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【個】『学生寮 清月館』

1『星見町案内板』:2016/01/24(日) 23:51:17
月面を連想させる『灰色』のレンガで出来た『洋館』。
親元を離れた子供達だけでなく、一般学生もしばしば遊びに来る。
『自立心』、『向上心』を培う為、多くの『家事』は学生自身で行っている。

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                 ミ三ミz、
        ┌──┐         ミ三ミz、                   【鵺鳴川】
        │    │          ┌─┐ ミ三ミz、                 ││
        │    │    ┌──┘┌┘    ミ三三三三三三三三三【T名高速】三三
        └┐┌┘┌─┘    ┌┘                《          ││
  ┌───┘└┐│      ┌┘                   》     ☆  ││
  └──┐    └┘  ┌─┘┌┐    十         《           ││
        │        ┌┘┌─┘│                 》       ┌┘│
      ┌┘ 【H湖】 │★│┌─┘     【H城】  .///《////    │┌┘
      └─┐      │┌┘│         △       【商店街】      |│
━━━━┓└┐    └┘┌┘               ////《///.┏━━┿┿━━┓
        ┗┓└┐┌──┘    ┏━━━━━━━【星見駅】┛    ││    ┗
          ┗━┿┿━━━━━┛           .: : : :.》.: : :.   ┌┘│
             [_  _]                   【歓楽街】    │┌┘
───────┘└─────┐            .: : : :.》.: :.:   ││
                      └───┐◇      .《.      ││
                【遠州灘】            └───┐  .》       ││      ┌
                                └────┐││┌──┘
                                          └┘└┘
★:『天文台』
☆:『星見スカイモール』
◇:『アリーナ(倉庫街)』
△:『清月館』
十:『アポロン・クリニックモール』
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92三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』:2019/10/12(土) 02:06:44
>>91

「分かりました。では、そのように伝えておきますね」

         ニコ

「ええ、そういった場所は喜ばれると思います。
 前に偶然、『喫茶店』でお会いしたことがありました」

「その時、『黒蜜ときなこのプリン』を注文しておられました。
 千草も少し頂きました」

「そういえば――その時、先輩は『地図』を広げていた気がします。
 地図の上に幾つか『印』を付けて……」

         スゥッ

「――『印』を付けて……」

無意識の内に、片手を頭に添えていました。
その地図の上に、
『暴行』や『通り魔』という、
物騒な言葉が書かれていたのを思い出したからです。
そういった『死』に繋がりそうな単語を見ると、
つい『クラッと』来てしまうのです。
こういう時は深呼吸です。
気分を落ち着けてから――言葉を続けます。

「『この街の危ない所をマークしておきたい』――
 そう言われていました」

多分、鉄先輩には何か考えがあったのでしょう。
でも、その理由は聞きませんでした。
何となく、軽い気持ちで聞いてはいけないような気がしたからです。

93黒羽 灯世『インク』:2019/10/12(土) 03:10:14
>>92

「あなた、人と会った時のことをよく覚えてるのね。良い事よ。
 まあ、私もそういうのはしっかり覚えておくタイプだけれど。
 そこのところは記者のたしなみだから……フフッ」

「それにしても、地図に……『印』?
 ……『危ない所をマーク』……」

              「っ」 

「――――――フフフッ! すごく、すごく面白いのだわ。
 剣道部がすることとは思えない、いえ、『何ならそんなことをする』のかしら?」

「つまり彼も何かを『探している』……
 単なる『運動部』という以上に、
 有意義で『上等』な話が出来そうね!」

(少なくとも、人に見られて困るような『マーク』じゃないようだし)

口元に幅広い袖を当てて、目を細めて笑みを浮かべる黒羽。

「これは取材のプランを練っておかなくっちゃいけないのだわ……!」

              ゴクッ
                  ゴクッ

高揚した口調でそういうと、緑茶を飲み終え、一息つく。
・・・一通りのことは話したのかもしれない。黒羽は次の話題をすぐには切り出さない。

94三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』:2019/10/12(土) 05:48:05
>>93

「――――…………」

うっかり言ってしまいましたが、良かったのでしょうか?
つい、そんなことを考えてしまいました。
黒羽先輩は喜んでいるようですが……。

「……分かりません」

「もしかしたら――『何か』あるのかもしれませんね」

でも、きっと黒羽先輩なら大丈夫でしょう。
『会いたがっていたことにして欲しい』という言葉から、
そう思い直しました。
気配りの出来る人でなければ、そんなことは言わなかったはずです。

    ――――ゴクッ

コップに残っていた緑茶を飲み干しました。
あまり長居しても、ご迷惑になると思います。
この辺りでお暇することにしましょう。

「ご馳走様でした、黒羽先輩。そろそろ失礼しますね。
 お話できて楽しかったです」

「あっ――」

  クロバネ      クロガネ
「『 黒羽 先輩』と『 鉄 先輩』――
 口に出してみると少し似てますね」

    クスリ

「――――それでは」

              ペコリ

立ち上がり、お辞儀をして出口に歩いていきます。
ところで、黒羽先輩はお気付きでしょうか。
今まで話していた相手は、
本当に『少年』だったのかどうか定かではないことに――――。

95黒羽 灯世『インク』:2019/10/13(日) 06:56:28
>>94

「『もしかしたら何か』を確かめるのが、
 まさしく、『記者』の仕事なのだわ!
 フフッ、隠し事ってほどでもなさそうだしね」

隠し事を暴くのには危険が伴うものだが、
少なくとも三枝に見せても問題ないものらしいし、
藪蛇を突つくようなことにはならない、と考えている。

・・・果たしてどうなることか。

「えっ……ま、まあ似てるかも? ……似てるわね。
 言われてみれば……一文字違いだものね、フフッ。
 こちらこそ楽しめたのだわ、次の楽しみも出来たし」

      「それじゃあまたね」

突然のユーモアに翻弄されつつ……
立ち去って三枝の背中を見ながら、メモを走らせる。

「…………」

      ピタッ

その名前、役職、年齢まで書いて……性別で、手が止まったのだった。

96今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/10/20(日) 18:17:30

ここに引っ越してくる話が、だいぶ進んできたんだ。
だから今日はちゃんと許可をもらって下見に来たわけ。
空き部屋の内装とか、庭とか……いろいろ見せてもらった。

「…………ふう」

      チャリン チャリン…

それで今は談話室にいる。
談話室っていうのかな?
寮生がお話したりするための部屋?

自販機があったりして、休憩にちょうどいいかなって。

   ポロ

「あっ」

         コンッ…… コロコロコロ

挿れようとした小銭が落ちて、転がって。
ソファの下の方に入って行っちゃうのを、私は目で追っていた。

97夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/10/21(月) 20:11:01
>>96

    ピコンッ

ふと、『LINE』の新着メッセージが届いた。
小銭が落ちて転がっていくのと同じタイミングだ。
今のところ、見える範囲に他の人はいない。

『イズミン、いまヒマ??』

『わたしはヒマだぞ!!』

『そういえばさぁ』

『ひっこしするんだって??』

『ビックリ!!』

『いや、チョットまてよ』

『イズミンがイマなにしてるかスイリしてみるから』

『ガクセイリョーのだんわしつでコゼニおっことした!!』

『どう??あってる??』

98今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/10/21(月) 23:52:06
>>97

『ごめんなさい今は用事でして〜 もうすぐ終わりますけど!』

『あれ、私話しましたっけ!
 すぐじゃないですけど、もうちょっとしたら寮に』

『え、推理ですか?』

       キョロ
            キョロ

ユメミンの推理は、当たるんだよね。
でも前は『元から知ってたから』だったし・・・
今回は? どこかから見てるのかな。

『わー、正解です! さすがは名探偵ユメミン』

『(拍手する兎のスタンプ)』

              ゴソ  

『なんでわかっちゃうんですかっ?
 私は名探偵じゃないんで、ヒントをください』

そこまで返信してから小銭を拾うためにしゃがんだ。
ソファの下、結構広いし、自販機の下に転がったりしなくてよかったよね。

99夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/10/22(火) 00:17:01
>>98

    ピコンッ

『ヒントその1!!
 わたしはミミがイイ!!
 (ピョコンと動く兎の耳のスタンプ)』

『ヒントその2!!
 わたしはアチコチでさいしんジョーホーをさがしてる!!
 (キョロキョロする白兎のスタンプ)』

『ヒントその3!!
 わたしはオクジョーからイズミンがソコにはいるのをみた!!
 (高層ビルのスタンプ)』

次々に『ヒント』が送られてきた。
イズミンのまえにたちふさがるナゾ……。
シンピのベールにつつまれたシンジツとは??
こんや、そのこたえがついにあかされる!!
きょうがくのラストをみのがすな!!

100今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/10/22(火) 01:20:55
>>99

          キョロ

              キョロ

ユメミンの『ドクター』は確かに耳が良い。
耳が良いんだけど……そんなに大きな音したっけ?
ユメミンは屋上にいるんだよね?

フツーに、わかんないな。
うーん、『小銭が転がった』じゃなくて『落とした』って言ったよね。
目で見てるんじゃなくて、『聞いてる』んだとは思うんだけど。

「……」

             ガラララ

窓を開けてみた。

『えーっ、ぜんぜんわかんないですね』

             バタン

それから、ドアも。

『私、名探偵じゃなくってフツー探偵かも』

いくら耳がよくっても、音が聞こえるくらいの距離って限られてる。
他にも音ってたくさんあって、それが混ざり合うから。ユメミンは、どこだろう?

101夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/10/22(火) 01:54:27
>>100

       バタン

「――――あ」

思わず声が出てしまった。
手に持っていたスマホから顔を上げ、イズミンの方を向く。
開かれたドアの向こうにあったのは、見慣れた姿の相手だった。

「いまから『ヒントその4!!わたしはイズミンをおいかけてみることにした!!』と、
 『ヒントその5!!わたしはドアのそとでコゼニがおちるオトをきいた!!』を、
 おくるところだったのに〜〜〜」

        ゴソ

要するに、そういうコトだったらしい。
スマホをしまい、談話室に入る。
それから、置いてあるソファを見て、そこに座った。

「イズミンが『ひっこしする』ってハナシは、
 ついさいきんグーゼン『コミミ』にはさんでさぁ」

「オクジョーからみえたときに、そのコトをおもいだしたんで、
 チョットついていってみようかなぁ〜〜〜とおもって。
 ココって、そんなにきたコトなかったし??」

「でも、ホントにビックリだな!!
 ひとりぐらしかぁ〜〜〜。
 いつのまにか、イズミンがオトナのカイダンをのぼっていたとは……」

ウンウンと頷きながら、そんなコトを口走る。
冗談交じりだが、驚いたのは本当だった。
なんていうか、イガイなカンジがしたから。

102今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/10/22(火) 02:43:13
>>101

「あっ」

      ニコ

私は笑った。

「なんだ、フツーに外にいたんですねっ」
「どうやったのかなって、びっくりしてました」

びっくりするよね、フツー。
ユメミンもびっくりしてるみたい。

「座りましょっか」

ソファの、空いてる向かいに座った。

「ああ、そうだったんですね〜」

「クラスの子とかに、ちょっと話しましたし」
「引っ越し決まったのは……」「そこからかなあ」

別にだれに聞かれてもいいんだけどね。
ラインか何かで言った気も、しなくはないし。

「一人暮らしにあこがれてたってわけでもないんですけど」
「寮に住んでたら」「いつでも学校の友達に会えますし〜」

「それに、そう、オトナとして独立したって感じがするじゃないですか?」

103夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/10/22(火) 03:03:28
>>102

「ほうほう、イズミンやるなぁ〜〜〜。コレは、まけてられないな!!」

「ひっこしおわったらさ、アソビにいってもイイ??
 オヤツとかもってくから!!」

「『ひとりぐらしのトモダチのトコにアソビにいく』っていうのも、
 ソレはソレでなんとなくオトナなカンジがするし!!」

寮生のトモダチっていたっけ??
いたような気もするけど、少ないと思う。
だから、ジブンにとってもキチョーなタイケンになるんじゃなかろうか??

「そういや、こないだアリガトね。アドバイスしてくれて。
 ホントたすかったよ〜〜〜!!」

少し前の『デート』のコトを思い出す。
あの時は色々と楽しかった。
たぶん、イズミンのお陰でウマくいったんだと思う。

「まさか、イズミンもしってるとはおもわなかったなぁ〜〜〜。
 たしか『ピアノ』ひいてたんだよねぇ??
 やっぱキザなヤツだな!!」

104今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/10/22(火) 03:17:34
>>103

「いいですよ! むしろ大歓迎ですっ」
「私、インテリアとか、全然わかんないから」
「ユメミンそういうのセンスあって得意そうですし」

「デートのお返しにアドバイスしてください!」

ユメミンと私の服のセンスとかは違うと思うけど、
私、センスらしいセンスってのはないから。
だから、参考に出来ると思うんだよね。

「そうそう。デート、楽しめたみたいでよかったです」

「イカルガ先輩、『バラ』……の形の綿あめ買ってきたんですよね!?」
「あは」「ピアノは弾いてましたけど、そういう感じじゃなかったので」

「やっぱりデートだと、張り切るものなんですかねえ」

そう、そうだった。
イカルガ先輩の話……バラに、手で目隠し。は、してないんだっけ?
とにかく、意外なくらいキザで……ミステリアスだったんだ。

「ちなみに、あれからまた会ったり連絡したりしてるんです?」
「付き合いとか、そういうのじゃないのは分かってますけど〜。その後というか」

「そういうの気になるんですよねっ」

ユメミンは一つの所に留まらない。けど、少しくらい足を止めてたりはするかもしれない。
そういう話って興味あるんだよね。自分1人じゃ、どうやってもわからないところだったりするしさ。

105夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/10/22(火) 18:36:59
>>104

「おっ、イイね〜〜〜!!
 そんなコトいわれたら、ユメミンはりきっちゃうな!!
 スミズミまでビシッ!!とコーディネートしちゃうぜ!!」

「うんうん――『バラのワタアメ』。こんなカンジの」

        スッ

スマホを出して、イズミンに写真を見せよう。
ピンクと緑のザラメで出来たバラの形の綿菓子。
食べた後に撮ったらしく、若干欠けた部分が見えた。

「ジブンでつくるカンジのトコだったんだよね〜〜〜。
 『ワタアメせいぞうマシーン』みたいなのがあって、
 そこにオカネいれてさ。
 で、ナニがでてくるかとおもえば…………」

「でも、キレイでオモシロかったし、けっこうスキだったな!!
 もうないのがザンネンだな〜〜〜。
 『バラ』は『ハラ』のなかにはいっちゃったから!!」

「そのあとはコレといってナイかなぁ〜〜〜。
 わたしもイロイロといそがしいし!!
 ちょっとマエは、ひとりで『ユーレイさがし』にいってきたんだ。
 そういう『ウワサ』をきいたから、たしかめてやろうとおもって!!」

「まぁ、いってみたらタダのヒトだったんだけど。
 なんか『ショクブツ』のコトしらべてるっぽかったよ。
 『ショクブツ』っていうか『ヤソウ』っていうヤツ??」

夜中に人魂が出るっていう噂だった。
実際は、ライトの明かりだったんだけど。
それを持ってたヒトは『リカオン』っていう名前だったっけ??

「いや、『タダのヒト』じゃないか??『スタンド』もってたし!!」

106今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/10/22(火) 23:09:36
>>105

「わー、楽しみですっ。お部屋決まったら教えますね!」

どうせ住むんだもん。
色々考えるのが、フツーだ。

「それで……これですかっ。例の『バラ』」
「あ〜、ありますね、そういう機械」
「バイキングとかにもあるやつ」

「あはは、食べちゃえば全部同じですもんねえ」
「こうして画像が残ってるから、今でもわかりますけど」

お砂糖なんて、口に入れた段階でもう同じだもんね。
固いか、柔らかいかってくらいで。

「ああ、そうなんですねえ〜」

進展がないのは、予想通りかも。それより。

「というか……『ユーレイ探し』ですかっ」
「確かにありますもんね、そういううわさ。私も聞いたかも」
「正体はスタンド使い……」「多いですねえ、スタンド使い」

「でも、うわさになるってことは」
「スタンドが見えない人にも幽霊に見えたってことですよねっ?」
「そうなると〜、怖そうな感じの人だったんですか?」

107夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/10/22(火) 23:27:10
>>106

「なんか『ヒトダマ』がでるとかいうハナシでさぁ〜〜〜。
 いってみたら、なんと!!『ライト』だった!!」

ったく、ガセネタつかませやがって!!
ダレだ、テキトーなウワサながしたヤツは!!
セキニンシャでてこいよ!!

「ベツにコワソーなカンジじゃなかったな。
 ウチらとおんなじくらいのコだったし。
 カレシのシャシンとかみせてもらったっけ」

「『ユーレイ』みれなかったのはザンネンだな〜〜〜。
 まぁおわったコトきにしてもしかたないし、『ツギ』だな『ツギ』!!」

ジンセーはみじかいのだ。
あしぶみしてたら、あっというまにオバアチャンになってしまうぞ。
だから、ドンドンさきにすすんでいかねばならん。

「イズミンのほうは、さいきんほかにナンカあった??
 かわったコトとかオモシロいコトとか」

108今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/10/23(水) 00:32:06
>>107

「へ〜っ、そうだったんですねっ」
「確かに夜、草探してライトつけてたら幽霊っぽいかも」
「野草……」「生物部とかに入ってる子なのかな」
「まあいいや」

「私の方は、最近もフツーですね〜」
「特に何も……」

そう言いながら拾ったお金を見る。

「お休みも一人ぐらしの準備ばっかりですし」
「アルバイトとかも探した方がいいのかな〜、とか」
「私、バイトってしたことないんですよね」

中学生で出来るバイトって、無いし。
お手伝いって名目ならできるらしいけどね。

「ユメミンって〜、バイトとかしてる子います? 友達に」

「ユメミンはしてないですよね」「確か」

109夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/10/23(水) 00:56:14
>>108

「バイトかぁ〜〜〜」

「トモダチにはいないな、たしか。
 わたしもやってないし」

「まぁ、たまにやってるんだけど」

今のところ、『アリーナ』関係のヤツが多い。
闘技場に出たりとか、新しい競技のテストに参加したりとか、
子供の世話をしたりとか。
『アリーナ』とのコネは、面白いコトが見つかりそうなのでベンリだ。

「『イベントけい』のバイトとかどう??
 タノシソーじゃない??」

「そういうのだったら、キョーミあるな〜〜〜!!」

「それか、フリーマーケットとか!!あったらだけど!!」

バイトについて考えてる内に、ふと『あのコト』が頭に浮かんだ。
『アレ』は今までで一番ヤバい体験だった。
色んな場所に首を突っ込んできたが、
あれ以上にヤバイのはなかった。
今まで思い出さないようにしていたのは、
それを自分の中で消化するのに時間が掛かったからだ。
日常に帰ってきて、デートやら何やら楽しいコトを挟んだお陰で、
ようやく心が落ち着いてきた。

「あのさ……チョットだけいいたいコトがあるんだけど」

「きいてもらってもイイ??」

110今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/10/23(水) 02:02:39
>>109

「あ〜、『フツーじゃない』バイトですねっ」
「スタンド関係とかの」「地下闘技場でしたっけ」
「そういうのは私、出来そうにないし」

「イベント系! 楽しそうですね〜〜〜」
「イベント会社とか、バイト募集してるみたいで」
「まだちゃんとは調べてないんですけど」

「……?」

そこまで言い終えて、私は首を傾げた。
ユメミンの『こころ』は分からないけど、何かいつもと違う。
そういう気がしたんだ。だから私はうなずいた。

「いいですよ」

「ちょっとじゃなくっても」「言ってみてください」

私はユメミンにすべては話してない。
だからユメミンに全部話せって言えるわけじゃない。

けど、言いたいことがあるなら、それは聴く。友達だから、フツーだ。

111夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/10/23(水) 02:48:32
>>110

「――――ありがと」

自然と笑顔になった。
そう言ってくれるんじゃないかとは思ったけど、
もしダメって言われたらと思うと不安だったから。
そして、ぽつりぽつりと話を始める。

「チョットまえ、『ヘンなコト』があって。
 よみちをあるいてたら、いきなり『バール』でアタマなぐられて、
 ソレでしんじゃってさ」

「まぁ、ソレは『ユメ』だったんだけど」

「で、そのあとで、
 『ユメのなかでわたしをヤッたハンニン』とたたかうコトになって。
 ソイツをやっつけないと、
 『ゲンジツのジブン』もしんじゃうってハナシだったから」

「それで、たたかったんだけど、マジでヤバかった。
 『アタマいかれたヤツ』が、カンゼンに『コロスき』でかかってきてさ。
 『ドクター』の『ツメ』がふっとばされるし、
 そのツギは『ユビごと』なくなるし。
 さいごには『トラックのバクハツ』にまきこまれてイシキなくなったし」

「『しぬ』とおもった。マジで。
 イマまでそんなコトおもったコトなかったけど、ホンキでおもった。
 コワかった。『チョー』が『1000コ』つくぐらい」

「でも――――なんだかんだあったけど、かえってこれてさ。
 すっごいホッとした。『いきててよかった』ってシンケンにおもった」

そこまで言って、言葉を切る。
大体は言い終えた。
あと残ってるのはコレだけ。

「まえにイズミン、いってくれたじゃん??」

「『もしフシギのくににいったりするなら――』」

「『さいごはチャンとフツーのガワにかえってきてくださいね』って」

「こうしてイズミンとしゃべってると、
 『ホントにフツーのセカイにかえってこれたんだな』っておもえて」

「――――スゴイあんしんする」

「だから……こうウマくいえないんだけど……」

「なんていうか――――ホントにアリガトね」

      ニコッ

そう言って、もう一度笑った。
イズミンとお喋りしたり遊んだりしてると、『フツー』を満喫できる。
普段あんまり意識してない『フツーの大切さ』みたいなモノが、
分かるような気がする。
多分、それは大事なコトなんだろうと思う。
『フツーじゃないコト』の後だと、いつもよりもそう感じる。

112今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/10/23(水) 03:44:57
>>111

「………………………」

私はユメミンの話を最後まで聞いていた。
私にはユメミンの気持ちは、こころは分からない。
何もかもとんでもなくて、フツーじゃない話で。
でも『共感』っていうのを、することはできる。

「私は」

「私は、ユメミンが生きて戻ってきたのが」
「『嬉しい』です」「本当に……よかったって」

「そう思います」
「お礼なんてなくっても。友達が無事だっただけで」
「『嬉しい』ですよ」

私が知らないところで、ユメミンは死にかけてた。
私が知ってても、何か出来たかは分からない。
けど、そういうのが『スタンド使い』の『不思議の国』なんだ。

「……」

それでも。

「……」

「それでも……『不思議の国』なんですよねっ?」
「『不思議で怖い事』があって」「『フツー』で安心しても」
「きっと」「たぶん」「それでも」

「それでも不思議の国に行くのがユメミンだと思うから」

「やっぱり私は……いつでも『フツーの世界』にいる」
「それは、お礼が欲しいからとかじゃなくって」
「うまく言えないんだけど……そうするのが『友達』だと思うから」

「……だって『不思議の国のアリス』は、『フツーに帰る』までが物語ですから!」

私は『フツーであること』にせいいっぱいだ。そんな私が、友達としてできるのは、そういう事だ。

113夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/10/23(水) 18:29:42
>>112

「うん――――」

「あのときはコワイとおもったけど――
 でも、それでもやっぱり『ボウケン』したいんだよね」

「だって、わたしは『アリス』だから」

命の危険に晒されたことで、自分の気持ちを再確認できた。
もしかすると、また怖い目に遭うかもしれないと思う。
そうだとしても、この気持ちは変わらなかった。
生きてる限り、『不思議の国』を冒険したい。
それが私の『本当の気持ち』だ。

「そうだよね――――」

「『いったっきり』じゃあ『ツギのセカイ』にいけなくなっちゃうもん」

「だから、イマみたいに『フツーのセカイ』にかえってくるよ。
 こっちにだって、たのしいコトはいっぱいあるから」

「イズミンとオシャベリしたり、あそんだりしたいし」

「――――だから、ゼッタイかえってきたいな」

『不思議の国』を冒険した『アリス』は、
最後には元の世界に戻ってくる。
だから、私もそうじゃないといけない。
だって、私は『アリス』だから。

「ん〜〜〜!!なんか、しゃべったらスッキリした!!
 コイのなやみも、ソレいがいのコトも、
 トモダチにソーダンするってだいじだな!!」

「スッキリしたらハラへってきた。
 イズミン、もうすぐヨウジおわるんだっけ??
 なんかカルくたべにいかない??」

114今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/10/24(木) 01:09:27
>>113

「さすがユメミンですっ」
「私はほんとに……いつでも『フツー』ですからね!」
「ユメミンは好きなだけ『不思議』の世界に行って」

「それで、帰ってくるんです」
「それが、友達ですから」

私は……そうあるべきだと思う。
フツーじゃない『スタンド使い』になって。
それでも私は『フツー』であるべきなんだ。

「あは」

元気になったユメミンに、私は笑った。

「用事っていうか、もう少し見学しようかなって」
「思ってたんですけど〜」「別にもう切り上げてもいいかな」

「いいですねっ、どこか行きましょう」
「ユメミンおすすめのお店とかあります? この辺」
「なければ私が探しますけど」

席から立って、小銭を財布にしまい直す。
見学はいつでも来れるし、もう、必要な分はしたと思う。

115夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/10/24(木) 01:41:12
>>114

「うんうん!!
 じゃあユメミンの『データベース』にアクセスしてみるから!!」

新しい『不思議』を探すために、日々『ドクター』を使って、
色んな場所で聞き耳を立てている。
要するに、そうやって聞いた情報を思い出すというコトだ。
アレはおもすぎるし、かといってアレだとカルすぎてものたりないし……。

「ただいまケンサクチュウ…………よし!!」

「ホシミカイドーのほうに、
 あたらしく『フルーツサンドイッチ』のセンモンテンができたってハナシをきいてさぁ。
 マチをあるいてるときに、コミミにはさんだんだよね〜〜〜。
 なかなかヒョーバンいいらしいから、ソコいってみよう!!」

「なんかスゲーぶあついのもあるみたいだから、シェアしてたべない??
 たのんでみたいけど、ヒトリだとキツソーだし」

    タッ

ソファから立ち上がって、軽い足取りでドアの方に歩いていく。
イズミンが引越ししたら、その時は遊びにこよう。
ナニもっていこうかな??
きがハヤイか??
まぁ、きにすんな!!

「――――そんじゃ、いこう!!」

116今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/10/24(木) 02:49:00
>>115

「フルーツサンドイッチ! いいですね〜」

           ニコ

不思議な事だけじゃなくて、フツーのこともよく知ってる。
不思議とフツーは『表裏一体』ってやつなのかもしれない。

「飲み物も楽しみです」
「『フルーツ』に力を入れてるんだし」
「まだ寒くなりきる前に『スムージー』とか飲んどきたいな」

ユメミンの後から着いて行く。
前に進み続ける私の友達が振り返った時、そこにいたいと思った。

117斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2019/10/31(木) 14:34:49
男がいた
彼の周りの壁には、無数の飾りが張り付けられている。

〜♪

キラキラと輝くモール、オバケ達を象った切り絵、無数の駄菓子
傍に置かれた段ボール箱は、ハロウィン用の無数の飾りを詰め込まれ
子供のおもちゃ箱のような様相を呈している。

〜♪

彼は大量の飾りが入った段ボール箱を足元に置いて
口笛を吹きながら、飾りの一つ一つを両面テープで
白い廊下の壁をキャンパスの替わりと言うかのように張り付けていた。

118ブリタニカ『ハロー・ストレンジャー』:2019/11/01(金) 20:30:33
>>117

    パタタタッ

どこからか、一羽の『小鳥』が飛んできた。
『背中の羽』の一部が逆巻き、『天使の翼』を思わせる形を成している。
『頭の羽毛』も独特で、まるで『パーマ』をかけたような風貌だ。
全体的に、何となく『高級感』が感じられる。
少なくとも『普通の野鳥』には見えない。

「コンニチハ。ゲンキデスカ?ゴハンタベマシタカ?」

小鳥が喋り始めた。
これは『インコ』のようだ。
街中で覚えた言葉を口にしているのだろう。

          バサッ

「チョーウケタ」

「ハロウィンノ ヒトカト オモッテ」

「チョーウケル」

段ボールの縁に着地したインコが、中身を覗き見る。
それから、『大きく首を傾げるような動作』をした。
鳥類の目は人間と違って『側面』に備わっているため、
凝視する時は『片目』で見た方が都合が良いのだ。

119斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2019/11/01(金) 21:42:45
>>118

奇妙な訪問者に、陽気な口笛を止め
彼はチラと視線を向けた

「駄目だよ、それは」

軍人風に短く刈り上げた頭髪、学生服の首元には赤いスカーフが巻かれ
整った顔には微笑みを湛えている

「君の言う通りに、ハロウィーン用なんだ。」

瞳だけは笑っていないが
彼はいたって優しげに小鳥に向けて語りかける

「インコさん、体に悪いのも有るが、君は『仮装』してないだろう?」

「学生は勉学が本分だが、季節を忘れてしまうのは本末転倒
これはそう言う祭りのご褒美なんだ、この廊下じゃ、『季節感』って物がないからね」

       ニッ

「……と、解らない筈なのに言ってしまうのが、人類共通の『悪癖』なんだなぁ。」

〜♪

視線を戻し、陽気なハロウィンの口笛を吹きながら、壁にゴーストの切り絵を張り付ける
最初から彼は、『話せない』インコが何をしても、止める気は無いのだ。

120ブリタニカ『ハロー・ストレンジャー』:2019/11/01(金) 22:24:20
>>119

「トリフネ マーヤ ッテイイマス」

「ウラナイシ デス」

「ケンドーブニ ショゾクシテイマス」

インコは、何やら謎めいた文章を喋っている。
別々の場所で聞いた言葉を繋ぎ合わせたらしい。
『トリフネマーヤ』なる人物が、実際にどういう人間なのかは不明だが、
『占い師』や『剣道部』ではないだろう。

    ブンブンッ
           ブンブンブンッ

インコが『パンクロッカー』のように上下に激しく頭を振り始めた。
いわゆる『ヘッドバンギング』のような状態だ。
何かに興味を持っていたりすると、このような仕草を見せる事がある。
ハロウィン用の飾りに関心を抱いたのかもしれない。
実際、このハゴロモセキセイインコ――
『ブリタニカ』は、その知性を刺激されていた。

「キミ」   「ジンルイ」   「ガクセイ」

まるで会話の返事を返すかのように、少年の言葉が繰り返された。
見た目以上に賢いのかもしれない。
あるいは、ただの偶然か。

121斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2019/11/01(金) 22:53:34
>>120

塗装された壁に一つ、また一つと笑うカボチャやコウモリを張り付けていく
手際は稚拙だが、破れないように注意を払いながら

そんな最中にまた、インコ……『ブリタニカ』……が言葉を紡ぐ
単語を組み合わせ、まるで文章のように。


     (……?)


それは彼の視線と興味を引くには充分だった
すこし悩むそぶりを見せながら、目の前のブリタニカを見る。

 「……そうだな、僕は人類で学生の、『斑鳩 翔』」 「そういう君は『鳥類』で……」



――彼のポケットから、独りでに『スマートフォン』が、体をなぞる様に浮かび上がり
制服の左手首に止まると、ガラスの画面が独りでに点灯した。

アプリの一つを開くと、検索エンジンにインコの名前と共に
無数の画像が羅列されていく……少しして、一つの名前と画像が浮かび上がった



 「……『ハゴロモセキセイインコ』?」
 「ものまねをする個体がいて……これは、君の事だな」

一息を置いて、画面を追う
モニター越しに、色彩豊かな、ともすれば『華やかな』という表現が似合う鳥達が映る。

 「美しい羽は、品評会が各地で盛んに行われる程、人気が有る、と」
 「食べ物は種子、果実を好む、ふぅん。」

興味深いような仕草と共に、段ボールの奥に手をやり

 「昔、ペットに飼われてた大量のインコが野生化して、電線に止まっているっていうニュースがあったっけね。」

数回ほど漁ると、彼はそこから真っ赤な『林檎』を取り出した。


 「僕の『おやつ』のつもりだったんだが、半分いるかい?君。」

122ブリタニカ『ハロー・ストレンジャー』:2019/11/01(金) 23:35:49
>>121

目の前のインコは、スマートフォンで調べた情報と一致した。
どうやら、このインコは『それ』のようだ。
一般的に普通のセキセイインコよりも高い値を付けられている品種だ。

    ファサァッ

自らの美しさを誇るかのように、インコが羽を広げる。
ホワイト、コバルトブルー、バイオレットの三色。
背の『羽衣』は、価値が高いと言われる左右対称の形だ。

「インコ」   「カジツ」   「コノム」

         トッ トッ トッ

段ボールの縁を歩き、『ハゴロモセキセイインコ』が林檎に近付いた。
だが警戒心があるのか、いきなりがっついたりはしないようだ。
先程と同じ首を傾げる仕草で、林檎を観察している。

「ボク」   「キミ」   「ハンブン」

インコは、そのように囁いた。
先に食べてみせた方が良いかもしれない。
もしくは、食べやすいように半分に『分割』することを希望しているのか?

123斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2019/11/01(金) 23:50:59
>>122

 「結構賢い……と、言うより」

袖の下から折り畳みナイフを取り出して開くと
林檎に突き刺し、半分に割っていく

 「『賢すぎる』かな?」

先程までとは違う手先の器用さで、滑らかに半分に林檎を割ると
半分を段ボールの縁に、ナイフで刺して止める、きめ細やかな白い果肉の中央、芯の辺りは透き通ったように透明だ。

 「ものまねの『単語』を繋いだ『文章』で意思表示……っていうのは
 『チンパンジーが適当に叩いたタイプライターが、シェイクスピアの一節を叩きだした』くらいの物、だと思ってた」

 「それでも、こうして目の前にして、『結構ある事だ』とは、思えない」
 「……君が『特別』なのかな?」

半分になった果実を一口齧る
シャリリと良い音がした。

 「『僕』みたいに。」

笑顔を一つ、自身に向けての自嘲気味の苦笑なのか、仲間を見つけての愉快な笑みなのかは、表情からは解らない
ただ、彼は笑っている。

124ブリタニカ『ハロー・ストレンジャー』:2019/11/02(土) 00:12:57
>>123

斑鳩の思う通り、このインコは確かに『賢い』。
偶然会話が成立する事もあるかもしれない。
一回だけなら。
それが何度も続く事は珍しい。
あったとしても、どれ程の確率になるだろうか?

    ツンツン

林檎の断面を、嘴で軽くつつく。
安全を確かめたのか、やがて啄ばみ始めた。
その様子だけ見ると、ごく普通のインコと同じだ。

「ボク」   「カシコイ」   「キミ ミタイニ」

インコが『人語』を口ずさむ。
その発話に何か意味があるのか、それともないのか。
『真偽』の程は不明だ。
ただ、たまたま出くわした人間と鳥が同じ林檎を口にしている。
それは事実としてある。

125斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2019/11/02(土) 02:16:41
>>124

    シャリ

「前に、君みたいなのを見た時は、『猫』だったかな」
「喋ったりはしなかったし、性格としても、しやしないだろうが。」

肩を竦めながら、最後のひとかけらを胃袋に放り込むと
手を拭いたハンカチを懐に納めて、飾りの一つを取る

「ところで、林檎の恩を着せるようだが、君に……」

口を開きかけ、思いとどまる
暫く悩むようなそぶりを見せ、彼は苦笑する

「…………いや」


 (……人間の事情を鳥に頼むのも、酷だろうな)


「――さ、続き続き」

そうして固まった後、何事も無かったかのように振舞うと
飾りの一つを手に、立ち上がった

「どれだけ特別だろうと、僕がいなくても神様がやってくれるわけじゃあないからな。」

それだけを言って笑うと、彼は壁を飾り付ける作業に戻った。


(鳥はああ言うが、僕は、賢くはないだろうな……賢ければ、もうやめているだろうから。)

126ブリタニカ『ハロー・ストレンジャー』:2019/11/02(土) 19:02:16
>>125

斑鳩は思い止まった。
そもそも、このインコが『スタンド』と関係しているという保障はない。
『ロスト・アイデンティティ』に対して反応したのかどうかも不明だ。
もしかすると、単なる『賢すぎるインコ』かもしれない。
それにしたって珍しい事には変わりないだろうが。

「アリガトー」

しばらく林檎を啄ばんでいたインコが、頭を上げて『人語』を発した。
そして、品評会が開かれる程に美しいとされている羽を広げる。
小さな天使――そう呼ぶ人間も中にはいた。

「コノ デアイニ カンシャヲ」   「アナタ ニ サチガ アルコトヲ」

どこかで聞いたのであろう言葉を、インコが発話する。
斑鳩の心を察したかのような言葉選びだった。
単なる『偶然』か?
それとも『特別』なインコなのか?
真実は分からない。

               ――――バササッ

最後の言葉を告げ終わり、ハゴロモセキセイインコが飛翔した。
廊下の窓から飛び出していき、そのまま見えなくなる。
その後には、抜け落ちたらしい一枚の『羽毛』が残されていた。

127斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2019/11/02(土) 19:58:39
>>126

結局のところ……
あのインコが『スタンド使い』だったとして

僕の両親を助けてほしい、精神を治すスタンド使いを見つけてほしい、等と頼むのは筋が通らないのだ
だって彼女はただの鳥であって、僕達の仇である『人間』ではないのだから。

窒息するような感覚の中、微笑むままに考える
僕は両親を助けるために行動している、これが『原則』

しかし良心に従えば、それは大体の人にとっては『迷惑』なのだ
他人に心を割くならば、誰に頼む事も出来ない事だ


 (……結局、そうだと気付いてしまっては、『良心』故に、僕は誰にも頼れないのではないかな。)


――最後の飾りが段ボールから消え去ると
空になった箱を抱えて、背を向ける

 「ハッピーハロウィン」

彼が誰ともなく1人ごちると
飾り付けられた廊下を背に、口笛が遠ざかって行った

128斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2019/12/11(水) 00:36:57

 「――割れてた?何が」

スマートホンのスピーカから落ち着いた男性の声が響く中
シャワーから上がった僕は雑に頭を拭いていた。

 「『サッカーボール』?知りませんよそんなの、前の『体育倉庫の大穴』だって、多分別の……でしょうけど
 見つからないほうがいいでしょう、その後起こしてないのなら事故みたいなもんですよ。」

 「例え心の中で『人殺しをしてやろう』と考えていても、考えるだけで一生行動に移さないのなら殺人鬼とは言えないでしょ?
 それとも、藪をつついて蛇を出してみますか?僕としては好都合ですけど……。」

 「え?いや、僕は情報屋ではないのでなんとも……それは、まあ 一人なら知っていますけど、費用何処から出るんです
 先生方が納得しませんよ、ただでさえ大きい箱の中でやりくりしているんでしょうから。」


バスタオルを放る、世間の回り物は資本主義に移行する前から後まで、ほぼ何時だって金である
人が死んだ等と言う所には、大体金の匂いがコバンザメの如くついてくる

ましてやそれが、世の子供達をいい所に行かせたい親心から出た金なら、猶更扱いには慎重になるのだ
少なくとも、サッカーボールやコンクリートの壁やホタテが、タダじゃないのは確かだ。


 「はい、それと……新聞部の方なんですけど、ええ、調べている子が
 有名なので直ぐ解りました、何回か賞も取っているみたいで。」

テーブルの上に乱雑に置かれた資料を手に取る
幾つかの名前に赤線が引かれ、その傍には目撃箇所と、ふせんで関連がありそうな事態をくっつけている

……僕の名前の近くがやたらカラフルなのは無視した、見てもしょうがない。

 「え?それだけじゃない? 屋上の鍵? ……いやぁ酷い奴がいたもんだなー、捕まえて死刑にしましょう、ダビデ王の如く。」

 「お褒めに預かり光栄です、もちろん、ええ
 それじゃ、生徒会長殿。」

通話が切れる、彼の懸念はよく解る事だ
ただでさえこの学校は『多すぎる』、何か出てるんじゃないかと洗ってみたが
今のところそれらしいものは見当たらない、僕の手では届かないという所だろう。

そして、その手の届かないところで生徒に対して『何か』が有った時
下手をすれば、そこに『別の恐ろしい何か』が介入してくるのだ、たぶん。

 「んー……何処から手ェつけるかな……っていうか
 このマンモス校のクラスメイトの数から何人かリストアップして、『あなたスタンド使いですか?』って馬鹿正直に聞くの?僕が?」


 (…………)


資料を放り投げた、紙吹雪のように、或いは雪のように紙切れが飛び散る。


 「―――手が足りないよォォォォ!
 無理とは言わないけど非効率的過ぎるだろ!あの生徒会長、かんぺき僕に押し付ける気だよコレ!
 大体なんだよこの部活の総数!この辺り絶対要らないだろ!誰だこの部活許可した教師!」

 「……これじゃあそれ専用の『部活』でも作った方が手っ取り早い、絶対
 でもそれを作るために、僕以外の『スタンド使い』が必要であって。」

卵が先か、鶏が先か?
哲学的な問題である、問題は答えではなく、僕は哲学者では無いと言う事だが

無駄に飛ばした資料を一枚一枚拾い集めて、纏めてベッドの下に張り付ける
秘密のスパイごっこは何時やっても楽しい事だ。

 「…………よし」
 「今日はもう『スパイダーマン』見よう、サム・ライミ版。」

部屋着に着替えてDVDを起動する、右手にポップコーン、左手にコーラ
問題は明日の僕がきっとやってくれるでしょう、頑張れ明日の僕。


 「『暗すぎる』とか言われるけど、かと言って『アメイジング』は明るすぎるんだよなあ
 確かにスパイディ特有の戦闘中の軽口ないけどさ、元がナードだぜ? ……まあ役者の個性生かそうと思ったら、ああなるのかな。」


元々は興味が無かったが
確か……そう、森の中で『あの子』に言われて興味を持ったのだったか

『スパイディ』僕とは似ても似つかない奴だ、彼女はどうして似てると言ったのか、単に能力のせいなのか
休日夜半の学生寮で、僕はぼんやりと映画を見ながら考えていた。

129?????『????・?????』:2019/12/12(木) 01:32:52
>>128
 「…アメコミ映画ですか ちかごろ流行っていますよね」
 
物音ひとつ立てずやって来た『男』は君の放り投げたバスタオルを拾い、
抱えた洗濯籠にそれを詰め込んだ。


 「お坊ちゃま」
 「頑張り過ぎは体に毒ですよ…たまの夜更かしは良いですが」
 「せめて、お風呂上がりは温かくしてください!ここの所冷えますから!!」


そして、君がポップコーンを齧ろうとしている横で、
男は手早く書類を拾い上げ、重ねて机に置いた。

  「失礼いたしました。ごゆっくり」

畳まれた毛布を君の脇に置き、静かに『男』は離れてゆく。

130斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2019/12/13(金) 00:33:54
>>129

 「やっぱりー?乾燥して寒い季節だと風邪とか怖いものなあ」

 「でも優秀な家政婦とか、メイドがいるとつい横着しちゃって、ねー。」

     ヒュンッ 

                ガキィン!

 「……ところで、そんなに急いで戻らずに、ちょっとお話してこうぜ」

 「そこまでしてもらって、茶の一つも出さずに帰すの礼を失するってもんだしな。」

全身に鎖を巻き付けた男が、ゆっくりと体を起こし、冷ややかな目で見据える
周囲のドアや窓の金具には、液体化した金属……のような物がへばりつき
開閉は破壊せねば不可能なほどに拘束されていた。

 「誰だ、オタク」 「ノックくらいして貰わねぇと、流石に『俺』も、ちと困るんだがよ。」

131常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』:2019/12/13(金) 02:46:35
>>130
男は君のほうを向いた。屈強な男だった。
そしてそう!斑鳩の察した通り、こいつはメイド服に身を包んだ『メイド』であった!!

 「『常原(ツネハラ)』でございます!」
 「ここの寮、などで家政婦をいたしております」

…『学園の裏事情』に詳しい君であるから、分かる。
君は、学園と密接な関係にある『清月館』が、『メイド』を雇っているなど聞いたことがない。
『部屋がいつの間にか綺麗になってて怖い』とかの噂なら聞いたかもしれない。
『しばし学生寮に現れる女装変態不審者』の情報なら…どこだったかで、確実に耳にした気がする。

 「お茶 ……身に余るお言葉ですが、洗濯をせねばならないので」
 「俺が『家事』をしないと、お坊ちゃまお嬢様型は来週も
 『洗っていないシーツ』でお休みになる羽目になってしまいます まったくだらしない!!!」


まるで何事もないかのように、開かなくなっているはずのドアに向き直る。
『常原』の手にはいつの間にか『鋏』が握られていた。

    [ギキキ…キュィィ……]

傍らには、小柄なヌイグルミのような、『ビジョン』。

132斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2019/12/13(金) 03:30:30
>>131

「…………」

目を背ける、視線を戻す、目の前にはやっぱりメイド服がある
何故か男性がそれを着用している、屈強な男性が、女性用のメイド服を、着用している。

――問題点が多すぎる。

 「さっき俺は『誰だ』って聞いたけどアレは訂正することにしたぜ『ツネハラさん』。」

 「『何だ』あんた。」

 「あ、因みにさん付けしたけど、これは別に親しくなりたいとか、尊敬からのさん付けではなく
 二度と関わりたくねえなあって感じの敬語だからよろしくお願いします。マジで。」

清月学園にも七不思議という物は有る
ただしかの学校はマンモス校、生徒の数だけ噂があり、8だったり6だったりするが
その中でも共通しているような事はある『ムキムキメイドさん』である、これが原因か、知りとうなかった。

 「というか待て、色々待て 何処から言っていいから解らねえから深呼吸をさせてください。」

割と知りたくなかった、そして今理解したくない事態が起きている上にかのメイドはスタンド使いに見える。
何でメイドなのか、メイドは神話生物であったのか、そんな物をデリバリーした覚えはない。

 (理解が追い付かねえ……。)

空を見上げたいが目に見えるのは天上であった
知ってる天井だ、助けてベンおじさん。

133常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』:2019/12/13(金) 21:23:03
>>132
「何、と仰られましても」
「俺は『メイド』ですよ……!?!?」

ツネハラは質問に若干困惑している。『見ればわかるでしょ…?』みたいな顔だ。

「関わりたくないなどと!悲しいですよ俺は」
「悲しいですが、お坊ちゃまがそうお望みであるなら…我慢いたします!」
「『今まで通り』、こっそり洗濯したりこっそりお掃除するに留めますよ!俺!」

斑鳩少年はこんなものデリバリーした記憶はない。ないのだが、
口ぶりからするにメイドさんはよくお部屋にサービスに来ているみたい。よかったね。

 「深呼吸しますよ俺も!」
  「すぅ――――――――――――――――」

      [チョキ チョキ]


ツネハラの大きな胸が膨らんだ。
メイド服は、フリルとかレースが付いてる感じの、
カワイイ目の装飾がついているやつだった。
胸元に若干だが露出がある。えっちだね。

      [キリ キリ ] 

後ろの『スタンド』は、鋏でドアを布か何かのように静かに切り裂いている。

 「―――――はァあああああッッッッ!!!!!!!!!」

メイド男が息を吐く。動作は静かなくせに声がでかい。

134斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2019/12/13(金) 23:27:01
>>133

 「いや、見ればわかるでしょ…?みたいな自分がルールブックみたいな面しないでくれます?
 見てわかんねぇから聞いてんだよ……!」

何故自分の語気が荒くなるのか、何故彼に平然と自らの行いを正当化されているのか

一つだけ解るのは自分のルールは通用しないと言う事だけだ、よくない。

 「っていうか今、『今まで通り』っつったか!言ったよな!
 嘘だろマジかよクソァ!!!この何かにパンツとか洗われたりしてんの、台所に出てくる『ホームステイ』より嫌だ!」


ショウは激怒した。必ず、かの 邪智暴虐 ( じゃちぼうぎゃく ) のメイドを除かなければならぬと決意した。
ショウには男装したメイドがわからぬ。ショウは、転校生である。
スタンドを持ち、仮初の友と遊んで暮して来た。けれども不審者に対しては、
人一倍に敏感でもないが自分がされる立場になるとは思わなかった、その鍛えられた胸筋見せつけるように動かすのやめろ
フリルと筋肉のコントラストが眼に毒どころか地獄である。


 「そして……」

          ヒュンッ

 「後ろでなにコソコソしてんだこの不審者がァァァ!」

         スパァン!

空中に放られた『鉄球』に振りかぶって鉄拳一撃

球体が波紋のように広がり鉄のカーテンと化すと、常原に被るように放たれた

掴まれば即座に結合して『一分の一ツネハラメタルフィギュア』が出来上がるであろう。


『俺』に敵を捕縛する気など無かった

でも殺すのが何か嫌なので警察に突き出そうと思った、初めての感情であった。

135常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』:2019/12/14(土) 00:05:10
>>134
 >         ヒュンッ

 >「後ろでなにコソコソしてんだこの不審者がァァァ!」


「鉄球!!あぶないですよ!!『ドリーム・ウィーバー』ッ!!!」

メイド男は、斑鳩の投げた球体を警戒し、
自身のスタンドを前に出す。

 >        スパァン!

 が、『ロスト・アイデンティティ』は『鎖』の能力。
斑鳩自身を縛る形で発現されるが、他人を縛る事だってお手の物。
たちまち、『等身大メタルメイド&メタルスタンド立像』の完成だ!見よこの肉体美。

「あッ なんの能力!!」
「…あちこちが…キツくて…!!!…絞まって!!!!ああっ!!!!」
「メイドめを縛り上げて!!!何をなさるおつもりで!!!『何』をっ!!!」
「くッ……お坊ちゃまっ!!!」

喘いだりしている。

136斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2019/12/14(土) 00:56:01
>>135

 (――攻撃して割と後悔しかけてんのも初めての経験だな。)

目の前で『喘いで動く!等身大メタルメイド&メタルスタンド立像』(税別)
を作り出したはいいが、冒涜的なメイド服が視界に入らなくなった代わりに
何故か後悔し始めていた、罪悪感とかでは決してなかった。

メイドの言動を華麗にスルーして携帯を取り出す

 「もしもし?パイセン?
 いやあ前の事はお互い水に流して……ところで変質者ってやっぱり粗大ゴミですかね?
 交番?いやあちょっと、逃げられそうなんで……。」

……しかし、こうして落ち着いて考えてみると少し妙にも思える
何故この人物は鍛え上げられた身体をしているのだろう?

育児は戦争だと言うが、スタンド能力と
鍛え上げられた身体を、こんな目的に使うとは考えにくい事だ、正気なら。

 (つまり、メイドになる前に何か別の目的で体を鍛えていて、その後にこうなった……?)

 「――だから何だっていうんだ。」

単に生まれた時から筋肉モリモリ、マッチョマンのメイドさんだ
そういう星の元に生まれてきた場合、今の推理が馬鹿らしくなるのが何か嫌だった

なので脳内ゴミ箱に捨てることにした
>そっとしておこう

 (大分息苦しい筈だと思うんだけど、元気だなあ……酸欠で大人しくなったら交番の前に捨てよう。)
 (いや、待てよ……?)

 「あー……ツネハラさん、逃がしてもいいけど『条件』がある
 貴方が知ってる『他のスタンド使い』の『名前』と『能力』、知ってるだけ言えば解除する事にした、どうだ?」

このメイドがこうして不法侵入するというなら、恐らく校内の生徒ほぼ全員が対象であろう
その中では自分と同じく、スタンドで対処した生徒もいる筈である

 「ついでにもう来ないでくださいね、ホント、お願いします。」

嘘をつかれる懸念はあったが
所詮蜘蛛の糸なので懐は痛まない……と思うことにした
そう思わなければやっていられなかった。

137常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』:2019/12/14(土) 01:27:34
>>136
君の発言を聞いて、金属メイドスタチューは動きを止める。

「かしこまりました…」
「『ですがお断りさせていただきます』」

 「ひとつ。斑鳩お坊ちゃまは喧嘩をよくなさるため、
  お洋服がすぐほつれ、ボタンもとれてしまうためです」

 「ふたつ。ほかのお方の『スタンド能力』をお教えする、
  というのは『品位』に欠くためです」

     ビ リッ

君の纏わせた『鉄の鎖』が、まるで『紐』でも切るかのように引きちぎられた。
中から常原が出てきた。可愛らしい装飾の『鋏』を持っている。


 「これだけはお教えしましょう 
  俺の能力は、『物体をヌイグルミのようにいたします』」

中で喘いでいたからか、メイド男は服髪が乱れ、上気していた。えろす。
そして、左目の『眼帯』が外れている。
左顔面に大きな切り傷の痕。メイド男は『隻眼』だった。

138斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2019/12/14(土) 13:35:31
>>137

 「成程、正論だ。」

言っている事は実に正しい

 「……じゃあ、その『品位』に来る前のノックとか不法侵入の拒否を期待するのは駄目なんですか?」

だがそれに行動が伴うとは限らない
その好例を垣間見た気がした

おまけに『鎖』が『紐』の如く断ち切られた
『ぬいぐるみにする能力』……人型の実体が出ていた所から、器物型では無い
おそらく、ここに入ってきたのも『壁』を『ぬいぐるみ』にしたのだろう、物音がしないのも道理である

 「――?別に『喧嘩とかした覚え』はないけど。 その、『外れやすいボタン』を治そうとするのも…困る
 それは僕のお祖母ちゃんにやってもらわなきゃいけない事なんだ、理由は言わないけど。」

隻眼の事は気にしないことにした、僕に事情がある様に、彼にも事情があるのだろう
態々眼帯で隠そうといているソレを追求する事は彼の言う通り、『品位』に欠ける。

 「だから、清掃と洗濯までなら……まだ……ゆ……」

それはそれとして直視したくないのもあった。

 「くっ!負けるな僕!立ち向かえ僕!恐怖を燃やすんだ!
 たかが野郎のメイドが押しかけてきてるだけだ!!斑鳩翔はうろたえなぁい!」

両親の、ひいては自分の為に戦うと決めていた、影と鎖はその為の力だと思っていた
でも予想外の出会いに心が折れそうだった。予想できるかこんなもん。

 「清掃と洗濯までは許すし、何なら不法侵入の件も許すから、ボタンなおすのはやめろ……大事な家族の事情なんだ」

首を絞められた雄鶏が絞り出すような声は震えていて
悪魔に魂を売り渡した気がした

実際にはメイドだが。

139常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』:2019/12/14(土) 14:47:16
>>138
「ん、喧嘩はなさらない?」
「……あっその『鎖』 それが若干お洋服に擦れて…るんですかね!? 
 鎖がお坊ちゃまのからだから生えてるように見えましたが…
 不思議!!!!不思議ですよ!!!」

乱れた服を整えながら眼帯メイド男はひとり納得している。
不思議なのはこいつの方だ。

「メイドというのは、悟られ過ぎず静かにに仕事をするものです 
 よって、ちょっとぐらいの不法侵入は業務のうち!!!日常茶飯事!!」
「瀟洒に!!!そして静かに!!そのうえ『可愛く』!!!!」
「それが現代のメイドですよ!!!!!!!」
「時代は『ポリティカル・コレクトネス』!!!!
 看護婦もキャビンアテンダントも男性の仕事になりました!!!
 現代のメイドだってそうなんですよ!!!!」

斑鳩のお察し通り、この男『倫理観』とかが狂っている。
こんなのに出遭ってしまった運命を呪うといい。

 「………『家族』」
 「………それを言われると弱いですね」 

「…
 夜更かしは控えてくださいね!!
 スナック菓子ばっかりじゃなくてお野菜とお肉をしっかりたべて下さい!
 シーツはしっかり洗ってくださいよ!!
 制服のシャツはしっかり洗ってください!
 首の裏の黒ずみは石鹸でこすってあげて!!!
 アイロンもしっかりかけるんですよ!!
 ボタンが外れたら自分で直してくださいね!!!」

「以上!!!!!!俺からは以上です!!!約束ですよ!!!!」

斑鳩翔は悪魔との契約に成功したようだ!!

140斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2019/12/14(土) 20:24:57
>>139

 (早速現代のメイドの三つ目あたりを違反してるんだがそれはいいのか?)
 (というかまずポリコレ以前に性別が違うんなら、執事で良かったろ。)
 (不法侵入が日常茶飯事とか公言したら仕える先は留置所だぞ)

等々の台詞を忍耐と下唇を犠牲にぐっと飲みこんだ、血の味がする
もう一々あげつらっているとキリが無いからだ

彼は僕をツッコミによる過労死にさせるためにきた、ボケ星人当たりに違いない。
ここは華麗にスルー……

 「――お前は俺の母親かァ!」


……出来なかった、要項の多さが理不尽だったのではない、世話を焼くための要項が
隣にいない母親と祖母がダブって地雷を踏みこんだような物だった。


 「クソァ!しかもこいつ妥協してるように見せかけてほぼ妥協してねぇ!」
 
 「あ、今自分で『母親』って言って何かイラッてきた、殺す。」

当初の困惑で堪忍袋の緒は既に切れていたが、一周回った冷静さが怒りが再燃させてしまった
なまじ会話を試みたのが斑鳩の間違いだったのかもしれないが、彼は子供だったのだ

ヒュン ヒュンヒュンヒュン…シュヴォォォーッ!

回転する銀の円盤……鎖のスリングから、無限の鉄球が放たれ
斑鳩の視線上が『穴開きチーズ』か『レンコン』のようになるまで5秒を切っていた。

141常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』:2019/12/14(土) 21:27:08
>>140
> ヒュン ヒュンヒュンヒュン…シュヴォォォーッ!

「……ははははは!!!お坊ちゃまは恥ずかしがり屋さんですね!!!!」
「では洗濯をしてきますからね!!!俺は!!!」

メイド男は冷や汗をかきながら後ずさり、鋏でドアに開けていた裂け目に体を突っ込んだ。
中国雑技団かなにかのように柔らかく、素早く体をねじりこみ、
部屋から脱出していったのだった。宇宙人のような男は去った。
洗ってないバスタオルは畳んで置いて行った。

       シーーーーン


 「ボタンの付け方がわからなかったら
  いつでも聞いていいですからね!!!!俺に!!!!」

…最後に遠くからあの犯罪者の大声が聞こえた。

142ディーン『ワン・フォー・ホープ』:2019/12/23(月) 21:15:50

トトトトトト……

学生寮の前を、小さな犬が歩いている。
黒毛のチワワだ。
首輪を身に付けているが、近くに飼い主は見当たらない。
そこに刻まれた名前は『DEAN』。
首輪にはリボンが付いていた。

(ここは――生徒が寝起きする場所だったな……)

        キョロ キョロ

何食わぬ顔で辺りを見渡す。
誰もいなければ、ちょっとばかり中を見てみようかとも思った。
ヨシエはここにいないが、もしかしたら将来入るかもしれない。
今の内に調べておく意味は、一応ある。
もし誰かいたらいたで――まぁ、適当に誤魔化せばいい。

143小林『リヴィング・イン・モーメント』【高3】:2019/12/23(月) 23:06:07
>>142

『機動阻止システムって言ってな。
アメリカが研究してる致死性兵器。ジョーの能力と噛み合うだろ?』

「えぇ。然し、アレ等の成分はポリアクリルアミドが入ってますしね。
発がん性が心配ですし。普通にワックスなり何なり購入すべきだと思うが」

『ローションでも箱詰めで買うほうが安上がりかもなぁ。
まぁ、とりあえず実践して作って効力を確かめようぜ。
幸い沢山の水と洗剤少々混ぜれば出来るんだし』

  ジャブジャブ……。

貴方(ディーン)が学生寮の庭あたりを散策すると
何やら幾らかの洗剤、そして其の一本を大き目のバケツに入れて
攪拌している高等部の制服を着た二人組を見かけた。
一人は茶髪で不良めいた装飾、もう一人は学生服をバンカラ風に
着こなしており。普通の寮住まいの学生と言うには些か気風が異なってる。

ヤジ「お? ジョー、犬っ チワワだぜ、あれっ。最近誰か飼い始めたん?」

小林「いえ……私の記憶には思い当たりませんね。迷子では?」

不良風の男子が、先に気付いて貴方(ディーン)を指し声を上げる。
バンカラ風に着こなす男子が貴方(ディーン)に近づいて来る。

144ディーン『ワン・フォー・ホープ』:2019/12/23(月) 23:34:02
>>143

(ここを住処にしてる人間か……)

(どんな奴か知らないからな。距離を置くか……)

(この前の『鎖』を使う奴みたいに、
 得体の知れない人間の可能性も――――)
 
(なくはない、か)

      トトト

小林が近付くと、チワワは少し離れた。
警戒しているのかもしれない。
しかし、吼えたりする事はなく、至って冷静な態度だ。

(『住人の質』で『場所の質』も分かる。
 この二人も『治安のレベル』を知る参考にはなるか)

奥の人間と手前の人間に、交互に視線を巡らせる。
それからチワワは小林を見た。
何故なら、こちらに近付いて来ているからだ。

(奥の奴――ああいう身なりは『治安の良くない場所』に多い。
 …………『マイナス』だな)

145小林『リヴィング・イン・モーメント』【高3】:2019/12/24(火) 00:08:13
>>144

貴方(ディーン)は小林が近づくと同等に間合いを置く。
 それに、マイナスポイントの評価を頂いた不良風の恰好の
青年は眉を顰めるでもなく、へぇーと声を上げつつ感想を述べる。

ヤジ「やっぱ、どっかの飼い犬かね? 唸ったり吠えたりするでもなく
ジョーや俺の事を逐一観察してるっぽい感じだしよ」

こりゃ、かなり飼い主が賢いか。その犬の先天性だなと評価を不良は下す。

小林も立ち止まり、それ以上貴方(ディーン)に近づく事は止めて
評価する人物のほうへ踝を返す。

小林「じゃあ、この子はスタンド使い?」

ヤジ「ハハ、それだったらヤベェな。動植物の有するスタンドってのはさ……
霊長類である俺達と違って、犬とか他の生き物ってもろ自然の過酷さを
影響受けるだろ? だから結構危険な代物が多いんだってよ」

所属してる所の受け売りだけどよ、と不良青年は付け加え
バケツに洗剤を混ぜる作業を続けている。
 どうやら、彼等二人。随分スタンドに精通してるような感じでもある。

小林「そう言えば、つい最近にカフェで謎を好む方と知り合いましたよ
彼も動物でしたね」

ヤジ「へー? そりゃ犬かい」

小林「いえ、違いましたが……」

ヤジ「おっと、答えは言わなさんな。自分で正解してぇ
……うーん、お前の行きそうな動物喫茶とかだと
まさかまさかの熱帯魚とかアロワナとかが?
違う? それじゃあウミヘビとか?」


小林「海魚類から離れてくれないかな」

男子二人は、貴方から注意を逸らし雑談を繰り広げてる。
 どうやら、一人は貴方とは違う動物のスタンド使いと知り合いのようだし
もう一人は何かの組織に加入してるようだ……。

146ディーン『ワン・フォー・ホープ』:2019/12/24(火) 00:38:08
>>145

(『スタンド』について詳しい連中――――
 それだけじゃあ良いとも悪いとも言えない)

(今の所『危険人物』じゃあないな。
 もっとも、それも『確証』はない訳だ)

     トトト

(なら、『そこ』を探ってやるか)

チワワが近付いてくる。
相手は犬だ。
人間と比べて表情は分かりにくい。
そもそも、この犬は表情豊かな方ではなかった。
何かを観察しているように、二人のやり取りを見ている。

          トスッ

そして、チワワは二人から少し離れた位置に座った。
興味を引く話も幾つかあった。
『人間以外のスタンド使い』は見た事がないが、
俺の他にも存在するのは当然だ。
『組織』にしたって、『固体』が増えれば、
『群れ』が出来るのは自然な流れだろう。
まぁ、それはいい。

(さっき、片方は俺に近付こうとしていた。
 だから今度は俺の方から近付いた)

(――――『餌』は俺だ)

147小林『リヴィング・イン・モーメント』【高3】:2019/12/24(火) 01:00:08
>>146

小林「? ……また近づいてきましたね。
我々のしてる事に関心がある……?」

ヤジ「餌が欲しいって感じでもねーよな。
まっ、襲い掛かって来る訳でも無いし」

放っておいていいだろ、と不良の装飾をする青年は
バケツに洗剤を混ぜる作業を続けている。

小林は、貴方(ディーン)をしげしげと眺め
唐突に気づいた表情をして呟いた。

小林「首輪が見えますね。D E A N……ディーンが
この子の名前でしょうか?」

ヤジ「おいおい、清月の学生寮にわざわざ学部長(dean)さんが
お越しってかよ。素行の悪い不良の俺達を注意する為に遥々来てくれたってか」

小林「余り笑えるジョークじゃ無いな」

ヤジ「そりゃ、笑わせる為にやってる訳でもないし。
それよか出来たぜ、ジョー。ちょいと触れて実行してみな。
大分ぬめり気はあるけど、その能力も問題ねぇだろ」

ジョーと呼ばれる青年は、えぇと告げるとバケツに手を触れる。
すると、『丸い水槽のようなものにブリキ金魚が漂う』スタンドが
宙に浮かび上がったのが貴方(ディーン)にも見て取れた。
だが、直ぐにその水槽もバケツに戻した。

ヤジ「まぁ、問題ねぇな。それじゃあ何時も一個は携行する感じか
適当な水筒に入れておく感じでOK?」

小林「持っていて職質を受けた時、どう返答するんだい。
それなら何かあった時、適当な空き家なりでワックスか洗剤なり
入手するほうが早いんじゃないか」

ヤジ「別にワックス持ち歩いても、不審がられねぇだろ。
ジョーの場合は普段でも少々変わってるって思われてんだから問題ないって」

軽口を叩き笑う不良に、少し呆れた表情で向かい合う青年は
溜息と肩を竦める仕草を小さく行う。

どうやらバンカラの青年のスタンドをテストしてるようだが……。

148ディーン『ワン・フォー・ホープ』:2019/12/24(火) 01:18:42
>>147

『ディーン』という名前を聞いて、二人を交互に見た。
どうやら、その名前は『正解』のようだ。
それから、チワワはバケツに視線を向ける。

(『水』か……。
 わざわざバケツから出した所を見ると、『水』が必要らしいな)

座ったまま、『テスト』の様子を眺める。
どうやら、あれは『実体化』しているようだ。
それなら、『見えていても』おかしくはない。

(まぁ――――『何をするか』見せてもらうか)

しかし、水が勝手に浮き上がったのを見れば、普通は驚くだろう。
この『ディーン』には、そうした様子は見られない。
肝が据わっているのかもしれないし、暢気なだけかもしれない。

(攻撃されるような事は…………恐らくないだろうが、
 うっかり『とばっちり』が来ないとも限らない)

密かに四肢に力を込めておく。
何かあった時に、即座に動けるようにするためだ。
その必要がなければ何よりだが。

149小林『リヴィング・イン・モーメント』【高3】:2019/12/24(火) 22:31:14
>>148(レス遅れすみません)

ヤジ「……ジョーの推察が正しいのかもな。
普通、見え辛いとは言えバケツからヒャポン見たいなもんが
唐突に浮かんできたら、何かしら反応するが。
その学部長さんは『その反応自体抑えている』ように見える」

小林「では何の用件で此処に来たのでしょうね。
誰かしら救援を求めてるにしては落ち着き払っている。
単純に物見雄山 又は君が述べる敵対組織が愛玩犬のフォルムを
活かした偵察犬なりを敵情視察で寄こしたとか?」

ヤジ「んー……身元割れてんなら、普通に襲撃するのが早いと思うが」

不良青年は、複雑そうに貴方を数秒見て。頭を掻いて、勘括るのも良くねぇと
呟きつつ開かれた寮のほうに横に置かれてる何か大き目のものを外のほうへ引っ張り出す。

――モミの木だ。

ヤジ「そんじゃーお願いするぜジョー。
学部長さんも少し下がってなよな」

ジョーと呼ばれる青年は、はいはいと言いつつ先程と同じ浮遊させた
ソフトボール大の水槽を五つほど直列に並べてモミの木から
庭の中央までのルートに水槽を移動させ、暫くしてピシャピシャッと
水槽が解除されて、幾らかの洗剤の香りが地面に漂う。

幾らかの人数が居ないと持ち運ぶのが難しいサイズの木だが
摩擦を無くさせた地面なら、二人掛かりで倒さず押して移動させるのも
容易に執り行える。その為のバケツでの滑りやすい液体作りだったのだろう。

ヤジ「夜になれば、イルミネーション付けて此処らへん煌びやかだぜ」

小林「一先ず、寮の何人かには取り付けの声掛けをしますよ。
……ディーンさんも、お知り合いの方が居ればご自由に見に来てください」

貴方(ディーン)に気を遣ってか、小林は丁寧に夜にでも
飾りつけで満点の夜空に綺麗なクリスマスツリーが出来るだろう場所への
許可をした。尤も、貴方は誰の許可など貰う事など無いのだし 
人間の男の勝手な発言ではある。

150ディーン『ワン・フォー・ホープ』:2019/12/24(火) 23:33:28
>>149

    ピクッ

(悟られたのか?カンが良いというか……)

(言われてみれば、『ノーリアクション』なのは不自然だったな。
 『驚く演技』ぐらいするべきだった)

(もっとも、まだ『能力』を知られた訳じゃあない……)

俺は人間に買われ、人間に捨てられ、人間に拾われた。
俺の能力が『人間』を必要とするのは、
その辺りに関係があるのかもしれないな。
妙な因果だが、身に付いてしまったものは仕方がない。
結局の所、俺は『人間達の世界』でしか生きていけないんだろう。
俺は、それを『定め』として受け止めている。

          ポウッ

首輪に結ばれている『リボン』が淡い輝きを放った。
『水槽』と同じく『実体化』しているので、ヤジにも見える。
しかし、次に起こった事はヤジには分からない。
小林は『声』を聞いた。
それは、『スタンド使いだけにしか聞こえない声』だ。

《……気が向いたらな》

《俺は『敵』でも何でもない……。ただ『見物』に来ただけだ》

《アンタに『縄張り』を仕切る権限はなさそうだが、
 親切には感謝する。それだけ言いたかった》

《――――じゃあな》

        フッ
              トトトトト…………

別れの挨拶を告げると、『リボン』から光が消えた。
そして、チワワは立ち去っていった。
その夜、一人の女性に連れられた『幼い少女とチワワ』が、
ツリーを見物に訪れていたという話だ。

151三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』:2020/02/01(土) 21:39:14

    ザック ザック
              ザック ザック

学生寮の裏手――そこに『何か』がいました。
フードを目深に被り、シャベルを携えた人型のスタンドです。
延々と地面を掘り続ける姿は、『墓堀人』を思わせました。

    ザック ザック
              ザック ザック

千草は考えていました。
自分に出来る事は何なのか。
それは『墓穴』を作る事です。
だから、こうして穴を掘り続けているのです。
始めてから、かれこれ二時間程になるでしょうか。

    ザック ザック
              ザック ザック

『闇を覗く時、闇も覗いている』という言葉があるそうです。
この穴の奥を覗いたら、誰かが覗き返してくるのでしょうか?
もしそうだとしたら――その何かとは何なのでしょうか。

    ザック ザック
              ザック ザック

それを確かめるために、
今こうして『墓穴』を掘っているのかもしれません。
『墓穴』は相当な深さになっています。
でも――その『何か』は、まだ見えてきません。

152常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』:2020/02/05(水) 00:40:01
>>151

  ザッ    ッ

後ろで、『落ち葉』をはらう音。

   ザッ    ザッ

……君の掘っている穴のそばに『落ち葉』が寄せられている。

 「お体はお冷えになっておられませんか?」
 「あたたかいミルクティーを持ってまいりましたよ」

君の視界に竹ぼうきを持った大柄な男の姿。
『ムキムキ』で『メイド服』だ。

153三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』:2020/02/05(水) 00:59:00
>>152

「えっ」 「あっ」 「はい」

その姿に驚きました。
『突然』だったもので。
その時は、格好までには考えが至っていませんでした。

「あの――」 「その――」

『墓穴』は消してしまった方がいいのでしょうか。
ですが、急になくなるというのは不自然です。
短い時間の間に考えて、今は残しておくことにしました。

「ありがとう――ございます」

    ペコ

お言葉に甘えて、お茶を頂きましょう。
それで少しは落ち着けるのではないでしょうか。
頭の中が混乱していて、それ以上は考えが進みませんでした。

154常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』:2020/02/05(水) 01:25:26
>>153
 「いえいえ」

突然やってきた男は、箒を傍らに立てかけた。
ピンク色の魔法瓶を取り出し、プラスチックのコップに中身を注ぐ。

 「どうぞ」

コップを君に手渡してきた。
『ミルクティー』のようだ、湯気が立っている。甘い香りがする。
にこやかに笑う筋肉メイド男は片目に『眼帯』を付けていた。君が混乱するのも無理はない。

 「こちらこそ ありがとうございます!!」
 「枯葉のやり場に困っていたので!!!!」

155三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』:2020/02/05(水) 01:42:36
>>154

「――いただきます」

ミルクティーが喉を通っていきます。
甘さと温かさで気持ちが落ち着いてきました。
後ろの『墓堀人』も、シャベルを地面に突き立てて休んでいます。

「その――この『穴』は……」

心の中で、どう説明しようかと思いました。
上手い言葉が思いつきません。
でも、その必要はなかったみたいです。

「そう……ですか?」

「少しでもお役に立てたのなら嬉しいです」

    ニコ

「あの、おかしな事を言ってしまったらすみません」

「ええと――『何か』……見えていますか?」

もしかすると『見えている』のでしょうか。
確認のため、『墓堀人』が動きます。
シャベルを肩に担いで、壁際の方向へ。

156常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』:2020/02/05(水) 02:06:07
>>155
君はよくわからない男が手渡してきた
よくわからないミルクティーを警戒もせずに飲んでしまった
砂糖がたっぷり入っているようだ。甘い。

……毒とかは入っていないみたいだ。
三枝の体は温まった。変なことは起きない。

    ザザザァ―――ッ

男は、君の掘った穴に『落ち葉』を流し込んでいる。

  「何って、なんです?」
   「なにか危険でもございますか?」
 
     ザザァ―――ッ 

竹ぼうきで大量に流し込んでいる。みるみる穴が埋まっていく。
そのあいだ、男は、その片目が『墓掘人』を追っているのが、
三枝には明らかに見えた。

  「ああ、穴は、危ないです」
  「しっかりふさいでしまいましょう!」
  「あぶなくなければ、良いのです」

157三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』:2020/02/05(水) 02:22:35
>>156

「いえ、危ない事はないと……思います」

『穴』が埋まってしまいました。
その奥に『何か』が見えるかと思っていたのですが。
見えなくなってしまいました。

「そうですね」

「埋めてしまえば――危なくないです」

でも、この『墓穴』が誰かの役に立ったのです。
その事実こそが、千草の探していた『何か』かもしれません。
もしそうなら、きっと『意味』はあったのでしょう。

    カツンッ

墓堀人がシャベルを地面に打ち付けました。
その直後、『穴』は跡形もなく消えてなくなりました。
中に詰め込まれていた枯葉を道連れに。

「――――これで『危なくない』ですね」

158常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』:2020/02/05(水) 02:42:52
>>157
男は墓掘人のすることを静かに見ていた。

「―――はい!!!!!安全ですね!!!」

眼帯ムキムキメイド男は君に向き直った。

 「寮生のみなさまの身を (無許可で勝手に) 預かる身としましては」
 「あぶない事は見落とせないのです」

 「この寮には『変態の不審者』が出没するという話も!!ございます!」
 「なにか危険がございましたらこの『常原』にお任せを!!!俺に!!!!」

どうやら男の名は『常原』というようだ。ひとり張り切っている。

「……ところでお体は冷えていらっしゃいませんか?」
「お嬢様、ずっと掘っていらしたので……」
「屋内に戻られては如何でしょうか」

159三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』:2020/02/05(水) 03:08:09
>>158

「『常原さん』とおっしゃるのですか。覚えておきますね」

    ニコリ

『不審者』というのは、『危険な人』という意味でしょう。
常原さんはミルクティーを下さいましたし、励ましてもらいました。
改めて見ると、少し変わった格好のように見えますが、
きっと『良い人』でしょう。

「『三枝千草』と言います。『三つの枝』に『千の草』と書きます」

           ペコリ

その姿は、『少女』にも見えるし『少年』にも見えました。
声質も同じような雰囲気です。
どうやら、平均よりも大分成長が遅れているようです。

「――そうですね。では、そろそろ部屋に戻ろうと思います」

少しぼんやりしていたせいで、
一部を聞き逃してしまったかもしれません。
具体的に言うと、
『身体が冷えている』と『ずっと掘っていた』の間くらいです。
でも、聞き返すのも失礼なので、挨拶しましょう。

「常原さん、ありがとうございました。美味しいお茶でした」

            ペコ

いつの間にか、『墓堀人』も消えていました。
そして、そのまま寮に入っていきます。
最後に、入り口の前でもう一度お辞儀をするのを忘れずに。

160今泉『コール・イット・ラヴ』:2020/04/07(火) 00:48:29

――――今、『私の部屋』にいるんだ。


          がら
              ん


っとした、何もないフツーの部屋なんだけどね。

引っ越してきた、ばっかりだから。
でもここが今日から私の世界なんだ。
家具とかも、後から届く予定。

友だちにも『ここに来た』ことを連絡した。
だから今は、別に何もせずに、誰かが来るのを待ってるんだ。

161???『???』:2020/04/07(火) 01:10:20
>>160
       〜〜〜♪

その時、外でドアのチャイムが鳴った。
『誰か』が来たようだ。
呼んだ相手かもしれないし、家具が届いたのかもしれない。

162今泉『コール・イット・ラヴ』:2020/04/07(火) 01:14:07
>>161

           『ぱち』

私は動き出す。

「はーいっ」

家具かな? 人かな?
どっちだって、嬉しいよね。
どっちも私が呼んだんだ。

だから急いでドアの前に立って、『覗き窓』から外を見た。

163夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2020/04/07(火) 01:31:03
>>162

覗き窓から外を見ると、寮の廊下が見えた。
そこには誰もいない。
と――――。

      バ ッ

死角になっていた覗き窓の真下から、『誰か』が立ち上がる。
見覚えのある姿が、覗き窓の向こう側を見返している。
そう!!ワタシだ!!
イズミンがひっこししたんだってよ。
じゃあ、おいわいしにいこうぜ!!ってカンジできたぜ!!

      パクパク

以上の心中を、無音の『口パク』で語る。
イミ?ねーよ!!
これでも伝わるかなと思ったけど、
たぶん伝わらないから開けてもらおう。

164今泉『コール・イット・ラヴ』:2020/04/07(火) 01:37:42
>>163

「ああ」

            ガチャ…

「こんにちは、ユメミンっ」
「どうぞどうぞ上がってください〜。我が家に!」

ドアを開けて、出迎える。
ユメミンは一番に連絡した部類だと思うんだ。
そしたら一番に来てくれた。

こういうのが『嬉しさ』ってやつだよね。

「何もないところですけども……」
「ほんとに何もないですよ、まだ」

言葉通り、本当に何もないんだ。
どこにでも座れるし、寝転がれる真っ白な部屋だ。
備え付けの家具とかはあるけどね。

「いや〜、今日はうちに来てくれてありがとうございますっ」

165夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2020/04/07(火) 02:24:48
>>164

「――それでは、おジャマいたします」

こういうのはハジメがカンジンだし、さいしょはテイネイにいこう。
イズミンのあたらしいスタートだし。
まあ、はいったあともテイネイをたもてるホショウはないけどな!!

          「うおッ」

       「おおおおおおおおッ」

   「おおおおおおおおおおおおおおお!!」

部屋の中央まで来たところで、室内を見渡しながら一回転する。
絵の描かれていないキャンバスのように、真っ白で何もない部屋。
未来に繋がる部屋。
『これから』に溢れた小さな世界。
こういうのを見ると、何だか無性にワクワクしてくる。

「いやぁ〜〜〜『イイ』!!
 なんか、こう……『ミライがいっぱい』ってカンジ??
 ついついたのしくなってくるね〜〜〜」

「これから『アレ』とか『ソレ』とか、いろんなモノがふえていくワケだ。
 あ!!もちろん『コレ』もわすれちゃいけないな!!」

       ドサッ

そのまま部屋の真ん中に座り込む。
持ってきた荷物は隣に置いておこう。
中身は『コレ』だ。

「きょうはさぁ〜〜〜『おいわい』しようとおもって。
 イズミンに『プレゼント』よういしたんだ〜〜〜」

          キョロ キョロ

「ココって『トケイ』ある??
 まぁ、トケイはいくつあってもこまんないからダイジョーブ!!
 『トキはカネなり』っていうし」

「『ジカンをおしえてくれるトケイはオカネみたいにやくにたつから、
 あればあるほどウレシイ』!!」

「――――ってイミの!!」

           ゴソ ゴソ

「ババン!!これぞ『ハトどけい』!!
 いちじかんおきにでてきてジカンをおしえてくれるカワイイヤツ!!
 よるのあいだは、ハトにねてもらうキノウつき!!」

取り出したのは、シンプルなデザインの『鳩時計』だった。
何がいいか悩んだ結果、選んだのが『時計』だった。
そして時計コーナーを見て回っている時、
ビビッと来たのが『鳩時計』だったのだ。

166今泉『コール・イット・ラヴ』:2020/04/07(火) 23:05:45
>>165

私は何もない部屋の真ん中に立つ。
それから、ユメミンが座ったのに合わせて座る。

「プレゼント!」
「わ、なんですか〜」「楽しみですっ」

「時計はないですねえ、スマホありますし」
「あ〜、あと目覚まし時計なら」
「時計のプレゼント、なんですかっ?」

「って」

そして現れた物を見たんだ。
それが何か、ユメミンが言うまで気付かなかった。
だって名前は聞いたことあるけど、見る事あんまりないよ。

「鳩時計」
「え、ほんとに出てくるやつですかっ?」「ハトが」

眺めてみる。

「え〜〜〜どうしよう、これ、『嬉しい』です」
「ありがとうユメミン」

それから持ち上げてみる。

「どこに飾ろうかな……どこにでも飾れちゃいますもんねえ」
「ほんとに、未来がいっぱいで」「きっと楽しいと思いますっ」

「……あ、お菓子とか食べますか? 甘いものしかないですけど」

167夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2020/04/07(火) 23:58:16
>>166

「そうそう、『そのハトどけい』。
 ウワサにはきいていたが、ジツザイしていたとは……。
 セカイはひろいな!!」

「――――だいじにしてね!!」

鳩時計をイズミンに手渡した。
喜んでもらえて良かった。
イズミンがうれしいとユメミンもうれしい。

「イズミンのスキなトコにかざってくれ!!
 どんなインテリアにもあうように、シンプルなヤツをえらんだから!!
 おてごろなサイズだから、つくえにもおけるし……」

「あ、そうそう。『ココ』おしたらおためしできるんだった。
 いざ!!『ハトがでてくるボタン』!!」

     ポチッ

鳩時計は、大きすぎず小さすぎない程々の大きさだった。
それから、裏側にあるボタンを押してみる。
モニター機能というやつだ。

  サラサラサラ…………
           
         クルッポー クルッポー
                     
                 パタパタパタパタ

小川のせせらぎが流れ、小窓から出てきた鳩が羽を動かしながら鳴いた。
それを興味しんしんな様子で見つめる。
実は、自分も実際に見るのは初めてだったのだ。

「コレはいやされるな〜〜〜。ジツにイイかいものだった!!
 あ、オカシ??たべるたべる!!メニューはナニかな??」

168今泉『コール・イット・ラヴ』:2020/04/08(水) 01:17:18
>>167

「机に置くのもいいですね〜」
「壁に掛けようかなって思ってたけど……」
「お試しを見てから考えようかな」

  サラサラサラ…………
           
         クルッポー クルッポー
                     
                 パタパタパタパタ

「おお〜っ」
「こういう感じなんだ」
「お洒落ですねえ」

本格的な感じだ。
確かに、癒される気がする。
1時間おきに鳴るとしてもびっくりしなさそうだ。

「勉強中に出てきたら時間の意識できそうだし」
「壁よりは机かな〜」
「いやあ、いいものをありがとうございますっ」
「大事に使いますよ!」

         ニコ…

私は笑う。

「あ、お菓子は『クッキー』がたくさんあるんですっ」
「お腹すいたら食べようかなって思って、買いすぎちゃいまして……」

どれくらい食べ物を買ったら良いかとか、難しいんだ。
お腹は減るけど、クッキーしか食べないわけにはいかないし。栄養とかね。

169夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2020/04/08(水) 01:39:38
>>168

「おっイイね〜〜〜。クッキーたべよう!!」

「あ、『クッキー』っていったらさぁ…………。
 ちょっとまえ、『バレンタイン』あったじゃん??
 そんで、『イカルガくん』にチョコあげちゃったよ〜〜〜」

「てづくりのヤツ。われながらイイできばえだったな〜〜〜。
 ハジメテにしてはじょうできだった!!」

「せっかくのイベントだし、あげたときのハンノウもみたかったし。
 まぁまぁのリアクションだったかな??」

取り合えず喜んではもらえた。
ただ、彼のナゾを解く手がかりのような反応を期待したところもある。
そういうイミでは、パーフェクトとは言えない。

「まあ、いっか!!きになるモノは、ほかにもイロイロあるし。
 このまえは、こうえんで『カマキリ』みたんだ!!
 こういうカンジのヤツ」

     ササッ

両手を上げて、『カマキリのポーズ』をしてみせる。
そういえば、アイツにはにげられたんだった。
いつかリベンジせねばな!!
とはいえ、みたいものはまだまだある。
たぶんリベンジするのは『2せいきご』くらいになるとおもう。

「そしたら『クロガネくん』が…………。
 イズミン、『クロガネくん』ってしってる??」

170今泉『コール・イット・ラヴ』:2020/04/08(水) 11:48:22
>>169

立ち上がって、備え付けの棚からクッキーを取った。
白い箱に入った、丸いクッキー。
真ん中にジャムがついてるやつだ。

「へぇ〜、イカルガ先輩に!」「しかも手作り!!」

イカルガ先輩。
あの人の『秘密』をユメミンは知ってるのかな。

「いいですねえ、バレンタインしててっ」
「私もクラスの男子には配りましたけど」
「フツーに、手作りはしませんでしたし」

どっちにしても、口には出さないようにしないとね。
顔には、出そうと思わなきゃ出ないし。

それにしても手作りチョコなんて、やっぱりユメミンは行動力が凄い。
本命だったりは……しないんだろうな。相手がイカルガ先輩だし。

「バレンタインからカマキリ……あは、落差がありますねっ」
「ユメミン、虫も好きなんでしたっけ」
「私はフツーですけど」

「クロガネ……『剣道部の鉄先輩』ですよねっ?」
「剣道が強いのと〜」「あと」「『女子が苦手』で有名な……?」

「鉄先輩が、カマキリをどうしたんですっ? 竹刀で倒しちゃったとかですか?」

171夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2020/04/08(水) 19:57:01
>>170

「そうそう、そのクロガネくん!!」

「ワタシがもりのおばあさんにケーキをとどけようとしてたんだ。
 そしたら、『きょだいカマキリ』があらわれてさぁ〜〜〜。
 ちょうどクロガネくんがやってきて、
 『カマVSしない』のたたかいになったんだ!!」

「ソウゼツなしとうのすえに、イガイなシンジツがあきらかに!!
 ジツはカマキリはオナカがすいてて、
 ケーキのニオイにつられてでてきちゃったんだ。
 それで、ワタシがケーキをわけてあげて、いっけんらくちゃく!!」
 
「――――そんなんだったらオモシロかったんだけどね〜〜〜」

見つけたのは『ただのカマキリ』だった。
それでも、ナマで見たことのなかった自分にとっては大きな発見だった。
しかし、セカイはひろい。
みあげるような『きょだいカマキリ』が、どこかにソンザイするかもしれない!!
たぶん『ジャングルのおくち』とか『ぜんじんみとうのヤマのうえ』とかに。

「ホントはね、
 『カマキリをカンサツしてるユメミンをクロガネくんがカンサツしてた』ってだけ。
 そしたらカマキリがにげちゃったから、かわりにクロガネくんをカンサツするコトにした。
 なかなかたのしかったから、カマキリとイイしょうぶだな!!」

「そういえば、クロガネくんとイカルガくんってトモダチらしいよ。
 なんかイガイ…………でもないか??
 いや、やっぱイガイ??」

172今泉『コール・イット・ラヴ』:2020/04/08(水) 23:24:20
>>171

「ええ〜。森のおばあさん?」
「まあ、ケーキはみんな好きですもんねっ」
「おばあさんも」「カマキリも」

前半の話は、笑って頷いておく。

「……あは、やっぱりそういう展開でしたか」

ユメミンのこういうノリには慣れてきたんだ。

「それにしても、鉄先輩が観察ですか」
「それも、ユメミンっていう『女子』を」
「うーん」「何だろ」

もしかして、好きとか?
好きだから見てるってタイプにも思えない。
女子は苦手らしいけど、苦手なりにちゃんと言いそう。

わかんないけどね、人の『こころ』なんて。

「イカルガ先輩と仲良しなのも意外……かも?」
「雰囲気は違うっていうか」「文化系と体育会系?」

「ちなみに、なんで観察してたか言ってましたっ? 鉄先輩は?」

クッキーの缶を開けながら、気になったところを聞いてみるんだ。

173夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2020/04/08(水) 23:53:08
>>172

「ん〜〜〜なんでだろね??
 クロガネくん、ナンかいってたっけ??」

思い出してみる。
あのトキは、カマキリをおいかけてて……。
そしたらスマホがなって、ふりむいたらクロガネくんがいたんだっけ??

「たいしたコトはしてなかったよ。
 ユメミンが『ほふくぜんしん』してたくらいで」

「それで、きづいたらクロガネくんがいたってカンジ。
 クロガネくんとは、まえにもあったんだけど。
 さいしょが『ジンジャ』で、つぎが『ゲーセン』だっけ??」

「イズミンはどこであったの??クロガネくんと」

    ヒョコッ

立ち上がって、缶の中身を覗き込みながら尋ねる。
『ガッコー』かな??
どうでもいいけど、ハトどけいのハトってジツは『カッコー』らしいぞ。

174今泉『コール・イット・ラヴ』:2020/04/09(木) 00:04:25
>>173

「な、なるほど〜〜〜」
「何となく分かりましたっ」

ユメミンがフツーじゃない事してたから観察してたんだ。
謎が解けてしまった。やっぱりユメミンはすごい。

「へえ、神社にゲーセンですか」
「ゲーセンはちょっと意外ですねえ」
「でも不思議ではないか」

遊ばない人、ってイメージではない。

「私はフツーに学校で、ですね〜」
「前から知り合いでして」
「そんな面白い出会いとかではないんですけどっ」

ユメミンの程、面白くはない。
でも、初対面のときの鉄先輩はある意味面白かったかも。
そんなこと言ったら失礼なんだけどね。

「そういえば、前に会った時……え-と」
「『烏兎ヶ池神社』? の巫女さんと知り合いとか言ってたかな」
「あの、パワースポット神社のっ」
「って私は行った事ないんですけども」

それに見たこともないけど、『スタンド使いの巫女』らしいんだ。

「ユメミンが会ったのもその神社で、だったりするんですか?」

175夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2020/04/09(木) 00:27:31
>>174

「あ〜〜〜!!そうそう、ソレソレ。
 たしか、ソコいったんだよね〜〜〜。
 ちょうどクロガネくんがいてさぁ、
 イロイロとセツメイしてもらっちゃったよ〜〜〜」

あの時は、『漢字』が読めなくて困ってたんだ。
だから、クロガネくんがいてたすかった。
ちいさいコがこまらないように、『フリガナ』ふっとくべきだな。

「でも、『ミコさん』はしらないなぁ。
 ワタシがいったときはいなかったし。
 いや、ジツはいたのか??
 もしかしたら、おくのほうにいたのかも??」

そういわれると、なんだかキョーミがわいてきたぞ。
ナゾにつつまれたセイブツ・『ミコサン』のショウタイをつきとめねばなるまい!!
よていひょうにキチンとかいとかないとな!!

「その『ミコさん』ってどんなヒト??
 クロガネくん、なんかいってなかった??
 シュミとか、スキなたべものとか」

176今泉『コール・イット・ラヴ』:2020/04/09(木) 00:45:21
>>175

「ああー、じゃあ鉄先輩の『行きつけ』なんですかね」

あの時は行った事無かったって言ってたけど。

「巫女さんの話……えーと」

「……うーん」

「趣味とかは言ってなかったですね」
「町中で会って、連絡先を交換したってくらいで」
「あー、あと」
「ユメミンになら言っていいかな」

鉄先輩も、フツーに教えてくれたし。
『隠してる』わけじゃないよね、多分。

「『スタンド使い』らしいんですよね〜。巫女さんも」
「たしか、『ヴィルドジャルタ』っていうスタンドで」

「その『名前以外本人にも何も分からない』……とかっ!」
「『スタンドを誰かに貰った』わけでも、ないみたいなんですよね」

不思議な話ではあるよね、スタンドを『最初から持ってる』なんてあるのかな。

177夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2020/04/09(木) 01:04:43
>>176

「へー、スミにおけないなぁ」

ああみえて、いがいにプレイボーイだったのか??
ジュンジョウそうにみせて、ケイカイされずにちかづくテクニック……。
あなどれんヤツだ!!

「『スタンドつかい』か〜〜〜。
 あえなかったのがくやまれるな……!!
 もったいない!!」

なんだか、ものすごくミステリアスなスタンドだ。
それをもっている『ミコさん』も、きっとナゾにつつまれた『フシギなソンザイ』にちがいない。
これは、なんとしてもカイメイしなければならないな!!

「『めずらしいスタンド』でおもいだしたケド、こんなコトがあってさ。
 『ユメのなかのハナシ』、チョットまえイズミンにしたよね。
 ジツは、そのまえにも『ベツのユメのセカイ』にいったコトがあって……」

「――――ん??」

そこで気付いた。
クロガネくんは、ミコさんがスタンド使いだって知ってるワケだ。
あれ??

「クロガネくんって『スタンドつかい』だったの??」

いまさら気が付いた。
そういえば、『ゲーセン』でナンかミョーなコトがあったような……。
もしかしてソレ??

178今泉『コール・イット・ラヴ』:2020/04/09(木) 01:46:21
>>177

「ねー、意外ですよね。連絡先なんて」

スタンド絡みでも意外だ。
年上の人なら平気だったりするのかな?

「あれっ……あー、鉄先輩ユメミンには言ってなかったんだ!」
「勝手に言っちゃった」「悪い事しちゃった」
「え〜〜〜とっ」

「あのー、そうなんです」
「能力とかは知らないんですけどっ」
「実は、鉄先輩もなんですよね」

「あ、ちなみに先輩も」

             シュルル

           『今泉サン、クッキー ノ タベスギデスヨ』
           『ソレニ 勝手ニ 人ノ 個人情報ヲ……』

「先生の能力までは知らないですね」
「本当に話の流れで知った感じだったので」

「こんにちは先生、すみませんフツーに口が滑りました」

           『コンニチハ 今泉サン 夢見ヶ先サン』

              ペコリ          

「それで……話の腰折っちゃってすみませんけども」
「『別の夢の世界』っていうの、興味ありますっ。どんなユメなんですか?」

179夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2020/04/09(木) 02:10:57
>>178

「ハナシのナガレってコトは、いまみたいなカンジだったんだ??
 まぁ、よくあるよくある。
 ワタシだって、ベツにダレにもいうなとかいってないし」

街中で大音量の宣伝とかされたら、さすがに困る。
でも、信頼できる友達とかなら許容範囲だ。
たぶん、クロガネくんも同じような感覚なんじゃないかと思う。

「お〜〜〜!!『アイちゃんセンセー』ひさしぶり!!
 ゲンキだった??」

        ドシュンッ

『ドクター』を出して挨拶する。
特にイミはないけど、スタンド同士だし、その方がイイかなって。
『ドクター』は『センセー』みたいにコミュ力ないけど。

「で、なんだっけ??そうそう、『ユメ』だ『ユメ』。
 アレはねぇ……。とにかく『ヘンなユメ』でさぁ〜〜〜」

「『しあい』したんだよね。もうひとりのスタンドつかいと。
 で、そのときワタシがつかったのが『ドクター』じゃなかったんだよ。
 だそうとしたんだけど、でてこなくて。
 かわりに『ベツのヤツ』がでてきちゃったんだよねぇ〜〜〜」

「なんていうか……『マシンガン』??のスタンドでさぁ。
 バババババッ!!てうつと、
 『ヒ』とか『カゼ』とか『ミズ』とかの『ヨーセイ』がでてくんの。
 フシギなカンジのスタンドだったな〜〜〜」

あの出来事は、今でもよく分からない。
ただ、体験したのは確かだし、ただのユメでもなかった。
あの場所で見た女とは、『現実の世界』でも会っているのだから。

180今泉『コール・イット・ラヴ』:2020/04/10(金) 02:24:50
>>179

「そうですねえ、だいたいこういう感じです」
「鉄先輩の方から気付いたみたいでしたけどもっ」
「私自身も、特に隠しては無いんで」
「気付いたなら教えちゃおうかな、と」

そういえば、鉄先輩はどこで気づいたんだろう。
はっきりとコレ、ってわけじゃなかったのかな。

              『ハイ オ久シブリ デス』
              『先生ハ イツデモ 元気 デスヨ』

「先生、病気とかないですしねっ」
「疲れたりはするんでしたっけ?」

              『ズット 補修ヲ 続ケレバ アルイハ』『デスガ』
              『ソノマエニ 今泉サンガ 疲レテシマイマス』
              『試スノハ 先生 オススメ シマセンヨ』

「そうなんだ、そうかも」「じゃあ試すのはナシで」

「それで……そう、夢です夢!」
「戦う夢、ですか〜。『違うスタンドがいる』なんて、確かにフツーじゃないですね」

「それも、私が『ドクター』を出すとかユメミンが『先生』を出すとか」
「『知り合いと入れ替わってる』なら、なんとなく分かりそうですけども」
「『知らないスタンド使い』と『お互い知らないスタンド』で戦うなんて」

「私あんまり、夢とか見ないので、分からないですけどっ」
「何かの暗示だったりするのかも」「『新しいスタンド使いとの出会い』とか!?」

それにしても、スタンド使いってよくいる。お互い『引き合ってる』みたいに、見つかるよね。

181夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2020/04/10(金) 04:35:41
>>180

「そうそう、めずらしいユメだったよ〜〜〜。
 でも、その『あんじ』ってヤツ??もしかしたらあたってるかも」

「『ユメでみたヤツ』と『ねてないとき』にであっちゃってさ。
 すごいグーゼンっていうか、よくできたサプライズっていうか」

「そのヘンは、まだよくわかんないんだけど」

いつか分かるのかもしれないし、分からないのかもしれない。
だけど、気にしない。
『アリス』には、一つのものに縛られている暇なんてないんだから。

「でも、『いれかわる』っていうのはナイスアイディア!!
 ソレたのしそう!!
 ユメミンが『センセー』で、イズミンが『ドクター』で……。
 たとえば、こんなカンジ??」

     サッ
            ササッ

自分は『先生』の隣に立ち、『ドクター』をイズミンの隣に立たせる。
それから、その場で軽くポーズを取ってみたりしよう。
ワルくないな!!

「くそッ……てごわいヤツめ……。
 コウゲキされてケガをしてしまった……!!
 『センセー』おねがい!!」

「――――みたいな??
 『オシャベリ』できるって、なんかシンセンなカンジ」

「かんがえてみたら、ちょくちょくケガしてるし。
 そういうときに『センセー』がいてくれたら、
 おおだすかりなんだけどな〜〜〜。
 『ナニかこわしちゃったとき』とかも!!」

「『イチニチだけコウタイ』とかできたらイイのにね〜〜〜」

入れ替わるなんて、そうそうあるコトじゃないと思う。
まぁスタンドってフシギだし、もしかしたらありえるのかもしれない。
実際、自分も『ドクターじゃないスタンド』で戦ったし。
『ユメの中』だけど。
どっちにしても、考えるのはタダだし面白い。

「もしイズミンが『ドクター』をだせたらさぁ。
 どんなカンジになるとおもう??」

182今泉『コール・イット・ラヴ』:2020/04/10(金) 23:46:11
>>181

「へえ〜〜〜っ。それは『フツーじゃない』ですね」
「知らないスタンドだけなら、まだしも」
「『知らない人』が夢に出てきて!」
「しかもその人が『ほんとにいた』なんて」

「謎が深いですね〜」

ユメミンが『よくわからない』って言っている。
つまり『フツーの人と偶然あった』だけじゃなさそうだ。
何かあったのかな。深追いはしないけど。

            『オヤ 夢見ヶ崎サン ガ 生徒デスカ』
            『カシコマリマシタ、補修ヲ 開始シマス』

                スッスッ

先生が『能力を使う真似』をする。もちろん何も起きない。

「先生ノリいいですねえ」
「うーん、『ドクター』を私が使えたら」

隣に立ってる『それ』を見た。
ユメミンの『こころ』から出て来たスタンド。
勿論私には動かせないけど。

「……」

「うーん」
「フツーに、『美味しいもの』を食べるとか?」
「『ドクター』の味覚があれば、『超味覚』ですもんねっ」

前にやった事あるね。喫茶店だったかな。違ったかも。

「それか、そうですねえ」「難しいなあ」
「私には、勝手に動いてくれる、先生が向いてるのかも?」

            『褒メテモ 甘クハ シマセンヨ』
            『クッキー ハ ホドホドニ シテオキマショウネ』

「あはは、そうしておきます。『ドクター』なら私、美味しくなってなんでも食べ過ぎちゃうかも」

183夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2020/04/11(土) 00:39:45
>>182

「おっ、イイね〜〜〜。さすが『センセー』、わかってる!!」

『先生』は『イズミンのスタンド』だけど、イズミンと『先生』は違う。
フシギなコトだ。
だけど、ゼンゼンちがうってワケでもない。
やさしいトコロとか。
そういうブブンをみると、なんとなくナットクできるようなきもする。

「そういえばさぁ、やったコトあったよね。
 『グルメ』になれるウラワザ!!
 これさえあれば、『ウマさ100ばい』!!
 でも、『マズいモノ』はゼッタイたべたらダメだよ。
 このまえ、シッパイしたリョウリを『アジミ』してみたら、
 マジでヤバかったしな!!」

  シ ュ バ ッ

  「――――『クッキー』ならヨシ!!」

                    サ ク ッ

自分に『超味覚』を移植して、クッキーをかじる。
それぞれの素材が持つ『味』が鮮やかに感じられ、
ハッキリしたイメージとなって頭の中に浮かんでくる。
フムフム、なるほど…………!!

「バター・さとう・ミルク・タマゴ・アーモンドパウダー……。
 あ、フウミづけに『バニラビーンズ』はいってる??」

「ジブンでいうのもなんだけど、
 『ドクター』がでてきてからベンリになったな〜〜〜。
 とおくのオトもきこえるし、よわいニオイもきづけるし、
 ハダのカンカクで、いまの『シツド』もわかる!!」

「ん〜〜〜??きょうはチョット『かんそう』してるっぽい」

「もし『ドクター』がなかったら、こまるな〜〜〜。
 『ジョーホーシューシュー』しづらくなるし。
 『アリス』は、いろんなばしょにいかなきゃいけないから!!」

「イズミンには『センセー』があってるし、そういうのかんがえると、
 やっぱ『このまま』がイチバンってカンジするよね〜〜〜」

184今泉『コール・イット・ラヴ』:2020/04/11(土) 01:03:24
>>183

「さすが『ドクター』! 相変わらず結構なお手前で」
「えーっと、材料はそんな感じみたいです」
「試食のプロになれますよ、ユメミン」
「香水のテイスティングとかもプロになれそうだし」
「それに、それなら天気予報も出来ちゃうじゃないですか!」

「ユメミンが『使いこなしてる』のもあるでしょうけど」
「『ドクター』は、ほんとユメミンに合ってるんでしょうねっ」

旅をするにはみちしるべがいる。
しるべがあるから、歩くことが出来るんだ。
ドクターはユメミンには最高のしるべなんだろう。
私には、きっと違う。能力が違うように、人それぞれだ。

「…………もし」

「もし」「このままがよくなくっても」
「変えられないこともありますしねっ」
「『このまま』を『一番にする』のが、大事なのかも、しれませんね」

              『…………』

「あっ! 先生が良くないって意味じゃないですよ!」
「『機嫌』悪くしないでくださいねっ……!」

              『ワカッテイマスヨ 今泉サン』
              『先生ハ 怒ッタリ シマセンヨ』

「ならいいんですけど……あはは」

「たとえば〜。テストの次の範囲が苦手な所でも」
「向こうを変えてもらうわけにはいかないから、勉強をしなきゃですし?」

185夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2020/04/11(土) 01:35:13
>>184

「あ〜〜〜『テスト』……『テスト』か……。
 ソレだと、あんまりやくにたたないんだよな〜〜〜。
 ソコはユメミンががんばらなきゃいけないトコだもんな〜〜〜」

得意な分野があれば苦手な分野もある。
それはヒトでもスタンドでも一緒だ。
でも、やらなきゃいけないときがあるのがツライところだ。

「でもさ、イズミンには『センセー』がにあってるとおもう。
 ピッタリっていうか、しっくりくるっていうか……」

「だから――『ソレ』でイイんじゃないかなぁ」

イズミンのコトをゼンブわかってるワケじゃない。
だけど、『トモダチ』だし。
だから、なんとなく『ダイジョーブ』っていいたくなったんだとおもう。

「もし、『このままがよくないな』ってコトがあってさ。
 でも、『かえるのがムズかしい』っておもったら――」

「そういうときは、てつだうから。
 『ヒトリ』だとムリでも、『フタリ』ならできるかもしれないし」

イズミンは『トモダチ』だ。
トモダチがこまってたら、たすける。
それは、ワタシでもわかるくらい『フツー』のコトだ。

「あ!!テストまえとかさぁ、いっしょにベンキョーしない??
 『ココ』で。『イズミンち』で。『おとまりかい』とかしてみたいし!!
 タノシソーじゃない??」

トモダチの家に泊まる。
一度やってみたかったコトの一つだ。
勉強の方が疎かになるかもしれないけど。

186夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2020/04/11(土) 01:35:34
>>184

「あ〜〜〜『テスト』……『テスト』か……。
 ソレだと、あんまりやくにたたないんだよな〜〜〜。
 ソコはユメミンががんばらなきゃいけないトコだもんな〜〜〜」

得意な分野があれば苦手な分野もある。
それはヒトでもスタンドでも一緒だ。
でも、やらなきゃいけないときがあるのがツライところだ。

「でもさ、イズミンには『センセー』がにあってるとおもう。
 ピッタリっていうか、しっくりくるっていうか……」

「だから――『ソレ』でイイんじゃないかなぁ」

イズミンのコトをゼンブわかってるワケじゃない。
だけど、『トモダチ』だし。
だから、なんとなく『ダイジョーブ』っていいたくなったんだとおもう。

「もし、『このままがよくないな』ってコトがあってさ。
 でも、『かえるのがムズかしい』っておもったら――」

「そういうときは、てつだうから。
 『ヒトリ』だとムリでも、『フタリ』ならできるかもしれないし」

イズミンは『トモダチ』だ。
トモダチがこまってたら、たすける。
それは、ワタシでもわかるくらい『フツー』のコトだ。

「あ!!テストまえとかさぁ、いっしょにベンキョーしない??
 『ココ』で。『イズミンち』で。『おとまりかい』とかしてみたいし!!
 タノシソーじゃない??」

トモダチの家に泊まる。
一度やってみたかったコトの一つだ。
勉強の方が疎かになるかもしれないけど。

187今泉『コール・イット・ラヴ』:2020/04/11(土) 02:50:00
>>186

「『ドクター』でも『超記憶力』とか『超頭脳』とか〜」
「あとは……『超直観』!とかは、身につきませんしねえ」
「まあ、そこは『先生』でも同じですけど」

                 『塾ノ 先生デハ アリマセンノデ』
                 『テスト対策ハ 日々ノ勉強デ シテオキマショウ』

「ですよねえ。ドクターも『お医者さん』ですし」
「『先生違い』ってところですね」

お互いにはお互いの先生が似合ってるってことだ。
それがちょうどいいよね。違っても変えられないんだし。

「……あはは」「もし……もし、私が変わるとしたら」
「その時は、ユメミンのおかげになると思いますよ!」

『変わる』。   

「そんな気が、きっとします」

          ニコ

「でも」

私は『フツー』以外になれるんだろうか?
あるいは『フツーのまま』でいられるんだろうか?
『何か』――――になれるんだろうか?
ユメミンなら、その『しるべ』をくれるだろうか?

「今はとりあえずっ! まずはテストの点を変えなくちゃですね」
「いいですねえお泊り会、勉強会!」
「私、数学なら得意なんですよっ」
「えーと、ユメミンは得意教科なんでしたっけ?」

私にはできない事がこの友達にはできる。
それは間違いないんだ。私も、そうあり続けたいと思う。

「もし得意教科が被ってても……せっかくお部屋があるんですし、ぜひやりましょう!」

188夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2020/04/11(土) 19:49:26
>>187

わたしは変わった。
『闇の世界』から『光の世界』にやってきて、
今まで見えなかったものが見えるようになった。
それは幸せなことだと思う。
変わるコトが必ずハッピーになるとは限らない。
だけど、変わっても変わらなくても、
イズミンには幸せでいて欲しいと思う。

「ユメミンは――――『ビジュツ』とかトクイかな!!
 『ゲイジュツカンショウ』とかスキだし!!」

やっぱり『視覚』に訴えてくるものにココロ惹かれる。
どんな作者のどんな作品も、そのゼンブが新鮮だ。
どれを見ても、刺激があってオモシロい。

    サッ

「ババン!!『ムンク』!!にてる??」

両手で耳の辺りを押さえて、口を大きく開けてみる。
有名な『あの顔』だ。
ところで、ビジュツってテストあったっけ??

「『スウガク』はトクイじゃないから、
 『イズミンセンセー』におしえてもらおっかな!!
 『リカ』も、『ジッケン』とかはスキなんだけどな〜〜〜」

「あ!!『レキシ』はトクイかも!!
 まえのテストで、わりとイイてんとってたから!!
 『ユメミンセンセー』とよんでもイイぞ!!」

歴史も結構、視覚的な要素が多い。
だから、興味はある方だ。
絵とか写真を見てると、意外に覚えられたりする。

「せっかくだし、そのときはゴハンつくったりしたいな〜〜〜。
 アジミはまかせろ!!なんてったって『グルメ』だし!!」

189今泉『コール・イット・ラヴ』:2020/04/11(土) 22:52:07
>>188

「美術ですか! 私は苦手な方ですねえ」
「絵の課題とか出たら手伝ってもらおうかな」
「って、そんなことしたらバレちゃいますか」

ユメミンの描いた絵、どんななんだろう。
私はあんまり得意じゃないんだよね。
インスピレーションとかそういうの。

「あはっ」

「芸術性高いです、その物まね」
「あの絵を描いたのがムンクだって覚えられました!」

テストには出ないかもしれない。
いや、多分出ない気がする。
けど、わざわざ言う事も無いよね。

「とりあえず歴史と数学で交換、うーん」
「そうなると現文とか英語とかが難敵ですねえ」
「他に、そういうのが得意な人も探すべきかな」

「でも、人数増えたら大変ですかね、『ご飯』作るにしても」
「量もですし」「好き嫌いとか」「好みの味付けとか?」
「私はちょっとだけ料理出来るから、その時は腕を振るいますけどね!」

ちょっととは言うけど、料理はフツーにできると思うんだ。
美味しいっていうのがフツーに分かるから、変なアレンジとかしないし。

190夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2020/04/11(土) 23:40:57
>>189

「あ〜〜〜、ソレはある!!
 じゃあさ、ひとつのナベでつくれるメニューとかよさそうじゃない??
 『カレー』とかテイバンだな!!ガッシュクっぽい!!」

「キライなヒトは、そうそういないし、『シゲキ』がたりなかったら、
 たべるときに『タバスコ』でもかけときゃイイし!!」

「わたしはたべるのトクイだから、ダレよりも『した』をふるうぞ!!
 でも、てつだうくらいはできるな!!
 なきながらタマネギをきざむとか!!」

思いつくままに喋っていると、ドンドン『夢』が膨らんでいく。
『闇の中』から『光の世界』に渡り、『夢』を手に入れた。
大げさかもしれないけど、わたしにとっては大事なコトだ。

                  ゴトン

「――――おん??」

その時、遠くで『音』が聞こえた。
『超聴覚』だから聞こえた音。
大きな何かを下ろした音みたいだった。

「イズミン、なんかたのんでた??
 いりぐちのほうから、ダレかちかづいてきてるから。
 おおきな『ニモツ』もってきてるっぽいよ」

音は少しずつ近付いてくる。
向かってるのは、多分この部屋だろう。
ここで、めいたんていユメミンはひらめいてしまった!!

「まっしろなヘヤに、おおにもつ…………。
 はッは〜〜〜ん、このジケンのナゾがとけたぞ。
 きっと『カグヤ』だな!!
 『ツキ』にいかないほうの」

「『せっち』とか『くみたて』とか、そういうのない??
 てつだうから、チャチャッとかたづけちゃおう」

「『ヒトリ』より『フタリ』のほうがてっとりばやいから!!」

       ニコッ

そう言って、明るく笑ってみせる。
まもなく、外でチャイムの音が鳴った。
真っ白の部屋を彩る『色』が届いた合図――心の中で、そんな風に思った。

191今泉『コール・イット・ラヴ』:2020/04/12(日) 02:11:54
>>190

「カレー、良いですね!」
「食べる量も自分で調節できますしっ」
「余ったら次の日食べられますし」

「勉強会、兼カレー会。楽しみにしておきますねっ!」

きっと、それは楽しいんだと思う。
いつになるかとかはいいんだ。
そういう『予定』があるのが、楽しいと思うんだ。

「わっ、何か聞こえました?」

「荷物……」「きっと家具ですね」
「正解です、ユメミン」「お姫様じゃないほうですね」

「それで、設置とか……あるんですよね〜〜〜」
「『先生』に手伝ってもらおうかと思ってたんですけど」

              『モチロン 少シハ 手伝イマスガ』
              『今泉サンガ 一番 ガンバッテ クダサイネ』

「わかってますって、先生」「って」
「ユメミンも手伝ってくれるんですかっ!? ありがとうございます〜」

「それじゃあ……よろしくお願いしますねっ」

               ニコ…

私の『白い部屋』に届いたのは、いろんな色の家具だった。
ユメミンや先生に手伝ってもらって出来上がった、色とりどりの部屋。
その真ん中に座っている私には、どんな色があるんだろう。

分かる事は、ユメミンっていう友達がいる事が、私にすごく大事な事だって、それだけ。


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