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一緒に小説作りましょ!! V85

192ふみぃ ◆E9.L69xX7g:2015/03/26(木) 23:15:03 ID:13QTF0m6
一話 >>155 >>156 >>157
二話 >>162 >>163 >>165
三話 >>185 >>186


1期末テスト前のテスト週間中のとある日の放課後。
窓際の明かりだけつけて、カーテンを閉めきって机を向かい合わせにしている四人がいた。
机の上には、テキストや文房具が散乱している。
だれも喋らずただ黙々と目の前の課題をこなしている姿を見れば、
勉強熱心なただの高校生に見えるだろう。
しかし、やっている内容は、

「かーおーるー。現在進行形と現在形の違いってなにー?」

これである。
お前ら本当に高校生か、と疑いたくなるが、
ちゃんと高校生である。そこそこ偏差値が高いこの高校に合格できたのが不思議ではあるが。

「この間説明したでしょ。小冊子見なさい書いてあるから」

「どこー?」

「48ページ下から五行目あたり」

自分がやっているテキストから目を離さずに言った。
全てを記憶しているかのように思える井口の脳は、英語と国語以外で活躍することはない。
北園は、井口に言われたページを熱心に読み、ペンを動かしている。
どうやら、今日の分の答え合わせは終わっているらしい。
勉強している二人の向かい側には、力尽きて頭から白煙を上げている三谷と藤江がいた。
元々勉強が好きではないこの二人にとって、たった30分だとしても、
英語の自主勉強は堪えたらしい。

「二人とも、」

それに気付いた井口が、二人に声をかけた。
のそり、と反応して、二人は井口を見る。
と、そこには怖い笑顔を浮かべた井口がいた。

「ペンを動かせ」

冷ややかに、いつもより少し低い声で発せられたその言葉と笑みに、
ヤバいと感じたのか「はいぃっ!」と返事をしてペンを動かし始めた。

そうして、暫くたち、三谷が廊下から聞こえて来る音に気がついた。
段々こっちに向かっているようだったが、誰かが走っているのだろう、
と結論付け、さして気にしてもいない様子の三人と同様、再びテキストに目をおとした。
途端の出来事である。
物凄い勢いと共に、八組のドアが開かれた。
四人揃ってドアの方を見ると、そこには東藤が息を切らして立っていた。

「てめ、東ど―――」「こーき!!」

叫んだ三谷の声を遮り、更に大きな声で、東藤が誰かの名前を呼んだ。
はて?と首を傾げていたら三谷の横から「なに?」という声。
三人揃ってそこを見ると、当然、そこには英語のテキストを熟している藤江がいるわけで。

「国語教えて!古文!」

「いーよ。おれの向かいっかわ座んな」

そういって机をもう一つ繋げる藤江。
東藤は嬉しそうにノートやら教科書やら抱えて教室に入ってくる。
周りに、花が飛んでいるかのように、とても上機嫌で。
ポカンとしている外野を余所に、藤江は東藤に古文を教えはじめた。
目がおかしくなったのか、二人の目には、
東藤の周りには花が飛んでおり、キラキラと輝いて見えた。
井口は、興味がないのかただ黙々と生物の課題をやっている。

「ここは--」

「こう?」

「そうそう。できたじゃん、ゆーき」

藤江が東藤の頭を撫でながら褒めている。
撫でられている当の本人はめちゃめちゃ嬉しそうに笑っている。
はっ、と我に返った三谷と北園が、嬉しそうな東藤を教室から廊下に物凄い勢いで引っ張る。

「なに?」

若干困ったような表情でそう聞いてくる東藤から、
二人は自分たちが知っている東藤を連想出来ないでいた。

「いやいやいや。お前、なに?そういうキャラ!?」

「めっちゃ幸せそーじゃん。
 ってか藤江の下の名前って“こーき”なの?アンタらそういう関係?」

二人が壁際に追い込んで東藤に質問を浴びせる。
そうすると、また困ったような顔で、仄かに顔を染めながら、ボソボソと答えはじめた。


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