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タブンネ刑務所14

1名無しさん:2017/05/06(土) 00:36:57 ID:v4JFFnrY0
ここはタブンネさんをいじめたり殺したりするスレです
ルールを守って楽しくタブンネをいじめましょう。

164名無しさん:2017/09/14(木) 20:02:51 ID:NKZi4ypY0
更新乙ンネ

165名無しさん:2017/09/15(金) 18:39:56 ID:ayRasExs0
切なさを感じる終わり方。

166ショーケースの裏側で:2017/09/30(土) 04:11:41 ID:5I/tEMbc0
「ただいまです」
「ミィミィ♪」「…チィ?チィ♪」

帰宅した女子社員を出迎えたのは可愛い二匹の新しい家族
眠る我が子を胸に抱き、満面の笑みを向ける小さなママンネ
そしてうつらうつらと目を覚まし、帰ってきたのに気づくとチィチィと嬉しそうに笑う小さなベビンネ
寂しさや悲しみとは無縁の、今までとは違う暖かな我が家がそこにあった

「ミミー♪」「チッチ!チッチ!」

チビママンネに手をひかれて玄関を上がり、楽しいふれあいが始まる
二匹の頭を撫でたり、オモチャで一緒に遊んだり…
あの時のわだかまりは心が通じ合うとすっかり消え去り
人見知りの小ベビンネも、女子社員に大分心を許すようになってきた

「チカー、ご飯ですよ〜」

皆で居間に行くと、食卓には晩御飯のおかずが並べられていた
ハンバーグ、ポテトサラダ、ほうれん草のバター炒めにコーンポタージュスープ
どれも女子社員の好物で子供のころよく食べていたものだ
チビママンネも見たことがない御馳走に目を輝かしている
そして、嬉しい食卓の向こうに、エプロンを着けた母親がにっこりと微笑みかけていた

「あれ… お母さん…」

あまりにも当たり前のようにそこにいたので一瞬は素のままに受け入れたが
その違和感に気づいた瞬間、女子社員の目の前は白い光に覆われた

167ショーケースの裏側で:2017/09/30(土) 04:12:21 ID:5I/tEMbc0
「うぁ…」

無機質な蛍光灯の光が寝起きでぼやけた目に突き刺さる
デパートから帰ってきた時には疲れ切っていて
着替えもせずにそのままベッドに倒れこんで眠ってしまっていたらしい
意識がはっきりしていくうちに、ぼんやりと記憶が蘇ってくる
あの小さなタブンネの親子は元いたお家へ帰って行って、お母さんは…
気を逸らすように時計を見てみると既に午前2時を回っていた

「…何か食べなきゃ」

夕食を食べていなかったので普通ならかなり空腹のはずなのだが、あまり食欲がない
とりあえず手軽に小さなカップ麺で軽く済ますことにした
夢の中で見た食卓と頭の中で比べてしまい、女子社員は少し悲しい気持ちになった
食べ物だけじゃない、シンとした中にファンヒーターの音だけが響くこの部屋のなんと寂しいことか

食べ終わって何の気なしに携帯電話をチェックしてみると、一件の見慣れない宛先が
あのペットポケモン業者の社長からだ

「…タブンネさん、森へ帰ったんですね」

メールに添付された画像には、森へ向かっていくタブンネの後姿が写っていた
ベッドに寝転びながらその写真をまじまじと眺める
チビママンネの姿を見ていると冷え切っていた心が暖かくなっていくのがはっきりとわかる

「今頃おうちの中で、親子一緒に仲良くおやすみしてるのでしょうか…」

もし、女子社員が小さな親子の無残な末路を知ってしまったら、
自分の行いを気が狂うほどに後悔し、その心に人生を狂わす程の深い傷を負う事になるだろう
しかし幸いなことか、彼女がそれを知りうることは永遠に無いのだ

女子社員がが見た夢は、何も知らぬ偽善者の身勝手な妄想か、朦朧のうちに彼岸を垣間見たか…

168ショーケースの裏側で:2017/09/30(土) 04:12:54 ID:5I/tEMbc0
「ミッ、ミッ?!」「グミーッンミーッ!!」
「ちょ、ちょっとなんなのよコイツら!?… ギャァーッ!!」

勇者ンネの目の前であの怖い女が吹っ飛ばされた
最強の戦士にして偉大な群れの長、勇者ンネのパパンネがわが子を救出しに来たのだ

「うわぁーん!覚えてなさいよ〜!!」「キュルルルゥ〜!」
「ミーミィ!ミーミィ!」「ミ、ミィ〜」

長ンネの猛攻に怖い女とムウマは泣きながら一目散に逃げ出していき
勇者ンネは一緒に来ていた自分のママンネに籠から救出された

「ミギュルグ… グミィィィィィィ!! グミィィィィィィィィィ!!!!」
「ミィ、ミィ♪」「ミーミミー!」

勇者は母の胸に飛び込み、今までの恐怖と苦痛を洗い流すように思い切り泣いた
次代の長として常に強くあろうとしている勇者ンネも、母の前ではただの子供なのだ
長ンネもそんなわが子を叱ることなく、微笑んでその頭をそっと撫でた

「ミッミッ」「ミミ!」

母の胸でひとしきり泣き、顔を上げた勇者ンネの目の前にいたのはあのチビママンネだった
泣いている所を見られてアセアセと恥ずかしがったが、そんな勇者を小さな母は抱きしめた

『あかちゃんをたすけてくれて ありがとう』

チビママンネが伝えたかったことはこの感謝の気持ち、ただそれだけである
心から心へ熱いものが伝わり、勇者の心は誇りで高鳴った

「ミィッ!ミィ!ミィィ!!」

長ンネは腕を振り上げ、勇ましく鬨のような大声を上げた、
これから皆で、人間捕まった子供たちを取り戻しに行くと宣言したのだ

「ミィミィ!ミィミィ!」

勇者ンネもそれを真似るように腕を上げ気合いを込めて叫ぶ
これからタブンネの戦士たちの、奪われた仲間を取り戻す勇者の旅が始まるのだ

169ショーケースの裏側で:2017/09/30(土) 04:13:45 ID:5I/tEMbc0
「ミィィ!?」
大きなガシャンという金属音で勇者ンネは飛び起きた
そして曖昧なままの眼に映るのは、格子越しに見下してくる怖い人間
父に倒され、泣きながら逃げ出した筈のあの人間だ!

「ピーィッ!!??」
「何驚いてるのよ ご飯持ってきてあげたのに」

そう言って怖い女が格子の隙間からねじ込んだのは、緑のヘタがついた白い種の塊のような何か
一体何なのかと具体的に説明するとピーマンの芯だ
無造作に投入されたそれはあろうことか漏らした糞の上に落下してしまった

「ンミ、ミィィ…」

この糞の付いた残飯は自分に与えられた食事だと勇者ンネは理解できていたが
もちろん食べる気になれるはずもない。腹は死ぬほど減っているにも関わらずだ
この最低最悪の食事を前にして、勇者はただ立ち尽くすことしか出来ない

「何してるの、さっさと食べなさい。さもないと…」
「フミュギュギュググワァ!!」

女がライターをカチッカチッと鳴らすと、勇者ンネは震え上がり慌ててピーマンを拾い上げて口に入れた
焼印と尻尾を?燭にされた時の恐怖と苦痛がフラッシュバックしたのだ
無理やり飲み込もうとして何度も嗚咽し、死に物狂いで噛み砕こうとして舌や口内を噛みながら頑張るが
それでも苦みと臭みが2重に重なるそれはなかなか喉を通ってくれない

「ミグーッ!ミグーッ!ンミ゙ッ!!」

涙を流し、目一杯の血が混じった唾液とともに汚物を無理やり喉の奥に流し込む
それが胃に落ちた後、勇者ンネはゼェゼェと苦しそうに息をしながらポロポロと大粒の涙を零した
苦しみは過ぎ去った筈なのに、命令されて糞を食べてしまったという屈辱で涙が止まらない
勇者と呼ばれた子タブンネなら尚更だ

170ショーケースの裏側で:2017/09/30(土) 04:17:05 ID:5I/tEMbc0
「食べたわね、じゃあまた寝ていいわよ…」

怖い女はそう言いながら勇者ンネの籠に厚手のカーテンのような黒い布をかけた
もともと部屋が薄暗いこともあってか、籠の中は自分の手もまともに見えぬほどの真っ暗闇だ

「クミィ・・・」

勇者ンネは寝ころんではいるが眠れない
硬い髑髏の床が、ジンジンと痛み出した焼印と尻尾蝋燭の痕が、化膿しだした耳のピアスの痛みが
口内に残る気持ち悪さが、ピーマンの芯一本では満たされるはずのない空腹が
糞を食わされた屈辱が、弱い自分への悔しさが
勇者ンネが眠りにつくのを寄ってたかって妨げていた

「ミ… ミ…」

眠りもせずにじっとしていると、色々な思い出が頭に浮かびあがってくる
先ほど夢に見たためだろう、一番強く思い出したのは両親の最後の姿だ

聞きなれない大きな音が鳴って、見たことないやつ、人間というやつが現われて…
群れにあった巣はみんな壊され、強かったはずの群れの戦士たちは人間の味方のポケモンに次々と倒され
泣き叫びながら子供を連れて逃げ惑うママンネたちも襲われて子供たちはみんな捕まっていった

その中で父である長ンネはルカリオの波動弾の直撃で臓物をあたり一面に撒き散らしながら息絶え
最愛のママンネは自分や兄弟たちを守ろうとしてドリュウズのアイアンヘッドを顔面に受け倒れた
骨ごとグチャグチャに砕かれた母の顔面を、急速に静まり死に向かっていく父の心音を
勇者ンネは生涯忘れることは出来ないだろう

「フミィ… チィィ…」

その記憶はあまりにも鮮明だ。先ほどまで見ていたあれが夢だということがはっきり分るほどに
自分は何もできず、助けてくれる者はもう誰もおらず、一生ここから出られずに苦しみぬいて死んでいく
そんな絶望が幼い心を夜の闇よりも暗く覆っていた

「チィィ… チィィ…」

だが、そんな勇者ンネの心にただ一つ光明がある
この恐ろしい人間から恩タブの子である小ベビンネを守ったというただ一つの功績だ
それは勇者としての誇りとなり、支えとなって押しつぶされそうな心を正気に保っていた

もし、勇者ンネがあの小さな親子があの忘れえぬ悪魔の牙にかかり
凄惨極まる死を迎えたという事実を知ってしまったら
張りつめた心は粉々に砕け、二度と正気には戻れないだろう
幸か不幸か、この狂っていた方が気が楽な地獄の中、勇者ンネはその真実を知りえることは無いのであった

171名無しさん:2017/09/30(土) 10:45:13 ID:nmNNgb/M0
乙ンネ

172名無しさん:2017/09/30(土) 21:11:08 ID:UdOZI2uI0
チカちゃんには悪いが、死んでくれて本当に良かった
夢で見た様な展開は怒髪天モノなので

173名無しさん:2017/09/30(土) 21:25:59 ID:zDc9/MU60
夢オチ&「現実は非情である」

チカちゃんは早いとこ忘れなさい
その分、勇者ンネが代わりに苦しんでくれるから

174ショーケースの裏側で:2017/10/02(月) 02:19:08 ID:kZV2RQug0
『いや、人が考えるいい物が必ずしもポケモンにとってもいい物だとは限りませんぜ
 このドリュウズも高いフーズよりも車に轢かれたフシデの死骸の方を喜んで食べやがりますし…』 

寝巻に着替え、寝室でベッドに腰掛けるペット業者の女社長
ボーっとする中で先ほど交わした雑談の弟分の何気ないこの一言をぼんやりと思い出していた
寝室にはシルフィも一緒だ
先ほど怒られてしょんぼりしていたが今はケロリとして呑気に毛づくろいなどしている
社長はそんなシルフィを少しの間見つめた後、何かを思い立ったようにふらりと部屋から出て行った

「フィ〜?」

シルフィはトイレに行ったのだろうと思い、特に気に留めなかったが、トイレにしてはずい分と長い
さすがにおかしいと思い、様子を見に行こうかと気迷い始めたとき
社長が両手に何やら色々と下げて部屋に戻ってきた

「シルフィ、今日は特別にお夜食を食べちゃお。好きな方を選んでねっ」
「フィィ〜!」

シルフィの目の前に出されたのは洒落た餌皿に盛られたいつも食べさせている上等なポフィン
もう一つの方なのだが床にゴミ袋を敷き、そこにバケツから何やら薄汚れたピンクの塊をドサリと落とした

「アゥ… ァゥゥ…」
「どう?この子を好きにしちゃっていいんだよ?」

その塊の正体は皆さんお察しの通り血で汚れたの子タブンネだ
腕と足、そして口元から夥しく血を流し、グネグネと腰を曲げながら苦悶の表情でのたうっている
大きな毛抜けがあってデパートに出荷されなかった個体を持ってきたのだ
それにしてもなぜ血まみれなのかというと、社長が食べやすいようにと加工したからである
逃げられないように金槌で脛を両足とも潰し、
叩かれると痛いからと両肘にナイフを入れて関節を壊し
噛みつかれないよう顎を外してからペンチで全ての歯を一本ずつ丁寧に抜いて出来上がりだ
抵抗されてシルフィが怪我などしないようにという親心なのだが
最も、シルフィにしてみれば完全に余計な御世話であり、子タブンネにしてもただの拷問され損である

175ショーケースの裏側で:2017/10/02(月) 02:20:09 ID:kZV2RQug0
「フィッフィィ〜〜♪♪」

シルフィが選んだのは子タブンネの方だ。その選択には全く迷いは見られない
トレーナーの許しをもらって堂々と出来るという喜びも大きかった

「ゥゥゥゥゥゥ!! ァァァ!!!」

本能的に命の危機が分かったのだろう
シルフィが迫ると子タブンネはぎこちないハイハイでバタバタと逃げ出した
手足を動かすたびにズキン!ズキン!鋭い痛みが全身を走り
声が出なくなった口からは音にならなかった悲鳴を赤い涎と共に絶え間なく吐き出し続ける
普通なら体を動かすこともままならぬ針の筵の如き激痛であるはずだが
鼻息が当たる距離にまで迫る死への恐怖がこの哀れな子タブンネを突き動かしている
だがそんな辛苦に塗れた命がけ逃避も、幼い寿命を30秒程伸ばす事だけしか成果は無かった


「ァァァァァァァボボボボボボギュギュ……」

耳に噛みつかれて振り回され、ビタン、ビタンと強く床に叩きつけられると
子タブンネはぐったりと動かなくなった
だが息絶えたわけではなく、背骨にダメージが行って動けなくなっただけである
普通の肉食ポケモンならここで喉笛を噛みちぎって止めを刺すのだが
シルフィは息があるうちに食べたほうが楽しいという理由でそれをしなかった

「クプププププポポポポ・・・」

生きながら臓物を食いちぎられ、白目をむき口と鼻からコポコポと血のあぶくを吹き出す子タブンネ
シルフィは腸を引っ張ったり、肺を噛みつぶして中の空気が弾けるのを楽しんだりと
顔中血まみれになりながら臓物を玩具にしてのお夜食を満喫した

社長は眼前で振り拡げられる惨劇を止める事も諌めることもせずただ見つめていた
その視線は陰惨さへの嫌悪や残虐な光景に対する恐怖などもなく
遊ぶ子供を見つめる母親のような優しいものだった
そしてシルフィが食べ終わるのを待ち、その頭をそっと撫でながら語りかける

「ごめんねシルフィ、私、今までシルフィの事を分かってあげてなかったんだね」
「フィー?」

その謝罪の言葉の内には何か吹っ切れたような爽やかさがあった
すぐ横に転がる無残な骨肉にはとても不釣り合いな

「でもね、私、シルフィの気持ちならよーくわかるよ」
「フィ?」
「私ね、お仕事でたまにいらないタブンネを処分… 殺しちゃうんだけど
 その時に心がきゅーんとなって、すっごく気持ちよくなっちゃうんだ」
「フィ〜??」
「それだけじゃないよ、普通にお世話する時もタブンネちゃんたちをちょっとだけ苛めちゃうんだ
 わざと冷たいお水で洗ったり、おやつをちょびっとしかあげなかったり…
 ふふふ、赤ちゃんたちの前でお母さんタブンネのお乳をペンチで千切っちゃったりもしたんだよ
 怖いね、シルフィ」
「フィーフィ♪」
「ふふふ、おかしいよね。こんなこといけないって、変だって分かってるはずなのにね
 …これは私とシルフィだけの秘密だよっ」
「フィー♪」

そうして社長は先ほどまで可愛い子タブンネだった赤くてヌメつくものをゴミ袋に閉じ
生臭い床を雑巾がけして、シルフィの顔もタオルと濡れティッシュで奇麗にしてから
愛するポケモンと共にベッドに入るのだった

176名無しさん:2017/10/02(月) 19:42:53 ID:/GojdRq.0
更新ありがとうございます!
遊びつつエサを与えるという点はポケリフレっぽいw

177名無しさん:2017/10/03(火) 00:15:33 ID:5gaCr5kE0
わかる!社長さん、その気持ちよーくわかります!w

178名無しさん:2017/10/19(木) 22:37:51 ID:k0EXRYh.0
個人的に萌えるタブンネちゃん虐待シチュエーション
・出掛ける前に下剤入りのフードを食べさせ、戦闘中に粗相させて恥をかかせる。帰宅したら罰として粗相した物を耳、鼻、口に詰め、肛門を溶接する
・手足や耳を切断して食べさせる
・複数匹飼ってわざと極度のストレスに曝した上、食事を与えずに共食いさせる
・生まれたてを踏み殺す
・全身に灯油をかけて燃やす
・オーブンにブチ込み、不安がって泣き出した所でオーブンのスイッチを入れて苦しみながら焼け死ぬ所を観察する
・触覚を固結びして観察
・異物を大量に誤飲させて苦しませる
・土下座させた所を写メる
・触覚を片方引きちぎって肛門に差し込んで溶接する
・口か肛門から内臓が飛び出るまで何度も踏んづけ、飛び出した内臓を炙る

179名無しさん:2017/10/21(土) 00:04:21 ID:DHTmp2vw0
なかなか素敵なシチュエーションw自分だったら・・・

・洗濯機に放り込み、回転水責めでトラウマを作成
・親の前で子供を痛めつける(逆パターンも有り)
・孵化したベビンネを生かさず殺さずで虐待し続ける
(成体は可愛くないので、飽きたらチビンネの内に処理)

180名無しさん:2017/10/21(土) 00:14:16 ID:LYe4pJus0
往年の名作
押し入れの隠し子
空き巣ベビンネ
あたりが思い起こされるシチュエーション

181名無しさん:2017/10/25(水) 20:24:09 ID:0brSP26w0
自分は閉じ込め系かな

.競られていく時籠から必死に手を伸ばし助けを求めるベビンネ達
.調理されながら鍋やフライパンの中で抵抗する姿
.水槽観察物は最高
.箱詰め子タブンネも捨てがたい

となるとどうしてもベビチビ系になってしまうけど

182名無しさん:2017/10/28(土) 00:13:36 ID:aFG7HAuQ0
大切に育てられた後に、天から地獄に突き落とされるのも良い。

例えば、「冷凍子タブンネ」
ママンネが子供達の前でボコられ、子供達も少しずつ凍っていくのが萌える。
善良個体だからイラッとせずに読めるのも良かったw

183ショーケースの裏側で:2017/11/01(水) 04:39:38 ID:7pG2fGlk0
「…いたぞ、」

二日続けてのイベントでの激務
足は棒になり、背骨は微かに痛み出し、瞼は見開けぬほどに重い
だが、気が利く社員は胸に滾るものを抑えきれずに市街地の外にある草むらをうろついてた

遅い来るミネズミやチョロネコをドレディアが退きながら30分ほど歩きまわり
ようやく目当ての物を見つけた。いや、音が聞こえてきたというところだ
それはガサガサと草が揺れる音

(焦ってはいけない… ここで焦れば全てがオシャカだ…)

自分の首元にまで届く草むらを、足音を殺しながら慎重を極めて歩く
もし、この時に他の野生ポケモンと出くわして戦闘にでもなったらその隙にこの音の主は姿を消してしまう
そして音に近づいてる事を感じ取りながら揺れる草むらの眼前に辿り着いたその時

「ミッミッ!」
「でかいな…」

草むらからタブンネが飛び出してきた
小柄なチビママンネに見慣れていたからだろうか。目の前のタブンネは110cmの標準サイズだが
気が利く社員にとってはなかなかの大形の個体に感じられた
威嚇の声を上げ、一触触発の状態である

「行け、ドレディア」

ボールから飛び出したドレディアの前に野生タブンネは一瞬たじろいだが
向けられた戦意を敏感に感じ取り、目の前の敵を打ち倒すべく腕を振り上げた

「ギガドレインだ」

体から緑色に光るものが抜けて行くと感じた次の瞬間、野生タブンネはバタリと地に倒れ伏した
疲れ切ったかのように体が動かせず、反撃どころか立ち上がることすらできない

「ミ゙… ミ゙…」

普通のポケモンバトルならこの時点で勝負ありで、トレーナーはこれ以上手出しをさせないのだが
血に飢えた今の気が利く社員は様子が違った

「あっけないなぁ、こんなんじゃあ全然満足できないよ!」

興奮が抑えられなくなり、倒れたタブンネをサッカーボールの如く蹴り飛ばす気が利く社員
「グェッ」と悲鳴を上げながら転がる野生ンネを間髪入れず耳をつかんで引き起こし
そのままふっくらとした柔らかな頬を何度も殴りつけた

「ミッ?ミッ!ミビャァァァッ!!」

その狂気を伴った暴力に瀕死の体力では何の抵抗もできず
不運な野生タブンネはただその拳を受けて訳もわからぬまま泣き叫ぶ事しかできない
ドレディアは狂ってしまった主人を悲しみも怒りもせず
そこに生えている植物の如くただ黙って見つめていた

184ショーケースの裏側で:2017/11/01(水) 04:40:14 ID:7pG2fGlk0
「ハァ… ハァ… ん?これは…」

目鼻が判別出ぬほどボコボコに殴りつくした後、
少し落ち着いた気が利く社員は何気なく野生ンネの胴体に目を向ける
そこである事に気づいた瞬間、気が利く社員の口角が嫌らしく上がった

「ドレディア!コイツの巣を探すんだ。もっと遊べるぞ」

もはや目を開けることも出来なくなったタブンネを投げ捨て、気が利く社員は乱雑に周りを探し始めた
地に積もる枯草を蹴り上げ踏みつけ、落ちていた木の枝でザクザクと突きながら
ドレディアはキョロキョロと地面を見まわしながら周りを探している
やがて気が利く社員は枯草の下に子供がギリギリ入れる程度の大きさの地面に空いた穴を見つけた
その穴を懐中電灯で照らすと、「ピィッ」という甲高い声の悲鳴が
そう、気が利く社員が探していたのはタブンネの巣、そしてそこにいる子タブンネである
野生ンネの腹部に変色した乳首を見つけ、子育て中のタブンネであると判断したのだ

「グィー… グィー…」

野生ンネは鳴いて威嚇するが、弱り切ったその声が威嚇である事を分かって貰える筈もなく
ドレディアが巣に押し入り中の子タブンネたちは次々と巣の外に追いやられていく

「ミィーッ!!」「ミィ?ミィ!?」「ビィィ!ビィィ!」

訳も分らぬうちに寒空の下に追いやられ、3匹の哀れな子タブたちは不安と恐怖に鳴きしきる
そのうちの1匹が倒れている母親に気づき、助けを求め泣きながら駆け寄ると
それを気が利く社員はザクリと足で背中から踏みつけた

「ミ゙ッ・・・ ブベェ…クミィィ…」

足をばたつかせ、小さな両手で必死に地を掻き、脱出しようと必死にあがくが
40センチに届かない小さな体では成人男性の体重からはそう簡単に逃れられず
少し力を込めて足首を捻り踏みにじると、未消化物と共に白いミルクをゲェェと嘔吐した
まだ離乳が完全に済んでいない子タブンネだったのだ

「ミィィン!ヂィィィィィ!!」

その足に少し大きな子タブンネが駆け寄り、必死に持ち上げて兄弟を助けようと健気にも頑張る
この子は三兄弟の一番上の姉であり、弟たちの世話を率先して手伝ういいお姉ちゃんであった
そんな頼りになるお姉ちゃんも鬼畜と化した気が利く社員によって首根っこを攫まれて捕まってしまうと
すると頼りになるお姉ちゃん一転パニックになってベビのように泣きわめき、小便まで洩らす有様だった

「ドレディア!もう一匹はお前にやるよ。好きに遊んでいいぞ」

その場でただオロオロするばかりであった最後の子タブンネはドレディアに捕まった
当然泣きわめくが、ドレディアの方もどう遊んでいいものかいささか困っている

「キィィ… キ…」

家族が絶体絶命の状況の中、野生ンネはパタパタと弱弱しく地面をたたいて威嚇することしかできない
その顔が無傷であったならば、さぞかし歪みきった絶望の表情を見せてくれた事だろう

「ビュ… グ… ギ…」「クヒィィィ…」「ミヂィィィィ!!ミヂィィィィ!!」

悲鳴と呻き声が身を切る夜風と草のざわめきに交じる
己の衝動を律する事なく子タブンネの首を絞め、踏み潰す気が利く社員
手の内の子タブンネは痙攣とともに力が抜けていき、
足下のタブンネは折れる寸前まで背骨が軋み胃液を吐きながら窒息に喘ぐ
この2匹の哀れな子タブの絶命を以て気が利く社員の疼くものは満たされようとしていた

185ショーケースの裏側で:2017/11/01(水) 04:40:49 ID:7pG2fGlk0
「やめてください!!」

突然聞こえた人間の声に頭が真っ白になり、背筋には冷たいものが走る
「女子社員に見られた」
振り返ってその声の主を確認した瞬間、気が利く社員はそう勘違いした

「…誰だ?」

背丈は女子社員と同じくらいだが、よく見たら男の子。それもまだ声変わりする前の少年
赤い帽子に群青色のジャケット、腰には数個のモンスターボールが付いたベルト…
月の光で判ることはこの程度か
ともかく、目の前の少年がポケモントレーナーであることを気が利く社員は理解できた

「何の理由があってそんなちっちゃな子たちを殺そうとするんですか!
 すぐにその子たちを放してください!」

気が狂ったヤバいやつなのではないかとトレーナーの少年は声をかける際に覚悟していたのだが 
振り返った悪人の顔は狂人のそれではない
悪事がばれて必死に言い訳を探している、小ずるい大人にありふれた情けない表情だ
少年は毅然と気が利く社員を睨みつけ、子タブ達を助けるべくつかつかと向かっていく

「ヒュルル、キュウ!」

両者の間にドレディアが割って入り、少年の前に立ちふさがる
泣きじゃくる子タブンネを両手の葉っぱで抱えている事が、
少年にこのドレディアが悪人の手持ちポケモンであることを理解させた

悪人がポケモンを繰り出してきているならば、少年もポケモンを出して対抗するほかない
投げられたボールから光とともにチャオブーが飛び出し、ありふれたポケモンバトルの始まりである

ポケモンバトルにおいて、操るトレーナーの心理状態は勝敗に大きくかかわる
心不確かならば格下相手に敗北することはままあることなのだ
これによりイッシュ地方のチャンピオンがバッヂの一つも持たぬ少年に敗北した事は有名な話だろう

さて、今の気が利く社員はというと、相手がポケモンを出しているというのに指示を出せていない
いわずもがな、決して見られてはいけない場面を見られてしまった動揺のためである

一方のトレーナー少年に目の前の非道に対しての正義感と闘志に燃えている
勝敗はこの時点で決まっている様にも思えた

「チャオブー、ニトロチャージ!」
「…!
 ドレディア!はなびらの舞いだ!」

火の玉と化したチャオブーが迫ってからようやくの指示。相性が悪い相手を前にしてあまりにも遅すぎる
戦って勝つ、トレーナーが思いを通すにはこれに勝る方法なはない
チャオブーは今まさに、トレーナーの義憤を炎に変えて悪の傀儡へとぶつけようとしている
しかし

186ショーケースの裏側で:2017/11/01(水) 04:44:48 ID:7pG2fGlk0
「そんな… 何で…」

この可憐な赤い花は少年の正義も怒りも優しさも、何一つ主人の所へ通さなかった
それは、舞いと呼ぶには余りにも暴力的で、怒りに荒れ狂う竜にも匹敵する破壊力を秘めていた
チャオブーは一度は耐えて炎の一矢を報いたもののすぐに吹き飛ばされ
相性を考えて繰り出されたココロモリは何も出来ずに地に落ち
最後に残ったシママもまた無情にも花の嵐の中に倒れた

この結果はつまるところ、あまりにもポケモンの練度の差が開きすぎていたというだけである
ブランクがあるとはいえ10年近く戦いを繰り返してきたドレディアにとって、
旅を始めてから数か月のトレーナーのポケモンたちを倒すにはただの一言の指示で十分だったと言う訳だ

ドレディアに抱かれていた子タブンネはいつの間にか姿を消していたが
トレーナーのズボンにかかった血しぶきと辺りに散らばる骨肉の欠片がその末路を物語っていた

一方で気が利く社員は肩の力が抜け、踏まれていたタブンネは這いずって靴の下から抜け
首を絞められてたタブンネはボトリと落ちた

「フィィ…」「フィー、フィー…」

2匹のタブンネはよろよろとおぼつかない足取りで気が利く社員から逃げ出す
まだダメージが残りうまく歩けないのだ
トレーナーは抱き上げて助けようと歩み寄ったが
草の隙間から2匹のチョロネコが飛び出し、子タブンネの首筋に噛みつくと
引きずりながらも素早く草むらの奥へと連れ去っていった
追いかけたトレーナーだったが気が利く社員にリュックを掴まれて止められた
ポケモンが戦えぬ状態で草むらに入るのは危険であるからだ
そして弱々しい悲鳴の後、クチャクチャと生肉を咀嚼する不気味な音が聞こえてくる
未だ倒れたままの野生タブンネの腫れた目から一筋の涙が流れた
姿は見えずとも、その耳で最愛の子供たちの最後を知ってしまったのだ

「あっ、あああ… あああ…」

打ちひしがれ、立ち尽くしたまま震えるトレーナー
悪人にポケモン勝負で一方的に惨敗し、守ろうとした子タブンネたちは全員死んでしまった
少年にとっては今までの人生で一番のこの上ない完全敗北
目の前が真っ暗になるというのはこういう事なのであろう

バトルの勝者であるはずの気が利く社員も苦い表情だ
勝負に勝とうとも、ポケモンの子供を苛めてる所を見られたという事実は変わらないのだから

やがてトレーナーの少年は涙を流しながらトボトボと去っていき
気が利く社員も興をそがれ、自宅へと帰ることにした
先ほどまでの興奮はどこへやら、満足感など何所にもなく
心のもやつきと共に一日の疲れがドッと押し寄せてきていた

それにしても、気が利く社員は何故こんな行動を取ったのであろうか?
昔は他の多くのトレーナーと同じようにポケモンを育てるためにタブンネ狩りをしてきた彼だが、
ただ昔のトレーナー時代を懐かしんでの行為ではない。
チビママンネを殴る蹴るしてるうちにトレーナー時代に幾度となく感じていた衝動がぶり返してきていたのだ

それは、見てるとつい苛めたくなってしまうというタブンネが持つ魔性じみた性質の為なのである
学者などが証明したわけではないのでまだ俗説の域を出ないのだが
タブンネの虐待事件は保護団体などに認知されてるだけでも他のポケモンのそれより圧倒的に多い
あのペット業者の社長もまた、その魔に憑かれてしまっているのだろう

「…早く帰って寝よう」

だが、自分の衝動の理由など今の気が利く社員の頭に無く
あの少年がいつか勤務先のデパートに来るかもしれないという事を考えると
たまらなく憂鬱な気持ちになるのだった

187名無しさん:2017/11/01(水) 08:47:50 ID:317LEQLk0
乙ンネ!

188名無しさん:2017/11/02(木) 00:41:22 ID:.piL6pZg0
少年が誰かは知らないけど、人のささやかなストレス解消は邪魔しないで欲しいですなw
チョロネコは後始末グッジョブ!!

189名無しさん:2017/11/02(木) 09:47:48 ID:YB3MF/eQ0
>タブンネが持つ魔性じみた性質

媚びた顔、ピンクチョッキ、不用意に草むらを揺らす、変な触覚…苛めたくなる要因が多いw

190名無しさん:2017/11/08(水) 21:32:45 ID:fq6HHygg0
ポケダンでは、タブンネは教師やってたけど、冤罪吹っ掛けて、村八分にして路頭に迷わせたい

191名無しさん:2017/11/26(日) 23:09:22 ID:1mi9K5q.0
USUMで助け呼ぶ無限湧き経験値タンクポジになれるかと思ったけどラッキーに取られちゃったな

192名無しさん:2017/11/29(水) 02:02:35 ID:6M7cHQs20
タブンネは助けを呼んだ!

タブンネ「同胞たちよ助けてミィ!!!」
しかし、誰も来なかった…
タブンネ「ミィ…」
トレーナー「よし。助けがくるまで、みねうち連打だ!」
タブンネ「ミィィィ―!!!!」

こうなるのやりたかった…

193名無しさん:2017/11/30(木) 08:55:06 ID:2G8Cqgj60
助けが来ないのは、こいつが最後の一匹とかいうオチだったりしてww

194名無しさん:2017/12/10(日) 15:11:17 ID:.jMHm6WY0
モグラ叩きならぬタブンネ叩きをやりたい

195ミィミィタブンネ学園文化祭:2017/12/17(日) 02:15:02 ID:IMquuUJo0
少し思いついたのを一つ投稿します
学園祭に行った時に思いつきました、駄文でしょうが楽しんでいただけたら嬉しいです

今日はアローラ地方にあるとある高校の文化祭の日だ
クラスの生徒達はそれぞれ出し物や劇や出店を行い、来校した客を楽しませ、もてなすのだ

パンフレットの見出しに
今回は第10回目記念として可愛いタブンネが主役の文化祭を行います!
皆さん遊びに来てください!
というなんとも気になる見出し文が書かれていた

俺は早速相棒のルカリオを連れて遊びに行くことにした

ミィーッ!ミィーッ! タブタブネ〜!!
教室から聞こえてくるこの声はタブンネの声だ
元々ここにはいなかったのだが、他地方の誰かがタブンネを捨てたらしく、アローラ地方に住みつき、その物凄い繁殖力で勢力を伸ばし生態系を壊しているため、アローラではタブンネは嫌われているのだ
アローラで嫌われているタブンネが何故文化祭の主役なのか?
学祭に来たのは暇なのもあるが、俺はその理由も探る為にここに来たのだ

このクラスの出し物はタブンネジュースという露店のようだ
アローラ地方のポケモン、ガオガエンがタブンネの足と頭を掴んで雑巾絞りの様にタブンネを絞っていた
ただ力が強いので、タブンネの血を絞り出すどころか、何回かに一回爆散させてしまってる
これじゃジュース屋さんところかただのスプラッター会場だが、絞られる瞬間のタブンネの絶望した表情とダブダブの身体がキュッとスリムに捻られるところは何度見てもルカリオと一緒に笑ってしまうのだった

早速ルカリオが俺におねだりしてきた
ルカリオは肉食ポケモンだからな、よし買ってやろう

俺「タブンネジュースくれ」

ガオガエンは頷くとデヤッ!!という掛け声と共に新鮮な生きたままのタブンネを捻ってコップに注いでくれた
その際血肉が飛び散ってしまうが、新鮮なものをその場で絞ってくれてるから仕方ない
ルカリオに渡すとルカリオは喜んでタブンネジュースを飲んだ、やはり新鮮は美味いらしい

すると俺達の足元にチビンネ共が泣きながら走り寄ってきた
その視線はタブンネジュースに注がれている
そうか、さっきの絞られンネはこいつらのママンネって事か

ルカリオはまだタブンネの臭いの残る生暖かいタブンネジュースをチビンネ共にぶっかけた
チビンネ共は初め、まだ親の匂いのするこの生暖かい液体の匂いを嗅いで、親の事を思い出し若干安心したのかミィ…♪と鳴いていたが、やがてジュースが冷たくなりベトベトと気持ち悪く身体にまとわりついている事に気付くとミッ…とまた悲しそうに泣き出し始めた

「あーコラ!逃げんなってば!」
そんなチビンネをガオガエンと男子生徒がつまみ上げ、籠の中に乱暴に放り込む
籠の中に放り込まれるごとにチビンネ共はチギャアとかチビッ!とか鳴いている
まあお前らも次でママンネのところに行けるから安心しろ

男子高校生にお金を払って俺達はタブンネの絶望ミィミィボイスを背にして教室を後にした

196名無しさん:2017/12/18(月) 23:47:27 ID:wBeE7HKg0
>>195
乙乙
たまに爆散するってひどいなw 食べ物は無駄なく絞らないとね!

197ショーケースの裏側で:2018/02/28(水) 00:45:17 ID:NkxHpBdU0
「ミ…」
イベントから一週間後、デパートの中に入っているペットショップの店舗
イベントで売れ残った子タブンネのうちの一匹が店先のショーケースに入れられていた
その前を幾人もの人間が通り過ぎていき、
時折、人の流れから外れて何人かが展示されてるポケモンたちを見に来る
無論彼らはペットショップのお客さんで可愛いポケモンを見に来ているだけなのだが、
未だ人に慣れない臆病な子タブンネにとっては巨大な怪物が迫ってくるに等しい
近づいてくるたびに脅え、展示ケースの隅に逃れて丸まりながら立ち去るのを待つ
この対応だと人間がすぐに飽きて立ち去ってしまうので子タブンネにとっては正解だったのだが
ショーケースに並ぶ商品。すなわち看板商品としてはあまりいただけない

「ピッピキピィ〜♪」「ミィィン…」

売れ残りンネを苦しめるのは見に来るお客だけではない、人間に劣らず慣れ難いお隣さんだ
壁に遮られて姿は見えないがピィピィと甲高い声で楽しそうに鳴くのが堪らなく耳ざわりであり
しかもその鳴き声が恐ろしい人間を引き寄せてくる事さえある
それに明るいうちにだけうるさいならまだしも、
どういう訳か真夜中に突然起きだしてドタドタと遊びだす事があるのだ
夜行性の気があるのはそいつのポケモンとしての習性で仕方がないのだが
この哀れな幼いタブンネにはそれを理解できる頭も許容できる心の余裕も無い
さりとて正体不明のポケモンに対して抗議したり威嚇したりする勇気もなく
小さな両手で懸命に耳を塞ぎ、脅え震えながら耐えるしかなかった

「クミィ…?」

そんな売れ残りンネだが、密室に一匹だけの暮らしは多感な子供時代にあってあまりにも退屈
暇つぶしになるような事と言えば怖い人間が沢山いる外の世界をガラス越しに見る事しかない
ボーッと眺めていると、色とりどりの見飽きた怪物の群れの中に懐かしい桃色を見つけた

「ふふ、おやつ買って帰ろうね」
「ミィミ、ミィ♪」

それは、自分が知っている子タブであり、同じ群れの年上の幼馴染
自分がいた巣の近所に住んでいてベビ時代からよく世話を焼いてくれたお姉ちゃんタブンネだった
イベント会場で一度はぐれたきり一度も会っていなかったのが
今、あろうことか恐ろしい敵である人間に抱っこされて笑っているのである

「ミィッ!ミィッ、ンッミィ!」
「ミミ?!」
「ん、どうしたの?」

居ても立ってもいられず、売れ残りンネはベチベチとガラスを叩きながらお姉ちゃンネを必死に呼ぶ
お姉ちゃンネはそれを逃さず聞き、驚きとともに振り向いた
もちろん一緒にいる人間にも自分の存在を気づかれ、一緒に自分の前に来てしまったのだが
そんな事は構いやしなかった

198ショーケースの裏側で:2018/02/28(水) 00:46:27 ID:NkxHpBdU0
「ミィ!ミィ!ミィィ!!ミィ!」
「ミミ、ミーミ!」
「…? ひょっとしてお友達なの?」

人間が正解であるそれに至るのはそう不思議な事ではなかった
お姉ちゃンネを買ったのは言わずもがなこのデパートのイベントなのである
2匹のタブンネはショーケースを間に挟みミィミィと語り合う
売れ残りンネはガラスに両手をつけ悲壮に目元を濡らしながら
お姉ちゃンネは飼い主の人間の女性の腕の中で動揺し困惑しながら

『ここから出して!一緒に帰ろうよ!おうちに、ママとパパの所に帰ろうよ!』

売れ残りンネは必死に訴えたが、お姉ちゃンネは何の答えも口に出せない
この一週間の商品としての乾いた日々
売れ残りンネはあの群れで過ごした幸せな日々を夢に見ない日は無かった
パパンネもママンネも兄ンネも姉ンネも傍にいて、群れのタブンネたちもいっぱいいいて
友達のちょっとやんちゃな子タブに自分にヨチヨチついてくる年下の子タブ
お隣さんの巣にいるちっちゃくて可愛い生まれたてのベビたち
そして、いつも優しくしてくれていたこのお姉ちゃんタブンネ…
いつまでも続くと思っていた日常。あの2人と2匹がやってくるまでは

「お姉ちゃんはいつもボクを助けてくれた。お姉ちゃんなら何とかしてくれる」

愛と信頼による盲信か、追い詰められたか弱い心が生んだ妄執か
売れ残りンネは一週間のうちに胸に貯まりきった切ない願いを止め得ぬ涙とともに吐き出した
今の彼にとってお姉ちゃンネとの出会いは地獄の底に垂れ下がる蜘蛛の糸
どんなにか細くとも、縋らずにはいられない

「ンミィ…」

その期待に対しお姉ちゃンネは俯き、唇を噛みしめるしかできない
彼女は頭が良いとまでは言わないまでも、物わかりのいいタブンネである
自分は売れ残りンネを故郷に連れて帰る事はできないし、この透明な箱から出してあげる力もない
自分の、いや、自分たち子タブンネの無力さはよく分かっている
出来る事と言ったら、飼い主の顔を物欲しげに見つめる位だ

「いや、一緒にしてあげたいのは山々なんだけどねー…」

幸か不幸か、この飼い主はタブンネが身長が1m以上にも育つのを知っていた
イベントで衝動買いしてからネットで調べて知ったという経緯なのであまり褒められたものではないが
自分の住宅事情では体重30kgのポケモンを2匹飼うのは無理だという最低限の分別はついている

「フミィ…」

言われるまでもなくその考えを敏感に察し、お姉ちゃンネはしゅんと俯いて落胆してしまう
群れにいた時もそうだったのだが、彼女は我儘を言わないし、言えない子だった

「ンミーッ!!グミッ!!ビィッ!!クミィィーーン!!ヒィィーーッ!!」

口を閉ざしたお姉ちゃンネとは対照的に売れ残りンネの懇願は一層強く、激しく
そして見苦しくなっていく
キュウキュウと耳障りな音を出しながらガラスを引っ掻き、
顔を涙と鼻水でくしゃくしゃにしながら甲高い声で必死に呼びかけ続ける

「ミィミィ、ミミッミッミ、ミィミ…」
「ミミッ…!」

「わたしは今、しあわせだよ。早くあなたもいい人間に出会って、しあわせになってね」
お姉ちゃンネが売れ残りンネにしてあげられる事は、この言葉をかける事だけだった
こんな言葉が救いになる筈もなく、言われた瞬間売れ残りンネは絶句してしまう

199ショーケースの裏側で:2018/02/28(水) 00:48:55 ID:NkxHpBdU0
巣を壊し、パパやママやみんなを殺傷し、子供たちを攫い
そして仲間たち一緒に袋の中にぎゅうぎゅうに詰め、冷たい水をかけ、
狭くて暗い所に閉じ込めて何時間も揺さぶり
ヒリヒリする何かで股間を拭かれ、解放されたと思ったら大勢の人間が迫ってきて…
怖くてずっとずっと逃げ回ってたらまた捕まって、この透明な箱に閉じ込められて

…イベントの時に餌を貰ったのを差し引いても、人間が嫌いになる所以としてはあまりにも十分すぎる
この小さくて臆病なタブンネは人間を信じることができず
「いい人間」なるものがこの世に存在ことなどとても信じる事ができなかった
それ故にイベントで最後まで売れ残ってしまったのだ

その一方、お姉ちゃンネの方はというと一週間のうちにすっかり人間との暮らしに順応していた
もちろん買われた当初は業者たちのひどい扱いによる人間への警戒心や不信感、
そして家族と引き離された怒りと悲しみは少なからず心にあった
しかし、今の飼い主と一緒に暮らすうちにそれらは薄まり消え去ろうとしている

ママンネが作ってくれた草の寝床より柔らかく暖かい毛布つきのフカフカベッド
パパンネが頑張って採ってきてくれた森の木の実よりもずっと美味しい食べ物
恐ろしい捕食者の気配が全くしない安全な住処
そしてベビの世話や食べ物探しなどの練習を兼ねたお手伝いもする必要なく
ただ遊んでいるだけで褒めて可愛がってくれる新しいママ
草むらの中ではあり得ない満たされた生活にお姉ちゃンネは虜になり、
自らを金で買った人間を本当の母親以上に依存し慕うようになっていた

売れ残りンネが毎夜夢に見るほどに求め、恋焦がれていたかつての群れでの生活は
今のお姉ちゃンネにとっては最早懐かしくほろ苦い思い出でしかない

「ゴメンね。あとでおっきいおやつあげるからさ」
「ムミィ…」

お姉ちゃんネは涙声で一鳴きし、飼い主の胸に顔を埋めてしまった
それは後ろめたさから売れ残りンネの顔を見ていられないからと、
本当の姉のように慕ってくれていた売れ残りンネに涙を見せたくないからか
それは彼女自身にもにもはっきりとは分からない
そして人間はそんなお姉ちゃンネを売れ残りンネから隠すようにショーケースに背を向け、立ち去っていく

「ミィミィ!ミィミィ!ミィーーーーーーーーーーーーン!!」

人間に抱かれたまま自分の目の前から去っていく最後の希望に
売れ残りンネは必死で追い縋ろうとケースの中で必死に足掻いた
何とか引き止めようと先ほどよりも一層大声で力の限りに叫び、
眼前の透明な壁を壊すべく、赤くヒリつく手の痛みも忘れて必死に叩き引っ掻いた
しかしどんなに頑張ろうとガラスにはヒビのひとつも入らないし、人間は歩みを止めない

「ミィミィ… ミィミィ…」

やがて飼い主の姿は見えなくなり、憎い一人と愛しい一匹の音もタブンネの耳が届く範囲からすら消えた
しかし売れ残りンネはそれでも諦められず、力が入らなくなった手で弱弱しくガラスを引っ掻き
哀しげな声で涙を流しながらお姉ちゃンネに呼びかけ続ける
その絶望の涙に覆われた目には周りの状況など全く見えて無かった

「ピッピ〜♪」
「おとーさん、おとーさん、ピッピ欲しーっ!」

自分のすぐ近く、お隣さんのケースの前に恐れていた筈の人間たちが居る事も

200ショーケースの裏側で:2018/02/28(水) 00:54:22 ID:NkxHpBdU0
すみません、USUMで遊んでいたところここまで間が空いてしまいました
でももう少し完結ですのでもう少しだけお付き合い下されば幸いです
関係ないけどウルトラホールのせいで色違いタブンネさんの価値がダダ下がりですね
自分も2匹ゲットしました

201名無しさん:2018/02/28(水) 19:24:36 ID:yglag/XU0
おおー乙!!
お待ちしておりました

202名無しさん:2018/03/02(金) 03:43:17 ID:49avPu6w0
ショーケースの続き、ありがとうございます!

ここで冒頭に戻ってきましたね、この子は順応できるのかな?

203名無しさん:2018/03/04(日) 13:35:01 ID:S3qoe5Fc0
乙ンネ
やっぱり子タブには、泣きながらガラスをぺちぺち叩く姿が良く似合う

204名無しさん:2018/03/29(木) 01:56:33 ID:iyuOG52g0
今年も来ました桜シーズン。お花見で出たゴミ(ごちそう)を野良タブンネ達が貰える季節です

205名無しさん:2018/03/29(木) 04:40:15 ID:6G5JMGTc0
>>204
そのお花見料理のどれだけにタブンネの肉が使われてるやらw

唐揚げとか丸ごとくすねたらその唐揚げがいつの間にかいなくなっていたベビンネで驚愕の再会なんてことも…

206名無しさん:2018/03/31(土) 21:28:45 ID:PVt0cX320
自分の子どもを当てろゲームとかやらせたいな

207名無しさん:2018/04/01(日) 11:12:46 ID:PuFH98O60
タブンネと桜は面白かったな

208ショーケースの裏側で:2018/04/06(金) 00:47:07 ID:Dxc7CVbQ0
ちょうどその頃、ペットポケモン業者の社長はあの地獄の第二飼育室で男二人を待っていた
かつて男二人が管理していた悪臭に満ちた汚い部屋とは打って変わって
殺風景とも言えるほど小奇麗な一室となっている
とある目的の為三人で頑張って掃除をしたのだ
掃除中、糞尿や死体由来の悪臭やベビンネのミイラが出てくるなどのトラブルにより
社長は終始不機嫌で男二人は作業中に冷汗が流れっぱなしだったが
それでも何とか方付けは終わり、今は新たな計画の次の段階に移っている最中というわけだ

「ふぅーっ、社長!早速見つけて来ましたぜ」
「おっ、また早かったね〜、見せて見せて〜」
「いや〜ひとつ30キロはいくらなんでも重すぎますぜ」
「おー、3匹と赤ちゃんたちも捕まえちゃったんだ!でもボールに入れてくれば良かったのに」
「いや道中のセンターで調達しようと思ったんすが、運転中に急に見つけたもんで」

そう言って男たちが持ってきたのは、中身が詰まった麻袋が4つ
あの捕まえた子タブンネを運ぶ時に使っていた物だ
だが、4つのうちの3つがグネグネと身をよじらせるように動いていて
中身がいつものそれとは違う事をと示している
それを一人二つずつ両脇に抱え、その重さに額が汗でテカテカと照り返している

「ミヒッ?!」「ンミ!?」「ミミ!」

男たちはそのうちの3つの袋の口を開け、その中身をずるりと床に下ろす
中から出てきたのは両手両足を縛られた成体のタブンネたちだ
不安そうにキョロキョロと周りを見回したり、呆然としていたりと皆困惑した様子である

「ミィ!?ミィミィ」「ミミ!ミィ」「ミーミ?ミーミ!?」

3匹のタブンネのうちの一匹、比較的体が大きいタブンネが何かに呼びかけるように鳴き出す
それに釣られ、2匹のタブンネも焦りだし何かを探してるような素振りだ

209ショーケースの裏側で:2018/04/06(金) 00:48:09 ID:Dxc7CVbQ0
「ほれほれ、心配しねーでも赤んぼはちゃんとここにいるぜ」

そう言って兄貴分がもう一つの袋から取り出して見せたのは、中身が入った青い洗濯ネット
その中身は言わずもがなベビンネである。かなり恐怖しているようで、体を丸めブルブルと震えている
3匹のうちいずれかの実子なのだが、男たちに母子の区別はつかないし気にもしていない
兄貴分は床を滑らせる様に投げてタブンネたちの近くに寄こした

「チィ!チィィ!」
「フミッ!ミミー!!」

タブンネのうちの一匹が縛られた手でベビを抱き上げ、ネットを噛みはじめる
どうにかして出そうと頑張っているのだが、太くてごわごわの合成繊維の網はそう簡単に噛み切れはしない
悲しいかな、野に生きるタブンネにジッパーの仕組みを一目で理解することは出来なかった

「ミィ!ミッ!!ミィィ!ミー!!」「ミ゙ッ!ヴミ゙ィー!」
「あらら〜、怒っちゃったよぉ。もっと丁寧に扱ってあげなきゃ」
「あー、すいません」

他の2匹のタブンネが怒りの声をあげた。
一匹は子供がだだを捏ねて大声で喚くように、一匹は太い声で吠えるように
怒りの理由は言わずもがなであろう
が、3人はこの程度の威嚇は日常茶飯事で、いちいち相手にしててもしょうがないという態度だ
社長は半笑いしながら申し訳程度に注意し、兄貴分は少しだけ顔をしかめてポリポリと頭を掻いた

ここでなぜこの3匹と子供たちが捕まったのか説明すると
3匹のうちの1匹、具体的に言うとうるさい声で威嚇してるタブンネが
落ち穂を拾っていた所を見つかったのがこのタブンネたちが捕まった切掛である
まず手始めにうるさいタブンネがメスであることを確認してからルカリオとともにふん縛り
それから様子を見にきた網噛みタブンネも勢いで捕獲し、その足跡を辿っていったら近くにある巣も見つかり
守っていた唸りタブンネとベビと子タブたちもあえなく全員御用という運びである

「とりあえず赤ん坊を返してやりましょうや、そうすりゃ少しは落ち着くでしょうぜ」

弟分は麻袋から残りのタブンネたちを一匹取りだし、洗濯ネットから出して仰向けに床に置く
するとベビンネはハイハイをしだしタブンネたちの所へ真っすぐ向かっていった
本タブからすれば全力を以て敵から逃げているつもりなのであろう
しかし、涙声でチィチィと高い声で切なげに鳴き、
綿毛のように小さくて白い尻尾を小刻みにぷりぷりと揺らしながら一生懸命に這っていくその姿
電池で動く動物の歩く玩具のように滑稽で愛らしく、社長はもとより兄貴分ですらも口の端が緩むほどだ

210ショーケースの裏側で:2018/04/06(金) 00:48:58 ID:Dxc7CVbQ0
「ハハハ、面白ぇ。オモチャみてーだ」
「あっ、わたしもやる〜」

その様を面白く思った社長と兄貴分もネットからべビンネを取り出し、床に置いた
3匹のベビンネが一斉に母親の所へ向かっていく様はまるでレースのようでもある

「ミィッ!! ミィッ!!」「ミギーッ!ンギーッ!!」「ミーミ… ミーミィ!」

そんなベビンネたちを一匹は早くこっちへ逃げてこいとし、もう一匹は助けに行こうと足掻き
そしてもう一匹は洗濯ネットに手こずりながら無理をしないでと慰める
ちなみに網の中に入れられたままのベビは未だ出されないままであった

「チッチ、チッチ…!」

社長の放ったベビンネは弟分のそれと同じく順調にタブンネ達の所へ向かって行ったが
兄貴分のベビンネだけは他のベビとは様子が違う
一匹だけハイハイが下手で明らかに進むのが遅い

「チィーチィー… チー…」

そのベビンネは余りにも幼すぎる小さな手足をプルプルと震えながら小刻みに動かし、
小虫にも等しい筋力でその体を何とか引きずって前に向かっていると言った具合で
「ハイハイ」というよりかは「モゾモゾ」と表現するのが正しい
見た目も他のべビに加えて一回り小さく、毛並みもまだ生え揃ってはおらず薄い
それもそのはず。こいつは他のベビと比べてもかなり幼く
生後十日ばかりの昨日ようやく目が開いたばかりのベビンネなのだ
ハイハイレースどころか、ハイハイの練習にすら時期尚早だ

「チィッチ…チィッチ…」「ヂィ!ヂヂィ!!」「チヒー… チヒー… チ…」

3人からは見えてはいないが、幼いベビは泣いていた
光を授かって間もない両の目は涙の海に沈んで霧中の如く霞み
まだ触覚が短くて巻き切ってない幼い耳は他のタブンネや人間の騒ぎ声に苛まれる
それでもなお眼差しは真っすぐに温かな桃色を
ヒヤリングポケモンの聴覚は雑音の中から忘れえぬ声をしっかりと捉え
大すきなママンネの元へ頑張って、いや、命を懸けてたどり着こうとしている

しかし、そんな健気な頑張りを兄貴分は全くもって理解してはくれなかった

「なんか俺んだけ遅ぇな? ホラホラもっとガンバレよ。ムチ入れんぞムチ」

兄貴分は遅いのをまどろっこしく思い、小さなお尻にペチペチとデコピンを入れた
それでも全力ではなく、丸めたハナクソを飛ばす時のように軽くはじく程度なのだが
強い刺激に慣れてないベビンネにとっては結構な激痛である

「チィィッ!チッ!ピッ!ピィィッ!!」
「あははっw あんまり苛めちゃ可哀そうだよ〜w」

幼ベビンネは一層甲高い、まるで天敵に襲われた小鳥のような悲鳴をあげた
前に進むだけで精一杯というのにこの仕打ち。幼いベビはもう耐えられない
一匹のタブンネは怒ってビャアビャアと威嚇し、もう一匹はミィミィと涙ながらに慈悲を乞いた
そうしてもう一匹は…

211ショーケースの裏側で:2018/04/06(金) 00:49:46 ID:Dxc7CVbQ0
「ミッ… ミッ… ミゴォォォォォォォォーーッ!!!!!」

怒声と共に立ち上がり、兄貴分へ突進していった
儚くか細い力を、無垢で繊細な心を必死に奮わせ、母親の元に向かおうとする小さな、だが尊い命
それを大きな手で弄び、流す涙を嘲笑う… そのような非道、何が相手だろうと許せるものか!
両手足を縛っていた筈の紐は、怒りにより限界を超えた膂力で引き千切れていた
その時に相当な無理がかかったのだろう。手首と足首から床に赤い滴が落ちる程に流血している
だがその痛みも、烈火の如く胸に滾るものに遮られ前頭葉には届いてはいない
そして兄貴分はあまりに突然のそれに反応しきれず、タックルで転がされてしまった

「おお?!痛ってぇ!!何だいきなり?!!」
「あ、兄貴!大丈夫ですかい?」
「え、あれ?縛ってたんじゃないの?!」

次にタブンネが怒りの矛先が向けたのは社長だ
ベビを救うためにまずは兄貴分を攻撃した怒りのタブンネだったが
実の所、幼いベビの純心を弄ばれるのを笑っているこの女の方が許せなかったのだ

「ミ、ミィッ!!ミミィ!」

しかし踵が地から離れようとしたその瞬間、仲間の声が一瞬の正気を取り戻した

「ミッミ!ミッミ!」『ミィィィィィ!!ビィィィィィ!!』
「ミィ!」

ハッとして振り返ると、赤ちゃんを助けてと訴える仲間たちと、
異常な状況に張りつめた心が限界を迎え、怯え泣き叫ぶベビたち
踵を返し、ベビたちを救うべく駆け寄ると目の前にボールが落ち、閃光とともにポケモンが現れた

「ガウッ!」

ルカリオである
至近距離、驚く間もなく発射された真空波を怒りンネは避ける術はなかった

「ミグッ…」

急所である鳩尾に見えぬ衝撃がめり込み、床に崩れ落ちる
まだ意識と感覚はあるものの手足が言う事を聞かず、立ち上がることが出来ない
ポケモン勝負であれば「勝負あり」の状態である

「お〜、すっごい早わざ。ルカリオちゃんつよ〜い」

元来の無愛想な性格ゆえ、社長に褒められてもルカリオはムスッと黙り込んだままであった

「オメ、いちおう社長なんだぞ!ちっとは愛想よくしろや!」
「ワウ、ワウ」
「そんなことより社長、兄貴、いいかげん準備を始めましょうや」

呆気に取られるタブンネたち、そしてさらに激しく泣くベビたちの前で3人の人間は作業を始める
作業といってもタブンネたちの拘束を解き、べビを網から出すだけなのですぐに終わるのだが
「いちおうって何?」と兄貴分に言いたかった社長だが、
話題が変わると残念ながら完全に突っ込むタイミングを逃してしまった

212ショーケースの裏側で:2018/04/06(金) 00:53:00 ID:Dxc7CVbQ0
「…ミィ?」

ハッと起き上った怒りンネ、その眼前には2匹の友とベビたちの姿が
仲間たちは固く縛られていたはずの手足は解かれ、慣れない環境に怯えるベビたちを宥めようとしている
そして怪我をしていたはずの自分の手足には白いものが巻かれている
包帯で治療した後なのだが、野生のタブンネにその意味を理解することは出来なかった
先ほどまでいた人間たちの姿はない。が、そう遠くない場所に潜んでいる事は丸わかりだ
他に違和感があるものと言えば、天井から果実のようにぶら下がる見たことがない物体だ
シャー、ウィーンと聞き慣れぬ音がかすかに聞こえる事と、
目玉のような光る何かがこちらに向いていて、何かに見られているような気になる事が怒りンネの不安を煽る

「さ〜て、このタブンネちゃんたちで大丈夫かな〜」
「…期待できる気がしませんがね」


その頃、3人は別室でノートパソコンを見つめていた
ウィンドウの中に映るのは、先ほどの部屋のタブンネたち
一般家庭用の防犯カメラで監視をしているのだ
既に察している方も多いだろうが、
このママンネたちは商品となるベビの世話をさせるために連れてこられたのだ
わざわざモニターで監視しているのは。都合のいいタブンネかどうか見極め中というわけだ

「あっ、ベビちゃんたちがお乳をせがみだしたよ」
「へぇ、ちっとは環境に慣れてきたみてーですな」

さっきのドタバタした状況ではどれがどのタブンネかすら分かってなかったが、
腰を据えて観察してみるとタブンネそれぞれの個性が見えてくる
ちなみに男たちが一緒に連れてきたベビは8匹。どれがどれの子か3人ははわかっていない

「ミミィ!ミーミ!」「チィーチ!チィ!」「ヂャァァァァァ!!!ビャァァァァ!!!」
「…こいつぁガキの扱いが下手ですな」「うぇ〜、泣かせちゃってるよ〜」

連れてきた際に威嚇していたタブンネ。
後頭部に識別用の青いマーカーが付けられているので以後青ンネとしておく
8匹のベビの内なんと6匹がこいつの実子なのが観察のうちに判明した
だが見るからにベビの扱いが下手であり
母乳を飲ませる際、位置が悪いと尻尾を引っ張ったり顔を押して退かしたりと粗雑そのものだ
当然ベビも母の胸の前で泣くわ怒るわの大混乱だ
元来自信過剰で無鉄砲な性格であり、自分の親としての器を知らずに産み過ぎた結果である
ちなみに先ほどデコピンをされていた幼いタブンネはこいつの子だ

「ミミ!ミッ!」「チィチ!」「チチ…」

兄貴分に突進したタブンネ。
先のそれと同じ箇所にに黒いマーカーが押されたので黒ンネと呼称する
8匹中2匹がこのタブンネの実子である
こいつはなかなか堅実でしっかりした性格なのだが、母親としてはいささか頭が堅すぎるきらいがあるようだ
授乳を済ませると甘えようとするベビたちを諌め、胡坐をかいたまま聞き耳を立てて周囲を警戒している
このような状況ではベビに甘えさせてる場合ではないというのは賢明な判断だが
ベビ達にそんな理屈が分る筈もなく、泣きそうな顔でしょぼくれてしまうのであった

「ミィーミ、ミーミ」「チィィ…」「チーチ」

最後にベビ入りの洗濯ネットを開けようとしていたタブンネ
赤いマーカーが付けられたこいつは赤ンネと呼ぶ事にしよう
授乳をしないことからママンネではない事が判明した
青ンネと非常に仲がよく常にすぐ側に居るので、姉妹なのではないかと推測されている
このタブンネは青とは違い優しく気配りができる性格で
青ンネが授乳してる際に、泣いてしまったりお乳が上手く飲めなかったりしたベビのフォローをしている
泣くべビがいれば人間がするように抱っこしてゆさゆさと揺すってあやし
怒るベビがいれば抱き寄せて頭を撫でながら宥め
ウンチをしてしまったベビが居ればお尻を拭いてあげたりと授乳をしなくてもかなり忙しい
というか、授乳以外の全てを赤ンネに任せっきりと言っても過言ではない

213ショーケースの裏側で:2018/04/06(金) 00:53:59 ID:Dxc7CVbQ0
「青の奴はダメっぽいですなぁ、」
「そうだね〜、あの子と比べるとね。でも一応次の実験を見てからにしようよ。リマ君、おねがい」
「へい、行ってきまさぁ」

弟分は大きな袋を持って部屋に戻ってきた
中身はタブンネたちの餌となる野菜クズとそれからあと一つ大事な物だ

「ホレ、メシの時間だぜ」
「ミッ?!」「ミッミ!!」「ミィ!」

弟分はガチャリとカギを解いてドアを開け、大小の紙袋を置いて素早く外に出る
大きいものは30kgサイズの米袋、小さいのは社長のアレを買った時のドラッグストアの紙袋だ
大きいほうの中身はタブンネたちの餌として近くの町のスーパーや農場からタダ同然で調達してきた物で
言うまでもなくママンネたちの餌なのだが
餌が入っているのを知らないタブンネ達にしてみれば敵が置いて行った得体の知れぬ物体
もちろん警戒し、近づこうとしない

「ウミ〜〜ン♪」
「ミ!ミィ!」「ミッミィ!」

しかし不意に袋が倒れてキャベツの尻とサツマイモの端が姿を覗かせると
青ンネが授乳をおっぽり出し、黒ンネが止めるのも聞かず食べに行ってしまった
乳に吸いついていたベビは振り落とされ号泣し、赤ンネが慌ててあやしに入る
刈り取りが終わってしばらく経つ麦畑でわずかな落ち穂をチビチビ食べていたという行動からお察しの通り
青ンネはこの数日間かなり空腹だったのだ。ほかの2匹も同じくらい空腹だということはさておき
もちろんこの様子はカメラでバッチリ取られており、見ていた2人の失笑を買った

「ウハハ!あいつやっぱりバカタブですなー」
「ぷぷ〜っw いくらなんでも食い意地張りすぎだよ〜w」

「ンミ?」

聴力の賜物か、誰かにバカにされているのを感づいた青ンネ
無駄にプライドが高いタブンネであり、バカにされるのが大嫌いなのだ
それでも食べるのを止めない所が最高にバカなのだが

「ヂィィ…」
「ミ?」「ミィ?」

今度は小さいほうの紙袋がガサガサと音を立てながら倒れ、中からベビンネが這い出してきた
このタブンネたちのベビより少し大きい、ようやく立っちが出来るようになった位のベビだ
このベビが今回の実験の肝、このタブンネたちが仕事に使えるかどうかの試金石である
見知らぬべビにどう対応するかを見て、商品となるベビンネを保育させるのに使えるかを判断するのだ
ちなみに前日に調達して来たベビで、実験に都合のよい状態にするべく
閉所監禁24時間、絶食16時間の処置を施され、心身とも程よくやつれた状態になっている

214ショーケースの裏側で:2018/04/06(金) 00:55:15 ID:Dxc7CVbQ0
「チィィ、チィ…」
「ミッ? ミーミ」

まず最初に試金ベビの一番近くにいた青ンネである
一瞥してお互いに目が合ったものの、特に構う事もなくプイと顔を逸らしまた食事に戻ってしまう

「チィィ、チィチィ!」
「ミミ!!」
「ヂィィ… 」

それでも大人に助けてほしくて縋りつく試金ベビを、あろうことか手で押しのけて大声で威嚇
人語で表すなら邪魔するなと叱りつけて追い払ってしまった。
久しぶりのまともな食事を邪魔されたくなかったのであるが、あまりにもあんまりな対応である
哀れな試金ベビは半ベソかきながらのよちよち歩きで逃げて行ってしまった

「ミッ?」
「チーチ、チィ…」

次に試金ベビが頼ったのは黒ンネ、今だに寝そべって授乳中である
先ほどの青ンネから受けた心傷から、助けて欲しくて近づいたのは変わらないが若干恐る恐るだ
あのバカとは違い、迷い子を捨てては置けぬという良識が黒ンネにはあった

「チィーチィ… チィー…」
「ミミ…」

静かに眼を閉じ、聴覚を研ぎ澄ませて聞き耳を立てる
回り、いや、辺り一帯の音でこのベビの親タブンネを探そうというのだ
タブンネがタブンネを探す時はこれが一番確実なのである
しかし聞こえてくるのは聞きなれぬ人間の機械の音に十数匹の子タブンネの悲しげな声
さらに耳を凝らしてみても入ってくるのは車の音、タブンネではないポケモンの足音…
結局、試金ベビの母親と思しきタブンネは黒ンネの耳に入る範囲には居なかった
実際に居ないのだからその聴力は正確無比ではあるのだが

「ミッ、ミッ、ミミミ…」
「チィー…」

母親の不在を伝えられると、しゅんと耳が下がり、悲しそうな顔をする試金ベビ
ママがいなくて大ショックという様相でないのは、ベビ自身も聴覚で薄々分かってはいたからである
黒ンネはそんなベビを頭を撫でながら慰めた
「そのうち会えるさ」と何とも無責任な慰めをしなくてはならなかったのが
彼女にとってとても悔しい所だ

「チィィ…」
「ミグッ?!」

ベビの心は幾分かは落ち着いた
しかし、その視線が乳を飲む黒ンネのベビ達に移ると黒ンネはギョッとして体を強張らせた
前述のとおり黒ンネも腹ぺこの栄養不足、授乳できてはいるものの乳の量は僅かで
はっきり言って他タブのベビに分けてやる余裕などない

「ミッ!ミッ!」

サッとわが子を隠すように片腕で覆い、軽い威嚇の様にキツめに鳴く黒ンネ
体に余裕があれば分けてやったのだろうが、今はどうしても駄目だ
乳を飲んでる筈の自分のベビ達も肥立ちが良くなく、かなり不安なのだ
しかし、それでもベビはその視線を別に向けなかった。すごく怖がってはいるが
飢え切ったベビが母乳を目の前にして、どうして我慢ができようか、

「チィチィ… チィチィ…」

ベビンネは空色の瞳に溜めた涙をぽろぽろと零しながら、お乳をせがむ鳴き方でか細く鳴いた
『おちちちょうだい… おちちひとくちだけちょうだい…」
その切なく、悲痛な声は黒ンネの心を揺さぶり、息が詰まるほどの罪悪感で大いに苦しめる
そして、とても残念なことに、今の彼女はその心の痛みに耐えることは出来なかった

215ショーケースの裏側で:2018/04/06(金) 00:56:46 ID:Dxc7CVbQ0
「ミガァーーーーーーーーッ!!!!」
「ヂィィィィーーーーーーーーーー!!!!」
「ビビッ?!」「ヂッ?!」

切なる懇願によってベビにもたらされたのは、剣道の気合の如き怒声である
あまりの声量と迫力に部屋のタブンネたち
そして、別室に置かれている子タブンネたちすらもみな一様に驚きびくりと体を震わせる
罪悪感を怒りに変え、相手に叩きつける… ある意味逆ギレに近い心境か
これを至近距離で直撃した試金ベビは全身が凍てつくほどに恐怖し
コテンと尻餅をついておまけに糞までちびってしまう
そして恐れおののきながら早足のハイハイで黒ンネにしっぽを向けて逃げて行ってしまった

「ヂィィィィィ!ビィィィィ!!」「ビャァァァァー!!ヂュィィィィ!!」
「ミィ、ミィミィ、ミィミィ…」

試金ベビのみならず、乳を飲んでいた黒ンネのベビたちも巻き添えで泣き出す始末だ
慌ててわが子をあやそうとぎこちない手つきで頑張る黒ンネだが
生来どうにもこういった事は苦手である
決して表に出すことは無いが、心の中で目の前のわが子にも負けぬ程に泣いていた
お腹を空かせたベビを怒鳴って追い払うなど、誰が好んでやるものか
本当は助けてやりたい、抱きしめて乳だっていくらでも吸わせてやりたかった
だが今の自分は赤子の空腹すら十分に満たせぬ無力なママンネ
わが子の命を守るには鬼にもならねばならぬのだ
唇を噛みしめ、尻を汚して己から遠ざかる哀れな母無し子に胸の内で必死に詫びた

「ヂィ… ヂグゥ… グズッ…」

もはや同族のタブンネさえも信じられず、部屋の隅で丸まって震えながらメソメソと泣く試金ベビ
両親は消え失せ、他のの大人タブンネたちからは疎まれ拒まれる…
他者の助けが無くては生きられないベビにとって、この状態には死にも等しい
赤子にそんな小難しい理屈は分る筈もないが、その小さな心の中はは絶望で一杯だ
そんな時、急に手足が床から離れ、体が宙に浮く

「ヂヂッ?ヂッ!ヂヂーッ!!」

何が起きたかわからず怖くなって手足をバタつかせていると、背中に温かいものがふわりと触れた
どうにかベビたちをあやし終わった赤ンネが試金ベビを抱き上げたのである

「ヂヂィ!!ヂヂィー!!ヂャーーーー!!」
「ミィィ、ミィミィ♪」

未だ恐慌状態の試金ベビは訳も分らず腕の中で手足を振り回して大暴れするが、
赤ンネは手慣れた様子で宥めながらそれをいなし、
そして疲れて暴れるのを止めたのを見計らい、ベビの耳をそっと胸に押しつけながら抱きしめた
チビママンネや女子社員もやっていた、あの心音でベビンネを落ち着かせる方法である

「ヂヂィ… ヂヂ…? ヂヂィ… ヂィ…?」

ようやく優しい大人に出会って安心したのか、胸に顔を埋めて落ち着いた様子だ
こうすることで怖い他のタブンネを見ないようにしてるのだ
ところで、上記の鳴き声に不自然に疑問符が混じっているが
これはベビンネが安らぎつつも何か違和感を感じているからである

216ショーケースの裏側で:2018/04/06(金) 00:57:25 ID:Dxc7CVbQ0
「ミーミ、ミィ」
「ミンミ〜?」

さて、落ち着かせた後にどうするのかというと、赤ンネは姉の前へ向かった
既に食事は終わり、袋の傍で涅槃仏のように寝そべっている青ンネ
勢いづいて食べすぎたために見て分かる程に腹が膨れていた
だいぶリラックスしていて、至福の表情で歯に挟まった食べかすを爪でほじっている
そんな青ンネでも試金ベビはまだ怖いらしく、さらに脅え一層強く赤ンネの毛皮にしがみついた
なぜ赤ンネは青ンネの所になど行こうと思ったのか?それは乳を分けてもらう為である

「チィィ…」
「ミ〜ミィ〜」

満腹になった青ンネはとても上機嫌で、掌を反すようにあっさりと受け入れた
どんな生き物でも腹が減っているとふだんより凶暴になるものだが、こうも極端な奴は珍しい
受け入れたといっても「動かないから勝手に吸っててよね」といった具合の横柄な態度なのだが
ある意味無責任とも、軽率とも取れる寛容さだ

「チィ〜チ、チィ…」

少し怯えつつも青ン根のお腹に向かい、乳首を吸う試金ベビ
どんな奴から出てきても乳は乳。お腹が空いたベビにはお預けなどできない
青ンネの子が飲んだ後だったので3口吸ったら無くなってはしまったが
試金ベビにとっては大切な命の一滴だ

「チィィ…」
「ミミ、ミィ」

少ししか飲めなくてがっかりしているべビを赤ンネは頭を撫でて慰める
「もう少ししたら、もっと飲ませてあげるからね」と
自身は乳が出ないが栄養を取ると乳の出が良くなる事を
本能からか、もしくは経験からかは定かではないが知っていて、
腹いっぱいな姉の所に連れてきたのはその為だ

「ミミ〜ミィ〜」

青ンネも頭をポンポンとはたいて試金ベビを慰める
寝そべったままニヤついてそうやる姿は限りなくおっさんに近い
が、試金ベビはちょっと痛かった物のそれほど悪い気分ではなかった

「ミッ、ミッ…」
「ピィッ!!?」

黒ンネも泣く子を宥め終わり餌を食べに来た
青ンネよりかは我慢が利くが、空腹なのは変わりはない
当然近くにいた試金ベビは驚き叫ぶが
黒ンネの方はというともじもじしながら目を合わさない程度にチラチラ見て
なんとも居心地が悪そうな、申し訳なさそうな様子
仕方がない事情があったとはいえ、さっき怒鳴ってしまった事を気に病んでいるのだ

「ミミミ、ミミミミ」
「チィチ、チィ… チチチ〜!」

赤ンネが「怖いタブンネじゃないよ」と諭そうとしたが
一度焼きつけられた恐怖心はそう簡単に消える事はない
首を振ってイヤイヤしながら赤ンネのお腹に顔を埋めてしまった
こうすることで怖い黒ンネを見ないようにしているのだ

「ミグゥ…」「ミッミミ〜w」「ミー、ミ〜」

意気消沈の黒ンネとそれをすかさずからかう青ンネ。
そしてそれにムッとする黒ンネとやんわりと制止する赤ンネ
喧嘩の寸前というよりかは、仲のいい子供たちがじゃれ合ってるようにも見える
このタブンネたちは物心付いたころからの仲良しで、ずっと3匹一緒にいるのだ

「よーやく落ち着いてきたね〜」
「腹が減ってたら気が立つのは人間もポケモンも同じですからなぁ」

観察が続く中3匹で餌を食べ、曲がりなりにもいつもの調子を取り戻してきたタブンネたち
ベビたちも満腹とは言い難い所だが幾分か異常な状況への恐怖心も納まり、
どの青黒のベビも試金ベビも混じってチィチィとじゃれあっている
しかし、この平穏は10分も続かなかった

217ショーケースの裏側で:2018/04/06(金) 00:58:57 ID:Dxc7CVbQ0
「ミ!」「ミミ!」「ミンミ〜!」

ある時、一斉に緊張が走り、部屋の空気がピリリと張り詰める
人間の足音が近づいてきているからだ

「あれ?リマくん」「んあ、一体どうしたんだってんだいあいつ?」

餌を置いたら戻るはずの弟分がガチャリとドアを開けて入ってきたのだ
なにやら図鑑のような大きな本を開いて眺めていて、タブンネたちとそれを見比べている

「ミミ!!」

黒ンネは盾になるようにベビたちの前に立ちふさがり、
いつでも迎撃にうつれるように腰を落としタックル臨戦態勢だ
が、弟分はそれにまるで意に関さず、赤ンネの体全体を舐めるようにじろじろと見まわしている

「ミ、ミミ…」

赤ンネはその意図を掴み難い奇妙な様にたじろぎ、じりじりと後ずさりする
背を見せて逃げれば逃げ切れず、さりとて戦えばズタボロに負けて痛い目を見ること必至
生来の察しが良さによりそれを察する事ができた
が、その姉は真逆に場の空気がまるで読めぬ直情的な性格であった

「ンミィィーー!!」

赤ンネを守るべく両腕をぶんぶんと振り回し、勢い良く弟分に向かっていく青ンネ
しかし「邪魔」と言わんばかりに顔面を手のひらでドンと押され、ごろりとひっくり帰ってしまった

「ピュミィィ〜ン!」
「あっちゃー… わりぃ、痛ぇとこ当たっちまったな…」

弟分としてはぶちのめそうとしたつもりは毛頭なく、
驚いて咄嗟に手を突っ張って止めた程度のはずだったのだが
相手の方が顔面からぶつかりに来てしまってはそうはならない
青ンネは情けない声で喘ぎながら鼻を押さえて悶絶している

「ミィミ〜!」

赤ンネはあわてて介抱に向かって、傷を見るべく前かがみになった際、お尻が弟分の方に向いた
それを見た弟分は納得した顔でスタスタと部屋を出ていく

「…ミギ?」

肩すかしを食らったのは黒ンネである。あの人間が何をしたかったのか
いくら考えても野生のタブンネの知識と頭脳では分る筈もなく
今はただ青ンネの醜態に呆れるばかりであった

218ショーケースの裏側で:2018/04/06(金) 01:05:42 ID:Dxc7CVbQ0
「赤の子は必ず残すとして、青い子はダメダメ。黒の子もちょっと厳しいかな〜」
「いえ、青みたいな欲望に忠実な奴は逆に扱いやすいですし、
 黒いやつはまぁ、扱いにゃ気ぃ使わにゃですが責任感が強そうで悪くないですぜ
 乳はやらなかったですが、あの赤ん坊を嫌ってもなさそうでしたし」
「それもそーかも、うーんよく考えたらあんまり可愛がらせすぎるのも売るときに良くないし
 あれくらいがちょうどいいのかなー」

観察にもそろそろ飽きが入り、
社長と兄貴分だけでとりあえず3匹とも残す方針で話を進めてると、弟分が戻ってきた

「あ、リマくん。本なんか持ち出して一体どうしたの?」
「へぇ、赤いやつにちょいと気になる所があったもんで
「何ぞ変な病気でもあったのか?」
「いえ、あの赤いマークのやつ、♂でしたぜ」

予想からまりにもズレた答えに、一呼吸の間の混乱と沈黙が2人を包む

「そ、それは読めなかったよ…」

偶然から始まったこの雄雌のタブンネを一緒に放し飼いをするという状況
ここから「人間の管理下でタブンネを産み増やさせる」という手段に思い至るのに
そう時間はかからないだろう

219名無しさん:2018/04/07(土) 20:53:53 ID:NXAxh0Hk0
乙です
読むからに可愛いベビと小憎らしい親タブがどんな目に遭うのか楽しみ

220名無しさん:2018/04/08(日) 02:35:23 ID:UqQS.Plw0
乙ンネ
長く続いてくれて嬉しい限りです

221名無しさん:2018/06/01(金) 06:39:47 ID:GBGOBtd20
ピュミィィ〜ン!に萌えました

222名無しさん:2018/07/16(月) 17:47:42 ID:mniYbLQQ0
「タブンネここで少し待ってね」と言って、冷房着け忘れた車内に放置したい

223名無しさん:2018/07/16(月) 21:53:37 ID:Tyf2WuTg0
舌を伸ばしてハァハァ言いながら窓を叩くタブンネちゃんを見守りたい

そう言えばオーブンとか水槽の窓を内側から必死になって叩くタブンネってツボだわ
空き巣ベビンネまた読もうかな…あくまでベビンネちゃんを可愛らしく描写してるのがいいんだよねあれ

224名無しさん:2018/07/19(木) 06:19:14 ID:HDaWAiYI0
わかるわそれ
押し入れの隠し子に出てくるベビンネたちとかどうよ
押し入れから出てきて部屋の中を動き回る描写はなかなかほほえましい
そのあと洗濯機に放り込まれるんだけども

225名無しさん:2018/07/19(木) 20:01:14 ID:ECHF80io0
浅い川で遊んでいた親子ンネが、上流の大雨で鉄砲水に流されるのみたい。親タブンネは「なみのり覚えているから大丈夫!」って油断してて、あげくの果てに自分だけが助かる展開みたい

226名無しさん:2018/11/08(木) 15:57:13 ID:N8dxZW0A0
残念だけど公式での食肉ポケモンはイーブイだよ☆

227名無しさん:2020/01/04(土) 22:57:12 ID:LGGr5VLI0
テスト

228名無しさん:2020/01/05(日) 12:48:20 ID:0zEliRHw0
牢獄のベビンネ
話が進まなければ残った素直な善良ベビンネちゃん達は
ケージの中でいつまでもそれなりに平和に生きてくんだろうね
帰ってこない兄弟はどこにいるんだろうとか考えないでスヤスヤおねむしているところで話止まってるしね

229名無しさん:2020/01/05(日) 19:01:07 ID:UTI/z3f.0
すまん
牢獄のベビンネはここじゃなくて避難所の方だった

230名無しさん:2020/03/24(火) 14:33:56 ID:nEyPyToE0
ショーケースの裏側で
長すぎ
女性社員に虐待させてない時点で無能

231名無しさん:2020/04/24(金) 20:32:24 ID:7R46KfCU0
うちのタブンネ♀は食いすぎと運動不足で太ってしまいました(高さ1.0m・重さ80㎏)。

ある日、うんうんうなっているのでお尻を見たらタマゴが出てくる途中で肉に引っかかって詰まっていました。

「よしよし、油を塗って滑りをよくしよう。」

私はオリーブオイルを塗ってやりましたがタマゴは出てきません。

具合がおかしくなってきたので「こうなったら卵を諦めて割って出そう」と言いましたが、
タブンネはそれは嫌だと首を振りました。

本をめくってみるとポケモンは原則、「総排泄孔」という糞をする穴と卵を産む穴が同じだそうです。
「もしや?」と思いヘーデルというおならを増やす薬を飲ませてみた所、お腹がもこもこ膨れてきました。

「チィチ〜ィ!チィチ〜〜ィ!!」

あ、卵が少しずつ出てきたぞ!

シュッポォォォォンッ〜〜〜〜〜〜〜〜グシャッッ!

卵は壁に勢いよく発射されて割れてしまいました。
何のためにタブンネは今まで苦しんでいたんでしょうか・・・

232名無しさん:2020/04/30(木) 21:49:32 ID:pmVfzHWU0
久々の新作乙ンネ

233名無しさん:2020/05/07(木) 14:25:52 ID:EsiSqex60
ある所にポケモンの虐待が好きな悪〜い男がいました。

しかし、今度引っ越してきた街では条約で「ポケモン側から攻撃を挑んできた時(野生とのバトル)」と
「自分の飼っているポケモンへのしつけ(過剰なものはNG)」以外人間がポケモンを痛めつけてはいけないというのです。

男は捕まるのは嫌だったので「不器用なタブンネ」を手に入れるとそれを飼い始め、失敗するたびにしつけと称して叩きました。

ある日の事・・・

「チィ!」(あ!)

今日もその不器用タブンネが野良ポケモンの巣を見つけました。
ご主人様はこのタブンネがいたずらや失敗をするとビシビシ叩きましたが「子育てをする」のは褒めてくれるのです。

「おお、卵をこんなにいっぱい見つけてどうした? 飼いたいのか?」
「チィチィ!」(はい!親に捨てられたこの子を育てます!)
「だが前回、お前は卵を全部落として割って全滅させたぞ。」
「チィ・・・」(え、それはその・・・)
「それでも飼いたいというなら今度は注意して持って行け…そうだな、赤ちゃんが1匹死ぬたびに責任としてお前を10発ぶつぞ。」
「チィ!」(はい!覚悟はできてます。)
「よく言った。よーし、先に行きなさい。」

こうしてご主人様がくれた箱にタブンネは一生懸命注意して卵を5つ全部詰め込み、恐る恐る運んでいきました。

「・・・さて、襲い掛かってくるレパルダスからわしのタブンネを守らねばなぁ・・・」

そう言うとご主人様はコジョンドを出すと、卵を盗まれて追いかけてきたレパルダスを瞬殺させました。
「『ポケモンの卵を人間は盗んでない』セーフ、『ポケモン側から攻撃を仕掛けてきたのを返り討ち』セーフ・・・」

234名無しさん:2020/05/07(木) 14:26:43 ID:EsiSqex60
ご主人様のわくわくとは別に、今度はタブンネはちゃんと卵を家まで持っていきました。

そして、巣の中にそれをどきどきしながら置くと、その上にそっと乗って・・・

グチャッ!

タブンネは足を滑らせて卵を1つ潰してしまいました。

「・・・あれほど言ったのになぜ丁寧に扱えんのだ!」

「チ〜ィ・・・」(す、すいません・・・)

「こっちへ来い」

ベチーン!!!ベチーン!!!ベチーン!!!ベチーン!!!ベチーン!!!
ベチーン!!!ベチーン!!!ベチーン!!!ベチーン!!!ベチーン!!!

「チギャァァァッ!チギャァァァッ!!チギャァァァッ!!!」

ステッキでお尻を叩かれてタブンネは悲鳴を上げて逃げまどい、しばらくしてご主人様が見つめる巣箱に戻ると
割れた卵から出てきた目も空いてないチョロネコの赤ちゃんに触角を当て、間もなくその命が絶えるのを感じてしくしく泣き始めました。

ご主人様も死体と割れた卵を濡れた敷き藁ごとゴミ箱に入れ、新しい敷き藁をタブンネにくれました。

「よいな、生まれてくる前に卵を無理に割られて死んだこの子はどれだけ苦しかったか、その痛みでわかったろう。」

「チィ・・・」(うう・・・)

「ならば、お前が飼いたいといった以上、お前には残りの卵の面倒を見る責任があるのだぞ! もしお前の不注意で赤ちゃんが苦しむことがあればそのたびに1発叩く。」

「チィ!」(はい!)

ご主人様はよく言ったとタブンネを誉めましたが、内心ではもう40発タブンネを打てるのはいつかなと楽しみにしていました。

235名無しさん:2020/05/07(木) 14:28:35 ID:EsiSqex60
それからタブンネは真面目に餌も食べずにそっと卵に中腰で乗って温め続け、翌々日にチョロネコが生まれました。

ミャーミャー

そうやってうごめく目も空いてないチョロネコを見て、ご主人様はすぐに全部ぶち殺したい衝動にかられましたが、
タブンネが心配そうに見ているので理性でそれを抑え、ポケモン用の哺乳瓶とミルクを置きました。

それからご主人様の予想通り、チョロネコは数々の悲惨な目に遭い、そのたびにタブンネはお尻を叩かれました・・・

・熱湯ミルクを飲まされ喉をやけどするもの(でもママの癒しの心で回復) ベチーン!!!
・ママの抱っこ中に落とされるもの(これくらいで死ぬほどやわではありません) ベチーン!!!
・作り置きの腐ったミルクを飲まされ食中毒にry(でもママの癒しのry) ベチーン!!! 
・ご飯の最中に疲れてママが寝てしまい、素に戻ってくれず全部凍えてしまったりも…(でもママのry) ベチーン!!!ベチーン!!!ベチーン!!!ベチーン!!! 

1週間ほどしてお尻が2倍ほどに肥大したタブンネママと、ボロボロで成長不良のチョロネコ4匹を見てご主人様は、
「よくやったのぉ。もう今までほど付きっ切りでなくていいから、少しは遊んでストレス解消じゃ。」とおもちゃを渡しました。

タブンネはご主人様に褒めてもらったのが何よりもうれしく、与えられたかえんだまで遊び始めました。

「ミィミィ」「ミュー!」「ミィ!」「ミ…」(ママ それちょうだい)(わたしにちょうだい!)(わーたーしー!)(…)

「ミュッ? ミュィ!」(え? じゃあ順番よ!)

これを隠れて見ていたご主人様はもうすぐ合法的に嫌いな野良ポケモンがのたうち回るのと、
タブンネを合法的に打ち据えられる未来を思い浮かべ、鼻血が出るほど興奮しましたとさ。

236名無しさん:2020/05/07(木) 21:32:50 ID:aJ3fbKa.0
乙ンネ

237ゴールドラッシュの残渣(1/3):2020/05/12(火) 16:30:52 ID:87IdQaJw0
イッシュ地方から少し西に行ったところの山…と言いましても皆が思い浮かべるような大きな山じゃありません。

小さな町から少し離れ、柵に囲まれた標高百mもない、低木や草ばかりの山(丘というには切り立っている)です。

そこにタブンネの一家が住んでいました。

パパンネとママンネ1匹づつ・チビンネ3匹の5匹の家族です。

彼らは他の野良ポケモンたちと同様に麓の住宅地の河川敷や公園に住んでいたのですが、
ある日からそれまで餌をくれたりしていた住民が、なぜか狂暴化して野良ポケモンたちを襲うようになったのです。

例えば公園で人間から餌をもらうのが一番得意で、この一家にも食べ残しをよく分けてくれた優しいイーブイ・・・
彼女はママンネの見ている前で人間からもらった餌を食べた後血を吐いて死にました。
驚いて逃げかえる途中「この泥棒ネコ!」という人間の声に殴られる音とチョロネコの断末魔の悲鳴も聞きました。

無論同族たちも例外ではありません。

警戒してなかったタブンネたちはねぐらを囲まれ火をつけられ、逃げれないベビンネや卵はみんな焼け死にました。
焼け死ぬ前に飛び出した大人のタブンネ達も、みんな取り囲まれた人間によってぶち殺されてしまいました。

このタブンネの夫婦だけはママンネが前述のイーブイ達が人間に殺されたのを目の当たりにして警戒してたので逃げれました。

「皆、逃げるミィ!」 「もうダメ…チィ・・・」 

追いつかれる直前に土手を乗り越え、草むらの陰にあった窪地に5匹は飛び込みました。

5匹を見失った人間はさらに向こうの柵の金網の小さな破れ目を見て、そっちに逃げたと誤解し諦めて去っていきました。

「あっちに行ったなら追う必要もない、早く戻らないようにふさごうぜ。」

タブンネの夫婦はその時人間がキィキィ針金を動かす音を聞いて、初めてそこに破れ目があるのに気が付きました。
そして人間が去った後、何とかそこを広げて柵の向こうにあった山に逃げ込むことにしたのです。

238ゴールドラッシュの残渣(2/3):2020/05/12(火) 16:31:38 ID:87IdQaJw0
逃亡して一週間ほどの夕方・・・

「今日はごちそうがたっぷりとれたミィ。」

そう言いながらパパンネが尻尾にいれて持って帰ってきたのは、ドングリが数十個と干からびたような小さなオレンの実が8つ。

「うわーい!オレンがあるチィ!」「オレンだチィ!」「オレン!!」

大喜びするチビンネにオレンを2つづつ与え、自分達は1つづつだけで我慢する両親。

「街にいた時は、もっと簡単に食べ物も巣も手に入ったのにミィ・・・」

ママンネはそう心の中でつぶやくと、数か月ほど前の事を思い出しました。

毎日どこかのゴミ箱をあされば十数個は真黒くて甘いナナの実や、茶色のモモンの実がありました。
(ただここのところ奪い合いが激しくなっていたので、隙を伺って人間の家に上がって探すご飯探しも増えてました。
 タブンネはまだ音に敏感なのでつかまりにくいのですが、見つかったら危険だとは本能的に分かっていました。)

その辺をあされば段ボールという、触り心地のいい上に最初から覆うような巣材もありました。

でもここは人間がごみを捨てないので山中を捜索して食べ物を探さないといけません、水も麓の池しかないのです。
巣も穴を掘れないかと思ったのですが、この山は砂利の塊みたいな山で掘りにくいし、掘っても崩れるだけで無理でした。
木のうろを探してみたけど、これも大きな木がないここでは無理。毎日やぶの中で寝て、雨の日は寄り添って耐えました。

「でも生きていられるだけましだミィ、ここには僕たち以外誰もいないミィ。」

パパンネがそういって慰めてくれました。

・・・タブンネたちは気が付いていませんが、実はここは自然の山ではなく人間が鉱山の土砂を捨てた山だったのです。

ここは荒野に鉱山ラッシュで人間が住み着いた町で、タブンネを含むポケモンはほぼ全部人間が捨てた野良。
最初の内は人間も野良ポケモンを可愛がっていましたが、敵がいないのでドンドン増えてしまい、
それによって住民の迷惑になりつい先日に全種類の駆除が決まってしまったというわけ。

ママンネもこの山に他のポケモンがいない(耳がいいのに全然気配を感じない)のを変だなぁと思いましたが、
敵がいないのは安心ですし、殺されるぐらいならこの苦労も仕方ないなと思っておりました。

239ゴールドラッシュの残渣(3/3):2020/05/12(火) 16:33:17 ID:87IdQaJw0

そして暗くなって…それも月が雲に隠れた時を見計らい…夫婦は子供3匹を連れて麓の池に水を飲みにきました。

ここも他生物の気配はありませんが、周囲に草むらがなく丸見えなので暗くなるまでタブンネたちは寄り付きません。

「のどかわいたチィ…」
「でもここに水辺があってよかったでチィ」
「ここの水、甘くておいしいチィ。」

今日は乾物を食べたこともありごくごく水を飲むチビンネ達。

周囲を見張る(聞張る?)パパンネも溜め水なのに清んでいて底が見えるのを不思議に思いました。
飲み終えた後、パパンネはいつものように池のほとりの看板をゆすって見ましたがびくともしません。

「もし外せたら、雨除けの屋根に手ごろな大きさなのにミィ・・・」

もっともあてにしているわけでもないので、タブンネ一家は長居せず今日も平穏無事に山に戻りました。


・・・それからしばらくして、雲から月が出てきて先ほどパパンネがゆすった看板を照らしました。


 『危険 ここで泳ぐな』 『この水は重金属が含まれ有毒です』

240名無しさん:2020/05/14(木) 13:55:21 ID:VMvOdNuw0
>>223
個人的には密集・密室・密閉空間にベビンネがうじょうじょいるのが好き。

241名無しさん:2020/05/18(月) 21:45:01 ID:aQ.Rrg.A0
ある日いろんな♂とやりまくったタブンネがたくさん卵を産みました。

「ピィ、プゥ、ミィ…うわー、全部で6つもある。こんなに育てられないから、
 情が移る前にラッキーさんがやっているみたいに非常食にしましょう!」

そういうとタブンネは保存食に『ピータン』を作り始めました。

まず塩と灰と泥を混ぜ、それにもみ殻をまぶすと段ボール箱にそれを詰め込み封をしました。
…え?人間の作り方と違う? タブンネには用意できないものが色々あるんですよ。
そして段ボール箱を雨の当たらない秘密の所に置いて、そのままタブンネは遊びに行きました。


1ヶ月後・・・
保存食を食べようとして封を切りかけた時、タブンネは段ボールの中から音がするのに気が付きました。

(・・・あ、あれ?密封したんだけど虫か何かが湧いちゃった??)

少々もったいない気もしたけど捨てようと外に持って行って、向こう側を向けて封を切るとグチャッという音と共に、
中からは ド ロ ド ロ と 蠢 く 赤 茶  色 の 物 体 が出てきました。
ちょうど、工作が苦手な人が赤茶色の粘土でミミッキュを作れと言われて水を多めに混ぜるとこうなるかもしれません。

ウビィ・・・ウビィ・・

その物体は不気味な声を揚げながらタブンネの方に迫ってきます!

「ギェピィィィッ!!」

実はピータンの原料の灰に昔トレーナーから盗んだ「聖なる灰」を入れてしまってたのです。

この為、タブンネの赤ちゃんは灰のアルカリで体を溶かされ、泥に埋もれて窒息ても死ぬことが許されず、
だからと言って、丈夫な段ボールを内側から破ることもできないまま、お互いを共食いしあって(でも死なない)。
最終的に泥やもみ殻と混ざった化け物になってしまったのでした・・・

242名無しさん:2020/06/03(水) 23:44:57 ID:6SC9b4B60
ポケモントレーナーになって早半年・・・
バトルだけじゃなくタマゴから育成もちゃんとできるようになって一人前になった僕は、
その日もポケモンリーグ挑戦のために修行をやっていた。


そこにあったのは大人のタブンネ(多分お母さん)の白骨死体と、タブンネの赤ちゃん1匹。
赤ちゃんは何も知らないらしく、腹ばいでお母さんの死体のそばでモゾモゾしていた。

「…可哀そうに…」

きっと子育て中のママが病気か事故で死んじゃって赤ちゃんだけ取り残されたんだ。

そっと抱えてみると、プルプル震える柔らかくて暖かい感触が手に伝わり、
赤ちゃんはぼくの手に驚いたのかチィィーとか細い声で一声鳴いた。

以前、知り合いに見せてもらった卵から返したタブンネよりずっと小さくて目が開いてない。
きっとママが死んでご飯貰えないから餓死寸前で痩せちゃったんだろうね・・・

そんなことは絶対にさせない! 僕はこの赤ちゃんを家で育てることにした。
(あとで野生に返すつもりだからボールでゲットはしなかった)


帰り道、僕に抱えられて赤ちゃんはチィ‐!チィ‐!とずっと鳴き続けた。 ずっと寂しかったんだね。

そうして赤ちゃんに気を取られていると、「ピィーーッ!!」と甲高い声が聞こえ、この辺では珍しいピッピが赤ちゃんを狙ってやってきた。
“狙っている”と言い切れるのは、僕の手を狙って赤ちゃんをひったくろうとしたのだから間違いない。

僕は寸前で手を引っ込め、手持ちのラッタで迎撃した。(ピッピはそんなに強くなかった)


「・・・ふぅ…でもピッピってタブンネを食べるのかな…もしかして見た目が似ているから自分の子と間違えた?」
(念のため倒れているピッピの尻を確認をしたら♂だった。ピッピは♂も子育てするのかな?)

赤ちゃんはすっかり怯えてピッピの方に手を突き出し「やめてー!」とでもいうようにチビャァー!チビャァー!と悲鳴を上げていた。

もう大丈夫だよ。

243名無しさん:2020/06/03(水) 23:45:44 ID:6SC9b4B60
家に帰るとまずこの子のご飯を作ってあげた。

知り合いのタブンネは僕がラッタにやっているポケモンフード(ドライタイプ)と同じ奴を食べてたから、これで大丈夫。

「お腹すいただろ、たっぷりお食べ。」

お皿に山盛りのポケモンフードを置き、そばに水飲みも置いたけど赤ちゃんはチィ‐!チィ‐!と鳴き続けるだけで口にしようとしない。
ラッタならポリポリすぐに平らげるのに・・・
目が見えないからわからないのかと、口元にポケモンフードをつまんで当てたけどチィィーと泣いて顔をそむけてしまう。

・・・もしかして、弱ってて食べることもできないんじゃないかと“強制給餌”に取り掛かった。

まず少々高かったけどパチリスが喜ぶ缶詰の奴を注射器みたいな奴に詰めて、タブンネの口元を抑えて差し込む。

む?この子、歯がないじゃないか!! 病気で抜けたのか事故で取れたのか…だから食べなかったんだ。

でもこれなら柔らかいから大丈夫…でもやっぱり強制給餌されるのは嫌らしく、「チブチブッッ…チボッ!」って何度も吐こうとした。

食べなきゃ死んじゃうんだ!飲み込んでくれ・・・

そのうち赤ちゃんは大人しくなってくれたので、段ボールに布を敷いたベットに置く。

お腹いっぱい食べて赤ちゃんのお腹はぽんぽこりんだ、これならしばらく餓死の心配はないよね。


翌朝、もう慣れたのかほとんど鳴き声を立てなくなった赤ちゃんはすやすや眠っていた。

まだ赤ちゃんのお腹はぽんぽこりんで波打っている。
そういえば糞をまだ一度もしてないけど、お腹の中が空っぽだったのかな?
起こすと悪いからそのままにした。


夕方、もう一度見たら赤ちゃんのお腹は動いていなかった。

もしやと思って触ったら、赤ちゃんタブンネは冷たく硬くなっていた・・・

244名無しさん:2020/06/03(水) 23:47:56 ID:6SC9b4B60
>>242-243まとめ
【ウツギ博士のポケモン口座】
人が飼っているポケモンは安全だと分かるらしく、卵の中でだいぶ大きく育ってから孵化します。
だから孵化してすぐにバトルとかできますが、野生のポケモンはすぐ孵化する小さな卵をたくさん産み、
小さいままで誕生させるので、種類によっては動けないどころか目も開いてなかったり
固形物を食べれなかったり…場合によっては排便すら自力でできません。

こうした赤ちゃんポケモンは保温したり、乳や半分消化した食物を与える親がいないとすぐ死んでしまいます。

皆も野生の赤ちゃんポケモンを見つけたら、素人で育てようなんて考えずにそっとしておいてあげてね。

245242-244:2020/06/04(木) 08:27:38 ID:sDHG6Kqw0
すまん、>>242の3行目と4行目の文章(ベビンネ発見の下り)が校正時に抜けてた。

「修行が終わって帰ろうとした矢先、手持ちのパチリスが何かを見つけて僕を呼ぶ。
 こいつのものひろいには重宝しているけど、僕を呼ぶのは珍しいので行ってみると、」

がここに入る。
(缶詰フードの下りで唐突にパチリスの名前が出るのは本来ここで登場してたため。)

246名無しさん:2020/06/13(土) 17:19:42 ID:UX1bFx.I0
>>240
経験値34スレ目の小ネタでプラスチックのカゴに30匹単位で詰め込まれ泣きながら必死で助けを求めてるのとか
温泉で茹でタブンネにされる間際の鉄籠の中の阿鼻叫喚とか
牧場である程度育ったところを片っ端から捕まえて
籠に"ぱんぱんに"入れられる
(逃げ惑うけど無駄な抵抗)
やつなんか一押し
そう言えば冷凍子タブンネなんか麻袋詰めにされて
「ミィミィとママを探してもがいています」なんて一文にかなりときめいたっけな

247名無しさん:2020/06/22(月) 03:41:43 ID:X8b1wbgw0
>>244
リアル犬猫みたいだなw

248名無しさん:2020/06/22(月) 07:16:17 ID:1HGpw1E.0
リアル犬猫といえば
海外でこんな記事があったのでちょっといじってみた


これはある女性と子タブンネ達の心暖まる素敵なお話。

ある日女性は相棒のリオルと一緒の散歩の帰り道
側の草むらからチィチィと
悲しげな声が聞こえてきたのに足を止め
そっと覗き込んでみると
なんと10匹もの生まれたばかりの子タブンネ達が捨てられているのを発見しました。

女性はこれは大変と思い
まずは家に戻って車を取りに行こうと足早にそこを離れて先を急ぎました。
ところがしばらく行った辺りでリオルが呼ぶので後ろを振り向いてみてびっくり。
10匹もいた子タブンネ達がみんな必死に草むらから飛び出して来て
女性のあとをついてくるではありませんか。
ミィミィ、チィチィと口々に鳴きながら涙を浮かべんばかりにして両手を伸ばし
小さな体でテッテッと
走ってついてくる子タブンネ達。
それもそのはずでしょう
女性は車を取りに行くのにそこから離れたのですけど
子タブンネ達から見たら女性が立ち去ってしまったように思えたのでしょう
女性とリオルはひときわ体の小さなタブンネを何匹か抱き抱えながら子タブンネ達にあわせてゆっくりした足取りで家までつれて帰りました。
10匹の小さな小さな子タブンネ達は
みんなそれぞれの居場所を見つけ、一番小さな赤ちゃんタブンネは女性の家に引き取られる事になったのです。
10匹の子タブンネは生まれてすぐに捨てられて辛い思いはしましたが
心優しい女性のおかげでみんなそれぞれの幸せを見つける事が出来て良かったですね。
pokeTubeニュースより抜粋

249名無しさん:2020/06/22(月) 07:26:12 ID:wIgp.Emg0
(リオルside)

バトルガールの主と一緒に今朝も山越え修練に行ったその帰り道。

チィチィ、チィチィと脇の草むらから声が聞こえる。

さむい、こわい、おなかがすいた。
おもらししちゃった、
ママはどこ?
さみしい、さみしい、さみしいよぅ…

そんな波導が高い声よりキンキンと僕のところに響き渡って来る。
ああ五月蠅い。
主もその五月蠅さに目を丸くしてそっと草むらを覗いてみると
いるわいるわ、ピンクの毛玉みたいな生まれたばかりのタブンネが10匹

主の顔を見るとチーチーと歓声を上げて両手を伸ばす。
そんな五月蝿いとああ、ほら。
ハブネークが舌なめずりしながら寄ってくる

ひとっ走りして車を取ってこなくっちゃ!
そう言って主はダッシュでそこから走り出す。

あ、1匹ハブネークに呑まれてしまった。
みんなハイハイがやっとの赤ちゃんのように
抱っこをせがむ甘えた顔をしてよちよち草むらを這っていたタブンネ達なのに
途端に蜘蛛の子を散らすみたいに道路に飛び出し ピーピー泣きながら自分の足で全力で駆けていく。

なんだい、走れるんじゃないか
主、あいつら自分でついて来れるって。
まあ、とてもとても足は遅いけれども。
と、思ったら2匹ほどポーンと言ういい音とともに僕らを追い越し飛んで行った。
なんで道路に飛び出したんだろう。
車も走ってて危ないのに

夢中で僕らを追いながらころがるように走るタブンネ達
タスケテ、タスケテ、 ツレテッテ!って
必死の波導が一緒に追ってくるけれど

ファイトぉ!と主譲りの
激を飛ばしてあげたら
一番大きなコロコロした子がチィアーッ‼と叫びながら鳥ポケモンに持っていかれた。
続いてつがいにもう1匹が嘴に尻尾を捕まえられて
チギョェアー‼とか聞いた事もない奇声を上げてともに大空に消えていく。

道路の端でペタンコになっているさっき飛ばされた2匹を剥がすのに夢中になっていた主は
そちらに気付きもしなかったけど。
一番最初に漏らしたって言ってた奴が道路の真ん中に水の跡を引きずって
ハイハイしてくるのが見えたので
葉っぱで綺麗に後始末をしてやると目覚ましみたいに
ピーピー鳴いて止まらなくなったのでそのまま首の後ろを掴んで主の所に引っ張っていくと
追い付くまでに残り4匹がそれぞれに違う奇声を上げて別々のポケモンに引き取られていく姿が見えた。

みんなあんなに元気な声で僕らにお別れを言っている。
バイバイ、タブンネ幸せになるんだよ。

「ペタンコの2匹はガーディとムーランドがくわえて連れて帰っちゃったよ…ん、その子は?」

主に首根っこ掴んだタブンネを見せてあげると
タブンネは途端に鳴くのをやめて代わりにガクガク震えてる。
家の裏庭にぶら下がっている身欠きタブンネの声でも聴こえたかな?
数が減ったのは残念だけど主だっていつも言っているからね。
おいしいものは人とポケモンみんなで共有しないとね。
心優しいタブンネはそれが一番幸せなんだって。
人間と僕達ポケモンと
タブンネの心暖まる素敵なお話はこれで終わりだよ。

250名無しさん:2020/06/22(月) 23:02:53 ID:FjswN6Zw0
【この物語はタブンネをイジメる悪い奴は出てきません】

今日はパパに「ポケモンほごパーク」に連れて行ってもらえました。

そこにはたくさんのポケモンがほごされていて、つかまえたりイジメたりしてはいけないそうです。
だから人前でもポケモンたちはのんびりしてくらしていました。

そこにあった名物の「ポケモンオムレツ」のお店に行くと、ポケモンの卵でいろんな料理を作ってました。
「ここはほごくなのに卵を食べていいの?」と聞くと「ちゃんと親のポケモンがくれたんだよ」とのこと。

なんでもポケモンが増えすぎるとポケモンたちも食べる物がなくなって困るとわかっているので、
卵のうちにここに渡して自分たちの食べ物とこうかんしてくれるそうです。

「外に探しに行ったり、人の食べ物を取ったりはしないの?」と気になったけど、
ここのポケモンは外が危ないことや、人の食べ物を取ったらばつを受けると分かっているそうです。

「でもね、人間が『あげてもいい』という食べ物ならポケモンたちは食べていいんだよ。」

そういうとお店の人は「ベビミート」というのをポケモンたちにあげれる食べ物として紹介してくれました。

これは卵をよこすのが遅れてかえりかけの卵を割ると出てくる赤ちゃんの死んだのを加工したもので、
普通にえさとしても上げているけれど個数を決めてお客さんが食べさせてあげれるようにしたそうです。


そうしてぼくが餌やり場に行くとちょうど可愛いチビンネ達が「チーィ! チーィ!」と次々寄ってきました。
ぼくがベビミートを投げるとチビたちは「おいしぃおいしぃ♪」って言いたそうなえがおで食べてたけど、
親のタブンネたちは止めはしないけど悲しそうな顔でじーっとこちらを見ていました。

パパが横で「お前はどちらが悲しいと思う?」とボクに聞いたけどどういう意味だろう?

251名無しさん:2020/06/23(火) 20:58:59 ID:pf1cCE0w0
【この物語はタブンネを助けてくれる優しいポケモンしか登場しません】

ある晩秋の夕暮れ、カビゴンのおばさんが木の実をもいでバクバク食べていると、
「チィ!」という声が足元から聞こえ、下を見たら小さなタブンネ(チビンネ)がいました。

大きなカビゴンに見つめられておどおどするチビンネちゃんに、
おばさんは「どうしたの?」と聞くとチビンネちゃんは尻尾から木の実を出すと、
「このおちた木の実ちょーだい」と恐る恐る言いました。

おばさんは「別にいいのよ」というと、チビンネちゃんはほっとして近くのやぶに行き、
そこから出てきたさらに小さな赤ちゃん(ベビンネ)に木の実をあげました。

「貴方たち?親はいないの?」と尋ねると、数日前食べ物を取りに行って戻ってこないそうです。
心配になったおばさんは「今日はもう遅いし、今夜は私の家に止まりなさいな。」と誘いました。
2匹もおばさんから更に木の実をもらえて大喜び、すぐに承諾しました。

食事が終わってからカビゴンおばさんは2匹を連れて巣穴に戻ると入り口をふさぎ、
「私は地べたに寝るけどあなたたちはそこに寝るといいわ」と段ボール箱を差し出しました。

こうしてチビンネとベビンネのきょうだいは「おいしーおにく」と書かれた段ボール箱に入りました。


夜が更けると2匹は震えて目が覚めました。

カビゴンおばさんは太っているので平気ですが、この巣穴は隙間風だらけ・・・
おまけに段ボール箱は箱だけで巣材がないので寒いのです。
まだ自分たちの密閉が良くて枯草を敷いた巣穴の方が寒さをしのげたでしょう。

「ねえ、おばさんさむいよ・・・」

チビンネはそういってはみたものの、カビゴンおばさんは目覚めません。
その時、チビンネはカビゴンおばさんの毛皮はとても暖かそうだと気が付きました。

(そうだ、ママはねる時だっこしてくれてたよね。)

イビキをかくカビゴンおばさんの懐へ潜り込むと、そこは優しい暖かさでした。

「あったかいね」「チィチィ」

凍えてたベビンネちゃんも大喜び、2匹は今度こそ幸せな眠りにつきました。

252名無しさん:2020/06/23(火) 20:59:50 ID:pf1cCE0w0
「チ…」「いたぁっ!」

ふいに激痛が走り、目を覚ましたチビンネちゃんは体が動かないのに気が付きました。

ベビンネの方からは一瞬悲鳴が聞こえてから何も…心臓の音さえも聞こえません。
目の前は真っ暗で顔にふわふわしたものが当たり、カビゴン臭くてカビゴンの息や心臓の音。

(いたい・・・いたいよぉ・・・な・・・なに?)

「ウウーン・・・」

寝返りをうったカビゴンの胸の下でチビンネちゃんもつぶれていきました。
あばらはポキポキ折れ、内蔵はとっくの昔につぶれて息もできないから悲鳴も上げれません。

最後まで持ちこたえた頭蓋骨もミリミリと音をたてていきます。

苦しさと痛さはもう終わりでした、ペチッと脳がつぶれてチビンネちゃんは楽になったのです。


翌朝・・・

「うわぁぁぁ!何よこれ?!」

カビゴンおばさんは目が覚めたあと自分の胸でぺったんこになった2匹を見て絶句しました。

253名無しさん:2020/06/25(木) 20:46:22 ID:YrIO8i5Y0
SS作品いっぱいで嬉しい

どっかで見たリアル捨て猫記事とか(もちろん元記事は全員ちゃんと保護されてたが)
淡々と無邪気に酷い事を語るリオルの可愛さや
他のポケモンも保護されてても食べられる卵やベビミート達はきっとほぼほぼタブンネの奴なんだろうなと予測できる哀しさと
何をどう転んでも不運な方向に追いやられてしまう
チビベビタブンネに大草原

254名無しさん:2020/06/26(金) 01:49:13 ID:1z0zgqXA0
ここ最近新作SSが立て続けに投下されて嬉しい限りなのはもちろんだけど
なぜ急に…

255名無しさん:2020/06/26(金) 22:55:03 ID:/W3UuioY0
ヤブンネ先生シリーズ(仮)みたいなの書いてみたい。

藪医者のタブンネが言葉巧みにポケモンだまして治療(過失致死)しまくり、
最終的にみんなから報復されるまでのシリーズもの。

・・・ただこれ展開の都合上最終回までは他のポケモンが殺されまくるけどいいかな?
(ヤブンネ先生は最終回まで基本気が付かれないor逃亡、患者に同族のタブンネが来ることはある)

256名無しさん:2020/07/05(日) 16:26:59 ID:fBGZbTGQ0
>>250-252
よそで書け

257名無しさん:2020/07/18(土) 02:01:48 ID:yJpvEf5U0
箱詰め子タブンネって話があったけど
あれを増水した川の 流れに乗せてみたい
なあにみっちり詰まっていたから振り落とされて川の中にダイブするような子はいないでしょw

いない…かな?

258名無しさん:2020/07/21(火) 12:38:22 ID:uY4QcA920
川岸にいた母性ある♀ンネがそれを見つけて何とか陸に引き上げようとするも途中で箱が壊れてベビたちが川にぶちまけられてしまい
♀ンネの見てる前でバスラオとかに次々に捕食されていくのもいいなー

259名無しさん:2020/07/22(水) 02:04:02 ID:/VuBYaEI0
>>257>>258
いいアイデアいただきました!

260箱詰め子タブンネ2(その1):2020/07/22(水) 02:04:46 ID:/VuBYaEI0
「チィ、チィチィ…」「チィーチィー…」
子タブンネの鳴き声が、公園の隅っこにひっそり置かれた段ボール箱の中から聞こえてきます。
中にいるのは生後1か月足らずの子タブンネが4匹です。持て余した飼い主に捨てられました。
以前も見たような光景ですが、もちろんその時のとは別の子タブンネです。
どうやらこの公園は、捨てタブンネ場として有名になってしまったようです。

「あっ、またタブンネが捨てられてる」
通りかかった小学校高学年くらいの男の子が声を上げました。
この子は以前も、このような光景を見ていました。
気の毒には思ったものの、母親がポケモンを飼ってはいけないというので、見送っていたのです。
彼は一緒にいた友達と、段ボール箱の中を覗き込みました。
「チィチィ…」(おなかすいたよう、おちちほしいよう)
4匹の子タブンネは箱の中で背伸びして、男の子にすがろうとします。
男の子は友達と顔を見合わせました。
「またかよ、拾ってあげたいんだけどなあ」
「うちのママも相変わらずだよ。下手にお願いすると『勉強しなさい』って言われちゃうし」
「そういうわけだ、ごめんな」
男の子達は子タブンネの頭を撫でただけで、行ってしまいました。
子タブンネ達はがっかりしたのと腹ペコでへたり込みます。世間の風は相変わらず冷たいようです。

261箱詰め子タブンネ2(その2):2020/07/22(水) 02:05:32 ID:/VuBYaEI0
しばらくすると、また誰かが箱の中を覗き込みました。
「チィチィ!」
今度こそ救いの神が現れたと思い、子タブンネ達は小さな手を伸ばします。
ところがその顔が引っ込んだかと思うと、代わりに1匹の子タブンネが降ってきました。
「チィ!?」
さらに2匹、3匹…子タブンネはどんどん段ボール箱の中に投げ込まれ、
最終的には20匹以上となって、箱の中はぎゅうぎゅう詰め、身動きもとれません。
「チギィー!」「キュゥゥ!」(うごけないよう!)(くるちいよう!)
苦しくてもがいても、みんなで押し合いへし合いするため、余計みっちり詰まってしまいます。

子タブンネを放り込んだ男もまた、以前ここに大量の子タブンネを捨てて行ったトレーナーでした。
「だーかーら、恨むならお前らの母親を恨めっての!本当にあいつは学習能力がねえな!」
以前あれだけきつく言ったにもかかわらず、またも彼のタブンネがどこかで交尾し、
しかもこっそりと自分の目を盗んで20匹もの子を育てていたため、
さんざんしばき倒した上で、子タブンネ達を同じところに捨てに来たというわけです。
「ったく、肉屋にでも売ればよかったかな。でも衛生検査とか面倒くさいし…」
男はぶつくさ言いながら、子タブンネ達の入っていたモンスターボールを拾い集めて去っていきました。

262箱詰め子タブンネ2(その3):2020/07/22(水) 02:08:41 ID:/VuBYaEI0
「チィー!ヂィィー!」
苦しさに耐えきれず、子タブンネ達は必死で鳴いて助けを呼びますが、もはや公園には人影はありません。
日は傾き、天気は悪くなる一方。空は暗く、風が強くなり始めました。雨も降り始めます。
「チィーッ!チィーッ!」
恐怖でいくら泣き叫んでも、その声は風にかき消されるだけでした。
その内、一段と強く渦巻く風が近づいてきました。竜巻です。
枯葉や砂を巻き込んで近づいてきた竜巻は、一瞬で子タブンネ達の段ボール箱を吸い上げ、空高く吹き飛ばしました。
「チィィィーー!!」
何が起こったかわからず、泣きわめく子タブンネ達。ほとんどが失禁し、段ボール箱はおしっこまみれですが、
誰もそんな事を気にしている場合ではありません。

そして竜巻から外れた段ボール箱は落下していきます。その先には増水して流れが激しくなっている川がありました。
直接川面に落下していれば、衝撃で段ボール箱はバラバラになっていたかもしれませんが、
幸いな事に、ちょうど不法投棄されていたベッドのマットレスが流れており、その上にボヨンと落ちたのです。
「チィッ!?」
それでも衝撃を全て吸収してくれたわけではなく、勢いで1匹の子タブンネがスポンと振り落とされ、
マットレスの上にコロコロと転がりました。そのまま転がって流れに落ちそうになります。
「チィー!」「チィチィチィ!」
必死でマットレスの淵につかまった兄弟を、段ボール箱の上から顔が出せている子タブンネ達が励ましますが、
悲しいかな非力な子タブンネの力では、激しい風雨には勝てませんでした。
「チィィィーーー…!」
手が滑り、転落した子タブンネはかすかな悲鳴を残して激流に呑まれてしまいました。
残された面々ははらはらと涙を流しますが、その涙すら雨が洗い流していきます。

263箱詰め子タブンネ2(その4):2020/07/22(水) 02:12:50 ID:/VuBYaEI0
しかし悲しんでいる暇すらありません。ガクンと衝撃があったかと思うと、
段ボール箱はマットレスから滑り落ちて、川に放り出されました。
マットレスが水中の岩に引っ掛かって止まったため、箱だけが激流に放り出されたのです。
「チィー!フィッ、フィッ、ピヒィー!」
吹き荒れる雨風、闇の中を、地獄のジェットコースターは流れ続けます。
極限の恐怖に子タブンネ達は泣き叫びますが、無情にも段ボール箱の下の方が浸水してきました。
「チゴボボ…」
下の方に詰め込まれて身動きすらできない数匹が溺死します。箱の中の水位は徐々に上がってきます。

その時、子タブンネ達の声がようやく天に届いたのか、段ボール箱は川の浅瀬に引っ掛かりました。
しかしほっとしたのも束の間、ここから脱出しなくては死あるのみです。
浅瀬は川岸まで辛うじてつながっていますが、刻一刻と増水する水に沈み、面積が減っていきます。
何とか段ボール箱から出なくては…でも1匹減ったくらいでは密度はあまり変わらず、
ずぶぬれになった毛皮が重くて、ますます脱出は困難です。
「チィィーーーー!」(おかあしゃあん!)




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