[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
一緒に小説作りましょ!! V85
185
:
ふみぃ
◆E9.L69xX7g
:2015/03/23(月) 17:53:06 ID:sfWHNCxY
「…いらしゃい」
電車に揺られて30分、豊かな自然に囲まれた田舎にある家を訪ねた三人。
黒いインターホンを押して少し待てば、白い小さな門を開けて出てきたのは
白いTシャツに短パンという格好の藤江であった。
冒頭の言葉を言いながら玄関へと案内して三人を家に上がらせる。
築50年という事もあってか、古めかしくも広く、どこか歴史を感じさせた。
中古で買った、と言っていたので、
玄関のドアを潜って始めに入った部屋は、かつては小さなお店だったようだ。
藤江いわく、前に住んでいた人が服屋を営んでいたという。
傾斜が急な階段を上りきってすぐの部屋が藤江の部屋。
廊下との隔ては四枚の障子、隣の部屋との隔ては四枚の襖、
そして十畳の畳の部屋、というなんとも豪華な部屋である。
藤江の部屋を見て、三谷が藤江につかみ掛かった。
「藤江!おまえこんな広い部屋とか…っ!裏切り者ぉお!!」
「裏切ってないし意味わかんない…とりあえず放して死にそう」
わるい、と言って三谷が手を放した瞬間に
一気に酸素を肺に入れたらしく、藤江は盛大にむせていた。
その背中を北園が摩りながら「大丈夫?」と問い掛けている。
「もう平気。ありがと。…それより、今日、勉強するんでしょ?」
復活した藤江が三谷をジト目で見ながら問い掛ける。
その言葉に三谷はハッとし、
三谷の後ろの井口は眼鏡を光らせて口角を上げた。
何とも言えない恐ろしい雰囲気が滲み出ていて、
三谷は黙って冷や汗を流している。
「そう…。
今日は英語がまるでダメなきみらに英語を教えるために来たんだよ」
ふっふっふ、とブリッジを押さえ低く笑う井口に、
三谷や北園だけでなく、藤江も思わず後ずさりをした。
そんな三人を尻目に、部屋の中央に置かれた御膳の上に、
不気味な程音を立てずに数冊の本を置く。
三人がなんだろうと覗き込むと、
見計らったようにして井口が眼鏡の隙間から三人を睨み上げた。
それによりまた三人は後ずさる。
「コレは俺からの課題です。」
部屋の隅に逃げた三人に対し、
まるで背景にブリザードでも吹き荒れているかの様な笑顔で、そう言った。
「課題を出したのはいいけど、一応どの辺が分からないのか聞いておこうか」
「be動詞ってなんですか?」
ため息をついて質問した井口に、藤江がすかさず言った。
その言葉に「そこからか」と呟くと、面倒臭そうな顔をつくる。
「…何も言わないって事は、そこの二人も同じかな?」
眼鏡を押し上げながら、何も言わない二人を見て、問う。
二人は無言で首を上下に振っていた。
それを見てまた更に深いため息をつくと、
御膳の上に置いた本の上に手を乗せた。
「この本には英語の基礎が乗っています。
今日は皆で進めるとして、一日1ページは“必ず”やること。
答は俺が持っているのでカンニングは出来ません。
答合わせは放課後、毎日やります。
やってこなかった、もしくは持ってくるのを忘れた奴にはペナルティとして
ス●バのジュース一本俺に奢る権利を与えようじゃないか」
淡々と、しかし楽しそうに説明する井口に、誰も何も言えなかった。
けれどよくよく考えれば自分たちのために自分の小遣いを叩いてまで
冊子を買ってくれる友人などそうそういない。
三人は井口に感謝しつつ恐れつつ、それぞれの場所に座って冊子を開いた。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板