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●事情によりこちらでSSを投下するスレ 4●

8272/5:2013/08/14(水) 00:29:03 ID:???
「……う、うう。一体どこまで変態なら気が済むのか」
「はっ」
 気がつけば、ちなみの下半身に鼻息が届くほど間近に迫り、全力で凝視していた。恥ずかしげな顔でこちらをちらちら見ているちなみが可愛い。
「恐るべきは、スク水の魔力か……!」
「……いや、衆人環視の中、女の子の下半身を凝視できるタカシの精神力の方が恐ろしいと思う」
 成る程ちなみの言う通り周囲は夏休みということで人でごった返しており、さらにこちらをちらちら見つつヒソヒソ囁き合っており、さらにさらに言うならちなみは一見小学生的であり、これはもう完全に俺が変質者。
「ち、ちなみ、友人のちなみ。向こうの人があまりいないプールに行こう、すぐに行こう。楽しく一緒に遊ぶんだねぇー」
「……ちなみに、また、あの白いの飲ませるの?」ウルウル
 はい出た、出ましたよちなみさんの秘技、幼女変化! 子供っぽく振る舞い、俺に致命的ダメェジを与える秘技! 主に社会的に致命的な被害があり、結構な確率で通報されるのでやめてください。
 というわけで、もう何を言っても俺が加害者のイメージは覆そうになかったので、ちなみを脇に抱えて全力ダッシュ。
「お。おお。おおおー」キラキラ
 抱えられたちなみは楽しそうで何よりだが、監視員達が無線で何か連絡をとりあってるのが視界の端に映ってたのがどうにも気にかかる。
「はぁはぁ……。あのなあ、ちなみ。ああいう冗談はお前の容姿と相まって洒落になんねーから、なるべく抑えるようにしてくれませんかねェ……?」
「……善処する」
「この政治家め」
「……秘書がやりました」
「政治家だ!」
「……えっへん」
 よく分からんが胸を張っていばってるちなみの頭をなでつつ、ふと先ほどの発言を思い出す。
「つーか、白いのを飲ませるってなんだ。そんな非道なマネしてねーぞ」
「……前に、タカシの家に行った時に、カルピス飲んだ」
「あー。なんつーベタな」
「……白くてベタベタした液体を、タカシが無理やり私に飲ませた」
「無理やりじゃねえ。おかわりしてたし」
「……普段飲まないから、結構おいしかった。次遊びに行ったら、また出せ。濃いのな、濃いの」
「あー分かった分かった」
 なんとなくちなみをなでながら周囲を見回す。ここはただの大きなプールだ。しかも結構な深さがあるため、人影は先ほどのレジャープールに比べ、あまりない。
「俺なら肩まで浸かる程度で済むが、ちなみのような幼女気質の人間の場合、ものの数秒で頭まで沈み溺れ死ぬこと請け合い」
「……その場合、絶対に道連れにしてやる」
 手近な椅子にちなみのパーカーをかけてから、暗い笑みを浮かべる死神を連れ、件の深いプールへ。

8283/5:2013/08/14(水) 00:29:24 ID:???
「おお。こりゃ結構深いな。大丈夫か、ちなみ?」
「……へ、へっちゃら」
 と口では言ってるが、常に泳いでいないといけないため、結構大変そうだ。顔にいつもの余裕がない。
「大丈夫か? 他のトコ行くか?」
「へっ、へっちゃらと、言ってる!」
「へーへー。疲れたら早めに言えよ、素早く上から押さえつけるから」
「……今こそ、道連れの時……!」
「うわっ」
 がしっ、とちなみが抱きついてきた。……いや、今の擬音は間違いだ。
 ふにょん、とちなみが抱きついてきた。
「え、ええと、ええぇとだな、その、間違いでなければ、その、俺の、俺様の黄金の右腕にだな、その、ふにょりと柔らか物質的な物が」
「…………」
 ちなみは黙って頬を染めている。困ったような顔で、こちらをちらりちらりと伺っている。そんなの、こちらも困ってますよ!
「まあ、その、事故的なものですし、ええと、その」
「……う、うぅ。貧乳のくせにあててんのよをするとか笑止、とタカシは言う」
「言ってねえ!」
「……え、ええと。……一応、私のおっぱいです」
「分かってるよ! 何の謙遜だよ! びっくりしてんだよ!」
「……あまりの小ささに?」
「女体の柔らかさに! あっ」
「…………」
 言わなくていいことを言いました。なぜなら、ちなみの顔がもう目に見えて赤くなっているから、言わなくていいと分かったのです。
「……えろ。タカシのえろ。えろー」
 片手で俺に抱きついたまま、空いてる手でちなみがパシャパシャと俺に水をかけてきた。
「すいません。すいません」
「……このままではプールの中で犯されてしまう。エロ同人みたいに」
「そんな同人見たことねえ。AVではあるが」
 冷静になりました。色々どうでもいい。
「はぁ……何もしてねえのに疲れた。しばらく泳ぐのはいいや、ぷかぷかと漂うことにする」
「……さながらタカシの人生のよう」

8294/5:2013/08/14(水) 00:29:49 ID:???
「人の人生をクラゲみたく言うない」
「……ふふり」
 薄く笑って、俺の隣にぷかりとちなみが浮く。……が、すぐに沈んでしまう。
「……むぅ。浮かない」
 不満げな顔で、ちなみが浮上してくる。
「脂肪が少ないと浮きにくいらしいな。これは全く関係ないが、おっぱいってのは脂肪の固まりらしいな」
「…………」
 ちなみが無言で自分の胸をぺたぺた触った。心なしか悲しげだ。だがそれも一瞬のことで、こちらを見るとニヤッと笑った。
「……そのおっぱいを、タカシは先程どう評価したっけ?」
「ぐぅ」
 正直ぐうの音も出ないが、悔しいのでぐうの音を絞り出す。
「……ふふり」
 満足げに微笑み、ちなみはさっきと同じように俺の腕に抱きついた。
「お、おい」
「……別に、抱きつきたいわけじゃないもん。……脂肪が少ない、スレンダーな体つきだから、無駄に脂肪がついてるタカシにくっついて、一緒に浮かんでるだけだもん」ギュー
「別に俺はデブじゃないデブー」
「……急にデブ語を駆使しだした。はろはろー」ムニー
「腹を押すない。あ、そだ。浮き輪でも買うか? それなら俺にくっついてなくても浮かぶと」
「いらない」
「え、いや、でも」
「節約は大事。いらない」
「や、そんな高いものでもないし、それくらいなら」
「いらない」キッパリ
「……まあ、そこまで言うなら」
 普段のだらだらとした口調ではなく、はっきりいらないとちなみが言う。経済観念のしっかりした娘さんで感心する。将来はこういうのを嫁にしたいね。貧乳だし。
「ん。いらない。節約大事。ちょー大事」ギュー
「……気のせいか、それ以外の何らかの目的を感じるのだが、気のせいだろうか」
「気のせい。タカシは勘が鈍いのだから、気のせいに決まってる」ギュー
「そうなのだろうか」
「そうなのだ」ムギュー

8305/5:2013/08/14(水) 00:30:11 ID:???
「先程から抱きつくというよりしがみつくという方が相応しいほどくっつかれてるのだが、それは関係ないのだろうか」
「ない。一切ない。これはただの浮き輪代わりにタカシを利用してるだけ。まったく、すぐ勘違いをする。これだから童貞は困る」
「妄想の中では億を超えるほど女性と交わってますが!?」
「……それで、一体どういう反応を期待しているというのか」
「『超すごい。抱いて』という反応」
「…………。超すごい。抱いて」
 一瞬ものすごい蔑みの視線を受けたが、それでも言ってくれるちなみの優しさに感激するが、それ以上のむなしさに襲われたのでどうにもできない。
「……期待通りの反応なのに、どうして悲しそうなのか」
「よく考えたら全然すごくない上に、こんなので抱いてと言う人間なんて存在しないと気づいたから」
「……当然だ、ばーかばーかばーか。どざえもんになって死ね」
「今この瞬間に僕土左衛門になったら、もれなくお前もぼくドラえもんの妹になるがよろしいか?」
「……脅迫された。……水中でえっちなことをされるに違いない」
「してねぇ」
 などと益体もないことをのたのた言い合いながら、ちなみにしがみつかれたり背中に乗られたりされました。色々柔らかかったです。

831以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/14(水) 02:07:17 ID:???
はうううううう!
うううううう!

832以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/14(水) 03:23:12 ID:mHrZcYPk
ニョワワワワ

833以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/14(水) 07:11:22 ID:???
これだからちなみんは可愛い!!

834以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/14(水) 16:17:33 ID:???
ちなみんは可愛いなあ!可愛いなあ!

835以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/18(日) 19:51:19 ID:???
>>830GJ
ちなみんのちっぱいに吸い付きたい!

836初めてはレモン味:2013/08/30(金) 00:04:54 ID:ye//j46.
(>>742-747 >>761-764 >>768-773 とかの続き)

『お兄』 ガチャ
「の、ノックしろばか」 ビク
『……なにしてんの?』
「は? 別に」
『メール?』
「……別に」
『…………あっそ』 ボフ
「…………」 ポチポチ
『…………』
「…………」 ポチポチ
『…………』 グイー
「……覗くんじゃねーよ」
『気のせい』
「いや気のせいじゃねーから」
『気のせい』
「はいはい……」 ポチポチ
『…………』
「…………」 ポチポチ
『……お兄』
「んー?」
『ユキって誰?』
「…………は?」
『メールの人』
「は? なにお前勝手に見たの?」
『このまえちょっと見えただけ』
「いつだよ」
『このまえ』
「……あっそ」
『…………』
「…………」 ポチポチ

837初めてはレモン味:2013/08/30(金) 00:05:14 ID:ye//j46.

『ねぇ』
「……なに」 ポチポチ
『ユキって誰なの?』
「知らねーよ」 ポチポチ
『は?』
「ユキなんて名前のヤツのアドレスねーから」 ポチポチ
『……なんで嘘つくの?』
「ついてねーよ」 ポチポチ
『……このまえ見たもん』
「しらねーよ」 ポチポチ
『…………見た』
「はいはい」 ポチポチ
『…………』
「…………」 ポチポチ
『………………彼女?』
「……はぁ?」
『だって隠すから』
「だから彼女いねーから」
『……別に隠さなくてもいーじゃん』
「だからいねーって……」
『…………』
「…………」
『…………』
「……はぁー……お前さぁ」
『…………なに』
「自由の『由』に希望の『希』だろ?」
『…………』
「これ『ユキ』じゃねーから。『ヨシキ』だから」
『…………』
「わかった?」

838初めてはレモン味:2013/08/30(金) 00:05:34 ID:ye//j46.
『…………』
「…………」
『…………』
「…………」
『…………マジ?』
「電話してみるか?」
『……しなくていい』
「…………」
『…………』
「…………」 チラ
『…………』
「……なに照れてんの」
『照れてない』
「耳赤いぞ」
『うるさい』
「勘違いしてごめんなさいは?」
『……うるさい』
「…………」
『…………』
「…………」
『……死にそう』
「…………」
『…………』 ムク
「…………」
『…………』 スタスタ
「……おい」
『…………なに?』
「枕は置いてけよ」
『うるさい』
「いやそれ俺の枕だから」

839初めてはレモン味:2013/08/30(金) 00:06:06 ID:ye//j46.
『……今顔見られたくない』
「…………ほーん」
『…………』
「…………」 スタスタ
『ぇ……? ……あ、ちょっと……』
「なに?」 スタスタ
『ちょっ、なに? こっち来ないでよ』
「気のせいだって」
『いやわかるから。お兄の気配がするから』
「忍者かよ……」 ガシ
『やめっ……ちょっとやめてって』
「枕取り返すだけだから」 ググ…
『わかったわかった返すから』
「から?」
『ちょっと目ぇつぶってて』
「なんで?」
『…………今顔見られたくないから』
「はい無理ー」 バッ
『あっ……!』
「…………」
『…………』
「……なにニヤニヤしてんの?」
『してない』
「すげーしてるよ」
『してないって』
「なに? 嬉しいの? 由希が彼女じゃなくて嬉しい?」
『うるっさい』
「じゃあなに?」
『お……お兄の顔面が破滅的に面白いから……』
「……へー……」

840初めてはレモン味:2013/08/30(金) 00:06:31 ID:ye//j46.

『……なに』
「…………」
『…………』
「…………」
『…………?』
「…………なぁ」
『……なに』
「…………キスして良い?」
『……は? …………は!?』
「…………」
『……は……え?』
「…………」 ヒョイ
『ちょっ……!?』
「…………」 ポイ
『った……!』 ボフ
「ほら、目ぇつぶれ」
『え? え?』
「すっから目ぇつぶれって」
『な、なんで……?』
「お前が可愛いからだろ」
『ぇっ……』
「…………」
『ぇっ、ぁっ……』 キュッ…
「…………」
『〜〜〜っ……!』
「…………」 スッ…



ベチ

841初めてはレモン味:2013/08/30(金) 00:07:12 ID:ye//j46.
『った!?』
「嘘だバカ」
『…………は? ……はぁ!?』 バッ!
「なに本気にしてんだバカ」
『は!? なんっ……!? はぁ!?』
「うそでーす。キスとかしませーん」
『っ……!! ……っ……はぁあぁああぁあぁぁああぁぁぁぁ…………』 ボフ
「ばーか」
『…………ありえん』
「はいはい」
『ありえねー……』
「希望もたせてごめんねー」
『…………別に望んでない』
「へー」
『…………はぁ……』
「…………」
『…………』
「…………」
『……ねぇ』
「ん?」
『……誰にでもこんなことすんの?』
「は? しねーよ」
『ほんとに?』
「ほんと。マジ」
『…………なにそれ』
「別に」
『…………』
「…………」
『…………お兄』

842初めてはレモン味:2013/08/30(金) 00:07:50 ID:ye//j46.
「なに」
『……キスしよっか』
「したいの?」
『…………うん』
「ふーん」
『…………』
「……いいよ」
『…………はぁ』
「顔上げろって」
『どーせまたデコピンでしょ』
「しねーよそんなこと」
『……さっきした』
「さっきのは嘘だし」
『…………』
「…………」
『…………』 ムク

843初めてはレモン味:2013/08/30(金) 00:09:15 ID:ye//j46.





『』

844初めてはレモン味:2013/08/30(金) 00:09:38 ID:ye//j46.
「ん…………」
『…………』
「……なんか喉乾いたな」
『…………』
「麦茶飲んでくるわ」 スタスタ
『…………』
>ガチャ、バタン
『…………』
『…………』
『…………』 ボフッ
『…………』
『…………』 ピ、ピ、ピ、prrrrrr
『……あ、友?』
『なんかさぁ…………なんか……』
『……レモンみたいな味した……』

845初めてはレモン味:2013/08/30(金) 00:10:01 ID:ye//j46.
終わり
久々に湧いたので

846以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/30(金) 06:22:35 ID:???
相変わらずこの妹は可愛すぎて困るね!
ニヤニヤが止まらねえぜ!

847以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/15(日) 22:34:01 ID:???
久々に投下しようとしたら規制されていたので。
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2805.jpg

848以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/15(日) 22:41:16 ID:???
おお、久しぶりや〜。相変わらず可愛い。
もっと描いて欲しいわぁ

849以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/16(月) 05:50:05 ID:???
>>847
超久し振り!!
かなみさん可愛いwwwwww

850以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/16(月) 11:26:59 ID:???
>>847
マフラーくんかくんかしてるかなみんくんかくんか

851以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/31(月) 18:53:55 ID:FgFuLhrk
そんなことよりちょっと俺の話聞いてくれよ

草木も眠る丑三つ時、俺はツンデレと怖い映画観てたの

というのもツンデレオカルト好きでさ

俺は逆に怖い奴苦手なのに道ずれにしてくるの

そんでわざわざ電気消して怖い映画見るのが最近の流行みたいでさ

最初は馬鹿正直に観てたんだけど今は違ってね

そろそろおばけ出る場面になりそうだなって感じたら夜食作りに台所逃げるの

そして出終わったの見計らってラーメン持って入室

すればツンデレ、おいしそう、言うから一口あげる訳

なら映画終わった後決まって、食った分やせる、って腹筋とストレッチしてさ

俺もプニプニの足とかふっくら背中押して補助すんの

だけど補助する度思うんだけどツンデレすぐ肉付く体なのかもね、気持ちいいからそのままでも良いけど

このまま一口ずつラーメンあげてたらゆっくりと、しかし確実に太っていくだろう

つまり、ツンデレは嫌がるだろうけど、俺と結婚するしか道は残ってないね、って話

852以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/03/31(月) 18:55:09 ID:FgFuLhrk
そんなことよりちょっと私の話聞いてほしいんだけど

草木も眠る丑三つ時、私はアイツと怖い映画観てたの

というのもアイツオカルト嫌いでさ

怖い心霊写真とか見て騒いでるの可愛いから道ずれにしてやるの

そんで雰囲気出しに電気消して怖い映画見るのが最近の流行でさ

最初はアイツ私の手ギュッと握って観てたんだけど今は知恵つけてね

そろそろおばけ出る場面になりそうだなって感じ取ったらラーメン作りに台所逃げるの

アイツの作るラーメンは煮込みすぎで麺ブヨブヨ、卵グチャグチャにかき混ぜて七味ぶっかけたヤツでさ

なのに何か不思議と妙においしそうで毎回一口もらうの

だから映画終わった後食った分やせるために腹筋します

すればアイツ足持ってくれて応援してくれてさ

ついでにふくらはぎ揉んで脂肪燃焼させてくれるし

だけどアイツと違って私太りやすいから、私の真横で夜食食べるアイツにも責任ちょっとあるよね

つまり、アイツは嫌がるだろうけど、私と結婚するしか道は残ってないの、って話

853以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/04/29(火) 23:31:48 ID:???
>>851
あなたの書くツンデレが大好きです!


・姉纏さんと職業意識

弟「うぁー……ダルかったぁ……」

姉「お帰り。何やら大儀そうにしておるのぅ」

弟「就活しんどい……説明会行っただけで死にそう……」

姉「なんじゃ、そんなことかえ。そのくらいお主と同い年の大学生なら誰でもやっとるじゃろうが。あまり甘えるでない」

弟「そりゃそーだけどさぁ……こっからさらに面接とかでふるいにかけられて、それでやっとスタート地点ってなぁ」

姉「人生は長いのじゃぞ?その程度のことでくじけてどうするんじゃ!」

弟「あーあ……姉ちゃんはいいよなぁ。家業さえ継げば後は何も言われないんだからさ」

姉「何をぬかすか。お主なんぞがうちの家元になりおったら、三日ともたずに挫折するわい」

弟「つーかさ、華道の家元ってどうやって稼いでんの?具体的な金策が全然見えないんだけど」

姉「そりゃあ華を活けて稼ぐに決まっておろう。茶会に呼ばれて華を活けたり、弟子の指導に当たったりの」

弟「それって、一回幾らくらいになんの?」

姉「俗な質問じゃのう……まぁ、羽振りの良い御家なら、一時に十人の諭吉を包むところはあるかの」

弟「うへぇ……なんじゃそりゃ。就活やる気無くすわー」

姉「その代わり、衆目監視の中で一息足りとも気の抜けぬ時間が、長い時では一日中続くこともざらじゃがの?」

姉「三十分も正座がもたぬ主にはとても勤まらぬ仕事じゃわい。諦めよ」

弟「……俺、やっぱり普通に就活するわ」

姉「そうせい、そうせい」

854以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/04/29(火) 23:47:34 ID:???
・姉纏さんとファンクラブ

弟「やっぱ楽に稼げる方法なんかねーかー」

姉「当たり前じゃ。地道が近道とよく言うじゃろが」

弟「へーい……」

姉「……しかしまぁ、儂の場合は後援会の援助なんぞもあるにはあるがのぅ」

弟「後援会!?姉ちゃん、後援会なんか持ってんの!?」

姉「うむ。何やら近所の有志が儂のために集まって、地域ぐるみで後押ししてくれとるようじゃの」

弟「知らんかった……姉ちゃん超有名人じゃん」

姉「うちのような小さな華道の家元がやっていけておるのは、ひとえにその人らの力添えがあったからじゃ」

弟「へぇー、姉ちゃんってすげぇや」

姉「じゃが……年寄りの性というのか、たまに儂を着せ替え人形か何かと勘違いして、なんやかやと儂に召し物を着せようとするのは正直参っとる」

弟「そんなことまでしてくんの?」

姉「日頃世話になっておるから無下にも出来ぬのよ……おかげでずいぶんと恥ずかしい格好もさせられたものじゃ」

弟「……たとえば?」

姉「白塗りで舞妓の衣装をやらされたり、その気もないのに文金高島田を着させられたり、時代劇のような姫の衣装を着させられたり……」

弟「……そりゃ大変だ」

姉「おまけにそれを写真に収めて保存しよるからのぅ……あまり良い顔ばかりもしたくないのじゃが、困りものじゃ」

弟「……姉ちゃん。それって後援会じゃなくて、ファンクラブっていうんじゃね?」

姉「……そうかもしれぬ」

855以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/04/30(水) 22:36:49 ID:???
・姉纏さんと花嫁のヴェール

弟「姉ちゃん、いいもんやるわ」

姉「うん?なんじゃと?」

弟「ほら、これ。プレゼント」

姉「これは……?」

弟「いつも世話してもらってるお礼に。春物のストールだよ」

姉「ほ、ほほう……主にしては気が利くではないか。まさか儂に贈り物とはの」

弟「姉ちゃんに合いそうなのとかよく分かんなかったから、色は無難に白にしたけどそれで良かった?」

姉「う、うむ……」

弟「なに照れてんだよ、別に他意はないからな?」

姉「てっ、照れてなぞおらんわ!!馬鹿にするでない!!」

弟「あーはいはい……(こりゃ逆に地雷だったかな?)」

姉「……の、のう。タカシよ」

弟「ん?」

姉「これな、色が白じゃから、こーして頭から被ると、花嫁のベールのように見えぬか?」

弟「ん……まぁ、見えないこともないけど」

姉「そ、そうか!そうじゃよな!」

弟「……?」

姉「うむ、うむ!」ニコニコ

弟「なにあの笑顔……初めて見る顔なんだけど」

その日一日中、姉ちゃんはベールを被ったままやたらと俺にべたべた引っ付いて来て困りました。

856以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/04/30(水) 22:48:18 ID:???
纏ねーさんかわいい。結婚するしかない。

857以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/04/30(水) 22:55:46 ID:???
・キスの音


友「ねーねー、キスの時ってどんな音がすると思う?」

女「音?キスの音気にするなんて初めて聞いたわよ?」

友「ほら、チュッとかブチューとか、レロレロとかあるじゃん?あれ自分からはどう聞こえるのか気にならない?」

女「そんなこと考えるの友ちゃんくらいよ……」

友「だって私経験ないんだもん、やったことないことは気になるじゃない!かなみはどんな音だと思う?」

女「え、えーと……やっぱり漫画とかみたいにチュッて音がするんじゃない?」

友「ふんふん」

女「でも正直、いろんな感触とかで頭ごちゃごちゃして、音まで気が回らないってゆーか……あ、あくまで想像だけどね?」ゴニョゴニョ

友「なにそれ?まるでしたことあるみたいな言い方ね?」

女「そ、そんなワケないじゃん!!誰がタカシなんかと……」

友「……かなみ。私、タカシくんの名前出した記憶は一度もないんだけど」

女「えっ……あっ!?」

友「そっかぁー、かなみはすでにキス経験者なのかぁー、うっらやましーい。私も山田にでも頼んでやってみようかしらねー」ヲホホホ

女「ち、違っ……今のは言葉の綾だよ!!やってないから絶対!!」

友「語れば語るだけ泥沼じゃない……どんだけ嘘つけないのかしら、この娘」


このあと無茶苦茶チュッチュした。(タカシ談)

858以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/04/30(水) 23:00:33 ID:???
>>857は中学生くらいの年齢で補完していただければ。何にでも興味津々な年頃の女の子ってかわいいよね!

859以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/04/30(水) 23:04:15 ID:???
中学生友ちゃんの唇奪いたい

860帰省:2014/05/02(金) 12:56:09 ID:p8opL50k
『ただいまー……あれ?』

『(見慣れない靴……誰か来てるのかな)』

『お母さん、お客さん来てるの?』ガチャ

「お、久しぶり」

『……』

「……」

『……』パタン…

「おい」 ガチャ

『……兄貴?』

「あー……はい」

『……なに急に帰ってきてんの?』

「実家に帰ってきてわりーかよ」

『……』

「……」

『……久しぶり』

「おう」

『……いつきたの』

「お前が学校行ってる間」

『あっそ』

「……」

『……』

「びっくりした?」

『……しt、ない』

「どっちだ」

『うっさいばか』

861帰省:2014/05/02(金) 12:57:29 ID:2LKzVuQw
「……」

『……』

「……」

『……』

「……いつまで後ろ向いてんだ」

『……別に』

「久しぶりに聞いたわ、それ」

『……ばか』

「こっち向いて」

『……なんで?』

「別に?」

『……』

「……」 グイ

『……』 クル

「……」

『……』

「化粧……するんだ、な」

『……悪い?』

「……いんじゃね」

『……』

「ピアスなんかつけちゃって」 スッ

『……穴開けたわけじゃないもん』 ペチ

862帰省:2014/05/02(金) 12:59:01 ID:2LKzVuQw
「ふーん」

『……』

「……」

『……』

「……彼氏でもできた?」

『』 ビク

「―――……へぇ」

『!! ち、っが……!』

「やっとこっち見たな」

『!』

「……なに赤くなってんだよ」

『……違うし』

「なにが?」

『……』

「……」

『……なんもしてないもん』

「だからなにが」

『彼氏』

「でもいるんだろ」

『いるけど……20人目ぐらい』

「3年で……ビッチか」

『違うってば!!』

「ぅぉっ……」 ビク

『っ……』

863帰省:2014/05/02(金) 13:00:01 ID:2LKzVuQw
「……」

『……』

「……」

『……』

<ガチャ

母『ただいまー……あら? あんた帰ってたの?』

「お? あ、おう。ただいま」

『……』 スタスタ

「……」 ガシ

『!?』

母『来る時は連絡ぐらいしなさいよ。材料買い足さないと……』

「あ、晩飯はこいつと食いに行くから」

『は?』

「いいっしょ?」

母『そうなの? じゃあゆっくりしてるわ』

『ちょっ……』

「じゃ、行ってきます」 グイ

母『いってらっしゃい』

<バタン

864帰省:2014/05/02(金) 13:00:46 ID:2LKzVuQw
〜駅〜

『ちょっと』

「あ?」

『……どこまで行くの?』

「別に、考えてない」

『は?』

「……」

『ご飯ならその辺でいいじゃん』

「まだ昼過ぎじゃん。腹減ってんの?」

『そうじゃないけど……』

「いいから」 グイ

『……離してよ』

「逃げるじゃん」

『……、……離して』

「……」

『……』

「……俺のこと嫌いになった?」

『…………は?』

「……」 プイ

『……』

「……」

『……どういう意味』

「別に」 グイ

『ちょっと……』

「いいから」

『……ばか』

865帰省:2014/05/02(金) 13:01:44 ID:2LKzVuQw
〜〜

「……」

『……』

「……」

『……』

「……」

『……ナニコレ』

「ラブホ」

『(1時間も移動してラブホ……)』

『……なんでラブホ』

「……ラブホですることなんて一つだろ」

『は?』

「……」 グイ

『あっ』 ボス

「……」 ガシ

『!』

『(手首……抑えられて……)』

「……」

『……』

「……」

『……』

「……」

『…………?』

「……」

866帰省:2014/05/02(金) 13:02:37 ID:2LKzVuQw
『……なに?』

「……いや……抵抗しないから」

『は? ……え?』

「……」

『……! ……っ』 プイ

「顔赤いぞ」

『別に』

「―――いな」 ボソ

『……なんtぇんぅっ……!?』

「……ん」

『……っ……は……ふ……』

「……」

『……いきなりすぎ』

「不意打ちじゃなかったらキスしてもいいのか」

『ばか』

「……」

『……』

「彼氏は?」

『……(今きくかフツー……)』

『……いる』

「どうする」

『……なにが』

「……する?」

『……なにを』

「セックス」

867帰省:2014/05/02(金) 13:03:30 ID:2LKzVuQw
『……』

「メイクラヴ」

『……』

「子作り」

『……妊娠させんのかよ』

「したらどうする?」

『…………別に』

「……あっそ」 パ

『……』

「……」

『……手首痛い』 サスサス

「わり」

『……』

「……」

『……』 グイ

「ん?」

『……』 ポテ

「……」

『……』

「……俺の腕より寝心地のいい枕ならそこにあるぞ」

『うるさい』

「……」

『……ドキドキしてる』

「お前が?」

『お兄が』

868帰省:2014/05/02(金) 13:04:37 ID:2LKzVuQw
「……」

『……』

「……お兄、って……懐かしいな」

『は? ……あっ』

「兄貴、なんて言うからびっくりした」

『……うるさい』

「俺のこと忘れたかと思った」

『……』

「俺のこと嫌いになったかと思った」

『……ばか』

「……」 ナデナデ

『……』

「……」

『…………お兄が……勝手にどっか行くのが悪い』

「……」

『……』

「……」 ギュム

『んむっ』

「……俺の心臓、わかるか?」

『……』 コク

「……」

『……ドキドキしてる』

「……他の女だったら、こんなんならねー」

『!』

「……」

『……』 ギュウ

「……」

『……』

「……」

869帰省:2014/05/02(金) 13:05:25 ID:2LKzVuQw
『…………めっちゃドキドキしてる』

「……俺が?」

『………………あたしが』

「……」

『……』

「……」

『……』

「……」 クイ

『ん……』

「……―――」

『……―――』



『』



「……ん」

『ん……』

「かわいい」 ナデ

『……ばか』 ギュ

「……」 ギュ

『……』

「……」

『……お兄?』

「あ?」

『……他の女って……なに?』 ギロ

「えっ」

870帰省:2014/05/02(金) 13:05:45 ID:2LKzVuQw
〜〜〜
〜〜


「……はぁ」

『まったく……』

「お前だって彼氏つくってたじゃん……」

『あたしは手も握ってないもん』

「……でもいたんだろ」

『告られたから合わせただけ』

「…………はぁ……」

『……なんで出てったの』

「……」

『……』

「……」

『……言わないと嫌いになる』

「卑怯だぞ」

『ばか。はやく』

「……お前が大事だからだ」

『……』

「……」

『……』 ベシ

「いてー」

『ばか、あほ、死ね』 ベシ、バシ、ドス

「やめろボケ」 ガシ

『……』

「……なんだよ」

『……そんなこと言われたら……。…………怒れない』

「…………愛いやつ」

『…………うるさい』

871帰省:2014/05/02(金) 13:06:10 ID:2LKzVuQw
おわり
長過ぎた…

872以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/02(金) 13:08:22 ID:???
実妹との恋愛とか……ふぅ


GJ

873以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/03(土) 12:41:33 ID:???
雰囲気がドキドキする

GJ

874以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/04(日) 18:56:54 ID:PbNA3tb.
書き上がったら予想外に長くなってしもた。

14レスお借りします。

875以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/04(日) 18:57:34 ID:???
・夢なら許される


ーーーー
ーーー
ーー


男(……あっるぇー?なんだここ?なんで俺こんなとこにいるんだ?)

男(ちょっと状況を整理しよう。俺は大学のサークル仲間と飲んで自宅へ帰ってきたはずだ)

男(たしか、けっこう酔ってたからそのまま部屋でバタンキューだったはずなんだが……)

男(……俺の部屋って、こんな真っ暗だったっけ?それとも酔っ払って部屋間違えた?)

男(自分の手先足先さえ見えん……どーなってんだこりゃ?)

女「……タカシ?」

男「その声……リナか!?」

女「そうですわ」

男「お前、なんで俺の部屋にいるんだ?」

女「いるに決まってますわよ。だってここは、タカシの夢の中ですもの」

男「……んん?」

.

876以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/04(日) 18:58:20 ID:???
.

男「夢?これ夢なの?」

女「そうですわ。これは酔い潰れたタカシの見ている夢ですの」

男「あぁ……そうなんだ。だから周りが真っ暗なんだな……まるで俺の人生のようだ、ワハハハ」

女「……」

男(……ここで俺のことバカにしたり憐れんだりしない辺り、本当に夢なのかもしれん)

女「……タカシ。あなた今、私のこと考えていましたわね」

男「おえっ!?な、なんでそれを!?」

女「分かりますわよ。だって私は、あなたの夢の登場人物ですのよ?」

男「あぁ、なるほど……なんか一人でボケて一人でツッコんでるみたいだな、俺」

女「……ねぇ、タカシ」

男「お、おう。なんだ、リナ?」

女「これが夢なら、私がここで何をしても許されると思いませんこと?」

男「そりゃ、夢なんて人に許可を求めるようなもんじゃないしな……でも痛そうなのは勘弁して欲しい」

女「そう……そうですわよね」モゾモゾ

男「……なんかモゾモゾ動いてる気配がするぞ?」

女「……タカシ」ピト

男「うぇっ!?」

.

877以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/04(日) 18:59:12 ID:???
.

女「……私、ずっと昔から、タカシとこうしたいと思っていましたの」ギュッ

男「リ、リナ?胸らしきものが当たってムニムニしてるぞ?いいのか?」

女「気にする必要なんかありませんわ。だってこれは、タカシの見ている都合の良い夢なんですもの」

男「いや、夢にしてはやけにリアリティーが……」

女「タカシ」

男「あ、はい。なんでしょう」

女「愛しています」

男「へ……?あ、え、っと。い、今なんて?」

女「愛していると、言いましたのよ。現実の神野リナが、こんなことを言うとお思い?」

男「……口が裂けても言わないだろうな。ってことは、やっぱりこれは夢なのか」

女「そう。やっと納得しましたのね」

.

878以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/04(日) 18:59:55 ID:???
.

男「夢だと思うとちょっとほっとしたな……俺今どこにいるんだろうと思ってた」

女「あら。たとえどこにいようと、私からは逃れられませんことよ?」スリ

男「……夢ん中のリナって超デレデレだな。なんか逆に気味悪ぃ」

女「何をおっしゃってるの……夢の私がこうなのは、タカシが深層心理でこうなって欲しいと思っているからですわ」

男「あぁ……そうなのか。そう言われると心当たりがない訳じゃないけど」

女「でしょう?……だから夢の中でくらい、私をタカシの好きにしてよろしくてよ?」

男「え、そんなことまで言っちゃうワケ?」

女「もちろんですわよ。夢の中でしか叶わないことがあるなら、ためらう必要などありませんでしょう?」

男「そうか……そうだよなぁ。それなら……」

女「……!」ドキドキ

男「俺、昔っから決めてたんだ。夢で好きな女が出てきたら、おもいっきりキザな台詞で口説こうって」

女「……え?」

男「これはその願いを叶えろという天恵だと受け止めたぜ。覚悟しろ、リナ」

女「そういうことではなかったのだけれど……まぁ良いですわ」

.

879以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/04(日) 19:00:19 ID:???
.

女「では、タカシ。私のこと、持てる全力で口説いてご覧なさい」

男「あぁ……リナ。俺さ、初めてリナに会った時から、お前のことずっと好きだった」

女「……はい」

男「ガキの頃は、なんて高飛車でイヤな奴だと思ってたけど、今思えば昔っから、それと同じくらいお前の魅力にやられてたんだよな」

女「……そうでしたの」

女「お前がコンプレックスだって言ってたそのブロンドも、お前が疎ましく思ってたその性格も、何もかも好きだ」

女「……うん」

男「リナ、愛してる。他の何にも例えようのないくらい、お前のこと大好きだ」

女「……うん、うん」

男「別府タカシは、たとえ砂を噛み泥にまみれても、神野リナのことを愛し続けることを、誓います」

女「……」

.

880以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/04(日) 19:01:07 ID:???
.

男(……うおおおおお!!言い終わって冷静んなると恥ずかしいなんてもんじゃねえええええ!!)

男(もしかしてドン引きしてたりしないよな?してないよな!?)

女「……タカシ」

男「は、はい!!」

女「ありがとう……私、とても嬉しいです」

男「……え、マジで?」

女「ええ。まるでこの世が全て違ったものに見えるくらい、清々しい気持ちですわ」

男「……お前も俺に負けず劣らず恥ずかしい奴だな。いや夢の中なら当然なんだけど」

女「私も改めて、あなたに心を伝えることにしたいのだけれど、聞いていただけますかしら?」

男「あ……うん、どうぞ」

女「……タカシ。私も、あなたのことが好き。大好き!」

女「たとえ百年の時が経っても、私のこの気持ちを覆すことは、叶いませんわ!!」ギュゥゥッ

男「おおう……なんて情熱的な告白。お前こんなキャラだったんか」

.

881以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/04(日) 19:01:38 ID:???
.

女「あぁ……胸がドキドキして止まらない。タカシにも聞こえていまして?」

男「いや……言っとくけど俺の心臓もすげぇバクバク言ってるからな。相殺されて何も聞こえん」

女「そう……私の言葉でそうなったのなら、女冥利に尽きますわね」

男「なぁ、リナ……お前今、どんな顔してる?」

女「……どんな顔、って言いますと?」

男「真っ暗でお前の顔が見えないから、本当に喜んでるのかワカンネーんだよ」

女「……喜んでますわよ。でも、嬉しいのと同じくらい泣きたいような気持ちにもなっていますの。なんでかしら?」

女「タカシには到底見せれない、泣き笑いみたいなおかしな顔をしていると思いますわ」

男「そっか……見たかったな、お前の顔。夢から覚める前にさ」

女「……あのね、タカシ」

男「なんだ?」

女「タカシがそこまで言うなら……私の顔、見せて差し上げてもよろしいですわよ?」

男「……え?」


*鼹鼹顥僖船鵐*

.

882以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/04(日) 19:02:19 ID:???
.

男「え、ちょ、おま……」キョロキョロ

男「ここ、俺の部屋じゃねーか!?」

女「ええ」

男「ええ、じゃねーよ!!お前人の部屋で何してんの!?」

女「タカシが酔い潰れて玄関開けっ放しで寝ていたから、イタズラを仕掛けましたのよ?」

男「イタズラって……あれ!?よく見たら家具の配置とか変わってる!!それに窓も……」

女「もちろん私一人では手に余りますから、協力者はいますけれどね」

女「もう出てきてもよろしくてよ。友子、山田さん」

友「はいはーい」ヒョコッ

山「おーっす」ヒョコッ

男「げえぇっ!?」ビクゥッ

.

883以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/04(日) 19:02:47 ID:???
.

男「お前ら……いつからここに?」

友「最初からに決まってるでしょ」

山「タカシの恥ずかしい台詞も全部聞いてたよー」

男「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!嘘だろぉぉぉぉぉぉぉ!!」

女「本当ですわよ。私が二人に頼んで、押し入れに待機してもらっていましたから」

友「そこの窓に貼ってある暗幕、私が写真の現像に使う時のヤツよ。光が外から漏れてこないように目張りしてたの」

山「あとは体に触れそうな家具をどけて、音の鳴る物を隠せば、夢を演出する真っ暗闇の出来上がりってことだよ」

女「それにしても、あそこまで簡単に夢だと信じるとは思っていませんでしたけれどね」

男「うるせー!!俺だって途中から薄々勘づいてたわ!!」

男「俺とリナしかいないと思ってたから、お前に乗っかってやったのに……」

女「あら、そうでしたの」

.

884以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/04(日) 19:03:54 ID:???
.

男「だいたいなぁ、こういうイタズラは夢のままで終わらすもんだろーが!!ネタばらしまでしたら興醒めだろ!?」

山「なんかスッゴい理不尽な怒り方してるなぁ……」

友「でも、そこは私も不思議だったのよねぇ。たしか最終的にタカシを強引に寝かせつけて、夢だと思わせたまま帰るつもりじゃなかったの?」

女「だって……あまりにも喜びが勝ってしまって、夢で終わらせるのがもったいなく思えてしまったんですもの」

男「うぐっ……そ、そういう言い方をされると怒りにくいな」

女「けれど、イタズラの最中に私が口にした言葉に、嘘偽りはありませんわよ?タカシはいかがですの?」

男「そ、そんなもん……本心に決まってるだろーが……」ブツブツ

友「本心であんなこと言えるのってすごい才能よねー」

山「天然ジゴロだね、タカシは」

男「そこ!うるさい!」

.

885以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/04(日) 19:04:38 ID:???
.

男「ああああ……いっそ全部本当に夢だったら良かったのにぃぃぃぃ……!!」

友「わー、すごーい。本物のレイプ目って初めて見た。写真撮っとこ」

山「友ちゃん……それはさすがにタカシが可哀想だから自重してあげよう?」

女「……私は、夢だったら良いなんて思いませんわ」

女「だって今夜は、私が長年胸に募らせていた思いが、叶った日ですもの」

男「お前はいいよ、イタズラ仕掛けた側だからダメージは少ないだろーさ……」

男「俺はこっ恥ずかしい告白の台詞聞かれて、半永久的にからかわれることが確定してるんだぜ……?」

女「全く、呆れたダメ人間ですわねぇ。そんなことでヘタレていて、私への責任が取れると思ってますの?」

男「……は?俺に何の責任取る必要があんだよ?」

女「分かっていませんわねぇ。それなら説明して差し上げますわ」

.

886以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/04(日) 19:05:06 ID:???
.

女「いいですこと?これが夢の中なら、あなたも私も、何をしても許されますの」

男「あ、ああ……そんなこと言ってたな」

女「けれど、ここは夢ではなく現実ですわ。現実なら、自分の言動には責任を取れなければならない」

女「それくらいは、いくらあなたでも存じてますわよね?」

男「なんという我が儘な理屈……こっちはハメられただけなのに」

女「それが出来なければ、あなたの言う嘘偽りない言葉は、その程度の物だったということになってしまいますわよ」

女「あなたそれでもよろしいのかしら?」

男「ああ、分かった、分かったよ!!責任取って、俺がお前を世界一幸せにしてやるよ!!これでいいのか!?」

女「そんなヤケクソで、私を幸せになんか出来ると考えない方がいいですわよ」

女「だって私、もうすでにこの世で一番幸せな女に、なっていますもの」

男「ぐぬぅっ……そこまで言われちゃ、俺も腹括らない訳にはいかないじゃんかよ」

.

887以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/04(日) 19:05:36 ID:???
.

友「あーあ、なんて言うか、私ら壮大なノロケを聞かされただけだったみたいねぇ」

男「の、ノロケってなんだよぉ!!こっちは被害者だっつーのに!!」

山「僕らはもうおいとまするから、タカシは神野さんと親睦深めてなよ」

男「うっせ!!二度とくんな!!」ペッペッ

友「あ、そーそー。それとねタカシ。リナは敢えて言わなかったけど、その娘ホントは今夜、あんたと既成事実作っちゃうつもりだったんですって」

女「と、友子!!それは言わない約束でしょ!?」

友「だってあんたたちばっかり幸せそうにして不公平なんだもーん」

山「もしそうなってたら、僕らはこっそり外出とくつもりだったんだけどね」

男「おいおい……お前らどんだけ用意周到なんだよ……」

友「でももしかしたら、リナはまだそのつもりでいるかもしんないわよー?」

山「殿、ゴムはこちらに。あとは貴殿の心次第にございます」スッ…

男「ここへきて山田もノリノリに!?お前らの用意したゴムなんざ怖くて使えねーよ!!」

友「ま、そゆことだからリナをよろしくねー!」

山「じゃあね。結果は明日聞かせてくれればいいから」

男「おい、待てお前ら!!おーーーーーーーーーい!!」

.

888以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/04(日) 19:06:12 ID:???
.

男「バカ野郎どもが……ゴムだけ残して行きやがって……!!」

女「……」

男「あー、リナ。あいつらの言うこと真に受ける必要ないからな?告白した当日に関係持つなんてエロゲみたいな展開、いらんよな?」

女「……わ、私は……別に、構いませんことよ……?」

男「え、いやいや。そりゃお前はそのつもりだったからいいかもしれないけど……」

女「夢の中で致してしまうより、こうして現実でタカシを感じながらの方が、良いに決まってますわ」

男「お前なぁ……ちょっと落ち着け。俺だって酒抜けきってないんだから、何するか分かったもんじゃねーぞ?」

女「……意気地無し」グィッ

男「うおっ!?」

女「……私が良いと言っているのだから、私の言う通りにすれば良いでしょう!」ガバッ、チュウゥゥッ!!

男「んっ、んんーーーーーーーッッッ!!?」



……その日、俺の初めては、リナからの逆レイプで奪われました。多分世界一幸せな逆レイプだったと思います。


<了>

.

889以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/04(日) 19:07:13 ID:???
おしまい。>>881の最後の行が文字化けしてますが、「パチン」という電気をつけた音が入ります。

もう少し夢の中でイチャイチャさせてみたかった。

890以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/05(月) 09:59:47 ID:???
GJ
夢オチの流れからの責任取らせるあたり周到だなww

891以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/06(火) 21:37:34 ID:???
>>870
すんばらしい……GJ!

>>889
リナ強引かわいいよリナ

892おじさまと:2014/05/20(火) 22:36:15 ID:???
午後10時。駅前広場の中央、ヘンテコな形のオブジェの前。
そこがいつもの待ち合わせ場所。
「(……いた)」
コートのポケットから片手を出し、口元まで覆うマフラーを少し緩めて歩き出す。
10歩手前ぐらいのところで、少し背の高めの中年男性が、私に気付いて手をあげた。
「やあ、今日も寒いね」
「……ども」
気さくな雰囲気のおじさまは、地味な色のスーツの上に地味なコートを重ね、全体的にくたびれている。
顔の皺と頭髪に混じる白髪が、アンティークのような程良い年季を感じさせる。
私がこれからこのおじさまとしようとしているのは、世間で言うところの、所謂『援交』だ。
『援交』と言ったら、嫌悪感を示す人は少なくないだろう。
売女と蔑む人も、頭も股も緩い女と馬鹿にする人もいるだろう。
しかし一口に『援交』と言っても、その内容は二つに大別できる。
要するに、身体を『許す』か『許さない』かだ。
私がしているのは後者である。
お金のために身体を許すなんて馬鹿げてる。
でも、お金は楽に稼ぎたい。
一回会って、ご飯を一緒に食べたり、ちょっとお話するだけで5千から2万。
身体を使わない分貰えるお金は減るけど、それでも小遣い稼ぎとしては十分な金額。
世の中には性欲と金を持て余した変態だけではなく、ただ寂しさを埋めたいだけの大人もいるということだ。
「それじゃあ行こうか」
「うん」
他人からすれば、もしかしたら父娘に見えなくもない年齢差。
横に並んで歩く時の、赤の他人よりも僅かに近いその半端な距離が、そのイメージを更に強くさせる。
「今日の学校はどうだった?」
「別に、いつもどーり」
「そうかい」
歩きながら話すその内容も、簡素で他愛ない。
まるで、娘との付き合い方がわからない父親と、父親への反抗期が抜け切らない娘のような会話だな、と頭の隅で思った。

〜〜

893おじさまと:2014/05/20(火) 22:37:18 ID:???
〜〜

駅前の通りから少し外れ、行きつけの24時間営業スーパーに入る。
何をするためかと言えば、もちろん買い物をするためだ。
とは言っても、出来合いのお惣菜と、お酒と、おつまみぐらいしか買うモノはない。
おじさまの持つ買い物カゴに選んだ品を放り込むと、カゴの中の品々を見ておじさまがポツリとつぶやく。
「久々に手料理が食べたいなぁ」
「ヤダ。めんどくさいもん」
……できないわけじゃないんだからね?
念のため。
残念そうな顔をするおじさまを置いてさっさと買い物を進める。そういえば洗剤も切れてたっけ?
他にも足りなくなっているはずの日用品をカゴに詰め込んでいく。
一通り揃えたら、結構な量になってしまった。
「持つよ」
「別に、平気」
レジのおばさんはにこやかに対応してくれた。
仲のいい父娘、とでも思っているのだろうか。
「レジ袋はご利用ですか?」
「……はい」
一応、顔を覚えられないように俯き気味に返事をする。
このスーパーはもう何度も来ているので、既に手遅れかもしれないけど。
スーパーを出てまたしばらく歩くと、おじさまの住むアパートに着く。
簡素で、外観は少し薄汚れた感じのアパートだが、内装は思いの外綺麗で、始めて来た時は驚いた。
コートを掛けて、荷物を部屋の隅に追いやると、キッチンに向かう。
冷蔵庫の中身を確認して、炊飯器を開いた。
「……ちょっと、お米炊いてないの?」
「ああ、済まないね。今朝は時間が無くて。今支度するよ」
「いい。私やるから、先に着替えてきて」
おじさまはもう一度、済まないね、と言って、奥の部屋に消える。
私は米びつからお米を出して、お米を研ぐ。
……この作業、地味にめんどくさいんだよね。
本来ならレンジでお手軽の某ゴハンでもいいのだが、なんでもおじさまの実家は農家らしく、作ったお米を毎年沢山送ってくれるんだとか。

894おじさまと:2014/05/20(火) 22:38:12 ID:???
「ありがたいけど、一人じゃ食べきれないんだよね」とは、おじさまの言。
おじさまは、このアパートで一人暮らしをしている。
未婚なのか、それとも離婚したのかは知らない。
特別、知りたいとも思わない。
他人では無いけど、友人でも家族でも無い関係。
距離感は大切だ。
変に踏み入っても、お互い困るだけだろう。
研ぎ終わったお米を炊飯器に突っ込んでスイッチを入れる。
……暇になっちゃったな。
お惣菜を並べるだけなので、他の料理の下拵えも必要無いし、お米が炊き上がるまであと30分以上ある。
冷蔵庫からりんごジュースを出して、コップに注ぐ。
その場で飲み干して、もう一度注ごうとすると、丁度着替え終わったらしいおじさまから「僕にも貰えるかな」と注文があった。
「わかった」と一言だけ返事をして、食器棚からコップをもう一つ出す。
もはや、勝手知ったるなんとやら、だ。
家の中のことは、寧ろおじさまよりも把握しているかもしれない。
キッチンから出て、ダイニングへ。
おじさまはソファに座って、テレビを見ていた。
「ん」
「ああ、ありがとう」
コップを受け取ると、おじさまはジュースをちびちびと飲み始める。
私はおじさまの隣に座り、コップをくるくると回して弄ぶ。
テレビでは、殺人がどうの、海外がどうのと、アナウンサーが真剣な面持ちで報道していた。
この時間帯のニュース番組は、どれも暗い内容ばかりで楽しくない、と思う。
たまにはもっと明るいニュースでもやったらいいのに。
「チャンネル、変えてもいいよ」
不満が顔に出ていたのか、おじさまがリモコンを差し出してきた。
それを受け取り、私はチャンネルを回す。
しかし、どの局でも似たような内容のニュースが流れていて、私は無言でリモコンを突き返した。
「相変わらず、ニュースが嫌いなんだねぇ」
「暗い話が嫌いなの。真面目な顔して悪い報告ばっかして、馬っ鹿みたい」
「じゃあ、映画でも見ようか?」

895おじさまと:2014/05/20(火) 22:39:36 ID:???
「昼ドラがいい」
「ドロドロしてて暗いじゃないか」
「アレはフィクションだもん」
おじさまの苦笑いが気に食わなくて、背中をバチンと叩いてやった。
ジュースが鼻に入ったらしいおじさまのしかめっ面が可笑しくて、少しだけ笑った。

〜〜

録画してあった(私が以前、勝手にやっておいた)昼ドラを消化していると、キッチンの方から機械音のメロディーが響いてきた。
正直、炊飯器にこの機能はいらないと思う。無駄に長いし。
「あとは僕がやるよ。座ってなさい」
腰を浮かした私を制して、おじさまが立ち上がる。
昼ドラもイイところだったので、私は画面に意識を戻した。
母親の不倫が娘にバレて、さらにその相手が娘の彼氏という展開だ。
なさそうでありそう、ありそうでなさそう、でも、ドラマとしてはありがちな内容。
だからこそ、フィクションと割り切って楽しめる。
ドラマも、小説も、漫画も、アニメも、そういうところが良いと思う。
現実のことは捨て去って、頭を空っぽにしていられる。
楽ちん、だ。
勉強も、仕事も、人生も。
楽ちんが一番だ。
それが、一番効率的ということなのだし。
「はい、どうぞ」
ご飯がほかほかと湯気をたてて私の前に置かれる。
テーブルを見ると、既にお惣菜も並び終えていた。
小鉢や小皿に取り分けられたその群れを見て、私は不満を漏らす。

896おじさまと:2014/05/20(火) 22:40:20 ID:???
「わざわざお皿に盛り付けなくてもいいのに」
「食事は見た目も大事だからね」
のらり。
「洗剤の無駄じゃん」
「僕のお金だから」
くらり。
「環境破壊」
「この街の上下水道は優秀だから、きっと大丈夫さ」
ひらり。
おじさまには、何を言ってもこんな感じでふにゃふにゃと躱されてしまう。
そしておじさまは、「それに」と付け足す。
「お客様は、大事にしないと」
「…………」
……よく回る舌と頭だ。
何を言っても無駄と悟った私は、お箸を持って手を合わせる。
「……いただきます」
「いただきます」
インスタントの汁物は、ちょっとしょっぱい。
健康のことを考えると、味噌汁くらいはちゃんと作った方がいいかもしれない。
……別に、おじさまの話をしたわけじゃなくて、私の話ね。
高血圧とか、将来怖いし。
「だから手料理が食べたいって言ったんだ」
「……声に出てた?」
「いや」
おじさまはそこで言葉を区切ってから味噌汁を啜り、薄く笑う。
「そんな顔をしているよ」
「……」
見透かしたような態度に少しだけ腹が立つが、図星なのでこれ以上は何も言わないことにした。
おじさまは私の考えていることを言い当てることが多い。たまに外すけど。
昔、人間は歳をとると妖怪になると、ひいおじいちゃんに脅かされたのを思い出した。

897おじさまと:2014/05/20(火) 22:42:37 ID:???
横目ででおじさまの顔を見ると、済ました顔でお惣菜に舌鼓を打っている。
……妖怪に見えなくもなくも、ない……かも。
そんな私の視線に気が付いたのか、おじさまと目が合う。
「こんな妖怪を眺めていないで、冷める前にご飯を食べた方がいいよ」
「……」
悔しいので、無視してお椀に口をつけた。
……やっぱり、味噌汁は作ろうかな。

〜〜

夕食後、お皿を洗い終わってリビングに戻ると、おじさまはソファに身体を沈ませていた。
テレビに目を向けてはいるが、ぼんやりしていて、おそらく眺めているだけなんだろう。
そんなおじさまの隣に、わざと勢いをつけて腰を落とす。
おじさまの腰がソファから少しだけ浮いて、着地する。
おじさまは一瞬驚いたような顔をしてから、ゆっくりとこちらを向いた。
「ああ、もう終わったのかい。ありがとう」
「別に。何見てんの?」
「え? ……ああ、えーと……」
やはり、眺めていただけのようだ。
おじさまは、うーん、と唸った後、何かを思いついたように顔を上げた。
「バラエティ番組じゃないかな。この声には聞き覚えがある」
「見覚えじゃなくて聞き覚えなんて、変なの」
顔を覚えてる、ならわかるけど、声を覚えてる、なんて。このテレビの時代に。
ラジオの時代の人かよ。

898おじさまと:2014/05/20(火) 22:44:33 ID:QBUdmwBM
「髪、少し伸びたね」
そんなどうでもいい会話をしていると、おじさまの手が伸びてきて、私の肩にかかっていた髪を掬い上げる。
親指と掌に挟まれた髪は、するすると零れ落ちた。
別に、髪を触られることに嫌悪感はない。すごく嫌がる娘もいるけど。
何が面白いのか、おじさまは、髪を掬っては零し、零しては掬ってを繰り返す。
「綺麗だね」
「別に、手入れとかテキトーだし」
―――綺麗じゃない。
なんとなく、最後の一言は口の中で止めておいた。
そして、そんな私を見て、おじさまは薄く微笑む。
最後に一度だけ髪を梳いてから、おじさまは私の頭に手を置いた。
「綺麗だよ」
私の顔を見ながらそんなことを言うおじさまに、なんて返せばいいのかわからなくて、テレビに目を向けた。
画面の向こうではバラエティからニュース番組に変わっていて、アナウンサーが真面目な顔で原稿を読み上げている。
殺人事件がどうだの、白骨死体がどうだの、暴動が、テロが。
それらは、私には一切関係のない場所で回っている。
赤の他人の中年の家に上がり込んで、ご飯を食べて、頭を撫でられて、綺麗だって言われて。
退屈だけど、幸せなのか。
そんなことも、わからない。
「ばっかみたい」
誰に向けた言葉なのかすら、私にはわからない。
唯、おじさまの掌の熱を感じて、抱えた膝に顔を埋めた。
窓の外に、まだ、雪は見えない。

899おじさまと:2014/05/20(火) 22:47:46 ID:QBUdmwBM
おわり
一昨年の冬とかに書き始めたやつなのでいろいろぐちゃぐちゃで推敲もまともにせすにこっちに投下
最近、幼馴染とか先輩後輩とか兄妹とかばっかなので、年の差もいいよねって話
学園ものだけじゃなくて、ファンタジーとかも久々に読みたいなぁ

900以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/20(火) 22:58:08 ID:???
オッサンになりたいと思ったけどたぶん俺だと手を出しそう……

901以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/20(火) 23:05:18 ID:???
援交と聞いてどうなるのかハラハラしたが和んだわ
GJ

902以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/21(水) 00:03:45 ID:???
文章上手だわ
GJ

> 最近、幼馴染とか先輩後輩とか兄妹とかばっかなので
スマンとしか言いようがないが、一人で出来る妄想の量は限られておるのだよ
つーかもっと燃料を……

903以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/22(木) 18:06:16 ID:???
最近ラノベとかアニメでも学園モノばっかだしそのせいもあるかと

904出会い:2014/05/24(土) 00:14:35 ID:0.s18Cfc
>>899の続きっつーか前日譚っつーか
ブラック注意

905出会い:2014/05/24(土) 00:14:56 ID:0.s18Cfc
舞い上がった水飛沫が、スカートの裾を少しだけ濡らした。
少しだけなのはスカートだけで、膝から下はズブ濡れなのだが。
「……はぁ」
一つ溜息を吐くと、歩行者など自分以外には一人もいない大通りの歩道の真ん中で、私は傘を畳んだ。
途端に、土砂降りの雨が全身を激しく打ち、制服が水を吸って重くなっていく。
横を通る車が水たまりの水を跳ね上げ、また濡れる。
上を見上げると、どんよりと暗く、厚く広がる雲が見えたが、あまりの雨の激しさに、すぐに目を閉じた。
顔面に叩きつけるような水滴が、赤くなった頬を冷やしてくれる。
別に、赤面しているというわけではない。
赤くなった右頬は、殴られた痕だった。
暴行障害というほど、大袈裟なものではない。
クラスメイトの男子に告白されて、それを断わったら、その男子のことが好きだった友達に報復された。
ただそれだけのことだ。
なさそうでありそう、ありそうでなさそう、少なくとも、ドラマではありがちだ。
でも、これは現実。
クラスで1番仲が良いと思っていた友達――いや、友達ではなかったのかもしれないけど――にあっさりと縁を切られ、噂を流され、クラスで孤立した。
よくあることだ。
「ばっかみたい」
誰にともなく毒吐いて、傘もささないままに歩き出す。
風邪を引くかも、と思ったが、すぐにどうでもよくなった。
滅多に帰らない両親の夫婦仲は誰もが察するところで、同様に、親子の関係も推察するまでもない。
学校だけが居場所かと思っていたが――それも、もはや安住の場所とは言えなくなった。

906出会い:2014/05/24(土) 00:16:00 ID:0.s18Cfc
暫く歩くと川が見えたので、欄干の上から傘を投げ込んでやった。
修学旅行のとき、皆で買ったお揃いの傘。
一瞬後悔が頭の隅を掠めたが、後の祭り。
濁流に呑み込まれ、どんどん壊れながら流れていく様を見て、少しだけ笑えた。
私と彼女の友情くらい呆気なく壊れた傘は、同じぐらい呆気なく見えなくなった。
誕生日にもらったヘアピンも投げてみた。
交換したシャーペンも捨てた。
落書きしあったノートを破いた。
一緒に選んだキーホルダーを千切った。
破られたり悪質な悪戯書きで使い物にならなくなった教科書をグチャグチャに踏み潰して蹴り飛ばした。
全部泥水に呑まれて、消えてなくなった。
後悔と同じぐらい、清々した。
そのままぼーっと川を眺めていると、バッグの中でケータイが震えているのに気がついた。
この土砂降りの中では取り出せないので、近くのコンビニに入る。
ズブ濡れの私を見て嫌そうな顔をしてくる店員の嫌そうな挨拶を聞き流しながらケータイを見ると、知らない番号からだった。
結果は分かり切っていたけど、一応出てみる。
『うわっ、本当に出た!』『マジ!? どう? 可愛い?』『電話でどうやって判断すんだよ』『いや声がさ……』『あのー、タダでヤらせてくれるってマジ?』
複数の、若い男の下卑た声。
おそらく、どこかの公衆トイレの落書きでも見て来たのだろう。
少し調べただけでも、学校周辺で三箇所。私の電話番号と、いつでもエッチができる、といった旨の落書きがされているのを見つけた。
最初の頃は落書きを消すために、どこでこの番号を見たのか聞き出そうとしたりもしたのだが、1週間近くも続くとさすがに辟易する。
耳に入ってくる音にイライラする。ムカつく。能天気でいかにも頭が悪そうな声音と馬鹿な喋り方。
「死ね」
一言だけ返し、ケータイの電源を切って、ゴミ箱に捨てた。
そのまま店を出ようとすると、ケータイを捨てたのを見ていたのか、それともさっきの一言が思ったより大きかったのか、周りの客も店員も私をチラチラと気にしていた。
でも、別にどうでもいい。
もう、どうでもいい。

907出会い:2014/05/24(土) 00:17:39 ID:0.s18Cfc
またしばらく歩くと、スーパーがあった。
店先で、子連れの母親が、女の子に可愛らしいレインコートを着せている。
傘を忘れたらしいお爺さんが、空を見上げて困った顔をしている。
高校生のカップルが、肩を寄せ合って一つの傘に入って店を出て行く。
ありふれた光景。
ありふれた現実。
それなのに、今の私にとっては、こんなにも遠くて―――
「君、傘はどうしたんだい」
「―――は?」
顔を上げると、中年の男が私の前に立っていた。
「風邪を引くよ。ほら」
その男は私の手を取って、自分の傘を握らせた。
私は突然のことに何が何だか分からなくて、反応できない。
「あ、コーヒーは飲めるかな? ブラックだけど」
「の……飲め、ませ、ん」
「そうか、じゃあ少し待っていなさい」
彼は背を向けると、傘もささずに走っていく。
いや、彼の傘は私が持っているのだから、当然か。
そうして混乱していると、彼は小走りで帰ってきて、私の前で止まった。
「ほら、コレを飲みなさい」
また、勝手に私の手を掴んで、何かを握らせる。
見ると、アップルティーのようだった。

908出会い:2014/05/24(土) 00:18:03 ID:0.s18Cfc

「ほら、そのまま飲みなさい」
「ぇ……え?」
「キャップは開いておいたから、そのまま飲みなさい。まずは身体を温めないと」
「は、はい……」
促されるまま、口をつける。
確かにキャップは開いていた。
少し傾けると、甘い液体が舌に触れ、喉を通り過ぎて行く。
一口飲んで、それからもう一口飲んだ。
……あったかい。
ペットボトルを見て、また一口。
口から喉、胃の熱が、身体を少しだけ温めた。
見上げると、彼はまだそこにいた。
雨に濡れながら、私をじっと見つめていた。
その顔を見て、瞳を覗いたとき、私の口からは勝手に言葉が出てきていた。
小さな声で、しかしはっきりと。
目の前の、このおじさまにだけ伝わるように。
「私を、あなたの家に連れて行ってください」
おじさまは、困った顔をしていた。

909出会い:2014/05/24(土) 00:18:28 ID:0.s18Cfc
前半終了

910以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/24(土) 00:22:31 ID:???
うばぁぁぁぁぁ……乙

911以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/24(土) 01:13:24 ID:???
寒いんだ、僕にそのアップルティーを飲ませてはくれないか?

912以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/24(土) 17:50:00 ID:???
wktk

913以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/07/01(火) 20:10:01 ID:/WCPHDls
毛先から滴り落ちた水滴が、掌で弾ける。
少しだけ腕を伸ばすと、腕を伝って腋を抜け、お尻から脚まで、むき出しの肌の上を流れ落ちた。
私は今、全裸で立っている。
もちろん、屋外でストリップを始めるほど人間をやめてはいないわけで、ここは浴室だった。
頭の上から降り注ぐのは冷たい雨粒ではなく、シャワーから流れるお湯だ。
土砂降りの中、傘もろくに差さずに外をうろつき、酷く冷えてしまった私の身体を温めてくれる。
しかし私は、一息吐くどころか、心臓がバクバクと高鳴っていた。
なぜなら、ここが自宅ではないから。
しかも、
見ず知らずの、
中年の、
男の家、だ。
正直、どうしてこうなったのか、自分でもわからない。
「いや……自分で言ったんだけどさ……」
気づいたら、口から言葉が出ていたのだ。
考えるよりも先に、思うよりも早く、何かが口から零れ落ちたような、そんな感覚だった。
そして、その結果――
「バスタオル、ここに置いておくよ」
「はっ、はいっ!!」
浴室のドア越し、脱衣所から響く、中年男性の声。
私の反応を見て(ドア越しだが)、おじさまの気配が遠ざかって行く。
……不意打ちとはいえ、とてもいい返事をしてしまった。
学校でも、こんな返事はしたことがない。
一世一代、だ。
……少しだけ、恥ずかしい。
しかし、おかげで冷静さも少しだけ取り戻した。
状況整理をしよう。
まず、にべもなく告白を断って、報復された。
ヤケになって、土砂降りの中をアテもなく歩いた。
それを見かねたおじさまにアップルティーをもらって、家に連れて行けと頼んだ。
「……」
わけがわからん。
冷静になったところで状況が変わるわけでもなく、いつまでも浴室に篭っていないでさっさと帰ればいいと気づいたのは、それから30分も後のことだった。

914以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/07/01(火) 20:10:39 ID:???
まだ書き終わってないのに誤送信
ごめん

915以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/07/01(火) 20:52:09 ID:???
期待すんぞコラ

916以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/07/03(木) 21:52:15 ID:???
ふざけんな待ってんぞオイ!

917以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/08/10(日) 22:32:13 ID:lp9yHdLk
久しぶりにスレ投下しようとしたら当たり前のように規制だった奴。
8/10はハートの日らしいよかなみさん落書き。
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2861.jpg

918以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/08/10(日) 23:25:48 ID:sxLhknqM
>>917
悶えた

919以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/08/10(日) 23:31:28 ID:???
久しぶりでつね。GJ!

920以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/08/10(日) 23:36:50 ID:???
このドヤ顔に勃起を禁じ得ない

921以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/08/11(月) 20:21:41 ID:???
GJ!

922以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/08/11(月) 21:16:34 ID:???
GJ!!

923以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/08/11(月) 22:48:02 ID:???
>>917
お久しぶり

かなみさん愛してるwwww

924以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/12/12(金) 17:12:09 ID:???
かなみいいい戻ってきてくれええええ

925以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/12/12(金) 18:26:18 ID:???
かなみさんならずっとお前のそばにいるだろ何言ってんだ

926以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2015/06/02(火) 03:46:14 ID:???
ロダ落ちてるね

927以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2017/10/17(火) 00:12:39 ID:Au0HuqbI
かなみ俺だ結婚してくれ

928以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2018/05/28(月) 18:10:16 ID:AEwvEyc.
久しぶりに戻ってきてしまった…

929以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2018/08/10(金) 23:47:14 ID:j/0eMZMI
俺さあ
今でも好きなんだよなあ
ツンデレがさあ
かなみも ちなみも
みんな好きなんだ
この想いを共有できる場所がもう無いんだなって思うと
凄く悲しい

930以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2018/10/02(火) 00:09:13 ID:YPE4nYRc
まぁ俺もキャラクリゲーでは今でも千奈美を作るよ

931以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2018/10/02(火) 01:34:46 ID:YPE4nYRc
だからお題をくれ

932以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2018/10/07(日) 04:00:31 ID:???
男が就職してしまいツンデレと会う機会が減ってしまったら

933以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2018/10/12(金) 15:19:45 ID:YPE4nYRc
「……今まで……どこに行ってた。……ばか」
 数年ぶりに帰ってきた地元駅。
 眼の前には、そんな俺を睨みつけてくる少女がいる。
 眠そうな目と黒くつややかな長い髪。そして間延びした口調。
 数年前、俺が就職してこの街を飛び出すまで仲良く……仲良く? していた子、ちなみさん。
「仕事だよ仕事。まぁ、それも辞めちまったんだけど」
「ふん……。おめおめと逃げ帰ってきた……か」
 ひどい言い方もあったのだ、と思うが実際その通りだ。国破れて山河あり、夢破れておかえりなさいまし、ってな具合に。
「情けない。……私を……置いてった、くせに……」
 そう言って睨みつける視線に、しかし当時のような気丈さはない。
 ただ悲しみの色だけが色濃く出ていた。
「それは、仕方ないだろ。お前にも進路が……そういやお前今何してるんだ?」
 思わず疼く胸に言い訳をしようとして、ふと口をつく疑問。
 地元で生活をしているとして、この辺に良さげな就職口なんてあったか?
 そう考えた俺に返ってきた言葉は、やはり彼女が常人ではないのだと思わせるものだった。
「去年、高校を卒業してすぐ……会社……作った」
「起業したのか!? すごいな! で、どんな会社なんだ?」
 思わずテンションが上り、俺は前のめりになって聞く。
 にんまりとして答えるちなみさんは、やはり、やはり常人ではなかった。
「……発明会社ちなみん」
 …………。
「発明会社」
「……ちなみん」
 思い返す。
 彼女との毎日。
 何があった?
 色々あった。……本当に色々あったが、確かにあの技術力があれば会社の一つや二つ興せるのかもしれない。
「……ん? 去年卒業? あれ? その、俺がいたときってちなみさん何歳だっけ?」
「手が後ろに回るから……考えないほうが、いい……」
「…………はい」
 曰く有りげなにやにや笑いを浮かべながらのちなみさん。ご忠告通り、考えるのはやめておこう。
「そんな犯罪歴あり現在無職でお先真っ暗な君だけど……どうしてもと言うなら、雇ってあげても……いい……よ?」
 答えなんて一つしかない。
「まずは履歴書買わせてもらえませんか? 社長」
「…………ん。いい……よ。……ふふ」
 満足そうにうなずく彼女。
 今の今まで忘れていた甘い記憶が、日々が、再び動き出すのを感じた。

934以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2018/10/20(土) 10:41:02 ID:???
GJ

ほの板のスレもよろしく

935以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2019/05/18(土) 13:24:42 ID:ukZzbung
男が死んでしまう夢を見た後のツンデレの様子を見たいです><


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