) 05:23:37
解凍蜜柑て、上手いこと言うな。てか、美味そうだなww

233名無しさんが妄想します:2011/03/10(木) 23:05:24
結局あっちに投げたみたいだな<海夏

234名無しさんが妄想します:2011/03/11(金) 04:05:27
本スレに投下しない理由がよくわからんな

235名無しさんが妄想します:2011/03/11(金) 12:49:36
未完だからじゃねーの?

236名無しさんが妄想します:2011/03/11(金) 19:46:15
未完にする理由もわからん。
終わりまで考えてるって、書きたいなら書けばいいのに。

237名無しさんが妄想します:2011/03/11(金) 20:55:42
自分もしがない二次SS書きだが、お蔵入りの書きかけブツなら山ほど持ってる
頭の中、もしくはメモ帳にプロットが完全に出来上がっていても
文章力がついていかなかったりして最後まで書き上げられないことは多々あるものなんだよ…… orz


だが、>>199
見ているならせめてあの後のあらすじだけでも教えてくれ!!

238名無しさんが妄想します:2011/03/11(金) 21:32:27
愚痴スレ、裏話スレであれこれ叫んでたよ
住人のアドバイスも要望も無視だし、ひたすら痛いとしか思わんけど

>>237みたいに書けない、書き上げられないってのは判る。お蔵入りさせて一番悔しいのは本人だろうし
でも投げるつもりで他スレ投下は勝手だけど、その前に本スレで需要がマイナーがと誘い受け、
折角興味持ってくれた人がいるのに他スレ投下報告もなしってのはマナーとしてどうかと思う

239名無しさんが妄想します:2011/03/11(金) 21:38:05
投げに投下したのは>>199氏じゃないと思われ(推理)。
根拠はメール欄、199氏は普段なにも書かない

240名無しさんが妄想します:2011/03/11(金) 21:52:20
いや、多分同じ人物だと思う…
文体がまるっきり同じだし

241名無しさんが妄想します:2011/03/12(土) 00:55:13
もうそっとしといたれ

242名無しさんが妄想します:2011/03/12(土) 02:24:01
いくら匿名掲示板でもマナーは大切だよね・・・

243199:2011/03/12(土) 06:19:33
色んな所で騒ぎ立ててしまいすみません。

>>230さん
あの話しの続きの粗筋のほう、別スレに落としてきました。
あれで粗筋と言えるのかどうか、わかりませんが…

今さらですが、230さんのコメ見たとき嬉しかったです。でも、レスしていいのか、書きかけのあれを落としてもいいものか、バカみたいにあちこち書き込んだ揚句、結局どうしたら良いのかわからなくて「あーーーーっ!」ってなってました
正直な所、今書いているこれですら、書いても良いのか駄目なのかわからない有様です
いつまで経ってもこんな調子なら、ここ離れたほうが良いかな思った次第です

最後まで板の皆様に迷惑かけてしまい、どうもすみませんでした

244230:2011/03/13(日) 08:11:42
>>199
トン
細かいレスはそっちに入れとく

245名無しさんが妄想します:2011/03/13(日) 19:46:56
別スレがどこかわかんないよ…

246名無しさんが妄想します:2011/03/13(日) 20:25:48
裏話だ

247名無しさんが妄想します:2011/04/03(日) 20:38:30
とらのあなでメズールとガメル(人間体)の同人誌見つけた

248名無しさんが妄想します:2011/04/07(木) 01:26:34
本スレが士夏祭りで賑わってるうちに自分は規制中なのでここに投げます。
ひじょーにくだらない映司と比奈です。エロなしキスまで。
転載はどっちでも良いです。つまんないと思ったらスルーしといてください。
6スレほど消費。

249映司と比奈:"Love Scene" 1/6:2011/04/07(木) 01:29:05
ショッカーに改造されるシーンの撮影を終えた映司がパンツ一枚の姿でやれやれと伸びを
していると、大幹部役の奇怪なメイクと衣装に着替えた店長が声をかけてきた。

「映司くーん、比奈ちゃん呼んできてくれる?奥の部屋でDVD観てるから」
「DVD、ですか?」
「比奈ちゃんったらライダーのDVDをいっぱい借りてきたのよー、もう何枚も」
クスクスと意味ありげに笑う店長が肘で彼をつつく。
「ライダーの恋人役の勉強したいんだって。映司君もちゃんとラブシーンの練習しなきゃダメよ。
比奈ちゃんも張り切ってるんだから」
「え!?ラブシーン!!??」
驚愕する映司の肩を、後ろから近づいてきた伊達がバシン、と叩いた。
「頼んだぞ火野っ!シーン18!主人公とヒロインのラァーブ・シィーン!」
「なっ!?」
「子供を映画に連れてきたお父さんお母さん達、そして大きなお友達のハートをがっちり掴む
重要なシーンだ!改造される前の主人公とヒロインが熱烈に愛し合うシーンを入れることで
洗脳が解けるシーンが盛り上がる!それにこのシーンが有ると無いとじゃ観客の食いつきが
まるで違うからな!萌えだ、萌えだよ火野!」
伊達はぽかんとしている映司の頭を丸めた台本でポコポコ叩きながら大興奮している。
「しっかり気合入れてけよ!パパとママ達を悶えさせろ!大きなお友達をハァハァさせてやれ!
ハァハァだ!判るか?ハァハァ!」
「ちょ、ちょっと待ってくださいっ!ラブシーンなんてそんな俺、無理ですっ!」
「伊達さーん。お父さんへのサービスなら私の衣装、もうちょっと露出を増やしましょ。ほらこの
胸の谷間んとことか脚とか!何なら私がラブシーンやってもいいわよ〜。私、芸術のためなら
脱ぐわ!すごいのぜんぶ見せちゃうわ!ね?」
「え。いや〜それは。良い子のお友達のライダー映画が18才未満おことわりってのはちょっと」
「それは非常に興味深いお話ですね。相手役はお決まりですか?」
いきなりずい、と顔を出してきた真木が二人の会話に割り込んでくる。

映司にはかまわず三人は何だかんだと議論しながら離れていく。青ざめた顔の映司はそんな
彼らの背中を呆然としながら見送った。

「なによ。ライダーにラブシーンなんか無いじゃない」
ショッカー戦闘員姿の比奈は口を尖らせながらリモコンの停止ボタンを押した。
いくつものDVDを早送りしながら観たが、参考になりそうな場面はまるで無かった。
唯一、数字の名前が付いた黄色い目のライダー映画で仮面舞踏会のような場面がありそこは
うっとりと気に入った。だが求めるラブシーンは見当たらない。
子供番組だから当然と言えば当然だが。しかし子供番組ならではの男女の恋愛の見せ方や
演技の範囲が知りたいのだ。普通のラブシーンなら大人向けのドラマを観れば済む。
「困っちゃったなぁ」
まだ借りてないDVDが山ほどあったはず。誰かどのライダーが恋愛描写が多いのか教えて
くれないかな、などと考えていた時。部屋のドアを誰かが遠慮がちにトントン、とノックした。

「はい?」
「あ、あー。比奈ちゃん、いい、かな?」
「あ、映司君。どうぞ」
恐る恐る、といった様子で映司が覗き込んでくる。
「どうしたの映司君。って、やぁん!映司君っ!服くらい着てください!何でパンツのままなの!」
「あの、知世子さんが比奈ちゃん呼んでて。休憩終わったら次のシーンみたいで」
「はーい……あ、映司君」
「えっ、何?」
「どうしよう、あのシーン。わたし、わかんなくて。どんな感じでやればいいのかな」

250映司と比奈:"Love Scene" 2/6:2011/04/07(木) 01:29:52
「あ、あのシーンって、あ、まさか」
「ラブシーン。DVD観たけどぜんぜん参考にならないんです」
ふぅ、と溜め息をつく比奈。
だが照れたり恥ずかしがっている様子はない。映司よりもまるで落ち着いている。
「あ、あの。俺、俺まだ台本読んでなくて。あ、その」
「もー、映司君っ。大事なシーンなんだからっ。ちゃんと準備しましょうよ!」
むくれ顔でテレビの電源を切り、比奈は立ち上がる。
「じゃ、今からちょっと練習しましょ?」

え!?練習!?いま?ここで?えぇぇっ!と映司はパニックになる。
「あー、比奈ちゃんっ、その」
「なに?」
「その、比奈ちゃんは……平気、なの?」
「何がですか?」
「え、だって。その。ラブシーン、だし」
「やだぁ、映司君。ラブシーンって言ってもキスだけじゃないですか」
「えっ!?」
「もう映司君、エッチ。仮面ライダーでそんな。ベッドシーンとかじゃないんですよ。敵と戦いに行く
映司君をわたしが引き止めるシーンで、キスするだけです!」
「え。あぁー。キス、ね。キスか。そっか」
「やだもう映司君ったら」
クスクス笑う比奈に映司は力が抜けた。そうかキスか。キスだけか、良かった。
って、良かったのか?キスはキスだよなぁ。それにしても比奈ちゃん冷静だなぁ。

「確か、カメラはこっちの角度から撮るはずなんですよね。私達の後ろ」
そう言いながら比奈はいきなり映司の側に近寄り、その腰に腕をまわしてきた。
映司はパンツ姿だが見慣れたのか、今はそれよりキスシーンのことで頭がいっぱいのようだ。
「真横からじゃなくて私か映司君の後ろからカメラが、キスしてるとこ撮る感じ。あ、じゃぁ映司君、
わたしが胸にすがって顔を上げますから。わたしが目を閉じたタイミングで来てくれますか」
「来て?」
「だからキスですってば!」
「はっ、はいっ!」

比奈は映司の胸にすがりいやいやと首を振り「行かないで!」と泣き真似をした。
「で、ここでわたしが顔を上げます。二人が見つめ合うんです」
「はぁ」
「5秒くらい見つめ合って、それでわたしが目を閉じますから来てください」
比奈は目を閉じ、「ん」とあごを上げた。
うわ。ほんとに?ど、どうしよう。いいのかなぁ。あぁでも比奈ちゃん来いって言ってるしなぁ。
うわうわうわ。あーっ!俺どうしよう!
迷いつつも覚悟を決め、ゴクリ、と喉を鳴らし。
破裂せんばかりに高鳴る心臓と共に、彼は言われるがままに比奈にキスをした。

「きゃぁぁぁぁっ!!」
どごんっ!と映司は突き飛ばされた。その勢いでドア近くまで数メートル吹っ飛ばされる。
「だぁぁっ!いたたたっ!」
「ほほほほほ、ほんとにっ、したぁ!!えええぇぇぇぇ!?」
「えっ!なに!?何かマズかった!!??」
「映司君っ!ち、ちがう!キスじゃないっ!これはキスじゃなくてキス・シーン!!」
「え?えっ!?なに、違うの?なにっ!?」
「ほんとにしなくていいのー!真似だけっ!真似だけだよぅ!あぁぁぁ」
「真似?え、真似?」
「カメラ後ろだからっ!映らないから!ほっぺくっつけるくらいでいいのっ!!」
「え、あ。あーーーーーっ!!!」

251映司と比奈:"Love Scene" 3/6:2011/04/07(木) 01:30:29
ようやく理解した映司と、その場にぺたんと座り込み真っ赤になっている比奈。
「ひっ、比奈ちゃんっ!ごめん!」
「ほんとにした。映司君キスした。わたしキスされた。あぁ。映司君とキス。あぁぁ」
しばらく遠い目で呆然と、あるいはうっとりとした陶然とした表情を浮かべていた比奈だったが
急に意識が戻ったようにぶる、と頭を振った。
「映司君っ!!」
「すすす、すいませんっ!」
んーっ!と真っ赤な顔でぷるぷる震えていた比奈の肩が、溜め息と共にすとんと落ちた。
「不意打ちなんて、ずるいです」
「え?」
「なっ!なんでもありませんっ!」

再び立ち上がり、ふくれっつらで比奈は映司を睨む。
「今のは無しです。もう一回、いきますよ。今度はちゃんと。ちゃんとお願いします!」
「はい……」
「こほん。えーっと、わたしが映司君の胸にすがって行かないでって言ってー、顔あげてー、
見つめあってー、はい、ここから」
比奈はまたあごを上げて目を閉じる。だが今度は用心のためか薄目だ。
今度は映司も間違わず、比奈の口元に自分のあごを添えた。
「ん。そんな感じです」

そのまま二人は抱き合い、寄り添う。
「あの、比奈ちゃん。どれくらいこうしてればいいのかな」
「伊達さんがカットって言ってくれるまでだけど、10秒……20秒くらいかな?」
「あぁ、俺、緊張するなぁ!ちゃんとできるかなぁ」
「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ」
「だってさっき伊達さんがさ、このシーンはお父さんお母さん達のための重要なシーンだから
気合入れろとかって、プレッシャーかけるし!」
「んー、そうなんですか。じゃ、子供だましじゃダメ、ですね」
「え?」
「映司君、もうちょっと、強く抱いてくれますか?ほら、ちゃんとしないと。大人が見てもちゃんと
主人公とヒロインが愛し合ってるってわかるように」
「え。あぁ……こんな感じ?」
「あん」
「比奈ちゃん?」
「……それでいいです。うん。ぎゅ、って。これ、いい」

きつく抱きしめたことで比奈の身体が押しつけられる。
しかも今の彼女は身体にぴったりとした戦闘員のタイツ姿だ。そのやわらかく盛り上がる胸が
映司の裸の体と挟まれてむにゅ、と潰れる。
その感触。すべすべしたタイツの手触り。甘い吐息。伝わる彼女のぬくもり。
腰と背中にまわされ、ぴと、と肌に直接触れてくる比奈の手のひら。
いくら映司と言えどもこれで反応するなというのは酷と言うものだ。

「うっ」
「……どうしたんですか」
「い、いや。何でもないっ!あ、そろそろ。いやもうとっくに!20秒くらい経ったよね!」
「だめ。まだ離れちゃだめ。もっと。練習。れんしゅう……」
比奈は何故かとろんとした瞳と口調で、強く映司の体を抱き返してくる。
極薄のタイツ一枚。彼女にとっては彼にほぼ裸で抱かれているに等しい。
先程の彼との初めてのキス。事故のようなものだったがキスはキスだ。唇に残るそのキスの
感触と薄布一枚だけの身体を、裸の彼に優しく強く抱きしめられているこの状況。
いくら比奈と言えどもこれでとろけるなというのは酷と言うものだ。

252映司と比奈:"Love Scene" 4/6:2011/04/07(木) 01:31:50
「あふ……ん」
「あぁ比奈ちゃんっ!そんな声だしたらっ!お、俺っ!まずいって!」
「何が?」
妙にぎこちなく腰を引いている映司の様子に、比奈も何がまずいのか気づいた。
「……あぁ!や、やだ。映司君ったら。まさか!?」
「いや、いやいやいや!あの!」
わっわっ!やぁん!などと言いながら。だが比奈は彼を抱きしめたまま離さない。

「も、もうもうもう映司君!ベッドシーンは無いって言ったじゃないですかっ!」
「わ、判ってるけど、比奈ちゃんがこんなそばにいたら俺だって!」
「わたしのせい?」
「いや比奈ちゃんのせいって言うかおかげって言うか!あれ?違うな。い、いやだから、俺だって
比奈ちゃんをこんなふうに抱きしめてたら、そりゃ!」
「わたしのせい……」
彼が。あの映司君が。こんなふうになってる。
興奮、してる。そうしたのはわたし。彼をそうさせちゃったのは、わたし。
あぁん。

「ねぇ、映司君」
「はいっ!?」
「やっぱり、その。お父さんお母さん達は、大人の目は。こんな嘘の演技とかただの真似だけじゃ
誤魔化せないと思うんです」
「へ?」
「だからその。もっとキスシーンも、リアルにした方が」

比奈は彼から顔を離し、もう一度その顔を見上げ、また照れくさそうに目を伏せた。
「あの。……最初のキスの方が、リアルでした」
「いやあれは!俺、ほんとに勘違いしてて!」
「もう映司君!大事なシーンだから気合入れなきゃ!伊達さんに怒られちゃいます!」
「そりゃそうだけど!そうなんだけど、でも!」
「映司君」

囁くようにそう彼の名を呼ぶと、比奈は再び顔を上げ、彼を見つめた。
「すてきなキスシーンに、してください」
そして目を閉じる。あごを上げ、微かな期待に震えるその唇を薄く開いて。
「ね?」

映司、ラブラブコンボ発動。
ヒナ!キス!クチビル!などとメダルスキャン時のような絶叫がファンファーレと共に彼の頭の
中に響き渡る。久しぶりのラブラブコンボに彼はあっと言う間に我を失う。こうなった時の彼を
止める手段は皆無だ。彼は人類史上最も危険なコンボ、幾多の人々の道を踏み外させ判断を
誤らせ歴史の転換の原因ともなっためくるめく愛と陶酔の荒れ狂う嵐の中に、命綱なしで自ら
全速力でダイブした。
「ひ、比奈ちゃぁんっ!!」
彼は比奈の体をさらに強く抱き、先程までは引いていた腰を今度はぐりぐりと押しつけまくった。
「あぁ……映司君の……当たってる。あん、映司君、ちがう、ベッド・シーンじゃ、ない……」
「あぁ比奈ちゃんっ!比奈ちゃん比奈ちゃん比奈ちゃんっ!」
「映司君、だめ。キス・シーンだから。キスだけ、ね?いい子だから我慢して。キス、だけ……」

がふう、などと獣じみた息を吐き出しながら彼は比奈のタイツをビリビリ破りたい毟り取りたい、
という欲望を死に物狂いで抑えつけ耐える。そして目の前にあるかわいらしい唇を凝視した。
「い、いくよ。比奈ちゃん!」
「ん。映司、くん……」

253映司と比奈:"Love Scene" 5/6:2011/04/07(木) 01:32:37
「ちょっと比奈ちゃんもうそろそろ撮影始まるわよっ……って。わぁ」
いきなりドアが開き店長が入ってきた。彼女は目の前で抱き合って今まさに唇を重ね合おうと
している二人を見て、嬉しそうに声を上げた。
「あら練習してたの。えらいわね二人とも。でももう次のショッカー大集合のシーンが始まるから、
続きはリハーサルの時になさいね」
「えぁ!ち、知世子さんっ!ちょ、ちょっと待ってください!!」
「やぁん!だって、だってまだ!あぁ映司君、映司くんっ!!」
店長に腕を掴まれて引きずられていく比奈を眺めながら、映司は行き場を失った愛と欲望と
共にその場にへなへなと座り込んだ。

「それじゃリハーサルッ!!いってみよーっ!シーン18主人公とヒロインのラブシーン!」
頼んだぞヒノヒナコンビ!と叫びながら伊達が「スタート!」の声をかけた。

だが今の映司と比奈の二人にはその伊達の声すら聞こえていない。
二人の目に映るのは先程あと少しで届かなかった互いの唇だけだ。
映司はいまだラブラブコンボの中にある。比奈も同様である。二人の激しい愛とキスへの想いは
途中で邪魔が入って寸断されたため、既に暴発寸前にまで高まっている。
二人の間に流れる凄まじい緊張感に、現場はしん、と静まり返った。
本来は比奈が映司に駆け寄って「行かないで!」と抱きつく場面だ。だがぴくりとも動こうとしない
二人に「こらっ!」と叫ぼうとしたが、伊達は今のこの二人を止めるのが惜しくなった。
おぉ!二人ともすげぇ気合いだ。これは屈指の名シーンになる!萌えだ。萌えだっ!ハァハァだ!

映司が声は出さず唇の動きだけで「比奈ちゃん」と呟いた。
比奈も声もなく「映司君」と応える。
二人は動いた。ゆらり、と動き。そして。文字通り互いに相手に、飛びかかった。
ガバ!と抱き合った二人は、互いの唇をぶつけ合うようにそれはそれは激しいキスを開始した。
演技でも真似でもなく、子供番組どころか深夜だろうがテレビの電波に乗ることはまずあり得ない
放送禁止確実の濃厚極まりない熱いキス。いやもうこれは既にキスではない。前戯だ。
二人の口からは「んぐ」「あふぅ」などと生々しい声が漏れ、その手は互いの体を弄りあっている。
比奈は映司を「絶対離さないもん!」とばかりにふんにゅうと抱きしめ、映司は比奈のお尻を撫でる
どころか掴んで揉んで揉んで揉みまくっている。
ここに至ってようやく、見物していた他のメンバーは二人のただならぬ気配を感じ始めた。

「チッ!……まったくあいつら!いったいどういうつもりだ!」
「火野め。演技とは言え、やりたい放題だな」
「舌が入ってますね。演技指導をされたのは姉さ……いやゴホン、店長ですか?」
「あたしじゃないわよー。あーん、でもうらやましい。伊達さーん、あたしにもあんなシーン、追加で
入れてくれないかしら。相手は真木さんでもいいわよ!」
その言葉に失神した真木の横で二人の壮絶な様子に呆気に取られていた伊達が、いくら何でも
これ以上は危険と判断し「カット!カットカット!カットぉ!!」の声をかけるまで。
それでも比奈の唇に食らいつき一向に離れようとしない映司を右から後藤がハリセンで、左から
アンクが飛び蹴りで「いい加減にしろ!」とどつき倒すまで。
映司と比奈は実に6分42秒にわたって熱烈なキスシーンを演じ続けた。

254映司と比奈:"Love Scene" 6/6:2011/04/07(木) 01:33:35
結局、そのライダー映画にあるまじき濃厚なキスシーンは全面カットとなった。
「映司君、ごめんね。わたしの演技がいけなかったのかな……」
「そんなことないって!俺だよ。俺がもうちょっとちゃんとできてたら!」
撮影が終わり誰もいなくなった店の中で二人は並んでしょんぼりと肩を落とす。
だがしばらくすると比奈が映司の服の袖をきゅっとつまみ、うつむいたまま恥ずかしそうに呟いた。
「ねぇ、映司君」
「ん?」
「わたし達、もっと、その。練習が……必要ですよね?」
「え?だってもう、あのシーン無くなったし」
きょとんとしている映司の顔を、顔を上げた比奈はじっと見つめる。
そしてかわいらしく小首を傾げて、その唇に悪戯っぽく笑みを浮かべた。
「ね?」

映司、ラブラブコンボ再始動。
リハーサル時を遥かに超える熱いそのキスシーンはやがて、台本にはまったくないさらに熱烈な
ラブシーンへと変わる。濃厚にして甘ったるくて見てられないそのシナリオの無い即興劇を誰に
頼まれたわけでもないのに狂乱と共に繰り広げ始めた二人を、残念ながら、そして幸いなことに。
不粋な「カット!」の声で引き離す者は誰もいなかった。


映司と比奈:"Love Scene" ─終


以上です。いろいろお世話になりました。

255名無しさんが妄想します:2011/04/07(木) 21:14:12
>>248いってくる

256255:2011/04/07(木) 21:32:14
終了!

スラップスティックで笑いつつ萌えた
伊達さんのセリフがフルボイスで聞こえてきそうだw

257名無しさんが妄想します:2011/04/07(木) 22:40:54
規制で本スレ書き込めないのでこっちに

職人さんも転載さんもGJ!!

欲望に流されちゃってる映比奈いいよ〜
伊達さんと知世子さんのはっちゃけぶりがたまらんw
ドクターと知世子さんも何気にいい感じ
ホントに台詞が聞こえてくるw

ごちそうさまでした!

258248:2011/04/08(金) 01:16:26
>>255さん代理投下ありがとうございました
読んでいただいた方もありがとうございました
お世話になりました では

259名無しさんが妄想します:2011/04/14(木) 20:54:38
本スレの容量って、何KBまでおk?

260名無しさんが妄想します:2011/04/15(金) 14:35:56
>>259
いまエロパロ板>626までで405kb
次スレを立てる目安が480kb
書き込み限界が512kb

1レスにこんなふうに↓60行びっしり書くと
ttp://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1285355756/21
4kbらしいから、まだ大丈夫ですよ

261260:2011/04/15(金) 14:42:51
ごめん>>260の計算違った

262259:2011/04/16(土) 08:37:59
>>260
トン
たまに1000スレいかずに沈没してたけど
目安が分かってなかったから助かる

263名無しさんが妄想します:2011/04/21(木) 20:06:05
映画見てきた
映司は別の時間軸の比奈ちゃんと一緒に、
孤児達の親代わりになればいいよ
それでゆくゆくは本当に家族をですね

本編だと旅立ちエンドしか思い描けないんだけど、
映画だと一緒になる妄想がすんなりできたのは何でだ

264名無しさんが妄想します:2011/04/21(木) 20:54:22
>>263
>>1

265名無しさんが妄想します:2011/04/30(土) 23:56:33
しかしさ、DCDの人って士夏支持者しかいねーの?

266名無しさんが妄想します:2011/05/01(日) 00:09:48
俺は士夏も海夏もユ夏もユ八もシンジ×玲子さんもイブキ×あきらも美味しく頂くよ!
個人的にはアポロガイスト×夏海とか見てみたいがないだろうなw

リアルタイムだと結構士夏以外も多かったよな?
どっちかっていうとアギトの翔一×真魚とかいないの?とか気になる

267名無しさんが妄想します:2011/05/01(日) 01:22:33
>>266に追加で、士夏信者じゃなくて士夏書く職人さんが多いから多いように見えるだけなんじゃないか?
投下があったらそれに関して色々話したりするし。実際このスレだと海夏投下後は海夏話してたよな。
嫌なら>>265が士夏以外のカプ投下すればいいんじゃないかな。

268名無しさんが妄想します:2011/05/01(日) 12:05:52
士夏以外ってユ夏とかユ八とかならいたよな?
なんか、過去ログとか保管庫見てみても士夏が断然多い気がするんだが

俺の気のせいか……?

まあ、取り敢えず>>267には同意

269名無しさんが妄想します:2011/05/01(日) 18:06:08
最近ここを知ったので、亀だけどどうしても言いたくて。
>>106さん、生まれて初めてのどストライクでした。全てが。
特に照井。またぜひ投稿してください!

270名無しさんが妄想します:2011/05/01(日) 19:32:16
職人の人数と筆の早さもあるし、なんともいえんな
さしあたり、自分も>>267には同意

>>266
同志ハケーンてか、太陽×夏みかんの需要あったのかw
ヒロピンとどっちがいいか悩んで、結局そのままお蔵入りさせたよ

271名無しさんが妄想します:2011/05/01(日) 19:43:05
>>270
太陽×蜜柑………!!
かなり興味があるんだが!!


とか、言うのは反則だよな。スマン

272規制なのでこっちにage:2011/05/05(木) 17:37:06
エロパロ板>>744いいね!あと擬人化スレが落ちたのと、
スレ立てが難しくなった&480KBのほうが早かったりするんで
「基本的に980踏んだ人が立てる」を消してみた。
 URLがh抜きなのは
したらばNGワードだからです(>>9参照)、エロパロ板では抜かなくておk。


「仮面ライダーのエロパロが読みたいだと? なんだ、ここの連中の欲望は!」
「ふぅん、純愛、陵辱、萌えに燃え、か。面白いね」
「素敵じゃない。その哀しいまでの欲望……解放なさい」
「おれ、sageる〜」
「いいか、ネタバレには前置きを忘れるな! 注意書きも状況に応じて使え」
「規制で困った時は避難所の利用もあり、ってね」
「つまらないことで争うのは哀しいことよ。いい子ね、みんな」
「おれ、まもる〜」

「過去の作品を読みたいと言うおまえには感心した。パスのヒントを教えてやろう。
俺がこの手に掴んできたのはsageだけじゃなくてな。
保管庫の更新は2010年6月で止まってるってことだ」
「色んなとこ回ってきたけど、楽して読めるエロパロがないのはどこも一緒だな!」


*避難所・保管庫・過去ログは>>2
*不快な書き込みや好きでない話題はスルー、あくまでも大人の為のスレです
*ねたバレは前書き警告+空白改行をする
*属性注意書きやカップリングは前書きか名前欄に明記推奨
*他の人の作品投下後、数レスまたは半日待ってからの
 作品投下をお願いします(作品が流れるのを防止するためetc.)
*次スレは>980か容量480KB、作品投下も同じタイミングで中断して次スレへ
前スレ 仮面ライダー総合エロパロスレ13
ttp://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1295151571/


仮面ライダー総合@エロパロ避難所(規制時の投下もこちら)
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/2964/1283698635/

保管庫
ttp://maskedriderero.blog53.fc2.com/
*パスはsage、と保管庫参照
「現行」とは2010年6月当時の現行TV作品のこと
環境により閲覧できないことがあります

(過去スレの羅列略)

273名無しさんが妄想します:2011/05/05(木) 20:03:42
テンプレネタ修正

「仮面ライダーのエロパロが読みたいだと? なんだ、ここの連中の欲望は!」
「ふぅん、純愛、陵辱、萌えに燃え、か。面白いね」
「素敵じゃない。その哀しいまでの欲望……解放なさい」
「おれ、sageる〜」
「いいか、ネタバレには前置きを忘れるな! 注意書きも状況に応じて使え」
「規制で困った時は避難所の利用もあり、ってね」
「つまらないことで争うなんて哀しいことよ。スルーして」
「おれ、まもる〜」
「チッ」
「ふぅ」
「いい子ね、みんな」
「いいこ〜」

274規制中:2011/05/05(木) 20:49:57
もしスレ住人にスレ立て可能な人が見当たらなかったら
エロパロ板質問スレで代行依頼をしてください。
ホント最近の規制はキツいな。

275名無しさんが妄想します:2011/05/06(金) 00:39:37
>>274
立てた
→仮面ライダー総合エロパロスレ 14
ttp://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1304609532/

276274:2011/05/06(金) 01:21:49
>>275おつです
スレ立て時はsageでも一番上になるのが仕様だから問題ない

277名無しさんが妄想します:2011/05/10(火) 02:41:39
投下中にこんなメッセージ出た orz

>>投稿量大杉:もちつけ(3)
やっちまったなぁ(-Lv10)


……連投規制とも違うし、忍法帳になってからよくわからん
時間を置いて、もう一度挑戦してみるわ

278名無しさんが妄想します:2011/05/10(火) 03:12:19
調べてみたら、どうやら忍法帳のLvがダウンして長文投下が出来なくなったらしい
途中で豚切りは気分が悪いので、こっちにあらためて投下させてもらいます



以下、注意書きです
・DCD士(大首領)×夏海で過去捏造パラレル
・エロ少なめ
・続き物4話目(順番:他スレ→前スレ>>538>>674
・NGワードは「Solitude」でお願いします

尚、1話にあたる話は「専用スレに投下できない〜」に投げましたが
BLネタ完全アウトの方は読まないほうがいいかもしれません

279Solitude 1:2011/05/10(火) 03:13:02
 ある日突然、幸運が舞い込んだ。

 なんてことはない、ごく普通の女の姿をしたその幸運は、原因が解明できなかったカードのブランク化
を解除し、次元移動によるドライバーのエラーを解消した。おかげで滞っていた大ショッカーの世界征服
計画は、一気に駒を進めることになった。
「お疲れ様です、士さん」
 バックルの稼働実験を終えた士がオーロラを潜り城へ戻ると、月影が深々と頭を下げて出迎えた。その
後ろで待つ科学者達を一瞥し、士は通りすがりにバックルとカードを一人の研究員に渡した。その胸にあ
るスタッフタグには、『結城』と書かれている。
「カードの解放に問題は?」
 素早く手にしたカードを広げた結城が尋ねると、士は鼻で軽く笑った。
「9枚のカード全部にカメンライドできたし、今回は一度も暴走しなかったぞ?よかったな、問題が片付
いて」
 雁首そろえて今まで何をしてたのか。士が言外にそう嘲ると、プライドの高い研究員たちが僅かに頬を
引きつらせた。その様子を冷やかに横目で見た士は、興味など微塵もないと敷き詰められた赤い絨毯の上
を歩きだした。
「士さん!精密検査がまだ」
「なんともねぇよ、今回はな」
 そんな面倒は御免だと、士は耳の横のあたりで軽く指を振り、さっさと絨毯を進んだ。そのまま玉座へ
と戻ると、誰もいない部屋の中で一人階段に腰を下ろしていた海東が、手にしたノートパソコンから顔を
上げる。
「やあ、士。思ったよりも早かったね」
「ただの稼働実験に、今まで時間がかかりすぎただけだ」
「言ってくれるね。あれでも、ラボのスタッフは寸暇を惜しんでプログラミングしてるんだけど?」
「頭数だけ揃ってても、結果が出ないんじゃ意味はねぇ」
「だろうね。君には結果が全てだ」
 作業をしていたウィンドウを閉じたのか、海東は膝の上のノートパソコンを閉じた。その前に立った士
は、腕を組んだまま海東の顔を見下ろすと、無表情のまま尋ねた。
「それで?」
「君はいつも言葉が足りないね。全く、主語ぐらい入れてくれないと、何を答えたらいいのか分からない
じゃないか」
 そう言いながらも、海東は何枚かの紙がクリップされたボードを士へと差し出した。
「結果はオールクリア。彼女は別にオルフェノクでもなければファンガイアでもない、正真正銘の人間だ」
「だろうな。ま、赤い血のワームかアンデッドでもいりゃ、話は変わってくるだろうけどな」
「遺伝子も隅々まで調べたが、何から何まで普通の人間だったよ。尤も、潜在的な能力のほうはラボに連
れて行かないと分からないけどね」
「はっ!あいつらに事の真相を言ってみろ。あっという間にバラバラにされて、脳細胞の一つまで、残ら
ず標本にされるのがオチだ」

280Solitude 2:2011/05/10(火) 03:13:18
 狂気にも近い研究心を持つ部下の行動を予測し、士は冷たく言い放った。それを聞いた海東が、僅かに
片方の眉を動かす。が、あえて何も言わず、士は行き詰っていた事態を好転させた女のことを思い返した。
 ディケイドを知っていた、自分と同じように世界を渡る力を持つ謎の女。数日前にこの部屋に突然現れ、
見ず知らずの赤の他人を助ける為に体を開いたその馬鹿な女は、何故か触れただけでカードにカメンライ
ドの力を与えた。しかしどれだけ問い詰めても、女はその素性を一言も言おうとはしなかった。
 快楽という名の暴力で徹底的に追い詰めて得られた収穫は、『ツカサ』という、自分と同じ名を持つ恋
人がいるということだけ。
 他の男の名を呼び、そいつに貰ったモノらしきペンダントを握り締めながら何度も体の下で果てる姿に、
無性に腹が立った。だから、気を失っている間にそのペンダントを引きちぎり、二度と男のところへ戻れ
ないように白い肌にDCDの刻印を刻んだ。
 何の目的でここへ来たのか、来歴は何一つ分からないままだが、今のところ手放すつもりは毛頭ない。
「あれは俺のモノだ。ラボの連中にくれてやる気はねぇ」
「君が一人の人間に執着するなんて珍しいね、士。僕はずっと、君は小夜くん以外の人間はどうでもいいん
だとばかり思っていたよ」
 海東の言葉は静かだが、どこか棘がある。その気配を察した士は、にぃ、と冷酷な瞳を細めた。
「何だ、妬いてるのか?かまってほしきゃ、混ぜてやっても構わないぞ」
「君のそう言う所が嫌いだと言っている。いつまでも僕が君の言うことを聞いていると思ったら、大間違い
だ」
 ぎり、と音がしそうな激しさで睨みつけてくる海東の視線に、士は何故か楽しそうに唇を歪めた。その余
裕癪癪な態度が余計に気に入らなかったのか、海東は左手を右腕の上腕部へ当てると、服の上から爪を立て
た。
「覚えておきたまえ!僕は絶対に、君の思い通りにはならない」
「その意気だ、と言いたいところが、その印がある限りあいつもお前も俺のモノだ」
「たかが刺青を一つ入れたぐらいで、支配者ぶらないでくれたまえ!」
「寝首を掻きたきゃ、いつでも来いよ。もちろん、返り討ちにしてやるけどな」
 咽喉の奥で低く嗤う士の姿を、海東は憎悪の眼差しで見つめた。その冷たい炎のような視線を背に受けな
がら、士は私室へと繋がる螺旋階段に足をかけた。
「そういえば、あいつに関して何か分かったのか?」
「……相変わらず、ナツミと言う名前以外は何も話さないし、分からないままだよ。脅してもすかしても宥
めても、頑として口を割らなかった」
 あんな頑固な女は初めてだとぼやく海東の言葉に、士は密かに苛立ちを覚えた。奈津美なのか夏美なのか
は知らないが、別に個体を識別する記号は『ナツミ』という単語が一つあればそれで足りる。だが、できれ
ばそのツカサという男の方は潰しておきたかったが、大ショッカーの情報網でも分からないのでは仕方ない。
 まあ、あの体ではもう二度と前の男の元に戻ることはできないだろうと、士は早々に意識を切り替えると、
神経質そうに爪を軽く噛む海東の姿を見やった。
「で、お前もそろそろ気が済んだか?」
「何がだい?」
「とぼけるなよ。何が気に入らないのか知らねぇが、お前、あいつのこと目の仇にしてたろ?」
 冷静を装った海東の瞳に、一瞬だけ動揺が走ったのを士は見逃さなかった。しかし他人の、それもお気に
入りの玩具にすぎない側近の心情など知ったことではないと、士は軽く鼻先で笑った。
「お前があいつに何をしたのかなんて、俺は別に興味ねぇからな。だが、尋問程度なら味見もいいが、壊す
のはナシだ。わかったな?」

281Solitude 3:2011/05/10(火) 03:13:42
 憎々しげな瞳を向ける海東に釘を刺し、ステップに足を乗せる。動揺を顔に出したのは一瞬で、海東は即
座にいつものポーカーフェイスを取り戻すと、深い溜息を吐きだした。そして、階段を上る士の背に向かい、
冷静な声を投げつける。
「待ちたまえ。現時点での各世界への侵略状況や世界を繋ぐ橋の維持について、まだ報告が残っている」
「そんなもの、月影にしろ。俺は知ったこっちゃねぇ」
「まったく、アバウトにも程があるね。これじゃ、どっちが組織のトップだかわからないよ?」
 先ほどまでのものとは全く違った意味で冷たく言い放つ海東の言葉には耳を貸さず、士はさっさと階上に
あるプライベートフロアへと移動した。基本的に、このフロアには執事でもある月影と、玩具兼側近である
海東以外は、大幹部ですら立ち入ることは許していない。あとは精々メイドが入るぐらいだが、メイド達は
基本的に戦闘員と同じ存在であり、個々の意思はない。その為、士は戦闘員やメイド達のことを、路傍の石
程度の認識しかしていなかった。
 当然ながら、遊びで抱く相手を連れこんだことなど一度もない。
 しかし今、その完全なるプライベート空間である部屋の中には、一羽の小鳥が閉じ込めてある。偶然手に
入れた幸運の小鳥だが、捕えてからそろそろ1週間近くなる。同じ相手を何度も抱くことは今までなかった
が、何故かナツミに関しては未だに飽きる気配を感じなかった。
 尤も、海東という例外的な先例があるのだから、固執すること自体は珍しくないのかもしれないと、士は
珍しく興味が長続きしている自分をそう分析した。
 生体認証でロックされた扉を開け、中へと踏み込むと、一人掛けのソファに体を沈めたナツミが、物憂げ
な眼差しで窓の外を見つめていた。すでにその胸にDCDの印を刻んではあるが、逃走を防ぐためにも服を
着ることは許してはいない。質のよい下着類と、寒さ避けのガウンだけを与えたナツミの姿は、高級娼婦の
それに近かった。
「待たせたな」
 扉の開く気配に気付き、視線をあげたナツミの側に近付いた士は、細い顎を掴んで引き寄せると無遠慮に
唇を割った。もはや逃げることを諦めたのか、ナツミはさしたる抵抗を示すこともなく、されるがままにな
っている。
 素直に口づけに応じるナツミを見下ろし、士は唇の端を吊り上げた。
「なんだ、今日は随分と大人しいじゃないか」
「他の世界へ実験に行ったって、だ…海東さんに聞きました。他のライダー達と、戦ってきたんですか?」
「血の匂いは嫌いか?」
 意地の悪い言葉で返答を誤魔化すと、何故かナツミは酷く悲しげな目をした。非難というよりは、むしろ
心配するようなその視線に居た堪れなくなり、士は軽く息をつくとナツミの体を離した。
「ただのカードとバックルの性能テストだ。まだ実践レベルじゃねぇよ」
「え?」
「確かにディケイドに変身はできるが、まだ安定はしてねぇ。世界を移動しただけで、あっというまにエラ
ーの連発だ。お前がカードに触ったおかげで、ようやくまともに動くレベルになったっていう、お粗末な代
物だ」
「そう、なんですか?」
「そういうこった。分かったらさっさと風呂入れろ」
 そう言って顎をしゃくると、ナツミはどこか安心したように小さく微笑み、言われた通りに浴室の準備を
始めた。

282Solitude 4:2011/05/10(火) 03:14:00
 隷属はしないくせに、要求は飲む。全くもって妙な女だと、訝しみながら軽く溜息をついた拍子に、全身
のいたるところに不自然な痛みが走る。カードのブランク化が解除されてからこっち、連日のように長時間
の稼働実験を続けているせいで、さすがに体が鉛のように重くなっている。
 暴走はしなくなったとはいえ、まだまだディケイドのシステムは改良の余地がある。だが、見方を変えれ
ばまだまだ伸び代があるということでもある。士はそこかしこに残っているであろう青痣を確認することも
せず、疲労と寝不足からくる欠伸を一つ噛み殺すと、無言で立ち上がり身に着けていたものを脱ぎ捨てた。
 熱いシャワーを浴びて、一発ぐらい抜けば頭もすっきりするだろう。
 ナツミが出てきたところを捕え、もう一度浴室へと押し戻す。まだ下着を着たままだったが、構わずにシ
ャワーのコックを捻ると、あっという間に二人とも濡れ鼠になった。
「早くしろ」
 短く命令すると、ナツミは慣れた手つきでボディーソープを泡立て、丁寧に士の体を洗い始めた。この部
屋に監禁した翌日あたりに気まぐれで命じてみたところ、それが思いのほか心地よかったため、以来ここで
シャワーを浴びる時はナツミに体を洗わせている。こんなことをさせたのも、やはりナツミが初めてだが、
どうしてそんな気分になったのかは自分でもわからなかった。
 正面に回ったナツミが、そこらじゅうにある痣の一つを指でそっとなぞる。
「なかなか消えませんね……」
「あれだけ不安定なモノを使ってるんだ。消えるわけねぇだろ」
「ディケイドの変身って、そんなに体に負担がかかるものなんですか?」
「言っただろ、ようやくマシになったレベルだって。暴走なんざ日常茶飯事だ」
「それなら、せめてもう少し改良できるまで待てないんですか?」
 気遣う気配を隠そうともせず、ナツミが真っ直ぐに士の顔を見上げる。その視線の居心地の悪さに耐えき
れず、士は誤魔化すようにナツミの体を浴室の壁に押しつけた。すっかり濡れてしまった下着の隙間から、
するりと指を忍び込ませる。
 そこに伝わる感触を確認し、士はわざと人の悪い笑みを浮かべた。
「一人でちゃんと出来てるな」
「………っっ!!」
 途端に、心配に顔を曇らせていた夏海の頬が赤く染まる。羞恥心から顔を背けるナツミの横顔を堪能しな
がら、士は貼りついていた下着を落とし隠すもののなくなったそこを手で包みこんだ。
「こんな格好、もう他の野郎には見せらんねぇよなぁ?」
「やっ……つか、さ」
「いい眺めだぜ?」
 つるりとした感触を指先に伝えてくる柔らかい丘には、本来あるべき茂みがない。コトの最中に前の男の
名を呼んだ罰として、士が全て剃り落としたのだ。恥辱に涙を滲ませるナツミを組み敷き、以後二度と他の
名を呼ぶなと体だけでなく心までをもねじ伏せた。
 そして、自分のことは『士』と呼ぶように命じ、ナツミはその命令に大人しく従っている。
「どうして…?」
 どうして、嗜虐的な行為を強いるのか。どうして、自分を選んだのか。たった一言とはいえ、そこに込め
られた疑問は多々たるだろうが、そのどれにも応える意思のない士は、鼻先で軽く笑うとナツミの言葉を聞
き流した。
「さあな」
「あっ……!?」

283Solitude 5:2011/05/10(火) 03:14:18
 まだ泡が残っている体を密着させ、すっかり勃ち上がったモノを白い脚の間へ押しこむ。泡と湯で濡れた
花弁に自身を擦りつけ、擬似的な行為で羞恥心を煽ると、予想通りナツミは耳の縁まで真っ赤に染めた。し
かし、与える刺激に女の部分は敏感に反応を示しているらしく、だんだんと滑りが良くなってくる。
 僅かに呼吸が乱れてきたナツミの片脚を抱え大きく開かせると、蜜を湛え始めていたそこはいとも簡単に
猛った欲望を飲み込んだ。
「ふぁっ……あ、ああっ」
 前戯など何一つ施さぬまま、滾る欲望のままに白い体を貪る。冷たい壁に爪を立て、必死に律動に耐える
ナツミの態度とは反対に、その体は貪欲なまでに快楽を貪ろうとしているらしく、士自身へといやらしく吸
いついてくる。その心地よさに、無意識のうちに唇の端に笑みが浮かんだが、同時に不可解な苛立ちも生ま
れる。
 最初こそ激しく抵抗したものの、今ではすっかり従順になったナツミの瞳は、どこか暗く沈んだままだっ
た。だが、自分の意思と言うものを放棄しているわけでもなく、さりとて海東のように、大人しく命令に従
う素ぶりの影で憎しみを募らせているという様子でもない。そのくせ、過剰なまでの心配や気遣いはしてく
るのだから、隷属や屈服というよりは自ら望んで側にいるとしか思えない。
 あるいは、心理学でいう所のストックホルム症候群ってやつか。
「くそっ……」
 この苛立ちは、単に疲労からきてるものだ。
 士はそう自分を納得させると、ひたすらその行為に没頭した。甘く濡れた声を上げる体を思うままに蹂躙
し、仰け反る咽喉に軽く歯を立てるようにして唇を這わせると、獰猛な快楽に精神が高揚する。愛撫など施
さなくても、ナツミのそこは十分な潤いを湛えて士を咥え込んでいる。淫らに吸いついてくる奥へと誘われ
るまま、士は昂ぶる気持ちをぶちまけた。
 崩れ落ちかけた体を反転させ、浴槽に縋らせた所をすかさず背後から貫く。
「あっ……あん!あふ……っ、くぅ、んんっ!!」
 浴槽の縁におしつけるように、細い肩を押さえこむ。もう片方の手で腰を確りと引き寄せ、一切の抵抗を
封じた士は、ただ欲望のままにナツミの体を突き上げた。
 逃げるはずがないと分かっていても、これはもう癖のようなものだった。
「はっ…」
 荒く早い呼吸の合間に、短い声が混じり、ナツミの甘い声と絡まって浴室の中に響き渡る。しかし快楽に
蕩けきった瞳で喘ぐナツミの顔は、やはり酷く悲しげなままだった。どれだけ抱こうとも、決定的な何かが
手に入らないもどかしさに、士はナツミの腕を掴んで上体を大きく逸らさせた。
「痛っ…!やっ、士……」
 苦痛を訴えるナツミの声に、士はようやく慣れ親しんだ感覚を取り戻した気がした。そう、セックスは雄
の本能を満たすゲームにすぎない。獲物を力で手に入れてこそ、その快感はより大きいものになるのだ。
 士は拘束を解くことを懇願する唇に指を押しこみ、口腔を荒く嬲った。
「甘えたことぬかしてんじゃねぇよ。お前はただ、そうやって大人しく脚を開いてればいいんだ」
「ぅんっ、ん!ふぁ……あ、ああ!!」
 暴力にも等しい行為で濡れた内部を抉り、一方的に快楽を貪り食う。蹂躙される苦痛からか、ナツミの瞳
にうっすらと涙が浮かぶのを見て、士は何故か胸のあたりが苦しくなった。その苦痛を排除しようとしてい
るのか、常よりも加虐的な衝動がこみ上げてくる。
「イク、ぞ………っっ!!」
「あ……っっ!?」

284Solitude 6:2011/05/10(火) 03:14:36
 まだナツミが達していないのを承知で、自分だけ快楽を極める。背筋を駆けあがった欲望が迸る寸前に自
身を引き抜き、物足りなそうな声を上げたナツミの顔へ向け精を吐き出した。まさかそんな仕打ちを受ける
とは思ってもいなかったのか、反射的に硬く結ばれたナツミの瞳から一筋の涙が零れおちる。その口元へと
欲と愛液に濡れたモノを押しつけ、綺麗に舐め取ることを強制すると、夏海は涙を含んだ睫毛を薄く持ち上
げ素直に舌を這わせた。
 白濁した欲に穢れた白い肌で事後の奉仕をする姿に、歪んだ征服欲が満たされたのはほんの一瞬のことで、
士は全身を覆い始めた虚無感から無言でナツミに背を向けた。
 バスローブを引っかけペットボトルの水を一本開けると、体だけは単純な解放感で若干軽くなった気がし
た。しかしそれとは逆に、頭の芯はどこか痺れたように麻痺していて、鈍い痛みがこめかみの辺りを締め付
ける。だが、じわじわと感情を蝕んでいく不快感の正体を突き詰めることは、士のプライドが許さなかった。
 空になったボトルをゴミ箱へと放り投げ、ベッドの上に転がっていると、顔と髪を洗い終えて出てきたナ
ツミが乾いたタオルで水滴を拭い始めた。
 あれほどの仕打ちをした相手に、何でここまで世話をやけるのか。士にはナツミの行動がさっぱり理解で
きなかったが、振り払うのも面倒になり好きなようにさせていた。
 今までの相手は、コトが終わった後は側に気配を感じるのも鬱陶しかったが、そう言った意味でもナツミ
はイレギュラーだった。
「酷い顔してます。少し休んだほうがいいですよ?」
「そんな暇はねぇ」
「ダメです。1時間……いえ、せめて30分でもいいから寝て下さい。目の下がクマで真っ黒です」
「煩ぇな、お前は俺の母親か?つけ上げんじゃねぇぞ」
 本気で苛立ちを覚えて凄んでみたが、それ以上にナツミの目は真剣だった。組織の人間の上辺だけの心配
とも、小夜の縋るような心配とも違うその目に、士は何故かおぼろげとなっている母親の面影を思い出した。
 なにがどうなったのかは分からないが、ナツミが心の底から自分を案じていることは疑いようもない。今
まで死んだ両親以外にそんな態度を取られたことがない士は、どう対処していいかわからなくなり、結局咽
喉まで出かかった怒声を飲み込み視線を外すことで逃げた。
「………30分だけだからな」
 ごろりと背を向け、目を閉じて寝たフリをする。どうせ他人がいる場所で眠れるはずがないのだから、た
だ転がってるだけでこの居心地の悪いやり取りを終わりにできるなら、それに越したことはない。
 何故かはわからないが、ナツミが相手だと調子が狂って仕方がない。気まぐれで囲っただけの相手に翻弄
されている事実が気に食わず、士は深々と溜息を吐きだした。


 やがて意識がふつりと途切れ、深い闇の中に薄れかけた遠い日の思い出がいくつも浮かんでは、儚く消え
ていった。


 今では思い出すことすらしなくなった記憶が、何故脳裏をよぎったのか。その疑問とともに目を開けると、
いつの間にか周囲は斜陽によって仄かに赤く染まっていた。
「!?」
 時間の経過感覚がおかしいことに気づき、弾かれたように体を起こすと、その拍子に体の上にかけられて
いた布団がバサリと音を立てた。

285Solitude 7:2011/05/10(火) 03:14:55
「あ、目が覚めました?」
 驚きに跳ね起きた士とは対照的に、ソファで本を読んでいたナツミはゆったりとした動きで顔を上げ、何
事もなかったかのように穏やかな声をかけた。
 シャワーを浴び、ベッドの上に転がったのは、確か昼を回って間もない頃の筈だった。しかし今の光線の
具合から考えれば、時刻は夕方へさしかかっていることは疑いようもない。いくら疲れていたとはい、まさ
か自分が他人の前で熟睡するなど考えてもみなかった士は、すっかり乾いてしまった髪をぐしゃりと握り潰
した。
 誰かが部屋の扉を開けただけでもすぐに目が覚めるのに、何故ナツミがいるこの部屋で眠れたのか。全く
もってあり得ない事態に士が静かに混乱している間も、ナツミはワゴンに乗せられた電子ケトルを傾け、ご
く自然な動きでコーヒーを入れている。やがて目の前に出されたマグカップを、士は混乱のまま素直に受け
取り口へと運んだ。
 これもまた不思議なことに、何も言っていないにも関わらずちゃんと士の好みに合わせた甘さになってい
る。
「確かに疲れてる時は、甘いものをとったほうがいいですけど……でも、お砂糖はもう少し減らしたほうが
いいですよ?」
 そう言うナツミのほうは、どうやらブラック派らしく、ミクルも何も入れていない。思ったよりも、コー
ヒーを入れるのは上手いらしいが、そもそもどうして自分がコーヒー党であることを知っていたのか。たま
たまナツミ自身がコーヒー好きなだけかもしれないが、それにしても何から何まで誂えたような出来である。
 流石にその日はすぐに屋敷へと帰ったものの、士はこの異変を甘んじて受けている自分に腹の底から疑問
を覚えた。ナツミに関しては、本当に一から十まで異例尽くしである。
 しかし、と士は確実に動揺を見せる自分の感情を叱咤し、大首領としての己に意識を集中させた。
 バックルとカードの安定化が図られたのであれば、その次の段階である強化態の開発も飛躍的に進む。先
月まではまだ構想段階だったコンプリートフォームの研究開発は、すでに基本プログラムを組み上げるとこ
ろまで来ているのだから、たかが女一人にかまけている場合ではない。そうは思うのだが、何故か足は自然
とナツミの居る部屋へと向いてしまう。
 昼は開発と実験とトレーニングにあけくれ、夜が更けてからはナツミの体を弄ぶような日々を繰り返すう
ちに、士はますます自分自身が分からなくなった。
 快楽という力で追い詰め啼き声を上げさせていると、何かを探すようにいつもナツミの腕が宙を彷徨う。
今までそうしてきたように、その手首を掴んでシーツに縫い止めるのだが、そうすると一瞬だけ深い悲しみ
がその瞳に浮かぶのが謎だった。その謎を残したまま体を重ねる度に、より強くナツミが欲しくなる自分の
感情が理解できず、その苛立ちを衝動へすり替えさらに激しく凌辱する。
 気がつけば、今までのように目に付いた行きずりの誰かを抱こうという気分は、欠片もなくなっていた。
「くっそ……何だってんだ」
 いつものように欲望のまま白い肌を蹂躙した後、シャワーを浴びながら士は鋭く舌を打った。
 今まで何人もの相手を抱いてきた。その中にはナツミよりももっと見目のいい女もいたし、男女を問わず
ソコの具合の良さだけは極上の相手だって何人もいた。容姿は確かに平均以上ではあるものの、ずば抜けて
いいというわけでもないはずなのに、何故こうも一人の女に気を取られるのか。今まで自分の中に不可視な
感情などなかっただけに、余計に士はこの状況が納得いかなかった。
 バスローブを羽織りベッドに戻った士は、絶頂の果てに意識を手放したナツミの姿を見下ろし、冷酷な眼
差しを浮かべた。
 不要な奴は、排除すればいい。

286Solitude 8:2011/05/10(火) 03:15:12
 自分にしては結構な時間興味が持ったほうだが、そろそろ潮時なのかもしれない。これ以上自分のペース
を乱されるのは御免だと、士は無言で腕を伸ばし、無防備に晒されたナツミの細い咽喉に掌を当てた。
 士にとって、小夜と自分以外の全ての人間は全て他人であり、使い捨ての道具にすぎない。そして、道具
はあくまでも使うものであって、決して振り回されてはいけないのだ。
 組織を裏切った者や、抵抗する者に対し制裁を加える時と同じように、なんの感慨も浮かべない氷の表情
でゆっくりと咽喉を握る指に力を込めていく。肌にかけられる圧力によって血流を遮られ、掌に伝わる拍動
が回数を増やすはずだった。

 しかし、力を込めた指先に感じたのは、今にも消えそうなほどに弱々しい脈拍だった。

「おい……ナツミ?」
 思わず咽喉にかけていた手を離し、むき出しの肩を掴んで体を揺さぶる。しかし、ついさっきまで欲に染
まり熱を帯びていたその肌は、すっかり冷え切っていた。
 今しがたまで自らの手で殺そうとしていたことなど忘れ、士は思わずその体を抱き上げると大きく揺さぶ
った。
「起きろ、ナツミ!聞こえるか?」
 しかしいくら体を揺らし、何度も頬を叩いても、ナツミの瞼はピクリともしない。それどころか、その肌
は一秒ごとに色を失い、鼓動はさらに弱くなっていく。桜色から紫色に変わり始めた唇が震え、そこから溜
息と共に小さな声が零れたのを、すかさず耳を寄せて聞き取る。
「待って…いかない、で……」
 すう、と眦から涙が一つ滑り落ち、みるみるうちにその体から力が失われる。抱きしめた体から、急速に
命の気配が失われていく感覚に、士の意識は冷たく冴え渡った。このままでは、間違いなくナツミは死ぬ。
自分の手の中からお気に入りの道具が奪い取られる感覚に、逆に士の中で怒りが迸った。
 絶対に死なせはしないと、そう心の中で決めた士は、薄い上掛けをかけただけのナツミの体を抱きあげた。
医療スタッフと研究所の連中を全員叩き起こしてでも、こいつの命を繋ぎ止めさせる。そう思いナツミを強
く抱きしめた瞬間、不意に自らの心臓が大きく胸を打った。
「……っっ!」
 痛いぐらいの強さで脈を打つ心臓に、一瞬息だけが詰まる。すると、何故かナツミと自分を包みこむよう
にして、何かが温かく満ちていく気配を感じた。
「何だ……?」
 訳も分からないまま、思わず周囲を見渡してみるが、室内には誰もいるはずがない。一体何が起こったの
かと腕の中のナツミを見下ろすと、さっきまで紙のように白かった肌に赤味が戻りはじめていた。恐る恐る
その首に指を当ててみると、トクン、と肌を打つ感覚がある。
 ゆっくりと、穏やかながらも力強く打つその拍動は、士自身の心臓の動きと全く同じ速度で脈打っており、
士はまるでナツミと自分が一つの命を分けあっているような、なんとも言えない不思議な感覚を覚えた。
「おい……」
 困惑を隠そうともせず、いつになく弱々しい声で士が呼びかけると、それまで硬く閉ざされていた薄い瞼
がふるりと震えた。

287Solitude 9:2011/05/10(火) 03:15:29
「……士?」
 ぼんやりとした瞳が士の姿を捕え、確かめるように名を呼ぶ。そして、今にも泣きだしそうな瞳に笑みを
浮かべたナツミは、そのまま士の背に両腕を回すと、安心したように再び眠りに落ちていった。今まで妹以
外の誰かが、こんな風に自分の側で安堵して穏やかに眠ることなどあるはずもないと思っていた士は、呆然
とした面持ちのままナツミを抱きしめた。
 その日を境に、士はナツミに行動の自由を許した。
 奪い取ったペンダントの代わりに、DCDのロゴの入ったペンダントをかけさせ、胸元に覗く刺青と共に
所有権を主張しておく。首周りを隠す長い髪を切るのはもったいなかったので、一つにまとめさせた。さら
に丈の短いレザージャケットとショートパンツに、マゼンタのニーハイソックスを合わせた姿は、一目で士
の囲う女だと分かるようになっており、必然的に組織内での行動権が確立される。突然大首領の横に現れた
ナツミの姿に、組織の幹部達は軽く眉を顰めただけで何も言おうとはしなかった。もちろん、その内の一人
が小さな声で『色狂いのガキ』と嘲ったことに気付かないわけではなかったが、
それに関しては寛大な心で見逃してやった。
 そして逃げ出そうと思えばいつでも逃げ出せる状況だというのに、ナツミは何故か士の与えたあの部屋へ
と必ず戻った。
 海東とナツミと、お気に入りの側付きを侍らせた士の時間は、さらに加速度を増していく。ディケイドの
システムは飛躍的に改良され、強化態の開発はついに試作段階へと突入した。各世界を繋ぐ橋を安定させ、
同時に組織に属する者以外は使用できないようにもした。順風満帆という言葉がこれ以上ないほど似合う状
況に、士はいつになく満足していた。
 ただ一つ、ナツミの顔から憂いが消えないことを除いて。
「新しい世界を見つけたぞ」
 ある日、士は海東とナツミを連れ、新しく橋をかけた世界へと渡った。オーロラの向こうで、部下達が必
死になって橋を維持しようと動き回っていたが、構わずに見つけたばかりの世界を見下ろす。岩肌がむき出
しになった山に囲まれてはいるが、地面には青草が生い茂り、遠くを流れるせせらぎと野鳥の声だけが響く
なんとも穏やかな場所だった。
「ここは何の世界だい、士?」
 データの解析をするかのように周囲を見渡した海東の問いに、士は軽く首をかしげた。
「さあな。今のところライダーはいないみたいだが、これから生まれるのか、それともとっくに死んだか」
「前者ならともかく、後者だとしたら別に君が出る必要はないだろう?」
「ライダーの力がどこかに残ってたら面倒だ。確実に芽は潰しとかねぇとな」
 海東と征服の計画を話し合う横で、ナツミはやはり物憂げな眼差しで周囲を見渡していた。しかし、何か
に気付いたのか僅かにその顔色が変わる。
 間違いなく怯えの色を浮かべたその表情に気づき、士は眉を顰めた。
「どうした、ナツミ?」
「また、ここ……?どうして…」
 カタカタと肩を震わせ、慄く様に呟いたナツミの呟きを、士だけでなく海東も訝しむ。すると、それとな
く周囲を警戒していた三人の脚元が、突然大きく震えた。
「士、あれを見ろっ!」
 大きな揺れに立っていられず、それぞれが地面に手や膝をつく。驚きの声と共に前方を指差した海東につ
られ士が顔を上げると、世界を超える時に浮かぶオーロラと似た銀白色の光が揺らめいていた。
「何だ……山が、消える?」

288Solitude 10:2011/05/10(火) 03:15:53
 上空から布がふわりと落ちるように、ゆっくりと降下をするその光が触れた側から、見上げるほど大きな
岩山が塵となって消えていく。にわかには信じがたい光景に目を瞠っていると、傍らにいたナツミが突然大
きな声を上げた。
「危ない!!」
 直後、細い腕で力いっぱい突き飛ばされる。バランスを崩した士が地面に体を転がすのと、たった今いた
その場所を裂く様にして銀色の光が地面に走るのは、殆ど同時だった。
 士とは反対側に倒れていたナツミが体を起こすのが、その歪んだ銀の光の向こうに見えた。
「これは……次元の壁?」
 息を飲みその壁を見上げる海東の呟きを背に、士は苛立たしげに舌を打つと体を起こし、目の前に立ちは
だかる壁へと手を伸ばした。しかし、いつもならば容易に突き抜けることができるそのオーロラは、どうい
うわけか鋼鉄の壁のように士を拒んだ。
「下がってろ、ナツミ」
 間を隔てる壁を打ち破ろうと、士はライドブッカーをガンモードに変えトリガーを引いた。しかし、壁は
強固なまでに干渉を拒んでいるらしく、撃ち出したエネルギー弾は壁の前に尽く霧散した。
「ちっ…!おい、ナツミ!!先に元の世界に戻れ!」
 苛立ちと共に壁に拳を叩きつけそう怒鳴ると、ナツミは大きく首を振って叫んだ。
「無理です!滅びの現象で次元が歪んでて、別の世界には繋げません!!」
「滅びの現象?何だ、それは」
 首だけを捻り海東に問いかけるが、やはり何も知らないのか、海東もまた首を横に振るだけだった。直後
に地面が再び揺れ、いたるところで山や木々が消えていく。一刻の猶予もないことを察した士は、生まれて
初めて冷や汗が浮かぶような焦燥感を覚えた。
「とにかく、早くここを出るぞ!」
 世界を超える時と同じ要領で意識を集中させ、壁に掌をつく。凄まじい反発力がそこから湧き上がるのが
分かったが、士はそれを意思の力で押し返した。しかし、質は同じはずなのに全く制御できないそれに、焦
りはますます大きくなるばかりだった。
「くそっ!一体何だってんだ!!」
 どうにもこのオーロラを超えることができないと悟ったのか、地面にうずくまっていたナツミがそっと壁
に手を添え、首を小さく横に振った。同じように、どうあがいても壊せない壁を前に怒りを滾らせた士は、
膝をつき視線の高さを揃えると壁越しに掌を合わせた。
 銀色に揺らめくオーロラの向こうで、ナツミが悲しみと慈愛に満ちた笑みをゆったりと浮かべる。
「私のことは構わないで……早く元の世界へ戻って下さい」
「ふざけるな!お前は俺のモノだ、こんな場所に置いていけるか!!」
「大丈夫。私達は、またすぐに会えます」
 意味のわからないことを呟いたナツミの声は、自らの運命を全てを受け入れたかのように酷く穏やかで、
それが士は尚更気にくわなかった。何一つ自分の思い通りにならにこの事態に、無意識のうちに奥歯を噛み
しめる。
 揺れはますます酷くなり、周囲のモノは殆どが塵と化して消えようとしていた。
「もう無理だ、士!」
「離せ!」
 肩を掴んだ海東の腕を振り払い、士は思いっきり次元の壁を殴りつけた。骨まで響く振動が、これが現実
であることを否応なく証明する。怒りで拳を震わせる士を見つめ、ナツミは儚げで美しい笑みを浮かべた。

289Solitude 11:2011/05/10(火) 03:16:12
「あなたがこれから出る旅は、とても辛くて長いものになります。だけど、決して諦めないで下さい」
「何の話だ?」
「どうか、世界を救って下さい……お願いします」
 ナツミの願いに、士は思わず言葉を失った。世界を救ってやる。内心に秘めてきたその思いは、今まで誰
にも言ったことはない。
 ライダーの存在があるが故に、世界は滅びへと向かっていると知り、全てのライダーの頂点に立つ為ディ
ケイドへ変身することを選んだ。いずれ用が済めば組織から放逐されることを薄々と感じつつ、あえて大首
領という地位についたのも、消滅するよりは支配の方が遥かにマシだと思ったからだ。
 それこそ小夜や月影にすら話したことはないというのに、何故ナツミはそんなことを言うのだろうか。
「俺は、世界を支配する悪魔だ。征服はしても、救うつもりなんてねぇ」
「いいえ、私は信じています。あなたは悪魔なんかじゃありません」
 わざと悪ぶって言いきった士の言葉を、ナツミははっきりと否定し、初めて見るようなとびっきりの笑顔
を見せた。その姿をただ茫然と見つめる士の前で、半透明だった次元の壁が一瞬にして不透明なモノへと変
わる。姿はおろか、声すらも聞こえなくなったその場所を何度も叩き、士は腹の底から絶叫した。
「ナツミ……駄目だナツミ!!戻れ!」
「来るんだ、士!」
 半狂乱に近い声でナツミを呼ぶ士を強引に引き寄せ、海東が壊れかけた橋を通り元の世界へ戻った瞬間、
一つの世界が消滅した。


 それが、大ショッカーが初めて確認した『世界の終わり』だった。


「………以上のことから、それぞれの世界が引き合い消滅すると言う、最悪の事態が起こってしまったも
のと思われます」
 淡々とした月影の報告を玉座で黙って聞いていた士は、感情の動きを一切見せない瞳で階段の下に並ぶ
幹部達の姿を見渡した。
「大体わかった。つまり、ライダーの存在が互いの世界を引き寄せ衝突すると、あの滅びの現象とやらが
起きてそれぞれの世界が消滅するということか」
「御意」
「なら、話は早い。さっさとライダー共を潰して、全ての世界を征服する。手に入れる前に消えられちゃ、
かなわないからな」
「恐れながら、ディケイドライバーとライドブッカーに関しては、完成したと言っても宜しいかと存じま
す。強化態であるコンプリートフォームの開発も、最終段階へと入っておりますれば……」
「細かいことはどうでもいい。さっさと仕上げろ」
 後の報告はもういいと、地獄大使の言葉を遮り軽く腕を振って人を払う。粛々と去ってゆく幹部達の背
を無言で見下ろしていた士は、ただ一人残った海東へと声をかけた。
「それで?」
「だから、何時になったら君は主語というものをつけてくれるんだい?」
 いつかと同じようなやり取りに溜息をついた海東が、階段下から士を見上げた。
「あの世界は完全に消滅したし、僕と君以外あの世界から橋を渡って出た人間はいない。君の言いつけの
とおり、大ショッカーの渡れる世界はくまなく探したが、何処にも彼女の姿はなかったよ」
 いい加減に諦めろと言外に突きつける海東の言葉に、士は無表情のまま肘かけを掴んだ指に力を込めた。
暗く思いつめた瞳を上げ、次元の狭間で揺れ動く数多の世界を睨む士に、海東もまた軽く肩を竦めると広
間を後にする。
 がらんとした玉座の間に一人残った士は、ゆっくりと、しかし確実に距離を縮め続ける世界の姿を見つ
めながら、ナツミが残した言葉を思い返した。
「いいだろう……世界は必ず、俺が救ってやる。それが、俺とお前とのたった一つの約束だ」
 ナツミ、と小さくその名を口の中で呼んだ士の目から、一粒の涙が零れおちた。

290名無しさんが妄想します:2011/05/10(火) 03:21:08
以上ですが、ここで終わらせると自分が鬱になるので続きます
読んでくれた人、ありがとう

あと、当初の予定だった「破壊者激情態 vs 大首領」は、展開に行き詰ったため途中で没にしました
忍法帳が回復したらこっそり供養しておきます……

291名無しさんが妄想します:2011/05/10(火) 06:03:39
>>290
続きktkr!!!!エロもさることながら、話しが面白い!!!GJ!!
続き、wktkしながら待ってる!!

292名無しさんが妄想します:2011/05/10(火) 18:28:10
>>278おつ!エロパロ板へ残り(>>285-290)を代理投下してきます
連投規制回避のためゆっくり投下するのでしばらくお待ちください

293名無しさんが妄想します:2011/05/10(火) 18:30:16
本編よりいいねーいいよー

294292:2011/05/10(火) 18:51:12
代理投下終了!!

面白かった〜。エロパロとして、マイ解釈考察として、2度楽しめる

295290:2011/05/11(水) 01:42:00
没ネタは細切れにして供養してきました
レベルダウンって意外と面倒 orz

>>292
転載ありがとうございます
忍法帳のしくみがよくわかってませんでしたので助かります
以後、規制にひっかからないように気をつけます……

296名無しさんが妄想します:2011/05/29(日) 15:49:58
忍法帖のレベルが全員下がったようなので
長文&連投時はご注意ください

297名無しさんが妄想します:2011/05/29(日) 21:25:45
夏士カプの話はいつも長文だねー。

298名無しさんが妄想します:2011/06/05(日) 20:27:28
本スレの無断リレーは荒しか?
sageない、投下間隔無視で1の注意書きは読まないわ人の注意は聞かないわ
キャラの口調も適当で本当に電王見てたのかと問い詰めたい
あんなんが電王ファンだと思われたら大迷惑だ

それから元ネタの人、設定が勝手に使われて黙っていられなかったことは同情するが
書き手の自分語りは嫌われたりスレが荒れる元になるから注意した方がいい
……って定期的に注意レス入ってるんだけどな


ついでに書き手が去っていくのは、書き手置いてけぼりのつまらん議論だの
投下直後に別カプの話題振るような書き手への悪意あるレスの所為だと思う

299名無しさんが妄想します:2011/06/06(月) 12:43:03
そもそも見てたらいろんな時間の良太郎に変身してもらうなんて話にはならないと思うぞ?

あの展開からどうやってエロい方へ持っていくか楽しみにしてたんだが
せめて事前に一言あればまだ…ねぇ……


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