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【個】『学生寮 清月館』
920
:
リトル・メリー『メリー・バッドエンド』
:2023/03/30(木) 00:21:38
>>919
「『ニケちゃん』――――」
「ウフフ、覚えたわ。
メリーは人の『顔』と『名前』を覚えるのが得意なの」
「『絶対に忘れない』から」
どことなく意味深長な言葉と共に、青い目がニケを見上げる。
光を受けて美しく輝いているものの、そこに『生命』は宿っていない。
人間の意思によって創造された『理想的な瞳』があるだけだ。
「わたし、『船』に乗って来たの」
「『ずっとずっと前』に」
質問の意味を少し誤解したらしく、そのような答えが返ってきた。
「それから『学校』にいたわ。
もうなくなってしまったけれど」
リトル・メリーは『親善大使』として日本に贈られ、当時の学校に寄贈された。
まだ西洋の人形は珍しく、子供達から愛され、良き遊び相手となっていたのだ。
しかし、それは永遠には続かず、
あの学校も戦火で焼けてしまい、面影さえ残っていない。
「今は町外れの『教会』にいるのよ」
『鷲津ヨハネ』という『修道女』と出会い、
何度か遊びに行く内に、いつの間にか居着く形になった。
何となく『居心地』が良かったのだ。
『教会を訪れる人間の心』に興味を抱いたというのもある。
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