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【個】『学生寮 清月館』

833赤月『サクソン』:2021/11/28(日) 17:40:14
>【ミ】『ソウル・ダンジョン・ストーリー』【他】より
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1631985077/319-320

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「あ・・・・」

沈黙に満たされた暗がりの中で赤月は目を覚ました
首を動かして周りを見ると、ここが自室である事がわかる
どうやら、誰かがここまで運んでくれたようだ・・・・

「一抹・・・・は・・・・?」

時刻は深夜3時
『Xデー』は終わり、恐らくは全ての決着が着いた頃だろう
入道雲と化していた彼が人の姿を保っているかどうか、確認する術は今はない

「傷が・・・・」

『インダルジェンス』の刃にやられたお腹に手を伸ばす
痛みはない・・・・思い切ってぐっと押してみても血が流れる様子はない
どうやら傷跡一つ残らず傷が消えているようだ・・・・
学生寮で会った彼女・・・・それとも別の人間の能力だろうか

「また・・・誰かに貸しを作ってしまったみたいだ
 あの場には『ユメミン』がいたから・・・・またあの・・・・あ・・・・っ」

自分で言った名前に記憶が想起される
『ユメミン』・・・・一抹を救うために現れた彼女はその目的を果たすために彼と戦い・・・・そして・・・

「あ、あああ!ああああああ――――――ッ!!」

入道雲と化した一抹が放った『雷撃』
落雷の如きその一撃をまともに受けて、崩れ去る『ユメミン』
通常、人間は自然の猛威には勝てない・・・・もしもあの一撃が落雷と同等の出力を持っていたとしたら・・・

『ユメミン』が語る言葉には『希望』が満ちていた
『狭い世界』から出て『広い世界』へ目を向けるその言葉に・・・・赤月自身も期待をしてしまった
それが・・・・ただ一度の落雷と共に崩れ去るとも知らずに

『ユメミン』・・・希望の言葉を口にする彼女は一抹の凶行を受けて死・・・・

「いや・・・・違う!
 あの時・・・・最後のあの瞬間、一抹に殺意はなかった!
 もしもあいつが殺意をもって私を攻撃したとしたら・・・・既に私の命はないはずだ!」

最後の瞬間、彼の攻撃は腹を浅く切るに留まっていた
彼がもしも本気で人間を殺すつもりだとしたら、迷うことなくこの胸を一突きにするはずだ
それをしなかったのは、最後の最後に彼は『殺意』を・・・・

「結局・・・・最後の最後に自分を曲げてしまったのは私だけ・・・という事か
 あいつの両親にも頼まれていたのに・・・・私は、アイツに『殺意の刃』を向けてしまった
 アイツの事はともかく、アイラトと和世に謝りに行かないと」

「明日になったら、何が起きたのか確認しないと
 明日になったら・・・・ それまでは・・・・ 休息を・・・・」

傷は治ったものの全身を包み込むような疲労・倦怠感は変わらない
布団のぬくもりに包まれながら、意識が闇の中に溶けていく

「咲良にも・・・・ お礼・・・・」

その右手には『サンタの陶人形』がしっかりと握りしめられていた
返り血に塗れ、衝撃で塗装の一部が剝れかけながらも、あれ程の激闘を経てなお形を保っている
その感触の中に友の想いを感じながら、赤月の意識は再び闇の中へと戻っていく


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