したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。

Key Of The Twilight

1イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/01(火) 19:01:24
移動してきました。

現在、参加者の募集はしておりません。

543アグル ◆Hbcmdmj4dM:2016/06/19(日) 12:43:45
【龍穴遺跡】

彼女の放つプレッシャーに、肌が粟立つ。
体感時間が妙にゆっくり感じるのは相手に圧倒されているせい?

掌打がくると途端に現実に引き戻されたような気がした。アグルはハッとし、咄嗟に腕を上げてガードするも、それは腕をすり抜けてそのまま鳩尾をついた。

息が止まる。気がつけば後方の壁まで吹き飛ばされていた。

これが彼女の言う、力だろうか…。
先程の、手がガードの下をすり抜けて見えたのは、恐らく目の錯覚。彼女は攻撃が通る最も適した軌道とタイミングで掌打を放ったのだ。

喉奥から何かが込み上げかけたが、アグルはそれをぐっと堪えた。槍を支えにゆっくりと身体を起こす。

「未来が見える、か…。そいつは凄ぇな。
スゲー便利で…、スゲー退屈な代物だ…」

くく、と口から乾いた笑いが溢れる。

人生ってのは、何が起こるか分からないから面白いんだろう。初めから答えが解りきってるゲームなんて俺はまっぴらだね。

…きっと兄貴だったらこう言っただろう。

「あんたに打ち勝つ未来…?そんなん知らねーよ。…だけど、これだけは言える」

ふとアグルは口を閉じ、静かに呼吸を整える。
じゃりっと靴と地面が擦れたような音が聞こえたかと思えば、次の瞬間、彼の姿は忽然とその場から消えていた。

「俺はここで死ぬつもりはない」

そして現れたのはラセツの目の前。ぐっと彼女に肉薄し、それに合わせて槍を突き出す。

今のアグルは脊髄に直接信号を送り、反射だけで筋肉を動かしていた。
それは情報伝達に脳を介さない分、先程までよりもずっと速い行動を可能にした。

しかし無論、初撃は避けられてしまうだろう。
彼女の回避方向を予測して、更にそこに雷撃を放つ。
アグルはラセツの動きの何手先も先読みして具現化させた六つの槍と、そして雷撃を自在に操り、電光石化の如く怒濤の連続攻撃を繰り出した。


【ヤツキ>分かりました〜、簡単なのじゃ味気ないので、もし出来たらストーリーに関わる何かを考えてみます^^】

544サンディ ◆Hbcmdmj4dM:2016/06/19(日) 12:49:49
【冥界】

「わかった。忘れる」

リトからの謝罪の言葉を受けるや、サンディは俯けていた顔を上げ、パッと表情を明るくさせた。

「あたしの方こそごめんなさい。よく知りもしないのに偉そうなこと言って」

席を立たせた三人には悪いことをしてしまった。
サンディは気持ちを切り替える意味も含め、カップに手を伸ばし紅茶を一口。…おいしい。
霊体になっても味が分かるなんて不思議だ。

「何かびっくりだよね。死んだ後もこうやってお茶呑んだり、お喋りしたりできるなんてさ。
あ、でも正確にはまだ死んでないんだっけ?幽体離脱って言うか?これが噂の臨死体験…!?みたいな!
リト君もそうなんでしょ?」

こんな状況にも関わらずサンディの口調は極めて明るい。
それどころか現状を楽しんでさえいるように見える。そしてお喋りな彼女の口は、油を挿した後の車輪並みによく回る。

「あたしもね、元いた世界に帰らなきゃって思うんだけど、正直言うと、このまま死んでもいいかなーって気持ちもあるんだ」

言いながら彼女はカップの縁を指でなぞる。紅茶の表面が緩やかに乱れ、そこに映り込む少女の影も合わせて揺れた。

「あの世にはお父さんとお母さんがいるから。二人に逢えると思うと死ぬのは全然怖くないの」

ふふふ、と笑う仕草は冗談ではなく、本当に嬉しそうだ。
そうしているかと思えば、今度は「でも」と言って、不意に視線をリトに預けた。

「リト君にはあたしと違って、心配してくれてる人も帰りを待ってくれてる人もいるの知ってるから。
だからさっきはつい"早く帰れ"なんて言っちゃった。ごめんね」

ナディアは態度には出さないが、ずっとリトのことを気にかけていた様だ。
リトの側に引っ付いていた男の子なんて、まるで世界が滅亡したかのような顔をして落ち込んでいた。
きっとその二人の他にも、彼にはまだ彼の帰りを待ち望んでいる人がいるはずだ。


【リマ>感動的な文章で締めていただきありがとうございました。
ショタリト可愛いよ!(*≧з≦)ショタリト!

しかし過去話やって思ったけど
アブセルの本命、ナディアでもおかしくなかったな、とか思いました。屋敷に来てからは初めて、自分の存在を言葉にして肯定してくれた人ですから。

まぁ今はリマにホの字な感じなんで、もう遅いんだけどww】

545ラセツ ◆.q9WieYUok:2016/06/21(火) 16:51:17
【東南地域/龍穴遺跡】

人生とは、選択する事の連続だ。
無限に枝分かれする選択肢から何をどの様に選ぶのか。

それが果たして正解なのか、不正解なのか。
目には見えない選択肢、未来とは未だ来ないモノ。

もしそれが、目で見えたのなら。
多くの人が、自分にとって最善の未来を選ぼうとするのだろう。

しかし、数多ある選択肢から一つを、大海から一粒の砂を探す事は難しく。
選ぶ以前に、無限なる選択肢が持つ情報量を脳が識別処理出来いのだ。

ただの人間が、ラセツと同じ瞳を持とうとも、彼女と同じ様に振る舞う事は出来ない。

「つまらないか。
確かにそうかも知れない。」

超高速の刺突から続く怒濤の連続攻撃は、その一撃一撃が凄まじい威力を秘めていた。
六本の槍と迸る雷光は、先程の雷撃を遥かに上回っており、アグルの気迫が感じられる。

それら全てを、ラセツは捌いていく。
受け流し、回避し、時には防御し、身に纏っていた重厚な鎧が原型の殆どを失った頃。

「だけど、泥沼に足を踏み入れる事が最善の選択肢だったりするんだ。」

先代のトールから受け継がれた槍の一撃をラセツは左腕を犠牲にして防ぎ、言った。

「戦う相手が強ければ強い程、最善の一手は見えにくくなる。
久し振りだよ、こんな怪我をしたのは。」

槍の穂先に貫かれた左腕から流れる朱を一舐めし、ラセツは笑った。
気付けば足元は濡れており、辺りからは滾々と水が溢れ出している。

どうやら激しい攻撃の余波で遺跡最深部の壁や床に罅が入り、遺跡側を流れる河水と地下水が流れ込んでいる様だ。
刻々と水量は増し、水嵩もそれに比例している。

546 ◆.q9WieYUok:2016/06/21(火) 16:52:51
唇を血の朱で染め、ラセツは辺りを見渡す。

「水没するまで余り時間は無さそうだ。
溺死したくなければ戻った方が良い。」

そして、再び虹瞳をアグルへ向け、槍に貫かれた左腕を一閃。
槍ごとアグルを弾き、浮かべる笑みを更に深くする。

「と言っても、戻らないのはわかってる……だから。
貴方の強さに敬意を表して、全力でいくわ。」

それと同時に、大気を歪める程の闘気が彼女を包み込む。
煌々と、そして猛々しく揺れる闘気を纏い、ラセツは再び掌打を、直撃すれば人間など木っ端微塵になる威力を持った一撃を繰り出した。

しかしその一撃がアグルを爆砕する事は叶わず。
掌打を受けた圧縮された空気の塊が弾け、突風が二人の……三人の周囲に吹き荒れた。

「初手でKOされてスミマセン……と、冗談を言う場合では無さそうですね。
アグル、僕が援護します。
全力でいきましょう!」

ラセツとアグルの間に割って入ったレックスは、吹き荒れる突風に髪を靡かせ、力強く、そう言った。

547ノワール ◆wxoyo3TVQU:2016/06/26(日) 19:28:28
【ポセイドン邸】

「そなたが何故ここに?」

目の前に参じた少年に驚くも、彼からそれ以上に驚くべき事実を伝えられたノワールは目を見開く。

「あの子が・・・・・」

生きていた。愛しい我が子。
生まれて間もなく引き離された、抱くことも乳をやることも叶わなかったあの子が。
しかし、伝え聞いた事態はとても喜ばしいものではなく。

閻魔に施された術により、ノワールはリトの側を一定以上に離れることが出来ない。リトが目覚めない今、ノワールはこの場を離れられないのだ。そして、たとえ離れられたとしても力を封じられ唯の小娘に過ぎない自分一人で救い出せるとも思えなかった。

ノワールは歯噛みし、目の前の少年を見据えた。

「そなたを行かせ、運良く探し出せたとする。じゃが、その後はどうする?そなただけで救い出せるのか?申してみよ。」

548リト ◆wxoyo3TVQU:2016/06/26(日) 21:10:46
【冥界】

少女は実に単純な作りをしているらしい。先程まで落ち込んでいたのが嘘のように、たった一言でコロッと表情を変えた。
自分で言った立場でなんだが、忘れろと言われて簡単に忘れられるものなのだろうか。

「嬉しそうだな」

楽しそうにつらつらと言葉を並べる彼女を、リトは面倒くさそうに頬杖を付きながら眺めた。
この感覚は懐かしい。お喋りな女・・・・・身近にもいた気がする。

(あぁ・・・・・)

リトの脳裏に二人の少女が浮かんだ。小さな体で態度のデカイ黒髪の少女と、そんな子供と同等に渡り合えてしまう知能レベルを持った銀色の髪の少女。二人は物珍しそうに世界を見て、その日あったことを嬉しそうに話してきた。二人同時に話すもんだから何を言ってるのか分からなくて、こっちは疲弊してるのにそんな状態に何故か嫉妬したアブセルが二人に張り合って割り込んでくる。騒がしい旅だった。

(けど・・・・・)

退屈はしなかった。
ノワールもユニも今はどうしてるだろう。アブセルに連れ戻された際、二人は邸についてきていないようだった。
リマと一緒だろうか?なら問題ないだろうが・・・・・二人は放っておくと何をするかわからないから。

「あんた、両親のこと好き?」

嬉しそうに両親の話をするサンディにリトはふと疑問を投げる。
彼女の口ぶりからは両親に愛されていたことが分かる。

「俺は好きかどうかも分からない。生きているのに、どっちも存在していないようなものだったから。」

母に拒絶され、父に冷遇されていた。両親と言う認識はあるものの、二人に対して何の感情もない。そう言えば、憎しみも恨みもないのは不思議だ。

「あんた、別に天涯孤独ってわけじゃないんだろ?人から嫌われるような性格でもないみたいだし。あんたこそ、誰かしら帰りを待ってるんじゃないの?変なこと言ってないでさっさと帰れば。」

549リマ ◆wxoyo3TVQU:2016/06/26(日) 21:21:42
イスラ>>
ショタリトは自分の好みを最大限に詰め込みました(笑)
一人称が自分の名前とか、今のリトが知ったら恥ずかしさのあまり死んでしまうかも(笑)

たしかに!まぁナディアは女として魅力ないから惚れるとか難しいでしょうね(笑)】

550ヤツキ ◆.q9WieYUok:2016/07/01(金) 23:49:10
【こっちに来て二周年か、おめっとさんです!】

551イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2016/07/23(土) 16:07:26
【砂漠地帯、龍穴遺跡】

目を眩ませんばかりの光に、イスラは思わず腕を上げ顔を庇う。

(これは…っ!?)

直後、ヴィカルトの剣から大量の光が噴出した。
莫大な熱量と殺傷力を秘めたそれが、一直線に襲いかかってくる。

イスラは咄嗟にアマテラスの神器の一つ、宝鏡を生成する。
鏡面に触れた光線は鏡を蒸発させると共に別の方向へ屈折し、着弾した遺跡の壁と地面を粉砕し、溶解させた。

だが、それを持ってしても全ての光を逸らすことは叶わなかった。屈折しきれなかったものがイスラの片翼を穿つ。
痛みはないが再び飛べる様になるには少し時間がかかりそうだ。
そして、いくら炎で結晶を溶かそうと、こう反射させられては堪らない。

イスラは神刀、月読に手を伸ばす。

「…剣技、桜花爛漫」

抜刀するや、桜の花弁にも似た結晶の粒が一面に舞い上がった。まるで吹雪の中に迷いこんだかの様に花弁が視界を埋め尽くす。
そして…。

「メイヤ、大丈夫か?」

その隙に、イスラはメイヤを救出した。

もしかすると、今がヴィカルトに不意を与えられる絶好の機会だったのかもしれない。しかし彼の性格上、仲間を後回しには出来なかったようだ。

552アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2016/07/23(土) 16:10:09
【ポセイドン邸】

「正直なところ…必ず救い出す、と断言することは出来ない。
なにせ相手はそうとうヤバい奴等らしいから」

黄竜という連中達の戦力は未知数だが、少なくとも大陸一つを消し飛ばす程の力を持っていることは間違いない。
ルドラは言葉を続ける。

「でも出来得る限りの手は尽くすつもりだ。それこそ身命を賭す覚悟だってある。
そもそも元を辿ればこんなことになった原因の一部は僕にある。
こんなことで罪滅ぼしが出来るとは思わないが、過去、君に冒した罪の償いをさせて欲しい」

恐らくそれは本心からの言葉なのであろう。
そう語る彼の眼は真っ直ぐとしたもので、嘘偽りの匂いは感じられない。

ルドラはノワールの返事を待ったが、しかしそれよりも前に、別の何者かの声が場に割って入ってきた。

「私も参りましょう」

傍らの茂みがガサガサと揺れ、草かげから男が姿を現した。服に着いた葉っぱを払いながら、彼…ジュノスは微笑を浮かべる。

「話は聞かせて頂きました。
微力ながら、私もお力添え致します」

それを見たアブセルは、思わず半歩引き驚きの声を上げる。

「おっさん居たのかよ…。つかどっから出てきてんだ!もしかしてそこでずっと盗み聞きしてたのか!?」

「もちろん!そこの吸血鬼とセナ様を二人きりにさせるなど不安でしかありませんからね。
彼女が余計なことを口走らないように見張っておりました」

「…………。(完全に変質者じゃねえか…)」

それはさておき…と、ジュノスは視線を動かす。
ナディアの元に戻るのであろう、並んで歩くセナとリマはこちらの存在には気づいていないようだ。二人の後ろ姿を何か眩しいものでも見るかの眺め、ジュノスはノワールに言った。

「安心してください。保護したのち、子供をどうこうしようなど考えていませんから。
子の捜索を引き受けていた手前、そろそろそれらしい働きを見せておかなければと思っただけです。
それに…」

それに、今では一応自分も一児の親だ。
こう言ってはなんだが、ノワールの気持ちも分からなくもない。

しかし唯一の気がかりは、セナとリマ、そしてノワールを残して出かけることだが…。…そこはまあ、何かしらの手を打って置くことにしよう。

553サンディ ◆Hbcmdmj4dM:2016/07/23(土) 16:12:48
【冥界】

「うん!大好きだよ」

両親のことを聞かれれば、サンディは大きく頷いた。

「あたし一人っ子でね、家もお客さんなんて滅多に訪ねて来ないような山の中にあったから、小さい頃は両親以外の人と接する機会ってあまりなかったんだよね」

今思えば、あれはわざと人目を避けて暮らしていたように思う。両親は知っていたのだ。いつか自分達の身に危険が及ぶことを。

「それでもあたしはその生活を嫌だと思ったことなんてなかった。
お父さんはあたしに剣を教えてくれたし、お母さんは落ち着きのないあたしが怪我をしないようにずっと側で見守っていていてくれた。
夜祭りの日は皆で里に降りて、花火みたり出店で金魚すくいしたりするの。星がよく見える時期はもっと山の上の方に登って、三人で並んで空を見上げながら色んなお話をして…、他にもいっぱい、いっぱい…」

懐かしい。
二人とも子どもの立場から見ても親バカだった。優しくて温かくて…。出来ることならあの頃に戻りたい。

「もしあたしが死んだとして…、多分、悲しんでくれる人はいるとは思う…。
でも、どうせみんな直ぐに忘れちゃうよ」

今更ながら、自分には特別に親しくしてきた人などいなかったことに気づく。
両親が死んでからは親戚だという家庭に引き取られたが、そこはあまり居心地がいいと言える場所ではなかった。
暫く一緒に旅をしてきたナディア達にしたって、出会って数ヵ月と短い付き合いだ。

一時的に悲しんではくれても、きっと直ぐに各々の生活に追われ、自分のことなど思い返しもしなくなるだろう。

「皆が必要としてるのはアマテラスの力であって、きっとあたし個人じゃないんだよね。それに…」

言いかけてサンディは口を閉じた。
目の前の、見えない何かを振り払うかの様に、手をブンブンと振る。

「…って、やめやめ!暗くなっちゃうね。
ねぇ、リト君のことも聞かせてよ。さっきからあたしばっか喋ってる」

554サンディ ◆Hbcmdmj4dM:2016/07/23(土) 16:14:46
遅くなりすみませんでした;
二周年おめでとうございます!

555メイヤ ◆.q9WieYUok:2016/08/04(木) 23:46:03
【砂漠地帯/龍穴遺跡】

発射点である剣を蒸発させながらも放たれるその光条は、天照の宝鏡をもってしても防ぎ切る事は叶わず。
イスラの片翼を吹き飛ばし、遺跡の壁面に大穴を開けた様子から見るに、直撃すれば影すら残らなかっただろう。

イスラの技、煌めく結晶の桜吹雪に紛れ救出されたメイヤは、彼の言葉に何とか頷いた。
風魔装束のおかげで即死と致命傷は免れたものの、裂傷は多い。

鎧に宿る治癒能力で多少は塞がってきているものの……

「死にはしなかった……けど」

直ぐには動けない、と続ける事は出来ない。
何しろ、ヴィカルトはまだ攻めに転じていないのだ。

先程までの戦いは全て、此方側から仕掛けたもの。
二人の連携を、そして白焔を凌いでの反撃だけでこれ程とは……

メイヤは無理矢理身体を動かし、剣を握る。
僅かに震える切っ先をヴィカルトへ。

(足手まといだな、これじゃあ……)

メイヤの戦闘力は、闇の力を失ってから数段下がっていた。
闇による攻撃力と再生力を武器にした、防御を省みない極端な攻め方はもう出来ない。

思えば今の一瞬も、イスラに取ってヴィカルトへ攻撃を仕掛ける最大のチャンスだった筈だ。
剣を向けながら、メイヤは唇を噛む。

闇の力があれば、いや、自分がもっと強ければ。
オンクーとの戦いは、相討ちであったが実質的には自分の負けであった。

(もっと力があれば、サンディを守れたかもしれないのに……もっと、もっと!)

今まで、力を渇望する事などなかった。
ましてやそれが誰かの為、誰かを想ってなどなかった。

だからこそ、今この胸に渦巻く感情が重く、辛い。
それは心身共に蝕んでいく毒の様にも感じられた。

556メイヤ ◆.q9WieYUok:2016/08/04(木) 23:48:22
「……俺が囮になる。」

唇を噛み、剣を掲げるメイヤは声を絞り出す。
隣のイスラからは角度的に見えないだろうが、その表情は硬く、悲壮感が浮かんでいた。

「決定打が打てるのはイスラだ、だから……後は頼む!」

その表情を変えないまま、メイヤはヴィカルトへと駆け出していく。
それは地を這う蛇の如く、ヴィカルトを刃の射程圏に捉え、メイヤは下方からの斬り上げを放つ。

更に、斬り上げを起点にメイヤは連続して斬撃を繰り出していく。
しかしながらその全てをヴィカルトは受け止め、流し、反撃の一閃がメイヤの胸元を大きく切り裂いた。

だが、メイヤは止まらない。
水晶の刃を振り切ったヴィカルトへ長方形の箱……折り畳まれた巨大手裏剣を押し付け、展開。

「う、ぉぉぉおおおお!」

四方に広がる刃がヴィカルトの首筋、腹部、両肩を切り裂く。
更に、押し付けた手裏剣を捻り、メイヤは傷口を抉っていく。

そして、ヴィカルトの身体を抉る手裏剣を横薙し、投げ捨てたと同時に真白の剣を前方へ。
予想外の反撃、攻撃にヴィカルトは驚きの色を目に宿すが、迫る真白の剣に笑みを浮かべた。

「死ぬ気か、中々やる!」

同時に、抉られた傷口から水晶が噴出。
傷口を炭素繊維で塞ぎながら、噴出する煌めきが文字通り、前方のメイヤを削っていく。

そして、噴出する死の輝きが剣の型を成し、メイヤの突き出した真白の剣へと衝突。
一瞬の拮抗の後、水晶の剣がメイヤの左胸を大きく穿つ。

しかし、メイヤ持つ真白の剣もヴィカルトの左肩を貫き、更に。
取り出した二本目の長方形の箱を展開、瞬時に広がる手裏剣で、自分とヴィカルトの足先を突き刺し、地面に縫い付けた。

「今だ、イスラ!!」

557その他 ◆wxoyo3TVQU:2016/08/07(日) 11:30:52
【冥界】

「ねぇ、いいの?」

先を歩く弟にアネスは心配そうに呼びかける。

「・・・何が?」

「あの二人、残してきて良かったの?」

どうやらアネスはリトとサンディを心配しているらしい。無理もない、お互い初対面に等しいにも関わらず、既に揉め事を生じさせてしまってるのだ。

「大丈夫じゃない?」

「アンにしては珍しく適当じゃない」

「適当じゃないよ、確信もある。」

リトは事を荒立てたいわけではない。
四神を責めたが、本当は彼らに非がないことも分かっているだろう。
おそらく、闇の王子が真の悪でないことも。

「彼はちゃんと分別つくよ。ただ、今まで傷付きすぎて、自分がこれ以上傷つかない様に先に攻撃する癖が付いちゃってるだけ。」

相手が敵でないと判断すれば自ずと警戒を解くだろう。

「でも彼は沢山の人に愛されてる。そのことに早く気づけるといいね。」

リトが殻に閉じこもっている原因は両親に存在を否定された事にあるだろう。両親からの愛を求めるあまり、周りから向けられた愛情に気づけていない。

「アンってばまた悟りを開いたお爺ちゃんみたいなことを・・・」

どうしてこの子はいつも年齢と言動がそぐわないのだろう。
アネスは呆れ顔で弟を見つめるも、とうの本人は優しい笑顔を返すだけだ。

「愛し方を間違えなければ良かったんだけどね、あの人も。」

558その他 ◆wxoyo3TVQU:2016/08/07(日) 11:31:38
-----

「失礼します。」

扉をノックし、中の様子を伺う。彼女の声が耳に届くと、それまで書類と対峙していた視線がすぐに彼女のもとへ向いた。

「ミシェルか。」

彼女の姿を見つけるや、部屋の主、ルイは傍に控えていた従者に指示し車椅子が入室しやすいように扉を開けてくれる。

「どうだ?」

「とても頑なで・・・」

「だろうな。」

ルイの問いにミシェルが苦笑いで返すと、ルイも予想していたとばかりに溜息を吐く。
"そちら"も、"こちら"も、先は長そうだ。

「例の方は・・・」

ミシェルも同じことを気にかけている様子。ルイは首を振って答えて見せた。

「無理だ。本人にその気がない。」

まったく困ったものである。死者ない迷い人が二人いるだけでも面倒なのに、死者であるにも関わらず"逝き先"が定まらない者が来るとは誰が想像出来ただろうか。

人が死した後、天の国へ逝くか地の国へ逝くかは生前の行いによる査定が多くを占めるが、悪人か、善人か、も判断基準になる。
大抵、人の本質は生前の行いと比例しているのだが・・・

「行いは非道極まりなく、地へ送るに値する罪状だが・・・」

今こうしてルイを悩ませている者の魂はとても清廉で、本来ならば天に逝く権利をもつことの出来るものであった。

「行いと本質がまったく合致しない。本人は地を望んでいるが、安易に即決するには問題のある清さだ」

せめて、この歪みを作った原因と対峙すれば何か掴めるかもしれない、しかしそれさえも本人が拒んでいる。
もっとも、ミシェルの様子から察するにその"原因"の方にも不安が残る。

「彼は今どちらへ?」

そう言えば当事者の姿が見当たらない。
ミシェルがあたりを見渡すと、傍らにいた従者が口を開いた。

「判決が出来ない以上この部屋に留まっていても仕方がないからな、ルイが追い出した。」

"追い出した"とはあまりに乱暴な言い分だが、実際そうした言葉がふさわしい行動に出たのだろう。
ルイのことだ。相手に向かって邪魔などと発言したに違いない。目障り、とまでは言っていないと良いが・・・

「自由にしていいと言っただけだ。」

失礼を働いたのではないかと危惧するミシェルの心を察したのだろう。
ルイはすかさず口を挟めば、面倒くさそうに息を吐いた。

「いずれにしろ、いつかは会う必要がある。互いが互いの鍵を握っているからな。」

559リト ◆wxoyo3TVQU:2016/08/07(日) 11:32:14
【冥界】

「話すったって・・・」

一体何を?
リトの戸惑いをよそに、サンディの話を聞く体制は万全で、今か今かと待っている。

「見合いかよ・・・」

何故初対面の相手につらつらと身の上話をしなければならないのか。しかし、こちらが望んだことでは無いとは言えサンディの話を聞いてしまった。ここは自分も打ち明けるのが筋なのだろう。納得はいかないが。

「・・・あんたと違って俺は両親に対して楽しい思い出なんて何もない。姉達はどうか知らないけど、少なくとも俺はあの二人のもとで育ってはないから。姉達が親代わり。・・・そんくらい。他に聞きたいことあんの?大した記憶なんてないからアンタの期待するような楽しい話なんて出来ないんだけど。」

560DD ◆Hbcmdmj4dM:2016/08/12(金) 05:22:23
【マゼンダ邸】

「ちょっとちょっとぉ〜、久しぶりの再会なんだからギスギスするのは無しでいきましょうよ〜」

入室するや、マゼンダは不機嫌な態度を隠そうともせず毒を吐く。
そんなピリピリした空気を和ませようと、DDは努めて明るい口調で発言するも、頭の中はどうやって話しを切り出したものかと思案していた。

普段ならば「元気だった?」とか世間話から始めるところなのだが…、マゼンダが乗り気でないのは明らかなので、回りくどいやり取りはない方が良いだろう。

「じゃあ単刀直入に…」と、足を組み、真剣な面持ちでマゼンダを見つめた。

「同胞の気配が一つ消えたことはアナタも気がついているとは思うけど…。
メルちゃんがオリジンにやられたわ」

やはり口に出してしまえば、その事実に再び対面する形となり気が重くなる。しかし目を背けるのは、それこそメルツェルに申し訳が立たない。
DDは静かな声音で先を続けた。

「ずっと死んだものと思っていたオリジンが、なぜ今になって姿を見せたのかは分からない…。
ただ彼は嘗て分かれた12の力を再び一つにしようと考えている。
要はアタシ達長老を喰らい、己の中に吸収しようとしているってわけ。
直にアナタも狙われるわ」

オリジンの暴虐を許せば、十字界は崩壊する。
その前にフィアやシャムは彼らの軍勢を討とうとしていることをマゼンダに告げる。
そして、自分はまだその決心がつかないと言うことも。

「今日ここに来たのは、それについてアナタの意見を聞きたかったから。
そして出来ればこの事態を収束するため、アナタの知恵と力を貸して欲しいの」

561アグル ◆Hbcmdmj4dM:2016/08/12(金) 05:23:36
【龍穴遺跡】

ラセツの一撃を防ぎ、吹き荒れる風と共に一人の青年が目の前に現れる。
アグルは一瞬きょとんとした表情を浮かべるも、直ぐに何が起きたかを察し、目を細めた。

「…おせーよ」

それは咎めているような口調でもなければ、呆れ半分に言ったものでもなかった。
レックスが復帰してくれたのは心強いことだ。

しかし…、と次にはその視線は足元へ。
部屋に雪崩れ込む水は、今ではもう膝下ほどの高さまで上昇しており、そう悠長にしている時間もないことが窺える。

「レックス…、今から3秒数えたら目を瞑れ」

そう小さな声で囁くや、アグルは先程までと同様、己の筋肉組織を活性化させ、前方へ飛び出した。

「じゃあ援護は任せた!さっさとケリつけんぞ‼」

水飛沫を上げ僅か一跳びでラセツとの距離を詰めれば、その勢いのままに相手の顔面目掛けて右ストレートを放つ。
しかしそれは直接的な攻撃を狙って仕かけた訳ではない。
アグルの拳はラセツに触れる寸前のところで止まったかと思うと、次の瞬間、そこから痛いほどの目映い光が溢れだした。

目眩ましだ。
まともに見れば人間の網膜など一瞬にして焼ききれてしまうだろう。

そしてアグルは間髪入れずにラセツの左斜め後方へ跳ぶ、振り向き様に大きく槍を回し斬撃を放った。

562レックス ◆.q9WieYUok:2016/08/20(土) 10:36:36
【東南地域/龍穴遺跡】

瞼を固く閉じても分かる、強烈な閃光。
アグルの言葉通り、レックスはきっかり三秒間目を瞑る。

しかし、動き出すのは三秒後では無い。
瞼越しに光を感じながらもレックスは大きく跳躍。

空中で大きく三叉鑓を振りかざし、ラセツへ狙いを定める。
矛先に空気を集め、圧縮に次ぐ圧縮を。

高気圧下で圧縮された大気は熱を持ち、一気にその暈を増そうとするも、レックスはそれを許さない。
超高気圧下の元で高熱を放つ大気は臨界点を超え、眩い光を放った。

高電離気体、それは即ちプラズマ。
風を司る四神の一角、フレイヤの力と魂を宿るレックスがプラズマを作り出すとは誰も予想出来なかっただろう。

しかし、彼の持つ矛先には、紛う事無い光の塊が見える。
圧倒的な光量と熱量を持つそれを、レックスは落下と同時にラセツへと叩き付ける。

アグルによるフェイントからの閃光による目眩ましと、それに続く横薙を手甲で防いだラセツは、レックスの動きに反応出来ず、プラズマが着弾。
眩い光と轟音、そして衝撃波が周囲を物理的に揺らす。

更に、衝撃波の後に再び爆発。
超高熱のプラズマと、流れ込む冷水が触れ合う事によって水蒸気爆発が起きたのだ。

連続する爆発が止み、白靄越しにラセツの姿を確認したレックスは左手を伸ばす。
既に水嵩は腰程にまで増えており、いよいよ時間が無い。

「……アグル、後は頼みましたよ。」

白靄が晴れるより速く、レックスは伸ばした左手で前方はラセツの周囲の気圧を操作し、小さなプラズマを次々と生み出し、小規模ながらも複数回水蒸気爆発を起こし続けた。

水蒸気爆発はその威力もさる事ながら、瞬間的に多量の水分を気化させる為、周囲の気温を急激に下げていく。

初撃の大きな水蒸気爆発から続く小さな水蒸気爆発は、爆発のみならず周囲の気温を急激に、それこそ瞬間的に摂取零度以下に下げ続けた。
その結果は、ラセツを中心に生まれる巨大な氷塊だった。

「本来ならばこのまま押し切り、彼女を倒せる筈だったんですが……流石、単独で遺跡に遣わされただけありますね。」

水蒸気からの気化冷却を行い続けながら、レックスはアグルへ声を掛ける。
勿論、その視線は氷塊から離れない。

「試合は引き分け、勝負は負けと言った所でしょうか。」

そして、伸ばしたままの左手とは逆。
三叉鑓を握る筈の右腕は……無い。

563レックス ◆.q9WieYUok:2016/08/20(土) 10:37:42
「プラズマを叩き付けたと同時のカウンター、見えてなかったのが幸いか片腕が吹き飛んだだけで済みました……」

そう、レックスの一撃と同時に、ラセツもまた手刀を放っていたのだ。

「水嵩はもう胸元まで、時間はありません。
僕がこのまま抑えますので、君は脱出して下さい。」

吹き飛んだ右腕はもう見つからないだろう。
傷口から溢れる血も致死量に差し掛かり、遭遇時に受けた一撃で内臓も破裂している。

時間的にも、自分はもう助からない。
ならば、やるべき事は一つ。

「……アグル、もう一度言いますね。」

口腔内、鼻腔からも溢れる血塊を肩で拭い、レックスは薄く笑みを浮かべた。
その薄い笑みには、決意と、覚悟が見て取れる。

「“後”は、頼みましたよ?」

564イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2016/08/22(月) 19:35:14
【砂漠地帯、龍穴遺跡】

「メイヤ…ッ!」

メイヤの剣戟には鬼気迫るものがあった。
捨て身の特攻。そしてついに、彼はヴィカルトの動きを止めた。
暫し唖然としていたイスラも、メイヤの声を耳にすればハッと我に返り、弾かれるように前に飛び出した。

しかし…。

(二人の距離が近い…。このままではメイヤにも俺の攻撃が…)

あともう一歩のところで二人の射程距離内に入る。
退くか、攻めるか。一瞬にも充たない時の中、イスラの心は二択の間で揺れ動いた。

(いや…)

迷うな。彼が決死の覚悟で作ってくれた好機。無駄には出来ない。
イスラは最後の一歩、地を思い切り踏み込んだ。

直後、世界が無音で包まれた。
聴力や痛覚、時間の流れさえも、余計な感覚は全て後ろへ脱ぎ捨てて。
手の内で輝く神刀、火乃加具土と月読。二刃が交わり一つに成った刀でメイヤの背後から居合いを放つ。

「ハァアッ‼」

今まで一度として成功しなかった、障害物の向こう側に置かれた対象物"のみ"を斬る技。

「天叢雲剣、金翅鳥―…」

紅き剣閃はメイヤをすり抜け、その向こう、ヴィカルトの胸を貫いた。

565サンディ ◆Hbcmdmj4dM:2016/08/22(月) 19:36:31
【冥界】

「なるほど、お見合いかぁ。面白いこと言うね」

リトの言葉を耳ざとく拾ったサンディは、何が面白かったのか愉快気にケラケラと笑う。

しかし人の家庭環境には多種多様な形があるのだと、今更ながらに驚かされた。

両親から十二分な愛情を注がれて育ったサンディは、それが当たり前のことなんだとずっと思っていた。
親が子を愛すのは当然だし、また子が親を愛すのも当然だと思っていた。

その観念を抱くにあたった経緯は彼女が幸福であった証だが、それ故にサンディはリトの家庭環境が上手く想像できないでいた。

何故リトは両親と離れて暮らしていたのか。
それを訊ねることは簡単だが、同時に彼を不快な気持ちにさせてしまう可能性もある。
何か複雑な事情があるのかもしれないし、あまり詮索はしない方がいいのかもしれない。

だが、これだけは聞かずにはいられなかった。

「リト君…、ご両親と一緒に過ごしたいと思ったことはなかったの?」

サンディは小首を傾げ、リトに問いかけた。

566メイヤ ◆.q9WieYUok:2016/08/26(金) 16:37:51
【東南地域/龍穴遺跡】

イスラの抜き放つ渾身の一刀、紅き剣閃。
金翅鳥……ガルダの名を冠するその一閃は確かに、ヴィカルトの胸元を貫いた。

味方であるメイヤには傷一つ付けず、しかし敵であるヴィカルトだけを貫くその技は、正に奥義と呼ぶべきか。

「……見事、だ。」

予想外、そして予測外の一撃にヴィカルトは驚愕の表情を浮かべるも、それも一瞬。
胸元に開いた傷口から溢れる朱の滝に目を落とし、フッと笑った。

溢れ、噴き出す朱によって血に染まるメイヤと、その肩越に見えるイスラへ視線を投げる。
神経系を珪素系物質に置き換え、文字通り光速の反射神経を得ているヴィカルトですら反応出来なかった一撃は、強敵との戦いを望む彼にとって満足出来るモノだろう。

水晶剣を支えにしつつも膝を着くヴィカルトと自身の足先を縫い付ける手裏剣を抜き捨て、メイヤもまた、よろめく。
その姿を見上げ、ヴィカルトは剣の柄を握り締めた。

「私の敗北だ。
だが、与えられた役割だけは果たさせてもらう!」

567メイヤ ◆.q9WieYUok:2016/08/26(金) 16:38:44
その瞬間、地に突き立てられた水晶剣の切っ先から膨大な量の水晶の花……刃の如く鋭利な花弁と、鋭い棘を持った薔薇の群れが噴き出した。
それは瞬く間に広がり、遺跡全体を埋め尽くさんとばかりに花を咲かせ、蔦を伸ばしていく。

奇しくもそれは、崩壊しつつあった遺跡内部を支える役となったものの、最も重要である遺跡の起動装置周辺は誰一人近付けない程にまで薔薇が生い茂っている。

「くっ……これは流石にっ!!」

噴き出し、増殖し、咲き誇る刃の如き薔薇の花弁を、メイヤはよろめきながらも剣で防御し後退していく。
最深部を最も強固にし、周辺を埋め尽くす薔薇は言うなれば薔薇の結界か。

それを生み出すヴィカルトを攻める余力も、時間も無い。
見れば薔薇の結界が支えになってはいるものの、遺跡全体が揺れ、崩落の兆しを見せている。

「イスラ、脱出を!!」

迷う時間は無い。
メイヤは瀕死の身体に鞭を打ち、薄らぐ意識の中、イスラへ声を掛ける。

そしてーー……

「間一髪、ギリギリの所だったな。」

遺跡から数十km離れた地点にある空挺師団分隊の野営地で、髭面の男が安堵の息を吐いた。
彼は後詰め部隊として、イスラとメイヤと共に派遣された分隊長だ。

遺跡から脱出した二人を回収、保護したのも小一時間程前。
重傷であるメイヤを衛生兵に託し、部下に周辺の状況を探らせていたのだが……

「どうやら遺跡は崩落、周辺一帯を巻き込んで地下奥深くへ沈んだようだ。
……残念ながら、遺跡の起動も確認されたがな。」

報告を受け、分隊長は苦虫を潰した様な表情を浮かべた。

「まぁ、アンタら二人が何とか帰って来れただけでも良しとしよう。」

568アグル ◆Hbcmdmj4dM:2016/09/09(金) 04:29:44
【東南地域】

覚悟を決めたような、信念のこもったレックスの瞳を見て、アグルは察した。

「レックス…、お前…」

こんな時、どんな顔をすればいいのだろう。どんな言葉をかければいいのだろう。

分からなかった。
ただレックスの意志は強固としたもので、止めることすら憚られた。

そうこうしている内に水嵩はどんどん上がってくる。
時間がない。

アグルはほんの数瞬迷った末、レックスから視線を切った。
結局彼の言葉には返事を返さなかった。
舌打ちだけを残し、遺跡から脱出した。



【砂漠地帯】

「そうか…」

報告を受けたイスラは短く応え、重い息をついた。

「すまない、力が及ばなかった…」

遺跡は起動。加えメイヤにも深手を負わせてしまった。弱音を吐きたいところではあるが、悔やんでも結果は変わらない。

イスラは顔を上げ、分隊長の髭面に視線を向けた。

「メイヤの容態はどうだ?
それと…、アグルとレックスの方はどうなってる?」

569 ◆.q9WieYUok:2016/09/10(土) 01:37:17
【砂漠地帯】

「いや、アンタらは良くやったさ。
ただ、相手が悪かっただけだ。」

イスラの視線を受け止め、分隊長は神妙な面持ちで続けた。

「通信用の無線機から聞こえた声から、相手は裏切り者のヴィカルトだとわかった。
師団でもアイツと互角に戦えるのは団長だけさ。
そんな相手と戦って、生きて帰って来れたのは僥倖……いや、アンタ達も相当な手練れってこった。」

そして、そう気を落とすなとイスラへ声を掛け、イヤホンから聞こえる報告に耳を澄ませーーー

570レオール ◆.q9WieYUok:2016/09/10(土) 01:38:20
ーーー

「……作戦は失敗、レックスは生死不明、メイヤは重傷で絶対安静、か。」

バルクウェイに駐屯する師団の母艦内、数ある会議室の一つでレオールは苦い声を絞り出した。

「すまない……俺の見通しが甘かったばかりに、君達の仲間を失ってしまう事になってしまった。」

同時進行していた二つの作戦は両方共に失敗。
先に報告を受けていた砂漠地帯での戦いからさほど時間を置かずに、東南地域の遺跡の稼働を確認したのも2日程前。

憔悴の色を浮かべながらもイスラとアグルの前に現れたレオールは、二人に頭を下げた。
しかし、酷だと思いながらもレオールは現状を二人に説明する。

「砂漠地帯、そして東南地域の遺跡稼働によりいよいよ世界の殆どが外郭に包まれてしまった。
各地では混乱による暴動も起きている。
幸いにもバルクウェイはまだ、陽の光が当たるがそれも時間の問題だろう……」

作戦の失敗、それは世界が闇に閉ざされる事を意味していた。
この2日間、レオールはスポンサーである中小国家と連絡を取り合いつつ、各地に散った偵察隊からの情報を受け、それらを纏めた上で次なる作戦を練っていた。

だが、それはアグルとイスラの前に顔を出せなかった言い訳には出来ない。
本来ならば、自分の立てた作戦により仲間を失った二人へ、真っ先に謝るべきだったのだが……

「今先程流した映像により、黄龍の居城が外郭上に現れた事が確認出来た。
表立って動く事から、向こう側は最終段階に入ったと予測出来る。
そこで、我々空挺師団は近隣諸国及びスポンサーである中小国家と共に軍を編成、外郭を突破し総力戦を仕掛ける事とした。」

それが何とか功を奏し、新たな作戦を決行出来る目処がついたのだった。

「だが、この作戦の頭数に君達二人は入っていない。
……これ以上、君達に戦いを強制する訳には、と思ってな。」

一応は作戦の詳細書類を配り、レオールは続ける。
その言葉が、それを続ける自分が如何に狡いかを知りながらも、それでも彼は続け、問い掛けた。

「だが、一つ伝えておきたい。
闇の巣から巨塔がそびえ立った。
外郭を突き破ったそれは、ほぼ唯一、地上から外郭上へ続く道となっている。

二人は、これからどうする?」

571リト ◆wxoyo3TVQU:2016/09/10(土) 13:16:29
【冥界】

「親という存在がどんなものか、そもそも俺は知らない。」

物心ついた頃から、いや、それよりずっと前から虐げられてきた。きっとこの少女には理解出来ないだろう。親に愛されることがどうゆうものか、自分に理解出来ないように。

「両親と離れて過ごすことが俺自身の身を守る為にも必要なことだった。一緒に過ごしたいなんて考えたことすらない。そう考えるのは、両親に対して少しでも情がある奴だけだ。」

リトの声はとても淡としていた。ただ事実のみを伝えるかのように。

「母は俺を生んで壊れてしまった。父は母を壊した俺を恨んだ。俺を敵視する二人と過ごしたいなんて思うはずもない。」

"寂しいの?"

そう口にした時、脳裏に少女の声が聞こえた。
思い返すと・・・以前同じように両親について聞かれた事がある。今と同じ答えを返した時、少女はリトの手を握り問いかけたのだ。

"どうしてそう思う?"

"そう言って自分を納得させてる、そんな感じ。仕方ないんだって。"

自分も同じだったから分かるのだと、少女は笑った。自分は神の子だと言われ両親と引き離された。両親は会いにこなかった。自分はどうしても会いたくて、社を抜け出して会いに行ったことがある。しかし久しぶりに会った両親は、自分を人間として見てくれなかった。村の人と同じように、神聖なものを見る目で、仰々しく接してきたのだと。

"境遇は少し違うけど、気持ちは同じだよ。リマね、凄く寂しかった。パパとママ、リマのこと見てくれなかった・・・"

そして少女は言ったのだ。

"リッちゃんも素直になっていいんだよ?寂しいって、ちゃんと言っていいんだよ?"

ずっと隠してきて、自分さえも騙してきた気持ち。
彼女に気付かされた。

「寂しくは、あった・・・かもしれない。」

暫しの沈黙のあと、リトはポツリと呟いた。
質問されなければ一生口にすることがなかったであろう両親への気持ち。

「でも、かと言って何が出来るわけでもない。そもそも、俺は闇の継承者が必要だったからつくられた。俺の気持ちなんて考慮されない。」



【いつも更新おそくて申し訳ないです( ´•̥̥̥ω•̥̥̥` )
いきなりですが、以前イスラさんが描いてくれたリマセナの陰陽現したみたいなイラスト、LINEのプロフ画像にさせて貰っちゃいました|ू・ω・ )】

572マゼンダ ◆wxoyo3TVQU:2016/09/11(日) 13:06:38
【マゼンダ邸】

ギスギスはなし、そうDDは言うが、そもそも再会したところでマゼンダにとって利点はない。一生疎遠で良いくらいなのだからその申し出を受け入れる気など毛頭なかった。
ところでこの男、女?・・・性別が曖昧であるDDはマゼンダにとって奇妙な存在である。
女は嫌い、男は条件によって善し悪しが変わるが、DDはどちらにも属さないため良くわからない。少なくとも女ではない為たしかにこのメンバーでは1番マゼンダが話に耳を傾ける対象ではあるだろう。

そしてDDの話を聞き、不機嫌な表情を崩さぬままマゼンダはさらに眉をひそめる。

「ノワールはどうなんだい?」

オリジンは自分達を狙っている。では、ノワールは?自分達と違い、ノワールはオリジンの1部ではない。

いや、答えは聞かずとも明白だ。

「あの子が絡むとヴェントは面倒だからね・・・」

いつも冷静であるに関わらず、ノワールの事となると我を忘れ暴走する。それこそ自分の命など省みず。

「アンタが何を悩んでるのか知らないけど、聞く限りじゃオリジンは私らを生かすつもりなんて毛頭ない。どちらかが生きるにはどちらかが死ぬ。共存なんて無理。であるなら返り討ちにするしかないんじゃないかい?私はまだ死ぬ気なんてないよ。」

十字界に思い入れなんてないが、無くなるのも困る。

「本当はアンタ達と馴れ合うなんてごめんだけど、仕方ないね。今回は手を貸してやってもいいよ。・・・あいつの目もあるしね。」

マゼンダは溜息をついたかと思えば、嫌な事を思い出し苦い表情を作った。
いつぞやに会ったルイとかいう男。あれに睨まれると面倒なことになると直感した。
ジーナ。あの女が一目置く存在は侮れないと警鐘を鳴らす。
どうやらあの日自分が手を出した少年はあの男が目をかける者だったらしい。幸か不幸か、他のいざこざに紛れて大事は免れたが、あの時は運良く命拾いしただけ。次はないと警告も受けた。

「勘違いするんじゃないよ、今回だけだからね。」

573イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2016/09/17(土) 20:14:48
【バルクウェイ】

以前バルクウェイで新旧含めた四神のメンバーが顔を揃えた時は壮観だったものだが、今ではそれも見る影がない。
ナディアやバロン、別行動を取っている連中は仕方がないにしても、まるで櫛の歯が抜けるように人がいなくなっていった。

アグルに至っては、一番やる気のなかった自分が今ここにいるのが不思議だとさえ思っていた。…いや言い換えれば、一番やる気がなかったからこそ残ってしまったのかもしれない。

その傍らで、戦いを強制しないと言うレオールの言葉を受け、イスラは今それを言うのか、と苦笑を浮かべた。

「もうここまで来たら最後まで突っ走るしかないだろう。ここでやきもきしてただ結果を待っているよりかは幾分かは気も楽だ」

そうして書類を受け取りながら、イスラはアグルに目を向ける。
こちらの返事を窺うかのようなその視線。アグルは沈黙の後に言った。

「行くよ。黄龍のとこに行くには闇の巣を通らないとなんだろ?
俺はそこに用がある」

574サンディ ◆Hbcmdmj4dM:2016/09/17(土) 20:30:33
【冥界】

「リト君ってさ、お父さんとお母さんが"そう"なっちゃったの…もしかして自分のせいだって思ってない?」

リトの口から両親の話を聞くにつれ、サンディの表情は何とも言えない怪訝なものに変わっていく。
彼女は控え目といった様子で尋ね、そして続けた。

「だからご両親の態度も仕打ちも、仕方がないことだって黙って受け入れてるんじゃないの?
たぶん…喧嘩だってしたことないんじゃないかな」

寂しい、と言えなかった彼が、面と向かって不満や反論を口に出来たとは考え難い。
もっともそんなことを言おうものなら、彼の立場は今よりももっと危ういものになっていたかもしれない。
子供は非力ゆえに大人の言いなりになるしかないのだ。

だがリトはもう幼い子供ではない。その気になれば理不尽な抑圧だってはね除けられる筈だ。

「さっき自分の気持ちなんて考慮されないって言ったよね。
でも言葉にしなきゃ、話し合いの場が生まれることもなければ、相手がリト君の気持ちに気づくことだってないんだよ。

今のリト君、色々溜め込み過ぎてて何か風船みたいなんだよね。いつか破裂しちゃうんじゃないか〜ってね」

つまり何が言いたいかというと…。
サンディは立ち上がり、リトに詰め寄った。

「大丈夫、リト君は悪くないよ!それに、もっと怒っていいと思う!
もっと我がまま言っていいし、我慢だってしなくていいんだよ!
リト君は闇の継承者である前に、一人の人間なんだから!自分の意見を言う権利だって何だってあるよ!」



【マジか… ( ´゜Д゜)・;'.、(吐血
そんなものよりもっと上手い方のイラストを画像にしなさいよぉ!←】

575DD ◆Hbcmdmj4dM:2016/09/17(土) 20:48:33
【マゼンダ邸】

「やっだぁ〜、マゼンダったら、それツンデレの常套句〜」

どうやらマゼンダは渋々ながらも要求を承諾してくれたようだ。
DDは茶々を入れながらも、彼女にキスを投げる。

「でもアナタならそう言ってくれると思ってたわ、アタシ達はもうソウルメイトよ!」

予想よりも早く話がまとまってくれて助かった。
これでマゼンダはよしとして、残るはヴェントのみ。
DDはフィアに目配せしつつ、ソファから腰を浮かせる。

「じゃあ次はダーリン(ヴェント)のところに行って事情を説明しないとね。
ねえマゼンダ、あなたダーリンが今どこに居るか知らない?」

576ノワール ◆wxoyo3TVQU:2016/09/19(月) 21:12:12
【ポセイドン邸】

茂みより現れたジュノスを見るや、奇怪なものを見た時の嫌悪感に満ちた表情を浮かべたノワール。ルドラが目前へ姿を見せた時は一瞬眉を潜めるのみであった。ルドラの仕出かした件は彼が思っているほどノワールは重く見ていないらしい。

かと言ってどちらも信用出来ないことには変わりない。
だが、選り好みしている場合でないとも事実。

「・・・。」

命をかけると言ったルドラの瞳に嘘はなかった。
一方、ジュノスはセナの為であればどんな事でもやってのける男。娘の救出が結果的にセナの秘密を守ることに繋がるのなら、その身をなげうってでも成し遂げるだろう。

「分かった」

暫しの沈黙の末、ノワールは頷く。

「我が娘の命、そなたらに託そう。」

どちらにせよ自分は身動きが取れないのだ。今は一刻を争う事態。この2人にかけてみるしかない。

「じゃが、そなた・・・」

ノワールはまっすぐと、ジュノスを見据えた。

「娘の存在を、いつまであやつに隠しておくつもりじゃ?」

約束は守る。無事に娘が帰ってきたなら自らの口でセナに真実を告げることはしない。
しかし、秘密はいずれバレるものだ。このまま黙っていることは、果たしてセナにとって幸せなのだろうか。

「あやつならまだ良かろう。じゃが、娘の存在を知るのが、王子ではなく小娘の方だとしたら?」

心から信じているセナの不貞を、何かの拍子に知ったとする。リマの衝撃は計り知れないだろう。
せめてセナ自身の口から知らされた方が、まだ修繕の余地があると思うが・・・

「まぁ、あの2人の関係が崩れようとわらわに不利益はないからの。どうでも良い話ではあるが。・・・そうじゃ。」

ノワールは思いつき、悪戯な笑みをジュノスヘ向けた。

「その時は、我が子に父親を取り戻してやるとしよう。」

ノワールにとって必要なのは子供のみ。子供さえ取りかえせれば構わないと思っていることに嘘はない。
しかし、黒十字に恨みがあるのも事実。このまま見逃してやるのも惜しいのだ。

「答えは保留にしといてやろう。戻ってくるまでに考えておくのじゃ。」

子供を救い出しても、救い出さずとも、ジュノスにとって不安の種は消えぬのだと暗に示す。

「小僧、何をグズグズしておる。行くぞ。」

ノワールはそう意味深な言葉をその場に残し、アブセルを携え戻っていった。


【いえ、私にはイスラさんのイラストが最高の絵なので( • ̀ω•́ )✧
また描いてください(*ˊૢᵕˋૢ*)←図々しい】

577マゼンダ ◆wxoyo3TVQU:2016/09/19(月) 21:20:54
【マゼンダ邸】

ダーリン。その言葉にマゼンダの眉がピクリと動いた。

「・・・知らないねぇ。アンタのダーリンなんて。」

ダーリンが誰を指すのか、そしてその者の居場所も知っている。
しかし教える気はない。

「私の知る限りじゃ、そもそもアンタにダーリンなんてもんは存在していないね。いつ出来たんだい?アンタを相手にするなんてかなりのもの好きじゃないかい。」

578レオール ◆.q9WieYUok:2016/09/20(火) 13:53:22
【バルクウェイ】

狡いとわかっていた、彼等は何をどう選び進むのかもわかっていた。
だからこそ、二人の返事を聞いたレオールは頭を下げたまま、動かない。

否、動けない。
彼は頭を下げたまま声を出す。

「……本当に、すまない。
闇の巣にそびえ立つ塔……黄昏の塔での戦いは、世界の命運を握る鍵だ。
だからこそ、君達にしか頼めなかった。」

そう、それは言わば“黄昏の鍵”だ。
ソレを手にした者こそ、世界の命運を、征く末を決めると言っても過言ではない。

「人員、物資、援助出来る事は何でもする。
気軽に……その、声を掛けてくれ。
此方の準備、総力戦まではまだ暫く時間がある。
何かあれば呼んでくれ。」

レオールは傍らに立つバッハに顔を上げる様に促されたが、それを拒む。
それは、イスラとアグルが会議室を後にするまで続いた。

ーーーーー

街中はいつも以上に騒がしかった。
夕暮れ時から喧騒は大きくなり、露天や屋台に人集りが出来る。

空挺師団を核に編成される一大戦力、周辺諸国の軍隊がバルクウェイへ集結しているからだろうか。
見慣れない人種、聞き慣れない言葉が騒がしさをより一層加速させていた。

「この手には何もなかった、刃を振るい、血塗れの手じゃ何も掴めなかった。
ずっと、そう思ってた。

幼子を寄り代に異界の悪神を降ろす計画、自分がその為に産み出された存在……
それこそ、イオリの子、死産したその子を禁術で蘇生し、急速培養されたのが自分だと知った時は本当に、生きる意味は無いと思った。」

そんな様子を遠目にしながら、オープンテラスの席に座るメイヤは口を開く。
一時は危篤状態にまで落ちたが、師団の医療設備により持ち直し、今では何とか動ける程にまでなっていた。

「でも、手を伸ばせば届く、この手でも掴めるモノがある。
サンディとこの街の露店を回った時、そう思えた。

だから、俺も闇の巣へ向かう。
サンディは暗黒の渦に消えた、なら、ありとあらゆる闇が集まるあの場所に行けば……闇の巣へ飛び込めば、あの子を見付けれると思うんだ。」

そう、サンディはきっと生きていて、闇の中から抜け出せずにいる筈だ。
それに、闇の巣には兄弟子であるユーリと、自分と同じ忌み子……闇を狙うクウラも姿を現すだろう。

「因縁を断ち切り、世界の命運も未来も掴み取る。
本当に欲しかったモノ、俺はその為に戦う。」

先の戦いで負った傷、その後遺症は大きい。
伸ばした左手は震え、眼帯で隠された左目は光を捉えない。

メイヤは空を掴む左手を下げ、同席するイスラとアグルへ薄く笑みを向けた。

「ガラじゃなかったな、こんな風に話すのは。」

579イオリ ◆.q9WieYUok:2016/09/20(火) 16:13:40
【虚空城】

黄龍の居城、虚空城。
闇に包まれつつある地上から遥か上空、外郭上に姿を現したその城は、数百もの多重結界により守護されている。

とある世界で、七大魔王と呼ばれた者の居城と全く同じその中には。
羅刹の王と水晶を操る凶剣士。

四凶と、不死身の兵団。
そして、四霊の二柱が陣を敷いていた。

「ま、十分準備はしたしな。
後はヤるだけだ。」

まさに要塞堅固、その城を眼前に、イオリは不敵に笑った。
そして、彼とその部下が乗る黒塗りの巨大な飛空挺は大空を切り裂き、多重結界を貫き、世界を統べる者の城へと乗り込んだ。

不時着どころか墜落と言っても過言ではなく、飛空挺は虚空城へ文字通り突き刺さった。
あまり衝撃に船の翼は居れ、船体は崩壊する一歩手前にまで大きく歪む。

そんな船を乗り捨て、イオリ達は虚空城へ侵入し、城内を駆け、進んでいく。
イオリを筆頭に、大罪の名を冠する傭兵達と、黒装束を着込む手練れの者達。

そして、彼等を迎撃する為に現れたのは不死身の軍団……処刑人の剣に所属していた科学者達から得たデータを基に、虚空城の設備により産み出された者達。
青い髪はデータの大元、ヴァイト由来のもの。

彼の持つ超再生能力を更に強化した巨躯に、数々の異能力を持つ彼らは、手強い。
更に、大量に複製培養された圧倒的な数の暴力は敵と認識した者を文字通り粉砕するだろう。

しかし、そんな軍団を前にしてもイオリ達が臆する事は決してない。
イオリの号令の下、傭兵達が、黒装束の強者達が勇猛果敢に進んでいく。

傭兵の頭、禿頭のグレゴリオがその姿を竜に変え、猛火を吐き出した。
その隣、狼男のヴァンはその爪牙で敵を切り裂く。

クウラの兄は狂笑を浮かべ、身に宿る闇を全開に。
溢れ出す闇百足の群れが敵軍団の脚を、腕を絡め取る。

更に、動きを止めた敵軍を、グレゴリオの双子の娘達が数多の刃で屠っていく。
勿論、黒装束達も負けず劣らず撃破を重ねる。

その上空を、イオリは蒼焔の翼をはためかせ、疾り抜けた。

ーーーーー

「さぁさぁ次に出て来るのはどちらさんかねェ!?
デコメガネよォ、俺はテメーを待ってるんだが!」

軍団の第一陣を抜けた先、鋼鉄の扉を斬り捨て、広がる暗闇へイオリは声を投げた。

580ヤツキ ◆.q9WieYUok:2016/09/22(木) 15:16:29
【私信ですが、昨日、無事に子供が産まれました!】

581イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2016/09/22(木) 18:25:09

【産まれましたか!ヤツキさんおめでとうございます!(*^O^*)
男の子ですか?女の子ですか?


それから…ジュノスとかも遺跡遠征の方に回したかったけど、もう塔が建っちゃったのね(笑)
ストーリー的には佳境っぽいけど、どうやってナディア組とメイヤ組を合流させよう?
あと、吸血鬼オリジンは黄龍達とは別に接点なし?

あとここから下はちょっとした提案…というか、自分のちょっと思い付いたことを唐突に書いてみようシリーズなんですが…

ゼロがこの世界そのものみたいな感じなんですよね?
ユニもその世界を形成する一部分的な存在だった、ってことにしてみてはどうでしょう?
例えばユニは世界の愛やら母性なんかを司る意志みたいなもので、何か知らんがゼロから切り離されてしまう。
その際にユニと言う人格と肉体を持ったはいいが、記憶も失い人間界をさ迷っていたところをバロンに保護された。

って、したらユニが重要人物っぽくなって、ユニの登場回数が増えて自分的にハッピー!なだけです。はい(・∀・)←
最終的にユニは記憶を取り戻し、自分の使命に戻らないといけないけど、リトと離れたくない!と乙女心の中で揺れ動く!なんてことを勝手に妄想してただけです。すみません】

582ヤツキ ◆.q9WieYUok:2016/09/22(木) 21:47:33
【陣痛本ちゃん来てから二時間半程のスピード出産ですた!
元気な男の子で、髪質、鼻と指先が俺そっくりだった(笑)
ありがとー!ここの二人には絶対報告しないとと思ってて!

っと、本編は取り敢えず進めれる所進めようかと思って、ちょっと急ぎ足だったけど……

これからの流れで考えてるのは、
闇の巣でのメイヤvsクウラ、アグルvsユーリ、イスラとヤツキの再開。
そこから塔頂上でステラvs先代組、終了後に頂上で一度全員合流。
その後は虚空城内にて決戦、この辺で残る四凶、四霊との決着、ラスボス戦へ〜

で、ナディア組は塔頂上で合流出来たらな、と。
vsステラ戦までに吸血鬼組の決着が着けば良いんやけど……
もしも決着つかなさそうなら、EXステージ、裏ボス的な感じで黄龍戦後にオリジン出しても良いかも?
その時はなんやかんや理由付け……世界ヤバいからオリジンより先にゼロ倒すわ、とかでも。
もしくはオリジンの足留めはジーナに任せろー!

とと、ユニの設定良いッスね!
それならば……世界の意志=ゼロ+ユニで、ゼロは陰、ユニは陽を司るとかどうでしょう?
分離してしまった原因は、100年前の戦いの影響とか。】

583リマ ◆wxoyo3TVQU:2016/09/23(金) 06:54:55
ヤツキおめでとー!!!
凄い安産だね(笑)ヤツキに似た子ならイケメン確実だね!笑
温かい家庭を築いてください(*ˊૢᵕˋૢ*)


ユニの設定ありがとうございます!
てかあの子の登場数増えたらイスラさんハッピーなんですか(笑)
イスラさんが思いついた内容、自分が前にハマってたアドベンチャーゲームのサイドストーリーに似てて凄くテンションあがってます(笑)おかげでユニリトの方は結末まで一気に見えたのでお任せ下さい(*º∀º*)そう言えばあのゲーム、アニメ化もして後で観ようと思って録画してた筈なんだけどどこいったんだろ・・・最終回を観た兄が、主人公が翼生やして飛んでいったとか意味わからんこと言ってたから観るのやめたんですよね(笑)

584ユニ ◆wxoyo3TVQU:2016/09/24(土) 00:22:51
【ポセイドン邸】

散々泣いて。泣いて。泣いて。
泣きつかれたのか、ミレリアは眠っていた。

様子を見に来たナディアはヨハンの葬儀が執り行われるまで寝かしておくと言った。

その場にいた者は部屋をあとにしたが、ユニのみがその場に残った。

何をするわけでもなく、ミレリアの寝顔をただじっと見つめている。

「・・・悲しい、ですか?」

悲しい。心が痛い。あの人はどこ?
ミレリアの心が叫んでいる。愛しい人を探している。

しかし、

「リト様はもっともっと、悲しいですよ。」

母親に否定される痛み。リトはずっと傷ついてきた。

「リト様は悲しくても、寂しくても、貴女みたいに泣けないですのに・・・」

ユニは呟き、ミレリアの眠るベッドに顔を埋める。

「どうしてリト様が分からないですか?リト様、ずっと迷子です。」

ユニは知っているのだ。

「リト様が生まれるのを、貴女は誰よりも心待ちにしていたです。」

大きくなるお腹を撫で、子守唄を口ずさむ。
元気に生まれておいでと優しく話しかけていた。

ユニは知っている。・・・何故、知っている?
リトと出会ったのはバロンを探すため地上に出た頃だ。それ以前の彼に会ったことなどない。それどころか、生まれる前の事なんて知るはずなどないのに・・・。

ユニはハッと起き上がる。

おかしい。

「リト様・・・」

最近なんだか違和感がある。変なのだ。
見えないものが見える。知らないはずなのに、初めて観る光景さえも既視感を覚えることがある。

ユニは部屋を飛び出し走り出す。
向かった先はリトが眠る部屋だ。

「リト様・・・リト様・・・!!」

ユニはリトに駆け寄り縋りつく。

「リト様・・・起きてくださいっ。いつまで寝てるですか!」

死人のように冷たい体。分かっている。簡単には目覚めないことは。

この異変を感じだしたのはそう、ちょうど、リトが贄として闇の巣に落とされた時からだ。

「ユニ怖いです・・・リト様助けて・・・」

いつもみたいに呆れ顔で、溜息を吐きながら「何を言ってるんだ」と、「お前の気のせいだ」と言って欲しい。
そうすれば、安心出来るのにーーー



【せっかくなので、闇の巣の一件で陰の方が力を強めたのと同時に、反動で対となるユニの記憶と本来の力も戻り始める感じにしました(*ˊૢᵕˋૢ*)】

585イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2016/09/24(土) 17:30:07
【ヤツキ>奥さんすげえw
ヤツキさんはいいパパさんになりそうやでぇ^^
子育て大変でしょうが、末永くお幸せに!

なるほどなるほど、流れ了解です。
オリジンはその時のストーリー進行によって臨機応変にやっていきましょうか^^それぞれの進行速度によってまた変わってくると思いますし

あと四凶のフロンはジルにぬっ殺してもらおうと思ってるので、勘定からは除外するものとしてください;


リマ>ユニ可愛いよ!癒されるよ!o(^o^)o⬅リトとのやり取りとかほっこりします(笑)
良かった…、大きなお世話なんじゃないかと心配しました;

確かにそれはとあるゲームのヒロインの設定をパクったものですが(⬅多分そのゲームではないかなぁ…?少なくとも主人公は翼生やして飛んでいかなかったしww
自分がパク…参考にしたのはアルトネリコ3ってゲームです。そのヒロインが挿入歌で「エグゼクフリップアルファージ」や「トキノスナ」って曲を歌うんですが
それはそれは良い曲なんですよー、よければ暇なときにでも聴いてみてください。和訳付き動画推奨です^^】

586アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2016/09/24(土) 17:34:58
【ポセイドン邸】

ジュノス達と別れた後、アブセルはセナ達を引き連れてリトの部屋へ戻ってきた。

「じゃあセイちゃんさん、とっとと着替え済ませちゃおうか。俺も、脱がせるのとか、脱がせるのとか、脱ぐのとか、手伝ってあげるから」

それもナディアにセナの身仕度を済ませてこいと言われたからであるが、リトの衣服を取りにクロゼットに近づいたところ、ベッドに伏せるユニの存在に気がつき、アブセルは眉を潜めた。

「おいユニ、お前またリトに引っ付いて…」

口を開き、そこで言葉を飲み込んだ。
ユニが今まで見せたこともない、まさに悲痛そのものといった表情を浮かべていたから。
アブセル唖然とし、やがてきまりが悪そうに言った。

「お前なあ…何て顔してんだよ。いつも阿呆みたいに能天気な面ぶら下げてるくせに」

587アグル ◆Hbcmdmj4dM:2016/09/25(日) 20:53:44
【バルクウェイ】

軒を並べる露店街の一角。イスラは夕映えに煌めく街の情景を瞳に映しながら、メイヤの声に耳をそばだてる。

「いや…俺も同じ気持ちだよ」

彼がこのように己の決意を口にするのは珍しい。それが何となく嬉しくもあり、励みにもなった。

「ただ身体の方はまだあまり良くないんだろう…?無理はしないでくれよ」

常人ならば剣を握ることさえ儘ならない状態であろう。本音を言えば、まだ医療施設で静養して貰いたい程であったが、メイヤにしてみてもそうは言っていられないのだろう。

「二人とも少し聞いてくれないか」

そんな折、今しがたまで沈黙を貫いていたアグルが不意に口を開いた。
彼は感情の読み取れない瞳を二人に向け、静かに先を続けた。

「闇の巣にはあいつ…ユーリがいる筈だ…。
自分勝手なことを言うようで悪いけど、あいつに関しては二人は手を出さないで欲しいんだ。
どうしても…あいつだけは俺の手で片をつけたいから」

――――――――


仲の良い兄弟がいた。
兄の名をレグナといい、弟の名をアグルといった。
二人は何をするのも一緒だった。
ご飯を食べるときも、夜眠るときも、遊びに行くときも、片時も離れたことがなかった。
それもそのはず。
二人はお互いの腰が繋がっていたのだ。

二人は今の状態に不満を感じたことは一度もなかったが、医者は一人を犠牲にしてでも分離手術をすべきだと両親に告げた。このままでは二人とも長くは生きられない、と。

両親は二人の手術を決意し、その選択を兄弟に託した。

「どちらが死ぬ?」

兄は言った。

「どっちでも同じだよ」

弟が言った。

「だって僕らは同じ存在だから。僕らはアグルでもありレグナでもあるから。身体が別れても、心は同じ場所にある」

そもそも二人の間には兄も弟もなかった。もっと言えば、お互いの名前すらどうでも良かったかもしれない。
ただ両親が決めたことだと、それに従っていた。

兄弟はチェスをして勝負をつけることにした。勝った方が生き続けると。

兄はわざと弟を勝たせた。
手を抜かれたことに弟は不服そうだったが、特に何を言う訳でもなかった。

「おやすみ、アグル」

「おやすみ、レグナ」

そうして二人は眠りについた。

次に目覚めた時、身体は驚く程軽く、違和感があった。
ただそれ以上に驚いたのは、何故目覚めたのが自分の方なのかと言うこと。
何の手違いか、今ここにいるのは兄のレグナであった。

588アグル ◆Hbcmdmj4dM:2016/09/25(日) 20:55:37
―――…

「兄は一族の当主になった。だけどそれから数年後、兄も一族も全員があいつ…ユーリによって皆殺しにされた」

アグルは淡々と語った。
西日の逆光が彼の顔に影を差し、その表情はよく見えない。
一連の話を聞いたイスラは少し言い難そうにしながら、彼に言った。

「その話を疑う訳じゃないんだが…、だとしたら君は…」

誰なんだ。とでも言いた気にアグルを見る。
アグルは口元にうっすらと笑みを見せた。それは自嘲の微笑みだった。

「手術は成功していたんだ。兄弟は二人とも生きていた。ただ…兄は本家に残って当主になり、弟は乳母とともに余所にやられた」

その事実を知っているものは一族の中でも極少数に限られていた。恐らく兄さえも弟が生きていることは知らされなかった筈だ。また自分も兄の生存を知らなかった。

「過去、先祖達が無茶をしたせいで、当時の俺達一族には敵対する連中が沢山いた。…ま、その辺の内容を言えば長くなるし、あんた等に聞かせるようなものでもないんだけど…。

ともかくそいつらと長年争い続けた結果が、一族の勢力の衰退だった。
一族の前途を憂慮した者達は、跡取りの一人を手術の際に死んだものとし、以来ずっとその存在を公に隠してきた」

それもこれも自分達の血が途絶えないようにと考えて取った、彼らの苦肉の措置であった。

「兄貴達が殺された事実を乳母から聞かされた時、一族が取り決めた本当の当主は初めから俺だったんだと言うことを知った。
同時に兄貴はずっと俺の影として生きてきたんだってことも。それも本人自身すら知らぬままにだ」

次第にアグルの口調に熱が帯びてくる。彼は怒りを抑えるかのように自分の腕に爪を立てた。

「許せないんだ…。兄貴が…一族が、必死に戦っていた時に、何も知らずのうのうと生きていた自分自身が…!
何かを得ようとも、知ろうとする努力すらせずに見殺しにした…!
そんな俺が罪滅ぼしをするとしたら出来ることは一つだけ。皆を死に追いやった連中に、同じ苦しみを与えることだけ…」

何も知らなかった。一族が何をしているかも、何をしてきたかも。ただ自分は世話役らの庇護のもと、安穏と日々を過ごしてきた。全てを聞かされたのは、一人きりになった後だった。

「あとはユーリだけなんだ…。かつてユーリを差し向けた連中は皆始末した…。奴を殺せば俺の報復は完遂する。
世界が滅ぶ前にあいつだけは何としても俺の手で止めを刺す…」

その眼は暗く、復讐に取り憑かれた者の眼だった。

「復讐の為に何人も殺して、多くのものを犠牲にしてきた…。レックスだってそうだ…。もう止まれない。止まってはいけないんだ…絶対に…」

もう誰かに語りかけている体ではなくなっていた。その言葉は呪詛の様に口から溢れ落ちた。
目の焦点も定かではなく、腕に食い込んだ爪が皮膚を破り、血が流れた。

無気力で常に冷めたような態度を装っていた彼のその内側には、ドス黒い怨恨と狂気の感情で満ち満ちていた。

589ユニ ◆wxoyo3TVQU:2016/09/27(火) 00:37:29
【ポセイドン邸】

アブセルの下心丸出しの発言の意味を理解出来なかったセナは疑問符を浮かべ、ただ一言「一人で出来る」とだけ呟いた。

「・・・アブセルさん」

リトに縋り突っ伏していたユニははじめ来訪者に気付いていなかったが、自身の名前を呼ばれピクリと体を震わせる。
そして恐る恐る顔をあげ、その者が見知った相手であるとわかるや、ホットしたような表情を浮かべた。
しかし今にも泣きそうな顔である事には変わらない。

共に部屋に入ってきたセナも一瞬ユニへ目を向けるが特に気にした風もなく、アブセルがクローゼットから取り出しかけた衣装を受け取った。

「アブセルさん・・・ユニ、変なんです。ユニはユニの筈ですのに、ユニじゃないみたいで・・・。怖いです。アブセルさん、ユニはどうしたらいいですか?」

この不安をどうすれば取り除けるだろうか。一つでも何か答えが欲しい。
いつも自分の疑問に答えてくれたリトは目覚めない。
ならば代わりに、アブセルからでも答えが欲しいと立ち上がる。

・・・と、

「・・・セナ、様・・・」

そこで漸く、セナの存在に気付いた。
リトと一番不快繋がりのある先祖であり、堕とされたリトを救い出してくれた人。
息をしていないリトを「生きている」と言い、「簡単には目覚めない」と応えた張本人。

この人なら、知っている・・・?

「セナ様!」

ユニは堰を切ったように今度はセナに詰め寄った。
自分は関係ないとばかりに着替えの為黙々と服を脱ぎ出していたセナは急に矛先が自分に向いた為少し驚いたような表情を浮かべるが、ユニは気にも止めずセナの腕を掴み言葉を投げかける。

「教えてください!リト様はどうすれば起きるですか!?いつ起きるですか!?」

予想以上に力が強い。掴んだ指がセナの肌に痕をつけていくが動転していてユニ本人は気づいていていないのだろう。

「セナ様はわかりますか!?ユニに何が起きているか!今回の事があってからなんですっ。闇の王子様なら分かるですよね!?」

590リマ ◆wxoyo3TVQU:2016/09/27(火) 00:38:40
【アブセルが脱がせることしか考えてなくて笑いました(笑)
そこまでユニのこと気に入ってくださっていたとは(笑)ありがとうございます(/ω\*)
ユニはこの作品のマスコットキャラクターですからね!←違う
むしろユニに重役与えてくれてありがとうございますヾ(●´∇`●)ノ
現在セナに対して盛大に粗相起こしてますがアブセルが止めてあげてください(笑)そしてセナはセナで女の子いるのに平気で服を脱ぐとはけしからん←情操教育サボっちゃダメじゃないですかジュノスさん。←←

そのゲームは知らなかったです|ू・ω・` )
自分がハマっていたのはシャイニングハーツと言うゲームなんですが、似た設定ってあるんですね(`・ω・´)
シャイニングハーツの方では記憶と感情をなくした少女がいて、その子のために色んな感情の欠片を集めていくんです。感情の方は少女自身が封じてしまっているので、欠片を集めていくと喜怒哀楽の鍵が手に入って、その鍵で感情を開放していく感じになります。感情が戻るにつれて記憶も戻り、その子自身が世界の核であることが判明するんですが、その子は「この重すぎる使命が嫌で逃げてしまったけど、ここで出会った大好きな皆の為に、大好きな人皆の住む世界を無くしたくない」って感じで自分の使命を全うするべく主人公のもとを去ってしまうんです。この時主人公の好感度MAXだったらこの子とのEDが迎えられるんですけど、MAXじゃなかったらここでお話は終了です(笑)彼女が自分の使命を受け入れることが出来たって意味でのハッピーエンドですからね(笑)私は個人的にこのヒロインの事が大好きだったので当然好感度MAXにさせましたが。隠しEDなのである時期を境に好感度が上がらなくなったり、EDを迎える為に色んな条件を満たす必要があったりと地味に難しいんです。いやぁいい思い出だ←

イスラさんの方のゲームも調べてみますね(/ω\*)

つか、フロンはジルがぬっ殺すって何勝手に決めちゃってるんですか(笑)ジルは本当は純粋で優しい子なんですからあまり傷つけちゃダメですよ?まぁ残忍なヤンデレな子なのでちゃんと殺りますけどね!←
・・・純粋で優しい残忍なヤンデレって何だ←←

そしてアグルの過去に涙です(´;ω;`)】

591ヤツキ ◆.q9WieYUok:2016/09/27(火) 01:19:47
【イスラ》母は強し、だったわwwありがとうございます〜!幸せになりますぜ!

っとフロンの件了解す!吸血鬼組は流れに合わせて、で(笑)

あー……アグルの過去話全くの予想外で涙。シャム双生児だったっけ?こんなタイプの。

リマ》新生児らしからぬしっかりした顔立ちしてて将来有望やでぇ!
ありがとね、パパさん頑張ります!

っと、四凶はもう一人、残ってるけどどうしよう?】

592メイヤ ◆.q9WieYUok:2016/09/27(火) 23:23:42
【バルクウェイ】

薄皮一枚隔てて蠢く激情。
その一端を垣間見、メイヤは口を閉ざした。

やる気の無さと無関心さ、それは内に秘めるどす黒い感情を表に出さない為の殻なのか。
暗い光を宿すその瞳を、メイヤは知っている。

復讐者の目、それは見慣れたモノだった。
殺しを生業にする一族の出の為に、自身も例に漏れず刃を振るって来た。

そして、時折出会う家族、知人、友人、恋人を奪われた者。
彼らはアグルと同じ目で襲いかかって来るのだ。

勿論、その者達の末路は言わずもがな。
東方最強の暗殺者集団と名高い一族の、更にその中でも屈指の実力者であるユーリに挑むのならば……

だが、アグルを止める事はしない、否、出来ない。
彼には彼の、戦う理由があるのだ。

「皆、各々に戦う理由がある。
今となっては、もうそれだけだな……」

単純な勝ち負けだけでは無い戦い。
世界の命運も、因縁も、そして、復讐も。

アグルへの返答は、雑音に流れて消えた。

ーーーーー

【闇の巣】

バルクウェイを発ち、数日。
必要最低限の物資を積んだ飛行艇で到着した決戦の地は、予想に反して静かだった。

艇から降り立ち、進んだ先。
そびえ立つ巨塔の麓、静寂に包まれる水辺。

塔へと続く橋の上に見える人影を前に、メイヤは足を止めた。
それと同時に、人影……クウラは被っていたフードを取った。

「アグル、イスラ。
アイツの相手は俺だ、タイミングを伺って、先に行ってくれ。」

現れたのはメイヤと同じ濡れ羽色の髪と、東方出身者特有の黒い瞳。
どことなく自身に似た顔立ちのクウラへと、メイヤはクナイを投げ、同時に疾走。

迫るクナイを避け、クウラは笑う。
そして、メイヤが放つ刺突を小刀で切り払い、両の腕を、小柄な背中から生える闇の大翼を一閃。

漆黒の羽が散弾となって辺り一面にばらまかれた。
ばらまかれた散弾は橋や水面に着弾すると同時に爆発し、周囲を轟音と爆裂に染める。

しかし、それはあくまでも戦いの合図だ。
クウラはメイヤへ凶笑を向け、メイヤはそれを受け止め、真白の刃を振るう。

「用があるのはこの死人だけさ、赤毛の二人は好きにしなよ?」

「だ、そうだ!二人共先に行け!」

593アブセル:2016/10/01(土) 01:51:29
【ポセイドン邸】

ユニが何を言っているのかが分からない。
アブセルは、お前はいつも変だろう。と顔をしかめるも。彼女の取り乱しようを見て、どうやら本気で思い詰めているらしいことを知る。

「こらユニ!セイちゃんさんが困ってるだろ!聞きたいことがあるならちゃんと分かるように説明しろ!
つかまず落ち着け!」

セナにすがるように詰め寄るユニを引剥がし、リトの寝るベッドの端に座らせる。
まだ何か言いたそうな彼女を一先ず黙らせると、再びセナに視線を向けた。

「セイちゃんさん。こいつはユニっていって、迷子になってたとこをリトが保護したんだ。
んーと…そんで絶望的に阿呆で無知で…」

今まで他の人にきちんとした形でユニを紹介したことがなかった為にした説明だったが、よくよく考えれば、自分は彼女について何も知らないことに気づく。紹介しようにも名前ぐらいしか言うべきことが見あたらず、アブセルは怪訝な表情をユニに向けた。

「…そもそもお前って何者なんだよ…?」

594シデン ◆Hbcmdmj4dM:2016/10/01(土) 01:56:52
【虚空城】

幾重にも張られた結界は飛行挺の衝突によって破られ、城内にはイオリとその部下達が雪崩れ込む。

「下界のゴミムシ共がわらわらと小賢しいことだ…」

その実情を目に、シデンは嘆きため息を溢す。
闇に包まれた空間に雷光が迸り、それによって浮かび上がる男の姿に、彼は鋭い眼光を向けた。

「まさか勝てると思って来た訳ではあるまいな。なあ、イオリ?」

扉を破り入ってきた、イオリのその声に応えるように、シデンもまた口を開く。
直後、部屋全体に雷の結界が張られた。

「まあいい。貴様はこの俺が直々に始末してやろう。これで前みたいに途中で邪魔が入ることもない。じっくりサシで勝負を着けようじゃないか」

そうしてシデンは雷を刃に見立てたブレードを手にする。その切っ先をイオリに突き付け、不敵な笑みを浮かべた。

「時にイオリよ、貴様の女はどうした。あれは我らと同じく四霊の力を有する者…、本来ならばこちら側の人間の筈だろう」



【マゼンダ邸】

「もぉー!ダーリンって言ったらヴェンちゃんのことに決まってるじゃなぁーい」

マゼンダの皮肉にも気づかずに、DDはさも当然と言わんばかりに言葉を返す。

「なぁにぃ?ひょっとしてマゼンダってば、妬いてるのぉ?
ヴェンちゃんにぃ?あっ!やだ!もしかしてアタシに!?」

気持ちは嬉しいけど、生憎アタシにそういう趣味はないの。と一言断ってから、彼は続ける。

「まあアナタが知らないならしょうがないわぁ。ダーリンが住んでる館にでも行ってみましょ。思いがけないダーリンのプライベート姿が拝めるかもしれないし!寝起きドッキリとか!湯上がり姿とか!」

涎を垂らしながら嬉々として語るDDは、このままヴェントの住まいに不法侵入…いや、突撃でもしそうな勢いである。

595イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2016/10/01(土) 02:02:15
【リマ》アブセルはセナに対しても欲情するようです⬅
マスコットキャラ同意ですが、あれ…?彼女は一応ヒロインじゃなかったっけ?(笑)
そこもジュノスが教育するのかww彼は自分の都合のいいことしか教えないからリマが見張ってないと⬅

シャイニングハーツ、動画ちょっとだけ見ました^^
面白そうですね、女の子のキャラが可愛いし!
そんな重い設定とはかけ離れた予想外のほのぼのっぷりに驚きました(笑)
てかパンゲーって言われてるんですねw何故にパンww

そろそろ本気でジルがやばそう;また一つジルに罪を背負わせてしまうのね、いやぁ申しわけ⬅
そんな積もりに積もった鬱憤をどうぞフロンで発散させちゃってくださいw



ヤツキ》そうそう、何となく双子設定にしたかったので、どうせなら…とシャム双生児にしました。
あとユーリはトール一族と敵対してた連中に雇われた設定にしてしまいました(^-^;

596イオリ ◆.q9WieYUok:2016/10/01(土) 16:10:08
【虚空城】

雷光と共に姿を現した男に、イオリは笑みを返す。
予想通り、いや、リクエスト通りか。

「俺は勝てる戦いしかしねェんだよ……
まぁ、テメェとは決着つけねーといけないのは同意だがな。」

こちらへ雷刃を向けるシデンへ、イオリもまた刀の切っ先を向ける。
蒼焔を灯す妖刀、鸞は四霊である鳳凰と同質の力を秘めている。

「この世界は初めっから歪に歪み、狂っていた。
百年前の戦いで、その歪みは決定的なモンになった。
その際に、目覚める筈の四霊の性質も変わった。
白焔と黒端、二つに分かれた世界の中枢。
鳳凰は白焔の側に成ったって訳さ。」

イオリは話をしながらも刀を一閃、二閃、三閃。
燃ゆる刀身から三羽の火炎鳥が姿を現した。

火炎鳥は高く嘶き、蒼焔を撒き散らしながら高速飛翔。
シデンへ向かって羽ばたき、爆発。

「さてさて、無駄話は終わりだ。
決着つけようぜ、デコメガネ!!」

暗闇を炎で染め、イオリは獰猛な笑みを浮かべた。
そして、目の前に広がる爆炎へ向かって自ら飛び込んでいく。

597リト ◆wxoyo3TVQU:2016/10/02(日) 21:48:57
【冥界】

図星だった。
そう思っていなければ自分を保てなかったのだ。

「・・・無理だ」

サンディの言う通り、権利はあるのだろう。しかし、どんなに主張したところであの二人には届かない。

・・・違う、本当は彼女の言う通り、気持ちは届くのかもしれない。
しかしその可能性は限りなく低いから・・・多分、怖いのだ。面と向かって否定されることが。

ここで目覚める前、最後に見た父の顔を、言葉を今も引きずっている。

「・・・」

このまま話をしていてもリトの気持ちも、サンディの考えも変わらないだろう。
リトは立ち上がる、そしてぶっきらぼうに言葉を切り出した。

「あの姉弟、探そう。今の俺達がすべきなのは茶会でも話し合いでもない。ここから出ること、元の場所に戻ることなんじゃない?」

的を得てはいるがこの話を続けたくない故の言い訳だった。
「知らない」と言ってはいたが、この世界の住人である姉弟なら本当は何か手掛かりを持っているかもしれない。そう言ってリトはサンディの返事も聞かず歩き出した。

---その姿を、一人の男が見つめていた。

「・・・リト・・・?」

あてもなく歩いていたその男は、たまたま視界に入った少年に驚き足を止めた。間違いない、あの少年はリトだ。
男は信じられないと言った表情を浮かべる。

「何故・・・」

あの子がここにいる?そう考えかけて男はハッとする。
自分は何を言っているんだ。「この手」で、あの子を死に追いやったではないか。
長い間探していても結局救う手立てなど見つからなくて、一族を、他の多くの命を救う為に犠牲にした。
最期まで優しい言葉をかけてやることも出来なかった。代わりに存在を否定して、「利用する為に作った」などと酷い言葉を投げた。自分の前では一切表情を変えないあの子が、その最期の言葉を聞いて絶望を表した顔を浮かべたのを知っている。

「よかった・・・」

死なせたのに、男は、ヨハンはそんな言葉を口にした。
不相応なのは分かっているが、最悪の事態を免れたのは嬉しい。そう、リトの魂が無事だったことに感謝したいのだ。
贄にされたものはその身だけでなく魂までも喰らわれると思っていた。だから素直に嬉しかった。

そして、自分にこんなことを思う資格がないことも分かっているが、心を抗う事は出来ない。
そしてもう嘘をつく必要もないだろう。

「・・・リト・・・」

罪を重ねてきた自分は天に行けるはずもない。地の国へ行く覚悟は出来ている。
地の国へ行けば、決して転生することはなく苦しみ抜いて魂の消滅を待つことになるだろう。
だから最期に、この身が消えゆく前に、お前の姿を見ることが出来て良かった。

598ユニ ◆wxoyo3TVQU:2016/10/03(月) 00:16:21
【ポセイドン邸】

取り乱したユニを引き剥がし落ち着かせようとベッドに座らせる。
セナはふとユニに掴まれた腕に目を向ける。

「・・・」

触れられた部分に火傷したような赤い痕があった。掴まれた際の痛みの原因は力加減だけではなかったらしい。
セナはその傷をアブセルに気れぬよう、彼がユニに意識を向けているうちに服を纏った。

「・・・ユニ、ですか・・・?」

一方、少し落ち着きを取り戻したユニはアブセルの疑問に口篭る。言うべきかどうか悩んでいる表情だ。
そして不意にリトを見る。

「リト様には言っちゃダメですよ?」

やがて決心したようにそう口にしたかと思えば、立ち上がり皆と距離を取った。

「ユニの姿、見せるです。」

言ってユニは少し前屈みの姿勢を取る。途端、ユニの背から大きな白い羽が広がった。それはおとぎ話に出る天使の羽根のよう。そして、翼を広げ顔をあげたユニの額には架空の存在であるユニコーンの角に似た物も生えていた。

「ユニはバロン様の使役魔です。バロン様の力で生まれ、ユニと言う名前を貰いました。この姿が本来のユニですが、見ての通り・・・その・・・醜いですので、普段はいつものユニの姿になってます。ユニは人間と同じ姿が良いですので。リト様には秘密、約束ですよ?こんなユニ見たら、リト様はユニのこと嫌いになっちゃいます・・・」

599リマ ◆wxoyo3TVQU:2016/10/03(月) 00:17:16
イスラ>>
決めた、リトの声優はうた〇リの藍ちゃんの声にする!←いきなり何だ

ユニは記憶がないので、自分のことバロンに召喚された使役魔だと思ってることにしちゃいました←
世界の核と言うことでとても神秘的な姿(と言う設定)をしてますが、ユニは嫌みたいです←
因みに陽を司る世界の核→清い力の塊→闇を浄化する→セナにとって毒と言う謎設定作りました。リトにとっても毒ですが、リトはセナより闇の力は薄い&ユニ事態が本来の力を目覚めさせていなかったってことで今まで抱きついても平気だったという言い訳も作りました← リトが平気なのでアブセルにも害はないです← 今後ユニの力が強くなることでリトにも害なすようになりますが、ユニが力を制御出来るようになれば傷付けることもなくなります。


セナにも欲情とかwwwアブセルはリトの顔が好きなだけなんじゃ・・・(笑)
あれ?ユニってヒロインでしたっけ(笑)← ナディアは・・・ヒロインからかけ離れてますからやはりユニがヒロインか←
ジュノスはセナの教育係ですから(きりっ)
え、自分に都合の良いことって何を教えるのwww


シャイニングハーツがパンゲーと言われるのは、作中でパンを作って色んな人に配り、その際に喜怒哀楽の感情=ハートを集め、そのハートを材料にまたパンを作り〜って事をやるからです(笑)
もともとこのゲームは兄がジャケ買いしてきたものなんですが、パンを焼くのが嫌になった兄がプレイを放棄し、私に押し付けてきました(笑)話を進めるのにパン焼きは欠かせないんですよね〜
因みに私はパンを焼くのがむしろ楽しくて、色んな材料を集めてきてはどんなパンが出来るのかワクワクしながら焼き、嬉々として話を進めました←

申し訳なく思ってるように見えないwww
フロンで発散wwwフロンの存在意義がwww
ジルはヨノの愛に救われ、最終的にリトを溺愛するお兄ちゃんになると思うのできっと大丈夫です←何が


ヤツキ>>
すでに親バカ発揮してるwww

てか四凶って自分も誰かやってた気がするけど結構前過ぎて何のキャラだったか以前に名前すら思い出せない・・・困った(´;ω;`)

600ヤツキ ◆.q9WieYUok:2016/10/03(月) 07:42:12
>>599
四凶の余り=コニィ=リマの持ちキャラやで、空飛ぶ絨毯に乗ったお姉さんだった筈……かなーり昔に出て来てたよ!

601マゼンダ ◆wxoyo3TVQU:2016/10/05(水) 22:46:03
【マゼンダ邸】

「あんた、今すぐその減らず口を閉じないとタダじゃ置かないよ」

涎を垂らし語るDDの目は本気だ。マゼンダは思わずDDに詰め寄りそうになるのを寸出のところで耐え、誤魔化すように咳払いを一つする。
ノワールが関わるとヴェントが我を忘れるように、ヴェントの事となるとどうも平静でいられなくなる。マゼンダとヴェントは同時期に生まれた為、兄弟のような情でもあるのだろうか。

「生憎、館に行ってもアレはいないよ。大抵、今の時間は森にいる。」

出来れば会わせたくもないが、放っておくと何をしでかすか分からない。マゼンダは観念しヴェントの居場所を吐いた。
ヴェントの日課は自己修練と若い吸血鬼達の教育及び鍛錬。自分達吸血鬼にはそれぞれ派閥があるが、派閥に属する前の吸血鬼達に基礎能力を仕込むのはヴェントの役目だった。
今の時間帯なら自己修練だろう。ヴェントは基本的に時間的行動パターンが決まっているため分かりやすい。

マゼンダは溜め息を吐き立ち上がる。

「勝手に動かれても面倒だ、行くよ。」


ーーーーー

案の定、ヴェントは森に居たようだ。
ある程度目星を付けた場所に向かうと、木の幹に刃で切り裂かれたような跡を見つけた。まだ新しい。
しかし当の本人がいない。まだ館に戻る時間ではないはずだが・・・。

「ヴェント!どこにいるんだい?アンタに客人だよ!」

マゼンダがそう声をあげると、まもなくして黒いコウモリが一同の元へ飛んできた。コウモリは一同の周りをぐるりと一周すると、付いて来いとでも言うように元きた森の奥へと飛んでいく。

「行くよ。」

マゼンダはコウモリの後に続いた。

コウモリが行き着いた場所は湖だった。
マゼンダは当たりを見渡すが、ヴェントの姿は何処にもない。

「ヴェント、何処だい?」

しかし此処にいるのは確かだ。マゼンダが再びその名を呼ぶと、途端、湖面から勢いよく人影が上がる。流石に予想していなかった場所から出てきた為、マゼンダは思わず声をあげた。

「驚いた!アンタ、なんて所から出てくるんだい!」

心臓に悪い。一体そんな所で何をしてるんだと非難をぶつける。
対するヴェントは顔に掛かった髪を払いながら、何を驚いているのか分からないとでも言うような表情を浮かべた。

「水浴びだ。・・・汗をかいたからな。」

602リマ ◆wxoyo3TVQU:2016/10/05(水) 22:47:23
ヤツキ>>

そうだ!コニィだ!
いつも目を瞑ってるお姉さん!ありがとう!

603アグル ◆Hbcmdmj4dM:2016/10/08(土) 06:17:57
【闇の巣】

メイヤと相対する、もう一人の黒髪の青年。
本調子でない彼を一人残して良いものかと、イスラは考えあぐねるが…。自分達にはそう悠長にしている時間もないことを思い出す。

「メイヤ…気を付けろよ!」

気がかりながらも、結局はイスラもアグルに続いて前方へ飛び出した。


目指すは眼前に聳える禍々しい黒き塔。
再びこれと相見えることになろうとは…。イスラの心中は苦い想いでいっぱいだった。

(…ここから先は何があるか分からない。慎重にいかなくては)

しかしそんな考えも露知らず、アグルは一人でどんどん先へ進み、止める間もなく塔内部へ突入する。

「アグル、待て!」

続いてイスラも後を追うが…、一足遅かった。彼の姿は既にそこから消えた後だった。

――……

(どこだ…)

闇に蝕まれ暗澹とした空間。時折遭遇する魔物を鬼神のごとく気迫で切り捨て、アグルは複数に枝分かれした通路を直感だけで突き進む。

(アイツはどこだ…!)

頭にあるのはただ一つのことだけ。
彼は何かに取りつかれたように、それを求めてひた走る。

…そして、ついに広い空間に出た。それとほぼ同時に足を止め、アグルはとある一点を凝視する。
魔物の返り血で染まった顔が不気味に歪んだ。

「逢いたかったぜ…、ユーリ…」

604アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2016/10/08(土) 06:19:54
【ポセイドン邸】

本当の姿を見せる。そう言って変身したユニの姿は、まるでどこかの教会で見た絵画の中の天使のようだった。
その神々しいばかりの姿にアブセルは思わず息を飲む。

自分が知る限りでは人はこれを醜いとは思わない、むしろ崇拝の対象として見るのではないだろうか。
しかし彼女自身はそうは思っていないらしい。

「別に俺からリトに何かを言う気はないけどさ…。
でもリトは見た目で人を嫌いになったりするような奴じゃないぞ」

もっとも…この地上でそんな姿で彷徨かれては目立って仕方がないので、普段は隠すに越したことはないが。
そして彼女が不自然に浮世離れしている理由も今ので何となく理解した。

「それでお前は何を悩んでるんだっけ?
自分が自分じゃないみたいなこと言ってたけど」

605アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2016/10/08(土) 06:34:02
リマ》確かにぴったりな声かも^^
自分はリトの声、斎賀みつきさんの青年ボイスを想像してました。(ドリフターズってアニメの那須与一とか)

なるほど、了解です!ユニが歩く危険人物に…(笑)

そんなことないですよ!もうあれは癖みたいなものだから、リトとそっくりなセナにも身体が勝手に反応しちゃうだけです⬅
ナ…ナディアはイケメン姉御枠だし…(;´`)⬅
都合のいいこと…、うーん何だろう?(笑)何か色々変なこと吹き込んでそうですけど⬅
あと都合の悪いことも教えないですね。ノワールのことしかり、多分他にも沢山

まさにパンゲーww
リマさんにはぴったりのゲームだったんですね(笑)

フロンは悪者だし⬅
溺愛wwジルそんなキャラになるのか(笑)
てかフロンをジルに絡ませたいんだけど、どうやって会わせよう?;

606ユーリ ◆.q9WieYUok:2016/10/09(日) 19:42:38
【黄昏の塔】

眼前に現れた、血染めの顔を歪める青年。
その姿を見、ユーリは静かに言葉を吐いた。

「その顔、見た事があるな」

ユーリが立つフロアは、塔の中間地点だった。
塔には複数の入り口があり、その内部も無数のルートに分かれている。

しかし、その全てが一度収束する地点があり、それがこのフロアなのだ。
薄闇の中、塔の守護者としてユーリはアグルへ右手を……その手に握る槍の穂先を向ける。

その姿は以前闇の巣で対峙した時よりも禍々しく。
魔装の背面から伸びる副腕の数は増し、さながら蜘蛛の如く。

「何の怨みがあるか知らないが、侵入者は排除するのみ。」


兜の面頬を下ろし、ユーリは漆黒の瞳に燐光を灯す。
そして、槍で刺突の構えを取り、その姿が消える。

薄闇を照らす灯籠の火が揺れ、現れたのはアグルの眼前。
瞬間移動とも言える速度からの刺突はアグルの頬を掠め、槍のみがそのまま後方の壁へと激突。

破砕音を轟かせ、壁面を穿ち、大穴を開ける。
そして、槍を投げ捨てたユーリは副腕を使いアグルの四肢と、肩を掴んだ。

「強制排除だ。」

その声は後方に。
アグルを掴んだままユーリは突進し、大穴から外へと飛び出した。

一瞬の浮遊感から続く重力落下に身を任せ、急停止。
副腕から延びる糸によって塔の壁面へ着地し、反動と共に掴んでいたアグルを放り投げた。

「落ちろ、闇の底へ!!」

607ユニ ◆wxoyo3TVQU:2016/10/10(月) 21:39:05
【ポセイドン邸】

「ユニはおバカです。色々知らないですので、リト様がいつも分からないこと教えてくれてましたです。」

アブセルに促され、ユニはポツリポツリと話し始める。
初めて会ったとき、ユニは無知だった。世間知らずと言えばまだ聞こえが良い方で、本当に「何も」知らなかったのだ。それこそ、人間は服を着ると言った当たり前の常識すら理解していなかった。常軌を逸しすぎていて、会話出来るだけまだマシだと、リトに思わせるほどだ。

「ですのに、今のユニは、知らないはずのことも知ってるです。見たことないのに、見たことあるです。」

上手く説明出来ないが、ユニは懸命にアブセルに訴えた。

「たとえば・・・アブセルさんは7歳までおねしょしてました、ですとか。」

608リマ ◆wxoyo3TVQU:2016/10/10(月) 22:40:36
イスラ>>
斎賀みつきさんの声めっちゃ好きです!でも最近聞いてないんで自分の記憶してる声と変わったのかな?とかおもってドリフターズ1話検索して見てきちゃいました(笑)記憶してた声だった(笑)リトの声あんなイケメンに早々してくださってありがとうございます!てかこうして聞くと藍ちゃんの声とそれなりに似てる?という事はリトの声イメージってまさにコレなんですね(笑)
むむ、斎賀みつきさんの声も捨てがたい・・・でも今は藍ちゃんの声が熱い!ので藍ちゃんの声にします(笑)斎賀みつきさんの声はセナにでも譲ろう←何様 セナの声ってちゃんと第二成長来た男の子の声がいいんですけど女顔のせいか思いつかないんですよねぇ(˘-ω-˘ ).。oஇ

歩く危険人物・・・(笑)でも一応、闇系統の人以外には無害なので(笑)

癖なんだwww迷惑すぎるwww
リトが目覚めてセナと並べたらアブセル幸せすぎて昇天しそうですね←
それは慰めなのか・・・(笑)?
ジュノス、変態なだけで比較的常識人だと思ってたのに・・・(笑)
ジュノスが教えること取捨選択するからセナはいつまで経っても世間知らずなままなんだ←責任転嫁

楽しかったです(笑)
あのゲームってそれぞれヒロインごとにEDが用意されていて、ヒロインは全員攻略したんですけど、男性キャラは攻略出来ませんでしたねぇ、なかなか好感度MAXにならないんですよ。

フロンがどうしても悪者に見えない罠←
まぁ溺愛言うてもリトに対してフェミル並に過保護になって、アブセルの魔の手から護るくらいなので、変態が増えるわけではないので大丈夫です(笑)
因みに知識人なのでリトと話が合って、リトもそれなりにさり気なく懐きます← 言うなればうた〇リの嶺二と藍ちゃんのような関係性に←←

ジルに是非絡ませてやってください!
そこなんですよー、今ジル何やってるんだろ?←
方舟の後始末して、ヨハンに復讐して、ヨノに会って、今フリーなんですよね←
何か任務させたいんですけど思いつかない・・・

609シデン ◆Hbcmdmj4dM:2016/10/13(木) 19:10:33
【虚空城】

「くだらんな」

強烈な刃の一振りが爆炎を吹き飛ばす。火炎は四散し、火の粉が上がる。
シデンは巻き起こる熱風の中、一歩も動くことなくイオリの斬撃を刃で受け止めた。

「黄龍様はその歪みを正されるおつもりだ。世界は清められ、新たに生まれ変わる。
今の人類も、貴様も、もうここで終わりなんだよ」

鍔迫り合いの最中、冷たく鋭い視線を交わし彼は言う。
すると不意にシデンの姿がその場から忽然と消えた。
どうやら己の身を電子に換えて空中に散らしたようだ。

「貴様らがどう抗おうと意味はない。失敗作は失敗作らしく、せいぜい地べたにでも這いずって大人しくしていろ」

どこからともなくシデンの嘲笑う声が聞こえる。
その刹那、無数の雷撃が稲光を煌めかせてイオリに襲いかかった。

610サンディ ◆Hbcmdmj4dM:2016/10/13(木) 19:12:26
【冥界】

「あっ、ちょっと待ってよリト君!」

先程の姉弟を探すと言って席を立つリト。彼を追いかけようと、サンディも慌てて後に続く。

と、その際あるものに気がついた。

「あれ?」

リトのことを遠くでじっと見つめている男性がいる。
リトは気づいていないみたいだが、男性自身もただ見ているだけで、声をかけてくることもなければ、近寄ってくる気配もない。
サンディは首を傾げた。

(誰だろう…?)

そうこうしている間に、男は踵を返してどこかに去っていってしまった。

サンディは小走りでリトを追いかけ、隣に並んだ。

「ねーねー、リト君。さっき変なおじさんがリト君のこと、じーって見てたよ。知り合いか何かじゃない?」

611アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2016/10/13(木) 19:53:09
【ポセイドン邸】

始めこそ半信半疑で話を聞いていたアブセルだったが、思いがけず自分の話題を上げられると突如その態度を変えた。

「わー‼わー‼おまっ…!セイちゃんさんの前で何言って…っじゃなくて!どうして知ってる…って言うか!
そんなこと今はどうだって良いだろ‼」

慌てたようにユニの前で腕を振り、大声を出す。

しかし今問題にすべきは暴露された内容よりも、ユニのことだ。
当然だがアブセルは、そのことを誰かに言った覚えはなかった。
知っているとすれば母親ぐらいのものだが、まさかその人に直接聞いたと言うこともあり得ないだろう。

にわかには信じられないことだが、知り得ないことも知っているというユニの話は、本当に真実なのかもしれない。
もっとましな例えはなかったのかとも思うが…。

アブセルは取り繕うように咳払いをし、セナを見た。

「ど…どーすか、先生(セナ)…?
(ユニのこと)どう思います?」

612アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2016/10/13(木) 20:02:28
リマ》斎賀さんの声いいですよね〜^^セナがあの声で喋ってくれたら個人的に凄いたぎる⬅

そうそう、この前初めてちゃんと歌プリを見てみたんですが…(新シリーズの1話)笑いすぎて腹が痛くなりました(笑)あれって毎回あんななんですか?
ツッコミ所が満載というか、完全に笑かしに来てて1話見ただけで疲労感が半端ない…ww

昇天するでしょうねぇ(笑)両脇にはべらせたりなんかしたら完全に召されるww
だってナディアってヒロインよりヒーローポジションの方がしっくりくるんですもの⬅
ジュノスは常識人装ってるだけですのでw
本当にね〜、誰か怒ってやって⬅

男性キャラにもEDが用意されてるのが凄い(笑)

本当?以前ジルのこと食べようとしたのに?(笑)
フェミル並みの溺愛って結構なデレテレだと思うんですがw
まあリトからしても数少ない頼れる人になりそうですね^^

ジルは虚空城でフェミルやノワールの娘の監視&身辺警護役とか?
もしくは世界を闇に閉ざすために各地の闇の封印解いてく役とか?

613メイヤ ◆.q9WieYUok:2016/10/16(日) 18:04:03
【闇の巣】

大翼による横薙の一撃と、それに付随する羽の散弾を避け切り、メイヤは短く息を吐く。
アグルとイスラが巣を抜けて塔へと向かってからの戦いは、熾烈を極めていた。

フードを外し、その背から闇の大翼を生やすクウラ。
彼は暗殺者の中でも呪術師、呪符士と呼ばれ、その戦闘スタイルは接近戦を得意とするメイヤとは真逆である。

しかし、今のクウラは得意ではない筈の接近戦でもメイヤを押していた。
距離を置き、息を整え再び攻撃を仕掛けるメイヤを翼の一薙で吹き飛ばし、クウラは声を上げる。

「闇の子供達……失敗作でも、失敗作と呼ばれる程度には能力がある。
そして、無尽蔵に闇が溢れるこの場所では、その能力は乗算的に増えるんだよ!!」

そして、青年にしては高めの声を咆哮へ変え、空へ羽ばたいた。
左手には呪符を右手には錫杖を。

両手を重ね、放たれるのは闇の光条。
メイヤは後方へと跳び、迫る光を避けるも、着弾地点が爆発を起こす。

更に、光条と共に舞い散った呪符から子鬼の群れが召喚され、メイヤへと殺到。
浅瀬へと着地したメイヤは、刃を鞘に収め、重心を低く取った。

そして、一歩踏み出すと同時に刃を抜き放ち、一閃。
銀弧が子鬼達を斬り裂き、どす黒い血と臓物を撒き散らすよりも速くメイヤは疾走。

対するクウラも急降下、錫杖に纏わりつく呪符が闇の炎を灯し、メイヤの持つ真白の刃と激突。
一瞬の交錯の後、闇の炎が散り、錫杖の先が斬り落とされる。

「左目、見えてないのに中々やるじゃないか!」

ただの棒切れとなった錫杖を捨て、クウラは反転し、後退。
今の一瞬で斬り落とされたのは錫杖だけではなく、メイヤの刃はクウラの胸元を大きく斬り裂いていた。

後退するクウラへと、メイヤもまた同じ様に反転。
振り切った刃の勢いのままに回転斬りを放つ。

横薙の斬撃は闇翼を半ばから斬り落とすも、それ以上は届かず。
クウラは追いすがるメイヤへと羽による散弾を放つが、メイヤは構わず前進。

羽の散弾が身を削り、幾つかが身体を貫通するもメイヤの疾走は止まらない。
踏み込みの速さ、初速ならばメイヤの方が圧倒的に速いのだ。

(距離が開く前に、捕らえるっ!!)

水面を泳ぐ蛇の様に、速度は落とさずに蛇行しながらメイヤは駆ける。
そして、強く、大きく踏み込むと同時にその姿が霞んだ。

「必殺ーーー……“神斬り”」

そして、刹那の空白の後。
真白の刃が鞘に収められると同時に。

翼を斬り落とされ、胸元を斬り裂かれ。
更に今の一閃で喉元を大きく裂かれたクウラは、水しぶきを上げ、水面へと落ちた。

広がる波紋と波がメイヤの膝元を揺らす。
そして、水面が穏やかになった頃。

メイヤは塔の方へ、ゆっくりと歩き出す。
その瞬間。

メイヤの背後、クウラが沈んでいった筈の水面が大きく揺れ、それに比例するかの様に水柱が上がる。

「第2、ラウンドだ!」

614メイヤ ◆.q9WieYUok:2016/10/16(日) 18:05:37
【闇の巣】

振り返り、剣の柄に手を伸ばすメイヤの視線の先。
水柱と共に姿を現したのは先程倒された筈のクウラだった。

「……もう一度、沈めてやる。」

その姿は端的に言えば異形、斬り裂かれた傷口から溢れる鮮血が闇色に変わり、クウラの身体を包む。
喉元から延びる闇は下顎を覆い、鳥の嘴の様にも見えた。

更に、胸元から溢れ出る闇は両肩、両脇へと流れ、その背には二対の翼が。
前腕の側面にも同じく翼が生え揃い、指先には鋭い鉤爪も見える。

異形の鳥人へ姿を変えたクウラへ、メイヤは視線を向け、後退。
動くのに支障が無い水嵩、足首程までの位置へと下がって行く。

それを追い掛け、クウラは空を駆ける。
そして、メイヤが足を止め、居合いの型を取ると同時に。

再度の激突と、交錯。
抜き放たれた真白の刃がクウラの胸元を、漆黒の刃翼はメイヤの左肩を斬り裂いた。

そして、メイヤは振り返ると同時に刺突からの斬り上げ、袈裟懸け斬りに続き回転斬りの連撃を放つ。
それをクウラは避け、弾き、受け流して一時後退。

後退と同時に羽の散弾を放つも、メイヤは身体を前方に倒して回避。
自然落下による運動エネルギーを踏み込みにより前面へ、爆発的な加速でクウラとの距離を詰める。

「紫電閃!!」

続いて放たれるのは閃光の如き斬り上げ、紫電閃。
半円を描く刃の軌道と、それを追う様に黒い血が宙に舞う。

それに続き、クウラの頬が返り血に濡れる。
胸元に続き左前腕を斬り落とされながらも、逆の手によるカウンター……鋭い鉤爪で貫手を放っていたのだ。

斬り上げの動作に合わして放たれた貫手はメイヤの左肩を貫き、メイヤは苦悶の表情を浮かべる。
しかし、振り切った刃を逆手に握り締め、クウラの左肩に突き刺した。

そして、剣を支えに前蹴りをクウラの腹部に叩き込み、反動と共に身を捩って貫手から逃れ、片手で剣を構える。
しかし、構えた剣はクウラの闇翼、円錐形へ変形したそれによって弾かれ、四つの円錐が右上腕、左脇腹、両の大腿部を貫いた。

615メイヤ ◆.q9WieYUok:2016/10/16(日) 18:06:59
【闇の巣】


「ーーっ!?」

先程とは比べ物にならない程の激痛に、メイヤは身を震わし、右手から剣が落ちる。
飛沫を上げて水辺へ落ちた剣を拾う事は叶わず、四カ所を貫かれたメイヤは動く事すら出来ない。

「手数、こっちの方が多いんだよ
ォ!」

元々動きの悪い左手は、左肩を貫かれた時点で完全に動かなくなり、他の四肢も動かせない。
そんなメイヤへ、クウラは凄絶な笑みを向けた。

「どうだ、痛いだろう?
バルクウェイで黒犬と戦ってから、闇の力を失ったのは知ってる。

以前なら、この程度の傷は闇が回復、治癒してた筈なのになぁ?
闇の力が無いお前は、そこそこ腕が立つ程度なんだよ!!」

そして、そのまま顔を近付け、空いた右手でメイヤの髪を掴み、引き上げる。
苦痛に歪み、うなだれる事すら出来ないその顔を見、クウラは話し続けた。

「お前と言う成功作を造る為に、何人死んだか知ってるか?
失敗作にすらなれず、闇に呑まれた奴らを知ってるか?

失敗作は精神、もしくは身体的に欠陥が出るんだ。
兄は精神を病み、俺は味覚と生殖機能を失った。

更には機械のリミッター無しじゃあ生きれない。
全く、クソみたいな人生だよ。」

斬り落とされた左腕は闇の力により再び手の形を無し、その手で胸元の機械の残骸……リミッターだったモノを剥がす。
それをメイヤの頭へ叩きつけ、クウラは笑う。

「お前は闇の力、異界の悪神の力を失ったと思ってる。
けど、それは違う。

この闇の巣では、異能の力……何らかの耐性がなければ息をする事すら出来ず、闇に蝕まれて死ぬ。
だけどどうだ?お前はここまで戦った、闇の力は出せずとも、ここまで動き回れたと言う事は……」

ドロリ、と頭部から流れる血を右手にこすりつけ、それを口元へ。
口元を鮮血に染め、そして。

「何らかの異能がお前にはある、そしてそれは悪神の他には考えられない。

死ねよ、その力を奪われて死ね!!」

鋭い鉤爪が伸びる左手でメイヤの胸元を、その心臓をえぐり出そうとした瞬間。

はらりと、メイヤの左目を覆う眼帯が落ちた。
そして、その左目……視力を失った筈の瞳から呪印が溢れ出し、クウラの身体を拘束して行く。

更に、その瞳を見たクウラは目を剥き、涙腺、耳鼻孔、口腔からどす黒い血を噴出させた。

「……死ぬのは、お前だ!!」

616メイヤ ◆.q9WieYUok:2016/10/16(日) 18:08:32
【闇の巣】

ーーー……サマエルの瞳。
それは所謂邪眼、呪眼と呼ばれる物であり、大きく厳しい制限と代償がある代わりに、瞳を見た者の命を必ず奪う致死の瞳である。
砂漠からバルクウェイへ戻り、闇の巣へ出発するまでの間。

メイヤはレオールやバッハに無理を言い、左目にソレを移植していたのだ。
処刑人の剣が集めに集めた異能の品々、その内の一つを視力を失った左目に移す事に躊躇いはなかった。

呪印に束縛され、即死の呪いを受けても尚、絶命しないクウラ。
もとより、呪術、呪符を扱う彼には耐性があるのだろう。

孔と言う孔から血を噴き出させ、絶叫を上げる彼の首筋へ、メイヤは動かない筈の左手を伸ばす。
そして、その左手……手甲に仕込まれた小型動力等々が起動。

補助動力により強化された握力で、その手に握るクウラの首を、頸椎を。
力任せに、へし折った。

鈍い破砕音と共にクウラの首が傾き、メイヤが手を放すと同時に身体を貫いていた漆黒の円錐が抜ける。

「俺の……勝ちだ。」

支えを失い、糸の切れた操り人形の様にクウラの身体は膝を着き、そのまま後ろへと倒れて行く。
その様子を見届け、メイヤは荒い息を吐いた。

動力仕込みの手甲は兎も角、左目の邪眼を使うつもりはなかった。
しかし、使わなければ死んでいたのは自分だっただろう。

荒い息は安堵のそれに変わり、メイヤもまた、座り込もうと腰を下ろそうとしたその時。
クウラが沈む水辺の周辺が泡立ち、水と混ざった赤黒い血が漆黒に染まる。

そして、一拍の間を起き、何度目かの水柱が上がった。
の余波でメイヤは腰から倒れ、仰ぐ様に前方へ視線を向ける。

(あれでも、死ななかったのか!?)

水柱が散り、黒い飛沫と共に姿を現すのは、漆黒の巨鳥。
闇色の大翼には所々真紅が混ざり、四対の瞳は黒焔を宿している。

三本の脚先には巨大な鎌の如き鉤爪が。
その鳥は、その名は。

「弥都の国鳥、大烏……
いや、八咫烏 、か!!」

617メイヤ ◆.q9WieYUok:2016/10/16(日) 18:09:46
【闇の巣】

ありとあらゆる闇が集まるこの場所は、闇を操る者にとっては無尽蔵に力が沸いてくるパワースポットである。
加えて龍穴遺跡も兼ねており、その両方の力を取り込めば……人は、人を超える。

巨鳥へと姿を変えたクウラ……いや、 八咫烏へ視線を向けながら、メイヤは力を振り絞り、立ち上がる。
疲労困憊、出血多量、身体は既に限界を超えていた。

それでも尚、拾い上げた真白の刃を構え、 八咫烏を睨み付けた。
勝つしかない、だがどうやって?

そんな疑問は剣閃と共に消え、刃の一閃は巨大な鉤爪と打ち合わされる。
しかし、返しの刃は空を切り、無慈悲な一撃がメイヤを貫いた。

三本の鉤爪が右腋下、右背面肩甲骨、左背面左肺を容赦無く貫き、貫通。
心臓に掠らなかったのは狙ったのか、はたまた偶然か。

口腔、鼻孔から血塊を噴出させ、メイヤは声にならない声を上げる。
たったの一撃で戦闘不能にされ、後十数秒もすれば死んでしまうだろう。

走馬灯すら見えない、視界が黒に染まる。
溢れ出す命の熱も感じ無くなり、メイヤは自分の死を察した。

そして。
黒瞳から意志の光が消え、動かなくなったメイヤの身体を、 八咫烏は湖の真ん中、闇が渦巻く奈落の底へ、放り投げた。

ーーーーー

光も、音も、熱も感じ無い無明の闇。
落ちて行くのか、上がって行くのか。

前後左右もわからない、自分の生死すらわからない此処は地獄か天国か。

暗黒の中を、メイヤは彷徨う。
負けて死んだ、そう考えれれば意外と気が重くなる事はなかった。

未だに残るらしい悪神も、それを欲したクウラも。
どうでも良い。

ただ、イスラやアグル。
レオール達や久しく顔を見ないナディアとバロンと言った面々の事は気になる。

いや。
何より気になるのは、サンディか。
恋心かはたまた別の何かか。

(わからない、けど………いや、この場所なら会えるかもな……)

618イオリ ◆.q9WieYUok:2016/10/17(月) 10:28:06
【虚空城】

周囲を囲む無数の雷光はシデンそのものか。
自らを電子と化し、物理的攻撃を無効にした上での雷撃は攻防一体とも言える。

(“コレ”が出来るからこその四霊、四神よりも遥かに強い……)

しかし、迫り来るそれらをイオリは刃の一閃で、再び巻き起こす爆炎の熱波で相殺。
蒼焔の翼が羽ばたき、周囲一帯に火炎の礫を撒き散らす。

「失敗したら、やり直す。
それは別に間違っちゃいねェ……

ただ、そこには人の意志も希望も、絶望も。
愛も無く、ただ機械的にやり直す、俺はそれが気に喰わないんだよ!!」

そして、撒き散らされた炎の礫は壁や床へ着弾したと同時にその姿を炎の蛇へと変え、炎蛇の一群がフロア一面、壁一面を這いずり回った。

「地べたを這うのは慣れてんだよ……だががな、大人しくはしてねぇぞ!!」

619ヤツキ ◆.q9WieYUok:2016/10/17(月) 10:59:23
【リマ》イスラさんの案でジルはフェミル達の警護か、目覚めつつある(?)ユニの奪取とかどうだろう?フロンはそれにコッソリ着いて行くけど途中でバレて……とかとか

イスラ》サンディはどんな感じで冥界から戻られます?
予定決まってなければ、メイヤと絡ませて頂きたく……】

620リト ◆wxoyo3TVQU:2016/10/19(水) 22:25:57
【冥界】

「は?俺に死んだおっさんの知り合いなんていないけど。俺じゃなくてあんたのこと見てたんじゃないの?」

知り合いでなければ--自分の容姿が性別問わず好まれやすい自覚はあるが、まさかこんなところにそんな変態がいるとは考えたくない。女であるサンディを気にしていた、とかなら納得出来る。

と言うかどちらにしてもどうでもいい話だ。リトはサンディのさした方角を確認することもなく歩みを進めた。

「・・・いた」

何故か随分と歩いた。広すぎる。此処は本当に敷地内なのだろうか。
結局手当り次第探す事の無謀さに気付いて取り敢えず屋敷に戻ろうとしたところ、ちょうどその方角からアンヘルが歩いてくるのが見えた。アンヘルもこちらの存在に気付くと軽く頭を下げてくる。

「あれ、片割れは?」

「姉のことですか?貴方に逢っていただきたい方がいるので、王に言われ探しに行きました。」

なお、暇だからとルイの仕事場に乱入し、こっぴどく叱られた挙句部屋から追い出すために役目を与えた、という事は伏せられた。

「俺に?誰?」

「詳しく申し上げますと貴方に逃げられてしまう可能性がありますので・・・」

「何それ・・・それよりさ、その語っ苦しい喋り方どうにかならない?」

仰々しくされるのは嫌いだ。自分の顔色を伺いながら接してくる邸の奴らを思い出す。

「貴方は客人なので・・・」

「いいよ。失礼な奴には慣れてる。」

アンヘルは少し悩むような素振りを見せたが、相手が望むならと申し出を受け入れた。

「で、あんたに聞きたいことがあるんだけど・・・」

「僕が答えられることなら。だけど・・・今は僕にも用があって。後でもいい?」

また、誰か迷い人が来たようだ。
屋敷に連れてくるようルイに言われた。リトは仕方ないにしても、最近やけに多い気がする。

「次元の軸が歪んでいるのか・・・」

多少の綻びは修繕してきたが、もはや追いつかないところまで来ているようだ。

アンヘルはそう呟くが、あくまで独り言であったようでこちらに話を続けることはなかった。
代わりに別の話題を投げかける。

「君達もくる?」

時間を持て余しているように見えたのか。
人を迎えにいくだけで面白いことも何も無いが、それでも構わないならと2人を誘う。

621リマ ◆wxoyo3TVQU:2016/10/19(水) 23:15:44
ヤツキ>>
サンディと絡ませるなら冥界来てる感じで宜し?

ジルの案もらった!

イスラ>>
自分が美形だと自覚している姉(ナディア)弟(リト)、末恐ろしや←

え、滾るってそんなに好きなんですかwww
じゃあセナの声は斎賀さんで←

うたプリはギャグアニメです( • ̀ω•́ )✧
立派に毎回あんな感じで楽しいアニメです←
自分、乙女ゲーム原作のアニメって好きじゃないんですけど、うたプリ初めて見た時「何だ、ただのギャグアニメか」って思いましたもんね←
普通に会話してたのにいきなり歌い出すし、空飛び始めるし、素敵なファンタジーですよ←
藍ちゃんだけは違うって思ってたのに、前作で天使の羽出して空飛んじゃったんで残念ながら立派にうたプリの住民でした( •́ .̫ •̀ )
後キャラ全員がヒロインに愛のベクトルびんびん向けてるのが爆笑ですね。皆ヒロインに恋してるのに仲良しなんですよ←
ただ藍ちゃんはヒロインに恋してるなんて認めません。前作は全くそんな気配無かったし、今作で「このトキメキを君と感じたい」とか囁いてたけどあれはただの演出です。そう、演出です。
てか1話見て頂けたということは、カルナイの歌をお聞きになったのですね( • ̀ω•́ )✧カッコイイでしょ?藍ちゃんのグループ!初めて先輩グループ見た時「なんだこの見た目に全く統一性のないグループは」って思いましたけど普通にプロくてカッコイイです。歌がカッコイイです。格が違いますね!

召されるwww召したところ見てみたいwww
あー、たしかにwww言うても実際ナディアはリトにとってのヒーローですよ〜。口が裂けても本人は言いませんが。←
あれ、逆だったwwwあれ?www
他人任せwww

そこはほら、平等に←

なんか根はいい子なんじゃないかって思っちゃうんですよね(笑)
マジすか(笑)気付かなかったwww
数少ないってのが悲しいwww

お2人の案が全て素敵なので、全部引っ括めて、闇を解いていく任務の合間にフェミル達の様子を見に一旦虚空城へ戻って、その際にユニ誘拐の任務を追加で受けることにします!←
フロンはユニんとこ行く前に1回絡んで、その後ジルを尾行して、ポセイドン邸でヨノに対するジルの気持ちに気付いて暴走するってのはどうでしょう?←

622ヤツキ ◆.q9WieYUok:2016/10/19(水) 23:35:23
【リマ》知った顔、と言うか血筋やら血縁者やら居た方が動きやすいかと思ってさ、個人的にアブセルvsジルも見てみたい←
イスラの返答次第だけど、絡めるならメイヤも冥界入りで!】

623ジル ◆wxoyo3TVQU:2016/10/20(木) 00:24:52
【虚空城】

「兄さま・・・」

いくつかの任務を終え久しぶりに本拠地へ戻ると、目敏くジルを見つけたフェミルがいそいそと近づいてきた。
ジルがその姿に破顔し身を屈めると、広げた腕の中にすかさず収まってくる。

「ただいま、僕の可愛いお姫様。いい子にしてた?」

「フェミル、いい子。メルのこと、ちゃんと見てた。」

メルフィ。その名を聞いてジルはふと視線を奥へ向けた。
顔だけを覗かせこちらの様子を伺っている少女と目があった。闇の王子と吸血鬼の姫の血を引く少女は、あらゆるものを解く鍵として利用できるらしい。最近一つ目の封印を解くため連れ出されていたが、どうやら戻ってきていたらしい。

ジルは少女へ優しげな表情を向けた。

「メル、君もおいで。」

名前を呼ばれるとは思っていなかったのか、メルフィはビクリと身を震わせる。

「大丈夫、怖くないから。抱きしめてあげる。」

言われ、メルフィもおずおずとしながらも近づいてきた。
遠慮がちに抱きついてきた少女を、ジルは笑顔で受け止めながら頭を撫でてやった。

「お仕事、ちゃんと出来たんだね。よく頑張ったね。偉いよ。」

「メル、偉いですか?」

「偉いよ。こんなに小さいのに、ちゃんと務めを果たしてる。」

ご褒美、と言っておでこに口付ける。するとフェミルもせがむので、彼女には頬にしてやった。
可愛い妹たち。出来ればこのままずっと一緒にいたいが、悲しきかな、またすぐに出なければならない。

最近任務を立て続けに申し付けられて溜まっているのだ。二人の警護もその一つだが、これだけを遂行していることは許されない。

「兄さま、またお出かけするの・・・?」

「妖精さんを迎えにいくんだ。今度は可愛いお姉さんが来るよ。」

「妹の次・・・姉さま。フェミル、家族がいっぱい。」

「うん、いっぱいだね。」

虚空城に常にいるのは今までゼロとフェミルのみだった。最近メルフィが増えて、フェミルにとっては家族が増えたようで嬉しいようだ。
立て続けに少女を攫う命を受けている自分には堪ったものではないが。

(フェミル、お前のためなら何だってする・・・)

妹に不自由をさせないため身を穢した。妹に安心出来る居場所を与えるために、ゼロに下った。妹が黄昏の花嫁に選ばれたことは誤算だったが、このまま渡すつもりもない。
ゼロがユニに興味を持った。ゼロの望む未来を手に入れるために必要な存在であるとしか聞いていないが、上手く行けばフェミルを解放できるかもしれない。花嫁を交代できれば、フェミルを助けることが出来る。

フェミルを救えるのなら、他の何が犠牲になってもいい。

胸の奥に感じる痛みはきっと気のせいだろう。
ジルは自分の中に潜む幽かな罪悪感に目を背け、気づかぬふりをした。

【因みにジルの声は柿原徹也です←】

ヤツキ>>
【うん、動きやすい(*ˊૢᵕˋૢ*)

アブセルvsジル、いいね!やろう!!←勝手に決める

おけ!GO出たら迎え行くわ(笑)】

624サンディ ◆Hbcmdmj4dM:2016/10/20(木) 19:34:44
【冥界】

「ついてって良いの?」

リトと共に敷地内を散策した後、ようやくアンヘルという少年を発見した。
また客人が来るらしいとのことを少年の口から聞いたサンディは、少し考えて笑顔で答えた。

「ここがどういう仕組みになってるかちょっと興味あるし、お言葉に甘えようかな」



【ヤツキ>こっちもどうやってサンディを戻そうか迷ってたので、是非お願いします!

リマ>自分もアブセルvsジルやりたいです!

ナディアやリトほどの美形なら自覚もするでしょう(笑)

柿原さんかぁ…最初うーんって思ったけど、ジルの台詞で脳内再生してみたら、ぴったりだった!⬅

マジでギャグアニメだったのかww空とぶの見たいww
本当みんな何であんなにヒロイン好きなんでしょう?(笑)男達にされるがままでヒロイン可哀想w10曲作れとか完全に過労死させる気だしww
でもやっぱり歌は上手いしカッコいいですね、画面見ると何か笑ってしまうけどww
何気に二話も見ましたが、藍ちゃんのグループ仲悪すぎてびっくりしました(笑)そして嶺二がいい人過ぎて涙が…⬅


召したら二度と戻ってこれないから駄目です(笑)
リトは相変わらず素直じゃないw因みにナディアはアブセルにとってもヒーローで憧れらしいです⬅
ジュノスも幼少時代まともな教育受けてないから色々おかしいんですw

男女平等w素敵だww

いい子ではないんじゃないですかね(;´`)恋に恋してるだけですし、自分のことしか考えてないし。なので容赦なくやっちゃってください⬅
リトは…これからですよ(笑)これからそういう人を沢山つくってけば良いんですよ^^

了解です!それでいきましょう(´∇`)

625リマ ◆wxoyo3TVQU:2016/10/20(木) 23:16:50
イスラ>>

【やりましょうやりましょう!

え、マジで?(笑)でもナディアはナルシストですけどリトはナルシストではないんですよ?ナルシストではないのに男にも好かれる顔って分かってるとか凄くね?←

台詞wwwじもジルの台詞打ってる時いつの間にか頭の中でカッキーの声で再生されてました(笑)

えっとですね、空飛ぶのは前作レボリューションの伯爵回です!←アバウト
何話かは忘れました←藍ちゃんの当番は3話なんですけどね、藍ちゃん以外興味無いので把握してません(´>؂∂`)←

あれをギャグアニメと言わずして何と言うか←
と言うかあのヒロインにそんな多くの男を虜にするような魅力を感じない←
社長は過労死させる気満々ですが、あの子ものの数分で曲作っちゃうんで頗る元気です←

笑わないでwww他のユニットはいいけどカルナイは笑っちゃダメ!!←
あのカルナイの映像見て「か・・・カッケェ・・・」ってなった私は既にうたプリ脳なのだろうか・・・←

カルナイめっちゃ仲悪いっすよwww蘭丸パイセンとカミュが敬遠の仲ですねwwwレイジと藍は心友だし、レイジと蘭丸は悪友な感じで何だかんだ仲良いし、蘭丸と藍は兄弟って感じの仲だし、藍とカミュも付かず離れずで良好な関係築いてますが、蘭丸とカミュがねぇ・・・(2度目)ただレイジを虐める時だけは息が合うんですよあの二人←
てか二話も見たんですねwww因みに私あの二話にずっと一言物申したくてウズウズしてたので折角なので言わせてください。
・・・藍ちゃん悪くなくね!?ただひたすらレイジに「何とかして」って訴えてただけじゃんwww何で藍ちゃんも怒られたのwww 寧ろ頑なにレイジに話しかけててめっちゃレイジ大好きっ子の構ってちゃんじゃん!あそこはレイジ、藍ちゃん置いてくんじゃなくて藍ちゃんの腕引っ張って一緒に逃亡するところでしょ?!一家のお母さんが末っ子だけ連れて実家に帰っちゃうみたいにさ!!←

何故泣くwwwレイジはもともとイイ人ですが、昔、自分のことを優先したことで大事な親友を亡くして(生きてるけど)しまったので(因みに本人がそう思ってるだけでレイジの責任じゃない)、それがトラウマで自分より相手を優先する癖がついちゃってるんです( •́ .̫ •̀ )
鬱で病んでたレイジに希望を与えたのが今のユニットなので、誰よりも大事に思ってるっぽいです。多分←
因みに親友の生き写しである藍ちゃんのことは誰よりも幸せになって欲しいし、幸せにしたい相手だそうです。ゲームしてないので詳しくは分かりませんが←


えー、面白そうだからやってみたい←
え、ナディア超ヒーローじゃないですかwwwヨノにとってもヒーローですよ←
いや、でも変態教育は受けてないはず←

素敵でしょ?でも好感度MAXにするのは難しくて無理でした( •́ .̫ •̀ )

マジか、了解しました←
恋に恋してるって、ジルじゃないんかいwww

いや、まともな人が周り殆どにいないんですよ( •́ .̫ •̀ )←

それでよろしくお願いします(*ˊૢᵕˋૢ*)】

626アグル ◆Hbcmdmj4dM:2016/10/21(金) 23:44:35
【黄昏の塔】

「………ッ」

落ちる。

支えを失った恐怖。重力に縛られた身体はまっ逆さまに下へ下へと落下していく。
だがアグルの闘志は衰えるばかりか、むしろ強くなる一方だ。

代々一族の当主は四神トールの神子の証、黄金の大翼を担い、空を自在に駆け抜けたと言う。

「ユーリ…」

不意にアグルの身体から電気が迸る。
それは闇を照らす一つの光となり、身を纏う輝きは彼に二対の翼を持たせ、握る槍は巨大な聖槍へと姿を変えた。

「俺を舐めるなッ‼」

アグルは勢いよく翼を打ち空中で身を翻す。
落ちた距離を一瞬で上り、ユーリのいる壁面目掛けて巨大な槍を突き立てた。

627DD ◆Hbcmdmj4dM:2016/10/21(金) 23:47:00
【森】

「キャーッ!!!」

湖面から出てきたヴェントに、それに向けて非難の言葉を投げるマゼンダ。
突如その背後から黄色い声が上がる。

「やっだーっもう!ダーリンってば大胆すぎィー!
そんな格好を見せて一体アタシをどうしようって言うの!?」

フィアの背後に隠れて両手で顔を覆い、何やら一人で騒いでいるらしいDD。
しかし彼の方が身長が高いため隠れきれていない上に、指の隙間からもばっちり視界を確保している。

「早く服を着てダーリン‼じゃないとアタシの心臓がもう持たないわ!
ああ…!でも急がなくて良いのよ!?ゆっくり上がってきて、その格好のままアタシをぎゅっと力強く抱き締めてからでも遅くないのよ!?」

あまりの興奮についつい本音と建前が混合してしまう。
一体彼は服を着て欲しいのか欲しくないのか、どっちなのだろうか。

628フロン ◆Hbcmdmj4dM:2016/10/22(土) 00:26:03
【霊園】

虚空城を出て行ってから一体何日が経過しただろうか。
近頃、黄龍と一部の人間達が世界をかけて大々的に戦争を始めたとのことらしいが、フロンにとってはどうでも良い話だった。

ただあの人のことが心配だった。
あの人の元を飛び出してから、ずっと捜していた。

捜して捜して捜して…、そしてついに見つけた。愛しい人。

「ジルさん!」

そこは名も知らぬ町の霊園だった。彼の匂いを頼りにここまで辿り着き、そしてとある墓石の前で佇む彼の背中に向けフロンは呼び掛けた。

「あの…あの…、待ってくださいジルさん…。
私、貴方に謝りたくて、貴方のことをずっと捜していたんです…!」

言って深々と頭を下げる。

「あの…、以前は…すみませんでした…。私、たまに正気を保てなくなっちゃうんです…。
その…ジルさんはもう気づいていますよね…?私に変な力があるってこと…」

依然フロンは顔を伏せたままだ。
自ずと両手を胸の前に当てる。肩が小刻みに震えだした。

「私…定期的に能力者を食べ……食べないと頭がおかしくなっちゃうんです…っ。
こんなの気持ち悪いですよね…!?自分でも嫌なんです!でもどうすることも出来なくて…っ。
こんなこと知られたら絶対ジルさんに嫌われちゃうって思って…!
…だからずっと隠していました。ごめんなさい…」

629フロン ◆Hbcmdmj4dM:2016/10/22(土) 00:35:23
リマ》リトは旅中も男女問わず沢山声かけられてそうだし、「君かわぅいーねー」とかって言われれば何となく自覚もするでしょう。セナは言われても気づかなそうだけど⬅

何か柿原さんの飄々とした感じの声がジルの雰囲気と合ってるんですよね^^

アバウトww了解しました(笑)
え!?春ちゃん可愛いじゃないですか!「他の人が書くって考えるとやきもち妬いちゃいます」って!何てええ子なんやと思わずトゥンク…ってしちゃいましたよ⬅

いや普通に見ればカッコいいのかもしれませんが、ニコ○コで見てるからコメントのせいで笑ってまうんです(笑)彼らが歌い出すと必ず歌詞の空耳コメが流れるしww
でも歌的にはヘヴンズが一番好きかもしれない、「天国に行かないか」って出だしの歌が何か一番耳に残ってるw

へー、彼らよくグループ組んだなぁ(笑)
てかレイジが母ちゃんかww
藍ちゃんはレイジに任せっぱなしだったから怒られたんじゃないですかね?
ほら皆がお母さんに甘え過ぎてた感あるから、お母さんも疲れて育児放棄しちゃうんですよ(笑)

彼も色々苦労してるんですね(-_-;)何かそう言う話(レイジと藍ちゃんの関係)聞くとヒロインまじ空気だな…って思いますね(笑)

やめろww
みんなナディア大好き過ぎwwあの子らはナディアって支えがあったからこそ、今まで元気にやってこれたのかもしれませんね^^
えwいやまぁ…それはその通りですがww

何でそこで諦めるんだよぉっ!⬅

好みがない訳ではないですが、ぶっちゃけ好きになる相手は誰でも良いのかもしれません⬅恋してる自分に酔ってる的な
取り合えずジルが両親の墓参りしてるってシチュエーションで絡み文を投下させて貰いました(勝手に申しわけ;

630ユーリ ◆.q9WieYUok:2016/10/22(土) 14:57:00
【黄昏の塔】

眩く輝く光の翼と、聖なる槍。
突き立てられたそれはいとも容易く壁面を穿ち、一拍の間を置いた後に壁面へ大穴を開けた。

しかし、そこにはユーリの姿は無い。
複腕と粘着性の糸により高速で上方へと昇るユーリは、ゆっくりと目を細めた。

「その翼、槍……いつかの一族の者か。」

アグルの背を照らす光翼とその手に握る聖槍に、ユーリは見覚えがあった。
暗殺稼業から足を洗う為、弥都を出、シンライジ一族から逃れる為に。

「俺にとっての最後の仕事、とある一族の抹殺……生き残りか、遠い血筋か、はたまた別か。
まぁ良い……その雷光、咬み砕いてやろう。」

細めた目でアグルを見据え、身に纏う魔装が蠕動。
全身の筋肉が膨張し、堅牢な甲殻鎧が内側から軋む。

そして、壁面の破砕音は置き去りに。
音速を遥かに超える速度で跳ぶユーリは、刃を握る数多の複腕をもって、アグルへと襲い掛かった。

631リト ◆wxoyo3TVQU:2016/10/23(日) 14:27:08
【冥界】

「生を全うして正式に死した者であれば、ちゃんとしたルートを通って直接裁きの間に行けるんだけど・・・」

歩みを進めながらアンヘルは説明する。
あらゆる次元の現実世界とこの冥界を繋ぐ道があり、本来であればそこを通って途中いくつかの審判を受けながら最後にこの場に辿り着く仕組みとなっている。
たまにサンディのように不安定な魂が迷い込む事があると以前説明したが、サンディのように自力で辿り着いた者は更に珍しいと、彼は述べる。

「君は運が良かったんだ。大抵、そうした魂は出口の分からない暗闇で宛もなくさ迷ってる。今回のように。」

生界と死界の狭間に堕ちているのだと言う。その狭間は次元の歪みのようなものでとても不安定な場所だ。早く対処しないとそのまま魂ごも消滅してしまうとアンヘルは表情も変えずサラリと恐ろしい事を言った。

「良かったな、消えないで。」

リトがサンディに向けたその言葉で、サンディが危機的状態であった事を明確にした。

632リト ◆wxoyo3TVQU:2016/10/23(日) 14:27:56
境が明確ではないがいつの間にか敷地内を出ていたらしい。一同は木々の茂る森の中を歩く。
そして辿り着いた場所は大きな泉の広がる静かな場所。
アンヘルはその泉を挟んだ向かい岸を指しながら言った。

「あっちは天界。天界と地界へ続くゲートは屋敷にあるんだけど、実を言うと直接行ける。行ってもいいよ?死ぬけど。」

無礼講を申し出て以降、アンヘルの言葉選びが極端になった気がする。たしかに間違いではないが、直接的過ぎる。
リトのそんな戸惑いも知らず、アンヘルは淡々とした表情で「この周囲に実ってる果物は食べない方がいい」と述べた。食べたら「戻れなくなる」らしい。

「道と道を繋げるにはいくつかの方法がある。誰にでも出来る有名な方法と言えば合わせ鏡かな。あと、道を繋げる媒体があっても行ける。今回はこの泉。」

此処は二つの次元が重なる場所であるため、迷い人のいる場の歪みとまでは行かないが、多少の歪みがあるのだそうだ。
そんな中、媒体となり得る泉を利用することで一時的に道を繋げる事が出来るのだと言った。

「で、あとは迷い人の魂を見つけて引き寄せる必要があるんだけど・・・」

アンヘルがそう言いかけたところで三人のもとへ新たな人影が現れた。
人影・・・たしかに人影なのだが、デカイ。
こちらに近づくにつれて影が規格外の大きさになってくる。

「はぁい!少年♪こんな所に来るなんて珍しいじゃない。」

規格外にでかい影の正体は異様な大きさの男であった。そして現れるまで気づかなかったが、その大男の肩に小柄な少女が腰掛けていた。

「叔母さま」

「お姉さまとお呼びなさい、糞ガキ。」

「イヴは自称ルイの妹だから、アンヘルの言葉は間違ってはいない。」

「お黙り」

少女は大男を小突き、ヒョイっと地に降り立った。

「道を繋げてほしい。」

用件を述べるアンヘルへ、少女は「どうせそんなことだろうと思った」と面白くなさそうに唇を尖らせる。

「私に会いたくなったから、とかさ。もっと可愛げのある用事がいいなー。」

「早くして。」

「可愛くなーい!」

用件のみをこなし、無駄話は許さない。実に父親にそっくりである。などと少女は頬を膨らませながらアンヘルへ不平を述べるが、申し出は聞き入れるようだ。
何やら不機嫌にブツブツいいながらも片手を泉に向けて無造作に凪ぐ。
途端、辺りに風が巻き起こり、泉が水柱となって立ち上がった。

「彼女は冥界への扉を守る番人。時空、空間、ありとあらゆる場所に道を繋げることが出来る。もっとも、この力を使う必要があるのは今回みたいなイレギュラーな時だけだけど。」

「見つけたよ。」

少女の声に促されそちらへ目を向ければ、水柱の中に人影が浮かび上がってきた。
アンヘルは"向こう側"の人物へ向かって声を上げる。

「この声が聞こえるか?閻魔の意のもと"こちら側"への訪問を許可する。その身を朽ちさせたくなければこの声に従いまっすぐ進め。」



ヤツキ>>
【てなわけで冥界へようこそー←】

633ジル ◆wxoyo3TVQU:2016/10/23(日) 21:36:35
【霊園】

人気の少ないとても静かで小さな町。
ここにはジルの大切な二つの魂が眠っている。

墓標に百合を1輪据えて、ジルはふと過去を思い返す。

(お父様・・・お母様・・・)

事故の後息つくまもなく父の弟に財産を取られ、二人の葬式すらあげてもらえなかった。それどころか遺体の身受けすらしてもらえなくて、まだ幼かったジルは成す術なく途方に暮れた。
役人に何とか頼み込んで暫く安置所へ置いてもらう約束を取り付け必死にお金を貯めて迎えに行ったが、其処には両親の姿はなかった。名も知らぬ誰かが、死後間もなくして両親をこの町に眠らせてくれたのだと後で聞いた。引き取りにきたその人も自分は頼まれただけだと言ったらしく、結局正体は分からぬままだ。ただその後も時折、両親に会いに行くと花が供えられているのを目にしていた。両親どちらかの知り合いであることは間違いない。その人にジルは感謝している。

「お父様、僕ね、二人の敵をとったんだ・・・」

「片付け」を命じられた件に奴が関わっていた為、それは偶然であったけど。憎しみの対象を殺めた。結果的に復讐を遂げたに違いない。

「けど、どうしてかな。すっきりしないんだ。」

このモヤは何か。1つ心当たりがあるのは、ヨハンの見せた最期の顔。見間違いかもしれないが・・・

「何で、ホッとしたような顔をしたんだろう」

それは一瞬であったけど確かにそう見えたのだ。
自分は何か大きな間違いないをしているのではないか、そんな疑念がジルのなかに生じてしまう。

しかしその疑問は解決することはなく、新たな来訪者により思考が途切れた。

「どうして僕に謝るの?」

それはいつぞやに姿を消したフロンだった。
ジルは彼女に振り返ることなく、ただその疑問だけを投げかける。

「君の事情なんてどうでもいいよ。そうだな、僕はこうして無事だったんだし"気にしなくていいよ"って言えば満足?此処は君の来ていい場所じゃない。さっさと消えてくれない?」

634リマ ◆wxoyo3TVQU:2016/10/23(日) 22:25:03
イスラ>>

DDwww

あー、旅で自覚しちゃった感じか(笑)男の場合、リトの辛辣さは更に相手を喜ばせただけだろうからきっとリトは苦労したでしょうね(笑)
ああ、セナは絶対気づきませんねwwwそれこそ抵抗もしないからジュノスが苦労してそうwww

違和感なくて良かった(*ˊૢᵕˋૢ*)
なんか、柿原さんの鼻から抜けるような声の感じが凄い好きなんですよね(/ω\*)
藍ちゃんの声もちょっと鼻詰まった感じだし、自分鼻声が好きなのかな?←

たしか放送の1週間後に販売される個人の楽曲がその人のお当番回の題名だから、伯爵の歌の題名調べればいいんじゃないですかね?←
たしかに、あのセリフはちょっと可愛いなとは思いましたが・・・やっぱそこまで魅力あるようには感じない←

ニコニコwwwどんなコメントなのか気になりますwww
ヘブンズの曲もなかなかカッコイイですよね(*ˊૢᵕˋૢ*)自分もカルナイの次くらいに好きです(笑)
カルナイ→藍ちゃんの歌→藍ちゃんがメンバーに入ってる歌→ヘブンズ→トキヤの歌って順番に好きですかね?てか3話見ました?トキヤとペア組んだヘブンズの人の歌が上手すぎて驚きを隠せないんです。マモの歌声に付いてこれるとか何者なのあの声優さん←

シャイニーの言葉は絶対、ですから(笑)
あと何だかんだカルナイのメンバー皆レイジお兄ちゃんのこと大好きですからね(笑)
あー、なるほど!自分で解決しないでレイジに頼ってばかりだったからいけないのかwww
ヒロイン?えぇ、空気です←
なんか、レイジの親友が自分と瓜二つってことを偶然知った藍ちゃんが、「レイジは僕じゃなくて僕を通してその人に構っていたんだ。僕をその人の代わりにしてたんだ。レイジの優しさも僕に向けたものじゃなかった」って、藍ちゃんが嫉妬しちゃうらしいんです。可愛い←
で、その言葉を完全には否定出来なかったレイジですが、「一生懸命憎まれ口をたたくアイアイが好きだ。素直になれないアイアイが好きだ。」って親友にはない藍ちゃん独自の内面が大好きって事に気付いて、ちゃんと藍ちゃんのことが好きで構ってるんだよって謝って、二人は無事に仲直りします。で、「見たことのないもの、沢山見せてあげたい。色んなこと沢山経験して、沢山思い出作ろう」的なこと言って藍ちゃんを肩に担いで連行します←藍ちゃんは「やだ!レイジと関わると禄なこと起きないんだ!バカレイジ!ばかばか!離して!!」って言いながら足をバタつかせて必死に抵抗するも、レイジお構い無しで結局藍ちゃんは誘拐されたらしいです←←あー可愛い←

(藍ちゃん語ってたら長くなって弾かれた← 分けます←←短くする気は無い)

635リマ ◆wxoyo3TVQU:2016/10/23(日) 22:25:52
この友情エンド、とっても生で拝見したいんですけど、レイジのルートか藍ちゃんのルートか分からない上にこれを見るためにヒロインとラブラブしなきゃいけないって思うと憂鬱で結局プレイ出来ず終いなんですよねー。
あとどっかでレイジが藍ちゃんに「もう、可愛いんだからー」って言うシーンがあるらしいんですが、ゲームのシーンなのかCDなのか分からずこっちも入手出来てません←
あとカルナイ結成が藍ちゃんが13歳の時らしくて、そのシーンがあるらしいんですがどのゲームなのか分からずやっぱり入手出来てません← 美風藍13歳・・・尊い・・・・・・

やりたい|ू・ω・` )笑
ナディアがここまで人気だとは(笑)皆にとってナディアは支えですけど、ナディア自身は支えがなくて、それでも動じず強くあり続けるナディアって凄いなー←でもそんなナディアが崩れたらドミノ式に大変なことになりそう←←
変態は本質的なものか・・・←

いや、やれどもやれども好感度がビクともせず途方もない戦いでしたよwww
主人公のこと「可愛い子猫ちゃん」って言う危ない王子がいたんですけど、コイツなら落とすの楽そうって思ったのに全くビクともしないんですwww

あーなるほど。そんなフロンに目をつけられたジルは可愛そうだ(笑)
外見しか見てなかったり、そんな奴ばっかだからジルは本当に人を好きになることがないんだな←責任転嫁
ヨノが頑張ってジルの心を揉みほぐさないと← ただ、どうやって年下の男の子好きにならせようか悩む(˘-ω-˘ ).。oஇ

了解しました(*ˊૢᵕˋૢ*)】

636マゼンダ他 ◆wxoyo3TVQU:2016/10/23(日) 22:38:59
【森】

「あーあー、こんなにしちゃって・・・。手拭いは?持ってるのかい?」

「無い。」

「バカじゃないのかい!?」

拭くものも持たず川に飛び込んだヴェントに呆れ、更にすぐに乾くなどと発した言葉にも呆れつつ、マゼンダは取り出したハンカチでヴェントの顔を拭ってやる。

「これ絞りながら身体も少し拭きな。ほんと、手のかかる奴だね。」

顔を拭き終わったハンカチをヴェントに投げつけると、言われた通りにし出す。
そして濡れた髪を絞りながら、ようやくヴェントはマゼンダ以外の者達へと目を向ける。その視線は先程から何やら騒いでいるDDへ。

「・・・誰だ」

そして衝撃の発言を。思わずマゼンダは吹き出した。

「あんた、人の顔を覚えないのも大概にしなさいな。私らと同じ長老じゃないかい。忘れたのかい?」

「長老・・・お前と、そこにいるフィア。ピエロでなく子供・・・最近会った奴なら覚えている。」

637メイヤ ◆.q9WieYUok:2016/10/24(月) 01:16:07
【冥界】

上下左右も前後もわからず、音も光も無い世界。
不意に聞こえる微かな声へ、メイヤは左手を伸ばす。

そして、伸ばした左手の先から急激に光が溢れ出しーーーーー

ーーーーー先程とはうって変わって確かな景色に、メイヤは目を細めた。

周囲には人影。
規格外の大男に目が行くが、その近くには知った顔を見える。

「リトと……サン、ディ?」

知った顔、二人の内の片方の姿に、メイヤは思わず目を見開いた。
発作的に、手を伸ばそうとするものの、それを堪える。

「……此処は何処だ?」

そして、一呼吸の後。
もっとも簡単で、もっともわかりやすい答えが来るであろう問を大男とその傍らの少女へと投げた。

638アンヘル ◆wxoyo3TVQU:2016/10/24(月) 23:14:37
【冥界】

「これまた血の気の多そうな子が来たなぁ」

現れた人物を見るや、少女は唐突に思ったことを口に出す。
素直と言えば聞こえが良いが、単に無神経なのだろう。

「此処は冥界。一生を終えた魂が辿り着く場所。・・・で、君は死んでるの?」

死んだのかどうかなど、本人が1番知りたいだろう。
はじめこそ冗談かと思ったが、メイヤへと向ける視線は真剣そのものだった。
しかし当の本人が答えられる筈もなく、代わりにアンヘルが横から答えた。

「死んでいるのなら黄泉を抜けてくる。門番であるイヴが1番知ってることでしょ?"狭間"にいたのだから、"まだ"死んでない。」

だけど、とアンヘルはメイヤへ目を向ける。

「あなたは今とても不安定だ。どちらかと言えば"死の方に近い"。早く元の世界へ戻る方法を見つけた方がいい。」

639メイヤ ◆.q9WieYUok:2016/10/25(火) 19:26:54
【冥界】

「死んではいないが、死に近い……か。」

イヴの答えとアンヘルの説明に、メイヤは頷く。
確かに、先の戦いで負った怪我は明らかに致命的なモノだった。

見れば身体には傷一つ無いが、定期的に傷と痛みが浮かび上がってくる感覚はある。
それも、段々と間隔は短くなっているようだ。

「脱出する方法、それを教えて貰えると助かる。
門番とその知り合いなら、知ってる筈だと思うんだが……」

此方を見詰めるアンヘルから、サンディとリトへ視線を向けて、メイヤは続ける。

「サンディもリトも、此処に居ると言う事は“まだ死んでない”んだろう?
二人も一緒に戻ろう、ナディアもイスラも心配している。

それに……説明は省くけど、世界の危機だ。
世界が闇に閉ざされ、滅ぶ前に黄龍を倒さないといけない。」

だから、とメイヤは更に続けた。

「四神と闇の王子、二人の存在はこれからの戦いに必ず必要となる。
……だから、戻ろう。

異界の闇を宿していた俺が、こうやって闇の王子と話すのも何かの縁かもしれない。
100年、塔で戦った二人の剣士……その血縁者がここに居るのも同じく縁だと思う。

でも、何より……因縁も、世界の存亡も。
それを乗り越えた先の世界を俺は生きていきたい。

勿論、そこにアグルやナディア、リトとサンディが居れば万々歳だ。」

640サンディ ◆Hbcmdmj4dM:2016/10/25(火) 22:54:55
【冥界】

迎えに行った者が、まさか面識のある人物だとは誰が想像しただろうか。
始めこそ驚きを隠せずに目を丸くしていたサンディだったが、彼の「これからの戦いに必要になる」との言葉を耳にすれば、途端に表情を曇らせた。

「メイヤもあたしを四神としてしか見てないんだね…」

恐らくその小さな呟きは彼の耳には届かなかったことだろう。
アンヘルやイヴ達よりも後ろにいたサンディは、不意に前に歩み出ると、メイヤと向き合い、彼を睨み付けた。

「あなたがここに来たってことはまた戦いで無茶したんでしょ?
どうしてメイヤもいー兄も自分の身を顧みずに戦おうとするの?なんで自分のことをもっと大切にしないの?」

それは咎めるような口調だった。
どうしてこんなにもイライラするのか、サンディは自分でも分からなかった。

「元の世界に戻ったとしても、もう体動かせないかもしれないよ?今度こそ本当に死んじゃうかもしれないよ?メイヤは怖くないの?」

因縁も滅亡も乗り越えた先の世界…、それが叶えばどんなに素敵だろう。
だがそんな世界など本当に存在するのだろうか。そしてそれは命を懸けて護るほど価値のあるものなのだろうか。

「あたしは怖いよ…!戦うのも!痛いのも!
大切な人が目の前で傷つくのも!」

今になってこの世界に来た時、なぜ妙に気分がハイになったのかが分かった。
戦いばかりの現実から逃れることが出来て安心したのだ。

「あたしは戻らないから!また生き返らせて戦わせようとしても無駄だから!あんな怖いとこに戻るくらいなら死んだ方がマシだよ!」

そう言うと、サンディは踵を返してその場から駆け出した。

四神としての責務を放棄していることは分かってる。
でも、それならどうして自分にこの力が備わったのかと恨めしくも思う。
こんな血筋でさえなかったら、両親は死なずに済んだかもしれないのに。

641フロン ◆Hbcmdmj4dM:2016/10/25(火) 23:56:56
【霊園】

ジルの言葉にフロンは口籠った。視線を落とし、たじろむような仕草を見せる。
以前までの彼女なら、ここで身を引いたことだろう。だが、今回は違った。

「いいえ、消えません」

その口から発せられた答えは拒否だった。
それは先程までのおどおどとした口調とは一変した、凛とした響きを感じさせるものであった。

「貴方に一言謝りたかった…。それは嘘ではありません。でも、私がここに来た理由はそれだけではないんです」

表情や仕草こそ気弱な少女そのものといったフロンは、ジルの目からすると一体どんな風に見えているのだろう。
フロンは一歩前に進んでジルを真っ直ぐに見つめた。

「私は…本当の貴方が凄く心の優しい人だと言うことを知っています。そして他人を傷つけて喜ぶような人じゃないと言うことも…。
そんな人がどうして黄龍なんかに従っているのかと、最初は不思議に思いました」

彼女は小さく首を振り、その理由は直ぐに分かったけど、と続ける。

「ジルさん…、貴方は可哀想な人です。籠に囚われ、ただ朽ちていくのを待つばかりの鳥のようだとさえ思います。
思い出してみてください。貴方は今まで数えきれないほどの辛い思いをしてきた筈です。
お金を得る為に何度も体を売ったのでしょう?命令に従って沢山の罪を犯したのでしょう?
…心を偽ってまで自分の身を汚してきた。その原因を作ったのは誰ですか?」

何故フロンがジルと出会う以前の彼の過去まで知っているのかは不明だが、その原因こそ妹であるフェミルにあると、彼女は暗に語っていた。
ジル一人ならばどうとでも出来たはず、妹という存在が枷となり彼の身を縛っていたのだ。

「ジルさん、貴方は妹を護ろうとする限り幸せにはなれません。
でも…私ならジルさんを幸せに出来ます。幸せにすると約束します」

フロンは再び一歩進み、ジルとの距離を縮める。
感極まったように瞳を潤ませ、懇願する。

「私は貴方を救いたいんです。お願いです。私と一緒に来てください。四霊であることも、妹も、全部忘れて私だけを選んで下さい」

642メイヤ ◆.q9WieYUok:2016/10/26(水) 17:48:31
【冥界】

全部聞こえていた。
サンディの小さな呟きも、続く言葉も。

だが、返す言葉は出ず。
逃げる様に駆け出したサンディを追い掛ける為の一歩も出ない。

「……俺とリトは似ている。
産まれながらに闇と共にある事を決められ、一族に縛られ。

だけど、俺は生きる理由を見つけた。
生きたいと思った、だから。」

しかし、追い掛けなければならない。
時間が無いのは自分だけではない。

この場所に居る以上、二人にも“その時が”来る。
メイヤはリトに言葉を投げた後、アンヘル達にすぐ戻る、と言い残しサンディを追い掛けるべく走り出した。

時間はもう殆ど無い。
足跡を、匂いを追い、メイヤは走る。

そして、サンディの姿を見つけた頃には既にメイヤの身体は血塗れ、現世で負った傷が顕現していた。

「サンディ!!話したい事がある、言いたい事が、だから!!

だから……その……」

左目は見えず、左手は動かず。
傷口からは血が溢れ、鼻腔からも朱が流れる。

「……俺は、今まで死ぬのが怖いなんて思った事は無かった。
暗殺を生業にする一族に生まれ、当主の命のまま刃を振るい。

闇を宿した出生の秘密を知り、自分には何も無いと思った。
血塗れの手と、偽りの記憶。

けど、サンディ達と出会ってからの記憶は、戦いは、流した血は全部、本物だった。
何も無かった俺が、手にしたモノ。」

一言一言、口を開く度に口腔から血が溢れる。
メイヤはそれを吐き捨て、鼻血を拭い、続ける。

「俺は明日が欲しい。
いつかの日、二人でバルクウェイの街を歩いたあの時。

もう一度、あんな風に街を歩きたいんだ。
勿論、サンディと一緒に。」

巨鳥の鉤爪による傷から溢れる血は既に黒く、メイヤの身体も微震動し、消え掛かっているのが分かる。
だからこそ、それでも。

「俺は俺の為に、欲しいモノの為に戦う。
四神としてのサンディよりも、俺の隣で笑ってくれるサンディが欲しい。

戦うのが嫌なら、怖いなら、戦わなくても良い。
……我が儘なのはわかってる、けど。」

上手く言葉に出来ないのがもどかしく、焦燥感が胸の内を揺らす。
しかし、もうこれ以上の余裕は無い。

「世界の為に、四神として、とはもう言わない。
俺の為に、俺と一緒に、戻らないか?」

辛うじて動く右手を、彼女へと伸ばす。
歩み寄ろうにも脚は動かない、感覚すらない。

気取った言葉も言えない。
手を伸ばす、それがメイヤの精一杯だった。

「俺は、隣で笑う君の姿が見たい、いや、欲しい。
だから、だから……俺と一緒に、来いっ!!」


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板