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【個】『学生寮 清月館』

794夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2021/09/24(金) 00:47:42
>>790

「そんなにきにしすぎなくてもイイとおもうよ」

「『カクゴ』ってコトバは『サイゴのサイゴ』でつかうものだから」

二人の会話を横で聞きながら、一言だけ口を挟んだ。

「『イタズラですまないレベル』にしちゃうんだよ。
 とにかく『だいきぼ』にする。
 もちろん、『しょうひん』がならんだら『かう』。
 ジッサイ、イマひつようなワケだから」

          ピッ

「――――よし!!
 ナナちゃんのレンラクサキをゲットしたぞ!!」

>>792

「『オージさま』とはイッポンとられた!!
 さすがイズミンは『イイかえし』をしてくるな〜〜〜。
 ホットケーキひっくりかえすのもウマそうだし!!」

「『ウマ』はのりかたしらんしね。
 『パールホワイトのポルシェ』とかだったら、
 のってやってもいいぞ」

『うんてんせき』にな!!
ムメンキョだけど。
でも、『おおがたトラック』うんてんしたコトもあるし。
ユメのなかで。
そのあと『クロコゲ』になったのはバチがあたったからか??

「いや〜〜〜『センセー』はイイとこついてくるよね。
 ズビシッ!!ってカンジで」

「かんがえたタイサクとしては、
 『イタズラ』っておもわれないくらいイッパイやる。
 あと、できるだけハバひろいヒトにやってもらう。
 ガクセイだけじゃなくて、
 オトナとかもいるとセットクリョクでるとおもうし」

「とりあえずウチらでやりながら、
 たのめそうなヒトにもたのむってカンジかな??」

>>793

「そういわれるとナンかアレだな!!
 ベツに『そういうアレ』でいったワケじゃないし」

「アリスの『イシヒョウジ』っていうか、
 『ケツイヒョウメイ』っていうか、
 ようするに『そーいうヤツ』だから」

「ま!!つーワケで!!これからもヨロシク!!」

          ポンッ

クロガネくんの肩を軽く叩く。

「そのヘンはジョーキョーにおうじてやるのが、
 イチバンじゃないかなぁ。
 サイショは『イッテンシュウチュウ』で、
 タブンよさそうなきがするけど。
 『ブーム』がひろまってきたら、
 もっとハンイをカクダイしていくカンジで」

「またナンかおもいついたらレンラクするから。
 クロガネくんもナンかあったらおしえてね」

「――――そんじゃ、また!!」

クロガネくんに手を振って、立ち去る姿を見送る。
長く掛かったが、ようやく『約束』を果たせそうだ。
口には出さなかったが、
その事が嬉しかったのは事実だった。

795七篠 譲葉『リルトランク』:2021/09/24(金) 07:10:39
>>792

「床を直すのが大仕事じゃない…。
 先生さんはすごいスタンドなんですね」

 七篠は感嘆の声を上げる。
 そして一抹が収容され、被害者である少女も消え、場の雰囲気が解散に近付いているのを理解したのだろう、そのまま言葉を続けた。

「あの、それじゃあここを片付けたらそのまま私の部屋に来てもらえませんか…?
 一応、私の部屋は荒らされた後片付けは済んでいるので床だけなんです…」

>>794

「覚悟は最後の最後で…?」

 七篠はわかったようなわかっていないような表情でオウム返しに言う。経験の浅さからかまだはっきりとイメージできていないようだ。

「そっか、そうですね。入荷したら買っちゃえばいいんですね。
 『冬』のものはいくら買っていても今回の場合は使い道がありそうですし!
 もしも余ったりしたら本当のクリスマスで使ったらいいんですよね」

 七篠はそう言いながら掃除ロッカーを開け、掃除道具を取り出した。
 戦闘の後片付けをするつもりらしい。

>>793

「私も、鉄さんがいてくれて助かりました。
 知識も行動も、しっかりされていて…」
「『リルトランク』は便利なスタンドですけど、使ってる私がまだまだで…」

 七篠は正直まだ男性には恐怖がある。
 だが、鉄はそれに気付いた上で気を使ってくれるいい人だ。七篠の警戒心はほぼ解けていた。

「急にここに呼びつけてしまって、頼んでしまってすみませんでした。
 本当にありがとうございます」

 七篠はそう言って頭を下げると、帰っていく鉄を見送ってから掃除にかかった。

796今泉『コール・イット・ラヴ』:2021/09/24(金) 22:50:10
>>793(鉄)

「あの子がいきなり襲って来たりしたら」
「私と先生だけじゃ、どうしようも無いですしね」

            『私ハ 戦イノ 先生デハ アリマセンカラネ』
            『何モ出来ナイ ワケデハ アリマセンガ』

「あはは、本当ですかっ?」
「本当なんでしょうけどね〜。相手は刃物ですから」

「危ないことがあったら、頼りにさせてくださいっ」
「あ」「でも、鉄先輩も、気をつけてくださいね」

鉄先輩だって刃物相手は怖いと思うけど。
でも、こういう時は、先輩を頼りにするのがフツーだよね。

>>794(夢見ヶ崎)

「あはは、ポルシェでも良いですけどっ。
 今だと外車に乗って来てくれるくらいが、
 一番、フツーにいいのかもしれませんね」

ユメミンが。
運転して来てくれるって事かと思っちゃった。
そういう話じゃないよね。

「あ! ホットケーキ、最近たまに焼くんですよ〜」
「バター乗せて、メープルシロップかけて」

       『今泉サン ソコハ 本題デハアリマセンヨ』

「そうでしたそうでした。
 ですね、とりあえず私達と……出来たらもっと、年が違う人?」

「おじさんとかおじいさんに頼めたら、ギャップありそうですけどね〜」

>>795(七篠)

       『オ褒メイタダイテ 私 光栄デス』

       『デスガ 私ニハ 木ヲ生ヤス事ハデキマセン』
       『偶然 直ス事ガ 私ノ 能力ダッタダケデスカラネ』

       『勿論 ソレヲ 最大限 活用ハ サセテイタダキマスガ』

「適材適所っていうやつですよねっ」
「それじゃーこの後、先生と一緒に行きますね」

この子の部屋の床だけ直したら、
そのあとは、ユメミンと合流して作戦開始だ。

797夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2021/09/24(金) 23:40:10
>>795

「しょっちゅうつかってると『カチがさがる』ってコト。
 であうヒトみんなに『アイしてる』っていうワケじゃないでしょ??」

「まぁ、ボチボチわかってくるとおもうよ。タブン」

適当なアドバイスをした。
実際、こういうのは口で言ってもなかなか伝わらない。
自分自身が納得できる形で理解するのが一番だと思う。

「よし!!わたしもてつだうぞ!!」

         ササッ

掃除道具入れから雑巾を取り出して、
『ドクター・ブラインド』の両手に持たせる。

「みよ!!これが『ゾウキンにとうりゅう』だ!!
 みがきぬかれたワザでピカピカにみがいてやろう!!」

    バババババババババババババッ

               バババババババババババババッ

両手に持った雑巾で、床の拭き掃除を開始する。
『外科手術』を思わせる高速かつ精密な動きだ。
手早く後始末を進めていく。

>>796

「あ〜〜〜そーいうシリアイかぁ〜〜〜。
 いるっちゃいるけど、いないっちゃいないかなぁ〜〜〜」

熱中症で倒れた時に助けてくれた人とか。
救急車呼んどいて逃げた人。
あの人もスタンド使いっぽかったけど。
『ブラック・アンド・ホワイト』だっけ。
でも、連絡先が分からないからどうしようもない。

「ま!!ナイものねだりしてもしかたないしさ。
 みんなでやれるだけやってみよ!!」

「コレがおわったら、みんなでホットケーキたべるのもいいし!!」

「――――ね!!」

とびっきりの笑顔でイズミンに笑い掛ける。
ひとまず掃除を終わらせた後は、
『センセー』が床を直すのに付き合おう。
それから『問い合わせ』だ。
なかなか忙しい。
色々あったせいで、
イズミンに『夢の話』をするのを忘れてしまい、
それは『また今度』という事になったのだった。

798七篠 譲葉『リルトランク』:2021/09/24(金) 23:50:26
>>796

「適材適所…。あの、もし私でできそうなことがあったらお手伝いしますので…!
 と、とりあえずさくっとここをなんとかしますね」

 七篠はそう言うと夢見ヶ崎と共に落ちた物を片付け、床を掃き清めていった。
 どうやら七篠はしてもらうことに対して、返せることが今は思いつかなかったらしい。

>>797

「『覚悟』の価値…。考えてもみませんでした…」

 七篠はそう言うと目を丸くした。
 まだまだ『覚悟』についての理解が足りていなさそうだ。

「いつか、理解できるように覚えておきます」

 七篠はそう言うとこの場を片付けていった。
 荒れているとはいえ、見た目よりかは被害は少なく、手早く終わりそうだ。
 二人であればすぐだ。

799今泉『コール・イット・ラヴ』:2021/09/25(土) 01:02:56
>>797
>>798

「そうですねえ〜、私も」「ちょっと、いないかな」
「フツーに、出来ることをやっていきましょうっ」

             ニコ…

「ホットケーキミックス、まだあったかな」

フツーじゃない事が起きてはいるけど。
それは、フツーに戻るものだし、戻すものだ。

「自信あるんですよ」「本当に」

         『私ハ味ハ分カリマセンガ』
         『見タ目ノ 良サハ 保証シマスヨ』

「あはは、先生もこう言ってますから!」
「早く全部終わらせて、全部フツーになった皆で、食べましょう」

          ・・・出来ることをやろう。

800赤月『サクソン』:2021/09/25(土) 10:03:44

血で血を洗うような激闘が幕を閉じ、関係者達が現場の掃除にいそしむ頃
赤月は重い足取りで歩を進め、ようやく自室へと辿り着いていた
だが、それが体力の限界。部屋に入ると同時に倒れるようにして床へと蹲る

「・・・・・・・う」

どろどろとした血が肌に張り付くような不快感を感じる
それを追い払おうと、床が汚れるのも構わず血に塗れた衣類を脱ぎ捨てた
スタンドの手でタオルを濡らして、未だに肌にこびりつく血を拭っていく

「うぅ・・・・・・」

・・・・やる事が一段落ついてしまった

「ううう・・・・ぅああぁ・・・・・!」

堪えきれなくなった涙が溢れ出す

「ああぁぁ・・・・・! ああぐっ・・・・ふ・・・・!」

涙の原因は『彼』に負けたからではない
敗北や死は勝負の常として既に覚悟している

「あああ・・・・・!」

情け容赦の無い『彼』の言葉のせいでもない
そもそも『彼』の言う事は滅茶苦茶であり、その言動は明らかに『夏』に狂わされている

「ああああああ・・・・・・・っ!」

――――認めてしまったからだ
自分自身の甘さ・・・・『殺意』の未熟さを・・・・

「私は・・・・・! 私は・・・・・・っ!」

『彼』を止めるため、赤月はなるべく彼を傷つけない方法を取ろうとした
しかし、『彼』は最初から全力で『刃』を振るう選択を取った・・・・
『殺意』の差が勝敗を分けた・・・・・それは確固たる事実だと、赤月は認識した

フローリングの床の上で胎児のように丸くなる

「『殺意』も・・・・『覚悟』も・・・・アイツに届かなかった・・・・!」

思えば、『歓楽街の夜』もそうだった
命を脅かす敵に対して、暗器の『刃』を向ける事が出来なかった

それに、『アリーナでの一戦』もそうだ
確実に勝負を決めるには拳で殴った方が早かったはずだ
なのに、彼女を必要以上に傷つける事を恐れて生ぬるい結末を選択した・・・・

本当の意味で赤月が敵に『殺意』を向けた経験など一度もなかった
自分が口ばかり達者な未熟者である事に気付き、その情けなさが心に突き刺さる

「『甘さ』・・・・人間性が残ってるせいで負けたんだ・・・・!
 『殺意』を研ぎ澄まして・・・・余計な『情』を捨てないとアイツには勝てない!
 『獣』に・・・・『鬼』にならないと・・・・」

そう言うと、地を這うようにして部屋に置いた『冷蔵庫』へと向かう
中には作り置きした食品といくらかの食材、飲料水が保存されていた

「血を取り戻せ・・・・」

保存していたカレーを貪るように食べ尽くす
調理前の生卵を飲み、生のタマネギに齧り付く
胃が拒絶反応を起こして戻しそうになった所を、水で無理に流し入れる
そしてそのまま床の上で眠りに就き・・・・起きたときには深夜になっていた

身体は本調子には程遠いが、無理をすればなんとか動く事も出来るか

「ここに居たら・・・・『甘さ』に絡め取られてしまう
 ・・・・・・・・・・さようなら」

鉛の塊のように重い身体を引き摺り、赤月は学生寮を離れた
向かう場所は夜の街・・・・『情』を捨て、『殺意』を研ぎ澄ますために・・・・越えなければならない一線がある

801赤月『サクソン』:2021/09/27(月) 01:22:59
>>800

「結局・・・ここに戻ってきてしまったか
 二度とここへは戻らないつもりでいたのに・・・・少し恥ずかしいな」

東の空が暁光に白み始める明け方・・・・街から一人の少女が戻ってきた
ふらふらとした足取りで顔は青白く、見るからに生気が乏しい風体であるが、
その瞳はここを出た時よりも輝いている

両手には近くのコンビニで買ってきた食料が大量に袋に詰め込まれていた
重い荷物を引き摺るようにして自室に戻る

「だけど、もう迷わない・・・」

誰彼構わない『殺意』はただの『獣』だ
歓楽街で出会った少女、真白の『強さ』を見て、
『殺意』を振りまく事は決して『強さ』などではない、という事を学んだ

「アイツの境遇を聞いて・・・私の刃は迷いを帯びていたようだ」

幼い頃からの家庭環境の違い・・・・
一抹が語る『家族』からの仕打ちに赤月は少なからずショックを受けていた
『家族』が、親が子に対して酷い仕打ちをするなど・・・・赤月の『世界』には存在しなかったからだ

「だけど今は違う・・・・私はアイツの事を少しだけ知った
 だから今度は迷わない・・・・標的も間違えない・・・・」

アイソトニック飲料を飲み、血を失って脱水気味になった身体に水分を補給する
今日は恐ろしく多くの事が起こり過ぎた・・・・

「一週間後・・・・アイツは必ず『動く』はずだ
 それまでに身体を回復させて・・・・彼を・・・・・止め・・・・る・・・・・」

そのままベッドの上に横たわり、決意を新たにすると
電源が落ちたかのように眠りに就いた

802夢見ヶ崎&三枝:2021/09/30(木) 01:07:06

『三枝千草』の自室にて――――。

       ガチャッ

「よ!!ラッコのチョーシどう??」

「ラッコさんは元気です。
 ただ……『問い合わせ』の方が芳しくありません」

「なぁにぃ〜〜〜??」

「まず単純に『数』が足りません。
 それから、流行らせるためには、
 もっと『爆発的な何か』が必要になると思います」

「なるほど…………。
 まず、この『ロセン』じたいはタブンまちがってない。
 もっと『ハデ』にするヒツヨウがあるな…………」

「いや、まてよ…………ひらめいた!!
 バクハツてきに!!ラッコいるよね??」

「はい、奥の方に。今は眠っている所ですけど」

「よし――――あとは『メディア』だ。
 そのフタツをリヨウしてやろう。
 クロガネくんには、わたしからレンラクしとく。
 チグサは、いつでもラッコをだせるようにしといて」

「分かりました」

803飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』:2021/10/03(日) 19:57:51
 明るい茶髪を二つ結びにした女子が談話室の机の前に座っている。
 目の前には『眠たげなサンタの陶人形』が置かれ、それを指でつついているようだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「慌てん坊の、サンタクロース」

 サンタをつつきながら小さな声で口ずさんでみる。
 この間フリーマーケットで買ったけど、やっぱり今の時期に『サンタ』は早すぎるよね?

「うーん…このままクリスマスまで押入にしまっとく?」

 いじってたらうっかり爪で弾いちゃった。
 ちりんって小さく音が鳴って『サンタさん』が倒れそうになって……。

804赤月『サクソン』:2021/10/04(月) 18:20:48
>>803

――――ちりん。
ころ・・・・  ころころころ・・・・

                ぽろっ

机の上に置かれた『サンタの陶人形』
指で弾かれたサンタは机の上をころころと転がり・・・・端から地面へと転がり落ちた

「危ないっ!」

あわや地面に衝突するその瞬間、床と人形の間に手の平が差し込まれる
黒い髪に赤いメッシュを入れた少女だ・・・・野球でゴロを拾うような姿勢で屈みこみ、陶人形をキャッチした

「・・・・・間に合ってよかった」

805飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』:2021/10/04(月) 19:02:10
>>804

「あっ…!」

 落っこちちゃった『陶人形』を追いかけようとお尻を上げて、赤月さんが受け止めてくれたのに気付いた。

「赤月さん、ありがとう。
 買ったばっかりなのに壊れちゃうところだった…」

 私はふうと息を吐いて、笑いかけた。
 陶器だから壊れやすさは折り紙付きなわけだけど、だからってすぐ割りたくないよね。
 『眠たげなサンタさん』が赤月さんを見つめてるみたい。赤と赤でなんだか似合ってる気がする…?
 私は赤月さんとサンタさんを見比べるように見てみる。

806赤月『サクソン』:2021/10/04(月) 19:28:51
>>805

「珍しいね、こんな時期にサンタクロースの人形だなんて」

キャッチした右手を上に上げて、人形を持ち主に返す
赤い服を着たサンタと髪を赤く染めた赤月・・・・言われてみれば合っている感じもしないでもない

(それとも、夕立達の『作戦』が咲良たちの所まで広まってきてるって事か
 例の『作戦』を成功させるためには一般層への・・・・)   「くっ!」

考え事をしながら立ち上がろうとしたところ、急に頭を上げたせいで立ち眩みが起きてしまった
先日の大量出血の影響でここ最近貧血が続いているせいもあるだろう
顔色を青白くしながら、ふらっと足から力が抜けてしまい・・・

    バンッ!

「はぁ・・・ はぁ・・・」

机の上に左手をつけて身体の支えにした
そのまま顔を俯かせた状態で荒くなった息を整え始める

807飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』:2021/10/04(月) 19:46:55
>>806

「だよね。
 なんだか歓楽街でいろんなお店にサンタさんがいたり、フリーマーケットで冬物売ってたりして珍しくって…」

 私はそう話したところで赤月さんが顔を青くしてふらついてることに気付いた。

「だ、大丈夫!?
 ……座れる? なにか飲む??」

 とりあえず私が座ってた椅子を譲って座ってもらおうとする。
 学校には保健室の先生はいても、『寮』にはいない。スマホを取り出して119するか悩みながら背中をさする。

808赤月『サクソン』:2021/10/04(月) 20:13:04
>>807

「だ、大丈夫だ・・・・落ち着いていればじきに良くなる・・・」

椅子に座って落ち着きを取り戻す
取り出されたスマホに対しては、救急車は必要ないという事を示すために掌を向ける

「驚かせてしまって、すまない
 この前、ちょっとした『トラブル』があって血をたくさん失ってしまったんだ」

思い出すのは学生寮で起きた襲撃事件
『クリスマス』に対して敵意を燃やす『彼』の騒動・・・・・

(『クリスマス』・・・・?)

ふと、机の上に置かれた『サンタ人形』を見つめる
もしも、『彼』が『クリスマス』に対して無差別に敵意を向けるとしたら、
『サンタ人形』を持つ彼女もまた・・・・

「忠告したい事が一つだけある
 近く、この町で『クリスマスのイベント』が起きると思う」

じりじりと真夏の様な日差しが差し込む中で何を言ってるのか、と言った感じではある
しかし、鉄達が動いているからには、たくさんの一般人を巻き込んだ大イベントになるだろう

「それが始まったとしても、君にはサンタクロースの恰好をしたり、サンタのグッズを持ち歩いたりしないで欲しい」

謎めいた発言だ

809飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』:2021/10/04(月) 20:23:34
>>808

「トラブル…。
 病院行って輸血してもらうとか、できない?」

 どう見ても具合が悪そうで、止められはしたけどやっぱり病院に行った方がいいんじゃないかって考えちゃう。
 そういえば学校でも具合悪そうだったかな? ちょっと思い出してみる。



「あ、それでサンタさんがたくさんいたんだ。
 『クリスマスイベント』に向けた準備だったんだね」

 『女性ばかりのミニスカサンタ大会』みたいな感じかな?
 歓楽街で見たの、女の人が多かった気がするし。楽しそう。

「……どうして?って聞いてもいい…?
 サンタを持ち歩くとなにか悪いことでもあるの…?」

 もしそうならなんで歓楽街の人たちはサンタ姿になったりしてたんだろ…?

810赤月『サクソン』:2021/10/04(月) 20:39:41
>>809

「輸血・・・・その手があったか
 でも大丈夫、最初に比べたら大分良くなってきたから・・・栄養をちゃんと取れば治るさ」

座って休んでいるうちに顔色は随分と良くなってきた
『サンタの陶人形』をじっと見つめる

「『ミニスカサンタ大会』・・・・やっぱり、この国の主流はそういうサンタなのか」

『ミニスカサンタ』という言葉を聞いてそう呟く
コスチュームショップで『サンタ衣装』を購入した時は、自分の知っているサンタとの違いに驚いたが
一般人である彼女が言うのなら、恐らく間違いではないのだろう

「これは・・・・あまり他の人には伝えないで欲しい事なんだけど・・・・
 今、この町ではとある『スタンド』を倒すために『クリスマスブーム』が起きようとしている
 その『スタンド』は『冬の雰囲気』に弱く、そいつに憑りつかれた人間は『冬』に対して無尽蔵の『殺意』を抱くらしい」

「私も・・・・そいつに襲われて怪我をしてしまった
 今こうして血が足らなくなっているのもそのせいだ・・・・」

「だから頼む・・・・君が『サンタ』を持っているとソイツに襲われるかもしれないんだ」

811飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』:2021/10/04(月) 21:22:17
>>810

「それならいいけど…。
 ……あ、鉄分のサプリが部屋にあるけどいる?」

 月の物の対策として私の部屋に置いてあるサプリを思い出した。
 料理が下手で『ほうれん草』や『レバー』から上手く鉄分を摂れない私には欠かせないアイテムだ。

「うーん、主流ではないと思うけど宣伝とかで女の人が『サンタコス』するのは多い気がする…?
 テレビとか絵本とかだと男の人のサンタさんが普通だけど…」

 私は首を傾げながら答える。
 赤月さんは外国にいたから『ミニスカサンタ』って存在にびっくりしてるのかもしれない。異文化交流って感じがする。



「……怪我!?
 大丈夫…? それならなおのこと病院…」

 赤月さんへの心配と一緒に、友達の身体に傷を負わせたその人にすこし怒りが沸く。
 私は怪我の痕を探して赤月さんの身体を見回して、ふとメッシュに目がいった。
 もしかしたら赤月さんが『赤い』から『冬』っぽいって勘違いされて怪我することに…?


「……危ないスタンドがいるんだ…。わかった。
 『サンタ』とか持ち歩かない」

「ねぇ、今回のスタンド使いは『お兄さん』のこととは関係ないんだよね?
 それなら、赤月さんもまた襲われないようにサンタ持ち歩いたりしない方がいいと思うんだけど…。
 赤月さんはその日、どうするの?」

 『アリーナ』に関することなら赤月さんが怪我してしまうのも仕方ないと思う。
 それが赤月さんのやりたいことだから。
 でもそうじゃないなら、わざわざ危ない目に遭いにいく必要はないと思う。

812赤月『サクソン』:2021/10/04(月) 21:45:37
>>811

「・・・・・欲しい」

確かに食べ物だけでは補いきれない栄養もある
ここは厚意に甘える事とした

「怪我の事なら心配はない
 彼に襲われた時に、たまたま別のスタンド使いの助けを得て、治してもらったから
 こんな感じに・・・・」

スカートの裾を少しだけ持ち上げる
微かに覗かせた腿は雪花石膏のように白く、傷一つ無い

「傷一つ残っていない
 ・・・・・元々は刃物で思い切り腿を刺されて、湧き水みたいに血を流したのにね」

傷が残っていない事は望ましい事だ
だが、『彼』に負けた話をする時、眉間に皺をよせ眉を顰めた
自分が負けた事実を人に語るのが恥ずかしいからだ

「この件は・・・・・『兄』の事とは関係ない・・・・まったくの無関係だ」

「だけど、『スタンド』に憑りつかれた少年は私の知り合いだ
 だから憑りつかれた『彼』の事は嫌いだけど・・・・本っ当ぉ〜〜〜〜〜〜に!嫌いだけど!
 放っておくことは出来ない」

ガサッと音を立てて近くに置いていた袋を手に取る
それは駅前の雑居ビルにある『コスチュームショップ』の袋だ・・・・中には『サンタの衣装』が入っている

813飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』:2021/10/04(月) 22:25:19
>>812

 話が一段落したらサプリを取りに行こうと考えてから赤月さんの足を見る。
 本当に怪我してたとは思えないくらい綺麗。
 ……でも、それは治してくれたスタンド使いがいたからで…。

 私は静かに赤月さんの言葉を聞いた。
 赤月さんが『放っておくことは出来ない』って言ってて、『コスチュームショップの袋』の中身がもし『サンタ服』なら…。
 それは『襲われにいく』ってことなんじゃ…。

「…赤月さんがやろうとしてることはなんとなくわかった…。
 赤月さんがやりたいってこともわかる」

「ね、赤月さん。
 また怪我して、今度は周りに誰もいなかったらどうする?
 死んじゃうかもしれないよ、すごく血が出たんだよね…?」
「私なら、『シスター・ゴールデンヘアー』なら、
 襲われてる赤月さんを遠くから、助けにいけるかもしれない」

 大人の男の人並の力で赤月さんを背負って、バイクみたいな速さで逃げ回る自分を考えながら、私はそう言った。
 赤月さんに『シスター』の詳細は話してなかったと思うけど…協力するなら話すべきかな。

814赤月『サクソン』:2021/10/04(月) 22:41:32
>>813

「・・・・・・駄目だ」

飯田からの申し入れを聞きながらも、それを冷たい口調で拒絶した

「『彼』は・・・『冬』に関わる者だけを襲うわけではない
 自分に対して『敵意』を向ける者全員に敵意を向け・・・・刃を振りかざす」

「私だって、アイツを殺そうなんて思ってなかった
 アイツを取り押さえて、どうにか止めてやろうと思っただけだった・・・・
 そんな微かな『敵意』にさえも、彼は反応してしまう
 君が彼の前に出たら・・・・私を護ろうとするその意思にさえも刃を向けるかもしれない」

両手をぐっと握りしめる

「一切の『敵意』なくアイツに近づける人間なんてそうそういるものじゃあない
 それこそ、あの日『七篠』と呼ばれていたあの女性くらいなものだろう・・・・」

815飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』:2021/10/04(月) 23:08:49
>>814

 『七篠』…。
 赤月さんからお姉ちゃんの名前が出て、たぶん私は驚いた顔をして…それから顔を伏せて考え込んだ。
 お姉ちゃんを越えるなら、同じようにできないとダメだ。

「……『その人』にできるなら、私もやれる。やりたい。」

 顔を上げて、赤月さんの方を見ながら言う。
 冷たい口調でも、拒絶されてても譲りたくない。

「もしものとき、赤月さんの逃げるのを手伝うだけだから、
 戦おうとしないし、もしも赤月さんが危険な状態になったときに、
 『護る』ために背負って逃げるだけだから、やらせて」

 私はそう言いながら『シスター』を発現させた。

「私の『シスター』ができることは片道通行の『瞬間移動』なんだけど、
 襲われてる人を見たときにその人を『護りたい』と思ったら『シスター』を纏ってその人の近く…2mくらいに移動できる」
「纏ってる間は大人の男の人みたいな力持ちになれるし、
 バイクみたいに速くなれるから…いざとなったら赤月さんのところまで『瞬間移動』して背負って逃げれると思う」

「敵意を向けないで逃げるだけだし、『その人』にできるなら私だって…!」

 気付いたら私は赤月さんの手をぎゅっと握りしめてた。

816赤月『サクソン』:2021/10/04(月) 23:21:42
>>815

「い、いや・・・・しかし!」

予想外の彼女の反論に慌てて言葉が乱れる
どうにかして諦めさせようとするも、今までにないくらい強い口調の彼女に次第に圧されていき・・・・

「・・・・・・・・・わかった」

両手を握りしめられると同時に諦めの言葉を口にした
ここまで食い下がる人間を説得する言葉を赤月は持っていない

「だけど、約束してほしい・・・・憑りつかれた彼・・・『一抹貞世』は危険だ
 遠巻きに見守っているだけなら大丈夫かもしれない・・・・
 でも、君が能力を使って私の傍に来た途端に、彼は君の事も殺しに来るかもしれない」

「協力関係にある以上、私や彼の能力についても教えておこう
 私の『サクソン』は『トレンチコート』の中に隠した物を『暗器』に変える
 そして・・・一抹の能力『インダルジェンス』は両手に隠した刃を凄い力で振るい、
 スタンドに触れられると心に干渉され、感情を抑制される・・・・まったく忌々しい能力だ」

苦虫を嚙み潰したような表情で語る

「ところで・・・・違っていたら申し訳ないけど
『七篠』という女性の事を君は何か知っているのか?
 彼女の話をした途端に・・・・その・・・・君の表情が変わったような気がして」

817飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』:2021/10/04(月) 23:43:47
>>816

 赤月さんが『わかった』って言ってくれて、お姉ちゃんと競うための切符をもらえたみたいですこし嬉しくなる。
 赤月さんが危険な目に遭うかもしれないのに嬉しいなんて変かもしれないけど…。

「赤月さんは『暗器使い』でその人は『刃物使い』…。
 だからそんなに血が出ちゃったんだ…」

 『刃物』なら刃が届かない距離にいればなんとかなるはず…。
 私より早かったらどうするかは念のため考えないといけない…。

「『感情の抑制』がどんなのかわかんないけど、
 とりあえず『刃物』が届かない距離にいるようにする。約束する」

 その後に言われた赤月さんの言葉で、私はちょっと悩んでから話し出した。

「たぶん、その『七篠』って人、私のお姉ちゃんなんだ。
 すこししか似てないし、名字も違うけど」
「私はお姉ちゃんを超えたくてここに来たから、
 お姉ちゃんができることをできないって認めたら私はここに来た意味をなくしちゃう…」
「だから、手伝わせてくれて…ありがとう」

 そう言って頭を下げる。

818赤月『サクソン』:2021/10/05(火) 00:05:59
>>817

目の前の少女が『七篠』という女性に対して、闘争心を燃やしている事を赤月は知らない
自分の迂闊な言葉遣いが、彼女の心を焚きつけてしまった事も・・・・

「ありがとう・・・・
 うん、君が見守ってくれていると思うと凄く心強い」

とはいえ、斬られ方によっては彼女の救援が間に合わない可能性も高い
心構えは変えず・・・・命を賭けて相対しなければならない

「え・・・・?」

『七篠』と飯田の関係性を聞いた時、赤月はぽかんと口を開けていた
姉がいるという話は聞いていたが、それが『七篠』であるとは気づかなかったからだ
苗字が違うせいもあり、まったくの寝耳に水といったところだろう

「そうだったのか・・・・それなら、私に止める理由はない
 だけど一つだけ忠告させてくれ
『七篠』が無事だった理由は、彼女が極めて『敵意』を抱きにくい人間だったからだ
 だけど咲良は・・・・その・・・・・」

彼女もまた極めて善良な人間である事はわかる
しかし、姉の話になった途端に見せた『闘争心』・・・・
赤月にとっては好ましく思える性分ではあるが、それが一抹に対しては逆効果となる可能性が高い

「君が『七篠』を超えるためには・・・・『敵意を捨てる事』以外の方法を取った方がいいかもしれない
 流石に『七篠』と同じ方法は・・・・見ていて心配になるから」

あの日の光景を思い出す
『インダルジェンス』が今まさに人間を切り裂き、刃からは新鮮な生き血がだらりと流れていた
そんな『危険な状況』で『七篠』と呼ばれた彼女は無防備に一抹の身体を抱き留めた
一抹がほんの少しでも気を変えれば、そのまま首でも腹でも刺されて死んでいたというのに・・・・

「だから、いざその時がきても、自分の身を護る事を優先してほしい」

819飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』:2021/10/05(火) 00:29:17
>>818

「私が出来るのは逃げるところまでだから、逃げた後は病院に頼ることになっちゃうけど…。
 できるだけ頑張って赤月さんを『護る』から」

 私はそう言ってまた手を握った。
 戦いの主役はもちろん赤月さんで、私はもしもの時のお手伝いだけど、できるかぎりのことをしたい。

「……どうやったら、お姉ちゃんを越えられるのか、
 私もわかんないけど、赤月さんに心配されないような方法を考える」

「うん…たしかに、『敵意』は…私にはたぶん捨てられない。
 お姉ちゃんを越えたいのは私の根っこだから、『敵対心』を捨てたらきっと私は私じゃなくなっちゃう。
 できそうなのはその一抹?って人に向けないようにするだけ」

 お姉ちゃんと私は近いようで近くない。
 環境の違いがたぶん大きいんだろうけど…お姉ちゃんにできて私にできないことは多い。
 だからこそ、越えたい――認めてもらいたいんだと思う。 


「私の身を護らないと赤月さんを『護れ』ないから気をつけるね」

 私はたぶん赤月さんの求めてる答え――いざとなったら赤月さんを置いて身を守ってほしい――から逃げるようにそう言ってから、
 思い出したように近くにある『紙の包み』を手にとって声を上げた。

「あ、そうだ!
 赤月さんに『プレゼント』があるんだけど…」

 そう言って『紙の包み』を見せる。
 中に入っているのは『赤いシクラメンの陶器』だ。

820赤月『サクソン』:2021/10/05(火) 00:45:47
>>819

「ありがとう・・・・」

『護る』という言葉に少し複雑な表情を浮かべながら感謝する赤月
護られる事は純粋に心強いが・・・彼女を危険に巻き込むことに負い目があるのかもしれない

(やっぱり・・・咲良は私と似ている・・・・)

抱えている思いは全然別物だし、そもそも性格が似ているわけでもない
しかし、魂の奥底に仄暗い『負の感情』を抱えている彼女に、共感の念を覚えた
あるいは、彼女と仲良くなったのもそういう共通点があったからかもしれない

(『負の感情』・・・・『悪感情』か・・・・
 一抹のスタンド『インダルジェンス』は『悪感情』を何もかも消してしまう
 私達みたいに・・・・『それ』が魂の源泉になっている人間もいるのに・・・・)

>「あ、そうだ!
> 赤月さんに『プレゼント』があるんだけど…」

「ん・・・・? プレゼント!?
 何だろう、開けてみてもいいかな?」

考え事をしている間に目の前に『プレゼント』が置かれた
突然の出来事に驚くも、期待に目を輝かせながら包みを開けようとする

821飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』:2021/10/05(火) 00:58:21
>>820

 開けてもいいかって確認してくる赤月さん。
 授業中も思ったけどやっぱりしっかりしてるよね。

「うん、どうぞ。
 これね、燃えるような赤が赤月さんみたいで思わず買っちゃったんだ」

 私はそう言いながら近くにあるもう一つの包みを見せる。

「で、こっちは私の分。
 こういうののペアってちょっと変かもしれないけど…」

 って言ってから自分の分も包みを解いていく。
 私のは『緑のシクラメンの陶器』。
 ……あ、これも『冬の花』だから『殺意』を抱かれちゃうのかな…。

822赤月『サクソン』:2021/10/05(火) 18:05:55
>>821

包み紙を開き、納められていた『シクラメンの陶器』を見た途端、
ぱぁ、と輝くような笑みを浮かべる

「これ・・・・・っ!」

手触りを確かめるように両手で握りしめる
『兄』以外の人からプレゼントを受け取ったのは初めてだ
嬉しさに顔を綻ばせながらも、なかなか言葉が出てこない

「それも・・・・っ!」

お揃いだ、と率直に思った
赤月の人生において友達付き合いの経験は乏しく、
こんな時に上手い事を言えるような情緒には不慣れである
だから、思った事をそのまま言う事にした

「凄い嬉しい!ありがとう!」

823飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』:2021/10/05(火) 18:59:37
>>822

「よろこんでもらえてよかったぁ…」

 正直ちょっぴり不安だった、喜んでもらえて本当に嬉しい。
 まぶしいくらいの笑顔でつられて私も笑顔になってるのを感じる。

「その『サンタ』と同じ人が売ってたんだ、綺麗だよね。
 赤月さん、部屋になにもないって言ってたから、お揃いの花があったら楽しいかなって思って」
「あ、これも『冬』の花なんだけど…。
 外に出してたらその人に壊されちゃうかな…」

 私はそう言って周りを見る。
 近くにその『少年』がいないか念のため確認しとかないと…。

824赤月『サクソン』:2021/10/05(火) 21:19:19
>>823

「あ・・・・ん、んん・・・・多分その心配は大丈夫だと思う
 アイツは『冬』に関する知識・・・・というか、季節感が薄いから
 この『花』が冬に咲くものだなんて発想も多分ない・・・・と思う」

んんん、と頭を悩ませながら答える

「ああ・・・・思い出すだけで腹が立ってきた!
 聞いてくれ!アイツはさ、本っ当〜〜に訳のわからないやつで、
 赤と緑の組み合わせ・・・『クリスマスカラー』が何なのかも知らないんだ!
 『冬』に関するものは『サンタクロース』くらいしか知らないなんて言って・・・・おかげで酷い目にあった!」

いかにも怒り心頭な様子で愚痴を溢し始める
どうやら、その『少年』に色々と思う所がありそうだ・・・・

「ああ、ごめん、ついアイツの事を思い出してしまって・・・・
 でも良いね、この花・・・・」

赤いシクラメンを両手で翳してまじまじと眺める

「部屋に帰るのが楽しくなるよ、ありがとう」

825飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』:2021/10/05(火) 21:34:00
>>824

「え、『クリスマスカラー』もわかんないの?
 その人、秘境にでも住んでたのかな…」

 クリスマスは流石に人里であればどこかしらで見ると思うし、その期間にあちこちでクリスマスカラーになるのはどうやっても目に入っちゃうと思うけど…。
 私の頭の中で『秘境で生まれ育ったターザン』みたいな『切り裂き魔』のイメージができる。……逃げきれるかな…。

「ねぇ、それならこの『サンタさん』なら誘導に使えるんじゃない?
 『サンタ』くらいしかわかんないならきっとこれ見たらどうにかしようって寄ってくる気がするんだけど…」

 そう言いながら赤月さんにさっき拾ってくれた『眠たげなサンタの陶人形』も渡してみる。


「そっか、赤月さん帰ってきたら一番にこの『シクラメン』を見るんだ…。
 なんだか嬉しいけど…こそばいみたいな変な気持ちだね」

 私はちょっと照れが混じった顔で笑った。

826赤月『サクソン』:2021/10/05(火) 21:53:32
>>825

「・・・・・確かに。この人形なら、誰が見ても『サンタ』だってわかるから囮役には最適だ
 だけど・・・・いいの? 私がこれを持っていくと・・・多分、戦いに巻き込まれて壊れてしまうかもしれない
 せっかくの可愛い人形なのに・・・・?」

陶人形の眠たげな顔を撫でまわしながら言う

「こっちの『シクラメン』は部屋で大事に取っておくよ
 ・・・・・・・・・・例え私が帰れなくなっても、残るように」

827飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』:2021/10/05(火) 22:07:31
>>826

「壊れちゃうかもしれないけど…私は『人形』より赤月さんの方が大切だから。
 『囮』があれば赤月さんがすこしでも楽になる…よね?」

 正直、もしもの時は赤月さんを抱えて逃げるつもりだけど、もしもがないのが一番だから。
 作ってくれたお姉さんには申し訳ないけど、友達の安全のために壊れたって言えば許してくれそうな気がする。なんとなく。

「……赤月さん、だめだよ。
 ちゃんと帰ってこなきゃ」

 じっと赤月さんの目を見て言う。

828赤月『サクソン』:2021/10/05(火) 22:46:04
>>827

>「……赤月さん、だめだよ。
> ちゃんと帰ってこなきゃ」

「う・・・・・はい・・・・」

釘を刺されてしまった
大人しく、彼女の言う事を聞く事にする

(しかし・・・・)

だが、同時に赤月は考える
『今回』は一抹を止め、出来る限り傷を負わずに帰ってくる事を目的とした作戦だ
彼に勝てなくても、安全策はいくつか用意している・・・・『決死行』ではない

(でも、いずれ私は・・・・)

考えているのは『終わり』の事だ
この町で調査を繰り返し、『アリーナ』の中に仇を見つけた時
『復讐』を終えて生きて帰る事は出来るだろうか・・・・いいや、それはないだろう
『復讐』を果たしたとしても、『アリーナ』の組織力は決して赤月の存在を許さない・・・・『この場所』に変える事は決してない

再び目の前の少女の顔を見る
さっき彼女が言った言葉が頭の中で残響となっていた

(いいや・・・・それは、それこそ先の話だ
 この国のことわざでは確かこういう時・・・・『鬼が笑う』というのだったな)

『慈悲の刃』を構えた一抹が笑う姿を想像してしまった

(気味が悪い・・・・・怖すぎるぞ!)

「ごめん、ありがたく使わせてもらうよ」

陶人形をポケットの中に納めた

「大丈夫、私は必ずこの場所に帰ってくる
 だから・・・・その時が来たら、よろしく頼む」

「さて、それじゃあそろそろ戻らないと
 咲良・・・・今日は色んなものをくれてありがとう
 このお返しは、『クリスマス』が無事に終わった時にお返しするよ」

そう言いながら、自室へと帰って行った

829飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』:2021/10/05(火) 22:52:11
>>828

>「大丈夫、私は必ずこの場所に帰ってくる
> だから・・・・その時が来たら、よろしく頼む」

「約束だからね」
「うん、お返し楽しみにしてるね」

 赤月さんと『帰ってくること』と『もしもの時の逃亡の手伝い』を約束して、私も部屋に戻った。

 その後、赤月さんの部屋のポストに『鉄分のサプリ』を入れておいた。…これでよくなってくれたらいいけど…。

830赤月『サクソン』:2021/10/11(月) 22:57:29

「そろそろか・・・・」

『Xデー』直前、赤月は自室にて改めて自分の恰好を確認する
全身を包み込む赤と白の色調、光沢のある天鵞絨にもこもこのフェイクファー
頭にはよれよれとした円錐状の帽子を被り、両肩はケープで覆われている
最近歓楽街でよく見かける客引きと同じ装束・・・・女性用サンタ服である

「大丈夫・・・・今度こそ・・・・」

身体の震えを深呼吸で鎮めると右手に抱えた袋を握りしめる
サンタが持つには似つかわしくない・・・・それは『ゴミ袋』であった

「使うしか・・・・ないか」

これを『彼』に突き付ける事については最後まで悩み続けた
しかし・・・・『彼』は強い。それこそ手段なんて選ぶ余裕が無い程に・・・・
胸が苦しくなるが、使うしかないだろう

「鉄分の摂取は万全だ
 失った血は補えたし、事前に備えられる事はたぶん全て備えた」

部屋に置かれた『シクラメンの陶器』を撫でる
少しずつ部屋に増えてきた色彩の一つであり、この部屋に帰る楽しみの一つだ
絶対にここに帰る・・・・そのための勇気を奮い立たせる

「いくぞ・・・・・!」

『彼』と戦うため、赤月はこの部屋を発つ

831甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/10/30(土) 09:57:04
ハロウィンの夜

ハロウィンとはケルト民族由来の祭りであり
あの世から戻って来る悪霊から身を守るために、魔物に扮するのだが
昨今では趣旨を忘れられただの仮装大会となっている

だがあま公の仮装はちゃんとハロウィンに関するものだった

「…」

包丁を持った鬼女カリアッハベーラ
ハロウィンになると復活し、大地を凍らせ冬を齎す冬の創造神であり、病の神だ

>>832のお部屋に突撃するあま公
多分友達の部屋だと思うが…
知らない人だったらやばすぎるだろ

832甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/10/31(日) 18:21:12
>>831
ドンガラガッシャーン

マリア「おい、何の騒ぎですこと!?」

バタン

あま「…」
マリア「あら、あま公じゃありませんの
    さっき凄い騒音がしてませんでしたか?」
あま「そこの部屋でハロウィンパーティしてた」
マリア「あら、そうでしたの
    うるせぇから次から気を付けてくださるよう伝えておいてくださいまし」
あま「ごめん、分かった
   そう言っておく」



マリア「…あの野郎、一体どこから出てきやがりましたの?
    こんな所に部屋なんて無かったはず…」

    ___l~l____
  // /  | ヽ \ \
 ./ /  /|   |  |\ ヽ ヽ
 l l /   |  |  |   \|  |
 i l  ̄| ̄  △  ̄| ̄ |  |
 ヽ,| l~~l_l ̄ ̄l_|~~| l /
  ヽ, ヽ         / l/
    ゝ、ゝ_l ̄l_/ ノ
     `ー─── '"´
    十ヽ -|-、レ |
    d⌒) /| ノ ノ

833赤月『サクソン』:2021/11/28(日) 17:40:14
>【ミ】『ソウル・ダンジョン・ストーリー』【他】より
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1631985077/319-320

   ・
   ・
   ・
   ・

「あ・・・・」

沈黙に満たされた暗がりの中で赤月は目を覚ました
首を動かして周りを見ると、ここが自室である事がわかる
どうやら、誰かがここまで運んでくれたようだ・・・・

「一抹・・・・は・・・・?」

時刻は深夜3時
『Xデー』は終わり、恐らくは全ての決着が着いた頃だろう
入道雲と化していた彼が人の姿を保っているかどうか、確認する術は今はない

「傷が・・・・」

『インダルジェンス』の刃にやられたお腹に手を伸ばす
痛みはない・・・・思い切ってぐっと押してみても血が流れる様子はない
どうやら傷跡一つ残らず傷が消えているようだ・・・・
学生寮で会った彼女・・・・それとも別の人間の能力だろうか

「また・・・誰かに貸しを作ってしまったみたいだ
 あの場には『ユメミン』がいたから・・・・またあの・・・・あ・・・・っ」

自分で言った名前に記憶が想起される
『ユメミン』・・・・一抹を救うために現れた彼女はその目的を果たすために彼と戦い・・・・そして・・・

「あ、あああ!ああああああ――――――ッ!!」

入道雲と化した一抹が放った『雷撃』
落雷の如きその一撃をまともに受けて、崩れ去る『ユメミン』
通常、人間は自然の猛威には勝てない・・・・もしもあの一撃が落雷と同等の出力を持っていたとしたら・・・

『ユメミン』が語る言葉には『希望』が満ちていた
『狭い世界』から出て『広い世界』へ目を向けるその言葉に・・・・赤月自身も期待をしてしまった
それが・・・・ただ一度の落雷と共に崩れ去るとも知らずに

『ユメミン』・・・希望の言葉を口にする彼女は一抹の凶行を受けて死・・・・

「いや・・・・違う!
 あの時・・・・最後のあの瞬間、一抹に殺意はなかった!
 もしもあいつが殺意をもって私を攻撃したとしたら・・・・既に私の命はないはずだ!」

最後の瞬間、彼の攻撃は腹を浅く切るに留まっていた
彼がもしも本気で人間を殺すつもりだとしたら、迷うことなくこの胸を一突きにするはずだ
それをしなかったのは、最後の最後に彼は『殺意』を・・・・

「結局・・・・最後の最後に自分を曲げてしまったのは私だけ・・・という事か
 あいつの両親にも頼まれていたのに・・・・私は、アイツに『殺意の刃』を向けてしまった
 アイツの事はともかく、アイラトと和世に謝りに行かないと」

「明日になったら、何が起きたのか確認しないと
 明日になったら・・・・ それまでは・・・・ 休息を・・・・」

傷は治ったものの全身を包み込むような疲労・倦怠感は変わらない
布団のぬくもりに包まれながら、意識が闇の中に溶けていく

「咲良にも・・・・ お礼・・・・」

その右手には『サンタの陶人形』がしっかりと握りしめられていた
返り血に塗れ、衝撃で塗装の一部が剝れかけながらも、あれ程の激闘を経てなお形を保っている
その感触の中に友の想いを感じながら、赤月の意識は再び闇の中へと戻っていく

834宗像征爾『アヴィーチー』:2022/02/27(日) 22:22:24

一人の男が寮内の『台所』にいた。
カーキ色の作業服を着た姿は、
学校や学生寮の関係者には見えない。
腰のベルトに吊られた道具袋には、
様々な工具類が収めらている。

       ――――ガチャッ

シンク下の収納スペースは、既に開かれていた。
男は配管を一瞥し、おもむろにレンチを手に取る。
何らかの『作業』を行っているようだ。

835ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/03/01(火) 22:26:08
>>834

「……ン」


金髪の子供――と言っても小学校低学年程度の外見で、寮の住民にしては幼い――が、
通り過ぎて、それから後ろ歩きで戻ってきた。


「なんじゃ?
 隠し扉か?
 こんなところに遺跡(?)が?」


男性の股の間から興味深そうに開け放たれた収納スペースを覗き込む。

836宗像征爾『アヴィーチー』:2022/03/02(水) 00:26:28
>>835

開かれた収納部には、
調理器具などの雑多な道具が収められていた。
その奥に『配管』が設置されている。
扉の先が何処かに通じている訳でもなく、
これといって珍しい物は見当たらない。

「悪いが、後ろに下がってもらえないか」

不意に現れた『子供』を見下ろし、声を掛ける。
寮で暮らす生徒かとも思ったが、
ここで見かけた寮生との年齢が合わない。
恐らくは、誰かの知り合いだろうと考えた。

「そこにいられると、『仕事』を進められなくなる」

『学生寮』を訪れたのは、学校側から依頼を受けた為だった。
目的は『排水管の修理』だ。
よく見ると、管の一部から水が漏れているのが分かるだろう。

837ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/03/02(水) 01:02:31
>>836

「おお、すまんな」


曲解しようのない言葉に、しぶしぶ数歩下がる子供。
しかしどうにかよく見たいのか、そこから横に回り込んでみたりウロチョロしている。


「仕事? 探検するのか?」


珍しい物は無い……まあ配管工には見慣れたものだろうが、
子供にとってはどうだろうか。
少なくとも、まだ奥に入れるのではないかと思っていそうだ。

838宗像征爾『アヴィーチー』:2022/03/02(水) 01:29:59
>>837

「いや――」

         ギュッ

空いている手で『止水栓』を閉め、一時的に水の流れを止める。

「『修理』だ」

         カチャッ

簡潔に答えながら、『モーターレンチ』を握る腕を持ち上げた。

「この学校に通っているのか?」

         グッ

排水管を接続している『ナット』を緩めながら、
横に回り込んだ子供に問い掛ける。

「君が生徒なら、一つ聞きたい事がある」

配管から視線を外さずに、言葉を続ける。

839ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』猫『マシュメロ』:2022/03/02(水) 01:55:09
>>838

「遺跡潜り人じゃなく、封印の一族ということか」


排水管修理を子供なりに解釈したらしい。
そもそもの前提が間違っているが。


「なに……?」

「……」

「うむ、まあ、聞くだけ聞こう。なんじゃ?」

「ニャーン」


配管に集中しているので姿は見えないと思うが、
何か少し動揺した雰囲気が伝わってきた。

840宗像征爾『アヴィーチー』:2022/03/02(水) 02:28:46
>>839

        ――――――スッ

『鳴き声』を聞いて無意識に手を止め、
その方向を見やった。
『例の一件』以来、
『猫』を見ると『カーバンクル』を思い出す。
猫には詳しくないが、
少なくとも『違う品種』である事だけは分かる。

「『アビシニアン』ではないな」

独り言のように短い感想を口にした後、再び作業を始める。

「君が知っていればいいが――」

一度『共に戦ったスタンド使い』――『青山流星』は、
人知れず『命』を落としていた。
具体的な年齢は聞かなかったが、
恐らくは『学生』だったのだろう。
『青山の死』について知った時、脳裏に浮かんだのは、
一人の少年の存在だった。

「『一抹貞世』という名前に心当たりはないか?」

何故、一抹の事を思い出したのか。
俺が出会った中で、
『青山と近い世代のスタンド使い』だからかもしれない。
あるいは、『共闘した経験があるから』とも思える。
明確な理由は、俺自身にも分からなかった。
ただ、青山の最期を知った時、
『一抹の生死』が気に掛かった事は確かだ。

841ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』猫『マシュメロ』:2022/03/02(水) 02:42:37
>>840

「あびにゃん?」

「ニャーン」


振り向くと、子供がリュックを床に置き、そこから半分体を出した猫を撫でていた。
灰色でちょっと長毛気味の猫。多分雑種だろう。


「なんじゃ、一抹ちゃんなら知っておるぞ!
 ああ、いや、でもやっぱり学校の事とか聞かれたら困るがの……」


学校に行っていないので、学校の事を聞かれても困る子供だったが、
たまたま知り合いの事だったのでホッとした。
とはいえ一抹の学校での事は知らないことに変わりない。
まあ、子供が学校に通っていたとしても、学年が違うので大した情報はなかったかもしれないが。

842宗像征爾『アヴィーチー』:2022/03/02(水) 03:05:16
>>841

尋ねはしたものの、『知っている』とは予想していなかった。
今回は運が良かったようだ。
そういう事もあるのだろう。

「『知り合い』だったか」

      ガチャ

配管の一部を取り外し、
『レンチ』から『ドライバー』に持ち替える。

「そちらの事情は知らないが、『学校』については聞かない」

      キュッ

床のプレートを固定するネジを緩めて外していく。

「一抹は元気か?」

他人の日常を詮索する気はない。
本人自身が語らない事に踏み込もうとは考えていない。
ただ、『生きているかどうか』を知っておきたかった。

843ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』猫『マシュメロ』:2022/03/02(水) 03:22:28
>>842

「う、む……元気……
 あんまり元気じゃないかもしれん」

「オバケに呪われて……その後どうなったんじゃったか。
 死んだのは別の人だったと思うが……」

「そういえば最近見んが……
 みんなで囲んでボコボコにするとか聞いた気もするから、
 生きてても入院とかしてるかもしれん」


うんうん唸りながら、自信なさげな声が聞こえてくる。
曖昧なわりに内容がひどい。


「ナン」


悩みで気がそれた子供の手から解放されたのか、猫が宗像の近くに寄って来た。

844宗像征爾『アヴィーチー』:2022/03/02(水) 03:49:33
>>843

聞かされた断片的な言葉から、
正確な内容を推測する事は簡単ではなかった。
だが、俺の知らない所で『何か』が起こっていたらしい。
『青山の場合』と違うのは『命はある』という事だ。

「――そうか」

『排水プレート』を外し、
床に通じる『排水管』を両手で引き抜く。

「『生きている』ならそれでいい」

知りたい事は分かった。
同時に、近付いてくる猫に気付く。
今は『仕事の邪魔』になるが、生憎ちょうど動きが取れない。

         ズズズ

僅かな逡巡の後、傍らに『アヴィーチー』を発現した。
右腕に『鋸』を備えた人型スタンドが、
猫の前方に立ちはだかり、その歩みを止めようと試みる。
『ただの猫』であれば、
『見えない壁』に突き当たったように感じられるだろう。

845ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』猫『マシュメロ』:2022/03/02(水) 04:05:59
>>844

「う、うむ? よいのか……
 もし間違ってたらすまんが」


予想より薄いリアクションに逆に困惑気味の子供だった。
そもそも生きているとは明言していないのだが……
まあ、この子供の認識だとオバケに敗北=死、だが、実際は(一抹の場合)『雲』になるだけなので、
本当に死ぬパターンは、助けるために無力化しに行った人たちが勢い余って殺した場合くらいだろう。


「ニン…」


猫は『アヴィーチー』に阻まれて、その場をうろうろした。
五感共有型なら、猫の毛でくすぐられる感覚や尻尾で叩かれる感触が楽しめるだろう。
気が散るだけかもしれないが。


「機械式封印か」


さらに問答が終わったからか、子供まで寄って来た。
こちらは横から回り込んで見ているだけだが。

846宗像征爾『アヴィーチー』:2022/03/02(水) 19:03:40
>>845

『アヴィーチー』で猫の進行を阻みながら、
寄って来る子供の姿を視界の端で認めた。
ここが『下水道』なら別だが、
屋内の修理は危険な作業でもない。
『質問に答えてもらった』という事も、理由の一つとしてある。

「俺に近付きすぎると君が汚れる」

取り外した管を床に置き、
胸ポケットから『L型ライト』を取り出す。

         カチッ

スイッチを入れて配管の先にある『暗闇』を覗き込み、
異常がない事を確認した。

「見物するなら、『程々の距離』にした方がいいだろう」

そう言った時、『危険に近付きたがる女』が脳裏を掠める。
青山が命を落とした経緯は知らない。
しかし、特に『危険』を好む種類の人間ではないように見えた。
だが、死んだ。
この世界は『個々の希望』に合うようには出来ていないのだろう。

「よければ、もう一つ聞きたい」

排水管の『パッキン』を交換しながら、子供に問い掛ける。

「この町の『クリスマス』は『夏の行事』になったのか?」

『防空壕』の仕事を終えた後の入院中に、
その噂話を耳にした。
『夏のクリスマス』の話だ。
意識して気に留めてはいなかったが、奇妙ではある。

847ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』猫『マシュメロ』:2022/03/02(水) 22:12:50
>>846

「汚れるのは困るの。
 服はシャツしか出せんからな。……浴衣もあるか」

「フナス」


チラッと再度子供を見ると、大人ものの服を無理やり着たような姿をしていた。
わりとボロいところもあり拾ってきた服感もある。
ところどころにシールが貼ってあるのはオシャレだろうか。
視覚は作業に、聴覚で子供の声を聴きながら、触覚は猫が『アヴィーチー』をパンチしているのを感じるだろう。


「『夏のクリスマス』?
 そんなことないんじゃないかの。もが。
 あれは特別に1回だけだと思うが……
 うまくいってなかったらもう一回やるかもしれんな」


床に寝そべりながら、どこからか取り出したクッキーを食べる。
ぽろぽろと欠片が散らばった。

848宗像征爾『アヴィーチー』:2022/03/02(水) 23:24:34
>>847

男の両手は革の手袋で覆われている。
排水管を扱った事で、その表面は薄汚れていた。
それを気にする様子もなく、汚れた手で作業を続ける。

「『特別』か――」

言葉を返しながら、
『アヴィーチー』を叩く猫に違和感を覚えた。
俺の知る限り、スタンドに触れられるのはスタンドだけだ。
先程はこちらから接触したが、
今は向こうから触れてきている。

「そいつも『普通』とは違うようだな」

         ガシャッ

排水管を元に戻し、
正しい位置に収まっている事を確かめる。

「似たような猫を見た事がある」

かつて依頼された仕事で、
『スタンド使いの猫』の殺処分を引き受けた事がある。
その猫は『災いの種』となる可能性を孕んだ存在だった。
『カーバンクル』がそうであったように、
『動物のスタンド使い』というのは、
ある意味で『人間のスタンド使い』以上の脅威に成り得る。

「『アビシニアン』だ」

最初に取り外しておいた部品を脇に退ける。
管の途中に配置され、
『S字』にカーブした『排水トラップ』と呼ばれる部分だ。
排水管には必須の仕組みであり、
これとパッキンが経年劣化していた事が、
漏水の大きな原因だった。

       ギュッ

劣化した排水トラップを脇に退け、
新しい物に付け替えてナットを締める。

849ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』猫『マシュメロ』:2022/03/02(水) 23:38:01
>>848

「?」


『アヴィーチー』を見れば、猫パンチされたところに肉球の跡がついているのがわかるだろう。
だから何というわけでもないが。


「あびしにゃん?」

「知っとる猫に似てるのか? まあ、猫なんて皆同じようなもんじゃが」

「ミン……」


小首を傾げて猫を見る子供。
言いたいことはあまり伝わっていないようだ。
異種族の見分けはつきにくいというが、猫は動物の中でも個性が分かりやすいほうだろうが……


「これは壊れた封印か?
 もういらんのか?」


クッキーの袋でつんつんと『排水トラップ』をつつく。

850ヤジ『一般人』:2022/03/02(水) 23:42:34
>>847-848(乱入するぜ、無視しても構わない)

クッキーを食べながら談笑するナイと作業をする宗像。その『台所』へと
忙しない足音と共に、1人の青年がスマホを耳にかけつつ入り込んでくる。

「あぁ、だからバス数台で向かってくれ。あと、リーダーの出雲さんは?
どう頑張っても現地にはやはり向かうのは難しいって?
 何度も繰り返すが『夏の魔物』は他の奴等を変化させてるから最悪
先行隊の方も取り込まれて傀儡化するかも知れないんだ。とにかく
雪降らせとは言わないから、ツリーでも出せるか作れる奴等向かうよう
準備してくれ。本当頼むぜ」 pi

「出雲が出張れないとなると、万が一が起きたら危険だな。ジョー達も
頑張ってるだろうし、信じてるが…………『一抹』」フゥ……

溜息をついて、彼は冷蔵庫の飲み物と棚の自前らしい携帯食を背負ってる荷袋に
押し込んで出ようとする。焦ってる所為か、君ら二人を意識外に置いてるようだ。

851宗像征爾『アヴィーチー』:2022/03/03(木) 00:26:54
>>849

全ての部品の取り付けを完了し、再び『止水栓』を開く。
それから、シンクの蛇口を捻った。
水は普段と同じように流れ出ている。

「似ていると言えば似ている」

『アヴィーチー』は本体と視覚を共有しない。
改めて猫の方を向いた時、初めて『跡』が視界に入った。
ダメージがないという事は、
逆に言えば『ダメージ以外の何かがある』と言える。
以前、体内から『爆破』された経験があった。
その時も、実際に起爆されるまでは、
ダメージらしいダメージは受けていない。

      ――――――ズズゥッ

収納スペースの扉を閉めて、『アヴィーチー』を解除する。
『狙われる理由』に幾つか心当たりはあるが、
『これがそうだ』とは思っていない。
これ以上の何かをする気があるなら、
とっくにやっていた筈だ。

「ああ、もう必要ない」

端的に表現するなら、
『排水トラップ』は曲がった金属製の管だ。
劣化している為に、本来の用途には使えない。
それ以外の使い方というのも、普通は難しいだろう。

「欲しいのか?」

子供の言動から、そのように感じ取った。

>>850

近くに子供と猫がいた事で、
新たに現れた人間に気付くのが遅れた。
他人の通話を聞く気がなかった事もあり、
その内容も多くは聞き取れなかったが、
『聞き覚えのある名前』は自然と耳に入ってくる。
通り過ぎていく姿を一瞥したが、それだけだ。

「――『そういう事』か」

青年が立ち去った後で、静かに呟いた。

852ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』猫『マシュメロ』:2022/03/03(木) 00:42:44
>>850

「ん?」

「プムス」


子供と猫が通行人を見送る。
子供も猫と同じくらい何も考えてない顔だった。


>>851


『アヴィーチー』を解除すると、近づいてくるでもなく急に毛づくろいをしだす猫。
敵意のようなものは感じられない。


「うむ」

「汚いのも……それはそれで何かの役に立つかもしれん。
 お菓子と『交換』でどうじゃ? 飲み物の方がいいか?」


リュックからビニール袋を取り出す子供。
お菓子がぱんぱんに詰まっているようだ。

853ヤジ『一般人』:2022/03/03(木) 00:49:40
>>851-852(通り抜ける。お目汚し失礼した)

「さっさと向かわねぇとな……ジョー、無理するなよ。
『一抹』が何かあれば悲しむんだからな」

そのまま二人に対して気付く事なく台所から嵐のように突然現れ
突然去って行った……。

854宗像征爾『アヴィーチー』:2022/03/03(木) 01:08:24
>>852

「なるほど――」

          スッ

「そういう事もあるのかもしれないな」

排水トラップを拾い上げ、シンクの水道で洗い流す。
大体の汚れは落ちた。
少なくとも、かなりマシにはなっているだろう。

「欲しければこのまま渡すが、
 『交換したい』と言うならそれでも構わない」

水に濡れた排水トラップを作業服で拭き取り、
リュックの中身を見下ろした。

「『飲み物』をもらおうか」

見るともなしに見つめながら、子供の行動を待つ。

855ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』猫『マシュメロ』:2022/03/03(木) 01:25:06
>>853

「ナーン」


>>854

「いや、だから汚れたままでよかったんじゃが……まあいいか」


駄菓子がつまった袋に手を突っ込むと、にゅっと瓶が出てきた。
青っぽいくびれたような形の特徴的な容器。ラムネ瓶だ。


「これでどうじゃ? ……炭酸飲めるか?
 ココアもあるが……」

856宗像征爾『アヴィーチー』:2022/03/03(木) 02:00:21
>>855

「手が汚れるのは良くないと思ったが」

持ち歩きに不都合な汚れは落ちている。
しかし、経年劣化を起こす程の部品であり、
単純に洗っただけで元には戻らない。
長年に渡って使い込まれた事による薄汚れた印象は、
客観的に見ても消えようがなかった。

「――悪かった」

排水トラップを差し出し、代わりに『ラムネ』を受け取る。
いつだったかは覚えていないが、
飲んだ事はあったように思う。
おぼろげな記憶に従い、ビー玉を瓶の中に押し込む。

「頂戴する」

         グイッ

一礼してから瓶を傾け、中身を一気に飲み干す。
覚えのある味が広がると同時に、
忘れかけていた光景が脳裏に広がっていく。
この世に『馨』という女が生きていた頃の記憶だ。

「ご馳走になった」

         カラン

空になった瓶の中で、ビー玉が軽い音を立てた。

857ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』猫『マシュメロ』:2022/03/03(木) 02:13:25
>>856

「『交換』した時の『状態』が重要なんじゃ。
 まあ、わしも汚いのが好きなわけではない。
 そうじゃな……とりあえずこれで、こうじゃ」


ビニール袋をさかさまにしてリュックの中に駄菓子を移動させると、
カラになったビニール袋に『排水トラップ』を入れた。
そしてにおいを嗅いでみたりする。やっぱりくさいんだろうか。


「シャッ」


ビー玉に釣られてか、猫がパンチを繰り出してくる。


「封印はこれで終わりかの。
 それで、何が封印されてるんじゃ?」

858宗像征爾『アヴィーチー』:2022/03/03(木) 02:45:14
>>857

「どうするのかは知らないが、何かの足しにしてくれ」

当然ながら無臭ではない。
まず金属特有の臭いが感じられ、
排水管の一部だった事を想起させる臭いも残っている。
耐えられない程ではないが、気分が良くなる事はないだろう。

「ここでの『仕事』は終わった」

レンチとドライバーを腰の道具袋に収め、
空いたガラス瓶を持って歩き出す。
先程の青年が出て行ったのと同じ方向だ。
ちょうど動き始めたタイミングだった為に、
今度は猫に触れられる事はなかった。

「――『色々』だ」

台所から立ち去る間際、背中越しに言い残した。
排水管を通っていくのは水だけではない。
その中には、管にとって好ましくない物も含まれている。
それらが蓄積し、問題の原因となる場合も少なくない。
つまりは、『そういう理由』だ。

859ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』猫『マシュメロ』:2022/03/03(木) 03:11:52
>>858

「臭ゅっぷしっ」


鼻が刺激を感知したためか、くしゃみをした。
ビニール袋を閉じ、ぐるぐるとねじって密閉する。


「ふうむ?」


台所に座り込んだまま、一仕事終えて立ち去る宗像を見送った。
猫を掴み、小脇に抱えて立ち上がる。


「何かクールな男じゃったな」

「ナーン」

「しかし一抹ちゃんはどうなったのかの……
 ん!?
 さっき通りかかったヤツ、一抹ちゃんの話してたような?
 ううむ、聞き違いかの……」

「ニン」


猫を抱えて去っていった。

860リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2022/03/16(水) 02:12:01
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1607077443/838-851からの続き。


人気のない『夜の歓楽街』で、両者は出会った。
『心を持たない人間』と『心を持つ人形』。
その中で、人間である『遊部玲実』は、
人形の『リトル・メリー』の『懐柔』を試みた。
『人間のスタンド使い』は、
様々な要因で『心変わり』を起こす。
『人間ではないスタンド使い』に目をつけた遊部の考えは、
非常に合理的で的確であった。

    シュウゥゥゥゥゥゥゥゥ………………

薄暗い空間で、『西洋人形』に『魂』が戻る。
そこは、どこかの『部屋』らしい。
『リトル・メリー』を名乗るビスクドールは、
中央に置かれたテーブルの上に座っていた。

「すっごくビックリしたわ」

「だって」

「『憂ちゃんと同じような子』がいたんだから」

     ガチャ…………

鍵を開ける音の後にドアが開く。
ここは『学生寮』。
『清月館』だ。

「………………ただいま………………」

帰宅した『部屋の主』が、リトル・メリーを見やる。
奇しくも『遊部と同じ事を考えた人間』は他にもいた。
そして、遊部よりも早く、
リトル・メリーの存在を確認していたのだ。
(ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1456056964/668)

「『DVD』………………借りてきた………………」

それこそが『御影憂』であった。
『フラジール・デイズ』と極めて近い能力を持つスタンド使い。
あるいは、それも一種の『引力』だったのかもしれない。

「ウフフフフ、今日は何を見せてくれるの?」

「………………『事故物件:恐い間取り』………………」

「とっても楽しそうね、ウフフフフフフ」

御影に『シンパシー』を感じたリトル・メリーは、
彼女と『友達』になった。
そして、時折こうして自室を訪れていたのである。
『御影憂』と『リトル・メリー』。
『ジャパニーズホラー』と『ゴシックホラー』。
『ナハトワハト』と『メリー・バッドエンド』。
『闇』と『影』。
この二者を結びつけたのは、いわば『魂の共鳴』。

(そろそろいいかな………………)

(『連れて来い』って言われてるし………………)

       ――――――『それ』は、また別の物語になる。

861大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』:2022/04/01(金) 23:05:29
今日はエイプリルフール。
そしてまだ時間は午前中ということにしておきましょう。

さてここは学生寮。
おやおや。なんでしょう。
黄リボン付シルクハットを被った緑髪・右青目・左赤目・改造済清月学園黒制服の男装少年(16歳 女子)が学生寮の廊下をウロウロしています。

「せっかくの年に一度のエイプリルフールなのだからウソをつかなければ」
大神さんです。

「ちなみにボクの誕生日でもある」
とりあえず大神さんはあてもなく学生寮の廊下をふらふらとして嘘の相手を探すことにしました。

ふらふらふらふら……

862大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』:2022/04/04(月) 19:47:42
「帰ろ」
大神さんは部屋に帰っていきました。

863登良悠『ニルズブランク』:2022/08/26(金) 17:39:13
「病院ほど綺麗じゃなさそうかな」

「人間の気配、みたいなのはよく感じるけど」

ぼんやりと廊下を歩いている。
つい先程荷物を部屋に置いてきた。
事故で長期入院してきたが、今日からこの学生寮の世話になる。

「どこに何があって誰がいるかな」

864猿田大輝『ザ・ライフライン』:2022/08/28(日) 00:08:41
>>863
ポリ……ポリ……


しばらく廊下を歩くと、少し広い部屋に出た。
寮の共同スペースである食堂だ。


ポリ……ポリ……


食堂といっても今は食事時間ではなく、閑散としている。
置かれているテレビがバラエティ番組の笑い声を空虚に響かせていた。
それ以外ではひとつだけ音がしている。


ポリ……ポリ……


ひとつの席にひとりの少年が座り、芋けんぴを食べながらボーっとテレビを見ていた。
赤い髪をして活発そうに見えるが、妙に細身で虚弱そうとも見える、中学生くらいの男の子だ。

865登良悠『ニルズブランク』:2022/08/28(日) 07:40:24
>>864

(音がすると思ったらテレビか)

(ここ、ご飯食べるところかな。お菓子を食べてる人もいるし)

食堂を見渡して、そんなことを考える。
人の動きを感じない。
今は利用時間でもないのだろう。

(……じゃああの人は何をしてるんだろ)

「……隣、いいですか?」

866猿田大輝『ザ・ライフライン』:2022/08/28(日) 13:47:32
>>865

  コクリ


口の中に食べ物が入っているからか、少年は黙って頷く。
そして芋けんぴを慌てて飲み込んだ。


「兄ちゃん見ない顔だね。新しく入ってきた人?
まあオレもちょっと前に来たばかりだけど……芋けんぴ食べる?」


芋けんぴを一本差し出し、話しかけた。

867登良悠『ニルズブランク』:2022/08/28(日) 14:47:24
>>866

「今日からお世話になるんだよね」

「あ、もらうよ。ありがとう」

そう言って芋けんぴを手にして椅子に座る。

「貴方はいつから?」

「あと、この寮ってなにかルールとかあるのかな」

868猿田大輝『ザ・ライフライン』:2022/08/28(日) 18:29:19
>>867
「そっか」

芋けんぴを渡した。
袋をテーブルに置いて広げてみせる。

「暇だからおやつ食べてたんだ。
芋けんぴって一本一本チマチマ食うと暇つぶしになるだろ?
一本といわず食べていいよ。新しい暇つぶしが見つかったからね」

もちろんそれは君のことだ。

「一年になるかならないかかな。病気で入院しててさ。
原因がよくわかんなくて、心霊スポットの廃墟で遊んだ後のことだったから
悪霊に取り憑かれたとか言われたこともあるんだけど。結局謎のまま治っちゃった」

「ルール……『屋根に登らない』とかかな……
あ、ゴメンゴメン普通は言われなくてもしないよね」

869登良悠『ニルズブランク』:2022/08/28(日) 23:51:57
>>868

「あぁ、入院。おそろいだね」

「とはいっても、一年リハビリだったけど」

ポリポリと芋けんぴを食べている。

「心霊スポット、なんでそんなところに」

870猿田大輝『ザ・ライフライン』:2022/08/29(月) 00:19:40
>>869
「そうなんだ!イエーイ仲間〜〜〜〜」

平手を差し出してハイタッチの構えを取る。

「オレは結構入院してたな……おかげでガリガリになっちゃってさ。
若い頃はブイブイ言わせてたんだぜ?ってオッサンかよ!
小学校の頃はもっと元気だけが取り柄!みたいな感じだったんだ」

「探検が趣味でさ。なんかあるかなーと思って。
なんもなかった……と思う……実は記憶がアイマイなんだけど。
家に帰ってからフラッときてヘロヘロになっちまって病院送り。
なんだったんだろー」

「にーちゃんはなんの病気?」

871登良悠『ニルズブランク』:2022/08/29(月) 00:53:59
>>870

「いえーい」

間の抜けた声でハイタッチ。
タッチした後どうしたらいいのかとくっつけたままになっているが。

「事故だよ、車で旅行中にほかの車が突っ込んできたんだって」

「記憶も全然もないんだけどね」

口では軽く言う割に冗談ではない状態らしい。

「おかげさまで両親も亡くなって、この寮に流れ着いたわけさ」

872猿田大輝『ザ・ライフライン』:2022/08/29(月) 01:12:25
>>871
「そ、それは……だいぶ深刻じゃんか。
記憶喪失って……!」

ハイタッチの手はこちらから離れる。
おずおずと所在なく半握りの手が空を掴んだ。

「なんというか……
ただの自業自得のオレとはぜんぜん違うじゃん!
強く生きようぜ!ホラ芋けんぴもっと食べて!
身体は何ともないんか?」

元気づけようとして芋けんぴを大量に差し出す。

873登良悠『ニルズブランク』:2022/08/29(月) 01:21:35
>>872

「いやぁ、覚えてないから悲しいともあんまりも思わないかな……」

「結局親のこともあんまり思い出せてないから感慨ないしね」

本人はあっけらかんとしてる。
強がっているとかではなく、本当にそう思っているのだろう。

「いや、そんなに芋けんぴいらないけど……」

「まぁ、体は何とかなったよ。なんとか日常には復帰出来てるしね」

874猿田大輝『ザ・ライフライン』:2022/08/29(月) 01:40:07
>>873
「そっかぁ……」

悲しそうに袋へ戻される芋けんぴ。

「ウチの親みたく気味悪がって寮付きの学校にほっぽり出されるよりマシなのかな。
でもなぁ、悲しくないとしても親がいないってこと自体が普通よりメンドクサイんじゃねーか?
例えば……金とか」

「まっお互い頑張ろうな!
オレはダイキ!猿田大輝、中等部の2年生だ!」

875登良悠『ニルズブランク』:2022/08/29(月) 01:59:09
>>874

「まぁお金はね。そこは大変かも?」

「遺産があると言ってもね」

そういうと腕を組んで考え始めた。
今まで頭になかったのだろう。
それなりに考える必要があると思ったのかもしれない。

「登良悠、高等部三年。19だけどね」

876猿田大輝『ザ・ライフライン』:2022/08/29(月) 02:10:33
>>875
「お金は欲しいよなぁ。
オレもこないだユーチューバーになってひと儲けって思ったら
ジャーナリストのおっさんに止められちまった。
あんまり『能力』は人に見せびらかすもんじゃない……って」

「高等部かぁ。じゃ学校では会うことはないか。
でも寮では仲間だ!これからもよろしく!」

877登良悠『ニルズブランク』:2022/08/29(月) 08:15:08
>>876

「なにそれ」

「ジャーナリストに止められるっていう状況がかなり謎ではあるけど」

「まぁ、忠告されたのなら仕方ないとは思うけど」

指先で髪をいじくりつつ。

「あぁ、よろしくね」

878猿田大輝『ザ・ライフライン』:2022/08/29(月) 20:40:22
>>877
「オレの動画をたまたま見てるところに出くわしたんで感想聞いたって感じ。
そうしたらたまたま自称ジャーナリストだっただけなんだけど」

『山百 次言』から貰った名刺を見せる。

「これ、その人から貰った名刺。
なんか、スタンド……あーいや、特殊な力をもつ人の情報を集めて商売したいんだってさ。
乗っかると『ウィンウィン』らしいよ?ヘンな話だよね」

載っているのはそのジャーナリストを名乗る人物の名前と連絡先だ。
どう思うか、覚えるかは君次第だが。
少なくとも猿田は『ちょっと面白いことがあった話』として雑談のつもりで言っているだけだ。

「じゃ、なにかわかんないことあったら聞いてよ。そろそろ部屋に戻るからさ」

879登良悠『ニルズブランク』:2022/08/29(月) 21:34:32
>>878

「あぁ、さようなら」

「もう少しここにいようと思うよ」

「ここにいたら誰かに会えそうだしね」

そう言って手を振る。

「商売ね……」

そうひとり呟いて。

880猿田大輝『ザ・ライフライン』:2022/08/29(月) 22:25:38
>>879
「おたがい元気で!」

こちらも手を振って別れ、自室に帰っていった。

881赤月『サクソン』:2022/12/28(水) 20:57:25

「はぁ・・・・! はぁ・・・・!」

学生寮の一室、自室のベッドの上
平日の昼間という、普通であれば学生たちが学業に励む時間・・・・
にもかかわらず、ここに一人の女子生徒が残っていた

「(熱い・・・・・・!)」

彼女の名前は赤月ナカレ。現在の体温は『39.8度』
間違いなく、彼女は風邪をひいていた

「み、ず・・・・・・。」

ふらり、とベッドを這い出て部屋の外に出る
水筒に汲んでいた水は既に空になっている
全身はしっとりと汗に濡れ、カラカラになった喉が水分を求めていた

「(やはり・・・・無理をし過ぎたか・・・・)」

体調を崩した原因には心当たりがある
『昨日の試合』。薄着のまま行われた死闘。ぐちゃぐちゃに崩れた自尊心。
フィジカル・メンタルの両面で、限界まで力を使い果たした事が原因なのだろう

「わ、たしは・・・・・・」

熱にうなされた頭で昨日の出来事を思い返す
『勝利』は得た・・・・だが、それ以上に恐ろしい思いをしたあの出来事を・・・・


 ふらり

             ふらり

     ふ
        
         ら


       り

   ふ
 
       ら

 
     ふ

          ら
  
            ・

              ・
 
            ・

・・・・・・・・・・・・・・・・。


気が付くと赤月はどことも知れない場所に倒れていた
どうやら、夢見半分に歩いているうちに学生寮の外に出てしまったらしい
着の身着のままであったため、服装は寝間着としていたパジャマだ
裸足のままの足が地面の硬さに痛めつけられて赤くなっている

さて、ここはどこだろう?

882大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』【高1】:2022/12/28(水) 21:49:18
>>881
>さて、ここはどこだろう?

なんとここは学生寮横のゴミ捨て場、年末大掃除で出た沢山のダンボールの上だ。
オリンピックの選手村でも使われたダンボールを惜しみなくふんだんかつ豪勢に使ったベッドでございます。
もう少しで粗大ゴミとして運ばれてしまったかもしれない。
実に危ないところだった。

「あっ、しまった。目覚めた。
今から年末年始に向けて猟奇的大奇術人体切断ショーを練習するとこだったのに」(ハスキーボイス)

その傍らで赤い赤いマジ赤いサンタコスの緑髪・右青目・左赤目の男装少年(16歳 女子)が猟奇的なノコギリのようなもの(ダンボール製)を振りかざしている。

883赤月『サクソン』:2022/12/28(水) 22:39:14
>>882

「お、前は・・・・・・」

ガンガンに頭痛が響く中、やっとの思いで目を開け、声の主を見る
しかし、熱で頭がぼんやりとしているためか、視線も焦点もふらふらとして合わない
赤月がようやく判断できたのは、目の前にいる相手が何らかの『長い刃物』を持っている事だけだった

「お前は・・・・『小石川・・・・文子』・・・・!」

「やめろ・・・・! やはり、私を始末しに来たのか・・・・!?
 来るな・・・・!! 来ないでくれ・・・・・!」


        ガサッ

               ガサガサ!

記憶に新しく、印象が深く心に根付いた者の名前が出たのは偶然ではないのだろう
だが・・・・・これはどういう事か
赤月がその女性の名前を叫んだ直後、ゴミの中を這い潜る様にダンボールを掻き分ける
まるで・・・・その女性から逃げるように
大神が知っている赤月の姿からは想像も出来ないくらい、何かに怯えるように・・・・

884大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』【高1】:2022/12/28(水) 23:16:27
>>883
「はてさて……?
予想以上のビックリドッキリぶり…
『あの小石川さん』に殺されかけるなんて、赤月くんはいったい何をやったんだい……」(↓ハスキーボイス↓)

ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1621051851/575-
↑大神さんは小石川さんと知り合いなのだ!

「どうにも面白そうだから、ひとつ悪ノリをしてやろうじゃあないか……」(↑悪そうな笑顔↑)
大神さんが顔に手をやると……

   グニャッ!グネッ!グネグネッ! ゴキッ!ゴキゴキッ!

「小石川さんに披露したやつでもあるが…」
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1621051851/588
(↑小石川さんへの披露)

大神の顔がグニャリと『のっぺらぼう』に変わったかと思うと…

「本人にあまり似ないが……
 『マスク』を作れるんだ、ボクは」
ビミョーに小石川っぽい顔へと変化を遂げる。

「もちろん『衣装』も」

『大神さんの顔』は『小石川にビミョーに似てるマスク』に
『サンタの帽子』は『小石川がよく被っている帽子』に
『サンタの服』は『小石川がよく着ている服』に……。

「どうにも今のキミってば夢見心地みたいだからさあ……
さらに夢を見てもらおうかあ……」(↓ハスキーボイス↓)

……

「逃げないでください、赤月サァン……」(ビミョーに小石川を真似た大人っぽい声)

ビミョーな小石川(偽)が刃物(偽)を持って、赤月に迫る……!

能力詳細:ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453050315/174-175

885赤月『サクソン』:2022/12/28(水) 23:29:22
>>884

「来るな・・・・ やめろ・・・・っ!」

風邪の影響で赤くなっていた顔が真っ青になる程に血の気が引く
迫りくる小石川の偽物を見て、赤月は観念したかのように大神へと振り返る

いつの間にか、赤月の身体は『トレンチコート』によって包まれていた
『サクソン』が身に纏う『コート』の部分発現だ!

「それでも・・・・こちらに来ると言うのなら・・・・」

ぷつん、と胸元の第一ボタンを外す
その直後、パジャマに縫い留められていた第一ボタンは『羅漢銭』に変化した

「お前を・・・・・殺す・・・・・ッ!!」

『羅漢銭』を右手に握りしめて、振りかぶる
大神に投げつけようとしているようだ

886大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』【高1】:2022/12/28(水) 23:53:01
>>885
「おおお、落ち着きたまえぇ赤月くぅん!気をたしかに!」(キョドった声)

 大神さんは怖くなって刃物(偽)を投げ捨てた!(ポイー

「ジョーダンだよぉ、ジョーダン。マイケルくらいのジョーダン!」

 ポポポン!

『偽の毛皮』の『化けの皮』が剥がれて、元のサンタコスの緑髪・右青目・左赤目の男装少年(16歳 女子)の姿に戻った。

「ウウッ……
ゴミ捨て場に捨てられた赤月くんを見つけて、
必死で看病したボクがこんな最期を遂げようとは、
世界とはなんと残酷で不条理なのだ……ラブ&ピースはどこにある……ヨヨヨ……」(真っ赤な嘘)

まあ嘘なんですけどね

887赤月『サクソン』:2022/12/29(木) 00:07:41
>>886

   グオオオォォォォ・・・・

常軌を逸した赤月の様子にびっくりして変装を解く大神
しかし、『羅漢銭』を構えた赤月の動きは止まることなく・・・・・


   ガクゥゥゥッ!

                  ブオンッ!

           「あっ・・・・」

熱の為か、はたまたそれ以外の要因か、脚の力が抜けて膝から体勢が崩れる
それとともに投球のフォームが変わり、見当違いの方向に『羅漢銭』が飛んで行った

「あっ・・・・ うわっ・・・・・」

それだけではない
体勢の崩れが全身に影響し、前方に向かって倒れ込む・・・・
つまり、大神に向かって倒れる事となった

誰も受け止める人間がいなければ、そのまま顔面を地面にぶつける事となるだろう

888大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』【高1】:2022/12/29(木) 00:18:06
>>887
「はわわ」(はわわ)

  フワッ…

とっさに大神さんは『偽の毛皮』を多重に張って、倒れる赤月を受け止めるのでした。(暗器を投げられたら『この毛皮』で防ぐつもりだったのだ)

フワッフワの毛皮に包まれるがよい!

889赤月『サクソン』:2022/12/29(木) 09:42:59
>>888

     「うっ」


  ふ
      わ

           っ

倒れこんだ瞬間、『偽の毛皮』によって作られたふわふわのクッションに包まれた
しばらく、手足をばたつかせてもがいていたが、やがてその体力も失ったのか動きを止めた
閉じられた両目は固く引き締められ、悪夢を見ているようであった

「『アリー・・・・ナ』・・・・・」

寝言だろうか?
毛皮に包まれながら、何かを呟く

「殺してやる・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はっ!」

しばらく、うわ言のような言葉を呟いたのち、赤月の両目が開かれる
先ほどよりは大分正気を取り戻した目。しかし、体力が落ちているのであろうか
普段の彼女にはあったはずの力強さが失われていた

「アル・・・・マ・・・・?」

どうやら、ようやく正常に君の事を認識し始めたようだ

890大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』【高1】:2022/12/29(木) 11:45:36
>>889
赤月が目を覚ますと……

「ねんねこ ねんねこ ねんねこよー
 ねんねんころりよー おころりよー
 ねーむれー よーいーこーよー
 ねーむれー ねーむれー ボークーのーむーねーにー」(ズンドコズンドコ ヘイッ!ヘイッ!)

大神さんが子守唄をサラウンドで唄っていた。
ついでに寝てる間にダンボールをソリにして引きずって移動したのか、ここは『学生寮の1階共有スペース』だ。
あまり屋外で騒いでは近隣住民のご迷惑だからな……。

 ハムスター&ハト ↑ポンピロポンポンプーペンポンペー↑(キーボードの上を駆け回っている)
 しかも大神のペットのハムスターとハトが子守唄の伴奏なのか共有スペースのキーボード(楽器)を駆け回っている……

「おや、やっと起きたかね、眠り姫くん」(↓ハスキーボイス↓)

「大神サンタさんもまさか人間をダンボールソリで運ぶとは思わなかったゾイ」(↓ハスキーボイス↓)

赤い赤いマジ赤いサンタコスの緑髪・右青目・左赤目の大神少年(16歳 女子)が赤月の顔を覗き込んでいる。

891赤月『サクソン』:2022/12/29(木) 12:32:40
>>890

「・・・・・・・・??????」

眼を開けた瞬間に流れ込む情報の奔流に困惑の表情を浮かべる
はたして、これは一体なにが起きているのか? 
いつの間にかサンタの国にでも連れて来られたとでもいうのか!?

「は、はは・・・・なるほど。これは夢か
 いつの間にか・・・・サンタの国に来ていたとは」

困惑の果てに選んだ答えは『現実逃避』だ!
この光景が現実のものであると考えるのはやめた

「君はサンタクロースなのか・・・・?」

892大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』【高1】:2022/12/29(木) 13:06:33
>>891
「えっ……」(困惑した声)

大神さんの頭に『やばーい、こいつまだサンタ信じてるよー』という思いがよぎりました。

ですが、大神さんはこうも思いました。
昔々の偉い人がこう言っていたのを、思い出したのです。


  『サンタクロースをいつまで信じてた?』なんて……
  ふざけるな!
  いつから居なくなったんだよ!?
  いいか?サンタの心を受け継いで、
  これからは君たちがサンタになるんだよ!
  『サンタなんか実際いないよ』なんてことを
  まるで自分は知識人・常識人である風に言うヤツには
  正面から向かって目を見て言ってやれ!
  俺がサンタだと!
  私がサンタなんだと!
  みんなサンタになろうよ!
  でかい……でかいサンタになれ!
  子供たちの夢を叶えさせてあげる立場にドンと座るんだよ!
  大人を逃げるな!
    by S本和彦


大神さんは『赤月くんのサンタとなること』を決心しました。
その瞳には決意の光(偽)が宿っています。
しかし大神さんはカラコンをつけているので決意の光の真贋・有無は他人からはさっぱり見えないのもまた事実なのでありましょう……。

「フフフ、メリークリスマス赤月くん。
 今年もいい子にしていたようだね。
 さぁ(売れ残りの)ケーキをお食べ」(非実在サンタの声)

大神サンタはそう言うと寮の共有冷蔵庫にあった(売れ残りの)クリスマスケーキ(スタンダードなイチゴショート)を、赤月の前に差し出しました。

(重篤な患者の言うことは否定・肯定しないほうがいいらしいしな……)

893赤月『サクソン』:2022/12/29(木) 14:14:52
>>892

目の前の人間が、『サンタとなる決意』を固めた事など知る由もなく
熱に浮かされた瞳でそちらを見る

やはり・・・とか、うむ・・・・とか、何かを納得している様子だ

>「フフフ、メリークリスマス赤月くん。
> 今年もいい子にしていたようだね。
> さぁ(売れ残りの)ケーキをお食べ」(非実在サンタの声)

 「・・・・・・・・・・ッ!?」

              しゅっ!!

だが、大神がその台詞とともにケーキを持ち出した時
瞬間的に赤月の眼がギラリとした輝きを見せる!
次の瞬間には彼女の手刀が大神の喉元にまで伸びていた

「お前は・・・・・誰だ・・・・・?
『サンタクロース』は『良い子』のところに現れる者だ・・・・」

「私は違う!!」

剣呑な気配がにじみ出る!

894大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』【高1】:2022/12/29(木) 14:30:44
>>893(893! オオ見よ神秘的な獣の数字893!)

「落ち着きたまえ、赤月くん。
そして気づきたまえ。
そんなことを気にする時点で『いい子ちゃん』なのだ、キミは。
生粋の悪い子はそんなことを思わないし、悩まないものだ」
大神サンタさんは素知らぬ顔で答えました。

「ボクにはわかっているぞ」(後方彼氏面)

そしてクリームのついたイチゴをフォークに刺し、赤月の口元に差し出しました。

「We wish you a merry Christmas
 We wish you a merry Christmas
 We wish you a merry Christmas
 And a happy New Year」

(楽しいクリスマスをあなたに
 楽しいクリスマスをあなたに
 楽しいクリスマスをあなたに
 そして幸せな新年を)

895赤月『サクソン』:2022/12/29(木) 15:19:00
>>894

「なにぃっ!?
 私が・・・・・・『良い子』だと・・・・・・!?」

突き付けられた驚愕の事実にぽかんと口を開き、愕然とする
そして、そこに・・・・・・


            「もがっ!」

クリームのついたイチゴが口内へと突っ込まれた!
急速に吸収される糖分・ビタミン・水分・・・・・・そして、いくらかの電解質ッ!!

   しょり しょり しょり・・・・


              ごくり

                      ・・・・・・・・・ばたっ

肉体が、不足している栄養素を得たと判断したのか
それとも、色々と動き回って疲れてしまったのか
口内に突っ込まれたイチゴを飲み込むと同時にばたりと意識を落して眠りについた

深い、深い眠りだ
当分は目覚める事がないだろう

896大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』【高1】:2022/12/29(木) 16:15:55
>>895
眠った赤月を見て、やれやれ、という顔をする。

「そんなことを言うキミがいい子なのは、当たり前ではないか。
現代のサンタは『それを信じた子供がいい子になる』ようなシステムだもの。
『悪いことをした子供』が『自分はいい子じゃないからサンタが来ないんだ』って思うことはまさに『それ』さ。
反省・自省をさせるシステムなのさ」(後方保護者面)

一人ぼやきながら、眠る赤月を共有スペースのソファに移し、共有の毛布をかける。

「やれやれ。
こんな年末までオオカミサンタをする羽目になるとは思わなかった」(モシャモシャ)

そして、大神さんは残ったケーキとチキンをモシャモシャするのであった。

897大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』@共有スペース:2022/12/29(木) 16:31:55
……というわけでここは学生寮の共有スペース。
ただでさえ多くの価値観を持つ学園関係者が出入りする寮という空間な上に、
時期的にクリスマス年末年始がまとめてやってきているので、
色々なあれそれが入り交ざった奇妙な空間となっている。

そんな共有スペースで、サンタコスの緑髪・右青目・左赤目の男装少年(16歳 女子)がペットのハムスターやハトと一緒にワチャワチャやっている。
どうも今は大掃除で出たダンボールを用いたAR『ニ○テンドーラボ』を共有スペースの巨大ディスプレイで遊んでいるようだ。遊ぶのに広い空間が必要だしな…。

なお、ソファの片隅に毛布にくるまった物体(>>895)があるが、よく寝ているようなので放っておいて問題ないだろう。
近くで騒いでいれば目覚めることもあるかもしれないし……。

898大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』:2022/12/31(土) 13:26:09
ゲームに飽きて年末年始の街を見に出かけた

899三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』:2022/12/31(土) 13:46:43
>>898

「――――『或真さん』?」

街に出かける姿を遠目に見かけ、ふと立ち止まる。
『少年』とも『少女』とも取れる姿の小柄な生徒。
『大神或真』の『従兄弟』である『三枝千草』。

「『同じ学校』だったなんて初めて知りました」

去っていく大神を見つめ、そのように呟いた。

900三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』:2023/02/27(月) 21:57:56

少年とも少女ともつかない小柄な寮生が、一つの部屋の前で立ち止まった。
生徒の名前は『三枝千草』、部屋の主の名前は『小林丈』。
ここを訪れるのは『初めてではない』。
(ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453647077/318-330)

     コン コン コン

はやる気持ちを抑えてドアをノックする。
どうしても確かめたい事があった。
もし応答がなかったとしても、三枝は開けようとするだろう。

施錠されていたなら――『それでも中に入る』。

(『小林先輩』……)

『小林の死』を知ったのは、『呪いの小屋』から戻った直後だった。
以前と同じように声が聞こえ、変わりない姿を見せてくれる事を期待している。
しかし、それが叶わなかった時は、『部屋を調べる』つもりで来た。



(>>ノエPL:大変お手数ですが、この行動に対する判定をお願い致します)

901『殻の部屋』:2023/02/27(月) 23:48:42
>>900

 部屋から物音はしない、耳が痛くなるような静寂さだけが
君の耳に返って来るだろう。
 
 ドアノブを回すと、呆気ないほどに簡単に開いた。

部屋の中……最近は、殆ど使用してないようだ。

冷蔵庫……中は空だ。

クローゼット……小林らしい制服や私服がそのままだ。
半分ほど、彼のかは不明だが衣類の幾つか持って行った形跡が見えた。

学習机……少し、埃が被っている。引き出しが、少し開かれた形跡がある。

902三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』:2023/02/28(火) 00:45:15
>>901

しばらくの間、室内からの返事を待っていた。
1分かもしれないし、5分かもしれない。
もしすると10分間も立ち尽くしていたようにも思える。
しかし、いくら待っても応答はなかった。
顔を俯かせ、意を決して部屋の中に踏み込む。

     ガチャ…………

室内を見渡し、最初に調べたのは『冷蔵庫』だった。
中身は『空っぽ』。
その事実は、既に住人がいない事を物語る。

       …………ガタッ

次に、『クローゼット』を開けてみた。
一切の躊躇いはなかった。
衣服が持ち去られた形跡を見て、すぐ一つの可能性に思い至る。
『小林の親友』。
何度か会った事もあった。

「…………?」

最後に『机』が視界に入った。
一部だけ埃が落ちているように見えたのだ。
おもむろに手を伸ばし、引き出しを開ける。

903『殻の部屋』:2023/02/28(火) 13:00:27
>>902

君は、学習机の引き出しを開いた。

小林 丈は、元は小説家を志していた。君も、耳にした事はあったであろう。

中には、まだ書きかけらしい原稿用紙やネタ帳らしいスクラップブック等が
収められてたが、一つだけ種類が異なると思えるものが目に留まった。

……『日記帳』のようだ。

 開いてパラパラと中を捲ると、一つのページに
幾つかの水滴が落ちたような跡のある部分に着目する事になる。

内容は↓と言ったもののようだ。
>ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1587792748/108

そして、全ての文章に目を通した後。一つだけ全く違う筆跡で
少し大きめに、こう書き納められいた。



    ばかやろう

 おれは   おまえを ゆるさない

904三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』:2023/02/28(火) 14:54:59
>>903

震える指先でページを開いた三枝は、一心に目を通し始める。
『遺言』とでも呼ぶべき文面を読み終えた後、計り知れない衝撃を受け、
危うく日記帳を落としそうになった。
信じたくない。
だが、認めざるを得なかった。
やはり、あの話は『事実』だったのだと。

「小林…………先輩…………」

『小林先輩は死んだ』。
もし相談してくれていれば…………。
いや…………そうされたとして何が出来ただろう。
きっと何も出来はしなかった。
自分は無力な人間なのだから。

      グッ

日記を握る手に、無意識に力が込められる。

「…………『スワンプマン』…………」

ふと、その言葉を思い出していた。
『一度死んで作り直された』――――三枝千草は『小林丈の秘密』を打ち明けられた事がある。
『小林の死』に直面して、その記憶が鮮明に蘇ったのだ。
『生き返った存在』なら、『死』を超越する事も可能なのでは。
『死を恐れる精神』と『小林の秘密』という二つの要因が、
他の者には辿り着けない発想に至らせたのだ。

       ジッ…………

もう一度、『最後の文章』に目を留める。

「千草は…………何が出来ますか…………?」

「『秘密』を打ち明けてくれた先輩の為に…………何が…………」

閉じた日記帳を胸に抱き、誰もいない部屋で呟く。
少なくとも、ここですべき事は終わってしまった。
他に何も見つからなければ、日記を持ったまま自室に帰っていくだろう。

905『殻の部屋』:2023/03/01(水) 09:44:29
>>904(こちらからのレスは以上となります。お付き合い有難うございます)

小林は死んだ。

噂程度でしか無かった話は、この『日記』によって信憑性が高まった。

君に出来る事。

模索すれば、幾らでもある。例えば、この日記に書かれてた人物。

『村田』 『北落砂錫』 そして、『夏の魔物討伐の同行者』

小林の真相について、更に真相の鍵を握る人物が居るかも知れない。
何せ、小林は死んだと流布されてるようだが、未だに話だけで物的証拠は
君の知る限り無い筈だからだ。

『真実』は、まだ君の手の中には無い。だが、『足掛かり』は手に入れた筈だ。

君のアイデンティティの起源は、ある場所で遭遇した『死体』だった……ならば。

――君は、『小林』に、真実が如何に悲しくても残酷でも対峙しなければいけない
時がきっと来るのだろう。

 日記を持って、君は自室を去る。誰も、君の歩みを邪魔する者は無かった。

906三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』:2023/03/01(水) 17:04:27
>>905

手の中にある日記帳に視線を落とす。

(ここに書かれている通りなら…………)

(小林先輩は――――自分の『最期』を予期していた?)

(もしかすると…………本当に…………)

三枝の心の中には、未だ不安が残っている事は否定できなかった。
単純に消息が分からないだけなら、ここまでの事態にはなっていない。
やはり、既に『この世にいないのではないか』と考えてしまう。

(だけど…………)

三枝千草は『理想の最期』を求め、それを実現する為に『功徳』を積む事を、
『人生の目標』として定めている。
しかし、それは結局の所『妥協』なのだ。
『死ぬのは怖い』が、『死なない方法』が見つからないから、
せめて『安らかに死にたい』と考えているに過ぎない。
もし『死を回避できる手段』があるとしたら、そちらを選んでいただろう。
当然、そんな都合のいいものがある筈はない――――。

(あなたに『生きていて欲しい』)

万に一つの可能性があるとしたら、それこそ小林が語った『スワンプマン』なのかもしれない。
三枝が小林丈を気に掛け、その存在に思いを馳せるのは、
優しい先輩だからというだけではなく、彼が『一度蘇った人間』だからなのだろうか。
だからこそ、ある種の『憧れ』を感じているのかもしれなかった。

       …………ガチャ

ドアを開け、誰もいなくなった部屋を振り返る。
その姿に『死』を象徴するヴィジョンが重なった。
『シャベル』を携えた『墓掘人』。

「――――…………」

ほんの一瞬、『部屋の主』の幻が見えたように感じられた。
何か言おうとして、思わず口を開く。
だが、言葉が出てくる事はなかった。
その代わりに、自身の視界が霞んでいく。
まもなく気を取り直して目元を拭い、日記帳を手にして歩き去っていった。

907赤月『サクソン』:2023/03/10(金) 21:41:51

――――とある休日の夕方。

「ん・・・・ いいぞ! 何ッ!?」

談話室に響き渡る少女の声
年頃は中学生程、黒髪に赤のメッシュを入れた少女が
テレビを前にして、両拳を握りながら歓声をあげていた

           『イクゾッ!!』

     『ヘシンッ!!』

               『ウオオオオオオオッ!!』

テレビに映し出された映像は『特撮ヒーロー物』の番組だ
CGの作りがやや粗く、この番組が十数年前の物だと判断できるかもしれない
彼女の目の前、テーブルの上にはこの番組のDVDケースが開かれたままの状態で置かれている

どうやら、彼女はDVDでこの番組を見ているようだ

「おおっ!?」

そんな光景が朝から続いている・・・・・
もう8-9時間もずっとこの調子だ

908赤月『サクソン』:2023/03/12(日) 21:14:51
>>907

日が暮れるまでそうして鑑賞会を続けていたが、
やがて時計を確認し、自室へと帰って行った

909真横田ニケ『エンジェル・ウィッチ』:2023/03/28(火) 16:10:00

買い物をしに部屋から出て、
『談話室』の横を通る時、その中を見た。
人影があったから――かもしれないし、
何かしら物音が気になったのかもしれない。

>>910しだい、という意味だ。

910リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2023/03/28(火) 19:58:17
>>909

談話室には誰もいない。
ただ、『妙な物』が一つあった。
『人形』だ。
赤いドレスとボンネットを纏った『西洋人形』が、ソファーに横たわっている。
その両目は閉じられ、まるで眠っているように見えた。

     ……………… ……………… ………………

          ――――――誰かが置き忘れていったのだろうか?

911真横田ニケ『エンジェル・ウィッチ』:2023/03/28(火) 21:18:58
>>910

「…………」

人影に見えたのが小さな人形だった得心は、
すぐに『なぜそこに?』という疑問に変わる。

「………………」

         キョロ

悪い目つきで周りを見渡すが、
置いたものがここにいないのはすぐにわかった。

       ……人形を愛でる趣味は特にない。


「……」

せっかく談話室に入ったので、何かしよう――
そう思って『ケトル』の置いてある方に歩く。

……ちょうど、『西洋人形』には背を向ける形になるだろう。

912リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2023/03/28(火) 21:51:21
>>911

寮生なら、普段から置いてあるものではない事は分かる。
人形は古めかしく、いわゆる『アンティークドール』に含まれるのかもしれない。
目立つ汚れや破損はなく、保存状態は良さそうに見えた。

       ………………コトッ

背後から物音がした。
今のように静かな環境でなければ気付かないくらい小さく軽い音だ。
位置的には『人形があった場所』の付近だろう。

    倒れたりする物は特になかった――――はずだ。

913真横田ニケ『エンジェル・ウィッチ』:2023/03/28(火) 22:03:43
>>912

ケトルにまだお湯が残っているのを確認し、
淹れ直すのも面倒だったのでスイッチを入れた。

         カチ

「…………」 

>       ………………コトッ

自分が鳴らした音ではないし、
人が部屋に入った気配もない。

「今お湯触ってるから……ドッキリは危険ですの。
 思わずわたくし、全部ぶちまけちゃうかもしれないですし」

誰もいないとは思いつつ、チラッと後ろを見ながら忠告した。
もちろん、今のところぬるま湯程度でしかないのだが。

914リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2023/03/28(火) 22:20:50
>>913

振り返ってみても、やはり誰もいない。
先程までと同じく、そこにあるのは人形だけだ。
しかし、何もかもが変わらないかというと、そういう訳でもなかった。

     ……………… ……………… ………………

『人形が起きている』。
両足を伸ばした姿勢で、ソファーの上に座っていた。
『起きていた人形が倒れる』のは、それなりに有り得そうな事だ。
では、その逆は?
おそらく滅多に起こるものではないだろう。

       ジッ

大きく開いた両目。
青く透き通った硝子の眼球が、真横田を見つめている。
もちろん『そう見えるだけ』だ。

         ――――――普通なら。

915真横田ニケ『エンジェル・ウィッチ』:2023/03/28(火) 23:33:56
>>914

「……………………………ふーん?」

人形に歩み寄り、明るい紅色の瞳で見つめ返す。
真横田ニケは『知らない物がある』事を『知った』

        スッ

「どっかでご覧になってるんでしょうけどね。
 こーいうことがお愉快だっていうのは、
 わたくしも、ご理解してさしあげられなくはないし。
 ええー、100歩譲ってしてさしあげるだけ」

          ・・・手を伸ばす。

「まー、手の込んだドッキリに敬意を表して、
 せっかくなので、お付き合いして差し上げますの」

『人形を動かす何か』を仕掛けている。
そしてここが学生寮の談話室であり、
自分はここを偶然訪れただけな以上、
単なる『いたずら』くらいの意味だろう。

そう考えたから、対応するために行動した。

「幽霊の正体見たり――――」

もちろん…………『リトル・メリー』の正体は、知るはずもない。

916リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2023/03/29(水) 00:22:13
>>915

倒れていた人形が独りでに身を起こしたように思わせる。
本気でやろうと考えたなら、決して不可能ではないだろう。
ただ、一見したところ、仕掛けらしいものは見えない。
もしイタズラなら、なかなか巧妙に仕組まれているようだ。
確かに『手が込んでいる』。

「――――――『幽霊』じゃないわ」

指先が人形に触れる直前、真横田だけの談話室に『声』が聞こえる。
幼い少女に似た声色。
そんな人間は、ここにはいない。

  「ビックリさせないように、そっと起きたの」

     「『熱いお湯』って危ないものね」

    「ウフフフフフフフフフフフフフフフフ」

どこか底知れない笑い声が響く。
ソファーの上――――『真横田の正面』から。
そして、そこにあるのは『人形だけ』。

917真横田ニケ『エンジェル・ウィッチ』:2023/03/29(水) 21:57:29
>>216

「ッ!?」

         バッ

           「………………………なっ」

突然の声に飛び退き、『それ』を凝視する。

「……えへえっ、なんですか! 手が込み過ぎですの。
 どこかに『マイク』でもお付きになってます?
 しかもイタズラのくせに気遣いバッチリって、
 それとも………………………」

         キョロッ

周囲を見渡す。

「…………もしかしてですけど、
 いや、別に全然……あり得なくはないですね」

やや離れたまま、再び人形の顔を覗き込んだ。
そもそも『イタズラ』でここまで仕掛けをして、
しかも来るかも分からない人間を狙うよりは。

「人形のお嬢様……あなた、『そういう能力』ですか?」

あり得る可能性はもっと高い…………『スタンド能力の産物』なら。

918リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2023/03/29(水) 22:34:05
>>917

現代の機械は『小型』かつ『高性能』。
人形が動いたように思わせる事も出来る。
喋っているように見せかける事だって可能だろう。

「ウフフフフフフフフフフフフフフ」

そうだとしても、手間を掛けるには相応の理由がいる筈だ。
偶然やって来ただけの相手を引っ掛ける為に、ここまでする人間は稀にしかいない。
有り得ないとは言い切れないが、それと同じくらいか、
それ以上に有り得る『別の可能性』も存在する。

      「『能力』?」

極めて自然な動作で、人形が小首を傾げた。

    「――――分からないわ」

考えるような仕草の後、短く言葉を返す。
『メリー・バッドエンド』の能力は、『魂』を移す事。
だが、この西洋人形そのものは、『魂を移した対象』ではなく『本体』なのだ。
そして、『自分が何者であるか』は本人さえも知らない。
おそらくは、誰にも分からないだろう。

「わたし、『リトル・メリー』」

         スウッ

『名前』を名乗りながら、ソファーの上で人形がスムーズに立ち上がる。

919真横田ニケ『エンジェル・ウィッチ』:2023/03/29(水) 23:10:21
>>918

「ふぅん…………わからないならしょうがないです。
 わたくしもよく分かってませんからね。
 『無知の知』ってヤツ?」

自然な動きを見せる『リトル・メリー』に、
どちらかといえば警戒より関心が勝る。

「わたくし『ニケ』です。
 よろしく、メリーさん」

頭などは下げずに挨拶を済ませると、
隣に座って目線の高さを近づけた。
立ったまま話すのも疲れるからだ。

「ハタから見たら今のわたくし、
 お人形さんとお喋りするイタい女ですの。
 それ込みのドッキリじゃないでしょうね」

          キョロ

「まー、そんな事はないですか。
 普段はお見かけしないけど、あなたどこから来たんです?」

誰かの私物なのだろうか――?
真横田ニケは現状、これを『何』とするか判断に迷っている。

920リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2023/03/30(木) 00:21:38
>>919

「『ニケちゃん』――――」

「ウフフ、覚えたわ。
 メリーは人の『顔』と『名前』を覚えるのが得意なの」

「『絶対に忘れない』から」

どことなく意味深長な言葉と共に、青い目がニケを見上げる。
光を受けて美しく輝いているものの、そこに『生命』は宿っていない。
人間の意思によって創造された『理想的な瞳』があるだけだ。

「わたし、『船』に乗って来たの」

「『ずっとずっと前』に」

質問の意味を少し誤解したらしく、そのような答えが返ってきた。

「それから『学校』にいたわ。
 もうなくなってしまったけれど」

リトル・メリーは『親善大使』として日本に贈られ、当時の学校に寄贈された。
まだ西洋の人形は珍しく、子供達から愛され、良き遊び相手となっていたのだ。
しかし、それは永遠には続かず、
あの学校も戦火で焼けてしまい、面影さえ残っていない。

「今は町外れの『教会』にいるのよ」

『鷲津ヨハネ』という『修道女』と出会い、
何度か遊びに行く内に、いつの間にか居着く形になった。
何となく『居心地』が良かったのだ。
『教会を訪れる人間の心』に興味を抱いたというのもある。

921真横田ニケ『エンジェル・ウィッチ』:2023/03/30(木) 18:58:35
>>920

「ちゃんでもサンでもいいですけど、
 忘れない方がお得ですからね。
 わたくしは、わたくしを買ってくれる方に、
 『勝ち』を分けて差し上げる予定なので」

根拠の無さそうな自信を浮かばせ、人形に答えた。

「はあー、しっかりしてますの」

聞いた話への返答にはややズレているが――
内心はこうだ。『設定がしっかりしている』。

「そうなるとわたくしよりずっと、人生の先輩なわけですね。
 まあ、だから敬うというわけではないですけど……
 えっへっへ、ご重厚な人生経験を、お頼りにさせてください」

真横田ニケは『知らない物がある事』は知っているが、
その領域の『スタンド』という名前を知ったからこそ、
純粋なオカルトの領域からは目が逸れていた。

――――『生ける舶来人形』をそのまま受け取る下地は無い。

                   ・・・ カチ

「ああ、お湯が沸きましたわ。
 あなたは食べ物とかは食べるんですか?」

ケトルの方に歩いて戻りながら、首だけ振り返って尋ねる。

922リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2023/03/30(木) 19:30:38
>>921

スタンドを持つのは人間に限らない。
それ以外の生物であっても発現の余地はある。
しかし、『生物ではないスタンド使い』は、極めて少数だろう。

「メリーはね、『お食事』しないのよ」

人形なら、まぁ当然ではある。
『そういう体裁』だったとしても自然だ。
『食べなくても死なない』というのは、『永遠の命』と呼べるのだろうか?
そもそも『命がない』という方が正しいのかもしれない。
『魂』と『命』の明確な違いは、メリー自身も良く分からなかった。

「ニケちゃんはどこから来たの?」

       ゴソ

ケトルに向かうニケを眺めながら、
真紅のボンネットを脱いで、そこから『何か』を取り出す。
折り畳まれた紙のような物だった。
かなり古い代物らしく、経年劣化で変色している。

923真横田ニケ『エンジェル・ウィッチ』:2023/03/30(木) 20:04:45
>>922

「ええー、そうだろうとは思いましたの。
 省エネで大変よろしいとも思います」

人形に『口』も『消化器』も無いだろうし、
それくらいの設定を間違える、とも思えなかった。

「わたくし東の方から来ました。
 こういう寮生活に憧れてましたし、
 高大一貫校に入りたかったので」

            コポポポポ

「あなたみたいに、お海の向こうではないですけどね。
 新幹線にでも乗れば、すぐ帰れる距離です」

カップにコーヒー粉と、お湯を入れる。
こだわりはないが、コーヒーが好きだった。

「……それは? お買い物のメモって訳でも、
 あなたのおトリセツって訳でもないんでしょうね」

席に戻りながら、視界に映る謎の『紙片』に視線を落とす。

924リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2023/03/30(木) 20:35:31
>>923

コーヒーで満たされたカップを見て、それからニケに視線を戻す。

「今は、ここがニケちゃんの『おうち』なのね」

「ここに来れば、ニケちゃんに会えるかもしれないのね」

「ウフフフフフフフフフフフフフフフフ」

         ソッ

愉しげな笑い声を交えた相槌を打ちながら、メリーの手で紙片が開かれる。

  「これはね、とっても『大事なもの』なの」

     「船に乗る前にもらったのよ」

そこには『英字』で綴られた文面が整然と並ぶ。
真っ先に目に入るのは『VISE』と『Passport』の単語だろう。
どうやら、これは『ビザ兼パスポート』らしい。

           「見て」

          スッ

  「ここの所に『スタンプ』を押してくれたの」

小さな指で示した場所には、確かに『押印』がされていた。
『小道具』に気を遣っているのも『演出』の一環だろうか?
『こだわり』がある――――のかもしれない。

925真横田ニケ『エンジェル・ウィッチ』:2023/03/30(木) 20:54:49
>>924

「ええー、会える時は会えるでしょうね。
 わたくし学生ですから、
 平日とか、いない時はいないですけどね」

真横田ニケはどちらかと言えば外出が多い。
必要なものは、外にあるものだからだ。

「見せていただいていいんですか?
 大切なものなのに。
 まあ、見せてくれるなら遠慮しませんけど」

          ズイ

無遠慮に紙を覗き込む。
さほど英語力が高いわけではないが……

「ヴィ……アイ、エス……ヴィセ?
 パスポート…………ああ、『ビザ』! えっへへ」

       「どう見るか分かりませんけど、
        たしかにとっても大事ですの」

『ビザの見方』を詳しく知るわけではないが、
それが偽物にはなんとなく見えなかった。

「お海の向こうではあなた、どんな暮らしをしてたんです?
 わたくし、海外での暮らしにもちょっとは興味があります」

ずっと前海外から来たのは,部分的に本当なのだろう。
『メリー』の親か、そのまた親なのか――

・・・あるいは、もう少し非現実を現実として捉えるべきなのか。

926リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2023/03/30(木) 21:38:31
>>925

ニケの問い掛けを受けて、記憶を辿るように頭を揺らす。

「メリーは大きくて広い場所にいたわ。
 わたしと似てる子が大勢いて、そこで順番を待ってたの」

思い出せる範囲で、最も古い記憶は『工場』だった。
『メリーを送り出した団体』が、そこに人形を発注したからだろう。
その頃から『魂』があったのか、
あるいは人形に何らかの形で保存されていた情報が、
魂が宿った後で記憶として蘇ったのか。
詳しい原理は分からない。
ただ、メリーの認識としては『そう』なのだ。

「メリーはね、みんなと『友達』になるために生まれてきたんですって。
 『親善大使』っていうの」

    「『お父さん』が、そう言ったのよ」

メリーが『父』と呼ぶのは、人形を製作した会社ではない。
人形を『友好の架け橋』として、先入観のない子供の内から、国同士の信頼関係を築く。
その計画の発案者であり、その為に人形を発注した人物が、メリーにとっての『父』だった。

927真横田ニケ『エンジェル・ウィッチ』:2023/03/30(木) 22:22:23
>>926

「……へえー? そうなんですの。
 言っちゃえばあんまり想像がつかないですね、
 お人形が作られる光景っていうのは……」

            ズズズーッ

「職人さんが一体一体手作りで、
 というのはマンガなんかで見ましたけどね」

コーヒーを啜りながら、相槌を打ち。

「生まれた意味がハッキリしてるなんて、
 人間だったらそうそうないですけど」

           トン!

軽くなったカップを置いた。

「『親善大使』だなんて偉い立場じゃないですか。
 それで、今も人間の教会に馴染んだり……
 こうして人間とお話をする役目を果たしてる、と」

         「大層、ご立派ですの」

事実、それが『設定』なのだとして、
貫徹するための努力は並々ならないだろう。
少なくとも『趣味』とか『ドッキリ』とか、
そういう域を超えた『こだわり』を感じる。

「わたくしも親に言われましたよ。
 『誰にも負けない女になりなさい』……って。 
 まー、『誰にも負けない』なんて無理ですけどね」

ふと、時計を見る――別段急ぎの予定ではないが、
単に談話室には立ち寄っただけだ。

「これを飲み終えたら、そろそろ行く時間ですね。
 お話できてわたくしのためになりました。どうもありがとう」

928リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2023/03/30(木) 23:08:01
>>927

「メリーはね、たくさんの『お友達』を作りたいの」

リトル・メリーは、明確な『使命』を授かって、この国に送り出された。
だが、結果的に役割を果たせず、その事を残念に思う気持ちがある。
だからこそ、数十年の時を経た今も、
『自らが生まれた意味』を全うしたいと考えているのだ。

『愛情』と『憎悪』が入り混じり、『歪な形』に変わってしまった後も。

「だから、ニケちゃんもメリーの『お友達』よ。
 これからも仲良くしてね」

        「ウフフフフフフフフフフフフフフ」

やや一方的ではあるが、言葉を交わした事で『友達』として認識されたらしい。
『友達』は『裏切らないもの』。
『友達を裏切る者』は『友達ではなくなる』。

         ゴソ

『ビザを兼ねたパスポート』を、大事そうにボンネットの中にしまった。

「メリーは、もう少しここにいるわ。
 『他の子』に会えるかもしれないから」

      ストン

「ニケちゃん――またメリーとお話してね」

ニケとは反対に、ソファーに座り直し、小さな手を振る。

  「『青い眼をしたお人形は』」

          「『アメリカ生まれのセルロイド』」

    「『日本の港へ着いた時』」

          「『いっぱい涙を浮かべてた』」

      「『わたしは言葉が分からない』」 

           「『迷子になったらなんとしよう』」

     「『優しい日本の嬢ちゃんよ』」 

         「 『仲良く遊んでやっとくれ』」

談話室を立ち去るであろうニケの後ろから、人形が口ずさむ『歌』が聞こえる。
『青い眼の人形』という童謡。
戦前に流行し、戦時中は『敵国の歌』として、歌う事を禁じられていた。
メリーは、この歌が好きだった。
おそらくは、ニケがいなくなった後も、その歌声は静かに続くのだろう――――。

929真横田ニケ『エンジェル・ウィッチ』:2023/03/31(金) 00:06:50
>>928

「種族人間じゃなくても……
 人間関係は『力』になりますからね。
 友達が多くて損は何もしないでしょうね」

       「こちらこそよろしくですの」

友達になるのに重い決意はいらず、
友達同士は力を貸し合える物だ。
得体の知れない存在であっても。

「『談話室』はおしゃべりの部屋ですからね。
 待ってれば出会いはあるかもしれません。
 わたくしも、ここでメリーさんを見かけたら、
 なるべく話しかけましょうかね。ええー、なるべく」

「それじゃあ、また」

そうして、カップを洗って元の位置に返すと、部屋を出て行った。

930御影憂『ナハトワハト』:2023/09/02(土) 07:09:34

学生寮――――談話室。

          「――――――………………」

白いロングワンピースの女が、床に這い蹲ってソファーの下を覗き込んでいる。
その前髪は異様に長く、顔の大部分を覆い隠してしまう程だ。
同じ寮生なら、姿を見た事があるかもしれない。

     女の傍らは『空っぽのケージ』が置かれている。

931御影憂『ナハトワハト』:2023/09/05(火) 11:41:11
>>930

    ゴソ………………

一通りの確認を終えて、おもむろに立ち上がる。

        カチャ………………

『ケージ』を持ち上げ、歩き去っていく。

            スタ スタ スタ………………

932甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2023/12/24(日) 12:28:10
12月24日 >>933の部屋
本日はここでクリスマスを過ごすようだ

自由の場が埋まってるからここを使っているだけで
別に学生じゃなくても良いし部屋じゃなくても自宅でも良い

933甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2023/12/25(月) 20:06:32
>>932
エッグノッグ、シャンメリー、コカコーラ等
みんなバラバラの飲み物を飲みながら話をする
クリスマスは何の映画を見るかについてだ

阿部マリア「だから、クリスマスはホームアローンだって言ってるじゃありせんの!!!」
クリス「ホームアローンは金曜ロードショーでやっただろ、ダイ・ハードを見るべきだよ」
マリア「クリスマスにダイ・ハードを見るべきなんて科学根拠はないだろうが!!!」
あま「ジングル・オール・ザ・ウェイでしょ」

意見もバラバラだが、食べるケーキは一緒だ
ネットで注文したケーキを開封するあま公達だったが…

マリア「おい、ケーキが崩壊してるじゃありませんのッッッ!!!」
クリス「うわぁ、これは酷い…」
マリア「どこの店に注文したんですの貴様ら!?」
クリス「高島屋…」

高島屋のぐちゃぐちゃのケーキを見てどうしたものかと悩んでいると

りん「こんな事もありうかと思って、作っておいたよ〜」
マリア「おぉ!気が利くじゃありませんのりの字!」
クリス「いや、それって…」

りんの作ったケーキをホール毎手掴みで食らうマリア

マリア「おぉうめぇ…う…」
マリア「うげ…げ…」

りん「あっ、ごめん」
クリス「やっぱり鈴蘭ケーキだったか…」

クリス「まぁ今はケーキを食べよう」

高島屋のストロベリーフリルショートケーキを食べるあま公達

りん「うん、ちゃんと美味しいね」
クリス「まぁ食えなくはない」

マリア「……」ピク ピク
あま「これは?」
クリス「後で病院に連れてこう」

           ★
            [~] ))
          (( [~~]
          [~~~~~]
  ∧__∧    [~~~~~~]
 (;`・ω・) [~~~~~~~~~]
 /    O━━━━━
 しーJ
               ミ ★
              ミ [~]
               [~~]
       アッ !  [~~~~]
  ∧__∧て  [~~~~~~~]
 ( ´ ゚ω゚) [~~~~~~~~~]
 /   O━━━━━
 しーJ

   ∧__∧ 
  ( ´・ω・) /~~ヾ
c(__U__U /~~~~ヾヽ★

              終
            制作・著作
            ━━━━━
             ⓃⒽⓀ

934雑賀 王城『候補生』:2024/05/25(土) 17:46:09

「―――――――さて、っと」
 

            ピンポーン


インターホンを鳴らし、入館する。
学生証を持っている事もあるので、
特に止められるようなことも無いだろう。

(『猿田君』の話では、ここに『魔法使い』か、
 その『関係者』…・・『者』? がいるらしいが。
 ま、早々都合よく見つかりはしないにせよ、だ)

       ザッ

(策無く町を歩き回るよりは見込みがあるからな。
 まァ、それでこの前上手くいったのはあるんだが)

『寮生』ではない生徒の出入りは、
珍しくはないとはいえ目立つものだ。

周囲を見渡している『雑賀』のような様子は特にだろう。
もっとも、声をかけられるためにそういう仕草をしているのではなく、
『魔法』らしき現象でもないか、という視線ではあるわけだが……

―――――――――――――――――――――――――――――――
●『魔法の呪文はおこのみで!』関連の活動です。
  対応いただける方は、以下の詳細を確認の上よろしくお願いいたします。

ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1655987686/319

935一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2024/05/25(土) 23:18:03
>>934
「はーい」

中から出てきたのは涼しく刺すような玲瓏とした風貌のあどけない少年。透き通った肌は血管が薄く見えて、淡い青色に微かなエメラルドの反射が混じる瞳。
ウルフカットの白髪。総じて生命印刷コピーの失敗と言える奇妙な外見だ。
そして、その少年にどこか傲慢なところのある、明王様に似た顔つきの自尊心が強そうな強面の老人が殴り込むが…
全身に十字架の意匠があるスタンドに指一本で止められている。

「もうスタンドに関わるのはやめなさい!」

「いや、スタンド使いである限りは無理だよ。それ」

修羅場が発生していた。

936雑賀 王城『候補生』:2024/05/26(日) 00:29:30
>>935

       「はッ!?」

(……おいおいおいおいおい、どうなってるんだ?
 いや、本当にどうなってるんだ!?
 親子喧嘩……ッてことでいいんだろうし、
 こんな所でそれはそれでどうかと思うがッ)

        (『スタンド』!
         間違いなく『魔法』だッ)


「…………………あ、ああ、どうも。
 開けてくれてありがとうございます。
 しかしまァ、その。まずい時にお邪魔しましたかね」

      フッ

内心の動揺を顔に出さない努力をしつつ、
インターホンに応じてくれた『少年』を見る。

(白い肌だ。『アルビノ』か。
 こーゆー感想も失礼に当たるんだろうが、
 個人的には…………)

「なんでって、何せ……ぼくも。
 『スタンド』に関わろうとする人間なものだから」

           (『美しい』ものだな。
            おかしな意味じゃあなく)


『あえて』修羅場に飛び込むことにした。
これを避けて『魔法使いを探す』というのは、
あまりにも『逃げ』の姿勢といえる。
成功者は『君子』であってもいいだろうが、
これから掴む成功は『虎穴』の中にあるものだ。

「それ……『十字架』のそれが、貴方のスタンドですか?」

光景を見たら『そりゃそう』なのだが、
『雑賀』の口調にはあまり『確信』がない。
『人型スタンド』を見た経験がまだ無いからだ。

いずれにせよ……『殴りかかられる』くらいの覚悟はしたつもりだ。

937一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2024/05/26(日) 01:10:02
>>936
彼の父親らしき人物は必死に殴り掛かるが近距離型……それも相当、高い精密動作性とパワーを兼ね備えたスタンドに指一つで押さえられている。

「あ、アンタもスタンド使いなのか! 頼む!
 この子をスタンド絡みの事件に巻き込まんでくれッ!!」

だが、スタンドを発現するアルビノの少年は諦観を滲ませながらあしらう。
これがスタンド使いと非スタンド使いの差だと言わんばかりに。

「私は二十人も人を斬ってきた。スタンド使いとスタンド使いは
 引かれ合う宿命。スタンド使いにとっての呪い」

「この間の事件で学んだんだ。街のために命を使うと…」

少年のスタンドが老人の頭に触れると彼は項垂れ身体全体の力が抜けて倒れてしまった。
一般人には修羅場だが能力まで見れるという好奇!
上手く少年を丸め込めば…?

「お騒がせしてすいません。中一の一抹貞世というものです」

「見えてる…? 私の『ディヴァイン・インダルジェンスが…?』」

「あぁ、これは義父が私を心配してのものですから。
 ちょっと『鎮静』しているだけです」

相当な修羅場を経験しているのか、フレンドリーなのか…
意図せずに『スタンド名』とスタンド能力について情報が知れた!

938雑賀 王城『候補生』:2024/05/26(日) 01:44:15
>>937

「…………いいや、残念なことに。
 ぼくはスタンドを『使えない』状態でしてね。
 『見えるだけ』なんです。だから『止められない』」

       (…‥呪い、命、か。
        この年で随分な話だが、
        『志』に年は関係はないか)

「『スタンド使い』は『スタンド使い』でしか。
 ……だからこそ、宿命と言われるのでしょう。
 貴方の懸念は、恐れはもっともです。
 ですが『自分がやらなきゃいけない』と、
 そう思う気持ちの方が…………ぼくは強く分かる」

倒れゆく『父親』らしき男に視線を向け、
可能であれば崩れ落ちるその身を支え、
倒れても問題がなさそうな場所に横たえる。

間に合わない可能性の方が高いだろうし、
体躯に恵まれ、それなりに鍛えた雑賀でも、
相当に手こずるのは間違いないだろうけど。

「『高三』の『雑賀 王城』だ。よろしく。
 それで……あー、お父君は問題ないのか?
 『鎮静』って言い方からするに、
 問題無いッてことなんだろうが」

     ディヴァイン・インダルジェンス
      (『神与贖宥状』とはな……
       『そのもの』のような名付けだ)

                チラ

「相当手慣れてるようだね。『スタンド』の使い方ッてやつに」

『事件』というワードや、彼の父の様子から、
『修羅場』……『一抹』にとってのそれは、こんな次元じゃあないと分かる。

939一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2024/05/26(日) 02:21:59
>>938
「スタンドが見えるのに使えない…?
 そんな状態が…知らなかったです…」

「あぁ、これはですね。私のスタンドは『悪感情』を『鎮静』する
 のですがーーーーその先の『安息』という能力です」

「対象の精神を『完全安息』にする。完全安息の対象は痛みや苦しみを忘れ、また、ありとあらゆる感情が抑制され、さながら起きながら眠っている状態となるんです」

彼の義父はスタンドが頭を鷲掴みにして立たせている。
この一抹貞世という少年は二十人も人を斬ったという。
しかし、雑賀に相対する一抹は物腰の柔らかい少年だ。
それに彼のスタンドには『刃物』など一切無い。
この『ディヴァイン・インダルジェンス』にはまだ『何か』ある。

「いや、スタンド使いはスタンド使いでしか倒せないけど…
 まるで『引力』でも働いてるように引かれ合うんです」

「そう、私と貴方が偶然にも出会ったように
 これを知らないとは…もしや、スタンド使い歴は長くない…?」

何だかスタンド使いを珍しいものでも見るような雑賀に違和感を覚えた。
何も知らないならある程度の知識は教えねば…

「はっきり言って『インダルジェンス』は戦闘向けじゃないし、
 能力もサポートと言うには中途半端」

「それでも私は戦ってきました。この『慈悲の刃』で」

『インダルジェンス』の手の甲から『20cm』の長さの刃が音もなく突き出た。
何も知らなければ突き刺され手足を斬り刻まれるだろう。

「刃の傷は『無痛』で耐久性も大したことない隠し刃です」

「ところで『アリーナ』『エクリプス』『供与者』という
 言葉に聞き覚えは…?」

940雑賀 王城『候補生』:2024/05/26(日) 03:21:49
>>939

「なるほど……そりゃあ、すごい能力だな。
 ん? ああ、そうだ。これは相当『特別な状態』でね。
 ぼくも、ぼく以外で『こう』なヤツはほぼ知らないな。
 もっともスタンド使い自体もほぼ知らないんだが……
 学園とは逆で、君はぼくの頼もしい『先輩分』というわけだ」

『スタンド』について語ってくれる一抹に対して、
雑賀は特に嘘偽りのない言葉を返していく。

「あァ確かに――――スタンドが見えるようになってから、
 急激に何人ものスタンド使いに会うようになった。
 『気づいてなかっただけ』とする事も出来るだろうが、
 より自然なのは『引き合ってる』って解釈のほうだ。
 ついでに、より『イカしてる』解釈でもあるだろうな。
 『引力』……詩的な言い方だな。嫌いじゃあない」

       フフッ

「そうなると、ぼくら一人一人が『星』のようなものか」

その反応から、一抹はこの貴公子然とした先輩が、
スタンドについては素人同然なのはますます見抜けるだろう。

「『慈悲の刃』ね……」

         (戦いに向かない……物は言いようだな。
          確かに『戦闘向け能力』じゃあないが、
          この武器! そしてメンタルケア。
          『戦場』にいればどれだけでも活躍するだろう。
          ……恐らくこの彼の『戦いぶり』もあってな)

「なるほど、そりゃあたいそう慈悲深い性質だ。
 いや、教えてくれてありがとう」

『ディヴァイン・インダルジェンス』については、
これまでに得たスタンドの情報よりも数段『深く』理解できた。
彼から感じる『戦闘経験』への自負と共に、内心畏怖を覚える。

「……いいや、どれもいまいち聞きなじみはないな?
 少なくとも『そう』名乗ってる人間には会ったことがない。
 ああ、『道具屋』とかいうのは聞いたことはあるが……
 不勉強で悪いんだが、もしよければ教えてくれないか、『先輩』?」

941一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2024/05/26(日) 05:04:39
>>940
「そうかな? でも、様々なスタンドを見てきたけど『精神干渉』に
 関するスタンドは『インダルジェンス』しか居なかったです」

「この『引力』がまた恐ろしいもので『供与者』と親善試合で
 手足雑巾絞りにされるわ、夢の世界でスタンド殺人鬼たちの
 野望を阻止に行ったら毒だのバジリスク操るスタンド使いに
 顔面陥没やら刺されたりして…」

「友達の助けに行ったら『エクリプス』最盛期の幹部が悪霊に
 なってて、片方はウィンクで束縛したり瞬間移動してスタンドが
 純粋に強いわ、私が相手したのも槍が止まらない限りは全てを
 弾く意味不明な強さのスタンド使いで腹を刺され…」

「他にも色々ありますが省略しましょう…
 スタンド使いになるということは一年中死ぬ目に遭う。
 これは呪いです。あなたが本格的にスタンド使いになれば…」

この一抹という少年。嘘でなければ全身に怪我を負わない場所が無いほどの修羅場にぶち込まれている。
雑賀もスタンド使いになれば一抹の如く死ぬような目に…?

「あと、えっと、この街にはスタンドを与える『音仙』『欲の部屋』
 というスタンドを一般人に与える三人のスタンド使いがいます」

「この街にはかつて『エクリプス』という悪逆の限りを尽くした
 スタンド犯罪集団がいて、この街の裏を取り仕切る『アリーナ』
 の逆鱗に触れとんでもない大戦が起きたようです」

「『エクリプス』構成員は皆殺しにされたようですが『悪霊化』や
 裏でこっそりと生き残ってる残党も少なくないとか…」

「『アリーナ』は基本的に裏社会に何かしたり金にならないことは
 しないようです。治安維持は最低限しますが金のためです。
 普段は裏闘技場というもので稼いでますね」

「一方で『供与者』たちは手に負えないのか『アリーナ』は無干渉
 『道具屋』『欲の部屋』。彼らと戦いましたがスタンドを自由自在に
 取っ替え引っ替え使うトンデモない方々でした」

「さて、『アリーナ』も一枚岩ではありません。私が知る限りは3つ
 『エクリプス』を狩りまくり影響力と鉄火場度合いでは一番の
 『タダヒト』派。あっ、連絡先ありますよ」

「一時期悪しきスタンドに憑かれた私を保護した『フーヴィアン派』」

「最後は『アリーナのド底辺』にして汚点、『最中派』
 負けた女性ランカーを凌辱するカスでクソみてぇな派閥です」

「石柱をぶん投げる相手と戦って勝利!!
 と、思ったらいつの間にか私が『最中派』所属にされていたのです」

「と、この街の歴史はこんなものでしょうか?
 不安なら信頼できるスタンド使いの連絡先を教えましょうか?」

この小さな身体でどれだけの体験をしたらそんな知識を得られるのかというほど街の裏事情を語った一抹。
二十人斬ったというのも本当かもしれない…?

942雑賀 王城『候補生』:2024/05/26(日) 13:06:06
>>941

『一抹』からの丁寧な説明を、
細かく相槌を挟みつつ聞いていた『雑賀』。

      「…………………なるほどなァ」

(『作り話』…………にしちゃあ『精巧』すぎる。
 後々どこかで裏をとる必要はあるだろうが、
 全く……『魔法』の世界も一筋縄じゃあいかないな)

「あー、なんだ。まずは礼を言わせてくれ。
 多分だが手慣れたスタンド使いの中でだって、
 ここまで色々知ってるヤツは多くないだろう。
 修羅場に突っ込まないと知り得ない話もあるし……
 そこで得た『コネクション』もあるわけだからな」

この『一抹』少年は、相当『深い所』にいるようだ。
少なくとも『猿田』や『エリー』とは少し違う。
彼らが『至らない』というわけではないのも、
彼ら自身の『スタンドへの慣れ』から伺える。
『一抹貞世』が、ある種の『特異点』なのだろう、と。
  
     (『二十人斬り』……
      それも『イメージ』じゃあなさそうだ。
      だが同時に随分世話焼きなヤツでもある。
      危なっかしい……と取ることも出来るな)

「深く聞きたいところは色々あるわけだが……
 一つだけ宣言させてもらうとすれば、
 『呪い』は当然、試練として受け入れるつもりだ。
 ぼくは『スタンド』を使って成したいことがある。
 あぁ、もちろん進んで他人と争う気はないんだが……
 そういう機会が来ることは、元々織り込み済みだ」

      「『体験』していない以上は、
       泣いて後悔するかもしれないが……
       泣きながらでも進みたい道がある」

『一抹』の心配にだけは、返答をしておく。

「連絡先は……ありがたい申し出じゃああるわけだが、
 そうだな、一旦『一抹君』の連絡先だけを教えてくれないか?
 コミュニティに加わるのは、ぼくが『一人前』になってからで遅くはない」

     (……『魔法集め』にはうってつけだが、
      広げ過ぎるリスクもあるからな……
      例えばその中に『美作くるみ』や、
      『朝山』がいたとしたら妙なことになる。
      ……強く勧めてくれるなら、断れはしないが)

「今のぼくは、ギブは出来てもテイクが出来ないから、ね」

それから、連絡先交換のありがたい話にもだ。
スタンド使いを大量に知ることが出来れば『試験』において有利だが、
『未知のリスク』を大量に背負うことになるだろう。

もっとも、固辞するほど危惧しているわけではないのだが……

943一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2024/05/26(日) 15:11:01
>>942
「雑賀先輩って『器』が大きいですね。
 スタンド使いの世界は一期一会で殺し合いは当たり前」

「最悪の場合は事件に巻き込まれます。その覚悟ができている…
 スタンド使いの才能がありますよ!」

毎年のように命の危機に瀕するスタンド使いからの後押し。
瞳の色も変でアルビノ。さらに両親がおらずキリスト教徒であることもあってずっと虐げられた一抹はそれでも人が好きだ。
短い会話で有ったが一抹は雑賀がスタンド犯罪者にならないと信用したのだ。

「スタンドを使ってしたいこと…?
 スタンドは本体の願いや衝動がカタチになるものです」

「親無しでアルビノな上でキリスト教徒の私は生まれてから毎日が
 『地獄』でした。『安静』も『安息』も与えたかったんじゃない
 私自身が自分に欲しかったから芽生えたスタンド能力」

「雑賀さんはどんな能力が芽生えるかな?」

スタンド使いは星だ。願いの数だけ力が生まれる。
彼がスタンドを得て生きていくことを先に生きた自分が手伝うのは
当たり前のことだ。
宗像さん、夢見ヶ崎先輩、夕立先輩、小林先輩、七篠先輩、ヤジさん…
色々なスタンド使いの人々のお陰で今がある。
ならば、自分もそうあるべきだ。

「じゃあ、私の連絡先をピピッと! 送信です!」

「スタンド使いになってから凶事も来ますが思うんです。
 スタンド使いが集まるのは生き残るためなんじゃないか?
 だから助け合うのは当然なんじゃないかな、って!」

「なので! 私が今年の夏に死に瀕したら助けてください!」

944雑賀 王城『候補生』:2024/05/26(日) 17:17:36
>>943

「嬉しい褒め言葉を使ってくれるじゃないか。
 ま、ぼくの覚悟なんてのは『まだ』机上のものだ。
 あるいは…‥スタンドが使えるようになった時、
 その形をもって『器』が証明されるのかもな」

『魔法』を心が描くというのであれば、
『コヤシキコヤネ』の心象世界はどのような物だろう?
『エリー』のそれは、納得がいくものだった。
あながち的外れな法則という事もないように思える。

「それと……君の過去にかけてやれる言葉はないし、
 別にそんなのを求めてもないのだろうけど、
 それを経て今、ここに立つ君には敬意を払おう」

『生まれついての罪』と『環境が定義する悪』。
それに巻き込まれて不幸になる人間を救うには、
『システム』そのものを変えなくてはならない。
『王』とはつまり、そういうものだ。

「連絡先、ありがとう。ぼくのも今送ったよ。
 ……夏か冬かに関わらず恩義は返すつもりだが、
 ま……戦える能力になるかはまだ分からないからな。
 場合によっては、後方支援役とさせてもらうよ」
      
            フッ

『返せない貸しを作る』ことはなるべく避けたいが、
『返せる貸し』であれば、返すに越したことはない。

「……ああ、そういえば。
 一抹君はこの寮に『動く人形』がいる、って噂を知ってるか?」

945一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2024/05/26(日) 19:25:03
>>944
「雑賀先輩は立派ですね! 私がスタンド使いになって掲げた目的
 それは私をクリスマスの真夜中に捨てた両親への復讐」

物腰の柔らかい一抹の瞳に殺意が見えた気が…しなくもない。
やはりどれだけ幼くとも背負った過去の業は隠せない。

「敬意なんてそんな! 自分は戦友たちのおこぼれにあずかった雑魚
 質の悪いスタンドに取り憑かれて仲間を斬るような外道…」

どうやらそのことがきっかけで病んでいるのか気落ちしている。
余程、後悔しているのか相当気が落ち込んでいる。

「動く『人形』…? えっ、なにそれは…? 玩具じゃなく…?」

「世の中には『死亡発動型』スタンドって悪霊みたいな独り歩き
 するスタンドが存在するから…まさか…!」

気落ちしていた一抹の顔が戦士のそれに変わる。

946雑賀 王城『候補生』:2024/05/26(日) 21:44:49
>>945

「…………………………………………そうか。
 賛同や推奨はしかねるが、理解はするよ。
 それが価値のない志と言える物はいないはずだ。   
 ぼくは君の過去を知らないから、
 励まし以上のことはしてやれないが、な」

『闇』らしきものを言葉の節々に感じる。
それだけではない。『闇から脱しようとする』意志も。

「だが、今でも信用できる人間の連絡先を持っている。
 つまりコミュニティの中にいるわけだ。
 その『仲間』が君のことを拒絶していない……
 それはそいつらが良いヤツらなのもあるだろうが、
 君の『人徳』ってやつもあるように思えるがね」

『一抹』は少し『喋りすぎている』ほどに話してくれる。
根源にあるものが決して明るいものではなくとも、
彼を『信頼』する人間がいる事になんら不思議はない。

「……ああ、それと、人形の件だが、
 あくまで『噂』を聞いただけなんだ。
 何か確証があって、って話じゃあないから、
 一旦警戒する必要は無い…………はずだ。多分な」

「もし気になるなら……ぼくはこの噂を『猿田君』から聞いた。
 ここに住んでるらしいし、機会があれば聞いてみたらどうだろう?」

『名前は出して良い』と言われている。
『懸念』の解消は、彼の方がまだしも王城よりは向いているはずだ。

947一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2024/05/26(日) 22:21:05
>>946
「今はですね、命を何度も救ってくれた戦友たちがいますから。
 それに私がスタンドに憑かれた時は真夏のクリスマスまで…」

「頼りになる宗像先輩、義兄の小林先輩、素敵な夢見ヶ崎先輩
 私のヒーローの鉄先輩、元気な朝山先輩、頼りない七篠先輩」

「そして、私の理想像の氷山先輩…
 私は戦友にだけは恵まれていますよ!」

彼等の名前を呼ぶ一抹は誇らしげだった。
それだけ彼等を信頼し、尊敬しているのだろう。

「『動く人形』については私も調べてみます。
 では、また会いましょう。スタンド使いになって!」

948雑賀 王城『候補生』:2024/05/27(月) 03:14:11
>>947

「そいつは素晴らしい事だ。…‥本当にな」

(『魔法使い』にも『組織』がある。
 そして『組織』に依らない『コミュニティ』もある。
 改めて、魔法使いになるのは単なる始まりだな。
 ……リアリティが得られた。俄然『燃える』)

並べられた名前はいずれも『知らない』か、
同名の知人はいても即座に結びつかない。
いつか確かめる機会もあるかもしれないが……

「『一抹君』に会えたのは幸運だった。
 改めて礼は言わせてほしい。
 それと……あー、いや。お父君の心配は不要かな」
 
         (相当に歪なものを感じはするが、
          この男の心配はもっともだし、
          一抹君の言い分も理解出来る。
          …………今は、まだ何もしてやれないな)

「必要なら帰り際にここの管理人(寮母か?)でも呼んでこよう。
 仲介してくれるかもしれないし……ま、不要なら無理にはしない」

『鷲掴みされる父親』に一瞬だけ視線を向け直すが、
『只者ではなさそう』な彼については、
事情もまた一筋縄ではいかないのだろうし、
軽々しく『なんとかする』などとは言えない。
すでに剣呑な時間は終わっている、というのもある。

「というわけだ。ぼくは今の話を聞いてやることが出来たから、
 そろそろお暇させてもらう事にする。
 …………スタンドが使えるようになったら、
 また、君には一つ挨拶に来させてくれ。……それじゃ、元気でな」

特別に引き止められないなら、『雑賀』はここから立ち去るだろう。
一抹が求めていた場合については、『責任のある大人』を呼んでから。


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